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1964-04-23 第46回国会 衆議院 逓信委員会大蔵委員会社会労働委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十三日(木曜日)    午前十時十七分開議  出席委員  逓信委員会    委員長 加藤常太郎君    理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君    理事 佐藤洋之助君 理事 志賀健次郎君    理事 森山 欽司君 理事 大柴 滋夫君    理事 栗原 俊夫君 理事 森本  靖君       小渕 恵三君    椎熊 三郎君       中山 榮一君    本名  武君       山本 幸雄君    安宅 常彦君       片島  港君    佐々木更三君       下平 正一君    永井勝次郎君       受田 新吉君  大蔵委員会    理事 金子 一平君 理事 吉田 重延君    理事 有馬 輝武君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       天野 公義君    岩動 道行君       大泉 寛三君    大久保武雄君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    濱田 幸雄君       福田 繁芳君    渡辺美智雄君       卜部 政巳君    岡  良一君       小松  幹君    佐藤觀次郎君       田中 武夫君    只松 祐治君       日野 吉夫君    平林  剛君       竹本 孫一君  社会労働委員会    委員長 田口長治郎君    理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君    理事 澁谷 直藏君 理事 田中 正巳君    理事 小林  進君 理事 長谷川 保君    理事 八木  昇君       浦野 幸男君   小宮山重四郎君       地崎宇三郎君    中野 四郎君       橋本龍太郎君    藤本 孝雄君       伊藤よし子君    滝井 義高君       八木 一男君    山田 耻目君       本島百合子君    吉川 兼光君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         郵 政 大 臣 古池 信三君         労 働 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第一部長)  吉國 一郎君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君         郵政政務次官  金丸  信君         郵政事務官         (人事局長)  増森  孝君         労働事務官         (労政局長)  三治 重信君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   熊田淳一郎君         郵政事務官         (人事局審議         官)      土生 滋久君         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    青木勇之助君         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社総務理事   秋草 篤二君         日本電信電話公         社職員局長   中山 公平君         日本電信電話公         社運用局長   水谷 七代君         日本電信電話公         社計画局長   宮崎 政義君         日本電信電話公         社経理局長   井田 勝造君         専  門  員 水田  誠君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  電話設備拡充に係る電話交換方式自動化の  実施に伴い退職する者に対する特別措置に関す  る法律案内閣提出第三七号)      ————◇—————   〔加藤逓信委員長委員長席に着く〕
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより逓信委員会大蔵委員会社会労働委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、逓信委員長の私が委員長職務を行ないます。  電話設備拡充に係る電話交換方式自動化実施に伴い退職する者に対する特別措置に関する法律案について審査を進めます。     —————————————
  3. 加藤常太郎

    加藤委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。
  4. 堀昌雄

    堀委員 最初法制局に少し基本的な問題についてお伺いをいたします。  予算総則定めておる給与あるいは予算の中にあります給与というものの法律的な解釈をひとつお伺いしたいと思います。
  5. 吉國一郎

    吉國政府委員 お答え申し上げます。  予算定めております給与とは、職務遂行に対する対価として支払われるものをいうのだと考えております。
  6. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、ただいまの給与という概念の範囲と、公労法第八条第一号の「賃金その他の給与」という、この給与範囲との差があるのかどうか、予算総則等定め給与ということばの持つ意味と、この公労法第八条第一号の給与ということばの持つ意味とは、どういうふうな関係にあるかをお答えいただきたい。
  7. 吉國一郎

    吉國政府委員 公共企業体等労働関係法の第八条第一号にあります「賃金その他の給与」という中には、現在問題になっております退職手当のごときものは含まれるということでございましょうが、予算総則におきます給与総額ということばをもって示しておりますのは、狭い意味給与でございまして、月々あるいは日々の勤労に対しまして支払われるものというふうに考えております。
  8. 堀昌雄

    堀委員 ただいまのもう一回確認をいたします。  そうすると、給与総額でいう給与とこの八条一号の給与とは差があるということですか、いまあなたは、私が聞かないのに答えたけれども、今回の合理化に伴う特別給付金というものは、そうすると八条一号の給与には含まれるのですか、含まれないのですか。予算総則の中の給与総額の中に含まれるか含まれないか。
  9. 吉國一郎

    吉國政府委員 予算総則定めております給与の中には入っておりません。
  10. 堀昌雄

    堀委員 電電公社にお伺いをいたします。  前回私が予算委員会質問をいたしましたときに、今回の退職に見合うものが三億八千九百万円計上をされておるということでございます。そこで、この三億八千九百万円は予算総則給与総額には含まれておらないということを、いま法制局のほうで言っておりますから、それでは一体どこに入っておるのか。予算日本電信電話公社職員給与総額算定表ですね、この中には、それでは含まれておらぬということにいまなりますからね。どこへ含まれておるのか、公社の側でお答えを願いたい。
  11. 井田勝造

    井田説明員 この予算書におきまして給与其他諸費の中に諸手当というのがございまして、そこに退職手当それから労務災害補償、そういうものを合わせまして計上されております。
  12. 堀昌雄

    堀委員 この中には諸手当という項目はありません。基本給、扶養手当暫定手当石炭手当寒冷地手当薪炭手当通勤手当宿日直手当特殊勤務手当期末手当奨励手当超過勤務手当休職者給与、小計、合計、こうなっております。どれに入っておりますか。
  13. 井田勝造

    井田説明員 お答え申し上げます。  いま予算書で読み上げられました給与総額算定表、これは一〇五ページにあがっております。そうして一〇七ページをお開きいただきますと、そこに損益勘定ということで、この左のほうに借方がございまして、そこに一番最初給与其の他諸費千二百二億というのがあげてございます。それからその次に役員給職員給休職者給与、ここまでが給与総額に入るのでございまして、次に諸手当というのがございますが、これは給与総額の外になっておるわけでございます。
  14. 堀昌雄

    堀委員 大蔵省にお伺いをいたします。  この電電公社職員に出す給与の中に、そうすると給与総額定めのないものが出されておるのは、これはどういう意味ですか。電電公社職員に対して支払い得るものは、給与総額の中の基準内給与及び基準外給与電電公社職員に対する給与だと私ども理解をしておりましたところが、この予算総則定めのないところにまださらに給与に見合うところの手当のようなものが計上されるのなら、これまでの私の前回大蔵委員会における論議からすると、幾らでも手当公社がつけることができることになるではないですか。これは予算上どういうことになっておりますか。
  15. 熊田淳一郎

    熊田説明員 お答え申し上げます。  電電公社給与給与総額で縛っております基準内給与基準外給与と、それから給与総額の中に含まれておりません退職手当とか労務災害補償費とか、それから今度の特別給付金とか、こういうような給与と、この二つの種類から給与は成り立っております。
  16. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、もう一つ伺いをいたしますけれども電電公社特別嘱託に出しておられる費用はどこに入っておりますか。
  17. 井田勝造

    井田説明員 雑給与から支弁しております。
  18. 堀昌雄

    堀委員 これもそうすると予算総則定めの外でございますか。
  19. 熊田淳一郎

    熊田説明員 給与総額の外であります雑給与の中に入っております。
  20. 堀昌雄

    堀委員 雑給与というのは、それじゃこの予算の中のどこにありますか。
  21. 熊田淳一郎

    熊田説明員 予算書で言いますと、給与其他諸費の中に入っておりまして、事業計画のほうに損益勘定給与其他諸費の中の雑給与という項目がございます。その中に入っております。
  22. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、予算総則で縛らないで、いろんな形で出されておるその給与総額は、一年間に一体幾らあるのですか。そうしてこの給与は、そうすると、——いま、こういうものも含めて給与総額に入るべきではないかと思っておったのですが、どういう根拠に基づいて、これは給与総額の外に出ることになっておるのですか。法律的根拠を明らかにしてください。
  23. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 基準内給与並びに基準外給与として総則給与総額の中に縛っております給与は、本来公社等職員が一般的に経常費として使用されるところの本俸なりあるいは暫定手当について制約を加えようという考え方のものでございます。その他の給与総額外に出してありますものは、先ほど説明申しましたように、退職手当のごとく、法律によって定められておる義務経費的なもの並びに公務災害補償の場合も同様に法律上の義務的な経費でございまして、その他特別嘱託のようなきわめて例外的な特殊な人々に対して支給される雑給与的なものを含めて計上する。この考え方は、基本的に申しますならば、公社の経常的な本来の職員に対する給与総額については、非常に金額的に大きいのみならず、基本的に団体交渉によってきめられるという性格を持っておるわけでございますが、こういったものにつきまして無制約団体交渉権を認めるということは、公社等性格から見て必ずしも適当でない、したがって、これらについて団体交渉の結果によって変更等を認める場合においても、一定制約を加える必要がある。そういう観点からつくられていると理解いたしております。
  24. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、給与総則にあるものは全部団体交渉対象になる、給与総則以外のものは団体交渉対象にならないといういまの答弁ですが、そうしたらこの特別嘱託給与というのは団体交渉ワク外になるということに大蔵省理解をしておるわけですか。
  25. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 特別嘱託の場合につきまして団体交渉事項からはずれるかという御質問でございますが、そういった場合に、現実の問題として交渉等が起こります場合においてそれを否定しているものではございません。ただ非常に大規模なものであり、かつ本来の職員について経営的人件費として考えなければならぬものについては、先ほど申し上げましたように、公社等性格から見て一定制約をきめておく必要がある。純理的に申しましたならば、先生ただいま御指摘のような特別嘱託についてもやはり基準内給与に入れる、あるいは給与総額に入れるという考えも成り立つわけでございますが、一般的には必ずしもその必要はないという観点からはずしてあるというふうに理解いたしております。
  26. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、前段の説明は、必ずしもそのとおりではない、要するに給与総額の外にあるものといえども団体交渉によってきまっておるものが現実にあるとするならば、その点はちょっと筋が通らなくなってくる。そこで、もう一つ、今度裏返して言うならば、給与総額定めのないものは団体交渉対象にはならないという理由はないということですね。その理由にはならないということははっきりしますね。大蔵省答えてください。
  27. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 給与総額以外に出ているものが絶対に団体交渉対象とならないということは考えておりません。ただ、事柄の性質によって法律上で定められているものについては、その定められている限度において団体交渉事項からはずれるというふうに理解しております。
  28. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、もう一つ、今度は労働省のほうにちょっとお伺いをいたしますが、前に労働省労働法規課長答弁をしておられますのは、このただいまのいろいろな問題はやはり給与であるから「純法律論的に申し上げますと、公労法第八条の規定にありますところの「賃金その他の給与」に該当するものと思います。」こういう答弁になっておるわけです。私はいま給与総額の問題を聞いておりますけれども公労法八条のいっております賃金及び給与なるものは、私は、退職金その他全体を含めてやはり賃金及び給与であるとここでは理解をしておる。法律ができましたときはそう理解しておった。これはなぜかというと、あとから退職手当法ができておるわけでございますからそう理解いたしておりますが、労働大臣のお考え伺いたいと思います。
  29. 大橋武夫

    大橋国務大臣 お説のとおりに私も了解いたします。
  30. 堀昌雄

    堀委員 労働大臣は、ただいま労働法規課長お答えになったとおりを確認をされました。そこで私は、これはこれまですでに逓信委員会でも御議論があったかと思うのでありますけれども、なぜ法律によらなければならないのかという積極的な理由をひとつ郵政大臣お答えをいただきたいと思います。
  31. 古池信三

    古池国務大臣 お答えいたします。  なぜ法律によるかというお尋ねでありますが、この国家公務員あるいは公共企業体職員退職金につきましては、御承知のように国家公務員等退職手当法によって規律されております。今回の特別給付金につきましても、国家公務員等退職手当法の中には規定はされておりませんけれども、今回の五カ年計画遂行に際しまして、当然出てまいりまする退職者に対する特別措置として、しかも十カ年という時限の性質のものであります。そういう関係から国家公務員等退職手当法に準じて法律をもって規定すべきものである、かように考えて、その立法措置をお願いしておる次第でございます。したがって、ごく狭く解すれば、国家公務員等退職手当法による退職手当ではないといえますけれども、内容からいいますと、性質は、やはりこれと同様の性質のものである、かように考えて、これはやはり法律規定すべきものである、こう考えておる次第であります。
  32. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、裏からお伺いをいたしますけれども法律でなければならないという理由を、私いまの答弁理解できないのです。法律でなければこれが支給できないのだという理由を私は聞いておるわけです。ですから裏返していいますと、法律以外には出してはならないという何か規定があるかどうかということです。要するに私は、いまの労働大臣お答え考えながら、やはりこれも賃金及び給与の中には入る、給与総額の中には入ってないけれどもこれは賃金及び給与以外のものではないと思っておるのです。だからその中に入っておるものをここで団体交渉でやってはなぜいけないのか、いけない理由お答えいただきたい。これは法制局でなく、郵政大臣に伺っておる。
  33. 古池信三

    古池国務大臣 これは先ほどもちょっと触れてお答えいたしましたが、要するに、給与団体交渉によってきめるということが公労法規定にありますけれども国家公務員等につきましては法律によって規定されておる。今回の措置もこの国家公務員等退職手当法と同趣旨のものであるから、これはやはり法律できめるべきものである、かように考えておる次第であります。
  34. 堀昌雄

    堀委員 きめるべきであるということと、要するに団体交渉でやってはならないということは、私、差があると思うのです。その団体交渉でやってはならないという積極的な根拠を明らかにしていただきたいわけです。あなたのほうの、きめるべきであるということは、要するに表からきておるわけですね。やってはならないというやはりその欠格がなければ、当然そこでは正当ということになるわけです。やってはならないという条項が一体どこにあるのかを私はいま伺ったのです。もう一ぺんお答え願います。
  35. 古池信三

    古池国務大臣 国家公務員の一般の退職手当法律規定されておりますから、団体交渉できめても無効であります。今回の特別給付金については同様と考えまするから、かりにこれを団体交渉できめましても、やはりそれは無効になるべきものである、ということは、立法事項でやらねばならないものである、こういうふうに考えております。要するに、国家公務員等退職手当法特例事項である、かように考えます。
  36. 堀昌雄

    堀委員 私はいまのお話を納得できません。すでに法律のできたものについては、これはもうともかくはずれておるのでしょう、これは法律があるのですから。いまこの法律がないのですよ。法律がない時点でこれを出そうというときに、団体交渉事項にしてはならないという規定がどこかにあるならこの規定を明らかにしなければ、それはあなた方が特例と思うだけのことで、何もまだきまらないわけですから、これは別に特例がないということになる。そこで私が伺っておるのは、要するにいま法律に制定されておるものは事項でないでしょう。しかし、事項でないものをこれからつくる場合には、これは白紙の上でものを考えるわけですから、そうすると、それをしてはならないという積極的な根拠がなければ、自分たちはしたいんだというふうに私は理解をせざるを得ない。こういうふうになるわけです。いかがでしょうか。法律的根拠伺いたいのです。何条何項に基づいて法律にしなければならぬということを伺っておるわけです。
  37. 古池信三

    古池国務大臣 これは法律の何条によるという意味ではなく、すでに成立しておりまする国家公務員等退職手当法と同様のものであるから、やはり同様の法律制定によって行なうべきものであり、そうせざるを得ない。法体系からいいましてもそうである。かように考えております。
  38. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいま郵政大臣からお答えがございましたとおり私ども理解しておりますが、やや補足して申し上げますと、現在提案されておりまする法律の問題は一応別にいたしまして、国家公務員等退職手当法によりまして、国家公務員あるいは三公社職員一定条件を満たしまして退職をいたしました場合、この法律の第三条以下の規定によりまして退職手当が支給せられるわけでございますが、先ほどお答え申し上げましたように、公共企業体等労働関係法第一条第一項の規定によりまして、本来は退職手当団体交渉対象になり得ると考えておりますが、国家公務員等退職手当法がございまするので、その第三条以下に規定してございます条件でございますとか、あるいはまたそれに対して支給せられます退職手当の額というものにつきましては、法律規定がございますので、それについては団体交渉を行なう余地がない。これは学界の相当の学者もそういう説を唱えておるような現状でございまして、一例として申し上げますならば、退職手当の額については団体交渉余地がないということに相なっております。したがいまして、今度の法律のことを別にいたしまして、団体交渉によって今回の給付金のような一定の額を退職手当として支給するようなことは、団体交渉対象にならないということに相なると思います。これを裏返して申し上げますならば、国家公務員等退職手当法による退職手当以外に、退職手当と同一の性格を有する給付をいたしますためには、今回のような国家公務員等退職手当法特例たる性格を有する法律をもって規定することが正しいというのが私ども考えでございまして、先ほど郵政大臣からお答えがございましたのも、そういう趣旨であると思っております。
  39. 堀昌雄

    堀委員 大体憲法は、私たちにともかく法律によって問題を処理することを指示しておりますし、そうすると、何か根拠がなければ、あなたのおっしゃったようなそれに類しておるということで問題が何でもやれるということになると、私はたいへんなことになるんじゃないかと思うのです。だから、やはり何らかの根拠が明らかになるべきじゃないか。きわめていまの答弁に私は不満でありますけれども、いろいろと伺いたいことがございますから次に進みます。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して。もう一度伺いますが、さっき吉國さんは国家公務員等退職手当法の第三条とおっしゃったですね。第三条の場合は普通退職の場合でしまう。これでやろうとするのは普通退職でないでしょう。だからあなたのおっしゃるように、この国家公務員等退職手当法の第三条でいうところの退職でないですよ、これは。
  41. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほどお答え申し上げました中で、国家公務員等退職手当法第三条以下と申し上げましたのは、第三条以下において退職手当規定がずっと設けられておるということを申したわけでございまして、今回日本電信電話公社職員退職する者に対しましては第五条の二の規定によりまするし、それからいま御質疑の中にございましたように、第三条は普通退職の場合の規定でございます。第四条は長期勤続後の退職等の場合の規定でございますし、第五条は、さらに整理退職等の場合の特別な退職手当規定でございます。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 三条以下とおっしゃったですな。これは普通退職から特別退職に至るかっこうがあるわけですな。この場合には、この整理によるという五条である、こういうことなのですか。
  43. 吉國一郎

    吉國政府委員 今回相当の場合は第五条に当たるものと考えております。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると整理退職ということですね。そういたしますとこの法律は、聞くところによると首を切るものではない、あるいは退職を勧奨するものでもない、あくまでも自発的に退職を届け出たものに対してこれを適用するんだというような説明が前になされたと思うのです。それが五条整理による退職と同じ退職になりますか。もしそうだとするならば、これはあくまでも整理に伴う退職である、こういうことになるわけです。そうすると、いままで答弁をしてきた、この法律は別に解雇するものではない、あるいは退職を勧奨するものでもない、あくまでも自己の意思によって退職する者にこういう手当を与えるのだということと矛盾してきますね。五条退職ですか。
  45. 吉國一郎

    吉國政府委員 第五条規定は、見出しに「整理退職等の場合の退職手当」と書いてございますが、その整理退職等の中に入るのでございまするが、ちょっと第五条の条文を読み上げますと、「定員の減少若しくは組織の改廃のため過員若しくは廃職を生ずることにより退職した者、」が一つと、「公務上の傷病若しく死亡により退職した者、」さらに「二十五年以上勤続し定年に達したことにより退職した者又はこれに準ずる理由その他その者の事情によらないで引き続いて勤続することを困難とする理由により退職した者で政令で定めるもの」それまでが大きな一つでございまして「並びに第二条第一項第二号の職員業務量減少その他経営上やむを得ない理由により退職したものに対する退職手当」ということになっておりまして、今回の場合はその「業務量減少その他経営上やむを得ない理由により退職したもの」ということで取り扱うように相なっておると日本電信電話公社等からは聞いております。と申しますのは、先ほどお答え申し上げましたが、国家公務員等退職手当法定められておる事項につきましては団体交渉余地がございませんが、法律定められております事項一定の幅を持っておる場合、額等につきましては、これは交渉余地がございませんが、一定の認定を要するような事項につきましては、Aという場合がこれこれの法律規定してある場合に該当するかどうかというような認定の方法等につきましては、団体交渉余地もあるというのがこの法律の解釈でございまして、そのようなことから長期勤続して退職した者に対する退職手当をいかにするかということにつきまして若干の協約も結んでおるようでございます。そういうような中でも、この第五条経営上やむを得ない理由によって退職したものとして取り扱うようになっておると記憶いたしております。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 これは郵政大臣にお伺いしますが、いままであなたのほうは、本法によって退職する者、これは整理をするものではない、解雇するものではない、あるいはやめなさいということを勧告なり勧奨するものではない、あくまで自発的に、自分の意思によって届け出たものに限りこれを適用するんだ、こういうような説明をしてきたんじゃないですか。その場合に、いま吉國さんの言った第五条整理等と等があるから逃げられるかしれませんが、いわゆる整理退職と同じ退職考えられておるのですか。
  47. 古池信三

    古池国務大臣 私ども考えは、この場合に特に勧奨をしたりあるいは本人がいやであるというのに無理にやめてもらうというようなことはいたさないのでありまして、あくまで本人の自発的な意思に基づく退職考えております。ただし平素の場合に該当するものではなく、今回の電話の自動化に伴って過員を生じ、その際に自発的に退職する方に適用さるべきもの、こういうふうに考えております。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 いま郵政大臣が答えたいわゆるこの場合の退職と、吉國さん、あなたが言う五条退職とは同じですか、条文をもって示してください。
  49. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほど五条整理退職等の場合の退職手当についてお答え申したわけでございますが、この場合の退職と今度の給付金法の退職とが同じか違うかというお話でございます。これは現在与えられております職を退くという意味におきましては全く同じでございます。ただ、ここでちょっとつけ加えさせていただきたい点がございますが、今度の給付金法の給付のしかたでございますが、一定の申し出をしまして法定の要件にかなっているかどうかということについて認定を受けまして、それならよろしいということで、今度はほんとうに退職の意思を表明した人に対して給付金を支給するという意味において自発的な措置であるということでございまして、第五条の「業務量減少その他経営上やむを得ない理由により退職したもの」として扱うということはまた別の問題ではないかと思っております。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 いまあなたがおっしゃったように、先ほど言った五条による退職とは違うのでしょう、違うならばこの国家公務員等退職手当法そのものずばりの適用じゃないのでしょう。
  51. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいまの答弁の前半において申し上げましたように、退職ということにつきましては、国家公務員等退職手当法も今回の法律も全く同じ事実をつかまえて退職と言っておるわけでございます。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 職を退く、文字どおり退職、しかしその退職退職手当自体いろいろと種類をあげて、普通退職から特別退職に至る数種の退職の方法を書いておるのでしょう。ところが、あなたは先ほど国家公務員等退職手当法に定まっておるのだから団体交渉余地はないという法律解釈を下したでしょう、ところがそれは何条だと追い詰めると、五条による退職だと言った、しかしいまは、あなたは五条による退職ではないと言った、そうすると国家公務員等退職手当法と今回の退職との関係はどうなるのです。そうじゃないでしょう。
  53. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほど国家公務員等退職手当法法律として定められておりますので、国体交渉対象にならないということにつきまして御説明申し上げましたが、その点を、重複いたしますかもしれませんが、ややふえんして申し上げますならば、国家公務員等退職手当法の第一条にこの法律趣旨規定いたしておりまして、「この法律は、国家公務員等退職した場合に支給する退職手当の基準を定めるものとする。」ということをうたってございます。このように国家公務員あるいは三公社職員退職した場合には一定退職手当と呼ばれる給付を支給するわけでございますが、その退職手当はこの法律によるものであるということが規定されておるわけでございます。したがいまして、今回の法律にありますように、国家公務員等退職手当法による額とは別に、さらに加えまして特別な給付をなすことは、これは団体交渉余地がない、したがって法律によることが必要であるということを先ほど申したわけでございます。その場合に、国家公務員等退職手当法第一条に「退職した」という文字を用いておりますが、その退職と、今回の特別給付金法の第一条あるいは第三条等にございます退職と申しますのも、これは現に職にある者がその職を退くという意味におきましては、全く同一の法律上の事実をさしておると解すべきでございまして、その点につきましては問題はないと思います。  それから第五条の問題でございますが、第五条規定は、先ほど田中委員も仰せられますように、普通退職の場合の退職手当特例といたしまして一定の高い割合の退職手当を支給するわけでございます。その特別な退職手当を支給する場合の規定といたしまして第五条が存在するわけでございますが、その中の「経営上やむを得ない理由により退職したもの」という取り扱いをいたしますならば、たとえば一年以上十年以下の期間につきましては、普通退職の場合でございますれば百分の百でございますが、これは百分の百五十になるわけでございまして、そのような取り扱いを弟五条においてやることを認めておりまして、そのように「経営上やむを得ない理由による退職したもの」としてやや高い退職手当を支給するような取り扱いをいたすように相なっておるということを申し上げたわけでございまして、今回の法律による退職国家公務員等退職手当法にいう退職とはその間差はないというふうに考えております。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 少し答弁を長くやってごまかそうとしておるような点がありますね。この退職国家公務員等退職手当法五条による退職かと私が聞いたら、あなたは違うと言ったんです。それとも同じなんですか。それじゃもう一度角度を変えて聞きますが、国家公務員等退職手当法五条退職はどんなものですか。これは勧告なんかも含むのでしょう。
  55. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほど来申しておりますのは、第五条整理退職等の場合の退職手当を支給するということをお答え申し上げておるつもりでございます。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 この電話設備拡充に係る云々という法律による退職と第五条による退職とは同じ退職か、こう聞いておる。あなたは違うと言ったでしょう。
  57. 吉國一郎

