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1964-04-15 第46回国会 衆議院 文教委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十五日(水曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 小澤佐重喜君 理事 坂田 道太君    理事 長谷川 峻君 理事 南  好雄君    理事 二宮 武夫君 理事 長谷川正三君    理事 三木 喜夫君       小渕 恵三君    木村 武雄君       熊谷 義雄君    佐藤 孝行君       谷川 和穗君    床次 徳二君       中村庸一郎君    中山 榮一君       西岡 武夫君    橋本龍太郎君       原田  憲君    松山千惠子君       湊  徹郎君    前田榮之助君       和田 博雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         文部政務次官  八木 徹雄君         文部事務官         (大臣官房長) 蒲生 芳郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君  委員外出席者         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     木田  宏君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 四月十四日  委員松山千惠子辞任につき、その補欠として  篠田弘作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員篠田弘作辞任につき、その補欠として松  山千恵子君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員大石武一君、中村庸一郎君、松田竹千代君、  森清君及び山口喜久一郎辞任につき、その補  欠として湊徹郎君、西岡武夫君、佐藤孝行君、  中山榮一君及び小渕恵三君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員小渕恵三君、佐藤孝行君、中山榮一君、西  岡武夫君及び湊徹郎辞任につき、その補欠と  して山口喜久一郎君、松田竹千代君、森清君、  中村庸一郎君及び大石武一君が議長指名で委  員に選任された。     ————————————— 四月十四日  農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従  事する国立及び公立の高等学校教員及び実習  助手に対する産業教育手当の支給に関する法律  の一部を改正する法律案小林武君外四名提出、  参法第一三号)(予) 同月十一日  高等学校全員入学等に関する請願(楯兼次郎君  紹介)(第二四九六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立教育会館法案内閣提出第七九号)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  国立教育会館法案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  3. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は教育界の大先輩である天野貞裕先生に来てもらって、教育会館関連して研修ということについてかなり突っ込んでお聞きしたいと思ったのですが、先生財団法人理事長として来たということで、非常に巧妙に体をかわされた。それから二宮さんの質問に対しては、私は教育者としてやってきたのだと、今度そういう答弁をされたりして、私は当日こうした教育界の元老がこういうような態度であられるということに非常に遺憾な気持ちを持ったのです。しかしながら先輩でもありますので、そういう点にも触れずそのままになったのですが、非常に遺憾に思ったものです。したがってきょうはその当日お聞きしたがった点についてもひとつ文部当局に聞きたいと思うのです。  川崎君のほうからも資料の要求をされておりましたが、私は一番研修ということが問題になると思うのです。この教育会館というものは、教育会館という名前は持っておりますけれども研修会館である。特によく指摘しましたように、いわゆる館長が自分意思教育会館意思でいろいろな研修会とか講習会を主催することができるという文面がある以上、いよいよもって研修という問題についてもう少しお聞きしておかなかったら、将来の運営にも問題があろうと思うのです。  そこで「寄附行為・設立趣意書」の中に、「わが国の将来の発展の基礎は、教育が真にその成果を発揮し、新しい時代の担い手としてすぐれた資質能力を有し、心身ともに健全な青少年を育成する」これは教育の大眼目ですからけっこうでございます。「全国八十万の教職員は、おのおのその職務を自覚し、時勢の進展に即応し、絶えず識見をみがき、父兄の信頼にこたえる教育を実施するよう努力している」こう書いてある。これも現状認識であるからけっこうだと思う。そこで「さらに効果的な研修活動向上各種教育研究活動の育成をはかるため、組織的な研修機関充実を行なう」こういうことになっております。そこで、私は研修の問題をここに出してお聞きしたいと思うのです。これらの方途というものはすでに文部省が実施されておることに尽きると私は思う。教育会館の問題を出してくるときに、それに対して場所を与えるということだけで私はいいと思うのですが、これと教育会館とをひっくるめて、関連さして「組織的な研修機関充実を行なう」こういうことがありますが、さてどういうような組織的な研修機関充実をやられるのか、その点を文部教研というものと関連してひとつお答え願いたいと思う。
  4. 福田繁

    福田政府委員 ただいま文部省におきましては、全国の小、中、高等学校校長あるいは教員指導主事等対象にいたしまして、教育課程の改正に伴う教育研修会を開催いたしておりますことは御承知のとおりでございます。これはこの前の当委員会におきまして申し上げましたように、教育課程の改定に応じまして、現場学校でいかなる指導上の問題点があるかというような具体的な問題をとらえての研究大会でございます。これを開催いたしますにあたりまして、各都道府県教育委員会がそれぞれの管内の学校教職員対象にいたしまして、やはり同じような研究集会等を行なっております。このほかに校長主事等研修講座等も実施しております。あるいはまた道徳教育講習会あるいはその他の理科教育あるいは職業教育、いろいろな各種の分野にわたりまして研修会あるいは講習会等を実施いたしておりますが、これは文部省並びに都道府県教育委員会あるいは市町村の教育委員会等が協力して、教職員資質向上をはかる意味におきまして実施いたしております研究会等でございます。もちろんこれらは行政機関としてやるわけでございますが、そのほかに民間団体等におきまして研究会あるいは講習会等がいろいろと実施されております。そのために全国的な団体もあるいは都道府県単位の地方的な教科研究団体等もいろいろな研究をやっておりますことは、これ御承知のとおりでございます。できる限り私どもといたしましてはこれらのいろいろ行なわれております民間団体あるいは教育委員会等行政機関で行ないます研究集会等が一そうこの連係を保って、そして組織的に教員資質向上をはかっていくような対策を講じていただければ、非常に今後の問題としては能率を上げ得るのではないか、効果を期待し得るのではないか、こういうように思っておるわけでございます。そういった意味でできる限り今後も相提携しながら組織的にこういう研究集会等を実施していきたい、こういう考えを持っておるわけでございます。ただそれにあたりまして現在行なっております研究会講習会等で十分であるかと申しますと、必ずしもまだ十分でないようでございます。したがって今後また新しくいろいろな企てが行なわれ得る余地もあろうかと思うのであります。そういうことは中央、地方両方にまたがりまして今後出てくる問題であろうと考えるわけでございます。   〔委員長退席長谷川(峻)委員長代理着席
  5. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それは文部省考え方で十分じゃないですか。教育会館にそういうような使命を負わすことはできないと思うのです。趣意書の中にそういうことが書いてある。文部省は組織的にいままでやっておられるのじゃないですか、まだ足らぬのですか。
  6. 福田繁

    福田政府委員 文部省でいろいろやっておりますけれども全国教職員は非常に数もたくさんおります。また一つ研究会といたしましても、それに参加してもらう教職員の数というものは、全体から見れば微々たるものでございます。そういった意味で、できる限り計画的に毎年進めてまいっておりますけれども、なお足りないわけでございます。内容等につきましても、もちろん時代進歩に応じて改善、向上をはかっていく必要がございますので、いかなる場合におきましてもやってやり過ぎるということはないわけでございます。まだ現在の段階において十分だとは申し上げられない現状であろうと思います。
  7. 三木喜夫

    三木(喜)委員 十分であるとかないとかいう問題でなくて、私の言うのは、教育会館にこういう使命を負わさなくても、文部省それ自体が十分にそれに向かってやられておるのですから、この設立趣意書の中にこういうことを負わしていくことに私は問題があろうと思うのです。それを言うわけです。その点の関連をひとつ聞かしていただきたい。
  8. 福田繁

    福田政府委員 文部省でもちろんやるものもございますし、また文部省など必ずしも国のやる事業として適当でないというようなものもあろうかと思います。たとえばこの前ちょっと一例として申し上げました語学の研修会だとか、あるいは一般教職員対象にした文化教養講座といったようなものは、こういった団体のほうが仕事としてはできていいのじゃないか、あるいはまたそういう設備等を十分持っておりますので、そういうことを計画してみずからやるということがむしろ適切じゃないか、こういうような考え方でおるわけでございます。したがってもちろん文部省のやることと重複する必要はございませんけれども、いろいろやはりそれぞれの機能に応じて具体的な問題をとらえてやることは適切な効果を上げ得るゆえんではなかろうかと考えるわけでございます。
  9. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は研究研修というものには、国がやるところの研究というものもあると思うのです。そういうものと教職員研修というものとが一致していくとかあるいはその連携をはかるとかいうことが、組織的、計画的なものでないかと思うのです。たとえば国立教育研究所というものがありますね、それとの関連は何もこの教育会館との間に関連はない。ただあなた方の恣意のままに、文部省意図のままに教職員をこのようにして研修するんだという使命教育会館に負わしておりますけれども、しかしながら、組織的、計画的にという以上、国の研究機関というものも厳としてあるのです。それとの関連教育会館にも持たすということも二つの組織的な計画じゃないかと思うのです。その点が抜けておると思うのです。それでお聞きしておったわけですが、その点どうですか。
  10. 福田繁

    福田政府委員 現在の国立教育研究所におきましても、教育に関するいろいろな研究を実施いたしております。それらの中で、小・中・高等学校などの教科について具体的に関係のあることもございますので、そういう具体的な研究につきましては、今後教育会館が行ないます事業とできる限り連携をとってやってまいりたいと考えております。そのことは、もちろん今後の運用の問題でございますので、お互いに十分な連携をとるような運営考えてまいりたいと考えております。
  11. 三木喜夫

    三木(喜)委員 運用ということを大体主体にしてお聞きして、そうして教育会館性格なり、あるいは今後の動き方というものをわれわれは納得したいと思うので、運用の中でやっていくということはそれでよくわかりますが、そこで運用をわれわれとして聞いておるわけなんですが、これは三十八年の文部統計要覧ですが、きょうまた三十九年のを配ってあるようですが、これによりますと、研究機関数が一〇六ページに出ております。科学技術研究機関とか、あるいは専門別研究機関とか、いろいろあるのですが、きのう私党内の科学技術特別委員会の会合をやりまして、その席上で、ほかからも参考人を呼んできて、いろいろ聞いてみますと、原研におきましていま一番問題になっておることは、文部省関係研究所、あるいは大学の研究所というものとの関連がうまくいかない、そこに盲点があるということを口をきわめて言っておられましたが、私はこの教育会館というものがサービス機関であり、連携機関であるというたてまえをとるならば、そういうところとの連絡を密にして、そこからいろいろな知識、要素というものを受け入れていかなければならない、こういう方途考えられるのが至当ではないかと思うのです。ここに文学、教育学、法学、経済学、それから自然科学に関してもかなりあがっておるわけです。それらとの関連は一体どうせられるのか。かなりこうたくさんあるわけですね。組織的、計画的といわれる以上、私はそういう問題も考えておられるかということでお聞きしたのですが、要は運営であろうということになれば、教育会館を設立するときには、そのことは考えられていなかったということになるわけですね。いまから考えるというわけでしょう。その点ひとつお聞かせ願いたい。
  12. 福田繁

    福田政府委員 文部省所管研究所等におきましても、非常に有益な資料などを刊行しておるものが相当ございます。また文部省所管以外の研究所等におきましても、御指摘のようにいろいろだめになる資料が相当出されておるわけでございます。そういう資料等におきまして、利用できるものはできる限り私どもとしては今後教育会館にも備えて、一般教職員研修参考にいたしたい、こういう考え方を持っておるわけでございまして、この二十条の三の中にも、「内外の資料を収集し、整理し、保存し、」というような規定がございますが、これはすなわちそういった研究所、あるいは研究所でなくても、適切なる資料等をここに備えまして、できる限り適切な利用をはかっていきたい、こういう趣旨でここに規定を置いているわけであります。
  13. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それは法律の中にむしろ明記して、そういうところは国立教育会館連携をとって資料を出してもらうとか、こういう方面とかいうようなことを私はある程度うたう必要がある。そういう方面にも手を伸ばしておくことが、教育会館というものの幅を広げるので、いま一番問題になってくることは、教職員だけに研修を押しつける場でないかということに不信があるわけなんです。そうした広げ方を私は今後やられることが望ましいと思うので、いまさら法律の中にうたえということはむずかしいと思います。あなたのおっしゃる資料の中でというのは逃げ口上です。それならば、いままでその研究所からどういうような資料を整えられたか。これはいままでのやり方、そういうことに使った、こういうことですが、そこから講師を呼んだりはされたと思いますけれども、これはかなり計画的にやっておかなかったら私は問題はむずかしいと思います。こんなことを等閑にしておいてはいかぬと思います。いままでそういうことはあるのですか。どういう例があるのですか。
  14. 福田繁

    福田政府委員 いままで、もちろんまだ教育会館ができておりませんから、ここでは扱えませんが、文部省としては教育研究所などで発表されました研究結果というものは最大限に利用しているつもりでございます。ただし、講習会などに直ちにそれが全面的に使えるというものでなく、やはり事柄によりましてそれを部分的あるいは講習会用に若干の手を加えて演習などに使うということは、当然いままでもやっておることでございます。そういう面で利用いたしておるのでございますが、あまり科学技術の高度のものにつきましては、いままでまだそういう必要がありませんので、やっておりませんけれども一般的な資料としては活弔いたしております。
  15. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私はなぜこういうことを言うかといいますと、この前からずっと…題になっておりますところの、サービス機関であるか、あるいはまた教育会館命令を下して教職員をコントロールする、そういうものであるかという性格考えるわけなんです。そこで原研、これも特殊法人ですね。原子炉とか原子力についての研究をやっておるところです。ここは、財界にサービスするということを主体に置いて自分自身研究しておるわけですね。自分自身研究をそういうところに分かち与える、こういうサービスをやっております。それから国立競技場というものは、ほんとうに一つの階層でなく、一つ職業でない、いわゆる教師という職業でないいろいろな人を集めてやらなければならぬ場合ですから、そこであの中に主催するということはありませんけれども、業務を行なうということで、この中にある主催に似合うようなことばを使っております。しかしこれは法律がないから、教職員については三方面からの法律研修の義務、それから設置者あるいは任命権者研修を行なうところの条件整備、これを義務づけられておる。こういうものがある。教職員と、それから全然サービス機関で、一般人を対象にする競技場法というものと、だいぶここに考え方のずれがある。いつもこれを参考にしておる、こういうようにおっしゃいますが、こういうように会館とか競技場あるいは原研、こういうものはそこ自体が十分研究して、そしてそれを資料としてお渡しする、こういう機能を持っておるのです。そこでいまさら教育会館にいろいろなことを研究しなさい、そしておやりなさい一これは後に人員の問題で私触れたいと思いますけれども人員スタッフ関係ではできないかとも思います。そうしますと、やはりそういう研究所というものとのタイアップというものを私はこの際考えることこそ前進になる、いろいろな疑いを持たれない一つ方途ではないかと思うのですね。そこでお聞きしておるわけなんです。そういう点について今後もよく連絡をとって、そういうところのエキスを現場に持ってくる、こういう方法もひとつ考えてもらいたい、そういう立場から申し上げております。  それから今度は教職員研修のあり方はついてお尋ねしたいのですが、研修ということ、これについていろいろ自分でも検討してみました。しかしながら、文部省考えておられるような研修と、私が理解するところの研修とが若干違ってきておるように思うのです。いままで文部教研をずっと進めてこられ、そうして、まだこれでは満ち足りないから今後もうんとやらなければいけない、こういう立場に立たれる以上、研修という問題についてどうお考えになっておるかということをひとつお聞きしたいと思います。
  16. 福田繁

    福田政府委員 研修ということに私いろいろな別な意味があるとは考えておりません。やはり教職員としては生徒、児童の指導が第一でありますから、したがって教壇に立って自信を持って子供を指導できるような知識といろいろな能力というものを備えていただくのが先生研修の目標であろうと思います。そういった意味から、具体的にある場合にはやはり実技の講習会研修会みたいなものも必要でございましょう。また、先生自身が直接自分の担当する教科でなくても、広く教養を身につけるというような意味での高い研修というものも必要であろうと思います。あるいはまた、具体的に担当しておりますところの教科をどういうぐあいに指導していくかという指導方法等についての研修ということも必要であろうかと思います。そういう内容によってはもちろんいろいろあると思いますけれども研修そのものに私どもは別の意味だとか、あるいは違った考え方を持っておるわけではございません。これは教職員として、ぜひともそういう生徒指導する上から必要な知識能力というもの、あるいは教養というものを十分たくわえていただきたい、こういう趣旨からの研修にほかならないわけであります。
  17. 三木喜夫

