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1964-03-26 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十六日(木曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    大西 正男君       奧野 誠亮君    亀岡 高夫君       仮谷 忠男君    久保田円次君       竹内 黎一君    武市 恭信君       登坂重次郎君    野呂 恭一君       橋本龍太郎君    村山 達雄君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    阪上安太郎君       重盛 寿治君    千葉 七郎君       華山 親義君    細谷 治嘉君       栗山 礼行君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         警察庁長官   江口 俊男君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤  弘君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 疆君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         消防庁長官   松村 清之君         消防庁次長   川合  武君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局北東         アジア課長)  前田 利一君         外務事務官         (条約局外務参         事官)     須之部量三君         大蔵事務官         (主計局主査) 後藤  正君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月二十六日  委員篠田弘作君、三池信君、森下元晴君及び和  爾俊二郎辞任につき、その補欠として野呂恭  一君、竹内黎一君、橋本龍太郎君及び仮谷忠男  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員仮谷忠男君、竹内黎一君、野呂恭一君及び  橋本龍太郎辞任につき、その補欠として和爾  俊二郎君、三池信君、篠田弘作君及び森下元晴  君が議長指名委員に選任された。 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共  済基金法の一部を改正する法律案内閣提出第  三一号)(参議院送付)  地方自治及び地方財政に関する件(地方公共団  体の議員の報酬に関する問題等)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  この際、赤澤国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。赤津国務大臣
  3. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 今回はからずも自治大臣国家公安委員会委員長の重責をお引き受けすることになりました。  このたび突発的不祥事件により、国会開会の最中に大里の交代ということになったわけでありますが、私としましては、まず早急に治安体制の確立をはかって内外の信を回復しなければならないと考えます。目下国会に提案しております法案も数多くございますし、これから御審議をいただくこととなる重要な案件もあろうかと存じます。皆様方の格段の御協力、御鞭撻によりまして、これら当面する地方自治並びに国家治安の問題に、全力をあげて対処してまいる所存であります。どうかよろしくお願いを申し上げます。簡単でありますが、ごあいさつにかえます。(拍手)      ————◇—————
  4. 森田重次郎

    森田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  地方公営企業に関する調査小委員会において地方公営企業について調査を進めるため、明二十七日金曜日、参考人として東京都交通局長佐藤登君、大阪市交通局長今岡鶴吉君、神戸市交通局長藤原潔君、日本交通労働組合連合会中央執行委員長萩原信治君、日本都市交通労働組合連合会関西地方協議会議長木下正治君、以上五名の方々の出席を求め意見を聴収いたしたい旨、小委員長から申し出がありました。つきましては、同小委員会参考人出頭を求め、その意見を聴取するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  6. 森田重次郎

    森田委員長 地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。  安井吉典君。
  7. 安井吉典

    安井委員 まず赤津大臣の御就任をお祝い申し上げます。  地方自治の問題も、それからまた国家公安の問題も、問題だらけで、地方自治体中央集権化のもとに圧迫をされております現状、公安の問題では前大臣がおやめになったその経過からも明らかであります。そういうような点で、御健闘を祈りたいと思います。  その御就任最初の機会に、ただいま日韓会談が行なわれているわけでございますが、それと地方自治との関係につきまして若干のお尋ねをいたしたいと思うわけであります。ここは外務委員会ではありませんし、まあ外交的なこまかい問題には入らないにいたしましても、日韓交渉がその成り行きいかんによりましては、地方自治体に対していろいろな形で影響を持ってくるものと私は考えます。大臣就任早々でありますが、外務委員長で今日まであられたわけです。やはりこの問題とつながりがないわけではないのでありますが、まずお尋ねいたしたいことは、自治大臣といたしまして、この日韓交渉成り行きに、どういうような点に関心をお持ちになっておられるか、その点からひとつ伺っておきたいと思います。
  8. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 きのうまで外務委員長をやっておりまして、その議論の渦中におりましたところ、たまたま自治大臣になったら、またのっけからその問題の御質問で、まことに私としては一つの感慨があるわけでございますが、私はこういう問題はきわめて簡単に考えております。韓国と申しますのは、言うまでもなく一衣帯水の外国でございまして、いつまでも両国国交正常化されないということは遺憾なことでもある。ただまあ委員会を通じて皆さんの御議論を聞いておりますと、旧朝鮮の内部にいろんな問題がありますので、そういうことが中心になって議論が進んでおるようでございます。しかしながら隣国といつまでもこういう状態であってはいけないということは、これはみなひとしく考えておるところでございますし、この交渉はいま進行中でありますが、私といたしまして考えますことは、やっぱり日本の権益と申しますか国益、これは絶対に失うべきものではない。交渉がいかに長引いても、やっぱり主張するものは主張して、そして円満な妥結を見て正常な国交を回復したいもの、こういうふうに考えております。
  9. 安井吉典

    安井委員 同じ隣国でも中国のほうには、この国交回復の問題については政府はあまり御熱心でないわけであります。しかも日本がいま置かれております国際的な立場からいっても、私どもはいま二千億円に余る金を韓国に出すというふうな形で問題をあわてて解決をして、悔いを千載に、残すというようなことがあってはならない、かように考えるわけでありますが、きょうはそういうふうな外交の大きな論点から問題を論ずるのではなしに、地方自治体という立場から、たとえば韓国人法的地位の問題やらそういうよう問題も、地方公共団体という立場から無関心ではおれない問題ですし、自治大臣という地方自治体の問題を取り扱っておられるお立場から、やはりこういうふうな点にはこうなくてはならない、こういうふうなお考えがあってよいのではないかと私は思うのでありますが、いかがですか。
  10. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は御案内のとおりに島根県から出ておりまして、私のところのつい目と鼻の先に竹島という——ここには人は住んでおりませんが、岩山みたいなものがあるわけでございます。この帰属の問題が非常に争点の一つになっておる。それで、私の町に境港という港があって、そこに海上保安部があって、巡視艇が数隻いる。これが始終回ってみて、竹島の上に韓国の旗が立っているとそれをまた取り返してつぶしてくるとまた立てる。何だか子供だましみたいなことを一時やっておった時期もありましたが、歴史的にこれは日本領土の一部ですから、たとえ岩山でありといえども、私たち日韓交渉の対象にこれが取り上げられる限りにおきましては、日本領土であるという主張をあくまで貫かなければいかぬという——これは人が住んでおりませんから、地方自治という範疇に入るかどうかわかりませんけれども、やはり領土帰属のことに関しますから、私たち重大関心を持っております。  その他、御質問の要旨がどこまで御要求になっておるのかわかりませんが、日韓の問題は、先ほどお述べになりましたとおりに、法的地位と申しましてもなかなか問題が複雑でして、一時は法的地位の問題は片づいたといううわさも私は聞いたのだが、そう簡単じゃないはずだと思ったら、はたせるかな、いろいろなやっかいなことが出てきているようでございます。しかし、これは主として法務省の所管でございますので、私は私なりに一つ見解があるけれども、ここでそういうことを述べることは慎みたいと思いますが、なかなか多く問題を含んでおるようでございます。  その他、何かまた御指摘がございましたら、そういう問題についての私の考え方を率直に申し上げて御理解を得たいと思います。
  11. 安井吉典

    安井委員 大臣は、鳥取県の御出身でおありですが、あれは島根県の所属ですね。島根県の何郡何村か御存じですか。
  12. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 あれは、後醍醐天皇の隠岐島がありまして、隠岐島岳というのはほんとうは鳥取県の領分だと思うのだけれども、ちゃんと島根県ということになっている。竹島島根県でいいでしょう。しかしその近所にある島なんでして、これは隠岐国でしょう。穏地郡といいますか、隠岐国ですよ、くっついた島ですから。
  13. 安井吉典

    安井委員 穏地那五箇村の一部だそうです。竹島日本領土だというかたい確信大臣いまお述べになったわけでありますが、その根拠はどういうふうにお考えなのですか。
  14. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは文献にずっとあそこは日本の一部だということが残っているわけです。ただ、さっきも言いましたように、人の住めるようなところではない、単なる岩山ですから。なかなかそこにはむずかしい点がある。向こう側に言わせると、向こうにも資料があるようなことを言っておりますけれども、やはりこれを公平な第三者が判断した場合、お互いに資料を出し合って判断した場合には、これらの位置からいいましても、史実からいいましても、これは明確に日本領土だと主張し得るものと私は考えております。
  15. 安井吉典

    安井委員 韓国側主張要点はどういうことですか。
  16. 前田利一

    前田説明員 お答え申し上げます。韓国側主張は、一面歴史的な考証によりまして、この竹島がかねてから韓国の本土とつながりのある領土であるという点を一つ主張いたしますと同時に、国際法的に見ましても、日本側の納入の前後関係から見まして、これは韓国のものであるという歴史的考証と、法律論と、両方に立ってこれを韓国のものだと従来主張してまいっております。
  17. 安井吉典

    安井委員 日本側主張韓国側主張との食い違い、その内容、そしてまた日本側主張のほうが明らかに正しいのだとのもう少し迫力のある根拠を、やはりお示しいただきたいと思うのです。
  18. 前田利一

    前田説明員 その問題につきましては、昭和二十八年の七月、それから二十九年の二月、さらに三十一年の九月、三十七年の七月、特にわが国竹島領有権主張が、広汎な歴史的考証及び正確な国際法解釈疑いないことを詳細に立証する日本政府見解韓国側に提出いたしまして、韓国側はこれに対し、そのつど自分のほうの主張をまた詳しく言ってまいっておるわけでありますが、その歴史的考証内容並びに法律解釈上からの先方の立論といいますものは、非常に詳細にもわたりますし、またただいまその韓国側主張を手元に待ち合わせてきておりませんので、それを整理いたしまして、要点を後刻委員会のほうに提出させていただきたいと思っております。
  19. 安井吉典

    安井委員 それではひとつ資料で御提出いただきたいと思います。  とにかく竹島の問題につきましては、日本側主張が正しいのだ、こういうふうな御主張でいま政府は臨んでおられるわけでありますが、島根県の世論はどういうふうな動きをしておるか、大臣御存じですか。
  20. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 また選挙区のことを言って恐縮ですが、私は島根県みたいなものでありまして——と申しますのは、私は米子という町に生まれてずっとそこにいるわけだが、米子市の隣は安来で、県庁の松江までは車で四十分かからぬから、高根県の空気も知っておるわけですが、これは日本国じゅうそうだけれども島根県も、あげてこれは島根県であると、ちゃんと言っております。そのほか異論があるということは聞いておりません。
  21. 佐久間疆

    佐久間政府委員 島根県知事並びに島根県議会から、竹島領土権確保についての要望書が出ております。さらにまた本年三月二十三日につきましても、竹島領土権確保のため万全の措置を講ぜられたいという島根県議会議決がございます。
  22. 安井吉典

    安井委員 ついこの間も県議会議決で、たしかきのうですか知事がお見えであり、その陳情書を待って政府当局に頼んで歩いておるようです。毎年島根県議会はそういうふうな決議をし、政府筋に陳情しておるようでありますが、自治省としては、県議会議決でありますが、この問題について何か特別は御処置をとったことがありますか。
  23. 佐久間疆

