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1964-03-26 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十六日(木曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 内藤  隆君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       岩動 道行君    佐々木義武君       壽原 正一君    高瀬  傳君       塚田  徹君    綱島 正興君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    松澤 雄藏君       渡辺 栄一君    村山 喜一君       受田 新吉君    山下 榮二君  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         通商産業大臣  福田  一君         郵 政 大 臣 古池 信三君         国 務 大 臣 福田 篤泰君         国 務 大 臣 山村新治郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 林  修三君         内閣法制次長  高辻 正巳君         総理府事務官         (臨時行政調査         会事務局次長) 井原 敏之君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  石川 準吉君         防衛政務次官  井原 岸高君         防衛庁参事官  麻生  茂君         通商産業事務官         (大臣官房長) 川出 千速君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         工業技術院長  馬場 有政君         特許庁長官   佐橋  滋君  委員外出席者         臨時行政調査会         会長      佐藤喜一郎君         総理府事務官         (臨時行政調査         会事務局長)  山口  酉君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 三月二十五日  委員島村一郎君辞任につき、その補欠として壽  原正一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨時行政調査会設置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二八号)(参議院送付)  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四号)  郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四四号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  臨時行政調査会設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑申し出がありますので、これを許します。  なお、理事会で御協議いたしましたとおり、総理大臣の御在席は一時間ということに相なっておりますので、よろしく御協力をお願いいたします。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋委員 臨時行政調査会設置期間を半年延長したいという法案が出されておるわけでございますが、これに関連していろいろとお尋ねをしてみたいと思っております。  この調査会が何のためにつくられたかということは、いまさら私どもが申し上げるまでもないわけですけれども行政運営簡素化能率化、あるいは行政サービスの向上といったようなものを念頭に置いて、鋭意作業をしておられるものと考えるわけでございますけれども、この調査会設置にあたりまして、私どもが一番懸念いたしましたのは、歴代の内閣がこの問題には数多く取り組んでおる。戦後、行政改革を目的としてつくられた調査会なり審議会の数は、もう二十六にも達しておる。おそらく出された答申の数というものは、数え切れないほどあるのじゃないかと思うのですけれども、ほとんど実効があがっておらない。またもやこの調査会をつくって、非常にかけ声は勇ましいのだけれども、竜頭蛇尾になるおそれがあるのではないかということを指摘申し上げたのでございますけれども、現時点において考えてみた場合に、当初私どもが危惧いたしました点が、そのまま裏づけられておるのではないかという感じが非常にするわけです。もしそういうことになるとするならば、全く経費のむだ使いでもございますし、はたしてこれ以上調査会を継続させて作業を継続させる必要があるのかどうかという点で多くの疑問を持っておりますので、そういう立場からひとつお尋ねをしてみたいと思うわけです。  過去における行政改革がなぜ失敗をしたかということを考えてみた場合に、いろいろ理由があるわけでございますが、まず第一に、審議会なり調査会自体の問題というものが一つあろうかと思うのであります。それからもう一つは、少なくとも行政機構をいじろうとする場合には、官僚の激しい組織的な抵抗というものがあるわけですが、これを排除するに足るだけの熱意というものが内閣に最後までなかったということ、政治力というものがなかったということ、これが一つの原因になっておるのじゃないかと思うのです。あわせて国会のこれを側面的に援護する態勢というものが欠ける面もあったかと思います。それからいま一つは、国民組織的な支援態勢というものがとられなかったというところにも、問題があるのじゃないかと思うのです。そういう考えを持っておりますので、はたしていま申し上げたような欠陥というものが今度の場合克服されているかということを、まず第一にお尋ねしてみたいと思うのですけれども臨時行政調査会そのものがはたして公正妥当な運営をやってきたかということです。この点は、まず会長においでをいただいておりますので、会長お尋ねをしたいと思うわけでございますが、どうもいろいろと出ております批判の中からもうかがうことができるわけでありますけれども、完全な運営が行なわれているというふうには私どもに見えないわけであります。まず、発足当時から、時間がなかったのかどうか知りませんけれども、基本的な態度というものをきめないまま専門部会作業をおろしてしまったために、上と下との連絡もない、横の連絡もない。非常に戦線を広げ過ぎたといったような批判も出ておる。このまま半年間の間に、なるほどというようなりっぱな答申をおつくりになる自信がおありかどうか、この点からまずお尋ねをしてみたいと思うわけです。
  4. 佐藤喜一郎

    佐藤説明員 いま、過去の行政改革のいろいろの建議やら答申というものが行なわれなかった理由というようなことの御指摘がありましたけれども、私としては、政府熱意があるものと思い、また国会のほうにも御援助くださる熱意がおありになる、こう考えておるのであります。ただいままで比較的閑却されておった面として、この行政改革というものを世論の力であと押しをしてもらうという点について、いままでわりに審議会的な調査機関が行なわなかったのではないかと思いまして、われわれがこの調査会委員に任命されました以降、わりあいにこの点に注意して、またこのためにも、地方へ出向きまして懇談会を開く等のことをいたして、民意調査会のほうへ向けてその反応を聞くということに重点を置いてまいったのでございますが、いささかいままでとは違うかと考えております。なお、運営方法いかんにつきましては、御批判もあるかと思いますが、われわれとしては、できるだけの努力をいたして今日まできたわけであります。期間内にぜひともこれをおさめるか、あるいはこの期間におきまして、平たく言いますと、民意が非常にしっかりやれという——いろいろな投書その他を受けておりますので、できるだけ範囲は広げましたけれども、初めから専門委員の方々に、基礎的の観念を前提にして、こうしてくれ、ああしてくれという指令はいたしておらずに、とにかく専門委員専門委員なりにお考えになったことを自由にわれわれのほうへ報告をしてもらう方針でやってまいっております。
  5. 石橋政嗣

    石橋委員 自由に七人委員会のほうに報告してもらうということでございますが、その結果、七人委員会専門部会との間にギャップが生まれておるとか、あるいは七人委員会専門部会との上下の意思の疎通が欠けておるだけでなしに、部会同士の横の連絡がないという欠陥が如実に出ておるということを聞いておるのですが、そういうことはございませんか。
  6. 佐藤喜一郎

    佐藤説明員 部会報告の中には、委員会に持ち出されましてから、われわれが見まして意見調整を要するということは確かであります。したがって、予定以上に時間がかかるようになりましたことも、この調整に意外に時間がかかるということを発見した理由でございます。しかし、ただいま申し上げましたように、各専門委員の自由な討議を願って報告を願ったということは、われわれとしても、いろいろな考えがそこにあるということを知る上において必ずしも悪いことでなかったわけであります。
  7. 石橋政嗣

    石橋委員 いま一つお伺いしておきたいと思うのですが、調査会作業を進めていく場合に何といっても金がかかるわけですが、この予算額が、大体三十七年度に三千五十四万程度、三十八年度に五千四百六十万程度、来年度予算として八百四十五万七千円というものが組まれておるわけですが、この程度予算で十分な作業ができたかどうか。特に、予算不足のために人手が足らなくなった。最も中心になって作業を進める調査員というものが、臨調独自のものを持つことができずに、各省のいわゆるひもつき調査員出向の形で受け入れる。そのために欠陥が出ておるということも聞いておるわけですが、そういった予算不足、そこから出てくるところの人手不足というものが、臨調作業を進めていく場合に非常にマイナスになったということはございませんか。
  8. 佐藤喜一郎

    佐藤説明員 いまの予算数字でございますが、出向されておりました調査員その他は、本省にそれぞれ所属し、本省で月給をもらっておったようでございますので、実際はもっとかかっておったと見なければならぬかと存じます。それから予算不足はなかったかどうかということでございますが、これはもっとたくさんかけるなら、また別の機構になったかと存じます。七人の委員、二十一人の専門委員というようなことで、われわれは乏しい中でも、非常に不足だったというふうには考えておりません。
  9. 石橋政嗣

    石橋委員 私がいま重点を置いてお尋ねをしましたのは、その出向調査員のことなんです。これがいま会長のおっしゃったとおり、所属の官庁から給料をもらっておって、臨調にきて仕事をしておる。そのために、どうしても自分の本家本元役所の意向というのに左右されやすい。これが非常に臨調仕事をチェックする結果になっておるのではないか、あるいは情報探知機関になり下がっておったのではないか、そういうような批判を聞いておるのですが、そういう心配はございませんでしたかと言っておるのです。
  10. 佐藤喜一郎

    佐藤説明員 われわれは、出向されておった調査員が、そういういま御指摘のような心理状態であるということを前提にしてやっておるのであります。また、われわれがどういうことを考え、どういうことを議論しておるかということは、必ずしも秘密にしておりませんので、たいした苦労はその点ではしておらないのであります。それで、調査員の下調べというものがどうしてもそういうような考えに左右されるということは、十分承知の上でわれわれはそれを見ておったわけでございます。
  11. 石橋政嗣

    石橋委員 それでは時間がありませんから、第一の調査会自体運営の問題については、この程度にとどめておきたいと思います。まあ、会長としては十分とは言いがたいけれども、限られた予算の中で万全を期して作業を進めておるのだ、たいして心配するようなこともなかった、こうおっしゃるわけですけれども、そういう中で非常に御苦労なさって、いよいよ半年後には答申が出るわけです。しかし、いまの池田内閣姿勢からいくと、はたしてこの答申がもしりっぱなものができたとしても、これをこなすだけの受け入れ態勢というものがあるかどうか、この点で非常に大きな疑惑を感じております。なぜ私どもがそういう疑惑を感ずるのか、それを一つ一つ例をあげてお尋ねしてみたいと思うのですが、まず第一は、これだけ大がかりな作業臨時行政調査会でやっておるさなかに、どんどん機構を膨張させておるということ。臨調発足しましてから、各省においてどの程度部局がふえておるか、ざっと調べてみました。昭和三十七年度においては、一庁五局十部ふえております。三十八年度においては二局四部、それから目下本委員会に付託されております各省設置法の中で八局三部、こういうふうに、片一方で臨調が一生懸命に作業しておるにかかわらず、機構の膨張をどんどんやっておられる。これは一体どういうことなのか。はたしてほんとうに臨調答申の結果を尊重して行政改革を真剣にやろうとお考えになっておるのかどうか、この点の疑問を持つ。第一の理由はここにあるわけですが、行政管理庁長官、この点、不自然にお思いになりませんか、ちょっとお尋ねいたします。
  12. 山村新治郎

    山村国務大臣 臨調答申を尊重いたしますることは、政府といたしましては、諮問をいたしておりますたてまえからいいましても、当然のことであります。ただ、答申が出てまいります間におきましても、やはり行政運営上重要な施策、緊急な施策につきましては、その機構につきましてある程度までやはり考慮せざるを得ないのが現状でございます。しかし、原則といたしましては、なるべく部局をふやさないという方針を貫いて今日に至っておる次第でございますので、本年まで臨調ができましてからもある程度までの部局の改廃がございましたのも、やはりこの重点施策を行なおうというねらいからやむを得ないことであったのでございます。
  13. 石橋政嗣

    石橋委員 私、先ほど年度別にあげて申し上げましたが、これはいみじくも長官の力を示しておるような結果になっておりはしないかと思うのです。最初の三十七年度は一庁五局十部ふえておる。本年度は二局四部、わりかた少ないですけれども、あなたが大臣になられて提案された来年度は八局三部、何か皮肉な数字が出ておるような気がするわけです。山村長官は、臨調作業をしておるけれども、やむを得ないのもあるとおっしゃるが、やむを得ないといえばみんなやむを得ないのです、それだけの理由づけをして各役所は持ってくるわけですから。それを押えるか押えないかということが、長官の力になる。そうしてまた総理熱意、これにも関係があると思う。私は、こういうやり方は承服できません。しかももう半年後には、予定からいくと本年度末には答申が出ようという時期に、そういうことを抜きにして部局をどんどん新しくつくっていくというようなやり方は、熱意を疑われてもやむを得ないのではないか。それから過去の答申扱い方について、これは主として総理お尋ねしたいのですが、やはり疑問があるわけです。たとえば選挙制度審議会答申扱いについて、これが無視されたというので不満を持ってやめた委員もおられます。長谷部委員などはやめました。それからそのあとでは、農地買収者問題調査会答申について、実際何のため調査会をつくったかわからないような結果になっておるじゃありませんか。農地買収者問題調査会答申によりますと、農地改革についての意見は、全般的にはよかったとするものが多いという結論が出ております。それから旧地主暮らし向きについての自己評価についても、大体いまの生活に満足しておるものが多いと見られるという結論が出ております。したがって、農地買収者問題調査会答申の底を流れておるものは、新たに何らかの措置を旧地主に対してする必要はないという結論が当然出てきておる。にもかかわらず、全然こういう作業とは関係なしに、三千億にもなんなんとするいわゆる報償金などという名前にすりかえて見ていこうというような態度池田内閣は示しておる。おかしいとお思いになりませんか。こういう実績が、やはり臨調答申でもまたあらわれるんじゃなかろうか、こういう疑惑を導き出しても、私は不自然ではないと思うのですが、総理は、この農地買収者問題調査会答申と、いま御検討を進めておられます報償金の支給の法案との関連をどうとらえておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 農地買収者に対しまする調査会答申は、先年受けまして、一応補償の問題は片づいておると思います。しかし、その後、農地買収者生活状況あるいは希望、またいろんな世間のこれに対する考え方等調査を必要といたしますので、目下実情世論調査を今月末までに完了しようとしておるのでございます。調査の完了を待ちまして、被買収者に対する補償でなしに、報償という考え方でどういう措置をとるかは、調査の結果、新たな問題として考えていこう、私はこういう立場でおるのであります。
  15. 石橋政嗣

