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1964-06-12 第46回国会 衆議院 逓信委員会 第30号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十九年六月十二日(金曜日) 午前十時四十二分
開議
出席委員
委員長
加藤常太郎
君
理事
秋田 大助君
理事
佐藤洋之助
君
理事
志賀健次郎
君
理事
栗原
俊夫
君
理事
森本 靖君 木部 佳昭君 小泉 純也君
佐藤
孝行君
椎熊
三郎
君 中村
寅太
君 中山 榮一君
橋本登美三郎
君 本名 武君 山本 幸雄君 片島 港君 受田 新吉君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 古池 信三君
出席政府委員
内閣法制局参事
官 (第一
部長
)
吉國
一郎
君
郵政事務官
(
大臣官房長
) 武田 功君 郵 政 技 官 (
大臣官房電気
通信監理官
) 野口 謙也君
郵政事務官
(
電波監理局
長)
宮川
岸雄
君
委員外
の
出席者
郵政事務官
(
電波監理局法
規課長
) 高田 希一君 郵 政 技 官 (
電波監理局
無
線通信部長
) 藤木 栄君
郵政事務官
(
電波監理局
無
線通信部航空海
上課長
) 三枝 豊君
日本電信電話公
社総務理事
平山 温君
日本電信電話公
社施設局長
橋本
一郎
君 専 門 員 水田 誠君 —
——
——
——
——
——
——
本日の
会議
に付した案件
電波法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第一 四六号)(
参議院送付
)
——
——
◇—
——
——
加藤常太郎
1
○加藤
委員長
これより
会議
を開きます。
電波法
の一部を
改正
する
法律案
を議題として、審査を進めます。
質疑
の通告がありますので、これを許します。
栗原俊夫
君。
栗原俊夫
2
○
栗原委員
ただいま提案されております
電波法
の一部
改正
の
法律案
の中で、
マイクロ
の
電波
の通るところへ
建築物
ができてはぐあいが悪いというようなことから、
建築制限
をする、こういうような
内容
が盛られておるようでありますが、現在すでに
設置
されておる
電波施設
、
マイクロ施設
はどんな
状況
になっておるか。それから、いままでの
建築制限
と、今度問題になるような状態になった
建築法
の
改正
の
内容等
について、概略御説明を願いたい、このように思います。
宮川岸雄
3
○
宮川政府委員
従来
マイクロウエーブ
を
免許
いたします場合に、高さのことを
免許側
といたしましても考えておりまして、一応の
制限
といたしまして三十一メートルという線がございますので、大体三十一メートルを越えた高さにおきましての
申請
ということが行なわれておったのが
現状
でございます。われわれといたしましても、特に
行政指導
はいたしておりませんが、若干のものは三十一メートル以下の
マイクロウエーブ
もございますけれども、一応
マイクロウエーブ
は三十一メートルを越えたところを通るように、平均の
アンテナ
の
地上高
が、この前の御
質問
にもございましたように、四十五メートル
程度
、そのように高くなっておるわけでございます。しかし、
マイクロウエーブ
の
ルート
というものは、それではどういう
権利
があるかということにつきましては、われわれもいろいろ
検討
いたしたのでございますが、この
マイクロウエーブ
の
免許
の性格というものが、結局
周波数
というものを利用し得る
地位
を与えられておる、こういうふうに解釈せざるを得ないのでございます。一方、
建築物
のほうは、これは
所有権
でございまして、一応
原則
として地上無限に及ぶということになっておりますが、ただ、
マイクロウエーブ
が
所有権
の上を無害の形で通過しているという形が失態だろうと思うのであります。したがいまして、
所有権
を無害の形で通過していること、
周波数
を使用するという
地位
を与えられていること、こういうことから考えまして、
マイクロウエーブ
が
免許
されているということをもって直ちに
建築物
の
私有権
を
制限
するということは、どうしてもむずかしいのではなかろうか。ことに