    吉國政府委員 同じものであるということをお答え申し上げております。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 答弁最初は一緒だと言って、次に違うと言って、また一緒だ、こうきたのですが、これは議事録を調べてもう一度はっきりと答弁をした内容を調べて質問を続けなければ、こういうように違うと言い、あるいはまた一緒だと言う、こういう答弁をしてもらうと——私は関連質問ですからあらためてやりますが、こういう質問は続けられません。  それでは言いますが、国家公務員等退職手当法と労働基準法とは同じような性格ですか違いますか。法律上の性格は……。
  59. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほどの点につきまして一言申し上げたいと思いますが、第五条退職と同じか違うかという御質疑でございますが、先ほど来私が申し上げましたのは、第五条には整理退職等の場合の退職手当というものを全部ひっくるめて規定いたしてあるわけでございます。それをいろいろ分けまして一応御説明申し上げたつもりでございますが、第五条の中の経営上やむを得ない理由によって退職したものに対する退職手当として取り扱うということを申したわけでございまして、第五条のすべての場合に今回の場合が当たるということにはなりませんので、第五条退職とは違うということは申しておりませんが、第五条整理退職等の場合の「等」の中の経営上やむを得ない理由によって退職したものであるということを申したつもりでございます。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 労働基準法との関係はどうです。
  61. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほど来申しておりますように、公共企業体等労働関係法の第八条におきましては、賃金その他の給与団体交渉対象になるということをきめておりますので、何も規定がございません場合には、当然団体交渉によってきまるべき事項であると考えております。現在は国家公務員等退職手当法がございまして、国家公務員等退職した場合に支給する退職手当の基準はこのとおりであるということをいっておりますので、それにつけ加えまして、特別な給付をいたしますには法律を要するということを再三申し上げたわけでございます。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 五条の何々等の「等」に入るということのようでありますが、私が、育っておるのは、第五条退職は、もちろんこの場合と同じように、組織が変わったとか設備が変わったとかによって冗員を生じた場合というところは一緒だ、だが今回の場合は退職を勧告するとか、あるいは一方的に解雇することは絶対にいたしませんと言っておるのでしょう。ただ本人の申し出によって、それがこの法律定める、あるいはこれに基づく政令で定めるところに合致するかどうかをきめて、合致するならばこの法律の特別な手当を支給するということでしょう。したがって、五条の場合は組織が変わったとか設備が変わったとか等によってやめなさいということを勧告することを含んでおるのでしょう。だから性格の上において違うでしょう。
  63. 吉國一郎

    吉國政府委員 国家公務員等退職手当法の第五条特例退職手当を支給する場合でございますが、これはただいま田中委員仰せられましたように、勧告いたす場合もございますし、勧告によらないで退職する者に対しましてこのような特例給付を支給する場合も多々ございます。今回の場合はその後の場合でございまして、給付金法によって特別の給付金を支給いたしまする対象たる退職者が決定するわけでございますが、その決定に至ります動機といたしましては、あくまで本人の自発的意思に従って給付をするということを、先般来逓信委員会におきましても、郵政省及び日本電信電話公社からお答え申し上げておるわけでございまして、この第五条経営上やむを得ない理由によって退職したものに対する退職手当として特例退職手当を支給する分も、勧告によらないほうの場合だと私ども考えております。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 退職手当法五条の一番前段にある退職だと、こう言ったでしょう。そして問い詰めていくと、この場合でもいわゆる勧告による場合とよらざる場合がある、今回の場合は、そのよらざるといういわば五条から言うならば例外のほうなんです。よらざるというのはそうじゃないですか。五条を三条よりか、すなわち普通退職よりか多い退職金を支給するとしたことは、おそらくはそこに勧告等があってやられるということが前提になっているでしょう。したがって、今回の場合は、逓信委員会等で何回も政府当局が答弁をしているように、絶対本人の意思に反しては退職をさせない、あるいは勧告をしないというのとは、おのずから性格が違うでしょう。
  65. 吉國一郎

    吉國政府委員 第五条退職手当を支給いたします場合におきまして、勧告をいたす場合と勧告をいたさない場合と両方あるということを先ほど申し上げまして、今回の場合のように、法律趣旨から考えましても、当然一定の慫慂に基づいて退職するということを前提にしておらないということは、先ほど来申し上げておるとおりでございますが、第五条の場合につきましても、必ずしも勧告が前提であるというようには法律上は考えておりません。もちろん勧告のある場合もございますし、慫慂によらないで退職する者に対しましても、第五条退職手当が支給せられるというふうに考えております。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 国家公務員等退職手当法第三条の退職五条退職の率等が違っておるのはどういうわけです。それで第三条の普通退職というのはどういうのですか。
  67. 吉國一郎

    吉國政府委員 第三条は一定期間継続して勤務したということのみに対しまして退職手当を支給するわけでございまして、第五条はここに規定がございますように、先ほどいろいろ御説明申し上げましたが、そのような事態が、当人が一定の期間以上継続して勤務したということのほかに、国家なりあるいは三公社なりの経営上のいわば利益に合致するという二つの要件を満たした場合に、特別な退職手当を支給するということでございます。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 どうもおかしくなったのですが、この五条退職、いま言っておる、最初に書いてある、あとたくさんのことは要らない、ただ組織の改廃とか設備の云々ということにしぼるのですが、その場合の退職と今回の退職とは一緒だということですね。これは退職したる者という書き方でしょう。こちらは本人の届け出による、片一方は退職したる者、こういう書き方は同じものですか。あまり三百代言のような——しかも法制局は政治的な解釈はやめなさい、あくまでも法律家として、真実に基づいてやりなさい。
  69. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほど来申し上げておりますのは、第五条の「定員の減少若しくは組織の改廃のため過員若しくは廃職を生ずることにより退職した者」以下いろんな条件規定されておりますが、私が申し上げましたのは、経営上やむを得ない理由によって退職したものとして第五条退職手当を支給するということでございます。今回の場合は、この「定員の減少若しくは組織の改廃のため過員若しくは廃職を生ずることにより退職した者」として第五条退職手当を支給するというようには考えておりませんし、先ほど来私が申し上げましたのも、この経営上やむを得ない理由によって退職したものとして取り扱って特例退職手当を支給するということを申したわけでございます。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 いまあなたがおっしゃった経営上やむを得ない退職ということは、どういうことなんです。自分の意思によって退職する場合、これなんですか。経営上やむを得ないというところは、こういうわけだからやめてくれませんかとか、あるいは解雇するとか、こういうことでしょう。今回の場合と違うでしょう。
  71. 吉國一郎

    吉國政府委員 今回の場合が経営上やむを得ない理由によって第五条の特別の退職手当が支給せられますという理由でございますが、今回の法律の第一条にも書いてございますように、日本電信電話公社の累次の拡充計画によりまして、加入電話等にかかります公衆電気通信役務に対する需要が非常に急激に増加してまいりまして、電話設備拡充改善を日本電信電話公社が急速かつ計画的に行なわなければならない、そのために電話交換方式自動化実施してまいるわけでございまして、その間に電話取扱局において非常に多数の電話交換要員が一時的には過剰になるという事態がございます。そのような事態に対応いたしまして、このような過剰になる電話交換要員の退職について特別の給付金の支給をいたしまして、退職の円滑化をはかろうということでございます。そのような意味で、積極的にその過剰となる要員の退職をいわば一方的に実施するということでございますならばこれは問題でございますけれども、この法律のあとの規定説明でいろいろ申し上げましたように、あくまで自発的に退職の申し出をしてもらいまして、その退職の申し出があった者の中から一定の基準によりまして認定をいたしまして、その認定をした者に対して特別な給付金を支給するということでございます。そのようにして退職をした電話交換要員というものは、この国家公務員等退職手当法の第五条にございますように、経営上やむを得ない理由によって退職したものという字がございますか、先ほど来申しておりますように、電話設備拡充を急激に行なうために電話交換方式自動化実施せられる、そのような日本電信電話公社経営上の必要にまさに合致するということから、経営上やむを得ない理由によって退職したものとして取り扱って、第五条の高いほうの退職手当を出すということを申し上げたつもりでございます。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 第五条の場合に、退職という間に認定という余裕がございますか、第五条の解釈から認定をするということが出てきますか。今回の場合は退職届けを出して、それが基準に合致するかどうかを認定するのでしょう。性格上同じ意味退職になりますか。広い意味の広義の退職としては一緒でしょう。しかし狭義の意味において退職ということで一緒になりますか。いろいろ退職には狭義の場合違うということを前提として、国家公務員等退職手当法は三条以下に、あなたが言うようにいろいろの場合の退職の形式を書いておるわけなんです。ところが今回の場合は、国家公務員等退職手当法の三条以下に定めるところの退職とは違う退職じゃないのですか、だからこそ違った手続を要請しておるのと違うのですか。
  73. 吉國一郎

    吉國政府委員 国家公務員等退職手当法退職といっておりますのは、今回の電話設備拡充に係る電話交換方式の、自動化実施に伴い退職する者に対する特別措置に関する法律のこの題名、あるいは第一条、第三条等に退職といっておりますのも、全く同じ意味であると私は解しております。ただ、たとえば田中委員御指摘になりましたように、第三条の退職と第五条退職とは違うではないかというようなことで、その退職の際のその者の具備しております条件と申しますか、そういうような形で分類をしてまいります場合には、三条の退職普通退職でございますし、第五条はこの法律でも整理退職その他の退職ということで退職の種類を分けておるわけでございますが、今回の場合は、先ほど来何回も申し上げましたように、第五条経営上やむを得ない理由によって退職したものという取り扱いをいたすということでございまして、その退職要件等につきましては、この法律国家公務員等退職手当法による退職とは違いはないということを申したつもりでございます。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 いままで逓信委員会で何回も、本法による退職はあくまでも本人の意思を尊重いたします、勧告ないし一方的な退職はやらさぬ、こう答えたのでしょう。五条の場合は、大体吉國さんはああいう答弁をしておるけれども、この法の精神はやはりはみ出た者をやめなさいというときの退職ですよ。だから、あなたのほうでは、第五条退職と本法の退職とは同じものだと考えてこの法律を出されたのですか、どうですか。
  75. 増森孝

    ○増森政府委員 お答え申し上げます。  従来私どものほうでやっておりましたのは、第五条手当を支給しておったのでございます。ところで、この「定員の減少若しくは組織の改廃のため過員若しくは廃職を生ずることにより退職した者」こういう場合に、私どものほうとしまして、従来やめろというような勧奨はあまりしておりません。現実問題としてはしておらないのであります。それから今度の場合の特別法でも、毎度申し上げておりますように、私どもとしましては自由意思を尊重していきたい、こういうふうに存じております。  範囲でございますけれども、実際問題から申し上げたほうがいいかと思いますので実際問題から申し上げますと、今度の特別給付金を支給される者は第五条退職手当をもらうのか、第三条の手当をもらうのか、第四条の手当をもらうのかという問題が出てまいりますが、私どもとしましては、第五条退職手当も支給いたしますし、なおかつ特別給付金も差し上げたい、こういうふうに思っております。それでどういうふうに違うかと申しますと、第五条のほうでは今度の特別給付金の支給条件よりも多少広いのじゃないか、今度の特別給付金法案のほうは条件等が五条よりも狭い、こういうふうに考えております。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 五条よりも狭いとか広いとかということですが、どうもぴしゃっとした答弁がないようですね。本法でいう退職は第五条でいう退職と同じかと聞いておるのです。
  77. 増森孝

    ○増森政府委員 特別給付金を支給される者に対して第五条退職手当も支給される、こういうことであります。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 この場合、この資料にもあるように、第五条による退職手当プラス特別給付金でしょう。だから同じだ、こういうことですか。
  79. 増森孝

    ○増森政府委員 お答え申し上げますが、シビアに言えば、第五条に該当すると申したほうがいいかと思います。一
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 シビアに言わなかったらどういうことになるのですか。
  81. 増森孝

    ○増森政府委員 該当するから出す、こういうことでございます。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 第五条に該当するのでまず五条による退職手当を出す、それにプラス今回に限り特別給付金を出す、そういうことなんですね。そういたしますと、先ほどから言っていますように、五条による退職には、おそらくこれをきめたときには退職勧告等も頭にあるからこそ特に率をよくしたのではないか。今回の場合は、あなた方が何回も弁明しているように、絶対に勧告とかあるいはまた一方的にはやらないのだ、本人の意思を尊重する、こうでしょう。この意思を尊重するというこの考え方による退職、それと第五条でいう退職とが同じか、こう聞いておるのです。
  83. 増森孝

    ○増森政府委員 お答えいたします。  第五条でいままで適用しておりますのは、実際問題としまして自由意思を尊重してやっておるのでございますから、先生の申されるように第五条即勧奨ではないかというようなことには相ならないかと思います。
  84. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 私ども国家公務員退職手当法の主管官庁といたしまして、この法案制定の際にいろいろ御相談を受けた関係もございますので、五条との適用関係を補足的に御説明をさしていただきたいと思います。  先ほど先生から御質問ございましたように、三条、四条、五条というのが国家公務員退職に際して支給される退職手当の基準を定めているわけでございますが、その中で、五条については本来勧告が前提となっているのではないか、そういったケース以外には九条は適用がないのではないかというふうな御議論も拝見をいたしたわけでございますが、ただ、五条考えております考え方は、そこにも書いてございますところから明らかとなると思うのでございますが、客観的に組織の改廃なりあるいは定員の過剰が生じた場合においておやめになった場合には、退職手当を割り増しをするという考え方でございまして、その前提として、勧奨がなければならない、勧奨が要件であるというふうにはなっておらないわけでございます。したがいまして、このことは、逆に申しますならば、五条で政令で規定している場合というのかございますが、勧奨を明らかに規定しておりますのは、政令第四条第二項第一号「二十五年以上勤続し、その者の非違によることなく勧しょうを受けて退職した者」この場合については明らかに勧奨ということを要件にいたしておりますが、それ以外の場合について、過員を生じた場合に、過員として該当すればいいわけでございまして、そのおやりになる手続が勧奨によるか、そうでなくて自由意思によるかということは、五条の要件になっていないわけでございます。そこで、その前提におきまして、先ほど特別措置がどういう立場になるかということでございますが、これは明らかに五条特例である。五条特例であるというのは、さらに、国民経済的要請にこたえるという特殊の加重要件を前提といたしまして、五条の上にさらに特別の給付を行なうという考え方でございます。
  85. 加藤常太郎

    加藤委員長 関連質問でもありますし、まだあとの同僚委員の方もありますので、なるべく要領を得て、簡潔にお願いします。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 答弁がぴっしゃりやってくれぬからです。この五条ですね。五条による退職と今回の退職とが同じだ、こういう上に立って特に今回は特例を設けるのだ、こういうことでありますが、五条でいう、定員の減少もしくは組織の改廃のため過員もしくは廃職を生じたるときと今回の場合と、その原因は一致するのですか、違うのですか。
  87. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 五条の解釈につきまして私ども責任を持っておるわけでございますので……。少なくとも、五条の場合におきましては、五条の場合に該当すると私ども考えております。
  88. 田中武夫

    田中(武)委員 五条の場合に該当するということで、なおこの特例法を出した根拠はどこですか。この法案を出したところが言え。
  89. 増森孝

    ○増森政府委員 お答えいたします。  第五条では「定員の減少若しくは組織の改廃のため過員若しくは廃職を生ずることにより退職した者」こういうふうに規定してございまして、実は詳しく申し上げますと、定員の減少ということは、私どものほうの郵政省としましては、大きな定員というのはございますけれども、小さな郵便局……(「シビアとか、大きいとか、小さいとか言うなよ」と呼ぶ者あり)これは現実問題、事実問題を御説明しておるのでございまして、郵便局段階では定員が実はきめられておらないのであります。したがいまして、第五条どんぴしゃりというわけにはいかないのでありまして、かたがた第五条だけでは不十分であろう。そこで法案の第一条に書いてございますように、一時に多数の過員が生ずるということ、それから自動化が国民的要請であるといったような事柄から、特別に第五条のほかに特別給付金を、額を上げて支給しよう、こういう趣旨で法案を提出しておるわけでございます。
  90. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっとここで整理したい。法制局とか大蔵省等の見解は、第五条による退職と変わらないのだ、したがって本法は国家公務員等退職手当法五条特例をなすものであるという答弁です。ところが、郵政省の答弁はどんぴしゃりではない。ここで政府機関内における答弁の食い違いが出ております。今後これをどう取り扱うかは、一時休憩をして、三つの委員会で、理事会できめていただきたいと思います。
  91. 増森孝

    ○増森政府委員 先ほどの第五条お答えしましたのはちょっと間違っておりましたので、取り消さしていただきます。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 提案したところの主管省が間違っていて、はたの法制局とか大蔵省の言ったことが正しいなんて、そんなばかなことはないですよ。
  93. 加藤常太郎

    加藤委員長 この際古池郵政大臣より発言を求めておりますので、これを許します。
  94. 古池信三

    古池国務大臣 私からお答えいたします。ただいま法制局大蔵省とも打ち合わせました結果、お答えいたします。  今回の退職は、組織の改廃による退職あるいは業務量減少その他経営上やむを得ない理由による退職でございまして、いずれの場合も第五条に該当するものと考えます。
  95. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、いずれの場合も五条による退職である、そこで今回は特に特別給付金をつけるのだ、そういうことですね。
  96. 古池信三

    古池国務大臣 そのとおりでございます。
  97. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、この法律国家公務員等退職手当法特例であるということについて、何か特に法律にうたってあるところがありますか。あるいはまた、電話設備拡充に係る云々という長たらしい名前でなく、あるいは国家公務員等退職手当法特例に関する法律、これでもいいわけですか。
  98. 古池信三

    古池国務大臣 お答えいたします。  国家公務員等退職手当法特例であるということは、今回の法律の中に明文はございません。しかし趣旨はそういう趣旨でございます。なお、法律の名称について、こういう長たらしい名称を避けて、国家公務員等退職手当法特例に関する法律としてはどうかということは、御意見としてはそういうことも言い得るかと思いますが、しかし今回の場合は、ただもっぱら電話の交換業務が自動化されるというきわめて特殊な場合に限っておりますし、したがって、その事柄を明白にする意味において、法律にさような名称を使ったようなわけでございます。
  99. 田中武夫

    田中(武)委員 法案のうしろについている理由を見ましても、いわゆる国衣公務員等退職手当法特例であるということは全然うたってないのです。特別法であるなら、その母法との関係を何らかどこかでうたうべきじゃないですか。それが全然うたってないのですね。しかもあなたはいま電話の自動化による特殊の事情による、こう言ったのでしょう。そういう特別の事情による退職でしょう。五条でいうこの退職とどんぴしゃりじゃないでしょう。そうじゃないですか。
  100. 古池信三

    古池国務大臣 理由の中には、特例ということは特に掲げてはおりません。またかような限定された特殊の場合に限っておるのであるから、これは五条とは別ではないかという趣旨のお尋ねと存じますが、なるほど先ほど申し上げましたように、今回の措置は、かようなきわめて限定された場合でありますけれども、どの範疇に入るかといえば、やはり五条の範疇に入るものであろう、こう考えております。
  101. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたは逓信委員会では、特例法律案という、的ということを言っているそうだ。特例特例的とはどんなに違うのですか。
  102. 古池信三

    古池国務大臣 そのときのことをちょっと忘れましたが、私は的ということばにそれほど重大な意味を付して申し上げた答弁ではございません。
  103. 田中武夫

    田中(武)委員 関連ですからあらためてまたやりますが、何回か答弁が変わっております。いま郵政大臣答弁をしたことをもって政府答弁だというふうに言われるかもしれませんが、それも私は逓信委員じゃありませんから、逓信委員会でおっしゃったことは全部聞いておりませんので、そういう議事録が全部でき上がりまして、なお比較検討してから、あらためて質問をすることを保留いたします。委員長いいですか。
  104. 加藤常太郎

    加藤委員長 合同審査ですから、保留いたしましても、時間の都合、議事の都合上、もう一度やれるかやれぬかは、理事のほうと相談をしまして…。
  105. 田中武夫

    田中(武)委員 五条との関係がまだ明確でないということが一つ、それを明確にするために、関連質問でもあるから保留しておきます、こう言ったのです。それからなお、逓信委員会の議事録等読まないと、いままでどういうように答弁してこられたか私わかりません。いまちょっと話を聞くと、的とかなんとかいうことを言われたそうた。そういうことについて一応議事録を読んでから、どうおっしゃったかということで、逓信委員会での発言とここの連合審査における発言とが食い違っているかどうか、これを調べた上でやりたい、こう申し上げておるわけなんです。
  106. 加藤常太郎

    加藤委員長 田中君の御意思はよくわかりますが、議事の進行上、あとでまた当委員会の理事会等で相談してきめることにいたします。
  107. 田中武夫

    田中(武)委員 最後に一つだけ、ついでですから尋ねておきますが、吉國さん、国家公務員等退職手当法と労働基準法とは、法律的にいって性格が違いますか、こう聞いておるのです。
  108. 吉國一郎

    吉國政府委員 国家公務員等退職手当法と労働基準法との性格の相違ということでございますが、国家公務員等退職手当法退職手当に関する規定でごさいまするし、労働基準法は労働条件一般につきまして非常に広く基準を定めておりますので、もしも労働基準法の特定の規定国家公務員等退職手当法との関係についておただしいただければ、もう少し的確なお答えができると思いますが、簡単に申し上げますと、労働基準法は、給与とか特に解雇の場合の規定等を考えましても、これは最低の基準をきめたものである。ところが国家公務員等退職手当法退職手当一定の額をきめたものであるということに、しいて違いを求めまするならば相なるかと思います。
  109. 田中武夫

