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1964-05-19 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十九日(火曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    大西 正男君       奧野 誠亮君    亀山 孝一君       久保田円次君    登坂重次郎君       村山 達雄君    森下 元晴君       山崎  巖君    秋山 徳雄君       阪上安太郎君    重盛 寿治君       華山 親義君    細谷 治嘉君       栗山 礼行君  出席国務大臣         国 務 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         警察庁長官   江口 俊男君         警  視  監         (警察庁交通局         長)      高橋 幹夫君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁交通局         交通企画課長) 宮崎 清文君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  大規模公有水面埋立てに伴う村の設置に係  る地方自治法等特例に関する法律案内閣提  出第一三五号)(参議院送付)  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三八号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  去る十三日、参議院から送付されました内閣提出にかかる大規模公有水面埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等特例に関する法律案議題とし、政府から提案理由説明を聴取いたします。赤澤自治大臣
  3. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま議題となりました大規模公有水面埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等特例に関する法律案につきまして提案理由並びにその内容概要を御説明申し上げます。  大規模公有水面の埋め立てによって新たに土地が生ずる場合におきまして、将来その土地にかかる区域において周辺市町村と関連なく新たな集落が形成され、しかもその規模一つ地方公共団体として十分な要件を備える見通しがありますときは、当該区域をもつ、新たな村を設置することが適当と考えられるのであります。昭和四十年度中に干陸が完了する予定八郎潟中央干拓地のように面積百五十八平方キロメートルに及び、将来その区域において新しい形式の営農を行なおうとする地域のごときは、まさにその適例と考えられるのであります。このような事態に対処するために、新村設置の手続並びに当該新村組織及び運営に関し経過的な地方自治法等特例を定める必要があるのであります。これが、この法律案提案する理由であります。  次に、この法律案内容概要を申し上げます。  第一は、新村設置の処分は、内閣関係普通地方公共団体意見を聞いて行なうことができるものとしたことであります。  第二は、新村には設置当時において共同社会が形成されていないことも考えられますので、設置選挙自治大臣の指定する日以後において行なうものとしたことであります。  第三は、新村議会議員及び長が選挙されるときまでの間における新村組織及び運営について、次のような特例を定めるものとしたことであります。その一は、村長の職務を執行すべき者として、職務執行者を、都道府県知事都道府県の吏員のうちから、都道府県議会同意を得て定めるものとしたことであります。その二は、議会議決事件とされていることを執行するときには、すべて都道府県知事の承認を要することとし、特に住民権利義務上重要なものについては、さらに都道府県議会同意を要するものとしたことであります。その三は、行政委員会等の事務は、原則として、都道府県行政委員会等が管理し、または執行するものとしたことであります。第四は、新村設置選挙後もなお当分の間新たに移住してくる者も多いと考えられますので、住民の意思をよりよく反映させるため、一定期間に限り、議会議員及び長並びに行政委員会委員等の任期を短縮するものとしたことであります。  以上提案理由並びに内容概要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  4. 森田重次郎

    森田委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  なお、質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 森田重次郎

    森田委員長 次に、道路交通法の一部を改正する法律案議題とし質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。川村継義君。
  6. 川村継義

    川村委員 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、若干の御意見を拝聴しながらお尋ねをいたしたいと思います。  先般、昭和三一九年三月二一七日の日付で交通基本問題調査会答申が出されておりますが、この答申を拝見いたしますと、さすがに相当の時日をかけて検討された答申でございまして、交通問題全般について非常によくまとめられておると思います。しかし中にはわれわれの見解からしても、必ずしもこのまま意見の一致を見るようなことのできない点もございますけれども、この答申案がそのまま政策のしに移されるということになりますと、私は交通問題の解決には大きな前進をするだろうと考えておるわけであります。  そこで、私はまず大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、この答申によりますと、第一編は交通体系について詳細に述べております。第二編は、大都市の交通についてこれまた詳細に述べております。第二には、交通安全についてこれまた詳細に述べております。いま私たちが道路交通法一部改正に直面をして、最も重点として見てみたいのは、第二編の交通安全についてであります。そこで、今日の交通問題、特に道路交通現状からして、この答申をごらんになって大臣はどのような所見をお持ちであるか、それをお聞かせいただきたいと思うのであります。ということは、今日の現状を踏まえて見るときに、この答申を得て、どういうところにこの後の政策重点というものが向けられていかねばならないかというような点についてお聞かせいただければありがたいと思います。これについては、大臣の御見解と同時に、警察庁当局の御見解もあわせて伺えればありがたいと思います。まず第一にお尋ねをいたす次第でございます。
  7. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 交通基本問題調査会答申が先般あったわけでございますが、なかなか大部なものでございまして、しかしその内容を拝見いたしますと、まことに問題点をことごとくとらえて御意見並びに解決示唆等が盛られてあるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、内閣でこの答申をどういうふうに扱うかということを決定いたさなければならぬ点もありますけれども、そういうことはともかくといたしまして、いま川村委員が御指摘になりました交通安全対策はすぐに実行に移さなければならぬと考えておるのでございまして、その答申の線に沿いまして交通安全対策を強化し、交通事故防止につとめたいと考えております。  ただいまの御質問は、なかなか福の広いお尋ねでございますので、その対策としてどういうことをやろうとしておるかということにつきましては、当局をしてお答えいたさせます。
  8. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 交通基本問題調査会答申の第三編の、交通安全の問題につきましては、私どもといたしましてこの審議にあたりましては、各条項について警察当局として意見を申し述べてこのようなものになり、また関係方面意見によってこういう答申が得られたわけでございます。  そこで、ただいま大臣からお答えになりましたように、警察の行ないます問題は交通取り締まり、つまり道交法にありますところの円滑化と安全という二つ観点から、いかにして事故防止をはかるか、そうして安全の対策を充実することができるかという点に重点を置いて今後施策を講じていきたい、こう考えておるのでございます。  したがって一つの問題は、いつも申し上げているように、交通事故というものが人と車と施設という、この三つの問題が複合、総合された形で事故が発生をするという問題で、前半におきましていわゆる交通安全施設整備という点については、安全施設を担当する道路当局あるいは私どもの担当いたしますところの安全施設の充実をはかって交通環境整備をはかっていくという点でございます。  あるいは自動車運転者の素質を向上させるための運転者管理体制の強化をはかるということで、私どもはその面において運転免許制度というようなものからこの点について対処をしていくという問題であります。  さらには私ども今後重点を置いてやっていきたいと思います問題は、むしろ被害者救済というものをいかにして効果的に行なうかということと、それらの事故の処理を、いかに円滑にこれを処理するかというような点について重点を置いてやっていきたい、こういうふうに考えておりますが、いずれもこれらの交通安全の問題につきましては、関係する省庁との間においていろいろと各方面から事こまかに探求をいたしまして、閣議にかけて決定を仰ぎ、あるいは法律的な措置を講ずる問題あるいは予算的な措置を講ずる問題等につきましては、十分今後努力をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 川村継義

    川村委員 御意見よくわかりましたが、私もこの答申を一読してみて痛感をしましたことは、警察当局交通対策を進めていかれる場合に、もちろん皆さん方所管事項でございますこれらの事項について、たとえば取り締まりであるとかというような点に非常に力点を置いて進めて、交通事故を防止する、あるいは交通の円滑をはかる、こういうことで日夜努力をしておられます。しかしこの答申にも指摘しておりますように、警察当局の業務だけではどうしても交通の安全を守り通すことは不可能であるということが痛感されるわけであります。これはその答申の第三編各論において、あるいは交通安全施設等整備において述べておりますように、あるいは交通環境整備指摘いたしておりますように、交通安全推進体制指摘しておりますように、あるいはいま局長が最後に強調なさいました被害者救済対策指摘しておりますように、こういう全般的な仕事というものが総合的に進められていかなければ、警察当局道路交通法に基づく取り締まり等を中心とする対策だけでは決してその目的を達することができないということは、この答申の示しておるとおりであろうと思うのであります。そこで、本来ならば、このような問題を検討していく場合には、関係各省意見を十分聞きながら審議をするということがたてまえでありましょうけれども、本日は警察当局に直接関係の深い問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  交通安全施設等整備についてもいろいろ措置をしておりますけれども、その中で信号安全設備というのを一つうたっておるわけであります。実はごく卑近な例として、信号灯設置なさいますときに、皆さん方のほうはどういう手順であの信号灯、踏切、横断歩道等信号機等設置をなさるのか、その辺のところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  10. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 従来信号機設置の問題につきましては、必ずしも設置基準について、交通規制その他の問題についての科学的基準がございませんでした。従来はいろいろとその道路交通実情にかんがみて設置が必要であると警察当局が考える場合、あるいは地元住民等要望に応じていろいろと総合的に検討して必要であるというふうに考える場合、いろいろの場合があるのでございます。したがいまして、私どもといたしましては信号機設置ということについて、単に地元要望だけをいれてそれで事済むという問題でもございませんし、また私どもの考え方だけで割り切るわけにもいきませんので、それらのいろいろな要素を勘案して考えていくということでございます。さらには、設置の希望は多いのでございますが、やはりその点についての予算的の問題あるいは施設的な制約の問題、いろいろあるわけでございます。そこで私どもは、最近全国的にいわゆる信号機あるいは道路標識というようなものの設置基準というものをきめまして、一通りの全国的な水準を統一して設置基準を明らかにして、それを交通量なりあるいはいろいろな科学的検討を経た上で合理的にきめて、そこに信号機設置する、こういう方向で考えておる次第でございます。
  11. 川村継義

