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1964-04-03 第46回国会 衆議院 逓信委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月三日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君    理事 佐藤洋之助君 理事 志賀健次郎君    理事 森山 欽司君 理事 大柴 滋夫君    理事 栗原 俊夫君 理事 森本  靖君       小渕 恵三君    木部 佳昭君       小泉 純也君    佐藤 孝行君       椎熊 三郎君    中山 榮一君      橋本登美三郎君    本名  武君       山本 幸雄君    安宅 常彦君       片島  港君    佐々木更三君       永井勝次郎君    受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 古池 信三君  出席政府委員         郵政政務次官  金丸  信君         郵政事務官         (大臣官房長) 武田  功君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      田中 鎭雄君         郵政事務官         (経理局長)  長田 裕二君  委員外出席者         郵政事務官         (人事局審議         官)      土生 滋久君         専  門  員 水田  誠君     ――――――――――――― 四月二日  委員久保田鶴松辞任につき、その補欠として  中嶋英夫君が議長指名委員に選任された。 同月三日  委員中嶋英夫辞任につき、その補欠として平  岡忠次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員平岡忠次郎辞任につき、その補欠として  中嶋英夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月一日  沖縄における戦前の郵便貯金等早期払戻しに  関する陳情書  (第  三九三号)  新市建設計画に基づく有線放送施設更新費補  助等に関する陳情書  (第四一〇号)  郵便局舎等整備促進法案成立促進に関する陳  情書  (第四八五号)  同外三十二件  (第四八六号)  V・H・F沿岸通信網の移行に関する陳情書  (第四八七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣  提出第九三号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。大柴滋夫君。
  3. 大柴滋夫

    大柴委員 今回の簡易生命保険最高額が五十万円から百万円になることについて、われわれとしても別に何ら反対すべき論拠を持たないわけでありますけれども、ただ参考資料の二九ページを見ますと、三十六年、三十七年、三十八年とも十万円の契約が実に三五%ないし三六・四%を占めているわけであります。この簡易保険の主たる傾向というものは、大体においてわが国簡易保険は十万円の契約が三分の一である、それが簡易保険の主軸をなすという実際の事実がこの資料にあらわれているだろうと思いますけれども、こういった社会的な現実というか事実というものを郵政大臣は一体どのように受けとめられておるか。つまり簡易保険は十万円が一番適当であるとか、あるいはここに主力を注がなければならないというようないろいろな問題がこの資料で出てくるだろうと思いますけれども、どういうような感じなり、あるいは方針なり対策をお持ちになるかどうか、お聞きしたいと思います。
  4. 古池信三

    古池国務大臣 お説のとおり、この統計数字が示しておりますごとく、簡易保険加入者の割合からいいますと、十万円という付近が非常に大きいパーセンテージを占めておるわけでございます。由来、簡易保険成立過程に見ましても、できるだけ多くの国民の方に加入していただいて、そして手続にしましても、無審査目標といたしまして、あくまで大ぜいの方が簡易に入っていただけるような保険、また大衆に最も親しみ深く、かつ全国津々浦々の郵便局においてこれが扱いをする、かような観点から発足したのでありまして、基本的な精神は今日も変わってはおらぬと存じます。最近までは、御承知のように、最高限五十万円、最低限一万円ということでやってまいりましたが、社会経済情勢がだんだんと進んでまいるにつれまして、さらに百万円まで最高限を広げても加入希望者相当にあるであろう、また最低限につきましても、現に一万円ないし四万円という程度の方は非常に加入の申し込みも少ないわけでございますから、これも最低限を五万円に引き上げようということで発足したのでございます。したがって、あくまで金額の点におきまして、できるだけ多くの方に加入してもらいたい、そういう基本的な方針あるいは目標というものはどうも変わっておりません。そうしてかような方々に対しまして、今後は一そう福祉施設を拡充いたしまして、皆さんの幸福を増進し、またその利益の擁護をはかってまいりたい、かように考えております。
  5. 大柴滋夫

    大柴委員 二十万円以上の人は、この資料で見れば大体二〇%くらいなんですね。あとの八〇%以下の人が二十万円以下です。そうすると、この簡易生命保険というものは、この二十万円くらいの人に政府としてはいろいろ力を注ぐべきであって、別に五十万円、百万円というのを反対すべき論拠はないのでありますけれどもむしろ力を入れるところが違うのではないかと思いますが、これは保険局長、どうですか。
  6. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 この二九ページの表から見ますと、ただいま先生のおっしゃったとおりに見られるのでございますが、実はこの契約状況を見てみますと、十万に入るという場合に、全然の未加入者が新たに十万に入ったものか、あるいはすでに二十万なり三十万なりに入っておる人が上に積み重ねて十万に入るという場合もあるわけでございまして、その辺の区別が明確になっておらないのでございます。五十万の契約を見てみますと、五十万は最高限度でございますから、ほかの金額よりもいま申し上げましたような点ははっきりしているわけでございまして、これが三十七年度は全体の六・五%でありましたが、三十八年度はここには七・七%、これは十一月まででありますが、十二月分だけをとってみますと八・七%というふうにだんだんに向上はしておるわけでございます。  ただいまお話しのように十万から二十万程度加入者中心としていろいろの点を考えるべきではないかという点でございますが、このあらわれた数字から見ますと、まことにさように考えなければならないと思いますが、しさいに契約状況を検討してみますと、どうしても積み重ねが多い。積み重ねが多いということにつきまして、私どもはあながち満足しているわけではございません。国営の簡易保険事業という立場から未加入の分野をさらに開拓していく。どぶ板を渡って新契約をとるというようなことばもございますが、とにかく国民各層保険が普及するという点がやはり一番私ども考えなければならない点ではないかと思っております。
  7. 大柴滋夫

    大柴委員 国民各層というのは二十万以下の契約が多いわけなんです。この資料で見たように、事実上八〇%は二十万円以下だ。保険局長は二十万の契約をしたあと十万円をする人がある、五万円をする人があると言いますけれども、そういうことは比較的少ないのですね。五万円をしていたら、まただれかが来て十万円にするというのが私どもの知っている家庭においては事実なのです。だから簡易保険目的一つである、あなたの言うように各層保険を普及するという目的においては、二十万円以下のほうのことに何らか努力を費やすというのが正しいだろう。ただ、われわれ社会党が言うように、この保険目的政府の資金を大きく集めるという面においては、五十万円、百万円、さらに二百万円になってもいいだろうと思いますが、いずれにしても八〇%以上の人々は二十万円以下のものを欲しているし、またそれが現実であるというたてまえに立って、何らか特にここへ力を入れるような方策はとれないわけでありますか。つまりあなたが言うように、どぶ板を踏むか路地を曲がるか知らぬけれども、そういう面において十万、二十万の保険を集めるのがわが国簡易保険の主たる目的であるという見地に立って、タオルを配るとか、それ以上何かするとかいう特別のことを何かお考えになったことがありますか。
  8. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 契約者個々人保険団体の中におりまして平等に扱うのが原則でございます。ただいまのお話、実は実際にはむしろ高額の契約者タオルなどを配るというようなことをやっておるわけでございまして、これは事業企業性という面から経営を考えた場合に、やはり高額契約がほかのものに比べまして事業に寄与する点はそれだけ大きいわけでございますので、私どもは、先ほど申し上げましたように、保険の普及という面と、一面は高額の良質契約獲得という両方要請に実は直面しているわけでございまして、そこをいかに調和するかという点が一番問題だろうと思います。契約者優遇策、これは契約条項その他によりまして別扱いするということはできません。先ほど申し上げましたように、事業に寄与する面の大きい部分、すなわち高額契約にむしろそういった特別の勧奨方法をとっておるというのが実情であります。
  9. 大柴滋夫

    大柴委員 郵政省考えはよくわかりましたけれども、どうかひとつ、国民として欲しているものは十万円、二十万円の保険金がとれる、またそれしか負担能力がない人が実に八〇%以上であるということだけは、あらためて局長大臣も御確認願いたいと思います。  なお、保険契約数が約四千五百万ある、こういうふうに聞いておるのでありますが、十口入る人もあるだろうし、五口入る人もあるだろうと思いますが、人数は大体どれくらいになりますか。
  10. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 実ははっきりした数字は申し上げるだけの資料がございませんが、人間は大体三千万人というふうに私どもは常にいっておると思います。
  11. 大柴滋夫

    大柴委員 そのうち、終身保険あるいは養老保険あるいは家族保険というもので、三千万の比率はどんなようになっておりますか。わからなければ、ひとつ前のと同じに資料としてお出し願いたいと思います。
  12. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 件数でいきますと、ただいまおっしゃられたような比率はございますが、人間につきまして被保険者の数というようなことになりますと、ちょっといま持ち合わせておりません。また現在の統計のとり方から申しまして、それがはっきり出るかどうか、ちょっといま申し上げるだけの資料がございません。
  13. 大柴滋夫

    大柴委員 口数というような面についてもお調べの上、ひとつ資料として提出願いたいと思います。  それから、今回特別養老保険を新設したわけでありますが、こういうものを新設しますと、ほかの養老保険あるいは終身保険が食われてしまって、特別養老保険主力が集中される、こういう傾向だと思うのでありますが、養老保険特別養老保険、あるいは終身保険特別養老保険というような関連において、これはどういう見通しでありますか。
  14. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 今回の特別養老保険に従来の養老保険が移行するであろうということは十分考えられるところでございます。ただ従来の養老保険、たとえば満期の場合の金額は従来の養老保険は今回百万になる、特別養老におきましては五十万でとどめられるというような点もございますし、やはり加入者方々の自由な選択という面はかなり残されておるわけでございまして、いま何%くらいが特別養老に移行するかというはっきりした見通しはちょっと困難かと思います。民間保険実情などを見てみますと、私どものほうの特別養老相当する定期付養老保険というものは逐次伸びてはおるわけでありまして、やはりそういう同じ傾向をたどるのではないかと考えております。
  15. 大柴滋夫

    大柴委員 勧誘のことについてお尋ねするわけでありますが、三千万人の人がこの簡易生命保険に入っているといっても、私は、日本国民で普通の民間保険があるということを知らない人はほとんどないであろうと思う。しかし、この簡易生命保険を知らない人というものは相当多いだろうと思うんですよ。たとえば選挙権を持っている学生などを調査してみて、簡易保険制度などというものがあるということを知っている人は少ないだろうと思う。そういうために現実にこの保険を勧誘する郵便局の人は、たいへん苦労をしているだろうと思うのです。私どもは、いまテレビとかラジオで、簡易生命保険があるというようなこと、あるいは最高制限額が五十万円だというようなこと、あるいは百万円になるというようなことを寡聞にして知らないわけでありますけれども、何か郵政省あるいは保険局としては、簡易生命保険の紹介というか、あるいは広告というか、そういうものをテレビとかラジオでやったことがありますか。
  16. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 ささやかではございますが、テレビラジオも利用して周知宣伝をやっておるのでございます。
  17. 大柴滋夫

    大柴委員 そのささやかというものはいかなることをいうのですか。
  18. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 私どもも大いに希望し、また部内の従業員あるいは部外の人々から、そういう周知の面でかなり要望がございますが、いろいろの面の制約を受けまして、思ったほどのこともやれない実情で、まあわずかながらやっておるというのが現実の姿でございます。
  19. 大柴滋夫

    大柴委員 私は、全国簡易保険を集める人にかわって言いたいのですが、ささやかに何かやったというようなことを言っておりますが、三十七年度あるいは三十八年度にテレビラジオを通じて簡易保険というものを広告したことが現実にありますか。  それからもう一つ、何か抵抗があるとおっしゃるけれども抵抗とは一体いかなるものをさすのか、その二つについて御答弁をお願いしたい。
  20. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 三十七年度、三十八年度ともに、テレビラジオを通じてやっております。  抵抗ということはどうかと思いますが、要するに経費の実際の使用し得る部分考えますと、特にテレビあたりは非常に高額でありますので、なかなか思うとおり十分にはやれない、こういう意味でございます。
  21. 大柴滋夫

    大柴委員 ちょっと外野席がうるさくて、やっておるかやっておらぬか聞こえなかったのでありますが、やっておるのでありますか、やっておらぬのでありますか。
  22. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 やっております。
  23. 大柴滋夫

    大柴委員 どんなことをやっておるのですか。
  24. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 商業テレビ放送、これは経費概算五百万円、それから商業ラジオ放送、これが概算六百万円、そのほかNHKを通じてやっております。
  25. 大柴滋夫

    大柴委員 この保険金を運用して、いろいろの金が多分五、六百億集まるだろうと思いますが、その広告費というものがわずか一千万円でたいへん少ないと思いますが、それはどうですか。
  26. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 周知宣伝はこれだけではございませんで、そのほかに一般対象といたしました移動映画会とか、あるいは婦人を対象とした生活改善講習会とか、さらには学校対策といたしましては子供簡易保険局といったようなものを組成するとか、あるいは作文コンクール、さらにはビラとかポスターとか、パンフレットの調製、こういう面で相当経費が出ております。そのほか実際に募集する郵便局の職員に対しまして、郵便局自体周知宣伝をはかるというようなこともやらしておるわけであります。
  27. 大柴滋夫

    大柴委員 これは大臣要請しておきますが、案外簡易保険というものを知らないで、集める人は実際苦労しておるし、またわれわれも、そういう話をよく聞くわけでありますが、どうかあなたの努力によって、もう少し——実際は集める人の口あるいはポスターくらいしかわからぬのでありますから、テレビラジオを通じての広告宣伝ということを努力をしてもらいたいと思う。何らかの面において郵政省と特別な関係があるNHKも使うというような、そういう面において徹底すれば、下部の勧誘する人も非常に助かると思うのでありますが、大臣の決意をお聞きしたいのです。
  28. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまの御意見は、まことに私はごもっともだと存じます。民間生命保険においては相当はでな宣伝をやっておりますから、これに比べますと、いかにも簡易保険宣伝方法はじみでありまして、そのために周知が不徹底になるということも確かに考えられると存じます。テレビ等においても、ときどきスポットなどで出してはおるようでありますけれども、決してこれで十分だとは申しかねます。外務員の諸君の活動しやすいように、周知宣伝につきまして今後一そう力を入れるということはお説のとおりでございますから、私もさような線で事務当局とも十分に協議をして進めてまいりたいと存じております。
  29. 大柴滋夫