    田中(武)委員 私の問わんとするところは、あなたは先ほどこの国家公務員等退職手当法できまっておるので、団体交渉対象になる余地はないと答えた。ところが、この第一条は退職についての基準となっておる。労働基準法は労働条件についての基準なんです。労働基準法できめてあるから、労働条件については団体交渉対象とはならないとは言えないでしょう。ところが、ここで退職手当法できめられておるから団体交渉対象にならないと答えたことについて、基準法との関連、法律性格、それを聞いているわけなんですよ。
  110. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほどお答え申し上げました中でも申し上げたつもりでございますが、国家公務員等退職手当法できまっております事項につきましては団体交渉対象にならない。公共企業体等労働関係法では、第八条一号に、賃金その他の給与団体交渉対象となし得るという規定がございますが、国家公務員等退職手当法では、一定条件をもって国家公務員等退職をいたしました場合には、先ほど来いろいろ御議論のございました第三条以下の規定によりまして一定額の退職手当が支給されるわけでございます。したがいまして、その一定額については、もはや団体交渉余地がないということを申し上げたわけでございます。その意味におきまして、先ほどお答え申し上げましたように、労働基準法は労働条件の最低の基準を保障いたしまして、少なくともこれ以上でなければならないという規定趣旨であることは、これはもう学界の通説であろうと思いますが、その意味において両者が性格を異にするというふうに理解をいたしております。
  111. 田中武夫

    田中(武)委員 退職手当法の第五条退職ではあるが、特別なものである。こうはみ出したんですね。そうすると、これは公労法八条による団体交渉対象になる。いかがですか。対象になる。五条どんぴしゃりでなくて、いま郵政大臣が答えたように、五条退職ではあるが、もっとはみ出したものである、特に今回の場合は、ということです。だから、あなたが五条できめられておるから団体交渉対象にならないと言うんだけれども、はみ出しておるところがあるのです。それは対象になる。どうです。
  112. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほど郵政大臣お答え申し上げましたのは、第五条の要件に、定員、組織の改廃等の規定がしてございますが、その規定に該当するものであるから、第五条特例退職手当は支給されるということでございまして、そのような条件を具備して、第五条退職手当が支給される以外に、さらにこの給付金法によります条件をも同時に満たしておるというものに対して、この特別な給付金が支給されるわけでございまして、その意味で第五条退職手当の支給の対象になる場合でも一あるということを申し上げたつもりでございます。その意味で、国家公務員等退職手当法によるものの例外であるということでございます。
  113. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃこれでおきますが、だからこの国家公務員等退職手当法できめてあるから、団体交渉対象にはならない、団体交渉をやる余裕はない、こういうことばを使ったですね。これは間違いである。これだけ確認して終わります。
  114. 堀昌雄

    堀委員 労働大臣にお伺いをいたしますけれども公共企業体等労働委員会が出します命令書というのがございますね。公共企業体等労働委員会が出します命令書というものは、どの程度の権威のあるものか、お伺いいたします。
  115. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まことに不勉強で申しわけありませんが、そのいまの命令書というものを、私要旨を承知いたしておりませんので、一応事務当局から申し上げます。
  116. 青木勇之助

    ○青木説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問の命令というのは、不当労働行為の命令と存じますが、不当労働行為の問題につきましては、当該事件について公労委が具体的判断をいたしまして、当該事件についての具体的判断としての効力を持つわけでございます。したがいまして、その効力いかんということに相なりますれば、当該事件についての判断ということに相なります。しかしながら、同様の事件が将来出てまいりますれば、公労委にそういう事案が係属いたしました場合、公労委というものは、かつての命令というもの等をも参酌いたすことに相なると思います。
  117. 堀昌雄

    堀委員 昭和三十四年に出されております命令書の中身を少し読んでみますと、ただいま問題になっております——これは当時の暫定法でありますけれども退職手当関係について述べられておるわけであります。その「当委員会の判断」という中に、「まず退職手当制度については暫定措置法によって支給条件、支給金額等定められているから団体交渉余地はないとの被申立人の主張は失当である。即ち、特別措置に関する事項のうち暫定措置上明定され何らの変更もゆるされないと解される趣旨規定があるもの(例えば退職手当額等)については、団体交渉を拒否するにつき正当な理由があると解されるが、同法において何ら規定のない事項、又は規定されていてもその適用についてある程度の幅又は具体化が認められていると解される趣旨規定のある事項等については、その事項性質により団体交渉に応じなければならない場合があると解される。」こういうふうに述べておるわけでありますね。そうして、「このように暫定措置法第五条の適用を受ける者の範囲を具体的に定めることは、普通退職の場合の倍額の退職手当が支給されるか否かを左右するものであり、実質的にはとりもなおさず職員に対する退職手当の支給基準にかかわりがあるから、公共企業体等労働関係法第八条第一号に該当する団体交渉事項であると認められる。」こういう判断のもとに命令が出されて、その命令の主文の中には「公社が、昭和三十四年二月一二日付電職第三十六号通達「特別退職の取扱について」によって退職希望者の公募を行なった際、同措置についての貴組合の団体交渉の申入を拒否したことは不当労働行為であったので、公共企業体等労働委員会の命令により、ここに陳謝の意を表するとともに、将来同様の措置を行なう場合にはかかる行為を繰り返さないことを約する。」として、かかる行為は二度と繰り返さないと電電公社の総裁は言っております。  そこで、いままで議論になりました退職手当法に現在定められておるもの以外については、当時の公共企業体等労働委員会の判断は、自後に行なわれる措置退職手当についても額以外の問題につきましては当然団体交渉対象になるんだ、そういう根拠をもとにしてここに命令書を出しておる。それに対して電電公社では、かかる行為は将来二度と繰り返しませんということを誓約しておるじゃありませんか。そうすると、この公共企業体等労働委員会の判断は間違いかどうかを労働大臣にお伺いいたします。
  118. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この問題は公共企業体等労働委員会の判断がもとになっておりまして、ただいま御質問になりましたと同趣旨の、この具体的な本件につきまして労働組合の側から公労委にただいま判定を求めておるわけでございます。したがいまして、公労委の判定が近くあるものと存じまするので、この際行政当局といたしまして具体的な事件についての判断を申し上げる段階ではないように心得ます。
  119. 堀昌雄

    堀委員 私はいま仲裁の申し出があることは知っております。知っておりますが、その問題とは別個に、いま私が伺っておるのは、この三十四年の公共企業体等労働委員会の判断は、政府としては、正しいと思うか、間違いと思うか。今日のことを言っておるんじゃない、この時点のことを言っておるのです。
  120. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは労使双方がその判断に基づいて事件を解決いたしたのでございまするから、これを了承いたしました労使双方の当局としては、当然その当時の精神に立ち返ってこの判断を尊重してまいるべき立場にあられるものと存じます。
  121. 堀昌雄

    堀委員 労使双方の問題というのではなくて、労働委員会というものは労働省所管の中にある委員会だと私は判断をいたします。そういたしますと、その所管の委員会がこういう判断をいたしておりますことを、その所管大臣である労働大臣が適正でないと言うわけにはいかないと思いますし、適正でないという判断が出ておるならば、労働大臣は職権をもって何とかそういうことについては意見を申し述べるべきであると思います。ただ、この判断に関する限り私は、労働大臣は至当であるという答弁がここでなければ、私は所管大臣の責務が果たされておると思わないですが、どうでしょうか。
  122. 大橋武夫

    大橋国務大臣 公労委の権限は労働大臣から職務上独立をいたしております。したがって、労働大臣といたしましては、その権威を尊重する立場にあるわけでございまして、それを批判する立場にはおりません。
  123. 堀昌雄

    堀委員 そういたしますと、労働大臣、この判断は尊重いたしますね。
  124. 大橋武夫

    大橋国務大臣 当該事案に関する限り尊重いたすわけでございます。
  125. 堀昌雄

    堀委員 当該事案の問題は、一つの原則的な考え方の上に当該事案が判断をされるのではないでしょうか。当該事案、特殊的なことだけによる問題については、私は伺っておりません。ここではその当該事案の判断を下した根拠となるものを私は伺っておるわけです。一つの原則を伺っているわけですから、その原則はここでお答えになってしかるべきだと思うのです。
  126. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御質問の御趣意は、いまの具体的な判断の前提となっている法律上の見解、すなわち公労委の法律上の見解について労働大臣が同感であるか、あるいは異説を立てるか、こういう御質問かと存じます。法律上の判断につきましては、申すまでもなく最高裁判所が最終的な権限を持っておるわけでございまして、したがいまして、私は当該事案に関する限り、この決定を尊重いたしまするが、法律論ということに相なりますると、最高裁判所の判決例がない限り、私どもは行政的にはいろいろ自己の判断によってまいりたいと思います。
  127. 堀昌雄

    堀委員 公社の総裁にお伺いいたしますが、あなたのほうでは「将来同様の措置を行なう場合にはかかる行為を繰り返さないことを約する。」こう言っておられますね。そうすると、今回のこれは「将来同様の措置」という同様の措置ではないんですか。違いますか。要するに国家公務員等退職手当法特例らしいんですが、そういうことは、この場合もそういう特例、はみ出したことをやろうとして、そして不当労働行為だということになりまして、それの判断の根拠はいま私が述べたとおりです。今回も同じことをやっておるわけですね。同じことをやっておるのに、あなたのほうは約束を破ったということですね。
  128. 大橋八郎

    大橋説明員 御指摘の趣旨についてはもちろんこれを尊重するつもりで私どもやっております。ただ、今回の法案につきましては、法律規定することを必要とするんだという法律的解釈のもとに提案されたものでありまして、法律規定に反しない、法律の制限を受けないこまかい手続等については、むろん団交等についてこれを施行するということについては異論はございません。
  129. 堀昌雄

    堀委員 要するに措置というのは法律以前に——法律も含まっておると思うのですよ。法律になることを含めて、これは将来かかる——何も法律でないものと書いてないんですから、「将来同様の措置を行なう」ということの中には法律要件も入っておると私は理解をいたします。そうするならば、その法律要件を行なうについても「かかる行為を繰り返さない」ということになっておるのだから、当然まず団体交渉によって問題の処理がされて、その結果として行なわれるという手続が行なわれなければならぬにもかかわらず、あなた方が団体交渉を拒否しておるということは、この場合の案件と同じことになるではありませんか。
  130. 大橋八郎

    大橋説明員 退職手当額等につきましては、これは法律規定すべき事項として政府が御提案になっておるのでありまして、私どももそれが適当な措置考えておる次第でございます。
  131. 堀昌雄

    堀委員 そんなことを聞いてないですよ。額の問題、その他の法律の問題の前に、団体交渉でやらなければならぬということは、あなたが書いたことではないんですか。あなたが書いた趣旨は一体何ですか。「将来同様の措置を行なう場合にはかかる行為を繰り返さない」というのは、あなた方はどういうことを言うつもりだったのですか。私は法律の問題を言っておるのではないのですよ。法律ができる前に、あなた方が当然かかる行為を繰り返さないのなら、団体交渉で了解を得て、了解を得た時点において法律を制定するというのなら、これはわかりますよ。
  132. 大橋八郎

    大橋説明員 法律規定またはその他の法令等によりまして公社にまかされていることについては、むろん御趣旨によって団交をやる。しかしながら、法律規定しなければならぬと政府が御認定になって出された法の範囲内のことについては、これは法できめるよりしかたがないと考えております。
  133. 堀昌雄

    堀委員 私はそのことを聞いていないですよ。それは法律定める前に同じような命令がここで出たことについて、同じことを公社としてもやろうとしているわけでしょう。そうするならば、良識があるならば、まず団体交渉によって十分組合の側と話し合いをして、その結果、組合が納得した範囲内において法律を制定して基準をきめて出す、これがあなたがここで約束したことと違うのですか。法律定めるということになれば、こういうことの約束はもう踏みにじってもいい、公社の総裁なんてそんないいかげんのものですか。
  134. 大橋八郎

    大橋説明員 先ほどから郵政大臣その他関係の各官から御説明のありましたとおり、退職手当の制定は国家公務員等退職手当法によって原則がきめられているのでありまして、そのきめられている以外に退職手当を出すということはできないのである。しかしながら、特に特殊の事由によってさらにその上につけ加えてあるものをやろうとするということになりますれば、これは法律規定を要するということで今回の提案があった以上は、この提案は合理的な考え方だと私は考えております。
  135. 堀昌雄

    堀委員 幾ら言われても、法律の問題と、その至る経過の問題とは別個です。だから、あなた方がこの問題を法律案として考える前に、当然組合と団体交渉をするべきであるし、それがこの約束を守ることになる。だから、あなたは明らかに約束を守らない。しかし、あなたがこういう形で約束を守らないということは、今後の労使の交渉の際に非常に悪影響がある。どんな約束をしたって、あなたが一方的に守らないのだということになれば、労使間の不信というものができた以上あなたは困るのじゃないですか。どうなんですか。あなたが誠意をどういう形で示すのかをここで明らかにしておいてもらいたい。
  136. 大橋八郎

    大橋説明員 法律規定しなければならぬ性質のものはどうも法律規定するよりしかたがないのでありまして、かりに団交でやってみても、実行不能のことを団交することになるわけでありますから、したがって、法律で提出することはやむを得ないことだと考える。ただし、これは同時に待遇改善にも関係することでありますから、でき得る限り内容等についてよく理解を求める、また、法律に抵触しないような範囲の事柄については、団交等によってこれを処理していく、こういうことに今後も考えておるわけでございます。
  137. 堀昌雄

    堀委員 非常に不十分でありますが、私に与えられている時間が十分ありませんからちょっと先へ少し進みます。  そこで、この法律の中でもう一つの重要な問題は、第三条に、「その自動化実施の日として郵政大臣又は公社の総裁が定める日の三十日前までに退職の申出を行ない、郵政大臣又は公社の総裁の認定を受けて」「特別の給付金を支給する。」ということで、実はそのあとに例外規定等が設けられているわけです。そこで、この認定は郵政大臣または公社の総裁が認定するのでありますから、認定をするのはその方でありますけれども、その次にある、非常に表現がむずかしいけれども、「電話交換要員の過員に相当する人数から当該廃止に係る電話交換事務に従事する電話交換要員のうち配置転換及び職種転換ができないか又は著しく困難であると認められるもの」、こういう条項が次に入っているわけですね。そこで著しく困難であるものまたはできないものというものを認めるのは、これは一体だれになるのかという点をちょっと明らかにしていただきたい。
  138. 増森孝

    ○増森政府委員 お答えしますが、郵政大臣または公社総裁でございます。
  139. 堀昌雄

    堀委員 いまので「配置転換及び職種転換ができないか又は著しく困難であると認められるもの」これを認めるのは郵政大臣または公社の総裁といたしますと、本人はともかくも通勤ができないとか、その職種に転換ができないと思っても、あなた方は強制的に配置転換ができると判断し、あるいは困難でないと判断する場合ができてきますね。そうすると、ここには本人の意思というものは出てこないようになっていますね。要するに一方的にあなた方が配置転換困難あるいはできないという判断をする、こういうことですね。
  140. 増森孝

    ○増森政府委員 その認定の場合でございますが、これは労働協約がございまして、労働協約でもって配置転換をどういうふうにしていくかというような労働協約がございます。それともう一方では、その周辺局にどれくらい欠員があるかというようなことを両方から攻めてまいりまして、そしておそらく客観的にその数字が認定されることだろうと思っています。
  141. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、私こまかく一応読みましたけれども、いまちょっと安宅委員に聞いたところによると、特別なものをもらうためのものであって、配置転換をきめるための労働協約ではないように伺っています。私もそこの点はそうだろうと思いますが、そうすると配置転換が困難であるとかできないという問題の中に、私は二通りあると思うのです。それはあなた方のほうの判断でともかくも一時間半の距離ならば、それは配置転換ができるのだとかなんとかもしきめたといたしましょう。しかしその一時間半の中に、時間によっては汽車が通ずる場合もあるし、通じない場合もある。そういう時間にそういうことをするためにその本人において困難な場合もあるわけです。だから私はここの問題というのは二通りなければならないと思うのです。要するに本人が配置転換が困難である、職種転換が困難である、またできないという場合と、それからあなた方のほうが客観的な事実にだけ基づいて判断する場合と、たしか二つ出てくると思う。しかし客観的な場合にだけきめたのでは、あなた方は自発的ということを非常に言いますけれども、その自発的というものは、実際的に言えばほとんどここで奪われてしまうことになるのですね。だから、さっき郵政大臣公社の総裁も、金額その他においてきまったものはしかたがないけれども、そういうものの認定、認めるかどうかということの内容こそ、私は団体交渉対象であると思いますが、どうですか。
  142. 増森孝

    ○増森政府委員 労働協約でございますが、電通合理化に伴う配置転換等に関する協約というのがございます。これは郵政省と全逓その他の組合との協約でございますが、おそらく同じような趣旨のことが電電公社と全電通との間にも取りかわされていると思いますので、代表して読み上げますと、第二条に「配置転換を行なうに当っては、任命権者は、本人の適性、経験、通勤状況、希望および家庭事情等を総合的に勘案するものとする。」こういうふうなことがございます。それからなお第二項にまいりますと、「前項の場合において、その配置転換が通常の通勤所要時間が一時間三十分をこえる場合においては、本人の同意を要する」逆から申しますと、一時間半以内のとき、それから家を提供している場合、これは本人の同意を得なくても配置転換ができる。こういうふうな協約がございまして、その協約に基づいて私ども配置転換をしていこう、こういうふうに思っております。
  143. 堀昌雄

    堀委員 そういたしますと、いまの労働協約が生きておる限りは、ただいまの認めるという問題は、その労働協約を中心として今後も団体交渉対象になるのだ、こういうふうに理解をいたしますが、郵政大臣及び公社の総裁からそれについてお答えをいただきたいと思います。
  144. 古池信三

    古池国務大臣 配置転換の場合の協約でございますから、その意味において将来も団体交渉対象になると考えております。
  145. 堀昌雄

    堀委員 いや違うのです。この法律のいまの「配置転換及び職種転換ができないか又は著しく困難であると認められるもの」というこの項に関して、今後団体交渉を行なうかどうか。
  146. 古池信三

    古池国務大臣 ただいま御指摘の問題は、労働条件に当てはまる問題と考えます。したがって団体交渉対象になるものと存じます。
  147. 堀昌雄

    堀委員 公社も同じですね。
  148. 大橋八郎

    大橋説明員 さようでございます。
  149. 堀昌雄

    堀委員 そこで、その次にちょっと伺っておきたいのは、いま欠員の関係の問題が少し出ました。そこでこういう問題が起こるのじゃないかと思うのですが、欠員がその周辺にできた、しかし団体交渉によってはともかくそこへ行くことは無理だという判断がもし起きたとする場合には、当然今度は欠員があって、あなたのほうは、たとえば一時間半をこえるところに欠員があるけれども、本人はもう行きたくないということになれば、団体交渉に基づいて、そこへ行かなくてもよろしい、そしていまのように認められるから、場合によっては給付金がもらえる、こういうかっこうになりますか。
  150. 増森孝

    ○増森政府委員 そのとおりでけっこうでございます。
  151. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、ここでこの退職者の中で対象になる者が一この前予算委員会伺いましたら千七百九十二名残過員があって、その九割千六百十三名が給付金対象になる、こういうことになっております。そこで対象になっておる者の中で退職を希望しない者がもし出たとしたら、これをどうしますか。
  152. 増森孝

    ○増森政府委員 退職を希望しない者はそのまま過員として残しておくつもりであります。
  153. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、退職のワクが千六百十三名ある。そこで退職を希望しない者が相当たくさん出てくると、今度は退職のワクのほうに欠員が出てきますね。そうした場合に、いまの自動合理化に伴って退職をしたいという形の人が出てきた。ただし団体交渉によって、あなた方のほうは当初はこのワクの外だと思っておった、しかし団体交渉によって結果としてはすでにワクのほうにも欠員があるのだ、そこで団体交渉の結果配置転換が困難だということになった場合には、当然その者はここの中に入ってくるというふうに理解してよろしいですね。
  154. 増森孝

    ○増森政府委員 ただいまの先生の個人々々の場合、団体交渉にするということは、先ほど大臣申し上げておらないのでありまして、電通台理化の配転協約に基づいて配置転換をやっていくということでございます。  それから第二の問題の、欠員ということがちょっとわかりかねたのでございますけれども、われわれ考えておりますのは、先ほどの数字でございますが、千六百名予定しておったところへ希望者が非常に多くて千七百名出たというような場合には、三条の二項でもってそれらについては支給の対象にはしないということでございます。
  155. 堀昌雄

    堀委員 私が伺ったことに対する答弁が少しはっきりしていないので、もう一ぺん確認をいたしますが、さっきの配置転換ができないかまたは著しく困難であると認めるというこの問題については、団体交渉はできると言いましたね。団体交渉ができるというのは、いまの配置転換の問題はすでにあるのですよ。配置転換の問題の別に私は聞いておるわけです。この項について団体交渉ができるかと聞いたら、労働条件ですから今後やりますと言ったわけですから、もしいまのような抽象的なことだけなら、現在配置転換の問題でやれるはずですよ。私が聞いておるのは、かなり具体的な問題について聞いておるのであって、抽象的なきまりだけでは、何も団体交渉してもしなくても、これはすでにある協約をそのまま使えばいいわけですから、そうでなくて、この当該案件に関して団体交渉ができますとかと言ったら、あなたのほうでは、労働条件でありますから、団体交渉はいたしますと言ったから、話を前に進めておるわけです。私はこの法律の一番肝心なところは実はここにあると思っておる。要するにあなた方が一方的に判断をするだけでは、いまの配置転換ができるとかできないとか困難であるという問題は出てこないと思っておるのですよ。それは客観的にあなた方は一つのルールか何かきめてやりましょうけれども対象になる人間は個々一人々々の人間なんですから、さっきのようにいろいろなバラエティのある条件があるわけです。私は何も一それを全部認めろとも言いませんけれども、少なくともあなた方の間に話し合いがあって、団体交渉によってその問題についての適当な解決点になるならば、まさにこの退職は自発的な退職だとみなし得ることになるけれども、そこまであなた方が一方的にするならば、形式は自発的であっても、内容的には、基準をきめて強制することになるわけですから、自発的にならないのです。だから私が触れておるのは、要するにこの問題を含めてあなた方が団体交渉をすることになるならば、私はこの問題はかなり角度が変わってくるのではないかと判断をしておるわけです。どうですか、確認を求めます。
  156. 古池信三

    古池国務大臣 先ほど私が御答弁しましたことにつきまして補足して申し上げたいと存じますが、要するに個々の甲、乙、丙、丁という人の各個について団体交渉するというのではなく、これらの場合に際して、団体交渉によってその細目の準則と申しましょうか、基準をまずきめて、そしてその基準に基づいて行なっていこうというわけでありますから、その点においては団体交渉というものの趣意は達成できると考えております。
  157. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、それはもちろん一人々々についてやるということではあり得ないかもしれないけれども、しかし、こまかい基準を定めることについては、あなた方のほうでは了解されますね。
  158. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまもお話し申し上げましたように、要するにさような場合の基準はできるだけこまかく交渉すべきものと考えております。
  159. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、裏返して伺いますけれども、そういうことで団体交渉の話がまとまらないということになると、この基準は認定が起こらないということに理解してよろしいですね。そういう基準に合ったものの判断で上下を最終的には整理をいたします。そういう整理をするときに、あなた方と基準をめぐってそれが適当するかどうかという問題は、この場合は個々の問題を含めて起きてくると思います。基準をきめる問題ですから、基準に合うか合わないかということを含めて問題が出てきます。そうすると、あなた方のほうは、だれが考えてもその基準に合っているという場合に、あっていないということも起こるかもしれないということになると、この問題は団体交渉が行き詰まりになりますね。私が言っておるのは、これは単に抽象的にきめてもしようがないから、その当事者がたくさん出たときに、その当事者をいろいろ分析して、個々の一人々々についてはやれないけれども、その当事者の全体の中から分析された問題について基準を定めるということで理解しておりますからね。
  160. 安宅常彦

