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1964-05-29 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十九日(金曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大西 正男君    亀山 孝一君       久保田円次君    武市 恭信君       登坂重次郎君    山崎  巖君       阪上安太郎君    千葉 七郎君       華山 親義君    細谷 治嘉君       栗山 礼行君    門司  亮君  出席政府委員         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         自治事務官         (行政局給与課         長)      胡子 英幸君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第一四二号)(参議院送付)  地方財政に関する件(地方公共団体高等学校  の施設建設事業費に関する問題)  小委員長からの報告聴取      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  この際、地方公営企業に関する調査小委員長から、地方公営企業に関する件、特に当面の公営バス事業対策について、小委員会調査経過について報告いたしたいとの申し出がありますのでこれを許します。地方公営企業に関する調査小委員長藤田義光君。
  3. 藤田義光

    藤田(義)委員 地方公営企業に関する調査小委員会における現在までの審査の経過について御報告申し上げます。  本小委員会は、現在幾多の問題点を包蔵し、また財政的にも窮迫の傾向をたどっております地方公営企業に関し、各般調査を進めるため、去る三月五日、小委員十名をもって設置されたのであります。  本小委員会は三月十八日第一回の会合を開き、自治省から地方公営企業現状について概括的説明を聴取した後、まず審議の進め方について協議を行なったのであります。  その際第一に、現在地方公営企業を取り巻く問題は、広範多岐にわたるのみならず、公営企業種類により、その財政状況は必ずしも同一ではなく、かつ全企業を一様に検討する時間的余裕に乏しい事情をも考慮して、今回調査の対象として取り上げる企業は、交通事業工業用水道を含む水道事業及び病院事業の三事業に限定することに意見一致を見たのであります。  第二に、地方公営企業窮状を改善し、公営企業の健全な発達をはかるための具体策検討にあたっては、公営企業のあるべき姿ないし将来性の解明、企業経営体制確立の方策、経営合理化方法と目標、財政再建のための特別措置等公営企業に関する基本的恒久的対策と、政府物価安定施策に基づき、一年間料金値上げ抑制された企業に対する援助策及び累積赤字による資金繰り圧迫緩和策等地方公営企業が当面必要とする応急的対策の、二つの対策が考えられるのでありますが、小委員会といたしましては、まず当面の応急的対策について検討を進め、その後において恒久的対策について調査を行なうことにこれまた意見一致を見たわけであります。  さらに、審議の順序といたしましては、当面緊急にその対策を必要とする公営交通事業、なかんずくバス事業中心として審議を進めることとしたのであります。  かくて、三月二十四日、第二回小委員会を開催し、以来五月二十九日まで、九回にわたり会議を開いたのでありますが、その間自治省、運輸省、経済企画庁の関係部局資料提出を求め、あるいは詳細に質疑を行なうことはもちろん、東京都、大阪市、神戸市各交通局長及び日本都市交通労働組合連合会中央執行委員長、同関西地方協議会議長参考人として招致し、また、東京公営企業担当副知事からも、陳情の形で事情を聴取し、公営交通企業実情、各企業がとっている対策、なかんずく合理化対策、これに対する組合側考え方料金値上げ申請事情地方団体一般会計による援助方法等バス事業中心として終始熱心に調査を進めてきたのであります。  調査のおもなものを申し上げますと、次のとおりであります。  まず第一に、経営状況についてであります。公営バス事業収入民営バス事業収入比較した場合どのような状況になっているか、一般都市部を走る公営は、郊外周辺部を走る民営より不利といわれるが、その原因と実際の状況はどうか、公営は不採算路線が多いといわれるが、収入面における影響はどうか、公営一般に早朝から深夜まで営業しているのに対し、民営は主としてラッシュ時に重点を置いて配車しているといわれるがどうか、公営のほうが民営よりも車キロ当たり収入が多いにもかかわらず、経営公営のほうが苦しい理由は何か、累積赤字決算面及び実際面における処理方法借り入れ金利子食掛における公営民営の差はどうか等について調査を行なったのでありますが、特に公営交通事業経営合理化状況、とりわけ人件費負担について公営のほうが著しく高い水準にあるが、その原因は何か、いわゆる手当種類公営のほうでは多過ぎ、かつその根拠が合理性に乏しいのではないか、公営交通民営比較して労働生産性が低いのではないか等、公営交通給与制度につきましては最も論議が集中したのであります。  第二に、バス料金問題についてであります。バス料金認可の従来の取り扱いはどうなっているか、バス料金のみを長年押えてきた理由は何か、料金値上げ認可方針について政府部門で最も見方の食い違っている点は何か、料金値上げ経営合理化関係はどう考えているか、経営合理化を行なわない限り料金値上げ認可を行なわないのか、軽油引取税の増税が行なわれているが、これと料金抑制との関係をどう見ているか、道路運送法では料金は能率的な経営のもとにおける適正な原価を償い、かつ適正な利潤を含むものでなければならないとされているが、この適正な原価とは何か、過去の累積赤字の解消は、料金原価算定にあたってどのように考慮しているか、公営交通を取り巻く環境の変化と公営交通の使命の重要性にかんがみ、利用者料金のみをもって公営交通経営する必要はないのではないか、物価抑制策としては、国鉄運賃抑制が第一に考えられなければならないが、国鉄運賃値上げは認め、バス事業のみ長年ストップするのは政策上不合理ではないか等の点について調査したのでありますが、特に料金値上げが実現した場合、それで当面するバス事業赤字経営を解消できるかどうかについて論議が集中し、地方公営企業当局からは、料金値上げによる増収分と、ワンマンカーの採用、手当制度合理化定年制の実施、不要路線の統廃合、事務処理機械化等企業経営近代化体質改善の強力な推進とによる経費節減分で今後十分効率的な経営が可能であるとの意見陳述がありました。  また、バス料金抑制策については、政府は一方的に地方団体協力を求めるのみであり、抑制に伴う損失補てんについては何らの対策も講ずることなく、あげて地方団体の責任において解決すべきものとし、またこの損失発生経営合理化の不徹底に結びつけることは適当でないとする意見がありました。  その他、公営交通事業全般について、独立採算可能性公営民営とを比較して、経営上有利な点、不利な点、路線認可における公営民営の間で差別の有無、地方債の利率の引き下げと資金ワク確保等について若干の調査が行なわれたのであります。  かくて、慎重に調査を行ないました結果、公営交通事業財政は、昭和三十七年度決算では、九十の事業中六十五の事業赤字であり、かつその単年度赤字発生額は八十三億円に上り、その累積赤字額は百七十五億円に達している現状でありますが、特に六大都市交通事業について見れば、累積赤字額は百四十九億円、うちバス事業累積赤字額は五十九億円に達しているのであります。したがって、公営交通事業財政再建経営の安定のためには、各般対策経営努力が必要であり、このため恒久的措置のすみやかな検討が待たれるのでありますが、政府公営交通、なかんずくバス事業の当面する財政窮状を緩和するためには、公営企業当局経営合理化への努力を一そう期待する一方、バス料金値上げ抑制し、政府物価対策協力する公営企業に対し、料金値上げによる増収期待額を何らかの形で補てんし、企業経営がこれ以上悪化し、破局に達することのないよう適切な措置を講ずる必要があることに意見一致を見たのであります。  この料金値上げによる一年間の増収期待額は、地方公営企業当局報告によると、六大都市バス事業で年間四十七億六千二百万円、北九州秋田浜松の三都市関係で一億四千百万円、計四十九億三百万円であります。  さらに、小委員会としては、当時政府部内において、バス料金抑制に伴う損失補てん具体策について折衝が行なわれておりましたので、その折衝過程において、小委員会結論が強く反映されるよう働きかけることに意見一致を見たのであります。  かくて、小委員各位の再三にわたる強力かつ熱心な働きかけの結果、ようやく政府部内において今朝に至り、一、バス料金の改定を抑制されている六大都市並びに秋田市、浜松市及び北九州市の交通事業経営資金の困難を緩和するため、本年度政府資金により三十億円の短期融資を行なう。二、これら都市交通事業経営合理化一環としてバス増強更新等に充てるため、本年度別途政府資金による三十億円の地方債の発行を認める。三、公営交通事業赤字については地方公営企業制度調査会の答申を待ってあらためて検討する。この三点について各省間の意見一致し、閣議においてただいま正式に決定を見る運びとなったのであります。事ここに至ります過程を顧みまするとき、もし小委員会の貴重な結論と小委員各位の絶大なる御協力と御努力がなかったならば、この時期において、かっこのような措置が行なわれることは不可能であったことを痛感する次第であります。  以上、小委員会における公営交通事業、なかんずくバス事業について料金抑制に伴う当面の措置について御報告を申し上げます。(拍手)
  4. 森田重次郎

