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1964-04-03 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月三日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    大西 正男君       奧野 誠亮君    亀岡 高夫君       久保田円次君    武市 恭信君       登坂重次郎君    森下 元晴君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    重盛 寿治君       千葉 七郎君    華山 親義君       細谷 治嘉君    門司  亮君  出席政府委員         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      若松 栄一君         自治政務次官  金子 岩三君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     山本  悟君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣  提出第九二号)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    ○森田委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 私は地方交付税法等の一部を改正する法律案地方財政計画等の関連におきまして君子の質問をいたしたいと思います。特に前回、府県関係交付税について主として御質問いたしましたので、今回は市町村単位費用等中心といたしまして御質問したいと思います。  順序が若干変わってまいりますけれども厚生省公衆衛生局長さんがお見えになっておるようでありますから、日本住血吸虫病の問題についてまず御質問をしたいと思います。  昭和三十二年に寄生虫病予防法の一部が改正されまして、それに基づいて十カ年計画予防対策、こういうものが講じられてまいったのでございますが、その十カ年計画が三十八年でどの程度進んでおるのか、その効果はどの程度あったのか、まずこの点からお尋ねいたします。
  4. 若松栄一

    若松政府委員 日本住血吸虫病対策につきましては、予防対策と根本的な対策とがございます。予防対策といたしましては、流行病のあります地方健康診断を行なって患者を見つけ出す事業、それから感染を防止するための事業といたしまして、感染地域に入る方々に皮膚に薬を塗布したり、あるいは治療するために、特殊なスチブナールという薬を飲ませて治療しまして、あるいは農閑期あるいは収穫期あとに、溝渠の清掃、それから薬剤の散布、それから火炎放射器等によるやぶの焼却等によりまして、中間宿主である宮入貝の撲滅をはかる予防事業というものと、さらに根本的な対策といたしまして、宮入貝が生息できなくするような溝渠コンクリート化という三種類の事業がございます。したがって、進捗状況ということになりますと、根本的なコンクリート化事業かと思います。コンクリート化事業は現在までのところ・約四八%の遂行率でございます。残りが約半分以上あるという状況でございます。  なお、その効果につきましては、たとえば佐賀県で仕事を始めた前年の三十一年に二百九十五名患者が発生いたしましたが、三十八年には五十二名に減少いたしております。また、その他の県におきましては、福岡県におきまして、三十一年に七百七十六名の患者がありましたが、三十八年には七名しか患者がいないということで、効果はきわめて良好だったと存じております。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ患者という問題でございますけれども検便等で発見される患者の数というものと、実際のこの吸虫病にやられておる人とがおおよそ十倍くらいになるのではないか、こういわれておりますが、いまおっしゃったのは検便等で発見されて確認されておる人たちだけですか。
  6. 若松栄一

    若松政府委員 お話しのように新たに発見され届け出をされた数でございまして、新発生の数でございます。おっしゃるようにこの病気は非常に慢性の病気でございますので、古い患者を集めますとかなりの数にのぼってまいります。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 ところでお尋ねいたしたい点は、ただいまの御答弁で十カ年計画すでに七年を経過したわけでございますけれども、約四八%程度進んでおる、こういうことでございますけれども法律では十カ年計画は三十二年度から十カ年ということになっておりまして、もうあと三年しかございません。それなのにまだ半分までいっておらない、こういう現況でございますが、これはどういうふうにするおつもりでしょうか、お尋ねいたします。
  8. 若松栄一

    若松政府委員 お話しのように、この法律による溝渠化補助は十カ年で期限が切られております。したがいまして、私どもできるだけこれを促進してまいりたかったのでございますけれども何分にも実施対象が比較的小さな市町村ということになりますために、その財政能力から見まして、膨大な建設費を支出することがなかなか困難でございます。そのために事業がおくれてまいったわけでございますので、いよいよ最後にこのように残りの分がしわ寄せをしてまいりますと、なおさらこの後が事業量の拡大によって困難が伴ってまいりますので、この方面にできるだけ手当てを厚くして、できるだけ市町村がやりやすいような配慮をいたしたい、たとえば従来補助単価等実施の場合の単価よりも若干低目であったというような点は、今後は実績単価を尊重するような形でやっていく、また裏財源といたしまして、補助金以外の財源としては起債あるいは特別交付税交付金等手当て自治省等にお願いいたしまして、十分手当てをしていくというようなことをやりまして、できるだけ市町村がやりやすいような形をとっていきたいと考えております。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ四割七分程度と私は承知しておるのですが、四割八分ということでございますが、あと三年しかございません。ところでお尋ねしたい点は、この十カ年計画を立てる場合に、現在対象になっておるのは縦横一メートル以下の溝渠、こういうことになっております。ところが縦横一メートルの溝渠の十カ年計画で織り込まれたものはその八割にすぎない。二割というものは残っております。しかもあと三年なのに、三分の二以上過ぎておるのに、事業量は半分以上残っておる。しかも十カ年計画に織り込まれない二割という事業が残っております。そのほかに根本的にはこの問題に対処するためには、現在進められておる筑後川改修工事、これの護岸によって宮入貝が生息できないようにしなければならぬ。これは筑後川改修計画でその辺が考えられておるようでありますから片づくと思う。ところがあの筑後川流域には、縦横一メートルの溝渠と、筑後川を結ぶ無数のクリークがございます。ため池がございます。そこに宮入貝が住んでおります。そうなりますととてもいまの十カ年計画では、十カ年計画そのものに問題があるばかりでなく、十カ年計画をさらに伸ばして残りの二割、それから筑後川は別として、筑後川と結ぶクリークなりあるいはため池等に対する予防対策を講じなければならぬのではないか、こう私は思います。あの地域では、局長さん御承知かと思いますが、こういうことがある、戦争前のことです。久留米市の北のほうに宮の陣という村がございます。そこにお宮がございます。お宮の横にクリークがございます。そのクリークを小学校の生徒が渡るのです。お祭のときに渡ると徴兵検査にとられない、こういう伝説があるのです。どういうことかと言いますと、当時はわからなかったのですけれども、渡りますと宮入貝が住んでおって日本住血吸虫病にやられる、そしてからだの発育が悪いので徴兵検査にとられないのだ、こういうことですね。そういう事情もあるほど深刻な問題なんですが、せっかくここまでやっきた、残り事業はどうするかという問題がございますが、こういう点についてどうお考えなのかお尋ねします。
  10. 若松栄一

    若松政府委員 お話のように、私どもが当初考えました条件と、かなり条件が違ってきたようでございます。私どもは当初はどこまでもあぜというものを対象にいたしまして、あぜコンクリート化すべきだということが基本でございましたが、その後お話のように特に筑後川みたいな大きな河川流域になりますと、川とたんぼを結ぶクリークというようなものが出てまいりまて、それがほとんど河川改修に相応するようなものが出てまいったわけでございます。私どもの最初の考え方は、せいぜい一メートル程度の幅のものというふうに考え計画してまいったわけでございます。事実また富士川の流域、あるいは広島県の片山地方というものは大体川の上流でございますので、そのようなことで大体満足できたわけでございますが、筑後川の下流だけはお話のように若干事情が変わっております。そのために最近はかなり大きな幅のものもこの対象に取り入れようということで、従来、初めは単価を均一にしておりましたけれども、これを十段階ぐらいに分けまして、大きいのは四メートル幅くらいのところまでもやれるように、現在は実施しております。しかしきわめて大きなクリークというものと、河川ということになりますと、はたして住血吸虫病対策溝渠であるのか河川改修であるのか、その辺のところも最後にむずかしい問題が残ってまいるのではないかと私ども心配いたしておおります。  なお、三年間を残すのみで、なお半分以下の進捗率であるということについては私どもも十分考慮いたしまして、万一この三カ年で工事が完成できない場合には、やはり何らかの措置を講じなければならぬであろうということは考えております。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 これは後ほど自治省にお尋ねしたい点でございますけれども、先ほど局長さんのおことばでは、いままでの七年間を見ると地方財政負担能力、こういう問題があって、七年間やったけれどもわずか四八%しか進んでおらぬ。その四八%というのは縦横一メートル以下の溝渠だけの八割しか見ておらぬ。残りの二割というものは残っておるわけですね。さらに筑後川河川改修は、これはいま根本的なことをやっておりますから、それはそれでけっこうです。護岸がびしゃっといっておりますから宮入貝が生息できなくなるでしょう。問題は今度は筑後川と小さな縦横一メートルの——いまだんだん大きくしたと言っておりますけれども、その間にクリーク、それから池沼のようなそういう地帯がございます。そこに宮入貝が住んおるのです。そういう対策をどうするかという問題でございます。問題は二つ、いままでの事業対象をどう消化するかという問題と事業対象になっておらない二割の問題、それと河川との間を結ぶクリーク沼沢地をどうするか、この問題についてどうお考えになりますか、ひとつ具体的にお聞かせ願いたい。
  12. 若松栄一

    若松政府委員 二割の残存部分があるとおっしゃいましたけれども、それは確かでございます。これは当初計画いたしましたのが十年前でございますので、その当時の経済成長の問題や、あるいは農地宅地化という問題、都市化という問題、農地改良の問題あるいは河川改修の問題というようなことで、ある程度のものは従来のような形のままでたんぼが温存されないだろう、形が変わっていくであろう。そのために不必要になる分があるのじゃないかというようなことも見込まれたようでございまして、それらの点が今度進捗いたしました状況においてどうしても必要があるということであれば、再検討を加えなければならぬであろうと考えております。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 あるいは局長さんは現地を御承知ないかもしれないけれども、たとえば筑後川をはさんで福岡県側、あるいは佐賀県側、しきりにいま宅地化されております。しかしこの宮入貝生息地というものはそう従来と変わっておりません。かりにその残りの二割というのが若干減っていくにいたしましても、この問題はどうしても現実的に解決しなければならぬと同時に、十カ年計画で立てられたと同じくらいの金額——十カ年計画では佐賀県の場合は約四億円、こういうことですね。福岡県のほうもございます。そうするとそういうクリークというのは工事が大きくなりますから、今度は相当単価が高くなります。そうしますと金額的にもいままでの十年計画と同等かあるいはそれ以上の金額が必要ではないか、こう思います。二十八年の大水害、その後の水害ごとに、この宮入貝生息地域が広がっておる、いわゆる吸虫病流行地域が広がっておるというのが現実です。この際徹底的にやらなければならぬと思うのですがどうも局長さんのおことばではきちんとした御方針をおっしゃらないので、重ねてお尋ねします。これはやはり根本的に、拔本的に予防を講じなければならぬ問題だろうと思うのです。いかがですか。
  14. 若松栄一

