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1964-06-11 第46回国会 衆議院 地方行政委員会地方公営企業に関する調査小委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十一日(木曜日)    午後一時二十二分開議  出席小委員    小委員長 藤田 義光君       大西 正男君    久保田円次君       武市 恭信君    森下 元晴君       和爾俊二郎君    佐野 憲治君       重盛 寿治君    華山 親義君       門司  亮君  出席政府委員         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  小委員外出席者         地方行政委員  安井 吉典君         厚 生 技 官         (環境衛生局水         道課長)    大橋 文雄君         自治事務官         (財政局公営企         業課長)    近藤 隆之君         参  考  人         (日本水道協会         理事長)    國富 忠寛君         参  考  人         (東京水道局         長)      小林 重一君         参  考  人         (大阪水道局         長)      清水 清三君         参  考  人         (全日本水道労         働組合書記長) 尾本 市造君         参  考  人         (甲府市長)  鷹野啓次郎君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 六月十一日  小委員盛寿治君同日委員辞任につき、その補  欠として重盛寿治君が委員長指名で、小委員  に選任された。 同日  小委員登坂重次郎君同日小委員辞任につき、そ  の補欠として久保田円次君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員久保田円次君同日小委員辞任につき、そ  の補欠として登坂重次郎君が委員長指名で小  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公営企業に関する件(公営水道事業に関す  る問題)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより地方行政委員会地方公営企業に関する調査小委員会を開会いたします。  地方公営企業に関する件について調査を進めます。  本日は、公営水道事業に関する問題について参考人から意見を聴取することになっております。参考人として、全日本水道労働組合書記長尾木市造君、日本水道協会理事長國富忠寛君、東京水道局長小林重一君、大阪水道局長清水清三君、甲府市長鷹野啓次郎君、以上五名の方々が御出席されております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人方々には、御多忙中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。公営水道事業に関する問題について、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べ願えれば幸いに存じます。  なお、本日は本会議が午後二時から開かれます関係から、小委員会はその時刻に一たん休憩し、本会議散会後、大体午後三時ごろの予定でありますが、再開することにいたしますので、初めにそれぞれ大体十五分以内に取りまとめて御意見をお述べ願いたいと存じます。再開後、委員諸君からの質疑に対してお答えをお願いしたいと存じます。  それでは成富参考人小林参考人清水参考人尾木参考人鷹野参考人の順序でお願いいたします。  國富参考人
  3. 國富忠寛

    國富参考人 いま御指定がありました、私、日本水道協会理由長國富でございます。日本水道協会という立場から、私は日本水道大小を通じたいわゆる一般的の見地から、今回の問題につきまして私見を発表させていただきます。  少し前置きがありますが、わが国水道昭和二十六年には普及率が二五%でありましたのが、十二、三年たちました今日は普及率が六〇%になっております。言いかえれば この十二、三年間で非常な発展を見たわけでありまして、これは国民水道重要性を認識したことと、それから政府、国会の水道普及に対する施策がよろしかったことと私は思っております。一方また、この普及率を離れまして水道の全体の様子を見ますと、最近人口都市に集中いたしまして、都市人口が非常にふえております。また一方、産業の興隆で都市の中のいわゆる工業家庭工業下請工業、こういうものが非常にたくさんの水道を使います。のみならず、一番問題になりますのは、文化生活が非常に向上しまして、住民の一人当たりの使用量が飛躍的に大きくなったことであります。いまのように、使用者がふえるのと、それから一人が使う量が非常にふえたことが重なり合いまして、ここ数年来の需要ふえ方は全く驚くべきものがあります。実はわれわれ専門の立場の者でも驚いておりまして、卑近な例をとりますと、東京は御承知のように水が不足で、いろいろ断減水をやっておりますので正確なデータがつかめませんが、名古屋とか横浜とか大阪なんかの様子を見ますと、大体十年間に施設が倍必要になってくる、いわゆる需要が倍になっている、大体この見当にお考えになっても間違いないのではないか、このように私は思っております。  一方、話をかえまして、これは皆さんには大分おわかりのことと思いますが、水道経営と申しますのは、地方公営企業法独立採算制が明示されております。また水道法水道料金原価主義ということがはっきりされております。したがって、この需要増加いかんにかかわらず、とにかく水道経営していく上におきましては、それに見合う水道料金をいただいて経営していくのが原則になっております。ところが前段に申し上げましたように、需要が非常にふえておりますので、当局はその需要に応ずるために先手先手を打って施設増強をはからなければなりません。この施設増強が、わが国水道も相当古いものでありますから、手近の取りやすいところの水源は取り尽くしまして、だんだん遠方の金のかかるところから水を取るようになる。したがって、その施設費が膨大になってくる。物価の高騰、人件費増高、労銀の暴騰でさえ困っておりますのに、このように住民水道サービス向上のための施設増強に非常なたくさんな投資が必要になってきます。したがって、ここ二、三年来各都市ただいま申しました経営原則から公正妥当な料金を算出いたしまして、好ましいことではありませんが、料金値上げということが方々で行なわれてきております。ところがこの一月に、政府のほうの御方針で、公共料金値上げの中に水道も含まれまして、その自粛が強く要望されております。こうなってまいりますと、ただでさえ非常に苦しいのに、料金の公正妥当な値上げができないとなった場合は一体どうなるのであろうか。公正妥当な料金に改めることが私は順法精神と思っております。それを、これに見返る、またはこれに何か救援措置を講じないで、一方的にただ自粛要望されることは、私としてもどうしても承認しがたい点なんであります。  もう少し申し上げますと、もし無条件で自粛要望されるのなら、政府国民全体に、自粛要望している間は少々夏の断減水があってもがまんしろ、平素の水道サービスが多少低下してもがまんしろ、そういうこともあわせてうらはらで御通達願うのなら、まだ多少所はわかりますが、水道サービスはもちろん従前どおりやれ、というて料金のその経費は出すことを許されぬ、これは私どうしても納得できないのであります。  元来水道料金は、もうご承知のように昭和八年と現在と、物価指数を比べましても、公共料金のガスが最低で約二百八十倍、あとの郵便とか新聞とかまたは公衆浴場、こういうものは三百倍から六百倍になっております。しかし水通料金は、日本の平均がぜいぜい二百倍程度じゃないか、私はこう考えています。また一面標準家庭生活費の中で占める水道料金の代は、これは多少都市大小で違いますが、私は中都市並みで〇・五%程度じゃないか、こんなふうに考えております。このように、確かに料金値上げは好ましいことではありませんが、非常に日本水道料金は安いということは、私は諸外国に比べて言えるのではないか、こう思っております。  なお事柄のついでに申し上げますと、さっきのいろいろ施設増強しますので、どのくらいその施設増強のために響いておるかというのを水道協会のほうでデータをとりましたところ、これは三十八年の三月末に調べたものでありますが、全国の八百都市のうちで、収入の根源をなす水道料金起債元利償還が占める割合が三一・一%になっております。この内訳を申し上げますと、元金支払いが九・四%で、利子が二一・七%になっております。いまのところは利子が非常に多いわけであります。もちろんこれは最近飛躍的に起債増加がありまして、ただいまいろいろ均等償還等関係で、いまのところは利子のほうに非常にウエートがかかっておりますが、これはだんだん先になってくればバランスしてくる、このように考えます。とにかく問題は、収入の三割以上が、施設経営維持管理は別としまして、政府でお借りした起債償還に充てるという点が、非常に伸び盛りにある水道事業者にとっては非常な痛手になっております。この点を特に御認識願いたい、私はそのように思っております。  最後に、私の一つ希望といたしましては、一応いろいろ方法があります。たとえば抑制期間中、何かそういう抑制期間中の損失を補償するというような考え一つあります。しかしこれはあくまで暫定的な方法でありまして、私の強く要望いたしますのは、起債元金償還の延長と利子引き下げであります。  少し横道に入りますが、私も欧米各国先進国水道を調べましたが、非常な施設増強をやりながら、向こうの決算を見ますと、非常にその支払いと申しますか、償還比率が少ないのであります。さっき申しました日本のような、こんな大きな数字はないのであります。これは全くあちらのほうでは元金償還が非常に長いこと、利子が非常に安いということが大きな原因であります。  以上のような点を私、強く要望いたしまして、私の一般的な所論を申し上げました。
  4. 藤田義光

    藤田委員長 ありがとうございました。  次は、小林参考人にお願いいたします。
  5. 小林重一

    小林参考人 私、棄京都水道局小林でございます。水不足制限給水まで行なっております東京都の水道事業現況財政事情につきまして、いささか私見も加えて申し述べたいと思います。  お手元に「水道事業現況財政事情」という刷りものをお渡ししてございますので、これによって御説明申し上げたいと思います。  一ページに、「給水現況と見とおし」。東京都における近年の水道需要は、年平均いたしまして一日二百六十万から二百七十万トンに達しており、夏季最盛期は三百万トンをこえております。ことしの夏はおそらく三百四十万トンに達するという見込みでございます。これに対して現有施設給水能力は二百五万トンにすぎません。早く施設能力需要に応じていける正常な姿にしなければならないと考えておるわけでございます。幸い政府をはじめ関係方面の御支援によりまして、現在その根本対策である拡張事業を鋭意実施中でございます。すなわち、中川江戸川系拡張事業、これは一日四十万トンのものでございますが、及び利根川系拡張事業、これは一日百二十万トン、これは月下実施中でありまして、前者は本年の六月十五日に、後者は十月に一部三十万トンの給水を予定しております。さらに本年の二月に利根川水系における水資源開発基本計画が決定されまして、東京都が昭和四十五年までに必要とする水量の獲得のめどがついておりますので、上記の事業に引き続いて、第二利根川系拡張事業、これは一日百五十四万トンでございますが、これを実施しなければならないと考えております。かようにいたしまして、東京都の水道は、昭和四十五年において初めて需給の均衡のとれた正常な姿となるのでございます。  次に拡張事業でございますが、この昭和四十五年までの需給計画をもとにいたしまして将来の計画を立てたわけでございますが、これが二ページの表の「需給計画」でございます。これによりますと、三十九年では、ことしの夏に三百三十九万五千トン、約三百四十万トン一必要でございますが、これに対して二百四十四万六千トン、これは中川江戸川系でこの六月から四十万トンの給水をいたしますので、先ほど申し上げました二百五万トンに四十万トン加わっての施設でございます。以下、四十五年におきましていまお話し申し上げました中川江戸川系利根川系、第二次利根川系を完成いたしますと、ちょうど四十五年で施設能力需要とがバランスするわけでございます。  これに要する拡張事業資金でございますが、三ページの表に「拡張事業執行年度割」と書いてございますが、これでいきますと、三十八年が二百四十一億、以下毎年、二百六十七億、二百九十五億、二百九十三億と、大体三百億近い拡張事業をやっていかなければならないことに相なるわけでございます。  それから次の表は、三十一年、三十九年、それから四十二年、四十五年における固定資産増加状況を示したものでございます。これで見ますと、三十一年に五百七十八億の固定資産は、四十五年には三千三百四十五億と相なりまして、三十一年度の約五・八倍に相なるわけでございます。  次に財政収支状況でございます。去る三十六年の八月から二〇・六%の値上げをいたしたわけでございますが、その後、渇水になって水不足状況になりましたので、拡張事業を活発に行なわなければならぬということから、拡張事業の急速な進展に伴って元利償還費の急激な増高を来たしております。また河川水の汚濁に伴う薬品費が非常に増高しております。また電力料金改定による電力費増高、また職員の給与ベース改定による人件費増加というようなものによりまして、財政事情は急激に悪化することとなっております。これらの要因のうち、おもなるものを次の表に順次示してあるわけでございます。  五ページの「企業債元利償還費推移」でございますが、これは三十七年から三十八年——これは決算期でございます。これでまいりますと、三十九年は元利償還金が十六億三千万、利子及び手数料で五十一億八千三百万、合わて六十八億一千三百万で、料金額比率をとりますと四八・七%に相当するわけでございます。これが順次増高いたしまして、昭和四十五年には九四・七%に相なるというわけでございまして、東京都の事情といたしましては、この元利償還費というものが非常に今後増高していくという傾向でございます。  次に六ページに「学業収支推移」がございますが、これは先ほど申し上げました、二ページにございます昭和四十五年までの需給計画によって拡張事業実施して正常な水道としていくということと、それからサービスの低下を来たさないように施設の補修、改良を行なっていくという前提のもとに、いわゆる給水収益と費用を計算したものでございます。三十八年度までは決算でございます。三十九年は予算でございます。以下そういう推移考えてまいりますと、昭和四十五年においては累計約一千億の欠損が生ずるということでございます。これをさらに拡張改良事業資金を含めた現金ベース収入、支出を見ますと、七ページの表に相なるわけでございます。三十八年、九年度は、資金不足というものは一時借り入れ金をもって充当しておる。これらの収支の見積もりから見られますように、本都の水道事業は、拡張事業進展と相まって、悪化の一途をたどることになっております。新しい水源による給水昭和三十八年度より逐次増加してまいるのでございますけれども、これらの水はコストが、水源が遠隔になるわけでございまして、いままでの施設に比べますと、非常に割り荷となっているわけでございます。以上のような状況から、昭和四十五年において資金不足額累計が約一千億円に達するという推移に相なるわけでございます。  次に九ページに、財政安定のための考え方を一応掲記したわけでございます。政府公共料金値上げ自粛要望に応じて昭和三十九年度は赤字予算の編成をしております。このままでまいりますと、昭和四十年度においてはとうてい資金措置ができない状況になるのではないかと危惧しているわけでございます。  元金償還金の延伸につきましては、水道事業界の年来の要望であって、その達成を強く要望するものでございます。しかし東京都の場合を考えますと、政府債割合というものは二〇%から三〇%にすぎないわけでございます。当面の財政措置としてはきわめて軽微な緩和にすぎないわけでございます。  次に借り入れ利率引き下げでございますが、これは抜本的対策とはなりませんけれども、成長期にある水道事業界にとっては最も強く要望するところでございます。  根本対策としては、抑制期間中の収入不足額に対する財政補給希望するわけでございます。その後においては事業独立採算制のたてまえから申し上げますと、料金改定によらなければならないのじゃないかと考えるわけでございます。なお、東京都におきましては、終始、企業合理化については事業の各分野にわたって常に最大の努力を実施しているわけでございます。  以上、東京都の立場から水道現況財政事情を申し上げたわけでございます。
  6. 藤田義光

