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1964-05-28 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十八日(木曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 内藤  隆君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       岩動 道行君    高瀬  傳君       塚田  徹君    藤尾 正行君       松澤 雄藏君    湊  徹郎君       角屋堅次郎君    川俣 清音君       中村 高一君    西村 関一君       山田 長司君    受田 新吉君       山下 榮二君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (園芸局長)  酒折 武弘君         農林事務官         (農林水産技術         会議事務局長) 武田 誠三君         食糧庁長官   齋藤  誠君         水産庁長官   庄野五一郎君  委員外出席者         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 五月二十八日  委員茜ケ久保重光辞任につき、その補欠とし  て西村関一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村関一辞任につき、その補欠として川  俣清音君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川俣清音辞任につき、その補欠として角  屋堅次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員角屋堅次郎辞任につき、その補欠として  茜ケ久保重光君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がございますので、これを許します。西村関一君。
  3. 西村関一

    西村(関)委員 二、三の点について、主として大臣にお伺いをいたします。  第一は、植物ウイルス研究所新設に関してでございます。第四十三国会におきまして、農林水産委員会における湯山質員に対して、政府委員からの答弁がなされておるのでございます。ただ植物だけではなくて、家畜なり魚類なり未開の分野に対するところの研究もあわせ行なうべきである、ただ大学ウイルス研究所だけにまかしておかないで、こういう方面の開拓もしてはどうかという質問に対して、政府委員のほうからは、できるだけ研究の範囲を広げていきたい、こういうような御答弁があったのでございます。今度出てまいりました改正案を見ましても、やはり植物ウイルス研究所と、植物に限定されておるということは、前の質問応答の中におけるところの答弁と若干違ってきておるというふうに考えられますが、やはり湯山委員指摘いたしましたように、この種の研究は、ただ大学研究だけにまかしておかないで、農林省としてはやはり根本的な試験研究機関充実をはかっていかなければなならないと考えますが、その点につきまして、大臣のお考え伺いたい。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ごもっともな御指摘でございます。そこで、動物につきましてもウイルス研究はすべきものだ、こういうことで——ただ、植物よりも先に、動物につきましては、従来の京都の研究所その他におきましても研究を進めておるわけであります。私、技術的に、学問的によく知りませんが、植物動物とのウイルスにつきましては、いささか性質が違う点もあるようでございますので、動物につきましては、いま申し上げましたようにすでに研究を進め、また畜産試験場等におきましても、その研究を土台としてなお進めておるということでございますので、このたびは、植物について特に研究する機関を持っておりませんので、植物ウイルス研究所を設けた、こういう趣旨でございます。
  5. 西村関一

    西村(関)委員 農林水産行政の中におきまして、試験研究機関重要性というものは、私からいまさら申し上げるまでもないことでございますが、そういう観点から考えますと、農林省試験研究機関は、内容において、また特に予算において、非常に弱いという感じがいまだにするのでございます。この点につきまして、じみな、あまり外にあらわれてこないような、しかも根本的な、基本的な大事な試験研究に従事している学者、技術者、そういう方々研究をもっと行政の面に生かしていくために、試験研究機関を整備拡充していく、もっと予算をふやして、後顧憂いなく十二分に研究ができる、そしてこれが長い目から見ると農民の利益に反映してくるというようなことが望まれると思うのでございますが、そういう点に対して、私は試験研究機関が特に弱いという感じを受けるのでございます。これらの農林業水産業に従事している国民の多くの人々に対して、農林行政が今後より高度な施策を行なっていく上からも、試験研究機関がもっと充実されなければいかぬというふうに思うのでございますが、その点、大臣のお考え伺いたいと思います。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農林省関係ばかりではございませんが、技術革新といわれているような時代でもありますし、農林省におきましては、最も基礎的な問題としての技術研究機関充実いたしまして、それが実際面に適用、拡大されるようなことは、私も痛切に必要だと存じます。感じといたしまして、こういう研究機関等につきましては、国会等におきましても、バックする人がわりあい少ない、支持する人が非常に少ないというような関係で、何となくおろそかにされるのじゃないかというような感じが私もいたしておりますので、この点につきましては、特に技術会議等を督励して、研究機関充実をはかりたい、その点につきましては、まことに同感でございます。でございますので、ちょっと例を申し上げますならば、園芸試験場人工気象室新設とか、北海道農業試験場の月寒への移転による拡充強化、その他農業機械とか畜産、園芸等をはじめ、各部門の施設充実するということにつきましては、鋭意つとめておるわけでございます。しかし、なお足らぬ面が相当あると思います。一そうこの施設充実して、それが実際の農業面拡充、適用される方途を進めていきたい、こう考えております。
  7. 西村関一

    西村(関)委員 私は地方に出張いたしますと、機会があれば試験研究機関をおたずねいたしまして、その施設内容を拝見したり、またそこで研究に従事しておられる方々実情を伺ったりすることにつとめてまいっておるのでございますが、そのことを通しまして痛感いたしますことは、いま大臣も仰せになりましたように、こういうじみな仕事に当たる人は、民間会社等が非常に優遇いたしますから、優秀な技術者がどんどん民間に行ってしまうということ等もありまして、とどまっている人は、非常に苦労しながら、民間と比べて劣悪な待遇のもとにやっておられるのでありまして、こういう方々に対して国はもっと厚く報いていくということをしないと、なかなか人材を得るということも私はむずかしいと思うのでございます。また、ただそこにじっとしておっては研究できない。あっちこっち出張していろいろな研究交換をやるということもやらないと、実りのある研究をすることができないということがありますが、しかし、旅費がない、一年一ぺん出張したら、もうあと旅費がないというような状態のところが、かなり多いようでございます。それからまた、特にへんぴなとこににある試験研究機関に従事する人たちに対しましては、都会地にある人々と比べて、暖房設備でありますとか、あるいは住宅施設でありますとかいうようなもの等についても、格差がある。これはアメリカあたりの例から見ますならば、むしろそういうところで不便を忍んで研究に従事している人々に対しては、一般の公務員よりはもっと厚く待遇している。そうして子供の教育等についても後顧憂いのないようにして、思う存分の研究のできるようにしておるのであります。私も、そういう実情アメリカに参りましたときに見てまいりましたが、それと比べて、むしろ厚く遇さなければならないところが非常に悪い状態へ追いやられていっておるというようなことが、まだ改まっていないという感じを受けるのでございます。こういう点につきまして、今後これは改善していきたいというふうに大臣もお考えのようでございますが、そういう実情をよく大臣見ていただいて、そうしてむしろそういうところの試験研究に従事する人をこそ優遇していく、こういうことが、私は農林行政の責任の地位にあられる大臣のお考えいただかなければならぬ点ではないかと思うのでございますが、特にそういうことを感じますので、この点に関連をいたしまして大臣の御所信を伺っておる次第なんでございますが、もう一度その点について大臣の御所信を承りたいと思います。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに御指摘のとおりと思います。アメリカ等におきましても、あるいはソ連等におきましても、非常に技術者を尊重し、待遇をよくしておるように私も承知しております。日本におきましても、その点におきましては技術者待遇をよくしていこうという傾向は非常に強いのでございますけれども、何といたしましても、高度成長下経済界におきまして、学校出身者等におきましても、民間のほうへ給与等がいいものですから行くし、官庁関係研究のほうに対する待遇がそれに及ばない、こういう傾向は、私も認めざるを得ないと思います。でございますので、待遇改善、あるいは環境の整備、研究費増額等につきましては、なお一そうよくしていきたいと思います。実はことしにつきましても、これはそういう実質的な問題じゃないのですけれども、形式的な問題で、この設置法改正の中に、実は技術者待遇をよくする一つとして次官制度を置こうか、こういうことで実は相当財政当局等とも折衝いたしたのでございますが、私がそれを考えたのが非常におそいころでございましたので、この設置法の中へ盛るようなところまで話が詰まりませんで、設置法に出すことができなかったのでございますが、こういうことも一つの励みといいますか、こういうことで、次官制度などもどうだろうかということで検討もいたしておる次第でございますので、待遇あるいは研究費増額の問題、環境の問題に一そう意を用いてこれを進めていきたい、こう考えております。
  9. 西村関一

    西村(関)委員 第二の質問は、食糧庁業務部所掌事務整理統合についてでございますが、この期に整理統合をなさるところの根本的な理由はどこにあるのでございましょうか、食糧管理制度関係を持つ改正をなさろうというお考えなのでございましょうか、その点をお伺いいたしたいと思うのでございます。と申しますのは、大臣が言明しておられまする米価スライド方式、私どもはまだ委員会等において正式に大臣の御見解を承っておりませんが、新聞等によりますと、大臣のお述べになったことが出ておりますが、どういうところに真意があるのか、今度の業務部所掌事務整理統合についての改正とどういう関係を持つのかということを明らかにしていただきたいと思うのでございまして、スライド制をお考えになります理由も、これはわからぬではございません。しかし、これが趣旨を誤り、運営をはき違えますと、生産者米価がきめられるときに、消費者側から、スライドするのだからということで、生産者米価を安く押えられるという空気が出てくるきらいが多分にあるということを思うのでございますが、そういう点と関連をいたしまして、生産者側の立場に立って、今度の改正がどういうところにねらいを持っているか。また大臣がお述べになりましたこのスライド制大臣のお考え根本趣旨は、どこにあるのか。それとどういう関係にあるのか。食糧管理制度等関係を持って今後処理していこうとなさるのであるか。そういう点をお伺いいたしたいと思います。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ただいま提案いたしておりまする機構改革案は、食管制度を改めようというものと、関連はございません。内部の事務能率化、すなわち米の買い入れ等が、国内ばかりでなく、輸入等も含めて、総合的に所管したほうが需給状況などを見る上においてもよろしい、こういうことなのでございますので、食管制度関連を持っての機構改革ではございません。そこで、生産者米価消費者米価とをスライドすることを研究してみたらどうかというふうに、私も事務当局にも命じております。その考え方といたしましては、生産者米価は、生産者所得補償方式という形で決定されておりますが、消費者米価は、家計をそこなわないということで、消費者米価一つ決定基準が出ております。しかし、これは直接的と言いますか、関連が非常に薄い、こういうふうに見ております。でありますので、生産者米価が上がったということになった場合に、これを全部国で負担すべきものかどうか、こういう点につきましては、よく検討する必要があるのじゃないか。社会保障制度的なものだと、こうは言われておりますけれども、富裕な人にまで国が社会保障制度的に消費者米価を安くしてやっていくということが、当を得ているかどうか、こういう点から考えまするというと、生産者米価生産者所得補償方式で決定された。その中のある一部分の要素は、消費者も負担していい要素があるのじゃないか、ファクターがあるのじゃないか。当然国が全部その分を負担するということでなくて、幾ぶんは負担する要素も、検討してみたらあるのじゃないか。これをスライドして、たとえば千円上がったら千円消費者米価を上げる、こういうことじゃなくて、千円上がった場合に、あるいは百円か幾らか、何分の一かは消費者も負担すべきファクター研究して、生産者米価消費者米価関連を持つような価格決定方式というものはないものであろうか。こういう検討をいたしておるわけで、決定しておるわけではございません。そこで、その結果がどうなるかというと、いま御指摘のように、消費者米価を上げられては困るというので、引きずって生産者米価を上げさせないという政治的な動きもあろうかと思います。それから一面においては、消費者米価もある程度上がるのだということであるならば、生産者米価も底上げして、政府だけのあれでなくて、もう少し上げてもいいのだという動きが、政治的には一面出てくると思います。しかし、前段いま御指摘のような面が強く——いま消費者王様ですから、消費者王様動きのほうが非常に強くなるかとも思っております。しかし、その関連というものは、ひとつ検討してみたらどうかということを命じておるわけでございまして、結論が出ておるわけではございません。同時に、消費者米価はことし上げないと言っていながら、そういう案でもできれば途中から上げるんじゃないか、こういう疑問も持たれておるようでございますけれども、その点は、この方式というものがかりに合理的にできたといたしましても、消費者米価を上げるということは、ことしはいたしません。その点は念のために申し上げておきます。  以上のような考え方検討を進めておる次第でございます。
  11. 西村関一