    若松政府委員 お話のように、現在なお不十分な点があることは承知いたしておりますが、何分にも当初から私ども農地改良とか、あるいは治水問題というような考え方は全然考慮に入っておりませんでして、きわめて少さな、普通に農業をやる場合にたんぼへ素足で入っていく、そのたんぼに直接関連しているあぜ道みぞというようなところだけを考慮に入れておったわけであります。この結果、さらにこういう河川改修というような形のものになってまいりますと、はたして寄生虫予防法だけでやるべき性質のものなのか、あるいは土木関係事業として考慮さるべきか、そこらのところにまだ疑問が残ると実は思っておるわけであります。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 筑後川のこの問題に関する要改修延長は、七千九百メートルあるそうです。それから県費支弁河川が四万一千五百メートルあるそうです。これは全く対象になっていないのです。そのほかに県費支弁河川でないクリークがあるのです。これはもう工事としてはたいへんなことなんです。しかしどうしてもこれをやらなければならぬ。宮入博士がこの貝を発見したのも、いまおっしゃった縦横一メートルで足るようなそういう水路ではなくて、クリークの草むらから発見しておるわけですね。そういう点からいって、むしろ敵は本能寺、その根源をやらなければ中途はんぱになるのじゃないか、これは河川の問題だといいますけれども、たとえばクリークだって耕地整備土地改良か何かでやれる問題です。あえて風土病といわれているこの問題に厚生省が取り組むわけですから、積極的にこの問題の根本的な対策はやはりやり遂げなければならぬ課題だと思いますが、いかがですか。
  16. 若松栄一

    若松政府委員 先ほど来いろいろお話を承りましたように、この十カ年計画にはなお現在かなり問題を含んでおります。期間の問題もそうでございますし、対象をどこまでに限定するかという問題もございますし、また財政上の措置をどうするかという問題もございますので、おそらくこの三カ年間で完全に満足すべき状態に到達することは不可能だと思われますので、あと三カ年間を控えまして、新たな検討をなすべき段階にあるものと私ども考えております。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 新たに検討をなすということでありますが、さらにその法を改正しまして、新たにまた十カ年をやらなければならぬ事態にございますから、検討し直すということでありますが、済まないのですからやらなければいかぬ、しかもなかなか事業は進まぬという現況でありますから、あらためてまた十カ年計画を、実情に即するような計画をお立てになる決意がおありかどうか、お聞きします。
  18. 若松栄一

    若松政府委員 私ども十分実情をよく検討の上で、新たな計画を立ててみたいと考えております。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 ぜひそうしてもらいたいと思います。いま私が申し上げたように、二割の問題については、宅地化等の問題がありましょうから、その実情もかみ合わせまして、そしていま申し上げましたような県費支弁河川、それ以外のクリーク、池、そういう問題がやはり重要な問題で、これに予防対策を講じない限りは、この日本住血吸虫病といういまわしい一種の風土病といわれるものは根絶できないと思うのです。ぜひそうしていただきたい・こう思います。  次に御質問いたしたい点は、三十九年度の地方病予防費の国の補助金を見ますと、予防費としては五百七十万円、昨年の六百二十四万九千円に比べますと減っております。ところで、事業費である地方病予防施設費補助というのは一億三千百二万五千円と、昨年の八千五百万と比べますとかなり大幅にふえております。そこでお尋ねいたしたい点は、この一億三千百万円というのは全部日本住血吸虫病補助であるか、その他の寄生虫予防関係施設費補助も含めてあるのか、お尋ねします。
  20. 若松栄一

    若松政府委員 一億三千百万円は、みぞ改修のためだけの補助金でございまます。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 あと三カ年で五〇%以上を消化するということで、補助金というのは非常に大幅にふえたことはけっこうでございますけれども、これには二倍の負担金地方に起こってくるわけなんですが、これについて具体的に、先ほどのおことばでは、自治省起債なり交付税で、こういうお考えであったようでありますが、具体的にはどういうことで自治省との間に煮詰まっておるのか、お聞きいたします。
  22. 若松栄一

    若松政府委員 本年度の予算が大体内定いたしました直後に、直ちにこの問題について自治省財政局長のほうにお願いいたしまして、起債裏づけ並びに特別交付税交付金等裏づけをしていただくようにお願いをいたしてあります。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 お尋ねいたしますが、これについては法の形は三分の二が県費で支弁する、あとの三分の一顧を国で見てやる、こういう形になっておるようであります。いずれにしても三分の一が国、三分の一が県、三分の一が市町村、こういう形になっております。そうしますと、端的に申し上げますと、県は一億三千百万円、事業費単価等一〇〇%見たとして一億三千百万円、零細な市町村が一億三千百万円という金を負担しなければならぬということです。これは今日の市町村財政ではたいへんなことですが、この補助率をふやす御意思はございませんか。端的に申し上げますと、厚生省補助率というのを見ますと、一般的には府県の場合には二分の一、市町村の場合は三分の一という補助率が多いのです。府県市町村補助率の差をつけているという問題もございますが、補助率をふやすというお考えがございませんかどうか。またいまの二分の一と三分の一と差をつけてあることについてはどういう理由なのかお尋ねいたします。
  24. 若松栄一

    若松政府委員 私ども公衆衛生関係事業につきましては、市町村で行なうものと、県で行なうものとがございます。したがって県で行なう事業につきましては国が二分の一、県が二分の一、折半ということが原則であり、市町村が行なう事業につきましては、この地方病でありましょうがあるいは伝染病仕事でありましょうが、すべてこれは市町村と県と国が三分の一ずつ負担するという方針でやっておりますので、この例だけを特別にやるということはなかなか困難であろうと思いまして、従来からその御意見は出ておりますが、遺憾ながら達成いたしておりませんので、今後もそう容易なことではなかろうと存じております。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 重ねてでありますけれども、こういう問題は局部的な問題でございますけれども、事は非常に重要なんですね。いつの間にか腹がふくれた、いつの間にか元気がなくなった、いつの間にか——適切なことばではありませんけれども甲種合格のような体格にならなかった、本来ならば七十年の寿命があるのが、いつの間にか死んでしまう、こういう実態なんですね。こういう点で、これは部分的でありますけれども非常に悲惨です。そういうことでありますが、こういう問題については、むしろ中心としては国の施策という形で取り上げるべきではないか。したがって三分の一、三分の一、三分の一というような、そういうことでなくて、もっと国の補助率負担というものを積極的に引き上げていくということが、この事業を推進するためにいいではないかと思うのですが、補助率を引き上げる御意思があるかどうか重ねてお尋ねいたします。
  26. 若松栄一

    若松政府委員 なるほど特定地方に限局された病気であり、また特定市町村にしか行なわない事業でありますので、市町村に特別な配慮ということも考え得るわけでございますが、何分いろいろな事業がありますので、この事業だけ特別の補助率をつくるということは結局ほかとの関係がございますから、一応補助率としては通常のとおりにやっていきまして、あとの部門でつまり裏財源といいますか、そういうような面でできるだけめんどうを見ていくのが遮断ではないかと存じております。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 補助率は上げられないけれども裏財源といわれるが・その裏財源というものはどういうものですか。
  28. 若松栄一

    若松政府委員 補助金以外で市町村負担しなければならぬものであります。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 具体的にはどういうものですか。補助金以外で市町村負担しなければならぬもので、どういうものを見ていらっしゃるのですか。
  30. 若松栄一

    若松政府委員 これも先ほど申し上げましたけれども、従来は私どものほうの考慮いたしておりました事業というものが、一メートル幅くらいの溝渠を、あぜ道に相当するくらいなものを考慮しておりましたが、だんだん幅が大きくなって、川になりクリークになってくるような状況でございましたが、私ども残念ながら単価がそれにつり上がって増加いたさなかったわけでございます。したがって、実質的には市町村持ち出し分というものができてまいったわけでございます。それで今年度は、できるだけそういうような負担をさせないために、実績単価を尊重してやっていくという方針でやろうということでございます。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 いまのおことばを返すようでたいへん恐縮ですけれども実績単価でやるのがあたりまえなんです。それを実績単価以下に見積もって、そして超過負担をしろというのが、地元としてあたりまえだという考えで対処されるということがたいへんなことなんです。そういう考えをぜひ改めていただかないといかぬだろうと思う。そういうことを裏で見てやっているということじゃなくて、実績単価をぴしゃっと見ていただいて、それに対する法律が三分の一なら三分の一というのを見ていただくというのが補助金のたてまえであり、負担金のたてまえだろうと思う。ですから、いまのおことばではこれは承服できません。さらに現実にそれをやっているところは、段階を十幾つかにしたと言いますけれども、十カ年計画の中では、縦横一メートルということになっておりまして、それはしかも八割の計画しかないわけですから、それで手一ぱいでありまして、そんな大きなところに手がつくような財政事情でありませんし、工事進捗状態でもないのです。ですから、実績単価に近づけるようにしておるということだけでは困るわけで、納得できないのですが、裏とは何ですか。
  32. 若松栄一

    若松政府委員 そのように、申し上げましたように、私どもの当初の構想というものと現実とがずれてまいりましたために、当初の構想予算を組んでおりましたものが、なかなか現実の進歩のほうに追いつかなかった。したがって、当初私どもが一メートル幅のものを考えておりましたときに、それが一メートル五十センチ、二メートルになって、われわれもそれを追っかけて二メートル、三メートルまで見ようとすると、さらに四メートルの工事が始まったというようなことで、私どもも追っかけ追っかけしてまいったのでありますけれども、遺憾ながらそれが追っつかなかったというのが、実情でございます。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで私は局長さんにお願いしたいことは、実績単価というものと、厚生省がおきめになる基準単価というものは、イコールでなければならぬ。そうしてそれに基づいて三分の一の負担というのが法定されておるならば、それをそっくり一〇〇%やっていただくというのが、補助負担のたてまえであろうと思うのです。これをぜひ貫いていただかなければならぬと思います。実績単価以下でやるのが当然なんだ、それを実績単価に近づけることは恵みなんだ、こういう考えはひとつぜひ排除していただきたい。しかも局長さんおっしゃるように、七年間やってまいった。その前にはみんな市町村の単独事業で三十一年までやっておった。相当の金をつぎ込んでおります。しかし幸い法律ができて、三十二年以降七カ年でやってまいりました。相当の効果をあげた。決定的な効果はあがったというのがこの七年間の実績が証明しておるのです。もう一息ですから、やはりこれは市町村負担できるような法定されたものでやっていただきたい。しかし、それでは現実にできないので、その裏で見てやるということじゃなく、そんなことばはないわけなんですから、ひとつさらに補助率等を上げていただくということが、この問題解決のために必要だというのが私の主張なんです。いかがでしょう。
  34. 若松栄一

