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北條参考人 私はいまの
お話はたいへんごもっともで、私
個人としては全然同感でございます。ただつけ加えれば、私はああいう発言に対しては
国民全体が批判するだろう、
国民全体がそれに黒白をつけるだろう。もちろん党内において皆さんが名誉棄損の訴えをなさるのも御自由ですけれ
ども、
放送という
国民全体の
文化財としては、
国民全体があれに何らかの批判を下す。私
個人では、たいへん情のないお
ことばだと思いましたけれ
ども、
国民の全体がそういうふうに
考えればそういう帰趨が出てくるんじゃないか。
それと現在の
放送との関連でございますが、そういう点で、私は自由というのは秩序だといつも
考えております。自由というのは、全部が自由を守るためには、おのずから
自分が秩序を守ることだ。左側通行という秩序を持つことが自由だと
考えておりますので、野放しの自由というのは私
個人としてはたいへん否定しております。その
意味で、
放送法というものが、基本的なある法律はあっていいのじゃないか。その運営と細部にわたっては
言論の自由が守られなければならないというわけで、私は全部法律なしの、
統制なしの自由というものは全然
考えられない。これは
個人的な
考えでございますけれ
ども考えられない。
それにつきまして御
質問からちょっとはずれますが、私の蛇足を付加いたしますと、この間の発言のような問題というのは、やはりさっきから
お話になっております。われわれの側の
——われわれというよりも
放送担当者側の自覚である。そういう点で
審議会なり
委員会の中にわれわれも参加したい。参加することによってそういうものは是正されていくということを申し上げたのです。
ひとつ雑談としてエピソードを簡単に短く申し上げますが、私はあるとき民間
放送で、私は民間
放送と
NHKと
両方でたいへんよくかせぎまくるほうですが、民間
放送でスポンサーの方と大げんかをいたしました。そのときに、
自分では名せりふを言ったと思いますが、たいへん無理な御注文がありましたときに、私はこう申しました。これは一本の
制作費が百万円といたします。そうすると、スポンサーは、気に入らなけりゃすぐ私を首切ればいいのです。そうすると、進行中のものを入れましてもせいぜい二本か三本、二百万円です。何とか会社といわれる大きな会社だと、二百万くらいの損害は大したことないじゃないですか。すぐ
自分の気に入った
番組をおやりなさい。ところが、私のほうはそうじゃない。
北條はいかぬ、あいつは切られやがった、あいつはだめだと言われますと、私はいませがれが大学に行っておりますから、これが卒業するまでめしが食えません。また、いままで
自分なりに一生懸命やっておりまして、
北條のものはおもしろいと言ってくださる方もいるわけです。そういったものが全部ゼロになる、
一つの
番組に対する熱度はあなたと違うのだ。私のいままでの
経験と、これからの将来をかけている、家族の運命もかけている。とにかくよくしたい、何かいいものを出したい、しかも聴取率を上げたいと、たいへん欲ばった
——まあかけているわけです。リスクがあるわけです。ところが、失礼ですけれ
どもあなた方には、それほどのことはないんじゃないか。重役さんや一部の思いつきで、
自分の方向と違うからと言うんじゃないのですかと言ったら、そのスポンサーの方はたいへん理解のある方で、非常に悪かった、確かに
放送というものは、
自分たちの
考えているものとあなた
たちと熱度が違うということで引っ込んでくださったのです。私は、
放送というものは
放送担当者の熱度で
向上していくものだ。法律では基本的な線だけをきめていただいて、それからは各人の自由と秩序だ。自由というものは各人が秩序を持つことだという自己反省で進んでいくものではないかと
考えております。