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赤城国務大臣 先ごろの
池田内閣の改造にあたりまして、不肖私、引き続き
農林大臣の
仕事をすることに相なりました。
前任中、当
委員会の
各位からあるいは
委員会全体といたしまして、私の
農政を
推進する上におきまして、いろいろな御教示を賜わったり、あるいはまた御
協力、
推進をいたしてくださいましたことにつきまして、このお礼をも兼ねて、重任のご
あいさつを申し上げたいと思います。
農林水産政策につきましては、すでに曲り角どころか、壁にぶつかっているというような批評もあるくらいに、難問題が相当山積いたしておると思います。この
解決につきましては、まことに微力でございますが、熱意を持って当たるつもりでございますので、引き続き
一段の御
協力、御
鞭撻のほどを心からお願いする次第でございます。
農業政策全体につきましては、昨
年度に四つの柱といたしまして、
土地基盤の
整備、
農業構造の
改善、
流通価格対策、
金融制度の
改善、こういう問題を掲げて、その端緒といいますか、ある
部分につきましてはその糸口をつくりつつ今日まで参っておるのでございます。しかし、われわれの考えておる、また
各位におきまして憂慮しておる問題の
推進が、なかなか思うようにいかないのは御
承知のとおりでございます。私といたしましては、この
考え方をさらに
推進するつもりでございますが、特に最近の
農業あるいは
漁業の
労働力の
一転出といいますか、
農山漁村を離れていく傾向が非常に多いことはいなめない事実でございます。三十七
年度に七十万からの人が出ましたが、三十八
年度の最新の統計によりましても、六十数万の
人々が出ておるような次第でございます。こういうようなことでございまするというと、やはり
農業と他
産業との
所得の
格差を是正し、あるいは
生活水準の
均衡を得せしめる一方におきまして、
食糧をまかなっていかなければならない
農山漁村といたしまして、この
解決をする上に非常に難局に直面しているという感じがいたします。でありますので、依然として
生産基盤の
強化拡大をしていく、そうして
近代化の線に沿わしめるというような
政策は、非常に基本的な問題でありますけれども、従来手をつけておったことに対しまして、さらに強化することが必要ではないかと痛切に考えておるようなわけでございます。どうしても
自立経営規模が
拡大できるような
方向——私は再々申し上げておりますが、
自立経営規模の
拡大というものが、個人の
経営の
拡大と同時に、
共同によっての
拡大ということも当然考えていかなければならぬというふうに思うのでございます。そういう
意味によりまして、量的には、
農村を離れて、しかも
土地を直接残っておる人に売り渡すのにはちゅうちょをしているというような向きもございます。そういうような場合におきまして、第三の
機関を設けるか、あるいは第三の
機関でなく、ほかの現在の
機関に扱わせるかということはまだきめてはおりませんけれども、そういう第三者の
機関によって、
土地を売り渡してもいいというような希望を持っている人から、第三
機関において
土地を買い求めて、しばらくこれを保有しておくというような形で、
経営規模を
拡大しようという者に分配するといいますか、売り渡すというような
方向で第三の
機関を設けたらどうだろうか、そうして
経営規模の
拡大に資するというような形を考えて、その
方向を進めておるわけでございます。
同時に、これは
農林水産関係だけの
政策としては離れているかもしれませんが、最近の
兼業農家の増大、しかも
兼業農家が収入を得るという点においては、これはまあ欠くべからざる
一つの
兼業という形をとっておるのでございますから、これを私は否定する
気持ちは持ちませんが、ただ、他
産業における
受け入れ態勢が充実して安定しているということであるならば、そのほうに出てもよろしい、思い切って出てもいいというようなものも私はあると思います。でございますので、そういう
受け入れの
態勢等を整えて、一面においては他
産業に出て、安定してそこに
仕事を求めていけるということであるような方途も講じながら、
後継者といいますか、
農業を
維持していこうという者の
経営の
規模の
拡大に力を尽くしたい、こういうふうに考えております。
同時に、従来の
農林水産の
基盤の
整備ということは、強力に推し進めていきたい。特に
畜産との
関係もありますので、
山村地帯等における
自給飼料の資源としての
草地の
造成、これを大きく取り上げて、
経営規模の
拡大の
方向へ持っていきたいと考えておるわけであります。
なお、質的に申し上げますならば、やはり何といたしましても、耕地の質がよくなる、すなわち、
集団化とか、あるいはその他これに関連しての
圃場整備でございますが、そういうところに力を入れたい。しかし、何か貫くものがないと、せっかくいいものでもそれに進んでいきませんので、全国的に
農道及び
林道の
整備をしていく、こういう機運とともに、各町村でそういう
方向へ進めていく体制を誘導するといいますか、ともに
政府としてこれでひとつ線を貫いていこうじゃないか、その線が相当出てきて、
