○野口
委員 これをいつまでもここでやっておるわけにもいきませんが、ただ
大臣は、きのうの答弁の中で、
兼業農家というものが生まれてきたときの
経営農家の自立ということについてはどうかという質問があった場合、これは
兼業農家の分解を待って、自然のうちに減少を待っているんだ。ところが、
兼業農家というものは、減少する
状態は生まれてくるはずがないということを、きのうの質問の中では、
政府側もこちら側も明らかにしたはずでございます。
大臣は、
兼業農家というものが生まれてくるのは、もっと社会保障を充実して、
労働者の賃金を上げて、安定充実していけば、その
土地を放すということになってくるのではないだろうか。そうした
条件は、いまの働く
労働者の中には生まれていない。だから、
兼業農家というものは、重工業が発展するに従って、零細な農民の
所得をせめてそこで補っていこうとする中では、
兼業農家というものは、もうすでに全耕地の半分を占めるくらいで、しかも、その
所得は、一町五反あるいは二町歩持っている
専業農家の方々の
所得よりは、
兼業農家の
所得のほうがよろしいというのが村における
現状であります。いままで八反歩ぐらいで貧しい農民だといわれておった人が、
兼業農家に転じていくに従って、非常に裕福な現金操作が行なわれるようになってきておる。反面、かつて大きな
土地を持っているといわれておった、二町ぐらい持っていた
農家の方が、その
所得の上においてはまことに零細なものに変わってきている。
専業農家自体が非常に苦しい
状態の中にあるということを言わざるを得ないと思うのです。それ一を見ている青少年がいわば工場に流れてきて、あなたの御心配になるような後継者がいなくなるような
農村の
現状をつくっているとすると、この
兼業農家をなくすということは容易ではないという実態の中で、話が進んで、結果的に、
大臣の答弁なすったのは、第二次革命でもするほかないのではないかという答弁であったと思うのです。そしてそのあとにおつけになったことは、その辺のところをひとつ教えてくれませんか、こういうことであられたはずなんです。だから、
現状のままで
兼業農家の戸数を残してこれを進めていくということは、
政府農業基本法を実施していく上においては、たとえば離農が一人もなかったと
考えた場合に、離農は自然に起こってくるであろうという
考え方が、
兼業農家を認めることになるかどうか。離農ということは、
農家戸数の減少の上に
大臣は期待しているのではないかと思うのだけれども、そうではなくて、やがて
日本の
土地の大部分が
兼業化していくという
方向にいくことも、
政府農業基本法の中でこれを認めている、こういうことになるでしょうか。そうではなくて、
兼業農家が増大しているということは、もう少し安定した賃金を与えて、完全な
労働生産に従事させて、
農業収益を高めて、農民として生きていかれるような完全な自主独立の
農家経営形態を
考えていくのが
農家らしい
農家であるというお
考えであったのではないかと私は思うのです。
大臣が幾らおっしゃっても、第二次革命でもやらなければだめであるという中で、どうしたらいいであろうか御心配になったことは、やはり
農業基本法の中で、
日本の
農業の零細性をなくすための最大の原因として、
農村人口が過大であることをいかにするかという問題が前提となって、
日本の
農業の健全な育成を
考えていくのだという方針であったということを私は言わざるを得ないのです。
ただ問題は、私は、その次に、この零細性の原因を
農業人口過大ということだけにお求めになることが、
政府農業基本法の形であるようでございますが、なぜ
日本の農民が零細であったかという原因は、人口の過大ということも私はあるだろうと思います。しかし、その他にもっと政治として、学問で言うたならば、人口が多ければ、当然そこは零細になってくることは間違いありませんでしょう。
農業という同一職業をみんなでやるんですから、床屋が十軒あったところへ二十軒になったら、確かに困ることはわかり切っておるのです。
農業という同一職業を数多い人口がやっておるということは、問題が残るにきまっております。だが、そのとおりに
日本の
農業というものがいままできたのではないのです。過大人口をかかえて生きてきたのです。その中には長い農民の歴史というものが残っておるわけです。この長い農民の歴史の中で、その日その日をほんとうにせんべいをかじるような苦しみに耐えながら、
日本の農民は長い時間をかけてこの零細の中にきたのでございまして、そうした
観点から、
日本の農民の零細性の社会的
条件というようなものについては、もう少し
考えられた上で、
日本農業人口の過大性というようなものを解消するような
方向にいくあたたかい
農業を
考える
施策というものが、他になければならぬはずだと私は思うのです。その第一の
施策が、私は
価格であろうと思う。そのような
観点に立って、
日本農業の零細性の原因というようなものを
農林大臣はどんなふうに思っていらっしゃるのか、ひとつお聞きしたいと思う。