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1964-06-05 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月五日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    大西 正男君       亀岡 高夫君    亀山 孝一君       久保田円次君    武市 恭信君       登坂重次郎君    三池  信君       森下 元晴君    山崎  巖君       和爾俊二郎君    秋山 徳雄君       千葉 七郎君    細谷 治嘉君       栗山 礼行君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君         自治政務次官  金子 岩三君         自治事務官          (行政局長) 佐久間 彊君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局地方資          金課長)   竹内 道雄君         自治事務官         (行政局給与課         長)      胡子 英幸君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第一四二号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐野憲治君。
  3. 佐野憲治

    佐野委員 まず最初に、この法案の立法過程におきまして社会保障制度審議会に意見を求められ、その答申を得ておられるわけでありますが、その答申内容を見てまいりますと、第一項といたしまして、地方団体関係団体職員共済組合新設に対しては、従来しばしば表明した共済年金一元化立場に立って賛成することができ得ない。第二項として、もし地方団体関係団体職員地方公務員に準じて新しい共済年金制度を設けるとするならば、既存の地方公務員共済組合の中に加入させる措置を講ずべきではないか。第三点としては、年金一元化に妨げとならない条件があるとするならば設置してもよろしい、その場合におきましては関係団体範囲通算等については慎重に検討すること、このような答申であったと思うのでありますが、この答申に対しまして、政府としてはどのように対処されたか、この点をまずお聞きいたしておきたいと思います。
  4. 佐久間彊

    佐久間政府委員 社会保障制度審議会答申は、ただいま御指摘になりました内容のものでございます。  第一の点は、年金一元化方向に反するものであって賛成しがたい、こういう点でございますが、ここで年金一元化方向社会保障制度審議会が申しておりますのは、共済関係だけでございませんで、民間に従事する人々に対しまする年金制度全部を含めまして一元化方向検討すべきだ、こういうのが審議会の従来からとってこられておる立場でございます。そこで私どもといたしましても、将来公務員に対する共済制度民間労働者に対する厚生年金制度等、すべて総合的に年金一元化されることになりますならば、そのときにおきましてはこの地方団体関係団体職員共済組合も、むろんその方向措置がなされることに異存はないということを審議会におきましてもお答えをいたしまして、その趣旨を御了承いただいたわけでございます。  次に第二の点でございますが、現存の地方公務員共済組合に加入させる措置をとるべきである、こういう点でございますが、この点につきましては審議会におきましていろいろ質疑応答があったのでございますが、当初私どもといたしましては、地方団体関係団体職員共済組合は、これは地方公務員でないわけでございますので、地方公務員共済組合とは法律も別個にいたしまして独立した制度というふうに考えておったのでございまするが、審議会のこういうような御意向もございましたので、現在御提案申しておりますように、地方公務員共済組合法の中に、この一環をなすものとしてこの制度を挿入することにいたしたわけでございます。  それから、第三の点でございますが、関係団体範囲地方公務員との通算措置についての問題でございます。関係団体範囲につきましては、御提案申し上げておりますような関係団体をその対象としたわけでございますが、なお今後いろいろな同様な条件が出てまいりましたならば、そのときにはそれも新たに加えるということについては十分検討してまいりたいということを、審議会におきましてもお答え申し上げておったわけでございます。それから、地方公務員との通算措置につきましては、これも審議会の中で御質疑がございましたが、これは地方公務員地方団体関係団体職員との通算だけではございませんで、広く一般公務員公務員でない職員との間の通算措置の問題になりまして、一例をあげますれば、公立学校職員私立学校職員との間の通算も認めるかどうかという問題になりまして、現在ございます共済組合体系の上から申しまして、これは基本に触れる問題でございますので、今回の地方公務員地方団体関係団体職員との通算措置という問題ということでなくて、全部の共済制度における問題といたしまして、今後これはなお慎重に私ども検討をしてまいりたい、かような考え方をいたしておるわけでございます。
  5. 佐野憲治

    佐野委員 社会保障制度審議会が従来しばしば表明しておるそれらを読んでみましても、非常に強く年金一元化方向を打ち出しておるわけです。局長の御指摘になるように、民間を含める総合年金制の確立というのは非常に困難な条件がたくさんあるわけですが、しかしながら、その一歩前として、国家公務員なり地方公務員共済、これらを含めた共済一元化方向に対して、政府としては一体どういう努力を現在続けておられるか。民間を含める一元化は困難だとしても、いわゆる共済グループと申しますか、こういう官公団体間における一元化方向に対して、現在どういう審議過程にあるか、この点もひとつこの機会にお伺いしておきたいと思います。
  6. 佐久間彊

    佐久間政府委員 政府におきましても、この年金一元化方向につきましては賛成をいたしておるわけでございます。そこで、社会保障制度審議会に御審議をいただいて、その答申を待って善処するという態度でおるわけでございます。ただ、社会保障制度審議会で御検討なさっておられます年金一元化にいたしましても、ただいま先生の御指摘になりましたように、なかなか問題がむずかしいので、審議会といたしましても、結論が出るのはなお相当先のことだろうと思うのでございます。そこで、私どもといたしましては、御指摘のございましたような共済制度の中におきましても、漸次そういう方向で問題を考えていくべきではないかということは、私どももそういう考え方をとってまいったわけでございまして、一昨年地方公務員共済組合法を御審議いただきまして成立をさしていただきましたが、この地方公務員共済組合も、従来地方公務員に対する年金制度がきわめて多種多様な制度に分かれておりまして、統一性を欠いておったのでございますが、これを統一いたしました現行制度のようなものにいたしたわけでございます。しかも、その内容国家公務員共済組合と同様なことにいたしまして、相互に通算もできるという形にいたしたわけでございまして、基本的には社会保障制度審議会答申を待ちながら、個々の問題につきましては、可能な限りにおきましてそういう方向努力はいたしておるというのが現状でございます。
  7. 佐野憲治

    佐野委員 将来の一元化を妨げない条件としての保障は、この新しい条文の中にどういう点に配慮されておるか、そういう点をひとつ御説明いただきたいと思います。
  8. 佐久間彊

    佐久間政府委員 今回の地方団体関係団体職員共済組合新設につきましては、先刻も申しましたように、当初は地方公務員共済組合法法律も全然別個なものにしていこうという案で検討をいたしておったわけでございますが、法律の形式の上におきましてもこの地方公務員共済組合法の中の一章として規定をするということにいたしたわけでございますし、内容におきましても、可能な限りにおきまして、地方公務員共済組合給付内容運営方式等にできるだけ近づける、また同様に扱って差しつかえないものは同様にするという方針で立案をいたしたわけでございます。したがいまして、特に給付内容につきましては、ほとんど地方公務員共済組合同一のものにいたしておるわけでございます。またこの組合運営方式につきましても、地方公務員共済組合に大体準じた方式を採用をいたしておるわけでございます。
  9. 佐野憲治

    佐野委員 全文を通読しただけの感じなんですけれども、時には、私学共済を新しいモデルとして、これに準じていろいろな条文の整理をやっておられる。ある場合には、国家公務員共済組合法なり地方公務員共済組合法に準じて、その中に貫いておる法体系をくずしたくないといっておられる。時と場合によっていろいろ一貫しない立場がとられておる。こういうことで、将来年金一元化方向をはたして目ざしておられるのかどうかという不安も感ずるわけでお尋ねしたのですが、しかし一応御説明を了として、具体的に二、三お聞きいたしておきたいと思います。  まず、関係団体範囲ですが、これは百七十四条に六つの団体範囲規定されておるわけです。答中にもあるように、慎重に検討しろ、こういう意味から考えてまいりますと、大体六号の中に団体は包含されておるようにも思いますけれども、具体的に非常に複雑な地方団体関係団体、こういう意味から考えてまいりますと、たとえば国民健康保険中央会というようなものもやはり問題となってくるだろうし、いろいろ想定されるこれからの団体というものを考えてまいりましたときに、第百七十四条の中に特定をする、こういう考え方を貫いておられるわけですが、しかしながら、具体的にいろいろな団体がこの組合適用団体として適格であるという、こういうことも考えられるわけで、そういう意味から第百七十四条の六号の次に、やはり法律でこういう形に明確に規定するのではなくて、政令その他において団体を指定することができる、こういうことを法文の中に明らかにすることが、団体範囲を慎重に検討するというこの趣旨に合うことになるのではないかと考えるのですが、法律をもってこういうぐあいにきちっと団体範囲を特定した理由は一体どこにあるのか、この点をお聞かせ願いたいと思うのです。
  10. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方団体関係団体といたしましてどういうものを取り上げるかという問題でございまするが、ここに取り上げましたものは、先般こちらのほうから御答弁申し上げたかと思いますが、その設立に関しまして法律上の税制がなされておりますもの、この団体の掌理いたします事務地方公共団体の補完的な役刷りをいたしておる、あるいは地方公共団体の行なう仕事の代行的な性質を持っておるというようなものであります。第三番目には、その運営に要します経費を主として地方公共団体の負担に待っておる、第四番目には、その職員職務内応地方公務員職務内容に準じて考えられるもの、また現にそういう取り扱いのなされているものというようなことを私どもといたしましては選定の基準といたしたわけでございます。しかしながら、そういう趣旨のことをそれでは抽象的に法律に書きまして、具体的にその団体の名称を掲げることをしないという方法をとったらどうかというのがお尋ねの趣旨かと思いますが、そういたしますと、いま申し上げましたようなことも、これを法文で正確に書くということになりますといろいろ疑義も生じまするし、むしろこの団体職員共済組合は、この制度がございませんければ厚生年金対象になるものでございまして、その中から特別にこういう制度を設けるわけでございまするから、その範囲につきましては、解釈上疑義の起こりませんように、法律でもって明確にしておくということが運営上も適切である、かような判断をいたしましてここに列挙をいたすことにいたした次第でございます。
  11. 佐野憲治

    佐野委員 列挙されておるその適用団体範囲基準、その点は了承するのですけれども、しかし具体的にいろいろの団体の中でそういう基準に適合するという団体が生まれてくる、そういうことも考えられるわけです。先ほど例にあげましたように、国民健康保険連合会適用団体になっている。しかし中央会はなっていない。知事会はなっておる。こういう点が職務内容その他から考えてみても非常に疑問もありますし、やはり適用さるべきじゃないか、こういう問題点も出てくるだろうと思うのです。そういう場合に一々法律をもって団体名を追加していく、国会立法措置を待つというのではなくて、やはり具体的にそういう基準に合致する団体適用団体として認定していく、こういうことが法律上にもうたわれておるほうが妥当ではないか。これでは弾力性のない、一々国会審議にゆだねなくてはならない、こういうこととなっているのは、しかも答申の場合におきましても、範囲に関しましては慎重に取り扱い検討しろという意味から考えてもどうだろうか、こういう点をお伺いいたしておるわけなんです。
  12. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいまお話のございました国保中央会でございますが、これは立案の過税におきましてもそのような話を聞いたことがございます。私ども検討いたしたわけでございますが、現在国保連合会はこれは法律規定された団体でございますが、中火会につきましては法律規定がないわけでございます。そこで私ども、今回この団体を選定いたします一つの基準といたしまして、先ほども申し上げましたように、やはり法律根拠のある、法律にその団体設立について何らかの規制が加えられているというものに限定をすることにいたしたわけでございます。その趣旨といたしますところは、この制度がございませんければ一般厚生年金対象になるものを、わざわざこういう特別な制度をつくりまして特別な扱いをしますわけでございますから、その取り上げ方につきましてはあまり恣意をまじえることはよろしくない、法律できちっとした規制のある団体に限っていくということがよいのではないか。そうではなくていろいろの任意団体というものが出てまいりますと、どこまで拾い上げたらいいかということがなかなかけじめがつかぬことになるわけでございます。そのような趣旨からいたしまして、中央会の場合におきましても、実態からいたしますると私どももここに取り上げてしかるべきものかと思いますけれども、ただいま申しました法律上の規制がございませんので、これを取り上げないことにいたしたわけでございます。そのほかのものも、政令等にゆだねることなく法律にきちんと書くことにいたしましたのも、先ほども申しましたように、この制度一般制度に対する特例的な制度でございまするので、その範囲につきましては、政府恣意によりまして入れる、入れないをきめますよりも、むしろ国会の御審議をいただきまして慎重に決定をするということのほうがよろしいんじゃないか、また社会保障制度審議会の慎重に取り扱えという御趣旨にも合うのではなかろうか、かような考え方をいたしたわけでございます。
  13. 佐野憲治

    佐野委員 国会審議にゆだねるという非常に立法権を尊重したたてまえを説明されるわけですけれども、しかしながら他の立法例から見てまいりましても、やはりいろいろな具体的な団体を明示すると同時に、その他これに該当するものは別の政令に定める云々というようなのが通常になっておるのではないか。こういうぐあいにびっしり定めてしまわなくちゃならない、しかも皆さんにおいて先ほど述べられておるように団体範囲基準というものを明確にしておられる、しかしその明確にしておられる基準に該当する団体がやはり出てくるのではないか、こういう点、あるいは同じく任意団体がたくさんあると言われますけれども知事会なり町村長会議長会なんというものは届け出団体で、法人格を持っている団体ではないだろうと思います。ですから、具体的にこの法を適用していく場合におきまして、やはり適用団体というものに対する解釈なり、あるいは団体として共済に加入申し出なり、いろいろな問題が出てくるのではないか。そのごとに国会に提案をして、審議の上できめていくのだというとは、決して民主的な方法じゃないんじゃないか、こういうこと、しかもこれが国から補助が出るあるいは何だという私学共済その他と違う共済制度をとっておるわけですから、そういう点を十分今後検討していただきたいと思います。  次に移りたいと思いますが、通算の問題についてであります。先ほど説明によりましても、私学共済モデルとしておる、私学共済においては公立私立、そういうものの通算が認められていないのだと言われますけれども、しかしながら、国家公務員共済地方公務員共済の間には、通算法律上認められておるという意味から考えてまいりますと、特に地方公務員地方団体関係者の間に非常に密接な関連性を持っておる、かように考えますし、実態はまたそうだろうと思います。地方団体関係の方が地方公務員となられる、この場合は少ないけれどもありますし、逆に地方公務員からその団体にかわられる、こういう方も非常に多いだろうと思うのです。その場合におきましてここで遮断をしてしまっておる。しかも答申によりましても、できるならば地方公務員共済組合の中に包含さるべきものではないかという疑問点も投げかけておられるわけだし、そういう点は一体どうして遮断をされたのか、その点を御説明願いたいと思います。
  14. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは先ほど公立学校私立学校を例にあげましたが、さらに国家公務員公共企業体職員との間におきましても同様に通算を認めていないのでございます。これは多分に沿革的な理由もあろうかと思いますが、もともと公務員に対する恩給制度のもとで、公務員についてこういう特別な年金制度が出てまいった沿革があるわけでございますが、それが漸次農業団体職員、あるいは私立学校職員、あるいは今回御提案申し上げておるような地方関係団体職員ということにだんだんとこの制度が拡充されてまいっておるわけでございます。そこで私どもといたしましてはできますことならば、特に自治省といたしましてはできますことならば、先生も御指摘になりましたような実情でございますから、地方公務員共済組合地方団体関係団体共済組合の間におきましては通算が認められることが望ましいと思いまして、いろいろ検討もいたしたわけでございますが、現在共済組合全体の体系におきまして、公務員とその他のものとの間の通算は認めていないという原則を貫いておりますので、この場合におきましてもその原則に従うことにせざるを得なかったわけでございます。しかし今後将来の研究課題といたしましては、御指摘のようなことも十分にひとつ検討してまいりたいと思うのでございます。
  15. 佐野憲治

