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1964-09-10 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第65号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年九月十日(木曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 川村 継義君    理事 安井 吉典君       奥野 誠亮君    金子 岩三君       亀山 孝一君    久保田円次君       登坂重次郎君    山崎  巖君       和爾俊二郎君    秋山 徳雄君       大原  亨君    阪上安太郎君       下平 正一君    千葉 七郎君       華山 親義君    栗山 礼行君       門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 吉武 恵市君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         防犯少年課長) 楢崎健次郎君         文部事務官         (体育局スポー         ツ課長)    松島 茂善君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         厚生事務官         (環境衛生局環         境衛生課長)  柳瀬 孝吉君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         警  視  長         (警視庁防犯部         長)      吉武 辰雄君         参  考  人         (中央青少年問         題協議会委員) 永井 三郎君         参  考  人         (評論家)   松田ふみ子君         参  考  人         (明治大学教         授)      和田 英夫君         参  考  人         (東京喫茶業         環境衛生同業組         合副理事長)  大塚 富次君         参  考  人         (東京トルコ         浴場業協会会         長)      志野 幸八君         参  考  人         (後楽園スタジ         アム取締役社         長)      真鍋八千代君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 九月十日  委員三池信君、秋山徳雄君、千葉七郎君及び華  山親義辞任につき、その補欠として金子岩三  君、大原亨君、下平正一君及び湯山勇君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員金子岩三君、大原亨君、下平正一君及び湯  山勇辞任につき、その補欠として三池信君、  秋山徳雄君、千葉七郎君及び華山親義君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  警察に関する件(風俗営業等に関する問題)  地方自治及び地方財政に関する件(地方公務員  の給与改定に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  警察に関する件、特に風俗営業等に関する問題について調査を進めます。  まず、風俗営業等取締法改正後の実施状況並びに取り締まり状況について、警察庁楢崎防犯少年課長及び警視庁武防犯部長から順次説明を求めます。楢崎防犯少年課長
  3. 楢崎健次郎

    楢崎説明員 八月一日に、改正風営法施行になりましたが、それまでに全国各県とも、風営業法施行条例改正いたし、十分に準備をしておったわけでございます。  施行以後の状況を一言で申しますと、全国的に順調に新しい法律が実行されておると言うことができると思います。一応の御参考のために、その後の取り締まり状況及びその後の関係方面動向といったものを御説明したいと思います。  第一に、八月一日以降の改正風営法に基づく取り締まり状況でございます。  警察としましては、原則として、法施行直後の八月一ぱいを指導期間ということで、できるだけ指導しあるいは警告をするということで、積極的に取り締まるのはその後のことであるといたしておりますので、検挙件数は必ずしも多くもございませんが、八月一日から八月の二十日までに全国で百五十四件の違反検挙を見ております。態様別に御説明申し上げますと、喫茶店場所制限違反にかかって問擬されたものが十一件、それからバー酒場等の十二時の時間制限違反で問擬されたものが七十五件、照度の違反十一件、十八才未満の者の従業制限違反が五件、十八才未満の者を営業所に客として立ち入らせたもの六件、二十才未満の客に対する酒類提供違反二十一件、その他の風営法違反が十六件、その他九件ということになっております。  こういう状況でございますが、各県とも全国的に当分の間は指導を主としておりまして、全国主要盛り場では各警察本部とも特別の風俗取り締まり班を設けまして、夜間指導及び取り締まり重点的に実施中でございます。  次に、改正風営法に基づく違反動向について若干説明を申し上げたいと思います。  まず、一般的な動向、あるいは傾向といたしまして、全国的な顕著な傾向としましては、夜間少年の外出、あるいは深夜におけるぐれん隊の横行、あるいは泥酔者の数が非常に減少したということでございます。  次に、一般市民の新しい風営法に対する関心が非常に高くなり、警察にいろんな投書あるいは電話などで意見あるいは情報を連絡してくれるものが非常にふえておるということでございます。特異な動向としましては、夜のお客が減ったためにタクシー運転者が一面では非常に収入が減少した。東京神奈川等でも二割くらい減少したと漏らしておる者もあります。しかし、夜の酔っぱらいが減ったので、酔っぱらいの処理に助かりますというタクシー運転手の話もございます。  それから従来は料理店あるいはバーなどの風俗営業者飲食店との差がきわめて不公平であった。同じようなことをやりながら飲食店のほうは終夜やっておって、われわれは十一時半、非常に不公平であったのが今度は是正されたということで、好感を持っておる。数の上から見ましても深夜の泥酔者保護事件が著しく減っております。また深夜の飲酒に基因する暴行傷害事件が非常に減少しております。東北地方の二、三の県では、この際酒類提供を午前零時以降は一切やめるようにしたらどうかという県民の強い意向があるという報告もきております。  以上が一般的な動向でございます。  次に、改正法律少年に対してどういう影響を与えておるかということについて目下調査中でありますが、現在までの報告では、一部の県では、深夜喫茶から深夜映画館少年が移行する傾向が見られる。あるいは少年が深夜喫茶店を締め出されまして、終電ごろまでは盛り場あるいは深夜の飲食店そば屋などの周辺にたむろし、排回する傾向がある。しかし、全般的には十一時以降の街頭の少年が減ってきた。したがいまして、盛り場における少年補導件数も、深夜においては減ってきておるという状況でございます。  次に、直接に影響のありました、業者についての影響あるいは動向でございますが、時間規制あるいは場所規制を受けました喫茶店、あるいは主として酒を提供するバーその他の店が、全般的には指導と相待ちまして、新しい法律が非常によく行なわれておる。先日関西で見ていただいたような状況でございまして、全般的には非常によくいっておりますが、一部やはり法を免れるために、たとえば喫茶店で十一時以降酒類提供する、あるいはバー酒場などが十二時以降に食事提供する、あるいはホットドッグとかそういった食べものを提供して時間あるいは場所規制を免れようとするというようなものが、たまにあるようであります。それからバーなどで米飯提供業者という登録を受けてレストランに転業するものも出ております。それから従来のいわゆる飲食店バー風営許可をとっておりませんバーが、この際ということで正式に風俗営業許可をとるという傾向全国的に非常にたくさん出ております。特別の脱法行為としましては、たとえば会員制に改める、あるいは店内にロッカーなどを設けてこれに酒を預けさせて、自分の持ち込み品だということで飲ませる、あるいは十一時以降は飲食は出さないけれどもお休みどころ、有料待ち合い所として店を出しておったというような、きわめて例外でありますが、そういうものがあらわれております。業者動向としましてはあまり表立ったものはございませんが、一部観光地あるいは旅行地、たとえば熱海などの特殊の地域では、時間制限をもう少し緩和してもらいたいといったような陳情が、県当局あるいは県の公安委員会のほうには出されているようでございます。表立った動きは全国的にはそういった面では私どものほうにはまいっておりません。  以上が、風営法改正法施行以後の取り締まり状況並びに業者動向でございます。  なお、最後につけ加えますと、現在法律改正施行直後であり、警察指導あるいは取り締まりも非常に徹底しておりますが、業者の間には、当分の間は様子を見ようというような気分もないではないと思っております。問題は、これから三カ月、半年たった以後の取り締まり状況あるいは業者動向にあると思われますので、こういう方面についてはなお一そう警察としましては注意をしまして取り締まりを続けていきたいというふうに思っております。
  4. 森田重次郎

  5. 吉武辰雄

    吉武説明員 私から警視庁管内、つまり東京都内における風俗営業あるいは飲食店営業等の現在までの実態を御報告いたしたいと思います。  まず、報告いたしたいと思いますことは、風俗営業全般につきまして、その数及び種類、それから条例改正前後におけるところの営業許可申請状況、それから飲食店営業につきましては業態推移と、それから法改正にあたってどういう指導警視庁として行なってきたか、それから改正後の取り締まり状況、こういった点について簡単に申し上げてみたいと思います。  都内における風俗営業は八月三十一日現在、お手元に差し上げましたように二万二千五百二十五を数えておるわけであります。その業種別の内容は、お手元に表を差し上げておりますのでそれを省略させていただきたいと思います。七月現在におきましては二万二千五百二十を数えておったのでございますが、この法律の一部改正に伴う条例改正によりまして、従来八十九という数を数えておりましたいわゆる遊戯場、これは風俗営業から削除されまして、と同時に反面カウンター越し接待をして客にお酒を提供しておったという営業風俗営業に該当するということになったために、これらの営業者風俗営業に転換しているという傾向がこのごろとみにふえてまいっておるわけであります。七月以前は、一日平均大体八件ぐらいの風俗営業許可申請でありましたのが、八月一日以降になってまいりますと大体十二件ぐらいに増加いたしておりまして、この傾向というものは当分続くのではないかというふうに考えておるのでございます。これは先ほど申しましたように、従来は単なる飲食店営業として許可されておったのが、カウンター越しでも客に接待をするということになると風俗営業とみなされる、こういう点から、正規に風俗営業許可を申請してまいったものでございます。このうち、特異なものといたしましては渋谷あるいは新宿地区に集団的に営業をしておる場所がある。いわゆる新宿千鳥街あるいはまた花園街というような二百軒に及ぶあるいは数十軒に及ぶというような集団的な営業地域がございますが、こういったものの大部分風俗営業許可申請準備をしておるというのが現在の実情でございます。したがいまして、これらの許可を希望しておるものが風俗営業に転換するということになりますると、大体二万三千件ぐらい、これから風俗営業として取り締まりに従事するということになろうかと思うのでございます。  飲食店営業は、都内におきましては三万七千四百九十六という数を数えておる。そのうち、いわゆる喫茶店というものが六千百四十三件、それからバーというように主として酒類提供するもの、これが六千九百四十一件、その他の飲食店が二万四千四百十二件、こういう数でございます。本年一月の調べとこれを比較いたしますと、約三千八百件という数の減少を示しておるのでございます。しかしながら、これは前回の調査におきまして、飲食設備のない、いわゆる総菜屋等の三千数百件というものが計上されておりますので、総数においては著しい違いはない、かように私ども見ておるのでございます。  業態推移でございますが、今年一月調べと比較いたしまして、喫茶店が大体八百二十三件減少しておりますし、バーなどが八百二十五件増加をいたしておるということは、これは喫茶店営業者の一部が営業時間で一番長いバーに転業したということが大部分の原因のように見受けられるのでございます。  法改正並びに条例改正に伴いまして、警視庁では業者指導ということに非常に重点を置きまして、改正直後から今日までに、本部に直接業者を招き指導あるいはまた講習を行ない、さらには警察署等におきましてもそれぞれ業者のほとんど大部分を集めて講習を行なって、法並びに条例改正点周知徹底をはかり、なお違反のないように指導をいたしてまいったわけでございます。  そうして、いよいよ八月一日から法律並びに条例施行になるわけでございますが、一般的に見ますと、先ほど防犯少年課長からも話しましたように、この一カ月間というものは大体私のほうでも指導ということに重点を置きまして、特別な指導取り締まり班というものを、専属のものを設けまして、各業態について常時指導取り締まりに当たらしたわけでございます。  施行後三週間を経過いたしました八月二十一日に、防犯部から二百数十名を神田警察署外二十四署に応援いたしまして、大体千名近くの部隊をもちまして午後十一時から翌日の午前三時までの間、管下一斉の指導取り締まり実施いたしたわけでございますが、この期間内におけるところの違反件数は、件数にいたしまして千五百四十一件、それから人数にいたしまして千五百四十六名という数を数えておりますが、その詳細はお手元に提出しておる表のとおりでございます。  特異の動向といたしましては、おおむね防犯少年課長が御報告いたしましたことと同じでございますが、ただ警視庁につきまして、巣鴨の警察管内にある喫茶店経営者と申しますか、数名が、この東京都の条例憲法違反して無効である、したがってこれを取り消してもらいたいということが一点と、それからもう一つは、酒類提供するものは十二時まで営業許可されておる、われわれは十一時で禁止される、これは法の前に平等でなければならぬとする憲法の精神に違反するものであるから、われわれの喫茶店も十二時までにしてほしいという訴えを東京地方裁判所に提起した。これの第一回の公判が去る九月の二日に行なわれたわけでございますが、これにつきましては、東京都を相手といたしました関係上、都からもそれぞれこれに対する反論をいたしておるわけでございまして、この判決は、まあ私ども考えとすれば、却下あるいはまた原告の敗訴ということで終わるのではないかというような見通しを現在のところは立てておるわけでございます。  それから擬装転業という点につきましては、先ほど防犯少年課長から説明いたしましたようなことで、あるいは十一時以降の喫茶店を貸し席にするとか、あるいはまた十一時以降いわゆるおにぎり屋というような食事提供するというようなことで、いわば法律の盲点と申しますか、そういった点をついておる実態が出ておるのでございまして、大半は、これは擬装転業だということを指導あるいは注意いたしますと、それに従っているというのが実情でございます。現在のところまずまず私どもの期待しておった実情に近い状態があらわれておる、こういうふうに考えておるわけでございます。しかしながら、先ほど防犯少年課長からも申しましたように、これはやはり東京の場合も警察の出方あるいはこれから先の取り締まり状況というものにきわめて強い関心を持って見守っておるというのが実情というふうに認められますので、私どもといたしましても、これから先の指導取り締まりにつきましては、やはり特段の留意を払っていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。  きわめて簡単ではございますが、以上、御報告申し上げました。
  6. 森田重次郎

    森田委員長 次に、質疑の通告がありますので、順次これを許します。亀山孝一君。
  7. 亀山孝一

    亀山委員 全国的の取り締まり状況についての問題をまず警察庁の方から、それから第一線におられる関係警視庁当局にひとつ御質問を申し上げたいと思います。  第一は、風俗営業取り締まり対象である興行場であるとかあるいはトルコぶろとかいうような問題が、戦前はこれは衛生警察という面と風俗警察の面から、警察関係でこの認可あるいは取り締まりをやったのです。戦後これが厚生省あるいはその他の省の関係に移ったために、衛生の面はともかくとして、風俗営業という問題から見ますと、どうも隔靴掻痒の感がなきにしもあらず。そこで、この問題について両当局から、こういう問題についてはむしろ警察のほうの認許可に移したらいいのじゃないか、また取り締まりも同様にしたらどうか、こういうような御意見があれば、それをお伺いしたいと思うのです。  それからいま一つは、先般大阪で今日と同じように京阪神の当局からいろいろ御意見を伺いまして、非常に参考になりましたが、要するにこの八月一日から実施されました風営法律改正法が、どうも線香花火式になるのではないかという感じをわれわれが持つと同時に、業者もそういう意味から、どっちかといえば、先はまたルーズになってしまうだろうというような見込みでおるような感じがしてなりません。それにはやはり、常時というとことばが強いですけれども、適当な時期にはこれを、取り締まっていくことが大事である。それには何と申しましても、現在の第一線におられる警察官では、これは多くは夜間の勤務になりますために、警察官の御苦労もたいへんであろうと思うし、その数もいまのままで一体やれるかどうか。せっかくこの改正法をつくられて、先ほど来お話のありましたように、世間ではこれを非常に好評をもって迎えておる。ことに非行青少年の補填の問題からいうと、一つの石を投げたとまで言われておる。この法律線香花火式になって、当座だけということになってはわれわれとしては非常に残念に思う。そういう点で、いまの警察官が取り締まられる場合の今後の対策についてどういうようにお考えになりますか。この二点をまず両当局からお答えを願いたいと思います。
  8. 楢崎健次郎

    楢崎説明員 第一点の、戦前においては浴場あるいは興行場その他が、警察許可対象であった。これは御指摘のとおりでございまして、戦前はこういったいわゆる三法と称しまして府県令警察衛生面あるいは安全面風紀面を全般的に許可し、規制しておったわけでございます。戦後御承知のような事情で、浴場それから旅館飲食店、こういったものは、それぞれ厚生省の所管の公衆浴場法あるいは食品衛生法あるいは興行場法、こういったものに移管されまして、警察は御承知のとおり、特別に風俗に問題の多い営業について風俗営業法で取り締まっておる、こういう状況にございます。  破り締まりだけの見地から見れば、なるほど全部警察許可して取り締まるということが一番効率的かと存じますが、現在の行政体制と申しますか、いわゆる縦割り行政の中で、それぞれの法律がそれぞれについて規制をしております。たとえば旅館業法については、旅館衛生あるいは風紀の問題について規制をする。公衆浴場法についても、公衆浴場衛生及び風紀について規制する。興行場法については、風紀の字句は出ており摂せんが、一応厚生省がこれを許可指導しておる、こういう体制でございますので、原則としては、私どもはそれぞれの所管する法律の中に風俗風紀についての規定を盛り込んでいただいて、それに違反する場合には、警察もこれを一緒に指導しあるいは取り締まっていく、こういうたてまえでいままで進んできております。  御質問の、今後どうするかという問題は、非常にむずかしい問題だと思われますが、風浴営業法を無制限に広げて、そうしてどこまで風浴営業法で取り締まっていくかということについては慎重な検討が必要であると思っております。一応現在のわれわれの考え方は、風俗営業そのものは別としまして、興行場あるいは公衆浴場あるいは飲食店あるいは旅館、そういったものにつきましては、それぞれの所管する法律に従って取り締まるべきであるというような考えを持っております。  それから第二の点につきましては、御指摘のとおりでありまして、これは今後警察がよほど強力な指導あるいは取り締まりを続けませんと、また多少でも手をゆるめればもとのもくあみになるというおそれもないではございません。そのために、先ほど申し上げました特別取り締まり班を設けまして、深夜の盛り場等重点的に取り締まりをやっておるわけでございます。正直に申しまして、こういう重点的な非常な負担になる取り締まりを永久に続行するということは、非常に無理でございます。もちろん警察官の数が、取り締まり面から見れば非常に足りないというのも事実でございます。ただそのために、たとえば現在全国的に申しまして風俗係警察官が、正確ではございませんが、約五、六百名だったと思います。これをたとえあと五百名ふやして倍にしましても、実はそれで問題が解決するというわけではない。むしろこういう大きな取り締まりは、警察全部をあげまして、ことに外勤警察官などが非常に大きな中身になると思いますが、警察全体の態勢を強化するということでいくべきである、そういったことで、現在警察庁といたしまして、警察官全体の、ことに外勤警察官の増員、こういったことについて検討を進めておる次第でございます。  取り締まりの今後の対策という最後の御質問の点でありますが、私どもとしましては、先ほど申されましたような線香花火になって、警察の手がゆるめられて、また昔のような状況を復活するということのないように、重点的に、しかも効率的な取り締まりを、今後も強力に進めるということについて、しばしば第一線に連絡し、先日も局長会議でお願いした、こういう状況でございます。
  9. 吉武辰雄

    吉武説明員 お答えします。  トルコぶろの点につきましては、原則として私どもやはりそれぞれの法律に従ってそれぞれの受け持つ分野が指導取り締まりを行なっていくということが理想だと思うのでございます。ただ東京の場合、若干状況と申しますか規模が大きいということ、現在トルコぶろ都内に百六十六軒を数えておるわけであります。浅草、新宿、池袋、渋谷というようないわゆる盛り場等に密集をしておるわけであります。このトルコぶろ風紀問題というのを根本的に解決する手段と申しますか、これはやはり何といっても個室の廃止ということが根本の問題点だろうと思います。もし個室が廃止されるということになるならば、これはすでに警察の手を離れるというようなかっこうにもなってくるのではないか、かように思量されるわけであります。したがいまして、現在東京都でも条例改正をいたしまして、いわゆるミストルコの服装の問題とか営業時間の問題、あるいは風紀問題の防止のためにそれぞれの制限を加えておるわけであります。まあ、実態について私ども調査してみますと、必ずしも改正条例が完全には守られておらない。これは都のほうにもいろいろ問題があると思うのですが、しかし都自身でもこの問題を深刻に考え、そしてこれに対する適切な対策を講ずるということになるならば、あえて警察がこの問題について全面的な取り締まり任ずるという必要はないではないかというような気もするわけであります。  それから、第二点の風俗営業取り締まりというものが線香花火式になるのではないかという問題でございますが、この点も私ども業者の現在の心境等を推察いたしまして、やはり何といっても警察の出方が一体いつまで続くか、こういう指導取り締まりがいつまで続くか、真剣にこれを守らせるつもりかどうかというような思惑というものが業者のほうにもあるように見受けられますので、この思惑というものをくずすまでは何としてもこういった指導取り締まりの態勢は続けていきたい。そして三カ月なり半年なり続いて、もう警察は絶対あとへ引かないんだということになるならば、ある程度先方も、何と申しますか、やはりどうしても法律どおりにやらなくちゃならぬじゃないかという気分が非常に高まるということを私ども考えておるわけでございます。そのために警察官の数、専務の係の数というものは、仰せのとおり非常に少ないわけでございますが、先ほど防犯課長からも申し上げましたように、外勤その他を合理的に使用いたしまして重点的な取り締まり実施していくということ、と同時に、業者の自主的な順法精神の高揚といったものをはかるためのいろいろな指導ということにも全力を注いで、線香花火式にならぬように、私どもといたしましては今後指導取り締まりに任じていきたい、かように考えておる次第でございます。
  10. 亀山孝一

    亀山委員 大体お考えはわかりましたが、そこで、御承知のように交通事故防止といいますか、安全交通のために、交通安全週間とか、あるいは防犯週間とか、あるいはまた少年補導の週間であるとか、ああいうようなものが年中行事式にありますために、業者の方々も十分これに対して、用心をするというとなんだけれども、ある程度適当に取り締まられるのだという気を持っておる。一般もそれによって、風営改正前のことが忘れられないのじゃないか。  そこで、これはとっぴな思いつきかもしれませんけれども、そういうような週間的なものと、それからいわゆる風紀、そういうものとの併用ということはお考えになっておられるかどうか、それをひとつお伺いしたい。
  11. 楢崎健次郎

    楢崎説明員 御承知のように交通安全週間、あるいは秋の防犯運動というようなことで、春秋定期的にやっております。本年は特に警視庁あるいは全国的に、秋の防犯運動の中に、環境浄化の強化ということを一番重要な項目に入れております。環境浄化ということの中には風俗営業についての新しい法律を守らせるその指導、それからその取り締まりということを一番重点にしておるわけでございます。オリンピックもありますことで、そういった指導については、実は五月あたりから非常に強力にやっておりますが、九月の半ばから十月のオリンピックの始まるまでを、そういうことで防犯運動の中の最も重要な項目として風俗営業指導取り締まり、順法運動の高揚というようなことをやっております。御指摘のようなことでございますので、今後ともそういった面については十分に配慮していきたいと思っております。
  12. 亀山孝一

    亀山委員 いまオリンピックを控えての取り締まりの問題、非常に意を強くしました。どうかしっかりやっていただきたい。  これから細目にわたって若干質問を申し上げたい。深夜喫茶の問題、先ほどもちょっと両当局が触れられましたが、主食を販売するすし屋とかあるいはそば屋というものが制限外だ、擬装転業というようなお話もあったけれども、こういう問題をいまのまま放っておくのがいいのか、あるいはある程度適当な時間制限をしたらいいのか、この点をひとつまずお伺いしたい。  いま一つは、こうやって深夜喫茶というものを制限をしてきたのですが、従来これを大いに利用したというか、享楽してきた連中はどういう方面にいまそのかわりを求めておるんだろうか、そういう点のお見込みを両当局からひとつお伺いしたい。
  13. 楢崎健次郎

    楢崎説明員 第一点の、深夜の飲食店時間制限あるいは場所制限にかからないものが、つまりすし屋あるいはそば屋、そういったものが、酒を無制限に出すというようなことについてどうしたらいいだろうかという考えでございますが、御承知のように全国条例は、酒を無制限に出すということではなくて、主として酒を出せば十二時には店を締めなさいということになっております。全国的な徴候といたしましてはバー酒場、主として酒を出す店が十二時に締められたので、一時的にはすし屋とかそば屋の酒の売り上げがふえたという報告も参っておりますが、しかしこれは一時的な現象であって、やはりほんとうに酒を飲みたい人は、すし屋、そば屋では飲まないというようなこともありましょう。そういう徴候は再びなくなるといいますか、すし屋、そば屋でやたらに飲むというような傾向は、長続きはしないであろうというような報告が来ております。私どももそう考えております。  今後の対策として、一切、たとえば十二時以後深夜の飲食店は酒を出してはいけないというようなことを、法律あるいは条例できめるべきかどうかという問題につきましては、実は外国の法令なんかを多少読んでみますと、酒については深夜、ことに十二時以降については非常にきつい規制があるのが非常に多く見られます。しかしわが国では、酒に対する国民の観念と申しますか、そういうものが若干違いますし、一応まず現在の、つまり新しい法律あるいは条例のもとでしばらく様子を見まして、なおかつ制限を受けない深夜の飲食店の酒の問題が非常に問題であれば次に考えていくというようなことで十分ではないか。先ほど申し上げましたように、東北の一部の県ではこの際十二時には一切の飲食店について酒を制限すべきであるという意見も県会等で出ておるそうでございます。こういった点は、今後の参考にしていきたいと思っておる次第でございます。  それから擬装転業をそのままほっておいていいのかという問題につきましても、私どもはそう見えすいたような擬装転業営業として成り立つと思っておりませんし、また擬装転業であれ実態調べればそれがほんとうに喫茶店であるか、あるいはバーであるか、ほんとうの主食の飲食店であるかわかるわけでございますので、これも今後の指導あるいは取り締まりによって対処できる、それほどまあ擬装がふえてどうにもならないというようなことにはならないというふうに考えております。  青少年動向でございますが、先ほど最初の説明でちょっと触れましたように、実は喫茶店を締め出された青少年がどこに行くだろうかということで、警視庁その他でいろいろ調査をしてもらっております。ちょっと最初に触れましたように、深夜の映画館少年の数が若干ふえたとかあるいは街頭にたむろする者が若干ふえたというようなことが出ておりますが、まだ何ぶんにも夏休み期間でございまして、青少年がほとんど山や海に行っているという状況もございまして、その実態は十分にわかっておりません。今後十分注意してみたいと思います。
  14. 吉武辰雄

