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1964-02-19 第46回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十九日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 高見 三郎君    理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 足鹿  覺君 理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    宇野 宗佑君       大石 武一君    大坪 保雄君       加藤 精三君    亀岡 高夫君       吉川 久衛君    小枝 一雄君       笹山茂太郎君    舘林三喜男君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       野原 正勝君    八田 貞義君       藤田 義光君    松田 鐵藏君       亘  四郎君    角屋堅次郎君       栗林 三郎君    東海林 稔君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       西村 関一君    松浦 定義君       湯山  勇君    稲富 稜人君       中村 時雄君    林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  丹羽 兵助君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君         農林事務官         (農政局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         農枚事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         農林事務官         (園芸局長)  酒折 武弘君         食糧庁長官   齋藤  誠君         林野庁長官   田中 重五君         水産庁長官   庄野五一郎君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業保険課長)  岡安  誠君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 二月十九日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として小  平忠君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小平忠辞任につき、その補欠として稲富  稜人君議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 高見三郎

    高見委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、先日要求いたしました三十九年度農林省関係予算各目の内容について、少し掘り下げた質問をいたしたいと思います。その結果、農林大臣の御出席をいただきまして、必要によっては大臣質問もいたしたいと思いますが、この点はよろしくお取り計らいをお願いいたしたいと思います。  そこで、最初に、農業災害補償制度資料を先日要求をいたしておきましたが、これについてお尋ねを二、三しておきたいと思います。  いよいよ本年の二月一日をもって先般の改正法実施の段取りになったわけであります。そこで、当時改正案審議をいたしました際に一番問題になったのは、昭和二十二年から昭和三十七年までの災害統計基礎として、新しい危険率災害率を出し、これに基づく掛け金算定を新しい組合等に基づいて策定をしていくことになりました。その当時、われわれは、現状以上に掛け金の上がるということに対しては、資料を見た上でないと態度を決するわけにならぬ、予想をもってするならば、相当大幅に掛け金率が上がるであろう、そういうことに対しては了承できない。だから具体的な資料提出を求めて、当局の努力を求めたのでありますが、準備の都合があって、膨大な資料でもありますし、できないということであって、今日まで当局作業の終わるのを待っておったような次第でありますが、先日私が要求いたしました、各組合別前の掛け金率と新しい掛け金率比較表提出されたいという要求に対して、都道府県段階における若干の資料を御提出いただいたこととなっておりますが、これではまことに不満足でございます。この点について、政府は、来年度予算において、三億五千万の、掛け金率の上がる部分についてこれを補てんする予算措置を講じておるようでございますが、それをもって足りるとするのか、またその額をもってして十分農民負担現状以上の増高を食いとめ得ることが可能であるかどうか、これらの点について、この問の資料説明はもとより、農林省の具体的な御答弁を願いたい。別に私はこの点については大臣答弁を求めておるのではありません。大臣答弁は、えてして抽象的で内容を伴っておらない。農業基本法の精神と赤城農相個人意見は、先般来の質疑を通じて必ずしも一致しておらないように思う。そういう点で、私は、この点については同僚議員質問されておりますから、深くは追及いたしませんが、問題は、農災法のごとき、昨年度においては二百八十六億円も災害共済保険金が支払われたであろうという想定のつくような大きな制度でありまして、その制度抜本改正についてわれわれは具体的、建設的な態度で戦ったにもかかわらず、重要な掛け金率算定については知るすべもなかった。農民が一番心配しているのはその点でありますので、まず、その点をこの問お配りいただいた資料中心に御説明になって、掛け金率の改訂に伴って不満があるのかないのか、あったならばどういうふうにこれを処置するのか、具体的に御答弁を願いたい。抽象的では困ります。
  4. 丹羽兵助

    丹羽(兵)政府委員 ただいまの、足鹿先生から前回提出要求のございました農作物共済組合等別共済掛け金率資料でございますが、お出しいたしましたものがきわめて不満足なもので、これでは先生の一番心配を願っている組合別内容がわからない、それではいけないのではないか、これについては、大臣答弁よりも、事務当局の事務的な誠意ある内容についての説明をということでございますので、私から答弁をさしていただくよりも、こまかく出せない理由、そしてまた内容等につきまして、事務当局から御説明をさしていただくことにいたしますが、御了承を願いたいと思います。
  5. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 お尋ねの点につきましては、改正法律附則にございます掛け金調整補助金の問題かと存ずるのでございます。これにつきましては、お配りいたしました資料で、新しい制度による基準共済掛け金率をお示しいたしたわけでございますが、改正前の制度によります共済掛け金率は、御承知のごとく、県一円の通常の標準被害率と異常の標準被害率がございまして、それを県内で十八の危険階級に区分いたしまして、それぞれの地区に配付いたしておったわけでございます。その結果といたしまして、一町村一組合の区域内で危険階級が分かれておりますので、改正前の掛け金率につきましては、約四千の組合につきまして、危険階級ごとにきまっていたものを組合ごとに加重平均して出さなければ出ないのでございます。その作業は、品目別に、さらに危険階級別に、共済金額に応じまして計算するということは、大へんな作業でございますので、県のほうにまかせまして、中央におきましては、県ごと推定いたしまして掛け金率の差額を一応出しまして、それによって予算を配賦いたしました。県でさらに組合ごとに出しまして、もしも足りないときは、あらためて追加して出すということにいたしまして、一応推定に基づきまして三億五千万円の予算要求いたした次第でございます。
  6. 足鹿覺

    足鹿委員 三億五千万は、私も先ほど申し上げましたように承知をいたしておるのでありますが、その三億五千万をもって、新しい掛け金率によった場合に、北海道であるとか、その他当時から著しく掛け金率増高が予定されておった府県等を、完全にカバーし得るかどうか、カバーし得ない場合は、大蔵省当局とは三億五千万以上の増加支出打ち合わせ等措置が十分講じてあるかどうか、そういった点について、私は具体的な御質問をいたしておるのでありますので、資料として四千の組合のものを御提出願うということは、なかなか私も容易でないと思いまして了承はいたしますものの、少なくとも全国平均率はどういうふうになる、最高最低はどういうふうになる、大体の傾向としてはこの程度になる、したがって、三億五千万で足りると思うが、足りないときにはこうだという、具体的な納得のいく御説明を求めておるのでありますから、いまの経済局長の御答弁では私の質問に対する御答弁にはならぬと思います。
  7. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 御指摘の点につきましては、先ほども申し上げましたように、一応推定いたしまして三億五千万要求いたしたわけでございますが、附則で定められたこの趣旨が、制度改正によって農家負担が増します分については、全部補助金農家負担が増さないようにせよという御趣旨でございますので、そのとおりいたしたいと考えておるのでございます。三億五千万円の予算につきましては、これは精算補助でやりたいと考えておるのでございます。したがいまして、推定に基づいて出しました予算額不足が生じましたときは、さらに追加いたしてまいりたいと思います。ただ、私どもとしては、推定によって一応予算不足はないだろうと考えております。いまあげられました北海道等につきましても、制度改正によって負担増が起こらないように、これはもしも足りない場合は予算増額をいたしたいと考えております。
  8. 足鹿覺

    足鹿委員 もしも足らないときには予算増額をするということでありますが、それは補正予算をもってなさるのでありますか。あるいは三億五千万が足らないときには、何らかの方法によって、別途に自動的にでも処理できるようになるのでありますか。少なくとも補正等臨時国会は、台風被害等関係もあって例年九、十月ごろになります。場合によっては十一月になります。保険細目は八月中に出さねばならぬかと私は承知しておりますが、そういうことになりますと、事実上において、高い掛け金率のもので耕作者耕作細目書を出していくということになると、制度の運用にも支障があるし、農民もまた相当不安を感ずるのではないか。当委員会においては、昨年の審議の際に、意見相違相違として、私どもはこの点を心配をし、この措置が講ぜられたわけでありまして、それに対するあなた方のとられた措置について私はとやかく言っておるのではありません。その具体的の適用を誤らないようにしていただきたいということと、大体掛け金増傾向は、全国的にどういう傾向にあるのが、最高最低その他実質的には反当どの程度になるということを、口頭でもけっこうでありますから、それらの三億五千万をはじき出したことについて、一応の納得が私どもにいき、そしてさらにいかない場合には、補正予算等をもって確実にこれをカバーし得るということが明らかにされない限り、私ども納得がいかないのでありますから、その点はあまりもの数を言わせないで、私が尋ねておることに的確に御答弁を願いたいと思います。
  9. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 最初の点でございますが、もしも不足を生じました際には、予備費支出あるいは流用によって不足額をまかないたいと考えております。  それから、いまの掛け金率の差がどうなるかという点でございますが、お配りいたしました資料の七ページでありますが、農家負担率改正前と改正後の差がその表に出ておりますが、全国平均いたしまして、水稲の場合〇・〇八二軽減されるのであります。それで、最高富山の〇・三六八、これが現状よりも一番大きくなる分でございます。減るのもございますが、結局負担率が増すのは十七県、減るほうが二十九県でございます。
  10. 足鹿覺

    足鹿委員 予備費等でまかなうということは、大蔵省了承済みでありますか。その点について心配がなければけっこうだと思いますが、問題は、この補てん額というものは、危険率中心にして策定されたものである。しかしながら、実際に新しい制度の長所ともいいますか、それは従来の実情に沿わない低い共済保険金額を引き上げたところに意味がある。ところが、どういうわけか、農家からはこの制度はきらわれがちである。その原因は、この際私は多くを申し上げません。過去において論じ尽くしておりますから、申し上げませんが、とにかくあなた方は、農家が逆選択傾向にあるということに対して、どういうふうに認識をなされ、これを正常な選択に引き戻していくという場合、中間をとった場合に、石六千円ないしは七千円段階をとったといたしますと、従来の逆選択傾向で一番低いところをとったときの掛け金率と、あなた方が新しい制度に基づいて中庸あるいは実収高に近い——また災害給付の際にその収穫損を補てんするに足る段階をとったときに、はたしてどういう掛け金率になるかということも、一つの問題になろうかと思うのであります。それが、私はいまいただいた資料をもってしては納得いたしかねるのでありますが、そういう場合を想定して、どの程度農家共済保険に付する金額選択するか、また、あなた方はそれをどの程度をとるように指導するという考えに立って、いま御説明になったような富山の〇・三六八が最高であり、減るところもあるし、十七の県はふえるところもあるという計算をなされたのでありますか。私は、いまの御答弁だけでは、実際問題として片のつかない問題を含んでおると思います。現状のように低いものをあなた方が選ばしておるなら、その程度でおさまるかもしれません。しかし、新制度はそういうものではないはずでありますが、いかがでありますか。
  11. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 計算基礎になりました共済金額平均額は、前年の実績をとっております。これが一応の計算基礎でございます。
  12. 足鹿覺

    足鹿委員 前年の実績と申しますと、この資料のどこに載っておりますか。保険課長でいいですから詳細に……。きょうは各目質問ですから、こまかいことを私はお尋ねすると言っておるのですから、そのつもりで、経済局長でなくてもけっこうです。
  13. 岡安誠

    岡安説明員 お答えいたします。  三億五千万農家負担掛け金調整補助交付金は、三十八年度の水陸稲麦等引き受け基礎にいたしております。水稲につきましては、全国平均二十九円三十銭を予定いたしております。  それから前の御質問でございますが、新しい制度農家負担掛け金率はどういう分布になるのか、そのウエートはどうなるのかという御質問でございます。新しく組合等別にきまります基準共済掛け金率の中で、農家負担部分全国平均は約二%でございます。それは共済金額にかけて出るわけでございます。その二%のうち、最も多いのが、平均が二%でございますから当然でございますが、二%から三%の間で、これが大体全体の四〇%を占めておりまして、その次に多いのが一%から二%の間、これが三七%くらい。したがって、大部分が一%から三%の間に入っておりまして、そのうち、一%から二%のウエートが相当大きいと私ども考えておるのでございます。平均では、水稲の場合には従来よりも農家負担は減ると私ども考えておりまして、ただ、増減は出るわけでございますが、増加するものにつきましては、制度改正により増加する部分補助交付金によって補てんしますが、単位当たり共済金額高額選択による農家負担増加部分は除外するたてまえで、現在推定いたしております。
  14. 足鹿覺

    足鹿委員 前年度実績をもととして算定をしたということでございますが、前年度の農家が選んだ実績はどのようなものになっておりますか。それと、あなた方が本年指導をされようという考え方は、前年度の実績を相当上回るような共済掛け金共済と結ぶような御指導をなさると思うのです。そうでなかったならば新制度実施した価値はないのであります。新制度実施したということは、農民から喜ばれない、いざ災害というときにも、掛け金の掛け捨てをおそれて、なるべく低いものを選択しておる、これを実情に近いところに持っていくところに意味がある。そこで、掛け金増心配になるから、掛け金増については、調整補てん金を計上してその心配をなくするということにわれわれは理解しておる。それを前年度実績計算されて、前年度程度指導をなさるのでは、新制度になった意義があるのですか。私はどうもその辺疑問に思うのですが、いかがでございましょうか。
  15. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 共済金額選択につきましては、補てん率の引き上げ、いろいろな制度改正が行なわれたわけでございますから、できるだけ高い金額選択するようにこれは指導いたしておりますし、また今後も指導いたしたいと考えておるのでございます。ただ、予算算定基礎といたしましては、これは個々のファクターの計算は、いろいろな実績とか、できるだけはっきりした数字に基づいて計算したほうがよろしいわけでございます。結局大きな要素としましては、災害がどれだけ起きるかということははっきり推定できないわけでございますから、そういった一番大きな要件がはっきりしないで、いろいろなこまかい要素計算は、できるだけ確定的な数字を使って想定していくということにいたしておりますので、個々共済金額選択実績平均というようなことよりも、そういった予算全体の問題としてお考えをいただいたほうがよろしいのではないか、かように考えておるのであります。選択について指導します場合は、できるだけ高いようにするのが今回の改正の眼目でございますので、私どもも大いに努力してそういうように持ってまいりたいと存じます。
  16. 足鹿覺