    佐野委員 そうしたたてまえが貫かれておるということを主張されるわけですけれども、現実的に人事交流というものが続けられておる。しかも組合の資格百九十五条においては強制加入制をとっておるという観点から考えても、これは将来検討していただきたいと思いますし、ぜひとも、人事交流が行なわれておる、現実的に矛盾、不合理が出てまいっておるわけですから、そういうものは取り除いていくことが将来における年金一元化への前向きの過程をたどる、こういうことにもなるのじゃないかという意味において、将来十分御検討願いたいと思います。  同時に参議院附帯決議の第一の(四)(五)ですか、ここに従来における共済条例関係のことに対する附帯決議が出ておるわけですけれども、第一の(四)(五)この点に対して、一体この附帯決議に対しまして、これらの事項に対する通算、あるいは権利確保期待権と申しますか、こういうものに対してどういう措置をとろうという考え、あるいは運営上においてこれを解決していく考えか、あるいはまた将来新しい立法的措置によってこうした問題を解決していく考えを持っておられるか、その点をこの機会にお伺いいたしたいと思います。
  16. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この点につきましては参議院の御審議におきましていろいろ御検討をいただいたわけでございますが、私どももこの附帯決議の御趣旨につきましては、十分誠意を持って検討してまいりたいと考えておるわけでございます。ここで指摘をされております職員につきましては、実は一部実情の報告を徴してみたのでございますが、いろいろなケースがございますのでございます。そこで、それぞれのケースにつきまして、さらによくつまびらかにいたしまして、運用解決のつきますものは運用解決をする。検討いたしました結果、どうしても立法措置によらなければ解決できないということになりました場合には、あらためて国会の御審議をお願いするというふうに考えます。そういうことで今後よく検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  17. 佐野憲治

    佐野委員 参議院におきましても、いろいろな角度から質疑がかわされておりますので、この問題は慎重に御検討していただきたいと思うのであります。  次は納付の内容についてなのでありますが、私学共済の場合を見ましても、あるいはまた地方公務員共済の場合を見ましても、長期給付短期給付、二つを持っておるわけですが、この場合に長期給付のみにとどめて短期給付を除外している根拠はどこにあるものか。もちろん団体下部組織全国に所在をしておる、あるいはまた勤務先散在をしておる、こういうことも一応は理解されますし、非常にこまかい給付件数にのぼることも事務的には繁雑であることも考えられるわけですけれども、しかしこれら地方関係団体職員はわずか五千あまりになっておる、こういうこともあるでしょうけれども、しかしながら長期給付だけで短期給付を除外しておるその理由は一体どこにあるかということを、まず明確な理由を示していただきたいのと、これにかわる給付を一体どのような措置によって行なっていかれようとしておるのか、この点もひとつお聞かせ願いたいと思います。
  18. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この点につきましては、ただいま先生の御指摘になりましたように、事務的に考えてみますと、今回の団体が、その下部組織全国にわたって散在をしております。組合員勤務先全国的に散在をいたしておりますので、療養給付等給付件数の多い短期給付を行ないますためには相当の支部を設けるというような必要がございますが、組合員数がわずか五千人程度のものでございますので、そのようなことは経営上も不可能であるということが主たる理由でございます。それからまた短期給付をいたすにつきましても、同一勤務先における組合員数がきわめて少数でありますので、職域保険としての短期給付を行なうことが適当ではない、こういうような事情があるわけでございます。ただこの立案の際におきましては、私どもとしては短期長期両方とも行なうというたてまえで一応検討はいたしたわけでございますが、いまのような支障もございます点と、それから現在これらの団体におきましては、短期給付健康保険組合で行なっておるわけでございます。それで格別支障もございませんし、各団体の希望といたしましても、短期給付は将来の問題として、この際長期給付だけをとにかく制度化してほしいという御要望が強くございましたので、このようなことにすることにいたしたわけでございまして、将来ともこの短期給付を分けておくのが必ずしもいいというわけでもございませんので、将来いま申したような点の解決もでき、また関係団体の御要望もございますれば、短期給付もあわせ行なうように検討いたしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  19. 佐野憲治

    佐野委員 財政上のいろいろな困難な問題も一つ大きな要件となっておるということから、やはり五千人程度でこの団体関係共済を維持していくことが非常に困難となることも将来出てくるんじゃないか。保険経理の画におきましていろいろ先ほど来資料をいただいておりますし、これらの点に対して他の委員からも質疑があると思いますのでとどめままけれども、こういう点にも思いをはせますときに、やはり社会保障制度審議会答申いたしておるように、地方公務員共済組合の中に包含することが、こういう矛盾あるいは不安を解消する一つの道ではなかったか、こういうことも考えられるわけですが、十分これらの運営上の点に対する御検討をいただきたいと思います。  次に、給付の制限、地方公務員共済法の百十一条の準用が規定されておりますが、このような組合員に対する給付の制限を準用されねばならないという理由は一体どこにあるのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  20. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この点につきましてはいろいろ御議論のあるところと存じます。私どもも立法論といたしまして検討の余地がないわけではない、かように考えておりますが、現行法でこういう規定を設けております趣旨といたしましては、地方公務員共済組合組合員の相互扶助的な制度ではございますが、同時にこの制度が公務の能率的運営に資するということを目的といたしました制度でございまして、そのために地方公共団体からも相当な負担をいたしておるわけでございます。そのような点から考えてみますと、懲戒処分等に至りました場合につきまして、給付の制限がある程度行なわれるということもやむを得ないことかと思うのでございます。しかし、いずれにいたしましても、そのような給付の制限をあまりにもきびしくいたしますことは適当ではないと考えておりますので、この規定運用につきましては、できるだけ緩和をするように現在配慮をしておるつもりでございます。
  21. 佐野憲治

    佐野委員 恩給法のたてまえを受け継がれたという国家公務員共済あるいは地方公務員共済、そういう中には規定されてまいったのだろうと思うのです。しかしながら、地方団体共済組合の中にこういうものを準用することは、私相当問題点を含んでおるのじゃないかと思う。特に遺族年金に対しましてもやはりこの規定が準用されるということは、あまりにも過酷な条件ではないかというようにも考えられますし、厚生年金等にはこういう規定はないわけです。ですから、十分これらの点に対して将来法を改正するなり、あるいはまた当面運用にあたりましては、過酷にわたらないように十分配慮していただきたい、かように要望しておきたいと思います。  次に、運営の問題についてでありますが、百八十九条ですか、事業計画及び予算の作成、第一項あるいは重要な事項、第二項、これに対しましては大臣の認可を必要としておるわけであります。しかしながら、地方公務員共済組合法の場合におきましては、主管大臣に報告をする、主管大臣は自治大臣に通知をする、こういう規定になっておると思うのですが、地方団体共済組合の場合に大臣の認可あるいは監督権を強化しなくてはならない理由は一体どこにあるのか、この点もお聞かせ願いたいと思います。
  22. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この監督につきましてこのようなたてまえをとりましたのは、私立学校職員共済組合あるいは農林漁業団体職員共済組合の例にならったわけでございます。実際的に申しましてもこれらの団体につきましては、地方公共団体に対しまする場合よりもその運営が適切かつ円滑に行なわれますように、自治省といたしましても指導をしてまいる必要があるのではなかろうか、かような考え方をいたしておるわけでございます。もちろんこのような規定があることをたてにとりまして、無用な干渉をするというようなことは毛頭考えておりません。せっかくできました制度でございまするので、これらの団体がよくこの制度趣旨を理解をされまして、適切な運営がなされてまいりますように指導をしてまいる、かような心がまえでおるわけでございます。
  23. 佐野憲治

    佐野委員 運営審議会の中に組合員の意思、希望の反映ということが、地方公務員共済組合法の場合に七条に規定されておるわけですが、今度の地方団体関係共済法の中にどのようにそれを反映させるのか、具体的な考え方を持っておられるのか、この点はどうです。
  24. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この団体共済組合運営審議会につきましては、百七十九条の第三項で「委員は、自治大臣が団体共済組合組合員のうちから命ずる。」ということを明記をいたしまして、組合員以外の者が運営審議会の委員に任命されることは排除をいたしておるわけでございます。したがいまして、この運営審議会を通じまして組合員の意思が十分反映できるものと考えておるわけでございます。なお運営審議会の委員の任命にあたりましては、関係の団体のそれぞれの組合員数を勘案いたしまして、できるだけ公平かつ公正に組合員全体の意思が反映できますように、十分配慮をいたしてまいりたいと思っております。
  25. 佐野憲治

    佐野委員 いまこれらの質疑を通じましても、やはり地方団体関係団体が持っておる、たとえば五千人足らずである、あるいはまた全国下部組織散在をしておる、勤務先散在をしておる、こういうような形の中で一つの共済をやっていこうとするところに非常に無理と不安がある、そういう意味で大臣の監督権も強化しなければならないとか、認可事項を非常にきび設けておる、こういうことにもなるのではないかという意味から、やはりできるだけこうした地方団体関係共済というものは地方公務員共済の中に包含されることがそういう矛盾を解決する道ではないか、かようにも感ずるわけで、そういう角度からも将来御検討願いたいと思います。  最後に、積み立て金の運用についてでありますが、この点につきましても百九十三条に規定されておるわけですが、その中でいつも問題になっておりますように、積み立て金、余裕金の運用について、地方公務員共済の場合は政令第十六条によって金融機関が指定されておるわけです。この中に労働金庫が除外になっておるという点は、今度の場合におきましても、長期給付を目的とする地方団体関係共済でありますので、労働金庫が除外されるのではないか、こういうことも考えられるわけですが、一体政府部内においてどのような解釈を持っておられるのか。
  26. 佐久間彊

    佐久間政府委員 労働金庫の扱いにつきましては、地方公務員共済組合の場合と同様な考え方でまいりたいとただいまのところ思っておるわけでございます。労働金庫につきましては、現在地方公務員共済組合の場合におきましては、短期の資金の預け入れには利用いたしておりますが、長期の資金につきましては、省令におきましてこれを除外をいたしておるわけでございます。これは労働金庫が、本来会員の預金等の受け入れ及び会員に対する資金の貸し付けを行なうことによって、労働組合等の健全な発達を促進するということを目的といたしておりますので、長期の資金を預金するということにつきましては、資金の性質上なお若干問題があるのじゃなかろうか。このようなことが地方公務員共済法を立案いたします過程におきまして、政府部内においてあったわけでございます。この点につきましては、国家公務員共済組合等におきましても同様な扱いをいたしておりますので、なお御指摘の点につきましては、今後政府部内の統一的な扱いの問題として検討をしてまいりたいと思います。
  27. 佐野憲治

    佐野委員 率直に言って私たちもわからないのですけれども、いろいろな問題に直面いたします場合におきまして、常に労働金庫は一般金融機関と隔離した別の目的のものだという解釈をもって除外になっておるわけです。この法案の場合におきましても、百九十三条で政令で定めるとなっている。おそらくこれは除外になると思うが、そういうことがどうもはっきりしない。労働金庫に対する解釈なり労働金庫を除外する理由について、政府部内においていろいろ検討しておられると思うので、それらの点を率直にお聞かせを願いたいと思います。
  28. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは金融機関の扱いの問題でございますので、大蔵省が主管省になるわけでございますが、従来から国家公務員共済組合におきましてもそのような扱い方がなされてきております。率直に申しまして、労働金庫は同じ金融機関でございますけれども、銀行等の金融機関と違いまして、特殊な目的のもとに特殊な機能を営んでおるわけでございますから、その点でただいまのような取り扱い方が一般的な扱い方になってきておるのかと思います。なお、この点につきましては、今後さらに検討はしてまいりたいと思います。
  29. 佐野憲治

    佐野委員 労働金庫の内容あるいは運営に対して不安があるとするならば、そういう点をもっと具体的に改善する方途を積極的に取り上げられるべきだろうと思う。その内容が一体どうなっておるかも明らかにされずして、別の目的だとかあるいはまたいろいろなことで実際の問題を避けておられる。こういうことは、各委員会においても、あるいは災害その他が起こりました場合におきましても、いつも大蔵その他との間に論議がかわされておることを非常に遺憾に思うのですが、それは自治省だけの問題ではありません。しかしながら、地方団体関係共済組合におきましては短期給付をやっていない、あるいは狭い意味における福祉事業を取り上げていない。こういうことから考えてまいりましても、広い意味におけるこれら地方団体関係職員の福祉向上のためにやはり何らかの措置をしていかなくちゃならぬではないか、そういうのが現実の事態だろうと思います。そういう意味におきまして、積み立て金なり余裕金というものを、もっと広い意味における福祉事業の一環として、あるいは福祉向上の一環としてこれを活用する、こういう方向に自治省としても努力していただきたい。そうして、地方団体関係共済組合は、地方公務員共済組合よりも不利な条件のもとに現在あるのではないか、こういう疑惑にこたえることがやはり必要ではないか、かようにも考えるので、その点を要望しておきたいと思います。  理事会の申し合わせによって、本日で質疑を打ち切ることになっておるそうでありますし、かつはまた細谷、川村、安井三委員からも具体的な問題について質疑があるそうでありますので、私はこれで終わらしていただきたいと思います。
  30. 森田重次郎

    森田委員長 細谷治嘉君。
  31. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まず第一点にお尋ねいたしたい点は、第四十国会におきまして、衆参両院で附帯決議がなされたわけであります。その附帯決議の中に、「組合等の資産の運用に当っては組合員の福祉の向上に万全を期すること。」という一項目が両院共通して入っておるわけです。ところで参議院の今度の附帯決議の中にも「団体共済組合の資金の運用にあたっては、組合員の福祉の向上に資するよう配意すること。」という同じような附帯決議がなされております。今度のこの団体共済は四十国会における附帯決議に基づいて――行政局長の言葉をかりますと、議員立法すべきものをこちらでやったのだというくらいにやらなければならぬものが取り上げられたわけでありますけれども、四十国会、四十六国会と、同じような附帯決議がなされておることは、一体どういうふうに受け取っておるのかお尋ねいたします。
  32. 佐久間彊

