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1964-03-10 第46回国会 衆議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十日(火曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 高見 三郎君    理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 足鹿  覺君 理事 芳賀  貢君       池田 清志君    宇野 宗佑君       大石 武一君    大坪 保雄君       仮谷 忠男君    吉川 久衛君       小枝 一雄君    舘林三喜男君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       野原 正勝君    八田 貞義君       藤田 義光君    松田 鐵藏君       亘  四郎君    角屋堅次郎君       栗林 三郎君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    西村 関一君       野口 忠夫君    松浦 定義君       湯山  勇君    中村 時雄君       林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林政務次官  丹羽 兵助君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君         農林事務官         (農政局長)  昌谷  孝君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    新保 實生君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 三月七日  国内産牛乳による学校給食制度法制化に関す  る請願外三件(八木昇紹介)(第九二五号)  同外七件(藤尾正行紹介)(第一〇二〇号)  同(愛知揆一君紹介)(第一〇四三号)  同外一件(亀岡高夫君紹介)(第一〇四四号)  同外九件(八木昇紹介)(第一一一六号)  同(長谷川保紹介)(第一二二二号)  同外三件(永田亮一紹介)(第一二二三号)  乳価引き下げ阻止並びに国内産牛乳による学校  給食制度法制化に関する請願増田甲子七君  紹介)(第九七九号)  農山漁民所得格差是正に関する請願池田清  志君紹介)(第九九六号)  肥料法期限満了後における措置に関する請願  (足鹿覺紹介)(第一〇一六号)  米国コーンプロ社の外資及び技術導入阻止に関  する請願足鹿覺紹介)(第一〇一七号)  肥料法期限満了後の措置に関する請願外二件  (足鹿覺紹介)(第一〇一八号)  糖価引き下げに関する請願西村榮一紹介)  (第一〇一九号)  同(菅野和太郎紹介)(第一〇八五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業改良資金助成法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八三号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八六号)  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出第九〇号)      ————◇—————    午前十時五十分開議
  2. 高見三郎

    高見委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先だちまして、一言申し上げます。  かつて農林委員長農林政務次官を歴任せられ、また長らく当委員会委員でもありました松浦東介君が、かねて病気療養中のところ、ついに薬石効なく、去る六日永眠いたされました。本委員会に席を同じくするわれわれにとりまして、まことに痛恨の至りにたえないところであります。  ここにつつしんで哀悼の意を表します。      ————◇—————
  3. 高見三郎

    高見委員長 いずれも内閣提出にかかる農業改良資金助成法の一部を改正する法律案農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  4. 芳賀貢