    若松政府委員 計画の進捗がきわめて困難であったということも十分承知いたしておりますし、また今後三年間で完成するということの困難性もよく承知しております。したがって、できるだけ実情に合わせて将来の仕事がうまくいくように努力するという心がまえではおります。ただし、補助率引き上げの問題につきましては、これは及ぼしますところきわめて多大でございまして、私単独で早急に決定できる性質のものではございませんので、この補助率問題につきましては、意見を留保させていただきます。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 一億三千百万程度のものは、これは三分の一ということでありますから、これが二分の一になったからといってたいしたものじゃないのです。私は何も日本住血吸虫病のような問題ばかり主張しておるのではございません。駆虫の問題もございましょう。しかし問題が非常に大きく、しかも事業をやっておってかなりの効果をあげておりますから、これはやはり抜本的にこの問題について取り組んで解決していただきたい、こういう観点からお願いを申し上げておるわけであって、一億三千百万が、三分の一が二分の一になったからといって、補助率を上げたからといってどうだ。それはいまここでお答えできないでしょうけれども、ひっくり返るような大きな金額じゃないわけなんですね。したがって、私は、先ほどの裏ということばは取り消していただいて、交付税だ、あるいは起債だという、自治省におんぶする、自治省にしりぬぐいさせるという考えではなくて、厚生省の主管事項としてひとつこの問題に取り組んでいただく。しかも補助金についても、補助率についても、おっしゃるように、地元の負担が問題であって、七カ年やったけれども、四八%しかいっておらぬという実情なんですから、この点はぜひ考えていただいて、せっかくここまできた、解決にいくまでにはもう三分の一くらいの里程を歩んできているのですから、りっぱな成果をあげるように取り組んでいただきたい、補助率等もその際ぜひ考慮していただきたい、計画も引き続いて、ひとつ現状に即した第二期の計画を立てていただきたいということを強く御要望申し上げたいと思います。  そこで、自治省にお尋ねいたしたい点でございますが、一億三千百万というので、私が調べたところでは、一億三千百万では、残念ながらあと残すところ三カ年でありまして、十カ年計画を消化することができないと思うのであります。しかし、一億三千百万という負担が、農村をかかえておる貧弱な自治団体の負担として三十九年度に起ころうとしております。いまお聞きしますと、補助率を上げる決心はまだつかぬ、こういうことでございまして、自治省交付税なり起債等の御心配をしていただいておる、こういうお話でございます。自治省としても、どういうふうにこの問題に取り組んでまいったか、三十九年度は取り組もうとしておるのか、この点ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  36. 柴田護

    ○柴田政府委員 この問題は、先ほど細谷委員からお話がございましたが、私が財政課長をいたしておりました当時、いまから約十余年ばかり前から実はあったのであります。例をあげますと、山梨県をながめますと、毎年毎年特別交付税を算定いたします場合に、風土病というものを基礎にしてつけてきたのであります。十何年たってもまだ終わっていないのかというような、実はふかしぎな感じを持ったのであります。しかし承りますと、従来の事業の進捗がおくれておって、今後これを飛躍的に増大をして、少しでも計画を達成できるようにやるんだ、こういうお話でもございますので、三十九年度につきましてはその地方負担部分につきましては交付税なり、あるいは起債なりというものを通じまして措置をする、こういうことをお約束をしたようなわけでございます。いままでも見ていなかったかといいますと、いままでも地方債の場合は補助事業起債としてではございませんで、単独事業でございますので、いわば補助裏ではないかもしれません。補助裏を越えた超過負担分になるかもしれませんが、地方債でも若干見ております。地方交付税の配分につきましては、ごく特殊の府県でございますので、この問題につきましては、相当厚く見てまいっております。しかし、もちろん完全に見てまいっておるわけではございません。将来三十九年度におきましては、さらに地方対象市町村財政需要というものを見ていきながら十分事業がやっていけるように措置いたしたい、かように考えております。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題は非常に局地的な問題でございまして、これはどうかと思うのです。地元の市町村もどうかというと非常にやりにくい点があるんじゃないかと思うのですが、地元の市町村といたしましては、特別交付税等で配慮していただいておったけれども、これは福岡県、佐賀県あるいは山梨県あるいは広島県の一部にもあると言われておるわけなんですけれども、普通交付税単位費用等に織り込んでいただいて、普通交付税段階で見ていただくことが、事業を進めるために非常にいいんだという切なる声がございます。これについてどうお考えでございますか。
  38. 柴田護

    ○柴田政府委員 対象団体は御指摘のように山梨、岡山、広島、福岡佐賀、大体五府県市町村でございますが、その中でも全部ではございませんで、その中の一部分、したがって特殊の団体に限られておりますので、普通交付税という御意見があるそうでございますけれども交付税の性格からいいますと、単位費用に入れるべき問題としましてはやや極端過ぎるのであって、なじまない。現在、御指摘の経費の組み立ての中ではむずかしいかと思います。したがって、従来からも特別交付税の配分の際に、そういう地域におきましては、最重点事項に取り上げて配ってきておるわけでございます。おそらく、お話の点は事前にその措置が明確ではないから、特別交付税がいろいろ変動するものですから、非常に財源措置としては不安だ。したがってでき得べくんば普通交付税で見てほしいということに基づく御要望だろうと思うのでございます。そのお気持ちはわかるのでございますけれども、今日の単位費用の組み方、それから交付税の立て方からいいますと、むずかしいんじゃなかろうか。的確な措置をいたしますためには、やはりそういう不安はございますけれども、特別交付税における算定ということがやはり一番いいんじゃなかろうか、そういう気がいたします。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題につきましては、最後としたいと思いますけれども、岡山県、山梨県、広島県、福岡県、佐賀県、とこういうことでありますけれども、私のお聞きしておる点によりますと、先ほど公衆衛生局長さんからもお話があったように地形の違いがあるわけです。山梨県は全県的でございますけれども福岡県、佐賀県のようなクリーク地帯がない、こういう点で計画が非常に推進しやすい。こういう点も承っております。ところが佐賀県、福岡県になりますと有名なクリーク地帯であります。そういう点で非常に工事がしにくい。そうして端的に言いますと、縦横一メートルの基準のもの以外でなければおさまらない、効果が期せられないという事態が起こってきておるようであります。ところが山梨県等になりますと、地形上からそういうクリーク地帯というものがないのですから、縦横一メートルであれば大体においてその予防施策というものは期せられる。こういう地形上からくる事情の相違があるやに承っております。こういう点もとくと考えていただいて計画の樹立なりその財源付与に当たっては、主管省である厚生省はむろんのこと——地方団体の財政はいままでやってきたのでもたいへんなことなんです。なきの涙でそれをやっております。そういう実情でございますので、ひとつ計画樹立の問題あるいは財政の問題についても十分に実情を勘案して、しかも効果が、実績で上がってきておるわけですから、これにひとつ完全な対策を講ぜられるようにお願いをしたいと思うのです。日本住血吸虫病の問題につきましては以上で終わりまして次に移らしていただきます。  次に交付税の問題でお尋ねしたい点は、交付税府県市町村とになるわけでございますけれども、今度の三十八年度の特別交付税の配分にあたっては、市町村重点、こういう形で配分されたようでございますけれども、私は昭和三十年くらいから今日までの状態を探ってトレースしてみますと、財政需要額、収入額、交付基準というものの指数をトレースしてみますと、どうも府県に配分の重点が置かれ過ぎて、市町村特に都市、最近合併によりまして五百五十五程度の市ができて、日本人口の五割以上を占める段階になってまいっておるのですが、都市に対する配分が全般として立ちおくれているのではないか、軽視されているのではないかという気がいたすのでございますが、これについての所見をお尋ねします。
  40. 柴田護

    ○柴田政府委員 在来から都市の財政需要の算定につきまして軽視をしてきたのでは実はございませんで、重要視してきたわけでございますけれども、結果的には細谷委員御指摘のようになっておるかもしれません。それは財政措置をいたしまして基準財政需要額を計算いたします場合に、どうしても膠着性のある経費というものを重く見る。これは当然でございますけれども、その膠着性のある経費の最たるものがやはり給与費でございます。給与費は御承知のように、府県市町村の割合をとりますと、大体二対一の比率になっておる。給与改定が毎年行なわれてまいりますと、その給与関係の経費が膠着性の一番強い経費として見られておるわけでございますので、どうしてもそれが重くなってくる。しかしそのひずみは一ひずみといいますか、ほかのものが非常に重要になってきておるのに、それのみにこだわっておるわけにも参りません。漸次算定の方法の合理化を通じ市町村の基準財政需要額といいますか、財政需要額を適確につかむということに努力をしてまいっておるわけでございます。なかなかはかばかしくございませんけれども、しかしだんだんと合理化もしてまいっておる。三十九年度におきましては清掃事業等、これはおそ過ぎたきらいがあるかもしれませんけれども、ともかく私どもといたしましてはそういう方向で努力してきたつもりでございます。そういう意味合いから、そういう方向の市町村財政需要額というものをやはりつかまえていかなければいけないので、ひずみではございませんで、いままで見足りなかったところを早くつかまえて、ちゃんとした形に直したい、こういうように努力をしてきたわけでございます。私どもは、今日の地方財政状況を団体別に見てまいりますと、やはり都市の財政需要というのは、御指摘のように、非常に交付税の算定上まだ足りぬところがあるだろうと思うのでありまして、財政そのものから見ますと、年々の減税で、都市の伸長性のある財源がだんだんそこなわれるといいますと語弊がありますが、だんだん失なわれていく。一方、人口の増加その他行政水準の近代化等の要請から、非常に需要がふえてきておる。いま都市の財政は非常に困っておると思う。そういう意味合いで、三十九年度におきましても、もちろん十分ではないかもしれませんけれども、できるだけのことはいたすつもりであります。したがって、結果的にはどうなるかわかりませんけれども、やはり従来に比べますならば、市町村、しかもそれも都市の需要というものにつきましては、相当重点が置かれるということに結果的にはなるだろうというふうに考えております。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 その点に思いをいたされておるということはわかりますけれども、私が調べたところによりますと、三十一年を一〇〇といたしますと、基準財政需要額で三十七年の決算を見ますと、府県が二五八%になっている。都市は二一二、町村が二三七と、こういうふうに伸びておるわけです。これを見ますと、都市の場合が二一三で一番伸びが少ない。ところで交付基準額を見ますと、府県が三十一年を一〇〇として二九二になっております。都市が二六二、町村が三三〇、こういう形になっておるのです。そして超過額というのを見てみますと、府県は一二一五になっておるのです。それから都市は一五七です。町村は二四三、こういう指数になっております。このことからいいまして、何と申しましても府県に重点があまりにも置かれて、そして市町村、特にいろんな需要か——町村合併等によって新市ができて、そういう田園都市といわれるところにおける交付税の見方というのが軽視されておったということはいなめない事実ではないか、こう思います。試みに普通交付税段階における府県市町村の配分を見てみますと、三十一年が、府県が七に対して市町村が三です。ところが三十八年の再計算をする前の数字を見ますと、これは府県が六八・二、市町村が三一・八とあまり変わっておりません。若干改善の方向はございますけれども、いま申し上げたような財政実情というものを指数から見ても、府県に非常な重点が置かれていったことを如実に物語っておると思うのですが、いかがです。
  42. 柴田護

