運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-03-26 第46回国会 衆議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十六日(木曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 秋田 大助君 理事 佐藤洋之助君    理事 森山 欽司君 理事 大柴 滋夫君    理事 栗原 俊夫君 理事 森本  靖君       小渕 恵三君    上林山榮吉君       木部 佳昭君    小泉 純也君       椎熊 三郎君   橋本登美三郎君       山本 幸雄君    安宅 常彦君       片島  港君    佐々木更三君       永井勝次郎君    畑   和君       受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 古池 信三君  出席政府委員         郵政政務次官  金丸  信君         郵政事務官         (大臣官房長) 武田  功君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  畠山 一郎君         郵政事務官         (郵務局長)  佐方 信博君         郵政事務官         (貯金局長)  淺野 賢澄君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      田中 鎭雄君         郵政事務官         (人事局長)  増森  孝君  委員外出席者         労働事務官         (労政局         労働法規課長) 青木勇之助君         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社副総裁    米沢  滋君         日本電信電話公         社職員局長   中山 公平君         日本電信電話公         社営業局長   千代  健君         日本電信電話公         社計画局長   宮崎 政義君         日本電信電話公         社経理局長   井田 勝造君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  電話設備拡充に係る電話交換方式自動化の  実施に伴い退職する者に対する特別措置に関す  る法律案内閣提出第三七号)  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六七号)  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第九三号)(参議院送付)  郵政事業に関する件(日韓郵便業務に関する  問題等)  電気通信に関する件(日韓間の海底ケーブルに  関する問題)  電波監理及び放送に関する件(日韓電波に関  する問題)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これより会議を開きます。  電話設備拡充に係る電話交換方式自動化実施に伴い退職する者に対する特別措置に関する法律案内閣提出日本電信電話公社法の一部を改正する法律案簡易生命保険法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。森山欽司君。
  3. 森山欽司

    森山委員 電話設備拡充に係る電話交換方式自動化実施に伴い退職する者に対する特別措置に関する法律案につきまして質疑をいたしたいと思います。  まず第一番に、この法案目的とするところは何か。第一条に、一応の目的は書いてございますが、これについての大筋の御見解を承りたいと思います。
  4. 金丸信

    金丸政府委員 この法案は、非常に電話需要が多いわけでありまして、その需要の多いことにつきまして、できるだけこの需要に対応しなければならない。それには、自動交換方式というようなことになりますと、交換手の過剰というような問題も出てまいりまして、その過剰をいかにするかということにつきまして特別な退職金を出してまいりたいというのがこの法案目的であります。まあ私は考えてみまして、まことに思いやりのある法案だと考えております。
  5. 森山欽司

    森山委員 政務次官からこの法案目的について大筋の御説明がございました。それでその大筋の御説明を基本にいたしまして——ただいまのお話によりますと、電話に対する需要が非常にふえてきた、これがために電話交換方式自動化する、これによって電話交換要員等が過剰になる、それについて思いやりある措置をとりたいというのがこの法案目的だそうであります。電話需要が非常にふえてきて、これに対する対策ということでございますが、目下電信電話拡充第三次五カ年計画というのに入っておると思いますが、この計画における要員状況見通しというようなことについて承りたいと思います。これは郵政省電電公社どちらでもいいです。
  6. 増森孝

    増森政府委員 それでは郵政省側からお答えしたいと存じます。  たぶんお手元に資料を差し上げていると存じますけれども、この三十八年度から四十二年度にかけまして、五カ年間に総数といたしまして、郵政省としましては発生員数というのが一万三千三百名出ることになっております。そしてそれは一応自動化等におきまして、少数範囲でありますけれども、そのうちで配職転ができる、もしくは公社に転出することがでぎる、欠員充当に当てられる、それからこの数字には自然退職も入っているはずでございますが、その総数が七千四百名ということでございます。それを差し引きますと、どうしても措置ができない、どうしても過員として残らざるを得ないというのが郵政省側としましては五千九百名になる予定でございます。  それで、これらの者についてどういうふうにしていくかという考え方でございますけれども郵政省としましては年々六千名ないし七千名ほどの増員がございますし、一方、こういうふうに減ってまいりますところがございます。それで私どもとしましては、できるだけ過員の生じませんように、これらのいわゆる自動化におきまして生じます過員というものを、あるいは公社にとっていただくとか、あるいはまたよその職場に働いてもらう、あるいはよその職種でもって働いてもらうというようなことをできるだけいたしていきたいと存じております。
  7. 中山公平

    中山説明員 電電公社のほうからお答えしますが、ただいま郵政省人事局長から御説明のありましたそれに対応するように御説明申しますと、公社におきましては、この第三次五カ年計画期間じゅう発生員数は一万九千七百名程度が見込まれております。そのうち一万一千五百名につきましては、先ほど人事局長も御説明しましたように、できるだけ配職転を従来にも増して行なっていくということ、あるいは従来の実績から見ての退職者数、こういうものを加えまして大体一万一千五百名は措置が可能である。こういうことで、どうしても残ります措置困難な数が八千二百名に上る、こういう見通しであります。大体そういう状況でございます。
  8. 森山欽司

    森山委員 そうすると、第三次五カ年計画においてどうしても配置転換困難な者というのが郵政省電電公社の両方合わせると約一万四千名をこえる、そういうふうに承知してよろしゅうございますか。
  9. 増森孝

    増森政府委員 そう了承していただいてけっこうです。
  10. 森山欽司

    森山委員 従来、電話需要もいままでも多かったのでございますし、その過程において相当な自動化も行なわれた。にもかかわらず、この第三次五カ年計画になってからこの法律案を出したというのはどういうわけか。いままでだって必要があったのじゃないかと思いますが、その辺はどうでしょう。
  11. 増森孝

    増森政府委員 お答え申し上げます。  従来も第一次五カ年計画、第二次五カ年計画というようなものがございまして、自動化を進めておりまして、その際に被害を受けますと申しますか、郵政省側で過員が非常に多く出たのであります。それらにつきましては、郵政省としましてはできるだけ公社にとっていただいてまいったのであります。いままで第一次、第二次五カ年計画のときにおきましては、大体大ざっぱに申し上げますと、中都市以上のところで自動化が行なわれておるという状態でございましたので、公社にとっていただくというケースが比較的多かったのであります。また郵政部内といたしましても、中都市等でございますので、大きな局がございまして、職種転換配置転換といったようなものもわりとスムーズにできたのでございますけれども、第三次五カ年計画になってまいりますと、これが山間僻地といったような非常に小さな局に及んでまいります。そこで、それらの小さな局に及んでまいりますので、どうしても公社側のほうでも受け入れ人数が少なくなってくる。それからまた郵政省側としましても、近隣局配置転換をしようと思いましても、あるいはまたよその職場に転換させようとしましても、なかなかむずかしくなってくる傾向にあります。したがいまして、この第一次、第二次ではわりとスムーズに、またよその事業を圧迫せずに済んでまいったのでございますけれども、第三次五ケ年計画以降になりますと、どうしても配置転換困難な者が出ざるを得ないというような状態でございますので、この法案をお願いしている次第でございます。
  12. 森山欽司

    森山委員 一体この法律に基づくその特別給付金というのは一人当たりどれくらいになるのですか。
  13. 増森孝

    増森政府委員 これは郵政省とそれから公社側でもってこの基準内給与というのが若干相違がございました。したがいまして、公社側郵政職員の場合は若干相違がございますけれども、三十八年度の給与ベースで計算いたしますと、郵政省職員の場合は二十万八千円でございます。それから公社の場合でございますと、若干多くなりまして二十四万円ほどの見込みでございます。
  14. 森山欽司

    森山委員 これは勤続何年ぐらい、年齢で何歳ぐらいの人がこの二十万八千円とか二十四万一千円もらえるか。だからそれは一般退職金のほかに特別給付金が出るわけですから、一体何年くらいつとめた人が、一般退職金幾ら特別給付金幾らということを、例としてここへ御説明願いたい。
  15. 増森孝

    増森政府委員 ただいま申し上げましたのは平均でございます。もう少し詳しく申し上げてみたいと思いますが、郵政省の場合で例をとってみますと、勤続年数五年の場合、これは特別給付金が十七万一千六百八十円でございます。それからそのほかに五条退職手当が出ますので、この手当が大体十一万五千円でございます。計といたしまして二十八万六千円ほどでございます。それからついでながら公社の場合、同じような五年をとってみますと、公社のほうでは特別給付金が十七万二千円、それから五条退職手当が十二万三千円、計二十九万五千円というような数字になります。
  16. 森山欽司

    森山委員 そうするといま五年勤続の人といいますから、十八か十九で就職をしたといたしますと、五年勤続と申しますと二十三か二十四、ちょうど嫁入り前にやめたというような年齢の人、それが郵政省で五年つとめてやめると二十八万六千円、電電公社で二十九万五千円、大体三十万円近い退職金が入るわけですね、そういうことになりますか。
  17. 増森孝

