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1964-02-18 第46回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十八日(火曜日)    午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 高見 三郎君    理事 小山 長規君 理事 谷垣 專一君    理事 長谷川四郎君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 足鹿  覺君    理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    池田 清志君       大石 武一君    大坪 保雄君       加藤 精三君    吉川 久衛君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       舘林三喜男君    寺島隆太郎君       内藤  隆君    野原 正勝君       藤田 義光君    松田 鐵藏君       亘  四郎君    栗林 三郎君       東海林 稔君    西村 関一君       野口 忠夫君    松浦 定義君       湯山  勇君    稲富 稜人君       中村 時雄君    林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林政務次官  丹羽 兵助君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (園芸局長)  酒折 武弘君         食糧庁長官   齋藤  誠君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁業務         第二部長)   中島 清明君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 二月十四日  委員角屋堅次郎君及び東海林稔辞任につき、  その補欠として河野密君及び中井徳次郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月十五日  委員河野密君及び中井徳次郎辞任につき、そ  の補欠として角屋堅次郎君及び東海林稔君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 二月十三日  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出第九〇号) 同月十五日  農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  甘味資源特別措置法案内閣提出、第四十五回  国会閣法第一二号)  沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案(  内閣提出、第四十五回国会閣法第一三号)  甘味資源生産振興及び砂糖類管理に関す  る法律案芳賀貢君外二十五名提出衆法第九  号)      ————◇—————
  2. 高見三郎

    高見委員長 これより会議を開きます。内閣提出にかかる甘味資源特別措置法案沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案及び芳賀貢君外二十五名提出にかかる甘味資源生産振興及び砂糖類管理に関する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。松浦定義君。
  3. 松浦定義

    松浦(定)委員 いま議題になっております。甘味資源特別措置法案につきまして、私は、次の点について、大臣にその御所見を承りたいと思うわけであります。  まず初めに、一言申し上げておきたいと思いますが、私は北海道の帯広におりまして、昭和四年から現在まで三十数年間ビートをみずからつくっておる農民である。こういう点に立って、実際の耕作者という立場も含めて御質問いたしたいと思いますので、そういう点に十分な御留意をしていただきまして、御答弁を願いたいと思うわけでございます。  まず第一に、歴代内閣のうちでも、農業関係のある農林大臣がとってまいられました政策が一貫していないではないか、こういう点を御指摘申し上げたいわけであります。そういう点について、赤城農林大臣も何回となく農林大臣の職についておられるのでありますから、あるいは私の申し上げることは当たらないという御批判もあろうかと思いますが、総体的に見まして、そういう点では、現在の農政は、農民考えておるような政策実現にはほど遠いものがあるのじゃないか。わけても、特にいま問題になっております。すなわち、ビート中心とした甘味資源に対する政策については、相当ずさんな点があるのではないか、こういうふうに私は思うのでありますが、まず第一に、基本的な考えとして、そういう点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 たいへん御経験の上からの御発言でありましょうが、いまの質問がちょっと抽象的で、私のほうでもお答えしかねますが、要するに、甘味資源対策につきましても一貫性がないじゃないか、こういうことかと思います。この点につきましては、新しい成長作物でもありますし、法案も昨年出すというような事態でありますから、そういうきらいはなきにしもあらずだと私も思います。しかし、そういう面におきましては、こういう法律を通じて一貫していく、こういう方針で進みたいと思います。
  5. 松浦定義

    松浦(定)委員 私がなぜそういうことを申し上げたかと申しますと、御承知のとおりに、特に甘味資源の問題については、従来から相当問題があった事項でございまして、いま大臣お話では、なかなか抽象的で、その点についてはっきりお答えができないというお話でございますが、私極端に申しますと、農業行政に対する農林省のかまえ、あるいはまた政府のかまえ、特に農業基本法が制定されました今日においては、相当私は努力されておるとは思うのであります。しかし、過去におきましては、私は必ずしもそれを認めることができない。御承知のとおりに、昭和三十年に河野さんが農林大臣をおやりになったときに、ビート中心とした生産工場認可が三工場されたわけであります。芝浦、ホクレン日甜と、この三工場河野大臣の手によって三十年に実現をされたのであります。したがってその後、三十一年には井出農林大臣、三十二年に赤城農林大臣が就任され、三十三年には三浦大臣、三十四年には福田大臣、三十五年が南條大臣、三十六年が周東大臣、三十七年が河野さん——この河野大臣が就任されると、三十七年には全く電光石火のごとく、ホクレンが清水、大日本が本別、こういうように、いわば抜き打ち的に工場が移管されたのであります。引き続いて四工場が、増産担当区域と称して三十九年から操業させることを前提として認可された。いま私が申し上げんとすることは、歴代大臣がなかなかできなかったことが、河野大臣の手によって一挙にできるということについては、俗に言う実力者であったということから言えば、それはもう考えられないわけではございませんけれども、そういう点に手心が必要以上に加わっておるのじゃないか。この行政措置の中で、一般農民は相当危惧の念を抱いておったことは事実であるわけであります。さらにその後、三十九年操業が内定いたしましても、なかなかこれができなかった。そのことは、重政農林大臣の手によって終止符が打たれるかに考えておりましたが、それもできなくて、現在の赤城農林大臣の手によつて、これが昨年中止という結果になった。  総体的に見てまいりますと、九年間に十人の農林大臣がおかわりになっておる。しかも、この工場認可あるいは取り消しという点については、河野さんと現在の赤城農林大臣の二人の手によって行なわれておる。私は、これが普通の行き方であるなら納得できないわけじゃございませんけれども、いまのような状態が起きておる行政の中で、九年間に十人も農林大臣が変わる、だから、農業基本法が必要である。だから、池田さんの言われるように農業についてはいままで非常におくれておったから、今度こそ取り返すのだということを言わなければならぬ。その一番犠牲になっておるのが、農業政策のうちでもこの問題であり、それがいま非常に重要な段階に入っておる、こういうことを御指摘を申し上げたいのであります。こういう過去のいろいろの経過の中で申し上げれば、たくさんの問題があるわけでありますが、これでもなおかつ、本問題が、いま提案されておるような法律のままで、私が指摘したことに対して反発とまでいかなくても、そのことを十分お考えになって、この法律が将来ほんとうにこの行政が伸びるようなものになるかどうかについて、大臣の現在の御心境を重ねてお伺いいたしたいと思います。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のように、あるときは工場農地転換の名儀で許可したり、また昨年のようにこれを中止させるというような状況がございました。何にいたしましても、それだけの予定いたしました面積ができてこないというところに、大きな原因があったと思います。そういう面から言いましても、てん菜の栽培の面積が安定化して、できるだけ増産ができるような見通しと対策が必要だと思います。そういう意味におきまして、本法案を基礎といたしまして、そういう対策に沿うて進めていきたい、こう考えておるわけでございます。
  7. 松浦定義

    松浦(定)委員 いまお答えになりましたようなことは、歴代大臣、昨年の重政農林大臣が本問題についていろいろ御答弁になっておる速記を見ますると、同様な御意見があるわけであります。私は、そういうことについては計画が誤っていたということについては何ら御反省がなくて、しかも工場誘致、どの工場をどこへ持っていくかということに非常に重点が置かれたという結果が、こういうことになったということを、これはあわせて御理解願っておかないと、これからお尋ねすることが、全く一方的にいままでのような形で繰り返されたのでは、本法案の適切な通過の前提にもならないし、あるいは通過した後の実施段階においては非常に心配な点があると思いますので、そうした点を申し上げておるわけであります。  さらに、私は、いまお話になっておりますうちに、農民はそれならそれで納得しておるかというと、決して納得していないのであります。そこで、今日まで耕作者がいろいろお願い申し上げましてもできない。いまお話しのような形で延びておるけれども、じっとがまんをしてきておるという現状は、やはり農民であるために、そういうような態度をとらざるを得ないというふうに私は考えておるわけであります。もしこれが農民以外の団体で、こういうような状態があるとするならば、私は、こういうことでは今日の段階においては進まないと思うのであります。まず、率直に申し上げまして、これが一般労働組合関係する問題であったり、あるいは今日問題になっておりまする医療問題に関係するような機関の問題、特にこれから問題になろうといたしまする地主補償の問題のために動いておる団体、あるいは旧軍人関係とか、特に同じ農民であっても米価の問題等になりました場合に、そうした数多くの団体の前には、やはり政府は何らかの形でそれに対してこたえておるということを私は考えますときに、畑作農民に対するこの問題一つ考えましても、これは、私は、今日の段階においては、先ほど申し上げましたように、農政に対して非常に冷淡であると言って御指摘申し上げても過言でないのじゃないか、こういうふうに実は考えておるわけであります。  以上、そういう点を申し上げまして、これから私は二、三の点について大臣にお尋ねいたしたいと思うのであります。  そこで、まず第一にお尋ねいたしたいことは、この問題が非常に重大でありますだけに、今日北海道でもって増産担当区域の指定を取り消された会社が、実はいろいろ今日まで努力をしてまいったことであろうと思います。したがいまして、この四工場ですか、四会社に対してどういうような処置をおとりになって、この解決をすでに終わっておるのか、まだそのことが今日終わっていないのか、こういう点についてお伺いいたしたいと思うのであります。
  8. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいまお話がありましたように、当初新設四工場も含めました増産担当区域というものを設けておったわけでありますが、その後四工場中止ということになりまして、それぞれ増産担当区域に対しまして会社がいろいろと増産奨励のために出しておった経費があるわけでございます。これの処理につきましては、たびたび北海道庁中心といたしまして、関係団体におきましても検討を進められておるわけでございます。また、われわれといたしましても、北海道庁からその処置についてのお話も伺ったわけでございます。現在までの段階におきましては、早急に農民負担すべきものについてはできるだけ負担がかからないようにということで、それぞれの会社におきまして負担すべきものは負担するということで処置しておりましたけれども、これをどういうふうに会社負担すべきであるか、またそれに対して国がどういうふうにやるべきであるかという、最終的な整理方法につきましては、いま終わっておりません。しかし、この問題につきましては、三十九年度から新しく集荷区域というものがいずれ道庁中心として確定されることになりますので、その際に、集荷区域を見合いながら、その増産担当地域に包含されるべき集荷区域を担当する会社において、どの程度そういう整理ができるのか、負担できるのか、事業負担した性質と、それからどういうふうな整理状況にあるのかということをにらみ合わせまして、きめたいと思っておりますが、いずれにしても、集荷区域をまずきめて、それと合わせてわれわれとしても合理的な解決方法を早急にとりたい、こう考えております。
  9. 松浦定義

    松浦(定)委員 どうもいまお話を聞いておりますと、三十九年に工場を操業さすということを前提として努力しなさいという増産担当区域に対して一生懸命努力した、そのことが中止になった。だから、その間における経費政府考えるべきが当然であります。ところが、それすら、今度の法律が通って本年度集荷地域がきまったら、この集荷地域を受け持った会社と相談をしてこれをきめる、それで会社が納得しておるのですか。私は、理論上からいったら、そういうものじゃないと思うのです。そういうあいまいな形でやらなければならぬということは、先ほど申し上げましたように、無計画工場設置をやった最初の計画に誤まりがあるということで、一つ政府当局としては、あるいは農林省としても、お考えにならない処置だということを——それは、会社は一応やろうと思ったけれども、できなかったということで、あるいはがまんされて待っておられるかもしれぬ、いずれはやってもらえるということで、その地域における農民というものは、この会社がここに建つから一生懸命やろうでないか、こう言っておったのが、建たなくなった、だからこの次にきまった会社で納得させるのだというようなことでは、農民は納得しない。そういうことがこの法律内容に影響してくるわけであります。そういうことで、私は非常にこの点はそういう御答弁では納得いたしません。しかし、大体において会社から事務的にどの程度のものは補償してほしいということの数字は、私は出ておると思うのです。そういう数字がもし出ておれば、ひとつここでお示し願いたい。もしお示しがきょうできないとすれば、資料としてできるだけ早く出してもらいたい。法案審議に私は非常に関係があると思うのです。というのは、おそらく私の推定では、少なくともこの四工場に対しましては数億という金を必要とすると思います。少なくとも数億は必要とするのです。したがって、その金はどこから出るかということが問題なんです。管理会資産から出されたら私はたいへんだと思うのです。一般のところから出すとすれば、これは政府責任ということになって、できるだけ少なくしようというようなことで、いまお話になったようなことを考慮されておると思うのですが、こういう点おわかりになったら、金額を示してほしいし、もしわからなければ、資料として出してほしいということをお願いいたしたいと思います。
  10. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 数字がございますので、御説明いたしますと、増産担当会社投資を一応予定した計画といたしましては、合計いたしまして二億四千百八十九万円ということになっております。これが農民に約束した金額でございます。いまお話しになりました、これらの処理が一体どうなるかというお話でありますが、先ほど申し上げましたように、農民としては、これを約束した、当然もらえるものだというふうに考えておるということでありますから、これについては、やはり従来の経緯もありますので、必要な投資を進めていく必要があろうということで、そのような措置をとったわけであります。負担関係をどのように将来において考えていくかということに問題があるわけでございますが、この投資した内容の中には、あるいは土地改良事業であるとか、あるいはその地元の直接ビート増産とは必ずしも関係のないようなものに対するいろいろの投資も入っておりまして、そこで、それらの中で、当然その増産担当区域を引き継いだ会社が、それを自分の集荷区域といたすような場合におきましては、その効果を直接的にその会社が今後受けることになるわけでございますので、したがって、引き継ぐべき会社がどの程度においてそれを負担することができるのか、あるいはそれは会社としては無理で、別途に考えるべきものであるのかどうかというようなことを検討した上で対処したい。しかし、その前には、一体その増産担当区域がどういう会社による集荷区域に包含されるかということとあわせて、実は検討したいということで、今日まで至っているわけでございます。農民に対する関係においては、私は、一応従来の会社が約束した金額についての措置は了している、こう了解しております。
  11. 松浦定義

