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1964-04-07 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月七日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 内藤  隆君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       佐々木義武君    壽原 正一君       高瀬  傳君    塚田  徹君       藤尾 正行君    保科善四郎君       前田 正男君    松澤 雄藏君       湊  徹郎君    渡辺 栄一君      茜ケ久保重光君    稻村 隆一君       大出  俊君    中村 高一君       村山 喜一君    山田 長司君       受田 新吉君    山下 榮二君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 佐藤 光夫君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君  委員外出席者         自治事務官         (財政局地方債         課長)     立田 清士君         自治事務官         (財政局公営企         業課長)    近藤 隆之君         日本国有鉄道         常務理事    山田 明吉君         日本国有鉄道         参与         (船舶局長)  青木 秀夫君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 本日の会議に付した案件  自治省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三四号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二〇号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  自治省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますから、これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 自治省お尋ねをいたしますが、地方行政委員会審議をされておる中で、事務当局大臣との間にちょっと答弁の食い違いがあるのです。前の早川大臣は、この調査会をつくることによって一年程度結論を出す、こういうような答弁をしておいでになるようであります。それに対しまして、柴田政府委員は、これは大体二カ年間かかるだろうということを、委員会の席上で述べておるわけであります。この基本問題を審議してまいります場合、公営企業あり方という問題が当然論議をされてまいるわけでありますが、今回設けようとする調査会は、基本的な、根本的な問題について検討するのだという説明であります。そういたしますと、一体どれくらいの期間めどにしてやるのかということが、政府の部内において解釈が違っておるということは、おかしなことになってくると思いますので、その食い違っている点は、新大臣になりましてから、どういうふうにお考えになっているのか、この点を説明願っておきた  いと思います。
  4. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 前に早川大臣がどういう御答弁を申し上げたか、私つまびらかにいたしませんが、やはり調査会が結果を出すのは、一日も早いことがいいのはさまっておるわけでございます。しかし、マンモス企業も中にはあるわけでございますから、やはり軽率なことはできませんし、これは今後非常に重大な影響を及ぼすわけですから、私も、何日ぐらいと限るということは、なかなかむずかしかろうと思います。ただ、検討の過程において、急いでやらなければならぬこともありましょうし、また時間をかけて徹底的に分析して結論を出すべきものもありましょうし、ものによると思いますが、 私は、やはり何年ということよりは、一日も早く結論を出してもらうという考え方に立つのが正しいのではないかと思うのです。
  5. 村山喜一

    村山委員 大臣考え方としては、期間は明示されないわけですね。ということは、自治省設置法地方公営企業制度調査会を設置するという問題が取り上げられている中におきまして、事務当局は二年間にめどをつけたいと言っておるし、大臣は一年間でめどをつけたい、こういうようなかまえですが、赤澤大臣の場合は、できるだけ早くということで機関を明示されないとするならば、それは取り組み方にもよりましょうが、そういうような基本的な問題を解決しなければ、累積赤字は三十七年度末で二百五十億になんなんとしておる。ことし運賃ストップによって五十八億円が新たに追加される。そのほかに水道の問題にいたしましても、病院の問題にいたしましても、赤字が出ることは明らかなのです。そういうような三百億をこすような事態が、もう目の前に出てきている。この問題について、できるだけ早くということで期間を示されないということは、非常におかしなかっこうになるのじゃないかと思うのです。そういうような調査会結論を得て、それを政策の上に実現をしていくかまえをお持ちにならなければならないわけですから、当然それには予算が伴うことになると私は思う。そうするならば、一体いつからやるのだという基本的なめどを立てなければ、おかしいじゃありませんか。そういうような一つ調査会をつくっていく場合において——臨時行政調査会の場合は、一年でやるというのが、出発がおくれましたために一年半に延期した、こういうふうに、やはり期間めどを明確に持っておかなければいけないのじゃないかと思いますが、このめどを全然立てていないわけですか。
  6. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 言うまでもなく、法律では二年間、つまり二年間かけてということをいっておりますけれども、しかし、早川大臣が申されたのは、一日も早くという私の表現が、かりに一年をめどにしてということになったのではないかと考えるわけです。  私も企業経営した経験がございますが、この段階になって、まだこれからゆっくり企業を診断をしてというような手ぬるいことでは、責任ある立場にある自治団体はとても耐え切れないだろうということは、私は容易に想像ができるわけであります。ですから、私は、これはおそ過ぎたと実は役所で申しましたが、いやまだ間に合います——まだ間に合いますというのは、二年間かかって何とか結論を出すということでは私の感覚と合わないということを先ほど申し上げたわけでありまして、私は、この調査会が動き出しました場合には、私自身むしろこの進行状態等をよく監督して——監督ということばは当たりませんが、よく見まして、結論を早急に出してもらうように指導しなければならぬとまで実は考えておるわけでございます。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、事務当局柴田政府委員が言った二年というのは、取り消しになりますね。
  8. 松島五郎

    松島政府委員 提案をいたしております法律上は、二年間ということになっております。ただいま大臣が申されましたのは、この中でも急ぐ問題はできるだけ早くという意味で申し上げたものと考えております。したがいまして、自余まだ残る問題もあろうかと思いますので、それは二年の間に片づけるべきである、こういうような取り運びになろうかと思います。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 法律案では二年ということになっておる。ところが、そういうようなまどろっこしいことではだめだと大臣はおっしゃる。一日も早く解決をしなければならない、こういうような気持ちおいでになるわけですが、二年間かけなければ結論が出ませんか。そういうような大臣説明を聞いておりますと、早川大臣も一年、いまの赤澤大臣も、これは一年よりも早く、できるだけ早くやらなければならぬ、そういうような二年もたつようなまどろっこしいことでは、根本的な問題の解決に当たることはできない、こういうような意気込みであります。ということは、二年間設置しなければならない理由がないということになる。二年間設置しなければならぬ必要性がどこにあるか、その点を明らかにしてもらわなければ困ります。
  10. 松島五郎

    松島政府委員 この調査会で取り上げていただきたいと考えております問題は、いろいろございます。その中でも、当面の問題に関連して緊急に解決を要する問題もございますし、また長い将来にわたって考えていかなければならない問題もあろうかと存じます。特に会計制度のような技術的な面になりますと、多少時間をかけて御審議をいただく必要のあるものもあろうかと思いますので、いま大臣の申されましたように、できるだけ早く基本的な問題についての御結論は得たいと考えております。なお自余残るそれに伴います技術的な問題の解決等につきましては、さらに時間をかけて御審議をいただくということになろうかというふうに考えております。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 大臣解決を早急にしなければならないというのは、赤字が累積しております交通事業を早急に解決しなければならぬ。七割も赤字だ。その次には病院関係、それから水道事業、こういうふうに赤字発生額の現在から、経営的に早急に措置を講じなければならないという問題から解決をするという考え方なのか。いま政府委員のほうから説明がありましたように、そういうような基本的な問題と同時に、会計法上の技術的な問題の処理、そういうような問題が残るので、それは二年目にそういうような問題をやるのだというかまえなのか。その点を明確にお聞かせを願っておきたいと思います。
  12. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございまして、当面とりあえず救済と申しますか、処置しなければならぬ案件もあるわけでございます。しかし、この公営企業そのものあり方につきましては、やはり経営合理化だとか、あるいは設備の近代化、その他いろいろあって、そして将来にわたって安定した経営をいまの姿でやっていくのがいいかどうか、また個々の企業につきましても、それぞれ打診があろうかと思うのでございますので、これをあわてまして、たとえばこの結論を出すのは一年とか二年とか限って、もう期間が来たから何とか結論をというようなことをやりますと、またそのこと自体がやりそこなうもとになるのではないかと思います。私ども考えますことは、とりあえず急いでやらなければならぬいまの問題もありますし、また、大体方向というものは早く出しませんと、そういう企業体を持っておる公共団体も困るわけでございますので、その意味で私は急ぐと申したわけでございます。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 この問題に関連をして、この前も大臣答弁になっておるわけでありますが、緊急に解決をしなければならないこの問題については、この調査会設置と切り離してやらなければならないという決意を表明をされて、いま取り組んでいる最中であるからしばらく待ってもらいたいというお答えでありました。ところが、二月七日の日に、この交通関係事業の七割の赤字をめぐりましてやり取りが行なわれているわけでありますが、当時早川自治大臣は、衆議院の地方行政委員会におきまして、五十八億の赤字予想額をこういうふうに答弁をいたしているわけであります。「その場合に金利壇の他でそれを補てんするというようなことはそうむずかしい問題じゃございませんが、」という答弁を二月七日の日にいたしております。赤澤大臣がその当時から自治大臣で、同じようなことを言っておられるのだったら、これは四月になって、もう二カ月もたっているのに一体何しているのかということで、私は責任を追及したいわけですが、前の自治大臣は、そうむずかしい問題じゃないという把握を五十八億の問題についてはしておられる。ところが、いまだにそれが解決できない。そして、この前も申し上げましたように、運輸省料金決定権を握っているのだから、運輸省が当面の責任者である、そういうふうに運輸省に対して要請をしているのだという、これは自治省当局政府委員説明であります。そういうような状況から見まして、当時大臣は、この問題については運輸省責任があるとかないとかいうことでなくて、問題は大蔵省にある、だから大蔵省といまかけ合っている最中だということをこの前は御説明になったわけです。とするならば、二月の七日に、五十八億のこの運賃ストップによる赤字処理はそうむずかしい問題ではないのだという把握をされた前の大臣のその意見というものは、今日まで大蔵省折衝をされていく中において、非常にむずかしい段階に来ているのかどうか、これの解決見通しは一体どういうふうにお立てになっているのか、この点は大蔵大臣出席を要請しなければわからないのか、その点大臣責任を持ってお答えを願っておきたいと思うのですが、特に先ほど申し上げましたように、二月七日の委員会における発言等もございますので、その点を踏まえながら御答弁を願いたいと思います。
  14. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 早川大臣も、その赤字補てんはいともやさしいなどということは決して申さなかったと思うのですが、しかし、早川大臣はどういう腹であったか、当時は自治省としても、まだその時期は特交の配分前ですから、そういうものでも彼此して、何かとりあえずの穴埋めをするというお考えがあったのかどうか、それは存じません。しかし、いまの立場では、大蔵省から財源措置をしてもらうより方法がないことは、もう御承知のとおり。ただ、私この前申し上げましたのは、一日も急ぐが、ただこれも急ぎ過ぎて、じゃ全部起債でといったって、やはりあとに問題が残るわけですから、起債起債でも、いまちょっと利子の問題にもお触れになりましたけれども、こういうものの元利なんか一体どうしてくれるのか、大蔵省にその配慮があるのかということも、私としては気になりますが、しかし、そういうことの議論ばかりしておる時期ではないことも承知しておるのです。ですから、私この前申しましたとおりに、調査会や何かとは切り離して、この問題についてはとりあえずどう措置するかということを大蔵省その他関係当局協議をずっと続けております。ただ、料金ストップ後に約五十億ばかりの赤字が出ておりますが、かといってこれがまるまる補てんされるものとは考えません。また大蔵省としては、その中で特にこれだけのものはしなければならぬという御研究をいま盛んにやっておられるようですし、またその地方団体のほうでも、まるまる自分のほうで負担ができぬというところもあるし、膨大な会計を持っておるところもあるわけですから、そこらをにらみ合わせて早い機会結論を出さなければならぬ、こう考えております。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 この前から論議しておりますように、早い機会に早い機会にということで一向に進展がない、進展があるような話をお聞かせを願っていないわけです。だから、大臣はそういうような気持ちだけは持っているけれども、これは解決ができない、こういうような見通しなのか。その五十億というのはとても見込みがない。じゃ、二十億なり三十億なら見込みがあるのか。今日まで大臣折衝をしておいでになったその経過を、お差しつかえなければ御説明願いたい。
  16. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大蔵大臣とはずいぶん詰めて折衝はしておるわけです。で、ある金額条件は提示されております。しかし、ここでいまの段階で私が発表する限りではないと思いますので、その点は御了承をお願いいたしたいと思います。そのうちに、そのうちにと言ってほうっているようにごらんかもわかりませんけれども、決してそうではないのでして、早川大臣のバトンタッチを受けて、大蔵大臣とはずいぶん激しいやりとりをしておるわけでございます。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 大蔵省のほうからは幾らか金額の明示があって、しかし、それは満足すべきものではないので、さらに交渉を重ねているところだ、こういうふうに聞いて差しつかえないわけですね。——そこで私は、そういうような問題からこの調査会を設置するという段階にまで参りましたそのいきさつを少し振り返ってみたいと思うのですが、御承知のように、三十六年の七月から三十七年の三月にかけて五大都市バス料金改定の申請がなされた場合に、第一番目に反対をしたのは経済企画庁であった。この経済企画庁反対は、結局、自治省あたりは当時は上げなければならないだろうという考え方にあったやに聞くのでありますが、運輸省自治省経済企画庁の三省の協議ということになって、合理化計画をひとつ提出させようじゃないか、こういうようなことになったようであります。そして三十八年の四月に発足した公営交通事業協会の中にあります公営交通事業財政調査会が、十二月に意見書を出しておる。これは合理化をせよという意見書であるようです。十二月に、物価問題懇談会から公共料金の  一年据え置きの答申が出てきた。そしてそれを受けて、一月二十四日の閣議で、六大都市公営バス料金については改定を見合わすということがきまった。こういうような一連の動きを見ながらこの調査会を設置するということになってまいったわけでありますが、そうなりますと、いままでは公営交通事業財政調査会というのは、法律的な根拠に基づく調査会ではなかった。だから、それを受けて立つところの地方公営企業にいたしましても、地方自治団体にしても、どうも合理化に積極的でないという考え方で、この際、法律によるところのこういう地方公営企業制度調査会というものを設けてやっていくのだというふうに受け取れるわけです。ところが、この自治省権限というものは、所掌事務から見まして、一体どういう程度までこれが達成ができるのかということになってまいりますと、地方公営企業に対しましては、財政指導運営指導しかできない。指導上の責任だけはあるけれども、それ以外の運賃をきめる問題なり、あるいは現在行き詰まっておるところの隘路という問題について、解決をする権限というものを持っていない。そういう立場から見てまいりますと、ここに地方公営企業制度調査会というものが生まれましても、この調査会答申を出しても、それを受けて自治省がやる仕事というのは、財政指導運営指導だけじゃないか。他の部分については、運輸省なりあるいは他の行政機関において措置されなければ解決ができない問題が多いとなった場合には、そういうような問題について一体だれが責任を持ち、どのような形でやっていくのかということになりますと、これはもちろん内閣責任を持つということにならざるを得ないわけでしょうが、一体その調査会をつくりまして、そしてこれをやって結論が出たことを執行していく中において、どういうような方法考えおいでになるのか。発足の経緯から考えてまいりますと、一方的に合理化の線が強く迫られて、その合理化しわ寄せ労働者賃金切り下げ、あるいは労働条件の改悪、あるいはバス電車等を利用する市民に対するしわ寄せ、こういうようなところにかかってくるように思われるのでありますが、そうでないということが断言できますか。もしそうであるならば、その説明を願っておきたいと思うのであります。
  18. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 公営であろうが私企業であろうが、企業というものは私は共通だと思うのです。やはり十分企業努力をした上でなお赤字が出るのかどうか。やはりだれが見てもこれは妥当な経営であるということにならなければ、その先の主張をなかなかするわけにはいかない。私企業であったらもちろん成り立ちませんが、公営企業と申しますれば、言うまでもなく多分に公共性のある事業で、かるがゆえに、これは地方団体が取り上げて経営をしておるわけです。赤字が出たら何でもかでも国のほうで穴埋めをするというわけにはまいらないと、私は思います。いま責任内閣が持つといったようなおことばであったように私とりましたが、しかし、まず第一には、これを経営する団体そのもの責任を負うというのが、私は妥当であろうと思うのです。だから、かりに政府のほうでいろいろな政策上の意味料金をストップした、それが妥当であるかどうかということは、やはり企業努力が十分行なわれて、妥当な経営が行なわれておるという観点に立って計算をはじき出してこそ、初めて政府料金ストップというものは不適正であるという判断が、私は出てくると思う。これは第三者が見ても、経営専門家が見ても、同じ結論が出てくると私は思う。そういう場合につきましては、政策的に出てくるものの赤字については、やはり公共性が高いわけですから、政府のほうでも十分な配慮をしなければならぬ、こういう順序で私どもはものを考えておるわけでございます。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 それでは、その問題をさらに立場を変えてお尋ねをしますが、東京交通局がなぜ赤字が出たか、百三十億にのぼるところの赤字が年度末には見込まれる、この発生原因というものは幾つあるのかということで、七つ理由をあげている。その七つ理由の第一は、バス料金改定の遅延。この改定をさせなかったのは、一月二十四日の閣議決定をしているわけですから、これは内閣責任であります。次に、諸物価の高騰による経費増大高度成長政策をとっていく中において諸物価が上がってきたのですから、これも内閣責任。たび重なる給与改定による人件費増大。これは対組合との関係で、当局の問題であります。次に、路面渋滞による収入の減少と経費増大。これはやはり他の政策の面に関する問題で、路面渋滞は、道路建設行政にも関係がありましょう。だから、企業内において、企業自体において解決ができる問題ではない。第五に、企業近代化の不徹低。これは現在の都市交通あり方という問題をめぐりまして非常に問題点が出ておりますが、これであっても、一企業だけで解決できる問題ではない。東京都政の問題に関係があるし、国の行財政の問題に関係があることは、言うまでもないことであります。さらに、首都交通近代化のための地下鉄建設。この膨大な地下鉄建設資金資本費における経営負担率が非常に増大してきているということも、いなめない事実です。さらに、借り入れ金利増大など、こういうような問題と、当局があげていないもう一つの中に、いわゆる採算がとれない路線を維持しなければならないという公営企業が持つ本来の任務、そういうような公共的な負担という問題が、第八の理由考えられるだろう。そうなってまいりますと、自治省立場からは、財政指導運営指導というその面だけしかお持ちになっていない。とするならば、いま私が七つ問題点をあげましたが、その中で解決ができるのは、人件費増大云々という、そういうような面だけしか解決ができないのじゃないか。実際答申が出てきても、そういうような広範な領域にまたがるところの問題点であるならば、これは自治省地方公営企業制度調査会で、その出てきた問題を消化できる態勢が政府の中においてつくらなければ、これは幾ら意見書が出てまいりましても根本的な解決にはならないと思うのですが、いま私が申し上げましたような理由が、今日の共通的な赤字原因になっていると思う。とするならば、この問題を解決していくためにはどうすればいいかという問題を、単に調査会にそういうような結論を出してくれということをゆだねるだけでなくて、もっとやはり政府自身が、調査会よりも総合的な行政を行なうのは内閣責任ですから、自治大臣も含めた内閣責任を明らかにしていくという形をとるのがほんとうではなかろうかと私は思うのですが、調査会をつくらなければならない積極的な理由というのは、一体そういう立場からどういうふうに説明されますか、この点もあわせてお伺いをしたいと思います。
  20. 松島五郎

