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1964-06-12 第46回国会 衆議院 文教委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十二日(金曜日)    午前十一時五十分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 小澤佐重喜君 理事 坂田 道太君    理事 長谷川 峻君 理事 南  好雄君    理事 二宮 武夫君 理事 山中 吾郎君       熊谷 義雄君    床次 徳二君       原田  憲君    松田武千代君       松山千惠子君    川崎 寛治君       長谷川正三君    前田榮之助君       鈴木  一君  出席政府委員         文部政務次官  八木 徹雄君         文部事務官         (大臣官房長) 蒲生 芳郎君         文部事務官         (管理局長)  杉江  清君  委員外出席者         参  考  人         (私立学校振興         会理事長)   岡田 孝平君         参  考  人         (学校法人並木         学園理事長)  大沼  淳君         参  考  人         (東京電機大学         電機学校校長) 蓮見 孝雄君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  私立学校振興会法等の一部を改正する法律案(  内閣提出第一二二号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  私立学校振興会法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日本案について私立学校振興会理事長岡田孝平君、学校法人並木学園理事長大沼淳君、東京電機大学電機学校校長蓮見孝雄君、以上主君を参考人と決定し、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は御多用中のところ、わざわざ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。これより御意見を伺うのでありますが、御意見委員質疑お答え願うということでお述べ願いたいと存じます。  それでは質疑の通告がありますので、これを許します。山中吾郎君。
  4. 山中吾郎

    山中(吾)委員 参考人の方々にお聞きします。いまこの国会に提案をされておる私立学校振興会法の一部改正案、その中身は各種学校に対する融資の道を新たに開くというようなことであります。したがってそれについて審議一つ参考にわれわれお聞きしなければならぬものがございますので、そのおつもりでひとつお教えいただきたいと思います。  第一点は、いままで一応融資対象になっていない各種学校融資対象になるということは、各種学校振興のために非常に望ましいことであり、われわれは大いにそれについては賛意を表しておるわけでありますが、各種学校実態として、経営上どういう援助が一番皆さん政府に対し必要なんであり、そして経営の体験上、こういうものがわれわれとしてはほしいのだ。教育的に一つの責任をお持ちになっておられるのでありますから、そういう教育上の一つ立場と国との財政援助関係を、皆さんからひとつ最初に感想をお聞きしておきたいと思うのです。  それから次に、現在の学校教育法においては第一条に各種学校がなくて、そして「学校教育に類する教育」と定義をされておるわけなんです。こういうことの中に、国の一般の私学に対する取り扱い各種学校に対する取り扱いについては、おのずから一つの差別が出てくるように方向性ができておるのであります。そこで経営をされる皆さんにおいて、日本各種学校というものは現行法のままのほうが教育事業として安定するのか、あるいは皆さんにおいてどういうふうな方向性の中で各種学校を位置づけるのが教育事業立場からいいのか、それを含んでのお答え、これはお三人にそれぞれお答え願いたいと思います。そうでないと、各種学校融資対象になるという法律ができ、あるいは将来国の補助という問題も出るときに、各種学校そのものの性格を法的にどの点に安定せしめるべきか、各種学校終着駅はどこかということを、われわれも頭の中に一つビジョンが入らないと、この法案そのものについても何かこう将来についてのビジョンがないままに審議をしていくことになって、賛成し、成立するについても確信のある賛成にはならない。そういうことを考えるので、まず三人の方に共通した問題でありますから、お答えを願いたいと思います。
  5. 岡田孝平

    岡田参考人 ただいまの御質問でございますが、率直に申し上げますと、私は他の二人と違いまして、ただいままで各種学校につきまして特に所管いたしておりません。私立学校振興会各種学校以外の学校につきまして融資あるいは助成をやっておりました。したがいまして各種学校につきましての特に経験もまた研究もいたしておりませんので、あまり御参考にならぬかと思いますが、御指名でございますので、一応簡単に申し上げます。  各種学校につきましては、その数も千差万別、また学校生徒数も非常に大きいのでありますが、これがわが国の教育に非常な貢献をなしていることは御承知のとおりでございます。その経営上の問題点とおっしゃいましたが、おそらくこれまた千差万別、非常に困難な経営をされておる学校もありましょうし、また相当生徒数をかかえて比較的楽にやっておられるところもあると存じますが、千差万別でございまして、これらの問題は文部省におかれましてただいま詳細な資料を集めておられます。それができましたならば、その教育内容の問題あるいは各種学校財政中心とした問題、あわせまして、それらの諸資料が集まった上で検討されるべきものであると存じております。  そして何を国に対してやってもらうか。これは私立学校であります以上は、相当国貢献いたしておりますので、それに対して国はやはりその貢献に報いまして財政上の援助を与えるというのが、理論上から申しまして当然と存じます。今回は私立学校振興会を通じての融資ということで、一応のこの問題の端著を切っておるのでございますが、将来さらに融資の拡大、補助等問題等に発展すべきものと存じております。  第二の問題で、学校教育に類する学校、これは一体どういうことであるかということでございますが、もちろん各種学校といいましてもこれは広義私立学校であることは当然でございまして、ただ学校教育法第一条の学校とは、国の行政のあり方におきまして差があります。また教育内容におきましても相当に差がありますので、一応区別されておりますけれども、広義学校、ことに私立学校であることにおきましては何ら差異はないのでございまして、これに対しましては各種学校実態を明らかにし、そうして各種学校の根本的な整備拡充方策を講ずべきものと存じております。文部省におかれましても専修学校制度をただいま考案されているということでございまして、これはきわめて当を得たことであると存ずるのであります。そうしまして、その学校教育との関連、位置づけをいかにするかということをはっきりいたすことが必要であるかと存じております。したがいまして、かような専修学校制度というような根本的な問題がありますので、その際に各種学校の問題は終局的に定めらるべき問題でありまして、ただいま直ちにこの問題を根本的に解決することは非常に困難である。しかしながら、各種学校実態からいいまして、ことに職業に関する技術教育あるいは医療に関する教育をされております各種学校は、特に科学技術振興の上におきまして、また医療関係改善の上におきまして、きわめて国家に対し緊要な役割りを果たしておりますので、これに対しましては融資という形で振興会を通じまして助成を与えることは、現在非常に取り急いで必要であるということでございまして、そのために振興会法の一部を改正されることは、これまたきわめて妥当なことであろうかと存ずる次第でございます。  以上申し上げます。
  6. 大沼淳