    川村委員 私がいま一つの問題としてお尋ねをしておりますことは、お話また御見解、よくわかるのでありますけれども、実は昨日ごく卑近な例を体験をしたのであります。それは御存じのとおりに、国会から青山のほうに帰りますと、赤坂見附にはいろいろの高速道路の交差がいま建設をされております。あの赤坂見附から青山渋谷方面に抜ける道路は、ものすごく広い道路につくりかえられました。片側のほうはおそらく四車線じゃないかと私記憶しております。ところが昨日、あの赤坂見附から青山道路に入る高架線がおりてくるそのおり口の近く、あそこに稲荷さんがありますけれども稲荷神社のごく近くのところに信号機設置されている。これは横断をするにはものすごい長距離であります。両側八車線以上の広い道路を渡らねばなりません。たまたまきのう私はあそこを通りかかりました。その信号機が、車のほうは赤になっておった。人の横断するほうが青でありますから、もちろん人が渡るわけであります。きのうは特別の場合であったと思いますけれども、年とった御婦人の方が一人横断している。その間青山方面に向かう車はものすごい数ストップしているのであります。あれからはるかに青山方面のあの広い道路は単が一つも走っていない。この御婦人が渡ってしまうのに相当な時間を要するでありましょう、こういうことを体験しまして、なるほど歩行者を大事にするということはわかりますけれども、あれでは自動車の流れというものは決して円滑にいかない、こう思った。こういうところに信号機を設けてやることは一体いいことなのかどうか。警察当局はこういうところに信号機をつくるのに、どういう見解を持って一体設置したのか。これは大体道路をつくるときに、そういう広い道路横断する場合の配慮をしなかった建設計画のミスであるのかどうか。いろいろな疑問を実は持っているわけであります。これが朝や夕方の相当人が込んでいるとき、通行人の多いときなどはまた別の感じもあるでありましょうけれども、特に昨日一度だけの目撃でありますけれども、そういう問題等を見たわけであります。  そこで、実はいま信号機設置皆さん方がどういう研究、検討あるいはその現場における必要度等々を考えて進めておられるのかお聞きしているわけです。私がきのう目撃したところによりますと、私は信号機をつくるべきじゃないと思う。地下道を通して歩行者を渡すのがああいう場合には一番大要な方法ではないか、こういうことなどもしろうとながら考えてみたわけです。いま一度そういう信号機設置等について御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 まことにごもっともな御意見でございますが、ただいま御指摘になりました道路の実例に徴して御説明を申し上げたほうが、具体的でわかりがいいと思います。  ただいまの青山通りの問題でございますが、青山通りにつきましては、元来警察当局といたしましては、あそこに信号機設置するよりは、横断道橋設置すべきであるという意見を前前から持っておったのでございます。この点につきましては、道路管理者側においても同様でございます。そこで、将来といいますか、近くあそこの青山通りにつきましては、現在信号機設置されております個所横断道橋設置をされるという予定になっております。そうして、その横断道橋以外は、御承知のとおり全部歩行者横断禁止、ガードレールをつくって横断禁止をかける、こういうことになっておるのでございます。  そこで、一つ申し上げますが、従来各道路設置されておりました信号機は、御指摘のように、いわゆる道路交通円滑化という点については、確かに障害となってきているという現状でございます。そこで、いわゆる歩行者の安全という面につきましては、信号機というものの果たした  現在においても、従来果たしてきた使命があるわけでございますが、しかし、その道路交通交通量にかんがみまして、だんだんその道路にふさわしいような施設に変えていくという意味で、信号機についても、御承知のような第一京浜については自動感応式系統式信号機に変えて、道路交通円滑化をはかっていく。そして横断道路交通円滑化という二つの面の調和をはかっていく。さらには、いま申し上げたような、必要な個所横断道橋をつくって、道路交通円滑化をはかって、なおかつ歩行者の安全をはかるというほうに進めていくという意味におきましては、過去の設置されたそれぞれの信号機設置個所につきましては、いま申し上げたような観点から、私どもとしては検討を加えなければならない。しかし、いまの青山通りにつきましては、全然横断する場所がございませんので、そういう点について考慮しながら、横断する個所信号機のサイクルというようなものについていろいろ考えながら、一応現状においてはやむを得ず信号機をつけている、こういうのが実情でございます。しかし、将来は、あそこは二つとも横断道橋になるということで予算措置も講ぜられておる次第でございます。
  13. 川村継義

    川村委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、やはり交通を安全にする、あるいは円滑にする、こういうような目的を達していくためには、そのような施設あるいは保安設備というようなものが非常に重要な役目をすることは、もう私が申し上げるまでもないことであります。そこで、私が皆さん方にぜひ要望いたしたいと思いますことは、こういうような道路建設についても、あるいは各種の道路交通施設整備についても、十分ひとつ皆さん方意見を反映してもらって、そして後ほどこれが困った状態にならないようにぜひ進めていただきたい。そういうような総合的な検討を加えていくところの機関というものが私は必要じゃないか。ただ、政府の場合に、こういうような問題を調整するような協議会的なものだけでなくて、現場におけるそういうような実際問題についての協議というもの、そういうものの機関というものが私は真に必要ではないか、こういうことを痛感するわけでありますから、この点はひとつ警察当局は思い切って関係省に対しての発言権をひとつ伸ばしていただきたい、これが私の要望したい第一であります。  それから、その次にお聞きしておきたいと思いますことは、実は道路環境整備の問題で、この前の道路交通法制定するころに非常に大きな問題になりましたものに、屋外広告物規制の問題が実は強く取り上げられました。今日、東京都を回ってまいりますと、電柱等広告物はほとんどきれいになっているように思われますが、その現状とあるいは指導方針、こういう点をひとつお聞かせいただきたい。と申し上げますことは、まだまだ自動車運転者の立場から、あるいは乗っておるわれわれの目から見ても、せっかく交通当局から示してもらっております道路標識であるとかあるいは道路標示であるとか、こういうものが何のために置いてあるかわからぬ、無意味な存在になるような、いわゆるじゃまをするところの広告物等相当はんらんしておるようであります。こういう点についてどういう指導をしておられるか、それをひとつお聞かせいただきたい。
  14. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 確かに御指摘のとおり、最近におきます屋外広告物が、道路交通環境を害しておるのでございます。そこで、私どもといたしましては、従来建設省等々といろいろこの問題について話しまして、特に高速道路等についての問題点がいろいろ発生した経緯もありましたので、道交法それ自体で取り締まれる分野につきましては取り締まりますが、それで取り締まれない分野につきましては、いわゆる屋外広告物法の具体的な各県の条例のつくり方について、私どもの多年主張しておりますところの交通環境という問題をそれに挿入をするという点について、いろいろと建設省と話をしておりましたが、先般その意見についてまとまりまして、屋外広告物法に基づいて各県が制定いたしますところの条例の、いわゆるモデル条例内容の中に、いま御指摘になったような点についての規制ができるような根拠の規定を設けまして、いわゆる交通環境整備をはかるということで、先般も建設省と私のほうからそれぞれ各府県に通牒を出しまして、屋外広告物取締条例制定について各府県鞭撻督励をいたしておるという状況でございます。
  15. 川村継義

    川村委員 交通基本問題調査会答申には、申し上げるまでもなく、そのような道路交通安全施設整備の問題についても、交通環境整備の問題についても、交通安全推進体制についても、被害者救済対策についても、詳細に進めるべき方向を指示しております。これらの問題について現状がどうあるのか、将来どのような施策を進めていかねばならないか、これが一番大事なことであろうと思うのであります。おそらく政府におきましても、この答申が出ました以上は、この答申に基づいてその施策を樹立されることでありましょうし、われわれはそのすみやかなる樹立、政策推進を望んでおるわけであります。  そこで、一々についてお尋ねをしておりますと切りがありませんから、この基本問題調査会答申につきましては、先ほどお答えいただきましたような御見解を承って、ぜひ今後早急な対策実現に向かって進んでいただくように念願をしてやみません。申し上げるまでもないことでありますけれども、何といっても道路交通を安全にし、円滑にするためには、まず道路を、それから安全施設を、これはもう申し上げるまでもないことであります。幾つかの問題がそこに指摘されるわけであります。一々について私が申し上げるまでもありません。  そこで、私は、次にお尋ねしたいと思いますことは、それらを、道路について、あるいは道路施設について、あるいは保安施設について、完備するということが、自動車事故をなくする唯一の道である。決して取り締まりを強化したからといって、それが道路交通事故等をなくする大きな力とはなり得ない、まあこういうことを痛感いたしておりますから、次にさらにお尋ねをいたしたいと思いますが、いただきましたこの資料によって、道路交通法の一部改正法律・案の最後のほうについております資料を拝見いたしますと、第四表に、「交通事故原因調」というものが載せてございます。これを見てまいりますと、「わき見操縦」である、あるいは「徐行違反」である、「右折左折不適当」である、「追越不適当」である、「操作不履行」である、こういうのが非常に高い件数を出しておるのが口につきます。このいまの私が申し上げましたのは、「操縦者所為」というところで指摘してある原因でありますけれども、この原因は、昨年いただいた資料による原因調べを見ましても、あるいは道交法制定当時にお出しいただいた資料を見ましても、大体この事故原因の多いというようなものは、州も変わらず同じような原因指摘されるようであります。これらについては、相当きびしい取り締まりも行なわれておるようでありますけれども、なかなかその原因の変化というものが見られない。そこに一つ問題があるのじゃないか。それを皆さん方は、どういう分析をしておられるのか。そういう点を、何かお考えがございましたら、ひとつ聞かせておいていただきたいと思うのです。
  16. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 率直に申し上げまして、この「交通事故原因調」の場合は、私どもが扱っております問題が、運転者の問題ということが主たるものでございますので、ここに掲げましたように、「操縦者所為」、あるいは「操縦者の状態」、あるいは「車両の状態」ということに非常に限定をすると言っちゃ語弊がございますが、そういう点について事故原因の調査をやっておったわけでございますが、私ども昨年来、これらの事故原因の問題についていろいろ検討いたしました結果、やはり単に操縦者の立場からのみ事故原因を調べるべきではない、やはり総合的な立場から事故原因の究明をして、たとえば御指摘道路の状況に原因があったのかどうか、あるいはその他施設的な問題であるかどうか、あるいは運転免許の問題に関連のあることであるか、あるいは車両の性能あるいはタイヤの状況、そういうようなものについて原因があるのではないかということで、私ども最近、交通事故分析要領というものをきめまして、これを全国的に通達をして、むしろ事故原因を明らかにして運転者を処罰するだけでは、私は、交通事故は、問題を処理したとは言えない。むしろ、その原因が那辺にあるかということをよく探究をして、それに基づく事故対策の面にまである程度の対策が樹立されなければいけないということで、いま申し上げた交通事故分析要領というものを先般脱稿いたしまして、全国の交通課長会議にも指示し、また近く、専門の分析官を設置いたしましたので、その分析官を集めて交通事故原因を分析をして、そうしてそれによって得た結論を交通事故対策の上に反映をさしていくということで、たとえば右左折不適当という問題があるとすれば、それは運転者の不注意だけで右左折、不適当であったのであろうか、あるいは、右左折すべきところの道路の環境を見た場合において、運転者の不注意を施設的な面からカバーできる問題があるのではないだろうかというような点にまで問題を及ぼして、もしもそこの右左折不適当の事故の多い個所については、単に運転者ばかりでなく、その施設的な環境について十分検討をして、その右左折のカーブなりあるいは右左折の道路の環境というようなものにまでメスを加えていくというのが必要ではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございまして、さらに詳細な分析要領でございますが、やや専門的になりますので、説明は省略さしていただきたいと思うのであります。
  17. 川村継義

