○久宗
政府委員 その問題がポイントだと思うのでございます。私
どもの一番いま検討しておりますのは、その問題でございまして。いずれにいたしましても、この三十九生糸
年度におきまして、糸の
値段と繭の
値段が、将来について製糸もそれでやっていけるというものを出し、養蚕家もこれならやはりおもしろいからやっていこうというお気持ちになれるようなところに持っていきたいということが根本でございます。
いまの滞貨の問題につきましては、そのようなことの必要のために、その滞貨をある程度いまの市場から
決定的に切り離してしまうということが必要になるかもしれません。現在のところは、保管
会社に預かってもらっておりまして、ある
水準になりますれば製糸家がそれを引き出す可能性があるわけであります。幸いにして輸出も伸び、その結果、全体の
水準が問題なく上がってきて、そして引き出してきてそれが売れるということになれば、これは満点でございますが、かりにそういうことにならぬ場合でございます。その全部かあるいは一部につきまして、特に海外市場が買い付いてくるのに若干時間がかかるということでございますれば、私は、やはり現在の市場から完全に隔離することがあるいは必要になるかとも思うのでございます。もちろん、十二月にあれを発動いたしましたときには、必要があればいつでも出すというかっこうにして、あれは店を開いたわけでございますが、御指摘のような問題がございます。ただ、隔離するということが必要だといたしますと、その方法といたしまして、
政府がいま直接買うという方法がございません。やはり九条二ということによって、間接的に保管
会社を通じて買い入れるということになるわけでございますので、直接的にそれを
政府がいますぐ買って切り離してしまうという
措置が実はないわけでございます。ただ残されております問題は、現在それを自主的に預けております製糸家対養蚕
関係、あるいは製糸自体の採算の問題、あるいは将来の問題、特に上値押えの問題、その四つぐらいを
考えました場合に、そのストックについて、製糸プロパーとして見ても、これを何らかのかっこうでいまの市場から
決定的に隔離したほうが、蚕糸業全体のためによろしいという
判断をもしされれば、道は開かれるように思うわけでございます。さような点がむしろ自発的に検討されることが最も望ましいのではないか。対養蚕
関係から申しますと、対外的にもそう思いまして、
政府側としての正式
意見を実はまだ言ってないわけでございます。かような場合にもし製糸がさような踏み切りをなさるとすれば、この生糸をある段階でいまの市場
関係から完全に隔離してしまう、あるいはよく御指摘のございます上値押え、生糸をいまの蚕糸業の仕組みの中で
政府がかりに持つというようなことも、一つの方法じゃないかと思うのでございます。
そこで問題は、さような点でもっとそれを早くやったらどうかという点につきましては、先ほど申しましたように、
政府が直接買う方法が許されておりませんのと、もう一つには、現在のストックの
内容につきまして、これが、全部の中小の製糸がいわば天災とかそういう自然災害によりましてストックをかかえたという形よりは、ある程度それぞれの
企業におきます六月以降の
経営方針とも関連して、多少の片寄りがあるわけでございます。さような点で、一般点な国の
措置といたしまして、たとえば援助的に動くということが客観的に非常にできにくいし、また必ずしもそういう
措置が妥当ではないのではないかというふうにも
考えられますので、さような点を考慮いたしまして、製糸の自発的なと申しますか、
考え方がなるべく早い時期に固まるように話を進めておるわけでございます。その際の
判断といたしまして、私
ども多少迷っております点は、いまの輸出
関係の需要が何ゆえにそういうように停滞しているのかにつきまして、少し需要者側の様子につきまして大きな変化がございますので、それの
判断をしっかりつけてみたい。それで、あまりそれが時間がかかるというようなことであれば、相当の
措置が要るし、そうでないとしますと、いまへたに上げますと、普通の形で出るものが出なくなる。そういった
判断をどちらかに踏み切るべき相当重要な段階にきているのじゃないかと思うわけでございますが、若干の時間が要るのではないかというふうにも
考えておるわけでございます。