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1964-04-10 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十日(金曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 内藤  隆君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       安藤  覺君    壽原 正一君       塚田  徹君    野呂 恭一君       藤尾 正行君    前田 正男君       松澤 雄藏君    渡辺 栄一君      茜ケ久保重光君    村山 喜一君       山下 榮二君  出席国務大臣         労 働 大 臣 大橋 武夫君         国 務 大 臣 福田 篤泰君  出席政府委員         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 三輪 良雄君         防衛庁参事官         (教育局長)  堀田 政孝君         防衛庁参事官         (人事局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (経理局長)  上田 克郎君         防衛施設庁長官 小野  裕君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部長)    沼尻 元一君         労働事務官         (大臣官房長) 和田 勝美君         労働事務官         (労政局長)  三治 重信君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君         労働事務官         (職業訓練局         長)      松永 正男君  委員外出席者         防衛庁技官         (防衛施設庁総         務部施設調査         官)      石井市次郎君         外務事務官         (アメリカ局外         務参事官)   西堀 正弘君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 四月十日  委員佐々木義武辞任につき、その補欠として  安藤覺君が議長指名委員に選任された。 同日  委員安藤覺辞任につき、その補欠として佐々  木義武君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第六〇号)  国の防衛に関する件(米軍機墜落事故に関する  問題)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について、調査を進めます。  本日は、先般東京都町田市に起こりました米軍機墜落事故に関する問題について、まず政府当局より説明を聴取した後、質疑を行ないたいと存じます。防衛庁長官福田篤泰君。
  3. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 今回の四月五日突発いたしました米軍ジェット機墜落事故は、まことにいかんな事故でございまして、なくなられた方に深く弔意を表し、また負傷されていま治療中の方々にも、心から御同情を申し上げておる次第でございます。  大体の被害状況を御報告申し上げますが、死亡四名、重傷九名、軽傷二十名、家屋の全壊二棟五世帯家屋の半壊が二棟三世帯、なお付近家屋にも一部損壊が約二十戸くらいございます。その他の物件また動産等につきましては、目下調査中でございます。
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内広君。
  5. 山内広

    山内委員 この事件が勃発いたしまして翌日、私どももこの事件重大性にかんがみまして、社会党としても将来こういうことが繰り返されないようにいろいろ対策を練る必要もありまして、私も現地へ行って見てまいりました。現地方々訴えも、それぞれ聞いてまいりました。そういうことで、以下順次お尋ねしていきたいと思います。  ただ長官に一言だけ、失礼な言い分でありますが、ただいまの御報告、はなはだ不満に思います。所管されております内閣委員会で、いまのような損害模様だけの報告であれば、きのうの本会議ですでに緊急質問にお答えになっておるのであります。こういう常任委員会においては、原因なりあるいは今後の対策なり、自発的に防衛庁としてお考えになることをもりと詳細にお出しになるものと思って、実はあなたの劈頭の御発言を期待したのでありますが、きのうの御答弁を一歩も出ない。むしろ省略、簡略された御説明なんで、これではこれから御質問申し上げるにも、一々私の見解を申し上げなければならぬ。また繰り返してあなたのほうからも御答弁願わなければならぬ。誠意のほども疑われて残念に思います。しかし、御発言がありましたから、以下お尋ねしていきます。  まず最初に、地元民不満の点を申し上げておきたいと思うのですが、きのうの御答弁にもありましたとおり、はたしてあの事故が避けられなかったかどうか。五千フィートと申しますと、一千五百余メートル以上の上空操縦士がすでに飛行機を離れてしまった、そういうことで非常な不満があるのですが、こういう事故が発生して操縦士脱出する場合、これについての規定があるものかないものか、その点についての法的な根拠、あるいは慣習、実例を明らかにしていただきたい。
  6. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 まず最初にお断わり申し上げますが、先ほど被害状況を主として御報告申し上げたわけでございます。御不満のようでございますが、むしろ私は具体的な御質問に応じましていろいろと詳しく申し上げたい、そう考えた次第でございますので、この点は御了承いただきたいと思います。  なおいまの御質問パイロット緊急事態に処する処置の法的根拠ということでございます。これはもちろん自衛隊にも、また米軍にもございまして、自衛隊のほうは、御参考までに申し上げますが、航空法の七十五条、それから自衛隊法百七条の規定に準じまして、自衛隊法規定に基づく通達を出して、こまかく各部隊の末端まで、もちろんパイロットの平生の訓練にまでこれを反映させておるのでございます。アメリカのほうではTO、テクニカル・オーダーといっておりますが、各機種ごとにきめておりまして、これを各パイロット、また飛行部隊に徹底させて平素から訓練しておる、それに一沿って処置しておるようでございます。
  7. 山内広

    山内委員 自衛隊の問題ではないのです。いま米軍のことをお聞きしておるのです。米軍とあなた方のほうとどういう取りきめをして、この問題で規制をしておるのか。いままでの実例を見ますと、きのうの報告にもありましたとおり、最後まで公共施設を守るために、人命損害を与えないために努力された過去の実例もあるわけです。今度は千五百メートルの上空から脱出してしまった、こういうことですが、そこに取りきめはないかということをお聞きしているのです。アメリカの問題です。
  8. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 この点に関する日米間の取りきめはございません。米軍米軍としていま申し上げたTOをきめまして、各機種ごとにいろいろ規制事項訓練事項の内容をきめておるわけであります。  なおパイロットが余裕があるにもかかわらず脱出したのではないかといったような議論も一部にございますが、これは事故原因の重点の一つでございます。軽々に調査中の段階においては申し上げかねますが、本会議においても簡単に御報告いたしましたように、現在まで入りました中間報告的なものを調べますと、墜落機きりもみ状態になっておって飛び出すところをちょうどそばにおりました僚機が発見いたしまして、十六時三十二分に厚木基地無電連絡をいたしております。厚木基地から直ちに——たまたま幸いその付近米軍ヘリコプターがスカイ・ダイビングの訓練をやっておる最中でございまして、そのヘリコプターに対してパイロット救出を指令いたしたようでございます。これが十六時三十三分であります。この指令によりまして、ヘリコプター現場の北方の麦畑に着陸いたしました。それが十六時三十八分、その上でパイロット救出いたしまして厚木に運んだということが、中間報告に入っております。
  9. 山内広

    山内委員 この問題を私なぜ取り上げなければならぬかと申しますと、こういう軍隊のやったことについては、何といっても、普通の損害賠償とか訴訟とかいうことを起こす場合に、過失立証がなかなか困難なわけです。そういうことで、はたしてこの事故過失がなかったかどうか、作為的なものがなかったかどうか、こういうことは、民間被害を受けた人は立証方法がないわけです。そういう意味で、あなた方はこういう点については十分な調査もしていただかなければなりませんし、今後いろいろな問題を含めて、こういう種類の問題の解決には、この点が足がかりになる。千五百メートルといえば、何か私どもの聞くところによると、ジェット機というのは早い。もう二マッハに近い速力ですから、このことはどうかわかりませんが、普通では百メートル、条件がよければ五十メートルのところから脱出しても危険がないものと言われておる。それが陸上まで落ちてきて——海上じゃないのですから、千五百メートルの上空機体を捨ててしまうということは、私は、しろうと考え方として非常に常識的でない。まだまだここに危険というものが下にあるんだ。民間に突っ込むんだ。どうしてもそういう公共施設被害を避けようと思って考えたならば、当然避け得られたのではないか。そういう上空ですから、私どもその点について非常な奇異の念を持っておるわけです。そういう意味で、ぜひこの点の解明も、いまできなかったら、重点的に、ひとつはたしてそういうものかどうか、これは技術的にも何か御意見があろうかと思いますが、大臣答弁でなく、その辺の詳しいことをお聞きしたい。
  10. 小野裕

    小野政府委員 ただいまの事故原因については、現在慎重に精査中でございますが、まだはっきりしたことはわからないわけであります。ただ、いままでつかんでおります事実としては、この飛行機は、原町田上空約九千フィートのところで何らかの事故がありまして、きりもみ状態になった。それから約二千フィート落ちまして、七千フィートのところで横向きのままで操縦士脱出をした。一応こういう判断になっておるのでございます。結局、いまお話のありました安全地帯へ持っていくということ、これはもう当然のことでございまして、米軍側指導要領、マニュアルにもそのようにしるされておるのでありまして、そういう教育をしておるのであります。ただ、それがきりもみ状態になるということになりますと、これはいかんともしがたいわけでございまして、この点がまだ最終的な確認は得ておりませんけれども、九千フィートの上空において、そういう事態になった。そのときに、ほかの故障では、たとえばエンジン故障したとか、あるいはその他の故障であるならば、まだ惰性によってそのまま浮力を維持してほかのほうに持っていけるわけでございますが、それが何かの拍子にすぐ下を向いてしまった。それから二千フィートはそのまま落ちてきた。それから高度七千フィートのところで横向きのまま脱出をした、こういうふうに見られております。この辺の事実並びに原因というような点については、現在調査中、こういうわけでございまして、決して無責任にどうしたというふうにいまからは断定できないわけでございます。たまたま九千というような高度は、これは自由に航行できる高度でございまして、結局そういう高度を飛行機は自由に通っておる。特に高度を下げるために旋回中でございました。着陸するのは、二千五百フィートくらいのところから着陸態勢に入る。この飛行機は、それで九千のところから——実は、あの付近に入りましたのは一万一千ぐらいでございまして、それからぐるぐる何回か回って二千五百に降りたところから着陸態勢に入る、そういう旋回中の事故でございましたので、いろいろと原因調査中、こういうわけでございます。
  11. 山内広

    山内委員 日にちも幾らもたっておりませんので、調査中ということだろうと思いますけれども、これは早く原因やその他のことを明らかにいたしませんと、国民の不安はなかなか解消しないと思います。まず、住民の素朴な訴えから、ひとつお聞きしたいと思うのですが、この脱出しました操縦士は、パラシュートでおりて、地元民の言うことによりますと、もうすでにヘリコプターが何回か回って、そうして落ちるとすぐかけてきて、そうして病院に運んだ。そのときの模様をすぐ目撃した人の話によりますと、操縦士はきわめて元気であった。そうしておりるとすぐ立ち上って、そうして畑におりたヘリコプター、そこから迎えにきたそうでありますが、その中に大きな鉄線でもってさくがしてある。その上には、有刺のバラ線が張ってある。それを自力でもってそれを乗り越えて行ったというのですから、常識的な考え方をすると、きわめて安全に着陸したわけです。しかし、それが直ちにすぐそばヘリコプターがおって、それに持っていって病院に入れて、そうして操縦士重傷だという報道をしておる。目撃した人の話によると、この点に非常に不満を抱いておるわけです。あれだけぴんぴんとしているのに、病院に入って重傷だというのは、こっちがたくさん死傷者を出したからそういう報道をしたのではないか、こう言っているのですが、この操縦された方の現在の御容体は、どういうぐあいでありますか。
  12. 小野裕

    小野政府委員 私ども正確な、詳細な通報はまだ得ておりませんが、ただいまお話のように、救助されました当時におきまして、重傷というわけではないようであります。打撲の軽傷程度であったようであります。ただ、それから数日——二、三日の間は、これだけの大きな事故を起こしましたことについての自分の自責と申しますか、ショックと申しますか、そういうことで非常に不安定な精神状態でおる。だから、まだ十分なこまかい尋問と申しますか、取り調べと申しますか、これは部隊としてもしにくい、もう少し冷静に戻す時間をかけようというようなことで——これは二、三日でございます。その後たっておりますから、今日はどうなっておりますか、まだ今日の段階は確かめておりません。そういう状態でございます。
  13. 山内広

    山内委員 きわめて住民は今度の事故を遺憾とし、いろいろ精神的にも不満を言われるのは当然だと思いますので、最初は若干失礼なことを伺うようなことになるかもしれませんが、あの事故が起きたときに、機体と一緒に被害者人たちが穴に埋められた。そのために近所の人が救出に出動した。ところが、カービン銃でもって住民そばに近寄らせないように——まあ住民の人は助けようと思って行ったし、そこに護衛に立った人は軍事機密を守るというような観点からだと思いますけれども、この点も非常に住民を刺激しておるのですが、事実はどういう状態にあったのですか。
  14. 小野裕

    小野政府委員 墜落現場における状況につきましては、私どものほうは直接には関与しておりませんので、正確な責任のある御説明をいたしかねるのでございますが、その後現地の、現場整理に当たりました警察関係者からの御説明を伺いまして、それによりましたところをお伝え申し上げますならば、最初に発見しましたものは、もちろん現地以外の地元でございますが、特に町田警察署あるいは町田消防署の職員が、その事故の直後と申しますか、あるいはまだ落下傘がおり切らぬというような、そういう段階におきましても、それらの事故のあったこと——どこにあったかは次といたしまして、近いところにあったということを確認して、すぐ手配をしておるようであります。それで警察側がまず出動いたしまして救出その他の作業に当たったわけでありますが、ややありまして、数分と聞いておりますが、数分おくれて座間その他から米軍の若干の者が到達して、共同でいろいろ救出並びに交通の整理その他の現場の措置を講じた。このことは、そういう事故が起こったときには、警察米軍側共同作業をやる。責任者警察側である。日本側である。ただ米側も協力をするという協定があるんだということを私伺っております。ただ、現場状況並びにそういうものの処理方法については、警察側の御所管でございますので、これ以上申し上げることはいかがかと思いますが、そのように伺っております。
  15. 山内広

    山内委員 それでは、人命救助に向かった町民にカービン銃とかそういうものを突きつけたという事実はないのですか。その点はいかがですか。
  16. 小野裕

    小野政府委員 私ども関係者のほうでは、直接現認あるいは確認はしておりませんけれども、昨日法務委員会のほうで警察庁側から御答弁になりましたところでは、そういうことはないというふうに申しておられました。
  17. 山内広