    ○安宅委員 関連して。増森さんに聞きますが、あなたはさっき、すでにある団体協約、労働協約で基準をきめられる、きめられる場合、認めることができますと言った。ところが、だんだんできないみたいになって、堀さんからずっと話が進んでおるわけでありますが、できるだけこまかくそういうことを取りきめましても、この法律は個人をさしておりますから、これは欠格条件に合うか合わないかという場合、認めるのは郵政大臣電電公社、そうしますと、できるだけこまかくしても、この法律でいう認定をするとうことは、裏返して言えば団体交渉ではきまらないのだという答弁になって、さっきの答弁は違うということになるのですが、そこのところはどうなるのか、そこをひとつ答えてください。
  161. 古池信三

    古池国務大臣 現在配置転換協約というものが結ばれておりまして、これは相当こまかく現定されておるそうでございます。これは事務当局の答えることかもしれませんが、それで今後配転協約によって具体的な場合に対処しているわけでございますが、その際に甲、乙、丙、丁という個人がその基準に合えばその認定は管理者側のほうがやるべきものであろうと思います。しかしその基準は相当細目にわたっておると承知しておりますので、そこで特別な不都合はないものと考えます。
  162. 安宅常彦

    ○安宅委員 配置転換協約に関する問題では個人のところまでは協約上何らの明文がありませんからね、そうでしょう。そうしたら、大臣、そんなことにならない。そうしてもっと重要なことは、逓信委員会において森本委員の発言によって、あなたはそういう認定をするときは団体交渉でやりますという明確な答弁をしておる。きょうの答弁と違う。これは完全な食言です。どうなんですか、それは。
  163. 古池信三

    古池国務大臣 逓信委員会における答弁の内容について詳細に正確なことはいま記憶しておりませんが、私の気持ちとしては、おそらく団体交渉でやるといいましても、個々の人の名前をさして、その人をどうするこうするというところまではいくべきものではない、団体交渉によってやるべきものではない、こう考えております。やはりできるだけこまかい基準というものをつくることについては団体交渉でやりますが、その基準ができた以上は、これに当てはめることは当然管理者のほうでやるべきものである、こう考えます。
  164. 堀昌雄

    堀委員 いまのお話で、私が言っているのは、いまの協約の中身のようなことは、私は基準として非常に大まかだと思っているのです。そこで、要するに協約で相手方の意見を聞くことになっておりますでしょう。どうもいまの取りきめ方の中に、郵政省と電電公社とは多少内容の違いが率直に言いましてあるようです。  そこで私が言いたいことは、いま安宅委員も申しましたように、この法律は、要するに対象は個々の人なんです。率直に言いますと、個々の人でありますから、個々の人を判断する場合には、細目がうんとこまかくなれば、それは抽象的な議論をしても個々の人の場合すべてがそこへ入ってくる条件になってくると思うから、それについては一歩を譲るとしても、ともかくも何か一つのルールを一ぺんきめるということだけではなくて、たとえば本年度千六百人もしそういう者が出たとするときには、その千六百人の情勢の中を分析いたしまして、そうしてこれまでの中で基準として適当でない者があるときには、さらにあなたのものも加えて、ともかくもそういう個々の人の意思が最大限個々に団体交渉の中で取り上げられて、要するに本人の意思が全然踏みにじられて、あなた方が一方的にそういうことをしないということになるならば、認めるという表現は、形式的には皆さんが認めることになろうけれども、実質的にはその対象者が認めた範囲とほぼ同一のものになるのだという理解をしたいということで、私はいまこの問題を提起しておるわけですから、あなた方のほうは、形式にこだわる点もありましょう、だから形式にこだわることがあろうとも、内容においてはその点が個々の団体交渉を行なったと結果としては同じ効果がもたらされるような団体交渉のあり方をとってもらいたい、こういうことを私は言っておるわけです。そういうふうにできますね。
  165. 増森孝

    ○増森政府委員 私どもとしましては、先ほど読み上げました団体協約に基づいて、そして本人の意思等も十分参酌し、希望も聞いてやっていきたい、このように考えております。
  166. 堀昌雄

    堀委員 いまの答弁、もう一ぺん私確認をいたしますが、要するにあなた方のほうでは、いまのことは、配置転換等に関しては少なくとも抽象的な基準はあるけれども、その基準と同時に本人の意思その他を十分に聞きます——だから私は、ここでこの法律について聞いておる。配置転換が困難またはできないと認めるということは、形式的には確かに郵政大臣または公社の総裁であるけれども、実質的にはその本人の意思が満たされる範囲において配置転換が困難である、できないという判断になるのだ、こう理解してよろしいですね。これは郵政大臣公社の総裁のほうで答えていただきます。
  167. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまるるお話がございました御意見につきましては、今後この協約を運用してまいる上において十分その点に意を用いて運用してまいりたい、こう考えます。
  168. 堀昌雄

    堀委員 意を用いてなんということでは、どうもよくわからないのですが、私は、あなた方の立場をもって、形式的にはそれはあなた方が認めることにはなるかもしれない、しかし団体交渉をし、協約をつくり、こまかい基準をきめて、そうして結果としては、要するに本人の意思で配置転換または職種転換が困難またはできないということを認めたと同じ結果が起こるような取り扱いをしてもらいたい、こういうふうに言っているわけですからね。だからそういうふうにすると一言言ってもらえばいいのです。
  169. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまその協約を取り寄せてみたのですが、これによりますと、本人の希望でありますとか、あるいはその家庭事情であるとか、そういうような点も十分総合的に勘案してやる、こういうわけでありますから、形式的にはいま仰せのとおり任命権者のほうが認定いたしますけれども、事実上はできる限り本人の希望や家庭事情を勘案してやりたい、こう存じております。
  170. 堀昌雄

    堀委員 それによっていまの認定が生まれてくる、こういうふうに理解いたしますよ、よろしいですね、ちょっと答えていただきたい。
  171. 古池信三

    古池国務大臣 そのとおりでございます。
  172. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと大蔵大臣時間がないようですからお伺いしておきますが、今回の特別給付金は課税対象上は私は退職手当と同様の措置が講じられるものと考えますが、大蔵大臣いかがですか。
  173. 田中角榮

    田中国務大臣 課税をいたします。
  174. 堀昌雄

    堀委員 いや、退職手当と同じ考えに基づいて一緒にして退職手当として課税をするということですね。ちょっともう一ぺん伺いたい。ただ課税するだけでは困る。
  175. 田中角榮

    田中国務大臣 いまあなたが申したとおりでございます。
  176. 堀昌雄

    堀委員 そこで、実は私はこの法案を見ておりまして疑問がございますのは、過去に議論をいたしました際に、過員がかなりたくさん出ておる中で、本人の希望で調整要員として残る人は幾ら出てもちっともかまわないと私は思いますが、もしたくさん出てきたら、そうしたら、同じ条件であっても千六百十三名分こえたらやらないのだというふうな話がさっきちょっとございましたね。そうじゃないのでしょうか。もしいろいろなルールでさっきのような団体交渉その他の結果、認定されたものの数で該当すると思われる者が二千人出たとする。そうすると、あなた方のほうでは、千六百十三人についてはそういう特別給付金をやるけれども、残りはもうやらないのだというふうな答え方をしておるが、その点は、この考え方に該当した者が何人出ようと、該当した者については全部出すのだ、私はこういうふうに法律性格上は理解をしますが、それでよろしいのですか。
  177. 増森孝

    ○増森政府委員 そういう配置転換あるいは職種転換ができないという人が多くなれば自然多くなろうかと思います。
  178. 堀昌雄

    堀委員 そうすれば、これはたまたま皆さんのほうは一応千六百十三名分と予想はしておるけれども、これは単に予定であって、これについては額の移動はかなり大幅に動き得る、こういうことに理解いたしますよ。
  179. 増森孝

    ○増森政府委員 そのとおりでございます。
  180. 堀昌雄

    堀委員 それでは、時間がまいりすしたから、私、最後に一点だけお伺いをいたしておきますけれども、この調整要員というものは、私は、いまの状態で、もし今度の問題でやめたくないという方は、すべて調整要員として残り得る、要するに自分でやめたい人だけが今回の問題の対象になる、そうした方以外は全部電電公社及び郵政省では調整要員として残す、こういうことに理解をいたしますが、よろしいでしょうか。それについて郵政大臣公社の総裁にお伺いいたします。
  181. 古池信三

    古池国務大臣 郵政省につきましては、そういう人は従来のとおり過員として残すことにいたします。
  182. 大橋八郎

    大橋説明員 電電公社関係におきましては、調整要員の制度の適用を受けることになります。
  183. 堀昌雄

    堀委員 制度の適用を受けるということは、やはり調整要員として残すということですね。
  184. 大橋八郎

    大橋説明員 そのとおりであります。
  185. 堀昌雄

    堀委員 では、私は終わります。
  186. 加藤常太郎

    加藤委員長 小林進君。
  187. 小林進

    ○小林委員 先ほどからの質問を拝聴いたしておりましたが、この法案の中に含まれる問題は、われわれ労働行政を担当いたしております委員の側からは、将来の労働行政に重大なる影響を及ぼす重大問題が含まれておることを私どもは知りまして、実に驚いておるような次第でございます。この際、この合同委員会を通じて、やはり郵政当局のものの考え方、あるいは労働省のものの考え方等々をあわせて明確にしておかなければならないポイントが含まれておることを痛感いたします。したがいまして、若干昼食の時間も過ぎて腹も減っておりまするけれども、その点はひとつがまんをしていただきまして、問題の解明をしていきたいと思います。まだ労働大臣がお見えになりませんので、その間だけ、労働大臣関係のない問題だけをお聞きしておきたいと思うのであります。第一番に、今度郵政省がお出しになりましたこの法案の名称、これは非常に問題の中心からはずれているようでありますけれども、やはり一つの法案を出すからには、その法案の名称自体にも、後世、人が納得するような名前をつけてもらわなければならぬと私は思う。これは一体何という名前です。「電話設備拡充に係る電話交換方式自動化実施に伴い退職する者に対する特別措置に関する法律案」とこうさた。一体法律の名称に何でこんなごもごもした名前をつけなければならぬのか。ここにやはり当局のこういう問題に対する姿勢のあいまいさがあると私は思う。法律の名称に、舌をかまなくちゃしゃべられないような名前をつけておくなんて、これ自身が、やはり最初からのスタートが間違っていると思う。「電話設備拡充に係る」なんていうこんな文句要りませんよ。私はこんなもの要らないと考える。「電話交換方式自動化実施に伴い退職する有に対する特別措置に関する法律」、これでいいじゃないですか。法律の名称に何でこんな長々とした名前をつけるのです。まずその辺から担当大臣にお尋ねをしてみたいと思うのであります。
  188. 古池信三

    古池国務大臣 お答えいたします。  法律の名称についての御意見でございますが、これにはやはりいろいろの考え方があると思います。短いほうがいいというお考えももちろんありましょうし、また一方においては、できるならばなるべく法律案の内容をあらわすような名称を使ったほうがいい、こういうふうなお考えもあるだろうと思います。私どもとしましては、今回の法律案は時限立法でもございますし、また、きわめて特殊な場合でありますので、その内容をできるだけ正確にあらわしたい、こういう意図をもってかような名称にいたした次第でございます。
  189. 小林進

    ○小林委員 時限立法であるということについても、時間があればその矛盾を、私のふに落ちない点をあとでお尋ねしたいと思いますけれども、さしあたって名称の問題でございますが、私は「電話設備拡充に係る」というこういう文句は要らないと思う。名称としては和は要らないと思う。「電話交換方式自動化実施に伴い」——私は実施も要らないと思うのです。「伴い退職する者に対する特別措置に関する法律案」、私はそれでちゃんと名は体をあらわすで十分じゃないかと思うのです。私の主張が間違っておりましょうか。何も私は名前を簡単に、短くしなさいと言うんじゃない。この首切り法案に対する内容がわかればいい。花子さんとつけなさい、さだ子さんとつけなさいと私は言っているんじゃない。そのように簡単にしなさいと言うんじゃない。そういう上のほうの一部分を取ってもちゃんと内容がわかるじゃないかと私は言っているのです。こういうすぐわかるような名称になぜ一体くどくどしく「電話設備拡充に係る」などという文句をつける必要があるのです、まずここら辺をひとつ修正されたらどうですか。おやめになったらどうですか。これは私の忠言です。いま一回お聞かせを願いたいと思います。
  190. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまの御意見は御意見として拝聴いたしますが、私どもはこれを修正する考えはございません。
  191. 小林進

    ○小林委員 がんこですな。そういうあなたのがんこなものの考え方が、すなおに解決する問題も解決しないことになる。こういうようなことにこだわる必要ないじゃないですか。印刷ももうかるし、読むのにも読みやすいし、話も通じやすいし、こういうことこそすなおにわれわれの言うことをお聞きになったらどうですか。予算が伴うわけじゃないですよ、あなた。金をよけい出さなきゃならぬわけじゃないですよ。どうですか、大臣。そこら辺はひとつすなおにわれわれの言うこともお認めになったらいかがですか。一体、こういうむだな名称はなるべく法案から離したらよいという——これは私は何も思いつきで言っておるのではない。国会に提出されるすべての法律案に対して、私は多年そういう所見を持っておる。昔にこういうばか長ったらしい名前はなかった。だんだん年を追うてこういう説明口調の、意味のわからないような、むだなことばを使う名称形態が出てきた。要らぬと思うのであります。どうですか、私の忠言をおいれになる雅量はありませんか。私は決してむだなことを言っておるのではないのです。今後とも国会において法律を審議する場合において、こういうふうなむだな名称を法律につける風習は、日本の国会から漸次なくしていかなければならないという崇高な信念に立って私は御質問申し上げているのでございますから、いま少しまじめにお答えを願いたいと思います。
  192. 古池信三

    古池国務大臣 今後の問題につきましては、ただいまの御意見を参考として承りたいと存じますが、この法律案自体につきましてはこの名称を修正する意図はございません。
  193. 小林進

    ○小林委員 それでは、あなたの答弁には第一点においても食い違いが生じましたが、私はそこにおいてあなたの御答弁を了承するわけにはいきません。  次に、問題は移りますが、いよいよこの法案の内容でございますけれども、この内容によりますれば、要はひとつ電話の運用員の首切りをしよう。あなた方は首切りとおっしゃいません。希望退職——希望を募って退職をせしめる、こうおっしゃっておりますが、いずれにしても、それに伴うて退職手当特別給付金と二口のものをやろう、これが法案の骨子になっているようでございますが、私はこの問題の中心になっている退職金性格、それから特別給付金性格、この二つを明らかにしていただきたいと思います。先ほどから堀委員にるる御説明やら、また質問がありましたけれども、私は納得がいかないのでありますから、重複をしないようにお尋ねしていきたいと思うのでありますが、まずその二つのうちの第一番目の、いわゆる退職手当性格について、これは労働大臣にお尋ねをいたします。退職手当賃金なりやいなやという問題であります。
  194. 大橋武夫

    大橋国務大臣 退職手当は、公労法におきましては賃金その他の給与ということになっておりまして、いわゆる労働条件の最も大きな柱の一つであり、賃金の一部をなすわけでございます。
  195. 小林進

    ○小林委員 労働大臣から実に明確な御答弁をいただきまして、こういう御答弁を私は非常に歓迎をいたします。それは公共企業体法、労組法上あるいは労使関係の中において賃金というものは最も重要なる要素をなすものであるというおことば、そのとおりなんです。したがいまして、こういうふうな退職手当というものが賃金の一部であるならば、しかも労組関係における最も重大なる要素をなすものであるという労働大臣のおことばがそのとおりであるならば、この取り扱いというものは最も慎重でなければならぬはずであると思います。いかがでございましょう、労働大臣、この取り扱いは最も慎重であらねばならないという主張、いかがでしょう。
  196. 大橋武夫

    大橋国務大臣 そのとおりでございます。
  197. 小林進

    ○小林委員 実に明快な答弁であります。そのとおり。そういうふうな——しかもこの労使関係において最も重大なる要素をなす賃金というものは、これをどう扱うというのが、いわゆる公共企業体等労働関係法における第三章の団体交渉要件の中の重大な要素です。労働者の利益を守る、労働者が団結をする、その経済的要素の中心をなすものは賃金でありますが、その賃金をどう守るかという守る道は、これはやはり団体交渉によって守る以上にはないのであります。だから、賃金の決定というものは、その原則はあくまでも労使の付与、の交渉の中に自主的に決定せられるということである。これが近代的な労使関係における原則であります。その原則は間違っておりましょうか。労働大臣、いかがでございましょう。
  198. 大橋武夫

    大橋国務大臣 そのとおりでございます。
  199. 小林進

    ○小林委員 私は、労働大臣はこれはおことばのとおり否定できないと思う。その重要なるしかも団体交渉の特に中核をなすこの賃金を、特例法を設けてこれを法律でその決定をしようとするのでありますから、それをやるからには、その重大なる原因、要因あるいは客観的な情勢がなければならないと思うのであります。先ほどから聞いておりますと、二つのうち第一番目の退職手当は国家公務退職手当法五条に基づいて、この公共企業体等労働関係法第八条に規定しております最も重要な事項を例外的に扱って、第五条規定に基づいて退職金をやるのであるという答弁をしておられる。私は先ほどから答弁を聞いておって、実に悲憤慷慨をいたしましたのはこの点です。繰り返して申し上げますけれども賃金というものは労使対等の立場で、自主的な団体交渉の過程においてきめるというのが原則なんです。近代国家における不変の原則なんです。その原則をゆがめて、それを国家公務員等退職手当法五条という法律によって労働者からその退職の原則を奪うからには、その行為というものは、これをきびしく取り扱うという態度がなければならない。そうじゃありませんか。ただいま聞いておりますと、その公労法第八条を排除しまして、国家公務員等退職手当法五条によって、団交によらずしてこの退職金をやるのだ、こういうことをおっしゃっておる。それじゃ第五条のどこに該当するのだと言ったら、その第五条の中の一項の後半、「第二条第一項第二号の職員業務量減少その他経営上やむを得ない理由により退職したものに対する退職手当の額は、」云々というこの条項に当てはめて、団交によらずして特別の退職手当を出すのだとおっしゃった。私はこの「第二条第一項第二号の職員業務量減少その他経営上やむを得ない理由」というのは、従業員の意思によらず、客観的に経営者の無能か他の客観的な要因で退職する者をさしていると考える。またそう解釈をするのがすなおな条文の解釈であると思う。労働大臣いかがでありましょうか。例外の規定というものは、そう拡張解釈をして、無限に解釈していくならば、第八条の労働者の一番大切な権利というものは、事実上第八条はむだになっちゃいますよ。無効になってしまいますよ。だから、そういう重大な法案に対する例外規定というものは、あくまでも狭義の意味で厳格に解していくのが法を運用する者の責任ある態度でなければならぬと思う。その意味において、繰り返して申し上げますが、この第五条の後半の規定というものは、事業量の減その少他経営上やむを得ないというそういう客観的情勢によって、自己の意思によらずして退職していく者にこの法案は当てはまるものである、こう解釈するのが至当な法解釈であると私は考える。労働大臣、いかがでありましょう、お聞かせを願いたいと思います。
  200. 大橋武夫

    大橋国務大臣 労働大臣は、公労法第八条につきましては一応有権解釈をいたしておりまするが、ただいま御指摘の退職手当特例法につきましては管轄権を持っておりません。したがいまして、政府の他の当局において先ほど来述べられた解釈を一応政府の解釈として私も承っておる次第でございます。
  201. 小林進

    ○小林委員 それでは郵政大臣どうです。あなた方は、さっきも言うように、これはいわゆる労働者の基本的な権利の賃金に関する——賃金というものは労働者の基本的な権利なんです。すべての争議行為もこの賃金のために許されているのですよ。この労働者の争議権や団結権や交渉権の中心をなす賃金をあなたは特例法で奪っているのだから、奪うからには、その特例法の解釈は最も正確に、最も厳格に解釈をするのが法運営のたてまえだ。これをあなた方は真剣に考えていかないから問題が起きてくるのです。だから厳格に解釈したら、この条文というものは、本人の意思によらずして退職をせしめられるときにのみ該当するんだと私は解釈する。そう解釈するのが至当だと思う。すなおだと思う。もう一回答えてください。
  202. 古池信三

    古池国務大臣 賃金が労働者にとってきわめて重大な問題であるということは、御説のとおりと存じます。今回私ども立法措置を講じまして、特別給付金を支給しようという考え方も、先ほど堀委員の御質問の際に申し上げましたとおりの趣旨でございまして、国家公務員等退職手当法の第五条から引き出しまして、ここに特殊な場合に対する特別の規定法律で設けて、そうして退職する人に対しまして特別の支給金でこれを優遇しよう、こういう考えでございます。
  203. 小林進

    ○小林委員 私は特別給付金のことをお尋ねしているのではないのです。私は第五条の一項の後半の法律解釈をあなたにお尋ねしているのです。この条文をそのように広い意味に解釈してきましたら、せっかくこの公労法や労働基準法や労組法でもって守られた労働者の権利というものが事実上骨抜きになってしまわなければならない重大な要素も含めているのでありますから、労働者の権利を守る、労働者の生活を守る、その労働省の最高責任者として、労働大臣が、これは私の管轄じゃないから、その法術解釈には関与できないとおっしゃることは、いささか私は責任のがれのおことばではないかと思うのでございまして、労働大臣が即答できないとおっしゃるならば、次の機会までに責任を持って研究して明確な回答を与えたいとおっしゃるならば、私どもの合同委員会はその大臣のおことばがあるとき再度聞くことにいたしまして、おことばを待っていたいと思いますが、いかがでしょうか。
  204. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は法律につきましては若いときから多少は勉強いたしておりますから、大体小林さんがお聞きになる程度の事柄で、私に即答できないことは、まあないと思っております。即答しろとおっしゃるならば即答もできますが、しかし、私は労働大臣という立場でここに出ておりますので、したがって、労働大臣として言い得ることは、公労法の第八条の団交事項というものの中に賃金退職手当等が一般的に入っておるという原則を申し上げておるわけでございます。  もう一つ、他の退職手当法の解釈はどうかと言われますが、これについて私も個人的な解釈は持っておりますけれども、そういう個人的な見解を発表したり、個人的な学説をここで申し上げる場所ではないと心得まするので、それは責任者にお尋ねいただきたい、かように申した次第でございます。
  205. 小林進

