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1964-06-16 第46回国会 衆議院 農林水産委員会 第60号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十六日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 高見 三郎君    理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 足鹿  覺君    理事 芳賀  貢君       池田 清志君    大坪 保雄君       加藤 精三君    亀岡 高夫君       仮谷 忠男君    小枝 一雄君       坂村 吉正君    笹山茂太郎君       舘林三喜男君    寺島隆太郎君       野原 正勝君    藤田 義光君       三田村武夫君    角屋堅次郎君       栗林 三郎君    東海林 稔君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       西村 関一君    松浦 定義君       湯山  勇君    稲富 稜人君       中村 時雄君    林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  丹羽 兵助君         林野庁長官   田中 重五君  委員外出席者         農林事務官         (林野庁職員部         長)      森   博君         農林事務官         (林野庁職員部         福利厚生課長) 西尾 八起君         農林事務官         (林野庁職員部         労務課長)   隅田 達人君         農 林 技 官         (林野庁指導部         研究普及課長) 伊藤 清三君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  林業基本法案内閣提出第一五一号)  森林基本法案川俣清音君外十二名提出衆法  第四〇号)  林業基本法案稲富稜人君外一名提出衆法第  四四号)      ————◇—————
  2. 高見三郎

    高見委員長 これより会議を開きます。  内閣提出林業基本法案川俣清音君外十二名提出森林基本法案稲富稜人君外一名提出林業基本法案、右三案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。順次これを許します。湯山勇君。
  3. 湯山勇

    湯山委員 私はなるべく重複を避けまして、主として最初政府提案林業基本法案第三条の五号、六号、これに関してお尋ねをいたしたいと思います。  第五号は「近代的な林業経営を担当し、又は近代的な林業経営に係る林業技術に従事するのにふさわしい者の養成及び確保を図ること。」第六号は「林業労働に従事する者の養成確保及び福祉の向上を図ること。」こういうことが明記されております。実際に新しい基本法が実施される段階になりましても、何といっても、人を得なければその効果があがらないことは、これはもう自明の理でございますから、そういう点にしぼってお尋ねをする次第です。  まず、近代的な林業経営者、これを養成するということが急務であるということは、戦後特にその必要が痛感されておりまして、いろいろなところでこれに関する意見が発表されております。そこで、私は、その中の特に林業教育林業技術者養成機関、その中の最も重要な位置を占めておる大学の問題、これを中心お尋ねをいたしたいと思います。  まず、長官お尋ねいたしたいのは、現在の大学教育がはたしてこの基本法で要求しておるような要請にこたえる状態にあるかどうか、それについて長官のお考えを伺いたいと思います。
  4. 田中重五

    田中(重)政府委員 現在の大学林業教育につきましての実情を申し上げますと、現在大学農学部林学科を設置しておりますのは、国立で二十校、公立で二校、それから私立で二校、合計二十四校でございます。それで、戦争前の国立大学の四校に林学科の設置をし、高等専門学校、それからこれに準ずるものに八校置いておったというのに比べますと、現在は約二倍でございまして、量的には相当拡充されておるということが言えると存じます。  なお、現在の林業関係技術者需要としましては、今日の傾向としまして、パルプであるとか、あるいは合板、それから木質繊維板、そういった林産工業の急速な発展に対応するところの技術者需要が多い。そこで、戦後北海道大学東京大学、九州大学の三校では、林産学科を別に新設をしておるというのが実情でございます。したがいまして、当面急を要するものといたしましては、なお林産工業系林産学科を他の大学にも拡充をはかっていくということが必要でございます。それから、育林系統林学科につきましては、いま申し上げましたように、戦後相当に増設されたという経緯もございますので、今後は量的な拡大よりも、むしろ質的な改善に重点を置いて、設備その他の整備をはかりたい。そして近代的な林業推進していく技術者確保ができるように、今後関係方面とも十分連絡をとりながら、林業技術向上をはかってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  5. 湯山勇

    湯山委員 大体、現在、大学林学課程をおさめておる者は三千人程度かと思います。これが四年にわたりますと、一年間の卒業生というのはその四分の一程度、それで国有林はもちろんですけれども、民有林すべてに技術者を提供できるかどうか。技術者需要にこたえられておるかどうか。それについてはどのように御調査になっておられますか。
  6. 田中重五

    田中(重)政府委員 現在の林学科卒業生就職先別の割合を見ますと、官公庁に二〇%、それから学校の教職員に三%、大学院に残るのが一九%、それから自営に入るのが五%、あと五三%が民間会社でございます。いまも申し上げましたように、今後の林業技術推進の面からいいまして、この林産関係育林関係方面技術養成、特に育林関係では質的な、それから林産関係では質的と同時に量的な充実をはかっていく必要がある、こういうふうに考えております。
  7. 湯山勇

    湯山委員 官公庁関係二〇%の中で、国有林へは毎年何名ぐらい採用しておりますか。その専門の内訳はどんなになっておるでしょうか。
  8. 田中重五

    田中(重)政府委員 年によって多少の出入りがございますが、大体三十二、三名程度でございます。その専攻は、大部分林学科関係でございます。
  9. 湯山勇

    湯山委員 大部分林学科で、近代的な林業経営民有林その他の指導に十分でしょうか。いま長官のおっしゃった程度採用で大部分林学科、それではたして現在の近代的な林業——国有林自体もそうなっておると思いますし、それから林野庁の大きな役目として、公有林民有林等指導に当たっていく、その需要に十分こたえられておるかどうか、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  10. 田中重五

    田中(重)政府委員 この点につきましては、必ずしも十分であるというふうに申せないと私は考えている次第でございます。これは現在の定員関係等に制約をされまして、いま申し上げました程度採用にとどまっております。今後の林野行政の推移にかんがみまして、もっと拡充をはかっていく必要があるのではないかというふうに考えております。
  11. 湯山勇

    湯山委員 いまの問題は、定員等の問題もありますから、必ずしも直ちに不十分な点が解消するということは考えられないかもしれませんが、非常に重要な問題なので、あとでまたこれに触れる機会があると思います。  そこで、今度は内容について伺います。いま質的にこれを高めていくという御説明がございましたが、かねがね私疑問に思っておりますことは、私の調査した範囲では、北海道大学林学部があるということはわかっておりますけれども、その他の大学では林学部という部が設置されていないのじゃないでしょうか。農学部林学科というものがくっついている。したがって、当委員会に先般参考人としておいでいただいた倉沢教授ですか、この方も、お配りいただいた資料では東京大学農学部教授となっておって、林学部教授とはなっていないのです。農学部の中に林学科が、言い方は悪いけれども、寄生したようなかっこうで寄っかかって存在しておる。それでは林学というものの独立はないだろうと思います。学部長は大部分農学関係の方で、林学関係学部長というのは少ないのじゃないかと思います。そうすると、現在の大学のある状態からいえば、林学というものは独立していない。そして林学科という非常に大きな総括された中に含まれておるということになると、近代林業というものはどんどん分化していかなくてはならない、新しい要素がどんどん入っていかなくてはならないのに、そういうことが十分行なわれていない、こういうことになるのではないかと思います。第一、長官の御卒業になったのは農学部ですか、林学部ですか。
  12. 田中重五

    田中(重)政府委員 農学部林学科でございます。
  13. 湯山勇

    湯山委員 ですから、長官もやはり農学部の御卒業で、この間の参考人農学部教授長官教授になっておられれば農学部教授であって、林学科教授とは言わないはずです。これはただ形の上ではなくて、そこに私は質的なものがあると思うのです。農学林学とはどう違うのでしょうか。そこからいかないと、林学というものを独立させるか、農学部にいまのような形で含まれておるという状態でいいか、この判断がなかなかできないと思います。一体林学農学というものは区別さるべきものか、しなくてもいいものか。相関連するところがたくさんあることはわかります。そういう意味ではなくて、いま近代的な林業を進めていくという段階で、もう一ぺんこれを検討する必要があるのではないかと思いますので、お尋ねするわけです。
  14. 田中重五

    田中(重)政府委員 林業技術の革新は、今後の林業発展に伴ってきわめて必要であること、それからそのためには、特に大学教育林学の面を独立させることによって充実すべきではないかという御意見に対しまして、その御趣旨につきましては、私も全く同感でございます。まことに心強く存じます。現在のところは、各大学ともすべて林学科農学部の中に置かれているという形でございます。独立しておりません。それは沿革的な問題もあろうかと存じます。今後の林業発展の新しい段階に立って、この点についても十分に検討を加えなければならない時期にきておるものと存じまするので、関係方面とも十分に連絡をいたしながら、少しでもこの改善に向かって進めてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  15. 湯山勇

    湯山委員 これは非常に重要な大きい問題ですから、長官としては、もう少しはっきり意思表示をしていただきたいと思うのです。つまり、現在のような農学部林学科、こういうことではこれから困る。林学部というものは、農学部と対等に独立させなければならないのだ、こういうお考えなのか。歴史的ないろんないきさつもあって、いまのような状態でやっておるけれども、いろいろ検討もするし、そういう方向努力もしなければならないというような、どちらかといえば、それはそうだけれども、積極的にいまどうしようということではないのだということなのか。これは、私は、基本法ができる段階で、何かのきっかけにただしておきたいと思っておったことなんです。そこで、せっかくこういう基本法をつくるという段階で、この問題は処理しなければ、またこのままずるずるいけば——いま長官がおっしゃったように、沿革を調べてみましても、当初はいまの林学科というものと農学部というものとは別個の存在であった。独立しておったようです。最初に西ケ原というところに林学校というものができて、駒場に農学校というものができた。その両方が一緒になったものが現在の東京大学農学部、これは明治十九年だそうです。明治十九年から今日まで、合併して農学部林学科というものがそのまま続いてきている。何のふしぎもなく今日まできた。それで林業林学というものに進歩がなかった。ただ自然にできてきたものである。それを伐採していくという林業だけできた。しかし、今日はそうじゃなくて、いまの林業そのもの応用方面も非常に広くなっておる。それから単に木を切るということだけでなくて一育成林業といいますか、これもどんどんやっていかなければならないというときに、明治十九年からのいきさつをどこの大学もまねをして、今日のような状態になっておる。それをそのまま放置していいかどうか。これについては、特にその責任のある林野庁長官は、はっきりした意思表示、積極的な行動をこの際こそ起こすべきだ、このように思いますが、いかがでしょうか。
  16. 田中重五

    田中(重)政府委員 その点につきましては、全く御意見に私は同感でございまして、いままでに比べて、今後の林業技術が、さらにこの内容を深め、しかも複雑になってくる、そういうふうな状況にある今日の段階において、林学という教科のさらに充実をはかるために、現在のような大学における林学科位置づけを刷新をして、それを独立した、そうしてさらに高度の研究にたえ得るような講座を持つ制度に直していくということについては、私も全く同感でございます。ぜひともそういう方向で今後関係当局とも十分に打ち合わせをし、その方向で進めてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  17. 湯山勇

    湯山委員 それで長官の御意向はわかりました。しかし、これは長官段階だけで処理できる問題でもないと思います。長官が熱意を持ってお当たりになる。それに対しては政務次官大臣一体になって当たっていただかなければ、いまのような長い伝統を持った古いからが残っておるのですから、容易でないと思いますが、政務次官の御所見もこの際伺っておきたいと思います。
  18. 丹羽兵助

    丹羽(兵)政府委員 林政を直接あずかっておる立場に立っての考えは、ただいま林野庁長官が述べました。私も、当然長官の言いましたような形に持っていくべきだ、こういう考えを持っております。ただいま先生からも御指摘がありましたように、農業林業というものがばらばらであったとは考えておりませんし、またそうあるべきものでもない。しかしながら、長い間農政の片すみに、林政というものも、林業というものも置かれておったということは、これは認めなくてはならないと思うのです。そういう形できたことが、御指摘にありましたように、放任されておったと言わざるを得ないことになっておる。しかし、林業それ自身がたいへん重要さを持ってまいりましたし、複雑にもなってまいりました。このままではいけませんので、もちろん、農業林業とを分けて考えるわけには、これは永久にいかないでしょうが、少なくとも農業林業とが並び立っていくというウエートは持たしていかなければならぬ。政治の上においてはもちろんでありますが、学問的にも、御指摘にありましたように、しっかりした位置づけをして、具体的に申しまするならば、農学部対同等に林学部というものも最高学府等においてつくるべきだ、こういう考えを持っております。これは政治家としての感覚でございまして、学問的にはいろいろ異論もありましょうし、またそれを実現させるには、ただいま長官も申しましたように、文部当局のほうとも十分連絡をとらなければなりませんから、農林省として、また政務次官としては、当然いま申し上げましたような態度、考え方で、関係当局にひとつ話を進めてまいりたい、かように考えております。
  19. 湯山勇

    湯山委員 ただいまの政務次官の御答弁のような方針でぜひお進めいただきたいと思います。  なお、この際、その参考にもなるかと思いますので、諸外国の実情林野庁のほうでお調べになったことがございますでしょうか。
  20. 田中重五

    田中(重)政府委員 ただいま取り調べておるのでございますが、まとまっておりませんので、後ほどその内容について御報告をいたしたい、こういうふうに考えております。
  21. 湯山勇

    湯山委員 おおよそのこともわかりませんでしょうか。
  22. 田中重五

    田中(重)政府委員 ちょっといま手元に資料を持ち合わせておりませんので、後ほどまた御報告いたします。
  23. 湯山勇

    湯山委員 私も正確な資料は持っておりませんけれども、林学単科大学を持っておる国は相当ございます。それから、日本のように農学部に含まれているというような形態のは、逆に非常に少ない。これはアメリカにしてもそうですし、西ドイツにしてもそうですし、むしろ日本のようなのが異例であって、林学部あるいは単科大学、そういうものの設置されておる国が多い。これはいまその御調査ができてないということは非常に遺憾ですけれども、ひとつ御調査願って、そういうものも資料にしておやりいただかないと、実際には実現困難だと思います。これは、資料は簡単に手に入ると思いますから、ひとつすみやかに資料をおそろえになって当たっていただく。  それから、いろいろ実際に現在のような状態であるために起こっておる欠陥、これも振り返ってみなければならないと思います。その中で一番原始的なもので、これは確かに欠陥だなと思われるものは、砂防関係です。これは現在どうなっておりますか。私は、山地の砂防というようなことは、直接その山林に入っておる林野庁中心になってやっていく、そうでなきゃならぬじゃないかと思うのですけれども、実は建設省のほうが中心でやっておられる。これでほんとう砂防ができるかどうか。どうなんでしょうか。
  24. 田中重五

    田中(重)政府委員 砂防につきましては、確かに、建設省農林省との所管の間で、現場について必ずしも明確でない面もあったわけであります。しかしながら、建設省では、これを河川の管理の面からその事業所管をいたしております。それから農林省としては、治山の面からその面の所管をいたしております。そこで、昭和の初めでございますが、農林省とその当時の内務省との間で、砂防治山事業を区分する原則的な点を取りきめたわけでございます。それは簡単に申しますと、造林行為を伴うような工事については、これは治山事業として農林省所管にする、それからむしろ土木工事が主体で、そうして造林行為を伴わない事業は、内務省所管にするという原則をきめまして、自来、その原則に従って、内務省農林省、戦後は建設省農林省とで中央で打ち合わせをし、県ではまた土木林務部打ち合わせをしながら、進めてまいっておるわけでございます。また、昨年になりまして、さらにその内容について誤解のないように、また紛争のもとにならないように、もっと具体的な取りきめをいたしまして、進めているわけでございます。
  25. 湯山勇

    湯山委員 これは私は、その問題を特に掘り下げてお聞きするつもりはございません。しかしながら、ほんとう林学というものが独立すれば、伐採、植栽、そういうものと砂防というものは、これはもう一体的なものだし、それから、現在の建設省でやっておる砂防というものも、ほとんど林地に対してなされておる。こういうものを専門的に取り組むことが、やはり林学一つの大きな役目になってくるんじゃないか。そういうことが確立されていないから、いまのような、内務省との間に協定する、昨年になって建設省との間に話し合いするというようなことにもなってくる。これらもやはり一つ森林自体工学なり森林工学とかそういう形で、林学立場から確立していく性格のものではないか、こういう点も一つ問題があると思います。  それから第二番目、これはもうわかりやすい問題ですけれども、品種改良の問題です。品種改良の問題は、農学の分野に入ってしまって、林学では、品種改良ということはほとんどやっていないのじゃないか。ただ、優良種苗を得るための優良種子の抽出ですね、そういったようなことはあるにしても、実際に樹木改良、こういうことはあまり行なわれていない。ミツマタの六倍体ですか、それをつくるとかそういうことはあるにしても、ほとんど品種改良というようなことで見るべきものはないのじゃないかと思います。しかし、今日技術的に見るならば、桜なんかがあれだけのたくさんの品種ができている。ツツジなんかもずいぶんたくさんの品種ができております。そうすれば、そういう樹木についての品種改良ということも本気でやってできないことはない。しかし、残念ながら、今日まで、林野行政といいますか、林学の中では、それがあと回しになっていた。この辺にも、私は、林学後進性あるいは従属性というのですか、独立性を欠いている、こういうことがあるんじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  26. 田中重五

    田中(重)政府委員 その点については、確かに林学は、農業あるいはその他の畜産等に比べましても、品種改良の点は非常におくれておりましたことは、認めざるを得ないと存じます。それは一つには、この林業生産が非常に長期間的な事業でございます。しかも、その立地の異なるごとに、それぞれすべての要因が変わってまいりますので、試験の資料をとることが非常にむずかしいという面もございます。しかしながら、近年になりまして、その点に十分に留意をいたしまして、林野庁といたしましては、御承知だと思いますけれども、全国に五つの林木育種場を設けまして、林木育種事業品種改良事業を進めております。また一方、大学の科目といたしましても、いま育種学を置いておりますのが全国で二枚でございます。それで、この育種事業は、特に土地生産業について最も重要なことでもございますし、今後ますますこれの推進をはからなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  27. 湯山勇

