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1964-04-24 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十四日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 内藤  隆君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       岩動 道行君    佐々木義武君       高瀬  傳君    塚田  徹君       藤尾 正行君    保科善四郎君       前田 正男君    松澤 雄藏君       湊  徹郎君    渡辺 栄一君      茜ケ久保重光君    稻村 隆一君       大出  俊君    村山 喜一君       山田 長司君    受田 新吉君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         厚生政務次官  砂原  格君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚生事務官         (大臣官房国立         公園部長)   今村  譲君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         厚生事務官         (薬務局長)  熊崎 正夫君         厚生事務官         (社会局長)  牛丸 義留君         厚生事務官         (児童局長)  黒木 利克君         厚生事務官         (保険局長)  小山進次郎君         厚生事務官         (社会保険庁医         療保険部長)  竹下 精紀君  委員外出席者         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 四月二十四日  委員湊徹郎辞任につき、その補欠として木部  佳昭君が議長指名委員に選任された。 同日  委員木部佳昭辞任につき、その補欠として湊  徹郎君が議長指名委員に選任ざれた。     ————————————— 四月二十三日  国立大学教官待遇改善に関する請願川崎秀  二君紹介)(第三〇四九号)  同(吉川久衛紹介)(第三〇五〇号)  同(谷垣專一君紹介)(第三〇五一号)  同外一件(地崎宇三郎紹介)(第三〇五二  号)  同(辻寛一紹介)(第三〇五三号)  同(辻原弘市君紹介)(第三〇五四号)  同(永山忠則紹介)(第三〇五五号)  同(愛知揆一君紹介)(第三一〇八号)  同(井手以誠君紹介)(第三一〇九号)  同(池田清志紹介)(第三一一〇号)  同(春日一幸紹介)(第三一一一号)  同(亀岡高夫君紹介)(第三一一二号)  同外一件(河野正紹介)(第三一一三号)  同外十四件(進藤一馬紹介)(第三一一四  号)  同外二十三件(中島茂喜紹介)(第三一一五  号)  同外十八件(中村寅太紹介)(第三一一六  号)  同外八件(楢崎弥之助紹介)(第三一一七  号)  同(長谷川峻紹介)(第三一一八号)  同(濱地文平紹介)(第三一一九号)  同(松本七郎紹介)(第三一二〇号)  同(三池信紹介)(第三一二一号)  同(森義視紹介)(第三一二二号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第三一二三号)  同(内海安吉紹介)(第三一六四号)  同(高橋清一郎紹介)(第三一六五号)  同(加藤清二紹介)(第三一八七号)  同(兒玉末男紹介)(第三一八八号)  同(中澤茂一紹介)(第三一八九号)  同(伊藤卯四郎紹介)(第三一九八号)  同(稲富稜人君紹介)(第三一九九号)  同(有馬輝武紹介)(第三二二〇号)  同(大原亨紹介)(第三二二一号)  同(川崎寛治紹介)(第三二二二号)  同外一件(河野正紹介)(第三二二三号)  同(八木一男紹介)(第三二二四号)  同外一件(河野正紹介)(第三二三四号)  同(勝間田清一紹介)(第三二八五号)  同(片島港君紹介)(第三二八六号)  同外一件(河野正紹介)(第三二八七号)  同(和田博雄紹介)(第三二八八号)  同(大坪保雄紹介)(第三三〇八号)  同外二件(河野正紹介)(第三三五〇号)  同(前田榮之助君紹介)(第三三五一号)  同(久野忠治紹介)(第三三七九号)  同(前田正男紹介)(第三三八〇号)  建設省設置法の一部を改正する法律案等反対に  関する請願千葉七郎紹介)(第三〇五六  号)  同外二件(淡谷悠藏紹介)(第三一〇三号)  同外二件(角屋堅次郎紹介)(第三一〇四  号)  同(千葉七郎紹介)(第三一〇五号)  同(中井徳次郎紹介)(第三一〇六号)  同(山本幸一紹介)(第三一〇七号)  同(山中吾郎紹介)(第三二〇二号)  同(伊藤よし子紹介)(第三二〇三号)  公務員賃金引き上げ等に関する請願平岡忠  次郎紹介)(第三〇五七号)  同(勝澤芳雄紹介)(第三一八六号)  同(石野久男紹介)(第三二三一号)  同(大出俊紹介)(第三二三二号)  同(落合寛茂紹介)(第三二三三号)  北海道開発局職員増員等に関する請願外三件  (山内広紹介)(第三〇五八号)  靖国神社の国家護持に関する請願藤山愛一郎  君紹介)(第三一二四号)  同(岡崎英城君外一名紹介)(第三一九七号)  同外一件(正示啓次郎紹介)(第三三一二  号)  同(徳安實藏紹介)(第三三一三号)  同(岩動道行紹介)(第三三七七号)  元南満州鉄道株式会社職員であつた公務員等の  恩給等通算に関する請願外一件(愛知揆一君紹  介)(第三一二五号)  同外五件(保科善四郎紹介)(第三一二六  号)  元満州拓殖公社員であった公務員等恩給法等  の特例制定に関する請願笹山茂太郎紹介)  (第三一六三号)  傷病恩給の不均衡是正に関する請願羽田武嗣  郎君紹介)(第三一六六号)  同(松野頼三君紹介)(第三一六七号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第三二六七号)  同(松澤雄藏紹介)(第三二六八号)  同(赤澤正道紹介)(第三三一六号)  同(大坪保雄紹介)(第三三一七号)  傷病恩給改善に関する請願羽田武嗣郎君紹  介)(第三一六八号)  同(松野頼三君紹介)(第三一六九号)  同外一件(羽田武嗣郎紹介)(第三二六九  号)  同(長谷川峻紹介)(第三二七〇号)  同(松澤雄藏紹介)(第三二七一号)  同(赤澤正道紹介)(第三三一八号)  同(大坪保雄紹介)(第三三一九号)  恩給法の一部改正に関する請願谷垣專一君紹  介)(第三二〇〇号)  平和の日制定に関する請願菅野和太郎君紹  介)(第三二三五号)  同(三田村武夫紹介)(第三二三六号)  同(相川勝六紹介)(第三二五四号)  同(宇野宗佑紹介)(第三二五五号)  同(上村千一郎紹介)(第三二五六号)  同(神田博紹介)(第三二五七号)  同(西村英一紹介)(第三二五八号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第三二五九号)  同(古川丈吉紹介)(第三三一四号)  同(山下榮二紹介)(第三三一五号)  同(麻生良方紹介)(第三三七六号)  日本赤十字社元救護看護婦戦時召集期間を恩  給等通算に関する請願渡海元三郎紹介)  (第三二六〇号)  建国記念日制定に関する請願渡海元三郎君紹  介)(第三二六一号)  建国記念日制定に関する請願外一件(中曽根康  弘君紹介)(第三二六二号)  同(星島二郎紹介)(第三三七八号)  元満州国政府職員傷病恩給既得権者に関する  請願川野芳滿紹介)(第三三〇九号)  退職警察職員恩給是正に関する請願川野芳  滿君紹介)(第三三一〇号)  同(服部安司紹介)(第三三一一号)  同(逢澤寛君紹介)(第三三七三号)  同(正力松太郎紹介)(第三三七四号)  同(西村直己紹介)(第三三七五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑申し出がありますから、これを許します。山内広君。
  3. 山内広

    山内委員 御提案になっております設置法内容について、順次お尋ねしていきたいと思います。  まず最初に、大臣官房国立公園部国立公園局に昇格するという考え方でありますが、どういうわけで局に昇格を必要とするのか。御提案理由も実はお聞きしたのですが、せんじ詰めるところ、いろいろレクリエーションなどの業務量が非常にふえたということだと思うのですが、それにしては少し薄弱なように思いますので、その理由をまずお聞かせいただきたい。
  4. 小林武治

    小林国務大臣 御承知のように、厚生省の従来の仕事というものは、病気などは治療がおもだ、あるいは貧乏に対しては救貧だ、いずれの方面におきましても、大体消極的な面を扱ってきましたが、戦後は、そういうふうな消極的の面でなくて、国民生活全体の向上あるいは改善のためには、積極的な面に取り組まなければならぬ。すなわち、一般病気の場合においても、予防の方面を重視する、また貧乏の問題についても、救貧よりかむしろ防貧方向に進まなければならぬ、こういうふうなことになってきておるのでありまして、国立公園関係におきましても、従前はややもすれば景観を保存するというふうな消極面を主として考えてきまして、いわば景色を大事にして長くその形を保つ、こういうことをやってまいったのでありますが、終戦後は労働条件なり生活条件なりがだんだんよくなりまして、むしろ積極的に健康増進とか、体暇利用とか、あるいは心機を更新するとか、こういうふうな方向に変わってきておるのでありまして、そういう意味からいたしまして、国立公園等は、いままでのような消極的な態度でなくて、むしろ国民の健康増進、あるいはレクリエーション、こういう方向に積極的に活用する方向に進まなければならぬと考えております。したがいまして、従来のような国立公園部消極面を一転させて、積極的にこれを活用する。そのためには機構改正もいたして、そうして国立公園部全体が気分を一新して、そういう目的にかなうような施策をしたい。すなわち、従来は、ややもすれば国立公園については利用をむしろはばむという方向で、何でもやってはいけないと禁止をする、こういうふうなやり方をしてきたのでありますが、私どもは、これを国民全体のために開放し、活用する、こういう趣旨仕事を積極的に進めるためには、こういうふうな局の改組もして、全体の気分を一新して国立公園の管理に当たりたい、こういう趣旨が、私どものお願いしておる理由でございます。
  5. 山内広

    山内委員 厚生大臣としていまお述べになった基本的な気持ちは、私も同感です。しかし、仕事が多いから定員をふやせとか、予算の面で、もう少し大幅に予算を獲得して、いまお話しのような問題を処理したいというなら、お考えはわかるわけです。しかし、部を局にしたからといって、私は、いまの問題はそれほど直接には関係ない、働く人の気持ちの問題だと思うのです。どうも大臣のいまの御答弁からでは、部を局にしなければならないという理由は、納得がいかないわけです。特に、御承知のとおり、臨時行政調査会がいまいろいろ機構の問題は検討中でありまして、いまお話しのような理由は、各省にたくさんあるわけです。それを全部行管がチェックしておる。その中を思い切ってこういう局にしたということになれば、もっとどうしても局でなければならぬ理由がなければならぬと思うのです。もう少し、大臣のお考えでなくて、事務当局としてどういうふうに考えておるのか。何がゆえにこの際臨時行政調査会の作業を待たないで、急いで部を局にしなければならないのか。その理由を明らかにしていただきたいと思います。
  6. 小林武治

    小林国務大臣 私もう一度お答え申し上げたいのでありますが、いまの国民の保健とかレクリエーションというふうなことを積極的に推進をするということと同時に、観光関係等におきましても、これらの問題が出てきている。運輸省の観光局というものもできておるのであります。それから、予算あるいは人員等関係もあります。国立公園活用は、むろん国の費用で道路をつくるとか、施設をつくるとか、こういうことも考えておるのでありますが、やはり民間における施設というものが、いま非常に大きな課題になってきておるのでありまして、むしろ国直轄仕事よりか、そういう方々の利用活用を規制をするというか、これを適正化するとか、こういうふうな仕事が非常にふえてまいっておるのであります。したがいまして、国立公園部予算が少ないということが国立公園活用とそのまま結びつくという形ではなくて、最近は民間活用希望者が非常に多いので、これの適正化ということも大きな課題になっておるのでございます。
  7. 山内広

    山内委員 いまの御答弁では、私の聞きたいことにピントが合っておらないわけです。行政管理庁がいろいろな部局いじりに対してきびしくチェックをしている時代に、それではどういう説得力をもって、部を局にすることを行管の長官は了承したのか。いまいろいろ各省設置法がたくさん出ておりますが、それとの比重において判断するときに、これは非常に無理ではないか。臨時行政調査会結論を待てないほど急いで局にしなければならぬ理由というものは、どうしても私の判断には出てこないのです。その点をどうぞもう一度御答弁願いたい。
  8. 今村譲

    今村政府委員 お答え申し上げます。  いま先生の仰せられました実態的に局にしなければならぬ理由は何かということでございますが、先ほど大臣お話しになりましたように、最近の国民利用者増というものは、たとえば三十年で国立公園だけで四千万くらいでございましたが、それが三十六年度で一億九百万、約一億一千万、三十八年度は一億四、五千万になるのではないか。それに伴ういろいろな収容施設あるいは公園施設というふうなものが、民間ではものすごいベースになっております。審議会のほうに出てまいります民間のそういう収容関係投資だけで、最近では年間二百億をこす。それ以外のこまかい増築、改築を入れますと、相当の額になる。それが全部、現在の法律のもとにおきまして、景観等の調整などいろいろな問題がございまして公園部に出てくるということで、業務量が非常に多いのでございます。予算面から申し上げますと、たとえば昭和三十年に国立公園国定公園直轄費、あるいは都道府県に対する補助金というふうなものを含めまして、三千四百万くらいの非常に小さなものでございました。それが三十九年度におきましては、直轄県補助金、全部入れまして四億六千二百万ということで、約十三倍くらいにふえておる。もちろん額そのものはまだ些少でありますけれども、三十年ころには五百件ぐらいしか許認可事務が出てこななかったのが、三十七年におきましては約二千件、千九百八十何件ということでございまして、件数が四倍くらいにふえている。それから内容も、一カ所で十億あるいは八億というふうな大きなものが出てくるので、取り扱いが非常に困難であるというふうな関係一つございます。予算面でも相当大きくなってきておるということ。もう一つは、一般会計予算だけでは、道路、園地というふうな関係の国費で約四億円、これは補助金ですから、事業量にしまして十億円くらいになると思いますけれども、そのほかに民間投資が、先ほど申し上げましたように二百億くらいになりますので、公共投資民間ベースとが全然バランスがくずれつつある。したがって、公共投資の部門も相当馬力をかけてやりませんと、道路は悪い、駐車場はない、旅館だけ建つというふうなかっこうになったのでは困るというので、この際思い切った国立公園公共投資関係の増大をやりたいというので、ここ二、三年、国立公園部としては体制の整備という意味で局の要求をいたしておったわけであります。それから人員の問題につきましても、これが発足しました昭和二十三年のときには七十五名でございますけれども昭和三十三年ころには百十一名、三十六年には百六十四名、今年度予算におきましては二百五名というふうに、とにかく二百名をこす世帯になってきておるわけでございます。そういう点で、一つ行政体系をつくるという意味で局にしていただきたいということが一つ。もう一つは、これは行政管理庁ともいろいろお話ししたのでありますが、官房の中に国立公園部が入っておるわけであります。これは最初は非常に微々たるものでございましたし、ほかの局にもなかなか入らぬということで、臨時官房に入ったのでありますけれども、現在二百五名というふうなかっこうになってまいりますと、一々官房の内部のいろいろな手続というふうな問題がございまして、やはり官房は、人事とか、会計とか、総務というふうなスタッフのラインで固めるべきである、そういう実態的な行政官房以外のしかるべきところでやるべきだというような臨時行政調査会の御意見もあり、あるいは行政管理庁も、それはそうだ、逆に言えば官房陣の強化にもなり得るのだということで踏み切っていただいた、こういうふうな次第でございます。
  9. 山内広

    山内委員 いろいろ理由は述べられておるようですが、あとでもう一ぺんこの機構の問題では御質問申し上げたいと思うのですが、そのほか、いろいろ厚生省としては、調査会審議会からの答申もあって、当然手をつけなければならぬ部局の改廃に迫られているわけです。そういうものに手をつけないで、むしろこういう部を局にするということは、私はそこからたいしたものは生まれてこないと思うのです。確かに、大臣官房の中に置くよりも、独立した一局を設けるということは、仕事がやりやすいとは思いますけれども、もっとよその調査会審議会結論の出たものを先にやって、こういうものは臨調の結論が出てからやってもおそくはないし、そうしたからといって、仕事がそれほど支障を来たすとは思えない。しかし、これは認識の相違もあり、私が無理解なのかもしれませんので、あとでもう一度よその問題に触れてお尋ねしたいと思います。  その次に、国立公園国定公園基準の問題ですが、せっかく国定公園ということで地元民を喜ばしておくけれども、中身をあけてみれば、ほとんど地方自治体の予算ばかりで、国がめんどうを見てくれる姿というものは、予算を通じてちっとも出てきていない。これでは名前は国定公園であっても、かえって実が取れないと考えるのですが、一体この国定公園国立公園の判別といいますか、認定基準というものをどういうふうに考えるか。  それから先ほど大臣もいろいろ積極的にやりたいというお話でしたが、国定公園の将来の予算というものは、どういうふうにして見ていくお考えなのか、その点を明らかにしていただきたい。
  10. 今村譲

