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1964-05-08 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月八日(金曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 渡海元三郎君 理事 永田 亮一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    大西 正男君       奧野 誠亮君    亀山 孝一君       久保田円次君    武市 恭信君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    重盛 寿治君       千葉 七郎君    細谷 治嘉君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         警察庁長官   江口 俊男君         警  視  監         (警察庁交通局         長)      高橋 幹夫君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁交通局         交通企画課長) 宮崎 清文君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 五月七日  深夜喫茶、トルコ風呂、ヌードスタジオ、ボー  リング等規制に関する請願外四件(戸叶里子  君紹介)(第三四〇〇号)  ボーリング場の開設及び常業規制に関する請願  (戸叶里子紹介)(第三四〇一号)  公衆浴場業に対する地方税免除に関する請願(  椎熊三郎紹介)(第三四〇八号)  同(田口長治郎紹介)(第三四〇七号)  同(福永健司君外一名紹介)(第三五九〇号)  地方財政確立に関する請願天野光晴紹介)  (第三四五七号)  道路交通法廃止等に関する請願加藤進君紹  介)(第三四八〇号)  同(川上貫一紹介)(第三四八一号)  同(志賀義雄紹介)(第三四八二号)  同(谷口善太郎紹介)(第三四八三号)  同(林百郎君紹介)(第三四八四号)  道路交通法施行令改正に関する請願外一件(  島上善五郎紹介)(第三五〇四号)  同(島上善五郎紹介)(第三六二九号)  地方公共団体財源充実に関する請願吉川久  衛君紹介)(第三六七二号)  同(倉石忠雄紹介)(第三六七三号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第三六七四号)  辺地対策事業債の増額に関する請願吉川久衛  君紹介)(第三六七八号)  同(倉石忠雄紹介)(第三六七九号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第三六八〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三八号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    ○森田委員長 これより会議を開きます。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますのでこれを許します。重盛寿治君。
  3. 重盛壽治

    重盛委員 道路交通法の一部を改正する法律案について、この内容に入ります前に少しお聞きをしておきたいと思います。たいへんかってですが、この道路交通法の一部を改正する今度のおもな点、三点だと思いますが、たまたま当時私はほかの問題でこの委員会に出られなかったので、骨組みだけでけっこうですから、一言三点について御説明を願いたいと思います。
  4. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 今回の道路交通法の一部改正に関する三つの柱につきまして、簡単に御説明申し上げます。  一つは、御承知国際道路条約加盟をするという問題に関連いたしまして、国際道路条約における通行法規その他の所要改正をいたさなければならない部面があるのでございます。一つの例を申し上げますと、いわゆるキープレフト原則自動車道路左側部分左側を通行するということでございます。あるいは軽車両の並進の禁止であるとかあるいは広路優先原則を取り入れることであるとか、その他所要改正をいたすわけでございます。  さらにもう一つ国際道路条約加盟をいたします問題点は、国際運転免許証の問題でございます。これは外国人が本邦にまいりまして、一年の間に限りまして、正当に発給されましたところの外国運転免許証によって、日本免許証を取得せずして国内において運転ができるということでございます。また、さらに日本人が外国にまいりましたときにおいても、日本のそれぞれの公安委員会が発給いたしました運転免許証外国において自動車運転ができるということでございます。  第二点は、最近の道路交通事情に関連いたしまして改正をいたしたいというものでございます。これは非常に技術的な規定が多いわけでございますが、最近のいろいろな道路交通実情にかんがみまして所要改正をいたしたいという点でございます。さらに運転免許の問題に関連いたしまして、免許制度を合理的にまた能率的に運用するという面の改正をいたしたいということでございます。これは国内的な事情によって所要改正をいたすという問題でございます。  第三点は、罰則強化の問題でございます。これは最近の道路交通実情にかんがみまして、一つの例はひき逃げの罰則強化する、あるいは酔っぱらい運転罰則強化をする、あるいは重大事故原因になっております違反の態様に対する罰則強化をする、あるいは不正免許を取得することに関連いたしまして、そういうものに対する罰則強化をするということで、いわゆる罰則強化によって交通の秩序の確保をはかりたい、こういう趣旨で、以上三つの柱をもちまして今回の道路交通法改正の骨子といたしている次第でございます。
  5. 重盛壽治

    重盛委員 国際法関係でおやりになる、この点は、内容は別としてやむを得ないのではないかと思います。それから第二、第三、いろいろありますが、ただ罰則強化という問題が出ておりますが、議案の内容に入る前にお聞きしておきたいことは、罰則強化によって事故がなくなっていくのだというこの考え方に私は問題があるのではないかと思う。人おのおの与えられた職業で、どういう法律のもとに、どんな環境のもとに動かさなければならぬかということは、十分知ってやっておる。したがって、できるだけゆるやかな、しかも伸び伸びやれるような態勢をつくってやることのほうが、逆に事故が起こらないのではないか。従来どうもややもすれば罪を強化して、罰則を重くすることによって事故の絶滅をはかっていくのだというようなことを聞きますけれども、この考え方に私はどうも誤りがあるように考えられますが、日本民族の感覚というものは、冷酷な法律で拘束していくということよりは、むしろあたたかい気持ちでかかえていくという姿のほうが事故あるいは違反が少ないように思うのですが、この点どういうふうにお考えになっておりますか。
  6. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 御意見のとおり、罰則強化というものが事故防止の唯一の手と申しますか、最大の手だというふうにはもちろんわれわれも考えておりませんけれども、現在の交通事故状況から見て、罰則が適当でないという部面に限りこれを強化するということは、やはりそういう種類事故を少なくすることには大いに役立つものだ、こういう考え方を持っております。  それからもう一つは、その事故による加害者被害者との関係における納得の問題につきましても、こういう原因によるこういう事故に対して、そういう罰ではおかしいじゃないかというような声に応じたごく限られた事故に対する罰則強化するということでございまして、全面的にどういうものでも罰を強化すればいいというような考えは毛頭持っておりません。
  7. 重盛壽治

    重盛委員 私は、日本道路行政といいますか、自動車行政のあり方が、これは大臣あるいはその他の方々においでを願わなければならぬのではないかと思いますけれども、抜本的に誤りがあるのではないか。ということは、たとえばあなた方は、法律自動車運転手スピード違反を取り締まったり、酔っぱらい運転を取り締まったり、これは当然なさなければならぬことでありましょうが、そういうことをする。しかしその反面、人口が増加したり車両が増加するように道路事情は進んでいっておらぬ、あるいはまた自動車免許使用許可というようなものはあなた方がつかんでおらぬために、運輸省陸運局がやっておる。こういう姿の中で、一方法律をつくって取り締まっていかなければならぬあなた方との関係が、いわゆる総合施策がうまくいっておらぬのじゃないか、このように私は考えますけれども、そういう点、法律をおつくりになり、今度のこの改正をおやりになる前に、こういう点がわれわれとしてできたならばいいがなという点はおありにならぬのですか。いまのような形で自動車行政取り締まりは万全を期し得るというようにお考えになりますか。
  8. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 仰せのような御意見から、先般も衆参両院附帯決議もついておるような次第でございます。総合的な交通行政について、政府はもっと考えろというような御意見がつきまして、それに応じまして交通基本問題調査会だとかあるいは交通関係閣僚懇談会だとかというようなものができまして、ある程度の答申も得ておりますし、また現在は臨時行政調査会におきましても、意欲的に、総合交通行政についてはある程度の結論を出そうということで、御勉強中だと承っております。私たちとしましても、総理府に設けられておりますそういう機関を通じて、いまおしゃったような道路のことにつきましては建設省、あるいは運輸行政全般については運輸省というようなところと密接な連絡をとりつつ、総合的な調整ができるように努力をいたしております。同時に、警察自体でやらなければならぬ部分につきましては、よそがどうであるこうであるということは別としまして、今回提案いたしましたような事柄については、とりあえずほかとの関係なしにも御承認を得られるものだ、こういう考えのもとに今回のような改正法律案を出しておるわけでございます。よろしく御審議を願えれば、その内容は、道路が狭いからどらとか、足らぬからどらとかということに関連する部門はほとんどございません。
  9. 重盛壽治