    石橋委員 すでに特別融資として国民金融公庫から二十億というのが、法案としても出されているわけです。そのほかに、聞き伝えるところによると、三千億に達しない程度の金額で、いま総理がおっしゃったような報償措置を講じようというわけですが、補償と言おうと報償と言おうと、旧地主に対して農地改革関連して何らかのものを出そうとしていることには、変わりありませんよ。農地買収者問題調査会がそういうことをする必要があるというふうに認めたと判断されておるのかどうかということなんです。そうではなくて、調査会が何と言おうと、内閣独自の立場検討して、出すものは出す、こういうお考えですかという、調査会答申との関連について私はお尋ねをしているわけです。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど申し上げたとおり、調査会答申につきましては、一応それで補償はしないということに結論を出しておるのであります。その後の情勢から、新たな観点からいま調査をいたしておるのであります。
  17. 石橋政嗣

    石橋委員 だから、調査会補償すべきじゃないと言ったから補償はせぬが、報償ということで、内閣独自の立場でやる、こういうことなんですか。ことばをすりかえただけですか。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 調査会報告がございました後の事態に即応して、いかなる措置をとるべきかをいま調査しておるのであります。
  19. 石橋政嗣

    石橋委員 それでは、まだ報償金を出すというような結論は出していないということなんですか。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 被買収者に対しましては、調査の結果何らかの措置をとる必要があるやに思われますので、調査しておるのであります。
  21. 石橋政嗣

    石橋委員 もうそこではっきり私が指摘している点が出ているわけですよ。農地買収者問題調査会というものをぎょうぎょうしくつくって、そして作業をさせた。その調査会が、補償措置は講ずる必要はない、旧地主生活水準も相当高い、こう言ったら、それじゃ補償はしません、別個に報償という措置を講じたいと思います。全く三百代言じゃありませんか。そういう無責任なことで、一般国民は納得できるはずはありませんよ。そういう姿勢が、おそらく今度の臨時行政調査会にも私はあらわれてくるのじゃないかと思う。どういう点か、そのほかからもいろいろ指摘ができるわけですが、中でも、内閣態度についてはあとでまた触れることにしまして、もう一つ臨調答申がまたもやたな上げされるおそれがあると判断しております。第三の理由としてあげたいのは、国家行政組織法の一部改正をやる。そうして定員を一律に規制するとか、あるいは各省の部以下の組織は政令にゆだねるとかいうことを考えておると聞いておるのですが、この点はいかがなものですか。もしそういうことがありとすれば、朝令暮改もはなはだしいと思うのですよ。行政機関職員定員法が廃止されたのは、ついこの間です。それをまたもや実質的に復活するような形を意図している。しかも臨調作業をしておるまっ最中にそういうことを計画しておる、こういうふうに聞いておるのですが、こういう点、行管長官として、いかがですか。
  22. 山村新治郎

    山村国務大臣 御指摘国家行政組織法につきましては、これをぜひとも改正せよという声も非常に強いのでございます。しかし、政府といたしましては、いろいろの関係がございますので、目下検討中でございます。
  23. 石橋政嗣

    石橋委員 検討中でございますと言うけれども、それじゃ、臨調作業が終わるまでは、かってに内閣行管としても、そういう改正の意図を固めて、法案をつくって国会に出すというようなことは、やらないということですか。それとも、臨調とは関係なしにどんどんやるというのですか。
  24. 山村新治郎

    山村国務大臣 先般局部の設置の問題につきましても、臨調のほうにもお話を申し上げまして、臨調の御答申が出る前におきましても、重要施策上いろいろ実行しなければならない問題がある。この問題については、あるいは臨調に一々御相談を申し上げないでやる場合もあるかもしれぬから、ひとつその点はあらかじめ御了承を願いたいということを申し上げてあります。すなわち、政府といたしましては、答申が出ますまでの間、またかりに答申が出ましても、これが実現するまでには相当の日時を要する問題もございますので、どうしてもやらなくちゃならない問題につきましては、検討していくことは当然であろうと考えまして、いま国家行政組織法の問題につきましては、慎重に検討中でございます。
  25. 石橋政嗣

    石橋委員 慎重に検討中かどうか知りませんけれども、本質的には臨調で扱うべき問題と思う。これとは関係なしに進めていこうという考え方には、私ども承服できません。  しかし、そのこともですが、もっと端的に臨調無視態度がいま示されているのは、防衛庁昇格の問題だと思う。一体防衛庁を省に昇格させるという重大な問題を臨調関係なしに推し進めるということは、はたして許されますか。この点について、総理はどういうふうに割り切っておられるのか、ひとつ最初に御見解をお聞きしておきたいと思う。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 防衛庁の省への昇格の問題につきましては、わが党におきまして、昨年総務会で決定され、内閣にすみやかにこの措置をとるべしという申し出が出ておるのであります。したがいまして、政府としては、この問題につきまして、ただいま検討を加えております。この問題につきましては、政府検討が済みまして、いろいろ御審議を願うという段階に至るまでにおいて、私は、臨時行政調査会意見も聞きたいという気持ちでおるのであります。何分まだ成案ができておりませんので、できるだけ早く案をつくるべくいま努力中でございます。
  27. 石橋政嗣

    石橋委員 これが、最も代表的な臨調無視の事例だと私は思うのです。ここに朝日新聞の社説を持ってきておりますが、この中でもはっきり書かれております。「政府や、池田首相は、調査会発足当時の熱意をすでに失ったとみられても止むを得まい。同時に臨時行政調査会の使命が、国政全般にわたって合理的改革を企図しているのに、答申寸前になって、防衛庁の省昇格案などを別途に打出している点なども納得出来ないやり方である。」、こういうふうにきめつけておりますよ。良識のある者が考えたら、だれだってこういう気持ちになると思う。あと半年を急がなくちゃならないような理由が、一体どこにありますか。先ほどの国家行政組織法の問題にしても、今度の防衛庁の省昇格の問題にしても、臨調結論がいつになるかわからないというならともかく、あと半年待てば、りっぱな作業をしていい案をつくってお見せしますと会長は言っているんですよ。その半年が待てない緊急性が、一体どこにありますか。これで一体池田内閣行政改革についての熱意があるなどと言えるかどうか。これは提案のときに川島国務大臣が言っておられますが、池田総理大臣の異常な熱意が披瀝されたので、私はこれに取り組むことになったのだ、こういうことを言っておりますけれども熱意の片鱗だに私どもは看取することはできません。全く圧力団体に弱い、党内の一部強硬分子の突き上げに弱い、国民的な立場に立って行政改革に取り組もうなんという熱意が、どこに見えます。そういう一部の勢力の突き上げに屈している姿が、いまの池田内閣じゃありませんか。農地買収者の問題にしても、防衛庁の省昇格の問題にしてもそうです。あなた方は、調査会をつくった以上、その結論が出るのを待って、そうして検討を加えるべきじゃないですか。そういう態度が見えない。総理自身にないものですから、閣議などというものも、全然だらしのない姿を見せております。あの太田試案が出されましたときの閣議において、まっこうから調査会の改革意見批判している閣僚が出てきている。また、一月十八日の閣議で、施政方針演説の中にこの行政改革の問題を入れるかどうかという議論がなされておるのですが、その際にも、河野建設大臣、賀屋法務大臣、田中大蔵大臣福田通産大臣、口をそろえて臨調作業なんというのは現実離れしてしる、こうしうきめつけ方をしている。あなたは、川島大臣がこの臨時行政調査会をつくろうとするときに、内閣全体が行政機構の改革には非常な熱意を持っている、閣内の取りまとめは私が責任を持ってやりますとおっしゃたそうですか、あなたのその言明がどこにあらわれておりますか。全然そういう熱意は見えないじゃありませんか。いまの池田内閣に、過去の幾つかの内閣が取り組んでほとんど実効をあげなかった行政改革案について、これが実効をあげ得るだけの力を持っているというふうにも、どうも見えないのでございますけれども、一体どういう受け入れ態勢をおつくりになるつもりですか。いまの次官クラスでつくっているような行政改革本部みたいなものをつくってごまかしてしまうというようなことで、はたして消化できるとお考えになっておるのですか。ほんとうに総理がこれだけぎょうぎょうしく打ち出して、一億からの予算も使って臨調作業してもらったからには、実効をあげなければ、国民に相済まぬ、私が本部長になってやります、そういうかまえをお持ちなんですか。その答申が出たときに、これを完全に消化するために、どういう受け入れ態勢をつくろうというお考えを持っておられるのか、この熱意の問題とからめてひとつお答えを願いたい。
  28. 池田勇人

    池田国務大臣 法案制定のときに申し上げたとおり、いまの行政機構につきましては、お話のとおり、多年にわたっていろいろ論議のあるところであります。したがいまして、私は、新しい立場から民間の方々の努力によりまして、成案ができれば、それに対しまして全力をあげて取り組んでいく考えでおります。だから、それは答申が出てからの内閣態度を見て御批判を願いたいと思います。
  29. 石橋政嗣

    石橋委員 答申が出てからの態度を見てといったって、先ほどから私幾多の事例をあげているのですよ。会長が一生懸命仕事をしているのに、防衛庁昇格させます、国家行政組織法改正はやります、各省から出されてくる局の新設や昇格はどんどん認めます、閣議の中で臨調作業なんというのは現実離れしている、あんなのは相手にできぬという発言がどんどん出てきます。第一次の答申が出たら、次官クラスの行政改革本部をつくってお茶を濁してしまえ、そういう実績を全部無視して、答申が出たときを見てください。何ということですか。これはあなたがほんとうにおやりになるというならば、それじゃ私はいま一つの事例をあげました。自分が責任を持って行政改革本部長を引き受けるくらいのかまえでやります、こういう決意はお持ちですか。
  30. 池田勇人

    池田国務大臣 総理大臣が引き受けるから熱意がある、他の適当な人を本部長にしたから熱意がない、こういうものではないと思います。答申に対しましてどういう態度をとるかということは、答申によりまして、そのときに政府がきめるのであります。その熱意のあるないは、どういう答申に基づいて案をつくるかというところに問題があると思います。
  31. 石橋政嗣

    石橋委員 ここで佐藤会長お尋ねしますけれども、私幾つかのいま事例をあげました。臨時行政調査会で、会長以下一生懸命に取り組んでおる。ところが、そういうものとは関係なしに、各省の中に局はどんどんふえていく、部はどんどんふえていく、国家行政組織法改正考えている、防衛庁の省昇格も推進していく、いろんな動きが出てきているわけです。しかも、閣議の中で、現実離れがしているなんという批判も堂々となされている。そういういまの池田内閣の動きというものに対して、どのようにお感じになっておられますか。この聞いただきましたおたくのほうで出しております「臨時行政調査会の現況」という中に、「内閣が一体として国政全般に対し強い指導力を発揮するには、まず内閣自体の政治的安定性、内閣および各府省における政策の一貫性の確保が肝要であるが、現実には与党内の事情等により、このことに欠けるうらみがある。」、こういうふうにも書いてありますが、これはそのままだろうと思うのですけれども、どういうふうにお感じになっておられるか。ひとつその点、会長の責任ある見方をお聞きしたいと思います。
  32. 佐藤喜一郎

    佐藤説明員 われわれ委員の中で、行政の基本的の問題について、運営なり機構なりについていま検討している際でありますが、その間、政府は日常の行政の必要に迫られて何か機構の上で改正をなさるとか、こういう問題を、臨時行政調査会としてそれは自分たちの答申が出るまでストップしてくれという権利は、持っておると考えておりません。政府は、日常の政務に必要があると認めるならば、政府の責任においてこれをなさる。われわれは、われわれとしてじっくり腰を落ちつけて根本問題に取り組んでおる、こういうのが委員の間の話し合いの筋でございます。
  33. 石橋政嗣

    石橋委員 そういう臨調なら、もうひとつやめていただきましょう。あなた方は、一億以上の金を使い、しかも調査員の費用まで合わせれば何億になるかわからぬとおっしゃるばく大な血税を使って作業をしておられる。防衛庁をどうするかという問題についても、いろいろと作業しておられるじゃありませんか。あなたたちは、いまの段階で、中間報告ですが、どういう結論を出しておりますか。防衛庁をそのまま昇格するなどということを妥当とお考えになっておりますか。そうじゃないはずです。一体こういう性格の官庁を独任制にするのはおかしい、合議体が適当だから、第一次行政機関としては国防会議を当てるべきだ、こういうような作業もやっておるのじゃないですか。何のためにやっておるのですか。調査会を命ぜられたから、時間過ごしにやっておられるのですか。そういうこととは関係なしに政府防衛庁の省昇格をやろうとおかまいなし、われわれはわれわれで生きようと死のうと作業さえすればそれで済む、まああれはこういうこともあるという程度の参考意見です、その程度のこれは機構改革案ですか。まことに不見識なお答えをいただいたようでございますので、御訂正かたがたひとつお話を願いたいと思います。
  34. 佐藤喜一郎

    佐藤説明員 ただいまのお話でありますが、行政政府が責任を持っておやりになっている場合に、いかにその行政機構そのものの調査を依頼されたからと申しましても、われわれが見て、われわれの結論関係ありと思うことでありましても、政府のほうにそれは中止してもらいたいということを言える権限を私は持っておりませんし、またその責任を持つ考えはございません。
  35. 石橋政嗣