    ○柴田政府委員 私は、結果的に府県に重点が置かれたようなかっ川こうになってまいっておるということを否定をするものではございませんで、おそらくそういうことになっておるだろうと思うのでございます。具体的にその点をつかまえて計算をしたことはございませんけれども、大体細谷先生のごらんになっていることはそう事実と違っていないだろうと思います。ただ、そうなってきたことが、なぜそうなったかというと、特に府県をかわいがったわけでも何でもございません。経費を、基準財政需要を算定いたす場合に、どうしても給与費というものを中心に見てきたわけでございます。つまり過去におきます地方財政状態は、その日暮らしの地方財政であったわけでございますので、何としてもせめて月給ぐらいは払えということになって、月給の計算はぴちっとする。  こういう形で基準財政需要額を組んできた。それから市町村の中でも、町村が非常にふえておりますが、これは合併補正の関係だろうと私は思います。私の感じでは、町村でも、合併をいたしておりますところの町村につきましては、やはり過去において投資的経費については相当見てきたと思います。それから府県につきましては、膠着性のある経費である人件費がその大きな部分を占めておりますのと、一方、一般会計の地方債を昭和三十年ころから非常に交付税に振りかえてまいりました。大きな土木工事の地元負担その他のものが一般財源に振りかえられました結果、どうしても基準財政需要額がふくらんできた。こうした事情があって御指摘のような結果になっているのだろうと思うのでございます。いま一番困っておりますのは、やはり新興都市、と申すと語弊がございますが、それから昔から市制をしいておりますが最近非常にいろいろの財政需要に追い回されて困っておるところ、こういうところの基準財政需要額というものの見方が足りないのではないか、早い話が清掃事業等であります。衛生関係の諸費でございます。また都市計画、道路その他の経費もどうも足らぬではないかという感じを私はつくづく持つのでございます。したがって、そういう方面の経費というものもさらに充実をしてやらぬと、最近の相次ぐ税制改正が市町村税に集中されておりまして、これは無理もない傾向でございますけれども、その結果、その税の弾力性が市町村についてはむしろだんだんやや減っていくような傾向である。そうなりますと、やはり交付税の配分にあたっても考慮してやらなければいかぬじゃないかということで、そういう心がけで実は配分の改定も行なわれて、三十九年度の基準財政需要額につきましては、そういう形で考えようと実はいたしておるわけでございます。  なお申し忘れましたが、市町村財政需要を見ます場合に、それではどうしてつかまえなかったかという問題が起こるかもしれませんが、これはやはりつかまえ方が未熟であったということから一これは言いわけになるかもしれませんけれども・ということから、基準財政収入額の算定外に置いております税収入を県は二割、市町村は三割、この三割と置いておりましたところにやはり問題がある。その三割が都市によっては非常に大きな額にもなるし、都市によっては非常に小さな額である。そこに基準財政需要額に入れられていない財政需要というものと、それに見合う歳入というものに非常にアンバランスができた、それらのことが重なりまして、都市には非常につらい結果になっておるのではなかろうかというように考えております。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 一定のワク、交付税率というのが二八・九でありまして、金額も一定であります。私は、そういうことで交付される場合には、把握が十分じゃなかったという御反省もあるようですけれども、やはりいま私が申し上げたいずれから見ても、確かに完ぺきな配分ではなかったということが率直に批判され、反省されなければならぬのではないかと思います。  そこで私がお尋ねしたい点は何かというと、府県がふえていったのは給与関係の費用が固定しておるのでということでございますが、私はそういう見解をとらないのです。端的に申しますと、投資的経費に配分が重点的に置かれたので府県に多く行ったのではないか、こういうふうに私は見ております。試みに全国市長会が調べた三十七年の決算の数字を、三百三十六市の基準財政需要額と一般財源の投入額を見てみますと、二倍以上になっているわけです。基準財政需要額を一〇〇としますと、投資的経費だけで二二〇ぐらいの一般財源を投入しております。そうしてその金額を見ますと、基準税率七割、残り三割というものを、全部継ぎ足しても投資的経費だけでなくなる、こういう現況になっております。私は、ここに問題があるのではないか、こういうふうに思いますがいかがです。
  44. 柴田護

    ○柴田政府委員 私申し上げましたように、それが全然原因じゃないとは申し上げません。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、要するに一般会計の地方債を抑制して、これを一般財源に切りかえた。この場合に、やはり公共事業を重点的に考えざるを得ない。したがって公共事業の裏負担を重点的に考えますと、先ほど御指摘がありましたことと逆の結果が出てくる。つまり県のほうに公共事業負担がかかっていく。かてて加えて基本的な給与関係の経費が重圧になってくる。したがってそういう傾向がないとは申し上げませんけれども、それは原因の一つであって、それが主要原因だとは実は私は思わないのでございます。何と申しましても、やっぱり財政計画からそうでございますが、投資的経費の見方が少ないと申しますか、消費的経費、なかんずく給与関係の費用を重点に置いている。投資的経費の中では公共事業費中心にして見ていく。単独事業というものは、どちらかといえば軽視されておる。軽視されておると言うとことばが過ぎますが、単独事業に多くをさく余力がなかったということがいえると思うのでございます。やはり市町村の場合には単独事業が非常に多うございますので、これが十分つかめていない。そういう原因もあるかと思います。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、三十九年度の単位費用改定等の内容を見てみますと、府県の場合の新規施策あるいは算定方法の改定という形で需要額の増加、府県の場合に六百二十一億六千九百万円というものが上がっております。ところがこの新規の施策なりあるいはは単位費用の改定をしたものを見ますと、一般行政費は三割なのです。投資的経費が七割を占めているんですね。市町村のものを見てみますと、新規のものという形で単位費用の改定の重点に置かれたものが、一般行政費というのが四割、投資的経費が六割見てあります。府県の場合は七割、市町村の場合は六割というのが投資的経費の新規の改定に基づく新規の需要額の増として見られております。これを見ましても、この一般行政費より投資的経費に重点を置いて配分されていることはいなめないと思うのです。ここにやはり現在の都市の財政窮乏の大きな原因があるのではないか、こう私は思いますが、いかがですか。
  46. 柴田護

    ○柴田政府委員 昭和三十九年度の需要増加の配分につきましては、過去における事例のひずみを実は直そうとしているわけでございます。したがって従来に比べますならば、府県市町村の間の投資的経費の割り振りは、むしろ市町村に片寄っている。従来から見まして行き過ぎを直していっているわけでございまして、従来におきましては御指摘のような点も一つの原因であることは私は否定いたしません。しかしながら、何と申しましても、それは地方財政状況上、膠着性のある経費にまず重点が置かれて、膠着性のない経費についてはどうしても付随的に取り扱われる。その結果、市町村のものにつきましては、単独事業というものを十分織り込んでいくことができなかった。こういう結果が御指摘のようなケースになってあらわれているのではないか。しかし三十九年度におきましては——三十八年度も特別交付税から多少配分を変えたのでありますが、私どもといたしましては、このひずみを何とか直したいということで努力をいたしておるわけでございますけれども府県市町村の割り振りがまだ少ないじゃないかという御説かとも思いますが、何と申しましても公共事業がある程度中心になるわけでありまして、公共事業につきましてはやはり府県が大きなウエートを占めざるを得ない。それを頭に置きながら、なお市町村の充実をはかる、実はこういう考え方をとっておるわけであります。考えております投資的経費の需要額九百九十億円の増額の中で府県は四百三十七億円、市町村は五百五十三億円、市町村の充実に力を尽くしておるつもりであります。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 おっしゃるように、確かにこの交付税の配分構造のひずみを直そうとされておる点はわかりますけれども、そのひずみがやはり相当大きいので、三十九年度の計画にあらわれたのはひずみを直すに値しない、ノミについたノミ程度の手しかでき上がっておらぬと思うのですが、いかがですか。
  48. 柴田護