    重盛委員 たしか道路交通取締法をいまの道交法に変えたのは三十五年だと思いましたね。私の記憶が違っておればあれですが、そのころ道路交通取締法が変えられて、私どもの知っている範囲では、道路交通取締法というので、いわゆる取り締まるだけの一つ道路交通法であったわけです。これは単に自動車運転者だけではなく、歩行者も、ときには労働組合のデモも、道路交通取締法ということで取り締まられてきておるように考えております。ところがそのときに、道路交通取締法の「取締」という字句を除いて、道路交通法ということになったその精神の中には、道路を使う者が、特に自動車運転者等を単に処罰をするということではなくて、いわゆる補導をしていくのだ、そういうようなことが言われたように考えますし、その中にあなたのいま言われた附帯決議がかなりたくさんつけられておると思います。その附帯決議が実行されておるとあなたはおっしゃっておるが、私は実際には実行されておらぬのではないかと思います。そういう当時の道路交通取締法道路交通法に変えたということによって、一般歩行者あるいは自動車運転者等補導していくというような面の成果は、その後どのようにあがっておるのか、あるいはどういうように運営をされておるのか、簡略でけっこうですからお答えを願いたい。
  10. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 ただいまおっしゃいましたような時期におきまして、道路交通取締法を現在の道路交通法に改めました趣旨は、まことにおっしゃるとおりでございます。またその際に附帯決議両院におきましてつきましたことも、御指摘のとおりでございまして、その精神に沿って相当——その全部が実行されているということは、言うことをはばかりますけれども、できるだけのことは、実現できるものについてはやっているつもりだということを申し上げたのでございまして、ただいまおっしゃったような補導という面についても、われわれ警察官の心がまえとして、悪質なものを罰するという立場はもちろん基本的なものでありまするが、それだけではなしに、やはりその以前における補導ということについては、従来にも増して心してやっているというのが現状でございます。その数字がどう出ているかという事柄については、私自身はここに資料を持っておりませんけれども考え方としては十分その御趣旨に沿った交通行政をやっているというつもりでございます。
  11. 重盛壽治

    重盛委員 気を悪くせずにお聞きを願いたいのだが、補導をしたというような実例、たとえば運転者にこういうことがあったけれども、こういう補導をしたとか、あるいは通行人についてはこういう補導をしておるとかいう例証が何かありましたら、教えていただきたい。
  12. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 それぞれの附帯決議内容に関します具体的な実施の状況でございますが、いま御指摘のような運転者に対する問題、あるいは歩行者に対する問題についての具体的なやり方でございますが、一つは、運転者に対しましては、いわゆる安全運転基準というような要項をつくりまして、それぞれの筋を通して流しております。また歩行者につきましては、歩行者心得というようなものについて、それぞれの教育委員会なり、あるいはそれぞれの教育機関連絡をいたしまして、所要資料を作成いたしまして、それぞれの筋でいろいろな教育教養をいたしておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういう具体的な事例に即した交通安全の心得というようなものについては、数多くの資料を配布いたして具体的な指導をやっておりますが、そういうことで御了承願いたいと思うのであります。
  13. 重盛壽治

    重盛委員 自動車運転手の話がいま出たが、運転者の場合に、当時たしか、私の記憶違いでなければ、苦情処理機関というようなものをつくるべきだというようなことが附帯決議の中にあったのです。これは一体何かというと、例を言うならば、目で見て交通違反であった、あるいはスピード等は機械を使っておりまするが、信号が青であったとか赤であったとかあるいはだいだい色のときであったとか、注意のときに通過をした、こういうようなときに、補導するということではなく、そういう者がそこにおる警察官に一ぺん見とがめられれば、それなり免許証を取られて、それから幾日か後に、即決といいますか、どこかへ行って罰金を納めてこなければならぬ、こういう事例がたくさんあるわけですね。ところが、その現実は、実際には自分は万全な注意をして行った。しかし行くと同時に信号の切りかえがあったために、片一方信号を無視したと言う、片一方信号を無視してはおらぬのだ、こういう問題が起きてくるのですね。ところが、この問題をどこでめんどうを見てくれるか、だれがさばいてくれるか、その正邪黒白を一体どこでつけてくれるかというと、それらは当然苦情処理機関でやっておるように私は考えたのだが、何か私の知っておる範囲では、そういうものがないように聞くのです。  もう一つは、そういう場合に、たとえばタクシーの運転手であると仮定いたしますならば、そこへ行ってそういう弁明をしたりいろいろなお呼び出しを食ったりして時間をつぶすと、自分の生活を脅かすというような実態まで出てくるので、やむなく罰金を納めて泣き寝入りしておるというこの現実がかなりあるように思うのですが、そういう点の、いわゆる苦情処理といいますか、一ぺん出たものは、もうよかろうが悪かろうがいわゆる一方的な認定によって処罰をしておるというのが現状のように私は思うのですが、その点どういうようになっておるのですか。
  14. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 最近施行されております交通切符制度の問題があるのでございますが、この切符制度に関連いたしましては、いわゆる錦糸町の切符制度処理する機関におきまして、係官が相当具体的な問題について当事者にいろいろな苦情のある場合においてはできるだけよく実情を聞く。その場合において、たとえば略式でいくか、あるいは正式の裁判でいくかというようなことにつきましても、具体的にいろいろな指導をしておるわけでございます。  ただ、御承知のとおり切符制に関連いたしまして、その件数が非常に多いというようなことで、あるいは御指摘のような画一的な処理がされている場合があるかもしれないというような点については、必ずしも私もつまびらかでございませんが、そういう点のないように私どもも十分いろいろと研究をいたしております。  なお、一般的な苦情処理の問題につきましては、特に行政処分に関連していろいろ問題があるかと思うのでございます。行政処分苦情処理の問題については、大多数の都道府県においては、木部及び警察署交通相談所あるいは苦情処理係というものを置きまして、できるだけ具体的によく相手の立場に立って聞くということをやっておりますが、これも先ほど申し上げたように、非常に件数が多いということと、これは私どもの怠慢であるかもしれませんが、係員等の不足の問題で十分な手当ができないという点もございますが、できるだけいま申し上げたような配慮をいたしておるわけでございます。  さらに、三十七年の十月から、行政不服審査法というものが施行されておりますが、これも行政処分がその対象となっておりますので、行政不服審査法対象となった行政処分等については、公安委員会等において相当慎重にいろいろと具体的に調査をいたして結論を下したい、こういうことでございます。
  15. 重盛壽治

