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足鹿委員 どうも期待しておったような御
答弁もないようでして、新聞の取り上げ方というものは、社会的影響力が非常に大きい。これは言論報道機関の力といいますか、威力といいますか、だれでも見出しを読んで、中身を詳細に
検討するというのはよくよくの専門家か、あるいはそれに利害
関係を持つ者で、大体大見出し、あるいはサブタイトル等を読んで、次に移るものです。そういう
意味から、
不足払いの方式を
検討ということになると、世間では、現内閣というものは相当思い切った
価格対策に乗り出したのだ、こういう印象を受ける。ですから、私
どもは、新聞記事をよく読んで、これは相当
政府が本腰を入れておるなと思われるものをそれぞれの場において取り上げ、従来の経験に徴して、緊急必要なものから
当局に対して
質問もし、
意見も申し上げ、場合によっては追及
質問もする、こういうふうに
考えておるわけなんです。ところが、ムードだけで、
制度化についてはまだこれもわからぬ、問題点の整理もしておらぬ、
検討し、努力をしようという
程度では、言論報道機関がそう書いたのだから、わしは知らぬと言われればそれまででありますが、しかし、それだけに、一般の農
畜産物の生産に当たっておる者たちは、今日断崖のどん底におるのですから、何とかして頼みの綱に思っておるわけです。それをいまあなた方が御
答弁になったようなことが明らかになりましたならば、これは失望するでしょう。私は非常に遺憾に思います。私
どもがあなた方から正式にいただける
資料は、
要求したそのものぽっきりで、
一つも親切な
資料を事前にいただくわけにはまいりませんから、われわれは新聞その他を活用せざるを得ない。その新聞には、あなた方の
一つのムード政策といいますか、中身のまだ不確定な、具体性の乏しい案をどんどん
大臣構想としてばらまく。しかし、洗ってみれば中身はないということでは困るのです。
ただいま大豆の例を
不足払いの一例にあげられましたが、これはアメリカ大豆の影響を受けるために、先年設けられた
制度で、われわれはあの当時ずいぶん議論した。アメリカ大豆の国内の輸出
価格そのものを下らないというのが構想の基本であって、日本の国内における生産費主義に基づいた
基準価格の
不足をカバーする政策ではない。そこに
基準価格の設定問題について議論が分かれるところとなって、その後も法の運用をめぐって、なたねでも大豆でももんちゃくが起きた。これは明らかに
政府の反省を必要とする事態であり、また
畜産物については、
畜産局長からただいまお答えになったが、これは安定帯
価格主義である。これの
基準価格というものはない。もししいてあるとするならば、
最低限のものが一応
基準的なものとして運営をされておる。それを割った場合に、いわゆる事業団を通じてやっていく。ところが、豚肉の場合においても、当時二百三十円の
最低価格が二百円を割って、ようやく
政府が乗り出していくというていたらくだ。たまたま豚肉
価格が三百五、六十円になると、すぐに台湾その他から輸入に大わらわになる、マトンの肉を入れてくる、こういうようなことで、押える役目を主として
中心に、
価格支持的なかっこうではなく、暴落をどうして食いとめるかという、きわめて消極的な
価格政策の中身しか持っておらぬ。これはこれでまた別建てである。米は生産費・所得補償方式で、これを自由米構想以来どうして変革しようかということで、
政府はあせっておるというふうに、
価格政策自体どれを見てもみなてんでんばらばらで、
一つも、
一つの
制度として、
農民をして、あるいは消費者をして、あるいは加工業者その他をして、よらしむべき、きぜんたる政策の基調というものがない。これであってはならぬと私は思います。
大臣構想といっても、これは
先ほども甘味小
委員会で雑談のうちに話したのですが、一年でやめられるのですからね。一年でやめれるから、急いて次々と新聞発表をされるとは私は思いませんが、少なくともあなた方は職を奉ぜられた以上は、
一つの
制度化を具体化していく当面の責任者だと思うから、私はあえてこういう大きな問題をあなた方に
お尋ねをしておるのです。
大臣に
幾ら構想を聞いてみても、ぜひそういう線に向かって
検討したい、善処したい、こういう一点ばりです。そういう
答弁を
幾ら繰り返し、
質問いたしましても、政策の前進はあり得ない。したがって、私はいま言ったような点を取り上げておるのですが、あなた方も
大臣に似てきて、
大臣と同じような
答弁である。そんなら何もこと新しく宣伝する必要もない。もっと静かにしていらっしゃい。確信のないことを
大臣をして談話を発表せしめる。少なくとも
大臣が発表した以上は、あなた方はこれを裏づける義務と責任がありますよ。しかも事態は、野菜は暴落し、ブロイラーは行き詰まり、食肉は不安動揺をきわめて、
畜産の将来は危殆に瀕しておる。当面問題になっておる岩手、秋田、群馬、その他合わせて四県から出ておる乳価のあっせん調停
