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1964-06-12 第46回国会 衆議院 逓信委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十二日(金曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 秋田 大助君 理事 佐藤洋之助君    理事 志賀健次郎君 理事 栗原 俊夫君    理事 森本  靖君       木部 佳昭君    小泉 純也君       佐藤 孝行君    椎熊 三郎君       中村 寅太君    中山 榮一君      橋本登美三郎君    本名  武君       山本 幸雄君    片島  港君       受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 古池 信三君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第一部長)  吉國 一郎君         郵政事務官         (大臣官房長) 武田  功君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  野口 謙也君         郵政事務官         (電波監理局         長)      宮川 岸雄君  委員外出席者         郵政事務官         (電波監理局法         規課長)    高田 希一君         郵 政 技 官         (電波監理局無         線通信部長)  藤木  栄君         郵政事務官         (電波監理局無         線通信部航空海         上課長)    三枝  豊君         日本電信電話公         社総務理事   平山  温君         日本電信電話公         社施設局長   橋本 一郎君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四六号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これより会議を開きます。  電波法の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。栗原俊夫君。
  3. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいま提案されております電波法の一部改正法律案の中で、マイクロ電波の通るところへ建築物ができてはぐあいが悪いというようなことから、建築制限をする、こういうような内容が盛られておるようでありますが、現在すでに設置されておる電波施設マイクロ施設はどんな状況になっておるか。それから、いままでの建築制限と、今度問題になるような状態になった建築法改正内容等について、概略御説明を願いたい、このように思います。
  4. 宮川岸雄

    宮川政府委員 従来マイクロウエーブ免許いたします場合に、高さのことを免許側といたしましても考えておりまして、一応の制限といたしまして三十一メートルという線がございますので、大体三十一メートルを越えた高さにおきましての申請ということが行なわれておったのが現状でございます。われわれといたしましても、特に行政指導はいたしておりませんが、若干のものは三十一メートル以下のマイクロウエーブもございますけれども、一応マイクロウエーブは三十一メートルを越えたところを通るように、平均のアンテナ地上高が、この前の御質問にもございましたように、四十五メートル程度、そのように高くなっておるわけでございます。しかし、マイクロウエーブルートというものは、それではどういう権利があるかということにつきましては、われわれもいろいろ検討いたしたのでございますが、このマイクロウエーブ免許の性格というものが、結局周波数というものを利用し得る地位を与えられておる、こういうふうに解釈せざるを得ないのでございます。一方、建築物のほうは、これは所有権でございまして、一応原則として地上無限に及ぶということになっておりますが、ただ、マイクロウエーブ所有権の上を無害の形で通過しているという形が失態だろうと思うのであります。したがいまして、所有権を無害の形で通過していること、周波数を使用するという地位を与えられていること、こういうことから考えまして、マイクロウエーブ免許されているということをもって直ちに建築物私有権制限するということは、どうしてもむずかしいのではなかろうか。ことにマイクロウエーブルートといいますものは、いろいろなやり方によりまして、他を迂回するとかというような道もございますので、それらを考慮いたしまして、マイクロウエーブ通信障害を現実に来たさないような配慮をしなければならないということから、伝搬障害を与えるおそれのある建築物につきまして、その所有権の時間的な制限を行なう、それによりまして、二年ないし三年という間建築側に待ってもらうことがある、こういうようなたてまえで法律ができておる次第でございます。
  5. 栗原俊夫

    栗原委員 マイクロ申請許可を行なうときには、申請者側、もっと具体的にいえば施設者側は、いつその回線の通るところへ建物が建つかわからぬ、建った場合には、自分のほうでみずから身を引くんだということを前提として、申請、そうして認可、許可、こういうものが行なわれておるものなのですか、この辺の実情はどうなんですか。
  6. 宮川岸雄

    宮川政府委員 いままでにマイクロウエーブが認可されておる状況を見ますと、一応三十一メートルから上のほうのルートができるように考えてはおりますが、それより低いところにアンテナ設置するような場合におきましては、これが法律的に最後まで守られるということを考えて申請をしているわけではございません。
  7. 栗原俊夫

    栗原委員 ということは、いま、三十一メートル以上の建物は建たない法制になっている、したがって、三十一メートル以上ならば障害はないんだという認識で申請をし、また一方でも許可をしておる、こういうことになっておるんだろうと思いますが、三十一メートル以上は建たないんだということは、これは時の法制を担当しておる政府当局責任を持っておる、こういう前提だろうと思うのですが、この辺はどうなんですか。
  8. 宮川岸雄