    重盛委員 こまかいことになりますが、その切符制度とかいうことで錦糸町なら錦糸町に行った場合に、事情を聞いてやって、それはまことに気の毒であった。あれは本来何がしかの罰金を取られるところであろうが、今回は訓戒にしてやろう——処分内容は私は知らぬのだけれども罰金科料といいますか、昔は科料と言ったがいまは罰金以下ですね。その罰金以下の処分というものはあるのですか、ないのですか。と同時に、そういう話を聞いてやって、あなたのおっしゃったように、忙しいから事務的な処理をしてきたということで終わっていると思うのだが、その他の君らも守ってやるところがあるのだぞというようなものがあらわれているところがあったのかないのか、お教えいただきたいと思います。
  16. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 その問題の前段階として、まず取り締まりをする際に、どういう基準とどういう方針で取り締まっているかというのが一つその前にあるわけでございます。私どもとしては、いたずらに件数をあげるというような、件数主義に陥らないように、合理的な重点的な取り締まりをやる、あくまでも取り締まりによって事故防止をするのだということにわれわれは重点を置いておるわけでございます。取り締まりが単なる取り締まりに終わらない、そういう意味で、それぞれの警察官に対して、いかなる態度、いかなるやり方事件処理をするかということについては、平素いろいろと基準を示し、教育をいたしまして、そういう苦情のないようにいたしたいということが一つでございます。  さらに事件になった場合におきましては、いま申し上げたような方法墨田分室等において、当事者からいろいろな苦情があった場合においては、できるだけ幹部がこれに当たるということで、幹部が当たっておる場合もございます。ただしかし、御承知のとおり、墨田分室一ヵ所でございますので、これをもっと施設的に拡充していく、また人員的にこれを充実していく、したがって、切符制拡大強化に伴って、いま言ったような人的、物的な建設を充実していくことによって、いまのような部面あるいは苦情処理というようなものについても十分対応していくということが必要かと思います。  最近の実例をお話しいたしますと、なかなか取り締まられるほらも法規その他について通暁いたしておりますので、へたな取り締まりをいたしますと、逆に警察官のほらがいろいろと苦情を受けるというような場合もありますし、また現実分室等においても、これは納得できないということがありますれば、その場合においては罰金ではなくて、いわゆる説諭処分ということで、警察限りの段階において処理をいたしておるということでございますo
  17. 重盛壽治

    重盛委員 三十五年に道路交通取締法から道交法に変えられたが、変えるときには、先ほど言ったように事故防止が一番中心で変えたわけです。前の道路交通取締法から今度は道交法に変えられて、その後の違反件数あるいは事故件数というようなものが年度別に出ておると思うのですが、いますぐお答えを願わなくても、あとでもけっこうですが、ただ比較を、たとえば三十五年と三十六年、あるいは三十六年と三十七年の事故件数というものがおわかりになったら、お答えを願いたいと思います。
  18. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 交通事故年別発生状況を私の手元にあります資料で御説明申し上げますが、後ほどまた統計の正しい数字を差し上げたいと思いますが、三十五年からとりますと、三十五年は、事故の総件数が四十四万四千九百十七、死者が一万二千五十五、傷者が二十八万九千百五十六という数字でございます。三十六年が四十九万三千六百九十三、死者が一万二千八百六十五、傷者が三十万八千六百九十七、三十七年度は、これは非常に好成績を示した年でございまして、四十七万九千八百二十五、死者が一万一千四百四十五、傷者が三十一万三千八百十三、三十八年度、昨年は、三十七年度に比べましてふえまして、五十三万千九百六十六、死者が一万二千三百一、傷者が三十五万九千八十九、こういう数字を示しております。したがいまして、それぞれの指数をとりますと三十七年度が非常にいい成績を納めておるわけでございます。
  19. 重盛壽治

    重盛委員 これからいくと、三十五年の四十四万が一番少ない。もちろん人口増加、これは全国的な指数だと思いますが、特に都市における増加率というものは、もっとふえておるのではないか。たとえば東京なら東京一つ例にとって、もしそういうデータがあれば——これは全国の大きな都市でなくてもけっこうですから、東京だけでけっこうですから、あとでお出しを願いたいと思いますが、そういう面からいくと、漸増しているというのが現状ではなかろうか。この漸増している理由がどこにあるのかということが一点と、それから三十七年に比較的好成績であったというのは、特にあなたのほうで何か好成績になるような手段方法を講じられたのか、自然の姿であったのか、この点をひとつ……。
  20. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 交通事故原因になるものは、やはり御承知のとおり人と車と道路、この三つの要素の総合されたものが交通事故になってあらわれるわけでございます。ところで、車の台数において毎年々々飛躍的に増大してくるということでございます。しかもその車の形態が、いろいろな種類の車が出てくる。そしてその内容が、非常に性能が向上されてくるという問題でございます。  それから第二の道路の問題でございますが、これはいろいろ建設省その他で努力をいたしておりますが、日本道路率というものは各国に比べて非常に低い。そして最近その道路の構造というものについても、いろいろ問題があるわけでございます。日本道路は、御承知のとおりいわゆる混合交通道路でございまして、いわゆる分離交通道路になっていないというところにやはり事故の大きな原因があるのではないか。釈迦に説法でたいへん申しわけないのですが、歩行者事故が、たとえば一万二千なんぼの約三分の一を占めるということは、混合交通の悲劇の具体的なあらわれだと私ども考えているわけでございます。いわゆる運転者の数が御承知のとおり非常にふえてきているわけでございます。これも具体的な数字がございますが、現在の段階運転人口は千三百万、こう称せられているわけでございます。この中にはもちろん農耕用自動耕うん機等も入っておりますが、いわゆる千三百万、免許の額面からいきますと千八百万くらいになろうと思います。免許人口が約千三百万、将来は三千万になろうというふうに考えております。毎年相当な数でいわゆる免許の数がふえているわけでございます。そういうような人と車と道路の三者の複合された姿が、こういう事故件数であらわれているわけで、率直に申し上げまして、車の台数に比べて事故がふえているわけではございません。これは世界的な傾向ですが、いわゆる単台当たりの走行キロ数に対する死者なり傷者事故の数というものは非常に低減しているわけでございます。ただしかし、絶対数はふえているということで、この点は私どもとしてはあまり釈明の理由にしておりませんが、そういう状況でございます。  三十七年度がなぜ少なかったかと申しますと、これは交通に対する社会的な関心が非常に盛り上がったということ、いわゆる交通戦争というような標語のもとにPRということで、国民の外層にわたって交通に対する認識というものが非常に深くなった。と同時に、警察としましても、あらゆる努力をいたしまして、取り締まりもいたしましたし、あるいはPR等もいたしたわけで、全体として交通に対する認識というものが高まったというようなことが、やはり主たる原因であるというふうに私どもは思っております。
  21. 重盛壽治