    森田委員長 以上で小委員長報告は終わりました。      ————◇—————
  5. 森田重次郎

    森田委員長 地方財政に関する件について調査を進めます。  地方公共団体高等学校施設建設事業費に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。川村継義君。
  6. 川村継義

    川村委員 ただいま議題となりました点について、当局見解を二、三お尋ねをしておきたいと思います。  申し上げるまでもなく、今日の地方財政の運営、財政施策重点一つは、財政秩序を正しくするということにあると思います。したがって、ここ二、三年来、特に自治省は、財政計画を策定する上から考えても、そういうねらいで努力を重ねてもらっておる。しかし、実際はなかなかそれが行なわれておらないで、相かわらず財政秩序が乱れておるのが現状のようであります。そこで私は、それらの実際がどうなっているか、あるいは自治省はこの後どういうような指導をしていく考え方であるのか、その辺の点を明らかにしていただきたいと思います。  その一つ問題としてここに考えてみたいのは、県立高校住民への負担転稼の問題であります。地方財政秩序を正しくせねばならぬという問題はたくさんの問題点があるでありましょうが、その中の一つは、県立高校建設に伴うそれらの経費住民転嫁する、こういうのが一つの大きな今日の問題ではないかと思っております。したがって、きょうはとりあえずそこに問題をしぼりましてお尋ねをいたします。  きょうは、実は文部省の係の人にもきてもらわなければならぬ、こら考えておりましたけれども、それらはまたいずれ別の角度からもお尋ねする場合があろうかと思いますから、きょうは自治省皆さん方見解をお聞きしておきます。  そこで、初めにちょっと確かめておきたいと思いますことは、先般内閣から議長あてに出されております、本会議でも説明がありました昭和三十七年度決算に基づく地方財政状況によりますと、昭和三十七年度純計決算額地方財政計画との比較、これは三百五十四ページ、三百五十五ページになっておりますが、そこの歳出面を見てまいりますと、普通建設事業というのが計画額は六千十八億七千万円、純計決算額は八千三百三十八億七千万円、差し引き二千三百二十億の増加になっておりますが、この純計決算額の八千三百三十八億七千万円という数字は、ほかのページに出てまいる普通建設事業決算額数字とは違っているようですが、これはどういうような計数内容になっているのか。初めにちょっとそれをただしておきたいと思います。と申しますのは、たとえば三百二十ページ昭和三十七年度普通建設事業費状況、そこに昭和三十七年度の純計額が出てまいりますけれども、そこでは八千六百七十九億七千万円、こういう数字になっておる。八千六百七十九億七千万円という数字は、ほかのページにも出てくる純計決算計画比較のところには八千三百三十八億七千万円と出ておる。この数字の違いをひとつ納得いくようにまず説明をしていただけませんか。
  7. 岡田純夫

    岡田説明員 県から市町村補助金を出した場合の補助金に対応する額の差し引き関係に基づくものと思いますけれども、おっしゃいましたように多少、いま直ちにお答えいたしかねる疑問の点もございますので、少し調べまして御報告申し上げます。
  8. 川村継義

    川村委員 いまのところの数字の違いはおそらくそのような理由があるとは思いますけれども、八千六百七十九億七千万円というのはほとんどのページに出てくる。ところがその比較の表のその数字はほとんど他のページに見当たりませんから、確かめてお知らせをいただきたい。  そこでそれらの普通建設事業決算額の中で、昭和三十七年度高等学校費用はどうなっているかということをこの決算で見てみますと、三十七年度高等学校経費は総計一千五百七十六億七千万円、そのうちで高等学校普通建設事業が五百六十二億三千万円、こうなっておる。こういうような費用が出ているわけでありますが、昭和三十七年度に国が高等学校手当てをしたところの費用は幾らでございましたか、それをお知らせいただきたい。高校急増対策費用として二百十二億出しているのですね。五百六十二億の中には、地方交付税等で考えていった——一般財源てなくて、国から補助金を出した。これはおそらく工業高校補助金等があるはずです。そういうような費用の明細、内訳というものがわかりましたらちょっとお聞きしたい。
  9. 柴田護

    柴田政府委員 三十七年度高等学校急増対策経費は総額で二百十二億円、国費十三億、地方費百九十九億円で、その地方費内訳は、地方債が百八億円、交付税九十一億円。この地方債交付税につきましては、このとおりの額を交付税の計算に入れ、地方債もこのとおりの額を許可いたしております。ただこのほかに敷地買収費等につきましては、交付公債等によりまして若干弾力的な運用をいたしております。
  10. 川村継義

    川村委員 いま私が申し上げました三十七年度高等学校普通建設事業費五百六十二億三千万円余り費用の中には、もちろん住民負担したような、寄付によってまかのうたような、そういう費用はこの中に見てありませんね。
  11. 柴田護

    柴田政府委員 そのとおりでございます。
  12. 川村継義

    川村委員 そこで、三十七年度それらの大体の費用見積もりがどれくらいと皆さん方のほうでつかんでおられるかお聞きしたいのであります。というのは、ちょうど私の手元にございます地方財政法の一部を改正する法律案参考資料、これは去年の五月もらったのですが、これには三十六年度市町村及び住民負担が書いてある。つまり県が支払わねばならない高等学校施設建設にかかる市町村等負担状況というのが、三十六年度のものがここに書いてある。これによりますと、市町村負担したものが十七億七千万円余り、これは金銭上の負担です。それから金銭以外による負担が九億九千万円余り県立高等学校施設建設にかかる費用市町村負担したものが合計いたしまして二十七億七千万円、あなたのほうの資料に書いてある。同様に住民金銭上の負担をしたものが四十三億九千万円余り金銭以外に負担したものが三億八千万円余り、これが合計して四十七億八千万円となり、総合計して七十五億五千万円というのが市町村及び住民県立一校に対するその負担状況であります。建設事業分が七十五億五千万円とあなたのほうの資料に書いてある。ところが実際はもっと大きいのであります。つまり市町村住民高等学校経費負担したものはもっと大きい。それはあなたのほうの資料によりましても百十四億八千万円余りというのが市町村住民高等学校経費負担しておる。その中で先ほど申し上げましたように七十五億五千万円というのが建設事業にかかわる経費であります。これは三十六年度皆さんのほうからいただいた資料である。三十七年度は一体どれくらいの市町村食掛あるいは住民負担、それが金銭上の負担金銭外負担合わせてなっておるのか、おわかりでしたらお聞かせいただきたい。
  13. 柴田護

    柴田政府委員 高等学校だけのお尋ねの点につきましていま資料を繰りましてすぐお答えいたしますが、私どもの手元のところにあります税外負担状況では、高等学校関係の金額といたしましては、歳入決算されたものと歳入決算されないものと合わせまして九十五億円、それで市町村、特別区に対して本来都道府県負担すべき経費でありますものを、市町村、特別区が負担をしたものにつきましては、金銭によるものでありますが、二十六億円ということに相なっております。
  14. 川村継義