    宮川政府委員 三十一メートル以上の建物が現在の法律で建てられないというわけではございませんで、三十一メートルまでの建物は、確応の申請を出して、それが確認されれば建てられるということでございまして、三十一メートルを越えた建築物につきましては、特別に許可を求めるわけでございます。その場合に、それが都市の美観上であるとか、交通上であるとか、消防上であるとか、そういうようなことから考えまして特に認められる場合におきましては、三十一メートル以上の建物でも、現在許可があれば建てられる、こういうことになっております。ただ、三十一メートルまでは確認でございまして、これを越えると許可になりますので、確認だけで建てられる三十一メートルというこの数字を一応の目安といたしまして、三十一メートルを越えることを考えて、申請者電波申請をしてきている、われわれのほうもそれを免許してきている、こういうのが実情でございます。
  9. 栗原俊夫

    栗原委員 そうしますと、申請者というか施設者のほうは、三十一メートル以上のところを通しておけばまず支障はなかろうと考えておるが、かりに支障の起こるような事態が起こった場合のリスクというものは、一切申請者施設者が負って申請をし、また許可をする当局許可をしておる、このように理解していいんですか。
  10. 宮川岸雄

    宮川政府委員 現在の法律ではそういうふうに考えざるを得ないものというふうに判断いたしまして、今度新しい立法措置を講じたわけでございます。
  11. 栗原俊夫

    栗原委員 実は議論として私のほうも党の中でいろいろ論議したところが、三十一メートルというものを限度としておる法制下において、その上を通過する——これは所有権を侵して通るけれども、電波であるから実害がないからということで、このことはあまり問題にされておりませんが、そういう立場に立って、相当多額な金を投じて施設をしたところが、たまたま今回そういう法制が変わって、その間にもより高いものが建てられる、こういうことになってきた。そのために建つということになれば、施設のほうはみずから後退をしなければならぬ、このリスクを全く施設者が全額負うのが妥当であるかないか、こういう議論が実は出ておるわけなんであります。そういうことになれば、確実にこれから先もこれ以上のところへは建てさせないというかたい制度上の前提に立って、施設をつくるということと、私もどうも頭が悪くてよくわからぬのですけれども、いままで建てない法制のもとにおいて、そうした施設申請し、そしてまた許可をしておったものが、法制の変化によって、その間に障害になる建設ができるような制度になる。その制度をつくるのは時の当局のほうの責任である。そういうことによってせっかく多額の投資をした施設が使いものにならなくなるという場合に、そういうことはすべておまえがリスクを持って施設したんだから、やむを得ぬではないかといって、全く無償後退をさせるということが、それでいいのかどうか、こういう議論が私たちのほうの部内で行なわれたわけなんですけれども、この辺はどうなんでしょうか。
  12. 宮川岸雄

    宮川政府委員 ただいまの栗原先生の御質問は、電波というものを使用しております者の立場に立ちました御意見であろうかと思います。そういう電波を使用しておる者の立場は、おそらくこう考えるであろうという御意見であろうと存じます。われわれといたしまして、電波を守るべき立場にある者といたしましては、われわれもそういう考え方に立って電波法律的に守ることができるのではないだろうかということを考えたのでございますが、先ほどから御説明いたしましたように、やはり所有権というものの行使につきまして、今度、従来から所有権があったところを、建築物法律が変わりまして、これを行使することができるようになった、こういうことでございまして、その所有権行使ということに対しまして、電波の使用ということが、いままで権利として法律的に何らきめられていないということ、そのことから考えまして、われわれといたしましては、重要通信の疎通が確保されるということが、公共福祉ということに直接結びつきますので、公共福祉という立場からだけ法律的な立場を与えよう、与えざるを得ない、こういうふうに考えてきたわけでございます。
  13. 栗原俊夫

