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1964-02-12 第46回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十二日(水曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 秋田 大助君 理事 大高  康君    理事 佐藤洋之助君 理事 志賀健次郎君    理事 森山 欽司君 理事 栗原 俊夫君    理事 森本  靖君       小渕 恵三君    上林榮吉君       木部 佳昭君    小泉 純也君       佐藤 孝行君    中山 榮一君      橋本登美三郎君    本名  武君       山本 幸雄君    安宅 常彦君       片島  港君    永井勝次郎君       畑   和君    柳田 秀一君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 古池 信三君  出席政府委員         郵政政務次官  金丸  信君         郵政事務官         (大臣官房長) 武田  功君         郵政事務官         (電波監理局         長)      宮川 岸雄君         郵政事務官         (人事局長)  増森  孝君  委員外出席者         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 二月七日  委員柳田秀一辞任につきその補欠として堂森  芳夫君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員堂森芳夫辞任につきその補欠として柳田  秀一君が議長指名委員に選任された。 二月七日  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六七号) 同月十日  公衆電気通信法の一部を改正する法律案安宅  常彦君外九名提出衆法第六号)  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案(  安宅常彦君外九名提出衆法第七号) 同日  出水電報電話局舎新築等に関する請願池田清  志君紹介)(第四二一号)  郵便切手及び収入印紙等売さばき制度改正に関  する請願外七件(大柴滋夫紹介)(第五三八  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六七号)  郵政事業に関する件(全逓の年末闘争に関する  問題)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本電信電話公社法の一部を改正する法律案議題として審査に入ります。     —————————————
  3. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 まず提案理由の説明を聴取することといたします。古池郵政大臣
  4. 古池信三

    古池国務大臣 ただいま議題になりました日本電信電話公社法の一部を改正する法律案提案理由について、御説明申し上げます。  日本電信電話公社の行なう公衆電気通信業務の一部につきましては、その内容等において必要があるときは、公衆電気通信法規定に従い他に委託して行なうことがあります。この公社委託を受けて行なう公衆電気通信業務は、公社の行なう公衆電気通信業務一体となって運営されなければならないものであり、また、その公益性を確保するため、その経営がいたずらに投機の対象となることなく安定して行なわれる必要があるのであります。公社の行なう公衆電気通信業務運営と特に密接に関連する事業につきましても同様のことがいえるのであります。  このような理由により、公社がこれらの事業に投資することにより、よりよき公社業務運営に資することが肝要と考え日本電信電話公社法に新たに一条を追加し、公社がこれらの事業に投資できる道を開こうとするものであります。  法案のおもな内容を申し上げますと、公社は、公社委託を受けて公衆電気通信業務の一部を行なうことを主たる目的とする事業及び公社公衆電気通信業務運営に特に密接に関連する業務を行なうことを主たる目的とする事業に投資することができるようにしようとするものであります。  なお、この事業範囲は、政令で定めることになっております。  また、実際に投資するにあたっては、予算で定めるところに従い、かつ、郵政大臣の認可を受けることになっております。  以上が、この法律案提出いたしました理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。      ————◇—————
  5. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 次に、郵政事業郵政監察電気通信電波監理及び放送に関する件を議題として調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。上林榮吉君。
  6. 上林山榮吉

