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1964-02-12 第46回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十二日(水曜日)    午後二時三十八分開議  出席委員    委員長 高見 三郎君    理事 坂田 英一君 理事 谷垣 專一君    理事 長谷川四郎君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 足鹿  覺君    理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    池田 清志君       大坪 保雄君    加藤 精三君       亀岡 高夫君    吉川 久衛君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       舘林三喜男君    内藤  隆君       八田 貞義君    藤田 義光君       湊  徹郎君    亘  四郎君       角屋堅次郎君    栗林 三郎君       東海林 稔君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    野口 忠夫君       湯山  勇君    稲富 稜人君       中村 時雄君    林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林政務次官  丹羽 兵助君         農林事務官         (園芸局長)  酒折 武弘君         食糧庁長官   齋藤  誠君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 二月十二日  委員宇野宗佑君及び松浦東介辞任につき、そ  の補欠として湊徹郎君及び松田鐵藏君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員湊徹郎辞任につき、その補欠として宇野  宗佑君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十一日  農業改良資金助成法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八三号)  林業信用基金法の一部を改正する法律案内閣  提出第八五号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  甘味資源特別措置法案内閣提出、第四十五回  国会閣法第一二号)  沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案(  内閣提出、第四十五回国会閣法第一三号)  甘味資源生産振興及び砂糖類管理に関す  る法律案芳賀貢君外二十五名提出衆法第九  号)      ————◇—————    午後二時三十八分開議
  2. 高見三郎

    高見委員長 これより会議を開きます。  この際、足鹿覺君より発言を求められております。これを許します。足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 先日来、農林大臣所信表明及び政務次官から来年度予算概要について御説明を聴取し、それに対する質疑が行なわれたわけでありますが、これに関連をいたしまして、昭和三十九年度農林省関係予算の各目明細書を早急に御提出を願いたいと存ずるのであります。過般の質疑応答において、来年度予算概要あるいは農林大臣の御所信については、一応われわれも承ることができたのでありますが、さらに、当面する諸問題等について掘り下げて、緊急な事態に即応する必要もあるように存ずるのであります。したがいまして、先ほど述べました各目明細書の御提出を願うことができるかどうか、また、願う時期はいつであるかということをこの際農林省のほうから御答弁をわずらわしまして、それを見た上において、掘り下げた検討をする機会を委員長においてお取り計らい願いたい。具体的な取り扱い等については、理事会あるいはそれに準ずるものにおいて御処置願ってけっこうかと思います。それが一点。  第二点は、来年度予算にも三億五千万の補助金の計上がしてございますが、農業災害補償法が新しい制度によって来年度水稲から実施されることになりました。この実施に伴う組合別の掛け金の新旧比較表がおそらくできておると思うのであります。前に農災法大幅改正が行なわれました際に、私どもはこの資料要求したのでありますが、旧農家単位制度によって算出したものであって、当時は新しくまた現状に戻ったので作業が進んでないという理由で、その資料をいただいておりません。したがいまして、制度がいよいよ実施される年を迎えたわけでありますので、おそらくその細目ができておると思います。これを御提示願えるかどうか。  以上二点を要求かたがたお願いを申し上げて、委員長のほうにおいて御善処願いたいと思います。
  4. 丹羽兵助

    丹羽(兵)政府委員 ただいま足鹿委員から御要求のございました資料に関してでございますが、第一の前段御要求になりましたものにつきましては、十分御趣旨のくまれた内容のものをできるだけ早く提出させていただくことを申し上げます。  それから第二段の御要求でございますが、これにつきましては、政務次官も前々から承知しております。おくれておるようでございますが、至急調査いたしまして、後刻私から足鹿委員に報告させていただくということでお許しを願いたいと思うのであります。
  5. 高見三郎

    高見委員長 足鹿君に申し上げますが、御要望の点については、理事会等にはかりまして、御希望に沿うように善処いたします。  中村時雄君より発言を求められておりますので、これを許します。中村時雄君。
  6. 中村時雄

    中村(時)委員 農林省のほうに資料要求をひとつしておきたいと思うのであります。いま砂糖二法が出ておりますので、これに関連するビートに関価してでありますが、昨年の十月の生産開始前に決定されたところの工場別原料配分内訳、この工場別原料配分内訳に基づいた操業日数予定及び生産数量の予想、それからその後の実際における操業日数及び生産実績、それから四点としては、原料買い上げ価格、昨年指示価格として六千五百円というものが出されましたが、それにプラスアルファがあったはずであります。そのプラスアルファの実情及びプラスアルファの根拠、それから第五点としては、作付面積に対する工場別の反当たり収量、もちろんこれは本年を含めて過去三ヵ年間のやつを提出していただきたい、これを要求いたします。
  7. 丹羽兵助

    丹羽(兵)政府委員 ただいま中村委員からの御要求資料でございますが、ほとんど出るようでございますので、万が一欠けるようなものがございましたら、それらもできるだけ早く出すようにいたしたいと思います。
  8. 中村時雄