    三木(喜)委員 研修というものを私は考えますのに、いまの文部省考え方、これは一面的な考え方だと思うのです。教育に必要である、あるいは教養を高め、あるいは人格、識見をみがく、こういうことは文部省自体がやらなくとも、各個人が自発的にやる面も私はあると思うのです。そこで、いま研修をやられるところの一つの方針として、あるいは方法としてお述べになりましたが、私はやはりいかにすれば自己研修をやれるか、そういう方向に教職員がいくか、こういう考えを一方に持っておきながら研修をやらなければ、いま一つ疑問点とし、あるいは疑いを持っている点は、天下り式研修をやられて、そうしてその研修に対するところの意欲というものを失うというようなことも考えられると思うのです。そういう点から考えますと、いたずらに数の多きをねらい、あるいは一堂に集めて文部省がやられなかったら研修はできないんだという考え方は、私はちょっと疑念があると思うのです。それよりももう一歩掘り下げて、教職員自発性に待つところの研修というものをどのようにしたらやれるか、こういう方途考えるべきだと思うのです。いまそれが抜けておると私は思うのです。その点についての配慮はありますか。
  18. 福田繁

    福田政府委員 私どもといたしましては、もちろん教師が自主的に十分な意欲を持って研修されるということは願わしいものと考えております。文部省がやりますから、その限りにおいて天下りだとか、あるいは教育委員会がやる講習会天下りだというようには私は考えていないのでございまして、やはり多くの教師に対しまして、そういう研修の機会を提供するということは文部省なり教育委員会一つ任務だと考えております。そういった意味でその任務を遂行するために、できる限りりっぱな運営をいたしまして、そうして先生方研修十分効果をあげるようにいたしたい、こういうように思っておるわけでございます。また文部省あるいは教育委員会が主催する研修だけでなく、もちろん民間教育団体などが自主的にやります研修についてもできる限り御援助をする、こういうような考え方で若干の補助金を出しておる団体もございます。そういう考え方を持ちまして、団体あるいは教育行政機関が行ないます研修につきましても、やはり考え方としては同様な態度で私どもは臨みたいと考えております。
  19. 三木喜夫

    三木(喜)委員 文部省民間教育研究団体助成金を出す。一億円の金の配分がこの間行なわれましたが、そういう意図はわかりますし、この問題はまた別に触れるといたしまして、いまあなたのほうでおっしゃいました研修というものを効果あらしめようと思うならば、一方的な考え方では私どもは問題があろうと思うのです。なぜこんなことを言いますかというと、いままで文部教研に行かない者については職務命令、そうして職務命令違反だということで罰則をこれに加える、こういうような動きがあったわけです。この間うちから大臣並びに初中局長お話を承りますと、この教育会館におけるところの今後の研修はどこまでも自由だ、こういうお話があったわけです。私は自由だから教職員がサボるという性格のものではないと思うのです。そういう自由性を持たせるところに自発性の原理にさおさすこともできると私は思うのです。これはあなた方がおっしゃったのは、ここに主催するもの、教育会館が主催するものについては自由だとおっしゃったのかもわかりません。その辺が私はいまはっきりいたしませんが、まあ、自由ということばが出ております。それは一つ進歩だと思います。かりに教育会館が主催するというようなことがあるとしても、そのことに対して拘束性を持たないということは、私は大事だろうと思います。あるいはまた文部教研につきましても、いままでそういう拘束現場においては持っておった。そういう点はどういうふうに思われますか。
  20. 福田繁

    福田政府委員 御承知のようにかつて数神前道徳教育講習会などを実施いたしましたときに、教組の非常に強い反対を受けまして、講習会が妨害されたり、あるいはまた参加者についていろいろ問題がありましたことは御承知のとおりであります。そういうときには県の教育委員会としてはある程度参加することについて強い態度で臨んだことは事実でございます。しかし、現在におきましては非常に事態が変わってまいっておりまして、県の教育委員会なり文部省の主催するどの講習会を見ましても、非常に冷静に行なわれております。かつてのようなとげとげしい事態というものは一つもございません。したがって私どもとしては、この文部省主催の講習会につきましても、そういう強制するというようなことはもちろん考えておりませんし、また今後教育会館が何らかの研修会等を主催する場合におきましても、この前大臣が申し上げました趣旨は、教育会館自体が参加を強制するようなものではないというように申し上げたように私は伺ったのでございます。そのようにあるべきだと私も考えております。
  21. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いまの初中局長お話の中で出てまいりましたことですが、一つ研修というものを効果あらしめるということですね。効果あらしめるためには、一方的なものの考え方、やり方というものを排除しなければならない。その効果というものをいまひとつ考えながら、もう一つはとげとげしい対立があったことも事実でありますから、なぜそういう対立があったかということの反省もなされなければならないと思うのです。だから職務命令を出した、こういうことには、特に教育ですから、教育行政をやるものとしてはやってならないと思うのです。そういう点の反省はありますか。
  22. 福田繁

    福田政府委員 非常に不幸な事態でございましたが、私どもとしてはそういうことは今後絶対にないと信じておりますし、またあってはならないと考えるわけであります。
  23. 三木喜夫

    三木(喜)委員 研修自体のあり方としてやはり自発性の原理にさおささなければならない。自分からやる自主研修ということにやはり主体を置かなければならないという考え方もあっただろうと私は思うのです。私が先がたから言っておりますところのそういう要素もその中に包含しておったということもお考えいただかなければならない、こう思うのです。  その次に、この研修について、この間天野先生にも話をしたわけですが、研修を阻害されるような要素がまだほかにやはりあろうと思うのです。そういうものについて文部省はどういうように考えられておるか。私はあとでその具体的な問題については申し上げたいと思いますけれども、たとえば社会の情勢あるいはあなた方がやっておられるところの学力テスト、勤評に連なる研修、こういうところが研修というものを非常に強めておるようであって、それ自体研修というものを弱めておる。自発的に研修をやる者について、あなたはよくやりますねというような評価のしかたは私はいいと思うのですが、研修会講習会とこれを関連させて考えていくところの勤評というようなもの、こういうものも私は問題になろうと思う。そういう点をどういうように考えられるか。教育会館を建てることはけっこうですよ。しかしそれを真実自主的な研修の場とするためにはそういうものの考慮というものも考えなければならぬ。文教行政を進めていく上にもやはり大事な観点じゃないか。天野先生にこの点を聞きたいと思ったのですけれども、私は財団法人理事長としてやってきたとおっしゃる。これでは話にならない。教育界の大先輩ですからその点について私はよくお考えにもなっておるだろうと思って聞いた。そういう点の配慮はやはりせなければならぬと思うのですが、どうですか。
  24. 福田繁

    福田政府委員 お尋ねの趣旨が私には十分理解できないのでございますが、研修自体は私は何ら勤評などとは関係はないと考えております。現在地方あるいは中央において行なっております研修につきましてもそれぞれの目的によって十分効果をあげ得た場合もありますし、また所期の効果を一〇〇%はあげ得なかったということもございますけれども、しかしそれは研修の目的に沿ってそれぞれ行なわれているわけでございまして、他の要素について、あるいは勤評などと関係があるようにこれを考えるのは適切ではないと考えております。それによってまた何か研修効果そのものが減殺されるというようなお尋ねのように思いましたけれども、私どもはそういうことは考えておりません。研修研修として一本やりで効果をあげるように進めていくのが当然だし、今後におきましても私どもはそういう心がまえでやりたいと考えております。
  25. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういう考え方というものは私はやはりこの教育会館法の中にも生きてきておると思うのです。やはり猪突猛進的に研修をやらなければならぬ。もっと突っ込んで言えば、教育会館をつくって、そして教職員研修の場からコントロールしていこう、こういう意図が如実に出てくるのです。ここで私は天野先生にもお聞きしたかったわけですが、三十九年の三月三十日「教育論調ハイライト」というところにこういう記事が載っておるわけです。それはこの「教育論調ハイライト」だけではなくして時事通信の教育版にも同じことが載っております。総合雑誌の四月号からその要点を引っぱり出しておる。それは御存じのように岐阜県教組の組合員の大量脱退問題、これはこの前当委員会でも取り上げられて、文部省は関知せぬことだというようなことになりましたけれども、新聞ないしはこの総合雑誌の論調はこういうようにあげております。私は一方的にあなた方にこれを押しつけるつもりじゃないのですけれども、この考え方もひとつ考えてみなければならないのじゃないかと思うのです。これは名古屋大学の助教授竹内良知氏が、世界に「「教育を歪めるものは誰か」で、この問題をついている。竹内氏の文章には「岐阜県における「教育正常化」について」とのサブタイトルがついている。竹内氏は「教育の正常化」は「端的にいえば、日教組翼下の組合組織を破壊することである。しかし、それはけっして教組の組織だけではなく、学校教育の成り立つ人間的基礎そのものを破壊することではあるまいか」と強調する。組合脱退工作は、まず校長・教頭に対してなされ、校長は部下に教組を脱退しないと人事異動のとき不利になるからと、「自発的脱退」を勧告するという形ですすめられるという。郡上郡では中濃ブロックの教育次長(地教育事務所長)が教頭会の理事を集めて「教組がある限り郡上の教頭は校長にしない」と言明した。さらに地方教育事務所の幹部はPTA役員を動かし、PTA役員個々の教員に働きかけるという工作もなされたという。「正常化」の過程では、人権侵害ともいうべきケースが数多く出た。ある校長は全員脱退するまで帰宅を許さないといって職員をかんづめにした。ある女教師は、校長教育長、村長、村会議長、農協幹部を動かして農協に勤めている夫に圧力をかけて、夫が離婚か脱退かを迫った。問題なのは、脱退させた校長自身、自分が正しいことをしているとの自信をもっているものはなく「私のいうことがメチャクチャなことは確かだが、私の立ち場も考えてくれ」とか「世の中の流れには逆らえないのだ」といった態度をとっていることだ。竹内氏は「教師が行政のための機械になった状態を「教育の正常な」あり方とみなすことによって、教育を完全に行政に従属させようとしている」といい、「教師に自由がないとき、こどもの自由もなくなるであろうし、両者の自由がないところで、学校は真の人間形成の場になりうるだろうか。いまや子ども学校教育されているのではなくて、管理の対象にしかならなくなりつつある」と、問題の重要性を指摘する。」これは社会党が岐阜県の問題を取り上げたから言うのじゃないのです。私は現場におりまして、子供がきょう一日けがしなかった際には——あるいは青少年非行化の問題で私申し上げましたように、学校へ警官が立ち会って卒業式をしなければならない、こういうような状態が出てきている。人間の基礎が破壊される中で文部教研だけ先に進んでみたって私は問題だと思うのです。そういう点についてやはり反省がなければならぬと私は思うのです。そういうような要素は全然ありませんか。教研それ自身をやっていくことが教育をよくすることだというがむしゃらな考え方というものは、私はやはりこの際ゆるめて、反省してみる必要がある、その点を申し上げておるのです。それが一つです。それはどうですか。
  26. 福田繁

    福田政府委員 先ほども申し上げましたが、何が何でもがむしゃらにやるということではございませんので、やはり私どもとしては、研修をやるについては、研修の目的一本やりにやっていきたいということを、ことばは足りませんけれども申し上げた次第でございます。もちろん、教師資質を同上するというその範囲内の問題といたしましても、生徒、児童の指導ということは非常に大事でございます。それは先ほどから申し上げたとおりでございますが、現在学校現場において非行青少年の問題は、御指摘になりますように、教育上も非常に重要な問題でございます。したがって、私どもは、この問題については今後真剣に対策を考えて、教育的な問題として解決し得るものは、できる限り教育的な場としてこれを取り上げて解決していきたい、こういうような考え方で対処いたしております。そのために、生徒指導のために必要な生徒指導講座というものを設けたりして、これは今後もこの教育会館等で実施をするわけでございますが、文部省の主催で各都道府県教職員対象にして、相当充実した講習をやるつもりでございます。またそれらの生徒指導に必要な、いわゆるカウンセラーのような職員を配置する必要もございますので、そういうものも今後漸次拡大をしていきたい、拡大するには、まずその養成をはかっていかなくてはならない、そういう点から、生徒指導講座等によりまして、十分講習を受けた先生方をそれらの専任のカウンセラーに配置していきたい、こういう考え方も持っておりまして、できる限り今後もそういう方面充実強化していきたいということでございます。それも研修の一内容でございます。
  27. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういう考え方、それもいいでしょう。先生がそういうような子供の指導をどうすべきかという問題もあろうと思うのですが、それ以前に、この教育会館に疑問がかかっているのは、この岐阜県に行なわれているように、文部省の中で教員組合脱退ということを、権限化しておるか権限化しておらないか別問題として、そういうことを非常に考えておられる。こういうことが行なわれておる以上、一方では教育が大事だ、人間性は大事にしなければならない、こう言っておきながら、一方では人間性を否定するような、そういうことが末端で行なわれている。先ほど私が申し上げましたように、研修に出なかったら職務命令違反だということでやるというような事態が起こってきたこと、あるいはまた、ここで私の言うことはめちゃくちゃだけれども、どうぞ教員組合を脱退してもらえぬか、そうでなかったらおれの立場がないのだ、こういうようなことがやはり如実に行なわれているところに、文部省の背景的な意図があると私は思う。それをそのまま黙認しておいて、そうして研修だけ先にやってみたところで、一向ようならないということを私は申し上げておるわけであります。そういうことが人間的基礎を破壊する、人間形成の場というものが管理だけの場になってしまいおる、そうして研修でもあるまいがというのが私の考え方です。  それから、もう一つ出ております。これは教師の自由について宗像誠也氏が婦人公論の「教師の退廃と母親の心構え」という中で強調されております。それが載っておるのですが、「宗像氏は東京新聞(二月三日号)に発表した論文「教育−その課題」での主張を繰り返し、プレゼント、アルバイト、リベートの“三ト”にも言及する。だが“三ト”は退廃のむしろ末の現象であり、真の退廃は「教師が本気で『やる気を』なくしている傾向のこと」「教師の自主性喪失」だという。教師をそうした状態に追いやっているものは、宗像氏によれば、「世界に類例のない非人間的な」勤評だ。学力テストの平均点をよくし、勤評成績を上げるため、愛媛県では遅進児を休ませたり、できる子をできない子のそばに並べて見せて、書かせたりする学校も出てきた。愛媛のある教師はこうした事例をこまかに書き「問題なのは教師自身が不正をやるばかりでなく、子どもにも不正をすすめ、子どもの人権まで侵すような非教育的なことを平気でやる教師が出て来ているということです」と、書いてよこしたそうだ。学校にひろがる教育の退廃をなくし、人間の尊さを守るため創造力と責任感と思いやりにあふれた教育を展開しよう、というのが宗像氏の結論である。」こういう教育行政——この教育会館の中にも、何が何でもやるんだというがむしゃらなものでなくして、この際私がつくづく思うことは、両極作用に拍車をかけるような教育状態のままに置いておいて、教育会館だけ前へ進めていく、研修だけ前へ進めて、前へ進めと号令をかけても、進めないということを私は言っておる。進んだように見えるかもしれません。校長に対しましては研修会に出て行っておるようかっこうをとっておりますけれども、その実自主性が喪失されていくようなことになれば、これはゆゆしい問題だと思う。その点を言っておるのです。  第二の問題は、教育に内在しているところの問題それをあなた方がやはり出しておられない。(「それは別の問題だ」と呼ぶ者あり)別ですけれども、それは研修と大いに関係ありますよ。そういう点はどうですか。
  28. 福田繁