    芳賀委員 最初に、公庫法改正点について、事務当局にお尋ねしたいと思います。  第一の点は、公庫法の第四条の資本金規定でありますが、政府出資増額については、これは法律の明定事項ということになっておるわけでありますこれを今度の改正によって、法律に明記しないで、予算範囲内で政府出資ができるという趣旨改正点でありますが、われわれとしては、この改正の意図というものが、その必要性において了承できかねるわけです。この点について、経済局長から明確な説明をお願いいたします。
  5. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 ただいまの第四条の政府追加出資に関しまする改正規定は、まず第一に、従来、政府関係機関におきまして政府追加出資が行なわれます場合に、そのつど法律改正を行ないます場合と、行なわない場合と、二つ例がございます。それで、たとえば、公団事業団等につきましては、大部分法律改正を要せずして、予算国会における議決のみで追加出資ができるということになっておるわけでござまいす、これは特殊法人等につきましても同じような関係でございます。先般、従来農林漁業金融公庫と同じように法律改正を要するとなっておりました輸出入銀行法につきましても、衆議院で改正規定について御可決をいただきまして、参議院に送付されておるわけでございますが、追加出資につきましては、必ずしも法律法律改正によらなければならないという理由はございませんので、予算議決のみで国会の御承認を得て増資ができるようにいたしたい、できるだけまあ簡素にいたしたい、こういう趣旨でございます。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員 いまの説明によると、それでは当初から法律に明記しないで、予算範囲内でやれるということであれば、それだけの理由であれば、たとえば農林漁業金融公庫法にしても、その他の公庫法関係にしても、ほとんど制定された当時の法律内容は、政府出資金等についてはこれは法律に明定されておるわけですね。必要があるとかないとかいうことは、最初からわかっておることですから、もしそういう必要がないとしたなら、どうしてそれが法律条文に明記されておったか。これ政府としても大事な点だと思うのです。
  7. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 これはもちろん農林漁業金融公庫運営上重要な部分でございます。したがいまして、当時としましては、まあ、当時の立法ではかなりこういう例があったわけでございますが、法律規定したほうがよろしいのではないか、こういうような趣旨であったと思います。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、法律制定当時は、結局これは制度金融ですから、低利長期資金政府が融通するという場合、その資金コスト引き下げるということになれば、その資金量の中における政府出資分というのは、どうしても相当の比重を占めておらないと、結局資金コスト引き下げはできないわけです。ですから、この公庫目的であるところの資金の造成とか、あるいは低利資金を融通するという大きな目的から見た場合、やはりこれは法律の明定事項として、そうして公庫金融体系というものは法律の精神に合致できるようにしなければいけない。そのために単純に考えればこれは予算範囲内で処理できる事項と思いますが、やはり増資に基づく法律改正等国会の中で審議される場合は、単に改正事項だけに限定してわれわれが国会でこれを審議するわけではないわけです。それを機会にして、たとえば公庫運営とか、制度実態というものがどういうふうに運営されておるかという定義の問題であるとか、たとえば国民経済全体の発展の中でこの公庫法運営というものはどうあらねばならぬとか、あるいは国の財政投融資計画の中において、これらの公庫に対してはどの程度政府出資として財投資金の分配が行なわれるべきであるかとか、そういう観点から、十分適正な審議をやる機会がわれわれには得られるわけですね。これは必要ないということになれば、単に予算範囲内ということで、政府予算措置行政措置に無条件でまかしてしまうということにこれはなるわけですね。もちろん、予算範囲内といっても、毎年度予算審議とかあるいは追加更正の場合の予算審議の中には、これは出てくる事項ではありますが、しかし、これは、各当該委員会において法律改正という形でこれを取り上げる場合と、予算明細書の中で、財投計画で、どの公庫に対してどの程度出資をするとか、あるいは産投特別会計からどういうような出資をするとかいうようなことは、これは予算の中で出てはくるが、法律改正とかそういう問題と、この審議の事情とか内容が非常に違ってくるわけです。ですから、必要がないということは、たとえば政府当局から見れば、この種の改正だけで国会に毎回引っぱり出されちゃかなわぬ、そういうようなことから、なるたけこれを手軽に済ますためには、この規定改正したほうがいいというような、まことに安易な、われわれが考えれば、国会審議権を圧縮するような挙にこれは出ておると思うわけです。こういう点について、経済局長、並びに大蔵当局出席のはずですから、見解を明らかにしてもらいたい。
  9. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 確かに御指摘になりましたように、農林公庫運営につきましては、政府出資の多少ということは大きな要素になるわけでございますが、しかし、そうはいいましても、これは予算によりまして国会の御承認を得るわけでございますし、その際十分の御審議もいただける事項でございますし、また最近におきましては、産投特別会計予算を毎年審議されるわけであります。農林公庫出資は、ほとんど大部分産投特別会計からの出資でございます。国会の御審議につきましては、相当な資料が提出されるわけでございます。一方、いろいろな他の事例は、こういうような規定がないわけでございますが、それらは、だんだん金利も下がってまいりまして、出資の要件が少ないということもございます。要するに、常に毎年出資を増加しなければ事業運営できないというような状況でも必ずしもない。農林公庫につきましても、現在は一般金利が高いために、いろいろ出資とか低利資金を多額に要しておりますが、恒久的にそうある性質のものでもなく、だんだんいままでに出資されました金額が多くなっておりまして、すでに来年度出資分を加えますと、千五百億円をこえてまいっておるわけであります。農林公庫が非常に長期に運用いたしておりましても、その出資の回転する量が非常にふえてまいっております。そういった要素を考えますと、今後法律改正して増資をするというようなことを従来どおり続ける必要はないんじゃないか、こういうように考えるのであります。
  10. 新保實生