    西村(関)委員 この改正が、食管制度と全然関係は持たない。海外から米を輸入する場合のこともあるから、必要に応じて、円滑に業務を行なうための改正であるから、食管制度には関係ないんだというふうに答弁せられましたから、私は、いまのスライド制の問題につきましては、幾多の疑問を持っておりますが、しかし、そういう検討を始めておられるという大臣の御意図もわからぬじゃない。わからぬじゃないのですが、いまの御答弁だけでは私は満足ができませんので、これは関係がないということでございますから、別の機会農林水産委員会におきまして、またお尋ねをすることにいたしまして、他の同僚議員質問を待機しておられますから、私はいまの大臣の御説明だけでは納得がまだまいっておりませんが、これは別の機会にさらによくお伺いをいたしたいと思いまして、次の質問に移りたいと思います。  私は、三点だけをきょうは御質問をするので、あともう一問だけで終わりたいと思っております。他の問題ございますが、すでに内閣委員会同僚委員諸公質問をしておられる点もあろうと思いますし、私は、もう一点だけお伺いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。  それは国有林野管理審議会設置に関してでございますが、これが中央森林審議会及び今国会に提出中の林業基本法で予定しておるところの、林政審議会と、どういう関係にあるかということ、また、各営林局に十くらい置こうというのでありますから、そういうような外局である林野庁の地方支分部局であるところの営林局に、審議会を設けるということについての権限の問題、そういう点をまずお伺いをいたしたいと思っておりましたが、これは先般の本委員会におきまして質問があり、答弁があったということでございますから、これはまたその方面会議録をよく読みまして、きょうは時間がありませんから、私の疑問とするところをお伺いいたさないことにいたしますが、これと関連をいたしまして、国有林野払い下げについての基本的な政府のお考え伺いたいと思うのでございます。  これはすでに中央森林審議会の答申も出ておりますし、また自民党のほうからも、自民懇談会特別措置がまとめられて、立法化への一つ見解が出されておりますし、社会党からも、御承知のとおり、これに対する見解が出ておるのであります。こういう情勢の中で、国有林野払い下げにつきましては、どういう基本的なお考えを持っておいでになるか。いろいろなそういう考え方が出ておりますが、政府といたしましては、どういう趣旨林野払い下げをなさるか、その点をお伺いいたしたいと思う。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 再々申し上げておりまするように、国有林民有林を問わず、林野国土保全に相当重大な寄与をしておる存在であることは、申し上げるまでもございません。特に国有地におきましては、治山治水、あるいは国民の保健その他につきまして、大きな役割りを演じております。同時にまた、林業といたしまして、木材資源持続的生産という面からも、重大な役割りを持っております。その両面をそこなわない限度におきまして、あるいは農業構造改善のために、あるいは草地造成等のために、あるいは農民福祉等のために、ある程度の国有林払い下げということは必要であろう、こういうふうに考えておるのでございますけれども、それにつきましては、先ほどお話が出ました中央森林審議会の意見とか、あるいは森林法根本精神とか、あるいは今度の林業基本法考え方等にのっとって慎重にやっていかなくちゃならぬ、そういう意味におきまして、先ほどお話が出ました営林局等におきましても、具体的にそういう申請が出た場合に、その適否につきましては——価格等も含まれると思いますが、適否等についての諮問をするということでございますので、いわゆる慎重を期する一つ方法としての営林局における審議会、こういうことでございますから、方針といたしましては、むやみやたらに開放するというような考え方ではございません。むしろ慎重に運ばなくちゃならぬというような気持ちでございます。
  13. 西村関一

    西村(関)委員 国土保全に必要なものは残しておくのだが、さらに農業用地として、林業用地として、あるいは公共用地として活用される場合においては払い下げをするという根本的な方針であるということは、私もよくわかるのでありますが、従来そういう根本的な方針に沿わないような動きが相当あったし、現在もあるというふうに私は承知しているのであります。いま、農業用地として、林業用地として、あるいは公共用地として、それぞれの関係団体あるいは地方自治体等払い下げをされるならばわかるんですけれども、いわゆる営利目的とするところの会社事業団体等払い下げられるという場合が、過去においてもあったし、現在もそういう動きが出てきておる。しかも、それと関係をして有力な政党人が背後にあってそれを動かしておる、こういう、いま大臣のお述べになりましたような根本的な趣旨と違った、営利目的とする、しかもそれが政党政治につながるような形で、一部の動きがあることは、厳に戒しめなければならぬ点だと思う。私は、ここで具体的な事例を申し上げません。時間もありませんし、この委員会の権威にもかかわりますから、私は申し上げませんが、そういうような動きがあることは、大臣は御承知だろうと思うのです。これに対して、いま大臣のお述べになりましたような基本的な姿勢をくずさないで、どこまでも農民のために、林業者のために、あるいは公共施設のために、道路をつくるとか水路をつくるとかいうことのために必要欠くべからざるものには開放するけれども、しかし、営利目的をする、しかもそれが一部の権力者につながるというような形のものに対しては、開放すべきでないという考え方を私は持つのでございますが、そういう点について、大臣の基本的な姿勢、またお考え伺いたいと思います。
  14. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のような事例、あるいは会計検査院の指摘等もありますので、私も承知いたしております。そこで、かりに営利目的とするようなことである場合、私はそのまま——実は私になってから、開放といいますか、払い下げはいたしておりません。必ずその土地が国土保全のための要はなくなっておるかというようなことを詳細に調べ、同時にまた、それとかえ地といいますか、国のほうへかえ地を提供するように、いわゆる交換でございますが、交換をして国有林として保持すべきものを提供させるというようなことをやってきた例は、私になってからもあります。でございますので、営利目的とするために国有林開放ということは、厳に慎まなければならぬ。まあ開放してもよかろうというような場合があるといたしましても、交換等によって国有林を増して、そして国土保全に寄与できるようなかえ地を提供させて、それと交換するというような方法等をとっておるわけでございまして、御趣旨は、御指摘のとおりに堅持していくつもりであります。
  15. 西村関一

    西村(関)委員 かえ地をなすって、営利目的とするものであっても、それが国土保全に影響のないものならば、そういうことも考えられる、またそういうこともあったということで、私は必ずしも営利事業そのものを全面的に悪いというふうには言っておらないのですが、地方自治体地方自治の発展のために国有林野開放をしてもらいたいということを願い出ておるのに、それを押えて、そして非常に財力のある、金力のある、権力のある方面からの動きに同調していくようなことがあってはならない。そういうことが起こる心配が多分にあるわけなんでございまして、また現に、ああいうところが出てきたのじゃ、とてもわれわれのようなちっぽけな自治体ではやれませんといって引っ込んでおる事例もあるのです。具体的な名前を申し上げませんが、これは大臣御存じだと思うのです。そういうようなことがあっては、大臣のお述べになりました国有林野開放趣旨に反すると私は思うのでございます。また、国民の声にも反すると思うのでございます。そういう点を申し上げておるのでございまして、その点、今度の改正法によって十の各営林局審議会ができますのもそういう趣旨だ、そういうことを是正していこう、そういうことを公平にやっていこう、間違いのないようにやっていこうという趣旨からつくったのだというふうに大臣がお述べになりましたが、この点につきましては、弊害が伴っておりますし、現に伴う危険が多分にございますから、大臣の御趣旨が十分に各営林局にも、また営林署まで徹底いたしますように、十分に御配慮願いたいと存じます。  以上で私の質問を終わります。
  16. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまの御趣旨は、十分配慮いたしたいと思います。
  17. 徳安實藏