    今村政府委員 お答え申し上げます。  昭和六年に国立公園ができましたときは、これは十二カ所の指定から始まったわけでございます。選定の基準といたしましては、景観が非常に雄大であるということ、それからたとえば山岳の公園、あるいは瀬戸内海のように海洋公園というふうなところ、それから海洋公園の中でも、陸中のように断崖絶壁の非常に荒々しい男性的なもの、瀬戸内海のように、女性的と言うとしかられるかもしれませんが、そういういろいろなタイプから、最初おもなところ十二カ所選んで逐次やってきたのでありまして、現在は国立公園は二十一カ所ございます。面積は大体百八十二万ヘクタールというので、国土面積の四・九%、五%足らずでございます。ところが、地方におきまして、終戦直後にだんだんいわゆるレクリエーションあるいは観光というふうな問題がありまして、国立公園に対する要望が非常に強くなって、たしか二十五、六年ころだったと思いますが、法改正をいたしまして、国立公園に準ずるもの——国立公園ほどの雄大な、あるいは非常にユニークなものということではないが、それに準ずるものというのを一項設けまして、それを数カ所逐次選んでいく。そうしませんと、ピンからキりまでということになるわけで、三十二年の法改正におきまして、準ずるものではぐあいが悪いというので、国定公園制度というものを新たに設けたわけでございます。実体的には準ずるものでありますが、これはやはり景観の問題でございますから、厳密な採点で、計算尺できちっときめるというわけにはまいりませんけれども、大体それほどではないにしても、一般国民が行ってみて、非常に楽しんで帰ってくるというふうなものということで、はっきり線は引きにくいのでございますけれども、やはり特異性雄大性、それからそれ以外のいろいろな美的な要素というものでおのずから分かれてくる。ただ問題は、国定公園の中におきましても、どうも国定公園ではぐあいが悪い、これを国立公園にしてくれという気持ちは、地元地元には相当ございます。したがって、状況によりまして、相当審議の結果になると思いますけれども、三十六年の暮れ、三十七年の春あたりにある程度国定公園から国立公園のほうに格上げをし、さらに国定公園をつけ加えるというようなことをしておりますが、御承知のようにはっきりした計数的なものはございませんので、ただ全般的な雰囲気として始めからのものと、準ずるもの、こういうふうに分けているわけでございます。
  11. 山内広

    山内委員 国立にするか国定にするかということは、自然公園審議会答申によるものなのですか。あなた方の認定だけできまるのですか。
  12. 今村譲

    今村政府委員 これは自然公園法十条によりまして、国立公園は、厚生大臣審議会意見を聞いて定める、国定公園は、都道府県知事申し出をまって厚生大臣審議会における意見を聞いて定める、こういうことでございます。理論的に申しますならば、国立公園厚生省判断で原案を出して審議会にかけるということが可能でありますが、国定公園につきましては、県知事の申請がないと発動ができない、こういうことになっております。
  13. 山内広

    山内委員 それからこの際一つ明らかにしておきたいと思うのですが、国立公園でも、国定公園でも、自然のままに残しておきたい、そういうお考えで風景を守るという立場はわかるのでありますけれども、これは実例を申し上げたほうがいいと思うのですが、山で遭難した人の碑を建てたいということで、これは古いケースですが、建設の許可をもらおうとしたら、それは不都合だということで許可にならなかったという事件を私は知っているのです。しかし、山で遭難した人のために、その場所に石碑とかお墓を置きたいということに対しては、もう少し便宜をはかってそういう希望をいれてやるべきではないか。そのことが木を一本切るよりもかえって場合によっては国定公園意味をなし、ここで何年前に遭難者があったということで、そういうことは私は望ましいものじゃないかと思うのですが、この点少し官僚的に過ぎるようなきらいがあると思うのですが、方針としてはどういう方針を立てておりますか。
  14. 小林武治

    小林国務大臣 私もいままで外から見ておりまして、国立公園部のいまのようなことに対する考え方が少しやかまし過ぎる、こういうふうに思っておりまして、いまのようなお話については、できるだけ便宜をはかるべきである、これからもそういう考え方で私はいきたいと思っております。
  15. 山内広

    山内委員 いま申し上げたことは事実あって、その後どう解決したかわかりませんけれども、その現実に建てたいという希望のところが差しつかえがあるなら、若干位置を移動してもいい、許可をしないという方針で臨まれることは好ましくない。いまの大臣答弁で了解いたしました。  最近問題になっていることで、これは公園部が担当しているのじゃないかと思いますが、温泉の掘さくの問題です。あまり試掘が多くなりまして温泉が出ない、隣で掘ったために前に出たところが出なくなったとか、いろいろ現実の問題としてあると思うのですが、この温泉を掘る場合の許可方針というか、そういうものはどういうふうにお立てになっておりますか。
  16. 小林武治

    小林国務大臣 お話のように、方々で乱掘の結果温泉が枯渇する、こういう問題が生じておりまして、いまのような状態で放置することは適当でない、こういうふうに考えておりまして、できるなら温泉法を改正して、そしていまほとんど地方庁の都道府県知事にまかされているこのことについてある程度の制限を加えなければ、温泉という資源の保存に欠けることができる、こういうような考え方をいたしております。そういうことで、いま私どもとしましては、全国的に資料を集めまして、適当な法改正に持っていきたい、こういう考えで準備を進めております。ただ、温泉につきましては、いま方々で現に枯渇をして、中には熱を加えて温泉にしている、こういう事例が方々に出ております。しかし、これらは、どちらかと申すと温泉関係者はないしょにしておる、こういうことで、正確な資料を集めにくい事情もできてきております。私は、お話のような資源の保存のために、あるいは資源の活用のために、適当な措置をしなければならぬというふうにいま考えて調査しております。
  17. 山内広

    山内委員 いまの大臣答弁ではちょっとおかしいのじゃないでしょうか。設置法の十一条の二の六条には「温泉を保護し、その利用の適正をはかること。」といって、ちゃんと大臣はやらなければならぬことに義務づけられているのじゃないですか。これから調査して資料を集めて対策を講ずるなんといったって、現実の問題にはおそいのじゃないですか。この十一条の二の六をいままでどういうふうに生かしておやりになってきましたか。
  18. 今村譲

    今村政府委員 これは実は大臣の命令によりましてといいますか、一昨日も全国主要府県の所管課長を集めていろいろやっているわけでありますが、現在の法制的な立場が、実は二十三年にできたものでありまして、温泉掘さくの申請があった場合には、温度とか、湧出量とか、他に影響を及ぼさない限りは認可しなければならない、こういうふうな法のたてまえになっておるわけです。その思想は、やはり公共にどんどん使わせるようにしたらどうだというような話だったと思いますが、現実に静岡県のようなところでは、隔月に開いて、一回に六十件ないし八十件くらいの新規掘さくの要求が出てくる。ところが、現実にそれを掘れば隣の温泉へどういう影響があるから許可しないという挙証責任は、知事側が背負わなければならぬ。その辺が地下の問題でございますので、確かめようとすれば地下ボーリングというものは非常に膨大な経費がかかるというので、やむを得ず認めざるを得ない。たとえば昭和三十七年に全国で試掘の申請が三千七百六十九件ございますが、それで認めたのが三千三百九件、ほとんど通ってしまう。それは何か知事の判断の場合において、他に影響を及ぼす、あるいは公共的な害があるというふうなものをもっと掘り下げて、科学的にこれはいい、これは悪いというふうなものをつくる方法はないか。いまほとんど知事の包括委任のようなかっこうになっております。したがって、それを法律的にこういう場合にはだめ、こういう場合にはよろしいというふうなものをつくろうというので一生懸命に集めておるのですが、現在の地質学の関係からいたしますと、相当データを集めなければならない。結局県の審議会である程度の議論をして、拒否する理由が見つからないものですから認めてしまう、こういうかっこうになるだろうと思います。その辺は、自然科学の問題もございまして、いま片方では県等の行政機関と連絡をとりながら、片方では地質学、温泉学というものとの二つの方法で、話を進めておる最中でございます。
  19. 山内広

    山内委員 この改正条文を第五条の五十一の七ですか、特別地域あるいは特別保護地区というものを指定する、そしていろいろ制限を設けておるのですが、これは具体的にはどういうことをさしておるのですか。
  20. 今村譲

    今村政府委員 これは五条にありますように、二つの地域が出ておりますが、特別保護地区というのは、たとえば尾瀬沼のように、草一本でも抜いてもらっては困る。これは全然自然そのままに残したいというような非常に厳密なところであります。それから特別地域といいますのは、それほどではないけれども景観相当のものを規制しなければならぬ。もう一つは、ほとんど野放しみたいなものが、普通地域というのがございます。この三つの区分けでやっておるわけでありますけれども、特別保護地区あるいは特別地域の中において大きな温泉をつくりたい、あるいは大きないろんな施設をつくりたいといいますときには、こういう計画に従いまして景観をあまり破壊しないように——たとえば十二階くらいのやつがときどき出てくるわけです。一番景色のいいまん中へ。そういう場合には、地形の関係とか、木の関係とかで、せいぜい五、六階くらいにとどめてもらえぬかというふうにして、あまり林の上からひょっと飛び出すというようなかっこうのものは、景観保護という意味から遠慮してもらいたいということで、県と厚生省と申請者と三者集まりまして、事実上の話し合いをやっておる、こういうふうな状況でございます。ただ問題は、それによって、特に所有権がございますから、自分の土地にものを建てるのに何が悪いという議論に常にぶつかります。そうしてどうしても強行する場合には、自然公園法の中に、それによって民間が受けた損害は補償しなければならないという規定がございます。ところが、実際はその補償という問題まで行き着かないで大体折れ合う。こちらのほうも、それではこういう設計に、色はこういうふうにしてもらったほうがあまり気がつかない、五階、六階というのは四階というようなとこでかんべんしてもらいたいというような、事実上の話し合いで折れ合っておるわけでございます。
  21. 山内広

    山内委員 私、この問題はこの条文を読んで奇異な感じを実は抱くわけですが、かなりこれはきびしい規定になっておりますね。たとえば読んでみますと「一定の行為について許可を与え、普通地域内における一定の行為を禁止し、若しくは制限し、又はこれについて必要な措置をとるべき旨を命じ、並びにその処分に違反した者に対し原状回復等を命ずること。」この条文を読みますと、民主主義の自由の認められている時代に、これを字句どおり解釈したら、たいへんな弊害を生む規定ではないか、そういう印象を受け取るわけです。これについては、適用の場合十分御配慮があると思いますけれども、いま言ったとおり、人が四階の建物を建てたいものを二階より高くするなとか——それでもその地域内ならいいのですよ。多少景観が悪いからといって、見晴らしが悪いからといって、ここまで制限することはどうかという気分もするわけです。これがお互いの話し合いでうまく解決すればいいのですが、法の条文を見ると、犯した者に対しては処分ができる。原状回復の命令もできる。ちょっときびし過ぎるのじゃないでしょうか。その辺の配慮はどういうようにしているか。これで問題がいままで起こった実例がなかったかどうか。
  22. 小林武治

    小林国務大臣 私は、担当の所管の大臣としまして、従来とも少しきびし過ぎる、国立公園部の、あるいは厚生省のやり方が。そういう感じを持っておりますので、できるだけそういうトラブルの起きないようにある程度の弾力性をもって事に当たるようにということを指示をいたしておりまして、そういう向きなことは、私も同感でございます。
  23. 山内広

    山内委員 それでは次に進みまして、今度児童局を児童家庭局と名前をおかえになる。これは私どもは、児童といえば、家庭と切り離して考えられない、子供ですから。何がためにこういう提案をしなければならぬのか。児童局と家庭局、二つを合併して統一したということならまだ話はわかりますが、どういうお考えか、この点を明らかにしていただきたい。
  24. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実は従来の児童局におきましては、精薄児とか心身障害児とか、要保護児童を施設に収容いたしまして保護する施策、子供会あるいは子供クラブ、児童館等によって子供の健全育成をはかるという施策を主としてやってまいりましたが、これはいずれも児童の家庭外の生活を対象にした行政施策であったわけであります。しかし、最近におきまして、青少年の非行が激増する、あるいはいろいろ児童の不幸な問題がありますが、その根本の原因がやはり家庭にある。しかも家庭が児童の健全育成の基盤であるということがだんだんはっきりしてまいりましたから、今度は、家庭にある児童に対する対策というものを強化してまいりたい。そういうような趣旨で、家庭に対する相談、助言を強化しましたり、あるいは家庭に対して積極的な援助をするというような行政施策を新しく展開したいということで、名称の変更をしたのでございます。
  25. 山内広

    山内委員 これは名称だけの問題ですから、そう強く取り上げることもないかとは思いますけれども、ただ、これも考えようによっては、人の家庭の中へお役人さんが入り込んでいって巡回相談をするとか、そういうことは私は行き過ぎの面もあるし、またこれからの子供の教育という問題については、それぞれ考え方が非常に分かれておると思うのです。決して一致したものではない。池田さんも一生懸命人づくりを言っておられるから、あの人はあの人の考えがあるだろうけれども、私どもはまた総理のような人づくりをされては困るという考え方もあるわけです。そういうことで、今度家庭児童相談室を設けられるわけですが、この機構をどういうふうにし、どういうふうに運営して相談に応ずるお考えなのか、その点を具体的にしていただきたい。
  26. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実は家庭児童対策を展開してまいりますのは、決して家庭生活に対する干渉を考えておるわけではないのであります。実は満三歳児の全国一斉検診をこの数年やっておりますが、その際、母親にアンケートを出しまして、子供の育成上ぜひ専門家に相談をしたいという人がどのくらいあるか調査をいたしましたら、八割くらいがぜひ相談をしたいというようなものということがわかりました。そこで、専門家が、そういうような質問を持った母親に対して相談助言をするという必要を痛感いたしましたので、こういう制度を考えたわけでありますが、これは福祉事務所に家庭児童相談室というものを置きまして、専任の児童福祉担当の社会福祉主事一名と、それから非常勤の家庭相談に応ぜられる医者とか、その他の心理学者とか、専門家を二名福祉事務所に配置をして、母親の相談助言に当たる。主として先ほど申しました三歳児の一斉検診で発見しました問題児童、問題家庭の相談助言に当たるということで、いまスタートいたしておるのでありますが、本年度は、一斉検診がまだ全国的には行なわれておりませんので、とりあえず児童委員とか、あるいは学校とか、保育所とか、そういうところから問題児童、問題家庭の通報を受けまして、そういう家庭に対して、いろいろ相談助言に応ずるというような運用を考えておるわけでございます。
  27. 山内広

    山内委員 考え方としては、私もあえて異議はないのですが、ただ、この運用をどうするかということになりますと、なかなかめんどうな面もあるのではないか。特に、いまここでお聞きしておきたいと思っておるのですが、この間厚生省から厚生白書をお出しになりました。あれを見ましても、最近最低限度以下の生活をしている人、生活困窮者が、非常にふえてきておる。一万世帯、約三万人ふえたという報告が、あの中に載っておるわけです。そうしますと、憲法二十五条で保障されている健康で文化的な生活を営むことのできない世帯というのが、百六十万人もおる。いま申し上げたような、主人がなくなって、母子家庭になっている世帯も百二十万人くらいおるとかいう数字が、たしか載っておったと思う。盛んな消費ブームで生活が向上した反面、こういう困っている人がどんどんふえていく。こういう点では、厚生大臣はこの問題については非常に責任もあるだろうし、解決に努力されなければならぬと思います。そういう意味で、いま厚生省考えて諮問をされておる児童手当制度、これは私も新聞で読んだ程度で、内容はよくわかりませんけれども、中央児童福祉審議会答申されたこの児童手当というようなものは、これは非常にいい考え方だと思う。これについては、いつごろからこういう児童手当の問題を進められるお考えなのか、その点をひとつお聞かせいただきたい。
  28. 小林武治

    小林国務大臣 児童手当の問題は、外国でもだいぶ実施されておりまするし、日本も一部は被用者関係では家族手当として実施をされておる、こういうことでありますが、これは要するに、子供と生活とのバランスをとる、また労務者等の移動あるいは高年齢層の就職促進、こういうような問題からいいましても、一般的に児童手当を設ける必要がある、こういうことでその答申もあり、また現在、児童福祉審議会でそのための特別部会を開いて検討をいたしておるのでありますが、何ぶんにもいわば義務教育関係の児童だけでも二千七、八百万人もおる。これにどういう程度の手当を支給するかということも、財政上その他の非常に大きな問題であるのでありまして、いま実際問題といたしまして、一般社会世帯につきまして、組織的な調査をする。また、一方被用者関係につきましても、世帯を選んで調査をいたしておるのでございまして、まだその内容等につきましては、具体的なものを持つに至っておりません。しかし、この問題は、いろいろの必要から私どもはどうしてもこれは実現をせしめなければならぬと思っておるのでありまして、いまの予想では、いわば所得倍増計画と申しますか、この計画の後半期の昭和四十一、二年度までにはこれの実現をはからなければなるまい、こういうふうな考え方をもって調査を急いでおる、こういう状態であります。
  29. 山内広

    山内委員 四十一、二年というと、まあそう遠い将来でもありませんし、ぜひこの制度は実現していただきたい。生まれてくる小さな子供には別に貧富の差があるわけではないので、同じラインで健康な子供を育てるために、こういうあたたかい施策をやはり差し伸べるべきである、そういう意味で、ひとつ大臣の善処をお願いしておきたいと思います。  その次にお尋ねしたいのは、環境衛生にかかわる公害の問題ですが、厚生省の担当される公害というと、ばい煙だけに限るのですか。そのほかに、もっとこの公害の内容にどういうものがあるか、通産省との関係もありますので、お答えいただきたいと思います。
  30. 小林武治