    吉武説明員 深夜喫茶から締め出された青少年動向でございますが、先ほど楢崎課長からも報告いたしましたように、やはり何と申しましても東京では深夜興行映画館あるいはまたストリップ劇場というようなところへ流れているのが若干多いわけであります。これもしかしながら、私ども考えていたほど流れておるということは言えないのでございまして、試みに七月の中旬にまだ法律条例施行にならない前に、深夜興行の実態調査いたしましたところ、その当時、大体おとなに対する少年の割合が一〇%という数を占めておったわけであります。ところが八月一日から都内における深夜興行場の数は非常にふえてまいった。約三十館ばかりの興行場が深夜営業をするということになったわけでございます。しかしながら、それ全体に対しましておとなに対する割合というものは一三%くらいで、まあ若干、三%くらいの増加は見ておるけれども、思ったほどふえていない。しかし、いま楢崎課長からもお話がありましたように、もちろんこれは海や山へ行っておるというような点もあるだろうと思いますので、この点またあらためて実態調査をしたいと思います。  それから一般の成人の人たちがどこへ行っているかというと、これも必ずしもすし屋、そば屋に行っておるということも言えないわけなんでございまして、すし屋、そば屋が相当繁盛するだろうというふうに私ども法律施行前には考えておったわけでございますが、実態はそれほどのものではない。終電車で帰るという人たちが非常に多くなっているわけでございます。したがいまして、先ほど防犯少年課長からお話がございましたように深夜における、いわゆる終電車がなくなってからのタクシー営業というものが非常に減っておる。この営業の収入が非常に減っておるということは、とりもなおさずやはり終電車あるいはまたその前に自宅に帰っておるということが二曲うかがわれるのではないか、かように考えるわけでございます。まあ私どものほうに入ってまいります情報では、家庭の主婦あたりから非常に喜ばれておるというようなことも間々入ってまいっております。  それから仮装転業というようなものをこのままほうっておいていいかどうかということは、楢崎課長から御報告しましたのと同じでありまして、私どももこれにつきましては実態を現在調査をいたしておりまして、もしそういう点で指導で改めないということになってまいりますと、またそれに対するところの相当の処分というものも考えておるわけでございます。これもそう心配の必要はないのじゃないかという考え方であります。
  15. 亀山孝一

    亀山委員 私は八月以後、私のうちの近所にバスや自動車がだいぶ通るものだから見ておるというと、あの前は二時、三吟に自動車を利用する者が相当多くて、実は安眠妨害であった。ところがその後おっしゃるように減りました。私自身の体験から言っても、この法律は、住民から言っても、夜中にタクシーで飛ばして酔っぱらってがちゃんとやる。あの音がもうほとんどなくなったということは喜ばしい。  そこであとトルコぶろといまのお話の深夜営業の問題、それからボーリング、これを一緒にして申し上げたい。まずトルコぶろはいま百六十六軒になっておる。それからボーリングもだいぶ多いようです。この間大阪での取り締まり当局及び経営者の方々の御意見を伺うと、関西のほうは非常にトルコぶろもボーリングも自粛と言うと何だが、業者間の申し合わせで、比較的まあ風俗営業の問題としては注意しておられる。ところが、こういう方々の言うのは、東京はどうもいかぬ、東京は植民地だ、こう言っておる。トルコぶろの弊害あるいはボーリングの弊害というものは、むしろ東京じゃないか。大阪、神戸、京都にはそんなものはありません、こういうような非常に自慢をされたわけですが、しかしそれほど東京は関西に比べて劣っておりますか。それが一つ。  それからボーリングの問題については、これは東京の詳しい事情は知りませんけれども、先般大阪で社会党の阪上委員とボーリングの業者との間で、われわれ非常に興味深かったのだが、スポーツとしてボーリングを見るか、あるいはその雰囲気から見てスポーツではあるけれども、何か風俗営業関係の上取り締まり対象にならなければならぬような空気があるのじゃないか、こういうことをだいぶ議論しておられたが、東京のほうは一体どんなものか伺いたい。  それからヌードスタジオあるいは深夜映画の営業も、これはいま伺うと三十館にわたっておる。これはこのままほうっておいてもいいものでしょうか。せっかく喫茶店であるとかそういう方面においては風営法改正でやったけれども、映画の深夜営業という問題は少しどうもわれわれ納得できない点が多いのですが、それに対して両当局からひとつ御意見を伺いたい。
  16. 楢崎健次郎

    楢崎説明員 第一のボーリングについて、東京と大阪の事情が違うようだというお話でございます。仰せのとおり、大阪では時間を十二時までということで非常にきちんと守っておられます。東京では警視庁が非常に時間規制その他について指導を強力にいたしておりますが、まだ実は土曜、日曜等について十二時以降にやっておるものがかなりおります実情でございます。そこでボーリングについて何か風営的なものがあって、それを取り締まる必要があるのではないかという御質問でございますが、ボーリング場について一番問題になるのは、やはりこれが健全スポーツであるとすれば、夜中あるいは場合によっては朝方までやっておるという時間の点が第一に問題であると思います。第二には、相当に騒音を発し、住宅の平穏を害する、こういった問題ではないかと思います。つまり時間の点あるいは騒音の点、こういったものは風俗営業として現行風営法がとらえておる概念よりもかなり広いものだと思われます。端的に申しますと、ボーリング場は十二時で全部やめてくれれば、防音装置などもしてくれればそれでいいのではないか。ことに全国的な問題ではございませんで東京だけの問題であるとすれば、これを風俗営業として入れるという必要、あるいはそれが妥当であるかどうかということについてはやや疑問を感じております。むしろ業者の自主規制によって時間をもう少し守ってもらう、十二時にはやめてもらう、あるいは住宅地域には建てないように、これは建築基準法か何かで考えてもらうというようなことで対処していくべきではないかという感じを持っております。  それから次の興行場についての問題でございます。深夜映画が、季節的にも夏でございますので、全国的にもかなりの数にのぼっております。これは御承知のとおり興行場法では時間を規制できない、つまりボーリング場と同じようにこれを風紀の点から規制する法律はないわけでございます。これもやはりボーリング場と同じように深夜朝までやるということは何か規制すべきじゃないかという気持ちを持っております。また興行場法についていえば、これも衛生、通気その他は規制してございますが、これについて先ほど申し上げましたように旅館あるいは飲食店公衆浴場というものが若干でも風紀規制をしておる現状に比べまして、興行場法が全然風紀についての規制をしてないということも法の一つの欠陥ではないか。深夜の興行場の問題あるいはヌードスタジオの問題、非常に問題になっております興行場の広告の問題、こういった問題を取り上げまして、何らかの形で興行場法の中に風紀風俗に関する規制を設けるべきではないかという意見を持っております。
  17. 吉武辰雄

    吉武説明員 ボーリング場の経営状況が関西より劣っているのではないかという御説でございます。関西のことを承りますと、十二時にはきちんとやめておられるということで、まことに警視庁といたしましても指導の足りないことを申しわけなく思っております。しかしながら、私どもこの点につきましては、従来四時、五時という時間まで営業を続けておったのでございますが、警視庁に来てもらってそれぞれの業者に協力を頼むということで、現在平日には――申し落としましたが、現在警視庁管下には二十九カ所のボーリング場と、ことしじゅうに開設予定のものが十一カ所あるわけでございます。その二十九カ所につきましては、平日で午前十二時過ぎまでやっておるのが二軒、それから土曜、日曜は午前三時までやっておるのが十二軒、二時まででやめておるのが十軒、十二時でやめているのが四軒、十一軒が二軒、十時が一軒、こういうことになっておるわけであります。これは私どもといたしましては、何と申しましても十二時以降はいろいろな面で弊害が生ずるということから、できるだけ十二時にやめるように指導を続けていきたいと思います。ただ大阪等と若干状況が違いますのは、外国人の経営者がいるというような関係で、組合とか協会というものになかなか入らない。そして法律をたてにとって、何時までやってもかまわぬじゃないかというような主張をする者がいるわけであります。この点につきましても、厳重に私ども強い態度で臨んだ結果、これもある程度規制に従うということでいまのところいっておるわけでございます。  やはりボーリング場の問題につきましては、私どもといたしましても、何とかして指導面で十二時ぐらいで閉店してもらうということを考えておるわけであります。  それからヌードスタジオの問題でございますが、これはわいせつな態度を見せるとか、あるいはわいせつな姿態を見せるとか、あるいは行為をするということになってまいりますと刑法の問題でございまして、あえて風俗営業として規定するのが適当かどうかということは、ちょっとにわかに結論は出ないのではないかというふうな感じがいたします。  それから興行場の問題につきましては、先ほど楢崎課長から申し上げましたところと全然同一でございます。ただ東京都の場合、せめてもの救いと思われますことは、来たる十月から東京都青少年の健全な育成に関する条例というものができまして、実施になりますので、これが実施になりますと、興行場あるいはまたボーリング場、スケート場といったようなところには、十八歳未満少年は入場させてはならぬという義務が営業者に課せられるということになりまして、少なくとも青少年に対する問題としては十一時以降は入れられないので、ある程度救われる面が出てくるということをせめてもの救いとしておるというのが実情でございます。
  18. 亀山孝一

    亀山委員 大体東京の御事情を伺いましてお察しする点はあるのですけれども、いまのボーリング場の自粛に対して外国人の経営者がいてどうも困る、そういうことで全体的に深夜にいわゆる健全スポーツといわれるボーリングをやるということは、変だと思うんですよ。自粛しなければ結局法の規制によらざるを得ぬのです。しかもいまボーリングは、これの主官庁がないといわれておる。それならある程度やむを得ないけれども、しかしなるべくならば自粛、トルコぶろもそう、ただ取り締まるだけが花じゃない。そこでいまお話しのボーリングに対してはいま少し強く自粛を要請されるべきじゃないかと私どもは思うわけです。同時に、いまの深夜映画の問題、これは興行場法の問題もあるということですが、どうしてこういうものをほうっておかれるか。ただ公衆衛生上の問題だけでなくして、こういうふうに深夜まで営業をやるということを黙認しておられるその理由を厚生省当局から伺いたい。
  19. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 興行場法におきましては、現在、環境衛生同業組合というものを興行場についてつくっておりまして、その組合で自主的に営業方法等の取りきめをするようになっております。その営業方法の中に営業時間等がきめられておるわけでございますが、それを破りました場合には過怠金を徴せられるというようなことがあるわけでございます。ただ、それを破った場合には過怠金を徴せられるとか、あるいは組合を除名されるという問題を、組合自体として内部的に解決をするという段階でとどまっておるわけでございます。その目的といたしますところは、風紀の問題というよりも、むしろ営業の過度の競争というものを避ける、営業の健全化というものを阻害しないようにということが趣旨でございまして、それ以上風紀的な問題は考えておらないようなわけでございます。興行場法におきましては衛生措置の基準を守る、衛生措置を確保するということが目的でございまして、そのほかの法律におきましても、若干風紀の問題に入っていっている環境衛生関係法律もございますけれども、おのずから限界があるわけでございまして、現状におきましては衛生措置以上のことは考えておらないわけでございます。
  20. 亀山孝一

    亀山委員 では、厚生省は、いまの深夜映画の営業が国民保健上差しつかえないというお考えなのですか。別にあなたをなにするわけではないけれども、いま警視庁当局から言われたように、十数軒が三十軒にふえてきている。これをこのまま放任していいと思われますか。環境衛生同業組合は、いろいろお話のような点はあるでしょう。厚生省として、この興行場法改正して応問制限をするというような御意向があるのですか、ないのですか。これをほうっておく、あるいは自粛に求めるならば自粛に求める手段を講ずる御意思があるか。このままほうっておけるのかと私どもは思うわけです。どういうお考えですか。
  21. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 お話のように、深夜、オールナイトというようなことで営業することが健全な営業であるかどうかという点については、非常に弊害ということも考えられるわけでございます。ただ、それをどういうような法律なりの体系で規制したほうがいいのか、その問題になりますと、必ずしも警察庁のほうと私どものほうと意見が同じではないわけでございます。大体環境衛生営業関係におきましては、保健所が主として取り締まるといいますか、いろいろな監視業務をやっておるわけでございますが、十二時をこえてやることがいかぬというようなことを、保健川の職員が常時夜中までいろいろやるというふうな問題もなかなかむずかしいというような状況もございます。警察と違いまして、昼夜勤務をやっておらないというような問題もございますし、それから風俗営業という面から、いろいろな、時間制限等がやられている営業が多いわけでございまして、そういう面からとらえるということも一つの方法でございまして、興行場法でこれを規制するということが適切であるかどうかということにつきましては、ちょっと疑問を持っておるわけでございます。
  22. 亀山孝一

    亀山委員 いまの御答弁、ちょっと納得できないのです。そこでこの次のしかるべき機会にひとつよく意見をまとめて、いまあなたのおっしゃったような答弁ではわれわれは満足できないのですから、厚生当局としてのはっきりした意見をお話し願いたいと思うのです。この委員会の小委員会もありますから、小委員会でもけっこうです。いまの見解を伺うと、興行場法では改正しにくい、こういうような趣旨に伺ったのだけれども興行場法というものはやはりいまのような深夜営業を認むべきでないと思う。保健所云云という点は、いまいろいろお話しになったから追及しませんけれども、これは厚生当局としての確固たる御方針と御意見をこの次の機会に伺いますから、ぜひひとつよく連絡をしておいてください。
  23. 渡海元三郎

    ○渡海委員 いまの点に関連して聞きたいのですが、今度トルコぶろのほうは条例を出されて、相当風紀的な問題を取り上げられておる。それは、第三条に衛生の面をうたうと同時に、風紀という文字が入っておったから、警察と連絡をとられてああいったものをつくられた。いま亀山委員から質問がございましたが、興行場法には風紀という点が書いてない。だから警察的なことはこの法に基づいてやることは困難だ、こうおっしゃるのではないかと思います。しかしながら、本来は警察行政であった。警察行政はそんなことをするものではないというので、行政面を担当される皆さんのほうでやられることになった。だから単に厚生省といったら衛生のことだけなんだ、こういうふうなお考えではなくして、そういった面から考える必要がある。しかしながら、いま言うように、興行場法公衆浴場法はその点が抜けております。その点でもし法上疑問があるのだったら必要であるが、法律上その点が抜けておるというようなことがあったら、立法府としての私たちの責任でもありますから、その点もあわせて研究されて、この次の小委員会に、直すべきものであれば法を改正してでもやるべきである、こういう意見も出てくるのであろうと思います。あわせて御研究を賜わりたいと思いますので、お願いいたします。
  24. 亀山孝一

    亀山委員 最後に、私、両当局に申し上げたい。私どもは、ボーリングは、できれば健全なスポーツとして育成してもらいたい。ところが、いまお話しのように、自粛状態はわれわれどうもふに落ちない点が多い、時間の制限も延長して、未成年者にはこれを制限する。――未成年者の問題ではないのですよ。健全スポーツとして一体十二時以後やる必要があるかどうか。その雰囲気が風俗営業取締法を改正せざるを得ないのではないかと思うぐらいで、できれば強く警察当局でこれを指導されて、風営に入れたくない健全スポーツとしてわれわれは育成していきたい。その趣旨をひとつよく業者に伝えていただきたい。どうしても業者が従わぬというのであればやむを得ません。その点だけ特に私はお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。
  25. 森田重次郎

    森田委員長 安井吉典君。
  26. 安井吉典

    ○安井委員 この面の国会を通過した風俗営業等取締法一部改正法の八月一日施行以来の動きについて、いま亀山委員からいろいろ御質問があったことに対する御当局の答弁で、大体一応の姿をのみ込むことができたわけでありますが、一口に言ってしまえば、八月一日からの実施で、きょうは九月の十日ですから、その結果が今後どういうふうにはっきりした姿であらわれてくるかということについて、まだしっかりした結論を得ていないという段階ではないかと私は思います。おそらくきょうの御答弁は、八月中くらいの結果を押えてのお答えだろうと思いますから、そういうことではないかと思います。私どもが聞きたいのは、一応深夜喫茶取り締まりを中心にして規制を行なった、それがそのとおり行なわれているかどうかということ。それからもう一つは、別な形で擬装した形態があらわれていはしないかということ。それからもう一つは、焦点をそこに置いて青少年の深夜における行動等に規制がなされたままで、そのまま逼塞しているのかどうかということ、それが別な形であらわれているのではないかということ。そういうふうな三つの点に集約されるのではないかと思うのです。それについて先ほど来一々御答弁があったわけでありますが、差しあたりの一カ月ぐらいの動きの中の状態をわれわれもつかむだけだし、当局にしてもそれぐらいしかわからないわけで、これから先どうなるか、これは先の問題としてもう少し慎重に検討していかなければならない、こういうことであろうと思います。いまの姿は、業者側のほうはいまだに強い抵抗のかまえをくずしていないというふうに私は判断しています。そのことは東京都の条例憲法違反だという訴訟を行なっているというかまえの中に明らかだと思います。ですから、できればいまのような規制を打ちくずして、もっと自由な姿をつくりたいというのが業者の人の望みじゃないかと思います。私ども、若干耳にする人たちも、やはり時間規制というのは非常につらい、それが営業にひどく響いている、こういうような声が大阪での参考人からの意見聴取の中でもはっきり出ています。それが一番端的に出ているのが憲法違反だという訴訟ではないかと思います。  そこで、憲法違反訴訟に対する――これは東京都に対する訴訟のようでありますが、政府側としてもこの条例をつくるように指導した責任があるわけですから、この問題については十分なかまえは当然あると思うのですが、その点についてどうでしょうか、ちょっと政府のお考えを何っておきたいと思います。
  27. 楢崎健次郎

    楢崎説明員 改正の際の国会の論議の中にも、その点は少し論破されたかと思いますが、今度の風営法自体と憲法関係あるいは条例との関係については、私ども事務当局として十分検討したつもりでございます。抽象的に申しますれば、憲法の二十二条の職業選択の自由は「公共の福祉に反しない限り」という限定がつけてございます。公共の福祉に関係があれば、職業選択の自由を制限している現行の法律もいろいろございます。そういうことでいわば国民の世論として深夜喫茶の弊害等々が非常に強くなった際に、これを公共の福祉に反するということで法律で深夜の飲食店の時間、場所その他の制限をすることは、むしろ憲法が予定しておるところで、憲法違反の問題はないわけであります。  次に、条例につきましても、法律が授権した権限に基づいて条例でそういった公共の福祉に著しく弊害のある業種についての個々の制限業種別に、また場所について、時間について制限しておるわけでございまして、この点も憲法違反という問題は起こり得ないと思います。  ただ具体的には、たとえば東京の訴訟であらわれておりますように、東京都の条例が深夜喫茶について広い制限をしている。これが広過ぎるかどうかということについては、私どもとしましては、東京都の局部を除く一円が、深夜喫茶の弊害がある、あるいは今後予想されるということで、場所規制対象になっておりますが、それが広過ぎるかどうかということは、具体的には裁判官の認定にまつほかはないと思っております。ただ私どもとしましては、繰り返して申しますが、深夜喫茶の弊害というものは、大都市では非常に顕著である。むしろある程度予防的に広範囲に規制しておく必要があるということは、必要やむを得ざる公共の福祉の制限、いわゆる職業選択の自由の制限ということで、違憲の問題はないと思っております。
  28. 安井吉典

    ○安井委員 私もいろいろ疑問点を設定いたしましたけれども、それらの点は、先ほどの亀山委員の御質問に対する答えと一様に、実情がまだはっきりあらわれてないので、おにぎり屋などへ転向する深夜喫茶がどんどんふえているとかいうふうな事実もあるようでありますが、その一面、家庭へ帰る時間が全体的にわりあい早くなったというような効果があらわれているようだし、さらには青少年のあふれるエネルギーが一体どういうふうに処理されているかというふうな問題もありますけれども、海や山から帰って間もないのでまだわからない。こういうような点もいまの段階ではもっともだと思いますので、あとからの検討にまかせるとして、これはダブリますので、きょうは質問いたしません。  そこで、業者のほうも抵抗の姿勢を示しながら警察の出方を見ている。それからまた深夜喫茶から締め出された青少年の諸君や、その他の時間短縮したことによって、もう少し飲みたいけれども、飲ましてくれないということで、町にはみ出された人たちも、やはり今後警察は一体どう出るんだろうかということの関心をいま持っている段階だと思うのです。警察としては、先ほど来いままでの状況、それから今後に対する御決意もお話があったわけでありますが、しかし私は警察力にも一応限界があるのではないかと思うのです。警察も限られておりますし、この風俗営業のための係は全国でたった五、六百人、だという話もさっき承ったわけでありますが、これだけでは当面の問題の処理はできるわけはありませんし、おそらく警視庁はもちろん、全国的に警察力の相当大きな力をさいて、いまこの問題に当たっているのではないかと思うのです。しかし私はこれでいつまでもできるとは思いません。と言いますのは、朝からあるいは昼間からの仕事ではなしに、一応の勤務時間が終わってからの夜中の仕事であるわけです。それだけに相当つらい仕事でもありますし、エネルギーにも限度があると思うわけです。そうかといって、この問題があるからということだけで警察官をやたらに全面的にふやしていく、一時間キャバレーなどの時間を短縮する、深夜喫茶をやめさせるために、全国的に警察官を何万人も増員するということは、ちょっと筋が通らないような気もするわけでありますが、そういう点、警察努力はもちろん続けなければいかぬが、一応の限界があるのではないか、その問題について、ひとつ実際第一線で担当されております警視庁のほうのお考え、それからまた全国的な見通しについては警察庁のほうからひとつお答え願いたいと思います。
  29. 吉武辰雄

    吉武説明員 御説のとおり、業者の一部にはやはりかなりの抵抗を胸にしまっておるというところが見られるわけです。しかしながら組合等の幹部の大部分はやはりこの法律なり条例なりの趣旨というものをかなり理解をいたしておりまして、これはなまはんかなことではいかないという考えでおるわけです。したがいまして私どもといたしましては、一面においてはこうした組合の幹部の指導力と申しますか、そういった方々の特段の御協力、御努力によって、そうして組合全部を正しい営業の中に持っていくという努力をいたします。しかしながら、これにいわゆるアウトサイダーといわれる一部の悪質な業者があるわけであります。こういった点につきましては重点的な取り締まりを継続していく。これに要する警察官、もちろんこれは専務のほうは必ずしも多い数ではございませんが、終夜勤務の外勤警察官という数もこれはかなりございますので、そういった重点的な取り締まりを継続していく、さらにはその合い間に一斉の取り締まりだとか随時の取り締まりということをやっていくということは、必ずしも現在の警視庁体制においてはそれほど非常な困難であるともいえないわけなんです。もとより、これは全部について一々あれするということになりますと、なかなかこの点だけにかかるというわけにはいきませんけれども警察官の運用というようなものも考えていくならば、不可能だということもいえないだろう、こういうふうに考えておるわけです。
  30. 楢崎健次郎

    楢崎説明員 警察官取り締まりの能力にも限度がある、仰せのとおりでございますが、私どもとしましては、当分指導取り締まり重点的に続けまして、いわば第一には国民全般がこの法律を現在も支持しておる、今後も支持するという心がまえと申しますか、慣習ができてしまえば、つまり十二時以後は無制限飲食店あるいは風俗営業が酒を飲ませるようなものでないということをみんなが納得し、そこには行かないというようなことになってしまえば、擬装転業がいろいろありましても、そういう営業は成り立たないわけでありまして、そういう考え方と申しますか、習慣が一刻も早くできるように、また業者の方々がそれに自主的に協力して法律違反等の行為がないように、そういう考え方、慣習が確立するまでは、われわれとしてはこの努力を続ける。一刻も早くそういう状態がくることを期待するというような意味で、当分の間は続けたいと思っております。一部聞きましても、若干の擬装転業をやってみた。たとえばおにぎり屋という看板を出してみた、あるいは喫茶店が酒を出してみた。あまり客は来なかった。結局また看板をはがしてしまったという話もありますし、おそらくそういう大勢が支配的になれば、警察が毎晩歩き回らないでも、そういう状態になってくるということを強く期待しております。
  31. 安井吉典

    ○安井委員 そこで業者の自主規制ということが非常に大事な問題になるわけですが、この間大阪でも聞いてきたところでは、アウトサイダーの問題――ただいまも御説明がありましたけれども、アウトサイダーをどうするかという点が大きな問題ではないかと思います。いま話題を今度の取り締まり法からさらに広げまして、トルコぶろやボーリング場の問題に広げて伺いたいわけでありますが、そのアウトサイダーの問題について、大阪のほうはわりあいに大きな業者だけがやっているように見受けてまいりました。トルコぶろもボーリング場もあまり小さな業者はなくて、若干はアウトサイダーの小さな人もいるようでありますが、あまり大きく浮かび上がってきていないようでありますが、東京の場合はむしろアウトサイダーが多いということが問題の解決を複雑にしているというふうに聞いているわけであります。先ほども、外国人の経営者どもいてなかなかうまくいかないんだ、こういうことのようですが、自主規制はやはり業行団体をつくるという杉で行なってもらうよりほかないわけですから、この問題が非常に重大だと思います。特にトルコぶろなどは、東京の場合は赤線のようなものがぼつぼつできてきて、一種赤線の復活ではないかというふうないわれ方もしているようでありますが、東京におけるその辺の、実情について、もう少し御説明願いたいと思います。
  32. 吉武辰雄

    吉武説明員 トルコぶろにつきましては、先ほども申しましたように、現在百六十六軒あるわけでございまして、そのうち九十四軒、五七%でございますが、これは東京トルコ浴場協会に加盟しておる。先ほど申しましたように浅草に三十八軒、それから新宿に三十二軒、池袋十七軒、こういった分布状況でございます。個室の総数が大体二千余、稼働するところのいわゆるミストルコというのが三千ぐらいに推定しております。このトルコぶろ風俗問題につきましては、昨年来当国会並びに都議会等におきましても論議されて世論も非常にきびしくなってきた。こういうことと、先ほど申しました条例改正によりまして新たな規制が加えられるというようなことになってまいった。そこで、現在は業者内部にもおのずから自粛の傾向が認められておるわけであります。  ここで東京都におけるトルコぶろの場合、組合に入らないものがアウトサイダーとして悪い営業を続けておるかというと、これは必ずしもそうではないのでありまして、非常に健全な営業をやっておるところが入らないというような現象を東京都の場合は見られるわけなんであります。しかしながら、やはり依然として営業時間が長いとか、あるいはまたスペシャルサービスといったような、何と申しますか風俗を乱す行為が行なわれておる。私どもも本年九月一日と二日の二回、一斉調査をいたしたわけでございます。ほとんど大部分が午前二時ごろまで営業しておる、こういう状況でございます。  そこで私どもといたしましては、三十五年の十月から昨年の十二月までにおきまして、そういったいろいろなうわさのあるところのトルコぶろ二十三軒から、売春防止法違反だとかあるいはまた職安法、児童福祉法違反、あるいはあん摩師法等で摘発した事件がかなりあるわけであります。こういう状況で私どもといたしましても、都とは別の見地から、こういった明らかな法令違反というようなものに対しましては検挙の態度で臨む。そして一面組合あるいは業者それ自体に自粛を要望していくというような態度で今日まで参っておるわけであります。ただ、一対一の関係個室で売春が行なわれる、あるいは赤線と同じような状況になっているんじゃないかというような、お話しのようなことはまだいまのところ現場ではそういう事態も――これはないということは断言はできませんけれども、表面にあらわれるということはいまのところないというのが実情でございます。
  33. 安井吉典