    石橋委員 臨時行政調査会設置法の第二条第二項は、頭の中にたたき込まれていると思いますが、意見を述べることはできませんですか。意見を述べることはできないとおっしゃいましたが、できませんか。もう一度お尋ねします。
  36. 佐藤喜一郎

    佐藤説明員 行政機構あるいは運営についてわれわれは意見を述べる権限を持っておるのでありますが、委員会の中で、政府にそういう献言をするとか意見を述べることは適当でないと考えた結果なんです。
  37. 石橋政嗣

    石橋委員 権限はないとさっきあなたはおっしゃったが、ある。ただ、やらぬ。それじゃ、先ほど言ったように、こういう膨大な作業は、一体何のためにおやりになっているのですかと、お尋ねしているのです。少なくともいまの防衛庁機構について仕事をしておられるのですよ。政府がやっております作業とは全然違う考え方の上に立ってやっておられるのですよ。先ほど簡単に申し上げましたが、このあなたのほうでお出しになった「現況」の中で書いてある文をそのまま読みましょうか。「もし現状を改革するとすれば、むしろ国防会議を第一次行政機関となし、防衛庁をその管理下におき、同庁長官を国務大臣とすることが考えられよう。国防会議を第一次行政機関とするのは、防衛の基本や自衛隊の行動の基本が独任制の行政機関の権限とされることが適当とはいい難いからである。」 自信を持ってお出しになっておる。この裏づけになるために相当の作業がなされております。これとは全然違った考え方で、いま防衛庁昇格問題が政府の側で進められている。それについて、おれは知らぬ、意見を述べぬ、やるなら適当におやりなさい、それとは別個に私のほうは作業をします、こういう態度ですかとお聞きしておるのです。もしそういう態度でしたら、私たちは、重大な決意をいたします。そんな意味のないむだ使いをさらに続けることは、国民の手前許すことはできませんから、この臨時行政調査会の延長というものは、わが党の立場としては認められないということを警告をいたしておきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  38. 佐藤喜一郎

    佐藤説明員 だだいまお読みになった文言は、第一専門部会答申と申しますか、部会答申として委員会報告されておる中に出ておることかと存じます。この問題につきましては、先ほども申しましたように、いろいろ調整を要する問題を一括しまして、いま委員会でこれからやるところで、まだ結論はいままで出ておらぬわけでございます。
  39. 石橋政嗣

    石橋委員 そういう部会作業をしておることとかけ離れて、全然別個の形で七人委員会結論を出すということは、あり得るのですか。その点を冒頭聞いたのですよ。何の指針も与えず、基本的な方針も与えずに、ばらばらに専門部会に付託をして、適当に作業をしなさい。適当に作業をしてきた。それを七人委員会にあがったときに、おれは知らぬ、そんなことはお前にまかせたつもりはない、そんなことは言えるのですか。まことにこれは情けない委員会だということが、だんだんわかってきたような気がします。一体こういう調査会があるだろうか。あったからこそ、全然内閣になめられているのですよ。調査会が何しようと、それはお飾りだ、ときどき行政機構の改革とか行政サービスの向上とかいうようなお題目は唱えておかなければ国民に相済まぬから、ぎょうぎょうしく打ち出して臨時行政調査会をつくって、お飾りの文章をつくらしておる。こちらは、そんなことはおかまいなしにどんどん作業をさせておる、こういう態度に出られても、一言半句もない。あなた方がどんなりっぱなことをおっしゃっても、そういうことでは実効を期しがたいと、はっきり申し上げておきたいと思います。そういうふうなことでは、もうこれ以上この問題についてお尋ねをしましても無意義かと思うのです。したがって、先ほど申し上げましたように、党といたしましては、中央執行委員会の段階までこれをあげまして、はたしてこんな無意味な臨調を残す必要があるかどうかを、態度をきめてきたいと思います。  せっかく総理に来ていただいておりますので、ほかの問題について若干お尋ねをしておきたいと思うのですが、当面の最大の問題になっております日韓会談に関連して、国防的な側面からちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。  現在、李ライン、これが非常に不法不当なものであることは、もう言うまでもありません。この点については、もう意見は一致しておると思うのです。これを解消させるために努力しているのだ、こういうお話でございますが、きのう、おととい、韓国の国内において、たいへんな日韓会談反対の運動が進められておることは、御承知だと思います。池田さんの人形までつくられて焼かれたそうでありますが、それほど猛烈な反対運動がされていることは御承知だと思いますけれども、その反対運動の中心をなしておるのが、この李ライン撤廃の反対だということ、向こうでは平和ラインとか称しておるそうですか、これは非常に難事だということは御承知だと思うのですが、これは漁業問題の話し合いがつきさえすれば、李ラインというようなものは自然になくなるのだといったような安易な気持でいいものかどうか。この点、本会議におきまして松本議員も質問をされたのですが、あなたは一蹴しておられました。けれども、一蹴できる問題ではないと思うのです。彼らは、漁業問題とはまた別個に、国防上の必要ありとして国防ラインというようなものを設定しようという意思があるというようにも聞いております。もし国防上の必要あり、スパイ防止、そういった名目で再び一方的な規制ラインが設けられ、不法な行為が行なわれないという保障は、一体あるのか。昨日の農林水産委員会で、もしそういうふうな事態が出てきたら、それこそ条約の破棄もあり得るということを赤城農林大臣がおっしゃったそうですか、総理もそういうふうにお考えになっているのか、その決意のほどをまずお伺いしておきたい。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 本会議でお答えしたように、国防ラインということを言われているようでございますが、その内容はわれわれは聞いておりません。私は、李ラインが不当であるごとく、公海におきまして一定の区画を設けて排他的の措置をとるということは、国際法上認められないことだ、私はこう答えているのでございます。この考え方に変わりはございません。
  41. 石橋政嗣

    石橋委員 それじゃ、そういった不法な李ラインの問題からいろいろな紛争が発生したわけですが、この不法な李ライン内で日本の漁船が完全に操業できるようにするために、自衛隊が李ラインの付近で示威的な訓練や演習を行なうことは、認められていると総理はお考えになっておりますか。私は、憲法第九条の精神からいって、そういう行為は認められないのではないかと思うのですが、その点いかがすか。
  42. 池田勇人

    池田国務大臣 私は、自衛隊の海上部隊が演習をするということは、憲法上認められていると思います。ただ、それによりまして他国を威嚇するというふうなことは、憲法上許されません。
  43. 石橋政嗣

    石橋委員 演習の名目で威嚇をした例は、歴史的に何ぼでもありますよ。李ラインの周辺に行って、少なくとも漁船が安全に操業ができるようにという前提に立って、李ラインすれすれのところで示威的な行為をすることは、かりにそれが演習という名前であろうと、この憲法で禁止されている武力による威嚇に当たらないとお考えになりますか。演習という名目さえはっきりつけておけばいいという解釈ですか。
  44. 池田勇人

    池田国務大臣 それは、われわれは憲法を守る。憲法の精神によってやっております。実態的に、威嚇するという気持ちで全然やっておりませんし、また、それが他国から威嚇ととられていないと私は確信しております。
  45. 石橋政嗣

    石橋委員 それじゃ、これからももしこういう不法な李ラインが残る、あるいは、その新たなものが、国防ラインと言おうと何と言おうと、そういうものが残るといったような事態になった場合には、海上自衛隊、航空自衛隊に演習という名目で李ラインの付近をうろうろさして、そうして安全操業をはかるというようなことは可能だ、そういうふうにお考えですか。一部国民の中には、ばく大な金をかけてつくった自衛隊は何しているのだ、やれというようなことを盛んにおっしゃる。それにこたえる意味で明確なお答えを願いたい。
  46. 池田勇人

    池田国務大臣 われわれは、そういうことを想像したくないから、早く日韓正常化をしようとしているのであります。
  47. 石橋政嗣

    石橋委員 そう言ったって、まだ現実にラインはありますし、先ほど申し上げたように、それにかわった名前のものが残される、あるいは出てくる、そういう可能性はあるのです。そういう場合に、一部の国民の中から、ひとつ自衛隊乗り出せというような要望が出てきたときに、あの付近に自衛隊を出動させて、いわゆる安全操業確保の手段を講ずる。その名目は演習、そういうようなことで憲法上やれるかどうかと聞いているのですよ。
  48. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど答えたとおりに、演習は当然われわれはやっていい。しかし、それは威嚇のためにやるのではない。私は石橋さんに申し上げますが、いろいろなことを想像なすって、そして外交上あまりよくないようなことは、やはりある程度御遠慮願いたい。ことに、いま聞いておりますと、佐藤さんに対して、そんなことならやめてしまいなさいというふうなことは、私は少し行き過ぎじゃないかと思います。非常にお忙しいところでありながら、われわれは法律を設けて、そして任命してせっかく御努力願っておるときに、自分らの意思に反するからもうおやめなさいというふうなことは——今後御努力願いますということならいいけれども、やめろというふうなことは、やっぱりおっしゃっていただかないほうがいい。私は隣におりまして、ほんとうに池田としてはらわたを断つ気持ちがします。どうぞ、佐藤さんの御努力に対して感謝すると同時に、御意見は十分おっしゃっていただきたい。頭から、おまえやめろというふうなことは、ちょっと私は隣におりまして、非常に申しわけないような気がしております。  それから、いまの李ラインの問題も、いろいろの意見はございましょう。しかし、われわれは、そういうふうなことのないように日韓正常化をして、そしてお互いに資源の永続的保護と両国民の繁栄ということを考えていっておるのであります。われわれが日韓正常化に熱意を持っていることは、いまお話のような点があるから、それをやめよう、なくしようというところに真意があるのであります。
  49. 石橋政嗣

    石橋委員 責任のすりかえはやめていただきたいと思う。私が佐藤さんにそんな臨時行政調査会はだめだと言うのは、権威を高めたいからこそ言っているのですよ。臨時行政調査会が一生懸命に仕事をしているのに、そういうことは関係なしに、あなたが、総理が、どんどんかってにやっているのじゃないですか。あなたが踏みにじっているのですよ、臨時行政調査会の権威を。口では適当なことを言っておりながら、実際はそういう臨時行政調査会作業の進展とは何のおかまいもなしに、関係なしに、かってなことをやっているのは、あなたじゃないですか。私たちのほうに責任転嫁はおやめ願いたいと思います。  それから、いまの問題ですが、現実に過去においてやったことがあるのですよ。外交上問題になるから控えてもらいたいというけれども、海上自衛隊の自衛艦隊司令という人が、憲法調査会のいわゆる参考人に呼ばれたときに、そういうことを言っているのですよ。過去においてやっているからこそ、私は聞いているのです。これは憲法で認められた行為ですか、と聞いている。これは、そのときの一問一答を読んでみましょうか。憲法調査会の大石委員が、「しかし、日本の漁船団があそこら辺に出ているときは、やっぱり海上自衛隊としてはいつどんなことがあるかわからないから、絶えず近くにおって見張っているということもあるのでしょうね。ないものでしょうか。」 こういう質問に対して、かつての海上自衛隊の自衛艦隊司令である吉田英三さんが、「私の艦隊司令のときにはやったことがありますがね。ラインに相当近接して全艦隊が訓練行動したのでありますが幸いに漁船の事故も皆無でした。」 大石委員「そういうときにやっぱり韓国側の警備隊が何か襲撃したり、あるいはだ捕したりするときに、海上自衛隊としてはそこでただみているだけなんですか。」吉田前自衛艦隊司令「私のやったのは一週間位でございますが、其の間事故は絶無だった。その時でも正当防衛の手段をとることはできたでありましょうけれども。」 憲法調査会で述べているのですよ。私が言っているんじゃないんですよ。責任ある海上自衛隊の自衛艦隊司令が、自分がやったと言っている。私は、それに疑問を持っているから聞いているのです。はっきりここで本人も言っている。漁船の安全操業を見張るために、海上自衛艦隊が演習という名目でラインに接近してやったというようなことが、はっきり述べられているのです。私が一週間やったと言っているのです。これが憲法で許された行為ですか、こうお尋ねしていることが、なぜ国際問題ですか。責任者が自分でやったと言っていることを、私が国会お尋ねしているだけです。一体こういうことが許されるのかということを聞いているんですよ。許されるのならば、これから国民があの式で一ちょうやれ、こう言ってくる可能性が出てくるから聞いているのです。どうですか。
  50. 池田勇人

    池田国務大臣 自衛隊が演習をやることは当然でございます。そうしてその演習の結果どうこうということは、われわれの関係することではございません。われわれは、威嚇でやっておるのではない、憲法の範囲内でやっておるのであります。
  51. 石橋政嗣

    石橋委員 そうしますと、ここに吉田前司令が言っておるように、ラインに相当近接して全艦隊が訓練行動をするというのは、憲法上も許された行為である、必要とあればこれからもやってもかまわぬという総理大臣のお答えですね。
  52. 池田勇人

    池田国務大臣 公海上におきまして日本の自衛隊が訓練演習をすることは、憲法上認められておるものと考えております。
  53. 石橋政嗣

    石橋委員 それは不法な李ラインの内側であろうとかまわぬ——これは当然公海だから、不法のラインだから、認めてないのだから、李ラインの内側でも、演習をやるのはかまわぬというわけですか。
  54. 池田勇人

    池田国務大臣 法律上、どこでやろうと、公海の場合ならよろしゅうございます。ただ、政治的にどうするかという問題が残りますので、そういう政治的に別の考慮をしなければならぬということは、隣接した両国間において非常に不幸な事態、そういうようなことのないように正常化しようというのが、私たちの願いであります。
  55. 石橋政嗣