    ○柴田政府委員 おしかりを受けて恐縮でありますが、私どもといたしましては精一ぱいやっておるつもりでございます。ただ市町村の場合を考えますと問題が一つございまして、やはり零細な市町村になってまいりますと投資的経費の需要が大きくかたまってまいりますので、そうなってまいりますと地方債の運用に相当期待せざるを得まい。交付税の現在の単位費用の仕組みでは償却費を織り込むという形で考えておりますけれども、ここにも一つ問題がございますけれども、それはそれといたしまして、現実財政運営といたしましては、やはりこの間のギャップを埋めるのは地方債の効用に待たなければならない。したがって、単独事業等につきましては、やはり市町村のものを中心として考えていく、こういう方法でやってまいりたいと思っております。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 これについてはある程度見方なりポイントの置き方について意見の違いがあるようでありますから、これ以上申し上げませんが、さらにひとつ掘り下げたところで、一、二具体的に、どうも私どもとして納得できないような点についてお尋ねいたしたいと思います。  投資的経費の中の、今度の交付税単位費用等を見てみますと、たとえば道路の延長分、これはどういうふうにして計算しておるだろうかと思って私は調べてみました。そうしますと昭和三十九年度には道路改良費という名においてこの延長分の単位費用を出しておるのですね。工事請負費として千二百七十九万九千円、これは三十八年度と変わっておりません。そして収入として国庫補助が六百九十万九千円あげられております。そうして差し引きの五百八十九万円というものについて標準団体の延長で割って単位費用を出しております。この計算の過程を見ますと一キロメートル当たり千四百八十万円かかるのだ。ですから一平方メートル当たりは二千九百六十円だ。こういうふうに出ております。この割り算も非常におかしいのです。四・五メートルの幅員のものでやっておるかと思うと割り算は五メートルで割っておるのです。だから一年生の算術にもないような数字を持ち出して割り算をしておる。延長を出すのに道路改良費で出しておる。そうして最後には十三円六十銭だ、こういうふうになっておるのですが、この単位費用というものはなかなかわからないようにできておるわけですけれども、一体どういうことから出したのか、きわめてふしぎな数字が、しかつめらしく十三円六十銭と出ておるが、どういうことなんですか。
  50. 山本悟

    ○山本説明員 ただいま市町村分の道路費の単位費用についての御質問でございますが、道路費は御承知のとおり延長と面積と二つで算定をいたしております。この面積分の算定単位において主として維持修繕費関係を測定し、延長分の測定単位において建設的な改良費を測定する、こういうやり方をやっておるわけであります。ただいま御指摘になりました市町村分の単位費用積算基礎の工事請負費は、おっしゃいましたように標準団体において千二百七十九万九千円という数字を使っておりますが、この際の工事単価は一キロ当たり千四百八十万円、建設省とも相談してこの単価をきめ、大体五メートルくらいの道路でこういうようなものだという話で、千メートルかける五メートルの五千平米でこういう単価だということで一平米当たりの単価を出したわけであります。そういうことにいたしまして、あと市町村分の場合には国庫補助金というものは実際として少ないものですから、だんだんと国庫補助金を実態に合わせるようにふやしまして単位費用の増額をはかる、こういうようなかっこうをとったわけであります。実際申し上げますと、道路費関係は、大体政府のきめた五カ年計画地方負担額を基礎にして、この絶体の地方負担額がその年度の財政需要額の中に算入されるように、県市町村に割り振っておるわけであります。こういうかっこうにいたしておりますが、先生御指摘のとおり逆算的といえば逆算的なかっこうにこの部分についてはなっているというような点もないわけではありません。この点は、他の消費的経費のように給与費から何から積み上げるというようなものとは、いささか趣を異にしているわけでございます。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 まあそんなものだろうと思ったのですが、端的に誓いますと、この基礎の計算も何かしら逆算して、十三円六十銭というのを先に出しておいてあとで数字をくっつけた。大体市町村の問題で、道路の延長分に六百九十万円という国庫補助を一律に見るということ自体がおかしい。その上に四十三万二千六百メートルという延長の道路に、一年間にたった四千三百二十四平米の道路の改良をやりなさい、一キロにも及ばない延長、その単価は二千九百六十円パー平方メートルという数字を並べられて、これを哲学者の意思のようなことで市町村に示されたらたまったものじゃないと思うのです。むしろ逆算してこういうふうに出ましたということではないかと思う。私はこれを見まして、この単位費用というものはきわめて不合理なんだ。しかもこういうことになっておるので、私は先ほど投資的経費を重点配分しておるじゃないかと申し上げましたけれどもこれを見ても四十三万メートルあるのにとにかく千メートルくらいしか改良できないというような形で交付税を見るということは、ずいぶん私は問題があろうと思う。ここに私は今日の地方交付税地方財政調整という意味よりも、むしろある意味では地方財政を困窮させる一つの原因になっているのじゃないかとすらも考えるわけです。  これについては私の意見を申し上げておきますが、さらに、三十九年度は農業と中小企業に重点を置くと言っております。農業行政費は、需要額の増というものは確かに出ております。それを洗ってみますと、標準が四千六百戸の農家と農業従業者数一万二千、こう言っております。これは自治体としては相当の農業を持っておるところです。そこにつとめておる人が農業委員会も含めて十六名、去年よりも四名ふやしておる、こういうことで単位費用が出されております。これで三十九年度の所得倍増計画のひずみを直すのだ、それが重点なんだと言っておる。この農業行政費というものは市町村でやっていけると思うのですが、お尋ねいたします。
  52. 山本悟

    ○山本説明員 御指摘のとおり、本年度の市町村分の農業行政費におきましては、従来に比べて大幅な伸びを見込んでおりまして、職員数の是正等によりまして約四十七億円、投資的経費の充実によりまして約十四億円の基準財政需要額の増加を見込んでおるわけでございます。個々の市町村ということになってまいりますと、それぞれの実態に合わせたやり方をやっていくと存じます。したがって農業中心のところ、商業中心のところ、いろいろあろうと思いますが、御承知のように交付税の単位費用の計算では、それぞれの項目についてそれぞれの標準をとりまして計算をするというようなこともいたしております。あるいはいまの農業委員会職員というような点になってまいりますと、国庫負担金制度との関係もございまして、確かに完全に実態に合っておるというところまではいかないかとも思いますが、相当程度の改善ははかったというぐあいに考えております。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 四十七億円ふえておるのですから、改善をはかったということは否定できないと思いますが、政府の重点なんですよ。革命的ということばを総理大臣は使っておるんですが、革新も革命もあまり変わらないでしょう。ところが内容を見てみますと、四千六百の農家、一万二千人の従業者がおるのに、農業委員会も含めて十六名の職員だ、そうして農家台帳もつくりなさい、その経費は三千三百万円だという形で一体政府の重点というものが重点としてやっていけるか、農業構造改善事業では今度は四百団体が事業に入るのですよ。四百団体が新しく計画をするんですよ。そういうのが農林省から出ておる三十九年度にやろうとする事業なんです。それなのにこういう交付税の計算のしかたというものは、実際の重点がどこにあるのかというその政府の方針のよしあしは別として、政府の方針に沿っておらないじゃないですか。
  54. 柴田護

    ○柴田政府委員 先ほどの御質問もあわせてお答えいたしますが、道路費については、府県市町村を合わせまして、単独事業費八千億をもって新道路五カ年計画というものを重点にしてきたわけであります。その結果、延長分それから面積分両方合わせて計算するとこういうことになる。そういう意味では、先生おっしゃるように逆算かもしれませんが、考え方といたしましては、私どもは前に申したことがあるかもしれませんが、地方の道路の単独事業費というものは八千億でも少ない。何しろ国道、府県道以外の市町村道が圧倒的に多いわけでありますので、その整備ということを考えますと、八千億の単独事業費では非常に少な過ぎるくらいに私は考えております。しかしながら、今日の国、地方を通ずる財政というものの上に立って、八千億の単独事業費というものを五カ年間で消化するのだということになってまいりますと、こういうことになってくる。したがって個々の市町村の立場に立って考えますならば、お話のようにいろいろ問題があろうかと思いますが、今日の立てました財政計画というものから考える姿というものはこういう姿であるということでございます。しかし私どもとしては満足しておりません。また農業行政費の問題につきまして御指摘がございましたが、今日の市町村の農業行政につきましては問題がございます。それは御承知のように今日の農業行政のあり方というものは、国から府県にまいって、府県から各種の組合に、市町村は素通りだ、と言うと語弊がありますが、そう言う市町村のほうが多いわけであります。したがって、経費を拾ってまいりますと、市町村の農業行政の行政経費というものは、いわば費用負担団体のような形になっている。それは法律上、行政制度上は、当然に負担しなくていい経費でありますけれども、実際上は負担せざるを得ない、そういう経費が市町村にたくさんございます。先生御存じのとおり、私も体験したことがございますけれども、そういうゆがんだ形になっておる。これを直しませんと実は市町村の農業関係の行政経費というものはうまくついていかないわけであります。交付税はやるべき仕事について、そのときの相対的な意味ではございますけれども、あるべき姿というものを計算するんだというたてまえからいきますと、どうもここのところがうまくいかないで非常にやりにくい。農業構造改善事業のための費用は、市町村よりか県のほうについている。そこには御不満もあろうかと思います私もこれが現実とはズレがあると思いますけれども、しかし今日の農業行政のあり方からいうとやむを得ない。そのやむを得ないところで拾えるだけのものは拾え、こういう形で市町村の農業行政というものを充実する、こういう方針でやったのでございます。結果的には一線の市町村の姿から見れば、非常に実態に合ってない形が出てまいっておることは、私は百も承知しております。これを直しますには、単に単位費用だけでなくて、農業行政の仕組みから変えていかなければならないというふうに考えております。
  55. 細谷治嘉

    細谷委員 私は交付税の問題でこの問題を取り上げたのですけれども、おっしゃるように農業行政の仕組みというところが根本的に問題でしょう。せんだって私はある地方に行きました。ところが農業土木の災害国庫補助が三分の二くる、六五%きますが、残りの三割五分は県も市町村負担してない。農業のそこの受益者という名において負担しておる。こういう実態なんですね。これでは農業が重点だとか、あるいは——農業構造改善事業というのは、指導技術員がどういうふうに指導していくかということが重要なんです。農業の構造を改善するのですから。それなのに、これだけの規模の農家数のあるところに農業委員会も含めて課長以下十六人、これでは技術員の配置とか農業協同組合を指導するとか、そういうことなどとてもできないことだと思うのですよ。端的に言いますと、こういうことをれいれいしく単位費用の計算の基礎に置いているところに誤解が起こるのじゃないか。きわめて実態と違う。これだけの農業をやるには、しかも重点的に進めるとすれば、やはり二十六、七名の技術員を中心とした職員配置がなければとても農業構造改善事業なんか推進できるものじゃないと思う。
  56. 柴田護

