運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-06-27 第46回国会 衆議院 農林水産委員会 第65号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十七日(土曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 高見 三郎君    理事 谷垣 專一君 理事 足鹿  覺君    理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    池田 清志君       坂村 吉正君    笹山茂太郎君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       中川 一郎君    野原 正勝君       亘  四郎君    角屋堅次郎君       栗原 俊夫君    東海林 稔君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       松浦 定義君    湯山  勇君       稲富 稜人君    林  百郎君  委員外出席者         農林政務次官  丹羽 兵助君         農林事務官         (園芸局長)  酒折 武弘君         食糧庁長官   齋藤  誠君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      筒井 敬一君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    中島 清明君     ————————————— 六月二十七日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として栗  原俊夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員栗原俊夫辞任につき、その補欠として栗  林三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件  昭和三十九年産なたね価格に関する件      ————◇—————
  2. 高見三郎

    高見委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。栗原俊夫君。
  3. 栗原俊夫

    栗原委員 コンニャクにつきまして、去る五月の上旬に、突如としてレモンその他と一緒に自由化するというような報道が行なわれて、コンニャク生産地では大恐慌を起こして今日まできておるわけです。そこで、最終的にはコンニャクが今後どういう立場をとるかということを明確にしてもらいたいわけですが、それに先立って、わが国のコンニャク消費、こうしたものはここ数年来どんなぐあいに消長をしておるか、こういうことについてお尋ねしたいと思います。
  4. 酒折武弘

    酒折説明員 最近のコンニャク消費状況でございますけれども、生産状況は年によって若干の変動がありますけれども、精粉ベースで申しますと、大体一万トン程度で推移しております。最近の情勢は、若干これでは不足ぎみで、値段が、たとえば昨年秋から冬にかけまして、精粉一俵約八万円あるいはそれ以上になったということで、これはやはりちょっと値段としては高過ぎるということで、現在御存じのとおり、こんにゃく協会というのがございまして、これは生産者及び加工業者練り屋、この関係者が集まって協会をつくっておるわけでございますけれども、ここでは大体五万円ないし七万円見当、この辺の見当価格が望ましいのではないかというふうなことを考えておるようであります。現在インドネシアから輸入する予定になっておりますコンニャク粉につきましても、大体六万五千円をベースとして今後放出していきたいというふうな考えでおるわけでありまして、われわれも、六万五千円が最も望ましい価格であるかどうかということにつきましては、なお検討の余地はあろうかと思いますが、一応業界でそういうふうに自主的に下げていきたいと考えておりますので、その点を了承いたしまして、その方向をバックしていきたい、こう考えております。
  5. 栗原俊夫

    栗原委員 いまの御答弁の中で、昨年の秋あたりは八万円見当だった、これは少し高過ぎる、こういう発言があったのですが、高過ぎるというのは、一体どこからそろばんを持って高過ぎるのですか。
  6. 酒折武弘

    酒折説明員 これは大体小売り業者立場から考えまして、八万円見当になりますと、いまの製品の品質をもう少し落とさなければ合わないというふうなことの意見が強く出ておりまして、小売り業者が現在の品質を維持するためには、大体六万円ないし六万五千円見当でないとどうも著しいという情勢であるということが、こんにゃく協会承知されておるわけであります。
  7. 栗原俊夫

    栗原委員 私は国会にごやっかいになってかれこれ十年になるわけですが、毎年これはコンニャク質問ばかりするというくらいに、コンニャクをやってきておるわけなんです。というのは、第一に、コンニャクは確かにけっこうな食物ではあるけれども、これは必需食料ではない。嗜好食料だ。こういうことで、ある意味から言えば、あまり高くなって、そんな高いものは食わぬということならば、食わぬでもいい。ところが値が安くなって、こういう値段では生産者はやっていけぬ、やっていけぬなら他のものに転作しろ、こう言われても、これは転作できぬ。御承知のとおり、傾斜の多い、砂れきの多い土地——大体地味がいいところならば、いつでも栄養分がとれるというので、コンニャク玉ストックはせぬですよ。ためておいていざというときにということで、ストックをしておる植物なんです。他に転作しろと言っても転作できぬ。したがって、転作をしろと言うことは、コンニャクつくりに死ねと言うことだ。そこで、もちろん、コンニャクつくり農民、これを加工する加工担当方々、さらには粉の流通関係担当する方々、練ってこれを小売りする立場の人、いろいろコンニャク生産から消費までの間にそれぞれの部門担当があるけれども、どこに一番重点を当ててコンニャク対策というものを立てるのだといえば、これはやはり生産者を生かしていくという立場に立ったコンニャク政策、もっと裸にして言えば、コンニャク価格政策、こういうものが立てられることがコンニャク対策の大黒柱でなくちゃならぬ。こういうことを執拗にそのたびごと大臣に食い下がって、そうして、まことにそのとおりだ、こういう答弁をいただいてきておるわけなんですが、今度その局に当たる園芸局長は、歴代の大臣が確認してきたこういう行き方についてどういう御所見をお持ちですか。
  8. 酒折武弘

    酒折説明員 私も御指摘のとおりの考えを持っております。もちろん、これは必需品ではないということは、そうだと思いますけれども、しかし、農家経済上きわめて重要なものである。われわれといたしましては、農業政策を進める場合に、農家経済の改善ということがやはり主眼でなければならぬ。そういう意味で、たとえばビールの原料になるホップのようなもの、そういったものも、ビールは決して必需品ではないかもしれませんけれども、そういうものを大いに増産していく、そうして国内自給をはかっていく、その結果として農家経済が改善されるという意味では、重要なものとして進めていきたいと考えておりますが、コンニャクにつきましても同様に考えております。
  9. 栗原俊夫

    栗原委員 そういう立場を確認していただきますと、たとえば八万円では高過ぎるという根拠は、八万円というような粉の値になると、品質を落とさなければならぬ、また売れ行きも悪い、いわゆる練り屋のもうけが薄くなるというような議論から出発しておるようでありますが、それなら、生産者がこれなら安心してコンニャクづくりに精魂を打ち込んでやっていけるという値段のあり方は、今日の物価の段階でどのくらいであるか。これはなかなかむずかしい問題であろうと思いますが、御承知のとおり、コンニャクは一年草ではありません。少なくともキゴ玉からとって三年目にならなければ切り玉にならないというような品物ですから、値の上がり下がりでもってそれに応じてというわけにはまいらぬのです。そこで、生産者が少なくともコンニャクでなくてはやっていけぬというような立地条件人たちが、これならば安心してやっていけるというような値ごろというものは、一体どの辺に押えておるか。今日までもずいぶん当局にも話したのだけれども、なかなか原価計算もむずかしいなどとおっしゃっておるのだが、むずかしいからといって、コンニャクづくりが死ぬようなことをやってはいかぬと思うのです。そういう意味で、もしデータ等をお持ちになり、こういう形だから、少なくとも最低これだけなければ生産者というものはやっていけぬのだというようなデータがありましたら、ひとつお示しを願いたいと思います。
  10. 酒折武弘

    酒折説明員 生産費計算は、御存じのとおり非常にむずかしいわけでございますが、それにつきまして、現在的確なデータは実は持ち合わせておりません。ただ、先ほど申しましたように、現在の相場として、大体関係者の一致した意見といたしまして、五万円ないし七万円見当ならば、生産者のほうもがまんできるし、消費の促進もはかられるし、いいのじゃなかろうかということが、関係者考えでございまして、われわれといたしましても、実態的な見地から、その辺ならば大体安定的に伸びていくのじゃなかろうかというように考えております。
  11. 栗原俊夫

    栗原委員 いままでコンニャク値段というのは、二割、三割高いとか安いとかというのでなくて、二倍だ、三倍だというような値動きをするわけです。これは生産者にとって、高いときはまことにありがたいようではあるけれども、またその裏目の出たときにはどうにもならぬということになるのであって、コンニャク生産費調査はむずかしいとは言うけれども、ぜひともしっかりしたデータをあげて——いろいろコンニャクの値が高いというと、率直に言えば、必ずしもコンニャクしかできぬというところばかりでなくて、平地のほうにもコンニャク生産地がおりてくるということもあります。しかし、そういうことではなくて、ほんとうコンニャクでなければやっていけぬというような立地条件のところを中心に、コンニャク価格がどの程度でなければ農民生活は成り立たない、こういうような立場調査研究をしっかり進めて、このくらいならいいだろうということではなくて、もっと科学的な価格をひとつ突きとめていただきたい。昨今乳牛についても、一頭搾乳から多頭というようなことで、なかなか乳価の原価計算がむずかしいということで、乳価問題がいろいろ論議されておるわけですが、コンニャク成り行きによればもっとむずかしいかもしれません。しかも、それが傾斜地であるとか、平地であるとか、いろいろ錯綜すると、計算はむずかしくなるかもしれませんけれども、他の転作が不可能だというような地域を限って研究を突き詰めてもらうということが可能であるならば、これはかなり的確なデータが出るのじゃないかと思うのですが、こういう点はいかがでございましょう。
  12. 酒折武弘

    酒折説明員 現在も決して調査はやっておらないわけではございませんで、ある程度実地調査はやっておるわけでありますけれども、何ぶんにも調査対象がまだ少ないというようなことで、それをもって全貌を律することに問題があるのじゃなかろうかということで、われわれといたしましては、今後そういう調査対象をふやしながらデータを押えてやっていきたいと思っております。
  13. 栗原俊夫

    栗原委員 今年四月末から五月にかけて約一千トン輸入するという方向がきまったようですが、その根拠はどういうことなんですか。
  14. 酒折武弘

    酒折説明員 その根拠といいますと、なかなかむずかしい問題でございまして、いわゆる需要調査、どの程度需要があるであろうかということの的確な調査は、ほとんど不可能だと思います。そこで、関係業者が現在のコンニャク生産状況なりあるいは在庫の状況、そういうものを調査いたしまして、そこからある程度やはり不足ぎみではなかろうかということで、幾ら入れたらよかろうということにつきましては、非常に議論が分かれまして、たとえば五百トンならいいのじゃないか、いや千五百トン、二千トン必要じゃないかというような見解もあったわけであります。その点は、業者意見の折半ということで考えまして、千トンということにきまったわけでありますが、数字的に的確な計算があったというものではありません。
  15. 栗原俊夫