    上林委員 私は郵政一般についてたくさんの質問の材料を持っておるわけでございますが、時間の関係もあるようでございますから、きょうはその一部に触れて、そしてまた委員会の適当な時期に残余を質問させていただきたい、こう思っております。  まず郵政大臣に伺いたいのでございますが、郵政大臣参議院議員であられるので、不幸にして私はあなたのことをよく知らなかったのでありますが、聞くところによりますと、かつて郵政省におられたということで、それ以来郵政事業に対するあなたのやり方について非常なる期待を持っておった一人であります。しかし、その苦心あとはよくわかりますけれども、私どもが、おりに触れ時に拝見いたしますと、残念ながら私ども考え方と違うものが相当あられるようであります。たして郵政大臣考え方が今後の日本郵政事業発展のためにプラスになるのか、それとも多年郵政事業と取り組んできたわれわれの考え方のほうが、プラスになるのか、これはやはり第三者、特に多くの国民大衆の批判をお互いに受けなければならぬと思います。私はいずれが是か非かということは、いま申し上げたことに譲るとして、私ども立場から申し上げて大臣の見解を明らかにしてもらいたい、こう思います。  それは全逓の年末闘争に関する問題であります。私は、従業員諸君郵政事業を通じて国民に奉仕しなければならぬ、これが大前提であり、しかもまたこれが終着駅でなければならぬ、こういう考えを持つ一人であります。ところが、不幸にして——双方に言い分があるのでございましょうが、年末闘争という一番国民の困った時期にそれを利用いたしましてスケジュール闘争を毎年繰り返しております。ことに職場の改善、待遇の改善、こうしたようなものの域を脱して、政治的な闘争、政策的な闘争、ことに行政権範囲内に立ち入るかのごとき闘争をやってきておるということは、私ども立場から言えば、まことに遺憾しごくであると考えるわけです。そこで、その具体的な内容については、後刻あるいはまた日をあらためてお尋ねをいたしますが、きょうはそのあらまし、その中で昭和三十八年十二月郵政省から配られた「トップ級会談の模様について、全逓の年末闘争」というリーフレットでありますが、私は、この表面のところのトップ級会談というような抽象的な意味はわからぬじゃございません。だが、その次のページを繰ってみますと、新聞その他報道で盛んにいわれたトップ会談となっております。一体トップ会談という意味は法的にどうなるものか、あるいは法的以外についてはどういう解釈をしておられるのか。まず私はそのトップ会談性格についてこの際明確にしておく必要があると思う。その点について大臣はちゅうちょすることなくいままで考えておられたことをすなおに発表される必要があるかと思います。
  7. 古池信三

