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1964-04-10 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    亀山 孝一君       久保田円次君    篠田 弘作君       武市 恭信君    村山 達雄君       森下 元晴君    山崎  巖君       和爾俊二郎君    秋山 徳雄君       阪上安太郎君    重盛 寿治君       千葉 七郎君    華山 親義君       栗山 礼行君    門司  亮君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 中尾 博之君         文部政務次官  八木 徹雄君         自治政務次官  金子 岩三君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局地方資         金課長)    竹内 道雄君         郵政事務官         (簡易保険局次         長)      泉  秀則君         郵政事務官         (簡易保険局運         用課長)    佐々木久雄君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     山本  悟君         自治事務官         (財政局地方債         課長)     立田 清士君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 四月十日  委員奥野誠亮辞任につき、その補欠として亀  山孝一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員亀山孝一辞任につき、その補欠として奥  野誠亮君が議長指名委員に選任された。 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣  提出第九二号)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    ○森田委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法等の一部を改正する法律案を問題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 きのうですか、地方公務員給与住宅の問題についてちょっと伺って、資料をお願いしていたわけでありますが、いまお示しをいただきました職員公舎に関する調べでは十分な実態がわからないのであります。大体現在都道府県で三万八千戸、市町村で二万八千戸、合わせて六万六千戸くらいの職員公舎を持っているということでありますが、これらに対しまして財源付与はどういうふうにされておりますか。
  4. 柴田護

    柴田政府委員 職員住宅につきましては、それぞれの地方団体でその地方団体の持っております一般財源によって措置したり、あるいはそれぞれの団体資金等を活用して職員住宅をつくって職員に貸与している、こういう状況でございます。
  5. 安井吉典

    安井委員 職員に対する給与の問題は、きわめて重大な問題であります。これは大臣に伺っておきたいわけでありますが、給与そのものについても、時間がありましたらさらに触れたいと思うのですが、一応最近の傾向として、国家公務員給与水準が上がるのと並んで、上昇措置が講ぜられているわけであります。しかしながら、特に町村職員給与水準はきわめて低いものがあるわけです。こういうようなものに対する対策が当然必要になってくるわけでございますが、ただ金銭給与という面だけではなしに、住宅をどうやって給与するかというふうな問題も、一般的な住宅難状態にも関連いたしまして、非常に重大になってくるわけであります。この面にいままであまり触れられていなかったような気がするわけでありますが、都道府県あるいは市町村職員住宅に対して、都道府県あるいは市町村当局自身も十分に手を打ちたいと考えておると思うのです。しかしながら、それに対する特別な財源付与がなく、たとえば地方交付税の町において、あるいは起債等の面において、特別な対策がなかったように思うわけでありますが、今後において新たな問題として、ひとつ十分関心をお持ちになっていただく必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  6. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 公務員住宅に関する手当てについて昨日から御質問があったわけでありますが、民間ではいまの社会状態にかんがみて、通勤の手当とかあるいは別に住宅手当を出しておるところはたくさんあることは承知しております。ことに地方公務員国家公務員も同じですが、大都会ではどうしてもその手当がなければ生活ができない実態であることも承知しておりますので、このほうは逐次宿舎も建てておる状態でございます。ただ地方のほうでは、自宅から通っておる者がほとんど大部分で、通勤できない人たちのために宿舎を必要とする場合も若干あろうことは私どももうなづけるわけでございますが、おそらくいま各都道府県あるいは市町村等では、この手当ては行なわれておらないのではないかと察する次第でございます。しかしこの問題につきましては、いま御指摘に相なりましたように大きな問題でもございますので、今後よく検討をいたしたいと思います。
  7. 安井吉典

    安井委員 大蔵大臣がお見えになったようでございますから、ひとつ大臣に伺いたいのでありますが、時間はどれくらいいただけますか。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 十一時半までです。
  9. 安井吉典

    安井委員 あまりこの委員会にお見えになる機会がないわけですから、ひとつごゆっくりしていただきたいと思うわけです。  ただいま私ども地方交付税改正法案につきまして審議をしているところですが、時間が十分ありませんので、一般的な問題についてお尋ねをする余裕がありませんので、ひとつ率直に伺いたいのでありますが、地方交付税の性格について大蔵大臣はどういうふうに認識されておられましょうか。それから伺います。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 地方公共団体自主性をそこなうことなく、均衡のとれた行政水準を維持できるように地方団体財源調整する、一方財源を保障する役目ということでございます。
  11. 安井吉典

    安井委員 そういうふうに法律にも書いてあるわけでございますし、大臣も、答弁要旨の中にそういうふうにきちっと書かれてきているのだろうと思うのです。しかし実際の運用につきましては、なかなかそうなっていないような気がするわけであります。特に最近は、国がたとえば道路緊急対策でありますとか、あるいはまた新産業都市の建設だとか、農政の革命的な施策だとか、どれもこれも、私ども別にそれが悪いというのではありませんけれども、国の施策がどんどん先に立って、その施策が一たん打ち出されれば、その裏づけ財源が必要である、だから、それは一方では補助等のあれも要るけれども、しかしこれは交付税なんだ。それから、地方から何か新たな行政水準向上のための財政需要の要求があったら、それもひとつ交付税でやれ、何か新しい問題が出るたびに、すべて何もかも交付税交付税にということで、交付税はいわば何か国の施策一つのどんぶりみたいな形で、本来地方行政水準はこうあるべきだという考え方に基づいて国税三税の、現在の段階では二八・九%、これが一応配られて、それによってあるべき地方自治団体の独自の行政水準を維持しておるというところの計画を全く無視して、国の政策のしりぬぐいだけをさせられている、こういうような印象を受けるわけでありますが、いかがですか。
  12. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほどは早々の間でございましたので、書いてあることだけを申し上げたわけであります。御承知のように、戦後新しくとられた地方自治制度を伸ばしていきながら、その間において国と地方との調整を行なっていくということでございます。でありますから、地方自治制度ができた以上、地方財政裏づけを拡大しながら、地方自治本旨に沿って発展をしていくことが望ましいわけであります。しかし、御承知のとおり、日本は非常に狭いところでございますし、同時に、狭いところでありながら明治初年から拠点主義をとってきましたので、大阪東京とまた各地方の間の格差が非常に多い、こういう状態でありますと、なかなか財源を各地方に渡すというような、財源配分をするだけによって片づく問題ではないわけであります。非常に格差が大きいということでありますから、やはり国がある意味において地方発展水準というものをきめて、それに対して、地方口泊の本行にのっとりながら、自主性を侵さない範囲において補助金を出したり、また調整をしていくという、ある意味では非常にむずかしい状態にあるわけであります。私は、地方自治制度を必ずしも否認するものではありませんし、これから自治というものを大きく発展させていかなければならないということは十分理解するものでありますが、なかなか貧乏な国で、戦後無資本の中から立ち上がるようなときに、地方自治というような制度を強硬に採用したということには相当な問題があったと思います。しかし、十七、八年間何とかここまできたわけでありますから、私は、ある意味で成功しておると考えます。しかし、地方自治体自体の間にも相当の格差があるわけでありますが、どうも国からの問題でもってお互い考えなければならぬ問題は、国は金を出せ、自治を侵してはならない、ここに問題が一つあります。ですから、やはり根本的には、地方自治体内部における財源調整というものを考えて、しかる上に国がどのように地方自治発展に資するか、こういうことで取り組まないと、この問題は片づかない問題であります。東京などは、だんだん大きくなっていくけれども、どうにもならないような問題をそのままにしておる。大阪もそのとおりであります。大阪東京に対しては、都市改良の費用も全額国が出せというようなことをやりながら、乏しい、限られた財源の中で地方自治体格差解消というものが、可及的すみやかにできるはずがないわけでありまして、芳しいところには手をつけないで、何でも国の財政だけでやる、こういう考えになると、なかなか理想的にはいかないわけであります。私は、交付税制度そのものに対してもまだまだ改善の余地もあると思いますし、いろいろな問題がふくそうし、また内概しておることも承知はいたしておりますが、やはり戦後の新しい制度であるというところで、まだまだお互いが真剣に事態に対処しながら、その道を開いていくという積極的な施策を行ないながら、その上に交付税制度もどうしようということにならないと、この問題は根本的には解決をしない問題だというふうに考えておるのであります。
  13. 安井吉典

    安井委員 地方自治の進み方が、たとえば英米日本と少し違うわけでありますけれども、その英国なども、やはり地方財政の平衡という面について国が金を出してバランスをはかっているという、現実にそういうふうな例もあるわけで、私どもも、地方自治の本質的な問題の解決のためにこそいまの交付税の仕組みがあっていいのだというふうに思うし、それから一方国が国の立場におきまして、たとえば道路の問題であるとか、あるいは河川の問題であるとか、社会保障の問題であるとか、そういうような計画に国民に対して施しながら、それを地方公共団体仕事の中に一部持たせていく、こういう考え方も別に誤りではないと思うわけです。ただその二つの面、地方自治の本来のあり方を生かすというのと、国の施策をどうやって地方公共団体にマッチさせるかというこの二つを、どういうふうにうまくからみ合いをつけていくかというところに問題があると思うわけです。いま国税三税の二八・九%というふうなものが地方交付税という形でいっている。そのものは今日の激しい社会変動の中で、都中部都市部で、農村部農村部行政水準向上に迫られているわけです。そういう方面にむしろ積極的に向けていくべきであって、本来国の計画になっている面は、何もかも地方が円におんぶするというわけではなしに、国の計画という杉で持ち出された問題については、国がきちっと財政措置を講じていく、その一部をどうしても地方公共団体に負わせなければならないような場合には、私は地方交付税のいまあるものの中に押し込むのではなしに、たとえば二八・九%の交付率引き上げて、その外ワクにふやすことによって、国本来の仕事は、つまり国独自の財源措置地方交付税外ワクにつくった財源措置とで講じていく、こういうかまえでないと、国の仕事地方仕事が混乱してしまう。地方本来の行政水準向上のための計画的な措置というものが、国のためにだめになってしまう、こういうことになると思うのです。ですから私は、この際地方交付税外ワクにふやすということ、国が新たな計画をもって地方にかぶせてくるときには、国は外ワク措置を講ずるということ、こういうようなことが一番大切なことではないかと思うのですが、いかがですか。
  14. 田中角榮

    田中国務大臣 一つ考え方であります。一つ考え方でありますが、そういう方法をとっただけですべての問題は解決しないわけであります。大蔵省側に立って申し上げるわけではありませんが、国税状態地方税状態考えますと、去年の二兆八千億が三兆二二千億に一般会計の規模がふえておるにもかかわらず、地方財政は一挙に国の財政を追い越そうといたしております。来年は必ず追い越すでしょう。こういう状態でありますから、理論的にいうと、二八・九%のものは引き上げるのではなくて引き下げるという状態にある、こういう理屈も立つわけでございます。がしかし、私はそんな荒っぽい理屈をここで申し上げようという考えはありません。あなたの申される考え方もわからなくはないわけであります。私自身新潟県の出身でありまして、乏しい新潟財政の中から学校子供を出して、ようやくものになるよりになれば、みな東京へ来て、税金東京で納めている、こういうことに対して非常に不満を感じておる一人でございますから、こういう状態ではいかぬという事実は認めておるわけであります。がしかし、すべての問題が交付税税率引き上げるということで解決はしないと私は思う。だから、そのときにはやはり私は、先ほど申し上げたとおり、地方財政同上財源調整の問題とか、それから明治初年の太政官布告時代には、北海道等に対しては全額国庫負担の道を開いておったこともあるわけでありますから、やはり地域格差解消の問題をどういう状態解決をするのかということを総体的に考えないと、ただ交付税率だけを引き上げるということですと、どうも地方自治の侵害になり、いろいろな問題が出てくるわけであります。北海道においても、御承知のとおり、北海道庁があるにもかかわらず、開発庁をつくらなければいかぬ、全額国が出すようになるとか、国のやる事業に対してはほとんど財源裏づけは国がするんだ、こういうことになりますと、当然北海道開発の北海道という自治の問題にぶつかるわけであります。でありますから、単に交付税率引き上げるというような問題だけではなく、少し荒っぽい議論でありますが、明治初年から東京大阪には非常に大きく国の投資が行なわれておるわけでありますから、こういうものは少し自分の力で都市改良税を取ったり、いろいろなことをもっと積極的にやれないのかということをまじめに考えておるわけであります。そうして、国が負担をしなければならない状態地域に対しては、国が考える。どっちか考えませんと、いまの中小企業で、また一般の経済でもそうですか、官から人間は天下りしてはいかぬ、事業に干渉しちゃいかぬ、失敗したら全部国は税金をまけて、金を貸せ、こんなことはできるわけはないのであります。ですから、乏しい一定の限りある財源の中で、何とか均衡をとって発展をせしめていこうということでありますから、ひとつあなたも交付税率引き上げだけということではなく、まず地方自治状態で、自主的に財源を得るにはどうするかという問題も考究していただきたい。いまから十年ばかり前には、選挙でもいろんな議論をしたわけでありますが、財源を付与すればいい、たばこ消費税等地方財源にみんなやればいい、こういう議論がありましたが、このごろこんな議論はありません。こんなものをやったところで、たばこ東京大阪の人がよけいのむでありますから、結論的にはやはり地方格差は広がりこそすれ、そういう問題では解決しないのだということになって、やはり国が地方自治本旨を侵さない程度に、国のやる仕事裏づけを国がしてやれ、こういうような帳面に変わってきているわけでありますから、長い歴史のある問題でありますので、地方発展のためにはどうすべきかという問題は、交付税率引き上げだけではなく、各般のいろんな面からひとつ検討していただきたいと申し上げる以外にないと思います。
  15. 安井吉典