    栗原委員 それでは時間も制約されておりますので、一点、二点と話を詰めてきめていきたいと思いますが、コンニャクは聞くところによると、完全に肥培管理をして栽培しておるところは日本だけで、現在海外では商品として肥培管理をし栽培しておるところはほとんどないやに聞いておりますが、こういう状況はどういうものですか。
  16. 酒折武弘

    酒折説明員 そのとおりでございまして、現在日本以外の産地といたしましては、インドネシア中共がございます。インドネシアは全く野生でありまして、肥培管理は全然行なっておりません。中共また同様であります。しかも、中共生産量自体も非常に少ないというような状況であります。
  17. 栗原俊夫

    栗原委員 もちろん、肥培管理栽培をしないから、そこから出てきたものが商品ではないということは言えない。もちろん、日本でもワラビ、ゼンマイ、いろいろ野生のものをとって、ある程度加工すれば商品化することはわかっておりますが、いわゆる貿易関係立場に立つときに、商品生産をしておらないものがいわゆる貿易自由化制度対象になるかどうか。たとえばこちらで必要なもので、相手にたまたまそういう具体的なものがある、この売買、貿易というものは具体的に行なわれるけれども、いわゆる制度上の貿易自由化というものの対象商品にはならないのだ、こういうふうに私は感じますが、こういうものに関する認識はどうですか。
  18. 酒折武弘

    酒折説明員 コンニャクはいわゆる国際商品とは考えられないと思います。しかしながら、それだからといって、はたして自由化対象になるかならないかということは、どうも即断できない問題ではなかろうかと思います。と申しますのは、要するに、自由化問題は、今後各国の関心を持つ品目につきまして、自由化の折衝を個々にやるわけでありまして、相手方関心を持って自由化しろと言ってくるならば、それはおかしいじゃないかと言うわけにはまいらぬかと思います。そういう意味で、われわれといたしましては、国際商品とは全然考えられないものの自由化について熱意を持つ国はなかろうと思いますが、相手方が言う限りにおいては、ちょっと否定できないと思います。
  19. 栗原俊夫

    栗原委員 当局立場とすれば、そういう説明をしなければ、昨今議論されておる議論が前に進まないと思いますが、現実には五月の初めに自由化の問題が論議され、閣議で決定したとかいろいろいわれておりますが、そういう真相について、これは大臣がおると一番いいのですが、大臣の責任においての発言を聞きたいのですが、園芸局長からそういうお答えができますか。
  20. 酒折武弘

    酒折説明員 先般も経済閣僚懇談会コンニャク自由化の問題が議論されたということは聞いております。またその後、その結論といたしましては、コンニャクについては、生産者対策を十分講じた後でなければ自由化はできないというふうな考え方になったということを聞いております。われわれ事務当局といたしましては、もちろん、コンニャクにつきましても、あるいはほかの割り当て物資につきましても、すべて現在の情勢から申しますと、こうしたものについて自由化がはたして可能であるかいなかということの検討も進めなければならないと思います。コンニャクは、どうも先ほど申しましたように、インドネシアでは野生のもので、要するに掘り取り労賃だけの安い原価である。こういうものと競争して、日本コンニャクを下げよというわけにはなかなかいかないだろう。そういう意味では、生産者対策考えてみてもなかなかうまい手はない。したがって、当分自由化はできないんじゃないか、そういうふうに思っております。
  21. 栗原俊夫

    栗原委員 これはそういう認識ではだめなんですよ。東南アジア方面野生であるから、労賃だけでもってとる、だから安いのだ、こういう認識だと、自由化との関係がきわめて危険なんですよ。私の考えは、これは自由化だということになると、相手肥培管理栽培を始めるということが大問題なんです。日本はいつでも買うんだということになれば、肥培管理栽培を始めますよ。そうなると、もう内地コンニャクづくりはまるでばかがするというような形に追い込まれます。買ってくれるかどうかわからぬから、向こうではつくらぬのですよ。きっと買うという段階になれば、たいへんなことになってきます。したがって、これは当分の間などという問題じゃなくて、日本コンニャクづくりを全滅させてもいいのだという前提に立てば話は別ですが、日本コンニャクづくりというものを守っていくのだ、しかも立地条件日本コンニャクづくり転作もできないんだ、こういう立場に立てば、コンニャクというものは絶対に自由化というような形はとれないのだ、とらないのだ、こういうことが明確になり、ただ、需給関係もこれあり、どうしても足らぬという場面のときには入れることもあり得る、こういうことでないと、コンニャクづくりはとても生きちゃいけません。これはどうでございましょう。
  22. 酒折武弘

    酒折説明員 私も大体同様の考え方を持っておるわけでありまして、当分の間と申しましたのは、要するに、期限がないという意味でございまして、われわれとしては、現在の情勢から申しますと、自由化可能性を発見する見通しは立たないという状態でございます。
  23. 栗原俊夫

    栗原委員 ほんとう農民の親元である農林省がそれに徹してくれればけっこうなんですが、なかなかそのことだけでなくて、あれやこれややはり突激部隊がありますからね。というのは、農民コンニャクをつくらしておいて、そちらからいただくよりも、海外から入れたほうがいただきが多いという立場の人が、率直に言っておるわけですよ。そういうことであるから、いま局長がそう言うても、なかなか信頼できないし、しかも信頼できない中に、当分とか——当分ということは、未来永劫を意味するのだというような説明になるのじゃないかと勘ぐるのだ。いや、やりません、できません、生産コンニャク農民を守るためにはできないものです、こういう立場をやはり明確にしてもらいたいのです。これはどうでしょう。大臣がいて大臣とやりとりをやりたいのですけれど、大臣の代理として、その部門担当している局長なんですから、局長がここで責任ある答弁をして、かりに大臣と食い違いがあれば、局長からがっちりと歯どめをかけてもらわなければならぬと思うのですが、いかがでしょう。
  24. 酒折武弘

    酒折説明員 われわれといたしましても、将来永久の保証をするということができるという立場でございませんので、ああいうふうに申し上げたのでございますが、要するに、われわれといたしましては、現段階で判断した場合に、自由化というものはむずかしい、できないというふうに考えているわけであります。
  25. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいま園芸局長から、コンニャク自由化の問題について、自由化は当分やらぬ、当分やらぬということは期限のないことだ、こういうことで答弁をいただいているわけですが、政務次官に重ねてお願いするわけです。  もしも、コンニャクというものを自由に入れる、いつでも日本が買ってくれるのだということになると、野生でできている地域で、日本が買ってくれる、こんなうまいことはないということで、これは肥培管理栽培が始まる。こうなると、これはもう内地コンニャクづくりというものはほんとう立場がなくなる、こう思うのです。そこで、将来もし必要があれば入れることもあるけれども、これは原則として入れないのだ、こういう立場を明確にしていただかなければならぬ。その前提はどういうことかというと、コンニャクはけっこうな食べものであるけれども、必需食料ではない、したがって、高くなれば、成り行きによっては食べずにもおられるし、食べないということになれば、したがって、値も自動的に下がることもあり得る。ところが、コンニャクづくりのほうは、値が安くなって、お前はほかに転作しろと言っても、これは転作できない立地条件にある。コンニャクづくりは死んでもいいのだということなら別ですけれども、さもなければ、コンニャクづくりがとにかく生きていける政策、そういうことのために、海外からは自由には入れないのだ、そうして一方ではコンニャクづくりが営々としてまじめにやっていける価格保障ができるような立場をとってやらなければならない。もちろん、消費者もおることでありますから、どうしても足らぬ、入れることがコンニャクづくり生活経済を脅かさないのだ、こういうワクの外においては入れることもあり得るけれども、基本的にはこれは入れないのだ、こういう立場をとってもらいたいし、とるのが当然ではないか、こう承っておったわけですけれども、政務次官、いかがでございましょう。
  26. 丹羽兵助

    丹羽説明員 ただいま御意見が出ましたが、先生の御意見考え方、私は率直に申しますと、全くそのとおりであります。先生考えどおりでありまして、政府としても、そうしたお考えのような方針をとっていくべきであるし、またとっていきたい。もちろん、べらぼうに消費価格が上がりましたり、どうしても足らない、そういう事態が生じたときには、輸入によることも予想しなければならぬと思いますが、当然農林省として考え政府として考えますのは、御指摘のありましたように、これを耕作している農民生活というものを第一に考えなくちゃならぬ、所得というものを考えていかなければなりませんので、先生考えと全然同感であり、そうした方針で今後対処していきたい、かように考えております。
  27. 栗原俊夫

    栗原委員 以上の質問で、自由化はしない、また輸入についても、内地生産農民経済を圧迫するような輸入はしないのだ、こういうことが明確になったと思います。  そこで次に、いまちょっとだけお尋ねしたいのですが、昨年こんにゃく協会というものができました。このこんにゃく協会はそれぞれ関係業者の集まった組織のようでありますが、このこんにゃく協会輸入をする、こういうときの価格はどの程度になったならば輸入するのだというようなきめ方、輸入をきめた場合に具体的な輸入方法、そうしてかつては特殊物資の指定があって、外産が安くて、内地が高い、その差額は国に収納するというような制度のもとにおけるときと違って、今日はそういう段取りがない、輸入すれば、値から値の大きな値幅というものがだれかの利益に帰属する、こういう事態の中で、どのような貿易を具体的に行なっておるのか、こういう状況について少しく御説明を願いたい、このように思います。
  28. 酒折武弘

