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1964-05-15 第46回国会 衆議院 文教委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十五日(金曜日)    午前十一時三分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 坂田 道太君 理事 長谷川 峻君    理事 二宮 武夫君 理事 三木 喜夫君    理事 山中 吾郎君       木村 武雄君    熊谷 義雄君       谷川 和穗君    床次 徳二君       中村庸一郎君    橋本龍太郎君       松田竹千代君    落合 寛茂君       川崎 寛治君    實川 清之君       長谷川正三君    鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         総理府技官         (首都圏整備委         員会事務局長) 谷藤 正三君         文部政務次官  八木 徹雄君         文部事務官         (大臣官房長) 蒲生 芳郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         文部事務官         (大学学術局         長)      小林 行雄君         文部事務官         (管理局長)  杉江  清君         文部事務官         (文部財保護委         員会事務局長) 宮地  茂君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会審査部長)  牧  義一君         建 設 技 官         (都市局技術参         事官)     大塚 全一君         建 設 技 官         (都市局区画整         理課長)    井上  孝君         建 設 技 官         (道路局企画課         長)      三野  定君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 五月十三日  委員谷川和穗君及び松山千惠子辞任につき、  その補欠として池田正之輔君及び園田直君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員池田正之輔君及び園田直辞任につき、そ  の補欠として谷川和穗君及び松山千惠子君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  学校教育法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四七号)  文教行政基本施策に関する件(学校教育及び  文化財保護に関する問題)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。落合寛茂君。
  3. 落合寛茂

    落合委員 筑波地区研究学園都市建設計画につきまして、その基礎的条件としての諸問題について質問をいたします。  かねて本件に対しては各方面から質疑をしてきましたが、この問題に首を突っ込んでみますと、突っ込めば突っ込むほど重大性を思わせられるのであります。この際私といたしましては、その区域内に住んでおるものといたしましても、あくまでも検討検討を重ねるべきだと思っております。御承知のように、本件閣議了解事項としまして、四千ヘクタールという広大な土地を対象にしまして、国家事業としても首都東京人口解決、住居問題その他、今回の研究学園都市としましては、文化、保健、防災等、あらゆる面におきまして、理想的な、前例のない都市を新設するということをうたって出発したこの研究学園都市建設計画であります。ところが地元の反対その他悪条件が少し続きまして、今日その規模は縮小されて、飛び地的な土地六百五十万坪に縮小されるに至ったために、最初の理想的な学園都市づくりは姿を消した観がありまして、そこへ新たな問題がそれに関連して出てきたような次第であります。首都圏整備委員会や科学技術庁がうたっております表看板は、今度の都市世界的水準研究都市にするんだと誇示されておるのでありますが、今回のような縮小程度で、はたして世界的水準研究都市に期待にそむかずになれるかどうか、あるいは将来もっと用地をだんだんにふやして、それこそ世界的水準に拡大していく考えであるのか、面積が狭くなったということで受ける影響は一体どんなことかということをお尋ねいたしたいのであります。  またもう一つ、これは地元といたしましても非常に懸念をしておるところでありますが、一体区画整理地区はどのようにして都市化するのか、いわゆる個人個人にうちを建てさせて、十年後に十六万程度都市を形づくるようにするのか、あるいはこれは一様に十六万の、都民の住めるような住宅を国として建設するような方針なのか、あるいはまた、その地区内に住んでおりまして今日農業に従事しております農民がたくさんおるのでありますが、その営農と生活は一体どうなっていくのか、また県は土地収用法の発動をさきごろ要請したように聞きますが、国はこれに応ずるのかどうであるか、また買収による施設用地は以前と違いまして、今回の計画ではあちらこちらに飛び地になっているけれども、その形態ではたして理想的な研究学園地区としてこれが活用できるのかどうか、なお、国のこの程度の要請で、現在までこれに応じた研究所とかあるいは大学等について、ひとつお答えを願いたいと思います。
  4. 谷藤正三

    谷藤政府委員 ただいまの御質問お答えいたします。  まず第一に、研究学園都市規模の問題でございますが、最初に打ち出しました四千ヘクタールという形は、全体のマスタープランをつくりまして、その中で学校用地とかあるいは官庁用地あるいは住宅施設民間研究施設というふうな形で全体の姿を描いたのが四千ヘクタールでございます。その中で実際の施設用地として使いましたのは約四百八十万坪、残りの六百万坪以上の土地につきましては、国際的な研究機関の総合的な意思といたしまして、緑と空間と太陽が全体の六割を占めるような形でマスタープランというものは描かれておったわけであります。  ところが実際の地元との交渉の過程におきまして、御承知のように純農地帯でございまして、東京近郊のように市街地化することが直ちに自分たちの利益になるというふうな形で反映するような場所じゃありませんために、農地に対してはあくまでも確保したい、こういうふうな地元の意向が非常に強くなりまして、それならばそういう農地はさわらないようにいたしまし上う。したがって、山林地帯主体にいたしまして、施設用地を組むということに改めたわけでございます。公共施設公益施設、その他のものを加えまして、今度の用地といたしましては、第一次計画として六百五十万坪について組織したい。したがって、あと残り地域につきましては、都市計画的に見まして、純農地帯、つまり農耕地帯といたしまして農地転用を押えるような方法でいくか、あるいはまた空地地区といたしまして、建蔽率を押えることによって宅地化できないような形にしておくか、そういうことによりまして、今後の第二次、第三次の計画に対します準備をいたします。したがいまして、将来計画といたしましては、全体の約一千万坪につきましては、将来市街地ができるような態勢に残しておくということで一応考えておるわけでございます。ですから、施設過程といたしましては、年数にいたしましても、少なくとも五年ないし七年かかりますのでその過程において、順々に地元の方が御了解いただけるような態勢になりますと、その他の地域につきましても一伸びていくような形になると思っております。  それから第二の点でございますが、土地取得の問題に関しましては、先ほど申し上げましたように、山林地帯主体といたしまして構成し、あるいは住居地域につきましては新住宅市街地開発法、それから官庁施設につきましては、一団地官庁地区といたしまして、残り学校施設につきましては、教育施設としましての都市計画上の法的な根拠が与えられますので、税との関係もございまして、都市計画法を適用いたし、それによりまして収用のできるような体制に持っていくということで、一応地元と県とわれわれとの間の話が進んでおります。この点で、一応県のほうでは折れている形であります。ただ純粋の区画整理法の形でいきますと、免税措置が講ぜられてまいりませんので、その点は地元の皆さんのほうに有利な形で御相談いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから次の地元方々に対する今後の対策の問題でございますが、これは農林省のほうにもいろいろお願いしておりますが、ある場合によりましては、その中に若干の耕地の減る方もございますので、そういう方に対しまして農業改善を適用していただくとか、そういう方向で、いま小野川地区につきましては農業改善事業を実施いたしておりますので、それと関連いたしまして、その他の地域につきましても、できるだけ、農業改善その他の方法によりまして、耕地が若干減りましても、収入の上においては倍加するというふうなことを考えていただく。あるいはまた事業費といたしましては、先ほど申し上げましたように、少なくとも五年以上事業が続いてまいりますので、そういう点でまた収入機会は非常にふえるということで、地元の方には決して御迷惑にならないようにしていきたい。それから、あわせて、先生も御承知のとおり、土浦工業団地は間もなく売られるような体制になってまいります。それから石岡の五十万坪につきましては、現在、三十八年度から買収に入っておるわけでございまして、これらの全体を合わせまして、五十万という人口構成の連合の形で措置考えております。それらの入ってきます工場につきましても、逐次そういう地元方々を採用していただくような条件のできる工場を誘致したいというふうに考えておるわけでございます。  したがって山林地帯を主として施設をやってまいりますと、どうしても島の形になってまいります。中間に農地残りまして、山林地帯主体としてある施設ができ、その施設の間には農耕地が残るというふうな形になりますが、全体としましては、ある程度そういうふうに離しましても、——ちょうど桜村のところでありますが、まん中のところには総合的な住宅地域をつくりまして、病院その他の研究機関合同会議所その他のものを全部付設いたしまして、各研究機関に対しましては御迷惑をかけない、あるいはまたいままでのような非常に苦しい中で、東京研究を続けてきた方々に対しまして、もっと落ちついた有利な態勢研究が進められるような形にしていきたい。こういうことで工業技術院あるいは文部省方々各省関係者と相談いたしまして、寄り寄り現在の施設計画をいま進めておるところでございます。
  5. 落合寛茂