    小林国務大臣 これは少し説明を申し上げたいと存じますが、日本が高度成長で工場の開発が非常に進んだ。その工場開発によって住民の生活が非常に犠牲になりつつある、生活がおかされつつあるということは、まぎれもない事実でありまして、私どもは、政府の方針として、これらの経済開発には社会開発というものを随伴しなければ、国民生活が非常な危機に見舞われる、こういうふうに考えておりまして、私ども厚生省は、住民の生活を守るという立場から、いわば被害者の立場において公害の防止について強い発言権を持たなければならぬ、こういうたてまえをとっておるのであります。実は昨年成立いたしました新産業都市の促進法におきましても、厚生大臣がその関係大臣になっておらない、こういうことは、日本がこれらの問題についてまだ非常に軽視をしておった、十分な認識を持たなかった結果であると思うのでありまして、私は、こういう問題については、公害ということで十分な配慮をしなければならぬと思うのでありますが、現在、公害問題についての法律はわずかに三つあるだけでありまして、ばい煙の規制と、工場排水、それからいまの川の水質を保全する、この三ついずれも関係をいたしておるのでありまするが、主としてばい煙関係厚生省と通産省の共管でこれをやっておるということで、いま多少でも進んでおるものがあるとすれば、これはばい煙だけの問題でありまして、これもまだいまのところ、阪神、北九州、それから京浜、この三カ所しかやっておりません。この四月一日からようやく四日市地方も加えて規制の対象にしておるのでありますが、これらの問題ばかりでなくて、広くもう今日においては振動の問題、臭気の問題、あるいは騒音の問題、こういうふうな問題が生じてきておりまして、これらもこのまま放置できない、こういうことで、私どもはどうしても公害全体についてひとつ規制の対象にするような方途を講じなければならぬ、かように考えております。ようやく厚生省もことしから公害課というものを設けまして、公害問題についてほんとうに真剣に取り組む、こういう形をとってきたのでありますが、なお公害問題はいろいろの研究事項がありまして、公害研究所等もぜひ次の機会にはつくりたいと思っております。一言にして申せば、日本で一番おくれているのは私はこの公害問題ではないかと思うので、政府も十分な責任をいま感じておる、こういうところでございます。
  31. 山内広

    山内委員 まあ公害の問題はまたいろいろな、いまお話のありました通産省から農林省関係、いろいろ研究機関でそれぞれ研究されておりますので、もう少しこれは統合整理して、重点的に、しかも今度は問題の解決というものを見出さないと、もう公害の実態というものは私ども身をもって体験しておりますから、これはもう異議ないと思う。かえってこういうものこそ、環境衛生局の所掌事務として課を設けるなんていわないで、もっと統合された局でもつくって——まあ公園といえば恵まれた人のほう、公害の被害といえば、もういま全国民がみな、農民すらが困っておるんですから、こういう問題をもっと積極的に解決に乗り出すべきではないか、こう私は思っておるわけなんです。  その次に、ちょっとこれは設置法とは直接の関係がありませんけれども、いま重大な問題として騒がれております看護婦の不足の問題をちょっとお尋ねしておきたいと思います。看護婦の不足ということは、数字も新聞にも出ておりますし、いろいろ私ども承知しておるわけですが、一体原因がどこにあるとお考えになっておるのか、その点をまずお聞きしておきたい。
  32. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 看護婦の現在不足いたしておりまする原因は、ベッドが——診療機関がふえておるということと、また医療の技術の高度化と申しますか、専門化と申しますか、それに対応して看護に対する要求がふえる。また、生活程度が向上いたしますことによりまして、看護の要求がふえる。さらに労働条件が、たとえば国立につきましても、四十八時間制をとっておりましたのを四十四時間制に切りかえて、三交代制をとりましたために、数が増員を必要とする。また、基準看護等が保険でとられまして、それのほうで看護婦をやはり多く置きたいという施設がふえた。こういうようないろんな原因がからまりまして、その需要の増加が看護婦の養成機関によりましての新しい看護婦さんが出てくる数等とバランスがとれないで、いま需給のアンバランスが起こってきておる、そういう状態でございます。なお、それに加えまして地域間のアンバランス、また施設間のアンバランスがそこに起こっておる、こういうことでございます。
  33. 山内広

    山内委員 いまお話のありました中で、私の気がついていることで一番大きな問題をのがしておられると思うんです。確かに勤務条件がつらい、このこともそうですか、この公務員の給料表の医療職の第三号は、看護婦さん、准看護婦あるいは保健婦なんかの規定ですが、これを一ぺん読んでいって目を通してごらんなさい。こんな安い俸給で看護婦を使おうとするところに、私は看護婦が集まらない理由があると思うんです。しかも、まああとでインターンの問題もお聞きしたいと思いますけれども、医療はなかなか短期間でできるわけではない。養成に相当の日時を要して一人前になったその看護婦さんを、この安い三号表の俸給でもって使おうというんだから、集まってもこないし、やめていく人も多くなる。せっかくの病棟も閉鎖しなければならぬという困った病院も続出してきている状態にあるでしょう。あなた方は、この医療職の三号表をどういうふうにお考えになり、これの修正についてはどういう努力をされるのか、その点をお聞かせいただきたい。
  34. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 お話しのように、看護婦の待遇は、その勤務しております仕事、これが危険性があり、また夜間等においても勤務をしなければいかぬ、いろいろ患者さんの不平を聞くというような、必ずしも労働、仕事内容が、楽な仕事ではない。また、それに対してさらに一定の資格を、教育を要求せられておりますので、そういう意味からできるだけ待遇をよくしなければならないとわれわれも思っておるところでありまして、ことしも少し待遇を改善いたしておるのでございますが、われわれは、医療関係全体の職員の待遇といたしまして、できるだけよくしていきたいと努力しておるわけであります。なお、国家公務員の医療(三)によります看護婦の月給は、これでもほかの民間の方々よりも少しいいわけでございまして、看護婦全体に対してわれわれは考えていかなければいかぬし、将来の伸びというものも考えていかなければならない、こういうようなことを考えて、その改善に努力しております。
  35. 山内広

    山内委員 次に、一ころ非常に問題になりまして、いま厚生省でも検討されておると思うのですが、インターン制度はいまどういうふうにして——廃止する方向にあるのか、それとも改善方向にあるのか、お考えがあったら、お聞かせ願いたい。
  36. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 インターン制度は、現在いろいろこれについて御意見もありますので、われわれがよく研究いたしますと一緒に、当面の運用につきまして改善すべき点につきましては、医師試験審議会の中の実地修練部会、これはインターン課程でございますが、インターン段階におきまして、いろいろ検討して、意見を求めております。いま会合をしばしば開いて検討してもらっております。なお、医学教育と関連いたしまして、これは医療制度全般に関する問題だというので、文部省とも連絡いたしまして、文部省関係からも委員を出してもらい、厚生省関係からも委員が出まして、一緒の会議をいまつくりまして、話し合いをして検討を加えておるという状態であります。
  37. 山内広

    山内委員 次に、国の厚生省の事務で地方公共団体に委任事務をやっておる。たとえば国保の保険料の徴収、この問題は、だいぶ地方でも非常に事務費が足りなくて困っておるということで問題になっておるんですが、この制度をどういうふうに改めようとしておるのか。特に地方事務委託制度を廃止せよ、こういう世論もあるし、審議会のたしか議論の中にもあると思うのですが、これはどういうふうにお考えになっておりますか。
  38. 小山進次郎

    ○小山政府委員 国民健康保険は、ただいま仰せのとおり、いろいろ問題を持っておりますが、大まかに申し上げまして二つあるわけでございます。一つは、給付内容が、一般に被用者保険といわれております健康保険の系列に属するものと比べましてやや劣っている、これを何とか同じ程度の水準にまで引き上げていくという問題でございます。それからもう一つは、この国民健康保険の被保険者の中に比較的低所得の人々が多い関係からいたしまして、保険料の負担になかなか耐えかねる、その上に、特に国民健康保険の被保険者は、ほとんど全部が自営業者でございますので、被用者保険におけるように保険料の半分を事業主が負担をしている。したがって、実質的に見れば、本人の負担は半分になっているといったような、そういう利益がございませんので、この保険料の重圧感というものがかなり強く感じられる。これをどう解決するか。この二つの問題でございます。  前段の問題につきましては、昨年の十月で世帯主全部について七割の給付をするという制度を実施いたしまして、現在は全市町村さようになっております。残る問題は、家族の人々も同じ程度の水準に引き上げなければならぬという問題でございまして、これはぜひ解決をしようということになりまして、来年の一月から四カ年計画で問題を解決しようということで、これに必要な予算を今年度おきめいただいたわけでございます。これが実現いたしますと、国民健康保険は、世帯主も家族も七割、被用者保険は本人は十割、家族は五割、こういう関係になるわけでありまして、両者の格差といわれるものはかなり詰まってくるわけでありますから、その上に立って、国民健康保険も、被用者保険も、あわせて内容をよくしようという次の施策を進める、こういうふうな段取りを考えているわけであります。それから国民健康保険の保険料のほうにつきましては、先ほど申し上げましたような問題を解決いたしますために、昨年度から低所得の被保険者に対する国の特別の補助金を出すことにいたしまして、前年度約四十二億くらい用意しております。これで低所得の人々の保険料を上げないで済むようにするというふうにいたしておるのであります。その結果、それまでの間毎年一三、四%ぐらいふえてまいりましたところの保険料なりあるいは保険税というものは、昨年にどうやら前年に比べてほぼ同じ程度で、一回だけ足踏みをして休むことができた。そういう上に立って今年度施策を進めていく、こういうふうになっているわけでございます。  それから後段に仰せになりました問題は、これは現在国が直接に行なっておりまする政府管掌の健康保険なり、あるいは厚生年金なり、日雇い労働者健康保険なり、あるいは国民年金の実施に当たっております職員の問題でございますが、これは先生御承知のとおり、一面においては統一的な事業でございまして、地域の違いというものによる違いを反映させることが、必ずしもできがたいのでございます。たとえば健康保険について申し上げますと、全国の都道府県のうち、都道府県だけでその収支を合わせますと、ほとんど大部分が赤字なのであります。わずかに東京その他大府県で入ってまいりまするプラスの保険料というものを、そのほかの三十数県のほうに回すことによってかろうじて収支が合っている、こういう前提でございますので、統一的運営のほうを確立する意味においては、何とか国が直接やらなければいかぬ。しかし、一面においてはなかなかこれは地方と関係の深い仕事でございまするので、これも府県との連絡を十分に考えなくちゃいかぬ、こういうことで、現在御指摘のようなやや変体的な制度になっているわけでありますが、実態に即しつつ何とか合理的に解決をいたしたいということで、ずっと研究をしているという状況でございます。
  39. 山内広

    山内委員 いまの制度の問題では、すでに行管から勧告が出ているはずです。もう研究の段階は過ぎて、実施に踏み切るかどうかという時代じゃないのですか。
  40. 小山進次郎

    ○小山政府委員 この問題については、ただいま申し上げましたような事情から、何とかひとつ検討して、いわばいまのところ臨時的な制度になっておりますのを、恒久的に安定した方式に持っていくべきであるという問題の指摘がございまして、どう解決するかということで、いまのところまだ双方研究しているという状態でございます。
  41. 山内広

    山内委員 それから国民健康保険の給付の問題ですが、これはだんだん上げていくということは、みな住民が望んでいるところなんです。そこで、現在は七割給付ですが、これを地方の町村が、町村長なりあるいは議会が議決して十割にした、踏み切った場合に、これをあなたのほうでは、そういうことはいかぬといって禁止していることではないと思うのですが、ただ、それほど豊かであるなら交付税で見てやらぬとか、こう間接的な脅迫がないのかどうか。これは、あるところに行ったときに、そういうことがあるということを聞かされてぼくは心外に思ったのですが、その村や町の置かれている状態で、どうしても十割給付しなければやっていけない、こういうことで村長なり議会が思い切って十割やるというものを、あなた方のほうでそれはまかりならぬということはないと思うのです。まあ自治省の関係もあろうかとは思いますけれども、その辺の指導方針は、どういうふうになっておりますか。
  42. 小山進次郎

    ○小山政府委員 先生仰せのとおり、さようなことはございません。それで七割給付以上の給付をすることが望ましいわけでございますが、問題は、それに伴って収入のほうを無理をしないで確保していくことができるかできないかという問題があるわけであります。そういう場合に、収入のほうは二の次にして、とにかく勢いのいいことということでやって行き詰まっては困るから、十分にひとつ念には念を入れてくれという注意はいたしておりますけれども、抑制するようなことはございません。
  43. 山内広

    山内委員 最後に、一つだけ定員増の問題についてお聞きしておきたいと思うのです。  三百六十八名の増員を要求されておるのですが、これは本省とそれから社会保険庁に割り振りされているようですけれども、社会保険庁のほうは大体想像つきますけれども、本省の三百五十二名というものは、どういうふうに配置されるのか、その内訳を……。
  44. 梅本純正

    ○梅本政府委員 本省の三百五十二名の内訳を大きく分けまして、まず内部部局で十二名の増になっております。付属機関で三百三十名の増、地方支分部局で十名の増になっております。そしてまず第一の内部部局でございますが、環境衛生局に一名増、社会局に十一名増。その次に付属機関でございますが、付属機関のうちの試験研究機関としまして、病院管理研究所三名、国立らい研究所二名、国立衛生試験所十一名の増であります。それから検疫所五名、国立病院、国立療養所は、内訳に少し増減がございまして、二百二十四名の増になっております。国立がんセンターは五十八名増、それから国立光明寮二十名増、国立ろうあ者更生指導所六名、国立精神薄弱児施設一名の増でございます。次に、地方支分部局のうちの地区麻薬取締官事務所、十名の増でございます。合計三百五十二名の増となりまして、本省の現在の定員四万九千五百二十名が四万九千八百七十二名に相なります。
  45. 山内広

    山内委員 この麻薬取締官を警察のほうに回せないという理由は、どういうことですか。かえってそのほうが実績があがるように考えられますけれども、そういうお考えはありませんか。
  46. 梅本純正

    ○梅本政府委員 現在の行政体系におきましては、麻薬事犯といいますのは、他の犯罪と異なりまして特殊性のありますことは、御承知のとおりでございます。たとえばおとり捜査でありますとか、あるいは麻薬に関する専門的な知識が必要であるというような点で特殊性があることは、御承知のとおりでありまして、また一面、麻薬中毒患者の治療、更生面も重要でございます。したがいまして、こういう点でほかの行政と違いますので、麻薬犯罪を普通一般行政の対象にしました場合には、非常にその能率を低下させるというふうにわれわれは考えておりまして、現在の麻薬取締官は、警察官に比べましてきわめて少数でございますけれども、不正麻薬の押収量は、総量で四〇%近いものにのぼっております。この点は、特別の行政機関の中にありまして、専門的な知識を特に持って、その特殊性を生かしておるというふうに、われわれのほうは自負しておるわでございます。  それからまた、一応観点を変えまして、現在の麻薬取り締まりに関しましては、九つの協定、条約及び議定書がございまして、厚生省がこれらの問題の処理全般を担当いたしております。また、毎年四月ジュネーブにおいて行なわれます国際麻薬会議にも、日本政府の代表といたして出席いたしまして、加盟国からの通信その他の連絡は、厚生省薬務局長が担当しておる。諸外国の例におきましても、麻薬取締官につきましては、専門の取り締まり機関というものを設けてやっておる例がございますので、現段階におきましては先ほど申しました麻薬犯罪の特殊性という点から見まして、一般警察の中に入れるよりも、厚生省の更生、治療部面と合わせた専門家が担当したほうがいいと考えておる次第でございます。
  47. 山内広

    山内委員 これは希望ですけれども、実際は警察のほうでもやっているのですよ。そしてこの種の犯罪がだんだんふえているか減っているかわかりませんけれども、撲滅できないということは残念な話で、私はもっと警察と一緒になってやったほうが効果的だと思う面もあるわけです。いまお話しのようなこともありましょうけれども、もう一つ研究していただいて、こういう犯罪は少なくしてもらいたいという希望だけ申し上げて、終わります。
  48. 徳安實藏