    福田政府委員 私は宗像さんの所論とは意見が違うのでございますが、今日の教育界にいろいろな問題があることは私もよく存じております。しかしながら、教育の退廃ということばをお使いになっております。私は教育の退廃ということには賛成いたしがたいのでございます。いろいろ問題がございますけれども、私どもは、やはり日本の教師というものは、生徒児童の教育を担当する以上、十分に自主性を持ってやっていただきたいと考えるのであります。そういう教師みずからが自主性を十分備えた教師であることこそ基調であると思いますので、研修自体においても、できる限りそういう自主性を備えるような研修を私どもは望んでおるわけであります。別に宗像氏と論争するつもりはございませんけれども、その所論には私は賛成いたしがたいことを申し上げておきます。
  29. 三木喜夫

    三木(喜)委員 人それぞれにいろいろ意見があろうと思います。あなたが反対されてはだめだと私は申し上げませんけれども、しかし、そういうような教育の地にはっておるところのマイナスの面、あるいはあなた方が意図されておるか、意図されておらぬかは別問題にして、教員組合の破壊というようなことを一方ではやるということ、非人間的なことが行なわれておるというこのマイナスの面、こういう面は文部省関係ないことはないと思う。これはいま別のときにやるとおっしゃいますから、別のときにやっていいと思いますけれでも、そういうことは研修と無関係で進められては困ると私は思う。そういう点を申し上げようと思ったのです。そういう地にあるところのマイナスの要素というものを十分認識した上でやはり教育会館なり、研修というものを進めていかなければならないじゃないか、こういうように思うのです。そういう点で申し上げるのです。あなたが反対するからだめだというわけじゃございませんで、研修をやる以上、そういうものに対して目を向ける考え方があるかどうかということです。
  30. 福田繁

    福田政府委員 私ども研修の目的なり、研修運営方法については、三木委員が御心配になっているような点を十分頭において今後実施をいたしたいと考えております。もちろん、いろいろな御注意等いただいて、私どもよりよく研修というものを運営してまいりたいと考えます。
  31. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それでは次に進みまして、前にもずっと述べましたように、国立教育会館法は二つの問題点を持っておる。その一つは、それぞれ教師というものは研修しなければならない法的な根拠を持っているにもかかわらず、これに対して新たに法を設けて、そして教育会館研究集会、講習会を「主催」するという、この「主催」があるということをずっと言ってきました。それについては、荒木文部大臣、内藤初中局長は、そんなことはかたがたいたしません、こういう話をいままでしておるのですね。しかし、この間の委員会では、新たな一つの事象として、文部大臣は、ここにそういう問題を新たに提起して、そういうものを加えて提起してやることも、審議の途上、あるいは大臣がかわったからという意見もあるだろうと思いますけれども、かまわないのじゃないか、それをよく審議してくれ、こういうふうにおっしゃっておった。それは先ほど私も申し上げているように、あなた、初中局長は、国立競技場法とよく対照してみてくれ、向こうにも業務をやるところの項目があるじゃないか、こうおっしゃいますけれども、その対象一般ですね。そういう研修の義務をしいられておるような法律が二重三重にないところの人に対しての法的な措置なんです。こちらは法がすでに厳然としてあるのですね。それを食言されたということについては、新たに提案してもいいじゃないかという論理は成り立つかもしれない。食言されて通り越していけば、なんぼ約束しておってもそんなことはかってだということになれば、それは別問題です。もう一つは、法的な根拠を与えるということについて、国立競技場法と同じにするというのには私は問題があるのじゃないかと思う。一方は、一般の人には法がないのですね。だから、そういう法規制をそこにおいても私はいいと思う。一方は二重三重に法があるのですね。あなた方もこの提案の中にそれを説明しておられる。その点の見解はどうですか。
  32. 福田繁

    福田政府委員 経緯につきましては、すでに大臣から御答弁があったことでございますので、私から申し上げませんが、国立競技場の場合におきましても、もちろん一般という対象でございますけれども、主として対象として考えておりますのは、青少年あるいはスポーツ界の指導者、そういうものを対象にいたしておると考えております。もちろんそれについて一々の研修規定というものはほかにはないと思いますけれども、この場合におきましても、二十条の二号の問題でございますが、この教育会館対象にいたしております教育職員あるいは教育機関の職員、教育行政機関の職員あるいは社会教育関係者というものについては、限定はされておりますけれども教育職員あるいは教育機関の職員あるいは教育行政機関の職員というようにいろいろその中でもございます。一般教員だけでなく、その中に事務職員もおれば、あるいはまた市町村の教育委員会の職員等も含まれます。また社会教育関係におきましては、そういう教育委員会関係の職員も入るでしょうし、また図書館、博物館といったような社会教育施設の職員についても入るわけです。また、そういうことで、ここに掲げておりますものは一応限定はされておりますけれども、そう先生ばかりを対象にしているというのではございません。したがって私どもとしては、そういうものについてやはり研修を施すということについて、当然ここに書いても、教育会館事業内容として差しつかえはないし、また書くのが当然だというように考えております。
  33. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういう強弁のしかたをしてもろうたらいよいよ困るのです。私は先ほどからずっと、何がなんでもやるのだというような、こういう考え方はよしなさいということを言うているにもかかわらず、法の解釈はそんなでたらめなことを言ってもらったら困ります。ここに出てくる人は、あなた方が対象にしておられるのは国家公務員か地方公務員でしょう。それは研修の義務を課せられておるじゃないですか。法律でちゃんと規制されておるじゃないですか。事務職員だとかあるいは教育委員会の職員だとか、それは研修法律がないから、この法律をつくってもよろしい、法で規制してもよろしい、あなた、こういうような強弁のしかたをされては、もうむちゃくちゃです。あなた方のほうから出してきておる法律関連法の中では、地方公務員法にも出してきておる。「前項の研修は、任命権者が行なうものとする。」「研修を受ける機会が与えられなければならない。」と三十九条にそれをいっておる。教育公務員特例法にもそれをいっておる。地方教育行政の組織及び運営に関する法律でもそれをいっておる。それを私は申し上げておるのに、それらのものには法らしきものがないから、ここに法を設けてもよろしいじゃないか、こうなってきたら、これは強弁ですよ。だんだんあなた方の性格がわかってきた。そういうことを言い出すようになってきたら、これはたいへんなことだと私は思うのです。それから文部省設置法にもこういうことを書いておるじゃないですか。「初等中等教育局の事務」「大学学術局の事務」「社会教育局の事務」とありまして、かりに「社会教育局の事務」を読んでみますと、第十条第六号に「研究集会、講習会、展示会その他の催しを主催し、又はこれに参加すること。」こういうことを書いております。こういうことを書いて、法が二重三重に行使されておるのにもかかわらず、何にもないからこれをやるのだ、いま、あなた、そう言うたでしょう。違いますか。
  34. 福田繁

    福田政府委員 私が先ほど申し上げたのは、何もないからやるのだと言ったのではございません。この範囲を私は一応申し上げたのでございまして、あるものもあるし、ないものもあると考えております。たとえば社会教育関係団体などの場合におきましては、別にそういう研修規定というものは根拠法がないわけでございます。そういうものも含めておりますのでという範囲を申し上げたのでございますが、本来申し上げますと、これは、この前の委員会でも申し上げましたように、業務の内容でございますから、この教育会館法案が成立した暁におきまして、このみずからの施設を利用して、みずから研修等を行なうという、そういう事業内容を書いたものでございますから、別に根拠になるような法律のあるなしということには関係がない、私はこういうように解釈しております。
  35. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういう団体なんかは団体の構成員についてやらなければいかぬので、団体はそんなにこっそりこれるものではないと思うのです。そこも私は見解がだいぶ違ってくると思うのですが、社会教育団体のものについては、それこそ社会教育団体ですから、法の立場なんか、少なくとも国立競技場法のように、業務を行なうことができるくらいにしておけばいいと思うのです。主催するとかいうような大げさなことを書いていくということは、ほかに差しさわりがたくさんできる、二重三重に受けておる者があるのですから。そうすると、ここに拠点を置けば、文部省のいままでの一切の法的な立場というものを全部ここにゆだねることもできる。文部省は、この問題について全部教育会館に肩がわりすることもできるのです。そういう危険をあえておかさなくても、団体なんかなれば自由だ参加できるのだということを大臣も言っておられたが、私はそういう規定を設ける必要はないと思うのです。どこまでもサービス機関にしなければならぬと思うのです。そうしておいても何にも私は間違いないと思うのです。団体まで何でこういうことによって規制しなければならぬのですか。
  36. 福田繁

    福田政府委員 別に団体を規制する考えは毛頭ございませんが、現在の教育公務員特例法のいわゆる研修規定におきましてもおわかりになりますよに、「教育公務員は、その職員を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」という規定がございます。したがって、その研修につとめるにあたっては、あるいは国が実施する講習会に参加しようと、あるいはまた他の団体等で適切な施設があれば、それに参加しようと、その形はいろいろあろうと思います。したがって、この教育公務員について任命権者だけ、あるいは行政機関だけが研修施設を設けて、それにおいて研修させるということではなく、もっと私は広いものだと考えておるわけでございます。一般団体にいたしましても、あるいはこういう特殊法人研修の機会を与えましても、それはそれぞれの内容と目的に応じて研修の機会に参加をするということは、これは自由であろうかと思います。
  37. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると全然これについては主催するという、これをとる意思はないわけですね。これだけ私たちのほうではやかましく言って、問題の点だということを言っておるのですが、あなたのほうは法の規制を受けないものもその中にあるからということですが、私が言うのは、そういう規制をしなくてもいいものに法の規制を持ってこようという考え方がある、ここに問題があろうと思うのです。そういう点をひとつよく反省してもらう必要があるのではないかと思うのです。第一の誤りがここにあるのですよ。そういう気持ちはないのですか。
  38. 福田繁

    福田政府委員 繰り返して申し上げますけれども、ここに掲げております業務の内容に関する規定は、他に法律規定があろうとなかろうと、それは関係がないということを私は申し上げておるわけでございまして、これによって何か団体を規制するとかそんなことはないのでありまして、この施設を利用して、みずからも適切な研修会等を実施することができるという、そういう規定にすぎないわけでありますから、それ以上の解釈をするのは私は無理だと考えます。
  39. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大体話の発展のしかたから考えて、あなたは法律がないものがあるからこれをやるんだ、それは何かというと団体だということだ。そういう任意団体なんかは規制する必要がないと私どもは言っておる。一般団体はやはりそういうことは規制する必要はないですよ。そうしたらとっておいたらいいじゃないかと言うと、必要だ必要だ、こう言う。そこがおかしい。そこを反省して、とる気はないかどうかということです。主催するということばをとればすんなりするんじゃないかということです。そういう気持ちはないですか。
  40. 福田繁

    福田政府委員 御意見でございますけれども、私のほうとしては特殊法人としてこれを設立する以上は、みずから適当な事業を行なうということは、これは他の特殊法人においてもやっていることでございます。したがいまして、この二十条の二号のような規定を置くほうが適切だ、こういうように考えております。
  41. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これは事業を行なうんですよ。いろいろな事業を行なっておるじゃないですか。その中で主催するという事業だけが非常にかどが立っておるということを申し上げるので、これをとったら事業ができないというような印象のあることばであなたは答弁されておりますけれども、そうじゃないのです。これをとっても何ら害はないじゃないですか、いまの答弁を聞いても。それを申し上げておるので、サービス機関でもある、それからそれ自体いろいろな運用をするということもできる。あるいは私はそこに研究もできるようにしたらいいと思ったのですが、研究国立研究所なんかを使うということでこれは了承できますけれども機能考えてみますと、四つくらいあるのです。その中で主催するということが非常に耳ざわりになるなということを言っておる。そうしたらずっといままでの話の発展のしかたから見れば、そんなものは要らぬ。団体にまで規制しなければならぬ、そこがあるからこの法律を設けるのだ、そういう条文を設けるのだ、こういうぐあいにおっしゃっている。それがわからぬのです。
  42. 福田繁

    福田政府委員 先般来三木委員が御指摘になりましていろいろ御心配になっておりますようなことは、私もよく理解ができるのでございます。したがって、結論として申し上げますと、やはり運用の問題ではないかと思うのでございます。   〔長谷川(峻)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、教育会館運営について公正な、しかも法律趣旨に従った運営をするというつもりでございます。したがって、この第二号のような、みずから講習会を主催するという規定も、これは私は必要であるというふうに考えるわけでございます。その必要性に基づいて運用する際には、十分その点を私どもは留意して運用してまいりたい、また会館当局自身が、そういう点については十分な配慮をすべきである、こういうように考えております。
  43. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ああ言えばこう言い、こう言えばああ言うということで、問題をはぐらかそうとしておられるのですが、こうですよ、局長。要は運営にあるとおっしゃるけれども、その運営法律から出るのですよ。あなた方は前から、運営問題についてはそれをいたしません、とこういうように言った。主催しませんと言った。しかし、現在その法律をつくる段になってきたら、その運営問題として問題になってきた中に法律を入れてきて、法律に基づいて正しくやっていくようにいたしましょうというのを法律の中に入れておけば、そのとおりやっていけるじゃないですか。運営じゃないですよ。法律の一番根拠ですよ。基づかなかったらいけないというのです。それをいまつくろうとしておるのですから、運営の問題じゃない、法律の問題です。そんな言いのがれで、運営問題でうまくやれば、そんなことはないでしょうというようなことは私は承知できない。そういう答弁のしかたというものは実に不誠意きわまりない言い方ですよ。ふらふらと答弁を持ち回っているだけですよ。私たちが持ち回っていると言うかもしれないけれどもそうじゃない。どうですか。
  44. 福田繁

    福田政府委員 私どもはこの規定は必要だと考えておりますが、いろいろ御指摘になりましたように、あるいは会館運営として何か教職員命令するとか、あるいは監督するというようなことはないかというような意味合いの御質問が再々ございましたので、そういうことはあり得ないということを申し上げたわけでございます。そういった点について御疑念があれば、これは十分法律趣旨にしたがって適正に運営されることを私どもは念願いたしておりますが、そういうことはないということを繰り返し申し上げるわけでございます。そういう意味運営の問題だということを私は申し上げたわけでございます。
  45. 久野忠治

    久野委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ————◇—————    午後四時二十九分開議
  46. 久野忠治

    久野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国立教育会館法案に対する質疑を続行いたします。三木喜夫君。
  47. 三木喜夫

    三木(喜)委員 国立教育会館運営の問題に入りたいと思いますが、まずこの前に研修の問題をお聞きいたしまして、自主性をそこなわないということを第一にお聞きし、研修意欲を退廃さすような、そういう条件をつくらないということ、これを第二に申し上げました。  第三に申し上げたいことは、文部省のほうから出された文部省主催の教育研究、それから三十九年度の文部省事業計画予定表を見まして、若干御質問を申し上げたい。  それは文部教研のあり方、研修のあり方がやはり納得のいくところの研究講習でなければならない、こういうふうに思うからです。いまここに出されておりますところの教研というものは、主として研究発表会、大体千五百人ぐらい集めてやられる教育課程に対するところの研究発表会が主として報告されております。こういうものは当然この教育会館でおやりになるのだろうと思うのですが、どうですか。
  48. 福田繁

    福田政府委員 文部省でやっております小学校、中学校高等学校等の教育課程研究集会は文部省主催であることは間違いございませんが、これは場所としては教育会館でやりたいと考えております。
  49. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そのほか、私ずっと調べてみますと、研究発表会のほかに中学校教育課程研究集会、それから高等学校教育課程研究集会、それから幼稚園の教育課程研究協議会、こういうようなものは地方分散の形でもやられております。しかしながら、東京に集中してやられるものが、そのほか教育課程分野以外に職制分野として全国指導主事主管課長会議、それから校長研究協議会、それから校長指導主事研修講座、それから産業教育担当指導主事研究協議会、それから教育委員会事務局職員研修講座、理科センター所長会議、これが職制分野と管理職者の会合のように思うのですが、こういうようなのもいままでは東京でやられておりますが、教育会館でおやりになるのでしょうか。
  50. 福田繁