    佐久間政府委員 策四十国会におきまして、御指摘のような附帯決議がなされたことは私もよく承知をいたしております。その点につきましては、私どもといたしましては最善の努力をいたしておるわけでございます。具体的に申しますと、地方公務員共済組合の資金の運用について、資金運刑部に預託をせよという要望が大蔵省当局から自治省になされたわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、これは地方公務員及び地方公共団体からの資金であるから、地方公務員の福祉並びに地方公共団体の行政目的に還元すべきだ、これがまた附帯決議の御趣旨でもあるわけでございますので、大蔵省と折衝いたしまして、資金運用部に預託をするということをやめさせたわけでございます。そこで現在それにかわりまして大体三分の一程度は地方債等に運用することによりまして、ちょうど資金運用部に国家公務員共済組合の資金を預託をしております分に相当いたします分を地方公共団体に還元をするという扱いをいたしておるわけでございます。そのほかこの資金の運用につきましては、最近の実情にかんがみまして、昨年度以来職員の住宅等につきましては特に配慮するようにいたしてまいっておるわけでございます。  今回の参議院におきまする附帯決議は同様のおことばでございまするが、これは団体共済組合につきましても同様な配慮をすべきだ、こういう御趣旨と承っておるわけでございまして、私ども地方公務員共済組合につきまして配慮いたしましたと同様の配慮を、団体共済組合の資金の運用につきましてもいたしてまいるつもりでおるわけでございます。
  33. 細谷治嘉

    ○細谷委員 四十国会における附帯決議と同様の趣旨である、こういうように受け取っているということでありますけれども、四十国会における附帯決議に基づいて資金運用部にこの資金を回すということではなくて、もっと福祉の増進に役立つようにしろ、こういうことで、その線に沿うて、いま局長がお答えしたように、地方債の問題なりあるいは地方職員の住宅等の資金に充てるようにしてきたんだ、こういう事実の上に立って今度新しいこの団体共済組合ができるわけであります。そういう事実ですから、当然そのラインに乗ることはもう参議院のほうでも考えて、なおかつ今度の法律の改正にあたってこの附帯決議がついたということは、ただいま佐野委員からも質問があったように、具体的な問題、たとえば産業労務者の住宅を建てる、労働金棒が住宅を建てる、そういう場合の頭金というのはやはり労働全席が持つ。そういうことでありますから、具体的にはそういう問題を含んで、この参議院附帯決議がなされたものと考えるわけでありますけれども、四十回国会と同じような理解のしかた、受け取り方というのは、今日の実情なり参議院附帯決議の精神を一部忘れておるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  34. 佐久間彊

    佐久間政府委員 参議院の御審議の過税におきまして承った御意見を補足させていただきますと、御質問がございましたのは、今度の団体共済組合の資金運用につきまして規定をいたしました百九十三条の規定と、地方公務員共済組合の資金の運用につきまして規定をいたしました第二十五条の規定の違いについて御質疑がございました。第二十五条におきましては、「組合員の福祉の増進又は地方公共団体の行政目的の実現に資するように運用しなければならない。」かような字句があるわけでございまするが、今回の百九十三条におきましては、それがないわけでございます。この点につきまして私どもお答え申し上げましたのは、今回の団体共済組合長期給付だけをいたしまするので、したがいまして、いわゆる福祉事業といたしまして規定をされておりますものは、短期給付の資金の運用ということになっておりまするので、そういう意味の福祉事業というものは、この団体共済組合の資金の運用としてはできないわけでございます。それからまた地方公共団体の行政目的の実現と申しまするのも、団体共済組合は成立の根拠地方公共団体に持ってはおりまするけれども、直接地方公共団体が構成しておるわけではございませんので、そういう表現をそのままここに使用するということもいかがかと思いまして、この表現は落としたわけでございます。しかしこの資金の運用にあたりましては、あとう限り組合員の福祉の増進なり地方公共団体の行政目的の実現に資するようにという配慮は、私どもといたしましてもしてまいるつもりでおるということを申し上げたわけでございまして、そこでこのような附帯決議がなされたものと理解をいたしておるわけでございます。
  35. 細谷治嘉

    ○細谷委員 参議院は、四十国会における附帯決議を自治省が尊重してやってまいったという確認の上に立って、今度の団体共済にあたってもこういう附帯決議をつけたと思う。その具体的な問題の一つとして、たとえばさっき佐野委員が御質問したように、労金等面接労働者の福祉の資金を扱っているところにこの資金を活用していただく、福祉の向上に役立てる、こういう一歩進んだ具体的な内容を持ったものが織り込まれていないことはいなめない事実だ。そこで先ほど佐野委員がこの問題を具体的に取り上げた。そうなってまいりますと、四十国会附帯決議、今度の参議院附帯決議ということからいけば、一歩進んだ措置をとるべきではないかと私は思う。それが参議院附帯決議を生かすゆえんじゃないかと先ほど佐野委員も御指摘された。ですから先ほど佐野委員に対する答弁では私は不満足だった。やはりそういうものについて具体的に考えるというのが参議院附帯決議趣旨でありますから、そういうところまでひとつお答えをいただかなければならぬと私は思うのです。重ねて御答弁を願います。
  36. 佐久間彊

    佐久間政府委員 資金運用の一つの問題として労働金庫に預託する問題を御指摘になられたわけでございますが、この点につきましては参議院でも御質疑がございました。また先ほど佐野委員からもいろいろ御指摘をいただいたわけでございます。私どもといたしましても、この点につきましては御審議の経過をよく念頭に置きまして、今後検討してまいりたいと思っておるわけでございます。ただこの労働金庫の扱いにつきましては、政府関係の共済組合と統一的な取り扱い方が従来なされてきておりますし、また金融機関そのものにつきましては自治省が三管官庁でもございませんので、よく関係省とも相談をいたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように今後検討してまいりたいと思います。
  37. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは今度の団体共済ばかりではなくて、四十国会で成立いたしましたすべての団体共済の基金の運用にあたって、重ねて参議院がもっと具体的に進んだ附帯決議をなされたと私は理解しておりますし、また当局もそう理解すべきだろうと思う。そういう点で福祉の向上に役立つように、もっと一歩を進めた具体的な検討をひとつ前向きでやっていただきたいということを重ねてお願い申し上げます。  その次にお尋ねいたしたい点でございますが、四十国会附帯決議の中でこういうことがなされておる。「掛金等の標準的な率未満の率による退職年金制度の適用を受けている職員について、制度の改正に伴う負担の増嵩を経過的に事実上緩和できるよう適当な措置を講ずること。」これに引き続きまして「給付費及び追加費用については、国庫負担その他の方法により地方公共団体の財政を圧迫することのないよう万全の財政措置を講ずること。」これは両院共通してこういう附帯決議がなされておる。これについて現状はどうなのか、どういうふうに現状を把握しておるのか、理解しておるのか、これをお尋ねいたします。
  38. 佐久間彊

    佐久間政府委員 第一の点でございますが、四十国会におきまして、地方公務員共済組合法を御制定いただきます当時の状況といたしましては、各地方公共団体によりまして、この年金制度が区々であったわけでございます。団体によりますと掛け金の率がこの法律に定めてございます標準の率よりも低い率で給付をいたしておったところもあるわけでございます。それらの、いわば組合員にとりましての既得権と申しますか、そういうものの尊重については十分配慮をしていけ、こういう御趣旨でございまして、その点につきましては、これはケースがいろいろございまするので、個々の事情に応じまして、あるいは退職手当でその分をカバーするとか、あるいは地方公共団体がその相当分を職員の互助会等の福祉事業に回すとかいうようなことで御相談に応じて指導をしてまいったのでございます。  それから第二番目の給付、あるいは追加費用についての国庫負担の問題でございまするが、これは共済組合法律案過程におきまして一〇%の国庫負担をなすべきだという主張を自治省といたしましては大蔵省にしてまいりまして、その話し合いがつかないためにこの地方公務員共済組合法の提案が二年以上おくれた実情もあったわけでございまするが、最後の段階におきまして、直接の国庫負担の形によらないで、地方交付税の税率を引き上げることによって、地方の一般財源を増加をして、それによってその一〇%分は地方公共団体が負担をするんだ、そういうことによりまして政府部内で意見の調整をいたしまして御提案をいたしたわけでございます。その附帯決議の御趣旨はそれをさらにやはりこの交付税による一般財源の増加の方法ではなくして、直接の国威負担とするようにすべきだ、こういう御趣旨でございましたが、この点につきましては、ただいままでのところ、政府部内におきましてはその御趣旨に沿うように努力をいたすというところまで参っておりません。率直に申しまして、いろいろな経過のあった問題でございますので、しばらく地方公務員共済組合法提案当時の政府部内の話し合いによって、地方交付税の増強によって地方公共団体が一〇%相当分を負担をするという方式で進めてまいりたい。しかし、将来さらにそのことについて適当でないという結論を得ますれば、あらためてこの問題について大蔵省と折衝してまいりたい、そのような考え方をいたしておるわけでございます。
  39. 細谷治嘉

    ○細谷委員 実は、きょう行政局から参考資料一、二というのをもらったのです。法律審議の端的にいいますと最終段階において、三月につくった資料が、参議院先議という理由だそうですけれども、もう末期に近づいて、重要ないまの財政的な資料とか何とかをきょういただいておる。きょう配られたのですよ。これは議員は勉強するな、資料を見られたら困る、こういうことにしかならぬ。これははなはだ遺憾に思っているのですが、委員長、今後こういうことのないようにお願いしたい。
  40. 森田重次郎

    森田委員長 ただいまの点は、この前にもそういうあれがありまして注意いたしておきましたが、この次からそういうことのないように取り計らいます。
  41. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで私どもはきょう資料をいただいたので詳しく見ておりませんけれども、この趣旨というのは、職員の負担の激変が起こらないよりにしなさい、端的に言いますと、局長おっしゃるように、千分の十五とか二十くらいがそれまでの負担金であったのです。ないところもあったのです。ほとんど全部自治体が負担しておったという市もございます。ところが、気に千分の四十五ですか、こういうように上がりました。給付内容はどうかというと、大して変わらないのですよ。給付内容というものはあまり変わりません。それにかかわらず、負担というのは非常に大きく激変しました。二倍、三倍と上がったんです。はなはだしいところでは無限大になったんです。そういう実情は、この四十国会附帯決議の精神に沿ってはおらないではないかと私は考えます。端的に申し上げますと、このためにあまり激変が起こるので、多くの市町村では、その激変の一部を自治体で持ってやろうかということになっておることも御承知のとおりであります。どういうことでやったかといいますと、昇給期限の三ヶ月短縮なり、昇給期限の六ヶ月短縮、こういう措置が地方自治体ではとられております。地方自治体の財政負担です。職員の激変が起こっているから若干の緩和をしようということで、職員と自流体がこれを負担しておるという実情であります。そうしますと、国庫負担その他の方法により地方公共団体の財政を圧迫することのないように万全の財政措置を講ずるというこの附帯決議の精神も無視されておる。こう言わざるを得ないのでありますが、いかがでありますか。
  42. 佐久間彊

    佐久間政府委員 組合員の掛け金が千分の四十四になりましたことは御指摘のとおりでございまして、それが従来のたとえば恩給でありました場合は千分の二十でございましたものがそれだけ上がったわけでございますが、これは制度全体といたしまして給付内容が改善をされたわけでございまして、しかも従来の恩給によりますと、毎年往年予算に計上をいたしまして、その年の必要分を措置するという方式をとっておりましたのを保険数理に基づく方式に改めたわけでございまして、それらの結果、そのような掛け金が増加をいたしたわけでございます。これは制度の改正に伴う増加でございまして、その附帯決議で仰せられておりますのは、その際、従来のものが恩給法並みの負担もしていなかったその分の幾らかを市が出しておったというような場合についてのお話でございまして、その点につきましては先ほど申しましたような措置を実際にとることによってほとんど問題が解決してまいったと思っておるわけでございます。  それから第二の点につきましては、この新しい共済制度をとることによりまして、地方公共団体の全体の財政負担が増加をいたしますことは御指摘のとおりでございまして、その点につきましては交付税の税率の引き上げをその当時行ないまして、その後地方財政計画の上におきましても、この所要の財政需要につきましては毎年そのとおり計上をいたして措置してまいっておるわけでございますから、この地方公務員共済制度をとることによって地方公共団体の財政を圧迫をするというような事態は起こっていないというふうに考えておるわけでございますし、今後ともそのようなことにならないように十分配慮してまいるつもりでございます。
  43. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方公共団体の財政を圧迫しておらぬという行政局長の断定でありますが、これは非常に大きな問題である。交付税で措置しているということでありますが、大体において、私の承知している範囲では、地方公共団体の負担が、それまでは一千万円であった市は三千万円になっておる。千五百万円であったところが四千五石万円になっておる。そのくらい、約三倍程度の負担増になっているというのが実情ではないかと思う。そのほかに、千分の十五であった、千分の二十であったというところが一挙に千分の四十四という形になりますから、そのうちの一部分を昇給の三ヶ月短縮なり六ヶ月短縮という形で、激変を緩和してやったという実情がございます。そういうことを御存じで、こういう公開の席上ではいかにも知らない形で、交付税で見ておるから完全に埋めておるのだ、財政を圧迫していないのだ、こういう理解であってはたいへんだと思う。実情は圧迫してないとあくまでもお思いになりますかどうか。交付税で完全に補てんしていると理解なさっておるのかどうか、承要な点でありますから重ねてお尋ねいたします。
  44. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この法律に基づきます地方公共団体の負担分につきましては、地方財政計画上支障のないように計上をいたしておりますので、その点につきましては支障ないものと考えております。
  45. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方財政計画の数字は実績でも何でもないんですよ。現に自治省から出された資料では、実績と地方財政計画との間には一〇対七の開きがある。そういう形で、自治省当局がこれで一切の財源措置を圧迫のないように措置したんだ、こういう御理解で押し通される限りにおいては、自治体はたまったものではありませんよ。あくまでもそういうふうに言い張るおつもりですか。
  46. 佐久間彊

    佐久間政府委員 いろいろ地方財政のことを御心配いただきましてのおことばにつきましては、私どももありがたく承っておるわけでございますが、この地方公共団体の負担金は、法律に基づく義務費でございますから、地方財政計画を立案いたします場合にも、当然そのまま計画いたしましたものを計上いたしておるわけでございますので、繰り返し申し上げますように申し上げておる次第でございます。
  47. 細谷治嘉