    山内委員 それから、いまの御説明では、厚木飛行場におりるために旋回した、こういうことなんですね。そうしますと、もう厚木飛行場飛行機自体とは、絶えず連絡をとっておった。そうしますと、二機飛んで、事故を発見した飛行機から連絡があってわかったという大臣答弁ですけれども、そうすると、その事故があった飛行機そのものからは、何もこういう危険についての通知はなかったわけですか。その点……。
  18. 小野裕

    小野政府委員 お話のとおりでございまして、問題のそのとき上空を飛んでおりました二機編隊の一機が落ちたわけでございますが、この二機については、まだ着陸態勢に入っていない。着陸についての指示その他も受けていない。その少し前に、数分前に丹沢方面を飛んでおりましたときに、予定時刻が五十分ほどおくれるということを無線で厚木タワーのほうには申し出ておる。到着の予定時刻がおくれるということを申し出たのが最後であって、それからその次は、いまの原町田上空事故が起き、相手のほうの飛行機から、いま相手僚機が落ちたということの連絡タワーのほうに入った、こういうことでございます。
  19. 山内広

    山内委員 現地住民一つの疑問に思っている点は、これも明らかにしておいたほうがいいと思うのですが、落ちてから火を吹いた。しかし、その吹いた量から、しろうと判断ですから、どの程度か私もわかりませんが、本来たくさんガソリンを積んでおったら爆発したであろう。それがあれだけの火災で終わったということは、ガソリンの不足ではなかったのか、それが落ちた原因なのではないかという疑義を持っておるのですが、この点についてはどういうふうに御判断でしょう。
  20. 小野裕

    小野政府委員 その飛行機が持っておりましたガソリンの量については、はっきりしたことはわからないのでございますが、一昨日の分科委員会における先方の米側説明では、持っておった油はまだ相当あった。油が切れたために事故が起こったということではないようだというような中間報告を聞いております。
  21. 山内広

    山内委員 お話では、この飛行機エンジンの部分はまだ十メートルくらいの底に埋まっておって、これを掘り出すということは、よその建物に危険を及ぼすということで埋めてしまう。これは埋められたのかどうか、結論までははっきり聞き取れませんでしたが、この点は掘り出すのか、埋めるのか、どういうふうに決定されましたか。
  22. 小野裕

    小野政府委員 事故原因を徹底的に究明するためには、掘り出すことが必要であると考えるのでございます。ただ、ほかの決定的な理由が出てきて、エンジンのほうは問題でないというような結論でも出るならば、必ずしも掘り出さないでも済むかとも思うのでありますが、しかし、念には念を入れれば、やはりこれも調べるべきものと思うのであります。ただ、何と申しましても、現地状況地元の御要望、あるいはその作業の、何と申しますか、いろいろ狭いところで大きな穴を掘らなければならないというような作業困難性、これは時間と経費をかければできることでありまするが、また地元に対する御迷惑というものも非常に大きくなるわけでございまして、いろいろな事情がございます。そういうところを総合いたしまして、とりあえず埋めることにした。この先掘るか掘らないかは、さらに検討するというような段階であるようでございます。
  23. 山内広

    山内委員 そうしますと、埋めてしまった。これは私ちょっとやはり疑義を持つわけです。というのは、相当量積んでおったのが入っちゃったから、まだガソリンもあるいはたくさん持っているかもしれぬ。あるいはその機械は危険なものでないか、あるか、これはわかりませんけれども、ああいう繁華街ですから、将来発展して、あの辺に不燃質建物でも建てたいという場合、非常な迷惑なことだと思うのです。ですから、できれば住民の納得を得て、そうしてどうしても必要なものは一時移転してでもこれは掘ってしまわないと、こういうものを埋めておくというと、町政発展のためにも害になるし、またその結果が、何か将来、埋めた上に建物があったが、また再度それが事故を起こした、そういうことになると、またこれは大きな問題だと思うのですが、その辺は希望として私申し上げておきたい。  それでは次にお尋ねしますが、アメリカ飛行機沖繩から厚木に飛んでくる場合、コースというものは、もうはっきりとアメリカとあなた方のほうでは、どこを飛んでどう入るという協定があるのですか。これはもう無協約、どこでも日本じゅう飛んで歩いてかってに入れるものなのですか、その点いかがですか。
  24. 小野裕

    小野政府委員 米軍機日本国上空における飛行につきましては、基本的な問題につきましては、航空法所管しておられます航空局のほうの御所管でございます。航空法適用除外になっておるわけでございますけれども適用除外をどういうふうにして安全を保持させるかというような関係は、運輸省の航空局米軍関係になる。もちろん合同委員会もございますけれども所管庁としては航空局である。私ども防衛施設庁といたしましては、提供いたしておりまする飛行場とか射爆撃場、こういうものを使うために、その近所の飛び方ということについての関係、あるいは騒音を緩和させるための特別のいろいろな話し合い、こういうものについては私ども関係いたしておりまするが、一般に長距離を航行する場合のいろいろな取り扱いというものは、私ども所管ではございません。
  25. 山内広

    山内委員 それもちょっと妙な御答弁だと思うのです。行政協定の三条の三項の規定というものは、あなた方もお守りにならなければならぬと思うのですが、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならないということで、軍隊日本基地を使用するときも、公共の安全ということがはっきりうたわれておるわけです。当然あなた方のほうにも責任があるんじゃないですか。
  26. 小野裕

    小野政府委員 航空機の航行に伴ういろいろな危険、ことばを変えれば安全の保持ということにつきまして、これが航空行政でございまして、航空局所管である、こう申し上げたのでございます。
  27. 山内広

    山内委員 所管争いをやっているために、ほんとうに日本国民の大事な命を守るということに真剣になっておらぬから、こういった事故が出るんじゃないかと私ども不満に思うのですが、まあそれはそのくらいにいたしまして、次に補償の問題をお尋ねいたしたいと思います。  現在までは、労働基準法規定に従って、日収の一千日分にプラス葬儀料ということで、六十日分ですか、プラスして支給しておる。一体この労働基準法によって適用したという考え方、これは実に私はふしぎに思うのですが、こういうことで、いままでたくさんのこういう先例があるわけですが、これでよくおさまってきたと思うのですが、この考え方を聞かせていただきたい。
  28. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 その点は全く私も同感でございまして、長官に就任しまして、やはりこの問題は考えなければならぬと考えておった一つでございます。数年来問題となっておりまして、何とか合理的な解決をしようという議論はありました。不幸にして関係省間の話がまとまらなかった、こういうことでございます。この不幸な事故を機会といたしまして、ぜひとも御指摘のような不合理なものは訂正いたしたいと考えまして、至急に案をまとめたいと、いま折衝中でございます。
  29. 山内広

    山内委員 きのうの緊急質問に対する大臣答弁も、この点は改めたい。そういたしますと、一般世間にいわれるホフマン方式によるものと思いますが、一体この種の損害は、補償なのか、賠償なのか、これは法的にも性格が違います。一体どういうふうにあなたのほうで理解されておるか。補償か、賠償か、明らかにしていただきたい。
  30. 麻生茂

    ○麻生政府委員 賠償でございます。
  31. 山内広

    山内委員 いまの御答弁の賠償というのは、今度ホフマン方式に改める考え方からそういう御答弁か。それでは、いままでの労働基準法による補償というものは、あれは賠償なのですか。
  32. 上田克郎

    ○上田政府委員 ただいま政府委員からお答えしましたように、賠償の性質を持っておりますので、賠償規則ということで従来やっておりますが、御承知のように、これは御当人との話し合いで一種の示談の形で解決するという形になっております。形は賠償ということで、従来の規則は賠償規則という名前でやっております。
  33. 山内広

    山内委員 私も、当然これは賠償だと思うのです。補償じゃ絶対にないわけです。ただ、賠償となりますと、これは裁判によって、不満があれば訴えて、その増額を被害者は要求ができるわけです。この場合の相手方、被害者からいえばこの被害を与えた人、この人に過失があったのか、あるいは故意か作為か、そういう点の挙証の責任は、この場合は当然米側にあると思うのですが、その点についてはどうですか。
  34. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 米軍関係の賠償は、現在の地位協定の十八条に基づいておりまして、米軍の作為、不作為から生じた損害については、これが公務上の場合である場合には日本側が賠償し、公務外の場合には米軍が直接被害者に支払う。この場合、日本政府はあっせん的な立場に立つわけでございますが、それを受けまして、もとの行政協定ができました場合に民事特別法というものができまして、その民事特別法におきまして、国家賠償法にならって賠償をするということになっておるわけでございます。国家賠償法では、そのたてまえから、違法に他人に損害を加えた場合の例により国が賠償するということに相なっておりまするが、この場合、地位協定では作為、不作為というようなことで、違法とかそういうものは、一応地位協定の上では問題になっていないわけでございますけれども、しかし、これを国家賠償法の例によりというようなことでいきますと、国家賠償法が、違法ということを一応たてまえにしておりますので、そこで、違法に国が他人に損害を加えた場合の例によりというような書き方になってございますが、この違法性ということは、相手方が国を相手として裁判所に訴訟を提起するというような場合におきましては、もちろん、もしこの違法が相手にあったのだというような場合には、国がそういうことを考える場合には、そういう理由は国側において立証しなければならないというふうに考えております。
  35. 山内広

    山内委員 いま、国側に挙証の責任があるという御答弁ですね。この御答弁に間違いありませんか。——間違いありませんか。それでは、こういうことになりますね。今度の被害を受けた方が不満であると仮定して、賠償を不満として訴えたとする。そうすると、この人には過失がない、テレビを見ているところにきて飛行機ががっとやったのですから。訴えによっては、この人の訴えは必ず勝って、賠償はあなたのほうに責任がありますか。国が証拠をあげるのですから、そういうことになるでしょう。
  36. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 今度のような場合には、過失とかそういう点は問題にならないというふうに考えております。こういうことが問題になりますのは、自動車の事故等で相手にも交通規則違反があったとか、そういう場合に問題になろうかと存じますが、今度のような飛行機事故等においては、その点は問題にならぬというふうに考えております。
  37. 山内広

    山内委員 それは重大な答弁をしておりますよ。問題にならぬから、私は最初のときに——千五百メートルの上空機体を飛ばせてしまって自分だけが逃げるということ、このことは、場合によっては故意、怠慢、あるいは作為、不作為の過失が出るじゃありませんか。そうしたら、これが不当だからといって訴訟を起こした場合に、国家は挙証の責任がありますから、いま言ったように、テレビを見ている人には全くこれはないのですから、黙ってあなたのほうは支払わなければならぬのですよ。そういう御答弁でいいですか。それならけっこうな答弁ですから、私、あと言いません、質問もしません。
  38. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 地位協定の十八条五項で「公務執行中の合衆国軍隊の構成員若しくは被用者の作為若しくは不作為又は合衆国軍隊が法律上責任を有するその他の作為、不作為若しくは事故で、日本国において日本国政府以外の第三者に損害を与えたものから生ずる請求権は、」というふうになってございますので、そういう点、問題なかろうというふうに私は申し上げたわけでございます。
  39. 山内広

    山内委員 この十八条の五項は、私も実は読んで、これも非常に疑義があるのです。はたしてこれはいまあなたのおっしゃるような適用ができるのかどうか。たとえばもう一つ別の例を申し上げますが、船が沈んで、その船に乗っていたお客さんが死んだ。その場合に、死んだ船客のほうから訴訟が起こされた場合、船主がこの賠償を免れようとすれば、相手方のお客さんに過失があったとかなんとかいうことを挙証しなければ、黙ってきまった法律上の賠償はしなければならぬ。ところが、国の場合は逆になっておる。国のほうに過失があるということを被害者である国民立証しなければ、国から賠償をとれないというたてまえになっておるでしょう。どうですか。そうすると、国家賠償法に規定した規定によって賠償するというあなたのおっしゃることとは、逆になるのです。もう少し明らかに——私も法律専門家でないですから、あやまちがあるかしれませんが、もう少しそこを協議して、明確な答弁をして——もう現実に問題が起こっちゃって、この事故をどうしても処理しなければならぬという重大な問題ですから、ちょっとその点で事務的な見解を統一してもらいたい。
  40. 上田克郎

    ○上田政府委員 法律上の問題でございますので、最終的には裁判所で現在の法律の運用をどうなさるかということに帰着するかと思いますが、現実の問題といたしましては、従来飛行機事故の場合には、相手方、ただいまおっしゃいましたテレビを見ておられた方の過失とか過失でないとかいうことは、全然問題にいたしませんで、わがほうとして国が賠償するという形で現実には処理いたしております。これは法律的にいえば、あるいは無過失損害賠償責任とかなんとかという問題が起ころうかと思うのでありますが、その点は、まだ的確に学説は一致していないようでございます。ただ、現実のわれわれの事務といたしましては、そういう飛行機事故の場合には、現実に損害が起こった場合、その方に賠償いたしております。それが現実でございます。
  41. 山内広

    山内委員 ですから、こういうアメリカとの関係というのは、特に何といってもまだ私どもは非常に弱い立場にあることは事実なんです。ただ、安保とか、あるいはこういう行政協定によって縛られて、アメリカの軍事的な設置というものは、もうしかたがないのだ、訴訟にもならぬし、こういう事故はこういう形で先例で葬るという先入観をあなた方はお持ちになっておるから、法的にも研究が足りない。また、国民自身も、こういう事故が起きたって、もう訴えてもしようがないのだ、そういうたてまえでもって泣き寝入りしておるわけです。そういう意味からも、大臣はホフマン方式によると言っております。これだけでも、私はまだ足りないと思うのですけれども、一応旧来のそういう労災補償保険法による補償なんて言わぬで、飛躍的な賠償を考えると言われておるから、その誠意を一応認めてやりますけれども、まずものの考え方、もうアメリカ軍隊のやったことはしようがないのだ、こういうことからきびしく規定しませんと、いま言った千五百メートルのような上空から、自分が助かるためには危険物をどこに落としてもいいという観念にもならざるを得ないのです。この点をあなた方きびしく——この際いい機会ですから、向こうさんも日本人の命と領土を守るという考え方から、もう少し過失があるのかないのか、そういうことを徹底的にひとつ調べていただきたい。法的解釈については、もう少し研究してもらいたい。私も研究いたします。  それからもう一つ。この賠償がきまりますと、被害者に金をやる日本が一時払っておいて、あとから七五%ですか、向こうからもらう。そうすると、結局二五%は日本の負担になります。その考え方は一体どういうのですか。一〇〇%向こうからどうしてもらえないのですか。
  42. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 公務上の場合と公務外の場合と二つに分けて、公務上の場合には、七五%米側が負担し、日本側が二五%負担する。公務外の場合は、米側が一切負担する。これは日本のみならず、NEATO関係協定でも全部そのようになっておるわけでございます。  そのようになりましたいきさつとしては、公務上の場合は、これは駐留軍が条約履行のために各受け入れ国におる。そういう点から、駐留米軍の場合も、条約履行という公の目的を持って日本に駐留しておりますので、そのことはまた日本の利益でもございますので、そういう点から、日本側が公務上の場合は二五%を負担する。しかし、これが公務外の場合においては、そういう国家間の関係でない点から生じた補償でございますので、相手側が全部負担するということになったように私は聞いております。   〔安藤委員「なぜこういう条約を結んだかということを説明しなければだめだよ。」と呼ぶ〕
  43. 山内広