    佐久間政府委員 私どもといたしましては、これは先ほど来御答弁のございましたように、当然島根県に属するものであるという確信を持っておるわけでございまして、そのような要望がございましたときには、外務省にももちろん御要望が出ておるわけでございますが、こちらからもこれが解決にお骨折りをいただきたいということを御連絡を申し上げて、外務省の御交渉に期待をいたしておるわけでございます。
  24. 安井吉典

    安井委員 これはどういうことになっておるのですかね。五箇村のいろいろな基準財政需要額だとか、あるいはそういったようなことにはちゃんと入っておるのでしょうね。
  25. 佐久間疆

    佐久間政府委員 島の面積は入っております。
  26. 安井吉典

    安井委員 島根県の世論としても、県議会議決という形で、あるいはまた知事が代表して各方面にぜひ竹島を返してくれ、こういうふうな要望をされております。地方自治体という立場においてもこれだけの関心があるわけでありますし、これは日本という国の領土という立場からも当然の主張で今日あるわけでありますが、自治体という立場からも竹島の問題にそのような関心が払われているのだという事実だけは、私どもははっきり認めなくてはならないと思うのであります。外務委員会等で私ども立場も、そういう点で明らかにしていかなくてはならないのではないかと思うわけです。ところでこれだけの重要性を持っております竹島に対して、いま韓国が要塞をつくったり、何かの形で領有を現実にしておるようでありますが、この返還についての今日までの政府態度について、ひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  27. 前田利一

    前田説明員 交渉の経緯を申し上げます。  この竹島問題が一番最初に発生いたしましたのは、御承知のとおり昭和二十七年の一月十八日に韓国側が、いわゆる李承晩ラインを宣言いたしました海洋主権宣言の中に竹島を囲い込んだところに発しておるわけであります。これは竹島に対する韓国領土権を前提とするもののごとく見受けられましたので、直ちに日本政府は同年一月の二十八日付口上書をもちまして、竹島に対する韓国領土権は断じて認められないと厳重申し入れたわけであります。以来政府は文書及び口頭によりまして韓国側との交渉を継続してまいっておりますが、そのおもなものだけをあげましても、昭和二十七年には四月二十五日に韓国側領有権に対する主張に対して、重ねて抗議いたしました。さらに翌昭和二十八年には六月に韓国人の漁民が竹島の周辺において漁労活動を行なっておるというような事実が判明いたし、七月に竹島におもむきました海上保安庁巡視船銃撃を加えられるという不祥事件が起こりましたので、韓国による領域侵犯、それから海上保安庁巡視船という公船に対します銃撃という不祥事件、こういうことに対して数次にわたる口上書をもちまして厳重抗議をしたわけでございます。その後も韓国側による不法行為が発見されるたびごとに、そのつど抗議を重ねてまいってきております。先ほど申しましたように、そういう不祥事件の起こるたびの抗議とは別に、基本的な考え方といたしまして二十八年七月と、二十九年二月、さらに三十一年九月、三十七年七月と四回にわたりまして、わが国竹島領有権主張が、広範な歴史的な考証及び正確な国際法解釈疑いないということを、詳細に立証いたしました日本政府見解を、韓国側に提出しております。それと関連いたしまして、この間政府は、この問題が領土権に関する法律上の紛争であるということにかんがみまして、国際司法裁判所により解決が最も公正妥当な方法であると考えた結果、昭和二十九年九月二十五日付口上書によりまして、韓国側に対し、この紛争国際司法裁判所に付化することを提議いたしました。しかしながら、韓国側は十月二十一日付の口上書で、これを拒否してまいっておるわけです。最近におきましても、お触れになられたように、先方警察官が引き続き竹島に駐在し、さらに施設物を構築しておるというようなことが確認されるたびごと韓国に対して抗議してまいっておるわけです。
  28. 安井吉典

    安井委員 これに対しての韓国側態度はどういうことですか。
  29. 前田利一

    前田説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、基本的に歴史の面における考え方並びに国際法解釈からしまして、韓国側竹島韓国領土であるという基本的な立場に立ちまして検討してまいり、さらにこちら側が不祥事件ということで抗議を送ったのに対しましても、それが合法的に自分領土であるというわけで、そこに警察官に派遣し構築物をつくるということは正当である、逆にその領海を日本公船が侵すというようなことは不当であるという、韓国側はそういう立場に立ちまして回答してまいっております。
  30. 安井吉典

    安井委員 第三国調停案についてはどういうふうな考えですか。
  31. 前田利一

    前田説明員 先ほど御説明申し上げましたように、国際司法裁判所に付託することが、この問題の性質上最も妥当な解決であると政府考えて、韓国側に申し入れたわけでございますが、行政管轄権がございませんので、韓国側がこれに応訴しなければ、遺憾ながら国際司法裁判所に持ち込めない事情にございます。その後も機会あるごとにこの竹島問題の国際司法裁判所付託について韓国側に申し入れたわけでありますが、韓国側国際司法裁判所に付託する、応訴するということは受け入れられない、しかしながらこの問題を第三国調停国際司法裁判所におきまして白黒の決が出るような形でなしに、原告、被告ということで対立する形でなしに、何か第三国調停ということで解決してはどうか、こういうような希望を申してまいったこともございます。さらに韓国側に対しましては、この調停が不調に終わった場合には、また国際司法裁判所に提訴するとか、あるいはその他の解決方法をとるとかについて、あらためて日韓間で協議することにしようというような提案も行なったことがございます。
  32. 安井吉典

    安井委員 現在日韓交渉の段階では、この領土問題についてはどういうふうな話し合いが行なわれているわけですか。
  33. 前田利一

    前田説明員 昨日の本院の外務委員会におきまして、外務大臣から御答弁もございましたわけでございます。さらに先般、十九日の日に、本院で行なわれました外務大臣日韓会談に関する報告書の中にも触れておられるわけでございますが、日韓会談が妥結し、国交正常化が行なわれる際、このような領土紛争解決見通しなく日韓間にわだかまっているということは、両国友好親善関係の将来にとって悪影響を及ぼすことであるので、政府といたしましては、国交正常化の際には、少なくともこの問題解決のための明確なめどを立てておく必要があるという考え方に立って交渉しておりますということを大臣がお答えになっておられますが、現在の政府の方針はそのようなものであると承けたまっております。
  34. 安井吉典

    安井委員 いろいろいままでの経過、あるいはまた先の見通しについても若干お触れになっているわけでありますが、これはやはり外務大臣においでいただいていろいろお話を承らなければ、きっかりした政府考え方を確かめるわけにはいかないわけでありますが、一応いままでのお話の中から総合して考えますと、今日までの竹島の問題に対する国民感情、あるいはまた地元の島根県における住民感情に対しては、これまで政府がお進めになっております交渉のあり方は実になまぬる過ぎる、そういうふうな印象を私受けるわけであります。この領有権を奪回するために、軍隊でやるというふうな手はもちろんありません。それはわかっておりますけれども、いまのような何かぬるぬるしたような態度では、私はこの重大な領土問題の解決にはならないのではないか、そういうふうに考えるわけであります。そこまで問題が参りましたならば、これは自治大臣のあれではないかもしれませんけれども、ひとつ赤澤大臣の御意見も承っておきたいと思うのです。
  35. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 安井委員からたいへん力強い御激励をいただきまして、私も全く同感です。しかし、以前にはこういう問題は国際間の力関係で大体きめられたものですけれども、そういうことの許される時代ではありませんし、しかたがないから国際司法裁判所へ持ち出そうとするのだけれども、これは相手国が応訴しなければ裁判が成立しないわけです。さっき外務省担当官が言いましたように、提訴して白黒とぴしゃりとやられますと、黒が出た国はちょっと国民に対してもメンツもなかろうと考える。そういう親心もあるので、第三国調停に待てば一番問題がうまく解決するのではないか。しかし最終的にはこの会談がどう進もうが、われわれの感覚としては、じゃあひとつ竹島はのしをつけて進呈しましょうとは断じて言いませんから、主張はあくまでやる。ただそれを平和的にやる方法としてうまい道がないということで困っておりますが、しかしこの条約とあわせて、この竹島領土権だけがぴしゃりと解決がつくものかどうか。これは政府全体としていろいろ苦慮しつつ進めておると思います。しかし、ただいま申しましたように、あくまで日本領土には違いないわけですから、私も内閣の一員といたしまして、これについてはもちろん強い態度をとるつもりでおります。
  36. 安井吉典

    安井委員 私も、先ほど来の経過の御報告、あるいはまた大臣のいまの言明の中で、どうしてもふに落ちないのは、国交正常化した暁においては、早急にこの問題を解決しなければいけないだろう、こういう態度であります。しかし、私は、さっきも申し上げましたように、戦争という強制力を持たない日本の場合においては、あくまでも外交交渉でなければこの領土問題の解決方法はないわけですよ。そういうことになって、先に日韓交渉はどんどん進んでしまって、話がきまって、いまの政府が言うところの国交正常化が行なわれて、それから先に竹島の問題をこうしようといったって、いまでさえ向こう国際司法裁判所の提訴に応じないのですよ。旧交が正常化してしまえば、向こうはこっちのもの、ですよ。そういうような投降において、話がきまってから竹島の問題をどうしようというふうな態度では、これは絶対に解決できないと思うのです。こういうふうな領土の重大な問題であって、これが国民感情あるいは島根県の住民感情の中の大きな要素を占めておるのですから、この領土の問題をまず解決して、これが解決するまではやはり交渉はとどめておく、こういう態度でなければ私は解決の道がないと思うのです。いかがですか。
  37. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これについて私見を申し述べますと、外務省の領域を侵犯することになりますので申しませんが、ただ、自治大臣として、先ほど安井委員からお尋ねのあった問題にからんでは、私たちはあくまでこれは、かつても日本国の領土であったし、いまもそうだし、将来もそうなければならぬと考えております。だから、自治省のいろいろ数字を計算する基礎の中にはこれも数えられてきておるわけなのですから、まあわれわれの立場といたしましては、日本領土である、あくまで確保しなければならぬということを強く要請するにとどめておきませんと、これから先のことはちょっと外務省でないとお答えがしにくいのではないかと思います。
  38. 安井吉典

    安井委員 これはやはり外務大臣に来てもらわなければ話の決着がどうしてもつかなくなりかけてきているわけでありますが、どうですか、前田課長。
  39. 前田利一

    前田説明員 先ほどお答え申しました点をもう少しはっきりと御説明申し上げれば、先生ただいま御指摘の点に対する私なりのお答えになるかと思いますが、政府といたしましては、決して竹島問題が解決されないままで国交正常化が行なわれるということではございませんので、このような領土紛争解決見通しなくわだかまっておることは、将来の関係にとって悪影響がある。そこで政府は、国交正常化の際には、と大臣は言っておられるわけでございまして、国交正常化が行なわれる際には、つまり国交正常化が行なわれた後に、この問題を解決しようとおっしゃったわけではございませんで、国交正常化の際には、少なくともこの問題解決のための明確なめどを立てておく必要があるという考え方に立って、現在韓国交渉しておりますと、こういうように言っておられるわけで、ただいま御指摘の点を体しまして、外務大臣以下外務省もせっかく韓国との間で交渉しておる次第でございます。
  40. 安井吉典

    安井委員 あなたに言ってもしょうがないかもしれませんけれども、そうすると、協定が成立するという仮定をした場合に、それと同時に竹島の問題もきまるのですか。そういうお見通しを持っておるのですか。
  41. 前田利一