    新保説明員 農林漁業金融公庫の四条において改正をお願いいたしておりますような追加出資規定の整備は、農林公庫のみならず、ほかの政府金融機関あるいは特殊法人におきましてもお願いいたしておりますので、便宜私からその考え方を御説明申し上げたいと思います。  農林漁業金融公庫におきましては、従来その貸し出し金利が非常に低いというようなことから、毎年産投会計あるいは一般会計からの出資心要としてきたわけでございます。今後におきましても、当分の間はそういう状態が続くわけでございますが、そういった農林漁業金融公庫資金の源泉から見た特殊性と申しますか、そういう点から見まして、出資は今後も当分必要である、そういう性格を持った特殊法人におきましては、資本金はここで打ちどめであるということでなしに、将来とも資本金増額の必要があるということは、どなたも御了解いただけるところだと思うわけでございます。  ところで、政府特殊法人は、行政管理庁の調べによりますと、三十八年度末におきまして九十二あるということでございますが、この中にはいろいろな性格のものがございまして、必ずしも全部が政府出資を必要とするものではないわけでございますが、政府出資を必要とする特殊法人という数が大部分、九十二の中で六十七がそういう法人になっておるわけでございます。その六十七の立法の形式を見ますと、特に最近はそうなのでございますが、今回農林漁業金融公庫の第四条のような形でお願いいたしておりますような追加出資規定、そういう規定のしかたが多いわけでございます。  それから、狭く問題を公庫に限定いたして考えてみましても、農林漁業金融公庫のほかにいろいろな公庫があるわけでございます。たとえば住宅金融公庫の例を見ますと、資本金は五十億とする、しかし、これは国会議決によって増額することができるのだ、住宅金融公庫法の第五条でございますが、「公庫資本金は、五十億円とし、政府がその金額出資する。」第二項、「公庫は、必要があるときは、主務大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。」それから同じ公庫でございますが、国民金融公庫法にもこれに似たような条文がございまして、第五条でございますが、「公庫資本金は、二百億円とする。但し、国会議決を経て、これを増加することができる。」同じ公庫の中でも、そういう二通りの規定のしかたがございます。当然今後の増資を予定しておるような書き方をしたタイプのものと、農林漁業金融公庫のように数字でもって絶対ワクで表示するという書き方と、二つあるわけでございます。しかし、その公庫性格から見て、どちらがより正確に公庫実態をあらわしておるかということになりますと、やはり農林公庫のようなところは、今後も当分の間は政府追加出資が必要なわけでございまして、この規定がないと、逆に資本金はそれどまりだと、これは何も知らない第三者が見ると、両方規定のしかたをしたタイプがあるわけでございますから、その両方を比較対照して判断をした場合に、追加出資は要らないのかというふうに、誤解を与える場合もあり得ると思うわけでございます。最近の立法例を全体として見た場合に追加出資の必要なものは、やはりそういう条文を置いたほうが適当ではないだろうかというところから、今回各委員会においてそういうふうな改正をお願いしておるわけでございます。これに伴いまして、公庫資本金が幾らであるかということが法律上明らかでなくなるというマイナス面もあることはございます。それはまさにそのとおりでございますけれども予算審議にあたりましては、やはり添付書類その他におきまして資本金というものも明らかになるわけでございますし、また、公庫予算、決算に関する法律というものでもって、一年間に一回は必ずその公庫資本金その他財務諸表を公告するという義務を課せられておるわけでございまして、ただ資本金だけを見ればその公庫内容がわかるという性質のものでもございません。もちろん、一年間にどれだけの貸し出しをやるということは、資本金から判断されるのではなくて、やはり予算添付書類なり何なりで見ていただくということが必要になるわけでございますので、そういった面で公庫資本金というものは知っていただくという手段もあるわけでございますが、資本金追加出資に関する規定は、やはり今回お願いしているような形に改めたほうが、全体の特殊法人規定のしかたから見て適当ではないだろうかと考えて、お願いする次第であります。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 それは事務当局から見れば都合がいいというだけの説明であって、たとえば政府出資公庫関係にしでも、国民金融公庫農林漁業金融公庫中小企業金融公庫公営企業金融公庫北海道東北開発公庫医療金融公庫中小企業信用保険公庫、日本開発銀行、日本輸出入銀行、これらの公庫現行法によると、ことごとく法律の中に、出資金増額の場合においては法律改正を要するということになっておるわけであって、現行法においてはこれが当然の規定ということになっておるわけですね、ただ、今国会において、農林漁業金融公庫あるいは公営企業北海道東北開発医療金融中小企業信用保険公庫あるいは日本輸出入銀行、これらの公庫法改正を企図して、そうして予算措置のみでできるという改正法案が出ておるわけですね。だから、いま説明のあったように、大部分国家機関公庫等においては、予算措置で十分であるという実態ではないわけですね。だから、これらの公庫法は、ほとんど成立当時からこの出資額というものを法律で明定するというところに一つ重要度が置いてあるわけですね。なぜ置いてあるかということは、先ほど私が経済局長に指摘したような点ですね。実際問題として、たとえば財政投融資計画であるとか、産投特別会計等についても、それは予算案の中で国会提案の中で国会提案されて当然審議の対象にはなるわけですが、ただ、法律規定である場合と、それから予算案の中にそれが提案されるという場合において、立法府であるところの国会審議態度というものは、おのずから違ってくるでしょう。予算に対しては予算提案権内閣にしかないわけですね。もちろん、予算に対する修正権というものはわれわれは持っておる。ところが、法律の場合には、法律発案権もあるし、それからたとえば内閣提出法律案であっても、これを修正することも可能であるということになれば、たとえば法律改正の中で公庫出資増額が行なわれるとしても、その出資増額というものは、たとえば財政投融資計画の中においてこれが妥当であるかどうかということの審議の結果、これは妥当でないという場合は、当然国会審議立場から、この出資分についても、法律案修正の形で、是正することができるのです。したがって、法律が優先するからして、その法律修正あるいは改正に基づいて、政府は当然予算措置をしなければならぬということにこれはなるわけです。したがって、予算の中に出てくるから十分審議していればたくさんであるというようなことは政府側の便宜的な態度であって、立法府立場から見れば、そういうことがよろしゅうございますということにはならないわけです。  そこで、お尋ねしたいのは、いままで法律に明示してある事項であることによってどのような不都合があったか、その点を事例をあげて述べてもらいたい。いかなる場合にどういうことで法律改正を要することによって不都合があったか、あるいは支障があったか、私がいま述べたそれぞれの公庫等についても、そういう事例があれば明確にしてもらいたい。