    栗原委員 目に見えない電波だものですから、どうも私たちにもよくわかりにくいのですが、法制局からも見えておられるようなので、それでは今度は目に見えるものと所有権との関係ですが、電信電話の線、それから電力送電線、こういうものは具体的に実体を持って空中を通過しておるわけなんですが、近ごろその所有権とその支配権が及ぶ上下の問題がいろいろ論議になって、先般も通産関係鉱業権土地所有権の問題で、所有権上下に無限に及ぶ、こういうのだけれども、鉱業権は安全をそこなわないある一定制限を設けて、鉱業権によって他人所有地の地下を採掘していける、こういうことでだいぶ論議があったようですが、さて今度は、目に見える上空のほうで、送電線のようなものがある。鉄塔があって鉄塔の間を送電線があるわけなんですが、高圧線の下はいまやはり建築制限を受けています。しかし、ここにかりにそういうことがあるかないかは別として、これは議論になるかもしれませんが、建物が建てられるというような場合があったときには、今度はその空中にある線は、電波と同じように、おまえのほうはそういうリスクを負って線を引っぱっているのだから、無償でもって後退しろ、こういうことになりましょうか。この辺はどうなんですか。
  14. 宮川岸雄

    宮川政府委員 私その関係法律につきまして必ずしも十分でございませんが、送電線の場合には、その土地所有者と話をいたしまして、土地所有者契約を結びまして、その上を通るということを契約上できめておる、こういうふうに考えております。こういうようなのが現状であるというふうに聞いております。それによりまして、もしどうしてもその通ることをがえんじない場合におきましては、土地収用法その他によってこれをやることはできますが、そうでなくて、普通は話し合いによる。したがいまして、その契約内容によって、自分土地建物を建てたいという場合には、送電線のほうがのくというような契約もできておるように聞いておりますし、そこら辺にある程度余裕期間というようなものも契約の中にあるかもしれませんが、目に見える電話線送電線というものにつきましては、そういう形で現状は運営されておると聞いております。
  15. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいま郵政のほうからお話を聞いたのですが、法制局の方見えておられるわけですね。——それで実際いろいろ昨今の新しい送電線設置の場合等は、鉄塔を建てるところはたいがい買収する、ないしは借り上げをする。こういうことなんですが、鉄塔を建てるところの土地に連なったところにばかり線が引かれるわけじゃないのですね。一の鉄塔と二の鉄塔のところは、それぞれAとBの別の人が持っておる。ところが、その間の線の引かれるところはCの人が持っておる、こういう関係もあるわけですね。Aという人のところで鉄塔が建てば、その鉄塔が建てられる土地を売ったり、貸したりした場合には、その土地に連なる土地には線が引かれるであろうことは、契約があるなしにかかわらず、一応想定できますが、そのほとんど無縁の、その間にはさまれる、鉄塔を建てるのとは全然関係のないところの土地の人にも、昨今はこういうところも建築制限があるものですから、売買価格の六割ぐらいの補償費を払って、線を引いておるのが実は昨今の実情です。しかし、それは非常に権利思想に一般が目ざめてきた昨今のことなんで、かなり古いものになると、鉄塔を建てるところを買い上げ、ないしは借り上げて、そうして線を引く。その線下については建設途上においては立ち入りのためにお菓子の一箱ぐらいのおあいそはしておるかもしれませんが、その後借入料とか、そういう関係はほとんどないのが大部分なんですよ。こういうようなものは一体どうなるのか、こういうような土地所有権空中を占有する権利との関係電波は目に見えないものなんですが、具体的に物体が所有権上空を占有する、こういう関係は、これはどんなぐあいなんでございましょうか。
  16. 吉國一郎

