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1964-05-07 第46回国会 衆議院 農林水産委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月七日(木曜日)    午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 高見 三郎君    理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 足鹿  覺君    理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    池田 清志君       大坪 保雄君    加藤 精三君       仮谷 忠男君    吉川 久衛君       小枝 一雄君    内藤  隆君       中山 榮一君    野原 正勝君       藤田 義光君    細田 吉藏君       亘  四郎君    角屋堅次郎君       栗林 三郎君    東海林 稔君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       西村 関一君    松浦 定義君       湯山  勇君    稲富 稜人君       林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  丹羽 兵助君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件食料品総合  小売市場管理会法案内閣提出第一〇二号)      ————◇—————
  2. 高見三郎

    高見委員長 これより会議を開きます。  連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  目下建設委員会において審査中の土地収用法等の一部を改正する法律案について、連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高見三郎

    高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、連合審査会を開会いたしまする場合の日時等につきましては、建設委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。      ————◇—————
  4. 高見三郎

    高見委員長 食料品総合小売市場管理会法案を議題とし、質疑を行ないます。西村関一君。
  5. 西村関一

    西村(関)委員 食料品総合小売市場管理会法案提案理由説明を伺いまして、本法案がねらいといたしておりますものは、近年食料品消費者物価が非常に上がってきておる、特に野菜果実魚介等生鮮食料品値上がりがはなはだしいものがあるので、これを何とか抑制していこう、公正な価格に安定さしていこうというところに、本法案のねらいがあるというように一応理解をいたしておるのであります。そうしてその方法として、食料品総合小売市場管理会というものをつくって、公益的な特殊法人によって、生鮮食料品小売り近代化大型化共同化をはかっていこう、そのことによって流通面の隘路を切り開いて、その円滑化をはかっていく、こういうことが考えられておるようでございます。そのことそれ自体は、まことにけっこうだと思うのでありますが、それにつきまして、若干の問題点考えられますことをお伺いしてみたいと思うのであります。  質問の第一は、まずモデル地区をつくる、三十九年度に東京に二十カ所のモデル地区をつくっていこう、こういう考え方でございますが、これにつきまして、一つは、管理会という特殊法人をつくって、国と地方自治体とが半々で出資をしていく、こういう特殊法人でこれをやらせよう、こういう考え方発想根底にあるところのものが何であるか。わざわざ管理会という特殊法人をつくってでなければ、小売り商共同化合理化近代化ができないのだろうか。また、こうすることが一番いいのだということの、こういう管理会という考え方発想根底にあるところのもの、これは一体何か。どういうところが一番の重点になっておるかという点から、まずお伺いしていきたいと思います。
  6. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 ただいまお尋ねの点につきましては、政府部内におきましても最も問題として検討いたしたところであります。第一に、大阪をはじめ関西地区にはすでに古くから公設市場がございます。これは特に大阪においてはうまく運営されておりまして、これはいずれも市営であります。したがって、まず最初考えられることは、自治体が設置して運営するということが考えられるのでございます。しかし、今回の場合は、従来の形式によります公設市場が、関東地区、特に東京におきましてどうもうまくいかない、衰えたということには、大阪東京との相違、いろいろな点がございますが、消費者の嗜好がだいぶ違い、店舗のかまえ方などにおいてだいぶ違うというようなことで、東京地区では、特に今後の公設市場と申しますか、小売り商の発展する方向として、スーパーマーケットに近い様式をとった小売り市場を形成していく必要がある。これは相当近代的なものであり、特に相当設備投資を必要とするということもございまして、従来の自治体的な運営では東京ではうまくいかなかったという点と、その設備投資に、政府自治体も特に投資をいたしますけれども、そのほかに民間資金も入れていかなければならぬ。同時に、運営面におきましてはいろいろな問題がございますが、土地利用につきまして、非常に地価が高い現状でございますから、これを平面的に利用するというようなことはなかなかもったいない話だ。特に今後つくる必要があるものに住宅団地のごときものがございますが、そういうような場合にも住宅公団とタイアップしてやれるようなものにすべきである。それから運営面におきまして、中に入る業者が一体になってチェックアウト方式、つまり、出口で一括して代金を受け取る方式をとるのが一番望ましいわけでございますが、それが一度にできないような場合に、管理会がかわってチェックアウトをやってやる。そういうような事業運営面で、通常の国や自治体のような公共団体あるいは官庁的な運営ではやれないものが相当ございます。そういうことからこういう特殊な方式をとったのでございます。もう一つ、これは理屈よりも実情論でございますが、東京都におきまして一カ所新しく公設市場をつくったのでございます。そのときも、東京都におきましては、一応自治法で区の行政になっておるのでございますが、区自身は非常にやりにくい、それから東京自身もやりにくいということで、財団法人小売市場協会というものをつくって、それによって運営させております。これは現に北区にあるわけでございますが、それに対して政府としては土地を貸与するというような援助をいたしたのでございます。すでにそういう実例もあるのでございますが、そういった面から言いまして、国が直接やる、あるいは自治体が直接やるというのでは、非常に弾力性を欠いておりますので、かなり民間的な要素を入れたものにいたしたい、こういうことで特殊法人という方法をとったのでございます。
  7. 西村関一

