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1964-02-26 第46回国会 衆議院 文教委員会 第6号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十六日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 坂田 道太君 理事 長谷川 峻君    理事 南  好雄君 理事 二宮 武夫君    理事 三木 喜夫君       臼井 莊一君    木村 武雄君       熊谷 義雄君    椎名悦三郎君       谷川 和穗君    床次 徳二君       中村庸一郎君    橋本龍太郎君       原田  憲君    松田竹千代君       松山千惠子君    三田村武夫君       落合 寛茂君    川崎 寛治君       長谷川正三君    前田榮之助君       村山 喜一君    和田 博雄君       鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務局         長)      西田  剛君         文部政務次官  八木 徹雄君         文部事務官         (大臣官房長) 蒲生 芳郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         文部事務官         (社会教育局         部)      齋藤  正君         文部事務官         (管理局長)  杉江  清君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         議     員 長谷川正三君         警  視  長         (警察庁保安局         防犯少年課長) 楢崎健次郎君         検     事         (刑事局付)  根岸 重治君         法務事務官         (矯正局教育課         長)      副島 和穂君         専  門  員 田中  彰君     ――――――――――――― 二月二十二日  委員橋本龍太郎辞任につき、その補欠として  荒木萬壽夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員荒木萬壽夫辞任につき、その補欠として  橋本龍太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員實川清之辞任につき、その補欠として村  山喜一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員村山喜一辞任につき、その補欠として實  川清之君が議長指名委員に選任された。 二月二十二日  高等学校建物建築等に要する経費について  の国の補助に関する臨時措置法案長谷川正三  君外八名提出衆法第一六号) 同月二十四日  鹿児島大学工学部化学工学科増設に関する請  願(池田清志紹介)(第六一二号)  学校栄養士設置に関する請願小沢辰男君紹  介)(第六六五号)  神社法制定に関する調査研究請願外四十二件  (野田卯一紹介)(第七一三号)  鹿児島大学農学部でん粉製造工学等講座増  設に関する請願池田清志紹介)(第七一七  号)  鹿児島大学農学部獣医学科施設整備に関する  請願池田清志紹介)(第七一八号)  学校図書館法の一部改正に関する請願植木庚  子郎君紹介)(第八一六号)  同(小川半次紹介)(第八一七号)  同外一件(桜井茂尚君紹介)(第八一八号)  同(重盛寿治紹介)(第八一九号)  同(武市恭信紹介)(第八二〇号)  同(中島茂喜紹介)(第八二一号)  同(濱田幸雄紹介)(第八二二号)  同(藤本孝雄紹介)(第八二三号)  同(上村千一郎紹介)(第八四五号)  同(櫻内義雄紹介)(第八四六号)  同(椎名悦三郎紹介)(第八四七号)  同(森下元晴君紹介)(第八四八号)  同(三池信紹介)(第八七五号)  同(門司亮紹介)(第八九三号)  学童の栄養改善に関する請願粟山ひで君紹  介)(第八七六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十四日  私立大学財政保障措置に関する陳情書  (第一〇〇号)  義務教育学校教職員給与国庫負担制度現行  維持に関する陳情書  (第一〇一号)  義務教育学校施設基準改定促進に関する陳  情書  (第一〇二号)  私立高等学校入学金返還に関する陳情書  (第一〇三号)  公立文教施設整備改善に関する陳情書  (第一〇四号)  義務教育学校における父兄負担軽減に関する  陳情書(第一〇五  号)  同(第一〇六号)  同(第一〇七号)  平城宮跡買収継続に関する陳情書  (第一〇九  号)  新潟大学農学部農業工学科設置に関する陳情  書(第一一〇号)  スポーツ振興費増額に関する陳情書  (第一一一号)  同  (第一一二号)  市町村立学校職員給与負担法の一部改正に関す  る陳情書  (第一一三号)  学校給食法の一部改正に関する陳情書  (第一一四  号)  中学校専任カウンセラー設置に関する陳情書  (  第一一五号)  公立義務教育学校事務職員及び養護教諭の  増員に関する陳情書  (第一一六号)  へき地の通学費等国庫補助に関する陳情書  (第一一七号)  公立文教施設整備新五箇年計画樹立に関する陳  情書  (第一一八号)  盲ろう教育対策に関する陳情書  (第一一九号)  義務教育諸費に対する各種補助基準額引き上げ  に関する陳情書  (第一二〇号)  学校給食費全額国庫負担に関する陳情書  (第一七九号)  社会教育振興に関する陳情書  (第一九八号)  義務教育施設整備等に関する陳情書  (第  二二二号)  公立高等学校新設等に関する陳情書  (第二二三号)  公立高等学校危険建物改築事業に対する財政措  置に関する陳情書  (第二二四  号)  理科教育振興法及び産業教育振興法による補助  金増額等に関する陳情書  (第二二  五号)  精神薄弱児及び肢体不自由児教育施設充実促  進に関する陳情書  (第二三四  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文化功労者年金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一一号)  高等学校建物建築等に要する経費について  の国の補助に関する臨時措置法案長谷川正三  君外八名提出衆法第一六号)  文教行政基本施策に関する件(青少年教育に  関する問題)      ――――◇―――――
  2. 久野委員長(久野忠治)

    久野委員長 これより会議を開きます。長谷川正三君外八名提出高等学校建物建築等に要する経費についてり国の補助に関する臨時措置法案議題とし提出者から提案理由説明を聴取いたします。長谷川正三
  3. 長谷川(正)議員(長谷川正三)

    長谷川(正)議員 ただいま議題となりました高等学校建物建築等に要する経費についての国の補助に関する臨時措置法案につきまして、その提案理由内容の概略を、御説明申し上げます。  昨年末、高等学校生徒急増期を迎え、第二年目に当たる本年も、高校進学難をめぐって種々の問題が、全国各地に起こり、当該子供たちはもとより、父母国民の深い憂いとなっていることは、御承知のとおりであります。  この事態に対処するための、高等学校急増対策につきましては、政府もさきに昭和三十六年から四十年にわたる五カ年計画を立てたのであります。しかし、その内容は、産業教育振興法に基づく、工業高校施設設備に対する国庫補助を除いては、すべて交付税起債でまかなうという方式がとられ、その上計画数字実情にそぐわぬ低いものでありました。  このことは、昭和三十八年一月、政府みずからが、その基本計画を改定せざるを得なくなったことによっても、明らかであります。しかし、との改定された計画も、なお、きわめて不十分な内容であります。  その第一は、高校進学率押え方についてであります。昭和三十八年度高校進学率を、当初の計画の六〇%から六一・八%に引き上げましたが、新制高校発足以来、年々進学率二%上昇の実績から見て、六八%の進学率を見るべきであったのでございます。  はたせるかな、昭和三十八年度の実態は、文部省発表指定統計によりましても百六十八万六千名が進学しています。中学校卒業生二百五十万人に対し、六七・四%の進学率を示したわけであります。  文部省はこれに対して、国民要望にこたえて百六十八万六千人の入学を許可したと公表していますが、これに対応する財政措置を行なわずに収容人員をふやしたのでありまして、その内容は無責任のそしりを免れる粗末なものとなったのであります。  すなわち、進学率はあくまで六一・八%を固執し、起債交付税合わせて二百十二億円の事業計画を立てたにすぎず、収容定員もぎりぎり百五十六万人を予定したのに対し、実に百六十八万六千人を詰め込んだわけであります。しかもこの百五十六万人というのも、一学級五十人の定員を一割増にした数字でありますので、高校定数法本則による五十人定員とすれば約百四十万人の収容しかできなかったことになります。したがって、実に二十八万六千人が一学級五十人の定員をオーバーして、無理に詰め込まれたわけであります。その結果私学においては、七十人、八十人の学級が続出し、はなはだしきは百人学級さえ出てくる始末であります。公立におきましても、六十人学級等があらわれ、高校教育水準低下混乱は目をおおうことのできない事実となっているのであります。  このような重大なそごにもかかわらず、政府昭和三十九年度進学率を、六三・五%に押えております。昨年六七・四%入学した実績から考えまして、この率は実情に合わない低いものであることを、憂慮いたす次第であります。最近、東京都におきまして、進学率を甘く見積もっていたところ、公立高校一・九七倍の競争率を示し、収容定員をふやすため、再びすし詰めを考慮せざるを得なくなっていることは、御承知のとおりでございます。  このように今年度の高校進学希望者は、ますます増加の傾向にあると存じます。昨年の実績に立って考えますならば、七〇%の進学率を見込まなければなりません。中学校卒業生二百四十四万人に対して、百七十二万人の収容設備を確保する必要があると考えるのであります。  昨年、極度のすし詰めを行なったため、理科教室家庭科教室等特別教室や、さらには給食室などまでが普通教室に転用され、生徒学校に充満しています。もはや、すし詰めの余地は残されておりません。  しかるに政府は、前に述べましたように、六三・五%という低い進学率に基づく計画財源措置しか考えておりませんから、このまま推移いたしますと、大量の中学卒業生進学希望がありながらその道を断たれ、街頭に投げ出され、高校教育水準もますます低下し、教育に関する深刻な社会的不安が拡大することを心から憂慮するものであります。この現実を直視され、進学率抜本的改正を望んでやみません。  第二の問題は、高校適正規模を維持することに努力する必要がある点であります。政府計画では学校新設よりも、学級増加で事を処理するため、すでに二千人、三千人の生徒を擁する高校各地にあらわれ、教育上好ましくない様相を呈しております。学校新設し、適正規模を維持することが、本法提案の第二のねらいであります。  第三に私立高校に過大な負担を負わせ過ぎている現状の打開をはかるためであります。私立学校に百名学級があらわれるというようなことは看過できません。公立高校を増設し政府責任を明らかにする必要があろうと存ずるのであります。第四に今年度発生している、重要な問題があります。昨年、第四十四臨時国会において、地方財政法の一部が改正され、都道府県は、当該都道府県立高等学校施設建設事業費について、市町村及び住民負担させることが禁止され、昭和三十九年四月一日より発効することになっていることは、御承知のとおりぐあります。法の規定はまことに時宜を得たものであり、公立高校の新増築に伴う住民負担がなくなることはよいのでありますが、問題はこれに対応する財源保障であります。政府はこの禁止に伴う財源を見ませんので、各都道府県は窮地に追い込られているのであります。全国教育長協議会調査によりましも、全国で約三十億の事業費を捻出するため、授業料値上げ、その他の方法がとられようとしています。これに対して政府は先般授業料値上げについて強い規制をし、行政指導を行なっているようでありますが、これにかわる財源保障が示されていませんから、約三十億の高校増設事業の放棄を強制する結果になりかねません。この問題を解決しようとするのも、本法律案提案の緊喫な理由であります。  政府昭和四十一年以降、中学卒業生減少を見越して、この急増期最小限度財政負担で乗り切ろうとするかに見受けられますことは、まことに残念であります。  たまたま、この時期に生れ合せたことのゆえをもって、数百万の青少年が、特に劣悪な条件に耐えなければならぬ理由は、毫末もないのであります。彼等の感じやすく、伸び盛りの大切な高校期は、一たび去れば、また永久に返えらないのであります。戦後処理ともいうべきこの急増対策につきましては、国がその責任において国庫補助措置をとり、大幅に高校を増設し、国民要望にこたえるべきであると存じます。  そして昭和四十一年以降の高校生徒減少期に、高校教育水準飛躍的向上を期して、抜本的改正をはかることこそ、正しいあり方であると考えるのであります。  以上の立場に立って、私どもは、高校急増第二年目を迎えるこの際、残された最後の一年ではありますが、後期中等教育に対する政府責任を明らかにし、その拡充発展をはかるために、臨時的に、国庫補助制度を創設することによって、緊急に問題解決に当たることを適切と考え、ここに法律案提出した次第であります。本法律案のおもな内容といたしましては、昭和三十九年度に行なわれる高等学校建物の新築、増築費用の二分の一並びに、校地買収費の三分の一を国が臨時補助することを規定いたしております。  なお、予算については、公立高校について二百八十二億円、私立高校について百十二億円合計三百九十四億円を要する見込みであります。本予算の精算においては、進学率を七〇%と推定し、学級定員高校定数法本則により、五十人(職業高校四十人)として、一割増を見込んでいないこと、公立私立高校の比率を七対三にしていることを申し添えます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますよう、お願い申し上げます。
  4. 久野委員長(久野忠治)