    重盛委員 私も全くそのとおりだと思っております。  そこで、あなたがいまおっしゃったように、もとに戻っていくのだが、日本道路がいわゆる混合道路である。たとえばあとで出てきます今度の国際条約、道路条約上やむなくつくるのであろうが、あなたが先ほど説明になったそういう問題も日本道路に合致するかどらか、これはまたあとで論議しますが、その前にやっぱりいまおっしゃったように、道路行政が完全でないという面と、自動車がどんどんふえてくる——これはふえるはずですね。自動車の製造業というものに対しては政府もかなり力を入れ、国産車の製造に非常な力を入れておるのでどんどんふえる。これはいいかもしれぬ。いいかもしれませんが、現実日本道路、特に東京あたりを一つの例にとりますと、どんどん製造はさす、認可は陸運局で届け出制でどんどんやっていくというようなときに、一方であなた方が非常に苦心をして、予算もない中で交通事故をなくするためにあらゆるPRをして事故がなくなった、これは非常にいいことだと私は思う。そのいわゆる指導とそういう方面にもっと予算をつけておやりになれば、私は少なくなると思う。あるいは自動車の生産にも——特に一番ふえているのは自家用車です。そういうことを申し上げるとそういうものをお使いになっている方に相済まぬが、三輪車であるとか小型自家用車の事故などが一番多いように考えます。これには産業機構が変えられ、交通事情が変えられ、輸送量が変わってきたので、一日も早く自家用車を持たなければみずからの事業が成り立たないという角度で持つことはやむを得ないが、その届け出に対しては、どんどん許可している。同時に、いまあなたが言われたように、非常に運転者がふえてまいります。その結果、これは道路法で取り締まる、その前に自動車運転者免許制度あるいは質というようなものがこれでよいのかということを、いま一ぺんお考え願わなければならぬのじゃないか。いま、ことさらむずかしくしろと言いたくありませんけれども、何か未熟な人がどんどん町に吐き出されてきている。五年、十年と運転者の経験のあるものは、そう大きな事故をやっておらぬはずです。そういう新しい人たちのみが、道路法も、あるいはときには交通法もわからぬのではないかしらぬが、自然に定められた交通道徳法ともいうべきものを無視してきておるところに、大きな事故が次から次へと起こっていると私は思うのです。この運転者免許制度というものについて、何かお考えになっていることがありますか。いまのように教習所で一定の時間を乗ればそれでよろしい、なるほど道路交通法と一般エンジンがどういう構造であるかという構造法を知ってもらわなければなりませんけれども、私はより大切なことは、運転技術が充実し、習熟し、これなら大丈夫だというふうらになったら免許証を渡すという制度にしない限りは、なかなか交通事故防止は困難ではないかと思います。その点何かお考えになったところがあるか、あるいは処置したことがおありかどらかお聞きしておきたい。
  22. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 確かに御意見のとおり、まず運転免許の問題について、特によき運転者をつくり上げることがやはり事故防止の第一だと私どもも思います。そこで私どもも、運転免許の問題についてやはり基本的な問題を検討いたして、運転免許についてのいろいろな点の改善、改正というようなものについていろいろ考えておるわけでございます。そこでことしは交通局の運転免許課に定員をふやしていただいて、いろいろな技術的な問題についても研究をして、私どもは昭和四十年度を目標にして運転免許制度の内容について相当改善、改正をいたしたいということを考えております。ただしかし、法律改正を待っておってはなかなか事態は解決いたしませんので、現行法を活用することによって内容を充実していくということについて、現在政令以下の段階でできることをいろいろと考えております。御指摘のような教習所の問題につきましても、現在教習所が相当な数ございまして、この教習所をいかに指導監督をして充実した運転技術の指導をやっていくかというのが一つ運転免許のポイントでございます。そこで教習所のいわゆる人的な内容強化をしていく、つまり教習所の指導員というものの質の向上をはかっていくということ、あるいは検定員の資格を厳格にしていく、あるいは講習の内容についてさらに具体的に改善の方法を講ずるというような、現行法でできる範囲のことをことしはやっていきたい、こういうふうに考えております。そういう面で運転免許内容を充実していくというふうに、特に教習所の内容を充実するような方向で考えていきたいと思っております。
  23. 重盛壽治

    重盛委員 この事故件数で大体の見通しはつくわけでありまするが、三十五年度から三十六年度、三十七年度、この罰金が何がしかの予算に組んでおるわけですね。ことしはどのくらい罰金を取ろうという——取ろうという言い方がいいかどらか知らぬが、十億なら十億、十五億なら十五億という予算が組んであるように思うのだが、三十五年以降の予算がどういうふうに組まれてどんなふうになっておるかをお知らせを願いたい。
  24. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 たいへん申しわけないのですが、ちょっと手元にございませんので、後ほど正確に調べましてお届け申し上げます。
  25. 重盛壽治

    重盛委員 それでは数字はそれでけっこうですが、予算に計上してあることだけは事実ですね。
  26. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 御質問の前提が、私の聞いている限りにおいては誤解があるのじゃないかと思うのですが、その罰金というのは行政機関でありまする警察でいただくものは一つもないわけであります。これは裁判によって国の収入になっておるということであります。これが予算を組んでおるのかおらぬのかわれわれタッチしないところでございますが、おそらく一般財源の中に入るものであって、予算で幾ら幾らことしは罰金を取ろうというようなあれはないと私は考えます。
  27. 重盛壽治

    重盛委員 もちろん、そのようなばかなことはあってはならぬのですが、ただあなたのほうの予算でない、どこの予算であるか知らぬが、雑収入になっておるのか何か知らぬが、予算は確かにあるはずです。それでことしは十億と、何かだんだんそれがふえておるというようなことを聞いておるが、あなたのほうの予算になければ予算が合わないから、もう少し違反事故をつかまえてやるぞというようなことはもちろんないだろうと思うのだが、運転者立場の人たちに聞くと、ことしの予算がまだだいぶ足りないようで、われわれ非常に厳重な処分を受けて罰金を取られているんだなんということが、これは根拠のあるものではないが、それくらいにさえ言われているのですから、これは確かに何年にはどのくらいの予算というものがあると思います。あとでお調べになってそれを出してください。  それから、先ほど言われた交通事故を防止しようということのために、運転者の素質をよくすることも大切だが、政府みずからが総合施策をやる、いわゆる道路関係建設省、それから特に運輸省とあなたのほらと、この三者が一体になってやることが、当面一番必要ではないかと私は思うが、そういうことをどのようにやられるかお聞きをしてみたいと思います。
  28. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 御指摘のように、建設省道路局の関係と、それから運輸省自動車局並びに鉄道監督局、それから私のほらの交通局で具体的ないろいろな問題につきまして協議し、処理をいたしているわけでございます。内閣に交通関係閣僚懇談会というのもございますし、交通対策本部というのもあります。したがって、この交通対策本部に持ち込んでいろいろと話をする場合もございますし、また具体的に各省庁との間で連絡をして、それぞれの問題について処理をいたしておるわけでございます。たとえば、一つの例をあげますと、安全施設の問題につきましては、私どもからいろいろ事故分析の結果を連絡いたしまして、それぞれの一級国道あるいはその道路上における安全施設についての施策をしていただく。あるいは運輸省関係の行政ならば、踏切の事故防止という観点から、いわゆる踏切道改良促進法の運営につきましては警察庁と道路局、それから運輸省の鉄道監督局といろところで具体的にやりまして、さらに国鉄に対して、それぞれいかなる場所を指定するか、いかなる場所を改良すべきかという点について、年間計画あるいはその他の点について具体的に連絡をいたしておるような次第でございまして、それぞれ具体的な問題について随時協議をいたしてやっております。自動車局等の関係におきましては、最近問題になっておりますハイ・タクの運転者の不足というようなことに関連いたしまして、私ども運輸省並びに関係者が集まって、運転者対策協議のための具体的な内容の充実ということについても、いろいろと会議を開き、具体的な施策の実施ということに努力をいたしておるような次第でございます。
  29. 重盛壽治

    重盛委員 その場合、通産省のほらは、いわゆる自動車の生産がどんどんふえて、一年、二年のうちに二倍にも三倍にもなってくるというような現状であるのに、この生産に対する通産省との関係の問題は、別にやったことがございませんか。自動車交通取り締まりということは、その根本である日本自動車の行政というものはどうあるべきかという問題とも関連をしておると思うのですが、その点を何か御相談なすったことがありますか。
  30. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 車両の性能の問題については、私ども運輸省、通産省等において、いわゆる製造会社を指導するという意味において、たとえばこういう事故の問題が出てきている。これについては、タイヤ等にいろいろ問題があるようだというような点について、運輸省と私どもでいろいろと相談をし、通産省と相談をして業界を指導をしていくというような措置を講じておりますが、自動車の生産の問題につきましては、私どももいろいろと意見と関心を持っております。しかし、具体的に従来通産省と私どもで話し合ったことはございません。
  31. 重盛壽治

    重盛委員 これはむしろ運輸省がおやりになることだと思いますが、そのほかに、従来交通違反ということになりますと、ずっと古い話になるかもしれませんが、ブレーキがきかなくて、自然に信号より乗り出していってしまった、あるいは方向指示器の故障で、そのために事故が起きたとか、いろいろなことがある。最近車両の欠陥による事故というものはお調べになっておりますか。資料があったら教えていただきたい。
  32. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 やはり違反のうち、整備不良に対する取り締まりということをやっておりますが、整備不良の検挙件数が、私の手元にあります資料では、三十八年に六万一千五百四十二件ということになっております。
  33. 重盛壽治