    石橋委員 それではこれは法制局長官でもけっこうですが、自衛艦隊司令が正当防衛の手段をとることができたと言っておりますが、純然たる演習の場合に、そういう手段が講ぜられますか。
  56. 林修三

    ○林政府委員 これは石橋委員御承知と思いますが、自衛隊法の第八十二条に、海上における警備行動の規定がございます。海上自衛隊は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のための必要がある場合には一定の行動ができるということになっております。これは総理大臣の承認を得てやることであります。第一次的には、御承知のように、海上におけるわが国の船舶の安全の保護は、海上保安庁がやっております。海上保安庁がやるのがたてまえであります。しかし、海上保安庁でできないような場合に、海上自衛隊が出るということはあり得るわけであります。それはここに掲げてある要件のもとにおいてでございますけれども、海上における人命の安全保護ということは、必要があればできるということであります。正当防衛云々というのはよくわかりませんけれども、その場合に、たとえば李ラインの外で漁船が襲撃されたというような場合に、その漁船を保護する必要があるというような場合にどういう行動をとるか、これは海上保安庁もいまある程度やっておることであります。そういうことと同じようなことをさしているのではないかと思いますが……。
  57. 石橋政嗣

    石橋委員 これは重要な問題ですよ。ちょっと聞いてください。海上保安庁が第一次的な責任を持っている。それで海上保安庁がそういう措置を講ずることができることは、私は知っております。しかし、実際に李ラインに演習の名目で出動して、自衛艦隊司令が正当防衛の手段を講ずることができると憲法調査会で言っているんですよ。できませんよ。単なる演習ではできるはずがないじゃないですか。重大な問題ですよ。いまあなたも読まれたように、自衛隊法の八十二条によって、内閣総理大臣の承認を得て、そうして漁船の保護なり財産の保護なりに当たるという場合ならばいざ知らず、演習で出ていっておって、そうして向こうの、韓国の不法行為があったからといって、正当防衛の手段がどうして講ぜられますか。そういうことをチェックしておかなければたいへんなことになるというので、こういう規制があるのでしょう。そうしますと、この吉田自衛艦隊司令が正当防衛権を発動するこもできるといって信じておって一週間も演習したのですが、そういうことならば、あの当時の演習は、財産保護の目的を持っており、総理大臣の承認も得た上で出ていったということになるわけですね。そうじゃないですか。
  58. 林修三

    ○林政府委員 その吉田司令が言われた趣旨は、私もよくわかりません。わかりませんが、おそらく普通の訓練の場合に、この八十二条の承認を得てやっていることはないと思います。したがいまして、その吉田司令が言ったという正当防衛云々、これは一問一答のそのときの状況を詳しく知らないとわかりませんけれども、かりに訓練中に自衛隊の船自身が襲撃された、これは正当防衛と自救権の問題、そういう問題があることは、石橋委員も肯定されることと思います。つまり、自分自身がやられた、かりにそういうことがあれば、それは正当防衛の問題が起こります。しかし、漁船がやられた場合には、そのときには海上自衛隊は、任務が与えられていないわけでありますから、その場合には総理大臣の承認を得るという手続が必要だと思います。
  59. 石橋政嗣

    石橋委員 そのとおりですよ。自分がやった張本人の責任者が憲法調査会で言っているという重大さを、まず考えてください。この人は、大石委員が、そういうときに、やはり韓国側の警備隊か何かが襲撃したり、あるいは拿捕したりするときに、海上自衛隊としてはそこでただ見ているだけなんですかという質問なんですよ。いいですか。韓国の警備隊が日本の漁船を襲撃したり拿捕したりするときに、自衛隊はただ見ているだけですかという質問に対して、自分は一週間くらい演習をしたが、その間は幸い無事だった。威力がきいた、こう言うのですよ。そのときでも、正当防衛の手段をとることはできたでありましょうけれども……と、こう言っている。重大な錯誤があるということでは済みません。少なくともその艦隊の全責任を負った司令が、自分には正当防衛権を発動する権利があるのだと錯誤して行っておったとしたら、たいへんなことになるじゃありませんか。もしほんとうに正当防衛権があったというならば、総理大臣の承認をとっていったということになるじゃありませんか。外交上そんな重要なことを総理大臣防衛庁長官が承認するはずはないというならば、演習をやった自衛艦隊司令が、法律的な根拠をわきまえない、そして、あやうくたいへんな紛争を招きかねないような状態が現にあったということなんですよ。
  60. 林修三

    ○林政府委員 これは、簡単な問答だけで直ちに断定を下すのは、私は少し早いと思います。これは、おそらく司令も自衛隊法を知らないわけではないと思います。したがいまして、訓練の命令だけ受けて出たものが、直ちにこの八十二条の行動をとるということを言われたのじゃないと思います。つまり、八十二条の行動をとる場合には、当然長官の命令を受け、あるいは内閣総理大臣の承認を受けということを前提として言っていることだと私は思います。そういうふうに解釈していいことじゃないかと思うわけであります。  それから、正当防衛云々、これは結局は自分のことでありまして、漁船の保護ということは、結局この八十二条の条文でやることだ。したがって、もしもそういう必要がたまたま訓練中に起こったということになれば、それはそのときに防衛庁長官なり総理大臣の指示を仰いでやる、そういう前提を含めて言われていることだ、私はそう思います。
  61. 石橋政嗣

    石橋委員 それでは防衛庁長官にお伺いします。この吉田自衛艦隊司令が、自分が艦隊司令の当時に一週間ばかり李ラインに接近して、そうして日本の漁船の安全操業をはかる意味において演習をやったということを憲法調査会で証言しておられるのですよ。しかも、正当防衛の権利があるというふうに考えて、その立場に立って説明をしておられる。今後非常に重要な問題ですよ。もし正当防衛権があるとするならば、長官内閣総理大臣の承認をとって、そうして財産権の保護という目的を一つ与えた演習でなければ、正当防衛権はない。正当防衛権があったと言っているから、おそらく長官総理大臣の承認をとっておったということにならなければならぬ。海上自衛隊の自衛艦隊司令ともあろうものが、自衛隊法を知らなかったというのでは、とんでもないことになります。だからお尋ねしますが、あなたは総理大臣の承認をとって、そうして、正当防衛権も付与して、漁船の保護の目的のもとにこの演習をお許しになったとお認めになっておられますかどうか。当時のことですから、あなたの時代ではないから、調べなければわからぬというならばそれでよいですけれども、しばらく待って調べてもらいます。
  62. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御引例になりました吉田司令の問題でありますが、御承知のとおり、自衛隊法が成立しましたのが昭和二十九年、十年前であります。同時に航空自衛隊と海上自衛隊ができたわけでありますが、海上自衛隊の創立当時の司令でありまして、すでに七、八年前に退職いたしております。したがって、この吉田元司令が個人の資格で述べた、あるいは答弁したものにつきましては、私ども軽々にお答えすることは不適当と考える。おそらく法律的な知識も少なかったかもしれません。すでに数年前にやめた司令でありまして、その答え方その他について、用語の不適当な点もあったではないか。よく確かめないと答弁できません。ただ、この問題は国際的にも微妙でありまして、この際、防衛庁としての基本的な態度をさらに明らかにしておきたいと思います。  先般、本院の外務委員会で同じような趣旨の質疑がございました。これに対しまして、私ども考えを明らかにしたわけでありますが、漁業問題については、韓国側はコーストガード、内務部所管の警備隊を使っております。したがって、日本でもこれに見合うような海上保安庁の警備隊が適当である、われわれは、直ちに自衛艦を出動さしてこれを防止するような考えは全然持たない、こういうことを言っておりますが、この際さらに明確にしておきたいと思います。
  63. 石橋政嗣

    石橋委員 それでは終わりまして後日に譲りますが、非常に重要な問題です。やめた人であろうと、少なくとも自衛艦隊の司令というものが、しかも憲法調査会という責任ある場所で述べていることなんです。一歩間違えばたいへんな国際紛争を招く原因になることは、いま総理も認めておられます。それだけに、この問題はさらに究明いたしたいと思いますから、いま防衛庁長官がおっしゃったように、ひとつ当時の事情をきちっと調べていただきたいと思います。そういう権限を付与したのかどうか、内閣総理大臣の承認もとって財産保護という名目を持った上で演習をやったのかどうか、そういうこともきちっと調べて、早急にお答え願うということで、きようの質問を終わります。
  64. 徳安實藏

    徳安委員長 受田新吉君。
  65. 受田新吉

    ○受田委員 総理が次の御予定があることを承っておりますので、二つの問題点にしぼって短時間に総理にお答えを願います。総理お一人だけでけっこうです。  この臨時行政調査会審議期間を延長する法案関連して、私は非常に重大な問題がひそんでいることを指摘します。それは石橋委員の質問にも見られたとおりでございまするが、国防省設置などという、これから出される問題でなくて、現にすでに国家公務員法の改正案なるものが出されて、臨時行政調査会が当然その職権の中にあって、すでに専門部会——第一部会においては、行政の総合行政に関するところで、人事院の機構を十分論じております。また、第三部会におきましても、公務員問題として非常に真剣に検討しておる。それを国家公務員法の改正案としてすでに国会へ出されて、一番大事なこの臨時行政調査会のお仕事の大きな柱をもぎ取るようないき方が適切かどうかという問題を、私は総理にお聞きしたいのです。お答え願います。
  66. 池田勇人

    池田国務大臣 ILO八十七号条約批准と関連いたしまして、改正の必要があるから、御審議願っておるのであります。
  67. 受田新吉

    ○受田委員 そのことは、八十七号条約批准というものは、当然国際的信用を確保する上で、今国会で批准をしなければならぬ。半年後に答申が出ようというこの大事な人事行政に関して、この分だけを抜き出して人事院の骨抜き、人事局設置というようなかってな法案をお出しになることは、臨時行政調査会の無視である、答申を尊重せよという法律無視であるということを、総理はお考えになっておるかどうか、この点もお答え願います。
  68. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど来申し上げておりますごとく、緊急必要な問題、しかもILOと関連しておる問題だから、御審議願っておるのであります。臨時行政調査会仕事は、たくさんございます。しかし、そのうちで必要な部分を国会に提出して、皆さん方の御審議を願うことは、政府としての責務だと考えております。
  69. 受田新吉

    ○受田委員 これは重大な問題が、総理が出てしまったから……。  それじゃ次の問題で、佐藤さん、あなたはいまこの大事な問題を骨抜きにされて、総理法案をお出しになっておられるのですよ、現に。これで国家公務員法の改正案が出ているにかかわらず、あなたのほうでは同時に審査を続けていくわけですか。この人事行政に関する面……。
  70. 佐藤喜一郎

    佐藤説明員 いま委員が手分けをしてやっておりまして、公務員の問題については別の委員がやっておるのでありますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、いろいろな行政の必要から一々の措置をされる政府のことを、われわれのほうに関連があるからといって、やめてくださいと申し上げるつもりはございません。公務員に関する合理化であるとか能率化だとかいう問題については、やはり研究をして意見を出そうとしておると存じます。
  71. 受田新吉

    ○受田委員 佐藤さん、あなたのお仕事の大事な柱をもぎ取られて、あなたの調査会は依然として平然とこの人事行政に関する面を御審査になるということは、非常に私はさびしいことだと思うのです。結局あなたに対する内閣総理大臣の敬意というものは、完全に失われておるわけなんだ。これは山村長官、あなたとされてもはなはだ不愉快な問題であるとお考えでありませんか、あなたの大事な御所管事項の中にある答申も出ないうちから、一番大事な、答申でいまりっぱなものをつくろうと用意されておるその大事な問題を、一方でかってに、法案でお出しになっておるということは。
  72. 山村新治郎

    山村国務大臣 この人事局の問題につきましては、決して臨調の大事な柱をもぎ取ったという問題ではございません。人事局の問題は、臨調設置以前から問題になっておりまして、したがって、これは別個の問題でございます。特に結論といたしまして申し上げますが、政府といたしましては、先ほど申し上げましたように、緊急なもの、重要なものにつきましては、一応この機構の改廃をいたしますけれども、やはり臨調答申が出た暁におきましては、あくまでも臨調答申を尊重する所存でございます。
  73. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、この中間報告を拝見しまして、第一専門部会行政の総合調整に対するお尋ねをしたいのでございまするが、内閣の権限、総理大臣の権限というようなものも御検討になっておられるようです。これは第一問題としてお取り上げになっておられるようでございますが、この総理大臣の地位というものは、国務大臣の任免権、行政各部の指揮監督権などというふうに、まさにワンマン的な地位が与えられておる。そういう内閣法によってもきわめて明瞭な特定の権力、独裁のような地位が与えられておるわけです。この総理大臣の権限についても、御研究を掘り下げてやられるということになれば、当然内閣法の改正という問題にも触れてくると思います。そのことも御検討されておるかどうか。
  74. 佐藤喜一郎

    佐藤説明員 いまの御指摘のような問題は、むろん調査の対象になって議論はしておるのであります。どこまで答申として、あるいは意見として盛り込むかは、委員の間で意見調整をやっておるところで、まだお答えできる段階にきておらぬのであります。
  75. 受田新吉