    松浦(定)委員 この種の問題は、そういういろいろな事情があると思いますから、これ以上お尋ねしませんが、いずれにいたしましても、誠意を持ってやった会社あるいはまた農民に対しては、負担をかけない、政府責任においてこれを処置するということに理解してよろしゅうございますか。これはひとつ大臣から御答弁願いたいと思います。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 道庁ともよく相談いたしまして、そういう方針でいきたいと思います。全部の責任を持つということになるかどうかは別でございますが、責任をもって解決していきたいと思っております。
  13. 松浦定義

    松浦(定)委員 それでは、今度は、北海道てん菜生産振興審議会というものができまして、これの答申案が出て、われわれの手元に回っておるわけでありますが、この答申案について、農林省としてはどういうような態度でこれに対処されておりますのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  14. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 北海道庁に対して道庁審議会から、てん菜生産計画てん菜集荷地域てん菜取引価格についての答申が出たようでございますが、これはまだ道庁から、この審議会答申についてどのように道庁としてこれに対応する考えであるのか、その辺については私のほうでは伺っておりませんので、いまこれについて農林省としてどうということを申し上げる段階としてはいささか時期が早いという感じがいたすわけでございます。十分これに基づいて道からの意見が出てまいると思いますので、農林省道庁とよく相談いたしました上で、これに対する取り扱いをどうすべきかということを検討して、われわれのほうも引き続いて検討する、こう考えております。
  15. 松浦定義

    松浦(定)委員 大体いまお話を聞いておりますと、昨年から、この法律をつくらなければ価格もきまらないし、いろいろの準備が進まない、だからということで、現在でももう法律を通過することだけに専念されているように聞いているのでありますが、その前提となるべき道、それが中心になってつくっているこの審議会答申に対しては、いまのような、道のほうからまだ正式にこない、だからそれによってこれから検討する、これは法律審議する前に何にも参考にならないことかどうかということを私は非常に心配するわけでありますので、答申案については、これは道もこうこうかくかくのことでやってきているから、われわれとしてもこうしたい、のめるものはのむ、のめないものはのめない、こういうふうにはっきりしていただかないと、せっかく資料としてわれわれの手へ入ってきておっても、まだ道の段階では何らこれに対して回答がないから、当然農林省としてはこれに対してお答えできません、そういうことで、われわれがこの重要な法案審議して、すぐ通さなければ諸般の準備が進まない、こういうようなことでは、私はまことにどうかと思うわけであります。私が聞いておる範囲内では、この答申案は必ずしも私は重要だから申し上げておるわけではないのであります。この答申案ほんとうにそういうことを左右する答申案であるならば、いま私は絶対に一歩も譲れないという形で、この問題を追及いたしたいのでありますけれども、この答申案内容ですら、そういうふうに御答弁はされますけれども、道は一々農林省の意向を聞いてはこの問題をやっておる、こういうように私は察知をしなければならぬ点も多くあると思います。もしそうでないとするならば、もっと督励をしておやりになったらいいのではないですか。せっかく中心である北海道の問題ですから、他の県とは違う。法律上にある審議会ではないということは、私はわかるわけであります。北海道庁が、あるいは道議会が先頭に立って、こういう問題を推進してきたのでありますから、単なるほかのものからの答申ではないわけであります。そういう点については、いまのような御答弁でなしに、ほんとうにこの問題を重要視しておるという態度農林省としてはとっていただかないと、これからの審議に対して、私どもはいかにそちらから説明されても、納得するような審議はできないと思いますが、今後のこの取り扱いについて、農林大臣はいまのような御答弁でいいのかどうか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  16. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまの答弁でいいと思います。ただ、私は、こういう答申は重要な答申ですから、てん菜政策に対して大いに参考にして取り入れるべき点が相当あると思います。そういう点は取り入れていま進めております。しかし、結論がまだ出ていないということです。
  17. 松浦定義

    松浦(定)委員 それでは、道のほうへひとつ請求をして、この法案審議の中であわせて道の態度がはっきりしてくるように、いまの大臣の御意見どおり、ひとつ御推進を願いたいと思います。そこで、この答申案の中にも出ておりますところを見ますると、五年計画で四十三年の目標だけは出ておるわけであります。そうしますと、今年はどうだ、来年はどうだという、前四カ年の計画というものは出ておるのかどうか、そういう点は、わからないなら私はわからないでいいと思うのです。この答申案そのものが、最終の五年次だけのものが出ておって、中間が出ておらない、こういうふうに私ども資料では見るより仕方がないのでありますが、そういう性格のものであるかどうか。それでいいと思っておいでになるのか。いまこれでいいとおっしゃるのですから、そういう点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  18. 酒折武弘

    酒折政府委員 道の審議会答申は、最終年度の四十三年だけ出ておるようでございます。ただ、われわれこれから検討いたす場合におきましては、これを年度別に分けて考えていきたい、そういうふうに考えております。
  19. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、中間一つもやらないで、最終的なものを出して、それでもってこれが答申案だというようなことでは——私は、こういう積み重ねをしていって、五年先にはこうなるのだというのが当然だと思うのです。しかし、それをなしにやっておると思うのですが、農林省の中でこれからそれを検討するということでは、私はちょっとどうかと思うのです。  それでは、私はこれからお伺いいたしますが、時間がありませんから、一例だけ申し上げておきます。この生産計画の中で、たとえば省力対策というものが非常に重要である。ことしの予算説明でお聞きいたしますと、相当予算をふやした。土地改良その他もありますが、省力対策一つ見ましても、これは私ども実際耕作する農民立場からいきますると、全く屋根の上から目薬的なものだというふうにしか理解できないわけであります。たとえば本年度ホクレンの機械として九十四セットというものをこれに対して見た。しかもその上に、道庁でもって移植機だけを百五十台整備する。昨年の分がおそらく百台くらいあるだろう。そうしますと、合計して三百四、五十台のものが動くわけであります。ところが、農家の実際の戸数あるいは反別を見てまいりますと、三十七年が四万二千町歩、そしてその対象農家が六万二千三百二十七と、実はこういうふうになっておるわけであります。そうしますと、二戸当たりは六反七畝。昨年は少しふえて四万三千町歩。今度は戸数がずっと減りまして五万六千八百四十四戸になりましたから、一戸当たりが七反六畝であります。昨年、この省力移植機は私も使ったのでありますが、一日一生懸命で農家が約十名くらいの労力を出してその機械を使って、約七反ぐらいしか移植ができないのであります。ですから、ことしは改良をして自動的になったから、約一町五反くらいはやれるだろう、こういうような説明であります。かりにそういうふうだと考えましても、百七十戸に対して一台しか当たらないわけであります。しかも反別からいきましたら、これは私の計算でありますから、多少は間違いがあるかもしれませんが、百二十七町歩に対して一台しか当たらない。移植の期間というものは、私は十日間しかないと思います。それ以上離れたら、これは反収に影響しますから、十日間、一日に一町五反ずつやったといたしましても、五千百六十町歩しか移植することができないわけであります。ところが、おそらく本年の計算は四万三千町歩、多少ふえましてこれが四万七、八千町歩にもなれば上の上だと思うのでありますが、それにいたしましても、一割二、三分しかそのことが動かない。そういうことでは、この法律を制定する場合に、有力な省力対策ができるのだというふうに大臣は御説明されておりますけれども、受ける農家のほうにしてみれば、もう一町村に何台しかこない、そういうようなことも考えなければならぬと思うのでありますが、こういう点については、これでもうだいじょうぶだとお考えになりまするのか、もしそうでないとすれば、何年間ぐらいに農家がこれに対して納得するような機械その他の準備をするというふうにお考えになりまするのか、この点をお伺いいたしておきたいと思います。
  20. 酒折武弘

    酒折政府委員 御指摘のとおり、省力機械化の予算といたしましては、全農家の数から比較しますと、非常にわずかでございます。しかし、これは、元来機械導入は融資でやるべき筋合いだと考えております。ただ、てん菜の場合に、てん菜の機械化を奨励するという意味で、パイロット的にこれを導入しておるわけであります。そういう意味で、全農家数から比較すると、きわめて少ない数でありますけれども、パイロットという点から見ますと、相当重点的にやっているというふうに言えるのではなかろうかと考えております。
  21. 松浦定義

    松浦(定)委員 パイロット、パイロットと言われますけれども、たとえばパイロット式でやっていることが何年くらいで実現できるかということを考えてまいりますと、私は、この点についてはいささか疑問があると思うわけであります。いま融資でやるということでありますから、農家の力があるところはある程度やれると思います。しかし、そうでない地帯にこれをやらないと、これはなかなか進まないわけでありますから、こういう点につきましても、現状はこういうものであるということをひとつ御認識願っておいても、私は一向悪くないと思う。そういう点もひとつお考え願って、これからの対策に対して大いに努力をしていただきたいと思うわけであります。  それから、特に農家でいま問題になっておりますのは、種子の問題であります。種子の問題につきましても、御承知のとおり、いろいろ優良品種が入ってまいっておりますし、それぞれ努力をされておると思います。しかし、農家にしてみますと、いい種子ができれば、一斉にその種子を入手して増産をしたいというような気持ちには変わりないのであります。最近各会社が種子に対して努力されておることは、私はわかるのでありますが、一例といたしますと、たとえばホクレンがやっておりますポリラーベの種子は非常にいい。農家が、これに対しては積極的につくりたいと言っておる。ところが、これはやはりいろいろの関係がございまして、ホクレン傘下の耕作者でなければこれを入手することができないという実態、あるいは本年も六千町歩に先ほど申し上げました移植をしようというペーパーポットにつきましても、日甜がこの製作の権利を持っておられる。でありますから、ほかの会社がこれをやろうといたしましても、なかなかこれができない。あるいは農家がつくりたいといっても、これはつくれない。農家はそういうけれども会社としてはそれができないという点もございます。まだ積極的にその対策は出ておりませんけれども、私は、これは将来非常に有望であるというのが、台糖さんがやっておられる単胚種子の問題、これらにしましても、やはり一会社がそれを研究し、そうしてこれを拡大しようという気持ちは、私はわかりますけれども、総体的に言って、農民立場からいけば、種子については自由にいつでも買い得るような、そういうものであってほしいということを従来から言っておる。そういう点について、現在のそういう仕組みの中で、農民の希望するような種子が、いつでも自由に入るようなことになるのかならぬのか、こういう点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  22. 酒折武弘

    酒折政府委員 現在、品種改良の事業は主として甜菜振興会でやっておりまして、ここでただいま御指摘の単胚種子とか、あるいは新品種につきまして、最近ほとんど固定化しかけてきておりますE−6とか、そういうものをつくっておるわけであります。これが完成いたしましたら、当然、一定の地域だけでなく、全般的に広げていきたい、こう考えております。ただ、種子につきましては、御承知のとおり、非常に地域性がありまして、ある種子があるところでよいから他の地域でもよいかどうかは、これはまた問題があるわけであります。そういう意味で、おのおのの地域に適応した種子をその地域に普及していくということは、考えていかなければならぬと思います。  それからもう一点、御指摘の会社等でつくりました種子につきまして、あるいはペーパーポット等につきまして、これを他の会社地域にまで広げることについていろいろ問題があるということは、従来そういうことは多少あったようでございます。しかし、現段階におきましては、われわれはそういうことのないように十分指導してやっていっておるわけであります。
  23. 松浦定義