    落合委員 私の質問した中で一つ抜けておるのがあるのです。十六万の都市をつくるという都市化ですか、それの具体的なお考えを少し述べていただきたい。
  6. 谷藤正三

    谷藤政府委員 中心部につきまして南から北に向かいまして約十五キロ、幅にいたしまして約六キロくらいございますが、そのまん中住宅団地ができることになっております。住宅団地につきましては先ほど申し上げましたように公益施設を全部つけることにいたしておりまして、宅地造成公共施設公益施設、これの町づくり住宅公団建設省主体になりまして仕事を進めてまいります。それから各上ものにつきましては工業技術院関係工業技術院のほうで予算をとりまして、その予算建設する、あるいはまた研究施設整備をいたすということになるわけであります。学校につきましては、官立学校がいまのところ大体三大学、これらにつきましては文部省のほうで一応予算をとってつくるという体制になりますが、実際の建設内容につきましては、住宅公団に委託されるか、どういう形をとるかというところまではまだ煮詰めてございません、それから私立学校につきましては、現在すでに相当学校がございまして、約三十三校くらい申し出がございますが、熟度の高いものが約二十校あります。それらのものはすでに自分のところで用地買収、あるいはまた施設費の金を用意しておりまして、はやいつできるかというふうな体制にまできておるものが非常に多いわけでございます。むしろ官立よりも私立のほうが早く進みそうな体制になっております。ですから新住宅市街地法を使いますと、住宅公団が全部住宅地につきましては一括仕事ができますので、それらを合わせまして全体としてやりますが、上ものの予算につきましては、各省が各研究機関予算をとって建設にかかるというふうな形にならざるを得ない体制でございます。
  7. 落合寛茂

    落合委員 今回の研究都市造成にあたりまして非常に大切なことは、新しく今度できる都市首都東京とを結ぶ交通機関の問題がきわめて重大問題だと思うのであります。そこで道路のほうにちょっと質問したいのですが、今度できる筑波山ろくの新しい学園都市首都東京から連絡する道を最初につくられるのか、あるいはいまの指定土地にまず都市計画の線に沿って交通網の道をつくられるのか、その点はどっちが先になるのでございますか。
  8. 三野定

    三野説明員 東京研究学園都市との連絡の道路計画につきましては、現在の形でございますと一級国道六号線が通っておりますので、これと地方道とによってとりあえず現在は連絡するという形になっております。しかしながら、将来の交通事情考えますと、現在の一級国道六号では十分ではないというふうに私ども考えております。したがいましてこれに対処しまして、東京からこの研究学園都市を経由いたしまして常磐地域に達します自動車道路計画を持っております。それで現在その調査をいたしておるわけでございます。先ほど谷藤局長からお答えがございましたように、研究学園都市建設にはかなりの時日を要するわけでございますけれども、この道路建設はこれよりも早くというわけにあるいはまいらぬかもしれませんが、とりあえずは、現在の一級国道六号線にまだ若干の余裕がございますので、これの部分的な改良をいたしまして交通処理をいたしておる。いずれこの交通事情の増加の状況を見まして、ただいま申し上げました自動車道路建設に借手するというような考えでございます。
  9. 落合寛茂

    落合委員 実はそこが非常に問題でありまして、学園都市ができ上がる想定は十年後ということになっておりますが、一朝一夕に一年や二年で移転ができるものではありませんし、その十年の間には、その学校研究所、いろいろなものに携わっておられるたくさんな要員が行ったり来たりすることにもちろんなるのであります。ことに学校でありますから、非常にたくさんな人たちの往復があるわけですが、この間、県で想定した地図を見ますと、筑波山の学園都市の中を通って東京から直線で水戸の向こうの日立にまっすぐ線を引いて、そして国道二号線に並行した道の想定図ができておりますが、あれは県でかってにやったもので、国のほうとの相談でできたものではないりですか。
  10. 谷藤正三

    谷藤政府委員 ただいま先生の御質問道路計画でございますが、これは首都圏の中の整備計画といたしまして市街地開発区域指定もしくは重要幹線道路指定という項目がございまして、前年度の三月三十一日の官報によりまして、この中で将来の首都圏計画、つまり五十五年までの首都圏計画の中で大体四十五年までの間に整備すべき事項として告示いたしました内容の中にある路線でございます。これは建設省のほうでは今年度から始まります五カ年計画によりまして、ちょうど、時間的には四十五年まで入っておりませんので、四十五年までの間には学園都市体制が整ってまいりますので、四十五年ごろには少なくとも学園都市までは予算的に見ましても可能であるというふうに私たちのほうは考えまして、建設省のほうにもいろいろ御相談いたしまして現在のところは調査路線という形になっております。こういう形で告示になっておるわけであります。
  11. 落合寛茂

    落合委員 いま一つわれわれが予想しまして、これは予想ですからあれですが、予想しまして、今度の学園都市建設につきまして大きなそこに一つの支障が横たわっているというのは、移転してまいる研究所あるいは学園の多数の要員、その人たち学園都市のほうに移ってまいる、その行程が非常に問題になるのでありまして、先ごろ聞くところによりますと、そうい要員家族全員引っ越しというような考えのもとに国のほうでは進められている。だからして交通路も急速にこしらえなくても、いまの交通路を修繕したり、あるいは、たとえば私鉄がありますが、私鉄をスピードアップする程度で、いまのままでこれは温存しておいて、そうしてゆっくりと計画を立てて東京からの交通路をつくるというふうなことを聞いておるのですが、その点は谷藤さんどうなんですか。
  12. 谷藤正三