    久野委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
  5. 久野委員長(久野忠治)

    久野委員長 次に、文化功労者年金法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。落合寛茂君。
  6. 落合委員(落合寛茂)

    落合委員 最初にこの法案に関連しまして、文部大臣は一国の文化活動について宗教役割りをどう考えておられるか、きわめて概念的でございますがちょっと伺っておきたいと思います
  7. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 宗教文化関係でございますが、私は宗教そのものが大きな文化ではないかと思います。同時にまた宗教活動国民文化向上の上にかなり大きな影響あるいは感化、こういうものを持つものと思います。
  8. 落合委員(落合寛茂)

    落合委員 今回の文化功労者年金法審議にあたって、現在まで百数十人にわたる功労者表彰されておるようでありますが、その中を見ますと、宗教家が一人もその選に入っておらないようでありますけれども、これに対しましては何か理由があるのでございましょうか。あるいは今日まで宗教家の中でそれに値するような人がないということでありましょうか、ちょっとお伺いしておきたい。
  9. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 従来の取り扱いから見まして、特定宗教活動そのものをとらえて文化功労者ということにした例はないようでございます。ただ宗教家として偉大な存在であります鈴木大拙先生あるいはまた宇井伯寿先生、これらの方々は文化功労者として顕彰せられておるのでありますが、今日までの扱いといたしましては、いずれもその学問的な業績に対しましてこれを顕彰するというふうになっておるのであります。また一般の勲章につきましても大体同じような扱いになっておるように承知いたしておりますが、これは私思いまするのに、国家宗教とを分離すると申しますか、宗教に対して国家が干渉しない、こういう関係からして、特定宗教活動そのものに対しましての大きな働きをなさる者に対しまして、それを理由としての勲章であるとか、あるいは文化勲章あるいは文化功労者としての顕彰ということをいたしておらないものと承知いたしておる次第でございます。
  10. 落合委員(落合寛茂)

    落合委員 私ども常識的に考えますと、鈴木先生にしろ宇井先生にしろ、これは学術方面の方と見るべきが至当であると思いますが、ただいまの文部大臣のおっしゃるのを聞きますと、字教国家というものが画然と分かれ下おります日本の憲法の上から、どうも純粋の宗教という方面でこれを表彰することができないというようなお説なのでありますが、そこに私は疑問を持つのでありまして、一国の文化向上という面から見ますと、そういう問題は功績表彰することでありますから、そういうふうな立場でなしに、もっとふところの大きなものとしてこれをお考えくださることはできないものでありましょうか。
  11. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 従来からの取り扱いがそのような趣旨でもって扱われておるものと私は心得るのでありますが、この点はよほど検討を要する問題ではないかと思うのでありまして、ある宗教に対しまして非常に活動せられた人ということそれ自体をとらえまして、国が表彰するとか顕彰するとかあるいは勲章を贈るとかいうふうなことは、何かそこに宗教と国との間の関係というふうなものが考えられるわけであります。よほど慎重に考えなければならぬ問題だと考えます。
  12. 落合委員(落合寛茂)

    落合委員 そこがちょっと考え方の違いであるのかもしれませんが、私としては、宗教そのものに直接関係して、そこから生まれてくる宗教を土台にしてのその人の功績ではなしに、その人がそういう宗教活動をしていた、そこから自然に生まれてくるいろいろな国家的な功績は当然あるべきであろうと思いますので、将来願わくばそういうことを文部大臣がお考えくださいまして、善処されるよう希望を述べまして、私の質問を終わります。
  13. 久野委員長(久野忠治)

  14. 二宮委員(二宮武夫)

    二宮委員 文化功労年金法について社会党としても五十万を百万に増額することについては賛成でございます。ただ、先般の質問の際に上村議員から質問のございました尾崎士郎さんの表彰につきまして、これは官房長にお尋ねいたしますが、いつなくなって、いつ審査会にかけて、いつ表彰をやったか、この日時関係をひとつ明瞭にしていただきたい。法の運用上非常に今後問題を残すことでございますし、そういうような文化功労の人であるならば、なぜ生前にそういうことを選考審査会にかけなかったのか。死んで、あわてて日にちをさかのぼて功労年金を差し上げるというような礼を失した行き方では、私は法の上から非常におかしいと思う。したがってその辺の日時をひとつ明瞭にしていただきたい。
  15. 蒲生政府委員(蒲生芳郎)

    蒲生政府委員 尾崎先生のなくなられましたのは二月の十九日でございまして、二十一日の閣議でもって、この審査会委員の同意を得まして、閣議決定をされました。その顕彰日付は二月十八日でございます。
  16. 二宮委員(二宮武夫)

    二宮委員 文化功労者選考審査会というのは、いつ開かれたのですか。
  17. 蒲生政府委員(蒲生芳郎)

    蒲生政府委員 二月の二十日でございます。
  18. 二宮委員(二宮武夫)

    二宮委員 二月の二十日にはすでに尾崎士郎さんはなくなっておったわけですね。そうしますと、この年金法終身年金であって、なくなる以前に表彰しなければならない、こういう施行令の条文もあるわけです。なくなった後に、その審査会にかけて、故人である尾崎さんに年金法を施行するということ自体が、法の運用上から考えて私は非常におかしいと思うのです。尾崎さんそのものに対しては、それほど皆さんが文化功労者としてお認めになるのであれば、なぜ前もってこのような人を審査会正式手続でかけて、そして礼を失しないように、死なない前に本人に終身年金として、功労者として表彰するという手続をとらなかったか。文部省の不明にもほどがあると思うのですが、今後法の運用についてはどの程度までさかのぼるということになるんですか。尾崎紅葉までさかのぼるというわけにはいかぬだろうと思います。この法の運用が、緊急措置とは思いますけれども、文部省の不明の面がこの尾崎さんの問題については出てきていると思うし、はっきり終身年金ということは示されている。そうなれば、なくなったからあわててこのような緊急措置で、その前の日にさかのぼって終身年金を差し上げる、これは千葉大学にあった遺産相続と同じような方法をとっているんですが、そういう行き方は私は限度があると思う。一体どのような限度までこのような法の運用をやろうというお考えなのか明確にしておかぬと、これは終身年金としての文化功労者法律としては不備な点が出てくるのではないかと思うのです。見解はどうですか。
  19. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 今回の尾崎士郎氏に対する顕彰措置でありますが、不明と申せられるならば、まさにそのとおりであるかもしれません。われわれは、御承知のとおり、年に一回たてまえとして選考審査会を開いて、候補者をきめておるわけであります。これが本則でございます。ただ尾崎さんの場合におきましては、御病気ということを承っておりまして、文化功労者として顕彰すべき人であると思ってよりより話もあったわけでありますが、そのうちになくなったわけであります。いかにも残念だという心持ちがいたしまして、このような場合には、文化功労者としてこれを顕彰するということも、顕彰するということが主眼でございますので、あながち法の容認せざるところでもないであろう、一つの取り扱いの問題といたしまして、おなくなりになりました直後でございますけれども、日付をさかのぼらせまして、そうして顕彰するということも容認せられてしかるべきでなかろうか、こういう考え方のもとに私が発案いたしまして、いたしましたようなわけでございます。  もとよりこれは新しい例でございます。今回の例をさらにふえんいたしまして、えらく古くさかのぼってやるとか、あるいは死後相当期間がたってやるということは考えておりません。このたびのような取り扱い方でもって将来同じように考えなければいかぬと判断せられる事態がありました場合には、私ども考えてまいりたい、このように存じておる次第でありましょう。御了承願います。
  20. 二宮委員(二宮武夫)

    二宮委員 施行令を見ますと、四月一日から六月三十日までに一応審査をして、それに基づいて表彰するということになっておるわけであります。これはその後において非常に文化的な功労が顕著にあらわれてきたという人があった場合には、それはその後において追加することはやむを得ぬと思うのです。ところが尾崎さんはすでにりっぱな文芸家として名を売っている人なんです。六月三十日以降あらためて表彰しなければならぬというような事実があらわれた方ではないと思うのです。そうなると、なぜその前に入れなかったかという文部省の目のつけ方が非常におかしいと思う。したがってこういう非常の事態でございますから、人物としても私どもそう不賛成ではございませんし、霊前に最後のお見舞いとして差し上げるということについてはいいですが、法を運用していかれる場合に、この拡大解釈をこのような姿でやっていくということになると、私は問題があると思う。したがって特例中の特例として、こういうことは文部省が不敏にして尾崎さんの生前に表彰しなかった。したがってこのなくなった事実が起こったので、やむを得ず前にさかのぼって、日にちを繰り上げて、死んだものでないとして終身年金を差し上げる、こういうことをやったんだろうと思うのですけれども、まことに苦しい措置だと私は思う。法の上から言いますと、違法である。拡大解釈にもほどがあるように私は考えるんです。したがって、こういう問題は今後も法の運営上十分に注意してもらわなければいかぬ。新しいものが出たら追加してもいいけれども、すでに名を売っておるものに対して、それを不明にして表彰しないでおいて、なくなったらあわてて前の日にさかのぼって功労年金を差し上げる、こういうやり方は文部省の手落ちではないかと考えます。それ以上深くは追及いたしませんけれども、今後法の運用拡大解釈ということについては間違いのないように措置をしていただかなければならぬと思うのです。そういうことは文部大臣からはっきり言明をされなければ、またこいう事態が起これば、またやるんだということでは、私は法律としての権威がないと思う。期日はきめられておるのですから、きめられておる範囲内において各分野にわたって文化功労者を全部爼上に上げて、それを審査委員会に対して諮問をする、こういう手落ちのない措置をやって、今度は全く文部省が不敏でこの人が手落ちであった、やむを得ないそういう死亡するというような事態が起こったので、この際こういうことをやったのであって、今後はこういうことはあり得ないようにしたい、こういう答弁があってしかるべきだと私は思うのです。そうでなければ、期日を切ってはっきり表彰をやろうというこういう行き方に対して、私は法の運用を間違っておると思うのです。その点大臣どうですか。
  21. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 御趣旨はごもっともだと存じますが、毎年表彰する、顕彰をする数は大体予算との関係もございまして、いわゆる人をとらえていえばまだまだほかにもたくさんいるというふうな場合もあろうかと思います。しかし毎年そう無制限に表彰するというわけにもまいりませんので、いつも大体十人くらいを標準に顕彰してまいっておるわけでございます。したがってこういうふうなことが往々にしてあり得るということを私は考えるわけであります。もちろん法のたてまえもございますし、取り扱いはきわめて慎重に、かつまた厳密に扱ってまいらなければならぬというふうには考えておりますが、将来とも十分注意してまいります。
  22. 久野委員長(久野忠治)