    安井委員 私も、地方交付税税率を上げれば、すべて解決するという申し上げ方はしていないはずです。国の仕事は、当然国が持ち出して国でおやりになるべきです。地方交付税にも何にも関係なしに、国がおやりになればそれでけっこうなんです。ただ国が十分な財源措置をしないで、全部地方交付税だというふうに持っていっている。そういうかまえこそが問題だと私は申し上げているわけです。  それからまた、東京都や大阪のような大きいところは、交付税はいっていないわけですから、大臣のいまのお考え方もそれに当たらないわけでありますが、交付税の問題だけが地方財政のすべてじゃなしに、いまちょうど交付税法改正議論ですから、そういう問題をいま持ち出したわけです。これは、時間があれば地方財政現状に対する大臣の認識を伺ったり、もう少し論議をしたいところでありますが、問題がたくさんあるのに、そういうふうな抽象論だけで終わってもなんですから、この議論はこれくらいにして、あとまだ御質問があると思いますので、このくらいでとどめておきたいと思いますが、いずれにしても地方財政現状は、三十七年度財政白書が出ましたが、それを見ても、赤字団体がむしろふえているわけです。それから三十七年度の単年度収支赤字になっています。それから、累積の収支のほうは赤字にはなっておりませんけれども、いままでの黒字が減っております。そういうふうな実態から見ても、これは決して容易ではない事態が来つつあるのではないか。こういう点を踏まえて、対策を十分に講じていただかなければならないのではないか。地方と国が、単にこれはおまえのほうだ、いやそれは地方だけでやれと水のかけっこをしていたのでは解決がつかないと思います。ぜひ前向きの姿勢で大蔵大臣のほうもお取り組みを願いたいと思うのです。  いま新潟県とか北海道というようなお話が出たわけでございますが、その立場から、実は会計年度の問題が非常に重大な問題になってくるのではないかと思うわけであります。地方財務制度調査会のほうも、こういうふうな問題について審議をした経過もありますし、特に北海道、東北、北陸のような積雪寒冷地帯になりますと、いまのような国の会計年度地方会計年度一緒に重なっているような段階では、七月や八月になって予算令達されても、雪になって仕事ができない。たとえできても、よけい金がかかりますし、質の悪い仕事しかできない。こういう点は、大臣よく御存じのとおりでありますし、また大臣も熱意を持ってこれにお取り組みになるというふうなことも伺っておるわけでございますが、どうですか、いまのお考えは。
  16. 田中角榮

    田中国務大臣 私は、御指摘のとおり歴年度主義者でございます。私だけが考えておっても、大蔵省の皆さんに全部御賛成いただかなければ、これらの問題はなかなか片づかないわけであります。私が自由民主党の政調会長になりましたときには、いまから四年油でありますが、第一番目に考えたのは歴年度制ということでございます。これは、私は思いつきでしゃべったのではなくて、北半球の世界じゅうの国々を見て、一体四月から三月年度をとっておる国がどこにあるかという問題でございます。今度西ドイツも歴年度に変えております。これは、御承知のとおり、国の予算が三月三十一日に通りまして、中央から地方令達をするまでの間は、いままでは六、七月、ひどいのは十月に予算令達をする。もっとすごいのは、来年の三月ごろやる。こういうのでありますから、どうもどういうことをやっておるのか、私にもよく理解ができなかったわけであります。そういうことで、財政と金融との調整がとられておるとしたならば、そういうことはよろしくないことであります。ますます格差が開くということであります。国の予算が三月末できまって、六月来会で継続費をきめて、九月県会でもって新工事をきめる。これは雨季になり、農繁期になり、日が短くなり、合理的でないことはわかり切ったことでございます。でありますから、ますます仕事ができなくなって、雪の降るところなどは、三月三十一日にできないから四月、五月になってできておるのですが、書類の上で三月三十一日にできたことにする。三月三十一日付けでもって小切手を切っておいて、預かっておる。会計検査院にはあやまって、何とか見のがしてもらわなければいかぬ。これは事実であります。議論ではなく事実であります。にもかかわらず、かかる問題が解決されないということは問題があります。私は歴年度制度を変えれば、何千億かの国の利益は守れるとさえ考えておるのであります。がしかし、いままで盛んに議論をしました。一時中田伊知郎氏などに依頼いたしまして、西欧諸国会計年度を検討していただいたこともございますが、またその報告書も出ておりますが、いまでも継続費制度もございますし、繰り越し明許制度がございますし、実際は早くやるようにしておりますから、歴年度にしたとてたいした変わりはありませんということは事務当局も学者も言いますが、そういうところは問題があると思っております。いろいろな制度でもって除外例をつくって救済をしておるから、年度はこれでいい、こういうことを言っておりますが、やはりそういう制度上の問題が正されておらないために、非常に非能率的なものになっておる。これが雪の降るようなところ、四九・何%ありますが、こういうところは四月から七、八月の非常に農繁期仕事をやる。そして農繁期が終わったら表日本に労力が移動することができるようになれば、私は物価も相当違うと思うのです。同じ時期に、農繁期において国営事業一緒にやるために、賃金は四百円から九百円、九百円から千二百円になったことは、過去三年間の例をとってみればわかるのです。同じ時期に工事が集中することがほかのものに影響があることは、私も指摘しておるのであります。私は、たった一つだけ暦年度にして困るかなという問題がございます。それは、雪が四九・何%降るのですから、学校に通う子供が、新学期の一月から通うということになりますと、雪の中を通わなければならぬという議論をするものもありますが、それは、今度七歳の入学を六歳にしようかという議論が非常にあるのですから、そういう面から考えて、何も問題はないし、学校だけは四月年度であってけっこうだ、何か暦年度にやらないために議論がつくられておるということは、はなはだ遺憾であります。私は、総理に何回も申し上げておるのです。総理大蔵省出身だから、あなたの時代にこれをやればたいへんなことになりますよ、こういうふうに盛んに気合いをかけているのが事実であります。
  17. 安井吉典

    安井委員 どうも大蔵大臣の演説だけ聞かされているような気がして、問題がちっとも前進しないように思うのです。これはちょっと古い記事ですけれども、スクラップの中に「「暦年制」推進面の総大将田中政調会長は「改正案は今国会にぜひ提出する。成立できないときは継続審議にする。これが成立すれば、さしずめ池田内閣は後世に残る業績を、残すことになるわけだ」と大した気合いの入れようである。」これは昭和三十七年一月三十日の記事です。その総大将がいま押しも押されぬ大蔵大臣として、たいへんりっぱな業績を残していらっしゃるし、この七月改造にも必ずお残りになるだろうと思うのです。それだけに、私どもは、いま田中大蔵大臣のときにこの問題が解決できないようではちょっと見込みがないのじゃないかと思うのです。だから、たいへんりっぱなお考え方や抱負をお述べになったわけでありますけれども、やはりこれは実行していただかなければ何にもならないわけです。どうでしょう、来年度あたりからこれを改めるには一体どうすればいいかという、もっと具体的な取り組み、いますぐの段階に御決意を願わなければならぬのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  18. 田中角榮

    田中国務大臣 私もその主義者でありますし、もう一年有半にわたって検討してまいりましたから、これからは実行段階に移りたい考えでございます。しかし、このような大きな問題——私とすればそんなに大きな問題じゃない、いいことは直ちにやるべきだと思うのですが、なかなか反対論もあるし、慎重論もありますから、あなたのいまの御発言のように、そういうものを出せば国会がひとつ超党派であげてやる、こういうことになれば、私も勇気百倍するわけでございます。でありますから、せっかくの御鞭撻でありますので、あしたと言わず、きょうからでもまた引き続き検討いたします。もちろん七月にもし留任にでもなれば、これはもう大いに取り上げてまいりたいと思います。
  19. 安井吉典

    安井委員 私どもが留任の連動までしなければいけないようなのですけれども、それは別にいたしまして、とにかくいまの御決意をぜひ遂げていただくように、ひとつお願いをしておきたいと思います。  そこで、新産業都市の問題でありますが、建設計画が一地域一千億とか一千五百億とかいわれるわけで、いまそういうような計画は立てられても、しかし七有徳も八百億もの地元負担にたえられるわけはないのです。この新産都市の運動は、それこそ開闢以来という猛烈な陳情運動が展開された。それが現実に数字があらわれてきたら、地元のこの問題に対する気持ちがぐっと冷却をしているという事態すらあります。  この問題に対しまして、聞くところによると、自治省では新産都市の財政援助についての法案をおつくりになって大蔵省と折衝しているが、大蔵省のほうはそれに反対してなかなか話がきまらないでいる、こういうようなことであります。そうでないのかもしれませんが、私どもの聞いたところではそういうことであります。これは一応ことしの予算には関係なしにいけて、翌年度の精算支払いというふうな形になるようでありますが、大蔵大臣のこれに対するお気持ちはどうでしょうか。
  20. 田中角榮

    田中国務大臣 新産都市は十三カ所指定をして、いまその作業をいたしておるわけでございます。これは、地方公共団体の申請に基づいて成立しておるわけでございますが、相当膨大もないものでございます。二兆何千億になると思いますし、地元負担だけでも一兆円をこえるということでありますから、地元負担の問題が議論になるということはわかります。しかし、この問題は三十九年度予算の問題ではほとんどないということで、三十九年度予算の決定のときには、これは出さぬことにしようということになっておることは事実でございます。そういう協定のもとに予算がつくられて、私のほうでも半分しか出さない予定であったものを、そのくらいになるなら三分の二出しましょうということで、減税の財政補てんもしたわけでございますから、ことしは問題になるとは考えておりません。  しかし、この新産業都市という問題に対して、財政援助の率を上げるというような問題だけではなく、いままでこの新産業都市とか鉱工業地帯整備の問題とか、こういうものはみな地元の要請に基づいて、地元の利益を守ることであるから、応益負担をして——当然将来財政力は豊かになるのだから、あなた方も努力をするということはあたりまえです。あなた方の受益者負担でやるのはあたりまえだという議論でありましたが、私はそんなにかたくなな気持ちを持っておるわけではありません。私は、東京大阪に人口や産業が過度に集中して、道路一本を改良するのに千億もかかるということと効率投資ということのバランスをとってみると、新産業都市にかけることが国の将来のためにより合理的だということになれば、いろいろな問題が考えられるわけであります。でありますから、いま新川業都市の内容に対して検討を進めておるという時代に、先行して国の補助率だけを上げるということでは、できるものもできなくなるという考え方もあるわけであります。  これは、御承知のとおり低開発地の開発促進、離島振興、奄美大島のようなところ、産炭地振興、北海道開発法、こういうことで、結局東京大阪、静岡等を除いては全部特例ということになるわけでありますから、財政当局としては、なかなかすぐこれに賛成するわけにいかぬという立場をとっておるわけです。  ですから、私は、地方税制の中で、また交付税制度の問題、特別交付税制度の運用、それから税制上の問題——税制上の問題等は、東京等から首都圏以外に出るときには、不動産の売却等に対しては圧縮記帳を認めるような制度をつくっておりますが、こういうものを全部合わせて将来の理想図を描いて、そうして国の均衡ある発展考える。そのためには財政負担や税制、地方税制をどうすべきか、こういう問題と同時に解決すべき問題だという立場を私はとっておりますから、この国会で何とかやるということよりも、より合理的な方法を来年度、再来年度考えていく、こういう考え方のほうがより合理的だというふうに考えておるわけでございまして、本年のこの国会で新産業都市に対して高率補助をしよう、そのような法律をつくるという考えはございません。
  21. 渡海元三郎