    湯山委員 指導部長お尋ねいたしますが、具体的にどういう品種が新しく出てきたという例があれば、幾つかあげていただきたいと思います。
  28. 伊藤清三

    伊藤説明員 林野庁育種事業につきましては、三十二年度から正式に始めましたので、そのものずばりは出てまいりませんが、民間と国と協力いたしましてやりましたものにつきましては、九州におきましては、黄心とか、そういうような品種ですね。それからやぶから出るというふうなもの、これは名前はちょっと忘れましたが、二、三例ございます。それで、現在、種苗につきましては、選抜、いままでありますものからいいものを選ぶということと、それから交配いたしましてやっておるものがありますが、現在交配中でございまして、まだ特別に新しい品種は見つかっておりません。
  29. 湯山勇

    湯山委員 そういう状態ですから、これなんかも、いまパルプ原料を針葉樹から広葉樹に切りかえていくというこそくな手段でなくて、イタリアなんかはポプラの改良に成功したのでございましょう。それからイギリスでしたか、ドイツでしたか、松の品種改良に成功している。そういう大きな業績もあげているわけですから、長い歴史を持つ林野庁品種改良をやったものがいまだ一つもない、いかにも残念なことだと思います。その辺にも、私は、教育研究機関の早急な切りかえ、それが必要だと思います。このことは、長官が御就任になったときに、何か雑誌で見たのですが、大日本山林会会長三浦伊八郎さんという人が、林学においては独立性分科制が欠けておる、これはぜひやってもらいたいというような、祝辞ですか、歓迎のことばかを述べられておるのを雑誌で見たのですが、長官はそのとき立ち会っておられましたか。そうじゃなくて、別なところで発表になったのでしょうか。
  30. 田中重五

    田中(重)政府委員 そのお話は、私、三浦伊八郎先生から伺った記憶がございます。
  31. 湯山勇

    湯山委員 そういうふうに、これはもう林野庁関係者だけじゃなくて、いまの山林会会長——一般関心のない人は別ですけれども、全体的な要望ですから、あすからでも文部省のほうと交渉して、ぜひそういう体制をとるようにしていただきたいと思います。またしなければならない責任があると思います。  なお、このことについては委員長にお願いしたいのですけれども、文部大臣にぜひ申し上げなければならぬ問題だと思いますから、文部大臣も、機会を見て当委員会にこの問題で要請する機会を与えていただきたいと思います。  それからその次に、同じようにそれとの関連で、現在山村で働いている人、この人たちに対する技術普及、そういう問題についても、やはり大いに努力をしなければならない問題だと思います。聞くところによると、山村中堅青年育成事業というのを、今年度からですか、実施されようとしておるようですが、これはどういう構想で、どういうふうにやっていかれるお考えでしょうか。これは長官でなくても、担当の方でけっこうです。
  32. 伊藤清三

    伊藤説明員 大体山村中堅青年にどういうふうなことをやっておるかというような点につきまして申し上げます。  三十九年度から始めましたのは、各府県に林業教室というふうなものを設けまして、一教室四十人というふうな定員で、大体二カ月間の研修をやる。その研修につきましては、その一部を総合研修にし、一部を実習にし、一部をディスカッション、協議というふうな方面にいたしまして、青少年に対して実際の教養と技術を与えよう、かようなことにしておるのでございます。同時に、そう長期に参られない方につきましては、技術の交換というようなことで、有名な林地に、あるいは林地の中の篤林家に、経営見習い的にやって、そこで技術を教えていただくというふうなことで、林野庁といたしましては、それに対します予算で、旅費あるいは宿泊費等の一部の負担を講じておる次第でございます。普及事業におきましても、そのつど研修におきまして青少年等の集合をいただきまして、それに対して技術を教育しているというのが実情であります。
  33. 湯山勇

    湯山委員 そこで、私は問題が出てくると思うのです。一体、いまのような御計画ではたして目的が達成されるかどうかという問題が一つございます。  それから予算で、旅費、宿泊費等の一部を負担する、あとは本人負担ですね。
  34. 伊藤清三

    伊藤説明員 県が一応負担しております。本人はしておりません。
  35. 湯山勇

    湯山委員 それじゃ本人は旅費も宿泊費も一切負担しない、こういうことですね。
  36. 伊藤清三

    伊藤説明員 本人には負担させない、国と県が持ち合うということです。
  37. 湯山勇

    湯山委員 そういうことになると、また心配な点があるわけです。というのは、いまの御説明によると、そういう教養と実習をやるということですが、この実習が私は非常にくせ者だと思うのです。近い例ではありませんけれども、アメリカへ農業の実習というのですいぶん若い人をやっております。しかし、これが研究じゃなくて、ほとんど全部労務提供なんです。そういうことはあなた方もお聞きになっておられると思います。それから農業高校の教育、これも実際はいま実習という名前の労務提供をずいぶんやっています。だから、ある農業高校の先生は、もし必要なだけの実習、つまり労務提供的なものを除けば、あの程度ならば、農業教育の期間をいまの三年を二年にしても決して短過ぎはしないと言っております。そこで、いまおっしゃっている、こういう中堅青年の養成とか、あるいは技術交換とかいう名前はいいけれども、それによって結局今日逼迫しておる労務提供をやらす、その報酬を国家が出す、そうすれば、ただで、本人負担なしでやれるじゃないか。もっと極端に言えば、研修とかあるいは養成とかいうものに名前を借りたただ働きをさせるというようなことに、こういうのはおおむねなりやすいのです。そういうことにならないという保証がございますか。
  38. 伊藤清三

    伊藤説明員 お話のようなことを私どもも十分承知しておりますので、県の指導をそういうふうにならないように、極力私のほうは注意いたしまして、指導しておるような状態でございます。
  39. 湯山勇

    湯山委員 ならないように指導すると言われましても、これは一々ついておられるわけじゃないですね。
  40. 伊藤清三

    伊藤説明員 実習は、県の試験研究機関あるいは県有林というふうなところでやります関係から、県の指導官がついてやるわけでございます。
  41. 湯山勇

    湯山委員 それじゃやはりだめです。というのは、県有林にしても、あるいは試験場にしたって、労務が足りなくて困っているのがいまの実情です。ずいぶん高い労務を使っております。そこで、いまのように五十名なり何十名なりの受け入れができれば非常に助かるわけです。必要以上に労務提供させられる可能性は多分にある。そこで、もしそういうのを受け入れるのであれば、そこへは別な労務を入れるだけの十分な予算措置なり何なり、別にしておいてやらなければだめだと思うのです。農業高校だってそうなので、必要な人夫を確保しておけば、生徒にやらせなくて済むのですけれども、それがほんとうに教育のための実習か、労務提供の実習か、区別がきわめてむずかしい。しかもその内容は、今日の近代的な林業ということになれば、相当内容は多岐にわたるし、複雑だと思います。それを実習しながらやったって、なかなか二カ月程度で、何十項目もあると思いますが、実際問題としてやれないんじゃないか。
  42. 田中重五

    田中(重)政府委員 いま先生が御指摘になりました点については、確かに労務提供の形に終わるというような場合も認めざるを得ないと、そう考えます。それからまた、いまお話になっております山村における中堅青年の技術養成という面からいいますと、そういうようなことであってはならない。今後この山村の中堅青年を林業発展のにない手とし、しかももろもろの、ことに今後複雑になっていくであろう技術の練摩、そういう面で十分に養成をしなければならないという必要性から考えましても、そのような、いままで広々にしてあったようなあり方については、十分な反省を加えて、そうして現地におきます実習につきましても、真に山村青年の技術の訓練、養成、そういうことに役立つようなプログラムを立てなければなりません。また、それに必要な予算措置も講じなければならないと存じます。そういう点につきましては、この林業基本法の成立を機としまして十分に検討をいたしまして、必要な予算措置を講じ、またその実習等に真に必要な仕組みで進めていく必要がある、こう考えております。
  43. 湯山勇

    湯山委員 私は、こういうことが必要だと思いますから申し上げておるわけで、それによってやめよと言うのじゃありませんから、いまの長官の御答弁のような趣旨でやっていただきたい。つきましては、現在農業高校等については、学習指導要領というのでやるべきことはちゃんときまっています。それに対するカリキュラムはちゃんときまっていて、それでなお実習時間はいまの半分でも必要なことはやれる、あと労務提供になっている、これが実情なんです。そうすると、こういうことをほんとうにやるのであれば、そういうことのための専門の担当官を林野庁で数名置かなければできないんじゃないか。全国指導をやっていく、そうしてその教育の内容指導内容をちゃんと的確に指導するということであれば、片手間じゃできないと思います。そういう体制はおとりになれるかどうか、専門の担当官を設置してそれをやらしていくということが可能かどうか、いかがでしょうか。
  44. 田中重五

    田中(重)政府委員 先生も御承知だと存じますけれども、戦後技術普及の、つまりエクステンションの方面の強化が行なわれました結果、現在のいわゆるSP、これが大体全国で約五百人、それからAG、これが全国で約二千六百人、合計しましてほぼ三千百人程度技術指導技術普及専門員がいるわけでございまして、これがそれぞれまた山村を守るべき人々の技術普及林業経営の刷新、そういう面の指導を行なっているわけであります。そういう人たちを、また林野庁において、いま先生のお話のようにこれを掌握し、しかも的確に指導するための担当官、これが現在八人いるわけでございます。しかし、今後の技術普及技術指導の重要性から見まして、決して十分で断るとは考えられません。この面の充実強化も一そうはかっていきたい、そのための予算措置についても一そうの努力をいたしたい、こういうふうに考える次第でございます。
  45. 湯山勇

    湯山委員 この問題、もう一つお尋ねしたいのは、そういう養成期間中あるいは技術交流中、技術交換中に病気にかかり、あるいはけがをするということも予想しなければならないと思います。そういう場合の費用、それはどのようにお考えになっておられますか。
  46. 伊藤清三

    伊藤説明員 この点につきましては、私どもは県と十分連絡をいたしまして、そうして町村等も、かりにそういう場合におきましては、十分応援をしていただきますようなことを一応話し合ってきめるというようなことにしております。
  47. 湯山勇

    湯山委員 それではわからないのです。いまの育成事業で、どういう名前がついているのか存じませんけれども、研修生なら研修生の研修期間中のけがとか病気について、町村でその費用を持つ、それは町村の国保診療所に連れていくとか、あるいは治療に当たる、これは当然ですけれども、極端にいえば、そのために手を飛ばすあるいは足を飛ばすというようなことも、統計的に見て、ないではない。それに対してその費用について配慮がなされているかどうかということなんです。
  48. 伊藤清三

    伊藤説明員 先ほど申し上げましたのは、技術交流の点を申し上げましたが、実際の林業教室の場合におきましては、県に予算を組むことをお願いしまして、県のほうでそういうことをやってもらうようにしております。
  49. 湯山勇

    湯山委員 やはりはっきりしないのですがね。ではかりに腕が一つなくなったというときの補償ですね、そういうのは県がやるのですか、国がやるのですか。
  50. 伊藤清三

    伊藤説明員 県のほうで世話するようにお願いしている次第でございます。
  51. 湯山勇

    湯山委員 委員長、あれでわかりますか。世話するというのはどういうことです。
  52. 伊藤清三

    伊藤説明員 国といたしましては、予算的な措置というようなものがとれませんので、県のほうで、そういうふうなことがあった場合に、補償と申しますと大げさですが、かりにそういうような場合には、県のほうでやってもらうようにお願いして指導しております。
  53. 湯山勇

    湯山委員 これは重大な問題なんです。統計から見ても、国有林自体でも相当けが人が出ているでしょう。ほかのことと違って、そういう自動のこぎりを使ったり、自動下刈り機ですか、そんなのを使っておって、相当負傷が出ている。新しい技術を教育するとすれば、使わせなければなりませんね。そうすれば、そういう事故の予想、その対策を立てておかなかったら一体どうなりますか。本人がけがした、さて国がやってくれるか、県がやってくれるか、わからない、国がいま県に頼んでいるのだ、それじゃあまりにも不親切だと私は思う。はっきりしておく必要があるんじゃないでしょうか。長官、いかがでしょうか。
  54. 田中重五

    田中(重)政府委員 林業関係の災害につきましては、ことに機械化の進む初期の段階において、むしろ災害が多発するという傾向もございますし、先生のおっしゃるとおりだと思います。この点につきまして、ことに林業教室等で山村の中堅青年を集めて教育をするという場合に、そのような災害があってはならないと存じますが、それにはやはり林業一般に対する災害予防の思想というもの、またこれに対する措置を十分配慮しまして、そうして適切に災害の予防について考えなければならないと思います。不幸にして災害が起こった場合には、その災害の補償については十分に用意しておく必要がある。現在の林業教室については、この点についての準備が十分であるというふうに申し上げることのできないのは残念でございますが、この点については、林業教室あるいは実習、そういうものの発展に対応して、災害の予防と災害が起こった場合の被災者の対策については、十分にとるように予算七あるいは制度上の措置を講じてまいらなければならぬ、こういうふうに考えております。
  55. 湯山勇

    湯山委員 すでにこれは発足しておるわけでございましょう。まだどこもやっておりませんか。
  56. 田中重五

    田中(重)政府委員 この林業教室を中心にする山村中堅青年育成事業といいますのは、昭和三十九年度が初めての新しい予算でございます。
  57. 湯山勇

    湯山委員 まだやっておりませんね、どこも。
  58. 田中重五

    田中(重)政府委員 ことしの九月から始める予定でございます。
  59. 湯山勇

    湯山委員 それでは非常にいい機会ですから、九月までには、少なくともそういう場合の責任は国が持つ、県が持つということを明確にする必要があると思いますが、お約束できますでしょうか。
  60. 田中重五

    田中(重)政府委員 三十九年度の事業でございますから、予算上の措置につきましては、むずかしい面があるかと存じます。ただ、その方針については、これはその以後の事業に備えるために、急速にかつ具体的に立ててまいりたい、こう考えております。
  61. 湯山勇

    湯山委員 九月発足までにはやると言い切っていただきたいのですけれども、いまはこういう段階ですから、そこまでおっしゃれないだろうと思います。しかし、ぜひ実施までには解決していただくということを私は信頼いたしまして、次の質問に移ることにします。  次にお尋ねすることは、非常にめんどうなことが多いと思います。それから場合によっては、かなり長官責任のようなことをお尋ねすることもありますけれども、これは田中長官だけに対しての質問ではなくて、従来、大げさに言えば、歴代長官のしわ寄せが、林業基本法のときにたまたま田中長官にきたのだというようなつもりで、ひとつ虚心たんかいに御答弁をいただきたいと思います。  と申しますのは、林野庁の職員構成の問題です。これも基本法の第三条第五号にそういうことがちゃんとうたわれておりますから、長い間いろいろこの問題については、端々といいますか、部分的な議論はなされておりましたけれども、この際ひとつ、上は長官も含まれるかどうか存じませんけれども、給与法適用の定員内の職員の方からずっといって、臨時日雇いの作業員、ここに至るまで、全部についていまから順次お尋ねをしたいと思います。まず、そこまでの段階を大ざっぱに調べてみますと、こういう八つの段階に分かれると思いますが、このほかにあれば、ひとつお教え願いたいと思います。第一は給与法を適用されておる定員内の職員、第二は特例法を適用されておる定員内の職員、第三番目は特例法を適用されておる定員外の作業員、第四番目は特例法を適用されておる、これはよくわかりませんけれども、常勤処遇の常用作業員、それから第五番目が常用作業員、第六番目が定期作業員、第七番目が臨時月雇いの作業員、第八番目が臨時日雇いの作業員、大きく分けると、数の多い少ないは別として、大体雇用形態、給与、それから定員との関係、こういうので分数していくと、この八通りくらいになるのじゃないかと思いますが、まだほかにございますでしょうか。
  62. 田中重五

    田中(重)政府委員 こういうような分類があると申し上げていいかどうか、これから私のお答え申し上げることで御判断いただきたいと思います。  それで、現在の林野庁の職員と申しますと、これは日雇いを含めまして林野庁長官以下みな国家公務員でございます。そこで、この定員につきましては、いまお話しの給与法適用者、それから給与特例法適用者、この二つに一応法律上分けることができます。そこで、その二つ以外は、これは通称定員外と申しますが、事業費支弁の職員でございまして、いま先生のお話しのように、常用作業員、定時作業員、臨時月雇い作業員、臨時日雇い作業員、こう分かれておりますけれども、これはその雇用期間の大小によって一応内部的に区分してつけておる名称でございます。現在常勤作業員と申しますと、これは予算の科目で分かれてはいるのでございますが、制度として特定された名称ではないというふうにお考えになっていただいていいと思います。そういう意味で分けますと、いま先生のお話のそういう区分もすることができる、こう申し上げていいかと思います。
  63. 湯山勇

    湯山委員 こういう複雑な形態の役所がほかにありますか。
  64. 田中重五

    田中(重)政府委員 複雑と申しますと、いまも申し上げました常用以下の区分、これがおそらく他の現業なりあるいは民間等にはあまり例はないかもしれません。そういう意味では、あるいは複雑と申し上げてもいいかもしれません。
  65. 湯山勇

    湯山委員 現場へ行かれて、それが一体どういう人間かという、名前じゃなくて、作業内容じゃなくて、身分を聞くときに、ただ常用と言ったんじゃわかりません。あれは常勤作業員だとか、あるいは常勤処遇だとか、あるいは常用だとか、あるいは月ぎめだとか、日雇いだとか、そういうことで評価していますね。現場では、あの人はこうだ、あの人はこうだと身分をいまのようなことで表現しておりますが、そういうのは長官御経験ございませんか。
  66. 田中重五