    山内委員 いまの安藤さんのささやきでもありませんけれども、これもちょっと卑屈な考え方だと私は思うのです。何も二五%こっちで支払う必要はない。いま当時の考え方お話があったので、さかのぼってまたこれは論争の場を求めなければならぬかもしれませんけれども、もう少しこの際、この点も全額負担さして、公務だろうが非公務だろうが、私どもの立場からすれば、何も日本国民の血税を負担することはないと思う。この点も再考をわずらわします。  もう一つ、時間がもう持ち時間がきておりますから、一つだけにとどめますが、アメリカの国内で、アメリカの軍用機が墜落して、今度のような事故を起こして、アメリカ国民を傷つけた場合、あるいは殺した場合、そのときの損害の賠償の方式は、どういうふうになっておりますか。
  44. 小野裕

    小野政府委員 アメリカの軍用機がアメリカ国内でアメリカ国民に何か事故を起こした場合にどうするか、実は恐縮でございますが、まだ調査が十分できておりません。これを急いでおりませんというか、いままで深く勉強しておりませんのは、やはり経済事情あるいはいろいろな状況から、外国の補償金額がどうかということで、日本の補償金額とそのまま比較するということもいかがかと考えますので、いままでは進めていなかったわけであります。
  45. 山内広

    山内委員 大臣もこの際、御自分の出身地で起こった事件でもあるし、また長官として当然この際に抜本的な賠償の方法を考えたいとおっしゃっておるのですから、ひとつ外国の実例も十分に研究を早急にされて、外国に劣らないような補償を考えるべきだと思うのです。こんな、いままでの労働基準法による賠償なんという前近代的な措置なんかでなく、ひとつこの点は外国の例も十分に研究してもらいたい。  それからもう一つ、これは希望として申し上げるのですが、いままでこのような事故があって、かなりの死傷者が出たのですが、なくなった人は、一千日分で捨てられておるわけです。もし新たに賠償の方法がきまったとしたら、まあたくさん出たというわけでもないので、この種の事故に対しては遡及してそういう人の不足分も補ってやる、それくらいのお考えに立ってこの問題を処理していただきたいと思います。
  46. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 外国の例は、実は一昨日外務省に、この機会にアメリカのみならず、NATO諸国の最高額、最低額の現在の資料をほしいと依頼いたしました。なお、この事件は、御指摘のとおり、まことに遺憾にたえない事件でありまして、勃発しました当時、私も現地にかけつけ、翌日直ちに、エマーソン公使、フェルト大将、またプレストン中将と、昼と夜、二回にわたりまして厳重にわがほうの申し入れを行ないました。二つの問題がある。一つ被害者に対する救恤の問題、第二は、今後これを起こさないためにはどうすればよいかという問題を徹底的にこの際やりたいと強く申し入れました。七日には、すでに第一回の分科委員会を開きまして、双方から係官、専門家が出まして、問題の数点について合意に達しまして、合同委員会に勧告したわけでございます。私といたしましても、単なる補償のみの問題ではない、今後の問題まで取っ組むつもりでございます。先ほど御質問がありましたエンジンにつきましても、実は昨日私指令いたしまして、一点の疑点も残さないようにしてもらいたい。米軍ないしは専門家が、地元の強い要望がありまして工事を取りやめたようでございますが、エンジンを見なくても絶対だいじょうぶだという見通しといいますか、判断がつかなければ、どんなに金がかかっても、この際掘り出していただきたい、こういうことを申し入れた次第でございます。この機会に、現在の対策並びに今後の問題の二つに、全力をあげて取り組むつもりでございます。
  47. 山内広

    山内委員 終わります。
  48. 徳安實藏

  49. 石橋政嗣

    ○石橋委員 本件に関していろいろ山内委員から御質問がございましたので、私、なるべく簡単に疑問の点を解明してみたいと思います。  今度の事件で一番国民不満を持っております点は、何といってもパイロット脱出時期が早かったのではないかという点にあろうかと思うのです。そこで、これは防衛庁の専門家に、この事件と難れてでもけっこうですからお伺いしたいと思うのですが、その前に今度墜落をいたしましたクルーセーダーF8Uの2型というものの性能についてお尋ねをしておきたいと思います。  聞くところによりますと、この艦上戦闘機は、1型、2型、3型と改良を加えられて、三種類あるやに聞いておりますが、その区分に従っていきますと、どの型になるのか、これからまずお尋ねをしたいと思います。
  50. 石井市次郎

    ○石井説明員 七日に開かれました事故分科委員会で明らかになりましたところによりますと、新しい名称はRF8Aでございます。旧名称で申しますと、ただいまお話がございましたように、F8U1Pでございます。
  51. 石橋政嗣

    ○石橋委員 そしますと、今度墜落したこの飛行機は、戦闘機というよりも、偵察任務を主たるものとしておるというふうに考えていいわけですね。
  52. 石井市次郎

    ○石井説明員 そのとおりでございます。
  53. 石橋政嗣

    ○石橋委員 そうしますと、ちょっとこれはまた新たな問題が出てくるわけですが、その点はおきます。まず、この時速、翼面積、重量についてお尋ねします。
  54. 西堀正弘

    ○西堀説明員 本機の翼の間の長さは八十五フィート、長さは五十四フィート、重量は一万二千五百キログラム、速力は二マッハ、一マッハは御承知のように時速千二百キロメートル、こういうことになっております。
  55. 石橋政嗣

    ○石橋委員 そうしますと、この関係から、きりもみ状態になったということはどういうことになるのか、これまた専門家にお尋ねをしたいわけですけれども、いま述べられたようなスピードを持ち、翼面積を持ち、重量を持つ飛行機が、失速状態に入れば、ほとんどすべてきりもみ状態に入るというふうに理解していいわけですか。
  56. 小野裕

    小野政府委員 私、その専門家でございませんので、確定的に申し上げるわけに参りませんけれども事故分科委員会の審議過程におきましていろいろ専門家の間で論議されましたポイントでございますが、そういう失速状態になった場合にすぐきりもみになるということではない。それは、そのときの事故の起き方によって、きりもみになることもあり、また失速をしても若干の滑空をするということもある。結局なぜそのままきりもみになったかというのは、別の原因があるのではないか、こういうように聞いております。
  57. 石橋政嗣

    ○石橋委員 防衛施設庁が主となって答弁すれば、アメリカの言い分ばかり通すことになるのですよ。だから、私は、防衛庁飛行機についての専門的な立場からお答えしてもらいたい、こういう前提で質問をしているわけですから、専門家が来てないなら、専門家を呼んでください。アメリカはこう言っているということを聞いておるのじゃないのです。  それでは、さらにその間お尋ねしますけれども、必ずしも、このような飛行機が失速状態に入ったら、すべてきりもみ状態に入るのではない、こういうことをお答えになりました。そうすると、どうしてきりもみ状態に入ったかということが問題になるわけですけれども、油はあったというのですね。これはさっきお答えになりました。油はあった。エンジン故障か。ところが、エンジンは掘りもしなかった。最初から何らかの根拠があって、エンジン故障があったのじゃないという前提条件が、ここで設けられているはずです。それはパイロットの証言かあるいは僚機の証言かはとにかくとして、エンジン故障があったのではないとも言っております。そうすると、翼を含めて機体に何かの故障があったのか。そうしますと、これは空中分解するはずです。それでもない。それじゃ、原因は一体何ですか。
  58. 小野裕

    小野政府委員 前から申し上げておりますように、まだ原因調査中でございまして、いままでは、そういうような、どうなってきているかという形は逐次調べてまいったのでありますが、その原因がどこにあるかということは、現在調査中でございまして、まだそういう点についてお答えを申し上げる準備はございません。
  59. 石橋政嗣

    ○石橋委員 だから、その機について聞いているのじゃなくて、防衛庁の専門家に聞いていると私は言っているのです。こういうスピードを持ち、このような構造の飛行機きりもみ状態に入るという場合は、どういう場合が想定されるのですかと聞いている。必ずしも失速状態になったら、きりもみ状態に入るのではないとおっしゃいました。それを防衛庁の専門家もお認めになるかどうかですよ。アメリカの言い分ではなくて、いまのような、このような性能を持った飛行機——このような重量、このような翼面積、このようなスピードを持った飛行機が、失速状態になったら、必ずしも一〇〇%きりもみ状態に入ることはないとアメリカは言っているが、その考え方は、日本防衛庁の専門家もお認めになりますか、まずお聞きしましょう。
  60. 小野裕

    小野政府委員 私が申し上げましたのは、必ずしも米軍側の言い分だけでなく、事故分科委員会におきまして、いろいろ討議をされました。しかも現在考えられる範囲においてのいろいろな議論の進行経過について、中間報告を受けましたことをお伝えしたのでございますが、専門家の御意見ということになりますると、また専門家を呼ばなければならぬわけでございますが、まだそれらの点について、どなたといたしましても——一般論というお尋ねでございましたが、本日はそういう専門家を出席させておりませんので、いかがいたしますか、御要望でございましたら、すぐ手配をいたします。
  61. 石橋政嗣

    ○石橋委員 私は呼んでくださいと言っているのです。装備局長なり、あるいはもっと専門家がおれば呼んで下さい。そうしなければ、アメリカの言い分がどんどん入ってきたら、ゆがめられるおそれがあるのですよ、皆さん方の発言は。もっと客観的に、一般論を戦わしておいたほうがいいような気がするのです、この疑問点を明らかにするためにも。結局アメリカパイロットがあまりにも早く脱出したためにこんな惨事を引き起こしたんじゃないかという国民の疑問に答えるためには、一つ一つそういうところから明らかにしていかなければならぬじゃないですか。そういうことすら何ら答えられないというのじゃ、あくまでも向こうの言い分を聞こうという調査であって、こっちで自主的に調査しようというかまえがないということになりますよ。それだけの能力があるのだから、防衛庁には。防衛施設庁にはなくても。だから、答えられるような人を呼んで下さいよ。私、もっと専門的に聞きますから……。私のようなしろうとが持つ疑問、それに答えられなくて、国民の疑惑にどうして答えることができますか。
  62. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 私は、パイロットでございませんので、専門家というわけには参りませんけれども教育訓練を担当いたしておりますので、お答えを申し上げます。  防衛庁としても、問題の事故については非常に重大な関心を持っておりまして、どういうわけでああいう事故が起きたのであろうかということをきわめたいと思っております。RF8Aは、日本自衛隊で装備をいたしておりませんので、性能諸元等について詳しい資料を持っていないわけでございます。さっそくそれを集めて、並びにこの事故状況等についての諸条件を資料として集めて、検討してまいるわけでございますが、とりあえず事故分科委員会には、防衛庁の航空自衛隊から担当者が一人、パイロット出身の専門家が出ております。彼が出て十分に調査の資料等を集めることができますので、彼の集めました資料、並びに航空自衛隊で独自に集めることのできる情報、資料等を総合いたしまして、検討を進めてまいりたい、かように考えます。  まだ分科委員会は一回開かれただけでございまして、分科委員会に提出された資料等も十分なものでございませんので、突っ込んだ議論はいたすことができない状況でございます。
  63. 石橋政嗣

    ○石橋委員 それじゃさっきお尋ねしたところに戻りたいのですが、まず考えられることは、油が切れたんじゃなかろうかという疑問なんですね。ところが、これは切れたんじゃない、こういうお答えが明確にありました。また、事実一緒に出発した僚機のほうは、同じ型なんでしょう、これは。これが現存しているということになりますと、油が切れたという条件は考えられない。エンジン故障が起きたんじゃなかろうか。これもエンジン最初からやめた、掘らなくても大丈夫というふうな、どこかで断定が下った。ですから、疑問の余地がなかったものと思う。そうすると、あとは機体に何らかの故障が出てきたのかということになるのですが、私は、そういう場合には空中分解をすると思うのですが、そうじゃありませんか。それじゃそれを答えてください。
  64. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 いま石橋委員の御指摘になりましたように、大体事故は操縦者のミス、それから機材の欠陥、機材はもちろん機体を含めます。大体大きく分けますと、二つの原因がございます。それでRF8Aにつきましても、米国の海軍でレギュレーションをつくっておる、そのレギュレーションどおりにパイロットがその高度を——その高度についても、九千という説と、八千という説と、七千くらいという説といろいろございます。これは調査の進むに従いましてはっきりしてまいると思いますが、あの高度でとられなければならなかったレギュレーションどおりにパイロットがやったかどうかということ、それからエンジンが埋まっておりますけれども、はたしてエンジンが正確に作動しておったかどうか、それからエンジンに付帯をしておりますいろいろな機材が故障を起こしておったのではないか——機体は空中分解をして全然なくなってしまっておるという、いま御指摘がございましたけれども、やはりこれも集められる限りで集めまして、推測のできる検討は行なわなければならないと思います。そういうすべての検討を行なった上で、操縦士のミスである、あるいはエンジン故障であった、あるいは機体の瑕疵であったという判断ができようかと思っております。したがいまして、防衛庁としては、ぜひ埋めたエンジンは、どういう犠牲を払っても掘り出していただいて、御検討に相なるべきではないかという意思表示をいたしておるわけでございます。
  65. 石橋政嗣