    久野委員長 他に質疑はございませんか。――なければこれにて質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  23. 久野委員長(久野忠治)

    久野委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もございませんので、直ちに採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  24. 久野委員長(久野忠治)

    久野委員長 起立総員。よって本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいまの議決に伴う委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 久野委員長(久野忠治)

    久野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  26. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 次に、文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許します。村山喜一君。
  27. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 私は高等学校の全入の問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。大臣も御承知のように、いま入学試験が始まっておるし、またそろそろ始まる地区もあるわけでありますが、全国各地から二千名に及ぶところのおかあさんやおとうさんたちがこの高等学校急増の問題について、全員入学のの旗のもとにいまそれぞれ心配をいたまして東京に集まってきております。ここにおいて文部省の今日までとってまいりました内容の問題について触れながら、今後の大臣の見解をお尋ねいたしたいわけでございますが、まず第一にお尋ねをいたしたいのは、昭和三十八年度は六六・五%の進学率で百六十万六千三百九十二名を入学をさせた、合格率は九七・六%であった当時文部大臣でありました荒木さんが四月の閣議に報告をして、閣議はそれを了承いたしたことがございますが、その点についてはそのとおり確認をして差しつかえございませんか。   〔委員長退席、上村委員長代理着席〕
  28. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 そのとおり承知いたしております。
  29. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 そういたしますと、昨年の十一月十三日並びに二十三日の合併号でありますが、文部広報の三百六十九号、これの三ページに調査速報が出ておりますが、これによりますと、四月の荒木文部大臣閣議における報告は九七・六%の合格率であったが、調査をしてみた結果は九四・二%であった、こういうことが報告になっておりますが、これは事実ですかどうですか。
  30. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 政府委員からお答えいたします。
  31. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 ただいま御指摘になりました点でございますが、この点については調査局から基本調査の結果についての報告があったものと思います。したがいましてその基本調査の報告によりますと、これは私どもの調査いたしました時点とも違いますが、志願者数において押え方がもちろん違いますので、若干数字にすれた点はあると思います。
  32. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 そういたしますと、閣議で報告をして全閣僚の了承を得た、当時新聞にも出ておりましたその数字が正しいのか、同じ文部省の調査局のほうから出された九四・二%のほうが正しいのか、この点はやはり片一方のほうはいま福田さんが言われるように初中局の数字でありますし、片一方は調査局の数字だろうと思うのですが、それを調整をするのは、これは大臣でなければならぬはずです。そういうような同じ文部省という役所から二つの調査の統計の数字が出てきているということはおかしいじゃありませんか。これはどっちが正しいわけですか。
  33. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 ただいま申し上げましたように、調査局から発表されました基本調査につきましては志願者の押え方に若干のダブリ等がございますので、そういった点から申しますと、その調査自体についても調査局でもあとでコメントをつけたようでございますが、私どもとしましては教育委員会を通じまして、同一人についてこのダブリのないような調査をいたしました数字といたしまして、九七%が正しいものだと思っております。
  34. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 これは初中局長の自分の立場じゃなくて、文部省立場としては九七・六%が正しいとおっしゃるわけですか、その点大臣からお答え願いたい。
  35. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 調査の方法あるいは時期等によりまして数字が変わってまいるということがあり得ることかと思うのでありますが、私は初中局長の報告のとおりでよろしいと思います。
  36. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 三十八年度四月に入学をいたしましたその進学率は六六・五%ですか、その点は間違いございませんか。
  37. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 六六・四%になっております。
  38. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 当初の計画は何%ですか。
  39. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 政府急増対策としては六一・八%というのが策定の進学率でございます。
  40. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 そこで前、文教委員会のときに私がこの数字計画がこのように狂ってきた、六六・四%と六一・八%の間のズレがあるじゃないか。この計画については荒木前文部大臣は、そういうような計画上の狂いが出てきているものについては急増計画を改定する必要があると考えるので、当局に検討をさせる、こういうことを言明をされたわけであります。だから急増計画については政府みずからもその計画実情と食い違ってきたということをお認めになって、これについての修正をされなければならなかったわけでありますが、その点は、事務当局は修正をするようにいたしましたか、どうですか。
  41. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 この点につきましては、村山委員承知のように当初三十八年度の進学率の見込みとしては六〇%という見込みで急増対策の第一年度を計画したわけでございます。その後都道府県等の実際の事業計画というものが前向きにかなり整備をするという計画がございましたので、それにあわせまして六一・八%に進学率を訂正して、昨年の一月の閣議でその修正計画をきめたわけでございます。そのことは御承知と思いますが、六一・八%と申しますのは、これは政府として財源措置を講ずる。いわば最低保障というような考え方できているわけでございます。それ以上に都道府県収容力を増す必要があるならば、それは都道府県自体責任においてやっていただくことはもちろん差しつかえないわけでございます。そういう観点からこの問題をとらえてまいりますと、実際の進学率教育委員会なりあるいは私立の学校におきまして六六・四%という進学率の高まりを見せておりますけれども、その内容といたしまして、実際の事業計画そのものは、公立学校につきましては、政府計画しました急増対策計画都道府県の整備計画との間には開きはほとんどないのであります。そういう意味で、私どもとしては十分検討いたしたけれども、これをさらに改定するという必要はなかろうと考えております。
  42. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 事業計画と整備計画とを比較してみたら狂いはない、だから修正はしなかった、当時大臣は、そういうふうに大きく食い違ってきておれば、当然国が前向きの姿で計画の手直しをしなければならないとおっしゃった。ところが、事務当局は大蔵省との関係でそういうようなことを手直しするのに積極的でなかった。こういう結果が今日出てきているわけですが、ことしの四月に入学をするのは六三・五%の進学率計画をしてありますか、どうですか。
  43. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 御指摘のように財政計画としては六三・五%で計画をしてございます。これはすなわち昨年春に高校入学者の数を百五十五万人という数で押えたわけでございます。ことしも中学校の卒業生が昨年よりは若干減るわけでありますけれども、やはり同数を収容させ得るという考え方で百五十五万人を一応対象にしておるわけでございます。
  44. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 だからおかしいわけです。昨年は百六十六万六千人から入ったわけでしょう。昨年と同じように、昨年の計画はなるほど百五十五万人でした。それを十万人もオーバーして、現実に入ったわけです。その現実に入ったのをさらに今度は百五十五万人ということに落とすわけですから、十万人だけ昨年より少なく見ているわけです。六三・五%ということになればそういうことになります。ところが昨年の五月に職安の雇用労働者の数を把握する必要がありますので、職業安定局のほうで調査したのによりますと七一・九%という数字が出ているじゃないですか。そういたしますと文部省計画というのは、当初そういうような計画をつくって、実際は十万五人もよけいに収容をした事実を全然無視して、やはりことしは百五十五万人、こういうことで押えていくとするならば、政府全体の計画の中において、労働省のほうは七一・九%になるであろうと想定をする、文部省は六三・五%にとどめるという考え方、これはそういうような高等学校教育を受けよう、受けさせたいという父兄の気持を、一番責任を持たなければならない文部省が押えつけていくのだという考え方に立つのではないですか。いま自治省の財政局長も見えておりますが、自治省のほうと話をいたしますとそれは文部省のほうがそういうような改定計画を持ってこないから自治省としてはどうしようもない、こういう答弁をしておる。そうとするならば、責任文部省にありと言わなければならないと思うのでありますが、この六三・五%で中学校浪人は昨年よりふえませんか。九七・六%の合格率を保障すると八木政務次官はおっしゃっている。この九七・六%の合格率を保障できますか。
  45. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 村山委員御指摘になりました点で、私先ほど申しました急増対策収容計画としては百五十五万人を対象にしておると申し上げたのでありますが、もちろんこの数字自体高等学校急増期におきましては、一割まではすし詰めをやってもよろしいということになっておるわけであります。したがって昨年度もこれについては各府県とも若干の増員をいたしております。その結果が公立におきまして百九万人を収容いたしておりますが、これについて全般的に見ますと、公立学校におきましても許された一〇%までは昨年も入れてない。今年度においてもおそらくこの春におきましてもそういうような一〇%をこえるということももちろんございませんし、一〇%の許された範囲内でおそらく収容するものと考えられます。したがってそういたしますと、昨年実際に入りました実績程度はおそらく公私立合わせて入るものと考えられます。そういたしますといま御指摘になりました昨年の入学率の九七%というものは、あるいはそれを上回るかもしれないというように私どもは考えておるわけであります。したがってそれ以下になるということはいまのところ予想いたしておりません。
  46. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 その予想ですが、文部省はどの程度客観的な事実に基づいて、資料を集めて各府県ごとにそういうものを積み上げた結果、昨年の九七・六%を上回る、そういうように予想いたしておりますという想定を立てられたのか、この点をお伺いしておかないと、これはただ水かけ論では解決がつかないと思いますから、その問題については透次追及をしてまいりますが、現実に各新聞に出ている問題を見ましても、東京においては四万八千三百人を公立収容するのに対して九万五千人の、約二倍の競争率である。南のはての鹿児島においても昨年よりも公立においては八千名がはみ出る。私立で約五千名は収容することができても三千名はみ出るのだ。昨年の中学浪人は八百人だったが、ことしはそれよりも二千名は確実にふえる、こういうような見通しが現についているわけであります。北海道にいたしましてもピークが二年ずれる、こういうようなところから十分な措置がされていない、だから非常に心配だという声が新聞等に出てまいる。またことしも実際の受験者の数と前の希望者の数とを比較いたしてみますとほとんど変わりがない、山をかけてやるというのがほとんどなくなってきているという特徴的な姿が出ている。じゃ福田局長にお尋ねをいたしますが、ことしの四月の入学にあたって三十八年よりも進学率向上するにもかかわらず入学率が下がると私は思っているわけですが、学級減をしているところ、何県と同県が学級減の計画を立てておりますか。全体的につかんだ上でそういうような推定をされているだろうと思いますので、学級減のところは何県、生徒募集減のところは何県、そういうようなところはないかどうかお尋ねをいたします。
  47. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 お尋ねの資料をただいま持ち合わせておりませんから学級について申し上げることができませんが、各府県について募集定員をごく最近のものを調査いたしました。それによりますと、昨年よりも募集定員を減らしているというようなところはただいまのところないようでございます。
  48. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 私のところでは各都道府県教育委員会教育長に社会党の文教部長並びに全入の事務局長の私の名前で照会をいたしまして、その募集定員入学許可予定数、これらのものについて調査をいたしております。福田局長、私のところではそういうような資料があるのです。これはここに持ってきておりますが、募集定員が減っているところはないといまおっしゃいましたね。もしあったらどうされますか。
  49. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 私ここに持っておりますのは昨年の数字とつき合わした数字でございませんから、正確には申し上げられませんけれども、定時制等ではあるいは若干減らすところがあるかもわかりませんが、募集定員自体としては私は昨年よりも減ってないと考えております。
  50. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 あなたのは想定ですよ。それは昨年の数字と比較して検討をしたものを持っていない、だから定時制のほうでは減っているところがあるかもしれないけれども、全体としては減っていないものと思うとおっしゃる。現実に減っているところがあるのですよ。そういうふうなところがあった場合にはどうします。そこは資料を提供してもいいですよ。ただ頭の上で考えて、そういうふうなところはないだろうと思う、こういうようなことでは日本の国の文教行政責任ある答弁じゃないじゃありませんか。灘尾文部大臣どうです、その考え方は。
  51. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 先にちょっと……。私が申し上げましたのは、先ほど申し上げたような状態でございますが、必要ならばその点はなお正確に調べて御返事をいたします。
  52. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 私のほうはできるだけ客観的な事実資料に基づいて政府にお尋ねをし、政府の決意を聞こうとしているわけです。ところがそういうようなものはないものだと思う――私のほうでは調査をしたものがここにある。ここには報告書が来ている。そして都道府県教育委員会の四角の判こまで押してあります。それに基づいて私は言っているのですよ。ところがあなたのほうはそういうふうなものはないものだと思う、必要があれば出します――調査していないんじゃないですか。昨年の入学さした数、ことし入学を許可する予定数、そして何学級増設をして、どういうふうにして中学浪人をなくしていく、こういう具体的なものを持っていなければ、一国の文部行政は指導できないじゃないですか。
  53. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 昨年の募集定員はもちろんわかっております。それからまた現在の募集予定定員も各教育委員会に依頼をして調査をいたします。
  54. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 いまから調査するのですか。いま調査している数字は手元にないわけでしょう。はっきりした数字がわかっておりますか。
  55. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 もちろん役所にはございますが、私は、ここに持っていないということを申し上げたわけです。
  56. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 そういたしますと、役所にはありますか。役所には昨年の入学者数、そうして三十九年の四月に幾らの学級数をふやして、どれだけの定員入学させる、だからそれについてはこういうふうになります。九七・六%を上回ることに相なりますという客観的な資料をお出しを願うことができますか。
  57. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 もちろん募集予定定員はわかります。しかしながら実際に入学した者が確定いたしませんと九〇何%ということは申し上げられないわけであります。入学者が確定してからならばいつでも申し上げます。
  58. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 それは入学をしたあとであれば報告書が出るのはあたりまえですよ。それじゃ間に合わないじゃないですか。いま何をなさなければならないかということを政治の問題として論議しているわけです。だからそういう木で鼻をくくったような答弁をするものじゃないですよ。やはり現実に心配をして全国のおかあさんやおとうさんたちが文部省にお願いに来ているその実情というものをくんで、もっと親心のある立場文部省行政指導をしてくださらなければ、これはやはり文部省立場としては困るのじゃないですか。文部大臣いかがです。
  59. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 三十九年度の今度の入学数につきましては、どれだけの人が入るかということを的確に申し上げることはむずかしいと思います。やはり入学試験というものがあるわけです。入学試験の結果によってきまることだと思います。
  60. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 入学試験の結果によってきまることは明らかです。だから文部大臣、ここで心配をしている父兄の気持ちというものをやはり大臣としてもおくみ取り願わなければならない。それは今日までやってきた二百十二億の財源措置によって、三十八年度の財源の消化率はどうであったのか、それによって計画は十分に九七・六%の合格率を保証するように建物ができたのか、そしてそれによって今後父兄の要望にこたえるような態勢が日本全国として整ってきているのかどうか、こういうところまで見通した上で、緊急に措置をしなければならないものはしなければならないし、そういうようなことをお答えを願わなければならないかと思うのですが、大臣の答弁は一足す一は二だというような答弁ですよ。大臣としては文部省のほうから、いろいろ役所のきまりとして、担当の局長からお聞きになることもいいでしょうが、現実にそういう問題を都道府県教育委員会に話をし、努力をしてきたけれども、こういうような点が解決をされないがためにまだ問題が十分に解決されておりません。だから文部大臣、この点を解決してくれませんかといって全国から集まってきた代表の人たちの意見をお聞きになるお気持ちはないかどうか、お答えを願いたい。
  61. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 御意見なり御要望なりは私伺ってけっこうであります。
  62. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 大臣がそういうようなお気持ちでございますので、また後ほど大臣とお話をお願い申し上げまして、そういう切実な声を受けとめていただきたいと思うわけでございます。私がここに持っている資料で調べてみましても、群馬、静岡、広島、これはいずれも学級減であります。それから生徒の募集減になっているところは、山形、群馬、埼玉、富山、石川、こういうところのようであります。これらは一体どういうようなわけでそのようになっているのだろうかということで、私もいろいろ都道府県教育委員会の資料を検討いたしておりますが、これは非常に問題がある点がございますので、この点についてはまた後日問題を具体的に文部省のほうから資料の提供をしていただきまして、検討を続けてみたいと思うわけでございます。  そこで自治省の財政局長にお尋ねをいたしますが、三十八年度の事業は補助金が三十一億円、起債が九十億円、交付税が九十一億円、二百十二億円で急増対策を一応前向きの姿勢で事業を執行してまいったはずであります。だがその予算の執行についてはどういうふうになされてきたのか、二十七万二千九百坪の建設が現実に行なわれるように手配がされたのか、あるいはそれ以上に建設計画がなされたのか、それらの点についてはどうであったかをこの際明らかにしていただきたい。
  63. 柴田政府委員(柴田護)

