○村山(達)
委員 ちょっと関連して御要望申し上げておきます。
私は今度の新潟震災につきまして、新潟市並びに周辺の市町村をずっと見て回った一人でございますが、特に感づきましたのは、今度の災害におきまして政府の打ちました手は、いまだかつてない非常な迅速な手を打たれたと思います。この点は非常に御同慶にたえないわけでありますが、ただ、末端に行きますと、一つは市町村当局並びに住民の方々は、政府の打たれた手がよくわからないのでございます。このことは非常に重大な問題だと思いまして、ラジオその他でもってどんどん放送しておりますが、それがなかなか実際に被害者に徹底していないということでございます。たとえば住宅金融公庫で今度すぐ金を出される、国民金融公庫ですぐ金を出されるということは、われわれは承知しておりますけれども、被害者自身がよく知っていない。特に市町村当局におきましては、今後一体国のどんな救済の手が、市町村
財政なりあるいは公共施設にあるかということを知ってない。知っておるのは、極端に申し上げますと、もう県だけなんでございまして、大きな市当局者でも知らないという状況でございます。これが一般的に申しまして、将来の見通しに対して非常な不安感を持っているわけでございます。われわれは、知っている限りにおきまして、こういう制度があって、いずれはこうなるんだということを言うわけでございますけれども、何といっても全部の人に伝えるわけにいかない。この点われわれは、災害を受けた都市における人心に対して、将来に対する見通し、明るい希望を持たせる意味におきまして、何らか政府の親切な施策を伝達する方法はないものであろうか。公共団体は公共団体に対し、被害者は被害者に対し、今度どういう手が打たれているかということを、ひとつ迅速に知らしていただきたいと思うわけでございます。これが要望の第一点でございます。
二番月に、これは近いうちに激甚災害に対する特別
財政援助がいずれ適用になると思いますが、これは項目によりまして、たとえば公共施設とか中小
企業関係とか、すべての被害が集計され、それがかたまってから初めて適用されることになりますと非常に手がおくれると思いますので、どうかひとつ公共施設関係なら公共施設関係、一つずつかたまったつど適用していただいて、同時にその他の問題につきましては、いずれ数字をかためて、いつごろ適用になる見込みであるか、結論がいつごろ出る見込みであるかということを国民に知らせていただきたい、これが第二の要望でございます。
第三点といたしまして、おそらく今度の災害問題これは
財政問題としてたいへんなことになると思いますが、はたして本年度の当初予算の範囲内でまかなえるかどうかという点は、多少この被害額を知っておる者にとりましては非常な危惧の念があるわけでございます。もちろん国庫の持つ分と
地方財政の持つ分があると思いますが、
地方財政におきましてもおよそどれくらいの裏負担が出てくることになるか。ことにそれぞれの府県、市町村が現在の
財政でまかなえるかどうかということを早くめどをつけていただいて、やがて来たるべきその
財源措置についてあらかじめ御用意をお願いしたいという点が第三点でございます。
第四点といたしまして、これはあえて自治省だけの問題ではございませんが、今日日本におきまして実施されておる諸制度を通じて見ますと、伊勢湾台風以来すでにこの種の補償制度としてはある程度備わっておると思うのでありますが、残念ながらいわれておりますように地震保険、それから風水害保険、あるいは豪雪保険、これが営利保険に乗っていないという点であります。もちろんこれは営利保険に乗せようとしますれば、たいへんな料率になるわけでございます。ですからこの点は営利保険にはたして乗せられるかどうか、これも一つ問題点がございましょうが、最終的にはどうしても国の保険制度を考えざるを得ないのではないだろうか。料率を上回る分につきましてはどうしても社会保険として考えていかなくちゃいかぬのではないだろうか。お互いに国民が税金を出し合いましてそれぞれ助かっておるわけでございますので、こういうときこそ助けてもらわなければ、何のための国民であるか、何のための国民の中における
企業であるかということにつきまして、最終的に疑問を抱かざるを得ないと思うわけであります。やはり個人の責任ではどうにもならないことが——老齢によって所得が得られなくなるとか、あるいは病気によってかせぐことができなくなる、あるいは天災によってどうしても国にたよる以外救済の道のない制度につきましては、すみやかに
財源措置を講じましてその制度を確立していただきたいわけでございます。ほんとうに私の思いつきでございますが、現在でも営利保険会社におきましては、大火については異常責任準備金の制度があるわけでございまして、これは年々普通の保険の積立金のほかに積み立てておるわけであります。もちろん
課税の対象外にいたしまして、いまどれくらいございましょうか、これは大火に備えてやっておるわけでございます。国といたしまして出然、毎年の剰余金のうちからほんのわずかずつでいいのだろうと思うのでありますが、たとえば一定率の積み立てをいたすことによりまして、将来のそういう災害に備えるという道があっていいのではないだろうか。毎年度の
財政の中から、乏しい中から出すということになりますとこれはたいへんでございましょうが、そうでなくてこれを計画的に一定の剰余金の中からごくわずかの率で積み立てれば、おそらく事が済むのではないかと思いますが、そういう方法について、これは自治大臣に申し上げるのもなんでございますが、閣僚の御一人とされて、ひとつ強く発言してもらいたいわけであります。国民が国家に最終的に期待するものは、やはり個人の責任ではどうにもならない、これについて救済する手がなければいかぬと思うわけでございまして、この点御要望申し上げて、同時にこの機会に閣僚のお一人としての自治大臣の御所信のほどを承ることができればしあわせと思うわけでございます。