    川村委員 こまかな数字見方はあろうかと思いますけれども、おそらく三十六年度よりも三十七年度はこういう住民等負担が増加しているのでないか、こう考えておったのでありますけれども、やはりやや上向きに負担が増加しておるようであります。同じことが三十八年度にもいえるのではないか、私はそういうことを憂慮しておる。このことは自治省が当初申しましたように、財政秩序を正すとかあるいは住民に転稼されておる税外負担を軽減する、そういうような趣旨とは、言うならば逆行した姿をとっておる。これをやはりそのまま見過ごすわけにまいらないと思うのであります。  そこで、この次にお尋ねをすることは、昨年度法律改正をなさいました法律の読み方についてちょっとお聞きをしておきたい。  昨年度地方財政法の一部改正がありまして、第二十七条の三、「都道府県は、当該都道府県立高等学校施設建設事業について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担転嫁してはならない。」こういうような表現になっております。この法律審議のときにも、いろいろと質疑応答が繰り返されたことを覚えておりますが、この際、いま一度、皆さん方のほうから明らかにしていただきたい。その一つは、高等学校施設建設事業費というものはどういう内容を持つものであるか。それをまずお示しいただきたいと思います。
  15. 柴田護

    柴田政府委員 この法律によります施設建設事業につきましては、建物建設に関します経費はもちろんでございますが、その建物取得、その建物敷地取得あるいは演習農場等建設ないしは取得、これらを全部含むという解釈でございます。
  16. 川村継義

    川村委員 いまお話の建設事業は、建物建設はもちろんのこと、敷地取得演習農場等建設、それも含まる。いま一度この点についてお伺いいたしますけれども、その建物建設をする場合に、それに、必然的に付随する内部いろいろ施設が必要であります。電灯線を引くとかあるいは水道を引くとか、やはりそういう内部を充実するための施設が非常に多いと思うのです。そういう施設は含まるかどうか。この点はいかがでしょう。
  17. 柴田護

    柴田政府委員 具体的な問題になりますと、なかなかむずかしい問題がいろいろあろうかと思いますが、高等学校建設するのでありますので、これに関連する、いわば初度調弁的な経費電気工事あるいは水道を引く経費、さようなものはすべて入るという解釈でございます。
  18. 川村継義

    川村委員 わかりました。  それからその次に、解釈上の点でお聞きしておきたいと思いますことは、「直接であると間接であるとを問わず、その負担を転稼してはならない。」こういうことであります。間接であると直接であるとを問わず負担をさせてはならないという表現もあろうかと思いますが、この場合に、「その負担を転稼してはならない。」その転嫁ということの解釈、転稼の内容、これについてちょっとお聞かせをいただきたい。
  19. 柴田護

    柴田政府委員 転嫁ということは、要するに、自分のところに降りかかってくるものをよその方に回すということであります。読んで字のとおりでございまして、特にそれ以上にいずるものではございません。当然負担すべきものを、その方法のいかんを問わず、ほかの第三者に負担させるということをいうのであります。
  20. 川村継義

    川村委員 実は今日、この県立高校建設問題ばかりではありませんけれども、いろいろの住民負担がなかなか少なくならない。ところが一番目立っておるのは、昨年法律は制定されたけれども、結局は同じではないかというような状態がございますから、各地にいろいろの問題が起きておる。ついせんだって私は奈良県に参りました。奈良県でこの問題が大きく火を吹いておりますから、実情を聞いたのであります。このことはすでにもう皆さん方のほうにも、県当局からいろいろと見解の問い合わせや、あるいはその他の連絡があっていると思います。奈良県ではあまりにもこういう問題のやり方が大げさであるので、この新学期を機会に、住民の間に、県民の間に問題が起こったわけであります。そこで私も、実情を聞いてもらいたいということでありますから、実情調査に行ったのでありますが、奈良県で起こっておる問題——私は奈良県だけではないと思う。全国的にそういう同じケースが、大なり小なり行なわれておるのではないかと推測いたします。そこでいま局長は、転嫁という問題をしごくあっさりお答えいただきましたが、なるほど読んでそのとおりであろうかと思いますけれども、解釈のしかたによってはいろんな問題が生じてくる。そこでお尋ねをいたしますが、奈良県の実例をもって、ちょっとお聞きいただきたい。奈良県は三十九年度新しく高等学校入学した生徒一人当たり二千円、入学番付金というものをほとんど全部の高等学校がとっておる。それからもう一つは、施設充実費寄付金という形で、ある学校は五千円、ある学校は八千円、ある学校は六千円、大体五千円から八千円の間で、ほとんどの高等学校生徒父兄から寄付金を集めておる。そうして集まった金が、いわゆる寄付の名目で高等学校建設資金体育館建設あるいは校舎建設、そういうようなものに回されようとしておる。これは一体転稼しておるのか、転嫁していないのか。実際問題としてどう解釈されますか、お聞きしたいと思います。
  21. 柴田護

    柴田政府委員 その事柄自身をつかまえてどうこうという議論をいたしますには、御指摘の事実が単なる事実だけでございまして、ややあっさりし過ぎているように実は感じます。したがって、その間の経緯を少し考えなければ、法律解釈問題としては問題があろうかと思うのでありまして、軽々に判断をすべきではないと考えるのであります。しかし、高等学校当局そのものが、入学の条件としてそういうことを行なう。そうしてそれが県の意思一環として行なわれておるということでありますれば、それは適当ではない。しかし何らかの父兄間だけの集まりでそういう問題が討議されて、すでにそういうようなことが行なわれておる。つまりその寄付することについての自発的な意思が保留されておるという形でありますれば、違法の問題は起こってこないというように考えます。
  22. 川村継義

    川村委員 そういう解釈をおそらくなさるだろうと思っておりますが、そういう解釈で済まされる問題ではないのではないか。そこでもう一ぺんその点についてお聞きしますけれども、いわゆる地方財政法の四条の五でありまして、これは私が読む必要もありませんが、終わりのほうに、「直接であると間接であるとを問わず、寄附金を割り当てて強制的に徴収するようなことをしてはならない。」その中にはカッコをして「(これに相当する行為を含む。)」と若いてある。この法文から見ても、それから昨年この地方財政法の一部改正がなされたときの自治省のほうの解釈からいたしましても、こういう解釈がなされておったと思う。つまり「「負担転嫁してはならない」とは、地方財政法第四条の五によって禁止されている割当的寄附金にはならない他の形式によって本来都道府県負担すべき高等学校施設建設事業費住民負担させることを禁止しようとする趣旨である。」これは皆さん方のほうの解釈であります。そうなると、局長お尋ねいたしますが、いまのように入学合格発表のときに全部生徒に二千円、五千円の寄付徴収の紙を配っておいて、四月の入学式のときにこれを徴収した。これは事実ですからね。三月の合格発表のときにその紙を配っておいて、四月の入学式のときにこれを徴収した。これは一体割り当て寄付解釈するのかしないのか、まずその行為から考えてみなければならぬ。
  23. 柴田護