    酒折説明員 輸入の可否を決定する場合の考え方は、そのときの値段が幾らになったら輸入するというふうな考え方じゃなくて、これは年間を通じての需給というものから通算して、ある程度算定する、ただ、放出価格を想定してあらかじめきめておくというやり方でございます。現在のこんにゃく協会考え方は、精粉が六万五千円以上の相場になった場合に、輸入品を放出していきたいということでございますので、かりに現在では五万円台の相場であったならば、輸入したものはこんにやく協会が保管されて、そのまま持ち越されていく、そういうことになろうかと思います。
  29. 栗原俊夫

    栗原委員 これは直接生産農民関係しておるわけではございませんけれども、輸入した差額というものはどこに帰属するのか。いまひとつ掘り下げて言えば、輸入はどういうところに許して、どう放出されていくのか、こういうことをいま少ししろうとにわかるように説明していただきたい、こう思います。
  30. 酒折武弘

    酒折説明員 輸入されますコンニャクは、すべてこんにゃく協会の所有に帰します。その方法といたしまして、現在契約しております一千トンの輸入につきましては、実ば半分ば通産省による商社割り当て、半分はこんにゃく協会輸入業者に対する発注証明書方式という、二つの輸入方式を混合してやっておるわけでございます。いずれの場合におきましても、入ってきたものは必ずこんにゃく協会の一手買い入れというかっこうであります。そこで、こんにゃく協会輸入された荒粉加工業者に委託いたしまして精粉にして、それを先ほど申しましたように、六万五千円以上で放出するという考え方でございます。そこで、輸入されたものと放出価格との差額というものが差益ということになるわけでございます。これはこんにやく協会で一部は将来価格安定等の基金にするために積み立てる、それから一部は生産者なり関係業者生産改善等に使うための金、こういう考え方でございます。
  31. 栗原俊夫

    栗原委員 今年の千トンは五〇、五〇で商社と協会、こういうことになっておるようでありますが、昨年の七百五十トン、当初二百九十トンですか、残り三百六十トン、出回り時期に輸入が許可されたのですが、この取り扱いとその利益などはどんなぐあいになっていますか。
  32. 酒折武弘

    酒折説明員 昨年輸入されました七百トンにつきましては、これは初めてのことでございまして、品質等において問題がありました。そこで思ったより差益が出なくて、結果といたしまして、約一億円程度になるだろうと見ております。現在、これをどういうふうに処分するかということについて検討を進めております。
  33. 栗原俊夫

    栗原委員 この協会の監督はもちろんおたくでしているのだろうと思いますけれども、会計の監査とかいうような問題等について、立ち入った監査権というものはおたくのほうにあるのですか、ないのですか。
  34. 酒折武弘

    酒折説明員 これは定款でもって、そういう金の処理とかいったことにつきましては、すべて農林省の承認を得ることになっております。
  35. 栗原俊夫

    栗原委員 一億円見当の利益の処分については、これからということですが、すでに相当な処分がされておるんじゃないですか。どうなんです。
  36. 酒折武弘

    酒折説明員 まだされておりません。
  37. 栗原俊夫

    栗原委員 何か聞くところによると、商社と協会指定の証明書発行ということについて、昨今だいぶんいざこざがあるようですが、そういうことは御存じなんですか。
  38. 酒折武弘

    酒折説明員 よく承知しております。
  39. 栗原俊夫

    栗原委員 承知しておりましたら、その概略をひとつ御説明願いたいと思います。
  40. 酒折武弘

    酒折説明員 農林省といたしましては、こんにゃく協会をつくったときの考え方といたしまして、こんにゃく協会に発注限度の内示書を出して、こんにゃく協会輸入業者に注文を出して輸入するという、いわゆる需要者割り当て方式というものを採用していきたいということであったのであります。ところが、御承知のとおり、通産省としては、貿易業者育成の見地から、商社割り当て制度というものを何とか進めていきたいという考えだったのです。われわれといたしましても、通産省の考え方をむげに退ける考えはなくて、輸入が安定的に進んでいきました暁におきましては、商割りも考えていたわけであります。しかし、当分まだ不安定な状態だから、需割りでいきたいという考え方であったわけであります。しかし、やはり通産省としましては、できるだけ早い時期に商割りをやっていきたいということで、折衝の結果、妥協といたしまして、半分商割り、半分需割りということになったわけであります。
  41. 栗原俊夫

    栗原委員 率直に言いまして、このこんにゃく協会ができるときに、私たちは反対の立場をとったわけなのです。ということは、日本こんにゃく協会とは言いますけれども、これは輸入協会だ。なぜかなれば、その前から、輸入すればもうかるというようなことで、ずいぶんいろいろなことが行なわれて、あるいは薬の材料だといって密輸が行なわれてみたり、いろいろな経過をたどり、あるいは保税倉庫へほうり込んで加工する、そういうことは、飛粉とのバランスの関係でややこしい問題の起こったというようなうわさ、いろいろなことが行なわれて、とにかくいずれにしても、輸入するということがかなり大幅な利益があるということ。ところが、一方では、生産者はこれに徹底的に反対をする、何とか本格的な突破口とするには、生産者もくるみ込んで輸入というものに踏み切らせなければだめだという中で、協会が意図された。もちろん、これは関係業者生産から消費に対する練り屋まで自由な意思でやった、こういう形にはなっていますけれども、これは通産省でも一生懸命骨を折ったのなら、私は、そういうことも通産省だからあるのかなと考えられるが、これはどうも農林省が旗を振ったように見えてならぬのですよ。もしも必要があって輸入するならば、その輸入生産者の団体に輸入をする。いわゆる利幅をいただく権利を与えて、値が高いけれども、高いときは、生産する数量が少なかったから値が上がるのだから、単価は高いけれども、握る金は少なくなるわけです。結局、そうした海外から入れた利益というものは、お金をそのままなまで生産者に還元することはできないまでも、生産量が非常に少なくて値が上がった、入れることはやむを得ない、しかし、入れることによって得られる利益というものは、値が高いけれども、実際には所得の少ない農民に何らかの形で還元する、こういう方式をとることが、生産農民を守っていくために、日本コンニャク政策の大黒柱だということを前提として確認できるならば、当然行なわれる段取りではないか、このように思ったわけですけれども、実際にはそうでなくて、四業者が集まってやっておる。この中の力関係といえば、生産農民は傍聴に来ておるかどうか知りませんけれども、まことに弱いものです。数は多いけれども、まことに弱い。これは単にコンニャクばかりでなくて、あらゆる農業で一番弱い立場に追い込まれておる。こういうことで、実際においては六万五千円で放出するというような値段の決定の問題、今年の千トン輸入する問題、形の上からいえば、生産者代表もまじって一緒になってオーケーを書いているのだから、文句はないではないかということにはなっておるのだけれども、突っぱり切れない弱い立場生産農民はおるわけです。これは生産農民立場を守る農林省、そしてこれを管掌するところの園芸局が中心になって、原料屋、加工屋あるいは練り屋、こういう意見も猛烈にはくるだろうけれども、やはり何と言っても、一番強くあたたかく抱いてやらなければならぬのは、生産農民の声だと思うのです。こういう点を考えて、先般の生産農民の大会においても、与党の自民党の方々からも、いまのこんにゃく協会のあり方はなかなか奇々怪々だ、やはりもっと農民的なものに検討して改組しなければだめなんだというようなことが、こもごもあいさつもされておりました。したがって、こういう点について十分ひとつ農民の声を聞いて、ぜひ協会等の改組、改組ができなければ、少なくも運用をもっと農民的な、農民ほんとう内地にあって納得してコンニャクづくりに精進できるような方向へ持っていってやっていただきたい、こう思うのです。御所見いかがですか。
  42. 酒折武弘

    酒折説明員 われわれといたしましても、こんにゃく協会のいき方というものをできるだけ農民立場に立って進めていくということについては、そういうふうに考えております。ただ、現在のこんにゃく協会につきまして、何らかの御批判が一部の方面にあるようでありますけれども、私は現在のこんにゃく協会が決してそんなに誤った方向に進んでおるとは思っておりません。現在のこんにゃく協会理事長は生産者代表でございます。人の問題でありますので、言いにくいのでありますけれども、きわめてりっぱな方でありまして、十分に協会内部を統率しまして、生産農民立場を擁護しながら、的確な処理をいたしておると私は判断いたしております。しかし、われわれとしても十分に目の届かない面もあるかと思いますので、そういった点については関係方面の御指摘も伺いながら、改善すべき点は改善していきたい、そう思っております。
  43. 栗原俊夫

    栗原委員 これでやめますが、園芸局長の評価は、ただいまの協会はなかなかりっぱなんだ。りっぱかもしれません。しかし、このことはいずれしりかりと資料をまとめて、徹底的に渡り合う時期があると思いますが、でき得ればそういうことのないようにひとつかじをとって、農民方々が安心していけるようにやってもらいたいと思うのです。それはただいまお話しのとおり、中島さんもりっぱですよ。しかし、あなたも知っているとおり、生産農民代表という形は形であっても、本質的にそうであるかどうかということについては、これはまたいろいろなものさしの当て方もあるわけです。だから、ここは運用がほんとう農民的に運用されておるかどうかによって、問題が起こったり起こらなかったりするわけですから、ひとつその点は十分御配慮を願うように、監督の立場にある当局から指導していただきたい。  以上で私の質問を終わります。
  44. 高見三郎

