○
野田政府
委員 ただいま
議題となりました
皇室経済法施行法の一部を
改正する
法律案の
提案理由を御
説明申し上げます。
まず、皇室が、国会の議決を経ないで賜与または譲り受けをすることができる財産の限度価額についてであります。
皇室経済法施行法第二条により、現在、天皇及び内廷皇族については、これらの者を通じて賜与の価額が三百七十万円、譲り受けの価額が百二十万円、その他の皇族については、賜与及び譲り受けの価額がそれぞれ十五万円となっております。これらは、当初、
昭和二十二年に定められ、そのうち、天皇及び内廷皇族の賜与の価額については
昭和二十四年に増額されましたが、その他は一度も改定されないで現在に至っております。しかしがら、その後社会
情勢及び経済
情勢には相当大きな変動がありますので、今回その価額を改定いたしたいと存じます。すなわち、その間の物価指数等を考慮し、天皇及び内廷皇族については、これらの者を通じて賜与の価額を六百五十万円、譲り受けの価額を二百二十万円に改定し、その他の皇族については、賜与及び譲り受けの価額をそれぞれ六十万円とし、未成年の皇族については、それぞれ十五万円とすることにいたしたいと存じます。
次に、内廷費及び皇族費の定額の改定であります。
皇室経済法施行法第七条及び第八条により、現在、内廷費は六千万円、皇族費は四百七十万円となっておりまして、これらは昨年四月に改定されたものであります。その後の経済事情及び昨年十月の国家
公務員給与の引き上げ等の
情勢にかんがみ、内廷費及び皇族費について、人件費及び物件費の増加を考慮し、内廷費の定額を六千八百万円、皇族費の定額を五百万円にいたしたいと存じます。
以上が、この
法律案のおもな
内容及びこれを
提案いたしました
理由であります。
何とぞ慎重
審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
次に、ただいま
議題となっております
国事行為の
臨時代行に関する
法律案の
提案理由を御
説明いたします。
天皇が精神もしくは身体の重患または重大な事故により国事に関する行為をみずからされることができないときは、皇室
会議の議により、摂政が置かれて、天皇の国事に関する行為の代行がされるのでありますが、天皇がこれより軽い病気にかかられ、また海外旅行にお出かけになるなどの場合にも、国事に関する行為を代行せしめられる方途を講じておく必要があります。
日本国憲法第四条第二項には、「天皇は、
法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。」と規定しておりますので、このたび、この規定に基づきまして、天皇に精神もしくは身体の疾患または事故があられる場合で、摂政を置く場合以外の場合には、
内閣の助言と承認により、国事に関する行為を摂政となる順序に従って、成年に達し、かつ、故障がない皇族に委任して臨時に代行していただくことができるようにしようとするものであります。
なお、これに関連いたしまして、その委任の解除または終了について規定し、その委任がされ、または委任が解除されたときは、
内閣がその旨を公示することとし、また、委任を受けた皇族は、委任がされている間は、訴追されないこと、ただし、このため、訴追の権利は害されないことといたしたいと存じます。
以上が、この
法律案のおもな
内容及びこれを
提案いたしました
理由であります。
何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
なお、ただいま
議題となりました
恩給法の一部を
改正する
法律等の一部を
改正する
法律案につきまして、その
提案の
理由及び概要を御
説明申し上げます。
この
法律案による措置の第一点は、
恩給・扶助料の年額を増額した際における増額分についての年齢による制限の解除であります。
昭和三十七年
法律第百十四号により、二ヵ年間の年次計画をもちまして段階的に
恩給・扶助料の年額を増額いたすこととするにあたり、老齢者を優先させる精神に基づきまして、傷病者、寡婦及び遺児を除き、年齢が六十歳に達するまでは、その段階的の増額分を停止する旨の措置をも講じてまいったことは、御
承知のとおりであります。
しかしながら、同
法律第百十四号による前述の年次計画も本年六月に完了いたしますので、この際、この年齢による制限を解除しようとするものであります。
その第二点は、
在外特殊機関の職員期間を
恩給公務員期間に通算しようとするものであります。
外国政府職員期間または外国特殊法人職員期間につきましては、すでに所要の通算措置が講ぜられた次第でありますが、この際、この措置を一歩拡大いたしまして、外国政府職員または外国特殊法人職員に準ずる旧満州協和会、旧満州青年義勇隊訓練機関等の外国特殊機関の職員となるため、普通
恩給所要年限未満で
恩給公務員を退職し、当該外国特殊機関の職員となったもの等の、これらの職員期間を
恩給公務員期間に通算する道を開こうとするものであります。
その第三点は、南西諸島に勤務した旧軍人軍属の在職年に、戦地加算に準ずる割り増しをしようとするものであります。
昭和十九年十月から同二十年九月までの間の南西諸島は、戦地と同様の状況にあったことは御
承知のとおりでありますが、それが終戦まぎわであったため、戦地加算を認めるまでに至っておらなかったので、すでに戦地加算が認められている
地域との均衡を考慮しまして、この
地域において戦務に服した旧軍人軍属については、その服務期間の一月について二月または三月の戦地加算に準ずる在職年の割り増しをすることにより、普通
恩給所要年限に達する者に普通
恩給を受ける資格を与えようとするものであります。
その第四点は、傷病
年金受給者の加給であります。
傷病
年金受給者につきましては、従来、扶養家族加給は認められておりませんが、傷病
年金受給者の実情を考慮しまして、その者に妻があるときは、その妻を対象とする年額四千八百円の加給をしようとするものであります。
その第五点は、いわゆる追放者に対する特別措置であります。
連合国最高司令官の命令に基づき退職した人々は、いわゆる追放解除となるまでは就職制限をされるという気の毒な事情にあったのでありますが、その解除の際の年齢等の関係から再就職の機を失し、
年金受給資格を得ることのできなかった人々のことを考慮いたしまして、
恩給公務員期間七年以上
年金年限未満の人々に対し、追放解除時のベースにより計算した一時
恩給の額に相当する額の一時金を支給しようとするものであります。
その第六点は、奄美群島に勤務する教育職員等の在職年について、勤続加給をつけようとするものであります。
奄美群島に勤務する教育職員または警察・監獄職員の行政分離から復帰までの在職年は、勤続加給の対象となっておりませんでしたが、すでに行政分離が解かれ、これらの職員が一般内地の職員と同様の事情のもとに退職している現状にかんがみ、当該行政分離期間中の勤続期間をも勤続加給の対象とすることにより、
恩給法上一般内地に勤続していた教育職員または警察・監獄職員と同様の処遇をいたそうとするものであります。
その第七点は、琉球諸島民政府職員にかかる
恩給扶助料及び共済
年金等の改善措置であります。
琉球諸島民政府職員にかかる
恩給扶助料及び共済
年金の額の計算の基礎俸給額は、行政分離当時の俸給の額をいわゆるベースアップしたものとなっておりますが、これを、当該行政分離当時の俸給の額に、琉球語島民政府職員期間一年ごとにその額の四・五%に相当する額を加え、これをベースアップしたものに改め、この種
恩給扶助料及び共済
年金の支給額を引き上げるとともに、元南西諸島官公署職員が、琉球諸島民政府職員となった場合における
恩給法または共済組合法等の適用の範囲を緩和し、あわせて琉球諸島民政府職員期間の通算辞退についての制度を解除する等の改善をしようとするものであります。
以上、述べました措置は、すべて
昭和三十九年十月から実施することといたしております。
これが、この
法律案の
提案の
理由及び概要であります。
何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
————◇—————