    増森政府委員 そのとおりでございます。
  18. 森山欽司

    森山委員 私どもは、社会常識から一般に見まして、大体女子就職をする、そして嫁入り前にやめるという例が非常に多いわけです。そういう祭において、民間企業で五年つとめて、自分のほうから嫁入りでやめるという場合において、三十万近いような金をもらった例を知りません。それからまた、自分意思によらないで会社の都合等でやめざるを得ない場合がある。たとえば新日本窒素の争議の際においてそういうような事態もありましたが、そういうような事例を見ても、女子就職をして五年間くらい、ちょうど嫁入り前くらいでやめた際に、特別給付金五条退職手当を合わせて三十万近くもらうというような例を知らないわけでありまして、そういう意味では、よくこういうような多額退職金をやるということを政府は決意されたものだと思うわけであります。むしろやや多過ぎるのではないかというふうに私ども考えておるわけですが、一体どうですか、これは少し多いんじゃないですかな、金額が。
  19. 増森孝

    増森政府委員 多いか少ないかということになりますと、私どももこれをきめていきますときに、いろいろ議論をしたのでありますけれども、確かに御指摘になられましたように、若干よその民間等に比べてみますと、やや高いかもしれないと思います。しかし民間等の場合でございますと、これは一つ財政危機と申しますか、企業整備と申しますか、非常に企業が危殆に瀕してくるというような事態でございますのに対しまして、今度の場合におきましては、国民的要望であります自動化を促進するというような、非常に国民的な要請に基づいて電話拡充しなければいけない、つまり言ってみますと、民間の場合でございますと、企業整備とかそういうふうに財政難等理由でございましょうけれども、今度の場合は大きな意味国民的要望自動化ということであり、それからまた、大きく電話拡充されるということでございますので、この際そういう合理化に際しまして協力していただくための退職金でございますので、多少は色を添えざるを得ないのではなかろうか、こういうふうに存じております。
  20. 森山欽司

    森山委員 この五年勤続女子通常常識でいいますと、嫁入り前の二十三、四歳、その人が自発的にやめる場合はもとよりのこと、強制的にやめさせる場合の従来の民間の慣行に比しても、三十万円近いような広い意味退職金、広い意味退職手当というようなものをもらえるということは、私は異例に属することだと思います。また政府としては、もしこれと同種類の事態が起きた場合には、やはりこの程度特別給付金というものを考慮しなければならないことが、将来政府関係でも予想されるわけでございまして、私はこの額が、五年勤続女子にして約三十万近い広い意味手当をもらえるということについて、実はあらためてびっくりしておるというわけでございますが、ひとつそれについて第三次五カ年計画に着手をしてこの法律実施までの間、これからこの国会で成立することと確信いたしますが、その間でも一年以上かかるわけです。その間になった分は適用しないということは、これは不均衡じゃないかという議論が一方において出てくるわけですが、その点についてはどうお考えになりますか。
  21. 増森孝

    増森政府委員 確かに御指摘のように、この法案公布の日から適用する、こういうふうに書いてございますので、公布前にやめた人には適用しないわけでございます。確かに不均衡だと存じますけれども、この法律の趣旨から申しますと、電話設備拡充ということに対して協力していただくという意味でございますので、これはやむを得ない措置かと存じます。
  22. 森山欽司

    森山委員 わかりました。それではもう一つ、これだけの従来の常識からいえば多額の広い意味退職の際の金をもらうという、考え方によってはこれはたいへんな善政郵政省並び電電公社が踏み切られた背後に、政府がこういうりっぱな労働政策を前進するように配慮をされたということについては、ひそかに心配もいたす面もございますけれども、とにかくここまで踏み切られたということは、私はたいへんけっこうなことだと思っておりますが、聞くところによると、郵政並びに電電組合——郵政は全特定とか全郵労とか、ほかの組合がありますが、このごろは組合はまつ正面に反対しているとは聞いていないのだが、全逓はこれに対して賛成していない、こう聞いておる。全電通反対だというふうに聞いておるので、一体どうわけでこういうりっぱな法案に対して反対をしておるのか。それからまた、この法案についてどういうやりとりを郵政省並び電電公社はされてきたのか。その辺のところをこの機会に明らかにしておいていただきたいと思います。
  23. 増森孝

    増森政府委員 公社関係のことはあとで公社から申し上げることにいたしまして、郵政省関係から申し上げますと、私のほうには全逓と全特定と、郵政労組とございます。ただいま先生が御指摘になりましたように、全特定郵政労組はしいてこの案には反対はしておりません。ただもう少し額を上げられないのかということを言っておる程度でございます。全逓のほうではどうかと、いままでの経過をかいつまんで申し上げますと、要するに全逓側の言いますのは、この法案には書いてはございませんけれども首切り法案ではないか、退職強制するものではないかということが第一点でございます。それから第二点の問題は、こういうようなものは団体交渉できめるべき性格のものではないかというようなことを問題にしております。そこで、これらにつきましては、全逓と、大臣も二、三度会見をしております。それから事務当局としましても、全逓と累次にわたりまして話し合いを行なっております。多少理解を得られたかと存じますけれども、まだ最後的に賛成という声は遺憾ながらまだ得られておらない段階でございます。全電通全逓のニュアンスは多少違うということを御了承願いたいと思います。
  24. 中山公平

    中山説明員 この法案に対する全電通反対論拠及び公社全電通のこの問題に関する折衝経過、そういった点について申し上げます。  私ども、この法案につきましては、その内容現行法体系において法律事項である、したがって団体交渉で取りきめるべきものではないという態度をはっきり持っておるのでありますが、できるだけ組合理解も得たいと思いまして、この法案が第四十三通常国会に提案される前の五月の二十五日、閣議決定の直後でございますが、法律案要綱組合説明をし、また六月の十三日には法案内容についての説明をいたしました。こういうものを含めまして、今年の一月三十一日までに約十回程度論議組合側との間にやっておるわけでございますが、全電通労働組合のこれに反対する論拠と申しますのは、第一点といたしまして、この法案内容となっている事項は、これは団体交渉事項であって、労使間において取りきめるべき問題である、法律によることは団体交渉権を否定するものだということが第一点でございます。第二点は、この法案強制退職につながる首切り法案であるということを申しております。第三点といたしましては、公社長期計画に伴う要員問題をめぐって、組合は雇用の確保あるいは配転計画の樹立、小局における要員問題、その他種々の要求をしているのであるが、この要求に対して十分な施策を施さない段階においてこういう法案をもって対処するということについては、従来の労使関係からいって、それを一方的にくつがえすものである、こういうことを論拠として反対をいたしております。私どもといたしましては、この三点につきまして、その当たらざるゆえんのものを納得のいくようにるる説明をしてまいったのでございまするが、まことに遺憾なことには、いまだに反対ということを言っておるような状況でございます。
  25. 森山欽司

    森山委員 そうすると、郵政省並び電電公社当局の話によると、全逓全電通の主張の中で、一つは、退職強制する首切りである、こういう見解一つある。もう一つは、団体交渉事項であるということを主張するという点が第二。それから電電の場合には、要員計画について種々不十分な点があるということが一項目加わっておる。電電のほうが少し理由が多いように思いますが、大体そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  26. 増森孝

    増森政府委員 けっこうでございます。
  27. 森山欽司

    森山委員 それでは、こういうりっぱな法律に対する誤解というものがいろいろあるようでございまから、この誤解の点について一つ一つこれからお尋ねをしてまいりたい。  一つ強制退職、俗にいう首切りだと言うが、一体法案のどこに首切りというようなことが書いてあるのか、この辺のところをひとつ、そういう誤解があるとすれば、そういうことが誤りであるとするならば、そのゆえんをこの機会に明らかにしていただきたい。
  28. 増森孝

    増森政府委員 公社の言うように強制退職というようなことはこの法案にはどこにも書いてございませんで、全くの組合側の一方的な誤解であろうと私どもは感じております。なぜそうなのかということも私どもつまびらかにはできないのでありますけれども、私どもはあくまでも、この法案が通りますれば希望退職者にだけこの特別給付金というものを差し上げるということだけを考えておるのでありまして、私どもとしましては、退職強制するとか、あるいはまた、勧奨を強めていくのだというような考えは毛頭ないのでございまして、その辺は全くの誤解であろうと存じて、おります。
  29. 森山欽司

    森山委員 私も、この法律案を読んでみましたところ、強制退職のようなことは一行も書いておらない。ただ、この特別給付金を支給することによって希望退職者が自然に増加することを期待している、こういうことである。本人の自由意思に基づく退職を前提とする、実施にあたって退職強制にわたるというようなことをこの法律からわれわれは読み取ることができないのであるが、これについて強制退職を意図するものであり、また首切りであるというような論をなす者があり、現に郵政省関係では全逓がそれに近い立場をとり、全電通においては、これはあたかも首切り法案であるかのごときことを強調しておる。国会論議の場においてそういうものが明らかに誤りであるということははっきりしてくると思ういますが、しかし、そういうようないわれなき論議を吹っかけられておるということは、今日の郵政省並びに電々公社管理者が俗にいわゆるなめられているからじゃないですか。これはどういうことですか。
  30. 増森孝