    田中(重)政府委員 私も現場で働いた経験があるわけでございますが、この区分を身分的な区分だというふうに強く意識をしまして、その名称で呼んでおるということはあまりないのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。この常用なりあるいは定期なりというのは、それぞれ雇用される期間の長短によってつけられた名称でございますので、それが確かにまた処遇には関係しておりますけれども、いわゆる身分差のあらわれという受け取り方では必ずしもないというふうには考えております。
  67. 湯山勇

    湯山委員 必ずしもそうではないということもわからぬではありません。しかし、これは前長官のときにも指摘申し上げて、雇用区分が実際身分区分になっている、前時代的なものが国有林に残っておる、これをまず近代化するのが先決じゃないかということを申し上げまして、当時の吉村長官も、そのとおりだ、だから、これはひとつ全力をあげて近代化するということのお約束があったのです。ところが、また同じような質問をここで田中長官にしなければならない、ここに問題がありますので、最初お尋ねする給与法適用の職員のほうの問題としては、その問題を私はお尋ねしたいわけです。というのは、これは、給与法適用者は長官も含めてでしょうけれども、本庁では部長、課長、調査官、これだけですね。そのほかはございませんですね。
  68. 田中重五

    田中(重)政府委員 本庁ではいまお説のとおりでございますが、そのほかに営林局長、それから営林局の部長、これがございます。
  69. 湯山勇

    湯山委員 何名ございますか。
  70. 田中重五

    田中(重)政府委員 お話を国有林事業特別会計の関係に限って申し上げますと、長官はその中へ入らない。そこで、法律定員といたしましては、全部で現在の六十七名でございます。
  71. 湯山勇

    湯山委員 特別会計の予算では六十九名となっておりますが、二名はどういう関係なんですか。
  72. 田中重五

    田中(重)政府委員 農林省設置法の改正を提案いたしまして、それに伴う法律定員を二名増員を予算要求いたしました。それが加わっておりますので、三十九年度予算では六十九名ということでございます。
  73. 湯山勇

    湯山委員 その点はよくわかりました。そこで、お尋ねしたいのは、長官も非常に短い期間でおかわりになる。それから給与法適用者の同じポストにおる年数、これは林野庁の最高幹部ですけれども、営林局長も含めて、給与法適用者の一つのポストに対する在勤年数はどれくらいになっておりますか。
  74. 田中重五

    田中(重)政府委員 これを平均でとるということはちょっとむずかしいのでございますが、最近の例を申し上げますと、長官については、平均在職年数が過去三代の平均で二年八カ月でございます。それから業務部長が大体一年三カ月くらいでございます。それから職員部長が大体一年と少しというような平均でございます。それから林政部長が平均しますと、一年半程度ではないかと思います。それから営林局長は最近大体一年半程度ではないかと思います。
  75. 湯山勇

    湯山委員 それで、その任期の長短に、技官と事務官の区別ございますか。
  76. 田中重五

    田中(重)政府委員 技官と事務官の任期の長短として、特に明瞭ではございませんが、いまの林野庁長官の平均二年八カ月というのに比べますと、事務官のほうは幾らか短いかもしれません。
  77. 湯山勇

    湯山委員 業務部長、林政部長、職員部長あるいは営林局長、そういう人の中で、技官の場合は長い、事務官の場合は短い、そういう区別はございませんか。
  78. 田中重五

    田中(重)政府委員 その点につきましては、一般的に言いまして、営林局長の場合あるいは林野庁の部長の場合を考えてみますと、ある程度事務官のほうが短いということは言えると思います。
  79. 湯山勇

    湯山委員 そういう程度であって、実際にそういう方針でやっておられるというわけではないわけですね。
  80. 田中重五

    田中(重)政府委員 結果がそうであるということでございまして、方針ではございません。
  81. 湯山勇

    湯山委員 私はここに問題があると思うのです。国有林の行政、民有林指導、そういうことをやる長官を除けば、部長といえば部門の最高の責任者です。その人が、たとえば業務部長が一年三カ月程度でかわる、林政部長が平均一年半程度でかわる、職員部長も一年程度でかわる。これでほんとうに正しい、将来を見通した林政がやれるかどうか。ことに林野庁が現業官庁ということで特別な扱い、特別会計で処理されておるという意味は、一体どこにあるかということを考えますと、実際にはこういう専門的な部署を持つ人が腰を入れて、業務部長はその道の権威になる、林政部長もまたそれの権威になる、こういうことにならなければ、一体何のために林野庁を特別会計に移して特別な機関としたか。それから林野庁長官には特別な権限が与えられております。他の局長と比べるのはあるいは失礼かもしれませんけれども、かりに農林省内の他の局長と比べても、林野庁長官には他の局長にない権限がおありでしょう。給与に関してもありますし、勤務についてもありますし、その他についても特別な権限を持っている。それは、落ちついてしっかり林野行政に取り組む、他からの干渉を幾らかでも排除する、そういう配慮が林野庁をこういう形で置いておる趣旨だと思います。ところが、その担当部門の責任者である部長が一年や一年半足らずでかわっていく。これでほんとう長官が意図するような林政ができるとお思いでしょうか。あるいは私が最初に申し上げましたように、歴代長官に同じようなことを要求しても、その通りだ、そうしなければならぬという答弁はいつもいただきながら、今日なお、いまの労務の問題だって解決していない。職員部長も一年程度でかわっている。悪く言えば、その部長は、その一年半なり何なりが済めば、あとはもう自分の責任でなくなる。だから、ほんとうに自分のものとして取り組んでいかない。こういう弊害が出てくるんじゃないでしょうか。私は、さきに大学のことについて長官の御意向を聞きましたけれども、ここからの問題はある程度長官でできる問題です。長官ほんとうに腹をきめてかかるならば、職員部長も一年でかえるとか、悪い人は一年も置かないで、一カ月でもかえていいと思いますが、しかし、りっぱな職員部長なら、ほんとうにこの国有林労務の前近代性を打破していこうと真剣に取り組んだら、三年や五年ではできないと思うのです。だから、職員部長はそれと取り組んでやってくれということで、三年でも五年でもかかってやらせる。それから業務部長についても、新しい加工なり、あるいは新しい用途の開拓その他のことについては、三年や五年でやれといったってできないことだと思うのです。それにはスタッフも要りますが、スタッフが必要なのと同時に、責任者もまたそうなくてはならない。林政部長もまた同様だと思います。この点については、私は従来非常に遺憾に思っておりました。基本法がこういうふうにして制定されて、基本法の第三条にあるようなことをほんとうにやっていくということになれば、従来のように一年でわかる、一年半でわかる。まして、高知の営林局長を北海道に持っていって、一年くらいでほんとうの仕事にならぬのじゃないか。そういうふうに局長が一年半でかわったのでは、かりに半年でその土地になれて、こういう木があるということを覚えても、仕事は一年しかできない。こういうことで、ほんとうに国全体の林業が伸びていくということになるでしょうか。非常に重要な問題なので、長官の御所信を伺いたいと思います。
  82. 田中重五

    田中(重)政府委員 人事の問題につきまして、いろいろ御高見を伺ったのでありますが、私は、先生の御指摘の点は一々ごもっともに存じます。ことに林野庁のように現業部門で、しかもその量の面と質の面とで非常に膨大なものを抱えております林野庁といたしましては、その事業の性質からいいましても、これを担当する長であるべき者は、それぞれ相当長い期間にわたってその仕事の内容を自分の身につけ、その身につけたものに基づいて適切な行政、適切な事業の運営を進めていく必要がある。そういう意味からいいましても、単なる一般の行政部門だけのポストに比べまして、林野庁の場合は、もっと腰を落ちつけた形で仕事に取り組む態度が必要ではないかというふうに考えるわけでございます。従来、ややもすれば、それが人のやり繰りなり、あるいはまたやむを得ない面もございますが、人事の停滞といいますか、若手職員への刷新というような必要性にも迫られまして、必ずしも人事の運営が十分でなかった面もないわけではないというような反省もするわけでございます。ことに現業の営林局あるい営林署につきましては、さらにその現場の認識がその運営の上にぜひとも必要でございまして、それぞれ現地の事業の実態、それぞれ職員の就労の状態、そうして将来のその現場の事業計画のあり方と推進の方法について、長たる者が十分にその指導性を持つ必要があるという意味からいいましても、短い在任期間ではとうていこの趣旨は達成できませんので、今後の林業の新しい伸展の門出にあたりましては、人事の面について十分に反省を加えまして、行政と事業の運営に誤りなきを期したい、こう考える次第でございます。
  83. 湯山勇

    湯山委員 いまおっしゃったようなことは、長官の職権でもってできることでございましょう。
  84. 田中重五

    田中(重)政府委員 その点は、長官の権限でございます。
  85. 湯山勇

    湯山委員 それではぜひひとつそれらのポストにつける人は適任の人をつけて——これは技官、事務官を問わないと思います。現に農林省には統計調査部長のように、ずいぶん長くやって、しかもそれでとにかく国際的な権威者になっておるというような例もあるわけで、単に昇進といいますか、部長が局長になるとか、そういうことだけが昇進ではなくて、むしろ、こういう現業に当たっている人の喜びというものは仕事の面にあるということも、これは私が申し上げるまでもなく、よくおわかりなので、そういう御趣旨でぜひこれを実現していただきたい。これは長官についてもまた同じようなことが言えると思います。しかし、これを長官の前で言ったところで、ここからむこうはむずかしいと思いますから、いまのことは長官の権限でやれるといいながら、農林大臣も大いに責任を持つ面があると思いますから、農林大臣にもいまのような長官の御趣旨を徹底していただいて、そういうことがやれるようになお要望したいと思いますから、その点を保留いたしまして、なお、いまのようにやっていただけば、民有林関係も、担当部長がかわればじゃんじゃん方針が変わる、この前の人とまた変わっているということよりも、同じ人からいろいろな方針が出てくるということであれば、安心してそれに従うこともできると思います。単に国有林野だけの問題でなくて、林政全般の問題から、ぜひいまおっしゃったような点、実現していただきたいと思います。  その次には、定員内の職員で給与特例法の適用者、これについてお尋ねをいたしたいと思います。  給与特例法というのがなぜできたかということ、それから当初給与特例法ができた当時のままこの法律が運用されているかどうかということを調べてみますと、必ずしも私はそうでないと思うわけです。と申しますのは、ざっくばらんに申し上げまして、実はこの給与特例法は、当時は国会に人事委員会というのがございました。私がちょうど人事委員会の委員をしておるときにがかった法律です。当時の担当大臣は、前の衆議院議長の加藤さんが、法務大臣のときに給与担当大臣を兼ねておられて、そこで昭和二十九年に給与特例法というものが提案されてまいったわけです。そこで、この経緯を私は記憶しておるわけですけれども、今日の運用というものは、当時制定された経緯とは相当変わってきているという感じがいたしますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  86. 森博

    ○森説明員 昔のことは不勉強で、まことに申しわけございませんが、給与法の適用除外について公労法が適用になりまして、給与は団交できめるというふうになりましたものにつきまして、一応やはり基準なり原則というものが必要であるということのために、この法律がつくられた、こういうふうに理解しておりまして、そういうふうな原則に従って運用されているという点につきましては、制定当時と違いないのではないか、こういうふうに思います。
  87. 湯山勇

    湯山委員 この法律発足当時の給特法の適用者というものはどれくらいございましたでしょう。
  88. 隅田達人

    ○隅田説明員 正確な数字は記憶いたしておりませんけれども、大体大略で申し上げますと、千四、五百名であったと思います。——失礼いたしました。給与特例法ができまして、給与法適用者から給与特例法適用者に切りかわりました者の数字が千四、五百名であったと思います。
  89. 湯山勇

    湯山委員 それでよくわかったわけです。給特法ができた経緯は、それまでは、いまおっしゃったように林野庁においても千四百名ばかり、現在の六十七名と同じように給与法適用者は千名をこえておりました。ところが問題は、その人たちが対象なんです。その人たちは、一方は公労法適用によって団体交渉、それから仲裁裁定、そういうもので給与が上がっていく。ところが、現業官庁においてそれらの人は給与法適用ですから、一般の公務員給与法、人事院勧告によるものだけしか給与されない。そこで、そこに開きができてくる。その開きを埋めるためのものが給与特例法なんです。そうでしたね。これはどうですか。
  90. 隅田達人

    ○隅田説明員 おっしゃるような趣旨が、給与特例法の制定の一つの動機になったというふうに記憶いたしております。しかしながら、給与特例法自体の制定目的という点につきましては、私の記憶によりますれば、やはり給与を定めます根本規定が、適用除外になりましたためにどこにもなくなったということで、その規定を設けまして、準則の制定のしかたを明確にいたしますとともに、いま先生のおっしゃいましたような、ちょうど谷間に置かれました職員の処遇等につきまして、新たな基準によりまして決定ができるという道を開いたというふうに記憶しております。
  91. 湯山勇

    湯山委員 少し違うのは、こういうことなんです。給与法適用者は、本来は人事院勧告によって国会の承認を得て実施される。これは非常に厳格な規定なんです。それから今度は公労法、純粋な、いま言われた意味の現在の給与特例法じゃないほうです。当時の経緯から言えば、今度もう一つ、谷間にないもう一つの山は、団体交渉をやる、それでできない場合は仲裁裁定によって実施する、これにも非常にむずかしい手続があります。人事院勧告による給与法もむずかしい手続がある。こちらもむずかしい手続がある。ただ、特例法については、こちらとこちらがしつかりしているのだから、林野庁長官の権限でやってよろしい、この線とこの線がきまっておるのだから、ここは林野庁長官の権限でやってもたいした支障はない。そこで、給特法については、若干の制約はあるけれども、全責任国有林野の場合は林野庁長官にある。それは間違いございませんね。
  92. 田中重五

    田中(重)政府委員 そのとおりでございます。
  93. 湯山勇

    湯山委員 問題は、そのとおりに運営されておるかどうかです。そうなければならないのです。ところが、はたしてそのとおり給特法というものが運営されているかどうか。つまり、いまのような形で、林野庁長官が両方にらみ合わして、これはこれより低くては気の毒だ、そこで準則をつくって持っていく。これは本来は仲裁裁定も何もなくてもいいのです。そういう形でできておるかどうか。できていないでしょう。実際問題はできていないじゃないですか。
  94. 田中重五

    田中(重)政府委員 いまお話しのように、確かに給与特例法によりますと、給与準則の条項で、林野庁長官は職員の給与を団体交渉できまったものを通達するとか、あるいはまた管理職にある者については、それなりの給与の準則をきめて実行するとかいう権限を与えられていると思います。ただ、その権限の運営の実態につきましては、これはやはり予算の範囲内で行なう必要もございますし、それから一般公務員の水準なりあるいは他の現業その他の水準等も考える必要もあると思いますし、そういうことで、さらにそれが調停なりあるいは仲裁なり、そういう段階できまっていくというふうに私は心得ております。
  95. 湯山勇

    湯山委員 いまの御答弁は、実情とそうあるべきものとごっちゃになっているから、非常に不明瞭な御答弁なんです。たてまえはそうなっているにもかかわらず、事実運営が違っている。これは間違いございませんね。
  96. 田中重五

    田中(重)政府委員 いま申しましたとおりに、予算といいますか、この給与の総額の中でそのような取りきめをしてまいらなければならないという制約はございます。
  97. 湯山勇

    湯山委員 これは長官責任ではないのです。法のたてまえはそうなっているけれども、長官責任ではございません。ただ、いろいろな問題で従来の林野庁のやり方にも問題がありますけれども、政府全体の問題で、先般、この問題については、そういうやり方をするからいけないのだ、そこで、このあり方についても政府は検討すると言っておりますから、それはそれとして、現実の事態は、実際には、それだけの権限を持っている長官が、権限の発掘ができないような状態に置かれている。したがって、そういう具体的な制約を受けて、実は法律のたてまえどおりのやり方をやってきていない。だからこそ、仲裁裁定は作業員のがまだ出ていないのでしょう。
  98. 田中重五

    田中(重)政府委員 先般の仲裁裁定におきまして、定員外の採用につきましては、さらに労使の交渉にゆだねられたわけでございますから、その裁定に基づきまして、交渉の結果、再び仲裁裁定を申請したわけでございます。
  99. 湯山勇

    湯山委員 そこで、本来ならば、これがきまって、こっちがきまって、それからいまの特例法がいくというのがたてまえであったのが、これがいって、これがいって、こっちの山はまだできていない。今日ただいまの時点ではこういう状態ですね。これはそういう解釈でよろしゅうございますか。
  100. 田中重五

    田中(重)政府委員 いま先生から山というおことばがございましたが、これは……。
  101. 湯山勇

    湯山委員 それではもう一ぺん言います。  それは、この法律の考え方については、立法当初いろいろ議論したところです。これは林野庁長官にこれだけ大きな権限を与えていいのかどうか、あるいはそれに関連する造幣あるいは印刷、それらの長に政令で権限がゆだねられておりますが、はたしてそれで給与準則をつくって実施できるかというときに、一方はいま長官も言われたように、人事院勧告、国会承認というしっかりした一つの基準がある。一方はそれは動くけれども、とにかく仲裁裁定が出て、最初の公労法の適用当時ですが、その当時、その人たちはここではっきり動かせないものがきまり、そのあとを受けて特例法というものをつくっていけば、それは長官でもけっこうできる、責任を持ってやれる、こうだったわけです。ですから、二つのこれがきまって、それから特例法がいく。これは成立の経過から見てもそうだし、当時の考え方はそうであった。いまはそうではなしに、これが人事院勧告、給与法ができている。今度は特例法のものがきまった。そうして純粋な、そうでないものはまだきまっていない。これは二番目のものに仲裁裁定が生きてきている。そういう状態になっている。こうなってくるから、特例法関係は、林野庁長官の権限で準則をつくって実施するということが現在ほとんどなされていない、こういうことに実態はなっている、そうですね。
  102. 隅田達人