    松浦(定)委員 大臣がちょっと退席されまするので、重要な問題については大臣からまたお聞きしなければならぬと思うのですが、いまのお話一つ聞きましても、政府としては一生懸命改良種子のあれをやっておる。会社がやっておる点については、そういうようなことについてはないといったようなふうのお話でありましたけれども、実際問題としてはそういうことなんです。やはり自分の会社で現在確保しておる種子をできるだけ自分の地域農民につくらせたいというのは、それは当然であります。ですから、一挙に変えることはできないといたしましても、たとえばこのポリラーベの問題につきましては、二割、三割増収するということは明らかである。そうだとすれば、やはりこれから農林省として試験をやるということも大事でありますけれども、現に成果をあげておるものについては、何らかの形でもって——輸入種子であると思うのでありますけれども、そういう点については積極的にひとつやっていただいて、今年すぐ間に合うという形をとってもらわないと、これは、私は、実際農家の希望するような制度は実現できないと思うのでありますので、こういう点をひとつ積極的に御推進を願いたい、このように実は考えておるわけであります。  次に、私は特に重大な価格対策についてお伺いいたしたいのでありますが、これは先ほども申し上げました答申案では、二本立ての考え方を実は出してきておるわけであります。これは当然私どもとしては、やはり価格の問題については、先ほど北海道からの陳情の趣旨にもありましたように、生産費・所得補償方式でもってこれは当然やるべきだということは、終始一貫しておるわけであります。しかし、答申案では、なかなかその問題も十分全委員が了承したということにはならなかったという経過もございます。しかし、追い払い制度を持ってきておるということについては、これは一応うなずかれますが、こういうふうな二本立て制度については、農林省は今日の段階でどういうふうにお考えになっておられますか。これは特別に大臣にもお聞きをいたしますけれども、一応御意見をお聞きいたしまして、次の質問を続けたいと思います。
  24. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 この答申案によりますと、取引価格についての答申案というものに出ておるわけでございます。取引価格自身の点につきましては、これはたてまえといたしましては、生産団体と製糖業者間において話がきめらるべきものであります。法案の形では、最低生産価格というものをつくってやるということが第一のたてまえになっておりまして、そうして現実の取引価格は必ずしも最低生産価格にはよらないできめることになるわけでありますが、その際、取引価格の点で両方の話し合いがつかないという場合におきまして、農林大臣が勧告価格を出す、いわゆる取引価格というものが、それに近いものになるということも考えられるわけでございますが、考え方として、ここにありますような追加払いの制度というのは、最低生産価格、つまり、再生産を確保するという価格ではなしに、現実の糖価、あるいは製糖企業における支払い能力といいますか、そういうような点も勘案した額を出して、それを追加払いをするというふうな考え方になっておるかと思います。これは現在の企業におきまする支払いの方法として、最低生産価格とは別に、そういう支払い能力があり得るということによって、製糖企業と生産団体において話し合いがつくというのであれば、これは一つ考え方であろうというふうに思います。また、その際に、農家の収益という点も考慮されるということは当然なことでありますので、そういう面から、農家の再生産確保あるいは収益の確保というような点から、生産者側からいろいろの意見が出るのも、これまた当然なことであろうと思うわけであります。方法として、取引価格にいろいろの考え方があろうかと思いますけれども考え方といたしまして常に取引価格がその後の経済事情のいろいろな変動を参酌することは当然といたしましても、たてまえ論といたしまして、生産費・所得補償方式というのが、第二の答申として、もう一つ意見として出ておりますが、これはてん菜の性格から見まして、米麦のようないわゆる国家管理をいたしておる性格のものとは、性格が違うわけでございます。したがって、ここで米麦と同様な生産費・所得補償方式のようなことによって取引価格を当然にきめるべきであるという考え方については、われわれはすぐ賛成いたしかねる、こう考えておるわけでございます。
  25. 松浦定義

    松浦(定)委員 毎回の御答弁を聞いておりましても、同様な御答弁があるわけでありますが、特にいつも言われることは、米麦のようなものとは違うのだということを言われるわけであります。なるほど現在の法律の中ではそういうふうなお考えかもしれぬ。しかし、生産者側あるいはまた一般から見ましても、これほど重要なものを政府法律をもって規制しておきながら、たとえば生産費・所得補償方式でやる場合には、米麦と違うのだということだけでこれを解決しようとすることは、私は誤りだと思う。どうしてそれが一緒になれないのか。それに主食でないからだ。主食でないものをこのような形で、極端に言えば、なぜ束縛をするのか、これは束縛ということばが悪ければ訂正をいたしますけれどもほんとうにそれほど法律をつくってこれまで振興しなければならないというにもかかわらず、それができない、目的が果たせないということについては、どこに原因があるかということをおわかりにならないのか。いまの法律、いまのお考えのままで進めていって、たとえば答申案に出ているように、四十三年でこれこれのものができるんだというようなことを前提として、私は当然考えられないと思うのであります。私は、この点をぜひひとつ考えを直してもらいたいということは、米と違うんだ、こういう考え方をはっきり直してもらわなければいけないと思うのです。いま生産者の立場からいたしますと、なるほどわれわれは米のように保護政策の中ではやられておらないけれども、それと何ら遜色のない形の中でこのビートをつくっておるのだ、あるいはつくろうとしておるのだ。同じ耕作物であるものが、米作あるいは畑作と、極端に言えば酪農といったような形で、なぜこういうような変わった対策の中でやられなければならぬのかという意見が、実は出ておるわけです。ですから、せめて私は、甘味資源対策として非常に重要なものでありますから、生産費・所得補償方式をやることによって、農家が納得して国の政策に協力できるというのなら、大いにこれは私は考え方を直してやっていただいたほうがいいのではなかろうかと思うわけであります。そういう同じ農家でありながら、分け隔てされるといった中で、いかにこの法律が通っても、そういういまおっしゃったような説明は、末端の耕作農家までいかないのです。これはせいぜい、北海道でいたしますなら札幌段階で終わってしまう。どんな意見を持っていっても、現地ではそういうことでなしに、ことしの価格は幾らなのか、こういうようなことに集約されてくるのでありますから、ここの段階としてはいいけれども、この法律を通す場合、そういうような考え方をここでひとつ改めていただきたい、こういうふうに私は考えるのであります。いま長官のお話でありますが、大臣、私いま価格問題を御質問いたしておるのであります。そういう点で、生産費・所得補償方式というものは、このてん菜、すなわち、ビート原料についてはとらないのだ、こういうような御主張をずいぶん繰り返し繰り返しされておるのです。ところが、私はそうでないということを主張いたしておるのでありますが、この答申案でも、生産費・所得補償方式あるいは追加払い、この二本立てでやってほしいということを決議をしておるわけでありますが、こういう点について、ひとつ大臣の御意見を再度お聞きいたしたいと思います。
  26. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 生産費・所得補償方式という考え方は、考え方としてあると思います。米麦等にやっております。米麦等につきましては、多年米麦等を栽培し、その生産費・所得補償方式の米の方式等も大体確立された、こういう状態でございますから、これはやっていっていいと思いますが、てん菜その他農作物全部を生産費・所得補償方式でやっていくというのは、非常に困離だと思います。これは全体が統制経済ならいいですけれども、全体的にやっていくといえば、工業生産物でも生産費・所得補償方式ということになりまするし、農産物ばかりではいかぬと思います。こういう関係で、また、生産の態様もいろいろまだ多種多様でありますので、米のように大体平準化したというか、基準化したというわけにまいらぬてん菜等につきまして、生産費・所得補償方式というものをとることは、私は困離だと思います。これはすべての農産物についてそういうことがいかにも適当のようでございますけれども、実際にそれを当てはめる場合には非常に困離である。ですから、そういう考え方は、最低価格の決定等につきましても頭に入れていくべきであろうと思いますけれども、ここで生産費及び所得補償方式をとるということは困離だ、いまはとれない、こういうことに考えております。
  27. 松浦定義

    松浦(定)委員 米麦と違うということについては、これはもうわれわれでも認めておるところであります。しかし、繰り返して申し上げまするように、これだけ問題が大きくなって特に農業基本法ができて、選択的拡大の一つの大きな柱として、北海道あるいは全国にこれから発展させようとするてん菜価格の決定に対して、やはり何らかの処置をとらなければ、この目的というものは達成できないということが明らかであるわけであります。ですから、繰り返し申し上げておるのでありますけれども、やはりいまのような大臣お話で、どうしても米麦以外、ほかの農産物についてはそれはできないのだというお考えであるようでありますけれども、もしかりにできないとして、いまのパリティ方式でやっていった場合に、ことし農家が納得するような価格が出せるかどうかということについては、これはもう明らかに出せないわけであります。出せなくても、この法律を通せばこれこれかくかくの計画が立ててやれるのだということだけでは、それは経過としては通るかもしれませんけれども、実際の問題としては効果があがらない。効果があがらなくても、法律さえ通ってやっておればそれでいいのだということなら、私はそれはけっこうでありますけれども、そういう点では、私は、ちょっとその責任というものがあまりにもこの農政の中ではどうか、こういうふうに実は考えておるわけであります。ですから、結論的に申し上げますと、ことしの価格生産費・所得補償方式がとれないとするならばどうなるかということについては、もういま御説明願っても、農家の納得するような回答は直ちにできない、私はこういうふうに実は考えざるを得ないのでありますが、しかし、農家のほうとしては、やはりやり方によっては、何の方式であろうとも、たとえばことしの八千七十九円というトン当たりの収入は可能だということを言っておるのであります。これは相当強い意見として出ておるのでありますから、私はここで申し上げておきたいのでありますが、一工場当たり十八万トン以上消化をすれば、完全に八千円というものは、現在農家がつくっておる、これからつくろうとする原料でもって、その価格体系が出てくるわけであります。だといたしますと、いまの九工場というものは、三工場くらいをやはり休業させなければならぬ。六工場でもって、本年の予定の、百十万トンか百十五万トンになるか知りませんけれども、そういう原料を消化をすれば、八千円というものが出てくるわけであります。だといたしますと、その三工場が休業する場合の損失補てんといいますか、そういう経費を見なければならぬことになるわけであります。そこで、そういうようなことになって、その三工場の休業するところの経費政府が何らかの形で補てんをするということになれば、優に農家の生産は、やはり八千円という希望が満たされるわけであります。それでもだめだ、そういうものは見られないから、九工場でやらすのだということになりますと、やはり昨年の六千五百円に、これからどれだけパリティ方式で出てくるかわかりませんけれども、出た価格で押しつけられてしまう。同じ原料でもって、工場の合理化をするかしないかによってそれはできる。しかし、できた工場というものは、そう簡単に休業さすことはできないのであります。そこで、私が一番最初申し上げました、無計画工場設置をしたことによって、そういうようなしわ寄せが今日農民にきておる。先ほど申し上げましたように、まだ四工場中止したからいいようなものの、もしこの四工場のうち、どこかの工場でもほんとうに着手でもしておったら、どんなりっぱな法律をつくっても、それはたいへんな結果になる。今日そういう形でありますから、そういう点で、いま申し上げましたように、同じ原料を持っておる農民生産物が、工場の合理化によって八千円は楽にとれる。もしそうでなければ、これはやはりとれない。そういう点についてどういうようなお考えでおられますか、大臣の御所見を承りたいと思います。
  28. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 昨年新たにやろうとした四工場中止させましたので、現状といたしましては、あとの九工場で進めていきたいと思います。ただし、それを合併とか何とかして合理化ということも、一つ考え方として研究していかなくちゃなりませんけれども、各工場ごとにやはり合理化して、コストを安くあげる、したがって、てん菜を高く買えるというような指導はしていきたいと思います。
  29. 松浦定義

    松浦(定)委員 農林省としては、いまそれをやるということは、それは言えないと思います。言えないと思いますが、しかし、農民の純朴な考え方からいけば、そういう計算も出てくるということをいま主張しておることを私聞きまして、それは何とかしなければならぬということに実は気がついておるわけであります。ですから、同じ工場にいたしましても、やはりまあ日甜のように、長い間あの根釧原野開拓ということでやっておって、今日他の地域に伸びた。そのことによってあそこが非常に困る、だから閉鎖一歩直前であるという地帯もある。それから、これから新しく工場をつくっても、その地域では優にどんどん伸びていけるという状態もある。だから、この地域を何とかしてきめなければならぬということが問題になってくるわけであります。そういう点をここで何らかの形で、まあ池田さんじゃないけれども、画期的な政策を出してやらないと、ことし、いまこの法律をつくっても、ただ法律ができたということだけで、何にも前進をしない。私は、一番重大な段階に来ておると思うので、この機会に、生産者にほんとうに魅力のあるビート耕作であるという観念を与えない限り、この法律がいつまで続くかわかりませんけれども、その間における発展はなかなか期しがたいのじゃないか、こういうふうに考えて、この説も曲げることなく検討をしていただいてもけっこうじゃないか、実は、私はこういうふうに考えておるわけであります。したがって、もしそういうことがいま大臣お話でできないということになりまするならば、やはり何とかしてトン当たりに対する千五百円程度のものは——六千五百円プラス千五百円で八千円、この程度のものは政府として見る責任があるのでないか。  もう一つ、一番端的な理由といたしましては、貿易の自由化を政府方針によって強行された。そのことが、今日生産省に対しても、あるいは会社に対しても、非常な問題を残しておるわけであります。この貿易の自由化が、当然やるべき方針に沿ってやったんだからというふうにおっしゃいますけれども、昨年の六月六日ですか、時の重政農林大臣のときに、安井委員の質問に対してお答えになっておる速記録を見てまいりますと、なかなか貿易の自由化はやれないことに実はなっておるわけであります。もしやったとすれば、この処置については、相当政府責任がある、こういうふうに実は考えるわけであります。こういう点について、農林大臣としては、いま申し上げました、やはりトン当たり千五百円程度のものは、何らかの形でこれを見てやる必要があるのではないか、こういうふうな考え方に対して、どういう御意見でおられるかをお聞きいたしたいと思います。
  30. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この法案の中にも、最低価格の算定の基準といいますか、算定のしかた等が書いてあります。そういうことでありますので、そういうものを基準として最低価格をつくっていかなければならないと思います、もし通れば。それからまた、取引価格は、団体会社との協議によってきまることでございますから、協議によってきめて適当でないような場合には、農林省としても指示するといいますか、勧告することがあるわけでございます。そういうことでございますので、私ども額は幾ら幾らということは申し上げられませんが、できるだけ生産農民の手取りが多いようなことにしたいという意図は持っております。額はいまどういうことか申し上げる時期ではございません。
  31. 松浦定義