    中村(時)委員 早くやってください。
  9. 丹羽兵助

    丹羽(兵)政府委員 承知いたしました。      ————◇—————
  10. 高見三郎

    高見委員長 内閣提出甘味資源特別措置法案沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案及び芳賀貢君外二十五名提出甘味資源生産振興及び砂糖類管理に関する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣にお尋ねしますが、政府提案甘味資源特別措置法案については、これは昨年の四十三通常国会において、当委員会において審議した経過があるわけであります。大体同様の内容法案が前の特別国会に提案されて、本国会継続審議になっておるわけでありますけれども、問題は、昨年当委員会において審議した場合と現在との事情の変化ということになりますれば、一番大きな問題は、輸入粗糖完全自由化が行なわれたという点であります。でありますから、法案提出になる場合においても、自由化以前の国内砂糖政策あるいは甘味資源振興対策と、自由化後における施策というものは、おのずから変わってくると思うわけであります。それにもかかわらず、同様の内容法案が出ておるということになると、全く自由化に対して対応する制度についての熱意がないということに見受けられるわけでありますけれども、この点に関して農林大臣から御説明を願いたい。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 昨年政府提案事情が違っておるじゃないかということでございますが、第一には、政府提案のものに対しまして衆議院のほうで修正がありましたので、その修正部分原案として取り入れたということが一つ違っております。  それからもう一つは、自由化する前の法案、今度は自由化してからの法案であるから、その辺の外部の情勢に対してどういう配慮をしたか、こういうことでございます。実は自由化する場合に、まあ完全自由化でございますけれども農林省側、私のほうといたしましては、自由化についてはいろいろ条件がある。一言でいえば、甘味資源法案及び沖繩産糖に関する法案でございますが、これは次の国会提出して早急に成立を期したい、それから国内に対する影響国内てん菜糖その他に対する影響が及ばないよう措置をとる、法案でございませんが、予算の面あるいは行政的な措置をとる、そのために財政支出ども十分考慮すべきである、こういう条件ということでもございませんが、自由化に対しての非常な強い要望を、私のほうから六項目にわたって閣議要望いたしておったわけでございます。そういうわけでございますので、行政的あるいは財政的なほうの措置はとりましたけれども法律につきましては、もとの案で、昨年度の案で特に手を加えるといいますか、そういう点もないというような見通しで、衆議院修正部分だけを原案といたしまして提出いたした、こういう事情でございます。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 昨年の事情は、赤城さんは農林大臣就任以前でつまびらかでないかもわかりませんが、当時の事情においても、この甘味資源特別措置法案と関連して、たとえば関税関係法律改正等についても、当時の輸入粗糖に対する外貨割り当て制度関税割り当て制、いわゆるタリフ・クォータ制に移行させて、当分の間その制度を採用して、しかる後に国内体制が完全に整備された暁、自由化に入ることはあり得る、こういう段階に進んだわけでございますが、それが去年の八月三十一日に突然自由化に踏み切ったわけです。したがって、当時われわれが認識しておったいわゆるタリフ・クォータ制の採用も見なかった、あるいはまた国内甘味資源保護育成のために砂糖消費税を、われわれとしては全廃の意思でありますけれども、これを大幅に減免して、そうして国内保護対策を強化する、こういう一応の方針が出されておったわけでありますが、今回は関税割り当て制はもちろんやらない。単に自由化である。それから砂糖消費税関係についても、この物価高騰の中において、わずか五円だけの引き下げが行なわれたというような事情にかんがみた場合、われわれとしては、政府の今日考えておるこのような砂糖政策に対しては、全く同意することができないわけです。それで、特に去年の八月三十一日の前日、自由化実施に対応しての閣議決定というものが行なわれておるわけでありますので、この点の内容について、大臣から明らかにしてもらいたいと思います。
  14. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ただいまお話しのような事情はございましたが、自由化をするときの事情から申しまして、タリフ・クォータ制は採用しなくても差しつかえなかろう。こういうような事情で、タリフ・クォータ関税関係は考えに入れなくてもいいのじゃないかということであったわけであります。  消費税の問題につきましては、いまお話しのように、砂糖価格が上がっては困りますので、物価対策上からも消費税を五円だけ引き下げ——関税関係でなく、消費税関係で、実は私どもといたしましては、五円でなく、十円の引き下げということで折衝いたしたのでございますが、諸般の事情から五円だけで終わっておる、こういう関係になっておるわけでございます。なお、タリフ・クォータその他の事情等につきましては、事務当局から御答弁させます。
  15. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいま芳賀委員の御質問の第一点であります。粗糖輸入自由化をする場合に、あわせとるべき措置につきまして、どのような内容のものであるかということでございますので、読み上げて御説明にかえたいと存じます。  六項目にわたっておりまして、  一、国内甘味資源に関する措置及び沖繩産糖に関する措置関係法案を、来る臨時国会提出のりえ、その早期成立を期する。  二 来る臨時国会提案予定甘味資源に関する法律に基づく国内産糖政府保護措置等については、迅速適切に行なうとともに、最低生産価格その他生産者保護にかかわる事項については、自由化影響生産農民甘味資源生産振興意欲を減退させることのないよう配慮する。  三、沖繩産糖政府買制度についても、二に準ずるものとすること。  四、消費者物価対策を考慮し、砂糖消費税引下げを行なう。この場合消費税引下げに伴う黒糖の競争力弱化に対処して原料生産者保護のための特別の考慮を払うものとする。  五、粗糖輸入自由化砂糖消費税軽減等による糖価水準の低下の影響が懸念されるぶどう糖及びいも、でん粉対策として、上記関係法案による措置のほか、ぶどう糖砂糖類混合液糖消費拡大を通じぶどう糖消費飛躍的拡大をはかるため次の措置をとる。   (ア) 課税方式を改め精糖工場で製造できることとする。   (イ) 四による砂糖消費税軽減に当って、上記液糖の税率を普通砂糖より有利なものとすること。  六、てん菜生産振興対策については下記により適地において強力に展開する。   (ア) 単位面積当り収量低位農家増産意欲を阻害し、てん菜糖業にとっては原料不足コスト高をもたらしている悪循環をたち切るため土地基盤整備機械化導入施行料負担等手厚い増産施策を講ずる。   (イ) とくに暖地てん菜については原料輸送費補助等所要保護措置を講ずるほか、要すれば南九州地区に(ア)の施策に関連し、原料加工を主たる目的とする公社的性格企業体の設立を考慮する。  以上が、自由化実施する場合にあわせとるべき措置として閣議了解があったものでございます。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、この閣議了解事項の特に第二でありますが、この第二項が法案ともっとも関係を持つことになるわけであります。特に法案目的においても、生産振興をはかると同時に、砂糖国内自給度向上に積極的な施策を講ずるということになっておるわけですが、自由化時代に入って、しかも国内自給度向上をはかるということになると、相当思い切った施策を講じないと、自給度向上は期しがたいので、従来自由化になったたとえば国産の大豆、なたね等についても、交付金制度等の幾ぶんの保護措置は講ぜられておるが、しかし、三十六年に自由化になって以来、毎年毎年大豆及びなたねについても、耕作反別の減少、したがって生産量が減退して、一方輸入数量が飛躍的に増加しておるわけであります。ですから、農産物自由化というものは、結局現象面においては、国内農業生産を低下させ、減退させるという作用を持っておるわけですから、これに対応して、しかも国際競争の中で国内生産を高めて自給度向上させるということになると、従来の政府の講じた農業政策の中においては、これは期待できないと思う。  ですから、私の強調する点は、現在の国際糖価水準というものは非常に高値であります。国際糖価水準が高いということに安易感を持って、だから自由化をやっても差しつかえないということでは、非常にたよりないと思うわけです。いつまでも高水準が続くということは考えられないわけでございますから、やはり従来に増して国内生産対策あるいは自給度向上のための具体的な政策というものが、この法案審議と並行して明らかになって、しかも生産農民に対して安心感意欲を盛り上がらせるということでなければ、実際の効果はあがらないと思うわけです。この点について、私どもは、従来政府やり方に不満と不安を持っておったわけでございますから、この法案審議にあたっては、具体的にこういうことをやってこうなるというような基本的な姿勢を明らかにしてもらわぬといけないと思うわけです。ですから、この点について、特に重点的に大臣から述べていただきたい。
  17. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御趣旨は、まことにそのとおりでございます。そういう事情から、ことしの予算等にいたしましても、生産基盤等につきましての予算は相当伸ばしてきておるわけでございます。あるいは栽培等における機械化の方面につきましても、同様力を入れておるわけでございます。同時に、価格問題等につきましても、価格をどうするかという問題に入る前に、やはり最低価格とか取引価格についての問題等も十分考慮して、生産が続けられるような、あるいは安定するような方途を講じておるわけでございます。  予算のこまかい面等につきましては、事務当局から答弁させます。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、三十八年度産の原料によって国内砂糖生産が行なわれたわけでありますが、この実績基礎にして——去年はちょうど法律が空白の時代にあったわけでありますから、一番不利な条件の中で生産が行なわれたということも言えるわけでありますが、これを基礎にして、一体三十九年における生産に対する期待というものは、この法案成立を通じ、あるいは三十九年度の甘味関係予算実行を通じて、どの程度上昇するかという点について、確信のほどを述べてもらいたいわけであります。特に三十七年度の砂糖国内生産事情については、総生産量において四十二万五千トンの内訳は、てん菜糖が十五万六千トンで、さらに北海道府県を区分しますと、北海道において十四万六千トン、府県において一万一千トン、合わせて十五万六千トンということになるわけであります。さらに甘蔗糖については、合わせて二十万二千トンでありますが、内訳は、鹿児島——奄美大島を含めるわけでありますが——において五万トン、沖繩生産が十五万二千トンで、二十万二千トンということになっておるわけであります。さらにまた、規格ブトウ糖については、これを砂糖に換算いたしますと、六万七千トンということで、結局三十七年は四十二万五千トンの国内生産ということになるわけであります。三十八年度産については、まだ見通し段階といえるわけでありますけれども、およそ四十二万九千トンの期待のもとに、てん菜については北海道で十四万七千トン、府県、これは主として青森県の工場でありますが、一万四千トン、合わせててん菜糖については十六万一千トンということになるわけであります。甘蔗糖については沖繩生産が十二万一千トンで、鹿児島県において生産される分が五万八千トンで、甘庶糖は十七万九千トンということになるわけです。規格ブドウ糖については、砂糖に換算いたしまして八万九千トン、これを合わせて四十二万九千トンですから、三十七年度の実績四十二万五千トンに比べますと、全く横ばいの状態に置かれておるわけであります。こういうような前提に立って、三十九年度のたとえばてん菜糖に対する生産期待、あるいは甘蔗糖に対する、あるいはブドウ糖に対する生産期待というものを、どの程度に計算されておるか、まず、この点について御説明を願いたいわけです。
  19. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいまお述べになりました数字につきましては、お手元に配りましたような数字でありまして、三十八年度については、まだわれわれの見込みでございますが、生産量といたしましては、てん菜が前年の十五万六千トンに比べて十六万一千トン、甘蔗糖は前年の五万トンが五万八千トン、ブドウ糖は前年の六万七千トンが八万九千トンというようになりまして、三十九年以降においてどのようになるかということでございますが、これはまだ三十八年度も見込みの状況でございますので、三十九年度において一体どのようになろうか、これはまだ私どもとして具体的な数字で申し上げるまでの用意をいたしておりません。しかし、先ほど大臣に対する御質問の中にありました、これらの増産施策についての三十九年度の農林予算につきましては、相当大幅な増額の予算を計上いたしておりますので、これらの施策とまっていけば、適地における生産の伸長は期待できるのではないだろうかというふうに考えております。具体的な予算施策内容につきましては、園芸局長が所管しておりますので、園芸局長からお答えいたします。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いているのは、三年後、十年後にどうなるということを聞いているのじゃないですよ。三十九年度において政府としてはどのくらいの生産量期待しておるか。それがなければ、予算を通し、あるいは法律を通してみても、どうなるかわからぬというような確信のない態度ではいかないと思うのです。これは農林大臣にお尋ねしますが、一体ことしはふえると思っておるのか、減ると思っておるのか、その点はどうですか。これは農林大臣からお答えを願いたい。
  21. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 三十八年度の見込みはいま齋藤食糧庁長官から答えたとおりです。三十九年度にどのくらいかということでありますが、園芸局長からお答えいたします。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣の答えられぬところは後日でいいです。そうでないと時間がたってしまいますから……。大臣数字まで言えというのじゃないですよ。予算も、少ないけれども、三十八年度に比べれば相当ふえておるのですね。あるいはまた法律のない時代よりも、制度があったほうがましだということにもなるわけです。ですから、そういう有利な条件の上に立って、一体三十九年度は去年よりもふえると思っておるのか、減ると思っておるのか、その程度のことは、一国の農政を預かった以上はわからぬはずはないと思うのです。
  23. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 実は四十六年の目標等を一応公表しましたが、なかなか目標どおりにいままでいかなかったのは御承知のとおりであります。でありますから、三十八年度につきましても見込みは申し上げていますが、三十九年度においても、三十八年度よりも見込み以上に増産もし、予算をつぎ込んだだけの効果をあらしめるべく努力をいたしますが、その数字が何%くらい、こういうことはちょっと私もなかなか言うだけの数字をいま持っておらないわけであります。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 これは決して無理な質問ではないですね。たとえば農業基本法によっても、社会党の考え方からいえば、これは農業基本計画というものを立てて、そうして長期計画あるいは年次計画というものを明らかにして、それを実行するための具体的な施策というものを示すということでわれわれは進むわけですが、政府の場合においても、基本法の中で、主要なる農産物長期見通しというものを立てて、これを公表しなければならぬということになっておるわけであります。政府が発表された長期見通しというものは、非常にずさんなもので、信用の度合いは低いわけですが、しかし、せっかく基本法があって長期見通しを立てなければいかぬ、あるいはまた所得倍増計画においてもすでに手直しを行なっている段階にきておるわけでありますからして、やはり農業の部面においても、これらの長期見通しというものは、施策を進める上において一番大事な目標あるいは基礎になるわけでありますからして、できるだけ的確に、近いものをその年度においても把握して、そうして実行に移すということでなければいけないと思うのです。私のお聞きしているのは——ふえるか減るかわからぬということは、結局政府に一貫した方針がないというところに対する自信のなさというものを大臣が正直に答弁されたわけです。ですから、ここで考えられることは、国内生産を高めるための一番きき目のある対策ということになれば、何と何ということぐらいはわかると思うのです。ですから、その点について一体どうやるか。たとえば価格政策を通じて、実際耕作する農家が進んで原料生産できるようなそういう価格体制に持っていくとか、あるいは土地改良であるとか、あるいは大きな機械導入等を行って、そうして基盤整備を通じて単位生産を高めるというようなやり方は、当然これは行なえるわけでありますからして、この二点にしぼって、価格政策については大体どういう方針でいくとか、あるいは基盤整備とか生産対策に対してはどうやるとか、この点について大臣から明らかにしてもらいたい。
  25. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 長期見通しをつくるべきだという第一点、それはお話のとおりでございます。その点につきましては、先ほど申し上げましたように、四十六年度の作付面積を七万二千町歩にして、てん菜生産として二百十六万トン。ところが、その後の生産事情で事実再検討を要することになっております。それから北東北、青森、岩手ですが、及び南九州、これにつきましても、生産が始まってまだ日が浅いものですから実績がないので、長期見通しを樹立することが困難であります。でありますので、法案成立後、できるだけ全般の見通しをつけて、生産の推移とか他作物との相互関連等を考えて、長期見通しを樹立したい、こう思っています。  とりあえず三十九年度の問題でございますが、これも検討をいたしております。しかし、それは別としても、一体どういう対策を講ずるのかということでございますが、生産振興対策費として御承知のように二十一億九千万ばかり、これは昨年度より約六億多く予算を組んでおるわけであります。いまお話のように、もちろん、土壌が十分てん菜の栽培に適しているというよりも、疲れてきた、こういうことでございますから、土壌及び基盤の整備にこの中から、相当金を出す、あるいはまたいまのお話のように、人手不足という点がございますから、機械を入れまして労力を省く、こういう方面に力を入れていきたい、こういうことで予算を組んでいるわけであります。価格等につきましては、この法案が通過次第、法案の中にありますように、最低価格をきめて告示する、あるいは取引価格につきましても、標準的な価格をきめて、価格の点においても安心ができるといいますか、生産が続けられるような態勢を整えていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば生産対策等について、予算的な数字がある程度述べられているわけでありますが、もう一つは、価格対策についてどういうような方針で進むということが、法案審議の過程で明らかにされないと、法律が早く通ればそのあとできめます。それは政府にまかせてもらいたいということでは、なかなかわれわれとしてもまかせられないということになるわけであります。  それでは具体的な例をあげてお尋ねしますが、昨年農林大臣に就任されて、その後に、三十八年産のいわゆる北海道におけるてん菜原料価格に対して、農林大臣の勧告というものが業者に発せられたわけです。これは農林大臣声明という形で出されたわけでございますが、内容は、やはり勧告あるいは指示に類するものであるとわれわれは理解しておったのです。これに基づいて、昨年は原料価格については六千五百円の基準で取引が行なわれたことは御承知のとおりであります。したがって、価格ということになれば、昨年大臣の勧告によって行なわれた六千五百円の価格というものは、やはり三十八年度における実績ということに当然なるわけです。ですから、生産者においても、この値段を下回るということはだれも考えていない。その後の物価の高騰とか、賃金事情であるとか、あるいは国際的な糖価高というものを要素として考えた場合に、三十九年度においては、原料価格というものは大幅に引き上げなければならないことは、これは一般の判断です。常識的な判断でありますから、何も法律が通ってみなければ価格の計算ができないということではないと思うのです。だから、政府の提案されたこの法律の精神に基づいてもし価格算定をするということになれば、たとえば昨年度の価格に対するその後の事情の変化であるとか、あるいは増産意欲を刺激するための積極的な要素の算入ということを考えた場合において、およその線は今日においても出せると思うのですよ。そういう腹がまえでなければ、こういう法律というものは通ってみても通らぬでも同じだということになると思うわけです。この点を大臣から率直に述べてもらいたい。そのことは、大臣がこれだけにすると言えば、長官はじめ農林省の役人諸君は、それに合わせる計算というものは心得ているわけです。すべて逆算方式でやるのを。米価についても、大豆、なたねについても、すべてそういうことが最も巧妙な方式として伝わってきているわけですからして、問題は、下から積み上げるというような迂遠なことをやらないで、まず政治的にことしは幾らにするということを大臣が言明すれば、ちょうどそれに当てはまる合理的な計算というものは出てくるわけですから、まず率直に、この価格の問題に対する大臣方針を示してもらいたいわけです。これをわれわれは具体的な一つのよりどころにして、迅速に法案の審議を進めていきたいというふうに実は考えております。
