○大津
政府委員 先ほど
川村先生の御質問にもお答えを申し上げたのでございますが、はなはだ明快でないために、またそのような御質問をいただきましたが、
風俗営業等取締法の目的
規定を置くか置かないか、これはいまの
法律の体系としてはみなそうなってきておりますから、入れるほうがいいということがあるのでございますが、この点は、さらにいろいろ検討をしなければならないという問題もございまして、現在のこの
法律の
内容に沿って考えました
風俗営業等取締法の目的ということでありますれば、先ほど申し上げましたように、善良の
風俗保持上問題の多いいろいろな
営業をここで取り上げまして、それに対して一定の
規制を加えまして、それによって
風俗事犯を
防止する、また善良の
風俗が害されないようにすることを目的とする、現在の
法律にもし目的を書くとすればそういうことになると思うのでございますが、お話のように、この
風俗営業の定義は、第一条の一号から七号まで、それぞれの
営業についての定義がございます。
営業の業種をこういうふうにきめて、それぞれに定義を下しております。その考え方は、やはり社会生活上一般に是認されておるところの一つの規範というものが習俗として認められておる、そういう善良な
風俗といいますか、そういうものを害する危険性がある、そういうものをここに取り上げておる。したがいまして、キャバレーその他設備を設けて客にダンスをさせる、あるいは接待をして客に飲食をさせる、こういうような
営業はそういう性質を持っておる、また待合、料理店、カフェー等の問題にしても、同様のことがある。また形は違いますがナイトクラブ、ダンスホール、こういうことになってまいりますと、やはり先ほど申し上げましたような意味での善良な
風俗というものに非常に関係のある
営業である。それから五号、六号につきましては、三十三年までは実はなかったのでございますが、三十三年の
法律改正で、深夜喫茶を取り締まる意味で、五号、六号が入ってきまして、二十三年当時から見ますと考えられなかったものが——照度を十ルクス以下にするということは、善良の
風俗に非常に大きな影響があるという意味で、これも
風俗営業として取り上げる。それから他から見通すことが困難で、しかも五平方メートル未満の狭い、いわゆるアベックには非常に適したようなというようなところは、やはり
風俗上考えなければならない、こういうことで非常に限定的に、制限列挙的にこういうものをあげておる。大体飲食店
営業の許可を持っておるものが、そういうものを通じてこういう
風俗営業に関係するようなものがここに出ておる、そういうものが一号から六号まででございます。七号にまいりまして、マージャン屋、パチンコ屋等の、偶然の事実というものによりまして労せずして利益をあげる、いわゆる射幸心をそそるおそれがある
営業、これもやはり一般社会の善良な
風俗という面から申しますと、間違うと賭博に走るということになりますもので、これも
風俗営業として取り上げていく、こういう考え方で、非常に
風俗営業自身を制限的に、これはどういうものだから
風俗に関係あり、これはこういうものだから
風俗に関係ありということで取り上げて、そういうものについては許可制をとる、そうして、一定基準でそれを守らせていく、こういうことによって善良の
風俗が害されないようにしていこう、これがこの
法律のねらいでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、
風俗営業等ということで、その「等」は、
風俗営業そのものではありませんように
法律でなっておりますが、やはり深夜における飲食店
営業が、善良の
風俗を害するおそれがある、こういうことが出てまいりますので、四条の二によりまして、そういうことについての
規制を条例によってして——
風俗営業等という、表題の中に「等」が入ってまいりましたのも、四条の二が入ってまいりましたためにそういう
改正になったわけでございます。したがいまして、
風俗営業の概念というものは、先ほど申し上げましたような個々の業種をとらえましたもの、さらに
風俗営業そのものとして
法律では
規定しておりませんが、深夜における
風俗の観点から
規制を加えていかなければならない飲食店
営業、こういうものに、この
法律においては一定の
規制をかけていこう、こういうことで、
風俗問題は、これだけではない、先ほどいろいろ申し上げましたように、売春の問題にいたしましても、賭博の問題にいたしましても、その他いろいろの問題が実はあるわけでございますが、そういうものを全部この
法律に
規定するということになる場合におきましては、どうしてそれを入れなければならないか、どういう
理由で入れるかということをまた一々検討しなければならないことでありまして、トルコぶろの問題につきましては、先ほど
長官からも御答弁があったのでございますけれども、こういうものを
風俗営業として取り上げるべきではないか、こういうような議論もあるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、
風俗営業として現在取り上げておりますものが、そういう飲食を中心として
風俗に関係のあるもの、それからそれに接待等が伴うという意味であるもの、それから射幸心をそそるもの、これを
風俗営業として考え、さらにその他の深夜の関係で
風俗に関係あるというものが四条の二に入ってきておるというような体系から考えてまいりましたときに、どうやってこれを取り上げるかということは、非常に大きな検討を要する問題でございまして、現在の段階におきましては、公衆浴場法という
法律の中にも、風紀の維持に関して必要な
措置を条例で定めるということがございます。そういう意味で、風紀ということばが必ずしも
風俗営業法だけではないというようなこともありますので、
法律を
改正してまいります場合におきましては、検討をすべき点は多々あるのでございますが、とりあえず最も急いでおります少年非行対策としてのこういう深夜喫茶の廃止を中心といたしました法
改正を今回お願いする、こういうことになったような
実情でございます。