    足鹿委員 結局私の質問答弁が食い違っておるのです。資料は前年度の基準でやった。しかし、制度改正意味は、なるべく高いものをとらせて、いざというときの備えにするように指導するというのでは、話が合わぬではないですか。だから、私は先ほどから念を押しておるわけであります。前年度の実績を想定される来年度におけるあなた方の契約についての指導方針はどういうものでありますか。また、この制度はすでに二月一日実施になっておりますが、今日まで政令、省令あるいは通牒その他どのような指導をされましたか、それらの資料の御提示を願いたい。きょういただくことができなければ明日でもけっこうでありますが、そのいただく資料の中で、あなた方が新しい改正法に基づく実施方針を明らかにされておるはずであります。ですから、ここで御答弁できないはずはなかろうと私は思う。現にもう各ブロック別協議会をあなた方は計画もされ、指導を開始しておると思う。だからこそ、三億五千万で足りなければ、予備費その他必要な措置によって増額することについてはきまっておるのだという確約をなさっておるわけでありますから、当然じゃありませんか。去年の基準幾らですか。この資料基礎になった基準幾らですか。ことしはどの程度を想定しておられますか。
  17. 岡安誠

    岡安説明員 まず三十八年度でございますが、まだ確定的な数字ではございませんが、現在推定しておりますのは、水稲につきましての単位当たり共済金額全国平均は二十九円三十銭、陸稲は三十三円、麦は二十円三十銭であります。おっしゃるとおり、新しい制度によりましては、単位当たり共済金額選択最高制度が引き上げられますので、農家選択もおそらく相当大幅に増高されるだろうと思いますし、すでに発せられました基本通達次官通達によりましても、新しい制度では保険の充実をはかるために、なるべく高い単位当たり共済金額を選ぶようにすでに指示しております。ただ、御質問でございますが、資料として提出いたしております新旧掛け金率の増については、これは掛け金だけでございますので、単位当たり共済金額選択とは一応関係がないわけでございまして、問題は、あとは共済金額がきまる場合に、単位当たり共済金額が問題になるというのではありまして、御提出いたしております資料では、一応単位当たり共済金額関係のない数字となっております。  それからもう一つ申し上げますと、附則十条によりまして、掛け金率が上がったことによりまして調整補助交付金を交付する場合でございますが、私どもは、一応制度改正によりまして、掛け金率が上がった場合に対して措置をいたすということにいたしておりますので、単位当たり共済金額選択が上昇したことによります負担額増高分は、一応捨象して考えておるというふうに現在考えて、措置をいたしておるのであります。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 あなたは、いろいろな雑誌に、私が指摘したようなことを御心配になって、ちゃんと執筆しておられる。ですから、これは私の独善的な見解ではなくて、あなた方と共通の立場に立って心配しておると思うのです。ですから、私がいままで述べたような点について、この心配を解消するに足る次官通達や、その他必要だと思われる資料がありますならば、別個に御提示願いますが、それをお取り計らい願っておきたいと思います。ただいままでの質問に対する御答弁では、私まだ了承いたしかねますが、まだほかにも問題がありますので、関連して次の問題に移ります。  新種共済については、現在どのように御検討していらっしゃいますか。ある雑誌保険課長がお書きになっておりますものを読みますと、引き受け率ないし加入率が必ずしも満足すべき水準にないということ、また蚕繭その他の問題、畜産の多頭羽飼育に即応する制度改正、また果樹共済等に対する具体的な措置、こういったようなことが、しかも価格の保障ない畜産果樹等でありますから、それをも含めて、都道府県においては自力防衛措置をすでに講じつつある段階にある。あなた方が検討を始められてから四、五年もたっておりますが、いつまでたってもらちがあかない。どんどん具体的な事実は進行しているにもかかわらず、それに即応した手が打たれないということは、これはきょうやきのうのことではございません。今国会にも提案されない、いままでこれに対する具体的な施策もないということは、言うならば、怠慢と言っても差しつかえないでありましょう。一方において選択的拡大指導し、しかも家畜、果樹等については、価格の点について遺憾な事態が最近続出しておる。これに対して、先ほども言ったように、都道府県においてはすでに自力価格共済を含めたいろいろな対策を行なっておる。昨年長野県下をわれわれが現地調査した際にも、すでにそういう実績をわれわれは聞いておる。にもかかわらず、一方においては選択的拡大を唱えながら、自由化をやったり、そしてまた、これに対する価格共済災害共済に対しては、何ら具体的な手を打たぬということは、総合施策に欠けておる証拠だと言わなければならぬと思います。要するにばらばらなんです。選択的拡大を言いながら、これに関連する裏づけ措置というものは一つもとられておらぬ、そのことを私は非常に遺憾に思うのです。これはきょうやきのうわれわれが言い出したことならばともかくも、四、五年間検討検討を重ねておられるはずであります。いまだに来年度の予算にこれらが具体的な姿をあらわさないということは、一体どこに原因があるのでありますか。これは明日の大臣に対する質問事項として、最終的には、農林大臣の所信の中に盛られておりませんから、お聞きしたいと思っておりますが、要するに、都道府県でどんどんいろいろな方法が講じられつつあるときに、国ではその選択的拡大の太鼓をならしながら、一方においては価格は不安動揺し、一方においては選択的拡大の多頭羽飼育が進んでもその実態に即応するような手も打たぬ。また、価格共済を含めた新種共済に対するところの構想もない。そういうことでは、農民政府施策を信頼して安心して選択的拡大を進めていくことができますか。四国、九州、中国方面ミカンブームです。もう四、五年もたったらたいへんなことになるでしょう。価格の面でもこれは非常な問題が起きるでしょうし、また一たび災害が起きた場合には、これに対する対策にも困るでしょう。もう現に去年の寒波で相当問題が起きておることは、御存じのとおりであります。にもかかわらず、四、五年来の懸案がいまだに解決つかない。これは一体どういうわけですか。畜産の多頭羽飼育の問題にしましても、現実の問題として役牛としての価値のない段階が、従来の在来種和牛においてはきておる。これが多頭羽飼育をどんどん始めております。しかも一方ティラー、その他乗用トラクター等の普及によって、在来種の和牛の役畜としての価値はほとんどなく、肉用としての価値しか認められないように、大きく転換しておる。そこで、多頭羽飼育へ向かって進んでおる。酪農にしてみてもしかり。食鶏にしてみてもしかり。養豚にしてみてもしかりであります。そういう激変を続けておる実態というものは、政府指導によって選択的拡大の太鼓をならされるから、農民もこれに即応しておる。ところが、いざ価格心配や天災の心配があったときには、何らこれに対する救済の措置がない。天災融資法の融資以外に何が一体具体的なものがありますか。去年の雪害等についても、何ら具体的なものはありません。委員会でどんな決議をしてみても、一つも役に立っておりません。天災融資法の発動だけです。あとにどれだけの天災に対する備えがありますか。だとするならば、この新種共済に対して、新しい事態に即応する対策は、当然ことしの予算等には計上されなければならぬはずです。この点について、しかとした事務当局検討段階、今後の見通しというものを、この際明らかにしていただきたい。何年度からやるのだ、やる目標はそういう目標であるが、中身についてはこういうことである、しかし、どういうところに困難があって困っておるならおると、この際率直に明らかにしていただきたい。大臣答弁は明日伺います。事務当局の具体的なこれに対する検討段階を、この際明らかにしていただきたい。各目質問ですから、少なくともこういう問題が具体化されなければ、大きな農政上のどのような問題を展開しましても、問題は解決いたしません。一つ一つ目張りをしていくように、こういう政策の目を詰めていくことにおいて、初めてそのものが総合的な施策として成果をあげるのです。それなしに農業の近代化を唱え、自立経営の育成を唱えてみたところで、から念仏じゃありませんか。総合施策に欠けた政府のいまのばらばらの考え方を、私はこの点からでも指摘することができるから、申し上げる。しかも、年間二百八十六億円の共済金を去年は出しておる。また、本年度の当初予算においては二百五十三億二千万円に達しておる。これだけの制度水稲にのみ偏しておる。いまや麦は実際的には対象になっておりません。蚕繭はこのごろは暴落の一途をたどっておる。しかも、その下落の原因がわれわれにわからない。事業団ができて四年間たっておりますが、この事業団があくびしておる間に、非常な価格の変動が起きて、現に養蚕の危機が伝えられておる。そういうときになっても、蚕繭共済に対する新しい対策もなし。一体新しいものから既存のものから、総合的な対策というものが欠けておる。特に新しい災害補償の制度というものは、政府が一方において奨励していくならば、価格の裏づけをする、また、いざ災害というときには、天災融資法ということではなしに、実際的な収穫保険内容を持った災害補てんをしていくような裏づけをしない限り、農民は自立経営をやろうとしたって、借金がかさむだけを心配しまして、身動きもできない状態になろうかと思います。多くを申し上げる必要はないと思いますが、あまりの手ぬるさ、あまりの怠慢さといいますか、とにかく実態に沿わないいまの災害補償制度の欠陥といいますか、足らない点を補う政府の熱意といいますか、そういうものに対する手ぬるさを私は歯がゆく思います。これは事務当局の答えられる最大限度の御答弁でけっこうでありますから、この際明らかにしていただきたい。
  19. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 果樹共済制度の準備につきましては、改正法律案の審議の際にも申し上げたのでございますが、本年度から試験設計をいたしまして試験調査を実施いたしておるわけでございます。従来の準備はもっぱら資料の整備の程度であったのでございます。本年度からはミカン、リンゴ、ブドウ、ナシ、モモ、カキ、これらにつきまして、延べ二十四県におきまして、実際の金のやりとりはいたしませんが、せっかく保険設計をいたしまして試験をやっておるのでございます。これは私が申し上げるまでもなく、共済制度は非常に複雑で、きわめて精緻な制度でございますので、実際に試験設計をやってみるという段階がどうしても必要でございます。その結果として、本年度からやっておるのでございますが、来年度におきましても、同じくだものにつきまして、二十四県におきまして試験を実行いたすために、五百二十一万七千円の予算を計上いたしておるのでございます。  それから家畜共済につきましても、御指摘のように、種々問題はございますので、これはやはり改正法審議の際にも申し上げたわけでございますが、基本的に検討いたしまして、次の機会に家畜共済につきましても基本的な改正をはかりたいということで、目下準備中でございます。
  20. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題については、私は、明日の質問を通じて、大臣に思い切った決断を迫ろうと思っておりますが、丹羽政務次官におかれては、いま私か指摘したことに対する経済局長の御答弁で御満足になるでしょうか。お互い同僚として長いこと一緒にこの委員会でやって、いまのような御答弁で——私は、予算委員会要求しておりますから、経済局長は解放いたしますが、あなたが私の立場に立たれても御満足になりますか。とにかく委員会答弁が、切り抜けさえすればいい、うるさいことを言うから、とにかく何とかして答弁をして切り抜けさえすればいいという、そういう技術にこだわり過ぎてはいないか。ほんとうに必要と認めることは、同感なら同感、しかし、これにはこういう問題が横たわっておって解決がつかぬのだ、それについて委員各位の協力を求めたい、あるいは各党の建設的な協力を求めたいというふうな御答弁がありますか。とにかくこちらが質問をしてみても、ほとんどぬらりくらりですね。当たらずさわらずの答弁をして逃げる、特に高級官僚になればなるほど、そういうことを言って逃げようとする。そういうことではわれわれは予算審議にならぬ。各目質問というものを私が要求したのは、こういう問題全部は言わないですよ。いま赤路委員からも説明を受けたかということがありましたが、自分たちがこれを聞きたいと思う点について質問をして、その点について説明を受けて、さらに追及をするという方針以外にはなかろうと思って、私はみずからその立場に立っておるわけですが、とにかくいまの答弁技術というものは、どうも私どもいただけません。丹羽政務次官は、いま私が指摘した新種共済の問題についても、農業共済制度が、今度の改正案も実態とはるかに沿わない心配が多分にありますが、事実日本農業は著しく変貌しておる中で、何らこれに即応するような具体的な新しい対策がないということに対して、もっとあなた方の決断において具体的に指示をし、そうして何年までにやれというような、下から上がってくるのを待つのではなしに、あなた方自身が、重点的にこれとこれをやれ、何年までにやれというような、新しい  一つのエポックを画してもらいたいと私は思う。私は、ここでいたずらにおしゃべりをするために質問をしておるのではありません。政策の前進なりその内容の充実に少しでも貢献すればと思って、私はあえて各目質問を買って出ているのです。それをいま言ったような答弁でお茶をにごされては引っ込むわけにまいりません。もっと具体的に、見通しなり問題なりについて整理された点を、ここで御答弁願いたい。そういう態度答弁をされない限り、いままでのようなああいう態度では、法案の審議は困難ですぞ。大蔵省という別な一つの規制力がある。ですから、これからの法案審議は、問題は大蔵省予算査定にあるようでありますし、またそれに押される農林省の各個ばらばらの態勢にもあるようでありますから、大蔵省の担当主計官等の出席を求めて、そしてわれわれは法案の審議をやりたいと思っております。そうしなければ、ただ単にここでやりとりをして、そのやりとりが済めば、ああ済んだ済んだ、そういうことであってはならぬと思うのであります。新種共済について、選択的拡大をあなた方が指導し、大太鼓、しようを入れて大宣伝をされたわけです。ですから、それにふさわしい政策の裏づけとしての果樹、畜産等の最近の実態に即応する制度をいつ実施させますか、実施が困難とするならば、どこに問題があるか、これをどう打開するか、その点をもっと督励して、満足のいく答弁をしてもらいたい。
  21. 丹羽兵助