    藤田委員長 ありがとうございました。  次は清水参考人にお願いします。
  7. 清水清三

    清水参考人 大阪水道局長清水でございます。私は大阪水道現況を申し上げまして、その立場から簡単にいろいろな問題に触れてみたいと存じます。  「大阪水道事業の現状と将来」というパンフレットがお手元にあると存じますが、これにつきまして簡単に御説明申し上げます。  この建て方は、大体水道事業といいますものは同じようなことをやっておりますので、東京さんのおっしゃったのと大体よく似た関係になっておりますが、ただ数字とか状態が多少違いますので、御参考に願えればけっこうだと思います。  第一ページ目には「需要増加とその対策」といたしまして、需要の増大の傾向を書いてございます。これは先ほど水道協会國富理事長からもおっしゃったように、最近急激に水の需要が伸びてきた、特に全国都市部において需要が急に伸びておるという状態が、特に東京とか大阪、こういうところに顕著に出ておる例でございます。一番最後から三行目に「一日最大配水量は、三十六年百五十二万三千七百立方メートル、三十七年百六十四万二千百立方メートル、三十八年百七十六万三千八百立方メートルと毎年十万立方メートル以上の増加を示している。」と書いてございますが、御承知だろうと思いますが、水道施設といいますものは夏場の一番水のたくさん出る時期、そういうものを目標施設をつくっておる。考え方によっては不経済なつくり方かもわかりませんが、年じゅう水が出なければならないというかっこうにいたしますと、どうしてもそういう考え方にならざるを得ないということで、こういうことを目標にわれわれは施設をつくっておるわけなんであります。  第二ページ目にいま申し上げました「一日最大配水量推移」、そういうものが表に出ております。「別紙1」と書いてあります図表うしろのほうに出ておりますが、「人口及び配水量曲線」こういうものをごらん願いたいと存ずるのでありますが、この図表によりますと、線が三本ございまして、一番上が人口曲線まん中曲線が一日最大水量曲線、下が一人一日最大配水量曲線、これはみな水道の用語でございますので、おわかりにくいかと存じますが、そういう線を三本引っぱってございますか、そのまん中の線、一日最大配水量曲線、これが先ほどの二ページの一番上の表、これをここヘプロットしておるわけなんでございますが、この表にありますのは、昭和十五年から昭和五十年くらいまでの曲線をあらわしております。このまん中曲線の実線が昨年までの実績、点線が今後の予想、こういうことになっておりますが、この予想曲線に従いましてわれわれは水道拡張車業計画し、かつやっておる、こういう状態でございます。  このように次々と拡張事業をやっておりますが、二ページの上のほうに「(2)出水不良」と計いてございますように、やはり夏の最盛期には水の出のにぶいところが相当あるということで、「(ア)夏季における需要は、現在配水能力を大巾に上廻っているため出水不良の激化をきたしている。(イ)配水管網整備不足のため市内各所で出水不良をきたしている。」これは東京の御説明にはございませんでしたが、大阪市では意識的に制限をするということはございませんが、やはり需要量供給量との差ということで、部分的に水の出ないところが出てくるわけであります。  まあ御参考までに、別級2と書いてあります「市内水圧概況図」という赤と青とで示しております図表がございます。これをごらんになりますと、この大阪市内の白い部分は夏でも完全に営業ができるところであります。赤い部分は、これはちょうど昨年の七月の中旬がそうでございましたが、夏場になりますとこの赤い部分は一日のうちに何時間か水が出ない。別に一日じゅう出ないわけではありませんが、ラッシュ時に出ないとか、ひどいところは昼間出ない。夜は全部出ますが、昼間出ないというところが点々とある区域を総括して赤であらわしてございます。青い部分は、昼間、そうたいしたことではないが、やはり一日じゅうで出ない時間があるという程度のものであります。そしてこの白い部分が約六〇%ということになっております。したがって六〇%は完全な水道、こういうわけであります。  そういう事情でございますので、(3)の「建設改良事業促進」ということかやはり引き続き必要になってくる。第二ページの「(3)建設改良事業促進」、アとして「第8回拡張事業」、その要項は二ページから三ページにかけて書いてございます。  ここでひとつ申し上げておきたいのは、ただいま私のほうの配水能力といいますのは、一ページの下から五行目にございますごとく、一日標準配水能力は百四十六万二千立方メートル——立方メートルとトン数は水においては同じでございますので百四十六万二千トン、こういう能力でありますが、この第八回拡張事業においては、三ページの詳細を見ていただきましたらわかりますが、一日約七十二万トンの施設を七年計画でやるということになっております。大阪市は過去六十七年の間に百四十六万二千トンの水道をつくっておったのでありますが、次の七年間でその約半数の七十二万トンぐらいの水道をつくらないと間に合わぬ。先ほど理事長の話にもありましたように、非常に急激な拡張をやらぬと間に合わぬ、こういう一つの例でございます。そういう拡張事業を現在やりつつあるわけでございます。  経費の要ることばかり申し上げますが、そのほかに三ページの「イ、配水軒整備——拡張事業といいますのはいわゆる水道施設基本になる施設をつくるものでありまして、町の中にそれに見合うパイプをやはり増設しなければ末端給水はできないということで、配水管整備というものが問題になってくるわけであります。そういうものはいま自己資金でやっておるわけなんでありますか、それが最近非常に急激になってきた、こういう事態でございます。ただいま申し上げました八回拡張なり配水管整備を理想的に行なえば、昭和四十三年ごろには先ほど申し上げました赤とか青とかいう色が大体白になるだろうという希望を持ってわれわれは工事をやっておりますが、先ほどの別紙しの表の配水曲線にもございますように、すでにわれわれが昭和三十八年以降かくなるであろうと予想しておった点線を逐次上回りつつあるという状態でございます。したがって、予想より常に需要のほうが大きいというような状態であります。大阪市の人口増は御承知のように多少にぶってきだという状態でございますが、水のふえ力のほうはわれわれの予想よりふえておるというような状態になっております。これは生活程度向上とか文化生活の問題、あるいは産業用水、そういうものも相当入っておるわけなんですが、そういうことでまだまだわれわれの予想よりは多少上向きではないか、こう考えるわけであります。  第四ページの二番、「財政の状況」と書いてございますが、「収支のすう勢」といたしまして、私どもは昭和三十年の十二月にこの前の料金改定を行なったわけでありますが、その後しばらくは年々数億円の利益を計上いたしまして、比較的順調に事業の推進がなされてきたわけであります。その後三十七年度に千五百万円の利益ということになり、三十八年度においては二億五千万円程度の赤字が見込まれるに至ったわけであります。この傾向は今後ますます急激にふえるであろうということでございますが、後ほど別紙3、別紙4で表を見ていただきましたらわかりますが、昭和三十九年度から四十三年度までの五カ年間の収益的収支を総合してみますと、約百十六億六千万円の累積赤字となる計算になるわけであります。一方資本的収支を見てみましても、上から七、八行目になりますが、内部留保資金の不足により三十九年度から四十三年度までの五ヶ年間で約百十三億四千万円の資金不足を生ずるという計算になるわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、四十三年度で理想的な水道になるということでやっておるわけでございます。  以上、収益的収支及び資本的収支を総合しますと、三十九年度から四十三年度までの五ヶ年間で累計百五十七億四千万円の資金不足を生ずるわけでございます。いまの状態は、別紙3、別紙4、これに数年を並べてあります。読み上げますと、別紙3は「水道事業収支計画表」別紙4は「水道事業資金収支計画表」、かりに料金改定を問題にするときには、これによるわけでございますが、この水道事業資金収支計画表の一番左の端に「給水収益」と書いてございますが、これは水道料金収入でございます。この途中で三十八年と九年のところで切れておりますが、八年以前と九年以後別々にごらんいただきたいと存じます。三十八年まででいろいろな収入、支出を差し引きまして、一切がっさいで一番右の端の「資金残」というところでございますが、六千六百万円残るという勘定になり、「この資金残」の途中で十億とか六億とかいろいろなことがございますが、その年その年によって多少残ったり残らなかったり、そういうものがだんだん減ってきまして、三十八年度では六千六百万円金がある、こういうことでございます。したがいまして三十九年度から四十三年度まで、これは大体第八回拡張が終わるまでということでいろいろな数字を合わしてみますと、その結末が一番左の端の「給水収益」三十九年度は五十六億三千三百万円の料金収入がある。四十年は五十九億五千七百万円ある。ずっと寄せますと、三十九年度から四十三年度で三百十六億八千二百万円の収入がある、こういう関係でございます。収入、支出、そういうものを差し引きいたしますと、一番右から二番目に「差引」と書いてございますが、三十九年度では十七億二千五百万円の資金不足が上ずるであろう。四十年度では二十四億四千四百万円の不足が上ずるであろう、これを累計いたしますと、四十三年には百五十七億四千一百万円、先ほど申し上げたそれくらいの数字になるであろうということであります。もっともこれは先ほどの配水量曲線点線、ああいうものから類推した数字でございますので、いろいろな状態で、水が非常によけい要るとか要らなくなるという状態で、収入も伸びたり縮んだりいたしますので、多少の出入りがあるかもわかりませんが、現在では大体その程度ではないか、かように存じておるわけであります。  以上、大体財政状態を申し上げましたが、最後に、東京都のほうから申されましたが、しからばこの財政状態はいかにするかということでございますが、これは特別にいい知恵はないのでありまして、先ほど東京さんがおっしゃったような、たとえば借り入れ金償還を延ばすとか借り入れ利息を引き下げるとかいうこともございますが、これは今年度以降の問題でございまして、将来の水道事業経営収支には非常にいい結果が生ずるので、非常に望ましいところでございますが、さしあたりことし、来年の間には合わないであろうということで、ことし、来年というようなところを切り抜けるためには、根本問題としましてはいろいろございますが、どうしても合理化の問題もあります。この一瞬最後に別紙5という表がございます。これは「費用構成比累年比較図」と書いてございますが、これは毎年の費用を、〇〇といたしましたときの人件費、資本費その他経費——その他経費と言いますのは一般物件費でございますが、そういうものの比率を書いてあるわけであります。実線で囲まれた四角は実績であります。点線で囲まれたのがこれからの推計でありますが、こういうふうに人件費のほうは絶対額は上がりますが、率はそう上がらない。むしろ下がりぎみである。物件費もその他経費も率は下がりぎみである。資本費だけが急激に伸びる、こういうようなかっこうになっておりまして、先ほど来東京都あるいは理事長からもお話のありました資本費の圧迫ということがこの表にあらわれておるわけであります。もちろんこれは費用を一〇〇とした場合でありますので、料金収入ということになりますと、また比率が変わってくるわけであります。  そういうことでありますので、この合理化の問題にいたしましても、年来いろいろなこまかい事柄、たとえば定年制の問題とかあるいはオートメーションの問題とか、そういうものはそのつどつどやっておりますが、まだやるべきことはあるかもしれませんけれども、そういうことはやらねばならぬ。これはもちろんのことでございますが、こういう問題の根本が資本費の償還、資本費の圧迫ということでありますので、どうしてもそういう合理化等だけではいけないという面が出てくるということになりますと、基本的には先ほどのお話の料金の問題がどうにかならないと、どうしてもいい知恵は出ないわけであります。ただいま自粛問題もございますし、各都市とも自粛の問題、それから市民の感情あるいは市民の納得と言いますか、協力と言いますか、その点もございます。私個人的には直ちに何とも申し上げられませんが、基本策はやはりそれではないか、かように考えておる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  以上で終わります。
  8. 藤田義光

    藤田委員長 ありがとうございました。  次は、尾本参考人にお願いします。
  9. 尾本市造

    ○尾本参考人 私は全日本水道労働組合の書記長の尾本でございます。ただいまここにおられます公述人と違いまして、私は専門的に水道の問題をここで論じ上げることは、知識も持っておりませんので、なかなかむずかしいと思います。しかし私たち労働組合といたしましても、過去四年間水道事業政策委員会あるいは水道事業研究集会という運動を通じまして、いろいろと水道の問題につきましては取り組んでまいっております。そういった面から、私はこの国会審議の場において、これの運動を通じていろいろ問題点を指摘してまいりました幾つかの問題点を申し上げ、皆さん方各委員方の善処ある御検討をよろしくお願いを申し上げたい、かように考える次第であります。水道事業の現状は、すでに協会の理事長さんも申し上げましたとおり、近年特に高度成長政策の産業基盤強化によるところの産業都市建設の影響は全国的に工業用水を激増しておりますし、さらには都市人口の集中化によるところの水の需要量あるいは需要区域の拡大という現象が全国にあらわれております。脱在日本水道普及率は、先ほども理事長も報告しておられましたとおり六〇%をこえるといわれております。戦後の普及率は戦前の六十数年の伸び率に匹敵するともいわれております。こうした背景の中で政府水道業整備十ヶ年計画を緊急五ヶ年計画に改めて、四十二年度を目標普及率を七五%以上に置きたい。そういうところから四千七百九十六億円の資金を投じて、これを実現させるために昭和三十八年度より着手をいたしておるところであります。このように目ざましい進展を遂げております水道事業の現状でございますけれども、水道事業の現状につきましては先ほどからそれぞれの公述人の方が申し上げておられますように、水の不足と財源難、こういった問題がいずれの都市におきましても一連の苦しい悩みとして各理事者、各管理者はかかえておるというのが現状ではなかろうかと思います。  さきにも申し上げましたように、水の需要量の拡大、需要区域の拡大に伴う水不足が起こることによって、当然水不足を解消するための水源確保とそれに伴う施設拡張改良工事が必要とされるところであります。そうしたところから必然的にそのために必要とするばく大な設備投資資金が投ぜられなければならないということは理の当然であります。こういったことから、設備投資に必要とする水道事業の現在の資金の実態は、すべて起債あるいは一時借り入れ金によってまかなわれておるということはすでに御承知のとおりであります。ところがこの起債及び借り入れ金元利償還金水道事業の財政上に占めるウエートの高いことは、現在の水道事業の財政を苦しくしておる、悪化させておる大きな原因とも言えるわけであります。自治省は地方財政自得で発表しておりますけれども、上水道事業経営状況昭和三十七年度の純損失額二十一億円、操り越し欠損金前年度残高合わせて四十一億円と報告しております。また六月八日の新聞紙上に発表をしております三十八年度の決算見込みでは、累積赤字は的年度より六七・五%増加し、六十八億円と、一挙に増加したことを報告しております。自治省はこの赤字増大の原因を施設拡張企業債元利償還企業経営にとって非常な負担となってきていることを率直に指摘しているところであります。  昨年政府物価の値上がりを抑制するという方針のもとに、公共料金値上げの一年間ストップをさせるということを明らかにしました。このため水道料金についても、値上げ抑制が行なわれました。このことは公共料金値上げ抑制の政府の政策が明らかにされたところから、地方公営企業特に都市公営交通事業の財政問題、これにあわせて水道事業の財政問題が国会の場で大きく取り上げられ、論議を呼ぶところとなったことは周知のところであります。率直に申し上げます。水道事業の場合は、都市公営交通事業の場合と異なり、料金値上げが地方議会の議決を得て、関係各省に了承を求めるだけで容易に実現されてきたことから、いずれの都市においても財政困難を理由に料金値上げを実現してまいっております。そういったことから水道事業経営と財政の問題については、案外世論は無関心であったということも言えるわけでございます。したがって一昨年名古屋、横浜、神戸を初め約七十の地方団体において料金値上げ実施されました。ことしは東京大阪、京都を初め多くの都市料金値上げ計画していた状態であります。このような情勢の中で、今回政府公共料金値上げ抑制の方針を明らかにしたのでありますが、確かに私たちとしては、物価値上がりムードの社会情勢の中で、物価値上げを抑制する、その処置として公共料金を抑制する政府の方針については、一応賛意を表したいと思うところでありますけれども、今回の処置は政府の政治的手段として地方公営企業が犠牲に供されたといっても過言でないと考えております。なぜならば、さきに述べたとおり、水道事業の財政現状に当面して、料金値上げ政府の方針として抑制しておきながら、その裏づけとなるべき財政的損失補償が何ら講じられておらない、自治体企業にその責任を転嫁するかのごとき政府のやり力に対しては、大きな矛盾を感ずるからであります。国の政策として打ち出す以上、当然そのことにより被害をこうむる各自治体事業に対して、何らかの政府の補償が講じられるべきであろうというふうに考えるからであります。しかしながら私は以上申し上げましたが、決して料金値上げについて賛意を表するということではありません。水道事業が御承知のように低廉にして豊富な水を供給するということは、法によっても明らかにされております。そのことが水道事業が地域住民に果たす役割りであるとも考えられます。また水は人間血清に欠くことのできない必要な生活物資でもあります。したがって低廉にして豊富な水を供給するためにも、健全な水道財政の確立とともに適正な料金化が必要であると考えます。そのためには水道事業の財政悪化の現状と将来の問題について、これから申し上げます諸点について政府の適切な施設を講じられるよう、要望する次第であります。  水道事業が社会的生活を営む上での役割りの重要性からも、公益非業として上水道事業に対しても国及び自治体からの補助制度を認められたいということであります。このことは、一つには工業用水には国及び自治体からの補助制度が認められております。工業用水の場合は、産業の振興と地下水くみ上げによる地盤沈下対策という国の方針に基き、国及び自治体からの補助が認められております。さらに料金においては、トン当たり五円五十銭以下の規制を加えているというのが実情であります。そうした政府のてこ入れを行ないながら工業用水の整備を行なっておるのが、工業用水事業の現状であると思います。一方上水道におきましては、ばく大な設備資金はすべて住民負担による料金でまかなわれ、工業用水料金の四倍も、あるいは五倍以上の料金が地方議会の議決があれば当然のごとく取りほうだいの形で認められ、課せられております。このことは、全国的に見てみますと、十トン当たり最低百円から最高が八百円を上回る高料金をかけ、著しい料金格差を招いておる現状もここに要因があるということも言えるのではないかと思います。特に人間生活に欠くことのできない飲用水供給の上水道事業に対して、工業用水と比較してなぜこのような格差が必要であるのか。同じ水を使用する住民立場から考えた場合、公平負担の原則からいっても当然上水道に対しても何らかの補助制度は講ぜられてしかるべきであろうというふうに考えます。  次に、さきに申し述べましたが、起債の問題であります。起債の内容は御承知のとおり政府資金、金融公庫、地方債、縁故債、その他というふうになっておると思います。政府資金による起債の場合は、年利六分五厘で二十五カ年償還でありますが、金融公庫の場合は年利七分六厘、十六年償還となっていると思います。上水道事業におきましては、さきに申し上げましたように、補助制度もないという現状から考え合わせましても、きわめて苛酷な条件で資金調達をやっているということが言えるのではないかと思います。そのことは利率が高いということであります。さらに金利の負担だけでも容易でない現状に加えて、償還義務が早すぎるということであります。水道事業では二十五年という償還期限は有形固定資産の耐用年数の全体的な面から考えましても、著しく短いということができます。ましてや償還期限十六年で償還をせよという公庫資金においては、無理難題であるといわねばなりません。問題は、私たちとして利子率の低下と償還期限の延長についての善処を要望したいのでありますが、重ねて要望を申し上げるならば、いま政府では償還期限延長の問題が検討を加えられておるというふうに聞いております。しかし、率直に申し上げますと、償還期限を延長するということだけでは、もろ手をあげて喜べぬというのが率直な私の意見でございます。それは償還期限を延長するだけでは、単年度の償還額は確かに減りますけれども、利子支払い額においては多くなるということがいえます。元利合計額においてはあまりありがたくない結果を招くからであります。したがって、これでは抜本的な解決策とはいわれませんので、償還期限の延長を利子率の引き下げと並行して実行されなければ効果的な解決ははかれないと考えております。さらに付言するならば、利子率、償還期限の条件の有利な政府資金の予算の拡大を善処されるようさらに要望をする次第であります。  次に、電気税の問題でございます。電気税の撤廃の問題につきましては、水道では、配水池から家庭に給水するために加圧ポンプで水を送っております。この動力費が事業費の中に占めるウエートは、ばかにならないかなり高い数字を示しております。特に起伏の激しい地方団体におきましては、事業費の一〇%以上を占めるというところもあります。この電力料は、都市公営の交通事業と比較をしてまいりました場合に、東京では、水道の年間使用料が七千五百万円に対して交通は三千八百万円、横浜では、水道の八百万円に対して交通では六百万円というふうになっております。この数字から見ましても、電力を必要とする交通事業よりも水道事業のほうがはるかに電力料を高く支払っておるということがいえます。都市交通の場合は電気税は免税となっています。しかし、水道の場合は課税の対象になっております。また大企業においては、政府は電気税の免税を認めております。その額は百数十億円にのぼっておると聞いております。これらのことを考え合わせてみますと、単に地方税収が減収になるということの理由のみで水道に対する電気税の賦課はあたらないと考えるところであります。特に公共事業としての水道聖業に対しても当然免税の措置が講ぜらるべきだというふうに私は考えております。  以上、財政的な問題につきまして所見を申し上げましたけれども、若干次に経営合理化の問題について触れてみたいと思います。  先ほど公述人の数人の方からも申されましたけれども、水道事業の財政悪化の原因に人件費の増大ということがうたわれております。自治省は、六月の八日の新聞紙上において、起債償還額の増大とあわせて給与改定による職員給与費の増加、動力費、材料費の値上がりなど大きい反面、これに伴う経営合理化が十分でないことを指摘されております。政府は、水道財政の悪化を経営合理化により適正化をはかろうという考え方のみではないと思いますけれども、昨年十二月に自治省財政局長の内翰によるところの企業職員の給与改定に対する干渉に至っては、明らかに私たち水道労働者のみならず地方公営企業職員に対する賃金切り下げの攻撃である、あるいは人件費切り下げによる経営合理化の攻撃であるというふうに私たちは受けとめております。確かに数次にわたる給与改定によりまして、人件費増加は認めるところであります。しかし、人件費増加事業費に占めるウエートは問題にならないのではないかというふうに考えております。そのことは年間営業費における増収分を勘案して、そのウエートを見ていただきたいことであります。さらに私たち労働者として、年々増嵩する物価高、民間賃金と公務員給与との格差に基づいた最低評価の人事院勧告に従い、自治体職員給与条例に基づいて給与改定がなされたものであります。このことから考えましても、企業財政の状態より職員の給与に干渉さるべきでないということを言いたいと思います。  私は、最後にこの問題を数字的に明らかにしてみたいと思います。  奈良市の水道事業事業費に占める人件費推移を報告いたしたいと思います。奈良市においては、三十二年度か事業費の二二・六%、三十三年度は二五・五%であります。私たちが第一次の賃金闘争で賃上げを得ました三十六年度の大幅のベースアップがあった年で、二九・一%であります。さらに引き続いてベ・アが行なわれております三十七年度で三〇・三%となっております。こういう数字の現状から見ましても、大体二%から四%程度増加にすぎない状態であるということがいえると思います。そういった状態から考えまして、私たちとして、水道事業の将来の発展のために鋭意各職場においては努力をいたしておるものであります。将来の公営企業水道事業の発展を願うためにも、私たちとしては、率直に水道を守るために健全な当局の労務対策を強く要望いたしまして、私の所見を終わりたいと思います。
  10. 藤田義光

