○林
委員 これはもう言うまでもなく、御承知だと思いますけれども、外材の輸入が約四億ドル、千四百六十億円で、わが国の主要輸入物資のうちでは、石油、綿花に次いで、非常に大きな輸入額になっているので、これがこのまま将来拡大されるというようなことを林野庁自身が考えているということは、日本の経済全体にとって非常に重要な問題であると思うのです。このような赤字がさらに拡大されるということになりますと、貿易の自由化による日本の外貨の問題、金準備の問題からいって、これは非常に重要な
影響を及ぼすのです。ですから、少なくとも腹の中ではどういうことをお考えになろうとも、林野庁としては、こういう国家に大きな負担をかけている外材の輸入の問題については、将来は自主的な需給
関係を考えるということが、私は日本の国の林野行政の最高の責任者として言うべきことだと思うのです。問題はいろいろございます。たとえば、これがさらにちり紙だとか高級な和紙の問題になりますと一御承知のとおり、山陽
パルプとスコット会社との合弁会社ができまして、これは日産三十トン、月間九百トンという能力を持つわけでありますが、そういうことになりますと、トイレットペーパーの三十八
年度の日本の生産量は月間千七百トンですが、千七百トンのうちの約九百トンが、山陽スコットの生産能力であるということになって、これは容易ならぬ問題になると思うのです。さらには十条キンバリーという合弁会社ができてきておる。これは直接
パルプを持ってきて生産することを前提として、当面は輸入と
販売だけを目的としているということのように言っておりますけれども、これも容易ならぬことであります。ことに機械すき和紙同
業者の中からは、このような
状態が放置されるならば、アメリカの製紙会社が日本に上陸を始める、合弁で市場の確保をねらう、今年の東京オリンピックまでに日本の薄葉紙市場独占の意気込みであると大々的に報道しておるというようなことが、非常に脅威を感じさしておるわけです。ことに機械すき和紙は、生産力が約四百の
中小企業であって、年間生産額が三百七十億円、ところが、十条製紙と山陽
パルプだけで合わせて四百九十億、約五百億になるわけです。だから、十条製紙と山陽
パルプだけでも、四百の中小機械すき和紙の生産量をこえておるというときに、さらにキンバリーだとか、スコットというような、一社でもって年産この四百の会社の五倍もの巨大な生産能力を持っておる——たとえはキンバリーにしても、年産千四百七十八億円、スコットが千百九十九億円というように、こういうものが十条製紙、山陽
パルプ等と合弁会社をつくって、そしてちり紙だとか、すき和紙だとかいう小さい企業や、それによって生活を
立てている四百もの
中小企業があるというときに、これが席巻をしてくればどういう
状態になるか、これは心配するのは無理ないと思います。現に私たちのところに静岡県のちり紙工業組合から
陳情もきております。その
陳情の中には、「われわれ業界に於ける不安感の増大」、それから「重大社会問題惹起の懼」というのがありまして、「われわれ業界に於ける不安感の増大」という中には、「大企業の衛生紙業界進出は、われわれ業界並に流通面の
販売店筋に、一大混乱を招くこと必至との疑懼から、前途に対する不安感が日増しに増大している。一方
中小企業安定法、
中小企業業種別振興法等に基く行政指導も、今日の現実にてらし余りにもかけ離れた、旧時代的感強く、業界の団結は崩れ、工業組合の運営も頓挫を来し、行政に対する矛盾を痛感している。」また「重大社会問題惹起の懼」としては、「
中小企業に甚しい混乱を起し、倒産続出等の事態
発生の際は、関連
産業にも直ちにその類を及ぼし、重大なる社会問題を惹起する懼、極めて大であります。以上の理由、並に
影響からわが業界に甚しい混乱をもたらすものと考えられますので、左記の如く強力なる政治的、行政的
措置を早急に樹立されるようお願いする次第であります。」こういうような前提で、「永年われわれ
中小企業が開発した、わが国の衛生紙業界に、甚しい混乱をもたらすこと明白なる、上陽スコット社並に十条キンバリー社の同業界に対する進出を、直ちに中止せしめられたい。尚、今後前記二社以外の新規の同業ケースの衛生紙業界進出は押さえられたい。」というように、いろいろこまかいことはありますけれども、こういう外材輸入あるいは
林業加工業に対する外国資本の進出が、非常に大きな日本の業界の危惧の的になっております。現に当
委員会の公聴会でも、和歌山や札幌でも、先ほど申しましたように、この点について規制をしてもらいたいという意向が強いわけであります。数字を申し上げますと、米材が全部立方メートル単位でありますが、三十五年が五十五万三千立方メートル、それが三十八年には三百五十六万二千立方メートルで、約六倍になっております。このような膨大な米材の輸入が、製材界あるいは林産加工業界に非常に大きな
影響を与えておるのであります。これに対して
政府は、それは将来の需給からいってやむを得ないのだといって済まされるのかどうか、その点について責任ある御
答弁を次官と
長官の両方からいただきたいのです。