  12. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 私のほうから公庫に関する限りのことしか申し上げられませんが、いままで法律改正を要する事項ということによって不都合であったということはないと思います。  また、国会審議につきしては、国会の組織とか運営の問題でございますから、私どもからは申し上げかねるわけでございますが、この出資に関しましては、予算法律はやはり同じように決定していただかなければならないものであろうと思うのでございます。法律修正されれば予算修正される、予算修正されれば法律修正されるということで、同じ一致した決定国会において行なわれなければならないものであろうと思います、したがいまして、いずれにしましても、国会の御意思は、予算であるか、法律であるか、いずれかの形で一本で御決定をいただかなければならない、こういうように考えるのでございます。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 局長、そういうことはないですよ。政府提案する予算案と、法律案予算関係する事項が、必ずしも一致しなければならぬというようなことはないんじゃないですか。一致されることが提案者としては望ましいわけであるが、それでは国会における審議権というものは要らぬじゃないですか。しかも、予算案審議の中において、その予算案にしても、そのまま通るか通らぬかわからぬでしょう。今日のように与党が絶対多数を擁している場合においては、通るという見通しは持てるが、内閣提案した予算案であるから必ず絶対そのまま通るとかいうものじゃないでしょう。予算修正が行なわれることもあるじゃないですか。法律案についても、それが予算関係の面については修正さるべきものでない、そういうような原則規定はないんじゃないですか。法律のその部分修正されれば、当然事後において予算面においてそれを適合させるようにするという措置は、当然とらなければならぬが、絶対にそこは直せぬとかいうものじゃないでしょう。いままであなた方何を勉強していたのですか。
  14. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 私が申し上げましたのは、予算関係法律は絶対修正できないということを申し上げておるわけではないのでございます。法律修正すれば、予算も、これは当該年度におきまする特に大きな支出でございますから、予算のほうも修正される筋である。したがいまして、国会としましては、これは私どもの申し上げるのは少し僣越かと思うのでございますが、法律予算とが一致した形で決定される、国会意思は一本の形で、支出額というものが決定されるということになるのが本筋ではないか、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、あくまでも法律が優先するわけでしょう。だから、法律内容において、予算の計数上に関係のある点は、たとえば提案者意思に反して修正された、増額、減額でもこれは修正ですからね。そういう場合には、この予算案には関係があるわけですね。しかし、法律修正された場合、その部分増額あるいは減額された場合は、それに基づいて予算措置がその後において講ぜられるということになるわけでしょう。いいですか、そういう理解を持たぬと、これは予算関係あるから絶対直してはいかぬとか、そういうものじゃないでしょう。ただ便宜的に、政府提案した予算関係事項に対しては、みだりに与党の議員はそれを手直ししてはいかぬということは、これは政府与党との間の関係であって、それは立法府としての立場ではないですよ。あなた方はいつでも与党にお伺いを立てて、何でもかんでも処理できると思っているが、国会というものは眼中にないのですよ。自民党あって、国会眼中にないんでしょう。これは役人としての大きな反省を要する点だと思うのですよ。だから、松岡局長ともあろう者が、予算関係ある点は絶対審議できないとか、修正できませんなんて言うのは、ちょっとこれは問題があると思うのです。これは主計局からも、ひとつ私の言うことが間違いであれば、十分述べてもらいたい。
  16. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 繰り返して申し上げますけれども法律修正できない、そういうことを申し上げておるわけではございません。  それからもう一つ予算法律関係でございますが、私どもの理解するところでは、いずれが優先するということではないと存じます。これはアメリカのように、予算法律主義をとっておれば、別に法律は要らないわけでございますけれども、日本の場合におきましては、予算法律も、国会審議を経、議決を経て効力を発し、実行されるものでございますから、いずれが優先するというわけではない。その関係において、予算法律におきまして、支出額等に食い違いがあるということは、国会の統一された御意思としては、私どもとしては違うのではないかということを申し上げておるわけであります。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 政府予算案にはこれと符合するようなことになっておるが、まだ三十九年度予算というものは審議中でしょう。あなたはそれが通って確定したような錯覚の上に立っているのじゃないですか。予算が先に成立して、法律案が成立しない場合もあるのでしょう。廃案になる場合もあるでしょう。そういう予算はその分は使えないでしょう。結局法律の根拠がないのですからね。ですから、そういう点から考えても、これは法律が優先することは、法治国家においては当然じゃないですか。これはむずかしい議論じゃないですよ。そのくらいのことは、常識としてわきまえてもらっておくべき問題であると思うわけです。  次に、お伺いしたいことは、三十九年度財政投融資の中における原始産業部門農林漁業に対する財政投融資の問題ですが、これは先日中澤君が農林大臣にただしたわけでありますけれども、この点については、先般政府の農業年次報告に対しましても質問をした点ですが、三十九年度財投計画は一兆三千四百二億、農林関係財政投融資計画は大体九百三十億程度と私は承知しておるわけです。そうすると、財投全体の中の農林漁業に対する配分は当然七%程度ということになるわけです。財投の原資というものは、これはほとんど国民の国家機関に対する蓄積というものが主要なものをなしておるわけです。特に農林漁業者の関係の分については、たとえば郵便貯金であるとか、簡易保険の積み立て金であるとか、あるいは国民年金の積み立てであるとか、そういうもので、直接農林漁業者は国家資金の積み立てに寄与しておることになるわけです。ですから、先般もこの点に対する資料の要求をしたわけですが、大体農林漁業者が、毎年度郵便貯金、簡易生命保険あるいは国民年金等、これに一応限定して、どのくらい寄与しておるか、これは農林省でもいいし、大蔵省でもいいが、その点について、数字をあげて説明を願いたいと思います。