マイクロウエーブ
の
ルート
といいますものは、いろいろなやり方によりまして、他を迂回するとかというような道もございますので、それらを考慮いたしまして、
マイクロウエーブ
の
通信
の
障害
を現実に来たさないような配慮をしなければならないということから、
伝搬障害
を与えるおそれのある
建築物
につきまして、その
所有権
の時間的な
制限
を行なう、それによりまして、二年ないし三年という
間建築側
に待ってもらうことがある、こういうようなたてまえで
法律
ができておる次第でございます。
栗原俊夫
4
○
栗原委員
マイクロ
の
申請許可
を行なうときには、
申請者側
、もっと具体的にいえば
施設者側
は、いつその
回線
の通るところへ
建物
が建つかわからぬ、建った場合には、
自分
のほうでみずから身を引くんだということを
前提
として、
申請
、そうして認可、
許可
、こういうものが行なわれておるものなのですか、この辺の
実情
はどうなんですか。
宮川岸雄
5
○
宮川政府委員
いままでに
マイクロウエーブ
が認可されておる
状況
を見ますと、一応三十一メートルから上のほうの
ルート
ができるように考えてはおりますが、それより低いところに
アンテナ
を
設置
するような場合におきましては、これが
法律
的に最後まで守られるということを考えて
申請
をしているわけではございません。
栗原俊夫
6
○
栗原委員
ということは、いま、三十一メートル以上の
建物
は建たない
法制
になっている、したがって、三十一メートル以上ならば
障害
はないんだという認識で
申請
をし、また一方でも
許可
をしておる、こういうことになっておるんだろうと思いますが、三十一メートル以上は建たないんだということは、これは時の
法制
を担当しておる
政府当局
が
責任
を持っておる、こういう
前提
だろうと思うのですが、この辺はどうなんですか。
宮川岸雄
7
○
宮川政府委員
三十一メートル以上の
建物
が現在の
法律
で建てられないというわけではございませんで、三十一メートルまでの
建物
は、確応の
申請
を出して、それが
確認
されれば建てられるということでございまして、三十一メートルを越えた
建築物
につきましては、特別に
許可
を求めるわけでございます。その場合に、それが都市の美観上であるとか、交通上であるとか、消防上であるとか、そういうようなことから考えまして特に認められる場合におきましては、三十一メートル以上の
建物
でも、現在
許可
があれば建てられる、こういうことになっております。ただ、三十一メートルまでは
確認
でございまして、これを越えると
許可
になりますので、
確認
だけで建てられる三十一メートルというこの数字を一応の目安といたしまして、三十一メートルを越えることを考えて、
申請者
が
電波
の
申請
をしてきている、われわれのほうもそれを
免許
してきている、こういうのが
実情
でございます。
栗原俊夫
8
○
栗原委員
そうしますと、
申請者
というか
施設者
のほうは、三十一メートル以上のところを通しておけばまず
支障
はなかろうと考えておるが、かりに
支障
の起こるような
事態
が起こった場合の
リスク
というものは、一切
申請者
、
施設者
が負って
申請
をし、また
許可
をする
当局
も
許可
をしておる、このように理解していいんですか。
宮川岸雄
9
○
宮川政府委員
現在の
法律
ではそういうふうに考えざるを得ないものというふうに判断いたしまして、今度新しい
立法措置
を講じたわけでございます。
栗原俊夫
10
○
栗原委員
実は
議論
として私のほうも党の中でいろいろ
論議
したところが、三十一メートルというものを限度としておる
法制下
において、その上を通過する
——
これは
所有権
を侵して通るけれども、
電波
であるから実害がないからということで、このことはあまり問題にされておりませんが、そういう
立場
に立って、相当多額な金を投じて
施設
をしたところが、たまたま今回そういう
法制
が変わって、その間にもより高いものが建てられる、こういうことになってきた。そのために建つということになれば、
施設
のほうはみずから
後退
をしなければならぬ、この
リスク
を全く
施設者
が全額負うのが妥当であるかないか、こういう
議論