    大柴委員 ひとつぜひここだけの口約束ではなくて、御努力を願いたいと思うのです。  最後に、質問一つだけしておきますが、簡易保険福祉事業団でありますが、これに出すお金は、今度の三十九年度は出資金並び交付金両方でどのくらい出すのでありますか。
  30. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 三十九年度におきましては、出資金が七億七千六百万円、交付金が七億六千八百万円でございます。
  31. 大柴滋夫

    大柴委員 これはいろいろ理屈を言うけれども簡易保険加入者現実的に何か利益を受けておるのはこの事業団だけだろうと思うのです。なるほど死んだときにはたくさんお金がもらえるかもしれぬけれども、この間大臣も言ったように、死ぬのが目的で入っておるわけではありませんから、そうすると、この十五億という出資金は、簡易保険の集まり方あるいは利回りからいって、非常に僅少だ。つまり、理屈を言わしてもらうならば、簡易保険加入者というものが政府から受ける恩沢は、民間その他に比べて非常に少ない。もう少しこれを何とか多くしろというような議論は政府において起こらないわけでありますか。
  32. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 私ども考え方といたしましては、この福祉事業にどの程度の金を出すかという点につきましていろいろ考え方がございますが、現在は年間の収入保険料の一%をめどにやりたいという気持ちを持っておるわけでございまして、実はそういうことでやっておるのですが、予算の編成の過程におきましてなかなか思うとおりにもまいらず、一%と申しますと大体二十億になるわけでございますが、まあそれが十五億程度にとどまったのでございまして、もちろん私どもといたしましては、福祉施設の五カ年計画といったようなものも策定いたしまして、ひとつ私ども考えているとおり実現させたいということで努力はいたしておるわけでございます。
  33. 大柴滋夫

    大柴委員 たとえば老人ホームというものをつくっているように聞いておりますが、現在事業団老人ホームというのは、収容能力は員数にしてどのくらいあるのでありますか。
  34. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 加入者ホーム長期短期に分かれておりまして、現在六カ所すでにできております。それで長期のほうはその六カ所合計いたしまして定員は二百五十八名でございます。それから短期のほうは五百四名ということになっております。
  35. 大柴滋夫

    大柴委員 大体、あなたのさっきの説明を聞けば、全国加入者が三千万ですか、その三千万のうち老人ホームに入れる数というのは七百六十二名でありますが、これは全く九牛の一毛ではないですか。
  36. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 ちょっと説明が不備でございまして、短期のほうは人間が回転いたしますから利用する実際の人員は定員よりも非常に上回るわけでございまして、三十七年度におきましては、五万六千人の人々がこれを利用したわけでございます。三十八年の十二月末では五万六千五百人ほどに増加いたしております。
  37. 大柴滋夫

    大柴委員 それは短期の五百四の個室に、おそらく五が人に近い人が土曜日と日曜日に行ったとか、日曜日と月曜日行ったという計算だろうと思うのでありますが、いずれにしてもその部屋に一日に入れる者は八百人未満でありましょう。そうすると、それは非常に少ない、演説の材料にはなるけれども、実際にそれを潤すことは非常に少ない、こう思うのでありますが、どうでありますか。それでいいとおっしゃっているわけでございますか。
  38. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 これで私どもは満足しておるわけではございませんで、三十九年度末に至りますと、加入者ホームはさらに四カ所ふえることになっております。それからこのほかに保養センターという、これはまあ加入者方々短期間利用される施設で、宿泊もできますし、日帰りのレクリエーションもやれるという施設でございますが、これも三十九年度末になりますと、センターが八カ所ぐらいできることになるわけでありまして、逐次こういった施設を拡充いたしまして、大体各県に一カ所いずれかが設置されるという姿に持っていきたいと考えております。
  39. 大柴滋夫

    大柴委員 これは大臣要請をしておきますが、先ほど保険局長が言ったように、保険金の一%の二十億円をとりたかった。しかし、それもどこの抵抗があったか知らないけれども、十五億円に終わってしまった、こういうようなことを聞くわけでありますが、これは実際はこういう有料老人ホーム——有料か無料かは別といたしまして、老人ホームというようなものを各県につくって、そういうサンプルをつくっていただきたい、こういうふうな希望をわれわれは持っているわけであります。いずれにしても一%の二十億円というものは非常に微々たるものであろうと思うのです。それをなぜもう少し多額に主張しないのか。あるいはこの二十億円というものを主張しても十五億円しかとれないというところに、私はたいへん残念ではありますが、近ごろの郵政大臣並びに関係する局長たちの非常に保守的な気持ち自分の領分を自分で主張をしていかないという気持ちを感ずるわけでありますけれども大臣はこのことをどうお考えでありますか。
  40. 古池信三

    古池国務大臣 この一%ということは、やはり保険料算出等の非常に詳しい計算のもとに、大体福祉施設には毎年一%程度は出してもよろしいであろう、こういうことで数字が出てきたわけであります。私どもとしては、ぜひともこの一%に該当する程度数字福祉施設に充てたい、こういうことで努力をしてまいっておるのでありますが、やはりこれも政府内部においていろいろ折衝する関係もありまして、今年はただいま局長説明いたしました程度金額になったのでありますが、今後はこの一%はぜひとも確保するように、そろって努力をしていきたい、こう存じております。
  41. 大柴滋夫

    大柴委員 最後要請をしておきますが、いずれにしても、先ほどから説明をしたように、保険加入者現実に受けているものが何かあるとしたら、結局この事業団の恩恵だろうと思うのです。今年度は過ぎたこと——と言ってはおかしいのでありますけれども、来年度は少なくとも一%以上にして、有料老人ホームというものを、先ほど局長が言ったように各県に一つ見本的につくる。これくらいの気慨でもってこういう事業に当たられるよう要請をいたしまして、私の質問を終わります。
  42. 加藤常太郎

    加藤委員長 次に栗原俊夫君。
  43. 栗原俊夫

    栗原委員 私もこの際大臣中心に二、三お尋ねしておきたいと思いますが、政治で社会保障が完全に行なわれれば、特定の人を除いては、保険なんというものは要らなくなると思うのですが、当面民間保険がある、そこへ政府簡易保険をやっておられる、この主たるねらいはどこにありますか。
  44. 古池信三

    古池国務大臣 できる限り多数の方に加入をしていただきまして、そして個々の加入者利益をあらゆる面において保護いたしてまいりたい、そういう点に根本の考え方があると存じます。
  45. 栗原俊夫

    栗原委員 それは私の聞こうとするところをちょっとそらしているのです。民間保険があるのに、政府であえて保険をおやりになるねらいは一体どこにあるのだ、こういうことなのであります。
  46. 古池信三

    古池国務大臣 民間保険におきましては、比較的零細ならざる保険というものを相当募集をしておるわけでございますが、簡易保険は国の事業でもあり、一般民間保険のあまり歓迎しないと思われる比較的零細の保険料でもってその目的を達成しよう、こういうわけであると存じます。したがいまして、一万数千にわたる郵便局の窓口を通じて各地方の方々簡易加入の手続ができ、また保険料にしましても、月掛けというような掛けやすい方法をとり、また加入の手続も無診査でありまして、一々医師の診断を要しない、こういうふうに非常に手続も簡易にするということは、できるだけ多くの大衆の方に入っていただく、こういう点が簡易保険の特徴であり、また目的であろうと存じます。
  47. 栗原俊夫

    栗原委員 それでは、民間が手を差し伸べてやれば、あえて簡易保険をやらなくてもいい。民間がやらぬから、民間がやれぬところをわれわれがやるんだ、こういうお考えなんですか。
  48. 古池信三

    古池国務大臣 民間もおやりになり、われわれ簡易保険事業もやり、両々相まって、これはできるだけ多くの人に保険利益を享受していただきたい、こういうことがねらいでございます。特に、簡易保険が創立されましたのは御承知のように大正五年でございまして、その当時においては、わが国も遺憾ながら社会保障というような点についてはきわめて微々たるものであったと存じます。そこで、国として最近社会保障については非常に力を入れてまいりまして、年々その予算も増額を認められてきておるようなわけで、そういう点はまことに私は喜ばしいことと考えておりますけれども、しかし一般会計による社会保障も急速に満足すべき状態をつくり出すということは事実上困難であろうと思います。したがって、そういう点の補完というような使命もこの簡易保険事業によって十分やらねばならない、かように考えておる次第であります。
  49. 栗原俊夫

    栗原委員 小額の民間保険が手数がかかってその程度金額ではちょっとコマーシャルベースに乗らないというような、民間保険からとかく置き去られておるところを、それではということで出発したのが簡保のほんとうの出発点だったんだろうと、私はよくわからぬが思っております。しかし当初のそういう小額のものからだんだん金額がふえてきて、今回は五十万円から百万円ということになる。確かに貨幣価値も低下して保険契約金額も上昇しておることは事実ですが、百万ということになると、かなり民間保険金額の面では競合する部面が出てくると思うのですよ。そうなると、これは民間保険がほっておくから、そこを簡易保険が拾うんだという簡単な考え方ではいきにくい。そこで私は、これを百万までふやす以上は、民間保険の百万へ入るよりも簡易保険の百万に入るほうがいいんだ——国民は別に郵政省がやるから郵政省に義理を立てて入るというようなことは考えませんよ。どっちにしろ、民間保険の百万に入るのがいいのか、簡易保険の百万に入るのがいいのか、それはそろばんをもってどっちが有利かということを考えると思うんですよ。その場合に、簡易保険に入るほうが民間保険へ入るよりもいいんだというのは、どこがいいのか、ひとつ私を勧誘するつもりで説明していただきたい。
  50. 古池信三

    古池国務大臣 詳しいことはまた事務当局から補足して御説明申し上げますが、ともかく郵便局というものは非常になじみが深いわけであります。そして外務員の方たちも非常に熱心に勧誘にこられるから、せっかくだから郵便局簡易保険に入ろう、こういう気持ちになるし、また年に一度とか二度とかの払い込みでなく、毎月の集金ということは、非常に私は加入者の面からいうと便利であり、また都合のいいことであろうと思います。それから福祉施設にしましても、最近のところはただいま御説明申し上げましたように、まだ理想の段階に至りませんが、できるだけ早い機会に、これも各県に少なくとも一カ所は置くという方針で進めておりますので、そうなれば、加入者の方も気楽に利用することができるというように、いろいろ便利な点があると存じます。  なお、保険料あるいは分配金というような問題につきましては、これはあるいは一々民間生命保険と比べてみませんが、多少こちらにひけ目があるかもしれませんけれども、そういう点については、今後も十分努力をしまして、民間保険に比べてひけをとらないようにやっていきたい、こう考えます。
  51. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 ただいま大臣の御答弁に補足いたします。実際に入る場合の保険料の比較でございますが、これは現在では種類によって違いますが、大体民間保険と大差はございません。結局、簡保が民間保険よりもすぐれているという点、これはいろいろの面がございますが、契約条項一つをとってみますと、倍額支払いという条項がございます。これは民間では特約の保険料をとってやっておるのでございますが、簡保のほうはそういうものをとらないということで、その条項が適用されるわけでございまして、外務員などは説明の際にこういった点などに触れることがあるかとも思いますが、そのほかには福祉施設の面でございます。先ほど福祉施設、たとえば俗称老人ホームでございますが、これなどもまだ施設としてはきわめて数も少なく、相当経過いたしませんと入れないというような実情もございますが、ところによりましては、かなり楽に利用できる面もありまして、現在加入者から相当喜ばれておるところでございます。その他、入るときにはすぐ保険金の支払いということが頭に浮かぶかどうか問題ですが、保険金の支払い方法は非常に簡便に即時払いという制度をとっておるところでありまして、そういう面、そのほか資金がいかに運用されるか、加入者から信託された積み立て金というものが、これは国営事業というたてまえから当然とも思いますが、加入者人々の身近な施設の改善に向けられる、いわゆる地方還元という点がきわめて明瞭に出ておるわけでございます。以上いろいろ申し上げましたが、こういう点でひとつ簡保がすぐれているということが言えるかと思います。
  52. 栗原俊夫

    栗原委員 いろいろ説明し勧誘をされたわけですが、なかなかその程度では入る気持ちにはならぬのです。当初出発したときは、民間保険がどうもコマーシャルベースに乗らぬからといってほっておいたところへ、保険というものに一役大衆が入れる、こういうたてまえで出発したことは間違いないと思うんですよ。しかし、昨今の状況を見ると、そういう立場ではなくて、保険という形でいかにして金を集めようかというところへ、やはり主力がきているのではないか、こう思うのですが、大臣いかがですか。
  53. 古池信三

    古池国務大臣 多くの金が集まるというのは、それは結果でございまして、らくまでわれわれは一人でも多くの加入者を集めたい、そういうところに目標があるわけでございます。
  54. 栗原俊夫

    栗原委員 初めは確かにより多くの人を入れること、その結果として多くの金が集まる、こういったことだったと思うのですけれども、現時点においては、その手段と結果が逆になって、金を集めるのが目的なんだというところへ置きかわってきておる、こう思うのですが、これはどうなんですか。
  55. 古池信三

    古池国務大臣 私といたしましては、やはり金を集めるといいますか、要するに金が多く集まるということは従的な問題であって、主目的はあくまで加入者を増加するということでございます。そして外務員の方の立場としては、やはり少しでも多くの加入者を勧誘して業務成績をあげたい、こういう熱意のもとに活動しておられるわけでございまして、結果的には確かにそれだけ金がよけい集まるのですが、主目的が金を集めるところにあるというふうには、私は考えておりません。
  56. 栗原俊夫