    川村委員 私、たいへんけっこうだと思います。賛成をしたいと思います。いまいただいておりますこの資料は、これは何か、事故を起こしたその原因の現象面だけとらえておる。これで毎年毎年、右側通行何件だ、徐行違反何件だというようなことで、あるいは操縦者の状態がどうあった、車両の状態がどうあった、こういう原因調査も必要でございましょうけれども、私は、やはりいま局長お話のような、一体この原因はどこから起こったのか、この原因を引き起こしたもう一つ原因は何であるかということを、われわれは十分突き詰めていく必要があるのじゃないか。特に、当局には、その突き詰めというものをしていただかなければ、ほんとうの事故対策というものは生まれてこないだろう、こういうことを感ずるわけであります。いまおつくりいただきましたそういうような一つ指導指針というものが生きて、事故対策に科益をするように願っております。  そこで、いま局長もお話のように、やはりこれらの「操縦者所為」等に示してあるような原因、こういうものが、道路施設関係に大きな原因があるのではないかというふうなことを十分ひとつ検討せねばならぬ、あるいは、従業員の労働条件、勤務条件、そういうものもまた一つの大きな事故やその他の原因になっていることは、これは明らかでございます。それらをほんとうはやはり十分調べていただく。これは警察当局にお願いするのは無理かもしれませんけれども、そこまでメスを加えていただくということを私は望みたいのであります。  そこで、おわかりでありましたらお聞かせいただきたいと思いますけれども、この私がいま後段に申し上げましたところの従業員、特に運転者の労働条件、勤務条件あるいは雇用条件というようなものが、私は非常に大きな影響をしている、このように思うわけでありますが、そこで、幾つかのそれらの要因の中で、一つ二つおわかりでありましたらお聞かせいただきたいと思いますが、これも一ころ大きな問題になりましたいわゆるノルマの問題であります。いま東京やそういうところでは、いわゆる走行キロというものがどういうように定められておるのでありましょうか、それをちょっとお聞かせいただきたい。
  18. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 東京都内におきますタクシーの走行キロ数は、ちょっと正確でございませんかもしれませんが、三百六十キロではないかと思います。
  19. 川村継義

    川村委員 私は三百六十五キロと記憶しているのでございますけれども、先般定められたそのままであるわけでありますね。——この走行キロが運転者にもずいぶん無理をしいていることはもう御存じのとおりだと思います。東京都内ではなかなかこの走行キロの消化ができない。消化ができないということになりますと、今度は賃金の歩合に影響してくる、こういう問題が当然起こってくることでございまして、私がくどくどしく申し上げる必要はないと思います。そこで、これは労働省関係あるいは運輸省関係に聞くべきことでありますけれども、おわかりでございましたらこの際ついでにお聞かせいただきたいと思いますことは、いわゆるいわれておるところのノルマ賃金の実態、東京都内を例にとりまして、大体どれくらいの給与、歩合給が一体どれくらいなのか、固定給がどれくらいあるのか、それが労働者の生活に、あるいは勤務時間等にどういう影響を与えているのか、おわかりでございましたらお聞かせおきいただきたいと思います。
  20. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 先般乗車拒否の問題に関連いたしまして、乗車拒否の原因になる実態として、ハイ・タクの運行なりそういうものについて一体どういうふうになっているかということで、非常に非公式な立場から、警視庁の担当官に調べてみたらどうかということで、調べたものがございましたが、あいにく私いま手元に持っておりませんので、詳細お答えができません、非常に残念でございますが・・。こういう委員会で公表できる資料ではございませんが、そういうものをかつて調べたこともございますが、この点についてはむしろ運輸省当局のほうが資料を持っているのではないだろうか、こういうふうに思います。私はいまちょっと・・。
  21. 川村継義

    川村委員 そういう問題は運輸当局にいろいろ聞くべき問題だと思いますけれども皆さん方のほうで、先ほど私が申し上げますように、ほんとうの事故対策というものを御研究いただくならば、そういう、面もひとつ運輸省からでも資料をとってお調べいただきまして、そして運転者がどういう状態において仕事をしているかということを十分お考えおきいただきたい、このように私は思うわけであります。私の手元にあります運輸省の調べたものによりますと、ハイヤー・タクシーの平均賃金が、昨年九月の調べでありますけれども、二万六千二百三十七円という資料が出ております。そのうちの固定給がわずか一万四下九百四十円であります。これが結局五六・九%を占めておる、残りの四三・一%というのが歩合給であります。実はこういうような資料が出ているわけであります。そうなりますと、この平均された賃金から見ましても、自然ハイヤー・タクシーの運転者というものがどういう勤務条件下に貫かれておるか、あるいはいかに無理をして、結局ノルマを上げて、一日にほとんど四時間か五時間くらいの睡眠をとりながら、歩合給の引き上げに努力をしておるか、それがあるいは乗車拒否となったり、いろいろな問題に結びついていく、こういうことを私たちは考えるわけです。それらが皆さんのほうの示してくださっておるところの、この幾つかのいわゆる事故原因あるいはスピード違反というものに結びついていく一つの大きな素因をなしている、このように考えるわけです。そこで、いろいろの問題が実は考えられるわけでありますけれども、これはまたいずれ皆さん方がお調べいただけば、皆さんのほうからそういう点についての資料もいただけるだろうと思いますし、運輸省関係からもひとつ十分資料をいただいて、いろいろとお尋ねをしていきたいと思います。そこで私は、そういう面から考えまして、この従業員の問題として考えなければならぬことは、こういうようなノルマの賃金制度をなくしていくという基本的考え方でやらねばならぬ、あるいは労働時間を短縮をしてやる、連続勤務を禁止する、こういう対策を進めねばならぬ。疲労を回復するところの休養設備というものを完備させねばならぬ。特に今日長距離路線の運行がいろいろ問題になっておりますけれども、そういうものについては安全連行基準を定めてやるとか、今日一応の基準があるようでありますが、有名無実になっておるやに聞いております。こういうような幾つかの問題は、運転者、特にハイヤー・タクシー等々に働く諸君の立場に立ったところの施策を進めていきませんと、このような事故原因というものがなくならない、私はこのように考えるわけであります。取り締まり当局に当たられる警察でありますけれども、この点にも十分配慮をいただいて、この後も対策を進めていただくことをお願いをしてやまないものであります。またいずれかかる問題につきましては、運輸省関係等についてもひとつ十分ただしてみたいと思います。  そこでお尋ねいたしたいと思いますことは、そのような幾つかの問題、つまり労働者、従業員の問題、それに道路施設あるいは保安設備等の問題、こういうものを十分考えていかなければ、道路交通の安全もあるいは事故の防止もできないであろう、それが根本問題である。こう考えますと、私は、今度の一部改正にお示しになっておるような、ただ罰則だけを強化しては、これはかえってその目的を逃がしてしまう結果になりはしないか、こういうことを非常におそれる者の一人であります。そこで、今度の改正案で罰則の強化がなされておりますが、ひき逃げをこれ以上きびしく取り締まる、私これは賛成であります。酔っぱらい運転をきびしくする、これも大きな事故を起こすもとでありますから、これは私も賛成であります。ところが、そのほか非常にたくさんの罰則強化がはかられておる。これは一体なぜその必要があったのか、現状の罰則適用でいいものがたくさんあるように私は思うのであります。この点について御見解をひとつお聞かせいただきたい。
  22. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 確かに、抜本的に交通問題に対処するためには、御指摘のように総合的な対策を立てねばならない。しかし私どもの関するいわゆる交通取り締まりの面におきましては、やはり罰則によって事故防止をはかるというのも一つの方法であります。しかし、罰則を強化したからといって、全部これによってカバーできるものである、権力的な取り締まりによって全部交通秩序が完全に確保されるというふうには、私ども思っておりません。ただしかしここで御承知おき願いたいことは、最近の自動車運転者の状況というものは、この前も御説明したかと思いますが、職業運転者から、だんだんいわゆるオーナードライバーというものがふえつつある現状でございます。職業運転者の問題につきましては、一部のいわゆる悪質な職業運転者というものもあるわけでございますが、そういうものを除いて、一般的に企業の経営内容なり、あるいは安全教育というようなもので、職業運転者としての交通秩序というものは、現状においては、昔に比べれば格段改善されておるわけでございます。ただしかし問題になりますのは、最近いわゆるモータリゼ−ションといいますか、自動車熱ということで、非常に多くのオーナードライバーができつつあるという現状一つと、いわゆる流通経済に対処して輸送の形態というものがいろいろ変わりまして、中小企業の小さな職場におけるところの軽自動車等を使用するものが非常にふえてきている。これも一種のオーナードライバーといえるかもしれません。そこで、そういうオーナードライバーというものに対して、はたして現在、交通秩序を確保する上において、罰則を強化しなくてよろしいものだろうかということについて、私どもいろいろ考えたわけでございます。一応私どもは全運転者を対象にいたしておりますが、そのときそのときの運転者内容によって罰則の運用というものは考えなければならない、そういう意味におきまして、オーナードライバーがふえつつある、しかも若いオーナードライバーがふえつつあるという時期において、法秩序を確保するという意味において、罰則を強化していくということも必要なことではないだろうか、特に重大事故原因になるようなものにつきましては、私どもとして今般提案いたしましたような、事故内容について罰則の強化をはかるということで、やはりそのときの交通、運転の状況というものを見て考えていかなければならない問題ではないだろうか。したがって、まあそういうことはないと思いますが、私ども職業運転者を目のかたきにしてやっているというのではなくて、新しくいわゆるオーナードライバーというものができつつある、それに対する交通秩序を保持する道はいかんという観点から考えているのでございます。
  23. 川村継義

    川村委員 当局の御見解はよくわかりますけれども、それではいろいろ私は問題が残ると思います。おっしゃるようにオ−ナードライバーの、言うなれば無秩序的なそういう行為に対して、ある点罰則を強化し、いわゆる法的警告を与え、ことばを変えて言うなら、威嚇的体制をとらなければ取り締まりができない、こういうこともわからないではありませんが、それらの犠牲において、いわゆるハイヤー・タクシー、あるいはトラックというようなものを運転をする仕事、それによって生活をする労働者の諸君が、そのオーナードライバ一を取り締まるという口実のあおりを食って、大きな痛手を受けるということがあっては、これは問題が簡単ではないと私は感ずるわけであります。いま、いみじくも局長は、罰則の運用によってということばを使っておられましたけれども、実際問題として私はそれはなかなか不可能なことではないかと思います。また実際第一線の警官が何か一つ事故があったときに、違反があったときに、これは普通のオーナードライバーである、これはどこどこタクシー会社の運転者ということで、はたして差別がつけられるであろうか、これは疑問でございますけれども、何かそういう実例でもありましたら聞かせていただきたいと思います。要するに御意見はわからぬではありませんけれども、このような機会に言うのは非常に意地の悪いような見方でありますけれども、酔っぱらいを取り締まらなければならぬ、これはわかる、ひさ逃げを厳罰に処せねばならぬ、これもわかる、しかしその改正に便乗して、しなくてもいいような罰則を強化するというような印象を受けてしようがないわけであります。これは相当の点についてはこの際思いとどまっていただいたほうがいいのではないか、私はそういう気さえしておるのであります。  そこで、ひとつお尋ねをいたしますが、先ほどガリ版の資料の「道路交通法の罰則改正の比較一覧表」というのをいただきました。ここに書いてあげてありますものは、昭和三十九年四月警察庁とあります。「本則」と左にずっと書いてある。まん中に「現行罰条および刑量」、右側に「改正罰条および刑量」、現行と改正のものを並べて書いてあるこのガリ版であります。ここに幾つかあげてありますけれども、これはこの改正案に出てくる全部ではありませんね。これだけですか。
  24. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 全部でございます。
  25. 川村継義