  18. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 私どものほうでは、郵便貯金、簡保等におきまして農漁家等がどれだけ占めておるかという数字はわからないのでございますけれども、逆に私どもとして、農家経済調査等から、農家が貯蓄しておる部分について、農協預金なり漁協預金、あるいは郵便局、銀行等にどれくらいやっておるか、こういう割合は大体の見当はついておるわけであります。それは資料として先般御要求によりまして提出いたしたわけでございます。その中では、圧倒的に農協預金が多い。その次に銀行でございます。それから郵便貯金、預貯金の中でそういう割合を持っておるわけでございます。それからそのほかの積み立て金におきましては、有価証券が一番多いのでございます。それから簡保、その次に郵便年金、こういう順序でございます。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 私が聞いておるのは、農家一戸当たりの蓄積内容というものはわかりますが、それは一戸平均ということであれば、全体の農家戸数を乗ずればおおよその資金総額が出てくるわけですが、たとえば財政投融資の三十九年度の原資の見込みにおいては、資金運用部資金として八千五十四億円、そのうち郵便貯金が二千七百億、国民年金が四百五十六億、簡保資金が一千五百億、こういう数字が原資の見込みの中で明らかになっておって、特に郵便貯金については、三十八年度の一千九百億に対して、二千七百億という相当大幅な増額が見込まれておるわけです。ですから、三十八年度の実績あるいは三十九年度の原資の見込み額に対して、たとえば農林漁業金融公庫融資の対象になっておる農林漁業者が、これらの国家資金に対してどの程度寄与しておるか、そういうことはやはり明らかにしておく必要があると思う。いかにも農林漁業金融公庫資金源がふえたとか、宣伝が行なわれておるが、一体国家資金のその蓄積にどの程度農林漁業者が寄与しておって、それがどの程度の割合でまた還元されておるかということは、これは重要な関連があると思うのです。こういう点はやはり大事な点だと思う。ですから、この点について、先般も資料をお出し願いたいということで要求しておったわけです。ただ、一戸当たりのそういう計数から推定して大体の判断ができないことはないと思いますが、この点がおおよそわかりますか。これは大蔵省でもいいのです。
  20. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ただいま御指摘の点でございますが、郵便貯金あるいはその他の資金源による資金につきましても、御承知のとおり、地域別には出ておりますけれども、業種別にどういう状況になっておるかという統計はございません。したがいまして、いまのような御議論に対しては、農林省のほうの統計から見ていくということしかないと思います。御指摘の点はわかるわけでありますが、私どもとしては、やはりこういった個々の資金ということではなくて、財政投融資全体あるいは予算財政投融資全体を含めた農林漁業関係の金融措置に対処するというふうに見ていただくことが適当ではないかと考えております。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、この点については、後刻でいいですから、できるだけ内容の理解できるような資料を政府のほうからお出し願いたいと思います。  次に、お尋ねしたい点は、もう一つ改正点でありますが、監事の権限強化という形で、監事の規定に対して新しい改正が意図されておるわけですが、私の判断から言うと、監事の権限というものは、現在の監事の権限機能をこの種の法律改正によってさらに強化されるとも私は考えられないし、この点は、今度のような改正によって監事の権限というものは強化されて、監事の行政機能は十分発揮できると期待を持てることになるのかどうか、この点はどうですか。
  22. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 何と申しましても、監事がその責任と職分において十分な活動をしてもらうことが第一義でございますから、この法律改正だけで従来より非常によくなったということを言うのは、ちょっとあれだと思いますけれども、ただ、監事としては、この改正によりまして、総裁はもちろん、主務大臣に対して意見を述べて、自分の監査結果について、改善の要望を出すことができるということは、精神的にも、また権能としても強化されるわけでございますから、監事としては、従来よりも一そう監査機能を発揮する上にも有益な改正である、こう考えるものであります。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 監事の任命の現在の規定については、公庫法の第十条で、「総裁及び監事は、内閣承認を得て主務大臣が任命する。」こういうふうに明確な規定がなされておるわけですから、したがって、監事の具体的な立場というものは、おのずから現行法の中においても明確になっておる。ただ、今回の改正案によって、従来はそれができなかったという印象を強く与えるわけですね。監事が総裁及び総裁を通じて主務大臣に意見の具申ができるという、そういう改正規定ですから、この規定が入らなければ、現在においてはそれができないのであるというふうな、そういう解釈も生まれてくるわけですね。そういうものでないと思うのです。しかも、この点が単に農林漁業金融公庫だけでなくて、これは先ほどの、出資増額をこの法律の明定事項からはずすというような改正と符節を合わして、この監事の権限強化に関する規定改正というものは、国民金融公庫農林漁業金融公庫中小企業金融公庫北海道東北開発公庫医療金融公庫公営企業金融公庫、首都高速道路公団、これらが全部法律改正という形で、これとちょうど同じ字句の改正が出されておるわけですが、いまさら監事の権限強化というのは、ちょっとおかしいじゃないか。
  24. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 確かに御指摘がありましたように、従来といえども、監事は主務大臣あるいは総裁に自分の意見を披瀝することができなかったというわけではございません。しかしながら、今回の改正によりまして、それが明確に、権能として明らかにされるということで、前進になる、こう考えておるわけであります。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣が出席されたので、先に同僚湯山委員から大臣に質問がありますので、私の質問はちょっと中断しておきます。
  26. 高見三郎