    ○柴田政府委員 今日の農業行政の仕組みでは、そういった技術指導につきましては改良普及員が当たるたてまえになっております。したがって、府県の農業行政費につきましては、改良普及員の費用を十分見ておるつもりであります。ただ実際は、細谷委員御指摘のように農業改良普及員だけでは手が回りませんで、市町村がいろいろな形で手伝いをさせられておる。これも私はこの目で見たところでございます。しかしたてまえは、農業改良普及員がやるたてまえになっておる。そのたてまえで交付税は交付されておる。しかしそのたてまえに触れません限りにおいては、やはり市町村の実態を考えれば基準財政需要願というものを充実してやりたい、こういう気持ちで実はやったことでございます。この中にも、ほんとうを言いますと、基準財政需要額という形からいうならば、むしろ残された三割五分の自主財源で支弁するのだというたてまえのもとに持っていっていいものもあるかもしれません。しれませんが、実際の市町村、特に農村の当面している問題を考えますと、多少そういうものがあっても中にぶち込んで、市町村の農業その他を充実さしていきたい。これを行政の仕組みからいいますならば、仕組みそのものを直してもらわないとなかなかできない。これは私は財政課長時代から十年来悩んでいる問題でございます。
  57. 細谷治嘉

    細谷委員 私が申し上げたいことは、やがてこういう内容がこのくらい厚い本になって、自治省財政局編さんということで出るのです。その内容と計算のしかたというのが、やはり権威あるものでなければいかぬのではないか、こういうことを強く申し上げている。内容も不十分なんだ、しかも出てきたものが逆算なら逆算らしくしておけばいいのに、いかにも合理的であるかのごとくやっている。そういうことじゃいかぬのではないかということを特に指摘したいと思うのです。  こういう問題に関連して一言お尋ねしたいのですが、今度の地方財政計画を見ますと、農業委員会の費用は国費だけで、地方負担はゼロなんです。国民年金というのは、地方財政計画の中に地方負担分として一つもありません。そのほかに例を上げますとまだありますけれども、一体これはどういうことなんでしょう。
  58. 柴田護

    ○柴田政府委員 地方財政計画につきましては、たてまえに従って組んでおる。国民年金の事務費というものは、国から全部くることになっておるわけです。実際きておりません、きておりませんが、くることになっている。農業委員会の経費も、全額国からくることになっておるたてまえで組んでおるわけでございます。したがって現実と合わぬじゃないか、おまえら何をしているかというおしかりもごもっともでございますが、私どもも年来、年金の事務費が足らぬ、だからこれをふやしてほしい。農業委員会の経費も足らぬ、これもふやすべきだということを主張しておりますけれども、なかなか実際はうまくいかない。力の及ばざるを嘆くものでございますけれども、しかしこういうものは一ぺんにできませんので、極力漸進的にでも逐次直していきたいと実は思うのでございます。なおそれではその負担を実際負担しているのだから、負担しているものを別に見たらどうか、こういう御意見もあろうかと思うのでございますけれども、これも私ども年来の一つの悩みでございますが、財政計画でいわゆる超過負担というものを処理してしまいますと、それではそれでいいじゃないかということになってしまって、実態のゆがみというものを是正する形にならぬ。そこでそういうようなやり方はやりませずに、やはり本来の筋を追って、あるべきものをあるものに近づけるという努力を見出してまいっておる次第でございます。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 あるべきものをあるべき姿にする、ひずみを直すのだ、こういうことでありますけれども、私は一つ申し上げて、ぜひそういう方向でやって一いただきたいと思うのです。残念ながら現況はさかさなんです。国民年金の例をとりますと、三十六年は実際の事務費の必要の五七%しか国庫からはきていないのです。三十七年度は四二%なんです。三十八年度は三六%しかきていない。局長さんのおっしゃるのとは逆なんです。ひずみが直る方向ではなく、ひずみが広がっていく方向にあるのです。農業委員会も実際の経費のやはり三割五分程度しかきていない。法律がそうなっているから、財政計画に織り込むことはできないということだけで、ひずみを直そうと言っています。けれども、逆にひずみは広がっていっています。しかもそれは財政計画には入れないのだ、法律できめられているのなら法律どおり守るために、自治省はやはりからだを張っていただかなければ、地方団体の代表者としての資格がないのではないかと思うのです。現にそういうふうにお認めになりますか。
  60. 柴田護

    ○柴田政府委員 現実は、おっしゃるとおりでございましょう。私どもも在来からからだを張ってきたのでありますが、からだの張り方が足りないのかもしれませんが、なお将来ともその方向で努力いたしたいと思います。
  61. 細谷治嘉

    細谷委員 そういう実態は御承知かと思いますが、からだの張り方が足らぬわけです。  次に前会若干質問いたしたのですけれども局長御自慢のあるいは自治省御自慢の清掃費については十分見たと言いますけれども、この点について若干質問してみたいと思います。今度の清掃費の単位費用等について見てみますと、新しく新設をした、そしてそれについてかなり見たということでありますけれども、第一にお尋ねしたいことは、この清掃関係の使用料、手数料が単位費用の計算にあたって非常に過大に見込まれておる、こういうことでございます。端的に申し上げますと、昭和三十八年度は清掃費に対する一般財源の投入率というのが五二%あったのですよ。ところが三十九年度の計画によりますと、一般財源の投入率というのは四六%に下がっておるのです。単位費用は上げてあげましょう、そのかわり使用料を取りなさい、手数料を取りなさい、こういう形になっておりますが、これは一体どういうことなんですか。
  62. 山本悟

    ○山本説明員 単位費用積算にあたりましての清掃関係の手数料の問題でありますが、昨年度もあるいは三十九年度も、積算にあたりましては考え方としては同様でございまして、ともにごみ処理関係におきましては消費的経費の一割、し尿関係におきましては消費的経費の七割相当額をそれぞれ手数料として徴収するという積算の基礎にいたしております。この割合は昨年度も本年度も変更はいたしておりません。御指摘のように、金額的に手数料分がふえてくるというかっこうになりましたのは、ごみ、し尿等に算定の内容を大幅に増加させましたけれども、それぞれの事業費総量がふえまして、その一定割合という計算をいたしておりますので、結果的にさようになったわけでございます。考え方といたしましては従来の方法を全く踏襲した、かように存じておる次第でございます。
  63. 細谷治嘉

    細谷委員 考え方は従来と同じだと言うが、現実にこの単位費用の計算の基礎を見ますと、三十八年度においては、じんかい関係においては一般財源の投入率が事業費に対して九二・五%、し尿処理においては五二%であったのです。ところが三十九年度はどうなったかというと、じんかい処理においては同じように九二・五%です。変わっておりません。し尿処理においては四六%ということになっております。使用料も相当上がっております。使用料の総額はし尿処理だけで百二十八億上がっておるわけです。百二十八億の収入という形で計画されております。実績はもっと上がっているのだからこれは当然の見方だ、こう言っておりますけれども、少なくとも単位費用計算にあたっては、この問題についてはじんかい処理あるいはし尿処理の使用料、手数料は全廃の方向に持っていくべきだ、それが市町村の福祉対策の非常に重要な柱じゃないかという主張もあると思います。その主張はもっともだと思う。しかし一ぺんにいかないにしても、少なくとも一般財源の投入率というものを五二%から四六%に下げるということは、これは事業の収益化です。これは事業の性格を変えるものだ、こういうふうに申し上げる以外にないと思うのです。少なくとも単位費用を変えるなら、一般財源の投入率というものは五二%——自治省がつくった類似団体の指数表というものの十万くらいのあの標準団体を調べて見ますと、ほとんど同じ構造で一般財源の投入率が六二・三%となっているのです。昨年度の単位費用の計算にあたっては五二%だった。指数表を見ると六二上二%というのが実績なんですよ、類似団体の調査会がやったあれによりますと。そういう点を無視して四六%という収益化の方向をとったのは一体どういうことですか。どうしても納得できない。
  64. 柴田護

    ○柴田政府委員 清掃費を充実いたしましたものの、充実のしかたの関係で、一種の数字の魔術と申しますか、そういうところから結果的にそういうものになってきたと思うのでございます。考え方は従来と一向に変えておりません。ただ消費的経費の伸びが投資的経費の伸びよりも大きい。それから投資的経費の伸びも相当あるのでございますけれども、この投入のしかたは償却年数に応じて償却費算入という形をとっておりますので、相当伸ばしているつもりでございますけれども、どうしてもこの単位費用の中にあらわれてくる額としては伸び方は少ない。消費的経費はなまのままでございますから非常に大きくなっている。それに対する一定割ということになりますと、これは数字の魔術でございますけれども、比率というのはそういうような結果になる。こういうことのしからしむるところだと考えております。決して考え方の基礎におきまして、そういったお考えのような基本的な考え方を否定しておるものではございませんし、現在の全市町村地域を通じてし尿行政をやり、あるいは清掃行政をやっておるような段階でございませんので、どうしても暫定的に、使用料、手数料というものをある程度とらざるを得ない、こういうことでやっておるのであります。またもう一つは、財源的に限りがございますので、一挙に理想状想まで持っていくわけにいきませんので、経過的にそういう形をとっている、こういうことでございます。先ほどし尿費をふやしたのはどうこうということがございましたが、私どもといたしましては、今回の清掃費の単位費用をつくり、そして単位費用を充実いたしましたことをもって満足しておるわけではございません。これは理想状態から言いますならばまだ半分程度で、将来ともその充実につきましては充実の方向で努力してまいりたい、かように存じております。
  65. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの局長さんのおことばは従来と考えは変わっておらぬということでございますが、現実にはそうなっておる。一般財源の投入比率は下がっておる、そうして使用料に待つ、こういうことです。お考えが変わっておらない、基本的態度が変わっておらない、だから一般財源の投入率を五二%にする、単位費用を三百四十五円にしてあるが、私が計算してみますと、三百六十円になれば五二%という線を維持できる。類似団体の六二・三%という一般財源の充当率を見ても、これは三百四十五円という提案の単位費用の内容が三百八十円くらいになれば落ちつくのですよ。態度が変わっておらないならそうする配慮の御意思はございませんか。
  66. 柴田護

    ○柴田政府委員 消費的経費の一割なり七割なりという態度は変えておらぬということを申し上げたのでございます。結果的に細谷委員御指摘のような逆の結果になってしまったような計算が出てまいりました。基礎は、先ほど申し上げましたように、消費的経費の充実、投資的経費の充実をはかっておるけれども、消費的経費のほうはなまに増加が出てくるが、投資的経費のほうは償却額しか出てこない。そこで実際決算をつけて出てくる額と単位費用とはそこに開きがあるわけでございます。その開きというものは、一般財源投入率という形で計算しますと、逆の結果が出てくる。一種の数字の魔術と申し上げたのはそういう意味でございます。
  67. 細谷治嘉

