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芳賀委員 参考人の皆さんに議論を吹っかけるわけではないが、たとえばこれは
森川さんも
真板さんも御承知のとおり、飼料
需給安定法というのがある。これは毎年一年間に
消費する家畜のえさである飼料について、
法律に基づいて
需給計画を立て、特に
政府の
責任において充当すべきものについては、食管特別会計を通じてことしからえさ勘定というものが独立したわけですけれ
ども、これらはやはり明確な飼料の
需給計画というものを
審議会の議を経て
政府が策定して、それに基づいて、国内の飼料の
需給の安定あるいは
価格の安定に資するということをやっておるわけです。やはり全
購連としても、その飼料の流通の一半というものは分担しておるわけです。その商売上の
立場から見れば、計画であっても見通しであってもかまわぬかもしれないが、政策上の見地からいうと、
需給計画と
需給見通しとは大きく質的に相違しておることは、常識的にもおわかりになる点だと思います。特に
肥料の場合は、必要生産ということになると思います、年間国内における
肥料の、たとえば種類別にしてどのくらいの
需要があるかということ、これは過去の実績とか農業の動向、あるいはその変遷を判断すれば、おおよそ的確にわかるわけですから、その
需要の計画に基づいて、
メーカー側においてはそれにこたえる計画的な生産をやはりしてもらわなければならない。しかし、現在の企業規模からいうと、相当
内需を満たしてまだ余りがあるわけですから、これは当然
輸出しなければならないということになるのですが、これは農業の生産よりも、計画生産は化学工業の場合には可能なわけですね。ですから、十年間の経験を積み上げて
需給計画というものを確立して、この農業の部面あるいは
輸出部面についても、一方においては、合理化法に基づいて
化学肥料工業というものが発展をしておるというのを、いまさら抽象的な
需給の見通し、こういうもので十分であるというようなことは、これはいささかおかしいと思うのです。商売上、差しつかえないというだけのものではないと思います。
参考人の御
意見は、昨日の農林大臣並びに経済局長、
軽工業局長の答弁と全く同じですからして、それは
政府案に全面
賛成の
立場で言われておるので、別に追求するなんという筋合いのものではありませんが、これは重大な点であるということだけは、
一つ認識しておいてもらいたいと思うわけです。
それからその次にお尋ねしたい点は、
需要者団体側におかれては、一番気にしておることは、
価格交渉をやって、自主的にきめるのであるが、いわゆる従来いわれた
輸出赤字なるものを国内の
肥料価格に転嫁されてはかなわぬ、いわゆる
輸出赤字非転嫁の原則というものは、今後も貫かなければならぬ、
制度上それを十分保護するようにしてもらいたいという
意見は、相当強かったと思うわけです。まあ、これらは、いまの
生産者と
需要者の関係というものは昨日も申したのでありますが、平面的に見れば、これは買い手市場であるからして、いわゆる
需要者側が不
利益になるような
交渉というものは行なわれないことは当然であります。ただ問題は、
国内価格と
輸出価格が十何ドルも相違があるという点、これはやはり
肥料メーカーの
立場から見れば、これを明らかに区分して
コスト計算をするということは、今度はしないと思うのですよ。いいですか、その場合、やはり
需要者側の立つべき根拠というものは、やはり従来は
法律に基づいて国が
調査権を持っておる。あるいは
メーカー、さらに
需要者から、政令に基づいた必要な報告というものを義務を負わして、報告を徴しておる。これを基礎にして、
政府は毎年の原価計算というものをできるだけ適正に行なって、それを材料にして
肥料の最高販売
価格というものを決定したことは、御存じのとおりなんです。そこで、われわれは、昨日も、この
調査権あるいは報告事項等については、今度は
自主交渉の場合においても、
政府のほうから資料を提示する、あるいは
当事者が要請した場合においては、必要な資料というものを
政府が提示するということにはなっておりますが、
調査並びに報告の
内容というものが、
現行法の場合のその
内容と、今度の
新法の
調査、報告の
内容というものは、質的にどう違うか、あるいは同じかということをただしたわけでございますが、どうも昨日の説明からいうと、今度の
新法でいうところの
調査権、あるいは報告の
内容というものは、
現行法よりも非常に
内容が薄弱なものになるということが予測されるわけです。そうすると、十年間に及ぶこの
価格論議の中においても、一番基礎になるのは、これは
政府の原価計算における資料というものが重要な素材になっておる。これが
内容が貧弱なものになった場合、皆さん方が
交渉される場合に非常にやりづらくなると思うのですよ。ですから、われわれは国の
調査権の発動、あるいは両
当事者から報告を徴する場合においても、これは
内容的には
現行法と同様の
内容のものでなければならぬ、こういうことを
指摘しておるわけです。この点に対しては皆さん方はどうお
考えですか。何でも
政府がやってくれるものであれば足しになるというようなお
考えであるのかどうか。
それから
輸出赤字非転嫁というものを、どういう理論的根拠の上に立って、
交渉をおやりになる場合には展開される確信があるか、その点をこの際お尋ねしたいと思います。