    西村(関)委員 いまの御説明によりまして、実情に即して、特殊法人でやるのが一番妥当であるという検討の結果の結論が出たから、これに踏み切った、こういうお話でございますが、それが大阪方面東京関東地区とは実情が違うということもあり、自治体経営でうまくいっているからといって、一がいにそれをそのまま東京都でやるということには問題があり、また財団法人でやってうまくいっているという例もあるということでございますが、中央卸売市場東京都がやっておるわけなんですけれども、この経験から考えて、自治体、たとえば東京都なら東京都がやるという場合に、いまお話しのように、入口でチェックアウトするというようなことが官庁ではなかなかできにくいということですが、これは役人のサービス精神の問題にも関係があると思うのです。これは特殊法人がやっても、サービス精神が徹底していなかったらやはり同じことだと思うのですが、そういう点はいろいろ検討なさっただろうと思いますけれども、中央卸売市場経験から考えて、管理会という特殊法人をつくってやったほうがいいという結論を出された若干の理由を聞かしていただきたい。
  8. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 ただいま中央卸売市場の例をとられたのでございますが、中央卸売市場につきましてもかなり問題があるわけでございます、本年度におきましては、この中央卸売市場の基本的な問題について十分検討したいということを考えておるのでございますが、これにつきましても、国営論もあります。あるいは純粋の民営論もあるわけでございます。現在は自治体が一応設置して運営しておるわけでございますが、国はかなりきびしい監督をいたしております。中央卸売市場本質からいって、現在荷受け機関市場の中で複数ございますが、その複数であること自体にかなり問題があるわけでございます。これを一本化してむしろ国営にするとか、半公共的な性格のものにすべきであるという議論が相当ございます。農林省としても、むしろ単数の特殊なものにしたほうが適当であるというような考えを従来国会でも明らかにしてきておるわけでございますが、しかし、それは現実の問題としてなかなか容易でない問題でございます。現在のところは中央卸売市場法で、これは古い法律でございますけれども、かなりきびしい国の監督権がございます。それで、まずできるだけ弊害を少なくしていこう、こういうのが実情でございます。  ところで、今度の小売市場につきましては、私どもも最初東京都ないし自治体運営ということを考えたのでございます。しかし、これらも現実論でございますが、東京自身あるいは東京都の二十三の特別区はやりにくい、やれないというのが実態論としてあったわけでございます。筋から言いましても、今回の場合は、国も責任を持って運営に当たろう、自治体は地元の受益者関係がある、こういうことがございますし、そういうことで、国営というのは、小売市場に至りますとなかなか無理でございますから、そこの中間をとったというのがこの結論でございます。
  9. 西村関一

    西村(関)委員 それとも関連をいたしますが、この法案のねらいといたしておりますのは、小売商近代化共同化をはかっていく、生鮮食料品を取り扱っておる小売り商立場重点が置かれておるのであるか、また提案趣旨説明の中にもうたわれておりますように、消費者物価を下げていく、つまり、消費者のために考えていくというところに重点が置かれておるのであるか、あるいはそれはちょうど車の両輪のようなもので、小売り商共同化近代化が行なわれるならば、自然消費者物価も下がってくるという考え方に連なっておると思いますけれども、どちらにウエートが置かれておるか、その点をお伺いしたい。
  10. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 なかなかむずかしい御質問でございますけれども、これは政府として小売り市場を設置するということを決定しましたゆえんは、あくまでも消費者物価安定——まだこれだけでは不十分でございますけれども、ほかの施策がいろいろございますが、消費者物価の安定を目的として踏み切ったということが本来でございます。しかし、それにはやはりこれは生産者にとっても必要なことではございますが、中間経費をできるだけ節減するということがやるべきことになってまいるわけでございます。最近の消費者物価値上がりの中で、この中間経費の高騰というものはかなり著しいものがございます。これは産地から消費者に渡るまでの各段階において、中間経費に占める人件費の割合が相当大きい。つまり、人件費が高騰するにつれて、どうしても中間経費が上がる。特に小売り段階において、相当小売り商が御承知のように古くから店を持っていて、一定のなわ張りと申しますか、得意先を持って、比較的固定した営業をやっておりますので、人件費が高騰いたしますと、それを節約するということがなかなか困難でございます。売り上げにどうしてもかぶせなければならぬ、こういう傾向が見受けられるわけであります。そこで、中央市場なり仲買い人の方の流通マージン節約も必要でございますが、小売り段階流通経費の節減、これをはかるために、その合理化を必要とする。しかし、小売り段階合理化をはかるという場合には、これは農村にも似たような事情がございますが、非常に小売り商が多いために、その面で小売り商があまり困るような事態になってもいけない。そこにやはり相当配慮をする必要がある。一方、小売り商は大きな企業のスーパーマーケットの攻勢を受けて、かなり影響を受けております。小売り業界の中でも、こういった方向に進まなければならないという人々が出ておりますので、そういう人たちをできるだけ生かすという意味で、一石二鳥というのは誇張かもわかりませんが、そういう趣旨で設置することを考えたわけでございます。
  11. 西村関一

