○大澤
政府委員 まず、作業賞与金がきわめて低額である、ただいま
犯罪白書から御
指摘になりましたが、われわれが作業賞与金というものについて
考えておりますのは、いわゆる受刑者が刑を終わりまして
社会に戻りました場合に、
生活の不安に基づく再犯の問題であろうかと思います。
生活不安であるがために再び罪を犯すという面から見る場合に、釈放後におきまする
生活の問題につきましては、まずわれわれといたしましては、次に引き継がれますものが更生保護であり、また
一般の
社会保障である、か
ように制度的には
考えられるのであります。しかしながら、さ
ように刑務所から釈放しまして更生保護あるいはまた
社会保障という
ように移行していきます場合に、時間的なズレがあって、そこで
生活に困って再び
犯罪を犯すというという
ようなことで、それで作業賞与金というものが支給されることになるというたてまえになっておるわけであります。しからば、その金額が幾らになればいいかという問題になるのでありますが、ただいま御
指摘の
犯罪白書の
調査は、
昭和三十六年度でありますが、大体一年何カ月の在所者の平均が出ておるわけでありまして、それが当時は二千円でございましたが、われわれとしまして、さ
ような他の制度に移行していく場合のつなぎとしまして、おおむね
生活保護の一カ月ないし一カ月半の資金があれば、他の救済方法に移行できる、そういう意味合いから、
生活保護におきまする一カ月の給与額というものを目途に置きまして、
昭和三十九年度からは、平均五千円の支給ができる
ように
予算的な措置を講じたわけであります。それで、われわれといたしましては、大体一月半を目途に要求してまいったのでありますが、三十九年度
予算では、平均五千円の給与を目途として支給していく。そしてこれらの者が一時的な
生活の資金にしまして、引き続いて就職する。それが不可能な場合には、
一般の
社会保障に切りかわっていくという
ような
考えでおるわけでございます。
それから作業収入が大いに上がっておるということでございますが、企業的に見ました場合に、刑務所の作業の収入と申しますのは、これらの者の
生活費あるいは給付その他をまだ十分にカバーするだけのものではございません。やはり職業訓練的な、また
生活指導的な面がございますので、どうやら自分の、安いとおっしゃった食事をまかない、そして被服をまかなうのにまだ足りない
程度でございまして、これを賃金的に見て作業収入金ということを
考える段階には、立ち至っていないのでございます。
それから吉松の問題で、われわれとしまして、決してさ
ような意味合いで、刑務作業というものは利益を
目的とするものじゃない。結局その者の
生活指導なり、あるいはまたその者の将来の
生活に役立つ
ような意味合いで刑務作業を運営しているわけでございますが、吉松の問題につきましては、かねがね
お話のございます
ような話があったわけであります。現在鹿児島刑務所霧島農場と申しておりますが、荒蕪地でありましたものを開墾し、植林もいたしました。目下優良な受刑者がそこに移りまして、半ば開放的な処遇で農業に従事しているわけでありまして、われわれとしまして、決してか
ような場所に執着するわけではございません。
お話しのありました場合にも、われわれとしてはか
ような処遇面で活用しているので、それにかわる
ようなところがあればいつでも移りたい。われわれとして、やはりか
ような開放的な農業に従事することも、本人の将来ということにつきましても必要な教育
手段でございますので、あればお願いしたいということでございまして、その後具体的な
お話もございませんので、そのままになっておるわけでございます。なお、また食糧費にも
関係いたしますが、か
ような農場で生産いたしましたもの、これが所内自給という意味合いで
相当低廉に用度に移しまして、収容者の栄養源にしているわけでございます。さ
ような二つの
目的で持っておりますので、かわるべきものがあればいただきたいというふうな目下の話し合いの段階でございます。むしろわれわれとして、その後何らかの
お話があるかもしれないというふうに
考えておるわけでございますが、そのまま何の話もないので、まだ停とんしておるという
状況でございます。いままた、刑務作業として最も適切と思われる農林省等の山林業務に従事するという方法も、九州におきましては、五島列島にもか
ような作業場を設けまして、植林に従事しながら修練に励んでおるわけでございます。また北海道におきましても、さ
ような開放的な処遇という意味合いで、さ
ような作業場を設置しておるわけでございます。われわれとしましても、一つの土地を手に入れたからといって、決してそれに固執するわけではございません。ただいま申し上げました農業では、食糧の自給をはかるかたがた、か
ようなそれに必要なと申しますか、最も構外作業に合ったものの訓練の場という
ような意味合いで活用していきたい、か
ように思っております。決して一カ所に固執するという
ような
状態ではございません。
なおまた、食糧費につきましてきわめて低廉という御
指摘がございましたが、ここ毎年二円、三円と上げまして、御
指摘の
ように金額はきわめて低額でございますが、その栄養源につきましては十分注意いたしまして、必要なカロリー、あるいはまた必要な栄養素の摂取ということに
努力しておるわけでございます。現在の刑務所等の食糧で欠けております点は、動物性たん白が粗悪であるとか、同じ動物性たん白といたしましても、牛肉、鳥肉という
ようなものよりも、鯨肉という
ような点で摂取しておりますので、いわゆる質と申しますか、その点において欠けるところがあり、また食糧は栄養があればいいというだけではなくて、やはり見た目にもおいしいものということも必要であります。そういう点において欠けておるかと思いますけれ
ども、金額は少のうございますが、
一般国民の
生活に必要な限度の食糧というものは、十分確保しておるつもりでございます。しかし、いま申し上げました
ように、質の低悪ということもございますので、その点さらに
努力いたしまして、改善に努めていきたいと
考えております。