    ○受田委員 総理に対しても適当なこの機会に制約を加えるとか、ワンマンを押えるとかいうことも、あなたの答申に織り込んでもいいわけなんですからね。これは自由なんであります。  そこでひとつ林法制局長官内閣法を改正する問題が一つひそんでいると私は思う。この間次長にお尋ねした問題ですが、総理大臣に事故あるときあるいは欠けたときは、あらかじめ指定する国務大臣がその職務を臨時に代行するという規定ですね。この総理大臣に事故あるときというのは、たとえばこの間のライシャワーさんがああした不幸な事態をお招きになったのでございますが、総理の場合に、もっと深刻にやられて、大けがをして動けなくなって執務ができないというような場合が、事故あることの中に入るか入らぬか。それから総理がそのためについに殺されたとか、あるいは交通事故で死なれたとか、こういう総理大臣がなくなられたという場合は、欠けた中に入るのかどうか。
  76. 林修三

    ○林政府委員 法律的に申せば、事故というのは、総理大臣総理大臣の職務を行ない得ないような状態になった場合、欠けたという状態ではなくて、そういう状態にある場合のことを言うと思います。欠けたというのは、総理大臣たる人がいなくなったという状態をさすものと思います。
  77. 受田新吉

    ○受田委員 そうなると、総理がなくなられた場合は、欠けたときということですね。欠けたときに「その予め指定する国務大臣」ということになりますと、欠けたときにあらかじめ指定しておかなければならないのじゃないですか。
  78. 林修三

    ○林政府委員 これはこの前、私どもの次長が実はお答えしたことだと思います。内閣法のたてまえからいえば、これは事故ある場合、欠ける場合を予想して、あらかじめその代理たるべき者を指定しておくということが一応のたてまえになっております。しかし、それともう一つの問題は、そういう者の指定がなかった場合に、不慮の事故が起こったという場合にどうするかという問題で、実は別問題でございます。いま受田先生の御質問は、あとのことで、その場合どうするのかということであろうと思います。どうするのかという場合に、何もできないというのはこれはやはりおかしいので、あらゆる問題について、法律問題すべてそうでございますが、お手上げということはおかしい。お手上げにはならないように解釈をしていかなければならない。したがって、そういう場合に、かりにそういう事態が起こった、急に総理大臣がいなくなった、しかもあらかじめ指定する人がいなかったという場合には、それはやはり他の閣僚において閣議を開いて、そこできめていく。早急に国会を召集して後任者をきめる、こういう手続を経るべきだ、こう思います。
  79. 受田新吉

    ○受田委員 私が聞いておるのは、「予め指定する」というのは、任意規定かどうかです。任意規定ですか。
  80. 林修三

    ○林政府委員 その任意規定か強行規定かという意味でありますが、これはやはり私は一種のいわゆる訓示規定で、内閣総理大臣はそうするたてまえであるということが書いてある。それに違反したら、罰則もございませんし、別にほかの不利益処分も何もない。そういう意味で、強行規定という種類のものじゃないと思います。つまりそういうふうな訓示規定だと思うわけです。そういうふうにするのがたてまえであるということを書いてある。総理大臣としてそういう心がまえでいなさいよということでございます。それに違反した場合に、何か事故が起こった場合にどうするか、これはまた別の法律問題として解決する、かように考えます。
  81. 受田新吉

    ○受田委員 これはあなたのほうとして十分考えなければいけない問題だ。「予め指定する」ということは、これはもう強行規定じゃない。しかし、そのおしまいを見ると、「職務を行う。」と書いてあるわけですから、性格的にはもうちゃんとした強行性を持った、置くことが当然であるという規定であると、われわれはいままで了承しておったわけです。もしそうでなくて、置いても置かなくてもいいような規定であるならば、当然内閣法は改正をしなければならぬ。総理が不幸な事態でこの世を去られたという場合に、あと総理がいないというようなことは、これは非常に大事な問題だと思うのです。だから、内閣法の改正をして、こういう規定が強行規定でない、置いても置かなくてもいいのだという身がってな解釈ができる規定とあなた方はいま御答弁されている以上は、欠けたときにおいて直ちに総理大臣の職務臨時代行のできる人物に事務の引き継ぎがされるような形の体制にしておかなければいかぬと思うのです。これは非常に大事なことだ。責任体制が明らかになりません。はっきりしたものを用意しなければいかぬ。内閣法を改正する必要はないですか。
  82. 林修三

    ○林政府委員 それはいま受田先生のおっしゃるようなことであれば、たとえば法律で直接書いてしまう。そういうようなことが書ければ、それは書く方法はあろうかと思いますが、しかし、それは内閣総理大臣の意思を無視して臨時代理者をきめるということは、これはやはりおかしいと思います。したがって、書くとすればやはりいまの内閣法九条のような書き方しかないと私は思います。これは妙な法律論をいたすようでございますけれども、かりにどうしても置け、置かなくてはいけないと書いても、置かなかった場合には、問題は起こるわけであります。いわゆる置かなければならないと書いても、置かなかった場合ということはあり得るわけでございます。法律でそう書いても、そうでない状態というのは必ずあり得るわけです。そういう場合の解釈はどうするかということは、どうしても起こるわけです。これは一つの法律でどう書いても、問題は残るわけでありまして、そういう場合の解釈は、やはりわれわれは考えておかなければいかぬ、かように考えております。
  83. 受田新吉

    ○受田委員 これは国政の最高責任者が、行政機関の最高責任者が、法律を無視してかってな行動をとるような行き方そのものが、また政治論としても問題があるわけです。法律論、政治論、両方問題があるわけです。しかしながら、法律としてはっきりしたものを打ち立てておくことが、非常に大事なことなんです。これは臨時行政調査会長さん、あなたのほうとしては、置いても置かなくてももうしょうがないのだという、のらりくらりするような行政府があるわけなんで、この点におきましても、はっきりした責任の所在、特権、ワンマン的な存在の総理の職務代行者というものが終始置かれて、ケネディがなくなったあとにジョンソンがすぐその職務を行なえるような、こういう規律のある行政機構に、きちっと人事と機構が一致するようにしておかなければならぬと思うのです。この点も、あなたのほうから答申の中へ十分織り込ましていただきたい。きょう総理がおられれば、この点はっきり申し上げておきたいし、総理の腹を聞きたい点があったわけでございますが、いまのこの法規は、置いても置かなくてもいいという解釈を当局はしておる、このように理解してよろしゅうございますね。
  84. 林修三

    ○林政府委員 別に置いても置かなくてもいいということじゃございません。これは前に私どもの次長もお答えいたしましたとおりに、やはりそういう場合に備えての規定でございまして、置くのがたてまえであるということは、これは間違いございません。しかし、置かなかったから罰則があるとか、あるいは直ちに違法状態になる、そういう問題ではない、そういうことを言っておるわけでありまして、そういう趣旨のものだと考えます。
  85. 受田新吉

    ○受田委員 置いても置かなくてもいいということじゃない、置くのがたてまえだ、しかし、それを置かなくても罰することができない、こういうことで、結局政治論として、法律無視の総理である。いまの場合は、たてまえの規定を尊重しない総理であるということは言えるわけですね。
  86. 林修三

    ○林政府委員 別にいま直ちにそれが違法であるという問題にならないということは、前からも申し上げております。しかし、こういう規定があるのでございますから、大体この規定は置くのをたてまえとしているということは、これは言わなくちゃならないと思います。しかし、それはいろいろ総理のお考えがありまして、それはいま置くのが適当でないとお考えになる場合に、それを一がいに法律無視ということにはならないと思います。それはこういう性質の規定でございますから、政治的判断によってそういうこともあり得るということは、やはり許容されておると言わざるを得ないと思います。
  87. 受田新吉

    ○受田委員 それでよくわかりました。総理は、法律に忠実でない総理であるということは、はっきり言えるわけですね。いまのあなたのたてまえを実行しない総理である、それだけははっきり言えますね。法律を忠実に実行しない総理であるということが言えるかどうか、答弁してください。
  88. 林修三

    ○林政府委員 いや忠実にという意味でございますが、要するに第九条は、そういう事故があった場合に備えてあらかじめということを言っております。したがいまして、それはあらかじめでありますから、組閣の初めに置かなければならぬというものではないわけでございます。つまり結局必要がある場合にあらかじめ置けばいいというのがこの規定の趣旨でございまして、現在置いてないから忠実に執行してないということには、直ちにはなりません。そういう必要がある場合にあらかじめ置かれれば、それで済むことでございます。しかし受田先生のおっしゃるように、何が起こるかわからぬじゃないかということまで考えておいたほうがいいのかもわかりません。しかし、そういうことはいまのところないから、自分としては自分の考えでやりたいとおっしゃるのを、いきなり法律無視と言うのは、言い過ぎだと思います。
  89. 受田新吉

    ○受田委員 総理大臣に事故があるとき、それから欠けたとき、二つあるんですよ、二つのうちの一つの欠けたというのは、非常に大きな事態です。本人がなくなる場合ですからね。この二つの一つ、欠けたときにも、置いても置かなくてもいいんだというようないまの御答弁では、これは納得できない。欠けるという場合が、二分の一あるわけです。二分の一の場合に、あらかじめ指定しないということになれば、これは法律を忠実に執行している総理ではない、こういうことが言えるわけでありますね。忠実でないということが言えるかどうか。ほかのことは答えなくてもいい。
  90. 林修三

    ○林政府委員 忠実ということの意味になるわけでありますが、結局事故にしても、欠けたときでも、実は問題は同じでございまして、欠けるほうも予想できないじゃないかということをおっしゃいますが、これは予想できない場合もあり得るけれども、予想できる場合もあるのであります。非常な病気の場合なんか予想できます。そういうわけでありまして、必ずしもあらかじめの指定がいまなくても、できないわけのものじゃないわけであります。そういうわけで、いまない状態をとらえて、直ちにこの法律に忠実でない——法律のたてまえからいえば、なるべく早く指定しておいたほうがいいのであろうと思いますけれども、いまの状態をもって直ちに法律の執行として忠実でないというふうにおっしゃるのは、少し言い過ぎではないかと思います。そういうたてまえになっておる。いろいろなわけでそこに政治的な判断を加えて、いま置くのは適当でない、そういう判断をされた場合に、それが法律のたてまえに反する、違法である、あるいは忠実でないというふうに言うのは、少し言い過ぎで、原則としては置くのがたてまえである、そういうことだと思います。
  91. 受田新吉

    ○受田委員 それはおかしい。法律に書いてある文句を執行しないことは、それは忠実ではないじゃないですか。順法の最高責任者が、はっきりその法律に書いてある大事な事柄を実行してないということになれば、忠実ではないんじゃないですか。それを弁護するというのは、これこそ法治国家として恥ずべき法制局長官です。
  92. 林修三

    ○林政府委員 しかし、これはこのことに限りませんが、いろいろな法律で、たとえばある事項は政令できめる、省令できめるということが書いてありましても、そういう事態がいま必要でない場合に、委任命令がつくられてない例は幾らでもございます。それは法律はその委任命令をつくれ、こう言っておりましても、そういう事態が起こらない場合には、必ずしもつくらなくても、それは法律違反とは言えません。あるいは法律の執行として忠実でないということは言えません。そういう事態は、幾らもあるわけであります。過去における何年かの経験において、そういうあらかじめの指定がなくても支障がなかった、そういう事態にかんがみて、いま直ちに置くことは、政治的判断として置くのはまずいという判断がなされているものを、忠実でないと言うのは、少し私は言い過ぎだと思います。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 それをあなたが、いま許可、認可、政令委任といった文句と同じようにとられるのは、間違いなんです。一国の総理でワンマン的存在だから、その人が欠けた場合には、その職務代行者がおられなければいけない。そのほかの許可、認可と性質が違いますよ。長官一人で物事を考えては困りますよ。これはあなたと議論してもしようがない。これはよしますが、そういうだらしのない法制局長官がおられたのでは、これは池田内閣ももはやだめだね。  もう一つ行政責任の問題を一言お尋ねしたいのです。行政上の責任が一体どこに所在するか。ライシャワーさんの不幸な事態に対して、早川さんが国家公安委員長として責任をとられました。これは一体行政責任、政治責任、いろいろ立場があろうと思いますが、いかなる形の責任をおとりになったのか。責任をとるとするならば、この人以外に責任をとるべき者がおるのではないか。この点についても、臨時行政調査会に、行政機関の長たる者の責任という問題ともあわせて私お伺いしたい点でありますので、お答え願います。
  94. 林修三

    ○林政府委員 行政責任ということば自身も、比較的不明確なことばでございますが、結局は、たとえば自己の故意、過失によってある事態を引き起こしたというような場合に、その責任を問うということを行政責任といえば、たとえばライシャワー事件のようなことは、大体警察当局の警備という問題がここに出てくるわけでございます。しかし、これが不可抗力であれば、いわゆる責任はない、あるいは防止し得ない事態であれば責任はないというような問題になってまいります。その行政責任のとり方も、いわば第一線の現実にそこに出務しておりました者に故意、過失がございました場合には、もちろんその者の責任になります。あるいはまた、それを監督する者が監督を怠っていたとすれば、その監督者の責任になります。まあ行政責任というものは、そういうものだろうと思います。結局、国務大臣の責任というものは、大体において政治責任だと思うのです。つまり、直接に一々の事務について指揮監督していることは、これは実際にないわけです。包括的な統括権を持っており、包括的な監督権を持っておるわけでございますから、厳密な意味での行政責任というものは、なかなかめったに発生するものではない。結局、政治責任として解決するということが、普通の事態だと思います。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 外国の公館の中は、もちろん治外法権的な立場に立っておる。しかし、その外は日本国の行政権の及ぶところでありますから、その内部にそういう事態を引き起こすような状態をつくらないように、終始警備その他の行政上の責任があるわけでございます。その分が十分果たされていなくて、行政権の及ばない大使館の内部で事故を起こさせたわけなんです。その限界をはっきりさせてもらいたいと思うのです。
  96. 林修三