    古池国務大臣 ただいま上林委員からのお尋ねに対しましてお答えを申し上げたいと存じます。  最初にお述べになりましたごとく、私は現在参議院に議席を持っておるものでございます。院は違いまするが、上林委員の御芳名はかねがねよく私は承っております。十分に承知しております。私も仰せのとおりかつて若い時分に郵政省、当時は逓信省と申しておりましたが、ここに職を奉じまして郵政事業に力をいたした時代がございました。もう二十年も昔の話でありまするけれども、今日でも非常な愛着を郵政事業に持っておるものであります。したがいまして、日本郵政事業をさらに一そうよりよいものにしていく、そうして国民皆さんが十分御満足していただける、喜んでいただけるものにしたい、こういう熱情におきましては、私自身どなたにも劣らないつもりで今日やっておるのであります。ただ非才微力にいたしまして先生の御期待に沿わない点があることがございますれば、まことにこれは遺憾でありまして、今後十分に気をつけて、さらに一そう勉励をいたすつもりでおりまするから、足りない点、あるいは気のつかない点がございましたたら、どうぞ御注意をいただきたい、かようにお願いをまずもって申し上げておきたいと思います。  昨年の年末にあたりまして、全逓組合のいわゆる秋季年末闘争というものが行なわれました。このことは当時新聞その他のマスコミ機関も詳細に報道をいたしまして、皆さん御存じであろうと存じまするが、私は郵政省に参りまして、三十万という職員をかかえた大きな事業でありまするから、正常なる労使関係を維持して、お互いが理解し合って仲よく事業発展のためにつとめていくということが正しい道であろうと信じまして、そういう考えのもとに行政を進めてまいったのであります。ところが、全逓組合諸君は、私の真意を了解されたかどうかわかりませんけれども、私としてははなはだ不本意な態度をとられる事に至りまして、この点は非常に私も遺憾に考えております。一応その経過について概略を申し上げたいと思いまするが、御承知のこの郵政事業郵便局制度の中で大きな比重を持っておるのは特定局でございます。上林先生も、かって郵政政務次官として事業発展のために非常な御尽力をいただいておりまするから、私から詳しく御説明申し上げるまでもなく十分御存じと存じまするが、この一万四、五千の特定局の今日まで郵便制度草創以来果たしてきた役割りというものは、非常に大きかったと私は思います。また、今日においても、日本郵便事業を円満に運行していく上において大きな業績をあげておることも否定できないと思うのであります。ところが、残念ながら、この局舎のうちの三分の一程度というものは相当老朽をし、あるいまた手狭になったという局がございます。そこで、これらについていかに改善をすみやかにすべきかということで頭を悩ましてまいったのでありまするが、もちろんそのうちの一部は国の予算をもって国費改善をやってまいりましたけれども、これも予算の上からいいまして限度のあることは申すまでもございません。そこで国費でやる以外のものは、どうしても民有の方法によって改善することが近道でありますし、また、それが緊急の問題であろうというので、幸いに簡易生命保険積み立て金がございまして、これを今日まで多額に地方公共事業のために運用しております。その例にならいまして特定郵便局舎——もちろんこれはりっぱな公共機関でありますから、この公共機関をよりよく改善するための費用として簡易保険積み立て金を運用したらどうかという案が研究されまして、もちろん大蔵省、自治省あたりとも十分に協議を遂げた上で、その方法でいくということになりまして、三十八年度において財政投融資計画の中に三億円が計上され、これを第一年度として五ヵ年計画で二十三億円の費用をかけて、およそ千局余りの特定局舎改善を実行しようという案が立てられたのであります。私はこれはけっこうな案であると考えましたので、これを決定しまして、地方の局に実施方通達いたしたわけであります。  ところが、この問題に全逓組合が反対をされまして私に会見の申し入れがありました。八月十二日に会見しまして、その通達を撤回せよ、かような要求でありましたが、これはもとより管理者として当然やるべき仕事であり、またよい案であると自分は考えておるから、通達を撤回する意思はないということをその際にお答えをしたのであります。その際には、ほかにもいろいろな案件について要望事項がございましたが、それらのいわゆる団体交渉によってきめていくべき問題については、誠意をもって交渉にあたりましょうというわけで研究を約したのでありますが、その後九月ごろから事務当局のほうで交渉を始めておりましたが、十月の末になりまして、組合側都合によってこの団体交渉はしばらく休んでくれ、こういう要望がありました。私のほうでも、組合都合ということでありますからその意思を尊重いたしまして、団体交渉を中休みをしたわけであります。たまたま十一月といえば衆議院の総選挙がございました。総選挙が終わりましてその下旬、二十六日に至って年末もだんだん近づいてくるから、すみやかに団体交渉を再開をして、年末手当その他の経済的な要求もありますからこれらは早く誠意をもってお互い交渉に臨んで妥結しようではないかという呼びかけをしたのであります。そこで組合側のその関係人たちは、よろしい、やりましょうということで一たん帰られたのでありますが、翌二十七日におきまして突如として組合の下部に指令を出して、十二月一日からは三六協定を結ばない、いわゆる時間外の超過勤務をやらないという指令を出したのであります。そこで私どもとしては、はなはだこれは本意ないことであるというのでさらに説得をして団体交渉をやりましようということを言ったのでありますが、はなはだこれがうまく進まないという状態で、結局十二月の三日に私は組合幹部と会ったのであります。そのときに、組合はやはり特定局舎改善問題というものを撤回してくれという要望が重ねてありましたが、私は既定方針のとおり、組合がいかに言われましても、これは撤回をするわけにはいかない、こういう話をしましたら、それではもうこれ以上話し合っても意味がないからというので、組合幹部は席を立って帰られたのであります。  その後いろいろ曲折はありましたが、組合の言われることは、数十項目の要求は出しておるが、最も重要に考えるのはこの特定局舎改善問題である、これを当局側が撤回しない限りは、あとの経済の問題の団交には入らないし、また経済問題の団交をかりにやってその点において妥結をするとしても、特定局舎問題について組合の言う主張が通らなければ、最後まで闘争態勢は解かない、こういう組合として非常に強い態度で迫ってこられたのであります。