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1964-03-25 第46回国会 衆議院 地方行政委員会地方公営企業に関する調査小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十五日(水曜日)     午後二時三十一分開議  出席小委員    小委員長 藤田 義光君       武市 恭信君    和爾俊二郎君       佐野 憲治君    重盛 寿治君       華山 親義君    門司  亮君  出席政府委員         総理府事務官        (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  小委員外出席者         地方行政委員  栗山 礼行君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局物価政策課         長)      嶋崎  均君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     坪井 為次君         運輸事務官         (自動車局業務         部旅客課長)  山上 孝史君         自治事務官         (財政局公営企         業課長)    近藤 隆之君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公営企業に関する件(公営バス事業等に関  する問題)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより地方行政委員会地方公営企業に関する調査小委員会を開会いたします。  地方公営企業に関する件について調査を進めます。  まず、六大都市バス料金改訂参考資料について自治省柴田財政局長より説明を求めます。
  3. 柴田護

    柴田政府委員 お手元にお配りいたしております資料は、御審議の御参考にと思いまして、私どもの手元でわかっておりますものについて簡単に取りまとめたものでございます。  第一表の施設及び業務概況とありますのは、六大都市につきまして車両数営業路線走行キロ輸送人員、職員数等につきまして現状を三十八年の三月現在で調べたものでございます。  それから二ページ、赤字状況でございまして、これも御承知のとおりでございますが、二百六十七億の交通事業全体の赤字の中身を、各六大都市別に明らかにしたものでございまして、東京が一番ひどく、大阪横浜名古屋は比較的少のうございまして、京都が一番少ないのでございます。三十七年度は六大都市で百四十八億でございますが、三十八年度見込みでは二百六十七億円になるであろう。これは六大都市からの報告基礎にして見込んだわけでございます。それの右の方に赤字営業収益に対する割合が出ております。これで見ますると、横浜が非常に大問題をかかえておるということになるわけでございます。  それから、累積赤字の額は、三十七年度で、バス事業だけ取り出してみますると、五十九億円、約六十億でございます。それから三十八年度見込みが、倍増になりまして百億くらい、こういう形になりそうでございます。  それから、その次の四ページでございますが、バス料金改訂を申請しましたときの月日と増収率損失額というのを掲げております。東京横浜名古屋大阪、これが大体三十六年、神戸は三十七年に入って早々、京都が三十八年の九月でございます。増収率は、そこに掲げておりますように、横浜大阪の二六%、あとは一六、七台でございます。  それから、料金改訂抑制によって生ずる年間損失額というのがその次に掲げてありますが、これが俗に言う四十八億と言われるものでございます。各団体報告によって調べたものでございます。このほかに料金を押えられているもの秋田市、浜松市、北九州市三市ございますが、これが同じような計算をいたしますと、一億四千万円ぐらいでございます。そのうちで秋田だけは、まだ運輸省態度がきまっておりませんので、未確定でございますが、一応秋田市側の計算基礎にして計算しますと、全部入れて一億四千万円。もちろんこれは各団体報告でございまして、査定は一切加えてございません。  それから六ページは付表でございまして、大体どんなかっこうになっているかという最近の情勢を大ざっぱにつかんでいただくために調べたものでございます。  第一は、経費増高状況でございます。車キロ当たり人件費で見ますと、四十四円が六十六円に上がっております。総費用に対する比率は六七%。収入に対する比率は七五%。人件費が非常にふえている。  燃料費のほうも、昭和二十六年に比べますと、三十九年二月調べでございますが、一六三・六%、大体軽油で六三%アップ。消費者物価指数参考までに見ますと、五五%、五七%で、大体消費者物価指数のちょっと上になっております。  一方、バスの速度でございますが、東京調べによりますと、時速で見ますると、二十九年度が一六・五九、これが三十八年度は一三・四一。比率で見ますと、八一になります。交通の混雑が主たる原因であると思いますが、交通が非常に悪くなっておるということがこれで明らかになっております。  それから、ほかの公共料金バス料金とを比較してみますと、昭和二十六年以後交通料金改訂はどうなっているか。国鉄は三回、交通営団が三回、私鉄が二回、路面電車につきましては、東京都電横浜市電名古屋大阪市電がそれぞれ二回、こういうかっこうになっております。  戦前、戦後の公共料金を比較いたしますと、バス料金は百五十倍、国鉄が百七十六倍、消費者物価指数が四百二倍、新聞が四百五十九倍、たばこが四百倍、ふろ代が四百六十倍、郵便が三百三十三倍、こういうぐあいになって、公営バス、ガス、水道が非常に押えられている、こういう形になっております。  それから第三は、最近における公営バス料金改訂状況がございますが、三十七年度中に料金改訂の行なわれたものは、一覧表として掲げてございますとおりでございます。  次の表は、三十八年度中に行なわれたもので、札幌、川崎、三原の三市でございます。  料金改訂が、申請してございますけれども、未確定のものが、次の表にありますように、六大都市と、秋田浜松北九州の三市でございます。一番最後は、東京大阪における公営民営バス料金改訂状況でございますが、御参考に年次を追って掲げていったわけでございます。都内路線につきましては、大体公営民営とが同じ歩調でずっといくかっこうになっております。東京の場合は都営と民営が競合しております。大阪の場合は、大体市内は市営バスが独占的な形になっておりまして、事情が若干違うわけであります。簡単でございますが、御参考までにつくりました資料につきまして御説明申し上げました。
  4. 藤田義光