    丹羽(兵)政府委員 ただいま足鹿委員の御質問に対しまして、政府当局者が答弁をいたしましたその態度、その内容等において、きわめて不満足なものでございまして、足鹿委員のお怒りを買いました。このお怒りこそ、これは質問者のお怒りじゃなくて、おそらく全農民足鹿先生を通じてのお怒りのことばではなかろうかと思います。私もやはり十年この方、委員の皆さま方とともに農林省を常に鞭撻してまいりました一人といたしまして、ただいまは政府側にあって政務次官をいたしておりまするが、その答弁そのものが、御指摘のありましたように、きわめてこの場のがれの、いわゆる検討を加えますとか、目下研究中でありますとか、あるいはその用意を進めておりますというような、ばく然たる答弁であるということは、はなはだ遺憾でございまして、今後は、そういうような誠意のないと申しますか、具体性のない答弁はいたさないように、十分指示をしてまいりたいと思いますので、お許しをちょうだいいたしたいと思います。もちろん、御指摘のありましたように、私は、私自身がそういうぐあいに指示をすると言って、おしかりを受けたような結果にならないように、大いにひとつ私自身に言い聞かし、戒めて、強く事務当局を指示してまいりたいと思いますから、お許しをちょうだいいたしたい。  なお、ただいま前段のお話の、大臣お尋ねあるようでございますが、せっかく選択的拡大と大太鼓を打ちまして、生産したそのものの価格対策がない、流通機構の改善等なっていないじゃないか、もっともなことでございまして、その上また、災害に対する実のある共済制度というものが打ち立てられていないということでございますが、私も同感でございます。そのとおりであります。大いにひとつ価格対策を進めるように、また共済制度をうんと充実していくように、政府内部にあって、御指摘のありましたように、積極的に進めてまいりたいと思います。当然大臣もそのような答弁をするであろうことを期待をしておるのであります。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員 いま政務次官から非常に誠意のある御答弁がございました。新種共済あるいは選択的拡大を推進、指導した立場から、価格共済を加味した、もっと新しい農民保護の災害補償制度といいますか、共済制度といいますか、そういうものについて、この際一段と対処されんことを強く申し上げて、この問題は、課長なり経済局長も離席しておられますので、あとでまた明日でもお話を申し上げたいと思います。  そこで、第二段の質問を申し上げたいと思います。たくさんございますが、最初農政局長中心お尋ねをいたしたいことがございます。  それは、農林大臣の過般の本委員会における所信表明あるいは各委員会における質疑応答を通じて明らかにしておられる点は、自立農家を育成していくという構想、それに必要な基盤整備、金融制度の改革、人材の養成、そういったこと、あるいは流通機構対策等が本年度予算中心であるというふうに言っておられます。ところが、先年当委員会が長い間の検討を通じて、農民の要請にこたえ、農地法の改正、農協法の改正によって日の目を見た農業法人の育成強化の問題等については、一体政府はこれだけ兼業化率が進み、自立農家の育成が、政府の意図に反して二%内外にしか達しないというさびしい現状にあって、あまりにも自立経営農家育成にとらわれ過ぎていないか。むしろ、新しい立場から、もっと政策の欠陥を反省して、そうして思想やイデオロギーの問題でなくして、農業基本法にも協業を助長していくという明文もあることでありますし、あるいは農業基本法政府の原案によりますと、協業の促進とあった、これを自民党の政調その他との話し合いの過程において、これが助長というふうに後退したことは、御存じのとおりであります。いずれにいたしましても、協業の必要なことはお認めになっておると思う。前向きの姿勢であるか、あるいはそれが現状維持的な考え方であるかは別として、お認めになっておる。ところが、最近の農村の階層の分化は非常に進んできておりまして、政府の意図される自立農家の育成の構想というものは、必ずしも成功しておらぬ。一面において、私の調査したところによりますと、岡山県のある町村におきましては、新しい共同化の方向が出ておる。これは一例でありますが、岡山県の勝田郡奈義町というところに一つの農園ができました。これは全国でも珍しい型の共同化として、新聞、雑誌等にも大きく報道されておる、いわゆる兼業農家の協業のタイプであります。つまり、当初はいかにして適正な課税を受けるかということに発した一戸一法人でスタートした農業法人が、だんだんと年月が進み、農業情勢が激変するにつれまして、これに対応するために、兼業化しつつある日本農業の現状から、この兼業農家の協業化が各地でとられ出した。これは新しい一つ段階を示しておるものだと私は思います。しかるに、私が残念に思いますことは、政府の来年度の施策に、何ら協業化の助長、育成ということについて新しい施策の芽がない。この点についてどのようにお考えになっておりますか、ひとつ基本構想について伺いたい。これに関連して、協業化の現状資料として御提出を願いたい。それから政府が今日まで講じた協業化助長のためにとった措置、これは農地法の改正、農業協同組合法の改正以来今日まで講じられた措置を明らかにしていただきたい。これを資料としていただきます。  最初に、この点から、大体方針と今日までの現状と、とった措置について、資料はあとでもけっこうですが、この際、担当の農政局長から抽象的ではなしに、いま言いましたように、具体的に、率直にひとつ御答弁を願いたい。
  23. 昌谷孝

    昌谷政府委員 農業基本法の制定以来、私どもは、自立できます農家の育成ということを主眼にしてやっておりますことは、御指摘のとおりでございますが、農業基本法でも明らかにいたしましたように、またその後しばしばいろいろの機会に、農林大臣その他関係の者が明らかにいたしておりますように、私どもといたしましては、協業の助長ということは、自立経営の育成ということと、むしろ相補う補完関係にある、重要な今後の農政の一つ指導指針と申しますか、目標であるというふうに考えておるわけでございます。農業基本法も、そういう趣旨で、自立経営になろうとする農家あるいは自立経営たり得ない農家、いずれにいたしましても、今後農家経済というものが、家族経営の中で自己完結的にすべての需要を満たしていくということは非常に困難なことでございますから、そういう意味では、協業組織あるいは協業経営というものの健全な発達があることによって、初めて農業経営自体がうまくいく、そういう認識で、基本的には協業の助長についても熱意を注いでいるわけでございます。そういう意味で、現に農村の実態から申しましても、水の利用をはじめ、古い慣行に基づく協業組織の関係があることは、もちろん御承知のとおりございますが、新しいいろいろの大型技術を自分のものに取り入れていくという過程におきましては、協業組織の活用ということが不可避の問題になろうかと思います。そういう観点から、私どもは協業の助長について熱意を注いでおるわけでございます。  なお、協業経営あるいは協業組織の現状あるいは講じてまいりました施策につきましては、資料によって説明をするようにというお話でございますが、私どもといたしましては、そのような意味合いで、農業基本法の中の重要な一環を占めます施策でございますので、過般御提出をいたしましたいわゆるグリーン・レポート、「農業の動向に関する年次報告」それとあわせてお出しをいたしました講じた施策あるいは講じようとする施策の中でも、協業についてはある程度のページをさいて、現状の分析なり、過去の施策の反省なり、今後講じようとする施策の御説明をいたしております。一応資料といたしましては、それによって御了承をいただけるものではなかろうかと思うのであります。なおそれで足らざるところがございますれば、また後ほど御説明をいたしたいと思います。  それから、具体的な予算措置に関連して申し上げますと、御承知のように、農業経営の問題というのは、私は助長の接近のしかたとしては両面あろうかと思います。一つは、協業をどうしても必要とするようないわゆる大型の機械と申しますか、大型の技術の導入を奨励することによって、協業経営なり協業組織を助長していく方法があろうと思います。耕種の場合でいえば、大型の機械あるいはそれに関連した一貫した作業体系を導入することによって、むしろ協業組織の必要を現地において実際に即してこなしていただく方向、あるいは畜産で申せば、多頭飼育の有利性を技術的な面から解明をいたしまして、農家がそういう方向へおのずから移っていただけるような、要するに新しいそういう大型技術体系を農家のものとして導入していく、なじませていくという方向が一つあろうかと思います。  もう一つの助長の接近のしかたとしては、やはりこれは意識の問題であろうかと思います。そこで、表向きは協業の助長ということに直接的には結びついておらないように見受けられるかと思いますが、私どもとしては、たとえば後継者の育成の問題でありましても、あるいは協業組織の全体の普及のめどの置き方にいたしましても、最近よくいわれます、家族関係の近代化ということばがよく使われておりますが、そういった家族関係の近代化ということが、やはり急がば回れで、協業経営なり協業組織なりの健全な発達への一つの素地をなすものであるというふうに理解をいたしておりまして、その方面からの接近も、テンポは思うにまかせませんが、着実に進めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。  その意味におきまして、前段申しました大型の技術、目に見える、手にとって見えるほうの奨励方策といたしましては、何と申しましても、いま進めております構造改善事業を通じての協業の助長が、一番具体的であり、かつ積極的な施策として、私どもが講じておるものの例であるかと思います。御承知のように、構造改善事業におきましては、平均規模としては、一地区九千万円の事業費のうちの二分の一を国が補助をいたしておりますが、その中身は、土地基盤の整備と近代化施設の導入でございます。土地基盤の整備につきましては、家族経営であれ、兼業経営であれ、協業経営であれ、共通の土台でございますから、これはそういった経営主体のいかんにかかわらず、助長の対象といたしておりますことは御承知のとおり。しかし、近代化施設の助成につきましては、御承知と思いますが、個別経営が必要とする近代化施設については、補助対象といたしませんで、三分五厘の融資の対象として導入をはかっております。そうして個別経営で手のつけられない大型の、いわゆる協業組織、いろいろな広義の意味の協業組織を前提とするような近代化施設につきましては、これを特に補助の対象として取り上げておるわけです。端的に申しますれば、多頭飼育をやる場合、協業経営によって多頭飼育をやる場合に、大きな畜舎その他の施設については、近代化施設の補助の対象にしておる。ところが、個別経営が大型の畜舎をつくる場合には、三分五厘の融資でやっていきたい。さようなふうで、その辺のところで、先ほど来申し上げております大型の技術体系を、協業組織というものをてことして農村で実施にこなしていただくためには、そういった助成の体系にも若干の差等をつけて、私どもとしては、協業の助長に特段の熱意を注いでおるつもりでおります。
  24. 足鹿覺

    足鹿委員 昌谷さんからるる御説明がございましたが、予算面あるいは農林省の機構の面において、いまおっしゃったような努力目標はあるし、昌谷さんとしてのまた構想はあっても、具体的には出ておりません。私は、この際、同僚委員なり、また当局の方々の注意を喚起していくために、この問題の経過を一とおり申し上げますと、農業法人事件は昭和三十二年五月に発生しておるのです。三十三年に初めて国会審議をし、三十四年三月に当委員会において法制化促進の決議が採択された。そこで、三十四年十二月に農林省も初めて法制化の考え方を発表しておる。三十五年は安保その他で法制化が延期になり、三十六年に、政防法等の審議のために審議がストップされましたが、基本法の単独採決によって近代化資金の制定がなされた。そして三十七年にようやく農地法、農協法の改正が、私が述べましたように、法律の改正がなされただけであります。「農業の動向に関する年次報告」において書いてあるなどと言っておりますが、私も拝見して、それでは足りないから、申し上げておるのです。私が述べたような実態は、やや抽象的に出ております。「協業化の動き」というところに出ております。出ておりますけれども、ただそれは平面的に昭和三十八年三月末現在で三千九百四十四件を数えておるということであり、その中身として、全面協業がどう、その中でも畜産がどう、耕種がどうというふうな若干の実態を報告しておるにすぎない。今日の日本農業の兼業化が促進していく中にあって、自立経営の育成が困難な中にあって、今後この方向をどう打ち出すべきかという具体的な年次報告についての検討一つもなされておらぬ。どこに隘路があるのかということについても触れられておらない。ただ、九十一ページに「価格の不安定、大規模経営技術の未熟、協同精神の欠除などの諸要因がからまり、さらに、個別経営とあまり変わらない所得の水準や、赤字解消不能に基づくものであろう。」とあって、このために協業化が解体または困難な事態に直面しておる、こう指摘しておるだけであります。その程度で、いまあなた方は農地法の改正検討しておると伝えられておる。これは朝日新聞が二月十七日に報道しておるところによりますと、「農地法改正、関心集める赤城構想」という大見出しで「賃貸借の円滑化図る」「所有権と耕作権を調整、経営規模を拡大」と言っておる。経営規模を拡大していくには、農地の流動化は確かに必要でありましょう。必要ではありますが、流動化しないのが現状じゃないですか。昨日も全日農の大会を開いて、固定資産税の再評価反対の大衆行動を起こし、政府その他にもるる要請をいたしまして、農民の悲痛な声を訴えましたが、流動化しないのに拍車をかけて、固定資産税の評価がえによって、実質的に引き上げようとなさった。農民の反撃や世論の反撃を受けて、農地だけは三年間現状よりも上げないということに一応は落ちついておりますものの、そういう考え方自身事実上において流動化を妨げておるじゃありませんか。だとするならば、一体この赤城構想のいう、農地法を改正して経営規模を拡大していくという構想の内容は、検討段階はどういう段階まできておるか。また、その方向は、自立経営だけにこの農地法を改正していこうとしておるのか。先ほど私が指摘したように、三十七年に農地法、農協法の改正をして以来、改正のしっぱなし、あなた方は何もやっていない。三千幾つの協業化ができたというだけのことである。あまりたいした施策が打ってない。第一、私は、先日、どこが担当かと思って、農林省へ前もって電話その他で調べてみた。そして驚くべきことには、この共同経営の主管局は農政局になっておりますが、担当課長は来ておらぬ。担当の班長もおらぬ。一体そういう体制で何ができますか。まあ、都道府県から報告さしたものを集めて、平面的に分析して年次報告に並べるのが落ちではありませんか。これだけ兼業が進んで、しかも共同化が、第二段階の兼業農家中心とした方向を現実に求め動きつつある段階にあっても、地方農政局はつくったけれども、きめのこまかい農政を推進するといいながら、こういう具体的な動きに即応する方角を欠いた経営規模の拡大対策——協業といい、共同といっても、形の変わった経営規模の拡大対策ですよ。なぜ自立経営だけにそんなにとらわれるのですか。もっと虚心たんかいに、こういう農家が現実に求めている——しかも、協業が第二段階に達したという兼業農家中心の方向へ進もうとしておることは、現実の必要から起きてきている。ただ単に適正課税を求めるところに端を発したこの姿が、だんだん高度成長下における所得格差の拡大によって、農業では食っていけない。最近においては、集団大移動、出かせぎの大移動が全国各地で出てきている。そういう中にあって、赤城さんも、所信表明の中で、農業労働力の老齢化、婦人化を嘆いておられる。そして、伝習農場強化等はありますけれども、もはやそういうものは試験研究の段階ではなくして、各地に起きつつあるこういう協業化の芽を、思想や考え方の相違などで片づけるのではなくして、現実に農民の声に即応して、もっと積極的に指導する責任と義務が私はあると思う。ただ農地法と農協法を改正した。農業年次報告の中にも一、二ページさいて書いてあります。そういうことは、農政局長、あなたも関東農政局長を最近までやられて、農政局長としての経歴は少ないのでありますけれども、あなたの責任として私はこれを追及しておるわけではありませんが、問題を指摘しておきたい。次官もおられますが、一体この協業の経営規模の拡大、農地法の改正というような問題を一方において検討しながら、協業問題や共同化問題については、農林省のどこが中心になって指導しておりますか。現在どういう機構がありますか、今後どうするつもりでありますか。そういうへなへな腰では、世紀の日本の新しい農業の一つの芽ばえを育てていくことは困難であると思う。私は、役人の組織だけをつくれというのではありません。政府の熱意不足の一端がそういう面にも現われているということを事例として申し上げている。農地法の改正を一方に考えて、とにかく経営規模を拡大していくということは、それ自体には私どもも賛成であります。私ども自立経営には必ずしも反対しておりません。しかし、自立が困難な事態、この事態に即応していくためには、やはり協業や共同化は、第一種兼業農家中心に進めざるを得ない段階に来ておるではないか。それをもっと本気に取り上げられる必要があると思いますが、その点を伺っておきたい。この問題についてはまだたくさんありますけれども、御答弁によってもう一問だけお認めいただきたいと思います。
  25. 昌谷孝