    栗原委員 そうなりますと、五十万を百万にあげた。ここへくると、百万になると、民間保険ももちろんもっと大きなものをねらってはおりますけれども現実には百万級をかなり集めております。百万にふやして、なおかつ簡易保険という形で入ろうとするには、簡易保険のほうが民間保険よりもはるかにいいんだということが、実際に加入者にわからなければならぬ。しかし、さきほどの局長説明だと、大差がない、大臣に言わせれば顔なじみだ、こういうことなんですが、私は、この段階へくれば、民間会社が取り扱わないいわゆる落ち穂拾いをする制度じゃなくて、実際には金を集める制度なんだということになれば、いまひとつ踏み切って、百万にふやしたら、百万以下は民間には扱わせないんだ、ここまで踏み切れないですか。どうですか。
  57. 古池信三

    古池国務大臣 百万以下は民間がやってはいけない、百万以下は国の独占的な事業にするというところには、私もまだ踏み切る勇気がございません。
  58. 栗原俊夫

    栗原委員 当初、簡易保険はこまかいものにあまり手をかけずにやる、その一番尤たるものが無審査という制度だったと思うのですが、今日民間で百万にまでふやして無審査という制度はないんですか。私は保険のことはよくわからないのでわかりませんが、どうなんですか。
  59. 古池信三

    古池国務大臣 やはり簡易保険と同じ限度までは民間でも無審査にされたようでございます。当初は無審査という制度はなかったようですが、近ごろそういうことも民間でおやりになっておるようであります。
  60. 栗原俊夫

    栗原委員 そうなると、簡易保険民間保険とのほんとうに根本的な扱いの違いというものはない、こう考えられますが、この点はどうですか。
  61. 古池信三

    古池国務大臣 いずれにしても、生命保険という大原則に立っての事業でございまするから、根本的から言えば、お互いの間に相違はない、こう申しても決して言い過ぎではなかろうと私は思います。ただ方法において、あるいは加入者保護の立場において、あるいはまた資金の運用において、そういうふうな点においては具体的に違いはありますけれども、根本思想はあくまで生命保険相互扶助の制度でございまするから、その点は違いはなかろうと存じます。
  62. 栗原俊夫

    栗原委員 そうすると、ほとんど同じような経済的な条件のもとにおいて、民間保険簡易保険は完全に競争的な立場に立つ、簡易保険はこうなんだという、いわゆる国が行なう官行保険とでもいいますか、国民が飛びついてくるような特殊な条件はない、このように考えていいですか。
  63. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 現在、無審査保険の段階におきましては、ほとんど官民たいした相違はございません。両者、国営と民営が相競合してお互いによいところを伸ばすというところに現在の姿があると思います。
  64. 栗原俊夫

    栗原委員 これは少し奇抜な考え方をお尋ねするわけなんですが、いろいろな計算もしておるでしょう。それからまた、国民のいろいろな立場に立って考えているでしょうが、五十万円を限度にして、五十万以下を独占にする場合と、百万に限度をふやして競争的な立場でやる場合と、そろばんを持ったことがありますか。
  65. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 そこまで検討したことはございません。
  66. 栗原俊夫

    栗原委員 時間がございませんからあまりほかへ発展することはやめますが、集めた金の使い方を十分配慮すると同時に、やはり簡易保険の限度というものは適当なところにする、と同時に、これはやはり独占にしていくべきものだと私は思うのです。民間と競争するという形ではいかぬと思うのです。内容的にはもちろん経済的な条件もよくする、しかも集めた金を、これだから独占にするのだと言い切れる条件を整えて、一日も早くそういう段階を持ち来たすような方向を政治的に考えていただきたい、こう思います。大臣の所見を伺って私の質問を終わります。
  67. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまのお話のように、今日簡易保険がある程度の限度までは独占にする、民間には許さないという方針を実行するということは、なかなか容易ならぬ大問題でございまして、ここで軽々に申し上げることはできませんが、ただいまの御意見は、今後の参考として十分検討いたしたいと存じます。
  68. 加藤常太郎

    加藤委員長 次に安宅常彦君。
  69. 安宅常彦

    ○安宅委員 これは大臣質問しますが、参議院の逓信委員会でも論議になって、私は永岡さんから聞いたのですが、あなたはいま、金を集めるのは結果であるという話をされましたけれども、三千万人も加入をしている簡易保険である。そういう状況の中で、簡易保険法の第一条に基づくところの条文に合致した制度にいまなっておるかどうかという問題が起きたときに、保険思想というものを普及させるために存在価値があるというような答弁をされているのですが、三千万人も加入しておって、そうしてしばしば森本委員ども言っておるように、もともとこれは政府の独占事業として発足したわけですね。それが民間と競合するようなかっこうになってしまい、条件もほとんど同一だということになれば、いま社会保障制度というものを政府でがっしりやるのだとあなたは言っているが、われわれから見れば、てんでやっていないと思うのであります。そういう状況になった場合に、掛け金をかけて、そうしてあなたのほうで言う、民間と同じような条件の中で政府でこういう事業をやるという、そういう存在価値というものはもうないのではないかと私は思うのです。社会保障制度と生命保険というものとの、それ自体の競合、矛盾というものが今日出ている、こういうふうに私は見ているのですが、あなたはどう思いますか。それを答弁願いたい。
  70. 古池信三

    古池国務大臣 今日、わが国社会保障制度は相当に発達してはまいりましたけれども、十分と申し上げるまでにはまだ相当な距離があると存じます。しかしこれは逐年改善をし、向上していかなければならぬと思いますが、そういう場合に、簡易保険はしからば不要になるか、こういうお尋ねと存じまするけれども、やはり私は、個人が不幸にして生命をなくするとか、あるいはまた、幸いにして長生きをして老後の生活の安定をはかるというような立場から考えますならば、やはりかような制度はあくまで存置して、要するに多々ますます弁ずるということが必要ではなかろうかと考えております。
  71. 安宅常彦

    ○安宅委員 社会保障制度はわが国の場合には微々たるものでという答弁は、池田総理大臣の国会におけるあらゆる機会の答弁と食い違いませんか。これが一つ。あなたはあとで怒られるのじゃないかと思って心配して聞いているのです。  それからもう一つは、多々ますます弁ずるという話でありますが、社会保障制度が完備すれば、何もあなた、自体、死ぬつもりでこれは加入しているわけではございませんと、先ほど大柴君に答えているのです。そうしたら、老後の安定というものは国家が受け持ち、社会保障制度でがちっとやっていれば、こんなものは要らないのじゃないですか。少なくとも政府でやる事業というものは理論的に必要はなくなりませんか。
  72. 古池信三

    古池国務大臣 死ぬことが目的保険に入るわけじゃございません。ただ、不幸にして、人間の寿命は老少不定でありますから、こう言っておっても、あすなくならぬとも限りません。さような場合に、幸いに長生きをした人が集まって、そういう不幸な人を、あるいはその遺族を助け合っていく、こういう非常に嵩高な相互扶助、社会連帯の精神から出発したものがこの保険の思想であろうと思うのであります。したがって、この制度は、社会保障がこれで満点だ、もうこれ以上社会保障制度を拡充する必要がないという程度なりますれば、また別問題でありますけれども、それは今後相当年数を要するのではあるまいかと考えます。
  73. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなた、そんなことを答弁しておったら、選挙のときの公約とまるきり違うじゃないか。社会保障制度というのは、わが党は万難を排して、そうして社会党あたりが四の五の言うような、そういうことではない、先進的な資本主義の国はもちろん、それ以上の社会保障制度を必ず樹立して福祉国家をつくるのだ、だからわが党に投票してくれとあなた一生懸命演説をぶっていた。何年たつかわからない話では、越中富山のこう薬よりまだきかない公約になりませんか。
  74. 古池信三

    古池国務大臣 やはり、ものごとは程度問題があると思うのであります。社会保障についても、一般財政上の見地から、均衡をはかりながら予算を振り向けるわけでありますから、こればかりに予算をつぎ込むというわけにまいりませんので、その点をいま申し上げたわけでありまして、わが党の政策に反したことを申しているわけでは決してございません。
  75. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたのほうの公約というのは、大体その程度だということがわかったからまあいいですが、それではそういう民間と同等の競合するような条件において国営事業を行なう場合に、今度は簡易保険局長に聞きますが、先ほど大臣から、外務員の諸君は業務成績をあげるために喜んで一生懸命やっているんだという答弁がありましたが、それはうそです。私はやったことがあるが、郵便局に入る、一番先には、しようがないから自分の家族を入れる、その次は、家族はそんなにたくさんおりませんから、彼女のところへ行って、きらわれない程度にお願いする、その次には、今度は学校の先生のところに行く、親類に行く、それで種切れです。そうすると、郵政局の保険の係の何県担当なんというのがおって、そして進軍ラッパを吹くみたいなばりばりのやつが、お前のところは割り当てのここまできてないじゃないかと言って盛んなハッパがくる。局長から怒られる。しかたがないからまた出ていく。こういうことをやっておる。なるほどえらいベテランで、保険をよけい加入させたら手当がよけいつくし、しめたと思っている一部の人はいいかもしれませんが、大多数の人はそれで非常に困っておる。喜んで業務成績をあげてやっておるというのはうそ八百です。大臣の認識の大間違いです。非常に有利だったら、みんな喜んで募集をする気持ちになるでしょうが、現実の問題として外務員はいま苦心惨たんしているということについて私は実例を言っておるのですが、簡易保険局長、あなたはそう思いませんか。
  76. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 国営の保険民間保険と比較した場合に、いずれかが格段にほかよりも有利とか不利ということは、かえってどうかということもいえるかとも思います。現在は大体似たようなものだ、そういう環境のもとに実際に募集に従事する人の実情はどうかということでございますが、必ずしもお客さんのところに行けば簡単に契約がとれるということではないと思います。そのためにはみずからの努力——もちろん努力と申しましても、各方面の知識を得るなり、あるいは一般契約者実情を調べるなり、いろいろの面で努力しておるところと思います。ただ、よく頭から押しつけてやらせるのではないかというようなお話もありますが、私どもは、極力自己の力で開拓していくというふうに、これは訓練その他募集環境の整備ということで募集がしやすくなるように絶えず心がけておるつもりでございます。幸いここ数年間、これはほかのいろいろの要素もあると思いますが、業績は順調に伸びておるところでございます。
  77. 安宅常彦

    ○安宅委員 募集環境の整備とかうまいことをおっしゃいましたから、それでは私は言いますが、保険外務員の勤務時間、保険募集に関するところの労働条件の協約、そういう労働組合との基本的な締結事項、こういうものはどうなっておるか、まずそこからお聞きいたしましょう。
  78. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 一般の勤務時間は郵政職員一般と同様でございます。ただ時間外とか休日の勤務でございますが、これはそれに関する協約があるわけでありまして、その中で組合側と省側とちょっと解釈の相違を来たしておる条項がございます。省側では、この協約の解釈からいけば、時間外でも募集をやらせ得るという見解でありますが、組合側は、集金事務は時間外の協約の条項に含まれるけれども、募集事務は含まれておらないという見解を持っておりまして、現実のところは、時間外の募集を命令してやらせるということはいたしておりません。
  79. 安宅常彦

    ○安宅委員 何も聞かないことをあなたは言ってしまって、一番痛いところをあわてて答弁したようです。そんなことを聞いてなかったのです。一番最後にそこに行き着くつもりだったのですが、あなたはどういう法律に基づいて時間外に募集し得るという見解なんですか。それは労働基準法上どうなりますか。
  80. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 これは労働基準法に基づきまして協約を結ぶわけでございます。その協約の中に、こういう場合には時間外労働をさせることができるという条項があるわけであります。その条項の中で、「人員の繰り合せ上必要やむを得ないとき」と、それは第六項でありますが、それから十項に、「その他急速に処理を要する業務の渋滞を防止するためにやむを得ないとき」というのがありまして、この六項と十項が争いのもとであります。
  81. 安宅常彦

    ○安宅委員 私は協約から言っているのではありません。そういう場合でも、これは断続労働でもないし、それから特別に労働基準法上この簡易保険の募集に対しては超過勤務をさせても、労働時間を延長してもいいという条項にも当てはまっていないし、それからあなたのほうでは、超過勤務を命令してやってはおりませんとは言っておりますが、命令をしてやらなくとも、時間外に明らかに働いたということがわかった場合には、当然超過勤務手当を払うべきだという労働基準局長通達も労働省から出ておる。そういう状態のときに、あなたのほうで責任を持たなければならないのがあたりまえなんですが、これはどうなんです。
  82. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 あまりこういう方面は詳しくないのでございますが、実際私の知る限りにおきましては、時間外に命令しなくても自発的に募集をやったということがあるわけでございます。これは自発的にやったという、それがはっきり証明といいますか、たとえばその途中で何か事故にあったというようなことになりますと、公務の執行中かどうかというような点も問題になりまして、そういう点がはっきり証明されますれば超過勤務手当を払う。それから加入者のほうから事前に、契約したいので来てくれというようなことがあるわけでありまして、そういう場合には、事前に管理者に断わって行く、もちろんそういう場合には命令を出して超勤手当も払う、こういう扱いをしておるわけであります。
  83. 安宅常彦