    ○小林委員 労働大臣のいまの御答弁でございまするけれども、実は大臣が法律の専門家であり、あなたが政治学の秀才でいらっしゃることは私はわかっております。何も私があなたより頭が悪いというわけじゃございませんので、それも私はわがっております。けれども、いま私があなたに御答弁をいただきたいということは、何も弁護士としての大橋武夫先生に御回答を願いたいとぼくは言うのではない。それは言われるまでもなく、最初から労働大臣としての御答弁をいただきたい。けれども、あなたは労働省の最高責任者だ。いわゆる公労法ですね、公共企業体等労働関係法法律を正しく実施をして、労働者の権利を守るという、そういう最高の責任をお持ちになっている立場じゃないですか。公労法の第八条を骨抜きにする——骨抜きということばが悪いならば、特例法でよろしいが、その公共企業体等労働関係法のほんとうの精神の存する中心を骨抜きにするような特例法がここに出ている。これは労働者の権利の重大なる侵害です。この重大なる権利を侵害する特例法が出ているからには、労働大臣として、労働者の基本たる権利を破るような特例法の解釈については、十分、ちゃんとりっぱな見解を持っていていただかなければ、せっかくあなたをたよりにしている労働者の立場がなくなってしまうじゃないか。だから私は、ここで労働大臣という立場でこの特例法のこの条項をどう解釈するのが正しいかという、あなたの御見解をここに示していただきたい。けれども、あなたは、個人ではここで即答できるとおっしゃるが、労働大臣としては即答できぬ。そうでしょう。関係各省があるのですから。関係の大臣もいるのですから。労働大臣郵政大臣との答弁が狂ったんじゃ、郵政大臣の立場がなくなりますから、やっぱりこちらのほうも援護してやらなければならないという、あなたの気持ちもわかるから、そこで郵政大臣その他と打ち合わせをして、次の機会に答弁してくださるならばそれでよろしいという私の親切心を出したのですけれども、そこまで言ったんじゃ、郵政大臣の立場がないから、そこでことばをかえて、研究なりなんなりしていただいて、次の機会に御答弁していただいてよろしい。これは私の親心ですよ。そういうことで申し上げたのでございまして、もしお差しつかえないならば、ここでひとつ大臣の所見を承らしていただきたいと思います。
  206. 大橋武夫

    大橋国務大臣 あらためて御質問の御趣意を繰り返しお述べをいただきたいと思います。
  207. 安宅常彦

    ○安宅委員 関連。労働大臣にお伺いしますが、労働大臣は、労働大臣という立場でここに来ておりますとそういうことはなかなか言えないという趣旨答弁があったと思います。国家公務員等に対する退職手当の臨時措置法に附帯決議があったのであります。その衆議院の附帯決議は、「公共企業体労働関係法との関連において、」ここはあなたの職分ですよ。「公共企業体職員を本法の適用範囲からはずすことが妥当であるとも考えられるが」これは国家公務員等退職手当法からはずすことが妥当とも考えられるんだ。「他方これと関連してその職員に対しては恩給法並びに国家公務員共済組合法の準用規定を排除して、一般の社会保険制度を適用することも考えられるので」つまりこの退職手当というのは本来団体交渉事項である、労働基本権である、賃金であるから当然そうでしょう。あなたが答えたとおりです。そこで退職手当もいろいろなものを一律に律することは、社会保険とか共済組合法とか恩給法とかいろいろあるから、これを将来にわたって排除して一般の社会保障制度というように一まとめにすることも考えられるんだ。それで「これらの諸問題を公正に解決する方途を速やかに講じ、早急に再検討することとする。」こういうようになっておるのです。よろしゅうございますか。そうしますと、それは郵政大臣の職分でも電電公社総裁のやることでも、大蔵省の何とか課長なんという人がやることでもありません。あなたがやらなければならないことです。この附帯決議は大蔵委員会で可決されております。そうしますと、公労法上当然これは団体交渉事項でありますということは、議院運営委員会の理事会であなたは私のいる前で答弁をされておる。これは認めるでしょう。そういうことを言うておいて、今度は労働大臣としてはなかなか言えない、こんなことではいけません。なぜかというならば、附帯決議というものは、明らかに法体系上おかしいのだ、一つはどういうふうにおかしかというと、公共企業体労働関係法との関連があって競合する。で、国家公務員はしかたがないけれども団体交渉権を持った公共企業体職員を本法の適用範囲からはずすことが一つ。それからもう一つの手段は、恩給法とか共済組合法とか、がらがらした労働基本権も何も確立してないときに、昔の天皇の官吏の当時につくった、そういう残滓がまだあるから、これを将来近代国家として、そうして社会保障制度「本の退職金と申しますか、そういうふうにする二つの手段がある。したがって、それを再検討しなければならない、すみやかに措置を講じなければならないということが附帯決議である。これはあなたの職分でしょう。どうです。そういうのはあなたの職分でないということを言いますか。私の職分であるとあなた答えますか、どっちですか。
  208. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは政府全体の責任であると考えます。
  209. 安宅常彦

    ○安宅委員 公共企業体等労働関係法、それから社会保障制度、すべてあなたの責任である。これは政府全般といえばそうです。あなただって何も内閣総理大臣じゃないから、それは池田勇人だと答えれば、それでも通ずる。しかし、あなたは労働大臣ですよ。一国の労働大臣ですよ。それをやるのは労働大臣労働省がやるんじゃないですか。一番先に起案するときはどうなんですか、検討するのは……。
  210. 大橋武夫

    大橋国務大臣 退職手当法の改正案は大蔵省の所管の法令でございますから、大蔵省で起案するべきものであります。
  211. 安宅常彦

    ○安宅委員 大蔵省というものは、社会保障制度のことをやったり、社会保障審議会がありますが、これは大蔵省でやるのでしょうが、公労法の改正案は大蔵省でやるのでしょうか。あなたのほうでやるのですか、どうですか。
  212. 大橋武夫

    大橋国務大臣 公労法は改正の必要を認めておりません。いまのところ、この問題に関係しては改正の考えはございません。したがいまして、所管は私の所管であります。しかし改正の必要は認めておりませんし、また、これは私、労働組合の団体交渉権に対して、ただいまのところどうこうということは考えておりません。
  213. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、すみやかにこれらの諸問題を公正に解決する方途も講じなかったし、早急に再検討もしなかったということですね。大臣そうですね。
  214. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまの決議に基づきまして、その後国家公務員等退職手当暫定措置法というのが改正されまして、いまの特例法に改まって、恒久的な制度として存続することになりました。一方、恩給及び共済組合制度につきましても、新たに公共企業体職員等共済組合が制定されまして、公共企業体職員については、恩給にかわる共済組合の長期給付の制度が設けられ、さらに国家公務員共済組合法も改正されまして、国家公務員について、恩給にかわる共済組合の長期給付の制度が設けられたわけでございます。つまり、今日におきましては公共企業体等の職員退職給付につきましては、これらの諸法律が適用されることになっております。
  215. 安宅常彦

    ○安宅委員 それは間違いです。その後暫定措置法が改正されて今日の法律になったんじゃなくて、その暫定措置法が改正されて今日の法律が出るときにこの附帯決議が出たんです。何を言っておるんですか。そんな説明はおかしいじゃないですか。  それから、これは準用規定というものを排除して——排除する方向にいかないで、さらに今度は矛盾を積み重ねるような法律が出たときに、所管の労働大臣が黙って、私は何にも言いませんなんということなら、労働大臣をやめたらよっぽどすっきりした男になると思うんだが、どうですか。
  216. 大橋武夫

    大橋国務大臣 国家公務員等退職手当暫定措置法が改正されまして、国家公務員等退職手当法となったわけでございます。そういう措置がその後にとられております。
  217. 安宅常彦

    ○安宅委員 私はそんなことを聞いておるんじゃなくて、公共企業体等の職員はそれから除外するのがほんとうじゃないかと思うのです。そういうことを除外するほうがいいかどうか、検討するかどうか知りませんけれども、検討するのは労働大臣がすることでしょう。あなたの任務だと言っておるんです。しなかったとしても、そういう団体交渉を、今度は公労法団体交渉事項であるということは、明らかにあなたが考えておるにもかかわらず、団体交渉を排除する。国家公務員等退職手当法から公共企業体等の職員を排除するのでなくて、逆にいっておることが今日の法律の提案の趣旨なんです。だから、その問題について、私は所見を述べることは労働大臣としてできませんという、そういう論法は、悪く言えば、あなたは何にもならないでくの坊大臣で、無能大臣といわざるを得ないんじゃないか。どうですか。そこまで言われたら、あなたはっきりしなさいよ。
  218. 大橋武夫

    大橋国務大臣 でくの坊か何か知りませんが、労働省といたしましては、ただいまの決議に基づきまして、それぞれ各公社を担当しまする各省が、自己の所管の法令でございまするから、それぞれ再検討をさるべきでありまして、その再検討の際には公社職員団体交渉権というものは尊重されるべきだと思うのであります。それが怠慢によって放てきされておるというような事態でありますと、労働省も部内の関係者として、できるだけあれを急いでやってもらいたいというような照会があるのは、これはむろん当然だろうと思います。
  219. 小林進

    ○小林委員 私はたくさん問題を持っているのでありますけれども、まごまごすると本会議になりますので、気が気でないのですが、しかし、労働大臣が、先ほどから私が繰り返している質問に対してお答えにならない点は、私は安宅同僚の質問よりは好意的に解釈しているのです。それは大臣がやはり良心があるから答えられないんです。答えれば郵政省や大蔵省考えと全く別なものが出てこなくちゃならない。その後その半分は、いま言うように議院運営委員会において、大臣が出席をせられて、それはこの委員会の出席じゃなくて、言われておるのを裏打ちすることにあるのでありますから、繰り返して言いまするけれども公労法第八条における賃金の決定に対しては、労使が対等で交渉してそれをきめるというのは、これは労組法の、労働者のほんとうの基本的な権利でありますから、その権利を特例法をつくってこうやって法律決定で持っていったら、労働者の基本的権利というものは全くゼロになってしまう。退職金については、こうして法律をつくって団体交渉権を剥奪する、今度は、特別給付金をつくって団体交渉権を剥奪する。その次は何だ、国家公務員だ、地方公務員だ、国家公務員では特例法をつくって法律決定をしよう、こうなったら、日本の労働者の基本の権利というものはどうなるのですか。賃金その他の中へ含めて、最初の本城たる賃金だけはまだ法律できめるというところまで持っていっていないけれども退職手当金だの特別給付金というものをつくって、こうやっては団体交渉をするという労働者の権利を奪っていくということは、ちょうど大阪城の外堀を埋めたり内堀を埋めたりすることと同じことであり、実に天下の悪法であります。悪法だから、これは重大問題が含まれている。近代国家の行政を担当する者としては、いま少し真剣に、それにふさわしい近代解釈をしてくれないか。さすがに労働大臣お答えにならぬのは、労働大臣はやはり郵政省の役人とは頭が違いますよ。これはやはり秀才ですよ。秀才です。そこで……。   〔発言する者あり〕
  220. 加藤常太郎

    加藤委員長 お静かに願います。
  221. 小林進

    ○小林委員 そこで、言うならば、労働者の基本の賃金に関する団交権、交渉権も奪うようなそういう特例法を設けるならば、その解釈というものは、厳格に正しく狭い意味に解釈をしなければならぬじゃないか。そういうような基本的な態度でいくならば、第五条の第一項の後半の解釈、この特別退職手当、これはどこから出たか。その条項の中にも、希望退職者にもこの第五条を適用するということばがないじゃないか。ないならば、すなおに、このたび希望者を募って希望退職者にくれるというこの特例法を適用にならないのが至当じゃないか。この特例法の第五条のここを適用して、特別退職金を出すという、あなたたちの言う、ここだというそこには、いわゆる業務量減少その他経営上やむを得ない、本人の意思によらざる状況によって退職していく者に云々ということばがある以上は、本人がみずからやめていきますという、希望して出ていく退職の条項はこれに当てはまらないのじゃないか。当てはまらないというように解釈するのがすなおな解釈のしかたじゃないかというのです。私の言ったことは矛盾がありますか。それをあなたたちは、こういう特例法だの、希望者に対して云々ということばがないからといって、自己の意思によってやめていく人も全部この条項に含まれているのだという広い解釈のしかたこそ、いわゆる母法を骨抜きにする最も危険な法の解釈のしかただ。そういう解釈のしかたをしてしまったら、労働者の権利というものは、朝から晩まで、一城一城取り上げられて、最後には裸になってしまう。だから、賃金の決定には労使対等の立場で交渉するというにしきの御旗、原則がある限り、そんなあなたたち特例法を設けて拡張解釈でいかれるという危険な御答弁に対しては、どうしても了承できないのであります。いかがですか。労働大臣は良心があるからお答えにならない。どうですか郵政大臣、私の言うことはうそでありますか。あなたにも一片くらい良心があるでしょう。あったら、間違ったら間違ったと言ってあやまりなさい。それが人間のすなおな姿です。いたずらに馬齢を重ねて頭がはげたわけではないでしょう、どうですか。
  222. 古池信三

    古池国務大臣 先ほど大蔵省当局からお答えがありましたとおりに、私も考えております。
  223. 小林進

    ○小林委員 私はここに国会の権威というものを疑わざるを得ないのですよ。郵政省の大臣じゃありませんか。たまたま聞いていれば政府委員だというけれども大蔵省関係一課長の答弁に振り回されて、その大蔵省の一課長が言ったその答弁どおりでございますという、そんな権威のない答弁のしかたがありますか。私は全く情けなくて涙が出ますよ。先ほどから繰り返しますけれども、基本的な近代国家における労使関係の中心に関する問題を、あなた方は大蔵省の一課長あたりの答弁を裏づけして、この国会におけるわれわれの質問に応じなければならぬのでしょうか。そんな権威のないことでは、郵政省二百二十二万ですか、電通十七万ですか、それほどの人が毎日毎日労働して生活をしている問題を扱っている郵政省の最高責任者だなんていばれますか。あなたの問題ですよ。あなたの身近の部下の問題ですよ。毎日毎日あなたの命令で仕事をしている労働者のその日その日の生活に関する問題ですよ。そういう重大な問題を、あなたは大蔵省の一課長の答弁に依存していなければならぬのですか。それで郵政省の責任ある大臣といわれますか。情なくて全く涙も一出ませんよ。そんなことじゃいけません。あなたがいまここで回答ができないというなら、私は一日でも一二日でも一週間でも待ちますから、そんな大蔵省あたりの一課長の答弁に間違いありませんなんて言わないで、いま少し権威のある答弁を用意してください——いまできなければあとでもいいですよ。無理しなくたっていいですよ。何ぼでも待ちますから、権威のある答弁をしてください。
  224. 古池信三

    古池国務大臣 お答えいたします。  国家公務員等退職手当法法律としての所管は大蔵省でございますから、私は大蔵省答弁を引用したわけでございます。私としましては、もとより第五条によるものである、その特例である、かように考えてこの立法措置を講じようとしておる次第であります。
  225. 小林進

    ○小林委員 先ほどから繰り返しておりますように、第五条の第一項の後半にいうその特例によって特別退職手当を出すというならば、それは希望退職じゃなくて、あなたたちはいわゆる業務量減少だ、自動式にして——これは減少ではないが、仕事が変わったのだ、近代化したのだ、あるいはその他経営上やむを得ないという、そういう事情で、君、すまぬけれどもこういう二つの事情でやめていってくれたまえ、そうあなたたちが言われたときに、この法律の条文は正しく適用になるのですよ。本人の意思によらずして、やめていくときに、この条文が適用になるのですよ。本人が希望して、みずからの意思で出ていくときには、どう考えても適用になる余地がないじゃないですか。だからそういう法律解釈や適用のしかたは間違っておりますよと言っている。そこをあなたたちは反省しなければいけませんよ。おわかりになりましたか。
  226. 古池信三

    古池国務大臣 お答えいたします。  郵政省あるいは電信電話公社におきまして、この電話が手動から自動に移りますについては、相当の過員が出ることは当然でございます。したがって、これはやはりこの第五条にいう組織の改廃による退職の場合、また業務量減少して、その経営上やむを得ない理由のある場合、こういうものに該当すると考えます。その場合には、必ずしも勧奨によるものでなくても自分から退職を申し出た者に対しましてもこの条項は適用あるものと、かように考えます。
  227. 小林進

    ○小林委員 本会議の関係で時間もないというメモが回ってきましたからやめますけれども、前のほうは要らぬですよ。必ずしも勧奨によらずして退職していく者にもこれが適用になるというその一点なんです、私があなたに繰り返し骨っておるのは。私は勧奨によらずしてやめていく者までも、この法律の第五条の後半を適用することは拡張解釈になってくる。だんだん労働者の基本権、いわゆる公労法第八条にきめられておる労働者の交渉権という基本権利をすぼめていく、これはおそるべき解釈のしかただから、これは絶対に間違いだと思うのです。大臣に言っておるのですから、おそらくそばにおるがやがやわめくわからぬ者どもことばで納得されないだろうが、これは将来に残る重大問題です。お答えにならない労働大臣のほうが正しいのです。あなたはめくらヘビにおじずなんです。あなたが間違っておるのです。私は時間がありませんから、きょうのところは留保しておきますけれども、これはきょうやあすでおさまる問題ではございません。繰り返して申しますけれども、労働者の基本的人権に関する重大問題ですから、こんなことでほこを引いたら後世史上に汚名を残す、死んでも死に切れない、あくまでも私はこの問題を解明していくつもりでありますから……。  次に、私は第二番目に申し上げますけれども特別給付金と称するもの、これは労働省にお尋ねいたしますけれども、一体この特別給付金という性格は大体何でございましょうか。賃金でございましょうか。
  228. 大橋武夫

    大橋国務大臣 特別給付金もやはり公労法のいわゆる労働条件一つとして「賃金その他の給与」というものの一部として支紬されるものと思います。
  229. 小林進

    ○小林委員 これは実に労働大臣は明快に答弁をしていただくと思ったのです。私もそう考える。これが公労法第八条第一号でいう賃金その他の条項であるならば、いまの特別退職金と同じです。基本的人権に関する団交権の主たる種目であることは間違いがない。それほど明確な賃金であるならば、お尋ねいたしますけれども郵政大臣はこれを何とお考えになりますか。特別給付金賃金ですか。あなた方は謝礼金だとかなんだとかつまらないことを言っておられましたが、もう一回お聞かせください。
  230. 古池信三

    古池国務大臣 私は、先ほど労働大臣お答えになったとおりと考えております。
  231. 小林進

    ○小林委員 ときには大蔵省の課長のそでに隠れ、ときには労働大臣答弁のそでに隠れてお答えをしておられますけれども、いままであなた方はこれを公労法第八条第一号でいう賃金であるとはおっしゃらないで、何かおもしろいことばをおっしゃったじゃないですか。特別給付金性格は、自動化に協力してもらって御苦労さんという謝礼金である、こういう迷文句で言っておるじゃありませんか。御苦労さんでござんすという謝礼金でございますと言っておったじゃないですか。解釈が違うじゃないですか。いま一回明確に教えていただきたいのであります。
  232. 古池信三

    古池国務大臣 繰り返して申し上げますが、これは「賃金その他の給与」に入るわけでございます。その精神は、かような事情によって退職される方に対して、使用者として感謝の意を含めて退職にあたって差し上げる特別給付金であるというふうに申し上げた次第でございます。
  233. 小林進

    ○小林委員 あなたはいま労働大臣からよくお聞きになって初めてこれが公労法第八条第一号にいう「賃金その他」に該当する賃金の一部であるという答弁をされたが、いままでそういう答弁をされたことがありますか。いままであなたは団体交渉を拒否して、なかなか団交をおやりにならなかったのだが、最近おやりになった団交の場でも、労働者の代表に向かって、これは御苦労という謝礼金なんだ——謝礼金と賃金とは違うのですよ。おわかりになりますか。どういうふうに違うか、郵政大臣ひとつお答えを願いたいと思うのであります。
  234. 古池信三

    古池国務大臣 先ほど申し上げましたように、「賃金その他の給与」というこの中に入るわけでございます。
  235. 小林進

    ○小林委員 あなた方謝礼金ということは取り消しますか。政府のほうはさまざまなおもしろいことをおやりになって、近くまた地主補償の一環として報償金などというものをお出しになるようであるが、報償金は賃金ではございません。あなた方のいう謝礼金も賃金じゃないのですよ。いままであなたは団交の席上でも、話し合いの席上でも、これは謝礼金だ謝礼金だ、御苦労さんの謝礼金だというのは賃金ではないという解釈に立っておられた。そういうごまかしの答弁ばかりやられるから問題は混迷する。謝礼金とは何ですか。何も法律的の根拠がないじゃないですか。あなた方は謝礼金であります、御苦労賃でありますとおっしゃるには、ちゃんとその性格を煮詰めて言っておられるのでありましょうから、いま一回謝礼金というその金の性格を明確にお聞かせ願いたいと思うのであります。
  236. 古池信三

    古池国務大臣 かような限定された特殊の場合において、退職に際して謝礼の意を含めて支給する給与であります。
  237. 小林進

    ○小林委員 公労法第八条の第一号、団体交渉範囲の中に「賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項」について団体交渉を持つというその中の——さっきも労働大臣はその一号の「賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項」の「賃金その他の給与」に該当するとおっしゃっておる。そのとおりなんです。
  238. 古池信三

    古池国務大臣 私も先ほど来たびたび申し上げておるとおり、賃金その他の給与と申し上げております。
  239. 小林進

    ○小林委員 謝礼金ということばはたいじゃないですか。謝礼金ということばは法文のどこにありますか。御苦労賃なんというのはどこにありますか。
  240. 古池信三

    古池国務大臣 なるほど法文には御苦労さんということはございませんけれども、これはその謝意を含めた給与であるということを申し上げております。
  241. 小林進

    ○小林委員 そういう法律も行政もないような思いつきの、ごまかしの答弁をしちゃいけませんよ。そういうところにあなた方の経営者としての近代性のない間違いがあるのですよ。  そこで私は申し上げます。いわゆる特別給付金賃金給与であるということが明確になった。明確になったら、これは当然公共企業体等労働関係法第八条に基づいて、団体交渉の最も重大なる要素でなければならぬ。二十七条ないし二十八条に基づいて決定せられた労働者の基本の権利だ。その憲法の二十七条から引いてきて、公労法の第八条というものが生まれてきている。その第八条に基づいて団体交渉権というものが生まれた。たまたま特別の退職手当については、いまも言う国家公務員等退職手当法というものが出てきて、この重大なる権利を剥奪したけれども特別給付金については、いわゆる国家公務員等退職手当法にもない。ないならば、当然この第八条に基づいて団体交渉の上に給付金を決定するのがとるべき当然の処置でなければならぬと思います。根拠法律がないのでありますからね。労働大臣いかがでありましょう。
  242. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は今回の問題は本来団交事項であるという考えを持って、いままでいろいろ労使双方に助言をいたしてまいった次第であります。
  243. 小林進

    ○小林委員 実に労働大臣はりっぱだと思う。これで結論は出ている。労働大臣がおっしゃるように、法律根拠がない特別給付金なるものをおつくりになるならば、それはいま言うように、やはり法律に基づいて決定するところの団交事項として、労使間で話し合いをするというのがあたりまえです。これはだれが考えても明々白々の事実だ。やみ夜の中でも、暗やみの中でもわかる事実であります。そういう明白なる事実を、法律根拠がなければといえば、こういう特例法を無理につくり上げる、その特例法も舌をかまなければ言えないような長たらしい竹前をつけた特例法をつくり上げて、そして労働者の権利を剥奪するというおそるべきたくらみをおやりになっているのであります。たいへんなる行為であると私は思う。郵政大臣、どうですか、あなたの間違いをお気づきになリましたか。お気づきになりましたり、すなおに陳謝をするのが為政者の安であります。どうぞごまかしの答弁をしないで、間違いは間違いではっきりひとつやっていただきたいと思う。
  244. 古池信三

    古池国務大臣 労働者の権利を尊重するということについては、私も全く人後に落ちるものではございません。しかしながら、国家公務員等退職手当法公労法と同じく憲法のワク内において決定された法律でございます。今回の特別給付金はこの退職手当特例として、私ども法律によって決定していただこうというわけでありまして、何もことさらに労働者の権利を侵害しようとかいう意図に基づいたものではなく、この特殊な場合に即して適切なる方法をとりたい、それには国家権力の最高機関である国会において御審議を願って決定していただくことが妥当である、かように私は考えた次第でございます。
  245. 小林進