    松島政府委員 ただいま御指摘になりましたような問題が、多かれ少なかれ公営企業全体にあるであろうと考えられます。その問題点の中には、社会環境が変わってまいりましたために、主として経営が困難になった。たとえば路面交通渋滞の問題でございますとか、あるいは地下鉄建設に伴う赤字の問題でありますとか、というような問題もあると思います。また経営自体の巧拙による問題も、あろうと思います。また、政府の施策に伴って生ずる経営困難という問題もあろうと思います。それはただいま御指摘になったとおりであります。そこで、私どもといたしましては、地方公営企業制度調査会において、そういう問題を有識者によって客観的に分析をしてしただきまして、それぞれの原因、それぞれの理由に対していかなる方策を講ずべきかという御結論を得て、それに基づいて政府としてはそれぞれ担当するところに従いまして努力をしてまいるというのが、この問題の解決の最善の方法であるというふうに考えまして、お願いをいたしておるわけでございます。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 こういうような調査会をつくりまして、答申が出て、受け入れるべきところは受け入れて、受け入れがたいところは調査会結論は受け入れないというのが、いままでの内閣立場なんです。とするならば、調査会結論は尊重すると言いながら、可能なものだけを尊重していく、不可能なものはこれを切り捨てていく、こういう政策をいままでずっととっておいでになっている。かりに調査会がどういうような結論を出すかわかりませんが、調査会結論をまたなくても、池田内閣が現在ほんとうにこの問題に取り組むんだったら、早急な解決の道が政府自体においてあるのではないかと思うのですが、その点は、やはり自治省設置法の一部改正によって地方公営企業制度調査会というものをつくらなければやっていけませんか、その点はいかがでありましようか。
  22. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 公営企業自体を診断する調査会と、いま直面しております赤字の救済の問題と、二点あるわけです。どっちにも共通ですけれども、ただ、先ほど申しましたように、五十億の赤字を、そうですか、それじゃそれを補給しましょうというわけには大蔵省としてもいかないということは、私にもよくわかるわけです。大蔵省がいま熱心に作業をしておりますことも承知しておりますが、やはり赤字を分析しました際に、これは将来の問題も含めまして、何も働く人にしわ寄せするなんということではなくて、企業努力としてやらなければならぬ部分もあろうし、その赤字のうちでも、やはり将来建て直した場合には、借金も返していける部分もあろうし、また先ほど申されました赤字原因の分析というものは私はおおむね正しいと見ております。ですから、他の原因で、企業としてはまず不可抗力という形で出てきた赤字というものは、私は政府自体がこれを埋めていく責任があると思う。だから、責任責任と言っても、赤字が出たら何でもかんでも政府責任を持って埋めていくということは、私は当たらないと思うわけでして、いま私にいろんな数字を大蔵大臣が掲示したということを申しましたのは、大蔵省でいまきわめて熱心に、調査会結論をまつ前に、とりあえずの赤字解消のための結論を出そうとしてずいぶん努力しておるようでございますから、私は一日も早く結論を出してもらうようにということを急いでおるわけでございます。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 運賃公営バス料金を上げなかったために生ずる赤字が五十八億、いままでの累積赤字が二百五十億円。いままでの累積赤字の二百五十億円については、それは大臣がおっしゃるとおりに問題がありましょう。しかしながら、運賃料金の値上げをしなかったために、なお赤字が五十八億出る、これは、政策の結果そういうような現象が出てくるのではありませんか。その点をはっきりしておいてもらわないと、非常に問題がおかしなかっこうになりますので、これは政策の欠陥による赤字なんです。その点だけ明確にしておいていただきたい。
  24. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 自治省立場としては、言うまでもなく、その赤字のうち幾らでも出してくれぬかなどということを大蔵省に言っておるわけではございませんので、私どもといたしましては、もちろん要求は全額ということを言っておることは言うまでもないことですが、しかし、出すほうは、やはり合理的に考えられるものだけ出していこうという考え方もまた尊重しなければならないわけです。そこで、いま大蔵省がどういう結論を出そうとしておるかということはつまびらかにいたしませんけれども、先般来、運輸大臣もここに同席いたしまして、運賃値上げの問題についていろいろ御質問を受けたわけでございますが、経済企画庁だって例外におるわけではありませんので、やはり私は村山委員の言われるのと同じ認識には立っておりますけれども、なお関係各省といま鋭意解決するよう協議中でございます。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 せんだって他の委員からも指摘されましたように、公共料金の値上げストップという問題は、これは他の政策と共通の地盤の上に築かれていかなければならないにもかかわらず、自動車相等賠償保険料率の値上げであるとか、あるいは軽油引取税の増徴というような、そういう政策が片一方においては出てきておるわけです。それによるところの経費増という問題が、これは公営企業であると私企業であるとを問わず、そういうような政策が片一方においては出される。それと相反する形において、公共料金のストップが行なわれる。こういうちぐはぐの政策自体が、同じ池田内閣によってなされておるわけです。そこに矛盾点がある。そうして片一方においてあなた方が合理化計画を進めていくのは、例の公営交通事業財政調査会意見書に基づいて、現実に各都道府県、六大都市企業経営には、そういう角度からのしわ寄せがなされておる。だから、都電を撤去したり、あるいは人平均四千円という賃金切り下げが出てきたりして、そこに問題が非常に鋭い形であらわれてきておりますから、ストライキが発生をしておる。こういう現状に現在立ち至っておるわけです。とするならば、あなた方が地方公営企業制度調査会をおつくりになる。つくられる方向は、私は全般的な立場から考えて、それには条件が付帯整備されれば賛成をいたしますけれども、一体こういうような制度調査会結論が出ても、それを池田内閣責任を持って実行していくという態勢があるかどうかということについては、残念ながら疑問なしとしないのであります。ということは、いまも申し上げましたように、相反する政策を同時にやっておる。そうしてますます公営企業なり私企業赤字増大するような政策を、片一方においてはやっておるではないか。そういうようなのをやらせながら、片一方においては、そういうような運賃のストップをやることによって赤字増大をはかっておる。このような状況になっておるということを自治省としてはお認めになりませんか、どうですか。
  26. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私、先ほどから言いますように、とりあえず五十億の赤字ですね、これはいま大蔵省で検討しておると申しましたけれども、ただ公共料金がストップ後にこれだけの赤字が出たのだからと言ったって、はい、そうですかと言って、大蔵省は右から左へそういうものは出してはきませんよ。しかしながら、私どもは全額要求しておることはいま申し上げたとおりでありますが、いま村山委員の言われた筋というものは、私はよくわかるわけです。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 大臣のそのお立場は、私もわかるのです。わかるけれども、どうも大蔵省の肩を持ち過ぎるような発言をされ、いま交渉をしている一最中において、自分たちが主張をしていること自体がどうも自信がないような発言をされてきますと、一体今後の結論の出方も、大蔵省からやられて、そしてほんとうに自治省責任であるところの財政指導、運営指事という指導上の責任が、合理化計画という形におけるものしか期待ができないような形になってしまうんじゃないか。やはり自治省がこういうような地方自治団体の世話をされるわけですから、もっとその立場に立って、そして前向きの形で努力をされないと、いまの暫定措置の問題にいたしましても解決をしないし、長期的な展望に立つ地方公営企業制度調査会結論の取り扱いも、これは力のないものになって、実効性が期し得ないということになりますので、大臣が積極的な姿勢で今後臨まれることを要望をしまして、終わります。
  28. 徳安實藏