  27. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 昨年度の話は、いまお述べになったとおりでございます。しかし、昨年度の価格を談話の形で発表し、実はこれは勧告価格のようなことになったのでありますが、それよりは、私は、やはりせっかくこういう法案を出して御審議を願っておるのでございますから、法律に基づいて、最低価格あるいは取引価格が話し合いの上である程度きまってくるでしょうが、私のほうとしては、こういう価格が適当であろうというようなことを打ち出すにつきましても、法律の根拠があったほうがより力強いことになろうと思います。そういう意味におきまして、いま出せといっても、やはり私でも、めくらめっぽうに勘でやるわけにも参りません。資料をいろいろ検討したり何かしてきめていかなくてはなりませんから、まあそういうふうに検討している間に法案でも通していただけば、なお法案に基づいて適当な価格を出したい、こういうふうに考えておるのでございます。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 問題は、法律のない時代においても、六千五百円という勧告価格は出されたわけですね。ですから、昨年からことしにかけての経済事情の変化というものは、どうしてもこれはコスト高ということになってくるわけです。それは一割上がるか二割上がるかということは、要素のとり方によって違いがあるとしても、こういう基礎の上に立って、やはり用意というものは必要なわけですね。法律が通ってから、さてどうしたらいいかといっても、政府が自分で法律をつくって出したわけでしょう。だから、各条文に基づいて、たとえば最低生産者価格というものはこういう思想で計算するとか、さらにもう一つ、取引価格というものはこういうものであるということを自分でわきまえて法律をつくられたと思うわけです。われわれ社会党の出す法律はすべて——これは社会党は野党だから役人はついていないわけです。議員自身が法律を作成して、そうして国会に提案するわけですから、提案者であるわれわれとしては、全部、何を聞かれても明快に説明することができるわけです。だから、社会党の提案してある法案によれば、一体トン当たり幾らにするかと言われれば、これはもう率直に説明してもいいわけです。政府提案であっても、やはりその程度の心がまえがなければ、法案というものは出すべきでないと思うのです。ですから、法律を出す場合、これに伴う政令、省令等については、当然法案提出と同時にこれは配付すべきものなんです。ところが、最近はそういうものは全然出てこないでしょう。強硬に要求されてようやくそろえて出すというような、そういうやり方が最近の傾向ですが、この法律が通れば、これに基づいてどういう政令を出すとか、あるいはどういう省令を出すということは、これはもう用意されておると思うのです。これをお出しになれば、たとえば最低生産者価格の計算についても、あるいは取引価格の計算等についても、おおよその判断はできると思うわけですが、一体この政令、省令の案というものは、すでにもう用意されておるかどうか。用意してあれば、これを出してもらいたいわけですよ。用意してあって配付しないというのはけしからぬやり方なんですね。要求がなければ出さぬというようなことではいけないのですよ。
  29. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいまの点は、私はもう同時に出ておるものと実は思っておりました。はなはだ遺憾に存じますので、省政令に盛り込むべき事項は、通常法案と同時に出しておりますので、至急に取りそろえて出すことにいたします。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 じゃ、それはさっそくお出し願いたいと思うわけです。  それで、角度を変えてお尋ねしますが、昨年赤城農林大臣から、北海道における予定された新設工場設置の延期と、もう一つは、その新設予定工場に付随する増産担当区域、これも中止の通達が出ておる。これは記憶にあると思うわけですが、現在においても、北海道においては、原料生産に比較して工場が過剰であるということに実はなっておるわけです。これが、たとえば生産者から見れば、過剰施設のしわ寄せが生産者価格に及んでおる、工場経営者のほうから見ると、過剰施設によってコスト高になって経営が楽でないという、二つの面が出てきておるわけですが、こういう点はいまの自民党政府として十分反省してもらわなければならぬことだと思うのです。そこで、明確にしておきたいことは、この残余の四工場の新設については、当分延期するということでなくて、これは取りやめにする、白紙に戻すというのか、あるいは増産担当区域の中止の問題についても、これを完全に解消してしまうというのか、当時の通達の真意をここで明らかにしておいてもらいたいと思うのです。
  31. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知のように、この法案が通れば、工場等の新設等につきましても許可をする、こういうことでございますが、いままでは農用地の転換というようなことで新設の工場を認めておったわけでございます。ところが、生産の状況その他からいいまして、非常に工場が多過ぎる、こういうことでございますので、まだ工場建設にかかってないところの四社に停止を勧告して、停止をした。これは将来、数年後でしょうが、そういう場合があれば、またこの法律が通った後認可するようなことがあれば、そういう工場等については優先的に考えますけれども、いまの生産状況から見れば、いまでも過剰であるというような状態でございますから、まあやめるままになっているという実態であります。復活するという気持ちじゃございません。将来増産されるようなことがあればまた考えなければなりませんが、これは一時休止というより、当分よりももっと長い間という考え方でやめてしまった、こういうふうに私は考えて、去年話をつけたわけでございます。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 当時の通達の内容を見ると、生産条件とかいろいろな条件が具備する暁にはまた復活させることがある、そういう含みの点もあるのですよ。ですから、これははっきり、不渡り手形にするならするとかいうことにしておいてもらわぬと、何年もたってから古証文を持ち出して、また工場の新設をやるということが蒸し返されると、これはいけないと思うのです。ですから、もう一たん廃止なら廃止ということにして、今後の対策としては、そのときの新たなる事態において客観的な必要性が出た場合には、白紙の立場から考えるとか、許可するということにすることにして、従来の行きがかりというものは、やはりあなたの大臣の在任中に、これははっきり処理されておいたほうがいいのじゃないかというふうに実は考えるので、この点をお尋ねしたわけなんです。通達には、一工場十五万トンずつの操業が可能になったような暁においては復活させることもあり得るというようなことも述べてあるわけですからして、この点を不渡りにするならするということを、はっきりこの機会に明らかにしておいてもらったほうがいいと思うのです。その点はどうですか。
  33. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは事情を御承知のように、生産農民が、新しく許可するような運びになっていたく会社と非常に密着しておって、それで増産対策ども講じておったということから、生産農民はやめさしてもらいたくないという熱意が相当あったと聞くのでございます。そのようなことも考えて、将来増産されるようなことになれば、工場当たり十五万トン以上となる見込みのときには、ほかよりも優先的に認めようか、こういう意味で申し上げたのでございますけれども、事実は、当分というよりも、これは一応やめた、こういう気持というか、意思でございます。生産農民の気持ちなどを考えましたので、幾ぶん生産農民と会社との関係で希望が持てるようなニュアンスを出しましたが、実際問題としてはやめっきりというような方針でございます。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、今後の問題としては、企業の経営がやはり原料生産と見合った形で合理的に行なわれるということが一番望ましいわけですからして、この政府法案においても、たとえば新たなる企業を興す場合においては、これを承認制にするとか、あるいは場合によっては既存の工場であっても大臣の権限で休止の勧告をすることもできるということが、法案には述べてあるわけです。現実の問題として、現在北海道に九工場あるわけですが、昨年の原料生産実績は百十万トン程度ですからして、一工場当たりにすると十二万トンそこそこしか平均的な配分ができなかったということになるわけです。ですから、やはりコスト高を下げて、そうして原料面についても価格の引き上げをなるたけ行なうということになれば、たとえば百十万トンの原料に見合う工場数というものは、現存する九工場でいかなければならぬか、あるいは国の責任でこの原料に見合った数に工場操業数を一時限定して、そしてそれによって生じた休止工場の損失等ついては、当然国の政策でそういうことをするわけですからして、国が責任を持ってそういう点についても処理するというようなことも、やはりこの法律の中には用意されておると思うのです。ですから、実績の上に立って、たとえば三十九年度の場合においてはそういう事態に備えてどうするかというようなおおよその構想等についても、大臣から述べてもらいたいと思います。
  35. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 会社の整理をするかどうかというようなことは、いま考えていません。いまお話のように、できるだけ会社等がコストを低下するように、また生産者のほうでは生産が伸び、ふところぐあいもよくいくように、こういう計画で、先ほども申し上げましたとおりの予算要求いたしておるわけでございます。  それから先ほどのお話のように、価格の問題でございますが、全然手放しにしているわけではございませんで、いま最低生産者価格でも、あるいは取引価格等につきましても、いろいろ資料を集めて、そうして法案ができればこれをやっていけるように準備はいたしております。でありますので、法律を出しておるから何にもしないで、この法律後にすべていろいろな検討をするのだということではございませんで、いろいろな面から、法律を出していくと同時に、資料を集めたり、検討はあわせていたしておる次第であります。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 そうしますと、いまの方針としては、今年度においても、北海道の九工場についてはこれを全面的に操業させるようにしていきたい、こういうことですか。
  37. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 さようでございます。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、法案の中にも、附則で、昭和三十八年産の原料に対しても、政府の指示する価格を告示することになっておるわけですが、これは法律継続審議になったような関係もあって、時限は狂ってはきておるが、現在においてもやはり三十八年度の、いわゆる法案でうたってあるところの、たとえば最低生産者価格というものを告示される考えであるのかどうか、その点はいかがなものですか。
  39. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは北海道の場合においては時期が狂ってまいりましたので、三十八年に播種されたてん菜生産者価格をきめても、実際はもう六千五百円というふうに勧告価格できまっておるから、意味はないというふうには思いますが、しかし、暖地のほうは実は九月ごろまいたものがことし砂糖になってくる、それでことし買い上げというようなことになりますと、やはりこの規定が必要になってくると思うわけであります。したがいまして、やはり三十八年に播種されたビートについての最低価格につきましても、この法律が施行されました場合においては、最低価格をつくって告示する必要が生ずると考えております。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 他府県関係はいま説明がありましたが、北海道についてはどうする考えですか。
  41. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 形式的に言えば、出すべきだというふうになるわけですが、実際問題としては、もう三十八年に播種されたものですから、もう取引も終わって、取引価格も六千五百円というふうにきまっておるわけです。最低生産者価格をきめて告示する必要があるかどうか、実はいろいろ法律的、技術的な面で検討いたしておりますが、その上でどうしようかというふうに対処してまいりたいと考えております。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、その点については、昨年の大臣の勧告価格というものがすでに出されておるのだから、その価格というものは、すでに行政的に出された以上、いわゆる附則でうたっておる価格の告示と実質的には同様のものである、こういうことですね。
  43. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは第五条の経過規定のことをお話になっておると思いますが、形式的には、北海道におきましても、六千五百円でなしに、最低生産者価格をきめて、そして政府買い上げ価格をきめる必要があるということになった場合における告示の規定を規定したのが、この第五条でございます。つまり、法律施行後においても、最低価格をきめるときの告示の期間を例外的に経過規定で設けようという趣旨であります。そこで、私いま申し上げたのが多少誤解があるといけませんが、最低生産者価格は三十八年度については実はないわけであります。それから勧告価格法律に基づかざるものとして別に出たわけであります。しかし、すでに北海道につきましては第五条を適用して、具体的に買い入れる必要が生ずるということになれば、これは三十八年産についても最低生産者価格をきめて告示する必要があるわけでありますが、そういう事情にあるかどうかを含めまして、北海道のほうは検討しておるわけであります。しかし、形式的に答弁いたしますれば、これはあらためて三十八年産のものについても最低価格を出して告示するということになると思います。暖地についてはそういうふうにいたしたい、こう考えております。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いておるのは、たとえ経過規定であっても、附則第五条では「昭和三十八年においては種されるてん菜に係る最低生産者価格は、第二十二条第二項の規定にかかわらず、政令で定める期日までに告示するものとする。」ということになれば、北海道の分については、すでにその必要が事実上ないとしても、やはり形式的であっても、たとえば三十八年度産のてん菜の最低生産者価格はいかようであるかということの試算というものは、当然やるべきであると思うのです。そういう計算ができないということになれば、三十九年度の価格算定もまたおのずからできがたいということになると思うわけです。ですから、去年の大臣勧告の六千五百円というものは、単なる根拠も何もない政治勧告で、単に六千五百円と言ったのか、あるいはいま長官が言われたとおり、これがいわゆる告示される場合の価格であるとみなすということであるのか、その点はどうなんですか。
  45. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ことばが不十分であったかと思うのですが、昨年出しました農林大臣の勧告の六千五百円というのは、実は最低生産者価格というよりも、この法案がもし通っていたとすれば、取引価格に近いものであったというふうに思うわけであります。したがって、この法案によります規定で解釈いたしますならば、最低生産者価格は六千五百円とは別である、こういうふうにわれわれは了解しておるわけでありまして、この価格につきましては、もちろん三十九年産の価格についても関係いたしますので、これについての作業も進めておるわけであります。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、六千五百円は、この法案に当てはめれば取引価格だということですね。そのほかに最低生産者価格があるとすれば、この最低生産者価格取引価格よりも高くなるのですか、その点はどうですか。
  47. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 取引価格は、この法案でいけば、両者で話した結果の取引価格なので、それに対して農林省農林省として、別個の取引価格というものを勧告する場合があると思います。でありまするから、最低価格と一致する場合もあるし、違う場合もあろうと思います。しかし、最低価格より以下に取引価格が勧告されるということは、これはもちろん常識上からいってもないわけであります。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことはないでしょう。最低生産者価格というのは、現実の収穫以前に公表しなければならぬわけですね。収穫が終わってから最低生産者価格を出し、なお取引価格を出すというようなことは、全く無意味だと思うのです。収穫の実情が明らかになって、あるいはその工場原料の配分とか操業の結果というものが明らかになって、その時限における糖価の状態というものが明らかになった場合には、何も最低生産者価格を出してみて、またその翌日に取引価格を出すという必要はないと思うのです。ですから、あくまでも最低生産者価格というものは、生産開始以前に実は公表しておくべきものだと思うのです。以前のてん菜生産振興臨時措置法の場合には、そういう思想の上にこれは立っておったわけですからして、そうなると、この最低生産者価格が必ずしも取引価格よりも安くなければならぬという根拠はないのですよ。最低生産者価格を告示したときの状況というものは、収穫が終わり、工場操業が終わった後の事情に比較して、結果のほうが非常に悪い条件に置かれておるというときも出ると思うのです。生産の結果等についても、あるいは価格の推移等についても……。その場合には、場合によっては取引価格が告示価格よりも下がることも、現実にはあり得るわけですよ。絶対そういうことはないと言うのは、これはおかしいですよ。そうなれば、最低生産者価格というものは、生産者保護のものでなくて、会社がいかなる悪条件のもとにおいても損をしないということを事前に計算して、最も安い値段というものを生産者に押しつける価格ということに当然なると思うわけです。これではいけないと思うのですよ。やはり生炭質であるとか、あるいは経済事情とか、賃金の事情というものを十分参酌して、生産者の投下した労働に対する評価というものが完全に行なわれて、そうして価格の決定というものがなされなければいけない。そういう性質の最低生産者価格でなければいけないと思うのです。それを無意味にただ安くさえ発表すれば、それが生産者価格だ、取引価格はそれよりも高いというようなことは、これは筋が通らないと思うわけです。そういう考え方でこの法案を出したとすれば、われわれとしては、この最低生産者価格取引価格との二本立ての価格形成に対しては、これはもう絶対了承することができないわけです。むしろ、一本価格でこれを指示して、そうしてその価格以上で取引させて、どうしても政府砂糖の買い上げ発動をしなければならぬ場合においては、会社が生産者から買い入れた原料価格に、製造経費であるとか、あるいは許容される利潤というものをそれに加算した価格において、製品の買い上げをやるということにならなければいけないと思うわけです。この点はどうなんですか。