    谷藤政府委員 ただいまの職員の問題でございますが、この点につきましては工業技術院文部省とよく相談いたしております。実は私は研究所に十八年暮らしておりましたが、研究所職員の中の半分は夜学のほうへ行っております。そういう形でないといまの研究所の中へは入ってきていただけません。そのために今度の計画につきましても特に文部省のほうにもいろいろお願いしておりますのは、第二部のある学校、そういうものを先に持っていくということを考えると同時に、研究機関が移転するときには学校がもう運転しているというふうな形で私たち施設の順序を考えておるわけであります。同時にまた、職員につきましても全員移ってまいりますので、学校のほうは大体全寮制学校組織にしていただく、それから職員につきましてもできるだけ、もちろん東京付近に家のある方もございますので、全部引っ越せというわけにはいきませんけれども、現在宿舎なりそういうところに入っております方は全員引き取るということで、現在住宅地の中における宿舎計画が進められておるわけでございます。したがいまして、距離的に見ましても土浦まで来ていただけばいいわけですから、東京から通えないという距離ではございませんけれども、現在の職員構成といたしましては全員宿舎に引き取る、そういうふうな中高層アパートをつくるということでいまの整備計画ができておるわけでございます。
  13. 落合寛茂

    落合委員 要するに、いまの学園都市の移転問題で少しもやもやしておるもののかかっておるのは、結局ただいまの職員の問題、人的な移動という問題に非常に原因があると思うのですが、やはりその移転する人たちのあすへの不安ということが原因になっておるようなわけでありまして、家族の問題とか子弟の教育問題、あるいは都会生活者地方に出る不安、あるいは乏しい生活をする研究者たちのアルバイトの問題、これなんかやはり非常に重大問題になってくるのですが、政府はこれらの対策をどういうふうに考えておられるか。そうした不安や危惧が解消できれば本事業の大半の成果を得たといっても私は過言ではないと思うのであります。それはよほど小さなようでも、複雑であります。現在臨時行政調査会行政機構合理化方針検討されつつあるとき、こうした流れを背景にした人員整理による異動計画ではないかというような疑心暗鬼な念を抱く向きもありますけれども、これはちょっと谷藤さんのなにではないと思いますが、これを機会人員整理というふうな問題は起きてこないということは確言していただけますか。
  14. 谷藤正三

    谷藤政府委員 私の専門外のことでございまして、当たるかどうかわかりませんが、私も実は先ほど申し上げましたように研究所に十八年おりました。研究所長もやってまいりました。現在の研究機関の中で職員の充足された機関はございません。これは現在あります定員につきましても、むしろ研究所のような非常にじみな仕事をしなければならぬところには職員がなかなか来たがらない。同時にまた夜学を卒業いたしますと、すぐみな逃げ出します。これは現在の各国立研究機関の趨勢でございます。したがいまして、研究所職員に対しましてはより以上の、優遇措置につきましても、あるいはまたその他のレクリエーション関係につきましても、十分な施設をやりませんというと、東京におってさえなかなか職員研究機関に来てくれないというのが現実の姿でございます。したがいまして、研究職員人員整理というような問題は、おそらく研究機関ではむしろ増していただかなければならぬのが現状でございまして、減らさなければならないという事態は絶対に生まれないというふうに私は考えております。
  15. 落合寛茂

    落合委員 どうぞそういうおそれのないようにひとつ御配慮を願って、私の質問はこれで終わろうと思います。
  16. 久野忠治

    久野委員長 次に、三木喜夫君。
  17. 三木喜夫

    三木(喜)委員 数年かかりまして、数億円の金をかけまして、私の地元姫路城をいま竣工させようとしておりまして、六月の一日にこれの竣工式が行なわれます。これは文部省としましても、あるいはこの文教委員会としましても、これに対して相当の金をつぎ込んでおりますので、これに対するところのかなりの関心を持っていただかなければならない、このように思います。そういう関係から、残った問題を一、二点申し上げて当局考えを聞きたい、このように思います。  たいへんな御努力によりまして、国宝が再び山陽道にそのりっぱな姿をあらわしました。関係当局のたいへんな御努力に対しまして、私は衷心より敬意を表するのであります。特に現地におりまして、設計から工事まで終始一貫変わらざる態度でこれを完成に導いた人々努力も多としなければならないと思うわけであります。  そこで先般来、この姫路城竣工に伴いまして、この竣工努力したところの労務者の行くえというものを、文化財保護委員会職員として十分考えてもらわなければならないということで、内閣委員会文教委員会で提起いたしました。文部大臣はこれに対しまして、なま首を切るようなことはいたしませんという御答弁でありまして、私たちは非常に安心をしておりました。しかしながら聞くところによるとついに職を失って、その職の失い方も分限免の形でとられた。いろいろその間の事情もあろうかと思います。しかしながら、非常な努力をして、りっぱな姫路城を再建していただいたその陰に、こうした泣く人があるというようなことでは、暗い反面が私は出てくると思う。そこでその間の事情を一ぺんお聞かせいただきたい。一体どうなっておるのか。それが質問の要旨でございます。そのほかもう一件ございますけれども、一応姫路城労務者の問題をひとつお答え願いたい。   〔委員長退席長谷川(峻)委員長代理着席
  18. 宮地茂

    宮地政府委員 ただいまの御質問でございますが、分限免にいたした者が三名ございます。この三名の方につきましては、私どものほうといたしましては、これらの人々姫路市から通える場所をぜひあっせんいたしたいと考えまして、国家公務員地方公務員もさがしましたが、国家公務員地方公務員姫路市から通える場所というのは見つかりませんでした。現在まで見つかっておりません。それで私のほうといたしましては、補助事業を興しました広峰神社、円教寺、これは姫路市内にございますが、そこへこれらの方々に行っていただくように、お世話するから行かれたらどうですかということを再三申しました。しかしこれらの方々はどうしても国家公務員地方公務員でなければいけないということで、私どものあっせんいたしました就職口に快く行ってくださるという結果にならなかったわけでございます。したがいまして退職願いも出ないままでございますので、やむなく規定に従いまして分限免発令をしたわけでございます。発令いたしました後も私のほうの課長が参りまして当人たちと会って、発令をしたので終わりだという態度をとることなくお話しておりますが、やはり国家公務員地方公務員ということでございまして、了承していただく段階になってないというのがいままでの経過でございます。
  19. 三木喜夫