    ○安井委員 きょうはあとで参考人からもいろいろ承るわけでございますので、論議のほうはやめて実情を承るだけにいたしたいと思うのです。  厚生省の環境衛生課長もおいでですが、今度条例規制を行なったはずですが、いまの警視庁側の御説明によりますと、これは規制前の動きなのか、後の動きだか、その点はっきりした区分をつけた御説明ではありませんでしたけれども、あまり効果があがってないようなふうにも受け取れるわけでありますが、その点はどうでしょうか、それをひとつ承りたいことと、それからボーリング場の問題については、これはスポーツかどうかというような問題、いつも論議を繰り返すわけです。住宅地帯のまん中までできて、がたがた騒がしたりするというふうなことに対する住民の反発が起きていたり、あるいはまた、この制限がなくて深夜まで若い人たちがボーリング場で遊んでいる、こういうような実態があっても、どこもこれを処理するところがなくてスポーツだとすればこれは文部省の管轄ではないかというふうなことが一時言われたことがありましたが、結局どこも処理の方法がないというような仕組みがいまだにそのままになっているわけです。どこかの規制法の中に入れることがいいかどうかは別として、文部省としてこの前この委員会に社会教育局長あるいは体育局長がおいでになってお砧があったわけでありますけれども、その後この問題についてどういう検討が行なわれているか、この二点についてひとつ伺っておきたいと思います。
  34. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 厚生省で今年の五月に都道府県に対しまして、トルコぶろ公衆浴場法に基づく風紀上の問題の措置を拡大解釈して強化するように通達を出しまして、それに基づきまして主として一番数の多い東京都におきまして、浴場のそれに基づいた条例をつくりまして八月一日に施行いたしました。その後八月中旬には都のほうにおきましても、部内の主として盛り場におけるトルコぶろの一斉監視を行なっておる。特に風紀上の措置についての業者の自粛状況調査する。それから今月の初句におきましても、業者を日本橋保健所に集めまして条例説明会を開くとともに、オリンピック開催を間近に控えておりますので、厳に自粛するように要望しておるわけでございます。今週も一斉監視を行ないました。ただ残念ながら、非常に条例違反する件数が多いのであります。これについては厳重な注意をして、再三注意しても聞かなければ行政処分をすることもやむを得ないという態度で臨むように都のほうから報告を受けておる次第でございます。
  35. 松島茂善

    ○松島説明員 ボーリングがスポーツであるかどうかについては、いろいろと過去においても論破されたようであります。現在国際ボーリング大会のようなものが行なわれている実情、あるいは日本におきましても去る五月に日本ボーリング協会が発足いたしまして、アマチュアスポーツとして健全な発送をはかるというようなことから、ボーリングそれ自体はスポーツであると一応見てよろしいのじゃないかと思うわけでありますが、ただ日本におきましては、それが商業施設において行なわれているというようなことで、いろいろ問題が複雑になってきているのじゃないか。したがって、文部省、特に体育局の立場といたしましては、五、月に発足いたしました日本ボーリング協会を通しまして、健全なスポーツとしての発展、組織化の拡充強化というふうな方向で指導、助言してまいりたいと考えております。
  36. 安井吉典

    ○安井委員 午後学識経験者と業者側の御意見をいろいろ承ることになっておりますので、それらの御意見とあわせて後ほどこの小委員会の中でさらに論蔵を進めることにいたしまして、きょうは時間がありませんので、これ以上お聞きをしないことにいたします。  ただ一つ、オリンピックを目睫にしていま深夜喫茶だとか、トルコぶろだとか、ヌードスタジオだとか、ボーリング場とか、こういった問題が出たわけですが、風俗営業といいますか、そういうふうな観点から警察当局として何か心配している点、こういうような点はこうしなければいけないというように特別な配慮をしている点はどういうことですか、それをひとつ承っておきたいと思います。オリンピックがあるからどうするとかいうふうなこと自体がこれはこっけいなんですけれども、やはり外国からたくさんお客さんが来る際だから、何か清潔にしておく必要があるのではないかという素朴な国民的感情というのもあると思いますが、そういう点について警察側の配慮をひとつ伺っておきたいと思います。
  37. 楢崎健次郎

    楢崎説明員 先ほども申し上げましたように、オリンピックの前に秋季の防犯運動あるいは警察取り締まり計画というものが非常に緻密に立てられております。私どもオリンピックでさしあたりこの風俗営業あるいは環境の問題で一番心配しておりますのは、観光客あるいは選手、役員その他が町に出まして、ことばあるいは風俗習慣の相違から、いろいろなトラブルを起こす。たとえば料金が意外に高い、あるいはサービスについての誤解がある、場合によってはそれがまた暴力事件に発展する、こういうふうな問題が起きはしないかということをかねがね心配しておりまして、そういう点につきまして、現存警視庁その他でやっております仕事といたしましては、第一には、関係の各組合を通じて環境衛生関係の各業態業者に、もちろん風俗営業の規則を完全に守ること、ことに料金の表示を徹底してはっきりと示しておくこと、それも日本語でなくて外国語で一目でわかるようにはっきり表示すること、あるいは要求されないものをやたらに出してそしてぼるというようなことは絶対に慎むこと、暴利をむさぼることを慎むこと、あるいはそういった誤解に基づく何か問題があったときには直ちに警察体制としてそれに処理できるような警察部内の総合訓練を十分に徹底しておくこと、また警視庁その他で防犯モデル地区というようなところをつくりまして、これはその地域住民の協力あるいは警察体制というものを飛躍的に強化しました。警視庁でいえば十カ所つくっておりますが、外人の来そうな繁華街、そういうような地域について、集中的にそういったような問題がないような住民の協力、警察取り締まり、そういうものを強化する、そういう体制もつくって、オリンピックの始まる前にはそういったモデル地区あるいは一般の業界の準備が十分にできるように連絡あるいは指事をしております。そのほかに外人の接触しそうなあるいは出入りの多いようなホテルとか温泉地とか、そういったところについても、同じように関係の団体あるいは組合と連絡をとりまして、できるだけ誤解のないように、必要以上のトラブルを最小限度に避けるような配慮について連絡は十分いたしておるつもりでございます。
  38. 安井吉典

    ○安井委員 そのほかに私は地下に一応もぐっている売春の問題とか、そういうふうな問題に対する配慮が必要だと思うのですが、その点時間がだいぶ過ぎてしまいましたので、対策についての要望だけを申し上げておきます。  私は、今日の風俗営業等の問題は、ただ単に警察取り締まりを強化するということだけでは絶対に解決できないというふうに考えている一人です。やはり何か今日の日本の政治なり経済の中の一つの大きな病根があって、それが経済が万能で人間が疎外されているような、そういう空気の中から何かうみが出ている。そのうみが、たとえば深夜喫茶という形であらわれてきたらあわててそれを抑えて、それが今度の国会での措置でありますが、抑えてみてもうみそのものがなくなったわけではないのですから、どこかまた別なところにはみ出してきます。いつまでもそういうふうな対症療法だけではもうどうにもならないのではないか。やはり社会の病根そのものの根絶こそが一番大切ではないかというふうな感じです。だから経済の成長だけが謳歌されていても、人間性を大きく政治の中で浮び上がらせていくというそういう政治がなければ、根本的な対策にはこれは絶対ならないのじゃないかと思います。ただ単に警察力を強化して、一時間早くキャバレーがやめるのを取り締まって全力をそれに傾注していく、それを実現するためには警察官を幾人もふやさなければいけない、そういう形では単に警察国衣をつくるだけだ。だから根本的な病根への対策というものが必要なんで、それのほうが先行的な大事な問題だと思います。  それから同時に社会道徳といいますか、社会慣習といいますか、そういうようなものも打ち立てることが必要なんで、夜おそくまで家庭に帰らないというそういうようなことも習慣になって、一時間早くなろうとおそくなろうとたいした問題ではなくなるのではないか、そう習慣づけられれば業者側のほうもそれによって収入が減るというが、しかし全体的な社会慣習になってしまえばみんなふしぎでなくなる町制がいずれはくるのではないかというように思います。そういうふうな世論運動といいますか、そういうような問題が非常に大切だと思います。  それからもう一つは、特に青少年の場合などは押えるだけではなしに、やはり別なはけ口を設けるということでなければならないと思います。そういうような意味で、文部省なんかももっと積極的に、オリンピックもいいのですがそういう選手システムじゃなしに、もっとオープンでみんなが楽しめるような、若い人たちが自由に遊べるような体育施設あるいはその他のレクリェーション施設をどんどん準備してあげる、そういうことでなければいけないので、深夜喫茶へ行っても押し出される、次のやつは何だろうと思って、いまのうちは海や山へ行って遊んでいた人たちが、町にあふれてきて必ず何か別のものを見つけますよ。そういうエネルギーを彼らは持っているわけですから、そういうはけ口をやはりつくってあげる、そういう努力こそが政治の中で必要ではないかと思います。きょうの場合は、そういうような問題について責任を持ってお答えをいただける人がいないわけでありますが、いまのスポーツやレクリエーションの問題についてはスポーツ課長もおいでなのですが、もっと積極的なかまえを文部省の行政の上にもお示しになるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  39. 松島茂善

    ○松島説明員 従来もオリンピックの選手強化というふうなものと並行いたしまして、国民一般、住民のスポーツ振興に対していろいろな施策を講じてきておったのであります。これでオリンピックがいよいよ終わりますので、終わりましたならば本格的にいまお話がございましたように住民の一人一人がスポーツ、レクリエーションに親しんでいけるような十分な施策を講じていきたいということで、予算要求を現ましている段階でございます。大きなスポーツ施設をつくること、もちろん各州に一つくらい必要でございますけれども、手近に使える運動公園とか体育館とかプール、そういうものをできるだけ多くつくりまして一般の住民の利用に供するというふうなことで、長期十カ年計画というような形を現在立ててやっております。なお青少年特に中小企業に働きます勤労青少年のスポーツを中心にした組織化、その人たちが手近に使える施設の拡充、整備、特に学校開放、夜間照明施設の整備というふうなことも含めまして、国民全体がスポーツを通じまして国民の一人一人が健康になり、明るい社会の建設に努力できるような配慮を十分に考えていきたいと思います。
  40. 森田重次郎

    森田委員長 委員長から厚生省に希望いたします。  きょうの参考人の中に、一体トルコぶろというものは、人間の生活、特に生理上の問題にどういう価値があるだろうか、それを科学的に研究した学者がおるなら、その人を参考人に呼びたいという希望を申し出たわけです。ところが何かしら、そういう研究があるかないかということが、ひどくはっきりしないような回答を得たようでありますが、これはトルコぶろ取り締まりの根本の問題にも触れるので、これはどこかできっと研究している人がいるだろうという感じがするのですが、これを十分御検討くださって、もしそういうような研究の結果等が明らかになっておるのでしたら、参考資料としてひとつお回しください。お願いいたします。  午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ――――◇―――――    午後一時十五分開議
  41. 森田重次郎

    森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。警察に関する件、特に風俗営業に関する問題について調査を進めます。  本日は、本問題について、お手元に配付いたしてありますとおり、参考人として中央庁少年題協議会委員永井三郎君、評論家松田ふみ子君、明治大学教授和田英夫君、以上五名の方々の御出席をいただいております。  なお、午後三時からは、東京喫茶業環境衛生同業組合副理事長大塚富次君、東京トルコ浴場業協会会長志野幸人君、後楽園スタジアム取締役社真鍋八千代君、以上三名の方々の御出席を求めております。  この際、一言ごあいさつ申しあげます。参考人各位には、御多忙中のところ、当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。風俗営業等に関する問題につきまして、何とぞそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べ願えれば幸いに存じます。  なお、議事の整理上、初めに御意見をそれぞれ二十分程度に、取りまとめてお述べ願い、次に委員諸君からの質疑に対しお答え願いたいと存じます。  御発言の順序でありますが、永井参考人は時間の都合がありますので、先に永井参考人から意見を聴取いたします。  それでは永井参考人にお願いいたします。
  42. 永井三郎

    ○永井参考人 永井でございます。私はここで中央青少年問題協議会委員という肩書きになっておりますが、私の商売は、キリスト教育年会、YMCAで働いていることでございますので、その関係から、青少年の生活とこの問題がどういうふうに結びついているかという観点から、しばらく感ずるところを申し上げてみたいと存じます。  われわれ青少年を扱っております者が、深夜喫茶などの非常に目に余る状態を見まして、何とかこれに対する規制を強めなければならないということを願っておりましたところが、その面についての改正ができたことを非常に感謝いたしております。ただ実施以来わずか一カ月でございますから、それについてまだいいとか悪いとかいう時期ではないと思いますけれども、その結果から見まして、いろいろなことを感じさせられているわけであります。先週でございましたか、NHKのテレビを見ておりますと、この深夜喫茶から締め出された連中がどこに行っているかということをレポートしているわけでありますが、何かいろんなところに行って、食堂がそのかわりをやっているところ、いろんなところをさがして、そこに行って時間を費やしているというような事情を見ますと、これは単に深夜喫茶規制しただけでは解決しない、もっと根深い問題があるんじゃないかというようなことを感じたわけであります。  われわれが深夜喫茶から青少年を締め出す、ということばはあまりよくありませんが、それをやりましたときには、彼らがもっと健全な場所に行ってくれることを願ってやったことは間違いのないことであります。ところが、実際の場合を見ますと、彼らが、帰っていく場所のある者はいいんですけれども、ない者があるわけです。そういう者は、単に深夜喫茶から締め出されただけで、その先どこへ行っているかわからないという状況にあるんじゃないかと思います。それを機会にしまして家庭に帰ることになりました青少年は非常によいわけでありますけれども、帰るのにもそういう場所のない青少年のあることもわれわれ忘れてはいけないのではないかということを感じているわけでございます。ある者にとりまして、喫茶店というのはどういう役割を果たしているかと・申しますと、非常にいい役割を果たしている場合も多いのであります。私の若い友人なんかで、神田あたりで狭い部屋に間借りをしているというような者は、部屋で木を読んでいる、疲れる、どこも行くところがないと、近所の喫茶店に飛び込んでいって、音楽に耳を傾けて、コーヒー一ぱいを飲んで、しばらく休んで、また帰ってくる。これはごく安い一つのレクリエーションなんでありまして、その意味においてこれはかなりいい役判りを果たしているんじゃないかということも感ずるわけであります。ある著者は、イギリスの人でありますけれども、イギリスでカフェー文化ということばを使いまして、イギリスの青少年にこういう機会をもっと与えなければならないという立場からこの問題を扱っている人があるのでありますけれども、われわれの非常に住宅事情の悪い都会の青少年の生活なんというものを考えてみますと、この喫茶店に出入りする、それがいいところであるならば、かなりいい面があるのであって、これを単に締め出すだけでは解決しない問題があることは、申すまでもないと思うのであります。  そういう点から考えてみまして、非常にわれわれ残念に考えますことは、本来よいもの、あるいはよくなる可能性を持っているものが、日本に輸入してくると悪くなってしまうというものを幾つか考えることができるわけであります。いまの喫茶店がその一つでございます。それからきょう問題になるようでありますけれども、ボーリングがそうなんです。ボーリングは、御承知のように、運動としては非常に健全な運動でありまして、われわれも若いとき盛んにやった経験があるのでございますが、ああいうものが日本にくると青少年の悪の温床になるというようなことで問題になってくるわけであります。  それからまた、トルコぶろというような問題が出てまいりますと、東京なんかで、私はトルコぶろに行ってきましたと言うと、みなにやにやして、何かとんでもないところに行ってきたように感じさせるようになってしまったということは、非常に残念なことなんです。疲れたときにトルコぶろに入って疲れをいやすということは、ごくあたりまえのことで、アメリカなんかであったならば、そういうことはごく自然なことであると思うのでありますけれども、日本ではそれがそういうような形でもって取り入れられてきているわけであります。  こういう点を考えてみますと、こういうものを一々規制していくということの必要は言うまでもないのですけれども、ただ規制しただけでは解決しない問題がそこに残るのではないかということを感ずるわけであります。  その点について、二、三私の感ずることを申し上げてみたいと思うのでありますけれども、ただいまあげました喫茶、あるいはまたボーリング・アレー、トルコぶろというものを考えてみましても、これらがほんとうにいいということが、ほんとうに認められていないんじゃないかということが一つあるわけであります。そしてそういうところに行きたいということは、ごく正常な若い者の願いであるというようなこと、こういう点を考えてみますと、なぜこれがもっと公共の団体あるいは青少年の団体などの持っているユース・センターのようなところでこれを満足させる施設をしないのか、そういう点をまず第一に感ずるわけであります。  御承知のように、お茶を飲むなんということは、ごく人間の原始的といいますか、みんなが望んでいるところであります。私の属しておりますのは、先ほど申しましたYMCAという団体でございますけれども、これが一八四四年にロンドンで最初のものが組織されたときに、その仕事の第一は何であったかというと、お茶の会を開くことであったわけです。そこに集まってお茶を飲んでいろいろなことを語り合う、これがYMCAのやった一番最初の仕事の一つなんでありますけれども、こういうことで青少年に健全な環境のもとでお茶を飲む、あるいはお茶を飲みながら話をするというような環境をつくってやるということがほとんどなされていないということが、一つの問題だと思います。  それから第二には、ボーリングでありますが、ボーリングは、盛んになってまいりますれば営利的な団体になることは、どこにでもあることでありますけれども、アメリカなんかは、私の知っているごく限られた経験の中から申しましても、あれはみな青少年の団体の持っているユース・センターのようなところにあるわけです。そういうところにあれば何も弊害がなくて、そのいい点を十分に発揮することができるという意味で、非常にいい一つのゲームである。しかもこれは家族連れでも楽しむことができるというような点で非常にすぐれたものなんですけれども、日本に持ってくると、先ほど申しましたような事情になってしまうわけであります。  こういう点から考えると、なぜそうなるのかと申しますと、そういうような公共団体で吉少年の持っているような、こういう基本的な欲求を満たすということのために十分な考慮を払われないで、そしてそれが常利団体の手にばかりまかされているというところに、この問題が起こってくる根源があるのではないかと思うのであります。もしこれが営利団体でなくて、公共の団体あるいは青少年の団体でこういうような青少年の持っている欲求を満たすということを考えるということになってまいりますと、もっと健全な形で、そしてそこからはみ出す者だけが問題になる深夜喫茶なんかに流れ込むというようなことになってくると、取り締まりもまた変わってくるんじゃないかというようなことを考えるわけです。  その意味で、あらゆるものがみな利益の対象になるような現状にほうっておいたのでは、いかに取り締まりを厳重にしても、なかなか解決しない問題が起こってくるのではないかということを感ずるわけであります。ボーリング・アレー一つとってみましても、利益をあげるためにはだんだんと大規模になってくる、いわゆるマンモス的なボーリング・アレーができてくる。そうすると、ばく大な資金が要る。その資金をなるべく早く回収するためには、なるべく長い時間営業しなくちゃならない。そういうことになると、深夜営業が悪いとかなんとか、育っていられない問題が起こってくるわけであります。それとまた、業者間の競争が現状では非常に激しくなりつつあるのではないか。一体日本人が何ぼボーリングが好きでも、あれだけのボーリング場を消化するだけの人が行くかどうかということになってまいりますと、お互い同士の間に競争が激しくなってくる。そうなると非常に大きな賞をかけてお客さまを引いたりするようになってくる。こういうことを防ぐためにも、公共の施設の中で、こういうような青少年の基本的ないろいろなムードを満たしてやるようなことを考えてやらない限りは、この問題はなかなか解決しないのではないかということを感ずるわけであります。  最後に、一つつけ加えておきたいと思いますことは、深夜喫茶のときに問題になりました夜おそくいろいろなことをやることに対する弊害の問題であります。われわれも青少年が早く家に帰るということが正常であり、望ましいことであるということはいつも感じているところなんでありますが、われわれの生活がだんだん変わりつつあるということもまた見のがしてはならないのではないかということを感ずるわけであります。  一体、アメリカ人に比べますと日本人はずっと早寝なんです。アメリカでは夜の二時、三時まで平気でパーティーをやっておりますが、日本ではたいがいそういう時間にならないうちに休んでしまうわけです。これはわれわれのいい点だと思っておりましたところが、最近では深夜の映画劇場なんかがあったりして、だんだん夜ふかしのくせがついてきたわけです。これを青少年に関してはいろいろな条例その他によって、十一時以後は入場を禁止するというようなことになりまして、これはしごくけっこうなんでございますけれども、おとなのほうは何も規制を受けていないわけであります。おとなはますます夜ふかしして、夜おそくまで楽しんでいるのに、若い者だけは十一時になると、お前たちは帰れ。しかも帰る先はどうかというと、家に帰っても落ちついて休む場所ももないようなところに帰らなければならないというような状況、こういうような点を考えてみますと、なかなか夜の時間を規制するということが事実において困難だという事情のあることは、皆様もよく御承知だと思うのであります。この風営法改正し、そうしてまたその抜け道をいろいろとめていただくこと、これはぜひやっていただかなければならぬことだと思いますけれども、同時に、青少年の生活がこういうふうに変わりつつあって、そしてその中でいろいろ持っている彼らの欲求がいろいろな面で十分に満たされていないという現状、これがいわば営利業者のつけ込むすきになっているので、こういう問題については、この問題とは直接関係がないかもしれませんが、ぜひ考えていただかないと、青少年問題対策としてはどこかに抜け道が残るのではないかということを感ずるわけであります。  どうもありがとうございました。
  43. 森田重次郎

    森田委員長 以上で永井参考人からの御意見の開陳は終わりました。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。亀山孝一君。
  44. 亀山孝一

    亀山委員 永井参考人の御説まことに有益に興味深く拝聴いたしました。私がお伺いしたいと思いますことは、いまお話がありました風俗営業等取締法規制された深夜喫茶、そういうところを従来使った青少年の人々の行くえなんです。永井さんはユース・センターというような組織というか施設が望ましいとおっしゃいましたが、もう少しこれを広く、ユース・センターと申しましてもなかなか簡単に進められるかどうかわかりませんけれども、こういう法で禁止されたことになれっこになった青少年をどこへ持っていくかということについてお伺いを申し上げたいと思います。  そこで、先ほどお話のありましたように、外国では健全なスポーツあるいは健全な娯楽といわれたものが、わが国にくるとどうもスポイルされる、こういうことでありました。私はある人がこういうことを申したことを思い出すのですが、日本の娯楽の娯という字が悪いのだ。あれは女をくれると書いておる。それをへたに言べんに直すと、誤る誤楽になる。結局日本の娯楽という娯の字が悪いので、何か娯楽というと、女の問題、女をくれるという御念があるということで、日本に健全娯楽が少ないのではないか。男女七歳にして云々ということはいまないのですけれども、どうもわれわれには娯楽という字、いま申し上げた女をくれるというこの字が、今日の日本のこういう風潮をつくったのではないかと思われる、こういうことを言っておるのです。これは余談ですけれども、何か青少年の健全な行くえをお考えがあればお伺いしたい、かように考えるのであります。
  45. 永井三郎

    ○永井参考人 お答えいたします。  ただいまの御質問は、われわれも常々感じているところなのでございますけれども、たとえば東京の町をお歩きになって、青少年のための健全な施設がどれだけあるかということをごらんになると、パチンコ屋は至るところにあるのです。それから問題になる喫茶店も至るところにあるわけです。また映画館もどこにもあるのですけれども、一体青少年が疲れたときに、どこかへ行って一休みしょうと思ったときに、行って、ほんとうに健全にわずかな時間を過ごす場所がどこにあるかというと、ほとんどありません。私一日分の関係しておりますYMCAのことを申しますと差しさわりがあるかもしれませんが、YMCAはどこかのすみでわずかの仕事をやっているというにすぎないわけであります。これは大きな都市だけに限定されているので、もっと小さな都市にも普及させたいというのが現在のわれわれの願いでございますけれども、そういう状態に対して、一方では何々公会堂などというのは、ばかにりっぱなものができておるわけです。あのりっぱなものは、もちろん青年にも使わせることにはなっておるのですけれども、あんまりりっぱ過ぎて、借り料が高過ぎて、とても使い切れないというわけであります。そういう、青少年は行く場所がないというのが現状でございます。そうすると、たとえば公民館のようなものがあるじゃないか、まことにそのとおりでございます。ところが、どういうわけか、公民館なんというのは建物なんです。そうして、行ってみるとあまり魅力がないのです。これもおしかりを受けたらこまりますけれども、そこにいる先生を見ると、青年なんかにあまり興味のないような人が館長なんかをやっておられて、そこへ行ってわれわれ愉快な時間を持とうと思っても、そういうことはできないような現状にあるわけです。それでわれわれの願いは、大きな公民館あるいは区民館ということも必要でしょうけれども、そういうことよりも、一つの区の中に十か二十くらいの小さなユース・センターのようなものを設けて、これは深夜働いている者のために夜おそくまで、それからお茶を飲みたければそこへ行ってお茶を飲む、管楽が聞きたければ管楽が聞ける、本が読みたければ本がある、それからグループ活動をしたいと思う者があれば、グループ活動について助言をしてくれる先生もそこにおられる、こういうようなものが、全市に、東京ぐらいのところでしたら五、六十は必要ではないかと思うのです。そういうことになってまいりますと、それだけでカバーできるとは思いませんけれども、かなりそういう問題が軽減されるのではないかというようなことを感ずるわけです。  最後の娯楽の問題については、初めて御説を伺ったのですけれども、われわれもレクリェーションの翻訳ができなくて困っているわけです。レクリエーションを訳すことがとうとうできないで、レクリエーション協会はいまでもレクリェーション協会といっているわけです。これは娯楽といってもだめ、何といってもカバーできない問題があって、いま御指摘があったようなことも考えのうちに入っていると思うのですけれども、いまなお輸入したことばを使っているのは非常に残念なのでございますが、そういう状態でございます。
  46. 亀山孝一

    亀山委員 いまお話のありましたユース・センター式のものを多くつくるということ、まことにけっこうでございます。ただ一つ、私の感じているところを申し上げて御意見を伺いたいと思いますことは、いわゆるレクリエーション、娯楽という問題も大事ですが、いま大都会にあります図書館の現状をごらんになりますと、入りたい人があのとおり列をつくっておる。これは図書館の本を読むというよりも、いまの下宿その他の住まいの関係上、本を読む場所がないのです。だからむしろ図書館へ行く。そういう読書のできる施設、それをもっと方々に多くつくるべきではないか、こういうことがいわれておるのですが、私は読書必ずしもレクリエーションとは思いませんけれども、いまの青少年のいわゆる勉学の場所をつくるということも、私はレクリエーションの一つだと思っております。先生のこれに対する御意見、もしも御賛成であれば、YMCAはこういう面にお力をお入れ願えるかどうか、ひとつその辺もお伺いしたいと思います。
  47. 永井三郎

    ○永井参考人 確かにあらゆる施設が欠乏しているという現状で、ことに図書館の曲に立ってみて、ほんとうにただいま伺ったと同じ感じをわれわれは持つわけであります。いろいろなユース・センターのようなものがぼつぼつできていることは事実なのでございまして、労働省関係の勤労青少年ホームがだんだんできてまいりますのと、それから文部省関係では国立青年の衣が二つできまして、非常に大きな役削りを果たしていると思います。ただ、青少年の家の場合は都会の外にある場合が多いので、都会の中に、ただいま申されましたように、本は買えなくてもいいけれども、集まって勉強する場所だけでも与えてもらいたい、こういう希望はわれわれの会の中にもいつも出ております。わずかな図書室の設備も持っておりますけれども、それよりもっともっとこういうような勉強する場所を与えたいということ、そういう必要は東京のような都会では非常に痛切にわれわれも感じているわけでございます。
  48. 森田重次郎