    前田説明員 日韓間の諸懸案に関します協定が妥結し調印をされる、その際にはその竹島問題に関しましても、少なくとも一韓国との間に解決のための明確なめどが立てられる、その内容がどういうようなものになりますか、これは現に交渉中のことでもございますので、私どもから何とも御説明はいたしかねるわけでございますが、そのときにはこの明確なめどがはっきりと立てられる、こういうことだけは申し上げられると存じます。
  42. 安井吉典

    安井委員 めどというふうないいかげんな話では、事は領土の問題ですから、領土という問題になったらこっちが持つのか向こうが持つのか、二つに一つよりないわけですよ。そういうような重大な課題ですから、めどというようないいかげんな表現で当面をごまかして協定を結び、交渉を妥結するというふうな態度は、どうしても許せないと思うわけであります。やはりこの問題については、あくまでも日本領土だという歴史的な背景を政府自身がお知りなんだし、自治大臣は隣の県なのですから、ことさらに詳しく御理解になっているはずであります。それだけに、いいかげんな態度でこの問題の結論を出すというふうなことであっては、国民感情として、あるいはまた地元の人たちの気持ちからいっても、絶対に了解できない点ではないかと思うのです。めどとか何とかということではなしに、領有権を回復していく、領土権を回復していく、こういうことがあくまで前提でなければいけない。そういうことでなければ、もう交渉なんかおやめになったほうがいいんですよ。やってしまってから話をつけるというのではない。やるときには一応のめどだけでもと習われますけれども、そういう政府のめどというのはあまり当たったためしがないわけです。どうも、所得倍増政策も、物価を上げてしまうというめどは初めはお立てになっていなかったのだろうが、そういうふうになってしまったわけですね。外交問題と経済問題とは迷うかもしれませんけれども向こうさんの気持ちを一応なだめるために、当面の文章的な表現だけで領土の問題を片づけて、交渉を妥結に導くというようなことは、どうしても容認しがたい点であります。しかしこれは外務大臣との問題になってまいりますので、ここで論議をしてもしかたがありませんが、自治大臣としても国務大臣という立場において、特にまた地方住民の気持ちを政治の中に反映しなければならない自治大臣というお立場であるわけですから、この点はしっかり腹におさめて、閣議の中でも御主張を願わなければいけないと思うのです。どうでしょう。竹島が完全に日本に返るまでは、交渉の妥結をしないというお立場でどうですか、大
  43. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 だんだん誘導質問になってきて、外務省の領域を侵犯しそうになるので、少し私も警戒せざるを得ませんが、しかし私はあなたのおっしゃることは全面的に同感ですよ。賛成ですよ。自治大臣であろうがなかろうが、少なくとも日本人である以上は、やはり同じ気持ちをみんな持っていると思うのです。ただ、外交交渉ですから相手もありまして、だからこそ竹島問題なんかも難儀をしながらいま談判をしている最中です。これをどういう形でけりをつけるかということは、いずれ外務大臣が皆さんに申し上げる日があると思いますけれども安井委員のおっしゃる意味は私は完全に同感でございますから、その線に沿うて私も善処する余地があればいたしたいと思います。
  44. 安井吉典

    安井委員 では自治大臣は、島根県の一部であるところの日本領土を必ず守り抜く、そういうふりな御決意を表明したものと解してよろしゅうございますか。
  45. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございます。
  46. 安井吉典

    安井委員 そういうふうな御決意がある以上、交渉そのものもいまあわててやる必要はないということ、交渉のほうはあと回しにしても、とにかく竹島の問題がきまったら交渉を進めてもいいというくらいな、それくらいの政治的な立場というものがなければ値上の問題は解決しません。口だけではいまおっしゃるけれども、それは自治大臣として領土を守るとはっきりおっしゃったことはいいのです。しかしそのための技術的な方法としては、妥結してしまってそれから話をするのだというふうなことでなしに、先にそれがきまらなければ交渉は妥結しないのだ、そういうふうな腹がまえが先になければうまくいきませんよ。その点だけはっきり申し上げておきたいと思います。  次に、韓国人が現在こちらにずいぶんおられるわけです。それから北鮮の人も日本の中にいるわけですが、現存の段階で、地方自治体のいろいろな扱いで問題になっておる点はどういう点ですか。
  47. 佐久間疆

    佐久間政府委員 市町村あるいは都道府県のいろいろな行政の上におきまして問題になることがあるようでございます。たとえば生活保護の問題でございますとか、あるいは入学、就学の問題でございますとか、あるいは税金の問題でございますとか、いろいろ地域によってやはりあるように聞いております。
  48. 安井吉典

    安井委員 生活保護の問題では、具体的にどういうふうにあらわれておりますか。
  49. 佐久間疆

    佐久間政府委員 自治省の所管外のことでございますので、具体的に詳しい事情はただいま承知をいたしておりません。
  50. 安井吉典

    安井委員 地方税の扱いはどういうふうなことになっており、どういうふうな問題があるか、その点お聞かせいただきたい。
  51. 宮澤弘

    ○宮澤(弘)政府委員 地方税につきましては、御承知のように地方税法上の規定の課税の要件を満たしますと、内外国人を問わず、国籍のいかんにかかわらず、課税いたすたてまえになっております。したがいまして、私どもの承知をいたしますところにおきましては、格別に韓国人につきまして、課税上の問題で非常に大きな問題があるということは聞いておりません。
  52. 安井吉典

    安井委員 市日朝鮮人の数は、大体六十万人くらいというように聞いているわけですが、住民税に限定いたしまして、住民税の場合、課税対象になっている人となっていない人と、どれくらいの割合になっておりますか。
  53. 宮澤弘

    ○宮澤(弘)政府委員 ただいま申しましたように、地方税法上のたてまえが、国籍を問わず条件を満たすものは課税をいたすというたてまえになっております。御質問でございますが、日本人と韓国人のそういう意味の課税の状況の分別についての資料を、たいへん恐縮でございますけれども、ただいま私どもで持ち合わせておりません。
  54. 安井吉典

    安井委員 私はそういう問題も、自治省は、日韓交渉がどんどん進んでいる段階ですから、韓国人あるいは北鮮人、それぞれ違った立場にあるでしょうし、それからまたいろいろトラブルも起きているような段階ですし、またいまの交渉がどうなるかわかりませんけれども、そのぐあいによってはいろいろ問題も起きてくると思いますので、そういう資料をやはりお持ちになる必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  55. 宮澤弘

    ○宮澤(弘)政府委員 ただいま申しましたような徴税法上のたてまえでございますけれども日本人と外国人というような分別をいたします資料、その中におきます韓国人というようなものも、将来できるだけ整備をしてまいりたいと思います。
  56. 安井吉典

    安井委員 ぜひ早いうち御準備を願っておきたいと思います。その点、お願いしておきます。  あと、公営住宅だとか健康保険だとか、それから義務教育の問題だとか、いろいろあるわけであります。そのほか生活保護の問題なんかがたくさんあるわけですが、地方自治のほうではいろいろその扱いに困っているというような実情もあるのではないかと思うのでありますが、そういうようなお調べはありませんか。
  57. 佐久間疆

    佐久間政府委員 いろいろな機会にそういうような話を耳にすることはございますけれども、自治省といたしまして、確実な調査をいたしましたり、確実な方法による資料というものは持ち合わせておりません。
  58. 安井吉典

    安井委員 生活保護なんかはどういうことになっておりますか。先ほどもちょっとお尋ねしたけれども、十分なお答えがありませんでしたが、その問題について、全然御調査なり実情把握はありませんか。
  59. 佐久間疆

    佐久間政府委員 現在のところ持ち合わせておりません。
  60. 安井吉典

    安井委員 財政的な立場からもう少し御検討おきをいただきたいと思うのでありますが、生活保護法の直接の適用がなくても、それに準じたような扱いを現にしている、あるいはまた生活保護法の関係だけではなしに、いろいろ生活上のめんどうを見ていかなくてはならない、そういうような問題もないわけではないと思いますが、そういうような点も全然わかりませんか。
  61. 佐久間疆

    佐久間政府委員 先ほど申し上げましたように、断片的に耳にすることはございまするけれども、確たる資料は持ち合わせておりません。
  62. 安井吉典

    安井委員 財政局はいないのですか。——それでは関連を……。
  63. 森田重次郎

    森田委員長 華山親義君。
  64. 華山親義

    ○華山委員 伺いますが、めどとおっしゃいますけれども、めどというのは、これからこういうふうな方向で解決しようというめどをおっしゃるのでございますか。
  65. 前田利一

    前田説明員 お答え申し上げます。大臣がおっしゃっておられる竹島問題解決のための明確なめどというのは、国交正常化が行なわれるまでには少なくとも竹島がいずれに帰属するかの決定をどのような手段によって達成するか、その点につきまして国交正常化前に日韓間にはっきり合意しておこう、こういうことを言っておられるものと理解しております。
  66. 華山親義

    ○華山委員 それでは、日韓会談妥結の際に、これは日本領土であるとか韓国領土であるとかいうことは、きめれば一番いいわけでありますが、外務大臣の言う意味は、きまらなくても今後どういうふうにしてきめればよいかということをきめればよい、こういうことでございますね。
  67. 前田利一

    前田説明員 ただいま仰せのとおり、日韓会談が妥結し、国交正常化する前に、竹島帰属が終局的に決定するということが最も望ましく、それにつきましては、ただいまこの席で大臣からもおっしゃっておられますように、私どもとしましては竹島日本の領域であるということに間違いないということで基本的に臨んでおるわけでありますが、その終局的な決定ができるのが一番望ましいのでありますが、できない場合にも、少なくともいずれに帰属するかの決定をどのような手段で達成するか、この点について国交正常化前にはっきりと合意しておこう、こういうことであると解しております。
  68. 華山親義

    ○華山委員 韓国国際司法裁判所に提訴することに応じないというのは、どういうことで応じないのでございますか。その理由はどういうことでございますか。
  69. 前田利一

    前田説明員 韓国側が応訴を拒否してまいったときの文言を正確に記憶しておりませんが、これは先ほども触れましたように、韓国側立場からしますと、歴史的にも法律解釈上も韓国領土であることに間違いないから、国際司法裁判所に持ち込んで争うまでのこともない、こういうような趣旨を答えてまいったように記憶しております。
  70. 華山親義

    ○華山委員 私はそういうことはめちゃだと思うのです。そういうことに日本がああそうですかと言っている必要はごうもない。あくまでも、少なくとも国際司法裁判所に提訴するということに応じない以上は、私は妥結すべきものではないと思う。そんなことは国際法上通らないですよ。私はそう思います。  それから、第三国ということにつきましてあちらが言ってきたというのですが、第三国調停してもらうほうがいいというのは、どういう理由でそういうことを言うのですか、お聞きしたい。
  71. 前田利一

    前田説明員 先ほどもちょっと申し上げましたが、国際司法裁判所に付託して原告と被告との関係で黒白の細君をはっきりつけるということは、韓国側にとって受け入れられないわけでございますが、推測するに、韓国側の気持としては、この問題を第三国あるいは第三者個人というものの調停に付しました場合には、純法律的な見地に立っての最終的な決定ということ以外に、諸般の政治的な考慮もこれに加わって結論が出てくるということを期待しての第三国ないし第三者に対する付託の提案が出てまいったと、これは推測するわけでありますが、先方がはっきりとそういうように、国際司法裁判所に付託できない理由については申してまいっておるわけでありますが、この調停に付そうということの理由について、韓国側がはっきり申してきたということではございません。
  72. 華山親義