    大沼参考人 私は、実際問題といたしまして各種学校経営をやっておるわけでございまして、各種学校教育につきましては、私たちは非常に大きな自信一つ社会的な誇りといいましょうか、それを持って今日までやってきたつもりでおります。各種学校につきましては決して戦後の特異な現象ではなくて、明治以来各種学校という制度日本の国内には存在しておりまして、そして、そうした大きな文教政策一環の中で、実際の社会の実務、実用に結びついた、しかも非常に端的に具体的にものを教えるということで、社会的の大きな存在が認められてきたのではないかと思うのであります。今日では約百三十万人という非常に多くの人をかかえておるわけでして、それが教育的にあるいは社会的に及ぼしている大きな力というものは、お察し願ってもよろしいのではないかというふうに考えているわけですけれども、今日までの段階では、ややもしますとそれがほとんど正当に評価されないまま今日にきたというふうに私は思っているわけでございます。  今回の振興会法の一部改正の問題に関しましても、いままでの産業界、たとえば特別な企業につきまして、あるいは特定機械あるいは地域開発等につきましては、開銀の政府融資であるとか、中小企業につきましては中小企業金融公庫とか、あるいは農林水産等につきましては農林漁業金融公庫、あるいは林業の特別の補助とか、あらゆる階層のあらゆる場合にそうした政府融資制度というものが確立されているわけですけれども、学校につきましては私学振興会一本で、しかもその中には各種学校が除外されてきたというふうなことが、政府の全体の政策の上からもたいへん片手落ちではなかったのだろうかというふうに当事者として考えられるわけなんです。中小企業とかそういうところには政府融資をやるけれども、なぜ、学校の中で中小企業に類する各種学校にやることがまずいのかということは、われわれは理解に苦しんできておるわけです。しかもそれが社会的に産業界並び教育界の中でも大きなウエートを占めてきていながら、それを認められていなかったということは、私は全面的に残念に思いますし、今後大きな力を、しかも町かどの学校として底辺にある一つ学校として、当然そうした手を差し伸べていただいても、政府の全体の政策のしからは、決して均衡を失するようなことはないのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。  その上各種学校教育は、そうした具体的に直接産業界に結びついている教育、すなわち技術技能教育だけに限らず、いわゆる後期中等教育関連におきましても、高等学校に入れなかった人、高等学校で収容し切れなかった人、そうした人たちが、いわゆる青少年教育一環として数多く各種学校で学び、そして正しい仕事を身につけて社会に入っていく一つの大きな基礎をつくっている事実もございます。そうしてまた、大きな意味では人づくり一環といたしまして、特に女子教育等の分野におきましては、健全な家庭婦人の育成という角度からもとらえられて、各種学校が今日まで運営されてきているわけで、学校として一条の学校には入っておりませんけれども、それが果たしてきた社会的な、実際的な役割りというのは、決して一条の学校には劣らないというふうな確信も持っているわけでして、今回の振興会法改正につきましては、私ども非常に感謝を申し上げておりますし、またぜひそうしたことを全各種学校に及ぼしていただけるような措置を、政府に対しまして特にお願い申し上げたいわけであります。  それから第二番目の問題といたしまして、現在各種学校につきましては学校教育法の一連として、その中に規定はされておりますけれども、学校教育法一条の学校でない学校で、学校教育に類する教育ということで非常にばくとした形しか与えられておりません。しかしそのことが、結果的には各種学校自体が非常に自主的な、社会と非常に密接した教育を行なえるゆえんになり、またその中で大きく今日まで成長してきたわけでございますけれども、今日こうした社会的に大きな地位を占め、あるいは影響力を及ぼす一つ教育機関として発達してきました以上、当然学校教育法の中に正当な地位を与えられ、それが各種学校振興になり、また安定した一つ教育体系の中に置いていただくようにわれわれとしては強い念願を持っているわけでございます。何とぞ、各種学校が今日まで果たしてまいりました一つ社会的な地位あるいは貢献というのを政府においてもとくと認めていただきまして、今後の振興策について特段の御配慮をいただくようにお願い申し上げたいと思います。
  7. 蓮見孝雄

    蓮見参考人 私は工業技術関係学校経営教育関係しておる者でございますので、大体理工系のことに限ってお話し申し上げたいと思います。  私は実は各種学校大学のほうと両方関係しておりますので、その間の関連につきまして申し上げたいのですが、先ほどの御質問で、各種学校経営上どういうところが困っているかというようなことのように承っております。各種学校は、卒業者は実は何らの資格もございません。勢い教育内容がその学校の声価をきめるものであります。したがいまして、教育あり方について非常なくふうを必要といたします。工業におきましてはいろいろの聴視覚設備であるとか、あるいは絶えず教科の内容を検討し、生徒からの反応を見て改善をしていくというようなことで、ほんとうにこちらが考えておるような教育をしようと思いますと、教育設備に第一条の学校よりもさらに多くの費用を必要とするものであります。  また経営上のもう一つの問題といたしましては、たとえば先生を得るような場合におきましても、大学であれば少し俸給は安くてもいいけれども、各種学校の場合はもう少し出してくれというようなことで、世間の人が考えておるのとは逆に、学校の格は低いのでありますけれども、りっぱな先生を招聘しますには費用がかえってよけいかかるわけであります。そういうような点におきまして経営上苦労をしておるわけですが、一方教育におきましては、私たちの教えた卒業生が実際に世の中に出て真に社会貢献しているという自信を持っておるわけであります。したがいまして、これをさらに助成をしていただきまして、この非常に束縛されない自由な教育をさらに発展させていきたいという意欲を持っておるわけであります。今回のこの法律改正につきましては、私たちこれを熱望いたしておるのであります。  第二の終着駅というお話につきましては、私たち工業技術関係の人の集まるところで問題になっておりますのは、工業、ことに私たちのやっております電機関係のごときは非常に日進月歩でありまして、しかもまた日増しに程度も高くなるということからいたしまして、中学卒業生だけを対象にする工業技術系学校は非常にむずかしい。したがって中学のみならず高等学校を卒業した人を対象とする実際の技術教育ということを考えます場合に、どうしても工業専門学校といったような形態学校にいたしまして、これを第一条のほうに加えていただきたいということを要望しております。  以上であります。
  8. 山中吾郎

    山中(吾)委員 ありがとうございました。それでは順次参考人皆さんにお聞きしたいのですが、まず岡田さんにお聞きしたいのですけれども、この法案の裏づけの予算は五千万そこそこなんですが、実際にそれの融資を取り扱われる振興会立場からいいますと、非常に額が少ないので、あるいは各種学校の要望が多過ぎて、少ない額で融資をするということになると、各種学校のほうからは競争過剰になるでしょうし、融資をしてもたいした効果はない程度のちょっぴりの融資にしかならないのじゃないかというような感じがするのですが、その点もしこの法案が成立した場合に、融資のやり方その他について有効適切に行なえる見通しがあるのかどうか、その点を振興会立場からお聞きしておきたい。
  9. 岡田孝平

    岡田参考人 今回は特に場合を限定いたしまして、理工系各種学校並びに医療系各種学校ということになっております。したがってそういうことに該当いたします各種学校は数もおのずから限定される。さらにその中で教授時間数であるとか修業年限であるとかいうふうに場合を限定して貸し付けるというような文部省の御方針であります。これに従いまして五千二百万という数字が出ております。今回の問題といたしましては、この額をもって、該当する学校に対しましては、まずたいした問題もなく貸し付けができるのじゃないかと考えております。ただいま詳細な資料は取り集め中でありますので、まだ確定的なことは申し上げられませんが、その融資の進め方は、まず当該学校を確認する、貸し付け対象になるべき学校を確認してそれをきめることが第一でありまして、それからその学校におきましてどういう施設をするか、その施設建築なら建築規模、それに要する経費等を調べまして、そうして一応こちらで、たとえば生徒一人何坪とか、一坪幾らというような計算の方法がございますので、そういうものを含めまして、そうして大体の金額をきめていきたい、かように考えておる次第でございます。
  10. 山中吾郎