    福田政府委員 ただいま御指摘になりましたような各都道府県の主事あるいは主管課長あるいはまたその他の職員との連絡協議会あるいはまた校長指導主事の講習会等はこの教育会館などの施設が利用できる範囲におきましてはここも一利用いたします。また別の施設も場合によっては利用することを考えております。
  51. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それから問題別分野においては、高等学校実習助手の講習を昨年度の例ですが、東京でやられております。それから学校図書館研究協議会、それから幼稚園教育実技講習会、それから中、高等学校生徒指導講座、こういう問題別の分野もこの教育会館をお使いになりますか。
  52. 福田繁

    福田政府委員 そういう専門的な講習会等におきましても教育会館を利用する場合もありますし、また他の学校その他の施設を利用することもあると思います。
  53. 三木喜夫

    三木(喜)委員 教科実技関係分野で昨年度英語教員研修教育中央講習会、それから高等学校産業教育実技講習会高等学校職業教育研究集会、職業教育指導者養成講座、これは教科実技関係の分野ですが、これも教育会館でおやりになりますか。
  54. 福田繁

    福田政府委員 全部とは申しませんが、教育会館でやるのも今後あります。また他の施設でやる場合もあります。
  55. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その中に、この前教育会館が自主的にやるものとして英語の教育等は教育会館でやります。こういうふうにおっしゃっておられましたが、文部省がいままで主催して東京でやっておられるようですが、予ての関係がいかにも場当たり的に英語の研究を主催するのだというふうに何か思いつきのような感じがしてしかたがない。文部省はすでにそういう計画をいままで持っておられるのですか。その辺の関係教育会館の主催にこれをまかされるのですか、どういうお考えですか。
  56. 福田繁

    福田政府委員 文部省で従来やっておりましたのは英語教員現職教育としてやっておりましたが、これは必ずしも十分とは申し上げられません。今後この英語教員現職教育というものも文部省としては続けるつもりでありますけれども、それ以外に一般の英会話などの実習としてこの教育会館などでやったほうが適当なものを今後教育会館事業としてやってもらいたいと考えております。そういう意味において私は申し上げたのでございます。
  57. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それはきまってないのですね。いまのお話を聞いていると適当なものをということで、まだそういうことをきめておられないようですが、すでに文部省はそういう計画を持っておるし、私の言いたいことは、その場その場で答弁を考えて、そうして場当たり的に言ってもらっては困ると思うのです。全体的な計画を立て、いかにも教育会館使命に即した、似つかわしいものをやっていくという考え方でいまお聞きしておるわけです。
  58. 福田繁

    福田政府委員 もちろんこれは教育会館の役員などきまってからの問題でありますけれども、一応事業としてはいま申したような英会話の実習、こういうものはやる計画の中に私どもとしては考えておるわけであります。
  59. 三木喜夫

    三木(喜)委員 特に特殊教育分野でろう学校職業教育講座、それから盲ろう養護学校教科書説明会、盲ろう養護学校学習指導要領説明会、それから機械訓練実技講習会、これが昨年東京で持たれておる文部省講習会です。あるいは研究会です。こういうふうなものもやはり教育会館でおやりになるのですか。
  60. 福田繁

    福田政府委員 必ずしもそれらの特殊なものにつきましては教育会館ということではなく——教育会館でやる場合もあるかもわかりませんが、むしろそれぞれ特殊教育学校などでやったほうがよろしい場合がありますので、盲学校、ろう学校、あるいは養護学校等のそれぞれの特殊の施設において、そういう特殊の場合には開催される場合が多いと存じます。しかし両方使っていくということも考えられるわけです。
  61. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これは昨年度のもので、私の想像する教育会館がやるところの講習会、あるいは研究会ではないかと思うのです。しかしこういうもnをずっと見通して、いよいよこの教育会館法を審議する以上、その運営あるいは運用の妙を得るために大体の計画を立てておるだろうと思うのです。これを見てみますと、千五百人から二千人近いところの会員を収容する場合、あるいは研究員を収容する場合があろと思うのですが、それが一年中どういう配置によって、文部省研究会とかそういうものが、どれだけの比率で入ってくるか。あるいは各自主的な研究団体に貸すその日数はどれだけあるか、よく言うところの、この教育会館は自主的に運営するものをどれだけ見積もっておるか、そして全体の収入をどれだけあげていくかという、おおよその見通しを立てておらなければいかぬと思うのです。そういう点について、文部省考えておる研究あるいは講習分野というものがどれくらいのウエートを占めているか、その点をお聞きしたい。   〔委員長退席、南委員長代理着席
  62. 福田繁

    福田政府委員 三十九年度におきましては、全体の予算は大体六千万円程度に申し上げました。その中で、ほとんど半分くらいが人件費になりますので、事業その他、あるいは会館の管理運営につきましては、人件費を除いて約三千万円ございます。それはもちろん文部省にも場所を提供する、あるいは一般団体その他にも提供するということになりますと、その中から提供によって収入を得るわけでございます。したがって、初年度としては文部省講習会研修会等にも相当これは利用さしてもらいたいと思います。この会館自体考えておりますそういった研修関係事業としては、この前も申し上げましたが、大体百万円程度の予算と考えております。これは正式には会館が発足してから決定される問題でございます。したがって、その予算の範囲内では、私どもとしては英語、英会話等の語学研修、あるいは、ここでは視聴覚関係の設備がかなりりっぱなものができますので、視聴覚教育関係のある研修、あるいは実技の講習といったようなものもここでやることが適当であろうと思います。そのほか一般教養講座と申しますか、講演会その他そういうものにこれが利用される。それらの予算の裏づけとしては、大体三十九年度としては百万円程度、その程度に考えております。
  63. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私の質問に半分答えてないですね。私は三つの種類があると思うのです。他の自主的な研究団体に貸す場合、文部省それ自体が使う場合、教育会館それ自体がやる場合、この三つの日数的な分野、三分の一、三分の一、三分の一になっておるかという、そういうような比重、それをひとつ聞いておきたいのです。それからいまあなたのほうでは全体の経費で説明なさいました。全体の経費で説明するということになりますと、昨年度やはり三千万円程度でやっておったのか。そうすると本年度はそれと同じことになる、こういうことが言えるのですが、全体六千万円という中で三千万円は人件費、その他三千万円という全体の経費の額というものは、費用で言われるなら三十八年度とどういうことになるか、そういうようにひとつお聞きしたい。
  64. 福田繁

    福田政府委員 会館は三十八年度はございません。
  65. 三木喜夫

    三木(喜)委員 文部省研修会全部の費用です。
  66. 福田繁

    福田政府委員 三十八年度におきましては、文部省のすべての研修会あるいは研究集会等合わせまして、予算といたしましては七千六百八十七万円でございます。三十九年度はそれが若干ふえまして九千百万程度にふえておりますが、三十八年度の中で考えますと、この会館自体が先ほど申し上げましたように語学研修だとかあるいは視聴覚関係研修だとか、そういうものを考えましても、比重からいえば非常に小さいものでございます。予算的にも百万円程度ですから、直接比較にならぬかもしれませんけれども、回数あるいは予算的にも割合いとしては非常に低いということを申し上げておきます。
  67. 三木喜夫

    三木(喜)委員 七千万円で三十八年度やられた。そのうちで地方でやられているものもあるでしょう。四千万円ぐらい地方でやり、三千万円ぐらい文部省が持ち込みで研究会をやるわけですね。あとの六千万円というものは教育会館そのものに残っているわけでしょう。それはどこでダブらせるのですか。本年も七千万円盛っているとしますと、それは全部文部省の経費から消えたのですか。全部教育会館に移ったのですか。全部ダブらないとして三千万円ダブっているのですか。
  68. 福田繁

    福田政府委員 私の申し上げた三千万円というのは、教育会館の三十九年度の運営費でございます。人件費を除いた事業費に充てるべき運営費でございます。これはもちろん光熱水費、各種事業費でございます。その中でみずからやる経費としては百万程度だということを申し上げました。文部省研修費はそれとは関係ございませんで、先ほど申し上げましたように、三十九年度は教職員研修費を約九千百万計上しております。これは地方でやる分、あるいは中央でやる分を含めまして合計でございます。そこで教育会館としては、文部省にこの施設を提供して、いわゆる借料、そういうものを払ってもらうとか、あるいは一般団体に施設を提供して借料を払ってもらう、こういうものによって会館運営するわけであります。
  69. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこまで聞いていないのですよ。とにかくどのようにして運営していくかということの中で、文部省から持って入ったところの研究集会とかそういうものは全然費用要らぬのですね。借り賃は出さぬのですね。その点どうですか。
  70. 福田繁

    福田政府委員 これは特殊法人ですから、文部省が借りましても借り賃は払うわけでございます。そして払ったも一のは教育会館の収入に入ります。
  71. 三木喜夫

    三木(喜)委員 わかりました。そうすると、九千万円というものは昨年度より二千万円ふえている。そうすると文部省の今度の研修というものには何がふえているのですか。二千万円ふえておりますが、何をふやしたのですか。
  72. 福田繁

    福田政府委員 これは大体におきまして、単価が昨年よりも三十九年度は上がっているという関係で、各講習会について特に新しいものはございません。ございませんが、そういう単価のアップあるいは若干回数がふえているものもあると思いますが、そういうことによって七千万円が九千万円にふえているということでございます。
  73. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この計画書では、六月十八日から二十日までにかけて道徳教育指導講習会、それから六月二十九日から七月一日にかけて同じく道徳教育指導講習会、七月七日から九日まで道徳教育指導講習会、そうして一番最後に道徳教育研究発表大会というものがありますが、これは今度の資料等が出ております関係で新たに加えた分ではありませんか。
  74. 福田繁

    福田政府委員 これは道徳資料を加えたからということでなくて、道徳教育講習会につきましては最終的にはそういう研究発表の形で昨年もやっております。したがって資料に関する研究ももちろんあると思います。そうでなく、道徳教育自体についてのそれ以外のものも相当いままでやっておるわけでありますが、そういう関係の経費でございます。
  75. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は文部省教研の中でいろいろ申し上げたいこともあります。しかし非常におそくなっておりますから、道徳教育問題点を出して、そうして皆さんによく御検討をわずらわさなければならない問題があろうと思います。そこでこの資料を中心としたところの研究会をするかしないかということを聞いておきたい。
  76. 福田繁

    福田政府委員 道徳教育講習会は各地区でもやりますが、それについては資料についての研究ももちろん含まれます。
  77. 三木喜夫

    三木(喜)委員 次にお聞きしておきたいことは、特設道徳教育の時間というものをいまどのように実施されておるかという面、この資料を出すまでの御検討をなされましたか。
  78. 福田繁

    福田政府委員 その点につきましては、昨年教育課程審議会におきましても道徳教育の問題を取り上げました際に、一応現状の分析としては道徳の時間を特設いたしましても、各現場学校ではその特設時間の内容について教師自体が非常にもてあましておるというのが大体の現状だというような認識に立ちまして、道徳教育資料としてなるべく豊富に道徳教育資料を提供する必要がある、こういうような立場に立って答申が行なわれました。文部省としても、現在の小中学校におきまして道徳教育の特設時間が十分充実した教育が行なわれてない、現場教師としてはいろいろその扱い方に困っておられるということを私ども考えているわけであります。
  79. 三木喜夫

    三木(喜)委員 道徳という問題をいろいろな面から文部省に意向をただしてみたいと思いますが、きょうはそういう問題ではありませんので、別の日にしておきます。  この道徳教育指導するべき講習会とか、そういうところで私はたいへんなことを聞いておる。そこで文部省道徳教育というものをどんな見地から進めようとされておるか。私たちは道徳というものは集団の中の生き方を教えるものだと思うのですけれども文部省の見解が違うような感じがする。どういうような見解を持っておられますか。
  80. 福田繁

    福田政府委員 小中学校道徳教育につきましては学習指導要領にきめられております。したがいまして二十一項目、三十六項目のあの学習指導要領の項目に従った道徳というものを教育するのが私ども考え方でございます。したがってこの定められました学習指導要領に従って子供に対して道徳の内面化をはかっていく、こういうような考え方現場においても実施されるべきである、そういう方向において指導すべきではないか、こういうような考え方でございます。
  81. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうしますと、道徳教育学校全体の中でやるという考え方は変わりはないのですか。
  82. 福田繁