    ○渡海委員 関連。いま大蔵大臣から昭和三十九年度においてはやらないことにきめたというふうな御発言がございましたが、なるほど予算折衝の過程におきましては、三十九年度予算では載せないということにきまりましたが、法律そのものにつきましては、政府はいかに考えておられるか知りませんが、私たち自由民主党におきましては、検討する、むしろこの国会でやるべき姿で検討するということを言っておるのでございます。いまの大蔵大臣の見解とはいささか異にしている。この点は答弁を要しませんが、いま大蔵大臣は、法律の点もあわせてこの国会には出さないようにきめられたという発言でございますが、私たちは決してそのように解釈しておりません。したがって、私たちはぜひとも本国会に提出したい、このような気持ちで、目下鋭意検討を加えておるというのが私たちの姿である。こう理解しておりますので、ただいまの大蔵大臣の発言は、予算に載せないというだけで、本年度はやらないということだけであって、法律をそのようにきめたという点は、私たちは、訂正しておいていただきたい。もしこの議論に対して、われわれの考え方に対して政府のほうで異論があって、どうしても打ち消しておかなければならぬというなら、御答弁があってけっこうですけれども、そうでなかったら、その点の御訂正だけお願い申し上げておきます。
  22. 田中角榮

    田中国務大臣 国会は立法機関でございますから、国会の権能を制約しようなどという大それた考えは少しも持っておりません。が、しかし、政府与党はまさに一体でございます。政府は、予算編成のときに与党の意向も十分拝承いたしまして、九九・九%というよりも、まず一〇〇%これを尊重しておるという立場でございますから、政府の発言に対しまして少しく御理解をいただきまして、なるべく政府与党一体、こういうことでお考えいただきたいと思います。
  23. 渡海元三郎

    ○渡海委員 政府与党一体である。現在のわが自由民主党政府の一員とされまして、いみじくも言っていただいてまことにありがたいと思いますが、それならばなお私たち党といたしまして、そういう考えである、本年度において立法すべく努力すべきが党の決定である、かように考えておりますので、ただいまの前の大蔵大臣の発言は、これは予算に関する限りであると、むしろ私たちはこちらから御了承願いたい。さように考えておるのでありますが、御答弁は要しません。その点御了承賜わりたいと思います。
  24. 安井吉典

    安井委員 いま与党のいろいろな内部事情もおありのようですけれども、しかし私たちは国民の立場から、これは、地方財政の中にただこのままでほうり込まれたのでは絶対に解決のつかない問題だ、この点だけは明らかにしておかなくてはならないと思うわけです。その土地がよくなるのだから、おまえたちそれくらいやるのがあたりまえだ、こういう態度では、これはもう絶対に許されないことだと思うのです。これは、あくまで地方だけではどうしても負い切れない、いまの実態に立って、地方だけではどうしても負い切れない負担だということだけは大臣もはっきりお認めになるわけでしょう。
  25. 田中角榮

    田中国務大臣 そうたたみ込まれると非常に困るのですが、政府も理解がありましたから、新産業都市を指定いたしましたし、法律を出しているのですから、その間の事情は十分御理解いただきたいと思います。  この新産業都市の指定をやりますときには、地方財政の中でやれるように、またやれるような事業量を想定いたしましょう、こういうことになっておるわけです。政府がやる仕事は、港湾とか鉄道とか道路とか、先行投資をすべき面に対しては重点的に行ないます。こう言っておるわけでございます。でありますから、いまの状態から考えまして、国がやるのではなくて、これはやはり地方自治体が主体で行なわれる工事であるという考え方を政府はとっておるわけでございます。いまの段階は、そうでございますが、しかし先ほど申し上げたとおり、東京大阪の問題もございますし、人口がある小さなところにどんどん蝟集してしまって、物価は高くなる、特に土地とか、そういう問題で生活権を脅かす問題がより高度な立場から考えられるので、これを検討して、最終段階や施行年次計画をきめるときに、これだけでなく、産炭地の振興もありますし、それから鉱工業地帯整備もありますし、また北海道開発というような問題もあるのでありますから、そういうものを全部比較検討して、その重点の度合いを考えながら、国で負担すべきものは一体どのくらいになるのだろうということで、そこでおのずからきまるのであって、短兵急にこれをやってしまおう、こういうことになると、鉱工業地帯もできなくなる、また他の地方開発、僻地山村の開発ということもあわせて行なわなければならないわけでございますから、そういうものは、やはり限りある財政の中でどうすることが国の将来に一番効率的であるかということを比較検討してきめるべき問題でありますから、国会でもちゃんと御審議を願うのでありますから、いま指定をして、直ちにこれは国がやってやるのだ、少なくとも国が事業生体になるようなつもりで高率補助をするのだということになると、たくさんの中から十三カ所しか指定しなかったのでございますから、いろいろな問題も起こるわけでございまして、これはやはり公正な立場から、あまねく国の状態考えながら、より合理的な方向で検討さるべきことでありましょう、こう申し上げておるのであります。
  26. 安井吉典

    安井委員 時間がなくなってしまいましたので、私のほかにまだお二人おりますから、次に譲りますけれども、いまの新産業都市のあれは、大臣のいまの御答弁によれば、地元で負担できる見当でやるということになれば、これは初めの全体的の大きな計画をお取り下げ願わなければならないのですよ。それを取り下げるか、あるいは取り下げないで、地元の負担に対する援助をするか、私はこの二つ一つだと思うのです。問い詰めていけば、そういうことになると思うのです。その一つを、大臣は何かことばのあやだけで逃げようとされておりますけれども、これはどちらか一つですよ。そういうことで、ぜひひとつ御検討願いたいと思います。
  27. 森田重次郎

    ○森田委員長 華山親義君。
  28. 華山親義

    ○華山委員 簡単に御質問いたしますから、ひとつ簡単に御答弁願いたいと思います。  大蔵大臣は、単に国庫のことを見ておればいいのでなくて、全体の地方、国を通ずるところのいろいろの財政、そういう点をごらんになる立場にあると思うのでございますが、いかがですか。
  29. 田中角榮

    田中国務大臣 国の財政はもとより、地方財政に対しましても、法律で共管がございますので、財政問題に対しては責任を持ってやらなければならないという考えであります。
  30. 華山親義

    ○華山委員 国の方針は健全均衡財政ということをうたっておられる。素朴に考えますと、借金をしない政策だ、こういうふうにも考えられる。公債を出さない一つ財政政策だということが一つの柱にもなっているように思われるのでございますが、さようでございますか。
  31. 田中角榮

    田中国務大臣 健全財政でございますから、経常支出はできるだけ経常収入でまかなうということが原則であることは言うまでもございません。もちろん公債等はできるだけ発行しないということでございます。
  32. 華山親義

    ○華山委員 ところが地方におきましては、非常に公債が増加している。たとえば昭和二十九年を一〇〇としますと、一般会計におきましては一七〇になっている。それから公営企業におきましては、大体七倍になっている。平均いたしまして、大体二、五倍という地方債の増発でございます。一面におきまして、今年度計画を見ますと、一般会計においていかなるものよりも公債の増加割合が高い、こういう状態でございますが、自治省の考え方では、国の健全財政にのっとってやっている、こういうように言われる。同じ公経済の中で、国のほうは、いま言われたとおり公債は出てない、地方債のほうは出す、これはあなたの理念としてどういうことでございますか。
  33. 田中角榮

    田中国務大臣 公債等を出さないにしくはありませんが、しかし、地方財政状態を見ますと、決算総額二兆八千八百七十三億円というものに対して千八十六億でありますから、わずかということが当たるかどうかわかりませんが、三・七%であります。三・七%程度の借金をしても、健全財政を脅かすものだというふうには常識的には考えられないわけでございます。
  34. 華山親義

    ○華山委員 それは、公営企業を除いてでありましょう。それにしましても、これは国全体のことを言っておられるのですが、小さな市町村は、いかにして起債を得るかということで奔走している。陳情の大部分は借金をさせてくれということです。そういうふうなことで一体いいのかどうか。私は、健全財政という以上は、国とともに、地方においても公債を出さない、少なくする、そういう方針で財源を与えるべきだと思うけれども、いかがでございますか。
  35. 田中角榮

    田中国務大臣 地方公共団体、特に貧弱な市町村状態を見ますと、起債に頼らざるを得ないが、一体これを消化できるのかということはあります。この原因は、一つには国が公共団体に押しつけるからということもあると思いますが、これは、御承知のとおり、三十六年対三十七年の比率を見ますと、地方単独事業が四六%伸びておるわけであります。国は道路会計において二〇%でございます。住宅会計においてもしかりであります。そういうときに、倍以上も単独事業が伸びている。これは、実情というものはよくわかります。町村長が公選でありますから、とにかく前の町村長が五メートル幅の道路をつくったから、おれは六メートルにしてやる、いろいろそういうものがありまして、またそういう政治的なものだけではなく、やはり経済の基盤をつくるというたてまえからの要請がたくさんあるという事実も承知しておりますが、いまの状態では、これを全部特別交付税制度等で解決すべきだということには財政上もなかなかむずかしいと思いますが、いつまでもこのようなことをそのまま放置はできないわけであります。地域間の格差解消ということを政府も言っているのですから、その意味では、いま自治省で検討しておられるように、どうもいまから百年前の行政区画が一体いいのかということで、広域運営ということで、いろいろな府県統合というようなことを考えておられるようでございますが、それも一つの案でございましょう。また交付税制度、特別交付税制度改正という問題も、これを解決する一つのものになると思います。いずれにしても借金政策だけで山間僻地の後進性を解消しなければならないということでは困りますので、難局振興その他別な法律によって高率補助を行なうという道も開いてあることは御承知のとおりであります。
  36. 華山親義

    ○華山委員 昨日も、自治省の関係官のお助けを得て研究したのでございますけれども、国の直轄事業負担金あるいは国の補助を伴う地方事業、そういうもののほうが、一般財源の伸びに対して非常に伸び方が大きい、そういうことであって、もしもあなたの言われるとおり、単独事業が伸びておるとするならば、——単独事業が伸びなければいけないのでございますけれども、伸ばそうと思えば、これは借金によらざるを得ない、そういう実情でございます。これは統計的に明白なんです。いろいろな昨年度の率から比べましても、地方税の伸び、交付税の伸びよりも、国の事業をやるために国の補助を伴うもの、あるいは直轄事業によってやる伸びのほうが高い、黙っておれば一般単独事業を圧迫する、しかたがないから借金になる、こういう結論に私はなろうと思う。ひとつ大蔵大臣にお願いしたいのでございますけれども、私は借金をさせないで、そして行政水準を上げるようなことを考えていただきたい。その点につきまして、私は自治大臣にお願いするのでございますけれども自治大臣自治体を守る立場にある。それで公経済におきまして非常に大きな立場にあるのであって、大蔵大臣自治大臣の言うことをほんとうに聞いていただきたい。私が考えるのに、自治大臣というものは、いままでも地方財政について大蔵省に発言権が少なかったのではないか、発言をしても大蔵大臣はこれを取り上げなかったのではないか。昔の官僚でございますが、昔の内務大臣はそんなものじゃなかった。私は、いまの自治大臣の言うことを大蔵大臣がよく聞いて、自治大臣の言うことをよくとっていただきたい。そういうことを切にお願いいたします。  それから戦後非常に悪い風習がございまして、税外負担ということが非常に多く行なわれてきておる。先ほど大里もおっしゃったとおり、われわれが学生のころは、授業料以外には何も出さなくてもよかった。いまではいろいろな金がとられる。しかし、昔よりも国はもっと繁栄しているはずなんです。どこでそういう結果が出るか。私は、ただ一言だけ申し上げますけれども学校等の建築につきましても、昨日もお尋ねしたのでございますが、学校の補助を法律で二分の一なり三分の一をするということになっておりますけれども、その補助の単価であるところの坪数がきわめて低い。また単価が実情に全く合わなくて低い。それは直さなければいけないけれども、さらに驚くべきことは、こういうふうに計算して出されたところの八割ないし七側しか出しておらない。配分率という名前をつけておるが、何が配分率かということを聞けば、当然地元で二割、三割は負担することを期待している。こういうふうな税外負担の根本は国にあるのであります。配分率などということばは国でつくったことばなんです。私は、こういうふうなことは非常にいけないことだと思う。学校一つ例にとりましたけれども、ぜひひとつ直していただきたいとお願いいたしますが、いかがお考えになりますか。
  37. 田中角榮