    徳安委員長 山田長司君。
  49. 山田長司

    ○山田(長)委員 何を設けても、私はこう考えるのです。やはり職制でも、魂が入ってない職制は、どう職制を変更してみても、その職制はただ砂上に楼閣をつくるだけの印象しか持てないと思うので、私はこの点について、特に厚生省仕事国民生活に密接な関係を持っております仕事だけに、なまやさしいことでは国民生活の中へ持っていって魂を打ち込むということは困難だと思うのです。  そこで私が伺いたいことは、最近レクリエーションが盛んになりまして、山野に都会生活者の出入りする数が非常に多くなってきた。遭難者等もまたこれに正比例して多くなってきておると思うのであります。そこで私は、山を歩くことはふえてなんですけれども、一たび山へ入ってみますと、たとえば一地方を申し上げてもあなた方はわかると思うのでありますが、国立公園内の尾瀬地方へ一度足を踏み入れてみるとわかると思います。土曜、日曜に三千も四千もの人たちが、夏になると入ります。この人たちが山へ入って宿泊所もなければ仮り寝の宿もない場所に、若い男女が国立公園内に足を踏み入れて生活されたときに、どういう結果が生まれるかということは、常識的に判断しても、これはどのくらい国立公園内がよごれるかということは想像できると思うのであります。これは予算の面もあることでありますけれども、これは一地方を申し上げただけでありますが、何も国立公園内の一カ所だけを限って申し上げなくても、おそらく全国的な現象であると思うのでありますけれども、このよごれている山を国立公園でございますといわれても、私は足を踏み入れてみて、これが国立公園だといったのではあまりにもざんきにたえないものを山の各所で見受けるわけであります。おそらくオリンピックを境にいたしまして、かなり日本の国立公園内にも、道路のない地域にも、外国の観光客が入るのではないかと思うのでありますが、これらについて、一体抜本的にどういう処置を厚生省としてはお考えになっておるか、まず最初にそれを伺います。
  50. 今村譲

    今村政府委員 おそれ入りますが、お答えさせていただきます。  いまお話にございましたように、三十年ごろは四千万ぐらいしか国立公園に行かなかったのが、三十六年は一億一千万、三十八年は一億五千万ぐらいになるのではないか、こういうふうな情勢でございます。それで、前段といたしまして、国立公園二十一カ所に五十二名のいわゆるレインジャーといっておりますけれども、その担当者を置きまして、そういうふうに散らかさないように、それから高山植物を尾瀬あたりはしよっちゅう持っていくわけです。そういうものの制止というふうなものの努力はいたしております。お話のように大体二百万町歩近い国立公園の中で五十二人ということで、はなはだ手が届かない。したがって、場所によりますれば、お話になりましたように紙くずの山ということは、事実上あるのでございます。それで公園部といたしましては、基本的には全部直轄相当の清掃人員を雇って片っ端から拾って歩く。もちろんPRは先行するわけでございますけれども、そういうことで昨年ぐらいから、おそまきでございますけれども、昨年約三百万ほどの予算をとりまして、モデル地区を選んで、清掃の人を雇ってどんどん拾って歩くというふうな方法が一つ。それが本年度には約四百五十万ぐらいの予算をとっております。そういうふうな努力をいたしております。それからもう一つは、地元の清掃業といいますと、市町村長が責任を持つというかっこうで、清掃法に基づきまして市町村長が責任を持つものでありますけれども、えてして観光地というのは、客の収容は熱心であるけれども、そこまではなかなか手が回らないということで、これではいけないということでありまして、いま申し上げましたように、予算一つの種にして、県なり市町村からも若干出してもらう。それから地元の、たとえば箱根にしましてもどこにしましても、旅館組合そのほかそういう営業関係者からも、協議会をつくりまして、若干ずつ持ち合ってそれで協力をし、あるいは直接人を雇ってやってもらうということで、できる限りの努力はいまやっておるわけでございます。それから三十八年度で、新生活運動協会というところから、五百三十万円だったと思いますけれど、それもいわゆる民間の力でありますが、それももらいまして、国費も入れ、県費も入れ、地元の観光業者の応分の協力費も入れてということで、各国立公園地区ごとにいわゆる清掃関係のそういった民間組織というようなものをつくって努力はいたしております。しかし、まだまだ人員の増——ことに若い人あたりはどんどんよごしていって反省がないという点のPRも含めまして、今後ともその努力は進めつつあるわけでございます。なかなかいまもって手が及ばないということは、反省いたしております。今後ともしっかりやろうと思っております。
  51. 山田長司

    ○山田(長)委員 とても地元や旅館組合やあるいはその他の地方自治体に関係のある人たちの清掃等で負える筋合いのものではない。一晩に三千人の人間が国立公園内に泊まったら、どれくらいの事態になるかということを想像してみてごらんなさい。それが毎土曜日、日曜日、あるいはまた連休のときには連休の日に出入りされる。これは一地方をいま指して言ったが、おそらくこれに関連して東京近郊の公園内は似たりよったりの姿だと私は思うのであります。こういうことは、厚生省としては、いろいろ機構改革をする、機構改革をすることによってそれを変える、こういう考え方をしているかもしれないけれども、まず力の入れる場所をあなた方は間違っているのじゃないかという気がする。何で予算を組むときにそういう部門に対して——私は山の中で若い、リュックをしょった女性に出くわして、これはどこの方だろうと思って声をかけた。未明の朝六時半ごろです。そうしたら、山の監視をしている厚生省の女性だった。私は、この女性に敬意を払った、朝早くから三里も四里も越してきて山の実態を見て歩くという姿を見たときに。こういうことから私はあなたに聞くわけでありますが、機構改革をする前に、どうして国立公園という名のつくところ一帯にもっと力を入れて清掃に重きを置くことを考えないのですか。これは大臣に伺おうと思ったのですが、政務次官からついでにひとつ聞いておきたいと思います。これはやはりなまやさしいことではないと思う。山の姿は変えられないのですから。
  52. 砂原格

    ○砂原政府委員 山田先生のお話のように、今日の国民生活レクリエーション的になって、しかも都市生活から空気のよい山を求めてたくさんの人が入って行きますことは、仰せのとおりでございます。もちろんこうした面は、厚生省が所管をいたします限り、当然厚生省がやらなければならないわけでございますが、御承知のように、三千、四千人というような多数の者が同一場所へ入って行きます。やはりそこを利用される国民の皆さん方のお気持ちも、多少は考えてもらわなければならぬと思うのでありますが、それを他人にだけ背負わすわけのものではありません。厚生省は、そのような予算関係で、幾らでもそうしたもののあとの処理ができるかといいますと、これはまたそう人員を多数かかえてやるわけにもいかないというのが、現在の日本の行政庁の組織であろうと私は思うのです。私が厚生省のほうへお世話になってみまして、いままで公園部の存在というものが、厚生省の一角のほんとうに細いところにある。したがって、予算ども、総額から見ると、一課が持っておるよりも少ない程度の予算であります。こういうことでは、ほんとうに国立公園その他をただ指揮監督をする面だけしかやれない、こういうことではいけないというので、機構も大いに改革してもらって、予算も増額をし、そしてりっぱな国民の期待に沿うようなものに仕上げていきたいという考え方をもってお願いをしておるような次第であります。  大臣がお見えになりましたから、大臣のほうによくお聞き願いたいと思います。
  53. 山田長司

    ○山田(長)委員 途中から大臣はお見えになったので、私のいまの質問の内容が理解されないと思うのですが、これはやはり大臣の御意見を伺わなければならぬ重要なことだと思うので、政務次官からもいま伺いましたけれども大臣からも伺いたいと思うのです。  それは、最近の自然の成り行きかもしれませんが、レクリエーション運動が盛んになりまして、国立公園内にたくさんの若い人たちがレクリエーションで出かけるということです。そこで、各地とも土曜日曜、あるいは連休等にかけましては、少なくとも三、四千の人間が入ります。こういう人たちが一泊したときにおける山の清掃のことを考えてみたときに、いま山には全然何の設備もない。これで国立公園でございます。こういう状態では、オリンピックを控えて、自然に親しむ外人客等が日本に来たときに、私はだいぶ恥ずかしい事態を招くと思う。こういう点について、この国立公園局ができる。予算の面でもそれなら組み入れておるかと思えば、必ずしもそうではないようです。山の自然に親しませるには親しませるような方法があると思う。こういう点について、大臣はいかなる所見をお持ちであるか。これはやはり魂を入れる必要があると思うから申し上げるのですが、なかなか山の中においでにならない地元の人たちや旅館組合にそれをやらせればいいというけれども、とんでもない話です。四里、五里、七里もある山の中で、とても地元の人たちが行って清掃に関する設備などがつくられる筋合いのものではない。少なくとも厚生省としては、国立公園と名がつくところくらいは、一応世間ていをつくろうくらいの設備の用意があってしかるべきだと思うのです。この点について、大臣はどうお考えですか。
  54. 小林武治

    小林国務大臣 国全体がきたないのでありまして、国立公園だけではない、私はそう思っております。それで、実は私も環境浄化の問題が一番大事な問題であると思いまして、清掃関係の五カ年計画というものをやって、いまし尿処理、ごみあるいは下水というような問題に非常な力を入れておることは御承知のとおりでありますが、これだけではいけない。日本全体がよごれておる。こういうことで、実はこういうふうな環境の政府あるいは自治団体のやるべき施設を整備する、これを第一にやらなければならぬ。その次には、国全体を国民の責任としてよごさないようにしてもらいたいということで、いま清掃法の改正もお願いしております。同時に、これは一つ国民運動としてやらなければ、効果はあがらない。一部の人がやっても、みなが散らすのではどうにもなりません。したがって、国民運動を始めて、最近も全国の数十団体の方に集まってもらって、とにかくよごさない、拾てない、そして拾う、こういうふうなことをみながぜひやってもらいたい。施設そのものについては政府がいたします。したがって、たとえばごみを入れる場所あるいはかご、こういうものは公園その他にはわれわれのほうで施設する。しかし、よごさないということは、単に役所の仕事だけではできません。国民の反省と申しますか、自覚を求める以外にない。私は、昨日も環境衛生局長に指示しまして、全国の観光バス業者に対して通牒を出してもらいたい。すなわち、せめてガイドあるいは車掌が、おりる場合にはとにかく紙くずを散らさないでもらいたい、こういうふうな訓練をしてもらいたいということを、全国の観光業者にも出すということをいまさせております。そういうことで、私は国民全体の国民運動と、それから施設を公の機関において整備する。それから清掃法等によって、そういうことをある程度国民に訓示的な内容の規定も持つ、何人も環境をきれいにしなければならぬ、また河川あるいは港湾、道路、広場、こういうものは管理者の責任として清掃してもらいたいということも、今度の清掃法には特別な規定を入れておるのでございます。国立公園等がきたないばかりでなく、最近には新宿御苑あるいは宮城前広場さえ非常な非難を受けておりまして、人が足りないということで、新宿御苑のごときは、最近特に失対事業でもって清掃をやってもらう、こういうことまでいたしておりますし、宮城前広場等につきましても、そういうことを考えておるのでありまして、われわれ役所としては、まず新宿御苑等につきましても、かごを十分に整備する、こういうようなこともいたしておりますし、山につきましても、そういうふうな人の大ぜい行くところには、とにかくごみを収容するかご等の設備等はいたしたい。ただ、何分にも人を十分持って、そして清掃をやるというようなことは、なかなか困難な問題でありますから、まずもって散らさないということで、私は第一着手で、いま申すような、特に全国のバス業者等に対しては、そういうことの協力を求める通牒を申し上げておるのであります。これはほんとうにお話のとおりお恥ずかしいわけでありまして、これは政府のほうはもちろん、自治団体、国民全体も、この問題の解決に当たらなければならぬ、こういうふうに思っておるようなわけです。
  55. 山田長司

    ○山田(長)委員 大臣の言われることもよくわかるし、その一部の責めは政治家としてわれわれも負わなければならない筋合いのものだということもわかります。しかし、急に頭の切りかえのできる筋合いのものではない。そこで緊急事態として、私は、やはり何かの施策を講じなければ、いま大臣がおっしゃられるように、宮城前の広場だとか新宿御苑等は失対事業ですぐに解決つくかもしれないが、国立公園の内部というものはそれだけでは片がつかないから、私は申し上げるのです。こういう点をどうお考えになるかということでいま御質問したわけでありますが、大臣から答弁がなかったけれども、これはひとつ勘案して、お考えを願いたいと思うわけでございます。  次に申し上げますが、今度の設置法の中に児童局を児童家庭局というふうに名称を変えると書いてありますが、変えることによって問題が解決つくのではなくて、ただいま申し上げたように、何としても教育の問題だと思うのです。うしろのほうで日教組がどうこうなんと言っておりますが、そういう筋合いのものでなくて、やはり国民全体が一つ方向へ持っていくためには——私、実はびっくりしたのですが、昨年中国へ旅行しましたら、スズメの害が農民に非常に及ぶというので、スズメの大群を落とすのにどうして落とすのかと思って調べてみたら、きょうはスズメをとるのだという日になったら、支那の四つか五つの省が全部スズメとりにかかって、それでスズメを地べたにおりられないように、統一された形でものをたたいたり鳴らしたりして、飛んで歩いておるスズメがとうとうしまいに落ちてしまった。いわばのんきなことですけれども、そういう統一された形で、これと同じように、やはり清掃の仕事も、あるいはハエを退治する仕事も、国民の間でやられておると思うのです。このことが大きく変わりつつある中国の姿だと私は思うのでありますが、それと同じように、児童局を児童家庭局に変えるというのだって、一生懸命児童に一つ方向を指示して家庭的環境をつくり出すことだって、まわりじゅうが——見てごらんなさい、テレビを。毎日毎日朝から晩まで人殺しのテレビ放送をやっている。朝から晩までどのスイッチをかけても、若い男女がくっつき合ったりしている場面をやっている。これで子供と家庭の環境をよくするといっても、テレビの入っている家庭ほどの子供は早熟になっておる。勉強をろくにしない。実際問題として私はそうだと思うんです。そこで、こういう問題についても、厚生省としては、文部省と連携をとって、プログラムの編成にあたっても、くっつき合ったり、殺したり、ピストルを突きつける騒ぎばかりでなしに、もっと環境をよくするためのプログラム編成をつくってしかるべきだと思う。厚生省が児童局を児童家庭局に変えることについて、私は意地わるを言うわけではないけれども厚生省は、文部省にも力を入れて環境の状態をつくるための連携があってしかるべきだと思うのですが、こういう点について、厚生省は文部省あるいはテレビの会社等とどんな連絡があって、この環境状態をつくり出すということをお考えになっておりますか。
  56. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話のとおりでありまして、環境をよくするためには、どうしても政府あるいは国民全体がつくらなければならぬということでありまして、いまの俗悪なテレビ番組等につきましても、郵政省が中心になって検討している。文部省も、私ども参加してこういうことの御注意を申し上げておるわけでありますが、世間では表現の自由とか、言論の自由とか、こういうことが非常にやかましくて、場合によると、暴力に近いような自由まであるということでありますが、私は、どうしても児童の健全な育成のためには、お話のような方途によって、厚生省も、郵政省も、文部省も、一緒になってやらなければならぬ。ことに、内閣には青少年問題協議会というものがありますが、これらの連絡調整のためにも青少年局をつくりたい、こういうふうな話も出ておるのでございまして、これはどうしてもある一つの省の仕事ではできない。全体が調和を持って協力してやっていかなければならぬということは、御意見のとおりでありまして、お話のような問題につきましても、われわれも関与して発言をいたしておる、こういうことでございます。
  57. 山田長司

    ○山田(長)委員 戦争というものが、いろいろな形で日本国民の間に悲劇を起こしているということは事実ですが、そこで私は、この間大臣に決算委員会で御質問申し上げたことについて、結論を伺うわけであります。  栃木県の黒磯の慈生会は、御承知のように、戦後生まれてきた精薄児童のために、フランス人があすこに慈善事業として建物をつくっておる。その百十人からの日本の精薄児童の育成にフランスの人が当たっている。これが、この六十万坪の土地の地代の滞りができてしまって、会計検査院の批難事項となった。大臣はこれに対して、私の質問で、外国の人にまでそういうことをやってもらっておって何とも恐縮しているんだが、これについての経費の問題は、農林省当局にも話して、できるだけの方途を講ずると言ったので、地元の慈生会の人たちはたいへん喜んで精薄児童の教育に熱を入れているという情報を耳にしたわけでありますけれども、この戦争というものがあらゆるところで悲劇を生んで、日本政府の手に負えないで、外国の人がやっている。これについて、たいへん心強い返事が大臣からあったんですけれども、その後どうなったんですか。
  58. 小林武治

    小林国務大臣 山田委員お話、私は非常にごもっともと存じまして、この前も公式の席でなく申し上げたのでありますが、あれが公用財産だからああいう取り扱いをするんだ、したがって、これが今後相当恒久的にああい施設に使われる以上は、農林省の財産からはずしてもらいたい、これを普通財産にして、無償貸与なり適当な方法を講じたい、こういうことでいままだ折衝をいたしております。そういう方向でぜひ進みたい、かように考えております。
  59. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいまの問題は、それでわかりました。日本の精薄児童が外国人に育成されていて、その土地を地代をとっているというようなことで、たいへんわれわれとしても肩身が狭い感じを受けたわけなんで、ただいまの大臣答弁で私は満足しましたから、どうぞひとつそういう方途を講ぜられるようにお願いしたいと思います。  次に、国立公園の問題については、これは各地で見受けることでありますが、禁猟区というのがあります。禁猟区は、むろん中に住んでいる動植物に対して保護が与えられていることがその中の規定にあり、そういうものだと私は思っておりますが、今日禁猟区という看板が出ている厚生省国立公園内で、あなた方は鉄砲撃ちが猟をしていないと思いますか。これを聞きたい。
  60. 今村譲