    松浦(定)委員 そういう御答弁は、毎回実はほかの委員の御質問に対してもお答え願っておるわけでありますが、いま私が申し上げました自由化に対するその後の対策といいますか、そういうものについて、まだお答えになっておらないのでありますが、昨年六月の安井委員の、七月ごろに貿易の自由化をするのではないか、こういう質問に対しては、重政農林大臣がこういうふうに言っておるわけであります。「自由化は、いまの国際情勢から申しますと、できるだけ早いほうがいいことは間違いないと思うのでありますが、しかし自由化を手放しでするわけにはまいりません。やはり国内甘味資源の保護、そしてまた国際競争にたえ得るような体制を整えなければならぬ。そのためにはどうしてもこの法案に御協賛を願ってこれを実施し、それを整備して、それから自由化ということにならなければならぬと思うのであります。」こういうふうに言っておるのであります。そこで、この法律が通ってからそれを整備し、それから自由化をしなければならぬということになっておる。ところが、この法律は通るどころか、ああいうふうに廃案になってやはりずっとやってくるような結果になった。その間に、抜き打ち的に八月三十一日に貿易の自由化をされてしまった。そうして、貿易の自由化をしてしまったからしかたがないのだ、こういうようなことを言っておられるのであります。前の農林大臣と今度の大臣は違うかもしれませんけれども、そういう考え方で歴代大臣が御意見を変えられたのでは困るということを前提にして、私が先ほど言ったということも、ここで御理解願えると思うのであります。ですから、いまの御答弁のように、最低生産価格だから、あるいは取引価格によって云々というお話がありますけれども、こういうような整備をしてそれから自由化をするのだと言うにかかわらず、現にそう言っておきながら、自由化をしてしまったからしかたがないからということで、あとから法律の整備をする、そのことによって、それについていけないのが、たとえば価格問題に対して、先ほどから何回となく言っておられる最低生産価格云々というお話でありますけれども、これではこの法案ほんとうの目的であることがなかなかほど遠いということを申し上げておるのであります。  それで、この自由化によってどういう整備をし、そうして実施をするということについて、今日までとっておられる対策をひとつこの際にお聞きをしておきたいと思います。
  32. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 自由化と法案の通過があと先になるという点は、お話のように、自由化のほうがいろいろなタイミングの問題から先にされたのであります。しかし、同時に、砂糖類を自由化するときにあわせてとるべき措置、自由化のために生産者と業者のほうと両方に影響がありますが、実は砂糖業者のほうが非常に刺激を受けるというのが実態でございます。しかし、私ども生産者の立場にありますから、自由化する場合にあわせてとるべき措置——自由化と法律とが前後しましたけれども、そのときにきめたのが六項目あるのでございます。この間この委員会で読み上げましたが、その六項目をそれぞれに対処して、あるいはあと先になりましたが、今度法律もぜひ通していただきたいということ、あるいは予算的な措置、そういうものをとって、生産者に対する影響を極力少なくしたい、こういうことで進めておるわけであります。
  33. 松浦定義

    松浦(定)委員 自由化によって一番打撃を受けるのは、業者、すなわち会社側である、生産者にはあまり影響がないんだ、まあこういうお話であります。しかし、この自由化が、われわれ生産者にとりましても、非常な打撃があるということは、もうこの法律内容を見てもわかると私は思うのです。先ほどお話にありますように、最低生産価格ということを非常に主張されておりますけれども、この最低生産価格、最低だと言われますけれども、農家にしてみれば、私は最高だと思うのです。これ以上どうにもならない。たとえば最低生産価格ということになりまするならば、他へ有利に売れるような作物であるということを前提としての最低生産価格というものはいいけれども、他へひとつも自由に売れないこのビート原料でありますだけに、やはり何らかの形で政府がその点で生産者側に立って、ほんとうにこの価格問題を責任を持ってもらわなければいかぬ。原料を買い上げることはできないから、製品を買い上げるのだ、したがって、その製品を買い上げる場合に、政府の指示した価格、最低生産価格を下回らない価格で買ったものについて買う、こういうことであります。しかしそれでは、取引価格であるから、会社と取引をして、ある程度の力関係と申しますか、農家が納得するような交渉ができる筋合いなら別でありますけれども、そういうことは、今日まで何にもできないわけであります。ですから、そういう制度の中におきながら、いまおっしゃるように、生産価格というものを低い価格で押えなければならぬという方針のもとでやられると、このビートに対しては、生産者としては魅力がだんだん薄らいでしまう、こういうふうに実はなるわけであります。ですから、私どもは、積極的にこの法律の趣旨目的を果たすためには、間接的な買い上げといったようなそういうものでなしに、もっと積極的にひとつ原料に対して政府がてこ入れをするような、そういうふうな中身を、この機会にどうしても入れてもらわなければいけない、私は実はこういうふうに考えておるわけでありますが、そういうふうな考え方については、いまのままでこれで適当であるというふうにお考えになっておられるのかどうか、この点をお聞きいたしたいと思います。
  34. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 根本的に考え方が違った観点から、あまり何と言いますか、見過ごしたというか、そういうことをおっしゃられると、まことに困るのですが、さっきの問題でも、自由化したときにショックを一番受けたのは、生産者よりも、むしろ業者のほうがショックを受けた、そっちのほうに当たりを強くしたようなわけでありますが、生産者のほうも、これは十分考慮しなければならぬし、私は農林大臣として、生産者の立場から、あわせてとるべき措置というようなものもきめさした、こういうことで、生産者にはかまわないのだ、こう一人ぎめで押しつけられては困ります。そういうことではございません。  それから、いまの価格の問題でありますが、この問題等も、最低価格というものは、一番生産者に不利な価格に持っていくのじゃないか、こういうようなお考え方でございますが、私どもは、最低価格というのは、生産者に最も有利な価格に持っていかなければならないのじゃないか、これは考え方が違うのです。これは国家管理とか統制下においてのことでございませんから、いまの制度から言いますならば、お互いの取引というようなことでいかざるを得ないわけであります。そういう関係で、力関係でうまくいかないという場合もあると思います。でありますので、最低価格は、できるだけこれは生産者がやっていけるような、こういうような一つの基準によって最低価格をきめますが、また圧力関係、力関係等で非常にまずい場合には、やはり指示価格といいますか、勧告価格といいますか、そういうものも出す、こういうたてまえですから、私どもの自由経済、しかもその中において力の強いものだけが横暴をきわめるというようなことは押えながらやっていくという自由経済の立て方からいきますならば、やはりこういう程度が適当である、こういうふうに考えております。
  35. 松浦定義

    松浦(定)委員 どうも価格問題になりますと、政府としては逃げられるような法律になっているものですから、なかなか大臣も私の納得する御答弁は願えないわけでありますが、何回も申し上げますように、生産者としては、やはりまず第一に価格の問題、さらに第二の問題としましては自分たちがどの会社へ出すのかというようなこと、それからさらにいまお尋ねいたしたいと思いますのは、自分の品物を出す場合に、たとえば価格の問題についても、政府としては取引価格だから会社と直接交渉しなさい、こういうことを再々言われるわけであります。先般も、数日前でありますが、町村知事が記者会見をした場合にも、この問題に触れて、価格問題については、会社生産者が交渉して、できるだけ円満な解決ができるように道としても善処をしたい、こういうような表現のことしか言わないわけであります。ところが、先ほども申し上げますように、なかなかそういうことはできない、こういうのでありますから、この点につきましては、たとえばいま問題になっておりまする今年度価格体系について、どういうような措置を講ぜられるかということが、私は一番重点だと思うわけであります。昨年の価格の決定を見てまいりますと、それはもう作付前にきめるべきものが、収穫直前になってようやく大臣の声明によって、これが異例の措置が行なわれた。これは法律がなかったからやむを得ぬと思いますが、今回の場合は、やはりへたをすればそういうようなことを繰り返すのではないかという心配も実はあるわけでありますが、それよりもむしろ私の心配するのは、へたをしたら作付が減るのではないか、作付が減ったら、どんなにりっぱな法律ができても、先ほど大臣が言っておられますように、九工場そのまま操業させるという方針には、実はマッチしないわけであります。ですから、大臣は、その異例な措置という考え方を抜きにして、今年度対策については、たとえば先般札幌においでになって記者会見でもお話になりましたように、場合によったら、やはり本年度についても行政措置を講じなければならないような段階になるかもしれない、こういうようなお話であります。私は、そういうことでなしに、この法律ができて、しかも農家が納得する価格が決定されるということが非常に好ましいことでありますが、いまの御答弁内容では、なかなかそう簡単にはできないのではなかろうか、こういう心配も私はいたすわけであります。ですが、いずれにいたしましても、農家にいたしましては、この二月一ぱいに価格のめどがつかないと生産態勢に入れないということは、もう確かであります。あるいは行政的な指導をする場合の諸官庁、会社にいたしましても当然でありますし、本年はほんとうに二月一ぱいまでに、大臣はどういう形をとってでも、この価格決定は生産者と納得の上において決定したい、決定する、こういうふうな点について、現在どのようなお考えでおられるか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  36. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまお話中にもありましたように、ぜひこの法案が早く通ってほしいのが私どもの希望でございます。そうして通りましたならば、最低価格をできるだけ早く出したい、公示したい、こういうのが考え方でございます。また、実際の取引の場合には、これは半年以上もかかりますから、そのときにはまた違って、あるいは最低価格以上の取引価格というものが出たり何かいたしまして、それに対して勧告する場合もあろうと思います。立て方が、いまの法案では二つありますから、最低価格と勧告、指示価格、こういうのでありますので、最低価格のほうはできるだけ早く公示しなければならぬと思っております。しかし、法律ができてからのほうがよりいいのであります。あまり法律がおそくなるということならまた考えなければならぬと思いますが、できるならば、いまのお話のように、法律の通過を期待いたしまして、そのもとで最低価格を公示したい、こういう気持ちでおります。
  37. 松浦定義

    松浦委員 それ以上のお答えは不可能かと思いますけれども、いまの状態では、私は、決して、法律が通ってからゆっくり考え措置をしたいということにはならないと思うのでございます。ですから、いまからひとつ、法律法律として十分審議をするけれども価格の決定については、それぞれの対策を立てて善処するということにまあいわば二本立てでこれに対処する、こういうふうに御理解しても差しつかえございませんか。
  38. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 法律が通過してやるつもりでおりますけれども、あんまりおくれるような場合は捨てておけません。しかし、実際問題として、どういう価格できめるかという作業は、これは検討をしていかなければなりません。法律の通る通らないにかかわらず、作業はいたしていきます。しかし、これを公示するか公示しないかは、できるだけ通過した上でやりたいというのが、こっちの希望でございます。
  39. 松浦定義

    松浦委員 どんどん作業を進めていただいて、納得するような線が早く出るように善処をお願いしたいと思います。法案法案として、私どもはひとつ十分それに対応できるようなりっぱな法案を通さなければならぬと、こういうふうに考えております。それから最後に、農家としては、自分のものですから、自分のものは自分で処理したいという心理的状況、すなわち、俗にいう自由な立場でこれに対処するという意味から、生産責任を持ち、同時に販売についてもその自主権を確保したい、こういうことは、先ほどの陳情の中にもあったのでありますが、これは私は当然だと思うのですがどうもそこまでくると、なかなか地域の指定とかいろいろございまして、問題になるわけでございます。しかし、諸外国の例を見ますると、私は現地を調査したわけではございませんが、イギリスの場合は、農業協同組合連合会がタッチをしておりますけれども、その他の先進諸国は、ことごとく耕作者連合会という、すなわち耕作者が集まった形で、会社と話をし、政府がその中へ立って、その問題を解決する、そういう形をやっておる。こういうような形で法律の中で規制をされて、そうして地域をきめられて、それぞれ会社と別な形でいろいろ問題を起してやっておるということは、実はないように聞いておるわけであります。そういうようなことから考えますと、これは、私は、この法律を制定する一番大事なときでありますから、できないとすれば、考え方だけでもいまはっきりしておきたい。やはり将来、あるいは将来でなくて、いまやればけっこうでありますが、やはりそういう生産者の団体が、自分のつくったものでありますだけに、これからの生産意欲を向上をするために、いまおっしゃるように、会社と話をしよう、こういうことですから、会社と話のできるような仕組みをつくるように、政府として何か御推進願うような御意思があるかどうか、こういう点をひとつお考えを明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  40. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま農業生産団体といえば一般的な農協、それから特殊の、たとえば酪農、果樹なら果樹という農協もありますけれども、やはりこれは農協が個々の生産者を代理して、価格の折衝をするということが適当であろうかと私は考えております。
  41. 松浦定義

    松浦(定)委員 むろん、私どもはそのことを否定するものではないわけです。しかし、私どもがそれを否定しないで、これをやろうといたしましても、やはり見方によっては、農業団体というものが幅の広い経済行為をやっておるわけでございます。ひとりビートだけの問題ではございません。そういう幅の広い問題をやっておりますから、もしこのビートの問題あるいは特殊な問題に対して、会社間あるいは政府間と交渉をする場合に、そのことが他の事業に影響をしないということは、私は断言できないと思うのです。ですから、ある程度のところまでいくけれども、そこまでいきますと、農民の納得しないままにこれを中止せざるを得ない、こういう結果が私はあり得ると思うのです。ですから、政府側にしてみれば、やはり農協というものが最高のものだというふうにお考えになっておられるのでありますから、そういう考え方を私は否定はいたしませんけれども、やはり諸外国でやっておる例は、そういう点についてどんどんと生産も伸びて、しかもまたりっぱにやっておるのでありますから、そういう例をおとりになったって、決して悪いとも私は思わぬ。ですから、今後農協がやるということであるならば、私はその方針でもってやっていただいてもけっこうだと思います。ただ、そういう問題がもし何かの問題に関係する場合には、これらの生産者が不利にならないような形を十分考慮していただかなければならぬ問題がたくさん出てまいりますから、そういう意味で、ひとつこの点につきましても十分御検討を願いたいと思うわけであります。  法案内容についてはあまり詳しく御質問をしておりませんけれども、いま中村委員その他の委員からのあれもございますのでやめますが、先ほどからお話のありますように、私は、本問題につきましては十分納得のいかない点がいろいろあると同時に、先ほど申し上げました道の態度がはっきりしてこない。この問題について道の態度がはっきりしてこないということで、私どもは、まだまだこの審議の過程の中で相当の問題が残っておるわけでありますから、自後の質問につきましては、次会に御質問することにいたしまして、本日はこの程度で終わりたいと思います。
  42. 高見三郎

