○
赤城国務大臣 レモンの自由化につきましていろいろな宣伝をされていることは、私も承知しております。むしろ逆宣伝のほうが多いと思います。しかしそれでなくて、純粋な意味におきまして、レモンを自由化すべきでないのをしたではないかという詰問的御
質問だと思います。この間の閣僚懇談会は、もちろん
消費者物価の対策に触れたのでございますが、根本は国連におけるいろいろな自由化の問題等についての懇談会であったわけであります。率直に申し上げまして、初めから何を自由化するとかなんとかいう話があったわけではございません。その話の
過程におきまして、レモン、 コンニャク、ノリ、こういうふうな問題が出まして、ノリとかコンニャク等につきましては、
国内対策を講じなければ自由化というものは無理だ。しかしレモンにつきましては、前に一度自由化もしたこともある、それをまた取り消したこともあるけれども、現在の状況において、日本の国産のレモンと輸入するレモンとの競争というものを比較するのには、比較にならぬ対象ではないか。こういうようなことから、
国内対策はあと回しにいたしましても、自由化しようではないかということできまったわけでございます。
そこで調査が足らぬということでございますが、これは前にも自由化したことでありますから、調査は私のほうとしても十分いたしておったわけでございます。それから内閣といたしましても、何も自由化しないというわけにはまいりません。国際条約その他国際機関に加入しておりますたてまえ上、
国内に対しましての影響を
考え、
国内対策を事前に講じ、あるいは同時に講じ、あるいは事後に講じつつ、影響の少ないものは国際社会において自由化する、こういうことで
消費者物価対策という問題と自由化対策という問題が一緒にその席で議題になりましたので、自由化という方面から自由化いたしたわけでございます。
そこでその自由化につきましては、このレモンは自由化の種類としては相当前から出ておったわけでございますが、しかし前の状況もありますので、慎重にいたしておったわけであります。そこでいろいろ申し上げる前に、
一つ前提として申し上げますと、日米合同
会議の際に、レモンを自由化してくれという話がアメリカのほうからありました。前に河野
農林大臣時代にも一部を取り消したことがあります。私はその際、国際
会議におきましても、それでは日本の温州ミカン等の輸入制限を撤廃するという態度を、アメリカ側がとらなければならないぞということを念を押しておきました。しかしこれは単なる自由化の問題と違いまして、温州ミカンの問題は植物防疫の問題でございます。植物防疫の
関係で、日本のミカンを入れても被害がないというようなことであれば、これはもちろん自由化いたしますということになっておりましたので、単なる
取引的な、レモンをこっちで自由化するから、温州ミカンを自由化せよという問題と、もっと違った意味におきまして、植物防疫という
関係を
一つ含めての問題だったわけでございます。でありますけれども、それはいまおっしゃったとおりに、私もそういう進め方をしてきたのでございますが、自由化を進めるという意味におきましてレモンが俎上に乗りまして、その際に私どもの立場として、どういう意味で賛成したかということでございますが、いまから申し上げますと、栽培面積が少ないからということで私は言うわけではございませんが、栽培面積等につきましても約百四十四ヘクタールでございますから、百四十四町歩くらいでございます。
生産量は約千二百トン、栽培農家戸数は三十五年の調査によると二千戸こういうふうに推定されております。そこで一農家当たりのレモンの栽培面積はどのくらいかといいますと、県平均で二アールから七アールですから、二畝から七畝くらいで、かんきつ類
生産農家の一戸当たり栽培面積に比較いたしますと非常に少ない、こういう実情でございます。まあ実情を申し上げました。
それからわが国で最も栽培面積の多いのは広島県、ここでのレモン栽培農家のうち、農業粗収入でどれくらいレモン収入の割合があるかというと、一〇%
程度でございます。その
程度の農家が七三%、それから五%に達しない農家が九〇%以上を占めているという県が大部分であるということ、それから自由化いたしますと、
価格について正確な予想は困難でございますが、現在為替の割り当てをして、むしろ現在が独占的な形で輸入しております。これはあまり感服しない問題だと私は思います。それは別にいたしましても、レモンを自由化した場合に、栽培農家の反当粗収入がかりに半分になった——数字が誤っておるかどうか知りませんが、七、八円くらいのものが七、八十円あるいは百円くらい、十円くらいのものが百円近くなっておるという、いろいろな
価格のあれもあると思いますが、これが約半分になったと仮定しまして、ほかの果樹栽培の場合の反当粗収入と比較いたしました場合には、温州ミカンよりは下回ることになりますが、その他の果樹の平均から下回るということにはならない、こういうような推定の計算もございます。
また今度は
国内産のレモンがどうなるかということでございますが、私は自由化いたしますると、輸入のレモンの値段も下がると思います。これが自由化した場合に独占的なものになるというようなことを言っておりますが、私はそういうことはあってはならないと思います。趣旨に反しますから。
通産大臣とも話しておりますけれども、そういうことはさせない、こういうように
考えております。そこで大体
国内のレモンの質といいますか、これが輸入のものと非常に違っております。ですから輸入のものが相当下がるのにスライドして、それと同じくらい下がるというふうには私ども見ておらないわけでございます。
国内のものは
国内の用途として、
国内の
価格においてある
程度下がりましょうけれども、それの販路といいますか、それは私はある
程度考えられる。相当あるのではないか。すなわちいろいろ推定をいたしておりますと、輸入の
価格についての予測は困難でございますが、輸入
コストに適正なマージンを加えた額その他の
事情を勘案して推定すれば、二百円から三百円の
価格の出現が予想される、こういうふうに見ております。その場合、国産レモンの
価格はどうなるかというと、従来の趨勢から見まして、百円から百五十円に値下がりするのではないかと
考えます。しかしこのような値下がりをした場合でも、農家の庭先
価格は七、八十円あるいは百二十円から百三十円にとどまるというような見込みで全くその質が違っておりますから、そういう意味において、自由化して下がったから、そのままの下がりぐあいで
国内のレモンの
価格が下がるというふうには見ておらぬ。
こういうふうないろいろな点から、レモンを自由化した場合におきまして、日本の
国内でレモンを栽培しております農家、これはごく少数であったといたしましても、これを無視することは私は当を得ていないと
考えています。でありますので、無視はいたしません。これは慎重に
考えて、栽培農家に対する影響もある、こういうふうに見て、影響は避けられないといたしましても、その影響の幅あるいは
程度、これが
国内物価対策の必要性という問題と、自由化という問題も
一つの要請でございますから、その要請その他を勘案いたしまして、この際自由化の品目として取り上げるということであるならば、突然でございましたが、私といたしましてはこれは賛成しても差しつかえない。また賛成後において、いま申し上げました私どもの予想以上に
国内の
生産農家の問題が生じてくる場合におきましては、当然それに対する対策は講じていかなくてはならぬ、こういうふうに
考えてはおりますけれども、この間の
会議におきましては、以上申し上げた状況のもとに自由化に賛成いたした、こういう
事情でございます。