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小野参考人 昭和三十七年度におきまして
資本支出充当の新しい試みをいたしました理由といたしましては、在来
NHKの予算は膨大な建設
関係の勘定、資本
関係の勘定にかかりますので、業務運営の損益勘定
関係にかかりますものが、それぞれみな一本の予算の中に編成をされております。通常そういった面を明細にいたしますためには、勘定区分をいたしまして、損益勘定あるいは建設勘定、資本勘定、この
ように分けまして、相互の会計の勘定相互間のものはそこで整理をされます。その
ような
関係で、損益勘定の
剰余金として
決算にあらわれます数字は純然たる
剰余金を表示する仕組みになるのが通常でございます。
NHKのそれは純然たる企業会計と申しましても、営利をもととするものでございませんし、そういう
関係で、処理の簡便を期しますために、一切の勘定を一本にいたしまして、一つの予算、一つの
決算に作成をいたしております。
その
ような
関係から申しますと、具体的には
昭和三十七年度でそのままで
剰余金を出しますと七十一億九千万円の膨大な
剰余金が出るわけでございます。その前年の三十六年度には五十一億の
剰余金が表示されております。この際には、ただいま申し上げました
ような資本充当の新しい試みをまだ用いておらなかったわけでございますが、これがいかにも純然たる剰余を生んだものであって、
受信料の額に相当のゆとりがある
ような印象を各方面に持たれたわけであります。そういうことがきっかけで、いろいろ
受信料の値下げとか、あるいはラジオだけの
料金の撤廃、こういう
ような論議が行なわれたわけでございます。しかしながら、この
剰余金は適正な
剰余金ではございませんで、この中にはすでに返還をいたしました借金も入っております。将来の借金の返還に備えます積み立て金等も入っておるわけでございますので、ここで純然たる
剰余金とそうでないものとを区分をいたしますために、抜本的な勘定区分は避けまして、一本の会計でありながらその
ような表示のできる
ような試みをいたしたのが
資本支出充当の観念でございます。
そういう
ようなことで、三十七年度の会計を純然たる剰余その他に分けますと、純然たる当期の
剰余金は十六億五千万円でございます。その他資本充当として考えられますものが五十五億四千万あるわけであります。その資本充当の
内容につきましては、
放送債券積み立て金に繰り入れました、いわゆる将来の債券の元利償還のために積み立てしております
経費が十五億五千万円でございます。
放送債券の償還に充てました金が三千四百万円であります。長期借り入れ金を現実に返還をいたしました額が七億九千万円でございます。その他固定資産の充当金といたしまして三十一億六千万円、こういう
ようなものがその
内容になっております。これは純然たる
剰余金と区分すべきものと考えますので、この
ような方式を採用いたした次第でございます。