    高見委員長 中澤茂一君。
  45. 中澤茂一

    ○中澤委員 コンニャク問題というのは、御承知のように、レモン問題から一つの問題が関連して出ているわけで、むしろ農林省に聞くより、通産省をいま呼び出しておるわけですから、通産省に少し確認しておかなければならぬ点があるのです。  そこで、農林省としては、基本的な政策の角度をどこに置くのかということ、これはひとつよく考えてもらいたい。いま栗原君が言われたこんにゃく協会の問題、これはなるほど生産者のために真剣にやって努力しておる役員諸君もおるし、これは批判も一部にはあるが、しかし、私ば、この問題は、基本的に価格安定政策をどうするのかという、基本的な政策立場から、一度農林省に再検討してもらいたい。ということは、一億の差益金が出ておるわけですから、少なくともこの差益金というものを基礎にして、安定帯基金制度というものをここで考えるべきじゃないか。そして場合によれば、その差益金の一部に対して政府も出資する。これを蚕繭事業団みたいな買い入れ機関にするかどうかということは、これは私も検討してみなければいかぬと思うが、そこまで一挙に前進しなくても、何らか安定基金制度というものをこの際考えるべきではないか。その一億を生産者に配分するとかどこに配分するとかいうことではなくて、その差益金はそっくり基金にする。その基金を基礎にして、できるならば政府保証をつけてやる。そうすると、一億の基金に政府保証をフルにつければ十億の安定基金が使えるわけですからね。十億の安定基金が使えれば、国内の一万トンの生産に対しては、価格安定は可能であるという判断を私はしておる。私は、こんにゃく協会の会長にも、利益配分をやるとかなんとかいうことはおかしいじゃないか、それは別に内地農民のところからしぼった金じゃないので、輸入からしぼった金なんだから、それはそっくりあなた方は提供しなさい、それに対してできるなら政府保証をつけてもらって、十億の安定基金制度というものを設けるべきじゃないか、それによって価格安定をはかっていくべきじゃないか、こういう方向で、こんにゃく協会の諸君も一つの安定制度考えろということを言っておるのですが、問題は、内地需給操作が、もう少し農協というものが力かあって——栗原君はぶってどこかに行ってしまったが、一番の群馬県がもう少し一元集荷体制というものが確立すれば、価格安定と需給操作は、この需給者団体のこんにゃく協会で完全に可能だと判断をしておる。そういう点は、われわれ長野県は一粒といえども絶対に業者には売らない。全部農協一元集荷体制をとっておる。このごろいろいろ情報を聞くと、四県くらいは大体一元集荷体制が固まってきた。ただ問題は、群馬の一番生産地帯が、何としても練り屋さん、あるいはブローカー、投機的な人、みな入り乱れて、栗原君の言う議論は、群馬を見た場合には私は確かにわかるのです。だから、これを何とか整理をして、一元集荷体制というものを農林省は行政指導で強力に進める必要がある。それにはこの際農協というものをフルに使って一元集荷体制をやる。反面においては政策的に、要するに差益金を全額安定基金に入れ、政府保証をつけてやり、十億をもってコンニャク価格安定をここではかっていく、こういう基本的な政策を樹立する必要があるのじゃないか。そこまで生産者業者農林省一体となってやれば、いま輸入のいろいろな問題が出ておるのは、おのずから自然淘汰されて解決していけると私は見ておる。そういう点において、これは農林大臣に言ってもじきかわってしまうのだから処置ないですが、むしろ農林大臣よりか、担当局長のほうが、そういう基本構想をこの際ひとつ立ててもらいたい。それに対して何かそれ以上、蚕繭事業団のようなもっと強力なものをつくるべきだという御意見なら、ひとつそういう御意見も聞かしてもらいたい。
  46. 酒折武弘

    酒折説明員 輸入から出ました差益金につきましては、われわれも全く先生と同じような考え方でございます。これはできるだけ積み立ててもらいたい。生産改善等に必要な金は最小限度は出すにしても、できるだけひとつ積み立てていきたいという考えでございます。その積み立てた金の活用の方法でございますが、これにつきましては昨年の一億、これはここから税金を払いますと六、七千万円に減るわけでありますが、その程度ではまだ不十分で、ことしの一千トンからしかるべき差益が出れば、これは相当の金になるだろう、この段階でひとつ本格的にこの活用方法、ことに価格安定のための活用方法検討していきたい、このように考えております。
  47. 中澤茂一

    ○中澤委員 そこで、ひとつ今後のコンニャク問題で、御承知のように、消費者割り当て五割、実需者団体五割、こういうことできまったわけですが、ちょっと腰が弱かったんじゃないですかな。それこそ、まさにコンニャク問答のように、農林省が少しぐらぐらしていたんじゃないか。いま少し強腰でもよかったんじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  48. 酒折武弘

    酒折説明員 割り当て方式がどうあるべきかということは、なかなか理論的には割り切れない面がございまして、たとえば商社割り当てでありましても、これはこんにやく協会に行って買うという義務を負わせるわけであります。そういう意味で、実は形式は商社割り当てでございますけれども、実質は業者割り当てとほとんど変わりがないという実態でございますので、やはりその辺は妥協したのであります。
  49. 中澤茂一

    ○中澤委員 それは確かにそういうことで、こんにゃく協会は全量輸入業者から買い取りするのですけれども、私は、さっき言った安定基金を強化して、一銭でも多くもうけて安定基金をつくっていくという意味においては、それはやはり輸入商社から一定の利益金をやってこんにゃく協会が買い上げるという方式でしょう。そんなら、むしろ商社割り当てをしぼれば、それだけ安定基金が強化されてきて、よけいたまってくるということは言えるんじゃないですか。そういう意味において少し弱かったんじゃないか。もう少ししぼってもよかったんじゃないか。だから、農林省が一貫した基本方針政策的に出せば、こんな事態商社割り当てなんかまかりならぬ、これで内地価格安定はやるのだということを最初から強硬に出しておけば、私は商社割り当てなんかけとばされたと思うのです。それはそういう基本的な政策根拠がないから、そこでコンニャクのようにぐらぐら始めたわけです。そこへ持ってきて、この問題はレモンから波及して、与党の某々議員二氏が介入して、局長にも相当圧力をかけたようだし、それからいま一つ、これは一度機会があればぜひ本委員会に呼んで意見を聞かなければならぬという、いまだに妥結しない藤井商会なる複雑怪奇なるものがここにあるわけです。だから、これはいずれ機会があれば藤井商会の社長においでを願って、ここで議論をしなければならぬと思っておるのですが、そういう点においては、早く農林省の基本的な態度、考え方というものを決定する必要があると思うのです。それが決定していないから、ついそういう不純物が介入してきて、えさにしていくという問題が出てくるのです。私は、自由化は、当分この商品はしないであろうし、する必要はまたないと思うのだが、しかし、少なくとも生産者団体を中心とした需給安定、価格安定というものを、農林省の基本的な政策として一日も早く出す必要がある。それを出すことによって、そのてこによって、商社の攻撃に対して、しかも不良商社の攻撃に対して、徹底的にまかりならぬという態度が打ち出せるだろう。これは酒折さんを責めたって無理なんだ。ほんとうは農林大臣がもう少し基本的な政策を出して、そしてこの基本政策は曲げられなかった、通産省が何と言おうが、商社が何と言おうが、曲げられなかった、こういうやはり強い態度で望む必要があると思う。だから、そういう点については、私は今度の五割、五割の問題を聞いて、少し農林省の腰が弱かったんじゃないか、ということは、基本的な態度というものが固まっていないからこういうことになる、こういうふうに考えておる。政務次官どうお考えですか。コンニャクはあなたのほうにあまり御関係ないかもしれませんけれども、考えてもらいたい。
  50. 丹羽兵助

    丹羽説明員 ただいまの中澤先生の五割、五割の割り当てと申しますか、これについて、政府、特に農林省の態度が弱かったんじゃないかというおことばですが、その五割、五割に妥結した趣旨というものは、局長からお話を申し上げたようなわけであります。しかし、先生のお話を聞いておりますと、農林省として、今後農産物の価格の安定、どこでその安定帯を置くかということは第二義といたしまして、価格安定という方式をとっていこうとするならば、ただいまの御意見のような方針を強く打ち出していかなければならぬと私は思うのです。農作物全部にそれが適用できるかどうかは別なんですが、特にこのコンニャクの例があげられておりますが、そういうことによって生産価格の安定をはかっていくということが、最もいい方法であり、今後これはやらぬにいたしましても、当然直ちにやれるべき筋合いのものではありませんから、これはやれぬにしましても、今後その他の農産物が、かりに自由化というものを推し進めていかねばならないということになって、これと農産物の価格安定というものを考えますと、私は、いま先生の御指摘のあったような方式、方法が最もいい方法だと思うのです。なるほど大臣も私もじきにこの席を去る運命になっておりまするが、そういうつもりで、私は今後とも農業政策に協力、寄与してまいりたい、かように考えております。
  51. 中澤茂一

    ○中澤委員 こういう事態がいま出てきておるということを情報で聞いておるのですが、藤井商会なるものが、インドネシアものの香港密輸ものをいま輸入しようと画策しておる。そうしてこのごろ商社の五社はこんにゃく協会と完全に成約ができた。しかし、藤井商会は、断じてそんなものはおれはやらぬ、大体通産省の局長でも農林省局長でも、おれが自民党へ話をすれば、すぐ首にするのだからと言って脅迫しておる。これがインドネシアから香港に入ってきておるものを、いま話を進めて約三百万トン、これは非常に不良品だそうですが、それを持ってきて、そうしてもし内地に放出された場合は、これは一挙に内地価格が暴落するという事態を、いま実需者団体は非常に心配しておるわけですね。これはいま通産省を呼んでおるのだけれども、まだ来ないのですが、こういうやり方に対して農林省はどういう態度をとりますか。いま一つ、藤井商会がやっておることは、ビルマに人を派遣しておる。ビルマで若干の買い付けをやって、やつらに一あわ吹かしてやるというので、ビルマ買い付けをいま急いでおる、こういう情報が入っておる。そうすると、ビルマから入ってくるもの、あるいは香港の不良品、これは非常に不良品だそうです。ひどいものだそうです。それをいま至急内地輸入しよう、だからこんにゃく協会との契約は、わが藤井商会に関する限りは絶対やらぬ、こう言ってがんばっておる。あとの五社は、こんにゃく協会との話し合いでもはや輸入量から全部話し合いがついた。藤井だけが、通産省、農林省局長を首にしてやる、こう言ってどうしてもがんばっておる。これに対して農林省は一これは一つの大きな政治問題でもあると思う。これはむしろ、局長に文句言ったり責めるのは、気の毒なくらいに私は思っておるのですが、これに対して農林省として、少なくとも政務次官は、短期といえども在職中、この問題でもし通産省がそれに対して輸入許可を与えるような場合には、一体政治的にどういう態度を農林省はとるか、これをはっきりお聞きしておきたい。
  52. 丹羽兵助