    ○華山委員 私が考えるのに、韓国側も自信がないから、そういうことだと思うのです。国際司法裁判所に申し出れば、自信はない。それから、第三国であるならば何か色をつけてくれるだろう、こういうふうな意図だとするならば、日本といたしましては、そういうふうなことにはのっかる必要はごうもないと思う。主張すべきものは堂々と主張して、この問題が片づかない以上は、日韓会談を妥結するなどということは、日本は承諾すべきものじゃないと思うのでございますが、第三国というのは一体どこの国でございますか。
  73. 前田利一

    前田説明員 お答え申し上げます。先ほど来申し上げておりますように、第三国調停に付そうとか、あるいは調停が不調に終わった場合にどうしようかということにつきましては、これはあくまで韓国側の提案でございまして、日本側がこれに応じたとか、あるいはこれを受け入れたということではございませんので、この場合に、特定の第三国として韓国がこの国にやってもらおうというようなことを言うてまいったということはないものと聞いております。
  74. 華山親義

    ○華山委員 日本としましては、最終的には、第三国調停でもこれを承諾する考えでございますか。
  75. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いま華山委員はたいへん示唆に富んだことを御発言なさっておると思うのですよ。それで私も察するのに、国際司法裁判所に応訴してこないということは、自信がないからだろうとおっしゃったが、私も多分にそういうふうに判断しております。個人としては。しかし、いまのおことばの中にありましたけれども交渉の際に、竹島問題の解決をするという、この解決ということばは、——さっきのめどというのは、書くと目途ということになるし、これが何を意味するかということになると、字引きを引っぱって正確に申し上げなければならぬと思いますが、解決は、その町点で白か黒か、右か左かということが、これが一番明快なんですね。い衣先生のおっしゃったことは、じゃ一体国際司法裁判所に応訴するというととが明確にできるか。これもまた一つ解決方法だとおっしゃったわけでもあるまいけれども、多分に言外にそれが含まれていると私は見るべきだと思う。それから、第三国調停を依頼するということは、やっぱりこれも解決ということの一つ方法だ。解決ということばには幅があるようなないような、これも日本語としてなかなか考えてみれば不明確なことに違いありません。しかし、こういうことを私突っ込んで申し上げますことは、先ほども申し上げましたように、私の立場ではないわけですが、しかし外務省担当官が非常に答弁しておってきりがないものですから、私としての感覚を申し上げるわけですが、かりにいろいろな争議なんかが起こりまして、そういう際に、では第三者の調停というようなことが起こっても、無条件で、それじゃおまかせです。白紙ですからどうぞ御判断のままにということはないわけでして、ただ、さっき私が——これは私個人の見解です——心配いたしますことは、やはりどの国でも国民に対するメンツの問題もありますから、これを目の前で、やあ負けたということには、なかなかものがいかぬのじゃなかろうか。国祭司法裁判所で黒の判決がありましても、これはいままで政府が言っておったことがうそだったということになりますからね。そうすると、やはりこれは相手国のあることですから、一応第三者におまかせして、公正なる判断を下すんだが、それにはやはり、そこでも主張すべきことは主張して、そうしてそれに対して仲介の労をとってもらおうということではないかと私は思うのです。ただ、こういうことを一切含めて外務大臣が責任を負うてこの日韓交渉に当たっておるわけでございますから、それから先のことは、ひとつ本職の委員会もあることでございますから、どうかそこで明らかにしていただいたほうがいいのではないかと私は思います。
  76. 華山親義

    ○華山委員 私は、国際司法裁判所ならばいいというわけじゃございません。ただ日本外交が現在国際連合を中心にしてやっているのでしょう。常に国際連合を中心にしてやるということを言っているわけです。その国際連合を中心にしてやるという方針をはずしてまで、こういう問題について妥結するのかということをお聞きしたい。
  77. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私もきのうの午前中まで外務委員長をしておりまして、この問題、実は研究もしておりますけれども、ただいま申し上げるように、度の過ぎた発言は私にはできぬわけでございます。この点は、華山先生は御賢明な方ですから、ひとつ十分そこらの御判断はしていただいて、当該委員会ででも御意見を述べていただきたいと思います。
  78. 華山親義

    ○華山委員 私が申しますことは、そういうふうな無理をしてまでなぜしなければいけないのか、そういうことを申し上げているのです。  それから、一つ伺いますが、住民でございます。この永住するところの外国人というものは、根本的に法律にはどういうふうなことがあるのでございますか、これは住民でございますか。自治法の解釈その他いろいろな——これはむしろ法務省の問題かもしれませんが、これは住民なんでございましょうか。
  79. 佐久間疆

    佐久間政府委員 住民ではございません。
  80. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、先ほどからいろいろ御質問のありました生活保護の問題とか、そういうふうなことは一々法律か何かできめなければいけない、こういう性質のものでございますか。
  81. 佐久間疆

    佐久間政府委員 ちょっと先ほどことばが足りませんでしたが、市町村の区域内に住所を持っておりますものは、住民でございます。ただ法律の上におきましては、日本国民たる住民ということで、たとえば選挙権その他重要な権利というものは日本国民たる住民に限っております。
  82. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、法体的にいいますと、生活保護の問題とかいろいろな問題は、やるとすればこれは法律が要るわけでございますか。
  83. 佐久間疆

    佐久間政府委員 それぞれの法律を見てみますと、日本国民である住民というふうに限定をいたしておりますものが相当多いようでございます。限定がありますものにつきましては、その法律は当然日本国民たる住民に限定してそのサービスをするという趣旨でございます。
  84. 華山親義

    ○華山委員 先ほどお話のありましたたとえば生活保護の問題は、これは法律的にはどういうことになっておりますか。
  85. 佐久間疆

    佐久間政府委員 所管外の法律でございますので、あるいは誤っておるかもしれませんが、法律を見てみますと、第一条、第二条等に、国民に対しあるいは国民はこの法律に定める要件を満たす限り、無差別平等に保護を受けることができるというような規定がございますので、たてまえといたしましては、国民たる者に限っておるものかと思います。
  86. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、たてまえとしてはとございますから、もしやっておったとすれば、そういうことにつきまして市町村等におきまして財政負担をしておったとすれば、それは違法とは言えないとしても、便宜そういうふうにやっていた、こういうことに相なるわけでございますね。
  87. 佐久間疆

    佐久間政府委員 どうも所管外の法律でございますので、正確にはあるいはどうかと思いますが、おそらくそういうことだろうと存じます。
  88. 華山親義

    ○華山委員 朝鮮の人はお気の毒な人も相当多いわけでございますが、法律をまつ正面に言いますと、先ほど申しましたとおり税金はいただくが生活保護はいたさない、いろいろな住民としての保護はいたさない、こういうふうなことが法律的にあるわけでございますね。
  89. 佐久間疆

    佐久間政府委員 そのとおりでございます。住民税は住民である者に課せられるわけでございますから、これは日本人であると外国人であるとを問わずに課せられるわけでございます。先ほど例におあげになりましたような、法律日本国民と限定してありますものについては、外国人はたてまえとしては及ばない、こういうことでございます。
  90. 華山親義

    ○華山委員 それじゃ一応これで終わります。
  91. 安井吉典

    安井委員 財政局長もお見えでございますが、その前に、外務省の方でお急ぎの方がおられるようでありますので、ちょっとお聞きしておきたいのは、在日朝鮮人の法的地位の問題についていまどういう点が問題になり、どういうふうな方向で話が進みつつあるのか、その点ひとつ伺っておきたいと思います。
  92. 前田利一

    前田説明員 日韓会談一つ案件といたしまして、在日韓国人法的地位の問題がございます。在日韓国人とここで申しますのは、終戦の日以前に日本人として日本にやってこられ、引き続き現在に至るまで在留しておられる人と、その人の子孫、つまり日本で生まれたその人の子孫たちがその対象になっておるわけでございまして、実際に約三分の二の人が日本に生まれたと承知しておりますが、こういう人たちは、長い間日本人として暮らしておったために、日本の書証、風習というものにほとんど同化しておりまして、さらに平和条約の発効のときまでは、日本人として日本に居住していたのでありまして、平和条約の発効に伴い自分の意志によらないで日本国籍を喪失し、その結果、それまで日本人として受けていた諸般の待遇を失った、こういう事情があるわけでございまして、政府といたしましては、こういうほかの外国人とは全く違った特殊事情を考慮に入れますと同時に、また国内に将来政治的、社会的な禍根を残すというようなことにならないよう配慮しつつ、現在その会談におきまして日韓双方が納得できる合理的な解決をはかりたい、こういうことで交渉に臨んでおります。具体的に申しますと、こういう在日韓国人が、協定の結果永住権をもらえるかどうか、その永住権をもらえる範囲はどういうようなものになるのか、また永住権を付与された者が犯罪を犯した場合、入管令などによりますと退去強制になるわけでございますが、そういう退去強制を受ける範囲がどのようになるものかどうか。そのほか先ほど問題になっておりました外国人としては本来受けられない生活保護の問題であるとかあるいは義務教育を受ける問題だとか、そういう特別の取り扱いをすべきだという考えに立ちまして、そういう処遇の問題をやって、おります。そのほかにそういう人たち韓国に永住を目的として帰る場合の持ち帰り財産、こういったものについても特殊事情を考えて考慮してあげるべきだ、こういう問題を含みまして、この在日韓国人法的地位問題全般にわたって討議が行なわれてきておるわけでございまして、この問題につきましては相当に討議が煮詰められ、双方の立場も歩み寄りを見せるに至っておる次第でございます。
  93. 安井吉典

    安井委員 そこでこの点だけひとつ伺っておきたいのですが、北鮮の人と韓国の人とがあるわけです。その場合に、いまの法的地位の問題について、韓国側との話し合いで北鮮の人まであわせて拘束するという考え方でお進みなんですか。それともそうではなしに分離するということですか。
  94. 前田利一

    前田説明員 これは私がお答え申し上げられる点に限りがございますが、大臣がかねて本会議あるいは各関係委員会において明らかにしてまいっておりますとおり、日韓会談に臨む一つの基本的な態度といたしまして、朝鮮が南北に分断されておる、韓国政府というものの現実の支配というものは、朝鮮半島の南の部分に限られているということを念頭に置いて交渉に臨んでおる、こういうことになっております。在日韓国人の問題につきましても在日朝鮮人の中に、北鮮地域を事実上支配している当局を支持しておる者がおるということ、また南北いずれにもくみしない襟度を維持している者が存在しているということ、こういうことも事実でございまして、在日韓国人の問題を取りきめます場合に、こういう事実があることを十分考慮に入れて交渉に臨んでおる次第でございます。
  95. 安井吉典