    昌谷政府委員 先ほど私が申しましたように、私どもとしては、構造改善事業を通じ、あるいはまた普及事業全般を通じて、一方では意識の近代化を通じ、一方では技術の近代化を通じて、自立経営並びに協業の助長をやっておるわけであります。また、最近の大型技術を農家のものにするためには、協業の制度に依存せざるを得ない分野というものが圧倒的に多くなっております事情も、申し述べたとおりでございます。したがいまして、構造改善事業も、村々の計画の実態をよくごらんいただけば御了解がいただけると思うのでありますが、おおむね構造改善事業が取り上げております新しい技術の導入というのは、協業組織を通じ、あるいはそれを媒介として、農家のものになっていきつつある実情でございます。法制的な面でというお話、あるいは機構面でというお話もございましたが、私は、機構面の問題といたしましては、先生意見を異にするわけでありますが、御承知のように、自立経営を所管する課を実は農林省は持っておりません。協業経営を所管する課も持っておりません。これは、私としてはそれでよいのだと思っております。と申しますのは、そういうふうに分けて特に理解すべき筋合いのものではないと私は思っているわけであります。自立経営もけっこうでございますし、また、自立経営を大いに伸ばす反面、協業を必要とする場合もあるわけであります。これらは技術の行政を通じ、あるいは経営の行政を通じていくわけでございますから、そういう意味合いでは、経営一般の中で所管するのが、むしろ行政としては効率的であるというふうに確信をいたしております。なお、法律の所管ということになりますれば、農地法の所管あるいは共同組織の所管という意味では、それぞれ所管課を持つ必要がございますけれども、中身をなします経管の実態の問題につきましては、そういうことで進めるのが、農政としては適切ではなかろうかと考えているわけであります。  なお、ただいま大臣から私どもが命ぜられまして検討いたしております問題は、まさに先生がおっしゃいましたように、自立経営の確立の促進の問題とあわせまして、協業の助長の問題でございます。自立経営の問題につきましても、協業の助長の問題につきましても、この年次報告の中で触れておると思いますが、やはり先生のおっしゃるように、兼業農家の農業部門を取り込んだ協業というものが一、二——一、二と言うと語弊がございますが、萌芽的には見られますが、やはり本流をなしておるものは、兼業度の低い農家の協業のほうがより進度が高いわけでございます。これは農業に対するその方々の熱意の反映であろうかと思いますが、私どもとして今後自立経営の助長にせよ、協業の助長にせよ、やってまいります場合に、兼業農家の農業部分をどういうふうにして組織化をし、また大型化していくかということが、最大の関心事であり、課題であることは、お話のとおりでございます。これは協業によっても、いまの現状では自立化が困難であると同じように、協業でその問題を片づけようといたしましても、やはり片づかない面を持っております。そこが私どもの一番苦慮いたすところでございます。  そこで、それらの点につきましては、先ほど来お触れになりました農林大臣の昨年暮れの課題にもありますので、私どもとしては、どういうことをやっていったらいいかという線で協業を進めておるわけでございます。その一環として、あるいはそれらのことの困難な原因一つに、賃貸借による農地の流動化というようなことが、場合によっては相当の効果を発揮する手だてになるのではなかろうかという議論がございまますので、それらの議論をこしてみて、ほんとうにそうであるならば、そういう方向に進むには、どういう点で法制上の措置をとったらよろしいかというようなことを考えるのが、現在の課題であろうと考えております。(「明快」と呼ぶ者あり)
  26. 足鹿覺

    足鹿委員 何を明快というのか、ぼくにはわからぬが、与党席からの応援だというならば、それは言論は自由でありますから、あえてとがめません。しかし、昌谷さん、いまのあなたの答弁をもってしては、私が与党であっても明快であるとは言いかねるのでありますが、それは見解の相違といたしまして、あえて時間を費やすことは避けますが、とにかく、私は、別に所管局を置けとか、所管課がないから熱意がないと言っておるのではない。いわゆる国全体の農業政策が指向しておるものが、経営規模を拡大していく客観的な条件をどうしてつくり出していくかということにあれば、別にあえてそれをとやかく言っておるわけではありません。しかし、締めくくりをする意味においては、こういう激しい兼業化が進んでいく段階にあっては、これに即応していくように何らかの機構上のくふうが必要であるということはお認めになりませんか。  一例を申し上げましょう。これも農林省がいかに手おくれをしているかということの一つの証拠を申し上げますが、要するに、企業的な農業集団の育成ということについては、そのことが、思想的な立場とは別に、組合法人化をやると、県庁その他に報告があってうるさい。したがって、会社法人のほうが気楽でいい。ただし、中身は、運営状態としては、でき得る限り利潤を分配するのではなくして、労働力の提供、あるいはその質に応じて、まずこれを確保していくという運営がなされておる。ですから、私は、こういう育成段階にあって会社法人がいいか、組合法人がいいかなどということを、あまりここで議論したくありません。われわれの方針としては、組合法人が正しいという基本方針を持っておることを明確にいたしておきますが、とにかくいまの県庁等が、組合法人をつくるというと、いろいろな報告を求めてくる。だから百姓はめんどうくさがる。これは現に岡山県において、民間のコンサルタントをやっておる人たち、農業協同組合とは別個に、政府の援助も県庁の援助も受けないで、自分たちの力で、経営コンサルタントをやっておる人々を集めて意見を聞いてみたところが、みなそういう意見だったのです。民間においても、経営のコンサルタント活動というものは、もう自力で各地に起きております。何々を頼めば一件千円とか、何々の調査を頼めば一件三千円とか七千円とかいうふうに、ちゃんと料金等もきめて、その人たちが現地に行ってみますと、どうも会社経営にしろ、組合法人経営にしろ、経理がわからない、意外なところに大きなミスを犯しておるというところで、非常に喜ばれておるのです。これを受けて各県においても、このコンサルタント活動というものに対しては、農業会議所あるいは農協が、民間のそういうものに対して援助の手を差し伸べておる。ある県のごときは、県が法人化、共同化協会へ五百万円、三十九年度においては七百万円を構造改善コンサルタントに対して助成を考えておる法人化問題とコンサルタントを加えますと一千百万円くらいになるだろうといわれておりますが、県においてもそういうふうに次から次と施策の手を伸べておる。また農協においても、現在政府のやっている農業改善事業というものとは別に、いわゆる自然的、経済的条件というものを考えて、数カ市町村にまたがる営農団地の指導に乗り出しておる。これは形を変えた一つの共同化であり、協業化であることは申すまでもありません。ですから、政府自身がそういう動き、もっと生きた姿を最近の時点においてとらまえ、これをどう施策の上に打ち出していくかということが、つまり、あなたがさっきから言う——農業の近代化と昌谷さん言ったって、近代化をするためにとるべき必要な措置というものは、抽象的に基盤の整備だ、金融機構の改正だ、あるいは流通価格問題についての検討だということを何ぼ言ったって、それでは片づかぬです。いま私が言っているような、こういう一つの芽ばえを、一つ一つ重要と思うものを集約して、国の施策の上に反映をし、機構の上にこれを反映していくところに、初めて近代化の条件というものが積み上げられていく。とにかくうたい文句を幾らお互いがやりとりしておっても、政策は前向きになりません。私が先ほど言いましたように、あなたも聞いておられたでしょうが、きょうあすの質問は各目質問ですから、抽象論をやっておるのではない。具体的な数字の上に立って、政府の欠陥と認めるところを私はついておる。ですから、それに対しては、農業近代化の施策を進めますとか、そういう抽象的なことばでは困るのです。いま私が指摘したような問題を踏まえて、そうして積極的な施策をこれからでも講ずるだけの熱意と態度というものが、私は必要だと思う。それを言っておるのです。政務次官の先ほどの御答弁は、まことに誠意のある御答弁であり、われわれが多年一緒にここでやっておった立場で、党派を越えて相通ずるものがあると私は思いまして、非常に感謝をしてお説を聞きました。がしかし、依然として、現にあなたの御答弁のその直後に、いま言ったような事態がやはり発生しておる。これは政務次官を責めるわけではありませんが、何かいまの農業が変転をしていく、これに即応していく農林省の機動的な即応態勢というものに、致命的な欠陥があるのではないか、かように思わざるを得ない。口に経営規模の拡大を唱え、そうしていかように農地法の改正検討してみても、そこからは早急に何ものも出てきていない。現に農民が意欲的に取り組もうとしてきている問題とやはり取り組んでいかなければ、問題は解決しない。たとえば農地法の改正の問題は、請負耕作の問題等から、農林省が困って、いわゆる賃借の流動化を考え一つの契機になったと私は思う。農地局長おいでになっておらぬようでありますから、これはあらためて聞きますが、いわゆる請負耕作などというものは、現行の農地法の面でどう解釈しますか。これは協業化につながる問題です。協業化という形をとっておりませんけれども一つの協業化につながる問題として提起されておる。そういう問題から、あなた方は農地法の改正ということを検討しておられると思いますが、要するに、企業化であれ、あるいは組合法人化であれ、協業であれ、共同であれ、その客観的条件を育成するだけでは足りない。もっと濃密な、集中的な指導体制なり施策というものが必要な段階が、もうきたのではないかということを申し上げておるわけでありますが、政務次官なり局長に御所見があれば、もっと誠意のある具体的な御答弁をわずらわしたいと思います。
  27. 昌谷孝

    昌谷政府委員 私は、先ほど来、むしろ問題をより具体的に、構造改善という進め方の中で、あるいは普及事業を通じての家族関係の近代化というアプローチの中で、私どもが協業の問題を取り上げている行き方を御説明したつもりでございます。単なる制度論ではなしに、もう少し現実的な問題として取り上げたい、また取り上げつつある実情を申し上げ、同時に、それの進まない理由についても、若干触れて申し上げたっもりでございます。なお、確かに普及制度につきましても、私どものPRがへたなせいでございますか、協業組織なり協業経営なりの事例を集め、それを普遍化するということを、最近では相当の大きなウエートの仕事として現実に逐次着々やっておりますが、ただ、そういうことが何か非常に目立ちません理由の一つとして私どもが反省をいたしております点は、普及制度にいたしましても、あるいは農協の組織にいたしましても、やはりホモジニアスな農民像というものがそこにあるわけでございます。したがって、六百万農家ということばは、基本法以来ずいぶん議論をされましたし、私どもも、意識の中では、六百万農家をただ単純に対象にした施策をやっておるつもりではないのでありますが、どこかにそういうことの残滓があって、組織の問題とかあるいは制度の問題ということになりますと、そういう平板さが表向き目立つという点に、私どもの意の足らないところもあり、またおわかりいただきにくい点もあろうかと反省をいたしております。  協業の問題はそういうことでございますが、そこで、いま検討いたしております農地法の問題は、先ほど来申しましたようなことが主題でありますが、請負耕作の問題にお触れになりましたので、これは農地局の農地法の問題でもありますが、同時に、私どもの今後の新しい農業経営の育成という点からいっても、非常に新しい課題でありますので、一言触れさせていただきますと、私は、農地法の違反でない限りは、制度化すべきでないと申しますか、制度化するのは時期尚早だと思っております。農地法に触れる限界は、おそらく企業リスクが移転する段階だろうと思います。企業リスクが移転しない形での請負耕作は農地法には触れないというのが、一応の通達の解釈の趣旨でございます。この段階農家の実態が、それぞれに非常に創意工夫をこらされ、地域、地域の実態に即して、むしろ非常に弾力的に行なわれていますいろいろな形のいわゆる請負耕作は、もう少し黙って見守って育つべきところへ育てるのが、経営を担当いたしております私の局の気持ちとしては好ましいように思います。制度化するということは、裏返して申せば門が狭くなることで、いまは青天井に近い状態、むしろ、制度化することによって、先生の御指摘のような、一応定型的な様式行為も求められましょうし、あるいは定期的な報告も求められましょうし、それから天衣無縫な農家の発意がそれによって何がしかでも曲げられることは、間違いのない事実であります。したがいまして、農地法違反という問題が具体的に起こらない限りは、私どもは、請負耕作の制度化は、農家の立場から、あるいは農家の立場を代弁する私どもの局の立場からは、むしろ要求すべき筋のものではない、自由濶達にやらしてもらったほうがよろしいのだ。ただ問題は、その過程におきまして、そのグループ相互間の中で何か不ぐあいなことが起こる、権利の摩擦が起こるとか、あるいは利益の摩擦が起こるとか、他のグループに対して迷惑を及ぼすような結果が出る、そういう問題が派生してまいりますれば、その段階では、若干窮屈になりましても、やはり制度化をしていかなければ他人に迷惑を及ぼす、また参加者内部において争いが起こるというようなことでありますれば、放置はできないと思います。しかし、現状におきまして、そういうフリクションのあった事例はいまだもって私どもは聞いておりません。したがいまして、いましばらく農家の自由濶達な適応方法を黙って育てる、育てるというとおかしいですが、お育てする形で、なまじ制度的なもの、あるいは予算的なもの、要するに行政介入をしないほうがよく育つのではないかというのが、私どもの局の考え方でございます。そういうことでございまして、私どもとしては、むしろ問題を非常に具体的な行政の問題あるいはアプローチの問題として考えて、そういう措置をとっておるわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
  28. 足鹿覺