    福田政府委員 これは道徳の時間を特設いたしましても、当初から文部省としては道徳教育というもは各教科において当然やるべきものだ、しかしながらそれを深めるために道徳の特設時間を設けて、いわば扇のかなめとも申しますか、そこで総合的に組織的にやっていこうというような考えでいまのところ道徳教育の時間を特設したわけでございますが、基本としては各教科においても当然それを展開し、受けていくということは方針として変わりはございません。
  83. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私はなぜこういうことを聞いておるかといいますと、一般に市販されておりますところの三月八日の朝日ジャーナルに、文部省のお役人も出て、道徳教育のこの資料につきまして説明が載っておる。これを読みまして、もしもこういう考え方文部省教研がどんどん進めていかれるということになるとこれはたいへんなことだと思うのでお聞きしておるわけなのです。問題点だけ出しますと、この見出しは「道徳教育指導資料」「新しい人間をどうつくるか」この討論のやりとりを見たのですが、私の問題としたいのは、文部省の初等教育課長がどのような態度でこれを言われているかということです。もうお読みになっておる方は感じておられるだろうと思うのですが、道徳教育指導資料については別に論議するとして、これに出ておられる人は、東京都世田谷区三宿小学校長金沢嘉市さん、文部省初等教育課長西村勝巳さん、東京都練馬区谷原小学校教諭渡辺五郎さん、横浜市老松中学校教諭小宮隼人さん、それから東大教授、東大付属高中校長宮坂哲文さん、この五人ですが、このうちで小学校長の金沢さんは大体司会的な役割りをつとめておられる。西村さんは役人であり、渡辺さんはこれについていろいろ問う側に立っておられる。小宮さんと東大教授の宮坂さんが道徳教育についていろいろな意見を述べておられますが、これに対するところの文部省の役人の方の受け答えというものが私は非常に気になった。教研の内容については今後この文教委員会でお聞きしたいと思うのですけれども、こういうやり方でやられるということになると教研というものがますます高圧的になりはしないか。   〔南委員長代理退席、委員長着席〕 先がた二つの要素を私は申し上げましたが、自主性を尊重しなければならぬということと、それから学力テストとか入学試験とかいうことによって逆に、道徳教育だとかあるいは研修とかいいながら、子供たちは成績をよくするために不正をやってもいいというような退廃的な環境を文部省自体がつくっていないかという問題。第三には、こういうような押しつけがましいところのやり方、われわれはおまえたちを教育してやるのだという態度でやられたら、私は現場先生はますます研修ということに対して意欲を失うのじゃないかと思うのです。これを一ぺん読んでみます。道徳教育指導資料が生まれるまでの大体の経過は最初に金沢先生がいろいろ説明されて、今日道徳資料が出たという必然性、いきさつを言っておられる。その次に「現場の実態はどうか」という問題で「指導要領が十分具体的でなかったり、指導計画の作成が困難であった。」これはそのとおりです。「一般社会の倫理感の動揺や、思想的な対立などから自信も勇気も薄れて、」「古い公式論や権威ありそうな人の考えを借りないと大きな声でものが言えない」これを文部省のほうから役人が言われておる。小宮先生はこれに対して、資料に対して不信がある。資料を見つけてやってみた。しかし子供は受け付けない。たとえば、リンカーンとかガンジー、そういう問題を出してみますと、子供たちはこういうことを言っておる。「一生懸命働き、そこで生き抜いていくだけです。」そういう人が出ても〕、そういう人を見習うというのではなくて、生き抜いていくだけです。「かなり割り切っているということ。もう一つ大事なことは、受験体制がここ三年ばかり強化されて、文部省の学力テストが行なわれて、いろいろな学力テストの点数が、極端にいうと一切を支配する。悪い点を取ると教師学校もそれで評価されるということで、とにかく自分のクラスの子供たちの点数を上げることに懸命になる。それで道徳の時間がテストの答え合わせに使われているという始末です。」「資料がほしいという時期は確かにありましたけれども、いまはそうではない、」こういう話をすると、文部省の課長さんは、おまえは全国の事情を知らないからだ、こういう答えなんです。こういうような受け答えを、こういう一般に売られておるところのこういう座談会の中でやられては、これは現場先生は、いろいろな意見を言わなければならぬという座談会で、ここで課長も言われておるように、自分の思っていることを言い、そしてこれは是なりと思うことを言い切ることがいま大事だということを最初に説明されておるそのあとでこれを言うと、これは全国の事情を知らないからだ。1これは事情を知らないからにしておきましょう。  その次にこういうことがあります。「日常生活との結びつき」です。道徳というものについていろいろな問題点が出されてきて、そうして、宮坂先生というのは東大の教授ですが、道徳というものは集団の中での生き方を教えるものだ。西村先生は、社会の中で個人というものがどう生きるかだけではない。人間というものの意味を見詰めることが大切である、このように説明している。そこで司会者が、「文部省は個人の内面へ向けた道徳を相当強く言っているのじゃないですか。」そうすると西村さんは、「社会生活を尊重することは当然ですが、これは単に社会生活が外面的にできればよいというものでなく、一人一人が何がゆえにそういうことをしなければならぬか、そういう価値の自覚に到達させるのでなければほんとうの道徳というものは生かされてこない、生きた道徳ではないという考え方に立っています。」宮坂先生は、「それはそのとおりです。」「社会生活なり集団生活の中での友だちなり先生なりに対する態度というものが内面的に深められていかなければならない、そのことが集団の中でこそ問われていかねばならない。社会生活を実践していく中で内面的な倫理性をどう育てるかということです。」それに対して、「そういう迫り方だけが道徳の指導のすべてではない。」こういうぐあいに言っておられるわけです。そうして、あとは時間的に読むことを省略したいと思いますが、今度、小宮先生と西村先生とのやりとりの中で、道徳教育というものは学校全体の中でやるべきであるという、そういう主張をなさっておるわけです。たとえば愛国心という例を引っぱり出してやってみても、中学校の一、二年では最初におとなの不道徳をあげてくる、それをなくすることのほうが愛国心ではないかという考えが出てきた。それから二年、三年では「人間の顔と国土の顔」その中でこういう説明がしてある。私もこれはまだ少し見てないのですが、ここに書いてあるとおり読みますと、「二年、三年生になるともっとこまかに疑問や意見を出してくる。たとえばあの文中に人間の顔と国土の顔と同じだというようにいっているが、それは違うという意見、あるいはかつて日本は朝鮮、台湾を管理し、国土開発をしてやったとあるが、あれは日本の侵略だという意見がある。それらは子供たちの主体的な疑問や意見なのだから、一々解明していかなければ指導にならない。」このように言っておりますが、それに対して文部省の役人は、そういうへたな指導をするなというような言い方です。そうするとよいところだけをこういう問題については見せるのかという疑問がその次に起こってくる。それから一番問題になるところは、いろいろ討論の末「学級づくりへの期待」という点が出てまいります。小宮先生がやはり言っておりますが、資料だけでやっていくという道徳教育は、「教育における人間不在を引き起こすと思います。子供の内面、つまり彼らの人間的な願いや要求や関心あるいは生活意識に迫っていかない限り子供の道徳的な成長は期待できない。」このように言っておりますが、いろいろなやりとりはのかしますから誤解があるかと思いますけれども一、一番しまいに文部省の西村さんは「道徳について何もわかっていない、たいへん遺憾である」——私はここに出ている人は道徳についてわかってい、ない人が出ているとは思いませんのに、こういうきめつけ方がなされておる。そして一番しまいに東大の宮坂さんと西村さんのやりとりの中で、いろいろ話の内容はありますけれども、結論だけ申し上げますと、西村氏は大きな誤解で無責任以外の何ものでもない、こういうように言われております。この中で私は非常に気になりますことは、「なぜ文部省道徳教育の副読本なり教材、資料を直接つくってはいけないか、その理由はいろいろありますが、一つは国が学校教育の教材を直接つくって与えることは、戦後の民主的な教育行政の基本原則に抵触します。教育基本法第十条には「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行わるべきも一のである。」「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」と書いているのですから」云々。「それからもう一つ現場の心理的な問題。文部省が幾ら創意工夫を説いてもむだでしょう。たとえ手間ひまがかかっても現場教師たちの道徳教育への多様な取り組みを大切にすることが結局近道であり、それがまた新しい道徳の建設という民族的な営みを促進することにもつながるのではないかと思います。」ということに対して、それは大きな誤解と思います。その次に言ってあることは、これはこの教育委員会月報を見ますとそういうことが如実に出ておりますが、これは私は問題はあろうと思います。「教師教育権などというものは全く根拠がない。そういう意見を主張される方は国民全体に対して責任を負うと言われるが、だれが国民全体なのかはっきり説明した人は一人もいません。どうやって責任を負うのか、その方法も一全く説明がない。それはことばだけのことで無責任以外の何ものでもありません。そして大事な国民をだれかが意図する方向にかってに教育するのに都合がいい、そういう教育課程の自主編成や教育権などという論理はだれも了解できないと思います。」これについては教育委員会でずいぶんと念のいったところの説明がしてある。私たちはもちろんこれについては教師教育委員会に所属して、教育委員会が国民に責任を持っておる、間接的に教師が国民にそこで責任を負う、こういうことが私はあり得ると思う。そこの論議は別問題にして、そういうことがないということを今村さんがこの教育委員会月報の中にるる述べております。それをここで言われたんだろうと思いますけれども、行政官が国民に責任を持ったというような、いままではそういう説明をしたものがない。だれが国民全体なのか、こういうことを言われるということに私は問題があると思う。私はこれを読んでみましてまだ問題点はたくさんあったわけですけれども文部省教研というものがこういう感覚でやられるということになりますと、これはたいへんなことになる。だからこそ教育会館をあなた方がストレートで信用して、教育会館というものはサービスのためだ、サービスのためだといっておきながら、こういう思想が一方では流れておる、こういう点はどういうぐあいに思われますか。
  84. 福田繁

    福田政府委員 その朝日ジャーナル座談会、それも一私詳細に知りませんけれども、いま御指摘になりましたようなことを拝聴しておりますと、座談会ですからやはりいろいろな意見が出まして、かなり激したような場があったのではないか、こういうように私は想像するのでございます。したがって、意見の対立ということは当然あったかもしれませんし、それはそれといたしまして、そのようなことでもってやられるのではないかというような御懸念でございますが、私どもとしてはそういうことではなくして、道徳教育講習会等におきましては、私のほうとしては一流の学者その他道徳教育について非常に造詣の深い方々をお招きして、それによって具体的に道徳教育指導方法というものを解明していくというのがねらいでございますから、そういう御指摘になっておられましたようなことではなくして、私どもとしては、現場先生方道徳教育を今後実際に担当していきます上において、十分身につけ得るような内容をやっていただくつもりでございますし、学者その他の実際家からそれらの内容講習会においてやってもらうというのが趣旨でございます。
  85. 三木喜夫

    三木(喜)委員 道徳教育というものは私たちも絶対反対という立場をとっておりません。これはやらなければならない問題点がたくさんあります。したがってこういうような高圧的なことをやらないで、道徳というのは結局人間の道ですから、それをお互いに体得し、子供たちにそれを移さなければならぬのですね。その中でやはりこの一つの座談会でも、討論なら討論の形で人を納得さすというような方法ならいいですけれども、最後の結び結びで、こんなばかなことはないとか、そういうへたな指導をするなとか、それならいかにしたらいいかというような具体案を示して、親切な指導をしていってこそ道徳教育を説くところの態度ではないかと思うのですね。こういうような態度で、今度新しく指導資料が出されましたが、これが説明されるということになりますと、これまたこの研修というものが非常に後退していく三番目の要素になると私は思いますので、この教育会館を使ってのいろいろな行事がありますけれども一、そのことについて十分今後配慮していただかなかったら、こういうことでは困るという一つの例に申し上げておきます。  時間があればもう少しこの問題について掘り下げて申し上げたいと思い一すけれども、これはあなたのほうでも一ぺんジャーナルを読んでください。読んでもらって、この道徳教育資料については今後まだ検討しなければならぬところがたくさんありますので、そのときに譲りたいと思います。  それから会館運営の第二の面として、一般民間研究団体に貸す基準というものあるいは貸し賃というようなもの、借用料というようなものは一体どれくらいに考えておられるか、そういう具体的な問題も、もうおきめになっているだろうと思いますから、その点についてお聞きをしたい。
  86. 福田繁

    福田政府委員 これはかつてお答え申し上げたわけでございますが、教育会館としては、教育の振興ということを目的にいたしております。したがってこの教育会館の設置の目的にかなう事業であれば、これはあいてる限りは利用していただくというのがたてまえでございます。したがって具体的な事業を見て会館当事者がきめていくということになろうと思います。ただその際に、せっかくつくった教育会館でございますから、あまり高い借り賃を払うということは適当ではございません。私どもとしてはなるべく安く提供したいという考え方でつくったわけであります。したがってこの前申し上げましたように、一般会館などではかなり高い料金を徴収しているようでございますが、いま私ども知っております範囲でわりあい安い料金と思われますのは、厚生年金会館などであろうと思いますが、それの大体四割引き程度で考えておるわけでございます。そうしてこの各会館の部屋あるいはホール等につきましては、そういう程度でなるべく教育関係者に対してはできる限りサービスをするという考え方で安く利用してもらいたい、こういうような考え方でおるわけでございます。これも決定するのはやはり会館が発足いたしまして理事会その他の役員会によって正式に決定されるべきものだと考えております。
  87. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大体四割引き程度といいましても、大部屋と小さい部屋とがあると思うのです。私も大体検討してみますと、小さいので二十坪ですか、その程度の小さいのがあると思います。それから大きいのもあろうと思うのですが、全体を含めてその率で貸していく、こういうことですか。
  88. 福田繁

    福田政府委員 全体を通じて大体四割引き程度で考えたいということでございます。たとえば会議室の大きいのを一例として申し上げますと、厚生年金会館では午前、午後、夜間にわたって料金が違っておりますが、午前には千四百四十七円、それから午後は二千二百一円、全日通じて使います場合に四千六百円というような料金になっているようでございます。その場合に同じような広さの会館の部屋をとってみますと、午前は大体九百円、午後は千三百円、一日通じましても二千八百円、それくらいの安い料金で教育関係には利用してもらう、こういうことで、これは一例でございます。
  89. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その貸す対象が問題になると私は思うのですが、この前にもお尋ねしましたように、全国的規模の教育研究団体が百一ですか、それから学校管理運営研究団体が十六、総合研究団体が三、その他の研究団体が二十八ある。こういうものが全部借りたいという場合には、会館が詰まっていない限り貸すということになるのですか。
  90. 福田繁

    福田政府委員 それらの教育研究団体で、その事業のために使う場合におきましては、もちろんあいておれば貸すということになろうと思います。
  91. 三木喜夫

    三木(喜)委員 どういう基準でそれを貸すとか貸さないとかいうところの基準を出していくわけですか。
  92. 福田繁

    福田政府委員 これは会館の目的が第一条に掲げておりますように、「教育関係者の資質向上を図り、もって教育の振興に寄与することを目的とする。」ということでございますから、そういう趣旨にかなう事業であれば何でも貸すということになるわけであります。特別にこれに貸してあれに貸さないというような基準はないと思います。
  93. 三木喜夫

    三木(喜)委員 例をあげますと、日本教師の会、これは教育研究団体としております。それから国民教育研究所、これは理事長が宮之原貞光です。それから日本教育国民会議。これらに対してどういうようなお考えを持っておられますか。
  94. 福田繁

    福田政府委員 それらの団体が申し込みをいたしました場合には、具体的事業によって十分検討されることになると思います。
  95. 三木喜夫

    三木(喜)委員 具体的事業とはそこを借りるところの事業ですか。それともそれが現在やっておるところの事業ですか。
  96. 福田繁

    福田政府委員 実施をする事業と思います。
  97. 三木喜夫

    三木(喜)委員 日本教師の会もそういうことですか。——PTA関係はどうなりますか。
  98. 福田繁

    福田政府委員 PTA関係におきましても、その実施する事業によって当然これは検討されると思います。事業のいかんによると思います。
  99. 三木喜夫

    三木(喜)委員 PTAのやる事業なら大体わかっているじゃないですか。あるいは講演会をやるとか、あるいは総会をやるとか、そういうことだと思うのです。それ以外に商売をしたり、そんなことはあり得ない。会場をサービスとして提供するというのだから、サービスとして貸してもらいたいというのは、ほとんどその会館を使うおもな内容になってくるのじゃないですか。
  100. 福田繁

    福田政府委員 必ずしもそうばかりではないと思います。PTAですからPTAの会員の自己研修の場合にもそういう申し込みがあるかもわかりません。またPTA自体が何か資金をつくるために演劇その他の興行をやる場合もあるかもしれません。そういうものは具体的な事業によってきめていく、そういうことだと思います。
  101. 三木喜夫

    三木(喜)委員 一階と二階とで大体大きな舞台をとっておられます。一階のほうはかなり大きい、二階はちょっと小さいのですが、それらが使用されるということで何か興行をやるというような話が出てきたわけです。実際はこの大きな舞台というのはどういうことに使うわけなんですか。
  102. 福田繁

    福田政府委員 これは固定席が千五百余りでございます。千六百人ぐらいは入ると思います。したがってそういうような多人数の研究集会等を実施します場合にはこの大ホールを使いたいと思います。また舞台は狭いわけですけれども、消火関係の設備やいろいろな設備がかなり充実しておりますので、そういった点で映画会とか演劇あるいは音楽会というようなものにもこれは利用し得るわけでございます。したがってもし余裕があれば、そういうものに使いたいという場合には検討して使う場合もあり得ると思います。
  103. 三木喜夫

    三木(喜)委員 今度は会館法案の内容について若干お聞きしたいと思うのです。  第一条とか第二条、第三条、これはいままでお聞きしましたのでことさらにお聞きすることはございませんが、第四条に「別表に掲げる不動産及び政令で定めるその他の財産の価格の合計額に相当する金額とし、政府がその金額を出資する。」こういうぐあいにあります。この中で政令ということがかなり出てまいっておるわけですが、政令で定めるところの財産その他の財産、これはどういうものをさすのですか。
  104. 福田繁

    福田政府委員 この第四条の一項でございますが、「政令で定めるその他の財産」というのは、国立教育会館の設立の際にこの法律の別表に掲げております土地に定着するもの及び別表に掲げておりますところの建物に付属する工作物、並びに文部大臣が指定する物品になるわけでございます。したがいまして言いかえますと、設立の際に政府から現物出資される財産で、工作物と物品をさす、こういうように御了解願いたいと思います。
  105. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういうようなのは政令にゆだねていかなければいかぬという理由があるのですか。政令というとずいぶん幅が広い。これは原研におきましては財界からの、政府以外の出資があり、その価格の合計額とするということも必要だと思うのです。これは政令で定めなければならないという性質のものですか。
  106. 福田繁

    福田政府委員 こういう書き方は、法文の例文みたいなものでございます。ただ物品等につきましては、一般の寄付で購入するものもございますので、非常にこまかい品目にわたるわけでございます。したがって政令に譲るというほうが通例のやり方であります。
  107. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私はこの教育会館法を初めから大体四つに分けて考えておる。一つサービス機関一つはそれ自体が自主的に主催するというようなもの、それから研究自体をやってサービスをする、これは国立研究所と提携しなければならぬ、第四番目に営業をやると思う。その営業をやるのは、国立教育会館法案のその次にありますところの「定款をもって次の事項を規定しなければならない。」というここに入ってくると思うのです。ただ七だけ、「業務及びその執行に関する事項」というところは、多少機能面の大きな問題があろうと思うのですけれども一般特殊法人とか財団法人とかの形態はここでとっておると思うのです。その中でかなりの利益が上がるという予想をここに立てて、そうして「財務及び会計に関する事項」、こういうものを八としてきめ、そして九は、定款の変更、それに対して文部大臣の認可を受けなければならない、こういう問題が出てくると思う。そこでこの定款をつくって会館それ自体の営利の運営をやっていく、金を扱うところの運用をやっておる。そういう面に対するところの見通しをどれだけ持っておられるか。たとえば文部省が借りたらそれに対して借り賃を払っていく、こういうことがあろうと思う。それをどれくらいに押えておられるかということも事業全体の計画の中から出てくるだろうと思うのですが、文部省はこれに対してどういう考えを持っておられますか。どういう全体計画を持って教育会館を建てられたのか。もうからないのはわかっておるのです。
  108. 福田繁