    高見委員長 中村時雄君。
  43. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私は、政府提出されておる現在の甘味資源特別措置法案に対して、時間の関係がありますので、四、五点に問題をしぼって、大臣にお尋ねをしてみたいと思うのであります。  その第一の点は、この法律の目的であるところの国内甘味の保護育成、自給度の向上及び国際競争力の強化等、これがはたしてできるかどうか、こういう問題であります。すでに粗糖の自由化も実施せられまして、また新聞なんかを読んでおりますと、精製糖なども将来自由化をやっていくんだ、このように予定されておると聞いております。また事実、そういうことは、自由化の目的としては当然考え得るところであります。したがって、将来は、この国内甘味が国際的に十分対抗できるような方向に向かって、諸施策が講ぜられなければならないことは当然であります。ただ、本法案全体として、国内甘味中、特にビートが、農業基本法に基づくところの選択的生産拡大のための重要な農産物として、すなわち、以前から言われておった十年計画における畑作振興として、重点的に保護育成されなければならないという趣旨が、非常に明確を欠いておるのではないかと思われるのであります。特にビートの場合に、先進諸国の例を見ましても、これは農林大臣もよく御存じのことと思いますが、いずれも酪農と結びつけておる。そしてこれが発展をしておる。ところが、日本の場合には、ビートパルプは、御承知のとおりに飼料として換金されてしまっております。これが生産費の上昇、土地改良、肥料などの問題と結びついて、悪い方向に進んでおるのであります。これを是正しなければ、自給度の向上という、この本旨に掲げられておるところの問題も、国際競争力の強化も、そういう状態ではから念仏となってしまう。このような酪農との結びつきで、農家経営の改善、所得向上なども実現することにした場合、この趣旨をはっきりとこの法律の中に盛り込まなければならぬのじゃないか、こう考えられるのですが、政府の原案には、そういう具体的な問題が何一つ取り上げられてない。そういう観点に関しまして、農林大臣のお考え方をまず第一にお尋ねしてみたい、こう思っております。
  44. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 基礎的には酪農、畜産等々の関係考え、また土地をよくするというような問題、そういう点も考えて、自給度の向上と国際競争力の強化、これは、価格の点なんかにおきまして、両方なかなか両立しにくい点がございます。しかし、いろいろな観点から、ビート糖もやはり増産していく、自給度を高めていくという面におきまして、ほかとの関連において考えておることは考えておりますが、法案そのものに、いま御指摘のようなことがあらわれていないような気がいたしますけれども考えてはおる次第であります。
  45. 中村時雄

    ○中村(時)委員 なぜ私がこういうことをお尋ねしたかといいますと、この法案全体に流れておる趣旨が明確じゃない。一方においては、生産向上ということを言っておるかと思うと、一方においては砂糖のブツの問題を取り上げておる。一体ほんとうの向上をはかろうという熱意を持っておるのか。以前十年計画で七十五万トンの自給度の方向をとろうという考え方があった。その問題も、おそらくついえ去ってしまっておると思うのです。そしてあらためて、こういう提案がなされてきた。なされる以上、生産向上、畑作振興という立場から、この問題の法案の骨子が貫かれなければならぬと私は思っていた。ところが、不幸にして、そのことがあいまいもことなっている。なっているからこそ、この際明確にしておいたらいいじゃないか、こういうふうにお尋ねしたわけなんです。考えておるとおっしゃるならば、あなたの正直さを期待して、どんどんやってくださることと私は拝察してよろしいですね。
  46. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまの御意見のようなことは、十分私も頭に入れておったわけでございますが、なおこれからも入れておきます。
  47. 中村時雄

    ○中村(時)委員 事務当局も、そういう完全なりっぱな農林大臣がいらっしゃるのですから、十分そういう点の配慮をして、法案を作成するときには、そういう一つの骨組みを明確にしておいてもらいたい、これは御忠告までに申しておきます。  次に問題になってくるのは、コストということでございますが、この点についての資料要求を私はしたのですが、十分な回答がありませんので、突っ込んだ審議が十分できないことは非常に残念に思いますが、大ざっぱにいって、西欧諸国に比較して、日本の原料てん菜価格はそれほど高いものではないと私は思っております。ただ、ヨーロッパのビートと比較して日本の最も劣っておる点というのは、一工場当たりの処理量が極端に少ない、こういう点にあろうと思うのであります。過去において、この国会でも、そういう事柄は、数度にわたって、ほかの議員並びに私からも指摘をしてきたとおりであります。もしそうであるとするなれば、北海道においても一工場当たりの処理量の増加が先決となってまいります。そのために、土地改良に対する補助政策などをはじめ、農民増産意欲を高める適切な原料価格などが要望されているわけでありますが、この法案関係の政令及び省令規定事項中にも、政府提出資料によりましても、第四条の生産振興地域の指定の具備すべき要件の一つとして、一製造事業について、てん菜については十五万トン、サトウキビについては四万四千トン、こういうふうに見受けられるわけなんです。一工場当たりの処理量が十五万トンなければ、コスト高になって事業が成り立たない、いまの関係からいうと、こういう趣旨になってくると解釈すべきじゃないか、こういうふうに考えられておるわけです。その点について、農林大臣はどうお考えになっていらっしゃるか、簡単に御答弁願いたい。
  48. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 去年四工場を樹立する場合にも、十五万トンですか、それ以上でないと、いまのところ、最低限経営がやっていけないじゃないか、こういう観点で、十五万トンというものを考えた次第であります。
  49. 中村時雄

    ○中村(時)委員 農林大臣お答えのように、大体十五万トンと規定をしますと、北海道の場合、生産振興地域の指定ができなくなるおそれがあるのではないか、現実にはないはずなんですが、こう考えられるわけです。また、政府提出資料によりますと、昭和三十八年の実績は、ホクレンの中斜里工場が約十七万トン、これは十五万トン以上になっているからよいとして、第二位の日甜の美幌ではわずかに十三万トン、平均では十一万トン見当になっております。十五万トンは原則であるから、例外もあるというかもしれませんけれども、例外というのは、大部分が該当するが、ごく一部がはずれるということであって、一工場が該当して、残りの八工場が例外というのは、ちょっと常識的には考えられない。そういう点で、私は、十五万トンを基礎にしていった場合における他との対比の問題、そういうことをどういうふうに農林大臣はお考えになっていらっしゃるか。
  50. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまの点、お話のように、平均すると十一万トンでございますが、十五万トンにした場合、ほかとの対比、ほかとの関連でございますか。
  51. 中村時雄

    ○中村(時)委員 十五万トンという政府一つの基準があるのですね。あるにかかわらず、実際は十一万トンしかできない。四万トンからの相違があった。一体これに対して適切にどういう考え方を持っていらっしゃるかということなんですね。
  52. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 やはり十五万トンに処理すべく、いろいろな面との関連で努力するよりほかないと思います。
  53. 中村時雄

    ○中村(時)委員 具体的な問題をお聞きしたいのですが、その問題はまた次の機会にするとして、次に、原料処理量とコストの関係から見て、処理量が多くなると、コストは急速に低下することは明白なことですが、資料によりますと、各工場処理量が極端にアンバランスである。いま言ったとおりで低下することは明白なことですが、資料によりますと、各工場別の処理量が極端にアンバランスである。いま言ったとおりです。そこで、このままでいくと、三十九年度産もそれ以後についても、改善されるとは、現在のところでは私は考えられないのです。そこで、もしそういうことになるなれば、それをそのまま放置してしまって何も手入れをしないというお考えかどうか、あるいは手入れをするなれば、具体的にどういう手入れのしかたをされるか。非常に問題がむずかしいので、御答弁がしにくかったら、お考え願ってあとで発表されてもけっこうです。
  54. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 それは集荷地域の調整やら、あるいは各会社ごとのいろいろなコスト計算もあるでしょうから、そういうものについての欠陥といいますか、それを是正するような行政指導ができるならば行政指導をして、処理量も上げていく、そうしてコストは低めるというようなことをやるよりほかないと思いますが、具体的にどの点をどうついたらいいかということにつきましては、なお研究の上、答弁いたします。
  55. 中村時雄

    ○中村(時)委員 抽象的な御答弁だとは思っておりましたけれども、具体的た問題は、それでは将来お尋ねをするとしましよう。  次に、そういうことになりましたら、もう一つの問題は、標準操業日数が問題になってくると思うのです。その場合、関連いたしまして、現在の標準操業日数といいますか、そういう規定を百二十日ということを言っておりますけれども、実情は、日甜の四工場を見ましても、六十八日から九十五日の間で終わっております。はるかに標準から下回っているわけなんです。この法案成立後も、標準操業日数を百二十日として、先ほどの十五万トンに対して百二十日というふうに、関連性の上に立ってやはり目標を置いておられるかどうか。
  56. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 事務当局から答弁させます。
  57. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 現在のところでは、操業日数を大体百日ということに考えております。将来十五万トン処理するような場合においては、百二十日くらいの操業になるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  58. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうすると、いま大臣のおっしゃっているのは、十五万トンという想定に基づいて、基本としてという考えですから、百二十日である、あなたのおっしゃるように基準百日ということになれば、十五万トンから下がってくるということが考えられるのですね。そうすると、一体どのくらいに考えていらっしゃるか。
  59. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 いま百二十日になるだろうというのは、実はまだまだ将来十五万トン以上に生産が伸びるであろうというふうに考えまして、百二十日くらいの操業になるだろうというふうに言っておりました。十五万トンの場合におきましては、いま百二十日と申し上げましたけれども、千五百トン、百日くらいが標準になりまして、その前後の日数の増減がある、十八万トンくらいになれば百二十日ということになるだろうと思いますが、いまのところそういう考えでおります。
  60. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それはわかっておる。先ほど農林大臣もおっしゃっているし、資料の中にも出ているのは、十五万トンということが標準になって出ている。それに基づいて、操業日数を百二十日と大体想定しておった。過去においてもそうであったそれをいまあなたは百日というふうに限定された。百日と限定されるならば、その原料量が十五万トンでなくして、ある程度数量が減るということが前提になってこなくては、百日という数字と、前に言われた十五万トンに対する百二十日という数字の相違が出てくるわけなんです。だから、現在あなたが考えていらっしゃるのは、その中間をとっていると思うのです。おそらく十五万トンでなくして、十万トンから十五万トンの中間をとっている、こういうふうに考えられる。そこで、その中間というものは、どこに焦点を合わせているかということを聞いているわけです。
  61. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 確かに前の段階におきまして百二十日ぐらいというふうに言ったこともありました。しかし、これは、まだ十五万トンというのは実現されていないものでありますから、そこで、十五万トンで百日くらいだというふうな一応の目標でございまして、現実の問題としてどこに標準を立てているかといえば、ことしの場合においては、たとえば十二万トンなら十二万トンという生産の見込みにつきまして、具体的に操業日数を百日というふうにきめてあるというわけでありまして、中間でどこだというふうふうなことは、いまのところ考えておりません。
  62. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなたも食糧庁長官になって新しいので、以前にこの問題のことがわからないから、中途はんぱな答弁をしていらっしゃるから、あなたを追及してみたってしようがないのですけれども、ただ、ものの考え方として、十五万トンに対して百二十日ということは、明確に発表しているのですね。それがあなたがどういう考え方かしらぬが、百日とおっしゃるから、百日になるならば、当然十五万トンに対する百日ということに対して、今度は逆に百日の操業に対して何トンだということが出てくる計算だ。それは一々あなたに言いましても、あなた自身がはっきりわかっていないようですから、もうやめますけれども、そういうことは、これからあなたも重大な責任を持っておるんだから、十分配慮して、間違いのないような方向でやってもらいたい、こういうふうに思っております。  次に、二十三条によって見ますと、政府の砂糖買い入れ価格は、最低生産価格に買い入れ並びに製造売り渡しに要する標準的な費用を加えた額を基準として、大臣がきめる、こういうことになっております。この場合の標準的な費用の額ということは、過去の国会審議に際して、先ほど言われました十五万トン、操業日数百二十日——百日と言いましたから、百日でもけっこうですが、百日に対した場合の標準原価というものはいままでやったことがないから、だから、百二十日ということで標準原価を算出したことがあったと私は記憶しておりますが、本法案でいうところの標準ということは、同じ意味なのか、あるいは過去の実績という意味なのか、その場合でも、過去何カ年を採用するのか、また各工場の平均的にお答えを願いたい。これは農林大臣には御無理かもしれませんから、事務当局から、長官でもいいし、局長でもけっこうです。——御回答がありませんか、だいぶがたついておるようですから、あとから御通知を願ってもいいです。  次に、いずれにしても、政府の買い入れ価格は一本価格ということになると私は思っております。これは大臣も再三言明されておりますが、そういう解釈をして、かりに一本価格ということになると、標準以下で、コストの高い会社は万年赤字で経営が成り立たなくなることは明らかだと思います。過去の政府買い上げに際しては、工場別にコストを算出して、それぞれ別個の適正な買い上げ価格を算出していたわけでありますが、現在のような原料配分状況が是正されないとなると、経営が成り立たなくなってくるるところが多いと思われます。その点で大臣はどうお考えになっておられますか。質問の要旨はこういうことなんです。いま、先ほどの十五万トンにしてやった場合には、一応の経営能力としての基本が生まれてくる。ところが実際には十万トンぐらいしかないのだということになってくると、これは問題が出てくるわけです。その点に関して、算出の方法がある程度是正されてこなくなっちゃならぬ。このままでいったのでは、各工場の格差がありますから、そういう点をどういうふうにお考えになっているか、こういう質問なんです。
  63. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 肥料なんかにもバルクラインなんというのがありますが、そういう形で、生産費等を各社ともよく検討しなくちゃならぬと思います。バルクラインなんということをとる気はございませんけれども、どういうふうな計算方法によるかということについては、価格のきめ方は一律にやるといたしましても、いまのような立場から検討してみなくちゃならぬと思います。いま方法につきましては、検討をいたすよりほかないと思います。
  64. 中村時雄