    西村(関)委員 御趣旨はよくわかりますが、いま局長の話になりましたような観点から申しますと、できるだけ中間の利潤を少なくして、生産者から消費者へ商品を届けるということが理想であるが、現実には小売り商が長年のしにせを持っておって、これを無視することができないということで、あくまでも消費者立場に立ちながら、しかし、現実小売り商近代化合理化をはかっていくということによって、小売り商立場もよくしていくように考えていきたい、こういう御見解のようでありますが、そういうお考えに立ちますというと、これは根本的な、基本的な問題になると思いますが、協同組合との関係をどういうふうにお考えになっておるか。いまさら私が指摘いたしますまでもなく、協同組合は、資本主義経済機構の中にあって、弱い立場にある消費者と小生産者立場を守っていく。これらが共同することによって、大量取引、大規模経営有利性をみずからのものにしていこうというところに、協同組合理念があり、またその理念に立って今日まで協同組合運動が進められてきておるわけなんであります。こういうことと考え合わせまして、なぜもっと協同組合との結びつきを、中間マージンを少なくするという基本的な考え方に立った場合に、お取り上げにならないのであろうか。従来からありますところの生産者協同組合、あるいは消費生活協同組合、あるいは農業協同組合漁業協同組合等々の協同組合組織、従来からあるところのこの組織を生かして——いま政府考えておられるような、そういう消費者立場をより重くはかっていこう、消費者物価を下げていこう、中間マージンを少なくしていこうという考え方に立つならば、基本的にどうしても協同組合との結びつき考えなければならないと思うのです。こういう点につきまして、どういう検討をなされたのでしょうか。
  12. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 非常に大きな問題でございまして、その点については、われわれも割り切って、これが絶対だというお答えは、なかなか申し上げがたい問題であると思うのでございます。しかし、中間経費を節減して、生産者から消費者にできるだけ安く品物を渡す、また生産者自身の手取りをふやすということの行き方には、いろいろな方向があると思うのでございます。少し口はばったいことを申しますと、たとえば、ヨーロッパで多く見られる生産者のほうの協同組合小売りまで進出する。スイスなんかの町でもよく小売り販売場を持っておりますが、そういう行き方もあるし、また逆に、イギリスのような形で、消費組合生産のほうまで乗り出すという行き方、いろいろな形があると思うのでございます。しかし、同時に、一般には、通常商業取引ルートをできるだけパイプを大きくして、それでもってその中の経費を節減していくという行き方もあると思うのでございます。現に日本小売り商、ことに生鮮食料品を扱っておる小売り商従業員の一人当たり売り上げ高は、日本の統計で見ますると、せいぜい十四、五万円か十六、七万円でございますが、日本でいまできつつあるスーパーマーケット従業員一人当たり売り上げは、四十万から六十万くらい。そういう台に売り上げ美きくするだけでも、その間の中間経費というものはかなり節約できるわけでございます。まあ日本現状での大きなやり方としては、やはりそういった一般ルートパイプを大きくしていくということが、通常考えられることでございますし、また現状小売り商というものは、零細な規模人々が多いわけでございますから、これをできるだけ生かしていくということからしまして、小売り市場は、原則的にその周辺小売り商を入居させて活動させたい、こう考えておるのでございます。しかしながら、生活協同組合とかそういう形で、消費者自身が安く仕入れる組織をつくることは、これは同様に奨励すべきことでありますし、また農業協同組合等が、あるいは漁業協同組合が直売ということは、考え方の原則からなかなかとりがたいと思いますが、それに近いような、たとえば自分のブランドのものをこの小売り市場に直接入れていく、それでそこで販売してもらう、これは物によると思いますけれども、現在考えられますのは、ブロイラーとか鶏卵あるいは肉、こういうものは考えられます。また魚のほうで言いますれば、魚価安定策として一番重点を置いております冷凍魚、こういうものにつきましては、小売り市場でできるだけ冷凍魚の最も妥当な販売やり方をやってもらう、こういうことはあると思うのでございます。
  13. 西村関一

    西村(関)委員 いま局長の言われた点は、現実施策としては、小売り商が一ぱいあるのですし、このままでは小売り商も困るし、また消費者も、いまの労働力不足等消費者物価にかぶせられて高いものを買わせられるという状態ですから、これを合理化し、共同化し、近代化していくということは、政府として当然考えなければならぬ点ではありますが、根本問題基本的な問題として、協同組合をどう生かしていくか。いま一、二の例をおあげになりましたが、また外国の例もお示しになりましたが、将来の構想として、いまの消費者がつくっているところの消費組合とか生活協同組合、あるいは生産者がつくっているところの農協とか漁協、その他酪農組合であるとか、いろいろな協同組合があるわけです。これらは、いまこの法案関係のあるところの消費者立場を、生産者消費者をどう直結させるかということが、根本的なねらいだと私は思うのでございます。それが現状においてはまだ不徹底であり、不十分でありますから、農協それ自体本質を発揮しないし、また生産者から消費者へというこの基本的な考え方も、きわめて微温的な効果しかあげてない。こういう状態にあるのを政府は積極的に——この法案については、現実論としてこれも大事なことだということは私は思いますけれども、同時に、協同組合をどう生かしていくかということを、消費者立場から、あるいは生産者立場から、考えていくということが大事じゃなかろうかと私は思うのでございます。いまさら私が申すまでもなく、農業協同組合法においては、信用販売講買利用等事業を通じて組合に対する最大の奉仕をしていくということであり、また漁業協同組合につきましても、同様のことが水協法の十一条にうたわれておる。こういう協同組合を生かすということをまず最初考えるべきじゃないか。それをたな上げにしておいて、半官半民的な特殊法人をつくって、これにやらせるということで、その場を一時しのぎに解決をしていくというのでは、国策として、私は、将来の展望の上に立って、いまとらまえられておるところの問題の基本的な解決にはならないんじゃないかと思いますがゆえに、その点をお伺いしてみたわけでございます。しかし、これはこれで考えていこう、一応当座の問題として小売市場管理会法案を通して、それでひとつ当座の問題の解決をはかっていこう、こういうことでありますから、私の申し上げました協同組合との関係における問題については、今後も鋭意検討を重ねられて、そして各関係官庁とも連絡を密にせられて、十分な成果をあげていただくように御努力を願いたいと思うのでございます。これは生産者立場からも消費者立場からも、特にこの法案審議にあたって政府にお願いをしておきたいところでございます。  質問の第三は、中央卸売り市場との結びつきの点でございますが、この管理会中央卸売り市場とは、あるいはこの管理会経営するところの小売り市場とはどういう関係に立つのでございましょうか。その点を第三の質問として伺っておきたいと思います。
  14. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 中央卸売り市場小売り市場関係でございますが、これはまず現在の中央卸売り市場をより施設を整備する。すでに物理的にも狭隘になっておりまして、取り扱いの限界がきている市場がございます。特に青果では、最も中心になります神田市場のごときはもう限界になっておりますので、したがって、その施設を整備し、拡充することが必要でございますし、またその中の荷受け機関なりあるいは仲買い人というものを近代化してまいる、また公正な取引がやり得るような態勢になってもらう必要がある。それについては着々いろいろな対策を講じておるのでございますが、必ずしも現在のところ十分な成果があがっておりません。ところで、小売り市場中央卸売り市場とどういう関係を結ぶかということになりますと、まず、そういった中央卸売り市場自体近代化なりあるいは態勢の改善をこちらのほうからも推進するようにいたしたい。それで、原則的には中央卸売り市場取引秩序を尊重してまいりますけれども、小売り市場としては、一般小売り商とは違って、かなり大口取引をやるわけであります。したがって、仲買い人中間マージンなどはやはり節約してもらう必要がある。大口の扱いでございますから、少しまけてもらうことはできると思います。それから、これは非常に問題のところでありまして、業界に一部反対がございますが、たとえば荷受け機関せり取引に直接小売り市場業者が参加するのではないか、こういうことを非常に危惧されておるのでございます。ところが、神田青果市場では、すでに小売り業者仲買い人を通じないで、直接荷受け機関せりに参加いたしております。ところが、築地ではそういうことがなく、すべて仲買い人を通じて小売り商が買い取るという形になっておるわけでございます。こういった秩序は一応尊重いたしてまいる。しかし、何といっても大口取引でございますから、従来よりはもっと近代化され、合理化された形で、経費節約をやってもらうようにいたしてまいりたい、こう考えております。
  15. 西村関一