    山中(吾)委員 何とかやれそうだというお考えですか。この点はひとつ大沼さんにお聞きしたいのですが、理工系医療系ということで、大沼さんの実際経営されるものは適用外になっておる。そこで率直に言えば異議申し立てをしていいような立場にあるのだろうと思いますが、この授業時間数とか修業年限とかいうふうなことで二年以上は融資対象にするが、一年は対象にしない、こういう基準のきめ方は実際の経営立場からいって妥当なのかということ。  それから被服とか洋裁とかの関係各種学校が、理工科関係医療関係と比べて、これを融資対象としないということについて、一応対象からはずれた立場で率直にこういう考えを持っておるということをひとつここで表明していただきたいと思います。
  11. 大沼淳

    大沼参考人 私立学校振興会法の一部改正法律案で、政令あるいは省令の内容として文部省のほうから国会に提示してあることに関してだろうと思いますが、それは拝見はしておりますが、まだ確定をしたというようには聞いておりません。しかし今回の修業年限につきまして二年というふうな規定がございますが、これはたとえば本科、研究科というふうに一年ずつにとぎれておっても、それが二年コースになっておればよいというふうな解釈考え方のようでありますし、それからその中の主たる課程がそういうものであればよいというような考え方があるようですから、この点に関しましてはさほど影響はないと思います。ただし、やはり各種学校では原則として一年を単位とするような課程が積み重なって三年になる、二年になるというふうな考え方がありますので、望むのはやはり二年ではなくて、一年ということが全般的には適正ではないかというふうに考えます。  それから授業時間数等の関係につきまして、今回は七百五十時間というふうなことがございますけれども、各種学校の非常に大きな特性は、勤労青少年教育にあると思うのです。勤労青少年教育というふうなことが特に大きく行なわれるのは、夜間部において行なわれるわけです。夜間部において実技を教える。ところが、その夜間部において教える場合に、授業時間数が七百五十時間というふうな形になってまいりますと、実際には不可能になってまいります。したがって、でき得べくんばそうした基準も、時間数が少なくとも六百八十時間ぐらいが適当ではないだろうかというふうに、その点については考えておりますけれども、ただし、それは先ほども申し上げましたように、その中で主たる教育課程がそういうふうな形になっておればよろしいという一つ解釈であるならば、そんなに大きな支障はないんじゃないかというふうに考えております。一の問題については大体そういうように考えております。  それから第二の問題点につきましては、確かに今回の場合にはわれわれの洋裁学校系統は全部除外されております。この洋裁学校系統が、たとえば理工系ではない、家政系だというふうに把握されているところに大きな問題点があるんじゃないかと思いますが、現在の被服というのは、決して家政のカテゴリーでないというふうに私は考えます。現実に大メーカー、たとえば東洋レーヨン、帝人あるいはそのほかの既製品メーカー縫製工場というのは、日本繊維産業というのが日本産業の中で占めているウエートが非常に高いものがあるわけです。それからまたそれが輸出その他についても非常に大きな力を持っているはずであります。それでそれらの繊維業界で糸をつくることと、それを実際に加工してわれわれが着ているわけで、その着るための、たとえばデザイン上の問題であるとか、縫製上の問題であるとか、あるいはそれを一つの製品化していくいろいろの問題、そうしたことを少なくとも洋裁学校では扱っておりますし、そうしてまた卒業生の大部分がそうした産業界の基盤に入り込んで、おそらくそうした消費に結びつける面ではじかにささえていると言っても私は過言ではないと思う。したがってそうした意味においては理工系と同じような角度からこれをとらえて見ておる。そうした家政系といわれる洋裁学校等が果たしている一つ社会的な役割というものは、私は全くイコールではないかというふうに考えておりますし、よしんばそういう産業界と直結しない純粋の家政系学校であるとしても、要するに日本社会一つ家庭中心としたものであり、また非行少年の問題その他が家庭教育の問題として大きく取り上げられているときに、当然後期中等教育を終わった高等教育等段階において、そうした角度から教育をしていく、あるいは堅実な家庭に入る実用的な婦人を養成していくということは、日本社会にとってもたいへん望ましいことですし、またたいへん必要なことだというふうに私は考えておりまして、各種学校教育、要するに理工系でない他の各種学校についても、当然同じような措置があってしかるべきだ、また、なければならぬのだというふうに考えているわけでございますが、今回のものにつきましては、かつて各種学校がそうした融資を受けるような対象になかった、冒頭に申し上げましたとおり、ほかのあらゆる産業界、あらゆるものにすべてあって、ただ一つ各種学校だけが日本社会においてなかった、そんな印象を受けるわけです。そういった意味で、今回のこの法案各種学校にも目を向けてくださったという意味での意義を十分認めますし、いろいろな国の予算その他のことで、少額のものであるならば当然優先的に工業系統を扱うということについてはもちろん異存はございません。しかしそれで事済んだということではなくて、政府のお考えによりましてさらにこれが全各種学校が日の当たる、あるいは社会的に容認される、そういう場をこうした法案を通じてぜひ与えていただきたいと、いうことを特にお願いを申し上げたいと思います。  なお各種学校は千差万別というふうなおことばが先ほどございましたけれども、各種学校が果たしている役割りというのは、いわゆる一万、二万というふうな小都市におきまして——大学であるとかそうしたものにつきましては大都市にほとんど集中しております。東京へ勉強に出すためにはたいへんお金もかかる、そして実用的な勉強もできない。そうした人のためにいわゆる町かどの学校として、生徒数はなるほど五十人あるいは百人で、教室の坪数は五十坪というふうな学校であるかもしれませんけれども、そうした一つ地域社会において実際的な役割りを果たしていれば、学校規模あるいはそれがどういう形態であるかということのいかんを問わず、社会的には重要なものであり、むしろそうした学校にはっきりした立場が与えられるようなことが各種学校ほんとう振興策ではないかというふうに考えております。私どものような一万人という学生を擁している大きな学校は一万人の都市へまいりましてつくってみたところで、全く存在意義がないわけでして、東京の、しかも全国の中心であるという形があるので存在意義がある。郡部のそうしたいわゆる小さいと言われる学校は、むしろその地域社会において、われわれの学校以上の一つ社会的な役割りを果たしているのだというふうに考えてもいいわけであります。そういう点をひとつ御賢察の上、今後の各種学校振興については何ぶんの御配慮をお願いしたいと思います。
  12. 山中吾郎

    山中(吾)委員 ありがとうございました。医療関係理工科関係とを一応融資対象にして、ほかは除外しているということは、いろいろ差別をするという理屈は立たないと私は思う。理工科関係学校施設設備が、被服とかそういうふうなものより何倍か多くかかるから、まずそれにというふうに私は解釈しておるわけです。そこで今度の政令によって対象外になる各種学校施設設備というものの投資の率というのですか、どのくらい使うものなのでしょうか。やはり理科関係とか医療関係が非常に多いわけですか。これは大沼さんと蓮沼さん、両方からひとつ実態を一お聞きしたい。
  13. 大沼淳