    増森政府委員 なめられているかどうかは、ちょっと何とも御返事できないのでございますけれども、今度の特別給付金につきましては、あくまでも自由意思に基づく退職者にのみ差し上げるのだ、退職強制するといったようなことは毛頭考えておらないということをここに再び繰り返して申し上げておきたいと存じます。
  31. 森山欽司

    森山委員 そうすると、郵政省がら、この法案が成立することによって、郵政並びに電々におけるところの電話交換方式自動化実施に伴って退職することを強制する意思は全くないということを、この機会に宣明されたということでよろしゅうございますか。
  32. 増森孝

    増森政府委員 そのとおり御理解いただいてけっこうだと思います。
  33. 森山欽司

    森山委員 これはきわめて重要なことですから、政務次官からもう一度明らかにしていただきないと思います。実施に当たる電公社総裁もおいでになられるので、この点についてもう一度はっきりひとつ言っていただきたい。
  34. 金丸信

    金丸政府委員 ただいま人事局長が申したとおりでございます。
  35. 大橋八郎

    大橋説明員 先ほどから人事局長職員局長等の申し上げておりますとおり、公社といたしましては、この法の適用は希望者に限ることは当然と考えております。強制にわたるごときことは毛頭ありません。強く勧奨するというようなこともいたす考えは持っておりません。
  36. 森山欽司

    森山委員 そうすると、この法律はきわめて善政善政、たいへんいいところでありまして、特別給付金というような、ほんとうに従来の官民の常識から見ればぐんとぬきんでるような処遇を考え、しかも当面の自動化に伴って退職する者に対して強制をはかるものでもない、こういう法律について、あたかも退職強制首切りをはかるというようなことを論拠にしているのは、全くいわれがないということが明らかになったわけでございます。こういうことはもう少し組合のほうにもよく言っていただきたいと思う。もちろん言ってわかるような組合ではないかもしれぬ。また従来の行きがかりがありますから、なかなか、はい、さようでございましたかと引き下がるわけにもいくまいと思いますが、こういうりっぱな内容法律でございますから、いま一段とその誤解を解くように御努力をしていただきたいと思います。  それから問題の第二点は、団体交渉事項であるかどうかの問題、すなわち、今回の特別給付金を支給するというような措置団体交渉の対象とすべきであるという意見、この点についての政府側見解をただしたいと思います。
  37. 増森孝

    増森政府委員 団体交渉事項であるという根拠、どうしてそうなるかということを私あまりつまびらかにはしませんが、ちょっと推測するところによりますと、公労法第八条に団体交渉事項といたしまして「賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項」というようなことがございまして、これは一つの給与ではないか、給与であるならば団体交渉事項ではないか、おそらくそういう筆法かと存じます。  それに対しまして私ども考えますのは、今度の特別給付金法案がなぜ法律事項なのかという根拠を申し述べてみたいと存じますが、第一点には、私ども、公共企業体等の職員が退職します場合に、その退職ということによって支給される給付金というものは、国家公務員等退職手当法に定められた以外のものは、名目のいかんを問わず出せないだろう、こういうふうに存じております。これは以前にも国鉄かに例があったのでございますけれども、国家公務員等退職手当法というものがないと仮定いたしますれば、それは先ほど申しましたような公労法第八条に基づいて団体交渉かもしれませんけれども退職時にあたって支給される給付金につきましては、ただいま申しましたように、国家公務員等退職手当法に定められた以外のものは、名目のいかんを問わず出せないんだ、つまりことばをかえて申し上げますれば、たとえば団体交渉をしまして、それがきまったにしましても、その給与は国家公務員等退職手当法の法律に占拠されているので、それは幾ら団体交渉できめましても、その範囲で有効には適用されない、つまり有効には団体交渉は生きてこない。したがいまして、私ども退職理由といたしまして何らかの特別金を出すというのであれば、やはり国家公務員等退職手当法の特例として法律でもって定めなければいけないんだというように考えておるのであります。今度の特別給付金等につきましては、先ほどからるる申し上げますように、国家公務員等退職手当法のワク外に特別給付金を出すのでございますので、やはり法律できめなければいけないものだと私ども考えております。
  38. 森山欽司

    森山委員 あなたのほうの御専門じゃないようだが、しかし団体交渉の対象とすべしという意見は、労働組合のほうで全逓全電通も言っておるわけですね。それから、聞くところによると、労働大臣もそれに似たような意見を吐いておるやに伝えられておる。これはほんとうかどうか知りません。ときに、大臣のもとで労働法の解釈の中心になっておる労働省の法規課長がおりますから、この問題についてどういうふうな解釈をするのが一番正しいかということを、この機会に明らかにしてもらいたい。先ほど人事局長も、これはあまりよくわからぬがというお話でありますが、法律の基本解釈をどうしたらいいかということですね。それをひとつ労働省のほうからこの機会に明らかにしておいていただきたい。
  39. 青木勇之助

    ○青木説明員 お答え申し上げます。  公共企業体等の職員の退職手当というものは、純法律論的に申し上げますと、公労法第八条の規定にありますところの「賃金その他の給与」に該当するものと思います。したがいまして、法律の規制等がございません場合は、団交対象事項の本来的意味から申しますと団体交渉の対象事項に相なると思います。しかしながら、現在におきましては、公共企業体等の職員の退職手当につきましては、先ほども御答弁がありましたように、国家公務員等退職手当法によりましてその額、支給条件等が法定されておりまして、同法によらないで退職手当を支払うことはできないというふうに相なっております。したがいまして、かりにこれについて団体交渉をし、協約を締結いたしたといたしましても、有効に実施し得ない。この点につきましては、すでに昭和二十八年に法制局の意見も出ておることは、先ほど局長のほうから御答弁のあったとおりであります。
  40. 森山欽司

    森山委員 きわめて明快な労働省側の解釈がここで出たわけでございまして、その意味全逓並びに全電通の言うような団体交渉事項であるからということでこれに反対するということは、もういわれなきことであるということは明瞭になったわけでございます。公労法によれば、団交の対象事項になるようであるが、国家公務員等退職手当法というものが制定されておる以上、この法律のワクを一歩出ても、名目のいかんを問わず実質的に退職手当に該当するようなものは支払うことができないということが明白になったわけです。にもかかわらず、団体交渉事項だというようなことを盛んに言って反対してくるゆえんのものは一体何にあるのか、その辺のところは、郵政省、電々公社組合は一体何を考えているのだ。きわめて法律的にこれは明確なことです。この法律的に、郵政省も、それから労働省も、いま説明を聞くと、きわめて明々白々たることに対して、白昼公然と反対をするゆえんのものは何だ、その裏には一体何があるのだ、その点ひとつあなた方の見解を承りたい。
  41. 増森孝

    増森政府委員 全電通のことはあとで申し上げるといたしまして、郵政省からお答えいたしますと、私どもちょっと推測でございますので責任を持ってお答えするわけにはいきませんけれども、私の推測によりますと、なぜ団体交渉事項かというのは、おそらくこういうことだと思うのでございす。それは、なるほど法律事項かもしれないが、しかし法律を制定する以前にもう少し団体交渉をして、そしてこの内容を法定化したらどうかというようなことではないかというように存じますので、私どもとしましては、政府部内としましても、この過程等につきましてはいろいろ問題がございましたので、立法する前の段階では説明はしなかったのでございますけれども、この法律案要綱ができました際に直ちに全逓側に申し入れをしまして、そしてこの法律案についてるる説明し、そして了解を求めてきたのでございます。
  42. 中山公平

    中山説明員 御質問の点でございますが、私ども組合の意図するところというのは、推測の域を出ないのでございますが、一つ団体交渉事項であるという、これは私どもとしましては誤解に基づくものであるということを強く組合にも申しておりますけれども、この組合流に考えた筋論を通したいというのが、全電通の場合は一番大きな意図ではないか、かように考えております。もう少しうがって考えますと、そこまで組合考えておるかどうかわかりませんが、結論的には、何か過員を残しておかないと、合理化のことをめぐってのいろいろの交渉の際に、要員問題等について不利な結果が出てくるのではないかということを心印をしておる、こういうふうにもとれるのでありますが、この点は組合から公にそういうことを申しておりませんがら、これは推測だけの話でございますが、そういうふうに推測いたしております。
  43. 森山欽司

    森山委員 何を残しておかないとですか。
  44. 中山公平

    中山説明員 過員でございます。雇用の確保ということを組合は非常に申しておりますから、その線から申しますと、このことによって過員が残らなくなってくるということは、その後の交渉において組合から見ての支障を来たすというようなこともあるのではないかと思うのですが、この点は組合は明確に申しておりませんから、あくまで推測でございます。
  45. 森山欽司