私はつくづく考えますのに、郵政事業という大切な事業をおあずかりしておりまして、国民公共のために迷惑を及ぼすということは、これはあくまで避けなければならない。また、同時に、従業員立場考えなければならない。しかしながら、かような労使間の交渉におきまして間違ったことをやってはいかぬ、これは将来のために非常に大きな禍根を残すことになるから、やはり通すべき筋は通していかなければならないというので、組合とも再三その問題を話し合うように努力はしたのであります。ところが、組合はあくまで先ほど申したとおりの主張を変えてくれないのであります。それで、私はこの特定郵便局改善するというような問題はあくまで管理運営に属する事項である。これは公労法にも御承知のようにはっきり定められておりますように、団体交渉対象とはすべきではないということは自明の理でございます。これに対してあくまでも組合側が聞き入れられませんので、私どももこれに妥協をして、こちらの主張を曲げるというわけにはいきません。といいながら、一方においては、年末は御承知のように郵便物が非常に増加してまいりますし、その措置のために非常に苦心をいたしましてあらゆる努力を尽くしたのでございます。その努力は尽くしましたけれども、なおかつ郵便物滞留を見、あるいは万やむを得ず小包郵便物の一部の引受け制限もいたしました。はなはだ遺憾でありました。けれども重要通信確保のためにさようなことをしたのでございます。これが大体年末闘争における概略でございます。  そうしておりますうちにだんだんと日がたって、いよいよ年末ぎりぎりに迫ってきた。そこで私どもは、いわゆる非常勤職員すなわちアルバイトを多量に雇い入れて、あるいはまた民間の団体にも協力を依頼しまして、幸いにして郵便物滞留は十二月二十日をもって峠を越しまして、一時多いときには百七、八十万通が滞留しましたが、それから以後においてはだんだんと滞留は減ってきたのであります。ここで、従来は超過勤務なくしては年末は乗り切れない、こういうのが常識でございましたが、かような制限はいたしましたけれども超過勤務がなくてもどうにかこれは乗り切れるのではないかというふうな考えもしてまいったのであります。しかしながら、一面におきましては、年末になって非常に重要な、たとえば商業上の取引の決済関係であるとか、そういう通信が出てまいりますから、これはあくまで確保せなければならぬ。そしてこれ以上公衆に御迷惑をかけたくないという気持ちが一つと、それからもう一つは、この多数の二十何万という従業員をかかえておりますが、その従業員諸君組合指令によって動いておられますけれども、その人たちの心理を考えてみると、なかなか複雑なものがあろうと私は思うのです。  そこで、できればそういう人たちに年末手当をあげないで年を越させるということは、管理者立場としてまことに忍びないものがあるということも考えつつ、私は非常に心を悩ましておったのであります。そのうちに、二十四日ごろでございましたか、組合のほうから情報が入りまして、管理者側はどうしても特定局舎の問題はあとへ引かないと言っておるから、組合考え直して、この問題は団体交渉からはずそう、いわゆるほんとうの筋道に戻ろうというふうな決意が組合側でできたという情報が入ったのでございます。それなら非常にけっこうである、いままで組合として筋の通らない闘争をしておられたが、その点が自覚されて、この問題は管理運営事項であるから、組合としては団体交渉目的にしないという、そういうことをはっきり自覚されたならば非常にけっこうであると私は思っておったのであります。  そこで、そういうふうな態度組合も変わってきた様子でありまして、団体交渉をする前に一度幹部が私に会いたいという申し込みがありました。この申し込みは、私が受け入れようと受け入れまいと私の判断によることでありまして、法律的に何ら義務が生じておらないわけであります。けれども、この事態を収拾する意味において、筋の通ったやり方においてやるという意味なら、何も組合側要望を拒否するにも当たるまい、こう考えましたので、それではどういう話か知らぬが会いましょうということで、私のほうでは、私の部下に、政務、事務両次官、人事局長、これだけが大臣室において待っておりましたら、組合側のほうでは、組合臨時代理者でありまする尾島繁君ほか三名の随員を従えてやってきたのであります。そこで私は会見をいたしましたところが、組合側としては、いままで大臣の言っておった特定局舎問題が管理運営事項である。したがって団体交渉対象にはならないということはよくわかりました。認めます。が、しかし、いままでもこの問題は、組合としても非常に重要に考えておって、歴代の大臣との間では話し合いを続けておったのであるから、そういう慣行があるからこれは尊重してほしい、こういう発言がございましたから、私はそれに答えて、今日まで過去のことを研究してみたが、それはそのときどきの大臣によって、その大臣の見識と判断によって扱われたということは認める、しかしながら、こういう管理運営事項組合との話し合いによって、いわゆる組合が反対すればやれないというふうな意味合いにおける話し合いによってきめていったというふうには私は承知しておらない。それから、慣行であると組合が言われるけれども慣行であるということは認めない。それはケース・バイ・ケース、そのときどきの事情によって話し合いはしたということはあるけれども、そういう慣行が樹立されておるということは私は認めない、こういう話をしました。それならばこの問題について組合意見を聞いてくれないのかと言いまするから、さような狭量なことは私は申さない、多数の組合従業員意見は、大臣として十分に聞いていくべきことは当然であるから、意見意見として聞くが、あくまでそれは参考である、かような問題について最後決断を下すものは当然大臣にあるのであるから、それだけの責任があるのであるから、ただその考えに至るまでの参考資料として組合意見を聞いてくれというならば、それはぼくは聞きましょう、こういう話をしましたら、組合側も納得をいたしまして、それではけっこうでございます。そういうことでございました。大体その話が約一時間ばかり続きましたが、かいつまんで要領を申せばそういうことでございます。  以上が大体ただいまのお尋ねに対する私のお答えでございます。
  8. 上林山榮吉