    ○隅田説明員 御質問に対しまして、正確なお答えになるか自信はございませんが、いま組合から再仲裁を申請しておりますのは、いわゆる常用作業員、定期作業員等の定員外の職員でございます。それから定員内職員及び常勤の職員につきましては、御承知のように、仲裁裁定で九・五%のアップができるのではないかということでございまして、あと給与上残りますのは、いわゆる特例法適用の管理職及び指定職の問題でございますが、これにつきましては、長官限りで給与準則をつくりまして、実施してまいっているわけでございますが、従来から定員内職員に関します仲裁裁定の実施が団体交渉できまりました後におきまして、それらとの均衡をも考慮いたしまして、給与準則を定めるという手続をとってきております。  なお、定員外の職員につきましては、従来の例によりますれば、仲裁裁定に基づきまして、その配分について団体交渉を行ないまして、中央におきまして協約を締結いたしまして、さらに地方交渉によりまして、その実施の細目をきめるというふうな手続で取り運んでおるのでございます。
  103. 湯山勇

    湯山委員 はっきりしませんから、質問のしかたを変えますと、林野庁長官がその権限で特例法適用者の給与をきめて、そしてその準則をきめて、それで実施した。仲裁裁定は要らないですからね。この場合にもうやらなければやらなくてもいいわけです。そういう例が過去において、特例法の適用者の全部について、十年ほどの間にございましたか。
  104. 隅田達人

    ○隅田説明員 特例法が適用されまして以後におきましては、先ほど申し上げました特例法適用の管理職並びに指定職を除きましては、すべて仲裁裁定に基づきます労働協約によりまして定めまして、それを給与準則として実施をしております。
  105. 湯山勇

    湯山委員 そこで、かなり状況が変わってきているということは言えるわけです。と申しますのは、特例法適用当時は千四、五百名であった者が、今日では四万をこえるわけですね。
  106. 隅田達人

    ○隅田説明員 先ほど十四、五百名と申し上げましたのは、先生の御質問にございましたように、給与法の中に、団体交渉によって給与をきめます者との権衡上問題になりました職員がございまして、それが給与特例法の適用と同時に、給与法を離れまして、給与特例法の適用下に入った、いわゆる現在では管理職と指定職と申しておりますが、その者がその当時は千四、五百名ありまして、現在それが二千二、三百名になっておるわけでございます。四万幾らと申しますのは、特例法の制定当時におきましても、定員が約二万人ございまして、そのほかに常勤作業員約一万、それから常用作業員その他で申し上げますれば、現在とほぼ変わらない数の定員外職員が当時もおったわけでございまして、その数につきましては、定員化等によりまして移動はございますが、現在の四万人がこれに該当をしておるということでございます。
  107. 湯山勇

    湯山委員 本来は、給与法適用者の中で、いまの団体交渉あるいは仲裁裁定によって上がっていくという者との差ができる、その差を中間的に埋めていく、そろえるという意味じゃなくて、中間的に埋めるというのが、この法律をつくった趣旨ですから、そうすると、給与法適用者の中から上がっていった者だけで本来はつくるべきものであったと思うのです、当初の意図は。だから、そのときに、そうでない、団体交渉でやる分もこれに入れていったというのは、これは若干その趣旨とは違うわけです。ただしかし、それは私はいいと思うのです。悪いとは申しません。というのは、これについては、団体交渉でやる、組合側のほうがそういう要求が強かったわけですから……。そこで、当然その要求はいれられるべきもので、その要求に従って現在四万幾らにふくれている。それはそれでいいわけです。ですから、いずれにしても、この適用のしかたもそうだし、運営のしかたも当初とは変わってきている。これはお認めにならなければ、いまのような点おかしいわけで、そこで当初とは変わってきたんじゃないかということを繰り返しお尋ねしておるわけです。
  108. 隅田達人

    ○隅田説明員 給与特例法の準用が変わりましたと申し上げますよりも、むしろ給与特例法の適用を受けます職員の職員構成に変化があったというふうに考えております。つまり、定員外の職員が二万名ございましたのが、現在四万名になっております。その点は相当大きな変化でございます。
  109. 湯山勇

    湯山委員 いまのように相当様子が変わってきていることは、これは事実です。それを変えてきたと申しますのは、一つは、長官の権限を他から干渉して、そして権限を十分発揮させなかったというところにありますのと、それから実情として肯定しなければならないのは、組合側の要求、これが非常に強かったということが、いまのような適用対象の変更なり拡大なり、そういうことにもなってきたかと思いますが、そうなりますと、そういうことがもし可能だとすれば、たとえば給特法適用対象者である課長以下の各係長、主任、そういう人がそれぞれ別々に組合をつくってやった場合には、これは応じなければならぬことになるのじゃないですか。
  110. 森博

    ○森説明員 公労法適用者で、管理の事務につく者、管理監督の事務の方は除外されるというふうになっておりますので、いまのところ、組合としての交渉というふうにはならないわけでございます。
  111. 湯山勇

    湯山委員 いやいや、違うのです。現在までに入ってならないという職は本庁ではどこからになりますか。
  112. 森博

    ○森説明員 これは労働省の告示でもってきまっておりますけれども、管理の事務、それから指定機密の事務というようなことで、大体申しますと、本庁におきましては部長、課長はもちろんでございます。課長は一般職で、給与法のほうでございます。特例法のほうで、このほうに入っておりますのは、課長補佐で——一部入ってないのもございますが、それらの機密の事務をとっております方々、たとえば職員課とか、そういうところが多いわけであります。それから営林局のほうにいきますと、これは課長、それからやはり人事関係、労働関係、そういうような関係の仕事をしております係長、その辺まで、機密の事務なり人事なり、そういうものに関係する人はみななっているわけであります。それから営林署におきましては署長、管理官、それから課長、それから労務係、係長というような方が非組合員ということになっております。
  113. 湯山勇

    湯山委員 そこで、たとえばいまの機密に属する人事とかそういうものは別にいたしまして、同じ特例法適用者であるたとえば課長補佐、その人たちが組合をつくる、主任の人は主任でつくる、そして個々に長官と団体交渉をする、仲裁裁定に持ち込む、こういうことは許されますね。
  114. 森博

    ○森説明員 その方々が組合員であれば、それはできるわけでございます。ただ、非組合員の指定を受けている方はこれは組合員になれませんから、そういう組合を結成して交渉するということは、いまのところできないわけであります。
  115. 湯山勇

    湯山委員 後段のほうは答弁を要求してないのです。いまのように機密に属するもの、そういうものを除外して、そして課長補佐なら課長補佐だけが組合をつくる、主任だけがつくる。いまの除外されるものを除いてです。それらが一々長官と団体交渉をやる、いかないと仲裁裁定に持ち込む、これは可能ですね。
  116. 森博

    ○森説明員 可能でございます。
  117. 湯山勇

    湯山委員 ところが、それについて実態はどうなんですか。聞いてみると、そういう人は入らないように、入れないように指導しておるのじゃないですか。
  118. 森博

    ○森説明員 そういうふうな中堅の職員と申しますか、そういう方々に組合に入らないようにというようなことを指導していることは、全然私は聞いておりませんですし、私は全然そういうことをいたした事実はございません。
  119. 湯山勇

    湯山委員 実情はどうなんですか。
  120. 森博

    ○森説明員 そういう方々がそういう職に応じた組合をつくるというような動きがあるということも、私聞いておりませんですし、それから組合に入っているかどうかという問題でございますけれども、これは入ってない方もございます。ただ、係長とか班長とかいう方は、一時たとえば営林署なんかでもって管理者の地位を得られたというようなことで、戻ってきて、今度は組合員のほうになるという関係で、非組合員になるというような方が相当あるわけでございますけれども、管理者になられた経験の方が組合に入らないというような事実は、入ってない方はそういう方が比較的多いのではないか、こういうふうに考えております。
  121. 湯山勇

    湯山委員 これは具体的には幾つか私事例を持っておりますけれども、組合に入ることを好まないような、そういう言動あるいはそういう指道、そういうことは私はあってはならないと思うのです。そうしないと、特例法を設けた趣旨もこわれてまいります。それからいまのように拡大して特例法を適用したということも、これもこわれてまいります。そうしないと、いまのように残った分だけについて、主任とか課長補佐とか、そんなところだけについて長官が準則をつくる、おかしいですよね。長官、これはおかしいとお思いになりませんか。その残ったわずかなものについてだけしか権限を持っていない、あとは仲裁裁定にぼんぼん行ってしまう。本来全部やらなきゃならぬ、その責任長官にありながら、全部とられて、その残ったわずかなものだけを長官がやる、おかしいとお思いになりませんか。
  122. 田中重五

    田中(重)政府委員 この給与特例法適用者の中で、いま御質疑の中で出てまいりました管理者に指定をされている職にある者、そういう者については、その者だけの給与準則というようなことを林野庁長官がつくって実行するということにつきましては、従来も組合を結成して団体交渉を行なった上でその給与が決定されないために、そういう方法によっておりますけれども、また一方の考え方からすれば、そういう人たちの組合があって、そしてそういう組合との団体交渉が持たれるという場合が、法律上特に問題があるわけではないのでございまして、実態としてそういうことはないということでございます。一般の組合員について、団体交渉、そして団体交渉でまとまらない場合に、それが調停あるいは仲裁に上がって、その上で調停案あるいは裁定が出るというのを、その給与特例法全部についてそうあるべきでないかという御意見でありますが、実態としては、そういう管理者の指定という面があって、そういう具体的なといいますか、そういう一つの範囲の人たちの給与のしかたが行なわれておるということでありまして、おかしいかどうか、その点はなおよく検討いたしたい、こう思います。
  123. 湯山勇

    湯山委員 おかしいというのは、もう少し逆に考えていただけばわかるのです。特例法の適用者が、いまのように課長なんか抜きますから、そうすると、それらを除いたあとがみんな特例法適用者だから、それが組合をつくって団交する、仲裁裁定に持っていくということになると、長官の権限できめられる範囲というものはないと言ってもいいわけですね。極端に言えば、なくなりますね。だからおかしいんじゃないですか。法律ではこうときめられていながら、実際にはなくなってしまう。これはおかしいのではないか。何のためにこんな法律があるのかわからないわけです。
  124. 田中重五

    田中(重)政府委員 この給与特例法の第四条で、「その企業に勤務する職員に対して支給する給与について給与準則を定めなければならない。」こうなっておりますが、その定め方について、団体交渉の方式と、それからそういう組合をつくらないために行なわれるところの給与の準則をつくって、そして交渉するという、二とおりの給与準則の定め方があるということでございまして、それぞれ手続上、そういう団体交渉の権限を与えられておる組合との給与の決定については、交渉を通じてそれがきまっていくということになるかと思います。
  125. 湯山勇

    湯山委員 いまのようなことですから、これは最初申し上げましたように、たまたま田中長官ここに当たったから、こういうことをお尋ねするだけのことです。従来そういうことになってきていたし、職員部長も何回かそういうことをお聞きになっていると思うのに、やはりたびたびかわるから、それが同じことの繰り返しになる。そこで、当初と違った運営になるということはやむを得ないと思います。しかし、厳として長官の権限というのはなければならない。それから特例法においても、責任と同時に、作業の能率、業績、そういうものも加味しなければならないということになれば、どうしてもこれは現場を尊重しなければならない。単に事務的なものであってはならないということはよくおわかりなんです。それから長官責任を持って給与準則をきめていくとなれば、いまのようにたとえば主任は主任の組合、係長は係長の組合、これじゃ何のことかわからなくなってしまう。そこで、こういう国有林野の組合というものは、長官が一人で二通りの準則をきめるわけにはいかぬわけですから、やはり組合は一つ、そうして日給、月々の給与、そのバランスもとれるということでなければならないと思います。つまり、さっき部長は、組合に入るなと指導したことはないと言われますけれども、そうじゃなくて、国有林野に働いておる国家公務員については、一つの組合になることが望ましい。そうでなければ、いまのような点について長官ほんとうに職責を果たすことも困難であるし、また極端に言えば、それがばらばらになっていってしまった場合には、長官は何にもできない。全部仲裁裁定まかせになってしまうという可能性も出てくる。だから、できるだけ組合というものは一つにして、そこでできるだけ団交をやっていく、それが給与の上にもあらわれてくる。これでなければ給特法も意味をなさない。給特法で給与法よりも実際よくなっているはずですから、よくなる意味がなくなってくる、こう思います。これは長官の給特法に対する職務権限の問題と、それと直接渡り合う組合の問題なので、組合はしたがって全部一本化する、そうしなければバランスがとれない。力関係で、こっちが押せば仲裁裁定はこう上がる、こっちはこうきめられる、主任はここで、係長はここで、それから一方の組合はここで、一方はここで、バランスがくずれたのでは長官の職責が果たせない。そこで、組合は一つにしてもらいたい、そういうことに努力するということばは、非常に誤解を招くかもしれませんけれども、その心がけで長官もお当たりになる。そして、そういう中でいまの職務権限をりっぱにやっていかれる、これが特に望ましい姿ではないか。給特法と関連し、公労法と関連して、望ましい姿ではないかと私は思いますが、その点はいかがでしょうか。
  126. 田中重五

    田中(重)政府委員 いろいろ御意見を承ったわけでございますが、林野庁長官といたしましては、この第四条に定める権限に基づきまして、給与準則の適正な運用について十分に配意をしてまいりたい、こう考えます。
  127. 湯山勇

    湯山委員 これの運用については、組合というものを無視しては考えられないと思うのです。そこで、いまおっしゃったように、これの適正な運営をはかっていくというときに、給与準則を何本もつくるわけにはいかない。しかし、組合がばらばらになった場合には——そういう場合もあり得ますね。あってもこれは長官としては文句は言えないわけです。したがって、準則をつくる責任者としては、組合が全部かたまってもらったほうがいいことは言うまでもないことなんで、その両方についてどういうようにお考えでしょうか、いかがでしょうか。
  128. 田中重五

    田中(重)政府委員 現在のこの企業内にはたまたま組合が二つございます。そこで、それぞれの組合についての給与の準則につきましては、これは一本でございます。それから組合が一つがいいか、二つがいいかという問題になりますけれども、これはそれぞれの組合の組合員の自主的な判断で行なわれておるわけでございますが、そういう判断の結果として、一つであったり、二つ以上であったりするというのが実態であろうかと思います。
  129. 湯山勇

    湯山委員 それをお聞きしておるのではなくて、お尋ねしておるのは、それに対する長官のお考えです。それだからといって、じゃ組合に圧力をかけてどうするとか、どう指導するとかいうことを申し上げておるのではありません。ただ、法律のたてまえ、いまのようにこれを実施していくということになれば、部長がおっしゃったように、主任は主任だけの組合をつくる、係長は係長だけの組合をつくる、これは可能だ、しかも、それは交渉してまとまらなければ仲裁裁定に持っていくことも可能だ、これは合法的だということをお認めになったわけですから、そうすると、長官の権限だけでやる分はほとんどなくなってしまう。しかも、その仲裁裁定を拘束する力も残念ながらありません。したがって、いろんな関係で違って出る場合もあるわけです。何かの関係で違って出る。違って出してはいけないという規定はないわけですから、違ったものが出たときに、準則は長官がつくらなければならないということになったら、これはたいへんでしょう。しかも日雇い、月雇い、定期、それらの間のバランスも考えなければならないし、そういうことを考えた場合には、長官としては一本が望ましい。現実がどうあるかということではなくて、そのほうがやりやすいし、職務の遂行もしやすいということになるのじゃないでしょうか。という意味は、いまのように主任や係長やそれらに関連があることを考えてのことなんです。それは一本がやりやすいけれども、なかなか一本になっていないから困るということでもいいし、現実はこうだ、それはわかっています。が、長官としては一つになったほうがいい、やりやすい、これは言えるのじゃないでしょうか。
  130. 田中重五

    田中(重)政府委員 給与準則は、これは確かにお話のとおり単純なほうが扱いやすいということは、そのとおりだと存じます。しかし、職員の自主的な判断から、組合の結成が二途以上にわたって、したがって、お話のように、また給与準則も分かれてくるというようなことはあり得ることかとは存じますけれども、しかし、給与準則の運営の面からいきますれば、単純なほうが扱いやすいということは言えると思います。
  131. 湯山勇

    湯山委員 それだけではなくて、第六条の問題もからみますけれども、それはまたあとにいたします。いままででようやく給特法適用のところまで、二段目までは終わりました。  あと六つ残っておるのですが、その次にお尋ねしたいのは、今度は常勤作業員という問題です。これは定員外で、特例法の適用になっておる。これはどういうわけでこういう扱いになるわけですか。
  132. 森博

    ○森説明員 特例法の適用になりますのは、これは公共企業体の法律の職員でございますので、また一般職の職員でございますので、適用になるわけでございますが、そもそも常勤職員と申しまして現在ありますのは、常勤作業員ということで林野庁に現在ありますのは、二つ経過があるわけでございまして、一つは、これは二十三年でございますか、人事院の通達によりましてできました常勤労務者制度、これに入っていた。その大部分の方は定員化されたわけでございますけれども、その定員化の際に漏れた方、それからもう一つは、これは常勤労務者制度ではございませんで、林野庁独自の三七適用と申しますか、月給制に準じて取り扱っておりました職員で、これがまた定員化の際に漏れました。老齢であるとか、一人前の仕事に従事していなかったというような特殊の場合として、定員化からはずされた。そういう方々がいまは常勤作業員給与という項目から支払われるということで、一代限り定員外でもってそういう特殊の身分を保持するという制度に閣議決定になっております。そういう方々でございます。
  133. 湯山勇