    西村(関)委員 先ほどの局長の御答弁の中にもございましたが、中央卸売り市場における卸売り単数制複数制かという問題で、単数制がいいという御見解をお述べになった。長い間の実情から、そうにわかに一挙に単数制に切りかえることはむずかしい、こう私は承知するのですが、今度の小売り市場につきましては、入居の問題がさしずめ出てくる。先ほどもお話がございましたが、その周辺小売り商を入居させる、こういう御見解のようでございますが、その場合に、どういう選定基準周辺小売り商を入居させるお考えでございますか。品目によってもいろいろ違いましょうし、野菜果実魚介類、あるいは酒、肉類等生鮮食料品のほかに、かん詰めとか、乾物とか、調味料とか、そうざいとか、菓子とか、いろいろな品目があるわけでございますが、それらの小売り商について、どういう基準販売業者選定をなさるか、ひとつその点をお伺いしておきたい。
  16. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 これは、入居する業者は、その市場周辺ではどちらかといえば恵まれた地位に立つものでございますから、第一に公平に選定する必要があると思うのです。しかしながら、その選定にあたりましても、信用あるいは経験年数、それからその人の意欲、こういうようなものはもちろん尊重して選ばなければならぬと思っておるわけでございます。しかし、これは具体的に選びます場合は、こういった抽象的な基準だけでは何ともかえってむずかしいことにもなりますので、運営審議会というものを設けまして、これに消費者代表、それから小売り商代表等に入ってもらいましで、基準を十分練ってもらいますのと、それから現実にどの業者に入ってもらうかという場合には、その地区の関係団体等の意見を聞きまして決定するように持ってまいりたい。
  17. 西村関一

    西村(関)委員 この法案の中にあります運営審議会は、私どももちろん大事な機構だと考えておるのでおりますが、それにかけて、また周辺の一部の一般住民のことだろうと思いますが、意見も聞いて、慎重に配慮してきめるのだということでありますが、実際問題としてなかなかそれをきめるのはむずかしいのじゃないかという心配を私はいたします。承るところによると、市場の周囲半径一キロの中にある一般消費者を対象にして市場運営がなされるわけでございますが、その円の中にあるところの小売り商が入居を希望する場合に、それが少ないときはまだ選定がしやすいけれども、かなり希望者が多数出るだろうということが考えられる。いろいろな条件が整いますから、従来いい店舗を持ち、また一長年のしにせであって、いい得意先を持っておるところの小売り商よりは、むしろ小売り市場の中に入ったほうが有利だと考えるような小売り商、いわば弱小小売り商が、おそらく入居希望する者が多いだろうと思うのでありますが、これらの人たちが個々ばらばらに入居してきたのでは、これはただ単に小売り商の場所が市場の中に移転したというだけで、あまり効果はあがらない。これはやはり一つの指導が必要だ、この法案にもうたわれておりますような指導が必要だと思うのでありますが、その場合、業者がまとまって一つの会社をつくる、あるいは株式会社をつくって合同してやるというようなことも考えられますが、そういう点、小売り市場の形態、これは管理会特殊法人ですが、事業を行なうところの市場の形態は、会社組織になさるのか、株式会社組織になさるのか、あるいは協同組合組織になさるのか、その点はどういうふうなお考えですか。また、そういうてんでんばらばらに入居するのではなくて、まとまって入ってくるという指導は、どういう方針で指導をなさいますか。
  18. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 入居する業者はできるだけ一本にまとまってもらうように指導してまいりたいと思います。それは株式会社の形態であろうと、あるいは組合の形態であろうと、その点は選ばない所存でございますが、できるだけ一本にまとまってもらいたいと思います。そのほうが、チェックアウトをしますとかいろいろな点で、運営上望ましいことでございます。また、品物がいろいろ多種多様になりますと、やはり経営が多角的になって安全性を増す、健全化するという点もございますので、そういうように指導してまいりたいと思いますが、一面加工食品などがございますので、必ずしも絶対に一本でなければいけないという押しつけもできがたい場合があるかと存じます。そういうような場合に、管理会がかわってチェックアウトをしてやる、こういうようなことを考えております。
  19. 西村関一

    西村(関)委員 それも実情から考えてやむを得ないことだと思いますが、一本にする場合に、先ほど私が指摘いたしましたように、店舗の大小とか店の格、得意先の大小とかいうことによって、たとえば株式会社の場合に、同じ株数ではやはり不公平だ。入居者が公平な資格を持ち合うためには、そういう事柄も当然考えられてくると思うのですが、そういうことをただ業者だけにまかしておいてはたしてうまくできるかだうか。やはりそこは管理会が指導するということになると思いますが、そういう点は全然まかせきりということなのでしょうか。それとも、いま私の申し上げたように、無差別平等じゃなくて、そういうところに大きいものは大きいなりに、小さいものは小さいなりにいろいろ基準というものを設けて、そうしてそこに真の公平を期していくということが考えられなければならぬと思うのですが、それらの点はどうですか。
  20. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 これは御指摘のありましたように、指導を加えてまいる必要があると思います。その意味から言いましても、運営審議会小売り商などの代表の方も入ってもらって、また運営審議会の役職員にも、そういった指導力のある人、特に新しい経営についての学識経験を持っている人、そういうような人々にも参加してもらいまして、その辺の指導に誤りのないようにいたしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  21. 西村関一