    ○小林委員 郵政大臣、これは重大問題ですよ。私が先ほどから繰り返しておりますように、特別退職手当でさえも、いわゆる国家公務員等退職手当法という法律が曲がりなりにもあるが、その法律にも当てはまらない危険性がある。われわれの解釈では、この退職金を支給することが第五条に当てはまらないという解釈、それでさえもあなた方の行為は行き過ぎであると言っておる。ところが、この特別給付金に至っては、そういうよりどころの法律もないのです。何にもない。何にもないならば、当然公労法の第八条に基づいて団交権の問題として取り扱うのが一番すなおじゃないか。ところが、そのよりどころがなければ、今度あなた方はこういう特例法の中の特例法だ、差しつかえがないと思うというふうなへ理屈で、特に法律を新しくつくり上げて、そうして労働者の団交権、基本的な権利を剥奪するようなおそるべき行為をおやりになっている。そんな理屈が通れば、今度この次に何をあなた方はやるか、賃金もまた特別法、特例法の特例法だといってまた法律をつくって、団交権を取り上げるという危険性がないとだれが一体言えますか。いまはそんなことをやらないとあなた方は言うかもしれません。いまはやらないとおっしゃるかもしれませんけれども、われわれのほうから言わせれば、勘ぐってそう考えざるを得ないほど、あなた方ははなはだ無軌道な法律をおつくりになっているということだ、私はこれは気に入らない。だからこういうものはおやめになりまして、そして本来の目的に返って、団体交渉権、第八条のほうでおやりになったらいかがですか、こう申し上げているのでありますが、労働大臣、あなたの御答弁は要りませんが……。
  246. 大橋武夫

    大橋国務大臣 実はこの法律の制定につきましては、私も関係し、この法案の提案につきまして賛成をいたしてまいっておるわけでございます。そこで先ほど来私が申し上げましたところは、本来今回の特別給付金というものは公労法における団交事項である、したがって団体交渉によって決定されるべきものであることは間違いありませんが、しかし政府部内の慣行といたしまして、従来皆さま御承知のとおり、なかなか各公社等におきまして団体交渉によって新しい給付をつくりましても、実際予算を握っております大蔵省というものがございますので、そのためにいろいろ実施上の困難に遭遇することが往々でございます。ことに今回の場合におきましては、先ほど来問題になっておりました退職手当法特例、こういう条文がございますので、従来この特例規定してあります金額以上の金額を今回は奮発をしようというのが事の起こりでございます。そうなりますと、その金額が団体交渉によって話し合いがきまりましても、これを実施する際には退職手当についてはあの法律で限界がきまっておるのじゃないか、それ以上のものは法律上出すことはできないんだ、こういうことで、実施ができなくなるおそれがございますので、したがって、私は団体交渉権範囲であることはもちろんであるが、同時に退職手当法できめてある金額以上のものを出すということを予定する場合には、思い切って退職手当法特例というような法的措置を講じておくことが実際問題を円滑に解決する方法だ、かように考えたわけでございます。したがって、この特例法の制定ということは、必ずしも団体交渉を拒否する理由にはならない。現に現在の段階においては特例法そのものがまだ成立をいたしておらないのでございまして、その際において特例法が成立するであろうからということを理由にして団体交渉を拒否するということは、どうも公労法の本来の運用の精神からいっても適当ではないというので、昨年以来私どものほうといたしましては、公社当局に対しましても、すみやかに団体交渉に入るようにという勧告をたびたび行なってまいっておるような趣旨でございます。したがいまして、この法律は労働者の団体交渉権という基本権を直ちに制限するものとは私は考えておらないのでございまして、団体交渉とこの法律と両々相まって初めて団体交渉実施を円滑ならしめる、これによって労働者の権利を完全に保護できる、こう思っておるわけでございます。
  247. 小林進

    ○小林委員 もう時間もありませんからこれで終わりますけれども、大臣のおことばを聞きっぱなしにしておりますと一私はそれを承服したことになりますので、一応私は申し上げておきますが、大臣が団体交渉を拒否するなという勧告をせられたという、私は大臣のお考えは全く賛成であります。これは労働大臣としてりっぱな勧告だと思う。それをいれない公社当局、郵政当局は、私はさらに新しい大きな間違いを犯しておると思う。  それから第二番目の、いわゆる特例法の特例法で、特別退職金のほかにまた金を出すのだから特例法を設けなくちゃいかぬだろうという大臣の考え方は、これはいただきかねる。余分に金をくれるのだから、お前たちの基本の権利は剥奪されても黙っていろなどという、そういうふうなものの考え方は、私どもは了承はいたしません。そんなふうな金ならば一銭も要りません。労働者の生命に関するような団交権を、そんなわずかな金によって売るような、われわれは淫売婦でもなければパンパンでもございません。日本の労働者の思想はもっと健全でありますから、そういうようなことで了承するわけにはいきません。  それからいま一つ労働大臣が重大なポイントを言われた。まだ団交権を拒否しているわけじゃないのだから、いわゆる公務員の退職法とともに、団体交渉によっても話を進めるようにということを勧告しているとおっしゃった。これは私が質問してみたいという第三点の重大なポイントであります。ところが郵政当局も大蔵当局も法制局もそういう解釈をしていない。この公務員の退職法に関する限りはこういう解釈をしている、職員退職理由として支給される給与については退職手当法定められているので、実質的に退職手当に該当するものはその名目のいかんを問わず法律によらないではこれを支払うことはできないのであります、かかる性格を有する本法案の内容である特別給付金は、法律によって定められねばならないものであって、団体交渉によって取りきめることはできないと言って、団体交渉を拒否することをちゃんとあなた方は明言しておる。これも労働大臣の解釈とは全く違うのです。しかし時間がありませんから、これはまた後日明確にすることにいたしまして、私の質問は一応これで留保しておきます。
  248. 加藤常太郎

    加藤委員長 この際暫時休憩いたし、本会議散会後本連合審査会を再開することといたします。    午後一時五十七分休憩      ————◇—————    午後三時十八分開議
  249. 加藤常太郎

    加藤委員長 休憩前に引き続き連合審査会を再開いたします。  質疑を続行いたします。卜部政巳君。
  250. 卜部政巳

    ○卜部委員 私が質問したい要旨は労働大臣に多くの関係を有しておるわけですが、労働大臣はいかがなされたのですか。
  251. 加藤常太郎

    加藤委員長 約二十五分後に来ます。約三十分あと……。
  252. 卜部政巳

    ○卜部委員 では、関連から御質問をいたしますが、大橋総裁は先ほどたまたま小林委員の発言の中で指名がされなかったわけでありますが、この問題につきまして、私が質問をいたします問題についてひとつ御答弁を願いたいと思います。  それで、先ほど退職金の問題についても付加金の問題についてもこれは賃金の一部であるという御意見について、労働大臣並びに郵政大臣も同感である、こうお答えになりましたが、大橋総裁はどのようにお考えになりますか。
  253. 大橋八郎

    大橋説明員 お答えいたします。退職金は「賃金その他の給与」の中に含まれるものと了解しております。
  254. 卜部政巳

    ○卜部委員 私の申し上げますのは、これを賃金とみなすかということでございますから、明確にひとつ賃金とみなすならみなす、このように御答弁を願いたいと思います。
  255. 大橋八郎

    大橋説明員 「賃金その他の給与」というものに入るものと心得ております。
  256. 卜部政巳

    ○卜部委員 「その他」とは一体どういうものをさすのか、明確にしてもらいたいと思います。どういうものでしょう。
  257. 大橋八郎

    大橋説明員 お答えいたします。給与の中に賃金もありその他のものもある、こういうことでございますから、賃金そのものかどうかということは問題だけれども、その他の給与の中に入っている、かように申し上げるわけであります。
  258. 卜部政巳

    ○卜部委員 では郵政大臣質問をいたしますが、先ほどお答えでは、賃金とみなす、こういうことでございますが、それでよろしゅうございますか。
  259. 古池信三

    古池国務大臣 先ほど私は賃金その他の給与、かようにお答えいたしました。また労働大臣お答えもそのとおりでございます。
  260. 卜部政巳

    ○卜部委員 では引き続きまして郵政大臣に御質問をいたしますが、賃金その他ということで、今日までの論争、さらには紛争というものが、この問題に関する限りは国家公務員等退職手当法にあるから交渉しなかった。この問題は誤りであったということにいまのおことばは直結をすると思いますが、そういうふうに解釈をしてよろしいわけですか。
  261. 古池信三

    古池国務大臣 この問題については午前中にも申し上げましたが、要するに賃金その他の給与でありますから、公労法第八条に記載されておるものではありまするが、しかしながら、公務員その他公共企業体職員については法律によらなければかような種類のものは決定できない、支出できない、こういうたてまえになっておりますので、かりに団体交渉をもってある金額が出ましても、これは法律によらなければ有効に実現を見ることができない、かような趣旨お答えを申し上げております。
  262. 卜部政巳

    ○卜部委員 私は数多くの質問を持っておるという中に、具体的にここで触れてはならないような問題も実は持っておるのです。その点まで私は触れたくないから、あえてこの問題を一つに集約をし、質問をしたいと思っておりました。しかし大臣がいまそういうふうなお考えで、またそのような論拠に基づいた御答弁をなされますと、自然発生的にその方向へ質問を展開していかなければならないわけです。現実にこの問題が矛盾があるという、これは各種委員会の中でも追及をされておると思うのですが、私はそういう問題になおかつ今日触れていきたくない、こういうふうに考えておるから、私はその問題についてやはり団体交渉においてすべきであるかどうかというこの結論を急いでおるわけなんです。その点はいかがなものでしょう。これからのあれは、団交によって解決の方向に結びつけていく、このように解釈をしてよろしいのでしょうか、どうでしょう。
  263. 古池信三

    古池国務大臣 先ほども申し上げましたように、国家公務員等退職手当につきましては、あるいはただいま申し上げましたような給与につきましては、団体交渉によって結論が出ましても、それだけでは有効に働かないわけでありまして、どうしても法律規定を必要とする、かように申しておるわけであります。
  264. 卜部政巳

    ○卜部委員 午前中の小林委員の発言の中にもありましたように、憲法で定められた基本原則というものがあり、さらに公労法第八条第一項に基づいて団体交渉事項であるということについては、否定する何ものもないと思うのですね。少なくともあらゆる国を見てもしかりでありますけれども、その団体交渉の中から協約が結ばれ、さらにこれが法律化していくというのが筋だと思うのです。しかるにいま郵政大臣の御答弁では、少なくともそういう問題の団交というものを排除しながら、法律定めなくてはいわゆる予算というものがこれに付随をしないから団体交渉などやってもつまらぬ、こういうような御答弁のあれもあったと思うのですが、私は率直に言ってそれであってはならないと思うのです。それで実際問題として、これは労働大臣がおいでになったときに私は質問をしたいと思いますが、今度の春の戦いにしてもそのとおりですね。当事者能力がない、こう言われるのです。皆さん方が自分たちの手で団体交渉をやっても、予算総則、さらには予算総額というものから、この問題を突破することができない。吹き抜けることができない。そういうような関係から、こういう問題については皆さん方は積極的に取り組もうという姿勢がないということが、今度の春闘の中で政府自体が反省をし、さらにこの対策を立てるというのが今度の政府の方針だと思うのです。そういう一つの例を見てもわかるように、いま郵政大臣が指摘をされており止す、団体交渉をやっても何らこれに効力を伴わないということが私はおかしいと思うのです。その点いかがでしょう。
  265. 古池信三

    古池国務大臣 ただいま先般の春闘にも関係をされて御指摘がございましたが、やはり今後の問題としては、公共企業体等の職員について、労働問題その他いろいろ検討すべき点はあると存じます。これは将来いろいろの機関において検討をしてもらうべきことと思いますが、現在の法制のたてまえあるいは予算のたてまえから言いますると、どうしても法律によって規定しなければ支給できない、こういうたてまえになっておりますので、ぜひこの際この立法に御賛成願いたい、こう考える次第であります。
  266. 卜部政巳

    ○卜部委員 私が質問しておるのは、当然それは法律をつくらなければ出ないということはわかるのですが、その前に何かないかということです。それは一つに、公労法のたてまえからしても、当然その中では、この問題についていわゆる団体交渉し合うというのが労使間の正常の姿ですよ。そういうことをやらぬで、そうしてそういうことをやってもつまらぬから法律でもって云々ということが違っておるのでしょう、私はこういうことを言っておるのですよ。だから大臣は、そういうことをやっても、予算総則のたてまえ上、さらに予算総額のたてまえ上法律においてつくったほうが早く物事が解決いたします、こういう言い方をしてはならぬと私は言うのです。その前にやはり団体交渉をやって、そういう金が要るのか要らないのか、こういう点は労働者がきめることです。午前中にも発言があったように、そういうくされ金だったら自分たちは要らぬ、そういう発言もあるのですから、労働者の意思が十分に反映されないということが私はいけないと思うのです。その点はいかがでしょうか。
  267. 古池信三

    古池国務大臣 この場合は一般の賃金等の問題と違いまして、ごく限られた特殊の場合の、また特殊な事例でございますから、法律によって定めてよろしいのではないか、またそのほうがこの際取るべき道としては最善の方法であると私は考えたのであります。
  268. 卜部政巳

    ○卜部委員 私は午前中の御答弁に対する重複を避けようとして、なるべくその問題に触れないのですよ。しかし大臣のおっしゃることは、午前中に言われたことをまたオウム返しに言われておると思うのです。少なくともそれは、特殊であろうとどうであろうと、賃金その他ということが明らかになっているのでしょう。その問題について私は午後のこの委員会の中で、その点はどうなのかという質問をしておるのですよ。その点について、私が初めてここに午後から立つから、午前中はおそらくどこかをぶらついていたんだろうからごまかしちゃえということではなく、やはり午前中の関連の中から大臣が明快に御答弁を願うべきことが至当だ、こういうふうに私は思います。いかがなものでしょう。
  269. 古池信三

    古池国務大臣 私は決してあなたをごまかそうとか何とかいうような、そういう不遇な考えは持っておりません。ただ、現実の問題として、公労法規定には確かに御指摘のように賃金その他の給与というものは団体交渉対象になるべきものである、こう規定されております。そのことはもちろん承知しないわけではありませんが、かような国家公務員並びに公共企業体職員退職手当等については特殊な例があり、また法律によって規定しなければ実効はあげ得ないから、したがって団体交渉をこの際はやらないで、そのかわり組合側の意見はいろいろの機会にお聞きして法律を制定する、こういうような措置をとってまいったのでございまして、決してこれがために労働者諸君の権利を侵害しようとか何とかいうような、そういう考えは毛頭ないのであります。
  270. 卜部政巳

    ○卜部委員 大臣に反復してお尋ねしたいのですが、いろいろの機会を通じて労働者の意思を反映していただいた、その中から法律ができたとおっしゃいますが、法律をつくろうとしておる、こういうことなんですが、現実にそういうような機会をつくったんですか、その点をひとつ明らかにしてください。
  271. 古池信三

    古池国務大臣 形式的に団体交渉という形はとらなかったでしょうが、事務的にいろいろ組合側にはお話しをして、理解をしてもらうようにつとめたり、あるいは組合側のお考えも伺うような機会をつくったということを事務当局から私は聞いております。
  272. 卜部政巳

    ○卜部委員 やはり大臣のことばの中にかなり矛盾があるのです。その矛盾というものを一つ一つひもといてみますと、やはり十分の配慮のもとに労働者の意見を反映するようにつとめましたということは、いわゆる団体交渉というものを必要とする、また必要としなければならないほどの問題であった、こういうふうに私は解釈をするわけですね。団体交渉という形式的なものは踏まなかったけれども、十分に尊重した、その意見を反映させたということは一体どういうことなんですか。その点についてかなりの矛盾があると思うのです。その点をひとつ明らかにしてください。
  273. 古池信三

    古池国務大臣 かような給与に関する法律の制定でありますから、その際に労働者諸君、組合の方々には、法案の内容についても説明をし、また意見のあるところは意見もお聞きして参考にしながら立案をいたしたということであります。
  274. 卜部政巳

    ○卜部委員 大臣は事務当局からそういうふうに聞き及んでおる、こういうことでありますから、大臣じかに会ったということではないから、その点はその答弁において私は納得いたします。納得というよりも一応保留しましょう。そこで大橋総裁、いかがなものでしょう、どういうふうに具体的に取り組んだか、この点をひとつ総裁のほうから明らかにしてください。
  275. 大橋八郎

    大橋説明員 先ほど法律的解釈は大臣からすでにお話しになりました、そのとおりに私は考えております。ただ、そのとおりではありますが、事柄の内容は、各組合員の待遇改善に非常に重大な関係のあることでありますから、でき得るだけよく法案の内容を理解してもらうということが、将来のために非常に必要だと考えまして、法案を提出する前から今日まで数回にわたって労働組合側に説明をし、またできるだけ労働組合側の意見も聞くようにつとめてまいったことは事実でございます。
  276. 卜部政巳

    ○卜部委員 では、お伺いをいたしますが、労働組合に十分伝えるという機関は、またどういうような機会を通じて十分にその意思を伝えたか、この点をひとつお伺いしたいと思うのです。
  277. 大橋八郎

    大橋説明員 その何日にどういう集まりをやったかということは、詳しいことは職員局長から御説明いたします。
  278. 中山公平

    中山説明員 お答えを申し上げます。  先ほど総裁が御答弁を申し上げましたように、十分に組合の理解も得たいという考えから、この法案が四十三通常国会に提案される前の五月二十五日に、これは閣議決定のあった直後でございますが、法律案要綱を組合に説明をいたしました。また六月の十三日には、法案の内容について説明をいたしました。こういうものを含めまして、ことしの一月三十一日までに約十回程度、組合とはいろいろ論議を重ねてまいりましたが、この論議の中で、この法案の内容となっておる事項団体交渉事項であって、労使間において取りきめるべき問題であるという組合の主張が終始一貫繰り返されまして、中身の話になかなか入らなかった、こういう状況でございまして、私どもといたしましては、その間におきまして政府から法律案がすでに提出されておるのだから、それ自体についていろいろと話し合いをするということは、話し合いとしてはいいけれども、それを労使によって変更するとかそういうことは実際問題としてできないが、政令等に譲られておる事項については意見も十分聞きましょうという提案もいたしました。また、この法案がかりに実施されるような場合の具体的な全体としての姿、どういう運用がされるか等について意見があれば、私どもそれを聴取するにやぶさかでない、こういう提案も行ないました。そういう状況でございます。
  279. 卜部政巳

    ○卜部委員 そこで大橋総裁、私は、少なくともいまの職員局長ですか、の答弁には、納得できないのです。なぜかといいますと、郵政大臣は何と言われたかというと、十分御意見を拝聴をしながら法律をつくることに踏み切りましたと、こうおっしゃっておるのですよ。ただそういうものを説明をして、そしてそのような労働者の意見が反映をされていない、ただ説明に終わったものをもって、私は十分な意見が反映されたということにはならないと思うのです。その点どうなんですか、その点の食い違い、どうですか。
  280. 大橋八郎

    大橋説明員 私どもとしては、でき得る限りの努力をいたしたつもりでございます。ただ、遺憾ながらその努力の結果が相手方にどう反映いたしましたか、その結果はどうあらわれたか、これはちょっとここで申し上げかねますが、努力だけはいたしたことは確かであります。
  281. 安宅常彦

    ○安宅委員 関連して。総裁はたいへん話し合いをしたような話でありますが、労働組合と話し合いをするときは団体交渉以外にないんですね。それで、そういうときにあなたのほうで団体交渉事項だということを労働組合が終始一貫して主張したから、中身まではなかなか入れなかったと言っておりますが、具体的に質問しますけれども、この問題は管理運営事項である。政令に移譲した問題と関連したこまかい問題をやるんだと思いますが、この中身の問題は管理運営事項であるとして、その話の内容に入ることを拒否したのもあなたのほうだと理解しておるのでありますが、組合が終始一貫して主張したからだとは、中山さん、たいへん遺憾な答弁だと思うのですけれども……。
  282. 中山公平

    中山説明員 お答えいたします。  管理運営事項ということではなくて、私ども公労法の第八条にいうところの「賃金その他の給与」ということには該当をするので、公労法八条からいえば、団体交渉対象事項であるということは認めておるわけでございますが、一方、今朝来の各関係の方々の御答弁にもありますように、公社職員退職理由として、退職時に支給する給与につきましては、国家公務員等退職手当法という法律がございますから、これの特例をなす今度の特別給付金のようなものは、団体交渉によって取りきめても有効に実施することができない。法律によらざれば支給することができないという趣旨から、団体交渉で話し合いをするということには応ずることができないということで主張をしてまいったわけでございます。
  283. 安宅常彦

    ○安宅委員 法律の内容を私は聞いておるのじゃないのです。法律の内容については、いろいろ卜部さんが言っておるわけでありますが、先ほど組合側が終始一貫団体交渉事項だと主張したから、なかなか中身に入れませんでしたとあなたは言われた。中身に入れないというのは法定事項だから中身に入る必要がないというので、あなたのほうが拒否したので中身に入れなかったと思うのです。あなたは労働組合が説明を聞かないから中身に入れなかったような答弁をしておるから、そこはあなたが間違っておりますよと言っておったのです。おかしなことを言わないでください。いいですか。
  284. 中山公平

    中山説明員 お答えいたします。私は事実を申し上げただけで、どちらがどうだということを申し上げたわけではございません。
  285. 安宅常彦

    ○安宅委員 労働組合側が団体交渉事項であるということを主張したのは事実でしょう。あなたのほうでは内容説明に対しては、法定事項であるから、何も労働組合と協議したり理解を深めるためのそういう話し合いをする必要はないと言ったのも事実でしょう。そうでしょう。
  286. 中山公平

    中山説明員 お答えをいたします。理解を深める必要はないというようなことは申しておりません。理解を深めたい、説明もいたしたい、また、先ほど申し上げましたような事項については、御意見があれば御意見も承りましょう、こういう態度で臨みました。
  287. 安宅常彦

    ○安宅委員 少なくとも団体交渉事項をあなたのほうからは説明はします。しかし一方的に説明をする、労使対等であるべきものを、団体交渉事項であるとこの委員会では認めておりながら、労働組合にはそう言ったかどうか私は知りませんが、たとえば、理解を深める必要はないとは私は言いませんなんて、私のことばの端をとらえてそういう答弁をされては困るのです。あなたのほうでは、団体交渉事項だというので組合が主張したのでなかなか中身に入れませんでしたと答弁したから、私は、中身の問題は法定事項だからというので団体交渉でそういうことを言う必要はないというのでがんばったので、そういうことから理解を深めるためにいろいろな事項が進展しなかったのが実情じゃないか。少なくとも、百歩譲っても、あなたのほうはそういう事実を申し上げたと言うておるけれども、あなたのほうにおいても、法定事項だから何も組合に言う必要はないんだということで、理解を深めるためのそういう行為は事実上できなかった。中身に入れなかった理由は、あなたのほうにそういうことがあったんだということを認めてもらわなければ困る。
  288. 中山公平

    中山説明員 お答え申し上げます。私のことばが足らなかったかもしれませんが、組合側は、この法案の内容は団体交渉で取りきめるという主張であり、私どもは、先ほど申し上げましたような理由団体交渉で取りきめることはできないということで対立をして、中身に容易に入ることができなかったというのが実情でございます。
  289. 有馬輝武