    ○細谷委員 わかりました。そうしますと、くどいようでありますが、重ねてお尋ねしますが、四十国会における両院の附帯決議のうち、地方公共団体の負担増にならないように財政計画で見たので、公共団体には一つも迷惑をかけておらぬ。――それではこの制度なるものによって負担の増高というのが経過的に起こっておりますが、これを緩和するということについてはどういう措置を講じているか、これをお尋ねいたします。
  48. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたのは、これは職員の負担の増の問題でございます。先ほど私申し上げましたのは地方公共団体の負担の問題でございます。地方公共団体の負担につきましては、当然義務費として処置をいたしておるわけでございますから、これは支障はないものと心得ておるわけでございますが、ただいま御指摘になりました職員の分につきましては、掛け金が先ほどの御指摘のありました標準的な率未満の率で従来適用されておりました市の職員につきまして、急に負担の増高をしたというようなことのないように、これは経過的に緩和するようにせよということでございまして、これにつきましては先ほど申し上げましたような、あるいは退職手当あるいは、互助会等の職員の福利厚生施設にその分を地方公共団体運用するということで、個々の実情に応じた措置を指導をしてまいった次第でございます。
  49. 細谷治嘉

    ○細谷委員 個々の実情に応じた措置を講じたということですけれども、私は、先ほど申し上げたように、あまりにも、倍以上の職員自体の負担が起こったので、三短とか六ヶ月短縮というのを自治体は現実にやっている。あるいは自治省がそんなことをやらぬでいいじゃないかとおっしゃるかもしれない。国がやらないものですから両院議会の附帯決議の線というのを、残念ながら地方団体がしりぬぐいしている。ですから私が聞いていることは、地方公共団体については地方財政計画で見たのだけれども、それなら附帯決議のもう一つの、職員の負担の増高というものについては何もやっておらぬじゃないか、それについて福祉とか、個々について見たということでありますけれども、そんなものじゃないのです。負担の増高というもののしりぬぐいを地方団体がやっている。これは地方財政計画で措置されたのですか。そうでなければこれは両院の附帯決議の一つは無視したんだ、こう言わざるを得ないではないかというのが私の質問の点なんです。
  50. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この第四十国会附帯決議におきまして、掛け金算の標準的な率未満の率、こういう表現が使われておりますのは、この標準的な率と申しますのは、従来の恩給法によります千分の二十を標準的な率と申しておったわけでございます。その千分の二十が千分の四十四になりますことは、これは制度の改革によるわけでございして、そのために給付内容も改善されたわけでございますし、先ほど申しましたような、従来の予算方式から保険方式に変わったことに伴う増加でございますから、その点につきましては四十国会における御審議におきましても、これは制度改革に伴うものとして御了承をいただいたわけでございます。ただ従来恩給法並みの千分の二十の負担も組合員にさせていなかった、その千分の二十のうちの五とか十とかを市の当局がかわって負担をしてやっておったというようなものにつきましては、その分が職員の事実上の負担ということになりますので、それを緩和するような適当な措置を講じろ、こういう御趣旨であったと理解をいたしておるわけでございます。
  51. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私が申し上げたいのは、そういう附帯決議がなされておるにかかわらず、交付税で見たのです。地方財政計画で見たのです、こういうふうにおっしゃっております。自治省に責任はないんだ、――いかにもしゃくし定木で官僚的でございます。そうしてたとえばこういう地方団体については国の補助は補助として、自治省も一〇%ということで考えておったのだから、当然そういうものはきちんとして補助で見てもらいたい、こういうこと、が地方団体要望でありますけれども、それは取り上げない。ところが法律ではどういうことかというと、軍隊に入っておった人のこういう年数は考えてやる、その負担は、地方公務員共済組合では地方にかかってくるでしょう。国の法律がきめたんでしょう。軍隊というのは地方団体に関係はありませんよ。国がはがきで召集したのです。その勤務年数は見なさい、こうきているんでしょう。こういう点はきわめておかしいのであって、ほかのほうではたとえば国庫負担を出しております、国庫補助は見ております。ところが一泊体の公務員共済なり、そういうものについては交付税で見ております。――雲をつかむような話だ。そして雲が皆さん方にとってはけっこうなんですね。雲でカバーしておりますから。見たんだ、見たんだ、全くの一銭一厘の間違いなく見ております。財政負担はかかっておりません、こういう答弁で逃げるわけです。こういうことでは自治を守る、地方自治を発展させようという自治省のどうも役目があまりにも官僚的である、こう思うのですが、そういう点に矛盾をお感じにならないかどうか。国の施策によってそれを全部法律できめて、それを全部地方にしりぬぐいさせておる、そして交付税で見ておるのだ、こういう形では許されないと思うのですが、重ねてひとつお尋ねし、これは基本的な問題でありますから、自治大臣の所見もひとつお尋ねしたいと思います。
  52. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この法律ができたときの附帯決議を中心にしての御議論のようでございますので、いまよく読んでみたわけでございますが、ちょっと私も理解に苦しむ点があるわけでございます。団体の負担分として義務的に支出すべきものにつきましては、さっきから行政局長が、それはやはり交付金のほうで措置はとってある、――いま細谷委員が御質問になっているのは、本人がかける分のことを意味していらっしゃるのでしょうか。どうもそこらの点、私承っておってよくわかりませんが、しかし私は保険というものをこういうふうに考えておるのであります。大体、団体とか本人がかける部分があります。この掛け金で一つのファンドができたものが、いま第一条にきめてありまするとおり、いろいろ本人または遺族等の生活並びにまあ福祉の向上のために使うということ、それからさらにこれが長後には、やはり本人がかけたもののおそらく倍くらいなものが当然本人には返ってくるわけでございます。だから私もこの附帯決議をざっと見ましたところ、経過的な血でどうも多少不安があるので、そのことについては本人が損にならないようにということの意味のものではないかと思うのですが、私、まだ十分に実は勉強しておりませんので、そこらのところはよくわかりかねるわけでございます。しかしながら、全般を通じて細谷委員が言っておられることは、本人が負担すべきものはやはりできるだけ低目にするということは、こういう制度趣旨から考えて当然のことであると考えまするので、そういう努力はやはり検討して進めていかなければならぬと思います。私が申し上げることは、あなたの御質疑と食い違っておるかも存じませんけれども、まあ大ざっぱに育ってそういうふうに理解しておるわけでございます。
  53. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まあ全く食い違っているとは申し上げませんけれども、私がお聞きしておる趣旨は、両院で四十国会附帯決議をした際に、地方団体にも過重な負担が起こらないようにしなさいということ、職員自体にもその負担の激変が起こらないようにしなさい、こういうふうに附帯決議がなされておるわけです。これに対して自治省は、あくまでも地方団体の負担が起こらないように一〇〇%交付税で措置しております、御心配要りません、全然もう地方団体には負担をかけておりませんと言い切っております。それでは現実にやはり地方団体のほうでは――私は残念ながら行政局長のお答え、交付税で全部見ていただいておるとは考えておりません。ここにも差がありますけれどもこれはさしおいて、一〇〇%措置しておるのだとおっしゃるのですけれども、それでは仙人の問題についてはどうなったのか。附帯決議の一項ですよ、それについては。地方団体はあまりにも大きな激変が起こってくるので昇給期間の三ヶ月短縮なりあるいは六か月短縮というのはほとんど各自治体でとられております。そういうのは御存じないのか。あるいは国が召集した軍籍にあった人の勤務年数を通算するということになりますと、これはやはり地方団体に負担が起こってくるのではないか。そういうような問題について、それは地方がやったことだから知ったこっちゃない、おれのところは交付税で全部見てやっておるのだ、責任はない、地方自治体が放漫な財政運営をやっておるのだ、こういう結論ではなくて、この趣旨に沿って自治体の財政の問題、個人負担の問題等を十分考えたあったかい――という形容詞は申し上げません。当然自治省として考えてやらなければならぬものを、官僚的に、見ているんだからいいんだ、そういうことでなくて、自治体を強化育成していくという観点において、ひとつ大臣に何とか自治省として考えていただきたい。国庫補助等を見ていただかなければいかぬ。そういう点についての大臣の所見なり決意をお伺いしておる。
  54. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私はいま承ると、さっき御答弁申し上げたことはちっとも変わっておりませんで、まさにそのことを申し上げたと思っておるわけです。法律できめられている部分につきましては自治省のほうで、ただいま行政局長と耳打ちしても完全にちゃんと見ておりますということを言っておるわけです。  もう一つ別の問題として、そういう途中からこれに入ってくるとか、あるいは経過的な場合において不利な立場に立たされる人の場合に、急激な変化のある場合に、特にあったかい配慮をせいという意味のことだと思うのですが、それにつきましては補助金のことをすぐ持ち出されますけれども、それがどういう場合があり、また計数的に一体その負担がどういうことになるのかということについては、まだ実はそういうこまかいところまでは自治省でも調査が行き届いておらぬようでございます。しかしながら、そういった問題すべてにつきまして附帯決議をいただいておりますので、その趣旨に沿うような努力をいたしたいということを先ほども申し上げたわけでございます。
  55. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まあ大臣を信用していつも附帯決議がなされますと、その附帯決議を尊重してこの線に沿うて努力しますと約束しているのですから、ぜひひとつ附帯決議は尊重して、ひとつ十分に消化していただきたい、こういうふうに思います。  そこでお尋ねしたいのですが、提案されておる法律案については、地方公務員の問題と団体共済との間に差があるわけでありますけれども、この差については最近政府部内においても話し合いがついて、差を設けない、こういうことになったんですね。参議院附帯決議の幾つかはある程度消化されておると、こういうふうに聞いておりますがいかがですか。
  56. 佐久間彊

    佐久間政府委員 その点は先生のおっしゃいますとおりでございまして、参議院でいただきました附帯決議の(二)でございますが、「団体共済組合員の掛金の標準となる給料及び退職年金の最高限度額については、地方公務員との均衡を考慮し、検討すること。」とございますが、その後政府部内におきましてさらに相談をいたしました結果、この点につきましては今国会においてまだ法案を提出いたしておりません。他の私学共済等につきましても実施をしようということになったわけでございまして、この団体共済につきましても、そのようなことで御審議過程で御考慮をいただきたいというふうに存じておったわけでございます。
  57. 細谷治嘉

    ○細谷委員 附帯決議がさっそく参議院で議決されまして、今国会中にその線がある程度前進したということについては、私はうれしく思うわけでありますが、そこでお尋ねしたいのは、そういうことで政府部内が不一致のために、不均衡な法律案という形で提案をされておるわけであります。原則的に同じだ、こういう観点に立っていらっしゃいますが、そうなりますと、なぜ今度の法律地方公務員団体職員との間の通算措置をやらないのか。同じ条件なんです。なぜこれを通算しないのですか。現実には人事の交流というものは行なわれておるのです。それなのにどうして通算措置を講じないのですか。人事の交流をやるなということでありますか。適材適所ということばをよく自治省はおっしゃるけれども、どうしてこれの通算はできないのですか、お尋ねいたします。
  58. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この点につきましては、先ほど佐野委員の御質問に対しましても申し上げましたように、私どもといたしましても十分検討はいたしたところでございますが、もともとこの共済組合制度は沿革上公務員恩給制度から発展したのでありまして、現在公務員でない者に対しまして、私立学校職員とか農林漁業団体職員、さらに今回地方団体関係団体職員という新しいものができることになったわけでございますが、立法論といたしましては、それらの共済組合職員期間と公務員の在籍期間とを通算するということも、十分検討に値するものと私ども考えておるわけでございますが、政府部内の考え方は、なお旧来どおり公務員とそれらの団体職員との通算はできないという基本的な考え方を、今日まだとっておるわけでございますので、今回その点は折衝はいたしましたが、その点につきましては、意見の調整ができるところまでは至っていない状況でございます。今後の課題として、引き続き検討をさしていただきたいと思います。
  59. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまのおことばに非常に懸念されることばがありますからお尋ねいたします。国家公務員地方公務員との間には通算措置は講ぜられておりますね。公共企業体との間に通算措置は講ぜられておらない。そこでいまの局長のおことばを聞きますと、そもそもそういうものから始まったのであるから、公共企業体関係と地方公務員なり国家公務員との間の通算措置は講ぜられておらぬのだから、そっちが先だ、地方公務員団体職員との間の通算措置は、そういうものを先に固めた上でなければやらないの、だというふうに差別をしておられるのですが、どういうことでしょうか。本来ならば差別すべきではなくて、そういうものをすべきなのです。しかも人事の交流が行なわれておるのですから。国家公務員地方公務員と公共企業体との間の通算措置が行なわれておらない現在においては、そちらが先ということでなくて、当然団体職員と地方職員との間に通算措置を行なうのが筋じゃないのですか。これを頑強に否定している理由が私はわからないので、お尋ねいたします。
  60. 佐久間彊

    佐久間政府委員 本来各共済組合は、それぞれ違う制度でございますので、相互の通算ということは、当初は考えられていなかったと思うのでございます。しかし、だんだんとそれらの問の通算考えるという方向で進んでまいっておるわけでございます。それらの中で一番密接な、お話の人事交流等も行なわれ、いろいろな条件が同様な立場にございます地方公務員国家公務員との間におきましては、地方公務員共済組合法の成立の際に、完全な通算ができるように処置をいたしたわけでございます。そこで私どもといたしましては、そういう相互の間の通算を認めようという方向は好ましいと思っておりますし、自治省としましては、そういう形で努力を今日までいたしてきたわけでございますが、今日のところ政府部内におきましては、国家公務員地方公務員とは公務員同士だから、これはよくわかるということで話がついたわけでございますが、他の公共企業体との間あるいは農林漁業等の団体職員との間ということにつきましては、なお公務員公務員でない者ということの峻別をする考え方で現在まいっておりますので、今日の段階で、その両方を通算するというところまで政府部内の愚見の調整ができなかったということを申し上げたわけでございます。
  61. 細谷治嘉

    ○細谷委員 その通産問題については、各所に問題点があるわけですが、私はその全部をいまこの段階で申し上げようとしているわけではありません。ただ現実に人事交流が行なわれ、またそうしなければならない団体職員と地方職員との間の通算措置が行なわれない。いまのおことばを聞いても、通算措置を行なうような、基本方向ではそのとおりであるけれども、やはり国家公務員と公共企業体との問の通算措置というものが優先するのだ、こういう考え方に立っておられるのではないか。そもそも地方公務員のこの共済組合を先につくって、ようやく附帯決議に基づいて今日この法律を出すなんていうことが根本的には問題点があるので、同時にやはりこの問題を出すべきではないか、こう私は思っております。しかしそれは今度附帯決議において出ましたから、これ以上申し上げませんけれども、少なくとも末端において団体職員地方公務員とは同じなんだ、この分くらいの通算をやらないことには――国家公務員と公共企業体との間の通算措置がされておらぬからというのではなしに、この通算措置こそまずやっていくことが、いまおっしゃった基本線に沿うゆえんである、こう私は思うのですが、これは重要な問題でありますから、ひとつ大臣から御所見を伺いたいと思います。
  62. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いろいろ意見もございますので、その問題については今後よく検討を加えたいと思っております。
  63. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは人事交流上非常に困っておりますから、ぜひそういうことでよろしくお願いします。  このことで具体的にお尋ねしたい点は、小中学校には県費支弁の教職員というものがおります。ところがその学校には用務員という市の職員がおります。それから学校給食を担当する調理人がおりますが、これは市から出る市の職員であります。任命権者は市の教育委員会であります。ところが先生方やあるいは事務員というか事務官といった人は、県の教育委員会が任命権者であります。ところがこういう任命権者の違うものをすべて学校共済ということで一括する、こういうことで末端では混乱が起こっております。これにどう対処するつもりか。むずかしい問題でありますから、お尋ねいたします。
  64. 佐久間彊