    丹羽説明員 事務当局に尋ねてみますと、まだ外貨割り当てが済んでおりませんので、その割り当てのときに十分通産省とも打ち合わせて、チェックしていくつもりであります。  それから次にお尋ねの不良品でございますが、そういうものが入ってくるときには、もちろん十分検査をいたしまして、不良品は入れないように、それはもう当然のことでございますが、考えていきたい。  次に、某社の意見に従わないような役人は、通産省にせよ農林省にせよ、自分たちの意のままになるようにかえるとかなんとかするというような意見も出ておるようでありますが、役所の人事は決してそういうものに動かされるものではないので、そういう意見はありますが、あるだけに、私はあくまでこれに抵抗して、国民のために行政が行なわれるように、そういうことにごまかされないことに意を強くしておりますので、御了承願いたいと思います。
  53. 中澤茂一

    ○中澤委員 問題は、農林省の問題というより、通産省が六社の割り当てをするかしないかに基本問題があるのですが、しかし、それは行政官庁としては、通産だって農林だって一体になってやらなければならぬ問題です。おれのほうのなわ張りだとか、おまえのほうのなわ張りだという問題じゃないと私は思うのですよ。だから、それに対しては、農林省は強硬に藤井商会は完全にボイコットする必要がある。一切駆逐する必要がある。聞くところによると、会社の社員は三人だ。レモンで膨大なもうけをやっていた。そうして相当な政治献金をやっていた。確証はつかめないが、情報は与党の議員からわれわれにも文書で配付になっておる。そういうインチキきわまる政商を許しておくということは、まさに政党政治の恥辱であると思うのです。レモン問題などは、自由化賛成、反対は私に言わせればまさに利権の争いなんだ。そういうことは国会の威信を傷つけるし、政党政治自身にも国民の不信を招く問題なんだ。だから、私は、農林省はき然たる態度をとり、行政一体となって、藤井商会というものは完全にボイコットすべきであると思う。完全な政商であり、完全なブローカーであることは明らかなんです。そういうものに与党の一、二の議員が結びついていくということは、私はただ一、二の議員の問題ではないと思う。やはり国会の権威にかけて、政党政治の権威にかけて、そういう利権屋というものは徹底的に駆逐して、政治の粛正をはかっていかなければならぬ。そういう立場から私は問題を考えておる。そういう意味において農林省——これは政治問題ですから、行政問題ではない。レモンの自由化問題からからんできたコンニャクの食い込み問題なんですから、これは明らかに一つの利権問題なんだ。そういう面においては、私は、政務次官なり、ほんとうは農林大臣に来てもらって厳たる態度をとりてもらわなければ困る。そのことがわれわれ国会の信用を高め、政党政治の信用を高めることだ。しかも与党の議員の中から、この問題は文書にしてわれわれにまで配付してきておる。そういうことはまさに醜態であると思う。そういう点について、ひとつ農林省農林省としてき然たる態度をとってもらいたい。通産省はまだ来ないようですが、いずれこれは他日の機会に、この問題がそういう一部の商社のために混乱するならば、閉会中の審査でも何でも要求して、政治的にこの問題は徹底的に追及していく、こういう考えでおるわけなんです。そういう点においては農林省はどういう態度で臨むか。少なくとも五社の完全に話し合いのついたものに対しては通産省は割り当てをしてもよろしいが、その協定のつかないものに対しては農林省としては断じて輸入させることはまかりならぬ、こういう強硬な態度で、私は農林大臣、通産大臣が話し合うべきであると考えるのです。きょうは大臣欠席ですが、政務次官から、これは政治問題ですけれども、この問題だけは強硬に突っぱねるべきである、こういうふうに大臣に進言してもらいたい。同時に、あなたもこういう政治のスキャンダル的な問題に対しては、政務次官として、政治家としての断固たる態度を貫いてもらいたい、こういうふうに御要望するのです。
  54. 丹羽兵助

    丹羽説明員 藤井商会でございますか、名をあげての御指摘でございますが、なるほど輸入は自由でございましょうし、また適当な条件を備えておりますれば、通産省としても割り当て等をやるでございましょうけれども、しかし、国民の食糧に直接関係し、なおかつ、これを生産するところの農民にも直接関係するものの輸入等、この外貨の割り当て等につきましては、通産省だとかあるいは農林省だとかいうなわ張りはないものと考えましても、当然農林省には大きな発言権があり、また発言することが当然だと考えますので、農林省としては、御指摘のありましたように、き然たる態度と申しますか、正しい姿勢で臨んでまいりたいと考えております。だから、今後その割り当てにつきましては、私からも大臣に申し上げまして、そういう輸入業者がはたして適切な条件をそろえておるかどうか、そしてこの商社を通じて輸入することによって、耕作農民なり国民の食生活、しかも食糧関係についてどういう影響を来たすかということを十分調査検討の上に措置していくようにしたい。先生の御指摘のありましたように、国民に疑惑を抱かれるような、そしてまた不適当なような割り当て方を、いかに通産省がその立場にあるとはいえ、農林省としては黙って下がるような弱い態度は、この問題についてはとっていかないつもりでございますので、御了承願いたいと思います。
  55. 高見三郎

    高見委員長 芳賀貢君。
  56. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長に申し上げますが、今日の閉会中審査のための委員会は、実は昨日午後に食糧庁の関係に対して当面の緊急問題に対する質問を行なうことになっておったわけですが、食糧庁の都合によってこれが今日に延びたわけであります。しかるに、食糧庁の都合によって今日に延ばしたにもかかわらず、担当食糧庁長官が、米審に備えて勉強するためにいまだに出席しておらぬ。
  57. 高見三郎

    高見委員長 出席しております。
  58. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま来たんですか。これはけしからぬ態度であって、国会の会期中は非常に低姿勢で法案の通過等に当たっておられますが、国会が一たん閉会になると直ちに豹変してしまう。そういう態度は官僚の一番悪い特徴をあらわしておる点です。ほんとうに米審に備えていまから国会をサボって勉強しなければ、七月二日、三日の米審に出席できないものであるかどうか。そういう無力の長官である場合には、幾ら勉強しても間に合わないと思うのです。その所信のほどを委員長に尋ねるというよりも、長官から明らかにしてもらいたい。その任にたえ得るか、たえ得ないものかどうか。
  59. 丹羽兵助

    丹羽説明員 おくれて参りましたことは、たいへん申しわけない次第でございまして、私から深くおわびを申し上げます。恐縮に存じます。  米審にたえ得る長官であるかどうかということは、本人から言えぬでございましょうから、私が申し上げますが、役所としては十分たえ得る長官と思っております。
  60. 芳賀貢

    ○芳賀委員 たえ得るということですから、それでは質問しますが、三十九年度産のなたねの価格については、大豆なたね交付金法に基づく政令の定めでは、毎年六月三十日までになたねの生産者基準価格というものを政府が決定して、これを公表しなければならぬということになっておるわけですからして、もう余日ありませんが、ことしのなたねの価格決定については、どういうような作業を進め、いまどのような段階になっているか、この点について、要点だけを説明願いたいと思います。
  61. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 たいへんおくれて参りまして、恐縮に存じます。  ただいま御質問になりましたなたねの基準価格につきましては、六月一ぱいにきめるということになっておりますので、いま農林省といたしましては、いろいろの計算方法を整えまして、大蔵省と折衝いたしておるわけでございます。大体従来なたねの計算の方式等もありまして、昨年度はその方式により得ないような非常な減収を見たわけであります。ことしもなたねの減収を見ているような事情もありますから、それらの事情も考えまして、どういうふうに最終的にきめるか、大蔵省と折衝しておる、こういう段階でございます。
  62. 芳賀貢