    田中国務大臣 まず第一番に、自治省の考えを聞くかということでございますが、これは、内閣は連帯して国会に責任を負っておるわけでございますが、自派省だけは特に親しいわけでございます。これは、お互い自治省と大蔵省とが合わせてきょうだいのように財政担当者である、こういうので非常に親しいわけでございます。私は、今度の三十九年度予算編成にも、すべり出しは非常によかったわけでございまして、大体今度は合格だと言ったのですが、最後に自治省の言うことを一〇〇%聞いたということで、一ぺんにゼロになってしまったのでございます。このくらい誠意を持って自治省に対処しておるということでございます。  それから税外負担の問題は、地方財政法に禁止規定を置きましたとおり、税外負担はできるだけ早くこれをなくするように、こういうことで財政上の措置もいたしておるわけでございます。しかし、確かにあなたがいま指摘されたように、制度上の問題もさることながら、風習で、学校に入っても何でも税外負担、寄付金というものをやるということが戦後の風習になっております。そういう意味で、私は税外負担制度というものはできるだけ早くなくするようにしなければならないという考え方でございます。  第三点目に、いまの学校の補助率の問題でございますが、これは何回も申し上げたとおり、これは標準単価ということで出しておるわけでございまして、実施単価の比率で出しておるわけではないのでございます。東京とか大阪とか財源の豊かなところは、相当いいものをつくりますけれども地方自治体間の格差をつくってはならないということで標準単価で補助しておるわけでございます。これらの問題につきましても、三十九年度予算で七%、五・五%というように用地費の問題また構造の変更及び単価の是正等前向きで対処しておるわけでございます。
  38. 華山親義

    ○華山委員 これで終わりますが、大臣は実情についてまだ明るくないようでございますが、またあとでお目にかかってお話いたします。  終わります。
  39. 森田重次郎

    ○森田委員長 門司亮君。
  40. 門司亮

    ○門司委員 いま華山委員からもお話がありましたが、大臣のいまのような答弁では私満足ができないのです。  補助金に対する問題で、超過負担、これは私の計算ではありませんよ。都道府県市町村自治体から詳細に調べてきたもので、全体を平均して三一%の超過負担ということが明らかになっておりますね。この超過負担大臣は一体どうされるつもりかということです。同時に私はこの問題を明らかにするためにもう一つ言っておきますが、けさの新聞を見ても、自治省から、地方財政が非常に悪くなっているから財政に気をつけろという指令が出ているのです。私はきのうもこの委員会で申し上げました。そうなりつつあります。また二、三年たつと昭和二十九年ごろのような状態がくるようにどうも見受けられるということを話しましたが、そういう状態なんです。その点を一体大蔵大臣は十分御認識になっているかどうかということです。このままでいくと、また二、三年たつとああいう事態がきますよ。私どもはそれを非常に憂えるのと、同時に国が非常に大きく発展する要素としての産業基盤の確立や何かのためにいろいろ事業が行われる。それにつれて地方もやらないわけにはまいりません。したがって、昭和三十七年度の決算を見てまいりましても、土木費のごときは基準準財政需要額を見積もったときの約三倍に地方はなっている。これは国のせいだと思う。そういう数字が統計上自治省から明らかに出ているから間違いないと思う。こういう実態大臣はどうお考えになっているか、その感想だけを聞かしておいていただきたい。
  41. 田中角榮

    田中国務大臣 門司さんは地方財政の大成でございますから、傾聴いたしておるわけでございますが、確かに自治省から警告を発するという事態でございます。これは国の聖業がふえるからというだけでなく、門司さん御存じでもって言っておられると思いますが、地方自治というものの一つの欠陥でもあると思います。やはり地方自治というものは所管者が公選でありますし、赤字が出ておる場合には何とか面さなければならぬということで、再建整備ということで、国が法律でもって押えるということはできますが、その覇絆を脱すると、健全財政というよりも、どうしても放漫というか、積極財政のほうに流れやすいのが人の常であります。これは制度上だけでなく、常識的に考えてもそういう欠陥があるわけでありますから、国が地方自治の状況を是正していくためには、ある時期には警告を発したり基準を出したりして、自治をおかさない程度にやはり調整をしていかないとなかなかそううまくいかないという問題が一つございます。  それから、三一%の税外負担があるじゃないか、地方負担があるじゃないか。——まあそういう純朴が出ておるかもわかりませんけれども、これは税外負担をやめよう、なるべく地方が超過負担をしないでいいようにという考え方は、あなたと同じように持っておるのです。  もう一つの問題があるわけです。実際にかかったものに対して完全に標準単価以外に出した——もし出したということを仮定しますと、いいものをつくるわけです。だからそういう場合に、いいものをつくれない市町村、どんどんつくれる市町村がありますが、つくれるものに追っかけて補助率を上げていく、単価を上げていくということになったら、これはもう地方公共団体の間の格差がもっと開くということになりますから、これはやはりある一定の標準単価でもって見る以外にないのであります。これは学校だけではなくて、あらゆる公共事業の単価もそうであります。もう一つは物価が下がっていくような状態である場合には実質単価に近いものになるのでありますが、物価が上がっていくときには、いやしくも国の単価が物価上昇に拍車をかけるような要素を持ってはいけない、ここが大蔵大臣の非常にむずかしいところでございます。そういう意味で、ただ実際的に負担をするというのではなく、国がいやしくも与るものに対しては、物価引き下げの方向にある程度施策をあわせていかなければならぬというところがあるわけでありまして、いろいろ考えるとあなたのことも理解できます。同時にひとつ私の考え方も理解していただいて、できるだけ前向きで実態に即して解決をしていくということにしたい、こう考えております。
  42. 門司亮

    ○門司委員 どうも、大蔵大臣大蔵大臣立場からだけお話をなさって、こっちの言うことはあまり聞いていられない。実際上そういうことになりますと、こまかい議論になりますが、いま日本の全体を見まして、今度の予算単価は少し上がっておりますけれども、大体木造の学校が四万二、三千円なり四万六千円でできると考えていることはどうかしているのです。どこに行って鉄筋コンクリートが七万円でできますか。単価はこうなっていますよ。これは平均単価、平均単価とおっしゃるけれども、平均単価について特に気をつけなければならぬことは、今日、日本のそれらの財政需要を求めておりますものは、大体大都市周辺であって、物価の高いところなんです。実際大臣の平均単価であれされようとする一番安いところは、山の中で学校を建てる必要もありませんし、大きな道路をつくる必要もありません。これはやはり考えてもらいたい。  それからもう一つは、私はこの際大臣に御注文と言いますか、お聞きしておきたいと思いますことは、大蔵省のそういう単価と実際との差額をどう考えておられるかということと、それから先ほどちょっと問題になりましたがこれは財政全体の問題ですが、公債の問題です。国は公債を発行しない方針を立てられており映すが、地方は御承知のように外国債を持っておりますね。これはことしが約九十億くらいですか、去年が百六十何億ですか、大阪が外国債を求めております。こういうものがやはり許されているのですね。国は外国債がわりあい少ないのです。ところが自治体が最近は外国債を持っている。私は外国債を自治体が持つことはあまり賛成しないのです。しかしどういうわけか全国で二百億余りの外国伏があるはずであります。そういう点について大臣はどうお考えになりますか、国のほうは健全財政と言っておいて、自治体は日本から金を借りないで外国から借りてもよろしいということは、日本財政計画地方財政の将来の運営——私はなせそういうかと言いますと、日本から金を借りている場合は、いろいろな面で政府にめんどうを見てもらうすべがないわけではございません。しかし外国債の場合はなかなかそれがきかぬのであります。かりに当面利子が少しくらい安いからといっても、こっちの状態がこうだからこうしてくれぬかと言っても、外国債はなかなかその猶予はききません。かつて御承知のように、東京都がやっと二、三年前払い終えたと思いますが、フランスから来た仏貨公債があります。横浜はアメリカから来た公債を一億五千万円くらいだったか持っておって、この始末には実に困っておる。東京都も非常に困っておる。ところが今日そういうことが地方債に許されておる。この点は大蔵省立場からどうお考えになりますか。
  43. 田中角榮

    田中国務大臣 企業会計以外は一般会計等で公債を出さない、国も地方もなるべくその方向でなければならぬ、健全財政を貫いていくべきである、このように考えます。しかし今度大阪府債のマルク債をドイツで約一億ドル発行いたしております。現在まですでに半分以上消化いたしました。今年度また一億二千万ドルの消化をいまはかっておるわけであります。東京はまた東京湾の埋め立てに対して二千万ドルの外積を考えております。これは国内資金でどうにもならないというのと、もう一つは、急には単年度でもってやれない、急に大量の資金が要る、しかも効率的でもあるという要請に応ずるために外債の道を開いたのでありますが、大分県は別府湾でもってやりたいとか、新潟県は信濃川河口の問題でやりたいとか、千葉県は同じ策京湾の埋め立てでやりたいとか、いろいろなものが出ておりますが、原則として、大阪東京の都府債はやむを得ず出したわけでありますが、これ以上認める気持はありません。これははっきりいたしております。大蔵省にたくさん来ておりますので、この席をおかりしまして、東京大阪のようにやむを得ざるものを除いては他の地方公共団体に外債を認める意思のないことを明らかにいたしておきます。
  44. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきます。そうするとその外債について政府は保証するという意思はございますか。いまのところそういう条件が何にもついていないように聞くわけですが、これは外債である以上は政府がある程度保証する必要がある。
  45. 田中角榮

    田中国務大臣 東京都債及び大阪府債は政府保証債であります。
  46. 門司亮

    ○門司委員 そのほかにもう一つ聞いておきたいと思います。財政全体のことはいま申し上げておきましたが、大臣の認識が少し変なようで、あまりにも大蔵省的、官僚的でしゃくし定木過ぎるのでありまして、もう少し地方の実情を知ってもらいたいと思う。そこで問題になってまいりますのは、大蔵省自治省との間で取りかわされているいろいろの問題で、たとえば基準財政需要額のあるべき姿というものがありますが、これを決算と突き合わせてみますと、やはり大体において基準財政需要額は七〇%程度であって、三〇%程度というものは財政不足を来たしておる。これが実は貧弱な町村に対する非常に大きな打撃になっておるわけであります。政府はこの辺でよろしいということですべてを組んでおる。ところが実質の決算から見てみるとこれが非常に多い。それを大臣のことばをかりて言えば、地方がかってなことをやるからそんなことになるのだということになろうと思いますが、地方もかってなことをやっているのじゃないと思う。財政の非常に少ない中からそういう実態になっている。このことだけは最後に大臣に認めておいてもらいたいと思う。
  47. 田中角榮

    田中国務大臣 具体的な問題は自治省の財政当局からお答えをすると思いますが、大蔵省が必要以上に基準財政需要額を押えておるという事実はありません。これはあなたのお調べがちょっと違うのじゃないかと思いますが、六、七割で押えておるというのは、税額を三割ばかり横に置いてきめておるということもあるかもしれませんし、実際問題として、大蔵省が超健全で支出というものを押えておけばいいのだというので、決算でもって相当な幅が出るということはない。これは自治省も、いま局長はそういうことはございませんということを言っておりますから、間違いございません。
  48. 門司亮

    ○門司委員 私はそう言っておるのじゃないんですよ。何も大蔵省が押えていると言っているのじゃないが、実態がそうなっている。だからその実態一つ見ておいてもらいたい。自治省だってあるべき姿というものは大体計算して出しているのですから。ところが地方財政というものは、事ほどさように弾力性を持っているもの、また弾力性を持たなければならぬので、国の財政のようなぐあいにはいかないのです。国の財政というものは、御承知のようにきまった金できまったようにおやりになればそれでけっこうでありますが、地方財政は、おのおの自治体の立場が違い環境が違いますから、地方住民の要求が異なっておりますから、地方住民の要求をいれていこうとすれば、国の予算の編成と予算の使い道と同じように大蔵大臣地方財政をお考えになっていると、地方は非常に迷惑する。いま申し上げたのは何も大蔵大臣が押えているというのではありませんが、事実上こういう問題が出ている。その原因は、単価が低かったりあるいは補助率が満足に来なかったりという今日の状態にあると思います。もう時間がございませんので、これ以上もう少し突っ込んで聞きたいのでありますが……。
  49. 森田重次郎