  49. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 最低生産者価格はわざわざ低くして、そうして会社の利益になるようにきめる趣旨かというような御発言がありましたが、そうじゃないのです。御承知のとおり、二十二条にもありますように、最低生産者価格は「農業パリティ指数に基づき算出される価格を基準とし、物価その他の経済事情を参酌し、甘味資源作物の、再生産を確保することを旨として定める」こういうのですから、生産者の再生産をそこなわないような価格最低価格というものをきめるので、ことさらに最低価格を低くきめておくという趣旨では全然ございません。  それで、二つの価格というのはおかしいじゃないかという点でございますが、最低価格最低価格で早く示しておく。実際の取引は、またその取引のときに両者で話し合ってきまる場合もありましょう。きまらない場合におきましては、さらに勧告すべきその事情が変わりますから、勧告してそれをきめさせる。その実際にきめる価格が最低生産者価格を下ることはあり得ない、以下であることはあり得ないということを申し上げたので、そのために、芳賀さんの言われるように、初めわざわざ低いところで会社のために最低生産者価格をつくっておいて、そしてあとでまたそれを上げていくような、そういうゼスチュア的なことをやるという意味では決してございません。この法律にも書いてあるような形で最低価格をきめる、こういうことでございますから、誤解のないようにお願いしたい。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ二本立てにする意味はないじゃないですか。長官のように、最低生産者価格というのは、あくまでも会社擁護の立場で安くきめておく、そうして取引価格は、経営の事情というものを見て、プラスアルファという形で少し高値にして勧告する、こういう思想であれば一応わかるのですよ、われわれはそれに賛成はしないが。赤城さんの言うようなことであれば、これは何も二本立てにする必要はない。最初から十分の価格というものを政府が指示して、そうしてそれに基づいて購入した原料価格によって生産された砂糖が、糖価の下落や何かに基づいて経営者だけにその困難を負担させることはできないという場合に、初めて買い上げ発動を行なって、会社に対しても実際の損害を与えないということでいけばいいわけなので、値段が下がったときのことなんか最低生産者価格の場合は考える必要はない。そうじゃないですか。だから、一体齋藤さんの方式でいくのか、赤城さん方式でいくのか、考え方を統一してもらいたい。大臣の考えであれば、これは二本立ての必要はないですね。長官の考え方であれば、会社擁護というところに目的を置いているのだから、これは意味はある。この点の見解を明らかにして統一してもらわなければ、審議は進まない。
  51. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 二つの価格がある——最低価格以下ということはあり得ないし、そういうことはあってはいかぬと私は思います。ところが、それ以上の価格において折衝ができなかった、こういう場合は、やはり経済の事情もありますから——下がった場合は、これは別です、そういうことは考えていませんが、最低価格より上がって取引をしよう、お互いにその価格について話し合いができない、世の中というか、経済事情も変わっている、そうなれば、最低価格以上においてこの価格できめろ、こういう勧告をするのは当然だと思います。経済事情が変わらなければ最低価格でもいいかもしれぬが、経済事情が変わって上がる場合——下がる場合は、これはそういうことを予定しているわけじゃございません。また、そういう場合には、政府で買い上げることは当然でありますが、取引価格は、そのときによって、最低価格を上回って取引の交渉が相当あるのじゃないかと思います。その場合に、やはりこの程度できめたほうがいいという取引価格の勧告をすることは、私は差しつかえないし、いいことだと思います。だから、一つであるよりも、二つのほうが、生産者にとりましても、経済事情の状況から見ましても、都合がいいのじゃないですか。私はそういうふうに考えております。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 話の上では一応そういう考えもあるとしても、それでは現実にいまの政府が、砂糖会社に対して、結果を見て、お前のところはもうかったから、これだけ価格を上げろなんということは、やらせるだけの自信がありますか。たとえば北海道に九工場あっても、その工場それぞれが、やはり経営の内容とかコストが違うので、決算の結果が明らかになって、何億のもうけがあったからして、お前のところは追加払いの形でトン当たり幾ら出せというようなことが、いまの自民党政府が育成している、いわゆる利潤追求の企業体に対して、そういう強い勧告とか、指示はできないと思うのです。その前に政治献金でもとるのが関の山じゃないですか。だから、あとでもうけがあれば、企業努力とか経済変動によって利益があった場合においては、会社がそういう負担力が高まっておる、利潤が確保されておる、こういう点を次年度の価格算定の場合においては十分勘案して、そして妥当な生産者価格というものを充実させるほうがいいと思うのです。二本立てでやって、最初安い値段なんかを発表した場合において、一体ことしの作付はどうなるかということを十分考えてもらう必要があると思います。ただでさえ、北海道等においても生産が減退する気配が強いわけです。価格の決定というものは、今後の国内自給度を高めるとか増産態勢を進める場合においては、最大の根拠になるとわれわれは考えておるわけです。そういう場合において、まず安い生産者価格を告示して、収穫が上がってから、模様を見て取引価格を指示するというようなことはできないでしょう。おそらく取引価格というものは、原料を会社に提供する直前にきめなければ意味はないと思うのです。無条件原料生産者価格で渡しておいて、会社の決算のぐあいを見てから取引価格をきめるなんということはできないと思うのです。だから、この点は、やはり従来の農産物や米麦の決定等についても採用されておる一本価格価格を指示して、それを必ず国の配慮で守ってやる、そうして会社の経営の面においても、それによって損失が生じた場合においては、一定の限度それを保護してやる、こういうことでなければいかないと思う。この点について、これはもう少しわれわれを納得させるような説明がないといかないと思うのです。
  53. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、これはいまの芳賀さんの御趣旨のように非常にうまくできておると思っております。最低価格を最初にあらかじめつくっておく、しかしその年の経済事情によってもっと上げなくちゃならぬ、こういうことで両者の話し合いができているときに、もっと上げるべき事情がある場合にはそれを勧告して、その価格で取引ができるように、取引の紛争ということでもないでしょうが、当事者にそれを勧告する、これは生産農民のためでもあって、上がったときには先に献金をとってしまうのではないか、そういう意味での二つの価格ではないと私は思います。そういう意味においては、その趣旨に沿うようなことでやっているので、会社の利益のために取引価格最低価格という二つの価格のきめ方をしようということではございません。御承知のように、最低は最低なんですから、価格の最低なんです。それ以上上がった場合に話し合いができないときに、上がったところで、この辺できめろということですから、会社のためということよりも、生産者最低価格は保証しておいて、最低価格の上に上がった場合には、より以上取引価格生産者のふところへ金が入るような場合を予想すればそれでいいので、私は話の趣旨に合った方法だと考えておるのですが、どんなものですか。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 それは繰り返すようですが、やはり献金のほうが先でしょう。いままでの事例から見て、そうじゃないですか。たとえば昭和三十三年、三十四年、三十五年当時の精製糖の場合の超過利潤の吸い上げ等にしても、結末は全く情けないことになっておるわけです。ですから、民間の私企業に対して、決算の結果を見てから、もうかったから、これを取引価格の面で追加して出せなんということは、行なわれたためしがないじゃないですか。現実の問題において、九工場の場合だって、黒字になる工場もあるし、赤字になる工場も当然出てくるわけです。そういうことになれば、取引価格というものは、各工場別、会社別に別々の実情に合ったような取引価格でこれを勧告することになるかどうか。その場合にはどうなんでしょう。何億円ももうかった工場もある、ところがまだ赤字で利潤がない、工場があるという場合、じゃ現実にどういう取引価格を当てはめるわけですか。
  55. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 献金があることばかりいっていますが、われわれは献金は受けたことがないのです。いまの差益金を出させておるのは、甘味資源振興のために使っております。砂糖屋がもうかった、あまりもうけてばかりいてはいかぬ、差益金を出せ、それは御承知のように国内てん菜その他の振興のほうに使うということで、これは献金というのと別だと思います。どうも芳賀さん話は、決算を見てからきめなければならない、利益があるからないからという問題じゃないですよ。私の考えておるのは、その前に両者で取引価格を幾らにするか相談するときに、取引が幾らにするときまらないと——かりにいえばトン六千五百円なら六千五百円で最低価格はきめておく、ところが、今度は取引になったら、六千五百円は最低価格なんだからおれのほうは六千五百円を上回る何千円で売る、いや何千円じゃ買えない、そういうことになるでしょう。会社の利益を見てそのときにきめるのでなくて、そのときの経済事情とか——経済事情というのは、会社の会計ではございません。諸般の物価とかあるいはまた再生産を確保する意味におきまして、最低価格をきめたときと事情が変わって、もっと上げて買うべきじゃないかというような事情のときに、その話し合いができないという場合があり得ると思います。そういう場合に取引価格を勧告する。これは当然捨てておくわけにいきませんから、勧告する。こういう仕組みと私は了承しておるのです。ですから、会社の決算を見て、利益があったから、それを吐き出せとかなんとかいうことよりも、そういうものとは離れての取引価格、両当事者の取引が妥結しないという場合に、取引価格を勧告するということであります。これは最低価格をきめた後におきまする経済事情の変動とかそういう問題をしんしゃくいたしますならば、取引の場合における価格というものを勧告するのは必要だと思うのです。上がったから、諸般の事情から上げざるを得ないという意味におきまして、最低価格というものを置いて、その上において取引価格を勧告する、こういう筋合いは、非常に筋が通っておるように私は考えておるわけであります。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなると、あなたの言い分は、最低生産者価格は、これは国が製造業者から砂糖の買い上げを行なう必要が生じた場合の製品の買い入れ価格算定のための必要なものである、生産者に対しては、あくまでこれは話し合いの結果に基づく取引の値段、あるいは話し合いが妥結しない場合、政府が権限をもって発動した勧告の取引価格ということで処理していくということなんですね。その点はどうなんですか。
  57. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 政府が買い上げる基準は勧告価格によると思います。最低価格は初めからの一つのバロメーターで、それ以下であってはいかぬ、こういうことをはっきりさせるため、初めにそういうものを公示して、それ以下であってはならぬということでありますから、それ以上の取引価格によって政府が買い上げるとか買い上げないとかいう問題は出てくると思います。あくまでこれはこれ以下になり得ることがないという最低価格ですから、どうも話が行き違ってくるようですが、私の考えは、このほうが生産農民のためにも、またすべてにおいても、合理的というか、適当だというふうに考えております。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 どうもあなたの考えがまとまっていないのですよ。たとえば会社から砂糖を買い上げる必要が生じるときもあるわけでしょう。その場合の計算の基礎は、大臣説明でいうと取引価格ですね。生産者と会社間において妥結した取引価格、あるいは妥結に至らないで政府が勧告して行なわせる取引価格、その価格によって会社は原料買い入れをするわけですからして、砂糖の買い入れの必要が生じた場合の原料価格の計算というものは、結局その取引価格基礎にして計算された砂糖の値段というものに基づいて、政府が一定量の買い上げを行なうということを、あなたは製品を国が買い上げる場合の措置としては言っておられると思うわけです。  それからもう一つは、最低生産者価格というものは、あくまで最低に安い値段である。これは生産者の納得できない値段ということは明らかになっておるわけですからして、やはり基本は納得のできる取引価格、あるいは政府から見て、合理的な取引の値段というものが生産者に対して当然保障されなければならぬということになるわけですね。そうだとするならば、結局生産者に対する価格保障というものは、あくまでも取引価格でなければいけない。会社から製品を国が買い上げる場合においても、その根拠は取引価格基礎にしなければならぬということに問題が整理されたと思うわけです。この点の整理ができれば、法案審議が非常に進むことになるわけですが、いま私が言ったことが大臣の整理のつかない頭に合致すれば、それでいいわけですが、その点はいかがですか。
  59. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 政府砂糖を買い上げるような場合におきましても、それは現実に取引された価格を参酌してということになっておりますから、それが基礎ですよ。いまの話とちっとも違わない。最低価格はそれ以下に初めからしておくのではないか、そういうことを言うから、話がおかしくなる。そうじゃない。最低価格はいま育ったように、「甘味資源作物の再生産を確保すること」、その価格の決定は、「物価その他の経済事情」とかあるいは「農業パリティ指数」に基づいた価格ですから、わざわざ下げるのだろう、下げるのだろうという疑いで質問するから、私と食い違う。私は、最低価格でも、正当な生産を阻害しないような最低価格をきめる。しかし、その後の経済の事情や何かで、一万三千幾らと言ったけれども、初めに統計や何かできめたものよりも、その後労賃が非常に上がったから、あるいは資材がよけい要ったから、ほんとうに取引をするときには、もっと高くならなくちゃならぬという問題があるでしょう。それと同じように、私は、現実の取引においては、両当時者で相談する場合に、最低価格を上回る交渉が当然あると思うのです。最低価格で押えてしまうというのじゃなくて、最低価格を上回る交渉のときには、その価格というものもきまらない場合もある。ですから、どうも最低価格で押えちゃうのではないか、その最低価格は農民が損なように、会社に利益なような形でつくるのじゃないかという前提でおっしゃられると、どうも私のほうではお話が納得できない。そういう前提でなく、ほんとうのさっぱりした気持ちで——そういう何かいじめるような形でやろうというような前提で質問すると、私は食い違ってくると思います。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員 くどいようですが、それでは問題を製造業者と生産者に分けて話を進めておるわけですが、政府がこの法律に基づいて製造業者から製品の買い上げをする場合、大臣の言われたのは、取引価格基礎にして、これは原料価格だから、これを基礎にしないわけにはいかぬでしょう、取引された原料価格というものを基礎にして、それに製造経費を加算して、それに認められる利潤を加えて、そうして計算された価格というもので、政府砂糖の買い入れをするということに間違いないですね。何か原料価格を参酌してなんというけれども、コスト計算というものの中で、一番大きなウエートを占めているのは原料代です。原料代を基礎にしないで、それを参酌してなんというのは、コスト計算の場合おかしいですよ。だから、この点はっきりしておきたいことは、取引価格、いわゆる原料の値段というものを基礎にした砂糖価格というものを計算して、その価格に基づいて政府が買い入れを行なう。いいですか。生産者に対しては、最低生産者価格というものは意味のないものである。問題は、生産者と会社の合議によってきめられる取引価格、あるいは合議に到達しない場合においては、政府法律に基づいて勧告する、その取引価格に基づいて原料の取引というものは行なわれなければならぬ、こういうことなんでしょう。
  61. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 政府で買い上げる場合には、もちろん、その取引した原料価格基礎としなければできません。その上にいろいろな要素をしんしゃくしてきめていく、こういうことに相なると思います。  それからくどいようですが、最低価格は意味なさぬと言うけれども、経済事情の変動もありますから、最低価格を指示しておいて、最低価格以上になった場合の問題が勧告価格なのですから、二度に価格を決定したって差しつかえない。初めに最低価格と同じような取引価格をきめてしまっても、その後に経済事情によって追加払いといいますか、向こうからよけいに払えということよりも、現実に取引の紛争というか、取引がうまくいかない場合に、これこれの価格が適当である、こういうふうに指示するのは、これは生産者のためにも、あるいは社会全体のためにも合理的やり方だ、適当だ、こう考えます。
  62. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、砂糖政府買い入れの場合のやり方は、取引価格基礎にして決定するということははっきりしたから、その点はいいです。  それからもう一つは、大臣は繰り返して、生産者と会社側が話し合いをして協議をした価段というものが取引価格である、話し合いがどうしてもつかない場合においては、政府が勧告した値段で取引させるということを強調しておられるわけですが、ただ出世は、この政府法案の中に、生産者と会社というものは、取引価格決定の場合においては協議しなけれ、はならぬとか、協議がととのわない場合においては、政府が勧告を発動するという、そういう明確な規定が実はないわけです。この点が生産者の一番不安とする点です。ですから、一体この法案を見た場合、取引価格については生産者と製造業者が協議してきめなければならぬという明確な規定、協議がととのわない場合においては政府が勧告を発動して取引価格をきめる、この点が政府案の条文のどこに明確になっておるか。この点に疑点があると、後日非常に問題を起こすわけですから、これは明確にしてもらいたいと思うのです。
  63. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その点は、法案の十八条にあるのじゃないですか。「農林大臣は、生産振興地域の区域内における農業経営の改善と農家所得の安定を図るため、地域内指定製造施設により当該生産振興地域の区域内において生産される当該甘味資源作物を原料として国内産糖を製造する事業を行なう者に対し、当該生産振興地域の区域内において生産される当該甘味資源作物に係るその生産者からの買入れの価格その他その生産者との取引の条件及び方法、その買入れを行なう区域並びにこれを原料とする国内産糖の製造並びその貯蔵に関し、必要な指示をすることができる。農林大臣は、前項の規定による指示をしたときは、その旨を公表するものとする。」こういう指示をした以上は、責任をもってこれを解決していかなければならぬことは当然でございます。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員 いま読まれたのは、勧告の発効規定だけなんですよ。私の聞いているのは、生産者と製造業者が取引価格について協議しなければならぬという規定がどこにあるかということを聞いておるのです。その協議がととのわない場合においては政府が勧告するぞという規定も明らかになっていないのですね。ですから、一番大事なのは、生産者の立場から見て、政府案に一番不安を持っておるのは、生産者価格に対する主張とか当然の要求というものが発言される機会というものは、これには与えられていないのですよ。ですから、大臣の言われたようなことであれば、この法律の条文の中に、取引価格については生産者と製造業者が話し合いをしなければならぬ、協議をしなければならぬということがうたわれていなければならぬのですが、どこにもうたわれていないじゃないですか。
  65. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 物を売ったり買ったりする場合には、協議するのはあたりまえで、片方だけできめるわけにはいかぬでしょう。ですから、売る場合には、当然生産者団体と会社側と、どの値段で買うか、どの値段で売るか、これは商取引でありますから、当然なことで、何も法律できめなくとも、取引というものは何でもそういうことで行なわれておるじゃないですか。
  66. 芳賀貢