    三木(喜)委員 補助事業の話で私も非常に心配いたしまして、局長と数度話をいたしまして、あなた方のほうは補助事業に対しては説得する自信があるというようなお話でございましたので、私はこれについてあまり深入りはいたしませんでした。しかし今日こうなって、本人たちはこれに対して提訴をしておるように思うのです。そういう事実はございませんか。またあなた方のほうで説得できるのだ、こういうことで補助事業を選ばれたようでございますが、それが事志と違いまして、しかもあなた方の直接の部下が長いこと姫路城の労務に携わって、六月一日には晴れのべールを脱いで竣工式をしようというこのめでたいときに、そういう事態を起こしたということは、私は地元の一人として非常に残念に思います。この二つの点についてお聞きいたしたい。
  20. 宮地茂

    宮地政府委員 不利益処分ということで提訴をされるということは聞いておりましたが、正式に提訴されたかどうかは、私まだ通知を受け取っておりませんので存じません。  それから、私のほうでこれら分限免になりました三名の方を説得する自信があるというふうにおっしゃいましたが、私のほうでは、まあ形式ばりますが、そういうことで申し上げた記憶はございません。私のほうが申し上げましたのは、できる限り姫路市から通える国家公務員地方公務員、あるいは多少遠くなっても家がついている国家公務員地方公務員という要望が大前提としてこれらの人々にある。しかし全部が全部の人について一〇〇%御満足のいくようなあっせんはなかなかむずかしいので、私ども一が考えております。たとえば国家公務員ではないが、地元から通える、そういったようなあっせんにも先方の方々が歩み寄っていただければ、そういうふうにしたいというような気持ちも申し上げたつもりでございますが、誠意を持ってそういうことをお話し合いすれば応じていただけるであろうという期待はございましたが、そういう自信があるということを申し上げた記憶はございません。いずれにせよ、結果的にはこれらの人々がまだ就職されていない。それから、あるいは人事院に提訴するという事態になりかかっておるということは、まことに遺憾には存じておるのでありますが、以上のとおりでございます。
  21. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いま、分限免になった者を続けてあっせんをするという努力をやっておる、こういうお話ですが、これは国家公務員地方公務員には私は無理だと思うのです。  そこで、何の努力をされたのか。そしてそういうことは可能なのかどうか、この点についてお聞きしたい。
  22. 宮地茂

    宮地政府委員 こういう場所で申し上げるのはいかがかと思うのでございますが、私のほうの課長とこれらの人人はもう十年来の間柄でございます。そういうようなことで、役人とか、あるいは課長と課員という立場を離れまして、人間的な話し合いも非公式にやっておるようでございます。そういうところでは課長としてではなく、課長の名前をあげまして、あなた個人にお世話いただくのなら応じてもよいといったような話もいままで途中にあったようでございます。そういうようなことで、まあいろいろ人間的なつながりもございますので、話し合いは、私のほうはやはりお世話をしたほうがいいのではないか。ありがた迷惑だからもうしてくれるなとおっしゃらない限り続けてあげたほうがいいのではないかということを申しておる次第でございます。
  23. 三木喜夫

    三木(喜)委員 もう一つこれについてお聞きしておきたいのですが、これらの三人の人は、当時の新聞によりまして、あなた方が言ったか言わないかは別にいたしまして、労働組合に非常に力を入れた。そういうことでとても世話ができないんだという名前のもとで、ついにこれをオミットした、意図的にオミットしたという、こういう考え方が当時支配的だったわけです。この考え方は、労働組合に努力したということは、そこに勤めておる人々全部のためにやはり働いた。その人の待遇がよくなれば、勢い姫路城のお城の仕事もはかどる。こういう関連性があるのであります。必ずしもそういうことを主体にして考えていくことは間違いだということを言いました。しかし、いまお話では、十年間のつき合いだから、個人的に世話をされるなら、それに応じてもよい、そういう話し合いができておるならば、私は何をか言わん、そういうふうにひとつ進めていただければありがたいと思うのですが、聞くところによると、人事院に提訴し、姫路城竣工という国費をたくさんかけた、りっぱな仕事ができ上がった陰に、こういう問題点を残しておくということは忍びないから、きのうはこのことを申し上げておるわけです。そういうことは今後続けられるならば、私はけっこうだと思うのです。それは間違いないですか。
  24. 宮地茂

    宮地政府委員 私のほうの課長の話で、そういうことを私は課長から聞いております。
  25. 三木喜夫

    三木(喜)委員 こういうような不名誉な措置をひとつ早く是正していただくことをお願いしまして、第一の質問を終わりたいと思います。  それから次の問題ですが、これは私暗々裏に聞いておったのですが、特別史蹟の中に自動車教習所ができる、こういう企てが姫路のほうでできておったようであります。法人格で申請書を出しているというようなものもあるようですが、しかし、一方で白鷺城を再現しようという重大な努力をしておられる。その特別史蹟のどまん中にこういうような自動車の練習所をつくって、しかも地元民の反対、姫路市長も二回にわたって反対の副申書をつけた。にもかかわらず、文部省はこれについてこの申請を許している。いま工事が進行しておるということは、これもどうもあなた方のやっておられること、それ自体に矛盾するように思うのです。この点についてお聞きいたしたいと思うのですが、そういうことはございませんか。
  26. 宮地茂

    宮地政府委員 御質問の点は、姫路市のお城の外堀の近くに白鷺園という福祉法人がございます。そこが建物を改築する。そういうことに関連しまして、その財源捻出のために自動車学校をつくりたい。そのために一部現状変更の申請があった。そのことを御指摘になっておるものと考えます。  この問題につきましては、私のほうといたしましては、もちろん姫路城の内堀の外でございますが、指定地域内にそのような施設をすることは好ましくないというふうに考えました。しかしながらこの福祉法人は養老院といったような福祉事業をいたしております。その施設が改築をしなければならない。そのために厚生省のほうからも補助金が出る。しかし自分の負担をする金額がないということで、一時的にそういう社会事業をするための財源捻出という見地から臨時的に自動車学校をつくりたい。それも年限を切りましてやりたい。それから自動車学校といいましても、東京あたりの自動車学校と違って、台数は十四、五台の台数で、ごく内輪な形でやりたい、こういうようなことでございます。その地域姫路城の北辺に当たっておりますが、その周辺には市民住宅あるいは刑務所その他いろいろな建物がございます。それで、そのいろいろな建物があります一番はずれでもございますし、また目的が、厚生省から補助金をもらってやるような仕事の財源捻出のためにごくわずかの期間というようなことでもございましたので、私のほうは必ずしも適切とは思いませんが、そういった性格等を考えまして、また姫路市、兵庫県、いずれも、できることならというようなことでもございましたので、私のほうとしましては厳重な条件を付しまして許可をいたしました。
  27. 三木喜夫