    福田政府委員 この教育会館はもうけるためのものではございませんが、運営のためには施設を提供する反対給付として会館の借料を収入として見込むということでございます。営利事業そのものを会館そのものがやるわけではございません。教育のためにこういう場所を提供して借料を収入として見込むということてございます。したがって三十九年度は、正確に申しますと一応の見積もりは六千七百十四万円程度の運営費の予算を見込んでおります。その中で人件費等につきまして約三千万の国庫補助がございますので、差し引き施設の運営収入といたしましては、見込みといたしましては、三千七百万程度でございます。その程度は収入として上がるのではないか、こういうように考えております。
  109. 三木喜夫

    三木(喜)委員 教育会館法の六条に、「教育会館は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。」原子力研究所法律では、この原子力研究所という名称を用いてはならないということが特に書いてあります。そうしたことがこの法律には書いてないということになりますと、ここに意図的に各地にまた教育会館をつくろうという意図があってこれをはずされておるかどうか、その点をひとつお伺いしておきたいと思います。
  110. 福田繁

    福田政府委員 そういう考えはございませんが、教育会館という名称を使った場合に、これに対する名称使用禁止の規定を置くかどうかということは、私ども一応研究いたしたわけでございますが、それほどのものではないと考えておりますので、そういう規定を置かなかったのでございますが、だからといって、地方にそういうものがどんどんできるということを予想してそういうものを置かなかったということではございません。
  111. 三木喜夫

    三木(喜)委員 役員の点に入りたいのですが、役員は館長一人、理事三人以内、監事二人を置く、こういうことになっておりますが、私たちの考え方では、こういう研修というようなことを主体に取り扱うところのもの、あるいはまた自己の意思で主催してやるということが入ってくる以上、やはり役員の中にも、民主的な運営がなされるために、大臣の任命だけによらぬで、ほかに民主的な方法によって選ぶという方途が講ぜられるか、あるいはそういう考えも加味していくやり方が必要ではないか、このように思うのです。こういうぐあいに書かれてしまいますと、やはりそこに問題があるのじゃないか。特に教育会館研修という問題を主体に取り扱うところの会館においては、なおさらそういうことが必要だと思うのですが、こういうことは政府に聞いても、そういうことはないとおっしゃるかもしれません。しかしながらそういう必要をわれわれは考えるのですが、政府としてはどういうように考えられますか。
  112. 福田繁

    福田政府委員 この会館の目的が、こういう第一条に揚げたような教育の振興をはかることを目的にいたしておりますので、そういう見地から、館長なり理事なり、そういう役員というものはそういうことに十分な学識経験を有する者の中から適当な者を文部大臣が選ぶということを規定しているわけでございまして、規則としてはそれで十分ではないかと考えておる次第であります。
  113. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ただ私がそれを指摘いたしますのは、その次の、第九条の3と4です。なるほど「館長は、教育会館を代表し、その業務を総理する。」「監事は、教育会館の業務を監査する。」「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、館長又は館長を通じて文部大臣に意見を提出することができる。」こうなっておるのです。これは、利益が相反したときがその次に書いてあります。第十五条、「教育会館と館長との利益が相反する事項については、館長は、代表権を有しない。この場合には、監事が教育会館を代表する。」こういうように、代理人の選定がここになされております。そういたしますと、十四条は十五条を受けた場合、館長を通じてそういうことを文部大臣に報告をする、あるいは館長に報告をする、これでは、館長は代表権を有しない、こういうような場合が起こった場合に、私は十四条と十五条が完全にそごしないか、こういうように思います。
  114. 福田繁

    福田政府委員 十五条の利益が相反する場合の規定は、これは非常に特殊な特例でございます。したがって、館長が館自体と利益が相反するような場合には代表権を持たないということでございますから、御懸念のようなことも考えられるわけでございます。一般的に、監事が監査した業務の内容について、必要があると認めるときは館長に対しても当然に意見を出す、あるいはまた館長を通じて文部大臣に出すということでございますから、これは通常のことを言っておるわけでありまして、したがって第九条の四項の規定は、実際にそれまでに具体的に運営された業務自体についての監査の結果に基づいての意見でございますので、私は別にこの四項と十五条の規定が矛盾するようには解釈はいたしておりません。そういうことではないと思います。
  115. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういう解釈に立つと、十四条と十五条と出してこられないと思うのです。具体的にそういうことをやらなければならない必要が起こってくる場合は、館長のやっておることが会館の利益と相反する場合に、文部大臣に報告しなければならないような場合は、そのとき館長を通じていって一体どういうことになるのですか。十五条を受ければ、役員の兼職禁止と代表権の制限という問題とがそこに当然食い違いを起こしてくる、そういう懸念はありませんか。
  116. 福田繁

    福田政府委員 これは観念的に申しますとそういうことも言えるかと思いますけれども、十五条の場合はこれからやろうということでございます。これから具体的な何かの事項をきめるとかいうような場合に利益が相反するので、代表権を監事が持つということでございます。九条の四項は、それ以前に具体的に実施をされたことについて監査した結果を文部大臣に意見を出すということで、経由するのは館長を経由いたしますけれども、ただ経由するということだけで、その監査の結果をチェックするとかなんとかいうことではないと私は思います。そういうように解釈をしていただきたいと考えます。
  117. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ちょっと了解しにくいのですが、時間が過ぎますので、その次にいきたいと思います。  第十八条の2、評議員会二十人以内の評議員を置く、ここでお聞きしておきたいのですが、館長の待遇、それから二十人以内の評議員会の構成、これはどういう構想を持っておられますか。
  118. 福田繁

    福田政府委員 館長の待遇につきましては、これは文部省所管の他の特殊法人理事長と大体同じ——大体というか、俸給等は同じ扱いにいたしております。  その次に評議員の構成の問題でございますが、この評議員は教育会館運営につきまして適切な運営をはかるために、館長の諮問機関として置くわけでございますから、したがってそういう運営について十分適切な意見を出していただけるような学識経験者を選ぶということでございまして、私どもとして一応考えておりますのは、小学校、中学校高等学校あるいは大学等の関係者から評議員を選ぶ、あるいはまた都道府県市町村の教育委員会関係者の中から適当な評議員を選ぶ、あるいはまた社会教育関係あるいは文化関係等からも評議員を入れる、あるいはまたそのほかに、教育、言論関係一般の学識経験者からも評議員を選ぶほうが適切であろうと思いますので、そういったような、この会館運営について適切、有益な意見を出していただけるような学識経験者というものを約二十名程度選びまして、そういう方々によってこれを構成したいと考えております。
  119. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この館長ですが、館長は、最近やかましく言われておりますように、高級官僚の天下り場所になるというような懸念がないか、これを私たちは非常に心配するわけです。それは天下り人事になっても、その人に能力があり、誠意をもってやってもらえるならいいですけれども、私たちが知っておる範囲では、もう年齢的にもかなり年をとっておられる、そしてそういう機能を果たされないような者が高給で、しかも飾りもののようなかっこうでこういうところへ据えていかれる。こういうことは、私は問題があろうと思います。そういう例はたくさんありますけれども、ここでそういうことを一々申し上げることは控えたいと思いますが、しかし、そういう場所にこれがなるということになれば、私は問題だと思うのです。そういう点は、政府のほうで十分考えてもらいたいと思います。  それから、評議員会につきましても、さきにきめられた寄付を募って、来た人、協力財団法人、そういうメンバーをそのまま横移ししていくということは、いかにも幅のないやり方だと思うわけです。こういう点についても十分民主的な運営のできるようなやり方をとってもらいたいと思うのです。この教育会館法の問題については、私たちはずいぶん文句を言ってきたのですが、そういうことが一つも聞き入れられないでやられるということになりまするならば、これは教育会館というものを一つの拠点にして日本の文教行政、いわゆる教職員研修というものが非常に後退するのではないか、こういう心配を持つので、この評議員会の問題についても十分な構成についての御検討を願わなければならない、こういうように思うのであります。  いずれにいたしましても、先ほどから申しておりますように、中央集権化するところの殿堂でなくて、どこまでもあなた方が言われるような研修をやる、民主的な運営をなされるところの殿堂であるように私は希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  120. 久野忠治

    久野委員長 次に、長谷川正三君。
  121. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 三木委員のほうからだいぶ詳細な御質問があって、かなり明らかになったようですが、二、三逐条的に御質問申し上げます。  評議員会の権能と申しますか、扱う事項として、定款の変更ということがございます。最初に定款をつくるのは、あとの附則のほうを見ますと、設立委員を任命して、それにつくらせるということになっております。これについていままですでにお答えがあったかもわかりませんが、私聞き落としましたので、設立委員の任命についてはどのような構想を持っておられるか、伺いたいと思います。
  122. 福田繁

    福田政府委員 この附則の第三条に、教育会館の設立に関する事務を処理するために、文部大臣が設立委員を命ずるということがありますが、これはいわばかなり事務的なことでございまして、設立委員が任命されますと、この第三条の二項にございますように、定款を作成して文部大臣の認可を受ける、それから、それに続きまして、認可を受けた場合には、政府に対して財産の出資を求める、こういうようなかなり事務的なものでございます。したがいまして、設立委員の構成といたしましては、もちろん文部省関係の職員、それから国有財産を出資いたします関係上大蔵省関係の職員、それからこの教育会館を設立するにあたりましていろいろ寄付その他を募集いたします関係からいたしまして、そういう協力財団の役員の中から適当な方をお願いする、こういうようなつもりでおるわけでございまして、人数にいたしましても、これは何人でなければならないということもございませんし、適当な人数を必要なだけ文部大臣に任命していただく、それによってとにかく設立の事務的な作業を進めていくということでございます。
  123. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 そうしますとますます疑問が出てくるのですが、もちろん教育会館そのものにつきましては、この会館自体が大きな基本的な内容規制をすると思いますけれども、実際には、定款であるとか、業務方法書であるとか、あるいは毎年の事業計画であるとか、予算であるとか、こういうようなものが大事なのです。   〔委員長退席、坂田(道)委員長代理着席〕  そこで、一番大事な定款とか業務方法書というようなものが先につくられて、あとで変更するときに評議員会にかけられるということになっておりますね。そうしますと、この設立委員というのはやはり単に事務的ということではないのではないかと思うのですが、いまの御説明によりますと、財団法人の協力団体のほうから一応お願いするというふうに聞いたのですが、この会館の役員なり評議員になる方と設立委員というのは全然ダブらないという構想でお考えになっているのですか。
  124. 福田繁

    福田政府委員 過去の例によりますと、もちろんダブる場合もございますが、必ずしもダブらない場合もあるようでございます。したがいまして、いま御指摘のように、定款そのものは非常に大事なものであります。大事なものでございますけれども、これを作成する場合は、やはりいま申し上げましたように、特殊法人のいろいろな事例がございますので、この教育会館の定款作成にあたりましても、他の特殊法人の例を十分参考にしてつくられるものであろうと思います。そういう点から申しまして、ただ、それを進める手続等は、私が先ほど申し上げましたのは、ことばは足りませんけれども、かなり事務的な手続だということを申し上げたわけであります。
  125. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 そうしますと、これはやはり事務的なとおっしゃいますけれども、すでに定款はきめられてしまうわけですね。それから館長が任命されるということになりますか。評議員は、その定款自体の最初の策定にあたっては何ら意見を述べられないということになりますか。
  126. 福田繁

    福田政府委員 これは附則の第二条によりまして、文部大臣は、館長あるいは理事等を指名するということになっております。したがいまして、定款作成のときに、普通の場合は館長となるべき者、あるいは理事となるべき者が指名されて、それに入るということが考えられるわけでございます。私どもとしては、そういう方がここに入って、先ほど申し上げたような方々と一緒に定款を作成するというのが通例の場合でございます。
  127. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 先ほど三木委員のほうからいろいろ御意見を含めた質問があった中にも出てきているのですが、やはり私は、この運営がどうなるかということは、役員の構成がどうなるかということと非常に大きく関係すると思います。もちろんこの法案自体も完全なものになっていなければいけない。と思います。そういう場合に、館長、理事、監事、それから評議員——評議員は役員の中に入りますか。
  128. 福田繁

    福田政府委員 役員と評議員は別でございます。
  129. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 そうしますと、役員と評議員、これらの構成が非常に大事だと思います。一応各学校別の代表であるとか、地方教育委員会委員代表であるとか、文化人であるとか、経験者であるとかというようなお話もありましたが、もう少しつっ込んで、たとえば、しばしば御説明で、この会館はあくまで教職員に親しまれる、自分たちのものというような式で、気楽に研究にもこられ、いろいろ資料も見にこられる、こういうようなものにしたいというお話もありましたが、そういう点について、いわゆる一般教職員を代表するようなものをそういうところに加えていくというふうなお考えはあるかないか。
  130. 福田繁

    福田政府委員 この教育会館の評議員につきましては、それぞれの個人が評議員としてりっぱな識見を持っておいでになるかどうかということによってきまると思います。したがって、校長会あるいは教員の方からもこの評議員というものは選任されるかもわかりませんけれども教職員の代表とか、あるいは何とかの団体の代表というようなことでは考えていないわけでございます。もちろん、教育界のりっぱな方々を評議員としてこれに参加してもらうという考えには変わりがございません。そういう趣旨でございます。
  131. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 それぞれの団体の代表というようなことになると、非常にまた問題も起きるので、いまのような御答弁になったと思いますが、たとえば、先ほどの各小、中学校別にというときに、中学校校長から一名、小学校校長から一名、そういうふうにきちっと校長会の代表だという形でお入れになるということだと、またいろいろ問題があると思う。ただ実際には、そういう代表的と思われる人を選ぶ、こういうようなことがお考えの裏にあると思うのです。ただ代表を入れますという御答弁はできない。しかし、実際はそういうふうにいろいろな教育界の相互のお考えが反映されるようにということが裏にあると思うのですが、そういう意味一般教師の気持ちを代表できるようなものを入れるという考えはないか、そういう意味で聞いたわけですから、そういう意味でお答えを願いたい。
  132. 福田繁

    福田政府委員 先ほど申し上げましたのは、小学校、中学校高等学校等の学校関係者の中からも評議員に当然入れたいということを申し上げたわけでございまして、もちろん、先ほど申し上げたとおりに、あくまでそれぞれの個人の識見その他によって、評議員として適当かどうかということを十分勘案をいたしまして、大臣が任命することになると思います。   〔坂田委員長代理退席、委員長着席〕
  133. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 いまの人事構成の問題は非常に大事なことだと思うのです。ですから、具体的なお答えはできないと思いますが、特にこの問題について、大臣の人選上の御所見、御信念を承りたい。
  134. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 局長が答えたとおりでございます。私は、この会館使命を達成する上からも、最も適当だと考えられる方をお願い申し上げたいと思っているわけであります。その選考の範囲も、決して小さく考える必要もないと思います。学校関係の方からも適当な人があればなっていただきたい、このように考えている次第であります。要は、会館の目的にかんがみまして、これをりっぱにやり遂げていく上に貢献していただけるような人を広く選考いたしまして人選をいたしたいと思っております。
  135. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 先ほど三木委員の質問に対する御答弁の中で、会館を借りるときにはどういうふうにして許可をするかということに対して、その研究団体の業務を見て判断をする、こういうようにおっしゃったように記憶するのですが、これはだれが見るのですか。それから、業務を見るというのは、何を見るのですか。
  136. 福田繁

    福田政府委員 先ほども申し上げましたように、この会館でどういう仕事をするかという、その内容を見るわけでございます。見るのは会館の役員でございます。当事者でございます。
  137. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 そうすると、研究団体の業務という意味は、平常その研究団体がどういうことをしているというのではなくて、会館でどういうことをしようとしているのかという意味ですね。
  138. 福田繁