    柴田政府委員 私はいまお話しになっております奈良県の問題につきまして、実は事実を承知いたしておりません。詳しくは聞いておりません。ただ、正直な話を申し上げますと、あした川村先生が御質問になるのだということで、こういう事実があるようだということを耳にいたしました。具体的問題として考えます場合には、やはり割り当て寄付金だとかあるいは強制寄付金というものは、公権力というものが背景になっております。しかも一定の額をきめて、この権力を背景として個々に割り当てていくという行為を言うのでありますが、この第四条の五の場合に、自発的な寄付金というものはこの条文には該当しないという解釈は、地方財政法解釈といたしましてはもうすでに確定をいたしております。この第二十七条の三でございますが、ここでいうところの負担の転稼、この転稼という問題は、先ほど私がお答え申し上げましたとおりであります。そこで、この条文にいたしましても、先ほどの強制割り当て寄付金の禁止の条文にいたしましても、自発的な意思がどこまで残されておるかという問題、結局違法、適法というしゃちこばった問題になってまいりますれば、そういう問題になるのではなかろうか。そこが限界点になる。そうしますと、そういうような事実行為が行なわれました背景というものをいろいろ考えていかなければ、その判断をすぐそこでどうこうと言うのは問題がありはしないか。つまり軽卒ではないかということから、御不満かもしれませんけれども、私はその点をはっきりお答えいたしかねるのであります。大体の解釈といたしますれば、その寄付なら寄付行為について、自発的意思決定ができるという形においてなされたものである限りにおいては直ちに違法と言えぬのではないか、そこが限界ではないか、かように考えるわけでございます。この問題は、先生御承知のとおり、判断といたしましては非常にむずかしい問題でございますが、法律解釈としてはそういうぐあいに解釈せざるを得ないのではなかろうかというふうに考えております。
  24. 川村継義

    川村委員 実はそういう行為については、これはあまり皆さん方のほうを責めるべき問題ではなくて、文部省当局一つの行政のあり方に大きな問題があろうかと思います。ただし、その点はやはり財政当局としても十分考えていただかなければならぬ問題だと思います。  そこで、局長、いまのようなおことばでございましたが、なぜこういうような事態が生まれてくるかということであります。自発的寄付行為までも禁止しておるのではないという解釈は、それは二十七条の三で成り立ちましょう。しかし私のいま指摘したような事例は、これは少なくともそういう自発的寄付行為ではないということが察知できるわけであります。言うならば一種の半強制的な割り当て寄付の形をとっておる。そこにも一つ問題があると思いますが、一体なぜこういうものが止まれてきたかというと、まず、その一つの大きな根本は、二月の県議会で知事当局は、予算案を提出したときに、三十九年度のこれらの高等学校建設事業を進めるにあたって、五千二百万円程度の寄付予算を当て込んでおる。PTAの——奈良では育友会と言っておりますが、この保護者の諸君は、自分たちの子供を預ける学校を何とかよくしたいということでこういう行為に出ておるわけですね。根本は、県議会で五千二百万円の建設費用を予算化しておるということ、ここにあるのではないかと私は見るわけです。それがあるからこういうような行為に出ている。私は、その行為こそ二十七条の三でいうところの転稼ではないか、こう解釈する。これはどうでしょう。
  25. 柴田護

    柴田政府委員 いろいろお話を伺っておりますと、問題はないとは言い切れないような点があるようにも私は感ずるのであります。ただ、予算化するということでありましても、その場合に、すでにその学校の校友会からそういうような話があって、県当局としてはほんとうに自発的かどうかということを確かめた上で措置をしたということであれば、そういうこと自身がこの法上でいうところの転稼ということにはならぬだろうと思いますけれども、少なくともいろいろなとりようがなされるようなやり方、そのやり方自身につきましては問題もあるし、県当局としては、もしそれがほんとうの自発的な意思に基づくものであるということが明確でありますれば、そういう誤解を生ずるようなことは、事前にやはり十分措置をとって、それからやるべきことではなかろうか。つまり、少なくとも県当局の、予算措置をいたします場合の措置のし方につきましては、やはりいろいろ問題があるのではなかろうか。法律上の問題というのではございません、事実上の問題といたしまして不必要な誤解を与え、不必要な雰囲気を交えるということを避けるような措置をすべきじゃなかったろうかと私は考えるのであります。つまりそういう措置がとられなかったために、強制的寄付金と間違えられるような結果を招いたり、あるいはまた負担転嫁と混同されるような結果を招いたりということが起こるのでありまして、そういうことを避けるような措置を、この問題につきましては県当局としてはとるべきではなかったろうかと考える次第であります。ただ根本的には、お話のように、全体の財源指貫がどうなっているかという問題、あるいは国が地方団体に対していままで行なってきました措置が適当かどうかといった問題、こういった問題がこの問題の解決の前提になることはお話のとおりであります。その問題につきましては、私どもるる毎回機会がありますごとに、当委員会におきまして、お答え申し上げましたような方針で臨んでおる次第であります。なかなかやっかいな問題でありまして、一刀両断にすることができないむずかしい問題でありますか、私といたしましては法条の趣旨に照らしまして、なおその徹底をはかりたい、かように考えている次第でございます。
  26. 川村継義

    川村委員 違法であるとかどうとかいう問題は別にしても、事実上としてはたいへん問題が存するというお答えでありますけれども、こういうやり方は確かに違法である。そういう割り切り方をして指導なさいませんと、いつまでたっても抜け道だけを考え出してきてやるのじゃないか。御承知のとおりに国がやっている国立高専の建設にしても、みな寄付が、違法じゃないかもしらぬけれども、その抜け道で全部やっているじゃありませんか。こういうことは皆さん方がちゃんと知っておる。同様なことが県自体においても行なわれる。  そこでいませっかくのお答えでありますけれども、私が調査いたしましたときの寄付金内容額をちょっと申し上げたい。ほかにもありますよ。借り入れ金というのがある。父兄から入学時に借り入れるのですね。一人当たり二万あるいは一万、それで卒業するときに返す、こういう仕組みになっておるのでありますが、幾つかあります。これはいま非常に問題になっている。そうしてそれら集めたものを一体何に使うか。私がずっと調べたのを申すと、大体校舎の改築、体育館建設、保健室、そういう項目が全部並んでおる。そうするとこれはもう二十七条に違反する使途であるということは明らかである。と同時にいま一つは、県議会の予算編成の問題にさっきちょっと触れましたが、これは名前は申し上げません。なぜかというと、教育委員会が公表してくれるなと頼んだから公表はいたしません。名前は申し上げませんけれども、教育委員会が、三十九年度高等学校施設増改築の工事予算をつくっているときに、いま私が申し上げたような本館の改築工事、増築工事がずっと書いてある。そうして坪当たり単価で幾らの金額、それも明示してある。そしてその財源として先ほど言うたように五千二百万円程度の寄付金を当て込んである。教育委員会資料の中にあります。だからおそらく県の財政当局は、この教育委員会がつくった資料に基づいて予算を組んでおるに違いありません。そうすると、自発的寄付というような域を脱しているじゃありませんか。これが転嫁でなくて何を転嫁と言うのかと私は言いたいのであります。もう一回局長見解を聞かしていただきたい。
  27. 柴田護

    柴田政府委員 お答えいたします前に、財政計画決算との比較問題についてちょっとお答え申し上げますが、財政計画決算比較、三百五十五ページの、普通建設事業費八千三百三十八億円、これとそれからその上にあります直轄事業負担金三百四十八億千七百万円、この二つを合わせましたものが三百二十一ページ普通建設事業費八千六百七十九億円と出ております。したがって、その点は、この直轄事業負担金を合わせるか合わせないかの違いであります。御了承いただきます。  それから、お尋ねの件でございますが、県が校友会のようなものから借りておるという問題でございますが、借金をする、県が直接父兄から借りるという問題でありますれば、法律上は起債の問題になるわけであります。許可なしに借りておるということになれは、やみ起債ということになりますし、校友会みたいなものから借りておるということになれば、それは一時点の巨大な経費を借金の形で分担したということになろうかと思うのであります。そのこと自身につきましては、法律上の問題はすぐそこで起こってくるというわけにはまいらぬのじゃなかろうか。ただ、それが今度は借金をしたものによって、県にそれを寄付するというようなことになってまいりますれば、そこのところの問題に、若干どういうような経緯でそういうことになったかという問題から、やはり先ほど来申し上げたような問題に返ってくるのじゃなかろうか。どこまでいっても、自発的な意思が保留されておるかされていないかということが、法律問題になろうかと思うのであります。やり方としてはいかにもそこらあたりにたくさんある私立学校でやっておりますようなことであります。私はいやしくも県立学校としては、そういうようなやり方というものは、いかがなものだろうかというように思います。
  28. 川村継義