    ○石橋委員 私は、名誉の問題もありますから、操縦者のミスは一番あと回しにしたわけです。まず物のほうから入っていって、全部の条件が物にないということになれば、操縦者のミスということになりますから、最初からやる必要はないと思って、まず物についてお尋ねしたわけです。  ところが、いま重大なお答えが出てまいりました。私は、エンジン最初から掘らないという態度を捜査当局が示したのですから、だから、エンジンには問題はないのだという何か根拠があったかと思ったのですよ。ところが、いまの教育局長お話では、エンジンもまだわからないと言うんですね。エンジンもしくはエンジンの付属部分に故障があったかもしれぬ。重大じゃないですか。みんながおかしいではないか、何で掘らぬのだ、うやむやにするんじゃないかと言わなかったら、あのまま埋めてしまっておったのではないですか。その点に非常に不明朗な点があるわけなんです。
  66. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 先ほど簡単にエンジンの問題につきましてお答えしたのでありますが、実は現場の様子の報告を受けますと、地元方々が、近所の家が倒れてしまう。大体四メートル近く——私も現場を見て知っておりますが、えぐられておりまして、その下を約十メートルくらいまで掘らなければだめじゃないかというようなことも言っておりました。出水が非常にひどくなりまして、同時に付近の人、地元で、もうかんべんしてくれ、掘らないでくれというようなことで、実は現場警察米軍地元方々の話し合いで、それじゃやめようじゃないか、一応埋めておこうということになったことは事実でございます。  ただ、この問題は、先ほど申し上げましたとおり、今後の事故を防止するためにも、原因を徹底的に洗うことが必要であると私は考えましたので、一昨日アメリカ軍に対しまして、地元の要望はいろいろわかるけれども、これはやはり疑点を一点も残しちゃいかぬ。エンジンを見なくても絶対に大丈夫だという専門家の判定があり、またわれわれも納得がいくならばやむを得ないが、少しでも見る必要があるというならば、たとえ幾ら金がかかり、工事がむずかしくても、地元の方を説得して掘り出すべきじゃないかということを、アメリカ側に申し入れておるのは事実でございます。
  67. 石橋政嗣

    ○石橋委員 大体現場検証を行なう場合に、そういうあいまいな態度があり得るはずがないですよ。地元人たちが、これ以上掘ってもらいたくない、そんなことを一部の人が言ったかもしれませんけれども事件の究明に当たる立場の者が、そういうことで、それじゃやめておこうかなんというような態度をとること自身が、不謹慎だと思うのです。しかし、これは改められるというのですから、これ以上申し上げません。やはり徹底的に解明していただきたいと思うのです。  そこで今度はお尋ねしますが、自動脱出装置、エジェクション・シートはRF8Aにはついておるのですか。ついておるとすれば、上部についておるのですか、下部についておるのですか。
  68. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 エジェクション・シートがついておると聞いております。上部脱出装置だと聞いております。
  69. 石橋政嗣

    ○石橋委員 それでは、もうパイロットの保護のためには万全の措置が講ぜられているわけですね。ついておる、しかも上部についておるとなればですね。そうしますと、こういう条件の飛行機でエジェクション・シートを有効に利用して脱出する場合に、最低どれほどの高度があれば済みますか。
  70. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 アメリカのレギュレーションは私よく存じませんので、日本のレギュレーションについて申し上げます。アメリカのこの機種の資料を私持っておりませんので、ほかの飛行機のマニュアルを申し上げてもいけませんので、日本の場合のことを申し上げます。  これは通常の脱出装置の場合でございますが、姿勢が水平の場合、これは各機種ともに二千フィートでございます。それからきりもみ、または急降下の状態にある場合、86F、86D、それから104、T33、これは一万フィートでございます。それから低高度の通常のエジェクション・シートの場合には、水平または上昇で各機種は二百フィートとなっております。これは機速が百二十ノーチカル・マイル以上を要するというふうに規定してございます。それから低高度の射出装置、これは水平時または上昇時の104、T33、百ノーチカル・マイル以上でゼロフィート、したがって、ほとんど着陸に近い姿勢でエジェクトできる、こういうふうになっております。
  71. 石橋政嗣

    ○石橋委員 大体スピードからいくと、いま自衛隊が持っております一番優秀なF1O4Jに匹敵するわけですから、F1O4Jの場合を当てはめてお答え願いたいと思うのですが、きりもみ状態でエジェクション・シート、これも同じ上部についておりますから、エジェクション・シートを利用した場合に、最低どれだけの高度があれば脱出可能ですか。
  72. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 私、パイロットでございませんので、自分で体験をしたことがございませんからよくわかりませんが、きめは一万フィートということになっております。
  73. 石橋政嗣

    ○石橋委員 エジェクション・シートを利用しても一万フィート以下では脱出不可能ということですか、F104の場合。
  74. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 レギュレーションがそうでございますので、そういうことだと考えております。これはきりもみ、急降下の場合でございます。
  75. 石橋政嗣

    ○石橋委員 そうしますと、今度のような条件の場合はやむを得なかったという判定が出るわけですね。
  76. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 今度の場合スピン、と申しますのはきりもみでございますが、きりもみの状況であったというふうに新聞等では申しておりますけれども、そのきりもみの状態にいつなったのかという点が、事故調査一つの争点かと思います。いま言われておりますのは、新聞等で見ますと、二機で飛んでおりまして、着陸の姿勢に入るために旋回飛行を何回かやった。そうして僚機とはぐれたので、僚機を呼び合って遭遇するために、ランデブーと申しますが、ランデブー姿勢に入るために、くふうをしてランデブーをした瞬間に事故のきりもみの状態に入ったというふうに新聞では書いております。それは下の目撃者がそういうふうに言ったのか、あるいは僚機パイロットがそのように判断をしてそういうふうに言ったのか、その辺はまだはっきりいたしておりません。したがって、もしランデブーをした瞬間にきりもみになったのであれば、僚機がそのときに高度何フィートをとっておったかということではっきりわかるわけでございますけれども、そうでなくて、ある程度機首を振りながら異常な状態になって高度を下げていって途中からきりもみになったというようなことにもしなりますと、さらに下のほうできりもみ状態になったというふうにも判断できます。その辺は、私どもまだ新聞記事で読む程度でございますので、はっきりしたことを申し上げられる状況ではございません。
  77. 石橋政嗣

    ○石橋委員 私は、パイロットが飛び出すのまで見ておった人なんておりゃせぬと思うのです。そのときに、パイロットで飛び出す前にきりもみ状態になっておったというふうな目撃者がおるはずはありませんよ。パイロットがそう主張した場合にしか考えられないじゃないですか。本人に聞く以外は解明の方法がないのじゃないですか。大体事故がああるかどうかわからないのですから、いつ飛び出したかもわかるものですか。脱出してしまえば、一種のきりもみ状態になるのですよ。そのときに見た人はおるかもしれないが、脱出する前の状態を目撃しておった人が、第三者でおるはずがないと思う。ところが、これがポイントになると思うのです。しかもこの高度自体がおかしいのですね。先ほど施設庁の長官のお答えによると、九千フィートの地点で事故を起こして、二千フィート落下して七千フィートのところで脱出をした、こう言っておる。ところがいまの教育局長説明によると、九千フィートであったか七千フィートであったか、事故を起こした高度すらわからぬというのです。七千フィートのところでもし事故が起きたとして、二千フィート落下したとする。そうすると、四、五千フィートのところで、脱出不能だということになるけれども、ぴんぴんしているじゃないですか。この辺もしろうとの私にはわからないのです。安全圏を一応一万フィートと見ても、そんなにサバを読んでおるわけではないでしょう。それでは五千フィートのところでこのエジェクション・シートを使って飛び出してみたところでとても助からぬということにならなければ、一万フィートということがおかしいということになるのですが、その辺はどういうふうに考えておられるのですか。
  78. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 石橋委員よく御存じのとおり、七日の第一回の事故分科会を皮切りにいたしまして、双方とも専門家が出て、問題点を一応合意に達して合同委員会に勧告することになったわけでございますが、私も実は専門家に指令を出しまして、何回でもわれわれが納得いくまでやらなければこれはいけない、それはこの事件解決だけではなくて、今後の問題だということを実は指令を出しておるわけでございます。したがって、いまパイロットの非常に微妙な、しかも重大なポイントの御質疑でございますが、いまの段階では、私は、やはりあらゆる角度から専門家が徹底的に探求し、そしてわれわれで納得いくまで少し時間をかしていただいたほうが適切ではないか。いまパイロット過失と断定することも早急でございますし、またパイロットが全然過失がなかったと断定するのもまだ少し早過ぎるんじゃないか。少し時間をかしていただきまして、日米間の専門家が納得し、また国民方々が、なるほどこれはこうだった——どう結論が出るかわかりませんが、また連日連絡させておるわけでありまして、しばらく時間をかしていただきますが、ただ、いろいろ質問を持たれる点は、貴重な参考といたしまして、私どもあらゆる角度からそれを専門家に伝えて、深く掘り下げさせるよう強く指令するつもりでございます。
  79. 石橋政嗣

    ○石橋委員 私、先ほどの質疑応答を聞いておって、いまのような質問がすでに出てきているんです。だから、専門家なら、もっと早くこんなものはちゃんと感づいておらなければならぬと思うのですが、どうも先ほどからのお答えを聞いていると、高度の点にしても何にしても、何か簡単に考えているんじゃなかろうか。それにまあ、先ほど言ったエンジンの扱い方にしても、本気で解明しようという意図があるんだろうか。そうじゃなくて、事故委員会を開いてみても、アメリカはこう言っております。そちらはこう言っております。それに尽きているような感じを受けましたから、しろうとの私が聞いてもこんな疑問点があるんですよということを投げかけておきたいと思うのですよ。だから、そういう問題点をよく解明できるような人を必ず出して、完全に施設庁を補佐してもらいたいと思うのです。その責任をとらなければ、ちょっと早く飛び出し過ぎたんじゃないだろうか、その疑問に答えることはできないと思うのです。  それから、いま新たにはっきりした問題として、この落ちた飛行機が偵察機であるということが、はっきりしたわけです。いままでの新聞情報によると、みんなこれは艦上戦闘機、航空母艦に搭載されておる戦闘機という認識があるように見受けられます。ところが私は、この記号のRFというのを聞いたので、これは偵察機じゃないか、それじゃ、どのような任務を持ってやってきよったんですか。嘉手納の飛行場から来たというけれども、これは航空母艦から出たんじゃなくて、ほんとうに沖繩から出たんですか。そしてまた、日本に何しに来ようとしておったんですか。私は、偵察機であるがゆえに、きちっと究明しておきたいと思います。
  80. 石井市次郎

    ○石井説明員 この機体はRF8Aでございまして、Rは偵察、Fは戦闘をあらわしております。したがいまして、戦闘とそれから偵察を両方コンポジットいたしました部隊に入っております。したがいまして、戦闘訓練をしつつ写真をとるというような任務を帯びまして、沖繩から厚木に来る途中でございました。沖繩に参りましたのは、岩国から出ております。この機体は岩国の所属でございます。
  81. 石橋政嗣

    ○石橋委員 RFという記号があるのは、私どもの理解では、これは戦闘機が改良されて、主たる任務は偵察機だというふうに理解しているんです。だから、どちらのほうに主力が置かれているかというと、こういう場合には、私は、偵察任務というものに主眼がある、こういうふうに理解するのが正しいと思うのですよ。そうすると、写真機を備えて写しながら来た、こういういまのお答えでございますが、そのようなお答えに合う条件が一つ出てきているんです。墜落したときに、ヘリコプターがいち早くやってきて、そうしてパイロットを収容すると同時に何らかの品物を持ち運んだということを聞いておるのですが、そのとき持ち運んだものはしからばカメラなのか、こういう質問が出てくるのですが、その点は解明されていますか。
  82. 小野裕

    小野政府委員 私、事故分科委員会を通じまして、概況の報告を受けました。この報告の中で明らかになりましたことは、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、事故が起きました直後、同時に僚機から厚木基地のほうに無線連絡をして、おりから厚木上空においてスカイ・ダイビングの訓練に従事しておったヘリコプターが、そのまま指令を受けて本人を、落下者を収容した、こういうわけでございますが、そのときに何かほかの物を持って同時に運び去ったというような話は、全然聞いておりません。むしろその落下いたしました場所が、約数百メートル現地から離れておりまして、本人は別に何も持っておったというようなことは聞いておりません。そういう報告がございません。
  83. 石橋政嗣

    ○石橋委員 私は、現地に行かれた方の報告に基づいてお尋ねをしてみたわけですが、偵察任務を持っておるということから関連して、何かそういうふうな機密に属するものがあって、いち早くこれを持ち去ったのじゃないかという疑問を実は持ったわけです。  ところで、時間がありませんから次の問題に移りたいと思うのですが、国民不満のいまひとつ、特に被害地の住民の気持ちとしてどうにも釈然としないのは、アメリカ飛行機はもう日本の国じゅうどこでも大いばりで飛べるんだろうか、何らの規制もないんだろうか、これだと思うんです。先ほど申し上げたように、パイロットが自分の生命の維持のためにいち早く飛び出したんじゃないか、万全の措置を講じていなかったのじゃないかという疑問の次には、どこでも自由かってに飛べるんだろうか、少なくとも密集地帯の市街地は避けるという配慮が、向こうの善意だけに期待されて、何ら規制がされておらないんじゃないかという、こういう疑問があると思うんですが、この点はいかがなものですか。
  84. 小野裕