    足鹿委員 農地局長がおられませんが、農地局長の見解もいま言ったような御見解でしょうか。——そうしますと、赤城構想と伝えられておる農地法改正の現時点における構想の主たる点は何であるか。いわゆる請負耕作の問題が起きるころから、農地の流動化対策の一環として検討されておるように私どもは聞いておる。しかし、いまの昌谷局長の御答弁によりますと、もうしばらく事実の推移を見守っていこう、そのほうが実態に即応して弊害も少ない、制度改正に手をつけるという段階ではないというお考えのようでありますが、私もよく検討してみましょう。みましょうが、いわゆる農地法に手を入れようということですね。先日のこの委員会で、赤城さんは、第二次の農地改革でもやらない限りは私には名案がない、だれかの質問に対して、教えてくださいと答弁されました。そして一面において、農地法の改正、経営規模拡大の問題、特に賃貸借の円滑化をはかるということは、つまり、請負耕作の問題に端を発した一つのアイデアから、具体的に流動化対策考えておられるのではないか。そのためには、現行小作料も低い、固定資産税の再評価も、大体において三カ年間据え置きであるけれども、やる、したがって、小作料も上げていくということになれば、流動化はある程度進んでいく、こういう構想ではないでしょうか。私どもは、固定資産税を上げて農地の対価を引き上げれば引き上げるほど、流動化は困難だと思う。むしろ、現実に起きておる、私が先刻から言っておるように、協業化をしなければならない第一種兼業農家、この中心に立つ自立農家、その人材というものを中核として、新しい必要に迫られた経営規模の拡大、農地の流動化を必要としないいわゆる経営規模の拡大、これを通じての生産性の向上ということに、もっと力こぶを入れていく段階ではないか。いたずらに制度へ手を加えていくということを——私どもは、必要な段階がくれば思い切った前向きの制度改正には賛成でありますけれども、手をつけるとなると、これはなかなかたいへんなことになる。だから、こういうことが当委員会で明らかにされないで、新聞にはどんどんその内容が出ているのですから、それが明らかにされないということはおかしいじゃないですか。これは農地法の改正という大事な問題なんです。これはまた大臣がおいでになれば、あしたでも私はもっと追及的に質問をいたしますが、いい意見があれば聞かしてくれと大臣は言ったじゃないですか。そう言う口の下で、一方においてはちゃんとこういう構想がぐんぐん進められておる。しかも、われわれ国会議員はつんぼさじきに置かれている。この農林水産委員会の場において、もっと突きつめた形で、当面しておる問題をお互いが虚心たんかいに質疑応答をしていく形の中に、政策の前進と施策の充実をはかっていかなければならぬと私は思っておるのです。そういう意味から質問をしておるのですから、もうちょっと新聞に出ている以外のことが当委員会で聞かれないなんということであるならば、私どもは法案の審議もそのつもりでやりますよ。おまえらは法案だけ通せばいいのだ、とにかく政策の核心についてはなかなかこの委員会では触れられないということであれば、農林委員会の運営上、私は重大な問題になろうと思う。われわれは法律の審議には応じます。しかし、今度出てきておるわずかばかりの法律は、激動しつつある日本農業の実態にそのものぴしゃりで入っていくものもありましょうし、手をつけたものもありましょうが、総合的に見て、きわめてもの足りない。予算の面からは、先日同僚議員がいろいろと御質問なさいましたから、具体的に言ってきょうは御所見を承っておるのでありまして、そういう点についてどうも私は納得がいきません。この委員会審議の場を通じて、もっと具体的な実のある質疑応答をしてもらいたい。新聞に出る以上の御答弁がいただけない、新聞に載る範囲のことも、それも部分的にしか聞けないなんという委員会なら、やめたらよろしい。そういう運営が続けられる限り、私どもは法案審議に対しても用意がある。お互いに形式化されているような委員会のあり方に対しては、委員長を通じて反省をしていかなければならない。われわれは、実のある審議をこの委員会を通じて国民なり農民に知らす責任がある。先ほど言われたような農地法の改正について、賃貸借の円滑化をはかる、これを通じて所有権と耕作権との調整をはかって、経営規模の拡大の方向へ持っていくということはどういうことですか。
  29. 昌谷孝

    昌谷政府委員 農地法の問題は、農地局長が見えましたら、後ほど補足をしていただきますが、私は先ほど申し上げましたように、大臣から御下命を受け、また私どもも基本法制定以来の今日までの結果を反省をして、検討いたしたいと思っております点は、自立経営の確立、それから協業の助長という点を、いまのようなテンポであるのを、もう一だん促進すると申しますか、さらに積極的にそういう自立経営的な農家がもっと数多く育ち、また協業経営ももっと健全に数多く育っていくためには、どういうことを必要とするかというのが検討の課題であります。それを検討いたしていきます問題点といたしましては、いろいろ技術的な可能性の問題もございましょう。また農家の就業構造の問題もございましょう。また外部経済の雇用構造の問題もございましょうし、それらの中の一環として、先ほども申しましたように、賃貸借関係をもう少し流動化と申しますか、円滑に進め得るようにすることが、そういった特に兼業農家の農地の農業的活用というような面を、協業を通じ、あるいは自立化を通じて促進していく上に、非常に有効なのではないかという議論が相当ありますので、それらの問題も、いまのようなことで円滑化すれば、そういうことにはたして非常にプラスになるかどうかという問題の検討も含めて、現在検討しておりますと申しました。それがまさに全部でございます。朝日新聞が何かそのうちの一部をとらえて報道されたようでございますが、それについて、そこまで検討が進んでおりますのかどうかについては、私は存じません。それで農政局の立場としましては、農業経営と自立経営にする、そういった課題を持った上で、そういうことを促進するように、農地法のこのところがこうだという問題を具体的につかみますれば、農地局のほうとも相談をして、検討をいただくということになろうかと思いますが、請負耕作の問題については、先ほど申しましたように、いまの段階でへたに制度化すると、かえって育つ芽がつまれると申しますか、育つ芽が一つの型にはまる結果になる、制度化というのは、すなわちそういうことでございますから、私個人の考え方としては、そういうことは必ずしも——もしいまある現実が農地法違反であれば、何とか手を打たなければいけないと思いますが、農地法違反でない限度において、農家がそういうくふうをこらしておられる限りは、あえて制度化は急ぐ必要はないというのが私の意見でございます。
  30. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 途中で参りまして、あるいは趣旨が違うかもしれませんが、現段階において農地法について再検討する必要があるのかないのかということにつきましては、新聞の論説あるいは各方面でいろいろ取り上げられておりますので、私どもは、常々農地法の改正については研究を続けているわけでございますが、特に大臣から三月ないし五月を目標にして、他の施策との関連において農地法を研究してみろという命令がございました。何を検討するのかということにつきましては、今国会におきましても再三御質問がございまして、大臣から数点についていま部下に検討させているという趣旨の御答弁が再三行なわれているわけでございます。  農地法をめぐる問題点といたしまして、やはり一つの非常に大きな問題点は、農家が大きくなっていく上において現行農地法が制約であるかどうかという点が、やはり一つの大きな問題点でございます。動向報告におきましても、結論において、経営規模拡大の諸条件というところで、農地の流動化と農業経営の安定を総合的に考慮しつつ、新しい条件に即して、土地に関する諸制度検討する必要があることを示唆する、かように結ばれておりますので、私どもといたしましては、あらゆる角度からこの問題を検討しているわけであります。現在結論を得ているわけではございません。毎日非常に精力的に問題点を整理いたしておりますが、結論に到達しているわけではございません。先般朝日新聞に出ました問題点は、農地法の改正にあたりまして、私どもが非常に悩んでいると申しますか、大事な問題として取り組んでいる問題点がまさに取り上げられたわけでございます。動向報告の流動化と農業経営の安定を総合的に考慮しつつ、ここが非常にむずかしい点と私ども感じております。俗説と申しますと語弊がありますが、一般的に農地を流動化するためには、現在の賃貸借関係あるいは二十条の賃貸借の保護あるいは小作料統制のあり方、そういうものが、農地の賃貸借による流動化を阻害しているのではないか、こういう議論が非常に強いわけであります。しかし、現在の流動化は、農業が安定して、より大きい規模で、より高い生産性のもとで行なわれるための手段でございます。それが経営の安定を阻害するに至っては、本末転倒のおそれなきにしもあらず、したがって、このやや相矛盾いたします情勢に対しまして、現在のままで徹底的な耕作権の保護が、かりに流動化に阻害があっても、それが是なりと判断するか、この段階におきまして彼此勘案をいたしまして、農地法の流動化への阻害的要因がなきにしもあらずでございますが、その点をいかに処理するか、これは真剣に取り組んでおるわけでございまして、当然、ある結論等が出れば、いろいろな機会に御批判を受けるべき性格の問題だ、かように考えております。いま結論が出ておらない、検討中の問題でございます。御質問その他がございますれば、検討中の問題で、どこで問題がぶつかっておるのかというような点は、率直に申し上げるつもりでございます。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 これは重要な問題なんですが、私は、大臣構想というものは、この間ちょっと触れられましたが、去年の十二月に大臣構想について指示が与えられ、三−五月中に問題点を整理して、必要があれば必要な措置をとれ、こういう命令が下されておることは、いま局長の御答弁の中にも一端が出ておるのです。問題点の整理のしかたを誤ったら、一方においては地主の農地補償の問題が出ておる。これはうしろ向きの姿勢だというので、あなた方は担当省であることをがんこに拒否しておられると新聞に出ておる。これは大臣にも聞いてみたいと思っておりますが、もしこういうことを農林省がお引き受けになるならば、私は、これこそ農林省はもう農民の信を一ぺんに失うだろうと思う。いまのいわゆる耕作権を中心にしてものを考えるか。現在の農地法は働く者がみずから農地を所有するという立場に立っておる。それをいま丹羽局長の御答弁によると、慎重な御答弁をいただいて、私も、その意味においてはあなた方の良心的な検討に期待いたしますが、非常に重要な問題ですね。いま日本農業に与えられた最大至上の命令は、経営規模の拡大なんです。経営規模を拡大していく上において、農地法上の隘路がもしありとするならば、小農主義的な、いまの働く者がみずから土地を所有する、こういう、そこに最高保有限度もありますし、また小作料の統制も微力ながら続いておりますし、そういうものをもし隘路というならば、これはたいへんな問題が出てくる。  この朝日新聞の伝えるところによりますと、私が先ほどから指摘しておりますように、「請負耕作の流行は、農地の流動化をはかるには耕作権を弱め、所有権を強める必要があることを示している。」こういうやみ小作の一形態としての請負耕作についての考え方を記載しておる。そして「赤城農相としては、結局耕作権と所有権を調整し、円滑に農地の賃貸借が行われるようにしたい」という考え方だと書いてある。だとするならば、これは、赤城さんは、この間この委員会においては、第二次農地改革のようなことは私はやる意思はないと言いながら、事実上においては、農地法の根幹に触れるような問題についてあなた方に命令を下しておる。しかも三−五月の間にこれを出せと言っておる。だから赤城さんとしては、農地補償の担当省などというようなものをこの際引き受けたならば、自己矛盾、自己撞着に陥って全く困るから、頑強にこれを拒否しておられると私は解釈しておる。明日でも赤城さんがおいでになりましたら、この委員会において確認をしておきたいと思います。もしそういうことをなさいますと、これは、農林省自体が正しいと思っていまから十数年前にやったことを、後向きに今度はそれを否認するような仕事を担当なさることになりますが、そういう自己矛盾も考えられて、農地法の改正問題をやはり経営規模の拡大の一環として考えられておる、これはもう時間の問題で、私は表面化してくると思うのです。問題点を整理するだけではとどまらない。必要があれば、これはこの委員会においても公聴会を開いたり、土地改良法の審議の際には、もっと突っ込んだこの点についての検討を加える必要があると思う。とにかく経営基盤の整備だ、経営規模の拡大だと言っておっても、具体的なきめ手がいまない。私がこの質問に関連していま指摘しておるのは、兼業農家の協業化の問題を指摘しておるのです。これは新しい傾向です。今度の地方税法の改正によって、協業化の場合に出資に見合う農地の提供については、贈与その他の点において租税の特免措置を講ずるということで、続けて今後も三カ年間延長が認められておるように新聞紙は報道しておりますが、とにかく流動化を所有権や耕作権に限って考えようとすることは間違いです。現在持っておる農家を、どうこれを兼業せしめ、協業化せしめていくか、もっとそういう面にあなた方は目を向ける必要があるのじゃないですか。赤城構想の何たるかは、大臣にもっと具体的に私は追及いたしますが、現実に起きておる。兼業農家が四〇%をこえておる。自立経営農家は年率二%か三%しか上昇しない。そういう中にあって、すでに兼業農家がりっぱに協業に成功をして、生産性をあげておる。そういう事態は、これは農地法を変えなくても、協同組合法は先般改正されたばかりであるし、農地法も先般改正されたばかりであって、これの運営の適正によってはもっと成果があがる。そういうことはてんで担当部課もない。客観条件を整備していくそのことでいいんだというふうに昌谷さんは言われますが、そういうことでは、私はこの問題は解決つかぬということを指摘しておるのです。ですから、もっと経営規模拡大対策について真剣に事務当局として考えられる必要があると思う。自立経営、自立経営と言われるが、自立経営の年率二%ずつの増加をもってして、所得倍増計画の十年後において二町五反、百万円農家ができますか。できやせぬでしょう。六十万円の年所得の自立経営農家などはもう時代に沿いませんよ。少なくとも二百万、三百万の年収入の自立経営農家でなければ、もう時代に即応しません。あなた方は政府の所得倍増計画の中間報告において、所得倍増計画中間検討の焦点という点においては、農業と中小企業の近代化の問題についてちゃんと問題を指摘しておる。もうそういう六十万円や二町五反、百万円農家などというものでは間に合わぬということを暗に認めておる。だのに、所管省であるあなた方事務当局が、こういう現実の動きに少しも敏感に即応する態勢がないということは、私は遺憾に思う。いま聞いてみても、慎重の一点ばりで、慎重はけっこうですが、角度を変えてもっとものを見る必要がありはしないか。  丹羽局長に伺っておきますが、農業協業化について、農地局は、一体経営拡大対策についてどういう構想をお持ちですか。農地の造成や開拓、干拓、あらゆる面を通じてみて、もう政策的に行き詰まりがきておる。経営規模を拡大して、生産性を向上し、他産業との所得の格差を縮めていく具体的な農地局としての農地政策のきめ手、焦点、それはどういうものを持ち合わせておられますか。具体的に、あればこの際承っておきたいと思います。
  32. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に、一言訂正といいますか、申し上げたいのは、大臣がある結論を出してこういう方向で検討しろということではございません。その要綱に示されました問題点の立場に立って、あらゆる角度から問題点を検討しろ、その中には、先ほどお話もあったと思いますが、御指摘の経営規模を拡大していく全般的な問題も含まれておるわけです。そのうちの一環として、農地法に問題があるかどうか、これも検討しろ、こういう趣旨のことでございまして、ある方向を出して、それで法律案をつくれとか、要綱をつくれということの御下命ではありません点は、はっきり申し上げておきたいのでございます。したがいまして、検討事項に上がっておりますのは、先ほど賃貸借の問題をあげましたが、先般の国会で生産法人の改正をつくりました。あれにも御承知のとおり相当な強い条件がかけてございます。この条件が、協業化なり、生産法人の農地実行組合で農業を営もうとか、その他の形態において、農業を営もうという方々の立場から見て、過酷というか、条件がきびし過ぎるのではないかどうかという角度からも検討しろ、こういう問題も、検討すべきテーマとして整理を続けておるところでございます。したがって、全体といたしまして、現在の日本におきます農家の経営規模を拡大する方向について、私どもの分野としては、農地法の問題、したがって、その中には賃借関係の問題、法人経営の問題、それの諸条件の問題、全部網羅して取り上げておるわけであります。  そこで、最後に御質問の、農地局としては、経営規模の拡大についてどう考えておるのかという問題につきましては、まさにその立場に立ちまして、経営規模の拡大の阻害要因をあらゆる角度から、法律で拘束いたしておる法制でございますから、検討をいたしまして、その部面の障害はできる限り除くべきものは除く。と同時に、これは法律だけで自立経営なり経営規模の拡大ができるわけではありませんので、あるべき大きな経営の姿というものはいかなるものか、協業経営のあり方というものはいかなるものか、あるいはそれを実現する手段といたしましての国の、たとえば財政、金融全般の措置がいかに総合的に講ぜらるべきか、こういう角度から、いろいろの分野にわたって、農地局だけに宿題が多くあるわけではございませんで、農林省の全分野にわたって、そういう分野の宿題の点の検討を続けておるのでございます。
  33. 高見三郎