    ○柴田政府委員 三十八年度の地方予算の執行の結果は現在年度進行中でございますので、正確にはまだ把握いたしておりません。いずれ決算が出てまいりますとその点は明確になろうかと思うのでございますが、私ども承知いたしておりますところでは、都道府県の三十八年度の高等学校関係の建造物の計画額は大体二百億程度というように見られるわけでございます。ただこれについては急増問題に関連するものでございますれば、あるいは老朽改築に関するものもございましょうし、その区分けは現在のところ明確ではございません。なお政府計画といたしまして、政府が立てました急増計画に伴いますものは、地方債も配分済みでございますし、交付税もそれぞれすでに配分済みでございます。
  64. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 起債の消化率はどうですか。これだけはわかるでしょう。
  65. 柴田政府委員(柴田護)

    ○柴田政府委員 起債につきましてもすでに配分済みでございますし、もとより一〇〇%でございます。
  66. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 自治省にお尋ねしておきたいのは、公共料金の値上げを一年間据え置くということになりまして、公立高等学校授業料等の値上げについてもこれを各地で抑制いたしました。私はこのことは賛成であります。ところが実際の問題としては標準規模の団体で一学年三万人という高等学校生徒数を考えました場合には、二億円の減収ということになろうかと思うのであります。なお、昨年成立いたしました地方財政法改正に伴いましてことしの四月一日から、地元の市町村から寄付金をとっては、ならないということになりました。そういうような財源の不足については地方財政計画でそれぞれ計画措置をしなければならないものだと思うので、これらの点についてそういうように地方財政法上寄付金をとってはならないということになったのですから、当然法律の定めるところに従って地元の市町村からの寄付金はなくならなければならないものと思うのでございますが、そうなりますと、地方財政計画の上で高等学校の問題に関連をして幾らの財源措置をしているのか。そうしてその寄付金の問題については、どのような行政指導を現実に行なっているのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  67. 柴田政府委員(柴田護)

    ○柴田政府委員 お話のように、府県と市町村の間の財政秩序を確立いたしますために、昨年法律改正いたしまして、高等学校の建築につきまして、市町村から負担金を取ってはいけないということにしたのであります。適用は三十九年度からでございます。昨年法律が成立いたしました直後から、その趣旨の徹底ははかってまいっておりますけれども、現実の問題といたしましては、いろいろの問題があって、そういう負担金等を求めておるわけでございますので、やはり何らかの必要な措置が要るわけでございます。私どもが調べましたところでは、三十七年ないし八年の実績は、この関係の市町村から求めております負担金の額は、三十三、四億と相なっております。そこで三十九年度におきましては法律が動きます関係で、その関係のために約三十六億程度の基準財政需要額の増加を行ないまして、必要な財源措置をしたのでございます。まだ交付税法が通っておりませんから何ともいえませんけれども、交付税法の一部改正法案が通りますと、この三十六億円程度基準財政需要額を通じて措置をしたことになります。  なお授業料関係につきましては、交付税法上の計算は六百円で計算をいたしております。現実には六百円のところもございますし、七百円のところもございますけれども、交付税上の計算は六百円の計算をいたしておりますし、今回も据え置いたわけでございます。そこで関係府県からは財源措置の問題が云々されるわけでございますけれども、授業料の引き上げを行ないませずに、むしろほかの経費を詰めて予算を組んだ団体との均衡等もありますので、その関係の穴があいたものをそのままということはいかがかと思います。ただそれによって非常に財政が苦しくなったといったような府県につきましては、財政全体の状況とにらみ合わせまして必要な措置をとってまいりたい、かように考えております。
  68. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 そういうような一般的な考え方については私は了承いたしますが、具体的な問題といたしまして、高等学校を建設するのに各都道府県教育委員会がどれくらい地元の市町村に寄付を仰いでおったのか、その実情はどういうふうになっているのかということを、文部省はどういうふうに把握されていらっしゃいますか。
  69. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 私からお答え申し上げますが、従来高等学校建設につきましては多くの場合土地を地元から提供してもらうという場合が多かったわけでございます。あるいはまた施設の一部を寄付してもらということも従来の慣行としてあったようでございます。そういう点につきまして先ほど御指摘になりました地方財政法改正によりまして、高等学校の建設事業に関して、地元に負担をかけてはならないということになりましたので、これは今年度から運用されていくわけでございます。従来のやり方としては、そういう土地、建物設備の一部というようなものについての地元負担があったことは事案でございます。
  70. 二宮委員(二宮武夫)

    二宮委員 関連して。先ほどからの質疑答弁の中で感じますことは、文部省としては、実際に入学をしたい、教育を受けたいという希望の者が、実数、人員が減ったといたしましても、希望そのものはふえておる。こういう状況であれば、やはりこれは日本の文部行政として、十分に高等学校教育を受けさせる方向に前向きの姿勢を持っておらなければならぬと思うのです。ただ問題は、地方から参りました人が文部省に参りますと、財政的に困難だという話をされる。とろが、自治省にまいりますと、柴田財政局長が、いやそれには文部省から六三・五%という割合でもっていろいろ財政要求はあったんだから、そのとおりにしているんだ私のほうはまじめに言うたとおりにしているんだ、しかし言ってくれば何とかなりますよというようないい顔になろうとするような答弁をしたがるくせがある。やったかどうかわかりませんが、録音していないからわかりませんけれども、それは私は文部省も自治省も双方ひとつ協力をして、こういう非常事態になった高等学校教育を受けたというその父母並びに生徒の切実な希望を入れて、財政的にもひとつ措置をしようという前向きの姿勢で進めてもらわなければ……。財政局長どうですか、あなたは少しそういう答弁をした傾向があるということを聞いておるのだが、文部省が言ってくればうちのほうじゃ何とかなるんだけれども、文部省が何も言って来ぬもんだからする方法がございません。何だか含みのありそうななきそうな言い方をしておるような傾向があるのですが、どういう意味なんですか。私はそこであなたにここに出席を求めたのは、文部省と自治省が双方食い違った答弁にならないように、文部省のほうではひとつ実態に沿うたすし詰め学級などということをなくするような、不正常な教育というものをなくするような方向で、この際前向きに進めてもらいたい。その財政要求には自治省を通して大蔵省にもひとつ要求をしてもらいたい。こういう方向で進めてもらいにいと思うのですけれども、柴田さんどうですか。あなた少々いい顔になろうという気持があるのじゃないですか。
  71. 柴田政府委員(柴田護)