    藤田委員長 ありがとうございました。  それでは、最後鷹野参考人、お願いします。
  11. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 甲府市長の鷹町でございます。  委員長さん、大体何分ぐらい……。
  12. 藤田義光

    藤田委員長 すでに本会議が始まりまして二十分経過いたしておりますから、冒頭に申し上げましたとおり、ぜひ十五分以内にお願い申し上げたいと思います。
  13. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 それでは、簡単に申し上げたいと思います。  私をここへお呼びになりましたのは、中小都市状態を聞きたいというふうな御趣旨ではないかと考えるわけでございます。そこで、本委員会が、委員長さんはじめ非常に御理解がありまして、私、ここへ用意しました「最近における水道事業経営全国的動向」というようなものは、すでに御了承でございましょうと思いますので、申し上げる必要はないかと考えております。さらには、最後に、私どもが「水道料金値上げ抑制に対する政府措置要請」というものも書いてございますが、これもすでに陳情書等、全国市長会等からも出ておりますので、申し上げる必要ないと思いますので、中小都市の財政状態給水事情等を、全体的なものを申し上げてもはたして御参考になるかどうかわかりませんし、私が中小都市の全体をはたしてうまくつかむかどうかもわかりませんので、甲府市の実情を申し上げて、御参考になるかどうか知りませんが、一応お耳に入れたいと考えまして、簡単に申し上げたいと思います。  甲府市の給水事情というものは——甲府市の給水は明治四十五年に始まりまして、もうすでに五十三年間になりますが、給水開始以来、二十五年目に第一回の拡張工事をやり、二十六年に第二回の拡張工事をやりまして、昭和三十七年の十月にこれが仕上がったばかりでございます。まだわずかに二ヶ年しかたちませんけれども、今回すでに第三次の拡張工事をしなければならぬような状態になってまいったわけでございます。こういうふうな、最近におきます給水人口増加と市川の生活の水準の向上というふうなものが、この方面に非常に大きく影響し、産業の発展というものにも水の需要が伸びてまいりましたわけでございますので、私ども、いま第三次の計画をしておるところでございます。配水量を見ましても、一日の一人当たりの平均配水量が、三十八年におきましては実に三百三十八リットルというふうなぐあいになりまして、最初の計画の二百八十リットルを大きく上回るような状態になったわけでございますが、どうしてもわれわれの生活、文化の向上というものが水に対する需要を大きく要請しておるというような状態から考えましても、私どもは、今後の水道経営というものは、いままでの見方、いままでの考え方ではとうてい応じ切れないということをつくづく考えるわけでございます。  ことに、私どものような、すでに五十数年前に始めましたところは、その間常に拡張工事に追われてまいりましたし、水道料金値上げというものも、社会の情勢に応じてまいったために、老朽施設の修理改善ということが手おくれになってまいったわけでございます。そうして、その大きなあらわれといたしましては、道路の上に重量車がたくさん通ります今日の状態におきましては——その当時は、そんなに大きなものが道路の上を通ると考えておりませんでしたので、埋設深度が浅いということ、さらには、いまのようなセメント・ライニングをいたしておりませんので、純水能力が減ってしまい、そして、耐久力が、早くくさってまいったということから考えまして、老朽化しました施設を直すということに非常に大きな力を注がなければならぬ状態になってきておるのが、普通の水道をやっておりますところの現実的な状態ではないかと考えるわけでございます。こういう意味におきまして、私どもは第三次の拡張計画を、第二次拡張計画がつい二年前に終わったばかりでまたやらなければならないような状態になっております。さらには、政府の御方針により、国道、府県道等の拡幅、本格的舗装というものに追われまして、その地下に埋設されております水道管を、たとえばまだ新しいよいものであっても布設がえをしなければならぬというふうな状態にも迫られてまいりまして、水道がこの方面にも非常に苦しみを受けておるわけでございます。  こういうのが甲府市の実情でございますが、この財政事情等を申し上げますと、私ども、昭和三十六年七月に、向こう五ヵ年計画事業計画、財政計画を策定いたしまして、ただいま申しました各種の改善等もいたそうといたしたわけでございますが、わずか三ヵ年数ヵ月経た今日におきましては、この五ヵ年計画というものが全く役に立たないような大きな変化を来たしてまいったわけでございます。すなわち私どもは、三十六年度当時におきましては、人件費増加、物件費の増加等が五%ぐらいずつ順に上がっていけばいいと考えまして計画いたしましたところが、人件費におきましては二%の増加となり、さらには水道債の元利償還金が非常にふえてまいりまして、この五ヶ年計画がすでにもう現実ではないというような状態になってまいったわけでございます。したがって、私どもは昨年の十二月に約三八%ぐらいの水道料金値上げをして、これに対応しようと考えておったわけでございますが、こんなぐあいに抑制の御方針がとられましたので、これに伴う何らの手を打つことのできない状態になりまして、今日非常に帯しんでおるわけでございます。  私どもは、こういうふうな現実的な状態は、ひとり甲府市ばかりでなく、中小都市、大体同じような形になっておるのではないかと考えるわけでございます。かりに私が調べました人口十万から三十万までの五十三都市の現実を調べてみましても、給水人口は六・九%ふえたばかりでございますが、−三十六年から三十七年、一ヵ年間の対比でございます。料金の収人は、改定をしましたところを除きまして、一〇・一%の伸びにすぎないわけでございます。しかるに、償還元金は三二・一%というような伸びになる。償還するための起債利子が一九・二%伸びており、人件費におきましては一二・七%、物件費におきましては一〇・一%というぐあいに伸びております。この五十三の中小都市の平均値を求めてみましても、ちょうど甲府市が、ただいま申し上げましたものと大体合っておるわけでございます。したがって、この平均値を一市当たりについて見ますと、収入の自然増は千八百二十四万円であるにもかかわらず、元利償還人件費、物件費の増は二千五百十七万円になりまして、実に料金収入の三・八%に当たる六百九十三万円が赤字になるというのが、この五十三都市の財政状態でございます。  こういう点を考えますときに、私どもは——いま一つの例としてあげましたものが甲府市の現実と大体が合っておるわけでございますが、その他詳しいことにつきましては、皆さん方はすでに各方面から資料をお寄せになり、十分御検討のことだと考えますので、重ねて申し上げません。ただ、こういうふうな、住民から水道施設をよくしろと迫られており、もう一つは、社会の施設が伸びてまいりまして、これに即応した対策をしなければならぬという状態に迫られております中小都市の現状というものを打開いたしますには、どうしても水道料金値上げをする、あるいは値上げをしないならば、これに対応する何か手を打っていただくということがなければ、この場を切り抜けることができないわけでございます。私ども、元利償還金の一年延伸によったらばどのくらいの影響が単年度においてあるだろうかと、自分の町の状態を見ますと、昭和三十九年度に料金改定をしようとする私どもの求めておりました財源というものが、三六%の値上がりによりまして八千万円を望んでおるわけでございます。もし昭和三十九年度に水道債の元利償還金の五千六百万円を一年間そのまま全額順に送っていただきますならば、わずかの違いで何とか一年がまんをすることができるのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、この長期債に対する二十五年の償還期限を三十年に延ばした場合の五ヶ年間の延伸によりましては、本市においては年に二百万円の差があるだけでございます。これを四十年間に延ばしましても、本市におきましては年間六百万円の差を生ずるにすぎないわけでございます。どうしても一年間据え置きをするということになりますと、元利償還金を一年順に繰り延べしてもらうということ、あるいはさらに運営のつかない市に対しましては特別な補償をしていただくというようなことが大きな問題になっておるのではないかと考える次第でございます。  その他のことにつきましては、各委員方々が御了承のことと思いますので、甲府市の実情と、その実情が中小都市五十三都市の平均と大体合致しております点を御了承いただきまして、御参考にしていただきたいと思います。ありがとうございました。
  14. 藤田義光

    藤田委員長 ありがとうございました。  以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。  本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後三時四十二分休憩      ————◇—————    午後三時十九分開議
  15. 藤田義光

    藤田委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  これより公営水道事業に関する問題について質疑に入ります。  なお、小委員外地方行政委員から発言の申し出がありました場合には、小委員長において適宜これを許すことにいたしますので、御了承願います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。なお、鷹野甲府市長並びに小林東京水道局長御両名の方が公用のために急いでおられますので、なるべく両参考人に対する質問を先にしていただきたいと思います。佐野憲治君。
  16. 佐野憲治