    高見委員長 湯山勇君。
  27. 湯山勇

    ○湯山委員 先般局長のほうへはいろいろ御質問申し上げたのですが、ぜひ大臣にお尋ね申し上げなければならない問題が幾つか残っておりますので、この際、簡単にお尋ね申し上げたいと思いますから、簡明にお答えをいただきたいと思います。  それは今回農林漁業金融公庫法改正提案になっておりますが、従来の経過を見てみますと、政府出資が毎年増額になっておる関係上、三十五年以降、毎年公庫法改正がなされております。しかし、今回この改正政府案のように行なわれたならば、従来のように政府出資というものが法律事項でなくなりますから、当然毎年この公庫法について審議をする、法律案改正が行なわれる、こういうことはなくなるのではないかということを考えて、それであれば、この際、この法律については、徹底的な将来を見通しての審議が必要である、このように考えますが、大臣のお考えをまず伺いたいと思います。
  28. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 毎年公庫に対する出資に対して法律改正してきたのでございますが、出資に対しては法律改正を要しないじゃないかということに対する御質問かと思います。予算において、あるいは財政投融資の面におきましての御審議を願っておりますので、出資の点について毎度法律改正というものをすることは省いていったほうがいいのじゃないか、こういう方針で法律事項にしない、こういう方針で進めてきておるわけでございますが、予算面において御審議を願っておるからという意味で、法律事項にしないということにしたと思います。もっとも、予算審議しても法律に出すものはたくさんあるのでございますが、そういう考え方からだというふうに御了解願いたい。
  29. 湯山勇

    ○湯山委員 従来、三十四回国会以後この法律が出るたびに、附帯決議がなされております。それはこの制度に対する期待、それからこの制度を実際に運営してみての要望事項、そういうものが非常に多かったということが、附帯決議が毎回なされておるということでもって証明できると思うわけですが、今回の場合、総理も飛躍的改善をする、農林大臣もこの制度については大きく改善をはかっていくのだということを提案説明の中でもおっしゃっておられます。ところが、実際にお出しいただいた法律だけから判断いたしますと、おっしゃったような思い切った改善がなされていない。見ますと、法律面だけでは、貸し付け期間が、ただ据え置き期間と償還期間を加えただけのが十二件、それから期間が短くなったのが二件、それから金利引き下げが二件、引き上げが四件ありまして、その中で、形式的に金利が引き上げになっている四件の中に、特に選択的拡大の対象になる果樹園の経営改善資金、あるいは畜産の経営拡大資金、あるいは沿岸漁船の整備促進資金など、いわゆる近代化あるいは選択的拡大、こういうものの対象になるものが将来引き上げられることが、この法律では約束されております。そういう可能性を持っておるわけで、このように金利の引さ下げになったものが二件で、引き上げが四件というようなことでは、とてもこれは大臣の言われるような、あるいは総理大臣が述べられたような改善じゃなくて、改悪になっている。こういうところさえあるわけですが、この際、端的にお尋ねいたしたいのは、そういう選択的拡大の対象になっている果樹園の経営改善資金とか、あるいは沿岸漁船、そういったような資金については、この別表の修正を行なって、少なくとも引き上げはしない、将来引き下げるのだ、こういうことを明確にしなければならないと思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  30. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 引き上げはいたさない方針でございます。むしろ、引き下げる方針でございます。  それから、いまいろいろお話がございましたが、改悪じゃないかということでございますけれども、これは全体的に見ましても決して改悪じゃないと思います。三分五厘の資金が全体の資金の中で占める割合が四一・六%であり、また三分五厘——五分五厘のワクが六五・八%でございます。あるいはまた資金の種類でございますが、種類等についての整理をいたしまして、償還期限、貸し付け期間等も四つぐらいにいたしましたこと、その他、ワク等につきましても、改悪どころか、これは前進だというふうに御了解願いたいと思います。
  31. 湯山勇

    ○湯山委員 私が申し上げているのは、いま芳賀委員からも御質問がありましたように、今後は予算面出資の増減ははかられていく、そうすると、制度として問題にしなければ、ここでは論議の対象にならないと思います。制度として引き上げる、あるいは暫定的に特別措置でそのまま据え置きにする、一定期間据え置くということはありますけれども、ともかくも別表では形式的には引き上げになっておるし、将来そうなる可能性を持っておるものが四つあるわけです。それから明らかに金利引き下げのものは二つ。これでは、この法律面だけから言えば、大臣の言われるような改善じゃなくて、改悪の面もある。それでは困るので、いま大臣は引き上げはしないということを御言明になったのであれば、そういうような法律にしなければならないと思います。これは当然そうするという御答弁になると思いますけれども、いかがですか。
  32. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 この附則で五分五厘ということになっていますから、これは決して改悪じゃございません。ことに法律の用語といたしまして、当分の間幾ら幾らにする、こういうことになっておる「当分の間」というのは、大体当分の間で、そのあとは上げるとか変えるということでなくて、「当分の間」と書いてあるのは、たいていそれでずっと押し通す、それよりもなおよくしていく、こういうのが大体用語例でございますから……。
  33. 湯山勇

    ○湯山委員 大臣、とんでもない御答弁で、本文の中の別表では引き上げになっているのです。上げなくていい現在低いものを、上げるということを本文の別表できめて、そして「当分の間」となっているのだから、これは法律では当分の間が過ぎれば上げるということなのです。それでは困るから、この「当分の間」をのけるなりあるいは別表を改訂するなりしていただかなければ、上げるということを予想して、そういう含みのある法律になっているわけです。だから、これは改訂していただかなければならないのではないかということを申し上げておるので、大臣の言われるとおりならば、私の言うとおりだという御答弁がいただきたいと思うわけです。
  34. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 ワクを四つにいたしましたので、これは六分五厘の中に入っておりますが、ただし、当分の間五分五厘というのは、当分の間五分五厘で、そのうちにこのワクの六分五厘に上げるという意味ではないわけであります。  なお、これは整理する場合には、下げるほうへ持っていくつもりでございます意味での「当分の間」でございます。これは六分五厘に持っていくという意味では全然ございません。
  35. 湯山勇