    高見委員長 暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ————◇—————    午後二時四十七分開議
  34. 高見三郎

    高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について質疑を継続いたします。足鹿覺君。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 畜産局長並びに経済局長に、価格問題の基本について、二点ばかり重点的にお尋ねいたします。  新聞を読んでおりますと、赤城農政というものは、農畜物産価格の生産費・所得補償方式についてはどうも賛成いたしかねるが、団体交渉権については検討するというのであります。これは、安井吉典君が二月八日の予算委員会の一般質問の際に、赤城農相にただしておる質問の中で、農民の団体に団体交渉権を与えていく、こういう方式をもっと強化したらどうかという質問に対しまして、赤城さんは、「団体交渉権ということばで表現されるかどうかは別といたしまして、農業団体として交渉の相手方になるという考え方は、私どもも入れていきたいと思います。これは団体交渉権ということでなくて、独禁法の排除と言いますか、独禁法の例外的なものというようなことで、事実上の団体交渉をするというか、労働法上の団体交渉権ではありませんけれども、」そういう傾向に持っていくことは私は適当と思います、と答えておる。また、これは日にちは忘れましたが、日本経済新聞に、農産物自由化の基本構想ということで、農林省作業段階を大々的に、これも十段近い大見出しで出しております。これには年間協定方式を考えており、自由化困難品目の輸入漸増の方向で処理していく、その方法としては、国内的に農業の国際競争力強化のため構造改善を積極的に進める一方、農工間所得格差是正のため、不足払い制度など、価格所得政策を充実するという、農政の新しい機軸ともいうべき方向を示しておる。ところが、この団体交渉権については、私どもは、昨年の夏、農民憲章を制定いたしました際に、イタリアのビートの栽培、農民団体と糖業側の連合会といいますか、団体といいますか、その間に生産から最終的な販売に至るまでの団体契約を結んでおる事例等を勉強いたしまして、少なくとも団体交渉権、価格を落ちつくところへ落ちつけていく、お互いが話し合いを進めていくという土俵をつくるべきことを主張し、世論も私どもの説には相当強い共鳴を得ております。たまたま安井君の質問に対して、農林大臣はそれに近い構想を打ち出しておられるわけでありますが、これは、私は不足払いとの関係が出てくると思うのです。一つの売買価格あるいは政府が介入して価格をきめる場合に、支持価格ないしは基準価格というものができる。がしかし、これを再生産を確保していく必要上から生産費計算をしてみたところが、事実上においてその価格との間には差が出ておる、不足があるという場合に、これを補足して再生産を確保していく補てん措置として考えていくことが、関連事項の問題としてこの問題が考えられない限り、政府が生産費・所得補償方式ないしは価格支持政策そのものに賛意を表しておりません段階にあっては、私はなかなかむずかしいと思う。つまり、相手方と相手方が、相互間に取り引き条件、取り引き価格、その他相当長期にわたっての栽培上の契約をしておる事例は、遠くはビール麦、最近に至ってはいまわれわれが審議いたしておりますところの甘味資源のテンサイ糖その他の問題、あるいは畜産関係におきましてはブロイラーの問題、あるいはまた肉畜その他あらゆる面に契約栽培という形で進んできておる。これはいまに始まったことではありません。私ども、昔の系統農会に籍を置いた時代に、ビール麦の契約栽培制度というものを当時発足せしめた経験を持っております。ですから、これは相当の歴史もありますが、どうも購買者側は一つのカルテルをつくっておって、協定価格で臨んでくる。また、そこへ売らなければ、ビール麦の場合でも、他へ売ったのでは価格が下がる。したがって、そこに対等の取り引き者の地位というものが正常化されておらない。そのために、どうしても、先年この委員会で問題になったようなビール麦論争というようなものが出てくる。そこで、やはり団体交渉またはそれに近い価格のきめ方、あるいは取り引き条件のきめ方というようなものを、一つ制度的に進めていく必要があることを農林大臣も認めて、予算委員会においてこういう表現の答弁をしておられると思う。また農林省で農畜産物の自由化に関連をして、不足払い制度検討も進めておられることと思う。ところが、本年度の予算を見ますと、三つの中央卸売市場法適用の場所を指定することと、東京に直売場を設けて、一〇%ないし二〇%時価より農産物を安く消費者に供給していく、こういう考え方の予算が計上され、これに必要な法的措置等も提出されておるだけであって、これだけ重大な農産物価格が問題化しておるときに、新聞に出ておるような、あるいは予算委員会において答弁をしておるような、こういう問題について、何ら具体的な裏づけのないのは、一体どういうわけか。畜産局長なり経済局長は、御所管の事項において、野菜の暴落あるいは乳価の復元払い、いろいろ切実緊急な問題をかかえておいでになりますが、この大臣の団体交渉権の問題といい、不足払いの制度化の問題といい、これらの問題について、現時点においてあるいは近い将来において、どういう対策を具体的に講じようとして、どういう問題と具体的に取り組んでおるのか、少し実のある御答弁が聞けたら非常に私は幸いだと思う。いまの農畜産価格対策は、どちらかというと、農林省としては消費者のことも考えないわけにはまいりませんでしょうが、言うならば、消費者保護的な立場に立った直売方式であり、卸売市場の拡充にすぎぬのではないか、そういう感が私は深いのであります。これだけ価格問題が緊急化しておる限りにおいては、所管局長としては、もっと詰めた具体性のある——いま言われておるようなその内容いかんによっては、私ども不足払い制度賛成、団体交渉権の制度化賛成であります。これをわれわは主張してきておる。また、先進国であるイギリスにおいても、不足払い制度は成功し、イタリアにおいては、テンサイ糖の国内需給完成をこの制度化によって進めたといっても言い過ぎではないというふうになっておるわけでありますが、この点については、畜産局を見ましても、学校給食の需要を見ましても、きわめて微温的である。経済局では、野菜が一時季節的、去年の豪雪、長雨の暴騰のときの考え方をもとにして、そして直売方式というものを打ち出しておる。いわゆることしの暖冬という、昨年とは全く一変した様相下にあっては、五キロの深谷ネギが農家の手取りが四十円という、きのう実物を示して、農政局長にも農民大会の結論で私はその措置を迫った。どうもその機動性というものが一つもない、適応性に欠けた、硬直した価格政策と言わざるを得ない。ですから、私は、まず最初に、農林大臣予算委員会においてある程度言明をされた団体交渉権の構想を、畜産局長なり経済局長は具体的にどういうふうに詰めておるか、今後いこうとしておるか、またこれに関連して、不足払い制度方式については、具体的にどういう検討をしておるか、少し具体的に、詳細にこの際構想があれば明らかにしてもらいたいと思います。
  36. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 まず、流通機構の対策価格の安定の関連でございますが、農林経済局といたしましては、価格の安定の問題は後ほど申し上げますが、中間経費の節約という面から、中央卸売市場あるいは小売市場の対策を進めておるのでございます。これで十分だとは決して申し上げかねるのでございますが、一つには、中間経費の節約ということが、農水産物の価格対策として重要であるということから、いま御指摘のありましたような対策を講じつつあるのでございますが、これに関連しまして、団体交渉あるいは不足払いの問題についてのお尋ねでございますが、これはむしろ畜産局なり園芸局からそれぞれお答えあると思いますが、私のほうから申し上げますと、まず、団体交渉といいますか、名前はどういいますか、農業団体と、それをめぐる他の産業界との間において、価格を安定させるための取引の協定といいますか、そういうものを結ぶための交渉が行なわれることは、古い戦前のようないわゆる特約関係とは別に、必要ではないかという考えから、特に肥料につきましては、御承知のごとく、これは農民が購入するものでございますけれども、需要者側が団体として、メーカー側と、肥料の安定価格をきめるように交渉する場をつくるということを検討いたしておるのでございます。もしもこれが法案として各方面の御支持をいただきますならば、この国会に提案いたしたいと考えておるのでございます。  それから不足払いにつきましては、これはいろいろな局の関係でありますけれども、私ども関係から言いますと、今後農水産物の自由化を進めるにあたりまして、関税を上げるという措置考えられますが、それはむしろ、いま問題になっておりますケネディ・ラウンドなどで逆に一括引き下げの方向が国際的に検討されておる段階であります。そういった自由化と関税引き下げとをやって、しかもなお、国内の農業に大きな打撃を与えないようにするには、財政面から不足払いというような方法考えられるんじゃないかというようなことで、実は検討いたしておるのでございます。具体的にどのような品目についてそういう方式を適用するかということは、それぞれ関係部局で検討していただく必要がございますけれども、それに近い例といたしましては、大豆を自由化いたしました際に、大豆について交付金制度をとったわけでございます。これは不足払いの一つの形でございます。不足払いにも、イギリスでやっておるような方式もございますし、いろいろありますが、今後の自由化の国内対策として考えられる方向である、かように考えております。  団体交渉について、イタリアのてん菜糖の例を出されましたが、私も実地に調査してまいりまして、実は農業団体の方々にもおすすめをしておるような状況でございます。
  37. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 お尋ねの団体協約といいますか、団体交渉といいますか、その問題と、それから私の所管に属します畜産物についての方策としての不足払いの問題について、お尋ねがあったわけですけれども、まず団体協約の問題は、一般論から申しますと、私ども、ただいま経済局長がお答えいたしましたような考え方でおるわけでございます。現在畜産物に関します団体協約の規定は、酪農振興法の第十九条の三で、生乳の生産者を直接間接に構成員といたします農業協同組合または連合会が、その取引契約について、相手方に対し取引の団体協約の交渉の申し込みをし、かつ都道府県知事または農林大臣にその旨の申し出があった場合には、その団体協約交渉に応ずべき旨の勧告をするという規定があるわけでございます。これは畜産物の取引関係における団体協約の特殊な規定でございますが、現在までのところ、農林大臣あるいは都道府県知事に団体協約に関する勧告を求めるごとき申し出は、一件もございません。ただ実態は、御承知のように、生乳の取引につきましては、系統農業協同組合という形での集荷販売、したがって、団体協約的な姿が前進しつつあるわけでございます。私どもも、一般論としまして、おそらく大臣のお気持ちも——私ども必ずしもはっきり御指示をいただいておるわけではございませんが、農民の生産いたしました生産物を集団的な取引を行なうということに、いろいろな有利点があるわけでございますから、農民の組織する団体によって集団的な取引契約が行なわれるという方向に、少なくとも行政指導の方向としては、はっきり態度を示していきたいという御意図であろうと思うのであります。具体的に畜産物についてどういうような団体協約を制度化するかということについては、ただいまのところ、私どもも、制度という意味の形では取り上げて検討をいたす段階に達しておりません。鶏卵等につきましては、御承知のように、かなりの量を系統農協が取り扱っておりますことは、ただいま申しましたような方向に沿って前進をいたしておるものと思われます。食肉等につきましては、まだそう体制にはかなりほど遠い形でございますが、方向としては、私どもも、そういう行政上の指導方針としては、集団的な取引、団体協約的な取引というものが行なわれる方向で、必要な努力を続けたいと思っております。  それから不足払いの問題に関連いたしまして、まずお断わりと申しますが、明らかにいたしておきたいと思いますのは、新聞紙に報道されました、畜産物の生産価格安定の方式として不足払いの制度検討するというような記事は、私も見たのでございますけれども畜産局として正式にそのようなことを決定し、もしくは公表したという事実はないのでございます。ただ、経済局長からのお話にも出ましたが今後日本の農業のいろいろな環境のもとでの発展を考えていくという場合に、やはり価格対策が農業政策の重要な一項目であることを失なわないことは、申すまでもないのであります。現に農業基本法でも、農産物の価格対策に対する総合的検討を行なうことを指示いたしておるのでありまして、省内においても、農産物の価格政策に対する総合的検討が進められておるわけであります。そういう農産物の全体の価格政策をいかにすべきかという基本的な線に沿って、われわれも、畜産物の価格、流通対策というものをどういうようにするかということを、現在の制度に——単に制度の改善もさることながら、さらに進んで、新しい事態に即するような価格政策はいかにあるべきかという点は、私ども内部の検討問題として検討をしなければならぬ、また検討もいたしておるつもりであります。多少おこがましいお答えになるかと思いますが、これはにわかに結論が出しにくい問題であるかと思っておるのであります。それは現行の価格政策につきましても、米麦のごとく、政府の全面的管理ないし全面的管理に近いような価格対策から、さらに自由流通を前提にいたします最低価格ないし基準価格の支持という形の繭でありますとか、でん粉でありますとか、私の所管しておる畜産物の価格安定政策がこれに属するかと思います。また一方、自主的な出荷調整等による価格というものを前提に置いた蔬菜、果樹に至る、幅広いものがあるように思うのでございます。不足払いの実例は、先ほど経済局長がお話しになりました大豆、なたね等に一つの例が開かれておるわけでありますが、これらのものに見られるように、それぞれその商品の特質とか、あるいは農産物の農業内部におけるウエートの問題でありますとか、あるいは国民経済全体との関係における重要な問題というようなことに応じて、それぞれその政策がきまっておるように思われます。したがいまして、直ちに畜産物について不足払いの方式を採用するというたてまえで検討しておるというようにお答えをする段階では目下はない。今後の畜産物の価格安定制度をどうするかということは検討中でございますが、結論的にこういう方向で検討しておるというようなところまで深まっていないというのが実情でございます。
  38. 足鹿覺

