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大出委員 さらに承りたいのでありますけれ
ども、当時なくなられた
方々が、外人二名の方を含み百六十人、二名差し引きまして百五十八人ということになります。そこで大体百人足らずの方の支払いを済ましたという
段階で、なお六十名近い
方々が残っている。中にはもちろん市大の学長さんの三枝さんなどのほか、まだいろいろいらっしゃるようでありますし、なお三十六名の方が遺族会をつくっておられまして、この三十六名の方は、会長である方に白紙委任のようなことになっておりまして、その方が国鉄のほうにいろいろ話をしている。ところが、問題はこの三十六名だけでなくて、そのほかの十七名の方も、これまた全く未解決のままになっているわけであります。ずいぶん早くから、東鉄あるいは国鉄公社に何回も遺族の
方々が出かけてきて話を続けてきているようでありますけれ
ども、私は、当初遺族会というぬものができるころにちょっと聞きましたが、この種のことはなるべく遺族の皆さんが悲しみに暮れているときでありますので、できるだけその
方々だけで国鉄のしかるべき
方々と話をして話をつけていくのがいいのじゃないかというふうに思って、側からいろいろ言われましたが、遺族の
方々のおやりになるままに、私
ども経過だけ
あとから聞いているのでありますけれ
ども、今日の
段階は、遺族の
方々の中には、カンカンにおこってしまって、提訴にまで及ぼうという準備をしている方も出てきている。こういう
事情でありますので、私もやむを得ず実はこの席で
大臣なり国鉄の
関係者の皆さんの御
答弁を賜わらなければならぬと
考えたわけであります。
そこで具体的な質問を申し上げたいのでありますが、国鉄の石田総裁にお目にかかりたいということを、遺族の
方々が東鉄交渉の結果、どうもあまりつれない返事なので、業を煮やして申し入れをしたわけです。そこで、国鉄総裁のほうからの御
答弁は、多少色よい返事といいますか、皆さんに合わせる顔がない、そこで人命を金で刻むのはまことに恥ずかしく思うが、ほかに方法がないので、まことに申しわけないが、遺族側において要求額を
計算をして提出していただきたい。私のほうから一方的に幾らという額を提示したのはたいへん申しわけないけれ
ども、急いだのでそういうことになったのだということで、さらに石田さんは、この問題について家族の
方々から裁判などに持ち出されるということは、国鉄としてまことに恥ずかしいことである。だから、そういうことにならないように円満な話をいたしたいということで、そのかわり、カンプロマイズということばを使っておりますが、つまり妥協ということでありますが、妥協してくれ、こういう話だったそうであります。いまここで私が読み上げておりますのは、遺族の
方々が出かけていってお目にかかったときに、総裁の言われたことをたどたどしく筆記したものでありますけれ
ども、たくさんの方が行かれたそうでありますから、私は行っておりませんが、間違いないと思います。総裁がそう言われたので、遺族の
方々は非常に感激をして、それまでずいぶんつらいことを言われてきたけれ
ども、総裁はやはり思いやりを持ってものを言ってくださっているというので、たいへん感謝して帰られた。そこでさっそく弁護士さんその他に相談して、要求を
計算して、提出をするために国鉄にお伺いをした。ところで、国鉄の法務課の方で小林さんという方のところへ行って、いろいろ資料を出して話をした。ところが、これまたいろいろ書いてありますけれ
ども、ずいぶんひどいことをここで言われておるのであります。この方の言うことによれば、国鉄はホフマン方式の複式
計算をしている。内示額はすべてその
計算によっているので、これ以上のものはどんなことがあっても出せないということを言われた。裁判所に行って判例をいろいろ調べてきた。それによると、生計費は、たとえば三万円なら三万円取っている人は、ほとんど三万円全部生計費に使っているんだ。ここでちょっとホフマン方式について説明しておきますと、収入と生計費との差をとるわけでありますから、三万円の人は、たとえば二万円で生計しておれば、その差は一万円になるわけであります。そういう
計算方式が裁判の判例にずっとあるのでありますけれ
ども、そういう差額はほとんどないのだというむちゃくちゃなことを言われて、しかし、それではまずいから、得べかりし利益というものはないんだけれ
ども、国鉄は世間から見れば、非常にいい額を出してあげているんですということで、もし裁判に皆さんが持ち出されるのであれば、最高裁まで行ってでも争いますからということで、悪くいえば、少しおどかされたという感じを受けた。この遺族の中に
横浜地方裁判所の判事をやっておられて、つい最近やめましたが、高橋さんという方がおられまして、自分でこの種の事故の判決を何べんも出してきた人でありますから、カンカンにおこってしまわれて、裁判所の
立場からすればということで、
計算方式その他についての説明を、年配の方でありますから、腹を立てたようでありますけれ
ども、小林さんという方に逆に説明をしてあげた。結果的には、小林さんという方がしどろもどろになって、しまいには、おわびのしるしにやっているので、そういうような基礎ではないというような話をされたようでありますけれ
ども、そういうことを経て、こういう方方では話にならぬというところから、実は
大臣にお目にかかって、ああいう場面が出てきたわけでありますが、その後
大臣なりあるいは黒金官房長官から国鉄にお話があったものというふうに
考えて、再度——二回目でありますけれ
ども、前に一ぺんしか会っておりませんので、国鉄総裁にもう一ぺんお目にかかりたいということを遺族の方方の代表者からお願いをしたそうでありますけれ
ども、さあさっぱり石田総裁が会っていただけぬという、こういうことで、非常にとほうにくれて相談を持ちかけられているのでありますけれ
ども、まずこの辺で、一体国鉄公社として監督をする
大臣という
立場からお
考えになって、とにかく石田総裁が遺族の代表の
方々に初めて会われて、たいへんどうも申しわけないといというころから始まって、裁判を起こされるようなことがあったら国鉄の恥だということから、だからそういうことで
話し合いをしましょうということを言われて、資料を出しましょうということも言われて、そのかわり妥協してくれとまで言われておるとすれば、再度会いたいということについて、法務課長さんあるいは課付の方に会ってくれなどというような非礼な話はないというふうに私は
考えるのですが、この
あたりに対するまずお
考えを承っておきたいと思います。