    湯山委員 これは、そういうことをする法律的な根拠はどこにありますか。
  134. 隅田達人

    ○隅田説明員 法律的な根拠という点につきましては、法律には特にございませんが、いま職員部長から御説明いたしましたように、常勤職員につきましては、二十五年の人事院事務総長通達でございますか、これで制度が設けられてきたわけでございます。それからそのほかの、いわゆる常勤的非常勤職員と申しておりましたもので定員化されなかったものが、現在常勤職員給与の目から賃金を支弁されておりまして、常勤作業員と同様の処遇を受けておるわけでございますが、この者につきましては、三十七年一月十九日の閣議決定によりまして、そういう取り扱いを受けるということに相なっております。
  135. 湯山勇

    湯山委員 三十七年の閣議決定は、こういうものをつくれということじゃないでしょう。
  136. 隅田達人

    ○隅田説明員 閣議決定は、従来ございましたものの取り扱いをきめたものでございます。
  137. 湯山勇

    湯山委員 ですから、これはすみやかに解消しなければならぬものが残っている、こうですね。
  138. 隅田達人

    ○隅田説明員 林野庁といたしましては、これらの職員につきましては、定員化を要求したわけでございますが、行政管理庁の調査等によりまして、政府の統一方針に基づきまして、定員化されなかったものでございまして、それらの者につきましては、従前の処遇を維持するということで閣議決定がなされておるわけであります。
  139. 湯山勇

    湯山委員 これは、いま担当しておられる方はその責任がないからですけれども、結局、当時行管の資料と数が違ったのでしょう。そこでこれらの人が残された。だから、当然これらの人は定員化されなければならないものが、資料が違ったためにこうなって、あとでそれについて調査したはずです。なおそれにもかかわらず、百五十七名ですか、いまもっと減りましたか、とにかく百名もそれがある。これはおかしいのじゃないですかね。
  140. 隅田達人

    ○隅田説明員 定員化からこれらの職員が除外されましたのは、これらの職員のうちで、看護婦等のいわゆる厚生関係職員につきましては、これは政府共通の方針のもとに残されたわけでございますが、その他の者につきましては、それぞれ行政管理庁で実態を調査いたしまして、いわゆる国家行政組織法にいいます恒常職としてその職が該当しないという判断のもとに、除外されたものであるというふうに承知しております。
  141. 湯山勇

    湯山委員 それは違います。いまおっしゃったようなのは確かにあります。炊事とか寮母とか、そういう人は除外する、これは私ども承知しております。しかし、これだけ多数残った原因は、数字が合わなかった。そこで、あとまた一緒に調査をするといいながら、今日まで残っているのです。この責任は本人にあるのではなくて、林野庁にもあるし、それから政府にもある。もし当時行管と同じような資料が出ておれば、あるいは林野庁がこれは正確だというので行管の資料を直せる、それだけの力があれば、実はこういうものはできていなかったはずなんです。それが今日まで残っているというのは、私どもはこれはやはり歴代の怠慢というしかいえないと思うのです。そのために苦労して、給与の扱い、その他優遇措置は講じておりますけれども、それだけでは済まされない問題です。よろしゅうございますか、いまの問題。
  142. 隅田達人

    ○隅田説明員 ただいま申し上げております常勤職員給与の目から支弁されております職員につきましては、おっしゃるような事由から残っておるものではございませんので、先ほど申し上げましたような事由によりまして、定員化からはずされたものというふうに承知いたしております。そのほかの一般常用作業員等につきましては、これは当時におきましても定員化要求をいたさなかったわけでございまして、その点は事情が異なっておると存じます。
  143. 湯山勇

    湯山委員 私が申し上げておるのは、常用の中で特例法を適用されておる百五十名ばかり、その人たちのことを申し上げておるわけです。
  144. 隅田達人

    ○隅田説明員 正確にいたしますために、御説明申し上げますと、定員化から三十七年度に除外をされまして、閣議決定に基づきまして常勤職員給与の目から支弁をされております、もちろん特例法適用の職員でございますが、これは当時におきましては、常勤作業員が百七十一名でございまして、その他の非常勤職員が四十九名おったわけでございます。現在の数はただいま記憶いたしておりませんが、これらのものにつきましては、先ほど御説明いたしました経緯で残されておるわけでございます。
  145. 湯山勇

    湯山委員 それからもう一つの常勤処遇作業員というのが四十二名おります。昔は待遇官というのがありました。これは一体どういうわけですか。それがさつきの常勤作業員とどう区別されるのですか。
  146. 隅田達人

    ○隅田説明員 それはいま申し上げました常勤作業員百七十一名のほかに、常勤的非常勤四十九名と申しましたのが、その四十二名に当たるかと存じますが、これは先ほど御説明申し上げましたように、三十六年二月二十八日でございますかの閣議決定がございまして、その当時に常勤作業員でありました者、それの定員化されて残りましたのが、先ほど申しました百七十一名でございます。それからその当時はいわゆる非常勤職員であった者で、三十七年度の定員化からはずされた者、これがその当時は四十九名であったわけでございますが、それが閣議決定に基づきまして、いわゆる常勤職員給与の目から支弁をされるということになった。これがいわゆる処遇常勤と申しておるものでありまして、それ以外は事業費の目から支弁されておったわけでございます。
  147. 湯山勇

    湯山委員 これは非常におかしい存在なので、常勤なら当然定員化さるべき性質のものです。たてまえから言えば。これは法律を一々あげるまでもないと思いますけれども、内閣委員会等で、常勤かどうか、恒常的に置く職員かどうか、ずいぶん議論されております。恒常的に置かなければならない職員が——炊事にしても、いま御指摘になった看護婦にしても、いなくていいという職ではありません。ことしだけとって、来年要らないという職じゃありません。当然定員化されなければならない。そうなっておる。それがいまのような経緯があったにせよ、このまま置いておるのは適当ではない。違法と言いたいのですけれども、それは言わないとして、適当ではない。これは長官そうでしょう。
  148. 田中重五

    田中(重)政府委員 職員の定員化の問題につきましては、いろいろその妥当性について議論はあったかと存じますが、一応これは三十七年度の一月に国家行政組織法の十九条の条項に照らしてその基準を定めまして、そうしてそれによって定員化を行なった結果、政府の見解として、定員化をこれで終わったという見解に立っておるということでございます。しかしながら、一つの見解としましても、やはり恒常職の意味についていろいろ意見もあるということは承知いたしております。しかしながら、この閣議決定は一応政府の見解としてきまっておりますので、私どもといたしましては、その決定の点に従っているということでございます。
  149. 湯山勇

    湯山委員 これはやはりおかしいのです。特に林野事業の特殊性から考えて、たとえば私ども知っている幾つかの作業場、ああいうところで看護婦がいなかったらどうなりますか。それからまた炊事婦がいなかったらどうなりますか。作業全体がとまってしまうのです。東京の町のまん中で看護婦さんがいないとか、あるいは炊事婦の人がいないとか、そんなのとは全然性格の違う林野事業の中で、たとえ閣議がどうきめようが、行政組織法の十九条には、はっきり必要なものは置くのだということが明記されております。長官、いま御指摘になったように、「恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員」は当然なんです。だから、それをただ閣議でみんなわあっときめてわあっとやった、それで引き下がったのでは、これは国有林野でつとめておる人が気の毒です。当然定員に入れるべきであるし、入れなければならない。閣議がむしろ法律違反をやっている。法律違反です、この趣旨か言えば。そう言い切れないですか。そう言ってもいいでしょう。それはいかがですか。
  150. 森博

    ○森説明員 看護婦、厚生関係施設、そういう関係定員化につきましては、これはいろいろ御議論があるように承っておりまして、看護婦については、共済組合関係等関係でありますとか、それから厚生施設については、本来どこまで政府が見るべきであるかというような関係、いろいろ御議論があるように受け取れまして、そういう点で、やはりたとえば看護婦につきましても、これは政府全体として統一して処理すべきであるというふうに考えられておるように聞いております。そういうような検討を待ってわれわれも今後考えてまいりたいと存じます。
  151. 湯山勇

    湯山委員 これは納得できないのです。そういう方針だから、その検討を持ってじゃなくて、積極的に乗り出す。たとえほかがどうなろうと、林野庁の場合はこうだ。現に大雪のとき、何カ月も閉じ込められて、病人が出て困った、そういう報告もお受けになっておると思うのです。看護婦がいなかったらどうなりますか。これはお医者さんもいないような作業場で、ただそれをたよりにやっている。そういう特殊性というものを無視して、国全体で処理する必要があるからその決定を待つ、これじゃ林野の職員部長はつとまらない。五、六年山の中に入って実情を見てごらんなさい。そんなものじゃないですよ。生野菜がなくて困ったり、雪の中でお産したらお医者が来れないんですよ。それをただ政府できめるからと言ったって、何年待てばいいか。これはいまの部長を責めるというわけじゃありません。ただ、考えていたことをこの機会に申し上げるのですが、これはひとつからだを張ってでも実現するんだ、そうするんだ、これくらいの決意がなければ絶対解消しません。この問題はその御決意がありますか。職員部長、いかがですか。
  152. 森博

    ○森説明員 これはなかなかむずかしい問題でありまして、従来ともいろいろ検討もされていることでございまして、われわれはわれわれなりにそういう検討にも参加いたしているわけでございます。そういう経緯がございますので、ここで私がどうのこうのというふろに申し上げるのもいかがかと思います。ただ、そういうふうな解決に早く至りますように私も努力いたしたい、かように存じます。
  153. 湯山勇

    湯山委員 担当職員部長がそんな弱腰では因るのです。長官にも申し上げ、大臣にもお話しして、閣議で林野の場合は別だというような主張がなぜできないのですか。全力を尽くしてその実現に当たる、そういうことが大事じゃないですか。全力を尽くして当たって、できなければできないでやむを得ません。もっと上のほうが悪いのだから。それはそれとして、職員部長としては、全力を尽くしてそれに当たります、これくらいは言えるのじゃないですか。いかがですか。
  154. 森博

    ○森説明員 これが解決につきまして、できる限りの努力はしていくことにいたします。
  155. 湯山勇

    湯山委員 これからがむずかしくなるのですが、その次は常用作業員の問題です。いまのような特殊なのを除いたいわゆる常用といわれる人、いま政府からいただいた資料を見まずと、どうも合点がいかないのですが、一体実人員は何名で、それから延べ人員は何名でしょうか。これは三十八年度の実績をひとつ。と申しますのは、いただいた資料は三十八年の二月現在、三十九年の二月現在、こういうことになっておるのです。これでは年間がわかりません。そこで、この実人員年間幾らというのをお示し願いたいと思います。
  156. 隅田達人

    ○隅田説明員 お手元に差し上げました資料で三十八年の二月、それから三十九年の二月の数を示しておるわけでございますが、三十八年度の年間の延べ人員につきましては、まだ集計がまとまっておりませんので、現在では詳細はわかっておりません。それからこの二月の数字は年間の最少月でございます。多い月を申し上げますと、三十八年の七月がわかっておりますが、これが最多月でございまして、常用作業員につきましては一万一千七百八十八名、それから定期作業員につきましては三万五千三百四十五名、それから臨時月雇いの作業員が一万五千七百九十名、それから日雇いの者は十一万二百七十三名となっておりまして、そのトータルは十七万三千百九十六名、これが最多月の数字でございます。
  157. 湯山勇

    湯山委員 この資料はせっかく苦労してつくっていただいたのですけれども、実は私の質問にはあまり役に立たないので、残念です。というのは、延べ人員は三十七年度で出ています。雇用区分別人頭数は三十八年、三十九年、これで出ているものですから、比較にならないので、非常に残念です。それから、いまの二月では、たとえば定期などにおいては、三十九年も三十八年も三千とか二千とか出ている。実際最盛期三万五千、この数字から全然実態がつかめないので、非常に遺憾ですけれども、そういう点で質問に若干間違いがあるかもしれません。間違いがあったら訂正をしていただいてけっこうです。  そこで、常用作業員についてですが、三十八年の七月一万二千七十五名の数字が出ておりますが、これはどういうわけでしょうか。
  158. 隅田達人

    ○隅田説明員 常用作業員の数字が違っておりますのは、ただいま申し上げました一万一千七百八十八名は、七月現在の実働人員でございまして、先生のおっしゃいました一万二千七十五名は、長期欠勤者とかあるいは休職者等を含んだ数字でございます。両方とも数字そのものには変わりはございませんが、そういう点で違っております。
  159. 湯山勇

    湯山委員 常用というのは、年間働いておりますね。そこで、三十八年の二月がいま資料にあります一万八百九十六名、七月が一万一千七百八十八名、それから私の言っているのと同じ三十八年七月一万二千七十五人というのが出ているのです。これは常用ですから、かりに欠勤があったにしても、新規雇用がない限り、あるいは退職者がない限り、たてまえから言えば、動かないと思うのですが、こんなに数字が違う理由はどこにあるのですか。
  160. 隅田達人

    ○隅田説明員 これは私どものほうでやっております統計のとり方の問題がございまして、その結果を正直に載せておるのでございますが、統計上はいわゆる実働人員として数字があがっておることになっております。したがいまして、二月のような月には、その月の初めに働いている人が少なかった、休んでいた人が多かったということになるわけでございまして、お手元にございます三十八年七月の一万二千七十五名というのは、休んだ人も含めた数字でございます。一万一千七百八十八名のほうは実働人員でございます。
  161. 湯山勇

    湯山委員 いまの一万二千七十五名という数字は、長官が予算の分科会かなんかで発表になったわけですね。ですから、長官は予算の分科会では一万二千のほうをおとりになる。ここであなたからお聞きすると、一万一千七百のほうをおとりになる。こういうことがあるから、さっきのように行管との間に数が食い違ってもたもたして、結果には損をすることになるのではないですか。統計のとり方の違いだと言いながら、それについての明確さが欠けているのではないだろうか。ちょっといま気がつきましたが、そのことを……。
  162. 隅田達人

    ○隅田説明員 一万二千七十五名の数字は、正確に申しますれば、六月十五日現在の在職人員でございますが、その数字はどうやって調べておるかと申し上げますと、いわゆる夏期手当の支給人員として調べたものでございます。そういう意味におきまして、夏期手当の支給になっておりません日雇いの作業員のようなものの人員は、その方法でつかめておりませんので、全体の数字をつかみますためにやっております統計では、すべて営林署におきまして人を使いました勤務簿から拾い上げてまいるわけでございますが、その数字が実働人員としてあがってまいりますために、全体の数字をつかみます場合は、在籍人員に比べて、休んでおります者を除いた数字が出てまいるという、多少差があるわけでございます。
  163. 湯山勇

    湯山委員 いまの説明説明として承っておきますけれども、こういう統計に対する林野庁の態度としては、私はなお御検討願いたいし、反省を求めたいと思います。  次に、それはそれとして、お尋ねいたしますが、この常用の人たちがかりに特例法の対象になった場合には、給与は上がりますか、下がりますか。
  164. 森博

    ○森説明員 ただいまのは、もちろん特例法の対象になっておりまして、団体交渉によって給与その他労働条件をきめておるということであります。
  165. 湯山勇

    湯山委員 日給が月給制度になったら、給与は上がりますか、下がりますか。
  166. 隅田達人

    ○隅田説明員 御承知かと思いますが、定員外の作業員の賃金につきましては、いわゆる職種別に営林局ごとに労働協約で定めておるのでございまして、その労働協約に基づいて支給をされておるわけでございます。したがいまして、月給制の給与のきめ方と違っておるわけでございますが、職種によりましては、これを月額に換算いたしました場合に、月給制職員の給与よりもずっと高いというものもございますし、あるいは軽作業の職種等では総体的には相当に低いというものもあるわけでございまして、全体としての比較は困難かと考えます。
  167. 湯山勇

    湯山委員 その御答弁もまた私は納得できない。というのは、いただいた資料をごらんいただきますと、ちゃんと書いてあるのです。定員内職員の平均俸給月額、給与法適用者の分が幾ら、それから特例法適用者の分が幾ら、それから常勤、常用、つまり、先ほど問題にした常勤、常用の月給制の場合は幾らと平均が出ています。次をあけますと、いま営林局ごとにきめておるということですけれども、常用の全国平均は千二百五十五円、定期は千百十三円、臨時月雇いが七百七十六円、臨時日雇いが五百五十四円、こういうように雇用区分によっての全体の平均が出ておるのです。そうすると、対応する年数、年齢というものを比較すれば、大体わかるはずなんです。ここまでの作業ができておるのですからね。それで、いまこの期に及んで、それは各局ごとにやるのだからわからないと言われたのでは、この資料が何のことかわからないので、それをお示しいただきたいと思います。
  168. 隅田達人

    ○隅田説明員 私が申し上げましたのは、わかっておらないということではなくて、月給制職員の給与は全国一本で数字をきめておりますが、定員外の作業員のほうは職種別、地域別にきまっておりますために、職種別、地域別によりまして違うということを申し上げておりまして、ただいま資料として出ておりませんけれども、そういうことを申し上げたのであります。
  169. 湯山勇

    湯山委員 つまり、一般的に言って、定員外から定員内に入って、日給が月給になる、そのときに給料は損をするか得をするか、日給の場合は基準内外を含むというただし書きがあります。そういうこと等を含めて、一体どちらが得になるか。これはこの三七適用じゃなくて、もっと前です。全般的にそういう問題があったときに、日額を月額に切りかえて、それによって場合によると何号俸か上がるのがあって、三号以上上がるのは人事院の許可をとるというようなことをやった例があるのです。そういう例がありますから、お尋ねしておるわけです。
  170. 隅田達人