    ○佐野小委員 甲府市長さんに、お急ぎのようですから、まず最初に伺いいたしたいと思います。  きょうはほんとうにお忙しい中、いろいろ貴重な資料に基づいて御説明いただきまして感謝いたしておる次第でありますが、一応資料によりまして了承いたしておるわけですが、お尋ねしてみたい点が二、三あるわけです。  その一つは、甲府市におきまして家庭川の基本料金は一体幾らとなっておるかということでありますが、できれば用途別の料金はどのようになっておるか、こういう点をひとつ伺っておきたい。一問一答ではなくて、私が疑問に思っていることを順次述べますから一括してお答えしていただきたいと思います。  第二の点といたしまして、それらの基本料金考えます場合に、山梨県におきまして、たとえば五万何がしかの都市、あるいは二万五千以下の小都市、これらにおける基本料金は一体どのようになっておるか。山梨県だけをながめてまいりまして、その間に格差は一体どのような姿を現在示しておられるか。  それから第三の点といたしまして、この水道建設事業に非常に積極的に取り組んでおられることに敬意を表するわけですが、そうした中にあってやはり考えられますことは、建設資金に対しまして起債の充当が現在どのようになっておるかということと、たとえばおたくのように六十年前からいろいろ水道の先覚者としてやっておられる。   〔小委員長退席、久保田(円)小委員長代理着席〕 そうした中にあって、この老朽施設その他の改良資金、あるいはまた新しく施設の拡充に基づく配水小笹、これらの建設事業起債事業となっていないわけであります。そういうものに対しまして、甲府市の場合におきましてこれを原価の中に含めておられるのかどうか、これらの点についても一応お伺いをしておきたいと思いますが、これに関連いたしまして、市長さんも御指摘になりましたように、水道施設が五十年の命数を持っているのに、起債が二十五年である、あるいは公営企業債が十八年である。こういうことから当然考えられますのは、元金償還と減価償却との差額という問題が出てくるだろうと思いますが、水道法による原価主義をとっているたてまえから考えてまいりますと、一体そういう場合の差額を原価の料金の中に含めておられるかどうか。現在の処理としてその差額をどのように取り扱っておられるか。原価料金の中に含めておられるのかどうかという点をお伺いしたいのと、最後料金の抑制がいろいろな問題を起こしているわけですけれども、しかしながら市長さんのおことばの中で、料金の引き上げこそが問題解決の根本だというぐあいに私はお伺いしたのですが、しかし二年前にも値上げをしておられますし、第三次計画実施される中において資金上いろいろ問題が起こっておるということはよく理解するのですけれども、しかしながらそうした値上げを予定しておられる、そういう場合におきまして、あるいは公聴会をお開きになり、あるいはまた市議会の論議の中におきまして、特に生活に密着いたしており、あるいはまた保健衛生にとりましても重大な使命を持っておるこの水道料金を引き上げる場合におきまして、現在における公営企業法による独立採算制という原則、あるいは水道法による原価主義に基づく料金制定の方針、これらのあり方に対していろいろな御意見がやはり出ておるのじゃないか。水道料金値上げで問題は解決というだけでなく、住民の中から、これほど生活に密着しておる水道料金に対して、もっと公営企業料金のあり方、公営企業経営のあり力に対しても一応相当意見がかわされておるのじゃないか。またそういうものに対する御意見も出ておるのじゃないか、かようにも考えますので、付かその中において出ておる問題がありましたら、御参考までにお聞きいたしたいと思います。と申しますのも、先ほど水道労組の書記長の方からも、あれはやはり工業水道のように補助制を取り入れるべきではないか。これは市だけの問題ではないのですけれども、そういう考え方なり、あるいは独立採算制という公営企業原則にいたしましても、やはり一般会計からこれを繰り入れるべきではないか、こういうような御意見も出ておるのじゃないかという気もいたしますので、それらの点に対しまして率直にひとつお聞かせ願いたい。非常に幾つも並べましたけれども一括してお答え願いたいと思います。
  17. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 甲府市におきましての家庭の基本料金は、十立方でございまして百五十円でございます。なお、営業用につきましては百七十円というぐあいになっております。そうして県下の町村等によりましては、町でも二百円、三百円取っておるところもあります。大体県下の料金はそんなふうな状態であります。  なお、建設に対しましては、第三期の計画におきましては九億の予算に対しまして、事業の総額に対しまして起債を八億要請しております。これは第二期におきましても六億数千万円でございましたが、起債を五億四千万円要請してそのまま許されております。こんなふうなぐあいで、建設資金といたしましては、こういうふうになりますのでできるわけでございますが、ただ、老朽施設改良につきましては、この起債を許す対象になっておらないわけですが、ちょうど第三期の拡張工事に対しましては、遠いところから水源を取りまして、いままでと反対の方面から——いままでは上流から主として取ってまいりましたが、今後は主として下流からポンプアップして取るというぐあいになりますので、ちょうど幹線の老朽した間は、大体全部布設がえをしなければ第三期の拡張工事ができないというような必然的な条件から、老朽施設改良ができるというぐあいになっておるわけです。しかしこれにつきまして私ども全国市長会の議題にもしたわけでございますが、今後ともこういうふうな老朽施設の改善についても起債の対象にしてもらいたい。ことに道路の拡幅、舗装等につきまして、これに当たる場合におきましても、そういう特殊なものに対しては、これに協力しなければ道路構築ができないわけでございますから、そういう場合においても考慮を払ってもらいたいというふうな陳情は全国市長会を通じましてしておるわけであります。耐用年度が大体四十年はいいと思いますので、やはり長期債という形からいきまして、いまの二十五年はどうしても四十年にしてもらいたいというふうに考えております。私どもいま五十年、五十三年になっておりますものは、ほとんど中がさびついていぼのようなものが出まして、水道の流通量が、技術者がここにおいでになるからはっきりそういうことはわかりますが、私にはわかりませんが、非常に低下して、三分の一くらいになっておるのじゃないかと思います。そういう状態と全体的にジョイントへ非常に大きな支障を来たしてまいりますので、本格的舗装をしても、そのまま舖装されますと常に漏水をして工事に苦しむ、舗装工事をこわす、しかも漏水率が大きくなるというぐあいに、影響が非常に多いと思いますので、そういうふうなものをも対象にしてもらいたいということを考えておるわけでございます。したがって元利債の償還原価主義のこの中に取り入れてやっておりまして、いまの料金できょうまでは経営ができたわけでございます。今後も私どもは三八%の料金値上げになりますればこの拡張工事もできますし、全体的な運営もこれによって計画を進めることができるわけでございます。この料金値上げにつきましては、非常に大きな影響が市民の中に起こりますので、実は昨年の十二月以来各学校地区単位、あるいは小さく各町単位に、毎晩のように係の者が手分けをしまして、公聴会を婦人会あるいは自治会等に呼びかけましてやっておりますが、いまの空気によりますと大体やむを得ないであろうというような大勢になっております。これは一般の人たちが、一般の物価値上げ水道料金値上げを同じように考えておるということが一つの反対の強い理由になったわけでございますが、私はこんなふうに話をしている。とうふの値上げをするときには、皆さん方が反対をしてももっともだと思う。とうふ屋さんがもうけるのだから、それはあなた方反対してもいいかもしらぬ。しかし水道料金値上げはあなた方がもうけるために——もうけるということはに語弊があるならば、あなた方の施設が理想的になるためにやるのであって、値上げによって得た金で市長が給料を余分にもらうわけではないのだ。一般の経費にそのもうけを投入するわけではないのだ、ことごとく水道経費のみに使うのだ、だからこの点を了承してもらいたい。もう一つは、皆さん方が反対ならば値上げはいたしません。値上げはしないけれども、この夏から断水をしはしば繰り返すようなことがあってよろしいであろうか、来年になったならは、水道の圧力も下がってきて、一朝火災の場合におきましても、十分消火活動ができないようなことになってもいいだろうか。甲府市は工業生産都市として将来発展しようという重要な施策を進めておるけれども、工場を招致するにしても、飲み水すらも足りないような状態で工場誘致も工業都市建設もはたしてできるだろうか。そういうことを考えると、五年先のことを考えて、きょう手を打っておかなければならぬじゃないか、こういうふうに話してまいりました。しかも皆さん方のお勝手に影響するところはどの程度かというと、甲府市における生活費の実態調査によりますと、水道料金の占める割合は〇・七%、一応百五十円が基本料金でございますが二百三十六円かを平均水道料金に押えて〇・七%の重さである。それを五十円あるいは六十円値上げするということならば、わずかに〇・二九か〇・二くらいの差ではないでしょうか。こういうことを考えると、皆さん方がそんなに騒ぐほどのものではないじゃないかというふうに説明してまいりますと、五十円や百円値上げすることによって、われわれが十分水を使えるならば、それはもうやむを得ないであろうというふうに、婦人会あたりの了承点にかなり達しておりまして、いつのときでも値上げの提案をいたしますれば反対する一つの空気がよく出るものと思いますが、市民の世論は、もうやむを得ないだろうという点にきていると私は考えておるわけです。  そんなふうなぐあいで、公聴会という形でなくて、私どもが市民の間に飛び込んでお話をしてまいっておる上におきまして、大体の御了承が願えるような段階にある。水道料金値上げこそは、他の料金値上げと違って、こういうものであるというようなことが了解できておると思います。これはひとり甲府市の実情だけでなくて、中小都市における全体のあり方ではないかと私は推察しているわけでございます。  簡易水道には補助金があるけれども、われわれの上水道には補助金がない。これに対して補助金をやるべきでないかというふうな御意見が先ほどありましたし、御質問の中にもありました。水道というものを、いま水道経営者みずからが、飲むだけの水に多く考えているのじゃないかと思いますが、これから社会生活がぐんと伸びてまいり、そしてわれわれが十分に毎日の生活を楽しむようになりますのには、水道というものは単に飲む水を使うのではなくて、生活全般をエンジョイするためにサービスすべきものだ、こういうように考えております。そういう意味におきましては、一般の要求以上に水道施設をよくして、ふんだんに水を供給するということが、公営企業体の使命を果たすゆえんではないか、こういうように考えます。こういうことになりますと、ある程度水道料金まではよろしいけれども、限界をこえた水道料金をとることはちょっと無理、ではないかと考えます。したがって、こういう限度以上におきましては国庫補助をつけまして、そしてあくまでも生活の向上ができ、日常が楽しめるように、水道の面におきましてサービスすべきじゃないかと考えます。こういう意味におきまして補助金もいただきたいと考えます。
  18. 佐野憲治

    ○佐野小委員 非常に貴重な御意見を伺いましたが、私は市長さんにお願いいたしたいと思いますのは、市長会の中核として、水道問題に熱心に取り組んでおられる市長さんだということをお聞きいたしておりますので、お願いしておきたいと思うのですけれども、一つは、山梨県は非常に水資源にも恵まれているという条件があると思いますが、全国的に見てまいりますと、安いところは六十円、高いところは一千円、こういう格差が出てまいっているし、そういう格差が拡大する傾向にあるのじゃなかろうかという意味において、この料金格差の問題に対して私たちもっと目を向けなくてはならぬじゃないか。適正妥当な料金とは一体何だろうかという点につきましても御検討を進めていただきたい。  第二の点として、いまお話のありました山梨県の場合はそれほど問題でないと言われましたけれども、やはり起債元利償還と減価償却との差額、これは原価主義のたてまえからいっても私は矛盾いたしているというふうに考えるわけであります。あるいは建設の中におけるところの配水小管、あるいはまたいま御指摘になっておられますような老朽施設なり、漏水なり、いろいろな建設改良資金が起債の対象になっていない、しかもこれが原価料金の中に繰り入れられる、これは理論的な立場からいうと相当問題が含まれていると思います。現実的に処置しなければしょうがないじゃないかという形で処理されておりますけれども、本質的な問題は本質的な問題として、やはりそういうものを原価料金の中に繰り入れることは、理論上も少し間違っているじゃないかという感じがいたしますので、そういう点に対しましても、私たちもこれからいろいろ検討してまいりたいと思いますけれども、市町村会におかれても十分その点に対して今後御検討していただきたい、かようにお願いして私の質問を終わりたいと思います。
  19. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 料金格差の問題、さらには水道債の償還年次の延長というような問題は、この料金抑制に直接関係がないという意味では特に触れておらないわけでございます。たとえば償還年次を四十年に延ばしましても、先ほど数字的に申し上げましたように、甲府市では年に四百万円くらいの迷いしかないから、この問題を水道全体の問題として水道料金格差を含めて考えるべきではないか。水道料金の抑制ということについては当面困っておりますが、その現実をどうするかということについて、われわれはこの席で材料を提供し、意見を申し上げておるつもりでおりましたので、特にお答えをしないでおいたわけでございます。料金格差の問題につきましても、小さい村は別として、大きな都市におきましても百円から八百円くらいまでの差がありまして、これは妥当ではないと考えております。これを適正に是正しなければならぬという考えを持っております。  それから設備資金に対する償還を原価の中に入れてはいけないではないかということにつきましても、私が先ほど申し上げましたようなぐあいに、水道というものの運営が本然の使命を果たすような段階におきましては、お考えのとおりのようなものが考えられるわけでございます。ただ現在におきましては、かろうじて飲むだけの水を供給するのに一生懸命になっている状態であり、その程度の設備であり、公営企業体として独立採算をとっている以上はやむを得ないという気持ちのみで考えておったわけでございます。もちろん将来につきましてもっと使命を果たす上におきましては、御意見のとおりにすべきである、私も同感でございます。
  20. 久保田円次

    ○久保田(円)小委員長代理 安井吉典君。
  21. 安井吉典

    ○安井委員 いままでいろいろお話を承っております点、私どももいろんな角度からこれまで検討しておりました方向と大体同じように考えられますし、またきょうは使用者側のほうも労働者側のほうもおいでなんですが、大体対策的な方向もニュアンスの若干の差はございますけれども、大体似てきておる。こういうふうに思うわけです。結局最後的には、当面の解決策はたくさんございますけれども、利子補給や償還年限の延伸、こういったところに集中されるような気がするわけでありますが、それはあとからまたいろいろ論議がなされると思いますが、いま甲府の市長さんがお帰りになる際だそうでございますので、この点だけ伺っておきたいのは、利子補給や延伸の問題も当然なんですが、それよりもっと前に、たとえば老朽施設、あるいは新設の事業計画をお持ちになっても、それに見合うだけの起債が十分に許されていないのではないか。そういう問題もその前の問題としてあるような気がするわけでございます。東京とか大阪みたいな大都市の場合ももちろんそうですが、中小都市なんかが計画をお持ちになっても、起債のワクがなかなか少ない、特に政府資金のほうのワクが少ないので、十分にまかない切れない。それを一時資金のやりくりで不足分を補いをつけているとか、そういうことが赤字の原因になっている向きもあるのではないかという気がするわけですが、その点何か実情をお漏らし願えれば幸いだと思います。
  22. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 水道起債につきましては先ほど申しましたとおり、起債と実際の経営につきましては、中小都市におきましても非常に違いがありまして、一がいに言えないわけでございますが、甲府市あたりの現実に徴しますと、大体起債はなかなかもらえないのだという頭でおりますので、最小限度の計画をして起債が得られると思う程度で申請しておりますが、甲府市においては大体いままで私どもが考えられるものをいただいております。ただし、それではいつでもきょうのかてをきょうかせいでいる程度であって、ほんとうに大きな計画を進めることはできないわけでございます。したがって全般的としては、起債のワクをもっと大幅に広げてもらわないというと、われわれの運営が十分でないということは事実でございます。以上でございます。
  23. 久保田円次

    ○久保田(円)小委員長代理 華山親義片。
  24. 華山親義

    ○華山小委員 時間もおありにならないそうでございますから、前置きはやめまして、失礼でございますが一問一答式にお尋ねをいたします。お許し願いたいと思います。  甲府市では赤字をお持ちだそうでございますが、この赤字は何か累積されました赤字でございますか、最近の赤字はどういうふうな状態でございますか。
  25. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 甲府市におきましては、今日まで健全な運営をしてまいりましたし、水道料金値上げも順次やってまいりまして、必ずしも私どもの考えるとおりの値上げはできなかったわけでございますが、今日まで赤字はなく連帯をしてまいりました。ただ、今次第三次拡張計画をする上において、本年度から実施しようとする水道料金値上げを抑制された現実におきましては、赤字は本年度において四百八十万出るという計算をしております。
  26. 華山親義

    ○華山小委員 工業水道といいますが、そういう設備を別にお持ちでございますか。今後工業都市建設ということもおっしゃいましたが、それらの工場につきましては、上水道と同じ水をお使いになるような予定でございますか。いかがな計画でございますか。
  27. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 甲府市におきましては、先ほども説明いたしましたように、工業都市建設を一つの大きな市是として進んでおりますので、先に工業用水計画を出しまして、通産省の許可を得て、通産省の昭和三十七年からの実施計画に入っております。しかし、まだ団地造成ができませんので、着手はいたしておりませんが、工業用水の水源用地もすでに確保して、いつでも右手できるような状態になりながら、そのままでございます。
  28. 華山親義

    ○華山小委員 できました際には、建設資金等は、上水道工業用水は別個の会計でやられるつもりでありますか。
  29. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 建設につきましては、御承知のとおり補助金もありますし、非常に楽に建設ができると思います。そして料金につきましては、五円五十銭かの規制がありますが、その範囲内において、その程度は取れることになると思いますが、これに対する経済は別個でございますので、上水道と離れております。
  30. 華山親義

    ○華山小委員 市町村合併等がございまして、甲府市の実情がいかがでございますか、私存じませんが、ほかの中小都市で、合併したことによりまして、土地によりまして水道料金が違っておるという事実があるわけでございますが、これを何か平均をする、そして水道料金を直していくということが甲府市等につきましてはございますでしょうか。あるいはお聞き及びの範囲内におきまして、中小都市につきましてはどういう傾向にございますでしょうか、お聞きいたしたいと思います。
  31. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 甲府市におきましては、上水道は全部一律の料金でございます。大体一つの平坦地に連なっておりますので、中心部の水道計画がそのまま全体に行きわたりますので、それでいいと思います。ただし山岡部あるいは土地を遠く離れたところ等におきましては、ある市町村においてはそういうこともあり得ると思います。甲府市におきましては簡易水道を敷いております区域がありますから、簡易水道は、あれは料金という意味ではなくて、維持管理の費用を余分に出しているところにはありますが、これはごく限られた、甲府市におきましては二、三ヵ所部分的なものがあるばかりでございます。しかし、その金額も非常に少ない金額で、上水道の中心部よりも負担金が少ない金額で運営されております。
  32. 華山親義