    ○有馬委員 関連して総裁にお伺いしたいと思いますが、いま卜部委員並びに安宅委員から質問のありましたことと関連いたしまして、先ほど総裁は、この案件について組合側の理解を深めるために十回前後話し合いを持って説明をした、こういう御答弁があったわけでありますが、公労法第八条によりまして、私はこういった法律案を提案するかいなかも第八条に含まれておると理解をいたしますが、その点についての見解をこの際明らかにしていただきたいと存じます。
  290. 大橋八郎

    大橋説明員 これは午前中からもいろいろ説明がありましたし、先ほども簡単に申し上げましたが、とにかく、こういう特殊の退職手当に対する特例をつくるためには、どうしても法律が要るんだ、したがってこれは団交事項ではない。これをやるためにはどうしても法律をつくらなければならぬということだけは、はっきり私ども考えておりますので、そのとおり申しただけでございます。
  291. 有馬輝武

    ○有馬委員 その少なくとも特別の法律案によるべきか、あるいは国家公務員等退職手当に関する法律によるか、そういった取り扱いについても、私は第八条の第一項に該当するものと理解するのですけれども、少なくとも労働大臣の見解もそうであると理解するのですが、もし違うとするならば、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
  292. 大橋八郎

    大橋説明員 結局これは見解の相違になるかもしれませんが、私どもは、そういう法律を出すかどうかということまでも団体交渉でやるべきもあとは考えておりません。
  293. 有馬輝武

    ○有馬委員 第八条の第一項とどうして違うんですか。
  294. 大橋八郎

    大橋説明員 第八条だけをごらんになりますと。確かに団体交渉事項ということになる、こう書いてありますから、そのとおりであります。しかしながら、現実の問題といたしましては、退職手当についてはすでに法律が出ております。この出ておる法律がある以上は、これと違った手当をやろうとするためにはどうしても法律でなければいかぬ、こういうことを私ども考えておるわけであります。
  295. 有馬輝武

    ○有馬委員 私はそういうことを伺っておるのじゃなくて、ほかの法律によるべきかいなかという点についての取り扱いは、八条の第一項に含まれるんじゃないかということをお伺いしているわけです。
  296. 大橋八郎

    大橋説明員 現在、もし国家公務員等退職手当法というものがなければ、あるいはあなたのお説のとおりになるかもしれません。しかし、現実手当法がある以上は、私どもはさように考えております。
  297. 有馬輝武

    ○有馬委員 私は関連でありますからこれ以上お伺いしませんけれども、いまの点は、午前中からの答弁の食い違いの一番の問題点でございますので、見解を明らかにして、卜部委員質問の過程でこの点は明瞭にしていただきたいと思います。
  298. 卜部政巳

    ○卜部委員 大橋総裁、あなたは午前中何を聞いておったんですか、率直に言って。いいですか、労働大臣も、それから古池郵政大臣も、これを認めておるんですよ。それで、その認めたことがいままでのそれとは違っておるんじゃないかという追及がなされておるんですよ。私は、午前中のその問題をまた蒸し返し、また元に返して質問をしょうなんて思っていないんですよ。そうじゃなくて、私は今度労働大臣が来られたら、新しい問題として提起しようとする問題があるから、その問題に若干触れながらその問題を引き出そうとしておったのです。あなた、何ですか、八条一項の問題なんかは、その問題に限っては云々だけれども、実際問題は団体交渉など当然やらぬでもいいのですという、そういう言い方は、どこの頭脳から出るんですか。少なくとも大橋総裁は公社の総裁でしょう。労働大臣が、さらには郵政大臣が、そのことは当然団体交渉すべきだ、こういうことをはっきり言っておることについて、あなたはこれに反逆するということはおかしいじゃないですか。それは認めないということですか、どうなんですか。
  299. 大橋八郎

    大橋説明員 私は、第八条だけを解釈する場合には、むろんこれは団体交渉対象となる事項であると考えます。しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、すでに退職手当法というものができておりまして、これができておる以上は、この退職手当法と違った手当を与えるためにはどうしても法律が要るんだ、こういう点を申し上げたわけでございまして、決して第八条はそれが入らないということを根本的に言ったわけではございません。
  300. 卜部政巳

    ○卜部委員 だから、私は、大橋総裁、とぼけちゃいかぬと言うのですよ。いいですか、手当法というものの——午前中に田中武夫委員のほうから、どういう質問がなされたんですが。その中で明らかにされたことは、これとは別個のものだと言われ、さらに、それから続いた小林委員も、それに従って——労働大臣は、当然賃金その他とみなす、こうおっしゃったでしょう。そういう問題から関連すると当然団体交渉事項だというようなことで、これは火を見るよりも明らかなんです。そんなことを言っておるのじゃないのです。そういうことであるからいかぬ。その点は、何か知らぬけれども、やらないとか、団交じゃないことがきわめて当然のような印象を与える答弁は、私はなっていないと思います。  そのことは別問題としまして、いま労働大臣もお見えになりましたので、新しく労働大臣質問をいたします。  私は、労働大臣の午前中の御答弁は、まさに労働省をあずかる労働大臣としては実にりっぱな御答弁であるし、そしてまた、その下にある労働省も、ある意味においては私は敬意を表したいと思います。  そこで、私はここに、これに対しまして……。   〔発言する者多し〕
  301. 加藤常太郎

    加藤委員長 御静粛に願います。
  302. 卜部政巳

    ○卜部委員 それで大臣が——御答弁の中にありましたけれども、この点については当然いわゆる団体交渉事項である、こういう明確な御答弁を願ったわけでありますが、これを郵政省、さらに電電公社に対しまして、どのように勧告をこういうふうに団体交渉をしなさいというように勧告をしたのか、さらにその面について、その実施をどのように把握しようとしたのか、私はお聞かせを願いたいと思います。
  303. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は、退職手当法特例という現行法がありまする以上は、団体交渉が成立いたしましても、この法規に抵触する部分につきましては、実施上いろいろ問題がございまするので、それらの点を円滑にするためにこの法律を提案するということについては、先ほども申し上げましたとおり、積極的に賛成をいたしておる次第でございます。しかしながら、この法律を提出するということを理由にして、この種の事柄は団体交渉範囲外のことであるという断定をいたしますることは、公労法第八条の解釈から出てこない。したがって、団体交渉については、あくまでも公労法第八条によって進めることが適当である、こう考えましたので、総裁に労働省までお運びをいただきまして、この際法案を出すことはむろん必要であるが、しかし、団体交渉によって、組合との間に本問題についてすみやかに了解をつけるということは、法案を国会で審議していただく上においても必要な事柄であると思うので、ぜひ団体交渉をお進めいただきたいということを勧告いたしたのでございますが、総裁においては、なるほど趣旨はよくわかった、こう言ってお帰りになったような次第でございます。それは昨年の秋のことでございます。
  304. 卜部政巳

    ○卜部委員 労働大臣の御答弁は、頭脳明晰である関係か知らぬですが、ずばり、ずばりと明快な答えをしてもらっています。そこで大橋総裁、同じ大橋という名前なんですが、どうなんですか、この勧告をどのように受けとめたのですか。先ほどのあなたの御答弁とは雲泥の差ですね。どのように受けとめたのですか。
  305. 大橋八郎

    大橋説明員 この国会に法案を提出する直前でありましたか、労働大臣から、ただいまのお話のような、もう少し話し合ったらどうかという勧告をいただきました。そこで郵政大臣にもそのことを申し上げまして、数日間話し合いのために提出がおくれたことも事実でございます。なお、話し合いはいたしましたけれども、どうも話がつきそうもないというので、いつまでも便便と待っているわけにいきませんから、それで提出した、こういうことでございます。
  306. 卜部政巳

    ○卜部委員 大橋総裁、少なくともいま大橋労働大臣答弁をされた内容はおわかりですね。私は反復説明は申し上げませんよ。この国会に出されるこういう法案について問題が出てきているのでは、やはり問題になるから、そこにおいては十分に団体交渉を行なって——団体交渉ですよ、いいですか。団体交渉を行なって、これをすみやかに通過させるとか、さらにはその方向で進むように運営させる方向が望ましいという勧告が出されたんですよ。その点についてあなたは話し合いだと言う。職員局長はただ一方的に話しましたと言う。それはそういうものではないんですよ。だからその点はどうなのかと私は言っているんですよ。この点はどういうふうなんですか。
  307. 大橋八郎

    大橋説明員 話し合いをして、できるなら妥結すれば非常に望ましいという話があったことは事実でございます。しかし、どうも話し合いがなかなかつきませんから、いつまでもこれを出さないわけにまいりませんから、提出した、こういうことでございます。
  308. 卜部政巳

    ○卜部委員 それでは古池郵政大臣にお伺いしますが、郵政大臣も午前中には、労働大臣と同じような立場でもって私は処理したい、こういうふうな御答弁がなされました。いま大橋総裁からそういう相談を受けたということでございますが、この相談に対してどのように指導をいたしたわけですか。その点をひとつ明らかにしてください。
  309. 古池信三

    古池国務大臣 ただいま大橋総裁から御答弁がありましたように、労働大臣と会見した際に、そのような話があったという報告がございました。私はその報告を聞きまして、それではその趣旨に従って善処してほしいということをお答えしました。  なお、午前中も、午後に至りましても、私のお答えしていることは別に変わってはいないのでございまして、賃金その他の給与につきましては、公労法の第八条によって団体交渉対象とし、これに関し、労働協約を締結することができる、こういう規定になっております。しかしながら、ほかのものと違いまして、かような退職手当のごとき給与については、やはり法律にすでに規定されておることであり、それの特例でありまするから、これも法律によらなければ実際上予算措置もできない。したがってこの際は、正式のいわゆるこの法律規定されておりまするような形式的な団体交渉というのではなくて、組合の御意見も聞き、そうしてこちらの趣意もよく説明をして、その上で法律の成案を得たわけでございます。またこの第八条の規定があるからと申しまして、これが政府の国会に対する法律案の提出権を妨げるものではない、こう私は考えております。
  310. 卜部政巳

    ○卜部委員 郵政大臣、私が冒頭に郵政大臣に申し上げましたように、団体交渉をやって、さらにその点が法律化されてくるというのなら、筋は通っておると言うんですよ、諸外国においてもそのとおりやっておるんだから。だけれども、日本の場合に限って法律を先にする、そういうことがおかしい。しかし、その点については大橋大臣も、その点は現在の方向としては実施するほうが手っとり早いだろうと言われますけれども、ただ、しかし、大橋大臣の気持ちの中には、少なくとも現在春闘の場合において——先ほども申し上げたように、団体交渉をやっても、当事者能力がないと言われる。さらにこの問題から、予算総則があり、予算総額があって、そのワクを吹き抜けるためにはたいへんな努力が必要だし、さらに今日の時点では、これに対する努力をするというとたいへんな時間がかかるから、むしろ法律のほうがいいのではないかと言う。それは幾ら大橋大臣でもここはちょっと答弁が誤っておるんですよ。これはいけないと思っているのです。その点は別問題といたしましても、少なくともそういう、労働大臣からの八条一項に基づく交渉を行ないなさいと言われておるんですから、その問題はやはり忠実に、と言ったらおかしいんですが、春闘のストライキをやるというときにだけ労働大臣労働大臣と言って、そこにかけ込むんではなくて、やはりそういうことをたよるのではなくて、そういう問題があったら、その問題で率直にこれを受け入れて、この点をどうやったらスムーズにいくかということを、私はその省の中で論議をし、かつまた、労働組合と十分に話し合っていくことが望ましいと思うのです。この点については、私は労働大臣にもひとつ苦情も申し上げておきますが、労働大臣もいろいろと明快に御答弁をなさっておりますが、いざ春闘のように汽車がとまる、郵便がとまる、電車がとまる、こういうことになりますと、真剣に調停に乗り出す、と言ったらおかしいですが、労働省が積極的に動いてくる。しかしながら、実際問題として、いま勧告だけを行なって団体交渉をやりなさいということを言ったって、それが現実団体交渉がやられたかどうかというような点について把握されていないと私は思うのです。少なくともこれは労働者の当然の権利でありますから、こういう問題がどうなっておるかということは、当然労働大臣が常に把握しなければならないし、積極的に解決をしなくてはならないと私は思っているわけであります。この点については労働大臣いかがなものでしょうか。
  311. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私のほうには、そういう問題で積極的に労使間に介入して適正な解決を強制するだけの権限を持っておりません。労働者の権利は、労働者が公労委を通じて守って、みずからの力で守っていただくというのでございまして、問題があれば公労委に御相談をいただくべきだろうと思うのであります。しかし、実際上の問題といたしまして、そうした表立った問題でなく、内々労働省の専門家的立場に着眼されまして、現実にこういった問題で組合が困っているとか、あるいは使用者側が労働組合との間にこういう問題で困っているという場合に、解決について受け身の立場で御相談に乗るということは十分にいたしたいと思います。しかし、積極的に私どものほうで乗り出していくということになりますと、やはりそれに必要な権限があり、また権能を持っている必要があると思うのでございますが、労働省は官制上そうしたものではないと思うのでございます。
  312. 卜部政巳

    ○卜部委員 大臣も、小林委員が申されておったように、政府の立場ということがありますだけに、答弁も、この問題に対してはそこの点になってくると若干ぼやけたような御答弁をなされるきらいがあります。しかし、実際問題として、団体交渉を行ないなさいと言って大臣は勧告をされているわけなんですから、少なくとも労働大臣が言うようにその団体交渉を行なうことが正しいのですよ。それを管理運営事項であるとか、さらに、それには国家公務員退職手当法があるのだとか、そういうものがあるから団体交渉を行なわないのだという、こういうへり曲がったような理論をつけて団体交渉に応じないということでありましたならば、その問題については、それは誤りではないのか、当然その問題については誤まりだろう、せっかくにこういう点を十分に話し合う団体交渉でやれ、こういう形をやってしかるべきである、こういうふうに私は思うわけです。それで、いま椎熊さんのほうから、十分に話し合い云々ということを言って、十回も一言えばいいと言うけれども、実際一方的に話すということは、これは話し合いじゃないのですよ。そうでしょう。ただパンフレットか何かを流して、それで十分にやったということではないのですよ。そういうことではなくて、団体交渉というものはやはり対等の立場でものごとを言い、さらにその問題の論議を煮詰めていくというところに団体交渉があるのですから、その点では了解をしたいと思うのであります。その点はその点で椎熊委員のほうに申し上げておきまして、そこでこの問題についてでありますが、私は率直に言って、こういう問題についての基本的な誤りは労働大臣にあると思うのです。労働大臣がおっしゃり、さらに古池郵政大臣がおっしゃっているように、最終的にはそういうようなむずかしい問題があるから、むしろそれは法律できめたほうが労働者のためにはよりやすくこの問題が予算化されるのではないかという配慮の前に、もっと私は重大な問題が横たわっておると思う。これが午前中からの質問であり、論議の内容だと思うのです。そういう面で私は具体的な問題についての質問をたくさん用意しておるのです。しかしこれが一番大きな重要な問題だと思いますので、私はこの問題について特に両大臣にお願いをいたしておきたいと思いますが、こういう点をただ強引に突っぱって通過させるということではなくて、十分に労働者と話し合って——この時期が云々ということは率直にいって私はないと思うのです。そういう点を十分話し合っていってこの問題を考えて、そしてこれがどういうふうになっていくべきかを十分政府としても考慮する時間をつくっていただいたほうがよりよくスムーズにいくのではないか、こういうふうに私は考えるわけですが、その点いかがでございましょうか、労働大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  313. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私が先ほど申し上げましたことは、この法案の成立いかんにかかわらず、事柄は団体交渉によって本来処理されるべき事柄である、したがって、団体交渉は法案が成立してもしなくてもお進めになるべきだし、法案を成立させる上からいうと、事前に団体交渉を進められることが適当である、こういう趣旨で申したのであります。しかし団体交渉が妥結する以前におきまして国会にこの法案を提出しなければならない時期が迫ってまいりましたので、私も積極的に提案に賛成をいたしたのでありますが、提案後においても、また今後この国会において予算が成立した後におきましても、現実に人員整理を推進いたしますためには、何としても団体交渉を進める必要がありますから、法案の運命に関係なく進められなければならぬ事柄である、こう思うのであります。
  314. 卜部政巳

    ○卜部委員 郵政大臣はどのようにおとりでございますか。
  315. 古池信三

    古池国務大臣 先ほど来るるお話しのありました公共企業体におきます給与を中心にした労働関係の問題については、現在の法制下においては、いろいろ予算制度の関係もあり、問題はあると思います。さような問題は将来の問題として十分にあらゆる関係機関において検討を加えて、そうしてさらによい方法が見つかればよい方法に改善いたしていくということは、私は非常にけっこうなことだと考えます。しかしながら、現在の時点におきましては、やはりこの法律によって規定をして、そうしてすみやかにこの法律の目的を達成するようにいたしたい。かように申しますことは、御承知のように電話の自動化というものは着々進行しております。そこでこの法律が通ると通らないとによりまして、退職される方々にとっては重大な利害関係もあるわけであります。この法律が施行されますならば、これによって一定条件がかなえば相当特別給付金が一般の退職金以外にもらえるわけでございますが、これがもしおくれますとそういうものがもらえないということになりますので、やはり関係従業員の立場を考えますと、この際はこの法案に御賛成を願いたい、かように私は考えております。
  316. 卜部政巳

    ○卜部委員 いま大臣から、職員の方がこれを待ち、これに対して期待をしておるというような発言がありましたが、少なくとも職員というのは労働組合員です。こういう形に要約されます。その労働組合の中央本部なり労働組合員全体が、この法案に対して、団交という場を設け、その中で十分に自分たちの意思を反映したいといって今日まで申してきておるわけです。その問題を裏書きさせるならば、法律の内容の問題ではなくて、やはりそういう団体交渉というものを否認するあり方がはたしていいかどうかというところに実際問題として問題があると思います。それでこの内容についても具体的に私も触れていきたいと思いますが、しかしこの点については数多くの委員がおりますので、私はこの重要な問題にのみ限って質問をいたしておきましたが、少なくとも両大臣の答弁の中にありました団体交渉を十分に行なっていく、そうしてまた、その団体交渉の形でなければあらゆる話し合いは有名無実のものであるという点をはっきりし、さらに今回の問題についても十分にこれを反映させるように努力することを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  317. 加藤常太郎

    加藤委員長 次に山田耻目君。
  318. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 だいぶ質問が進んでおりますが、公社に働いておる職員退職金等を含めました給与の問題につきまして、最近とみに企業の近代化、合理化というのが進んでおりますし、そうした新しい事業場の変革の問題、産業構造の変革の中からこの種事案が提起されてきますことは、ただ単に電通公社の問題に限りませずに他の二公社にも関係がございますだけに、この問題の本質的な扱いにつきましてもう少し明らかにしておきたいと思いますので、質問いたすわけであります。  電通公社のこの種の法律案の提起に似通った事実関係、いわゆる中身の関係についてでありますが、たとえば専売におきましても、国鉄におきましても、事業場の変革、近代化、合理化の中で全く同じものとは言えませんけれども、ほぼ類似的な取り扱いをしておる事実がございます。これらにつきましては、すべて団体交渉によって近代化、合理化に関する協定を結び、その中から起こってくるこうした公労法八条一号、二号に関する退職金等の中身については、団体交渉で取りまとめて、それを予算上資金上可能ならしめるために、政府筋なり大蔵省筋と話をして処理いたしておるという事実があるのでございますが、この処理のしかたというのは、団体交渉を大切にするその立場を通して、公社、労働組合と両方の問でまとめられてきておる現実の姿ですけれども、なぜ電通公社の場合は他公社に見られないようなこうした特例法案を出されて措置をなされようとしておるのか、ここらあたりからひとつ質問に入りたいと思います。郵政大臣、電電総裁からお伺いしたいと思います。
  319. 古池信三

    古池国務大臣 他のたとえば専売公社等につきましては、私はよく存じませんが、この電話の自動化ということは、いわば画期的なことであろうと存じます。従来ももとより自動化は進められておりましたけれども、今回の五カ年計画によりまして非常な幅において自動化が急速に進められる、こういう特殊な事態に即応しまして、やめられる方に対しては特別の給付金を差し上げよう、こういうようなわけでございまして、先ほど来いろいろ論議されましたように、「賃金その他の給与」というその定義から申せば、公労法第八条の規定によって労働協約を結ぶことができるということになりますけれども、しかし今日の予算制度等にかんがみまするときには、一方においては国家公務員等退職手当法もございまするし、その特例として法律によって規定しよう、こういう考えでございますので、原則として一般論として私どもは労働関係団体交渉を無視する、あるいは労働者の権利を侵害する、そういうふうなたてまえからいたしておる次第ではございません。
  320. 大橋八郎

    大橋説明員 ただいま郵政大臣が仰せられたとおりで、他に申し上げることはございません。
  321. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 私は電電のこの種の事案というものが異常なものであったり、特殊な問題であったりするものであるとは思いません。たとえば国鉄の関係あたりになりますと、最近新幹線ができますし、あるいは鉄道建設公団ができます。こういう公団に国鉄職員がくらがえをしてまいります。あるいはこの六月近くをもって閉山をいたします志免の炭鉱夫の問題についても、これは近代化という形よりは、ある意味では終掘、合理化ということにも通ずるのでありますけれども、そうした事柄も、すべて大前提となるべきものは団体交渉として解決していく、これが国の経営する事業に従事する職員の上にかかってくる労働条件等の諸問題を解決する本筋という立場を通しておるからこそ、その道筋を追っておるのであります。一体電電公社にあらわれておりますこの種の問題と本質的にどこが違っておるかということを私はお伺いしておるわけであります。  そこでこの種の問題が団体交渉対象事項である八条一号、二号、四号というものは、明らかに経営権なりあるいは管理運営権の問題を一応禁止規定として除外をすれば、その他の問題についてはほとんど団体交渉対象事項とされておるし、当然本問題についても団体交渉をすべきが正しいということを、労働大臣も言われておりますし、郵政大臣も公社総裁もほぼ認められておるわけであります。  そこで私はやはりこうした問題の取り扱いについて、何としてもかすとして残っておるのは団体交渉の軽視ではないか、この筋が一番大きな問題として、やはり気持ちの中に消化し切れぬものを残してくるわけであります。これが、これから公社の労働組合活動をながめてまいりますときに大事な点であるということがありますがゆえに、もう一つ深めてみたいのでありますが、さっき電電総裁は団体交渉をした、話し合いをした、労働大臣から勧告を受けたからしてみたけれども、うまくいかなかった、しかし、それならばなぜ二月三日に電通組合が、いわゆる団体交渉の否認の態度である、法律による不法な介入であるという二つの問題点を公労委に提起をして、労働委員会に対する不当労働行為の救済命令申請をやったという事柄は、明らかに経営者のあなた方と労働組合とめ間にまさに法律に準拠したまじめな態度の団体交渉がなかったから、こういう結果をもたらしたのじゃないですか。この点について一点お伺いしたいと思います。
  322. 大橋八郎