    吉國政府委員 私、先般からの当委員会における御質疑と、これに対する政府側の答弁を直接伺っておりませんので、その間の雰囲気をやや取り違えてお答え申し上げるかもしれませんが、その場合は、また御指摘をいただいて補充をしてまいりたいと思います。  ただいま栗原委員から、電気事業者送電線建設についての土地所有権との関係というようなお話でございますが、現在電気事業につきましては、本国会に政府から電気事業法案を提案いたしておりますが、電気事業に関する法制といたしましては、昭和六年に電気事業法という法律、これは昭和二十五年にポッダム政令によりまして公益事業令が制定されましたときに廃止されておりますが、その電気事業法のたしか第七条であったかと思いますが、その第七条におきまして、電気事業者他人土地電柱あるいは電柱によって結ばれる空中線を当然設置することができるというような規定がございました時代がございます。昭和六年以前にもそういう制度がございましたが、昭和六年の電気事業法でそれを承継いたしまして、その制度昭和二十五年まで続いておったようなわけでございます。  これは当委員会にも関係のございます。これはすでにもう廃止になっておりますが、電信線電話線建設条例という古い明治時代電話のできましたころの法律がございまして、その法律によりまして電信線電話線——非常に言い方も古いのでございますが、電気通信線他人土地に引くために電柱設置することができる、その電柱一本について当時四銭という補償金を払うという規定がございました時代がございます。これは旧憲法におきまして所有権に対する保障というものが現行憲法に比べましてやや弱かった時代法制でございまして、戦後においてはそのような他人土地一定施設をすることができるということを当然認めることは、所有権保障という点から見て妥当ではないというような考え方から、電信線電話線建設条例に関するような問題は一現行公衆電気通信法の中に規定を設けておりまして、詳細に電柱その他電線路建設する場合の規定を設けております。  これは土地収用法よりやや手続を簡略化しておりまして、土地収用法では、御承知のようにそれぞれ一筆の土地ごとに各所有者あるいは地上権者その他の権利者を相手にいたしまして、詳細なかつ相当時日を要しまする収用手続を経てまいらなければ土地収用をすることができませんので、それでは非常に長大な電線路建設する場合は不便があるということで、一定補償金額をきめておきまして、その補償金額によってある土地を、たとえば電柱なりあるいはコンクリート柱のために使用することがいいかどうかということを、いわば非常に簡易——簡易と申すと語弊があるかもしれませんが、端的に都道府県知事において判定をいたしまして、それによって長大な電線路建設を迅速に行なうというような制度を設けておりますが、現在の制度はそうでございますが、従来の制度では、電信線電話線建設条例によりまして、当然に政府他人土地電柱設置することができるという法制でございます。  電気事業法におきましても、先ほど申し上げましたように同じような法制でございまして、そのような時代に設定せられました送電線が現在でも残っておる部分が相当にございます。しかし公益事業令昭和二十五年に制定されましてからは、そのような他人土地に当然に電柱設置することができるというようなことは、先ほど申し上げましたように、所有権保障をしております現憲法のもとにおきましては妥当な法制ではない。しかし、当時は、公衆電気通信法に現在ございますような法制をまだ研究して案出するに至っておりませんでしたので、公益事業令ではさしあたりその制度を設けないで、いずれ近いうちに検討の上そういう制度を設けようということで、電力線設置につきましては現在何ら法制がない。もちろん土地収用法等の一般的な法制は適用になりますけれども、現在公衆電気通信法にございますようないわば簡易手続は設けてないような現状でございます。  したがいまして、九電力会社なりあるいは電源開発株式会社電力線設置いたします場合には、先ほど来郵政省から申し上げておりますように、これが所有権に対する相当な経済的影響を与えるという意味から、コンクリート柱あるいは鉄塔を建てる場合に、その鉄塔がじかに建てられる土地に対する補償はもちろんいたしまするし、それから線架補償と申しまして、線を架設するという意味線架補償というもので、電力線の下に当たる田畑等についても一定額補償と申しますか、一定の金銭を支払いまして、それによってそこに架設することを認めてもらっているということであると思います。このようなことで、やや電力線設置が困難になってきたという状況もございまして、今度の電気事業法でもその辺をいろいろ検討していたような状況でございます。  所有権とその他のそのような電力線であるとか電気通信線であるとかいうような、公共の目的に使える施設との関係、これは憲法上非常にむずかしい問題でございますけれども、現在の憲法の二十九条では財産権保障しておりまして、その財産権保障すると同時に、その第二項におきまして「財産権内容は、公共福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」ということになっておりまして、所有権内容もおのずから公共福祉に適合するように定めることは可能でございますし、民法においてもその点ははっきり規定をいたしております。  ただ、具体的な法制の場合に、何が公共福祉に適合する状況であるかということは、その所有権制限することによって、いわば国民経済全般の受ける利益と、それからその所有権の侵害ということによって、これまた国民経済全般の受ける損害というものの比較考量の問題でございまして、個々の場合と申しますか、個々法制内容につきまして、それぞれ慎重に検討をいたしまして決定されるべき問題であると思います。所有権といえども全く無制限に効力を有するわけではございませんで、現在の法制におきましても種種制限を受けておるところでございますが、電波伝搬というものと所有権との関係につきましては、今度の電波法の一部改正におきまして認められた程度が、ほぼ現段階においては所有権内容として公共福祉に適合するように定められたものではないかと私どもは認定をいたしまして、このような改正案を提出したというようなことでございます。
  17. 栗原俊夫