    小野政府委員 先ほどもその問題に触れましたが、米軍機日本国の上空を飛ぶ場合の規制と申しますか、ルールと申しまするか、これらの点については、航空局を通じました日本政府との間の一つの取りきめはあるわけでございます。これは全国的な管制の問題、あるいは高度、あるいはルートについての協定の問題、こうした問題があるわけでございますが、それらの点につきましては、私ども所管いたしておりませんので、ここで御説明を申し上げかねるのでございますが、私ども、そういうような航空法適用除外によって生ずる各種の問題というようなものについては、航空局でそれぞれ御協定をされておる、こういうように承知をしております。
  85. 石橋政嗣

    ○石橋委員 そんなむずかしいことを言わなくてもいいですよ。日本国じゅうどこでも飛べるんですかという素朴な質問に答えてください。
  86. 小野裕

    小野政府委員 細目につきましては、私ども承知いたしておりません。
  87. 石橋政嗣

    ○石橋委員 大臣も承知しておりませんか。
  88. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 細部の点は、先ほど施設長官が答えたとおりと思います。ただ、私どもいろいろ聞いておる、また報告を受けておる点では、日米間にも、実は騒音の問題、あるいは厚木飛行場で相当こまかい点で規制についての日米間の話し合いができたことも、石橋委員御存じと思いますが、そういう点で、ただむやみに無制限に飛んでおるとは私ども了解しておりません。
  89. 石橋政嗣

    ○石橋委員 とにかく事故が頻発し、しかも国民被害というものは非常に大きいんですね。これはいままで最近の例が全部ここに書いてありますけれども、もう少しこの点においてきちっと規制してもらいたいと思うんです。これは今度は特に大臣の選挙区で起きておるのですから、より大きな関心を持っておられると思いますけれども、向こうの善意を期待するという程度ではなくて、ひとつきちっと規制してもらいたい。この際このことを強く望んでおきたいと思います。  最後に、補償問題ですが、従来の労災方式をホフマン方式に改める、これは一つの前進、進歩としてわれわれも評価したいと思います。ところが、今度の場合も、やはり最高限度をきめるように聞いているのですが、新聞の報道によりますと、大体三百万円程度で押えるかのごとく聞いておりますが、そういう形で話が進んでおるのですか。
  90. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 一応独立採算制をとっているような鉄道公社のような、三百万円といいますか、いま額をあげられましたが、それは参考になりますが、実はいま交渉しております私どもの案は、一応はめどをつけていいけれども、これ以上は出さぬというようなことは困るという線で交渉しております。
  91. 石橋政嗣

    ○石橋委員 そうあらねばならぬと思うのです。特にホフマン方式と言っておるからには、上を三百万程度で押える、こんなことでは私はよくないと思います。あまりにも日本人の命は安過ぎると思うのです。この事件が起きたときに、アメリカでこんな事故が起きたら幾らぐらい補償が出ますかと、ある人がアメリカ大使館の主要な人物に聞いたら、さあ三十万ドルくらいでしょうかというお話だった。日本人の命とアメリカ人の命と、こんなに開いてもらっては困ると思うのです。ひとついまのせめて最高限度を設けないというような線でがんばっていただきたいということだけを申し上げて、時間をとりますから、私はこれで終わりたいと思います。
  92. 徳安實藏

  93. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 私は、端的に防衛庁長官に二、三点お伺いします。  先ほどから質問が続いておりますし、きのうの本会議でも三党が質問したわけでありますが、だれも今度の事件に対して遺憾の意を表しておりますし、再度こういうことがあってはいかぬということを言っております。そこで防衛庁長官は、今後こういった事態が起こらないという確証と自信をお持ちになっているかどうか、この点をひとつお伺いをしておきたい。
  94. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 今後こういうことが起こらないよう絶無を期したいという考えを持っております。
  95. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 起こらないように期待され、絶無を期したいということはわかりますけれども、いまも石橋委員の指摘したように、三十三年以来かなりの被害を与える墜落事故が相当にございます。最近もございました。となりますと、いかに防衛庁長官が絶無を期したいとおっしゃっても、アメリカ空軍が日本上空を縦横無尽に飛び回っている間は、私はこれは期し得ないと思うのです。むしろもっと大きな被害を起こしかねないと私は思う。そこで日本国民が特に今度の事態に直面して考えることは、どうしてアメリカ飛行機がああ落ちるのか。しかも市街地に落ちるのか。これは安保条約による米軍の駐留でございますが、私どもは、もちろん御承知のように、従前から安保条約の廃棄と行政協定の否定をしてまいっております。しかし、自民党の池田内閣は、岸内閣に続いて、安保条約を改定して、十年の期限を持っております。しかし、私が指摘したいのは、日本国民の頭の中では、いわゆる日本国を守ってくれるはずの米軍が、いまや日本に非常な危害を与えている。こうして次々に起こる飛行機事故もそうでありますし、あるいは交通事故による被害、あるいはその他ひんぴんとした危害が加えられる。ところが、ながめてみますと、現在世界はいまや平和への大きな努力が重ねられて、日本の周囲に、日本に進撃し、あるいは侵略するような状態があるとは考えられません。しかるに、厳としてアメリカ軍が日本内地に多数の基地と多数の軍隊を持って現存しておる。このことに私は問題があろうと思う。したがって、ここでこういった問題を何回論議しましても、あるいは補償を出しましても、アメリカ軍が日本の内地に厳存する以上は、これは根絶できぬと思うのです。したがって、この防衛庁長官が、あるいは池田内閣が、こういった事故を今後絶無に近い状態に持っていきたいといって、いかにパイロット訓練し、いかに航空規制をしようとも、日本上空アメリカ空軍がある以上は、私はできないと思う。したがって、こういう事故を今後絶無たらしめるためには、安保条約は十年の期間がありますけれども、少なくともアメリカ空軍は日本上空飛行しない状態に持っていく以外にないと思うのであります。もし飛行するならば、いわゆる日本の国土の上でなくて、海の上なりいわゆる人家のないところを飛ぶ以外に——私は端的に言えば、安保条約があろうとも、まず第一に、アメリカ空軍が日本から帰ってもらいたいと言いたいのですが、これはそう言っても、あなた方はそれを御承知なさらないでしょう。しかし、あるとすれば、飛行日本の陸地上空を避けて、海上なりその他の方面で訓練なり戦闘要員の仕事をしてもらうのが、一番望ましいと思う。こういったことは、日本政府として厳としてアメリカ政府に申し入れ、そういった協定を結ぶべきだと思うが、防衛庁長官、どういうふうに思いますか。
  96. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 今後こういう不幸な事故の絶無を期して、あらゆる観点から要望すべき点は強く要望するのは当然と思いますが、私どもは、日米安保条約によって日本の独立と平和が確保されておると確信を持っておるものであります。したがいまして、米軍の在日基地を利用するところの、日本本土陸上のといいますか、いま御指摘のような飛行をやめてくれというような申し入れをすることは、全然考えておりません。
  97. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 アメリカ日本に駐留して、安保条約で日本の本土を防衛してくれる、それはまあいいでしょう。しかし、それは現在私ども判断では、先ほども指摘したように、日本の周囲に、日本に向かって侵略するというような状態があるとは、日本国民だれも考えておりません。したがって、いわゆる安保条約によるアメリカ軍の日本駐留は、これはいまやむを得ぬとしても、現に日本が外国から侵略される状態にないというならば、何もあわてて米軍飛行機が、いわゆる日本国民に危害を与えるような状態飛行することはないと思うのであります。それとも防衛庁長官は、やはり常時日本の陸地、いわゆるわれわれが住んでいる日本上空を、アメリカの空軍が警戒をし、戦闘訓練をしなければ、われわれは安心して日本内地で生活できないという状態があるというふうに御認識であるか、それをお伺いいたします。
  98. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 私どもは、夢に描いている世界連邦的な新しい国際組織の再編成ができれば別でありますが、残念ながら現実のきびしい姿は、やはり平時の十分の備えをして、いつ起こるかわからない不測の、直接または間接の侵略には、当然備えなければならないと私どもは考えております。
  99. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 直接あるいは間接の侵略とおっしゃいますが、私が先ほど指摘しておるように、私どもは、少なくとも日本国民は、直接侵略があるという状態日本の周囲に現存するとは考えていないのですよ。しかし、あなたのいまの御答弁では、いつ起こるかわからぬ不測の状態とおっしゃいますが、ではそういう状態がいま日本の周囲にあるのかどうか、どういう地点にあるのか、どういう事態か、それを御説明願わないと、国民は納得いたしません。
  100. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 これは国際情勢、特にアジアの情勢分析のお互いの見解の相違と存じます。私どもは、あらゆる場合にも、日本の祖国の独立と平和を侵略から守らなければならぬ、こう考えておるわけであります。
  101. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 一番近い韓国では、日韓会談が進んでおる。社会党の反対にもかかわらず、あなた方は盛んに進めておる。その隣に北鮮があります。その北鮮は韓国と続いておる。その次は中共であります。あるいはフィリピンその他ありますけれども、そういうところは、現にあなた方と仲よくしている。もし不測の事態とおっしゃると、北鮮か中共かソ連か、こういうところだと思う。ところが、いま私どもの理解では、また世界的な常識では、ソ連がいま日本をはじめその他の国に侵略をするという状態は考えられない。中共も中ソ論争をやっておりますけれども、中共自体も、私ども判断、世界的な判断のもとでは、他の国に武力侵略というような状態があるとは考えていない。北朝鮮は、もちろんそういう力はない。こう考えてまいりますと、私の周囲には、たびたび指摘しているように、そういう状態があるということは考えられないのであります。したがって、そういう状態ならば、アメリカ日本との安保条約の現存は——これはつくって十年間の期限がございますが、この際政府は、安保条約の廃棄はどうか存じませんけれども、安保条約があっても、軍隊がいなくても済むことであります。したがって、最小限譲歩して、先ほど言ったように、少なくともこの際、こんな事件を契機に、日本上空の常時無差別な飛行だけは規制をして、できれば陸上の飛行も中止する。どうしてもいかんならば、山間部なりその他で、市街地なり日本人の居住する区域は絶対に飛行しないというくらいの、強い要請があってもいいと思うのでありますが、これすらできないのかどうか。どうでしょう。
  102. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 人口稠密地帯の事故の再発を防ぐための処置につきましては、事件のありました翌日、私はアメリカ側に申し出ております。事故分科委員会が行なわれましたが、人口稠密地帯を飛ばない何らかの具体的な、有効な措置はできないかということを申し入れておりまして、いまいろいろと専門家が検討中であります。ただ、無条件に日本の陸上、本土上を飛んでは困るという御議論には、私どもは賛成いたしかねるのであります。
  103. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 私どもは、決してそれは不可能ではないと思うのです。それは日本政府の、国民の強い要望がありますならば、私は不可能じゃないと思うのです。アメリカ自体も、いま日本に現実にそう直接の侵略があるとも考えていない。という証拠は、アメリカ日本防衛を担当しておりますが、アメリカ自体の都合では軍を減らしておる。先般もドル防衛のために日本からかなりの軍隊を減らしておる。アメリカ日本に当面かなりの侵略の危険性を感じるという情勢判断ならば、たとえドル防衛のためとはいいながら、アメリカ軍隊日本から撤退しないと思うのです。そのことが端的に日本人に与えた一つの疑惑は、アメリカ日本を守るために駐留していると言っているけれども、これはやはり単なる表面の理由であって、実際にはアメリカ防衛のため、アメリカの都合で日本に駐留しているのだという感じを、あのドル防衛によるところの撤退が与えている。そうしますと、今回の事件とも関連して、私は、やはりアメリカ日本防衛するための駐留でないという一つの疑問と、さらに、先ほどから指摘しておるところの、これはかつて起こったいろいろなアメリカ駐留軍による日本人の虐殺事件等もございますが、こういった一連の事柄は、アメリカ内部における黒人べっ視、黒人差別の思想とつながった、有色人種である日本人に対する差別的な感情からくる、いわゆる一パイロットが自分の身を守るためには、市街地であろうとどこであろうと、日本人の殺傷等は意に介しないという、私はアメリカ人特有の有色人種べっ視の感情が多分にあるということを感ずる。このことは、やはり先ほど言ったドル防衛によるアメリカ軍の撤退と結びつく一つの流れでありますが、今度の事件を通じて、いずれいろいろな事故原因がわかりましょうが、わかった場合に、当然脱出前に適当な処置をすべき状態であったにもかかわらず、飛行士がその処置をしないで自分の身の安全だけをはかったという結果が出た場合に——私はそういったことを感ずるのですが、防衛庁長官は、あなたの立場上、先ほども言ったようにあなたの選挙区でありますが、死んだ何人かの人もあなたの支持者かもしれない、あなたに政治的な万全の信頼をして投票した人もあるかもしれない、そういう人がこういう状態でなくなったということは、非常に大きな問題だと思いますが、その点に対する長官の御見解を端的にお伺いしたいと思います。
  104. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 今度の事件は、一選挙区の問題ではなく、在日の米軍基地並びに民生に直接関係のある大きな問題であります。そういう意味合いで真剣に取り組んでおります。  なおまた、人種的偏見云々という御意見がございましたが、私はそう考えておりません。現に座間におきまして、また松島におきましても、米軍の将校が最大限の努力をいたしまして、民家を避け、学校を避けるために、二度とも殉職いたしております。こういう前例もございますし、われわれ独立日本人として、アメリカ人に人種的偏見を持たれておるというふうに考えること自体がコンプレックスの問題で、私はその点は意見を異にいたしております。
  105. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 最後に、補償の問題でございますが、三十三年以来かなり人畜並びに家屋被害がございますが、人の場合には、補償金で大体解決がされておるようであります。家の被害の場合、たとえば今度二棟五世帯が全壊しており、あるいは半壊しております。この家の全壊した場合に、補償はいままでは補償金として出しておったのか、あるいはいわゆる復元、いままであった状態に返して補償しておるのか、この点はいかがですか。
  106. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 金銭で補償しております。
  107. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 その場合に、大体その補償は、もとの建物を復元して、いわゆる居住なりあるいは店舗等の営業ができるような状態まで補償をされておるのか、いかがですか。
  108. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 さようでございます。
  109. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 この際もぜひ、ああいう町中でございますので、私は、いわゆる人間の補償もそのとおりですが、家屋の補償についても、できるならば国で責任を持って商店街の復元をして、その営業なり今後支障のないように、ひとつ懇切な補償をされることを要望し、さらにあとに不安の残らないことが必要と思うので、そういうあたたかい御処置をされんことを要望して、質問を終わります。      ————◇—————
  110. 徳安實藏