    ○芳賀委員 交付金法の第二条四項によると、これは基準価格決定前に、必ず農林大臣は政令で定める生産者団体の意見を聞いて定めなきゃならぬということになっておるわけです。きょうは六月二十七日ですから、三十日までもう三日しか余裕がないわけですね。これはどういうような意見を聞いておるか、いつ意見聴取を正式に生産者団体になされたか、その内容についてお尋ねいたします。
  63. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 団体と常時接触していろいろの意見交換をやっておりますが、法律に基づき農業団体の意見を聞くということにつきましては、まだ農林案が固まっておりませんので、ある程度固まりました際におきましては、即刻意見を聞く、こういうことに従来もいたしておりますが、本年度もそういうことにいたしたいと思います。
  64. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。固める前に農林大臣は必ず生産者意見を聞いて、それを尊重して固めなければならぬということになっているでしょう。固まってから聞いたって何にもならぬじゃないですか。
  65. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 常時事務的な意見交換はしょっちゅういたしておるわけでございます。ただ、意見を聞くにあたりまして、やはり農林省としての考え方がまとまりまして、最終的にというわけではありませんけれども、ある程度考え方がまとまりました上で、それを団体にも紹介し、また団体からそれに対する意見を聞く、それを従来から慣行としてやっておりますので、さよう御了承願いたいと思います。
  66. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点については、昭和三十七年、八年、毎回決定前に、あるいは決定後に当委員会で指摘している点ですが、法律に明記してある生産者団体の意見聴取というものが非常に形式的に終わっておる。やはりすでに意見を聴取して、生産者団体からは具体的にどういうような意見が提出されておるということが明らかになっていなければならぬと思うのです。それを参考にし、あるいは尊重して、農林省案というものを一応まとめて、そうして財政当局である大蔵省と話し合いをするということは、順序としては当然でありますが、それでは生産者団体のほうからは、具体的な価格算定上の意見、あるいはどのような基準価格にしてもらいたいという意見というものは、いまだ出ておらぬわけですか。
  67. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 常時接触している限りにおきまして、団体の意見もいろいろ出ております。正式の陳情書という形で出ておるものによりますれば、パリティ価格によってなたねの基準価格をきめてもらいたい、こういうことに聞いております。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀委員 きょうは時間がないことになっておるので、簡単な質問だけしますが、長官御就任になって、今度初めてなたねの値段をきめるわけですから、そこでお尋ねしますが、大豆なたね交付金法の第一条の目的の中で、特に生産者関係のある点、あるいは価格決定上、一番大事な目的はどこにあるとお考えになりますか。
  69. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 大豆なたね交付金暫定措置法の制定の経緯に私も参画いたしておるわけでございますが、先生十分御承知のとおり、大豆の自由化ということに伴いまして、それによって不当な農産物価格の変動が生じ、ひいてはそれに伴って農家に急激な悪影響を及ぼさないような、農家所得の安定をはかることにしたいということが、この法律の第一条の目的であろうと思います。したがいまして、急激な変動に対する対処のしかたをどのように考えるか、またそれから受ける影響を農家所得の安定ということにどのように考えていくか、こういうことがこの法律の第一条の目的の要点であろう、こう考えております。
  70. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは当時国会においても非常に論議した点ですが、実は委員会で大幅修正をしているわけです。特に目的の主要な点は、もちろん自由化に対処することになっておるわけですが、そのねらいは、国内における大豆並びになたねの生産の確保、いわゆる自給度の向上が第一点と、もう一つは、大豆なたね生産農家の所得の向上ということ、これが二本の柱になっているわけです。生産の確保をしなければならぬということは、この法律の運用を通じて、法律施行後に逐年生産が増大し、確保されるという実績があらわれなければ、法律の趣旨に沿わないわけですね。それと同時に、生産農家の所得が向上、安定の方途をたどっておるということが実証されなければ、法律の趣旨にそむくということになると思うのです。ところが、この法律が三十六年十一月に公布されて以来、三十六年産の大豆なたねは、行政措置でこの法律の趣旨をあらかじめ体してきめたわけですが、三十七年、三十八年産の両品目については、法律に基づいて、生産者のいわゆる基準価格あるいは標準販売価格というものを決定してきておるわけですが、この両年にわたる政府の法律運用の実態を見ると、われわれはこれは法律違反の運営をしておるというふうにしか考えられないわけです。この法律が出てから、作付面積あるいは収量等も激減しておるし、所得が非常に低減しておる関係があって、他作物等に比較して、結局農家の生産意欲も喪失して、所得はますます不安定になっておる。逆な現象があらわれておるわけですから、これは当然政府が忠実に法律を運用しておらないということになるので、せんじ詰めればこれは法律違反の運用であるということにしかならないと思うわけです。ですから、こういう反省の上に立って、三十九年度の価格決定というものは、やはり心を入れかえて作業を進めてもらわなければならぬと思いますが、その点についてどういうような方針でことしはやられるのか、その点をお尋ねいたします。
  71. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 これは私から御説明するまでもないことと思いますが、制定当時、御承知のように、大豆については三千二百円を維持するかしないか、なたねについては三千百八十円を維持するかしないかということが論議になりまして、自由化になりましても、その当時実現した価格によって所得を維持していくことが必要であるという見地に立ちまして、この基準価格をきめていくというふうに実は理解いたしておるわけでございます。したがって、その当時における農家所得をその後におきましてもできるだけ維持する、ひいてそれによって生産確保ができるようにする、こういう考え方で、今後におきましても一貫して対処していく必要がある、こう考えております。
  72. 芳賀貢

    ○芳賀委員 一応所得を維持するということは、たとえば数字的な基準価格を維持するということではないのでしょう。実際の毎年度における生産農家の実質的な所得を確保する、向上を期するということになると思うのです。数字の上だけで見れば、三十六年、三十七年の両年度は基準価格は三千百八十円、昨年は百八十円上げて三千三百六十円ということになっておるわけです。三十六年、三十七年が据え置きの価格である。三十八年ば大凶作であるにもかかわらず、百八十円しか上げていないということになると、一般の賃金の事情とか物価事情というものを十分勘案し、あるいはその決定年における大豆、なたねの生産数量等を勘案した場合、実際の所得は毎年低減しておるわけです。数字が据え置きとか、少し上がったから維持されておるというのは、全然そうでないということは、長官も常識的に考えておわかりでしょう。そうなると、既往三カ年のことは、いまここで議論しても、遡及して追加払いするということはしないでしょうから、ことし一体どうするかということになるわけです。とにかくここ数年、毎年作付面積が減少し、今年度はようやく十万ヘクタールを維持する程度でしょう。来年は大台をおそらく割るでしょう。そういうことになると、この法律の目的は、むしろ逆に、国内における大豆、なたねの生産を放棄させる目的ということにしかなりかねないと思います。だから、ことしの算定を一体どうやるかということを端的にお尋ねしておるわけです。なぜこういうことを聞くかというと、算定方式は、法律の趣旨を体して政令で定め、あるいは省令で付録算式を用意しておるわけですが、三十六年、三十七年は同様の算定方式を用いておったわけです。これにも問題があることは、数次にわたって指摘しておるわけです。たとえば算定の順序として、三十一−四年を価格算定上の基準年次と定め、パリティの関係については、三十一−四年の平均農業パリティ指数と、決定年における五月のパリティ指数というものを、これは分母分子の関係計算して、それにさらに基準年の平均反収と、決定年における見込み反収というものを比較して基準価格を求める、こういう算定方式です。なぜ三十六年、三十七年は同じやり方でいったかというと、三十一−四年の平均反収よりも、三十六、七年の見込み反収というものは相当上回っておるということが、おおよそ明らかになるわけです。そうしますと、決定年における見込み反収を分母にして、三十一−四年の平均反収を分子にして、生産年の基準価格を出すということは、これは当然価格引き下げのマイナスの要素としての作用をすることは、これはだれが見ても明らかなことです。ですから、これは生産性向上指数と当時呼んで、われわれはこれを採用すべきでないということを指摘したわけですが、強硬に農林省がこれを用いて、結局三十六年も三十七年も同様の基準価格になりましたということで、これは決定を見たのです。ところが、昨年はこの方式を使わなかった。それはどうして使わないかというと、昨年は異例な不作年でありまして、全国平均でいくと、平均反収が七十七キロしかない。ですから、前年度に比べると、大体半作程度の状態になっておるわけですから、これを前年度同様に生産性向上を期するという形でこれを用いると、答えは前年度より相当大きく上回り、四千六百円くらいになるということになりますので、これを今度は下げるために、趨勢反収というものを去年は持ち出してきた。過去数年間の反収の趨勢値を求めると、やはり若干であるけれども、上昇傾向をたどるわけです。だから、去年の場合には、三十八年の実態というものを全く無視して、反収七十七キロ程度しか収量の見込みがないにかかわらず、過去数カ年間の生産の上昇趨勢というものを無理に持ってきて、そうして百四十キロという趨勢反収というものを分母にして、そうして基準価格の据え置きをはかろうとしたわけです。これは全く生産農家を犠牲にしておる無暴なやり方であって、われわれとしても絶対にこれを容認できない。そういう冷淡な算定というものが昨年行なわれたわけです。ですから、その年の都合で値段が上がらぬようにするというのが、過去三カ年における食糧庁を中心にした政府のやり方です。だから一貫性がない。そこで、ことしは一体どういう悪らつな方法で算式を起こすのか、法律に忠実なかまえで算式を起こすかということは、齋藤さんが長官に就任されて、これは初めての取り上げということになるわけですからして、その点に当委員会としては重大な関心を持って、あえて態度を聞いておるわけです。そういうことです。
  73. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 いまお話にありましたような、三十六年あるいは三十七年に取り入れましたような生産性向上指数というものを取り入れることは、これはこの法案の目的から言いまして、当然入れて妥当な考え方ではないだろうかというふうに思うわけであります。しからば、その方法を昨年度はとらなかったではないか、こういうような御指摘だと思いますが、それはいま先生がお話になりましたように、減収率、作況指数が六四とか、反当収量が七十七キロとか、きわめて異例な減収を見ました。その反収でそのまま価格を算定するということについては、これは、やはり異常な減収時をそのままの形において採用するということは必ずしも適当でないというのは、先生もお認めになっているのじゃないかというふうに思います。この点、減収とパリティ価格の問題についての扱いは、いろいろ議論があるところでありまして、異常な減収の場合におきましては、災害に伴って減収しなかった農家に恩恵がいきまして、逆に本来意欲を持たすべき減収した農家については、かえって十分なる恩恵がいかないというようなことになりまして、減収とパリティとの価格関係をどう出すかということは、これは価格算定上非常に議論のあるところだと私は率直に思うわけであります。しからば、災害の関係を全然見ないでいいかということになりますと、これはやはりある程度のものを見るということも必要だと思いますけれども、異常な減収に際してそのまま価格に反映させるということにつきましては、私ども昨年度とりましたのも一つの考え方じゃないかと思います。それを全部価格でカバーすると、カバーされたものは残った生産地域における農家に恩恵を与えるだけで、減収した農家には必ずしもいかないというような不合理もあると思います。  それから生産の減少傾向の問題につきまして、いまひとつどの程度価格政策としてこれをカバーしていくか。現在の段階におきましては、価格政策の限界といいますか、効果といいますか、そういうものについて、われわれも検討すべきものがたくさんあるように思います。現在農村労力が非常に不足して、端的にこれが減少するというような際に、価格政策としてどの程度それによって対策をとっていくかということについても、いろいろ検討すべき必要があろうと思います。そういうようなことを考えまして、この法案の本来の趣旨なりあるいはいままでの経緯等を見まして、やはり価格の弾力性を持ちながら考えていくことが、この法案を運用する意味におきましては適当な方法ではないかと私は考えておるわけであります。
  74. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、昨年まで二通りの算式を用いている。前年度に比べて生産が上昇しておると認められる場合には、生産性向上指数を用いて価格の上昇を押える。それから前年度よりも減収であるという見込みが明らかになった場合においては、その実態を把握しないで、むしろ、趨勢反収というものを採用して、これまた実情を無視して基準価格の上昇を押える。そうなると、どういう年にも価格上昇は行なわれないということになるわけですね。そうでしょう。そうなると、将来にわたっても、前年度よりも反収がふえるようなときには、生産性向上指数を用いる、前年度よりも反収が減退するような場合には、実情を無視した趨勢反収の方式でやる、そういう方針を明らかにして、今後も進む気であるかどうか、その点はいかがですか。
  75. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 生産性向上指数ということにつきましては、先ほども申し上げたとおりであります。ただ、生産性が必ずしも反収で上がらない、しかし、パリティは上がるというような場合においては、当然上がっていくことは計算上出てまいるわけであります。それから減収した場合にどうするか、これを全然見ないというのは適当でない、こう私は思っております。
  76. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、今後の方式として、政令の算式は生産性向上指数を使えと書いてないのですよ。農業パリティ指数は基準年の平均パリティと決定年における示された月のパリティ指数を用いるということは載っておるが、あとは生産の事情とか経済事情とかの勘案要素を用いるということになっておる。生産が向上した分は全部価格引き下げの要素に使うということは、法律にも政令にもそれはうたってないでしょう。だから一貫性がないというのです。前年度より上昇したときは、生産性向上指数を用いて基準価格を上げないようにしておる。ところが、前年度より反収が下回るというような見通しの場合は、いわゆる趨勢値というものを用いて、実情と全くかけ離れたそういう算式で価格の上昇を押える、こういうやり方というものは、全く法律の精神にも反しておるし、正しい意味農業政策ということにはならぬと思うのですよ。だから、あえてそういう方針を示すというのであれば、この両様の方式を用いる、とれた年には生産性向上、とれない年には実情を無視した趨勢反収でやるならやるということを、この際はっきりしてもらえばいいのですよ。どうなんですか。
  77. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 生産性指数のことについては、いま申し上げたとおりでありますが、著しい減収をいたした場合、趨勢反収だけでやるかどうか、これは私は非常に疑問があると思う。昨年度も趨勢反収から減収を織り込んだ計算方法をとっておると思います。ただ、減収した反収を即使いまして価格を出すということにつきましては、先ほど申し上げましたように、価格形式の方法として疑問がある。しかし、趨勢反収だけでやるということでなしに、やはり災害減収等の事情もある程度参酌してきめるべきだ、こう私は思っております。
  78. 芳賀貢