    上林委員 概要と言いながら、懇切丁寧に相当長い間お答えを承ったわけでありますが、その中で明らかになったことは、トップ会談というのは、単なる便宜的なことばであって、法的性格を持ったものではない、全然そういうものではないけれども団体交渉を開く前にちょっと意見を交換するというような意味であっただけにすぎないのである、こういうふうに解釈していいわけですね。これは念を押しておきたいと思います。
  9. 古池信三

    古池国務大臣 率直にお答え申しますと、私の趣味から言いますと、そのトップ会談なんという文句は私はきらいなのであります。ただ、当時新聞紙上によりましてトップ会談というようなことが書かれておりました。そこで事務当局が印刷をする場合にそういうことばを使ったと思いまするけれども、私はかようなことばはあまり好みません。  それから法律的にもこれは何らの規定があるわけでもなく、ただ随意に私が会った。向こうの切なる要望がありましたから、それじゃ会おうということで会っただけでありまして、法律的な意味は何らございません。
  10. 上林山榮吉

    上林委員 法律的意味責任もない、これは当然のことだと思いますが、それならばここのトップ会談とかいうもので会談したものを団体交渉に移して、大体それと同じ線で妥結をした、こういうことになりますか。
  11. 古池信三

    古池国務大臣 それは大きな間違いでございます。この数名の者の話し合いは全く法律的な意味のないものであることは、ただいま御説明したとおりでございます。これは引き続いて団体交渉がありました。これにはむろん私は出席いたしません。これの団体交渉はいわゆる法律による団体交渉でありますが、その団体交渉場面においては、この特定局舎問題というものは全然出ません。すなわち、これから影を消したわけでありますから、その点はただいまのおことばとは少し事情が違いまして、この団体交渉においては、もっぱら経済問題、勤務条件等の本来団体交渉によって扱うべき問題のみを交渉としてやったわけでございます。
  12. 上林山榮吉

    上林委員 その点は、ものを書く場合もものを言う場合も、公私を問わず、管理者最高責任者である大臣は、明確に今後も言うべきものであろう、また言うべきだと私は考えておる一人でございます。  そこで問題は、トップ会談にも、それから団体交渉の場合も、性格は違うというものの、委員長ではあるが郵政省がこれを委員長として認めていない宝樹委員長、これと大臣との間がトップ会談であり、しかもまた、団体交渉場面を私どもがテレビ、新聞あるいはその他を通じて拝見しますと、ほとんどメインテーブル宝樹委員長がすわり、あんたやあるいは管理者当局がすわって、発言もほとんどその人と交換をしておる。これは正常なる労使関係の秩序を乱すやり方だとはお思いになりませんか。ただ、臨時代理を便宜設けておられますけれども、実質的に臨時代理が一切の責任を負ってやっておられるように私ども第三者として見受けられない。やっぱり問題というものは、客観的にも、主観的にも、だれが見ても委員長ではあるが資格なき者と認めている郵政当局が、だらだらとこれを改め得ずしているということは、これはあなたが郵政省の昔の出身者であられるという意味で、ぼくは少し決断力というか、前向きの姿勢がお足りにならぬのじゃないか、こう考えておる。これはやむを得ないものとして、今後も、臨時代理を便宜設けているから、形はまあ整っているようなものにも見えるから、これを踏襲していきますというのがあんたの方針であるかどうか。これは遠慮なくおっしゃい。あなたが三年も五年も郵政大臣をしておられるわけじゃないのだから、これは一つぐらいはっきりした態度を、正しいと思われるなら——それは意見が違えば別だが、正しいと思うなら、そういう何と言いますか、決断を前向きで下していくという必要があると思うのですが、いかがです。
  13. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまのお尋ね、あるいは御意見は、まことにごもっともだと思います。宝樹氏は、組合のほうとしては、委員長ということで選任をされておられるようでありまするが、私どものほうとしましては、委員長として認めておらない。あくまでも組合の代表者は尾島繁君であります。したがって、私が会いますときにも、尾島繁君を代表者として認めて、この人と会っておるわけであります。ただ、そういう場合に、たまたまこの宝樹氏がついてきておるのでありまするが、ついてきたのを、お前帰れとまでは今日まで言わなかったのであります。あくまで私は尾島代表と話し合いをしていくわけでありまして、団体交渉の場合においても同様であります。その辺のところは、私の考え上林委員と同様でございまして、宝樹委員長というものを認めておるわけでは決してございません。その点はさように御了承いただきたいと思うわけであります。
  14. 上林山榮吉