農道、
林道等ができてくるということになりますならば、その周辺の圃場の
整備というようなことも促進され、質的にそういう
改良がなされていく、こういうふうに考えておりますので、私はそういう
方向を進めていきたいと考えておるわけでございます。
第二には、
流通価格対策でございますが、
価格対策が
内外諸般の
情勢から非常に重大であることは、私から申し上げる必要もないと思います。この点につきまして、やはり
生産性の向上といいますか、これを
推進しつつ、そしてまた
自給度を
維持あるいは増そうというものと、あるいはそれほどやりたくてもなかなかでき得ないというようなものの、いろいろな選別といいますか、こういうものはあろうかと思います。しかしながら、とかく
農業基本法等におきまして、
食糧の
自給度といいますか、
生産を増すということが、おろそかにされているのじゃないかというような
疑念も、一般の
農家等において持っておらないとは限りません。そういう
疑念あるいは
誤解等を払拭して
自給度を増すということが、非常に困難な
情勢にございますけれども、
自給度を
維持していかなければならぬというようなものについては、これを各
方面からその
方向へ
裏づけをしていくといいますか、
維持強化をしていかなければならぬというふうに考えておりますけれども、同時に、
流通対策につきましては、むずかしい問題でございますけれども、依然として
生産者は安く売り、
消費者は高く買っているというような
状況がなかなか除かれません。これは、私は、
一つの安定があればいいので、
一つの安定で、その差が非常に少ないような形で、従来機構の
改革等に手をつけてきましたことをまた
推進いたし、また
価格対策も講じていきたい、こう思っております。
それに
畜産の問題でございますが、これは本
委員会等におきましても、
畜産の
問題等につきましてもっと掘り下げて
対策を講じろ、こういうような御
意見もしばしば聞かされておるのでございますが、私もそのとおりに考えております。そういう
意味におきまして、
草地の
造成等は、もちろん
自給飼料面を増す点におきまして重大な問題でございますから、そういう面に力を入れると同時に、
加工乳という
関係ももちろん大事でございますが、
飲用乳関係における
対策が少しおくれておるようなふうに感じております。でありますので、
飲用乳を中心としての
価格対策、あるいは
流通対策、あるいは
学校給食等における
消費の
拡大というふうな面を考え、また
飼料の面におきましても、いま
輸入飼料にだいぶ依存しております
現状といたしまして、やむを得ない面が相当ございます。この
濃厚飼料を全部切りかえろといっても、これは無理と存じますけれども、できるだけ粗
飼料等、
草地造成等による問題の
推進によって、
飼料の
問題等につきましても十分考えていかなければならぬというふうにいたしております。
そこで、いろいろ
政策を実行する上におきまして、先立つものは金といいますか、
予算の拘束が相当あるわけでございます。御
承知のように、
概算要求が昨
年度の三〇%以内というような申し合わせもございます。
農林関係におきましてはなかなかそういうことでやっておったのでは、考えの何分の一か何百分の一かぐらいを行なう程度になってしまうことを私はおそれておるのでございますから、そういう
意味におきまして、
予算の面におきましても、私は、
十分農林関係については
考慮を払わせなくちゃならぬし、払わなくちゃならぬじゃないかと、これからのいろいろな折衝やその他の面におきましても考えておるわけでございます。
特に、
予算の面と同じように
重大性を加えてきました
農林漁業関係の金融問題でございます。昨
年度相当この金融問題には手を加えまして
推進いたしたつもりでございますけれども、まだまだ意に満たない点が相当あります。そういう面の
改善等につきまして、これもまたいろいろむずかしい面もございますが、その
解決をはかっていきたい。また
ワク等につきまして、十分な
資金量をもって
政策を行なっていくところの
裏づけにしていくという
意味におきまして、その
ワク等につきましても
考慮をいたしておる点がございます。そういう面におきまして、
金融財政方面から、ことに
金融方面等にはなお十分力を注いで、私どもの考えておることが実行できるように、あるいは
農山漁村の
人々の期待に沿うていくような
方向へ邁進していきたいと考えます。
冒頭申し上げましたように、そういう
気持ちがあっても、力足らざる面も自覚いたしておりますし、反省いたしておる面もございます。しかし、非常に大事な
農林水産の問題をあずかっておるわれわれでございますから、極力力を尽くしたい、こう存じますが、同時に、前から非常に貴重なる御
意見やらあるいは強い御
協力を賜わっておりますところの当
委員会の
皆さん方の
一段の御
鞭撻を、かってでございますがお願いいたしまして、この
農政を
推進いたしていきたい、こう考えますので、どうか前にも増して御
指導と御
鞭撻とを深くお願いいたしまして、ご
あいさつといたします。(
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