    安井委員 そこにも根本問題があるわけです。南半分しか支配していない韓国との話し合いの中から、おれは北半分の地域の国民だ、そう考えている人までを拘束する話し合いを日本政府韓国政府と進めているということ自体に大きな問題があると思うのです。そういう基本問題が、その法的地位の問題の中からも一つ出てきたわけでありますが、外務省からはこれはやはり大臣が出てきていただかなければ詰めたお話はできませんので、きょうはその点私の質問は保留したままにいたしておきたいと思いますが、自治省の立場から、北鮮の人と韓国の人と、そういうふうなちぐはぐな形がそこに住んでいる住民の間にあらわれている、現にそういうことがありますけれども、それが今度の協定でやはりいろいろな形で出てくるのではないかと思うのです。生活保護の問題だとかその他の問題についても、さっき華山さんからもお話があったわけでございますが、自治省の行政局の当局では、あまりそういったような実態について資料をお持ちでないようです。しかしこれは現在でもあるようですし、しかもその話し合いの中からまた問題が出てくるように思うわけです。それだけに行政当局においても、やはり十分御検討おきを願っておかなければいけないと思うわけです。それからまた財政局長がおいででありますが、地方財政の面から、現在でもあの朝鮮半島の南と北と両方に住んでいる人たち日本にいることによって地方財政にやはりいろいろ影響があると思うのです。特に非常に大ぜいいる地域についてはやはり何か問題があるようでありますし、そういうものが地方財政にどのような影響をもたらしているか、さらにまた、今後の協定の成り行きでどうなるかわかりませんが、どういうふうな形で新しい影響があらわれてくるか、いままでそういうふうな点についての検討はございませんか。
  96. 柴田護

    ○柴田政府委員 私ども地方財政問題を扱っておりまして、地方からいろいろな財政需要が出てまいりますが、いままでのところではお尋ねのようなことが直接の動機になって財政需要がどうこういう問題は聞いておりません。それが一つの原因になって財政需要があらわれてきたといったようなものはあるかもしれませんけれども、そのこと自身に直接結びつく財政需要というものは聞いておりません。
  97. 安井吉典

    安井委員 この協定がいま進みつつある段階において、特に永久居住権というふうなことになった場合に、地方自治体立場からこういうような点について特に検討が必要ではないかとか、そういうような問題はありませんか、そういうような御検討をなされたことはありませんか。
  98. 佐久間疆

    佐久間政府委員 ただいままでのところ、まだ検討をいたしたことはございません。
  99. 安井吉典

    安井委員 外交交渉といったような問題ですから、外務省の所管や、あるいはまた法務省の所管といったような面が多くて、自治省は何か自分の問題ではないというふうなお考えかもしれませんが、永久居住権というふうなことの出方によっては、たとえば生活保護だとか、その他の社会保障の問題が響いてきたり、地方財政の上に私は影響が必ず出てくるのではないかと思います。特に北と南の両朝鮮のその姿が、奇妙な形で自治体の中にあらわれてきては、私はたまらないと思うわけです。そういうような面からもぜひ御検討願いたいし、基本的にはやはり南北朝鮮の統一、そういったようなものを前提にした話し合いでなければ、将来に大きく禍根を残す、こういうことを私ども考えているわけでありますが、住民意識といいますか、そういうような点からもひとつ指摘をしておく次第であります。  なお、竹島領土問題等のことは、地方自治体という立場からも関心を持たなくてはいけない重大な課題だと思います。したがって、きょうは私もこの程度の質問にとどめておきたいと思いますが、さらに実態の進む段階において、また今度は外務大臣にもおいでを願って、ひとつじっくり論議を尽くす、こういうような場面も持ちたいと思うわけであります。いずれにいたしましても、領土問題をたな上げにしたような交渉あるいはまた南北朝鮮の統一にかえってひびを入らせるような日韓会談の方向には、われわれは絶対に反対である、こういうような立場をさらに、言明をいたしまして、一応質問を終わります。      ————◇—————
  100. 森田重次郎

    森田委員長 次に、地方公共団体の議員の報酬に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。阪上安太郎君。
  101. 阪上安太郎

    ○阪上委員 御案内のように、最近地方自治体におきまして地方議会議員の報酬の値上げに関しまして、地方住民世論が沸騰している、こういう状態でございます。したがって、この機会に、こういった世論の動向、たとえば地方議会議員の報酬値上げがお手盛りでやられておる、お手盛り増額に反対だ、こういう声が出ております。それから地方財政の非常に窮迫している現況下において、こういった報酬の値上げは適当でない、こういう世論がある。それからなおそういったものに対して不服を持っておっても、現在の自治法のたてまえからいって、そういった住民の不服というものが受け入れられるような有効な手段というものがない、こういうことから、議員歳費お手盛りに対しての世論が沸騰しているのではないか、私はかように思うわけであります。それから議員の側の声として考えられるのは、国会議員が歳費を値上げしたから、おれたちはそれに対して右へならえをするのだ、こういうような安易な考え方が一方においてある、こういうことであります。私はこれらの問題について、いまからきわめて簡単に、四項目ばかり質問いたしたい、かように思うのであります。  そこで、最初質問でありますが、国会議員の歳費の値上げに右へならえして差しつかえない、当然のことだという考え方を持っておる向きに対して、自治大臣ははたしてそれが正しい、それでいいのだ、こうお考えになるのか、それとも、いや、そうじゃないのだとお考えになるのか、これらの点についてひとつ所信を伺いたい、こういうことであります。
  102. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 阪上委員はよく御存じないかと思いますが、私は実は大阪の茨木に縁故がありまして、あなたが隣の町に、多年名市長としておいでになったことをよく知っておりますので、むしろこういう問題については、公正な御意見をこっちから承りたいくらいであります。大体われわれ国会議員の歳費のことにつきましても、これを新聞が故意にからかう面もありますけれども、これが国民に非常な悪影響を与えている、何だ、国会議員はお手盛りで歳費をきめるじゃないか、こういう印象を持たれることすら私は非常に遺憾だと思うのでして、私は個人的に考えれば、やはり国会議員は、あの歳費の増額なんかの場合に、もう少し反省がなければいかぬと思うのです。と同時に、いまの御質問ですが、これは阪上先生は自分がおやりになったことですから十分御承知のはずですが、これは市町村ごと、府県ごとに条例をきめてやるわけですから、これまたお手盛りなんですよ。そこで私は国会の歳費が値上げになったから、地方も右へならうのだというような考え方は、これは全く意味がありません。しかし一般世上、何か合理性を持たせる一つの弁解のことばとして、確かにやられている画があると思う。地方議会ごとに、やはり議員定数が多過ぎるとかあるいは報酬をお手盛りで値上げしているとか、いろいろな非難がありますが、やはりいまの段階では、その土地、土地の世論の動向というものをよく見きわめ、また議員としては、乏しい自治団体の財政ですから、そこらもよく勘案して、良識によってこれは解決すべきものであるというふうに私は考えますが、これはむしろ阪上委員のほうから、御意見がありましたら拝聴をしたいと思います。
  103. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私が質問しているのですけれども、こっちが聞かれてしまった。  そこで、いまの大臣答弁は、大体九十点くらいなんです。この問題は、なかなかむずかしい問題です。しかしながら、いまのような国会議員へ右へならえするという単純な考え方、これについては、やはりいま言われたように、われわれとしても自粛しなければならぬ面があるけれども、同時に、かといって直ちに右へならえしてしかるべきだという考え方は、これは是正していかなければならぬ、私はかように思うわけです。御案内のように、私から申し上げるまでもなく、憲法四十九条に、議員の歳費については、これは国会議員としての活動を経済的に保障する意味において保障されておる、これは明らかであります。憲法五十条の逮捕されない特権も国会議員は持っております。それから発育、表決の免責、これも五十一条に明記されておる。同時に四十九条に歳費を受ける権利というものが明確に規定されておる。こういうことなのであります。そのほかに国会法に基づいて固く本誌議員のいろいろなこの種の恩典というものが与えられております。あるいは国有鉄道の無賃乗車であるとか、あるいは事務室並びに秘書に対するところのいろいろな保障が行なわれておる。それから国会図書館を利用するところの権利等も与えられておる。あるいは議院法制局の利用の特権も与えられておる。立法事務費等の措置もやはり与えられておる。こういうことであります。しかし国会議員の今日の生活というものは、全生活をこの国会議員という立場においてぶち込まなければならぬという立場を持っておる。この点、地方議員の場合にはかなり大きな違いがあるのではないか。さような意味において憲法が国会議員の歳費というものを保障している、こういうことだと私は思うのです。ただし、その歳費をお手盛りでもってどんどん上げていくのはいいとは私はいいません。けれども、そういうような基本的な問題がある。この点、地方議会議員の議会運営等のたてまえを考えてみましても、かなり大きな差がある。たとえば常任委員会等におきましても、議会の開催中でなければ、常任委員会は開いてもそれは公式なものでない、こういうことになっておる。同時にまた、議会で付託された議案等を審議することはできるというような程度にとどまっておる。しかしながら、今日議会運営の実態を見ますると、ほとんどそういった公式のもの以外に、ちょうど国会の常任委員会と同じような形をとって開かれておるというような面も出てきておる。そういう面から見ると、地方議会議員におきましても、逐次何かそういった給与的な内容を持った報酬の方向というものが、出てきているのじゃなかろうか。こういうところに、単純に右へならえする動きというものが出てきたのじゃないか、私はかように思っております。そういった点については開きがあるということを、この際やはり明確に判断しておく必要がある、こういうこと、だと思うのであります。が、それだからといって、今日地方議会議員の報酬というものが、給与の形をとりつつあることもいなめない事実だということも、明確にしておく必要があると思います。ただいまお伺いいたしましたところによりますと、そういう考え方でありますが、ここで技術的な問題として、こまかい問題でありますけれども、歳費と報酬というものはどういうふうに違うのか、こういうことについて、佐久間行政局長からちょっとお答え願っておきたいと思います。国家議員の歳費と地方議会議員の報酬、この概念はどうであるか。
  104. 佐久間疆

    佐久間政府委員 国会議員の歳費につきましては、御指摘のように憲法に根拠がございまして、法律で歳費という用語が用いられておるわけでございます。地方議員につきましては、地方自治法で報酬ということばを使っております。いずれも議員としての職務に対します反対給付と申しますか、として支給されるものである点におきましては、同様と考えます。ただ法律で用語を使い分けてございます理由は、先生がいまお述べになりましたように、国会議員としての活動、職務内容の実態と、地方議会議員としての職務内容の実態との相違に基づきまして、法律でも使い分けておるのだろうと思います。そこで、法律の上にあらわれたところから推察いたしますと、たとえば歳費につきましては、国会議員が政府の公職につかれました場合には、その分を差し引き計算するような規定もございますし、地方議会の報酬につきましては、そのような規定もございませんところから推測いたしましても、歳費は給与的な性格が報酬より強いのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
  105. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その点はよくわかりました。  そこで、次にお伺いしたいのは、国会議員との関係はその程度に終わりますが、しからば、現在地方自治体におけるところの議会議員の報酬の値上げをやっている、この実態をどうお考えになるか。適当であるかどうか、ここのところを伺いたい。
  106. 佐久間疆

    佐久間政府委員 地方議会の議員の報酬につきましては、先ほど大臣の御答弁いたしましたように、法律のたてまえがその額は条例で定めるということを規定してある、だけでございまして、その条例で定めます場合の基準につきましては、何も規定がないわけでございます。したがいまして、法律の趣旨といたしましては、それぞれの議会が、地方公共団体が、自主的に常識をもって妥当と考える額を決定させるというのがたてまえだろうと思うのでございます。その点は、一般職の公務員の場合に、地方公務員法に基準が書いてございますのと違っておると思うのでございます。したがいまして、法律的に申しまして現在地方議会が定めております報酬の額が、法の趣旨に合っているか合っていないかというようなことにつきましては、はっきりとした判断がいたしかねるわけでございます。しかしながら私どもといたしましては、先ほどお述べになりました地方議会の議員の職務の内容の実態からいたしまして、これは一般職の公務員の給料とはやはり違うものではないか。また戦前のような、名誉職として、報酬を支給する規定のございませんでした時代とは、もちろんこれまた議員としての職務の内容が違っておりますが、いわばその中間的な形態ではなかろうか。そのような点から考えてまいりますと、現在引き上げの動きのございますものの中には、常識的に見てやや考えなければならぬ点があるものもあるように私ども感じております。
  107. 阪上安太郎