    ○湯山委員 それなら、私の言うとおりだというふうにおっしゃっていただけばいいのです。別表を上げる必要はないのであって、別表のほうを下げて、そして当分の間五分五厘というなら、私は大臣の言われたとおりだと思う。そうじゃなくて、別表のほうを引き上げておいて、当分の間いままでどおり据え置くのだ、これが引き上げの前提だと思います。それは常識的にそう解釈できる。
  36. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 法律改正技術面もございますので、ちょっと補足さしていただきます。  実は六分五厘のところに畜産とか果樹の資金が別表において入っておるわけでございます。これは主務大臣の指定施設と同じ性格資金でございますので、そこへ整理をしたわけでございます。しかし、果樹とか畜産とか沿岸漁業、これは政策上非常に重要な性質のものでございますから、現段階においては五分五厘として、附則においてその例外規定を設けたわけでございます。つまり、政策的に重要な期間においては五分五厘としてやる、こういう趣旨でございます。
  37. 湯山勇

    ○湯山委員 それではますますいけないのです。政策的に重要な期間だけは五分五厘にして、あとは六分五厘にする、局長の御答弁はこういうことなんですね。そうではなくて、大臣の言われたように、当分の期間が過ぎれば、将来下げるのだ、それならば、四段階に整理した五分のワクに入れておいて、当分は何かの都合で五分五厘でいく、これならわかりますよ。そうでなければならないはずなんです。大臣の先ほどの御答弁はそういう御答弁で、当分の間が過ぎれば下げるのだ、こういう含みだという御答弁ですから、下げるのならば、五分のワクの中に入れておいて、そうして将来当分の間が過ぎたらこうするのだ、そういうふうにするのが大臣の御答弁のとおりの法律条文になるわけですから、そういうふうになさるということだと確認いたしたいと思います。いかがですか、大臣、おっしゃったとおりですから。
  38. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 当分の間五分五厘で、将来下げたい、こういう方針でございます。方針でございますが、当分の間というのは、たいてい当分当分でいってしまって、それでいくので、六分五厘に上げるという意味はここでは全然持っておりません。当分を過ぎたら六分五厘に上げるのだという考え方は全然持っていない、またそういう方針でもない。ただ、四つのワクにきめたものだから——五分のほうへ入れたほうがいいかもしれないけれども、六分五厘のほうに入れたわけでございますが、四つのワクにしたために、例外的なものを設けた、こういう形になっておるわけです。
  39. 湯山勇

    ○湯山委員 大臣の御答弁の御趣旨わかりました。そこで、ぜひ五分のワクのほうへ入れていただくようにしていただきたいと思います。  それから第二点は、私も前にお尋ねいたしましたし、芳賀委員からもいま質問の中に出ておりましたが、第九条の5の監事の職分の中で、総裁あるいは総裁を通じて主務大臣に意見を述べるとなっておりますが、これは前回も局長とずいぶん議論して、大臣がお見えにならなければ決断はつくまいということで留保されておりました。この監事の任免の手続その他からいって、当然「総裁を通じて」という規定は要らない、その必要はない、むしろ、あることがこの法律趣旨をそこなっている、こういう判断に立てると思います。したがって、「総裁を通じて」ということは削除する必要があると思いますが、大臣のお考えを伺いたいと存じます。
  40. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 さっきの五分のほうへ入れるということをいま約束したわけではございませんで、入れるほうが筋が通っておるのではないかという答弁をいたしたわけでございますけれども、これにつきましては、なお関係方面ともよく協議してみなければなりませんから、結論として申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。  それから、監事が意見書を出す場合に、総裁を経由しないのが筋が通っているのではないか、こういう見方もございましょう。また、総裁を通じてという意見もあろうと思います。というのは、総裁が理事者として業務を執行しておる。ところが、自分でやっておることにつきまして、非常に間違ったとか、当を得ていないとか、あるいは是正すべき点等があることに気がつかないでおる場合がある、その場合に、監事が大臣に意見書を出す場合に、総裁も一応知っておくべきだ、執行面においてこういう不適当なところがあるというようなことでありますならば、理事者としてもそれを知っておく必要がある、こういう面からいって、理事者を通じてということもあろうかと思います。一面におきましては、また、監事がそこで拘束されるというような制約を受けるよりは、直接大臣のほうに出したほうがよかろう、こういう見方もあろうと思います。そういう意味におきまして、私は、原案が「総裁を通じて」ということならば、総裁を通じてやってもいいのじゃないかと思うのですけれども、御意見は御意見として承っておきます。
  41. 湯山勇

    ○湯山委員 「総裁を通じて」ということを削除するという意味は、常に直接主務大臣にという意味ではございません。場合によってはそういうこともできる道を開いておく、それがこの規定なので、そういう規定だから、「通じて」ということはなくてもいいのじゃないか。他の法律等も、そういう議論があったあとで、本会議にかかっておる修正案を見ますと、削除になっているのが見受けられます。したがって、そういうふうな、どちらかといえば、変則的なものを残す必要はなくて、総裁に対して意見を述べることは当然ですけれども、その中で、場合によっては直接の道をつくっておく、こういう意味ですから、それならば大臣も御異議がないのじゃないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  42. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 直接大臣に意見を具申するといいますか、調査の報告をするというような道を開いておくということは、私は差しつかえないと思います。
  43. 湯山勇