    今村政府委員 お答えします。  禁猟区は、農林省の関係でやっておりまして、私ども、そこまでは実はまだ勉強いたしておりませんです。
  61. 山田長司

    ○山田(長)委員 むろん私は狩猟法で農林省の管轄だと思っているが、あなた方の常識を聞いているのですよ。していると思うか思わないかということを、あなた方の常識で、国立公園内でやっているかということを聞いておるのです。
  62. 今村譲

    今村政府委員 勉強不十分でございまして、おそらく守られておるんだろうというふうに思っておりましたけれども……。
  63. 山田長司

    ○山田(長)委員 やっぱりこういう問題をあなた方が知らずに、国立公園でございますと言っておるのじゃだめなんですよ。私が知っている数カ所の国立公園内で、いずれも猟がなされておる。何で私は猟のことをこんなところで持ち出すかというと、冬になると、動物にえさがなくなるのです。えさがなくなりますと、ほとんど木の芽と皮を食べている。たとえば、この土地では何というかわかりませんが、私の郷里ではムササビという、前のほうがイタチに似たような顔で、羽のはえている動物がおりますが、これらを一晩で二百、三百ととる人がいる。もちろんこれは関東から東北にかけてそういうことがなされているわけですが、これではせっかく国立公園でございますと言ったって——大自然の植物がこの動物に荒らされるから猟をするんだというかもしれないけれども、何かの駆除方法はあるに相違ないと私は思う。サルの大群等もおります。それがみんな猟銃を持っていってやられてしまう。それから保護されていべきシカなども、これは死んでおったとか、あるいはシカの種類で保護されているシカがありますが、カモシカであると思わなかったとか、こういうことで平気で猟をされてしまっておりますけれども、これはやはり農林省と国立公園の担当の者は常時連絡をとって、駆除の方法、入らせない方法等が持たれないと、せっかく自然を保護するといって国立公園なんというものが国民に親しまれておるのだけれども、これがだめになってしまっている。こういう点について、いままで連絡が持たれておらないとすれば、これからやはり連絡を保って、禁猟区の問題についてもお互いに検討しなくてはいけないと思うのですが、どうですか。
  64. 今村譲

    今村政府委員 至急農林省の担当部と連絡をいたしまして、その対策を講じたいと思います。
  65. 山田長司

    ○山田(長)委員 それから今度の法案の中に、温泉の問題が出ています。温泉のことは、先ほど山内委員からも枯渇するということでいろいろ意見が出ましたが、私は、別な角度から、このことについて一応御質問申し上げたいと思うのです。  実は各地に自然のまま温泉が湧出しているところがございます。この湧出しているところをさらにたくさんのお湯を出すというような目的なんでありましょうけれども、現在湧出されているところへさらに補掘の申請を出します。申請を出してその場所を確保しておくわけですが、大体その場所の確保は法律的に一年で期限が切れることになっているけれども、それが毎年毎年繰り返し書類を出して、一体何年だったらば、ほんとうの意味の掘れないということの認定を下すのですか。
  66. 今村譲

    今村政府委員 現行の法律におきましては、一年以内に着工しないということになりますならば、これは取り消しの対象になる。当然失効にはならないしかけになっておるわけであります。したがって取り消しをするのでありますけれども、いろいろな事情があってそれが多少延びるというふうで、前もってその地場を確保するというような動きが相当ございます。御指摘のように、それをいかにして法律的に一年間でもう許可は失効するというふうなかっこうにはっきり書き改めるかということも、いまいろいろ議論しております問題の一つでございます。それからもう一つは、資力、信用から見て、当然やる意思がないのに、権利確保にすぎないのじゃないかというような疑念のある者につきましては、これの経済的な資力の問題とか、技術能力の問題とかいうものを確かめて、許可を出すのに十分慎重にやれるというふうなかっこうにしたいとは思っておりますけれども、現在の段階におきましては、いややるのだ、銀行から金を借りるのだ、こういうふうにがんばられますと、なかなかその辺の認定がむずかしいので、ついいま仰せのように場所だけとっておくというふうなものが、ある程度あるというふうに承知いたしております。これにつきましては、やはり法制的に非常にむずかしい問題だと思いますけれども、資格能力なり実行の意思なりということを十分確認できる方向に持っていかなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
  67. 山田長司

    ○山田(長)委員 法律がそういう規定になっておるにかかわらず、権利確保のために明治四十年、大正三年、大正十一年という古い歳月から今日まで毎年毎年書きかえをしているとしたならば、これは一体どういうことになるのです。私は、これは国民健康衛生上から考えてみても、温泉というものが公共性に非常に大きい役割りをしている上において、そういう確保のしかたをされているということは、違法だと思うのです。これをもし県当局あるいは厚生省等がそのままにしておくとしたら、一体どうするのです。明治から今日まで毎年毎年書きかえている、こういう場合はどうします。
  68. 今村譲

    今村政府委員 そういうふうな件数は、たとえば静岡県でも、大体三千件というふうな温泉の登録といいますか、許可を受けた者のうちに、実際に動いているのは六〇%、四〇%は休廃止——もう出なくなった休廃止の問題もあり、あるいは権利だけ確保して着手しないというものとが、大体四〇%くらいあるのであります。ただしその中で、先生のおっしゃるような次々書きかえ書きかえで来るものについては、現実の問題としましては、県ができるだけそれを何と申しますか、説得で全部おろしておるというふうな努力はしつつありますけれども、それはやはり法律的な問題として、二十三年に温泉法ができました当時は、一年間に着手しなければそれを取り消すことができる。当然失効にはなっておりません。そこのところは、当然失効なら当然失効というふうに踏み切らなければならないであろうというふうな感じを持っております。ただ、そのほかに、温泉権の問題、あるいは温泉の乱掘防止の技術的な認可基準の問題、いろいろからまってくるものですから、そこまでこういう法案でまとめる、こういうところまでは多少の時間はかかると思いますが、お話しの問題は、いま十分に検討しまして、その方向に持っていきたいと思います。
  69. 山田長司

    ○山田(長)委員 大臣に伺います。温泉が一個人の所有になるべき筋合いのものではないという見解を私は持っている。しかし、現在の世の中においては、投資をし、事業を興した人の私有物化してしまうという形は、やむを得ないとしても、そういう長い歳月にわたって——私は一地方に限ったことじゃないと思うのです。全国至るところにそういうものがあると思うのです。これは国民健康上から考えてみても、自然に噴出しているお湯というものを、そういう形で確保しておくという形ではなく、もっと広く国民一般に及ぼすことを考えてみられるような方向法律をこしらえて出したならば、もっと国民がお湯に親しむ機会が、私はあるだろうと思うのです。この点について、明治から、大正の初期からなお確保しておくという事態を許しておいてはいかぬと思うのですが、大臣はどう考えますか。
  70. 小林武治

    小林国務大臣 先ほどもお話がありましたが、厚生省は温泉の利用とか監督とかについての所管の権限を持っておりますが、率直に申しまして、私は、いままでいまのような温泉法をそのままにしておいたことは怠慢であった、こういうことを考えておるのでありまして、温泉というものは一つの国家資源だ、こういうふうな考え方を私は持っております。そういうたてまえで、いまのように単に府県知事に包括的に委任しておるという方法は、私は、いまの社会通念に合わない、こういう考えを持っておりまして、単なる私権の対象にするというようなことも含めて根本的に直さなければならぬということで、いま法律を——私はできるならばこの国会にも出したかったのでありますが、まだそこまでいっておりません。どうしてもお話のような不合理がありますので、私は、根本的に温泉に対する考え方を変えて、法規を直さなければならぬ、こういうふうに考えております。
  71. 山田長司

    ○山田(長)委員 わかりました。その点はひとつそういう形で実行に移していただきたいと思います。  次に、私はこれも大臣の抜本的なものの考え方において処理してもらいたいと思うことは、全国各地に、お湯でなくて全くわかし湯で、それでかつて枯渇する以前の状態の看板を出して、これは胃にいいとか、腸にいいとか、あるいはリューマチにいいとか——いまはお湯をわかしているのですから、そんなものは絶対にないはずなんだ。そういうわかし湯が、これはまるで国民の健康上に利益があるがごときことを言っていることは、詐欺ですよ。なぜこういう問題について、もっと監督の衝に当たる人たちは、国民の健康上から考えてみても、ほんとうにからだのためにいいのかどうか——もっとも、それが芸者を上げて遊ぶ場所だというならば、問題はおのずと違いますよ。それじゃなくて、やはり健康上からお湯の奨励がなされている。そして看板にもちゃんとカロリー、成分までが明確に出されている。しかるに、その実態は、ちゃんと大ボイラーを擁したわかし湯だ。これはいまは私はどこの地方と言わないけれども、おそらく厚生省当局はちゃんと知っておると思う。国民にうそを言っちゃいかぬですよ。健康上からいっても、ちゃんとお湯はわかし湯であるならわかし湯であるということの証明をしなければいけない。ほんとうにカロリーがあるならば、カロリーがある形のもので明らかにしなくちゃならぬと思うのです。カロリーがあると思うからこそ、たくさんの金を払う。ただ泊まって寝具にあたたまるだけのものじゃない。国民は、自分のからだにいいと思って入っている人がいるのですから、それが全然からだのためにいい成分がなかったというのは、詐欺ですよ。こういう点について、大臣はどういう所見を持っておりますか。国民の健康上から考えて、抜本的にこれを処理しなければならぬ事態に私はきていると思う。中には、はなはだしきに至っては、一ぺん入って流して、それをろ過してまた使っている、そういうところがある。私はちゃんと知っているのです。こんなことで国民の健康が保てるかどうか、大臣の所見を伺いたい。
  72. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話しのように、もうお湯が出ない、そこでわかしておる、こういう事例はしばしばあります。これらの調査もいたしておりますが、これは御承知のように、非常に隠したがっておる。これはわれわれがたとえば臨検してどうこうというふうなことは問題があるわけでありまして、私どもも、温泉法を改正するにつきまして、こういうふうなものもひとつ資料として集めたいと思って、いま調査をいたしておりますが、業者といえども、この問題につきましては非常に微妙な問題で、これを資料として出すことになかなか協力をしてもらえない、こういう事例も現にございます。しかし、いまの温泉というものは、ただ温度があるということで、何か私もよくわかりませんが、二十何度以上あれば温泉だ、こういうふうなことをいたしておりますし、成分の問題は、その湯なり水なりの中の成分の問題でありまして、熱とは別の関係になっておる、こういうことであります。成分そのものは、そこの土地の衛生試験所あるいは国の衛生試験所、こういうところで認定をしておるものもありますし、そうでないものもある、こういうことでありまして、国のしているものについては責任がある、こういうことでございます。いずれにいたしましても、いま温泉温泉と称して、たとえば二十度ないものを温泉だといってやっているところもありますし、そういう問題についても私は実態を国民に明示すべきものだ、こういうふうに思いまして、それらのこともひとつあわせて考えていきたい、かように考えております。
  73. 山田長司

    ○山田(長)委員 環境衛生上から考えてみましても、私は医学的な知識はありませんけれども、一ぺん流した湯をもう一ぺんろ過して使う。またその湯をろ過して使う、またその湯をろ過して使う、こんな事態が何回となく繰り返されても、そのお湯というものはやはりきれいな性質のものであるのか、どうなのか。私は、少なくとも環境衛生という部門が各自治体にもあり、厚生省にもあって調べます以上は、それが何十ぺんとなくろ過されているお湯が何ら国民に障害がないのだということは、了解できないです。こういう点について、営業許可を与えるときには、かなりむずかしい条件をつけて営業許可を与えております。それが一たび営業を開始してしまったならば、お湯であろうとなかろうと、成分があろうとなかろうと、何べんろ過しようが、そんなことはかまわないのだ、そんな理屈はないですよ。こういう点について、もっと環境衛生の見地から、営業許可を与えた以上は、その営業許可を与えたあとの責任を厚生省あるいは県の環境衛生の仕事をやる者として当然持たなければならぬ筋合いのものです。知らないうちに国民がこれによって不健康になったとしたら、どうするのですか。この点について、そういうふうに何べんろ過してもかまわないのですか。そういうものは調べないでおくというのですか。毎日ろ過されて使われているのですから、この点は急を要することだ。大臣はこの点どうお考えになりますか。
  74. 小林武治

    小林国務大臣 そういう方面につきましては、これは保健所が監督しておるわけでありますが、十分行き届いておらぬ面があると思います。ただ、ろ過そのものにつきましては、現在でも、たとえばプール等につきましても、初めからりっぱなろ過装置をつけまして反復使用しておる、こういう例もありますが、ろ過したあとの水質についての汚濁度と申しますか、こういうものについては、こちらが監督しなければならぬたてまえになっておるのでありまして、ろ過そのものを禁止しておる、こういうことはございません。しかし、その結果の汚濁度というものは、私どもは責任を持って調べなければならぬ、こういうたてまえになっておりますが、それが十分行き届いておるかどうかということにつきましては、われわもれ疑問を持たざるを得ないので、十分留意をさせたい、こういうふうに思います。
  75. 山田長司

    ○山田(長)委員 これは注意だけじゃだめですよ。やはり環境衛生の係というものが各県にあり、指導の衝に当たっている厚生省が存在する以上は、注意なんというなまやさしいものじゃいかぬですよ。これは明らかに医学上の問題と見て私はいいと思うのです。注意をするくらいでそのままにしておいたのでは、これは、国民の健康上からゆゆしい問題ですよ。建物だけはりっぱで、その中身は、ろ過してばい菌がないんだと称していながら、年がら年じゅう前のお湯を使っているという状態が繰り返されて、それで注意で済むということではいかぬと思うのです。これは大臣の気にさわるかもわからぬけれども、全国的な大きな組織があって、圧力がかかっちゃって何ともすることができないということを言っている人がいます。私は、そうは信じたくないのですよ。信じたくはないんだけれども、そんなことを、注意して済むということになれば、なるほど、これは圧力がかかって厚生大臣といえどもどうすることもできないのじゃないかしらというような印象を持つのです。そんなことはないと思いますけどれも、やはりこれはもっとしっかりした態度で——各地を合わせると、一日何万人、何十万人の人たちが入っているかわかりませんが、その人たちがほんとうに安心して入れる姿にしてやるのが、厚生省の環境衛生の仕事だと私は思うのです。この点、すみやかに注意をするくらいじゃなくて、もっと本気になった態度で臨んでいただきたいと私は思います。どうですか。
  76. 小林武治

    小林国務大臣 いまの圧力云々の問題は全然ございません。しかし、お話しのような心配がありますので、私は、具体的にいろいろの温泉旅館等についても水質検査というものを随時させまして、そして違反があれば処置をする、こういうことにするようにいたします。
  77. 山田長司

    ○山田(長)委員 私は、今度の予算の中に、ばい煙の公害についても予算が組まれたということについては、敬意を払います。実はこの問題につきましては、私は、数年以前から、公害の問題の中に、光とにおいと汚濁とばい煙とを取り入れなければいけないということで発言をしておった一人でございますが、このばい煙の検査は、いま大臣お話によると、全国で四カ所やっておるということでありますが、四カ所以外に、やはり各地区にこれらのことに関連のある個所と思われるところはやらなくちゃいかぬと思うのです。ところが、残念でありますが、一たび県になりますと、ばい煙を出しておるようなところは、県はいろいろ金を常に出してもらうことがあったり、地方自治体も固定資産税を出してもらっておったりする関係上、言いたくても言わずにいるのです。これはある地方の話を一応するわけですけれども、植物に灰がついちゃって——これは煙が出ていると町民は思っているんだけれども、実際は煙じゃなくて灰なんです。セメントの粉なんです。それで、三度洗っても四たび洗っても落ちないのです。それを食べるものですから、それが腸や胃に付着すると見えまして、病院には、いつ行っても、五、六十人の盲腸患者と称するものが入っております。私はあとで地名を言いますから、ひとつその土地に厚生省は行ってもらいたい。数年前に厚生省でそこへ行こうといたしましたら、県でそこへ行くことを阻止したかのような印象を私はあとで持っておりますが、おそらく行かなかったのではないかと思います。これは年じゅう盲腸患者と称してたくさんの患者が町立病院に入っている。どういう医者が盲腸患者と言いましても、私はもう信じなくなりました。そういう点が、やはり大工場周辺には往々にしてあると思うのです。それで今度調査をする予算が組まれたということについては、まことに喜ばしいことでございますが、これはでき得る限り国民の健康上から考えてみて、ばい煙のたくさん出ている各地に厚生省からじかに乗り込んでいって調査をする。なかなか、自治体では、これは常に寄付をもらっている関係やなんかで、本気になって調査ができないのです。それをどうしてもやってもらうために、場合によったら厚生省からじかにでも乗り込んでこれらの調査をやってもらわなければならぬ筋合いだと私は思いますが、その点について、大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  78. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話のとおりでありまして、いま現に規制をしているのは、北九州、阪神、京浜、この三カ所でありますが、ことしの四月一日から四日市にこれを実施しております。さらに今年のうちに名古屋、塩釜、千葉、こういうようなところも、どうしてもやらなければならぬと思っております。お話のように、地方におまかせしたのでは十分な調査ができません。四日市にも、われわれが中央から任命した調査団が行って結論を出された。最近におきましては、沼津、三島地区にこういう工場ができるというので、これにも私どもが委嘱した調査団が参ることになっております。どうしても中央が独立してこれを調べなければならぬということは、お話のとおりであります。必要度に応じて中央が直接これを調査をする。  それからいまの問題はばいじんの問題でありますが、この煙でないじんはある程度フィルター等によって相当な除去ができる、防禦ができる、こういう事情にもあるのでありますが、お話のようなものはまだそのフィルターの関係が不十分であるというふうに考えられますので、これらも必要によってひとつ調査をしたいというふうに考えております。
  79. 山田長司