    ○安宅委員 要すれば、管理者が知っておる、あるいは管理者に断わった以外は超過勤務手当を出す義務はないというお考えのようですが、これは人事関係の担当の局長来ておりませんか——だめですよ、私はわざわざあなたのほうの係が内容を教えてくれ、内容を教えてくれと言って来るから、そんなカンニングみたいなことをするのはおかしいじゃないかと言ったが、うるさいから、きょうは労働条件のことを聞きます。だから人事関係の担当官を出してくれと、はっきり言っているのに、なぜ来ないのですか。大体、簡易保険局長がそういう問題を知らないで、成績さえあげればいいと思って進軍ラッパばかり吹いているというのでは、局長の資格はないのだけれども、具体的に労働条件その他についてはっきり答弁できる人を出して下さい。どうですか、いないのですか。——それでは簡易保険局長、そういうことではいかぬのでして、もしその場合、あなたのほうに断わりなしに自発的にやった、そうして簡易保険の募集中に何かどこかぶつかった、そうした場合には、明らかにあなたのほうでは命令してない、公務執行中だということの証明がないではありませんか、そういうことやらいろいろあるから、労働基準法上、自発的に、つまりあなたのきげんをとろうと思って法律に反して超過労働をやった、こういう人の場合でも、当然それはいかぬのだ、当然命令をしなければならぬのだというふうに明らかに示しているのが、労働基準法の解釈なんです。こういうことになっておるのです。それを省側と組合側との意見が対立しておるなどということは、はなはだもって不見識な答弁だと私は思います。だからこれはあとで明らかにしてもらわなければならないから、直ちに手配をして下さい。  それで次を続けますが、そうしますと、ここで問題になってまいりますのは、特定郵便局と普通郵便局と、募集した場合に、外務員といいますか、手当が違うわけですね。なぜ違うかということをひとつ答えていただきたい。  もう一つ質問は、保険の募集の形態でありますが、普通郵便局保険課に所属している人が責任を負うように大体なっておると思います。特定郵便局の場合は、局長以下みんなでやらなければならない。電信をやっておる人も、電話をやっておる人まで大体そういう目標額というものが与えられて、動かなければ割当額といいますかそういうものが達せられない、こういう状況になっておると私は思っておるのですが、間違いかどうか。それから割当というのは明らかにやっているのかいないのか。これに関してあなたのほうでとっておる方針について答弁していただきたい。
  84. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 まず第一点の特定局と普通局の手当がなぜ違うかということでございますが、その第一は服務形態の相違からきておるわけでありまして、特定局の服務はいわゆる総合服務ということで、保険外務員だけが専門にその保険の募集に従事するという姿になっておりませんで、実際の保険の募集というような面におきまして、外務員の立場が普通局の単独定員の面と非常に異なることでありまして、それだけ募集がやりにくいという面もかなり出てくるではないかというふうに考えております。それから特定局は概してその地況を見てみますと、都市よりも地方に多い。そういう環境が、交通不便とか、あるいは文化水準あるいは経済力、いろいろ比較した場合に、普通局の環境に比して募集に困難性があるのではないかというような点を考慮いたしまして、手当をあんばいしておるわけでございます。  それから第二点は、ちょっとはっきりわかりませんでしたのですが、第三点と思いますが、目標の割当をしておるかどうかということでございますけれども、これは割当をやっております。
  85. 安宅常彦

    ○安宅委員 私は仙台管内の郵便局をずっと回ってみると、全逓信労働組合東北地方本部執行委員長中村権一、何とか郵政局長何とかという名前を書いて、割当はしない、目標は定めない、超過労働はさせない、そういう協約を結んだということを、郵便局にくまなくぴったり何年か張ってありますが、そうするとあなたのほうは、そういうのは知りませんが、割当はやらないことになっているのじゃないですか、やはりやっておるのですか、あの協約はもう死んだのですか、ちょっとそれを聞きたいのですがね。
  86. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 まあ割当ということばの解釈がいろいろあると思いますが、目標の割当と申しますか、割当をした場合に、それが別に強制力を持つものでも何でもありませんで、一つの募集のめどということであります。もちろんそういうことですから、特定局また普通局の中ではさらに細分してやっておるというようなこともございます。
  87. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういうことは詭弁だと私は思うのです。せっかくの労働協約がだめになる。そしてあなたのほうは、時間外労働はさせないという協約になっておるのに、自発的にやった分はわしらのほうは関知しないなどということを言っておる。仕事のしかたによって特定局と普通局の保険の募集のしかたが違う。保険課の人だけでやっているんじゃない。特定局はみんながやるようになっていると言いますが、特定局といえども、いろいろな仕事をあんばいして、たとえば電話の関係とか郵便の関係をやっている人については、それぞれの仕事の量によって八時間労働なら八時間労働、たとえば、何号便から何号便までの間は郵便係はどういう仕事をするというようなことをきめて、そして服務線表を引いていると思うのですが、その中に保険募集をするというところの労働の質、それを服務線表に引いているという例がありますか。——では続いて質問しますが、私はめんどうくさい言い方をしましたが、こういうことを聞いているのです。あっさり言えば、特定局は手当をよけい出している。というのは、みんなでやるから、その係以外の人もやるからという意味も相当含まっていると思うのです。私もそういう仕事をやらされたが、実際そうです。自分の仕事以外に保険を募集しなければならないのですよ。手当が多いからといって労働時間を延長してやるということはない。そういうばかな話はない。だから、勤務時間の中における保険募集という労働の質が線表の内容に含まっているのか、含まっていないのか、それを聞いているのです。
  88. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 固有の仕事をある時間までやって、それからさらに延長して保険の募集をやるというのでありませんで、同一の人間が郵便の配達もやるし、保険の募集もやる、そういうことでございます。
  89. 安宅常彦

    ○安宅委員 窓口に八時間すわっている人はどうなりますか。
  90. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 ちょっと質問の意味がよくわかりませんが、窓口でも保険の募集ということはあり得るわけでございます。
  91. 安宅常彦

    ○安宅委員 わかりました。その窓口の場合に、いろいろ局の規模にもよりますが、郵便の受付をしながら、郵便を出しに来た人に、あなた保険に入ってくれなんて言いますか。そんなことはない。そんな理屈で幾らごまかそうたって、それはできません。したがって、そういう中に、保険の募集をするという労働の質というものが服務線表に入っているか、入っていないかと聞いているのです。
  92. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 総合服務ですから、一人で何でもやるということになっております。
  93. 安宅常彦

    ○安宅委員 だからそういう質の問題が入っているか、入っていないかと聞いているのです。何でもやればいいのです。そういうことで何でもかんでもやるといったって、あなた簡易保険局長ですが、簡易保険局長も保険の募集の分はあなたの職務の中に入っていますよと言われたって、あなたの部屋に入ってきた人に実際できやしないじゃないか。窓口にいない人はどうしますか。別ないろいろな事務をやっている人もたくさんありますよ。特定局といったってピンからキリまでありますからね。三人の局もあれば五人の局もある。また大きな特定局では三十人から五十人くらいの局もある。そういうところも割り当てがないというのですか。そういうところにも割り当てがくるじゃありませんか。そうした場合に、現実の問題として、そういう労働の質の問題というものは服務線表に入っているのかと聞いているのです。
  94. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 これは小局の例でありまして、かなりの大きさの局になればおのずから勤務形態は分かれてくるわけであります。小局におきましては、一人が貯金も、保険も、郵便の仕事もやる、こういう姿になっておるわけでございます。
  95. 安宅常彦

    ○安宅委員 そんなことはみんな知っておる。それなら大きな特定局の場合は保険の募集手当は少ないですか。小さいところと同じでしょう。どうです。
  96. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 特定局一律でございます。
  97. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから言っておるのです。どうです、そこでまた矛盾が出てきませんか。
  98. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 服務形態だけでなくて、それをとりまく、経済、文化、もろもろの条件が、特定局と普通局と違う点も十分考慮しているわけでございます。
  99. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういうことは労働条件に何ら影響がありません。私が聞いておるのは、結局、手当が多くなるというえさをつけておいて、勤務時間中には保険募集なんかできないような勤務をさせておいて、あなたのほうでは命令はしていないのだから知らぬ、こういうことに現実にはなるでしょう。こういうことを聞いておるのです。どうですか。
  100. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 私どもは別に強制募集というようなことは毛頭考えていないわけでございまして、目標の割り当てということは、その局なり局員の活動のめどでありまして、別にその割り当てといいますか、目標の達成、不達成によって別段の手段を講じるというようなことはございません。
  101. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたのほうでは、目標を達成したとか、あるいは目標よりもずっと上回った、そういう成績をおさめた郵便局並びに従業員を表彰してますね。どうですか。
  102. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 表彰しております。
  103. 安宅常彦

    ○安宅委員 明らかに差がついておるじゃありませんか。
  104. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 実際に大いに働いてそれだけの成績をあげたという人に対しての表彰でありまして、悪いからどうという逆のことはやっておらないということでございます。
  105. 安宅常彦

    ○安宅委員 同じことですよ。表彰を受けないほうは悪いということになっている。大いに働いたというのは、労働時間中に働いたのか、それ以外に働かざるを得なくしておいてあなたのほうは表彰しておるのですから、それは現実に労働の質の中に入っているのじゃないですか。その分だけ手当を普通局よりよけいくれている、そういうことじゃありませんか。そうしてよけい募集した人に対して表彰しているということは、やはりそこに差があることであって、現実にいろいろな恩典があるのではないか。昇給しないとか減給させるとかいうようなことは、もちろん今日の法律ではできやしない。だけれども、そういう人をこうやっておけば明らかに差がつくのではないですか、どうですか。
  106. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 差というのは、何の差かちょっとはっきりいたしませんが、実際に成績をあげれば、募集手当は入るわけですから、その面で収入が……。
  107. 安宅常彦

    ○安宅委員 もういいです。あなたと話をすると歯車が合わぬ。やはり人事担当官を連れてこなければ話になりません。  それで大いに働いたとかいうばく然とした表現ですが、その労働の質が服務線表に入っていない、それ以外の仕事をしたから大いに働いたという結果にしかならない、ことばをあなたは一生懸命弄しておる。この点については、あとで人事担当官がきたら明らかにいたします。  それではずっと続けて別な問題をお聞きしますが、最近あなたのほうで、この法律を通してもらいたいために——だか知りませんが、陳情のはがきなり封書を出せという指示をしませんでしたか。
  108. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 別に指示はいたしておりません。
  109. 安宅常彦

    ○安宅委員 指示はしないとすれば、要請か何か、そういうことをやらなかったかどうか。あるいは郵政局、こういうところでやっているのを知らないかどうか、それをお伺いいたします。
  110. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 先生方から、そういった種類のはがきなり手紙なりがたくさん来ておるということを聞いておりますので、地方でどの程度のことをやったか、その点についてははっきり私は存じておりません。
  111. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたそういうふうに逃げてはだめなんです。私のほうにたくさん来ているんですが、みんな持ってきたってあんたびっくりするだろうから、おもしろいのだけ持ってきましたが、こういうのがある。みんな文章は同じで——文章が同じだというのは、大体陳情を出せと言われたら同じものを出すものです。それは私も知っていますが、ただ問題は、こういうのがある。最近の経済情勢の推移にかんがみ、保険金最高制限額百万円引き上げを四月一日を期して実施されたい。新種特別養老保険の発売をより効果的にするため、保険金最高の引き上げと同時に実施されたい。上記一、二を盛り込んで自由な立場でお出しください。これはあんたのほうの指図だ。そこまで書いてあるんだ。
  112. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 その点については、現在のところはよくわかりません。
  113. 安宅常彦

    ○安宅委員 上記一、二を盛り込んで自由な立場でお出しくださいというのは、そうしてくださいという文章が入ったから、その文章を示したところまで、この人はよほどかたい人だと見えまして、上記一、二を盛り込んで自由な立場でお出しください、そのとおり書いている。これはあんたのほうで指図した証拠ではありませんか。
  114. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 文面から推察いたしますと、何か作為があるように十分受け取れますが、別に私のほうからそういった指示をしたことはございません。
  115. 安宅常彦

    ○安宅委員 これは郵政局かどこかで出したという証拠ですね。あんた方は出さないか知らないけれども、知らないと言ったらあとでひどい目に会うから、実はそういうことをやったらどうかというくらいに言ったと、いまのうちにそう言ったほうが無難じゃないですか、どうです。
  116. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 地方でどういうことをやったか、その文面から見ますと、何かやっているようには十分受け取れるわけでありますが、私としては別に指示をしたということはございません。
  117. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたはやらないか知らないけれども簡易保険局としてその係の人がそういうことを各郵政局に出したという事実はありませんか、どうです。
  118. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 その辺もはっきり私は承知しておりませんで、もし必要があれば調査したいと思います。
  119. 安宅常彦

    ○安宅委員 もう一つ、そのほかに上記一、二を盛り込んで自由な立場でお出しくださいという下にこういうことが書いてある。大体百万円なんという保険は実際募集できないんです、私らのいなかでは。だけれども、出せと言いましたから出しました。どうです、これは大柴委員が先ほど質問したように、簡易保険をいなかで募集する場合、百万円、五十万円というのは、とても募集の対象にならぬ。その証拠には、いままであなたのほうで出された資料を見ましても、十万円から二十万円程度、この辺までしか、現実にそれで五〇%以上になっているのです。五十万円というのは、いままで制度があったにかかわらず、七・七%しか三十八年度といえども募集していない、こういう状態なんだ。そういうことを恨みがましく書いている人もある。これはあなたのほうで指図をしたことの逆効果なわけです。
  120. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 百万ずばりとるのは、場所によってはなかなかそう簡単ではないが、今回の引き上げはずばり百万ということばかりをねらっているわけではないのでありまして、従来から五十万に入っている人はさらに百万に上げれば上積みができるということで、十分引き上げの効果はあるわけであります。
  121. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたは百万円に引き上げるということについていろいろな要望もございましたと、この前の委員会のときに答弁をしておりましたが、どういう方面からこういう要望があったのですか。
  122. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 加入者の各個々の声が現場に反映いたしまして、それが内部のいろいろな会議で上へ上がってくるということもありましたし、また加入者の会あるいはそれの連合体といったようなものからも絶えずそういう要望が出ております。
  123. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういうことからあなたのほうではやった。きょうは時間がありませんからそこは聞きません。これは三日くらいかかっちゃう問題だから言いません。そういう要望があったからと、この前大柴委員質問に対しては言ったが、この金額の問題の質問のときに、未加入の人も相当いるのじゃないか、こういうような各層人々加入者をふやしていくのが第一の目的だというふうな意味で、こう少し違ったニュアンスの回答をきょうはしているのですけれども、どうなんですか。未加入者というのはどういう階層に一番多いというふうな考え方ですか。
  124. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 はっきりしたデータは現在持ち合わしておりませんが、各階層と申しましたのは、所得水準の高いほうとか低いほうとかそういうことを問わず、国民各層という考え方でありまして、百万に上げるその加入者からの要望という点と、未加入者の開拓という面は、別に矛盾はしておらないと思っております。
  125. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは、この契約の内容、加入割合というのをあなたのほうでは資料を出しておりますが、解約件数は契約をしてから何年日あたりが一番多いか。その資料を今日そこで準備しておるとすれば、ちょっと発表していただきたいのですが……。
  126. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 はっきりした資料をいま持ち合わせておりませんが、一年以内の解約が一番多いというのが実情でございます。
  127. 安宅常彦