    森田委員長 川村継義君。
  49. 川村継義

    ○川村委員 永井参考人に一言お聞きをしておきたいと思います。  ただいま亀山委員からも申されましたように、先生の御意見たいへんありがたく承ったわけでございますけれども、いま先生のお話を承っておりますと、帰するものはやはり政治の施策、対策、そういうところに何か落ち度があるように感ぜられてなりません。おっしゃるように、喫茶店にいたしましても、ボーリングにいたしましても、非常な問題を起こしている。先生のお話のように、外国では何も別に悪を誘い出すようなものでないのに、日本に来たならばこれが営利の対象となる。いわゆる資本主義の対象となって、今日のような日本の状態を打ち出してしまっておる。そこで、公共団体等がもっともっと青少年のためのいこいの場所というものを十分配慮したならば、そういう点は防げておったのではないか、そういうことが考えられるというようなお話でございましたが、そういう点から考えますと、どうしてもやはり日本の地方自治体における青少年対策あるいは国の青少年対策というものに何か大きな抜け穴があるように感ぜられてなりません。  そこで、先生のお話にも出てまいりましたが、国立青年の家がいま一カ所だけ設置をされて、第三、第四と考えられてはおります。ところが、国立青年の家、これは大きな役割りを果たしておると思いますし、こういう施策がとられることはけっこうでありますけれども、私が一つ心配することは、国立青年の家等を使用してあるいは修養する、あるいはグループ学習をやる等々の諸君は、これは大はそう心配の要らないわりあいに健全層に属する青少年の諸君でありまして、むしろその地域指導者階級が大体中心になっておるのではないか。ところがわれわれが心配をいたしますのは、今日問題のあるような、一歩誤れば深夜喫茶の悪に染まって落ち込んで、そういう非行をする青少年、あるいは非行すれすれの状態に置かれておる青少年層をどうして健全なものにするか、そういう悪の道から遮断をしていくかということが大事ではないか、こう考えるわけでございますが、先生は中央青少年問題協議会の委員もやっていただいておるようでございますが、青少年問題協議会等でそういうような問題についてどういうような方向づけをしてくださっておるのか、第一にひとつお聞きをしたいと思います。実は青少年白書等を見せていただいておるのでございまして、非常に幾つかの重要な問題が指摘をされております。ところが年々国の青少年問題協議会等で立てられます対策の予算というものを見ると、まことに貧弱な状態でありまして、特に私が心配しておるようなそういう問題を解決するための施策、そういうものについては、非常に貧弱な姿が今日の状態ではないか、こう考えておるわけでございます。まず先生からそれらのお考え等をお聞かせいただければけっこうと存じます。
  50. 永井三郎

    ○永井参考人 ただいま御質問を受けました問題は、われわれも常々悩んでいる一つの問題なんでございます。来なくてもいい者が来て、来てもらいたい者が来てくれないということがいわゆる健全青少年団体の悩みなんです。来なくてもいいということはありませんけれども、もっと来てもらいたいものはなかなか来てくれないわけです。こういう人たちを引き寄せるにはどうしたらいいのかということをいつも考えておるのでございますけれども、これはわれわれの団体の活動などが非常に入りやすいものにならなければならないということが一つなんです。そのためには、いわゆる敷居が低いような組織をつくって、そしてその中にみんな参加するようにしたい。そのために第一に取り上げられておりますことは、中央青少年問題協議会でもしばしばその問題が出ておりますけれども、グループ活動を盛んにしようということなんです。そしてそのグループ活動の中で、ごく肩のこらないいろいろな活動の中に参加させる機会をつくってやって、そしてそれからだんだんその団体の持っている高い目的にまでこれを引き上げていこう。そういう点を考えてみますと、実はこのグループ活動の普及ということもなかなかむずかしい問題を幾つか含んでいるわけでございます。第一には指導者の問題なんです。グループ活動は数人の者が集まればできるわけでありますけれども、これをほんとうに育てていくためには、ほんとうの意味でその経験のある、あるいはまたそういう訓練を受けた指導者がなければならないわけです。ところが皆さんそういうことをお聞きになったら驚きになるかもしれませんけれども、日本では青少年指導というものは専門職になっていないのです。学校の先生はそういう専門職でありますけれども、青少年指導というのは一つの専門職になっていないのです。ですから非常に青年の好きな人が一生懸命に働くのですけれども、いつかたってみれば今度は自分の生活のことも考えなければなりませんから、あるところにいくとほかの団体に移っていってしまうということで、長年一つの団体で青少年のために働くという指導者がないわけです。これは文部省でもお考え願っているわけですけれども一、将来ぜひこの青少年指導というのが一つの専門職になるような時代をつくって、そしてそれがみんなから尊敬されるようなときに、初めて一生涯をそのためになげうつ人ももっと多くなってくるんじゃないかということを考えておるわけであります。これがグループ活動を困難にしている第一の問題です。  それから第二の問題は、日本の青少年が一体どのくらいグループ活動に参加しているのかということはいろいろな統計がございますけれども、大体二割五分から三割くらいということになっているのです。この二割五分ないし三割というのは農村を含めての場合ですから、農村は非常にその参加率が高く都会の場合は非常に低いということがおわかりになると思います。それでなぜこんなに参加率が低いのかということを考えてみますと、これは遊ぶ場所がない。もしユース・センターのようなものが一つの区の中に十か二十もあって、いつでもそこに行って集まれるという場があるとすれば、そういうところに青年たちが集まって、そうしてその中からグループ活動というものがどんどん伸びていくのじゃなかろうか。それでいま一つの壁になっているような二割五分ないし三割というものを打破するのには、もっともっと施設をつくらなければならないのじゃないか。そうして施設を中心にしたグループ活動を育てていくことがこの一つの壁を破る方法じゃないだろうか、そういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  51. 川村継義

    ○川村委員 くどいようでございますが、青少年問題協議会等で、いま先生のお話しいただきましたようなグループ活動等は一つの非常に大きな役割を果たす問題だと考えますし、協議会等でひとつ高い指針を示していただいて、それらが国の施策なりあるいは地方団体の施策等に実現できますようにお力添えをいただきたいと存じておるわけでございます。  風営法改正がありましてわずか一カ月余りの実施期間を過ごしておるわけでございます。先ほど警察当局の話を少し聞いたのでありますが、いまのところではそう心配する状態は大きくあらわれていない、終電車で帰る層が非常に多くなっておる、夜おそく車等で帰るような層が減少しておる、深夜喫茶店等から締め出された青少年が、そのほかの深夜業を営んでおるような方向に多く流れているとは思われないというようなことを言っておったのでありますけれども、ただ私は実は心配をいたしておるわけであります。いまはあるいはそういう状態にあっても、これが時日を経るということになりますと、どんなに取り締まりをきびしくしても、また何かのそういう道を見出して同じような傾向が出てくるのではなかろうか。なぜ私がそういうことを申し上げるかと申しますと、先生のお話の中にもございましたように、青少年というもの、特に都会生活をしておる者が今日置かれております環境、あるいはそのほかの社会生活の問題等々から、どうしてもそうならざるを得ない一つの条件を持っておる、こういうことを陰ながら心配をいたしているわけであります。そこで、取り締まりをきびしくすることも、これは決しておろそかにしてはならないと思いますけれども、やはりもっともっと別の角度から青少年指導あるいは非行少年指導というようなものが考えられていかねばならぬのではないか、こういうことを強く考えておるわけでありますが、いま先生のお話の中に、たとえばたくさんの青少年の諸君が自由に出入りできて気分を転換できる、いわゆるほんとうのリクリエーションの場所となるようなユース・センターみたいなものをつくったらというような御意見もございました。それも一つの大きな方法ではないかと思いますが、私が申し上げました心配をしておるような点について解決を見出せる何か別途の一つの方法でもお考えでございましたら、この際お聞かせいただきたいと存じます。
  52. 永井三郎

    ○永井参考人 そういう妙薬はなかなかございません。実は青少年の生活全般に触れている問題なものですから、これは青少年の団体は青少年の団体としてなすべきことを今後大いにやらなければならないということを感じておりますが、同時に、政府その他におかれましても、青少年に必要な施設というようなものを、もっともっと青少年のためにつくっていただくこと。それからまた、青少年自体もまた自分たちの責任というものを自覚して、もっと自重するような風潮というようなものをつくること、いろいろなものが一緒になることが必要だと思うのであります。ただ一つだけ、この日本の事情におきまして、特に私が感じておりますことは、年寄りの世代と若い者の世代との間に交通がないということなんです。それで、その点が日本の青少年たちを非常に不幸にしていると思います。それからまた、おとなにとっても、若い者は何を考えているのかわからないというようなことで、非常にこれは残念なことでございますが、これを打ち破る方法は何かと申しますと、よく話し合いをしろというのですけれども、話し合いというのはそういうときにはなかなか効果を発揮しないのです。家庭なんかにおいて、人の生活というものを通して実はもっともっとこういうような相互理解というものが深められるわけであります。おとながいかに宵少年の問題に関心を払っているのかということが若い者にわかれば、若い者はもっとおとなを信用するような状態になるのじゃないだろうかと思って、そういうものが積もり積もってこんなふうな問題を解決することができるのではないかということを感じているわけであります。
  53. 森田重次郎

    森田委員長 永井参考人には貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。     ―――――――――――――
  54. 森田重次郎

    森田委員長 引き続き、松田参考人にお願いいたします。
  55. 松田ふみ子

    ○松田参考人 松田でございます。  風営法改正されまして、そしていろいろな意味で私たちの心配がなくなるのじゃないかと思っておりましたところが、実施されてみますと、何だか大きな網を打たれたのに、たったざこ一匹のためにそういう改正法を用意されたかのような感じが私はするのです。と申しますのは、深夜喫茶ばかりを突ついておりますけれども、まだほかにたくさんいろいろな網の目から抜けているものがある。そういうふうな網の目から抜けているところから、やはりまた次の悪の温床が私は育っていくような気がいたします。まだわずか一ヵ月でございますから、その後どうなっているかというようなことはまだはっきりは申されませんけれども、一体その深夜喫茶を追われた人たちがどこに行ったかということが私は問題だと思うのです。深夜喫茶などを使いますそういう青少年たちの中には、健全な家庭の学生とかねあるいは非常に将来に対して大きな希望を持ったり、あるいはなすところあらんということを期しているような人たちは行かないのであって、いまどなたか申しましたように、カビのように非常にふえていく、そして次から次とそういった暗いところを好んでいくような人たちがおもにそういうところに出入りしておると思います。  それで、風営法が出まして、深夜喫茶が早く店じまいをするようになった。じゃその人たちはどこへ行ったか。新宿だとか、渋谷だとか、池袋の盛り場にたむろしている。そういう人たちがふえたといわれますけれども、ただいたずらにその町かどに立っているわけではなくて、どこへ行ったかといいますと、今度はやっぱり夜中まで、深夜まで営業している映画館に入って、その映画館には十八歳未満の方お断わりと書いてありましても、非常に興味深いキャッチフレーズがあって、十八歳以下見るべからず、おとなだけ見るべしとかなんとか非常にセンセーショナルなキャッチフレーズが書いてございますから、中へ入っていく。この間試みに入って見ましたところが、女の子がアベックで来ているわけです。それで、あなたたち、そう言っては何ですけれども、ずいぶん若いんでしょう、二十になっていないでしょうと言いましたら、でも、知らぬ顔して通れば十九か二十で通りますもの。いまの子は大きゅうございますから、十八歳なんといったって、私なんかより背が高くて堂々としていて、二十歳と言えばちゃんと通りますし、それに、レデイーに年を聞くなんて失礼よ、そんな権限ないはずよ、なんというわけで、どんどん入っていっている。その映画がどういう映画かといいますと、大人でも顔負けをするような「白日夢」とか「紅閨夢」とか、そういったすばらしい武智映画が上映されている。わかるの、と聞きましたら、とにかくおもしろいわね、大人のすることはすてきじゃない、こういうことを言います。横に男の子がおりまして、その男の子が、そんなおばさんの相手になっていないで、君、ちょっとお茶飲まないかということを言っておりましたから、私もこわくなりまして……。こういう人たちが深夜喫茶から流れてきた人たちだろうと思います。  それで、こういう映画館へどうして来るのかといいますと、やはりお手伝いをしていて、昼間おひまをいただくけれども、一日おひまをいただくと、朝から晩まで遊んで、もう明日から働かなければならないから、それでせめて深夜映画に入って、そうして明け方に帰っていくというような人たちらしいのでございます。そのほか、アベック喫茶とか、あるいは名曲観賞をする喫茶店とか、あるいは音楽喫茶とか、そういうところは非常に――いま永井先生がおっしゃいましたお茶を飲むということ。なるほどそれはよいレクリエーションで、英国なんかのような紳士国に行きますと、お茶を飲んお話をする、それが本来の姿でありますけれども、この人たちのお茶を飲む飲み方は、つまり、暗い場所へ入っていってお茶を飲むということで、そのこと自体が私は非常に問題だと思います。  それで、名曲観賞喫茶とか音楽喫茶へ行きますと、一番上の階層、つまり三階のあるところはそれがアベック席になっておりまして、そこは昼間からでも電気が暗くて、そこに行って非常に悩ましい音楽を聞いておりますと、やはり変にムードが出てしまって、大人でも変になるのではないかしらんというようなところがまだまだあるわけでございます。そういうところへ入っていく、それからまた、そういうところへたむろしている、流れているような状態だと私は考えております。何というのでしょうか、日本のほうぼうを考えてみますと、やはり大人がモデルを示して青少年を悪くしているということが一つの原因だと思います。  実は一昨日私新橋駅に、夜おそくですけれども、人が着きますので迎えに行きました。その人が出口を誤ってなかなか来ないものですから、新橋の駅員にいろいろ聞いて、どっちへ行ったら地下鉄の連絡口かということを話しておりましたら、人がわいわいたかっておる。それで見てみましたら、そうですね、もう四十四、五の分別のあるおとなが酒を飲んで酔っ払って、新橋の駅の構内へ寝っころがってごろごろやっている。友達が二、三人ですか、起きろと言っても、起きない。それで、ネコがじゃれつくようにじゃれついてやっている。そこを外人のおじいさんですけれども、立ち去らないでじっと見ているわけです。それで、これは私はずかしいことだと思いまして、国鉄の公安官に言って、どこか保護してくれればよいと思ったのですが、駅でもたいへん忙しくてそこに目が届かぬ。長い間外人が見ておったわけです。オリンピックを控えまして外国に対して恥ずかしいといいますよりも、それを見ている若い青年たちにとてもはずかしかった。おとなだってこんなことをしているではないか、えらそうなことを言えたものではないということを考えて、非常にこわくなりました。  そのほか風営法が取り締まってくれそうな問題、つまり、トルコぶろとか深夜おそくまでやっているボーリング場とか、それに対して今度の法律はちっともかかっていないということは非常に残念なんです。と申しますのは、トルコぶろなどは日本の名物になっておりまして――アメリカでもございますが、大勢五人か六人くらいに固まってマッサージをしてもらっているというような非常に健康な入浴法をやっておりますのに、日本だけはそういった個室の中に入れて、はなはだしいかっこうをした女の子がサービスをする。聞きますと、女の子は月給をもらっていない。ですから、サービスをよけいすればたくさんお金がもらえる。そこをねらって業者は給料を出さないで、とにかくサービス料でまかなわせている。ですから、この間もある方が私の知っている方に手紙をよこされまして――貿易商だそうですか、その貿易商が外人をそのトルコぶろへ連れていくととても喜ぶ。それは貿易商なんかで来ている人をトルコぶろへ連れていくことが外人のスケジュールの一つに入っているのだそうです。それでその青年の方が――四十前の方ですが、行ってみたというのです。行ってみたところが、入口で、お名ざしですか、お名ざしじゃない、初めてだから、と言いますと、そこで千五百円かとられて中へ入っていくと、いきなり非常に露骨なかっこうをした女の人が下腹部からずっとていねいに洗ってきた。そういうふうな経験は自分はなかったものですから、断わったところが、まあスペシャルサービスでしたらしかじかかくかくというようなことを言って、なるべくたくさんサービス料をもらおうとする。そういうのを見てきて、実際これはオリンピックを控えて日本の国辱だ。だから何とかしなければならない。その中のインテリの人なんですが、なげいている。そういうふうなものをこの風営法の中に入れないで、ただ公衆浴場法だけで、条例だけで取り締まっているというのは、私はとても片手落だと思うのです。トルコぶろなどは青少年は行きませんけれども、それでもやはりおとなたちが行っていると、中には行っている人たちもたくさんいる。行っていると、やはり一度行けば二度行きたくなって、お金も――いろんな犯罪の温床になるというようなことで、このトルコぶろをこのままにしておくのは、私は、非常な国辱だと思っております。東京じゅうに百六十何軒もあるそうですけれども、あきれてしまったのですが、こういうふうな密室の中で行なわれているそういう動作は、私は赤線の別の形ではないかと思うのです。結局赤線はなくなったけれどもトルコぶろという形で赤線が復活しているのじゃないか。そういう密室の中で売春を行なおうと思えば幾らでもできる。すけて見えるような窓をつくれといったところで、足元につくられているところもある。それじゃ外から見る人は、四つんばいになってのぞかなければならない。そんなことはとてもできない、いろんな抜け穴をつくって、抜け道を考え業者がやることを、浴場法だけで取り締まるのは、私はやはり片手落ちだと思います。ちょっと聞いたことによりますと、公衆浴場法というのは、つまり一番初めにこれが実施されましたときに、結局風紀のことには及ばずという――ただ風紀ということが一言触れてありますけれども、その風紀というのは男女混浴をやかましくいうというだけで、風紀のことには――何ていうんでしょうか、問題にならない。風紀のことは問題にする必要はないということがいわれている。そういうことになりますと、いまのトルコぶろというのは、男女混浴でなくて個室であって、風紀の問題が非常に問題になってくると思うのです。ですから、風営法というものがもう少し網の目をこまかくして、トルコぶろども浴場法を変えて、そしてこの中へ入れていただいて規制していただきたいと私は思います。業者の中には自粛している人もあるらしいのですけれども、もうけるためには人の迷惑なんかかまっちゃいないというような人もありますし、そういうことにだんだん青年たちが興味を時ってきて、そして興味がそこへいくとやはりおとなのまねをしたがるということ。それはアメリカでもイギリスでもいろいろありますけれども、おとなの人が社会に対する責任を持つという点では、非常に皆さんがまじめな態度で責任を持ってくださっていると私は思うのです。ところが日本の男の方は、わりあいに、自分の家庭だけにモデルを示せばいいけれども、社会に対する責任というものを考えてくださらないというような方が、いまの飲んだくれの場合でも私はあったと思うのです。ボーリング場なんかでもそうなんです。さっきも永井先生おっしゃいましたが、私もそれは運動、スポーツとしてはなかなかいいと思います。私もアメリカの大学へ参りましたときに、地下室に食堂があって、そしてボーリング場があって、学生たちがみんなボーリングと食後の一時間ほど楽しんでいる。こういうふうなことならばスポーツとして扱うことができますけれども、日本のボーリング場は、スポーツでなくて、さっきどなたかおっしゃったけれども、それを娯楽にしていますから、そこに問題がある。そしてそこでギャンブル、かけていますから、非常にお金がかかる。ギャンブルを覚えて、ギャンブルで当てますと、何か勤労意欲を失って、あわよくばという非常にイージーな生き方を青少年に教える一つの悪いモデルを示すような気がいたします。ですから、ボーリング場のやり方でも、祭日、土曜日などは午前三時までやらせておりますけれども、まあ十一時までで締めるようになっていても、おしまいをすればやはり十二時過ぎてしまう。それからまたギャンブルをして、いろいろ学生たちの出費も多くなっている、そこへ行く人たちもお金がほしくなるというようなことで、次から次といろんな問題が派生的に出ていっていると私は思うのです。もちろん、こうして考えてきますと、家庭の問題もございます。そういう子供を育てた母親の責任もありますけれども、また問題はおとなに帰ってきて、家庭も悪いと同時に、社会のおとなたちが示されるモデルがやはり子供たちによくない刺激を与えているのじゃないかというようなことを私は心配するわけでございます。ですから風営法をもう少しこまかく、網の目のように緻密な改正をもう一度されまして、その中に入れていただきたい。そしてただ条例だけでなしに、日本全国にそれが有効になるような法律としてきめられるならば、風営法が画竜点睛を欠いていたところをもっと緻密にやってくださるならば、私は完全なものになるのではないかと思います。ただ私といたしましては、深夜喫茶だけが自粛して、そのあとのことなどまだ抜けていれば、やはり依然として同じ悩みを繰り返すということに焦点を当てて、私ちょっと見たり聞いたりしたことを申し上げたばかりでございます。
  56. 森田重次郎