    芳賀委員 それが何も当然になってないじゃないですか。法律というものは、当然なことを法律に書くのが法律なんですよ。当然でないことを法律につくるなんていう事例はないでしょう。常識的に見て、国民の利益を守るとか、生命財産を守るとか、その社会において当然行なわるべき正義の行為というものが、法律の中でうたわれて守られていかなければいかぬわけなんですよ。社会悪とか、いろいろな悪というものは、当然なことが法律に書いてないから、それを悪用して、そうして汚臭な国民を苦しめるのですよ。善良な生産者を苦しめるのですよ。だから、当然なことであればあるほど、はっきり法律に書いておかなければいけないと思うのですね。それが大臣の役割りじゃないですか。
  67. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 取引として売るか買うか、そういうことをこの法律に書いてないというけれども、これは商法もあれば、民法もあるし、ちゃんと契約は良当事者の合意によってできるということが一般のあれですから、私が洋服を買いに行って、洋服を買うについては当事者が協議しなくちゃならぬ、こういうようなことをわざわざ法律に書かなくても——売ったり買ったり売買の面におきまして、何も法律がないというけれども、民法あるいは商法その他取引契約の法律もあるのですから、これは特にここへ書かなくても、取引は両者の協議によってきめるということは明らかだと思います。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 社会党の案にはそういうことがはっきり書いてあるのです。たとえば原料の集荷とか販売とかいうものは、生産者によって一元的に行なわれなければならぬ、生産者の立場というものについて、原料を集めるという当然の権利、それから取引する場合のこっちの主張というものを貫くためには、やはり自分が原料を持っていなければ話にならぬと思うのですよ。政府案のように、集荷区域から何から全部工場のほうに与えてしまって、生産者をまる裸にして、さあ話し合いすると言ったって、これは対等な話はできないです。そうじゃないですか。だから、そういうあたりまえのことであれば、たとえば生産者の構成する生産者団体が原料の集荷権を持って、生産者団体が原料を集めるのは当然のことである。そうして生産者が集荷した原料を相手の工場に対して話し合いの中で適正に売り渡すということも、当然なことだと思うのです。そうであるならば、法律にやはりうたったほうがいいじゃないですか。この前の通常国会では、重政農林大臣は、集荷、販売の問題等についても、答弁の中で答えているのですよ。あなたの前任者重政さんは、そういうことに対して、修正の中には入れるわけにはいかぬが、行政の中で熱意を持ってそういうことが実現できるようにしますということを、わざわざ委員会で当時の長谷川委員長質問にちゃんと答えているわけです。だから、あたりまえのことであるとするならば、取引価格のきめ方については、やはり法律の中においても、まず生産者と製造会社において取引価格を協議しなさい、協議がととのわない場合においては、政府が介入して価格をきめてあげます。こういうことにすれば、すっきりすると思うのですがね。何も政府の出した法律をこのまま強引に通すという手はないと思うのです。だから、やはり十分な配慮のもとにおいて、そういうことが当然である、法律に書いてなくとも、そうしてもらわなければならぬとするならば、今後これは委員会の審議の中で、そういう点を十分生産者が安心できるような形でまとめ上げたほうがいいと私は考えるわけでありますが、これに対して大臣の答えはどうなんです。
  69. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 生産者を代表して生産者団体等が現実に取引価格をきわめるという場合に折衝をするということは、当然だと思います。ただ、それを進めていって、生菌者団体というものを一つの交渉団体というところまで法的に持っていくかどうか。たとえば独禁法をはずしてどうか、これは相当疑問があろうと思います。いま農協等は当然独禁法の適用外になっていますから、協同組合等が生産者を代表して折衝する、こういうことはやってもいますし、違法でも何でもない、こう思っています。でありますが、特に生産者の団体は折衝することができるということを書き入れる必要はないのじゃないか。現実にそういう折衝や何かがなければ、一方的に値段をきめるわけにはいきません。契約ですから、両方の合意したところでなければきまりません。だから、それに対して、その価格がうまく折り合わない、こういうような場合には、いまの十八条の規定によって、価格その他生産者との取引条件及び方法等について指示する、こういうことになっているのですから、特にそういうものを法律の規定の中に入れる必要はないのじゃないか、私はそう考えております。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば米や麦の場合は、食管法というものがあって、これは政府が事前に価格をきめて、全量買い上げの措置を講ずるわけですから、はっきりした体系ですが、たとえば酪農振興法の場合には、やはり法律の中に、牛乳の生産者を代表する生産者団体が会社側と協議をして、長期の取引契約というものを締結することができる、そして協議がととのわない場合においては、知事による紛争の調停、あっせんとか、あるいは中央調停審議会における大臣の調停であるとか、そういう大臣の言う当然なことが明記されておって、しかも今国会において、それらの関連の条文をさらに強化するための改正案というものが、数日のうちに提案されることに実はなっておるわけです。だから、そういうことを一つの事例として考えた場合、あたりまえのことだから甘味関係原料取引にはそういうことはうたう必要はないということになると、やはりこれは問題があると思うのですよ。しかも、牛乳の場合は、特定の会社以外に牛乳の処分ができないわけではないですね。しかし、このてん菜糖とか甘蔗糖の場合は、相手方が強気に出て、それではあなたの生産した原料は要りません、どこへでも売ってくださいというようなことにでもなれば、これはあくまでも砂糖原料ですから、それ以外の用途というものはないのです。ですから、やはりこういう問題についても、親切に法律の中で、交渉によって取引価格をきめることがたてまえであるならば、そういうことを明確にする必要がある。あるいはまた生産者団体の手によるところの原料の集荷とか、相手方に対する販売の権限というものを、農協等においても団体交渉権の規定とかいろいろうたわれてありますけれども、やはりこの法律の中で明確にしなければ、十分な生産者に対する保護というものはできないと思うわけです。この点はやはり認めてもらわぬと審議は進まないと思うのです。いかがです。
  71. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は先ほどから申し上げておりますように、生産者団体は当然交渉の相手方になるのですから、特に入れる必要はないのじゃないか。ただ、いまもちょっとお話がございましたように、指示価格、勧告価格が出た場合、それに従わない場合に、拘束力と申しますか、それはないのじゃないか、その点はこの法案にはありません。ありませんけれども、やはり指示価格に従わないときには、政府砂糖を買い上げることはしないということでチェックすることができると思います。でございますから、私はその考え方も一つの考え方だと思いますけれども、特に法律の中に入れる必要はないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 ここでちょっと問題を移しますが、それであるならば、たとえば生産者と製造業者が協議した結果、取引価格がきまった。たとえば、一トン七千五百円とか八千円にきまった。ですから、両者で話し合いをしてきまった価格というものを、政府法律取引価格としてどういう形で認めるのですか。勧告という形で取引価格として、これをきめるのか。その場合にはどういう扱いにするわけですか。ととのわない場合は勧告でいけるが、理想的にととのった場合その価格というものを法律上どう扱うのですか。
  73. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 それは一般の契約の価格だから、法律上どう扱うかといっても、どういう点を指摘されているのか、ちょっとお聞きしないと、法律上どう扱うかということは、どういう御趣旨のお尋ねだか、もう一ぺん……。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 最低生産者価格というのが一つ、法律に出ておるのですね。もう一つは、実際の原料取引価格というものを政府が勧告をしてきめる、これもわかるんですよ。しかし、勧告する場合は、大臣の言う、いわゆる半前の生産者と製造業者の価格に対する話し合いが成立しない場合に、介入して勧告する、その場合の勧告価格というのは、これは当然わかるわけですが、話し合いできまった価格に対しては、これをどういう形で法律上いわゆる認承するわけですか、勧告価格としてこれを認めるのか。
  75. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 両当事者が別に勧告価格にかかわらずきめたという場合というのは、勧告価格よりも上回っている場合かと思います。上回っていないときには、どうしても紛争するから、中に入らなくちゃなりませんが、契約で高く売れるというのは、そのまま認証するとか認証しないとかという問題とは別個の問題で、勧告価格よりも高い場合には、これは生産者としては非常に有利な場合ですし、それをわざわざ勧告価格にまで下げる必要はございませんし、それはそれで認証というか、そのままではないですか。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、そうじゃないでしょう。勧告価格より話し合いの値段が高いとは限らぬでしょう。それはおかしいじゃないですか。生産者だけが一方的にきめる要求価格の場合には、一トン八千円なら八千円だから、もちろんこれは高いが、しかし、会社と生産者が話し合いをした場合には、会社はやはり利潤追求が本位だからして、なるたけ安くきめようとする、生産者は高くきめようとする、きまるということは、どっちも歩み寄って、一方の主張の正当性を認めて、そこできまるわけだから、きまらない場合のほうが——生産者の主張というものはなかなかいれられないという場合に、大臣が勧告する値段というものは、場合によっては、話し合いできまった値段よりも、高い価格できめられる場合のほうが、実際問題としては多いと思うんですよ。それが勧告価格よりも高くなるからいいなんということになれば、それじゃ話し合いがつかぬ場合は、政府は会社側について安い値段で勧告するということなんですか。それ以外ないでしょう。齋藤君、首を振っているけれども、そうじゃないですか、両者で話し合いのついた値段というものは、つかない場合の勧告価格より高いとか、高くならなければならぬという、その理由があれば、説明してもらいましょう。
  77. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 いまのは話し合いがついた場合における買い入れ価格の取り扱いの御質問かと存じますが、この法案のたてまえといたしましては、ちょうど農安法と同じように、最低価格で買ったものについては政府が買い上げる。したがって、その場合には、認証というような、つまり、最低価格以上で買いました、こういうようなことの認証が必要になろうかと存じますけれども、通常にそれ以上に取り引きされているものについては、これはいまのでん粉の取引と全く同じでございます。これについて、特にそれを買い入れ価格に織り込むとかいうふうなことは考えておらないわけでございます。したがって、その会社において、自分の将来の見通しなり、あるいは自分の企業の負担において可能である、こういうことで両者で話し合いがついたものについては、通常の取引価格と同じように扱われるわけでありますから、それを政府がそこまで保護して買い入れ価格にするという考えはとっておりません。ただ、十八条の場合は、あくまでもここにありますように、両当事者間において話し合いがつかない、しかし、客観的に見ると、やはり農業経営の改善と農家所得の安定をはかるために必要だ、こう農林大臣が認定して指示した場合でありますから、この場合においては、先ほど農林大臣からお話がありましたとおりに、この価格も参酌して政府の買い入れ価格に織り込む、こういう考え方をとっておるわけでございます。  最後の、上がるか下がるかという点は、これは協定価格ができれば、取引指示価格を出す必要はないわけでありますから、上がるとか下がるとかいうようなことについては、きまったものとの比較というものはほとんど実際はあり得ないと思います。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣、いまの長官の答弁でいいですか。あなたのいままで言われたこととだいぶ根本的な違いが出てきておりますね。いま食糧庁長官の言ったようなことを大臣はそのとおりだとお考えになっておるかどうか。
  79. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私の申し上げたことと食糧庁長官の言ったことと、私は違いはないと思っております。
  80. 芳賀貢