    ○安宅委員 はっきりした資料がない、そんなことでよく答弁できると思うね。それは持っているはずですよ。ふろしき一ぱい持ってきて——もういいです。あったらすぐ出してください。それでは、それはあらためてお尋ねします。  人事局の土生さんがおいでになったようでありますから、あなた、長い間ずっと人事給与ばかりやってきたのだから詳しいと思うのでありますが、どうも顔を見ると闘志が少しにぶるのですけれども一つは、特定郵便局の服務線表の中に——局の大小は問わないのですが、いまは特定局に限定しますが、その場合に、郵便なら郵便、庶務なら庶務、そういうことをやっている人の服務線表の中には、保険募集をするとかそういうものが入っておるか、これが第一の質問です。  それから第二番目は、先ほど簡易保険局長は、保険を募集する場合に超過労働をやる、こういうことがあったとしても、その職員に途中で何か事故があって、明らかに超過労働をしておったんだということがわかった場合、あるいは窓口あたりで、今晩来てくだされば入ります、ぜひ私のうちに来てくださいというふうな場合は、管理者に、きょうは超過労働で保険募集に行きますと言って断って行けば、超過労働、時間外労働というものを命令するけれども、それ以外には、局側つまり省側と労働組合との労働協約に関する解釈の違いがあって、そういう場合には超過勤務手当を——それ以外の場合です、いま二つ例示をした以外の場合には超過勤務手当を支払わぬでもよろしいという解釈であります——こういう話でありますが、それは労働省の労働基準局長通達と違反しておるのではないか、こういう質問をしたところが、答弁できませんでしたから、専門家のあなたに聞きたいのですが、この二つを答えていただきたい。
  128. 土生滋久

    ○土生説明員 第一点の服務線表の問題でありますが、これは実は私のほうからお答えするよりは、定員主管局の保険局のほうからお答えすべき筋合いのものかと思いますが、総合服務におきましては、各事業の総合定員でありますので、各事業の各仕事を、どの仕事でも勤務に服するというたてまえで、定員が配置されております。したがって、職員もまた、どの仕事でも命ぜられれば勤務するというふうになっておるというふうに私どもは承知しております。  それから、第二点の超過勤務の問題ですが、私どもといたしましては、時間外労働に関する中央協約において、文理上は、これは募集事務といえども時間外労働を命じ得るという解釈でおります。ただ、毎年、この募集計画を進める際に、時間外労働はやらせないようにしてもらいたいという組合側の要望がありますので、それでは時間外労働を命ずることを自粛いたしましょうということになっているわけであります。したがいまして、管理者が時間外労働を積極的に命令するというようなことは自粛するというたてまえになっておるわけでございますが、先ほど保険局長から答弁されましたような場合におきましては、これはもちろん命ずる、命じた限りにおいてはもちろん割り増し賃金は払うということでございます。御質問の趣旨で、それでは命じなかった場合に、自分の全く自発的な意思で時間外に募集をしてきたような場合にどうなるのかということでありますが、一般的に、もちろん管理者の目のつくところで、自分の命じない場合において時間外労働をしている。それを管理者が黙って見ておれば、これはやはり認めたものとして扱うべきであるという一般的な基準法の精神はあります。しかしながら、仕事が外勤の仕事でありますので、そういった点から見ますと、管理者が直接目が届いていないところのことでありますので、必ずしも内勤の仕事の場合と同じような解釈をする必要はないというふうに私ども考えておる次第でございます。
  129. 安宅常彦

    ○安宅委員 その程度では逃げられないからね。たとえば特定郵便局の庶務係がおるといたします。私もそういう仕事をやりました。そうすると、局長のちょうど目の前、庶務課長のちょうど目の前で仕事をしている。給料も払わなければならぬし、いろいろなことがあります。朝早く来て、昼飯もかき込んで、五時までかっきり仕事をします。それでも、ときおりおそくなります。この人が明らかに保険募集をしてきた。総合服務だとあなたは言いますから——そうした場合に、明らかに、夜中でもどこかに行かなければ保険募集ができないのだということば、わかるじゃありませんか。何も外勤だけが募集しているのじゃないですよ。そうして、そういうことがあるからというので、あなたのほうでは、特定郵便局に対する手当をよけいに出しておる。こういうことも関連するのではないかという質問を私は先ほどしたのでありますが、そういう点はどうですか。
  130. 土生滋久

    ○土生説明員 私どもの解釈といたしましては、局長の目の前で、局長が命令しないのに時間外に仕事をしている。これを局長が黙って見ているということであれば、命じなかったんだから、それは払う必要はないということでは済まされないだろう。したがって、局長はその際、もう帰ってください、時間外労働をする必要はありませんから帰ってくださいということが言い得る状態の中で、それをやらなかったわけでありますから、やはりそういう責任はある程度負うということはよくわかります。しかしながら、外勤につきましては、そういうことを局長が本人に注意することができないわけです。そういう関係がありますので、たまたま自分の自発的意思に基づいてやったかもしれませんけれども、そういう状態を局長が本人に注意して、それはやめなさいというようなことを言う機会が与えられないわけでありますから、その辺はやはり内勤と少し違うというふうに考えていいのではないかと思います。
  131. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、労働省で出した通達というのは外勤には適用しない、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  132. 土生滋久

    ○土生説明員 労働省の通達の精神は、私が申し上げたようなところにあると解釈しておりますので、その精神に当てはまらない場合である。だから、外勤なるがゆえにそうだというわけではなくて、結果として外勤がおおむねそういうことになる、こういうわけでありますが、要するにその精神は、局長がそれをとめることができたのにかかわらず、黙っていたというようなものであるかどうかという観点から、先ほどお話し申し上げましたような解釈をとっているわけであります。
  133. 安宅常彦

    ○安宅委員 いま私は、庶務係の人の例を一つ出して言いましたが、この人は保険募集をするために夜どこかに行くかなということが明らかにわかるわけですが、そういう場合でも、目の届かない範囲である、こういうことになるのでしょうか。  それからもう一つは、気のきいた、私みたいな、そういう点うるさいのが従業員におりまして、課長、きょう保険募集してきますから超過勤務を命じてくださいと言った場合に、その人に現実に働らく意思があって行くんだなと思った場合には、超過勤務手当を払う仕組みになっていますか。
  134. 土生滋久

    ○土生説明員 超過勤務手当は本人の希望によって命ずるという筋合いのものでなくて、たまたま命じたところが、本人の意思に合致すれば、それはけっこうなことでありますが、そこまでは——やはり仕事の上で必要であるから局長が勤務を命ずるということであり、したがって、かりに本人からそういう希望があったといたしましても、局長は仕事の面から考えて、希望があったから命ずるということでなくて、やはり命ずる必要があり、また保険なんかの場合につきましては、先ほど申し上げましたような自粛するということになっております関係等も考慮し、総合的に判断して、命ずるか命じないかということを局長自分の責任できめるべき問題である、かように考えております。
  135. 安宅常彦

    ○安宅委員 先ほど簡易保険局長はこういうことを言いました。事故や何かがあって、明らかに公務執行中だということがわかった場合には、超過勤務手当を払っております。それから窓口や何かによって郵便係だってそういうことをやるのだと言うから、じゃ、小包を出しに来た人に、おう、あんた保険に入ってくれやと頼む、総合服務だから、そうしたらその人はじゃ今晩来てくれと言いました、局長、私は今晩来てくれと言われたので行きますが、超過勤務を命じてくださいと言った場合には、命じております。こういう答弁なんですが、そういう場合どうですか。
  136. 土生滋久

    ○土生説明員 そのような場合におきましては——局長一般的には時間外労働は自粛するということを組合に言ってあるわけでございますが、こういうような場合においては、命じた場合においても、その自粛するという精神には反しないという解釈で命じたということであれば、それは適当な措置かと考えられます。
  137. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、局員は、あの人だけは局長に頼んだら超過勤務をもらった、おれはつまらない、おれは今晩来てくれと言われたから、局長、超過勤務をください、こう言ったら断われなくなるでしょうね。労働組合との話し合いの場で出た自粛ということばは、超過労働をさせないという意味の自粛です。超過勤務手当をくれないという意味の自粛じゃない。そこのところをすりかえて問題をごまかさないでください。どうですか、簡易保険局長、そういう場合には、みんなからそういうふうに言われるようなことができますよ。土生さんは適当な措置を局長はやったと言う。そうしたら保険募集するときに、窓口でただ入ってくれじゃ始まらぬから、あの人が行っておるのだから、おれも夜実際に行ってくるのだから、そのときには局長、超過勤務手当を出してくれ、それでなければおれは行かないぞ、目標額を達しないぞ、常日ごろ局長は気合いばかりかけているくせにとんでもない、こういうことになって、労務管理上とんでもないことになりませんか。
  138. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 いまおっしゃられたようなことが非常に広まっていくというようなことで、別の面から弊害が考えられるということになれば、命令をしないというような措置も当然講ぜられなければならないと思います。
  139. 安宅常彦

    ○安宅委員 私が言っているのは、現実にみんな全逓の労働者は、時間外の保険募集なんかしている人はいないのです。集金人しかいない。集金の人は集金をしながら言うのです。この分はおかみさん終わりだ、もう一つ新しいのを入ってくれませんかと、募集する集金人は言うのです。郵便配達をしながら書留ですと言って、ところでこっちのうちで保険に入ってくださいなんて言えますか。これはなかなかできない。窓口にしてもできない。窓口以外で、庶務あたりの会計なんかの仕事をしている人は、それはもちろんできません。総合服務だからといって、保険の割り当て額を押しつけられておる——押しつけられてはいないけれども、示されれば、局長だって成績を上げたいし、がんばれや、それではあんた方やってくださいと言うわ。そうすれば時間外にしか実際上できないのです。それを今度は別な面で弊害が出たから超過勤務は命じない、こういうことになったら、明らかにあなたのほうは、成績がぐっと下がってくるのです。どうですか、そうはなりませんか。理論を言っておるのじゃない、ぼくは現実を言っておるのだ。
  140. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 超過勤務を、先ほどから問題になっておるような場合に命じるか命じないかというようなことは、やはりその管理者の判断でいろいろな条件を勘案してやることでありまして、それもその判断の基礎は、事業はこの際は募集でありますが、募集がどういうふうになったかというようなことを絶えず見ながらやらなければならないと思っております。
  141. 安宅常彦

    ○安宅委員 それじゃ土生さんに聞きますが、先ほど言いました相当大きい規模の特定郵便局で庶務会計などをやっておる人々の勤務線表にも保険募集をするという労働の質が入っておる、こういうふうにあなたのほうは答えておるのか、そこのところをはっきりしてください。どうですか。
  142. 土生滋久

    ○土生説明員 結局、職員の労働条件としての担務の問題になろうかと思います。これはいまの任用制度からいきますと、郵政職員のほうは事務官と技官という制度がありますが、任用上は事業別の任用制度をとっていないわけです。したがって、雇用契約といいますか、雇用関係上の義務としての仕事につきましては、かなり広い範囲にわたるわけです。ただ私どもが問題としておりますのは、内勤と外勤とでは俸給表が違うわけであります。つまり賃金に差のあるような仕事を一方的に担務の変更を局長が命ずるということは、たとえ任用制度として可能であるといたしましても、これはやはり少し問題があるのじゃないかというようなわけで、内外勤の担務変更なり、そういったことで共通に使うということは、私ども一般的には自粛しておる、しかし緊急の場合であれば、もちろんそういうやむを得ない場合は別といたしまして、一般的にはできるだけそういう担務変更といいますか、これは命じないようにしておるというのが現在のやり方でございます。  そこで、その意味からいいますと、確かに庶務会計は内勤の仕事でありますので、保険の募集ということになりますと、原則としては、これは外勤の仕事であるということになりますので、たまたま一般的にそういうことを局長が当然のこととして命令することになりますれば、若干問題もあろうかと思いますが、いろいろな情勢からやむを得ずその人に頼むというような場合でありますれば、これはやはり先ほど申しましたように、俸給表の違う職域の仕事を命じたというようなことはどうもまずい、その考え方に必ずしもとらわれることではなくて、やはりかわってやる、かように考えておるわけであります。
  143. 安宅常彦

    ○安宅委員 任用制度とかそういう制度を言っておるのじゃなくて、現実の話を言っておるのです。任用制度から言うと、あなたの議論はまことに苦しい答弁になっておるのですが、それ以上に服務線表を引く場合に、庶務会計の諸君の線の中に保険募集というものを総合服務だからといってその労働の質が入っているのかいないのかと聞いておるのです。担務変更するとか——担務変更だって、電話の交換手をやっておる、そうしたら事実上保険の勧誘なんかできない。だからその中に総合服務だからといって、入っておるのか入っていないのかということを聞いておるのです。
  144. 土生滋久

    ○土生説明員 服務線表というのは、単独定員の配置局ではもちろん事業別の配置でありますから、その線には何時から何時まで何の仕事に従事するかということははっきり事業別にはわかります。総合定員配置局におきましては、服務線表というものは事業別に引くということでなくて、各事業総合した服務線表、したがって、たまたまその線表に配置された人が主として庶務会計に従事する、あるいは主として保険に従事するということは、事実問題としてはありますけれども、やはり総合配置の程度としましては、各事業全部に勤務するということで線表をつくって配置人員を定めておるというわけであります。したがいまして、その場合におきましても、一般的には内勤と外勤とでは別の服務線表をつくっておるのが普通でありますから、その面では先ほど申し上げたような問題もあるということになろうかと思います。
  145. 安宅常彦