    川村委員 全部でございますか。それでは、ちょっとくどくなりますけれども、第十七条適用の罰則の改定が出ておりますね。それから第十九条も罰則が適用になるでしょう。軽車両の並進の禁止、これもあると私は本文を見たのです。
  26. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 軽車両の並進禁止に関します罰則は、新しく軽車両の並進禁止の規定を設けましたのに伴います罰則であります。したがいまして、お配りいたした表は罰則の改正を掲げたものでありますので、その点は記載してございません。
  27. 川村継義

    川村委員 わかりました。ここに書いてあるのは改正分だけである、新設したようなものはこの資料には載せてない、こういうことでございますね。  そうすると、新設されましたのは次のとおりでございますか。いま申しました十九条車両並進禁止の罰則適用、それからここには改正がありますけれども、第二一五条の一項、二項というのが新設、罰則適用になっておりますね。それから三十四条の四項ですか、これも罰則の、つまり左折または右折禁止の問題、これも新設ですね、そのほか幾つかあると思いますが、新しくこの改正のほかに罰則を追加された条項をちょっと教えてください。
  28. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 ただいま御指摘になりました十九条がそうでございます。それから二十五条の一項がそうでございます。それから順にまいりますと三十四条の四項がそうでございます。それから二十六条は内容が変わりましたので、必ずしも罰則の新設とはなっておりません。それから三十八条も罰則の内容の変更でございます。七十一条も罰則の内容の変更でございます。それから七十二条も罰則の内容の変更でございます。それから七十五条の六も罰則の内容の変更でございます。それから百七条の免許証の返納がございますが、主として従来は免許を取り消された場合においてのみ免許証の返納義務がございまして、これの違反に対しても罰金、科料が課されておりましたが、今回の改正によりまして、国外運転免許証にも返納義務を課しまして、これに新しく罰則の規定をつけ加えております。
  29. 川村継義

    川村委員 二十条の四項もこれは新設でしょう。
  30. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 形式的には新設になります。
  31. 川村継義

    川村委員 そのほか百七条の二、百七条の三、百七条の四、百七条の五、百七条の十、これはみな新設ですね。
  32. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 ただいま申し落としまして申しわけございませんが、国際運転免許証、国外運転免許証につきましては、いずれも罰則は新設でございます。川村委員 いまお示しのように、改正されたものが十四か十五項の条章にわたっておるし、新設されたものが八項かにまたがっているわけであります。  そこで、この七十二条関係の、つまり罰則強化でありますが、これはまあ言うならば一つの新設と見てもいいのじゃないかと私は思いますが、いままでございませんでした三年以下の懲役、十万円以下の罰金、こういうのが百十七条の適用として新しくそこに罰則規定が設けられて、現行の一年以下の懲役、五万円以下の罰金は、百十七条の二として残されて、その百十七条の二の中に、いままでは百十八条適用のいわゆる酒気帯び運転の禁止が上がってきて強化をされてきておる。こういうように、百十七条の二では三つだけの違反の適用がなされることになった。先ほど申し上げましたように、ひき逃げの違反であるとか、あるいは酒気帯び運転の問題であるとか、こういうことは、私はもちろん考えねばならぬところの大きな事故犯罪であるかと思いますけれども、そのほかのいわゆる改正になっておりますところの通行区分の第十七条適用であるとか、あるいは二十条の車両通行帯の問題であるとか、そのほか横断の方法、横断の禁止、幾つかの改正がなされておりますが、その罰則適用が百二十条のものが百十九条に繰り上がってそこに体刑が課せられるような規定を設ける、百二十一条が百二十条になる、こういうように軒並みに強化をされている。私は、これは先ほど申し上げますように、やはり大きな問題ではないか。このようにオーナードライバーも働く運転労働者も含めて、車だけに罰則を強化していく考え方には私はそのまま納得できないものが残ります。これはおそらく専門家の間にもやはり意見の分かれるところがあろうと思いますけれども、この点は私は思いとどまってもらうことが至当ではないか、そうしてもう少し当局は違反を起こさないように運転者に対して十分なる指導をする、こういうことが必要ではないかと思うのであります。  そこで一つ、この際また実例をあげてお聞きしたい。これは私が実際見た問題でありますが、次の私が申し上げるような場合には、皆さん方は第一線の警察官にどのような指導をしておられるか、それをお聞きしたいのであります。  横断歩道で、青信号になって左折をしようとする四輪の小型トラックが、横断する人がまばらでありましたから、左折をして行こうとした。ところがちょうどそのときに一人の人が横断しようとして、左折をしようとするその車と非常に接近をした。ところが、歩いている人は驚いて、ずいぶんびっくりしたのでございましょう、驚いて数歩うしろに下がった。運転者はそのまま左折をして抜けたのであります。私も実はあの運転者のやり方はどうもおかしい、こう思ったところが、見ておりましたおまわりさんがつかまえた。そうして免許証をとったようであります。私は番号を覚えておりましたので、あとで聞いてみたら、交通妨害という違反命令で三千円の罰金をとられた。私はこれについて少々疑問を持っているのです。それで一体いいのかどうか。さすがに横断者の妨害をしたことには違いありません。しかし、どうも私は割り切れないものがあります。そういう場合に、第一線の整理に当たっている警察官の態度というもの、あるいは取り扱いというものは、つかまえて免許証をとって、そうして三千円の罰金を言うてくる、そういうのでよろしいか。この点ひとつ局長から御意見を承りたい。
  33. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 たいへん具体的な問題なので、その当時の状況とか何かでいろいろあると思うのですが、一般論としてお答えすれば、交通取り締まりの具体的な方針というものについては、私どもも第一線の警察官にいつも申しておりますが、できるだけ相手も納得のいく取り締まりをやれ、もう一つは点数主義におちいってはならないということを言っておるわけでございます。したがって、いまの場合、現実の問題として、指導で片づけたほうがよかったか、あるいはいまのように切符を渡して三千円の罰金で本人にやったほうがよかったかということは、その当時の状況から判断しないと何とも申し上げられませんが、おそらくそのときの問題として、もし歩行者に非常にあぶない状況であったということであれば、その警察官の現認をした状況というものがやはり重点になるのではないだろうか。しかしやり方としては、その場合、指導をしても済んだことであるともいえるかもしれない。しかし私どもは、一般論としては先ほど申し上げたようなことで、指導のできる場合は指導をする、あるいはこれはどうしても将来再び同じような事故を繰り返すことがあるという場合においては、断固、罰則によってこれを罰するということをやっておるわけでございます。率直に申し上げて、具体的な問題について、いまのお答えになるかどうか疑問ですが、私どもはそういう気持ちで第一線を指導しているわけでございます。
  34. 川村継義

    川村委員 私もたいへんむずかしいことだと思います。われわれが実際やっているのではありませんので、ほんとうは、実は私にもどのようにすべきかという決断をつけるわけには、自分でもできません。ただ、いま私が申し上げましたようなときには、やはりあのときの実際からしたならば、その運転者に、ああいう場合にはこうすベきである、つまり車をとめて——歩いてくるその歩行者が驚いて下がったのであります。車の上から手で合い図をして、横断歩行者を渡して、そのあとからでも通行すべきである、そういうことを指導してくださるほうが適切ではないか、こういうように私は感じております。  そこでお尋ねしたいことは、当局は、そのような第一線の警察官に、それらのいわゆる権限というたらちょっと大げさになりますけれども、実際の取り扱いについてどのような指導を、あるいは方針を示してくださっておるのか。あくまでも小さいところの違反でも見のがしてはならぬという方針なのか、第一線の警察官のいわゆる良識、判断によって、違反としてとらえるならば罰金刑、罰金を納めなければならなくても、その一線の警察官の判断によって指導して、これを次に起こさないように教育をするというような方針をとっておられるのか、これは実際問題としてなかなかむずかしいことだと思いますけれども、お聞かせいただきたい。と申し上げますのは、私はいなかのものでありまして、いなかでもだいぶこういう実際問題にぶつかるわけでありますけれども、そういうような交通取り締まりに当たってくださる警察官が、ある点の警告みたようなことはなさることがありますけれども、いわゆる指導の下を差し伸べてくれる機会というものはたいへん少ないのじゃないかと考えております。そういう点について、当局のお考えあるいは方針等をひとつお聞かせおきいただきたいと思います。
  35. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 警察全体の心がまえの問題でございますから私からお答えいたしますが、多少的をはずれるかもわかりませんが、こういうことがあったことを御披露したいと思います。ある日の国家公安委員会で、やはり交通取り締まりのことにつきまして意見が出まして、ある委員は、規則できまっているんだから、つかまえてつべこべ言うことが反感を起こすもとであるので、やはりきまったことをきちっと罰金を取るなり、あるいは行政処分をするなりすることで片づけるべきであって、あまりくどくどと指導というか、指導に名をかる説教じみたことはよろしくない、こういう御意見を言われた方がございました。そういう事例があったということであります。ところがすぐそれに続いて、反対の事例もあるということを他の委員がおっしゃいましたのは、あるところで交通違反が起こった。それを警察官が現認しまして、いま言ったようにあまりいろいろ言っても交通も渋滞するし、またやるべきことはきちっとやって、しかもくどくど言わぬほうがいいという考えでございましたろう、簡単に番号を書きとめて放免した。ところが数カ月たって呼び出しがきて罰金を取られ、あるいは行政処分を受けた。そのことに対して非常に恨みに思っておる。なぜそんな悪いことなら、そこでもう少し詳しく言うてくれないか。ああいうふうに簡単に済んだから、あの問題は済んだもんだと思っておったということで、どうも真反対の御意見になっている。私も事あるたびに、第一線におもむきます際には、その事例をあげて申しておるのでありますが、最後はやはり当該警察官の良識というか、そのときの状況というようなものに待たないと、厳格にやるだけのことはやって、要らぬことは言うなというような面だけを言いますと、ただいまのようなことになりまするし、またたいていのものは指導で許してやれということになりますと、どうもほどよいかげんのところがいきかねまして、いろいろな言わぬでもいいことまで言いまして、しかも処罰をしないでというと、悪かったという気持ちが起きない。しかも言われたことだけが残って、どうもうるさいというようなふうになるのでございまして、私たちも一番の悩みでございます。それでただいま高橋局長からもお答えしましたとおり、ややもすれば、どちらの立場に立つにしても、ただ件数をあげるというようなこと、あるいは第三者から見て、先ほどは納得のできるということばを使いましたが、少なくとも第三者から見て適当である、納得のできる、相手はあるいは納得しないかもわかりませんけれども、そういう態度でやってもらいたいということを繰り返し申している次第でございます。  それから、ただいま具体的な例をおあげになりましたが、これも私想像しまするのに、あるいは指導で済んだかと思いまするが、手帳を見て、その人間が同じようなあやまちをかりに犯しておるというようなことがわかりますと、同じ現象でございましても、今度は罰金まで持っていかなければいかぬというような判断をすることもございましょうし、同じような違反が行なわれても初犯であり、あるいは相手の人格−人格と言ってはなんですが、諸般の事情からいって、これは事件にしないほうがいいという判断をする場合もございましょう。お答えになりませんけれども、非常にむずかしいところであるということだけはおわかり願えると思います。そういうつもりで、先ほど来たとえば違反の件数にしましても、一斉取り締まり等をやりますと、スピード違反というものが一番多い。ところがスピード違反はすべての事故のもとだというので力を入れますけれども、場合によってはそのスピードのきめ方が非常識だというようなこともあり得るわけです。当然六十キロ通すべきようなところを、四十キロに制限しておったために、たくさんの車がスピード違反であがっちゃうというような事例もあり縛ることだと考えまして、私自身としては、少なくとも交通取り締まりをやって、何件件数があがったというようなことを決して喜んだり、よくやったというような考えは持つものじゃございません、そういうつもりで指導していることを御披露申し上げます。
  36. 川村継義