    重盛委員 先ほどお話の中で、歩行者事故が非常に多いのだ、こういうように言われましたが、歩行者が横断歩道を歩いておる。たまたまこっちから、自動車信号が変わったから出ていく。しかし一方、歩行者のほうは信号を見る率が比較的少ないではないかと思うのです。そういう意味の事故資料はあるのかないのか。歩行者交通違反処分というものは何件くらいあげられて、どういうふうに処理しておるか、そういう点を、ひとつあったらお聞きしたい。
  34. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 先ほど御説明いたしました昨年の一万二千三百なにがしの死者のうちで、歩行者死者が約三分の一、正確な数字は差し上げますが、約三分の一ということになっております。その内容を見ますと、いろいろな状態別があるわけでございます。その中で、車の直前、直後の横断というのが非常に多いということであります。もう一つは、幼児が路上で遊戯をしておってひかれる場合が多い。もう一つは、めいてい徘徊をして車にひかれる、酔っぱらってひかれるという場合もあるのであります。したがって、正親の横断歩道を渡っていく場合における事故はわりあいに少ないということが言えますが、この点についても、統計がございましたら差し上げますが、いま申し上げたように、歩行者が第一原因者であるかあるいは自動車が第一原因者であるかということで分けていろいろと事故の統計をとっておりますが、歩行者が第一原因者で死んだものは六百五十七件という数字でございます。つまり、第一原因者というものは、歩行者のほうにやや過失があるという場合のものが六百五十七、こういう数字が上がっております。
  35. 重盛壽治

    重盛委員 私の申し上げたのは、そういうことと同時に、歩行者違反した場合は道交法違反になるわけですね。そういうことの処分をやったことがあるのかないのか、また、その数字があるのかどうかということをそれにつけ加えてお尋ねいたしたい。
  36. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 歩行者に対します私どもの態度といたしましては、歩行者に対してはできるだけ指導をしていくという方針で、直ちにこれを違反として検挙するというような方針は原則としてとっておりません。ただしかし、中に非常に悪質なものがあるという場合においては、一罰百戒という意味で、歩行者を検挙した事例も過去においてあるように記憶いたしておりますが、この点につきましては、もし最近の資料がございましたら調査いたしまして、お手元に差し上げたいと考えております。
  37. 重盛壽治

    重盛委員 私は歩行者処分することは好かぬのであるが、あなたのほうではたまには処分したい部面もあろうと思う。そういう意味から実は処分した件数があるのかとお尋ねしたのですが、なければそれに越したことはないと思います。ただ、歩行者に対し、国民全般に対して交通に関連する観念を指導する必要が出てきておるのであります。取り締まるというような形でなくて、補導するとか指導する、非常に困難な言い方であるけれども、われわれもたまには車に乗ることがあるけれども、乗って歩いて、歩行者は、ここはおれが歩くところだ、おれたちの権利であるんだというので、非常に交通混雑しておるものを別に急ごうともせず、ことさら——ことさらということばがいいか知らぬがゆうゆうとしてやっておる。あとに車がどんどんつかえておる。これは気の毒だから早く行ってしまおうというような、そういう何というか国民性が少し薄れてきているように思うのだが、こういう点お気づきになっているかどらか。何かそういう点で——これはやはり自動車運転手だけ取り締まって交通事故をなくすことよりは、国民全般の立場から、交通運転者立場として、あるいはいろいろ批判されておるダンプカーの場合でも、トラックの場合でも、それぞれの職種に応じて、しかも生コンだとか、あるいはトラックなどはいろいろきらわれるけれども、しかし都市をきれいにしていく、あるいは道路を完備していく、住宅を建設していくためにはなくてはならないものである。そういうものが非常に一般人から憎まれながら、その憎まれる仕事をやっていかなければならぬ立場の人たちが数多くあるわけですね。こういうその人、その人の職業をやはり尊重し、重んじ合っていけるというような気持ちが出てこなければ、私はなかなかこの交通事故の絶滅ということははかり得ない。それは一体どこでやるのか、政府でやる。ちょうど大臣がおいでになったから、大臣はどうお考えになるか知りませんが、そういう抜本的な問題を考えないで、ただ運転者——もちろん酔っぱらったり、違反違反としてやらなければならぬが、何か処罰によって事故をなくすんだというような感じを与えたり、いつもいつも最終的には車を持っている者だけに圧力がかけられてくるのではないかというような感じを与えられることは、必ずしも専攻を絶滅することにはならぬし、さらに率直に言うならば、先ほど来言うように、この人たちは一体だれが守ってくれるのかということを考える場合に、これはやはり運輸省なり、あるいは交通関係するあなた方が守る以外には一はだからは批判ばかりされている。しかし必要な人だ。タクシーにしても、トラックにしても、生コンにしても、ダンプカーなんか、いまオリンピックを目前にして、東京ではできるだけよけいに走らせぬと仕事が進まぬという現状にある。これが一般の人から非常に敵視されている、こういう点を考えてやって、そして励んで、いわゆる抜本対策と言いましょうか、事故のないようにやれる対策を立てなければ——ただこっちのほらで、法律だけで、いままで六千円だったものを一万円にしよう。それじゃ逆になっている。そういう仕事に携わる人たちに反抗心を持たせる。その点何かお考えになったことがあるのかどうか、あるいはそういうこともしなければならぬということもお考えになったことがあるかどうか。幸い大臣も来たので、局長からも、大臣からもお答え願いたい。
  38. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私どもも始終経験するわけですが、なかなか中には根性曲がりの人もおって、あとから車が追ってきていることを承知しながらゆうゆうと前を歩いてみせたり、人によっては、よほどおりて、このやろう横っつら張ってやりたいというような気分を起こす方もあるかもしれません。目に余ることもありますが、しかしそういう人たちはやはり交通道徳というものをもっと高揚することによって逐次自覚を待つよりいたし方ないと思いますが、事故はむしろそういう場合に起こらなくて、瞬時に起こる事故が全部であると私どもは判断いたします。瞬時に起こる事故をどうして防ぐかということになりますと、やはりいろいろ取り締まり当局としても、あらかじめ注意しなければならぬこともたくさんあると思います。たとえばいま御指摘になりました整備不良のために、運転手の腕がどらよくても、たとえばブレーキがきかなかったといういような自動車運転しておったら、とんでもない事故を起こすことは申すまでもありません。こうらいうことはきびしく取り締まらなければなりませんし、また運転手注意力にも限界があるから、やはり運転者自体が過労におちいるような使い方ということについても、雇用主側の反省も相当促していかなければなりませんし、また何といっても歩行者優先でございますから、実際ハンドルを握っておる諸君には気の毒でも、相当きびしくいろいろな取り締まり条件というものを頭にたたき込んで、そうして瞬間事故を防ぐように自粛自戒をしていただかなければならない。いろいろなことがかみ合っていると思うのですが、先般、交通基本問題調査会で出されました答申を私読んでみましたが、なかなか見るべきものがあると思って感服もしております。これは総合的に交通事故を防いでいこうという意味での答申でございますが、そのままわれわれは実施をいたしまして、そうして交通事故絶滅などという大きなことは、現段階においてなかなか申せませんけれども、少なくともその決意で事に当たらせたいと考えておる次第であります。
  39. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 先ほど歩行者取り締まりの問題で罰則の問題を申し上げましたが、警察官の指示に違反した場合においてのみ罰則がかかっておるのでございます。念のためにお答えいたします。  なお、大臣の御答弁に関連いたしまして、具体的な問題について一、二御説明申し上げますと、この五月十一日から行ないます安全連動、あるいは昨年の秋行ないました安全連動においては、安全な横断の確保ということを一つの大きな目標に置きまして運動をいたしております。その場合において、特に手を上げる運動というものを強力に推進をいたしておりまして、必ず横断歩道で運転者も正確に一時停止を行なう。同時に歩行者に対しても、一人一人ぼつぼつ渡るというようなことでなく、三人なり五人あるいは十人なり固まったところで渡るようにしてくれというようないろいろな指導をいたしております。いま御指摘のような点について、歩行者運転者との間に何か心の通うようなものを生み出していきたいということで、手を上げる運動というようなことを、オリンピックに関連いたしまして、今後とも強力に推進をしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  40. 重盛壽治