が実は出ておるわけなんであります。そういうことになれば、確実にこれから先もこれ以上のところへは建てさせないというかたい
制度
上の
前提
に立って、
施設
をつくるということと、私もどうも頭が悪くてよくわからぬのですけれども、いままで建てない
法制
のもとにおいて、そうした
施設
を
申請
し、そしてまた
許可
をしておったものが、
法制
の変化によって、その間に
障害
になる
建設
ができるような
制度
になる。その
制度
をつくるのは時の
当局
のほうの
責任
である。そういうことによってせっかく多額の投資をした
施設
が使いものにならなくなるという場合に、そういうことはすべておまえが
リスク
を持って
施設
したんだから、やむを得ぬではないかといって、全く
無償
で
後退
をさせるということが、それでいいのかどうか、こういう
議論
が私
たち
のほうの部内で行なわれたわけなんですけれども、この辺はどうなんでしょうか。
宮川岸雄
11
○
宮川政府委員
ただいまの
栗原先生
の御
質問
は、
電波
というものを使用しております者の
立場
に立ちました御
意見
であろうかと思います。そういう
電波
を使用しておる者の
立場
は、おそらくこう考えるであろうという御
意見
であろうと存じます。われわれといたしまして、
電波
を守るべき
立場
にある者といたしましては、われわれもそういう
考え方
に立って
電波
を
法律
的に守ることができるのではないだろうかということを考えたのでございますが、先ほどから御説明いたしましたように、やはり
所有権
というものの
行使
につきまして、今度、従来から
所有権
があったところを、
建築物
の
法律
が変わりまして、これを
行使
することができるようになった、こういうことでございまして、その
所有権
の
行使
ということに対しまして、
電波
の使用ということが、いままで
権利
として
法律
的に何らきめられていないということ、そのことから考えまして、われわれといたしましては、
重要通信
の疎通が確保されるということが、
公共
の
福祉
ということに直接結びつきますので、
公共
の
福祉
という
立場
からだけ
法律
的な
立場
を与えよう、与えざるを得ない、こういうふうに考えてきたわけでございます。
栗原俊夫
12
○
栗原委員
目に見えない
電波
だものですから、どうも私
たち
にもよくわかりにくいのですが、
法制局
からも見えておられるようなので、それでは今度は目に見えるものと
所有権
との
関係
ですが、
電信
、
電話
の線、それから
電力
の
送電線
、こういうものは具体的に実体を持って
空中
を通過しておるわけなんですが、近ごろその
所有権
とその
支配権
が及ぶ
上下
の問題がいろいろ
論議
になって、先般も
通産関係
で
鉱業権
と
土地所有権
の問題で、
所有権
は
上下
に無限に及ぶ、こういうのだけれども、
鉱業権
は安全をそこなわないある
一定
の
制限
を設けて、
鉱業権
によって
他人
の
所有地
の地下を採掘していける、こういうことでだいぶ
論議
があったようですが、さて今度は、目に見える
上空
のほうで、
送電線
のようなものがある。
鉄塔
があって
鉄塔
の間を
送電線
があるわけなんですが、高圧線の下はいまやはり
建築制限
を受けています。しかし、ここにかりにそういうことがあるかないかは別として、これは
議論
になるかもしれませんが、
建物
が建てられるというような場合があったときには、今度はその
空中
にある線は、
電波
と同じように、おまえのほうはそういう
リスク
を負って線を引っぱっているのだから、
無償
でもって
後退
しろ、こういうことになりましょうか。この辺はどうなんですか。
宮川岸雄
13
○
宮川政府委員
私その
関係
の
法律
につきまして必ずしも十分でございませんが、
送電線
の場合には、その
土地
の
所有者
と話をいたしまして、
土地
の
所有者
と
契約
を結びまして、その上を通るということを
契約
上できめておる、こういうふうに考えております。こういうようなのが
現状
であるというふうに聞いております。それによりまして、もしどうしてもその通ることをがえんじない場合におきましては、
土地収用法
その他によってこれをやることはできますが、そうでなくて、普通は話し合いによる。したがいまして、その