    ○芳賀委員 あなたはそう言うが、去年の趨勢反収は、二十五年から三十七年までの趨勢値をとって、そして百四十キロということにしておるわけです。ですから、それは前年である三十七年の百三十九キロに対しても、わずかではあるが、若干上回っておる。この実態は、反収が七十七キロしかないということになると、この趨勢反収の百四十キロに対して、実際の反収は七十七キロですから、その趨勢反収の二分の一しか昨年はとれていないのです。それを全然加味していないのですよ。ことしは統計調査部の見込みからいうと、反収百十四キロということになっておるわけです。ですから、これも過去数カ年の平均反収から見ると、やはり下回っているということに当然なるわけです。そこで、われわれとしては、ことしの百十四キロというものを、齋藤さんのほうで、どういうように用いて、法律の目的である生産の確保並びに農家所得の安定向上の方向に向かって基準価格の決定を行なうかということについて、価格決定前に、当委員会において、重大な関心を持ってこれに臨むために、きょう出席を求めたわけです。  そこで、もう一つお尋ねしておきますが、毎年、統計調査部はなたねについても生産費調査を行なって発表されておるわけです。たとえば三十七年産の生産費調査の結果が出ておりますが、三十七年度の場合には、全国平均の反当生産費は第二次生産費をとると一万六百六十五円、六十キロ当たりにしますと三千九百三十三円というのが、三十七年産なたねの生産費調査の結果ということになっておるわけでありまして、これを政府の基準価格の三千百八十円に比べると、大体七百円ぐらいの差がある。この三千九百三十三円の六十キロ当たり、一万六百六十五円の反当の生産費というものは、これは、たとえば三十七年度におけるなたね耕作者の家族労働報酬が一体幾らになるのかというと、これは非常に低いわけです。これは一日八時間労働した場合には二百六十六円です。一時間当たり労働報酬はわずかに三十三円三十一銭にしかなっていないわけです。一日八時間の家族の労働報酬はわずか二百六十六円というのが実情であります。これは三十七年の統計調査部の調査の結果であります。さらにことし、三十八年産なたねの生産費については、六月二十日に公表されたわけでありますが、昨年の異常な災害等の事情もありまして、これは平年時における生産費調査の結果というものが把握しがたかったことは明らかでありますが、これによりますと、全国平均の六十キロ当たりの生産費は一万三千九百三十円ということになっておるわけです。特に統計調査部のほうでも、被害率二〇%未満のもの、あるいは二〇%から七〇%未満のもの、さらに七〇%から一〇〇%被害のものと三段に分けておりますが、たとえば被害率二〇%未満の生産費を見ますと、これは六十キロ当たり五千百二十一円ということになっておるわけです。全国平均でいうと、先ほど言いましたとおり、一万三千九百三十円。こういうことになると、昨年の家族労賃というものは、おそらくマイナス何百円ということになるわけです。プラスではなくて、労働費はマイナス何百円ということにおそらくなると思います。それにもかかわらず、昨年は三千三百六十円という非常に不当な基準価格を決定したことは、齋藤長官も御承知のとおりですからして、これらの事情というものを今年度の決定にあたっては十分勘案して、もし将来にいまの政府として、なたねあるいは大豆の国内における生産の向上を期して国内自給度の向上につとめ、それを通じてなたね、大豆の生産農家の所得の向上あるいは安定をはかるという法律の趣旨に合致した価格決定を行なおうとするならば、過去数回にわたっておかした誤りというものをやはり十分冷静に反省されて、少なくともわれわれの期待にこたえるような決定をしていただきたいということを特にわれわれとしては期待するわけです。この点については、担当の長官並びに大臣がきておりませんが、明敏な丹羽政務次官の所信を明らかにしておいてもらいたいと思うわけです。
  79. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 お話のとおり、最近の生産費は、基準価格よりも田については上回っており、また畑については大体基準価格生産費を上回っておる、こういう傾向になっておりまして、これは田のほうは裏作の関係がありますので、麦についても同じような傾向が出ておるわけでございます。こういう生産費のほうも十分ながめながら、価格算定について検討をいたしてまいりたい、こう思っております。
  80. 丹羽兵助

    丹羽説明員 算定の内容につきまして、また算定の方法につきましては、長官からただいま申し上げたような次第であります。さらに、その心がまえもつけて申し上げておりますが、政府といたしましても、つまり、耕作農民と申しますか、なたね生産農民立場に立ち、生産の確保と、そしてまた農家の所得増進のために、そうしたことを考えつつ、そうした人の気持ちになって、御意見が出ておりますように、十分その御意見を尊重いたしまして、価格決定にあたりましては、大いにひとつ検討いたしてまいりたいと考えております。      ————◇—————
  81. 高見三郎

    高見委員長 この際、足鹿覺君外二名から、昭和三十九年産なたね価格に関する件について、決議せられたいとの動議が提出されておりますので、趣旨弁明を許します。足鹿覺君。
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 自由民主党、日本社会党、民主社会党、三党共同提案によります昭和三十九年産なたね価格に関する件について、決議案を提出する次第であります。  決議案につきまして朗読をいたします。    昭和三十九年産なたね価格に関する件(案)   最近におけるなたねの生産事情は作付面積、生産量とも激減の一途をたどっている。これは、大豆なたね交付金暫定措置法の運用が適切に行なわれていないことによるところ大なるものがあると思われる。よって政府は、なたねの生産振興対策にさらに配意するとともに当面する大豆なたね交付金暫定措置法に基く昭和三十九年産なたねの基準価格の決定に当っては、労賃の上昇、災害による減収などの事情を十分考慮し、なたねの生産確保と生産農家の所得向上に資するようにすべきである。   右決議する。  以上でありまして、この趣旨説明については、詳細に申し上げたいのでありますが、ただいまも同僚芳賀委員から質疑が行なわれております。すでに価格決定を目睫に控えておりますので、生産団体等とも十分に連絡をせられまして、少なくとも和種三等六十キログラム、包装込み三千八百九十五円以上を実施するように、政府において全力を振りしぼって実現に努力せられんことを特に強調し、提案の趣旨説明にかえる次第でございます。
  83. 高見三郎

    高見委員長 おはかりいたします。  足鹿覺君の動議のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 高見三郎

    高見委員長 御異議なしと認めます。よって、足鹿覺君外二名提出の動議のごとく決しました。  この際、本件について、政府の所信を求めます。丹羽農林政務次官
  85. 丹羽兵助

    丹羽説明員 ただいま足鹿先生の御発言によりまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党、三党から、三十九年度産なたねの価格に関する決議がなされました。政府はその決議の趣旨を十分尊重いたしまして、昭和三十九年産なたねの基準価格の決定にあたりましては、ただいま申しましたように、趣旨を尊重して検討いたしてまいることにいたしたいと思います。
  86. 高見三郎

    高見委員長 おはかりいたします。  本件の参考送付につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 高見三郎