    佐久間政府委員 末端で御承知のように地方公務員共済組合に入るか、あるいは私立学校職員共済組合に入るかということで問題が起こっていることは私どもも承知をいたしております。ただ現行法におきましては、法律上は明確になっているわけでございまして、公立学校職員並びに都道府県教育委員会及びその所管に属する教育機関の職員、これは公立学校共済組合に所属するということになっておるわけでございます。ただ従来の沿革等がございまして、ただいま御指摘になりましたような職員につきましては、公立学校共済組合でなくて、地方職員共済組合あるいは都市職員共済組合等に所属をしたほうがいいというようなことで、いろいろ現場で話し合いが行なわれておるということは聞いておりまするが、法律のたてまえといたしましては明確になっておるわけでございます。  そこでお尋ねの点は、この現行法のたてまえをそういう職場主義と申しますか、そういうことでなくて、その他の任命権者が違うとか、職種が違うというようなことによって改正をするかどうか、こういう問題がございます。この点につきましては、私ども双方から御意見を伺っております。現行のたてまえがいいんだという御意見もございますし、いやそれは改めたほうがいいんだという御意見も伺っておりまするので、さらに双方の御意見もよく伺わせていただきまして、御意見が一致すればそれにこしたことはございませんし、御意見が一致しませんければ、一致を見ていただけるように私どもとしても努力をしてみたいと思います。
  65. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは任命権者が違っておりまして、非常に混乱が起こりやすいですね。そこで私はこの問題で困っておるもあですから、自治省の方々の御意見なり、文部省の方々の御意見を聞きますと、端的に言いますとこういうことをおっしゃる。それは自治労と日教組が話し合ってくださるのですか、こういう話です。どだい文部省は日教組とは話し合わぬと言っておるのに、文部省の人がそういう問題なら日教組と自治労と話し合ってください、こういうことを私は耳にしたのです。けしからぬことだと思うのです。どうあるべきか、なるほど全部通算措置はない。後ほど、最後に大臣の御意見を聞きたいのですが、佐野委員の質問の社会保障制度の問題と関連してお聞きしたいと思っておるのですけれども、そういう自治省と文部省との間で――法のたてまえははっきりしております。そういうことは具体的にできるにもかかわらず、自治労と日教組が話し合ったらいいでしょうというようなことでは、これは無責任きわまることだと私は思うのですが、こういう点もやはり末端で困っておりますから、すっきりしたらどうかと思いますが、いかがでありますか。
  66. 秋山徳雄

    ○秋山委員 一言、答弁の前に関連して。何かいままでの質疑応答を聞いておると、きのうの私の質問に対した答弁とちょっと違うような気がいたしますので、この際もう一ぺん細谷委員の質問にかみ合わせて御答弁の中に入れていただければ幸いだと思います。  きのうの課長さんの答弁によりますと、法律の上で第三条ですか、はっきりと規定されておるのだからという御答弁だったと記憶しております。したがって私はそういう明快な御答弁をいただければ、もうそれでもってあとは問題ないもの、したがって、私が質問した趣旨は大体において用務員あるいは調理士という人たちは、市町村が任命し、市町村が給与を支払っておる実態でありますので、そういう人たちはそちらのほうに入っていくのが当然ではないか、こういうふうに私は理解しておったわけであります。したがいまして、公立学校共済組合のほうには入るべきものではないという断定を、きのう受けたような心持ちがしておったわけですけれども、そうでないとすると、ちょっと食い違いがあるような気がいたしますので、その点をお考えの上で御答弁をいただきたいと思います。
  67. 佐久間彊

    佐久間政府委員 昨日秋山委員に対して給与課長が御答弁を申し上げましたのも、ただいま私が見ましたところ、私が先ほど細谷委員に申し上げましたと同様な御答弁を申し上げておるわけでございます。用務員等でございましても公立学校職員でざいまするので、現行法では公立学校共済組合に入る、こういうことになるわけでございます。しかしながらこの点につきましては、末端でいろいろ問題があるということは、現行制度につきましてもなお検討すべき問題があるということだろうと思うのでございまして、私どもといたしましては、重ねての御質疑でございまするので、よく文部省とも打ち合わせし、なお関係団体の方方の御意見も伺いまして、今後検討をいたしたいと思います。
  68. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題につきましては、端的に言うと、自治省が文部省に押されておるのだ、自治省はこの問題について熱意を持っておらぬのだという声すら聞くのです。ところが困っておるのは末端の自治体です。また職員です。これは任命権者が違っておりまして、労働条件等はどこがきめるか、給与の支払いはどこがきめるかといえば、一方は県の教育委員会であり、一方が市の教育委員会、そういう問題でございますので、ぜひこれはひとつすっきりしていただきたい、こういうふうにお願いいたします。  重ねて申し上げますれば、そういう問題は自治労と日教組が話し合えなんて、こういう声は自治省にも文部省にもあるようでありますが、こんなことでなくして、当局としてひとつきちんとしたことをきめていただきたいと思います。  最後に私はお尋ねいたしたいのですが、先ほど佐野委員からも質問があったわけでありますが、社会保障制度審議会答申では、この共済組合はやはり社会保障制度の一つの柱である。ところがばらばらであります。はっきり国庫負担を出すものもあるし、補助するものもあるし、しないものもある。交付税で見るものもある。それも筋が通っておりません。  それから給付についてはばらばらになりかけておったけれども、今度の修正等で、参議院附帯決議等で同じ水準になるような方向にございます。先ほど行政局長の自治省としての基本方向も、やはりそういうものを重要な一つの社会保障制度の柱として、審議会の方針に沿うてやっていきたい、こういうことでございます。幾多の問題点がございますが、これについてどういう具体的なめどで、こういうものを前向きにいまの基本線に沿って処理していくつもりなのか、対処していくつもりなのか。最後に自治大臣の御所見なり御決意を承りたいと思います。
  69. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私ども日常感じておることですけれども年金に関して社会保障的な面からいえば、公務員であれ民間であれ、働く人たちという立場では同じことでございますけれども、こういうものを一括して一本の制度のもとにやることができれば、いま御質問になっておる問題などは、一ぺんに解決するはずでございます。ところが実に複雑なことになっておりまして、私どもがちょっと具体的な問題を法律でどう規定されておるか調べるにいたしましても、なかなか頭に入りかねるわけでございます。こういったものはもっと簡単化して、そうして一元化するということはぜひやらなければなりませんし、結果的には自治省だけでなくして、ほかの各省にもまたがることでもあるし、やはりこういつた審議会的なものでできるだけ早い機会に、かねて私ども言っております年金一元化と申しますか、こういった方途を、ひとついい案を考えてもらわなければならぬと考えておりますが、われわれといたしましても、ただいま具体的な例をお述べになりましたこういう一つの共済制度があるからといって、たまたまあとで、どこでこういう給料をもらうようになったのか、これがはまるとかはまらないとか、はまらなければこうせいといったようなことが、これはあとからあとから出てくる、切りがないことであります。ですから、これはこういう制度が一日も早くできますことを期待をいたしますし、私ども責任の立場からいたしまして、また別の角度からもいろいろな問題点を整備をして、そして資料として提供したいと考えております。
  70. 安井吉典

    ○安井委員 ちょっと午後の審議でいろいろ資料をいただきたいのがあるのですが、そのうち特にいまお願いしておきたいのは、一つは先ほど質疑がございましたが、今度の団体供済の中に加入するのが適当であるかないかということでいま論議の対象になって、今回の法律からはじかれた団体が、国保中央会先ほど例にあがりましたが、そのほかだいぶあるのではないかと思いますけれども、自治省でいろいろ御検討されました団体はどれとどれであったかというふうに、それがわかるような資料をいただきたい。どういうふうなものが検討対象になったかということですね。それを一つ。これは今回は間に合わなくても、将来また考えなければならないということにもなろうかと思うのであります。その点ちょっと午後でよろしいから資料としていただきたいと思います。  それからもう一つ、今回の改正には直接関係ありませんけれども、いままでの運営内容についてちょっと知りたいものですから、その資金の運用の状況について実態が明らかになるような資料をいただきたいと思います。地方公共団体の起債に向けられているもの、それから預託等の運用がどういうふうな形でなされているか、それについての詳細な資料をいただきたいと思います。  もう一つ、今度の団体共済運営の問題にも関連が出てくると思いますので、現在の組合運営の概要がわかるような資料をいただきたいわけです。理事長だとか、理事だとか、監事だとか、そういう構成はどういうふうになっておるか、運営審議会のあり方はどういうふうな形になっておるか、これらについてもさきの法案審議にあたりまして附帯決議もあるわけでございますので、それらの内容がわかるような、そういう資料を一ついただきたいと思います。
  71. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいま御要求のございました資料のうちで、第二、第三の点は午後までに準備をいたします。第一の点につきましては、特に資料をお出しするほどの必要もないかと思いますので、ただいまお答え申し上げます。  立案過程で各方面から御要望がありましたものにつきましては、ほとんどこの法案の中に取り入れております。この中に入っておりませんもので、話題がございましたのは、一つは先ほど国保中央会でございますが、これは先ほど申しましたように法律根拠がございませんので除いたわけでございます。いま一つ話のございましたのは、港務局でございますが、港務局につきましては現在四国の新居浜に一ヵ所しかございませんで、しかもこれは聞くところによりますと、会社がもっぱら使っておるような性格のものでございまするので、そこに地方公共団体から関係の職員が行っておるというようなこともないようでございますので、それはこれに入れなかったわけでございます。
  72. 森田重次郎

    森田委員長 この際、委員長から自治省当局に希望いたしておきます。この資料提出の時期について、きょうは細谷委員、この前は安井委員から特別な希望があったわけでありますが、やはりできるだけ早く資料を出していただくことが法案審議の上にきわめて重要だと思います。会期もだんだん切迫してまいりまするし、大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律案並びに前から懸案になっておる地方行政連絡会議法案、これらの資料で特に希望せなくても、やはり審議に必要だと思われるものがあると思いますから、それらは至急ひとつ御提出をお願いいたしておきます。  午後三時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ――――◇―――――    午後三時十九分開議
  73. 森田重次郎

    森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。安井吉典君。
  74. 安井吉典

    ○安井委員 この法案の審議も大詰めにきたわけでありますが、この際若干の問題点について政府御当局のお考えを承りたいと思います。相当部分すでに論じ尽くされているわけでございますが、その中で若干はダブる点があるかと思いますが、その点御了承願いたいと思うのであります。  加入団体の問題につきまして午前中資料要求という形でお願いをいたしました際、行政局長から御答弁があったわけでございますが、一応法案立案過程において論議の対象になったのは、国保中央会ともう一つぐらいであったということでございましたが、これは立法作用ですから、法律をつくる以前の段階においてどこまでを範囲に入れようかということで論議をされる場合には、もっと幅の広い範囲でいろいろお考えがあったのではないかと思うのでありますが、地方公共団体には河川だとか道路だとかあるいは農林水産だとか、そういったようないろいろな事業に関連して都道府県段階あるいは中央段階において外郭団体がだいぶあるわけです。なるほど法律の基礎を持ったものは割合に少なくて、そういうものは今度拾われてしまっているというふうにも考えられますが、そういうものでないもの、ほとんどそれに準ずるようなものもだいぶあるのではないかというような気がするわけであります。たとえば道路協会とか河川何とか連合会とか、農業構造改善事業のための団体だとか、そういうのがあるように思うのですが、そういうようなものについての御検討はなさったかどうか、それをひとつ伺いたいと思います。
  75. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいまお述べになりました道路協会等につきましては、検討はほとんどいたしませんでございました。と申しますのは、今回の法律案は、衆参両院の地方行政委員会におきまする附帯決議を基礎といたしまして準備をいたしましたので、当院の附帯決議におかれましては、この法律案百七十四条の第一項第一号に書いてありまするいわゆる地方六団体と、第三号に書いてございまする国保連合会、第四号にございまする健保の職員というものでございましたので、それを中心といたしまして、なおその仕事の内容職員実態等がそれと同様な扱いをしてしかるべきものと思われますものを拾ったわけでございます。もっともその過程におきまして、ただいまお述べになりましたような類似のものも二、三どうかという話もありましたが、いずれも調べてみますと単なる任意団体でございまして、法律上の基礎もございませんので、そういうものは当時の段階では問題外として立案を進めた次第でございます。
  76. 安井吉典

    ○安井委員 市町村や都道府県の地方公共団体に、実に数多くの外郭団体があるわけです。それはもう自治省御存じのとおりです。それの存在がいいかどうかという問題もありますけれども、それは一応別問題として、今度こういうふうな形で年金法の適用のある団体、そうでない組織というふうに一応けじめが引かれたこの際において、次の段階にはやはり私はいろいろな問題が出てくるような気がするわけです。これだけですっきりおさまらないで、次の段階ではやはり何かこれも入れてほしい、あれも問題ではないかというふうなものが必ず出てくるような気がするわけでございます。そういう意味で私は今回の立法過程においても、政府はいろいろな角度から当然検討をしていたであろうと思うものですから、先ほどはああいう形で政府側のお考えを伺おうとしたわけであります。  そういたしますと、政府としては一応今度線を引いたそれ以外に広げないというのですか、それも実情によっては今後考えていくということなのですか。
  77. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ここに拾いましたものを一つの基準といたしまして、その内容検討いたしました結果、同様に扱ってしかるべきものというものが出てまいりますれば、さらに追加をいたしてまいりたいと思います。
  78. 安井吉典

    ○安井委員 私の質問は、ちょっとメモがあちこちしておりますので、順序はあっち行ったりこっち行ったりになるかと思うのですが、改正法の第百五十四条ですか、共済会についての民法の準用規定がございますが、そのうち第五十四条の規定の準用をやめているわけでございますが、これはどういう意味ですか。
  79. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは理事の代表権に関する規定でございますが、この団体職員共済におきましては理事長のみが代表権を持っておりますことを法律が明記いたしておりますので、民法のように理事が複数で代表権を持っておるという前提で、特に代表権を制限をいたしました場合を明確にするという趣旨規定を準用する余地がないというふうに考えましたので、落としたわけでございます。
  80. 安井吉典

    ○安井委員 ただ、いまのこの規定団体共済だけではなしに、百五十四条ですからもっと既設の組織にもこれは影響が出てくるわけじゃないですか。
  81. 佐久間彊

    佐久間政府委員 それはそのとおりでございますが、従来からこの規定を準用いたしておりますことは、そういう理由法律的に意味がなかったわけでございます。いわば整理漏れでございましたものを今回直したわけでございます。
  82. 安井吉典