    ○山田(長)委員 厚生省国立公園の中に建物を建てるということについては、色のぐあい、建物のぐあい公園の美観を損しない建物を建てなければならない筋合いのことはわかりますが、御承知のように、いま自民党でも国有地の開放のことを盛んに研究されているようですし、それから森林基本法の問題についても、農林委員会に提出された法律審議をされている最中です。おそらく国立公園内における開放の問題についても、当然これらと関連して、山のレクリエーションのために土地を貸してくれ、建物を建てたい、こういうことで自治体や学校やあるいはその他の文化諸団体からの申請等があると思うのです。これらについて、私は、やはり農林省及び厚生省もともに力を合わせて、国民の健康上からいっても、海岸の汚濁に近い夏などの海水浴場よりも、はるかに山のほうが健康的だと思うし、——実は山でこういう話を聞いて私はびっくりしたのですが、無人売店を出した人が、私のところに去年の秋来ました。ことしの夏こういう試みをやってみたが、すばらしい成績をあげた。山には悪い人は一人もいないですなと言うのです。それは尾瀬へ行くところに鬼怒沼というところがありますが、その鬼怒沼に人を置かない売店を出した人があるのです。それで、キャラメルやサイダーやジュースその他を置いて、たばこは特にしけるから箱の中に入れておいて、ちゃんと値段を出しておいたところが、半月目に集金にいったところが、五百五十円余分にあったというのです。その人は私のところに来ますから、名前も住所もちゃんと知っておりますけれども、朝日新聞がこのことを、去年の秋、山の道徳衰えずということで報道しましたが、山を歩かれる人は、海べの人よりも、そういう点で確かに道徳がすぐれているのだという印象を私は持ったのですけれども、そういう人たちがどんどん山へ入って、やがていまのままでいくとどういうことが起こるかわからないけれども、やはり山に入れる条件を——建物の色が悪いとか、建物のかっこうが悪いとか、山に似合った建物でなければならぬというようなことについては、厚生省も指導しておると思いますけれども厚生省が指導しておるということを一般国民が知らないのです。残念だけれども、まだ知らないでいると思います。それを厚生省が指導しているということになれば、山へ入るために、自治体の人や、あるいは文化団体の人や、あるいは民主団体の人たち等が、もっと厚生省の力をかり、農林省の力をかりて、山に大ぜいの人たちが入れる自分たちのうちをつくるようになるだろうと思うのです。この点について、何らかの形で、平易に山へ入れるような指導を、いまよりも積極的にやったらいいのではないかと思うのですけれども、この点、大臣はどうお考えになりますか。
  80. 小林武治

    小林国務大臣 私は、国立公園というものが、従来ただ景観を保護する、保全する、こういうふうな消極面に非常に流れておって、山の活用という方面をむしろおおろそかにしておった、こういう感じを持っておりますので、これを積極的に国民の保健あるいはレクリエーションのために活用されるようにつとめるということをこれからいたさなければならぬと思っておりまして、お話しのようなことも、ぜひひとつ宣伝とか啓発とかいたすことにしたいと思いまするし、なおいろいろの条件が従来非常にきびし過ぎまして、国民にかえって非常な迷惑をかけておる、こういう面があるので、これをもう少し弾力的に扱えということを、いま私はやかましく指示をいたしておるところでございます。
  81. 山田長司

    ○山田(長)委員 時間の関係あと二点伺って、私の質問を終わります。  先ほど山内委員から看護婦の不足の問題が言われましたが、さらに私は医者の立場のことを申し上げたいのです。あまり喜んで国立病院の医者にならない、そういう点で何人かの不足を生じているという話でありますが、若い人たちは待遇だけじゃないのです。やはり若い医者は、研究する場所を欲していると思うのです。研究する場所が医者に何らかの形でなければ、不便な地方に、国立の病院だからといっても、おれはそこに行きたいという人が私はなくなるのも無理はないと思うのです。この点について、地方に行かれる厚生省国立病院に働く医者の問題は、待遇だけではなくて、何らかの研究が将来に向かってできるような方途が講ぜられてしかるべきだと思うのでありますが、この点について何かのお考えがありますか。
  82. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話のとおりでありまして、最近、単に待遇の問題ばかりじゃない、自分たちは勉強したいんだ、研究をしたいんだ、こういうお話がありまして、多少研究費というものが出るようになりましたが、しかし、このためには、これらの方々が東京なら東京に来て、あるいは三月、半年勉強できる、こういうふうな方法もこれから講じていきたいと思っております。いま御指摘のようなことは、ぜひ私ども厚生省としても考えなければならぬ、かように考えております。
  83. 山田長司

    ○山田(長)委員 日に日に進む医学の世界に若い人たちが入って、いまいろいろ悩んでいるのです。大臣のいまの御答弁で、東京へ来て勉強ができるような機構をつくってやるということであれば、ずいぶん私は喜ばれることと思うのです。どうぞその点はそれを実施をしていただきますようにお願いをいたします。  次に、先ほど大臣のおことばにも出ました麻薬の問題です。国民健康の立場から考えてみても、麻薬の取り締まりの問題というのは、麻薬検事などというものがあって、ずいぶん苦労をされておるようでありますが、一体どういうルートで入ってきているのかというルートは、当然あなた方でもこれらの関係者からお聞きになられて、入ってくるルートぐらいは見当がついておるものと私は思うのです。もしついておるものとするならば、そのルートをいかにして断つべきかということについて、やはり当局の力を借りて、これをいままで以上にしっかりした態度で取り締まったならば、国民健康上からいってもずいぶん違ってくるのではないかと思うのですが、この麻薬のルート等については、全然わからぬものですか。
  84. 小林武治

    小林国務大臣 これらは警察と厚生省の取締官と協力してやっておるのでありますが、麻薬そのものは、数字を申し上げれば、正規の麻薬というのは日本で年額五十五トンあれば済むわけでありまして、国内生産というのは、そのうちたった五トンくらいしかない。あと五十トンくらいは輸入にまっておる、こういうことで、生産地が中近東、こういうことでありますので、私どもは、麻薬は外から入ってくる以外にないので、水ぎわ作戦と申しまして、とにかく港等においてこれが入らないようにするということに一番大きな力を入れているのであります。私どもは、できれば麻薬関係は、生産地にも人を出して駐在をさせたいくらいに考えて、それを大蔵省といろいろ協議いたしております。まだそれを実現いたしておりません。しかし、麻薬が見つかっておるのは、いまおもに船あるいは飛行機、こういうところで見つける、こういうようにいたしております。国内は、おもに暴力団の資金源というふうな方法でもってこれが散っておる。しかし、昨年、麻薬犯罪というものは厳罰に処する、こういうことにいたしましたので、これは結果的に非常に効果があらわれておる。すなわち、いわゆる従来の麻薬濃厚地帯というものはほとんどなくなってきておるのでありまして、横浜とかあるいは大阪とか名古屋とか、こういうところの濃厚地帯のほうは活動がほとんどなくなってきておる。いまの状態としては、むしろ地方に分散してきておる。すなわち潜在化してきておる、こういうことをいま考えて、そういうふうな対策をいまいろいろ講じております。しかし、いずれにしましても、こういうふうな法律なり取り締まりなりによりまして、麻薬関係のものは数量的に非常に減ってきているということが言えるのでありまして、現に押収した麻薬なども、非常に量は減ってきております。これらのルートもときどき変わりますし、大きなボス等もそのつど検挙されて、始終移動をする、こういうことでありまして、そういう入るものを水ぎわでこれを防ぐということに非常な力を入れてやっておる。これらについての情報その他についても、非常な注意をしておる。こういうことをひとつ申し上げておきます。
  85. 山田長司

    ○山田(長)委員 麻薬に対する労苦のほどはわかるのでありますが、さらに一段の努力を、国民健康上から考えてみて、尽くしていただきますことを切望いたします。  それからもう一つ、最後に伺って終わりといたしますが、公園のたとえば皇居外苑とか、あるいは京都の御苑とか、新宿御苑、あるいは千鳥ケ渕戦没者の墓地を維持管理するというようなことがございますが、私は、これらの場所を維持する以外に、公園と名のつくところは、みんな大都会の中にあります公園というものについては、厚生省としては努力しなくちゃいかぬと思うのです。実はまだ最近に虎ノ門の公園が、大蔵省その他で勘案いたしましたら坪百七十万円というようなものが、百一万円で売却されておる。あそこは公園がなくなって、虎ノ門公園は、ほんの一角だけに外堀の影をとどめるかきねだけ残されて、ニューエンパイヤにあれが売り渡されてしまいましたけれども、これからこういうことがあってはならぬと私は思うのです。公園と名のつくものは、国民の健康上から言っても、ふやすことがあっても減らしてはならないと私は思います。  そこで、今度のこの改正案の中に出ております新宿御苑等が、学校の設備のために減らされたということがございますが、どういう場合には維持管理をすべき公園が減らされるのですか。これに減らさないとは書いてあっても、公園がちゃんと減らされているのです。
  86. 今村譲

    今村政府委員 いまお話の第一点の、都市公園は、これは御承知だと思いますけれども、建設省所管都市計画の一環としてやるということになっておりますので、むしろ新宿御苑、皇居前広場というのは特殊の事情から、あれは建設省とは別に厚生省所管——これは二十一、二年ごろきまったと思いますけれども、そういうふうにはずれておりますので、いま仰せのように、都市計画上、国民の保健、休養上、どのくらいなければならぬということは、建設省と私のほうと、一応基準の問題の打ち合わせはいろいろいたしますけれども、主管を全部厚生省に持ってくるということは、非常にむずかしい問題ではないかというふうに考えております。  それから、新宿御苑なり京都御苑なり、実はいろいろ土地の需要がございまして、過去におきまして、あちこちから千坪くれとか、あるいは五千坪くれとか、いろいろございました。しかし、現在の東京都の一千万人の人口の中で、せめて大規模なものはあれくらいしかないということでございまして、実際そういうことは困るということでいままでがんばってきておるわけでございます。先生おっしゃいましたのは、あそこのわきにあります中学校の敷地の問題だと思いますが、詳しい事情は、終戦直後のだいぶ昔の話だったと思いますが、何か都市計画上の問題で、かえ地の問題とかいろいろ込み入った問題があったと思いますけれども、具体的にあの事情がどうしてああなったかということにつきましては、いますぐお答え申し上げるだけの資料を持っておりませんけれども、今後の問題としましては、理由のいかんを問わず、どこか一カ所切り離しますと、次から次と同じような前例になって、新宿御苑あたりも空中分解してしまうというようなおそれがありますので、どんな場合でも、あれはあのままのかっこうでいきたいという気持ちは持っておるわけであります。
  87. 山田長司

    ○山田(長)委員 私は、あの土地が学校になったことがいいとか悪いとかいうことを聞いておるのではないのです。せっかく法文化して、こういうものを審議をして、それでもしあの二の舞いのような形が生まれてくるとすれば、「維持管理すること。」という法文までつくっても意味がなくなる危険を感ずるから、あれはどういう事例で分割したのかということを聞いたわけです。その点、やはり規定を設ける以上は権威を持たせなければならぬと思うから伺っておるわけですから、大臣、その点をひとつ……。
  88. 小林武治

    小林国務大臣 公園あるいは広場を持つということは、都民生活に絶対必要なことでありまして、いまでも標準に比べて狭過ぎるということで新宿御苑その他国が管理しておるものは、いかなる理由があってもこれを狭くするというふうな措置はとらないということをはっきり申し上げておきます。  なお、きょうも閣議等で問題になったのでありますが、広場が非常に必要だとして、今後ワシントン・ハイツなども、いかなる理由によってもあれを狭めるというようなことはしない、また、へんな建物は一切建てさせない、こういうような決定もされたのでございまして、広場、公園を持つということについては、政府も非常に大きな関心をもってこれを保護、保存するという決意を持っておることを申し上げておきます。
  89. 山田長司

    ○山田(長)委員 終わります。
  90. 徳安實藏

    徳安委員長 村山喜一君。
  91. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 厚生省という役所は、国民の福祉行政を推進して、福祉国家の大きな柱をになっていく役割りを持っておいでになるわけでありますが、そういうような意味からいえば、当然国民の声というものを十分に取り入れていかなければならないものだと思うわけです。ちょうど臨時行政調査会が各地におきまして地方の意見国民の声を収録をいたしたものがございますが、大臣はこの地方懇談会等で出ました意見——これはわれわれのほうにも渡されておりまして、三十八年十二月に出された資料であります。この内容については調査をされ、それに適応した施策を講ずるような考え方をお持ちになるべきだと思うのでありますが、この調査会から出されましたものの内容をごらんになったことがありますかどうか、その点からお尋ねをしてみたいと思います。
  92. 小林武治

    小林国務大臣 私が直接これを全部勉強するというようなことはいたしておりませんが、役所の関係者は、自分の関係のものについてはみな目を通しておるのでございまして、私自身も常に世間の声を直接聞いて、これを行政に反映することにつとめております。実は昨年も北陸地方で一日厚生省というものをやって、広く直接私どもお話を聞き、それを予算なり法律なりに反映する、こういうことにつとめておりますし、また来月は中国地方で同様なことをやって、私どもはいろいろ、書いたものでなくて、ほんとうの国民の声をなまで聞こう、こういうふうな意欲をもっていろいろつとめておるのでございます。
  93. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大臣はこれを見ていない、一日厚生省や、その他厚生省に寄せられる国民の声を聞いている、関係のそれぞれのセクションにおいてはそれについて検討をしているだろうということでございますので、官房長いかがでありますか、これは関係の各局等においては十分検討されておりますか。
  94. 梅本純正

    ○梅本政府委員 先生のおっしゃいますとおり、その問題自身につきましても、あるいは補助金の整理の勧告でございますとか、あるいはその他臨時行政調査会の中間報告、そういう関係が出ました場合には、官房のほうにおきまして直ちに各局のほうにその意見を配付して、それでいろいろの理由なり、あるいは反対である、あるいは改善し得るかどうかということにつきましては、常時検討いたしております。
  95. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 昨日、私たち社会党のほうの行政機構改革の特別委員会で、臨時行政調査会の事務局の諸君を呼びまして、太田メモを中心にしてどの程度まとまるかということでいろいろ検討をいたしたのでありますが、五月中には大体の方針が出る。厚生省関係としては十二の問題点を出したけれども、その中でいまなお問題として残っているのは次のような点であるといって指摘をしたわけであります。その中で、薬務局がいまやっておる麻薬の問題は警察に移すべきであるという結論が出る可能性が強いという見通しであります。それと、地方医務局を廃止すべきである。大体その二つの問題が焦点になるのではないかという見通しを聞いたのでありますが、そういう立場から臨時行政調査会の動き等については、あなた方はもちろん十分に関心をお持ちになっていらっしゃるはずだし、それに対処して、それに対する反駁等も十分なさる用意もあるだろうと思うのでありますが、これらの問題について、現段階において、先ほど山内委員に薬務行政の問題についてはお答えになりましたが、地方医務局の問題については、どのような見解をお持ちになっているかをお尋ねいたしておきたいと思います。
  96. 梅本純正