    ○阪上委員 あまりよくわからないのですが、結論としては、こういった問題の是非の論議というもの、あるいは是非の判断は、それ自体地方自治の本旨に基づいて、本来的にこれは自治体そのものが自主的にきめていくべきものである。したがって、特段の標準をきめたりなんかする考え方より以前に、そのことが重視されなければならない、こういうような意味で、しからばその上げ方の度合い等については、これまた地方の実態に応じて考えていかなければならぬ問題である、あるところでは少し上げても差しつかえないような状態にある、あるところではこれ以上上げるのはどうかと思うというような判断ができる、こういうふうに答弁を私は解釈します。ただ、あなたのことはの中で、ことばじりをつかまえるわけでないけれども、議会がそういうことをきめるのだということばがあった。確かに法律上そうなっている。しかしここに地方自治の本旨からはずれたところの考え方があるのじゃないか。あなたのお話を聞いていると、地方自治のあり方というものが、いかにも機関で決定すればいいのだというような、団体自流の概念が非常に強過ぎる。そういう考えでこれを指導しておりますと、なかなか的確に住民の納得するような指導方針は出てこないのじゃないか。団体とは、言うまでもなく、通俗的に言うなら理事者と議会だと私は思う。そういったところで、こういった問題がきめられれば、それで地方自治の本旨は達成されておるのだ、私はこういうことではなかろうと思う。地方自治の本旨はあくまでも、いろいろな学説はありますけれども、やはり最も重要な要綱としては住民自流でなくてはならぬ。そうなりますと、こういった住民と議会、理事者等との間に紛争のある問題について、これを決定していくところの最後の方向というものは、やはり住民自治に求めていかなければならぬ、私はこういうふうに考える。そうなりますと、この場合問題になってくるのは、法的に、議会で議決されて、条例が改正されて値上げされても差しつかえないけれども、しかし、それが直ちに地方自治の本旨に沿った行き方であるということは言えないのだということを、明白にしておかなければいけない。  そうなると手続の問題が問題になってくる。いかなる手続によってやっておるかということであります。過般、埼玉でありましたか、この種の問題を県会で取り扱う場合に、報道の取材を拒否したという例が出ております。つまり公開の席でこれをやらなかったということが一つ。大体いままでのこういった種類の取り扱い方については、先ほど言いましたような非公式の、いわゆる法に根拠を時ってないところの常任委員会を開催いたしまして、そこで話し合いでもって簡単にきめてしまう、そうしてそれを県議会の本会議あるいは市町村議会の本会議に持ち込んで、しかもそれが公開の方式もとらずして、非公開でもってあらゆる取材等を拒否してやっていく、こういうざまでは、全く地方自治体の本旨からはずれたところの自治運営をやっておると言っても私は過言でないと思う。こういう点で、こういった手続をもっと重要視するという風潮をつくり上げていかなければならぬし、自治省としても、そういう指導は当然あってしかるべきだと思うのです。なかなか基準を出しにくいところの基準を無理やりに求め、そして国会の例にならって、何か行政職員の最高の、部上長クラスなら部長クラスに準じてやっていくのだというような基準を出すことよりも、むしろもう少し地方自治の本旨に基づいた指導というものがこの際行なわれなければ、住民は納得しないと私は思います。したがって、こういった指導を過去においておとりになりましたかどうか、そういったことについて伺っておきたい。
  108. 佐久間疆

    佐久間政府委員 御指摘のように、この値上げの問題につきましては、値上げの額の問題と手続の問題と、両方ございます。  額の点につきましては、先ほど申し上げましたようなことで、大体先生のただいま要約なさったような考え方をいたしておるわけでございますが、二年ほど前でございましたか、先ほど申しましたような考え方から、大体府県議会議員の場合については、一般職の公務員として最上級である県の部長級というところを、一応のめどとして考えるのがいいの、じゃなかろうかということを、非公式に参考までに連絡をいたしたことがございます。これももちろんその団体の事情によりまして、一がいには申し上げることはできませんけれども、一応の一つの参考のめどとして申したことはございます。  それから、値上げの手続でございますが、御説のように非公開で、しかもこそこそとやっていくというようなやり方は、私どももたいへん遺憾なことだと存じます。先生の御説のように、議会で十分一般の住民の動向というものをくみ取って、それを反映させながら審議を経た上でなすべきだ、かような考え方を私どもも持っておるわけでございます。一般的にそういうやり方をせいということを、あらためて通達等で指導いたしたことはございませんけれども、個々に感想を求められました場合には、手続の点につきましては、いま申し上げましたような考え方を私どもは申し上げておる次第でございます。
  109. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私が調べた本年度におけるところの地方議会議員の報酬の値上げのデータを若干持っておりますが、たとえば鳥取島根におきましては、議員だけを考えてみますと、大体二三%くらいの値上げをいたしております。鳥取島根におきましては議員の報酬が六万五千円だったものを八万円に上げておる。それから青森、岩手、秋田、山形、福島、富山、石川、福井というようなところは六万五千円から七万円くらいのところで押えておったものが、これが八万五千円で、大体二一ないし二三形値上げをいたしております。それから熊本、鹿児島、これがかなり財政状況の悪いところだと思うのであります。これでもって大体七万円から七万五千円であったものが、本年度はこれを十万円にまで上げていく、この増加率は三四%ないし三九%くらいになっております。それから北海道、これはあまり上がっておりませんけれども、十万五千円が十二万五千円、こういうことで、これは一九%くらいの増額になっております。静岡県が三一%、九万五千円がこれまた十二万五千円。栃木、茨城、群馬、これが七万五千円が十万ということで三四%。大阪はなかなかはでに上げてしまいまして、十二万円が十六万円で四五%。東京はいろいろな関係から、あの理由についてはあまり感心した理由ではありませんけれども、とにもかくにも一応抑えた、ゼロであります。その他のものは私はつかんでおりません。また市町村関係にも相当な増額が行なわれておると私は思いますけれども、これもちょっと数字はつかんでおりません。自治省のほうでもかなりこういった数字は押えられておると思いますけれども、十分まだ抑え切っておられないし、また執行してないところもあるのじゃないか、こういった状態を見ますと、基準はありませんけれども、何か少し上げ過ぎるというような向きのところもある、それから、そうでないところもある、この程度の上がりなら、はいいではないかというようなところもある、こういうことなんであります。これに対して、基準を設けていこうというのが非常に困難であることも私よくわかります。したがって、そういう困難な問題を取り扱っていく場合の自治省の指導方針としては、やはり地方自治の本旨に基づいた手続というものを、十二分に活用させていくということでなければ、この問題は解決しないと私は思っております。そこで、公聴会あるいは第三者的な機関を設定して、そういったものに諮問しながらこれを上げた、そういったケースがあるかどうか、公聴会は賛否同数でやるのですから賛否同数になってしまう、けれども、そのことによって、住民が非常にそういった報酬の問題について理解を持つということになる。そういった公聴会が行なわれたかどうか、あるいはまた、先ほど言いましたような第三者の機関を設置してやったところがあるかどうか。私の手元で承知しているのは、千葉県においては特別職の給与報酬審議会というものをつくって、これに諮問をいたしまして、その結果に基づいて条例を改正している、こういう手続を踏んでいるところもある。しかし、私の手元にあるのはこれだけであって、それ以外のことは何も入ってきておりません。一体そういった手続を踏んで実施したところがほかにあるかどうか、それを伺っておきたい。
  110. 佐久間疆

    佐久間政府委員 私ども耳にいたしましたのは、ただいまの千葉県の例と、それから町村におきましては、岐阜県の郡上八幡でそういう試みがなされたということを聞いております。
  111. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それから住民が反対したために、法に基づいて直接請求に訴えたというような例はありますか、どうですか。
  112. 佐久間疆

    佐久間政府委員 これも新聞報道等で承知をいたしたところでございますが、直接請求が起こっておりますのは徳島県の池川町と北海道の帯広市にあるように聞いております。
  113. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それから、よくこういった場合に行なわれるのは、近接するところの自治体、それとの均衡ということがやかましく言われる。そういった均衡を保つ手段として、妥当な線を出すために、自治法に定められたところの協議会等の運用を活用したところがあるかどうか。これを伺っておきたい。
  114. 佐久間疆

    佐久間政府委員 その点につきましては、私ども具体的にどこでそうしたかということは、ただいま承知をいたしておりません。
  115. 阪上安太郎

    ○阪上委員 伺いましたところによると、そういう状態であります。ほとんどこういった不服に対するところのものを円満に処理していくいろいろな法手続というものが、きわめてわずかしか行なわれていない、こういうことであります。あるいはまた、地方自治の本旨に基づいて、積極的にそういう機関をつくってやっていこうというところもわずかしか見当たらない、こういうことなのです。まさにこれは、自治省の行政指導の大欠陥じゃないかと私は思う。こんなものを、法律にそう書いてあるから、こう言ってみましても、地方自治体住民にPRして、大いにこういった手続を踏んでおやりなさいということを、宣伝啓蒙これつとめてやるようなことは、私は情においてもそういうことはあり得ないと思う。そうなると、だれかがこれを指導していかなければいかぬ。そういった指導こそ自治省がやるべき問題じゃないか。単純な監査とかなんとかいう方式で、そればかり頭に置いておって、住民側に対するところの働きかけというものは、自治省は何も持っていないということです。そういう点について非常な欠陥があったために、いま伺ったようないろいろな手続があるにかかわらず、地方住民の意思が十二分に反映されるような場所が設けられておるにかかわらず、それを活用しようとしない。こういったことについて、私は、こういったむずかしい問題を処理していくためには、かなり迂遠な手段であるかもしれないけれども、これをとっていかなければいけない、こういうふうに実は考えるわけでありますが、自治大臣就任早々で、なかなかややこしい問題でお困りだろうと思いますけれども、初めてでありますから、一番清らかにすっと頭に入る問題じゃないかと思いますので、ぜひひとつこのあたりで見解を伺っておきたい。
  116. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 実はどういうことを言われるかと思って、私は非常に注意をしておったわけですが、やはりあなたも自治体の長をなさって困られたものだから、この問題を深刻に考えておられると思うのです。あなたは大阪の市長をやって、私は鳥取——いまおっしゃったとおり大阪が十六万円で鳥取が八万円、これは鳥取県側から言わせますと、議員の諸君だってすぐ、いまおっしゃるように、大阪が十六万円で鳥取県が八万円とはどういうことだ。地域格差が、所得格差かなんという問題が出てくるわけですよ。と同時に、たとえば人口十万くらいの町だと、それでは岡山、広島のあの町はどうしたなんというようなことをすぐ考えるわけですね。ところが、去年は御存じのとおり公務員のベースアップもやりましたが、これも大体七%前後であったと記憶しますけれども、いま阪上委員の御指摘で初めてわかったのだけれども、これは上げ過ぎですよ、何といいましても。これは私の受ける印象ですけれども……。これに対しまして非難がごうごうと起こってくるのは、私は当然過ぎると思うのです。ただ、これも大事なことですが、地方自治の本旨というものから考えて、こういうものを中央で計画的に画一化するということは、あくまでも避けなければならぬ。しかし、いまのでこれをまず公平に裁定すると申しますか、ただ世論がやかましいというだけでは、ものの解決になりませんので、ではひとつ第三者で提示して、この妥当性ということについて意見を聞こうというような機会があることは私は望ましいとは思います。ただ、それもまたただいまのように、画一的に自治省としてやることにつきましては、やはり研究を要すると思うわけです。  いま阪上委員の御意見は、自分の経験から言っておられるから、私はまことに実感を伴って拝聴したわけですが、やはり少し目に余るものもありますし、報酬と歳費との違いはありますけれども国会でもやはり同じことであろうと思うわけです。ですけれども、私もなったばかりで、これに対してどういう方向づけをいたすか、まだ考えてもおりませんけれども、そのときは御意見を十分聞いて、阪上委員は経験者だから、こうしたほうがいいということでありますならば、これも十分検討いたしまして、善処しなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  117. 阪上安太郎