    ○華山小委員 この点甲府市はわりあい順調に恵まれた環境にあると思いますけれども、よそにおきましては、旧来新しい水道を持っているところが、水道料が高くて、都市部の中心等におきまして、古くから持っておる水道のほうが安いということで、同じ市町村の中で格差がある。同じ市町村の中で格差があっては困るということで、それを平均いたしますと、いままで安かったところが高くなっているということで、悩みを持っているようでございますけれども、そういうふうなことはあまり他の中小都市につきましては、市長会等において問題になっておりませんのでございましょうか。
  33. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 私は市長会等へ出まして、各市長と常にお話をしておりますが、そういうことは聞いておりませんのですが、多分あると思います。そういうことは望ましいことではないと思いますが、あるいはあると思います。
  34. 華山親義

    ○華山小委員 先ほど償還年限が五年間延びたとしても、二百万円程度しかならないというふうにおっしゃったと思いますけれども、それではこの赤字なかなかなか埋められないというお話もあったようでございまして、何かちょっと私了解いたしかねたのでございますけれども、どういう趣旨でおっしゃっておるのでございますか。恐縮でございますが、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
  35. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 よその市の例でなく、甲府市の例を申し上げますと、水道料金の抑制をされますと、本市が年間八千万円の収入減になるわけでございます。この貸借としては、八千万円なり、八千万円に近い数字の他の財源の補給というものを願わなければ運営がつかない。そういう八千万円に対してはただ五年間の延伸によって二百万円財源を逆に得られるというような形になったとしても、それだけでは問題にならないという意味で申し上げたわけでございます。しかし耐用年限が四十年でございますので、これは当然四十年にしてもらいたいという私どもの要求は強いものがあるわけでございます。そういう意味で申し上げたわけでございます。五年でも三年でも現在よりも耐用年限は延びるということはまことにありがたいことでございます。
  36. 華山親義

    ○華山小委員 そういたしますと、この八千万円というのは、これは起債でやるべき性質のものなのでございますか。どういう性質のものでございますか。
  37. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 自主財源でそれだけ入ってくるものですから、起債は仰いでいないわけです。
  38. 華山親義

    ○華山小委員 ああそうですか、よく考えてみます。またあとでも詳細を伺いましよう。
  39. 久保田円次

    ○久保田(円)小委員長代理 重盛寿治君。
  40. 重盛壽治

    ○重盛小委員 私は甲府の市長さん、お忙しそうですからけっこうです。もし甲府の市長さん、特に御用がおありでしたら、お先に・・・。  國富さんあるいは小林さん、清水さん等にお聞きしたいわけですが、いまお話を聞いておると、水道重要性ということはいまさら申し上げることはないのでございますが、当然国民生活の唯一なものであり、あらゆる産業の根幹となるものが水道である。その水道がときには出るとか出ないとかいう問題は別としても、行き詰まりを来たす、あるいは水道に対する公共料金の引き上げ云々というようなことのために、水道の運行がうまくいかぬというようなことは、本来私は考えられるべきことじゃないと思うのです。自治体なら自治体、あるいは国家なら国家が、国民生活の基本であり、あらゆる産業の基本である水道、だれもが心配しなくてもどんどん送っていかれるという水道をつくるのが水道事業のあり方ではないかと私は考えます。そういう観点からいく場合に、水道のすべてのそうしたもろもろの不満とか、あるいはいまいう国家の補償を受けようとか、あるいは地方自治体がどうしようとかいう、そういう窓口は、どなたが、どういう機構でおやりになっているのか、この文章からいくと協会の理事長さんということになろうかと思いますが、どういう方向づけでそれが運行されておるかということが一点。  もう一点は、水道料金基本はどこに置かれておるか、だんだんお聞きをしておると、みんながどこも借金が多くなって、赤字が多くなって、国から借りている借金の利子元金、あるいはその他から借りている負債の利子元金というものを払っていくということになると、三、四年たてばかなり行き詰まった状態になるのではないかということを聞いておるのでありますが、そういういわゆる施設費の非常にかかる水道事業施設費がかかる、冠気質がかかる、人件費がかかるそういう水道事業を運営するための水道料金は、どこに基準を置いて水道料金というものを制定しておるのか。いままでお聞きすると、側々の現実から割り出しておるように考えられますけれども、その二点をまずどなたからでもひとつお答え願いたいと思います。
  41. 國富忠寛

    國富参考人 お答えいたします。少しお答えからそれるかもしれませんが、私の水道協会と申しますのは、いわゆる協会でありまして、全国の各都市の市町村自身が事業においては責任をお持ちになって、また起債関係省にみな御要望になっておりまして、協会は面接には関係しておりません。ただ全国に非常にたくさんの水道がありますものですから、そういう要望をいろいろまとめたり、それから御意見を調整したり、また関係省とそういう都市との間のクッション的な役目をする、こういうのが水道協会でありまして、あくまでねらいはわが国水道事業普及発達、それを一枚看板でやっておるわけでございます。以上が水道協会の性格であります。  それから二番目の御質問の、水道料金はどういう性格のものであるかというような御輿間と思いましたが、これは東京の方からも補足するかもしれませんが、これはさっきから甲府の市長もちょっとおことばの中にありましたが、水道料金といいますのは、水道事業維持管理、それから改良する、そういう費用、それから建設工事は借金、起債でありますから、その借金の償還、以上の借金の元利償還、それから建設改良費、それから水道事業全体の物件費、人件費維持管理費、こういうものを加えたものが料金のもとをなしております。その料金収入全体がその費用の全体に見合うようになるのが公正妥当なものである。特に公営企業でありますから、その間に利潤を見込んではいけない、そういう点が強く言われております。以上であります。
  42. 重盛壽治

    ○重盛小委員 たいへんいい御意見ですが、理屈を言うようで相すみませんが、もしあなたの言われるように、施設費も維持費も管理費もみな含まれて水道料金ができ上がっておるとするならば、私はそう水道が財政的に行き詰まるという理屈は出てこないように考えます。そこに行き詰まっていくという現実は、たとえば公共料金値上げをしてはならぬという政府基本方針が一方にある。あるから、これには協力しなければならぬ。しかし現実にもしあなたの言われるように、施設費維持管理費、人件費、電気費からみんなプール計算をして、これを赤字にならぬようにするためにには、こういう料金にしなければならぬ。もちろん最初ゼロのところに施設をしてきたかもしれませんから、最初施設をしたものは償還をしていくと、それだけは残ることになる。本来ならばそれまで料金の中に含めればいいわけです。私はそうかといって、料金はできるだけ安くしてもらわなければ困るのでありますから、そういうふうな考え方からいきますと、わかりません。どうも水道料金というものは、まだ適正なものではないのではないかということが一般に言われるのです。その点は一体適正とお考えですか。それとも適正ではないのだ、どこかに無理があるからこそ赤字が出るのだという、その関係を聞きたい。  もう一つ、あなたの言われたように、政府公共料金を押えていく、これがあらゆる物価を押える一つ基本方針であるということでやっておるんだから、水道も公共事業だ、だからこれは協力しなければならぬ、そういうことはわかりますけれども、反面、冒頭に私が申し上げたように、すべてがそうでありまして、交通事業も当然でありますが、より大切なものは水道であります。それは人間の命を保っていくためには必要なんです。米は米価の改正なんといって、議員さんが先頭に立って毎年毎年ちゃんと値上げをする。しかし消費者価格はびしゃっと押えておる。生産者は金がかかればかかっただけ運動して、政府はしたがってそれに対して補助金を出して、買うほうにはそのまま買わしておる。水道のほうは、米を洗ったり、その米がたけるような状態をつくり出したり、もっと露骨に言えば、米をつくるもとにまでなり得る要素を持っておる。その水道政府に対して毎年どういう連動をしておるのか、これを私はお聞きしたい。それはどこが窓口か。自治省へ行ってお願いしたり、厚生省へ行ってお願いしたりしているが、しかしこれは何も水道を預かっている者がやらなくてはならないことではなくて、国民全体あるいは政府としてやらなくてはならない仕事といえる姿が水道事業の中に私はあるのではなかろうか。そういうことを、だれが先頭に立って、どういう形でやっているかということをお聞きしたいわけです。
  43. 國富忠寛

    國富参考人 第一点でありますが、とにかく水道需要が最近のような情勢でなくて、横ばいのような状態増加するにしても非常にゆっくり増加している戦争中または戦争前のような場合でございますれば、ほとんどの水道事業の費用は、さっき話しました維持管理に専念すればいいわけです。当局はたいへん楽なわけです。しかし最近は、たびたび申し上げますように、非常に需要が、飛躍的にふえている。かつまた、さっき鷹野市長がおっしゃいましたように、道路拡張などでいろいろ水道当局に押しつけられた設備改良がある。こういうものが非常にふえておる。したがって、昔は維持管理だけしておったものが、今度はそういう大きな借金をして施設増強するものですから、借金を返す元利償還というものが非常に大きなパーセンテージを占めております。それが水道料金に食い込んできまずから、以前は料金値上げをお願いいたしましても、非常にゆっくり、わずかずつ値上げをすればよかったのが、最近は爆発的にふえ、その値上げ率もふえたということは、需要のふえた結果だと思います。  もう一つ申し上げますと、現在はこうだが、しばらくたって横ばいになればたいへんいいのですが、御承知のように、文化の水準はどんどん向上しておりますし、皆さん御承知の下水道がこれから非常にふえてくると思います。そうしますと、便所の水洗も都市においてはますますたくさんになってきまずから、水の使用量も非常にふえてくる。そうしますと、最近の需要増加はここ当分は決して横ばいにならぬで、ますます急カーブでふえてくるのではないかと考えております。それから適正料金のことについてちょっとお話がございましたが、これは鷹野市長がお話しになりましたように、元来水道事業の建設改良拡張はもちろんでありますが、そういう一時に金を出してしまうような工事の費用は、地方公営企業では本文では自由に起債ができることになっております。しかしわが国の現在の実情で、これがただし書きで当分の間許可制になっておる。そこが問題になっておるわけです。したがって、たびたびお話がありましたように、設備改良なんかは建設と同じように起債でやれば、借金ですから、じわじわ払いますから、それだけ水道料金に含まれる部分が少ないのでありますが、これを水道料で一ぺんに上げますから、水道料金が高くなる一要因になっております。この点はわれわれが地方公営企業で期待しておった起債のいわゆる許可制という問題が、多少これに響いてくることは間違いありません。この点は非常に遺憾に思っております。  また、ふえんいたしますと、公営企業法では起債償還年限をきめない起債ができるように本文には書いてございますが、いまの状態ではそういうものは夢物語、高ねの花と申さなければなりません。  以上が資金的なもので、法律と現状とに少し食い違いがあり、それが水道料金を多少脅かしておることは確かであります。  それから最後の御質問の点でありますが、わが国水道界全体として、戦後非常に需要がふえてまいりまして、施設増強が辿られてきましたので、水道界全体の一つ要望は、起債の許可制を廃してくれということが本音でありますが、許可制の廃止は一応がまんして、起債の総ワクをふやしてくれ、この連動を毎年続けております。もちろんこの起債の総ワクをふやしてくれということは、各市の建設資金は全部もらいたい、またできればさっき申し上げた建設改良の費用もその起債のワクの中に入れてもらいたい、これが市長会、水道界の要望であります。この運動は、協会のほうは単に皆さんのいろいろなお世話をするだけでありまして、各市長さんが陣頭に立って厚生省、自治省、大蔵省、その他の省にいろいろ熱心に繰り返し繰り返し運動を行なっております。  以上が大体現状であります。
  44. 重盛壽治

    ○重盛小委員 私の質問が悪かったかもしれませんが、言いかえるならば、水道ということのために運動をするとかしないとかということではいけない。どこでやろうとも、基本的に言うならば、旧民全般が水を十分に使っていける、飲める態勢をつくっていかなければならぬ。そういうものをつくるためには、どこでどういうことをしているかということをお聞きしたのですが、いまお聞きすると、厚生省や自治省の指令や命令や通達に重点を置いてやっているようだけれども、私はこれに従事する者はもっと高度の襟度を持って、少なくとも水道は人の命をつないだり、人がふろに入ったり、人が洗たくをしたり、動物や人間や野菜やら、一切のものを引き受ける。これに心配をかけさせてはいけないということを、もっと高度な襟度を持って堂々とおやりになったらどうかと思うのですが、これは政府に対する主張かもしれませんが、あなたのほうに言ったらかえって失礼になると思いますが、小林さんにちょっとお聞きしたいことは、こういうようなことを言っていいかどうか知らぬが、東京都の場合でもそうだと思うのです。暮れに幾らか予算でも政府からひとつぶんどろうというときに、東京から出身している議員だから、おまえひとつ行ってこいということでやられて、暮れの二十四、五日か、かなり行き詰まって、おおむね予算の成立したころにきて、東京都出身議員だからおまえ行って、水道は本年度は利根川からとるのが思うようにいかぬようだ、道路が思うようにいかぬようだ、野党与党を問わず行ってきてくれなんということを言われて使い走りをして、それが効果があったかどうか知りませんが、そういうやり方をしている、その中心は、東京都でいうならば一体だれがやっているのか、それが一つ。というのは、もう少し承前に、もっと、いまより高度な形で、しかもことしはオリンピックをやろうというときに、政府は一体何をしているんだ、東京都知事は何をしているんだ。小林さん一人がしょい込んでいるのではないかと思うのですが、そういうことをせずに、もっと幅の広い立場で、高い——と言って、あなたの立場が低いということじゃないんだが、もっと高度な形で堂々と言える問題なんだからおやりになって一より率直に言うならば、オリンピックをやろうというときに、この十月のオリンピックにもし雨が降らなければ——雨が降っちゃオリンピックが困るし、雨が降らなくては水がなくて困るということになったら、まことにかっこうの悪いものになるので、そういう点を考え——よく知事なんかは雨が降らなければ、小河内にたまらなければ、ということを言う。さっきの報告を聞くと、幸い利根川からもとろう、あるいは相模川からもとろうといういろいろな計画があるようでありますが、こういう問題を私はもう少し政府に強く、しかも政府のあらゆる機関が東京にあって、水を一番よけい使うのは、そういう機関が使っているわけです。東京都だけがしょいこんで、それから一生懸命暮れも押し詰まったころになって、予算措置だけしてくれなんということを言うのでなくて、もっと抜本的なことをおやりになる意思があるのかないのか。  それから、たまたま私もオリンピック促進委員のほうをやっている関係もあるので、いま一番心配しているのはこの水と交通であります。いわば公共企業体の中に含まれる二つ、これがオリンピックに満足にいくかどうかということを私自身一番心配しているわけです。こういう点をひとつお話し願いたい。  それから、私の時間がないのでたいへんかってだが、もし公共料金の抑制という問題が出ておらなかったとするならば、当然の問題として料金の引き上げをなさる予定があったのかなかったのか。また料金の引き上げをやらなくてもやり得るのかどうか。もし公共料金の引き上げ抑制の問題がなかったと仮定したならば、一年前にあるいは二年前に——私の記憶によると、東京は三年か四年前に上げただけだと記憶しておりますが、そうだとすると、ここで政府の方針による抑制のために料金値上げはできなかった。そのためにはね返りの赤字がたくさんできてきた。それがさらにはオリンピックにうまくいかぬような状態になる、水道施設か思うようにいかなかったというようなことがもしありとするなら、これは重大なことですが、そういうようなものがあるのかないのか、当然そういう形できておったならば、これはいろいろな形であなた方の立場から陳情もし、嘆願もしておるでありましょうけれども、政府自身が、嘆願がきたから、陳情がきたからということでなくて、これはたいへん御迷惑をかけておる、だからこうしなければならぬという基本方針が出なければならぬはずだと以は考える。そういう点どういうふうにお考えになっておるのか、小林さんからも、また大阪水道局長さんからもひとつお聞かせ願いたい。
  45. 小林重一