    三木(喜)委員 厳重じゃないですよ。朝日新聞が書いておるのだから、私はこれは間違いないと思うのですが、近く国、県へ申し入れを行なう、市会建設委員会が城内自動車学校に反対として、「姫路市議会建設委員会は十一日開かれ、姫路城特別史跡内で工事中の自動車学校問題について審議した結果「城の環境整備に支障を招く」として自動車学校設置反対を正式に決め、近く文部省、県に申し入れることにした。この日の委員会には石見市長、小野寺助役らも出席、各委員が「自動車学校設置に市は当初反対の副申書をつけていながら、なぜ賛成に回ったのか」「城の環境上、市はどう考えるか」と質問、石見市長は「絶対に賛成していない。二回とも反対の副申書をつけたが」云々「しかし文部省が認可した工事を中止させる権限は市にない。いまのところ仕方がない」と答えた。このため委員会では工事の中止は望めないにしても、市の意向に合わせて、委員会としても公式な意向を表明する必要があると、設置反対を決めた。」現在あなた方はこれは設置許可された。そして市長は二回にわたってこれについて副申をつけておる。現在それについてまた反対の動きが市議会から起こってきた。こういう、ぶざまなことを——地元民ということは市会がやはり意思を代表しておると思う。こういう状況が出てきたのは、これは姫路市にも問題がありますけれども最初あなた方も、おっしゃるようにこれについては好ましくない、このように考えておると言っておきながら、なぜこんなものを許したのですか。その間に地元では黒いうわさが流れておるわけなんです。私は非常に遺憾に思います。こういう特別史跡の中でこういうことをやっておきながら、それについて正当な理由はないじゃないですか。好ましくないとあなたは思っておりながら、それがどういう事業をしようが、こういう事業をしようが、史蹟には非常に影響しますよ。自動車練習所をやる。それは目的が養老院だ。何にせよ、どこへでも自動車の練習場はできますよ。なぜ史蹟の中でやらなければならぬのか。そういうことをいって、比叡山もどんどん自動車道路を拡張したりいろいろなことが行なわれて、なしくずし的に文化財保護の法律というものが空文化しておる。そういうように思うのです。あなたのいまおっしゃった市民住宅があるとか刑務所があってそれからはずれておる、こうおっしゃいますけれども、厳重な調査をされましたか。テレビが見えなくなるといって市民は反対しているのですよ。賛成ではないのですよ。いろいろないきさつを経て——このいきさつはあとで申し上げますけれども、賛成というようなかっこうが一部出てまいっておる。いまの話では、わずかの期間これを許すと、こう言っている。わずかの期間許したら、その文化財は踏み荒らされてしまうじゃないですか。それを保護するのがこの保護法じゃないですか。そういう法の管理のしかたをしてもらうということになると、まことに心外です。その点についてひとつはっきりした考えを聞かせていただきたい。どうもあいまいです。
  28. 宮地茂

    宮地政府委員 私ども文化財保護の立場から行政いたします場合、文化財がすべてのものに優先されたいという期待を持って仕事はいたしておりますが、現実は文化財まかり通るといったような行政は、必ずしも文化財保護オンリーに傾いて結果的には所期の目的を達するかどうか疑わしい面もございます。したがいまして、考え方といたしましては、この東京でも江戸城周辺に高速道路等いろいろできました。できることなら、文化財だけの立場から申しますれば、ああいったようなものはないのが望ましいわけでございます。しかしながら公益的な点もございます。そういったような観点から、姫路城地域内での福祉法人がやろうといたしましたこと自体は、私のほうは望ましいとは思いません。しかしながらやはり社会福祉事業も国のためになることでもございます。そういったような考え方、それと、姫路城の総合整備計画というのを姫路市と相談してある程度考えております。ところがこの姫路城の総合的な整備計画を完全に実現しますのには、まだ三年うちとか五年以内に周辺の外堀から中にあるものは全部立ちのいてもらうとかいったようなことは、現実の具体的な計画としては無理でございます。そういったようなことから、将来の総合計画に暫定的にやることであれば支障がないのではなかろうか。これがずっと自動車学校が居すわってしまう、あるいは大きな鉄筋コンクリートの建物を建てられてどうにもならないというような性格のものでなければ、福祉法人でもあるといったような観点、それから県なり市なりの要望も勘案いたしまして、私のほうは許可した次第であります。
  29. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は宮地局長の言われることに大きな誤謬があると思います。文化財オンリーでいけない。なるほどあなたは文化財保護の冊子の四八ページにそのことを書いております。「元来、文化財の保護と他の公益事業とは、それぞれ社会的な存在理由をもち、しかも、互に比較することのできない異質的価値をもち、その重要度を比較判定することはきわめて難しい問題であるだけに、学識経験者をもって構成する文化財専用審議会の意見をも徴したうえ、」云々、こういうことを書いておりますが、これは意見を徴してやったのかどうかということと、あなたの考え方の中に非常に問題になる点は、公私を混合しておる考え方がないかということです。  高速道路ということになれば、国という大きな意思があるのです。あるいはまた県という大きな意思があるのです。そういうような公共の立場ですけれども、これは営利の立場をとっておる。いうなれば法人の名前ですけれども、私利を営むのです。その持っていくところは社会福祉かもしれません。その先のことを  私はそこで養老院をこしらえるというならこれは問題がないと思うのです。しかしながら一つ飛んでおるじゃありませんか。公と私ということ、営利と公共事業というこの考え方の上に立ったら、公共の立場をとればあなたが言うようなことが成り立つと思うのです。ところが違うのです。金もうけをするのです。金もうけして持っていくところがこうだというのです。そうすると、姫路まん中で、しかも史跡のたいへん大切なところでいかがわしいことをやっても、その先がよければいいという論理が成り立つ。そんなことをすれば何が許されるかわからない、こういうことになるのです。現に住民の意見を聞いてみますと、テレビが見えなくなる、そして学童があぶない、こういうようなことも言っておるのです。あなたの考え方の中に公私混淆——公の場合は、あなたの考えはそれでいいが、そうじゃないのです。これは私的なものですよ。養老院が建つか建たぬか、これから後の話で先はわからないのです。いま金もうけするというのです。そして文化財を荒らしてしまう。その上に立って、しばらくならばだいじょうぶだろう、そういうような考え方でやってもらったら困ると思うのです。あなたは文化財保護法によってそれを監督する法の番人じゃないですか。そういうことを言ってもらっては私は困ると思うのですが、それでいいのですか。
  30. 宮地茂

    宮地政府委員 私のほうは、姫路城の総合的な環境整備を長い目で計画いたしております。したがいまして総合的な環境整備が実施される場合にはそれ以後もこの施設があるということであれば非常に困りますが、総合的な環境整備が実施されるまでの間でもございますし、また自動車の台数は十五台以内ということでもありますし、いまおっしゃいましたようにテレビが見えないとか学童がどうという問題は、現実に起こらないように私どもは判断いたしました。と申しますのは、この白鷺園の自動車学校というのは、所有者は別ですが現在白鳥園のそばの敷地であるわけなんです。そこから、聞くところによりますと無償に近い低廉な金で土地も借りておるようでございますし、そういったようなことから、私のほうは文化財を保護していく場合に、ないほうが好ましいのですけれども、全体の総合的な整備計画の推進には支障がないし、またそのおやりになることが厚生省から補助金が出るような建物の改築の財源に充てようということでもございますので、必ずしも望ましいとは思いませんでしたが、一時的に許可しても重大な支障はないであろう、このように考えたわけでございます。
  31. 三木喜夫