    川村委員 あと地方共済の質疑等もありますから、またいずれやることにいたしますけれども、いま私が申し上げるように、自発的寄付ということになりますと、初めから五千二百万円である、あるいは何千万である、そういう予定をして、そして予算に計上していくということは私はあり得ないと思う。ちゃんと予算化されて、そしてその途中で父兄等が、どうも予算化されておるけれども、これでは自分たちが念願する教育を進めるために、十分な施設やあるいは備品等の購入ができない、子供が気の梅だというので、あとで寄付というものがあったというならば、なるほど寄付の行為というものが納得いく。初めからちゃんとこれこれの家をつくる、こういうものをつくる、これくらいの金がかかる。しかし五千二百万は寄付を考える。そしてそれが予算の中に出てくるというのは、どうしても自発的寄付行為であるという解釈は成り立たない、こういうやり方をこそやはり転嫁されたものだと解釈せざるを得ないのであります。私はこう思う。おそらくあなたたちのほうは、県が直接これだけ寄付しろ、こう言うたんじゃないから、そこには非常に微妙な問題があって、違法にはならぬのじゃないかというような立場をあるいはおとりになるお考えもあろうかもしれませんけれども、それは私はいけないと思う。そういう点をひとつはっきりしていただかなければ、こういう事例はいつまでたってもなくならぬ。全国的に、今日の高校急増対策等に伴って、ものすごい寄付です。局長あたりは東京でお知りにならないかもしれないが、いなかにいきますとたいへんな寄付ですよ。こういう点をぜひひとつ是正してもらいたい。  そこで、私が申し上げましたこの奈良県の実態、実は申し上げ足らないことがまだたくさんありますけれども、当局のほうからいま一度調べていただいて、そしてその行き過ぎや、あるいは妥当を欠いているところ、そういうところはひとつ適切に指導してもらいたい、これを私は本日は強く要望を申し上げておきたいと思います。
  29. 柴田護

    柴田政府委員 非常に具体的問題になってまいりますと、実はむずかしい問題だと思うのであります。県と寄付者というものだけの関係でございますれば、問題比較的簡単に片づく、特にお話しのような、Aともとれ、Bともとれるといったような問題も起こってこないだろうとも思うのでございますけれども、間に人が入って、それが入学のうれしさに満ちているときにいろいろな行為が行なわれる、その辺にいろいろ解釈の分かれる問題が出てくる。私が先ほど申し上げましたように、その入学生の父兄の方で、私はいやだと言うて断わることができるということがはっきりしておりますれば、そのこと自身について法律問題というものは起こってこないだろうと思うのでございます。しかし、そういう場合におきましては、そういう意思の自由があるかないかということを、県当局なりあるいはその直接番付に当たった連中なりが徹底をさすべきであるのじゃないか、そういうような措置があってこそ初めて、大手を振って問題ないということがいえるだろう、それかないことがいろいろ誤解を生み、不必要に問題を紛糾させたもとだろうと思うのであります。したがって、そういうようなことを欠いたということにつきましては、やはり県当局としてはやり方に問題があったのじゃなかろうかというように思います。いずれにいたしましても、そういうことまで全県的に行なわれるということになりますならば、措置としては、私どもは従来のいきさつ等から考えまして、それが適当なものとは実は思われないのでありまして、なお実情を、お話のように十分調査いたしまして、それを明らかにした上で必要な措置をとっていきたい、かように思います。
  30. 川村継義

    川村委員 いまお話しの中にもありましたように、これがたくさんの高等学校の中に一校か二校か、何かいまのよう問題が起こってきたというならば、また考えてみる余地もある。全県下全部の高等学校に同様なことが行なわれているということになると、問題はやはり簡単ではない。そこで、きょうは大臣はおられませんけれども、実はこういう問題については、文部省に十分見解を聞き、ものをいわねばならぬ問題が多いと思うのです。しかし、またいずれ文部省にはものをいう場合があると思いますけれども、ひとつ大臣等を通して、文部大臣等におきましても、こういう点は文教行政の立場から十分なる指導をするように、ひとつ連絡していただくようにお願いをしておきたいと思います。      ————◇—————
  31. 森田重次郎

    森田委員長 次に、地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。門司亮君。
  32. 門司亮

    ○門司委員 ただいま議題になりました地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に関連するものとして、きょうはごく簡単に一つだけ聞いておきたいと考えておるのでございます。  この法案の提出理由は、私が言うまでもなく、大臣からの説明のとおりであります。したがって、この中で私どもが、せっかくこういう法案を出される段階で、なお政府に十分考慮していただかなければならない問題等がございますので、その点についてお伺いをしておきたいと思うのでございます。  今回の法律で、従来しばしば問題になっておりました、法律でいう地方公務員だけでなくて、公務員法による公務員だけでなくして、これに関連したいろいろな団体等あるいは諸外国におりました諸君の問題等が改正内容になっておるのでありますが、その中で、今日まで恩給の通算その他に漏れておる者が多少あろうかと思いますので、この点について政府のはっきりしたお答えをこの機会に願っておきたいと思います。  お聞きをいたします内容は、従来戦争前にわが国の領土でありました樺太、台湾あるいは朝鮮における日本の——この場合私は本土と申し上げておきますが、本土における都道府県市町村に該当する役所につとめておりました諸君が、終戦後再び日本のそれらの役所、内地のといいますか、あるいは本土の役所に就職をいたしました場合の通算が今日までなされていないことは当局も御存じのことと思います。したがって、これらの問題は、せっかくこういう法律案を出されるといたしますならば、この機会にぜひ解決しておいていただきたい。解決の方法はいろいろあろうかと思いますが、この点についての明快な御答弁をひとつ願っておきたいと思うのでございます。  御承知のように、台湾における州であるとかあるいは樺太庁あるいはさらに朝鮮におきます例の、ここは銅といっておりますが、朝鮮語で何かフーといっているようでありましたが、こういう、ちょうど日本の都道府県に該当するようなところにつとめておった諸君については、多少通算の処置がとられておると思いますが、それ以下の、さっきから申し上げておりますように、市町村、朝鮮であれば郡であるとか、島であるとか、面であるとかというような名称が使われておったのがございます。樺太は内地と同じで、市町村という名称を使っておる、台湾でも郡、市あるいはショーというような、街という字を書いております。こういう名称で役所があったはずであります。したがって、これらの役所につとめておりました者に対する恩給の通算について、先ほどから申し上げておりますように、ひとつ政府のお考えをこの機会にはっきりお示しを願っておきたいと思います。
  33. 胡子英幸

    胡子説明員 ただいま御質問をいただきました樺太、朝鮮、台湾等、いわゆる外地の地方団体職員であった者の在職期間につきまして、これを地方公務員共済組合法上の組合員期間に通算することにつきましては、かねてから要望もあり、私どもといたしましてもいろいろと検討を進めてまいったわけでございます。政府部内におきましても法制局の見解をただし、さらには大蔵省等とも打ち合わせをし、種々協議検討をいたしました結果、このほどようやく、この措置につきましては、法改正によらずとも、現行法の解釈及び運用によりまして通算措置をすることができる、こういう結論を得ることができるように至りましたので、御要望の趣旨に沿いまして今後措置をいたしたいと考えております。
  34. 門司亮