    森山委員 私も、もちろん皆さん方に伺うのが必ずしも適当かどうかわかりませんが、どんなふうな見方をしておられるであろうかという推測を伺っただけです。一つ団体交渉事項であるという、公労法に基づくたてまえを主張される。しかしそれは、現行法で国家公務員等退職手当法というものが定められておる現在、実定法の解釈としてそういう考え方誤りであるということがきわめて明瞭です。したがって、それは誤解に基づくものであって、そういうものはどこへ出しても通らない意見です。それからもう一つは、事前に相談をしないできめた。ところが、先ほど御答弁で明らかになりましたように、勤続五年、二十三、四才の女子で三十万円近い退職手当等をもらえるというような、まことにこれは一般民間に比べてはもちろん、他の公務員に比べましても驚くべき退職手当及び特別給付金がきめられた。何か組合がわいわい騒いでとったなら、これでいつでも妥結したかもしれぬ、ところが、政府並びに与党の善政、前向きの労働政策によってこういうものがきめられたから、組合が顔色がないというようなことで、事前に相談をしなかったというようなことを言っているのじゃないかと、私はむしろそういうふうにさえ推測を前進させるわけであります。いずれにしましても、この種の反対というものが全く根拠のないものであるということを、いまさらのように私は痛感をいたすわけでございます。  そこで、この問題につきまして労働大臣が何か団体交渉事項であるというようなことを言われて、それがこの法案に対する反対論の奇異をになっているような印象を受けるような報道を聞いている。先ほど労働省から話がありましたとおり、確かに公労法は団体交渉事項になっておるが、国家公務員等退職手当法というものが定められておる、この実定法の現状において、この問題は団体交渉事項ではないのだということばきわめて明瞭。にもかかわらず、そういうような誤解を招くがごとき言辞がもしかりにあったとすれば、これはわれわれ与党の立場からいいますと、政府の一員としてはなはだ遺憾にたえない。したがって、私はいずれかの時期に労働大臣にここに御出席を願って、ひとつこの問題についての労働大臣の立場をあらためて明らかにしていただく機会を実はほしいと思っておりますが、きょうは参議院の予算委員会の分科会等があって閣僚はそれぞれお忙しいようでございますから、私はそれは次の機会に譲りたいと思いますが、ただこの問題について、私は、おそらく労働大臣はそういうことは考えてないと思う。労働省の労働法規の関係の元締めの役割をしておる労働法規課長は、そういう問題についてどんなふうなことを聞いておるか、ちょっと参考のために聞かせてもらいたいと思うのです。
  46. 青木勇之助

    ○青木説明員 直接まだ聞いておりません。
  47. 森山欽司

    森山委員 労働大臣が、労働法規課長が先ほど御説明になった線と違うような線の御発言をなさったなんということはないと私は思うのですが、どうですか。
  48. 青木勇之助

    ○青木説明員 そういう会見の場に立ち会っておりませんので、私としてはちょっとお答えいたしかねます。
  49. 森山欽司

    森山委員 それでは、いずれかの機会に、労働大臣にも出ていただいて、郵政大臣、労働大臣、電々公社総裁が並んだところで、この問題についてひとつ与党からも一回質問さしていただきたい。野党のほうからももちろん御質問がおありになることと思いますが、そういうふうにひとつさしていただきたいと思うわけでございます。
  50. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  51. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 速記を始めて。
  52. 森山欽司

    森山委員 それでは今度は法文の内容でざっとやりたいと思います。  第三条で具体的な支給条件を定めました趣旨はどういうことですか。
  53. 増森孝

    増森政府委員 この特別給付金でございますが、これは退職手当法の特例をなすものでございますので、先ほど申しましたように、いわゆる一般退職手当よりはよけいな多くの特別給付金を出すのでございますので、その趣旨に合致いたしますように、退職する場合の支給条件等をきめたいと存じまして、その諸条件を定めることとしたいということでございます。
  54. 森山欽司

    森山委員 それではその配職転ができないか、または著しく困難であると認められるものとはどういうものですか。
  55. 増森孝

    増森政府委員 これは先ほどるる御説明いたしましたように、配転もできない、職転もできないというような者に支給するのでございますが、それはどういうふうにしてきまるかと申しますと、その近辺の近隣局へ配転ができるか、あるいはまた職転ができるか、そういったような欠員状況でもって一つはさまろうかと思います。もっと具体的に申し上げますと、配転、職転等につきましては、郵政省郵政省組合と、それから公社公社組合と、それぞれ労働協約がきめてあります。配職転等をどういうふうにするかという労働協約がございますので、その労働協約に基づきましてきまってこようかと存じます。
  56. 森山欽司

    森山委員 現在配転または職種転換に関する労働協約というものが郵政省、電々にあるのですか。
  57. 増森孝

    増森政府委員 郵政省につきましては、全逓、それから全特定郵政労組とそれぞれ協約を結んでありますが、昭和三十六年の六月十四日に全逓と省側で電通合理化に関する基本的了解事項という了解事項から、それをもとにいたしまして一連の労働協約が結んでございます。
  58. 中山公平

    中山説明員 電々公社におきましては、昭和三十年十二月一日に職員の配置転換に関する協約というものが結ばれまして、幾たびか改正が加えられまして、これが現在も有効に協約として存在しておりまして、これに伴ってこれの覚え書きその他一連のものが定まっております。
  59. 森山欽司

    森山委員 そうすると、労働協約等で具体的な場合の取りきめがあるわけですから、そこで配置転換職種転換ができない、あるいは著しく困難だという場合の認定も、そう一方的に、恣意的にきめるわけではなくて、両者相談の上できまる、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  60. 増森孝

    増森政府委員 そのとおりでございます。ちょっと詳しく補足させていただきますと、電通合理化に伴う配置転換等に関する協約というのがございまして、大ざっぱに申し上げますと、任命権者は、本人の適性、経験、通勤状況、希望及び家庭事情等を総合勘案するとか、それからまた通勤時間が一時間三十分以内の場合は本人の同意を必要としない。逆に言えば、一時間半をこす場合には、本人の同意を得るといったようなこと。ただし宿舎等を提供する場合には本人の同意を得ないでも配置転換ができるといったような協約がございますので、これらに基づいて円滑に配置転換ができるものだと承知しております。
  61. 中山公平

    中山説明員 電々公社の関係を申し上げますと、電々公社全電通との間の職員の配置転換に関する協約の第二条によりますと、配置転換は、本人の適性、業務上の必要度、家庭の事情、経験、本人の希望、健康、通勤時間、住宅等を総合的に勘案し、原則として職員が現についておる職位と同程度または同程度以上の職位で関連のある職種間において行なう。関連のある職種以外の職種間における場合には、本人の同意を要する。それから通勤時間の関係につきましては、大体郵政省の協約と同様のことがきめられておりますので、これらの点から配職転が可能であるか、あるいは著しく困難であるかといったふうなことはおのずからきまってまいる。もちろん受け入れ先の欠員状況というようなことがそれにつけ加わって考慮されるわけでございますが、それについては協約において組合との間に、協議決定ではございませんが、協議がなされる、こういうことになっております。
  62. 森山欽司

    森山委員 そうすると、電話自動化することによって、「配置転換及び職種転換ができないか又は著しく困難である」という者は特別給付金を支給する。しかし、そうじゃない配置転換あるいは職種転換ができる者には支給をしない、自動化の際、同じやめるにしましても。というのはちょっと気の毒なような感じがしますが、それについてはどうですか。
  63. 増森孝

    増森政府委員 この配置転換職種転換ができる者には支給しない法律のたてまえ上、過員を解消するためにこういう特別給付金を差し上げるのでありまして、この職種転換ができるとか、それから配置転換ができるといったような者にまでやる必要はないと考えております。
  64. 森山欽司

    森山委員 特別の給付金だから、配置転換職種転換ができる者までやる必要はない、こういう御趣旨ですね。ただ、同じときに自動化をされて、他の職種にいけるとか、あるいは他の場所に勤務できるということだが、どうせそこまでいくなら、この際やめたいという人は、法律の適用にならないということですね。何かその境目の人が若干気の毒なような感じもいたしますが……。
  65. 増森孝

    増森政府委員 おっしゃるとおり気の毒ではございますけれども、それには支給しない、こういうことでございます。
  66. 森山欽司

    森山委員 この法律の運用の細部について承っているわけですが、第五条特別給付金等の返還規定を設けた理由は、どういうわけですか。
  67. 増森孝

    増森政府委員 冒頭に申し上げましたように、この法律案は、特別給付金目的はあくまでも配置転換ができない者に支給する、したがって、自動化のいわゆる拡充というものに協力してもらうということのために支給するのでございまして、一年以内に再就職するというような場合は、実際に自動化拡充ということに協力していただけない、いってみれば非常にきつい話でございますけれども、協力していただけなかった者というようなことで、返還規定を設けたのでありますが、事実問題といたしまして、私どもといたしましては、この一年以内に再就職するというようなことはおそらくないことだと存じております。なぜかならば、一年後の要員計画といったようなものは十分考えまして、そしてそこに必要だ、再採用しなければいけないというような場合には、この人を残しておくというのがたてまえでございますので、おそらくこの規定の適用はないかと思いますけれども、筋としまして、この一年以内に再就職した者につきましては、二重取りになるおそれもありますので、いってみれば禁止規定というような意味で返還規定を設けたのでございます。
  68. 森山欽司