    川村委員 長官お話しのように、また局長のお話にもありましたように、その辺の取り扱いは、指導なさる皆さん方の立場からも非常にむずかしい問題がある。この限界というものは非常に微妙である。それはわかります。しかし、いまお話しのような気持ちでやはり第一線の警察官には取り締まり指導指針というものを示していただくことを実は念じておるものであります。いま長官からもお話がありましたが、私が接しておる運転者関係の諸君では、この運転手帳にいわゆる事故の犯罪を起こした罰金等が記入してない、きれいにしておる、こういう諸君は、私の知る範囲では非常に注意をいたします。この手帳をよごすまい、こういうような気心を持っております。ところが残念ながら、一つ二つ、三つ、あれに判がべたべた打たれてまいりますと、どうせ二千円か三千円払ったらいいんじゃないかというような、何かよごれたものだからもうあと一つ二つよごれたってどうにもならないじゃないか、たいへんよくないことですけれども、そういう気持ちを持っておるようです。そういう点からしますと、どなたかおことばにもありましたように、次から次に事故を起こしていくような者をあるいは見過ごすとかいうようなことは、これは問題がありましょうけれども、よほどその辺のところはやはり運転者の立場というもの、心情というものを重視して取り扱いをする必要があると私は思う。先ほど申し上げました一つの例は、これは実は初犯でありまして、それでばんと罰金三千円、こう手帳に打たれてがっくりきている。その次にやはり駐車違反ということでまた一つぽんと打たれる、こういうことが起こってくるわけです。だめじゃないか、こういうように言いますと、まあ三千円、一つ二つ並べたって、どうせもうよごれちゃったんだからしようがないや、非常にぞんざいなことばを吐くわけです。こういうところはやはりよほど注意をして指導すべきではないか、このように思います。どうかひとつ、そういう点では、第一線の取り締まりに当たってくださる警官も非常に苦労が多いわけでありますが、これはたいへんな任務と思いますけれども、ある点やはり十分なる権限をお与えいただいて、あまり上のほうから締めつけるような取り締まりをさせないようにしていただくことが私はいいのではないか、このように考えております。申し上げるまでもないことでありますけれども、この道路交通法ができたときには、いわゆる道路交通取り締まり法にかわるべき法律でございまして、これがいままで警察的な取り締まりの根拠法になっておった。その前の法律を捨てて、国民全部が新たに道路を通行するために守らねばならぬところの道路交通の基本法をつくるんだ、こういうねらいで制定されたわけであります。これはもう私が申し上げるまでもありません。私たちはそう認識をしておる。そうなると、取り締まりに当たってくださる警察当局としても、やはり私が以上申し上げましたような点は、ことばは足りませんけれども、ひとつ十分検討願いたいと思うのであります。ただ警察官の権限を一そう強化し、あるいは刑罰を思い切って引き上げる、それで交通事故を防止するんだ、そういう思い上がりだけは思いとどまってもらわねばならぬと私は思うのです。運転者あるいは車にだけこの防止の義務をおっかぶせるということは、私はどうも賛成できない気持ちが一ぱいでございます。何か刑事学上の危険分散の法理とかいう理屈があるそうでありますが、そういう点も一つの大きな理論としてわれわれはかみしめてこの問題に対処すべきではないか、このように考えております。そこで、できましたならばひとつ、たくさんの改正のあります、この百二十一条から百二十条になした、百二十条から百十九条になした、いままでは罰金で済んでおったのが体刑も加わるような、そういう引き上げの事項については、再検討して思いとどまるべき事項があるのではないか、このように考えるものであります。この点について、いま一度長官から御意見を賜わりたいと思います。
  37. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 川村委員から御指摘になりましたように、交通に関することは、取り締まりはその一部であって、取り締まりのみで解決しようというような思い上がった考えは持つちゃいかぬということは、重々承知をいたしておりまして、私たちも取り締まりだけで交通の安全あるいは円滑というものが期せられるとは思っておりません。しかし、ほかのものと総合してやらなければならぬということは当然考えておりまするけれども、私たちに与えられたその分野だけでもやはりきちっとやっていきたいというのが念願でございまして、そういう意味で、ほかの面にいろいろと御協力を申し上げたり、御注文を申し上げたりすることは十分いたしますが、同町に私たち自身がやらなければならぬこの取り締まりの面において、この程度のことはどうしても根拠としてほしいということで提案いたしました内容でございますので、そういう意味で御了承を得たい、こう考える次第でございます。
  38. 川村継義

    川村委員 いろいろお尋ねしておきたいことがたくさんございますけれども、そう時間をいただくわけに参りませんし、またいずれ機会もあるかと思いますが、最後にこの法文について二、三点お聞きしておきたいと思います。  第十七条でありますが、第十七条の四項第四号、「左側部分の幅員が三メートル」、これが「六メートル」、こういうように改正されておりますが、この改正されましたお考えを一言聞かせておいていただきたい。
  39. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 もしお差しつかえなければ図面で御説明申し上げたいと思いますが、よろしゅうございますか。——十七条は車両の通行区分の原則を規定してございます。それでその原則の一つといたしまして、車両は原則として道路の中央から左側の部分を通れ、こういうことを規定しております。ただ、これには若干の例外を設けまして、たとえば道路工事で左側の部分が通れない場合、あるいは道路の幅員自体が狭くてその左側の半分が通れない場合、こういう場合は例外として右側にはみ出してもよろしい、こういう規定をいたしております。その例外の一つといたしまして、車両が追い越しをいたしますときに、前方が危険でないという場合に追い越しをいたしますときには、この片側の幅員が三メートル未満の道路に限って右側にはみ出して追い越しをしてもよろしい、こういう規定が現行法の規定でございます。ところで、これを実際にいろいろ適用いたしてみました結果、どうもこれが三メートルをこえますと、逆にいかなる場合でも右側にはみ出して追い越しができないということになりますので、これはいささか実情に即さないのではあるまいか。つまり普通の自動車でございますと、自動車の幅員が大体二メートルから二メートル半ございますので、たとえば片側の幅員が三メートル五十の道路におきましては、もはや物理的に右側にはみ出さないで追い越すことは不可能である。こうなりますと、こういう道路におきます交通の円滑というものが非常に阻害されます。そこでどうも現行法の規定は、そういう意味で若干実情に即さない面がございますので、この際六メートル未満の道路までは右側にはみ出して追い越しを一してよろしい、片側の幅員が六メートルをこえた場合には絶対に右側にはみ出してはいけない。六メートルという根拠はどこから出たか申しますと、先ほど申し上げましたように、現行の保安基準によりますと、わが国における自動車の最大車幅は二メートル五十になっております。したがいまして、六メートルの道路でございますと、二メートル五十の自動車と二メートル五十の自動車が左側の部分で右側にはみ出さないで追い越すことができる。ところが六メートル未満であると、最大車幅の自動車が二台並びます場合にはどうしても右側にはみ出さざるを得ない。こういう計算から六メートルに改めたい、このように考えておるわけでございます。
  40. 川村継義

    川村委員 つまり六メートルにしておけば、追い越す場合に右側の部分にはみ出さないで追い越しができる、こういうことですか。
  41. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 さようでございます。
  42. 川村継義

    川村委員 わかりました。  それから次に、この前委員から質疑があっておりましたが、十八条の規定であります。このキープレフトの問題はこれは原則でありまして、日本の道路の中にはこれを実施する道路はそうたくさんはない、こういうように裏から解釈しておいてよろしゅうございますか。
  43. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 いわゆる交通混雑しております市街地の部面と、それから交通混雑していなくてもいわゆる道路の幅員等の状況で必ずしもこの原則が守られないといいますか、この原則どおりできないところの道路がわりあいに多いのではなかろうか、こういうふうに解釈していただいてけっこうです。
  44. 川村継義

    川村委員 それから第二十条二項、三項の見方でございますが、「車両は、前項の車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。」三項との関係で読むのが至当だと思いますが、この場合に左側に三車線あったとしたときには、一番左側の車線を走るわけであります。一、車線のうちの一番左側の車線を走っておればその右側の二つ車線はあいているわけですね。こういうような通行をさせるわけですわね。こまかいことですが、いかがですか。
  45. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 いわゆる三車線を引きました道路におきまして、公安委員会が特別の指定をいたさない場合には、ただいまのような通行区分に相なります。
  46. 川村継義

    川村委員 ということは、道路交通の円滑を阻害する結果になりはしませんか。
  47. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 一番左側の車線のみを通行させております場合も、自動車によりまして、それぞれスピードが異なるものが出ておりますので、スピードの早いものは順次右側に出まして追い越しをいたすというのがいわゆるキープレフトの原則でございまして、そのことによりまして必ずしも交通が渋滞するとは考えておりません。また三車線を引きました場合には、二十条の三項の規定によりまして公安委員会がいわゆる車種別の通行区分を設けることも可能でありますので、道路の状況その他の事情によりましてキープレフトになり得ない道路である場合には、先ほど局長が申しましたように、キープレフトと異なった通行区分を定めることが可能になってまいります。
  48. 川村継義