    足鹿委員 どうも期待しておったような御答弁もないようでして、新聞の取り上げ方というものは、社会的影響力が非常に大きい。これは言論報道機関の力といいますか、威力といいますか、だれでも見出しを読んで、中身を詳細に検討するというのはよくよくの専門家か、あるいはそれに利害関係を持つ者で、大体大見出し、あるいはサブタイトル等を読んで、次に移るものです。そういう意味から、不足払いの方式を検討ということになると、世間では、現内閣というものは相当思い切った価格対策に乗り出したのだ、こういう印象を受ける。ですから、私どもは、新聞記事をよく読んで、これは相当政府が本腰を入れておるなと思われるものをそれぞれの場において取り上げ、従来の経験に徴して、緊急必要なものから当局に対して質問もし、意見も申し上げ、場合によっては追及質問もする、こういうふうに考えておるわけなんです。ところが、ムードだけで、制度化についてはまだこれもわからぬ、問題点の整理もしておらぬ、検討し、努力をしようという程度では、言論報道機関がそう書いたのだから、わしは知らぬと言われればそれまででありますが、しかし、それだけに、一般の農畜産物の生産に当たっておる者たちは、今日断崖のどん底におるのですから、何とかして頼みの綱に思っておるわけです。それをいまあなた方が御答弁になったようなことが明らかになりましたならば、これは失望するでしょう。私は非常に遺憾に思います。私どもがあなた方から正式にいただける資料は、要求したそのものぽっきりで、一つも親切な資料を事前にいただくわけにはまいりませんから、われわれは新聞その他を活用せざるを得ない。その新聞には、あなた方の一つのムード政策といいますか、中身のまだ不確定な、具体性の乏しい案をどんどん大臣構想としてばらまく。しかし、洗ってみれば中身はないということでは困るのです。  ただいま大豆の例を不足払いの一例にあげられましたが、これはアメリカ大豆の影響を受けるために、先年設けられた制度で、われわれはあの当時ずいぶん議論した。アメリカ大豆の国内の輸出価格そのものを下らないというのが構想の基本であって、日本の国内における生産費主義に基づいた基準価格不足をカバーする政策ではない。そこに基準価格の設定問題について議論が分かれるところとなって、その後も法の運用をめぐって、なたねでも大豆でももんちゃくが起きた。これは明らかに政府の反省を必要とする事態であり、また畜産物については、畜産局長からただいまお答えになったが、これは安定帯価格主義である。これの基準価格というものはない。もししいてあるとするならば、最低限のものが一応基準的なものとして運営をされておる。それを割った場合に、いわゆる事業団を通じてやっていく。ところが、豚肉の場合においても、当時二百三十円の最低価格が二百円を割って、ようやく政府が乗り出していくというていたらくだ。たまたま豚肉価格が三百五、六十円になると、すぐに台湾その他から輸入に大わらわになる、マトンの肉を入れてくる、こういうようなことで、押える役目を主として中心に、価格支持的なかっこうではなく、暴落をどうして食いとめるかという、きわめて消極的な価格政策の中身しか持っておらぬ。これはこれでまた別建てである。米は生産費・所得補償方式で、これを自由米構想以来どうして変革しようかということで、政府はあせっておるというふうに、価格政策自体どれを見てもみなてんでんばらばらで、一つも、一つ制度として、農民をして、あるいは消費者をして、あるいは加工業者その他をして、よらしむべき、きぜんたる政策の基調というものがない。これであってはならぬと私は思います。大臣構想といっても、これは先ほども甘味小委員会で雑談のうちに話したのですが、一年でやめられるのですからね。一年でやめれるから、急いて次々と新聞発表をされるとは私は思いませんが、少なくともあなた方は職を奉ぜられた以上は、一つ制度化を具体化していく当面の責任者だと思うから、私はあえてこういう大きな問題をあなた方にお尋ねをしておるのです。大臣幾ら構想を聞いてみても、ぜひそういう線に向かって検討したい、善処したい、こういう一点ばりです。そういう答弁幾ら繰り返し、質問いたしましても、政策の前進はあり得ない。したがって、私はいま言ったような点を取り上げておるのですが、あなた方も大臣に似てきて、大臣と同じような答弁である。そんなら何もこと新しく宣伝する必要もない。もっと静かにしていらっしゃい。確信のないことを大臣をして談話を発表せしめる。少なくとも大臣が発表した以上は、あなた方はこれを裏づける義務と責任がありますよ。しかも事態は、野菜は暴落し、ブロイラーは行き詰まり、食肉は不安動揺をきわめて、畜産の将来は危殆に瀕しておる。当面問題になっておる岩手、秋田、群馬、その他合わせて四県から出ておる乳価のあっせん調停委員をあなた方は任命をされ、農林省の官吏の経験を持つ者、あるいは農林省の傍系機関の職にある者、あるいは前畜産局長の経歴のある者を選んで、あっせんを開始されようとしておりますが、それも何らか規制力があるのかないのか疑いたくなる。現にメーカー側では一方的に、団体協約に近いものだとあなたも先ほど言われましたが、にもかかわらず、それらを押し切って、夏場奨励金だからあとは要らぬのだということで押し切って、二円の削減払いを強行しておる。またそれをある程度食いとめておる県もある。そういう事態になって、行政の介入力がないような政府は、一体何の役に立ちますか。事業団に補助金行政等もある程度委譲して、畜産局というものは、一体何の役割りを果たすのでありますか。いま言ったような危機に瀕した問題については、行政の介入力を最大限に使って、事態を収拾し、農民が信頼し、一般もこれを期待するような価格の安定のための制度化に、この際新しく踏み切るべきではありませんか。大豆やなたねのあの場合でも、不足払いの制度だと言われるけれども、私は、あの制度では、基準価格の設定をめぐって問題があり、相当これには議論をしなければほんとうの不足払い制度にはならないと思う。が、とにかく政府不足払いを検討するということは、一つの前向きの構想を明らかにしたことであるけれども、開いてみたら、中身は何もない。しかも、現実に問題は切迫しておる。一体どうしますか。  ですから、分けて御質問いたしますと、いわゆる価格問題を考えていく場合に、算定方式について政府が奨励したものに対しては、少なくとも労賃を補償していく、いわゆる所得を補償していく。決定方式については、団体交渉を通じて、そこに一つの共通の土俵の場を設けて、適正な価格形成に努力をする。さらに、たとえば政府は、学識経験者その他からなるところの独自の農畜産価格審議会というようなものにおいて、基準価格というものを明確にして、そしてそのときの大蔵当局の圧力やそのときの力関係によって左右されることのない権威のある一つ価格を出し、それに足りないときには不足をカバーしていくという、そういった、われわれが少なくとも大まかに考え得られるような構想くらいは明らかにせずして、一体——放任状態と言っても過言ではないじゃありませんか。現に乳価の問題で、東畑四郎、長谷川清、それから大月農林漁業金融公庫副総裁等が任命されて、仕事が始まろうとしておりますが、そういうことでケリがつくような事態ではないと私どもは思う。てんで問題にしていない。ですから、価格問題については、政府も相当畜産事業団をフルに活用して努力されると同時に、その反面、行政介入を伴っていかないようないまの政府の手ぬるい態度では、これは結果としてだれを利益しているかというけじめがつかなくなると思う。ですから、少なくとも大臣が言明したことについては、あなた方はもっとこれを具体的に検討して、すみやかに制度化のために努力すべきなんです。それをさっぱりおやりにならないということは、午前中からも言っておりますように、いささか怠慢のそしりを免れぬじゃないですか。しりに火がついて、もうぽくぽく燃えておるのですよ。それを先ほど来言われるような、大豆の方式は、不足払いは、団体交渉は農業団体にもいっておりますなどというような、のんきなことでお茶を濁されたならば、私はやり切れないと思う。これは農政の基調の問題です。大臣幾ら尋ねてみましても、あなた方自体がそういう状態であれば。政策は空転している。いまの政府の農業政策、なかんずく価格政策というものはない、そう言っていいのですか。そう理解してよろしいならよろしいです。われわれもその気持ちで今後対処しますから……。価格保障に対して直接こたえているのは米の千二十六億円、この赤字補償くらいのものですよ。あとの間接的な回りくどい政策は、何一つ効果をあげておりますか。よく御反省になってしかるべきだと思います。野菜の暴落にしてみても、農林大臣は手を上げた。予算委員会の追及に耐えかねて、これはもう時期を待つ以外にないということを言った。農民が旗を立てて二、三日出荷をストップして、ようやく市況がやや回復してきた、こういうことなんです。農民側の生産の自主規制、出荷の計画的な調整、そういうことも必要であります。それなくして政府のみを責めることは、私はいささか的はずれの議論だろうと思いますけれども、それはそれとして、あなた方自体も責任を感じられなければならぬのではないかと思います。園芸局長もおいでになりましたが、この価格問題に対して、選択的拡大を奨励されたあなた方の責任ある、不足払いの制度、団体交渉権の制度的確立の問題を、今後どういうふうに進めていかれるか、事務当局の許す範囲内において御答弁を願いたい。もしできないならば、政務次官のほうから、ひとつお打ち合わせの上、御答弁願いたいと思います。
  39. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 それぞれの品物については、畜産局長園芸局長からお話があるかと思いますが、私のほうでは、肥料については、御承知のごとく団体交渉——団体交渉ということばがいいかどうかわかりませんが、制度化することを、先ほど申し上げましたように、検討いたしております。その際には、政府の介入ということもあわせて考えておるのでございます。  それから、新聞の記事に出ました不足払いとか、そういうことについては、これはどうも新聞の記事がかなり先走っているんじゃないかと私ども思っておるわけですが、いろいろな自由化対策についての検討を進めておりますけれども不足払いも一つ価格対策でありますが、多少個人的な見解にもまたがりますけれども、EECのとっておる共通価格制度、可変課徴金というような制度は、あるいは最も適している品目が相当あるんじゃないかということも考えられるのであります。そういう問題については、省内において相当深く研究いたしております。しかし、新聞が出しておりますように、もう結論を出すに近づいているようなことではございません。これは広範な問題でありますし、農政の全般にも触れ、それぞれの品目について相当検討を要する問題でございますから、何もかも不足払いとかあるいは米の方式とかいうことにもまいらない問題であります。私どもとしては、非常に熱心に検討していることは申し上げておきたいと思います。
  40. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私どもがお答え申し上げましたことについて、非常に御不満と御鞭撻をいただいたわけでございますが、正直に申しまして、現在の農政の中で準備し得るデータと申しますか、そういうものと、それから事畜産に限定して申し上げますと、一定の市価形成というものがはっきりつかめるもの、つかめないもの、いろいろあるわけであります。私は、非常に冷徹な経済論からいえば、畜産物のような生鮮食料品の性格を持つものは、需給の関係によって正当に形成される価格というものがあるならば、それが最も適当なものではないだろうかという考えを持っておるわけであります。それは他の物資にもあるかもしれませんが、畜産物のようなものは、社会的需要を越して生産せられることは、国民経済的にもあるいは国家資源の有効利用の面からも、問題である。また、国民生活に必須な畜産物のようなものが不足の状態を起こしますれば、これもまた非常に問題であるわけであります。そういう生産に対する積極的刺激ないし消極的刺激というものが、価格面によって行なわれるということは、ある意味で私は正しいのではないだろうかという気がしておるのであります。ただ、日本の現在の畜産業の状態のもとにおいて、このような原則的な経済的運動法則というものにさらしてよろしいかどうかということが、問題であろうと思われるのであります。それに対する制度として、現行の畜産価格安定法によって、先生も御指摘のような一種の安定価格帯のようなものを設けまして、安定価格帯における価格の上下というものが、生産の積極的刺激ないし消極的刺激、さらに生産農家の生産性の向上の意欲といいますか、そういうものの誘導性を持つというようなことに、現在の方式はできておるものと理解をいたしておるわけでございます。ただ、今後の日本の農業ないし畜産業の環境の変化というようなものを考えてまいりますと、現行の制度で十分であるかどうかということは、われわれも検討を要するというふうに思っておるわけであります。その際、現行の制度の不備と思われるところをさらに手直しをしてやっていくか、あるいは公的な価格管理というような形のものを考えるか、あるいは不足払い制度考えるかということにつきましては、それぞれの持っております生産物の畜産内部における重要性、あるいは社会的な重要度の問題、あるいは生産の動向の問題またそれらの加工、流通の関係の実態というようなもの、また広くは他の農産物の価格制度との関連、均衡の問題等がございますので、私どもも、いかなる方途をとることが、現実の日本の畜産物を伸ばしていくというたてまえからの価格制度として適当であるかということは、勉強を進めておるのでございますが、御指摘になりました不足払い制度をとるのだというようなたてまえで検討をしている、あるいは準備をしておるという段階ではございませんということを申し上げておるわけでございます。また、ただいままで申し上げましたことも、先生の御質問に対しましては、お答えというよりも、説明に近いものでありまして、申しわけない次第でございますが、それ以上のことは現段階で申し上げる用意がないわけであります。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、私は、農林委員会だと思ってあなた方は相当突っ込んだことをおっしゃっておると思うのですが、少なくとも、農林大臣予算委員会において相当具体的な構想を述べられたことについても、不足払いだとか、あるいは団体交渉権の制度化というような問題についても、あなた方は五里霧中のような御答弁をおっしゃいますが、そうしますと、大臣答弁というものは宙に浮くのです。ここには、二月八日の速記録十ページの下段には、赤城さんは、独禁法の例外として措置を今後進めていく旨の言明をしておられるのです。そこまで団体交渉権というものについてはある程度踏み切っておられるのです。だから、私は、国会質問答弁というものが何らお互いが信義の上に立ってやりとりをしないで、聞く者もみえを切る、あなたのほうも適当に答えるということであってはならない。現実に必要な問題をとらえて、それを深く掘り下げて、立場が違っておっても、少なくともいま非常に困っておる農村の問題に少しでも寄与したいという立場から、あえて大臣への質問ではなくして、あなた方に私は質問をした。政策の立案者としてのあなた方は、重要なポストにおられるわけですから。ところが、それが国会において今月の十日ほど前に大臣の言明されたことが、あなた方に全然通じておらない。また、予算委員会において、答弁されたことについては、あなた方は始終大臣答弁というものを見て、そして国会における大臣答弁というものの権威を高からしめる、その裏づけをしていくということなしに、国会の論議というものは一体何になりますか。はなやかなあげ足取りの論議をして、私どもは得々としておるものでありません。現実に必要があって、具体的な問題を大臣に言明せしめて、これを事務当局をして裏づけせしめていく、そういうことの意義を評価して、われわれは国会における質疑応答というものを今日までやってきておる。それがあれから十日間もたっておるけれども、いまの御答弁を聞くと、全然逆だ。これは国会そのものの議論のあり方についても、私はよほど考えてみる必要があると思う。だから、冒頭に政務次官にも申し上げましたように、ただ単なるやりとりであってはならぬ。お互いが攻撃すべき点は攻撃しても、少なくともあれだけの最大公約数的なものの問題については、これも具体化していくということでなければならぬじゃないですか。われわれは、団体交渉権の問題も、不足払いの問題についても、その内容については今後検討をするとしましても、構想そのものとしては私どもは賛成です。いいことを大臣は言っておる。あなた方も検討のテーマとして言っておるが、事実はそれが中身がない。国会の権威ある大臣答弁予算委員会において答弁したことが、農林委員会において私の質問に対してその裏づけの答弁が得られないということは、これは重大な問題です。したがってこの問題については、さらに予算委員会において農林大臣並びに政府当局に必要な質問をしてみたいと思います。こういうことでは困ります。予算委員会質問答弁というものは、各当該常任委員会において掘り下げられたときに、何の脈絡もないということでは困るのです。それも小さな問題ならあえてこんなに大きい声を私はいたしません。しかし、これは当面一番大事な問題なのです。この問題に、立場は違っても、お互いが心血を注いでおる。それをそう簡単にいまの御答弁で私は引き下がるわけにはまかりなりません。これは農林委員長、私は予算委員会において別途の機会にやりますが、当委員会においても、赤城農林大臣出席を求めて、少なくとも事農林行政上において大臣国会で言明をされた以上——新聞言明についてはあまり深くこれ以上は申し上げません。これは一つの言論報道機関の報道の自由もありますし、いろいろとり方、考え方によって筆の進め方もありますから、これ以上は申しませんが、国会答弁の中身の裏づけについては、これはあなた方に責任があります。ですからこれ以上申し上げませんが、そういう機会を明日はぜひひとつおつくりを願いたい。これは委員長に対してお願いを申し上げておきます。  それから、経済局長は、私が質問をあとにしようと思っておったら、私が質問しないうちに、二回も肥料問題について言及されますので、まことに前向きの姿勢でけっこうなことでありますから、私もちょっと触れておきたい。これはちょっとでは片がつかぬ問題ですが、大体通産省と意見調整はできましたか。世間の伝えるところによりますと、新法が難航しておる、しかも与党との調整の上において難航しておると伝えられておりますが、いま述べられたいわゆるメーカーと消費者団体との団体の話し合いといいますか、交渉といいますか、この構想について大体まとまったのですか。同時に、この話し合いがまとまらないときには、政府に調停の申請をすることができるとなっている。それをこの前の肥料懇談会の席上において私が農林大臣にただした。通産当局にもただしたら、食い違いがあった。そこで、赤城さんにさらに私は御質問を申し上げたら、大臣の立場から御言明がありましたので、私はそれを多として、それ以上申し上げておりませんでしたが、あらためてこの際にお伺いをいたしますが、団体交渉をして話がつかなかったときには、両者の話が一致しないのだから、いずれか一方が申請をすれば、政府は調停に乗り出す責任があると思う。その共通の土俵は、協議会その他の共通の土俵があってしかるべきだと思う。また、一つ価格取りきめでありますから、政府が調停あっせんをし、あるいは双方が議論をするにしましても、何か基準となるべき生産費の資料の提示ということがなかったならば、これは水かけ論になります。ですから、権威ある資料を整備して、それを提示していかなければ、これは、私は、団体交渉、団体交渉と言っても、力関係の問題がありますから、うまくいかないと思うのです。いついかなる場合も、行政当局として行政介入を必要とするときには、遠慮なく介入していく。しかし、必要な輸出産業として育てるときには、行政措置として二百九億からの合理化及び赤字不足金の低利融資をされるような行政措置をおやりになっておっても、われわれはあえて異を唱えて政府の責任を追及するなんということはしておりません。健全なる輸出産業上必要であると思って、政府がとられた措置については、われわれも一応これは必要な措置であったと思う。そういうふうにとるべき措置をとってそうしてそのかわりには、行政介入も必要によってやっていくということでなければ、これは意味をなさぬと思うのです。私は、肥料問題については、半日くらいの時間がほしいと思いますけれども、肥料を引き合いに出されるから、私も勢い申し上げているんですが、肥料の新法の構想においても、消費者という、全購連という大きな立場のもので、国内消費の六〇%を握るような実力を持つものといえども、メーカーと必ずしも対等の話し合いはつくかつかぬかということはわかりません。その場合には、あなた方が乗り出してきて調整をし、必要のある場合に介入措置がとられなかったならば、何ら効果を発揮いたしません。介入するには基準がなくてはいけますまい。あなた方の課長や局長がそろっと、これが生産費だぞと言って、非公式に見せるようなものでは役に立ちません。天下に堂々と公表して、これがメーカーの生産費である、コストである、したがって、これに適正利潤、運賃その他を通算してみればこういうことになるんだということでなければ、これは私は話にならぬと思う。ですから、肥料の例をとって、団体交渉権については無関心でないという御答弁の御趣旨であったと思いますけれども、肥料の場合でもいま言ったように問題がある。政務次官、この点については、論議の経過は御承知のとおりです。ですから、団体交渉権の制度化の問題について、肥料新法の構想をいま一例に引かれましたが、他の農畜産物については、団体協約、団体交渉権の制度的なことを考えて、具体的に進めるという御言明を、次官が大臣の言明のあとを受けて、この委員会を通じて、具体的に大臣にかわって御答弁できますれば、あえてこれ以上申し上げませんが、いままでの両局長の御答弁をお聞きになっておって、政務次官はいかようにお考えになりますか、はっきりしていただきたい。
  42. 丹羽兵助