    森田委員長 次に和田参考人にお願いいたします。
  57. 和田英夫

    ○和田参考人 私は専門が憲法行政をやっておりますので、そのほかには大学教授としての立場もありますが、大体そういう点から申し上げたいと思います。  初めに、八月一日から実施されています現在の風俗営業法の一部改正でありますが、これは附帯決議にもありますように、法律的に見ますと、形式、内容の画面からしまして、かなり何といいますか、応急的なあるいはもっとことばをきわめて申し上げますと、びほう的な改正のような感じがいたします。そういうふうなこともございまして、おそらく附帯決議が衆議院と参議院と両方から出たのではないかと思うわけです。しかしそれはそれとしまして、あの時点においてああいう改正をなされたことは、少なくとも二歩の前進ではあると私は考えまして賛成しております。  第二に、先ほど来永井さん、松田さんもおっしゃられたことと同じなんでございますが、やはり青少年の非行対策の基本問題は、単に取り締まるということだけでは解決できないのではないか。彼らの持っている若さ、エネルギーというものを、どういう方面にこれを活用させるか、開発させるか、展開させるかということを広い視野に立って考えるのが、問題の最終的な決着だと思います。その場合にはこまかい問題としましては、たとえば私はちょうど三年前にアメリカにおったのでありますが、家庭環境、なかんずく住居の構成、居住条件、こういったものが非常に大きな問題のような気がいたします。犯罪者その他非行青年の温床といわれている家庭をごらんになりますと、全部とは言いませんが、かなり家庭ないし家族構成あるいは居住条件の狭さ、偏狭さという問題が出ていると思うのです。さらにそういう点に関連しまして、社会全体あるいは政治全体の立場からするとるべき施策、設備の提供というような考え方、これも当然出てまいると思います。そういう意味で、まず規制をする、取り締まりをするということだけに全精力を注がないで、それは当然の前提でありますが、むしろ問題は、今度は前向きの方向に向かって彼らの持っている若さというものをいかに健全に有効に開発し、発展させるかということを考えるのが本筋だと思います。以下、そういう前提におきまして、二、三述べてみたいと思います。  この風俗営業法改正を全体としてながめた場合に、私は基本的に二つの分野に問題が分かれるように考えます。  第一は、法律技術的な問題点であります。これはむしろ法に内在的な、あるいは法体系的な問題でありまして、法律の技術の点で十分な考慮が今後払われる必要があろうかと思います。  第二の点は、二十三年の風俗営業法制定のその後の規制対象が非常に広範に、思いもよらないようなものがどんどん出てまいりました。その規制対象実態に対する問題点が多数あるわけでありまして、これが先ほど松田さんも言われたようなトルコぶろとかヌードスタジオあるいはボーリングという問題を、風俗営業法の中でまかなうかどうかという問題になるかと思います。  最初の法律技術的な問題から申し上げますと、きわめて初歩的なことでありますが、普通戦後の、最近の法律を見ますと、第一条には本法の目的というものが大体書かれております。この点がこの風営法の場合には、二十三年のときも当然でありますが、現在の改正でも触れておりません。この法の目的規定を書かないということは、法を運用する立場からしますと、非常に困惑するだろうと思います。さらに、条例を制定する場合も困惑するだろうと思います。その点のあいまいさが条例の制定の段階において、さらに法の運営の段階においてあとを引くというように私は考えております。  それから、第二番目には、風俗営業の概念規定が出ておりません。風俗営業の定義という形でありますが、これは第一条にあります。しかし、これがむしろ風俗営業として列挙された分類事例ではないかと思うのです。風俗営業そのものの概念要件は何であろうかということについては明確ではございません。ただ第一条その他から見まして考えられることは、おそらく風俗営業の概念要件の中には二つの要素があるのじゃないか。一つは、男女間の性的享楽ムードというものが風俗営業というものの概念の中に入っているようであります。それから、第二はギャンブル性、射幸性、賭博性という問題、これも風俗営業と呼ばれているものの概念要件になっているようであります。この辺のところを将来もっとはっきりとした形で明文化する必要があるのではなかろうか。むろん、ギャンブル性も性的な享楽的なムードも、現実問題としてはかなりミックスしております。からんではおりますが、一応そういうふうに考えていいんじゃないか。それを二つの法文の中で将来整備することが、法技術的な点では考えられるというよりも期待していいのではないかと思われます。  そのほか、こまかい問題を二、三あげますと、憲法二十二条の営業の自由という問題、これもいままでの議事録その他で拝見しますと、あるいは訴訟なんかのことも聞いておりますし、出ておりますが、これはすでに専門のさまざまの論文その他でありますとおり、私は憲法二十二条の中には「公共の福祉に反しない限り、」というのがありますので、その点公共の福祉なるものの内容、中身を十分に、コンクリートに、具体的にそれを推し進めて、それが十分に納得のいくものであれば、営業制限というものは憲法上、理論上は十分に可能だと思います。この点はさほどここでは問題にしなくても、すでにいろんな方がおっしゃられております。  それから、さらに私が一番問題としたいのは、法律事項にすべきか、条例の事項にすべきかという問題です。先ほど松田さんが、法律ではっきりと画一的にやってもらいたいというふうなことをおっしゃられました。そのお気持ちはわかりますが、私はこの点いささかちゅうちょいたします。その理由の第一は、地方自治の本旨という問題が憲法の中にございます。地方自治の本旨ということからしますと、条例でまかなうべきことを相当予定しておりますし、この点で条例への委任が適当かどうかは別問題といたしまして、条例事項というものは相当大幅になっておるわけです。これは地方公共団体の自主性の尊重ということからして言えると思うのです。ただ、その場合に、問題は、何でもかんでも条例にまかせていいのかどうか、条例に委任する限度、委任するしかたの問題だと思うのです。一つの簡単な例をあげますと、風営法の第三条、あるいは第二条にもありますが、第二条の例をあげますと、風俗営業を営もうとする者の資格云々とあります。この風俗営業を営む者の資格について、これは法律では全然規定しておりません。これをやや関連のある古物営業法、質屋営業法を見てみますと、この中には許可の基準として法律で定めております。内容的に見ましても、営業の自由というのはこれは言うまでもなく国民の権利でありますので、そういう国民の権利に関するものを、こまかい点は別として、いきなり条例の問題に追いやるというやり方、これはむしろ法律条例に委任した限度を越えておるもので、私は望ましくないと思うのです。各地域によって差別があるからということで条例にまかされておる点は納得できますけれども、しかし、営業を営む者の資格が全国地域で異ならなければならぬという理由は私はないと思うのです。これは当然法律の段階で統一してもいいわけですし、さらに先ほど言いました基本的人権の制限という本質からしましても、少なくとも営業の資格については、これは法律で定めるのが筋ではなかろうか、こういうように思います。その他こまかい問題はいろいろあります。  それから警察庁のほうの資料をちょっと見たのでありますが、いわゆるモデル条例と申しますか、基準条例というものをきっちりとっくりまして、各都道府県のほうへ流しておるようであります。この流し方は十分に各都道府県で検討した上でこれを受けとめているのかどうか、私は少し疑問であります。つまり、条例という画一的なものの基準を流してしまうと、今度はいきなりそれならば法律であったほうがいいんじゃないかということになりますと、流し方の問題もありましょうが、受け取り方のほうに、もう少し慎重に検討してもらわないと、やはり条例でするよりも法律で全部やれ、そうするといわば中央集権的な方向にすべて法の体系を追いやるということになりますので、この点もちょっと注意すべき問題ではなかろうかと思うのです。  それから、これは関係法令の問題でありますが、刑法、売春防止法、あるいは公衆浴場法興行場法、あるいは食品衛生法旅館業法、そういった各法規との関連の状況がまだ十分行なわれていないのではなかろうか。これは風俗営業法改正だけでなくて、関連法規の改正という問題はあろうかと思いますが、この点も感じた点であります。  以上が法律の技術的な体系の問題として感じている点でありますが、次の問題は規制実態の問題であります。附帯決議でも出ておりますように、トルコぶろ、ヌードスタジオ、ボーリングというものを明示してあります。私はこれをすぐ風俗営業法の中に閉じ込めて、そこでこれを取り締まるというふうなことをやる曲に――それも最終的には必要な場合もあろうかと思いますが、それをやる前に、さしあたり既存の法律を十分に整備する、あるいはそれの運用をもっと適正厳格にするということのほうをさしあたりの問題としては考えるべきではないかと思うのです。たとえば先ほど松田さんも言われたのでありますが、トルコぶろという問題について、私もいままで実態は見ておりませんし、その他さまざまな点はほとんど聞いたりした資料しかありません。しかし、この風俗営業等取締法の問題にかかる前に、たとえば公衆浴場法の第二条には、公衆浴場営業許可としまして、「その構造設備が、公衆衛生上不適当であると認めるとき」は許可しない、こういうようになっておるわけですが、この場合に公衆衛生上不適当ということしか書いてありません。風紀上と書いてありません。したがって、かりにトルコぶろの問題をもう少し考えてみますと、これは現在東京条例なんかで見ますと、どうもトルコぶろは特殊公衆浴場になっておるようです。狩殊公衆浴場ということの内容がはたして公衆衛生法あるいは公衆浴場法の概念、法の趣旨とマッチしているのだろうか。私はこの点は非常におかしいと思うのです。本来公衆浴場法規制個室、これはいわば密室になっておりますが、密室をも包含するような形でのものと一体公衆浴場法は予定したのだろうか。だとすると公衆浴場法の予測を越える条例がつくられているきらいもあるのじゃないか。そこでどの程度まで法律条例に委任していいか、委任の適正な、妥当な限界を越えたものとして、現在特殊公衆浴場法の中のトルコぶろというものがあるのじゃないか。この辺になりますと、どうも私は何でもかんでも条例にゆだねているというやり方に非常に疑問を持つわけであります。こういう点で既存の法律そのものをもう少し再検討して、その線でその運営なりあるいは必要とあれば改正なりを考えて、しかる後にどうしてもまかない切れない場合に風俗営業その他の規制に盛り込むような手はずが正しいのではないかと思います。同じことがヌードスタジオあるいはボーリング等についても多かれ少なかれ関係があると思うのですが、何せ既存の法律、あるいは監督官庁というもののそういう問題に対する対し方、姿勢というものが、ちょっと何といいますか、十分にまじめな態度で取り組んでいるかどうか、私なんかは疑問に思う点があるのであります。そういう点を私が申し上げる前提は、およそ法律というものは、本質的な面と生理的な面と、現象的な病理血とあると思うのです。法律はいろいろな形で運用される過程において法の本質、生理、――病気でいうと生理ですが、しばしば法の現象的な病理面を惹起します。その点で病理面が惹起した場合に、たとえばいまのトルコぶろでありますが、公衆浴場法の病理面が惹起したからといって、それを公衆浴場から離してしまって、そして風営法に入れるというやり方を考える前に、法の本質面にもう一回復元させる。そこに法のあるべき姿、姿勢というものを正させるというのが法律の運営のしかたとしては妥当なのではないか、こういうふうに感ずるわけであります。なおこの点も十分な実態調査を私がしたわけではございませんが、関係官庁、取り締まり当局にあたる関係官庁、警察庁厚生省あるいは、まあ文部省というようなものもありましょう。そういった関係官庁の規制のしかたが十分な連絡をとられているかどうか、若干そこにセクショナリズムがなきにしもあらずではないか、こういう点もいま主での運用の中でつぶさに調べますと出てまいる問題ではなかろうか、こういうように私は感じております。  最後に、こういった問題については冒頭に申し上げましたように、本質的には風営法に対する対し方はおとな、子供を含めて、なかんずくおとなでありますが、個人の責任と、個人のプライドと、個人の自律性、これが確立されない限り、いかに規制しても問題は永遠に残ると思います。ただし青少年の場合には家庭の保護、あるいは青少年の教育というふうな問題があるわけで、この点しばしば制定されております青少年保護育成条例の問題も出てくるわけでありますが、とりあえずおとなみずからが自己の生活態度を顧みて、はたしていまの若いものはどうもならぬというふうなことを言えるだけのことを毎日おとながやっているかどうか。そこに根本の問題が一つあろうと思います。  それから先ほど申し上げましたように、禁止、規制ということだけについ力んでしまいがちなんですが、これはびほう的、一時間な策では成功するかもしれませんが、巨視的にながめた場合には、やはりそれだけではだめだということであります。そういう意味で家庭環境、住宅事情、居住条件、さらに市町村の地方自治団体の自主的な福祉教育的な環境設備という問題、さらに全体の市民のモラルという問題、そういうところまで問題は当然行き当たるわけなんであって、そういう意味で私は早急にいま問題になっている青少年非行問題の対策、これに対して即効薬というものは私はあり心ないと思います。あと十年、二十年たちますと日本の民主政治もおのずから落ちつくところに落ちつくだろうと思うし、そういうような長い目で問題を見ていく、そうして規制と同時に向こうべき方向というものについて、もっと魅力のある家庭、魅力のある政治、魅力のある社会、これをおとなの責任でつくってもらう以外にないと私は思う。  これで終わります。
  58. 森田重次郎

    森田委員長 以上で両参考人からの意見の開陳は終わりました。  質疑の通告がありますので順次これを許します。川村継義君。
  59. 川村継義

    ○川村委員 お二人の参考人から、たいへん貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。私は和田先生に二、三お尋ねをしておきたいと思います。たくさん時間をいただくわけに参りませんから、ごく簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  先生からお話しがございました風営法の法体系の問題、法律技術的な問題につきましては、実はこの前の風営法改正のときにもこの委員会でいろいろ論議したところでございます。目的が全然法律の中にないということは、特殊の形態を持っておりますから、目的をやはり明らかにすべきではないかというようなこと、それからこれも先生からお話しがございましたように、風営というものの概念要件がどうも十分でないではないかというような問題等論議したところでございますが、私はどうしても風俗営業取締法というこの法律は、いま一度先生がおっしゃったようなことなどを一つの大きな問題として、法律体系の上から大改正を加える、そういうような必要があるのではないか、こう考えておるのでございますけれども、いま一度その点について先生のお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。  それからいまのお尋ねにくっついて、この前も問題にしたことで小さいことでございますけれども、この際あわせてお聞しておきたいと思いますことは、第四条の三に「風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。」いわゆる十八歳未満の者に客の接待をやらせるな、そういう場所に入れるな、あるいは二十歳未満の者に酒を飲ましてはならぬというようなこと、飲食店営業についても同様な規定をしておるわけでございます。ここで実際問題として私がいつも頭の中にひっかかっておりますのは、十八歳未満の者に客の接待をさせるな、これはよくわかるのでありますが、次に十八歳未満の者はそういう場所に客として立ち入らせるな、こういう規定と、しかし十八歳を越えたら入っていい、二十歳以下の者には酒を飲ましてならぬぞと、一口にいえばこういう規定になっておる。こういう区別をどうして一体やるのか、これは非常に混乱を起こす一つの問題ではないか、このことに関しまして罰則が設けられまして、年齢を知らぬでおって酒を飲ませてもこれはいかぬぞ、罰するぞというような規定等がありますのですけれども、こういうような規定のしかたというものは実際運営上非常に困るのではないか、何かもっといい、適当な規制のしかたがありはしないかということなど考えておるのでございますが、これについて先生のお考えがございましたらお聞かせをいただきたい。  それから第二番目にお聞かせいただきたいと存じますことは、和田先生からもお話がございましたが、この風営法改正に入りますときにも、いわゆるトルコぶろその他ボーリング等々についても風営対象にしろというような御意見もずいぶん各方面からございました。しかし、それを風営対象にするということは、いろいろ法律的にも、あるいは営業という面からも問題があるということで、このような改正にいまとどまっておるわけでございますけれども、和田先生の御意見によりますと、これはたいへんな抜け道じゃなかったかという御意見等もございました。しかし、この点については実に大きな問題でございますが、法律的に見ていくならば、いわゆる公衆浴場法対象になっておるもの、あるいは興行場法対象になっておるものを、どうも風紀の問題があるからといって風営対象にするということはいろいろ問題が出てくるのではないか、こういうことが考えられるわけでございます。先生のお話の中にもそういう点お触れいただいたのでございますが、その辺のところを法律的に見てどう考えを明らかにすべきであるか、これをいま一度お聞かせをいただきたい。  それから、先生のお話の中に出てまいったのでございますけれどもトルコぶろ等は公衆浴場法対象として考える場合に、いろいろな問題が起こってきておる。そうなると、一体トルコぶろというものをどういうような法律のたてまえで取り上げていったらよろしいか、公衆浴場法からはずしてしまって、あるいは別に特殊浴場法というものでもつくって、そこから別途の対象にするのか、何かその辺の考え方というものも生まれてくるような気がいたしますけれども法律的にお考えいただいて、その辺のところ、いま少しお聞かせおきいただきたいと存ずるわけであります。
  60. 和田英夫

    ○和田参考人 問題が盛りだくさんに出されまして、なかなかむずかしい問題もあると思いますが、私の考えだけ簡単に申し上げます。  第一番目の風俗営業法の法体系を抜本的に改める、体系的にいろんな不備な点を改めるということは、私は理論的には必要だと思います。この次にはむろん間に合わないと思いますけれども、いずれはそういうふうな形で――二十三年の法律でございますし、その事情もいろいろあったと思いますが、これは御存じのとおり、官選知事の時代でありますが、旧憲法のときには府県令として風紀警察といいますか、風俗警察といいますか、こういう形でやっておったわけです。それをある程度受け継いだということにもなっておりまして、私は十分な検討は加えられないままで来たのではないかと思います。そういう点もありまして、いずれは風俗営業法の基本的な、体系的な整備に最初から取っ組む必要があるだろうというのがいまの私ども考え方であります。  それから四条の三の十八才未満の云云の問題ですが、これはこの法律の立法趣旨その他よく伺っておりませんけれども、この点については私そう明確な研究はしておりません。おそらく提案者のほうでそういう点での理由はあったと思うのです。  その次の問題は、条例法律との問題でございますが、これは私先ほど申し上げましたように、条例の許される意味、条例というものの本質はどこかというと、やはり地方公共団体における自主立法権ということになっておりますので、地域的なバラエティーを必要とする限りにおいては、条例は大幅に固有の機能を営むべき、だと思います。しかし地域的なバラエティーを必ずしも必要しないような場合については、基本的人権の制限という問題は法律事項として措置すべきではないかというのが私の考えであります。  そうして先ほど申し上げました風俗営業を営もうとする資格というものは、私は必ずしも全国の各バラエティーを配慮したものとする必要はないのではないか、むしろそういう点では全国的に画一的に資格要件について法定してもいいわけです。むしろそのほうが筋だと思うのです。のみならず営業許可という問題は、憲法営業の自由という問題の一つでありますから、その点でも軽々しく条例にそのまま持っていくということをすべきではなく、法律としてやるべきではないかという感じがします。そのほか態別規制というような問題、場所的な問題あるいは営業者の建物の構造等の問題、こういう点はどうでしょうか。私も地域的なバラエティーはどうしても必要かどうか、まだ具体的に調査しておりませんけれども、どうしても必要ならば、それは条例の中でまかしていいと思いますが、ある程度までその点を一つ一つケース・バイ・ケースで条例でゆだねていいか、法律にしたほうがいいかという問題を、今後の審議の中で明確にしていただきたいというのが私の希望であります。
  61. 川村継義

    ○川村委員 ありがとうございました。くどくなるようでございますけれども、たとえば、具体的に申し上げまして、トルコぶろというようなものにつきましては、営業の自由という点から考えますと、これは全く規制するということが非常に問題になる面も確かにあると思います。しかし、いろいろああいう風紀的な問題等が出てまいりますと、何らかの措置を構ずる必要があるということは、社会一般の常識として出てくると思います。そういう場合に、いわゆる風営対象としてこれを取り締まることが妥当なのか、あるいは浴場法等によってその営業をする場所あるいは時間、そういうものを規制をしていくということが可能であれは、そういう方法をとることがよいのか、その辺の法的見解と申しましょうか、それを一つお聞かせいただきたいと思います。
  62. 和田英夫

    ○和田参考人 最後のものを一つ漏らしてしまったのでありますが、私は公衆浴場法に基づく東京都の条例をちょっと見たのでありますが、東京都の条例の中に特殊公衆浴場というのがございます。この特殊公衆浴場なるものの中に最近はかなり行政指導をしているようで、たとえば風紀を乱すようなことがあってはいかぬとか、風紀を乱すようなかっこうをした従業員を置いてはいかぬということを書いておりますけれども、私は、これを根本的に規制をする場合には、風俗営業法に持っていく前に、構造そのものを規制したらどうかと思うのです。つまり個室というものが問題になっておるわけです。個室というものを認めないような形での公衆浴場法改正はどうだろうか。それからさらに個室は認めるとしても、男子の入る個室には男子のマッサージ師その他をつける、女子の入る個室には女子のものをつけるというふうなことも私は可能だと思います。そういうようなことは必ずしも風俗営業等取締法の中に持ってこなくても、公衆浴場法のレベルで今後考えられていいのじゃないかと私は思うのです。そういう点が、現在の東京都の特殊公衆浴場条例公衆浴場法というものを並べた場合、私なんかひどく違和感みたいなものを感ずるわけです。風営法に持っていく前に、それぞれの既存の法律体系の中でもっと考えてもらいたい点が幾多あるのじゃないかということが一つであります。それで、どうしてもそれができないという場合に、つまり浴場、公衆衛生という点よりも、むしろ性的なインターコースというようなものが中心にならざるを得ない、そうなっておる。どうもならぬといった場合に、はじめて今度は風営法の問題になるのであって、その前の段階として浴場法の改正をして、構造上の許可その他をもっと規制すればどうか。これは一案でありますが、先ほど松田さんも言われたように、外国ではトルコぶろ的なものもあるわけです。しかしこれは男性に対しては男性だけです。それから一人じゃありません。普通五、六人だと思います。それで公衆浴場法の趣旨に沿ったことをやればけっこうじゃないか。そういう点でちょっと外部からながめられるようにするとかなんとかいうことがありますけれども、これはびほう的な策であって、外部からながめること自体がでばかめを奨励するようなことになりますので、これはおかしいと思います。私は構造そのものに公衆浴場法の趣旨に沿うた形で改正の問題を提起したほうがいいのじゃないか、こういう点であります。
  63. 川村継義

    ○川村(継)委員 ありがとうございます。
  64. 渡海元三郎

    ○渡海委員 関連して。いまトルコぶろの問題について風俗営業法に入れるべきか入れざるべきかという点について、なかんずくこのたび問題の提起をされた場面に、現存する法律の範囲内におきまして東京都の条例をつくり、それを励行するということで、現在法が行なわれているのであります。その実際の条件については本日の午前中に研究課題を伺ったのでありますが、現在の条例でやっておるのはびほう的な策である。根本的に公衆浴場法そのものを、ああいう法律をつくったときに予測しなかった浴場が起こってきておる。特殊浴場といういま名前が出ておりましたが、特殊浴場という名前は条例の中に初めて出てきたことばであって、公衆浴場法そのものの中にはそういうことばはなかったのじゃないかと思っておりますが、そういう意味で再検討する必要がある。風俗営業法に入れる前に再検討する。その後において、もしはみ出すようであれば風俗営業法でやったらどうかという和田先生のお話でありましたが、ただいまのことを局長聞いておられて、私たちの委員会の所管法律事項でないものですからなんですが、当局とされましては、条例をつくられましたが、あれだけでなしに少なくとも次期通常国会あたりまでに法そのものを再検討される、現実に合うようなことをされる考えありやいなや、この点当局からひとつ決心のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  65. 舘林宣夫

    舘林説明員 ただいま和田先生から、法体系上むしろトルコぶろ取り締まりなどは風営法考えるよりやはり公衆浴場法考えるほうがいいかもしれないが、ただ現在の公衆浴場法ではトルコぶろのようなものを予測してないおそれがあるので、根本的にいま法律考えてやるべきであろうかというような意味の御意見であったように拝聴いたしたわけであります。確かにお説のように、トルコぶろが出てまいりましたのが昭和二十六年ごろからでございます。公衆浴場法はそれ以前にありまして、トルコぶろのようなものを予測していなかったことは事実であります。ただ法の目的で、御承知のように公衆浴場法は公衆衛生上の見地を主として考えておるのでございますので、法の目的からその見地のみにおいてトルコぶろ規制するには別に差しつかえはないように考えられるわけであります。したがって、その趣旨で、この法律によってトルコぶろも従来から規制をいたしておったわけであります。しかし、今日問題となっておりますのは、トルコぶろ営業形態から生ずる風紀の問題でありまして、これもお話しのように公衆浴場法の第三条で触れておる部分でございますが、ただ第二条の触れ方では徹底的にトルコぶろ風紀規制ができないという程度の条文になっておるという点が、最近しばしば問題となっておる点であります。したがって、和田先生からお話がございましたように、個室を禁止するというような思い切った措置をとれば、目的とする風紀上の問題はかなり解決すると思いますし、またどなたかからお話がございましたように、男子の客に接するマッサージの従業員は男子にするというような方法も一つの方法であろうかと思います。  ただ、これらの改正をいたしますには、かなりその本旨とするところが風紀でございまして、ことに個室をやめさせるということでございますと、現行法の第二条の施設の規制になりますので、これは法律改正ということになるわけであります。したがいまして、公衆浴場法の性格が、公衆衛生並びに風紀の維持というような、風紀一つの柱にした法体系にせざるを得ない、こういうことでございます。そのような改正も、法律でございますのでいたそうと思えばできるわけでございますが、いま一つ基本問題として、風営法に入っております深夜喫茶が問題となりましたが、飲食店あるいはその他の施設につきましても、母法にすべて風紀上のものを大きな命題として入れて、風紀もあわせて取り締まるということで、どうしても母法のないものは風営法風紀上の取り締まりをしていくというような体系ももちろん考えられるわけでありまして、公衆浴場だけがそういう形をとるということでなくて、同じ精神を貫くのであれば、風営法に現在入っておるものも同じ精神で整理ができる問題であると思います。  ただそれはそれで一つの体系でございますが、法体系はそれでかなり整理ができるかと思いますが、私どもの法運用上は実ははなはだむずかしい問題を含んでいるということを申し上げたいのであります。なぜかと申しますと、風紀取り締まりというのは本来的に警察行政になっておるわけでありまして、風紀取り締まりのそれに従事する職員というのは、それぞれの訓練を受け、それぞれの任務を持った警察官が現在当たっておるわけであります。したがいまして、衛生官吏あるいは地方公務員風紀取り締まりをするためには、それ相応の訓練をし、それ相応の人員の充実をし、体制を整備をするということを同時にしなければなかなか法律だけつくりましても生きてこないということで、現在東京都が条例をつくってトルコぶろ規制しても、なかなかその取り締まりの徹底が期せられないという面の一面も、そういうところにもあるかと私ども考えておる次第でございます。したがって法体系の杉もさることながら、法の運用上その目的を達することも考えざるを得ませんので、やはり法律上根本的にこれを考えるとなりますと、風紀ということを目標とした一本の法律風営法考えるということを、十分考慮の中に入れる必要があるということを感ずるわけであります。  いま一つ基本問題として、これは本日参考人としておいでの先生方の御意見も十分拝聴いたしたいと思いますが、風紀上の問題の取り締まりの限界というものが、社会制度として考えていく場合にかなりむずかしい問題を含んでおると私ども考えております。と申しますのは、個室を禁止するとかあるいは女子の従業員をやめるというようなことをすれば、確かに風紀上の取り締まりの万全を期せられるかもしれませんが、これはそれほど追求することを考える必要はないといえばそれまででございますが、また娯楽性をやや欠除する、それのかね合いを社会としてどう考えていくかという問題もあろうかと思いますし、今日売春禁止法において、売春を行なう女子が、その女子の意思に基づいて行なった売春は法で禁止はいたしておりますが、処罰対象となっておらないという国の制度のあり方の基本的な思想のもとで、どの程度こういうものを取り締まっていくかということもあわせて相計量して考えていくべきもの、かように考える次第でございます。
  66. 安井吉典

    ○安井委員 ちょっと関連して。いま河参考人からたいへんいい御意見をお聞かせいただきまして、私もたいへん同感するところが多かったわけでございますが、それについて環境衛生局長から渡海委員質問についてのお答えがトルコぶろについてあったのに関連して、こういう点、ちょっと伺っておきたいわけであります。今日トルコぶろの問題がいろいろ言われておるのに対する対策として、法律措置、行政措置の多面にわたる問題についていまお話があったわけです。  その中で、この間大阪で私どもけって聞いてきた活からちょっと伺っておきたいわけでありますが、そのトルコぶろの問題は、トルコぶろ自体の構造的な問題、中の運用の上の問題、そういうような、それが風俗営業という立場から問題になるという点が一つと、それからもう一つはやはり同じような、そういう問題を一つ解決することがありますけれども東京と大阪と比べますと、大阪はトルコぶろというのはほんのわずかしかない。数えるほどしかない。東京は実に乱立している。だから、そういう構造的な問題の解決のほかに、東京でもいまやたらにいろいろな種類のものがあって、しかもひどいものも中にはあるそうですか、そういうような数を幾らかでも規制していくということも同時に必要ではないかと思うのです。その点について大阪で聞きますと、何か浴場法の適用の中から、距離の問題があるわけですね。一つの既存の浴場に対する距離の問題があって、その条例一つのたてになって、トルコぶろの新設というものに対する現制が行なわれているから大阪は少ないのです、こういう説明を実は大阪の衛生局長から聞いてきたわけです。東京あるいはその他の都市においても、そういう形でもう少し規制の方法はないのかなという点を一つ私は伺いたいわけです。つまり、構造の問題はあとの重要な問題として一つ残りますけれども、それはそれとして、もう一つ、そういう問題のあるものをたくさんつくらせるということだけでも規制ができれば、その点幾らかでもいまの段階でプラスになるのではないか。だから、風俗営業そのものが悪いとかいけないとか、そういうような規制のほかに、浴場営業権の問題とかなんかという風俗営業そのものずばりのあれじゃなくて、さりげない姿で問題の芽を幾らかでもとめていく、こういうような措置も私は政治なり行政なりの上の一つの妙手ではないかというふうな気もするわけですが、その点についてちょっと伺っておきたいと思います。
  67. 舘林宣夫

    舘林説明員 お話のように、現在東京都にはきょう現在で百六十七カ所のトルコぶろがございまして、大阪は九カ所しかございません。人口割合からいいますと非常に大阪が少ないわけでありまして、この大阪が非常に少ないことの理由は、大阪のトルコぶろは一般公衆浴場と同じ扱いで距離制限対象といたしておるわけであります。したがって、一つトルコぶろがあればその周囲二百メートルくらいの範囲内は他の浴場の設立を許さない。また他の浴場がある場合には、その近傍にはトルコぶろの設立を許さないということで、非常に少ないわけでありまして、東京都はその制限をつけておりませんので、一般公衆浴場に関連なしにトルコぶろが続出しておる、こういうことでそれだけの差がついているわけであります。ただ公衆浴場法の運用上距離制限をつける理由は、これらのものが乱立いたしまして、そのために営業の競争をし、収益が減って、ために公衆衛生上十分な措置をしない、水をよく取りかえるとか、きれいな水がたくさん出るような施設をしないということで、現在法律上距離制限が許されておるわけでありますが、トルコぶろのような施設は別に一般公衆浴場には何らの影響もないということから、本来は、これは距離制限対象とすべきでないという見解を私どもは持っております。したがいまして、トルコぶろも一般の距離制限と同じ範畴に入れるためには、現行法の精神ではやはり無理ではなかろうか。解決方法として、これを乱立させないような手段としてはそういうことが一つの方法ではございましょうが、そのためにはやはり法律である程度の規定が必要ではなかろうか、かように考えます。
  68. 森田重次郎