    ○湯山委員 いまのは、この法律ではっきり、「総裁を通じて」とありますから、それだと、いま大臣がお認めになったような道がふさがれている、ふさがれないようにあけておくべきだというのが、前回からの議論でありまして、ただいまの答弁ではっきりいたしましたから、これは了承いたします。  最後に、お尋ねいたしたいのは、公庫の借り出しの手続等が非常に煩瑣であった。これは数次の附帯決議でそういうことがいわれておりながら、なかなかうまくいっておりません。そこで、今回もいろいろそういう手続について簡素化をはかられたというのですけれども、その具体的なものが出されておりませんから、これは具体的にどう簡素化されたかということをあとで資料でいただくことにして、この際、特に申し上げたい点は、構造改善の資金などは、いただいた資料で見ますと、現在は貸し付け計画のわずかに四・一%、だから九五%以上は貸し付け計画が残っている。これは構造改善の進め方自体にも問題があるし、そのほかにも問題があると思いますけれども、こういう状態では、せっかく公庫資金あるいは三分五厘の資金が多くなっても、その用をなしていない。さらにまた、従来の慣例で九百九十億の原資で千七十億の貸し付け計画、これもおかしい話で、よく調べてみると、本年の一千七十億の中の六割が三十九年度に貸し出されて、四割が四十年度に持ち越す、こういうことでございます。どこにそういう原因があるかというと、政府の行政の体制にも問題があると思います。いろんな決定がおくれていくために、それがあとに追い繰られていく。その年の貸し付け計画の六割しかその年には貸し付けられない。これは確かにその手続に問題があるし、そういうことではほんとうにこの公庫資金が働かない。ことに構造改善の資金に至っては、いまのように三分五厘の資金が四百幾らにふえた、これでよくなったと言われましても、その中心である構造改善資金がいまのように五%、九割以上がそのまま残されている。これでは幾らこの制度を整えていかれても、実際に貸し付け業務あるいはこれの利用の面から言えば、眠っている、極端に言えば、死んでいるという批評さえもできないことはないと思うわけでございます。そこで、その手続を思い切って簡素化して、一千七十億の貸し付け計画ならば、それが年度内に貸し付けられるような体制をぜひとっていただかなければ改善にはならない。  それからいま一つは、その原因は、単に公庫の貸し付け業務だけではなくて、これに対する政府のかまえにあると思います。どういう理解に立っておるか、これが一つの大きな問題だと思います。と申しますのは、先般来の参考人もそういう御意見がございましたし、私どもも常々そういうことを申しておりますが、構造改善その他の基盤整備、土地取得、こういうものは公庫資金の中に入れないで、これは国費あるいは公費でもってやる、運営資金、経営資金、そういうものを公庫資金でやっていく、こういう基本的なかまえができない限り、借金が農家を圧迫する、その圧迫が構造改善を阻害する、あるいは自立経営農家の育成を阻害する、こういう体制に私は大きい問題があると思います、そこで、いま申しましたように、そういう資金の貸し付け体制をこの際抜本的に改めていく、そういうことと同時に、いまのこの資金の使い方について、基盤整備を公費でやって、これの中には入れない、そうして、しかも金利は、先ほどおっしゃいましたように、原則として六分、六分五厘というようなことではなくて、三分五厘以下に全部をやっていく、こういうようなことでなければ、ほんとうのいまの農村の状態は救われないのじゃないかということをつくづく感じております。  いま申したことは幾つにも分けてお尋ねするのが至当だと思いますが、時間もございませんので、まとめてお尋ね申し上げたわけでありますが、申し上げたのは、公庫の貸し付け業務の簡素化、合理化をはかっていって、そうして貸し付け計画の四割もが持ち越されるのではなくて、その計画が全部年度内に消化されるような体制をとっていただくようにすることと、構造改善の資金が使われないで九割以上も残っておるというのは、その構造改善の進め方に問題がある。基盤整備は、むしろ国費、公費でやって、この貸し付け対象からはずすというようなこと、さらに金利を全般的に引き下げていくこと、これらの三つの点について、この際ひとつ、これこそ画期的な施策を打ち出していただかなければならないのではないか、これについての大臣の御所見を伺いたいと思います。
  44. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 貸し付け手続が煩瑣であり、複雑であったということ、またいまたくさん残っておるということは、御指摘のとおりだと思います。煩瑣な点は、だいぶこれを簡易に改めております。先ほどお話のように、資料で提出いたしますけれども、その点はだいぶ改善を加えたわけであります。  ただ、御指摘のいまの構造改善事業の融資の面でありますが、公費で出して、経営面のほうを融資してやったらどうか、これは一つのよい意思だと思います。こういう点につきましては、いますぐにそうするわけにはまいりませんが、検討を続けていきたいと思います。また、利率等の低下等につきましても、今後なお一そう努力して低くするようにいたしたいと考えております。
  45. 湯山勇

    ○湯山委員 以上で終ります。
  46. 高見三郎

    高見委員長 暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