  18. 川俣清音

    川俣委員 時間がありませんので、要点だけお尋ねいたしますが、この内閣委員会に付託されております農林省設置法の中で、大いに今後試験研究充実させようとする意図のもとの改正については、むしろおそきに失したという感じは持ちますけれども、その趣旨は最も了とするところでございます。しかしながら、機構だけを充実させる前に、もう一ぺん考え直さなければならぬ事態が、農林省試験研究の中にあるのではないかという感じがするわけです。その要点は、一つは日本のような気候風土というものについての認識が、試験研究の中に足りないのではないかという点であります。すなわち、気候風土によって病虫害の発生する余地が非常に多い。または天候と申しますか、自然的環境の中における風水害等の影響を日本は非常に受けやすい。そういう中においての試験研究でありますために、相当長期の試験研究をしなければならないのに、どういうわけか、これは大蔵省の関係もあるかと思いますが、実はきょう大蔵省の主計官にも来ていただこうと思ったのですが、国の予算の効率的使用ということを盛んに大蔵省が言いながら、試験研究が中途はんぱに終わりますならば、前の経費というものがむだになるようなケースがあります。たとえば例を一つ具体的にあげたほうが大臣おわかりになると思うのですが、今後日本の植物たん白質の資源としての豆類の増産も考えられておるわけですが、病虫害に非常におかされやすい。これを耐病性のある品種にしていこうということで、研究が相当進んでおるわけです。大体その方向がきまったけれども、これを一般にふえんするためには、もう少し研究を継続しなければならない。それでなければ品種の固定ができない。いわゆる改良品種をつくって固定しなければ、農家は利用できないわけです。ところが、まだ固定しない前に、もう予算は打ち切りだ。新しいことならばまたやらせるけれども、もう継続の費用は要らないだろう、こういうことが行なわれておる。これは大蔵省的に考えると、あるいはそうかもしれません。一方新規要求はけしからぬといって削減しながら、こういう継続研究を要するものについては理解がない。大蔵省が理解がなければ、農林省も理解がないのじゃないかと思うのです。植物というものはそういうものだという理解の上に立っておるべきが、農林省だと私は思うのです。それをどうして一体途中で打ち切りにしなければならないのか。せっかく試験研究したものを、成果がまだ十分あらわれないうちに継続費を切ってしまうということは、試験研究したものの熱意というものを削除するばかりでなく、効果をもたらすことができないうちにやめるというようなことは、これは試験研究にならないと思うのです。こういう点で、大臣どういうふうにお考えになっておりますか。おそらくそんなことはないであろうということならば、私は実例をあげて申し上げます。
  19. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 全くそのとおりです。一年に一回しかとれない作物の品種改良などをするのには、相当の年数を必要とするわけで、一年や二年ですぐ品種改良——耐病虫害等の豆類等もできるはずがないので、そういうことではならない、打ち切ってしまってはならないと私は思います。大体三年間ぐらい試験をやらせまして、そのあとは経常費で経常的な試験をやるという方針でいますけれども、根本的な考え方は、いまのお説のとおりです。これはやはり財政当局ともよく話したいと思いますが、中途でやめては何にもならぬ問題だと思います。また、中途でやめられない研究でございます。でございますので、よく留意しておきます。
  20. 川俣清音

    川俣委員 次にお尋ねいたしますが、青森の上北にありますバレイショの原原種圃でありますが、これは最初はあすこは森林地帯であって、あすこに濃霧が襲うために、季節風が襲うために、森林によってある程度濃霧その他の災害を防いでおる。行ってみると、もったいないような原野が放任されておる。そこに弥栄という開拓村ができると同時に、その隣にバレイショの原原種圃がございます。最初行ったころは木をみな切っておった。原原種圃で伐採しておった。ところが、最近行ってごらんなさい。また木を植えているじゃないですか。また杉を植え始めている。なぜかというと、風のために土壌が埋まってしまう。砂丘ができて、原原種圃の目的が達成できない。風を防ぐために森林を植えておる。これはほかの研究所がこういうことになったならば別ですけれども、農林省というものは、林野庁を持っております。森林のことについて理解がなければならぬ。総体的にですよ。それが木を切ったならば砂丘ができるというようなことは、常識的にわかっていなければならぬはずだと思う。どの程度かはわからないにしても……。それを切ってしまって、いまではもう一度植えかえなければならぬ。原原種圃の苗畑を払って、もう一度木を植えておる。これは農林省研究機関としては、どうかという感じがするのです。これは気候風土に対する理解というものがないんじゃないかということが一つと、森林に対する理解がないために、こういう結果が起こるんじゃないかと思うのです。だから私は、原原種圃をもう一度つくられるようですが、反対じゃない。非常にけっこうなことですが、少なくともそういう風土的な影響というものを念頭に入れなければならないのが、日本の気象条件ではないか。気象条件についてあまりにも農林省が無理解なところからくる農業災害というものが起こるのではないか。構造改善によっていろいろな事業をされることはけっこうだ。しかしながら、風土的な災害というものを考慮しない農業構造改善なんというものは、非常な危険なものであるし、それにおびえてしまうことになったならば、今後の構造改善に大きなマイナスを来たすのではないかと思う。農林省の統計を見ましても、もちろん気象庁から出ている気象、雨量、あるいは温度、あるいは季節風などの解説が出ておりますが、農林省でも農林統計を出される場合において、こういうものをやはり参考にするような統計を写しかえをしておくことが、今後の農業経営を進める上に非常に大切なんだ。日本の農業の大きな欠陥は、災害によってマイナスを受けることです。ですから、構造改善ということになりますならば、災害対策ということを考慮しなければならないんじゃないか。それなのに、構造改善の中に、こういうものをやればいいんだとということはありますけれども、気候風土に合うということについても考えておられないわけじゃないと思う。なぜかというと、農林省の人が手紙を出しますときに、きょうは天気がいいとか悪いとかいうことを必ず言われる。それほど天候の変化の大きいところにおられるわけです。それでいながら、農業をやる場合に最も影響を受ける気象条件については、無関心であるのではないか。いろいろな統計を出しておられますけれども、これが非常に大きな要素になるんだということを感ずるのです。こういう点について、大臣は一段と農林省考え方——気象によっていろいろな影響を受ける農業をやっておるんだという考え方がなければならないんじゃないかと思う。これは一つのあれですが、そこでこれを具体的に申しますと、たとえば林野庁で、かつてこれは気象庁も資料をとれなかった山間における雨量あるいは風向のロボット計を持ったことがあるが、ロボット雨量計、これをもうおやめになっておる。こういうものを長期に何年となくやって、初めていい資料というか、将来使い得る資料が出てくるのだと思う。これは三年か四年でやめてしまったのでは、三年か四年間の資料はとれるけれども、今後の方策をきめる資料にはならないと思うのです。またもう一つあります。これは食糧庁がおられないから、大臣に聞きたいのですけれども、食糧の検査員が非常に不足である。しかし不足だからといって、常時検査員をつけることは、食管会計からいってなかなか耐えられないわけです。そこで小倉長官のときに、あの人は非常に合理主義者ですから、合理的に検査員を配分しようということで、計画検査というものをやった。だらだらと検査を受けないで、一定の日に全部検査する。そこには検査員を動員してやる、こういう案です。案自体は悪くはないのです。なかなか企画性に富んだ案であることは、私も認めます。しかし、その中に天候というものを全然考えてない。天気が悪ければ調製がおくれてしまうということを考えていないのです。雨の日であろうと、天気の日であろうと、計画どおりやろう、こういうことなんですそのために一日ずれ、二日ずれ、最後になると一週間、十日というものがずれがきて、農民は必ず集まらなければならぬ、受検者は来なければならぬということになってきて、何も便利でなくなってきた。天候にずっと恵まれるならば、非常に効率的な検査ができるわけですけれども、天候が一たび狂うと、この計画的なものが、むしろ無計画な検査ということになってきておるわけですね。こういうことも天候に対する理解というものがない。確かに検査員を有効に使うという、机上的には非常によく進んだ政策だと私は思うのですが、天候というものを考えてなかった。ですから、いろいろ試験研究をやられることはけっこうですが、それと同時に、これに対応するような対応性のあるものをつくることが研究の対象になっていかなければ、農林省としては不十分じゃなかろうか。たとえば医学界でも、もちろん生理医学も必要でございましょうけれども、やはり臨床医学が必要になってきたという点から見ましても、単なる研究ばかりでなしに、どうしてこれを農業に活用するかということの研究もあわせて行なわなければ、臨床医学と同じように、やはり農業に適する対策というものがなければ、農林省としての試験研究は十分じゃないのじゃないかと思うのです。大臣答弁しやすいように御質問したのですが……。
  21. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私の答弁川俣さんがすっかりしていただいたようなもので、全面的に風土とか気候、そういうものとの関連において農業というものは成り立っておるものでございますから、その関連を抜きにしていろんな試験研究をいたしたのでは、効果がない場合が非常に多いと思います。青森等の例も、私も聞いておりました。防風林をだがぶ切り払って、あとでまた防風林を植えておる。たまたまそこに原原種農場があったのでありますが、連絡が不十分であった、あるいは調査が不十分であったと思います。ロボット雨量計等は、まだやっておるということを聞いておりますが、こういう点なども、なおよく御注意の点を徹底さしていきたいと思います。要するに、私ども農業者といたしましては、朝起きれば天候を見、またあいさつも天候のあいさつです。それぐらいに気候風土に支配されているわけですから、研究のためには一そう気候風土を十分しんしゃくして研究を進めていくことを特段に督励指導したい、こう考えております。
  22. 川俣清音

    川俣委員 研究者は、研究中にそういう気候に非常に影響を受けるものですから、これは無関心ではいないと思うのです。予算的にそういうものを見てくれない。ことしで終わる予定だが、気候の影響を受けまして中途になっている場合がたくさんある。しかし、初めからの計画が三年だから、三年で終わりだ、こういうことになってはならぬのではないかという点です。試験研究に当たる人は、非常に熱心に、しかも大きな努力を払ってやっているのでありまして、最も恵まれない境遇であるけれども、自分の学識を生かす上から非常に忠実に、熱心にやっておられる。それを途中で効果のないようなことにするのは、非常に惜しいことだというふうに考えるわけですから、特にこの点を強調したわけです。あるいはロボット計をやっているというのですが、いまやっていないというふうに私は必ずしも言ったのではない。さらにもう一基なり二基なりを追加しなければ、ほんとうの山の風雨をキャッチできないというようなところがあるにかかわらず、足りないために総体をつかめないという欠陥が出てきている。いま設けてあるところで移さなければならないところも出てまいりましょうし、そういう移転の予算等についても十分でない。それからもう一つは、大臣承知のとおり、こういうものは、単に森林経営上必要なのではなくて、むしろ一般的災害防止のためのものでありますから、こういう経費は、特別会計の中で負担させるよりも、一般会計で負担させるというふうに考えていかなければならないもんじゃないかと思うのです。そういう支出も独立採算制の特別会計の中でやらせようとするのは、無理なことだと思う。森林経営に直接関係があるのなら別ですけれども、そういう点について特段の考慮の必要があるのではないかと思うのです。これは答弁を要しません。  次に移ります。そこで特に林業等について、最近生産合理化のために機械化を促進しようという努力を払っておられる。これはもっともなことだと思います。おくれた産業の生産を進歩させるために機械化する、これはけっこうなことだ。しかし、そういうふうに考えておられるとするならば、それらに従事する人の教育もまた必要だ、また訓練も必要だというふうに思うのです。そういう訓練が不十分な中に大型の機械を使うということになれば、必ず人的災害が起こるということになる。人的支障が起こることになる。しかも、非常に気象の変化の激しい中において行なう大型機械の作業でありますから、そごも出るでございましょうし、いろいろな欠陥というものも出てくるはずでございましょうが、それに対して、普通農業構造改善でも、農民の機械化に伴う機械の効率利用あるいは修繕等の講習をやっておられるわけでありますが、林野庁におきましては、こういう有能な大型機械を使用する人的資源について、配慮が足りないのではないかというふうに思う。思うじゃなく、実際はそうなんです。たとえばこういう機械を十五年もやりながら、まだ一般の日給による雇用関係を結んでいる。これほど重要な仕事をして能率をあげようとするならば、単なるいわゆる人夫的支弁ではなくて、それに責任を持たせるような雇用に変えていかなければならぬのではないかと思う。しかもそこには国家試験もあるような——国家試験は受けたけれども人夫です。人夫ということは、俸給からいい、あるいは給与からいって、決して安いものではないにいたしましても、責任というものがない。休んだってこれはいいのですね。日給制というものは、休んでもやむを得ないという形態が日給制なんです。常時雇用じゃないのです。日払い雇用ですから、休む休まないというのは本人にまかされている。責任が強要できない形になっている。強要できない者に強要するということが、不都合だということになると思うのですよ。大臣、こういう機械を扱う者とかについては、身分についてもう少し責任体制をとらせるようにしなければならぬと思いますが、大臣のお考えをひとつ。
  23. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 適材適所といいますか、能力のある者は能力に応じて働けるような待遇、所遇等を考えるべきだと思います。具体的には私、御答弁するだけの知識を持っておりませんけれども、方針としてはそういうふうに考えております。
  24. 川俣清音