    徳安委員長 大出君。
  29. 大出俊

    ○大出委員 いまの御答弁の中に、早ければなるべく早いほうがいいんだから、早く結論を出してもらうようにというお話がありますけれども、どうもその関連が明らかにならないわけです。柴田財政局長の答弁によりますと、本調査会に何を一体諮問するのかという点で二つに分かれております。一つは基本問題と称するもの、公営企業のつまり基本問題。さらにもう一つの問題は、局長の言うことばをそのとおり言えば、今日せっつかれている経営収支の問題を早く結論を出したい、こういう意味のことを、つまり言いかえれば、これは金繰り、資金繰りの問題だ、こういうふうに説明をされているのですが、この提案の趣旨からいきますと、この調査会の中で基本的な問題、つまりこれを二つと見通しておられるわけですが、ところで当面の緊急を要する資金繰り等の問題、両方を諮問するというふうに説明をされておりますが、先はどの大臣答弁とどうもはっきりいたしませんので、もう一ぺんひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  30. 松島五郎

    松島政府委員 先ほど来大臣からも申し上げておりますとおり、料金値上げのストップに伴います赤字、緊急の問題がございます。この問題につきましては、先ほど来大臣お答えをいたしておりまするように、この調査会とは一応別個に、緊急に解決すべく努力をいたしておるわけでございます。しかしながら、そのほかにも、今日の公営企業をめぐります経営の環境の変化に伴いまして、赤字の要因というものは幾多存在するわけでございますので、そういった問題については、できるだけ早い機会結論を出していただくように調査会にお願いを申し上げたい。なお、それとも密接な関連をもちろん持ちますけれども、たとえば地方公営企業の範囲はいかにあるべきかというような問題、あるいは民間企業との調整と申しますか、分野と申しますか、それをどういうふうに求めるべきかというような問題、そういった基本的な問題がまた別個にあると考えるのでございまして、そういった問題については、さらに時間をかけていただきまして、慎重に御結論を出していただきたい、かように考えておるわけでございます。
  31. 大出俊

    ○大出委員 そういたしますと、当面の問題、つまり柴田財政局長が言っておりますところの経営収支の問題、つまりそれは資金繰りである、こう言っている問題は、切り離して調査会云々ということなしに解決する、こういうふうにお考えであると確認していいのですか。
  32. 松島五郎

    松島政府委員 いろいろの問題が、地方は一体として経営されておるわけでございますので、相関連することが多かろうと思いますけれども、当面の問題といううちには、さらに二つに分けられるのではないか。一つ公共料金の抑制に伴います、ただいま村山先生からも御指摘のございました四十八億円の赤字処理の問題というようなものがございます。これは先ほど申し上げましたように、この調査会を待たずに緊急に解決をいたしたい。しかしながら、それでもって地方公営企業の資金繰りなりあるいは経営収支の問題が解決するわけでは必ずしもございませんので、自余の問題につきましては、できるだけ早い機会結論を出していただく。これは調査会におはかりをいたしたいと考えているわけでございます。
  33. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、いま言われる趣旨——どうも少しこまかいようで恐縮ですが、いま言われている点からいたしますと、それは抜本的な資金繰りというふうにも受け取れますし、そうでなくて、当面の料金値上げストップに関する問題だけは切り離して解決をして、さらに追っかけて——かといって赤字がないわけでないわけでありますから、つまりたとえば横浜なら横浜の例をとりますと、今回の料金ストップに基づく赤字が三億六千万円、累積赤字四十億ということになるわけでございますから、そういう意味で分けて申せば、当面の料金ストップに伴うもの三億六千万円、この種のものについては、切り離して緊急解決。それからいま答弁をされているものの中に二つ考えられる。つまり累計でいく赤字がなお残るわけでありますから、この点について、調査会できわめて早い機会解決をはかり、さて抜本的な料金云々の問題——これは全部からみますが、抜本的な資金繰りというものについては、長期展望に立つ、こういうことですか。
  34. 松島五郎

    松島政府委員 ただいま御指摘のうち、従来からも赤字の要因を含みながら経営が行なわれてきた、そのために赤字が生じている、あるいは将来生ずるおそれがあるというような問題も、あろうかと存じます。そういった問題につきましては、それをどういうふうに処理をしていくべきかという問題は、調査会にできるだけ早い機会に御結論を出していただいて、それによって処理をいたしたいと考えております。
  35. 大出俊

    ○大出委員 どうも少し答弁が持って回った言い方で、ずばり質問をすると変わってしまうので困るのですが、さっきからあなたがお答えになっている内容から申しますと、もう一ぺん分けて申しますからはっきり答えていただきたいのですが、まず一つは、こうした料金ストップ政府政策に基づく赤字、例をあげれば横浜のように三億六千万円の赤字が出る、このものについては、大臣もさっき言っておられたように切り離して解決をはかる、つまり制度調査会とは切り離して解決をはかる、こういう確認をしていいかどうかというのが一つ。それから二番目に、いま官房長が答弁されている中で、言っていることが二つにわたるわけです。抜本的なという意味のことを言っておられるから、そうなると、その中に二つあって、累積赤字になっている形のもの、これを調査会に諮問をしてできるだけ早い機会に案を出してもらう。それから累積赤字云々よりも、企業の根本的な性格ないしは範囲、限度、こういうものを含めての経営全体、この面からももちろん資金繰りは出てまいりますが、この種のものは、二年間先を見通して、柴田局長の言っておるような方向でじっくり結論を出してもらう、こういう分け方をされようというのか。再度念を押します。
  36. 松島五郎

    松島政府委員 大体私どもといたしましては、先生がお述べになったような方向で考えております。ただ、具体的問題の検討に調査会がお入りになった場合に、そうさい然と分けて御結論がいただけるかどうか、これは調査会の運営の問題にも関連いたしますが、私どもの気持ちといたしましては、大体先生のお述べになったような気持ち考えております。
  37. 大出俊

    ○大出委員 次に、先ほどの自治大臣の御答弁の中で、なおかつはっきりしないので、もう一ぺん質問を申し上げます。五十億というふうに概算で言われておりますが、四十八億というように前々からいわれている政策的な料金ストップに伴う赤字なんですが、これについては、企業努力ということをしきりに言われるのですが、さっき村山さんからもちょっと出ておりましたが、なおそれにつけ加えて申しますと、公営交通事業財政調査会答申の中に答申をしているわけですね。これは法的根拠がないとおっしゃれば、後ほどもう一つ理由があるわけでありますが、この内容からいたしますと、政府措置によって料金引き上げがなされない場合は、必要な損失補てんの措置などがとられなければならないということが入っているわけですね。そうすると、この既存の調査会が出しております答申を柴田財政局長はいろいろ引用してものを言っておられるわけですから、その意味で、そこに論点を一つ置いておられる。となりますと、同じ意味でここにいま私が例示をいたしました補てんの措置ということについても、同様なやはりウエートを持っていただかぬと困ると私は思う。つまり、いままで柴田さんがしきりに答弁をしておられる中で、この調査会の昨年十二月の答申を非常に重視をされてものを言っておられるわけですから、そういう意味でいきますと、この四十八億というのは、これらの点からいたしましても、明らかに政府責任で補てんをする筋合いのもの、こういうふうに考えられるわけです。それだからこそ、先ほど官房長が言われるように、あらためてつくらんとする調査会とは切り離して解決をはかろうということになるはずなんですから、そういう点で、先ほどどうも企業努力云々が先に立ったりいたしますので、もしそういうことになりますと、今日までおのおのの企業企業努力をしてなかったことになるので、その点と関連をいたしますので、明確にしておいていただきたいと思います。
  38. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 企業努力ということは、公営であれ、私企業であれ、当然なさるべきであるということを申したわけでございまして、さっき村山委員から、何か自治大臣としては、そんなたよりないことでは困るじゃないかといった意味の御発言もございましたが、言うまでもなく、自治省立場としては、ことばはおかしいけれども、被害者代表みたいな立場でございますから、大蔵大臣に対しては、四十八億円というものはちゃんと要求はしておるわけでございます。しかし、これは公営であろうが、私企業であろうが、はい、そうですかと言って、右から左に四十八億円出るわけのものではございませんので、やはり大蔵省大蔵省として言い分がある。金を出す者はみんなそういう気になることは、まあ先生も御承知のとおりだと思う。しかし、それにもかかわらず、われわれのほうとしては、その要求を非常に強くやってはおるわけでございます。やはり赤字が出ても、その穴は簡単に政府で埋めてくれるんだな、こういった印象を植えつけることは、大蔵省も困ることでしょうし、またさいふを持っておる者の立場はおのずからあるわけでございますので、私は四十八億円をお引き受けいたしますと言わなかったまででございますが、努力は十分しておるつもりでございます。
  39. 大出俊

    ○大出委員 最後段階ですから、どうも少しこまかくなって恐縮ですが、お許しいただきます。  京都を除く五大市からバス料金値上げ申請が、三十六年の七月から三十七年の三月までに、約半年間に出てきているわけですね。そこで、確かにその後の三者協議その他の経緯があることは知っておりますし、十年ばかり前にあった閣議了解なんということも知っておりますけれども、その上に立って申し上げるのですが、つまりどういう事情があるにせよ、相当長期にわたって公営企業会計が苦しいことがわかっておりながら、つまり結果的には放任をしたことになるわけであります。その間、したがって、赤字の累積という問題が出てきている、こういうことになるのであります。そうなってまいりますと、当然、今回物価問題懇談会がヒルトン・ホテルで、まず公共料金ストップを一年やれという打ち出しをしましたが、むしろ国民全体の声もあり、政府としてはやむなく一年ストップをやったというふうに見られるのでありますが、この問題とからんで、先ほどもありましたように、私は、これは明らかな政府の政治責任地方公営企業に対する政治責任である、こういうふうに理解できるわけであります。そこで、いま赤澤大臣が言われております企業努力は、しからばやっていないのかどうかというと、私も地方をきわめて詳しく知っている一人でありますけれども、まさに涙ぐましき企業努力をやってきていることをまのあたり私は見ているのでありますが、そうなると、そこにどうも企業努力をおまえらはしていないじゃないかということをこの段階で言うことは、私は筋が通らない。将来に向かってこういう計画、こういうワクで企業努力をせよと言われるならわかる。理由を申し上げますが、経営の面あるいは事業そのものについての指導責任というのは、明らかに権限分担の中からいたしますと自治省にあるのでありますから、もしひるがえって企業努力をよしんばしておらないんだとするならば、自治省指導よろしきを得ないことにはね返ってくるわけであります。そうなりますと、少なくとも自治大臣としての御答弁としては、企業努力が先決であると言わんばかりのお話が出てくることは受け取りがたい、こういうふうに考えるわけです。したがって、そういう意味でもう一ぺん御答弁を願いたいのと、あわせて一つ申し上げておきますけれども、かつてたしか交付税法との関連のときだったと思いますけれども、私もある地方の自治体の問題でいろいろ関係者と話を続けている中で、たいへんどうも大蔵省自治省の仲が悪い、大蔵省側からものを言っても、ちょっといまの段階では、自治省の柴田さんのほうでもって財源百億は握り出すにしても、出さぬでしょうという話が出てくる、こういう状態がありました。してみると、いまの大臣の言われる大蔵省の言い分なるものも、どうもそういう関連さえあるように受け取れるわけであります。したがって、もう少しフランクに、自治大臣という立場でお考えになって、いま私が申し上げました経緯の上に立って、今日企業努力のための指導もしてこられたはずなのでありますから、してみると、政治責任ということについて、この料金ストップによって生じた四十八億の赤字は、自治省としての立場からは明らかに政治責任である、こういうふうにお認めをいただきたいと思うのでありますが、御答弁いただきます。
  40. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 だいぶ私が企業努力ということを言ったことにつきましていろいろ御議論になるようですけれども、私は一般論を申したのでして、今度の差し迫っての四十八億の中に企業努力が足りなかった部分が幾らあるかといったことを頭に置いて言っておるわけじゃないのでして、そのことは御了承いただかなければいかぬと思います。  なお一点、自治省としてはそういうことを越えて四十八億円という要求を大蔵大臣に現にしておるわけでございまするので、その点もそのままお受け取りをお願いいたしたいと思います。
  41. 大出俊

    ○大出委員 四十八億の中に企業努力が何ぼというようなことを言っておるわけじゃないという御答弁ですから、そうしますと、今日の段階では、四十八億については、つまり政策的に料金ストップをしたという時点に立って考えれば、政府の政治責任だということになると思います。したがって、そうなると、ひとつ聞いておきたいのは、大蔵省には大蔵省の言い分がある、こうおっしゃるのですが、その言い分とは一体何ですか。
  42. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 どうもいままで予算を扱ってまいりました過程においても、なかなかそれぞれ理屈が生まれてくるものでございまして、いままで私らもいろんな予算に関係してまいりましたけれども、言い分がそのまま通ったためしはないわけでございます。私は感触として、大蔵大臣は私の言うとおりに右から左に四十八億円出しそうな気がしないわけなんであります。そのことをさっき村山委員が弱腰ではないかとおっしゃった意味じゃないかと思うのでありますけれども、私としては一本調子で押していっておるわけでございますので、その点は、ひとつ先ほど申しましたように御了承願いたいと思います。
  43. 大出俊