    ○柴田政府委員 私はさようなつもりで申し上げたのではございません。非常に親切に答弁いたしますと、そういう都合のいいような誤解を与えることがあるかもしれません。私たちは財政を預っているわけでございますが、文教のことにつきましては二宮委員承知のとおり全くのしろうとでございます。したがいまして高等学校をどうもっていくかという問題が基本的にあるならば、それは私どもの解決すべき問題じゃないので、所管省である。文部省なり、あるいはもっと広く政府全体の観点からどう考えるかという問題ではないか。私どもといたしましては、一応高校急増対策というものが政府施策としてきまっておるわけですから、そのきまった施策に従って所要の財源措置を講じておるし、またその計画の実行の過程において不ぐあいなところがあれば、それをどのように直していくかということに専念をする。つまり財政的にどのようにしていくかということに専念をする、こういうことを申し上げたわけであります。いろいろ話をしに見える方は、われわれも何でございますけれども、交渉をするとどうも自分の都合のいいように相手のいうことをとりがちであります。そういう誤解を与えたかもしれません。もし与えておるといたしますば、それは非常に残念なことでありまして、私どもはそういう意味合いをもってお話ししているのではございません。
  72. 二宮委員(二宮武夫)

    二宮委員 ちょっと明解過ぎるんだ。高校急増対策の補助、そのほか起債についても、そのしかたは大体全部終わっておるんだという御答弁だったし、福田さんのほうでは、なお役所に資料はあるけれども、前よりも入学難を激化させるようなことにはさせないという公約もある。したがって実態に即してこれから後も財政措置をしなければならぬ問題は私は出てくるんじゃないかと思うのです。その際に柴田さんのほうでは、いま私どもが聞いているところによれば、文部省が言ってくれば何とかなりそうだという意向もあるやに聞いておるのだけれど、いまのお話ではどんぴしゃり、何もないというお話になって、妙な感じがするわけなんですけれども、それでは私はよくないと思う、それでは各省がひとつお互いに協力しながら国の政治の問題を解決していこうとする熱意というものがやはり足りないと思うのだ。たてまえは私はあなたから説明を聞かなくてもわかっています。文教行政については責任を持つことはわかっているけれども、財政問題で文部省は進行中の状況である。したがって今後財政問題が必要になってくるという場合には、柴田さんどうですか、自治省のほうでは今後の問題としてどのようにお考えになるのですか、全く今後ゼロだというお考えですか、それともあるいは要求によっては今後とも財政措置を自分のほうとしては大蔵省とかけ合ってみよう、こういう熱意があるのかどうか、この点をひとつ明確にしてもらいたい。
  73. 柴田政府委員(柴田護)

    ○柴田政府委員 私ども高校問題を考えます場合には、財源全体の問題、国、地方を通じます財源からの制約というものが一つございます。国民からは租税負担を軽減しろという要望が強うございます。そういうようなものもにらみ合わせて、財源面からどうするかという問題が一つあるわけでありますが、同時にまた片一方におっしゃるように現在の高校の問題をどうするか、二つの問題がある。私どもは、別に一ぺん計画をつくったんだからもうゼロだ、それほど別に意識のない返事をするつもりはございません。ただ、しかしながらおのずから財源面からの制約があるので、その面からの文部省のほうでいかなる御計画をお立てになるかしれませんけれども、その計画に対して財政面からの発言はあってしかるべきだ、したがって両面にらみ合わせて考えるべき問題ではないか、いまここで先生おっしゃいますように、持ってくればそれはやらせてみましょうというような簡単な返事はできる問題ではないじゃないか、基本的にはやはりいまの高等学校、府県のこの高等学校の事務というもののあり方というものをどう考えるかという問題が基本ではなかろうか、それがあって、それから自然財政措置その他の問題が出てくるのではなかろうかと考える次第であります。
  74. 川崎(寛)委員(川崎寛治)

    ○川崎(寛)委員 先ほどの初中局長の答弁に関連をしてお尋ねしたいのですが、文部広報の二月三日号に、教育委員会の指導関係の課長を集めてやっております中で、初中局長が、高校全入運動というのがあるが、高校教育では現在よりもレベルを落とさないように十分配慮する必要がある。こういうことをしゃべっておるようであります。速記録の一部だから中間が抜けておると思うのですが、全入運動があるから高等教育のレベルを落とすのだ、こういうふうにこのまま受け取れるのでありますがどういう意味であるか。
  75. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 私どもは高等学校教育につきましては、御承知のように現在では義務教育ではないわけであります。したがって義務教育の上に立てられた高等学校教育の水準というものはやはり考えなければならぬ、こういうように考えておるわけであります。したがって高等学校入学する者については、校長がその能力ありやなしという点を判断して入学させるというのがたてまえでございます。そういう観点から高等学校教育内容に十分たえられるような子供を高等学校入学させるのがたてまえだ、こういうような考え方でございます。しかしながらこれは教育の機会均等というたてまえから申しまして、なるべく多くの子供を高等学校収容すべきだという一方の考え方もあるわけでございます。そういう両方の点を十分考慮してやるべきだこういう趣旨から、現在の高等学校教育についてもいろいろな非難もございます。しかし、その高等学校教育のレベルというものは落とさないような配慮は十分してもらいたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
  76. 川崎(寛)委員(川崎寛治)

    ○川崎(寛)委員 結局知能であるとか学力の程度を限定して、それ以下のものは入れないようにせよ、こういうふうなことを入学試験の方法と関連をして行なっていこうということであろうと思うのであります。しかし、そういうことが、一方においては実際にはすし詰めが行なわれ、さらには教員の定員減というものがなされているために、教育内容としては低下をしておる、こういう実情になっておると思うのでありますが、この点はどうでありますか。
  77. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 私ども高等学校入学者の問題については今後十分検討してみたいと思っております。しかしながら、昨年の入学状況等の結果を調べてみますと、非常に学力の低い者が入っているということは事実でございます。したがって、入れました以上はやはりそういう子供が十分高等学校を卒業できるだけの指導はする必要がある、これは学校当局なり、やはり教育委員会責任でもってそれだけの指導を加える必要があろうと思いますが、そういう点から考えますと、やはり今後高等学校教育についてはいろいろな問題がございますので、私どもとしては十分検討して対処していきたいと考えております。
  78. 川崎(寛)委員(川崎寛治)

    ○川崎(寛)委員 最後に、一点で終わりますが、先ほどの答弁で、昨年度の実際の入学が当初予定したものよりも非常にオーバーして百六十六万になった。そういたしますと約十万の開きが出たわけでありますが、今度は三十九年度においては百五十五万、こういうところで押えてあるわけです。先ほどの答弁では、生徒数を学級当たり一割増と見ておるから百五十五万の採用ということで、よしんば百六十六万になってもかまわぬのだ、こういうふうに受け取れる答弁をしておったのでありますが、その点どうですか。
  79. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 その点は誤解のないように申し上げておきたいと思いますが、政府急増対策として策定しましたものは、三十九年度におきましても三十八年度の当初の入学収容者を入学させるだけの計画で進めたわけでございます。それはすなわち、先ほど申し上げました百五十五万人でございます。公私立合わせまして百五十五万人でございますが、しかしながらこれは財政計画として起債その他の財源措置をする数字でございます。それ以外に、実際問題として各府県ではやはり高校進学者というものはこれ以上に上回ることは予想されるわけでございます。したがって、各府県でそれに対して実際の入学者を志願者の中から収容するという場合におきましては、昨年の例のように、約百六十六万人でございますが、そういう上回った入学者が出るわけでございます。これはいわゆる急増対策として財源措置するものではございませんが、各府県においてそれぞれの府県の実情に応じて、志願者を入学きせるということは別に何ら否定しているものではございません。したがって、三十九年度におきましても、やはり政府計画としては百五十五万人の収容数でございますけれども、これに加えて先ほど申し上げましたように、約一割までの、五十人クラスでありましても五十五人以下のものは収容してよろしいということになっております。したがいましてその範囲では、各都道府県では五十三人とか、最高五十五人までは入れ得ると思います。したがって実際の入学者数というものは、私立のほうはまだわかりませんが、大体昨年と同じように百六十六万人程度収容し得るだろう、こういうように私どもは予想しておるわけでございます。
  80. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 私は、あと残された問題につきましては、あさっての予算委員会の一般質問の中で、高等学校急増の問題を追及いたしますので、あと一点だけこの際明らかにいたしておきたい点がございます。  それは先ほど質問をいたしました寄付の問題でありますが、この寄付の内容については、文部省は一体どの程度高等学校の寄付金が地元の市町村あるいは父兄から納められて、それによって急増計画がなされているかということを調査しておられるわけでありますか。調査しておられるとするならば、全国で一番寄付の多い県は何県であるのかを明らかにしていただきたい。―そこに資料がなければあとでもけっこうですが、そういうものを調査しておられるかおられないかだけをお答え願いたい。
  81. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 調査しておりますが、にわかでございましたので、私手に持っておりません。
  82. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 じゃその資料は後ほどお出しを願うことにいたしまして、秋がここで申し上げたいのは、地方財政法改正が行なわれる、ところが、ことしの高校の整備計画急増対策計画を各府県ごとに集めてみました。集めてみると、やはり寄付金が相当なウエートを持って急増対策計画が立てられておる。一番ひどい例は、これは三重県でありますが、三重県は三十九年度に五億三千万円という寄付金を財政計画計画をいたしておる。これは全事業計画の四一%であります。そういうような具体的な問題がすでに出てきておるわけでありますが、これらについて、自治省は先ほど基準財政需要額の計算基礎の中において、三十六億という財政措置をした、だから高等学校の整備計画急増対策についての寄付金はゼロになるだろうという見通しを説明されました。これは法律が通らなければならないが、そうなってまいりますと、従来寄付によってやってまいったところのものは、当然財源が足らないとなれば一般財源のほうで措置をすると同時に、それでも足らなければ起債にその道を仰がなければならないと思うのであります。それだけ寄付の解消をしていかなければならない、こういう立場からいった場合に、この高等学校急増対策に関連をして、今後の指導の方針というものをこの際明らかにしていただきたいと思う。
  83. 柴田政府委員(柴田護)