    川俣委員 誤解があるといけないのでちょっと申し上げますが、その能力に応じた給与というものは払われている。日給制のために、責任体制が非常に少ないということなんです。むしろ責任を負わせる形においての身分でなければならないのじゃないか。もっとわかりやすいことばで言えば、これは公務員という形で責任を負わせる体制が必要なんじゃないか。給与の面でいうと、千円から千二、三百円ぐらい払いますから、給与としては決して安くはない。むしろ月給制になることによって給与が下がるかもしれぬという情勢になっている。責任体制からいうと、日給制というものは、個人の意思によって、出てきても出てこなくても制約できない形になっている。そういう意味での責任体制を強化をする必要があるのではないかということなんです。これをあえて質問いたしましたのは、大臣にこれに関心を持っていただきまして、林野庁を御鞭撻願いたいものだと思います。  それからもう一つ、これに関連しまして、国の財産の管理につきましては、非常にやかましい規定がございます。このやかましい規定を順守させるためには、やはり身分も即応したものでなければならないと思います。国有財産の不動産管理については、非常にやかましい規定がある、動産についても規定はやかましいのですが、その仕事をする者の身分、もっとわかりやすく言いますと、木材の材積をはかる、あるいは等級をはかる者が、計測手という名前になっている。計測手の手が悪いわけじゃないのですけれども、これも雇用関係がきまっておらない。責任体制のない者にはからしておくというようなことは、国の財産を管理する上において不十分ではないかという気がするわけです。この木材は何石あるかという野帳をつくる者が、あるいは測定する者が、これも日給制が多い。日給だから悪いのではなくて、責任を追及する度合いが欠けておるのではないか。すなわち、計測手のような国の財産を測定する者、しかもこれには節が多いとか、あるいは腐れがあるとかいうようなことを測定する者によってつくられた野帳、原簿が、競売の場合でも、あるいは入札の場合でも、それが基礎になって売買される。そういう非常に大きな力を持っておる者の責任体制というものが、不十分じゃないか。大臣だって、これはそうお思いになると思いますが、いかがですか。
  25. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 責任体制を強化するということは、必要だと思います。その責任体制として、定員に入れるか入れないかという問題があろうと思います。日給でも、国から給与を受けている者は、公務員は公務員というふうに扱っておると思います。ただ、定員に入っているか入っていないかという問題があろうと思います。定員の問題につきましては、かつて定員法を廃止するときに、できるだけ定員に入れて、一応解決は済んでおるわけでございます。いまお話しのように、計測手とかあるいは機械運転、こういう面なども、定員化した場合に大体解決は済んでおるのでございますが、いまお話しのように、助手的な形でやっている者があるかと思います。定員化につきましては、いろいろな他との関係もありますので、十分検討してからでないと、直ちにいま御指摘の職種のものを定員化するというお答えはできませんけれども、十分検討はしてみたい、こう思います。
  26. 川俣清音

    川俣委員 定員と定員でないとの違いがどこにあるかというと、責任体制の問題だと思います。給与の問題ではなくて、責任体制の問題だ。というのは、公務員法に基づいたいろいろな規制があり、責任体制を負わしておるのが、公務員法の趣旨であります。その責任を負わせる必要があるのではないか。定員という名前の問題ではなくして、あるいは給与の問題ではなくして、やはり責任体制というものを強化する必要があるのではないか。これは常々政府においても責任体制の強化ということを言われておるわけなんです。みずから責任体制をとらせないようなことをやっておって責任体制をとれと言っても、これは無理だと思います。たとえば署長がいかに厳格にやりましても、野帳自体を責任体制のとれない者にやらしておいて、その上の者に責任体制をとれと言っても無理だ、私はそう思います。これはやかましいのです。検印という焼き判がありますけれども、焼き判などは、一ぺん押すと金庫へ納めるんですね。それほど厳重にやっておりながら、検印を打つ者は日給制の者——日給制だから悪いと言っているのではない。決してけなす意味ではなくて、責任体制の負えない者にやらせて、使ってしまえば金庫に入れる。まことに形式的にやり過ぎていると思う。署長の近くの金庫に入れておかなければならないほど大切なものであるならば、その検印を打つ者は、責任のある者がやらなければならぬのが私は原則だと思う。金庫に入れるだけが目的じゃないのだ。金庫に入れるだけじゃなくて、常時金庫に入れて保管しなければならないほど厳重なものであるならば、検印する場合におきましても厳重でなければならぬはずだと思うのです。一面非常に厳重にやりながら、一面抜けているということがあると思うのです。これは大臣もその責任を負わなければならぬですよ。公務員だというと、責任を負えということが出てきましょうし、また処分の方法もありましょうが、日給制の者が処分されたって、ちっともいま困らない。前は雇用関係で需要が非常に少なかった時代は、首になるということは非常に大きな制約であったでしょうし、懲戒であったでしょうが、いまはそんなことはないのですから、やめさせられたって大して影響はないのですから、そういう者に、やめさせるからということで責任を負わせる程度の責任体制であってはならないのではないか。公務員であればこそ、いろいろな給与の面について、あるいは一日の給与、一カ月の給与においては普通かもしれぬが、長年おるということによって昇給もありましょうし、いろいろな待遇がありましょう。そういう意味において、もう少し責任体制をとらせることのほうが、国有林野の会計の上からいっても、私は重要ではないかと思う。ただ独者採算制だとか、あるいは赤字経営だとかということだけに終わらないで、もっと責任体制を強化する。その強化の上に立って、初めていろいろな施策というものが生まれてくるのではないかと思いますから、この点だけは——私は例をあげろと言えばみなあげることはできるのですけれども、時間がありませんからあげませんが、どうかそういう意味において、林野庁からも来ておるようですし、林政部長もおりますから、一つ一つ例をあげたらみな困ると思いますから、大体にしておきますけれども、十分関心を持ってやっていただきたい、こういうふうに申し上げておきます。  次に、米麦価の問題についてお尋ねします。大臣スライド制検討を始められたそうでありますが、私は、一面の米価問題の真理をついておると思うのです。これはおせじじゃなくそう思うのです。ところが、その前に、これは検討しなければならぬ問題があるのではないかと思う。食管制度そのものが、スライド制をとるような勘定項目にはなっていないのです。どんぶり勘定がよほど是正されて、これは小倉君の時代ですけれども、どんぶり勘定をやめるということで、勘定項目を新しくした。しかし、その勘定項目でも、一体消費者の負担すべき勘定項目と、一般会計的な、あるいは食管会計的な負担すべき勘定区分とが分かれていない。分かれておれば、大臣の構想が即刻利用できるし、活用できるような会計になる。それ自体が、そういうものを活用するような会計になっていないのです。食糧庁が来ておったら、なっておりますか、なっていないでしょう。
  27. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 お話しになりました趣旨がよくのみ込めませんが、つまり食糧庁が負担しております政府経費につきまして、どのような勘定の区分をしているかということが問題だと思います。その点につきましては、確かに現在の勘定の中においては、業務勘定ということで、食糧庁政府経費についてはそこで事務人件費を取り上げ、その他の物的経費につきまして、他の勘定にも入っておるというふうになっております。それで、経費自身について、行政的な色彩が強いか、あるいは当然に社会的な流通経費として見るべきものがあるかどうかというような点につきましては、勘定としては事務人件費というような形で一括入れてあるということになっておる点は、御指摘のとおりでございます。ただ、現実の計算上、どのようなものが行政的なものであるか、どのようなものが物的なものであるかというようなことは、これは勘定を離れまして計算するということにすれば、できないわけでもない、こう思っております。
  28. 川俣清音

    川俣委員 事務当局に聞くと時間がなくなりますから、ただ一つの例をあげるとビール麦の検査をする。これはもちろん農業上必要であるのですけれども、直接の影響というものは、ビール会社が買うための検査というものが行なわれていると思うのです。ビール麦の検査、この費用は、消費者であるビール会社に負担させるならいいが、こういうものまでも一般の食管会計の中で処理されている。これは麦なのか、米なのか、あるいはビール麦なのか、区別はない。検査員の旅費、出張の費用等は、ビール麦というものはないのです。そうでしょう。ところが、ビール麦が最盛期になるというと、ほとんどこれに検査員が集中されておる。検査員ばかりでない。所長みずからも出歩いて、大いにビール麦のPRをする。PRをするのは、農業上のPRももちろん必要でありますから、これはいいです。しかし、これなどは、農業政策としてやられるのならば、食管ではないと思う。酪農振興の費用が、牛乳にはね返ってくるわけでもない。それを食管の中でやっておられる。所長の分はまだ管理費の中にあるようですけれども、一般の検査員などは、検査費の中でこれは区分がないのです。そこで、一体消費者にスライドするというが、そういう材料なしにスライドするから問題だというふうに思うので、一応の考え方としては、私はあり得る考え方だと思うのです。着想は必ずしも不都合だというふうには思えない。体制がみずからできていないのなら、体制ができておりませんということを食糧庁大臣に話をすることが必要であると私は思う。いい構想だけれども、そのような体制にできておりません。こうしなければ、誤った結論を出させることになるんだと思う。これは食糧庁、非常に重大なことだと思う。自分のやっておることについて理解させないということは、非常に大きな欠陥だと私は思うのです。大臣及び食糧庁の御答弁を願いたい。
  29. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 結論が出ておるわけではございません。先ほど申し上げましたように、検討ということでございますので、いまの御意見等も聞いて、また実務のほうを調べたり、そういうことで検討を続けてみたい、こう思っております。
  30. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 いま大臣からお話がありましたように、われわれ検討いたしておる過程でございます。
  31. 川俣清音