契約
の
内容
によって、
自分
の
土地
に
建物
を建てたいという場合には、
送電線
のほうがのくというような
契約
もできておるように聞いておりますし、そこら辺にある
程度
の
余裕期間
というようなものも
契約
の中にあるかもしれませんが、目に見える
電話線
、
送電線
というものにつきましては、そういう形で
現状
は運営されておると聞いております。
栗原俊夫
14
○
栗原委員
ただいま
郵政
のほうから
お話
を聞いたのですが、
法制局
の方見えておられるわけですね。
——
それで実際いろいろ昨今の新しい
送電線
の
設置
の場合等は、
鉄塔
を建てるところはたいがい買収する、ないしは借り上げをする。こういうことなんですが、
鉄塔
を建てるところの
土地
に連なったところにばかり線が引かれるわけじゃないのですね。一の
鉄塔
と二の
鉄塔
のところは、それぞれAとBの別の人が持っておる。ところが、その間の線の引かれるところはCの人が持っておる、こういう
関係
もあるわけですね。Aという人のところで
鉄塔
が建てば、その
鉄塔
が建てられる
土地
を売ったり、貸したりした場合には、その
土地
に連なる
土地
には線が引かれるであろうことは、
契約
があるなしにかかわらず、一応想定できますが、そのほとんど無縁の、その間にはさまれる、
鉄塔
を建てるのとは全然
関係
のないところの
土地
の人にも、昨今はこういうところも
建築制限
があるものですから、
売買価格
の六割ぐらいの
補償費
を払って、線を引いておるのが実は昨今の
実情
です。しかし、それは非常に
権利思想
に一般が目ざめてきた昨今のことなんで、かなり古いものになると、
鉄塔
を建てるところを買い上げ、ないしは借り上げて、そうして線を引く。その
線下
については
建設途上
においては立ち入りのためにお菓子の一箱ぐらいのおあいそはしておるかもしれませんが、その後
借入料
とか、そういう
関係
はほとんどないのが大
部分
なんですよ。こういうようなものは一体どうなるのか、こういうような
土地所有権
と
空中
を占有する
権利
との
関係
、
電波
は目に見えないものなんですが、具体的に物体が
所有権
の
上空
を占有する、こういう
関係
は、これはどんなぐあいなんでございましょうか。
吉國一郎
15
○
吉國政府委員
私、先般からの当
委員会
における御
質疑
と、これに対する
政府側
の答弁を直接伺っておりませんので、その間の雰囲気をやや取り違えてお答え申し上げるかもしれませんが、その場合は、また御指摘をいただいて補充をしてまいりたいと思います。 ただいま
栗原委員
から、
電気事業者
の
送電線
の
建設
についての
土地所有権
との
関係
というような
お話
でございますが、現在
電気事業
につきましては、本国会に
政府
から
電気事業法案
を提案いたしておりますが、
電気事業
に関する
法制
といたしましては、
昭和
六年に
電気事業法
という
法律
、これは
昭和
二十五年に
ポッダム政令
によりまして
公益事業令
が制定されましたときに廃止されておりますが、その
電気事業法
のたしか第七条であったかと思いますが、その第七条におきまして、
電気事業者
が
他人
の
土地
に
電柱
あるいは
電柱
によって結ばれる
空中
線を当然
設置
することができるというような
規定
がございました
時代
がございます。
昭和
六年以前にもそういう
制度
がございましたが、
昭和
六年の
電気事業法
でそれを承継いたしまして、その
制度
が
昭和
二十五年まで続いておったようなわけでございます。 これは当
委員会
にも
関係
のございます。これはすでにもう廃止になっておりますが、
電信線電話線建設条例
という古い
明治時代
の
電話
のできましたころの
法律
がございまして、その
法律
によりまして
電信線
、
電話線
——
非常に言い方も古いのでございますが、
電気通信線
を
他人
の
土地
に引くために
電柱
を
設置
することができる、その
電柱
一本について当時四銭という
補償金
を払うという
規定
がございました
時代
がございます。これは旧
憲法
におきまして
所有権
に対する
保障
というものが
現行憲法
に比べましてやや弱かった
時代
の
法制