    ○森田委員長 川村継義君。
  50. 川村継義

    ○川村委員 大蔵大臣からいろいろ地方財政についての御高説を拝聴いたしました。御訓示を受けたようであります。しかしいろいろ御意見を聞いてまだ解消しないものがたくさんあります。たくさんのものがある中から一つ具体的にお聞きします。  おととし国立高専十二校をつくられ、去年十二校をつくられ、ことし五校つくられ、合わせて大蔵省のほうで予算は何十億計上されましたか。
  51. 田中角榮

    田中国務大臣 数字の問題は主計局が来ておりますからお答えいたしますが、いままでつくりました高専の特に敷地の問題だと思いますが、それを申し上げますが、敷地は予算に計上いたしておりません。
  52. 川村継義

    ○川村委員 全部で二十九校、三十億足らぬものですね。一校平均して一億そこそこ、こういう大ざっぱな計算になると思う。ところがこの高専をつくる場合に、ある学校のごときは国からの予算が一億二千万、地元負担が一億七千万、これは補助事業じゃないのですよ。国の国立学校なんです。いま大臣おっしゃったように敷地買収費は一文も予算が組んでいない。これは文部省が予算要求しなかったから、組まなかったのですか。大蔵省が組ませなかったのですか。それだけ聞いておきたい。
  53. 田中角榮

    田中国務大臣 予算要求がなかったわけでございます。なかったのですが、また文部省がなぜ予算要求しなかったかというと、問題が起こると悪いから申し上げますと、私のほうで押えたわけではございませんが、国立高専の設置に対しましては、地元の現在あるものを国に移管するとか、また国有地がありますから、これを使わしてもらいたいとか、なお県有地を国有地と交換して、こうしたものが非常に適当であるとか、中には県有地を期成同盟会でもらっておりますから、どうぞここに、ひとつ建ててくださいということでございます。
  54. 川村継義

    ○川村委員 そういうものばかりでありましたら問題は起こらないけれども、そういうものばかりではありません。そこで非常にそういう面で財政のあり方が乱れておる。これを根本的に直されなければ、大臣がいかに御高説をお述べになりましても、納得できないということを一言指摘しておきたいと思います。  それから、大体きょうこの交付税法委員会を通過する予定でございまして、たくさん時間がございませんから、お聞きしなければならない交付税関係の問題はたくさんございますけれども、私、この際文部省並びに自治省に幼稚園関係の問題をひとつお尋ねしておきたいと思います。次官お見えになっておりますから、文部省の幼稚園教育に対する一つの方針をお示しいただきたいと思います。
  55. 八木徹雄

    ○八木政府委員 幼稚園教育に対するいままでの態度は、おそらく川村先生の思っておられるように少しく微温的であるし、消極的であったと思うのであります。それは学校急増対策、ことに高等学校急増対策までのその分野に相当のウエートを置かなければならぬというような見地がございましたので、おくれておることを私たちも率直に認めます。  そこで、灘尾大臣が就任をされて最初の記者会見の席上で申し上げましたように、高校急増が一段落したこの時点において、これからの文教の重点施策一つに幼児教育というものを重点的にひとつ考えてまいりたい、でき得べくんば可及的すみやかに幼児のうち六〇%程度の幼稚園教育ができるような環境を整備したい、こういうように申し上げたわけであります。しかし御承知のとおり、幼児問題については厚生省の保育園との調整の問題がある。それからまたいままでの幼稚園の実態が、大体三分の二程度は私立におんぶしておるというかっこうでございますので、その私立の調整、厚生省との保育園の調整というようなことがございまして、最初の記者会見の意図に反して、本年の現時点においてはまだ十分な措置がとられてない。しかしとりあえず厚生、文部両省の間で話し合って、保育園におきましても幼児教育的な観点に立って、主として小学校の予備校的な性格ではなしに、保育というものの中にも、いわゆるしつけを中心にした幼児教育というものを教育的見地で取り上げてもらうというような形で、これから前向きの姿勢でやってまいりたい。現時点で私が申し上げられることは、可及的すみやかに六〇%の就学が可能ならしめるような、そういう幼児教育環境をつくりたい、こういうことでございます。
  56. 川村継義

    ○川村委員 幼児の子供たちが公立の幼稚園で教育を受けておる、あるいは形は違っておりますけれども、児童福祉施設の保育所で幼児のしつけ等を受けておる、あるいは私立の幼稚園等で、私立の保育所等で受けておる。いろいろの形があるわけですが、いま次官がお話しになったように、今日幼児教育の必要なことは大きな世論となって、世論だけではなくて、これはそのうちの権威のある教育学者、あるいはその他の方々が強調しておる大きな問題でございます。文部省としてもお話のように、もっと前向きに真剣に取り組んでもらわなければならぬ課題ではないかと思っておる。ところが、今日まで幼稚園の教育がたいへん立ちおくれておるということは、これはだれもが指摘できるところであります。特に公立の幼稚園、今日一般の父兄は、ただ単に保育所において子供をあずかってもらう、そういうような考え方でなくて、小学校に上がる前の教育を、ぜひ幼稚園教育として取り上げてもらいたいという父兄の強い熱意が大きく出てきておる。これは非常に大きな問題でございますから、いろいろと検討して前向きに前進させていただかなければならぬと思います。本年文部省が策定されました幼稚園教育要領等によりましても、一応の考え方は伺われますけれども、私は実際の幼稚園のあり方というもの、あるいは今日ある幼稚園の施設、そういうものについて文部省はまことに手ぬかりが大きいのではないか、このように考えておるわけでありますけれども、もう一応、いまの特に幼稚園の施設、設備あるいはそれらに対する文部省の財政的援助等々について、現行どのような形で行なわれておりますか、お話をいただけるならばありがたいと思う。
  57. 八木徹雄

    ○八木政府委員 施設は三分の一補助というたてまえをすでにとっておりまして、本年度も五千万円の施設補助が組まれております。それから本年から新たに設備補助という制度を設けまして、これは公立並びに私立含めてでございますけれども、二千万円の補助をとった、こういうことでございます。川村先生のおっしゃいますとにかくまだ十分でないということは、一つは幼稚園というものの実態が都市に集中的にいままで公立の場合はあった。私立の場合もそうですけれども、そこで施設基準に照らして、その施設のほうも、特に用地のほうは大体施設で六〇%くらいの施設基準に照らしての充当率じゃないかと思います。それから用地については三〇%くらいの充足率だ。そういう意味で基準に照らして非常におくれておるではないかということになると思うのですけれども、とにかく現在のこの市街地における土地事情というもの等がございまして、なかなかこれは義務教育の小中学校においてもそうなのですけれども、完全な施設基準に充当することができかねるような情勢にありますので、計算上は非常におくれておるわけでございますけれども、しかしそれなら内容が非常に悪いかというと、必ずしもそうではないと思います。ただ私立の場合が多くて、比較的古い建物の中には木造建築なども多いといったようなことでございますから、国公私立を含めてなお単なる計算上の基準充当ではなくて、実質上の充当ができるように努力をしなければなるまい、そういう計算の上でいま作業中と率直に申し上げたほうがいいと思います。去年から前向きでやるという姿勢はかまえましたが、実質的にそれらのものの解決の道に大きく歩み出すのは昭和四十年度以降になるような情勢でございますので、しばらくの間お待ちをいただかなければならぬのではないか、こういうふうに考えております。
  58. 川村継義

    ○川村委員 時間がありませんからいろいろ論議するのをやめたいと思いますが、次官のほうもよく聞いておっていただきたい。  私、次に自治省のほうにお尋ねいたしますが、幼稚園の費用として地方交付税の中には市町村一般教育の中にその費用が見てあります。いろいろ問題はございますが、いま次官が話をしておられた問題の中から一つとらえてお尋ねをいたしますと、幼稚園の単位費用の算定の中に、幼稚園の設備品の費用として十一万八千円見てあります。これは一体幼稚園の設備品として何々を見ておるのか、その品目をひとつ初めにあげてくれませんか。
  59. 山本悟

    ○山本説明員 ただいまの御質問の幼稚園関係の備品費十一万八千円の内容でございますが、ピアノ、オルガン、黒板等通常の幼稚園で必要とされるものをひっくるめまして、大体十年の耐用年数で割りまして、一年当たりの償却費というようなかっこうで算出いたしております。
  60. 川村継義

    ○川村委員 それではお聞きしますが、ピアノは新しく入れてもらった。いままではピアノというのが費用の中に見てなかった。ピアノは新しく入れてもらった。ピアノは幾らで本年度見てある。耐用年数で割った価格は幾らです。
  61. 山本悟

    ○山本説明員 正確に記憶をいたしておりませんが、二十万円で二十年の耐用年数で割ったと記憶いたしております。
  62. 川村継義

    ○川村委員 去年に比べてわずかに二万四千円伸ばしたですね。オルガンも同様の見方をしてあると思うのです。オルガンは一体何個と見ておるか、まさか一個じゃないでしょう。
  63. 山本悟

    ○山本説明員 オルガンは三万五千円を四個、それで耐用年数は十年でございます。
  64. 川村継義

    ○川村委員 文部政務次官、いまお話しのようにピアノは新しくことしから見てもらった。オルガン、黒板と、こう書いてあります。幼稚園の教育をやる場合に、黒板等とありますけれども、いまの計算でいきますと、十二力八千円ということは、これはピアノ、オルガン、黒板そのほかいろいろあると思いますけれども、実際のピアノの価格から考えても、黒板のあれから見ましても、これではたいへん費用の取り方が少ないと私は思うのです。しかもピアノ、オルガン、黒板だけで幼稚園の教育が進められるとは私は思いません。特にこの幼稚園の教育の場合には、私は幻灯の機械であるとか、あるいは簡単な教育楽器であるとか、放送の施設であるとか、こういうものがぜひやはり考えられなければ、幼稚園の設備品としては不適当なものじゃないかと思います。そういう点は自治省のほうではどういうように考えておられるか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  65. 柴田護

    柴田政府委員 幼稚園の単位費用の中身のこまかい点についてのお尋ねでございますが、いま交付税課長から申し上げましたほかに、幼児用の玩具、遊戯施設等についても見ておるわけでございますが、金額が非常に少ないという問題はございますが、この辺につきましては基本的に幼稚園の経費をどうするかという問題があるわけでございます。これは川村先生御承知のとおりであります。しかしながら、毎年文部当局のお話も聞きまして、そうして必要と認められるものにつきまして充実をはかってまいってきておるような次第でございます。
  66. 川村継義

    ○川村委員 そこで文部省の次官にお尋ねします。私はいまたった一つの設備品だけの問題を取り上げておりますけれども、実は小学校の費用の問題についても、中学校の費用の問題についても、この費用の取り方が実際とそぐわない問題があります。しかし幼稚園の場合に一つの例をとって申し上げますならば、もっともっとこの単位費用の計算をされるその積算の場合に、実際に即するような方法をぜひとってもらいたい。これは私たちの一つの願いです。いま局長の言われるように、あなたのほうのいろいろの御意見を聞いて、ここにはそういう積算をしてあるといっておられる。文部省のほうがいわゆる幼稚園教育についてもっと前進させるような中身を持たぬと、自治省に折衝される場合に、この交付税の算定基礎をはじかれる場合に、結局手落ちが生じてしまうということになると思うのです。この点について、今度は文部省の政務次官に、こまかなことを聞いてたいへん恐縮ですが、いまの設備品等についておわかりでございましたら、文部省としてどういうものを最低必要のものとして幼稚園教育に考えておるか。おわかりでしたらひとつ聞かしておいていただきたい。おわかりでなかったらけっこうでございます。
  67. 八木徹雄

    ○八木政府委員 前段で申し上げましたよりに、幼児教育の前向きの姿勢にようやく三十九年度から取り組むということでございますので、その意味で改善しなければならぬ課題がたくさんあるわけであります。先ほど私は施設並びに宅地の話を申し上げましたが、当然設備の問題もあるし、それを担当する教諭といいますか、先生の質の向上、その質の向上をはかる意味の環境の整備もあります。その意味で、文部省が大蔵省に対し、自治省に対して要請しなければならぬ課題は、これから具体的に生まれてくる課題だと思うのでございます。先ほど局長からお話もありましたように、いままで机とかいすとか戸だなとか黒板とかあるいはオルガンというようなもののほかに、本年新たにピアノを一つつけていただいたわけで、ピアノがついたらそれで設備は十分かというとそうではないと思います。川村先生から御指摘のありましたように、このごろの子供たちが家庭において遊んでいる、あるいは親から指導を受けておる環境の中には、近代設備というものが相当入っている。こういうことでございますから、あるいはテレビという問題もありましょうし、あるいは幻灯という問題もありましょうし、そういうものが当然考えられてまいらなければならぬと思うのでございますが、現在、これとこれとこれとを追加すれば完璧な設備ができるのだという結論はまだ出ておりませんので、先ほど申し上げましたように昭和四十年度を起点に保育園との調整もはかりながら前進しようということでございますから、それらについてはなお検討させていただきまして、新たな追加品目につきましては適正なものを入れるように努力したい、こう考えております。
  68. 川村継義