    藤田委員長 それでは引き続き運輸省から説明を求めます。坪井自動車局業務部長
  5. 坪井為次

    坪井説明員 バス事業概況について、簡単に公営民営の概略を御説明しますと、乗り合いバスにつきまして、現在事業者数が三百四十二ございまして、車両数は四万八千百四十四、これは三十六年度でございます。そのうち、公営事業につきましては、事業者の数としましては五十三、車両数で八千六百四十、こういった数字になっております。公営につきましてはいろいろ沿革もございまして、それぞれ特色を持っておるわけでありますが、全体の割合としましてはこの程度の割合でございます。  ただいま問題になっておりますのは運賃問題でございまして、全体的に申しますと、三十六年から運賃改訂の問題が起こりまして、三十七年、八年と困ったところから徐々に改訂を済ましております。民営につきましても、公営につきましても同様な扱いをやっておりまして、現在までに、先ほど御説明がありましたように、公営につきましては五十三のうち三十七事業者改訂が済み、現在残っておりますのが九つ、この中には六大都市と、そのほか秋田市あるいは北九州市、浜松市、こういったものがあります。それから民営につきましては、現在残っておりますのは、二十八事業者改訂が済んでおりません。  それぞれわれわれとしましては、この改訂人件費高騰あるいは諸物価高騰というような理由によりまして、当然必要であるという観点改訂に着手したわけでございます。御承知のような物価政策の上からいきまして企画庁と協議をして進めてきたわけであります。本年度になりましてさらに強いい政府方針が出ましたので、一応原則としてストップ、しかし中小企業等経営が著しく困難と認められるものについてだけ、経済閣僚懇談会の議を経た上で初めて認めることがあり得る、そういったようなことになりまして、ただいまのところほとんど改訂については進んでおりません。  あと詳しい数字その他につきましては、また御質問がありますれば御説明したいと思います。  なお、企画庁にすでに協議してありますのは、公営につきましては、東京都、横浜市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、北九州市、これだけはすでに昨年企画庁に協議してあります。まだ企画庁に持ち込んでおりませんのは、秋田市でございます。これは秋田市の議決がおそかったために、昨年持ち込むことができなかった、こういうことであります。
  6. 藤田義光

    藤田委員長 これより懇談会に入ります。      ————◇—————   〔午後二時四六分懇談会に入る〕   〔午後三時十九分懇談会を終わる〕      ————◇—————
  7. 藤田義光