    細谷委員 類似団体の指数表を見ますと、し尿料金、ごみ取り料金というものは相当高いのですね。端的に言いますと、し尿料金というのがいま私が申し上げたような団体で三十一円になっております。それからごみ取りは世帯当たり五十円になっているのです。これは相当大きな負担だろうと思うのです。本来ならこれは福祉対策で公共事業以上に住民生活にとっては重要なんですね。単なる受益者負担という形で、使用料だ、手数料だ、そういう簡単なものじゃないわけです。しかも今日平均しますと、し尿において三十一円、あるいはごみ取りが五十円、これを大幅に上げなければやっていけないというのが、今日の単位費用の計算内容なんです。したがって、現実に一般財源の投入率が減って使用料に待つという形をとっているわけでありますから、単位費用三百四十五円というのは不過当だ。いま言った線でお改めになったほうがよろしいのではないか、こういうふうに思いますが、交付税課長さん、どうですか。
  68. 山本悟

    ○山本説明員 手数料の額の点でございますが、先ほど申し上げましたように、ごみ処理は消費的経費の一割でございます。実際の各団体でやっております実態を見ましても、ごみの場合はとっている団体が比較的少なくて、とっていない団体が多い。飲食店等、大口なところからはとっております。そういう点からこれらを勘案しまして、一割といいますと、ほぼ大口に相当するとも考えられますので、そういうとり方にいたしておるわけであります。ただ、し尿関係におきましては、大部分の団体が手数料を徴収いたしております。これを全然とっていない団体はごくまれな状況でございます。この実態も勘案をいたしまして、過去の実績の率等を考えまして、消費的経費の七割というところに限定いたして計算をいたしたものでございます。これで、し尿、ごみ合わせて総平均を出してみますと、約一人年間二百六、七十円の金額を見込んだかっこうになる。したがいまして、一月当たり二十二、三円の額のものが現在この交付税上見込んだ単価になるというような程度じゃなかろうか、かように存じております。  それからし尿の場合等は、やはり収集処理人口の増加というようなものも考慮いたしておるわけであります。それらの点等も合わせまして、今回基本的には、消費的経費の一割及び七割という考え方は従来と変えておりませんので、御了承賜わりたいと思います。
  69. 細谷治嘉

    細谷委員 次に、この単位費用を新しく設定したけれども、なお問題点があるというのは、環境衛生対策費がこの財政計画の中に出ております。この地方負担というのを洗ってみますと、百四十四億円となっております。この計算の内容を見ますと、これはまたきわめて実態に合わない内容でありますけれども、きょうは私は申し上げません。ところが、その百四十四億という地方負担が起こるのに対して、重点だ、重点だとおっしゃっておりますけれども、これに対する投資的経費の分の需要増というのはどういうことかといいますと、きわめて少ないのです。四十八億円程度です。そういたしますと、私が申し上げたように、大体においていままでの過去の投資的経費のペースというのは一般財源が、国の交付税で見られたものの二〇〇%くらいだ、こう見ておりますけれども、それ以下なんですね。三分の一にしかならないのです。投資的経費の単位費用の織り込み方もきわめて不十分だということが言えますが、この点はいかがですか。
  70. 柴田護

    ○柴田政府委員 清掃関係事業の国庫補助事業を除きましたあと残りを全部交付税で見るというたてまえには実はなっていないのでありまして、この間に借金である地方債がまぎれ込んでいるわけございます。地方計画では、在来に比べまして倍増、従来の五十五億を九十三億にふやしております。先ほどおっしゃいましたこの差額というものは、地方債である程度ならされる。しかし実はそのほかにも地方債の運用におきましては、単独事業の中で必要なものにつきましては地方債で見ていくということも考えておりますし、また財政計画の中では、いわゆる国庫補助負担金を伴わない事業の中にもそういう経費を包括的に織り込んでまいるわけであります。理想から言いますれば十分じゃない。しかし従来の何から言いますならば、相当努力をした、そういうことを申し上げておるわけであります。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 それは私否定しておるわけではないのです。私が申し上げておりますのは、この清掃関係の単位費用の織り込み方が三分の一程度しか見られておらぬ。ところが先ほど申し上げたように、三十七年くらいまでの交付税の決算というものを見てみますと、需要額に対する一般財源の投入額というのは、大体一対二の比率だが、この場合は一対三になっておる。見方が足らぬじゃないか。しかもこういう問題について重点を置きます。配分はやはり市町村の方向に逐次ひずみを直す方向で努力をしますとおっしゃっている基本的態度からいっても、従来の線までいっておらぬじゃないか。少なくとも一対二になるくらいに見るのが、先ほど来るる申し上げたような自治省の態度ではないか、何もかも見ろと申し上げているわけではありません。従来の平均、それを改めようとしておるのですから、ひずみのあったときくらいのレベルまで見てもいいのではないかということを私は申し上げているのです。
  72. 柴田護

    ○柴田政府委員 在来の経費というものに実は問題があろうかと思うのでございます。それは、在来は地方債の見方も少ない。単位費用の見方も少ない。それやこれやの不足分を それこそ住民税の超過課税を認めて、そういった一般財源を運んできた。それが計算上御指摘のような姿になっておるかもしれません。私どもは、それはそうといたしまして、計画上も必要なものは直し、それから単位費用につきましても、必要なものは可及的に、できるだけ多くするように、充実をするような方向で直す、こういうことをやってきたわけでありますから、在来のものをそのまま尊重していくということにつきましては、在来のものの計数というものが、なぜそうなっているかということを洗ってみる必要がある。したがって、それをやりませんと、無条件に御指摘のような説に御賛成するわけには実はいかないのでございますが、それはそれといたしまして、相当充実をしてきたということを申し上げておるわけでございます。
  73. 細谷治嘉

    細谷委員 充実をしたけれども、不十分だということをお認めいただけますか。
  74. 柴田護

    ○柴田政府委員 この種の経費のあるべき姿、理想状態からいえば、決して十分ではございません。将来とも努力すべきものと考えております。
  75. 細谷治嘉

    細谷委員 もう一点お尋ねしたいのですけれども、この前にもちょっとお尋ねしたのですが、その収集計画、こういうものからいって、この人員では厚生省が要求された数字——これも御承知かと思いますが、厚生省予算要求された数字とは相当人員の配置が隔たっております。端的に言いますと、じんかいにおいては厚生省が要求したのは五十二、交付税の配置数三十八、それからし尿処理におきましては、厚生省の要求は七十五、交付税の配置数というものは三十四です。ところでここに問題であるのが第一点。  第二点は、前年度と比べますと、じんかいにおいて六名程度の増、これも努力した点は認めます。し尿処理においては五名増、これも昨年より増を見ているのですから、これは認めます。ところがこれだけの差があるということは事実です。しかも計画は前会申し上げたような苛酷に近い、不可能に近い過小人員だ、その上にし尿処理の場合は九名の日給八百五十円の人を二百九十日と見ているのですね。じんかいのほうではそういう人夫賃はないのです。ところがし尿のほうは九名あります。去年は七百五十円、今年八百五十円しかも二百九十日しか見ておらぬ。し尿というのは、これは大みそかまで働くんですよ。どんなにしても二百九十日ということでは、この仕事はできっこないのです。しかも地方公務員法からいって、だんだんなれてくる一年間、もう人夫として使ったらどうなりますか。どうして一体こういう九名という人夫賃で計上したのか、こういう計上をされるので地方団体はたいへんなことになるわけです。御所見を承りたい。
  76. 山本悟

    ○山本説明員 ただいまの点でございます。御指摘になりましたような数字が厚生省からわれわれのほうに出されたことも事実で、そのとおりであります。手続もそのように伺っておりますが、それぞれし尿にいたしましてもごみにいたしましても、収集の対象人口あるいはごみの排出量、まあし尿の場合には一人当たりの排出量はどこでもほぼ全部同じでございます。それらのものの総量を計算いたしまして、また自動車一台に何人人間が要るかまたその自動車一台でごみがどれだけの範囲のものを一日に収集できるか、あるいはし尿の場合に一日何戸回れるかというようなことを計算いたしまして、それぞれの標準団体におきます必要台数、それから必要人数というものの積算をいたしてまいったわけでございます。この点は市長会を中心といたしました清掃関係の研究会等もございまして、そこにおきましてもやはり実態を知った実地の人たちもまじえて詳しい検討をいたしたわけでございますが、それらにおきましてもほぼ今回単位費用の積算に使いました基礎と同じような作業能率といいますか、作業能力というもので可能なんではないかという点から、結論もほぼ出たようなかっこうもございましたので、それをこちらといたしましても採用いたしたというようなことにいたしております。ただ人口十万の標準都市と申しましても、処理対象人口をどういうぐあいに見るか、特掃区域をどういうぐあいに見るか、またごみで言えばごみの多い地区をどの程度に見るか、少ない地区をどの程度に見るか、あるいは自家処理でできるものをどの程度に見るか、こういうような点におきましてはいろいろ将来の計画というものと現実の姿というものと間にニュアンス、程度の差がございます。それで厚生省の要求等も、基礎はどういうぐあいになっておるか、私たちそれほど詳しくは存じませんけれども、やはりそういうような程度の見方に差があるのではないかというようにも存ぜられるわけでございます。  なお、交付税の算定にあたりましても、標準団体は人口十万で、特掃地域が六万七千何がしということでそれぞれ計算をいたしておるわけでございますが、例の態容補正の種地によりまして、種地が高くなれば、すなわち都市化すれば程度は上がるというかっこうで係数で引き上げていっているわけでございます。この係数の引き上げは、最終的にはこれから検討するわけでございますが、従来の考え方等を基礎にいたして需要の計算の見込みということでやっているのでございます。やはり種地が上がりますと、し尿にいたしましてもごみにいたしましても、三十四人ないし三十八人という人数はそれぞれ上がってまいる。たとえば十種地であればごみの場合は三十八であるが、同じ十万の都市でも十四種地の場合であれば四十七人になるというようなことで、計数上の態容補正計数のきめ方というものによっても差が出てくるわけでございます。そういうような点もございまして、必ずしも厚生省の数字と見かけほどに今回の単位費用の積算基礎が離れている、こういうことではないのではなかろうか、われわれとしてはある程度収集能力といったようなものも基礎に置きまして、対象から割り出して積算をしたというような考え方を持っているわけでございます。  それから人夫の問題でございますが、御指摘のとおり、なるべく人夫というようなものは、公務員法の関係からいきましても減らしていくべきだということでございまして、われわれといたしましてもなるべくそういう方向に持っていきたいということで、御指摘のとおりにじんかいの場合にはなくすというような程度まで持っていったわけでございます。し尿の場合には、やはり総量等の関係からいきまして、多少残してしまったというようなことでございます。  なお、二百九十日という日にちは、自動車一台の年間の嫁動日数を二百九十という基礎に置いておりますので、それに一応合わせたというようなかっこうでございます。
  77. 細谷治嘉

