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川村委員 長官お話しのように、また局長のお話にもありましたように、その辺の取り扱いは、
指導なさる
皆さん方の立場からも非常にむずかしい問題がある。この限界というものは非常に微妙である。それはわかります。しかし、いまお話しのような気持ちでやはり第一線の
警察官には
取り締まりの
指導指針というものを示していただくことを実は念じておるものであります。いま長官からもお話がありましたが、私が接しておる
運転者関係の諸君では、この運転手帳にいわゆる
事故の犯罪を起こした罰金等が記入してない、きれいにしておる、こういう諸君は、私の知る範囲では非常に注意をいたします。この手帳をよごすまい、こういうような気心を持っております。ところが残念ながら、
一つ、
二つ、三つ、あれに判がべたべた打たれてまいりますと、どうせ二千円か三千円払ったらいいんじゃないかというような、何かよごれたものだからもうあと
一つ、
二つよごれたってどうにもならないじゃないか、たいへんよくないことですけれ
ども、そういう気持ちを持っておるようです。そういう点からしますと、どなたかおことばにもありましたように、次から次に
事故を起こしていくような者をあるいは見過ごすとかいうようなことは、これは問題がありましょうけれ
ども、よほどその辺のところはやはり
運転者の立場というもの、心情というものを重視して取り扱いをする必要があると私は思う。先ほど申し上げました
一つの例は、これは実は初犯でありまして、それでばんと罰金三千円、こう手帳に打たれてがっくりきている。その次にやはり駐車違反ということでまた
一つぽんと打たれる、こういうことが起こってくるわけです。だめじゃないか、こういうように言いますと、まあ三千円、
一つ二つ並べたって、どうせもうよごれちゃったんだからしようがないや、非常にぞんざいなことばを吐くわけです。こういうところはやはりよほど注意をして
指導すべきではないか、このように思います。どうかひとつ、そういう点では、第一線の
取り締まりに当たってくださる警官も非常に苦労が多いわけでありますが、これはたいへんな任務と思いますけれ
ども、ある点やはり十分なる権限をお与えいただいて、あまり上のほうから締めつけるような
取り締まりをさせないようにしていただくことが私はいいのではないか、このように考えております。申し上げるまでもないことでありますけれ
ども、この
道路交通法ができたときには、いわゆる
道路交通の
取り締まり法にかわるべき法律でございまして、これがいままで
警察的な
取り締まりの根拠法になっておった。その前の法律を捨てて、国民全部が新たに
道路を通行するために守らねばならぬところの
道路交通の基本法をつくるんだ、こういうねらいで
制定されたわけであります。これはもう私が申し上げるまでもありません。私たちはそう認識をしておる。そうなると、
取り締まりに当たってくださる
警察当局としても、やはり私が以上申し上げましたような点は、ことばは足りませんけれ
ども、ひとつ十分
検討願いたいと思うのであります。ただ
警察官の権限を一そう強化し、あるいは刑罰を思い切って引き上げる、それで
交通事故を防止するんだ、そういう思い上がりだけは思いとどまってもらわねばならぬと私は思うのです。
運転者あるいは車にだけこの防止の義務をおっかぶせるということは、私はどうも賛成できない気持ちが一ぱいでございます。何か刑事学上の危険分散の法理とかいう理屈があるそうでありますが、そういう点も
一つの大きな理論としてわれわれはかみしめてこの問題に対処すべきではないか、このように考えております。そこで、できましたならばひとつ、たくさんの
改正のあります、この百二十一条から百二十条になした、百二十条から百十九条になした、いままでは罰金で済んでおったのが体刑も加わるような、そういう引き上げの
事項については、再
検討して思いとどまるべき
事項があるのではないか、このように考えるものであります。この点について、いま一度長官から御
意見を賜わりたいと思います。