    森山委員 この第三条第一項の規定あるいは第五条の規定は、特別給付金ですから、それが一般化されては困るわけだから、そういう意味で、若干のこういう規定ができたということはやむを得ないことであろうと私は思うわけであります。この法律をこれから運用していく際の問題があるわけですが、この法律とかこれに基づく政令できまったことはともかくといたしまして、特別給付金の支給のようなこういう法律の具体的運用、これは先ほど団体交渉の問題が出ましたね。しかしこれは団体交渉事項ではないが、法律ができたら、そして法律に規定していない事項については、この法律のワク内において団体交渉をやって、労使間で話をきめていくということ、これは差しつかえないのではないかと思うのですが、その辺のところをちょっと明確にしておいていただきたい。
  69. 増森孝

    増森政府委員 この法律は先ほど申しましたように、国家公務員等退職手当法の特例をなすものでありますので、その支給条件等につきましては、一般退職手当等よりは支給条件をシビアーにしております。したがいまして、そういう点につきましては、この法律でもって規定していくのでございますけれども、その実際運用していく場合に、この法律に抵触しないものにつきましては、それが労働条件等にからまっておるという事柄につきまして  は、できるだけ団体交渉で運営していきたい、このように考えております。
  70. 森山欽司

    森山委員 まだこの特別給付法案について私質問したいことがございますが、おおよそ一通りのことをいまお伺いいたしました結果によると、たいへんこれは思いやりのある、労働政策的に見まするならば、一歩も二歩も従来に比べて前進した法案であろうと思います。ひるがえって電話自動化というのは、電話に対する旺盛な需要というほかに、その需要にこたえていく道は自動化であり、また即時化ということになってまいるわけでありまして、これは社会生活の前進とともに当然やっていかなければならないことである。この当然やっていかなければならないことを、労働者側あるいは労働組合というものの立場を尊重して円滑にやっていこう、いわば潤滑油の役目を果たすためにこの法律が制定されたものであるというふうに思っております。この法案を一わたり拝見いたしまして、たいへんけっこうな法案であると私は思っておるわけでございまして、願わくば、委員長もひとつこの法案の促進にいま一段と力こぶを入れていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  71. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 次に、上林山榮吉君。
  72. 上林山榮吉

    ○上林山委員 俗にいう自動化法案については、私も森山委員と同じような理解のもとに、こういう進歩的な、前向きな法律は一日も早く本委員会で成立するように要望しておきたいのであります。この問題については他日質問することがあるかと思いますが、私は本日は日本電信電話公社法の一部を改正する法律案について若干質疑を念のために試みておきたい、こういうように考えます。  まず第一に、改正案の内容に盛られておる投資条項のことでございますか、投資条項を必要とする程度——電電公社が当然自分の本業を営みつつ、あるいはまた本業の一部を委託して、相ともに事業目的を達しようとするその程度、これについて伺いたい。言いかえますと、投資条項をどの程度に必要とするか、このことについて——これは基本的な問題だと思いますので、政務次官ないし公社総裁から御説明を願っておきたいと思います。
  73. 大橋八郎

    大橋説明員 御承知のとおり、公社のやるべき仕事でありましても、公社みずからやらないで会社なりあるいは法人等に委託してやらせることがあることは、そのとおりであります。たとえば船舶通信、船舶電話というようなものは、現在会社をつくりまして、その会社に委託してやっておる実例があります。ところが、そのほかいろいろな場合に、公社のやるべき仕事を委託しておる場合と関連して、公社として利用しなければならぬぜひ必要な民間の会社等がございます。これらのものに公社が一部出資をいたし、その会社の健全なる発達を企図することが、公社事業を円滑に運営するために非常に必要な場合がありますので——いままでは、御承知のとおり公社が投資できるのは、国際電電会社に一部株を持っている以外にできません。したがいまして、今後もう少し広く投資できるようにいたしたいというのが趣旨でございます。
  74. 上林山榮吉

    ○上林山委員 私は、ただいまの御答弁の趣旨については、これは単に与党であるからという意味だけではなしに、一皮むいて、適切な考え方であるという考えを持っておるものでございまして、そういうような立場からただいまの答弁を了といたしますが、私は国鉄あるいは専売、この二つの公社は、何年度でしたか、前にすでにこれに似たような投資条項を規定しておると思うのでございます。その表現はいろいろ違いましょう。一体専売公社は側年度でしたか、あるいは国鉄は何年度からこれに類似した——内容的には大体同じであるいわゆる投資条項を新設をしたいと思っておりますが、いつごろからでございましたか。そして、その成績は、ある程度効果をあげておることを具体的例によって私は知っておるが、これを立案した立案者のほうでは、そういうことを御検討になっておるかどうか、この点を伺っておきたい。
  75. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 専売につきましては昭和二十八年、国鉄につきましては昭和三十四年に、同様の趣旨の規定か設けられております。実際の投資につきましては、専売については聞いてわりませんが、国鉄につきましては幾りか投資いたしまして効果をあげておるようでございます。
  76. 上林山榮吉

    ○上林山委員 専売公社のお調べになっての答弁かどうか知りませんが、こういうものは、大事な法律をつくる前提の作業として、もっと一皮むいて、専売公社の分も国鉄の分も、この事業を通じて国民に知らせるんだ。こういう考え方でお進めにならないと、われわれ立法者としては、直ちにあなた方の御意見を尊重するわけにいかぬ結果になるのです。これは非常に大事なことですから、こういう点はもっとお調べになって、適切な機会であるから、ここはこうやっているんだ、こういう長所がある、こういう欠点がある、しかしわれわれはこれを補って、こういうふうに新しい投資条項を設けたらやっていくんだ、こういうふうにならなければならぬと思います。ただいまの答弁は不勉強の答弁だというふうに私は考えます。何か答弁があるなら聞きますけれども、なければ、あとから勉強したところを発表してもらいたい、こういうふうにお願いしておきます。
  77. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 専売につきましては、この投資条項は実際には発動されておりません。国鉄につきましては、たとえば広島のバスターミナルというものができておりまして、国鉄のバスとほかの私鉄のバスとが共同でターミナルをつくりまして、非常に効果をあげているということを聞いております。
  78. 上林山榮吉

    ○上林山委員 そこで、この改正案文の中に、「公社の委託を受けて公衆電気通信業務の一部を行なうことを主たる目的とする事業」とありますね。これは、公社の運営を円滑にするためとはいえ、あるいは一体となって業績をあげる手段であるとはいえ、ある程度常識的な考え方がなければなりません。それで「主たる目的とする事業」というものはどういうことを想定しておりますか。一、二は、私どもも中間的に伺っておることもありますけれども、具体的にどういう事業ですか。そして、その主たる目的の解釈ですね。これは立法者はやはり注意しておかなくちゃなりませんが、「主たる」ということは、常識的にはどの程度のことをさしておるか。これは、法律をつくった当時はみんなよくわかっているんだけれども、これが十年もたちますと、立法者の意思というものが無視されて、結局文字解釈になってしまうんですね。だから、そういうことから考えて、その「主たる目的」並びにその「主たる」ということの大体常識的な程度というものを聞いておきたいと思います。
  79. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 公社から委託を受けております公衆電気通信業務だけを営んでいるばかりの会社ではございませんので、その規模におきまして、そういう業務がその会社あるいはその事業の大半を占めるものをさす、このように考えております。たとえば、現在ありますのは日本船舶通信株式会社でございます。
  80. 上林山榮吉

    ○上林山委員 いまの船舶通信会社一つだけを考えておる、こういうことなのか。次に、来年度ごろはこういうこともやりたいという含みはないか。それから、大半ということばはどちらへも通ずるんですが、大半というのは五〇%以上か、あるいは六〇%以上か、こういうようなことも一応——大半といえば抽象的過ぎるので、あまり窮屈に解するのもどうかと思いますが、ある程度そうしたことは考えておかなければならない。その大半というのをもしパーセントであらわすとすればわかりやすくなるのですが、一体どうなんですか。
  81. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 少なくとも半分以上と考えております。
  82. 上林山榮吉

    ○上林山委員 五〇%以上、でき得べくんば六〇%以上ということが私は常識であろうと思います。いわゆる大半ということをあまり抽象的に考えておきますと、現在の公社の幹部の人たちは、みんなまじめな人だから、そういう考えはありませんけれども、四割、四〇%であってもまあやむを得ないからやらせようじゃないか、こういうことになってくると、やはりシステムがこわれてくる危険があるのですね。だから、そういう意味で、こういうことはやはり私は法律をつくる当時に、しっかりした考えを持って臨まなければならぬ、こういうふうに考えます。  さらにそれに引き続いて、「公社の公衆電気通信業務の運営に特に密接に関連する業務」、先ほど具体的に言ったのは船舶通信関係の会社の話でございましたが、これ一つだけをさすのか、さっき言ったように、何年かの後にはこれも考えておるのだということが一つくらいはあるのかないのか、それによってはその投資条項の内容についてもっと思いをいたしておかなければならない点があると思うので、私は聞いておるのでありますが、その点はどうですか。
  83. 大橋八郎