    徳安委員長 労働省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  111. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間が大体あと一時間ぐらいしかないようでありますので、私も簡潔にお尋ねをいたしますが、大臣も正確な答弁をお願い申し上げておきたいと思います。  そこで、まず法案に関連をいたしましてお尋ねをいたしておきたいと思います。  第一点は、今回労働研修所を設置されることになっているわけでありますが、これは単に国家公務員であります労働省の職員だけでなく、「労働省の所管行政に係る事務を担当する職員等」ということになっておりますので、自治法の附則八条によります、地方事務官としての身分を持っている職員や、あるいは事業団の職員、さらにまた一般の労政関係の担当であります地方公務員関係、さらに民間関係まで職員という名の中で含まれるものかどうか、そういうような委託等についての考え方をこの「職員等」ということばの中であらわしているものかどうか、この問題についてまず御解明を願っておきたいと思います。  さらに、必要な訓練を実施するための機関であるということになっておりますが、ここでは労働研修所という名前になっておる。この研修ということがたてまえにならなければならないのに、訓練という一方的な立場で表現をされているというのは、一体どういうところに原因があるか。私は、訓練と研修との間には違いがあると思うのです。そういうような立場から見ましたときに、これは一方交通の訓練機関になってしまっているのではないか、こういうふうに解釈をいたしますが、その点について明確な答弁を願っておきたいと思うのであります。  なお、これに関連いたしまして、先日同僚の田口委員から、大阪の職安におけるところの問題が追及をされました。そこで、二月の十二日の大阪の庶務課長会議模様を私も聞いてみますと、現在の労働組合に批判のある者は係長、課長を通じて所長に申し出をさせなさい、あるいは現在の労働組合の執行部を批判する者の中で、次期役員に立候補する意思のある者は係長、課長を通じて所長に申し出をさせなさい、こういうようなこと等が話の中できまっているようであります。それを所長が出したということになっているようでありますが、そういうような事態があるということは、これは好ましいことではないと私は思うのです。そういう立場から、一体ここに集めて研修を行なうこの労働研修所は、そのような不当労働行為が一方的に勧奨されるような形の中で訓練が行なわれるということになりますと、きわめて重大な問題でございますので、その点についての釈明も願っておきたいと思うわけであります。
  112. 和田勝美