    大沼参考人 設備という点では、確かに理工系学校が私は一番かかるのではないか、こう思います。これは大学あるいは高等学校等におきましても産業教育振興法あるいはそうした法案もあるとおり、工学部系統あるいは医学部系統では非常に大きな設備がかかりますから、当然大きな額を必要とするのではないか。被服系統等につきましてもいわゆる文科ではございませんので、それに要する実習施設あるいはそうしたものも当然必要とするので、文科系統の学校よりもそれはさらにかかると思いますが、純粋の工業系統に比べればやや低いのではないかということは言えると思います。ですからそうした意味では、いま御質疑のあったとおりの順序に従うのではないかと思います。
  14. 蓮見孝雄

    蓮見参考人 工業技術系が非常に設備を必要とするということは全くそのとおりでございまして、ごく大体のことを申し上げますと、座学をやる教室と同等以上の面積の実験室、製図室、実習室等を必要といたします。これはいわゆる学科によっても違いますけれども、大体そういう割合になると思うのです。なお、しかもその中に設けました設備なるものが実際的にはまだ使えるものでも、技術の進歩によってもう非常に古いものになる。したがって、それがあまり教育的の価値がなくなるというようなことで、絶えず設備を更新するという必要が起こります。
  15. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうすると大沼さんのほうは一応設備の多くかかるほうを融資対象にして、そうでないほうは除外されてもあえて異存はない、しかしだんだんと将来は考えてほしいということで、法案そのものについては大きい立場異議はないというお話と受け取ってよろしいですね。——そこでいま一つ一方に、ほかの私学と違って、大体の各種学校に対しては、なるほど補助はまだ考えていない、融資ということで非常に時期おくれで入ってきておるのは、私らの感じから見ると、各種学校ほんとう学校でないんだという一つ各種学校観というもの、私立の大学とか高等学校と違うという伝統的な何が一つある。そのほかに各種学校というのは非常に企業的なものであって、収益も十分ある。だから国がそこまで考えなくてもいいんじゃないかという第六感的な感じというものがあって、一つ日本の文教行政、国家の政治というものの中に各種学校に対する考え方が薄い、こういうふうに受け取れるわけです。実際には各種学校というのは一つ教育事業としてそんなに企業的なものかどうか私わからないものですから、その点をここでひとつわれわれにわかるように教えていただきたい。  それから先ほどお話のように、中小企業には十分の国が補助をしておる。農業関係も農業改善事業にはすばらしく補助しているということを考えると、教育事業というものに、私学であろうが各種学校であろうが、もっと補助すべきだということは、考えてみると、それはほんとうだろうと思うのです。しかるに、どうしてそれなら教育事業には、国立については大学で一千億は国が税金を出しておるけれども、私学についてはほとんど出していない。これは政治問題になっておる、その一番底辺にある各種学校がちょっといま出てきたわけで、そこの考え方補助までいくのか、融資でストップするか、あるいは予算を多くだんだんと発展せしめていくかどうかという考え方、いま申し上げた考え方によって非常に違ってくると思うのです。  そこで、ひとつ経営者の立場で率直にここで速記録に残しておいてもらいたい。われわれは実感がないから、国会でそういう意見を述べる機会は皆さんなかなかないと思いますから、大胆率直に述べてひとつわれわれを啓蒙していただきたい。お二人からひとつ……。
  16. 大沼淳

    大沼参考人 経営的に、企業的に各種学校が採算とれているからそれでいいんじゃないかというおことばなんですが、そういうことでなくて、やはり教育と名のつく以上は当然私自身の考え方、あるいは今日まで実践してきたことでもそうなんですが、なるべく大ぜいの人たちによりすぐれた教育環境の中で生徒の負担を最も軽減して行なうのが教育だというふうに私は考えております。当然生徒の負担がどんなに高くてもいい、あるいは教育環境がどんなに悪くてもいい、そういうことでは教育は成立しないのではないか。したがって、少しでもよい教育環境をつくりたいし、少しでも生徒の負担は軽減したいというその二つの矛盾したことを学校経営者というのはやっていかなければならないわけです。そのためにはいろいろな方法あるいは努力を今日まで重ねてきているわけですが、各種学校経営的に採算がとれているかと申しますと、たとえば私どもの学校ではここ十数年来学校会計はほとんどとんとんないし赤字でございます。それを一つの収益事業部門を別に持ちまして、そこの利益金で補てんするというような形をとっております。そこで学生にはむしろサービスすることが多くて、学生の授業料はその中で最小限度に押えるというふうな方針をとってきております。そこでまた当然各種学校であるということにおいては、先ほど申し上げましたとおり、大きなりっぱな学校には行けない、それでも何とか実務的なものだけは身につけておきたい。そうした勤労青少年ないしはむしろ社会の底辺に近いところに存在する人たち勉強する場でもあるわけでございまして、したがって、高額の授業料ということは当然望むべくもございません。おそらく私立の他の学校に比べたら、半分あるいは何分の一というふうな授業料ないしは学生からの収益で行なっているわけでありまして、それがたいへん利益が上がるというふうな事実はないと思います。それだけに施設改善——先ほど理工科系の設備がたくさん要ると言われましたけれども、やはり生徒を収容する教室、土地というようなものがその中でも最も大きな経費を要する部分でありまして、そうした教育環境を整備するという角度だけからとらえれば、理工科系もその他の学校も差別なく、当然そういうことが必要でありまして、そうした意味で、むしろやりたいのがやれないというのが各種学校実態ではないかと思います。もう少し教育環境を整備したい、あるいは教室をよくしたい、設備を充実したいといっても、そうした条件下に置かれてほとんどできない。できないからつまらない学校じゃないかというふうな言われ方をしているのが実情ではないかというふうに思います。  それから、各種学校の将来あるいは今日までいろいろなことに対する考え方なんですけれども、前段でも私申し上げましたとおり、各種学校がなぜ置き忘れられていたかというところに非常に大きな問題があるんじゃないかと思います。そのほかの産業、あるいはそのほかのものについては、比較的そうした政府のあらゆる形の融資、あるいは融資でない場合でもさらに進んだものについては助成というふうな形がとられてきたわけですけれども、なぜかその学校教育の中の各種学校については、私たちはいわゆる自主的にしかも公共性を持った一つ学校として運営をしてきているのですが、むしろそれが正当には評価されなかった。たとえばどういうことが正当に評価されないかというと、政府やあらゆる関係機関で、率直に言って非常にまま子扱いにされた。たとえば学校教育法に入っておりますので学校教育であると言いながら、いわゆる国鉄の定期等の一つの差別待遇、あるいは税法上の取り扱いの差別待遇、そうしたことが各種学校にはあるわけであります。これは学校らしくないからそういうことをするのだということであります。ところが今度労働行政のほうにまいりますと、失業保険等になりますと、一条の学校に入ると失業保険は当然打ち切られます。ところが各種学校学校であるから打ち切る。ですから、都合の悪いところは文部省の所管の学校だから全部そっちでやってもらいたい。今度逆になってまいりますと、学校らしくないから税金は取るぞというふうな、両面から今日まで攻められてきたことは事実なんであります。ですから各種学校に対する政府の態度もおそらくなかったのでしょうし、各種学校に対する考え方というのはおそらくどこでも確立していなかったのでしょうが、行く場所場所によって全部ばらばらな取り扱いを受けてきたということは間違いのない事実でございます。そういうことであって、なおかつ今日までの各種学校が伸展を見せたということは、それだけ社会的の重要性があったからにほかならないと思います。それだけの必要性があったからこそ百三十万人の学生を擁する一つの大きな教育機関として発達してきたし、また社会的に容認されない、あるいは産業界から全然認められていないという形になるならば、おそらく各種学校は一気に雲散霧消していたはずなんですけれども、今日なおある種の強い基盤を持っているということは、それだけにそれが社会一般大衆からは大きく容認され、認められ、その上に築かれてきたというふうに考えているわけですけれども、政府の施策の上ではほとんど置き忘れられた、全く片すみに追いやられた一つの存在として今日まできたという感はいなめないと思います。したがいましてわれわれといたしましても、そうした青少年の要望にこたえるためにも、こうした各種学校あり方をはっきり自覚して、教育環境の整備、あるいは内容の充実、社会的な地位の明確な確保ということをはっきり望みたいと思います。また、それを遂行していくための政府のあたたかい手を特に待ちあぐんでいるわけでして、学校教育一つの底辺と申し上げるよりも、むしろそうした社会の重要な地位にありながら、今日まで何ら政府の施策にあずかること——全然あずかっていないとは申しません。税法上の若干の恩典もあるわけですが、さらに拡大された形で、少なくとも一条の学校と同じような、あるいは、力が弱いわけですから、むしろそれ以上にあってもいいのじゃないかと思うのですが、そうした施策を特にお願い申し上げたいと思います。
  17. 蓮見孝雄