    川俣委員 大臣は、政策を打ち出すのが大臣の任務だと思うから、大臣がこういう構想を持つというようなことは、確かにいいことだと私は思う。それを実行させ得るかどうかということは、事務当局がそういう材料を持っているかいないかということを知らさなければならないと思う。一々食糧の中の内容を知らなければならぬなどということじゃない。大きな政策を打ち出すべき任務を持っておる。それがはたして政策としていいものができるかできないか。できるようにするのが食糧庁長官の任務じゃないですか。検査員のような仕事を食糧庁長官ができるわけのものでもない。そういう点について、食糧庁は欠けておる。大いに反省しなければならぬと思うのですよ。だから、いたずらに誤解を生むようなことにしておる。誤解を生ました原因は、食糧庁にある。大臣の構想にあるのじゃないですよ。そうじゃないですか。首を振るけれども、大いに反省しなければならぬ。間違ったことは勇敢に反省するところに、やはり官吏としての責任体制が生まれてくると私は思う。農民くらいはごまかせますが、世間というものはごまかせないという考え方をしないと、官吏というものはしくじると私は思う。  そこで、米価の問題についてもう一、二点触れたいのですが、いままで米価が非常に上がるときは、これを押える方法としてだと思うのですけれども、農林省あるいは農林省の御用学者の中には、需給均衡価格をとるべきだということをしきりに言われたものでございまして、米価審議会の従来の記録を見ましても、食糧庁をはめじとして、食糧庁のいわゆる御用学者と見られる人々、あるいは研究を委託しておられる学者の中には、特にそういう点を強調しておられたのでありますが、需給均衡価格で三十九年度の米価を算定しますと、これは私なりの算定ですが、従来学者の言われたのを基本にして算定しますと、一万七千円を突破するようでございます。今度は、需給均衡価格で計算すると、べらぼうに高い価格ができる。需給均衡価格論者からいうと、それが正当な価格かもしれぬが、従来の価格に比較して高いということになると思うのです。いまでも食糧庁は需給均衡価格が好ましいというふうにお考えになりますかどうか、ひとつお尋ねいたしたいと思います。
  32. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 米価の決定につきましては、御承知のように。生産費所得補償方式で従来もやってきております。それに物価その他の経費をしんしゃくすることになっておりますが、需給均衡価格一本でいってはおりません。御承知のように、そういう生産費所得補償方式の価格におきましても、反収というものを見ておりますから、これは反収がふえれば幾ぶん安くなるし、減れば高くなるという、その点では反収をしんしゃくしたものが少し入っておりますから、方針といたしましては、従来の方針でございまして、これを切りかえて、需給均衡価格ということで算定するという考え方は、持っておりません。
  33. 川俣清音

    川俣委員 そのとおりです。従来も、需給均衡価格ということで算定したことはないのです。しかし、将来の米価算定としては、需給均衡価格をとるべきだという意見が、非常に旺盛であったことには間違いない。いかに需給均衡価格が誤っておった学説であるかということは、今度の需給逼迫によって明らかになってきたと思うのです。だから、農林省の御用学者というものは、ときどき、あまりに農林省食糧庁に追随をして、ほんとうの学者の良心でなかったということを、ここに暴露したと思うのです。したがって、学者の使い方にも、あまりにも学者をして誤ったような考え方を強要するようなことが、食糧庁にあったんではないか。これが学者の良心だとすれば、それらの学者は、おそらく学者を返上しなければならぬかと思う、あれだけ需給均衡価格を論じた人たちだから。しかし、いまでもその人に平然として食糧庁が諮問しておる。いままでの学説が誤った学説を吐いたんだからして、農林省のお役には立ちませんでしたと、謝罪した人があるかといえば、それはない。私は、これはおそるべきことだと思う。これが農業関係以外の学者だったならば、世の中に通用できない学者として葬り去られるんだと思うのです。農林省のおかかえだものですから、わりあいに平然としておられるというふうに私は考える。そう思いませんか、長官からひとつお答えを願いたいと思います。
  34. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 学者先生には、いろいろ御意見はそれぞれお持ちになっておるだろうと思いますが、米価につきましては、いま大臣お話しになったようなことで決定しております。最終的には政府の決定ということになるわけでございます。学者先生が、いろいろ御意見を述べられても、それはそれとして私は十分傾聴に値するのじゃないか、こう思っております。
  35. 川俣清音

    川俣委員 もう一、二点で終わります。これは質問にしないで、最後に警告して終わります。  いま食糧庁長官は、そういう答弁をされました。しかしながら、その作業方法については、非常に教わってきたと思うのです。じゃ、農林省食糧庁は、教わらなければならぬほど能力がないかというと、そうじゃないのです。そういう学者の説を入れて計算するほうが便利であったということなんです。便宜主義で学者を使うことは非常にあやまちであったということを警告しまして、私の質問を終わりたいと思います。便宜主義でやるととんでもないことになるということが、今度でわかるでしょう。今回、需給均衡価格でやってごらんなさい。私の計算したのでさえ、一万七千円以上になる。とんでもないことじゃないですか。そこへいったら、従来やってきたことにやはり戻らなければならぬ。いかに生産費所得補償方式というものが正しかったということ、あるいは適切な計算方式であったかということを、再認識しなければならなくなってきたと思うのです。そういう意味で、米価算定については、もう間もなく取りかからなければならぬ時期でございます。大いに反省しながら計算されることを望みまして、私の質問を終わります。
  36. 徳安實藏