    森田委員長 栗山礼行君。
  69. 栗山礼行

    ○栗山委員 三時から別の会合の予定がございますから一、二の問題点だけ和田先生にお尋ねを申し上げたいと思います。  今度の風俗営業法改正を中心にいたしましていろいろ問拠点を議論いたしました中を和田先生よく把握をしていただきまして、同時にわれわれが附帯決議をつけましてこの問題の前向きの方向をとってまいりたい、こういうことで小委員会をつくりましてこの問題の方向づけをいたしたい、こういうことからきょう御参加をわずらわしておる、こういうことでありまして、その中で一番重要な問題、それから総体的な和田先生の御意見を伺いまして、われわれが得たり、和田先生の御意見を拝聴してこれをどのように生かしていくかというようなことで作業をしてまいりたいという、ややハッスルをさせていただくような御意見を拝聴いたしまして、非常に感謝をいたしておるわけであります。川村委員も私と同様な観点から風俗営業等取締法の法体系自体の問題について、あるいは具体的な内容についてお尋ねをいたしたのでありまして、いまの和田先生のお話については、近代の法体系から見て風俗営業等取締法というものが、行政警察法の制定された沿革といいますか、経過から見てこのような一つの法体系をなしておることは事実でありますけれども、少なくとも今日の世相と実態規制しよう、こういうふうになりますと、法体系の上におきましてもあるいはこの中身の問題についても、非常に広範な内容を持っておるものが、しかもわずか法人条によってこれを定められておる。複雑多岐な内容を持っておるものが羅列的な八条によってなにいたしておる。これは専門家が見ましてもわれわれしろうとがながめましても、全体を通ずるものは、各条を総合的に理解するということがないと、風営法一つの本質は何なのか、こういう理解ができがたい、まことにお恥しい法の実態である、こういうことを御指摘されたと思いますし、私どももそのような観点からこれをとらえておるわけであります。したがいまして、法自体の定義を明確に規定するということが非常に重要なる核になるのじゃないか、こういうふうに伺って、私もそういうふうな解釈をしておるのでありますが、この点をあいまいにいたしまして現行の風営法の体系を論ずるというようなことについては、いささかナンセンスな内容を持つのじゃないか、私はこういうふうに考えるわけであります。お説を伺ったのでありますけれども、法目的、定義を明らかにして風営法のあるべき内容を明示するということが必要だ、こういう考えについて端的に和田先生のお答えをいただきたい、こう思うのであります。  第二点については、法体系の整備の内容に入ってまいりますが、これは御承知のとおりエロやグロに直結いたしますのが大体今日の風営法の適用範囲になる業種別内容であろうか、こういうふうにいまの世相の面から見て考えられるわけであります。そこで非常に難解な一つの問題でありますけれども、私自身はやはりできるだけ法を整備して体系化する、この原則を貫いて、条例との関連におきましては条例か法規かわからないというようないまのような内容は明らかに整備をすべきであると思う。こういう考え方を持つのでありますが、この点についても明確に法規とそれから条例との関係をやはり整備するということの必要性をもう一回お伺いをいたしておきたいと思うのであります。  もう一つ重要なことは、せめてこれが法体系を整備いたしますことにつきましては、いろいろ問題はありますけれども、私は基本的に許可の基準、それから営業行為の制限等の問題は、ぜひともこれは条例にゆだねられるということよりも、法の規制の中にこれを明示するという内容が必要であろうか、こういう考え方を強く持っておるわけなんでありますが、この三点についてもう一回ひとつ重ねてお答えをいただければけっこうだ。むしろお答えいただくということよりも、われわれがこの同順に取り組む上についての御教示をいただく、こういうふうな意味でひとつお答えをいただければけっこうであろう、かように思うわけであります。
  70. 和田英夫

    ○和田参考人 いまおっしゃられた三点、私は結論的に言うと全く同感なんであります、先ほど来私も申し上げたとおりでありますが、二十三年の時点でこの風営法がつくられたときには、急いだこともあったでしょう、また占領下のこともあったでしょう、あるいは旧内務省の警察部長クラスがいままでやった庁府県令、庁府県令の形で風俗営業を取り締まっておったわけですが、そんなことでいろいろな要件があって、あの時点では十分でなかったということは私ども認めるわけです。したがって、もう昭和三十九年でありますので、次の国会とは申し上げませんが、本腰になって風営法の基本的なあり方、したがって、そこからくる目的概念規定、定義規定、体系上の問題としては実体規定、手続規定、罰則規定、こういった問題をもう一回根本的に洗ってやるということが私の法律家としての立法者に対する期待であります。  それから条例法律との問題でございますが、これはいろいろな場合がございまして、私なんか見ても、この程度のものまで条例へ委任しているのかどうかというふうな問題もありますし、それが公安条例の場合ですと公安条例の根拠となっている法律はないわけです。そういうものを意法の上からいうと法令の範囲内においてという憲法考え方、あるいは自治法の考え方でやっているわけですが、これは法令の範囲内においてということでむろん合法性は保証されますけれども、その手続的な一つの何といいますか法律条例のパイプ、この点なんかも今後の問題としては基本的にきちんと法律で定めるのが正しいのじゃないかと思うのです。そういうような付随した問題もございます。  風営法の場合にはたった八カ条しかありませんわけですから、これだけでもってこれだけの大きな問題を処理するにはあまりに条例への委任のしかたが広範過ぎるのじゃないかということで、先ほども特に例としまして営業を営もうとする者の資格の問題を申し上げたわけであります。ただ東京都の風俗営業等取締法施行条例、これの一三条に人に関する許可の基準、それから十四条に場所に関する許可の基準、十五条に兼業に関する許可の基準、十六条に構造設備に関する許可の基準とあるわけですが、この中で少なくとも人に関する許可の基準は質屋営業法とかあるいは古物営業法の場合と同じように対人規制でありますから、これはやはり法律で規定すべきであります。東京であろうが大阪であろうが風俗営業を営む人の資格が異なるということはあり得ないのじゃないか。東京条例では「わいせつ、かんいん、とばくその他風俗に関する非を犯して懲役以上の刑に処せられ」云々というのが風俗営業法では許可されないことになっておりますが、これは大阪へ行けばとれてもいいということはないと思うのであります。こういう点については法律でいいのであります。それから場所に関する許可でありますが、この点は私はまだ十分実態調べておらないわけではっきりわかりません。それから兼業に関する許可基準、これなんかも必ずしも条例でやる必要はないんじゃないかという感じがいたします。構造設備に関する許可の基準、この点はきわめてばく然と「この条例に定める基準に造反するときは」と、こう書いておりますので問題はないと思います。そういう意味で場所に関する許可の基準、兼業に関する許可の基準とそれから最初の人に関する許可の基準と、全部ひっくるめて、営業許可の基準ということで法律でするということがあると、今度はその中でどの程度まで条例へ委任していいかという問題もあると思いますけれども、私はさしあたり人に関する許可の基準、これは少なくとも法律でやるというのが筋じゃなかろうかということであります。その他の点はさらに地方の実態調査されたあとでないと断定的な結論は出せないような感じがいたします。御質問の点はこれでよろしいでしょうか。
  71. 栗山礼行

    ○栗山委員 許可基準の問題と営業行為の制限の問題は、それで大体尽きますか。
  72. 和田英夫

    ○和田参考人 はあ。
  73. 栗山礼行

    ○栗山委員 けっこうです。
  74. 安井吉典

    ○安井委員 両参考人のたいへんいいお話を承りながら、あと時間がないので、それよりも、環境衛生局長から大阪の問題についての条例指導に関する解釈ですが、それについてお話があった点、先ほどのお話のようなことなら、大阪のあれは府でしたか市でしたか忘れましたけれども、その条例指導が誤りだというふうな誤解を生じて、それによって大阪もやはり東京と同じようにたくさん乱立することのほうが正しいのだ、そういう間違った理解を与えるといけないと思います。そういう形を速記録にとどめておいたことにすると――私どもこの間大阪に行って、東京と違って大阪はなかなかよくできていますねとみなそろって言ってきたばかりなんです。そういう立場から、そういう誤解を生じてはいけないので、きょうはそういう機会じゃないと思うのですが、先ほどのお話も速記録に残っているわけですから、私はそういう点もう少しはっきりしていただかなければならぬと思うわけです。つまり自治体の条例東京と同じような姿を大阪の中につくりたくない、そういうような気持ちで条例を持ち、その条例指導を見にやっているわけです。それに対して厚生省が水をかけるような態度で、そんなのは間違いだ、東京並みに幾らでもつくりたいだけつくりなさい、そういう指導のほうが正しいのだ、そういうような言い方では、これは私は問題だと思います。風紀の問題なんか厚生省の問題じゃなくてほかの課題だ、こういうようなお気持ちでおっしゃっているなら論外だ、厚生省もやはり政府の役所の一つなので、警察だけが風紀を守って厚生省が守らなくてもいいということではないと私は思うのです。ただ、しゃくし定木に法律を解釈をしていまの問題も処理しようというふうなかまえでは、私は問題だと思うのですが、大坂のそういうような条例の制定のしかたなり指導のしかたは全く誤りだというふうな、そういう御趣旨でさっきおっしゃったんじゃないと私は思うのですが、その点どうですか、はっきりしていただく必要があると思うのです。
  75. 舘林宣夫

    舘林説明員 先ほどは公衆浴場法の運用上の距離制限の問題について申しましたけれども、大阪が特殊浴場たるトルコぶろの距離制限を設けておるのは、大阪府の条例によって、大阪府の地方白流体としての見解でそういうことをやっておるものと思います。
  76. 安井吉典

    ○安井委員 それはまあそういうふうに、厚生省考えておられるわけですね。それは別に府が条例でそういうふうなことをきめておやりになっているのは、厚生省としてそれは間違いだ、そういう御意思はないと思いますが、どうですか。
  77. 舘林宣夫

    舘林説明員 府の条例でございますので府の御意思でお考えになっておられる、かように解釈いたしております。
  78. 栗山礼行

    ○栗山委員 関連。ちょっと環境衛生局長に一言だけ。議論いたしませんから……。いわゆる興行場法の問題ですね。御承知のとおり最近はシロシロ、シロクロというようなことや、目に余るヌードスタジオが、御指摘されておりますような一つの問題等があるわけですが、結局これらに対しては興行場法の姿から見てこれをどう規制してまいるか、こういうふうな問題が残されておるわけです。そういう一つの論蔵がされておる中に、いまの興行場法の問題についてひとつ局長はどのような見解をお持ちになっているか、ちょっと伺っておきたいと思うのです。
  79. 舘林宣夫

    舘林説明員 先ほどもお話があったそうでございますが、深夜における映画館の開設とか、あるいはヌードスタジオ、ボーリング場というような興行場法対象になりそうな、しかも風紀に関連する、しかもこういうものは興行法上何とかならぬか、何か処置が考えられないか、こういう話がしばしばあるわけでございます。現在環境衛生関係法律の中で、風紀も一部に含んでおる法律の条文は、旅館業法公衆浴場法だけでございまして、あと理髪あるいは美容、いまお尋ねの興行場、いずれにいたしましてもこれは公衆衛生上だけの取り締りでございます。したがいまして、深夜に営業するということ、あるいはヌードスタジオのようなところで営業することは。公衆衛生上問題があれば、公衆衛生上の見地からこれを取り締まるわけであります。したがって、ヌードスタジオのようなところを興行法上取り締まるという場合は、相当な広さを持ち、多数人々が集合するということで、衛生上問題が起こり得るということで取り締まることになるわけでありまして、四畳半程度の狭いところでそういうことが行なわれましても、これは一般の会合と何ら変わりがないものでございまして、これを興行法上ひっかけて衛生上の取り締まりをするという対象にはなかなかならないということで、一定の規模以上のものは興行法上の取り締まりをする、こういうことを私ども考えておる次第でございます。
  80. 栗山礼行

    ○栗山委員 議論いたしませんから、まあいずれ小委員会にお招きを申し上げましてその点は十分御質問いたしたいと思います。
  81. 亀山孝一

    亀山委員 先ほど安井委員から質問された大阪におけるトルコぶろの距離制限の問題ですね、これはいま局長の答弁を伺うと、問題になると思う。したがって小委員会までによくひとつ研究されまして、事情を御存じと思うけれども非常に問題なんだから研究されて、ひとつお答えを願いたい。興行法の問題も同様です。これはきょう唐突においでになったから、いろいろな事情をあるいは御存じないかもしれぬが、よく研究された上で、来月の九日に小委員会を開きますから、その席上ひとつはっきりと御答弁願いたい。きょうはまあそういう意味であっさり聞いておきますから、その点。
  82. 森田重次郎

    森田委員長 以上で松田参考人、和田参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  83. 森田重次郎

    森田委員長 次に、参考人として御…席をいただきました東京喫茶業環境衛生同業組合副理事長大塚富次君、東京トルコ浴場業協会会長志野幸八君、後楽園スタジアム取締役社真鍋八千代君、以上三名の方々から御意見を聴取いたします。  この際一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には御多忙中のところ、当委員会に御出席くださいましてまことにありがとうございます。風俗営業等に関する問題につきまして、何とぞそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べ願えれば幸いに存じます。  なお議事の整理上、初めに御意見をそれぞれ十五分程度に取りまとめてお述べ願い、次に委員諸君からの質疑に対しお答え願いたいと存じます。  それではまず大塚参考人。
  84. 大塚富次

    ○大塚参考人 私は東京喫茶業環境衛生同業組合の刑理事長をいたしております大塚富治でございます。  今般地方行政委員会より、風俗営業に関する調査のために貴殿の御意見を承りこれを調査資料にいたしたい、かような御案内が参りまして、本日登院した次第でございます。  青少年の非行化問題につきましては、数年前より大きな社会問題となってまいったのでありまして、特に昨秋以来、この青少年補導育成につきまして、国会を初め都議会、また警視庁等におかれまして真剣に取り上げてまいりまして、各界の打破者の御意見を聞き、またいろいろ論議をかわしまして、その結果、現在の青少年を正しくりっぱに育成するのにはやはり社会組織の一環としてこの深夜喫茶が行少年をむしばむ悪の温床であるということが、非常にマスコミによって大きく宣伝されたのであります。これはすでに皆さま御承知のとおりでございます。不良化防止問題につきましては、これはどうしたらよいか。まず考えましたのが風営法改正をいたしまして、その際に条例改正によりまして時間の規制を行ない、喫茶業界から青少年を締め出す、それによって健全な育成ができるのではないかと当局ではいろいろお考えをいただいたようでございます。  本条例が御承知のとおり八月一日実施に相なりました。ちょうど本日で四十日を経過いたしておりますが、その後の実態につきましてはおそらく当局におきましても各盛り場等を真剣に見聞しておられることと存じます。この時間規制が行なわれて、はたして喫茶営業が完全に規制を行なっておるか、これは各盛り場においていろいろ問題になっております。時間から申しますと、十一時と限定されておるのでございますが、いろいろ各警察署の御意向によりまして、多少のでこぼこも見受けられるようでございます。まあ、時間の規制はいろいろ問題がございますが、実施以後の行少年が、はたしてこれが健全な立場に戻ったか、これは私、非常な問題だと存じます。十一時の規制喫茶店は締まる、それ以後青少年はどうするか。各盛り場にたむろして、御承知のとおり深夜営業あるいはボーリングその他の遊興方面に相当抜け穴をさがして、いろいろと時間をつぶしているような現状でございます。今回当局によりまして、いろいろ御配慮を願いましたこの改善につきましても、この庁少年は何ら考えるあれがございませんので、結局このよき法令もほとんどむだになった状態で、まことに私ども喫茶業界として残念に思っておる次第でございます。また反面におきまして、この条例が完全に施行されて、青少年がりっぱに育成されるならば、これはもう申し分ないのでございますが、そのためにこの喫茶業界、おそらく東京に約五千と称せられますこの業者の中に一部の悪徳業者がおりまして、これがために喫茶業界全体が悪いように世間に見られておりますが、ほとんどの喫茶業者は零細業者で、しかもまじめな業者が多いのでございます。これらは、この時間の規制により、また御承知のとおり本年はまれに見る水不足で水も出ない、また時間が制限され、最近に至りまして非常に転廃業をいたす傾向が出てまいりました。また御承知かと存じますが、一部の業者におきましては、十一時に閉店をいたしまして、その後営業が続けられないから有料待合室を設けまして、一人百円なら百円を取って営業を続けて、従業員の給料等をまかなっておる現状でございます。かようなわけで、われわれ業界も非常に若心惨たんして露命をつないでいて、いつわれわれの業界がほんとうに芽が出るか、善良な業者に対してこの業界の代表としてまことに申しわけないと存じておる次第でございます。  それからここでお願い申し上げるのは、よいか悪いかわかりませんが、私どもこの善良な業者は、せめて営業時間を十二時まで当局に認めていただきたい、これがわれわれ業者の念願でございますので、よろしくお願いをいたします。
  85. 森田重次郎

    森田委員長 志野参考人。
  86. 志野幸八

    ○志野参考人 私は東京トルコぶろ協会の会長をつとめております志野でございます。  ちょうど二時半にここへ参りまして、前の参考人の学識経験者の方のお話やら、諸先生方のお話をつぶさに聞いておったわけでございますが、われわれ業界に対しまするいわゆる風当たりが非常に強いことを前々から思っておりましたが、ここへ参りまして、その認識を新たにしたわけでございます。それで、これはなぜ風当たりが強いのかということをわれわれが考えてみますときに、われわれ業界としては公衆浴場法、またいわゆるそれの特殊浴湯に関する内規というものによって、営業を七月の二十七日までやってきたわけでございますが、このたび都条例が七月三十七日の都議会で決定されまして、単独の条例が設定されたわけでございます。したがいまして、今度はその条例がきまったのでありますから、われわれはその条例を守って、これを行なっておれば決して問題は起きないのじゃないかということで、われわれはさっそく八月の十一に業者大会を九段会館で開きまして、その席上に警視庁の内藤係長さん、それから環境衛生課長さん等においでいただきまして、その条例の内容の説明を聞きまして、それでわれわれはそれを実行するべく一生縣命やっておるわけでございます。しかしその条例も七月の二十七日に決定をしまして、八月一日から即時実施ということになります関係上、都衛生局といたしましても、われわれに伝えることがなかなか徹底しなかったのです。そのために――いろいろ時間の問題も十二時でしまえということでございますし、それから窓を三十センチですか、切って、衣から見えるような状態にしてくれ、それから服装もいまのような服装はぐあいが悪いから、それも変えてくれとかいろいろな規定が今度初めてできたのです。それで都の御指示を待つまでもなく、実行いたすべくわれわれ協会としましては進んでまいりましたけれども、何分にも現存百六十数軒、店がございますが、これが一カ所に集まっておらないで、保健所単位のばらばらになっているのです。そういう関係で保健所ごとの御指導をいただいておりますが、なかなか徹底しなかったのです。それで衛生局としまして、先月の十日においでいただいたときのお話によりますと、細目のきまるのは今月の末であろう、そのときはあらためて皆さんにおいでいただいて、それを御説明しますから、それまでは何とかひとつ皆さんがんばってもらいたいという課長さんのお話で、先月の末までお待ちしておりましたが、それもなかなか先月末までには間に合わなくて、ようやく一昨日、都衛生局の細目の説明会が日本橋の保健所の講堂で行なわれたわけでございます。いろいろな点がございましたけれども、そういう関係で、八月一日から多少ずれましたけれども、われわれは条例実施は八月の一日でございましたが、実際の条例実施の日はきのうからだというふうに感じまして、きのうからいろいろと批判をいただいております時間の問題、そういう点もわれわれ協会は守っております。したがいまして、ここに問題になりますのは、協会員と申しましても、これは全員が協会に入っているわけではありませんで、現在協会に入っておりますお店は九十四軒でございますが、この九十四軒に対しては、われわれは常日ごろあらゆる面を通じて御連絡を申し上げて、その徹底をはかっておりますけれども、協会に入っていない方には連絡する方法がないわけです。そういう方々への連絡方法、一般社会から見ますと、業界と一口に言われますが、全部が全部悪いわけではございませんで、中には協会に入っていない方でもわれわれの非常に模範となるような商売をやっている方もございますが、どっちかと申しますと、そういう方々に徹底しないために、知らない間にそういう方々が違反を起こしている例が多いのでございます。そういう関係がありまして、今後はわれわれは関係庁の御指導のもとに条例を、正しく守りまして、決して間違いを起こさないように、世間から非難されないようなりっぱな営業を続けていくべく努力いたしていく考えでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  87. 森田重次郎

    森田委員長 次に真鍋参考人。
  88. 真鍋八千代

    ○真鍋参考人 私は後楽園スタジアムの社長の真鍋であります。大体前参考人のお二人の方からトルコぶろ喫茶店についてのお話があったわけでありますが、私は私の経営いたしておりますボーリング場のことについてお話を申し上げることになると思います。  私は、青少年の不良化防止という問題が起きまして、警視庁からもボーリング場に夜おそくまで未成年者を入れないように考えてもらいたいというような御注意もあって、ボーリング業者全体を集めまして、会議を開いて、人の子の親として十八歳未満の青年が――私は、ボーリングというものはりっぱなスポーツであるからという考えを持っておるのですが、やはり人の子の親として十八歳未満の者が十二時、一時まで外に出ているということは何とかやめさせたい、われわれ営業者としてはもう十二時になったからお帰りなさいとはお客さまだから言えないのです。しかし、全体の会議の空気がそうなって十一時でお帰りを願うということになりましたので、むしろ私は喜んでこの十一時を限度にすることをきめまして同業者とも語らい合って、十一時までで未成年者には帰っていただくということに決定いたしました。大体において二、三の例外がありましたが、全体の業者がこぞってこの申し合わせに現在でも従っております。ことに私のやっております後楽園におきましては、もう十一時以後に未成年者のおいでを願っていることは絶対にございません。先般も文教委員の方々が突如おいでになって御視察をせられたのでありまするが、さようなこともありませんし、また十一時以後のアルコールの販売というようなことも自粛いたしておりますので、大体自粛の目的を達成いたしておると存じておるのであります。  私の、ボーリングに関して申し上げますことはそれだけであります。  この機会に私が日ごろ考えておる、青少年に対して今後どうしたらいいか、その不安をひとつ訴えておきたいと思うのであります。  それは、私は、青少年の不良化を防止するのに喫茶店へ行くのをとめてみても、ボーリングを十一時以後とめてみても、不良少年の、いわゆる青少年の不良化防止にはならないんじゃないか。現在十八歳未満の人は戦後に生まれた子供たちであります。これらの子供は事善悪を学校で教わっていないんじゃないか、こういうことをしていいんだ、こういうことをしては悪いんだということを学校で教えていないんじゃないか、これは私自身の体験であります。私の子供も終戦後学校へ参ったのがおるのですが、何としても実際の私の道徳、私のものの考え方というものを学校で教わってこないんじゃないか、この根本を忘れた取り締まりというものは――今日の段階においてはそれを取り締まるより方法がないかもしれぬが、根本においてこの青少年の教育というものに為政者がお考え直しを願いたい。私はそのことで痛切にみずからも困ったのでありますから、世の父、世の母が困っておるだろうと思う。私から申せば、喫茶店に行くことをとめたり、ボーリングへ十二時以後に行くことをとめるということは、全く枝葉末節であって、根本はもう少し子供の教育をお考え画しいただかなければ、この未成年行の不臭化というものは直らないんじゃないか、かように考えますので、はなはだ出過ぎたことでありまするが、私の日ごろ考えておりますことを一言申し上げて御理解を願いたいと思います。
  89. 森田重次郎

    森田委員長 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。亀山孝一君。
  90. 亀山孝一

    亀山委員 まず、大塚さんにお伺いしたいと思います。  先ほどお話の中に、深夜喫茶業者の方々が、いろいろな事情で、有料待合室を考えてつくったというおことばがありましたが、これはどういうものなのか、御説明をお願いをしたい。  それから志野さんにお伺いしたいと思うのですが、東京にはトルコぶろが百六十六現在ございます。いまお話によると組合員は九十四ですか。そこで先般われわれは大阪のほうに参りまして、きょうと同じように参考人の皆さまからいろいろ御意見を伺った。その際に、いわゆる大阪の方々の御説は、これは、ボーリングを含めてですけれども東京はまるでこういう方面の植民地である、われわれの目から見れは、東京トルコぶろ及びボーリングはどうも規制やむを得ないようなはめにおちいるのではないかという懸念を持っている、こういうお話でありました。先ほどちょっとお聞きのように、大阪では公衆浴場法関係上距離の制限をしている。東京はしておりません。その他いろいろの点から見まして、大阪の方の言われた、トルコぶろについて東京は植民地のような状態であるというその意味を、非常にわれわれは考えさせられる。いま世上に言われているいろいろの批評を、私どもはまともに全部そうだとは思いませんけれども、いまあなたがおっしゃったように、とにかくいろいろな風紀上の問題については、世間の人は疑義を持っているわけで、いまお話によると、今度の風営法改正で、東京条例で規則をつくられて今後励行されるということですが、ただ私は、もしもいまのこの条例の効果が十分発揮されないで、しかも組合外のアウトサイダーの方々が依然としてその世評のとおりであれば、勢い強い法の規制をやらざるを得ないのではないか、かように考えますが、それについての御意見と今後のお考え、どういうように組合並びにアウトサイダーを自粛していくかという問題についての御意見を伺いたい。  それから真鍋さんにお伺いを申し上げます。  いまお話しのとおり、ボーリングは健全なスポーツでございましょう。けれども、その雰囲気というものは非常に疑義を持つものがある。一応ボーリングは健全なるスポーツであるけれども、ボーリング場というもの、これを利用するそのムード、雰囲気というものは、決してこれはいいものとは思いません。非常に懸念される。そこでこれはまた関西の側の御意見によると、やはりボーリングは東京では植民地状態だ。いまお話しのように、未成年者については十一時、しかしこれはウィークデー、平日である。土曜、日曜日には、ある業者は午前三時か四時までやっている。一体スポーツを、青少年及びそれ以上の成人者でありましても、夜間十二時後までやる必要がどこにある。そういう点に私どもは非常に疑義を持つわけなんです。これまたいまトルコぶろで申し上げたように、もしもいまのままボーリングというものを経営されるということであれば、真鍋さんの主宰しておられる後楽園スタジアム、これは確かにほんとうのスポーツとしての価値を発揮しておられるように聞いております。けれども悪貨は良貨を駆逐するのです。大部分のボーリングは、後楽園スタジアムのようにやっておるとはゆめ私ども考えない。そこで、そういう点について、関西のほうでは組合で自粛態勢を非常に強く打ち出しておられますが、聞くところによると、関東のほうはそういうような空気が非常に鈍いようであります。その点はどうお考えになるかお伺いをいたしたいと思うのです。  それで、ちょうど文部省のスポーツ課長がおいでになるが、午前中、警視庁との関係の際に答弁せられましたが、私どもは確かにボーリングは健全なスポーツだと思う。しかし、現在の東京における相当数のボーリング場というものをごらんになって、あれが健全なるスポーツをやるところだと思われますか。その点をどうお考えになるかお伺いを申し上げたい。
  91. 大塚富次

    ○大塚参考人 ただいま亀山議員さんから御質疑がございました有料待合室の件でございますが、これは、私ども業者は御承知のとおり条例によりまして十一時限り営業ができない。今日いろいろ費用もかさんでおりますので、従業員の給料、また家賃等一切の経費がとうてい償わない、それにはどうしても何とかして時間を延長しなければいけない。擬装転業もありましょうが、それよりも、かえって十一時に閉店して三十分くらいこの店舗を清掃いたしまして、それから十一時半からずっと二時ごろまで、一人百円ずつちょうだいして、番茶あるいはお水を出して、町の大ぜいのお客さんのために現在営業を続けておるわけです。  以上でございます。
  92. 志野幸八