    蓮見参考人 最初の御質問の、各種学校企業的に波があるではないかというようなことに対しまして、私たち工業技術関係に関しましては、あまり企業的に、いわゆるもうかるといったような状態になっておりません。しかし、それぞれ相当盛んにやっておりますのは、いままで放任されておったために、いろいろな規制がない。規制がないところに創意くふうが生かされて、そのことによって、いろいろ経営上一条校などにできないようなこともやり、そういうことによって今日の状態になっていると思うのです。決して企業的に十分成立するというような状態にはなっておりません。  それから二番目の、振興会融資程度でがまんするのか、あるいはもっと助成まで持っていってもらいたいのかというようなことに対しましては、これは第一条校と差別なしに同じような考えで、もし国家が第一条校に助成をするのであれば、各種学校のほうも助成していただきたい。各種学校融資だけでよかろうというようなことではなしに、同じように待遇をしていただきたい、そういうふうに思います。
  18. 山中吾郎

    山中(吾)委員 なお、免許関係も聞きたいのですが、大沼さん、各種学校先生は、いわゆる国の免許法の適用はない。あるいは、適用のないほうがいいのですか。だんだん融資とかこういうのがふえてくると、そういう問題も出てくると思うのですが、実際の経営上は、ないほうが、その特技を持ったいい先生がとりやすいのか、やはり別のほうがいいのかどうか、お聞きしておきたいと思います。ここに免許法一部改正法案が出ているわけです。そして特に技能についても免許というものを出せるように、ある程度限定はするのですが、そういう内容法律案も出ているわけです。そういう場合に、それが出てくると、いわゆる各種学校にも適用するかどうかということも、やがて行政上論議が出ると思うので、その点を、大体いままでの経験でけっこうですから……。
  19. 大沼淳

    大沼参考人 各種学校の教員の養成という形になるわけですけれども、各種学校はいわゆる個性があり。要するに、社会的に認められる。そこで勉強してきた人たちが当然社会的に認められなければ学校としての存在意義がないわけであります。したがって、それの指導に当たる先生も、当然それにふさわしい力を備えていく必要があると思うのであります。現実にわれわれの学校洋裁学校の一人前の先生になるには高等学校を出てきて三年以上、ほとんど大学の卒業と同じ修学をいたしまして、教員研修生を一年間やりますし、四年の課程を終わって、それから助手の期間を約八年ないし十年くらいやって一人前の教師になるというふうな形をとっております。したがって、そうした教員養成その他ではどういう形でその学校が存在しているか、また、どういう種類の学校であるかということによって、それぞれそういう教員養成に対する考え方が異なってくると思います。したがって、一律にどういう基準でこうだということはたいへんきめがたいし、それから、各種学校と一口に申しましても、後期中等教育段階のものと高等教育における段階のものと二通りに分かれております。この二通りのものは大学の教授における免許法上の資格がないのと同じでありまして、これは当該学校研究し、つちかわれた力の評価によって認定をして現在与えているわけです。大学の教授とか助教授とか、そういったようなことと同じ方法でいいではないかと思います。高等学校では現在免許制という形があるわけですけれども、免許法というような形でも一律的にそういう基準は与えられないという感じもありますし、教員養成ということは、社会が当然それにふさわしい人を置かなければ見放してしまうわけです。したがって、その個性に応じた教員の資格をとった者を、一律にきめてしまうのはむしろまずいのではなかろうかというふうな見解であります。
  20. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうすると、国のほうで一定の法律に基づく免許制度各種学校教育には適用しないということですね。  それから、蓮見さんのほうは、今度融資対象になるが、融資を受ける立場で、その率と返還期間、それはどのくらいが望ましいのですか。
  21. 蓮見孝雄

    蓮見参考人 これも私は、第一条校で現在やっている方法を適用していただきたいというふうに考えております。この案によりますと、二年据え置き十年。その程度は長ければ長いほどよいわけですけれども、現在の一条校でやっておりますようなやり方でやっていただきたい、そういうように思います。
  22. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それから、蓮見さんにいま一つ。先ほど卒業生各種学校は何の資格も与えられないということで、よい先生を得るには設備も充実し、処遇もよくしないと魅力がないというお考えを伺ったわけですが、各種学校では何か資格というものを与えたほうが学校として望ましいのですか。やはり資格を目的としない学校として発展さしたほうがよいのか、それは大沼さんの御意見もお聞きしたい。
  23. 大沼淳

    大沼参考人 各種学校の資格とは一体何かということなんです。たとえばいま資格と言われていることの中身を考えてみますと、四年制の大学を出ればマスター、いわゆる学士号——短大ではもちろん学士号はいただけません。ただ教員の免許をくれるということだけであって、高等学校を出たということは、大学へ入る資格があるということだけであろうと思います。高等学校を出ていなければ大学へ入れない、そういう意味の資格であって、いわゆる学校教育法上で考えられている一つの資格と、社会がどういうふうにそれをとらえるかという資格とはおのずから別になっているわけです。たとえば電気主任技術者であるとか、あるいは教員免許というのは学校教育上は非常に密接はしておりますけれども、おのずからそういうものはそれぞれ別個につくられているもので、当然通俗的に一般に資格といわれているのは、学校教育法上どういう地位を与えられるかということが資格というふうな概念であるとするならば、それを文部省のほうで大体各種学校でも二年やれば大学の短大程度と同等と認めるというふうなことをやっていただければ、むしろそういうふうなことをぜひやっていただきたいし、またそういう資格をぜひ認めていただきたいということになるのですが、そのほかの資格ということになりますと、当然それぞれの分野にございますたとえば電気技術者の問題であるとか、あるいは通産省、人事院等で国家公務員の試験をやるとか、あらゆるときに入学資格あるいは受験資格、あるいは当該学校を出たことによって認定をしてくれるという、そうした範囲の中に各種学校を入れてもらうということはぜひ必要だと思います。それが資格をつけてもらうゆえんにもなってくると思いますので、学校教育のほうで的確な立場が確立されまして、当然に通産系統のそういう電気技術あるいは建築士の問題であるとか測量士の問題であるとか、いろいろな日本には資格がございますけれども、そういった中で受験資格なり、あるいはそこで修学したことにより一定の単位を免除されるというような立場を与えてくれるようにはぜひしてもらいたい。ですから、当然今日では何ら少しもそういう恩典には浴していないわけでして、今後の大きな問題としてわれわれ当然そういうあらゆる資格の面への仲間入りということは強く要望したいと思います。
  24. 蓮見孝雄

