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阪上委員 憲法が
考えておるところの
地方自治の本旨、その中で欠くことのできないものは、その
一つは
固有事務だということは、先刻申し上げたとおりでありまして、
固有事務のない自治体というものはないはずである。ところが最近
府県の場合なんか
考えてみますと、八割五分から九割に近い国の
事務が委任
事務として委任されております。この場合、現在のような
都道府県というものは、これは自治体としての資格を持っていないと私は
考えるわけであります。その中には、ことに
機関委任
事務のような、きわめて
地方自治の本旨に反するようなものまでもある。議会の条例でもって住民の意思を反映していかなければならぬ自治の本旨からいっても、
機関委任専務のようなものが多く含まれていることは、たいへんな誤りを犯しているのではないかと思います。
そこで問題になってくるのは、例示主義の問題なのでありますが、どうやら今回の区に対する
事務移譲が、この
自治法の例示を基礎にして
考えられておるということだと思うのでありまして、ここに私は時代の進歩、社会の発展とかけ離れた
固有事務の
考え方が出てきておるんじゃないかと思うのであります。御
案内のように、最近交通、経済等の発展に伴いまして、広域行政というものが非常にやかましく言われております。この場合において、こういった例示主義にしがみついて、そしてそれが
固有事務であるという
考え方で、この社会の進歩の渦中にあるところの現
段階において、そういった単純な
考え方で
事務を
移譲していこうというところに私は問題がある、こういうふうに
考えるわけであります。そこで先ほどから伺っておるのでありますが、
固有事務などというものは、これとこれとこれは絶対的な
市町村の
固有事務であるという、あるいは
府県の
固有事務であるということが、言い切ることのできないようなものではなかろうかと思う。そのときそのときによって変わっていく内容でなくちゃならぬと思うのであります。その根拠をどこに求めておられるかということを私は伺っておる。繰り返して言いますけれ
ども、最近の広域行政、
清掃事業一つを取り上げてみましても、これは例示主義によって
市町村の
事務とされておるけれ
ども、未来永久にこれは
市町村の
事務であるという
考え方にしがみついてしまっているところに問題がある、こういうことなんでありまして、一体
固有事務というものは、自治体にとっては不可欠の要素であるけれ
ども、しかしその
固有事務が、どういうものが
固有事務であるかということについては、年々歳々変わっていく、しかしその基準というものがどこかになくちゃならぬじゃないか、基本的な
考え方というものがなくちゃならぬじゃないか、こういうふうに私は
考えるのですが、その基本、それをどこにあなたは求められておるか、
自治省はどう
考えておられるか、こういうことを伺っておるのですが、その点について、さらにもう一ぺん
佐久間さんの明快な御答弁を得たい。