    川村委員 そこで、お話のようなキープレフトの原則があるからあるいはいいかもしれないけれども、キープレフトの原則というものは、日本の道路にはそう多く適用されるとは思われない。そうなりますと、やはり三十条三項の規定を十分化かしてもらわなければ、私が心配するような状態が起こり得るということを考えるわけです。この点はぜひ要望申し上げておきますから、そういうところの御研究、御配慮をいただきたい。  それから次に三十三条の三項の問題でありますが、これも前の委員会で委員の方がお尋ねになっております。これには幸い罰則がありませんから私はほっとしておるわけですが、この三十三条の三項は何か実際的の規定でないような気がしてなりません。こういう踏切で故障を起こしたような場合には、的確にどうしろという規定がやはり必要ではないのでしょうか。鉄道もしくは軌道の係員あるいはまた警察官に知らせる、踏切以外の場所に移動する必要な措置を講じろ——もちろんこれを一緒にやるわけではないでしょうが、何かしらんごたごたしておって、生きた規定になっていない。それが一つの疑問であります。  それからいま一つは、せっかくこういう規定を設けようというならば、あらゆる車に発煙筒と申しますか、そういう故障を知らせる用意をさせるような規定をつくる。いま一部の単にはそういう規則があるようでありますけれども、全部の車にそういうものがあるとはいわれない。むしろそういう規定をつくらせるということが大事ではないか、こう考えるわけでありますが、御見解をお聞かせいただきたい。
  49. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 確かに御指摘のとおりなのでありまして、私どもこの規定をつくる場合におきましても、いま御指摘のような点を率直に申し上げまして考えたわけであります。しかし一応私どもといたしましては、やはりこれらの措置を行なう基本的な原則をこの道交法の規定にうたいまして、そしてこれらに基づく具体的な措置については、われわれとして行政指導なりその他の安全教育の方法としてこれを行なっていくというふうにいたしたいと思っております。さらにはいま御指摘の発煙筒等の全部の車両への装備の問題につきましても、いろいろ考慮したわけでございますが、直ちにこの機会に踏み切るのはいかがかと思いまして、ということは、その発煙筒等の管理その他の問題についてもいろいろございますので、一応踏切につけるということが一つと、それからあとは行政指導によってできるだけそういうものに装備をさせていく、将来はいま御指摘のような方向整備しなければならぬと考えております。
  50. 川村継義

    川村委員 どうも一番大事なところがあと回しになってきておるように思われてしょうがありません。これはいまお話のとおりでありましょうから、ぜひそういう点こそ先に手をつけてもらう、警察庁でできないときには関係各省にそういう規則をつくらせるという下を打つ、そういう対策を先行させていただく、私はそう念願してやまないものです。これはひとつぜひ早急にお願いをしたいと思います。  それからいま申し上げましたように、この項には罰則はない、その項を読んだだけではほっとしておる、こう言ったのでありますけれども、これは運転者のいわゆる順守事項違反として、別の条章の適用を受けて、それを守らなかったときには違反に問われるということはございませんか。明確にひとつお答えいただきたい。
  51. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 ございません。
  52. 川村継義

    川村委員 それでは最後にひとつ法文についてお尋ねをしておきます。  今度は自動車の区分を改正をされまして九つの種類に分けているようです。これは法文でもそのことが明らかでありますが、軽自動車の中から、農耕作業用の自動車、特殊作業用の自動車を分離して、小型特殊自動車となされて、その運転免許試験を簡略化する、こういうように示しておりますが、この運転免許試験はおそらく総理府令か何かで簡略の方法を規定されるのではないかと思うのでございますが、その簡略化するとおっしゃっておる内容、どこでそれをおきめになるのか、そういう点をお聞かせいただきたい。
  53. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 農耕用作業自動車につきましては、法律上技能試験をいたさないことに規定いたします。それから学科試験につきましても、実情に即するように問題をやさしくするということを考えておりますが、これは法令上の問題でございませんで、実施の方法の段階で検討する予定になっております。
  54. 川村継義

    川村委員 最後意見の学科試験等の問題でございますが、これには異論もあろうかと思います。というのは、道路交通法のできたときにも実は問題になり、できるだけそうせねばならぬという意見が開陳されております。前任の富永交通局長のほうからもそういう取り扱いをするように指示してあります、こういう答弁をいただいたこともあります。ところが実際は、行なわれておる公安委員会もあるかと思いますけれども、われわれが知っている範囲では、なかなか行なわれておりません。今回そのような処置をとられたということはたいへんけっこうなことだと思いますが、その理由をくどくど私が申し上げる必要はないと思います。申し上げるまでもなく、今日農村では全く働き手がおりません。若い者がほとんど農業に従事しないのであります。だから四十過ぎたり五十近くになった父親がトラクターを、耕うん機を動かさねばならぬ。ところがこういう連中に学科試験を受けろと言ったってなかなかたいへんであります。こういう日本の農業政策の面からも十分御配慮いただく、そういう必要が、もう何としても見のがせない問題だと思います。さらには試験等を簡略にして免許を出すということにかりますと、農閑期等に仕事のひまがあるときにどこかに集めて指導をする、そういう制度を設けるということに踏み切って、むずかしい試験等はやらないで農耕作業ができるようにしむけてもらうということも、警察当局としてもぜひお考えを願わなければならぬ。残念なことにはいまいなかに帰りますと。もう試験を受けない、だからして戦々恐々としてやむを得ず裏道で動かしておるわけですね。ところがおまわりさんに追っかけられてたんぼのまん中でつかまった、こういう者もおります。これにはひとつぜひ十分な配慮をいただきたい。ここで私は強く要望をしておきたいと思う。そこで、いまおっしゃったところの、実際の試験は現地にまかせられるようなことになるようでありますけれども、それが単なる一片の通牒で終わらないように、この点ひとつとくと御配慮いただきたいと思います。  そこで、それに関連してちょっとお尋ねをしておきますけれども、今月号の「ジュリスト」に実は一つの問題が載っておるわけです。これは皆さんどうお考えなさるか、ひとつ解釈をお聞かせいただきたい。「ジュリスト」のおしまいのほうに、これは西日本新聞に載ったのでありますが、無免許で取り扱える耕運機、こういうキャッチフレーズで売り出しておる。その耕うん機を買うて使ったところが、つかまえられて罰金が言い渡された、こういうことであります。そこでこれは警察官の言い分と裁判官の言い分とが対立をしておるようでありますが、これは農家の諸君にとってはたいへんな問題でありますので読んでみます。私が読むのは「ジュリスト」に載っておる四月四日の西日本新聞の記事です。「福岡県嘉穂郡穂波町の農業Mさん(六四)は、昨年一一月一三日午後五時半ごろ、飯塚市徳前向町橋付近を耕運機を押して通行中、飯塚署に無免許の疑いで検挙され、二月一四日、飯塚簡裁から略式命令で罰金三千円を、言い渡された。  ところがこの耕運機は、K鉄工が〃無免許で取り扱える〃をキャッチフレーズに市販しているもので、この耕運機を販売した農機具店の話によると、この耕運機に荷台(トレーラー)を付けた場合は軽免許がいるが、付けていない場合は免許は必要でないという。これは警察庁でも、「耕運機だけでは自動車とは認められない」との統一解釈をだしており、これまでに福岡県下で約一万五千台ぐらい売り出されているが、一度も違反になったことはないという。  これに対し飯塚署は、同じ警察庁の統一解釈の中に「耕運機だけで運転できる場合は自動車とみなす」とあり、Mさんが押していた耕運機は後車輪がついていて単独で動くので免許が要るとの立場で、Mさんを検挙したといい、検察庁、裁判所ともこの解釈を支持している。」——一体これはどういうことになるか。警察当局見解をひとつお聞きしておきたい。
  55. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 この問題につきましては、すでに私どものほうにもいろいろと報告があり、またただいま御指摘のような統一解釈等の問題について、いろいろと見解をただしてきたわけでございます。そこで率直に申し上げまして、自動耕うん機を、自動耕うん機の部分とそれからうしろの部分と二つあるわけでございますが、それを二つ合わせた場合におきましては、たしかここにありますところの軽自動車に該当いたしまして、免許を必要とするものでございます。ただこれがそれぞれ分離をする場合において、前の部分だけを人が運転した場合においては、これは軽車両、まあ自転車を運転すると同じような原理になるわけでございまして、その前の部分については、先ほど御指摘のように、確かに自動車であるということの見解はとられない。したがって、その面についての免許を必要としないということは明らかでございます。ただしかし、販売をしている場合において問題となりますのは、それぞれ分離して売っておるわけではございません、合わせて売っておるわけでございます。それを分離して、片方だけは無免許でできるということは、これはやはり販売上の、一つの販売のほうに偏した売り方ではないだろうか。結局それをつなぎ合わせて乗るという機会がありますので、無免許の機会が多いということでございますので、いまの議論といたしましては、確かに一つ一つはずせば免許は必要としないということで、当時、率直に申しましてその事案の内容の検挙等についてはいろいろと検討いたしましたところが、不備なところがございましたので、検察庁、警察、それから当事者でいろいろ話をいたしまして、この問題は先般円満に解決をいたしたわけでございます。そこで今後そういう誤りのないようにということで、私のほうでも新しく法務省等ともう一回この機会にはっきりと詰めまして、そうした意味の統一見解を出したい、こういうふうに考えておりますが、その統一見解の基礎は、いま申し上げたような、やはり両方をもってこれを運転するということで免許を取るということであって、一つ一つにはずした場合には確かに免許は要らない、これは御指摘のとおりでございます。  そこで、ちょっとくどくなりますが、この問題については農林省とも話しまして、今回の運転免許の改正もございますので、農林省、警察庁あるいは農業団体等と協力いたしまして、そういうことが再び起こらないようにということをいたしたいというふうに思いまして、関係者の間においては意見の一致を見ておる次第でございまして、この種のトラブルは今後起こらないというふうに私は確信いたしております。
  56. 川村継義

    川村委員 どうぞひとつ、いまのお話のように、つまらない紛争を起こさないように指導をしていただきたい。  それから、今回のこの免許試験等の簡略取り扱いについては、ただ皆さん方の下部の機関にお流しになるばかりでなく、農業団体等にも十分周知徹底させてやっていただくようにお願いしておきたいと思います。  交通基本問題調査会答申に関連して一、二の問題、それから法案改正の問題について数点、罰則問題についていろいろ御意見を賜わったのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、罰則の強化についてはこのままどうも納得しないものがありますので、いま一度ひとつ再考していただくことを私は要望したいと思っております。交通問題はあまりにも多岐でございまして、お尋ねしたいことはたくさんありますけれども、また後日にお尋ねすることにいたしまして、本日は私の質問はこれで終わらしていただきます。
  57. 森田重次郎