でございまして、戦後においてはそのような
他人
の
土地
に
一定
の
施設
をすることができるということを当然認めることは、
所有権
の
保障
という点から見て妥当ではないというような
考え方
から、
電信線電話線建設条例
に関するような問題は一
現行
の
公衆電気通信法
の中に
規定
を設けておりまして、詳細に
電柱
その他
電線路
を
建設
する場合の
規定
を設けております。 これは
土地収用法
よりやや
手続
を簡略化しておりまして、
土地収用法
では、御承知のようにそれぞれ一筆の
土地ごと
に各
所有者
あるいは
地上権者
その他の
権利者
を相手にいたしまして、詳細なかつ相当時日を要しまする
収用
の
手続
を経てまいらなければ
土地
の
収用
をすることができませんので、それでは非常に長大な
電線路
を
建設
する場合は不便があるということで、
一定
の
補償
の
金額
をきめておきまして、その
補償
の
金額
によってある
土地
を、たとえば
電柱
なりあるいは
コンクリート柱
のために使用することがいいかどうかということを、いわば非常に
簡易
に
——簡易
と申すと語弊があるかもしれませんが、端的に
都道府県知事
において判定をいたしまして、それによって長大な
電線路
の
建設
を迅速に行なうというような
制度
を設けておりますが、現在の
制度
はそうでございますが、従来の
制度
では、
電信線電話線建設条例
によりまして、当然に
政府
が
他人
の
土地
に
電柱
を
設置
することができるという
法制
でございます。
電気事業法
におきましても、先ほど申し上げましたように同じような
法制
でございまして、そのような
時代
に設定せられました
送電線
が現在でも残っておる
部分
が相当にございます。しかし
公益事業令
が
昭和
二十五年に制定されましてからは、そのような
他人
の
土地
に当然に
電柱
を
設置
することができるというようなことは、先ほど申し上げましたように、
所有権
の
保障
をしております現
憲法
のもとにおきましては妥当な
法制
ではない。しかし、当時は、
公衆電気通信法
に現在ございますような
法制
をまだ研究して案出するに至っておりませんでしたので、
公益事業令
ではさしあたりその
制度
を設けないで、いずれ近いうちに
検討
の上そういう
制度
を設けようということで、
電力線
の
設置
につきましては現在何ら
法制
がない。もちろん
土地収用法等
の一般的な
法制
は適用になりますけれども、現在
公衆電気通信法
にございますようないわば
簡易
な
手続
は設けてないような
現状
でございます。 したがいまして、九
電力会社
なりあるいは
電源開発株式会社
が
電力線
を
設置
いたします場合には、先ほど来
郵政
省から申し上げておりますように、これが
所有権
に対する相当な
経済的影響
を与えるという
意味
から、
コンクリート柱
あるいは
鉄塔
を建てる場合に、その
鉄塔
がじかに建てられる
土地
に対する
補償
はもちろんいたしまするし、それから
線架補償
と申しまして、線を架設するという
意味
で
線架補償
というもので、
電力線
の下に当たる
田畑等
についても
一定額
の
補償
と申しますか、
一定
の金銭を支払いまして、それによってそこに架設することを認めてもらっているということであると思います。このようなことで、やや
電力線
の
設置
が困難になってきたという
状況
もございまして、今度の
電気事業法
でもその辺をいろいろ
検討
していたような
状況
でございます。
所有権
とその他のそのような
電力線
であるとか
電気通信線
であるとかいうような、
公共
の目的に使える
施設
との
関係
、これは
憲法
上非常にむずかしい問題でございますけれども、現在の
憲法
の二十九条では
財産権
を
保障
しておりまして、その
財産権
を
保障
すると同時に、その第二項におきまして「
財産権
の
内容
は、
公共
の
福祉
に適合するやうに、
法律
でこれを定める。」ということになっておりまして、
所有権
の
内容
もおのずから
公共
の
福祉
に適合するように定めることは可能でございますし、民法においてもその点ははっきり
規定
をいたしております。 ただ、具体的な
法制
の場合に、何が
公共
の
福祉
に適合する
状況