    西村(関)委員 私は、運営審議会も非常に大事だと思いますが、ことばは悪いですけれども、運営審議会だけを隠れみのにして、政府の強力な指導これは間接指導になるかもわかりませんが、そういうことがはっきり腹がきまっていないと、せっかくのよい法案でありましても、実際の効果をあげることがむずかしいという心配があるわけです。法案のたてまえから言うと、やはり運営審議会にゆだねるということになると思いますけれども、しかし、この法案をつくった当の責任者である政府農林省が、どういう考え方でこれをやっていくのだということが示されることがやはり必要だ、こう思うわけなんであります。また一本になっていくことが願わしいが、しかし、加工業者等があって、なかなか一本になれない面もあるということでございますが、たとえば高級魚等を取り扱っているところの、それを小売りすることによって相当な収益をあげているところの店舗については、一般小売り商と並立して取り扱うということもなかなかむずかしいと思いますが、そういう高級魚等の小売りをもって収入の主たるものにいたしておるところの業者につきましては、やはり何かの配慮がなされておるのでしょうか。それからもう一つは、その地域の中にあるところの小売り商以外に、いまのような特殊な業者がない場合に、他からそういう業者が入居できるという可能性があるか。これは消費者立場からすると、いろいろな要求があるわけですが、一例として高級魚を取り扱っておるところの小売り商のことを申しましたけれども、その地域内にそういう業者がない場合に、またあっても入居を希望しない場合に、入り得る余地があるのかどうか、その点もお伺いしておきたいと思います。
  22. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 いまのお話の点は、実際の運営でなかなか微妙な、むずかしいところだと思いますが、考え方といたしましては、この小売り市場は何といっても大衆向けの商品を中心にして扱うものでございます。でありますから、魚の場合でも、店舗によって高級魚を多く扱っているところ、大衆魚を多く取り扱っているところの差がございますけれども、できるだけ大衆魚を扱う業者を入れてまいりたい。大衆魚を扱う業者といえども、要するに、需要者があれば高級魚も扱うことになるわけでございますが、要するに、その消費地の需要に応じて高級魚、大衆魚の違いが出てまいっておるわけです。原則としては、やはり大衆向けの商品を扱う業者、その人々が必要があれば高級魚を扱う、こういうように考えておるわけであります。
  23. 西村関一

    西村(関)委員 次に、質問の第四でありますが、先ほどお伺いいたしました中央卸売り市場との関係におきまして、流通秩序の確立という見地から、特に荷引き面につきましてどのような調整をしていくか、結びつけをしていくかという点が問題ではなかろうかと思いますが、その点から伺います。
  24. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 これは一応最初二十カ所の市場でございますが、一つ市場でも扱い高は、通常小売り商に比べて相当規模になるわけでございます。できればさらに小売り市場全体が共同の荷引き組織、荷受け組織をつくるように、そしてできるだけ大口にしまして、中央卸売り市場から買い入れるにしましても有利に、輸送費も節約でき、また仲買い業者マージンもできるだけまけてもらうということにするように、共同の仕入れ組織をつくるように指導してまいりたい、こう考えております。
  25. 西村関一

    西村(関)委員 質問の第五は、スーパーマーケットとの関係であります。これはあくまで小売り市場とは競争の立場にあるのですか、あるいはその他の関係にあるのか。スーパーマーケットとの関係はいかがですか。
  26. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 現在ほんとうにスーパーマーケットらしいものができておりますのは、大企業、たとえば私鉄がターミナルの駅の近所につくるとかあるいはデパートのような、何といいますか、千疋屋とか、そういった大きな企業が繁華街に設置しておるのが多いのでございます。今度の市場は、もちろん繁華街にある必要はあるわけですが、いわゆるはでな繁華街というよりも、一般の勤労者が多く住んでいるような地域、それで便利な繁華街というところに設置してまいりたい、こう考えておるわけであります。したがって、小売りは大体において地域的な商売でありますから、あまり競合はないかと思います。それともう一つは、現在あるスーパーマーケットというのは、実際はスーパーストアという分類に入るものだそうでございます。というのは、生鮮食料品はあまり扱わない。扱ってもおとり商品として扱う。消費者が毎日消費するものでありますから、消費者を引っぱるためのおとり商品として使う、こういうようなスーパーストア、繊維品とか電気器具とか、そういうものを扱うのが多いのでございます。生鮮食料品を扱うのがいわゆるスーパーマーケットというのでありますが、そういうものとしてのものは割合少ない。これはもう本来生鮮食料品を主体にしたスーパーマーケットの形にいたしていきたいと考えておるのでございます。
  27. 西村関一

    西村(関)委員 次は、生鮮食料品小売り価格の水準をどこに目安を置くかという点をお伺いしたいのですが、生鮮食料品は、天候とか自然条件に左右されて、需給の関係が非常に変動しやすいという特性がありますから、販売価格の水準をどこに押えるかということは、なかなかむずかしい問題だと思いますが、それらのことを考えながら、例の生産者価格安定制度と関連して、どういうところに目安を置いていこうと考えますか。
  28. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 これは生鮮食料品の流通機構の最終の末端の組織でございますから、一番最初生産者段階となかなか直接の関連がつきがたいのでございます。しかしながら、私どもの考え方としましては、小売り市場販売される値段は、大阪公設市場でもそうでございますが、大阪では市が大体指示した標準的価格がございます。そういう形の標準価格というものを示しまして、東京では標準小売り店がございまして、東京都が標準価格をきめておりますが、この場合は品物の数が少ない。それと魚でも、同じサンマでも、どんなものが標準価格の基準になるものであるかということはなかなかむずかしいわけでありますから、標準小売り店は確かに消費者一つの目標になり、役には立つと思うのでありますが、なかなか的確には守られていないというのが現状でございます。そこで、大阪などの場合を参考にしまして、標準的な価格というものを示すようにする、それと運営の心がまえとしては、ほかが相当急騰するような場合にも、できるだけ上げないで済ます、また投げ売りのようなことはやらせない、そういうことで安定をさせていく。  しからば、市場での販売価格は一般の市中に比べてどのくらい下がり得るであろうかという見当でございますけれども、これはなかなかむずかしい。実際にやってみて、はたしてそのとおりいくという保証はいたしかねまするが、私どもの検討した結果としましては、大量仕入れによって相当、それからセルフサービスとかチェックアウト方式でも相当マージン節約ができる。大体一〇%見当の節約ができるんじゃないか、こういうように考えております。もっと具体的に言いますと、一般生鮮食料品小売り商は、統計的に見ますと、平均二二・三%のマージンをとっております。それを大体一六・七%くらいまで下げることができる。一般スーパーマーケットはもっと低くなっております。一三・四%でございますが、それは電気器具とか医療品とか、いわゆる値段のはる品物を扱っておりますので、生鮮食料品を多く扱う場合にはそこまではなかなかいけないと思います。
  29. 西村関一