    ○林政府委員 いわゆる日本にある在外の大公使館については、御承知のように、いま国会で御審議を願っておりますウィーン条約にも、当該接受国が特別の責任を負うということが書いてございます。これは従来の国際慣例でも、そうだと思います。ただ、その場合の責任でございますが、それをだれが政治的に責任を——政府が負うのは当然でございますが、具体的にそういう警備の責任をだれが負うかということになると、行政的な責任をだれが負うかということになれば、これは国内法体制に持っていって考えなければならない。結局いまは、いわゆるそういう警備的な事務、いわゆる行政警察の仕事は、第一次的にはこれは都道府県警察の仕事でございます。都道府県警察は、御承知のように、都道府県の公安委員会が都道府県警察本部を管理している。その警察本部か、結局そういうものを含めて、東京都であれば東京都警察——警視庁というものが、東京都の道路なりあるいはその他の警備をやり、在外公館の保護をやるというのが、いまの国内法のたてまえでございます。  それから責任はどこにあるかといえば、警察にあると言わざるを得ません。しかし、それは具体的な問題にあたって、いまの警察体制ではとうてい防止し得ない事故であるとすれば、つまり過失も故意もないとすれば、その具体的な行政責任はそこには起こらない、そういうことになるわけです。第一次的の警護責任を持っている者に過失責任がないのに、上の方で監督している者に責任がある場合は、普通はないわけであります。行政的な過失責任はですね。とすれば、結局は、ただその問題で、具体的にそこにいた巡査に過失がなくても、警視庁の警備配置が悪かったという意味の過失があるとすれば、第一線ではなくて、もう少し上に責任がある場合もありますけれども、これは国家公安委員会が判定することだと思います。そういうような警備上の責任はなかったと言っているわけであります。とすれば、警備上の行政責任はなかったと言わなければなりません。それにもかかわらずそうい事故が起こったとすれば、接受国の責任としては、政治的責任ということになります。政治的責任というのはどこで負うかといえば、政治的責任の地位にある担当の人が負うということになると思います。      ————◇—————
  97. 徳安實藏

    徳安委員長 通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  98. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 今度の通商産業省設置法の一部を改正する法律案の内容は、六つに分けられております。そこで私は一つ一つお聞きをいたしたいと思いますが、時間がはんぱになりますので、特許庁の定員の増員関係をお聞きをいたしたいと思います。  この提案説明の内容だけではあまりわかりませんので、この定員増の理由をもう少し詳細に御答弁の中で説明をお伺いいたしたいと思います。
  99. 福田一

    福田(一)国務大臣 御案内のように、最近の日本の産業が次第に世界的な規模に発展していかなければならない段階において、特許の申請とかこれに伴う件数というものは、非常に最近はふえてまいりまして、そうして毎年毎年その件数が、一方において処理をいたしますが、一方においてはまた申請がふえる、この関係が、毎年申請のほうが増加するような状況下にあるわけでございまして、こういう段階においては、何としてもこの相当の人員をふやし、さらにまた事務の機械化をはかる、こういうようなことが必要である、かように考えておりますので、そこでこういうような法案をお願いをいたしているわけでありますが、特許庁長官から、その具体的な内容については説明をいたさせたいと思います。
  100. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 お答えをいたします。  ただいま大臣が御説明をせられましたように、特許の出願は、大体九—十一年をベースにいたしまして、平年度でございますが、大体九万件ぐらいの出願がございましたのが、三十七年の後半から非常に特許の出願が増加をいたしまして、三十七年度は二十一万件、三十八年度は二十六万二千件、九—十一年をベースにいたしますと、約三倍に激増いたしておるわけでございます。特許庁といたしましては、審査の処理にいろいろと手を尽してまいって、逐次処理能力は増加をいたしておりますが、現在特許の処理能力は大体十六万件から二十万件ぐらいの間でございまして、いまの出願増と処理の間に非常なギャップがございまして、三十八年十二月末で四十六万件の滞貨をかかえておるわけであります。これは技術革新あるいは自由化、いろいろな問題で特許の出願がふえてまいっておりますけれども、こういうふうにいま処理のために三年ないしは四年もかかるということでは、これは工業所有権制度自体の問題にもかかわりますので、できるだけ出願とのギャップを少なくしようというので、事務の機械化あるいは審査、審判官の人員増というようなことをはかりまして、今回その関係のいわゆる審査、審判官の定員増、それから機械化に伴う人員増、あるいは資料分類、資料整備のための人員増というものをお認め願いまして、設置法の改正でその定員改正要求をいたしておるわけでございます。
  101. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 お聞きをいたしますると、非常に出願数が増加しておりまして、ちょっと聞いてびっくりいたしましたのですが、四十六万件も滞貨をしておる、これは何とかしなくてはならぬということは当然でございまするが、一方には機械化を考えられ、一方には人間の増を提案されております。そこで私は、この機械化はどの程度のものが入れられて、これを入れることによって滞貨数というものがどう消化していけるかという見通しをお伺いをいたしたいと思います。
  102. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 特許の出願が非常にふえて滞貨が増しておりますのは、必ずしも日本ばかりの現象ではありませんで、世界の各国とも同じような現象で悩んでおるわけでございます。と申しますのは、特許の出願の内容というものが、技術革新を反映いたしまして、きわめて高度複雑になってまいりまして、審査に要する時間というのが、年々増加する傾向にございます。しかも、その特許権を設定するための要因といたしまして、いわゆる新規性を判断をいたすわけでございまして、その新規性を判断するために渉猟をしなければなりません文献というのが、世界的に非常にふえてまいっておりますので、各国とも、出願の増加するにかかわらず、審査能力は若干ずつ低下をするというところに大きな問題があるわけでございます。そこで、今度、どうしても審査、審判は最終的には人間が判断いたさなければなりませんので、審査、審判官の定員をふやすということのほかに、現在機械化を考えておるわけでございますが、出願が非常にふえました関係上、出願に伴います全く機械的な事務にも限界がまいりまして、今後出願増に伴って、全く機械的な事務をするための人間の増加をはからなければならないわけでございますが、それを電子計算機で置きかえ得るものをできるだけ機械に置きかえまして、今後定員の増加をできるだけその部分については押えてまいりたいということで、今度電子計算機を導入することにいたしたわけでございますが、これによりまして、われわれのほうは三十九年から五カ年計画を立てまして、四十三年には大体特許の審査は二年以内、それからいわゆる商標の関係は一年以内、意匠はさらにそれよりも短い期間に処理をしよう、こういう計画で進んでおります。そのためには、もちろん電子計算機の拡充のほかに、審査、審判官の増員が年間約百二、三十名は要る、こういうふうに考えておりますが、それを実行に移しまして、五カ年計画でまあまあというところまで審査の所要時間を短縮いたしたい、こう考えておるわけでございます。
  103. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 お聞きをすると聞くほど、いままで放任されておったことに対する責任を追及したくなるわけですが、四十六万件というものがいま滞貨をしておる。それに年々出願数が加わっていく。結局五年先でなければこの四十六万件の滞貨数を消化することができない。こういうことなんですね。
  104. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 御承知のように、審査、審判官を急激に入れましても、これが一人前のいわゆる審査能力を発揮するまでには若干の時間がかかりますのと、ただいま申しましたように、年々、現在は二〇%くらいの増加率でございますので、どうしてもここ一、二年で四十六万件を急速に処理するということは不可能でございまして、五年計画でただいま申しましたように処理をいたしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  105. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで大臣にもお聞きをしたいのですが、いま説明を聞いておりますと、四十六万件の滞貨数がある。結局これを消化するには二、三年ではむずかしくて、五年先、こういうことになるので、おそらく四年何カ月ということになろうと思います。したがって、いま出願しておる人たちが四年、五年先でなければそれの結論を出してもらえないということになると、実際的に非常に困ると思うのです。それで、このことは、いまの東京都内の交通関係が飽和状態にきておると同様に、特許庁の事務処理も飽和状態にきておるわけなんです。したがって、ここで機械化をした場合には、これは事務的な処理の面は能率的に上がります。上がりますけれども、今日提案されておる定員増の数にいたしましても、審査官というものを相当に増員しなければ、やはり消化はし切れないわけなんです。機械化によってその他の事務は消化されていっても、それを審査する人たちが増員されなければ、結局機械のほうにかけられないということになりますから、そういうようなことを考え合わせてみまして、五カ年計画をここで貫徹するといたしましても、現在の特許庁のあの規模では絶対にできないと思うのです。したがって、そういうことも含めて大臣のこれに対する考え方をひとつここでお伺いをしておきたいと思います。
  106. 福田一

    福田(一)国務大臣 御説のとおりでございまして、これは特許庁のいわゆる機械設備、あるいは建物、あるいはまた人員、いろいろな面からこの問題の解決をはかっていかなければならないのでございまして、そういうような意味におきまして、私たちはいろいろいま計画も持っておるわけでございますが、ただ、御案内のように、特許その他は先願主義に相なっておりまして、ある程度は出願者の権利は保護されるわけでありますが、しかし、それだからといって、非常に件数がふえておる段階でございますので、われわれとしては、この際抜本的にこの問題も建物のほうから——実を言うと人を収容する分がなくなってしまっておる。もう一ぱいでございまして、いまの特許庁の建物ではどうにもならぬというところにきておる。この点についても、いま大蔵省ともいろいろ話をいたしておるようなわけでございますが、何とかしてそういう物理的な問題も解消しつつ、また人員も実は百名ぐらいでなくて二百名、三百名採ればいいじゃないかということも考えられるのですが、先ほど長官が御答弁申し上げましたように、採用となりますと、技術者のことでありますから、なかなか採用がむずかしい。ことしは比較的採用がうまくいくほうでありますが、いままでは五、六十人採るのでも、定員はもらったけれども採用ができないというような実情等もあったりいたしまして、非常に困難を感じております。今後大いにひとつ増員等にも努力をいたしまして、できるだけこの審査を早めていくように努力をいたしたいと考えておるところでございます。      ————◇—————
  107. 徳安實藏

    徳安委員長 質疑の途中でございますが、この際、郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、先日来質疑を重ねてまいりましたが、ほかに御質疑申し出もないようでありますので、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  108. 徳安實藏

    徳安委員長 これより討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  郵政省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  109. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  111. 古池信三

    ○古池国務大臣 ただいまは、郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、御審議の上、議決をしていただきまして、まことにありがとうございました。      ————◇—————
  112. 徳安實藏