    ○柴田政府委員 税外負担を見ます場合に二つ問題がございまして、一つは府県と市町村の間の財政秩序を確立する観点から、府県の負担すべきものを市町村が負担しないという問題、もう一つは一般住民からよけいな負担をきせない、二つの点があるわけでありますが、前者の府県と市町村との関係につきましては、高等学校問題に関する限りにおいては先ほど御説明いたしましたとおりでございます。したがってその方針で指導いたします。なお後者の問題の一般住民からの寄付の問題でございますが、この問題につきましてはお説のとおり逐年基準財政需要額なり、あるいは財政計画上も措置をいたしてまいっておるわけでございます。本年度も財政計画上は、税外負担の解消を見合いにして七十億ばかりのものを増額いたしております。したがってそういう方針でなお指導を強めてまいるつもりでございます。  ただ実際問題といたしましては、財政的にこれを考えますと、財源には限りがございます。一方財政需要は無限でございます。したがって、そこのところを無理をすれば、なかなか税外負担はなくならないきらいがあるわけでございます。その辺のところは財源を十分にらみ合わせて適当適切な経費を組んでいく、こういう方針を進めていくように、今後とも税外負担の解消につきましては一そう従来の方針を強めてまいりたい、かように考えております。
  84. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 自治省の一般的な原則の考え方はそれであろうと思うのでありますが、文部省は一体どうされますか。四一%も寄付金にたよるような高校整備計画が立てられている。これは明らかにことしだけではないのです昨年は幾らだったか調べてみると、昨年は四億一千万円です。その前の年は三億八千万円、これは三重県一県だけです。それがことしはそういうふうに地方財政法改正が行なわれて四月一日から実施される。そうすると、五億三千万円という予定をしておったものが寄付がとれないということになると、一般財源でこれをまかなはなければならぬ、一般財源で足らないものは起債でまかなわなければならない、こういうような形にならざるを得ない。財源措置が足らなければ整備計画なり急増計画を繰り延べしなければならぬ。そうなってくると、もう全体の計画が大きく狂ってくるという結果が出てまいる。だから、その間に立って、文部省としては学校教育という立場から前進をさせなければならないだろうと思うし、自治省のほうは地方財政の問題の上から、それらについては指導をしなければならないだろうし、非常に立場が違うかっこうになるわけでありますが、文部省としてはどのような指導をされ、そしてその両省にわたるところの問題点についてはどのように協議をされて具体的な指導をされておるのかということをお伺いをしたい。
  85. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 私どもとしては地方財政法改正になりましたので、その改正の趣旨に従って財源措置が講じられることを努力してまいりました。また地方の各府県におきましても、高校急増対策について、その財政法の改正の趣旨を逸脱しないような措置が望まれるわけでございます。したがって、先ほど来話が出ましたように、三十九年度の急増対策としては、国庫補助二十九億、起債六十七億、交付税九十一億、合計百八十七億円と財源措置をいたしております。したがって、地方の高校急増対策についての財源措置としては、一応つじつまは合っていると思っております。しかしながらこの高校急増対策自体としては、各府県のいろいろな地方の中での計画はやはり総合的に考えられるべきものであると思うのでございます。したがって急増対策としては、私どもにそういう財源措置をしてまいりましたが、各府県の実情に応じて、他の計画その他地方行政一致の問題と関連して、必ずしもそのとおりにそれが各府県の事情でいきにくいこともあるかもわかりません。したがってそういうことになりますと、具体的にはこれは地方財政の問題でありますから、各府県の実情によっていろい差がございます。したがって、その実情に応じて財源措置に困難を来たすような県については、これは地方財政の問題として具体的に自治省と御相談を願って進めていくというやり方をとってもらいたい、こう考えております。たとえば高等学校授業料値上げの問題につきましても、私は授業料値上げは好ましくない。したがって、これについては各府県で要望しております具体的な方法というものは、必ずしも地方財政法改正のためだけとは考えられませんけれども、しかし地方財政法一般の問題としてその中でこれを扱うということになりますとやはりお困りの県がございますので、具体的な財政計画は自治省と相談をして、困る面は十分自治省のほうで見てもらう、その上で進めてらいたいという指導をとったわけであります。そういう方向で私どもは今後問題の県については具体的に自治省等と相談をしながら進めてもらうという考え方をとりたいと考えております。
  86. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 自治省にお尋ねいたします。具体的な問題です。急増で地元の市町村が三分の一なりの寄付をする、その金額が大体一億円だったとします。ところが市町村の財政では一億円というお金を一年度で払い込むことはできない。そこで県のほうと契約をしまして、四カ年で分割納入をするということを協定した。そうしてことし三十八年度においてそのうちの二千五百万円を払い、残りの七千五百万円は三十九年度から三カ年にわたって払っていく、こういう契約を取りかわした。ところが法律ができた。今後昭和三十九年度の四月一日からは取り立てることはできないということになる。こうなりますと、あとの七千五百万円についてはこれは払わなくてもいいのか、払うようにするのが正しいのか、その指導はどうなさいますか。
  87. 柴田政府委員(柴田護)

    ○柴田政府委員 その問題があることをごく最近私どもは発見いたしました。どういうぐあいに持っていくかということは目下検討いたしておりますけれども、いままでの扱いは、三十九年度から禁止規定が動くわけですから、三十八年度において契約をして事務的なものになってしまったものは一応法律違反にはならない。法律違反にはならないということになっておるわけでありますが、ただそのやり方は実際問題としては私は適当とは考えておりません。したがって、何らかの方法でこれを合理化するようなことを考えていかなければならない。まだ具体的にどうするということをはっきり申し上げる段階でありませんけれども、そういう方法で検討いたしております。
  88. 村山(喜)委員(村山喜一)

    村山(喜)委員 そういうような法律の制定に伴って地元の市町村の寄付金が禁止をされるということはきわめてけっこうなことでありますけれども、それだけ今度はその波が勢い急増計画の上に影響が出てくる、さらにまた、高等学校の整備計画の上に支障が出てくる、あるいは基準財政需要額の計算基礎の中で三十六億円の財源措置をされましても、先ほど説明がありました百八十七億円の財源措置急増対策として、今度の三十九年度予算の中で措置をされましても、カバーし切れない問題が出てくる。私は具体的な一つ一つの事例を取り上げてこの点についてはどうかという問題をここで取り上げる時間の余裕がありませんので、今後の問題として、やはり自治省と文部省と十分に相談をなさった上で、この高等学校急増対策の問題等には万遺憾のないように措置していただきたいということを要望申し上げますと同時に、先ほど文部大臣がそういうような父母の声を聞こうということをお示しいただきましたので、その点了といたしまして、私の質問は本日はこれで終わります。
  89. 上村委員長代理(上村千一郎)

    ○上村委員長代理 三木喜夫君。
  90. 三木(喜)委員(三木喜夫)

    ○三木(喜)委員 この前青少年の非行問題につきまして本委員会質問をいたした。それは主として青少年の非行の原因がどこからきておるかという問題についてでございました。その後同僚議員長谷川委員のほうから、青少年の環境についての質問が行なわれ、なお同じく落合委員のほうからは、少年院と少年の保護収容施設をめぐる問題についての質問があったわけです。私はきょうこの問題の総括として、これらの青少年非行に対するところの対策をお聞きいたしたいと思うのです。時間もかなり過ぎておりますけれども、警察庁からも法務省からも総理府からもおいでいただいておりますので、各責任ある方々にひとつその対策をお聞きいたしたいと思うのです。  御存じのように、この問題を取り上げましたのは、先般一月十九日、日立において少年三人組みによって殺人がいとも簡単に行なわれておる。続いて二月三日、少年三人によるところの機動強盗をやって連続六件の犯罪を同一人らがやっておる。さらに続いて二月五日、千住においても中学生がアパートの主婦を襲っておる。同じく二月十二日に千住で中学生ら三人がナイフを手に、お茶代かせぎを連続強盗の形においてやっておる。ここでこの前も申し上げましたように、警視庁にいたしましてもあるいは報道機関にいたしましても、さらに教育関係者の中において、これは非常事態だ。これに対処するところの方法をとらなければならないというようなことを言っておるわけです。そういう意味合いで私はこの前この問題を提起したわけでございますが、さて文部省としては、本年度の予算の上でにらみ合わせてみましても、非行対策としてどれだけこれを重視しておるか、まずその対策をお聞きしたいと思います。
  91. 齋藤(正)政府委員(齋藤正)

    ○齋藤(正)政府委員 社会教育関係で申しますれば、やはり青年に教育あるいは健全な活動の場所を与えるということを第一に考えまして、青年のそのような教育ないし、活動の場所といたしまして、施設としては公立の青年の家等の拡充、また学習の場所といたしましては青年学級、勤学青年学級等々の拡充充実ということ、それから団体のいろいろな活動あるいは子供会等の活動の面におきましては、団体の助成あるいは指導者の養成の機関の充実ということをいたしております。また青少年の目に触れるものといたしまして、積極面で映画等の選定あるいはそのいいものを青少年に広く安く見せる機会を拡充させるための早朝興行の実施というようなことをやり、また先般お答えしましたように、家庭の教育的な機能というものを重視しますがゆえに、両親の子供の指導、しつけに関することにつきまして考えていただく場所を拡充するという意味におきまして、家庭教育学級運営費補助金を新設する等の措置をとったわけでございます。
  92. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 学校教育の面におきましては、直接に生徒の非行、不良化いたしまして、生徒指導を強化する意味におきまして生徒指導の研究校というようなものを設け、これを中学校で各府県及び六大都市に一校ずつ、あるいは高等学校についてはブロックに一校程度でございまますけれども、三百六十三万二千円という経費を計上いたしております。またそのほかに、生徒指導についてはいろいろ専門的な知識が必要でございます。そういう意味で、各方面の権威の方でそういう生徒指導のための先生の資料というものを作成して、それを関係の方々にお配りする経費として九百三十万四千円を計上いたしております。そのほか生徒指導につきましては、全体の教科のそれぞれの先生方ももちろんでございまが、いままでの生徒指導の実態を見ますと、やはりそういう生徒の指導についての専門的ないろいろな事柄についての知識も、十分備わっていないというような気もいたしますので、そういう点からこれに対する講習会の開催等に約三百十万円ばかりでありますが、計上いたしております。合計いたしまして、学校教育の面で千六百万程度でございまます。昨年よりも若干ふえておりますが、そのほかに生徒指導のための指導主事、これはいわゆるカウンセラーに相当するものでありますが、カウンセラーの役目を果たすような指導主事を置きたいということで、来年度の予算といたしまして、数はまだ末定でございますけれども、家庭指導主事の二百八十人ばかりのワクの中で必要な数をこれに充てたいというような考え方でいま準備をいたしておるわけであります。来年度予算としては大体そういうようなことでございます。
  93. 三木(喜)委員(三木喜夫)

    ○三木(喜)委員 青少年問題については、この前の理事会でも、非常に問題のある社会環境につきましては文教委員としての視察等も加味して、総合的な観点に立って考えていこうという企てがあるようでありますので、きょうは時間もございませんので、ごく概略お聞きするだけにしておいて、またあとの機会に譲りたいと思います。  ただ一つ文部省に申し上げておきたいことは、福世武次という児童作家が「“現代っ子”の七つの悩み」というものを書いておられます。その中で、まず第一番に金、二番目に宿題、三番目にテスト、四番目はできる子とできない子の差別感があるということ、五番目に進学、六番目にセックス、七番目に劣等感、この七つをあげております。金はもちろん、長谷川委員が指摘いたしましたように、深夜喫茶とかボーリング場とか、そのほか問題のところに金が要るのですから、この検討も必要です。宿題の問題があげられておりますが、上野警察で二十五名の家出をしておるところの児童生徒について調べてみると、宿題ができなかったからということを言っておりますし、新宿で補導を受けた百名について調べてみますと、宿題、受験勉強というものに非常におびえておる、こういう線が出ておるわけです。以下こういう問題について警察庁からもおいでになっておるから聞きたいと思いますが、それからテストの問題につきましても非常に最近おびえておる。それから差別感というのは、いつも言うように進学組と就職組に分かれておる、こういうところに問題があると思うのです。それから、進学についてはできない子供が劣等感を持つ、中には敵対意識を持つ、これは非常に私は問題だと思うのです。そこで、進学問題あるいはテスト、宿題、就職組、進学組、こういうようなことにならざるを得ぬ必然性に対して、文部省はこの際何とか考えてみる気はないですか。これがやはりこの前原因を追及して皆さんとともに考えた、そのことの意義だと私は思うのですが、いかがですか。
  94. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 ただいまお触れになりましたような事柄も若干私どもも耳にいたします。したがって、この学校教育のあり方と申しますかやり方の問題になるわけでございます。現在の学校教育の中で宿題の問題その他進学の問題あるいは就職の問題、そういういろいろな学校教育の本旨に関連を持つ問題が少なくないと思います。現在の状態が必らずしも満足すべき状態でないということは私どもも重々承知いたしております。したがいまして、よりよくこの教育のあり方というものを改善していくためには、私どもも絶えず今後も研究してまいりたいと思いますし、また私どもだけではなかなか具体的な問題について手の回らないところもございます。そういった点につきましては、やはり制度の問題、教育内容のあり方の問題等については、十分ひとつ専門家の意見も聞きながら検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  95. 三木(喜)委員(三木喜夫)