    三木(喜)委員 地元からこういうような議会の反対まで起こってきた。それでも、許可をおろしたものはどうにもならぬと市長は言っているのですが、こういう反対が起こってもそれを許しておくのですか。それからまた、あなたのお話の中で総合計画とおっしゃるのですが、国費を何億円もこれにかけてやっておいて、その周辺がたんぼのまん中でも、いま奈良の文化財を発掘しておるじゃないですか。姫路城は現に特別史跡としてあるじゃないですか。それを総合計画ができていないからここを許してやるというような、こういう便宜主義的な考え方は、ために答弁される答弁だと私は思うのです。そういう言い方では、姫路城開発の総合計画はないのですか、まだ文化財が埋もっております。だから備前門のあとを姫路市が照明設備をするというのでどんどん掘ると、礎石が出てきた。それが備前門という大事な文化財の史跡です。そういつものがほったらかしてあるのです。だからこそ、もう少し国の管理において埋没しておるところの文化財を発掘していくというような努力をしてもらいたいということを言ったのです。総合的な計画がなければ、何のために姫路城に手を入れ、何のために国宝としてやっているかわからないじゃないですか。ただお城の天守だけを改築して、それで事足れりというあなたのお考えですか。それでは法の番人としても、あるいは文化財行政としても私は十分でないと思うのです。そういう考えですか。まだできていないのですか。
  32. 宮地茂

    宮地政府委員 私は総合的な整備計画がないと申し上げたのじゃございませんで、総合的な整備計画を持っております。ただその総合的な整備計画を実施していくまでの期間内に取り払われるという前提であるから、総合的な整備計画を実施していくのに重大な支障がないというふうに申し上げたのでございます。
  33. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうしますと、これと似たようなものをほかが申請したというときにも、しばらくはまだそこがあいておるのだからかまわないというケースが出てくるわけですね。これは重要史跡、特別史跡というものの取り扱いをどう考えたらよいかという基本的な問題があるのです。それは史跡でも何でもないあき地か何かならいいんですよ。ここは特別指定にしておるじゃないですか。その考え方がすでに間違っていないかということを私は一言っておるのです。
  34. 宮地茂

    宮地政府委員 たとえば平城宮に例をとりますと、平城宮は三十万坪の特別史跡なんです。その中に人家が相当建っております。これは人家が密集しておるところも将来は発掘をしたいという計画は持っております。しかしながら、第一次段階といたしましては、人家が密集していない二十万坪ばかりを十二年計画で掘っていこうという計画を持っております。したがいまして、そういうような場合に、人家密集地帯で四畳半くらいの家の建て増しをしたい、地下遺構には傷つけません、仮設工のような家を建てたいというような人がある場合には、私のほうは原則として総合的な発掘計画を遂行するのに支障があるときにはのいてもらいますよという前提で、ある場合には許しております。そういうふうなことをいたしませんと、やはりそれは家が建てられないのがよいわけです。しかし、ただ文化財だけが優先するのだという立場だけでいきますと、せっかくの文化財を愛する国民の気持ちも、場合によっては薄らいでいくようなこともあるのじゃないかといったようなことも考えまして、私のほうは総合的な実施計画を持っております場合に、その過程において、その実施計画遂行上さしたる支障がなければ、当事者の切なる要望も、もちろんあまり悪いことでは困りますけれども、普通の場合には許してやるのもよいのじゃないかという態度をとっておるわけであります。ケース・バイ・ケースでやっておりますが、以上のような態度をとっておりますので、姫路城の場合も総合的に、その辺に先生承知と思いますが市民住宅が数十戸建っております。ですからこの自動車学校、福祉施設はもとより、市民住宅、これらのものは昔はなかったのですから、姫路城の総合的な環境整備をやるときには、これらのものにのいてもらわなければいけない、そういうような計画を推進していく過程においてさして支障にならない、そう考え方で、望ましいことではないけれども許したということでございます。
  35. 三木喜夫

    三木(喜)委員 どうもあなたのロジックに私は納得がいかないのですが、住宅がないという小市民の切なる気持ちというものは、そのために建てるということは一つの必要悪で、これはしかたがない。これはよいというものではないことはわかります。ここに建てようというのは、住宅というような公的なものでなく、付随的なものではなくて、新たに自動車学校をつくるんですよ。利益追求ですよ。ケース・バイ・ケースでそれをこっちに当てはめると、もっともっと拡大解釈ができてくるわけですよ。これは利益追求だということを言っておるんですよ。家を建てるとかいうようなことはしかたがない、これは国の住七政策が完全でないからですよ。自動車学校をこしらえるということは国の自動車学校制度がうまくいっていないからだ、こういうことが言えますか。そういうような観点に立つと、住宅と一緒にするということもおかしい。特別史跡じゃないですか。そういう考え方で、いま利益追求をしておるんですよ。何に使われるかわかったものではない。まだ私は検討してみないからわかりませんが、しかし今度姫路城に行かれたら、もう一回よく見て、そうして姫路市会ともよく連絡をとっていただいて、現に市会がそういう決議をしているのですから、お考えいただかぬと、何のために法律をつくり何のために法律の番をしていただいているかということが非常にあいまいになってくる。なお、あなたのいまのお話の中では、ここに鉄筋コンクリートのものを建てない、こうおっしゃいますけれども、ほかにそういう例がありそうです。そういうこともできそうです。そういうことで地元ではいまいろいろなもんちゃくが起こっておるわけです。このもんちゃくは一体どこから起こったかというと、あなた方が確たる判定を下して裁判をやられなかったからです。だからもう一回市当局とも連絡をとって完ぺきを期してもらいたい。この間あなた言うたらこない言うたと陳弁これつとめて、その陳弁も理屈合わぬような陳弁をやられては地元の者としてはたまったものではございませんので、よろしくお願いしたい。   〔長谷川(峻)委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 落合寛茂

    落合委員 関連して。宮地局長さんにちょっとお伺いしますが、かねてこの委員会で比叡山の自動車道路について御質問したのですが、今回の淀川の自動車道路文部省から許可がおりたのでございますか。
  37. 宮地茂

    宮地政府委員 審議会に諮問中でございます。
  38. 落合寛茂

    落合委員 諮問中の場合には、実際の工事なら工事に手を下してもいいのですか。
  39. 宮地茂

    宮地政府委員 諮問をいたしまして私のほうで許可か不許可が決定をするまでは、工事に手を出されては困ります。
  40. 落合寛茂

    落合委員 そういたしますと、今日すでに淀川の方面には、自動車道路想定されるようなところの大きな杉の木をどんどん切っておる、これは御承知ですか。
  41. 宮地茂