    ○梅本政府委員 現在のところ、地方医務局の仕事といたしましては、国立病院、国立療養所の関係の事務を所管いたしておりまして、ちょうど当該病院、療養所と本省との中間的な管理機関という性格を持っております。そして国立病院、療養所の職員の人事、労務の管理、専門的業務の指導、経理その他会計全般の指導監督を行なっておりまして、現在の国立病院、療養所の数から見まして、ほかの省のこういう国立施設に比べましては、相当人員施設数及び予算でございます。したがいまして、当然本省におきましても、管理局あるいは経理局というふうな局単位のものをもちまして管理をしてもいいのではないか、比較論でございますけれども、そういう考えもできるわけでございますが、できるだけこういう国民に直接関係のあるという機関、すなわち患者を扱っております機関でございますので、本省のほうは課程度にいたしまして、地方部局として中間的な管理機関を設けておるわけでございます。業務量から申しましても、やはり当然現在のところ必要なものであるというふうに考えておる次第でございます。
  97. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 その問題につきましては、いずれ答申等が出てまいりますので、その際触れてまいりたいと思いますが、今回三百六十八名の定員が増加され、その中で付属機関であります国立療養所、これは逆に百九十八名の減ということであります。もちろんその職員等は国立病院や国立がんセンターのほうに吸収されるということになるだろうと思うのでありますが、先般私の選挙区の阿久根という療養所に参りました。そこに入院しております患者の人たちに集まっていただきまして、いろいろ患者の意見を聞いたのであります。その中で、実は自分はこの前までは生活保護によって療養を受けておりました。ところが、今回結核予防法の対象として取り扱いをされるようになって、いわゆる命令入所という形へ切りかえをされました。ところが、そこの療養所は結核専門でありますから、胃の関係あるいはガンの関係については、これは取り扱いをしてくれない。まあくれる薬は胃散程度の、問に合う程度のものしかくれないので、どうも胃かいようの心配があるので鹿児島の大学の病院に診察を受けに行った。ところが、それはおまえのかってで診察を受けに行ったんだから、それの旅費等については、おまえは結核予防法に基づいて入院をしている患者であるから、そういうような治療を受けたり、診察を受けたりする費用というものは出すことはできない。だから、それはおまえの自己負担によって処理していくべきだということで、それの問題については全然措置をしてもらっておりません。私は、現在金がないので、鹿児島までいく汽車賃と、それから診療費等については患者の同室の人たちからお金を借りて行っておるんだ、こういうような話であります。そこで私は患者の人たちに聞いてみたら、結局こういうような結核だけを専門にする療養所であると、総合的な治療、診療ができない、そこに欠陥があるのではないかということで、これをそういうような国立病院のような形にしてもらいたいという要請を受けたわけであります。ところが、いろいろ客観的な事実を調べてまいりますと、とてもそこに国立病院まで昇格をさしていくような、そういうような地域的な状況にきていない。とするならば、その療養所を廃止をされるというようなことが、今回もこのようにして出ているわけでありますが、そういうような国立の療養所なり、あるいは国立の病院なりの患者の取り扱いというような問題を考えてまいりますと、やはり国民一人一人については、それは国の費用によって治療を受けておる立場があって、非常に遠慮はいたしておるわけでありますけれども、そのような治療を受けるのにあたって金の出どころがない、こういうような状態にあった場合には、国民の健康を守るという厚生省本来の機能的な役割りが果たし得ないのではないか、そこには何らかの行政の欠陥があるんじゃないかというふうに考えたのでありますが、そういうような事態が現実において出ておるということは、あなた方も御承知のとおりであると思うのであります。この意見書の中にも出ておりますが、ある町において、国民健康保険の取り扱いの診療対象からはずされておるがために町費を持ち出さなければならないというような、そういう実例等も報告されておるようであります。これは宮城県の人の意見でもありますが、結核検診は国から三分の二程度の金をもらってやっておるけれども、最近は市民からガンの検診であるとか、あるいは高血圧の検診の希望が多い。そこでこれらの予防検診事業はまだ法制化されていないので、地方の自治体の負担で実施せざるを得ない。そういうことで、自分の町では三年ほど前からやっておるけれども、ことしは町から八十万円も出しておる。受診者一人からは一人当たり二百五十円をとって胃腸病の検診を計画しておる、こういうようなことの報告もございます。そういうふうな立場から、現実に厚生省がおやりになっておる国民の健康を守るという予防治療、そういうような問題について、各行政機関の中における一貫した機構というものがつくられておるのかどうかという点を感じましたので、それに対する御質問を申し上げたわけでございます。したがいまして、今回国立療養所百九十八名を減員をされる。これに関連をいたしまして、そのような行政機関のあり方の問題について、どのようにお考えになっておられるかを説明を願いたい。
  98. 梅本純正

    ○梅本政府委員 国立療養所の定員の減につきましては、まず大きな減は、結核療養所の定床の減でございます。これは御承知のとおり、結核入所患者が定床に比べまして恒常的に定員一ぱいになっていないというふうな点が、一つの大きな要素でございます。それからもう一つの点は、らい療養所におきましてもそういう状況でございまして、定床の減でございます。それが中心でございまして、ちょっとお話があったかと思いますが療養所を廃止したり、そういうような大きなものでございませんで、全国の療養所の中の全体の定床の減ということになっております。その定員の減をいたしましたけれども、そのほかの点につきましては、いわゆる振りかえというふうな形におきまして、衛生検査の強化でありますとか、あるいは看護の強化、こういう点につきまして結核療養所に重点を置きまして、人を振りかえましたり、あるいはらい療養所におきましては、患者付き添いの増員あるいは看護強化、それからまた精神療養所の麻薬病床への転換、こういうふうな形で人員の増をいたしたわけでございまして、その点につきましては、今回の国立療養所の定員の減は、いわゆる医療機関あるいは機構というものについて、特別に重大な変更を加えたというふうな内容のものではございません。こういう意味で御了承願いたいと思います。
  99. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 機構の改廃によるものでないということはわかりましたが、先ほど私が一つの例として取り上げました具体的な国民の健康を守るという立場からの生活保護によるところの医療扶助、それから結核予防法によるところの治療、それと併発をする、そういうような状況、これらに対する国立病院相互同士のいわゆる患者に対する取り扱いの一元的な運営というものについては、どういうふうにお考えになるかをお答え願いたいと思います。
  100. 梅本純正

    ○梅本政府委員 御指摘の点でございますが、御承知のように、医療機関の問題、それの裏になりますおのおの医療費の保障の問題、そういう関係につきましては、冒頭に大臣が申し上げましたように、われわれの省の行政といたしましては、終戦処理という意味でいろいろの障害を乗り越えて治療に没頭をしてきた、こういうことでその点日常の業務に追われてまいりまして、しかもまた一方財政が不如意であったという点で、いろいろの法律のたてまえから、保険であるとか、あるいは予防法であるとか、あるいは生活保護であるとかいうふうに、結論から申し上げますと、脈絡なしに日常の業務に追われて発達をしてきた。そういう点で御了解願えると思いますのは、厚生省予算にいたしましても、十年間で五倍にふえておりますし、この五年を取り上げましても三倍にふえておるということで、今後の問題といたしましては、御指摘のように、同じ省の中におきましてだけでも総合的に調整を十分いたしまして、国民の側に御迷惑のかからないような形に、主として官房を現在のところ中心にして調整をしていきたい。先生御存じと思いますが、同じ医療機関で、医療費の請求にいたしましても、同じ厚生省の中であらゆる法律に基づいて金が出るということで、いわゆる請求書なりあるいは提出書類なり、様式だけでも相当数にのぼっておる。少なくともこういう書類だけでも統一できないかというふうな問題も、相当前から検討いたしておるわけでございまして、その点、日常の業務に追われてきましたが、今後につきましては十分に調整をとりまして、中央におきましては金の出どころは別々でございましても、末端におきまして、あるいは患者側におきまして、統一された形で運用のできるように努力してまいりたいと考えております。
  101. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大臣、いま私が申し上げましたように、一人の個人を対象にして取り上げてみますと、そのような同じ厚生省の管轄内におきましても、官房長から話がありましたように、非常に無理な状態が存在をしておるわけです。特に療養所あたりに入っております患者あたりが言うのには、最近生活保護の医療扶助を切られて、そして結核予防法に基づく命令入所に切りかえられた。そうなると、生活保護の適用を受けている間は、いろいろな日常の生活に必需な品物をある程度支給をされて、少ないながらもやっていけるような情勢があるけれども、この結核予防法による分はそれがない。それだけ自己の持ち出し分が大きくなる。しかし、財産があればそれは何も申し上げることはないけれども、現実に自分の生活は変わらないのだ。前からここにずっと数年も入院をして、そして生活条件は変わらないのに、そういうような形に持ち込まれている。これは行政上の必要性に応じて私たちがしわ寄せを受けるのだ、こういう考え方、とらえ方をするわけですね。そうなってまいりますと、やはり総合調整を大臣のあたりで考えていただかなければならないのではないかと思うのでありますが、そういうような国民の一人一人にとって、基本的な人権を守っていくという立場から考えますと、役所の縦割りの組織におけるところの争いというものが、十分に国民の間に理解をされないままに、そういうようなおかしなかっこうで下のほうにしわ寄せがくる。こういうような実態を、厚生大臣としてはどういうふうに今後救済をされるお考えであるのかを承っておきたい。
  102. 小林武治

    小林国務大臣 私は、いまの生活保護によるものと、措置入院ということによるものと、日常生活上どれだけの差があるかということを、いまよく存じておりません。しかし、そういうふうなものがあれば、ひとつ私もよく調べてみたい。実は世間では、命令入所の数をもっとふやせという要望が各地方から非常に強いのでありまして、私は、いまの結核予防法によるこのほうが治療上非常に効果をあげているのじゃないか、こんなふうに考えておりますが、何か医療扶助からそっちへかわればこういうふうなものが非常に不自由になる、不便になるということを、私はまだよく聞き及んでおりませんので、よく調べてみたいと思います。
  103. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 御承知のように、結核予防法等によって命令入所する場合には、これは地方公共団体の負担が少ないわけです。ないわけですね、市町村等においては。だけれども、生活保護法に基づく場合には、これはやはり県の負担というものがありますね。そういうような、いわゆる地方自治体の負担率の問題等が、実は問題点なんです。そうして地方自治体側といたしましては、こういうような自己財源を持ち出したくない、できるだけ国の費用でやってもらいたい、こういうようなところからの原因が一つあります。  それからもう一つは、自分が所管をしております国民健康保険、これの経理内容会計内容の面から見た場合に、そういうような精神病なりあるいは結核病の人たちをかかえておりますと、非常に治療費がよけい要る。だから、勢い会計全体が赤字になってくる。だから、これを切り離したいという要望があるわけです。そういうような点から、結局今度はそのしわ寄せがどこにいくかということになると、いま申し上げましたように、生活能力のない非常に気の毒な人たちの上にきているわけです。こういうようなことは、大臣は御承知だと思うのです。そういうようなのを総合調整の役割りを果たしていただかなければならないのは、大臣なり次官という立場にある人たちで、同じあなたのところでやっている生活保護の問題、それからそういうような医療保障の問題、これは当然厚生大臣が自分の所管内の問題について総合的な調整的役割りを果たされなければ、それは各局ごとに分割してそれぞれ縦割りの行政で進んでいったら、非常に困るわけです。そういうような点については、官房長そこにすわっておられるわけですから、あなたのほうから官房長としてそういうようなことを大臣に言うて、そうして積極的な役割りを官房長みずからが果たされなければならないと思うのだが、その点はどうですか。
  104. 梅本純正

    ○梅本政府委員 先ほど申し上げましたように、機構の問題とも関連いたしますし、発生的にいろいろ——たとえば生活に困っている方としました場合に、金が出ていく資源も、公的扶助あるいは社会保険、あるいはその他の予防法、そういう関係から、発生的に相前後してそういう形になってきたわけでありますが、その点の調整問題につきましては、やはり対象は一人の患者でございますので、その辺、現在のところまでの形は、解釈がつく限りできるだけ公的な費用でその方が治療でき、あるいは療養できるようにという形で発生してきたわけであります。前前から、相次いで国民皆保険というふうな形にもなりましたので、この調整の問題につきましては、事務的に常に検討をいたしておるのでございますが、なかなか大きな問題でございまして、先ほど申しました金の申請書類の様式だけでも、いろいろ法律のたてまえといいますか、いわゆる役人らしく申し上げれば、法理論との関係まで及んでまいりまして、非常に困難な事態がありますが、この点早急に努力をいたしまして、また大臣におきめを願うような問題が生じ、あるいはまた個々の具体問題が発生しましたつど、解決できるものは解決していきたいというように考えております。
  105. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで国民の医療、国民のための行政、こういう考え方から出発をしていくならば、今回国立公園部国立公園局に昇格する、こういうような局の新設をすることも、それはいいでしょう。しかしながら、その中において総合的な調整的な役割りというものが、いま官房長もお話しになったように、各省にまたがる問題は特にそういうようなのができていない。厚生省一つとってみてもそれができていないということが、自己批判の中からも生まれてくるような状況になっている。それでは、官僚のための行政機構のあり方ということになってしまうのではないか。国民のための福祉行政を進めていく上において、すべての政治というものが生まれてこなければならないのに、現在はそれがさか立ちをしている姿になっている。こういうような実態を国民の側にとりましては感ぜざるを得ない、このような状況の中にありますので、その部内の問題については、大臣がその内容的なものがわからないというようなことではなしに、そこら辺をもっと十分に検討をして、思いやりのあるあたたかい政治をやるのだというたてまえから、大臣は取り組んでいただく決意を国民に示していただきたいと思うのでありますが、いかがでありましょう。
  106. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話しのとおりでございますので、さような決意をもってこれに当たりたい。なお、ただいまの生活保護と措置入院との違いというものは、私、まだ不勉強で認識を持っておりませんので、至急調べまして善処したい、かように考えております。
  107. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、国民の声を聞いてみた中では、厚生省に対して何を一番要望をしているのかということを取り上げてみますと、官庁の業務が非常に遅延をしている部類の中で、集中的にあらわれているものとして、厚生省関係では、恩給関係の審査、査定、決定という業務が非常におくれている。これはわれわれもいろいろな人たちから依頼を受けまして、それぞれ当たっているわけでありますが、援護局関係の業務が最も渋滞している、こういうようなものをすみやかに処置してもらわなければ困るというのが、国民厚生省に対する第一の苦情点であります。そういうようなものから考えた場合に、もちろん援護業務というものは、もうピークを越して、あとにはむずかしい問題だけが残っている。そうして、新たに追加されたものがまた新規の要素として加わってくる、そういう中においては、あまり人員をふやしても、将来それをどういうふうに処置するかということになればまた困る問題もあるということもわからぬでもありませんが、現在何カ月もかかる、六カ月も八カ月もかかるような状態というものは、これはもっとサービスを強化してもいいのじゃないかと思うのであります。そういうものは緊急性を要するというふうに私は思うのでありますけれども、そのような改善業務についてはどういうふうに部内では検討されたのでありますか。
  108. 梅本純正

    ○梅本政府委員 最近の新しい業務統計を私のほうにまだ報告を受けておりませんし、手元に持っておりませんが、援護局の業務につきましても、先生がおっしゃいますような一年も二年もおくれておるというケースは、大体処理を完了いたしまして、現在のところは、先ほどおっしゃいましたようにむずかしいケースばかりでございますが、いまの処理といたしましては、大体数カ月で処理を進めておるというふうに聞いております。御承知のとおりでございますが、援護局の業務につきましては、昭和二十八年ごろには千七百名をこえる定員を持っておったわけでありますが、現在は四百数十名の定員になっておりまして、最近新聞で御承知のように、二百万をこえる戦没者の叙勲の仕事をまた付加されてきたわけであります。いままでのところ、御指摘のように非常に遅延をいたしておりましたのは、何ぶん前の戦争で戦死をされ、あるいは戦死をされた遺族の方に対する仕事でございましたのが一つと、それから、援護法のたてまえとしまして、国家補償——御指摘のありましたのは恩給法関係でありますが、同じでございまして、恩給法も、やはりそういう国家が雇用したという立場の業務でございまして、したがいまして、恩給法で、御承知のように公務性の認定ということにつきまして非常に厳格な伝統がございます。これが公務に起因する戦没であるかどうかにつきまして、恩給局の要求します立場は、非常に厳格でございます。したがいまして、それを立証するに足る資料ということになりますと、先ほど申しました、前の戦争でなくなられた方に関連する問題でございますので、結局は公的な資料がないということで、各方面に照会をして、公務性を立証するに足る証言なりあるいは何か物品を集めるというふうで、時間がかかっておったわけであります。援護法につきましても、恩給法につきましても、数次の改正によりまして、だんだん公務性の認定ということについて緩和がされまして、特に今国会に御審議をお願いしております法律につきましては、一定の期間につきましては、公務性が立証困難である場合には公務とみなすという段階までまいりましたので、今後の仕事につきましては、非常にスピードアップができるというふうに考えております。
  109. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで今回国立公園局に昇格をされるということになりますが、これの定員は二百五名ということになります。現在何名おるのですか。それで局に昇格をした場合に、三課と六事務所になっているようでありますが、現在のこの二百五名の定員で実際取り扱いができるのは、この六つの事務所関係仕事と、あと国立公園が主体になって、国定公園の場合には地方の都道府県に事務委任をしている。そうして施設に対する補助等は若干ありましょうが、ほとんど予算的には見るべきものもない、こういうような状態が、今日の公園行政になっているわけです。また、それを受けまして、都道府県の場合においても、都道府県立の公園等を設定をいたしましても、中に設けられるところの施設、設備というものは、まことに貧弱なものであります。そういうような現在の業務内容というものから見まして、これを局に昇格させるという必要性、緊急性がどこにあるかという点が、まだ十分な説明がなされていないので、その緊急性の問題について説明を願いたいと思います。
  110. 今村譲