  37. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 西村川俣委員に続きまして、農林省設置法の一部改正の問題を中心に、簡潔にお伺いをしてまいりたいと思います。  すでに本法案の問題につきましては、同僚のほうでも、田口、村山、山内の各内閣委員方々からも質問が展開をされておるわけでございます。さらに、令後集約的な質問が展開されるわけであります。私は、やはり各省そうでありますが、農林省設置法の一部改正というものを考える場合に、農政の基本的なかまえというものを現在及び将来にわたってどういうふうに持つのかということが、判断の大前提にならなければならぬと思うのです。もちろん、短時間の間にそういう諸問題について詳細に大臣から御所見を承る時間的余裕はありませんけれども、やはりそのことが前提にならなければならぬ、こういうふうに思います。御承知のとおり、池田内閣は、昨年の秋の総選挙の際もそうでありましたし、所得倍増計画は第二ラウンドに入っておる。したがって、これからは農業、中小企業等、産業の二重構造の底辺にあるそれらの産業について、革命的な施策をやらなければならぬ、こういうことを言っておるわけでありまして、経済審議会においても、池田総理の諮問に基づいて、中期経済計画の策定ということを急いでおるようなわけであります。しかも、本年に入りましてからも、大臣承知のとおり、五月の四日から六日までの間ジュネーブでガットの閣僚会議もございましたし、また、本年の四月二十三日から六月十五日までの予定でもって、ジュネーブで国連の簡易開発会議が現在開催中でございます。これらの国際会議の動向からいたしましても、大臣は、新聞報道によりますと、日本は工業では先進国であるけれども、遺憾ながら、農業は後進国並みである、したがって、やはりそういう日本農業の実態というものを踏まえていかなければならないんだということを言っておるようでありますけれども、しかし、国際的な情勢の進展の中で、それに十分対応できる国際競争力を十分つけた日本農業というものをなるべく早い機会に確立してまいらなければならぬという客観情勢にあることは、間違いがないと思うのであります。そういう観点から、従来の農業政策あるいは本年の農業政策というふうなものを見てみるというと、決して積極的、前向きではなくて、受け身の姿で問題を処理していこうという段階以上には出ていないのじゃないかという感じが、卒直にいってするわけであります。この際、今後の国際的な視野から見た日本農業の、どういうふうに持っていくべきかという基本的なかまえというものについて、これはもう赤城さんは前回も農林大臣をやられ、二期目の農林大臣を今日つとめられておりまして、その道では十分経験を積んだ、国際的な感覚を持った農林大臣でございまするから、この際やはり明らかにしてもらいたいと思います。
  38. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 大まかに申し上げれば、日本の農業面におきましては、農業基本法の指向する方向で進めていく。漁業等につきましては、資本漁業の面もございますが、中小沿岸漁業等におきましては、沿岸漁業振興法の指向する方向、また、林業等につきましてはいま御審議を得ておりまする林業基本法、その前の森林法、こういうものに盛られておるところの考え方で進めていきたい、こう考えております。そこで、いまお話しのように、国際的に接触が非常に頻繁になって、強くなってきております。従来どおり、国際関係を離れて日本の農業というものもあり得ないような段階にいま突入させられておるといいますか、そういう状態でございます。そこで、いわれるところの自由化という問題がやかましくなっております。自由化という問題はいろいろな面で言われますけれども、私は全く手放しの自由化というふうには考えておりません。為替の割り当てをしていくというようなことを排除する、こういう面の条約等には参加しております。しかし、関税なら関税によって措置するとか、国内の保護をするとかということにつきましては、何も関税を全廃する、こういうことに相なっておりません。もちろんケネディラウンド等によって五〇%関税一括引き下げというような話し合いはありますけれども、これとてもそう簡単にその協定どおりにいくというわけにはまいりません。その方向は考えなくちゃなりませんが、そのまま受け入れるというわけにはまいらぬと思います。それからまた、そのほかの政府の管理している物資等につきましては、これは容易に自由化というようなことができ得ないことも、御承知のとおりでございます。いまお話しが出ました所得倍増計画のアフターケアといいますか、中間調査等、あるいはその他の調査等によりましても、日本の農産物が、諸外国の農産物と比較いたしまして割り高といいますか、倍くらいになっている畜産関係のものもあります。米等は、日本のものに対してほかのものが八〇%というくらいのものもございます。これは何らの措置をとらないときに世界の市場へ日本農産物を投げ出した場合の価格の比率等を見まするというと、そういうふうに国際競争力が非常に弱い日本の農産物ということに相なっております。でございますので、自由化という方向にいくにつきましても、政府の管理するもの等につきましては、これは自由化というものはでき得ない、やるべきじゃない、こういうふうに考えていますが、いま七十六ばかり農産物としては残っております。自由化した物資が九十二だと思います。国際的に見まして、自由化という方向を全然拒否するというわけにはまいりませんけれども、自由化するにつきましては、国内的に関税の問題を調整するとか、あるいは国内の農業を保護すべきものに対しましては保護の方途を講ずるとか、そういうものと相まって自由化をしていかなくちゃならぬ、こう考えます。その自由化の国内対策等の時期でございますが、これは対策を待って自由化するものもありまするし、対策と同時に自由化するものもありましょうし、あるいは自由化したあとで対策を講ずるものもあろうかと思います。そういうタイミングはありますけれども、そういう措置をとりながら自由化するということでありまするならば、自由化していいというふうに考えます。同時に、やはり国際競争力を高めるという意味におきましては、生産性を向上するというか、日本の農産物はコスト高でありまするから、そのコストを低下するような農業政策というものが、一面必要だろうと思います。そういう意味におきまして、本年度の予算の御可決をお願いいたしましたが、そういう意味におきましても基盤であるところの土地を改良して、そうして労力を省いて少ない労力でもやれるような近代化の基盤をつくっていかなくちゃならぬ、あるいは構造改善というような形でやっていかなくちゃならぬという面、あるいはまた金融、財政面で相当ぶち込んで、生産性を向上していかなくちゃならぬという意味で、金融面等に思い切った改良を加えていった点、あるいはまた価格支持対策等につきましても、十分考えていかなくちゃならぬというようなことで、価格流通対策を進めていく、こういうようなことで生産性を向上するといいますか、日本の農業、農産物の割り高を防いでいく、こういうふうな考え方をもって進めておるわけでございます。  たいへん答弁が長くなりましたが、考え方はそういうふうな考え方でございます。
  39. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま大臣からは、いわゆる三年前に制定された農業基本法に基づいて、いわば農基法体制として農政を推進する、そうして同時に、国際的には自由化問題についての国内の農業の力というものと見合って窓口を開いていこう、こういう意味のことだと私は思う。自由化問題でありますが、私ども、最近非常に政治的な問題になっておりますレモンの自由化を見ましても、あるいは過般のレモンの問題を議論したときの水産関係のノリの自由化が爼上にのぼるというふうな問題等を見ましても、成長財といわれるような農業なりあるいは漁業なりで手をつけておるもの、構造改善としていわば中心的に取り扱っていくようなものが、関係者の十分承知しない段階で突如としてそういうものが話題になったり、あるいは実施されるというふうな形というのは、これは非常に政治的にまずいと思う。われわれは、貿易自由化の問題について、重要なものは、将来ともに鎖国政策でいくのだというふうな考え方を持っておるわけではありませんけれども、やはり必要な政策なり、財政的裏づけなりしながら国際競争力を十分つけていく。そういう政策の裏づけによる力、貿易自由化によってとん死にはいかない、重病にもならない、しかし、場合によってはかぜひき程度は起こるかわからぬという、そういう条件下において自由化のそれぞれの品目の窓口を開いていく、こういう政治的なあたたかみのある配慮というものが、私はなければならぬと思う。そういう点では、やはり七十数品目の農業の非自由化品目についても、当面は輸入量をふやしていくもの、あるいは中期計画の中で自由化を考えているもの、あるいは当分自由化をやらないもの、あるいは将来ともに相当長期にわたって自由化をやらないものというふうな点についての、やはり貿易自由化の具体的なプログラムというものを大綱的に持って、それを関係生産者に明らかにしながら、そうしてまたそれに対する十分なる裏づけ対策というものを明らかにしながら、関係者の協力を得て、貿易自由化を逐次進めていく、こういうことが、自由化の問題に対する政治の姿勢でなければならぬというふうに思う。そういう点は、最近の二、三の問題を見ておりますというと、必ずしもそういう事態ではないのじゃないか。大臣からいまお話しになりましたけれども、貿易自由化問題については、いま申しましたような考え方で具体的なプログラムというものを大綱的に持って、それを裏づけるような政策をやりながら自由化のプログラムというものを進めていくのだ、こういう姿勢であろうと思いまするが、そういう基本的な貿易自由化に対するかまえについて、さらにお伺いしたい。
  40. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 貿易自由化に対するかまえにつきましては、いま角屋さんがお述べになりました考え方と同じような考え方であります。そこで、いまなかなかデリケートな問題が含まれておりますけれども、当分というか、相当程度自由化をすべきでないというふうなものと、あるいは関税で直していくものとか、あるいはまた輸入の割り当て量等をふやすものとか、そういう緩急に応じた段階的な調査を事務当局に私命じて、スケジュールといいますか、そういうものをつくるように命じております。とにかくこれは農林省だけでできるものではありませんので、財政当局ともよく考えを一致させておかなければなりません。その他外務とかいろいろな関係がございます。ございますが、一応スケジュールといいますか、そういうものをつくってみて、そしていまお話しのような考え方で進めていくのが適当であろうと私も考えて、せっかく検討を命じておる状況でございます。
  41. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 国際的な問題の中では、やはり貿易自由化問題に農業の部面でどう対処するかというのが、一つの重要な問題だと思いますが、国内の農政問題としては、大臣がそういうふうに言われたかどうか知りませんけれども、国際的に見て農業は後進国だ、そういう体制はやはり充実をしなければならぬ。その場合に、そういうような条件から見て、農業については産業政策的な性格と社会政策的な性格というものを調和させながら、当面の農政というものは推進をしなければならぬ、こういうことであろうと思うのです。そういう二つの柱の調和の中で、農業と他産業との所得均衡というものを政治の大前提にしながら、いかに今後の農政を推進していくかということであろうと思うのです。ただ、ここ十年近くの間の農政というもの、あるいは農村、農業の状態というものを見てみると、これは表現が適当かどうか知らぬけれども、今日の農政というものは、農民不在の農政という姿に、率直に言ってなっているという感じがするわけです。それは、今日の農政というものを、農民が真に信頼して受けとめているかどうか。日本の農業の将来というものについて明るい展望というものを、農業に従事している生産者自身がはっきりと把握しているかどうかという問題から見て、一つの問題点があろうと思います。そういう条件にあり、また所得倍増計画の非常に版行的な進行ということもありましょうけれども、現実に農業近代化のためのにない手にならなければならない若いエネルギーの世代の諸君というものが、どんどん農村から流出していく。いわゆる農業の後継者確保ということも非常に困難であり、最近の統計からいえば、新規学卒者というものでせいぜい七、八万しか残らない。これはやはり三ちゃん農業で、どう表現しようとも、農民不在の農政というものの姿が現実に出てきておる。そういう中で、今後の国際情勢の推移をにらんで、十分国際競争にたえる日本の農業をつくらなければならぬという、矛盾した姿に農村内部がある。そういうことだろうと私は思うのです。そこで、そういう農民不在の農政という中で、国際競争にたえるための日本農業の姿をつくるためには、もちろん構造政策、生産政策、あるいは価格流通政策、いろいろありますけれども、日本農業の宿痾とも言うべき零細農経営という姿をいかに打開していくかという構造政策の問題が、一つの重要な問題だと思うのです。すでに今年の二月の二十八日でしたか、全国の農業会議所のほうに今後の農政問題についての農林大臣からの諮問を出されておりまして、これに基づいて八月には中間答申として、当面緊急を要するものとしての農地制度、あるいは後継者確保というものの答申が出されるのじゃないかというふうに言われておるわけでありますけれども、構造政策というものは、政府の農基法によれば、自立農家の育成、それと補完的なものとしての協業助長ということを言い、やはり所得倍増計画の最終年には自立農家百万戸を造成するのだということを言ってきたけれども、現実には、専業から兼業へ、兼業から転落へと、いわばそういう姿の中で兼業の比率が非常に増大をしてきておるという現実は、否定できないわけです。こういう受け身の姿になっておる構造政策というものを前向きに積極的に切りかえていくというために、農林大臣としてこれからどういう手を打とうとするのか、その点についてお考えを承りたい。