    西村(関)委員 大体一〇%くらいは下げられるだろう。やはり下げてもらわなければ何にもならぬのですからね。そういう保証はなかなかできないでしょうけれども、計算の上では、少なくとも一〇%は下げられるというそろばんをはじいて、この仕事に取りかかろうとしておられるわけですが、それはそれといたしまして、小売り市場に入居できない、その地域にあるところの一般小売り商は、一体どうなるか。これは労賃の値上がりその他によってますます苦境におちいり、また一方においては、小売り市場が一〇%ほど一般市場よりは安く商品が売られるということになると、その地域内にある一般小売り商は非常に困りはせぬだろうか。これは一つのモデルとしてやるんだ、またそれによって一般小売り商を刺激して、一般小売り商近代化合理化をはかっていく起因をつくっていくんだということなんですけれども、その場合、一般小売り商に対して政府が何らかの助成を行なう等の措置を講じない限りは、このモデル施設としての小売り市場は縁のないものになってしまう。一般小売り業者にとっては、どうも遠いかなたの、自分らには関係のないものになってしまうという危険があると思いますが、その点はいかがでしょう。
  30. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 確かにこれは小売り商の将来のモデルとして、それによって小売り商近代化を進めるというねらいを持っているわけでございますが、それだけに周辺小売り商には若干の影響があり得るわけでございます。その辺で、通産省、中小企業庁とも中小企業対策の面でよく協議したのでございます。中小企業庁としては、これはむしろ賛成してもらっておるわけでございますが、中小の小売り商対策として、今年度では小売り商業の店舗の共同化資金、中小企業高度化資金というものを拡充しております。これは無利子で五年間所要資金の半額を貸し出す。あるいは商店街をつくるための低利資金、そういう対策をあわせてとっておるわけでございます。それから、東京自身が、年四分という非常に低利の設備近代化資金を小売り商に貸し出すことになって、農林省も、これを優先的に生鮮食料品小売り商に融資してもらうように東京都に要請してまいっております。そういう面の対策を講じつつ、あわせて進めてまいりたい、こう考えております。
  31. 西村関一

    西村(関)委員 その点についても、まだ私は納得のいかない面があって、伺いたいのですが、時間の関係等もありますので、その融資のワクを広げる努力を、通産省あたりも緊密に連絡をとってやっていただきたい。そうしていただかないと、この対象になるところの生鮮食料品を取り扱っておる業者に対して、融資による助成というところまでなかなか手が届かないと思うのです。だから、これはやはり融資のワクを広げる努力を今後もやっていただきたいと思うのです。  それはそのくらいにいたしまして、次の質問に移りたいと思いますが、管理会の性格でございますが、国及び地方公共団体が約半々ずつ共同出資して法人をつくっていく、その他の一般の民間の資本も入れていいということのようでございますが、この管理会組織を全国的なものにしていくのか。つまり、都道府県の地域的なものになっていくのか。その点は、この管理会の性格として、とりあえず東京に公立市場をつくるわけなんですが、将来はどういう考えでしょうか。
  32. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 これはさしあたり東京都に設置して、小売り市場を設置するわけでございますが、全国的な団体等も考えております。関西においては公設市場相当ありますので、これはどちらかといえばあと回しでいいかと思いますが、福岡とか札幌あたりに希望がございます。そこにそのつど法人を設けるということはいたさない。できるだけ全国的に、運営も全国一体として安定の役割りを果たすように持っていきたい、こう考えております。
  33. 西村関一

    西村(関)委員 次に、管理会経費の問題ですが、出資金の利回りは年六分五厘に計算をして、その半額をこれに充てる、あとは小売り市場の売り場の賃貸料の収入の一部を充てる、こういうお考えのようでございますが、小売り市場の公益性から考えまして、売り場の賃貸料は安いほどいいということは言うまでもございません。これが高ければ、たちまち小売り値にはね返ってくるわけでありますから、できればこういうものにたよらないで、賃貸料はできるだけ安くして、出資金の運用益によって経費をまかなっていく、つまり、運営経費をまかなうだけの出資金を出さすべきではないかという考え方もあると思うのでございますが、中途はんぱのような気がいたします。その点はいかがでしょう。
  34. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 確かに仰せのような問題がございます。ただ、一面におきましては、入居した小売り業者には特別の補助、つまり、それによって値段を下げられるような補助をするということは、周辺小売り業者に対しては不当な競争力を与える、こういうことになってきます。入居した業者は、運営の面で大量仕入れとか、合理化されたセルフサービスとか、チェックアウトとか、そういうやり方節約をしてもらうという基本的考え方に立っております。一方管理会の仕事は、値段の指導あるいは入居業者選定、その他指導的な業務がかなりございます。行政に近いような仕事ですから、その点は国と地方自治体の出資金でまかなうのがお説のとおり妥当だと思うのでございます。ただ一面、家主としての管理する費用、その中にはやはり多少の人件費や事務費があると思います。家主としての費用はやはり家賃からもらうということにいたしませんと、そこに不当な援助があるということになってまいりますので、その辺どのくらいにしたらいいかということは、結局家賃をどのくらいにすべきかという問題になってまいりまして、それは非常にむずかしいわけでございますが、具体的な各種の事例を調査いたしまして、大体この辺で小売り商一般にたえられるものというところで、坪四千円程度の家賃を徴収したい、こう考えております。
  35. 西村関一