    ○川村委員 第二にお聞きしておきたいことは、次のほうでおわかりでございましょうか、幼稚園の設置基準によりますと、幼稚園の職員の数、これはどれくらいになっておりますか。何人になっているか御存じでございますか。
  69. 八木徹雄

    ○八木政府委員 一学級について一人という計算をいまいたしております。
  70. 川村継義

    ○川村委員 文部省で示しておられます幼稚園の設置基準は、職員の数は一つの幼稚園について——もちろんその前に基準規模の人口が十万、園児の百二十人とかこういう一つの前提があると思うのですけれども、その場合には、幼稚園の設置基準は園長さんが一人、保母さんが四人、それに養護の先生あるいは事務の職員の先生、合計六人というのが幼稚園の文部省の設置基準ではありませんでしたか。
  71. 八木徹雄

    ○八木政府委員 第五条に「幼稚園には、園長のほか、各学級ごとに少なくとも専任の教諭一人を置かなければならない。」とし、二項に「特別の事情があるときは、前項の教諭は、当該幼稚園の学級数の三分の一の範囲内で、専任の助教諭又は講師をもってこれに代えることができる。」ということでございます。  幼稚園の規模は何学級が適正であるかということに関連しての川村先生のお話だと思うのでございますけれども、それは標準でいけば四学級ということになるのでしょうけれども実態に応じて一学級ごとに一人の専任の講師と園長がいなければならないという形で指導申し上げておる、こういうことでございます。
  72. 川村継義

    ○川村委員 それはわかりますけれども、文部省が示された幼稚園の設置基準というものによると、この交付税の中に出ててまいりますように、十万の人口の場合に園児の数が百二十人、その場合の幼稚園の生徒の組数は三組、こういうふうなことで示しておられませんでしたかね。私が申し上げておることが間違っておりましたら訂正願いたいと思います。その場合に幼稚園の職員規模は六名、これは文部省の幼稚園設置基準にあげられておったと思いますが、それは現在設置されて進められておるところのものでなくて、次官が言われる四十年度からのものとしてこの基準はきめられておったのでございますか、その辺のところをちょっとおわかりでしたら明らかにしていただきたいと思います。
  73. 八木徹雄

    ○八木政府委員 基準自体は四十年度からではございません。いままでも基準というものは設けて、それに適用できるように指導申し上げておるということでございますけれども、先ほど申し上げました設置基準の五条で、設置をしなければならぬといっておることは、園長のほかに各学級に一名ずつの専任教諭ということにいたしておるわけでございます。
  74. 川村継義

    ○川村委員 わかりました。  それで交付税の中にはおっしゃるように園長さんが一名、それから保母さんが三名、つまり四名の職員構成で見てあります。ところが幼稚園に事務職員が全然いないかというと、これも実は必要になってくるわけです。もともと幼児には、幼児の立場からいうとむしろ事務職員というよりも健康をつかさどる養護関係の職員の方々が必ず必要だと思う。そういうものが文部省のほうで確たる一つの方針を持って幼稚園教育を進めるというお考えに立っていただかなければ、この幼稚園教育の単位費用を十分見てやることにはならないのではないか。この点は希望になりますけれども、ぜひひとつお考えをいただきたいと思います。  それから、いま一つは初めに自治省のほうにお伺いいたしますけれども、ことし幼稚園の先生方の待遇を少し手直しはしてもらったようであります。ところが園長の先生は一の二、その他の二人の先生は二の六、もう一人の先生は三の八、こういうような格づけをしておられる理由は何でしょう。これは文部省からそう示したのですか。自治省のほうでそういうように、この辺でよかろう、こういうかっこうできめられたのですか、ちょっと聞かしていただきたい。
  75. 山本悟

    ○山本説明員 御指摘の幼稚園の園長、教員の格づけは、ただいま先生おっしゃいましたとおりの格づけにいたしております。園長は給与表の二等級、従来はその他の教員はすべて三等級にいたしておりましたのを実態に合わせまして二等級の教諭というかっこうのランクに今回引き上げたわけでございます。それぞれの単価につきましては、こういうような想定をいたしました当時において、文部省その他で調査をいたしましたものを基礎にして、その後は給与改定等による俸給表の改定だけを織り込んでまいりましたので、その間において実際には昇給その他があるわけでございますが、幼稚園における想定といたしましては、特別に引き上げる昇紬財源を見込むというかつこうが行なわれておりません。以前のままのかっこうで残ってしまったというようなことであろうと思います。御存じのとおり交付税給与費の全体としての昇給財源の歳入は、標準団体の全職員を通じて財政計画上の昇給財源に合うように特定の部分について号俸を引き上げるというようなやり方でやっておりますので、この部分については該当していないのであります。数年前になりますが、その当時における調査をもとにしてこういうような姿になっておるわけでございます。
  76. 川村継義

    ○川村委員 自治省のほうではおきめになった一つの経過があると思います。しかし考えてみると、どうも納骨いかないものがあります。これは文部省のほうでもよくお考えいただきたいと思いますが、いまお話しになりましたように幼稚園の先生の二の六という格づけは、金額にすると一万九千八百円、これは市町村の雇用人の格づけと同じ単価です。よろしゅうございますか。幼稚園の先生を、市町村の雇用人に格づけされるところの人たちと同じ待遇で進めていくということは、一体是なりやいなや、これはひとつ政務次官のお考えを聞きたいと思います。そういうところを皆さん方が十分検討されておるかどうか。もしもそれが不用意であったということならば、幼稚園教育というものを文部省は一体どう考えておるか、こういうことにも言わざるを得ないのであります。次官の所信をお聞かせいただきたい。
  77. 八木徹雄

    ○八木政府委員 御指摘のとおりでございまして、前段で私も申し上げましたように、幼稚園教育の弱点の一つの中に、先生の質の向上があります。それを前提として、環境の整備をやらなければいかぬということを私は申し上げましたが、そのことはいまのことを指摘しておったつもりでございます。確かに義務教育の小中学校の先生との問題を考えても、格差があるということは否定すべからざる事実だと思いますので、その格差是正というものがこれからの幼児教育振興の一つの原動力になるものだろうと考えます。それならば先ほど言ったように、私立六〇%、公立四〇%という現状の中で全体的にレベルアップをする必要があるわけでございますが、ただ、直ちに公立幼稚園だけの給与水準を上げるということだけでは済まされないのでございます。私立を含めて、幼児教育の環境整備に努力しなければならぬわけでありますから、おっしゃるようなことはもう十分に承知いたしておりますので、これを解決するように努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
  78. 川村継義

    ○川村委員 いろいろお話し申し上げて御意見を聞く時間がありませんが、いま全国的に公立の幼稚園はたいへん少ない。ところが公立の幼稚園だけでも、先ほど私が一、二点指摘したような状況からして——これは義務制でありませんからそれまでといえば、またそういう理論も成り立ちましょうけれども、父兄が非常に大きな負担をして幼稚園教育を進めておる、これはもう御存じだと思います。私立においてはなおさら大きいですね。ところが私たちは、それは幼稚園教育であるから父兄がある程度の負担をして教育を進めることはやむを得ないと存じましても、ものすごい負担をかけて進めていくということは考えなければいけない。これは文部省にも責任があると思う。そうなると一般の父兄が願っておるのは、私立がどんどん建って企業化していく幼稚園教育を、公立の幼稚園教育にしてもらいたい、これが今日の大きな願いなのです。公立の幼稚園にしますと、それだけ私立に比べて負担が少ない。そこで文部省は、これは私の願いになりますが、全国の市町村に公立幼稚園が必置できるように文部省の財政措置考えてもらう、そうなりますと、また必然的に前向きに幼稚園教育が進みますと、こういう単位費用の算定等が大きく変わりまして、それだけ市町村財政需要を見てやれるということにもなる、そういう両面から幼稚園教育というものは進んでいくだろうと思います。この点はひとつぜひ十分検討していただきまして、早急にそういう体制をつくっていただく。ことしのように、せっかく出した幼稚園の費用を、ばっさばっさ大蔵省に切られてしまうという、ああいうぶざまなことがないように考えていただきたい。特にお願いをしておきたいと思います。
  79. 森田重次郎

    ○森田委員長 栗山礼行君。
  80. 栗山礼行

    ○栗山委員 文部政務次官がおいでになっておられるので、この機会に少し問題点をお聞きいたしておきたいと思います。  いわゆる学校給食の問題でありますが、いままで粉乳給食をやられておりましたのを、三十九年度から生乳給食を実施するという方向があるやに伺っておるのですが、その点について法案を用意されておるのか、法案を提出されておるのか、明快に承知をいたさないのですけれども、少しその点についてお考えを伺いたい。
  81. 八木徹雄

    ○八木政府委員 ミルク給食につきましては、昨年度二十万石、三十九年度、本年度においては四十万石というふうになま乳を予定いたしております。このことは、原則的に農林省が事業団を通じて責任を持って継続的に回し得る可能の範囲というものがその程度であるということであります。われわれのほうは酪農振興が進んで、計画的、継続的に学校給食に回し得る余力ができた場合には、四十万石が六十万石に、あるいは全量がなってもいいわけでございますので、現在は四十万石ということで本年度計画がなされておるということでございます。
  82. 栗山礼行

    ○栗山委員 ことしは四十万石ですね。そういたしますと、粉乳と生乳とはどのくらいの比率になるか、それから経済的な対比という点についての問題、それから中学校及び小学校に、もしかりに全部適用するということになるとすれば、それはどの程度の量が要るのか、それから本年度の四十万石に対する文部省としての予算措置がどのようにされたか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  83. 八木徹雄

    ○八木政府委員 御質問の数字をいま急に宙で言えといってもちょっと答えかねると思うのでありますけれども、完全給食、ミルク給食という前提でございますから、ほとんどの大量が輸入粉乳であるということは事実でございます。そのことは決して財政的な事情でそうなっておるということではなく、先ほど申し上げましたように、計画的、継続的に飲ませ得る余地がその程度だという農林省並びに畜産事業団の算定に基づいてやったことでございます。そこで四十万石の財政措置はどのようになっておるかということでありますが、これは農林省関係の予算にあります畜産振興事業団の二十億の中からそれが使われる、こういうことでございます。
  84. 栗山礼行

    ○栗山委員 私、意見があるのでございますけれども、時間がございませんから別の機会にいたしたいと思います。  次に、いわゆる非行少年に対して、政治の場において、あるいは社会問題として、これをどのように見て、どういう具体的な対策をとるかということが現下の大きな課題の一つになっておると思うのでございますが、文部省の基本的な非行少年対策を一応次官から伺っておきたいと思います。
  85. 八木徹雄

    ○八木政府委員 非行青少年対策というものは、いうなら国の政治全体の責任といいますか、国の施策全体によって解決しなければならぬ課題だと思います。文部省自身としては、学校教育、社会教育等々を通じてこれらの問題に取り組んでおるわけでございますけれども、現実には社会環境、特に現在のテレビ等の実態、映画館あるいは歓楽地帯の実態等々からなかなかこの問題が解決できない。内閣の中にその問題を前進させるための協議会が設けられて、いま検討されておることは御承知のとおりでございまして、われわれはあえて道徳教育という言い方は申し上げませんけれども、いわゆる子供のしつけを通じて学校教育の中でそれをやっていく、あるいはことしから新たに父母の教室、両親教育というものを始めることにいたしましたが、そういうようなやり方の中で家庭環境というものを整備し、そこから問題を解決するように文部省自体努力していきたい、かように考えております。
  86. 栗山礼行

    ○栗山委員 これに関連して、いわゆる教育の面はいろいろあろうと思いますけれども、端的に申し上げますならば、知的教育、それから徳育教育、情操教育というようなことに定義づけられると思うのでありますが、これについて文部省はどういう見解をお持ちになっていらっしゃるのか、この点について見解をお伺いしたい。
  87. 八木徹雄