    ○志野参考人 お答え申し上げます。  ただいま大阪のお話が出ておりましたが、実は私たちの協会が昭和三十五年の十月にトルコ旋風と一口に申しまして、職業安定法違反、いわゆる女の子を募集した、これはいけないのだということで地検に検挙されました。そのとき担当の警視庁の保宏課長さんは有賀さんでしたか、それで、私たちもいろいろと有賀課長さんに相談をいたしました。有賀課長さんのおっしゃるのには、大阪は非常にいいんだ、君らで大阪を見てきたらどうだということで、さっそく昭和三十六年二月ごろだと思います、私たち代表が五名と都議会議員の方が一名、それから都の環境衛生課の係長岡田さんの七名で大阪へ視察に行ってまいりました。なるほど大阪は非常にいいのですね。最初は向こうの衛生部へ行きまして、いろいろと許可基準等を聞きまして、夜は手分けをして各ふろに入ってまいりました。先ほど委員さんから御指摘があったように、向こうは浴場法の距離制限をしておる。したがって、やたらにふえない。もう一つは、あまりこまかいものは許可してない。三十室以下は許可しないのだ、木造は許可しないということで、ふえないから非常にいいという意味じゃないのですが、結局私たちのいいと思ったことは、事業的観念、いわゆる小さく五つか六つの部屋で内職的にやった場合と、数億もかけて大きくやった場合と全然感覚が違う。そういう点からなるべく大きいものだけ許可して、しかも大きいものが隣合ったのではやはり過当競争になるから、そういう意味から言っては距離制限も必要である、そういうことでいいところを二、三参考にしまして、実は都議会のほうにこういうものをつくってほしいという陳情書を三十六年の三月十日に出しておるわけです。ところが、当時の環境衛生課長さんが清水さんという方で、これは既存業者を擁護する立場になるからどうもぐあいが悪いんだということで、あっさりと、取り上げてもらうことができなかったのであります。そういう関係で、われわれもそれから数年やってまいりまして、さらにまた今度はトルコぶろ風俗営業云々という声が、去年の十月ごろから参議院とか衆議院の方方からだいぶん聞こえてまいった関係上、さらにまた私は去年大阪に行って――これは単独で出張しました。そして向こうをつぶさに調べまして、また向こうがあのころはそういう営業をやっておったけれども、いまはどういう営業をやっているかということをさらに確認をするために行きましたところが、現在九軒である、それで相変わらず前の条例を守っておるのだということで、なるほど、こういうことにおいて東京ももう一回、通るか通らぬかわからぬけれども、陳情を出してみようということで、今年の四月にまた陳情を出しました。これも都議会の方やあるいは大臣の方にも出しているわけですけれども、都議会のほうでは、一部を認めていただきましたけれども、ほとんど僻めていただけないで、やはり否決されたようなかっこうでございます。しかし今度都条例ができましたので、私たちもこれから、いわゆる法律条例を別にしまして、いかにしてこれをまじめにして、いかに間違いを起こさないようにやっていくべきかということのみを現在考えております。それには、われわれ力の弱い協会ですけれども、協会は協会なりに考えておりまして、いろいろ指導員を派遣してみたり、毎晩のように交代で各地区を回って歩きまして、あまり時間もおそくやっている場合は、カードを配って、時間はいま何時ですか、あるいはあまり過剰なサービスをしますところを見ました場合は、あなたのサービスは行き過ぎではございませんか、というような指導カードを配りまして、いろいろやっておるわけです。結果的には、われわれがやっていることはあまりにも知られていない。PRが足らない関係もありますけれども、何をやっているかということなのでございますが、そういう関係で、いろいろな問題で一生懸命やっておるわけです。  ただ問題は、アウトサイダーということばはちょっと行き過ぎかも存じませんが、われわれ組合員のみがせっかくまじめにやっても、組合に入っていない一部の者が悪いために非難されている場合がたくさんあったのです。たとえば三軒並んでおって、二軒は組合に入っておって、時間も十二時を守っておる。しかし、隣が組合に入っておらぬから二時、三時までやっておるということになりますと、一応そちらのほうにお客が流れてしまう。そうすると、二、三日はがまんできるけれども、だんだんがまんできなくなってやるということで、いままで問題が起きてきたのです。そういう問題を、正直者はばかを見るというようなことをなくすような方法、御当局の今後の指導取り締まりですね、そういうことを私はこの席で特にお願いをしておき、またそれが徹底した場合においては、われわれは風俗営業とか、そういうものに入るとか入らないとか、そういう必要は絶対ないと思うのです。そういうことが徹底しないからいろいろな問題があるわけです。その点を繰り返して申し上げますと、正直者がばかを見るというようなことがないようによろしくお願いをしたい、かように存ずる次第でございます。
  93. 真鍋八千代

    ○真鍋参考人 亀山先生からの御指摘でありますが、十八歳未満の者は土曜、日曜といえども十一時以後には入場を許しておりません。お断わりをいたしております。私どもは、東京に二十九カ所のボーリング場がございますが、これは東京ボーリング場協会というものをつくりまして、緊密な連絡のもとに自主規制、順法を心がけております。会長は、前田久吉代が会長をいたしております。
  94. 松島茂善

    ○松島説明員 ボーリングそのものにつきましては、先ほど午前中に申し上げましたように、一定のルールに従って行ないます運動競技でございますので、これはスポーツとしての条件を備えておると私ども考えておるわけでございます。ただ、そのものが現在商業施設において行なわれているということ、したがって、それから派生するいろいろ望ましくない雰囲気その他の問題が現在出てきておるということでございます。弓はりっぱなスポーツ、日本体育協会に加盟しております弓道ということであります。しかし、それが歓楽街、盛り場のようなところで行なわれて、矢場のような形になっておれば、スポーツと断定できないというのと同じようなことが言えるのではないかと思います。したがって、私どもといたしましては、業者の方々のいままでいろいろお話がありますような自粛、あるいは必要な取り締まりというようなことと相まちまして、青少年たちがアマチュアスポーツとしてのボーリングに数多く親しんでくれるように組織化の強化というふうなことにつきまして、日本ボーリング協会と一緒になって健全化の方向に持っていきたい、そういうふうに努力したいと考えております。
  95. 亀山孝一

    亀山委員 大塚さんに伺いますが、そうすると、有料待合室というものは、要するに深夜喫茶だけれども、コーヒーか紅茶が番茶にかわったということなんですか。
  96. 大塚富次

    ○大塚参考人 ただいまのあれは、十一時に営業は全部停止いたします。そのかわり待合室として有料でいたしますから、まず水とか、あるいは麦茶程度をサービスに出す、そういう状態でございます。
  97. 亀山孝一

    亀山委員 いま何カ所ぐらいございますか。
  98. 大塚富次

    ○大塚参考人 私どもの聞くところによりますと、二、三カ所あるように承っております。
  99. 亀山孝一

    亀山委員 次に志野さんにお伺いしたいと思いますが、いろいろ御苦心のほどはよくわかります。先ほど松田ふみ子参考人のお話によると、東京トルコぶろではサービスをしているマッサージですか、あの婦人の人たちは、給料はもらわないで、チップをもらって給料にかえているというようなお話がありましたが、そういうようなことは事実でありますか。
  100. 志野幸八

    ○志野参考人 いままではそういういわゆる歩合制と申しましょうか、そういうことを実施いたしておりましたけれども、協会の方針といたしまして、この都条例施行されたことを機会に、またもう一つは、警視庁のほうからの要望事項もございますので、早急に――固定給というとなかなかむずかしいですね、出勤率がちぐはぐになっておりますので、一応固定給制度をとって、完全雇用ですね、そういうふうに踏み切るべく現在研究をいたしておるわけでございます。現在までは、一部固定給はやっておりましたけれども、ほとんど歩合制度でやっておったことは事実です。
  101. 亀山孝一

    亀山委員 大阪のあるトルコぶろにわれわれは視察に参りましたときに聞きましたことは、固定給で、しかもチップはもらわぬということを申しておりました。先ほど大阪を御視察になったというお話ですが、そういう点については別にお考えにならぬわけですか。
  102. 志野幸八

    ○志野参考人 そのことにつきましても、今度の都条例改正に織り込んでもらうべく陳情書を出しておるわけです。しかし、先ほども申し上げましたように、それが認められなかったということで、われわれ協会が自主的にこれをやっていこうということで、全部ではないのですが、一部九月一日、あるいは八月一日から固定給制度を実施しております。
  103. 亀山孝一

    亀山委員 スポーツ課長にちょっと伺いますが、いま真鍋さんのおことばはあったのですが、十八歳未満云々というのが入場制限一つですが、一体午前二時か三時までやるようなスポーツは健全スポーツですか。
  104. 松島茂善

    ○松島説明員 少なくとも現在私どもがアマチュアスポーツとして考えておりますスポーツには、そういうふうなものはございません。
  105. 亀山孝一

    亀山委員 最後に、参考にもう一度スポーツ課長に伺います。  ボーリングには、現在は主管省がないのですね。これは、大体どの省がこの問題の行政をしておられるかというと、そういうところがない。文部省としては、このボーリングというものを健全スポーツと見られるのであれば、ボーリング場の問題を文部省で主管するというお考えがあるかどうかという問題、それが一つ。  もう一つは、トルコぶろにしても、けさほど委員長からお話があったけれども、ある程度これがレクリエーションというか、保健上いいということがはっきりわかれば、健全に育成すべきである。ことにボーリングについては、歴史のあるスポーツだから、これも健全な発展がわれわれは望ましい。残念ながら、現在の雰囲気というものはそうではない。しかも、これを風俗営業対象にしなければいかぬといういまの世論。そこでわれわれは、できるだけ風営規制をするよりも、業者の方々の自粛にまちたい。ことにボーリングについては、われわれは健全スポーツとして育成したい。いま関東、関西それぞれにボーリング協会ができておるが、主管はないが、文部省は健全スポーツの面でこれを育成するというお考えがありますか。ひとつその辺を、二つだけお伺いしたい。
  106. 松島茂善

    ○松島説明員 先ほど申し上げましたように、日本ボーリング協会に、現在これは都道府県の団体十四団体と、学生その他を含めまして十七団体くらいが加盟しておると聞いております。少なくともその日本ボーリング協会の規約の中には、アマチュアスポーツとしての立場をはっきりうたわれておるわけであります。したがって、日本ボーリング協会につきましては、文部省の体育局といたしましては、スポーツ団体といたしまして健全にこれを育てていきたいというふうに考えております。したがって、将来協会がだんだん育って、都道府県にも組織が強化されてまいり、あるいは公共の施設としてボーリング場というものが将来出てくるのではないかと予想されるわけであります。したがって、そういう立場におきましては、文部省の所管として当然考えていくべきではないかと思っております。
  107. 亀山孝一

    亀山委員 そうなりますと、年齢のいかんを問わず、深夜に競技をするというスポーツは、健全スポーツと言えますか。あなたは先ほどいろいろ言われたけれども、そういう点の指導はどうなんですか。やはりまだボーリング場がそう数多くできていないいまのうちに――われわれの聞いたところでは、東京ではいま二十一、ところが新しく十一出願しておる、こういうのですね。ことしの末には三十二、三になる。そういうような場合に、文部当局が健全なるスポーツとしてボーリングを育成するという場合の方針みたいなものが何かありませんか、それをお伺いしたい。
  108. 松島茂善

    ○松島説明員 スケートにつきましても、ある程度ボーリングと似ておる同順があるかと思うのであります。都内にスケート場というふうなものが幾つか、池袋その他にあるようです。そのスケート場が文部省の所管というふうなことは現在考えておりません。日本スケート連盟は日本体育協会に加盟しておりまして、これは私どもの外郭団体でございます。そういう立場では青少年がスケートに参加いたしまして、スポーツとして健全に育っていくよう願っておるのであります。そういう立場の範囲内において、少なくとも文部省の体育局、スポーツの立場からそういうふうなことは一つの限界があろうと思います。したがって、その他の不健全ないろいろな問題がボーリング場にもあるといたしますれば、私のお答えする範囲外だと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  109. 奥野誠亮

    ○奥野委員 ちょっと関連して。亀山先生の志野さんへの質問に関連してお尋ねしたいと思ったのですが、ちょっとおくれまして申しわけございません。お許しをいただいて、トルコぶろトルコ嬢のサービス料金、この支払い形態が区々であるようにいま伺いました。料金の外でトルコ嬢にサービス料が支払われる、全く料金が示されていない場所もあるんじゃないか、こう思うのですが、それがなければしあわせであります。全く示されていないなら、私は、協会として料金のほかにトルコ嬢に対するサービス料幾らという金額が掲示されておったほうが、衛生施設としてトルコ浴場を将来維持していくのには必要なことじゃなかろうかと考えますので、その点お教えいただけたらしあわせであります。
  110. 志野幸八

    ○志野参考人 料金、いわゆる入浴料でございます。大体いままでわれわれがやっておりましたことは、協会に入っていない方はいろいろありますけれども、協会の方針といたしましては、現在までは入浴料金が八百円なら八百円、サービス料は三百円なら三百円、ただしサービス料は、トルコ嬢に面接渡してくださいというようなことをカウンターに書いておったのです。直接渡すということは、警視庁のほうからのいろいろな御注意なんですけれども、金銭の授受を直接やるということは、何かそこに間違いが起きやすいのじゃないかというような御注意もあったものですから、今度は、サービス料も入浴料金も全部カウンターで取って、そして一カ月まとめて払うとか、あるいは希望によっては月に二回払うというような方針に現在変えつつあるわけでございます。そのほうが明瞭じゃなかろうかと私は信じておるわけでございます。
  111. 登坂重次郎

    ○登坂委員 関連して大塚さんに伺います。  先ほど来、風俗営業実施面におきましてあなたが非常にご苦心なさっておるという点は了承できたのでありまするが、それをいま亀山委員質問に対しまして、経営上困難でありまするから、百円ほどの座料、席料を取っておるように相なっておる。そうしますと、これは組合として了承しておることですか。今後の組合の指導方針として、あるいは申し合わせ事項といたしまして、これをいかように――今後ますますこれは累増されると思うのでありますが、組合はそれを黙認する意味合いでございますか。せっかく風俗営業の趣旨が皆さんに理解されて、十二時で大体そのほうに準拠しておるということをわれわれは期待しておったのでありますが、これを聞きますと、われわれといたしましては非常に意外な感じに打たれました。何か皆さん方の経営上の御苦心という点は、非常にわれわれも了解できるのでありますが、また二時、三時というようなことになりますと、風俗営業法律をわれわれが設けた趣旨が没却されるようなことになりまして、まことに悲しい現象が再現されるように思うのでありますが、組合としての今後の指導方針、あるいは申し合わせ等について御意見を承りたいと思う次第です。
  112. 大塚富次

    ○大塚参考人 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。  御承知のとおり、これは経済問題であります。私ども組合がこれに干渉をするということは、現在のところすでにいろいろ御意見も伺かったのですが、組合の方針として、ただいま傍観しておる状態でございます。この点は、やはり二、三の方が始めれば、いろいろ生活上困る、こういうことで数多く出るのじゃないかと内心は案じておるのでございますが、すでに御承知のとおり、先般大塚駅前のやはり組合員が二、三名東京都を相手どりまして、憲法違反であるということで行政訴訟を起こしまして、すでに九月の二日にこの公判が開かれたのでございます。都のほうの資料がまだ整ってないので、次回ということに相なったのでございますが、これは大きな生活権の問題であって、やたらにわれわれ組合員がこれに対して口出しをするということは、十分これは研究しなければならない、かように感じておるわけであります。  以上でございます。
  113. 森田重次郎

    森田委員長 川村継義君。
  114. 川村継義

    ○川村委員 御三人の方に順次具体的なことをこの際お聞きをしておきたいと思います。時間がございませんので、繰り返してお尋ねしないつもりですから、的確にお答えいただきたいと思います。  まず大塚さんにお尋ねいたします。あなたのお話の中に、深夜喫茶のいわゆる時間規制がが十一時であるところが警察の意向によってでこぼこがある、こういう御意見がございましたが、それは一体どういう理由によって、またどういう警察考え方によってでこぼこな時間ができておるのか、これをちょっと御説明いただきたいと思います。  それから大塚さんからこの深夜喫茶取り締まりについて、法律ができたあとのいろいろな問題のお話がありました。ところが実際は、法律がむだになっておるのじゃないかという御意向が披瀝されたわけであります。ということは、青少年等がやはり盛り場におそくまでうろついておったりなどして、ほかの深夜業に流れておるというのが非常に多い、こういうことであります。ところが先ほどの午前中の警察説明によりますと、実はそうではなかったのであります。この点は大塚さんの調査が不十分なのか、警察調査が不十分なのか、これはひとつ警察のほうからもう一回お答えをいただきたいと思います。  それから志野さんにお尋ねをいたしますが、いろいろ今度トルコぶろ規制について条例が制定され――これは、率直に忌憚のないところをお尋ねいたしますが、皆さん方の業界では、いわゆる問題になっておる個室というのを廃止する御意向があるのかないのか、もしも個室を廃止しないということになりますと、女の方に対してのサービスは女の方でやる、男の入浴者に対しては男の方がサービスをやる、そういうようなシステムにでも改善なさる御意向があるのかないのか、この点をひとつお聞かせをいただきたい。  それから志野さんのおことばの中に、あなたの属しておられます協会員九十何軒とおっしゃったのですが、ここは非常に連絡がうまくいって、いろいろと今度の規制についてもよく守って正しい方向にやっていく決意をしておる、また努力も重ねてきた、ところが協会に入っていない非協会員については、そういういろいろの問題について連絡の方法もないから、前々からそういう点については非常に違反が多くて問題になっておった、自分たちも迷惑しておるというような御意向が披瀝されました。そこで、この点については警察庁にお尋ねいたしますが、一体協会に属しておられない非協会員といわれる諸君のトルコぶろ営業について、警察はどういう指導をしておるのか、これをひとつはっきりとお聞かせいただきたいと思います。  その次に真鍋さんにお願いしたいと思います。真鍋さんからボーリングについて、特に青少年非行問題についていろいろと御意見をいただきましたが、きょうはあなたと青少年非行問題についていろいろここで議論をしようとも思いません。ところがいわゆるボーリング場を含めて、今日まで青少年の補導問題、非行問題について大きな世論の批判の的になっておることはあなたも御存じのとおりであります。今回は十一時を限度としてやめるというようなことでやっていくというお話でございましたが、ほんとうに青少年の立場を考えて、また健全なスポーツとしておやりいただくということになるならば、昼間だけこれをやる。昼間だけでは実際問題として無理だ、若い者も学校が終わってから入るのもおるかもしれぬ、そうなるなら夜の八時か九時でやめる、十一時なんて言わないで、もっと早くやめる、そういう御決意は一体ないのかどうか。その辺のところを、今日までボーリングが批判の対象になってきた理由をよくお考えいただかないで、ただ青少年の非行は何々が悪いんだ、こういうことでは今日の問題の解決には私はならないと思う。この点をひとつ具体的に、率直に真鍋さんのほうからお聞きしたいと思います。
  115. 大塚富次

    ○大塚参考人 ただいまの御質疑に対しましてお答えいたします。  各警察署ごとに取り締まりの強弱、これはまた実際にあるものでございます。一応本庁から正確な指令を出されましても、やはり各警察警察によりまして――原則として十一時ということははっきりきまっております。しかしいろいろ実情を伺いますと、十一時きっかりにも閉店しなければいけないのもあり、中には十一時まで客を収容して、とにかく店のとびらを締めて、入っているお客さんは二十分なり三十分なりたってそれで帰してもけっこうだというところもある。そういう見解は、各署各署によりまして統一はおそらく困難だと思います。聞くところによりますと、十二時まで営業、これは黙過、黙認という形でございますが、そういう署もあることを私は伺っております。ある業者は、私のところはとにかく十一時にびしっと締まって、すぐに署のほうからいろいろ立ち回ってきて、とてもこれでは営業が成り立たない、ひとつ何とかしてくれないかと木部に言ってきて、こういう問題には当事者としても困っているのでございます。こういうわけで、できましたれば、各署一せいに歩調を合わせてやっていただけるよう今後本庁のほうに私はお瀬い申し上げたいと存じます。  それから閉店後の青少年の行くえでございますが、私の知っている範囲におきまして、ちょうど、八月の一日以降、本年は非常な酷暑でございますので、十一時以降店が締まりますと、これが江ノ島、鎌倉方面に夜ドライブで参り、その晩向こうで夜明かしをしてくる。これが喫茶店へ参ることが許されるならば、ささやかな冷房の中で一晩いこいの場所を求めるのでございますが、それができないために、郊外へ郊外へとのがれる、そういうわけで、それぞれの穴場をさがしまして、結局時間の規制はできましたが、青少年の素行につきましてはあまり改善をされていないよりに私は感じておる次第でございます。  以上でございます。
  116. 楢崎健次郎

    楢崎説明員 八月一日深夜喫茶廃止以後の青少年動向につきましては、午前中申し上げましたように、現在までの一応の調査では、十一時に喫茶店を出た青少年が街頭にたむろする、あるいは深夜映画などに入るという傾向が間々見えておりますが、必ずしも数字的に非常に増加しておるというような数字は出ておりません。午前中警視庁からも御報告しましたように、数学的には非常にわずかな増加しか見られていないというようなことでございます。ただ、これも申し上げましたけれども、時期的に八月で、青少年が多く山や海に行っておるというようなことで、青少年が今後どういう方面に流れるかということについては、警察としては非常に関心を持ちまして現在調査中であるということを午前中申し上げましたが、そのとおりでございます。  それから、トルコぶろについてのアウトサイダーに対する指導はどうかというお話でございますが、これは厚生省のほうの系統で、保健所のほうから指導いただいておると思います。警察は直接には関係しておりません。
  117. 舘林宣夫

    舘林説明員 トルコぶろのアウトサイダーの取り締まりの点のお尋ねがございましたが、これの現地における取り締まりは、保健所の監視員がやっておるのでございまして、もちろん一カ所にトルコぶろ関係者を集めて、新しい条例講習といいますか、指導というようなことはインサイダーもアウトサイダーも同じにやるわけでございます。なお、組合を通じての指導ということは、アウトサイダーにはできませんが、これらには監視員が回って歩いて指導いたしておるわけでございます。
  118. 真鍋八千代

    ○真鍋参考人 八時にやめたらどうだという御意見ですが、これは、業者が非常な高額の投資をしているので、とうてい八時で閉鎖するわけにいかぬと思います。現在青少年につきましては協議をいたしまして、十時以後は入場をお断わりする。そうして、十時にお入りになった方でも、十一時前に帰っていただくようにいろいろ指導する。また父兄の同伴がありましても、青少年の方は十一時以後はお帰りを願う、こういうふうな申し合わせをして所々実行しております。
  119. 志野幸八

    ○志野参考人 個室を撤廃したらどうかという御意向でございますが、先ほど申し上げました今度新しくできました都条例をわれわれが完全に守った場合には、そういう必要はないのじゃないかと私は考えております。せいぜい必要であれば、個室といっても二人以上が入浴できる設備、ごく簡単にいいますと、いまの二つの部屋を一つに連結する、その程度でりっぱに健全な営業ができるのではないかと私は思っております。したがいまして、男は男、女は女というような必要は生じてこないものと私は思っております。  非協会員の協会加入問題につきましては、先般五月の警視庁の保安課の要望事項にもございまして、なるべくまとまったほうがいろいろな面の指導が徹底するから、組合に入ってもらえるようにしなさいという要望事項が出ておりますので、そういった関係でわれわれも動いているわけでございます。  以上でございます。
  120. 川村継義

    ○川村委員 時間がありませんから、くどくお尋ねしませんが、いろいろ問題が内在しているようです。皆さんいろいろ御商売をなさっておられる。御商売は御商売の立場でいろいろ苦労があるかと思うのですが、ひとつ青少年の問題等も頭に入れて仕事を進めていただきたい。  最後に、警察庁にちょっとお尋ねいたします。一番初めに大塚さんのお話で、いわゆる警察署の時間に対する取り締まりが十一時ごろに終わっている、あるいは十一時半にやめてもいいということになっているとか、これはその権限は警察庁にまかせてあるのですか。あるいはその土地の状況によって、何か皆さんのほうから指示してやっておられるのですか。そこのところをちょっと説明してください。
  121. 楢崎健次郎

    楢崎説明員 これは、条例は全部十一時になっております。午前中申し上げましたように、八月一ぱいは指導期間であるということで、十一時過ぎたらすぐ検挙するというようなことは、現在までのところ一応とっておりません。もちろん警告その他はしております。ただ、どこで検挙するかという問題は、単に時間の問題だけでなくて、やはり内容、たとえば十一時以降に入れておれば、それが十一時十分であっても非常に問題である。あるいは十一時に門は締めてしまったが、お客さんがねばっておるので若干は見ておる、こういう場合であれば、すぐにこれを取り上げるというようなことはしておりません。そういうことで、単に十一時一分過ぎたからというような取り締まりはやっておりませんで、あくまでもその悪性に応じて実際の検挙の場合には考慮していくということになろうかと思います。もちろん条例は全部十一時でございますので、十一時以後は店はやってはいけないという指導は、問題なく全国一律にやっておるところでございます。
  122. 川村継義

    ○川村委員 十一時以後は、とにかくある点の情状酌量はあっても、これはもう条例にきまったとおりでやるわけでしょう。それを、こちらのほうからお話しのように、大幅にいろいろなやり方によってでもゆるめるということになると、これは業界そのものが迷惑するかもしれませんから、この点は十分指導していただかなければならないと思います。
  123. 森田重次郎

    森田委員長 この際、委員長から真鍋参考人に対してお尋ねいたしたいことがございます。  先ほどあなたの御意見の中に、大体末梢的な現象をとらえる部面が多くて、根本を忘れているのではないかという意味の御発言があって、しかもそれは教育という点に焦点を置かなければならぬという御意見でした。私は、一つの見識だと思います。この点について、先ほどきわめて簡単にしか述べられませんでしたから、一体教育のどういう点からそういう御意見を述べられたのか、もう少し御説明を願いたいと思います。
  124. 真鍋八千代