    上林委員 認めていないということは大臣が明言をされたから、私どもにはわかるのです。しかし、第三者がこれを見た場合にはわかりません。ことに、国民大衆が見た場合はわかりません。それがトップ会談対象となり、団体交渉対象となってメインテーブルにすわっておる。テレビの映写をごらんになりましたか。宝樹委員長のものは、五分間の映写のうち四分間、あなたのはたった一分間。そういうような状態で、第三者は、報道機関は扱っているのですよ。(「しょうがないじゃないか」と呼ぶ者あり)しょうがないのじゃない、郵政省がだらしがないから、そういう扱いを報道機関がするようになってくる。形は臨時代理を設けておるが、実際はやっぱり宝樹が実権を握っているのだ、郵政省もこれを対象にしているのだ、こういうように見られがちなんですよ。それじゃ困るのです。苦しかろうが、いろんな圧力もあるでしょう、あるでしょが、この点はそういうものに屈することなく、正しい道は、やっぱり最高責任者として、秩序を、第三者が見ても誤解を受けないような方向に持っていくべきです。これは天下の大道ですよ。何もちゅうちょすることはない。私はそういう意味合いにおいて、今後誤解を受けないような団体交渉その他の行動をもっととってもらいたい。いまのでは誤解を受けます。私は了解をしました。あなたを信頼します。了解をいたしましたが、世間はそう見ない。そこをひとつさっき申し上げたように重ねて言いたい。いろいろな圧力に屈することなくしっかりとおやり願いたい。これが私の考え方であり意見であります。  そこで、トップ会談などということは、これはデモクラシーの今日あるべきものじゃない。かりにあるとしたら、これはさしみのつま的トップ会談でなければならぬのです。ほんとうはやっぱり団体交渉が重点でなきやならぬ。会談とかトップとか、そういうものでない、電話ぐらいでお互い話し合って地ならしをして、そうしていわゆる団体交渉に臨むならよろしいよ。大臣意思はどうだ、あるいはそのトップクラスの組合の指導をしておる三役あたりの意見はいかがです、こう言って、簡単に地ならしをして、そうして正式の団体交渉に臨むことはよろしい。こういうような今後トップ会談と銘打って印刷してもいいようなことじゃ、もう郵政事業いずこにいく、大臣の話とは逆コースをいくんじゃないかというような気がしてならない。今後は、また来年の年末も起こるでありましようけれども、あるいはまた、その中途で起こるかもしれませんけれども、そういうことは今後おやめになる御意思があるのかどうか。これは党内でも、あるいは一般国民でも、トップ会談というのは一体どんなものでしょうと聞かれて、われわれは答弁に困っておるんだ。今後おやりになりますか、こんなことを。
  15. 古池信三

    古池国務大臣 いろいろ貴重な御意見を伺わしていただいたのでありますが、ただ一つ申し上げておきたいのは、私としては、もちろん世間の誤解を招くようなことは、今後十分に注意をして、やらないようにしたいと存じます。今日までも相当な注意をしてまいったのでありまするが、これをマスコミがどういう形で取り上げたからどうこうということは、ちょっと私としては、マスコミに対して注文をつけるということはいかがなものかと考えます。あくまでマスコミはマスコミとしての公平な、公正な態度をとられるであろうということを私は期待をしておるわけであります。これについては、私はこの際申し上げることははばかりたいと思います。ただ、そういう誤解を招くようなことがあっては遺憾でありまするから、それは十分私として気をつけてまいりたいと思っております。  それから、来年の年末はどうなるのか、またそのときに幹部と会うかどうかというようなことは、これはそのときにならないとわからないのです。そのときの情勢次第であると思いまするが、団体交渉は、なるほど法律にもきめられておりまするが、これには大体原則として大臣は出ないということになっております。団体交渉委員なりあるいはそれぞれ担当の者が団体交渉に当たるわけであります。今日まで私も団体交渉の席には出ておりません。したがって、組合幹部が話したいから会ってくれないかと言えば、これもむげに会わぬといって断わるのもいかがかと思う。やはり時と場合によっては幹部と会うということは、決して違法でもなければ、私は悪いことでもないと思います。ただ、会うことの内容が世間に誤解を招くということはよろしくない。したがって、その内容については、私は誤解を招かないようにそういうプリントを出したわけでございまして、それ以外には何も私は他意はないわけでございます。正々堂々としてやっていこう、こう考えておるわけでございます。
  16. 上林山榮吉