    ○大出委員 つまりがまぐちを預かる大蔵省ですから、まあできるだけものごとすべてにわたって引き締めるという一般論はありますけれども、問題はいろいろ閣議でもめたいきさつまで新聞に発表されて、物価問題懇談会から出したことについての最初の閣議の内容では、一年ストップに一言半句も触れていないわけですね。物価問題懇談会のヒルトン・ホテルの第一回の会合の結果については触れていないということは、何かというと、政府内部においてもそう簡単に一年ストップを考えたわけじゃないと思うんですよ。以来いろいろな各方面からの声があり、新聞論調等も出てきて、物価問題懇談会がせっかく一年ストップといっておるのに、政府が横向くとは何ごとだ、この時期におかしいじゃないかという新聞社説も出てきたということの中から、関係各部門が寄り合われて相談された結果、しぶしぶながら一年ストップということに踏み切ってきたという経過がある。そうなりますと、私は、この際、政府立場としてはそういう事情にあるものなのですから、しかも三十六年の七月以来引き上げてもらいたい、企業内容はこうだという訴えが地方公営企業からあるのですから、したがって、ここに大蔵省がいるわけじゃないですから、あっさりその点は答弁をしていただいたほうが、あと責任の所在が明らかになって、われわれはどなたが賛成してくれるかわからぬけれども、とにかく大蔵大臣をかねと太鼓で責めなければならない筋合いになるので、そこまで明確にしておいたほうが、いろいろな意味でいいんじゃないかと思うのですが。
  44. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大蔵大臣責任を転嫁するわけではありませんけれども、先ほど申しまするとおり、自治省立場としては、ひた押しに四十八億円というものを要求しておるわけでございます。しかし、先ほどの物価問題にからんでのいろいろ御質問でございますが、私の立場として、経済企画庁長官にかわってお答えするわけにもまいりませんし、また大蔵大臣には大蔵大臣考え方もありましょう。しかし、自治省としては、ぜひこの一年ストップ後における赤字は補てんしてもらいたいということの強い要求をしておるわけでございまして、私は、そう一本調子で行っておるのを間違っておるとは考えておらないわけでございます。
  45. 大出俊

    ○大出委員 そこで、前回も多少御答弁をいただいておりますが、念のためさらに明らかにしていただきたいのでありますが、地方公営企業制度調査会なるものの構成について、もう一ぺん御答弁願いたいのです。二十名というようなお話もございました、全くの第三者という話もありましたが、実は先ほど例にとりました今日既存の公営交通事業協会の中に設置をされました公営交通事業財政調査会なるものの構成が、関係官庁の係官等も含めていろいろやられております。したがって、なお心配も残りますので、その辺の考え方というのをできれば詳細に御答弁いただきたいと思います。
  46. 松島五郎

    松島政府委員 この前も申し上げましたように、関係官庁の方をただいまのところ委員には予定いたしておりません。学識経験を持たれる方にお順いをいたしたい。もちろんこの前の大臣のお話にございましたように、その中には、働く方々の意見が十分反映するような方も考えていかなければならぬとは思っております。
  47. 大出俊

    ○大出委員 人員はどのくらい考えておりますか。
  48. 松島五郎

    松島政府委員 二十人と予定をいたしております。
  49. 大出俊

    ○大出委員 もう一つ念のために聞いておきますが、前回の委員会では、案をどこでつくるかという問題でいろいろ質問がかわされまして、運輸省という御答弁があったのでありますが、そこのところはどうなっているか、もう一ぺんひとつ。
  50. 松島五郎

    松島政府委員 案を運輸省でつくるというようなことは、この調査会の問題については考えておりません。
  51. 大出俊

    ○大出委員 調査会ではなしに、今回の資金繰りその他が閣議でも問題になって、自治省が、大蔵省があるいは運輸省が云々ということであったのでありますが、何べんも引き合いに出して恐縮ですが、柴田政府委員答弁によりますと、料金の問題にからむということから、運輸省という答弁をされておるのです。そこのところはそういう理解でいいのですか。先ほど四十八億ひたむきにやっておられるという大臣答弁と関連がありますので。
  52. 松島五郎

    松島政府委員 この前の御質問にもございましたが、この四十八億円の問題は、最初は運輸省料金の認可権を持っておりますところから、その薄後処理の問題としては、運輸省が要求なさるのが筋ではなかろうか、こういうことで運輸省にお願いをしておったわけでございます。しかしながら、今日の段階におきましては、この前も大臣が申されましたように、どこの権限だとか、そういうことを言っている時期でもございませんので、大臣がひたむきにと申されましたような態勢で進んでいるわけでございます。
  53. 大出俊

    ○大出委員 了解しました。ところで埋める方法なんですけれども、つまりどういう形で幾ら埋めるかということは、なお大蔵省という問題があるのでしょう。しかし、どういう方法でという点について触れておられてないので、その点についてひとつお答えいただきたいと思います。たとえば償還期間の延長ということも一つ方法ではありましょうし、あるいは起債という形のものも考えられましょうし、利子補給ということもありましょう。つまり、それらのどういう方法を目下お考えになっているかということを承りたい。
  54. 松島五郎

    松島政府委員 方法といたしましては、ただいま先生がお述べになりましたように、四十八億円をストレートで補てんをするという方法考えられます。また一応つなぎの起債をいたしまして、その元利補給をするというような方法考えられます。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、方法のいかんは別といたしまして、あとに問題が残らないような解決のしかたをいたしたいということで努力をいたしておる次第でございます。
  55. 大出俊

    ○大出委員 そこで大ワクをひとつ聞かしていただきたいのですが、今日のこの種の起債資金等につきまして、民営バスなんかの場合と公営交通の場合と、特に公営バスになりますが、政府資金のほうがどのくらいの比率になっておりますか。
  56. 松島五郎

    松島政府委員 ただいま手元にございます資料は、バスのみでなくて、交通全体についてでございますが、昭和三十八年度の地方債計画では、二十六億円の総額のうち、十五億円が政府資金、十一億円が公募資金というような割合になっております。なお、公募資金のうち、公営企業金融公庫の貸し付けが八億円でございますので、純粋の市場公募は三億円でございます。
  57. 大出俊

    ○大出委員 そこでひとつ大臣に承りたいのですが、この資本といいますか、公営企業自体の固有資本というような面で、自己資本らしきものがない公営企業が非常に多いと私は理解するのでありますが、先ほどから何べんも引き合いに出して恐縮なんですが、一般的な意味での企業努力もけっこうなんですが、企業努力をするにしても、企業努力以前の問題が存在をする。これは民間経営の場合でも同じことで、資本がない限りやっていけないわけでございます。そこで調べてみますと、根本的に自己資本というものを持たない企業、これが公営企業の大多数であるというところに、一番根本的な赤字原因があるというふうに私は考えているのであります。ということは、つまり企業努力以前のこれは問題である。したがって、企業努力といわれる前の問題について、まずどういうふうにお考えになっておりますか、簡単に御答弁いただきたいと思います。
  58. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおり、自己資本を持たざる企業の、しかも収支計算というのは、全くおかしいと私は思うのです。私もずっと事業をやってきたものでございますから、全く御指摘のとおりでございますが、自己資本ということについては、何かいままでいろいろ研究をしているらしいので、事務当局から御説明をいたします。
  59. 松島五郎

    松島政府委員 現在の公営企業は、一般的に、御指摘のとおりいわゆる自己資本と申しますか、そういうものなしで、建設、改良は一応起債によってまかなう、いわば他人資本によってまかなうというような形態をとっておるわけでございます。ただ、こういう形態のみで公営企業がいいのかどうかという問題につきましては、いろいろな議論がございます。たとえば病院の建設にいたしましても、少なくとも最初の「建設については、一般会計からの操り入れによる自己資本をもって建設をし、その償却は当該企業において行なうことによって、将来の町建設資金はそこから生み出していくというような形にしたほうがいいのじゃないかという議論もございますまた、地下鉄市来のようなものにおきましては、借り入れ資本で経営をいたしておりますと、おのずから金利負担料金に大きな影響を持つというようなことから、税に東京都あたりでも、一般会計からの繰り入れというものをある程度行なってきております。ただ、その額が今日のような状態でいいのか、あるいはもっと強化すべきか、あるいはそもそも公営企業における自己資本と借り入れ資本との関係をどう考えるべきかという問題が、いろいろあるわけでございまして、この点につきましては、私どもも調査会の御検討の一つの題目と考えておる次第でございます。
  60. 大出俊

    ○大出委員 横浜等の例からいきますと、いまバスが一台大体三百七十万円するわけですが、借り入れ資本でバスを購入して走らせる、こういうことになりますと、償還期限が五カ年ということになりますと、五年で実際にバスは使えなくなってしまうわけですから、五年間で三百七十万かせいで、かつ三百七十万別に利潤を蓄積しなければ、一台のバスは動かない勘定になってしまうわけですね もう一ぺん言いますが、三百七〇万円の借り入れ資本で一台バスを走らせた。五年の償還期限ですから、五年から先になると、そのバスはだめになってしまう。五年間で元利償還をしなければならない。二、うなりますと、そのときにバスがなくては、これは市民が困る。そうなると、これはバスを一台何とかしなければならぬ、ということになると、これはまさに理屈を述べているのでありますが、何とかそこで利潤をあげてバス  一台を買えるようにしなければならぬ。ということになると、これは受益れ負担料金だけでは、何としてもまかない切れない会計内容になってしまう、これは理の当然でございます。そこでおまけにもう一つ申し上げますが、大正十二年の震災の復興のときに、横浜はいまの公営交通に二千三百万円アメリカからの資金が入っている。東京はフランスからも入っている。ところが、戦後の焼けたあとの復興には、一銭も政府資金その他が入っていない。そうなってくると、公営交通の累積赤字というものは、本来的にそういう自己資本がないところに出発をしているのでありますから、さっき大臣の御答弁の中にもちょっとありました、どうも企業努力に多少ウエートがいきかかっている感じ、あるいは東京都が出している今日組合との間に大きくもめている合理化案、百八十度の路線の変更改定云々というようなこと等につきまして、どうも上のほうのそういう計画を立てている側に、私はまずもって無理があると思う。その辺のところは、調査会調査会といって逃げているのが最近の傾向だけれども、そうではなしに、経営状態について直接指導を担当せられる自治省立場から、これはかくすべきであるという基本原則をきめて、その上で調査会にはかるということにしなければならぬ。そうするのが私は筋道だというふうに考えるわけですが、この辺についての御見解を承っておきたいと思います。
  61. 松島五郎

    松島政府委員 公営企業の自己資本をどうすべきかという問題につきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろな議論がございます。自治省としましても、いろいろ検討はいたしておりますけれども、これは経営全体にわたる問題でもございますので、早急な結論は出しかねている状態でございます。そこで、各方面の御意見を十分お伺いして事をきめていくのが適当ではないだろうか、こういうような趣旨から、制度調査会にお願いをしようと考えているわけでございます。
  62. 大出俊

    ○大出委員 そこで、いまの問題とやはり多少関連をいたしますけれども、先ほど例にとりました財政調査会等で言っている中に、賃金が高いということに触れておられますけれども、この賃金が高いということ一つを取り上げましても、そう簡単に、形式的にながめてみて、ないしは字づらを当たって高いということが言えない事情に実はあるというふうに、私は理解をいたします。つまり民営の企業なんかの場合と比べますと、民間バス等で働いている方々の住居所在地については、横浜で言うならば、地方の都市周辺地域から通っている方々が非常に多い。ところが、横浜市電なんかの場合でいきますと、採用条件の中に、朝四時なら四時の一番電車に乗り得るすぐ近くにいなければならぬということが入っている。そうなると、そういう地域に住んでいる人しか採用してもらえない、こういう経緯があるわけであります。そうなってくると、周辺地域のバスの慣例もありますけれども、こういうふうな問題とあわせてみて、今日高くなるにはなるだけの十分な理由がありますし、それからアメリカあたりでは、私一昨年六十日ばかりおりましたが、調べてみても、逆に民間が、どうやっても民営バス赤字になってしまう、したがって、民営バスのほうから公営バスのほうにどんどん押しつけてしまう、こういう現象が出てきておるさらに国鉄なんか、アメリカの場合を見ても、年齢四十五歳以下の人は一人もおらない、こういう実情です。そうなると、そういう永年勤続をしてきた過去の経緯からいっても、賃金は高いという問題は当然出てきてしかるべきなんで、それなりの理由がある。今日の年功序列賃金のもとではしかたがない。こういうことになりますと、従来から自治省が各委員会答弁されておる中では、賃金の問題にちょっと触れられておるが、それとなくどうも賃金が高いという印象を受けるような答弁が出てまいります。それに対する反論が出てきておりませんから、いま事例をあげて具体的に説明をしておるのでありますけれども、そういう点等も監督され、指導される自治省という立場経営全体をながめておられるという面から、ひとつ責任を持って、ここはこうだというふうに分けて調査会に持ち込むという方針をおとりにならないと、調査会のほうは、各種調査会の例からいきまして、なかなか事情を知った方ばかりでない場面もありますので、そういう点等において、今日の段階でどう御判断になっておるか、承りたい。
  63. 松島五郎

    松島政府委員 調査会におはかりします問題につきましては、調査会の御要望等も考えまして、できるだけ一般的な資料を出すことによって、公正妥当な御意見を出していただけるように努力をいたしたいと考えております。
  64. 大出俊