    徳安委員長 引き続いて、通商産業省設置法の一部を改正する法律案について質疑を続けます。田口君。
  113. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは引き続いて質問申し上げたいと思います。  いま大臣のほうから将来の考え方も含めて御説明をいただいたのですが、大臣はお偉い方ですから、あまりこまかい数字はお持ちになっておらないと思いまするが、私は一九六一年の数字を見てびっくりいたしましたことは、世界的にこの出願件数というものはふえてはおります。ふえておりますが、日本はきわ立って多いのですね。増加率が多いわけなんです。一九六一年のときには、西ドイツの場合がまだ日本とほぼ同様でございましたけれども、今日では日本のほうがうんと伸びております。そこで私、この件数に対する事務員、定員、こういうことをその他の国と比較をいたしますると、日本の場合には、先ほど説明のありましたように、四十六万件もまだ事務処理がなされておらぬということが、こういうところから出てきておるのではないかと思うのです。一九六一年の数字を申し上げますると、日本の場合には十七万五千件、西ドイツの場合もほぼ同様、アメリカの場合は十万九千件、イギリスの場合は七万件、こういう件数でございますけれども、さて従業員がどういうような配置をされておるかといえば、ちょうど一九六一年には、定員が、日本の場合には一千百十五名、西ドイツの場合は一千七百七十七名、アメリカの場合には二千三百一名、イギリスの場合が千三百八十八名、こういう定員比率になっておりまして、出願数また停滞しておる数を比較をしてみましても、もう少し早く手を打たなければならなかったのではないか、こういうように考えられるわけなんです。したがって、そこに働いておる従業員の事務員も、日本の場合は非常に労働強化になっております。それでこれも一九六一年の数字を申し上げまするが、一人当たり一〇〇に対して日本では一五七、西ドイツが一〇一、アメリカが四七、イギリスが五〇、こういう事務量の比率になっておりまして、日本の特許庁につとめておる職員の人たちは、諸外国と比較して非常に労働強化がされておるということは、この数字をもってはっきりしておるわけです。したがって、私はこういう点を早く解消しなければならないと思うのですが、なぜこういう実態が今日まで放任されてきておるのか、積極的でなかったかという点については、もちろん大蔵省が予算要求に対して動いてくれなかったという面もございますが、ふしぎでなりませんことは、大臣の場合には、二年する方もありますが、大かたが一年交代になるわけですが、この特許庁の長官の場合も、明治二十年からずっとここに載っておりますが、ほとんど一年交代なんです。そうすると、長期的な計画を立てるということは、実際しておられないのではないかと思うのです。こういう点は官房のほうでにぎっておられるのかもわかりませんが、やはりこういうところからも隘路が出てきておるのであって、ひとつ考慮する必要があるのではないか、こういうように考えるわけです。したがって、今日のようにたくさんの件数がたまっておるという状態を見ましたときに、何とかこれを解消しなければならないが、今年設置法の改正定員増と機械化というものが提案されたのでありますけれども、五カ年計画を五つに割った一年としては、この数字ではなかなかいけないのではないかと思うのです。これはいけると思えば、あとから説明していただけばわかると思います。そこでなお私はふしぎだと思いますることは、昭和三十二年に定員を大蔵省へ予算要求で出したときに、約半分しか認められておりません。そうすると、三十三年には必要定員数にプラス前年度の目的を達成できなかった数字予算要求して出さなければならないけれども、三十三年には出してないということなんです。非常にこの点がおかしいと思いまするし、それから三十五年には、予算要求を出しておって、グラフで言いますと、約七〇%大蔵省のほうで認めておりまするが、三十六年、三十七年という年が、これはやはりなされておらない。そして三十八年にまた予算要求されて、三十八年は満ぱいで大蔵省は認めておる。こういう矛盾があるわけです。一貫した対策というものは立てられておらないわけです。こういうのは、官房長の手元で何年ごろから処理されておるかわかりませんが、大臣が一年交代なり二年交代でかわられる、それにまた特許庁の長官も一年交代で交代されるというようなことで、予算要求一つ見ましても、非常に矛盾だらけのものがある。こういうことでは、幾ら五カ年計画を立てたと言われても、その目的を達成することができないと思うので、私は、こういうような矛盾した経緯をいま指摘をいたしたわけなんですが、これについて、どうしてこういうような矛盾した運営をなされてきたのか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  114. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 ただいまの御指摘でございますが、特許の出願は、大体戦後三十年以降に、何といいますか、日本の経済がほぼ安定をいたしてまいりまして、特許の出願も、大体その当時十四万件くらいから十六、七万件くらいの線に安定をいたしておったわけでございます。そこで特許庁の定員増加につきましても、大体出願に見合うような処理件数ができておりましたので、年によりまして、やや定員増加の要求について積極的でなかったという点もあったかと思います。たまたま、先ほど説明を申し上げましたように、三十七年の後半から急激に出願が増加をいたしまして、従来の十六、七万件から一挙に二十一万件になり、三十八年には二十六万件になるというような急激な増加がございましたので、先ほど申しましたような、四十六万件というようなたいへんな滞貨になったわけでございます。そういう意味で、年次計画は前からできておりまして、それに従って歴代特許庁長官は実施をされたと思いますが、何せただいま申し上げましたように、三十七年の後半から急にふえたという、われわれも予期しない事態が発生をいたしましたので、現在ではまことに申しわけのない状況になっておるわけでございまして、先ほども大臣の答弁にありましたように、定員の増加に対して大蔵省が五〇%だとかあるいは七〇%だとかいうふうに査定をされました主たる原因は、この審査官というのは技術屋でございまして、民間の景気のいい場合には、待遇が必ずしもそれに匹敵いたしません特許庁につきましては、なかなか採用がしにくいという状況もございまして、定員をつけてもとれないじゃないか、言ってみれば大蔵省にいい口実を与えたような関係で、要求定員が十分に充足されなかったというような事実がございまして、それやこれやいろいろ重なりまして現在のような状況になっていることは、まことに遺憾でございますが、今後いろいろ手を打ちまして、滞貨の処理に万全を期してまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  115. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 こういうところで質疑応答をいたしますると、万全を期する云々ということはいつも聞くことでございますが、少なくとも四十六万件から事務処理が未処理のままになされておって、そうしてなお最近の出願数というのが非常に多くなっておるということから、今日出されておる程度定員数では絶対これは足りないですし、それから機械化ということは、やはり大臣が先ほどお答えになったけれども、庁舎の関係からこれは考えていかなくては、いまのままではなかなかその計画どおりいかないということは、これは弁理士会から出されておる雑誌の中にいろいろ図解をして説明をしておりまするが、諸外国と比較をいたしまして、日本の場合は、特許庁の行政運営の面を非常に冷やめし扱いにしておる、こういうことが感ぜられますので、そういう点から、私は、強くこの点を要望をいたしつつ質問をいたしておるわけでございます。したがって、今年出されておりまするこの法案が通ったということになりますれば、結局審判官の数の関係ですが、特許庁関係は百十名ということですけれども、これは百十名全部審判官ということになるのですか。その点どうなんです。
  116. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 百十名の中で審査、審判官が約七十名でございます。そのほかは、機械化に伴うパンチャーだとか、あるいは資料整備をいたすための分類官とかいうようなものを入れまして、百十名でございます。審査、審判官は、約七十名だと思います。
  117. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これは昭和三十二年にこだわるわけではございませんけれども昭和三十二年に定員予算要求をされた数が、今日まで満たされておらないというのが実態なんです。これはだれが考えてみても、こういうような消極的なことではいけないのではないかと思うのですが、どうしてこういうような状態になっておるのですか。そのときどきの長官熱意がなかったのか、大蔵省があまりにもきびしいのか、それから通産大臣政治力がなかったのか、これはいろいろ要素があろうと思いますけれども、私は、ずっと数字的に見まして、どう考えても、いままでの実態が私の考え方のような内容になっておるのです。もう一度そういう点から、あなたの抱負を含めてでも御説明をいただきたいと思います。
  118. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 先ほども申しましたように、いわゆる特許庁の技術職員であります審査、審判官の待遇が、一般の民間その他に比べまして必ずしもよくないというような点がありまして、技術者の採用に非常に困難を来たしたわけであります。その後、特許審査、審判官に対しまして、特別調整額八%というような待遇上のプラスの点もありまして、やや採用が容易になりました。いまの大臣になられましてからは、定員の数も大体われわれの採用に見合うような定員をとっていただいておりまして、特に三十八年度からは、民間の一般の景気がリセッスしておる関係もございまして、欠員及び定員増に対しまして、十分な採用が見込まれておるわけでございます。今後、待遇改善と見合いまして、所要定員の確保と同時にその採用につとめてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  119. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私の数字はちょっと古いから、先ほど申し上げました程度の滞貨数になっておるのですが、現在どの程度になっておりますか。
  120. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 先ほど申しましたように、三十八年十二月末で四十六万二千件でございます。
  121. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、今度機械化がされるということになりましても、私は、審査官、審判官の定員増の数というものはわずか七十名ということになりますると——まあ機械化によって事務処理はなされることになりましても、審査滞貨は減少しないというように私は踏んでおるのですが、これは特許庁のほうでは五カ年計画を立てておいでになりますから、今年の程度定員増でこの四十六万件というのは当然消化をし、そうして年々出されるところの新規出願件教に対しましても消化できる、こういうように見通しを立てておられるのかどうか、その点を伺いたいのです。私の疑問のところは、機械化によって事務処理はなされていくといえども、審判官が非常に数が少ないので、審査滞貨というものはさほどに減少しないのではないか、こういうように考えられるのです。それで現在新しく出願されるものが年々少なくなっていけば、これは今年定員増をしたものがプラスされて、現在までの滞貨を消化することができますけれども、そうでなしに、新しいものが加わってくるわけでございますから、新しい出願数というのは年々滞貨数の中に加わっていっておるのです。だから、私は、審査滞貨というものは、なかなか今年提案の内容ではなくならないのではないか、こういうように踏むわけなんです。その点、率直なところをお聞きをいたしたいと思うのです。
  122. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 十二月末に四十六万件の滞貨がございまして、さて三十九年にどのくらいの出願があるかと申しますと、われわれは五%増くらいに考えておるわけでございますが、これが処理能力がことし相当にあがりましても、おそらく十八万件くらいだと思います。そうすると、このままの推移でいけば、三十九年の終わりには五十六万件になるという数字が出てくるわけでございまして、滞貨が減るどころか、むしろ累増するということが言えると思います。ただ、機械化は、いわゆる出願登録事務を機械化するわけでございますが、そればかりではございませんで、電子計算機の余力を使いまして、いわゆる資料の保管、分類、整理を電子計算機に乗せまして、いわゆる出願の問題点が、すぐ世界中の資料が電子計算機で審査官の手元に届くというふうに逐次なっていくと思いますが、そういうことになりますと、審査官の審査能力というのは飛躍的に増大する、こういうことになるかと思います。  いま一つ、われわれが考えておりますのは、日本の出願は、先ほど先生の御指摘のように、世界に比を見ない、非常なたくさんな数が出ておるわけでございますが、現在の出願に対します公告率は、五割ないし四割でございます。だから、五、六割というものはいわゆる拒絶査定になると考えるのでございます。登録されるものにつきましても、日本の場合には、先生御承知だと思いますが、防衛特許というものがございまして、一つの発明の途中段階で、他人が特許権を設定した場合にはそれが非常な障害になるということで、競争的に出願をするというようなケースがございまして、そのために先ほど来申しておりますように、出願が逐年増加いたしておるわけでございまして、これは業界等の指導によりまして、ある程度のものはもう出さないんだとか、あるいはわれわれのほうとして部門別のいわゆる審査基準というものを公表いたしまして、こういった部門についてはこの程度のものでなければ特許権は設定しないというようなことを公表いたしまして、業界全体の自粛を促しまして、出願件数もむしろ減らそう、結果的には減るのじゃなかろうかというふうにわれわれは考えておるわけでありまして、それやこれやを考えまして、四十三年には現在の滞貨を相当部分圧縮できるのじゃないかと考えているわけでございます。
  123. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうでなしに、三十九年度末には五十六万件にまずなるという想定のもとに、滞貨数をなくすという方針で今日の設置法の改正も出され、その中に定員増も入っておるのです。  そこで私のお聞きしたいことは、三十九年度末に五十六万件も件数が滞貨しておるということになりますれば、これを五カ年計画で消化したいということであれば、毎年どの程度の機械を導入したりあるいは定員増をすれば消化できるのかという数字的な見通しを承らなければ、大体こういうものは消化できるように思えるとかどうとかでは、私はそんなことではだめだと思うのです。したがって、そのことを伺っておるわけなんです。
  124. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 お答えをいたします。  われわれの五カ年計画では、三十九年から四十年に対しまして、審査官で百十名程度の増を毎年していくというふうに考えております。と同時に、先ほど先生から御指摘がありましたように、世界の各国は、審査官に対しまして、いわゆる補助職員、事務職員が大体一対三の割合でついておるわけでありますが、日本の場合には、事務職員が非常に少ない。そのために、審査官が事務職員を使って十分できることをみずからやらなければならないというような問題もございますので、ただいま申しました百十名程度の審査官の増に関連をいたしまして、事務職員をさらにふやすということで事務処理能力を増大さしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  125. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そのお考えはわかりますが、私はどうしてもわからぬことは、いま補助職員も足りません。この数も他の国との比較を申し上げてもよろしいのですが、いずれにいたしましても、先ほど申しましたとおりに、絶対数として足りないわけなんです。これが足りないということは、他の国と比較をして、出願件数に対する職員の定員、もちろんこの中には審査、審査関係の職員も含まった数でございますけれども、これが非常に足りないわけなんです。そこで私はふしぎでなりませんことは、おそらくアメリカの辺では相当機械化をしておると思うのですが、機械化をしておっても、日本の一九六一年の数字でいきまして、十七万五千件というものに対してアメリカが十万九千件しかないけれども定員のほうは日本の千百十五名に対して二千三百一名というように確保しておりますから、そういうことから、非常に日本の特許庁につとめておる職員の労働強化はこの数字を見てもわかりますし、それから他の国と比較して、どうして日本はその消化につとめないのかということがふしぎでならないわけで、この点をもう少しわかるように説明を願いたいと思うのです。そうでなかったら、今年設置法の改正が提案されて、そうして審議して、毎年毎年通してみても、これは国民の要望に沿わないということになるわけなんだから、私はこの点をくどく追及して、そうして長官考えておられる方針というものをつかんで、将来もこれに対する協力態勢をとっていきたい、こういうふうに考えておるのですから、その点をもう少しはっきりと数字的に御説明をいただきたいと思います。
  126. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 外国の例でございますが、特許の事務処理というものはなかなか機械化がむずかしいということになっておりまして、私が少なくとも承知しております限りにおきましては、アメリカ、ドイツでもそれほど機械化しておらないと考えております。電子計算機を導入するというのも、おそらく部分的には各国あるかもしれませんが、少なくとも私が承知しております限りでは、こういう大型な電子計算機を入れるというのは、日本が最初ではないかと考えております。各国共通で、いわゆる出願の滞貨処理のためにいろいろと研究会を催しておるわけでございます。ただ、日本が特許の出願案件が非常に多いということは言えますが、しかし、この出願案件の内容というものは、国別に非常に違うわけでございまして、比較的軽微なものもある、非常に複雑なものが集中しておるところもあるわけでございまして、必ずしもいわゆる定員と出願との比率だけで労働強化というわけにはまいらないと思いますが、いずれにしましても、われわれ現実に仕事をしております面からいきますと、日本の特許庁は相当な労働強化であることは間違いないわけでございまして、今後できるだけただいま申しましたような定員の増、それから機械化によって処理し得る事務量をふやしていく、さらに資料の分類整備を別途の方法で行ない、その分類されたものを電子計算機に乗せるというようないろいろな施策を講ずることによって、ただいまの滞貨をできるだけ早い機会に解消してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  127. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私ざっくばらんに申し上げますが、この赤い数字は、年々の出願数ですが、こういうようにずっと伸びております。ところが、職員の定員のほうは、こういう状態です。だから、出願数に対するほんとうの善後策というものがなされておらぬのじゃないかということと、そして今度の五カ年計画を立てたと言われるけれども、五カ年計画によっていまの滞貨件数というものが消化できはしないのじゃないか、こういう点が心配になるので申し上げておるのであって、補助職員の定員増なんかの場合は、これは機械化によって現在よりふやす必要はございませんか、それが一つです。  それから、いまの滞貨というのは、これは審査官の手元までは来ておっても、審査官が足りないから滞貨しておるのか、手元にまで来ないのか、その点どちらなんですか。
  128. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 第一の質問でございますが、機械化をいたしましても、いわゆる機械化に乗らない部分と乗る部分がございますのと、それから三十九年度につきましては、いわゆる旧来の方式と新しい方式が並行いたしますので、むしろ機械化するだけ定員がふえなければならないと問題が出ておるわけでございます。  それから第二番目の審査のいわゆる滞貨がどこでとまっておるかというのは、両方ございまして、現在までのところは、出願の窓口でとまっておるもの、あるいは分類のところでとまっておるもの、それから審査官の手元でとまっておるもの、いろいろあるわけでございますが、機械化をいたしますと、これはいわゆる途中の段階はすぐに処理ができますので、審査官の手元でたまるということに相なろうかと考えております。
  129. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私が質問で引き出そうとすること、私が心配をして、将来への行政能率化ということを考えて質問しても、なかなか答弁が抽象的で、どうもしっくりいきませんが、いずれにいたしましても、大体この程度数字を並べて質問申し上げれば、特許庁の行政運営というものをどうしなければばならないかということは、これはもう賢明な大臣はおそらくおわかりになったと思うので、この五カ年計画に対して、どのような熱意のもとに完全に国民の要望にこたえる体制をつくられるのか。また、私の一番心配している人事の関係、これには私は入りたくはありませんが、やはり一年一年で長官もかわり、大臣もかわる、こういうことになりますと、長期的な計画というようなものも立てられておらなかったというのが実情じゃないかと思うのです。こういうようなことも含めて、ひとつこの件に対して大臣の総合的な答弁をいただいて、次の質問に移りたいと思います。
  130. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま田口委員からの数々の御質問の内容によっても明らかにされておりますし、また、特許庁長官が今後五カ年間で問題を処理していくということを答弁はいたしておりますが、あなたのほうからいえば、どうも具体的にはっきりしないというようなことでございます。そのお気持ちも私はわかるような気がいたすのでございまして、われわれとしては、今後ひとつ一そう力を入れて、この問題の抜本的な解決について具体的な案をつくる、こういう方向で努力をいたしてまいりたいと存じます。
  131. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大臣のほうから、いままでの質疑応答の内容も十分に聞かれて、そして抜本的な対策を立てて、国民大衆の要望にこたえる特許庁の体制をつくりたい、こういうことでございますので、この特許庁関係の質問は終わりたいと思います。  次の質問ですが、国際経済部を新設するということで、これは特に「対外的にも省内的にもその組織を明確にして、本問題を統一的に処理し得る体制を確立する」云々ということが書いてあるのです。ところが、これは三年前の質問の内容を私調べてまいりましたが、この対外関係の問題については、あまり積極的に出るというような答弁をされなかった時代もあるのですが、急にこういうようなことを考えられて、また提案する必要に迫られたということについての説明を、もう少し詳しくお聞きいたしたいと思います。これは答弁者は、どの方でも、よくおわかりになる方でよろしゅうございますから……。
  132. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回国際経済部を新設しようということになったわけでございますが、数年前と比べますと、国際的な環境が非常に変わってまいりまして、通産省のなすべき仕事もそれに伴ってかなり急激に変化してきております。たとえて申し上げますと、関税の問題一つをとりましても、従来は二国間で比較的小規模な交渉をぼつぼつやっておったのでございますが、最近では、いわゆるケネディ・ラウンドにおきまして、一括引き下げをしようという提案が出てまいりました。したがいまして、従来とは全くその規模の変わった大きな問題になってまいっております。それからちょうど本年度は、いろいろな意味で日本の国際的な地位が変化してまいっております。来週四月一日からは八条国に移行いたしますし、五、六月にはOECDに加盟が予定されておりまして、国際諸機関との関係が、現に非常に密接になってきつつあります。それから他方、二カ国間の関係におきましても、たとえばアメリカとの間に日米閣僚会議、カナダとの間にも同じような会議が開かれてまいっております。それからさらにヨーロッパのEECの統合の動き等もございまして、現実に通産省のそうした分野での仕事が飛躍的にふえてきておりますので、この際、その事務を統一的に見ていくところがどうしても必要だということになった次第でございます。
  133. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは今日までは、いま新設しようとする国際経済部の仕事は、通産省のどこの部局でどの程度仕事をなされておったのか。いまの御答弁の中にも若干ございましたけれども、今度この国際経済部を新設することによって、プラスどういうことをしようとするのか、その点ももう少し仕分けて明確にお聞かせいただきたいと思います。
  134. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいまどういう体制でこの仕事をしているかというお尋ねでございますが、通商局の中に現在もそれを担当する課がございまして、国際経済課というのがその中心になって仕事をいたしておるのでございます。逐次これの仕事の量がふえてまいったのでありまして、現在は比較的少人数でいたしておりますが、どうにも課という体制ではこなし切れない状態になってまいっております。事務の量がふえたということが一つ。それからもう一つは、関係各省との折衝が非常にひんぱんでございまして、やはり相当の責任ある者がこの仕事を専任して当たるということが、政府部内との関係においても必要になってまいっておりますし、さらにまた国際的にも、関係各国との折衝、国際諸機関との折衝が出てまいっておりますので、課長クラスでない、やはり専任の部長をどうしても必要とするという大勢になってまいっておるのであります。また、この際特に画期的にふえました、またふえようとしております事務の一つの例を申し上げますと、OECDに近く加盟するということであります。OECDは、現在二十カ国の先進国グループの機構になっておりますが、そのOECDの中に約四十の委員会あるいは作業部会がございます。その中で、たとえば貿易委員会とか工業委員会——これは業種別にできておりますが、そうした通産省がどうしても直接参画しないとできないものが、四十のうち二十五ございます。したがいまして、そうした会議に出るためのいろいろな準備をいたしましたり、また、その会議の結果を持ち帰りまして国内の政策に反映していくというような仕事が、実は画期的にここでふえることになっております。したがいまして、この際通商局の従来国際経済課というところでやっておりました仕事を、同じ通商局の中でございますが、専任の部長を一人きめまして、国際経済課とそれから特にケネディ・ラウンドその他で関税問題が密接な関係がございますので、関税課というものをそれに一緒に加えまして、それから局の中でほかの課から人間をある程度そこへ集結いたし、それから今回予算で三名の増員が予定されております。そうした者を加えまして、陣容もただいま直接それに関係した者が約三十三名でございますが、これも約十名程度ふやしていく、このように考えております。
  135. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 二課新設されるということですが、課の新設に伴って、増員を含めてどの程度の人員を確保しなくちゃならぬですか。
  136. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 課は、実は現在すでにあります課を人員をふやしまして、部として締めくくるということでございますので、課の新設はございません。それから人員のほうは、局内でのやりくりと、それから新しい増員と足しまして、十名を考えております。
  137. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、これは全体的に関連のあることですが、実は先ほどの特許庁の関係のときにお聞きしようと思いましたが、こういうものも含めてですが、特に機械化とかまたは新設される部課ができたりいたしますと、女子の職員の人とか相当年齢のいった職員の人が、名前は希望退職という形で、強制退職をさせられるということが、往々にして官庁の場合にはあり得るわけなんです。こういう点の職員の完全雇用という点については、これは絶対保障していただけますか。
  138. 川出千速