    ○安井委員 次に、職員期間の通算の問題でありますが、参議院の段階におきましても、特に都市健保の職員の問題について論議がだいぶ戦わされたようであります。そして附帯決議の中にもその点が書き込まれているわけでございますが、これはだいぶややっこしい内容を持っているようであります。非常に技術的な問題で私どもよくわからないのですけれども、すでに都市健保の職員であって一応既得権を持っている者がそれよりも不利な立場に追い込まれる場合が出てきていることから問題が起きているわけでございますが、一応この問題についての自治省側の御見解を承っておきたいと思います。
  83. 佐久間彊

    佐久間政府委員 参議院附帯決議の、一の(四)と(五)の点でございますが、(五)の場合におきましてはこれは今回の団体共済の適用者になる者でございまして、従来こういう団体共済というものがございませんでしたので、実質は団体共済の適用者であるべき者、具体的に申しますと、都市健保の職員であった者でございますが、この市におきまして、便宜この市の職員共済条例の適用を受けさせておった者でございます。そういう者につきましては今回この制度ができましたので、この附帯決議でいうておられますように、ずっと引き続きまして団体共済の適用者であったということにいたしまして、共済条例の組合員期間でありました分につきましても、通算措置を講ずるようにいたすべきだ、かような御趣旨でございまして、私どももこの御趣旨のとおりに運用をしてまいりたいと考えております。  それから(四)の点につきましては、都市健保の職員でございましたが、その後当該地方公共団体の本来の職員になってしまった者の場合でございます。これにつきましても実情をまだ必ずしもつまびらかにいたしておりませんが、なおいろいろなケースがあるようでございます。そこでこの附帯決議の御趣旨をくみまして、それぞれのケースにつきまして検討をいたしまして、運用上救済できます者は救済をし、もしまた検討の結果立法措置を必要とするということになりますれば、次の機会にそのような措置をとるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  84. 安井吉典

    ○安井委員 いまの御答弁で、参議院段階でのいろいろなお話し合いが一応確認されたわけでありますが、前段の問題については次期国会で法改正を行なう。運用解決できる問題もございますけれども、やはりきっちりとしたことにしておくほうがいいと思うのですが、そういうお気持ちはありませんか。
  85. 佐久間彊

    佐久間政府委員 前段とおっしゃいますのは(五)のほうの問題かと思いますが、(五)のほうの問題につきましては、法改正までいかなくても解釈上解決ができるんじゃなかろうかと現在は思って検討しております。  (四)のほうにつきましては、これは実は実態が必ずしもまだすべて私どもよく把握しておりませんので、ものによりましては運用解決がつくが、場合によりますとあるいは立法で解決を必要とするものが出てきやせぬだろうかというふうな感じがいたしております。
  86. 安井吉典

    ○安井委員 立法措置によって既得権がきっちりとした形で守られるというふうな措置にすることが、一番これは望ましいことです。そういう方向でぜひ御検討を次の機会までに願っておきたいと思うのであります。  それから組合資金の運用の問題でありますが、先ほど要求いたしておりました資料を見せていただいたわけでありますが、もう少し早くいただいておけば、いろいろ検討ができたのを、先ほどの細谷委員のことばではありませんけれども、ぎりぎり一ぱいのもう論議が尽きるのではないかというときまでお出しにならない習慣を、政府の官僚諸君はお持ちなわけです。これではやはり十分な審議ができないわけで、もうこの法案の審議は、この議院では始まってからそうばならないかもしれませんが、提案されましてからずいぶんなるわけです。そういうようなことでは、私ども審議に協力するわけにはいかないので、これからあとは法案が出されて、それから資料が十分整って、それから一週間後くらいでなければ審議を始めない、こういうかまえで私どもは参りたいと思いますので、先ほどの細谷委員の言明をさらに裏づけする意味でひとつ申し上げておきたいと思います。  この運用の問題につきましては、ちょっと見ただけで、これはわからないのですが、特に長期の金の労金預託の問題を先ほど来繰り返し繰り返し論議がされておりました。その御答弁の中では、自治省は国家公務員共済組合のほうもやっていないのだから、それにならっているだけで、それで統一をするのだ、こういうふうな言い方でお話があったわけであります。しかしながら国家公務員の分は、これは全国が統一されるわけですから――労働金庫というものの性質はわりあいローカル的なものです。ローカル的なものですから、国家公務員共済組合の金の預託先について考えられる場合と、地方公務員共済組合について考えられる場合とでは、私はだいぶニュアンスが違うと思うのです。国家公務員のほうについて許さないから、地方公務員の場合についても労金預託の禁止の解除をしないのだ、こういう言い方ではどうしてものみ込めないわけなんでありますが、どうでしょうか。
  87. 佐久間彊

    佐久間政府委員 確かに国家公務員の場合と地方公務員の場合とにつきまして、必ずしも画一的に考える必要はないのじゃないかという御説につきましては、私も賛成をいたさなければならぬ点があろうかと思いまするが、金融機関におきます労働金庫の特殊の機能からいたしますと、やはり長期貸し付けにつきましては、他の金融機関と比べましてより適しているということは言えないのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。がしかし、この点につきましては、午前中にも申し上げましたように、なお今後関係省とも相談をいたしまして、検討をさしていただきたいと思います。
  88. 安井吉典

    ○安井委員 これは自治省がその気になっても、大蔵省がそれを許さないのじゃないでしょうか。そういうことである種の行き詰まりというふうな事態を来たしておるのではないでしょうか。どうですか。
  89. 佐久間彊

    佐久間政府委員 大蔵省の所管をいたしております共済組合が、いわば制度といたしましては兄貴分でございますし、かつまた大蔵が金融機関も所掌をいたしておりますので、率直に申しまして、相当この点につきましてはかたい意見を持っておりますことは事実でございます。
  90. 安井吉典

    ○安井委員 そういう意味で大蔵省からもちょっと来ていただいて、その点伺いたいと思うのですが、どうですか、ちょっと呼んでくれませんか。この問題はもう少しあとにいたしますが、団体共済の場合につきまして今度新たにできるわけでありますが、これのいわゆる福祉経理といいますか、そういうような仕組みがないように聞くわけでありますが、その点はどうですか。
  91. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この福祉経理は、短期給付によります資金をもっていたしますたてまえにいたしておりますので、この団体共済短期給付をいたしません関係で、地方公務員共済組合の場合のような福祉事業はいたさない、こういうたてまえになっておるわけでございます。
  92. 安井吉典

    ○安井委員 たとえ長期給付にいたしましても、これは掛け金が相当積み立てられるわけであります。その掛け金を、これに加入している団体職員の直接利益の面に向かって運用する道が全くないというのは、私はおかしいと思うのです。やはり短期でないからできないということではなしに、自分の金も含めて積み立てが行なわれているわけですから、それに参加している人々のための福祉施設等のために金が運用される、そういう道をやはり開くべきではないかと思うのですが、どうでしょう。
  93. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは他の共済組合におきましても、法律で言うております福祉事業につきましては、短期給付運用において行なうというたてまえをとっておるわけでございます。しかしながら、広い意味におきまして、職員の福祉のためにこの資金を運用していかなければならないということは、御指摘のとおりでございますので、そのような配慮は資金の運用上当然なしてしかるべきものだと考えております。
  94. 安井吉典

    ○安井委員 広い福祉というのはどういう意味ですか。もっと具体的に、ひとつ御説明願いたいわけです。
  95. 佐久間彊

    佐久間政府委員 共済組合法の百十二条に、福祉事業といたしまして、保健、保養、宿泊、教養の施設の経営と書いてあるわけでございますが、ここに書いてございますようなものが、狭い意味の福祉事業というふうに考えておるわけでございます。こういう事業を組合の名におきまして行なうということは、法律のたてまえ上できないことになっておるわけでございますが、この団体共済の資金の運用といたしまして、当該団体がこういう事業をやります場合に、この資金を融通するというような形で利用いたしますことは、これは可能と考えておるわけでございます。
  96. 安井吉典

    ○安井委員 そのほか、具体的にはどういう運用方法があるわけですか。これはほかの公務員のとは切り離して、これだけあるわけですが、その運用の具体的な方針について、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  97. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この資金を、直接福祉事業に投資をするということはできないわけでございます。この資金を団体に貸し付けまして、その団体が福祉事業を行なうという杉において資金を運用するということは差しつかえない、かようなふうに考えておるわけでございます。
  98. 安井吉典

    ○安井委員 どうも何か、くつの上からかゆいところをかくというふうな仕組みになるわけで、この点もう少し検討が必要ではないかと思うわけです。まあ、きょうはあと時間もないようですから、これ以上詰めませんけれども、その点は運用の面でもっと考える余地があるのではないかと思うのですが、そういうことで御検討順いたいと思います。  それから団体共済の問題でありますが、団体の責任準備金の積み立てについての資金源といいますか、それについてはどうですか。特に追加費用が、これはもう相当要るのではないかと思うのですが、資料もいただいておりますが、その見通し、それから団体によってはなかなかそういうものの負担がむずかしいものがないか。もしそういうものがある場合には、どういうふうな措置を講ずるか。それからもう一つ、これは地方公共団体の財政負担から成り立っている団体が多いわけでありますが、そういうようなものが地方公共団体のほうの財政にどういうふうな影響を持つか。そういうような点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  99. 胡子英幸

    胡子説明員 追加費用についてのお尋ねでございますが、追加費用として必要となるであろう額を試算いたしましたところ、約八億一千万程度を必要とする、こういう私たちの計算でございます。この追加費用の負担の方法といたしましては、いろいろな負担方法があるわけでございます。ただ、この団体共済組合におきましても、地方公務員共済組合方式に準ずるたてまえをとっておりますので、大体そういった考え方を織り込んでまいりたいと考えております。私たちの考えといたしましては、この約八億一千万円の金額を一応永久債務と考えまして、その利子負担相当額、つまり五分五厘相当額の四千五、六百万円程度になろうかと思いますが、この金額をそれぞれ年々追加費用として各関係団体から共済組合に納付していただく、こういう考え方で進みたいと考えておるわけでございます。その各団体につきましては、金額的にも決して少ない額ではございませんけれども、構成をいたしております団体が数多くございますので、その負担が地方財政の面から見まして非常に大きな影響を及ぼす額であるとは私ども判断をいたしておりませんので、この負担能力については十分御負担いただけるし、確実に納入できるものと考えておるわけでございます。
  100. 安井吉典

    ○安井委員 次に、これは団体共済だけでなしに全体的に言えることでありますが、年金額を物価とスライド制にすべきではないか。こういう論議はいつも言われ、また常に新しく論ぜられなくてはならない問題であるわけです。最近のように所得倍増が物価倍増になっている時期ではなおさらそうでありますが、物価、したがって生活費がどんどん上がっていくわけです。そういうふうなことを考え合わせますと、年金額もそういうものにスライドしていく、こういうような仕組みをつくらない限り、せっかくの積み立ても実際もらう段階には役に立たないものになってしまうのではないか、こういうおそれが多分にあるわけです。そういう場合に、ではその費用はどうするかという問題が起きるのですが、これはやはり国の政治が間違っていたのだから国の負担でやるのだ、賃金のベースアップをすればそれにスライドするのだ、これくらいのかまえを年金の仕組みの中に考えていかなければ、加入する人も安心ができないのではないか。こういう考え方に対しまして、今度団体共済を新しい仕組みとして加えられる段階において、政府のお考えをお聞きしておきたいと思うわけです。
  101. 佐久間彊

    佐久間政府委員 基本的な考え方方向といたしましては、物価にスライドして給付内容も改善をしていくべきだと私ども考えております、ただ具体的な作業になりますと、財政負担の関係もございますし、いろいろ検討、準備もいたさなければなりませんので、必ずスライドしてというわけには参らないと思いますが、考え方としてはそういう考え方努力をしてまいるべきものだ、かように考えております。
  102. 安井吉典

    ○安井委員 大臣、これはだいぶ大きな問題で、自治省の年金だけにスライド制をやって、国家公務員あるいは国民年金等にはやらぬというふううなことにはできない問題だと思いますが、そういうような意味で国の政治の、特に社会保障についての考え方の基本にかかわる問題でありますが、大臣のお考え方もあわせてひとつ伺っておきたいと思います。
  103. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私も名案を持っておるわけではございませんが、いま聞きますと、なかなか事情もあるようでございますので、なお十分検討いたしたいと思います。
  104. 安井吉典

    ○安井委員 大きな問題ですから、これ以上は言いませんけれども、これはやはり常に重大な課題として年金の問題を処理する行政当局はお考え置きを願わなくてはならないと思います。  いま大蔵省からも来れるようですから、それまでもう少しこの年金制度全体の問題について伺いたいわけでありますが、国庫負担を一応引き上げていくという、そういうような方向を修正の中に取り入れるとか、そういう話し合いもあるわけでありますが、しかし、これはさらに一〇%から一五%あるいは二〇%、三〇%というふうに引き上げることによって働く人たちの負担を低くする、こういうふうな措置が今後大切だと思うのでありますが、ことしの措置はことしの措置として、将来もっと国庫負担の率を高めていくという方向にむいていて、いまその段階にあるんだというふうに理解してよろしいものですか。つまり、今後ともこれを引き上げていくというお考え政府はお持ちなんですか。
  105. 佐久間彊

    佐久間政府委員 政府全体として今後さらに引き上げていくかどうかということにつきましては、まだしかとした方針を定めておるわけではございませんが、ただ今回国家公務員共済組合についてとろうとしております措置は、御指摘のようになるべく組合員の負担を減じていき、公費の負担を増していこうという考え方の一つのあらわれであるわけでございます。
  106. 安井吉典

    ○安井委員 これも将来に向けての問題でありますが、そのあらわれであることしのような措置をさらに一そう高めていく、こういう御努力をしていただかなければならぬと思います。  それから、ごく短期にやめるというふうな場合に、年金が掛け捨てになるということです。一年以内でも、せめて掛け金分くらいは戻ってくるような仕組みにならぬものか、これもよく出てくるつぶやきでありますが、どうでしょうか、その点について法案をつくる最初の段階からも論議があった点でありますが、その後そういうような御検討がありましょうか。
  107. 佐久間彊

    佐久間政府委員 立案の際におきましては、その点検討いたしましたが、他の共済組合制度にならいまして、このようにいたしておるわけでございます。その後におきまして、その点につきまして特段の検討はいたしておりません。
  108. 安井吉典