    ○門司委員 大体了解はできたのでありますが、ただ問題は、この処置の問題とそれから政府の心がまえであります。  御承知のように、先ほど申し上げましたような名称の場所であり、それから同町に、終戦当時にどのくらいそういう諸君がおったかというようなことは、なかなか記録はめんどうじゃないかと考えられる。そこで問題になってまいりますのは、やはり取り扱いの上ではかなりめんどうなことが起こって、そうしてややともすると、争いとまで私は申し上げませんが、いろいろな個人々々の問題に対してはめんどうな問題が起こらないとは限らぬのでありまして、したがって、この機会にそういう処置がとれるということになりますれば、その時期は、いつごろからこれが実施を願えるのか、あるいはそういう調査等に非常にひまが要って、考え方はそう考えたのだけれども、実施は三年先だか五年先だかわからぬというようなことでも私は困ると思うのですが、そういう調査は一体どの辺までできておるのか。それからいつごろからこれが実施に移されるのかというようなことについて、ひとつお考えがあるならば、この機会にお伺いをいたしておきたいと思います。
  35. 胡子英幸

    胡子説明員 該当者の数の調査問題でございますが、私どもの調査もまだ不十分でございまして、的確な数をつかみ得てはおりませんが、今日までに私どもがいろいろ照会をいたしまして、把握いたしております数は、樺太関係で約百二一名、台湾で六十名、朝鮮で約九十名こういった程度の方々の数を把握をいたしておるわけでございまして、このほかにも漏れている数があろうかと存じますが、いずれにいたしましても、こういった数につきましては、今後もなお正確を期してまいりたいと考えております。  それから先ほどお答え申し上げました措置の実施時期につきましては、先ほども申し上げましたように、政府部内の意見がようやく一致を見ておりますので、このことにつきましては、できるだけ早い機会にそれぞれの地方の組合に対しまして通知を出しまして、こういった措置を講ずることが早く行なわれるようにいたしたいと考えております。
  36. 門司亮

    ○門司委員 大体もうそれでよろしいかと思いますが、ただ現在の段階では、いつから実施すると言うわけにはなかなかいかないと思いますが、せっかくこういう新しい改正法も出てまいりまして、その中では、主としてそういうことを今度の改正では一つの目安にしておることは事実でありまして、したがって、できればこの法律の施行と同時に、そういうことができるようにしていただくことがよろしいのではないか。この法律の趣旨からいっても、私はそういうことが考えられるのであります。法律でなくて行政措置でやれるというのならば、私はそれでけっこうだと思いますが、ひとつ時期はできるだけこの法律の施行の時期に合わせるように——まあ調査その他でいろいろ具体的な問題になれば、いつまでもそういう問題は残ると思います。二年も三年もあるいはかかるかもしれないと思います。かりにそこにつとめておりました諸君に周知徹底するにいたしましても、なかなか困難である。それから事実上われわれが調査した範囲におきましても、それらの役所につとめておった諸君の実在の数、実在の人間ということになりますと、大体昭和十七年か八年くらいまでしか、こちらから調査する場合はほんとうの数字はなかなかつかみ得ないのじゃないか。本人からの申し出は、これまた別といたして、これは終戦までのものがあるかもしれません。だからその間の調査は、これらのことについては、非常に困難だと思います。思いますが、しかし数もそう多くないことだと思います。と同時に、ぜひとっていただきたい処置としては、これらの諸君が漏れることのないように、ひとつ全体に周知徹底する方法をぜひ十分に講じてもらいたいということと、さっきも申し上げておりますように、この法律施行と同時にそういうことがやれるかどうかということを、もう一度お答えを願っておきたいと思います。
  37. 胡子英幸

    胡子説明員 実施の時期につきましては、私どももいまお話がございましたように、この法律は十月一日から施行を予定いたしておりますので、その時期に合わせて措置をいたしたい、かように考えておるところでございます。また、後段の周知徹底の方途につきましても、御意思を体しまして、十分努力いたしたいと思います。
  38. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ、地域を忘れておったというと語弊がありますが、申し上げなかったのですが、満州はどうなりますか。いままでの取り扱いとしては、たとえば満州の鉄道であるとか協和会であるとかいうものについての国家公務員との引き継ぎといいますか、それはつながっているように拝聴いたしておりますが、そのほかの満州であったときのいわゆる特別市であるとか、あるいは旗であるとか、そういう地方自治体が満州にはかなりあったと思いますが、そういうものはどうなりますか。満州のそういうものが一緒に考えられますか。満州はわが国の領土ではなかったわけでありますが、しかし、そこに駐在しておった、さっき申し上げましたような諸君は、国家公務員とのつながりができてきている。したがって、これもある程度見ないと、私は何だか片手落ちのような気がするのですが、これに対する話し合いはできておりませんか。
  39. 胡子英幸

    胡子説明員 満州につきましては、実はまだ政府部内におきましても、こういった問題について具体的な検討をいたしておりませんので、現在のところは考えてございません。
  40. 森田重次郎

  41. 渡海元三郎

    ○渡海委員 団体共済法が三年ぶりに目を見たのでございますが、この団体共済は、地方公務員の共済制度ができましたら、当然それとともにやるべきでなかったかと考え、私どももそれを要望してまいりましたが、今日初めてその実現を見ることができました。その必要性につきましては、私たちも十分承知して、要望してきたのでございますが、あらためてこの際当局から、この団体共済は当然行なうべきであったというその必要性についてひとつ御答弁を賜わりたいと思います。
  42. 胡子英幸

    胡子説明員 今回御審議をお願いいたしております団体共済組合の設立につきましては、この点は過ぐる四十一国会におきまして、衆参両院の委員会におきまして附帯決議がなされ、その実視が強く要望されておったところでありますし、またそれぞれの地方関係団体の間からもこの共済制度の設立について非常に強い声があったところでございます。そこで私どもといたしましても、こういった団体の職員は、職務内容は地方公務員に準じておりますし、また給与上の取り扱いにつきましても地方公務員に準じておりますし、各般の観点からながめてみましても、ぜひともこういった制度をつくるべきであるという考え方に立ちまして、今回この法律改正をお願いしたような次第でございます。
  43. 渡海元三郎

    ○渡海委員 この法律の適用を受ける団体は、法の中に規定されておるのでございますが、これで十分であると考えているのかどうか、またそれに限定しました基準をどこに置かれているのか、この点について明確にしておいていただきたいと思います。
  44. 胡子英幸

    胡子説明員 この団体共済組合の構成の団体につきましては、法律に明記をいたしまして、それぞれ団体名を掲げているわけでございますが、団体の範囲を考えましたその基準といたしましては、私たちは一応四つの基準といいますか、そういったものを考えたわけでございます。それは一つには、その設立者が地方団体となっているような団体、それから第二番目には地方団体の事務の代行あるいは地方団体と同じような仕事をしている団体、こういった団体であることを第二の要件と考えたわけでございます。それから第三の要件といたしまして、団体の設立に関しまして法律上の税制がなされているような団体、それから最後に、その団体の職員の職務内容は地方公務員に準じたものであり、しかもその給与上の取り扱いにつきましても地方公務員に準じている、こういった以上のような要件に該当する団体を考えまして、この法律に掲げた次第でございます。将来そういった要件に該当する団体が出てまいりますならば、また法律改正をお願いしまして団体に加えていただくということもあるであろうと考えているわけでございます。
  45. 渡海元三郎

    ○渡海委員 いまの答弁の最後の中で、いま言われたような基準の原則に合うような団体が将来できたなれば考えるということでございましたから、了解するのでございますが、将来できるばかりでなく、もしこういった基準で、現在これで網羅しておると思いますけれども、もし漏れておるような団体があったなれば、それも考えるということに私は解釈して了解したい、こう思いますので、この点は答弁要りませんので、よろしくお願い申し上げます。  それで、大体予想されます職員数はどの程度になりますか、概数でけっこうでございますから。
  46. 胡子英幸

    胡子説明員 現在の調査によりますと、約五千名でございます。
  47. 渡海元三郎

    ○渡海委員 五千名の人数で保険財政かもつかどうか。この点が一番この共済の設立にあたりまして問題にされた点でございますが、この点に対するところの当局計画についてひとつお聞きいたしたいと思います。
  48. 胡子英幸