    ○隅田説明員 月給制の給与は、御承知のように、勤続年数によりまして定期昇給で逐次上がってまいる、あるいは職務の等級が変わりますと、それによって上がってまいるというようなカーブをとっておるわけでありますが、作業員の賃金は一日当たりの職種別賃金としてきめておりまして、それは経験年数によりまして若干の段階を設けておりますけれども、月給制の賃金のような上昇があるわけではございませんので、勤続年数あるいは年齢で比べますと、むしろ、総体として見ましても、若いほうは日給制のほうが高くなりますし、年をとりました場合には月給制のほうが高いということで、カーブは交差をするということになっておるわけであります。
  171. 湯山勇

    湯山委員 それでは常用の問題であと簡単にお尋ねして、定期以下をあと回しにいたしますが、この常用作業員の人たちの期末、勤勉手当というものはどういう形で支給されますか。
  172. 隅田達人

    ○隅田説明員 期末、勤勉手当につきましては、給与月額に対します支給割合は、常用作業員の場合は、定員内職員と全く同じ支給割合を採用しておりまして、特別給として支給をいたしております。
  173. 湯山勇

    湯山委員 それから長期共済はどうなっておりますか。
  174. 隅田達人

    ○隅田説明員 常用作業員は全員共済組合に加入をいたしておりますので、短期、長期とも加入をいたしております。
  175. 湯山勇

    湯山委員 では日給で長短期ともに共済に入っている、そういうことですね。
  176. 西尾八起

    ○西尾説明員 定員内職員と常勤、常用作業員までが長短期とも共済組合に入っております。
  177. 湯山勇

    湯山委員 その場合に、いまおっしゃったように、年をとってくると能率が低下する、そうすると、年をとって長期共済の給付を受けるというのは、常用の人は損になりますね、いまの御説明だと。
  178. 西尾八起

    ○西尾説明員 この面につきましては、長期給付の場合のお話だと思いますが、長期給付のときには、退職前三カ年の平均の格づけ賃金を基礎にいたしておりますので、その格づけ賃金の高さが年金給付に反映してまいることになるわけでございます。御指摘の点につきましては、一部の作業員につきましては能率給的な給与という形をとっておりますので、したがいまして、年功序列的ではないわけでございますから、御指摘のような面が出てまいることもあろうかと思えます。
  179. 湯山勇

    湯山委員 常用の問題は、ここまでで一応中断いたしますが、いまの問題は非常に大きい問題だと思います。  せっかく長年働いて、そして月給になった者はずっとよくなっていくが、よくなり方が少ない。何かと交差していって、いまおっしゃったように、長年働いて年とった人は、損をするという言い方は悪いですけれども、とにかく条件がよくないという事実、これはさらに御検討を願わなければならない問題だ、このように思います。  ここまでで一応中断します。
  180. 高見三郎

    高見委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時三十一分休憩      ————◇—————    午後三時四十八分開議
  181. 高見三郎

    高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出林業基本法案外二案を一括議題とし、質疑を続行いたします。湯山勇君。
  182. 湯山勇

    湯山委員 なるべく要点だけお尋ねしていきたいと思います。  常用作業員についてですが、この雇用形態というのは、非常に問題が多くて、従来もお尋ねしたことがございます。こういう形態が一体あるかどうか。雇用形態は基本的には日々雇用の形をとっておる。そして二カ月で任期が切れて、そのカ方月ごとに更新しておる。これが一年間続いて、さらにその次の年も継続して雇用される。しかも、これは日々雇用で二カ月更新で年間雇用、このようにして実は常勤と同じように十年、二十年雇用が継続しておる。これは実に複雑怪奇な雇用形態ですが、法的な疑義もありますし、それから実質的にもこういう形にしておいていいかどうかということにも問題があると思いますので、その点も幾らかお尋ねしてまいりたいと思います。どうしてこれを日々雇用という形をとらなければならないかという点をまずお伺いいたします。
  183. 田中重五

    田中(重)政府委員 常用作業員につきましては、やはりそのもとの発生過程は、いわゆる臨時月雇い作業員、そういうものから発生をしていると思いますが、その国有林事業関係するもろもろの事業にいろいろな面で雇用されることをもって、結局通年的な雇用の形態になったと存じます。その本体としては、やはり日給制職員であるという意味で、これは日々雇用ということになりましょうし、また二カ月未満を定めた雇用の形式は、これは先生も御承知だと思いますけれども、前の定員法の時代の定員定員外との区分に従って、定員外職員であるということの定めに従ったものだ、こう考えられます。ただここで、この常用作業員の特質として、同一職種に通年的に雇用される、いろいろな職種の組み合せで一年間の雇用が継続しておる、こういうことになるわけでございます。
  184. 湯山勇

    湯山委員 日々雇用ということになりますと、雨の降った日は、作業のない日は、これは給料は出ない。ですから、一カ月のうちで、先般の大雪のように一日も作業がなかったという場合には、当然日々雇用ですから、給料をもらえない、そういうことになりますね。
  185. 田中重五

    田中(重)政府委員 その点につきましては、作業員就業規則にそれぞれ雇用区分に応じた休日休暇の制度がございます。
  186. 湯山勇

    湯山委員 たとえば日々雇用ですから、一カ月のうちで病気で十日間休む、あるいは二十日間休む、まるまる休む、そういう段階があると思うのです。その場合はどうなりますか。いまの三つについて。
  187. 隅田達人

    ○隅田説明員 病気で休みました場合には、勤務の継続としては認めますけれども、賃金の保証はしておりません。なお二カ月以上にわたりまして病気で休みます場合には、それからその二カ月をこえて休んだ者は、また同じ事由によって長く休まなければならないというような場合には、休職を命じまして、労働協約に定めるところによりまして、休職給としての賃金保証はいたしております。
  188. 湯山勇

    湯山委員 お尋ねしておるのは、十日間休む、それから二十日間休む、まる一カ月休む、この三つだけでひとつお答えしていただきたい。
  189. 隅田達人

    ○隅田説明員 休む事由が病気でございます場合には、十日でございましても一カ月でございましても、賃金の支給はございませんが、その休みます事由によりまして、就業規則の定めます有給の事由に該当しました場合には、それぞれの認められました給付の期間について保証することになっております。
  190. 湯山勇

    湯山委員 それじゃ病気のときは全然ないわけですね。
  191. 隅田達人

    ○隅田説明員 休職以外にはございません。
  192. 湯山勇

    湯山委員 休職というのはどうしてあるのですか。二カ月が任期ですね。二カ月をこえて休む場合の休職というのは、どうして存在しますか。
  193. 隅田達人

    ○隅田説明員 非常勤職員といいましても、やはり国家公務員法の適用がございまして、その雇われております期間につきましては、休職の事由に該当しました場合には、休職を命ずることができるということでございますので、二カ月の雇用期間を定めておる者に対しまして、休職を命じまして、それが二カ月をこえてなお休みます場合には、休職期間を更新するという取り扱いをいたしておるわけでございます。
  194. 湯山勇

    湯山委員 これはおかしいじゃありませんか。二カ月雇用ですね。ですから、二カ月来たら、形式的に自動的に切れますね。その者が三カ月、四カ月休むときに、二カ月で切れたあとは、今度は休職で新規に採用する、こうなるわけでしょう。
  195. 隅田達人

    ○隅田説明員 二カ月の雇用期間が切れましても、自動的に雇用が切れるというのではございませんので、雇用を終了させますには、それだけの任命権者の手続があって終結させるわけであります。その手続をいたしません場合には、更新をさせるということになるわけでございまして、そういう点、手続をする場合につきましては、これは就業規則に定めておりますが、いわゆる解雇の事由に該当する場合以外にはそういうことはないというふうな制度にいたしておるわけでございます。
  196. 湯山勇

    湯山委員 作業員のためを思ってそういうはからいをしているというなら、これはわかります。けれども、いまおっしゃったのは逆なので、手続をすれば継続して雇用ができますけれども、いまの課長のおっしゃったのは、手続をしなければ自動的に延びていく。それだと常勤とちっとも変わらぬじゃありませんか。しかも日々雇用ですから、極端に言えば、二カ月のうちだって、仕事をしない日は給料をもらえない。二カ月の期限が切れた、もう病気で働けないのだ、そういうものをほっておけば、そのまま自動的に続くのだというような日々雇用、それから二カ月間の期限を切っての雇用、こういうものはないはずです。あればあったのが間違っている。
  197. 隅田達人

    ○隅田説明員 二カ月の雇用期間を定めましたいきさつは、先ほど長官からお答えいたしましたように、旧定員法時代に、二カ月以内の期間を定める常勤職員ということで、常勤労務者の制度が人事院通達によりまして認められたのでございますが、林野庁には、その常勤労務者になることができなかった、当時は日々雇い入れの者でございますが、そういう者が多数おったわけでございます。その者たちが、常勤労務者になりました者が二カ月更新で雇用されますにあたりまして、日々雇用ということでは非常に身分的に不安定であるというふうな事情がございましたために、常勤労務者に準じまして、二カ月の雇用期間を定めて雇うという形をとったわけでございますが、そのことは、それらの職員が要するに常勤になったということはございませんので、非常勤職員のままで二カ月の雇用期間を定めるという取り扱いをしたわけでございます。したがいまして、二カ月の雇用期間を定めました限りにおきましては、二カ月の期間内における身分保障といいますか、そういうものについても、通常の公務員法の適用があるというふうに理解しておりますし、またその取り扱いが、そういうふうな経緯でできました関係上、常勤労務者について認められておりました身分上の取り扱いにつきましても、おおむねそれにならって取り扱いを定めるというふうなことにいたしておったわけでございまして、その点からいま申し上げておりますような取り扱いになっておるわけでございます。
  198. 湯山勇

    湯山委員 身分上常勤のようにやっておったから、こういうふうにしたというわけで、実際は常勤でしょう。つまり、法律用語の常勤職員とか非常勤職員とかいうことを離れて、勤務の実態というのは常勤なんでしょう。常時勤務するわけなんでしょう、何年でも。
  199. 隅田達人

    ○隅田説明員 常勤か非常勤かという点になりますと、これは勤務の態様の問題でございまして、勤務時間とか休日休暇の取り扱いとか、そういうことを主たる着眼点といたしまして考えられると思いますが、身分の継続関係といいますか、雇われております期間の長さがどう続くかということは、また別個の問題ではなかろうかと思います。
  200. 湯山勇

    湯山委員 休暇とか休日とか、そういう問題じゃなくて、勤務は、日々雇用という形はとっておるけれども、しかも二カ月更新という形はとっておるけれども、通年作業に従事する——通年じゃなくて、連年です。ほっておけば、林野庁が意思を表示しなければ、おまえは切れたからもう来なくてもいい、おまえやめていいという意思表示をしない限り、一生でしょう、この常用の人は。
  201. 隅田達人

    ○隅田説明員 そういうことでございます。特別の事由に該当しない限りは、連年、その者が退職いたしますまでは、やめさせることはない。
  202. 湯山勇

    湯山委員 その点は課長と同じじゃないですか。課長なら課長がいま辞表を出してやめる、あるいは長官から、やめてどこか公団なりなんなりにいけということでやめる、つまり、やめろと言われるまでは勤務が続く。自分の意思でやめるまでは勤務が続く。これは間違いありませんね。
  203. 隅田達人

    ○隅田説明員 二カ月の雇用期間を定めております点につきましては、若干違う点があろうかと思いますが、それを除きますれば、あとはおおむね違いないと思います。
  204. 湯山勇

    湯山委員 その二カ月というのは有名無実でしょう。さっきの御説明で、どっちか意思表示しなければ、二カ月というのは、自動的につながっていくのだから、これは有名無実ですね。だから実態は、あなた、課長といまの常用の勤務は同じじゃないですか。
  205. 隅田達人

    ○隅田説明員 その点は、法律的な意味を別にいたしまして、事実関係を申しますれば、ほぼ変わりはないと思います。
  206. 湯山勇

    湯山委員 そこで、これは私もわかって聞いておるのですから、よくわかった。これは非常に不自然なのです。これは日々雇用して二カ月で更新すると言いながら、ほっておいて、十年、二十年もいまの職員と同じ勤務をしている。これが常用という名前で置かれる。いわゆるほんとうの臨時ならば、「常」という字なんかつけるべきでないのです。それから、二カ月で切るということの法的根拠は、御存じのようにもうなくなっています。なくなっているけれども、いまのような形態でいくのですから、四カ月になろうが六カ月になろうが、ちっとも痛痒を感じない。それは常勤と同じ勤務の状態になっておるからです。内容は別ですよ。状態がそうなっている。そこで、この資料で見ましても、常用という人は、林野庁が現業官庁である限りにおいては、その現業の中心になっている最も重要な存在である。これは長官もお認めにならざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  207. 田中重五

    田中(重)政府委員 常用作業員は、お話しのとおりに、国有林事業の現場の定員外作業員の中の根幹の要員でございます。
  208. 湯山勇

    湯山委員 そうなってくると、これを臨時で置く、それから日雇いの状態で置く、雇用形態は、いろいろ言い方はあっても日雇いです。そういう形で置くというのは、私は適当でないと思います。ここで、たとえば行政組織法の議論をするとか、あるいは国公法の議論をするとか、そういうことは避けます。それをやったからといって、実態が前進するものではないと思いますから。いろいろ長官のお考えも、過去の御答弁の中からよく調べてまいりました。それから、それに対する考えもありますけれども、ともかくも現実の事態は現業です。現業官庁としてそれはいろいろありますけれども、実際現業の中心はこの常用の人がやっておる。これも事実なんです。そういう人が臨時で置かれるということは、これは法的にどうであろうと——法律の解釈もいろいろあるわけですが、いま課長と私議論しましたように、日々雇用という形で、二カ月更新という形はとっておるけれども、ずっと続いている勤務で有名無実、こういうことですから、これは非常に重大な問題だ。もし万一これらの人が、われわれは二カ月雇用だから二カ月でやめますと、かりにここでぽっきり一万幾らの人がやめたら、国有林は困るでしょう。そういう重要なものです。これを行政組織法のどの文句に当てはめるかどうかは別として、これは議論ですから避けて、実際問題としてこの人たちがいなかったら困る。国有林は運転できない、回らない、これは事実だと思います。その点はいかがでしょうか。
  209. 田中重五

    田中(重)政府委員 その点につきましては、おおむねそういうことだと思います。
  210. 湯山勇

    湯山委員 それでしたら、この常用というのは、悪く言いますと、実は常勤にしたいけれども、定員関係でこういうことになっている。つまり、常用というのは、常勤の一種のカムフラージュだ。しかし、これは国のたてまえがそうなっておるから、林野庁としてはこの人たちはできるだけ生活の安定もはかっていきたい、雇用の安定もはかっていきたい、苦肉の策で、こういう常用という、非常にめんどうな、複雑怪奇な運営をしておられる。精神は了解できます。それはいま法律どおりに純粋に日々雇用にしたら、そうして二カ月でぽんぽん切って、好きなのだけ一カ年やって、またあとあとというようなことをしたら、たいへんなことになる。そこに林野庁の思いやりといいますか、この運営の苦労はわかりますけれども、しかし、いつまでもこういう状態で置く筋合いのものではない。これは長官も御同感だと思いますが、いかがでしょう。
  211. 田中重五

    田中(重)政府委員 この国有林事業定員外職員の雇用のしかたについては、国有林事業の近代化、あるいは合理化と申しますか、そういう問題に当面しておりますだけに、きわめて重要な問題でございまして、この面での刷新を今後はかっていかなければならないと思っておりますし、その中で常用作業員をどのように扱うかは重大問題でございます。ただ、この常用作業員の中には、出来高払い等の支払い方法による常用作業員も相当おります。そうして、それは過去の就業の沿革といいますか、次第に常用作業員という雇用形態で現在置かれております。大部分は根幹要員と考えておりますけれども、また常用作業員のいかんによっては、雇用の形態が常用的であるというだけでそういう作業員もおります。その点は特に考えなければならぬ、今後の根幹要員の雇用の形態として検討してまいりたい、かように考えております。
  212. 湯山勇

    湯山委員 同じような公社、公共企業体、これをごらんになっても、これだけ重要な基幹要員を定員外で置くというような例はないと思います。そこにはいろいろ歴史的なものがあるといいながら、二カ月雇用なんというのは現在では通用しないのに、やはりそのまま残っているという問題、それからいまのような形で通年、連年ずっと雇用していく臨時で、日々雇用に対しては、長期の共済給付というのは本来ないはずです。それをいろいろ苦労なさって適用しておるというようなことも、これはずいぶん苦労が多くて、しかもやはり問題を残しておるというのは、すっきりしていないからなんです。実はほんとう定員内の常勤にしたいんだけれども、どこかブレーキがあってできなかった。それが今日こういう形でたくさんの矛盾をはらんで残っている。これは国有林近代化のためには絶対に解決しなければならない問題で、ただ検討するというのは、どういう形で定員化するか、定着化するかという検討はあるにしても、方向としてはそうしなければならないということには、長官も同じ御意見だと思いますが、いかがですか。
  213. 田中重五

    田中(重)政府委員 根幹的な要員の雇用の形態については、いまも申し上げましたように、国有林野の近代化のために、ぜひとも前向きで検討を進め、合理的なものにしたい、こう考えております。
  214. 湯山勇

    湯山委員 いまの問題は、本来は長官責任ですけれども、大臣も重大な責任がありますから、ひとつ大臣に対する質問も留保さしていただきます。  それから次は、定期作業員です。これもまた問題が多い作業員で、いただいた資料で見ますと、定期作業員の数が三千五百七十九名で、延べ人員が五百六十四万七千六百三十七、一年ずれておりますけれども、そういうふうになっておったのではおかしいと思って、実はお聞きするつもりだったのですけれども、さっき御訂正になりましたので、大体わかりました。この定期作業員についても、非常に大きな問題があると思います。これもまた同じように二カ月更新ですね。
  215. 隅田達人