    ○真鍋参考人 私は、今日の小中学の教育について、道徳教育と申しますか、事の是非善悪というものをよく理解させておらぬということを痛切に感じておるのでございます。それで、私はこの是非善悪、すなわち道徳的教育の欠除が青少年をして非常にすさましておる。ことに最近起こりましたきょうだいを殺した事例なんかを見ましても、やはり学校教育の大きな欠点のあらわれだ、かように私は見ております。やはりどうしても事の是非善悪というものを教えなければ――一体いまの小学校で人をたたいてはいかぬとか、人をぶってはいかぬとかいうようなことを教えていないのではないか。ことに私が一番不安に思いますことは、学校の先生の団体がいろいろねじりはち巻きをして校長を閉じ込めるというようなこともありますが、さようなことをして、子供に悪いことをしてはいかぬという教育はでき得ない。それだからやっていないのではないか。かように思いまして、こういう青少年の教育は、小さいときからお取り締まりを願わぬと、大きくなった者に、いかに喫茶店に入ってはいかぬ、バーに行ってはいかぬと仰せられても、また何かそれと同じようなことを見つけてやり出す。そういう根本が誤っておるから今日の青少年の不良化が盛んになっているのだ。私はかように思います。  ことに、もう少し言わしていただきますれば、近くオリンピックがありますので、諸外国から日本にたくさんのお客さんが見えます。青少年の不良化防止のために、これは私は営業をいたしておりませんから差しつかえないのでありますが、キャバレーとかバーへ外国のお客さんがお見えになっても、十一時以後は連れていかれないというような実情では、私はむしろ日本の恥ではないかと思うのであります。世界各国どこへ行っても、十二時で酒湯がおしまいになったり、バーがおしまいになったりすることはないのであります。表面は十一時でしまりというところもありますが、実際は夜明かしでこれをやっておる。何もそれがいいというのではありませんが、それくらいなことはできていいではないか。ことに憲法は、個人の営業の自由を保障しております。それならば、なるべくさような営業規制はしないほうが憲法の精神に合致するのではないか。憲法違反であるとは申し上げませんが、憲法の精神に合致するのではないか。私はかように考えております。  以上であります。
  125. 安井吉典

    ○安井委員 だいぶ教育のことについての御意見も出ましたので、真鍋参考人にちょっと私伺いたい点があるわけです。  私も小学校や中学校の教科書をすみからすみまでみんな見たわけではありませんけれども、どの教科書を読んでも、年寄りは大切にしましょう。――人を殺してよろしいとは書いてありませんし、どろぼうしていいとは書いてありません。やはり正直にしましょう、そういうような気持ちが教科書全体を貫いておりますし、それから先生も、悪いことをしてもいいですよというような教え方はしていないと思うのです。ただ、昔のような修身はないですが、修身という科目がないから善悪を教えないということではないのではないかと私は思うのです。全体の中では、やはり新教育の中でも、道徳律といいますか、倫理といいますか、そういうような考え方はきっちり私は仕込まれているように思うわけです。子供たちにそういう教育が不十分であるというふうなお気持ち、それはそれといたしましても、外国ではおそくまで営業してよい国がたくさんあります。しかし、ロンドンは、御承知のようにきっちり規制があるように私も記憶しております。ただ、学校でどういうふうに教えられても、子供たちが表に出てみたら、さっきの松田参考人も言われていましたけれども、とてつもない映画の看板が一ぱいある。それからまた、きょうお見えの皆さん方は、風俗営業ではないわけでありますけれども風俗的な営業関係のあるお仕事もずいぶんされておるわけです。やはり町に出たら、今度はなくなりましたけれども、深夜喫茶というのがあって、私もこの委員会で、最近ではありませんけれども、前に見に行ったことがあります。やはりずっと一列に向こう向きになって全部若い人たちがコーヒー一ぱいかなんかで薄暗い中で夜明かしできるわけです。あるいはまた、そういう若い人たちはヌードスタジオとか、あるいはトルコぶろなんかには入っていないかもしれませんけれども、この間大阪で聞いても、東京から来たお客さんは困りますというふうなことを大阪の人は言っておりました。同じトルコぶろに入っても、スペシャルをやってください――スペシャルというのはどういうことをやるのか、私は知りません。それが幾ら金をとられるのかわかりませんけれども、そういうような雰囲気がたくさんある。ボーリングだってやはり何心まででも、三時でも四時でも――そんなおそいのがあるかどうかわかりませんけれども、やれる。そういう社会的な仕組みをそのままにしておきながら、いまの若い連中はけしからぬ、学校の教育は悪い、それだけでは私ちょっと通らないような気がするわけです。やはり風俗営業に直接関係のある業者の方々も、青少年をよくしよう、そういうふうな包み方がやはり大事だと思うのですよ。ことに学校にいる時間というのは、子供たちの一生の間のほんのわずかの時間です。小さな子供たちは一日三時間くらい、大きくても四時間、五時間くらいです。大部分は社会と家庭の中にほうり出されているわけです。子供の生活の大部分がある家庭や社会というものを、もっときれいな教育的な環境につくるということ、そういうような努力をおとなのわれわれがお互いに払わないと、なかなか青少年の問題というものの解決はむずかしいのではないか、そういうふうに私は思うのです。その点ちょっと食い違うように思うのですが、いかがでしょうか。
  126. 真鍋八千代

    ○真鍋参考人 私は先ほど少し言い落としたのでありますが、青少年に対する規制は、私はやはり今日の現状ではやらなきゃいかぬ、かように思っておるのです。それでボーリングの場合にも、実は率先して私が停止をしたのであります。今日の青少年を十一時以上置いてはいかぬと言うて、率先して私がやったのでありまして、青少年を一時、二時まで置けというのではないのです。青少年規制のために他の営業規制することがいかぬのじゃないか。青少年自身は、教育の面からも、またそういう現実の面からも、やはり精算する必要は、私はあると思います。ですから、この点はあなたのお考えと変わりないのでありますが、ただ私は、少しことばが足りなかったというのであります。
  127. 森田重次郎

    森田委員長 以上で本問題に関する参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。      ――――◇―――――
  128. 森田重次郎

    森田委員長 次に、地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  地方公務員給与改定に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。秋山徳雄君。
  129. 秋山徳雄

    秋山委員 せっかく発言の機会をいただきました。しかしながら、幸か不幸か今日非常に時間もおそくなっておりますし、三十分で切り上げろということでありますから、私のほうでもできるだけ簡潔にものを申し上げたいと思いますし、あわせて御答弁くださる皆さん方におきましても、その意を体して、できるだけ簡潔にお答えをいただければ幸いだと思います。  そこで、先般人事院勧告というものが本国会にも報告され、内閣にも勧告がなされたのでございます。御存じのように、人事院勧告というものがどういうものかということをこの場合に考えてみなければならないのではないかとも存じます。私が知っている限りにおきましては、国家公務員並びに地方公務員の皆さん方は、ストライキを行なおうと思っても、これは許されません。それにかわってだれをたよったらよろしいか、こういうことを考えてみますと、たよれるものはやはり人事院の勧告であり報告であると了承しないわけにはまいりません。いま風俗営業に関しましていろいろ参考人の方々の意見を徴したのでございますが、その中でも御指摘があったのでございますけれども、今日の教育があまりうまくないから非行少年がたくさん出るのだというふうな御意見もあったわけでございます。しかしながら、これらをあわせて考えたときに、せっかくの団結権に伴うところのストライキ権もなくなっており、非常にあわれさを感じなければならない公務員の諸君がそれほど頼みにしております人事院勧告というものが、どういう形で調査がなされ、そしてどういう文面をもって勧告、報告がなされたか、それをまた政府がどういうふうに取り上げてくるか、こういうことがやはり及んで非行少年の問題にも関係があるのではないかと考えざるを得ないわけです。いま申し上げましたように、ストライキ権も剥奪されている人たちがたよりにたよっている人事院勧告、この内容を見てみますと、これにも全面的に賛同しかねる面があるわけであります。これは、いろいろ検討すれば私たちに数限りなく不満がないことは申し上げられません。しかしながら、いま限られた三十分の時間の中でそれらを取り上げて指摘をし、それらに対して質疑を行なってまいりますと、かなりの時間を要することになってまいりますので、残念なことではありますけれども、それらはさておいて考えたときに、いま申し上げましたような経緯に基づいて最小限度の勧告、報告がなされていることは御存じのとおりであります。しかしながら、過去を振り返って考えてみますと、人事院ができましてから今日まで年々歳々人事院勧告が行なわれておりますが、これに対して一体政府がいつの場合において人事院勧告を完全に実施したことがあるか。私は自分の記憶に誤りがないといたしますならば、いまだかつて一度も完全実施をしたことがないと残念ながら言わないわけにまいりません。いま参考人の例をあげてお話しいたしましたように、いかに学校教育が万全を期しておると言いましても、日本の政治、経済、あるいは行政指導、こうしたものを担当しておる日本政府が私たちに約束したことも守り得ない、そういうことで一体世間が了承し納得するかどうか、こういうことも私は大きな問題になってくるのではないかと考えます。そこで、もう二度くどいようでございますが、過去何年かの勧告の中で完全実施がなされたことがいつどういう形であったか、まずそれをお尋ね申し上げたいと思います。おそらく完全実施ということはいままで一度もなかったと私は記憶しておりますが、なければないとはっきりとお答えをいただきたいと思います。
  130. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お話の点でございますが、人事院の勧告というものにたよるべきであるというお話、ごもっともであります。したがって、私どもは人事院勧告は尊重していきたいという考え方は変わっておりません。ただ、御承知のように、従来の状況から見ましても、財源その他の関係で完全実施したことがあるかないか、私、いま手元に資料がございませんけれども、おそらく五月からの勧告が出まして五月から実施したことはないのじゃないかというふうに私は記憶しております。あるいは完全実施の時代があったかどうかはちょっといま手元に資料がこざいませんけれども、おそらくなかったのじゃないか、私はかように存じます。
  131. 秋山徳雄

    秋山委員 いま大臣の御答弁がありましたが、完全実施ということはおそらくないと思うのです。完全に近いものは一度ぐらいあったかと思いますが、これもないにひとしいと言って過言でないと思います。  そこで、先般、私が他の委員会へ出ておりまして、こちらを留守したことがありますが、そのときに、先輩の安井委員から質疑が行なわれまして、その中において、大臣は、できるだけ勧告に忠実に努力をするという御答弁があったように聞いておりますが、その点を再度確認しておきたいと思います。いま何回か申し上げましたように、公務員の諸君は人事院勧告だけがたよりでありまして、ほかに何もたよることができません。あとは政府を信頼して、政府がどれほどこれを完全に実施をしてくれるか、それを家族とともに待っておるのが現状ではなかろうか。それに対しまして、なるほど、国家財源あるいは地方財源、いろいろの問題はありましょうけれども、これについて、私はできるだけ忠実に、これを完全に守っていただきたいと言わざるを得ないと思うのです。御存じのように、あなたはお読みになっておるかどうかわかりませんけれども、総評などの人たちが言っていることを聞いてみますと、ここにも書いてありますが、いままで人事院勧告に基づいて政府が行なってきた施策、これを計算してみると、国家公務員並びに地方公務員が損傷を受けた額というものはおそらく二千億円を上回っているだろう、こういうことが言われております。そこで、私も一部試算をしてみたのですが、時間がありませんので、完全なる数字あるいはまた数年間のデータというものを調べる余裕がなかったことを残念に思いますが、たとえば三十八年度に及んでみましても、六・七%というアップが勧告されておるわけですが、これに要する費用が、国家公務員で大体四百九十八億円と記憶しております。また地方公務員にいたしますと大体八百十億円ではなかろうかと思うわけであります。ところが政府におきましてはこれを五月から実施しないで、半年おくれた十月一日からこれを実施した、こういうことが三十八年度現在も行なわれておるわけです。これによって計算いたしますと、半年のズレによって生ずる金額というものは、国家公務員において大体三百一億円くらいになるのではないかと思います。地方公務員にいたしますと四百七十四億円程度になるのではないかとも考えられます。また三十七年度にこれを考えてみますと、勧告のアップは七・九%ということでありまして、これは五月一日から実施をしなければならぬということですが、これを計算してみますと、大体国家公務員においては五百二十九億円であり、地方公務員では大体七百億見当ということがいえるのではないかと思います。それにもかかわらず、実際において実施した額は、やはり十月一日に実施がなされておりますので、したがって国家公務員では三百億円を割った二百九十九億円くらいであって、地方公務員では四百十億円程度ではないかと想像がつくわけであります。この二年間だけを計算してみましても、両者合わせますと大体千五十三億円くらいになるわけであります。これをよりさかのぼって計算いたしますならば、いわゆる総評で言うとおり二千億円をはるかにオーバーするのではないかという想像がつくわけであります。これは、だれが損害をこうむったのかということになりますと、とりもなおさずこれは国家公務員の諸君であり、地方公務世の諸君がそれだけの損害を受けたのだということを言わざるを得ないと存じます。しかも人事院の勧告の中でいっておることは、御存じのように昨年の四月から今年の四月までを対象として、民間給与と官業労働者の給与とを比較対照して出た数字が今度の勧告の額になってくるということではないかとも存じます。そうなってまいりますと、ことしは御存じのように、春闘が果敢に行なわれまして、その結果、民間の業種の人たちに対しましてはかなり大幅なべースアップがすでに行なわれておるわけであります。そういうことを計算に入れますと、毎年毎年の累積になると、あるいは二千億どころではない、三千億に近い金額がそこで浮き上がってくるのではないか、こういうふうな心持ちもしてくるわけであります。そういうことを考えると、いままでよくもよくも国家公務員の諸君や地方公務員の諸君ががまんをしたものだと言わざるを得ないと存じます。それらについて、一体大臣はどういうお考えを持っておりますか、まずお答えをいただきたいと存じます。
  132. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お話しのように、公務員につきましては、国家公務員にいたしましても地方公務員にいたしましても、給与についての考え方は、人事院の勧告というものがもとにならざるを得ないわけでございまして、政府といたしましても、それを尊重していくという態度をとってきておるわけでございます。ただ完全に実施しないじゃないかと、うお話でございますけれども、それはそのとおりで、はなはだ遺憾と思いますけれども、何ぶん財源等の関係があって、いままで五月から実施ができなくて、やむなく十月から実施しているというのが実情であろうと思います。したがいまして、五月に実施すべきを十月に実施すれば、計算すればどれだけ損失をこうむるとおっしゃるのはそのとおりでございますけれども、何と申しましてもわずかな金ではないのでありまして、相当多額の金になるものですから、実は今度の問題につきましても頭を悩ましておるようなわけでございます。数字はもう御存じでございますからお話しするまでもないことでございますけれども、五月実施にいたしますと、全体で千七十二億という金になるわけでございます。もっとも地方公共団体の分としては八百六十二億ということでございますけれども、今日の地方財政の逼迫のときにおいてこれだけのものを出すということは、自治体はなかなかできない。やはり国の財政によって、地方交付税というようなものに依存をせざるを得ないと思います。地方税としての伸びも、昨年と違いましてことしはあまり伸びていません。したがいまして、それはもうわずかな財源にしかならぬわけでありますから、勢い国の財源にたよらざるを得ないということで、いま大蔵省と折衝しておるわけであります。大蔵省のほうも、国の公務員の問題にいたしましても、完全実施をすると千七百億からの金、その土地方の問題もやはり国の財源に依存をするということでありますから容易なことではないので、われわれとしては、どこまでも尊重していくという気持ちにおいては一つも変わりありませんけれども、そういう問題でいま検討を進めておるようなわけでございますから、その点もひとつ御了承いただきたいと思います。したがって政府としては、なかなかそう来年度の自然増収の見込みも、大蔵大臣の言っておるところをもっていたしますと、昨年は火千八百億ぐらいの金があったのですけれども、ことしはどうも四千五百億もないぞというようなことなんです。したがいまして、もう政府はいち早く国については欠員不補充の原則を立てまして、できるだけ節約もし、そうして人員をふやさないようにしていこうという措置をとっております。私は、そのことは地方財政、地方公共団体においても同様のことではないかということで、先日地方庁にもできるだけ節約をするように、こう言っておるわけでございます。できるだけ財源の捻出に努力しておるということでございますので御了承いただきたいと思います。
  133. 秋山徳雄

    秋山委員 なるほど政府の答弁としてはやむを得ない答弁と聞かざるを得ないかもわかりませんけれども、私たちが今日までいろいろ見てまいりますと、俗に言う自然増というものが実は自然増ではなくて、経済の見通しの悪さ、いわゆる計算の間違い、それから生まれてきたものがいわゆるいまあなた方が言っている自然増だと思います。昔の人たちはそういうことばは使わないはずであります。六千億とか、七千億とか大きな誤算があった場合には、内閣が総辞職するという理由になったわけです。ところがいまの人たちはそんなことは考えない。自然増があったときにはやりたいこともできたんだけれども、今日のようになかなかそういかないと、これは、財政的な立場から実施すべきものが実施できないというふうなことを平然と言ってのけるということは、私は何か残念な気持ちがしてなりません。政治というものは、もっと自信を持って、計数においても自信を持って計数を出し、あやまちがないそろばん玉をはじくのがいわゆる計数の整理のもとでなければならぬわけであります。ところが平然として大蔵省の役人自身が、何か自然増だとか――きょうは池田さんがおられないのが残念ですけれども、池田さんの一枚看板は、成長経済を一枚看板にしているはずですよ。それにもかかわらず、今日そうした自然増と言いいますか、あなた方のことばで言う自然増、こうしたものが得られないということは一体どういうことなんですか。自治大臣としての答弁でなくて、国務大臣としての御答弁をいただければ幸いだと思います。
  134. 吉武恵市

    吉武国務大臣 自然増というのは、前年度に比べましてそれだけの財源が出てきたのを、予算に見積もって本年度の予算ができているわけであります。それが来年度になりますと、昨年はそれだけが見込めたけれども、来年度の予算ではこれだけは見込めないということで、これは経済のいろいろな成長の度合いによって出てくるところでございますので、やむを得ないところであります。したがって、財政に余裕がないということでございます。見通しとかということではないかと思いますけれども……。
  135. 秋山徳雄

    秋山委員 ここで私は予算論議をしようとは思いませんけれども、予算のたてまえというものは、国民経済とにらみ合わせながら、やらなければならぬ仕事をやっていく目算を立てなければならない、これが簡単に言えば予算の組み立て方ではないかと思います。そこで、ことしはこれだけの収入があったんだけれども、翌年はこうした施設が拡充していく、各工場においてもこういう施策がなされている、そのために来年はこのくらいは世界経済とにらみあわせておそらく税収入が上がってくるであろう、こういうことを目途として立てていかなければなりません。同時にまた、きょうやる仕事に必要なお金と、同じ仕事を来年やるお金の見方とはかなりな違いがあるはずであります。これをもっときつく言えば、ことしやるべきものをことしできないで来年に引き延ばしてしまった、こういうことによって一体だれが損害をこうむるかということになると、国民全部の損害でなければなりません。そういうことをいつも念頭に置いて国政を運営していただかないと、国民はいつもばかを見ておる、こういう結果になるわけであります。そういうことを忘れて、ただ自分の計数よりよけい上がってきたのだから、これは自然に増加したのだ、そういう簡単なことで押しつけようとする考え方が私はおかしいと思う。国家財政でも地方財政でも同じことだと思います。ただし違うのは、ただ個々の家計の問題だけであります。これは家計でも同じことが言えるはずでございまするけれども、家計の場合には、いま日本の国の施策がだらしがないために、いろんな保険制度や福祉の関係が少しも考慮されておらない。そのために国にたよることができないから、しかたがないから自分が食うものを節約して少しでも貯蓄をしておかないと、子供を産んでもその経費に困る。子供が育っても学校へやることができなくなる。年を取っても食うことができなくなる。それでは困るから、たとえなんぼでも貯蓄をしなければいけない、こういうことが今日置かれておる社会のあり方であるような気がいたします。その根本はどこにあるのかということになれば、やはり国家財政の組み方にあやまちがあるからだと私は思います。そういうことを通じて考えたときに、少なくも国家公務員や地方公務員の皆さん方から最も力とすべきストライキ権まで取り上げてしまって、それにかわって人事院をつくっておるのですから、この勧告は完全に守っていかなければならない義務がある。国家を背負っておる政府の人たちがそれができない、こういうことであってはならないと存じます。もちろん、いま大臣からお話がありましたように、地方公共団体は昔と違って、税制あるいは税法をごらんになってもおわかりのとおり、所得税のように源泉徴収でどんどん取れる簡単な、徴税費用も一銭もかからない、そういった非常に取りいいものは全部国の財政に入れてしまって、比較的取りにくい、徴税費用のたくさんかかるようなものが地方税へ残されておる。そのために地方は非常に困窮しておる。それだけではなくして、国家の立場から申し上げましても、たとえば公営住宅を一つ建てるにいたしましても、地方で実際に一戸百万円かかるものが、政府の試算は、これを六十万円とか七十万円とかいう試算をしておる。国道にしてもそのとおり、国がやらねばならないものでありながら、これを府県あるいは市町村に多少ずつのお金を出させておる。すべてこういうものを一つ一つあげてまいりますと、何ということはない、どっちが主なのか従なのかわからなくなるくらいに惑わされるほどに何かうまみのない予算の組み立て方をしておるような心持ちがしてまいります。そういう負担の積み重ねが今日の地方財政の窮迫をもたらしておるのだと言っても過言ではない。  もう一つ考えなければならないことは、かなり財政的にりっぱな府県がありといたしましても、そこにそのままに財政をゆだねておったのでは、政府の力が及んでいかない。ですから、それを規制していこう、こういうことが、地方の各府県、市町村のバランスを合わせるんだという美名に隠れた政府の施策ではないかとすら考えないわけにはまいりません。そういうことが行なわれておる中で、仕事はおくらせることはできまするけれども、人が生活をしていくその状態というものは、来年延ばしにするわけにはいかないと思います。したがって、私は再度申し上げたいと思いますけれども、自治大臣として大蔵省により以上強く交渉していただいて、今度の人事院勧告が、数年来ない経過ではありましょうけれども、これを完全に実施ができるように努力を願う以外に方法はないと思います。いろいろ議論の立て方はありましょうけれども、賢明な自治大臣である以上は、おそらくは大蔵省との折衝でより以上の成果があげられるものと期待しなければなりません。ただ、いままで私どもが知り得た乏しい知識の中から想像いたしますと、いままでは自治省のほうで逆に地方財政の窮迫を訴えながら、現状の地方財政の中では、人事院勧告があったけれども、これに準ずる実施方法はむずかしいということの上に立って、何か実施時期を少しでもおくらせて財源をかせぎ出そう、こうしたことが行なわれたように聞いております。もしそうだといたしましたならば、地方公務員や国家公務員の人は、ほんとうに残念なことだと言わざるを得ないと思いますが、過去においてそういうことがあったようにも聞いております。もしそうだといたしましても、今度こそは前例を破って、人事院勧告を完全に実施ができるように、大きな力となることができるかどうか、この点につきましても再度お尋ねを申し上げたいと存じます。
  136. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お説のように、国家公務員及び地方公務員にいたしましても、スト権がございませんので、人事院の勧告というものをできるだけ尊重してゆくという趣旨においては変わりはないのであります。また過去においてどういうふうないきさつがあったか存じませんけれども、財源といたしましては、いずれにしても自治省だけで財源を見出すということはできないのでありまして、結局国の財政に待たなければならぬわけであります。したがって、国家公務員はできるけれども地方公務員はできないというようなことではなくて、一緒にどうするかという問題だと思います。したがいまして、私どもは国家公務員に準じて地方公務員も取り扱っていくという態度においては変わりはございませんで、大蔵省のほうとも、国と地方公共団体と、つまり国家公務員と地方公務員とを一体にして、どういうふうにして捻出するかということを相談しているわけでございます。私のほうはできぬから、それじゃひとつわれわれのほうだけは完全実施しないぞと、そういうふうなつもりはございません。いずれにしましても、国の財源として千七百億、地方の財源として千七十二億――先ほどの千七百億は両方合わせてだそうでございますが、それだけの大きい財源を必要とすることですから、お話のように、趣旨としてはこれはどうしたって人事院の勧告を尊重していくという態度においては変わりはありませんけれども、簡単にそれだけの財源がぽんと出てくるわけじゃありませんので、そこに非常に苦労をしているということをひとつ御了承願いたいと思います。
  137. 秋山徳雄

    秋山委員 それでは、大臣の気持ちはややわかりましたので、財政局長にお尋ね申し上げますが、いま大臣の御答弁の中に、地方公務員関係費用として八百六十二億必要だということでございますが、おそらくこれは、地方交付税でまかなうようになるのではないかと思いますが、もしそうだといたしますならば、富裕県と交付団体との関係も出てくるでございましょうが、これらの内訳がわかりましたならばお知らせいただきたいと存じます。
  138. 柴田護

    ○柴田説明員 一般財源の計算でございますが、五月から実施いたしました場合に、従来からの計算、つまり国家公務員の水準で計算いたしました額は総額八百六十二億円でございます。そのうち二百二十億円が不交付団体、あとの六百四十二億円が交付団体、こういう計算になります。もっともこれは概算でございましてなお精査いたさなければなりませんが、大体これと大同小異の数字だろうと思います。
  139. 秋山徳雄

    秋山委員 時間がないのではしよって申しますが、いまの御説明の中で、今後の財政見通しは、もし大蔵省と折衝が始まっているとすればどの程度進んでいるのか。その交付税の見通しが現在において立てられるかどうか、その点の見通しがあったならばお知らせいただきたい。
  140. 柴田護

    ○柴田説明員 結局国の補正財源が幾らあるかということにかかってくると思います。国の補正財源がどうなるかという問題になりますと、結局この前申し上げましたように、九月決算等の問題が明らかになりませんと、いまの段階でははっきりした見通しがつけにくいのではなかろうか。補正予算の要求といたしましては、給与改定のほかに、たとえば食管会計の問題でございますとか、災害の問題でございますとか、いろいろございますが、歳入だけから申し上げますれば、結局今後の税収入の見通しをどう見るかということにかかるかと思います。それで、例年の例で申し上げますと、この九月が終わりまして、大体財政の九月決算の見通しが立ちますれば大よそのところは立ち得るような状態になりはせぬか、かように考えます。現在は、私どもの担当でもその辺のところの詳細は実はわかりかねるのであります。何回も国会のほうでお尋ねされるのでありますが、残念ながら明確な答弁ができない、こういうような状態でありますので、御了承願いたいと思います。
  141. 秋山徳雄

    秋山委員 答弁ができないというものをしょうがないと思うのだけれども、それじゃ大臣にお尋ねいたします。おそらく閣議で御相談があると思いますが、最終決定は一体いつごろになったらできる予定なのか。もうすでに勧告が出されてからかなりの日数がたっておりますので、寄り寄り話し合いがされておるのじゃないかと思いますが、最終の決定はいつごろになるのか、おわかりでしたらお知らせいただきたい。
  142. 吉武恵市

    吉武国務大臣 実は早く相談をして詰めていきたいと思っておりますけれども、先ほど財政局長が言いましたように、九月決算の見通しがつきませんので、それと石田労働大臣がジュネーブに行ったような関係もございまして、帰ってくるのを待っておるというような状況でございます。
  143. 秋山徳雄

    秋山委員 これ以上やりとりしても変わつたものは出てこないような心持ちがしますので、したがつて、先ほど来何回か繰り返しましたように、ほかの仕事であれば繰り延べもできるかもしれませんけれども、人の口をまかなっていくかてになるものですから、これは延ばすわけにいかないと思います。特に、何回も申し上げますように、過去数年間完全実施が行なわれていない。したがって、少なくもことしあたりは何とかして完全実施ができるように、自治大臣といたしましても、あるいはまた国務大臣といたしましても最善の御努力をいただきたい、かように考えまして、強い希望を申し上げて私の質問を終わります。
  144. 森田重次郎

    森田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会