    胡子説明員 いまお尋ねの点は非常に大事な点でございまして、私どももこの点についてはいろいろ検討いたしたわけでございますが、保険財政が成り立つかどうかということにつきましては、組合員の数の多寡がもちろん無関係ではございませんけれども、掛け金の計算が適切になされるかどうかにかかると存ずるわけでございますが、この点につきましては、健全な保険数理に基づいて計算をいたすことにいたしております。またこの法律の中にも、少なくとも五年に一回は再計算を行なうということにいたしておりますので、十分成り立つものと私たちは考えております。
  49. 渡海元三郎

    ○渡海委員 この点はなお審議の過税におきまして、数字を詰めて検討さしていただきたいと思いますので、今日はこれでおいておきたいと思います。  なお、地方公務員からこういった団体に入る者も相当あるのでございますが、特に地方公務員との通算をせよという声は高いと思いますが、今回これを行なわないこととされておりますが、この点についての当局見解はどうであるか示していただきたいと思います。
  50. 胡子英幸

    胡子説明員 地方公務員との通算の問題につきましては、非常に要望が強かったわけでございますが、現存の制度のもとにおきましても、国家公務員共済組合の組合員と、それから公企体の共済組合の組合員との通算もございませんし、また今度私どもが、いわゆる兄貴分としてモデルといたしました私学共済あるいは農林共済にいたしましても、公立共済なり、あるいは国家共務員共済との通算関係がないわけでございますで、そういった観点から今回は地方公務員と団体共済組合の組合員との通算は認めないたてまえをとっておるわけでございますが、将来、いま申し上げましたような共済制度相互間における通算措置が行なわれる段階がきました場合には、当然私どもも同じような措置を講ずべきだと考えておるわけでございますが、現状におきましては、先刻申し上げましたような事情で、地方公務員との通算はいたさないということにいたしてございます。
  51. 渡海元三郎

    ○渡海委員 共済制度の発達が、日本ではまだ日が浅いものでございますから、個々に起きてきたきらいがございます。そういった観点から、すべての共済制度について通算するような行き方に進んでいくというのが社会保障制度の原則であろうと思うのであります。他の共済との関連もございますし、あるいは掛け金の保険係数の問題もあろうと思いますので、なかなか困難であろうと思いますが、いま申されたように、将来の血に向かって、むしろよそがやるからやるというのではなくして、積極的にそういった道が開かれるよう研究と努力を重ねていただきたい、かように考えておる次第でございます。  なお、この給付を長期給付だけに限っておるのでございますが、長期給付だけに限った理由はいかなる点にあるのですか。
  52. 胡子英幸

    胡子説明員 この団体共済組合におきましては、御指摘のとおり長期給付のみを行なうことといたしまして、短期給付は行なわないたてまえをとってございます。その理由は、団体共済組合の組織団体あるいはその下部組織は全国にわたっているわけでございまして、したがって、組合員の勤務先も全国的に散在をいたしておりますために、たとえば短期給付の中で多いのは療養の給付というようなことでございますが、こういった療養の給付等のごとく、給付件数が多く、しかもこまかいものにつきましてこれを行なうということになりますと、いろいろな困難な点がありますので、長期給付のみを行なうことといたしまして、短期給付につきましては、従来これらの団体が適用を受けておられました健康保険をそのまま適用していただくということに考えたわけでございます。
  53. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ちょっと申しおくれたのでございますが、いまの地方公務員との通算と関連いたしまして、過去に既得権、あるいは期待権等で現在の地方公務員の中に入っておって、今日これに包含されたために法的に強引的にやられるといった者の擁護も当然考えなければいかぬのではないか、こう考えるのですが、それに対する点をいかに措置される考えであるか、この点明らかにしておいていただきたいと思います。
  54. 胡子英幸

    胡子説明員 いわゆる過去の既得権と申しますか、期待権といったようなものについての保障をどのように考えたか、こういうお尋ねでございますが、私どもは次のような措置でそれを考えたつもりでございます。  その第一は、過去の在職期間の通算措置でございます。これは厚生年金の被保険者でありました期間、それからさらに、いまお話がございましたように、この団体の職員の中には旧市町村共済の組合員である方があるわけでございますが、こういった旧市町村共済組合員期間、これはもちろん期間を通算することにいたしておりますが、そのほかにずっと背にさかのぼりました場合に、掛け金等を全く納めていない単なる団体の職員であった期…というものがあるわけでございます。こういつたいわゆる単なる職員期間につきましても、過去にさかのぼりまして、その団体の職員として引き継いだ限りにおきましては通算する、こういう措置を講ずることにいたしております点が第一の既得権と申しますか、待期権と申しますか、そういった保障を考慮した第一の点でございます。  それから第二の点といたしましては、現在地方公務員共済組合法の適用を受けて今日に至っており、今度団体共済が成立をいたしますと、そういった方々はすべて団体共済組合員としてこちらに移っていただくことになるわけでございますが、その際地方公務員共済組合法の年金権を有することとなる力につきましては、本人の希望によりまして、地方公務員共済組合法上の年金受給を認めるということにいたしているわけでございます。したがいまして、そういった希望をされる力につきましては、今後団体共済組合員でありながら、地方公務員共済組合法による年金を受給しながらつとめる、こういうことが可能になるわけでございます。それが第二番目の点でございます。  それから第三といたしましては、先ほども申し上げましたように、本来公務員でなくて、地方公務員共済組合法の適用を過去から沿革的に受けておる方々があるわけでございます。具体的には町村会の職員等でございますが、そういった方々が法律によって救済規定が設けられて、現在地方公務員共済組合法の組合員として認められて今日に至っておりますけれども、そういった方々はあげて団体共済組合の組合員に移っていただくわけでございますが、その際先ほども申し上げましたように、この団体共済組合は短期給付を行ないませんで長期給付のみを行なうことといたしておりますので、過去から共済組合の組合員であった人には短期給付に限り、その選択によって適用を認めることといたしておるわけでございます。この点が過去の既得権と申しますか、そういうものの保障を考慮した第三点でございます。  それから第四点といたしましては、いわゆる追加費用負担について考慮した点でございます。これはそれぞれの団体が負担をするといたしまして、私学、農林共済におきまするように、一部を組合員の負担にするという方法はとらず、地方公務員共済法と同じ考え方に立ちまして、必要な追加費用については、すべてこれはそれぞれの団体が負担するということで、組合員の負担の過重を避けるという考え方をとったわけでございます。  大体以上四点につきまして、それぞれ既得権と申しますか、期待権と申しますか、そういった点についての配慮をいたしたつもりでございます。
  55. 渡海元三郎

    ○渡海委員 四点についていま御説明がございましたが、なかなか末端に至る指導ということが、各個人にわたりますものですから困難であろうと思いますので、いま申されたような意向が徹底するよう行政指導でひとつ十分やっていただきたいことを希望いたしておきます。  最後に、この法案が、社会保障制度にかかります。社会保障制度といたしましては、将来は全国に一本の共済年金制度にすべきであるという考えから、一部反対の声もあったのでございますが、これは当然であろうと思います。本来厚生年金に統一されますかどうなりますか、国民全般に通じて共済制度といいますか、老後保障の問題は統一されなければならないと思いますが、現在の過程におきましては、これがなかなか困難であろうと思いますし、そういった意味からは、当然こういった団体に所属される方々が、特別の共済制度をつくられるということも十分考えられるところであり、これを取り入れてつくられたと思いますが、その意味からいいまして、現在の厚生年金と、今回のこの制度によってどの程度給付の開きができるか。なお、厚生年金は目下改正案が出まして、いわゆる一万円年金に引き上げられておりますが、それともあわせて、今回の団体共済の給付がどの程度それらの人々にとって恩典になっておるかということを概略でけっこうでございますからひとつお述べ賜わりたいと思います。
  56. 胡子英幸

