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高島政府委員 私のほうの担当といたしまして、
公共料金の
抑制に関します
物価の
閣議の
決定がありました。個々の問題のこまかいところは各行からお話があったと思いますから、私のはうからはその
いきさつ、
趣旨等につきまして若干御
説明したいと思います。
資料をお打ちいたしませんで恐縮でございますが、
決定の内容は非常に簡単でございますから読み上げて御
説明したいと思います。
まず
いきさつを申し上げますと、日本の
消費者物価は御
承知のように三十六、七年に相当のスピードで上がってまいりました。
卸売り物価は比較的安定はいたしておりましたけれども、これも若干三十八年のあたりでは上がっておりました。全般に
物価の上昇が非常に高いという年がここ二、三年続いてまいったことは御
承知のとおりでございます。その間に数回、
政府が
物価対策というものを取り上げておりまして、
公共料金問題に対しても
政府のコントロールできる分野であるという角度から、数回にわたって
抑制方針が
決定されております。ところが三十八年秋から暮れにかけましていよいよ
情勢が悪いので、
物価問題の
懇談会というものが
閣議の了解のもとに
経済企画庁に置かれました。メンバーは、どちらかといいますと、
学識経験者というか、全然ニュートラルな
立場にある人を選びまして、
企画庁長官宮沢さんの話し相手として実に熱心に十四回ほどの討議を重ねました。いろんな
意見がありましたが、その中で一番強く言われましたことは、
政府が規制し得る
範囲の
価格というものに対して強い
態度で臨むべきだという点がございました。
物価というのは、御
承知のようにウナギをつかまえたようなもので、総合的に結果が出てくるのでありまして、あるところ、一部分一部分を考えると、非常に小さな
影響というものしか出ない性質のものでございますが、心理的にがっちりと抑えていくというたてまえを置くのでないと、
物価問題の
対策というものは成り立たないぞ、こういうのが
審議会における非常に強い
答申の一つの骨子であったわけでございます。そのときまでにいろいろな
公共料金につきまして、
企画庁としても、一応
物価の
所管者という
立場からこれを
閣議においてスクリーンするように命ぜられまして、
関係各省と御相談しながらいろいろと
調整をやってきたわけでありまして、
議論もし、
意見も述べというようなことが非常に多うございまして、それを繰り返している間に十二月になりまして、そういう
物価懇談会の
答申が出てまいりました。これに対する
態度につきまして、
経済閣僚懇談会をやりまして、
閣僚閥で
議論をしたわけであります。
そこで、結局まとまりましたのが現在の十四項目とわれわれが言っております「当面行なうべき
物価安定のための
具体策について」というのでありまして、一月の中旬、十五日でございましたか、
閣僚懇談会できまったという経緯に相なっております。その中で
公共料金の問題は、
答申でも非常に強く
政府の規制し得るものだという
観点から押えなければいけない。ここでき然たる
態度を見せないようであっては、全体の
物価の値上がりの勢いというものを断絶することができないではないか、こういう
観点が非常に強く出ておりましたので、
閣議としても、大きな
政治的判断のもとに
抑制方針を確立するということで
決定いたしたわけであります。
その文書をちょっと読んでまいりますと、「
政府は、本
年中」、一月になってからやっておりますから、三十九年一二月末までということでありますが、「
公共料金の引上げを行なわないものとする。なお、
政府が規制する
価格については、これに準じて取り扱うものとする。ただし、
抑制措置の結果
経営の維持が著しく困難になったと認められる
中小企業にかかるものや
国民生活と直接
関係がなく、かつ、その
値上げの
物価に与える
影響が皆無に近いものなどについては、その都度
経済関係閣僚懇談会の議に付することとする。」第二点といたしまして、「
政府が直接
抑制手段をもたない
公営水道料金等については、
値上げの自粛を要望するものとする。」この二点を
懇談会できめたわけであります。
第一段の点は、
公共料金及びこれに準ずるものは、本
年中は
ストップである。それから単に、いわゆる
公共料金という観念がはっきりいたしません面もありますので、
政府の
規制力の及び得る
許認可等を
中心にいたしまして、
決定に関し
政府が規制し得るものについては、これに準じて取り扱っていくということにいたしまして、ここに有名な
価格ストップの
原則というものを確立したわけでございます。
それで、ただし書きといたしましてそのとき
議論になりましたのは、一応このまま
原則だけで通してしまうという
考え方もございましたが、ある程度やむを得ない事例も
中小企業等について起こるのではないか。
当該経営主体が負担できる
範囲においては、これはそこで負担していくことが非常に大事だと思うけれども、
中小企業のような弱い部面については、若干例外的な
考え方もやり得る余地を残しておくべきだということがございまして、
経営に著しく困難が出てきたと認められるような
中小企業、それから諸般の
手数料みたいなもので、
国民生活と直接線がないというようなものにつきましては、
閣僚懇談会のスクリーンにかけますが、
懇談会の議に付した上で承認をする、こういったことを確立したわけであります。
それから第二の点は、
公営水道料金等でございまして、
届出制に制度がなっておるものでございますが、こういうものについては、
政府として、直接
規制権限は持っていないわけでございます。なぜ届け出にしているかというような
議論もありますが、そういう面については
公共料金等に準じて取り扱っていきたいということで、厚生省、
自治省にお願いをして指事でやっていくということになっております。
以上が、
公営料金の
抑制方針でございます。
そこで、これと関連いたしまして、最近の
物価動向というものを御
参考のために一とおりフォローいたしてまいりますと、たとえば先ほど申しました三十八
年度の三十七
年度に対する各月の上がりぐあいをずっと見てまいりますと、四月ごろは対前
年度比七%、六月が九%、それから七月の八%、この辺一番心配した時期で、九月も九%というなかなか心配な時期が続いております。十月以降もやはり七%、八%、六%というようなところで年を越しております。一月から以降若干暖冬のおかげといいますか、
野菜もの等の値下がりがありました。ちょうどこのころから一般
物価問題が非常にやかましくなってきまして、いろいろな面で政策的な手を打ったことが、やや我田引水でありますが
効果が出てまいりまして、一月は対前年同期化が四%、二月はまだはっきりいたしませんが、三%ぐらいということであります。
年度間平均で、
経済見通しでは七・二%上がるということにいたしておりましたのが、六・六%くらいのところでまあまあいくのではないかというふうな感じがいたしております。
公共料金を
中心にしての
抑制措置ということに思い切った施策をとっていく。
物価問題の方向というのは、こういう
政府の規制し得る
範囲のものにつき、厳正な、きわめて渋い
体制をとっていくということが、
物価全体に対しまして
抑制効果を及ぼす大きな手がかりである、こういうねらいがあったわけでございます。問題は、これから先が大事な時期でございますので、
経済企画庁としてはこの
原則をできるだけ厳守する
体制で進みたいと考えております。いまのところ例外的な
措置としては、ほとんど
手数料みたいなもの以外は認めないで推移しておるということでございます。