    芳賀委員 それではお尋ねしますが、あなたの言ったのは、まず、生産者と製造業者で相談して値段をきめなさい、きまらない場合は、政府があっせんして、いわゆる勧告価格できめてあげる、そういうことを言ったわけでしょう。ですから、今度は、政府が会社から砂糖を買い入れる場合は、取引価格基礎にして、そうして経費を算入して買い上げる値段をきめるということを、あなたは明らかに言っておるわけですね。そうであるならば、勧告価格だけを基礎にして買い上げ糖価をきめるのか、業者間で話し合いがついた妥当な取引価格というものは、今度は買い入れ価格基礎にしないということになれば、これは問題になるわけです。そういうことでやるとすれば、大臣が先ほど言われたとおり、話し合いできまった値段よりも、勧告値段のほうが安くなるという理論に通ずることになるわけですが、これは重大な問題ですよ。話し合いがつかない場合に限って取引価格で買い上げ砂糖の計算をするが、話し合いがついた取引価格というものは糖価計算の基準にしないということになると、全く支離滅裂じゃないですか。おかしいじゃないか。そこに生産者をいじめる、犠牲にする、会社の利益だけをはかるとか、そういうことになるのですよ。それではこれはとんでもない法律じゃないですか。最低生産者価格も一番安い値段にきめて、勧告価格も最低生産者価格に最も近い安い値段で勧告を出すということになれば、一体どこに農民保護の、生産者保護の主張が法律の中にあるのですか。これは大へんな法案ですよ。こういうものを出されてはえらいことになるのですから、むしろ法律がないほうがいいということになるのです。
  81. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 どうも最低価格は空席者に一番不利な価格で、こういう前提ですが、そうじゃない。一番有利な価格になりますよ。有利じゃないが、適当な価格です、この条文からいっても。その前提に違いがあると私は思う。それから、取引の現状の価格指示価格等におきましても、これは最低価格を下げるようなことはないのですから、最低価格より上がる場合を予想してのことでございますから、その現状の市価といいますか、市場の価格が下がっておる場合には、最低価格でやるよりほかない。しかし、指示価格といいますか、勧告価格をきめるというのは、最低価格を上回ってやるという場合ですから、不利に不利にじゃなくて、有利に有利に考えているのがこの制度だ、私はそう考えております。
  82. 芳賀貢