    宮地政府委員 承知いたしておりません。
  42. 落合寛茂

    落合委員 どうぞその点はひとつお調べになって、はっきりとした方法をとっていただきたいと思います。
  43. 久野忠治

    久野委員長 山中吾郎君。
  44. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 あとで三木委員から法案の質問がありますので、短時間にお聞きします。  きょうの新聞で修学旅行の料金について、全国の旅館協会が一斉に値上げを決定した。これに対して公取のほうでは公取法違反だというので異議を申し立てておる記事がございますが、結果はどうなっていますか。
  45. 牧義一

    ○牧説明員 公正取引委員会におきましては、全関東団体旅館協議会と、それから関西団体旅館連絡会、この二つの事業者団体に対しまして、修学旅行団体の宿泊料金と、それから修学旅行団体の宿泊接遇基準と申しますか、サービス基準ですね。こういうものをきめておることは違反だという結論を出しまして、昨日、いま申しました二団体に対しまして勧告書を渡しております。これに対しまして勧告に応諾をするかしないかの回答を求めまして、この回答の期限は、関東のほうは応諾期限が二十五日でございます。それから関西のほうは三十日ということになっておりまして、その間に勧告に応諾するという回答がございますと、勧告と同趣旨の審決がな行なわれる。それから勧告に従わないというような回答がございますと、公正取引委員会といたしましては、あらためて審判開始決定というような手続になると思っております。
  46. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 公取の方も、私文部省質問しますからお聞き願いたいと思います。  修学旅行につきまして、文部省のほうでは修学旅行の困難な者に対しては補助まで出しておる。したがって文部省としては重要な教育行事として援助もされ、補助も出しておるのですから、重大な関心をお持ちになっておると思いますので、その点は公取との横の連絡をとって、そういう一般の物価の問題ということだけでなく教育問題としてもよく連絡をとって、やたらに引き上げるというようなことのないように御検討願っておるのかどうか、局長にお伺いいたします。
  47. 福田繁

    ○福田政府委員 この修学旅行の旅館の宿泊料の問題につきましては、これは数年前からの問題でございまして、私どもとしては文部省が直接これについてどうこうということは、いろいろな困難性がございますけれども、おっしゃるように事実上修学旅行の児童、生徒に対しましては非常に重要な問題でございます。したがって問題のあるたびに、公取の事務当局とも十分連絡をとりながら従来やってまいったわけでございます。しかしながら現実問題としては、これがなかなかいろいろ困難な問題がございまして、私どもの希望するようなところにはいっていないというのが現在の実態でございます。山中(吾)委員 いろいろなことを聞きたいのですが、時間がありませんので、結論だけお聞きします。  この記事を見たときに、どうも教育政策上まことに遺憾だと思ったのは、同じ高等学校の生徒で、全日制の生徒は六百円を八百円に上げようとする。定時制の高等学校は現在の七百円を千円。高等学校の生徒を定時制と全日制に区別しておる。これは公取問題ばかりでなくて、文教政策の問題だと思うのです。学校教育法において高等学校に全日制と定時制というようなものを差別せなならぬという思想は一つもない。また一方には池田総理大臣が閣議で全日制と定時制に就職を差別してはならないといって、全国的にいろいろと各会社に勧告をした。その結果は十分その目的を果されていない。調べてみると、大きい会社はやはり定時制の者に対しては狭き門として差別を残しておる。ところが今度は修学旅行の宿泊料で差別しておるというのは、ぼくはこれを見て非常に暗い感じがしたのですが、これくらいは法律上権限がないというのでなしに、話し合いをしても、私はこういう機会に直すべきだと思うのですが、これは大臣からひとつ御意見をお聞きしておきたい。
  48. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 従来からの経過もあろうかと存じますので、まず初中局長から一応お答えいたさせます。
  49. 福田繁

    ○福田政府委員 この点につきましては、おっしゃるように私どもも教育的な見地から好ましいことではないと考えております。ところが御承知のように定時制高等学校の生徒の中には、年齢もかなり高くて、職業についております関係上、せびろを着て修学旅行の際に行くとか、あるいはまた、年齢の関係上旅館の側から見ますと、たばこを吸っておるとかいうような関係で、一般のサラリーマンと変わらないような状態で修学旅行をするというようなことから、実際上やはり一般の高等学校の生徒とは区別して旅館側では高くしたいというのがございまして、そういう点から非常に好ましくない結果が出ておりますことは御指摘のとおりでございます。私どもとしてはそういう点から申しますと、全日制高等学校の生徒と定時制高等学校の生徒とは教育的に何ら区別する理由はございませんので、修学旅行の際も定時制高等学校の生徒も制服制帽で修学旅行に行ってもらいたいというようなことで、実際上学校当局にはできる限りそういう指導をしてまいっておるわけでございます。したがって最近はだいぶ学校当局も反省してまいりまして、修学旅行にはやはり制服制帽で一般の全日制高等学校と同じような状態で行くというような傾向になってきております。しかしながらいま申しましたような実態がございますので、旅館側としてはできるだけ区別できるものは区別していこうという傾向がありますことは、残念なことでございます。
  50. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 質問は長引かないようにいたしますが、日本の修学旅行というのは、家庭が貧困であるために学校時代に一回は学校で習ったものを教育実習として見させるという外国と違った特別の意味がある。だからこそ修学困難な生徒、児童に対して、この法律で国が修学旅行費を補助しておるのです。そういうふうなものなので、せびろを着ておるからといって、その待遇が違うということはそのまま黙認しないで、説得して直してやるのが文部省仕事だと思うのです。ことに一方は働らきながら学校に行っている定時制の生徒なんで、むしろその子供には安くしてやるという常識が出るはずで、制服を着ていないからという理屈をただ局長がまあまあと言ってながめておる、そんな問題ではないと思う。これは公取の勧告があるときでありますし、いい機会でありますから、少なくとも高等学校の全日制、定時制は一つにするようにしていただきたい。私は公取の物価問題には触れません。文教政策としてそれぐらいは考えていないと、私はこの裏にはやはり全日制と定時制との差別観があると思う。定時制のほうは学校教育としてはたいしたものではないという考え方があるに違いない。何となれば、新聞を見ると、定時制の生徒と各種学校の生徒は千円と書いてある。だから全日制というのはほんとうの学校で、定時制は半分の学校で、各種学校学校ならざる教育だ、こういう論議もこの間したのですが、やはり差別観があると思うので、この機会にこういうものを是正さすように御努力を願いたい。ぼくはきっと旅館組合はわかると思うのです。原価計算の問題があるから、高い、安いは別です。しかし区別するということだけは直してやるべきだ。事実そういうことの中に定時制の生徒の劣等感も入ってくるわけです。就職をするときには差別をされ、修学旅行の宿泊料は高く取られるということは、現実に定時制の高等学校の生徒が——いつか新聞の投書にも出たことがあるし、そういうことを言っておるのですから、ささいなことであるけれども、私はこの機会に直していただくことを要望しておきます。
  51. 久野忠治