    福田政府委員 そのとおりでございます。
  139. 三木喜夫

    三木(喜)委員 初中局長、さきがたいろいろな団体をあげましたね。その団体がどういう仕事をしているかによってきめるのだ、こういうことであった。会館でやる仕事によってきめるのですか。だれが来ても大体講演とかあるいは講習会とか、こういうことなら貸すのですね。そういう内容なら実害も何もないわけですからそれでよろしい。そういうように解釈して……。
  140. 福田繁

    福田政府委員 私は、先ほどそのようにお答え申し上げたつもりであります。どういう団体でありましても、この会館の施設を借りてどういう事業をやるかという、その事業内容によりて会館の当事者がきめるべきものであると解釈いたしております。
  141. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 質問を終わります。
  142. 久野忠治

    久野委員長 次に、受田新吉君。
  143. 受田新吉

    ○受田委員 このたびの教育会館の法案の御提出で、懸念される二、三の点をお尋ねして、当局の意図を明らかにしてもらいたいと思います。  この教育会館事業について、業務、特に文部省が館長の要請に応じて職員の研修等について大きな力を持つではないか。研修員の選定等について文部省意図が強く響いて、館長自身の自主性ある選考ということでなくして、文部省の推薦というものが強く響く危険はないか、この点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  144. 福田繁

    福田政府委員 この会館で行ないます事業につきましては、必ずしも一様ではございません。文部省の主催する講習会研修会等におきましては、これは場所をお借りして実施するわけでございます。これは文部省の方針に従ってやるわけでございます。その点につきましては、館長がいろいろ意見を言うということはございませんが、しかしながら、この教育会館自体が行ないます研修等の事業につきましては、これは文部省のほうから意見を言うということでなく、会館自身が自主性を持ってそういう事業を実施するわけでございますから、それらについては御懸念は必要ないかと私ども考えております。
  145. 受田新吉

    ○受田委員 いま地方公務員の研修機関として自治大学というものがありますが、これに一例をとってみましても、その選考は地方庁の推薦もあるし、自治省の推薦もある。文部省が館長自身の権限を越えて、むしろ文部省がその選考の主体になっていくような形になってくると、また一つ問題が起こると思います。危険性がずいぶんあると思うのです。それで、文部省が非常に公平な選考をしていただければいいけれども文部省のいまの責任者である文部大臣は自民党に属しておられる。一般の方でありましても、自民党に都合のいいような人物を選考する、こういう危険もあるわけです。そこでひとつ灘尾先生、あなたは非常にりっぱな方であることを確信しておりますし、世間でもそう見ております。文部省の責任者である、長官である大臣は、願わくば教育の中立確保という意味においては、大臣御自身がその環境に置かれてなければならないと思うのです。したがって、自民党員であって、自民党の文部大臣という形でなくて、願わくば教育の中立確保を実践する意味において、たとえ政党政治といえども教育行政の中立性を確保する意味において、文部大臣になられた人は党籍を離脱してもらう。党員でない文部大臣という形をとるのが私は理想じゃないかと思うのですが、大臣いかがでございますか。
  146. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 文部省は申すまでもなく教育行政をつかさどるところであります。したがって、憲法、教育基本法等いわゆる教育関係の諸法令のもとにおいて行政を行なっておるわけであります。私、自民党員でございますけれども、この文部大臣の、行政当局としての任務を果たします場合におきましては、法令に従って、その範囲内において行動することは当然のことであります。もしそのような当然のことを、たとえば自民党が不当に圧迫するとか、あるいは支配するということでありますならば、これは私はもちろん排撃しなければならない。法の命ずるところに従いまして、その範囲内において法を執行し、あるいは文部大臣の権限として与えられておることを忠実にやるのが私の職務であろうかと思うのであります。したがって、私は現在自由民主党に籍を置いておるわけでありますが、これを離脱しなければならないというふうには考えておりません。
  147. 受田新吉

    ○受田委員 その考え方一つの偏向があるわけです。これはかつて天野さんは自民党員にならなかった。これは教育の中立性を強く実践をしたいという責任者としての決意が終始一貫しておったと思うのです。そのあとへ大達さんという方が文部大臣になられて、急に自民党員としての文部大臣として、教育行政の右偏向、そして、日教組と対決すると称して、例の中立確保等の二法案を出して、右偏向の教育行政に転換されたことは、いまや歴史の上に残った人とは言いながらも、われわれはなまなましい体験をしておるわけです。そういう意味で、自民党の文教政策が中立性であるというこの考え方になるようにするためにも、自民党員でなくして 純粋な文部大臣として文部行政を担当する決意を灘尾先生がお持ちになってきたら、日本の教育はどんなに進歩し明るくなるかと私は思うのです。文部大臣、もう一度決意のほどをお伺いいたします。
  148. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 先ほどお答え申し上げましたとおりであります。政党政派、そのようなものの不当な支配のもとに文部行政が属してはならぬと思うのです。その意味におきましては、私はあくまでも政党政派の支配によって行政をやるという考え方はいたしておりません。法の命ずるところに従い、文部大臣に与えられておる権限を誠実に行使してまいるのが私の任務である。これを妨げるような政党がありといたしますならば、私は自民党であろうとどこであろうと、これを排撃するにちゅうちょするものではございません。
  149. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは、自民党の文教部会があなたに何か押しつけるという場合でも、これが中立性を確保するという場合には、断固排撃する決意があるかないか。
  150. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 いまお答え申し上げましたとおりであります。
  151. 受田新吉

    ○受田委員 私は、日教組の代表者が大臣にいろいろとお話し合いをしたいと申し出られたときに、灘尾さんになられて、荒木さんと違って、快くその話を聞こうという態度になられたと聞いておるのですが、それでよろしゅうございますね。
  152. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は就任以来、まだ日教組の諸君とはお会いしておりません。   〔発言する者あり〕
  153. 久野忠治

    久野委員長 御静粛に願います。
  154. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 まだ就任以来、日教組の代表の方々とお目にかかったことはございません。この問題につきましては、日教組の諸君と会うとか会わぬとかいう問題は、私が適当であると考え、必要であると考えますならば、もちろん会うにやぶさかではございません。現在の状態のもとにおいて、いま会う必要もなければ、会うことが必ずしも適当とも思っておりません。これはひとつ私の自由におまかせ願いたいと思っておるのであります。
  155. 受田新吉

    ○受田委員 それがやはり文部大臣としては右偏向の考えでしょう。これは日本に現実にその行き過ぎがよしあるといえども、日教組というのは一つの組織体になっておる。すなおにその言い分を聞いてやろうというところに文部大臣の中立性があるのです。自分が会おうという場合には会う、そうでなければ会わぬというのは、すでに右偏向のりっぱな証左が見えておるわけです。別に日教組の言い分をお取り上げになろうとなるまいと、それはあなたのおかってです。しかしながら、静かにその言い分を聞くということは、一応組織体としてできておる以上——もちろん全国教員団体連合会もありますけれども、そういう教員団体の責任者、組織の責任者といつもひざを交えて話し合いするということは、これはやはり現実を十分重視した、右偏向でもない、左偏向でもない文部大臣としての貫禄があるわけです。大臣、そういうお考えはないでしょうか。静かに胸に聞いて答えをいただきたいと思います。
  156. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 あなたのお話は筋としてはごもっともだと思います。ただ現実問題といたしまして、特定の団体と会うほうがいいか悪いかということは、いろいろのことを考えませんと結論は出てこないのであります。お話の筋につきましては、私は異存はございません。ございませんが、いまおことばに出ましたから申し上げますが、日教組の諸君と会うか会わないかということになりますれば、現在会うつもりはございませんということを申し上げたいと思います。
  157. 受田新吉

    ○受田委員 これは私はなはだ遺憾なことでございます。大臣、内閣がかわっても、文教行政は不動の中立性を確保するという日本でありたいと思うのです。その意味では、文教行政が政党政治の犠牲になって、政権の授受によって大幅に変革するという行き方でなくして、少なくともいずれの党がこの文教行政を握っておったとしても、反対意見がこうある、世論がこうあるということを終始見つめて、公平な文教行政をやっていただくということが大事だと思うのです。大臣、この点は御異存ないですね。
  158. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 何の異存もございません。
  159. 受田新吉

    ○受田委員 りっぱな大臣です。異存のないところをひとつ実践していただくことによって、大臣はいよいよりっぱになられるということを申し上げておきます。  さらに、今度は法案に触れてまいりますけれども、私、非常に懸念されることがあるわけです。この国立教育会館法案なるものの中に、特に立ち入り規定を設けておるわけでございますけれども、犯罪捜査ということばがこれに出ているのです。そういうことばを使わなければならないような法案であるかどうか。わざわざこういう条項を三十三条に取り入れておられるわけでございまするが、他の類似の法律にこういうものを入れておるものがあるかどうか。少なくとも文教に関係した法案として「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」というような断わり書きを書きました理由がどこにあるかを御説明願いたいと思うのです。
  160. 福田繁

    福田政府委員 三十三条の三項でございますが、こういう規定はいわば例文でございまして、文部省所管特殊法人、あるいは他省所管の特殊法人におきましても、この立ち入り検査等の場合にはこういう規定をすべてつけております。そういうことで御了解をいただきたいと思います。
  161. 受田新吉

    ○受田委員 この犯罪捜査のために認められたものではないということは、これはもうはっきりしておるわけです。それをわざわざ書かなければならないというその政府の意図が、私は理解に苦しむわけです。少なくともこれは「報告及び検査」の規定でございますからね。特に文教に関係した法案にわざわざこういう断わり書きを書く必要はないということを私は意見として申し上げておきます。  なお、ここで今度館長及び理事になられる方々、これは相当の地位にある立場と思われますけれども、待遇はどの程度にされようとしておるか。
  162. 福田繁

    福田政府委員 先ほどもお答えいたしたわけでございますが、この館長の待遇でございますが、これは文部省の他の特殊法人の場合の理事長と同じ待遇をいたす予定でございます。また、理事につきましても池の特殊法人と同じ待遇がなされる予定になっております。
  163. 受田新吉

    ○受田委員 他の特殊法人には、高いのは三十三万から、低いのは二十五万です。ばらばらなんです。どれを基準にされるわけですか。公社、公団、事業団、いずれを基準にされるわけですか。
  164. 福田繁

    福田政府委員 公社、公団ではなくて、私の申し上げましたのは、たとえば文部省所管の日本育英会、あるいは私立学校振興会、あるいはまた私立学校共済組合、そういう特殊法人がございますが、その並みにおきまして、館長は大体十八万程度でございます。
  165. 受田新吉

    ○受田委員 館長を十八万に予定される。では理事は幾らにされますか、監事は幾らにされますか。
  166. 福田繁

    福田政府委員 理事、監事は十三万程度でございます。
  167. 受田新吉

    ○受田委員 これは他の省の特殊法人と違って、相当低い水準に置かれておるようでございますので、まあ適当な額であろう、したがって了解いたします。  そこで、館長代行の理事というものは一体だれが選定するのか。理事三人のうちで、館長の職務を代行する理事はだれがきめるのか、これもお答え願いたいと思います。
  168. 福田繁

    福田政府委員 理事三毛の中で常務理事としては、予定は一人でございます。したがいまして、それは文部大臣が任命いたすわけでございます。
  169. 受田新吉

    ○受田委員 その常務理事というのはどこに規定がありますか。
  170. 福田繁

    福田政府委員 常勤の理事としては、予算上一名しか予定いたしておりません。したがって、常勤の理事として文部大臣が任命するわけでございます。
  171. 受田新吉

    ○受田委員 他のこういう特殊法人には常勤と非常勤の理事がはっきり分離して書いてございます。なぜここでこういうぼけた規定をお出しになられたか、御答弁願います。
  172. 福田繁

    福田政府委員 文部省所管特殊法人におきましては、法文の上にそれを区別いたしませんで、全部こういうように理事として規定しているのが普通でございます。その例にならいました。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 それはいけないことだと思う。はっきり常勤と非常勤を区別して、常勤理事が館長の職務代行者となる、とはっきり法律にうたうべきです。法律規定にないことをかってに文部省が融通のある措置をされるということは、これは少なくとも法律事項になっている以上は許されないことだと思います。常務理事というものを内輪できめて、非常勤の理事職務代行者になり得ない、そういうことははなはだ不明朗だと思います。法律案として出ている以上は、はっきり常務理事及び非常勤の理事とし、館長の職務代行は常務理事が行なうと、はっきりおうたいになってどこが悪いのですか。ほかに文部省規定があるならばみんな変えればいいじゃないか。これは明らかにこういう法人を設立する際の規定としてまことに不明朗であるということを指摘したい。法制局長官を呼んでください。
  174. 福田繁

    福田政府委員 御指摘のような規定のしかたの法人もあるかと思いますが、私の知っております範囲におきましては、そういう常勤、非常勤を区別しないで規定している例が多いわけであります。したがって、実際上は先ほど申し上げましたように、予算措置によって常勤理事を一名ということに限定しておりますので、そういう具体的な理事の任命につきましては文部大臣がきめるというやり方を、従来ともにいたしております。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 これはたいへん問題があると思うのです。あなたは法律案を提案された事務官僚でいらっしゃるので、はっきりさしておかないといけないわけです。予算措置で一名しか出ておらない。あとの非常勤の二名の理事にはどういう処遇をするのですか。これもちょっと伺いたい。
  176. 福田繁

    福田政府委員 それは一般の常勤の理事の給与でなくて、会議の出席に応じて会議の出席手当、そういうものを出す予定でございます。
  177. 受田新吉

    ○受田委員 それなら明らかに非常勤の理事として一項を設けて、その処遇についてもはっきり給与のところで一項入れておかなければいかぬ。これは法律のていさいの上からいっても問題がある。法制局長官の出席を要求します。文部関係法律にこういうことがしばしば行なわれているとなると非常に問題がある。
  178. 木田宏

    ○木田説明員 ただいまの理事の点でございますが、受田委員承知の地方公務員共済組合におきましても、役員としての規定にはその第十一条に「組合に、役員として理事長理事若干人及び監事三人を置く。」こういう書き方になってございまして、その中で常勤、非常勤という区分の立て方をいたしてございません。受田委員の御指摘がございましたように、数多い特殊法人の中には常勤、非常勤の区分のあるものもあるかとは存じますけれども、私ども文部省関係特殊法人並びにいま申し上げましたような共済組合関係におきましても、こうした法人の役員につきましては、法文の規定の上では理事、監事、こういう書き方で何名あるいは若干名、こういう書き方になっておるものでございますから、この教育会館特殊法人規定をつくります場合にもその例にならいまして、こうした規定をいたしたわけでございます。
  179. 受田新吉

    ○受田委員 それではこの問題は一応当局に注意をして、国全体の問題として十分検討しなければならぬ重大な問題がひそんでいると思うのであります。文部大臣にもひとつ閣議でこの問題を提案してもらいたい。  なお、ここに教育会館側と理事、館長とが利害相反するときの規定があるわけです。これはどういう場合ですか。ひとつ御答弁を願いたい。
  180. 木田宏

    ○木田説明員 これは十四条のところに「役員は、営利を目的とする団体の役員となり、」云々、営利事業に従事してはならないという禁止規定がございますから、館長が自己の営利事業として教育会館と契約をするというようなことはなかろう、これはなかろうじゃなくて、ございません。しかし何らかの都合で民事上の契約の当事者になるということがあり得ないわけではないということが予想されますので、民事上の契約の当事者として土地の賃貸とか、あるいは物品の売買というような場合にこれは利害が反する。こういう観点からそうしたことを予想いたしまして、十五条の規定があるわけでございます。
  181. 受田新吉

    ○受田委員 それはきわめて例外的な場合であるということでございましょうが、そういうような不用意な館長は当然処分すべきものである。それを館長として残すべきじゃないのですから、責任上の問題として、いいですか。
  182. 福田繁