    ○大出委員 どうも答弁しにくいところというか、賃金問題等になりますと、柴田さん見えておられませんから、ベテランを欠いておるのでむずかしいだろうと思いますけれども、念のために申し上げておきますが、一番安易な方法——先ほど村山さんからもちょっと話がありましたが、何かというと人件費という言い方、これは地方公営企業立場というものをその成り立ちから無視しておると考えますから、これらの点は十二分に検討しておいていただきたい。なお、いまのようにすべて調査会というのでなしに、自治省も高いと言っておられるのだから、それらしい理由があれば、 つけ加えて御答弁願っておきたい、こう思います。  それからもう一つの問題は、一般会計との関連なんでありますが、先ほど病院の問題を例に引かれましていろいろ言われましたが、準公営企業ということになりますか、そういう準公営企業の面でもいろいろありますけれども、一般会計と特別会計公営事業会計との関係、こういう面について、どうも表に出ている、いない、いろいろありますけれども、いろいろな人に聞いてみますと、地方都市では、ずいぶん無理三段をしながら一般会計から差し繰っておる場面が見られます。こういうことをあなた方のほうではどういうふうに把握されておるか、承りたいと思います。
  65. 松島五郎

    松島政府委員 一般会計と特別会計との間柄につきましては、必ずしも一般的な原則と申しますか、考え方が確立していない面もございますために、地方団体によりましては、それぞれの実情に応じて措置をしておるというようなことで、その措置が適当であると考えられるものもありますし、また必ずしも適当でないと考えられるものもあるやに考えております。そこで、これも先回申し上げましたように、公営企業ないしは準公営企業について、一般会計との間をいかにすべきかということが、先ほどの自己資本の問題とも関連いたしまして、一つの大きな問題点であろうと考えておりますので、そういう意味において、この調査会に御審議をいただく項目と考えておるわけでございます。先ほども例を申し上げましたが、病院事業のような場合において、その病院事業の元入れというものを一般会計からいたしまする場合に、どういう観点に立って元入れすべきか、あるいは経営に伴います経営経費を一般会計から繰り入れます場合も、たとえば僻地診療所のような場合には、単に一般病院と同じような考え方に立って処理すべきか、あるいは、特殊な行政目的を達成するためという観点から一般会計からの繰り入れをすべきか、もしも特殊な行政目的という観点から、一般会計から繰り入れをするとするならば、その基準をどこに求むるべきかというような問題がいろいろあろうかと思いますので、こういった問題については、何でも調査会とおっしゃられますが、調査会の御検討をお願いをする予定、にいたしております。
  66. 大出俊

    ○大出委員 そこで、一つ質問があるのですが、起債の償還年限なんですが、大阪の例、横浜の例、あるいは仙台の例等いろいろありますけれども、どうもはっきりしないんですが、幾つも種類はないのですからたくさん言ってもらう必要はないのですが、たとえば車両であるとか、その他を分けまして、今日、どういうふうな基準で大体押えておられますか。
  67. 松島五郎

    松島政府委員 先ほども申し上げましたように、現在の企業経営が、自己資本をほとんど持たずに借り入れ資本によって回転をしているという現状から申しますならば、建設費あるいは改良費に属する起債につきましては、その耐用年数に少なくとも合わせていくことが適当であるという考え方から、努力をいたしております。ただ、バスのようなものにつきましては、その線に沿っておるわけでございますけれども、その他のものにつきましては、遺憾ながら、耐用年数に比べまして起債の償還年限が短いというのが現状でございまして、これにつきましては、毎年度、大蔵省ども折衝をいたして、少しずつは延びていっておりますけれども、いまだ十分でないという現状でございます。
  68. 大出俊

    ○大出委員 少し分けて、どのくらいになっているかということを言っていただきたいのです。つまり、私の言いたいのは、電車なんか二十年くらいが耐用年数なんですが、にもかかわらず、七年になっておったり、つまり、本来、いま答弁にありましたように、耐用年数に合わした償却あるいは償還年限というふうにならなければならぬ筋合いだと思うのですけれども、極端に迷う短期償還をさしているそうい、うふうな例が幾つも見られるように思うので、二てこのところの基準、しかも都市別に多少迷いがあるように思うので、そこのところを御悦明を願いたい、こういうことです。
  69. 立田清士

    ○立田説明員 交通関係のうち、政府資金の関係の償還期限を申し上げますと、バスにつきましては五年、うち、据え置きが一年入っておりますが、償還期限としては五年でございます。その次に、トロリーバスが十年、次に、バスなり電車の車庫でございますが、これは十五年、それからいわゆる地下鉄でございますが、三十年、こういうような状況でございます。
  70. 大出俊

    ○大出委員 そこで一つ承りたいんですが、路面電車の問題が最近いろいろ問題になっておりますけれども、これは、自治省答弁柴田政府委員答弁等によりましても、環境が非常に悪くなっていて、まさに路面電車はやめたほうがいいんじゃないかというふうに言わぬばかりの答弁に受け取れるわけであります。そこで、お聞きをするわけでありますけれども、横浜市なんかの市電は、一日に三十五万人の人を運んでいるのであります。そして今日百六十台の市電が走っておる。ところで、市電一台とバス一台の収容人員の比較をいたしますと、大体、市電一台に対してバス三台がどうしても必要になります。そうなりますと、百六十台の路面電車をバスに肩がわりするとなれば、四百八十台というバス考えなければ、三十五万人の人は運べない。今日、横浜市内には、公営交通という形で市バスが四百五十台走っているわけですそうなってくると、これはたいへんなことになってしまうわけでありまして、しきりに路面電車云々といわれるけれども、三十万万人の足をどうするかということになりますと、これはそう簡単に、皆さんが考えているようなわけには絶対にいかない。むしろ、神奈川線等のように、路面電車を逆に延ばさなければ、長距離歩かなければならぬということが出てきているのが今日の実情であり、五年ばかりの間に横浜の人口というのは、よそから入ってきた人は、十人のうち二人あるわけでありますから、そういうふうに急激に膨張している市内の実情から考えて、私は、そう簡単に、机上計画で、どうも環境が悪くなったからやめられたらいいんじゃないかというのは大きな間違いであり、市民に対する大へんな迷惑。混乱を及ぼす結果にしかならない、こういうふうに考えておるのですけれども、そこのところの御答弁をいただきたい。
  71. 松島五郎

    松島政府委員 一般の路面電車につきましては、いろいろ議論もあるようでございますけれども、今日、先生が御指摘になりましたように、たくさんの人の足となっているという実情から考えまして、これを廃止してしまえというようなことは、実際問題として不可能でもあろうと思います。ただ、路面交通が非常に渋滞しておる、その代替施設として地下鉄というようなものが考えられた場合において、路面電車をどう取り扱うかというような問題は、検討問題として相当残ろうかと思いますけれども、一般的に市電を廃止するということは考えておりません。
  72. 大出俊

    ○大出委員 話が出ましたから一つだけつけ加えて質問をしておきますが、いま地下鉄も、一キロ当たり大体三十億円くらいの金がかかる、こういうことであります、したがって、横浜市に例をとりますと、三十キロくらいの地下鉄路線を考えませんというと、これは路面地車に代替するような形のものには、どちらから考えてもなりません。そうなってまいりますと、一キロ当たりのこの金額からいたしますと、一千億くらいの金が必要になってまいります。そうなると、これは受益者負担によるところの料金収入だけで、かりに三十年の耐用年数だからといったって、これはまさに話にも何もならぬ数字になってまいります。そうなると、当然、これは先ほど基本的な問題で私が質問をいたしておりますように、一体この種の公営企業の自己資本というものを、一般会計とのからみ合い、政府資金その他とあわせてみて、どういうふうに考えるかということが、まず先行して考えられた結果でなければ、なかなかそう机上プランでものを言うようなわけにはいかない軒情があろうと思います。ですから、柴田政府委員が言われるような、路面電車が環境の変化によって要らなくなるんだということになるのだとすれば、じゃ、いま申し上げたように、三十五万人の足をどうするかということから始めて、いまの御答弁にありますように、しからば、地下鉄を引く、こういう計画を考えられたとすれば、地下鉄に対する計画はこれであり、耐用年数も、さっき承るところによれば、三十年、それで償還が不可能であるということは一目りょう然なんでありますから、してみれば、もとに返りまして、基本的に公営交通というもののあり方は、一体市民の足を守るにはどうするかと、やはり理詰めにものごとを進めてやっていただかないと、これは百八十度の路線の変更をする、今日まで働いてきた人たちを地下鉄に配置転換し、賃金が高過ぎるから下げるんだ、こうなってきますと、先ほど来申し上げましたように、大正の震災のときから、二千三百万円借りて、いまの金にすれば、千倍ですから二百三十億、そういうときから苦労をされて、今度の戦災で焼け野原になってしまった。バス一台、電車一台で再建されて、しかも政府資金も全く入らないで、泣きの涙の企業努力、一般会計からの繰り入れということで、市民の金を使ってやってきた交通企業だけに、これは腹を立てましょう。一生懸命に働いて、永年勤続をされてきた方々だから、いまの年功序列の賃金では、賃金が上がるのはあたりまえだ。これは政府の賃金形態だからしかたがない。そういうふうに筋道を追って、今日ある、東京に見られるような労使双方の争いというもの、そのことがひいては市民の皆さんに結果的にいろいろな影響を与えるというようなことにつきまして、お考えをいただかないと、私は、なかなか働く側は納得をしない、こういうふうに思いますので、それらの点について、ひとつ最終的に大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  73. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 調査会を私どもは隠れみのに使う考え方は毛頭ないわけですが、少なくとも現段階で、諸般の事情でここまで企業経営が行き詰まって、それが地方団体に大きな負担になっておる。ですから、私どもは、この調査会に全面的に公営企業あり方、しかも、一般論には、いま御指摘になっておりまするとおりに、会計問題も含め、また、自己資本はいかにあるべきかというものも全部含ませなければなりませんし、個々にいえば、マンモス企業もあれば、山間僻地の零細なものもある。個々にわたってまで内容を検討して、安定した姿に置かなければならぬという、ここまでお願いしたいと考えておるわけでございます。  そこで、大体方針を政府のほうで、つまり自治省のほうで調査会に示す意思はないかというような御質問があったようですけれども、私どもはこの調査会をつくりますのには、単に学識経験者と申しましても、よほど公営企業に明るい、しかも労使ともの状況に通暁しておるりっぱな人にお願いする。大きな企業経営というものは、御承知のとおり容易ではありませんので、ただ役人があれこれ指図してそれで形をつけるという意味調査会では、意味をなさぬと私は思うわけです。ですから、この調査会には、慎重に委員を選びまして、根底から検討し直す。それで役所といたしましては、いろいろな資料の要求がございましょうから、そういうものをあけすけに出していく。そういう資料の上に立って正確な判断を願いたいという意味調査会でございますので、決して調査会にかこつけて当面を逃げようというわけではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  74. 大出俊

    ○大出委員 もうこれで終わりですが、新聞によく載りますような、抜本的な、理詰めに各方面が納得する形での進め方ということでなしに、ぽかっとどちらかにしわが寄るというふうに受け取られる一番安易なところに、しかもその方々の犠牲においてということで問題が投げかけられるというような形ではなく、いま大臣が言われるように本質的な問題をやはりとらえて、御検討いただくような努力をひとつ精一ぱいやっていただきたいと思います。
  75. 徳安實藏

  76. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 同僚委員からいろいろ突っ込んだ御暦間がありましたので、私は一点だけ希望かたがたお尋ねをしたいと思う点は、地方公営企業制度調査会、もちろんわれわれも賛成であります。しかし、これには二年の長期間を要するということで、その間に当面のいろいろな問題の処刑は当然起こってまいりますので、その点について、他の常任委員会等においても検討はいろいろされておるやに伺っておりまするが、それらの面についても、私はやや安易な方向にだけいくような検討がなされておることを心配しますので、本質的には、公営企業であろうと、民営企業であろうと、それは企業である限り、採算を前提にするということが根本でなければならない。この点は、先だって私がお尋ねをした際にも、赤灘自治大臣は明らかに同意の御答弁を願っております。したがいまして、たまたま運輸大臣も御列席でございますから、先般一月二十日の閣議決定においては、企業が危殆に瀕するようなおそれのある場合には、基本の企業経営の根本にさかのぼって企業として当然成り立つような方途は講ずるのだということも明らかになっておるわけですから、この際、政府は一体になって、当面の問題の処理については、もちろん公営企業としては、起債の問題であるとか、あるいは一般会計からの繰り入れの問題とか、いろいろな問題がありましょうが、根本の当然利用者が負担をするという運賃の引き上げの問題、この問題についても、事態を十分に究明せられた上で、ひとつ運輸省自治省が一体となって、その方面の努力をぜひお願いをしたい。その点についての赤澤自治大臣のお考えを伺っておきたい。
  77. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 料金をきめますのは運輸省の所管でございますが、しかし、たびたび申しましたとおりに、やっぱり被害を受けますのは地方団体企業の主体が受けるわけですから、私は被害者代表の立場だということを申し上げたわけですが、ここのところは、関係各省、特に運輸省とはよく話し合いをいたしまして、解決に努力しなければならぬと考えております。
  78. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  79. 徳安實藏