    ○八木政府委員 学校教育が充実向上してまいるために知育、体育、徳育が三位一体でなければならぬということは言うまでもないことであります。そういう意味で現在の義務教育の中においても、高等教育、大学教育の中におきましても、人間形成ということを中心にそれは行なっておるつもりでございますけれども、まだ万全だとは言い得ないのではないかと思いますので、さらにそれが整備できるように努力をいたしたい、こう思っております。
  88. 栗山礼行

    ○栗山委員 ひとつ見解をお伺いするということで、この程度でとどめてまいりたいと思うのであります。  もう一点お伺いを申し上げておきたいのは、高等学校、大学に入れる子供を持つ親が悲喜こもごもで、いまほっとしたところであろうかと思うのであります。この例年の問題が特に顕著になってまいりましたのは、高等学校の入学難であります。同時に大学の入学難、官公立を問わず受験学生及び親ともに深刻なノイローゼ的要素を持っておるというまことに暗い時期を迎えるわけでありますが、いわゆる高等学校及び大学の入学難対策について、文部省は具体的にどのように努力してこれが解消をはかっていこうとするのか、あるいはどういう見解を持っておるか、この点を明確に承りたいと思います。
  89. 八木徹雄

    ○八木政府委員 義務教育を終了して、後期中等教育である高等学校に入る時点において、一説に全入思想というものがありますけれども、義務教育でない後期中等教育において全入の考え方はとらないという姿勢でいままでやってきております。ただし急増なるがゆえに特別な不利がないように、高等学校急増対策というものをやりまして、入学競争率は激化しないように、国全体から申しますならば、国庫支出を含めて入学者の九五・六%までは入ることができたと思います。ただおっしゃるように、有名校に殺到するという思想がありますので、学校別に見ますと非常な入学難というものが一方にあることは言うまでもないことでありますが、全体で申しますならば、九〇%以上の入学可能なる措置が講ぜられてまいったというのが高等学校実態であろうと思います。この姿勢はこれから後も続けてまいるという考え方であります。  そこで、次に四十一年度から大学急増ということになってまいるのでございますけれども、大学急増に対してどういう態度で臨むかということは考え方二つあろうかと思うのであります。一つは、高等学校のときにとったと同様に、現在の入学率が激化しないような採用方式をとれるような環境整備をするという考え方、もう一つは、景気の状態に対応して大学卒業生というもののあるべき姿がどの程度のものであるか、それに対応する施設設備をどのようにするかという考え方があろうかと思うのでありますけれども、文部省が現在考えておりますことは前段の方式をとりたい。実際に経済が変動する中でございますから、十年、二十年先の大学卒業生の数が何名であってよろしいという算定はなかなかできがたいと思いますので、現在の高等学校の生徒数、それが大学に進み得るいままでの比率、それと社会の伸展に伴って比率が上がりますから、そのプラスアルファ分を考えて、大体進学可能な、進学希望人員がどの程度になるか、その算定の上に現在の程度以上には競争率が激化しないような方法で数字を算定し、それを国庫支出に分配して環境整備に努めてまいりたい。このことは本年の八月中に数字を大体整備いたしまして御相談を申し上げられるようなことになるのではないか、こういうふうに考えております。
  90. 栗山礼行

    ○栗山委員 最後にもう一点見解を伺っておきたいのですが、高等学校の問題については、入試難を解消する道は案外容易なので、一つの政治施策ということで解決する道もあろうかと思います。大学制度の問題でありますが、私は知的教育が高まってまいるということについては、日本の文化や経済その他万般が高まっている情勢の中で、望ましい姿であるのですが、大学制度それ自体にやはり問題があるのではないかと思う。ネコもしゃくしも学校に入らなければ就職もできないし、社会的にも認められない、こういうことになります。いわんや官界あるいは有名企業に入ろうということになりますと、御承知のとおり官公立の学校というようなものに押し寄せることに相なってこようかと思うのであります。大学制度のそういう情勢から見やって姿勢を正す、大学制度に根本的に検討を加えるべき大きな問題点があるのではないか、私はこういうような考え方をいたすのでありますが、そういう私の考え方に基づいて、今日の大学制度のあり方についてどう見るのか、こういうような見解を八木さんの明知をもってお答えたいだきたい。
  91. 森田重次郎

    ○森田委員長 八木君、時間の関係がありますのでなるべく簡潔に御答弁願います。
  92. 八木徹雄

    ○八木政府委員 御承知のとおり、大学の目的、性格を初めとして、管理運営、それから教員養成制度並びに入学試験問題等々、中教審から答申を得ておりますので、おっしゃるとおり現時点において大学問題というものを根本的に改正しなければならぬタイムがすでにきておると思います。答申を得た現在のことでございますので、その答申を尊重しながら、御指摘のような気持ちは私も同感でございますから、なるべく早い機会に大学の根本的な制度改革に臨みたい、こう考えております。
  93. 森田重次郎

    ○森田委員長 安井吉典君。
  94. 安井吉典

    安井委員 本会議がありますから、時間が十分ないと思いますので、端的にひとつ伺っておきたいと思います。  三十八年度から、郵政省の簡易保険積立金による特定郵便局舎整備資金実施要領によって、都道府県を通して特定郵便局舎建設の資金が貸し出されているわけでありますが、これの昨年の実績はどうなっているか、それから三十九年度において地方計画はどうなっているか、それから地方財政計画の中にこれはどういうふうな形で織り込まれているか、そういうような点をまず伺いたいと思います。
  95. 立田清士

    ○立田説明員 三十八年度のいま御指摘の特定局の局舎の関係の地方債でございますが、現在予定されておりますものは三十八年度で百七十九局、二億六千七百七十万、関係いたします県は二十七府県、こういうことになっております。  それから第二点の三十九年度でございますが、三十八年度も同様でございますけれども、三十八年度一般単独事業ということで起債の地方計画の関係は一般単独事業債としての地方債、こういうことになっております。三十九年度につきましては、これが実施されるかどうかという問題が別にあろうかと思いますが、地方計画の関係でいきますと、一般単独事業債の関係になろうかと思います。私らのほうで郵政省からお話を聞いております数字では五億円の見込みだということであります。  第三番目は、ただいま申し上げましたとおり、三十九年度地方計画におきます一般単独事業債は九十五億円ということになっておりますので、この一般単独事業債の内容につきましては、地方財政計画の関係では九十五億円という一般単独事業債として計上される、こういうことになろうかと思います。
  96. 安井吉典

    安井委員 君が伺ったのは、歳入の面はいいわけです。歳出についてはどういうふうな扱いになっていますか。
  97. 岡田純夫

    ○岡田説明員 ただいま地方課長が申しましたように、歳入につきましては計上いたしておりますとともに、新規分についてもやはりその償還分を織り込んでおります。既定の現在高の償還分に新規発行計画の償還分を見込んで織り込んでおりますので、それは当然計上いたしております。
  98. 安井吉典

    安井委員 その支出の分は歳出の区分のどの費目に当たっているわけですか。五億を借りて五億で建てるわけですね。都道府県は五億を支出するわけでしょう。それは歳出の費目のどれに当たっているかということを伺っているわけです。
  99. 柴田護

    柴田政府委員 財政計画上は単独事業費の財源でございますから、一般的には投資的経費の単独事業費になるものでございますけれども、転貸債の場合になりますと、国庫補助負担金を伴うものという項目の次に国庫補助を伴わないものというのがありますが、一般行政経費の中の国庫補助負担金を伴わないもの、ここに入るのではないかと思います。
  100. 安井吉典

    安井委員 それで大体どういうふうな扱いになっておるかだけはわかったわけでありますが、郵政省からおいでになっておりますので伺いたいのですけれども、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律によって、いまの原資の運用がなされておるのだろうと思います。ところでこの旅費をストレートに特定局長に貸し出すということはできないわけですね。
  101. 泉秀則

    ○泉説明員 ただいまの特定郵便局舎整備の起伏の関係は、運用に関する法律の第三条の二の地方債の項目に入ると思います。後ほどの個人に直接貸せるか貸せないかという点でございますが、現在、個人に簡易保険の金を貸し出すのはいわゆる契約者に貸し付けする以外はできない制度になっておりますので、特定郵便局舎の所有者に直接貸すことは法律上できないことになっております。
  102. 安井吉典

    安井委員 直接貸すことはできないが、間接に貸すのなら差しつかえない、こういうことですね。
  103. 泉秀則

    ○泉説明員 つまり運用は、個人に貸しますのは契約者の貸し付け以外は、この運用の法律に規定する対象以外の運用はできないことになっておるのであります。その中にそういう特定郵便局舎の所有者に貸し付けるという制度がございませんから、個人に貸し付けないと申し上げたのでございます。
  104. 安井吉典

    安井委員 個人に貸すことはできないけれども地方公共団体を通してなら形の上では違法ではないのですね。そういうふうな解釈で、ただ単に地方公共団体の本来の目的を逸脱したような方向をとらせてまで郵便局長個人に貸し出そうという考え方自身に私は矛盾があるように思うのですが、いかがですか。
  105. 泉秀則

    ○泉説明員 特定郵便局舎の整備ということが現在の地方住民の福祉という観点から、そのような起債をされることは適当というか、妥当という考え方自治省と協議したのであります。
  106. 安井吉典

    安井委員 最初から転貸目的で運用するという考え方ですね、いまの運用のしかたは。つまり何とかして郵便局長に貸したいのだが、方法がないから、一応地方公共団体を通してやるんだ。初めから転貸の目的というものが明らかになっておって、それを貸し付けようとする考え方、つまり個人に貸すことはできないと言いながらも、一応回り道は経ながらも、それをやはり個人に貸しておる。そういう趣旨はこの簡保年金の積立金の運用に関する法律の趣旨に違反はしませんか。
  107. 泉秀則

    ○泉説明員 こんどの転貸債の問題につきましては、結局特定郵便局舎の老朽、狭隘のものを急速に整備いたしますためにはどのような方法がいいかというような観点から、法律に書いてありますが、第一条の運用の目的にも違反しないそういう郵便局舎を整備しますことが、一応地方住民の福祉の増進にも貢献するような関係から、地方債によりましてやるということにつきまして、妥当と考えたのでございます。  なお、簡易保険の運用の金は、法律に規定されました制度あるいは機関に逆用するのでございますが、その金がそれぞれの機関の目的に応じまして使われておるのでございます。
  108. 川村継義

    ○川村委員 関連して。いま、安井委員と当局との論議を聞いておりまして、その前に一言聞いておきたいと思います。財政局長にお尋ねいたします。  地方財政法には地方債の制限条項があります。第五条ですか、その一項二号に出資金、貸し付け金等々についていろいろする場合には、その限りでないとかいう文句があります。この特定局舎に金を貸す、県が地方債を受けてそして金を貸す。この県が地方債を受けて金を貸そうという場合に、個人なんかにも県は地方債を受けて金を貸せるのですか、個人に、州は。
  109. 柴田護

    柴田政府委員 一般的には地方団体が処理することができる。もっとはっきり申しますと、公共性のあるもの、こういうものに対する姿として県が考えます場合は、貸し付け金の対象となし得ると考えております。
  110. 川村継義

    ○川村委員 私が率直に聞きたいのは、こういう地方債を受けて貸す、その場合に対象が個人であっても地方債を受けて貸し付けられるか、そういう資金にできるか、こういうことです。
  111. 柴田護

    柴田政府委員 貸し付けることができます。
  112. 安井吉典

    安井委員 いま、川村委員から質問がありました、つまり都道府県あるいは市町村等が借りたものを個人に貸し付けている例はどういうのがありますか。
  113. 柴田護

    柴田政府委員 過去におきまして個人に対しまするものとしては、農山漁村住宅の改修事業がティピカルなものであります。現に行なっておりますものについては、水洗便所関係の資金、それからもっとポピュラーなものとしては母子福祉貸し付け金、これは形の上ではやはり地方債になるわけであります。
  114. 安井吉典

    安井委員 これからいろいろ財政法やらあるいは自治法との関連について、もう少し伺っておきたいと思うのでありますが、まず初めに地方債の許可方針、これは昭和三十九年度については御決定になったようでありますが、ひとつこれはあとで資料として御提出いただきたいと思うのですが、どうですか。
  115. 柴田護

    柴田政府委員 決定いたしましたので、後ほど拠出することにいたします。
  116. 安井吉典

    安井委員 その許可方針は、私は、大体例年ずっとやっておられるものと基本方針についてはそう変わりがないのではないかと思うのですが、どうですか。
  117. 柴田護