    蓮見参考人 この各種学校卒業生に資格を与えたほうがいいか与えなくてもいいかということにつきましては、ただいまの大沼さんと全く同様でございまして、たとえば会社などで職階制というのをしきまして、私のところなんかは電気の関係でございますけれども、電気に関しては相当力を持っておる人がたまたま会社で職階制を適用します場合に、第一条にないのでどこでランクしようかということで、一条にないのですから、どこにでもランクづければいいのですが、大体そういう場合には下のほうにランクづけるというのが常識でございまして、非常に私たち卒業生からいろいろ苦情を言われまして困ったこともございます。それで、いまの修業年限に応じて第一条学校と同じようにランクしていただくことができれば、そういうことはぜひしていただきたいと思います。  それからもう一つは、国家の行なっております。あるいはいろいろな法人の行なっております技能検定、電気関係ですと電気事業主任技術者検定試験というのがございますが、そういったような権威のある国家試験制度、そういうものを充実をいたしまして、そういうものを取ったものはちゃんと職階制などで正当にランクするということになれば、各種学校卒業生には大いに励みになるというふうに思います。したがいまして、資格を修業年限に応じてつけていただきたいと同時に、工業技術系関係では、何か日本技術の水準を高め、青年を勉強させるというような意味で、何らかそこに国家試験制度の権威のあるものができることが望ましいというふうに考えます。
  25. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大体お聞きして非常に参考になったわけなんですが、いまの資格の場合は別に国家試験があって、運転手の免許も含んでおりますが、そういう学校を卒業したときに受験をする資格を認める、そういうようなことが精一ぱいのことになるのですか。その学校で特に卒業したからといって、どういう資格ということをきめるということはやはりできないだろうと思うのです。そこで先ほど言ったように短大卒業程度と見なすというふうなこと、そういうことはどこどこへ入学し、転学し、途中入学できるというのですか、あるいは一つの試験を受ける資格を与える。その学校を出なければ試験を受ける資格がないという意味の資格が各種学校の限界になるわけですか。
  26. 大沼淳

    大沼参考人 資格というふうなことは、結局社会がどういうふうに受け入れてくれるかということになると思うのです。会社で採用された場合に、各種学校で二年勉強したことが、基礎学年が高等学校である場合には高等学校として受け入れられるのか、少なくとも一条の中の学校として、短大として受け入れてくれるのかというところに非常に大きな問題点があるわけです。その場合に日本の過去におけるいろいろな評価では、各種学校というような立場で出た学校は学歴とは認めない、学校に在学したものとは認めないというような一般的な慣習は確かにあったようでございます。したがってこれが文部行政の中で正当に評価されて、正当に位置づけされれば、当然日本社会でもそういう人たちの受け入れについては、一定の学校教育の他の教育機関とのバランスは当然そこで保たれて、正当に評価されて、社会的な待遇を受けられるようになってくると私は考えております。そのほかのいろいろな資格制度等につきましては、各種学校卒業者に対してある一定の試験をやって何かの資格をくれるということではなくて、そのほかの角度からとらえられた電気主任技術者の問題であるとか、あるいは看護婦であるとか、歯科衛生士であるとか、歯科技工士であるとか、これは医療関係になるわけですが、美容師であるとか、結びつけられておる教育機関もありますけれども、社会的に他の機関から必要とされるようないろんな検定その他の制度がある場合には、その中で一条の学校と同じような位置づけができるような形で取り扱っていただきたいということなんです。ですから、入学受験資格を認められたものについては受験資格、それからある程度学校で修得した単位については、同じようなものがあれば当然認定してもらう、あるいは卒業したことによって資格が与えられるものであれば、同じように与えてもらうという、そういうふうな角度から、そういう資格制度をとらえて各種学校独自の一つの資格認定制度考えてほしいというのではなくて、文部行政全般の中で、各種学校の位置づけに対して文部省の態度が明らかになれば、当然社会的に容認されるべきものだと考えておりますので、特にそれは文部行政の上ではっきりした形に確立していただけば、社会的には明確になるものだと考えております。
  27. 山中吾郎

    山中(吾)委員 お聞きすることは、大体このくらいでいいのですが、非常に参考になってありがとうございました。岡田さんのほうは融資をする方ですから、何か感想があればお聞きしたいのですが、特に私からお聞きすることはないのですけれども、ずっと聞いておられて、融資立場で何か御意見があれば聞きたいと思います。
  28. 岡田孝平

    岡田参考人 ただいま各種学校につきましていろいろ各種学校経営される側から実情並びにいろいろな御要望があったのであります。融資するほうといたしましては、これらの御要望に少しでもこたえるように、まず第一に資金量をふやすということが第一でございます。この点から申しまして、これは各種学校だけの問題ではないのですが、振興会融資計画は、毎年これは文部省並びに国会の諸先生方の御尽力をいただきまして、逐年予算はふえつつありますけれども、なおかつこれは非常に要望に対しまして低いわけです。大体貸し付け希望額の二割そこそこしかならない、二〇何%というような実情でありまして、さような状態、その中で、あるいは高校急増とかあるいは理工系というような重点的な取り扱いを受けておりますものは、それは融資を受ける比率がいいのでございますけれども、全般的に申しまして、さような程度にしかなっていない。したがって、これは各種学校の問題を含めまして、私どもは、やはり融資の画期的な額の拡大を熱望いたしておるのであります。ことに大学急増時代を控えて、また高等学校につきましては、生徒が減るというような問題がございまして、各種学校の整備拡充の問題いろいろございますが、全般的に資金量を大幅に考慮していただくということを、政府側に強く要望いたす次第でございます。
  29. 山中吾郎

    山中(吾)委員 参考人の方からお聞きすることはこれだけです。  そこで政府に御意見をお聞きしておきたいと思いますが、盛んに、学校教育法の第一条並みに取り扱ってほしいし、それに安定した地位日本学校制度として、各種学校の特殊性を認めながら安定をしてほしいという要望が非常にあるわけですが、どういう方法によって、あるいは専修学校という形の中でしなければ安定しないのかどうか、ちょっとわからないのですが、その辺は政治感覚でけっこうですから、八木次官から、この各種学校の方々に希望の持てるような感想を述べていただくことと、それから局長のほうに、何か夜間部を除外していることは、どうも各種学校の特殊性からいって、社会的需要からいってむしろおかしい。夜間部のほうは、むしろ各種学校の場合については非常に重要な社会役割りを果たしているということが頭に残ったわけです。その点は適用しないのかどうかということ。それから国鉄の割引とか失業保険の関係とかいうふうなこと。それから学歴として認めないという社会評価。学歴を少しも認められていないということを聞いたのです。何か文部事務当局で努力できるはずのもので、まだできていないような欠陥をいま初めて聞いたような気がするわけですが、そういうことを含んで局長から、いまの私の質問の中からひとつ意見をお述べ願いたい。  その根本の問題は、甘木の伝統的な各種学校間の根本的な考え方に欠陥があるならば、これは行政当局も、あるいはわれわれの国会の政治感覚も変えなければならないこともあると思うので、そういうことを含んで各種学校に対する文部行政の基本的な考え方と、いま言ったように行政的な欠陥があると思うので、その感想を述べていただきたい。
  30. 八木徹雄