であるかということは、その
所有権
を
制限
することによって、いわば
国民経済全般
の受ける利益と、それからその
所有権
の侵害ということによって、これまた
国民経済全般
の受ける損害というものの
比較考量
の問題でございまして、
個々
の場合と申しますか、
個々
の
法制
の
内容
につきまして、それぞれ慎重に
検討
をいたしまして決定されるべき問題であると思います。
所有権
といえども全く無
制限
に効力を有するわけではございませんで、現在の
法制
におきましても
種種制限
を受けておるところでございますが、
電波
の
伝搬
というものと
所有権
との
関係
につきましては、今度の
電波法
の一部
改正
におきまして認められた
程度
が、ほぼ現段階においては
所有権
の
内容
として
公共
の
福祉
に適合するように定められたものではないかと私どもは認定をいたしまして、このような
改正案
を提出したというようなことでございます。
栗原俊夫
16
○
栗原委員
大体わかったのですが、そういたしますと、今後こうした
マイクロ
のようなものは、
建物
が相当高くなってくるであろう危険のある
——
と言うとことばが当たりませんが、そういう
地域
にはあまり
申請
もないだろうし、今度は
許可
をする側も、そういう
立場
に立ってやはり
指導
し、
行政
を行なっていく、こういう方向がとられるだろうと思いますけれども、この点はいかがでございますか。
宮川岸雄
17
○
宮川政府委員
前段の点につきましては、
申請者
があとでそういうよう九
事態
が起こっても、それまでの間でも使いたい、こういうような場合もあるかと思いますが、一般的に申しますれば
先生
のおっしゃるとおりだろうと思います。 後段の点につきましては、われわれといたしまして、直ちに
障害
が出てくると考えられるような
地域
、また高さ等につきましては、十分に将来のことを考えて、もっと別のところにやったらどうかとか、あるいは高くしたらどうかとか、こういうような
指導
をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
先生
のおっしゃるとおりでございます。
栗原俊夫
18
○
栗原委員
伝搬障害防止区域
の
指定
という項がございますが、これは現存する
マイクロ
を中心にしてこういう
地域
を
指定
するのですか、将来
マイクロ
を通そうという
区域
の
指定
までも含めてこれを考えられておるのですか。
宮川岸雄
19
○
宮川政府委員
両方でございます。
栗原俊夫
20
○
栗原委員
現在
マイクロ
がある、この
マイクロ
を当面何とかそうした
建築
と
差しさわり
がないような
事態
にするまでの間ということならば、私もすっと理解ができるのですが、将来の
マイクロ回線
の通路を確保するためにこうした
地域
を
指定
するということになると、これは少し問題があるのではないか。というのは、それは確かに、先ほど
法制局
でもおっしゃったとおり、
所有権
というものについては
公共
のために相当な
制限
を受けることは私にもわかります。
所有地
全部に
建築
は建てられないとか、あるいは
建物
については
制限
を加えるとか、これはみんな
所有権
に対する
制限
ですが、これは万人が平等に受ける
制限
だと思うのですよ。ところが、
公共
のためとはいいながら、特定の人が
制限
を受ける場合には、これは
無償
であってはならないというのが
原則
じゃないか、こう私は思うのですが、この点、
法制局
いかがですか。
吉國一郎
21
○
吉國政府委員
憲法
の二十九条の二項には、先ほど申し上げましたように「
財産権
の
内容
は、
公共
の
福祉
に適合するやうに、
法律
でこれを定める。」とございまして、また第三項に「
私有財産
は、正当な
補償
の下に、これを
公共
のために用ひることができる。」という
規定
がございます。このように、
公共
の
福祉
のためにある
権利
を
制限
するという
事態
が起こります場合に、これは
憲法
の二十九条の第二項の問題であるか、第三項の問題であるかということはよく問題になることでございますが、
憲法
の解釈といたしまして、ただいまの学界の通説といたしましては、一般的に
財産権
の
内容
を定める、たとえば
所有権
について
