○石橋
委員 実際に現在、先ほど申し上げたように、
アメリカは海外基地の縮小をはかっているわけです。それを補うものとして、核体系の中に組み込まれておる兵器というものを次々に配置しておるじゃないですか。F105もそうです。ポラリスもそうです。そういうものと代替させようという動きを示しておるじゃありませんか。これを攻勢作戦能力と見るか、あるいは抑止的戦力と見るかは別として、とにかく
核兵器なり熱
核兵器というものに、最も新しいものに主体を移しておることは、間違いないですよ。一面、ゲリラを含めて通常兵力を用いなければならぬ場面が出てきた場合は、これはさっき言ったように、緊急輸送というものに力を移しておるじゃありませんか。これは隠れもない事実だと思う。あなたがどう否定されようとも、
アメリカとしては、着々とそういうふうにこまを進めておる。そうしなければ共産陣営に対抗できないという意識がある。あなたは、過去において朝鮮においても
核兵器が使われなかったじゃないか、インドシナにおいても使われないじゃないかとおっしゃるけれ
ども、使われなかったということと、今後絶対に使われないということとは、切り離さなければいかぬと思う。現にいまあなたも御
指摘になったように、インドシナでも使えという議論が、
アメリカの中で有力な者の口からも出ておる。朝鮮動乱のときにも、マッカーサーはじめ使うべきだという意見を持った者もおる。それを完全なシビル・コントロールのもとにおいて押えることができたという過去の事実が、今後においても絶対に押えられるということにそのまま結びついていくというふうには、私
ども見ておりません。過去がそうだったから、将来も絶対一〇〇%安泰だというような議論は、私は飛躍だと思う。われわれとても、簡単に使えるものではないということは肯定します。また、最高責任者の恣意によって使えるというような場面も、そうそう簡単にあるものではないということも支持します。しかし、
現実にあなたがいまあげたように、何百億トンという核を両陣営が保有する限り、いついかなる事態にどのような端緒でこれが用いられるかもわからない可能性は、常に現存しておる。そのときに備えて着々と配備をやっておるということは、まぎれもない事実なんですよ。
そこでもう一つ、これに重大な問題があるわけです。結局そのまま続んだほうがいいでしょう。「
アメリカ大統領ただ独りだけが持っている「攻勢命令発動の権限」が行使される時には、これら戦術戦闘機の作戦なるものは、
アメリカ戦略空軍の出動とタイアップした相互関連が必ずあると
考えるのが当然であろう。」ということです。これでわれわれが見のがすことができないのは、攻勢命令発動の権限が
アメリカ大統領一人に属しておるということ、これはまぎれもない事実ですね。戦略空軍とタイアップしてF105のような戦術空軍も
使用されるという重要な問題です。これも危機は回避されましたが、あのキューバの紛争のときを思い出していただけばいいと思う。キューバの
事件というものは、太平洋を隔てたカリブ海一帯だけの紛争ではない。
日本の国民が知っておったか知らなかったかは別として、あの緊迫した
状態の中で、在日
米軍は一斉に緊急態勢に入った。
日本の
自衛隊までが、一生懸命否定していますけれ
ども、
米軍と一緒に緊急態勢に入った。危機が回避されたからよかったものの、あそこで一触即発、爆発しておれば、米ソがぶつかっておれば、
日本の基地におるF100なりF105なり——その当時はF105はいなかったかもしれないが、黙ってじっとしておるという事態が
考えられますか。一斉に飛び立ったでしょう。これは否定できないでしょう。カリブ海の周辺で
アメリカとソ連とがぶつかったというときに、
日本におる
米軍は、あれはキューバの問題だからといってじっと動かぬ、そういう事態が
考えられますか。一斉に飛び立つ。それに対してまた対応する勢力も、
日本の基地を攻撃してくることが
考えられる。そうなると、安保
条約第五条によって、報復攻撃を受けたのがかりに基地に限定されておっても、これは
日本の領土に対する攻撃とみなして、共通の危険とみなして、
自衛隊もまた立つ、自動的に巻き込まれていく、こういう仕組みになっておるじゃありませんか。
アメリカ大統領の命令によって、必然的に
日本の
自衛隊も行動を起こす運命を背負わされているじゃありませんか。いみじくも黒江さんがこれを喝破している。これも、キューバのときには危機が回避されたから、今後も必ず回避されるといって逃げられる問題じゃないですよ。あれと同じような
事件が、インドシナでまた起きるかもしれぬ、朝鮮で起きるかもしれぬ。朝鮮でといえば、先ほど引用しました「
防衛力整備に関する基本的
見解」という航空幕僚監部が昨年の八月二十三日に出した文書の中にも書いてあります。ちょっとそこだけ読んでみましょうか。いろいろと貴重な資料をいただきましてありがとうございました。「わが国をめぐる武力戦の契機と様相」という中の第二項目に、「極東、特に朝鮮に武力紛争等が起きると、その規模によっては後方支援遮断のため、海空輸送路を攻撃し、さらに
状況によっては支援基点等攻撃を拡大することがあり得る」、ちゃんと認めております。キューバでなくても、今後朝鮮で紛争が起きても、インドシナで紛争が起きても、
日本から
米軍が飛び立つ限り、明らかに攻撃を加えてくる可能性がある。これが契機になる。これは空幕が出したものです。これも処分したんですか。これはもうだれが
考えても、こういう制服の連中が軍事的にだけものを見ているから、それなりにその
範囲で見れば、私はまともに言ってるいんだと思うのです。あなたたちは、それを一段上からシビル・コントロールの立場から押えていくんだ、こう言う。しかし、面従腹背です。何言ってやがるんだ、言いたいことをじゃんじゃん言って流しているじゃないですか。形の上でかりに左遷させた、それでシビル・コントロール健在だとあなたたちいばっておっても、だめですよ、言いたいほうだい言っているんだから。あなたたちはわからない。小さな軍事というもののワクの中でしか見ておらぬ連中は、そう思う。これは押えたことにならぬ。押えたという形が出るためには、あなたたちが
国会を通じて国民に明確に答弁していることを、そのままそのとおりだと制服の連中に思わせることなんです。信じさせることなんです。そうじゃないんですか。形の上で押えたって、いざというときに役に立ちませんよ。これは最高の責任者は
防衛庁長官です。
防衛部の運用課長といえば、責任のある地位ですよ。そういう責任のある者が、あなたたちが
国会で答弁をし、国民に説明していることを、何言っているんだという態度をとっているじゃないですか。そういうやつはけしからぬから飛ばした、だからシビル・コントロール健在だ、空論です。あなたたちが国民に示したとおり、この人たちをも説得し、納得させる、そしてその
方向で動かせる、これがシビル・コントロールです。形式的なシビル・コントロールというものを、私
どもは問題にしておりません。大臣、そうお思いになりませんか、いかがですか。