    大橋説明員 ただいまの上林山先生の御注意きわめてごもっともだと拝聴いたしました。そこでこの法案にも、単に「一部を行なうことを主たる目的とする事業」というようなことだけでなしに、御承知のとおり「予算で定めるところにより、公社の委託を受け」云々と書いてあります。そのつど予算で大臣が認めなければこれはやることができないという条件がついております。  それから、さらに次の条項で、「前項の規定により公社が投資することができる事業の範囲は、政令で定める。」というふうに政令でいろいろこまかぐ——ただいまお話しのようにあまりあいまいなことにならぬように、おそらくもっときびしくきめられることになるのじゃないか、かように考えております。  それから、さらに、ただいまそれに関連してお話しになりました将来どうするのか、ただいま予算においてすでに認められておりますのは、先ほど御指摘になりました船舶通信会社だけでございますが、来年度以降におきましては、いままで一応まだ腹案だけでございます。まだ固まったものではございませんけれども、無線呼び出しサービス、あるいは自動車電話サービス、それから電話の番号印刷会社というようなものについても、今後検討いたしまして、必要があるということになればやりたい、かように考えております。
  84. 上林山榮吉

    ○上林山委員 国鉄の投資条項によって現在出されておる予算額は幾らでしたか。予算書をここに持ち合わせていないので、私調べるのに困っておりますが、幾らでございましたか。ことしのものはございますか。
  85. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 ただいま資料を持ち合わせておりませんので、後刻御説明申し上げたいと思います。
  86. 上林山榮吉

    ○上林山委員 この程度のものじゃないと思うのですが、三十八年度の投資額の数字、これは国際電電に四億でしたか、そうして今度の新しいものに対しては幾らを予定しておるのですか。七、八千万円でしたか。
  87. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 三十八年度予算におきまして国際電電に対しまして三億三千万円、船舶通信会社に対しまして七千万円計上されております。
  88. 上林山榮吉

    ○上林山委員 最初だからそれこそ消極的にまじめに計画をされるということも私はやむを得ないかと思うのです。国鉄の投資額はこれを上回ったものではなかったかと思ったので、いまそれを参考に引き合いに出してみたわけでございます。総裁が、船舶通信会社以外のものも、たとえば呼び出し電話のサービスですか、そうしたような新しいものも研究しているのだ、そういうようなものは公社みずからがやらぬでも委託をしてやられることが非常に効果的なんだという一応の見通し、これはけっこうなことだと思うのです。やはり前向きに、具体的にそうしたような研究というものを続けていかなければならぬ。ただし本業といま言ったような委託とが混同しないように、あるいはひさしを貸しておもやを取られるというようなそしりは受けないでありましょうけれども、その中に一つの主体性といいますか、一つの経営者としての指導精神というものが入っていかなければならぬ。ここがきわめて大事な点であって、あれもよかろう、これもよかろうと研究することはいい、これはやはりやらなければならぬけれども、その中の主体性というものは一つの筋が通っていなければならぬ、バックボーンが通っていなければならない。やはり最終的に責任の主体は公社にあるのだ、本業にあるのだ、こういう観念でお進みになることを特に要望しながら今後の前進を望んでやまない次第でございます。  なお、この船舶通信株式会社ですが、これはどの程度の範囲のことをとりあえずやろうときめたのですか。これは全国くまなくというわけにもいかぬし、港々を全部というわけにもいかぬだろうが、第一次的にはどの程度の範囲を対象にしてやっていこうと考えておられるのか。この点をひとつ聞いておきたいのであります。
  89. 千代健

    ○千代説明員 お答え申し上げます。  現在船舶通信株式会社のやっております仕事は、京浜、清水、名古屋、泉州堺でございますか、阪神、瀬戸内、洞海湾、こういったところをやっておりますが、三十八年度の私どものほうの計画で、北海道のほうから太平洋をずっと沿岸をやりまして、九州は西側から南側にかけてこういうところへ陸上の設備を大体三カ年の計画の一環としてやっておるわけであります。それに呼応して徐々にそれの動きますに際して、その方向へ会社の業務を拡充していく、こういうようなぐあいで考えておるわけであります。
  90. 上林山榮吉

    ○上林山委員 大体範囲のことはわかりましたが、現在船舶電話サービスの状況、しかもその船舶会社に委託している業務の範囲、こうしたようなものを私はこの際承っておきたいと思います。
  91. 千代健

    ○千代説明員 先ほど申し上げました点につけ加えまして、船舶通信株式会社の現有やっておりますのは、先ほど申し上げました海域の船と陸上の一般電話とを結ぶために船の上の無線通信機を貸し出す業務、こういったこと、これがいわゆる船舶電話ということであり、いま一つは、岸壁電話と申しまして、東京とか横浜あるいは神戸等の港へ船が入りました際に、それも昼夜の分かちなく入っておりますが、これについて岸壁にできておりますこちらの電話線と船とを直接につなぐという岸壁電話、この二つの範疇の仕事をやっております。前者のほうが大きゅうございまして、岸壁電話のほうが少のうございますけれども、大体二つの仕事をやっております。
  92. 上林山榮吉

    ○上林山委員 この問題について、既設の電話関係、無線関係というか、この面から要望があったようでしたね。一ぺんに画一的に何んでもかんでも公社が一手にこれをおさめぬように、漸進主義で調和をとりながらやってもらいたいという要望があったようでございますが、私が勘違いしているかもしれないが、そういう要望があって、大体そういう方向に進んだほうがいいんじゃないかとわれわれも申し上げた記憶を思い出すわけでありますが、その後あの問題ははっきりと妥結をしましたかどうか。これはせっかく新しい法律ができる機会であるので、けじめをつける意味でお聞きしておきたい、こう思いますが、いかがです。
  93. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 御指摘の問題は、現在船会社が持てっおります専用無線局の問題かと存じます。周波数といたしましては、二メガを使っておりますが、今度の公社のといいますか、あるいは船舶通信会社の仕事では、百五十メガを使うわけであります。それではこの二メガの専用無線局のほうを切るかどうかという問題があったのでございますが、結論といたしましては、公衆電気通信網の整備の状況を勘案すると同時に、専用無線局側すなわち船舶側の実情も十分考慮して適当な措置をとる、そういうことにいたしました。
  94. 上林山榮吉

    ○上林山委員 それが円満に調整がとれたということはけっこうなことだと思いますが、現在船舶電話の利用状況は、だんだん利用がふえつつあると思うのだが、この利用の現況は一体どういうふうになっております。
  95. 千代健

    ○千代説明員 現在船に積み込みます無線機は、百九十八台保有しておるわけであります。その中で、中には修理をしたりいろいろございますが、一日百四十四台平均で動いております。なお、その電話の利用状況でございますが、船からの発着信、これが平均一日十三度程度でございます。
  96. 上林山榮吉

    ○上林山委員 私は、この船舶無線あるいは船舶電話の問題については、これはやりようでは非常にいい問題だと思うのです。大いにやってもらわなければならぬと思う。賛成の立場からこれに対して質疑を試みておるわけです。今後の健闘を期待しております。      ————◇—————
  97. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 次に、郵政事業郵政監察、電気通信電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。森本靖君。
  98. 森本靖

    ○森本委員 きのうの続きでありますが、あれからもう一日たっておりますので、きのう申し上げましたように、海底電線の問題について、こういう重要な財産の処分をする場合に、法律条項としてはどういう条項を適用するか、これをちょっと御回答願いたいと思います。
  99. 井田勝造

    ○井田説明員 きのうからずっと検討をしてまいったのでございますが、この六十八条の規定では譲渡の場合を規定してございますので、これ以外につきましては公社の内部規定にまかせられているというふうに解釈ができるのでございますが、本件につきましては、たびたび国会でも問題になりました重要な事項でございますので、さらに関係の機関とも慎重に協議をいたしまして、その上で最終的な結論を御報告いたしたい、こういうふうに考えております。
  100. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、一応電電公社としては、電電公社の内規においてこれが行なえると、こう解釈をしておる、こういうことですか。
  101. 井田勝造

    ○井田説明員 ただいまの一応の結論はそういうことでございます。
  102. 森本靖

    ○森本委員 それは固定資産の事務規程でやるわけですか。
  103. 井田勝造

    ○井田説明員 そのとおりでございます。
  104. 森本靖

    ○森本委員 結局七十条になるわけですか。
  105. 井田勝造

    ○井田説明員 七十条及び七十一条が該当すると思います。
  106. 森本靖

    ○森本委員 この法律をこしらえたときの趣旨はどういうことですか。ひとつ郵政大臣にお聞きしますが、そうすると、財産の重要なる幹線についてこれの譲り渡しまたは交換をしようとする場合には、六十八条によって国会の承認を術なければならぬ、しかしそういうものを廃棄処分にするという場合については、法律に基づいて議決を要しない、こういう立法的に解釈ができ得るのですか。
  107. 古池信三

    ○古池国務大臣 私はかように理解しております。問題になっております物件が本来の用途に供せられております場合においては、それが譲渡あるいは移管というような際には、ただいまお話しのような手続が要る、しかし用途を廃止して実際の公の通信の用に供されていないというような物件については、その法条の適用はない、かように考えております。
  108. 森本靖

    ○森本委員 だから、財産の廃棄の処分という問題については、法律では規定されておらない、こういうことですか。重要な問題についても、国会の承認を要するということについては……。法律上の問題です。
  109. 古池信三