    小林参考人 ただいまの御質問の第一点は、東京都としては、いろいろ政府に働きかけておる窓口はどうかという御質問でございますが、これは東京都の場合には、水道事業は首都圏事業の一環になっておりますので、首都整備局が窓口になって外部のほうへ出ていくことになっております。しかしながら、個々の問題につきましては、たとえば水道の問題につきましては水道局自体で動く場合も相当ございます。  それから昨年の暮れからの問題につきまして、いろいろ利根川の問題で御尽力願った問題は、これはやはり水道局自体の事業ではございませんけれども、水道関係のあります水資源開発公団の仕事もやってもらわなければ東京都に水はこないわけでありまして、そのように御尽力願ったのは利根川の問題でございます。  それから東京都は御承知のように、三十六年来制限給水と申しまして、水不足で都民には相当御迷惑をかけておるわけでございますが、これを何とか早く解消しなければならない。しかも本年はオリンピックがあるから、それまでには水の心配をなくさなければいけないということで非常に活発な拡張卒業をやってまいったわけでございます。ことしの通水の見通しは大体において中川江戸川系の緊急拡張事業の一日四十万トンの通水が、もう二、三日後の十五日からできるわけでございます。これによってかなり制限が緩和できる見通しでございます。利根川系拡張卒業も、政府その他関係方々の非常な御支援によりまして、仕事は順調に遊んでおりまして、この十月には間違いないと思います。一日三十万トンのものが通水できる運びになっておりますので、オリンピックの時期における給水状況というものは、大体の見通しとして、御迷惑をかけないで給水できるという考えをもっております。  それから料金の抑制ということがなかったら赤字というものがなかったのではないかというふうな御質問だと思いますが、東京都の場合におきます赤字の原因は、これは三十六年の八月に約二〇%程度値上げをいたしておりますが、そのときの根拠は、これから五年間は値上げをしなくてもやっていけるという見通しで値上げをしたわけでございます。しかしその後渇水ということで水がなかったために、制限給水を行ないましたので、非常に減収になる一方出費が出ている。それから水不足を早く解決するために拡張事業をやらなければ根本的な対策はないんだということから、各方面の御支援で拡張事業を始めたわけでございます。これが今度通水を始めます中川江戸川系緊急拡張事業でございます。これが四十万トンに対して二百五十億の費用でございます。それから引き続いて利根川の大拡張事業、これが大体完成までには八百五十億くらいの金がかかるわけでございます。そういう仕事をここ数年のうちに馬力をかけてやらなければいけないというような状況でございます。そのためにかさまってくるのが利子利子が非常に大きいわけでございます。これに伴って元利償還もございまして、三十九年度にいきますと、料金収入の約五〇%くらいはそれにかけなければならぬというような事情でございます。それから水質沖洲によって薬品費の増筒だとか、あるいは電気料金の増、人件費なんかも多少増加しておりますが、そういうようなことが累積して結局費用がかさんできているわけでございます。ただ水道といたしましては、たてまえが大体独立採算制を一応たてまえとしてやってきたわけでございます。したがってそういう独立採算制のたてまえから都民サービスを低下させないように仕事を何とかやっていくような費用を出してまいりますと、どうしてもここで収益と費用との間にアンバランスの問題が出てくるわけでございます。これを何とか大きく財政的な措置をしていかなければ、赤字というものが出てくるのは当然の事実になっておるわけでございます。したがって料金抑制の措置がなかったら値上げするのかどうかという御質問だと思いますけれども、これは料金制度調査会というものを東京都では条例に基づいてつくりまして、これは公営企業関係の学者の力、それから水道界の学識経験者の方々、それに都議会議員の方々で構成された料金制度調査会が設けられまして、料金の問題を検討いたしました結論としては、水道料金独立採算制をたてまえとすべきだという一つの結論が出ておりますが、ただ東京都のように現在大拡張をやっているような場合には、あるいは政治的な配慮もなされるかも存じませんけれども、とにかく独立採算制というたてまえをとるということになりますと、結局料金というものに費用がかかってくるのは当然だと考えておるわけであります。
  46. 重盛壽治

    ○重盛小委員 たいへん時間もおそくなりましたから私は私の質問をやめますが、ただ水道全体の問題として、確かに東京都で来たときには、水道局が来なくて首都圏のほうから来ましたが、そういうところにも——これはここで申し上げてもどうにもならぬことじゃないかと思いますが、実際の現実を知らない人が、あなたのほうの出した予算だけを持って、ただこういうふうにやってもらいたいというふうに来たように考えられるが、これは私はむしろ政府に責任があろうかと思います。少なくとも水というような問題を自治体にまかしてあるからうまくやっておるんだろうというようなことでなくて、政府自体が旧全体の水はうまくいっているのか、水道事業というものはうまくいっているのかということは、やはり目を通さなければならぬ。あながちこれは自民党ということばかりでなくて、あるいは国会議員全体の責任かもしれませんが、そういうことはやはりわれわれのほうでも考えなければならぬ重大な問題であろうと存じますけれども、水道を担任している人たちとしても、やはり私が先ほど申しましたように、自分たちは国民生活の基礎になる重要な仕事を預かっておるのだから、これだけの発言権があるのだということで、もう少しやはり堂々とそっちこっちに意見を出すようにしていただきたいということが一点。  それからいま申しましたように、われわれのほうも何か許可、認可で皆さんがやっているというようなことに対しては、十分努力をさしていただきたいと思いますが、東京などの場合をいうと、特に政府から非常に大きないろいろな仕事を預かっているわけですね。そういう部面に対する発言というものはあまりなされておらぬようですが、そういう点は率直に言って、これは国の仕事だとか、都の仕事だとかということでなくて、いわゆる都民全体の仕事であり、あるいは国民全体の仕事であるというたてまえから、首都の東京水道問題をとり上げてやっていかぬと、世界一の人口を擁するりっぱな都市になったといっても、もし不幸にして、オリンピックあるいはこの夏に水が不足して制限給水になった、あるいはそのために悪い病気が出たということになったとするならば、これは国際的な恥辱になってくるのじゃないか。小林さんだけにいろいろお願いするのは御無理かと思いますが、どうかひとつ、非常に重大な段階でありますので、その点は十分御配慮を願いたいということが一つ。  それからオリンピックを東京で開催をするということに関連をして、国庫補助とか援助というようなものが何かあったかどうか。一点だけお聞きをしておきたいと思います。
  47. 小林重一

    小林参考人 ただいまいろいろ御激励をいただきまして、私のほうも十分その意を体して、努力をしてまいりたいと思います。  最後に、オリンピック関係で、国のほうから水道卒業に対してどうだったかという御質問でございますけれども、財政的な補助とか、そういうものは水道局としてはもらっておりません。ただ起債その他でかなり無理をなさった御援助をもらっておるわけでございます。
  48. 重盛壽治

    ○重盛小委員 それでは別の方に譲りますが、そうすると結論的には、いまの現状からいくならば、赤字はどんどん出ていくが、いわゆる公共料金値上げというような問題等もあり、それは国家の基本方針であるので、それには御協力をしなければならない、さりとて水道事業維持管理は、これはより大切な問題である。したがってどこにか出ておったように、利子の安い金に切りかえていくとか、あるいは国庫が何がしかの補助を出すとか、当面何か御配慮を政府自身がひとつ研究をして協力をしてもらわなければ困難であるという実情にきておるということか結論的には言われるわけですか。
  49. 小林重一

    小林参考人 このままでいけば、何らかの措置をしなければ、健全な財政状態水道経営はできないということでございます。したがってその措置として、いろいろ考えられるものはあると思います。まあその料金値上げ一つのお考え方でございましょうし、政府から、あるいは都とすれば都財政からの補給ということも一つ方法でございます。これらはいろいろ検討を要する問題だと存じます。
  50. 重盛壽治

    ○重盛小委員 けっこうです。
  51. 久保田円次

    ○久保田(円)小委員長代理 安井出典君。
  52. 安井吉典

    ○安井委員 私、先ほど甲府の市長さんに水道起債のワクが十分なのかどうかという意味の御質問をいたしたわけですが、さらにその同じ問題を全国的視野で見るお立場におられる國富参考人から伺おうと思っていたわけです。ところがいまの重盛さんに対する御答弁の中で、もうすでに尽くされておりますので、大体その点はわかったわけでありますが、まあいずれにいたしましても、水道起債のワクが非常に少ないという声を私どもよく聞くものですから、そういう意味で伺ったわけです。先ほどもお話がありましたように、地方公営企業法の本則では、明らかに地方公営企業起債は自由なんだという規定をしながら、附則で押えてしまっているわけです。政府は貿易の自由化のほうは非常に熱心なんですが、この本来の起債の自由化のほうには非常に渋っていられるわけです。もちろん、自由化することによってプラスの面とマイナスの面が出てくると思います。その点はよくわかるのですが、しかし先ほどのお話のように、当面赤字がどんどんふえている要素の一つに、この起債のワクが少な過ぎるということが原因の一つに数えられているとすれば、この際もっと考えるべきではないか、私どもはそう思うわけです。全国の市町村等からの要望に対して、起債の充当率はいまどれくらいになっていますか。
  53. 國富忠寛

    國富参考人 われわれはいただくほうなんで、起債を、貸してもらうほうなんで、きょうは厚生御当局がおいでになっておりますから——私の感じでは、昭和三十九年度は拡張、創設なんかの建設費の要望額のせいぜい六〇%科度じゃないかと思います。はっきりした数字はむしろ関係者のほうが御承知であると思います。ただし、建設、改良みたいなものは、その中には入っておりません。いまの創設、拡張工事の起債です。
  54. 安井吉典

    ○安井委員 その点は、さらに後ほど自治省からも——みなおられますからいま伺ってもいいのですが、時間の関係がありますから、あとでよく伺いますが、やはりいろいろな設備の新設やあるいは特に改良等について、どうもワクが少ないという声をよく耳にするわけでございますが、そういう実態はただいまのお話の中からわかったわけであります。  これはあとにいたすことにいたしまして、もう一ついま出ております問題は、料金ストップというふうな点が一つと、それから基本的に、いまの公営企業の中で、都市交通に次ぐ赤字の大きな部面を背負っている水道の財政をどうするかという、この二つの問題があると思うわけです。言うなれば当面の対策と恒久的な対策、こう二つに分けることができると思うわけですが、しかしこの間まで私ども取り組んでまいりました都市交通の問題と比べてみますと、だいぶ様子が違うわけです。たとえば料金の問題にしても、バス料金の問題は法律ではっきり政府の認可制になっているわけですし、水道料金のほうは、一応政府のああいうふうな通達は出ましても、あれに反してやろうと思えば、やっても別にそこの市長さんが罰則の適用を受けるというわけでもないわけです。そういう点ではだいぶ違っておりますこと、それが現実には、すべり込みセーフで料金値上げをやってしまったところもおありのようですし、これから料金値上げ考えているやさきにストップ令でやめてしまったところもあるし、あるいはそれにもかかわらず強引にアップをしたというところも、あるいはあるのかもしれません。そういうふうにバラエティがだいぶあるわけです。それによって当面の対策についての要求の出方が若干違ってくるのではないかとも思うのです。すでに上げてしまったところと、それから全然上げてないところ、そういう違いが市町村によってあるわけですが、そういうところから当面の対策についての要求の違いはありますかどらですか。
  55. 國富忠寛

    國富参考人 多少私見が入りますが、ちょうど政府自粛要望の寸前に、昨年うまく料金値上げ実施した都市、それから、やろうとしてストップされた都市、この二種類に大きく分かれます。ただ、お話がありましたように、自粛をかまわずにやってしまったというところは非常に数が少ないのではないか、数字のほうはちょっとわかりませんが、非常にわずかではないか、そう考えております。  それから私は遠回ししないではっきり申し上げますと、現在の料金ストップの一応の応急対策は、鷹野市長がお話しになりましたように、とにかくストップ中の元金償還をあとに延ばしてもらう、それからそれに対する利子政府が補給していただく、これでそのストップ期間中だけは一応理屈は立つと思います。しかし、それは全く応急的でして、お話がありました恒久策としましては、はっきり申し上げますと、私は、いまのような水道事業の激増の場合には、水道料金値上げは避け得られないと思います。しかし、このままで手をこまねいて水道料金を上げっぱなしにしておりましたら、来年、再来年、ここ二、三年の間に各都市値上げしまして、また値上げ率も非常に大きくなってくる。それをブレーキをかけるのは、たびたび申し上げますように、元金償還延長、利子の低下、こういうものとあわせていけば、料金値上げは避け得られないかもしれないけれども、上げる都市も勢いが非常に弱まってくる、また値上げ卒も少なくなってくる、このように私は考えております。したがって応急対策と恒久対策とありますが、恒久対策においてはいずれにしろ料金を若干最低限度上げるということは避け得られない、私はこのように思っております。
  56. 安井吉典

    ○安井委員 先ほど國富さんからお話のありました抑制期間中の損失補償、これは額にしてどれくらいにお見込みですか、資料がありましたら……。
  57. 國富忠寛

    國富参考人 別に権威のある統計じゃないのですが、協会のわれわれが大体見当をつけましたのは、一応この政府自粛要望の一年間ということで約五十億程度じゃないかと考えております。
  58. 安井吉典

    ○安井委員 私、当面の対策として、料金の上がったところと上がらないところでニュアンスが違うのではないかと言ったのは、おそらく大蔵省あたりの人はそんなようなことを言うのではないかと思って——きょうは大蔵省の人は聞いてないと思いますが、そういうふうな気がするものですから、ちょっと申し上げてみたわけでありますが、しかしバス事業などと違って、水道については当面の対策と恒久対策とは何か分離しにくい問題があるような気がするわけです。そういうふうな感じを私は受けるわけであります。  そこで先ほど来お話のありました償還年限の延伸の問題、それから利子補給の問題、特に尾本参考人からは、延伸だけではだめなんだ、利子補給が伴わなければ意味がないんだということの強調がございましたが、これは日本の金融の体系における特殊性で、先ほども外国との例の比較がございましたけれども、外国はもう水道だけではなしに金利は安い。しかも償還年限は長い。そういうような中で、日本における金融体制の特殊性が、この水道の中にも反映しておるのだというふうに私は考えるわけであります。それにいたしましても、このような事態に立って考えました場合には、公営企業、特に水道については耐用年数にまで償還年限がいってないというのは、だれが考えてもおかしいことだと思うのです。そういうふうな解決に進んでいかなくてはならないと思うわけです。  そこで、当面の対策としていまの問題をお持ち出しになったわけでありますが、五十億というふうな数字が出るとすれば、この利子の補給、償還年限の延伸については、どれくらいの措置を講ずれば五十億になるのですか。そういう試算はなすっておられますか。
  59. 國富忠寛

    國富参考人 たいへんこまかい御質問で、少し私勉強が足らなくて十分御期待に沿う答えができないのですが、協会としての試算では、元金償還額は、現行でいきますと政府資金の二十五年と公庫資金の十八年とあわせまして五十五億円、それからそれをもし償還期限を延長した場合は、二十五年を四十年、それから公庫資金の十八年を二十五年といたしますと、三十六億円くらいになるわけです。その差額が十九億円。いまのは元金でありますが、利子のほうは、政府の資金が六分五厘三毛で七十一億円、現行です。それから公庫資金が七分三厘一毛で三十七億円、合わせて百八億円。これがもし政府資金の利子が五分に下がりまして公庫資金が六分になりますと、これが八十五億円になるわけです。そうしますと、この償還期限を延伸し、利子を下げた場合と現行との差は、十九億円と二十三億を加えた四十二億円ということになるわけです。この一応二割増しという計算で大体五十億円、こういうふうに踏んだわけです。
  60. 安井吉典