    芳賀委員 これは議論の分かれ道ですから、相当長期的に審議を進めないと、あなたの間違った考えを是正できないですから、長引くというふうに考えてもらわなければいかないと思うわけです。  それで、もう一つ、この点についてはっきりしてもらいたいのですが、それは、去年のトン当たり六千五百円の価格というものは、これは勧告価格である、勧告に基づいた取引の値段であるが、もしもこれに対して、法律にいうところの最低生産者価格を計算して出す場合には、この六千五百円の勧告値段に対して、最低生産者価格はどのような数字が出るのですか。それをはっきりしてもらえば、大体最低生産者価格と勧告価格の幅というものが判断できるので、ぜひ数字を出してもらいたい。
  83. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 昨年度の場合におきまして、まだ先ほど御質問がありました経過規定五条における最低価格というものは実は出していないわけであります。幾らになるべきかということについては、いま具体的な数字を持っておりません。ただし、あの際における六千五百円という価格を指示した際におきましては、政府としては、その価格によって取引されることについては、会社に対して責任を持つ、両当事者に責任を持つ、こういうことにいたしておりますので、これらが会社において実質的に支払いができるような買い上げ措置をとるという考え方をあのとき明らかにしておるのであります。したがって、六千五百円をベースに置いた買い上げ価格になるということもあの当時は想定したと思います。しかし、六千五百円じゃなしに、買い入れ価格としては別の価格を出す、そしてそれ以外の会社負担のできない場合における措置をどうするかというようなことも、あわせて検討されたというふうに私は記憶いたしております。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 いま長官の言われた、会社に対して責任を持つということは、それは砂糖の買い上げが必要になる事態の場合には、その場合の原料価格の計算というものは、いわゆる六千五百円の勧告価格というものを基礎にして買入れ糖価の決定を行う、責任を持つということはそういうことなんですね。
  85. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 六千五百円をベースに置いて買い入れ価格をきめて、その会社から買い入れるか、あるいは六千五百円以下の価格で買い入れ価格はきめるけれども、 しかし、六千五百円が払われるような別途の措置をとるべきか、いずれにしても何らかの措置をとりたい、こういうことであったというように考えております。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 おかしいじゃないか。あなたはぼくが確認する気になると、また逃げるのですね。最初は会社に責任を持つ価格とあなたは言っているじゃありませんか。それじゃそれは砂糖を買い入れる場合の基礎価格になるのかというと、いやそれも幾らかあり得るというような、そういうかまえじゃいけないですよ。そうであるならある、ないならないとはっきり言わないと、こっちの確認の方法がないじゃないですか。それは逆ですよ。最初はあいまいなことを言っておいて、あとになって、いやこうですと言うなら、話はわかるが、最初はっきりしたようなことを言って、あとになって、それはどうだかわからぬと言うのは、そういう姿勢というものは前向きの姿勢じゃないですよ。責任を持つということは、六千五百円を原料価格として、これを基準にして買い上げ糖価の決定を行なうという当時の方針であった、こういうことでしょう。これはもう過ぎたことだし、何も去年の砂糖は買い上げする必要はない事態だから、安心して言ったってかまわないと思うのです。その点はどうなんです。
  87. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 当時の事情について私も聞いているわけでございますが、率直にいま事実を申し上げているわけであります。つまり、六千五百円というものによって原料代が支払われるような方法をとりたい。その際に、一つは、六千五百円で政府の買い入れ価格を算定するという方法によって救済する方法もあるし、それから六千五百円以下の価格政府の買い入れ価格をきめるけれども、しかし、かりに六千五百円とベースになった価格、これとの差額分は、別途に会社に補給するというような方法もある。いずれをとるかというようなことを検討しておるという段階で、結局あの当時発動しないままに終わったわけでございますが、私は、六千五百円にするについては何らかの措置をとる、こういうことになったことは明らかだというふうに了解しております。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員 これは齋藤さんの時代でないから、あまり追及はしませんが、それではこういう場合どうしますか。法律がもし通って——通るとも限らぬわけですが、法律が通って、法律に基づいて、三十九年度産の原料の最低生産者価格というものを、政令で定める期日までにこれは告示しなければならぬわけですね。ところが、一方において取引の考えというものは、これは大臣も言われたとおり、生産者と製造業者の間において妥当な価格をきめてもいい、通常きめるのがあたりまえであるということになれば、最低生産者価格の告示以前に、三十九年度の取引価格というものを生産者と製造会社の間においてきめる場合もあるわけです。その価段がきまった、実行されるということはなって、そのあとで、今度は法律に基づいて最低生産者価格が出るという場合も、これは現実の問題としてあり得るわけですね。そうすると、最近の事情からいうと、去年は会社側は何でも五千四百円あたりから交渉はスタートしたと思うのですが、ことしはやはり増産して原料をどうしても確保しておかなければならぬ。場合によっては社運を略してまでもやるという殊勝な心がけも出ておるようですが、そうなると、場合によっては、両者の話し合いであるいは一トン七千五百円という話がつくかもしれぬ。これは仮定の問題だけれども……。七千五百円にきまったというそのあとで、一体政府としては、最低生産者価格を告示しなければならぬという場合には、どういう値段を出しますか。七千五百円というものを基礎にして、有力な資料にして、最もそれに近い数字でそれより高いのはかまわぬが、最低生産者価格を出すのが現実的だと思うが、その場合どうですか。もうこれは作業を進めていかなければなりませんからね。
  89. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 その場合におきましても、この法律にありますように、最低生産者価格基礎にして出します。もし取引価格がきまらなかった場合に、先ほど大臣からお話がありましたように、勧告する、あるいは指示価格を出すといったような場合には、その指示価格を参酌して買い入れ価格をきめるどうい考え方でおるわけでございます。
  90. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃないですよ。七千五百円に両者の話がついた、そのすぐあとで、今度政府最低価格を告示しなければならぬという場合のその価格というものは、ここではっきり計算の結果幾らになりましたというところまでいかぬとしても、現実にもう仮引値段が七千五百円ときまったその時限において、政府はやはりそれを広める範囲内の最低生産者価格というものを出さなければならぬでしょう。とんでもないものを出したら笑われるだけですからね。そういう心がまえをいまから持っておらぬと、法律だけ早く通してくれればなんとかというのでは、これは困ると思う。会社の買い入れ値段と生産者の納得する値段というものは、政府が認めて保護しなければならぬ値段だと思うのですよ。そうでなければ、会社が熱心に取引価格を合意できめても、糖価が非常に不安定な中において買い入れの必要が出たという場合において、やはりその取引値段というものは国が認めて、それを保護するということに出ないと、これは意味がないと思う。その場合の心がまえは一体ついているかどうか。これは農林大臣からはっきりしてもらいたいと思います。
  91. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 事務当局から答弁させます。
  92. 芳賀貢