    重盛委員 一番しまいのいわゆる運転者歩行者との心の通うようなことをやる。これは確かにいいと思います。それがなければやはり事故の絶滅ということは、はかり得ないのです。かってに自分の権利ばかり主張するような姿がだんだん露骨になって、それが法律ばかりで取り締まられるということでは解決のつかぬものがあろうと思います。だから私の言い方が悪かったかもしれませんが、そういう面には十分力点を置いてもらわなければならぬと思う。民族意識というのか何か知りませんが、少し考えていかなければならぬ段階にきたのではないかというように私は考えますから、十分その点はお考えを願いたいと思います。  それから運転者の話が出たのでもう一つだけ申し上げますが、どら自動車運転者に対して昔から二重処罰といわれておりますが、この点はどういうふうにお考えになっておるか知りませんが、罰金をとり、ざらに免許証の取り上げ、あるいは就業停止というようにかなり過酷になっておるわけでございますが、先ほどの問題と関連をいたしますけれども、それほど過酷にするならば、そこまでの過程における教習方法の問題なり、運転者としての資格を取得するまで少し考えてやるべき段階ではないか、取得されたものに対しては、過酷な処分ということよりは、やはり反省を求めるというようなことをやっていただきたいと思うのです。運転者の二重処罰というのは、昔から悪名高い処罰とされているわけですが、その点、何かお考えになっておりますか。ここでまた、なにどんどん処罰を重くすれば、みずからの任務は足りるのだということになるかもしらぬが、それでは私は交通全般の問題の解決にはならぬように思います。そういう意味合いで一言あなたに聞いておきたいと思います。
  41. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 確かに御指摘のとおり罰則のついております道交法違反罰則の運用、これにはいろいろ問題があるわけでございます。したがって、私どもの運用いたしますところの行政処分につきましては、この行政処分というものの合理的な運用と申し上げますかについて、私どもいろいろと心を砕いて研究をいたしておる次第でございます。一つの例は、最近のように非常に広域な交通状況になってきますと、各県まちまちであってはいけないというので、これはやはり全国的な水準を統一をしていくというようなことに努力をいたしております。またその事犯の内容等につきましても、一々全部行政処分で担保するというような行き方は、避けるべきところは避けなければいけない。真にやむを得ざるものに限定をして行政処分というものを運用していくというようなことで、行政処分の運用につきましては、今後もいろいろと研究をいたしたいと思いますし、現状において私ども満足いたしておる次第ではございません。
  42. 重盛壽治

    重盛委員 運転者の問題は一応その程度にして、本法に若干関連してお尋ねいたしたいと思います。この法律の中でのキープレフトという、いわゆる左側を歩くことになろうと思うのでありますが、これが日本のいまの交通事情で、いわゆる国際道路条約上やむを得ないということが中心であるのか、こういうことをすることによって事故が防げるという考え方であるのか、きわめて簡単なことですが、このいずれが主であるのか、まず伺っておきたいと思います。
  43. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 このキープレフトにつきましては私どもいろいろ論議をいたしまして、しかし国際道路条約の要求するといいますか、規定いたします通行方法の最小限度としては、このキープレフトを採用しなければならないという見地に立ち、なおかつこの方法を採用した場合におきましては、御承知のようにまん中の車線があくということになりますので、対向車との間における正面衝突は避けられる、ただしかし左に寄る場合において、歩車道の区別のない場合における歩行者なりあるいは自転車等のいわゆる危険防止ということで、この規定の中にも歩行者並びに自転車に対して危険を及ぼさないような通行方法をとるようにということを、罰則なしの指導の方針といたしまして規定をいたしておるわけでございます。したがいまして、まん中の車線をあけて、追い越しをする場合における事故の防止をはかるというところに一つの重点があるのでございますが、必ずしも日本道路すべてについてこういう原則が適用できるものではないというふうに思っておりますので、特例を設けて、市街地等においては公安委員会が特別の定めをする場合においては、その通行帯の定めに従って通行するという規定を置いておるわけでございます。
  44. 重盛壽治

    重盛委員 私は、これは国際道路条約上おやりになるのだということでこの問題を見たのですが、もし交通安全という点からいくならば、日本道路現状、特に東京周辺を中心にして考えられる場合に、まん中をあけて追い越すようにして端を通っていくというようなことで、罰則とかそういう取り締まりとかいうことはできるかもしれませんけれども交通の運行をよりよくはかるということのためには、私は逆に障害になるのではないかというように考えます。ということは、先ほどからいろいろ、歩行者の問題云々と言ったが、これは何も歩行者交通機関に対する認識を高めようというようなことではなくて、交通行政というものが完全に行なわれるかどらかということを考える場合に、あらゆる道路が今日自動車で行き詰まっているという現状です。それをこれによって緩和されるという答えは、私はどらも出てこないように考えます。むしろいまのようなことを——いわゆるみずからの走る道路が、一番左が低速車、その次が中速車、高速車というように、一級国道あたりへ行くと三本くらいに分かれております。それで、いま高速車が走っているところがいわばなくなるというような形になるわけでしょう。それを追い越しの道路等に使うということになるのじゃないですか。その事情が、まだよく車を走らしてみないとのみ込めないが、三本くらいあるわけですね。いまでは、一番左のほうを、一番のろのろ行く自転車や小型貨物やらがいく、そういう形で区分されているわけです。スピードの出せるものと出せないもの、たとえば五十キロ、三十キロ、二十五キロとかいうように区分されておるのですが、そういう現状の中で、それですら行き詰まってしようがない。そこへこういう制度をやることによって、それが緩和されるのかどらなのか、こういう点の御見解をひとつ・・・・。
  45. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 こまかい問題になりますので私から御説明申し上げます。  ただいまの御指摘の点でございますが、先ほど局長の申し上げましたように、東京の都心部であるとか、東京に限らず、皆さま御存じの、常時非常に混雑ないし交通渋滞が予想されるような道路におきましては、このキープレフト原則をとりましても、本来のその効果を発揮できないではなかろうかというような観点から、そういう道路につきましてはあらかじめ適用除外いたす予定にしております。
  46. 重盛壽治