    胡子説明員 この団体共済が成立いたしました場合の給付の内容と、それから厚生年金によります給付との比較の点であります。これはいろいろと具体的には数字がございますが、一応仮定を立ててみまして、初任給が一万四千九百円と仮定いたしまして、それからそれぞれ二十年、二十五年といったような在職期間勤められて退職された場合の給付を比較いたしてみたわけでございます。現行の厚生年金との比較をいたしてみますと、二十年の在職者が初任給一万四千九百円といたしますと、退職時の給料月額が四万三千八百六円ということになりまして、団体共済による退職年金は二十万一千円。それから厚年の老齢年金といたしましては、同じ退職時の給料月額にいたしまして、七万四千円ということでございまして、現行法のもとにおきましては停年のほうが団体共済と比較いたしまして約三分の一程度ということになるわけでございます。それが、今度提案をいたしております改正案とこれを比較をいたしてみますと、同じように初任給を一万四千九百円として二十年経過した人の退職時の給料月額が四万三千八百円であると仮定をいたしまして計算をいたしてみますと、団体共済の退職時の年金は、先ほどの額の二十万一千円と変わりございませんけれども、厚生年金の額が、先ほどの現行法では七万四千円でございましたものが十三万九千円ということで、相当大幅に引き上げられることになりますが、なおかっこの団体共済と比較をいたしますと、約七割斜度ということで、まだこの団体共済の給付のほうが内容がいいということでございます。
  57. 渡海元三郎

    ○渡海委員 、厚生年金との比較は了解いたしましたが、この団体共済年金は地方公務員共済年金制度あるいは他にありますところの私学共済あるいは農林職員団体の共済等と同じような歩調をとられた、このように考えるのでございますが、このたびこれらの団体の給付が掛け金の分担率においてあるいは給付の最高額の基準のきめ方において相当引き上げられたのでございます。この引き上げに伴って当然これも変更さるべきではないか、他の均衡をとっておりました団体が変えられる以上、この団体に対しても変えらるべき、だ、このように考えるのでございます。それとあわせて本法の根本でありますところの地方公務員の率も当然私は変えらるべきである、こう考えるのですが、この点は政府としてどうでしょうか。
  58. 胡子英幸

    胡子説明員 御指摘のとおりだと考えます。実はこの法律案の提案にあたりまして、私どもは、先ほども申し上げましたように、いわゆる兄貴分であります私学共済あるいは農林共済に範を求めつつ、他方地方公務員共済組合法と歩調をそろえる、こういう考え方をとってこの法律案をお願いいたしたわけでございます。その中で地方公務員と異なっておりますのは、いま御指摘になりました掛け金の標準となる給料につきまして、その最高額を地方公務員の場合は十二万円、これは国家公務員も同様でございますが、私学あるいは農林——まだ農林は低かったわけでありますが、私学におきましては七万五千円になっておるということから、私学並みの七万、五千円といたし、さらにまた給付の退職年金の最高限度につきまして、公務員の場合は百分の七十でありますが、私学のほうが百分の六十でございましたので、それと数を合わせまして、百分の六十ということで実はこの法案を作成いたしまして、御審議をお願いをいたしておるわけでございます。ところが、この問題につきましては、先ほど御質問にもちょっとございました厚生年金保険法の改正案が政府提案として出されるに至りまして、従来の厚年給付の内容が相当引き上げられることになったわけでございます。そういったことと関連をいたしまして、農林関係におきましては、すでに衆議院におきまして委員会で修正の議決がなされ、それぞれ七万五千円を十一万円に、百分の六十を百分の七十に、いわゆる公務員並みに引き上げの修正がなされたと承知をいたしておるわけでございます。そうなりますと、同じような制度でもございますので、私どもといたしましては、この団体共済につきましても、公務員並みの水準にぜひとも引き上げていただくようにお願いをいたしたい、かように考えておるわけでございます。  それからまた、長期給付の費用についての負担割合について後段お尋ねがあったわけでございます。この点は現在現行法のもとにおきましては、長期給付の経費につきましては、組合員が百分の四十五、地方公共団体が百分の五十五、四十五対五十五という負担割合で法定化されておるわけでございます。ところが、この点につきましては、いま申し上げましたように、厚年給付が相当大幅に引き上げられることと関連をいたしまして、従来厚生年金あるいは私学、農林におきましては一五%の公的国庫補助が出ておったわけでございます。私学共済、農林共済、厚年、これにつきましては、いま申し上げましたように、一五%の国庫補助がございましたけれども、給付水準等が国家公務員なり地方公務員に比べて若干低いといったようなこともからみまして、国家公務員共済組合法あるいは地方公務員共済組合法におきましては、公的負担部分が百分の十ということで低かったわけでございます。ところが私学なりそれぞれの共済制度につきまして、あるいは厚年につきまして、給付内容の改善が行なわれることになってまいりますと、公務員の公的負担部分が従来どおり一〇%のままでは均衡がとれないということから、これを一五%に引き上げまして、組合員と団体との負担割合の四五対五五を四二・五対五七・五の割合に改正するための、国家公務員共済組合法の一部改正が国会に提案されて審議中でございます。したがいまして、そういった措置が講ぜられることになりますれば、当然地方公務員共済組合につきましても、また団体共済組合につきましても、同じような負担割合に変更いただくことを、ぜひとも私どもとしてはお願い申し上げたい、かように考えておるところでございます。
  59. 渡海元三郎

    ○渡海委員 当然のことであろうと考えます。私たちもそうなければならぬと考えておりますが、ただ負担区分が変わりましたら、それだけ地方が財政として負担しなければならない部分が多いのでございます。しかも他のこれと類似の団体である私学共済あるいは農林職員団体の共済、これは全部一五%が国庫の補助金として出ておるのでございますが、本団体は出ておりません。これは地方の公務員につきましても大蔵省へ私たちは主張したのでございますが、徴税権を持っているところの地方団体であるという意味から、国と地方団体財政権というものが平等である。結局地方団体財政力の中で考えたらいいのだという問題から、理論的にはそのほうに立ったのでございますから、いま申されたような四つの基準においてつくられた団体でございまして、基準は地方公共団体そのものではございませんが、いま言われたような四つの基準の団体の財政権というものは、これは地方が握っておりますから、一五%というものはみずからが持つというのでけっこうでございますが、その中でただ一つ目立つのは、国民健康保険というものはあくまでもこれは独立団体でございまして、地方財政計画の中には入っておりません。したがって、むしろ私はこの分は私学共済とかあるいは農林共済と同じように、国が一五%持つべきじゃないかと思います。しかしそうなりましたらこの制度から変わって、離れていかなければならぬと思います。したがってその部面は国が持たないとしたならば、他面国民健康保険の事務費というものは、これは全額国が持つ、こういうふうになっているので、これに出されるものは私は当然に事務費と見るべきだろうと思います。したがって、いま申されましたように一〇%が一五%に上がるというふうな措置でなお財源がきつくなるのであれば、国がその一五%分を出すか、さもなければ国民健康保険、この場合は連合会のほうでございますが、連合会の補助金というものも、これに見合うように完全に国の補助で補てんされなければならぬと思います。この面は所管庁を異にしておられますが、この法科に重大なる関係があることであろうと思いますので、また後日そういった関係官庁を呼んで詰めたいと思いますが、この法案の提案者であるところの自治省におかれましても、十分政府部内で連絡をされまして、大蔵省あるいは厚生省等にそういった措置ができるように御配慮賜わりたい、かように考えるのですが、いかがですか。
  60. 胡子英幸

    胡子説明員 全く御指摘のとおりだと存じますので、私たちといたしましても御趣旨を体しまして、それぞれ関係の省に対しましても努力をいたしたいと考えます。
  61. 渡海元三郎

    ○渡海委員 本法案に対する問題点を大体網羅したと思いますが、なおいまの答弁の中で最後の点については後日の審議に譲りまして、本日はこれで終わります。
  62. 森田重次郎

    森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会