    ○安井委員 なかなかうまくそろばんが合っているわけですが、そこで問題は、そういうような具体的な対策をどう進めるかというところにしぼられてくるわけです。そういうような問題について私どもこれからいろいろ論議をこの小委員会でしてまいりたいと思うわけでありますが、したがいまして、きょうはもうその同じ問題についてここでちょっと論議をしても結論にならないと思いますので、この点はあとに譲ることにいたしたいと思います。  一般会計からの繰り入れといいますか、あるいはまた借り入れといいますか、そういうような形で現実にはどういうふうな措置がとられているか、これは大阪なり東京なりの実情をちょっとお話しいただきたいと思います。
  61. 清水清三

    清水参考人 政府収支の欠陥を一般財源からどういうふうにやっているか、こういうお話でございますが、大阪市の場合は、先刻も申し上げましたようにまだ三十八年度ではゼロ、過去の累積と赤字、資金不足、そういうものを差し引きますと、ゼロ、三十九年度に十六億くらいの資金不足が出るであろうという見込みを立てておりますので、いまのところはございませんが、ただこのまま一年間いきますと、やはりそれくらいの資金不足が出てくるから、これを何とかせねばいかぬ。しかし今後一般財政から入れるという問題でございますが、大阪市の場合は御承知のように一般財政も非常に苦しい。したがって橋をかける、道路をかける、そういう仕事をやめて、その一部を水道へ入れてもらうということは、ちょっと順序が違うような気がするわけです。大阪市の場合は水道がほかの事業よりも比較的進んでいるということもありますし、財政全般が苦しいということがありますので、ちょっとそういうことはできにくいのじゃないか。といたしますと、どこかから借り入れなければいかぬのじゃないかということになると思います。
  62. 小林重一

    小林参考人 東京の場合は、昭和三十六年に値上げをいたしましたときに、水道局の原案といたしましては約三割の値上げを出したわけでございますけれども、これが議会修正になりまして、二割の値上げになったわけでございます。その差額は、結局水道経済では負担しなくて、一般会計のほうで拡張費の一部利子補給の形で持てというような附帯決議がつきまして、これが大体利根川系拡張事業利子補給として、今日まで約三億くらいの補給を受けております。
  63. 安井吉典

    ○安井委員 まだほかの質問者がおられますので、あと一、二点で終わります。  もう一つ、これも全国的な問題として國富さんに伺いたいと思うのですが、毎年の一時借り入れ金で資金繰りをしなければいけないわけですね。特に赤字がこうやってふえてまいりますと、その資金繰りのワクというものが相当大きなものに当然なってきていると思うのですが、これは全国でどれくらいになるのでしょうか。——いまおわかりにならなければあれですが、それじゃ別な機会にいたしましょう。いずれにしても資金繰りは非常につらくなってきているという実態がおありだろうと思いますが、その金利はどんなものでしょうか。——それもおわかりになりませんか。東京都か、大阪の例でもよろしゅうございます。
  64. 清水清三

    清水参考人 御質問の趣旨とちょっと違うかもわかりませんが、私のほうの表の第七ページに、過去の借金に対する利息がどれくらいかという表がつけてございます。たとえば、三十九年の例は十六億二千二百万円、こういうような数甲が出ておりますが、以下表でごらんいただきますればおわかりになると存じます。
  65. 小林重一

    小林参考人 東京の場合、一時借入金は日歩一銭六厘から一銭八厘五毛ということになっております。
  66. 安井吉典

    ○安井委員 それではこの一時借り入れの問題も相当大きな負担になっているわけですね。その点は都市交通の場合もそういう点が明らかにされていたわけでございますが、そういう点も一応わかったような気がいたします。  最後にひとつ、あとあと恒久対策とかなんとかというような形で問題になります場合に、合理化の問題が出てくるわけです。合理化ということばは労働組合の立場からいうと、何か首切りや賃下げや、そういうふうに聞こえるわけで、本来の意味の合理化という広い意味は必ずしもそうじゃないと思うのですけれども、どうもそういうふうな印象が出てくるわけです。しかし、実際に水道の仕事をするのは人がするわけですから、そしてその人の賃金というものは、こういうふうに物価をどんどん上げられてしまっては、当然上げてもらわなければ生活ができない、こういうことになっているわけで、まあ人件費部分がふえてくるのは、これはやむを得ない問題だと思うのであります。  ところで、さっきちょっとお話がありました自治省の財政局通達で、地方公営企業の場合にあまり賃金を上げるな、赤字のような財政の中でそういう点を考慮してやるべきだというふうな通達問題もさっきお出しになっていたわけでございますが、どうでしょうか、それで現実には組合の側から見て実害は出ておりますかどうですか、その点ちょっと伺っておきます。
  67. 尾本市造

    ○尾本参考人 率直に言いまして、いまのところでは書簡によって実害があるという報告は受けておりません。おりませんですけれども、やはり組合の弱いといいますか、結局労使の力関係で賃金はきまるといわれますけれども、実際にそのために行政二表の給料表に移行されたり、給与条件が低下したという例はあります。それは東北地方に二、三出ております。ですから、直接その内輪が左右したかどうか知りませんけれども、企業財政の影響等を考えた場合、やはり給与条件の低下という点が私は実質的にあったんじゃないか、そういうように考えております。
  68. 久保田円次

    ○久保田(円)小委員長代理 華山親義君。
  69. 華山親義

    ○華山小委員 私これから勉強いたしますので、ただ事実だけをちょっとお伺いしてみたいと思います。  大体、最近急激に水道事業というものが拡張いたしておるわけでございますが、それで大体据え置き期間が五年あるいは二年となっておりますが、問題はむしろこの据え置き期間が過ぎたこれから三、四年後に起きてくるのではないか。その際、今度は元金償還が始まる際に大きな問題が起こってきて、そのときが一つのなにになって、また財政の問題が起きて水道料引き上げの問題が起きてくるのじゃないか、こういうふうな気もいたしますけれども、これらについての全国的から見ましたお見込みを、水道協会の方なりからお聞きしたいと思います。
  70. 國富忠寛

    國富参考人 たびたびことばをかえて申し上げますように、全くお説のとおりであります。いまのような短い償還年限、高い利子でしたら、需要増加起債のほうもふえてまいりますから、全く二、三年からここ当分の間は料金値上げブームというようなものがこのままでしたら起こることは必至じゃないか、私はそのように思っております。
  71. 華山親義

    ○華山小委員 据え置き期間を完了して一つのあれが出てくるというふうな傾向にあると思いますが、現在据え置き期間のものと、それから今後何年くらいたったならば、今後の増加の分は別にいたしまして、現在の起債において今後どういうふうに償還が多くなる、そういうふうなお調べがございますか、ちょっとお伺いいたしたい。
  72. 國富忠寛

    國富参考人 実は残念ですが、特に過去は別といたしまして、今後の起債のいただけるワクがわれわれとしては見当がつかないものですから、なかなかその推定は困難なわけです。
  73. 華山親義

    ○華山小委員 ちょっと私のお聞きのしかたが悪いと思うのですが、今後のことは別にいたしまして、過去にお善まして、据え置き期間中のもの、まだ五年たたないものがずいぶんあるわけでございましょう。それがこれから三、四年たちますと、その据え置き期間が完了して元金償還の期間に入るわけです。そのときどんな状態になるかということについての何か数字的なお見込み等がございますでしょうか。時間が長くなるようでしたら、その資料をいただいておけばけっこうです。
  74. 國富忠寛

    國富参考人 これは協会独自でこしらえた表がありますので、いま答弁いたしますと表ですから御説明しにくいので、先生のもとへあとからお渡ししたいと思います。それでお許し願いたいと思います。
  75. 華山親義

    ○華山小委員 私ばかりでなくて、ひとつたくさんつくって委員の方にお渡し願いたいと思います。  それから、東京都あるいは大阪の局長さんにお聞きいたしたいのでございますが、現在使われておるところの上水道というものは、特に中小企業等におきましては工業用水に使っておるのが多いわけです。工場を東京都内につくるなとかいろいろな施策を政府でやっておられるようでございますけれども、必ずしも思うようにはいかない、そういうふうなことで、飲料水と工業用水の増加の趨勢はどちらが強いのでございますか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  76. 小林重一

    小林参考人 東京の場合を申し上げますと、工業水道を別につくっております。これは地盤沈下対策としての工業用水でございます。したがって、上水道とは全然別個の問題になるわけでございます。  それから上水道の中で、ふえていく量の中に工業的なものとそのほかとがどういう北率かという御質問じゃないかと思います。東京都の場合は、工場用水もふえておりますが、一般家庭の用水も、これは人口増加と、それから生活文化の向上と申しますか、自然増がかなりございます。したがって、両方でふえているのが東京都の実情でございまして、どちらかといえば工場ということよりもビルだとか社会的な増がかなり大きい範囲を占めておるものと考えております。
  77. 華山親義

    ○華山小委員 たいへん私勉強が足りなくて申しわけございませんが、そうしますと、東京都の水道というのは、各家庭で使うところの水道の線と、それから工場等で、中小企業等が使っております水道の線というのは別なものなんでございますか。
  78. 小林重一

    小林参考人 ただいまの質問がちょっとはっきりしなかったのですけれども……。
  79. 華山親義

    ○華山小委員 私も東京で中小企業をやっておりますが、東京水道に、ごやっかいになっております。ああいうところの中小企業等で使う水道の水と、家庭で使うところの水道の水というのは、全然別な経路でまいるのでございますか。これは私ちょっと勉強が足りませんので申しわけございませんが・・・。
  80. 小林重一

    小林参考人 これは全く同じ水でございます。
  81. 華山親義

    ○華山小委員 全く同じ水でございますと、東京の水が足りなくなった足りなくなったということは、工場で使う水も多くなったから足りない、こういうことでございますね。
  82. 小林重一

    小林参考人 工場の水もふえておりますが、家庭で使う水もかなり——どちらかといえば家庭のほうが幾らか多日にふえておると思います。
  83. 華山親義

    ○華山小委員 その家庭で使う水とそれから工場で使う水、これは経理は別でございますか。同じに一般の経理の中で経営していらっしゃいますか、伺いたい。
  84. 小林重一

    小林参考人 同じ水でございますので、料金その他は同じでございます。ただ基本料金が十立方メートルまでは、私のほうは百四十円であります。それ以上は超過料金として二十円いただいておりますから、工場でもそれから一般家庭でも同じでございます。ただ、最初の十立方メートルが安くなっておりますから、工場のように大衆にお使いになった場合には、一般家庭よりも一立方メートルの他殺は多少違いますけれども、この経理と申しますか、料金の算定は同じでございます。
  85. 華山親義

    ○華山小委員 経理というのは、これは工場用水の収入、支出、これは家庭用水の収入、支出ということに分けないで、もう同じにしているということでございますね。C小林参考人 さようでございます。
  86. 華山親義

    ○華山小委員 それで、いまお話しになりましたが、どっちが高いのですか。さっきお話しになりましたが、よくわからなかったのでございますが・・・。
  87. 小林重一

    小林参考人 同じでございます。
  88. 華山親義

    ○華山小委員 どんなに水を使っても同じでございますか。
  89. 小林重一

    小林参考人 最初の十立方メートルまでが百四十円でございまして、それからあと、超過いたしましたものは一立方メートルにつき、家庭でも工場でも二十円ということでございます。
  90. 華山親義

    ○華山小委員 違いはございませんですね。
  91. 小林重一

    小林参考人 はあ。
  92. 清水清三

    清水参考人 大阪市の場合も大体同様でございます。いまおっしゃいました値段についても、最低の十トンですか、それ以上十三円五十銭というのが一般の料金であります。料金の立て方はいろいろありますが、工場用といいますものもビル用といいますものも同じ料金の中に入っておりますので、十三円五十銭という値段でやっております。家庭用もそれ以外のやつも十三円五十銭は同じでございます。  それから、先ほどのお話の中にもありました、どちらの伸びが大きいかという話は、大体東京と同様でありまして、家庭用のほうが若干多いような数字が出ておるようであります。  それと、一番最初に小林局長のほうからお話がありましたが、われわれがいま工業用水と言っておるのは、水道と別に私たちの場合も同じように地盤沈下対策のために工業用水をつくっておる。これは一般の工場には行っておりません。ある特別の地区だけに行っております。これは先ほどもどなたか御質問がありましたが、経理は全然別でございます。
  93. 華山親義

    ○華山小委員 工場用と申し上げればよかったのですが、工業用と申し上げたので混淆したようなわけであります。たいへん失礼いたしました。  それで、東京都の場合についてお伺いするのでございますが、このように人口がふえていく、水洗便所になり、水の使用量もどんどんふえるであろう、工場も同じように入ってくるであろうと思うし、そういうふうな状態でいきました場合に、現在の計画といたしまして大体だいじょうぶなのでございますか、ちょっとお聞きいたします。
  94. 小林重一

    小林参考人 私のほうで先ほど資料を差し上げたのでございますけれども、この二ページに拡張事業計画というのがございまして、これに需給計画というのがございますが、この需給計画によって拡張事業が順調に進んでまいりますならば、昭和四十五年におきましては、大体需給の均衡がとれるという計算でやっておりますので、これだけの拡張工事をやればだいじょうぶだと思います。
  95. 華山親義

    ○華山小委員 四十五年といったって間もなくのことでございますが、一体東京都というものがこういうふうにどんどん無秩序に発展していく、こういうことじゃもう水は足りなくなるのだ、やめてくれというふうなお考えはないのでございますか。このままいってもだいじょうぶなのでございますか。これから十年、十九年たってもだいじょうぶなのでございますか。
  96. 小林重一

    小林参考人 これは非常にむずかしい問題でございまして、東京都といたしましては適正人口というものを一応抑えております。これは昭和四十五年の適正人口を九百八十万に押えております。将来は九百五十万を適正人口として、大体昭和五十年くらいには九百五十万というものに押えていこうという計画でございますので、水道計画もそれによって立てているわけでございます。
  97. 華山親義

    ○華山小委員 決して意地悪のようなことを局長さんにお聞きするわけではありませんが、これからの水道計画は一体何年同ぐらいおありになるのですか。それについての資金繰りというものは一体政府のほうではできるのでございましょうか。いまでさえもワクをしぼって困っているという時代に、今後十五年、二十年あとのことまで言ったらおかしいと言われるかもしれませんが、一体だいじょぶなのでございますか。私は非常に心配なのでありますが、どういうものなんでございましょうか。
  98. 小林重一

    小林参考人 現在は昭和四十五年を一応の目標として計画を立てておりまして、この計画に基づきましてきょう御説明申し上げたわけでございます。今後人口増加は押えられるといたしましても、文化の向上によって一人当たりの使用量というものはふえてまいります。したがって、昭和五十年にはさらに拡張をしなければならないという状態でございます。現存のようなことでやっていきますと、これから獲得して給水される水というものは、いままでの水と違いまして、かなり割り高な水になるわけでございます。それは、結局水量がふえて、それに応じて料金もふえるわけでございますけれども、水の単価がもっと高くなりますので、いまのような単価で供給していたのでは費用のほうがかさばって収益が少なくなる。したがって、そこに赤字というものが生じてくるという結果になるわけでございまして、現在の計画からいきましても昭和四十年あたりが拡張事業費が二百九十五億、大体三百億足らずのものがここ数年続きまして、それからはやや拡張事業費も減ってまいりますから、この程度はいまの起債をいただいている量、また今後の伸びから考えていって、大体獲得できる見通しを持っておるわけでございます。
  99. 華山親義

    ○華山小委員 それから、東京大阪等におきまして盛んに土木工事が行なわれておりまして、先ほどからもお話がございましたが、土木工事につきまして水道管を移すとかあるいはよそのところに埋めなければいかぬとか、いろいろなことが起きるというお話で、金がかかるというお話でございますが、これは一般会計なり土木を施工する会計のほうで持たないで、全部水道のほうでお持ちになるのでございますか、いかがになっておりますか。
  100. 小林重一

    小林参考人 ただいまのお話は、道路に布設された配水鉄管でございますが、これをある工事のために移設の必要があった場合の公費負担だと思います。これは原因者負担というのが大体原則になっております。したがって東京都の場合、地下鉄が工事をやった場合に水道管がじゃまになるからこれを移設するという場合は、その地下鉄工事で費用を負担いたします。ただ問題なのは道路管理者の事業でございますが、これは東京都の場合だと水道がいわゆる無料の専用をしているわけです。新たに道路をつくるような場合の管の移設は、これは原因者が持ってくれますけれども、現在ある道路の改良によって移設の必要を生じたものについては水道局の費用で移設することをやっております。
  101. 華山親義