    ○和田政府委員 お答え申し上げます。  まず、研修所でございますが、研修をいたします範囲として私ども考えておりますのは、ただいま御指摘のありましたように、地方自治法の附則八条によります、都道府県に勤務をいたしております職業安定課、失業保険課勤務の職員、こういうものも研修対象にいたしたいと思います。なお、それ以外に労政課関係の仕事は、県の地方公務員の身分の者が行なっておりますが、その職員、それから職業訓練関係も、府県は地方公務員でございますが、そういう職員を考えておりまして、民間等をこの中に考えておるわけではございません。  なお、訓練という文字でございますが、これは現在の労働基準監督官研修所におきましても、「必要な訓練を行う」ということばを使っておりますので、同じことばを踏襲して書いたわけでございます。  それから、大阪におきまして、安定所の庶務課長会議を開いて、組合役員立候補の問題等について調査を命じたということでございますが、実は昨日の御質疑のあと、田口先生からそういう点の問いただしがございましたので、現地に照会をいたしましたところ、現地ではそういうことをやったことはないという返事をいたしておりますので、お答えを申し上げたいと思います。
  113. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 今回、六百四十六名の定員増ということに相なるのでございますが、この内容を検討いたしてみますと、最近の中高年齢者の職業の問題等を中心にして、そういうような近代的な職業の流動化の問題等が取り上げられているわけでありますが、この中で私は一、二お尋ねをいたしておきたいと思いますのは、最近の雇用情勢の問題でございます。年少労働者につきましては、特に学卒の場合は、求人と求職の割合が非常にきびしくなってまいりまして、三・七倍あるいは四倍、こういうような状況に相なっておる。ところが、片一方、中高年齢者の場合には、それが逆の立場において、今日までなお求職率のほうは低いところに置かれておる。こういうような状況で、これを職業訓練機関等に収容をいたしまして、そこで技術を持たして流動化をはかっていくという形がとられているようでありますが、私も地方の職安の所在地等を回りまして、第一線で働いている労働省の職員あたりと話をいたしてみますと、そういうような学卒の年少労働者を雇う企業というのは、大企業が多い。そこで中高年齢者の場合には、これは中小企業ということに勢いならざるを得ない。その場合に、非常に労働条件が悪い。だから、これらの関係で、学卒の年少労働者を要求するところには、中高年齢者もあわせて採ってもらうような方法をわれわれは慫慂しておる。そういうような形で開拓をしていきませんと、どうにもさばきができないんだというようなことを言っておるのでありますが、その上に若い層に対する求人側の要望は、異常といっていいほど非常に強い。ところが、中高年齢者に対しましては、きわめて冷たい態度をとっておる。特に五十歳を過ぎた場合等は、これはほとんど就職ができないというような状況に相なっておることは、労働省の職業安定に対するところの指導が、そういうような総合的な立場からなされていないところに問題があるのではないか。この流動化を近代化して合理化を進めていく方向を考えていくならば、そこにはもっとくふうをしなければならない点があるのではないかと思うのでありますが、その点について、大臣、御所見をお持ちであればお伺いをしておきたいと思うのであります。
  114. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 中高年齢者の問題でありますが、若年労働者の非常な需給の不均衡の逆の面を依然として持ち続けておりますことは、雇用対策上大きな問題でございますので、これが打開につきましては、いろいろ努力をいたしてまいったところであります。しかしながら、これを使用者の自然の要求に従っておるだけではなかなか解決ができないように思いましたので、先般労働省といたしましては、若年労働者の雇用の申し込みに対しては、中高年齢者を抱き合わせて紹介していく、そしてあわせて採用をお願いするということに踏み切りまして、ただいまその線でやっておるわけでございます。詳しいことは、政府委員から申し上げることにいたします。
  115. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 現在、職業訓練を受けまして就職をいたしますその割合、あるいは失対法の改正によりまして、長期訓練やあるいは職場の適応訓練等を受けまして就職をしていく割合というものが、一体はたして効果的な機能を果たし得る状況になっているかどうかということを、いろいろ社会労働委員会におけるところの委員質問等を通じまして調べてみますと、必ずしもそれが十分な状況の中に置かれていないようなことを知るのでありますが、ここで私はお尋ねをしておきたいと思いますが、労働省の管轄にあります事業団の例の年末手当の総合職業訓練所におきます労働組合側の要求は、すでに解決をいたしたのでありますか。それとも新賃金要求の問題とからめて、昨年の年末手当の問題がいまだに解決をしていないやにもおうかがいをするのでありますが、それはいつ解決をしたのか。まだ解決していないとするならば、そういうような状況の中で、はたして中高年齢者を受け入れながらスムーズな職業訓練ができるかどうかという問題、おひざ元の問題でありますので、お尋ねしておきたい。
  116. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 先月末に円満に解決いたしました。
  117. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間の関係がありますので、こまかい問題はおきまして、大臣にお尋ねをしておきたいと思いますが、労働省の任務というものは、労働省設置法に明らかになっているように、私は労働者の身分とかあるいは生活条件、雇用条件というものに対しまして、労働条件の向上をはかったり労働者を保護するというのが、労働省の主たる任務になっていると思うのでありますが、その点は大臣もお考えになっていらっしゃると思いますけれども、一体労働行政に対する基本的なかまえというものは、大臣どのようにお持ちになっているか、この際御説明を願っておきたいと思うのであります。
  118. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 労働省は、労働に関する仕事をつかさどるわけでございまするが、労働は、国の経済的、文化的、社会的あらゆる意味の活動力の源泉でございまして、これを保護し、増進していくということが、社会の発展の根源でありますから、このことを十分認識をいたし、常にいかにしてよりよい労働を確保していくか、またその労働というものは労働者という国民によって提供されるものでございまするから、したがって、これを提供する労働者諸君の生活の維持向上、福祉の増進、これを常に念頭に置いていかなければならぬものと思うのでございます。
  119. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大臣考え方はそういうような考え方で、昨年人事院の勧告がどのような形で実施をしようかというときにも、労働大臣は、他の閣僚よりも、せめて人事院勧告の勧告の時期に近いようなところまで実施すべきだということで努力をされたことも私聞いておるわけでありますが、また、最近の春闘の大きな柱になっております最賃法の改正の問題にいたしましても、三月三十一日に社会労働委員会において来年これを提案をするということを言明をされたということも、聞き及んでいるわけであります。そういうような、現在の池田内閣の中におきましては、労働大臣という立場から、あるいは大橋さん個人の近代的な感覚というものがあるのか知りませんが、そういうような前進をする立場において問題を取り上げていかれることを、私はいままで知っておりまして、そういう立場から敬意を表しておったのでありますが、今回十七日に行なわれます春闘のストライキという事態に備えまして、公労協が四日にスト宣言をいたしました。それをさっそく大橋労働大臣が談話を発表をされたわけです。これは一体どういうような立場から、大橋労働大臣はそういう労働者を保護し、労働者の権利を守るという立場にあるならば、こういうような問題については、労働大臣が声明を発表すべきではなくて、それを担当をしている直接の関係者である、たとえば国鉄総裁なりあるいはその上司にあります運輸大臣、さらにその他その労働者と交渉を持っている行政機関の責任者が、それに対するところの態度表明をする、こういうのがたてまえでなければならないと思うのでありますが、第一番目に労働大臣がこれに対するところの談話を発表して、そしてきょうの新聞等に見られまするように、郵政大臣あるいは国鉄総裁等がそういうような幹部に対して指示をし、あるいは警告を発するという形をとっている。とするならば、これはさか立ちした考え方ではないかと思うのでありますが、大橋労働大臣が、四日に公労協のスト宣言に対していち早くだれよりも先にその労相談話というものを発表されなければならない理由というものを、この際承っておきたいと思うのであります。
  120. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 先ほど来申し上げましたるごとく、労働省は労働者の福祉、労働者の権利、利益をだれよりも先立って守っていかなければならぬ立場にあるのでございまして、私は十七日に一部組合が計画しておられますストライキというものは、これが実際に行なわれたる場合においては、世論の反撃を来たす、それらの点を考えますると、労働者の権利、利益を守るためには、このストライキをあらしめてはならない、かように考えまして、どこまでも労働者のために違法のストをやめていただくことをお願いすることが、労働行政として必要である。これが労働者の権利、利益を保護するゆえんである、かように存じまして談話を発表いたした次第でございます。
  121. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 お伺いをしますと、親心のような立場から声明を発表された、こういうことであります。あなたは、この警告を発することだけで、あるいは談話を発表することだけで、この問題が解決できるという自信をお持ちになっておりますかどうか、お尋ねしたい。
  122. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この問題の解決というのは、単に労働省だけの仕事ではございませんので、労働者を使用いたしておられまする三公社、五現業、すなわち各省の方々も、この解決に努力をされなければなりません。また、そればかりでなく、政府全体としてこの問題の事前防止に努力すべきでございまして、労働省といたしまして、その中でなし得る範囲というものは至って少ないのが実情でございまするが、私どもは、あくまでも労使問題としてのこのストライキについて、労働者の利益を守っていくという立場から必要と認められる行動をやっていきたいと思っております。
  123. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 一方的に労働者だけに要求をされましても、労働者の要求が実現をするのであれば、談話を発表された価値が生まれてくるわけです。また、そういうふうにしてストライキに至らないで解決ができるならば、これまたきわめてけっこうなことであります。しかしながら、大臣も御承知のように、今回の春闘の要求というのは、大幅賃金引き上げという立場から要求をしている。ところが、これに対しましては、その交渉をお互いに当事者間において進めている状態が、私たちにはほとんど見当たっていないわけです。いま調停中だ。ところが、調停の原資を一体どこから持ってくるかということになると、これは非常に問題がある。その調停委員会が有効な調停が出し得る状況にあるというように判断をしておいでになりますかどうか。調停委員会の結論というものは、こういうような状況の中において、その原資を持たない、百円の賃金を引き上げるだけでも、国鉄総裁がそれを単独で決定することができないような現在の状況で、団体交渉をすることをすすめて、平和裏に解決をしなさいという考え方があるとしましても、その交渉を進めてみた結果、実行性がこれに伴わない、こういうシステムにいまなっているわけです。こうなってみますと、そういう立場から、いま調停委員会にかけてあるのだから、ストライキをするのはよくありませんよという親心を示されましても、実際は労働者の側にとりましては、実行を期し得ないものを、大臣は何を言ってくれるのだ、労働者に対してそういうような警告を発するのであれば、当事者の当局側にもそういうことを要求して、労働者の権利を守るという立場から要求されるのが本筋ではないか、こういうふうに考えていると思うのでありますが、これに対しまして、大臣は、調停委員会は有効な調停を示し得るとお考えになっておいでになりますか、お尋ねしておきます。
  124. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 公共企業体並びに現業関係の賃金問題その他の労使間の問題は、まず団体交渉で話をするのが、第一段でございます。団体交渉で話がつかなければ、調停に持っていく。調停でも話がつかなければ、ストライキに出るということは法律で禁止されておるのでございまするから、仲裁に持ち込むべきものなのでございます。この仲裁裁定につきましては、政府は常にこれを尊重いたし、公労委発足以来今日まで、すべての仲裁は文字どおり完全に実行いたしておることは、御承知のとおりでございます。かような平和的な解決の手段が公労法によって定められてあるのでございまするから、関係労使におきましては、団体交渉で解決しない、あるいは調停段階解決しないということを御判断になりましたなら、おのずから最後の仲裁の手続に自主的に入るべく努力をされるのが、当然であると存ずるのであります。
  125. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 労働大臣が行政的な立場から解釈をされれば、全くそのとおりであります。しかしながら、私たちは、公労法の十七条自体が憲法違反だと思う。これはすでにILOの結社の自由委員会の第五十四次報告によりましても明らかなように、代償機関の不備を指摘して、公営企業であるという理由でストライキを制限することは適当でないと、日本の政府に勧告をしている。こういうような状況が、国際的な状況として、いまの日本の公労法のもとにおける状況の中では、労働者の有効な権利は保障されていない。そういう代償的な機能を果たしていないということがいわれておる。このような立場から考えてまいりまするならば、仲裁裁定の問題については、政府はいままでその実行をサボったことはないとおっしゃいますが、今日今度の国会中にも、たとえば全電通の問題、交換手の首切り問題等がいままで労働協約の中において首切りは行なわない、こういうことになっておる。にもかかわらず、これが法案として今回出されてきておる。しかも、それも団体交渉をやりましょうという話を、当局が一方的にけって首切り法案という形で出てきておる。また、国鉄の諸君に言わしたら、この前公労委の仲裁委員会の裁定がありました。それはいわゆる始業、終業の時刻の繰り上げ繰り下げの問題については、これは法内超勤であるから、団体交渉の対象にすべきであるということであります。これについても、名目だけはとった。しかしながら、その協議した結果を協定化するということは、当局が猛烈に反対をして協定化ができない。そういう労働条件一つでさえも、仲裁裁定においては解決ができないではないか。また、全逓の諸君は言うでしょう。これは今日公労法の四条三項——この四条三項は、政府に言わせると、法律がある以上、政府当局はこの法律を労働者に守らせるべきであり、そうしてその法律に違反をしてはならない、こういう立場で今日まで終始しておいでになった。ところが、これがILO八十七号条約に違反をするということで、国際的に指摘をされて、それを改正しなければならないという方向に動いているけれども、今日までとってきたのは、団結権に対するところの侵害ではないか。また、全林野に言わしたら、今日も問題になっておるのでありますが、あの現場で働くところの、第一線の事業場の職員の中でも、臨時職員等は、正規の職員と比べると不当に差別をされておる。こういうような状況の中から、ILOの理事会が招集いたしました公務員の労働条件に関するところの専門家会議、この中で取り上げられて満場一致できまった臨時職員という身分の取り扱いについては、これは勤務条件のすべてについて差別の理由とされてはならないという原則が明確に示されておる。にもかかわらず、こういうようなのが一方的にやられておる。しかも、不当労働行為は次から次へと重ねられてきておる。こういうような状況を見まして、一体これでおれたちの権利が守られておるかどうか。守られておると信ずる労働者はほとんどいないでありましょう。そのようなところに、現在の池田内閣のとっております労働政策というものに対して不満を待っておる。この不満を解きほぐしていくところの努力は、労働大臣が労働者の地位と権利を守っていくという役割を果たさなければならない立場からいいまして、労働大臣がもっと親切にこの問題を取り上げて、当局との間において解決ができるように努力をされなければならないはずなんです。だから、そういうような問題を解決するためにこそ、労働大臣にはそれを期待する。労働大臣が一片の声明、警告を出して、それですべてがおさまるというふうにお考えになっておったら、非常に根本的な間違い、とまでは言わなくても、認識の違いがあるのではなかろうかと思うので、この点について再度大臣のお答えを願っておきいたと思うのであります。
  126. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私は、今度のストライキにつきまして、単に談話を発表して、もって労働省の使命は足れりというような考えを持っておるわけではございません。労働者諸君に対しまして、ストライキを回避されるよう希望をいたしますると同時に、政府部内においても、何とか解決の道をすみやかに発見していただくように、いろいろとお願いをしておるような次第でございます。しかし、このほうは、談話の発表というような形で行なうべき事柄でありませんし、政府部内の問題でございまするから、関係当局に対してあらゆる機会にお話をいたしておるところでございます。
  127. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、今回の春闘の問題は、大幅賃金引き上げの問題が一番の大きな柱になっておりますので、こういう立場からひとつ問題をさらに掘り下げてみたいと思うのでありますが、御承知のように、労働者側に言わせますと、ヨーロッパ並みの賃金というものを要求して、これを五カ年間に達成をしたい。ことしは第二年次であるわけであります。そういうようなところから、昨年一年間の労働生産指数の伸びは一四%だ、物価の上昇が九%だ、だから、もう物価の上昇を乗り越え、さらに労働生産指数の伸びを乗り越えていかない限り、ヨーロッパの賃金水準に迫ることはできない。だから、大体二五%が賃金上昇率としては必要である。この程度でいって初めて五年後にヨーロッパ並みの賃金水準が得られるのだ、こういう問題のとらえ方をいたしておるわけであります。といたしまするならば、この労働者の要求というものは、一体正しいかどうかということについて、いろいろな指数を拾って見てまいりますならば、これは明らかに、大臣も御承知のように、わが国の人件費の割合というものが、日本銀行の調査によりましても、アメリカの三八%、それから西ドイツの五八%というふうに、製造業におけるところのコスト構成の中においては低いわけです。ところが、それに比べて銀行資本の分け前であるところの金利は、アメリカの六・六倍、西ドイツの三・四倍、こういうかっこうになっております。しかし、純利益は西ドイツよりも日本の場合のほうが大きいという姿になっている。さらに、この生産の指数を調べてまいりますと、通産省の発表した数字でありますが、付加価値生産性の国際比較をとってみますと、これは六一年の統計でありますが、日本が一人当たり二千百ドル、西ドイツが二千二百五十一ドル、イタリアは千七百七十四ドル、そして、アメリカその他も出ておりますが、ほとんど先進資本主義の国は五〇%以上のところにランクされているにもかかわらず、日本は三三・六%という低開発国のところに位置しているわけであります。こういうような労働分配率を国連の世界統計年鑑の一九六二年版から調べてみましても、われわれはヨーロッパ並みの労働者の諸君と肩を並べて生産しているのだ、働いているのだ。ところが、労働者に対する分配率という問題を見てみると、きわめて不当な地位にある。だから、一ぺんにこれをヨーロッパ並みの水準まで引き上げるということは無理だから、五カ年間でやっていこうじゃないか、こういうことで運動を始めていると思うのであります。これに対しまして、そういう考え方は間違いであると労働大臣はお考えになっているかどうかをお答え願いたいと思うのであります。
  128. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 現在春闘のさなかでございまして、賃金問題をめぐって労使が激しく対立をいたしておるのでございます。ことに、十七日に予定されておりまする公労協のストの関係につきましては、目下公労委において調停手続が進行いたしておるのでございまして、さような点を考慮に入れて公労委も結論を最終的には出されるものと思われますが、今日、労使間のこうした問題については、労働省が介入すべき事柄ではない、かように存じまするので、この際、それについての私の個人的な見解を申し上げることは、お許しをいただきたいと思います。
  129. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、賃金問題で政府が介入すべきではないと思うのです。その基本的なかまえというものは、賛成であります。しかしながら、今日まで労働省は、日本の経済の中において、労働者の賃金引き上げというものがコストインフレに発展をしていくおそれがあるというようなことは、述べておいでになりません。しかしながら、三月四日経済閣僚懇談会で発表したところの声明を見てみますと、春闘によるところの賃上げは、生産性向上に見合ったものでなければならない、こういう立場から賃金ストップの見解を明らかにしているわけです。それは、明らかにコストインフレ論に基づくところの考え方が出されているとすれば、現在のこの春闘の賃上げをめぐるところの情勢の分析なり、あるいは対処のしかたというものは、すでに四日の日には、大橋労働大臣が談話を発表されたときに、日経連はこの問題について、公労協関係のストライキは断固としてこれを取り締まれという力強い宣言を一方では行なっている。こういう状況の中で、コストインフレ論を柱といたします経済閣僚懇談会発表のこの見解、こういうようなものが、春闘に立ち上がっているところの労働者を非常に刺激をして、そうしていまではもう一方的に独占資本家の諸君の力だけでは押え切ることができない。五%といっておったものが、すでに二千円のところまでは認めようじゃないか、あの鉄鋼の回答に見られましたように、定期昇給まで入れたら三千二百円、こういうようなのは、これは他はまねをしないでもらいたいという発表をすぐする。こういうような形の中で、賃金引き上げだけは押えていくのだというかまえをとっておきながら、自分たちの力ではどうしてもやっていくことができないので、政府にそのかじをとらせよう、こういう意図が明らかに今日あらわれている。このような状況の中で、あなた方が声明を発表されるということは、これは労働者に対してあんまりいい印象を与えていないことだけははっきり言える。労働者はそれを受けまして、政府当局は独占資本の資本家階級の要求をうのみにして、自分たちに対しては賃金抑圧の態度に出てきている、こういうふうに受け取らざるを得ないのであります。ところが、そういうような形から発展をしていくならば、昭和二十七年には、労働者に対する分配率はいまよりも一〇%ほど高かった。ところが今日においては、十二年後においては、一〇%低くなっている。こういう客観的な資料に基づいて賃金引き上げの要求をしているわけです。このことは、同じく公務員関係の場合においても、あるいは公共企業体関係の場合においても、同じであります。だから、私は、こういうように調停委員会にいま付議しているのだから、その結論が出るのを待たないで一方的に宣言をするということは、慣行にもとる行為である、慎重に考慮されたいという親心を示されるのであるならば、もっとそういうような労働者側の要求に耳を傾けながら、この問題についての解決策を、労働大臣が中心になって、閣議の中で意見を述べてもらいたいと思う。それには、団体交渉で話し合いを進めるということが一番いい。当事者間におけるところの話し合いがいい。これは賃金決定をめぐっての正しい方法でありますから、そういうような方法において話し合いを進める際に、当局側、この交渉の当事者側が、これだけについて責任を持ち得る態勢をつくっていただかない限り、この問題についての解決は私はできないと思う。一方的に労働者を弾圧していく以外に解決の道はないというとらえ方をしておいでになるとしたならば、これは労働省の立場としてはおとりになるべきではないと思うのです。だから、そのような解決ができるような方法を、具体的な権限を当事者に与えていくという方向で努力される意思はないのか、その点を大臣にお尋ねしておきたい。
  130. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 まず、三月二十四日に何か政府が賃金の抑圧について声明をしたというような前提でお話がございましたが、三月二十四日の経済閣僚懇談会におきましては、さような声明をいたした事実もございませんし、また、政府としてさような声明をしようという相談もいたしておりません。ただ、ちょうど春闘の最中でございますので、賃上げの問題が会議の話題になったことは確かでありまして、これについて、物価対策との関連上、閣僚の大きな関心の的になっておったわけでございます。当時の懇談会の結論といたしましては、政府としてはさような声明あるいは談話発表というようなことはいたさないということにきまったのでございます。個々の閣僚のこの懇談会後の記者会見における談話等で一部誤解を生じた点がありましたことは、遺憾であると思っております。  それから当事者に問題の解決をお願いするという態度はいいとして、それにあたって労働者ばかりを弾圧するということはいかぬというお話でございまするが、私どもは、労働省の立場として、むしろ、労働者を弾圧というのでなく、ますますその権利、利益を保護しなければならぬということを切実に感じておるのでございます。万一違法な争議が行なわれるようなことになりますると、世論を敵に回す、また多数の国民に迷惑をかけてその同情を失う、こういうことは結局において労働者の権利、利益を擁護するゆえんではない、こう考えておるのでございます。そうした意味で談話を発表いたしておる次第でございます。
  131. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 じゃあお尋ねいたしますが、いま公労委の調停にかかっている。そういたしますと、公労委の調停がどういうような結論を出すかわかりませんが、現在当事者間において、たとえば国鉄の労働組合と国鉄総裁が話し合いをいたします。そのときに、じゃ賃金は百円上げましょう、あるいは六百円上げましょう、こういうような交渉能力がありますか。そして具体的にその予算が足らない場合は、それをきめる権限はないし、その協定は政府を拘束しないということが、公労法において明示されておる。とするならば、当事者能力が与えられていないという姿の中で、正常な労使慣行が持たれるという期待を労働省としてはしておいでになるのですか。その点はどうです。
  132. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 調停だけでなく、仲裁手続も公労法ではきめてあるわけでございまして、仲裁手続の結果に対しましては、先にも申し上げましたるごとく、公労委発足以来今日まで、これを完全に実施いたしてまいっておるわけでございますから、当事者間においては、最終的にはこの問題を解決する方法が与えられておるのであります。そうした点をも十分頭に置いて、ストライキというような違法な行動に出られることは避けていただきたいというのが、私の考えでございます。
  133. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういう考え方であるならば、調停委員会からこれを仲裁裁定に切りかえていく、こういうような考え方をお持ちになっていらっしゃるわけですか。
  134. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 労使間の紛争の解決は、原則としては労使の自主的な行動にまつのでございまして、労使が自主的に行動されて、仲裁に移行することが必要であると認められるならば、さような措置が公労法の中に準備されております。あえて仲裁に移行するには、労働大臣の職権の発動を待たなければならないというものではございません。労使間が自主的に現況をよく判断されて、そういう切りかえが必要であるとお考えならば、切りかえられる手続をおとりになってしかるべきものだと思います。
  135. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしましたら、労働大臣は仲裁裁定を職権で申請することはない、こういうように確認をしてよろしゅうございますね。
  136. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまのところ、私どもは公労委並びに労使の自主的な判断で決定されるべきものだと考えまして、この間に職権を発動する考えは毛頭ございません。
  137. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 ところが、きょうの新聞等によりますると、この十七日のストライキに対しましては、これを断固として抑圧をしていくんだ。そしてまた、いわゆる解雇の基準等も大幅に改悪をいたしましてやるのだという方針がすでに協議されつつありますし、またこれからも出されようといたしているわけであります。  そこでこの際大臣にお尋ねをしておきたいのは、ILOの六十四次報告、これはILO八七号条約の批准がされるまでの間は、特に労働組合活動に対する一切の逮捕、解雇、懲戒処分を避けるように日本政府に要求してきておりますね。その六十四次報告の中で、日本政府に要求がなされている。これに対しましては、大臣は、そういう立場からこの問題をお考えおき願いたいと思うのでありますが、その点いかがでございますか。
  138. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 なるほどそういう勧告が出てまいったことは事実でございまするが、政府といたしましては、必要があってできておる法律の実行を、この勧告の線に従ってかってにその運用を改めるという考えはないということを、はっきり先方に申してあります。
  139. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういうような態度というものが、今日の問題点をさらに複雑化していると私は思うのです。これらの問題は、労働者のそういうような要求がある。それを誠意を持ってどこまで実現ができるかということで、当事者能力も実質的に与えないような形の中で話し合いをさせる、あるいはその結果を見守る、こういうようなことに期待をして、問題をすりかえていこうという態度の中に、今日の混乱の原因があると私は思う。そして政府のインフレ政策によって物価は上がる。その物価の上がった分も、なかなか給与改訂が行なわれない。労働生産指数は伸びているのに、その生産性の伸びに対する賃金の支払いもなされない。そういうようなかっこうの中で、今日の問題が派生をしているわけです。だから、この問題については、大臣労働省設置法の立場に立って、労働者の利益を守る、権利を守るという立場から、今後は行動を願いたいと思います。いたずらに各当局の先がけをするようなかっこうで労働者に警告をするだけで事が足りるというふうにお考えにはならないだろうと思いますが、この問題についての今後の労働大臣の慎重な態度をお願い申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、ILOの問題をちょっと尋ねておきたいと思うのです。すでにILOの第一号条約、あるいは二十六号条約、あるいは九十八号条約、これらに対するところの労働大臣考え方というものも若干聞いておるわけでありますが、この際私は、特に明らかにしておきたいと思う点がございます。それは、昨年の十一月から開かれましたILOの理事会が招集をいたしまして、国際会議が開かれておるわけでありますが、公務員の労働条件に関する専門家会議、この中で、すでにこれは理事会で承認を得て、ILOの公式文書として発表をされたと思うのでありますが、九十八号条約の六条で、国の行政に従事する公務員を適用除外をしているけれども、これは労働協約に関する九十一号勧告、さらに調停、仲裁に関する九十二号勧告、これに基づいて、団体それ自身がもし団体交渉権並びに協議権を包括するのでなければ、存在の意味がない。したがって、この際九十八号条約の諸原則の公務員に対する適用を擁護し、かつ促進すべきである、こういうふうに強調をしているわけであります。この問題については、労働協約の交渉締結権、改定権、さらに紛争の防止と解決のために調停機関を設ける。そしてそれは労使合同で行なわなければならないし、同数でなければならない。こういうことから、いわゆる公務員の団体交渉に対する交渉権を確認すべきである、こういうような専門家会議の満場一致の意見が、会議後発表されている。そして第二項では、協議と団体交渉の内容を明確に区分することは困難である。だから、団体交渉の範囲についても、政府の一般的な政策は別として、労働条件に関係のあるものは、幅広く行なうべきである、こういうような前進をいたしました報告書がすでに出されているということを聞いているのでありますが、これに対して、今日まで労働省としてはどういう態度を考えておいでになるのか、その点について見解をお聞かせを願っておきたいと思うのであります。
  140. 三治重信