    芳賀委員 大事な点だから、あなた責任があるのですよ。
  93. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 いまのお話は、端的に申し上げますれば、最低生産者価格をきめる以前に、会社と生産者との間において話がきまった場合、その価格をどのように最低価格をきめる場合に参酌するかということだと思います。政府の最低生産者価格については、法律に基づいて、 いろいろなそういう事情も参酌してきめることになりますが、具体的なその精糖の価格をどうするかという場合に、むしろ問題になるわけだと思うのです。したがって、精糖の価格をきめます場合におきましては、生産者に対して会社が従来も増産奨励金だとか、いろいろなものを出したことがあまりすが、それを全部見込んで買い入れ価格にするということは、この法律としては考えておらないわけであります。
  94. 芳賀貢

    芳賀委員 どうしてできないのですか。会社が買える値段であって、農民が納得して、耕作できる条件取引価格がきまった場合に、国がそれを認めるわけにいかぬという場合はどういう事態ですか。おかしいじゃないですか。
  95. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 認めないということでは全然ないのでありまして、つまり、両当事者間において売買契約ができた。ちょうど農安法でいえば、でん粉の最低価格がきまっておるけれども、それ以上の価格で、生産者とでん粉業者の間において取引価格が現実にきまっておるわけであります。これをいかぬとか認めないとかいうことは全然ないわけです。ただ、それを政府が買い入れる場合におけるでん粉価格に入れるかどうかということは別問題でありまして、これはむしろ原料基準価格にコスト計算を加えたもので買い入れ価格をきめておるわけでございます。その際、どのようにそのような事情を入れるかということは、参酌事項として別問題になるわけでございます。
  96. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、それでは意味がないでしょう。われわれ社会党の法案は、生産費・所得補償方式による原料の一本建て価格というものを、国が責任をもって指示するということを言っておるわけだが、あなたのほうは二本建てでしょう。だから、話し合いで値段がもうきまったという場合、政府の告示価格というものは、その両者がきめた取引価格よりも安くなければならぬという理由をここで明らかにしてもらいたいのですよ。それじゃ足を引っぱるようなものじゃないですか。ここにやはり無謀な自由化の問題と、国内自給度を高めるための強力な国の施策というものの間において、大きな矛盾が出てきておるわけですね。会社が買える値段というものは、いまの糖価事情とか、企業内容というものを十分判断した上に立って、よしこの値段なら買えるという値段で契約に応ずるわけですね。生産者としても、その値段であればことしはこれだけの耕作をしようという納得のできる線で、両者の話し合いがつくわけだから、国としてはこれは最も望ましい値段だと思うわけです。折り合わない場合の勧告よりも、そのほうが自然だと思うのです。だから、告示以前にそういう値段がきめられた場合においては、いかに最低価格であろうとも、やはりそれを是認して、尊重して、政府のいわゆる告示価格というものを決定すべきであるとうふうに考えるが、ここを大臣にはっきりしてもらいたいと思います。
  97. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 現実に告示する前に非常に高い値段で話し合いができた、その場合には、高くできた値段を最低価格とかあるいは告示価格にすべきではないか、こういう御趣旨でございますか。
  98. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃないですよ。取引価格というものに対して……。
  99. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、交渉で高くきまれば、これはけっこうな話だと思います。しかし、告示価格あるいは指示価格というのは、法律にきまっているような観点からきまるべきものであると思います。高く買ったから、あるいはどうだからということでなく、やはり合理的に、科学的に計算したものが最低価格であり、あるいは指示価格であるべきである。取引価格がそれ以上であるということは、非常にけっこうなことであると思います。しかし、取引価格が高いからといって、指示価格最低価格をそのとおりにするということは、筋が違うと思います。
  100. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたが昔農林大臣をやったときはもう少しはっきりしておったが、これはやはり年のせいですか……。法律に定める場合においても、やはり会社が経営が成り立つと考え、生産者が耕作意欲を高め、作付できる価格というものは、やはり政府の算定の場合の重要な根拠だと思うのです。それが両者の話し合いの中で、この値段なら会社として原料を買って経営が可能である、ある程度の利潤も高まるというその値段、生産者もこの価格であれば他作物に比較して積極的につくろうという、そういう線で値段がきまるということになれば、それに越したことはないじゃないですか。そういう値段が告示価格の前にきまった場合——ほんとうは政府価格が先に立つのがあたりまえだが、もたもたしているうちに、話し合いで取引の値段がきまった。その後に告示価格を出すということもあり得る。その場合、現実に取引価格できまった価格というものをどのように扱って法律上の最低生産者価格というものをきめるか、そういうことを私は繰り返して聞いておるのです。話し合いできまった値段が必ずしも高いとは言えないでしょう。それは何に比べて高いとか安いとかいうことになるのかということになると思うのですね。いままでの不当に安い値段に比べて若干数字的には高くなったということがあり得ても、しかし、一年間、二年間の自民党内閣のもとにおける物価の著しい値上がりとか、賃金の事情であるとかいうものを考えた場合には、去年の一割や二割原料価格が上がっても、実質的な価格というものは、据え置きと同じような結果も当然生まれると思うわけです。だから、この際、二本建て価格というものは、現実に即さないということを繰り返して言っておるわけでありまして、事前に両者で取引価格をきめた場合においては、政府指示価格を出す場合においては、当然それを尊重して、基礎にして、最低生産者価格というものをお出しになる方針であるかということを私は聞いておるわけです。この点がはっきりすれば、だいぶ前に進みやすいのですが、きょうはこの点だけをぜひはっきりしてもらいたいと思います。
  101. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 両者で話ができない場合を予想して、指示価格というものをきめておるわけでありますが、両者で価格がきまれば問題ないと思います。
  102. 芳賀貢

    芳賀委員 その場合に、最低生産者価格をどうやってきめるかということです。
  103. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 最低生産者価格というものは、この法律の二十二条にきまっている基準できめるわけです。「最低生産者価格は、政令で定めるところにより、農業パリティ指数に基づき算出される価格を基準とし、物価その他の経済事情を参酌し、甘味資源作物の再生産を確保することを旨として定めるものとする。」この基準によって最低生産者価格はきめる。その場合に、現実に取引価格がきまってしまったというような事情も参酌します。参酌しますが、きまったものをそのままというたてまえではございません。一致することもございましょうけれども、たてまえが違います。取引の自由ですから、取引価格というものは取引価格できまる。最低価格最低価格でこういう基準できめる。きめる場合に、取引価格がきまっていれば、事情がそうなっているのだから、その点も参酌はしますよ。しかし、そのままというたてまえじゃない、こういうことなんです。
  104. 芳賀貢

    芳賀委員 どうもあなたはわからぬですね。
  105. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いや、あなたのほうがわからないのですよ。
  106. 芳賀貢

    芳賀委員 法律できまっていると言うが、何もきまってないじゃないですか。いまあなたが読み上げたのは文句でしょう。文章にすぎないじゃありませんか。きまっていると言うならば、法律上何千何百円ということをはっきり言ってごらんなさい。何もきまっていないじゃないですか。単に抽象的な生産費とか物価指数とか、全部参酌事情というものを並べたにすぎないじゃないですか。何がきまっているのですか。むしろきまっているということは、現実に取引が行なわれて、両者がきめた値段というものが、これがきまっておる値段じゃないですか。そのくらいのことがあなたわからぬで、大臣はつとまらぬですよ。ただ問題は、政府砂糖を買う場合に、取引価格を基準にした場合においては、万一政府が損をかぶってはたいへんだからして、なるたけ最低生産者価格というものは、実情を無視して、両者の取引決定価格というものを無視して、買い上げする場合の安い糖価を算定するための基礎価格以外の何ものでもないということに当然なるじゃありませんか。農業政策を進める場合、そういう三百代言的な態度じゃ、これは全然前に進まないですよ。  きょうはこれ以上議論はしないが、肝心なことだけは、やはり大臣の責任とか立場においてはっきりしてもらって、あと枝葉末節の点については、長官であるとかそれ以下の政府委員から補足的に説明するということでもいいと思います。きょうはむずかしくて明確な答弁ができなければ、これは宿題にしておきます。
  107. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 どうも三百代言なんて言われると、まことにメンツにかかわることですけれども、まあ別に気にかけるわけではございません。  最低価格がきまっていない——それはきまっていませんよ。きまっていませんが、きめる基準というものは、ここに書いてあるわけです。その基準に従ってきめていくのですから、そういう要素をみんな入れてきめる。そのきめ方があるのでございますから、そのきめ方が現実の取引価格と必ずしも一致しないということは、これは当然あると思うのですよ。取引は需要供給の関係も一般にありまするし、いろいろありますから……。ですから、一致しないが、現実の取引価格があるというのは、それはあとになった場合に、最低価格あるいは指示価格をきめる場合に、参酌の材料にはなりましょうけれども、一致した価格になるというわけにはいかない。  それから政府が買い上げる場合には、両方で紛争した場合に指示価格を出す、その指示価格基礎として、その他の事情を参酌してきめるというのですから、はっきりしているので、むしろ私のほうがはっきりしていると思うのですよ。
  108. 芳賀貢

    芳賀委員 きょうはこの程度で、あとの質問は保留しておきますが、政府におかれても、この次からもう少し自信のあるような態度で臨んでもらいたいと思います。
  109. 高見三郎

    高見委員長 次会は、明十三日午前十時より理事会理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会