    ○安井委員 やはり都合で、ごく短期でやめなくちゃいけないという人も出てくるわけです。そういう人の掛け捨てになったお金が、結局長くつとめた人の上に上績みになっていくのだから、むだではないではないかと言われるかもしれませんが、しかし、現実にはやはり短期でやめなくてはならないような人には不平が残るわけです。また、同じ人間のことですから、いつどんなことがあるかわからないわけですから、立法過程においては、これはやはり常に問題にしなければならない点だと思うのでありますが、まあその点、それから退職一時金ももう少し増額すべきではないかという点もございます。これはお互いに関連をしておる点であろうと思いますが、どうですか、退職一時金についての何かご検討はありませんか。
  109. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方公務員共済組合ができましたときには、御承知のように退職手当を相当大幅に増額をいたしたわけでございます。退職一時金につきましてはそれほど増額はいたしませんでしたが、当時いろいろ検討いたしました際に、退職一時金の改善よりも、退職手当を改善したほうがいいんじゃなかろうかということで、退職手当を改善いたしたわけでありますが、この点は、今後の問題としてさらに検討してまいりたいと思います。
  110. 安井吉典

    ○安井委員 退職手当は退職手当で、それから年金の問題は年金の場合で、これは一応別だと思うのです。退職手当のほうは当然これは地方公務員の場合ですと、地方公共団体自体が負担すべきものだし、こちらのほうは、これは職員自身の負担があるわけです。そういう負担の上に成り立っておる仕組みとして、やはり退職一時金の増額というふうな要求も当然のことではないかというふうな感じを受けます。この点もあとの検討事項として残しておきたいと思うのでありますが、早くやめる人のことばかり私は申し上げてまいりましたが、年金をずっともらっておる人の場合において、年金給付、これはもう退職をしたあとのささやかな所得であるわけですが、これからもやはり遠慮なく税金が取られる。こういう仕組みについてもう少し考える余地はないのかというふうな意見もあるわけでありますが、どうでしょうか、何かそういう点について検討なさったことはありませんか。
  111. 佐久間彊

    佐久間政府委員 税金の関係は、直接担当いたしておりませんのでよくわからないのでございますが、直接私どもの仕事と関係をいたしまして、ただいまの点を最近におきましてあらためて検討いたしたことはございません。
  112. 安井吉典

    ○安井委員 まあ、行政局長から、それじゃ税金はこの次からはまけますというふうな御答弁が出るとは私は考えておりませんが、しかし、こういう制度の全体の問題として、やはり問題点だけあげておくのは、決して悪いことではないし、そうしてまたこれからいろいろ御検討を願う場合に、ぜひそういうふうな素朴な意見がたくさんあるということだけは含んでおいていただきたいと思うわけです。  次に、運営の問題についてちょっと伺っておきたいわけでありますが、これも先ほどの資料をいただきまして、大体現在の運営の仕組みのあり方についてわかったような気がいたします。そこでこれから新しくできる団体共済の問題につきまして、理事長、理事、監事、それから組合会ですか、運営審議会、そういうふうな仕組みについての政府のお考え方を一応お聞かせ願いたいと思います。
  113. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この運営の組織につきましては、地方公務員共済組合で現在とっております方式に準じてかような方式を採用することにいたしたわけでございます。
  114. 安井吉典

    ○安井委員 理事長はどういう人が来るわけですか。
  115. 佐久間彊

    佐久間政府委員 法律におきましては格別要件を定めておりませんし、ただいまのところまだ法律も成立いたしておりませんので、具体的に人選につきまして相談をいたしたこともございませんが、この制度運営につきまして、適任と思われます力を今度物色するようにいたしたいと思っております。
  116. 安井吉典

    ○安井委員 自治省出身の人をあてるという考え方をお持ちなのですか、どうですか。
  117. 佐久間彊

    佐久間政府委員 自治省出身の人を充てるか充てないかとかいうようなこともまだ相談をいたしておりません。
  118. 安井吉典

    ○安井委員 よくいままでこういったような団体ができる場合には、何か最初から今度つくった組織の理事長にはだれそれをもっていくんだ、こういうような予定を立てて措置されるという例が多いわけです。多いと言ったら語弊があるかもしれませんが、そういう場合が決して少なくありません。多いも少なくないも同じことかもしれませんが、そういうことです。大臣、どうでしょう。
  119. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 まだ何も予定しておらぬそうでございます。
  120. 安井吉典

    ○安井委員 理事については、これはやはり関係の各団体から入ってもらわなくてはならない、そういうことになるのではないかと思うので、ありますが、何人くらいにして、どういうふうに予定を立てておられますか。
  121. 佐久間彊

    佐久間政府委員 理事は五人以内と法律案にございますので、五人以内の理事を選任するつもりではおりまするが、ただこの共済組合組合員数も少のうございまするし、さしあたってそれほど大きな組織を持つ必要もございませんので、私ただいまの考えでは五人以内でございますか、五人の満度まで任命をする必要は当初ないのではないかと思っております。  それから理事を選任いたします範囲につきましては、先生のおっしゃいますように、この関係の団体の中から公正に選任をするという態度で進みたいと思います。
  122. 安井吉典

    ○安井委員 この団体の中にも大きい団体と小さい団体といろいろあるわけですね。そういうふうな点もこし理事構成中に当然考えなくてはいけないし、それからまた、監事をも含めて、現実には掛け金を納めていく一般組合員の人たちからも、必ず一般職員の人から理事とか監事というふうな中に入れなければならないのではないか。そういうふうに思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  123. 佐久間彊

    佐久間政府委員 理事、監事の役員につきてましては、御意見のとおりに、関係団体の関係者から主として選任するようにすることがよかろうと考えております。関係団体におきましても組合員数の多いところ、少ないところございますから、それは組合員数の多寡に応じまして公平に考えていくべきであろうと考えております。  なおその場合に、関係者の中で組合員から選びますか、あるいは関係者の役員等から選びますか、その点につきましては、理事、監事につきましては必ずしも組合員から選ばなければならないというふうには考えておりません。役員をも含めまして関係者の中から適当な人を選任をいたしたい、組合員の意思を運営に反映いたしますためには運営審議会があるわけでございますので、この運営審議会組合員から必ず入れるということに法律も明記いたしておりますし、そのような点から役員の選任と運営審議会の選任と全体を含めまして、できるだけ関係団体の意思が公平に運営に反映できるように配慮してまいりたいと思っております。
  124. 安井吉典

    ○安井委員 さっき行政局長の御答弁では、地方職員共済組合とか、ほかの組織にならって役員構成もしたいというふうに一番初めにお話があったわけでありますが、現実のこの構成はこの表で見ましても、地方職員共済組合の場合は、理事長は学識経験者で常勤一人、理事の三人のうち一人は県の部長で、それから県の課長と自治労役員、監事は学識経験者が一人常勤で、それから県の職員が一人に自治労の役員が一人、こういうふうな仕組みで、必ず職員側の代表を加えておられるわけです。私は今度この共済団体の関係については、おそらくこれは労働組合は多くの場合ないのではないかと思います。それだけに一般職員の諸君の権利というようなものが労働組合を持っておるところに比べれば守られ方が薄いのではないかということが心配されます。もちろん現実にそれがどうなっておるかということは私は知りませんけれども組合の組織もないというところから見れば、そういうふうな印象はぬぐうわけにはいかないわけです。そういうことからいっても、やはりいまの役員構成の中に一般職員の代表というか、そういうような人をお入れになっておくことのほうが、組合員の大衆的な権利擁護という方向に役立つのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、どうでしょう。
  125. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御趣旨の点はよく含みまして検討いたしたいと思います。
  126. 安井吉典

    ○安井委員 大蔵省はお見えになるのがおそいようでありますから、それではもう少しほかの問題を取り上げてみたいと思いますが、今度の改正で、外国特殊機関に勤務中の職員の期間をも通算をするという、そういうふうな仕組みがとられるわけでありますが、こういうことになりますと、旧樺太だとか台湾や朝鮮等の外地の地方公共団体職員として在職をしていたという人たちについても、特例措置を講じてあげなければ均衡がとれないのではないか、こういうふうな感じを受けるわけです。この点につきましては、参議院段階の附帯決議の中にも含まれているわけでございますが、この際自治省の御見解を承っておきたいと思います。
  127. 佐久間彊

    佐久間政府委員 樺太、朝鮮、台湾の地方公共団体に勤務をいたしました者につきましての措置につきましては、私どもも前向きで検討をいたしてまいっております。現在のところ、法律の解釈、運用によりまして、御趣旨のとおり扱いができるのではなかろうかと思っております。
  128. 安井吉典

    ○安井委員 不均衡をなくすというために、当面は使用の問題でいろいろ御処理を願ってもいいが、しかしそれを越えるような問題も出てくる場合もあるのではないかと思うのですが、そういうような場合にはやはり立法措置とかそういうようなこともお考えになる必要があるのじゃないかと思います。その点をぜひ御考慮願いたいと思います。  その場合の原資の問題がありますね、古い期日でありますから。御処理をされる場合においてそういう問題も出てくると思うわけでありますが、その点いかがですか。
  129. 佐久間彊

    佐久間政府委員 そういう職員に対する措置を講じます場合に、かって勤務をいたしまして、現在地方公務員である者を対象として考えてまいりたいと思っておるわけでございます。したがいまして、この制度ができました以降のものにつきましては、本人の掛け金と地方公共団体の負担で処理をしてまいるわけでございますが、過去の分につきましては、いわゆる追加費用の問題の一つとして処理をしてまいりたいと思っております。
  130. 安井吉典

    ○安井委員 一般的な問題でありますが、退職一時金と通算年金との選択制を認めるというような方向はどうか、こういうような意見もありますが、どうですか。
  131. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいまの制度におきましても、いずれか選択できるように措置をいたしております。
  132. 安井吉典

    ○安井委員 現在の仕組みで別に問題はないのですか、それで十分でしょうか。
  133. 佐久間彊

    佐久間政府委員 別段支障はないように思います。
  134. 安井吉典

    ○安井委員 その点、私も実情はよくわからないのですけれども、そういう声を聞くものですから、その点もし具体的な問題点が出ましたら、さらに問題提起をいたすことにいたしたいと思います。  それから短期給付の問題につきましても、給付内容の大幅改善の要求というものは、これは相変わらず非常に強いわけであります。育児手当の増額だとか、埋葬料や、傷病手当金や、労災見舞金や配偶者出産費、初診料、こういうような問題に対する改善要求の声もきわめて強いわけでありますが、どうでしょうか。短期給付の問題については、今回あまりお触れになっておらないようですが、もっと検討の余地はないか、特に検討するとすれば、こういう点に問題があるのではないか、そういうような点につきまして、お考えがありましたら、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  135. 佐久間彊

    佐久間政府委員 短期給付の改善につきましては、御指摘のように前々からいろいろ問題があるわけでございまして、逐次改善はいたしてまいっておりますが、なお今後検討はいたしてまいりたいと思っております。  現在問題になっておりますのは、医療費増高に対する問題であります。これらの点は他の共済組合との扱い関係もございまするし、地方公務員の関係につきましては、地方公務員共済制度審議会もございまするので、そこでいろいろと検討を重ねておるような状況でございます。
  136. 安井吉典

    ○安井委員 現在、特に取り上げている問題というのはないのですか。
  137. 佐久間彊

    佐久間政府委員 当面期限をきめまして、それまでに結論を出そうということで検討をいたしておりますものはございません。
  138. 安井吉典

    ○安井委員 いまの短期給付の問題につきましては、これは今回ではなしに、次の段階の問題として検討になっている点だと思うのでありますが、やはり現在の制度ができた段階といまとでは、年次のズレがあって、しかもその間における物価の値上がり、そういうようなものが実に激しいわけです。一番激しい時期に当たってきたと言っても差しつかえないわけです。ですから、そういうふうな点でこの短期給付問題点についてはほかの年金その他の仕組みと関係があると思いますけれども、真剣な検討を望んでおきたいと思います。
  139. 森田重次郎

    森田委員長 大蔵省から平井給与課長がお見えになりましたから。
  140. 安井吉典

    ○安井委員 いま大蔵省から参りましたので、先ほど来労働金庫に対するこの共済の金の運用の問題についてお尋ねをしていたわけでありますが、自治省の御答弁ではどうも私ども納得ができないものですから、特に大蔵省から御説明を願いたいと思っておいでをいただいたわけでありますが、この労金預託の問題についての大蔵省の御見解をこの機会にお聞かせいただきたいと思います。
  141. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 現在金融機関への預託は二通りございまして、一つは当座の資金の支払い財源として留保しておくものでございます。一つはある程度長期的な運営をいたしまして組合員の有利になるように利殖をするという形のものでございます。  そこでその前提といたしまして、基本的に共済組合の資金の運用の方針からお話し申し上げる必要があるのではないかと思うのでございますが、御承知のように国家公務員共済組合地方公務員共済組合とは若干性質を異にいたしておりますが、そのいずれをとりましても、まず組合員の福祉運用という立場から組合員のための貸し付けに使われる資金、これにある程度の力を入れておりまして、国家公務員の場合でございますと二五%程度をこれに充てようということになっております。それからさらに不動産または組合の行なう事業のうち不動産の取得を目的とする貸し付け金に百分の二十を充てる。これは御承知のように宿泊川であるとか、保養所であるとか、その他組合員の利用に供する施設を目的として運用されるわけであります。その残りのうちで、国家公務員共済組合の場合でございますと、資金運用部に毎年度の増加積み立て金の三分の一を運用する、こういうかっこうになっておるわけでございます。さらにその残りの部分がいわば当座の支払い資金なりあるいは共済組合としてできるだけ有利確実な運用に充てて利殖財源として留保していく、こういう性格のものになるわけでございますが、そこで先ほど申し上げた当座の資金の支払いに充てる財源としては百分の五というものを限度として設けておりまして、その他資金運用部の預託等を除きますと制度的には百分の十七程度のものが長期的な預金等に充てられる体制になっておるわけでございます。ただこの現実の姿から申しますと、公務員のための貸し付けというもの等にはさらに力を入れる必要があるという観点からいたしまして、先ほども申し上げました百分の二十五という限度は当分の門百分の三十まで上げられるということにいたしまして、そういった面での運用に力を入れているわけでございます。その過程におきまして、百分の五十から三十三を引きました百分の十七というような預金等は、その限度において引き下げるという形で運用をいたしておるわけでございます。このような経過をごらんになるとおわかりになると思いますが、組合員への貸し付けというものについては現在かなり限度を越えて、静態的に見て妥当と考えられる限度を越えて運用する道を直接開いておりまして、残りはもう少し金利の面において組合員のために有利確実にかせげるものを少し取っておくという観点で、銀行預金等が行なわれておるわけでございます。そこで、そういうものについては率直に申しまして、組合貸し付け等は大体予定運用利率と大差ない程度で行なわれておりますし、それ自体としてはほとんど利益を生み出さないという形でございます。また不動産投資につきましてもやはり利益を上げるという目的ではなくして、せいぜいペイすればいいという観点で運用されておるわけでございますので、そういうものを補完する意味において、わずかに残された十数%のものについてはできるだけ有利かつ確実という観点で運用すべきである、こういうことになっているわけでございます。  そこでまあ有利かつ確実な運用の先というのは何かということになりますと、現実の問題といたしましてはかなり長期の預貯金ということになるわけでございます。かつそれがまた国民一般の見地から見まして広く認められている程度のものという考え方運用されているわけでございます。そうして、そういう観点からいたしますと、現実の運用は、実際問題としては貸付信託であるとか、そういったものに主として運用されているようでございます。そういう観点からいたしますと、一般の金融機関の中で、特に銀行とかあるいは郵便貯金といったところに限られてくるのもやむを得ないことではないかというふうに考えているわけでございます。逆に申しますならは、労働金庫等の、まあ特殊な金融機関については、通常必要とせられる程度の支払いの資金だけを預託する、こういう考え方になっているわけでございます。
  142. 安井吉典