    重盛委員 課長さんは専門家だものだから、とうとうとしゃべっちゃうので、私の耳が悪いかもしれぬが、半分くらいしか聞こえなくてよくわからぬが、ひとつもう少しゆっくりお答えを願いたい。  私が先ほどから言うようなことは、どうも出されておるものが、道路交通、いわゆる交通事業全体のものでなくて、取り締まる立場にあるあなた方が出す場合にはこらしなければならぬのだということのほうに重点が置かれているように考えられる。そこで、こういう法律をつくるというときに、いまの混雑したこの交通状態を、どういう形、法律によって緩和していくのか、ここにやはり重点が置かれなければ、特にあなたが先ほど指摘し、私も言ったように、どんどん自動車は生産され、そうして運転者はどんどんふえていくというような中に、たとえば自動車の製造が三十年なら三十年に比較して六倍にも七倍にもどんどん飛躍してきているときに、道路行政はせいぜい倍くらいにしかなっていないということになると、これは当然行き詰まってくる結果になるわけです。そういう結果になる場合、こんなことをしておったらよけいにつながってしまって、あなた方が毎日交通事情の放送をするのに、もうしきれないほど、東京周辺のような場合でいえば全く自動車で埋まってしまう。行き来もできないというような状態が現出するのではないかというように心配をするのですが、そういう点の見通しはどのように立てられておりますか。
  47. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 先ほど御説明いたしましたように、キープレフト原則をとれる日本道路というものは、むしろ例外のほうが多いであろうというふうにに申し上げましたが、ただいまのように、この規定の中には、公安委員会が特別に定める通行帯を設けた場合においては、その通行方法によるべし、こういうことになっておりますので、先ほど御指摘になりましたような点につきましては、従来の通行帯をそのままにして、そういう通行方法をとる場合においては公安委員会が決定する通行方法でよろしい、こういうことになっておるわけであります。代表的ないわゆるキープレフトをとっておりますところは、すでに名神の自動車専用道でやっておまりすのが一つの最も代表的な例でございます。さらには、将来といい属すか、この法律施行後におきましては、東京の首都高速道路につきましても、そういうものの適用ができるのではないかというふうに考えております。さらに、いま建設省考えております将来の道路計画は、現在の道路の幅員よりも広くとるということで、片側二車線ということを必要最小限度とりたいという道路構造にいたしておりますので、そういう面から見まして、現段階においては確かに御指摘のような点があるかと思いますが、将来の問題につきましては、いまのキープレフト原則のとれるような道路構造にしていくということを建設省も踏み切っております。私どももそういう方法にいかせるような意味の方向を与えるということもやはり道路行政にとっては必要かと思っておりますので、たまたま国際的にもこういう規定を設ける必要があるという点において踏み切ったわけでございます。したがいまして、単に私どもだけの取り締まりの利便からだけこういう点に踏み切ったということではございません。十分にいろいろな点について、確かに不ぐあいなところもあるということについては承知いたしておりますが、それに対する指導やり方なりあるいは交通秩序の確立のしかたについては、私ども現在いろいろと研究をいたしまして、今後の指導やり方として、いまのキープレフトに基づく新しい交通秩序を確立できる道路については、そういう方向で考えていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  48. 重盛壽治

    重盛委員 大体期せずして私の考えておることを御答弁をいただいたわけですが、私もそう思っています。いま日本でできるのはバイパス道路ぐらいしかないのではないか。そうだとすれば、そういう特別なところには、こういうことをやることがあるべしといういわゆるただし書きぐらいを入れておいて、実際には、現状なら現状でいく。これは法律内容になってまいりますから、こういうことを今日うたわなくても、同時にいろいろな公安委員会の標識を出されるそうでありますが、いま現在でも標識が多過ぎて、この標識を覚えるだけでもかなりまごまごする。局長は都内を乗って歩いたことがあるかどうか知らぬが、たとえばこの辺から右に行きたいものだと思ったって、みんな一方通行で右折禁止で右へなんか行けない。かなり大回りして行かなければ行かれない。警察に聞くと、事故防止をするためにこういうふうにしたのだと言っておるのだが、ここらには一本ぐらい右折がなければいかぬがというようなところも、みんな一方通行の標識を立ててしまってある。あるいは通行とめ——あらゆる標示がこのごろは統一されたようでありますが、次々に変わったものが立てられて非常に見にくい。そういうところでこういう形をとることは、いまあなたが言われたように、この法律内容のいい悪いはまたあとで議論するとして、私は、現状に即したものではないという結論になると思います。それからそういうお話の中で、いまあらゆる道路が非常に混雑をして、ようやく抜けてきて、そこからそこまでは比較的すいておるからスピードを出す。しかしスピード制限があるから、そこは四十キロしか走っていけない。しかし危険はないから五十キロ走ったと仮定する。一般の人は、自動車関係のない人は、速く走ったから事故が大きくなったのだ、スピードが出たから事故が大きくなったのだと言います。しかし高速道路でのろのろ走られては困るのと同じで、今日の交通事情を緩和するということであったら安全であり、しかもすいているところは、比較的速く走ってもらわなければ交通事情の解決はつかぬわけです。ところがようやくあいたところに出たから、少し走らせようというようなことで、四十キロの区分を四十五キロで——今日四十キロくらいではほんとうにのろのろ運転であります、実際には。そういうところで少しスピードを出すと、あなたのほうがさっきの予算でくるかどらかは知りませんが、まず罰金を取るという形で押えてしまう。こういうふうになると、少しすいたところを速く走れば速度違反で押えつけられる。それから片方は歩行者優先で、あらゆる面から自動車だけが敵視されるようなかっこうに追い込まれていく。それから時間があれば細部に入っていくことになろうと思いますが、きょうはおそらく入れないと、思うが、いまのような東京の例をとってみても、東京道路事情からいってもこういうような形だけでは私はだめだと思う。ガードレールが完全にでき上がって、それから通行する人もすべての人たちが、自動車というものにはこういう規定があって、こういう措置をとらなければいかぬのだということをはっきりのみ込んでもらえるまでは——歩行者優先、なるほど歩く人優先はけっこうでありますが、歩行者優先のことのためにどんどんつかえる。それでようやく通ったから走ろうとすると、今度はスピード違反でつかまる、こういうのが率直に言うと現状なんですね。したがってそういう点について何かお考えになったことがあるのかないのか。たとえば何十年か前にきめたスピード制度でいいのかどらか。時代が非常に変わってきて自動車も性能がよくなってきて、交通状態も変わってきたというときには、あいておるところは幾らかスピードを出し得るようにしたほうがかえって事故がなく、しかも交通が緩和されるのではないかというように考える。たとえばいま三十キロで押えつけておるところは——二十キロ、三十キロというところはかえっていかぬですね。五キロくらいオーバーをしていくという形をとるほうがいいように私は感じる。そういう点何か研究したことがあるのかどうか。課長さんでもどっちでもよろしいです。
  49. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 ただいま交通規制の問題につきまして御意見があったわけでありますが、私ども、都内並びに全国の交通規制をやる場合において、スピードの制限、あるいは駐停車禁止、一方通行、右左折禁止というような所要交通規制をやっておりますが、もとより交通規制をやる場合におきましては、自動車を運行する者の意見あるいは地元の利害関係あるいは車の流れというようなものを総合的に考慮いたしまして、具体的にそれぞれ考えておるわけでございます。ただしかし、私ども考え交通規制が金科玉条であって、これは一歩も引かないというものではなくて、現実にいろいろ交通の流れに即応いたしまして、具体的な場所については東京におきましてもあるいは地方におきましても、それぞれの要望に応じて交通規制改正いたしておるというような現状でございます。ただ現在の交通規制というものが、交通の円滑について、それほど阻害になっているというふうには私ども思っておりません。むしろ現在の交通規制があることによってある程度の交通の円滑化がはかられておる。したがって一方通行によって多少遠回りをする点があるかもしれませんけれども、やはり一つの車の流れというものが全体としてでき上がっておるのでございまして、局部的な点について全体を考えるということを私どもとっておらないのです。しかし具体的にいろいろな問題があれば私どもはいつでも改正をし、その事態に応じたやり方をとる。さらに先ほど歩行者に対する教育なり運転者に対する問題がございましたが、私どもは、道交法内容を一々みんなの運転者が読む、あるいはみんなの歩行者がこれを読むというふうには考えておりません。したがいまして、御承知かと思うのでありますが、英国のハイウェー・コードというようなものを参考にいたしまして、この秋の安全運動までに歩行者がどういう歩き方をしたらいいのか、どういう心得をしたらいいのか、あるいは運転者はどういうふうにしたらいいのか、あるいはその他のものはどういうふうにしたらいいか、いわゆるハイウェー・コードと同じような安全ルールというものをつくりまして、これを一つ資料といいますか、教材といいますか、それを中心にして今後はこれさえ読めば法律違反にもならない、あるいは交通道徳も守れるというものを強力に実施をいたしたい、こういうふうに考えております。
  50. 重盛壽治