    ○安宅委員 こういうことなんですよ。割り当てのしかた——割り当てではなくめどだと言っておりますが、初めは割り当てだとはっきり議事録に載っておりますから、割り当てということばを使います。特定局と普通局は文化の状態、経済の状態などを比較していろいろ割り当てをやっておる。普通局の場合には保険課の人が責任を持って割り当てを完遂しておるようです。特定局は大きいところ小さいところを含めて、全部別なんです。保険募集の手当の支給のしかたまで違う。こういうように特定局対普通局という意味での区別を簡易保険局はしておるのです。あなたのほうは内勤と外勤と区別をして答弁しておるから違う。それでは具体的に言いますが、私が三十名か四十名かの規模の特定郵便局の庶務をやっておる、保険課員だけ募集して、あとの人は動かぬでもいいというしきたりにはなっておりません。したがって、私が職場を離れて、庶務会計の仕事をやめて、きょうはちょっと保険募集に行ってくると言った場合に、簡易保険募集の仕事が、労働の質がその中に含まれておれば、違法でも何でもありません。保険募集に行って、あっさり入ってくれ、オーケーというわけにはいきませんから、一日かかるかもしれぬ。ところが、そういうことを言ったら、あなたのほうは職場放棄と言うかもしれません。非常に微妙な問題でありますから、そういう労働の質が線表の中に入っているかいないかを聞いておるのですよ。どうですか。
  146. 土生滋久

    ○土生説明員 先生の御質問の御趣旨は、結局総合定員配置局において保険の募集という人が定員の算出……。
  147. 安宅常彦

    ○安宅委員 算出ではなくて、その個人の服務指定、それから個人の服務線表というものに入っておるか。
  148. 土生滋久

    ○土生説明員 少なくとも定員の算出根拠に入っておる以上、その定員に基づいてつくられた服務線表の中には、その限度においてはやはり入っておるということは言えると思います。
  149. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、個人に割り当てる場合にどれくらいの比率、どれくらいのウエートで大体定員を配分しておりますか。全部の勤務時間が八時間だったら、そのうちの二十分とか三十分とかいうウエートがあると思うのですが、そういう積算の基礎は大体どうなっていますか。
  150. 森本靖

    ○森本委員 安宅委員質問しておるのは、あなたのほうが普通局は単独定員だ、特定局は総合定員だと言って、すべてのものに入っておるということを言っておるけれども、特定郵便局でも三十名あるいは二十名程度の、電話交換手のあるようなところは、電話交換手は電話交換手で全部服務線表を引いておるわけですよ。さらに貯金の窓口は貯金の窓口で服務線表を引いておるわけですよ。その服務線表の中にどういうわけで保険の募集という項目が入っておるのか、電話交換手の服務線表では入っておるにしても、実際には休憩時間、休息時間がありませんから、やれないわけです。だからそれには入っていないはずです。それを入っておるというふうにがんばるから、それなら入っておるかどうかを確かめてもらいたいということで安宅君は言っておるわけです。入るはずはないです。何ぼ土生君が理論的に特定局が総合服務だからみんなに入っておると言っても、それでは現実に三十二、三名のところで、電話交換手の泊まり、明け、日勤というような服務線表を引いておって、その服務線表にいわゆる保険募集の要領が入っておるということにはならないと思います。その辺はおそらく土生君のほうの問題になると思う。だからそういう服務線表に保険募集ということが入っておるかどうかということを安宅君が先ほどから聞いておるわけです。だから入っておるか入っておらぬか明確にすればいいわけです。電話交換手の服務線表の場合は入っておるということになればおかしなかっこうになるわけです。
  151. 土生滋久

    ○土生説明員 私の承知しておりますのは、要するに保険事業の外勤定員の中には、定員算出の根拠としまして、集金だけでなくて、募集のための要員も予算上は入っておるわけであります。それが単独局と総合局との場合にどういう配分でやっておるかということになりますと、これはいろいろあると思いますけれども、要するに郵政省保険事業の外勤定員の中には、全体としてやはり募集のための労働力というものが含まれているというように私は承知しております。  そこで問題は、それによる外勤定員というものが一部は単独局に、一部は総合局にいく、その場合に、総合局では保険の外勤定員として何人、あるいは小数点をつけた定員になるかもしれません。事業別に分計した場合においてでのことですが、そして郵便から何人、保険から何人、貯金から何人というように算出されたものを合計いたしまして、その局の外勤定員が総体として十人なら十人ということにします。したがって、外勤に関する限りは、やはりその一つの局について一体それが何人、あるいは〇・何人入っておるかという計算はむずかしいかと思いますけれども、少なくとも入っておるはずであるということは私は言えると思います。  そこで問題は内勤の場合でありますが、確かに電話交換とかあるいは庶務会計というようなことになりますと、現実には大きな局では事実上専担になっておるというわけでありますが、そういった電話であるとか庶務会計であるとか、仕事の種類とは関係なしに内勤の定員ということになりますと、やはり保険事業の内勤定員の中にはそういう募集要員というものは計算されていないということが言えますので、したがって、定員算出上からいえば、内勤者には勤務時間中に募集を命ずるというようなことは、定員上からは無理であるということは言えると思います。
  152. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたは問題をずらしておる。入っておるか入っていないか、それさえ言えばいいのです。入っておるがごとく、事実上は命令されないがごとく言ってもだめです。
  153. 土生滋久

    ○土生説明員 内勤には入っていないということは言えると思います。ただし入っていないからといって、そういう仕事を命じてはならないかどうかという問題とは別個の問題だと承知しております。
  154. 安宅常彦

    ○安宅委員 入っていないのに命ずることができるという解釈ですか。
  155. 土生滋久

    ○土生説明員 定員の算出根拠というものは即労働条件としての要するに担務指定の問題に必ずしも一致させなければならないというものではありませんので、担務の指定はどこまでも任用行為に基づく雇用関係からくる問題でありますから、初めから任用制度がそうなっておりますればそういうことにもなりましょうけれども、現在の任用制度におきましては、そういった担務の内容を規制するといいますか、所属長の権限を特に規制するような任用制度になっておりませんので、問題の性質上、先ほど私が申し上げましたように、内勤と外勤との関係においては若干社会通念上と申しますか、いろいろな点を考えまして重複するということは運用上行なわれておりますけれども一般的には定員の算出根拠というものと雇用関係に基づく職務上の命令というものとは別個である、かように解釈しておるわけであります。
  156. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、電話の交換手の中にも、それから郵便の係にも、庶務会計の係にも、そういう服務線表と別に任用制度上命令をすることができる制度になっているから、たとえば経済、文化その他いろいろな状況によって目標を割り当てているんだということを保険局長は言いますが、そうすると、一生懸命専念してやれる者と、総合服務でやらなければならないために保険募集に専念できる人が少ないところとの割り当てのしかたの違い、こういうものもいろいろ出てくると思うのでありまして、どういうふうにして割り当てているかという資料あとで出してもらって、私はこれは徹底的に調べてみたいと思っておりますが、その問題は触れないとしても、具体的な問題として、安宅常彦という郵便局員が庶務会計の仕事をやっておる。局長は命令しない。だけれども、郵政局から保険募集の目標がたくさんきて困っておる。外勤の力だけでは目標が突破できないから、安宅君何とかしてくれぬか、この程度のことは毎日言いますよ。何とかしてくれということは命令ではありませんが、何とかしなければならないと安宅常彦という庶務会計の男は考える。しかし一日八時間忙しくやっていなければならないので、何とかしなければならないなら夜帰ってからどこか知り合いをたずねていって保険募集をせざるを得ない、こういうことになるわけです。もし服務線表の中に、あなたの国会における答弁によって、安宅会計係が、そうか、うまいことを聞いた、少し入っているんだそうだということで、一年間もやったことはないのだから、きょうは四時ごろからどこか保険募集に行ってきますと言っても、局長は何とも文句は言えないんですね。命令はしないけれども、入っていると言うからそういう質問になる。
  157. 土生滋久

    ○土生説明員 いろいろなケースが考えられるわけですが、いまおっしゃる庶務会計で普通内勤をやっているという場合には定員には入っていないわけであります。先生のおっしゃるのは、定員に入っているということになりますとこれは外勤者の問題になろうかと思います。外勤者の問題になりますと、先ほど私一番最初にお答えいたしましたように……。
  158. 安宅常彦

    ○安宅委員 私が言っているのは、外勤の話を聞いているのじゃない、定員上の話を聞いているのじゃないのです。内勤の服務線表の話を聞いているのであって、それで、庶務会計の仕事をしているのだから、局長に何とかしてくれと言われても、自分の仕事があるから保険募集をせぬでもいいじゃないか、こう聞いているのです。その場合に、簡易保険局からやらなければならないという一つ目標を与えられているから、何とかしなければならないと局長から言われた場合、何とかしてくれと言われたって、勤務時間中に職場を離れて保険募集に行っていいのかどうか、これを聞いているのです。
  159. 土生滋久

    ○土生説明員 内勤の場合は定員の算出に入っておりませんから、その定員に基づいてつくられた服務線表には入っていないということになります。その場合におきまして、勤務時間中に局長がそういった保険募集の仕事を命ずることの可否の問題ですが、服務線表上は、本来の仕事で十分ふさがれているはずであるにかかわらず、その仕事を一時あと回しにして、服務線表に予定していない仕事を命ずるということのその緊急性というか、必要性の度合いということ、そういうことについてはやはり局をあずかっている局長の管理者としての判断の問題になろうかと考えられます。
  160. 安宅常彦

    ○安宅委員 それで私は目標の問題に移りますが、あなたの言うのはめどではない、目標なのです。だから、特定局の人には仕事の合い間にできるだろうということで手当をよけい出している。でなかったら、普通局と同じ手当を出したらどうですか。なぜ特定局によけい出しているのか、もう一回答弁を願いたい。
  161. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 これは先ほど申し上げましたように、内勤の点についてははっきりいたしましたが、外勤の面については、やはり服務の形態に総合服務という面があるわけでありまして、この点が普通局と違うわけです。それから、その局を取り巻く経済、文化、もろもろの諸条件が違うというような点を考慮して、手当の額を別にしておるわけであります。
  162. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは内勤の分はなぜ多いのですか。
  163. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 前は何か若干あったようでございますが、現在はそういうふうに差別しておりません。
  164. 安宅常彦

    ○安宅委員 違います。これは特定局と普通局の違いでして、あなたのほうでは前から内勤、外勤の区別はありません、だから前だっていまだって同じですと言う。しかし、土生さんは、内勤にはもうそういう命令ができないのがあたりまえだと答えた、そしてあなたは、外勤についてはこうこうだと話をした、それはそういうことかもしれぬ。しかし、そうすると、なぜ特定局の内勤と特定局の外勤と同じ手当をもらっているのだ、こう聞いているわけです。
  165. 土生滋久

    ○土生説明員 内勤の定員には、募集という仕事が定員に算出されていないというのは先ほど申し上げたとおりであります。それから、仕事と担務指定とは別であるということも先ほど申し上げたとおりでございます。そこで問題は、特定局の場合、内外勤の別なく募集手当が普通局より高い、外勤については募集定員の算出との関連もあるので理屈はつくけれども、内勤については、普通局も特定局も全く同じ状態で定員が算出されているわけであるから、募集手当については内勤については特定局と普通局の差がない、あるのがおかしいのではないかという趣旨の御質問のように承知しますが、確かにその面を見ますればそういうことも言えると私は思います。ただ特定局のその募集手当というのは、沿革的に昔の募集定員算出との関連もありまして差ができた。同じ局内において、外勤者の手当と内勤者の手当と差をつけるということがいいかどうかという、やはり一つの人事管理上の問題、あるいは給与政策上の問題としても考えるべき面もあるということで、その点から現在は同じ局内においては同じ手当にしておるということでございます。
  166. 安宅常彦

    ○安宅委員 私は特定局の内勤の手当を減らせなんて言っているのじゃない。とんでもない話で、そういうことは言っておりません。つまり特定局の定員配置というものは少ないにもかかわらず、そういう目標も多いし、だからそれをカバーするために手当をよけい出しているのがあなたのほうのほんとうの実態なんだ。そうでしょう、どうなんですか局長
  167. 長田裕二

    ○長田政府委員 特定局と普通局の保険の募集手当の違いのことでございますが、一つの理由といたしまして、物件費、奨励費の関係があるかと思います。奨励費も年々相当成立しておりますのを、中央で本省が、たとえば先ほどのお話しのテレビだとか放送に使うような、あるいはいろいろ物品を調達して地方へ配るという使い方もございます。それから郵政局の段階でいろいろものを購入して現場へ配ったりすることもあるわけでございます。だから、そうして配ります物品の配分の計画が、普通局の数も多うございますし、はっきりしておりますから、どうしてもある程度普通局に多くなりますのと、それから奨励費自体で金のままで配ります額につきまして、普通局のほうがたとえば奨励物品の購入なんかもいろいろやりやすうございます。手帳だとか——手帳は中央ですけれども、その他いろいろ普通局として奨励物品の購入なんかもやりやすいものですから、どうしても普通局には奨励費で配る比重がわりあいに多くなってきまして、特定局のほうはわりあいに金が少のうございます。そこで奨励経費のほうはわりあいに少ないのを、個人がいろいろな、たまには手ぬぐいなど買っていくという形で補うものもありますし、あるいはいろいろ苦労も多いというようなこと、募集環境、そういうような面も一つの理由としてあげられるのじゃないかというふうに考えております。
  168. 安宅常彦

    ○安宅委員 もうやめますが、あなたのほうは、逃げよう逃げようと思うから、だんだんわけがわからなくなっちゃって始末に負えない。わらじをつくったけれども、どこでとめるかわからないようなことになってしまっている。そんなばかな話はありません。私は特定局の内勤と外勤の違いはどこにあるかと聞いているのに、普通局と特定局の物品なんか取り出してきたって答弁になりますか。そんなとんでもないことを言いなさんな。もう時間がありませんからきょうはやめますけれども、これはあとで必ずやります。これは留保しておきます。
  169. 加藤常太郎