    久野委員長 次に、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  52. 三木喜夫

    三木(喜)委員 時間も過ぎておりますから、ごく簡単に疑問点について、また基本的な問題についてお聞きしたいのです。  短大を恒久化するというこの法案が出てきました。しかしながら疑問が残っておることは、中教審その他国立大学協会、こういうところで大学制度をいろいろ審議する、あるいは教育制度の根本的な改正をねらって考えておられる。そうすると、いま恒久化というが、恒久化、かまた暫定化になるおそれがないのかどうか。そういうものが出てきたときには、恒久化をはかったと言いながらまた改変されるのではないかという一つの心配がある。この点について、基本的な問題ですから御答弁をいただきたいと思うのが一つ。  全部まとめて申し上げておきますが、この恒久化の中身について新聞あたりでもずいぶんいろいろ論議したわけですが、まず短大側の意見と文部省側の意見との食い違いはないか、こういうことが第二の問題点です。  第三は、大学志願者急増対策として、これは最近文部省が四十一年度目標で検討ということで発表されておりますが定員十万人ふやす、そのうち国立二万、公私立六万、短大三万、こういう比率を出しておられて、これについてわが党からいろいろ質問もいたしました。私立に対して六万の負担をかけるならば、これに対して文部省としてどういう対策考えておるのか。負担だけかけて、国のこれに対する補助というものが根本的に検討されておらなかったら何もならないと思うのです。したがってこれについては、私大側でも短大側でも、自民党の政調会文教部会あたりと話をされて、相当話も煮詰めてこられておるようであります。政府のほうでもこれについて、文部省大学設置委員会と私大審議会との間に話し合いを持たれておるようであります。そこでかなり見通しを持っておられるだろうと思います。アドバルーンだけ上げた、あるいはこう薬ばり的な改正だけをやっても、一向大学教育の力づけにならない、底力が出てこない。また変えるのではないかという心配がありますので、以上三点について、端的にわかりやすく御説明願いたい。
  53. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 このたび御提案申し上げております短期大学制度の恒久化に関連いたしまして、御指摘のございましたように大学制度全般につきまして文部省としては中央教育審議会に諮問し、昨年答申をいただいておるわけであります。この答申の中にも、この短期大学制度の改善に関しましては触れておるところでございまして、今回の改正は、いわば中教審の大学制度改善の答申の一環というふうに見て差しつかえないと思います。したがって、現在四年制あるいは大学院の制度の改善等について、いろいろ関係者あるいは学識経験者が集まって検討してもらっておりますが、そのほうの意見がまとまり、措置すべきときがまいりましても、現在の短期大学制度の改善はこれによって影響されることはなかろうと思っております。したがって、この恒久化が、ただいまおことばにございましたような暫定的なものになるということにはならぬというふうに私ども考えております。もちろんこの短期大学における教育内容につきまして、御承知のように短期大学の設置基準というものがございます。これはやはり時世の進展に応じて専門的な見地から今後検討していくべき課題かと思っておりますが、制度の問題につきましては、これがこの恒久化改善が暫定的になるというふうには考えておりません。  次に、制度改善の中身の問題でございますが、御承知のように、短期大学関係につきましては私立の短期大学協会、あるいは公立の短期大学協会というようなものがございまして、それぞれその方面の関係者から、多年この制度の恒久化について御要望のあったところでございます。その御要望の概要を申し上げますと、まず第一に私立の短期大学協会とされましては、短期大学の制度を恒久的な制度にしてもらいたい。それから恒久化に際しては、大学教育のワクの中に置いてもらいたい。それからその目的、使命等について、従来のものに対し、はなはだしい変革を加えないようにしてもらいたい。それから名称は、現行どおり短期大学という名称にしてもらいたいというような、その四点についての御要望があっておるわけでございまして、今回の制度改善もこの短期大学協会の御主張と全く同趣旨のものにいたしておるわけでございます。  また、公立の短期大学協会のほうにおかれましても、この名称について、あるいは法律の規定の方法につきまして御要望があるわけでございますが、この点について径庭はございませんので、いわゆる短大側とこの点について意見の相違があるというふうには考えておりません。  次に、大学の入学志願者急増対策に関連してのお尋ねでございますが、文部省といたしまして、要するに高等学校入学者の増加の波が、四十一年には大学の門に到達することに対しまして対策を練らねばならぬということから、いろいろな入学志願者の急増に関する推計をいたしておるわけでございます。推計の方法にいろいろなファクターがあるわけでございまして、まだいわゆる文部省としての最終的な対策をきめたわけではございません。ただ私ども考え方として、こういう推計はいかがであろうかという一つの案をつくりまして、それぞれ関係方々、ことに大学の専門家たちと相談をいたしておるわけでございます。御指摘のございましたように、現在私どもの推計いたしておりますところでは、この四十一年のころにおきまして、現在程度の入学者の率を一応確保するものといたしますと、現在約二十八万の入学者がございますが、それに対して十万人くらい入学者のワクを広げる必要があるのではなかろうかということでございます。その際、四年制の大学と短期大学にこれを分けますと、従来の学生増募の比率から申しまして、大体四年制の大学は七万、短期大学のほうは三万といったような比率でよいのではなかろうかというふうに考えたわけでございます。その四年制の大学の七万のうち、国立は一万程度、それから私学で六万程度というものが従来の実績にかんがみて、大体妥当な線ではなかろうかというふうに考えたわけでございます。もちろん私学で主として担当してもらう形になります約九万というものの増募に関連いたしまして、当然国としても、私学に対する経済的な援助の方策は考えなければならないと思っております。現在いろいろな資料から一応の推計はいたしておりますけれども、これもやはりそのふえる学部学科の内容等によって非常に大きな数字の開きが出てまいりますので——もちろんこれも確定したわけではございません。また文部省としての方針が大体きまりましても、財政当局との折衝も当然起こってくるわけでございます。しかしいずれにいたしましても、この急増の時期におきまして、私学がいわばワクを広げて受け入れてくれる数に対しましては、政府としても、当然従来に増して非常な努力をして裏づけをしていくべきものというふうに考えておるわけでございます。
  54. 三木喜夫

    三木(喜)委員 最後に御答弁になりました点については、これは十分考えていただかなかったらいけないのではないかと思うのです。これは自民党のほうにいたしましても、社会党のほうにいたしましても、私学側にいたしましても、文部省でもその必要を感じておられるのですから、来年度どういう意気込みでやるかということは相当重大な問題だと思います。高校急増の問題、これと今度は関連してきますので、十分考えてもらわなければならぬかと思いますので、以上要望して、私の質問は終わりたいと思います。
  55. 久野忠治

    久野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十七分散会