    ○三木(喜)委員 そうしたら、文部省としてはこういう問題についても考えてみる、こういうように受け取っていいわけですか。
  96. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 私ども事務当局としてはそういう批判があれば、絶えずそういうものについては十分検討してまいりたい、こういう心組みでございます。
  97. 三木(喜)委員(三木喜夫)

    ○三木(喜)委員 何か焦点がぼけたような御答弁ですが、そういう批判があればということですが、私はやはり教育問題全体として政策的に考えていかなければならないのではないか。現在政治が高度経済成長政策をとっており、人間能力を開発する必要が非常にある。それはわかるのですが、それが至上命令であるかのごとく言われておって、青少年がすべてこれに奉げをするというような、こういう計画で進められることに問題があると私は思うのです。それから技術革新、青少年の科学技術、基礎学力、こういうものを計画的に開発をするということはいいと思うのです。言い直しますと技術革新で生産力が飛躍的に高まり、そうして青少年の科学教育ということが大事であるということもわかります。人間能力の開発ということも大事でありますけれどもその一方人間疎外というような欠陥が出てきておる面に対しまして目を向けなければならぬ、こういうことを言っておるわけです。文部省は前向きの形で、右手の問題に対しましては積極的でありますけれども、その反面に出てくるところの問題に対しまして、非常に消極的だということを私は言っておるわけです。  そこでいまの予算について見ますと、なるほど予算は十倍になった。いま福田局長は若干ふえたということを言っておりますけれども、青少年不良化防止予算として、前年度の十倍千六百余万円、内容としては生徒指導推進校の設置、指導資料主事の講習会、これはマイナスの面に対するところの積極的な策ではない。ただ通牒を流すとか、訓示をするという形をとっておるのだ。そういう人さえ教育しておけばよいという考え方ですけれども、そういうことでは、やはり最も痛いところ、最も欠陥のところというものが的確に押えられておるとは言えないと私は思うのです。文部大臣は先般の所信表明で、国民希望しておるところ、言わんとしておるところを的確に押えていきたい、このように述べておられるのですけれども、事務当局のいまの答弁では、十倍になったとはいうものの、たった千六百万円じゃないのですか。私たち予算においても画期的な予算を組むとか、あるいは態度をその方向にまつ正面に向けるというようにあってもらいたいということを言っておる。もう一回マイナス面にどういう―非常にマイナスが出てきております。人的能力の開発、科学技術教育の促進あるいは高度経済成長政策、こういう裏に出てきておる問題が非行化の問題であり、入学難の問題であり、高校進学の問題であり、いろいろになってきておるので、先がたは高校進学の問題で皆さんにお聞きをしたわけです。聞きたいところ、的確につかむところはそれでないかと思います。もう一度聞かして下さい。
  98. 福田政府委員(福田繁)

    ○福田政府委員 私先ほど申し上げました予算は、青少年の不良化問題について学校の中で取り上げる問題として、局限されたものを申し上げたわけであります。三木委員の御指摘になりましたような積極的な面を考えますと、これは予算全体がそういうものだと言っても差しつかえなかろうと思います。しかしながらいろいろ具体的に措置いたします場合には、単なる通牒だけ出してよろしいというものでなくて、私どもやはり先生方の中にそういう専門的な指導能力を身につけた方ができてくるということ、数はすぐには多くなりませんけれども、だんだんそういうものを多くしながら、りっぱな先生をつくっていくということが必要であろうと思うのです。そういった意味で三十九年度は第一着手として、そういう予算を計上したということでございまして、最近のように社会が複雑化してまいります、またいろいろないわゆる文化の各面にわたり物質的な面が非常に強く出てまいりますと、いま御指摘のような人間疎外というようなことも起こりがちでございます。したがって私どもとしてはやはり基本的には人間尊重というような線に基づいた道徳教育というものが必要であろうと考えております。そういった面はやはり教育の現場で十分青少年の指導を果たし、また道徳教育も十分やっていただけるような体制をつくっていくことが必要ではないかというように考えて、そういう必要な予算も三十九年度には計上いたしておるわけでございます。
  99. 三木(喜)委員(三木喜夫)

    ○三木(喜)委員 道徳教育の問題についてはまた別のときに、私も意見を持っておりますから申し上げたいと思います。きょうは時間がありませんから触れませんが、いまのお話の中で非常に気になることがある。りっぱな先生方がおられるから、これにりっぱな指導のできるように再度やりたい、そうすると、いまのワクの中でもう一ぺん先生を教育する。そうするとそれだけ仕事が多くなるわけですね。現実に文部省の調査では、一週十一時間の時間オーバーをしているのですね。その上になお青少年の非行問題これはしないというのではないのでしょう。大事だ、先生も一緒に取り組まなければならないと言いたいのでしょうけれども、しかしそういうことになれば、だんだんオーバーワークになるのじゃないですか。そこを根本的に考えてもらいたい。もちろん福田初中局長も言われましたように、制度の問題として、あるいはその他の問題としてはまだ考えるべきところはたくさんある、このように仰せられておりますから、それでけっこうですけれども、これはまた後ほど文部省の態度として承りたいと思います。  ただ、社会教育局長にお尋ね申し上げたいのは、大臣もこれは聞いておっていただきたいと思うのでありますが、こういうもののとらえ方では私は困ると思うのです。きょうの答弁を聞いておっても、何か問題を的確にとらえていない。緊急事態だ、重大だというようなとらえ方を一つもあなたはなさっていない。普通の活動部面を与えるとかいままでもそんな活動部面を与えておったじゃないですか。それでもだんだん非行青少年がふえてきた。こういう社会教育のあり方では問題です。家庭教育のあり方をやります――やっておったじゃないですか。あなたの考え方には、こんな考え方があるのではないですか。私はこの新聞を見て驚いたのですが、二月十二日の教育学術新聞です。そんなことはなければないとおっしゃってください。「独りユウユウとしているのが文部省の斎藤正社会教育局長。「どうも社会教育プロパーの質問が国会で行なわれることは少ないようですね。ことしになってからは一、二度、内閣委や法務委との関連で合同審査に呼ばれたことはありますが、あとはずうっと本省がガン張っております。ま、世の中も安定して、すべての文教施策は充実期に入ったというところでしょうかね…」と最近も往訪の記者にニコニコ語っていた。まずはケッコウなご身という次第。」と書いてある。こういう皮肉が出ておるのです。こういう非常事態に、私は非常事態だと思うが、あなたはこういうことを言ったのですか。
  100. 齋藤(正)政府委員(齋藤正)

    ○齋藤(正)政府委員 私が他の局に比べて国会へ出る機会が少ないということを申し上げたのであります。私別にたくさんの仕事をかかえておりまして、別に遊んでおるわけではございません。
  101. 三木(喜)委員(三木喜夫)

    ○三木(喜)委員 そういう問題はまた後ほどやることにしたいと思います。  続いて、青少年問題協議会からお越しいただいておりますので、対策をお聞きしたいと思います。
  102. 西田政府委員(西田剛)

    ○西田政府委員 青少年問題協議会では青少年の健全育成面から消極的な非行防止面にわたりまして、関係各省庁にわたる仕事の主として連絡調整に当たっておりますが、青少年問題に対する対策といたしましては、それらの各分野を含めまして、毎年重点事項を策定いたしまして、それらが予算化されるように努力をいたしております。特に先般来お話の中心になっております青少年の非行対策につきましては、青少年の非行が集団化されてきている特色等もありましたので、三十八年七月に関係各省庁と何回も会議を行ないまして、これに対する対策要綱を策定をいたしました。そのうちすぐに実施し得るものは実施していただいておりますし、予算を伴うものにつきましては関係各省庁にそれぞれ具体化をお願いをいたしておるような次第でございます。  なお、中青協といたしましては、やはり地方に青少年のための協議会がございますので、毎年重点事項をきめまして、青少年の保護育成運動目標を立て、そうして国民的な運動をねらっておりますが、それらの中にも非行対策という点も毎年重点事項に取り上げまして、その年々の傾向等を勘案いたしまして、対策を立てておるような状況でございます。今年はオリンピックもあることでございますから、公徳心の高揚ということと非行防止、これは社会環境の浄化等も含めまして、いろいろとこさいな項目を立てております。  それから勤労青少年の保護育成、また教育の機会均等、これらを運動目標に取り上げまして、一年間を通じ実施をいたすようにいたしております。またそれらを通じてブロック会議等各府県に趣旨徹底をはかりまして、要するに、府県の盛り上がり、地方の盛り上がり機運を醸成いたしまして、全体として青少年問題に取り組んでいくことが必要ではなかろうか。いろいろと対策につきましては、具体的には各省それぞれのお知恵をもちましてたくさんなものが考えられております。しかしどれがきめ手というわけにもまいりませんので、それぞれのものをたんねんに積み上げてやっていくということが全体としての基本的な姿勢になるのではないかというふうに考えております。またさような点にかんがみまして、仕事柄関係各省庁が十省庁に及びます関係で、私どもその連絡に十分に意を注ぐというような点で、いままでとかくこの種の行政がばらばらではないかという批判に対しては十分にこたえてまいりたい、かように存じております。
  103. 三木(喜)委員(三木喜夫)

    ○三木(喜)委員 なるほど、ここに青少年保護育成運動要綱があって、公徳心高揚、非行防止の柱を立てておられる。さらに青少年局を設置して、役所としての重みといいますか、そういうものをつけようとしておる。しかしながら、現実にそれだけの仕事をやっておられたら、先ほどもあなたの口から出ておったように、十省庁にわたっての問題だからばらばらになる。それをばらばらにしないということを言っておられるけれども、ばらばらであるということを認めておられるわけです。それはどこからきておるかというと、結局人手が少ないということじゃないか。そういう点をやはりこの際抜本的に改革していくという考えがなければ私はいけないと思う。なるほど、本年オリンピックを迎えて青少年保護育成運動が非常に重要であるということもわかりますし、この必要もわかるわけですけれども、そういう点が私はやはり非常に消極的ではないかと思うのです。この間も青少年問題協議会に電話をいたしますと、ずいぶんみな夜おそくまで御迷惑をかけております。お力添えを得ておるのを見たのですが、そういう点はどうですか。
  104. 西田政府委員(西田剛)

    ○西田政府委員 私どもの考えでは、先ほど来お話が出ておるように、十省庁に及びまして、個々の問題をあげますと何百というような関連した事項がございます。そのうちには、差し迫った、臨床的な対策的なものもございましょうが、そのうちどういうものをまとめたほうがいいかというような問題になりますと、これはなかなかむずかしい問題でございます。私どもの基本的な考え方としましては、先般来お話の出ておりますような点はいずれも青少年の問題と関連はいたしておりますけれども、主としてこれは文部省でやっていただく仕事だと私は思っております。それで、私どもの考え方としましては、同じような、母子の関係の福祉増進とか、家庭教育とか、あるいは身体障害者とか、あるいは経済的に豊かでない家庭に対する関係、こういうものも非行とは全部からんできております。さような面を考えてまいりますと、さような面ではやはり厚生省が親行政の源として、それとの関連で大きな線でこれを推し進めていかなければならないのではないか、かように私ども考えております。それで、私どもも予算上はこの四月からはお認め願うような方向で御審議を願っておりますけれども、考え方としましては、各省のそれぞれの親行政が十分に生かされるような形で、相互に重複したり、あるいはその間に谷間があったりすることがないように、あるいは各省にオーバーラップしたら、どの省もやりにくいというような仕事もないわけではございませんので、そういう点につきまして、私どもが積極的にお世話をしてまいりたい、かように考えております。
  105. 三木(喜)委員(三木喜夫)