    ○阪上委員 なかなか妙案が出てこないということもよくわかります。そこでいま大臣からも御答弁がありましたように、いきなりこれを中央の何らかの指示によって統制を加えていくということは、私は適当じゃない、へたをすると、逆に地方自治に対する関与になると思う。かといって、このままで放置していい問題でもない、こういう問題になってきているわけなんでありますが、そこで私の考えとしては、地方自治のワク内において統制を加えていく方法があるのじゃなかろうか、こういうように考えるわけであります。したがって、あるいはその場合に、法律の委任事項としての措置をとっていくということも考えられるのじゃないか、しかし、それはあくまでも地方自治のワク内でもって、地方住民の意思によって決定させ、統制を加えていくということでなければならぬ。したがって、在来ともありますところの公聴会等を、大いに活用さすという指導も必要であります。あるいはまた協議会を持って、隣近所のバランスをとっていくという方法一つあろうと思います。しかし、これは現行法にあるのですから十二分に活用さすということ、それからそういう指導を住民に対してもやる。こういう問題については、なかなか市当局からはいたしません。だから自治省は大胆不敵にやってみたらどうか、こういうように思います。  いま一つは、人事委員会、公平委員会等があるのであります。これを何か第三者的な機関として活用する方法がありはしないか、多少の法改正を伴うかもしれないが。しかし、これは地方自治のワク内でやれること、だから、地方自治を侵害することにならない。だからそういった考え方一つ持つということ。あるいは別段に他の第三者機関を地方自治のワク内において設定するということもあり得ると思う。何かそういった方法でこの問題の解決に当たっていく必要がいまあるのではないかと思うのです。これも皆さん御案内のようにもう数年来の問題でありますが、もうぼつぼつこの辺で踏み切ったらいいのじゃないか。それからなお手続として直接請求の手もありますけれども、これはなかなかうまくいかないという例が多いのであります。それからまた直接請求いたしましても、最終的に措置するのは議会だということになりますと、これは何か堂々めぐりみたいになってしまって、結局結論は同じことになっていくだろう。議会のことについて住民が直接請求してくる、報酬値上げについて条例改正を求めてきた、しかしこれを最終的にきめていくのは住民ではなくて当該議会がきめていくということで、それできかなければリコールその他の荒療治ということになるが、この荒療治はなかなかできない。そういうことで、効果的なそういう面の保証がされていないという問題がある。そればかりでなく、それをやっていく中において不服審査委員会というものをつくることができるようになっておると思うのであります。そういった要求をする、あるいは再審査の請求をする場合にそれが出てくる。そういったことにつきましても、住民はほとんど知らないという状態に置かれております。そういった結果から、世論としては、先ほど言いましたようにお手盛り増額である、しかもそれに反対してみたとしても、住民は有効な手段というものを持っていないのだ、こういうふうに考えてしまって、ただその不服が内攻しておるというような状態です。これでは地方自治は伸びません。したがって、いま申し上げましたような十分な指導と、それから地方自治体のワク内における、何らか住民の意思による規制方法という方式をつくっていくことが、必要ではなかろうかというふうに思うのです。きょうはその結論を私は得ようとは思いませんが、こういうものの考え方について、自治省として納得できるということであるならば、できるだけ早くそれを軌道に乗せて実現していただきたいと思います。所信をひとつ伺っておきたい。
  118. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほども申しておりますように、まことにもっともな御意見でありまして、私もかねがね何か方法はないかとは考えておったわけですが、なお、この問題についてはよく皆さんと協議をいたしまして、自治行政の本旨をこわさないようにして何らか善処する方法考えてみたいと思います。最近は少し目に余るものがあることは事実でありますから、ぜひ相ともに合理的な解決方法を見つけていきたい。かように考えておりますから、この点はあなたも経験者ですから、ひとつよろしくお願いいたします。
  119. 森田重次郎

    森田委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————    午後四時三十八分開議
  120. 森田重次郎

    森田委員長 これより再開いたします。  消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  121. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は予算の問題と、その他消防について若干お尋ねをいたしたいと思います。  まず第一番にお尋ねいたしたい点は、消防組織法の二十四条の一項は、どういう精神なのかお尋ねします。
  122. 松村清之

    ○松村政府委員 この二十四条の趣旨は、台風、火災、風水害、地震等の災害、あるいは暴動等のそういった人為的な災害、こういうものによりまして、国民の生命、身体、財産というものが危機に瀕する場合がございます。そういった場合におきまして、国民の生命、身体、財産を守るために、消防と警察とが相互に協力しなければならないということを義務づけた規定でございます。
  123. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二十四条の第一項は、「消防及び警察は、国民の生命、身体及び財産の保護のために相互に協力をしなければならない。」こうありまして、第二項は、「消防庁、警察庁、都道府県警察、都道府県知事、市町村長及び水防法に規定する水防管理者は、相互間において、地震、順風、水火災等の非常事態の場合における災害防禦の措置に関し予め協定することができる。」こう書いてございます。これからいきますと二十四条の第一項は、いま長官が答えた暴動ということばはどこにも書いてありませんが、どこから出てきたのですか。
  124. 松村清之

    ○松村政府委員 これは例示として申し上げたのでございまして、この二十四条の第一項は、その原因が何であるとを問わず国民の生命、身体、財産を守らなければならない、こういう事態に立ち至ったときには、消防と警察とは相互に協力しなきゃならない。こういう趣旨をうたったのがこの第一項の規定でございます。
  125. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは義務規定ですが、こういう問題をあらかじめ——たとえば台風とかあるいは暴動とかいうものについて第一項でははっきり「予め協定することができる。」と書いてあるのですよ。第一項であらかじめ協定をしておくことが必要なんですか。
  126. 松村清之

    ○松村政府委員 第一項は、この基本的な国民の生命、身体、財産を守る、そのためには相互が協力しなければならないという基本的な規定でありまして、第一、項はそういうような場合として特に考えられるような「地震、颱風、水火災」というような例をあげまして、ただ、そのほかにも何かあるかもしれませんから第二項で「等」と書いて、「予め協定する」というふうに書いてあるのでございます。したがいまして、第一項はこれは必ず協定しなければならないものでも何でもなくて、ただ現実の事態にぶつかって国民の生命、身体、財産が危機に瀕するような場合には消防も警察と協力する、こういう趣旨でございます。
  127. 細谷治嘉

    ○細谷委員 第一項は義務規定ですから、そういう事態が起こったらあらかじめ協定するとかなんとかいう必要はなくて、当然な問題としてあるのであって、第二項で特にそういう問題について「非常事態の場合における災害防禦の措置に関し予め協定する」ということであって、第一項にに基づいて、あるいはそれにのっとって、あらかじめ災害とか暴動とか、こういうものを一緒くたにして協定を結ぶことは、二十四条の精神からこれは問題があると思うのですが、いかがですか。
  128. 松村清之

    ○松村政府委員 この二十四条第一項の解釈としましては、従前から協定してもよい、協定しなくて現実の場合にこの規定にのっとって相協力してもいい。したがって、協定することを排除するものではない。そういうふうに今日まで解釈してまいっております。
  129. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで具体的にお尋ねしたいのですが、消防組織法第二十四条一項の精神にのっとって、県の公安委員会は騒擾、災害等の緊急事態に際し、消防が警察に援助協力することに関し、あらかじめ協定を締結しようということは、これはいささか大きな問題があると思いますが、いかがお考えですか。
  130. 松村清之

    ○松村政府委員 これは協定のその具体的な内容によりまして問題が出てくると思いますが、ただ国民の生命、身体、財産が危機に瀕するであろうと予想されるようなものを前提といたしまして、あらかじめ消防と警察の間で相互に協定を結んでおくことは、この二十四条の第一項の規定の予想するところでございます。
  131. 細谷治嘉

    ○細谷委員 一体、おっしゃるように異動とか騒擾とかを、こういう二十四条でやるとするのならば、「等」とか何とかでごまかさぬで、はっきり、きちんと書いてあるはずですよ。したがって、この二十四条の規定というのは、国民の生命あるいは身体、財産、こういうものを保護するということは、非常災害、こういう問題が主体であって、そして最後に「水火災等」と、こういうことになったのであって、騒擾とか暴動とか、こういうものを生体に置いたものではなくて、あくまでもこれは消防の水火災、こういうものからきている、そういう精神じゃないかと思うのですが、どうですか。
  132. 松村清之

    ○松村政府委員 この二十四条の第一項の精神はおっしゃるとおりだと思います。しかし、おもなるものは、火災とか水害とか地震等でございますけれども、しかし消防が国民の生命、身体、財産を守るという任務を負っております以上は、それ以外にも何かの関係国民の生命があやうくなる、こういう場合も考えられるわけでありますから、主たるものはおっしゃるとおりでございますけれども、その他の事柄につきましても排除するものではない、こういうふうに考えております。
  133. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは、しかもこの二十四条の精神を踏みにじって、騒擾、暴動を予定して対象とするような条例案というものが出されております。非常な大きな問題です。一体消防というものは水火災、そういうものが対象であって、二十四条の精神はそれなのですよ。ところが、そうじゃなくて、あくまで暴動なり騒擾というものを主体とした、そして警察と協力するという、消防の本旨を越えた協定が結ばれようとしております。これは非常な大きな問題でございまして、この二十四条の精神に明らかに反しておる、消防の逸脱だ、こう私は思っております。この問題は重大な問題でありまして、きょうはこの程度にしておきますが、そういう問題が起こっておる、しかもそれは消防組織法二十四条の精神から違反しておる、こう私は考えております。この点につきましては一応あとでさらに問題にすることにいたしまして、次の問題に移っておきます。  次に、まずお尋ねいたしたい点は、三十九年度の消防庁の予算についてであります。「日本消防」の三十九年度の消防庁予算というものを見てみますと、昨年度の予算については臨時的な経費は除いて、今年度の予算については臨時的な経費、しかも消防庁の予算についておらない営繕費等を加えて、そして昨年に対してこの程度伸びた、こういうような書き方をしております。実際問題として正味の消防庁の予算として見ますと、裸にしますと、昨年は九億五千八百万、ことしは九億八千九百万、わずか三%しか伸びておりません。国の予算は一四・二%、特別会計や何かはずすと正味からいうと一五%こしているのですよ。そういうことを見ますと、きわめて貧弱な予算だ。物価の値上がりにも追いつかないような、国の全体の平均の予算にも追いつかないような、わずか三・三%というものは横ばいです。横ばいということは、消防庁予算の後退なんですよ。こういう予算で一体消防庁としての機能が発揮できるのかどうか、まずお尋ねします。
  134. 松村清之