    ○古池国務大臣 この法条の第六十八条が示します「電気通信幹線路及びこれに準ずる重要な電気通信設備」こうなっておりますから、これはやはり線路なりあるいは設備として電気通信の用に供してある重要なものの処分の点についての手続を規定したもの、こう考えております。したがって、たとえばスクラップのようなものであれば、これも一種の財産には違いありませんが、これの処分の場合はかような制限は要らない、こういうように考えております。
  110. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、現在切れておるから、現在の海底電線については第六十八条は適用にならない、こう解釈するわけですか。私もあなたも同じように議員ですから、議員同士としても聞いておるわけでありますが、ひとつ国務大臣として、この六十八条についての問題をはっきりしておいてもらいたい。切れておるから第六十八条の議決を要することは必要がない、こういうことになるわけですか。
  111. 古池信三

    ○古池国務大臣 現実の問題として通信の用に供していないもの、すなわち通信の用途を廃止したものについては、この制限によらないで公社が適当に処分できる、かように考えております。
  112. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、現在使っていないものについては、重要な幹線ルートであっても、これは六十八条は適用しない、こういうことですか。それは一般のたとえばマイクロ・ルートの問題についても、あるいは一般の同軸ケーブルについても、将来なきにしもあらずであります。重要な幹線でありましても、それを使っていないという場合については第六十八条は適用しない、こういうことになるわけですか。私はそれは疑問があると思う。使っていなくても、重要幹線である場合には、やはり第六十八条が適用になる、こう解釈をするのがほんとうだと思う。
  113. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 やはり電気通信幹線路といいます場合には、幹線路として使う場合に限らなければ、この法律としてはあまり意味がないんじゃないかと考えております。
  114. 椎熊三郎

    椎熊委員 関連してちょっと聞きたいのですが、いま問題になっておるケーブルの問題は、所有権の範囲が確定していない問題です。破損して使ってもいないし、どこまでが日本のものかわからぬものですから、現在においてはこの法律は適用すべきじゃない。この範囲が確定したときにおいて考慮せらるべき問題で、現在は問題の対象にならぬと私は思うのですが、どうでしょうか。
  115. 古池信三

    ○古池国務大臣 大体この問題になっております物件は、いまお話しになったとおりの物件でございます。さような関係になろうかと存じます。
  116. 森本靖

    ○森本委員 私が聞いておりますのは、いまその問題を離れまして、非常に重要な法律解釈になっておるからであります。そうしますと、通信監理官説明では、現に使っておるものでなければ通信幹線路及びこれに準ずる重要な電気通信設備といわぬわけですか。そうではないと思う。これはたとえ話でありますが、かりに東京−大阪間の同軸ケーブルがあった。これは重要な幹線として使っておった。ところがそれ以外に何かのものができた。それでこれはちょっと当分使わない。こういうときに、六十八条の問題の重要幹線ではない、こうおっしゃるわけですか。私はそうじゃないと思う。その場合にもやはり六十八条によるところの重要な電気通信設備であるということには間違いない設備ですから、これは法律解釈の問題ですから、監理官はっきりしておいてください。その場その場の思いつきの答弁をしないように。
  117. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 いまの先生の御質問では、当分の間使わないというよなうことがございましたが、当分の間使わないけれども将来また使うのだということになりますと、あるいはこれに該当するかと思います。しかし用途を完全に廃止してしまいました場合には、個々の物品になるのではないかと考えております。
  118. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この海底ケーブルの問題につきましても、かりに修理をして使うということになれば六十八条が適用になるわけですね。
  119. 古池信三

    ○古池国務大臣 これが電気通信幹線路として生きてまいりまする場合にはそのとおりだと存じます。
  120. 森本靖

    ○森本委員 これは法律上の問題でありますので、まだ不明確な点があります。特に幹線路の譲渡または交換の場合が書いてあるけれども、廃棄の場合についての明確な法律条項というものがないのです。だから、それをどの範囲まで持っていくかということをこの固定資産事務規程においてやるということについても、六十八条の観点からいくと疑問がある、こういうことでありますが、この点については、郵政省電電公社も、もう少し検討しておいていただきたい。さらに法制局とも連絡をとって、法律的な解釈を明らかにしておいてもらいたいということを要望しておきます。私のほうももう一度さらに法制局等を通じまして、これは重要な解釈の問題になってまいりますので検討しておきたい、こう思っておりますから、これは宿題として残しておきます。  それから、これが切れたのは去年の五月に切れたということでしたね。
  121. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 そのとおりでございます。
  122. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、講和条約が発効してからずっと去年の五月切れるまでに使用料として米軍のほうからもらった金額は総累計額としてどの程度になっておりますか。
  123. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 ただいま累計額のはっきりした数字がございませんが、月々の使用料はわかっておりますのでそれを申し上げます。(森本委員「それを足したら出るじゃないか」と呼ぶ)月々の使用料は第一ルートが百八十九万二千円でございます。第二ルートが百六十九万九千円でございます。これが月の使用料でございます。これを十年以上続けておったのでございますから、いま計算すれば出てくるのでございますが、はっきりした資料が手元にございませんので、ただいま明確なお答えはできかねます。
  124. 森本靖

    ○森本委員 そのいまの金額は間違いないですか。これは昭和三十七年ごろ調べた資料ですが、第一ケーブルが九十四万六千三百七十四円、第二ケーブルが八十四万九千六百五十六円となっていますが、それから以後上がっておりますか。
  125. 井田勝造

    ○井田説明員 私の持っておりますのは三十八年の八月解約をいたしましたときの金額を申し上げておるわけでございまして、いまのような金額をお聞きいたしますと、きっと値上がりがしておるものと推察されます。
  126. 森本靖

    ○森本委員 だから私は累計額を聞いたわけであります。だから月々の使用料でなしに、アメリカ軍から講和条約発効以後、電電公社がもらった金額は、総累計額が幾らになるか。なぜそれを聞くかといいますと、この料金としてもらっておるものは、当然これは全部の料金としてもらっておるわけでしょう、どうですか、その点は。
  127. 井田勝造

    ○井田説明員 この一部のものはいずれ韓国のほうに帰属するといったようなことで、その分は供託をしておるわけでございます。
  128. 森本靖

    ○森本委員 その分は供託をしておると言うが、半分は供託をしておるということですか。
  129. 井田勝造

    ○井田説明員 半分ではございませんで、いまの日本の考えておりますのは、対馬と釜山の間の半分ということでやっております。ですから、全般から見ますると、半分よりずっと少なくなるわけでございます。
  130. 森本靖

    ○森本委員 金額がはっきりしないから、どうもなにですが……。
  131. 千代健

    ○千代説明員 お答え申し上げます。二十九年八月以降今日までの料金額は約五億一千万円でございます。
  132. 森本靖

    ○森本委員 それは二十九年以前はないのですか。
  133. 千代健

    ○千代説明員 二十九年八月一日から現行の賃貸料金に切りかえております。
  134. 森本靖

    ○森本委員 二十七年から前はアメリカ軍のなにですから、二十七年から二十九年まではどうなっておるわけですか。これを私がくどく聞くのは、きのうもちょっと電気通信監理官が言ったように、向こうは釜山と壱岐、対馬を通って本土との間の半分と、こう解釈をしておるわけだ。こっち側は対馬と釜山との半分、こう解釈をしておるわけです。  そこで問題は、この金のある一定部分を韓国が必ずくれということが出てくるわけです。その場合に、こっち側は、いま経理局長が言ったような考え方で供託をしておったにしても、向こうはそれよりずっと多く要求してくる。そのことを心配するから、私はしつこく、この金がどういうことになっておるか——本来ならこういう問題を韓国と話を進めておらなければならぬはずですよ。公社は何ぼもらったかだけ聞いておきましょう。
  135. 千代健

    ○千代説明員 いま二十九年八月一日以前の金額をつまびらかにいたしませんが、二十九年八月一日までは、専用設備としての料金を確認しておりまして、二十九年八月一日以降に現在の料金の体系に変えたものでございます。したがって、そのあとが大体五億一千万円、こういうことを申し上げたわけでございまして、それ以前の料金につきましては、後ほど調べまして御返答申し上げたいと思います。ただ、二十九年八月以降の料金について、韓国との間に料金の将来の調整という、返すとかという問題が起こると思います。この点につきましては、いま私どものほうと米軍との協定では、その二十九年八月一日に切りかえました際に、その帰属が決定した場合に、その部分に相当する料金は米軍に返還するという協定になっております。したがって、米軍と韓国との間に新しく授受の問題で取りきめがなければ、韓国への支払いというものは日本から米軍へ電電公社が直接渡すということに相なっております。
  136. 森本靖

    ○森本委員 講和条約が発効されたのは二十七年四月二十八日でありまして、サービス契約を電電公社が向こうと行なったのが二十七年七月三十一日に行なっておるわけであります。だからそれ以降のいわゆるサービス料を電電公社が受けておるわけでありますから、先ほどの二十九年以降と二十七年以降の分を合わせまして幾らになっておるか、そうしてそのうちで供託をしておる金額が幾らであるか、こういうことになるわけです。  そこで、その供託をしておる金額を、あなたのほうでは米軍に返す、こういうことを言っておるけれども、それで韓国がはたして納得するかどうか。それは要するに米軍と電電公社との間の話し合いであって、韓国としては、日韓会談が妥結しないからそのままになっておる。だからこの平和条約発効によるところの第四条によって二等分した場合には、昭和二十七年にさかのぼってこれを戻せという意見が出てくるかもわからぬわけである。その場合に、日本政府としては一体どういう向こうに対する受け答えをするのか、そういう点についての話ができておるのかどうか。全然話をしておらぬのかどうか、こういうことを聞いておるわけであります。大体いま供託しておるという金額は幾らですか。
  137. 千代健