    ○八木政府委員 各種学校がいわゆる文教行政の中で一つの盲点であるということについては、もうみんなから指摘をされ、われわれ一番心配いたしておるところでございます。実際に、きょう御出席いただいておりますような大沼先生とか、蓮見先生のところのような、各種学校の中でも、いわゆる第一条学校と少しも変わらない学校から、そうではなくて、非常に千差万別でございまして、悪い意味における各種学校的な性格のものもないとは言えないわけであります。それだけに非常に幅の広い、層の厚い各種学校を一律に律するということは非常に困難である。そういうふうな観点から、各種学校に対する配慮に国家的な配慮というものが欠けておるということは間違いのない事実でございます。今回の法案の策定並びに予算措置というものも、その意味において一前進したものではありますけれども、いまだんだんとお話がありましたように、これだけでもって終われりというべき課題ではございません。今後とも真の学校教育一環として、りっぱな教育をやっていただいております学校に対しては、それ相応の措置をするのがわれわれの責任であると思います。これから後も前向きの姿勢で努力をいたしていきたいと考えております。
  31. 杉江清

    ○杉江政府委員 まず具体的な問題からお答えいたしたいと思います。  今回の融資対象として、夜間制のものを排除をして、いるかどうかということでございますが、なるほど私どもは融資対象といたしまして、授業時間数は一応七百五十時間以上ということに抑えたいと考えておりますが、これは必ずしも夜間制を排除するという意味ではございません。夜間制においてもこの時間数を充足しておるものはあるのでありまして、それらのものは該当するわけでございます。ただこれに満たないものもありますけれども、一応やはり相当充実をした教育を行なうという制限をつけることは、予算額の少ない現段階においては必要な措置ではないか、そのように考えておりますが、考え方として夜間制をはずすという考え方は持っておりません。  それから第二の点の学歴を認めないということについては、これは一般的に言いまして、確かにそういうことになっておりますし、学歴を認めるということは、第一条学校の学歴というふうに解されております。ただ短大相当課程については、これは給与の取り扱い等におきまして、短大相当のものにそういう格付けをする措置も実際に行なわれておりますけれども、これを一般化するような情勢に現在ございません。そこで確かにその点問題がございますが、先ほどお話になりましたように、各種学校の現在持っております重要な社会的機能から考えまして、もっと諸般の点において保護助成措置を講ずべきだという点については全く同感でございます。ただそれらのことをほんとうに今後強化し、実施していくためには、現在の各種学校制度そのものでは少し欠点があろうと私ども考えております。というのは、各種学校の大部分が非常に社会的に有用な機能を持っておることは、これはだれしも証明するところでありますけれども、しかし各種学校の中には、必ずしもそうでない、保護助成対象とするに値しないものも、一部ではありますけれども、含まれておる。そこでやはりそういった有用な機能を行なうものもそれ相応に国として認め、これを助成していくということにいたしますためには、やはり各種学校制度制度として改善するという措置が必要だろうと考えております。そこで、私どもはいま具体的な措置を検討中でございます。前にも申し上げたことでありますけれども、一応専修学校というような構想のものを考えて、これを第一条学校にするか、あるいは第一条学校相当するものにするか、その辺の問題もありますけれども、やはりそういう制度化を考えたい。それについてはほとんど第一条と同じ扱いをし、助成をしていく、こういうようなことをただいま真剣に検討している段階でございます。
  32. 久野忠治

    久野委員長 川崎寛治君。
  33. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 ほとんど山中委員の御質問で尽きておるわけでありますが、もう少し突っ込んでお尋ねしたいと思いますことは、特に最後の資格の問題でありますが、現在私立の各種学校に在学しておる青少年の数が百三十五万、こういうふうに言われておるわけでありますが、そうしますと、同時代の年齢人口をとってみても、相当大きなウエートを占めております。そうしますと、現在文部省が、後期の中等教育の拡充計画について中教審のほうに諮問をいたしておるわけでありますけれども、中教審のほうのその答申案が具体的に出ていないわけであります。そういう中で、大沼参考人も最初に触れられたのでありますが、各種学校の存在意義というものはきわめて大きい、こう思うわけであります。むしろ文部省が文教行政として打ち出す前に、社会の事実関係というものはどんどん進んでおる。社会の事実関係なり需要なりというものが進んでそれに引きずられておるというのが現在の実情じゃないかと思うのであります。そこで、中教審なりがそういう後期の中等教育の拡充計画を答申をするにあたって、あるいは文部省がそういうものの基礎的なデータを進めるにあたって、実は先般義務教育を終えた者のそれ以後の動きというものについての資料文部省からいただいたわけでありますが、その中においても、各種学校というものは非常に大きなウエートとして数字の上でのぼっておるわけであります。  そこでお尋ねしたいことは、そういう後期の中等教育の拡充計画を進めるにあたって、具体的な各種学校経営をやり、教育を進められております参考人皆さん方に直接本日いろいろ議論をされたようなことが諮問をされるものか、あるいは相談を受けておるものか、そういう点についてお尋ねしたいと思います。
  34. 大沼淳

    大沼参考人 各種学校のいろいろの問題につきましては、私文化服装学院の理事長でありますとともに、全国各種学校総連合会の理事長もやっております関係で、当然文部当局とは密接な関係をとりまして、そして各種学校考えておりますいろいろな問題点につきましては、文部当局にもお話し申し上げ、それからまた公式的な段階意見を聴取されるというふうなことは今回が初めてでございますけれども、今後そういうふうなことも文部省としても行なうということを再三私どものほうにもお話がございまして、それを大きく期待しておるわけですが、われわれの意見は十分聞いてくださるということを——過去においても、もちろん公的ではないにしても、担当官あるいは課長、局長あるいは次官の段階にまでいろいろな形で話し合いは進めてまいりましたし、また今後公式な形でも意見を聞いてくださるというふうなことを伺っております。そういうふうなことでございます。
  35. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 次官にお尋ねしますが、公式に今後どういうふうに進められるか。
  36. 八木徹雄

    ○八木政府委員 やはり後期中等教育あり方というもの、後期高等教育あり方というものの結論を一方においては待たなければならぬと思いますし、御案内のとおり、大学については大学全般についてすでに答申も受けておるわけでございますから、前々から申し上げておりますように、大学急増前にこれらの問題全体について結論を出さなければならぬようになっておると思いますから、ことしの夏、いわゆる来年度の予算要求の前に一応の方針は文部省として確立しなければならぬと思いますから、その過程の中でやはり検討してまいらなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、いまのところそれではどうします。またそれに伴うスケジュールがこのようにきまっておりますということは言いかねる。とにかく四十一年度から大学急増時期に入るということを前提にして、その前に大学のもろもろの残されております案件の処理をしなければなりませんから、そのためにはことしの予算要求時期までには一応の結論を得るようにいたしたいということで、鋭意事務当局のほうで検討を加えつつある、こういうようにお答えするよりほかありません。
  37. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 質問とは離れておるわけでございますが、後期中等教育の答申が出なければ、こう言われたのでありますが、私が聞いておるのは、そういう答申を出すについては具体的にやっておられるそういう方々と、私的な話し合いではなくて、公式の話し合いがほしいと思うわけです。それについてどのようにされるか、こういうことであります。
  38. 八木徹雄