    ○三木(喜)委員 その問題については、総合的な問題について、お互いに意見を交換しなければならないときがありますので、残しておきたいと思います。いま基本的な考え方だけを聞いておきたいと思います。  それから、警察庁も来ていただいておりますから、警察庁にお聞きしたいのですが、先般も触れましたように、連続強盗に対して警視庁は異例の追及をやる。しかしながら、だんだんそうやってみるとわからぬ。非常事態だということはわかるけれども、原因とか動機とかいうようなものが、調べれば調べるほどむずかしい、こういうように言っております。そうして異例の追及をなったわけですが、警察庁としてどういう結論に達せられたのです。
  106. 楢崎説明員(楢崎健次郎)

    ○楢崎説明員 最近の数々の事件につきましては、御承知のような情勢でもありますし、非常な関心を持ちまして、警視庁ほかその原因、動機の追及、あるいは環境の調査というようなことをやっております。具体的に個々の事件については、現在その調査を続行中でありまして、ここで結論をどうだということを申し上げる段階には入っておりません。いずれにしましても、最近の少年犯罪と申しますのが非常にある意味では複雑で根深いものがある。また、ある意味では非常に単純な衝動的な、発作的な行動によって行なわれる。そういったことで、これにつきましては非常に社会的なあるいは科学的な調査が必要であるというようなことで、専門の少年関係の警察官、あるいは科学警察研究所そういったところに委託して、原因を調査してその対策を強力に推進したいと思います。
  107. 三木(喜)委員(三木喜夫)

    ○三木(喜)委員 原因は非常に根深い。この探求は私は必要だと思うのです。しかしながら、犯行をやる場合には、非常にいとも簡単に行なわれる、これがいまの青少年犯罪の特徴です。集団化する青少年犯罪はそういう傾向を持っている。二人、三人になりますと、簡単にすべり出してしまう。しかしながら、その背景は非常に深い。原因はそこで初中局長に先がたお尋ねしたわけなんです。考えるということでございますし、あなたのほうでもお考えになるということですが、さて、考えてみると、いっその結論が出ますか。考えておる間にどんどん犯罪は起ってきますよ。
  108. 楢崎説明員(楢崎健次郎)

    ○楢崎説明員 それぞれのケースにつきましては、そういう調査を行なっておりますが、警察の少年活動といたしましては、当面の警察少年活動の重点目標というものをそれぞれ定めまして、すでに御承知のことでありましょうが、非行少年の早期発見、これに対する適切な処遇、あるいは少年の非行を助長する、あるいは福祉を害する犯罪の取り締まり、あるいは非行防止のための関係諸機関との総合的な活動の一員として積極的な地域活動に参加する、こういった三点を定めて、強力にこれを推進していきたいと思います。御承知のように、本国会におきましても、風俗営業等取締法の改正を提案いたしております。それぞれの措置については現在努力をしておる、こういうことでございます。
  109. 三木(喜)委員(三木喜夫)

    ○三木(喜)委員 先般長谷川委員質問の中で、ボーリングや深夜喫茶、こういうものに対してある程度規制をしなければいけないのではないか、自主規制だけではおさまらぬ現状ですね。しかしながら、これは憲法のたてまえもあり、法律上のたてまえもありますので、どの程度規制がきくかということについての御研究をしていただきたい。この次のときに、この点についてそういう現場を見てまいりたいと思いますから、法のたてまえからひとつ御答弁をいただきたいと思います。  続きまして、法務省のほうから見えていただいておりますからお聞きしたい。これは先般の委員会でも問題になっておったところです。青少年犯罪が、おとなが年間四十万、それに対して青少年が、二十万、その二十万の上に交通事犯の七十五万を加えると、百万の子供が犯罪を犯しておる。警察に補導された者をあげると五、六倍になる。だから五百万です。こういう実態をとらえて家庭裁判所は甘いという批判があるが、そういう家庭裁判所の判事が甘いということは納得できないということを、家庭裁判所の首席調査官の日野照彦氏が言っておられます。私もそう思うのですが、さて先般の質問の中で、保護司さん、それから保護観察官、こういう人がいま非常に犯罪青少年が多くなったために手不足の状況になる。そこに問題の焦点を置かなくて、ただこういうような誹謗だけではいけないと思うのです。その点法務省からおいでになっておる根岸検事さん、副島教育課長さんのほうでどう見られるか、ひとつ伺いたい。
  110. 副島説明員(副島和穂)

    ○副島説明員 その件は根岸検事のほうから答えさせていただきます。
  111. 根岸説明員(根岸重治)

    ○根岸説明員 私は検察庁関係の仕事をやっておるわけでございますけれども、御承知のように、検察庁といたしましては、現在の少年法のたてまえ上、検事の権限が極端に狭められております。したがいまして、現在の処遇は一切家庭裁判所におまかせするという以外にないのでございますが、検察庁といたしましてもでき得る限り家庭裁判所に事件を送致する前の資質環境あるいは非行事実の捜査に十分力を注いでおるわけでございます。  なお、いま御指摘のありました保護司さん、あるいは保護観察官の人員が足りないというような点でございますが、これは私の専門外ではございますが、保護局のほうといたしましてもその点について何とか人員を充実さすようにいろいろ努力しておるように聞いております。なお、少年院あるいは少年鑑別所関係につきましては、副島教育課長がその担当の直接の責任者でございますから、副島さんから答えていただければと思うのです。
  112. 三木(喜)委員(三木喜夫)

    ○三木(喜)委員 この前の答弁では、少年院が六十五、そして収容人員が九千人、こういうお話でした。私もこの問題を調べてみたいと思いまして各少年院を回ってみました。現実、少年院の仕事としては、いわゆる教育しなければなりませんし、指導しなければならないから職業方面の手当てをしなければならない。こういうところで全然手が回らない。これでは少年院へ入れたらよけい悪くなって出てくる。これ以外にない、こういうことを少年院で聞きました。これでは非常に私は問題があるのではないか、こういうことを思ったんですが、この週刊誌を見ますと、そういうことが書いてある。「現在、家裁としていちばん重い処罰は少年院に送ることだが、平野竜一東大教授の調べによると、十八歳から十九歳まで三百五十名の調査対象のうち、二十名くらいが検察庁送り(少年院に何回送ってもどうにもならない者)となっており、その半分以上が執行猶予になるという数字が出ている。五回も六回も少年院に送られた少年にして、半分以上が執行猶予になってしまうのだ。この矛盾をどう解決するか。」ということが書いてある。私はその中にはうり込んでこらしめるということを言うんではなくて、そこで指導ができないからそういう害毒を持った青少年がまた出てきて、一般の罪のない青少年にまた伝播していく、こういうことを思うのですね。そこできょう御答弁としていただきたいと私が希望することは、抜本的にこういうところの費用、それから人員の充実ということを法務省のお二人からお聞きしたがったわけなんですけれども、その点どうですか。
  113. 副島説明員(副島和穂)

    ○副島説明員 ただいまの件に関しましては、矯正局長からお答え申し上げるべきでございますが、きょうちょうどただいまのような問題に関しまして全国の管区の三部長を集めまして、協議会を開催いたしておりまして、司会をいたしておるために失礼させていただきまして、お許しを得て私からお答えさせていただきたいと思います。  ただいま御指摘いただきましたように、少年院の状態というものがまだ必ずしも十分でないわけでございます。と申しますのは、御承知のように昭和二十四年に新少年法及び少年院法が施行されまして、それが前年まで全国で少年院の本院が十二、分院が八でありましたものが、一挙に本院二十八、分院三十六と急増しなければならなくなりました。そのためにそれが民間の私設保護団体でありましたもの、あるいは旧軍施設というものを転用いたしまして、ようやく急場をしのいだわけでございます。民間の施設の転用が三十六、旧軍施設の転用が十一、とこういった状態で新法に対処をしたわけでございます。ただし、それらの施設青少年教育の場としてつくられておりませんために、早急にそれらの一部改造あるいは教室などの増築をやりまして、どうにか今日衣でしのいで参ったわけでございますが、一応それらの施設をどうにか使えるという点の改造は全部終わりましたけれども、本来十分な青少年教育活動のための施設としては不十分でございまます。その一部改造が終わりました直後から、直ちに全面改造の手を打ってまいりました。今日まで新設十一、完全改良をいたしました。現在それが進行中の施設が十二でございます。それらの進みますに連れまして、全部そういった施設を充実強化いたしたいといま思っておる次第でございます。  なお職員につきましてもきわめて過酷な勤務でございまして、十年前には当直が大体四日に一ぺん回ってまいりまして、その翌日非番を取るべき日もそのまま残さなければ翌日の指導に間に合わないという状況でございました。毎年努力を重ねてまいりまして、ようやく本年三十八年までで、四百五十名の増員を見まして、来年の予定が実施されますれば、どうにかその非番解消という部面だけは完全に解消するという段階にまでこぎつけておりますがその上は各教科の専門の教官、あるいは生活指導の専門家の充実のほうをはかってまいりたいと思っておるわけでございます。  なお教育内容につきましては、もちろんどの少年院も社会適応性というものの付与がきわめて重要でございますけれども、今日のあらゆる職種につきますときに、義務教育を終了しておらないとなかなかつけないという面もございます。また少年院の在院者の中には約一千八百名近くの義務教育適用年齢の者も入っておるわけでございます。これらの少年につきましては、そういった生活指導の上に義務教育を終了させてやるということが急務と考えまして、それらの少年の義務教育の完全履修ということを低年齢の少年には重点としてやっております。ただその義務教育を終わりました者については、生活指導のほかに、社会に帰って自立さしていくだけの技術を与えてやらなければどうにもならない。しかもその技術が院側でも十分と思い、本人もいいと思うだけでなくて、やはり社会で認められる技術でなければならないという観点から、職業訓練法に基づきます訓練を終了させるということを三年前から重点事項として取り上げまして、昨年十月ようやく労働省の職業訓練局長の御了承を得まして、整備の済みました施設からその卒業生に対しまして、職業訓練局長名をもって、職業訓練法に定める訓練を終了した者だという証明書をいただくところまでこぎつけてまいりました。今後さらに二年ないし三年かけて、そういった少年の職業訓練施設の充実をはかりたいと思っております。そういう努力を今後続けることによってのみ少年が社会に帰って自立するための方策になるのではなかろうかと考えております。
  114. 三木(喜)委員(三木喜夫)

    ○三木(喜)委員 時間が来ましたから、最後に一点だけお聞きなりお願いをしておいて、自後またこの問題について取り扱われるようですから、その節に譲りたいと思うのですが、文部省青少年問題協議会、この二つの役所につきまして青少年非行対策という総合対策をひとつ具体的に立ててもらいたい。この次の会合までにそれをお願いしておきたいと思います。これをやらなかったら、いま青少年問題協議会のほうから言われましたように、いつもばらばらであるという印象が非常に強いわけです。そしてそのために進むべきものが進まなくてブレーキになるということがありますから、ひとつその点をよろしくお願いしたいということ。それからこれは法務省のほうにお願いしておきたいと思うのですが、少年関係法がそれぞればらばらになっておる。その点で非常に青少年の補導に差しつかえができておるように思いますから、この点も法務省においてひとつ問題点を指摘し、ここを整備するという点を出していただきたい。これをこの次までにお願いをしておきまして、私の質問は一応終わりたいと思います。
  115. 上村委員長代理(上村千一郎)

    ○上村委員長代理 次会は明後二十八日金曜日、午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会