    栗原委員 大体わかったのですが、そういたしますと、今後こうしたマイクロのようなものは、建物が相当高くなってくるであろう危険のある——と言うとことばが当たりませんが、そういう地域にはあまり申請もないだろうし、今度は許可をする側も、そういう立場に立ってやはり指導し、行政を行なっていく、こういう方向がとられるだろうと思いますけれども、この点はいかがでございますか。
  18. 宮川岸雄

    宮川政府委員 前段の点につきましては、申請者があとでそういうよう九事態が起こっても、それまでの間でも使いたい、こういうような場合もあるかと思いますが、一般的に申しますれば先生のおっしゃるとおりだろうと思います。  後段の点につきましては、われわれといたしまして、直ちに障害が出てくると考えられるような地域、また高さ等につきましては、十分に将来のことを考えて、もっと別のところにやったらどうかとか、あるいは高くしたらどうかとか、こういうような指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。先生のおっしゃるとおりでございます。
  19. 栗原俊夫

    栗原委員 伝搬障害防止区域指定という項がございますが、これは現存するマイクロを中心にしてこういう地域指定するのですか、将来マイクロを通そうという区域指定までも含めてこれを考えられておるのですか。
  20. 宮川岸雄

    宮川政府委員 両方でございます。
  21. 栗原俊夫

    栗原委員 現在マイクロがある、このマイクロを当面何とかそうした建築差しさわりがないような事態にするまでの間ということならば、私もすっと理解ができるのですが、将来のマイクロ回線の通路を確保するためにこうした地域指定するということになると、これは少し問題があるのではないか。というのは、それは確かに、先ほど法制局でもおっしゃったとおり、所有権というものについては公共のために相当な制限を受けることは私にもわかります。所有地全部に建築は建てられないとか、あるいは建物については制限を加えるとか、これはみんな所有権に対する制限ですが、これは万人が平等に受ける制限だと思うのですよ。ところが、公共のためとはいいながら、特定の人が制限を受ける場合には、これは無償であってはならないというのが原則じゃないか、こう私は思うのですが、この点、法制局いかがですか。
  22. 吉國一郎

    吉國政府委員 憲法の二十九条の二項には、先ほど申し上げましたように「財産権内容は、公共福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」とございまして、また第三項に「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」という規定がございます。このように、公共福祉のためにある権利制限するという事態が起こります場合に、これは憲法の二十九条の第二項の問題であるか、第三項の問題であるかということはよく問題になることでございますが、憲法の解釈といたしまして、ただいまの学界の通説といたしましては、一般的に財産権内容を定める、たとえば所有権について所有権というものはこういうようなものであるとか、あるいは、もっと具体的に申し上げますと、重要文化財というものがございます。その重要文化財について所有権者が当然あるわけでございますが、その重要文化財所有権については、文化財保護法によって一定制限をかけております。これは結果としてはもちろん制限をこうむるのは個々所有者たる個人でございますが、この制限は、その人が持っておるからということではなしに、一般的に課せられるものでございます。  そのように一般的に権利内容制限するのは第二項の問題である。ところが、具体的なある私有財産がございまして、たとえば道路をここに具体的な高速第一号線を通すために、その道路の予定地になるところの個々の甲なり乙なり丙なりという人の土地を取得しなければ道路を建設できないというために、その個別的な甲、乙、丙の私有財産公共のために用いるという場合には、当然に正当な補償を与えてこれによって初めて公共の目的に使用することができるということに相なるというのが、現在の憲法のもうだれも争うところのない通説でございます。それでは何が一般的であるか、あるいは何が個別的であるかということにつきましては、なかなかむづかしい問題もないではないと存じます。  ただ、今回の改正におきまして、伝搬障害防止区域というものを指定いたしまして、その区域内にある土地については一定の高さ以上の建物については届け出その他の一定の義務が課される。これはある道路を建設するために個別的な所有権制限する場合ではございませんで、一般的におよそ重要な通信を確保するために、その重要な通信電波伝搬路の一定の範囲内の土地については、これまた一定の範囲内において建築について若干の制限をする。これはやはり一般的な制限と考えるべきものだろうというのが私どもの考えでございます。
  23. 栗原俊夫