    西村(関)委員 私も小売り商の家賃をただにしろとか法外に安くしろということは言っていないのですが、事業の始まりですから、なかなか計画どおりにいかない。だから、できるだけ入居者の負担を軽くしていくという配慮があってしかるべきじゃないかという考え方に立って、若干意見を含めた質問をしたわけなんです。  その次の問題でございますが、管理会の一年の経費は大体どのくらいでありますか。そしてその中で人件費の占める割合、つまり、役員の人件費、職員の人件費が占める割合はどのくらいになっておりますか。
  36. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 初年度、つまり本年度でありますが、初年度はいろいろ入居のことがありますので、やや高目になっておりますが、運営経費が六千八百万円、平年度が六千万円。初年度の経費のうちで、人件費は二千四百万円、平年度の場合は三千七百万円、こうなっております。
  37. 西村関一

    西村(関)委員 平年度六千万円のうち三千七百万円の人件費、これは普通の事業経営の中で人件費の占める割合からいうと、そう率が高いというふうには私は思いませんけれども、私の心配いたしますのは、この種の公益的な性格を持っている特殊法人が、ややもすると役人のおじ捨て山になってしまう、適材適所主義じゃなくて、高級官僚の捨て場になってしまって、しかも高給を取るというようなことになってしまう傾向が従来間々あったと思うのです。この点は国会においてもしばしば問題になったところでございますが、そういうような点について、今回のこの管理会人事、これはやはり農林大臣がきめられることですから、考えておられると思いますが、きょうは大臣がお見えになりませんから、せめて次官からでも伺いたいと思いましたが、やむを得ない用事で出られましたけれども、理事長一名、監事一名、常勤理事二名、非常勤理事が三名以内、職員が十七名程度というようにいわれておりますが、これらの人たちの人選については、農林省においてはいまからすでに何らかの具体的な目星をつけておられるのですか、あるいは特別の考慮を払って、まだ発表の時期に立ち至っていないというのですか。いま私の心配しておりますような、また国民の一般が心配しておりますような点についても、十分配慮しておられると思いますが、その点念のため伺っておきたいと思います。
  38. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 この管理会の仕事は、先ほども申し上げましたように、一面において行政に近いような指導的な面、一面は家主的な営業的な面の両面がございますので、それに適した人々を選んでもらってはと思っております。具体的な人選はもちろん、一般の幹部は私どもがきめるわけでございませんので、まだきまっていないと思いますが、これは私ども行政上経験しているのでございますが、一般業界とはまた違った特殊なむずかしさがございますので、人選はよほど適材を選んでいただきたいと考えているのであります。それともう一つ、これを考えるにあたりまして、私どもも当初から、また特殊法人つくりかというような目で見られることを実は警戒しておったようなわけでございまして、常勤の役員は、もう考えられる最小限度にとどめておるのであります。むしろ、運営審議会とかそういうところで、ポリシーの問題をできるだけ幅広く検討してもらって、誤りなきを期するということにいたしたわけであります。いま特にどういう人をやるというようなことについては、まだ私から申し上げられません。
  39. 西村関一

    西村(関)委員 御趣旨はよくわかりましたが、この法案によりますと、監事の権限について、従来の監事の権限の規定の例文ともいうべき、総理大臣に意見を述べることができるということがありませんが、これでは、理事長と対等の立場に立って業務の会計の監査をいたします監事の権限が非常に弱いという印象を受けますが、少し監事の職務が軽視されているというふうに考えられますが、その点はどういうわけなんですか。
  40. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 これは従来の一般の例に従ったわけでございまして、監事は何といってもその人が大事だと思うのであります。規定のしかたもあるかと思いますが、どういう人が監事になるか、また理事長が監事をどれだけ立てるかという実際の面が非常に大事だと思うのでございます、農林省としては、できるだけ監事に適材を得て十分な監査をやってもらうように指導してまいりたいと考えます。ただ、先般御審議いただきました公庫法におきましても、たしか林業信用基金法におきましても、国会で御修正がありました。その御趣旨は御趣旨としてまた十分検討を要するのではないかと思います。
  41. 西村関一

    西村(関)委員 非常勤の理事につきましては、どういう人を充てていこうというお考えですか。
  42. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 これは運営審議会のほうは、先ほど申し上げましたように、委員として消費者代表あるいは小売り商代表、それから中立的な学識経験者というような委員を加えたいと思います。非常勤の役員については、この市場を設置する自治体の人などに意見を代表する形で入ってもらう。あるいは出荷団体などからも適任の人があれば入ってもらったらどうか、こう考えております。
  43. 西村関一

    西村(関)委員 出荷団体の代表もけっこうですが、その運営審議会の中で運営の面で協力なさるということもあると思います。それは私はあえてこだわりませんが、専門の学識者、そういったような人もやはり非常勤の理事の中に入れられてしかるべきだ。わずか三名しかいないわけですから、そういう点も十分配慮して片寄らないように、万遺漏のないようにしていただきたいと思うのです。  次に、もう時間もだんだん進んでまいりましたので、はしょって質問をいたしたいと思いますが、先ほどからも若干問題に触れておりましたが、小売り市場規模、それからどういうところに重点を置いて設置をしていくか、なるべく既設の施設とは競合しないようにやっていこう、そしてまた多数の消費者が密集しているところということでありますが、何かもう少し詳しく小売り市場規模とか、あるいはどういうところに設置したらいいという設置の基準あるいは条件、そういうものをお考えでしたら、この際聞かしておいていただきたいと思います。
  44. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 規模は、平均でございますが、大体用地三百五十坪、建物二百坪を予定いたしておりますが、それを設置する地区は、抽象的に申し上げますと、消費者の集まっている地帯で、比較的既存のものがないところがやはり必要かと思うわけであります。東京都の実態を申し上げますと、大体周辺地区のほうが消費者の物価が高いのであります。特に新聞の住宅地域、一番極端なのは、大きな住宅団地ができたようなところには、小売り商も少なくて、物も高い、こういうのが実態でございます。それらのことを勘案いたしまして、環状七号線の周辺の地区だとか、それから場所によっては大きな住宅団地が新しく開かれたところなど、そういうところを選んで設置してまいりたい、こう考えております。
  45. 西村関一