    ○川出政府委員 お答え申し上げます。  通産省では、本人の意思に反して、名前は希望退職ということかもしれませんが、そういうことを強制をしておる事例はないわけでありまして、本人がいろいろ自分の都合で転職する場合はございますけれども、強制的に退職さした例はございません。
  139. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私は、部分的に通産省の中でこういうものがある云々と申し上げるのではなくて、全般の官庁の職員の完全雇用という面から見ますと、いろいろ機械化をされたような場合には、たとえば電子計算機で機械化をした場合には、それに従事する職員というのは定員減になるのが普通なんてして——定員を少なくしなければ、何も機械化したところで能率が上がりません。そうすると、年をとった職員の人とか女子職員の人が、やはり退職の的になって、表向きはそんな強制をしたというようなことにはなりませんけれども、うしろのほうから肩たたきをして、結局強制退職というような形が往々にしてあり得るんだから、そういうことは一切やられませんか、こう聞いておるのです。それだけを答えていただけばよろしいのです。
  140. 川出千速

    ○川出政府委員 そういうことはやらないつもりでございます。
  141. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それではもう一つこの点でお聞きをいたしたいと思いますが、現在の課をそのまま残して、そうして国際経済部というのを新設して、その中に現在ある課を統轄していくということなんですが、そうしますと、仕事の内容からいっても、国際的ないろいろな関係が従来よりはふえてきておることはわかりますけれども、必ずしも部というものを新設しなければならないとぴんと頭にこないのですが、この辺のところをひとつ御説明をいただきたい。
  142. 福田一

    福田(一)国務大臣 事務からお答えするのがいいかとも思いますが、私からちょっとお答えをいたしたいと思います。  実際私が見ておりますと、いままでは通商局というのは、大体いろいろの事務がありますが、外務省との折衝、農林省との折衝とか、あるいは国際会議があった場合に出ていくとか、そういうことがあるわけであります。ところが、局長が用事があって海外へだれか出さなければいかぬというときには次長が出ていく。あるいは次長が出ていきまして、今度は局長が何か本省仕事をしておる、外務省とどうしても折衝に行ってこなければいかぬという場合になりますと、ちょっと課長ではぐあいが悪いというようなことが、非常に多くなってまいりまして、実はそういう国際環境といいますか、通商関係の事務のふくそうということから、そういうような場合において、やはり責任者が一人そういう問題について統括しておる者が行って、たとえば外務省の経済局と話をしてくるとか、農林省の局と話をするとか、あるいは郵政、あるいは場合によっては運輸、いろいろなそういう問題が最近は非常にふえてまいりました。特にOECDの加盟とか、ガット、IMF等々の関係から、非常にそういう事務が複雑化してきておることは事実であります。したがいまして、どうしてもやはりこういうような面を統括しながら、しかもそういう外部との折衝に当たるというようなものも必要になるし、今度また外からきた問題を流します場合にも、やはり国際経済部というものをつくっておいて、そしてそこで責任を持ってやらせていくというようなことが、非常に必要になってきた、こういうことでございますので、ひとつ御了承を賜わりたいと思うのであります。
  143. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点はわかりますが、そこで、貿易の自由化によって、相当通産省としても国際的な輸入、輸出という面から仕事もふえると思うわけですが、この自由化というのは、全く手放しの場合には、日本の企業に大きな影響のあるものが出てくるわけです。それでこの自由化というものは、全く手放しなのか、ある程度通産省のほうで規制をされた自由化であるのか。私、特にこういう国際経済部を新設して、外部との関係仕事をする体制をつくられるのであるから、これにはやはり自由化というものが相当こういう部を新設するに大きな圧力になってきておると思うので、その点をひとつお聞きをしておかなければ、手放しの場合には、相当日本の企業で犠牲になる部署もあろうと思うのです。その点について、大臣はどういうようにお考えになりますか。
  144. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま自由化をしておらない品目が、百八十二品目ございます。そのうちで三十七品目は、これはいろいろ国防とか自衛とかというような関係で、自由化をしないでよい品目ということになっておりまして、これは世界各国みなそのようになっております。そのあとの百四十五品目がいま残っておりますが、そのうちで七十三品目が農林省の関係でございまして、六十六が通産省で、その他が六つあるわけであります。いまのところ、そういう品目になっておりますが、しかし、自由化をする場合には、すべて通産省が窓口になっておるわけでございます。  そこで、その態度といたしましては、各国がいまやはり日本に対して差別待遇をいたしておりますので、こういう点も見合いながら——こちらだけが自由化をして向こうは差別待遇をしている、こういうことでは困りますので、そういう点を見合いながらやっております。一番大事なことは、何といってもその自由化をした場合に、日本の廃業が非常な打撃をこうむって、つぶれるというようなことであってはたいへんですから、そういうものはできるだけ自由化を延ばしておる、こういう姿をとっております。ただ、考え方といたしましては、六十六品目残っておりますが、できるだけ早く自由化ができるような強力な産業に育成をしていかなければならぬ、そういう努力をいま続けておるのでありまして、工業関係においては、ことしの秋くらいまでには、これは実質的に自由化をある意味ではやるので、向こうが相当制限を加えておれば、こちらも押えていくということは当然であります。しかし、自由化が可能になるようなくふうはいたしておりますが、手放しで自由化する、こういう気持ちはございません。
  145. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点につきましては、たとえば自動車産業一つとらえてみましても、自由化になって、外車のいいのが安くどんどん買えるということになりますれば、やはり質がよくて安いものを手に入れるということは当然みんなやるであろうし、そして日本の製品というのが、外国へ出す場合に、輸出の協定をする国が、そういう点のアンバランスを考えて、やはり出すほうも考えてもらわなくてはいけないと思うのです。  そこで、私のお聞きしておったのは、そういうようなことを如才なく規制をしたり、そうして輸出先を広めたりして、外国の製品に圧迫される分は、またその他の国へ輸出をして消化減をカバーする、こういう対策を立てなければならないので、そういうような対策をやはり一つの規制という考え方でおやりになるのかどうか、こういうことをお聞きしたわけなんです。
  146. 福田一

    福田(一)国務大臣 いま仰せになったような点を考えながら、やはり自由化をやってまいりたいと思っております。
  147. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 時間を見ましたら、もう一時二十分になりましたし、常識的に昼食の時間でもございまするから、あとの質問は保留して、きょうの質問は打ち切りたいと思います。
  148. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明二十七日、午前十時理事会、十時十五分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時十八分散会