    重盛委員 私の言い方が悪かったかもしれませんが、私の言うのは、もちろん規制をしなければなりません。現在の規制がみんな悪いということではない。けっこうなところもあるし、是正しなければならぬところもある。いわゆるスピード制限等についてはあなたのほうで自由に変えられるのか変えられないのか、この点を一点お聞きしたい。
  51. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 スピード制限につきましては、それぞれ公安委員会の決定するところでございますので、東京都は東京都の公安委員会が必要な速度制限をするわけでございます。そこで私ども考えといいますか、国家公安委員会並びに警察庁といたしましては、最近のスピード制限では現在の交通実情に必ずしも適合していないではないかということで、たとえば四十キロのところはむしろ五十キロに上げるべきではないかということで、すでに御承知のとおり青山通りのように四十キロのものを五十キロに上げたというところもございます。あるいはその他いろいろな点について、警察はややスピード恐怖症でございましたが、そういう点についての全体の秩序が確立ざれるという段階におきましては、スピードについての考え方はやや前向きでいいのではないだろうかということで、全国的に速度規制というものについては、いまの御意見のような方向で考え直す時期にきているというので、具体的にそういう方向でいろいろ研究をいたしております。ただしかし、このスピード違反というものは若い運転者が多い。特にオーナードライバーの若い人が多いのです。こういう場合にはどうしても警察立場からだとややスピード制限をしたいという気持ちになりますが、いま申し上げたような方向で考えていきたいというふうに思いますし、実施をいたしておる道路もございます。
  52. 重盛壽治

    重盛委員 それはたいへんにいいことをお聞きした。いまおっしゃるように道路情勢が変わってきたり車の性能が変わってきたとすれば、背からスピード制限云々ということは、スピードを出すから危険だということと反面急停車がきかないというような不備な車両がたくさんあったからです。幾ら検査を受けても、二カ年なら二カ年検査を通っておっても、そういう構造であったわけですね。先ほど車の性能による事故どらかとお尋ねしたのはそこらにあるのだが、しかし現存ではそういう状態が非常に変わってきたということと、交通状態がだんだん秩序正しくなってきたということ、言いかえるならば二十キロや三十キロでのろのろ走るよりは、五キロぐらいはスピードアップしたことのほらがかえって交通状態がよくなってくるという姿があるわけですね。それが徐々に変えられる、しかもあなた方のほらの公安委員会で変えられるということなら、それで私はけっこうだと思います。その点はやっぱりそのところどころによって十分御研究願わないと、むしろスピード制限をすることのために——どもが乗ったら早いほらがいいというけちな考え方を申し上げるのではなくて、ほんとうに交通状態が麻痺しているところは、逆に若干すいたところ、道路状態のよいところはスピードを五キロなり十キロなりを認めていくという方針がとられなければ、私は交通緩和にならぬと思います。これはむしろ意見になります。そのようにお考え願いたいと思います。  そういたしますと、これから公安の内容にだんだん入っていくということになると思うのだが、たとえばいまの道路状態からいって、先ほども言ったように一番事故の多いのは自転車それから幼児、それからそういうことを申し上げていいかどらか知りませんが、いわゆる老人それから交通道徳を一番守られていない人が飛び出してくるのが、いまの日本の状態であろうと思うのです。特に東京なんかに来て、事故の一番多いのが、そういう飛び出し事故によるものであります。そういう点から考えるならば、この問題は無条件でこの制度がよろしいということには申し上げられない。もう一つ、踏切などでとまったときに、乗り合いバスとか観光バスとかいうようなものは、危険信号を出していろいろ処置することができるのだが、その他の車には、そういうものを持たしておるのかおらぬのか。ただ赤いきれを出したからといって汽車がとまるわけじゃないのだけれども、何にもしないよりはそういうことをやったほうがいいと思うし、中には未熟だということもあろうと思うが、おおむね不可抗力でああいうところでとまるのであって、乱暴に急いで飛び込んでくるのは例外中の例外でしょう。そういう処置を講ずるようになっておるのかなっておらぬのか、私まだ全部読んでおらぬからわからぬけれども、その点ひとつ。
  53. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 踏切の事故防止に関連いたしまして、自動車等が踏切で故障してとまった場合にいかなる手段を講ずべきかという問題でございますが、現行法におきましては特別の規定がございません。それに対しまして、御指摘のように踏切専攻が年々減少しないのみか増加の傾向にございますので、このような危険を防止いたしますために、今回の法改正におきまして新たに、車両等の運転者は故障その他の理由によりまして踏切で自動車が停止した場合には、非常信号をするとか、その他それぞれ時宜に応じた適切な措置をとりまして関係者にこれを知らせる、それと同時に、これは当然のことですが、できるだけすみやかに自動車を踏切の外に出すように努力せよ、こういう規定を設けてあります。ただこの規定は罰則はつけてございません。
  54. 重盛壽治

    重盛委員 これは罰則はなくていいのだが、そうだとするとやはり一定した信号、赤い旗なら赤い旗を持たせるとかなんとかということにしなければ、本人は危険信号のつもりでたとえば何か振ったにしても、それは汽車の運転士さんから見た場合に、何だか振っておるよるには見えたけれどもという程度になる場合があるのじゃないか。たとえば赤旗を持たすなら赤旗を必ず所持さすということにやはりぴちっときめていかなければいかぬのではないか。それはいまあなたが言ったように、何というよりも出すことが先決だ。けれども先ほどから言うように、われ先にと飛び込んでいくという、交通道徳がすたれたというか、そういう部面もあるし、あるいは歩行者がじゃまになってちょっと端へよけたために、線路の板が張ってあるここのところにちょうど落っこちてしまった。普通ならばこれは気の毒だからみんなで上げてやろうということになるが、汽車道で危険なもんだからまず自分から逃げるので置き去りになる、こういう問題が現実にあるのですね。だからそういうものに対して一定のものを持たして、それこそ法律でぴちっときめたほうが私はいいと思う。そういう点はどうですか。
  55. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 確かに御指摘のような点があるのでございます。そこで大型のトラックとかそれから路線の保守とか、こういうものについては発煙筒を所持させるという規定がございます。これは運輸省の保安基準としてございます。そこで一般のそれ以外のものについても持たすべきかどらかということについていろいろ議論をしたわけでございます、率直に申し上げて。そこでやはり持たしたほうがよろしいし、実際将来は持たすべきである、ただ発煙筒の問題につきましては、それぞれ個人がこれを持っている場合においてはいろいろ管理上の問題もあるということで、行政指導でことしはできるだけ持たせるような指導をしていく、将来それが十分な形に達した場合においては法律なりあるいは保安基準として持たせるべく強制をしていくというふうに考えているのでございます。そこで車に持たせるのと、もう一つは踏切にそういうものを常備するということで、国鉄等においてはいわゆる踏切支障報知装置としましてそこに発煙筒を準備をするということで、特にことしは複々線の重要なところ、一種踏切なりあるいは警報機のつかないような場所においても踏切支障報知装置をつけていくということで、具体的にそれぞれ事故の多発するような場所についてはその場所に発煙筒を置くということでいろいろ研究をし、実施をいたしておるわけでございます。
  56. 重盛壽治

    重盛委員 私一人でいろいろ申し上げておっても相すまんのでありますし、まだ細目に入ってからは別な立場でいろいろ意見がありますから、一応私は留保しておきたいと思います。
  57. 森田重次郎

    ○森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時一分散会