    大橋説明員 先ほども申し上げましたとおり、私どもの見解といたしまして、この団体交渉対象としては、私は現在の事態においては目的となるものじゃない、かように考えておりますので、ただ話し合いはできるだけして、了解を求められるならば非常にけっこうだ、できるだけ了解を求めようとしたのでありますけれども……。(発言する者多し)したがって団体交渉はやりませんでした。
  323. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 総裁にしても、郵政大臣にしても、そういう立場で申されておるのでありますが、私はこの問題だけでなくて、公労法八条一号、二号、四号——三号はいろいろ別なものを持っておりますけれども、こうした一連の団体交渉は、禁止条項を除けば全部できる、公労法の精神というのは、これが前提なんです。それが前提であって、しかも公労法十六条の中で団体交渉で協定を結んだことでも資金上、予算上不可能な場合においては所要の手続をとれということが十六条二項にあるのです。仲裁においても同じことなんです。仲裁裁定は尊重するという条文があるけれども、やはり資金上、予算上不可指な場合においては所要の手続をとれとあるのです。これは団体交渉の協定化されたものが必ずしも資金上、予算上不可能なものであっても協定それ自体をはばんだものじゃないのです。団体交渉それ自体をはばんでおるものじゃないのです。この点をあなたは予算上、資金上これは問題があるから団体交渉対象にならぬし、逆に速度を早めるために法律化してこれを提案すればそれで事足りるというお立場をおとりになるから、団体交渉権というものは否認されるという結果をもたらしたのですよ。この点についてあなたも経営者ならばもっとまじめに公労法というものを読んでいただきたい。公労法一条には何と書いてありますか。そこで読んでください。
  324. 大橋八郎

    大橋説明員 先ほども申し上げましたとおり、私は公労法第八条の給与について、これが団交事項対象であるということは決して否認はいたしておりません。これはそのとおり認めております。しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、退職手当については、すでに国家公務員等退職手当法という法律ができております以上、その規定に反するというか、それ以上に積み上げるというか、とにかく異なって手当をさらに出すということは、どうしても法律が必要であるということを申し上げておるので、予算制約によって云々ということは申しておるつもりはないのであります。
  325. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 私の質問に答えてもらわぬと困るのであります。この公社職員に対する労働条件というものに対してどういうふうな取り扱いをすることが公労法の目的であるかということが一条に明らかにされておりますし、この一条にはあなたの責任者としての義務条項が書かれておるのですよ。この義務の中には、職員の労働条件に関する紛争の友好かつ平和的な調整をはかるようにしろ、第二項で主張の不一致を友好に調整するためにあなたは最大の努力を払わなくちゃならぬと義務づけられておるのですよ。一体あなたはなぜこの義務を履行なされぬのですか。この義務を履行していく中で具体的な労使間の対立の問題である八条一号、二号、四号のこの中身が具体的な団体交渉となって爼上に乗せられていく中で、あなたはまじめに実現のために調和を保つために努力をされなくちゃならぬということがこの法体系の持つ精神なんです。この筋を通していって団体交渉の中で協定化をいたしたけれども、なおかつ予算上、資金上不可能なというときに初めて十六条第二項の取り扱いが出てくるわけなんです。この筋を追っていかれれば、二月三日にあなた方が団体交渉権を否認をした、法律を先行させて労働者の持つ権利に不当な介入をしたという、不当労働行為の申請にはならなかったはずなんです。この点についていま一度、団体交渉の持つ公労法規定する性格について、公社総裁としてこれからも関係があることですから、明快な回答を賜わっておきたいと考えます。
  326. 大橋八郎

    大橋説明員 団体交渉という事柄の重大性は私も十分心得ているつもりでございます。したがいまして、団体交渉はできるだけあらゆる場合にやることは、むろん私も今後つとめるつもりでございます。しかしながら、現在問題になっておりますこの法律の問題につきましては、先ほど何回も繰り返して申し上げますとおり、給与の一種類として手当もまた団体交渉の目的になることは十分認めておりますけれども、現在の法律の段階において退職手当法という法律がすでに規定されております以上、その規定と異なったものを差し上げるという場合はどうしても法律が要るんだ、したがいまして団体交渉をやっても何ともいたし方ないことでありますから、私どもはこれは法律を出す、かように考えます。
  327. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 総裁、私は、二十万をこえる企業の最高の責任者として公労法を、正しく守ってもらいませんと、国民から預かっておる国の事業を経営する責任者としての正常な労使関係が生まれないからこそ非常に心配をして申し上げておるのであります。退職金の問題とか、それに付随する謝金の問題については、公労法八条第一号にいう「賃金その他の給与」という中に含まれる、これは明らかなことなんです。これはだれでもそうなんです。ところが、それを団体交渉でまとめていけば、資金上、予算関係があるからできないんだから、当事者能力がだめなんだから、法律に基づいて措置をするという立場をあなたはおとりになっておるんだけれども、その道だけが唯一最善の道ではない。百歩譲って、あなたの主張をその限りにおいてはお聞きするとしても、それが最善の道じゃない。公労法に規制をする労使関係の問題につきましては団体交渉によって必ず協定というものが生まれてくる。しかしその協定が生まれてきても、それが国の経営する事業であって、公労法制約を受けておる労使の関係であるならば、その協約というものを資金上、予算上不可能にしておる場合においては十六条二項によって手続をしなさいと書いてあるのです。この道筋を追われておれば、これだけ貴重な時間を費やしてこういう議論をしなくても済む事柄なんです。ところが、経営者として無知なるがゆえに、こういう問題を提起しておるのです。その法律上の解釈を私はやはり一点どうしてもお伺いしなければならないと思うのです。  それから労働大臣お時間がないようでありますから、労働大臣にお伺いしておくのでありますが、公社に所属しておる労働組合運動というのは、何と申しましても、公共企業体等労働関係法によって運動を進めていくという以外に道はないのです。この公労法ができましたのは二十四年でございますが、国家公務員退職金法律ができ上がりましたのは昭和二十八年なんです。この退職金法律というものが公労法の持っておる団体交渉権というものを否定をするという法律であってはならないし、立法の趣旨はそうではなかったと思うのです。したがいまして、労働大臣としては、公労法が正常に守られていく、運営されていく、この中で労使関係というものがみごとに目的のとおりに確立されていく、そのことに関して所管の大臣としては、その関係を含めてどう理解されるか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  328. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は、退職手当に関する法律の制定は、公労法の団交事項に関する規定を変更するものではない、改正したものではない、こう思っておるのであります。ただ、こういうことはいえます。公労法による団交事項退職手当ないし退職手当類似の給与について取りきめをいたしました場合においては、それは一応労働協約として成立をいたしますが、しかし既存の法規に反する場合におきましては実施は困難であるということになるわけでございますから、これを実施いたしますためには、当該法規の改正その他必要な措置をとらなければならない。そういう意味におきまして、今回の給与法案というものは、たとえ団体交渉が成立いたしましても、現実の支出を行ないますためには必要なものというのが、大体大橋社総裁のお考えのように思うのでございます。  そこで、これは法律的にはなかなか巧妙な構成がしてあります。というのは、これは退職手当法の改正案ではございません。新しい特別な給与制度をこの際創設いたしまして、そして退職手当はいままでどおりのものをもらっておきながら、別に金一封を出そうというのでございますから、形式的に申しますと、これは退職手当法律の制限にすらひっかかるかどうか疑問な点があるわけであります。ただ大蔵省あたりは、なかなか抜け目がございませんから、そういう方法を講じましても、これは本質的に退職手当法に違反するものである、こう言って、せっかくの協定の実施を押えられる方法に出られるんじゃなかろうか、その辺を心配されたがゆえに、郵政当局としては、その大蔵省の手を事前に封じ込んでおくという意味で今度の法案を出されたというのでございまして、私は、これはきわめて実際的に有効な法律であり、これによって初めて労働者の権利が完全に保護されるものと存じまして、この法案に賛成いたしておるわけであります。
  329. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 大臣のおっしゃるのは、明らかに団交の対象ではあるし、ただ、その団交の結論が実行されるという過程で幾つか困難があるから、こういう手続をとったという気持ちが大橋電電総裁の気持ちであろうというふうにおっしゃっているわけでありますが、団交して出た結論が、十六条二項に基づいて所要の手続をとらなければ、なかなか中身が日の目を見ない。だから、そういうしちめんどうなことをせずに、逆に先に法律化してやってしまう、こういうふうに電電総裁はお考えになっておるのではないかという言い方であるのですけれども、あなたはさっきからの質問に対して、団体交渉対象ではないということを前提にものをおっしゃっておるわけです。ここらあたりになりますと、あなたの近代的な経営者感覚というものがまことに疑われるようになりますので、そこらあたりをいま一度正確に大橋労働大臣のおっしゃったことばについて肯定、否定の立場を明らかにしていただきたいと思います。
  330. 大橋八郎

    大橋説明員 ただいま労働大臣からたいへん御同情ある御解釈が出たようであります。私が先ほどから申しておりますのは、すべて現在の法律解釈的見地からさきほどのようなことを申しておるのでございますから、その法律的解釈においては私は前申し上げたとおりの見解を持っております。
  331. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 じゃ、大橋電電総裁のおっしゃる法律解釈というものについて、この条文をこのように解釈をするという、八条一号、二号に関する条文の解釈と十六条一項、二項に対する条文の解釈をしてください。
  332. 大橋八郎

    大橋説明員 どうも先ほどから同じことを繰り返すばかりではなはだ申しわけございませんが、法律解釈として私はさように存じておるわけでございます。
  333. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 そのさようにと言っておる法律解釈を聞かしてくれと聞いておるのですよ。何をあなたとぼけておるのですか。
  334. 大橋八郎

    大橋説明員 先ほどから申し上げましたとおりでございますが、団体交渉をしてかりに協約を結びましても、資金上、予算上の問題となる以前に、すでに現行退職手当法との関係において有効に実施することができないということになるわけでございます。
  335. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 これは総裁が少しおかしいのかと思ったら、取り巻きもおかしいということがわかりました。八条一号の団体交渉になるという前提は、あなたもそれとなくお認めになったようです。しかしこれで団体協約を結んで、それが資金上、予算上不可能な場合は、それから先のめどがないから、やることが無意味だし、だめなんだという言い方です。ところが、いわゆる公社当局と公社労働組合は、このことに対して団体交渉すらしておらぬじゃないですか。これはどういうことなんです。それ自体が団体交渉権を否認しておるということなんです。団体交渉をなさって協定を結んだ結果、これはいまの公社の資金上、予算上ではだめだから、これが十六条の二項に従って所要の手続をとって結果がどうであったかというお立場に立って申されておるのなら、私はあなたの主張を了解することができますよ。前提である団体交渉もせぬでおって、その限りにおいては明らかに法律違反です。団交権無視です。こういう態度をおとりになっておきながら、いまのような立場で逆にこの問題を処理なさろうとするところに、私はあなた方の労働問題に対する感覚の出発点が間違っておると思う。この点についていま一度、くどいようではございますけれども答弁をひとつ明らかに述べていただきたいと思います。
  336. 大橋八郎

    大橋説明員 先ほどからたびたび申し上げておりますとおり、原則としてはもちろん団体交渉の目的たる事項であるということは認めておるわけでございます。しかしながら、先ほどから何べんも申し上げましたとおりに、すでに退職手当法が出ております以上、これと異なる手当規定することはできないわけでございます。したがいまして、法律にあらざればこれと違ったものを与えることができないという見地に立って、これは団体交渉をやるべきものではない、かように考えておるわけであります。
  337. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 いまあなたのおっしゃることを一口に言えば、国家公務員退職手当法があるから、これは団体交渉をしてもだめなんだ、こういうおっしゃり方がすべての労使問題を混乱させることでありますから、あなたも前提で団体交渉することが原則的には存在し得るのだというおっしゃり方を肯定されるならば、もっとその道筋を追って団交を深めていただくということが、本問題を解決するのにきわめて大切であったろうし、また、結果として、お出しになっている法律案の中身と全く同じものが団体交渉の中であらかた者詰まったとしても——結果がいいか悪いかということでなくて、民主主義というものは手続が大事なんでございますから、その手続が正確に踏まれなかったことが、これからの労使問題に非常に懸念されますし、心配する点が多うございますから、その手続を踏まれるということについて、あなたの御意見を具体的に聞きたく思っているわけなんです。しかし原則的には前提をお認めになっておるのでありますから、一応この問題を正規の手続に返されて、この法律案を撤回されて、団体交渉を直ちに行なうという公労法にいう手続をおとりになる気持ちはないのかどうか、この点をお伺いいたします。
  338. 大橋八郎

    大橋説明員 この法律案は、申すまでもなく政府の提出された法律案でございまして、私どもは政府にかような内容のものをつくっていただきたいというお願いはいたしておりますが、私どもがこれを撤回するとかどうとかいう権能はもちろんございません。
  339. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 明らかに労働大臣郵政大臣も公社総裁も八条一号に該当するものであるということは御承知になっておられますし、しかもそれは当然団体交渉の道筋を追って平和的に取りまとめていくべき性格のものであるということも、前提としては公社総裁も若干労働大臣とニュアンスは違いますが、お考えになっておる。こういうふうに法律の解釈がほぼ統一的に理解されておるわけでございますから、そういう所要の手続を経ずして提案されておりますこの特例法案というものは、明らかにこの部分に関する限り違法性を持っているというふうにいえるわけでありますが、この点はいかがですか。
  340. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は、法案の提出と団体交渉は、いずれが先になって、いずれがあとにならなければならぬという原則はないと思っております。要するにこの問題は、法律関係のある事柄でございますから、団体交渉はもちろん必要であるが、団体交渉だけでは片づかない面がある、その面については、法律の改正を手続としてとることが適当だというふうに考えておるわけでございまして、団体交渉が済んだ上、それを実施するために法律を出すということは、これは通常の順序としては確かにそれが適当だとは思いますが、しかし何分にも国会の会期というものに縛られておりますので、時間の制約もございますから、どちらを先に出すかということは、そのときの政府の都合におまかせいただいてよかろうか、かように存ずるところでございます。
  341. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 いずれにしても、政府なり議会の承認を得なければならぬ結論であるから法律を先に出した、しかし団体交渉対象事項であるから、団体交渉でいくのが順序なんだという労働大臣の意向については、私もそうだと思うのです。ただ結果が結果なんだから、そのどういう手続が一応問題——外においても提起されたのだから、それを追っていくべきだということになりますと、法律上の手続というものは、一体あってもなくてもいいということになるのですね。私は百歩譲ってそういう大臣のお立場を賛成するにいたしましても、問題は、手続の過程で一方側から異議申請が出た場合には、その手続を踏んであげるというのが公労法のいう精神ではないのですか。だから私は、いわゆる当事者、関係人のそれぞれの義務がうたわれておる公労法一条では、団体交渉していく中で平和的に紛争を解決するようにつとめるのが義務として明らかにされている。私は労働組合の側もけっこうだ、団体交渉をやらぬでよかった、法律で出してほしいというなら、あるいはただ単なる手続論争で終わっておるかもしれませんけれども、労働組合がこれに反対して不当労働行為申請を行なっておるのでありますから、やはり片側の意思というものがそこに定着をしておる限り、その道筋を通して順序立った扱いをしていくことが本委員会の任務じゃないかと私は思う。その扱いをしていく中で、最終的には十六条二項によって手続を進めていくのか、あるいは法律によって提起をするのか、そこらあたりにつきましては、扱いとしての道が分かれていくかもしれませんけれども、前段における団体交渉の手続というのは、双方が一致をした中で進められていくという手順がとられませんと、労使円満な運営はこれから先公社の中ではなかなか確立がむずかしいんじゃないかという気がいたしますので、その点いま一度重ねて労働大臣にお伺いしたいと思います。
  342. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は、この法案の提案までを含めて団体交渉で賛成だ反対だというのは、これは団体交渉の行き過ぎじゃないかと思います。この法案の提出は政府の権限でございまして、政府が公社合理化の実情を考えまして、結局、退職手当法規定した程度の退職金だけでこの問題をおさめることは困難である、いずれ団体交渉の結果別に金一封を出させられるだろう、そうすればそのときのためにいまのうちに法律を準備して金額を用意しておこう、こういう政府の親心がこの法案の提出だと思うのでございまして、それによってむしろ団体交渉の結論は早く得られるのじゃなかろうか、こう考えるのであります。
  343. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 大臣のおっしゃる事柄は、いわゆる法律的な関係と、それから結論を導き出していくために必要な諸手続である団体交渉というものとを分離されておっしゃっておりますから、それはおっしゃるとおりだと私は思うのです。将来こういうことが予見をされたり、あるいはこういうことが起こり得るかもしれぬから、手っとり早い解決方法として法律をつくっておけというふうなことで、法律というものは生まれてくるものじゃないと私は思うのです。非常に具体的な中身を持っております電通の電話自動化の新しい変革の中に備えて人が要らなくなっていく、そうしてそれに伴う諸事項については、近代化、合理化の協定に基づいて配置転換等の協定がやられていることは私も承知しておりまするし、問題はやはり退職金のそうした一連の関連なりあるいはいろいろな謝金を含めての取り扱いについては、明らかに団体交渉の手順というものを踏んでいくようになっておるのですから、この部分を全然没にしておいて、法案だけ先に提案されるという手続的なやり方に問題が内蔵されておるのじゃないかというのが私の指摘なんでございます。大臣のお話を聞いておりますと、法律はそういうふうに予見をしてきめておいて団体交渉というものが続けられていくのだ、否定をされるものではないのだとおっしゃっておる事柄がそうであったとするならば、あるいは将来に向けてそうであるとするならば、一体電電総裁のおっしゃっている事柄とはかなりの距離がこの問題についてはあると思いますけれども、これらについては、私はやはり政府部内の見解の不統一ということになるかどうかわかりませんけれども公労法八条をきわめてすなおに考えながら、公労法の中に持っておる幾つかの労使関係の規制というものをすなおに考えていく労働組合と労働者にとっては、迷惑この上もない事柄なんです。これらについて大橋総裁のほうから御答弁をいただきたいと思います。
  344. 大橋武夫

    大橋国務大臣 公社総裁の前に私のほうから申し上げますが、労働省といたしましては、公労法の解釈という立場から先ほど来の説明を申し上げておるのでありまして、また電電公社に対して勧告的措置をとりましたことも、公労法の解釈について政府部内における有権的な解釈権を持っておりまする労働大臣の立場で必要と認めて、団体交渉を推進するように指示いたしたわけでございます。
  345. 安宅常彦

    ○安宅委員 ちょっと関連して。そうすると、大橋労働大臣伺いますが、あなたの見解とそれから郵政大臣の見解は、ちょっとニュアンスは違いますが大体同じ、つまり政府の見解はあなたの見解と同じように統一をしておるのだが、電電公社総裁の見解は政府とちょっと違うのだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  346. 大橋武夫

    大橋国務大臣 電電公社に対して勧告的な措置をとります当時、私といたしましては郵政大臣と事前に十分に打ち合わせました。その結果、意見が一致いたしましたので勧告措置をとったわけでございます。
  347. 安宅常彦

    ○安宅委員 つまり、あなたが郵政大臣と相談をして勧告をした、そのときの見解、すなわち今日の見解は、明らかに今日ここで、本委員会で論争されている、国民からくみ取れることは、いわゆる政府側の意見は、勧告を行なった当時のそういう見解そのままであり、勧告を行なった当時の電電公社と違っているからあなたのほうでは勧告したと思うのですが、それは今日でもまだ変わっていない、つまり政府の見解は統一されているが、電電公社側の見解はちょっと違うのだ、こういうふうに理解していいかと聞いているのです。そうでしょう、そのとおりなのでしょう。
  348. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府の見解は私の述べましたとおりでございます。公社のほうの見解がどういう見解であるか、それは公社からお聞きをいただきたいと思います。
  349. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 大体問題の焦点と本質はわかってきたのでありますが、一応この種の問題は団体交渉対象でありますし、当時者能力との関連の上において措置すべきであるということについては、労働大臣なり郵政大臣のお考えに私も大体近い考えなのであります。ただ問題は、それとはなはだしく異なって、団体交渉対象にもならぬし、団体交渉もせぬといって、きょうまでこの委員会にもつれ込むまで時間を経てきた電電公社総裁の態度というものは、まるっきりなっておりません。この点については、明らかに政府側の見解と電電公社総裁のおとりになっている措置というのは非常に大きな懸隔がある。前者の政府の場合は、公労法の精神を尊重し、公社労働組合の主張も認め、明らかに公労法の示す労使間の正常な運営というものを期待をされている立場であるし、電電公社の場合は、明らかに公社労働組合の法律で許しておる団体交渉権を否認し、すべて法律万能、法律優先の立場で公労法八条の中身を圧しつぶそうとなさっておる、こういうふうに理解をされるほどの違いがあります。この点について、なぜそういう違いをお持ちになったのか、重ねて大橋総裁にお伺いをいたします。
  350. 大橋八郎

    大橋説明員 第八条の給与に関する問題は団交の対象になるということは、もう初めから認めておるわけでございます。決してこれを無視しようとは考えておりません。ただ、何度も繰り返しましたように、今回のこの法案に関する限りにおいては、すでに退職手当法というものができておりますから、これと異なった事柄を定めようとするには、どうしても法律が要るんだから、法律にきめなければ団交をたとえやっても意味がないじゃないかと、こういうことを申しておるわけであります。
  351. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 非条理ですね。場所を変え、問題を変え、総裁については追及すべき多くのものがあるように思われます。あなたは当事者能力がないから団体交渉をやってもむだなんだ、やることは認めるけれども、やってもむだだからしないんだ、こういうふうな御回答では、公労法の正しい運営ということにはなりませんし、あなたも労働組合に対して公労法を守れということを言われる資格は私はないと思います。これらについては、きわめて私は遺憾でございますけれども、時間もございませんからここらあたりで質問を終わりますが、あなたの扱いについての誤っている諸点について厳重なる警告を発しておきたいと思いますから、そのように御理解願います。
  352. 大橋八郎

    大橋説明員 私は、先ほどあなたが御指摘になったように、当事者能力が欠けておるからやらないということはちっとも申しておりません。ただ法律関係の解釈上それはできないのだということを申し上げておるのであります。
  353. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと関連してお伺いいたしますが、これは所管の郵政大臣にお伺いしたほうがいいと思いますが、日本電電公社法の十五条二号、「職務上の義務違反があるとき。」という「職務上の義務違反」とはどういうことをいいますか。
  354. 古池信三

    古池国務大臣 詳細は政府委員から答弁させますが、要するに日本電信電話公社法に規定されておる公社の業務を遂行するにあたって、その義務とされていることに反したような行為があった場合、かように考えております。
  355. 田中武夫

    田中(武)委員 公共企業体等労働関係法の一条の二項、これは電電公社等のいわゆる理事者側に課せられた義務でしょう。意見の不一致があった場合に円満に解決するよう最大限の努力をすると、先ほど労働大臣から政府見解が述べられました。それと違ったことを総裁がやっておられるわけですね。そういたしますと、公労法の一条二項の義務違反、すなわち電電公社法十五条二号の職務違反になるわけです。したがって政府は同法の二十三条によって総裁を罷免する、こういうことになっておるのですが、いかがでしょうか。
  356. 古池信三

    古池国務大臣 突然の重大な御質問でありまして、私はここで即答いたしかねますが、その問題は今後十分に検討いたしたいと思います。
  357. 田中武夫

    田中(武)委員 これは「内閣は」ということになっておりますので、郵政大臣、閣議を開いて——長く拒否してきた、それに対して政府は統一見解を出してやったのでしょう。公労法一条二項の義務に違反しておるわけです。それは電電公社法十五条二号の職務上の義務違反だ。すなわち同法二十三条によって内閣は罷免する、こういうことになっておる。したがって、閣議を開いて、罷免するかどうかをきめて報告願います。いかがです。
  358. 古池信三

    古池国務大臣 十分に慎重に検討はいたします。しかしながら、閣議にかけるかけないというようなことは、私の自主性におまかせ願います。
  359. 加藤常太郎

    加藤委員長 本連合審査会はこれにて終局いたしました。  本日はこれにて散会いたします。   午後五時五分散会