    ○千代説明員 二十九年八月一日以降のものはわかりますけれども、それ以前のものはちょっとわかりかねます。後ほど調べまして……。
  138. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、二十九年以後について供託しておる金額は幾らですか。
  139. 千代健

    ○千代説明員 一億一千万円であります。
  140. 森本靖

    ○森本委員 その一億一千万というのはどこへ供託をするのですか。どういう理由によって供託しておるのですか。
  141. 米沢滋

    ○米沢説明員 ただいまの問題につきましては、後ほど調査いたしましてお答えいたします。
  142. 森本靖

    ○森本委員 この問題はかなり重要な問題でして、やはり韓国側が当然ある程度請求してくると思います。場合によっては日本政府としても、電電公社がもらった分を若干支払いをしなければならぬということを認めなければならぬと私は思うわけであります。ただその金額の問題が、要するに釜山と福岡との間に換算をするのか、対馬と釜山との間に換算をするのかということによって金額も違ってくるわけであります。そういう点でこの問題は重要な問題でありますから、いますぐお答えができませんので、ひとつこの問題については後日に譲ります。  それからもう一点、韓国との間の郵便の問題でありまするが、郵便業務については万国郵便条約によってやっておりますから、これは一応問題がないといたしまして、為替業務については現在韓国との間に行なわれておらぬということでありまするけれども、これはどうなっておりますか。
  143. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 現在はやっていないものと考えております。
  144. 森本靖

    ○森本委員 やっていないことはわかっておりますが、どういう理由でやっておりませんか。韓国側の事情ですか、日本側の事情ですか。
  145. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 まだ韓国との間に為替業務を再開する状況になっていないわけでございます。
  146. 森本靖

    ○森本委員 韓国との間に為替業務をやることにはなっていないということは、現在やってないからなってないわけでして、そのなっていない理由を、要するに韓国側の事情であるか、日本側の事情であるかということを聞いておるわけでありますが、本日は御用意がないようでありますので、これも後日に譲って質問することにいたします。  それからもう一つ、郵便のことでありますが、普通、通常は決済がありませんが、小包郵便については決済という形をとっておると思いますが、どうなっておりますか。
  147. 佐方信博

    ○佐方政府委員 御承知のとおり、普通郵便につきましては料金は各国で収納しっぱなしというふうになっております。それから小包につきましては、先方に着きましてからの配達費等はお互いに払わなければならぬということになっておりますけれども、日本からの小包が非常に多うございますので、日本からの払いのほうが多いわけでございます。
  148. 森本靖

    ○森本委員 年間のこっちからの支払いと向こうからの支払いは——一年間でいいのです。三十七年のでもけつこうですし、三十八年でもけっこうですが、わかっておる範囲内で、どの程度になっておりますか。
  149. 佐方信博

    ○佐方政府委員 日本発の小包につきましては、日本から約八百万円払う。それから、南鮮から日本へもらいます金は四百万円で、二分の一くらいです。
  150. 森本靖

    ○森本委員 現在はこういうかっこうになっておりまするから、問題はないといたしましても、かりに将来これが逆転するというようなことはないと思いますけれども、向こうの経済事情、こっちの事情からして逆転するというようなことになって、これがこげつきになってしまうということを心配しておるわけでありまして、そういうことがないようにひとつ願いたい、こう思っておるわけであります。  大臣がお急ぎのようでありますので、さらに大臣にひとつ聞いておきたいと思います。  韓国との問題は、万国郵便条約で一応解決がつきますが、北鮮との間の問題が、現在御承知のとおり、これは香港を経由して、そして中共を経由して行っておる。こういう形になっておるわけでございますが、いかにも郵便が南洋の近くまで行って、それからまた北へ上がってくるというのは、これはまことにおかしなやり方でありまして、ソ連はたしか条約機構に入っておると思いますので、いまの状況からいくとするならば、敦賀からウラジオを通って、ウラジオから北鮮に入るというようなルートもでき得ると思いますが、そういうふうなことを郵政省としては考えてみたことがありますか。
  151. 古池信三

    ○古池国務大臣 お説のように、ソ連との間には国交調整ができまして、今日郵便が直接行っておりますが、ただいま御指摘の、日本海の船便は、私もちょっと調べてみたことはありますが、非常に回数が少ないようでございます。したがって、現在の香港経由中共回りで行っておりまするものと比較いたしまして、かりに日本海の航路を利用するとしても、効果としては、あまりたいしたことはない、こんなふうに聞いております。
  152. 森本靖

    ○森本委員 香港を経由していく定期便があることは間違いありませんし、敦賀からウラジオの間については確かに便が少ないということは肯定できますから、両方やれば案外早く行く場合もできてくるという可能性が考えられるわけでありまして、郵便は万国共通でありまするから、それぞれの国柄とか、あるいはそういう問題を超越してなるべく早く着く方法をとったほうがいいと思います。両方同時にやってもいいのではないかというふうに考えるわけでありまして、こういう点については十分に御検討願っておきたい、こう思うわけであります。  それからもう一つ、この間も予算委員会において私が大臣に質問をいたしましたように、要するに現在の日本と韓国との間における大きな問題としてもう一つ残っておりますのは、中波——これはITUを中心としての割り当ての問題であります。この問題は確かに国際会議を通じて解決をつけなければならぬ問題でありますけれども、国際会議を通じてやって解決がつかぬから、韓国も日本もお互いに権利を留保しておる、こういうことになっておるわけでありまして、このまま置いておくと、現在の段階においては、中波の問題はおそらく半永久的に韓国と日本との間は解決がつかないのではないか、こういうことが予想されるわけであります。そこで、なるほどITUを通じて行なうということは、普通これは道理でありまするけれども、さらにまた両当事国が相互に密接に話し合いをするということは必要な問題であります。だから、単にITUを通じて行なうということだけでなくて、こういうように韓国との会談が行なわれるということになりますならば、中波の問題についても日本と韓国との両当事者が直接に話し合って解決をつけるという方向も大いにやっていかなければならぬ問題であると思う。そこで、すべてこれを国際会議にゆだねるといって逃げるということでなくして、郵政省も、もう少し積極的にこの問題の解決に当たるようにやってもらいたい。そうでなければ、この機会をのがしたならば、この中波の問題については、おそらく半永久的に解決がつかないだろうと考えておるわけでありまするが、最後に大臣にこの中波に対する問題で聞いておきたいと思うわけです。
  153. 古池信三

    ○古池国務大臣 この問題につきましては、ただいま御指摘になりましたように、あくまで原則としてはITUの国際的な機関におきまして、今日までのやり方に従って周波数のそれぞれの割り当てをきめていく、こういう方法がとらるべきであろうと思いますけれども、しかし、やはり両国相互の間において密接なる連絡をとりながら、お互いの主張は主張として述べながら、ここに何らかの妥結点を見出していくということは確かに必要であろうと思います。その点については全く御同感でありますが、ただ、この問題は、非常に技術的な問題も含んでおりまするので、今回の日韓会談の題目として取り上げて、この会談で決定しなくとも、むしろこの会談の妥結の結果、両国相互の外交関係なり、あるいは一般民間の交通等がひんぱんになって、一そう両者の事情もつぶさにわかり、理解も深まるにつれて、さような機会に両国の担当官庁なり、あるいは外交ルートを通じてごく技術的事務的に折衝したほうが、むしろ効果が上がるのではないか、かように考えておるのでありまして、根本的には、ただいまの御意見に私は決して反対ではございませんが、何が何でもこの日韓会談に持ち込んで決定してしまわなければならないということには私は考えておらぬのでございます。
  154. 森本靖

    ○森本委員 重ねて申し上げておきますが、やはり大臣のいまの考え方は非常に甘いと思う。国交が回復せられて向こうの事情とこちらの事情がよくわかるに従って、よけいにこの問題は解決がむずかしくなる。一度放送局を置いて出力を出した以上は、この解決はなかなか困難であります。だから、事情がお互いにわかってくればくるほど困難であります。だから、やはりこの問題については、でき得ればこういう機会に解決をつけないと、半永久的に解決をつけることは困難であろう、こういう見通しを持っておるわけでありまして、大臣電波に対する考え方は非常に甘い。だから、でき得るならばこの機会に解決をつけるように努力をしてもらいたい、こういうことを言っておるわけでありますので、よく事務当局の話も聞いて善処を願いたい、こう思うわけであります。
  155. 古池信三

    ○古池国務大臣 ただいまの御趣旨は、十分に私、腹に置きまして、事務当局とも相談をしてみたいと思います。
  156. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 次会は明二十七日午前十時から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会することといたします。  午後零時五十九分散会