    ○中村(時)委員 農林大臣、検討、検討とおっしゃるけれども、見当違いなことばかりになりますよ。早くそれをきっちりしておかないと、操業もできなければ何もできないという結果が生まれてくるおそれすらあるのですから、検討もけっこうでありますが、もう一歩検討して明確にしておかなければならぬ、こう思っておりますから、その点御注意までに申し上げておきます。  それから、標準原価算出にあたっても、現実を尊重すべきであって、たとえば戦前からの工場で、償却の進んでいる、例にとってみたら、ホクレン中斜里のように、例外的に処理量の多い工場などは別にして、現在九工場のうちで、八工場というものは、数量的に大きな偏差を持っておる。だから、そういう点を勘案して考えるべきじゃないか。だから農林大臣としては、もっと具体的に、問題を持っておるならば、当然そういう問題を取り上げて、この八工場に対するプール制をどういうふうに持っていくか、私はそういう具体的な答弁があるかと思ったのですけれども、ないから、これは私のほうから御相談ですが、そうしていったらいいじゃないかという考え方を私は打ち出していますが、農林大臣はどういうふうにお考ええですか。
  65. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま私の申し上げたのも、肥料の例を引いたのでございますが、肥料などの場合も、やはりプール的なものでできてきております。そういう意味ですから、やはり九工場なら九工場のコストというものをよく調査の上、一つのプール的なものが出てくると思います。そのプール的なやり方をどういうふうにやったらいいかということについては、なお技術的にいろいろ検討しなければならぬ問題があるのじゃないか、こういうふうに私は考えますものですから、実は検討と申し上げたのであります。
  66. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私は、その問題は、もう一つ重要な問題があったのです。それはどういうことかといいますと、今度もしこの法案が成立後——私はこれは成立する、こう思っております。ただし、それまでには十分な審議が必要だとも思っております。そこで、今後、この法律が成立しますと、具体的に運用の面で大蔵省との折衝が出てくると私は思うのです。そういう観点から、この際、二十三条の解釈を明確にしておく必要があるのじゃないか、こういう意味で、私は好意的にあなたにお尋ねしてみたわけなんです。ところが、私が質問すると、どうも御返答が、いつも考慮中です、善処しますとかいうことだけで進められておるが、具体的にプールならプールにしてみたいという検討をしているのだというふうに、明確にしていただいたほうがいいのじゃないか、こう思っております。  それから次に、原料配分についてお尋ねしておきたいと思うのです。私は、資料として工場別の操業予定日数を出すように、要求したのですが、これを見ますと、会社別にしか出していないのですが、これだけを見てみましても、製造開始時の原料配分とそれに基づく操業予定日数と実績との間には、先ほどから言いましたように、かなりの開きが出ております。その理由はどこにあるのか、これが第一問です。  また各工場間でそれぞれ原料調整を行なっているにかかわらず、ホクレン中斜里が飛び抜けて多いのはどういう理由なのか、今後標準コストによる買い上げともからんで、原料数量配分の調整をより合理化する考えがおそらくあろうと思うのですが、そういう点に関して、ひとつ一括して御答弁願いたい。
  67. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 事務当局から答弁させます。
  68. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 操業日数が当初予定した日にちと違うではないかというお話でありますが、これはその後における原料の、実際の調整後における原料の処理量の相違に基づく点が一つと、それから当初予定しておった操業と事実上食い違いが生じてきた運営上の点ということから、当初の操業日数と違ったわけであります。大体において、いずれも操業日数が、日甜が当初の予定よりも短縮しております。しかし工場の中によっては、その処理量の相違によりまして、当初の操業日数よりふえたところもございます。  それからホクレンの中斜里工場が特に多いのはどういうことか、こういうことでありますが、われわれの考え方といたしましては、大体は各工場別にその処理能力に応ずるような配分ができることが望ましいというふうに考えておったのでありますが、道庁におきまして、工場別の処理量を勘案して、各工場間あるいは会社間の調整を加えた上におきまして、最後のとりまとめた数量は、大体会社別に均一化する方向で調整されたわけであります。そこで、ホクレンにつきましては、確かに中斜里は十七万トンというふうに多いわけでありますが、清水と合計いたしました処理数量は二十六万五千トン、そうしますと、一工場当たりは十三万トンになる、これはホクレン内部における調整問題である、こういうような観点で、調整数量というのがきまったわけでございます。こういうことで、また会社も了解のついた数字であるというふうに了解いたしております。  それから、これらの調整を今後どうするかというお話でありますが、いま北海道庁におきましては、今後の集荷区域のきめ方をどうするか、また集荷区域と関連して、経過的には数量をどのようにするかというような問題を検討しておりますが、それらをわれわれも検討してまいりたいと思っております。
  69. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなたのおっしゃっているのは第三者が聞いておると、まことにうまく言うように聞こえますが、それはことばの魔術です。ところが中斜里、要するに、ホクレンの問題は、いま言ったようにプールにして十三万トンの線を出している。ほかのところは、あなたがおっしゃるように期待どおりにはいっていないのです。あなたは期待どおりにいっていると思いますか。
  70. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これでごらんになりますと、日甜は四十五万八千トンで、四工場でありますから大体十二万トン近いものになっている。それから芝浦は十二万六千トン、ホクレンが十三万トン、台糖が十万トン、大日本が八万九千、約九万、こういうことになっております。したがって、大日本はほかよりも非常に離れて低くなっておりますが、これは初年度のことでありますので、ある程度やむを得なかったことと思います。他の地域につきましては、まあまあ、当初の段階におきましては、ほぼ均衝というところにはいきませんけれども、納得した公正なものではなかったか、こう思っております。
  71. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それではもう一点お尋ねします。時間がないので、あなたを突き上げていてもどうかと思うのですが、御存じのように、九工場認めたということは、私は、九工場認めるかどうかという問題は別にして、認めた以上は、これを育成という基本を持っているわけでしょう。生産者に対しても、それを増反をしてその責任量を果たしてもらって、そうしてそこで勘案をしながら、きちっとするということが前提でなければならない。その前提というのは、先ほど言ったように、十五万トンの前提である。ところが、実際は、昨年度も本年度もあまり変わらない、こういう実績なんです。だから業態の上からいうと、どちらもよくなかったという結論が出ています。それをよくありましたというような顔はできないと思うのです。長官、どうですか。
  72. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 中村先生のお話は、九工場育成するには、原料を均分に配分すべきである、それが実際にはそういっていないではないかという御質問のようにも受け取れますが、ちょっとどういう御質問であったか、はっきり理解し得ない点もありますが、しかし、こういう方向で初年度いきましたけれども、来年度におきましては、さらに九工場の原料につきましては、より一そう公正をはかるように努力しよう、こういうことに昨年以来からなっている経緯もございますので、今後道庁がそれぞれ各会社と、原料調整問題について具体的な話し合いに入ることになるわけでありますから、その際、農林省として、十分道庁と一体となりまして指導してまいりたいと思っております。
  73. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私の頭が悪いのか、あなたの頭がいいのか、なかなかわかりにくいのですが、私が言ったのは、あなたがお答えになったことが実際にはできなかった、それを均分していこうと言ったけれども、実際には格差があった。今後においては格差がないように、足らないならば足らないような方向で進めていかなくてはならない。しかし、足らないだけではそのことはおさまらないので、そこで、実際法案内容の問題になって、先ほど第一点に私が言った、生産意欲をどう向上さして、どのような数量をどういうふうに取り上げるかということを、畑作農家の問題として焦点をしぼっていくべきで、この問題の焦点がこの法案に加味されなくてはならないという結論になってくるわけであります。それはそれとして、農林大臣は今後そういうことを考えていらっしゃるそうですから、一応そのことに対する追及はやめます。  次に、各会社は原料獲得のために、足らなければ非常な競争をやると思う。それはそうでしょう。向こうで話し合いをしなさいとなっているのですからね。業者と話し合いをするということになれば、その地域とまたがったところは、どうしても自分のほうに取りたくなるから、どうしたって価格の競争というものが生まれてくるのです。あなた方はどう考えていらっしゃるか知りませんが、いろいろな問題を起こしている。そういうような激烈な競争も行なっております。また、この表面の買い上げ価格のほかに、プラスアルファを出したりしているということも聞いている。そこで、この点、先般ちょっとお尋ねしたところが、金額も知らない、根拠なども知らない、こういう御答弁であった。農民に還元する場合には、ビートパルプの代金を値下げしたということを私は聞いているのですが、そのことについてはどうですか。
  74. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは先般中村先生から資料要求がございまして、最後の第四項目として資料をお配りいたしておりますが、各会社におきましてそれぞれ事情が違うと思いますが、原料価格としては六千五百円を支払ったわけでありますが、製糖業者と生産者との間におきまして、いろいろ生産者に対する会社としての従来の経緯があるわけであります。そこで、ビートパルプの場合には、生産者に自分の収穫区域に対して優先的に配付するという措置を従来とっておったようでありまして、その際、ビートパルプの販売代金は、昨年よりは若干値下がりしたという話を聞いているわけであります。額のほどはどういうふうな額になったか、承知しておりませんが、そういう話を聞いております。
  75. 中村時雄

    ○中村(時)委員 一つ注意を申し上げておきますけれども資料を要求したときには、少なくとも各工場にあなた方がお聞きになって、大体ビートの値下げ価格はこのくらいだ、この工場はこのくらいだというところまで、懇切にやっておいていただきたい。ただそういったように聞いておりますどころではないのですから……。  そこでパルプの値段は、副産物として当然標準コストの中に織り込んで考えるべきだと私は思うのですが、これを値下げしたような場合は、当然買い上げなどに際しても勘案すべきものであって、これを知らないというようなことでは今後は済んでいかない問題だと思っております。パルプ代金の問題は、各会社が同一歩調をとっていたと思うのです。そこで、一般論として考えるか、あるいは原料獲得の過当競争を排撃するよう、政府が適切な原料配分を行なうべきかということに関して、これは農林大臣おめめをあけてひとつ答えていただきい。わかりますか、いまの質問は。事務当局にまかしたからやれやれと思わぬようにしてくださいよ。パルプの代金を、いま言ったようにプラスアルファして引き下げた。私は、これは原料代金の中に入れて計算を行なっていくべきじゃないか、将来においてもそう考えるのがほんとうであって、これを別外視するのはおかしいと思うのですが、これに対して農林大臣はどうお考えですか。
  76. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 それは、下げてもらうのでも、原料代金に当然入るべきだと私は考えております。
  77. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あと一、二点で終わらしていただきますが、買い上げ砂糖の払い下げ方法についてお尋ねいたしたい。第二十七条によりますと、ブドウ糖は随契払い下げということがうたってあるのですが、砂糖については触れられていないのです。これは砂糖は一般競争入札によるものと解釈されておって、事務当局もそういうお考え方であったと思う。その理由としては、ブドウ糖は長期保存にたえられないと言われているが、しかし、ブドウ糖も早期に競争入札を行なえば差しつかえないのではないですか。また逆に、砂糖が長期保存にたえるとしても、それが随契でいけないという理由にはならぬと私は思うのです。ビートはすでに大量のものが自由販売で、それぞれの系列を通じて販売されている現状、これは農林大臣も長官も御存じだと思うのです。また、この法案成立後といえども、原則は、政府買い上げでなくて、各系列を通じての販売が非常に私は重要な問題になって生まれてくると思います。それがたまたま政府買い上げとなった分だけが一般入札ということになると、販売系列が非常に錯綜して、根本から乱れてしまうおそれがある。それがひいては生産農民にもマイナスを起こしてくるのではないかと私は思うのです。そういう点に関して、私は、この問題はたいした問題ではないと思いますけれども、やはり随契でやらしていったほうがいいのではないか、こう思っているわけです。そういう意味で農林大臣、長官にお尋ねしておきます。
  78. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 お話のとおり、販売秩序を維持するというふうな観点から、政府が買い入れたものは随契でやったらどうか、こういう御意見でありますが、確かにそういう点も一つ考え方であろうかと思います。ただ、この法案の趣旨といたしましては、いまお述べになりましたとおり、政府の売るものにつきましては、原則は一般入札、つまり、政府が持っておりまして、適当なときに売る場合の方法としては、一般入札というのが原則であるわけでございます。ただ、ブドウ糖に関する限りは、全然政府が長期保管し得ない、したがって、入札にかけようと思ってもかけられないという事態に対処いたしまして、随契の道を開いたわけであります。しかし、ビートにつきましては、一応政府が保管して、適宜に売却するというのが原則でありますので、その際は通常の場合においては一般入札ということになると思います。しかし、いまお話しになりましたような場合におきまして予算決算会計令の運用によりまして、たとえば産業保護のためであるとか、あるいは入札に付しても落札しなかったような場合もございますので、従来の販売秩序がそれによって著しく乱れるというようなことがないような運営も、ひとつ頭に入れまして考えていきたいと思っております。
  79. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私は、そういう面は、ただ単に言うのではなくて、要するに、やっぱりそれだけの最初から計画をしてやっている、その計画というものがくずれるおそれがあるということなんです。だから、片一方において最低生産価格をきめてくる、片一方においていま言ったような取引価格もきめていく、そういうような場合には、かりに安くなって政府が買い上げても、その機構というものは生かしていくべきじゃないか、こういう考え方なんです。だから、その機構を生かす人とその方法は、やはり勘案してとっていくべきじゃないか、こういう結論を持っているのです。農林大臣はどういうようにお考えなんですか。
  80. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 一般入札で売り渡すといたしましても、例外的な問題もございます。やはりいろいろ勘案した上で、契約はきめていくべきだと思いますが、原則としては、一般入札で売り渡すというように考えております。中村(時)委員 随契もやれるということなんですか。
  81. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 随契をやれる場合、会計法の規則もあろうと思います。あるはずだと思います。そういう点も、事態に応じてはしんしゃくしていかなければならぬと思います。
  82. 中村時雄