所有権
というものはこういうようなものであるとか、あるいは、もっと具体的に申し上げますと、
重要文化財
というものがございます。その
重要文化財
について
所有権者
が当然あるわけでございますが、その
重要文化財
の
所有権
については、
文化財保護法
によって
一定
の
制限
をかけております。これは結果としてはもちろん
制限
をこうむるのは
個々
の
所有者
たる個人でございますが、この
制限
は、その人が持っておるからということではなしに、一般的に課せられるものでございます。 そのように一般的に
権利
の
内容
を
制限
するのは第二項の問題である。ところが、具体的なある
私有財産
がございまして、たとえば道路をここに具体的な高速第一号線を通すために、その道路の予定地になるところの
個々
の甲なり乙なり丙なりという人の
土地
を取得しなければ道路を
建設
できないというために、その個別的な甲、乙、丙の
私有財産
を
公共
のために用いるという場合には、当然に正当な
補償
を与えてこれによって初めて
公共
の目的に使用することができるということに相なるというのが、現在の
憲法
のもうだれも争うところのない通説でございます。それでは何が一般的であるか、あるいは何が個別的であるかということにつきましては、なかなかむづかしい問題もないではないと存じます。 ただ、今回の
改正
におきまして、
伝搬障害防止区域
というものを
指定
いたしまして、その
区域
内にある
土地
については
一定
の高さ以上の
建物
については届け出その他の
一定
の義務が課される。これはある道路を
建設
するために個別的な
所有権
を
制限
する場合ではございませんで、一般的におよそ重要な
通信
を確保するために、その重要な
通信
の
電波
の
伝搬
路の
一定
の範囲内の
土地
については、これまた
一定
の範囲内において
建築
について若干の
制限
をする。これはやはり一般的な
制限
と考えるべきものだろうというのが私どもの考えでございます。
栗原俊夫
22
○
栗原委員
お話
を聞いていると、私の
議論
もどうも両方の面が出てきてしまうような感じがするのですが、たとえば
重要文化財
とか国宝のようなものを私有している場合に
指定
される。
指定
されると
所有権
が
制限
される。これはどうもそれもやむを得ぬじゃないかという感じがしますが、しかし、いまの
土地
の問題からいうと、東京都は
所有地
一ぱいにはできない。
所有地
の七割までしか家が建てられないとか、六割までしか家が建てられないとか、これはどこでもそうだというなことになれば、そういうものだというたてまえに立って一般的に了承できるのですが、いま、目に見えないけれども、
電波
が通る通路という、特定のところの人
たち
が
所有権
に
制限
を受ける、こういうことになると、およそ東京都内の
所有地
は
所有地
の何割しか建てられないのだという
制限
とは、いささか質を異にするような
考え方
をやはり持つわけなんです。実際には、いまのようなことが行なわれております。河川法の審議のときにも申したのですが、河川付近地は河川付近地ということで
無償
でもって
制限
を受けております。私はこれは
補償
すべきだという主張をしておるのですが、ただいま河川の付近地なるがゆえに
公共
の名のもとに
制限
を
無償
でされておる。このことは、実際はそういう
法制
だけれども、この
法制
自体が間違っておると私は思っておるのですけれども、この
改正
もやはり現在あるもの、そして将来に向かっても
電波
を通すのだから、そこのところは、現在通っておるところは、年次的にさらにまた今後防止
区域
を
指定
して、そこにはある
意味
の
制限
をするのだということになると、これは
所有権
の
制限
という形の中から
無償
では少しく行き過ぎなんじゃないかというような感じがするのですが、この辺どうなんですか。
宮川岸雄
23
○
宮川政府委員
先ほど現在と将来と両方であると申し上げましたのは、あるいは私御説明が悪かったと思いまするが、将来そういうような
重要通信
路が新しく
申請
があって、それに
免許
をして
重要通信
路ができた場合におきまして、初めてそこが
伝搬障害
地域
と
指定
されるわけでございまして、別に初めからこういうところを通す予定があるということで、そこへ