    柴田政府委員 基本的にはそう大きく変わっておりません。
  118. 安井吉典

    安井委員 許可方針のいままで実施されておりました趣旨と、いまのこれとはそう違反することはありませんか。
  119. 柴田護

    柴田政府委員 この問題は少し特殊な問題ではございますけれども、必ずしも大きく抵触しているというふうには考えておりません。
  120. 安井吉典

    安井委員 従来は、古いものを調べてみますと、私有財産の改良または復旧に関する事業に関しては、原則として起債を許可しないものとする、こういうような規定が三十七年度ころまではあったように記憶しておるわけです。去年からその一つの基準を省いておられるようでありますが、これはおそらく私はまだ拝見をしておりませんけれども、ことしの許可方針の中にも、やはり私有財産の改良復旧事業に対する原則として、許可をしないという方針はやはり省いておられるだろうと思うのです。おそらくそうでしょう、どうですか。
  121. 柴田護

    柴田政府委員 そのとおりでございます。
  122. 安井吉典

    安井委員 そういうことは、結局いまの簡保債を地方債の中に受け入れるという趣旨の目的のもとに、その措置がとられた、そういうわけですね。
  123. 柴田護

    柴田政府委員 従来の規定につきましては、地方公共団体事業主体となりまして私有財産の改良等をやる場合、こういったものについては起伏を許可しない、こういう形をとってきたようであります。三十八年度の許可方針でこの規定を省きましたのは、それは当然のことでないかというので、省いたようでございます。
  124. 安井吉典

    安井委員 そのほか三十八年からは財政局長の通達によりまして、記の四ですか、そこで一件当たりの都道府来の貸し出し基準に例外を認めておられるわけですね。千五百万円という例外を破った規定を三十八年からお置きになった。これは三十九年もそのつもりでおやりになるわけですね。
  125. 立田清士

    ○立田説明員 都道府米の一件限度額、起債できる限度額は千五百万円になっております。それで貸し付け率の関係につきましては、三十八年度も例外の扱いをいたしておりますし、本年度も同様ということに考えております。
  126. 安井吉典

    安井委員 私は、いまのこの措置は、いままで自治省が地方債についてとってきた方針について、三十八年度から大幅に曲げるという措置を講じられてきたということを、いまのこの許可方針その他の通達からうかがうことができるわけであります。はたしてそれだけの緊要性を持つ事業であるのかどうかということになると思います。簡保債そのものの性格論もあります。これは先ほどもちょっと論議をして、そのうち関連質問が出たものですから、財政論に入ってしまいましたけれども、しかし地方財政という立場からいって、ワクが狭くて、地方公共団体が借りたくてもそれを拒否されている、流動率の低いような段階において、それまでの基本方針を曲げてまで、この簡保債の転貸債の問題を受け入れなければならないほどの緊急性や必要性があったのかどうか、これが一番私は問題だと思うのです。その点はいかがですか。
  127. 柴田護

    柴田政府委員 特定郵便局舎の整備の問題につきましてはいろいろ問題がございましょううけれども、主管省である郵政省のほうでこの事業一つの姿としてやるんだ。しかも国全体としての責任者の立場からやるんだということで、ぜひ、こういう方法しかないと協力を依頼されたわけであります。私どももいろいろ検討をいたしまたが、そのやり方自身についていろいろ問題旭があるようでありますけれども、しかしながら、国として責任省がそういう立場でこの事業の緊急性を認めて、こうやりたい、協力を頼むというとでございまして、金額もそう大きな金紙ではないということでこの依頼に応ずることにいたしたのでございます。
  128. 安井吉典

    安井委員 行政局長もおいででございますが、地方公共団体が金を借りて、それで局舎を建設するというこの仕事は、地方自治法の自治体の事務としてどれに該当するわけですか。
  129. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 この点につきましては、おそらくお尋ねの点は、地方自治法の第二条の第九項におきまして地方公共団体は、次に掲げるような国の事務を処理することができない。」というここのところに抵触するかどうか、こういうお尋ねかと思います。ここで「郵便に関する事務」と書いてございますのは、郵便の業務そのものを申しておるものでございます。したがいまして、今回のことは個人の持っております郵便局舎の改築につきまして、地方公共団体が行なう貸し付け事業でございまするから、直接「郵便に関する事務」ということには該当をしないというふうに考えておるわけでございます。地方公共団体といたしまして、そうした貸し付け事業を行なうことができるかどうかということにつきましては、地方公共団体といたしましては、地方公共の福祉に資することでございますれば、そのような事務ができるわけでございますから、その点では抵触するものではないというふうに考えております。
  130. 安井吉典

    安井委員 第二条の第二項それから第三項の規定の解釈については、どういうふうに理解すればよろしいわけですか。
  131. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 第二条の第二項で、申しますと、「その公共事務」ということに該当すると思います。  それから第三項は、これは例示でございますから、必ずしも網羅的に尽くしていないわけでございますが、その例示の中で申しますれば、第一号で「地方公共の」云々「福祉を保持すること。」ということがございますが、これに該当すると考えてよかろうと思うのでございます。
  132. 安井吉典

    安井委員 自治省の御理解によりますと、特定郵便局の局舎を建てることは地方公共団体の固有の事務であって、それが住民の福祉につながるから当然の事務としてやっているのだ、こういう考え方のようですね。しかし、そこまでこの地方公共団体の固有の事務という範囲を広げてそれでいいものでしょうか。それは言えば言えるでしょう。とにかくその県の中にある一木一草、ことばはちょっとおかしいですけれども、石ころの果てまで、ごみくずの果てまで県の仕事かもしれません。しかし郵便局の局舎の問題は、国が当然やらなければいけない仕事ですよ。たまたまいま法律的に郵便局長の個人の所有ということにさせている、そういう仕組みが問題なんですけれども、それはあとで触れますが、そうだからといってここまで固有の事務の範囲を広げるということに私は問題があると思うのです。かつ住民の福祉に通ずると言いますけれども一般単独事業債ですか、この総ワクは去年も九十五億円、ことしも九十五億円、総ワクは変わりがないわけですよ。だから私は、この少ないワクの中で地方公共団体はあれもしたい、これもしたいといって自治省に持ち込んでいって、それをみんなはねられてしまう。だから私は、この狭いワクの中で郵便局のほうに五億切ることは、むしろ住民の福祉に反するのじゃないかと思うわけです。住民の福祉に適合するたくさんな作業を抑えつけて、郵便川のその仕事に向けていく。これは私は明らかに趣旨からいっても住民の福祉を守るどころか、住民の福祉をそこなう措置ではないかと思うわけです。大臣の御見解をひとつ伺いましょう。
  133. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほどから御議論を承っておりますと、私はやはりこういう資金を個人に転貸しすることは本質的に好ましくないと思っております。がしかし、先ほど財政局長が苦しいところを述べましたように、やはり郵政関係の資金を地方自治の面で使います場合においても、役所同士の間でいろいろないきさつもありますし、これを流す方法がほかには見当たらない。しかも郵便業務というものは、言うまでもなく非常に公共性の強い事業でございます。法律を調べてみたら、これは違反でもない、先例もあるということで了承したわけでございまして、私はこういうことは将来研究しなければならぬというふうに考えております。それはお説のとおりでございます。そこにはやはり深いしさいもございますので、これは御承知いただいてると思いますけれども、この際将来の検討に待つことでひとつ御理解をお願いいたしたいと思います。
  134. 安井吉典

    安井委員 簡保の運用の面として私ちょっと申し上げたいわけでありますが、なるほど地方債の原資として簡保の賞金が使われていて、非常に大きく貢献をしていることは私は事実だと思うのです。しかしながら、それだからといって、その簡保の資金を扱うのは郵便局で、しかも特定郵便局が散らばっていて、簡保の資金や年金を一生懸命苦労して集めているのは郵便局です。これは、おれのほうの役所だから、おれは金を貸すのだが、直接おれのほうへ貸すわけにいかないから、自治省のほうの窓口でうまく貸し出すような道を講じてくれ——私はこれは自治省のほうから持ってきた問題とはどうしても考えられないのです。しかし、資金をお持ちであるところの簡保のほうが、金貸し根性とは言いませんけれども、資金を持っているほうが強いですから、そういうような立場で問題をこういう複雑な形で持ち込んできているのではないかと私は思うわけです。トンネル融資というような形で問題を持ち込んでいるのではないかと思うのです。そういう点に大きく問題があるように思うのですが、いかがですか。
  135. 泉秀則

    ○泉説明員 特定郵便局舎の先ほど申しました老朽、狭隘の度合いの点でございますが、現在特定局舎が一万四千六百ほどございまして、そのうら昨年の末で調べますと、四千八百くらいが相当古かったりあるいは狭くなっておるのでございます。それでこれを国でも改善ともいいますか、国費で改善をやっているのもあるのでございますが、これは約千局くらいで、残る三千八百くらいは私費で改善する。これは十カ年で改善していく計画は一応持っておるのでございます。その場合に三千八百のうち、千数百局をこの制度で改善していきたいという緊急特定の特定郵便局舎の整備計画をつくりまして、それに対しまして自治省のほうに相談しまして融資するのに簡保のほうとしましては、住宅金融公庫とか中小企業金融公準とかいろいろほかの機関に現在資金がいっておりますので、それらの資金を借りる道等につきまして検討したのでございますが、なかなかそこには困難な問題があるようでございまして、自治省に相談しましたところ、先ほど自治省から回答がありましたように、現在の地方制度の中で実施できるということになりまして、実施をお願いしたような状態でございます。
  136. 安井吉典

    安井委員 これは実施ができるということですよ。できるという一つのそれだけの可能性があるということと、やっているということとは、私は別だと思うのです。あくまで地方自治体立場で福祉を考えていくという自治庁の立場が、ただ法律に住民の福祉ということばがあるから、その福祉ということばに当てはめれば当てはめられる、そういうことで問題の本質をゆがめてしまうということでは、全然私は話にもならないのじゃないかと思うわけです。きょうはもう時間がありませんが、この問題は口をあらためて、もり少し深く入った論議をしなければ、今後の地方財政における重大な問題である地方債の逆用方針の方向を誤るおそれがある、かように考えますので、きょうはこのくらいにして、ひとつ次会にさらに深く検討を進めさしていただきたいと思うのですが、しかし大臣の先ほどの御答弁は、新任早々で将来の地方自治の方向をしっかり確立するのだ、こういうふうな意欲的なお気持ちから出たような御答弁ではなしに、たいへんな慎重論のように承るわけでありますが、大蔵大臣のほうは、こういうようなやり方はやめようというふうなことを別の場で言われているということも私は聞くわけでございますが、この問題は、地方債の中に持ち込むべき問題ではなしに、こんな簡保債の資金は、国から出して、もし国が直接どうしても出さなければならないなら、貸すとか何か別な法律をおつくりになるような形でやるなり、あるいは根本的には特定局そのものを国の運営という形にはっきりしていく、こういうような基本的な解決、そういうことでなければ、私は問題の解決にならないと思うわけであります。どうでしょう、大臣、ひとつ御決意を伺いたいのです。
  137. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど事務当局の説明しておりますとおりに、私自身も好ましいことではないと考えております。しかしやむを得ない事情については、御了解を得たわけですが、今後こういうことが例となって、ただ住民の福祉ということのために、あれもこれもということになれば、御指摘のような弊害がたくさん出てくることが予想されますので、こういうことが行なわれないように、将来に向かって十分検討いたしたいと考えております。
  138. 安井吉典

    安井委員 そういうことではどうも少し弱いのですが、大蔵大臣ははっきり言っておりますよ。こういうことではだめだという、そういう方向がございますから、ひとつぜひやめるという方向で御検討を願いたい。  時間がなくなりましたので、もうほかの問題は触れませんが、私は特に地方公務員給与の問題をこの交付税の問題に関連していろいろ論議したかったわけでありますが、時間がまいりましたので、やめますが、資料として最近における都道府県職員、市町村職員給与実態についてのお調べをひとつ御提出いただきたいと思います。その内容については、また後ほど具体的にお打ち合わせもしたいと思いますが、特に町村職員が、きわめて低水準のままに置かれている実態があるやに聞くわけでございますが、そういう点にもひとつウエートを置いた資料を作成していただきたいと思います。
  139. 森田重次郎

    ○森田委員長 他に質疑はありませんか。——なければ本案についての質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  140. 森田重次郎

    ○森田委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  141. 森田重次郎

    ○森田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。ただいま議決されました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 森田重次郎

    ○森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  143. 森田重次郎

    ○森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時六分散会