    ○華山小委員 ここで御意見を申し上げることは差し控えたいと思います。  最後にお伺いいたしたいのですけれども、起債が少ないという悩み、それから水道が将来十分に水があるであろうかという悩み、今度はこういうふうな料金ストップということで赤字が出るという悩み、そういう悩みは水道御当局としてはたいへんなことだろうと思って、わかりますけれども、公営企業原則からいいまして、かかっただけは料金できめられるんだというふうな原則になっているわけですね。そうしますと、そこには何の悩みもないような気がいたしますが、そういうことの根本のことについて何か悩みがございますでしょうか、ひとつお伺いいたしたい。
  102. 清水清三

    清水参考人 ただいまの仰せのとおり、必要な経費料金でまかなう、こういう原則があり、かつ独立採算制ということでありますから、必要なものは料金で取ればいいのであって、何もわれわれ悩むところは一つもないのでありますが、ただ最近のいろいろな事情のためにそのとおりいけないということが悩みであります。それと、将来いま仰せになった料金増加をはかるということが出た場合に、無理すれば無理するほど先になって市民の損が重なるという点が、われわれは市民に対して気の毒だという気がいたしております。悩みといえば、そういうような程度でございます。
  103. 華山親義

    ○華山小委員 私もそこが悩みだと思うのですよ。そうでなければ、もう悩みはないわけです。ことに賃金格差の問題とか、今後、水道というものがばか高になっちゃって一体どうして水というものを飲むのだというふうな心配、そういうことが悩みじゃないかと思うのですが、ひとつその悩みを解決することに十分御努力、御配慮願いたいと思います。
  104. 久保田円次

    ○久保田(円)小委員長代理 門司亮君。
  105. 門司亮

    ○門司小委員 時間もおそくなっておりますが、幸いこの機会だからお聞きをいたしておきますが、料金の問題でひとつお聞きをしておきたいと思いますことは、料金を政策料金にするのかあるいは実質弁償方式をとるのかということ、この問題がきわめて大きな問題に私はなろうかと思います。これは一体どちらをとったほうがよろしいとお考えですか。いまの水道料金の場合にはこういう二つの型があると思う。実際かかった料金を徴収しようというシステムか一つあるのと、もう一つは政策的に料金がきめられておる。あるいは具体的にいえば、たくさん使うところには割り安になっておるとかいうような、必ず政策料金があると思うのですが、一体どちらをとったほうがよろしいかということについていままで検討されたことがありますか。これはどなたからでもよろしゅうございます。
  106. 小林重一

    小林参考人 ただいまの料金のきめ方でございますけれども、これはいろいろ議論がございまして、現在の料金は、大体政策料金になっているのが実情でございます。これは水道企業のたてまえから申し上げますと、やはり個別原価主義で出していくのが本筋じゃないかと考えておるわけであります。したがって、そういう方向に持っていくべきだと私は考えております。
  107. 門司亮

    ○門司小委員 持っていくべきだということは一応わかりますが、そうすると、いろいろまた社会現象の上で、従来の考え方の中から、いわゆる日本人の一つの観念といたしまして、たくさん使うところはそれだけ手間が省けるからというようないろいろな面でこういう政策料金日本には非常に多いのであります。そうして実際上の支弁することのために必要な料金を徴収するということが、わりあいにいままで観念的に困難であるかのような状態を見せている。しかし現在の段階にいたしますと、必ずしもそういうことをしていられないのじゃないか。ことに水道というようなものは、もはや一地方の住民の消費をするだけと考えているところに間違いがあるのじゃないか。これは交通もみな同じでありますが、一つの国家産業の目的のために今日非常にたきな役割りを演じておる。その辺の実態から考えてまいりますと、この事業が従来の公営企業法に定められておりますようなきゅうくつなワクを一応はめるといたしましても、財政需要の面からいけば、結局国が何らかの援助を与えるというようなことが当然必要になっていきはしないか。したがって、国の補助事業の対象にすることができるかできないかということ等について、一体検討されたことがございますか。
  108. 清水清三

    清水参考人 独立採算制収入の中へ国家から料金以外のほかからの金を持ってくるかどうかというお話のような気がいたすのでございますが、この点は、われわれがいろいろ申すよりも、政府当局のお方もたくさんおいででございますので、いろいろお考えだと思いますが、個人的にものを考えてみますと、地方の水道事業というものはやはり地方のものであって、したがってその費用というものはやはり地方でまかなわねばいかぬ。国民全体の金の中の一部を持ってきて一都市がそれをもらう——全般の問題は別としまして、水道事業が金が足らぬから補助をくれということは、どうも私としては言いにくいような気がする。ただ問題は、水道料金というものは水準がどれくらいかという問題がありまして、ガスのように何百円あるいは千円をこえるとか、電気料金みたいに千円とか千五百円とかいうものになりますとまた話が変わってきますが、全国平均二百円とか三百円とかいう程度、あるいは大都市になりますともう一ヵ月二百円を切るというような程度ですと、絶対値がそうたいしたことがないから、そういう話も起こりにくいのじゃないかというようなことなんです。したがって、やはり自分のことは自分でやるということがいまでは本筋ではないかと思います。状態が変わればこれはまた別でございます。私はかように考えております。
  109. 門司亮

    ○門司小委員 私が心配していますのは、いま申し上げましたこと、たとえば新産業都市建設促進法という法律があります。これによって国は百万都市をこしらえようとしておる。その場合の水道施設が全部地方の自治体の負担にいまのお話だとならざるを得ない。一体これはどっちの仕事か。国の仕事でそういうものができ上がるのか、地方の自治体の自主的発展においてこれが行なわれるのかということは私は疑問があると思う。私はこの点は少し検討してもらいたいと考える。いまのお話のようなことで、何でもいいからとにかく水道は地方のものだという観念でやりますと、新産業都市の建設促進法などというものによっていろいろな面においては政府は補助をします。土地の買い上げだとか工場の移転だとか道路の建設だとかいうことには補助していきます。そしてでき上がったもののあと始末は地方でおやりなさいといわれると、私はいささか不合理だと思われる。今日の水道事業というものは、従来のただ飲み水だけを考えておったのとは非常に趣を異にしている。ことに工業用水などに至っては、地方で工場誘致などをやっているところもありますから、必ずしも私の言うとおりではないかと思います。しかし少なくとも一国の産業経済に寄与しているものであることは間違いない。こういうふうな考え方で、やはり今日の状態の中にあっては多少そういう問題が考えられる面がありはしないか。かりにこういうことを私が考えて、百歩譲ってまいりましても、施設その他については国が安い利息で出すとかあるいは長期なものに切りかえるとかいうようなことは、これは当然国の責任として行なわなければ、地方の自治体でみなそれを背負ってごらんなさい。どうにもなりはしない。さっき申し上げましたように、今後新しい百万都市なんてできてごらんなさい。地方は一体どうするのです。これだけの施設をしなければならない。しかし、それが直ちに収益を倣うだけの料金が上がってこないということは、火を見るよりも明らかであります。私はそういう面を心配するからいま申し上げたのでありますか、しかしこれは検討されていないといえばそれまでで、私はそういう考え方を持っているということだけにとどめておきます。  それからもう一つ、いろいろ聞きたいことがありますが、最後にこの問題で聞いておきたいと思いますことは、公営企業、ことに水道のあり方でありますが、御承知のように水道関係した主管省がどこだか、ほとんどはっきりしないと言っていいほど今日はめんどうになっております。地方の自治体がめんどうを見ておる面もありますし、厚生省の中に水道があるし、建設省の中にも水道がありまするし、そうして最後にお金の締めくくりは大蔵省がやるということで、一体どこをたよって水道というものがやれるのか、どこが一体責任者なのか、ここらがわからない。これをどうお考えになりますか。どこかにまとめて、公営企業なら公営企業をつかさどるような役所ができるとよろしいとお考えになるのか、あるいはいまのばらばらになっている水道は水に、関係する水質検査を必要とするから、あるいは保健衛生に関係するからこれは厚生省の所管だとおっしゃってやっている。しかし道路を掘り返すのは建設省の仕事だから、おれのほうによこせということになる。起債の許可、認可等については自治省に一応相談をして、最後に大蔵省がきめるということになる。水道事業の困難性というものは、やはりこういうところにもあろうかと思う。したがって、水道事業の一貫性というものをどこかに求める必要がこの際ありはしないか、そういう点について何かお考えになったことがございますか。
  110. 國富忠寛

    國富参考人 これも私の私見でありますが、いま水道事業そのものは主管省は厚生省とはっきりしております。ただ仰せのように起債関係は自治省、それからまた経営財政面、このほうは自治省のほうに公営企業課がございまして、このような技術を抜きにした方面を御監督になっています。それから水道には補助はありませんから、簡易水道はありますが、もし補助がありますれば大蔵省、大体以前は御了承のように建設省と厚生省の二元化になっておりましたのですが、これはいま厚生省に一応一本になっておりますから、われわれ水道事業者としてはそう右往左往することなしにうまくいっておる、こう考えております。
  111. 門司亮

    ○門司小委員 そう考えておらないといえばそれだけで済みますが、さっきからお話しのありますように建設省がやはり道路のほうを受け持っておって、掘り返すのも建設省に相談をしなければ掘れない。厚生省がやろうといったってやれないのです。ただ従来建設省の中にあった水道課というものがなくなっただけのことであって、私は実態はほとんど変わらない仕事をしておると考える。したがって、こういうものをどこか一つの役所にまとめて、水道なら水道、あるいは公営企業全体というものを一つの役所でやれるような姿はできませんか、それからそういうことは考えられませんか。いまのままでよろしいというなら私もそれで考えなければならぬと考えておる。私が非常に不便に考えておるのは、そういう事業面に非常に不便があるということと、それからもう一つは、御承知のように起債の面で非常に不便があるということであります。これは起債の総ワクがきまっておって、そうしてその外に出ようとすればなかなか困難性を持っているということ、こういう面で、どう考えても現在の公営企業に対する先ほどから議論をされておりまするいわゆる地方財政法との関連性等、いま私は実際は撤廃してもいい時期だと思う。あの法律をこしらえました次元においては、非常に日本の自治体の財政は窮迫をいたしておりましたし、仕事はたくさん持っておった。これを無制限に許したのではどうなるかということが心配されて、実はああいうただし書きを入れたわけでありまして、今日の実態はもうあのただし書きは削ってもいい時期だと私は考えている。自治省の諸君はまだ握っておったほうが権力の行使にはいいと考えているかもしれない。しかし地方の自治体は私は迷惑をされていると思うのだが、この辺を率直に、ああいうただし書きは要らないのだという御意見がございましたら、ひとつこの機会にはっきり聞かしておいていただきたいと思います。——答弁かなければよろしゅうございます。なかなか答弁しにくいことだと思いますから無理には申し上げません。  最後に私はもう一ぺん料金の点に逆戻りをして、もう一言だけ聞いておきたいと思いますが、政策料金にするかあるいは実質弁償方式をとっていくかというような問題は、残された問題としてひとつ御検討願いたいと思います。  もう一つの問題は、実際の費用を払っていくということの中に、実際に支払うほうから考えると一つの矛盾がありはしないかということであります。それは既設のものについての水道料金というものが一応きめられて、そうして支払いをしてきている。そうしてそれは二十年なり、三十年たっている。ところが新しい施設をすることのためにたくさんな費用が要って、それが水道料金にかぶってくる。これは同じ市に住んでいるから連帯責任でよろしいといえばよろしいということでありますけれども、ここにも多少支払う側からいうと、ある程度の無理がありはしないかということが考えられる。ところが理事者のほうにいわせると、市等の一つの自治体の中で、ここの水道料金は高いのだ、ここは安いのだということではやりにくいというお考えが生まれるかもしれない。こういう点についてはどうお考えになりますか。事実上の問題としてなかなか私はやりにくい問題だと思うけれども、しかし負担の公平からいくと、必ずしも、これは表面的の負担の公平であって、実質的にはあまり負担の公平になっちゃいないと思う。
  112. 小林重一

    小林参考人 ただいまの御質問でございますけれども、新しくつくる水道は非常に高い金がかかる。もとからあるものは非常に安いということになりますけれども、東京都の場合やっぱり一つ給水区域内の料金には格差はつけない、プールしてやっていくのが順当ではないかと考えるわけでございますが、この水の消費最がふえていく原因を一応考えてみますと、新しく入ってくる人ももちろん使いますけれども、現在使っている人の水量もどんどんふえているわけでございまます。比率は多少違うかもしれませんけれども、お互いに新しい水を使うというような勘定になるわけでございますけれども、やっぱり一つ事業として同じ給水区域内では格差を設けないでいくのがいいじゃないかと私どもとしては私見としては考えておるわけであります。
  113. 門司亮

    ○門司小委員 これは大阪でも東京でもよろしゅうございますが、水道の実態を私どもが知っている範囲、見ている範囲では、大体水は取水されて、そうして浄化されて流れてくる間と、それから貯水池にたまって、配水池にたまってそれから各家庭に来るまでの間との水は非常に大きな開きを持っているわけであります。いわゆる漏水がかなりあると思います。この漏水を一体なくすることのために、かりにいまの施設をやりかえると言うと語弊があるかもしれませんが、そういうものを押えることのために、いまの施設は結局老朽化しているから、これを新しい施設に取りかえなければならないと仮定いたしますと、大体どのくらいの費用を要求されるか、それも一つ参考のために聞いておきたいと思います。こういう問題が解決しない限りは、いつまでたっても取水量使用量とのアンバランスが、水不足をこしらえる最大の原因になっていはしないか。人間がこのくらいいてこのくらい使うのだから、このくらいでよかろうと思っておるが、途中から二割、三割、はなはだしいのは五割も水が漏っておったらたいへんなことになってしまう。四十五年に、かりに一千万人を東京人口考えても、半分漏っていればたいへんなことになってしまう。私はそういうことを考えると、老朽化したものはやはり取りかえていくという考え方が必要になってきやしないかと思いますが、そういうことをお考えになったことはございますか。
  114. 清水清三

    清水参考人 ただいまのお話の中の取りかえたらどれくらいの費用がかかるか、これは実はあまり大き過ぎてわれわれは考えたことがございませんので、お答え申しかねますが、とにかくわれわれがいま拡張事業とかなんとか言っているものとは、けたの違うような大きな数字じゃないだろうか、かように考えます。  それから漏水の問題、取りかえれば一番いいということになりますが、そういうことでどうもけたの違うような感じがしますので、考えておりませんが、この問題については全国的にはどうか私存じませんが、大都市のほうでは終戦後非常に力を入れて漏水防止にはつとめております。ただ、いまおっしゃいましたように、現在ではやはり、東京はよく知りませんが、私のほうでも二割近くの漏水があるということで、これで日本の水準としてはいいほうだということになりますと、全体が悪いということになりますけれども、外国の例を見ましても、相当な漏水がございます。しかしそれを減らすために、私のほうでも年々一億幾らの金をかけてやっておって、パーセンテージにしますと〇・五とか六とかくらいしか減らないというような状態でありますが、いまお話しになりましたようにかえるかわりに、新しい施設については漏水がないような、以前の古い施設と比べますと非常にいいようなものを入れていくということで、施設の中でいいものと古いものとのパーセンテージを変えていくというようなことをやっておりますことが一つと、それから建設工事、改良工事の大規模のものもやはりその一つとなって、いいもののパーセンテージが変わっていくわけなんですが、そういうことをやっておるわけなんです。一番漏水の多いのは、やはりどっちかといいますと末端が多い。給水設備と申しまして、家の中に引き込んでいる管、あれが非常に多いというような結果がいま出ておりますが、そういうものもできるだけ減らすように努力をいたしておる、そういう状況であります。
  115. 久保田円次

    ○久保田(円)小委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  本日は公営水道事業に携わられる参考人方々から長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。本日はこれにて散会をいたします。  午後五時三十二分散会