  58. 阪上安太郎

    ○阪上委員 一、二点お伺いいたしたいと思います。  先ほど質疑応答の中で、キープレフトについて、何かこれは原則だ、したがって、道路の条件によってこれは守らなくてもいいんだというように解釈のできるような答弁があったのでありますが、一体キープレフトというものは、そういう扱い方をしていいものかどうか。いかなる狭い道路であろうと、キープレフトの原則は守らるべきだと私は考えるのですが、それを何か、道路が狭ければ守らなくてもいいんだ、あるいは手心を加えていってしかるべきだというような考え方を持っておる。そして狭い道路といえども追い越しは許されるのでありますから、したがって、その場合は中央線を突破してもある一定時間は差しつかえないというようなことになってくると思うのであります。そういう場合といえども、キープレフトは完全に守られていかなければいけない。それを何か、こういった一般的な大原則を警察当局は軽々に考えているというような印象をぼくは受けたのですが、この点はどうでしょう。
  59. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 先ほどの私たちの御説明があるいは不十分だったかと思われますが、キープレフトを適用しない場合には、二十条の三項によりまして、公安委員会が車両通行帯を設けまして、それをキープレフトと異なった通行区分の原則を定めてきた場合に限りキープレフトの原則が適用されない、それ以外にはすべてキープレフトの原則が適用されるということになっております。
  60. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこのところが一点です。そんなものを設けようと設けまいと、キープレフトを厳守すべきで、それで差しつかえないのじゃないですか。おかしいじゃないですか、そういう考え方を持つこと自体が。
  61. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 先ほど局長が川村先生の御質問にお答えいたしましたように、キープレフトと申しますのは、元来ある程度自動車が高速で走れる道路におきまして、しかもその道路が完全に交通渋滞になっていない、こういう道路における交通を予想しておるのではなかろうかと思います。これは条約の趣旨から一応そのように考えております。したがいまして大多数の道路におきましてはキープレフトを適用することは可能でございますが、わが国の交通実情は、御承知のように最初から道路が一ぱいになっておりまして、交通渋滞が起こっておるような道路がございます。このような道路につきましてはキープレフトの原則をとりましてもとらなくても結果としてほとんど同じである、こういう場合も考えられますので、このような道路につきましては、より合理的な通行区分を設けるほうがよいのではないか、このように考えまして一部の適用除外を考えた次第でございます。
  62. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それがおかしいとぼくは言っている。車一台しか通れないという幅しかない道路でキープレフトといったって、車全体が道路一ぱいになっている、だからその場合キープレフトを主張したっていいんですよ。結果は同じことじゃないですか。
  63. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 ただいま御指摘になりましたような道路では、おそらくすべてキープレフトの原則が適用されることになると思います。
  64. 阪上安太郎

    ○阪上委員 だから、キープレフトの原則が適用されないというのはどういう場合ですか。
  65. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 ただいまの阪上委員のお考えになっておる事例と逆の場合、むしろ都会地等で車が一ぱいになっておるというようなところをキープレフトの原則でいきますと、車がみな左側を行く、ただ追い越しの場合だけ右のほうに出て、追い越したらまた左に行くという原則でございますから、渋滞といいますか、路面を一ぱいに使えない。だからそういう特別の場合には車種別の路線を設けるというような、現在の第一京浜とか第二京浜みたいなやり方、緩速車と高速車の間の区別を設けて、これはキープレフトではなく、車種別によってその路線を行け、こういうことをやるわけでございます。例外はだから狭い場合ではなしに、広い場合で、しかも車がたくさんおって追い越しとかなんとかというようなことを考えない交通のほうがよろしいというようなものをさすわけでございます。
  66. 阪上安太郎

    ○阪上委員 万国共通の条約に加盟した以上は、アメリカは別として、キープレフトの原則、この交通道徳の最高のものはいついかなる場合でもこれを適用していくんだ、そうして例外を認めるんだという考え方なら私はわかる。どこの道路に対しても、どんな狭い道路に対してもキープレフトの原則を守れということを強く主張することは、何も悪いことじゃないのです。そのことによって交通が渋滞するなんてことはない、そういう道路については、当然それは二車線で走っても差しつかえない場合も出てくるだろう。その世界的な条約に加盟して、そのキープレフトの大原則を守っていこうという場合に、その原則そのものを曲げて、道路によってはかまわないんだというような考え方を持つことはいけない、私はこう言っている。どうです、それは。
  67. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 書いてあるとおりでございまして、キープレフトの原則は守るわけでございます。その例外をただいま申し上げました条項で過渡的に、現在の交通事情、道路の構造等からして、日本の場合は例外として認めざるを得ない。いまからつくります道路等は、ちょうど名神高速道路等におきまして、完全なるキープレフトの原則を、条約によらずして事実上やっておりますが、ああいう形の道路というものを、建設省道路計画でだんだんやっていくということになりますと、数年のうちにはキープレフトの原則というものが、例外なしにあるいはできるというような事態がくるか、こう思います。
  68. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこのところがちょっとわからぬのです。キープレフトということは、すべての場合において適用されるべき最高の交通道徳だと私は思うのです。それだけでいいんじゃないかということを私は言っておる。別に例外を設けるとか設けないとかいわなくてもいいんじゃないか。諸外国の例を見たって同じことでしょう。別にそれによって罰則が強くつけられるということはないと私は思う。だれでも、子供に至るまで左側通行のところはそういうふうに考えておる。それをことさらに道路によって、ここは差しつかえないのだとかなんとかということを考える、そういう指導をする以前に、原則として、これはすべての道路において左側通行だということを言い切ったっていいじゃないかということを私は言っておる。もう一ぺん答えてください。
  69. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 今回のキープレフトの内容二つありまして、左側通行ということと、それからなるべく道路の左側端部分を車は通行をするということと二つあるわけでございます。そこで左側端部分を通行する場合において、道路の構造その他において左側端部分をなるべく通行するが、なかなかそういう点について技術的にむずかしい場合もあるということを、いわゆる道路構造上は考えている場合が一つ。もう一つは、先ほど申し上げましたように、市街地等において交通が非常にふくそうしている場合においては、追い越しの状況がいつも同じように並列して行なわれる、左を通っておる車に対して右に出て追い越していく場合において、追い越してまた再び左に入るというのが確実な原則でございますが、その場合に、もしも非常に車がふくそうしている場合においては、追い越した場合にもとの車線に入れないということが想定される場合は、この二つが並列して進行していくという形になる場合が非常に多い。その場合においては、たとえばいまのようなふくそうした場合においては、必ずしもキープレフトの原則ではなくて、いま言ったような通行帯を定めて、最高速度の異なる車の順に従って、つまり緩行、軽車両、それからトラック、それから乗用車といういまの通行区分の方式をとったほうが、交通混雑の緩和の上においてはいいのではないだろうか、こういう趣旨で一応例外を設けた、こういうことでございまして、おっしゃるとおり、まん中の車線をあけて、なるべく左に寄っていく、そうして追い越しの場合において正面衝突の機会を少なくしていくということは、当然考えなければならない一般原則でございますので、その意味におけるところの、いわゆるキープレフトということは、どの路線についても守らなければなりませんけれども、名神高速道路のような、ああいうような正確なことが非常にできにくいというのが現在の道路状況じゃないか。そこにおいては、その道路の状況にふさわしいようなキープレフトの原則でいいのではないだろうか、こういうように考えておる次第でございます。   〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕
  70. 阪上安太郎

    ○阪上委員 同じことなんです。左側通行を何もキープレフトと同様に考えておるわけじゃないのだ。そんなことはわかり切っておる。ところがいま言った例でも、やはりキープレフトが原則だということをうたっておいて別に差しつかえないじゃないかということを私は言っておるのです。実際問題としてどうにもならぬでしょう、そういう場合には。その場合でも、やはり車はとにかくキープレフトなんだということをはっきりときめておいて何も差しつかえないじゃないかということを私は言っておるのです。
  71. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 確かにそれはおっしゃるとおりでございます。
  72. 阪上安太郎