    ○中村(時)委員 長官、その会計法という問題を農林大臣が出して、農林大臣は慎重にそう言っていますが、問題はないと思うのです。そのほうがいいと思うのですが、長官としては随契もあり得るということなんですか。齋藤(誠)政府委員 いま農林大臣からお話がありましたとおり、原則はどうかといえば、これは一般入札ということになると思います。しかし、予決令の運用によりまして、いまお話になりましたような点も勘案して、この予決令の運用上は、そういう随契の道もあり得る、こう考えております。
  83. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それから、本日全道農民大会における決議の陳情を受けたのですが、そこで問題になってくるのは、農民団体としては、生産費・所得方式に基づいて、八千七十九円という打ち出し方をしております。もちろん、これは労働賃金の取り上げ方によって、いろいろ角度は変わってくると思うのです。五人以下の場合あるいは五人以上の場合、いろいろ角度が変わってくると思うのです。それに基づいて、その目標にやっていくためには、もちろん、それは工場のほうはトン当たりに対するところのとらえ方があると思うのです。それとの相違が、おそらく一トンに対して千円前後出てくると思うのです。そういう立場で持っていくと、そういう問題に関しては、それはそれでおいて、かりに農民一つの要求というものが貫徹されるためには、この法案の基本というものは、自給度の向上という立場から、やはり骨子を貫き通すということが大前提にならなければならぬと考えております。そういう立場考えていった場合に、政府からくるところの保護政策の強化、あるいはもっと具体的に言いますと、買い上げ価格の引き上げ、さらには価格の補給金制度の導入、こういう問題が生まれてくると私は思うのです。非常に困難なことではあるけれども、具体的にはそういうような問題をひっ下げて、この生産農民に対するところの育成の方針を打ち出して、そのかわり、農民のほうにも責任と義務を負ってもらうという立場を明確にしておいて、初めてそこに生産量の向上という問題が生まれてくると私は思うのです。一方をないがしろにしておいて、ただ価格だけをきめて、生産量はどうでもしなさいというわけのものではない、私はそう思っております。そういう立場に対してどういうお考えを持っておるか。また、業界においても、かりにその生産向上という立場からすれば、生産に対する奨励割り増し金であるとか、いろいろな方法考えられると思うのです。そういう立場をとって、とにもかくにも一応この十五万トンに達する方針の基本的、具体的な問題を明確にしておく。それがなかったら、言いかえれば、ロング・プランの一つの方向を明確にしておかないと、いつまでたってもおざなりに、ただ人がわあわあ言うから法案でもつくって何とかしておけ、こういう疑義さえ生まれてくるのではないかと思っているのです。そういう点に関して、やはり明確にしておいていただきたい、こう思うわけなんです。
  84. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 やはり自給度の向上という意味におきましても、育成の方針を立てていくべきだと思います。でございますから、ことしにおきましても、昨年よりは相当育成の方針を大きく取り上げたわけでございます。同時てやはり製糖会社等における、何といいますか、生産農民とのタッチですね、これはいままでもやっています。機械を貸したりいろいろやっていると思います。そういうことで、生産農民との結びつきもさせなくちゃいけませんが、同時に価格の問題もございます。そういう面で、各方面から十五万トンなら十五万トンの目標へ持っていくロング・プランといいますか、そうロングでもございませんが、そういうプランといいますか、目標を持って進めていきたい、こう考えております。
  85. 中村時雄

    ○中村(時)委員 大臣一つ欠けている点は、いま言ったように、生産向上ということを中心考えていらっしゃるなら、いまの法案には明確な具体性がないわけです。そこで、いま業者の中でも機械を貸したらとかなんとかおっしゃいますが、業者というものは、やはり利潤を追求しているんですね。それに当てはまらないと、こういうことをすればプラスになるけれども、出す金が大きいからだめだとか、いろいろな問題をかかえているわけです。だから、業者と生産者にまかすのではなくて、政府一つの確固たるそういう考え方を持っておるなれば、農民の方々だって安心して増産の方向をとれるし、増反もできる。増反ができなくて増収ができなかったという欠陥は、具体的にこうだという結論の責任政府が持たぬから、こういうことになる。だから、そういう点で、やはり明確にそういう点の腹、根性を立てて、そして一つの地下作物に対する補助育成という方向を明確にしておいていただきたい。その点の考え方を最後にお願いをしておき、そうして法案の個々の内容に関しましては、私の持ち時間が半までですから、これで切りますけれども、あとはまた継続的に法案内容に関してお尋ねをしてみたい、こう思っております。
  86. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そのとおりだと思います。計画というはっきりしたものではございませんけれども、目標に向かってあらゆるものを動員していかなければならぬ。いままでは非常に増反を当てにして、工場等もふやすというようなかっこうでありましたけれども、よくあらゆる面を勘案して、その目標に進めていくということだろうと思います。またそういうふうにしたいと思います。
  87. 高見三郎

    高見委員長 林百郎君。
  88. 林百郎

    ○林委員 私は、砂糖行政について、国際的な観点で一、二お聞きして、そしてこの甘味資源特別措置法が、いろいろ大臣は説明はされておるけれども、結局製糖の独占の利益が優先して、てん菜生産農民の保護は手薄いのではないかというような点について、質問してみたいと思うのであります。  実はきょうの新聞に、台湾糖の原料高のものを買って、製品安であるので、これをニューヨークの砂糖ブローカーに転売したという報道があるわけであります。それについては大臣は御承知でしょうか、どうでしょうか。
  89. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 承知しておりませんので、もし事務当局で知っておりましたら、事務当局からでも答弁させます。
  90. 林百郎

    ○林委員 実は新聞の報道によりますと、現在の砂糖の価格が一キログラム百三十五円程度になっておる。ところが、台湾糖の粗糖によって精糖すれば、一キログラム百六十五円でないと割に合わないということで、これはむしろ赤字が少なくて済むように転売したんだということで、これをニューヨークの市場に転売しているんだという話が出ておるわけでありますが、しかし、こういうことはやろうと思えばできる機構になっているかどうか、貿易の自由化によって。要するに、大きなメーカーあるいは輸入商が、国内砂糖の市場価格を左右するために、材料を転売する、あるいは安く買ったものが高くなった場合は、逆にまた売れるようになるわけですが、そういうことは自由化の機構の中で許されることかどうかということをまずお聞きしたいと思います。
  91. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 現在、そういうことは当然できることになっております。
  92. 林百郎

    ○林委員 そうしますと、結局、日本の砂糖の市場価格を、大きな独占製糖メーカーやあるいは輸入商が、貿易の自由化を利用してつり上げることもできるということになるんじゃないですか。それに対して行政的な何らかの措置を講じなくてもいいでしょうか。
  93. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今回の場合は、むしろ従来持っております。すでに輸入商社の成約したものについての処置をやったという関係で、お話の新聞記事のようなことがあったんじゃないかというふうに思います。したがって、全体の国際糖価の中で、日本の商社がどうこうすることによって変動するというような関係にはないんじゃないか、私はこう思っております。
  94. 林百郎

    ○林委員 しかし、砂糖の需給関係が、日本の国内の状態は非常に急迫している。これは国際的にもそうですか、そういう状態にあるときに、いかに貿易の自由化とはいえ、国内で砂糖がなくて困っている、あるいは値が高いというときに、独占メーカーや商社が、かってに自分の損の幅を少なくするために、あるいはより多くもうけるために、この乏しい国内の砂糖事情を無視して、ニューヨークへ台湾から入れた砂糖を売ってしまうなんということが許されていいでしょうか。
  95. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 どうもいまのお話は、国際価格から見れば国内の価格がもっと高かるべきものが安いのですから、したがって、向こうから独占価格でつり上げるということはない。むろ逆に、国内が高いとすれば、それだけ需給が逼迫しておるわけですから、自由化後においては自由に物が入ってき得るわけであります。どうも先生のお話しは、逆の場合は想定されますけれども、そういう場合はないんじゃないかと思います。特に現在におきまする生産が、長期的にはやはり砂糖の過剰という傾向を基調といたしておりますので、そういう事態はないんじゃないかと思います。
  96. 林百郎

    ○林委員 生産が過剰なんですか。むしろ、生産が逼迫し、材料の輸入状況が逼迫する見通しがあるからこそ、本法案を通して国内の自給度を高めるということが目的じゃないでしょうか。あなたの言うように、そういうことをおっしゃるなら、いまの砂糖の値は安い、だから、これを高い台湾から入れた砂糖の値段につり合うように上げるために、商社の手持ちの台湾の粗糖を輸出してもいい、こういうことは認められるのですか。あなたは、国内の砂糖の値が安い、要するに、独占メーカーの持っている粗糖の値段や、あるいは輸入商が入れた値段では、国内の砂糖の値段が安いから、しかたなく売らせるのだ、国内の砂糖の値段が上がれば、そこで落ちつくだろう、それまではまかせるのだということですか。
  97. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 そういうことを申し上げているわけでは全然ないのでありまして、台湾糖がニューヨークで売られたということは、われわれとしては全然関与しておらないことでありまして、民間の計算において行なったことと考えております。
  98. 林百郎

    ○林委員 そうすると、これは私のほうで調査してもらったのですが、台湾糖と、他の台湾糖以外の輸入糖との平均のトン当たりの値段は、どのくらい違うのですか。
  99. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 台湾とキューバと比べて御説明いたしますと、三十八年におきましては、台湾から百六十一ドル五十二セント、それからキューバでは百三十七ドル五十三セント、いずれも通関価格でございます。それから三十七年度が、台湾が七十一ドル七十セント、キューバが六十二ドル四十六セント。
  100. 林百郎

    ○林委員 そうすると、結局一トンに対して何ドルずつ違うものですか。三十七年は幾ら、三十八年は幾ら。
  101. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 この差額でございますが、トン当たり三十七年度は約九ドル、それから三十八年は二十四ドルでございます。
  102. 林百郎

    ○林委員 台湾の砂糖は、原料の粗糖でしょうけれども、どうしてそんなに高いのか、そしてまた、どうしてそんなに高い砂糖を買わなければならぬのでしょうか。
  103. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これはもっぱら民間の取引にまかせておりますので、それぞれ台湾の場合における値ぎめの方式、キューバとの値ぎめの方式がありまして、特に台湾につきましては、商社間におきます一年間の成約をきめます場合における値ぎめの方式というものをとった関係で、こういう値段になっておるというふうに思われます。
  104. 林百郎

    ○林委員 そうすると、値ぎめ方式がどういうように違うから、高い砂糖になるというのですか、もう少し具体的に説明してください。
  105. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 商社の取引された形態でございますが、これは日本精糖工業会と、それから日本砂糖輸出入協議会、それから台湾のほうでは台湾糧業公司、中央信託局の間で取りきめられた協定になっておるわけでございますが、それによりますと、値ぎめの形としては、各積み月の前々月の十一日から前月の十日までの国際砂糖協定の発表によって、キューバのFASの糖価の単純平均価格を基準として定めるというのが原則でありまして、それに若干糖度分であるとか、入れ目であるとか、あるいは運賃の差異というものがプラスされるというような方法になっております。  それからキューバのほうの値ぎめのやり方でありますが、これは日本港のC&Fの形できめられておりますが、その値ぎめの価格は、ロンドンの定期取引相場をとるということにしまして、その値ぎめの日にちは、契約日から船積以後三十日までの間にいろいろロンドンの市場が立ちます場合の任意の価格を選択してきめる、こういう形になっておるわけであります。おそらく相違があるのは、そういうことだろうと思います。
  106. 林百郎