    加藤委員長 次に、森本靖君。
  170. 森本靖

    ○森本委員 経理局長、そういうその場その場の答弁をしてはいかぬですよ。この普通局と特定局の募集手当が違うのは、先ほど土生君がちょっと言いかけたように、要するにこれは募集専務要員の配置人員のやり方が普通局と特定局とは違うはずであります。だからそれが最大の原因であるということが言われておると思うのですが、保険局長、そうでしょう。これは服務課長が来ればはっきりわかりますけれども、そういうふうな募集定員の算出の根拠というものが、要するに普通局と特定局の場合には違うはずであります。そういう点から、この普通局と特定局のいわゆる募集手当が違っておる、こういうことになっておるわけです。たしかそのようなことになっておると思いますが、局長どうですか、覚えがなければいいのですが、服務課長ならよく知っておると思うのです。   〔「あとで調べて答えなさいよ」と呼ぶ者あり〕
  171. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 後ほどよく調査いたしまして御答弁いたします。
  172. 森本靖

    ○森本委員 いま森山委員からも不規則発言があったように、わからぬことはわからぬというふうに答えていただきたい。あとから十分調査をしてやりますというように言ってもらいたい。その場まかせの答弁をすると、またあとで訂正答弁をしなければならぬということになります。この間も電電公社あたりが、出まかせに、口まかせに、韓国の問題については供託をしておりますなんという答弁をしておる。調べてみると、供託は一つもない。全くこれなんかは、国際的な問題にまで発展するようなことをでたらめに答弁をしておる。これは電電公社の問題ですからまた日を改めますが、とにかく答弁は、やはり速記録に残る問題でありますし、私のほうはあえて困らそうというわけではありませんから、わからなければわからない、次に調べて回答いたしますということでけっこうでありますから、その点ひとつ十分にお願いしたいと思います。  そこで、先ほど栗原委員が言っておりましたことで、今度百万円に値上げすることについての一番大事な点でありますが、それはまず大臣にお聞きしたいと思いますが、簡易生命保険が発展をいたしてまいりました最大の理由は、国民のうちの零細な庶民に対して保険の恩恵をお互いに分かち与えよう、こういうことで簡易生命保険というものは出発をしたわけであります。安い掛け金で、しかし保険金も安いけれどもしかたがない、小額保険というものは国が行なうところの簡易生命保険に限る、こういうことになっておったわけであります。それが終戦直後、要するに占領軍の命令において、独占禁止法の違反になる、こういう観点から、この簡易生命保険民間生命保険が競合するような形になったわけであります。そこで先ほど栗原委員が言いましたように、現在の五十万円を百万円に引き上げるということも必要なのかもしれませんけれども、そういうことをして民間生命保険と無用な摩擦を生じていくということよりかは、五十万円までの保険というものは簡易生命保険に限るのだ、五十一万円以上の生命保険民間生命保険でよろしい、こういうふうに簡易生命保険民間生命保険の分野を昔のようにはっきりと確立をすることが、私は簡易生命保険の第一条にありますところの、いわゆる簡易生命保険のできました根本に立脚をする問題ではないかというふうに考えるわけでありまして、これが私は簡易生命保険としては一番大事な点ではなかろうかというふうに考えるわけでありますが、先ほど栗原委員質問に対して、参考として聞いておきますということでありましたから、これは参考として聞かれたのではたまらぬのであります。郵政省としてはそういうふうにやりたいけれども、周囲の情勢がいまだそういう方向には熟さぬから、やむを得ず今回は百万円に引き上げるという形であるとするならば、私は了といたしますけれども郵政省としては私がいま言ったような方針でなければならぬはずであります。それが大蔵省あるいは民間生命保険その他の関係から、そういうことは困難だという状況はわかります。しかし郵政省簡易生命保険に対する考え方、思想というものは、先ほど来私が言っておるような考え方が、簡易生命保険の一番の根本ではないかというふうに考えるわけであります。そうでないと、簡易生命保険というものは、先ほど栗原委員も言っておったように、もはや簡易生命保険の第一条の趣旨を忘れて、だんだん政府の財政投融資資金の資金集めになっておるのじゃないか。さらに簡易生命保険の財政を確立するために、もうどんどん募集をしていかなければしかたがないという経営方法になってきておるのではないか、こういうことを言わざるを得ない。経営方法一つのマンネリズム、慢性化しておるわけであります。そういう点、ここらあたりでひとつ簡易生命保険というもののあり方を根本的に考えてみる必要があるのではないかということを考えるわけでありまして、この点ひとつ大臣保険局長とそれぞれに、大臣は政治的な視野から、保険局長保険局長としての、いわゆる事務屋としての回答を願っておきたい、こう思うわけです。
  173. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまお説のとおりに、簡易生命保険の設立当時以来、その根本的な趣旨としては、大衆の零細なる保険料を集めて、そうして大衆のために生命保険目的を達成しよう、こういう点にあったことはそのとおりだと存じます。ただ、いまもお話しになりましたように、民間生命保険が自由に募集できるということに相なっております今日の段階において、民間生命保険のほうにワクをはめて、これだけはしてはいけない、これは国の事業の独占である、こういうふうに制限を加えるということは、社会情勢からいって非常に困難であろうと、こういうふうに私は考えるのでございます。しかしながら、もしも社会情勢が許し、零細なものは簡易保険が専門にやるんだということになりますれば、それはまことにけっこうだと思いますが、ただ、事は非常に重大であり、また困難であると考えますので、将来の検討の問題として保留したい、こういう意味でお答えを申し上げたわけでございます。  それから最高限度を百万円にお願いをしておるということにつきましては、先ほども局長から申し上げましたように、たとえば加入者の会合等におきましても、そういうふうな希望は非常に旺盛でございますし、また、かつて当院の当委員会におきましても最高制限額は大幅に引き上げること、こういうふうな附帯決議の趣旨もございますので、それに即して今回改正案を提案した次第でございます。
  174. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 簡易保険の独占の問題でございますが、これはもしかりに五十万以下は簡易保険の独占ということになりますと、私ども事業の経営に当っておるものといたしましては、おそらく現在当面しております困難な問題はいろいろありますが、経営のやり方といたしましては、かえって楽になるのではないかというようなことも十分考えられます。さればといいまして、もう独占を廃止いたしましてからすでに十年あまりを経過しております現在、はたしてこの問題を持ち出す時期であるかどうか、かなりどもとしてもいろいろ疑問を持っておるのでありまして、たとえば郵政審議会の答申というようなものを見ましても、別にいま復活すべき理由は認められないというようなことも出ておりますし、民間保険がすでに無審査の方面にかなりウエートを置いて事業の経営に当たっておる現在、いま簡保が独占するということは、相当混乱を生ずるというようなことも考えられますし、私どもといたしましてもきわめて困難なことではないかというふうに考えております。
  175. 森本靖

    ○森本委員 困難なことではありますけれども、これはやはりそういう方向に推進をしていかなければならぬ。それから附帯決議でいわゆる国会の意思を、保険金を引き上げるべきであるということを明らかにいたしておりますけれども、そのときの保険局長にも聞いていただいたらよくわかりますように、大臣も聞いておりますように、いまのような質疑応答を行なっておるわけであります。そういう趣旨にはやはり時の郵政大臣保険局長としても賛成であるという態度をとっておるわけであります。しかし、周囲の状況がそういうことは許さぬ、しかし、できるならば簡易生命保険というものはそういう方向においてありたいということを何回もやった上において、これは保険金を引き上げろという決議になっておるわけでありますから、その決議の文面だけを見て事足れりということではなしに、やはりこの簡易生命保険というものの根本の思想に返っていただきたいというふうに私は考えるわけであります。要するにこれは独占事業であるから云々ということを言われるけれども、それならその他の鉄道にしても専売にしてもやはり言えることであります。たまたま占領軍の占領政策がそういうことであったから、そのときに切りかえたわけでありまして、あのときに切りかえなかったならば、これはそのまま続いておるわけであります。そういう点について、これは保守党の人々は、占領政策で悪いところは直さなければならぬということをよく言われるわけであります。そういう観点からいきますと、これは占領政策の落とし子と申し上げましても過言でありません。だからこの保険金を引き上げるということも大切でありますけれども簡易生命保険の根本に返るということを考えていかなければならぬ。今日のように民間生命保険が隆盛を来たし、さらに民間生命保険簡易生命保険が無用の摩擦を下部において生じるというようなことがあちこちで起きておるわけであります。そろそろこういう根本的な問題については考えてみていい時期ではないかというふうに考えるわけでございまして、これはひとつ保険局長あたりも、保険局長の職を二年やったらもうあとはかわるからということで歴代の保険局長がかわられちゃたまらぬわけであって、こういう根本問題については、簡易保険局としても局議あたりで十分に課長連中とも討議する必要があろうというように考えておるわけでありますが、これはひとつ今後の参考にも十分にしていただきたいと考えるわけであります。  それから、今回の値上げによりまして、現在まで保険料の料率の引き下げが昭和三十年の九月から三十六年の間に三回にわたって行なわれておりますが、最近、民間生命保険も料率の引き下げを云々せられておりますが、簡易生命保険保険料率の引き下げについては、現在検討中でありますか。
  176. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 民間保険の引き下げの内容につきまして現在いろいろ調査しておりますが、第十回生命表を採用するという面におきましては、すでに簡保はやっておりますので、その面では大体同じ、そのほか事務費の引き下げというようなことも会社によってはやる事態でありますので、私どもといたしましては、現在のところ、さしむきは配当を増すということをまず実施したいと思っております。さらに、民間保険との関係その他を考慮いたしまして、保険料そのものの引き下げということもすでに検討を始めております。
  177. 森本靖

    ○森本委員 配当、分配金を多くするということも確かに必要でありますけれども簡易生命保険というものの第一条の趣旨からいえば、保険料率を引き下げすることがやはり根本だろうと思うわけであります。だから民間生命保険がそういう料率の引き下げを行なうということになるとするならば、簡易生命保険としても当然その方向に早急に検討しなければならぬ点があるのじゃないかというふうに私は考えるわけであります。この点も今後この法律が施行せられるにあたりまして、十分に慎重に御検討になってもらいたい、こう思うわけであります。  そこで、いまちょっと出ました事業費の問題でありますが、この収入保険料に対するところの事業費の比率は、三十七年度には二二・三%でありますが、三十三年、三十四年、三十五年は二一%台になっておるわけであります。そうなってまいりますと、だんだんこの収入保険料に対するところの事業費の比率はふえてきておるわけでありますが、これはやはり人件費の関係ですか。
  178. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 さようでございます。
  179. 森本靖

    ○森本委員 民間生命保険事業費の比率はどういうようになってきておりますか、この簡易生命保険に比べて。
  180. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 民間事業費率は、簡保に比べてはるかに高く、三十三年が三一・八%、三十四年が三二・二%、三十五年が三一・九%、三十六年が三一・七%、三十七年が三一・九%、大体一〇%程度上回っております。
  181. 森本靖

    ○森本委員 その開きがあるというのは、どういうところで違うのでしょう。簡易生命保険民間生命保険との差は。
  182. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 事業費の内容につきまして、こちらとかなり差があると思いますが、結局、多額の事業費を投入している結果こういう比率になるわけでありますが、ただ、比率だけで事業の内容がいい悪いと一がいには言えないのではないかと思います。
  183. 森本靖

    ○森本委員 私が言っておるのは、民間生命保険が三二%の事業比率であって、簡易生命保険が二一%ということになりますと、民間生命保険に対して一〇%以上も簡易生命保険事業比率が違うということになっておるわけでありまして、何かそこに重大な原因でもなければ、これは郵政省簡易生命保険従業員の方が搾取せられておるといっても——一〇%といいますとかなり大きな差になるわけでありますから、その的確な何か違うところの原因があるとするならば、その原因をひとつ聞いてみたい、こう思って聞いたわけでありますけれども、これもひとつ後日の参考として、あなたのほうでいま少し民間生命保険簡易生命保険との事業のあり方について検討願いたい。そうしてどういうところでこれだけ事業比率が違ってきておるのか、そういう点をいま少し真剣に検討願っておきたい。これは一般質問の場合にも行ないますし、また私は個人的にもこれはお聞きをしたい、こう思っておりますので、ひとつ十分に検討願っておきたい、こう思うわけであります。  それから次にちょっとお聞きいたしますが、この資料の二十四ページ、「簡易生命保険および郵便年金資金運用状況」の中の株式が六千二百万円あるわけでありますが、これはどういう株式になっておりますか。
  184. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 これは戦前に取得したものでありまして、電力会社と、また日通もたしかあったかと思います。
  185. 森本靖

    ○森本委員 これは電力会社がどのくらいで日通がどのくらいですか。
  186. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 もう大部分、九〇%以上が電力だと思います。
  187. 森本靖

    ○森本委員 これはどこの電力会社ですか。
  188. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 九電力、九つの電力会社でございます。
  189. 森本靖

    ○森本委員 あとでこの六千二百万円というものの内容を資料としてお出しを願いたい、こう思うわけであります。  それでちょっとお聞きいたしますが、この戦前の株式というものは、現行の簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律のどの条項で保有することができるわけですか。これは法律に関する問題でありますからはっきりしておきたい、こう思うわけです。
  190. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 簡易生命保険及郵便年金特別会計法の附則の第十五条に、「資金運用部資金法施行ノ際本特別会計ノ積立金ニ属スル運用資産ノ内預金部預金、簡易生命保険法ノ規定ニ基ク保険契約者ニ対スル貸付金及郵便年金法ノ規定ニ基ク年金契約者、年金受取人又ハ年金継続受取人ニ対スル貸付金以外ノモノニ付テハ当分ノ間本特別会計ノ積立金ニ属スル運用資産トシテ之ヲ保有スルコトヲ得」とありまして、この「当分ノ間」ということで保有しておるわけであります。
  191. 森本靖