    ○隅田説明員 そのとおりでございます。
  216. 湯山勇

    湯山委員 長いのは大体何月、短いのは何月になっておりますか。
  217. 隅田達人

    ○隅田説明員 雇用期間で申し上げまして、一番短いのは六カ月でございますが、六カ月から七カ月の者が三十八年七月の人頭数で申しまして一万六千九百人ばかり、八カ月から九カ月の者が同じく一万六千九百名ばかり、十カ月以上が千四百名ばかりとなっております。
  218. 湯山勇

    湯山委員 十カ月以上ということになると、もうほとんど常用と同じではないでしょうか。
  219. 隅田達人

    ○隅田説明員 十カ月と申しますと、四月から雇用されまして一月一ばいという形でございます。大体そのくらいが限度でございます。
  220. 湯山勇

    湯山委員 積寒地帯その他で実際には十カ月程度しか作業のできない地域もずいぶんありますね。これは常勤でもそれくらいしかできない。だから、十カ月以上というのは、これはひとつ別に考えていただくことにして、六カ月、八カ月の問題です。この間もちょっと質問に出ておりましたが、雇用期間が六カ月なりあるいは八カ月、九カ月で切れたときに、退職手当を支給しているのですか、失業手当を支給しているのですか。この点がどうも明確でないので、どちらを支給しておられるか、お尋ねいたしたいと思います。
  221. 西尾八起

    ○西尾説明員 これにつきましては、退職手当法によります退職手当の要件を満たします場合と、それ以外の場合と、取り扱いが違うわけであります。最初に退職手当の関係でございますが、この要件は、月二十二日以上六カ月継続、こういうような場合には、現在の国家公務員退職手当法によりまして退職手当が出ることになっているわけでございます。しかしながら、そのうちで、たとえば七カ月勤務した、しかしながら、一カ月はたとえば二十日とか十五日しか働かなかったというような場合には、ただいま申し上げましたような退職手当法の要件を満たしませんので、退職手当が出ない次第でございます。こうした場合には、大体この定期の方々は一〇〇%失業保険に入っております。そういう方が退職なさる場合には、今度は、失業保険法によります要件を満たします場合、言いかえますと、一年間に月十一日以上勤務したときが六カ月以上あるというような場合には、失業保険金をもらえることになるわけでございます。そうして同時にまた失業保険認定がございます。こういうような場合にはそれが出る。二通りの形があるわけであります。
  222. 湯山勇

    湯山委員 ここでもひっかかるのは、いまの二カ月更新ですね。二カ月で雇用が切れて、また二カ月やって、また二カ月、これで退職金は出せますか。
  223. 西尾八起

    ○西尾説明員 この点につきましては、二カ月で更新されます場合でも、継続した勤務実績があることになりますと、これで退職手当法の要件を満たすことになるわけでございます。
  224. 湯山勇

    湯山委員 さかのぼってですけれども、二カ月更新で六カ月以上になって退職手当を出すのは、これは違法であるということでとめられたことがありますが、御記憶ございませんか。
  225. 西尾八起

    ○西尾説明員 そういうことは私どもは全然経験がないように考えております。
  226. 湯山勇

    湯山委員 何年か覚えておりませんが、清井さんが事務次官のときです。そのときにそういう問題が起こりました。ちょうど江田三郎氏、この人が農林水産委員長をしておりまして、ちょうど閉会中の審査のときに、その問題をそういうことでたいへんだというので、取り上げて、私が質問をして、それは何とかしますということになったのですが、政府の方針は、当然二カ月更新だから、それは継続じゃないのだから、二カ月たって退職して、新たな辞令をもらうのだから、退職手当の対象にならないというのを、そのときに、委員会でそれを議論して、結局やりましょうという結論に達して、やった事実があるのです。ですから、二カ月で退職して——これは常用とまた性格が違うのですから、退職して、それからまた雇用されて、また退職して、また雇用されて、また退職する、これを月二十二日ずつ六カ月働いた、切れてもそんな出し方があるでしょうか。これは法律論になりますけれども……。
  227. 隅田達人

    ○隅田説明員 林野庁としましての取り扱いは、昭和二十六年ごろから非常に明確にしてきたわけでございますけれども、その当時以降、各月二十二日が継続しておりさえすれば、二カ月の問題にかかわらず、退職手当を支給してきておりまして、二カ月が切れたからといって問題になった事例は、林野庁としては記憶にございません。
  228. 湯山勇

    湯山委員 それは記憶になければお調べいただいたらわかります。そういう問題になりまして、これはたいへんだというので——おっしゃるとおり、林野庁としてはそういう措置をとってきたことは間違いありません。しかし、それは不当だ、こういう雇用形態で退職手当は出せないということで、横やりが入って、それはたいへんだというので、また委員会でそのことを取り上げて、林野庁のとっておったそういう特別な取り扱いを認めさしたという事実があるのです。これは清井さんにお聞きになってもわかります。私もその委員会にいましたからよく覚えております。そういうこともあったのです。ただ、そういういきさつがあったから、現在黙認されておりますけれども、こういう扱いというのはほかには例がないはずです。あるいは拡大したのもあるかもしれぬけれども、それはみな雇用形態の特別な扱いで、そうはならないと思うのです。  そこで、それはそれとして、この人たちへの退職手当、これは当然退職手当としてもらえるものと考えた場合、失業手当のほうは、これまた失業保険をかけておれば、当然もらえるわけでしょう。
  229. 西尾八起

    ○西尾説明員 現在の退職手当法におきましては、失業保険との重複を避けまして、そして退職手当がもし失業保険金をもらうとした場合に計算しました額に満ちません場合には、失業者の退職手当というのを一般の退職手当のほかに加算をして支給しておるわけでございます。
  230. 湯山勇

    湯山委員 それは特例法によって、退職手当が少ない場合は、失業保険に該当する分までは、あと失業保険で埋めていくと、こうあります。ですから、六カ月でやめた人は当然失業保険をもらう権利があるわけで、退職手当でもらおうが、失業保険でもらおうが、むしろ失業保険でもらうほうが有利だ、手間もかからないし、そういうことになるわけじゃないですか。
  231. 西尾八起

    ○西尾説明員 その点は、失業保険金はそのほかにもらいます場合には、失業しているという事実がないといかぬわけでございます。ところが、公務員の退職手当につきましては、これは退職手当として、そういう条件がなくても出ていくわけでございます。ただし、いま申し上げました失業者の退職手当という、失業保険金とのバランスをはかりました付加的な本のにつきましては、これは失業の認定が必要になってくる、こういうようなことになっておるわけでございます。
  232. 湯山勇

    湯山委員 そうしますと、これは非常におかしいのですね。退職は初めからきまっておるわけです。初めからきまっておるのに対して、ちゃんと予算が組んであって、退職金が出るわけですから、これはいわゆる失業保険のいう緊急な失業じゃありませんね。そういうことであれば、失業保険は出ない。それじゃなくて、ぽっと切られたときには、これは失業保険が出る、こうですね。
  233. 西尾八起

    ○西尾説明員 実は林野庁の実際の取り扱いといたしましては、退職手当の受給資格ができますと、それ以後は失業保険をかけないことにいたしております。それまでは退職手当法の要件を満たすかどうかわかりませんので、その間は失業保険をかけるわけでございます。そういうわけで、もう失業保険法の関係ではなくて、職員の方々もみな退職手当法の運用でやっていくことになっておる次第でございます。
  234. 湯山勇

    湯山委員 これは一般の場合そうなんです。ところが林野庁の定期の場合は、六カ月と初めからきまっておるのでしょう。初めからきまっておるのに、失業保険をかけるというのは、これはおかしいことじゃないですか。六カ月ときまっておって、途中で失業しても、これは期間が短くて対象になりませんね。それに失業保険をかけるというのはおかしいじゃないですか。
  235. 西尾八起

    ○西尾説明員 その点におきましては、それらの方々でございましても、途中でいろいろな保険事項に相当するような点がございましたら、いろいろな事故が起こりまして、月二十二日以上継続という退職手当の支給要件を満たし得るかどうか疑問がございます。そういう関係で、やはり安全を期しまして、失業保険は、これは全部強制適用でございますので、全部みなかけておるような次第でございます。
  236. 湯山勇

    湯山委員 失業保険の給付金は林野庁から出ておるのですか。これは、そういう言い方は悪いかもしれませんが、その原資については、いわゆる普通の保険会計からではなくて、林野庁から回して、トンネルして給付になっておる、そういう形をとっておるのですか。
  237. 西尾八起

    ○西尾説明員 その点につきましては、これは決して林野庁とその職員の掛け金だけで保険財政をまかなっておるものでもございません。法律にもございますとおり、ほかに給付を要します資金の相当部分が国庫から出されることになっておる次第でございます。
  238. 湯山勇

    湯山委員 林野特別会計から給付を要する費用の負担は、直接間接を問わず、していない、こういうことなんですか。掛け金は別ですよ。掛け金以外の負担はしていない、そういうことですか。
  239. 西尾八起

    ○西尾説明員 これは千分の十四を事業所負担と職員負担とで大体折半することになっておりますので、したがって、国有林事業特別会計でもそれ相当な負担をいたしております。その負担額は、資料が古くて恐縮でございますが、三十七年度で約四千六百八十六万円くらいになる次第でございます。これは国有林野の職員の方の保険料は入っておりません。国有林事業の使用者負担が以上のとおりでございます。
  240. 湯山勇

    湯山委員 そこで、問題になりますのは、これは使用者負担もしておられる。それから本人たちが掛け金負担もしておる。したがって、ほっておいても、六カ月で切れて失業の認定をすれば、失業負担はもらえますね。これはよろしゅうございますね。ところが、退職金をもらった場合は、その差額は失業保険でもらうけれども、まず六カ月というような場合であれば、退職金と失業保険はとんとんでしょう。そうすると、何のために退職金を出すかわかりませんね。ほっておいても失業の認定さえすれば、いまのことだけやっておるのだから、失業保険はもらえるわけです。これは何も林野庁の会計から出さなくていい金です。ところが、それと一方、排除するために退職金を出しますから、林野庁は退職金としてよけいな金を出しておる。本人は少しも利益になっておりません。その定期の退職金を本年度予算ではどれくらい見てございますか。
  241. 西尾八起

    ○西尾説明員 これは積算の基礎としてでございますが、退職手当が二億八十三万四千円、それから失業者の退職手当が十三億三千七百六十万七千円、合計いたしますと、約十五億三千八百万円くらいであります。
  242. 湯山勇

    湯山委員 いまの二つは区分して伺いたいのですが、いわゆる退職手当というのは、皆さんと同じような場合の退職手当ですね。それから失業者の退職手当十三億というのが、いまの失業保険とダブる分、重なって問題になっておる分ですね。
  243. 西尾八起

    ○西尾説明員 かりに一般産業で退職手当の制度がない労働者と同じ期間、毎月同じ日数つとめたと仮定いたしますと、退職手当と失業者の退職手当とをプラスしたものが、この場合の失業保険と同じような形になるという説明になっておる次第でございます。
  244. 湯山勇

    湯山委員 そこで問題は、この十三億という金は、実際は林野庁の捨て金ということになりはしませんか。お出しにならなければ、これはみんな失業保険でもらう権利がある金でしょう。そうなりますね。退職金で出すから、それだけは失業保険の給付から引かれるわけです。退職手当の特例法によって引かれる国家公務員ですからね。しかし、もし林野庁が一文も退職手当を出さなかったら、十三億というのは、当然失業の認定をすれば失業保険の会計から出る金でしょう。
  245. 西尾八起

    ○西尾説明員 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、退職手当受給資格を満たすようになりますと、それ以後は失業保険金をかけないわけでございます。したがいまして、退職手当あるいは失業者の退職手当を出しますことが捨て金になるとは、私どもといたしましては考えていないわけでございます。
  246. 湯山勇

    湯山委員 六カ月雇用で、六カ月で期限が切れる。この人をたとえて言えば、いまのようになりはしませんか。おおむねそうなりませんか。
  247. 西尾八起

    ○西尾説明員 六カ月でやめられます場合には、これは退職手当の条件を満たしております場合には、いずれにもいけるというような形になるかと思いますので、その場合のデリケートな扱いにつきましては、ちょっと研究いたしておりませんので、しばらく時間をお与えいただきます。
  248. 湯山勇

    湯山委員 これは非常に簡単なので、退職金特例法というのは、とにかくその人が半年以上やって、失業保険を受ける資格ができておるという場合は、もう当然それだけのものがもらえる。退職手当がゼロならあと全部は失業保険で埋めてくれる。退職金が足りなければ、あとまた失業保険の給付に足るまで埋めてくれるのですから、これはいろいろお話はあろうけれども、かなり無理をして十三億という退職手当を出すという形になっておると思います。このことは、実際には幾らかの利益になる点も、いまのように掛け金をかけない期間というものはそういう場合にしてもわずかですから、わずかの期間千分の十四か幾らかかけないで済むというだけで、給付はほとんどが実は林野庁のほうで持っているというのと同じことになるわけです。これはぜひちゃんと計算してみてください。理屈はそうなっているのですからね。  そこで、この扱いもいまおっしゃったように、非常に微妙ではあるが、微妙という意味は、実は一般の民間山林労働者は、ほとんどいま失業保険から除外されているのです。季節的な労務につく者、これがこの間取り上げられたのです。国有林はこうやって適用されているではないかという背後には、十何億という国有林の犠牲がある。こういうところに非常に問題があるわけで、これの解決は、全部失業保険適用にする、民間の皆さんの場合にもそれにする、それから一般に行なわれているように、失業保険の給付と別個に退職金を出す、これなら私は大賛成です。しかし、そうじゃなくて、いまおっしゃったように、これと失業保険ととにかくやりくりされる、実際もらう金額というものには、あるいは掛け金を考えても大した差はないという状態で、おまえ退職金やったのだということは、ただ退職金という名前がいいだけのことで、実質は失業保険の肩がわり、出さなくてもいいものを出しているといわれても、実際はしかたがないのです。そういう金があればもっとほかに使い道があるのではないか。そして失業保険はもう堂々と全額とっていく、退職金出しても、失業保険をもらったものと変わりはないのだから、退職金はこちらに回すというほうが、よほど合理的になってくると思います。もっと言えば、さっき二カ月更新で退職金を出すのは違法というか、正当じゃないのじゃないかと申し上げたのは、そこにからんでくるわけで、若干法的疑義のあるものをいまのように継続してやることにした、そういう行政措置をとった、一方無理をして、当然権利としてもらえる失業保険のほうは、場合によっては棄権するというような退職金のあり方、これは検討を要すると思います。林野庁の負担もそのほうが多いのです。退職金で足りない分だけ失業保険でもらう、このほうが林野庁の負担もはるかに大きい。掛け金だけなら四千万がかりに一億になったとしても、ずいぶんあとは残ってくるわけですから、これは一ぺん御検討願いたいと思います。非常に大きな問題ですから、そしてこの問題の解決いかんは、民有林の労働者にも影響を持ってくる問題ですから、ひとつ御検討を願いたいと思います。  次に、定期の人の厚生年金です。これは厚生年金に入っておりますか、いかがですか。
  249. 西尾八起

    ○西尾説明員 この方々につきましては、林野庁の場合、厚生年金保険法によりまして、任意適用と強制適用と二つございますが、そういう形で加入いたしております。
  250. 湯山勇

    湯山委員 定期作業員の場合はどうなっておりますか。
  251. 西尾八起

    ○西尾説明員 定期作業員につきましては、本庁、それから営林局、営林署、こうしたところは法律上では事務所といわれておりますが、これは強制適用でございます。それからその他の事業関係は任意包括加入でございます。ただし、四カ月未満の季節的な業務に従事する者とか、法律上の適用除外の者がございますが、そうした形で、ことしの五月の半ばごろの現在でいきますと、適用対象者の加入率は四五%ぐらいになっておる次第でございます。相当指導を加えまして、できるだけ高めたいということで進めておるわけでございます。
  252. 湯山勇

    湯山委員 いまの四五%は定期だけですか。常用の場合はもう要りませんからね。定期だけならどうなんですか、何%ですか。
  253. 西尾八起

    ○西尾説明員 ただいまのは定期作業員だけの比率でございます。
  254. 湯山勇

    湯山委員 定期作業員の四五%が加入しておって、さらにこれを拡大していくということです。私はそれはその点においては賛成ですけれども、ここに大きな問題があるのです。六カ月雇用で、厚生年金に入って、給付を受けるまでには何年かかりますか、資格を得るまでには何年かかることになりますか。
  255. 西尾八起

    ○西尾説明員 もし六カ月雇用だけで、しかも国有林以外にどこにも働きに出ないというような仮定で考えますと、四十年間になるのではないかと思います。それだけの被保険者期間があるということになろうかと思います。
  256. 湯山勇

    湯山委員 そこで、問題があるのです。申し上げたい点は、定期の人も、おそらく一応離職しても、また復帰率というのは相当高いということを常々林野庁も言っておられます。少なくとも国有林野は、いま課長のおっしゃったように、四五%だけれども、なるべくこれを拡大していく、あるいはまた強制適用するという背後には、当然本人さえ希望すれば受給資格が得られるまでここで働かせるのだという裏づけがなければ無責任です。そうなりますね。この人たちは四十年たたなければ厚生年金の給付は受けられない、そういう人です。そこで、その人をいま定期として雇い入れる、それから厚生年金は強制適用する、あるいはいまの四五%をさらに拡大していく、こういう方針でいく以上は、この人たちは、本人さえほかへ移っていこうということでなければ、四十年間は国有林で働かして、厚生年金保険の受給者になるように、それは責任を持ってやるということでなければ、無責任のそしりは免れない、とうなりますね。
  257. 西尾八起