    ○阪上委員 おっしゃるとおりならば、どうするのですか。指導の面において、それで十分やっていける。あなた方の答弁を先ほどから伺っておって非常に奇異に感じたのは、その点なんです。すべての道路においてキープレフトで差しつかえない、そういうことをはっきりと考えておかなければいけない。運転者がこの道路はもう左側端を走らなくてもいいのだとかという配慮をする必要はないのです。今日の交通規則でそういうような例外が幾らか設けられているようですけれども、これはやむを得ないとして、しかしこういつた国際条約で世界の共通の交通通念というか、規則を守っていく、道徳律というか、そういったものは厳然とあなた方は主張されていいわけで、国民にそういう慣習をつけられたらいいのです。運転者に、車はすべて左端を走っていくのだということを、はっきり認識づけていくということが私はきわめて大事だと思う。それでいま言ったような場合には、これはしかたがないですから、包括的に、そういう場合にはやむを得ないのだということにしておけばそれでいいんじゃないだろうか。この道路はそういう道路じゃないのだ、これはそういう道路だ、名神高速道路は厳正に守らなければいけない、こっちは厳正に守らなくていいのだ、こういうふうに、道路によって一々公安委員会その他がこれを規制していくというやり方をする必要はない。包括的に、左端通行なんだ、道路のすべてがそうなんだ、こういうふうに言い切るだけの勇気を持ってやってもらいたい、こういうことなんです。ひとつ検討してください。  それからいま一つ、ゼブラ地帯におけるところのいろいろな交通規制が今度は強化されてきて、たとえばしま馬の直前におけるところの追い越しは許さない、こういうことになってきて、罰則も強化されるということなんであります。しかし、最近の歩行者の状態を見ておりますと、はっきり言いまして実にだらしがない。あの中でアベックが——僕はアベックばかり目につくわけじゃないけれども、あの辺で手を組んでふざけて立ちどまっておるというのも間々見受けられる。のろのろ渡っておる。通行しておる車が連なってくる状況等も判断していかなければならない。ところが、手を上げればいつでもそこを通っていいのだというようなかっこうになっておって、しかもそれが与えられた権利のごとく考えておる。そういう不心得な者ばかりではないけれども、あれがどれだけ交通の渋滞を来たしておるかわからぬ。ああいった歩行者に対する取り締まりというものをどう考えておられるか。  あわせていま一つ。最近依然として児童の輪禍が絶えませんけれども、保護者の責任というものは全然追及されていない。一体いまの日本の保護者というのは何しているのですか。そうして交通事故等がありました場合において、運転者の責任がまず問われる、これは当然でしょう。子供の責任というものは、親が、保護者がかぶらなければいかぬでしょう。これに対するところの何らの取り締まりもない。取り締まりはしてもらいたくない。ないけれども、いまのような日本の状態、民度の状態では何とか手をつけなければならぬ問題にまできているんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけなんです。ことにあのゼブラの中の、あのまるで治外法権的な状態、それから保護者の問題、こういったものについて、車を取り締まるのはあたりまえです。酔っぱらい運転を徹頭徹尾取り締まっていくのもいい。またゼブラにおける、横断歩道におけるところの交通事故等において、運転者がもし過失があった場合には、徹底的に一生涯運転できないような制度を設けているところもある。やるだけやっていいです、そんなものは。しかし同町に、歩行者に対するところの取り締まりというものについて、日本の状態で、歩行者に対する取り締まりをやらなくていいような状態でしょうか、どうでしょうか。そういった点についてひとつあなた方の見解を伺っておきたい。
  73. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 過去のいろいろな死亡者の率においても、歩行者事故が多いわけでございますので、この歩行者の問題については、自動車の側、歩行者の側、両方からいろいろ対策を講じなければならない。御指摘のように、歩行者に対しては、横断歩道の歩き方とか、あるいは歩行者としての心がまえというものを、できるだけ安全教育の面でやっておりますが、小学校等の場合においては、相当そういう安全教育が徹底をいたしております。それ以上の段階においては、残念ながら必ずしも安全教育が十分ではないという現状でございます。したがって、それらの歩行者取り締まりということについては、そのときそのときの状況に応じまして、警察官を立てて、歩行者に対する警告あるいは歩行者に対する指示をして、それに従わない者については相当の処分をしたということもございますが、原則としてやはり現場の警告とか、あるいは事前の安全教育というもの、そういうほうに重点を置かなければならない。いまの保護者の問題でございますが、確かに御指摘のとおり幼児のひとり歩きというものによって事故が起こるというのは非常に多いわけでございます。そこでそれらのものに対しては、最近警視庁管内等においても、保護者に警告を発して、いろいろな問題について子供の監督というものについて注意をさしておる。たとえば交通事故ばかりではなくて、ため池に落っこちるとか、あるいはいろいろなところに遊んで川に落ちるというようなことについて、確かに保護者の監督というものについて必ずしも十分でないという点があると思いますが、これはやはり率直に申し上げまして法律、取り締まりの問題というより以前の問題として私どもはできるだけ、いわゆる婦人、母親に対する安全教育という問題で善処をしたい。そこで、話が長くなりますが、私どもはこの秋の安全運動の機会までに、いわゆる交通安全のルール、御承知の英国のハイウェイコードと全く同じようなものをつくりまして、これを徹底さしていくという方針で指導をしたい、こういうふうに考えております。
  74. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この間もぼくはちょっとこの委員会で質問いたしておったのでありますけれども交通安全週間、旬間等においてやっていることを見ると、全くマンネリズムです。学校の鼓笛隊を総動員してお祭り騒ぎでもって笛を吹いて歩いておる。ああいうことばかりに頭を使っているところに私は問題があると思うのです。いまあなた、くしくも御答弁になりましたように交通コードというようなものをつくって、そして教育においてまずやっていくのだ、その考えは私はいいと思うのです。いきなり法律でもって保護者を強く取り締まるなんということは、なかなか外国立法でも私はないんじゃないかと思っている。しかしながら、こう見ておりますと、舗道をおかあさんが買いものを持って歩いておる。子供を一緒に連れて歩いておる。その子供が、ぱっと飛び出した瞬間に輪禍にあっている。横断歩道を見ておったって、子供とおかあさんが、行動が全く違う。子供は赤信号になっても黄色の信号のときでも先に走っていく、おかあさんはこっちで待っている。ああいうような保護者の義務というようなものについても感覚がまことに鈍い。これがいつ左でもそういう状態でよくなってこないということになれば、場合によっては法律で取り締まらなければならぬということにもなってくるだろう、これは恥だと思うけれども。車と人との関係ですから、物理的に車のほうが強いんですよ、これは。だからやはり強いほうが取り締まられるということはやむを得ないと思う。それにしても、横断歩道で横断の状態を見ていると、まことにこれは情けない。大体あの横断歩道には右側、左側の通行区分がないでしょう。なぜこんなことをやらないのですか。何でもないことじゃないですか。一本まん中に黄色い線を引っぱればそれで事が済むでしょう。もう少し地についた交通安全運動というものを展開してもらわなければいけない。そこでそういった立法例を、これは参考までに伺っておくのですが、ありますか、保護者に対する立法例というものは。
  75. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 ただいまの保護者の注意義務でございますが、それは現行の道路交通に規定がございます。ただ事柄の性質上、これには罰則は載っておりません。
  76. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この前道交法改正のときにやはりそれが問題になって、要するに道徳規定のようなもの、またおとなは子供を守らなければいけないというような規定を設けておりますが、それがなかなかそうはいっていない、こういうことなんです。これもまあひとつまことに悲しい現実だけれども、取り組んでもらいたい、こういうふうに思います。  それから、この際もう一言伺っておきたいのは、私は日ごろから、どうもあの私設の黄色いママさんであるとか、それから緑のおばさんというものについては、非常に危険だということをいつも申し上げておるんです。できるだけこれを早く警察庁は解消するように努力してもらいたいということを私は言っておるんです。県警本部等にもそういったやはり指示をなさっておるかどうか、そしてそのためにはやはり相当交通警察官の増員と交通安全施設の完備ということでやらなければならぬ。まあ交通警察官の増員等は、ある程度やってきたと思うんです。それから道路工事などをやっておるときに、全く警察官と同じような態度でもって旗を振っている。何ら警察権限を持っていない、危険きわまりないです、ああいうことをやらしておくのは。あるいは踏み切りでもって旗を振っている。そこで私はいつも言うのですが、ああいうときに、警察権限を持たすわけにはいかないけれども、機械に権限を持たすことは何ら差しつかえないんだから、諸外国でやっておるように、なぜ臨時のゴーストップの信号灯をつけないかということを私はやかましく言っておるのだ。みなやっておるじゃないですか、諸外国で。一体警察はいつになったらこれをやるのですか。そうすればこれは交通規則によってゴーストップなんだから、警察官がそこにおろうとおるまいと完全に従わなければならぬということになるのだ。道路工事等におけるところのああいった交通規制について、なぜ臨時の信号灯を使わないかということを何回も言っておるのだが、いつまでたってもあなた方は言うことを聞かない。それをやることはあなた方は賛成なんですか反対なんですか、この際ひとつはっきりしてください。  それから、いまひとつああいう警察権限を持たないところの者に、聞いてみれば、ここは子供が通るから運転者さん、ひとつ車をとめてくださいとお願いしておるのだ——そういうお願いを聞いてくれる者ばかりじゃないんだ。おれはそんな願い聞かぬぞといって飛ばしたときにはどうなるか。しかし交通規則全体から見れば、そういう場合には当然、注意力によって単をとめなければならないことはわかっておるけれども、旗を振っておるためにかえって危険を生じてくる、こういうことなんです。この問題は一体その後警察のほうではどういうふうに検討されておるか伺いたいと思います。
  77. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 黄色いおばさんといいますか、緑のおばさんといいますか、近年、見るに見かねるという立場及び自治体の力で警察官の手の足らないところを補ってやろうという意味から発達したものだと思いまするが、御承知のように警察官自身もいま一万名増員の途中にございまするし、現在の黄色いママさんを全部カバーするだけの配置ができるかどうかということはここで断言できませんけれども、おいおい正規な者によって必要なだけの交通整理というものはいたしていく方向に行くべきだ、こういうふうに考えております。  それから権限のないいわゆる緑のおばさん、黄色いおばさんという方々の奉仕にしましても、これも全然横断歩道でないようなところを、ただ子供を通すために一番近いところで便利だからやるというようなことはやはり好ましくないのであって、多少道は遠くても、一般的に自動車の運転手が、そういうものの権限のあるなしにかかわらず、守らなければならないというようなはっきりした形のところで、さらに念のために旗を振ってやるというようなことに指導していくのが私は適当じゃなかろうか、こう考えております。  それから道路工事等につきましては、おっしゃるとおり、私たちも、何らの権限のない、土建なら土建の係員がやっているという事柄につきまして、しかも工事本位のようでございます、その自分たちの仕事をやるためにやるのですから。その点については非常に私疑問に思いまするし、そういうのはやはり一定の時間かかるもの、あるいは一定規模以上の工事については、人間をさくことは非常にむずかしいかもしれませんが、できるだけ正規な警察官でやらしたい、こう考えますが、機械でかえるということについてはなお検討を要する、というのは私は平均的に機械というのは、やはり人が通っていても通っていなくても、一定の時間で青になったり赤になったりする以外にないと思いますので、これは終始同じ調子で交通量があるようなところでは私は機械をもってかえてもちっとも差しつかえない、のみならずそのほうがいいと考えますが、やはり深夜等の場合、あるいはその地形等で片側に車の通りを見ながら整理をせなければならぬというのは、やはり人間の手じゃないとちょっと無理じゃなかろうか、その人間の手をできるだけ黄色いママさんと同様に、業者自身にやらせることを少なくして、警察官でやるべきだというのは原則です。しかし、さらばといって、警察官が立ち得ない——工事ばかりが多くて警察官の数がどうしてもそれに充当できないという場合においては、間違ったやり方については指導すると同時に、やはりいまの段階でああいう状態を皆無にするということは、あるのと皆無であるという場合とどちらのほうがよかろうかということになりますと、私は具体的に検討をしてみませんと、この東京都内等におきましても、すぐ業者自身の交通整理は、やめたほうがいいかどうかというのは、やめてすぐかわるものがあればいいにきまっておると思いますが、かわり得ない部分があるとすれば、やはりまじめに自分たちの仕事で迷惑をかけているのだからという立場で、自分たちの仕事を守るという立場だけに終始しないで、迷惑をかけているのだからお手伝いしましょうという形のものは、多少は残さざるを得ないのではなかろうか、こういうふうに私は考えている次第でございます。
  78. 阪上安太郎

    ○阪上委員 だから、そういう問題については、頭で考えてないで、少し作業を進めてみたらどうかと思うのです。たとえば県道、国道等におきまして、やはり一定の交通量を持っているようなところで、五百メートルから六百メートル、ときによっては一千メートルの距離にわたって一方交通をやっておるというようなことになっておるわけです。交互交通といいますか、ああいった場合に、両わきに土建業者から人が出て旗を振っているというようなかっこうになっておるのです。ああいった場合に、臨時の交通信号というようなものを設置して、機械力でもってやれば、十分やっていけるのではないか。夜、交通量のないときは、消しておけばいいでしょう。そういうときは土建業者のほうで人がついているかといえばだれもついてない。深夜に旗を振っているのはだれもいない。同じ理屈ですから、そういったものを私はもっと真剣に検討する必要があるのではないか、こういうことを言っておるわけです。これは諸外国を回るとよくぶつかるのです。それが実にうまくいっている。やはり赤ではきちっととまらなければならないし、いろいろないざこざもなくなってくると思います。かといって、二十メートル、三十メートルの道路工事をやっているところを、一々そういうものでやっていけと私は言いません。その場合は、当然の義務として運転者が相互に譲り合ってやっていくべきであると思いますが、いま言ったようなケースのことを私は言っているわけです。このごろでもやっているでしょう。四谷見附ですか、あそこのところで、当然車がこうしてくる、あそこも、警察官がやらぬで交通安全協会の人がやっている。ああいったことは私は少し行き過ぎじゃないかと思う。ああいったところにもやはり警察官を立たせなければならぬのじゃないか。そうして、割り込んでくる車等に対して整理がつかないでしょう。ああいうものを見ておると、ああいう場合にもやはりやってもらいたいということであります。  いずれにしても、この論議はここ数年来、私は毎国会ごとにあなた方に、言っているのですが、緑のおばさん、黄色いママさん、ああいった状態においても、危険な状態で交通整理をやらせているというようなことは、幾ら何でも少し長過ぎる。もう早く解決されなければいかぬのじゃないですか。われわれは、そのために交通警察官等はうんとふやせということを言っている。あり余るほどふやせと私はしょっちゅう言っているのです。それをやらずにやっている。これは警察だけの問題じゃない、政府全体の交通に対する考え方が足りないからそういうことになるのだと私は思うのですけれども、いま言ったような点で、これはまた預けておきますから、次のときにはもう文句を言われぬように、もうそんなものはなくなりました、こういうところまで持っていっていただくようにひとつ努力してください。このことを希望しまして私の質問を終わります。
  79. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会