    丹羽(兵)政府委員 まず、足鹿委員に二点お答えをさせていただきますが、先ほど来お述べいただいておりますように、この委員会の席は、法案審議のために、御意見を聞いたりすることは最も大切なことでございますが、しかし、その意見の中で、お述べいただくそのものは、私どもも御意見にありましたように、農民が心からそれを期待し、また真剣に取っ組んである問題につきましては、野党の意見であるからといって聞き漏らすようなことは、慎まなければならぬし、そういう考えは私としては断然持っておりません。あくまでここで述べられました意見を尊重いたしまして、行政の面に取り入れるところは取り入れる、また、今後法改正をしますときには、その意見をしんしゃくいたしまして、十分取り入れて、法案の内容をつくるようにしていきたい。これは私は前向きの姿勢と申しますか、自分の偽らざる気持ちを申し上げるわけであります。いままではまことに御意に沿わないような面があったかと思いますけれども、今後はそうしたまじめな態度で私ども意見を聞き、そうして措置をしていきたいと思いますから、御了承願っておきたいと思います。  次に、ただいまの問題でございますが、これまた御意見にありましたように、大臣がどこの委員会で述べたにいたしましても、それは予算委員会であろうと、他の委員会でありましょうとも、また当委員会もちろんでございますが、どこの委員会にいたしましても、大臣として、行政の責任者として述べた以上は、当然私どもはじめ事務当局もそれを尊重し、のみならず、そのようにすべてを考えていかなければならぬと思っております。  そこで、先ほどお話のありましたように、十日前に言ったことが、今日事務当局側において一向具体化されていないじゃないかという御指摘でございましたが、決して大臣委員会で述べたことを知らないわけじゃない、十分承知しておりますが、事務当局といたしましては、まだ固まっていない。その精神はくんでおりますけれども、具体的に固めておりませんので、答弁が不十分であり、内容はきわめて薄弱なものでございまして、足鹿さんに対して御満足を与えられなかった点を、幾重にも御了承を願っておきたいと思います。いま申しましたように、私どもは、大臣の申しましたことはあくまで実行に移していくだけの責任があるという考えを持っておりますから、御了承願いたいと思います。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 あまり時間をなにしてもなんですが、この肥料の問題について先ほど経済局長から言われたのは、農林省だけの御見解ですか。通産省とも打ち合わせをされて、意思統一された御見解でありますか。団体交渉、団体協約の問題に関連して、肥料の構想をこの際打ち出されたわけでありますので、これはほごにされてしかるべきものではない。ただ、その際に、私が先ほど指摘いたしましたように、協約が話し合いがととのわないとき、これは当然一方が政府にあっせんの申請をする、そうすれば、政府は、一つの生産費の権威ある基準、調査権に基づいて調べたものをもととして、話し合いの調整をしていくことだと思うのです。ただ団体交渉はお互いが話し合うことだけだということだけでは片がつかぬ。話がつかないときに、どう政府が行政介入をし、また介入した責任上、そのメーカーならメーカーが成り立たぬというならば、成り立つような措置を講じ、あるいは輸出赤字の国内被転嫁を防いで、農民、消費者の利益を守るなら守るということが成り立たたない限りは、ただ団体間で話し合うことそのこと自体はけっこうでありますけれども、成果はあがらないと思うのです。この点について、大事な点でありますから、未調整なら未調整——ちょっといま聞いておりますと、何か話がついたような印象も受けますし、その間の事情が明らかであれば明らかにしていただきたい。私どもが世間で聞いておるところよりは、だいぶ煮詰まったような印象を受けましたので……。
  44. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 先ほども申し上げましたように、団体的に話し合って肥料の安定価格をきめる構想で、通産省と話し合っているわけでございますが、その際話し合いがうまくいかないときは政府が調停に乗り出すというような点までは、事務的には——これは事務的にでございます。政府としての決定ではございませんが、事務的には一応の意見の調整ができておるわけでございます。ただ、さらに追いかけて御質問のありました調停の申請の関係、あるいは資料の提示の関係、そういった細目につきましては、まだ末調整でございます。それらはまだ事務的に通産省と話しておる段階でございますから、さよう御了承いただきたいと思います。
  45. 高見三郎

    高見委員長 次回は、明二十日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十三分散会