    細谷委員 自動車の日数に合わして二百九十日ということで作業をやっておったって、それは場所に合わぬわけですが、お尋ねしたい点は、人夫と、しかもその人夫九名というのは三十四という交付税配置定数のワク内の数字なんです。これは自治省が何かあると人件費、人件費、人間が多い、人間が多いと必ず言います。しかし交付税で定数として認めたわけですから、この九名は定数内人夫ですね。二十二条職員ですか、十七条職員ですか、これはすぐ出てきます。すぐ地方団体の負担にはね返ってきます。定数を三十四と示してそのうちの人夫九というのは、これは定数内職員ですよ。そういう前提がなければ人夫は雇えません。どういうふうにお考えですか。
  78. 山本悟

    ○山本説明員 日々雇用と考えております。ただこれは財源的にこういう計算をいたしておりましたわけで、実態からいきましても全員が全員、こういいった作業に従事するものは、現実状況におきましては、全部が正規職員ではないという点から考えまして、一応漸進的に減らしていくということで、財源的にこういうかっこうにしたということでございます。
  79. 細谷治嘉

    細谷委員 人夫賃というのは、あるいは臨時で、日給の人はみな日々雇用なんですよ。地方公務員法では、日々雇用の人だって六カ月しか雇えないわけですね。あらためて雇う場合には六カ月雇えますけれども、それ以上繰り返しできないのですよ。しかもこれは自治省が認めた三十四という定数なんですよ。明らかに交付税でみた定数、厚生省が要求したのは七十五です。それを交付税で三十四という。交付税でみたら明らかに定数です。そうなってまいりますと、日々雇用なんということでばかの一つ覚えのようにやっていくわけにはいきません。身分の問題がすぐ出てきます。十七条なのか、二十二条の職員なのかはっきりしなければ、これは人夫として使えません。こういうことなので地方団体がしりをかぶるのです。そうして何かいうと、これもまたことばは適切じゃありませんけれどもばかの一つ覚えのように人間が多過ぎる、給与費が多過ぎるということを自治省はおっしゃいますけれども、こういうはっきりとした交付税の中で定数を認めておきながら、こういうあやふやな、どっちかわからぬような職員の身分ということでは地方団体は大迷惑なんです。はっきりしていただかなければなりません。しかもじんかいのほうははっきりしているでしょう。し尿のほうだけどうしてこういうことになるのか。これも単位費用ができて逆算でこうなったのですか。
  80. 柴田護

    ○柴田政府委員 在来からそういったやり方をしてきたものを、逐次整理をするという方向で単位費用の組みかえをしてきたわけでございまして、したがって清掃関係のものにつきましてはこの際きれいにさっぱりしてしまった。先ほど申し上げておりますように、し尿関係のほうでは財源関係もあって、残念ながら一部残ってしまった、こういうことでございます。
  81. 細谷治嘉

    細谷委員 これはやはり地方団体を指導する立場にあって、しかもその九名というのは定数を認めておいて、そうして二十二条なのか、十七条なのかわからぬということではこれは済まされません。これは地方に必ず逆惑がかかってくるわけです。ですから。じんかいのほうで踏み切ったのですから、し尿の場合にも、九名ですからぜひ踏み切っていただいて、きちんとしていただきませんと、これは雇用できません。せっかく新設されたこの自治省の清掃関係の充実の意図は、この面でもたいへんな障害に当たります。ぜひこの点は改めていただきたいと思いますが、いかがですか。
  82. 柴田護

    ○柴田政府委員 定数ということばに問題があるのですけれども交付税の総人数は何ぼだというときに、こういう形、これだけのものを予想しておるという意味の定数で実はございます。しかしこの姿がいいかといえば、それはおっしゃるとおりわれわれはいいと思っておりません。しかしおっしゃいますように、また先ほど来御説明申し上げておりますように、何分にも金が十二分にはないというようなことから、残念ながら十二名あったものを九名に減らすのがやっとであった、こういうことであります。しかし将来は御指摘のようにそういうようなことをいつまでもおいでおいで、地方団体に不必要な苦労をかけるということはしたくありません。将来はきれいな形にしていきたいと思います。
  83. 細谷治嘉

    細谷委員 この点は、市町村長としては、将来の問題としてでは、三十九年度やっていけないと思うのです。やはり地方公務員法上のきちんとした身分をつけていただかなければ、自治省が、地方団体であとでまた紛争の種になるようなことは、やはりやらないようにしていただかなければいかぬと思うのです。それは労働省やその他なら別のことです。別なんということばを使うのは申しわけないが、少なくとも自治省の発案でこういう踏み切り方をした以上は、きちんとした形でやっていただかなければならないと私は思います。そういうふうにぜひひとつ御修正をしていただきたいと思います。  時間もありませんので、最後にお尋ねしたい点は国民健康保険に関連する問題でございます。三十八年度の決算額はわかっておりませんけれども、三十七年度の決算状況を見ますと、相当多くの金、六十一億程度の金が繰り入れされておると思うのであります。三十八年度と三十九年度はますます悪化しつつある国民健康保険財政でございますから、もっと多くの繰り入れをいたさなければならぬ事態にきておると思うのですが、この辺のお見通しはいかがですか。
  84. 柴田護

    ○柴田政府委員 国民健康保険の問題につきましては、御指摘のように、実は私ども非常に心配をいたしております。決算面からながめますと、三十七年度決算では繰り入れ金は事業勘定で五十四億七千五百万円、それから直診勘定で六億五千二百万円、両方合わせますと、大体六十億ぐらいの繰り入れ金になります。この傾向が三十八年度にどうなるかということでございますが、私も細谷委員と同じように、さらに若干ふえるのではないだろうかというふうに実は若干心配をいたしております。ただこのふえ方でございますけれども、比校内町村のほうが少のうございまして、大都市が非常に困っておる、こういう傾向があらわれてまいっております。
  85. 細谷治嘉

    細谷委員 私も、三十九年度にはかなり大幅にふえるのではないか、こういうふうに想像いたしております。これについて自治省としては、これはたいへんなはね返りが一般会計に起こってくるわけですが、どういう対策を講じようとしておるのか、これは交付税では見ておらぬ、こういう現況でありますが、どういう対策を講じようとしておるのか、あわせてこれも、また先ほど来申し上げたように、事務費負担とか保健婦補助とかなんとかいうものもまた国が見るとかあるいは国は三分の一を見るとかいうことになっておりますけれども、実際はその半分程度しか見ておらぬ、こういう現況でございます。こういう実態で、しかも一方では給付の内容を改善するのだということが進められようとしております。裏づけというものがない。これについてどういうふうにお考えか、重要な問題になってきつつありますのでお尋ねいたします。
  86. 柴田護

    ○柴田政府委員 今日の国民健康保険の問題につきましては、その考え方の基礎は補てん事業だという形をとっておりますので、特別会計に切り離して、いわば調整的機能を持つべき交付税の機能は、調整交付金に肩がわりをしているという形でございます。その結果が、御指摘のようにいろいろこういう非常に大きな繰り入れ金を入れなければやっていけない、こういう事情になっておるわけでございます。根本的にこの問題を片づけますためには、今日の国民健康保険の実態からいいまして、しかも国民健康保険税を年々減税していくのだといったような傾向にあることから考えますならば、やはり国民健康保険事業というものを社会保険事業だという考え方に割り切らずに、やはり社会保障的な考え方というものを入れてこなければならないのではないか、私どもは実はさように考えております。そういう意味合いから根本的な問題をもう討議すべき時期ではなかろうかということで、基本的な方向の検討厚生省にもお話をし、検討していただくようにお願いをしておりますし、私ども財政的観点からこの問題に取っ組みたいと実は考えておるわけでございますが、当面の問題といたしましてはやはり国庫補助、国庫負担金程度、それからそれのひずみを直していくという問題、調整交付金の配分にあたってその配分がどういう形になっておるかということをしさいに検討して悪いところは直してもらう。こういう態度でいかざるを得ないのではないか。そういうような検討を加えますかたがた、やはり根本的問題についてはっきりした姿をとって、根本的にこの辺で立て直しをはからなければならぬだろうというふうに実は考えておるわけでございます。  補助負担金等の合理化につきましては、私どももやかましくお願いを申し上げまして、ほんのわずかとおっしゃるかもしれませんけれども、逐年多少直ってきておる。もちろん実情からいえばはなはだ十分ではない。しかし実態はどうかと申しますと、実態につきましてもたとえば大都市の場合などを考えますならば、国民健康保険の事務費の負担金等につきましては、実際の経費と比べますと非常に開きがございますけれども、しかしまた片一方には大都市におきましては特に給与が非常に高いという問題もあるわけであります。その辺を勘案いたしますと、もちろん足りませんけれども、そう実態の比較で見てびっくりするところまでいっておらぬ。しかしもちろん足りません。また給付につきましてもいろいろ専門的な問題があるようでありまして、これらにつきましてもなお実態を精査いたしまして必要な措置厚生省にお願いする、こういう態度で進みたいと考えております。
  87. 森田重次郎

    ○森田委員長 華山親義君。
  88. 華山親義

    ○華山委員 ちょっと資料をお願いしたい。  昭和二十九年を基準にいたしまして国債の発行高と残高を、総額と指数を示していただきたい。  次に地方債につきましてその総額の残高と発行高、その指数を見せていただきたい。この地方債につきまして、  一般行政費とそれから公営企業の別にいたしまして資料をいただきたいと思います。なお、こまかな点はいまそこでお願いいたします。  この問題につきましては議事になれませんので、間違っておりましたらお願いをいたしたのでありすが、しばしばそれは大蔵省の問題であるとか言って、私は大蔵大臣にどこかに行って聞かなければならぬということにも相なりますので、この点、国債と地方債との関係についてお聞きいたしますので、私のお聞きいたします際には、国の立場で御答弁のできるようにひとつお願いいたしたい。
  89. 森田重次郎

    ○森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。   午後零時四十分散会