    福田政府委員 そういう特殊な場合でございますけれども、そいう特殊な場合を考慮いたしまして、念のためにこういう規定が置かれるわけでございます。また、人事の問題はそれは別個の問題であろうと思います。
  183. 受田新吉

    ○受田委員 役員の解任規定があるのでございますから、職務上の義務違反というようなことにもちろんなるわけでございます。そういう規定で当然解任して、新しい館長を任命すべきものだ。いかがですか。
  184. 福田繁

    福田政府委員 役員に適当であるかどうかという判断から、不適当だという判断がなされましたときには、御指摘のようにこれは解任をすることができるわけでございます。しかし、そういう人物そのものについて適、不適ではなくして、やむを得ずそういう許されて営利事業等に携わっているという場合において、そのことのみから適、不適ではなくして、その具体的な問題について会館を代表することが適当でないというときのみに監事に代表権を認めるという念のための規定でございますから、別個に考えていただいて差しつかえないのではないか、私はこう考えております。
  185. 受田新吉

    ○受田委員 文部大臣が承認をして、営利事業に従事していいという場合はいかなる場合ですか。事例をあげていただきたい。
  186. 福田繁

    福田政府委員 これは具体的な個々のケースについて判断するよりないと考えております。
  187. 受田新吉

    ○受田委員 個々のケースについての一応の事例を用意していただきたい。
  188. 福田繁

    福田政府委員 先ほど申し上げましたように、その個々の具体的なケースについて判断せざるを得ないと思います。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 個々の具体的ケースというのはどういう場合か、文部大臣が承認する場合というのですから、それは見なければわからぬということでなくして、一応の基準を用意しておるはずだと思う。用意しておらなければ、文都大臣がいけないという場合はどういり場合か、いいという場合はどういう場合か、それがわからないで、この法律で一応委任しておいても、文部大臣の判断でいいんだということでやられたのでは、われわれが法律を通したってたいへんなことになる。文部大臣は一応用意しておかなければならないのです。
  190. 福田繁

    福田政府委員 他の特殊法人の場合におきましても、その常勤の理事長なり、役員として職務を遂行するに支障がないと考えられる範囲のいわゆる軽微と申しますか、そういう軽い軽務でございましたならば、これは許可するという事例もございました。したがってこの場合におきましても当然教育会館の役員として職務を遂行することができるかどうかという見地から個々に判断されるべき問題であろうと思います。
  191. 受田新吉

    ○受田委員 これはそのくらいにしておきましょうか。この次の代表権の問題で、これは非常に懸念されることがあるのですが、館長が利害相反して適当でない、代表権を持たない。監事が教育会館を代表したという場合、監事がそういう立場に置かれたような場合、特に監査の結果に基づいて必要があると認めるときは館長または館長を通じて文部大臣に意見を出す。こういう館長を通じて出すという規定は、この教育会館の代表権が監事に移ったときではないわけですか。
  192. 福田繁

    福田政府委員 第九条の四項の規定は、おそらく通常の場合をさしておると思います。したがって従来この教育会館として過去に行ないました業務について監事が監査をする、その監査した結果について意見があれば文部大臣提出する、こういうことでございますから、それは普通の場合をさしておる、こういうように解釈をいたしております。
  193. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、館長を通じてということばはこれはなくして、すぐ文部大臣に意見を出すという行き方のほうが筋が通るのではないかと思うのですがね、いかがでしょう。
  194. 福田繁

    福田政府委員 その点は御意見でございますが、私どもとしてはそういう意見を出す場合にはやはり館長を通して、館長にも一応そういうことがあるということを知らして出されたほうが適当ではないか、こう考えておるわけでございます。
  195. 受田新吉

    ○受田委員 終わりにしますが、この第十五条の教育会館の代表権が監事に移った場合に、この第九条の規定は監査の結果に基づいて必要があると認めるというときの手続はどういうことになりますか。
  196. 福田繁

    福田政府委員 十五条の規定は、これは過去のことではなくて、これから具体的な事項について、実施しようという場合のことでございますから、十五条の規定と九条の規定とは一応別個に考えていただいて差しつかえないと私は思っております。したがってこの十五条の場合におきまして、監事が代表するという場合におきまして、手続としてこれは館長を代表しておりますから、もし意見を述べるということがあれば、自分が館長の代理でございますから、特にその館長を通す必要はなかろうと考えております。これは運用上の問題でございます。
  197. 受田新吉

    ○受田委員 わかりました。したがって監事が教育会館を代表する場合は館長としての職務を行なう、こう了解していいのですか。館長がおっても館長の職務を行なう、教育会館を代表するのであって、館長を代表しているのではないのですからね、そこをはっきりしてください。
  198. 福田繁

    福田政府委員 それは御指摘のとおりだと考えております。
  199. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ。この教育会館によって新しい体制に基づいて研修制度が設けられる。そういう際に、全国的な規模で研修員を募集するとか、あるいはある特定の地域でやるとか、こういうような問題は全部館長が企画して実施するということになりますか。あるいは地方庁に委任するとかいうような形をとるのか、地方の教育委員会等に委任するというような形をとるのか、そういう業務上の具体的な事例をひとつあげて御説明願いたい。
  200. 福田繁

    福田政府委員 この教育会館の主催し、実施をする事業につきましては、教育会館の館長がきめるわけでございます。これは地方の教育委員会等とは直接の関係はございません。
  201. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと私がお尋ねしておるのは地方の教育委員会等にその選考等を委任する、こういうような委任業務というようなものを行なう考えはない、かように了解してよろしゅうございますか。
  202. 福田繁

    福田政府委員 たてまえとして教育委員会等とは別個でございます。したがってこの教育会館自体がみずから事業を実施する場合でございますから、当然に自分の責任において実施するということになろうと思います。
  203. 受田新吉

    ○受田委員 おしまいに、そういう重要な責任の地位にある館長は、一体どういう方面から選考されようとしておるのか。理事はどういうところから選考されようとしておるか。おおむね、従来こうした法律ができるときには、一応予定される対象、個人の名が明らかでなくても、その大体の輪郭がはっきりしておるものでありますけれども、大よそ館長にはどういう人が対象になるか、理事にはどういうものを選考するかという選考範囲をひとつお示し願います。
  204. 福田繁

    福田政府委員 この理事、館長にいたしましても、教育について十分な経験と識見を持っている方で、この会館運営するについて十分な抱負を持っている方、こういう方の中から抽象的でございますけれども、選考されるものと考えております。
  205. 受田新吉

    ○受田委員 終わりにします。
  206. 久野忠治

    久野委員長 他に質疑はございませんか。——なければ、本案に対する質疑は終局いたしました。
  207. 久野忠治

    久野委員長 本案に対し、長谷川峻君外四名から修正案が提出されております。    国立教育会館法案に対する修正案  国立教育会館法案の一部を次のように修正する。  附則第一条中「昭和三十九年四月一日から施行する。ただし、次条及び附則第三条の規定は、」を削る。
  208. 久野忠治

    久野委員長 まず、提出者から趣旨の説明を聴取することといたします。長谷川峻君。
  209. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 それでは、ただいま議題となっております国立教育会館法案に対しまして、自由民主党、民主社会党共同提案の修正案を御説明申し上げます。  修正案の案文はお手もとに差し上げておりますが、念のために朗読いたします。     国立教育会館法案に対する修正案   国立教育会館法案の一部を次のように修正する。   附則第一条中「昭和三十九年四月一日から施行する。ただし、次条及び附則第三条の規定は、」を削る。  この法案は、昭和三十九年四月一日から施行することになっておりますが、すでに四月に入っておりますので、これを「公布の日から施行する。」かように修正いたそうとするものでございます。  以上が修正案を提出いたしました理由でございます。
  210. 久野忠治

    久野委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
  211. 久野忠治

    久野委員長 本修正案に対して御質疑はございませんか。——なければ国立教育会館法案並びにこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、これを許します。長谷川正三君。
  212. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 私は、ただいままで審議をいたしてまいりました国立教育会館法案につきまして、反対の意見を申し述べたいと思います。  まず第一に、本案提案に至る経過並びにその取り扱いについて、幾多の疑義を持つものであります。  その一つは、この会館設立にあたりまして財団法人をつくり、財界並びに親しみを持たせるという御趣旨教職員から募金をなさったということであります。そのとおりであれば、また別の考え方もあると思いますが、すでに今日までの質疑の中でしばしば指摘をされましたように、その募金の経過を見ますと、残念ながら資料として詳細な資料が出ておらないわけでありますけれども、その経過におきまして、各市町村が割り当てられたり、地方教育委員会が割り当てられたり、あるいは校長会、教頭会等を通して事実上強制徴収と同じような効果を持つ募金の方法がとられたりいたしておるのであります。このことは、地方財政法の第二条で、「国は、地方財政の自主的且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」というこの法律に抵触していはしないかという疑義を持たせるのであります。また、今日同等学校の問題が非常に深刻な入学難をめぐって、その設立に各都道府県が苦労をしておりますが、これに対しましても、御承知のように、昨年同法二丁七条の三におきまして、「都道府県は、当該都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。」という規定をいたしておりますし、さらに二十七条の四では、市町村におきましても同様に、「住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。」という趣旨規定をいたしております。こうした地方財政のたてまえをこのやり方はみずから踏みにじるおそれがあると思うのであります。そういう意味におきまして、まず募金をあわせ行なった点について大きな疑義を持つものであります。  次に、またこの取り扱いについてでありますが、御承知のように教育会館を設立するという法律を先に審議し、決定した後でなしに、すでに三十六年度において一億の予算化をし、さらにその後五億九千万円にのぼる国費を投じて会館を設立してしまい、しかも最後に、この国立教育会館法なる法律を出してきておるのであります。このことの経過は現行法の諸規定から照らして、必ずしも違法の措置であるとは申せないかもしれませんけれども、少なくとも国民に対して、こういう重要な目的を持ち、また日本の文教政策上重大な影響を今後に与える可能性を持つ法律でありまするならば、当初からその目的、運営等を明確にして、法案として出し、この法案の徹底した審議と同時に予算化するというのが国民に対する政府としての当然の親切、正当、公正なやり方ではないかと思うのであります。しかるに、すでに会館が所要の手続をとったとは申せ、できてしまった後にそこに引き入れる魂が大きな疑義を持つような内容を盛ってこられたのでは、国民としては、はなはだ迷惑と言わざるを得ないのであります。特に、私はここに指摘をいたしたいのは、先般川崎委員のほうから質疑の際にも再三明らかにされておりますように、この会館法の性格に、当初これを建設してくる途上での説明とは重大な性格上の変更を加えて提案している点であります。すなわち、三十六年三月十七日の衆議院文教委員会におきます荒木文相の御答弁に、明確に「運営ということは建物の管理、運用ということだけであって、たとえば教職員研修会を催すことそれ自体を企画したり、あるいは研修それ自体をみずからの責任においてやってみたり、などということは考えられないことなんで、それはあくまでも文部省が責任を持って研修その他を行なう。」このように明確に御答弁をなさっておるのであります。しかるに、今回出てきておる法案におきましては、御承知のようにその二十条の一項二号の中に研究集会、講習会をこの教育会館という特殊法人が主催をするというような重大な変更がなされておるのであります。この変化につきましては灘尾文相もこれを認め、その後、さらにこのほうがいいと思ってつくったから本委員会において御審議を願えばいいというような御答弁があったのでありますけれども、これは数をたのんで、文句を言うなら言え、今度はこういうふうにするんだ、こう言わぬばかりの態度にお見受けをいたしまして、実に残念に思うのであります。羊頭を掲げて狗肉を売るということばがありますけれども、落合委員もその点を指摘いたしましたが、まさにその感を深くいたすのであります。  次に、教職員研修の問題につきましては、すでにいままでの法律の中におきましても明確に規定されておりまして、原則的に、これは任命権者教職員については研修について計画をし、また研修そのものが本来教師一人一人の自主的な活動に基づくものでなければ真の効果がない点を十分配慮して、研修の機会を与えなければならないことを規定いたしておるのであります。しかるに今回の法律では——これを文部省がやるということについても私はこの立法の精神から疑義を持つのでありますが、しかしこれはその後の文部省設置法等を見ますと、各局の仕事の中にそういう点が含まれておりますから、一応これは別の問題として、後にさらにこれはすっきり整理する必要があるということを指摘するにとどめますけれども、今回、文部省のみならず、この教育会館自体がこのような教職員研究集会や講習会を直接主催するに至りましては、まことに重大な内容の変更であり、この研修に関していままで教育関係諸法規に規定されておるこの法規に屋上屋を架し、かつ重大な性格上の変更をするものとして強く指摘されなければならないと思うのであります。私は少なくともこの二十条二号は削除されなければ、将来に重大な禍根を残すと思うのであります。  私は、この教育会館法が真にサービスの精神をもって、全国教職員が東京に上京してきて、そうして宿泊もでき、有能な資料も得られる、そこでまたみずからの自主的な要望に沿ったような各種研修に自由に参加できる、こういう場所になるならば大いに歓迎をいたすところであります。また、心ひそかにこれを期待いたしておったのでありますけれども、本日この法案を審議し終わるに至りまして、なお重大な危惧を感ずるものであります。  御承知のように今日教育界におきまして、あるいは文部省と日教組が対立しておるとか、あるいは自民党と社会党とが対立しておるとか、いろいろ問題はございます。しかしながら、先ほど受田委員もるる述べられたように、教育の世界においてはそうした党派、思想、信条を越えて、憲法や教育基本法の根本精神に立って、公正に、かつ、平和のうちに創造的な自由の雰囲気の中で研究も進められ、教育も進められなければならないと思うのであります。その観点からいたしまして、私は特に、これは自民党の方々にも、もちろんわれわれも考えなければなりませんけれども、御承知のように私も戦前十一年、戦後やはり十数年の教職経験があるわけでございますけれども教育勅語の精神にのっとった教育に挺身をした過去の経験も持っております。その教育がすべて悪かったなどとは申しませんけれども、あのように教育が国家統制をされ、官僚統制をされたときに、国民をあげて重大なあやまちに引きずり込んだというこの反省だけは、私どもは今日、民主憲法下の国民として十分考えなければならないと思うのであります。しかも、憲法施行後まだ二十年に満たないのであります。日本の民主主義の精神を真に定着させることは教育の重大な使命だと私は思います。そういう観点から、こうした教職員研修が上からの思想統制の具に供されるような危険が少しでも起こらないように絶えずチェックすることは、これは党派を越えた、日本国民の今日心すべきことであると思うのであります。そういう意味におきまして、私はこの教育会館法が、二十条二号にあるようなこういう項目を挿入しておることに対しましてはどうしても納得することができないのであります。  私はそういう意味で日本の教育がむしろ——今日教育界にいろいろ問題はありますけれども、何とか教育の世界においては、意見の違いも大いにあっていいだろう、討論も大いにあっていいだろうけれども、大きな、憲法や教育基本法の精神の中でお互いに自由な討論を尽くし、教育行政の立場の者もあるいは現場教師も、ともにそれぞれの立場を認め合いながら協力し合うような状態を早くつくり出したいと思うのであります。  私がこの点において一言触れたいのは、これは共済組合の運営につきましては法において組合員の権能というものが明記されておりますために、今日非常にうまく運営をされており、教職員の福利厚生の増進のために大きな効果をあげております。文部省と日教組とが対立しているというような、こういうことがしばしば言われておる中においても、過去数年にわたって国としても都道府県としても大きな効果をあげている事実を私は指摘したいのであります。私は今度生まれ出るこの国立教育会館なるものが何とか日本の教育を両極端に分裂させるような一つのくさびになるのではなくて、相協力し、相論じ合いながら教育の中性の道を探究する、そういう殿堂にしていきたいということを心から念願し、すみやかに本法案に含まれておるそのような憂うべき事項を削除し、練り直されんことを心から要望いたしまして、反対討論を終わります。(拍手)
  213. 久野忠治

    久野委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。まず長谷川峻君外四名から提出された修正案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  214. 久野忠治

    久野委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  215. 久野忠治

    久野委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては、原案のとおり決しました。これにて国立教育会館法案は修正議決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか一   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  217. 久野忠治

    久野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十八分散会