    徳安委員長 本案に対し、辻寛一君外二名より、三派共同提案にかかる修正案が提出されております。     —————————————    自治省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案  自治省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  附則中「昭和三十九年四月一日」を「公布の日」に、「同年」を「昭和三十九年」に改める。     —————————————
  80. 徳安實藏

    徳安委員長 この際、提出者より修正案の趣旨の説明を求めます。辻寛一君。
  81. 辻寛一

    ○辻委員 ただいま議題となりました自治省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読を省略させていただきまして、その要旨を申し上げますと、原案中「昭和三十九年四月一日」としておる施行期日は、すでにその期日を経過しておりますので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。  よろしく御賛成をお願いいたします。
  82. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて修正案の趣旨説明は終了いたしました。     —————————————
  83. 徳安實藏

    徳安委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのであります。が、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  自治省設置法の一部を改正する法律案について採決をいたします。  まず、辻寛一君外二名提出の修正案について採決をいたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  84. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。   これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  85. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては全部原案のとおり可決いたしました。  これにて自治省設置法の一部を改正する法律案は、修正議決すべきものと決しました。
  86. 徳安實藏

    徳安委員長 なお、本案に対して八田貞義君外二名より三派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提案者より附帯決議案の趣旨の説明を求めます。八田貞義君。
  87. 八田貞義

    ○八田委員 自治省設置法の一部を改正する法律案に対する自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党共同提案にかかる附帯決議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    自治省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  地方公営企業経営状況にかんがみ、地方公営企業制度調査会を設けて根本的問題を検討することはもとより必要であるが、最近の地方公営企業赤字経営に対しては、調査会の検討と切り離して、政府は速かにこれが赤字解消対策を講ずべきである。  右決議する。  これにつきまして、若干提案理由説明を行ないたいと思います。  御承知のように、政府は、最近の地方公営企業経営等の状況にかんがみ、調査会を設置して地方公営企業制度の全般にわたって基本問題を再検討することとしているが、これはもとより必要なことと思うのであります。しかし、地方公営企業赤字は年々増大し、いまや大きな問題となっていることは、御承知のとおりであります。しかるに、政府は、この赤字解消の対策を講ずることなく、物価抑制のためとして公共料金の値上げを一年間ストップすることとしたのであります。これにより地方公営企業赤字がますます増加することは、明らかであります。このような状況にかんがみ、政府は、調査会の検討とは切り離して、政府責任においてすみやかに赤字解消のための対策を講ずべきであるというのが、本案の趣旨でございます。  よろしく御賛成をお願いいたします。
  88. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  八田貞義君外二名提出の附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。許します。
  89. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいまの附帯条件は、まことにもっともでありますし、私としても同感でありますので、御決定のとおりに取り運びたいと思います。(拍手)
  90. 徳安實藏

    徳安委員長 なお、本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  92. 徳安實藏

    徳安委員長 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
  93. 山内広

    ○山内委員 実はこの設置法の問題とは直接には関係がないのでありますが、いま運輸大臣として一番頭に置かれている点は、いかにして陸上、海上あるいは空の完全な運行を守るかということについて御心配になっておる点だと思うわけです。実はきのうも米軍の飛行機の墜落したのを実地に見てまいりまして、私も一そうその感を深くしておるわけです。そこできょうは、陸上あるいは空の問題は別の機会に譲りまして、さしあたり海上の問題、特に国鉄の輸送について、若干緊急を要すると思いますので、お尋ねしておきたいと思うのであります。  委員の各位も御承知と思いますが、あるいは御案内があると思っておるのですが、明日晴海の埠頭に、国鉄の誇る新しい船が完成しまして、落成のお祝いがあるわけであります。この計画は、ここ二、三年の間に六そうも新しい船にかわるわけであります。この最初の船の出発点でもし方針が誤るというと、次々と既成事実がつくり上げられまして、将来においては、私とんでもないことになるという実は心配を持っておるのでありますので、その点を以下明らかにしてまいりたいと思います。  実は若干てまえみそを申し上げるようでありますが、三十七年四月の十二口に、この委員会におきまして、私は国鉄の問題を取り上げました。現在のような過密ダイヤのもとにおいて、労働省あるいは運輸省が業務している人たちの疲労の問題を科学的に、医学的に検討されていないということは、たいへんなことだ、将来大きな事故が出るおそれがあるという御警告を申し上げたのであります。ところが、三週間を出ないうちに三河島の事件が勃発いたしました。これは自民党の諸君から、君、知っていたのかというひやかしもありましたが、何も予言者ではありません。ただ日夜そういう雰囲気の中に暮らしておりますると、直観的に、本能的に危険というものを感ずるのです。青函連絡船は、私のほとんど一生をささげた職場であります。仲で荷役をした時代から貨車航送にかわり、あの戦争のときに全部沈められて、同僚がたくさんなくなりました。こうして今度また国鉄の誇る新しい船ができ上がった。このときに方針をはっきりとしておかぬと、とんでもない洞爺丸のような事件をまた再び起こさないという保障がないことをおそれておるのであります。そういう点で、以下順次お聞き申し上げますので、御回答いただきたいと思います。  まず第一は、新しい船は、国鉄当局からいただきました資料によりますと、四十一名の乗り組み員ということになっている。そこで、この四十一名は、非常にたくさんの問題を含んでおりますので、順次お聞きいたしますけれども、まず最初に、在来の船でありますと、九十名以上の乗り組み員を持っておる。これが半分以下に減るわけであります。たくさんの過乗要員が出ますけれども、こういう時代でありますから、近代化合理化で一方的にこの海員を措置するとは思いませんけれども、どうしてこの海員を吸収し、どうしてこの人たちに安心して働いてもらい、生活を保障するか、その問題について具体的にお聞きいたしておきたいと思います。
  94. 山田明吉

    山田説明員 御指摘のように、今度つくりました船は、非常な近代的な設備を持っておりまして、こまかい専門的なことは省略させていただきますが、外洋船舶並みの安全性と、それから従来の青函で使っておりました船以上のサービス設備、それから船自体の性能につきましても、最も新しい技術を採用いたしております。したがいまして、ただいま御指摘になりました、とおりに、従来一ぱいの船に大体九十名程度乗り組んで操作をいたしておりましたのが、半数以下で十分足りるという設計になっておるわけでございます。こういう船を、ここ一両年の間に六ぱいつくる計画をいたしております。それによりまして、結果的に、御指摘のような要員が余裕を生じてまいります。国鉄は、単に船のみならず、陸上におきましても、合理化計画を立てまして、いわゆる合理化を行ないまして、その結果、ある部門では要員が余裕を生じてくるというような事態も経験をいたしております。それに対しまして、そういう余裕のできたものは、他面業務量がふえまして、要員的に窮屈な部門に配置転換をいたすというのが、根本的な考え方でございます。船の人が右から左に全員必ずしもいかなる陸上部門にもいけるとは思っておりませんが、根本的には、陸上部門を含めて配置転換をいたしたいと考えておるわけでございます。  なお、船自体の問題といたしまして、これは国鉄全体の問題にもなりますが、将来時間短縮という問題が起こると存じます。この時期あるいはその程度につきましては、いまだ申し上げるまで研究はいたしておりませんが、そういう場合にも、そういう余裕のあることが、そういう制度の実施に大きな寄与になることもあり得ると考えておるわけでございます。
  95. 山内広

    ○山内委員 合理化はやる、しかし、海陸を含めて配置転換でやりたい、こういう御答弁ですが、そうしますと、実質的な首切りは将来しない、こう解釈してよろしいのですか。
  96. 山田明吉

    山田説明員 合理化に伴ういわゆる整理退職はいたしません。
  97. 山内広

    ○山内委員 合理化に伴う整理はしない。そのほかの整理はあり得るということでしょうが、それはどういうことですか。定年とか、希望退職を勧奨するとか、そういうことなんですか。
  98. 山田明吉

    山田説明員 これは特に船だけでございませんで、国鉄職員につきましては、一応五十五歳をもって定年退職という慣行がございます。その線に沿って処理することになろうかと思います。
  99. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、私の受け取り方として、五十五歳の定年退職、あるいは病気その他でもって自然減耗が出てくる、それでもって合理化を進めるのだ、こういうふうに解釈してよろしいのですね。
  100. 山田明吉

    山田説明員 船だけで、御指摘のような定年退職、あるいは年度途中の一般的な退職、それらを含めまして、自然減耗と申しますか、年間の減耗数が、約百名程度でございます。
  101. 山内広

    ○山内委員 わかりました。それでいまの新造船の結果、何名ぐらいの過員なのか。百名ずつの減耗を見て何年かかるのか、その辺の計算を伺いたい。
  102. 山田明吉

    山田説明員 自然減耗を百名程度考えますと、四十六年度ごろには、ちょうど需給と申しますか、これはとんとんの数になろうかと思います。
  103. 山内広

    ○山内委員 では、四十六年度までは、まず実質的な首切りはない、こういうふうに理解してよろしいですね。
  104. 山田明吉

    山田説明員 首切りとかいう考えで申し上げたわけではございませんで、三十六年度ごろの船の運航隻数を一応頭に置きまして、それに見合う要員として過不足がない状態になろうか、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  105. 山内広

    ○山内委員 ちょっと御注意申し上げるけれども、実は私、この問題は国会で取り上げたくなかったのです。そのために、ここにおられる伊能理事さんにもいろいろ御相談申し上げて、国鉄当局のいろいろな問題をこっちが理解して、そうして組合との間で団交で解決すべきものはすべきである。ところが、あなたのほうからは、ほとんど何にも誠意のある回答がなされておらない。組合のほうからも、いろいろ私の質問には回答を寄せておるのです。そういうことで、きょうここに取り上げざるを得なかったのでありますけれども、いまの御答弁のように、実質的な整理がないならないということをはっきり話して——きょうは置いてきましたけれども、青函局長なんかも、実は。パンフレットを流して、そういうことは強調しておるのです。けれども、それを信頼できない。この組合との間で交渉が進められないのは、あなた方が誠意をもって、はっきり言えるところを言わないから、こういう問題が出てくる。百名ずつの自然減耗があるから、四十六年までは一人も整理はしないから安心せいと言ったら、だれが首切りだなんて騒ぎますかそれが、いまあなたの御答弁にあるとおり、実質的な百切りだとは言わぬ、四十六年度にはただ需給がバランスになるのだ、こういうしっぽのつかまらないようなお話で、はっきりした御答弁がない。だから、組合との話もうまくいかないということを私はこの間から考えていたら、きょうたまたまそういうことが出てきた自然減耗で舟年百人ずつ減っていくということならば、四十六年までは絶対に首切りは心配しなくてもいいから安心してかせげと、なぜはっきり言われないのか、その点をもう一度確認しておきます。
  106. 山田明吉

    山田説明員 御指摘がございましたが、現在この問題については、先生も御承知のように団交中でございまして、その団交の結論は、これも御承知のように、まだ結論まで到達していないのも事実でございます。したがいまして、いままでの団交の筋書きを御報告する場ではないと思いますが、その途中におきまして、いわゆる首切り整理というような話題は出ておりません。また私、その団交の席上には出ておりませんが、その経過を聞いておりまして、むしろ過員が生ずることを前提として、首を切られるというような疑心を持つ理解のし方が、私にはふに落ちないと申し上げるよりしようがないような団交の経過でございます。これは先ほども申し上げましたように、船舶のみならず、国鉄の合理化作業によりまして、従来それを直接の原因として整理をしたことはございませんし、将来もそういうことはあり得ないと思います。
  107. 山内広

    ○山内委員 もちろんこれは団体交渉でおきめになるのが筋なんです。私も一日も早くそういう話し合いのつくことを待っておったしところが、あなたのほうでは、理解ができないと言うし、組合のほうでも、信ずることができないと言う。いままでは実質的に首を切ったことがないのだ、これからも切る意思はない、そういうお話があっても、いま言ったように、過員があっても百名ずつの減耗のみによって解決するの、だから、かりに四十六年を目途にしたけれども、四十八年まで延びても、あと二年待てばいいのだから、そういう無理は絶対にしないというお約束ができれば、この団交も早く済むのではないか。これは立ち入った話し合いになりますけれども、そういう点でぜひひとつ誠意のある具体的な話し合いを進めていただきたいと思います。  それから時間短縮の問題ですが、これはなぜできないのか。これも私非常に奇妙に思うわけです。時間短縮の前に、これは運輸大臣もひとつ記憶していただきたいのですが、ことしの二月の五日に運輸省令第三号というのを出しております。それは、昨年の船員法改正の際に、連絡船のように短時間で始終出入港の激しいところは、一本の船員法では規制ができないということで、省令で決定することがまかせられたわけです。ところが、その後ずっと出ないうちに、この二月の五日になりまして省令が出されました。私もいまその写しをここに持っておりますけれども、これも私非常に意外な応じがいたすのです。ということは、あの船員法改正のときも、運輸委員会に行きまして、私若干の時間質問をした記憶があるのですが、いま、労働時間の短縮というのは、もう常識になっております。いまILO八十七号条約の批准が国会で問題になって、まだ進展しておりませんけれども、これは日ならずして解決するでしょう、この次に問題になるのは、この時間短縮です。一週二日の休みをやる、一日八時間で、一週四十時間労働、これはもう常識の問題です。なぜこれを取り上げないで、二週間に一日の休みと決定されたのか。しかもこういう過員を生ずるおそれのあるときに、国鉄は人が余っても実質的に首切るわけにいかぬから、思い切って週休に回したという大福名分が立つではありませんか。それをことしになって、しかもはんぱな二週間に一度の休暇というのです。大臣、どうお考えになりますか。こういうところで一週間に一度の休暇をやったら、幾らの計算になるか知りませんけれども、何百名かの過員というのは、これで救われるのです。
  108. 山田明吉