    栗原委員 お話を聞いていると、私の議論もどうも両方の面が出てきてしまうような感じがするのですが、たとえば重要文化財とか国宝のようなものを私有している場合に指定される。指定されると所有権制限される。これはどうもそれもやむを得ぬじゃないかという感じがしますが、しかし、いまの土地の問題からいうと、東京都は所有地一ぱいにはできない。所有地の七割までしか家が建てられないとか、六割までしか家が建てられないとか、これはどこでもそうだというなことになれば、そういうものだというたてまえに立って一般的に了承できるのですが、いま、目に見えないけれども、電波が通る通路という、特定のところの人たち所有権制限を受ける、こういうことになると、およそ東京都内の所有地所有地の何割しか建てられないのだという制限とは、いささか質を異にするような考え方をやはり持つわけなんです。実際には、いまのようなことが行なわれております。河川法の審議のときにも申したのですが、河川付近地は河川付近地ということで無償でもって制限を受けております。私はこれは補償すべきだという主張をしておるのですが、ただいま河川の付近地なるがゆえに公共の名のもとに制限無償でされておる。このことは、実際はそういう法制だけれども、この法制自体が間違っておると私は思っておるのですけれども、この改正もやはり現在あるもの、そして将来に向かっても電波を通すのだから、そこのところは、現在通っておるところは、年次的にさらにまた今後防止区域指定して、そこにはある意味制限をするのだということになると、これは所有権制限という形の中から無償では少しく行き過ぎなんじゃないかというような感じがするのですが、この辺どうなんですか。
  24. 宮川岸雄

    宮川政府委員 先ほど現在と将来と両方であると申し上げましたのは、あるいは私御説明が悪かったと思いまするが、将来そういうような重要通信路が新しく申請があって、それに免許をして重要通信路ができた場合におきまして、初めてそこが伝搬障害地域指定されるわけでございまして、別に初めからこういうところを通す予定があるということで、そこへ伝搬障害地域を設定するわけではございません。現実にできましてからでございます。
  25. 栗原俊夫

    栗原委員 そうしますと、私も先ほどの説明で少しく憶測をし過ぎたのですが、具体的には今後はなるべくそういうことは避けるような行政が行なわれる、こう理解してよろしゅうございますね。
  26. 宮川岸雄

    宮川政府委員 そのとおりでございます。
  27. 栗原俊夫

    栗原委員 それではこれで終わります。
  28. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  29. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決を行ないます。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  30. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  31. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 この際、佐藤洋之助君より発言を求められておりますので、これを許します。佐藤洋之助君。
  32. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 自由民主党、日本社会党、民主社会党、三党を代表して、ただいま議決されました電波法の一部を改正する法律案に対し、三党共同提案にかかる附帯決議を付する動議を提出し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。    電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   一九六〇年海上人命安全条約は、船舶無線電信局の聴守体制を強化するよう規定していることにかんがみ、政府は必要な船舶通信士の確保に遺憾のないよう適切な措置を講ずること。   右決議する。  今回の電波法改正は、一九六〇年の海上における人命の安全のための国際条約の発効に備える条文の整備をその目的の一つとしており、改正法施行後は新条約の趣旨に基づいて、船舶無線電信局の聴守体制が強化されることになっておりますが、船舶局の現状を見ますと、船舶通信士の確保について種種の困難があるもののようであります。かかる事情に照らし、この際、政府に対して、関係当局間の連絡を緊密にし、実情把握につとめるとともに、船舶局の運営上真に必要な通信士の確保について、適切な措置を講ぜられるよう希望し、法律施行の万全を期したいのであります。  これが決議案の趣旨でありますが、何とぞ全会一致御賛成くださるようお願いいたします。
  33. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 ただいまの佐藤洋之助君外二名提出の動議のとおり附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  34. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付するに決しました。     —————————————
  35. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  37. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 この際、古池郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古池郵政大臣。
  38. 古池信三

    ○古池国務大臣 電波法の一部を改正する法律案につきましては、過日来慎重御審議の上、本日御可決いただきまして、まことにありがとうございます。心から感謝を申し上げます。  なお、ただいま附帯決議として御議決に相なりました事項につきましては、今後十分にその御趣旨を尊重し、この御趣旨に沿うように努力いたす所存でございます。(拍手)
  39. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 次会は来たる十七日午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十一分散会