    ○安井委員 私は長期資金の運用に関しまして、預託を労金にも当然してもいいのではないかという意味で申し上げているわけですが、いまの政令等のチェックによって、労金への長期資金の預託はできないということですね。
  143. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 政令では直接ございませんが、施行規則の第十二条の第二項で、短期の場合につきましては「同号に規定する金融機関への短期の預金文は郵便貯金」同号といいますのは労働金庫等も含まれております。その他の資金――当座の資金でない長期的な余裕金につきましては、長期の銀行預金または郵便貯金ということで、はっきりした規定をいたしております。
  144. 安井吉典

    ○安井委員 つまり労金への道がふさがれているわけですね。これはなぜなんですか、その理由は。
  145. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 先ほど来私ども延々として述べてまいりましたように、基本的に申すならばこういう長期の預貯金というものは一般組合員のための福祉運用のものではございませんので、共済組合としてできるだけ有利かつ確実という見地において財源を確保する、そういう見地の金融機関を目途として設けられた規定でございますので、労働金庫が有利確実でないというのかとおっしゃるかもしれませんが、これは国民的な一般的な常識に基づいてこの程度に限ったというふうに理解をいたします。
  146. 安井吉典

    ○安井委員 私はこの預託といいますか、資金運用部預託というのは資金運用という見地から出てきているわけですね。資金運用部全体の資金の運用を、職員の利益になるようにふやしていくんだ、有利に進めていくんだ、こういう見地で進められているという点は、先ほどもるる御説明がありましたのでよくわかります。しかし労金への預託がそんなに有利じゃないのかということですね。どうしてそういうふうな御判断が出てくるわけですか。労金に貸したらもう戻らないとか、普通銀行のほうはごく有利だけれども労金のほうは安いのか、その理由を私は伺っているわけです。
  147. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 まあ現在の法律規定からいいますと、入っておりますのは相互銀行、信用金庫等も同じように除外されているわけでございまして、その範囲においては単に有利であるという議論ではなくて、やはり国民的な見地から見て常識的にこれらの金融機関を除外したのであろう、その一環として労働金庫等も除外されるべきだというように理解しているわけでございます。
  148. 安井吉典

    ○安井委員 私は、この資金の性格上労金に預託するというのは一石二鳥じゃないかと思うわけです。運用という面ではもちろん他の機関に比べてそう不利な条件は出てこないと思うし、また労金預託によってのその資金の使われ方も、大体においてこの資金源はみんな、全額とは言いませんけれども、いずれかの労働組合に所属している人たちであるわけです。みんなの身金が入っているわけですから、そういうような金によってできている資金であり、しかも労金というふうな、そういうふう制度は、やはり働く人たちが気軽にそこに預けたりあるいは借りたりすることができる、そういう仕組みになっているわけです。もちろん個人貸し付けの面をこの年金資金源によって拡大しつつあるということはわかります。それはそれでいいにしても、だからといって労金への預託を拒否する必要はないのではないか。どうでしょうか。一石二鳥だと私は思うのですか。どういうふうに御理解になりますか。
  149. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 一石二鳥というお話でございますが、組合に対する貸し付けは別途規定をして、先ほども申し上げましたように特にワクを広げて運用しているわけでございまして、組合員のためにさらに労金に預託するという観点は、必ずしも私どもとしては直ちにとるべきではないと考えております。そこで、一般的な金融機関の中で、どういう金融機関に預託するのかという観点だけでございまして、そういった観点からいたしますと、資金運用の有利性ももちろんでございましょうが、確実というようなことも考えて、現在のところは銀行預金または郵便貯金に限っている、こういう観点であろうと思います。
  150. 安井吉典

    ○安井委員 私はどうしても納得できないのですね。その点はおかしいですよ。労金だけがそういうような制度の中から除外されているということがどうしても納得できないような気がするわけです。大体、普通銀行に労働者の人たちが借りに行ったって、これは貸してくれませんよ。どこか貸してくれる銀行があったら教えていただきたいです。労働金庫ならこれは気軽に貸し借りもできるという、そういう仕組みになっているわけです。そういう意味で私は一石二鳥ということばを使ったわけです。有利な金なら労金に回さなくたってどこでもいいじゃないか、私はそういうものじゃないと思う。これは何に使ってもいいんだ、一たん国が取り上げる、というのはちょっと表現がまずいかもしれませんけれども、一たん集めてしまえば、有利な運用ならそれはいかなるものに使ってもいいのだ、そういうものではないと私は思う。やはり使い道についても、その資金の積み立てに自分のふところをいためた人たちの気持ちに合うような、そういうふうな使い道といいますか、預託先といいますか、運用方法といいますか、そういうような道がとられてもいいのではないかと私は思うわけです。  これは国家公務員年金の場合と地方公務員年金の場合とでは、対象を労金として考える場合にニュアンスが違うのじゃないかと私は思うのですが、その点はどうでしょう。
  151. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 ちょっと御質問の趣旨が私つまびらかでございませんのであれでございますが、国家公務員の場合と地方公務員の場合と、共済組合の資産運用の面で見ますと違いがある。それは根本的に違っておりますのは、資金運用部預託があるかないかということであろうかと思います。そういった意味においてならば、差があることは事実でございます。
  152. 安井吉典

    ○安井委員 国家公務員の金は全国段階で令部処理されますが、地方公務員の金はわりあいにローカルな運用方向に進み得る可能性があるのではないか、そういう意味で私は申し上げているわけです。ローカル性ということになりますと、労働金庫などというのはローカルな銀行のシステムだと私は思うのですが、そういうような意味国家公務員年金の金と地方公務員年金の金とでは、そういう考え方において、あるいは性格において違うものがあるのではないか、そう思うのですが、どうでしょうか。
  153. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方公務員共済組合に集まる金と、国家公務員共済組合に集まる金につきまして、地方公務員の場合にはローカル性があるのじゃなかろうか、こういう御指摘でございます。その点については、あるいはそのような兄・かもできようかと思うのでございますが、ただ共済組合の資金運用という点から考えますと、国家公務員共済組合の場合と、地方公務員共済組合の場合におきまして、異なった取り扱いをする理由はないのじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  154. 安井吉典

    ○安井委員 短期の金の逆用において、現実には労働金庫に対してどういうふうな扱いになっておりますか。
  155. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 共済組合連合会を例にとりますと、一億円の資金が通知預金として東京労働金庫へ預託されているというふうに思います。
  156. 安井吉典

    ○安井委員 それは地方の共済年金ではなしに、全部ですね。
  157. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 国家公務員共済組合連合会の場合でございます。
  158. 安井吉典

    ○安井委員 地方公務員の関係はどうですか。
  159. 胡子英幸

    胡子説明員 地方公務員の場合につきましては、そういった特別のデータをとっておりませんので、総額はわかりませんけれども、それぞれの共済組合実情によりまして、あるいは通知預金なり当座預金なりに預託いたしておるものでございます。
  160. 安井吉典

    ○安井委員 いまの御答弁から言えば、やはり地方公務員年金の場合のローカル性、こういう私の言い方はいいかどうかわかりませんけれども、どうもあるような気がするのです。国家公務員の場合は東京労金というふうな、そういう中央の仕組みの中に固定されがちです。しかしながら地方公務員の場合はいまの御答弁から言いましても、自治省自身があまりばらばらなものですからおつかみになっていないぐらいに、まあ適当な表現がありませんが、ローカル性が私はあるのではないかと思うわけです。そういうような意味合いからいっても、やはり少なくも地方公務員年金の場合は――国家公務員年金の場合もそう思いますけれども、特に地方公務員年金の場合には労金についての配慮というものが私は当然あっていいのではないか、そういうふうに思うわけです。しかしいまここで言っていても、直ちに皆さんのほうから、それじゃ今度そうしましょうというお答えは出ない、だろうと思います。ですから、結論も迫っているようですから、これで一応押し問答はやめますけれども、しかしこの問題は私どもはこの論議で決してあきらめたわけではありません。これからあとのきわめて重大な問題として、政府の善処を迫ってまいりたいと思うわけです。ぜひ次の段階までに、内部で十分に検討をした後にお答えをお聞かせ願いたいと思います。
  161. 森田重次郎

    森田委員長 他に質疑はありませんか。――なければ本案についての質疑はこれにて終了しました。     ―――――――――――――
  162. 森田重次郎

    森田委員長 ただいま委員長の手元に渡海元三郎君、安井吉典君及び栗山礼行君から地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。
  163. 森田重次郎

    森田委員長 修正案の趣旨説明を求めます。渡海元三郎君。
  164. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ただいま議題となりました地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党共同提案にかかる修正案につきまして、私から提案理由説明を申し上げます。  修正案の案文は、お手元に配付しておりますので、朗読は省略させていただきます。  本案につきましては、今日まで慎重に審査を重ねてまいりましたが、別途、今国会に提案されております国家公務員共済組合法改正案、厚生年金保険法改正案並びに農林漁業団体職員共済組合法改正案等の内容にかんがみ、公務員共済制度と他の各種共済制度との負担の均衡をはかる必要があること、及びこれと相関連して地方団体関係団体職員共済組合給付内容につきましてもその改善をはかる必要があると認めましたので、ここにこの修正を行なうこととした次第であります。  次に、修正の内容について申し上げます。  修正の第一点は、地方公務員共済組合長期給付に要する費用の負担割合につきまして、国家公務員年金制度との均衡をはかるため、地方公共団体百分の五十七・五、組合員百分の四十二・五としたことであります。  第二点は、団体共済組合給付に要する費用の質批判合につきましても、地方公務員共済組合の取り扱いに準じて、団体等百分の五十七・五、団体共済組合員百分の四十二・五としたことであります。  第三点は、団体共済組合が支給する退職年金の最高限度額につきまして、地方公務員共済組合はもとより各種共済組合制度との均衡をはかるため、給料年額の百分の七十に相当する金額としたことであります。  第四点は、団体共済組合の掛け金の標準となる給料の額につきまして、第三点と同様の理由地方公務員等との均衡をはかるため、十一万円をこえる者の給料は十一万円とみなすものとしたことであります。  以上が修正案の趣旨及び提案理由の概要であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いする次第であります。
  165. 森田重次郎

    森田委員長 以上で修正案の趣旨説明は終わりました。  この際、本修正案について国会法第五十七条の三の規定によりまして本修正案に対する内閣の意見を聴取いたします。金子自治政務次官
  166. 金子岩三

    ○金子政府委員 ただいま御説明がありました修正部分につきましては、十分修正の趣旨を尊重いたすことといたします。     ―――――――――――――
  167. 森田重次郎

    森田委員長 これより地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して付論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、渡海元三郎君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  168. 森田重次郎

    森田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  169. 森田重次郎

    森田委員長 起立総員。よって、地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  170. 森田重次郎

    森田委員長 この際、中島茂喜君、安井吉典君及び栗山礼行君から本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、本動議を議題とし、その趣旨説明を求めます。安井吉典君。
  171. 安井吉典

    ○安井委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党を代表して、地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨説明を行ないたいと思います。  まず、附帯決議の案文を朗読いたします。    地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり特に左記事項に検討を加え、すみやかにこれが実現をはかるべきである。  一、団体職員共済組合員期間と公務員共済組合員期間とを相互に通算できるよう検討すること。  二、団体職員共済組合の資金の運用にあたっては、その自主性を尊重し、組合員の福祉の向上および地方公共団体の行政目的の実現に資するよう積極的にこれを活用すること。  三、地方公務員共済組合法の施行前において、都市健康保険組合職員であった者で、当核地方公共団体職員となった者の共済条例の適用を受けていた期間の通算について、救済措置を講ずるよう考慮すること。  四、団体共済の適用者で共済条例の組合員であった者については、その共済条例の組合員期間について完全な通算措置を講ずるよう考慮すること。  五、旧樺太、朝鮮、台湾等外地の地方公共団体職員として在職した期間を、地方公務員共済組合組合員期間に通算することができるよう考慮すること。    右決議する。  以上が案文であります。  次に、提案の趣旨を御説明いたします。  第一は、本制度のもとにおきましては、団体共済組合公務員共済組合との間に組合員期間の通算措置を行なわないこととしておりますが、地方団体関係団体の性格上、人事交流も行なわれており、かつ、関係団体に有為の人材を得る上からも通算措置を講ずる必要がありますので、団体共済組合公務員共済組合とは相互に通算することができるよう検討すべきものとするのであります。  第二は、本制度においては、福祉事業を行なわないたてまえとなっておりますが、団体職員共済組合の資金の逆用にあたりまして、何らかの形で組合員の福祉の向上につとめることはもちろん、地方公共団体の行政目的の実現にも役立つようこれを積極的に活用すべきであるとするのであります。  第三は、地方公務員共済組合法の施行前において、都市健康保険組合職員であった者で、当該地方公共団体職員となった者の共済条例の適用を受けていた期間の通算につきましては、旧市町村職員共済組合組合職員の取り扱いとの均衡上、救済措置を講ずるよう考慮すべきであるとするのであります。  第四は、団体共済組合組合員共済条例の適用を受けた者については、団体職員で旧市町村職員共済組合法の適用を受けていた者との取り扱いの均衡上、その共済条例の組合員期間について、完全な通算措置を講ずべきであるとするのであります。  第五は、旧樺太、朝鮮、台湾等外地の地方公共団体職員として在職した期間は、現在、地方公務員共済組合組合員期間に通算されないこととなっておりますが、恩給制度の改正に伴い、外国特殊法人と外国特殊機関の職員期間を公務員期間に通算することとしておりますので、その取り扱いとの均衡上、旧樺太等外地の地方公共団体職員として在職した期間を地方公務員共済組合組合員期間に通算すべきものとするのであります。  以上が本決議案を提出した理由であります。  何とぞ委員客位の御賛同をお願いする次第であります。
  172. 森田重次郎

    森田委員長 本動議について採決いたします。  本動議のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「累議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は中島茂喜君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、政府当局から発言を求められておりますので、これを許します。金子自治政務次官
  174. 金子岩三

    ○金子政府委員 ただいま議決されました附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、善処いたしたいと思います。     ―――――――――――――
  175. 森田重次郎

    森田委員長 おはかりいたします。ただいま修正議決されました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認め、よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  177. 森田重次郎

    森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会