    ○八木政府委員 いままでもそういうような最高方針を固める過程におきましては、それぞれ関係団体とは密なる連絡をとりながらやっておることでございます。いま大沼さんからお話がありましたように、機関としての各種学校に対してどうするかということについては、非公式な話しがいたしておりませんが、これらのことにつきましても当然相談する時期がくれば相談しなければならぬと思います。意見は十分に聞きまして万全を期してまいりたい、こう思っております。
  39. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 もう時間がございませんので、次に移りたいと思います。  先ほどの大沼参考人蓮見参考人の資格と技能検定の問題でありますが、お二人の申しておられることは、当面の問題として私そのまま納得できるわけであります。そこで、もう少しお尋ねしたいことは、実は本委員会において試験地獄をいかにして解消するか、そういう問題等の先般来議論をされておるわけであります。それとも関連をする問題であると実は私も思っておりますし、これは次にやることになっておるのでありますが、今日の学歴偏重、そういうものを打ち破っていく一つとして考えてみても、しかも同年代の年齢人口の中で相当数の比率を各種学校卒業生が占めている、こういう点から見て、しかも実際には社会においては差別を受けておる。こうなってまいりますと、先ほど山中委員から御質問のあった、ある種の一つの受験の資格をとる、こういう消極的なことではやはり試験地獄というものの解消にはあまり大きな役割りを果たしてこないと思いますし、次のまた大学なり短大なりというものについての問題が出てくるわけであります。  そこで、私がお尋ねしたいことは、今日のそういう卒業生の方々が、大沼参考人も言われたように、たとえば服装学院なら服装学院にしても、ただ単に昔のような針子だ、あるいは洋裁をするだけの技能だ、こういうことではなくて、色彩なり広告なりあるいは繊維化学なり、そういう各方面にわたって活躍をされておるというお話を伺って、たいへん心強く感じたわけでありますが、それであるならば、それらの人が正当な実力を評価される、そういうことが大事でありますし、特に勤労学生あるいは低所得階層の子弟が多い、こういうことになれば、ますます大きな問題になってまいると思うわけであります。そこで、学校を出たそういう青少年が正当な評価をされるというためには、当然技能検定の制度等についても、抜本的な制度の改革がなければならぬと思うわけであります。現在これは労働省の所管として中級のものはあるわけでありますが、それが専門学校なりあるいは大学なり、そういったところの卒業生に匹敵するだけのそうした検定制度というものがないわけであります。でありますから、各種学校を出たということで一生を通すとすれば、それが人生の格づけになってくる、こういう現実だと思うわけですが、そういう面から見ますならば、技能検定制度というものは将来試験地獄あるいは学歴偏重、そういうものを打破するためにも、もっと抜本的に改正をしてまいらなければならぬ、こういうふうに私は思うわけであります。そういう意味で、各国のそうした各種学校を卒業した人たちが正当な実力を評価されておる、そういう面について御存じであるならば教えていただきたいと思います。また、あるいはこういうふうにしたほうがいいのじゃないかという御希望があるならば、その点をお二人に申し述べていただきたいと思います。
  40. 大沼淳

    大沼参考人 学歴尊重というふうな考え方に対しましては、私各種学校経営をやっておる関係で、日本社会が、厳然として、ただどこの大学を出たかということが一生つきまとうような社会環境にあるということに対しては、当然非常な一つの反発は持っております。そういうことはぜひ私どもとしてはなくしたいというふうに考えております。私の立場、ひとり文化服装学院という立場でなくて、全国の各種学校全体を代表しなければならない立場もあるのでありますが、事文化服装学院に関しましては、社会的、公的にどういう資格をくれるかくれないかということは、私は問題にしておりません。むしろその中で実際に力をつける、あるいは実際に社会に出て働ける、そういう方向を重点にいたしまして、現実問題としてはいまむしろ四年制の大学を出たより高い待遇で各メーカーなりへ採用されるという現実がもうつくられております。ということは、そういう特定の社会の需要、特定の分野に応ずるある種のすぐれた人たちは養成しているつもりでありまして、したがってそうした意味では各種学校教育あるいは資格が認められていないという中でも、社会的にそういう実績をつくりつつ、認られなくともそれをはねのけていこうというような考え方は持っております。しかし全般的な立場考えてまいりますと、当然、それを振興していく、社会的にいかに正当に評価してもらえるかということになりますと、正式な検定制度、認定制度というものがなければならないと思いますし、またそれは即各種学校も含めた形においてぜひしていただきたいと思いますし、そういう制度が明確に確立されることを意気込みとしては望んでおるわけであります。私たちとしては、よしんば認めてくれなくとも、自分の力でやっていきたいという念願は持っております。
  41. 蓮見孝雄

    蓮見参考人 私どもの非常に狭い範囲でのお答えを申し上げるのですが、電気関係で電気事業主任技術者の国家検定がございますが、それがごく最近その検定をいわゆる一条校の卒業生には無試験で与えるというような法律改正案がいま上程されておる。実は私たち考えからちょうど逆行なわけなんですが、何となくすべてが一条校を卒業すると、何もかもすべて高く評価するというような傾向になっておりますが、科学技術の水準を上げるというような意味からは、むしろそういう学校に何年間か在学したということによって、そういう実際上の技術の検定がされることは非常に危険だと思います。外国でもたとえばイギリスとかドイツあたりでは、かなり国家検定が権威がありまして、大学なんかは非常に数が少ないためもあるかと思いますけれども、ほんとうに自分が特定の技術、技能にすぐれておれば、それをもって十分りっぱな生活ができるというような制度があるようであります。私もいささか研究はしておりますが、どうもこれは非常に国民性に関係がありまして、日本が学歴を偏重したということは、学歴を偏重するような国民性だというように私はちょっと考えているのです。そこでそういうりっぱな検定制度がなかなか容易にできないというふうに、いまはむしろ自分としては悲観的なんであります。
  42. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 まだたくさんございますけれども、時間もございませんので、各種学校の問題についてはこれで終わります。
  43. 山中吾郎

    山中(吾)委員 次官に申し上げておきます。前のときに学力テストの実績について報告を要望しておきましたが、忘れておるようですから、次の水曜日に三カ年学力テストを一斉にやったことについて、文教政策にどう反映しておるか、予算が出ておるが、目的を果たしておるのかどうか。果たしていないならば取りやめたほうがいいと思うので、報告を責任をもってやってください。
  44. 久野忠治

    久野委員長 参考人に対する質疑はこれにて終了いたしました。  参考人各位に申し上げます。  本日は貴重な御意見を承り、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして委員長より厚くお礼を申し上げます。  次会は来たる十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十六分散会