  42. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまお話しのように、構造政策を遂行する意味におきまして、自立経営農家の拡大といいますか、強化をはかっていくということは、あらゆる面におきまして必要なことでございます。でございますけれども、御承知のように、農業就業人口は、そこに出ておりますけれども、農家人口が減っておらない、戸数は減っておらない。こういうような現状でございます。一面において、いまの後継者の問題もございます。そういう後継者の問題は、日本ばかりではないようであります。話はそれますが、アメリカあたりでも、だいぶ後継者問題では悩まされておるようでありますが、それは別といたしましても、そういう問題が山積いたしておりますので、一つの所期の目標に達することが、非常に困難な点がございます。しかし、あらゆる政策をそういう面に集中して、自立経営農家の拡大強化、同時に私は協業——いまお話がありました、補完的といいますか、兼業農家が七割以上にもなっております。それで、なかなか土地を手放すというわけにはまいらぬでやっている兼業農家が、非常に多いのであります。こういう実態をとらえますならば、やはり協業によっての経営規模の拡大、こういう部面を進めていくつもりでございます。そういう面におきましては、これは鶏と卵との関係もありますが、農業機械等が大きな機械にだんだん入れかわりつつあるという面、そういう面からも、共同化していく必要に迫られておる面が相当ございます。それから土地改良の土壌整備等も、相当進めておりますので、そういう面からも共同化あるいは経営面積の強化拡大ということに迫られておるような、追い込んでおるような面もございます。そういう面におきまして、やはり経営規模を拡大するということに、いろいろな面から推進していきたいと思います。しかし、それにつきましては、価格の問題もありますし、流通の問題もありますし、技術の問題もありますし、いろいろな面がふくそうしているので、集約されていかなければならぬと思います。農政全体からそういう方向でやっていきたい、こういうふうに考えております。
  43. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私も、時間の関係もありますが、三年前に制定された農業基本法というのは、政府としては一つの道行きを示したつもりでありましょうけれども、現実はそういう形にいってない。いってないということは、やはり農業内部に、そういういかないところの要件というものが、現実に歴史的にも存在をする、こういうことだと思う。農業基本法の議論の際に、われわれは、構造政策として自立農家か共同経営かということについての論争もやりましたけれども、それがいずれか一本ということではなしに、やはり自立経営でいくべき条件、あるいは協業なり共同経営的にいくべき条件というものを考えながら、これらいずれも、いずれを中心とかいずれを補完とかいうことでなしに——私が補完と申し上げたのは政府考え方の中の補完だ、こういうことで申し上げたのでありますが、構造政策というものをやはり大胆に考えるということが、当面の一つの重要な問題だろうと私は思います。いままでのような状況の中でどんどん受け身の姿でいくという場合には、なかなか農政として効果のあがるような手の打ち方というのは出てこないのではないか。そういう問題では、農地法の改正も、その他の問題も関連して今後出てくると思いますけれども、やはりこれらの問題については、十分前向きに、しかも大胆に検討を進める必要があるのではないか、こういうふうに考えるところです。そういう意味では、いま進めておる農業構造改善事業、あるいはすでに法律として効果を持っておる農業基本法、そういうものも含めて、やはり再検討せなければならぬという問題も、私は含んでおると思うのであります。この農政が農民不在の農政であり、今日の段階では、残念ながら、国際的な視野から見てスピードアップしなければならぬ段階の中で、従来の惰性で農政がまだ進められているということを申し上げたのでありますが、同時に、これは山の関係において、最近非常に政治的な動きに発展をしております国有林野開放問題について、私はそういうことが言えると思う。やはり私は国有林開放問題の出てきた一つの条件の中には、従来の池田内閣の、あるいはその前の保守党内閣のいわゆる経済政策の中で、山間部の地域住民を非常な悪条件に追い込んでおるということが、一つのやはりこういう問題の出てくる根本の要因の中にあるだろうと思う。われわれは山の問題を考える場合に、日本の国土の七割を占めておる山の問題をどう考えていくのか、これがやはり産業政策としても非常に重要だと思いますが、その場合に、国有林だけを切り離して、今日政治的に非常に大きな動きになっておることに、実は問題がある。国有林たると民有林たるとを問わず、国土総合開発的な観点から、いかに今後の産業政策の中において山の問題を位置づけるのか、こういう視野から考えておかなければならぬ。ところが、私有林の問題というのは、保守党の立場からすれば、これはやはりいろいろ抵抗があって手をつけにくいというふうなことから、いわゆる国有林問題に問題を集中している。しかも、その国有林問題を取り扱われる場合の考え方というのは、いわゆるわれわれが考えておる方向で受けとめておるのではなしに、非常に政治的な問題として、国土保全なり、あるいは資源開発の面から見て、将来禍根を残すというふうな問題も含めたよう動きが出ておることは、私は非常に遺憾だと思う。そういう山林政策、あるいは林業国土総合開発的な観点からの他の面への利用という問題については、大臣としては、国有林たると民有林たるとを問わず、総合的な観点で進める、しかも山の問題というのは、大臣も御承知のとおり、一度植えれば三十年、五十年という長期にわたってこれをそのままの姿にして、そうして実際の適齢期に達して利益を上げていくというものでありまするから、しかも治山面、治水面、いろんな問題としても重要でありまして、先ほども西村君の質問に対して国有林問題には慎重に対処しなければならぬというお話がございましたけれども、この山の問題の受けとめ方、あるいは国有林問題というものに非常に集中的にあらわれておる最近の政治的な動きというものは、もうすこしやはり冷静な立場に返って、しかも最近われわれの中でも、あるいは与党の中でも、山地振興をどうするかということが、一つの地域開発として重要になっておりますけれども、むしろ国有林開放という問題のとらえ方ではなしに、平場でもいろいろ問題はありまするけれども、非常に悪条件に置かれておる山間部におけるところの地域住民の開発をどうするかという、山地振興の中で山の問題を正しく受けとめる、こういう視点が必要ではないかというふうに思うわけでありますけれども、大臣の御所見を承りたいと思います。
  44. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 林野、山の問題につきましては、所管が国有林でございますけれども、農林大臣といたしましては、やはり林野全体を農業面から見て非常に重大に考えております。民有林等につきましても、民有林の育成といいますか、そういうことが相当必要であろう、こういうように考えております。ただ、開放問題等につきましては、国有林開放問題が非常に大きく取り上げられておりますけれども、この問題につきましては、先ほど西村さんに答弁いたしましたように、国有林というものは、国民のものだ、国民の幸福といいますか、あるいは国土がよりよくなることに寄与しておるものだ、こういう観点でございますので、この開放等につきましては、私は慎重に扱っていきたい。しかし、いまお話しのように、山地、山村僻地の山村民といいますか、農家等が、非常に時代から取り残されて不遇な状況にあります。でございますので、こういう面から、そういう山地農村の構造改善の面、あるいは福祉の面もございましょう、公共の面もございましょう、そういう面等から、国有林開放ということも進めていくべきものは進めていかなければならぬというふうに考えておるわけでございますが、お考えのとおり、山村僻地の問題を中心として国有林の問題なども考えていくというのが筋だ、私はこういうふうに思います。
  45. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 水産関係の最近の問題として、アメリカの大陸だな条約の法案が通過をし、いわゆるバートレット法案といわれておりますが、これが五月の二十日に大統領の署名が行なわれたということが、水産日本としての国際漁業面でいろいろ今日まで発展を続けている日本の立場として、一つの大きな問題を提起している。同時に、イギリスが最近入ったことによって法定批准の必要国二十二カ国に達しまして、大陸だな条約というものが六月の十日には発効するという、そういう新しい事態も生まれてきておりまして、日本のこれからの国際漁業に対処する問題として、十分誤りなきを期さなければならぬ情勢かと思います。同時に、日米加漁業条約の問題については、すでにアメリカで行なわれ、あるいは日本で行なわれるというふうにして、近く日米加の第三回目の会合が持たれる。これが最近のバートレット法案の関係等もあって、日本が日米加漁業条約にどう対処するか、そういう問題も、新しい視点から考える問題を含んでいると思いますし、また最近の報道では、中部さんが日ソの漁業交渉に行って帰ってまいりまして、イシコフ・ソ連漁業相からの中部会長に対する申し入れとして、日ソ両国の漁業上の相互研究に関する問題について、これからお互いに一つの会合を持ってやっていこうじゃないかという提案に対し、その問題については近く会議を持って検討しよう、そういう提案もやっていることは御承知のとおりでありますし、また、アメリカのバートレット法案の成立と関連をいたしまして、今日中断をしておりますところの日韓の交渉の問題において、六月にまた再開する空気等、閣僚会議の開催が報道されておりますけれども、私は、今日の韓国の政治情勢、経済情勢、こういうふうなものから見て、これが真に体制を整備してくるのだというふうには受けとめておりませんけれども、その代表で来るべき元無任所相、これが今後の日韓の漁業交渉の中では、大陸だな条約というものが発効するという新しい事態というものを考えに入れてこれから交渉に臨むつもりだというようなこと等も伝えられているわけでありますが、新しい最近の事態に対処して、日本の国際漁業に臨んでいく政府姿勢というものを、どういうふうに大臣としては考えておられるか、この機会に明らかにしていただきたい。
  46. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 特に漁業専門の角屋さんの言われたとおり、国際的な漁業の場面が、非常に日本でも多くなったわけであります。  第一はバートレット法案でありますが、大陸だな法案がアメリカの議会で審議され、それが通過するという過程におきまして、水産庁から外務省を通じて、武内大使をしてずいぶんこれにつきましては阻止する努力をいたしました。しかし、御承知のように、アメリカという国は、議会が非常に強いところでございます。官僚というか、政府の押えがきかぬところでございますので、議会のほうに働きかけをいたしましたが、これが議会を通過いたしました。通過いたしましたあとにおきましても、日本の従来の権益を侵さしてはならぬというようなことで、外務当局を通じて抗議を申し込み、その点につきましては、日本の権益を侵さないという了解を得たわけでございます。  それから第二の大陸だな条約が、二十二カ国でございますか、イギリスが最後に調印したので、発効いたします。それについて韓国が、大陸だな条約が発効したのについては新事態に基づいて日韓漁業交渉をするのだというようなことを、私は日本の新聞で見ましたが、これははたしてそういうことを元代表が言ったかどうか確かめておりませんけれども、韓国との間には、御承知のように、大陸だな生物というようなものがあるわけでもございません。また大陸だなを宣言するというようなことは、私はちょっといささか筋が違っておると思いますから、まあ確かめてはみませんが、そういうことを思いつきで言ったか何か知りませんが、本気で交渉の議題にするとは私は考えておりません。  それから日韓の問題につきましては、六月から中絶しておりました農林大臣間の会談を開くということになっておりますが、私も、その点につきまして話がありましたときに、韓国側の国内情勢をよほどしっかりしたものにしてもらってからでないと、話を進めていっても途中からまたあと戻りするようでは困るということは、念を押しておきました。念は押しておきましたが、会談をするということになりましたから、会談を進めたいと思います。進めたいと思いますが、向こうの情勢等につきましては、十分配慮をしつつ私は会談を進めていきたい、こういうふうに思っております。  日米加の問題につきましては、御承知のように、二回ほど会談を開き、そして抑止原則を主張している米加に対しまして強い要望をいたしましたので、日本案の趣旨を一応は認めるということで、抑止という字句は除いた案を東京会談では持ち出しましたが、御承知のように、内容は、名前だけなくしただけで、いまのところ抑止原則といいますか、それを固持しているような内容でございます。ことしの夏、またオタワで三国代表の会議がございます。わがほうの主張といたしましては、従来どおり抑止原則というような一方的な押しつけ的な原則は排除して、資源の公平なる分配、また資源の再生産をはかっていく、こういう意味におきましての条約に変えていきたいという方向で進ませるつもりであります。