    西村(関)委員 これで終わりたいと思いますが、小売り市場内におけるところの小売り業者の指導を行なうということになっておりますが、指導にもいろいろありますが、この管理会小売り市場を設置し、これを管理するということのほかに、市場内の小売り業者の取り扱う食料品についても、その種類とか品質とか価格とか、その他購入、保管、販売について各種の指導を行なう、こういうことでありますが、これは具体的に言わいでも、小売り商がそれ自体において考えることでありましょうけれども、相当数以上の種類の商品を絶えず備えておかなければならないということがあろうと思います。また特に商品の鮮度の問題、新鮮さを保っていくということが要求せられると思いますが、こういう点につきましてどういう形の指導を管理会が行なうか。これは非常に大事な問題だと私は考えるのでございますが、この値段というものはやはり鮮度というものに影響を持つと思いますし、したがって、これは保管の問題にも特別な鮮度を保つための施設が必要だろうと思いますし、そういう点については、ただ指導というだけでなくて、市場内におけるところの業者の共同で用いる特別な施設等も必要になってくるかと思いますが、そういう点につきましてはどういうふうにお考えになっておるでしょうか。またもう一つは、やはりサービスの問題があると思いますが、どんなによいマーケットをつくりましても、そこに従事しているところの人たちのサービスが悪かったら、これは何にもならぬと思うので、そういう方面の指導も当然行なわるべきだろうと思いますが、指導の面についてお考えをお伺いしておきたいと思います。
  46. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 まことにごもっともな御指摘でございますが、できるだけ単一の経営形態にいたしたいというのは、そういう面でも必要があるわけでございます。たとえば冷蔵庫を各品目ごとに設けるというような、一般小売り商の場合でいえば、店舗ごとに冷蔵庫をつくるというようなことはないので、共同の冷蔵庫をつくる。あるいは倉庫も差しつかえない範囲内で共同でつくる。これは管理会自身がそういう設備をつくって貸し付けるようにいたしたいと思います。それから商品の陳列にいたしましても、最近いろ  いろなきわめて斬新なものができております。最も普通なものは冷凍商品形式でございますけれども、もっと自動的な便利な電子計算機のような陳列の機械もある。そういうものを一緒になって設備する。それから商品の扱い方でも、いわゆるプリパッケージ方式で、その場でパッケージをするのではなくて、あらかじめ単位量ごとにパッケージしていく、これは魚などにつきましてはなかなかむずかしいようでございますけれども、ほかのものについては大体そういうようにしていく。できるだけ同じような品物について同じようなパッケージをやる。それで、仕入れの面もそれによって節約していく。できればメーカーなり生産者段階においてプリパッケージが行なわれるように持っていく。そういう指導をぜひやってまいりたいと思います。  それから職員のサービスの問題でございますが、これはもちろん御指摘のように訓練が必要であります。できれば共同の研修なりそういうことで、サービス面にも力を入れると同時に、待遇も一般小売り商よりはよくできると確信いたしておりますので、待遇をよくすることによってまたサービスもよくしてもらう、こういうように考えております。
  47. 西村関一

    西村(関)委員 いろいろ伺ってまいりまして、あとにまだ管理会土地建物の利用の問題とか、いろいろ残っておりますけれども、時間もだいぶ進みましたから、他の同僚議員の質問の中でも触れられると思いますので、私は以上で質問を終わりたいと思いますが、要は、先ほど来伺っておりますように、生鮮食料品小売り価格が下がらなければ何にもならない。現実に計算どおりいくかいかないかということは、だれも保証できないと思うのですが、やはり一つの意欲を持って、政府当局もこれに対して消費者立場に立って、生鮮食料品小売り価格を下げるのだ、それが中心的な課題なんだ、できるだけ中間マージンを少なくし、いままでの小売り商がてんでんばらばらにやっておったやり方を改めて、一つのモデルをつくって、共同化合理化近代化をはかっていくのだということに対する確信と意欲を持って当たっていただくことが大喝だと思います。  と同時に、先ほど来申し上げておりますように、従来の小売り商立場を閑却するわけにいかない。スーパーマーケット等によっても押されているし、またお互いに乱立して共食いになっているし、またさらに今度は小売り市場ができたために、自分らがよりそれ以上の圧迫を受けるということでは、これは一石二鳥と言われたこの案も効果をあげることができないと思いますから、小売り商立場も十分配慮し、先ほどいろいろお答えがございましたが、そういう点も十二分に配慮しないと、一部の小売り商の方々からも反対が出るということにならぬとも限らぬわけでございます。そういう点、十分小売り商の声も聞いて取り組んでいただきたい。  さらに、先ほどもお伺いしました根本の問題としては、協同組合をどう今後育成していくか、生産者から消費者へ直結する協同組合組織を、この資本主義経済機構の中にあってどのように生かしていくか、そうして消費者立場生産者立場をより多く守っていくことができるかということも、あわせこの法案と関連して検討すべきだということを申し上げて、私の質問を終わることにいたします。  最後に、大臣にお伺いすべきなんでございますが、お見えになりませんから、局長から一言御所信のほどを承りたいと思います。以上で私の質問を終わります。
  48. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 ただいま御指摘になりましたこと、いずれもきわめて肝要なことであります。市場運営につきましても、また小売り商に対する配慮、協同組合の問題、いずれも政府として今後十分力を入れてまいらなければならぬと思っております。私どもも及ばずながらそういう方向で努力をいたしたいと考えております。
  49. 高見三郎

    高見委員長 次会は明八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十七分散会