    ○林委員 ただいま私がお聞きするのは、ロンドンにしろニューヨークにしろ、国際的な砂糖相場があるわけでしょう。そういうのを基準にしなくて、台湾から高い砂糖を買うというのは、要するに、台湾との取引は、需給度が安定する、そういうことがあるから、少し政府が高く買えということがあって、買わされているんじゃないかと思うわけです。ところが、需給度が安定するということは、それをもって国内の一般砂糖消費者の価格の変動をなくすために、幾らかは高くてもがまんして買っている。台湾の粗糖は国際価格よりは高い。その高いのを買ったからといって、どんどん国内のを売ってしまったら、取引が安定しているから少しは高いものでもがまんして買うという意味がなくなってしまうじゃないですか。いいですか、あなた御承知でしょうが、台湾の砂糖が若干高いということは、台湾と日本の取引がわりあいに安定している。たとえばキューバとかそういうところは、政治的ないろいろの要素があって不安定だ、だから台湾の砂糖が幾らか高くてもいいからお買いなさいといって、買っているわけでしょう。そうして需給度の安定のしている台湾の砂糖を買うということは、それによって日本の砂糖の消費生活を安定させるために、国際価格より高いのを買っているわけでしょう。それが、商社が高い砂糖を買って、いまの値段では割りが合わないから、外に出します、こういって出してしまえば、ますます砂糖の値をつり上げることになって、本来の台湾から高い砂糖を買うことの意味がなくなってしまうじゃないですか。結局、投機の手段として原糖や粗糖が買わされると同じことになってしまうじゃないですか。
  107. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは先ほど来繰り返し申し上げておりますように、もっぱら民間のベースにおいて、すべて価格をきめておるわけであります。台湾の場合には、特に高くするというのではなくて、これも国際価格にスライドした、つまり、キューバの価格に単純にスライドしてきめようというのが原則でございまして、特別の価格をそこできめたというわけではないのです。ただ、台湾のをおそらく買う場合におきましては、今後における需給状況から見て、手近なものを早く取りたいというような関係で、その当時における糖価をにらみ合わせて、こういうような方法をとったのであろうと思われるわけであります。キューバはその後において取引価格をいま申し上げたような値ぎめ方式をとった、こういうことになっておる、こう御了解願いたいと思います。
  108. 林百郎

    ○林委員 いろいろ弁明されておるようですが、それはそれとして、それならば、キューバ糖ですが、これは御承知のとおりにかって四十万トンくらい入れたのに、本年度は、十一月までに約十三、四万トンですか、非常に激減していますね。これは何か理由があるのですか。三分の一くらいに、同じ減るにしても、非常に減っておるわけですが……。
  109. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは先ほど申し上げたようなことで、やはり非常に窮屈だということで、早く手近なものを取るというふうな関係から、台湾のほうが非常にふえた、こういうことではないかと思います。事実またお話のように、三十八年度はキューバは減りましたけれども、また本年度になりますと逆にキューバがふえておるというふうなことがございますので、これは民間の判断に基づいてこの取引をやっておる、こうわれわれは思っております。
  110. 林百郎

    ○林委員 御承知のとおり、この十五日にアメリカの対外援助法が適用されて、キューバ糖の取引国に対しては報復処置をとるということが、十二月の十六日から六十日後のこの十五日に発効するわけですが、キューバ糖の取引について対外援助法の適用について、アメリカ側から何かの申し入れがあったかどうか、これは大臣にちょっとお聞きしたい。
  111. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私はいままで聞いておりません。
  112. 林百郎

    ○林委員 そうすると、食糧庁長官のおっしゃったように、安いキューバの砂糖をコマーシャルベースで買えますか。ことしはふえたというのですが、台湾の砂糖からキューバの砂糖へ切りかえができますか。
  113. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 もうすでに六月までに成約したものがあるわけですから、いまの対外援助法の関係につきましては、私もよくまだ勉強し、検討しておりませんので、お答えできませんが、それ以前のものについては、当然差しつかえない、できるのではないかと思っております。
  114. 林百郎

    ○林委員 私のほうの調査ですと、三十七年度は四十万トンだった。三十八年度は十一月までに十三万トンという数字が出て、非常に減っておるのですが、何かあなたは漸次ことしはまたふえておるのだというのですが、どういう数字で、どういうことでおっしゃっておられるのですか。
  115. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 私のほうの調査では、キューバは三十七年度は五十二万三千トン、それから三十八年度が十六万四千トンですが……。
  116. 林百郎

    ○林委員 それは十一月までですか。
  117. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは暦年でございます。十六万四千トンでございますが、来年の六月までに到着する分を含めますと、もうすでに民間会社で成約したものを調べてみますと、これは四十二万トンくらい、相当大幅に回復するのではないかと見込まれております。
  118. 林百郎

    ○林委員 そうしますと、漸次値段の高い台湾糖から値段の安いキューバ糖に切りかえるということもできるのですか、コマーシャルベースで。
  119. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 成約の範囲内によれば、できるのではないかと思います。
  120. 林百郎

    ○林委員 自由化についてお聞きしたいのですが、その前に念のために、いまの数字は間違いないでしょうね。キューバ四十二万トンということは間違いないでしょうね。十一月までは十三万トンとわれわれは聞いておるのですが、もう一度念のために確かめておきたい、それが一つ。  それから自由化になりまして、外貨の割り当て制がなくなりますと、各製糖会社は自分の力で、商社を通じて粗糖あるいはそのほかを買うようになると思うのです。そうなりますと、結局力のある独占の製糖会が、中小製糖会社を集中して、独占が強化されるようになるという傾向が出てくるように思われるのですが、そういうことは農林省としては考えておりませんか。
  121. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 製糖企業が独占的になるかどうかは別といたしまして、自由化された場合におきまして、今後製糖企業がある程度合理化していくというようなことは、当然生じてくると思うわけでございます。その際、具体的にいまのやつがすぐどういうふうになるかというふうなことについては、今後の問題でございまして、特にどういう計画というふうなものを持っておりません。
  122. 林百郎

    ○林委員 これは大臣にお聞きしたいのですが、私は結局自由化によって、自由化というのは、もともと資本の強力なものが中小企業を集中独占していくという自由が許されることなんですから、大きなメーカーにだんだん集中されていくと思うわけですが、いままでのように政府が外貨の割り当てをするのと違いますから、力のあるものが力のないものを集中していくことは資本の原則ですから、私はそういう傾向がさらに強まると思うわけです。したがって、製糖会社の統制廢合が再編成されるのではないかと思っております。そのことにからんでわれわれ非常にふしぎだと思うのは、三十四年度と三十五年度貿易の差金を農林省が製糖会社からてん菜振興会のほうへ出してもらうのだ、それがいまもってちっとも進んでおらない。またふしぎなことは、百十四億と言われたものが、いつの間にか十八億と言われたり、さらに、それがある人に言わせるともっと少ない数字になっていたり、はなはだ奇怪なんです。これに対しては農林省でどういう方針で今後臨まれるでしょうか。
  123. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 自由化したときに、率直に言うと、砂糖界はだいぶおこりまして、払わないと言ったのですが、それでは約束が違うじゃないか、こういうわけで払わせました。三十七年度は……。
  124. 林百郎

    ○林委員 数字を言ってください。
  125. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 数字は事務当局から……。払わせまして、その前のやつも督促しておるわけです。約束は約束だから、こういう方針で、別にやめたわけじゃございません。
  126. 林百郎

    ○林委員 数字をちょっと言ってください。幾らあって、幾ら払わして、幾ら残っているか。
  127. 中島清明

    ○中島説明員 三十七年度分につきましては、全体で、上期の分といたしまして七億五千五百五十九万三千円、それから下期の分が約六億五千七百八万一千円となっておりまして、これらは、一部中小業者等でどうしても資金繰りの関係で納められないところの若干の額、約千七百万円でございますが、そういうものを除きまして、全部完納されております。それから三十四年度、三十五年度の分は、、全体で十七億二千二百円でございまして、これは四億三千万円がすでに納入されておりまして、残余につきましては今後納入を求める、こういうことになっております。
  128. 林百郎

    ○林委員 そうすると、結局三十四年、三十五年の分の十七億が、四億納められて、あと十二、三億残っておる、こういう計算ですか、大づかみのところ。
  129. 中島清明

    ○中島説明員 大づかみでそういう計算でございます。
  130. 林百郎

    ○林委員 大臣にお聞きしますが、それはどういうように出させるのですか。どういう方法をいま講じているのですか。
  131. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これはたいへん怠慢のようなあれですが、一生懸命やりまして、そうして向うを呼んで——だいぶ反対して、自由化のために損するのだということで、約束は御破算にしようというような意向もあったのです。しかし、そんなははずはないじゃないか、ところが、向こうでも強硬に、利益がなくなったんだから納めることはないと言います。しかし、約束は約束で、約束を破るということはいかぬじゃないか、そう言って、それで自由化のあと非常に折衝しまして、三十七年度の分は全部納めさせたということでございます。残っている分についても、どういう態度をとるかといえば、納めさせるような態度をとっておりますということを申し上げる以外にはございません。なお督促いたします。
  132. 林百郎

    ○林委員 そうすると、残っているものについては請求するつもりだと言うのですけれども、もし払わない場合、出さない場合は、行政的に何らかの措置考えているのか、呼んであなたがお話しになるだけかということが一つ。  そういう農林省の砂糖行政については、陰になりひなたになり、製糖会社を非常に手厚く援助している、保護している、そういうように私は思えてしようがないわけですよ。その意味で、いま審議しております甘味資源特別措置法につきましても、大臣は間接的にてん菜生産農民価格を維持するような措置をとっておるのだと言うのですけれども、最低生産価格で製糖会社てん菜農民からてん菜を買わなければならない保障というものは、結局これで買わない砂糖については、政府が買い入れをしないということで押えるだけですか。それともそのほか何らかの措置がありますか。
  133. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまの最終的な手というのは、買い上げしないという手だけしかないと思います。ほかにこれは何も補助を出しておるわけでもございませんし、製糖会社へどうということでございませんから、これを打ち切るとかなんとかいうことはございません。買い上げないということです。
  134. 林百郎

    ○林委員 そうすると、製糖会社てん菜生産農民から最低生産価格をさらに買いたたいて、直接買いたたかなくても、あるいはあとになって精算金を渡すとかなんとかいう形で最低生産価格を買いたたいている場合に、政府としては、それはあなたの言うように、取引の自由なんだから、それはそれてしかたがないのだ——現に昨年度資料を見ましても、政府の指示価格農民に要求との間には違いがあるわけなんですが、たとえば三十七年度基準価格が、政府のほうの計算ですと六千十五円、農民は六千七百円ということになっているわけですが、最低生産価格については、農民はパリティ方式や生産費所得補償方式の計算の方法もありますから、政府のほうの指示と農民の要求とは食い違ってくると思いますが、かりに最低生産価格が指示されたとして、それを買いたたいていることが明らかにわかっている場合にでも、政府としては、それはそれで契約自由の原則で、合意があるのだからしかたがないということで見ているわけですか。そうして今度は、政府が買い入れなくても、買い入れ価格までこなくても、製糖会社のほうは、農民をたたいて安くやれば、政府から買ってもらわなくても、利潤が出てきちゃうのですよ。その辺を何か行政的にコントロールしなければね。その保障がどこにあるかということです。
  135. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ですから、この間からもその話が出ましたが、最低価格以下になる場合がかりにあったとしましても、最低価格は最低価格として、価格決定その他は見ざるを得ない。しかし、情勢の変化で、最低価格よりまだ以上になってきて、しかもそれを業者のほうで買いたたくというような場合には、取引方法において指示するという十八条もありますが、そういう場合に、指示価格といいますか、勧告価格で、不当じゃないか、この程度がいいのだ、こういう二段がまえにいましておるわけですから、最低価格をくずすことはないし、それからその実際の取引上において、非常に取引を混乱させたり、あるいは適当でないような場合には、今度は勧告価格、指示価格を出しますから、それがまた買い取り価格の基礎になるわけです。そういう二段がまえでいきますから、私はそれでいくと思います。
  136. 林百郎

    ○林委員 私は、卒直に言って、最低価格は、これは一つの基準であって、実際生産農民に対しては何の保障もないわけです。それじゃ、勧告価格を守らない場合に、どういう行政的な措置があるのですか。その勧告価格に従わない場合には、製糖会社に対して、生産を停止させるとか、そういう思い切った措置をとれますか。
  137. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 生産を停止させるということはできないと思います。さっき申し上げましたように、それは政府で砂糖を買い上げしないという、制裁ということでもないですが、そういう措置しかいまのところないと思います。
  138. 林百郎

    ○林委員 結局、最低生産価格、勧告価格があっても、それは一つの基準であって、政府はそれについて強制的な保障、国家的な保障はないということになりますと、結局甘味資源特別措置法というのは、これはてん菜生産農民よりは製糖会社のことにウエートを置いておられるのじゃないか。間接的に、値段を維持することによっててん菜農民は潤うじゃないかということで、ウエートはむしろ製糖会社のほうにあるのじゃないかというのが私の見解です。まあ、その点について回答があるならやってください。私はそう見ております。
  139. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 製糖会社に重きを置くなら、製糖会社法でもつくればいいのですが、やはりこれはてん菜生産農民を重点といいますか、生産農民のための法律だと思います。見解の相違はあるかと思いますけれども法律の立て方は、これは生産農民のためのもので、別に会社のためなら製糖会社法でもつくればいいのですから、その点におきましては、観点は違うかもしれませんが、農民のためのものであります。
  140. 高見三郎

    高見委員長 次会は明十九日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会