○林
委員 どうも時間がないので、十分意見を戦わすわけにいかないのですが、
大臣がいまあげました理由について私のほうからの
見解をもう一度申し上げますが、それについて
お答えいただきたいと思います。
生産量が非常にあがってきて、
需給関係がまるくなってきた、したがって
一つは
輸出が
内需を圧迫しないでできるようになった。これはまあ
需給関係と
価格関係は区別しなければなりませんけれども、しかし
大臣のいまの答弁によりますと、このことが
価格にはね返ってきて、低廉な
価格を維持することができるような
一つの条件になったとおっしゃいますが、はたして
輸出が増大することが、
国内価格のコストダウンに作用するのかどうか。
輸出が増大するということはやはり国際的な
輸出カルテルの
関係からいって、むしろこれは
国内需要に負担がそれだけ増大することになるのじゃないか。こういう
要素を一面に持っておらないかどうか。したがって
輸出がふえるから、
国内価格がかえって農民のために有利になるということは言えないじゃないか、この点が
一つ。
それから豊富になったというのですが、豊富になればこれはコストダウンするのは当然です。またメーカーとしては長い間のいろいろの助成、それから租税上のいろいろの保護、それから
合理化の推進、こういうことからいって、先ほど
久保田委員は上がらないかと言いますが、私はむしろ下げるべきだと思います。上がらないかということを心配するのではなくて、国民に対してはメーカーは下げなければならない。下げなければならないし、
合理化が進んでいるところに下げなければ、これは超過利潤は保証されますから、むしろ固定の償却が非常に進んで、これからコストダウンができる段階があるのに、その段階にカルテルを結成して超過利潤を保証するということになりますれば、
国内の
需給関係が豊富になったから、本法によって値が下がる作用が起きるのだということにならないじゃないか。むしろ
国内需要が潤沢になれば、値が下がる要因がある。値が下がる要因は、メーカーに対しては好ましくない条件である。メーカーに対して好ましくない条件がある場合は、メーカーはそれに抵抗する。メーカーがそれに抵抗する場合に、むしろ強力に押える
措置こそが必要であって、そういうメーカーが、値が下がるのを値を下げないでカルテルで維持しようという要因がメーカーの中にあるときに、むしろ国家の統制を緩和して、当事者のカルテル
方式にするということは、これはむしろ下げるべき
価格——もちろん上がることはいけないのですが、むしろ
合理化が進み固定の償却が進んでいるのですから、これからコストを下げなければならない段階に、それを下げさせない、それを国家のコントロールから離して、その意欲を当事者にまかしておる、野放しにしてしまう、そうして相手は全購連だということになれば、これは必ずしも
需給が豊富になったということは、豊富になったことを理由にして本法を制定することは、
生産農民に対する正しい
価格の
決定の作用にならないじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
それから是正命令をお出しになると
農林大臣はおっしゃいましたが、どこの条項に是正命令を
大臣はお出しになることができるのか、そうしてそれはどのような
拘束力を、少なくとも二条と三条の
関係についてどのような
拘束力があるのか。おそらくこれは
大臣はいま「その取決めの変更を命じ、又はその締結を禁止しなければならない。」ということだと思いますけれども、しかしこれはこの二条の条項を見ますと、非常なまるい条件で、行政的な弾力性が非常にある。「不当に害するおそれがないこと。」とか、それから「相当の
比率を占めていること」とか、「その変更又は廃止」を命ずるときは、不当に害するおそれだとか、それからそういう必ずしも例示的にこの場合行政的な弾力性が厳格にきめられておらない。したがって不当に害するおそれというようなことがない場合はいいのだ、そういうように弾力性が、非常に幅が持たされているのじゃないかというように思うわけです。したがって
大臣の言う是正命令というものが、必ずしも
大臣の考えるような効力はないのじゃないか。もしそのようにお考えになるならば、ここは許可条項あるいは承認条項にすればいいのじゃないか。原則として取りきめることができるけれども、変更を命ずることができるのではなくて、承認を経て締結をすることができるというふうになぜしないのか、一歩進めてそういうふうに考えます。
それから調停については、これは
大臣もうおわかりのように、相当期間にわたり努力するとか、それから双方またはいずれか一方から一定の申請があった場合には、特に必要があると認める場合とか、あるいはその調停は、どんな期間内に調停をなさなければならないかというような期限的な制限もなければ、たとえば翌
肥料年度にわたっても調停権を発動するかしないか見ることもできる。また「調停を行なうものとする。」というだけであって、調停に応じない場合はどのような強制力が生ずるかというようなことも別にありませんので、これをもって
大臣のおっしゃるような効力が必ずしも生ずるかどうかわからぬ。しかも必要な勧奨または助言を行なう、そしてさらにその上に調停ということになりますが、これは必要な勧奨または助言についても
拘束力がないということになりますれば、これは必ずしも
大臣の言うように
価格の点について、
生産農民の側に立ってコントロールすることができるという機能が、本法ではないように思いますけれども、その点についての
見解を聞かしていただきたいと思います。