委員をあなた方は任命をされ、
農林省の官吏の経験を持つ者、あるいは
農林省の傍系機関の職にある者、あるいは前
畜産局長の経歴のある者を選んで、あっせんを開始されようとしておりますが、それも何らか規制力があるのかないのか疑いたくなる。現にメーカー側では一方的に、団体協約に近いものだとあなたも
先ほど言われましたが、にもかかわらず、それらを押し切って、夏場奨励金だからあとは要らぬのだということで押し切って、二円の削減払いを強行しておる。またそれをある
程度食いとめておる県もある。そういう事態になって、行政の介入力がないような
政府は、一体何の役に立ちますか。事業団に
補助金行政等もある
程度委譲して、
畜産局というものは、一体何の役割りを果たすのでありますか。いま言ったような危機に瀕した問題については、行政の介入力を最大限に使って、事態を収拾し、
農民が信頼し、一般もこれを期待するような
価格の安定のための
制度化に、この際新しく踏み切るべきではありませんか。大豆やなたねのあの場合でも、
不足払いの
制度だと言われるけれ
ども、私は、あの
制度では、
基準価格の設定をめぐって問題があり、相当これには議論をしなければほんとうの
不足払い
制度にはならないと思う。が、とにかく
政府が
不足払いを
検討するということは、
一つの前向きの構想を明らかにしたことであるけれ
ども、開いてみたら、中身は何もない。しかも、現実に問題は切迫しておる。一体どうしますか。
ですから、分けて御
質問いたしますと、いわゆる
価格問題を
考えていく場合に、
算定方式について
政府が奨励したものに対しては、少なくとも労賃を補償していく、いわゆる所得を補償していく。決定方式については、団体交渉を通じて、そこに
一つの共通の土俵の場を設けて、適正な
価格形成に努力をする。さらに、たとえば
政府は、学識経験者その他からなるところの独自の農
畜産物
価格審議会というようなものにおいて、
基準価格というものを明確にして、そしてそのときの大蔵
当局の圧力やそのときの力
関係によって左右されることのない権威のある
一つの
価格を出し、それに足りないときには
不足をカバーしていくという、そういった、われわれが少なくとも大まかに
考え得られるような構想くらいは明らかにせずして、一体——放任状態と言っても過言ではないじゃありませんか。現に乳価の問題で、東畑
四郎、長谷川清、それから大月農林漁業金融公庫副総裁等が任命されて、仕事が始まろうとしておりますが、そういうことでケリがつくような事態ではないと私
どもは思う。てんで問題にしていない。ですから、
価格問題については、
政府も相当
畜産事業団をフルに活用して努力されると同時に、その反面、行政介入を伴っていかないようないまの
政府の手ぬるい
態度では、これは結果としてだれを利益しているかというけじめがつかなくなると思う。ですから、少なくとも
大臣が言明したことについては、あなた方はもっとこれを具体的に
検討して、すみやかに
制度化のために努力すべきなんです。それをさっぱりおやりにならないということは、午前中からも言っておりますように、いささか怠慢のそしりを免れぬじゃないですか。しりに火がついて、もうぽくぽく燃えておるのですよ。それを
先ほど来言われるような、大豆の方式は、
不足払いは、団体交渉は農業団体にもいっておりますなどというような、のんきなことでお茶を濁されたならば、私はやり切れないと思う。これは農政の基調の問題です。
大臣に
幾ら尋ねてみましても、あなた方自体がそういう状態であれば。政策は空転している。いまの
政府の農業政策、なかんずく
価格政策というものはない、そう言っていいのですか。そう理解してよろしいならよろしいです。われわれもその気持ちで今後対処しますから……。
価格保障に対して直接こたえているのは米の千二十六億円、この赤字補償くらいのものですよ。あとの間接的な回りくどい政策は、何
一つ効果をあげておりますか。よく御反省になってしかるべきだと思います。野菜の暴落にしてみても、
農林大臣は手を上げた。
予算委員会の追及に耐えかねて、これはもう時期を待つ以外にないということを言った。
農民が旗を立てて二、三日出荷をストップして、ようやく市況がやや回復してきた、こういうことなんです。
農民側の生産の自主規制、出荷の計画的な調整、そういうことも必要であります。それなくして
政府のみを責めることは、私はいささか的はずれの議論だろうと思いますけれ
ども、それはそれとして、あなた方自体も責任を感じられなければならぬのではないかと思います。
園芸局長もおいでになりましたが、この
価格問題に対して、
選択的拡大を奨励されたあなた方の責任ある、
不足払いの
制度、団体交渉権の
制度的確立の問題を、今後どういうふうに進めていかれるか、
事務当局の許す範囲内において御
答弁を願いたい。もしできないならば、政務次官のほうから、ひとつお打ち合わせの上、御
答弁願いたいと思います。