    藤田委員長 懇談を終わります。  この際経済企画庁から高島調整局長嶋崎物価政策課長が見えておりますので、まず高島調整局長から説明を求めます。
  8. 高島節男

    高島政府委員 私のほうの担当といたしまして、公共料金抑制に関します物価閣議決定がありました。個々の問題のこまかいところは各行からお話があったと思いますから、私のはうからはそのいきさつ趣旨等につきまして若干御説明したいと思います。  資料をお打ちいたしませんで恐縮でございますが、決定の内容は非常に簡単でございますから読み上げて御説明したいと思います。  まずいきさつを申し上げますと、日本の消費者物価は御承知のように三十六、七年に相当のスピードで上がってまいりました。卸売り物価は比較的安定はいたしておりましたけれども、これも若干三十八年のあたりでは上がっておりました。全般に物価の上昇が非常に高いという年がここ二、三年続いてまいったことは御承知のとおりでございます。その間に数回、政府物価対策というものを取り上げておりまして、公共料金問題に対しても政府のコントロールできる分野であるという角度から、数回にわたって抑制方針決定されております。ところが三十八年秋から暮れにかけましていよいよ情勢が悪いので、物価問題の懇談会というものが閣議の了解のもとに経済企画庁に置かれました。メンバーは、どちらかといいますと、学識経験者というか、全然ニュートラルな立場にある人を選びまして、企画庁長官宮沢さんの話し相手として実に熱心に十四回ほどの討議を重ねました。いろんな意見がありましたが、その中で一番強く言われましたことは、政府が規制し得る範囲価格というものに対して強い態度で臨むべきだという点がございました。物価というのは、御承知のようにウナギをつかまえたようなもので、総合的に結果が出てくるのでありまして、あるところ、一部分一部分を考えると、非常に小さな影響というものしか出ない性質のものでございますが、心理的にがっちりと抑えていくというたてまえを置くのでないと、物価問題の対策というものは成り立たないぞ、こういうのが審議会における非常に強い答申の一つの骨子であったわけでございます。そのときまでにいろいろな公共料金につきまして、企画庁としても、一応物価所管者という立場からこれを閣議においてスクリーンするように命ぜられまして、関係各省と御相談しながらいろいろと調整をやってきたわけでありまして、議論もし、意見も述べというようなことが非常に多うございまして、それを繰り返している間に十二月になりまして、そういう物価懇談会答申が出てまいりました。これに対する態度につきまして、経済閣僚懇談会をやりまして、閣僚閥議論をしたわけであります。  そこで、結局まとまりましたのが現在の十四項目とわれわれが言っております「当面行なうべき物価安定のための具体策について」というのでありまして、一月の中旬、十五日でございましたか、閣僚懇談会できまったという経緯に相なっております。その中で公共料金の問題は、答申でも非常に強く政府の規制し得るものだという観点から押えなければいけない。ここでき然たる態度を見せないようであっては、全体の物価の値上がりの勢いというものを断絶することができないではないか、こういう観点が非常に強く出ておりましたので、閣議としても、大きな政治的判断のもとに抑制方針を確立するということで決定いたしたわけであります。  その文書をちょっと読んでまいりますと、「政府は、本年中」、一月になってからやっておりますから、三十九年一二月末までということでありますが、「公共料金の引上げを行なわないものとする。なお、政府が規制する価格については、これに準じて取り扱うものとする。ただし、抑制措置の結果経営の維持が著しく困難になったと認められる中小企業にかかるものや国民生活と直接関係がなく、かつ、その値上げ物価に与える影響が皆無に近いものなどについては、その都度経済関係閣僚懇談会の議に付することとする。」第二点といたしまして、「政府が直接抑制手段をもたない公営水道料金等については、値上げの自粛を要望するものとする。」この二点を懇談会できめたわけであります。  第一段の点は、公共料金及びこれに準ずるものは、本年中ストップである。それから単に、いわゆる公共料金という観念がはっきりいたしません面もありますので、政府規制力の及び得る許認可等中心にいたしまして、決定に関し政府が規制し得るものについては、これに準じて取り扱っていくということにいたしまして、ここに有名な価格ストップ原則というものを確立したわけでございます。  それで、ただし書きといたしましてそのとき議論になりましたのは、一応このまま原則だけで通してしまうという考え方もございましたが、ある程度やむを得ない事例も中小企業等について起こるのではないか。当該経営主体が負担できる範囲においては、これはそこで負担していくことが非常に大事だと思うけれども、中小企業のような弱い部面については、若干例外的な考え方もやり得る余地を残しておくべきだということがございまして、経営に著しく困難が出てきたと認められるような中小企業、それから諸般の手数料みたいなもので、国民生活と直接線がないというようなものにつきましては、閣僚懇談会のスクリーンにかけますが、懇談会の議に付した上で承認をする、こういったことを確立したわけであります。  それから第二の点は、公営水道料金等でございまして、届出制に制度がなっておるものでございますが、こういうものについては、政府として、直接規制権限は持っていないわけでございます。なぜ届け出にしているかというような議論もありますが、そういう面については公共料金等に準じて取り扱っていきたいということで、厚生省、自治省にお願いをして指事でやっていくということになっております。  以上が、公営料金抑制方針でございます。  そこで、これと関連いたしまして、最近の物価動向というものを御参考のために一とおりフォローいたしてまいりますと、たとえば先ほど申しました三十八年度の三十七年度に対する各月の上がりぐあいをずっと見てまいりますと、四月ごろは対前年度比七%、六月が九%、それから七月の八%、この辺一番心配した時期で、九月も九%というなかなか心配な時期が続いております。十月以降もやはり七%、八%、六%というようなところで年を越しております。一月から以降若干暖冬のおかげといいますか、野菜もの等の値下がりがありました。ちょうどこのころから一般物価問題が非常にやかましくなってきまして、いろいろな面で政策的な手を打ったことが、やや我田引水でありますが効果が出てまいりまして、一月は対前年同期化が四%、二月はまだはっきりいたしませんが、三%ぐらいということであります。年度間平均で、経済見通しでは七・二%上がるということにいたしておりましたのが、六・六%くらいのところでまあまあいくのではないかというふうな感じがいたしております。公共料金中心にしての抑制措置ということに思い切った施策をとっていく。物価問題の方向というのは、こういう政府の規制し得る範囲のものにつき、厳正な、きわめて渋い体制をとっていくということが、物価全体に対しまして抑制効果を及ぼす大きな手がかりである、こういうねらいがあったわけでございます。問題は、これから先が大事な時期でございますので、経済企画庁としてはこの原則をできるだけ厳守する体制で進みたいと考えております。いまのところ例外的な措置としては、ほとんど手数料みたいなもの以外は認めないで推移しておるということでございます。
  9. 藤田義光

    藤田委員長 これより懇談に入ります。      ————◇—————   〔午後三時三十一分懇談会に入る〕   〔午後四時八分懇談会を終る〕      ————◇—————
  10. 藤田義光

    藤田委員長 これにて懇談会を終わります。次会は明二十六日午後二時半より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会