    ○森本委員 それはいつの施行の法律ですか。
  192. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 この法律は「昭和十九年度ヨリ之ヲ施行ス」ということになっております。
  193. 森本靖

    ○森本委員 その昭和十九年から昭和三十九年でありますが、その間が「当分ノ間」になりますか。これは元来——そういう意地の悪い質問をするのは私はやめますが、要するにこの株式の六千二百万円なんというものは、はっきり言って、何らかの形において早く処分をすべき問題じゃないですか。
  194. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 これをいたしておる関係から、増資がなされた場合にはその増資の引き受けもできるということになりまして、現在そういうことをやっております。そういう点でかなり瑕疵のあるのは認めております。
  195. 森本靖

    ○森本委員 だから増資をして、そしてそれからほかのこの積立金の運用に関する法律から見ると、利回りも相当いいということになると思います。そこで置いてあるということになると思いますが、しかし総額から見たらわずかに六千二百万円ですから……。それから法律の性格からいうと、これを置いておくというのはちょっとおかしいのじゃないですか。たとえば簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律において、われわれはこの運用金を運用することになっておるわけですね。ところが、いまのあなたのいう特別会計法によるところのものでこれを保有しておる。法律根拠はわかったけれども、昭和十九年に「当分ノ間」これを保有するということになって、いま昭和三十九年でありますから、相当の間が「当分ノ間」になっておる。私は自分で調べてみて、こういう問題は、もしそれをやるとするならば、やはりそういうことをやらずに、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律を拡大できるように改正をして、そしてやるべきではないか。だからこういうような問題については、一応整理は整理としてやって、そして運用の利回りを確実なところから、しかも公共的な性格を帯びる会社のものについては持ってもいいというような形において、この立法をやはり改正をしていく方向に行なっていくのが至当なやり方ではないか、こう考えておりますが、それは確かに保険局長が言うように、この六千二百万円というものは、ほかのものから見ると、利回りは一番いいかもわかりません。しかし、法律の趣旨からいうとちょっとおかしいのじゃないか、こういうことです。
  196. 古池信三

    古池国務大臣 私からお答え申し上げます。  ただいまの御意見は全くそのとおりで、御議論としては本筋の御議論であると存じます。確かに今日の電力事業は非常に確実でありますから、その株式は投資株として一般からも堅実視されております。したがって利回りの有利という点からいいますれば、これを保有することは決して損害にはならないと考えますが、しかしながら、法のたてまえからいいますと、「当分ノ間」ということを二十年間も続けるということは、はたして妥当なりやいなやという問題がありますが、「当分ノ間」ということが何年間かということは、法の種類によってもいろいろ違いましょうし、はっきり何年ということは言えないと思いますが、しかし常識からいって二十年というのは「当分ノ間」としては少し長過ぎるような感じがいたします。したがって、この資金運用の利益の点を考えて、将来やはりかような堅実な株式は持つことがよいということであれば、正しく法律も改正して、現行法規の上において十分これを保有し得るように改正するということが確かに本筋な議論として正しいと思います。したがって、今後そういう線で検討を進めてみたいと思います。
  197. 森本靖

    ○森本委員 それで、さっそくですが、この間永井委員質問をしておりましたが、この第四表に、「簡易生命保険および郵便年金資金運用状況」が一覧として明らかになっておるわけであります。私たちは、要するに、郵政省の古手官僚をそれぞれのところに天下り的にやろうという考え方で言っておるわけじゃございません。要するに簡易生命保険の積み立て金、郵便年金の積み立て金というものは、零細な積み立て金であります。その積み立て金を投資する限りにおいては、それに付随をしてその事業というものがいかになるかというふうな意味から、やはり簡易生命保険なり郵便年金を代表して、そしてそういう方面に非常にあちこちに入っていくということは、私は他の古手官僚の天下りとはだいぶ意味が違ってくる、こういうふうに考えておるわけでありまして、そういう点から、私はこの第四表にありますところにはどしどし行ってもいいというふうに考えておるわけであります。  そこで大臣にお聞きしたいと思いますが、そういう意味で住宅公団なんかにも人を送っておるというように考えるわけであります。ところが、そういう人がえてして定年まぎわになって、もう首になってから行くから誤解を招くのであって、そういう際には、何も定年まぎわになって行くというようなことではなしに、課長クラスでも、あるいは郵政局長クラスでも、優秀な者がおれば本省の課長クラスでも、四十歳前後でどんどん出すということを考えていってもいいんじゃないか。そうでないから、要するに官僚の天下りということをよく言われるのじゃないかと思うわけであります。これは郵政省の省内の人々が非常に関心を持つことでありますから、大臣に対してこれはひとつ御所見を伺っておきたい、こう思うわけであります。
  198. 古池信三

    古池国務大臣 郵政省に人材を集めて、郵政省の仕事をよりりっぱなものに運営していくということは非常に大切なことであろうと思います。そこで四十代くらいで非常に優秀な人というのは、これはなかなか外へ出しにくいという事情も十分あるのであります。もとより五十代であっても、出しにくいということは同じでありますけれども、しかしまたあまりえらい人がたくさん上に詰まりましては、若い人たちの前途の希望を失わせるというようなことにもなります。そこで定年というお話もございましたが、まだ五十代では円熟した判断のもとにほんとうに仕事ができるときだと思うのであります。ですから本来からいえば、五十代の人も外へ出すのは非常に惜しいのでありまするが、しかしいまのようなお考えのもとに、やはり簡易生命保険の大切な資金を運用しておる先の仕事がまたうまくいくということも大切でありますから、それに対する監督の意味も含めまして、優秀な人をそういうところに派したいというふうに考えております。
  199. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、現在こういう積み立て金の運用関係で入っておるところは住宅公団だけですか。
  200. 古池信三

    古池国務大臣 今日では日本住宅公団だけでございます。
  201. 森本靖

    ○森本委員 いま住宅公団だけだということになりましたけれども、これはやはり長期信用銀行あるいは電源開発、こういうところもかなりの金が、簡易生命保険の積み立て金から入っておるわけであります。そういうところは大蔵官僚の古手の人たちが入ってしまって、この簡易生命保険の積み立て金を実際にになって、その簡易生命保険加入者のためにというかっこうで行く人たちが非常に少ないわけであります。これは歴代の郵政大臣が悪いのかよいのかわかりませんけれども、やはりそういう点については、いま少し考えてみる必要があるのではないか。これは要するに、たとえば事業関係の人が自分事業の中に天下り式に入っていくという意味とはだいぶこの場合は違ってくると思うのです。やはり加入者の積み立て金を監視し、その運用についても自分としても積極的に参加するということになってくるわけでありますし、私はこの場合については遠慮は要らぬ、こう考えておるわけでありまして、いまのように住宅公団の監事を一つもらってそれで喜んでおるということでは全く話にならぬ、こういうように考えるわけでありまして、これは他の官僚の天下りとはだいぶ意味が違うということをひとつ大臣は十分に御認識を願って、さらにこの問題については閣内においても十分の御努力を願いたい、こう思うわけでありますが、重ねて大臣の御所見を聞いておきたい、こう思うわけであります。
  202. 古池信三

    古池国務大臣 この問題に対しまする非常に御理解のある、また正論をお聞かせいただきましてありがたく存じます。極力そういう線で私も努力するつもりでおりますが、どうか皆さま方の御支援を切にお願いいたします。
  203. 森本靖

    ○森本委員 それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、これは非常に重要なことでありますけれども、この積み立て金の貸し付けの中で、一番われわれが重視をしなければならぬことは、やはり契約者に対する貸し付けの問題であります。そこでこの契約者貸し付けについて、これは予算的措置ですか。それとも財政のようなかっこうになるわけですか。
  204. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 これは予算とは関係ございません。財投といいますか、財投のワク外の資金ということになっております。
  205. 森本靖

    ○森本委員 それでは予算的には何になりますか。
  206. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 予算上は全然これは出てきておりません。
  207. 森本靖

    ○森本委員 財投にも予算にも何にもないことはやれないはずでありまして、これは何らかの形における予算的措置というか、予算の中に入らないにしても、財投なら財投の中における、あるいは積み立て金の運用の中におけるワクというものがきまらなければならぬ。これはそういうことであって、たとえば運用審議会において本年度は地方公共団体に幾ら、どこそこに幾ら、契約者貸し付けが幾ら、こういう形にきまってこなければならぬはずだと思うわけであります。
  208. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 おっしゃるとおり、積み立て金の運用計画というものを立てまして、その中に入っておりますし、それは運用審議会の議を経ることになります。
  209. 森本靖

    ○森本委員 そこでその問題が運用計画によって一応のめどがきまる。ところがこの契約者貸し付けというものは、法律に基づいては、契約者が貸し付けを申し込めば貸し付けをしなければならぬことになっておるわけであります。ところが、いま申しましたように、運用審議会の議を経て本年度の契約者貸し付けは二百億なら二百億、こういうことをきめるわけでありますから、その契約者貸し付けが二百億以上になった場合には、金がないから契約者に対しては貸し付けは行なわないということが、六年ぐらい前にあったわけであります。これはかなり全国的に問題になったわけでございます。今後こういう問題が起こらないようにということを、この前の法律の改正のときに私のほうから申し上げたわけでありますが、もしかりにこれが運用審議会の一つのワクからはみ出るというくらいに経済事情の変動によって契約者貸し付けが増加した場合には、どういう措置をおとりになるのか、これを念のために聞いておきたい。
  210. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 おっしゃるとおり、三十三年度は計画を上回った実績というような事態がありましたが、その後は全然計画のほうが実績を上回っておりまして、現実契約者に迷惑をかけるというような事態は出ておりません。かりに貸し付けの要求が殺到いたしまして、こちらで予定した金額では間に合わないというような場合には、運用計画の一部修正ということもしなければなりませんで、たとえばある一定の融資先簡保負担分を、一時大蔵省の資金運用部に持ってもらうといったような措置も一つの例であるかと思います。
  211. 森本靖

    ○森本委員 それでは念を押しておきますが、要するに契約者が貸し付けを申し込んできた場合には、法律においては貸し付けをしなければならぬということになっておるわけであります。それが予算のワクということで、昭和三十三年にはこれを断わったことがあるわけでありますが、これから先は、そういう予算に災いをされて貸し付けをしないというようなことはない、こういうことをひとつ確認ができますか、大臣
  212. 古池信三

    古池国務大臣 お答えいたします。  法律によって加入者の持っておる権利でありまするから、これが資金の都合によって貸し付けできないというようなことは、まことに不都合なことだと存じます。したがって、今後はそういうことの条件さえ整えば、加入者の要求に応じ得るような制度を確保してまいりたいと存じます。
  213. 森本靖

    ○森本委員 今度この最低額の場合を五万円に一応引き上げておるわけでありますけれども、そういたしますと、現在の最低額の五万円以下の契約者が現在どのくらいありますか。
  214. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 現在契約全般につきましては、ちょっといま資料が見あたりませんので、後ほどわかりましたらお答えいたします。
  215. 森本靖

    ○森本委員 まだあとだいぶ質問がありますけれども、時間もだんだん迫まってまいりましたので、この小額契約の整理につきましては、定員の面、あるいはその他の面からしても非常に心配になる点がありますので、小額契約をかりに整理するにいたしましても、そういう点についてはひとつ慎重な配慮をお願いをしたいということを、特に私は要望いたしまして私の質問を終わります。
  216. 加藤常太郎

    加藤委員長 ほかに質疑もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————加藤委員長 この際、佐藤洋之助君より本案に対する修正案が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。佐藤洋之助君。     —————————————
  217. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する自由民主党提出にかかる修正案の趣旨に申し上げます。本修正案は、お手元に配付した印刷物のとおり、四月一日の施行期日を公布の日と改めるものであります。何とぞ全会一致御賛成あらんことをお願いいたします。加藤委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  218. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでございますが、討論の通告がありませんので、直ちに採決に入りたいと思います。まず佐藤洋之助君提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。  〔賛成者起立〕
  219. 加藤常太郎

    加藤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  220. 加藤常太郎

    加藤委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  221. 加藤常太郎

    加藤委員長 この際佐藤洋之助君より発言を求められておりますので、これを許します。佐藤洋之助君。
  222. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 私は、ただいま議決されました簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三党の共同提案として次の附帯決議を付する動議を提出し、その趣旨を御説明いたしたいと存じます。  まず附帯決議の案文を朗読いたします。    簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   本改正法の実施にあたり、政府は、簡易生命保険法及び積立金運用法の目的にそい、特に積立金運用の適正を期するとともに余裕金運用の一層の改善をはかるべきである。   右決議する。  以上であります。  次に提案の趣旨を御説明申し上げます。  今回の改正による最高保険金額の引き上げと特別養老保険の新設は、最近の経済情勢及び保険需要の動向にかんがみ、時宜を得た措置であり、これにより加入者保護の強化を期待し得るものでありますが、将来における経済生活の推移に徴し、加入者保険的保護及び福祉施設については、なお一そうその増強を必要とし、また、加入者の嘱望する保険料の引き下げ及び剰余金分配額の増加については、特に配慮を要するものと思われます。  よって、政府は、これらの点を深く考慮し、今後一そう簡易生命保険法及び積立金運用法の目的に沿い、適正かつ慎重に積み立て金の運用を行なうとともに、余裕金運用の改善をはかることが緊要であると痛感されるのであります。  何とぞ全会一致御賛成あらんことを願います。
  223. 加藤常太郎

    加藤委員長 ただいまの佐藤君提出の動議のとおり附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  224. 加藤常太郎

    加藤委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  225. 加藤常太郎

    加藤委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  227. 加藤常太郎

    加藤委員長 この際、小池郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古池郵政大臣
  228. 古池信三

    古池国務大臣 ただいま簡易生命保険法の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の上修正議決をしていただきまして、まことにありがとうございました。御礼申し上げます。  なお、ただいま同時に御議決になりました附帯決議につきましては、十分にその趣旨に沿って今後の運営につとめたい所存でございます。
  229. 加藤常太郎

    加藤委員長 次会は来たる七日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十七分散会