    高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  88. 高見三郎

    高見委員長 芳賀貢君の質疑を続行いたします。芳賀貢君。
  89. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際、すでに公布されました甘味資源特別措置法の運用について、重要な点について、二、三丹羽政務次官並びに齋藤長官に尋ねてみたいと思います。  第一の点は、丹羽政務次官からお答え願えばよいのですが、この甘味資源法を当委員会で審議の過程で、法律で定められている審議会委員は二十五名をもって構成するということになっているが、その中に当然国会を代表する委員を加えるべきであるという点で、理事会等を通じていろいろ論議した結果、政府においてもその用意はあるということで、われわれは了承をしたわけですが、その当時のわれわれの考えとしては、たとえばこれと同様な趣旨で設けられておる畜産物価格安定法に基づく審議会においても、審議会委員の総数が二十五名のうち、国会を代表する者は五名出ておるわけです。本日出席の委員の中でも、谷垣委員やら私、あるいは長谷川理事もそうですが、われわれの理解としては、やはり畜産物の審議会と同様に、国会を代表する委員というものは五名程度であるという認識の上に立って期待しておったわけです。先日両院において、国会を代表する委員に対する本会議の承認が行なわれたわけですが、それによると、三名ということになっておるわけです。これはわれわれの期待と相当離れたものになっておるわけですが、この点に対しては丹羽農林政務次官としてどういうお考えであるか、お尋ねしたいと思います。
  90. 丹羽兵助

    丹羽説明員 なるほど、その法案を御審議いただくときに、審議会委員の学識経験者のうちに、国会議員の先生方からお入りいただくという話し合いはつけていただきました。数は何名ということまでの話は私も承知しておりません。  そこで、私が役所のほうと相談をいたしまして、衆議院のほうからお二人、参議院のほうは議員数も少ないことでございますので、お一人願えれば十分国会の意思は反映していただけるし、特に与党のほうから一人、野党を代表して一人出ていただきますれば、りっぱな方々が御選考というか、御推薦を願えるということであるから、そうした有力な方々、力ある方々によって、国会の意思は審議会の中に十分反映するものと思います。五人にしたらどうかという御意見もございましたが、私としては、三人で十分だ、こういうことで決定してお願いしたような次第でございます。
  91. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は、こちらもいささか一あのときは政務次官大臣にかわってということで発言をされた記憶があるわけですが、こちらは与野党含めて五人ということだったわけです。それで、ちょっと詰めを怠ったかもしらぬが、これはことしだけの審議会ではないわけですから、将来にかかわる問題であるし、それぞれ委員の任期は一年ですから、ことしはここで変更するということもできぬでしょう。ことしの審議会の運営等を通じて、やはり当初の考えどおり五人が妥当であるという場合には、これは十分御相談をして訂正してもらわなければならぬと思います。これはいまここでどうするということにいかぬと思いますが、その点だけは明らかにしていただきたいと思います。
  92. 丹羽兵助

    丹羽説明員 先生も御承知のように、審議会の中に国会の先生に入っていただくということについては、政府側が実は快しとしていなかったのは事実であります。それは希望していなかった、予定していなかったわけですが、しかし、あのときの打ち合わせで、どうしても国会の先生を入れろということでありましたので、私が入っていただくようにお話し合いをしたのです。なお、三人とか五人とかいうお話はなかった。しかし、そういう御意見がありますので、一年間任期があるうちにやっていただいて、三人の方で国会の意思がどうしても伝わらぬというようなことが明白になるということになれば、それは考えなくてはならないと思います。しかし、私は、現在もその必要はない、三人で十分であるという考え方をしておりますので、またそういうときには御相談をすることもありましょうが、現在はふやすという考えは持っていないのであります。
  93. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、お尋ねしたいのは、せっかく審議会が設けられて、他日開かれると思いますが、審議会で一体何を諮問し、あるいは協議するか、この点は法律の中で抽象的にはうたってあるが、明らかにされていないのです。私も審議会委員としての指名を受けておるわけですが、もし審議会が開かれ、出席する場合に、一体何を諮問されたり協議するかという認識がなくて、ひょこひょこ行くわけにもいかぬですから、この際、この審議会において審議すべき具体的な事項について明らかにしてもらいたいと思うわけです。
  94. 丹羽兵助

    丹羽説明員 事務当局から答弁いたさせます。
  95. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 さしあたり、審議会としてぜひ御審議願いたいと考えております点は、御承知のとおり、甘味資源の生産地域の指定をするということになっておりますので、その地域指定についてどのように考えたらよろしいか、あるいはまた御決議にもありましたように、生産の長期の見通しを立てるということになっております。その五カ年程度を目標といたしました生産計画等につきましては、さっそく御審議を願いたいというふうに考えております。なお、それに関連しまして、今後の国内甘味資源の生産振興に関するいろいろの重要事項につきましても、御意見を拝聴してまいりたい、こう思っております。
  96. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点は法律の第三十条に、審議会の権限というのがうたわれておりますが、これによると、甘味資源作物の生産振興に関する事項、砂糖類の製造事業の合理化に関する事項、でん粉の原料となるカンショ及びバレイショの需要の確保に関する事項、その他この法律の施行に関する重要事項を調査審議するということになっておりますので、法律に明記された事項のほか、この法律に関する重要事項を調査審議するということになれば、いま長官の言われた長期見通しに対する審議、さらにまた私は重要と考えますことは、たとえばこの法律に基づいて、てん菜糖あるいはブドウ糖、甘蔗糖の買い入れ措置やその価格を農林大臣がきめるということになっておるわけですので、これらもやはり法律施行上重要な事項であることは言うまでもないわけですから、これらの関連した重要問題については、当然審議会としてこれに無関係であってはならぬというふうに考えておるわけですが、この点いかがですか。
  97. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 この法案を審議する際にあたりましても、そのような御意見が出たわけでございますが、ただいま申し上げましたように、甘味資源法に関連いたしました重要事項ということに考えております。具体的な価格につきましては、御承知のように、てん菜につきましても数回、あるいはブドウ糖につきまして、あるいは甘蔗糖につきましても、それぞれ時期を異にして何回も開くというようなこともあります。また、価格計算方法等につきましては、ある程度法律にも書いてありますが、審議会におきましては具体的価格を諮問するということは考えておらないわけでございます。
  98. 芳賀貢

    ○芳賀委員 考えていなくても、必要であるということになれば取り上げなければならぬ。そういう事態もあり得るでしょう。これは絶対必要ないからだめなんだというわけにいかぬでしょう。法律の実行上関係のある重要事項については調査審議するということになっているが、重要でないから関連がないというわけにいかぬですが、ここではっきり絶対やりますとも言いづらいでしょうから、審議会が開かれて運営審議する場合、当然出てくる問題ですからして、あらかじめ心がまえとしてこの点を明らかにしておいてもらわぬと、審議会が始まって、その問題だけでまた一日も二日もごたごたやっていることになるといかぬと思う。
  99. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 ただいま申し上げましたように、具体的な価格のきめ方について、おそらく年八回以上になると思います。いまの甘味資源法に予定いたしております価格をきめるにあたりまして、審議会にそのつど御諮問申し上げるというわけにまいらないと思います。ただ、一般的な価格についての考え方について、生産振興上どうあるべきかということは、当然いろいろ御意見が出るわけでございますから、そういう御意見は拝聴することになろうかと思います。いま申し上げておる具体的な価格の決定につきまして、審議会に諮問するということについては適当じゃない、こう思っております。
  100. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これはここで議論する必要はないわけでありますが、審議会の性格上、もちろん農林大臣に諮問された事項の審議はやる。審議会自身が必要と認めたこの法律に関係のある重要事項については、審議あるいはその結果に基づいて建議することもできるわけですから、法律の趣旨は長官も御存じのとおりですから、これ以上議論は避けます。  最後に、もう一点でありますが、この法律を通したとき、附帯決議として、衆議院においては四項目の内容を持った決議を行なっておりまして、この決議については、農林大臣としても、十分決議の趣旨を尊重して実行につとめるということを言明されておるわけですが、ここで一番重要な点だけについて、一点だけお尋ねしておきます。この附帯決議の第三項には、「製糖業者と農業協同組合又は同連合会との間に取引価格の協定が成立した場合には、農林大臣は、取引価格の額及びその経緯を報告せしめること。」ということになっておるわけです。三十九年度に生産される見込みのてん菜の価格等については、法律審議の過程において、特に与野党の理事会において、できるだけ生産者と会社側において相互に取引価格の問題等についても協議を進めて、一年じゅう価格問題だけで議論するのは愚かなことであるからして、そういう団体交渉の形で、相互間の話し合いによる決定ができたらやらせてみさしていいではないかというような趣旨に基づいて、食糧庁長官のほうから両当事者に対して、団体交渉をやるべきであるという指導的な勧告が出されたことは、これは委員会としても承知しておるわけでありますし、あるいはまたこれを促進する意味において、北海道においては、北海道知事の町村金五君のほうからも、取引価格の決定促進のために、具体的な勧告、指導等を行なった経過も実はあるわけであります。それで、ことしは異例なことでありますが、この法律が参議院段階においてまだ成立しない過程において、ことしの原料取引価格は七千二百円ということにすでにきまっておるわけです。これは前例としても非常に大きな成果があがったことになるので、食糧庁長官の指導が適切であったことについても、この点はわれわれ評価しておるわけです。したがって、これと関連して、附帯決議の第三項にも述べられておりますが、当事者間において取引価格がきまった場合は、農林大臣のほうからその経過並びに結果について報告をさせるということが、決議の趣旨になっておるわけでして、この点は事務的な扱いということになると思いますが、すでに食糧庁長官としては、この決定の経過及び結果について報告を徴されておるかどうか、その点いかがですか。
  101. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 団体連名で報告を受けております。
  102. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは報告を求めて報告がされたのか、求める前に報告が出て、それを報告として認めたのか、その点はどうなんですか。
  103. 齋藤誠

    ○齋藤説明員 われわれといたしましては、この決議が出ましたときに、報告を受けますと同時に、これで確実にひとつ支払うように、団体に責任を持ってもらう、こういうふうな指導をいたしております。
  104. 高見三郎

    高見委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる七月七日午前十一時から開会する予定であります。  これにて散会いたします。    午後零時三十七分散会