    上林委員 あなたの話し方は、大体私の意見と同意見だと言いながら、場合によってはまた来年も会うんだ——会うことはいいですよ。あるいは電話その他の連絡で意思の疎通をはかることもいいんだ。だが、郵政省郵政省と銘を打ってトップ会談であるという、あたかもこれは単なる新聞記事と見られない何らかの法的性格、法的でないにしても、何らかの慣習的な性格、そうしたようなものが、野次の中で社会党の諸君が、積み重ねだからそうなるのだよと言うように、積み重ね方式になってしまうんです。そういう型になるんです。これはやはり右にも左にもいい顔をするという態度を改めて、もう少しこういう点はやはり考えてやっていくべきものであると思う。  そこで、先ほどもあなたが答弁の中で明確にされたように、いわゆる十二月二十五日午後六時四十五分から七時五十分の間に行なわれた会談、これはかってに新聞が書いたんだと言うけれども新聞をまねて郵政省が書いておるこの会談、この会談において、いわゆる「特定局問題は従来の慣行により取扱うものとする。」ということを考えていたんだが、組合としては「転貸問題については、通達撤回などは行政機関の長として出されたものである以上、撤回はできないであろうということは前にもいったので、組合としてはこれにはこだわらない。特定局問題は従来の慣行によって取扱うものとする、ということの、従来の慣行意見交換だと思う。」こういうことを、この会談において、いわゆる労組側の指導者の諸君は言った。これは私は大臣の答弁をそのとおりであると思うんだが、このとおりであったのかどうか。  そこで最後に、「特定局問題は従来の慣行により取扱うものとする。」これは、慣行というものは認めない、ただし意見を聞くことはある、意見を聞いても、最終的決断大臣においてこれを行なうものである、何ら拘束を受けるものではない、これも引き続いて御説明があったんだが、そのとおりだと私は信頼しておるけれども、いわゆる単なる答弁でないように、もう一ぺん念を押しておきたい。
  17. 古池信三

    古池国務大臣 ただいま仰せのとおりでございまして、組合側は従来の慣行であると、こう主張しましたが、私は慣行は認めない、ケース・バイ・ケースで、そのときどきの大臣の見識、判断によってやられたことであって、何ら慣行として受理されたものはないということをはっきりいたしました。同時に、今後の私の方針といたしましては、これは私ばかりじゃなく、当然そうあるべきだと思いまするが、そのような管理運営事項は、法律においても団体交渉対象にならないとはっきり書いてあるとおりでありまするから、こういう問題は、独自の判断によって決定すべきものであって、組合との話し合いとか、あるいは団体交渉などでやるべきものではない。最後はもちろん大臣が最終責任をもって決断をしてやるべきものだということを私が話しまして、組合もそのとおりでありますと言って了承されたのであります。
  18. 上林山榮吉

    上林委員 そうしてそういう意味でこの会談を終結して団体交渉が持たれた、団体交渉の中では特定局舎の融資問題は出なかった、出なかったというよりも、前の話によって永解をしたものであると認める、こういう意味でございますか。
  19. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまのお話のとおり、まことに明快で、そのとおりであります。
  20. 上林山榮吉