    山田説明員 御指摘のような時間短縮に関連する運輸省の御指示がございまして、船員につきまして、この二月一日から三十五分の時間短縮を実施いたしております。ところが、船員と申しましてもやはり国鉄職員でございますので、これは先生よく御承知のように、陸上におきましても時間短縮の問題がございます。それで、陸上の職員につきましては実施に手をつけた現状でございますが、船員につきましては、この二月一日から時間短縮を実施いたしまして、従来一週五十六時間を五十一時間五十五分に時間短縮を実施いたしたわけであります。それで、将来の問題といたしましては、確かに御指摘のように、時間短縮というのは、日本のみならず、世界的な傾向でございますので、私どもも逐次将来の目標に向かってさらに前進をしなければならないのではないかと存じますが、国鉄の全体の要員事情とのバランスもございまして、船員につきましては、陸上の職員よりも勤務時間が長いゆえをもちまして、それに見合う給与の裏づけもいたしております。したがいまして、国鉄の中におきまして、陸上と船とのバランスをとりつつ将来の方向も見定めてまいらなければならないというのが、現在の考え方でございます。
  109. 山内広

    ○山内委員 いろいろなかね合いを考慮しながら時間短縮をやるというお立場はわかりますけれども、一週間に五十一時間五十五分というと、五十二時間です。これはすぐおやめになったらいいです。私はあえて四十時間とは言いませんけれども、大臣、これは過員を生ずる。新しい船ができて合理化すれば、どうしたって余ることは事実なんです。私どももこれは喜びたい。こういうときに思い切って週休に踏み切ってやってやるくらいの措置は、運輸大臣としては反対はないと思うのです。労働省だって、この前ここで議論をしたときは、週休は認めておるのです。そのほかいろいろな理由はあのときの会議録をもう一ぺん読んでいただけばわかりますけれども、私は、休養とは一体何ぞやというところから始まった。船に乗って、船の中で二時間や三時間の睡眠がとれるからと、あなた方の重箱のすみをつつくようなこまかい休養時間の算定というのはおかしいのだ。船員の規律のためにも、船に乗ってから降りるまでの間が勤務と考えるべきじゃないかということを意見として申し上げたのです。そういうことは、いまここで論じてもあれですから、この五十一時間五十五分、五十二時間の勤務、そのこと自体に多少陸上との考慮があったにしても、これはいまが踏み切る絶好のチャンスですから、考慮していただきたい。船ができたときは、おそいわけです。そういう意味で、これは希望申し上げます  それから、いま給与の裏打ちがある。勤務時間の長いのやあるいはつらいのはこれで補っている。これもたしかこの前磯崎副総裁から答弁があった当局はそういうことを言っておるが、組合はそんなことはないと言っておる。  一体どっちが正しいのか。それじゃ資料を提出いたしますということを約束された。ところが、その資料をいまもって私どもに配付になっておりません。これはどちらの話を聞けばいいのかわからぬのですから、ひとつ資料を出してもらいたい。労働者の休養時間を金で換算して補うということは、労働法からいえば違法の措置です。しかし、船としてはどうしてもそれよりか方法がないのだということであれば、これはやむを得ない措置としてそういうことも避けられないかもしれませんけれども、そういうことでなく、やはり労働者の権利ですから、金で済まさないで、実質的な休養を与える。それからあなたも御存じのように、社会では全部週休になっているのですから、船員だけ二週間に一ぺんにしておく必要はない。ただ、普通の船は、港を出れば何日も海の上を渡るので、金に換算して支給する以外に方法がないのです。そういう意味で船員法も改正されておりますが、連絡船については、あなた方がやるという意思があれば実施できるのですから、連絡船の船員については、休養をやるのがほんとうだと思います。いまの資料の提出はお約束願えますか。
  110. 山田明吉

    山田説明員 承知いたしました、
  111. 山内広

    ○山内委員 新しい船が旧来の船の半分以下の定員で運航できるというように機械化された、そのことは世の中がこれまで進歩したのかと私は敬意を表したいと思うのですが、この四十一名の算出の基礎なんですが、これは運航に必要な最小限度の定員と考えますが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  112. 山田明吉

    山田説明員 この船は、御承知のように貨物も載せますし、旅客も乗せますので、客扱い、操船、あるいは車扱い、それに必要な定員でございます。
  113. 山内広

    ○山内委員 船のことですから、海難事故というものを考慮しないわけにはいかぬと思うのです。特に、最近は海難事故が非常に多いわけです。そういうことで、この四十一名というものは、そういう万一の場合に必要な救命の要員と申しますか、そういうものを考慮されてこの中に含まれておるのか、それともこれは別にお考えになるのか、そういう点を伺いたい。
  114. 山田明吉

    山田説明員 救命設備といたしまして、大体定員の三割増しの救命胴衣のほかに、今度ゴム・ボートあるいはシューター——脱出用すべり台でございますが、こういうものを設備いたしておるわけでございます。海難ということは絶対起こしてはいけないわけでございますが、万一の場合には、お客の誘導、それからそういう機器の操作、それらはこの四十一人の定員の中で十分できると考えております。
  115. 山内広

    ○山内委員 その点がとんでもないことなんです。あなたのほうから出されました四十一名の定員の内訳は、実はここにあるわけですが、これを見ますと、この大きな船で、いろいろな通路などもあるわけですが、船体を青写真で見ますと、とてもじゃありませんが、事故が出た場合にお客さんを誘導することも何もできる定員ではないのです。具体的にあなた方、たとえばどこかにぶつかったとか、他船にぶつけられたりして、水が入ってきて沈んでいくということを想定した場合に、この四十一名をどういうふうに配置して、どういうふうにしていまお話のあったゴム・ボートなりあるいはいろいろな新しい施設——これは確かに近代化されておりますけれども、これはそういうときに役に立ってこそ初めて価値があるのであって、お客さんにほうっておいて、そこまでいってただそれを使えばいいんだ、そういうことでは、事故の場合、お客さんというのは、心理的にもみんな一カ所に集中するものなんです。安全な場所にみんな片寄ってしまう。それを誘導し、命令して、安全な隊形につかせて、これらの救命装置が完全に生きて活用される、そういう自信が四十一名でもって配置ができますか。これは私、しろうとでございませんから、一番心配している。お客さんのことを心配しながら、私つとめてきた職場です。具体的に配置があるならば、いまというわけにはいかぬでしょうけれども、これもお示しいただいていいんですけれども、自信があるならあるとおっしゃっていただきたい。
  116. 山田明吉

    山田説明員 先生のほうが専門家で、私しろうとで申しわけございませんが、うちの専門家に聞きますと、各階から脱出をできるということが、いま一番利点と申しますか、それで、ゴム・ボート、シューター等の要員として大体十八人をもって充てております。それから、お客の誘導といたしまして、大体百人単位と考えまして、きっちりそれだけ集まらないとは存じますが、大体百人に一人つきまして、十人の、要員がお客を誘導する。それから救命艇が二はいございまして、これに三人ずつで六人。したがいまして、船長や機関長等は、全然それに加わらない余裕の要員になるわけでございます。そういう計画をいたしておりますので、万一の場合にも大丈夫である、こういう見解でございます。
  117. 山内広

    ○山内委員 これは議論になりますから、これからの研究と、望ましくないことではありますが、一回事故ができてみないと、これはわからないことだと思うのですが、そういう安易なお気持でこれをおやりになったら、たいへんな失敗です。現在でも、旧来船はお客さん五十人に一人の誘導員、それくらいの責任者が船員としておるわけです。今度新しい船が、定員が減りますと、二百二十名以上の処理を一人でやらにゃならぬ。そして、事故のときというのは、人が重なり合いまして、そこでもって秩序が乱れ、混乱になり、せっかくのりっぱな救命胴衣が働くべきものが、装置が動くべきものが、動かなくなってしまう。やはりこの事故のときは、秩序を保つという規律のいい誘導ができるということ、これなくては、こういうりっぱな装置も活用することができないと私は思います。そういう意味で、もう少しこの辺の御判断もきびしくされて、万一の場合、あなた方はあのとききれいなことを言ったが、もう何百人も死んでしまった、辞表を出しておやめになるか、転勤になれば済むかもしれませんが、そのときになくなった人はどうしますか。これは金銭にかえられない。いまの、平和憲法で、人命を守るということは最大の要件でしょう。そのために大臣も苦労しておられるはずなんです。これは働く人とお客さんとによらず、同じことです。そういう意味では、もっときびしい再検討をしていただきたいと思います。  それから、新しい船は画期的な機械装置だそうでございまして、いろいろ資料もいただいております。そのために、従来の船に乗っている人たちが新しい船に乗るわけでありまして、知識の点、経験の点、すべて新しくなるわけです。このことも、危険という意味からいえば大事な要素でありますけれども、あなた方としては、すみやかにこの船員を養成する、熟練させる、これはもっと重点的な施策をおやりにならなければいかぬと思うのですが、この養成のことは、具体的にはどういうふうにお考えになっておりますか。
  118. 山田明吉

    山田説明員 御指摘のように、今度の船がいろいろな新しい設備を持っておりますので、従来の知識では足りない面が出ているわけでございます。それでまず、船長そのほかの幹部要員を中央に呼びまして、その必要な講習を行ないまして、それから現地におきましては、当然中型幹部や部員についての講習会を行なったわけでございまして、実地教育といたしましては、新しい船ができます三カ月前から、あるいは、職種によりましては一カ月前から、造船所一に艤装要員として派遣いたしまして、船が完成する前に機械の取り扱い等の習熟をはかった次第でございまして、今後、新しい船がさらに全部で六ぱいできるわけでございますが、そういうやり方で職員の再教育と申しますか、それを行なってまいりたいと存ずる次第でございます。
  119. 山内広

    ○山内委員 その必要な乗り組み要員のほかに、やはり若干、そういう養成定員というようなものは常時見ておかなければ、不足を告げると思うのですが、いまお話のありました幹部教育その他いろいろなことを合わせて、どのくらいの人員をここで見れるのですか。
  120. 山田明吉

    山田説明員 船自体につきましては、御指摘のように、四十一名というのは設計上の定員でございます。現実の問題といたしまして、現在、現地で団交をやっておりますが、若干名、どのくらいの期間になるかわかりませんが、指導といいますか、補助といいますか、そういう要員の配置は検討してまいりたいと考えております。
  121. 山内広

    ○山内委員 今度できる船は、船員の食糧までも全部外部のものに仕入れさせる、こういう話を聞いておるわけでありますが、これは事実でございますか。
  122. 山田明吉

    山田説明員 船員の食糧は船内で支給するのがたてまえでございまして、これは申し上げるまでもございません。ただ、それをつくる要員が、だれの手でつくるかと申しますと、旅客の食料を外部の請負にいたしておりますので、それと同時に船員の食料もつくってもらおうと考えております。
  123. 山内広

    ○山内委員 これはまああまり立ち入ったことになりますから、私は意見はあります、長い間の歴史も知っておりますので、古いことにこだわることもどうかとは思いますけれども、このほかいろいろな売店だとか、いまの客の食堂とか、またこういう食糧までも外注するということになりますと、身分は船員であるけれども、実際に船長の統率のもとに置けない外部の者が入ってきて、そこの職場だけの一室をもらって仕事をやる。これはやはり船内規律の上からいっても私は好ましくないことだと思うのです。船に乗って働く者は全部船長の統率のもとに、規律のいい、その職場を放棄しても旅客の誘導や人命救助に当たらせるような体制制をつくっておかないということは、私はここにも何か一つの不安な気持ちが出てくるのですが、その点についての御見解はいかがですか。
  124. 山田明吉

    山田説明員 御指摘のように、身分は属員という身分になりますが、御懸念のような、船長の指揮を離れて独自な行動をやるという心配はないと私は考えております。
  125. 山内広

    ○山内委員 そういうことは言われましても、自分は鉄道弘済会に使われて、そこに派遣されていって、その食堂を管理する、あるいはそこの調理場へ行って働く、そういう仕組みになっていて、理屈としてはいまおっしゃるとおり、船に行けば船長の統率のもとに属するということはわかっていますけれども、自分の月給は何も鉄道からもらっているのじゃない、船長がほんとうの直接の上長ではない、弘済会のく会長がおるでしょう、そういうような、同じ船の中の規律のたっとばるべきところに、分断したような機構をなぜ無理してつくるのか。片一方は減っても片一方でまた乗せるのですから、総体的には同じでしょう。必要な者はやはり船に乗るのだから、それを働きやすいように、万一の場合には号令のかけられるような機構にしておいたらいいじゃないですか。その点を私は無益なことをしておる、そういうふうに思うのですが……。
  126. 山田明吉

    山田説明員 属員につきましては、船員法の規定でも、はっきり船長の指揮を受けるという明文がございますので、また実際問題としても、船長の実際上の指揮に従って仕事をやりますし、御懸念のないような考慮を今後も払ってまいりたいと思います。
  127. 山内広

