○副島
説明員 ただいまの件に関しましては、矯正
局長からお答え申し上げるべきでございますが、きょうちょうどただいまのような問題に関しまして
全国の管区の三部長を集めまして、協議会を開催いたしておりまして、司会をいたしておるために失礼させていただきまして、お許しを得て私からお答えさせていただきたいと思います。
ただいま御指摘いただきましたように、少年院の状態というものがまだ必ずしも十分でないわけでございます。と申しますのは、御
承知のように
昭和二十四年に新少年法及び少年院法が施行されまして、それが前年まで
全国で少年院の本院が十二、分院が八でありましたものが、一挙に本院二十八、分院三十六と急増しなければならなくなりました。そのためにそれが民間の私設保護団体でありましたもの、あるいは旧軍
施設というものを転用いたしまして、ようやく急場をしのいだわけでございます。民間の
施設の転用が三十六、旧軍
施設の転用が十一、とこういった状態で新法に対処をしたわけでございます。ただし、それらの
施設が
青少年の
教育の場としてつくられておりませんために、早急にそれらの一部改造あるいは教室などの
増築をやりまして、どうにか今日衣でしのいで参ったわけでございますが、一応それらの
施設をどうにか使えるという点の改造は全部終わりましたけれども、本来十分な
青少年の
教育活動のための
施設としては不十分でございまます。その一部改造が終わりました直後から、直ちに全面改造の手を打ってまいりました。今日まで
新設十一、完全改良をいたしました。現在それが進行中の
施設が十二でございます。それらの進みますに連れまして、全部そういった
施設を充実強化いたしたいといま思っておる次第でございます。
なお職員につきましてもきわめて過酷な勤務でございまして、十年前には当直が大体四日に一ぺん回ってまいりまして、その翌日非番を取るべき日もそのまま残さなければ翌日の指導に間に合わないという状況でございました。毎年努力を重ねてまいりまして、ようやく本年三十八年までで、四百五十名の増員を見まして、来年の予定が実施されますれば、どうにかその非番解消という部面だけは完全に解消するという段階にまでこぎつけておりますがその上は各教科の専門の教官、あるいは生活指導の専門家の充実のほうをはかってまいりたいと思っておるわけでございます。
なお
教育の
内容につきましては、もちろんどの少年院も社会適応性というものの付与がきわめて重要でございますけれども、今日のあらゆる職種につきますときに、
義務教育を終了しておらないとなかなかつけないという面もございます。また少年院の在院者の中には約一千八百名近くの
義務教育適用年齢の者も入っておるわけでございます。これらの少年につきましては、そういった生活指導の上に
義務教育を終了させてやるということが急務と考えまして、それらの少年の
義務教育の完全履修ということを低年齢の少年には重点としてやっております。ただその
義務教育を終わりました者については、生活指導のほかに、社会に帰って自立さしていくだけの技術を与えてやらなければどうにもならない。しかもその技術が院側でも十分と思い、本人もいいと思うだけでなくて、やはり社会で認められる技術でなければならないという観点から、職業訓練法に基づきます訓練を終了させるということを三年前から重点事項として取り上げまして、昨年十月ようやく労働省の職業訓練
局長の御了承を得まして、整備の済みました
施設からその卒業生に対しまして、職業訓練
局長名をもって、職業訓練法に定める訓練を終了した者だという証明書をいただくところまでこぎつけてまいりました。今後さらに二年ないし三年かけて、そういった少年の職業訓練
施設の充実をはかりたいと思っております。そういう努力を今後続けることによってのみ少年が社会に帰って自立するための方策になるのではなかろうかと考えております。