    今村政府委員 最初人員配置の問題でございますが、現在の二百五名というのは、本省に三課ございますが、それが全体で四十七名、それから先ほど申し上げましたように、国立公園の中で、特に集団施設地区といっておりますが、人がたくさん集まり、いろいろな施設をするというところで、厚生省直轄地域が四十一カ所ございまして、これが約三百万坪くらいの地域がございますが、そこを中心とする国立公園の国家公務員としてのレーンジャーといっておりますが、管理する人、利用の指導とか規制とかいろいろございますが、それが定員としまして総員で五十二名、そのほかに国民公園といっておりますが、皇居外苑が三十名、新宿御苑が五十五名、京都御苑が十六名、それから千鳥ケ渕の墓苑が五名ということで、以上二百五名、こういうかっこうになっております。したがいまして、直接行政にタッチしますのが本部の四十七名と、全国に駐在いたしております管理員五十二名でありまして、それ以外の人は、現在持っております皇居外苑三十万坪、新宿御苑の十八万坪というようなものの現実の管理業務ということに相なります。したがいまして、国立公園が大体主力になるのでありますけれども、現在の法のたてまえ上から申しまして、国定公園は、基本的な地域の指定なり、あるいは非常に基本的な公園計画なりは厚生大臣のほうに上がってまいりますけれども、実際の管理は、これは都道府県知事が行なうということになりまして、これは県の行政体制ということになっております。  それから緊急性の問題でございますけれども、これは予算的な面、一つは先ほど申し上げましたように、国立公園国定公園補助金関係だけを申し上げましても、三十年で約四千万というのが、三十九年度で四億八千万ということで、十二倍くらいなかっこうになってきておるというふうな予算面の問題、それから定員が最初七十五名から出発しましたのが三倍近く、二百五名というようなかっこうになってきているという問題、それからもう一つは、都道府県国立公園内部における許認可事務といいますのが、たとえば二十八年をとりますと五百五十件というのが、三十八年度、一部推定が入りますが、千九百件、これは直接に厚生省へ参るものでございますが、そのうちでも、三十年以前あたりは大した観光開発というふうなものがございませんので、それほど大きなものはございませんが、ことにここ二、三年あるいは四、五年というものは、非常に大きなものがどんどんと建つ、その辺が用地の問題から景観の問題、いろいろありまして、そういうふうな問題が複雑化してきておるというふうな事情、そういうふうなものが総合いたしまして、公園部の実際の業務は非常につらくなってきておるのでありますが、一つはこれは行政管理庁のほうともいろいろ相談したのでありますが、官房の中で——官房というのは大体スタッフ業務をやるところでありますけれども一つの実体行政をやるところがそこにあって、官房長、大臣、次官というようなかっこうで動いておるのですが、なかなかその辺は一つの独立部隊のようなかっこうにならない動きにくいという点が一つ。それからもう一つは、予算の面におきましても、これは異論があるかと思いますけれども官房の一部でやっておる、そもそも七十五名から始まったというかっこうが、現在の観光基本法ができ、国際観光と同時に国民大衆の軽便な旅行、容易な旅行というものについて国が積極的な施策を行なうというふうな情勢になってまいりましたので、なるべく早い機会ということで、過去数回大蔵省ともいろいろやったのでございますが、時期としてはいまごろがぎりぎりの線じゃないかということで、政府部内としてはお認めを願った、こういうふうなかっこうであります。観光行政も含み、保健衛生行政も含みまして、一つ行政の実施主体というものを独立させていい時期にきている。その辺で行政の姿勢をはっきり打ち出したほうがいいのじゃないか、こういう時期がちょうどいまきた、こういうふうに私ども考えておるわけであります。
  111. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 観光基本法ができて、観光行政観光政策が推進されていくということは、これは近代的な政策として当然取り入れられることになるわけですが、この内容が、御承知のように、非常に各省にまたがっているわけですね。厚生省がやる分としては、国立公園国定公園の管理施設、それから国民宿舎の建設、大体仕事内容としてはこういうようなものだと思う。そういたしますと、文部省の場合には、いわゆる青年の家をつくったり、あるいは文化財を保護したりするような仕事観光行政の中に入ってくる。さらに運輸省のユースホステルですか、こういうような建設の問題等もあるわけですが、そのほか、森林なんかは農林省、道路は建設省、そういうようなものを総合して、これは総理府のほうで所管をしていく。この中の一つの事業をやっていくのだという形においてとらえていかなくちゃならないと思うのですが、そうなりました場合に、現在の予算が五億九千万円くらいですね。それは従来に比べたならば、だいぶよくなっていることは事実でありますけれども、ほとんどいまのところ国立公園のほうに重点を置いて、国定公園なりあるいは地方団体がやります公園業務等については、これは補助金もない、こういうような状態で、中には見るべき施設等もほとんど見られない、こういうことになっていると思うのです。そうなりますと、一体国立公園局に昇格をしまして、いままで都道府県に委任をしておりました国定公園を、国立公園局ということになれば、当然国立公園と同様にあなた方のほうで積極的にこれに対する助成の方法なり、あるいは政策的にその仕事を自分たちのものとして取り上げてやるのだという意欲のようなものがあるわけですか。そういうような構想は、今後どういうふうにお持ちになるのか。この局に昇格した問題に付随して出てくるものでありますから、尋ねているわけです。
  112. 今村譲

    今村政府委員 それは予算面から見ますと、国定公園につきましては、制度が新しいという意味もございまして、国庫補助金そのものとしてはまだ五千万円前後というかっこうでありますが、これは県のほうの要望なり何なり非常に強うございます。それは国立公園は大体百八十万ヘクタールくらい、国定公園というのは大体五十四万ヘクタール、地域的には三分の一くらいなのでございます。国立公園補助金関係は二億ございますから、片一方は五千万ということで、バランスから見れば多少低いけれども公園としてはここまで一生懸命努力はしている。ただ、問題は国定公園の大きなてこ入れ、それからもう一つは、県の自然公園というのは、大体去年の暮れ現在で二百四十カ所くらいございます。これが二百万ヘクタールといいますから、国立公園よりは広いような地域になっております。国立公園は百八十万ヘクタール。そして都道府県はほとんど県単でやっておる、あるいは地元の市町村の寄付金も入れて合作でやっておるという状況でございますけれども、それに関しましても二分の一あるいはしかるべき補助率で国が相当てこ入れをせなければならぬのじゃないかということで、現に三十九年度の予算折衝あたりでも、相当議論をやったわけです。そういうふうな情勢でございますので、単に国直轄国立であるからこれはかわいい、これは県だからという気持ちはさらに持っておりません。ただ、全体の予算ワクというような問題もございますので、いまのところは小さいのでございますが、今後とも大いにやりたい、こういうふうな気持ちでおります。
  113. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 知事に委託をしておいでになる国定公園、これは将来どういうふうにされるのですか。やはり現状のままでやられるお考えですか。
  114. 今村譲

    今村政府委員 これは自然公園行政全般の問題だと思うのでございますが、現在国立というのが二十一、国定が二十五、こういうふうなかっこうでやっておりますが、やはり状況に応じ、それから利用状況、あるいは需要の状況ということによりまして、ある程度国定公園から国立公園のほうに格上げをする、あるいは新規に国定公園をふやす、そういう要望も強うございまして、そういう時期はあると思いますが、ただいまのところは、三十六年の暮れから三十七年の春にかけまして、国立公園国定公園の体系整備というので審議会相当の議論をやりまして、大体国立国定を含めまして十二、三カ所くらいの地域拡張あるいは新設というようなものが認められたわけでありますが、最終的にはこれを国立公園一本にまとめたほうがいいのか、あるいは国立と準国立公園国定公園ということにして、国定公園のほうをうんとふやしていく、状況によっては県立自然公園をふやしていくというかっこうがいいのか、その辺の問題につきましては、まだはっきりここで申し上げる段階に至らぬと思いますけれども、いずれある程度の拡張をし、あるいはある程度の昇格をし、それに相当予算額を入れまして、民間企業はどんどんホテルなんかをつくりますから、それに伴う公共投資もバランスを持って進んでいかなければならぬ、こういうふうに考えております。今後その体系をどうするかという問題につきましては、まだはっきり国定ならば八十にまでふやすとかというところまでは詰めておらない状況でございます。
  115. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いま特に国立公園内にある観光地、これを見てみますと、建つのは民間のデラックスなホテルだけで、道路もこのごろ少しはよくなりましたけれども、そういうような金を持っている人、ドライブに行ってそこに宿泊のできるそういうような人たちは、だいぶ満喫している。ところが、大衆はそれから縁違い存在で、そのせっかくの森林美がこわされて、そういうようなコンクリート建てのものができ上がっていくという姿になってきつつあるわけです。そうなってまいりますと、これはもちろん国立公園の維持管理の問題になってくると思うのであります。国定公園まで含めて今後どういうふうにしなければならないかということを考えてまいりました場合には、最近は文化財であろうが何であろうが、全部そういうようなものも掘りくり返して、もうけるためには手段を選ばないというふうなことが各地に出ているわけです。そのような立場から、あなた方の場合にも自然美をこわさないように国立公園のあり方を、そういうような大きなもうけ主義の連中には、もう少し強い行政指導を行なっていただくように私は要望申し上げておきたいと思うのです。  もう一つの問題は、青少年の問題でありますが、この青少年の社会教育行政のあり方の面を拡げてみますと、青少年の保護育成という立場から厚生省でやっております社会福祉協議会、これらを中心にして末端では青少年関係の取り扱いをしておるわけですが、そのほかにいろいろ総理府がやっている仕事もあれば、文部省がやっている仕事もあれば、農林省でやっている仕事もあるし、それから地域団体のいろんな農協その他の団体がやっているものもあるわけですね。同じ対象である青少年というものに対して、厚生省の場合は児童福祉法に基づいた措置がされる。そういうふうに非常に多元化して、機構的にも複雑な状態になっている。同じ人間がいろんな縦割り行政の中からとらえられて、それぞれあまり希望もしないのに行政的に強制をされてあっちに引っぱられ、こっちに引っぱられる姿が、今日の青少年の問題です。しかも実際その青少年対策が効果をあげているかというと、犯罪者はますます増加している。こういうようなことで、それぞれ官僚は、犯罪が増加し、そして青少年の不良化問題が出てくると、いろいろな局をつくってみたり、予算をふやして自分たちの仕事のなわ張りだけは広げていくけれども、一向に成績があがらないというのが、今日の行政の実態ではなかろうかと思う。この際、いままでそういうような状態の中にありました児童局というものを児童家庭局というふうに改めて、児童と家庭と結びつけるということでおやりになるわけですが、そうなってきますと、一元的なものとしてこれをとらえていくのだという考え方であろうと思うのですけれども、一体どういうような立場からこの児童家庭局というものをつくられたのか。将来においては、たとえば児童家庭局の中に児童部とか家庭部とかいう部を新設して、そのもとに大きな局をなしていくのだという構想があるのか。その考え方はどうなのですか。
  116. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実は、従来児童局では、精神薄弱児とか、あるいは身体不自由児、あるいは非行少年とか、そういう児童を施設に収容いたしまして保護をするというような政策と、それから子供たちの家庭外のいろいろな遊び、これをこどもクラブあるいは児童遊園、こういうところで健全育成をはかっておるという仕事、もう一つは母性保健あるいは母子保健というような仕事を主としてやっておったのでありますが、いずれにしましても、従来は、家庭外の施設とかあるいは家庭外の生活を対象にいたしておったのであります。最近非行少年が激増いたしまして、その原因をいろいろ調べました結果、家庭に大半の原因があるということがわかりまして、児童のいる家庭に対して何らかの施策をやる必要があるということを考えたわけでありますが、これは単にわが国だけでなしに、世界的な動向でございまして、アメリカにもそういう考えで家庭局ができ、西ドイツでは連邦家庭青少年問題省ができるということで、だんだん児童のいる家庭に対して行政の施策を伸ばしていくということになってまいったのであります。わが国では、先ほど申しましたが、非行少年の原因も、大半が家庭の、特に乳幼児時代にある。しかも満三才児の子どもたちの全国一斉調査をやりましたところが、問題の児童、あるいは問題の家庭、あるいはいろいろ疑問を持った母親が非常に多いということがわかりまして、これらに対しまして、いろいろ相談に応ずる必要があるということで、児童局の衣がえをいたしまして、児童家庭局というふうに名称を変え、児童と家庭との関係というものを十分に行政の上に生かしたいということにしたわけでありますが、実は今回は名称の変更だけでございましたが、健全育成課と申しますか、児童が家庭において健全に育成されるためのいろいろな企画をし、この実施をするための課を要求したのでありますけれども、これは実現を見ませんで、名前の変更だけにとどまりましたが、将来は、そういうような児童の健全育成のための所管の課もつくりまして、積極的に児童の健全育成をはかるための企画、立案、実施等の措置を進めたいという考えでございます。
  117. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間がありませんので、もういまの問題をさらに深く掘り下げることはいたしませんけれども、最後に大臣にお尋ねをしておきたいと思います。  これは日本の厚生行政の食品行政の中に入ると思うのですが、最近政府が行なっております農業構造改善事業、まあ適地適産という政策でありましょうが、選択的拡大方式という方式に基づいて、これから伸びる産業、企業的な経営をやらなければならないということで、特に最近目立って多くなりましたのは、ミカンの栽培である。あちらの山を見てもミカン畑、こちらの山を見てもミカンの新植がどんどん進められている。いまでは農業の中においては、果樹というものは非常にもうかっている。しかしながら、これがあと五年たち、十年たってまいりますと、たいへんなミカンの洪水のような状態が出てくる。消費者であるお互いには喜ばしい現象になってくるわけでありますが、たまたまそういうようなことで、構造改善事業に基づいてそのような農業政策が進められておる。ところが、これについては価格保障もなければ、その他の政策もきわめて不十分であります。そこで、いませっかく取り組んで、新植をして育成をする、そのようなことで一生懸命やっているけれども、将来この問題は一体どうなるのだということになってまいりますと、どうしてもある解決点を見出していかなければならない。そこでこの前農村の青年と話をしたのでありますが、その青年が言うには、将来そういうような時代が訪れてきて、ミカンの加工というような問題が出てきたら、ジュース等を製造しなければいけない。そうなってくると、いまジュースという名において売られている食品関係、これはきわめて栄養的に見た場合には価値がない。そういうものにジュースという名をつけて売るような食品関係については、天然の果実から取り出したものでなければ売れないようにしなければ、農村は立っていけぬようになる。だから、厚生省にお願いして、食品のそういうような規格については、厳密にそのような表示をさせるような方式を考えていってもらわなければ、われわれの生活の保障はあり得ないじゃないか、こういう意見等が出ているわけであります。先般も、たしか主婦会のほうで、現在市売をされている食品関係について、そういうようなものの検査を進めてみたら、どうも表示してあるものと現物との中には中身がたいへんな違いがあった。ビタミン剤が入っているように書いてあるけれども、調べてみたら、ほんの二、三種類しかそういうようなものは入ってなかった。こういう調査結果が新聞に出されたことがあります。さらに東大の生活協同組合でいろいろ検討して、今日グロンサンのようなものは、一体人間のからだにきくのかきかないのかということで検討してみたら、かえって肝臓の機能を強化するようなことにはならない、こういうようなことが大きく新聞に出たこともあります。そういうようになってまいりますと、薬品行政なりあるいは食品行政というような問題について、いままであまりにも大きなメーカーなり、あるいはそういうことを商売にする人たちの圧力の前に、厚生省がゆるい基準をつくっているのではないか。国民のほんとうの栄養になり、食生活の改喜になるという方向——日本ほどそういう薬品によって栄養を補っていくという方式のとられている国は少ないというふうに聞いておりますが、そういった立場から、厚生省のそれらに関連する行政も、総合的な立場から検討する必要性がもうそろそろ生れてきていいのではないかと思いますが、さっきの農業の構造改善事業等の関係における問題点とあわせて、国民の健康、保健衛生の立場からの今後の推進の方策を大臣お持ちなら、お聞かせ願っておきたいと思います。
  118. 小林武治

    小林国務大臣 いま食品行政というものが非常に複雑多岐で、日本のようにいろいろなものが出てきている国は、おそらくあるまいと思います。それで、食品に対するいろいろな規格の問題、あるいは添加物の問題が、一つの検討の課題になっておりますが、お話のように、こういうものが日本では乱売されている、こういう心配があるのでありまして、ジュースなどについても、やはりこれから規格をきめていく必要があるのではないか。また最近アイスクリームなどについても、アイスクリームと言うべからざるものがアイスクリームとして売られているから、これについても最近規格をきめて、その規格の表示をさせたい。食品につきましては、いずれも国民の健康、栄養に直接関係がある問題でありますから、もう少し力を注いで、安心できるような施策をとるべきだということで、督励いたしております。  また、いまの栄養剤のごときも、お話のように日本は世界一こういうものが乱用されているとまで言うてもいいのでありまして、その効能等についても、いろいろ批評が行なわれております。こういうものについても、薬品行政あるいは食品行政というものについては、国民の保健という大きな立場から、考え直さなければならぬ。もう少し厳格にと申しますか、いたずらに名前とか、広告とか、あるいはメーカーとか、こういうものにとらわれないで、厚生省独自の立場でやるように、そうして表示をしたならば、ひとつ抜き打ち検査をして、できるだけ手を尽くして適正を保つ、こういうふうにやりたいと考えております。
  119. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、来たる二十八日午前十時より理事会、十時半より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後二時散会