    ○山内委員 この問題は自信を持ってやると思いますけれども、実際に当たればそういうことでもないということだけは記憶にとどめておいていただきたいと思うのです。   そこで、今度の船は軽油をたくわけですが、そのために非常にガスの発生が多いとか、あるいは騒音がはなはだしいとか、試運転なされておると思うのですが、その結果はどういうふうに出ておりますか。労働環境がどういうふうになっておるのか、その辺の御調査がございましたら……。
  128. 山田明吉

    山田説明員 試運転の結果も、詳細のデータがまだ手元にございませんが、いろいろな設備といたしまして、たとえば運転中に汚損した潤滑油等につきましても、連続自動油清浄機というようなものを装置いたしますとか、油こし器も新しいものをつくりまして、自動的によごれやごみをタンクに落せるようになっておりますとか、あるいは機関室内にビルジがたまりますと、自動的にビルジポンプが起動いたしまして、排出が終わりますと停止するようになっておりますとか、労働環境が悪くなるというような懸念は、全然ございません。それからディーゼル機関の問題についての御指摘がございましたが、今回の新造船では、ディーゼル機関の運転監視業務を、機関室から隔離した総括制御室で行なうことといたしまして、しかも、その総括制御室の周囲は防熱、防音、遮蔽を行なっており、ドアも二重とびらといたしております。また室内は冷暖房を行なっておりますので、現在の船よりもはるかに快適、と申しては少し言い過ぎかと思いますが、御懸念のような点は、いままでのところ考えられない状でございます。
  129. 山内広

    ○山内委員 お話しのようであれば非常にけっこうでありますけれども、この種の機械は、非常に騒音が高い、そういうことでいろいろ問題も聞いておる機械なんですが、その点においては自信がありますか。
  130. 山田明吉

    山田説明員 私、しろうとでありますけれども、うちの専門家は確信を持っております。
  131. 山内広

    ○山内委員 時間もだいぶ回っておりますから、少し急いで申し上げますが、最後に、私、船内の規律の問題をちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。何といってもああいう海の上のことですから、事故などを考えた場合には、やはり規律というものが一番必要なのであって、船長の命令が、全部一貫して末端までいくような機構に日ごろなっていなければ、そのときだけやってもだめで、日ごろの労務管理というものは、そういう意味では非常に大事だと思うのです。しかし、最近だんだんと現場の長の権限が薄くなりまして、局長あるいは支社長とか総裁とかいう者のいろいろな業務命令と申しますか、そういうものに重点が移されておる。したがって、現場の長である船長の権限というものは薄れておる。このことが、最近の規律がくずれていく一つ原因だと思うのです。たとえば、一つの例でありますが、私もよくあの船に乗りますから、この間ちょっと現地に行った場合に聞かされ、あるいは見てもまいりましたが、船員の食堂とか通路とかにビラを張った。これはもちろん賃上げのビラ、あるいは首切りの問題に不安を感じて反対するビラであります。これを張ったからといって、業務命令だといって処分が出た。だれが張ったかわからなければ、それをはげという命令を出して、はがなければ、これが業務命令違反だといって、これもまた処分をする。何名でしたか、処分を出した。こうなりますと、少し狂気じみているように私は思うのです。これはお客さんの目に触れるとか、客室とかいったら許せないけれども、自分が日常おる部屋の中とか、めしを食べる食堂の中まで、それほど神経質になって、どんどん業務命令違反だといって処分をかける、こういう日ごろの勤務のあり方、それでは船長の権限が及ぶかというと、なかなかできない。船長みずからが菜っぱ服を着てそれをはがさなければならない、ここまで至っては、私は言語道断だと思う。労務管理というのは、いま一番大事な方法なんですが、どういう配慮をしておるか、その点を……。
  132. 山田明吉

    山田説明員 御指摘のような船内の規律ということは、実は船の安全な運行の上から絶対欠くべからざることであると考えております。したがいまして、船長の指揮あるいはルールにのっとった行動ということが、まず何よりも先に要求されるわけでございまして、起こってまいりました事象につきましては、それに対してしかるべき措置を現地でとっておる次第でございます。
  133. 山内広

    ○山内委員 抽象論で、何も答えになっておらぬのです。しかし、時間が切迫しておりますから、希望を申しますけれども、いまの国鉄ばかりでない、どこでも問題を起こしている職場に行って労務管理を見ると、全部権力でもって仕事をやらせようとしておる。このことから反発されてくる。そして激突、そしてそこに無益な争議を起こしておるのです。船というのは、船長から普通船員まで全部一緒になって、これはいわば一つの家庭ですよ。家庭の気分でもって仲よく仕事をし、笑って仕事のできるような職場環境をつくってやらなければ、いかに陸上から局長の命令だからといってどんどん業務命令ばかり流したって、下に徹底するものでもない。また、いまの民主主義の時代になって、長がついたからといって、それほど力があると思っていない。もう少し現場の長というものに権限を与え、そしてその人たちは自分の使う部下ですから、これをある程度懐柔も必要でしょう、いろいろな面でめんどうの見れるような態勢をつくってやることが必要だ。必要ならば、そういう人には予算もつけてやらなければならない。そういう点でなく、この命令だけでおやりになっては、私はうまくいかないと思います。そういう意味で、あなた方も東京にいて遠くばかりを見ないで、もっと現地に行ってほんとうの実情をお調べになって、無益な争いは起こさせないような御配慮をいただきたい。  まだ質問も残っておりますけれども、最後に私、これは大臣に希望を申し上げて終わりたいと思うのですが、青函航路は、御存じのとおり、あそこは世界で三大の難所といわれるくらい船員にとっては非常な危険地帯になっておるわけです。それで、今度の船は非常にスピード・アップされます。いま説明のあったような非常に近代化されたなかなか沈まない船だといっております。けれども、こういういい要素がある反面に、非常にスピード・アップされてきている。そして航行する海域はきまっている。それにもっていってスピードをかければ、何往復もやってくる、よその船は横切る、こういうことで、この新造船そのものが安泰であっても、よそから持ってきてぶつけられる危険が非常に多くなっておる。そうしますと、いかに船体をじょうぶにつくったといっても、スピードを出して大きな船がぶつけるのですから、やはりそれ以上の大きな事故というものが予想される。この事故対策というものにひとつぜひ全力をあげて、これのために所要人員が百人や二百人いたって、そんなものは一ぺんの事故を考えたら安いものです。お客さんを何千人も積んで歩く船ですもの、それくらいの大事をとって当然だと思う。そういうものを十分にお考えにならないと、洞爺丸の第二の事件がないということは、決していえないと思う。そういう点で私非常にこの点を心配しております。どうぞ三河島事件の三週間前にここに指摘されたような事態が起こらないように、これは特に希望し、そしてそのために大臣も、ひとつ人間の面で解決し、予算の面で解決のできるものなら、惜しまないでやっていただきたい。このことに対する大臣の見解だけを聞いて、質問を終わりたいと思います。
  134. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私は、たびたび申し上げますように、いかなる精巧な機械でも、結局は人間の力によることが必要なんです。人間の力を尊重する施策をたっとぶということは当然と考え、私ども微力ではございますが、その点に留意して運輸行政をやっておるつもりでございます。
  135. 徳安實藏

    徳安委員長 伊能君。
  136. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 他の同僚委員の質問が終わったようでありますから、私はさいぜん自治大臣にもお尋ねをし、希望を申し述べたと同じように、運輸大臣にもお尋ねをし、希望を申し上げたいことは、すでに御同席でお聞き及びのとおり、自治省設置法の一部改正法律案につきましては、われわれは三党共同提案で、当面の公営企業経営基盤の強化、赤字経営をしておるものに対しては、当面の赤字解消の緊急方策をすみやかに政府が確立すべきであるということを決議いたした次第でございますが、赤澤自治大臣答弁は、自分は被害者である、したがって、被害者であるが、この問題についてはできるだけのことをするというお話もございましたので、ひとつ運輸大臣におかれましても、公営企業のほうは、恒久的な対策樹立のほかに、当面の緊急対策としてすでに国会の他の常任委員会においては、小委員会をも設けて、公営企業に対する起債の承認、あるいは地方団体の一般会計からの援助その他の措置がいろいろと講ぜられようといたしておる状況でございますが、一般民営企業については、すでに先般の一月二十日の閣議決定においてドラスチックな無理な決定をされる際に、公共料金の一カ年ストップに際しては、金融的な措置とその他の面で企業の基盤強化にできるだけのことをするのだというような決定あるいは声明がなされておりますが、今日に至るまで三カ月の間、何らの措置政府としてはとられておらない。これは私まことに遺憾千万だと思うわけでございますので、民営企業に対しましても、公営企業と同様に、低利資金の融資であるとか、あるいは納税の一時延期であるとか、何らかの措置をとらない限り、御承知のようにすでに赤字を生じておる。しかも地方の中小企業については、危殆に瀕する以上の状況になっている、金融も全く梗塞してしまう、こういうような状態でありますから、どうぞ運輸大臣におかれましては、この実態を十分に洞察せられまして、適切な措置と、ことに特別な事態の生じておるものに対しては、特別な措置として本来の運賃料金等の値上げの問題についても、急速に関係当局と話をお進めにならんことを切に私お願いいたすわけでございます。  先般三月二十七日における私の質問に対しまして、宮津経済企画庁、長官は、事業が危殆に瀕するおそれありとは、倒産でもしなければというような暴言を吐きました。私は、これは池田内閣の権力政治ではないかということをはっきり申し上げたのでありますが、いずれ九日には経済企画庁長官が帰られると思いますので、経済企画庁設置法の際にこの問題は徹底的に私は論議を重ね、また質問をいたしたいと思いますので、どうぞ運輸大臣におかれては、本来の趣旨に沿った法律に基づいた行政措置をできるだけとっていただく御努力をお願いし、大臣の決意をお伺いしたい。
  137. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私もバスにつきましては、運輸省といたしましては、会社に対しまして賃金ストップによる経済上の損失と申しますか、被害の金額を至急に調査して出してもらいたいということを要望いたしまして、まだその提出を見ておらないのです。出次第に、ただいま申しましたような延税の措置をするとか、あるいは金融についても適当な処置をいたすつもりでございます。その他の危殆に瀕するという中小企業につきましては、あの当時、御承知のように例外規定として値上げをするということは経済閣僚懇談会できめるということになっておりますから、その実態の調査のため、自動車局といたしましては相当数があると思いますけれども、ここにまとめましてやるように、それもまだ調査の資料をいま整理中でございますから、これはすみやかにやるべきものであると考え、またやるように努力いたしたいと考えております。
  138. 永山忠則

    ○永山委員 関連いたしまして。公共料金並びにこれに準ずるものを一年間ストップするという政策は、法律違反の疑いもあります。池田経済政策の矛盾でございます。すなわち、中小企業、零細企業者の犠牲において物価安定をはかろうというきわめて誤ったる政策でありますから、この場合、運輸大臣公共料金、これに準ずるものを一年間ストップするというこの基本方針を再検討されて、正しい経済政策に戻されるよう、特に要望いたしておく次第でございます。
  139. 村山喜一

    村山(喜)委員 大臣にこの際一言申し上げておきますが、東京都の都市交通の場合は、御承知のように百三十億も赤字をかかえようとしておる。このようなところから、御案内のように路面電車の撤廃の問題、あるいはワンマン・カーの十二本系列の設定の問題、こういうような、非常に住民にとっては不便であり、しかも危険である、こういうようなところまで企業合理化をしなければならないというような形が打ち出されておる。これは、やはり先ほどからお話になっておりますように、第一の原因運賃ストップ、こういうような政策にあります。さらに、運輸省以外の、内閣が当然関与しなければならない路面渋滞解決の問題なり、いろいろな問題があげられておるわけであります。これらの問題を運輸大臣が中心になって積極的に解決をしていただかなければ、今日の地方公営企業の状態では、そういう運営の指導とかあるいは財政の指導とかということだけでは、この問題は解決をしないわけです。そういうような立場から、この問題についてはぜひ積極的に取り組んでいただきますよう、要望申し上げておきます。     —————————————
  140. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  141. 徳安實藏

    徳安委員長 本案に対し、山内広君外二名より三派共同提案にかかる修正案が提出されております。     —————————————    運輸省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案  運輸省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  附則を次のように改める。    附 則  この法律は、公布の日から施行する。ただし、第八十三条の表の改正規定は、昭和三十九年四月一日から適用する。
  142. 徳安實藏

    徳安委員長 この際、提出者より修正案の趣旨の説明を求めます。山内広君。
  143. 山内広

    ○山内委員 ただいま議題となっております運輸省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明いたします。  案文はお手元に配付いたしましたので、朗読は省略させていただきまして、要旨を申し上げますと、原案中、「昭和三十九年四月一日」となっております施行期日につきましては、すでに期日を経過しておりますので、これを「公布の日」に改め、定員に関する改正規定は、本年四月一日より適用することにいたしたいという趣旨でございます。  何とぞ、御賛成をお願いいたします。
  144. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  145. 徳安實藏

    徳安委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、山内広君外二名提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  146. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  147. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、修正部分を除いて原案のとおり可決いたしました。  これにて運輸省設置法の一部を改正する法律案は、修正議決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  149. 徳安實藏

    徳安委員長 次回の委員会は、来たる九日午前十時より理事会、十時半より委員会を開きます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十五分散会