  47. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農業に対する基本的なかまえ、あるいは林業政策、漁業政策、あるいは国際漁業を若干取り上げましたけれども、これらを総観をいたしまして、最近の農林省の政策というのは、率直に言って、諸情勢に対する受け身の姿勢であって、前向きに、積極的に、しかも関係生産者ばかりでなしに、国民全体からも、日本経済の中における日本の農業や林業や漁業の明確なる位置づけというものを明らかにし、共感を求めるという姿勢ではないと私は思う。今日、臨時行政調査会で各省の機構のあり方という問題が検討され、近くそれらの答申をまとめられる時期に推移していくでありましょうけれども、今日、臨時行政調査会の七人委員会あるいは専門員の諸君が、農林省機構はどうあるべきかということを議論する場合に、いま地すべり状況にあるあるいは農民不在というふうな姿の農政という現状に埋没をして答えを出す、そういうきらいが、率直に言って、私はあるんじゃないかと思う。もう少しやはり日本経済の中における現在及び将来の日本農業の位置づけと、あるべき姿というものを明確に展望して、そういう中で農林省機構がどうあるべきかという形では、必ずしもなかろうと私は思う。いわゆる太田メモといわれるようなものは、今日の農政の現状の中に埋没をした姿で問題提起がなされておる感じが、率直に言って私自身としてはするわけです。問題は、やはり農林大臣としてはその方面のベテランでありますから、今日ある意味では混迷、ある意味では非常に手探りのようである現状というものを、単に経済審議会でアフターケアの検討をやっておるとか、あるいは経済団体その他から問題を提示されるというような形ではなしに、農林省内としても、今日の内外情勢に即応する農政の基本的な方針をどう出すべきかという点について、ひとつ大いに情熱を持ったかまえでやってもらいたい。また、そういう中から、機構の問題はどうあるべきか、こういうことが考えられなければならぬと私は思うのです。食糧管理制度、あるいは生産者米価消費者米価の問題も提起する、スライド制というような問題も大臣から提起されておりますけれども、個々の問題についていろいろ着想なり何なりが出てくるのではなしに、総合的な農林水産政策の中で一つ一つの問題について問題が提起される、こういうことでなければならないのじゃないか。米価スライド制という問題について深く触れる時間はありませんけれども、これらの問題は、食糧管理法の根幹に触れる問題でありますし、問題提起もそれ自身としてはある意味ではけっこうかと思いますけれども、この問題は、やはり食管法の根幹に触れる、しかも農業政策ばかりでなしに、社会政策にも触れていくという点を十分配慮をして対処をしてもらいたいと思うのです。いま具体的に農林省設置法の中で提起をされておる問題には、植物ウイルス研究所問題、あるいは農業土木試験場の中に水産土木に関する技術上の試験を入れる、あるいは食糧庁内部の機構の一部改正、あるいは国有林野管理審議会の設置、水産庁に前に一度次長を廃しながらまた次長を置くという無定見な改正問題等、提起されておるわけでありますが、この機会に、西村委員も触れられましたけれども、試験研究機関の問題について大臣のお考え伺いたいと思います。  何といっても相当におくれた条件にある第一次産業を国際競争力に十分耐えるための態勢にするのには、どうしても科学の力をまたなければならない、試験研究というものを重視しなければならないということは、これは言をまたないところだと私は思うのです。ところが、科学技術庁が、各省の試験研究というものについて、全体的に目を転じながら二、三年来統一的な方針というものを出して予算要求をしたり、あるいはお互いに連絡調整をやったりしてきているわけでありますけれども、たとえばこの前田口委員も触れられたわけでありますが、試験研究機関予算という問題を一つ取り上げてまいりましても、何となく農林省予算要求のかまえというのは、斜陽産業だというようなことを考えに入れておずおずと予算要求をしておるのかどうかわかりませんけれども、非常に消極的ではないかという感じがするわけです。おくれておればおくれておるほど、他省よりもやはりもっと予算充実を積極的に申し述べてもいいのではないか。たとえば科学技術庁が昨年の九月に新年度の予算要求をする際に、二分の一係数の除去というふうな問題は、統一的にきまっておる。ところが、この二分の一係数という問題は、北海道の開発庁と農林省関係研究機関、大体この程度に三十九年はいまだ残存しておる。これは農林省の各試験研究機関の現場の諸君としては、農林省には、技術会議があって、二分の一だけ各試験研究機関にやって、あとの二分の一はピンはねをリザーブして、そして軽重をつけながらそれぞれの試験研究機関に配分をする。過般予算の分科会で私はこの問題を取り上げて、議論をして感ずるのは、大蔵省としても、農林省がその気持ちなら、二分の一係数は廃止してよろしいのだ。科学技術庁はすでに意思統一をしているので、これはそういうふうにやってもらいたいのだ。武田さんから予算分科会でいろいろ説明がありましたけれども、何となくこの二分の一係数除去を温存しているのは、農林省自身にその温存の気持ちがあるのじゃないかという感じがするわけです。私は、やはり二分の一係数なんというものは除去して、各試験研究機関に人当割り当てのものは、実験A、実験B、非実験、こういうものに最小限割り当てられたものについては、各試験研究機関に配分してしまう。そしてさらに、今後の農政の発展のためには、それぞれの試験研究機関に付加してやってもらわなければならぬ問題については、それに上積みして試験研究費を割り当てる。こういう積極的な気持ちをもって予算の獲得をしなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますけれども、この際、来年はぴしゃっと、二分の一係数については他省ではやっておらぬことなんだから、農林省としても二分の一係数はやめていく、こういう方針であるかどうか、大臣から明らかにしてもらいたいと思います。
  48. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私も、内容を実は深く承知しなかったのでございますが、研究所等の要望等もそれぞれ聞いています。でございますので、研究が容易であるように、実効をあげるように、予算の獲得等につきましても、御趣旨のような方針で進んでいきたいと思っています。
  49. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 科学技術庁でいろいろ連絡をしながら相談された際に、昭和三十九年度において人頭割り当て費の単価の改正をすべき試験研究機関ということで、実験Aにすべき機関、あるいは実験Bにすべき機関といって、各省からそれぞれ昇格のプランが提示されておる。ところが、この実験A、実験Bに昇格の提示されたプランの中には、農林省の十数ある試験研究機関一つとして入っていない。実験Aは、御承知のように農業土木試験場一つだけである。あるいは実験Bには大半の農林省試験研究機関が入っておりますけれども、農業総合研究所が非実験、こういう形であります。各省の出しております昇格のものを見ましても、文部省の統計数理研究所というのは、いわゆる非実験から一挙に実験Aまで昇格の申し入れの案が出されておる。その他のほうも、実験Aの該当が二十近くあり、実験Bの昇格の該当が数研究所ありますけれども、これらを見ておると、農林省の実験Bに入っておるものとどこが違うのか、率直に言ってこういう感じがするのであります。だから、やはり人頭割り当てで、実験Aの場合には一人頭幾ら、実験Bの場合は一人頭幾ら、非実験の場合には幾らと御承知のようにきまっておるわけでありますから、それだけ研究費充実をするということに相なるのでりまして、実験A、実験B、非実験あのそれぞれのランクに各省がこういう試験研究機関重要性から見て積極的に昇格をしなければならぬということを要請しておるのに、農林省が現状維持に停滞をしておる。これは私は、一般論として非常に問題であろうと思う。そういう点で、農林省試験研究機関予算要求というものが、はなやかな工業その他脚光を浴びていくものの後塵を拝していくという気持ちが、予算要求の農林当局自身の中にあるのじゃないかと思うのですけれども、おくれておればおるほど、なぜこういう問題に積極的に対処しないのか、こういう感じがするわけです。その点ひとつ大臣からさらに御見解を承りたいと思います。
  50. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 後塵を拝していくというような態度であってはいけないと思います。もしそういうことでありますならば、関係当局も督励いたしますが、私が率先してこの問題を前進させたい、こう考えております。
  51. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 約束の時間があと五分でありますので、たくさん問題点はありますけれども、問題点をしぼりまして、すでにこの問題については同僚委員からも取り上げられたわけでありますが、最後に私は、大臣に今後の臨時行政調査会の答申の内容とも関連をして考えてもらいたい点を述べたいと思うのです。  私は、もともと農林省の中では統計関係の仕事を長くやったわけでありますが、ややもしますと統計の仕事というのは非常にじみでありまして、総理府の中で各省の統計を一元化すればいいじゃないかというシンプルな議論がし、今日の複雑な経済の中で各省が科学的な行政をやっていこうという場合には、それぞれにぴったりする統計資料というものを得て、ことに農業の場合でも、先ほど来言っておりますように、国際情勢の進展の中でそれにたえる日本農業の体制整備という点から見れば、統計機構というものは、今後ますます強化されこそすれ、これを軽視するということは、農政上の大きな問題になると私は思う。そういう点で、統計機構重要性については、私は高く考えていかなければならぬ、こういうふうに思いますし、また食管の問題と関連をいたしまして、第一線の食糧事務所等の問題についても、臨時行政調査会から問題提起がなされておりますけれども、これは最近米不足の状況、あるいは今後ともに国民の主食糧というものは自給度を向上させながら、できるだけ日本の国内でまかなっていくという農政の基本的な柱から見ても、この問題は非常に重要だと私は思うのでありまして、最近、農林省当局が食糧出張所の実情に必ずしも合わない統合、あるいは統計の場合でもそういうことが現われておりますけれども、そういう点でも、機構というものはできるだけ大衆に密着したものでなければならない。そういう配慮からするならば、ただ機械的な出張所の統合というものはやめるべきだ、こういうふうに思うわけでありまして、この際、大臣から統計機構の今後の問題に対する農政上の評価、あるいは食管制度関連する第一線の機構の問題、こういうことについての御見解を承っておきたいと思います。
  52. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御指摘のとおり、農林統計調査は、他の統計と比較して、みずから言うのはおかしいのでございますが、非常に本質的なものを含んでおりますので、大へん重要な統計調査だと私は思います。被害調査、生産費調査につきましても、農家経済調査団、国と地方公共団体といろいろ分野はあるといたしましても、国全体として必要な基礎調査をしております。あるいは農業共済再保険の支払い等にしてもそうであります。また、米価につきましても、全国的な視野に立っての統計が必要であり、国の行政あるいは政治に最も必要な統計を扱っておるのが、農林統計だと私は自負いたしております。また、生鮮食料品の流通統計等、こういうものも、最近の情勢にしたがいまして非常に必要な調査になってまいってきております。そういう意味におきまして、農林関係の調査は、ウエートが非常に重くなっているし、また調査も誤りなきを期するために、一そう重きを置いてやっていかなくちゃならぬと思います。そこでいまの地方の食糧事務所、統計事務所等の出張所の統合等を行なっています。これは御承知のように、町村合併後、場所によりましては交通事情等もだいぶ変わりまして、ごく少数で出張所を持っているよりも、ある程度一カ所に集まっておったほうが、調査にも便宜があるというような面を考慮してやっているのでございます。いたずらにわたらないように、あるいは実態に即さないようなことがないように、注意をして統合等をやっていきたい。十分注意いたしたいと思っています。
  53. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間がまいりましたので終わりますが、当面の農林省機構改革の問題は、ある意味ではごく技術的な一部の改正にとどまっておりますけれども、冒頭以来申し上げておりますように、非常にむずかしい条件の中で、日本の農業、農村の将来のがっちりした基礎づくりをするという非常にむずかしい時期に、しかもそういうことをやらなければならぬ時期に今日当面をしておるという情勢から見まして、農林大臣といたしましても、農政の問題を受け身ではなしに、前向きに、積極的に、関係の生産農家の方々が明るい展望を持って農村に定着できる条件というものを与える、そういう農政の総合政策というものを明らかにすると同時に、機構の問題についても、そういう立場から、今日の地すべり状況の中で問題を考えているのではないかという、この臨時行政調査会の考え方というものに受け身で対処するのではなしに、もっと自信を持って、将来の日本経済の中における農業の位置づけという大前提の中でこの問題に対処する、こういうことでぜひやっていただきたいということを強く希望いたしまして、終わります。
  54. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる六月二日、午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時三分散会