伝搬障害
地域
を設定するわけではございません。現実にできましてからでございます。
栗原俊夫
24
○
栗原委員
そうしますと、私も先ほどの説明で少しく憶測をし過ぎたのですが、具体的には今後はなるべくそういうことは避けるような
行政
が行なわれる、こう理解してよろしゅうございますね。
宮川岸雄
25
○
宮川政府委員
そのとおりでございます。
栗原俊夫
26
○
栗原委員
それではこれで終わります。
加藤常太郎
27
○加藤
委員長
これにて本案に対する
質疑
は終局いたしました。 —
——
——
——
——
——
——
加藤常太郎
28
○加藤
委員長
これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決を行ないます。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
加藤常太郎
29
○加藤
委員長
起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —
——
——
——
——
——
——
加藤常太郎
30
○加藤
委員長
この際、
佐藤洋之助
君より発言を求められておりますので、これを許します。
佐藤洋之助
君。
佐藤洋之助
31
○
佐藤
(洋)委員 自由民主党、日本社会党、民主社会党、三党を代表して、ただいま議決されました
電波法
の一部を
改正
する
法律案
に対し、三党共同提案にかかる附帯決議を付する動議を提出し、その趣旨を御説明申し上げます。 まず案文を朗読いたします。
電波法
の一部を
改正
する
法律案
に対する附帯決議(案) 一九六〇年海上人命安全条約は、船舶無線
電信
局の聴守体制を強化するよう
規定
していることにかんがみ、
政府
は必要な船舶
通信
士の確保に遺憾のないよう適切な措置を講ずること。 右決議する。 今回の
電波法
の
改正
は、一九六〇年の海上における人命の安全のための国際条約の発効に備える条文の整備をその目的の一つとしており、
改正
法施行後は新条約の趣旨に基づいて、船舶無線
電信
局の聴守体制が強化されることになっておりますが、船舶局の
現状
を見ますと、船舶
通信
士の確保について種種の困難があるもののようであります。かかる事情に照らし、この際、
政府
に対して、
関係
各
当局
間の連絡を緊密にし、
実情
把握につとめるとともに、船舶局の運営上真に必要な
通信
士の確保について、適切な措置を講ぜられるよう希望し、
法律
施行の万全を期したいのであります。 これが決議案の趣旨でありますが、何とぞ全会一致御賛成くださるようお願いいたします。
加藤常太郎
32
○加藤
委員長
ただいまの
佐藤洋之助
君外二名提出の動議のとおり附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
加藤常太郎
33
○加藤
委員長
起立総員。よって、本案に附帯決議を付するに決しました。 —
——
——
——
——
——
——
加藤常太郎
34
○加藤
委員長
なお、本案に関する
委員会
報告書の作成等につきましては、先例により
委員長
に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
加藤常太郎
35
○加藤
委員長
御異議なしと認め、さよう決しました。 〔報告書は附録に掲載〕 —
——
——
——
——
——
——
加藤常太郎
36
○加藤
委員長
この際、古池
郵政
大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古池
郵政
大臣。
古池信三
37
○古池国務大臣
電波法
の一部を
改正
する
法律案
につきましては、過日来慎重御審議の上、本日御可決いただきまして、まことにありがとうございます。心から感謝を申し上げます。 なお、ただいま附帯決議として御議決に相なりました事項につきましては、今後十分にその御趣旨を尊重し、この御趣旨に沿うように努力いたす所存でございます。(拍手)
加藤常太郎
38
○加藤
委員長
次会は来たる十七日午前十時三十分から
委員会
を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時二十一分散会