    上林委員 私は、この問題に関連して、まだ基本的にも実際の問題としても大臣と質疑応答をかわしたいのでございますが、時間の関係で他日に譲りまして、最後に一言申し上げたいことは、年末闘争というスケジュール闘争、これは国民が一番困った時期をめどにして行なわれる闘争であるので、これは非常に悪い慣行だと私は考える。このPRが郵政省は足らない。全逓のPRに負けている。もう少し正々堂々とPRを国民がわかるようにやらなければならない。これがちょっと足らぬ。今後大いにやるべし。それはさておいて、しかし、こういうものが起こることはお互いに不幸であるから、話がつくものはつかせなければならぬ。話がつき得るものはつかせなければならぬ。話がどうしてもつかないものは、はっきりと何回も断わるべきです。そこで、いかがでしょう、こういう問題を十二月に起こすことはいけないから、労組の最高指導者の諸君とも話し合って、せめて十月ごろ、それができないならば、おそくとも十一月までに話し合いのつくものは話し合いをして、話し合いがつかないならば、最後まで努力は続けるが、努力を続ける一方、国民に迷惑のかからない体制を別にとらなければならぬ。あわてて体制をとるから国民に迷惑がよけいかかる。あわててとらないように、少なくともスケジュール闘争を繰り上げて向こうにもやってもらう。ちょっとおかしな言い方ですけれども、いずれにしても話し合って——年末という、国民にとって一番不幸である時期に、労組が自分の意見を通さんがためにはいつまでもやるのだ、かってにやるのだという思想は、これは社会を破壊するものですよ。そんなやり方はちっとも前向きじゃない、近代的な労組じゃないです。だから、いま言ったように、双方が話し合って、少なくとも十一月にはめどをつけてしまう。つかないものはつかないような態勢で一方に準備態勢を整える、あるいは臨時の配達その他を動員した場合も早目に訓練をする、そうして片づくものならば片づけるが、どうしても片づかないときには、国民に迷惑のかからない最善の方法をとる。これがやはり郵政大臣としての責任ですよ。従来の慣行をちょっとよくしてやろうかという程度じゃだめですよ。それじゃだめなんです。少なくとも、あなたも郵政省に長くおられて、国会にも長くおられて、日本の労働運動がどんな姿であるということはもうおわかりのはずだ。一部いい面も出てきたが、まだまだ悪い面が非常に多くて、国民に迷惑をかけているということは、こういう点をもう少し認識してもらわねばならぬが、話し合いをもっと早目にして、繰り上げて、国民にできるだけ迷惑をかけないようにする。話し合いがつくものはつける。どうしてもつかないものは、やむを得ないから断わる。そのためにトラブルが起こっても、そのトラブルの結果が国民に及ぼさない方法、その具体的方法を——時間がないからきょうは申し上げませんが、私は持っています。かねて委員会でも申し上げておる。そういうようなことを早目にやるのです。これをやらなければだめです。十年一日のごとくじゃだめですよ。それじゃだめです。そういう意味で、ひとつ十分おやりくださることを切望して、最後にあなたの答弁を求めます。
  21. 古池信三

    古池国務大臣 まことに切々たる御意見、ごもっともでございます。全く私もいまのお説同感でありまして、私の申さんとするところをすべて言い尽くされたような感がいたすのであります。私が就任しまして従業員諸君にまっ先に言いましたことは、われわれのになっておる使命の重大性、何が何としましても第一にわれわれとしては国民のための奉仕者である、国民全体のために奉仕するということを忘れてはならないので、これが第一の心がけであるということを皆さんにもお話しして、私自身もさような心がけでおりまするが、郵政事業に携わる者は一致して国民の奉仕者だという考えで、事業運営していかなければならないということを考えております。  また、先ほどお話しになったように、多数の従業員をかかえておりまするので、何も好んで事を起こすというものではないのでありまするから、話ができるものは円満に話し合いを進めていく、しかしどうしても話し合いができない、また私どもの正しい考え組合が認めてくれないというときには、これはどうしても長い闘争のような形になることはやむを得ませんが、極力さようなことは避けてそうして年末の最繁忙期においては、組合も十分に自粛して協力してもらうようなふうに今後持っていきたい、こう考えております。  また、われわれのほうとしてPRが足りないという御注意も、まことに私胸にこたえるのでありまして、努力はいたしますけれども、なおかつPRの点において不足しておることは十分認めまして、今後もこの点においては努力をさらに重ねてまいりたいと思います。  その他非常に貴重な御意見がありましたが、(上林委員「繰り上げの点」と呼ぶ)繰り上げてやるということは、これはもちろん私どもも望むところであります。ただ、今度の問題は、われわれは盛んにそのことを言いましても組合が応じてこなかったという点があります。まあ十分に今後やっていくつもりでおります。やはり問題は世論であります。今度の年末闘争にしましても、静かにながめますと、世論は組合に非常にきびしかったということは事実であろうと思います。今後組合もわれわれも正しい道を進んでいきたい。先ほど私が右に左に頭を向けておるようなお話でありましたが、絶対にさようなことはございません。私はあくまでまっすぐに正しい道を前向きで進んでおりますから、そのことをもって御答弁を終わります。
  22. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 次会は明後十四日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十三分散会