    ○西尾説明員 湯山先生もよく御承知かと思いますが、厚生年金は非常に一般的な社会保険になっておるわけでございまして、したがって、先ほど国有林だけで働くといたしますならばということで申し上げたわけでございますが、たとえばほかの厚生年金適用対象事業国有林で働きます以外の時期に就職いたしますと、当然この厚生年金をかけた期間が通算されてまいりますし、またもう一つ国民年金との通算も認められておるわけでございます。したがいまして、そういう点で、働く職員の方々に、そういうせっかくの国としての社会保障制度でありますから、できるだけ国の受益者として有利な取り扱いを受けますように努力しておるわけでございます。
  258. 湯山勇

    湯山委員 それはおかしいのですよ。国の事業場が雇用するときに、それは何カ月にしても、そのときによそへ行って厚生年金をもらうように便利なためにやってやる、そういうようなことはあってはならない。それならもう任意であって、それでもいい人だけ、こうあるべきです。現に国有林の定期の人の就業状況を見ますと、課長の言われるような、すぐまたよそへ行ってというような性格じゃありますまい。国有林がそれをやる以上は、四十年たたなければ厚生年金がつかないのなら、本人がそれでやる気であれば四十年間やる、それでなければならぬはずなんです。現にそのために、御存じでしょうけれども、事業場によっては企業組合というのをつくって、そしてその人たちは、仕事のない期間はその企業組合でチップをつくったり、あるいはそのほかの仕事をやって、また雇用契約が発生してから国有林で働くということを繰り返しています。そこを離れられない、離れたがらない、こういう人が非常に多いのです。現にその企業組合の理事長が互選で選ばれて、その仕事のために走っておって、落ちてけがをしてなくなりました。そこでこれは当然業務上死亡を適用してくれというので、営林署も労働基準監督局に行きますし、いろいろやったけれども、たまたまその人が理事長であったばかりに、業務上の死亡は適用にならない。そこで、それでは気の毒だというので、奥さんをほかの貯木場の便利なところへつとめさそうという世話をしたところが、その奥さんはやはりここがいいと応じなかった。それくらい定期の人でもなかなか離れないのです。その定期の人を、まあそれは四十年かかるけれども、かってによそへ行けば早くつくのだから、四十年間も責任は持たない、しかし、できるだけ厚生年金に入れていく、これは私は無責任だと思う。その点については、これは内容はよくおわかりですが、長官、いまの点どうお考えですか。
  259. 田中重五

    田中(重)政府委員 その点については、気持もといたしましては、確かにそういう点は先生の言われたとおりだと思います。また制度としても、できる限り、四十年というような長い期間でなく、厚生年金の支給があるように持っていくべきであると思います。しかし、そのためには、やはり就業状況の改善をまずはかる必要がありますし、そのためには、また雇用の仕事の仕組み、これをできるだけくふうをいたしまして、極力通年作業のできるようなそういう方向へ持っていくことがまず前提だと思いますので、そういう面に特に重点を置いて検討いたしたい、こう考えております。
  260. 湯山勇

    湯山委員 そこで、こういう人に対する帰休制度については、先般この委員会でも議論になりましたから、御記憶と思いますが、六カ月働いて、三カ月間失業保険なり退職年金でカバーする、残り三カ月なんです。これについて、それをたとえば帰休といいますか、休暇といいますか、そういう形でやることはできないのですか。と申しますのは、なかなか一挙に通年作業をつくるということは困難だろうと思います。しかし、給特法の第六条によれば、勤務時間、休憩、休日、休暇について規定する権限は林野庁長官にあるはずです。検討するのじゃなくて、林野庁長官が、その三カ月というものはひとつ休暇にしよう、ただし手当はこれだけ出すというようなことをすれば——ちゃんと長官の権限になっておるのです。これをひとつこの際大英断をもっておやりになる、そういうお考えはございませんか。
  261. 田中重五

    田中(重)政府委員 その点につきましては、確かに法の第六条の勤務時間についての林野庁長官の権限内のものでございます。ただ、この場合の休日あるいは休暇というのは、事実上仕事が終了して、そうして仕事がなくなっておるという状況にあるので、そこで、解雇されるという形になっております。普通、休日なり休暇という場合には、これは一定の期間にわたって仕事があるということが前提になっております。また一方、国家公務員の場合の休職というような場合には、これはむしろ他動的にその職務から排除されるという形での休職であります。そういうもろもろの事例から考えましても、仕事がない場合に、それに帰休制度として一定の給与を支払うということは、なお検討の余地があろうかと考えております。
  262. 湯山勇

    湯山委員 これはずっと視野を大きく持っていただいて、現に定期の人で、十年、二十年つとめて表彰された人もあると聞いております。そのときそのときからいえば、切れたかのように見えるかもしれません。しかし、林野の仕事というのは、そんな性格のものじゃなくて、もっとどんどん続いていく。またそういう目で見ていかなければ、一体山の仕事のどこに興味があるでしょう。もっと長い目で見ていけば、決して切れているのじゃない。それから定期の人もまた来年も国有林に働く。これは現状では八〇%も九〇%もそうなっていると思います。そういう目で見ていけば、決して切れてなくなったのではなくて、あるのだけれども、一段落つけただけです。しかもその要因は何かといえば、これは主として気象条件、そういうものが支配しておる。そういう考え方からいけば、昼間だけはいいけれども、夜はもう仕事が切れてなくなった、またあすから新しい仕事だ、極端に言えば、それに通じてくる、不可抗力なんです。そこで、それは続いているのだという解釈に立って、そして林野庁長官の権限で休暇にする、これはできないことはないと思うのです。これをやれば、健康保険の問題も解決するわけです。健康保険は、その期限が切れたときに給付を受けておれば続けられるけれども、そうでなければ、今度国保に移らなければならないでしょう。そうなっておりますね。ちょっといまの点、はっきりしてください。健保の場合。
  263. 西尾八起

    ○西尾説明員 その点はさようになっております。雇用期限が切れたときに、もし健康保険の給付を受けていなければ、国民健康保険の適用を受けて、そのほうの給付を受ける形になるわけでございます。
  264. 湯山勇

    湯山委員 国保の給付内容と健保の給付内容がどんなに違うかということは、これは課長さん、よく御存じです。いま世帯主だけどうこうしようということもありますけれども、ともかくもまたすぐ次に行って健保に戻ることはわかっておる。しかも給付を受けておる者は続けられる。受けてない者は切れて、また国保へ手続する。そういうような不便も解消しなければならないと思うのです。してあげなければならない。法律のたてまえから、その責任はやはり長官にあるわけです。そこで、幸い長官は、いまのような法律上の権限を持っておるのですから、定期の者のいまの解決、それから常用のはさっき申し上げましたから、定期の人も同じような観点から、そのためにむだな金を十何億使っておるのですから、それらとからみ合わせて、ひとつ思い切って常用の扱いにする、こういうことはできないものかどうか。その点いかがでしょう。
  265. 田中重五

    田中(重)政府委員 いまお話のございましたいろいろな形における給与の問題については、作業仕組みのくふう改善、それと相まって、実質上通年的な雇用になり、したがってまた、その給与が受けられるというような方向検討いたしたい、こう考えております。
  266. 湯山勇

    湯山委員 これも大きい問題なんでして、とにかくずいぶんこれは問題が多いのですけれども、それから、さっきちょっとおっしゃった出来高払いの問題ですね。これも私は必要悪だと思っております。出来高払いというようなものは、常用でも月雇いでもやっておる。そのために災害がふえておるということを労働基準監督署から指摘しておる例もあるようです。本来ならば、出来高払いなどということをやるべきではないと思うのですね。常用あるいははっきり雇用関係にある人に対しては——これも触れたい問題ですけれども、割愛をいたしまして、まだもう一つ大きい問題があるのですけれども、あすにでもお話をさしてもらいます。  もう一つは、日給の問題なんです。あと月雇い、日雇いの問題が残りましたが、日給ですけれども、いま日雇い、これは芳賀委員からも御指摘がありましたが、苗畑で働いておる婦人は一日四百七十円ということでした。臨時日雇いの男子で今年度一日幾らになっておりますか。予算単価でけっこうです。
  267. 隅田達人

    ○隅田説明員 お手元に差し上げております資料で、全国全職種の平均をとりますと、三十七年度の基準内賃金で五百五十四円ということになっております。
  268. 湯山勇

    湯山委員 特にお尋ねしたいのは、三十八年と三十九年です。その単価をひとつお知らせ願いたいと思います。
  269. 隅田達人

    ○隅田説明員 三十八年度は年間の締め切りがまだ終わっておりませんので、四月から十二月までの実績の平均値でございますが、全国全職種の平均額で申し上げまして、基準内賃金で五百九十円でございます。
  270. 湯山勇

    湯山委員 ことしは予算単価幾らになっていますか。
  271. 隅田達人

    ○隅田説明員 予算単価は雇用区分別に出ておりませんので、日雇いの分としてはわかりかねます。
  272. 湯山勇

    湯山委員 三十八年度が五百九十円ならば、大体ことしはこれぐらいであろうというのは幾らぐらいですか。
  273. 隅田達人

    ○隅田説明員 ただいま手元に資料がございませんので、調べましてお答え申し上げます。
  274. 湯山勇

    湯山委員 その資料のないことはたいへん遺憾です。残念ですけれども、林野庁で釧路にパイロット・フォレストというものをおつくりになっておられますか。
  275. 田中重五

    田中(重)政府委員 パイロット・フォレスト、これは公式の名前ではございませんけれども、通称そういう名前で、相当大面積のカラマツの造林地を造成しております。
  276. 湯山勇

    湯山委員 そこで問題は、こういう問題があるのです。そのパイロット・フォレストへ刑務所の服役中の人を使っている、といいますか、出て働いてもらっている。その賃金は、法務省で調べたところによりますと、三十八年が六百九十円、三十九年は、ついこの間お約束したのは七百二十円、こういうことですが、間違いございませんか。
  277. 田中重五

    田中(重)政府委員 帯広営林局が刑務所との請負契約の単価を幾らにきめたか、これはいまちょっと確認できないのでございますが、ただ、三十八年度の帯広営林局管内の協約上の標準賃金、これは七百六十五円でございます。
  278. 湯山勇

    湯山委員 これは、私は以前に仲裁裁定実施の直前に、やはり刑務所に払っておる日給が、林野庁で働いている人よりも上回っているという事実が判明したので、それを取り上げまして、仲裁裁定実施のときにさかのぼって是正した例があります。いま承りますと、大体林野庁のさっきの大ざっぱな計算は、三十八年は五百九十円、それから法務省の作業課で聞いたのは、三十八年は六百九十円ということでしたが、いま長官のでは七百六十五円、実はそのほうが上回っておるわけですね。そこで作業課長に聞いてみたのです。それでは囚人の人というのはずいぶん仕事をよけいするわけですかということを聞きましたところが、それは習慣があって、自己調整というのをやる、だから普通ならば、大体民間へ出ていけば五割程度の日給を出すのが普通だ、こういうことです。そうすると、これは従来国有林で働いておるこの作業員と、それからこの刑務所の囚人の雇用の日給とは、あまりにも開きが大き過ぎる、こういうことになりはしないでしょうか。こういうことが一体あっていいでしょうか。
  279. 隅田達人

    ○隅田説明員 帯広の造林作業につきまして、刑務所との請負契約をしております場合に、請負契約の積算単価として——先生のおっしゃられましたのは三十六年かなんかの事例だと思いますが、そのときにはPWを基準にして積算をしておったわけでございますが、PWは四月一日に改定されまして、それから国有林の協約賃金は、仲裁裁定の実施がおくれておりましたために、まだ改定が行なわれていなかったというときの事例をおっしゃっておると存じますが、その後におきましては国有林の賃金が年々改善されておりますので、相当高くなっておるというふうに考えます。
  280. 湯山勇

    湯山委員 そういう御答弁では、それは私は了解できません。現実に刑務所の人たちに払う賃金のほうが、林野庁の臨時の日雇いよりも大きい。そういうことで一体いいかどうか。これは前にも問題にしたことがあるのですけれども、前は幸いそういう時期だったから、さかのぼって是正をしてそれを直したという事例があるのですね。どうしてそういうことになるのですか。
  281. 隅田達人

    ○隅田説明員 国有林できめております協約賃金がPWよりも下回っておるというふうな事例というのは、最近ではほとんどないのではなかろうかと考えておりますが、地方によりまして、その地方地方のPWを比較しておったものでございますから、全国平均値を比べますと、その間に差があるということであろうかと思います。
  282. 湯山勇

    湯山委員 差があるというのはよくわかっているのです。これはわれわれは認めておるわけですが、その差があるのが問題だ、こういうことを申し上げておるので、これはいかがですか、そういうことでいいのですか。
  283. 田中重五

    田中(重)政府委員 賃金の問題は、これは常に民間その他との均衡を頭に置いてきめなければならない問題でございますが、そこで、この作業員の賃金でございますけれども、これは先生御承知のとおり、営林局別の職種別賃金がそれぞれ協約できまっておりまして、そうしてそれはそれぞれの同一職種の同一時点の地場賃金と常に比較勘案しながら、その改善がはかられていくということになりまして、今度の仲裁裁定にあがっておりますのも、そういうことで資料が出ておるわけですが、刑務所の受刑者より安くていいかということにつきましては、その受刑者に支払われる賃金の高さによるわけでございますけれども、要するに、同一職種の同一地区における地場賃金との均衡は常にはかりながら、その改善を進めていくという態度で処遇の改善を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  284. 湯山勇

    湯山委員 残念ながら御答弁にならないので、刑務所の囚人というのは、これだけかりに払ったって、全部本人に入るのじゃないのです。おおむね十分の一しか入ってないのです。これは御存じのとおりなんです。それへ持っていって、こういう形で、しかもこの刑務所に払う賃金ですが、これについても地元の監督署その他とよく相談してきめるということになっております。同じような観点に立ってきめる林野庁が、これが全体的に低くて、こちらのほうが高い。そしてそれは仲裁裁定でそうなっているのだからしかたがないじゃないか、これではつまらないと思うのです。これはどうしたって是正しなければならぬ。長官おっしゃったように、大体昨年一方が五百九十円、一方が七百六十五円、そうすると、百七十円からの開きがある。それだけで比べるのは不当ですけれども、かりにそれでやれば、そんなに大きな開きがある。そういうのも無視していいかどうかということです。これでは私は基本法第三条が泣くと思う。これが民間へも波及するし、このことはいろいろ理屈はあると思います。言えば言いわけはあると思いますけれども、そういう問題じゃないのです。これでいいかどうかということになれば、だれが考えたってそれではだめだ。作業能率が上がるかということを私が特に聞けば、あの人たちは自己調整ということをやる、だからそんなに能率は上がるものじゃないということまで法務省のほうが言ってくれるくらいに、これで放置したのでは、これはとても私は了解できないし、こういうことが明らかになって、勤労意欲が起こるかどうかということも問題だと思います。これはひとつすみやかに是正すべきだと思います。仲裁裁定が出るより先に長官権限でここはやれるのですから、平均が昨年は五百九十円ならば、ことしはひとつ八百円か九百円か、それくらいにぽっとやる、そうすれば一切解決するわけです。おやりになりませんか。
  285. 田中重五

    田中(重)政府委員 この受刑者に支払われる賃金と、その地区の営林署の賃金の比較の問題のようでございますが、それで帯広営林局管内の造林地の賃金が、その地域よりも低過ぎるということであれば、これは当然是正さるべきでございます。また仲裁裁定へあげているのは、仲裁裁定できめればそれでしょうがないのだという考え方ではございませんので、公正な判断を受けようという趣旨に出たものでございます。いずれにしても、賃金の改善は十分に前向きではかってまいりたい、こう考えております。
  286. 湯山勇

    湯山委員 それで長官の御意思はよくわかります。実際これにはまだもっと大きな問題があるのです。というのは、それはいろいろ操作しておられるでしょうけれども、賃金として一人一日当たり七百六十五円払うというようなことは、これは適当な措置は講じておられると思いますけれども、そのものずばりでいけば、これは明らかに違法だと思います。法律によれば、一般職、特別職、それ以外の者の勤務に対して給与を出してはいかぬという規定がございますね。これは国公法二条六項にちゃんとあります。だから、刑務所の囚人を一日雇って七百六十五円払うということは、国家公務員にしたことなんですね。そういうことは不可能でしょう。ここにはそういう問題もある。これは議論したいところですけれども、長官がいまのような御答弁ですから、ひとつ御研究願います。国公法の二条六項です。もし囚人に一日幾らという単価で、賃金とかそういう形で契約して給与を払っておれば、明らかに国公法違反です。これもひとつ御検討願います。  そこで、実はまだこの問題は残りましたけれども、それだけ現在国有林につとめておる人については、定員内の人、給与法適用者、給特法、そのほか常用、定期、臨時の月、日、いずれも問題が残っております。そうしてこういう雇用形態の区分が、最初申し上げましたように、身分区分になっておる弊害もあります。そういう過去の遺物を一きょうの御答弁にも、ずいぶん従来の行きがかりからという御答弁がありましたが、そういう過去の悪い遺物を全部捨てていく、これが林業基本法の精神だと思うのです。それができないようなら、こんな基本法は要らない。から念仏です。ひとつぜひそれをやってもらいたい。  それから残した問題でお聞きしたいのは、実は木材の需給について、紙パルプ資本と国有林野の関係、いまうわさされておるのは、国有林は紙パルプ資本に従属しているんじゃないかということ、これは公然と議論もされております。書物にも書かれております。具体的な例もあげられております。しかし、時間がこういう時間ですから、あとへ回したいと思いますので、御了承いただきたいと思います。  きょうはこれで終わります。
  287. 高見三郎

    高見委員長 次会は明十七日午前十時より開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十分散会