    ○三治政府委員 この問題は、専門家会議結論でありますが、理事会においては採決にならなくて、次の理事会までその処理を一応保留されております。それで、一応各国関係政府には、その情報を提供しなければならない、こういうふうになっております。日本政府といたしましては、この結論については、従来の公務員に対する国際労働条約の慣行、また、いままでの取り扱いの状況と相当異なった意見が出ておりますので、これについては態度を保留する、一応こういうふうにしているわけでございます。この問題は、いわゆるILOの一般的なと申しますか、会議結論と違いまして、そういうふうな結論の出る前のエキスパート、いわゆる専門家の議論でございますので、今後これが国際的な基準としてはたしてどのように認められていくか、またどのような処置がとられるかという問題は、今後に残された問題だと思っております。政府といたしましては、まだ十分検討の段階でございますが、これは所管そのものが、直接には教員、公務員という関係でございますので、関係各省にわたっておりますことを申し上げておきます。
  141. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 まだ理事会で採択をされておるとは私思いません。しかしながら、この方向というものは、一時保留をされているけれども、次あたりはこれが条約という形の中で当然理事会で取り上げられていく方向にあることは、世界の公務員に対するところの、今日の公務員の地位が——昔は特権的な階級としての存在であったのが、今日においては、一般的な民間の間における契約上の関係とほとんど変わりがないようになってきている。もちろん、政策にタッチするような高級な公務員の場合は別でありますが、そういうような一般的な公務員の地位が変動をしている、このような状況の中からは、当然前向きの形の中において解決がされると思う。とするならば、ILO八十七号条約の批准でさえもまだできない。九十八号条約は批准しておりますけれども、公務員が入っていないという形の中で批准をされたわけです。しかしながら、この公務員も同じように労働協約の締結権を与えなければならないし、団体交渉権も与えるべきである、このような方向が満場一致この専門家会議では取り上げられている。とするならば、日本の労働省の労政の方向というものも、当然そういう前向きの姿勢をおとりになるのが正しいのではないかと思うのであります。ところが、どうも労働大臣は、ILO八十七号条約の問題にいたしましても、これは一労働省という立場からの次元ではなくて、もうすでに国会の問題であるということでお逃げになっている。そういう逃げ腰ではなくて、労働大臣がやはり一番先頭に立ってこの問題を解決するのだということで取り組んでいかれなければならないじゃないかと思う。労働大臣は、今日の日本の国の法治国のあり方、いわゆる法定事項だ、やれ専管事項だとか、あるいは管理運営事項だとか、施設管理権だとかいう、そういう小さなことだけにこだわって問題を見失うのではなくて、公務員の団結権と機能というものを重視していくのだという、そういう政治をおやりになるのが当然ではなかろうかと思うのでありますが、労働大臣は、そのような方向に推し進める決意はどのようにお持ちになっているか、お尋ねをしておきたいと思うのであります。
  142. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 公務員の制度は、各国によってそれぞれ特徴がございまして、一がいには申せないのでございます。しかし、世界の傾向といたしまして、公務員のうちでも、一般民間労働者に近いような取り扱いをして差しつかえないような性質の公務員は、できるだけそうした取り扱いの方へ移していくということがいえると思うのでございます。私は、こうした点につきましては、労働省としても十分に勉強を続けていくべきであると考えておるのでございまするが、しかし、何と申しましても、日本の公務員問題におきましては、現在ILO八十七号の問題が差し迫った問題でございまして、他のいろいろな問題は、これを解決した後でなければ実際は取りかかれないというのが、偽りない実情だと思うのでございます。そこで、ILO八十七号の問題につきましては、私はぜひ早期に解決しなければならぬと考えておりまするし、また、この問題の解決につきましては、よそのだれかがしてくれるであろうというようなのんきな考えではなく、この内閣においては、労働大臣がこの問題を双肩にかぶったつもりで、先頭に立って進まなければならぬということは、心がまえとしてもともとさように考えておるのであります。しかし、要は早期解決が目標でございまするから、その早期解決を実現するために、私自身がいかなる姿勢をとることがいいかということはまた別の判断でございまして、その辺のいろいろな事情を判断しながら、私といたしましては、この問題を自己の責任と心得、最善の道を進みたい、こう思っておる次第でございます。
  143. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 労働大臣のことばは、非常にいいわけです。そういう決意でおやりになるのであれば、八十七号条約の問題にしても、倉石、斎藤、河野、多賀谷会談というのがあって、それで話し合いがもうすでについている。そのとおりやれば、もう今度の国会で批准をすることも間違いない。こういう状況の中にきているわけですね。ところが与党の中には、それではどうもぐあいが悪いということで、遅疑逡巡する状況があるわけです。労働大臣は、そういう状況の中で、この前せっかく交渉の窓口がつくられ、そして軌道に乗り出したような状況にある、そのような情勢を判断をされて、その立場から少なくとも労働大臣は進められるのが正しいのではないか。その点はいかがでありますか。
  144. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 倉石修正点というものも、私十分に承知をいたしております。しかし、この問題については、ここで私がILOの国内法の改正についてはかくかくするのが一番よろしいという意見を出すことが目的ではなくて、要するにこの国会で批准していただくことが目的なのでございまするから、この目的を十分に頭に置き、その目的を達するには、自分としてはいかに行動したらいいか、また党に対してはどういうふうにお願いしたらいいか、こういうことを考えつつやってまいっておる次第でございます。
  145. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 中身をお聞きいたしましても、その構想をここで明らかにされるということは、大臣のお立場上もお困りでしょうから、あえて触れませんが、やはりこの問題については、労働大臣が、いやそれはもう国会の段階にきているのだから、一労働省の大臣としての立場じゃ、今日の段階においてはどうもというふうにとられるような発言を社会労働委員会でされておりますから、やはり労働大臣がこの問題については解決をしていくんだという積極的なかまえをおとりを願って、最後まで努力をされるように要望を申し上げておきたいと思います。  それと、今度の十七日のストライキの問題にいたしましても、当事者間において話し合いが煮詰まっていないところに問題がある。だから、それは話し合いをさせるという前提のもとに、一体どのような実行性をあげることができるだろうか。そういう立場からこの問題には取り組んでいただかなければ、ただ調停委員会の問題を取り上げて、それに期待をするようなかまえでは解決できないと思う。だから、もっと真剣に前向きの形で労働大臣が取り組んでいただいて、いままでいろいろな立場からも労働大臣は前向きの形を示しておいでになるのでありますから、いままでとっておいでになりました前向きの姿勢をくずさないように善処方を要求いたしまして、私は終わります。
  146. 徳安實藏

    徳安委員長 田口誠治君。
  147. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 時間がありませんので、重要な点だけ確認をして、質問を終わりたいと思います。  それは、昨日来私は質問を申し上げたわけですが、あの質問を申し上げた私の気持ちというものは、今度設置法の改正で出されておる労働研修所を設置いたした場合のこれの運営の場合に、ややもすると労働組合の弱体化をねらうような講習が中に入るという憂いがあるわけなんです。これはいままででもそういうような例がございますので、そういう点を非常に心配をいたして、現在の労働行政の実態から憂えておるわけであります。  そこで、昨日来質問をいたしました内容についての、堂島安定所の鍬田、辻の解雇の問題について、解雇の理由についてはこういうところで公表できないというもったいぶった答弁がありましたので、私は直接官房長に内容をお聞きいたしました。その点は触れません。触れませんが、少なくとも民間でいうと、たとえ試雇期間の採用であり、官庁でいうと条件附採用という採用のしかたであろうとも、一たん試験をさして雇うということになった場合には、よほどの解雇する条件がなかったら解雇できるものではないわけで、私は、やはり雇うときに非常にずさんな当局の態度があった、軽率であったというように判断をいたしておりますので、こういう雇用の問題につきましては、十分にこれから労働大臣としても出先機関に対して指導をしていただきたいと思います。  それからもう一つは、私は官房長にお伺いをして、この点を明確にして質問を終わりたいと思いますが、昨日も申し上げておきましたが、今年の二月の十二日に、大阪の職安庶務課長会議におきまして、労働組合に対する不当介入、あるいは干渉する内容のことが決定をされております。その一、二を申しますと、現在の労働組合に批判のある者は、係長、課長を通じて所長に申し出をさせよ。二つ目には、現在の労働組合の執行部を批判する者の中で、次の時期に役員に立候補する意思がある者は、係長、課長を通じ所長に申し出よ。それから先ほどの鍬田、辻の問題にも関係があるのですが、分限解雇の問題については、当局のとった態度は正当であるから、大阪職安労組のいろいろな宣伝はあっても、これにはまどわされないようにせよとか、こういうような、いずれにいたしましても労働組合の運営にタッチする内容のものが庶務課長会議でテーマとして出されておるわけであります。これは日時まで私は申し上げたのでございますから、官房長のほうで、こういう内容を知っておられるかどうかということをお聞きし、そしてなお、もし知られなかったとするならば、こういうような問題については、将来どういうような指導行政を行なわれるか、この点をひとつ明確にしていただき、最後にこういうもろもろの問題が心配になりまするので、今度の研修所の、設置法の問題を賛成する前提として、私どもはお聞きをするわけでございますから、官房長の答弁のあとに一言大臣から総括的に答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  148. 和田勝美

    ○和田政府委員 雇い入れの際には、十分検討をして誤りなきを期するようにというお話でございます。まことにごもっともなる御意見でございまして、昨日申し上げましたとおりに、先生の御趣旨に従って今後とも十分対処してまいりたいと考えております。  次は、二月十二日の日付をあげられまして、大阪の課長が安定所の庶務課長を招集して組合の運営の問題について指示をしたというお話でございますが、その事実につきましては、実は先生からお知らせをいただくまで私ども承知をいたしておりませんでした。先ほど村山先生の御指摘がございましてお答えを申し上げましたように、昨晩大阪の現地に問い合わせましたところ、組合の活動に対して介入をするようなことを会議の席で言ったことはないという返事でございます。私ども労働省といたしましては、労働行政を担当をしておる省でございます。その職員がいやしくも組合の運営にタッチをして、その干渉をはかるがごときことは、毛頭許さるべきことではないと存じます。そういう点で、今後とも、いま申しましたような趣旨に従いまして職員の指導をしてまいりたいと思いますので、その点お含みをいただきたいと存じます。  研修所につきましては、もちろん職員の職務遂行の上に必要な素質の向上をはかるためのものでございますので、そういうことで運営をさせていただきたいと考えます。
  149. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 職員の新規雇い入れについて慎重を期しまして、先般の御指摘の例のようなことが二度とないように、十分注意をいたします。  また、職員組合に対する当局の介入問題について御注意をいただきましたが、この点につきましては、将来一そう慎むようにいたします。
  150. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 質問はこれで終わります。
  151. 徳安實藏

    徳安委員長 本日は、この程度にとどめ、次会は、来たる十四日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十四分散会