    ○松村政府委員 御存じのように、消防に要する経費は市町村が負担することがたてまえになっております。したがいまして、消防経費といたしましては、この市町村の負担している経費が圧倒的な部分でございまして、これは最近の統計によりますと、四百億円に近い金が消防のために支配されてれるのでございます。したがって、国の予算といたしましては、いま御指摘のように毎年十億程度という微々たるものでございます。そのうちの大部分の七億円程度は補助金として地方へ行く分でございますが、来年度三十九年度の予算におきましては、この補助金が補助金合理化の等中等の影響によりまして増額ができませんでした。そういったことで、いま御指摘のように、ほんのわずかしか伸びていない、こういう状況になっておるような次第でございます。
  135. 細谷治嘉

    ○細谷委員 おっしゃるように、消防は市町村の仕事でありますが、それだからといって予算が減るのはあたりまえだというような消防庁のお考えはいささか納得できない。端的に、いま補助金という問題が出ております。補助金というものは、ちゃんと法律がある。どういうものについては補助をするかどうかということがきちんと法律で書かれてあります。それを見てみますと、昭和三十三年度が五億四千五百万、これを一〇〇といたしますと、三十八年、三十九年というものは七億です。二割五分科度しか伸びておりませんでしょう。ところが市町村は、昭和三十三年には決算額として二百六十億というものを消防費に使っております。いまは四百億をこしているでしょう。そうしますと、その伸びはおそらく五割ぐらいになっているのじゃないかと思います。あるいはそれ以上になっているでしょう。そういうことからいきますと、あまりにも貧弱ではないか、こういうふうに私は言わざるを得ないと思うのです。そういうことについていかがですか。
  136. 松村清之

    ○松村政府委員 先ほど申し上げましたように、消防の経費の負担者が市町村でありますために、市町村では毎年交付税の増額等によりまして消防経費が伸長しているわけでございます。しかし国の消防庁の予算といたしましては、その金額の大部分は補助金でございますが、これが先ほど申し上げましたような事情で来年度はことしと同じ。いままでも毎年少しずつしかふえていない、こういう事情であるのでございます。私どもはこの補助金につきましても、ただいま御指摘のように昭和三十六年に消防力の基準というものができておりまして、これに見合って全国の各市町村のあるべき消防施設の姿が描かれておりますが、それに十年計画で近づけるように毎年補助金を支出しておるのでございます。したがいまして、現在の七億円という金は、実はその十カ年計画を遂行するには不足でございます。七億ずつ毎年やっていきますると、いまから十四年ぐらいかかる計算でございまして、この点は大蔵省等に予算の際には増額を強調いたしておりますけれども先ほど申し上げましたような事情で来年度は現状据え置き、こういうような事情になった次第でございます。
  137. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題については、あとで消防庁のおっしゃる十カ年計画と関連をしてさらに質問したいと思います。  次にお尋ねしたい点は、この消防庁の総務課で書かれたものを見ますと、そういうふうに消防庁の予算は減っておるけれども、起債と交付税で十分と言わぬけれども見ておるのだ、こういう書き方がしてあります。これに書いてあるのを拾ってみますと、救急業務の実施を義務づけられた百五市の必要経費として、普通交付税を一億一千二百万円増加するのだと書いてあります。高速自動車国道の救急車業務の経費として特別交付税でそれは裏づけするのだ、こう言っております。第三番目に、消防団員の退職報償金制度に要する市町村の経費として十二億円程度普通交付税で見るのだ、こう書いてある。それから消防署設置を義務づけられた四百八十六の市町村の経費として二十二億円の交付税を裏づけしているのだ、こういうふうに言っております。これを合わせますと、普通交付税で新たに見られるものというのは、これによりますと三十五億一千二百万円になります。このほかに高速自動車国道の救急業務の経費として特別交付税があるのだ、こう言っております。これについて自治省財政局等との間で具体的に打ち合わせをした上でこういう結論が出ておるのかどうなのか、必ず交付税で見ます。できぬときは特交で見ますというのが、いつの時代でもどこの省でも逃げことばです。その打ち合わせの経過をひとつお聞きしたい。
  138. 松村清之

    ○松村政府委員 いま御指摘のございました中で、特交のことにつきましては、これは先の問題でございますのでまだ確たる打ち合わせばできておりませんけれども、そのほかの事項につきましては、財政局と打ち合わせの上、普通交付税の単位費用を増額してもらう、こういうことになっております。
  139. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、私も勉強不足かと思うのですが、わからない点は、せんだって自治省のほうからいただいた交付税法の一部を改正する資料を見ますと、その中で、消防費の基準財政需要額の増というのが十五億三千六百万円あると書いてございます。そうしますと、いま申し上げた消防庁が考えておる三十五億一千二百万円というのは、それよりもずっと、二十億ぐらい多い数字でございますが、この関係はいかがですか。
  140. 柴田護

    ○柴田政府委員 御指摘の本は私見ておりませんけれども、おそらくその中で電極計算があるのじゃないだろうかと思います。それは常備消防設置市町村の指定関係の計算で、いまおっしゃいました二十億というのは、そこの計算が少し違っておると思います。交付税の基準財政需要額の増加額はその部分が一億でございます。したがってあとの消防団員退職報償金の問題は交付税上の計算が十二億、それから救急交付が一億一千二百万円、したがって交付税上の増加額は十四億余り、約十五億ということになります。したがって御指摘の数字は、現在基準財政需要額に計算いたしております部分が含まれておるのじゃないか。その常備消防の分でございますが、そこだけ違います。あとは大体合っております。
  141. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまの局長さんのおことばですが、消防署設置を義務づけられた四百八十六市町村の経費として、需要額に二十二億円というのが約束されておるとこうここに書いてあるのです。これは新しい需要額でございますね。そうじゃないですか。そうしますと三十正徳になるのですよ。重複経費じゃないでしょう。
  142. 川合武

    ○川合政府委員 その読みましたものは私ちょっとあれでございますが、想像いたしますと、二十二億は、要するに現在も消防本部・署を置いておりますものにつきましては交付税措置をいたしておるわけでございますが、それに対しまして義務設置になりましたので、少し増額するわけでございます。いままではれ義務設置でございませんでした。しかしいままでも交付税措置はあった。したがって、いままでの分と今度のふえる分と合わせました額をそこに書いた表現が、不正確な表現になっておるのじゃないか。申しわけありませんが、そういう感じがいたします。
  143. 柴田護

    ○柴田政府委員 私から補足いたしますと、消防庁で今回義務設置で指定する予定をしております市町村数は四百八十六市町村でございますが、いままで地方交付税の計算上見てまいりました市町村数が四百六十ございます。差し引き二十六市町村が今回の役務指定によって新たに増加をする市町村でございます。その部分の需要が一億ということになります。
  144. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この二十三億というのについては、重複経費で全部が新しい需要額ではないというおことばのようでありますけれども、この雑誌の一六ページに、三十九年度の消防関係地方財政計画に新たに約二十二億円を計上することとなっている、こう省いてあるのです。新たにということは、新規需要ということですね。いまのおことばで、新たにというのは従来のものを含めてということのようでございますから、これは非常に重要な点でありますが、この四百八十六市町村に対して、従来はどの程度つけてあったのか。それから新しく三十九年度において増加する需要額は幾らだとか、そういう内容のきちんとしたものを自治省と折衝しておるのでしょうから、その資料をひとついただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  145. 川合武

    ○川合政府委員 実は財政計画を財政局のほうでつくられておるわけでございますが、具体的になりますと、補正係数その他の問題で、まだ財政局自体も作業中でありますし、また私どもとの折衝も全部終わっておりませんので、数字として、資料として現時点におきましてお出しいたしますことは、ちょっとむずかしいのでございますが、私先ほど説明が不十分でございましたが、財政局長が申しましたように、今度新規義務設置になりまして少しふえる分、その分は一億余で、いままでの分と合わせまして二十二億という数字になるつもりのことをそこに非常に不正確に表現をいたしたものと思います。ただ、いままでと立て方が、義務設置の場合と任意設置の場合と少し違うものでございますから、そこに新たにという表現を用いたものと思います。いずれにしましても、表現が非常に不正確でございまして、私ども役所の者が書きましたものとして、申しわけないと思っております。
  146. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は千円単位でどうだということを申し上げているわけじゃないのです。なるほどいま交付税法の一部改正で、単位費用の改定の問題が出ているのですから、それをどういうふうにして補正係数をひっかけていくかということは、今後の作業に得たなければならぬでしょうけれども、少なくともここに書いてある二十二億円の内容というものは、新しい需要額そのものではなくて、従来のものと新しい需要額との合計額だと、きちんと書いてあるのですよ。これは全国の消防関係のところに渡っている雑誌なんです。みんなそう思っているんですよ。私もそう思っておった。しかし二十二億円という、これは約と書いてあります。約である以上は、二十二億円の内容というのは、従来の部分がどの程度であって、約何億円であって、そして今度新しく追加される需要額というのは、幾らだというのは、補正係数がきまらなければ出ないということでは、何のために数字を書いてあるのか。数字を書いてある以上は、ラウンドな数字はわかっているはずです。いままでのものが十八億円あるのだ、新しいものが幾らあるのだ、こういう程度のものは明らかにできるはずですが、いかがですか。
  147. 柴田護

    ○柴田政府委員 私からお答えいたしますが、私どもは消防費関係の増加財政需要額を十五億三千六百万円と計算しております。なおその内訳は、いま申し上げましたように常備消防設置市町村の指定に伴うもの、消防団員退職報償金の支給に伴うもの、それから救急業務の実施並びに給与改定等のもの全部を含んでおります。
  148. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで十五億三千六百万というのは、先ほども私申し上げたように、消防関係の新しい追加需要額として計上されておるものなんです。その十五億三千六百万のうち、四百八十六市町村に対する消防設置の義務づけられた経費に対する需要額の増というのが幾らあるか、そういうことですね。先ほど来私がお聞きしているのは、この消防署設置を義務づけられた四百八十六市町村の経費として二十二億円の交付税が見られるのだというわけでありますから、それはいままでの分が二十二億のうち幾らを占めておって、新しい需要額は幾らであるかという、その内訳を知らしていただきたいということなんです。
  149. 川合武

    ○川合政府委員 新しい需要のふえております分は一億円でございます。
  150. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、二十二億のうち約二十一億が従来のものであって、新しいものは一億だ、こう理解してよろしいわけですね。
  151. 川合武

    ○川合政府委員 そのとおりでございます。ただ立て方がいままでとちょっと変わりますが、先生のお話のとおりと思います。
  152. 細谷治嘉

    ○細谷委員 次にお尋ねしたい点は、消防庁の予算が実質的には減ったための補いとして、起債でいくんだ、一本の柱は起伏なんです。この文章を読みますと、起伏はまだどうもはっきりしてないようでありますけれども、三十八年度は幾らであって、三十九年度は幾らくらいを見通しておるのか、原資はどういうかっこうなのか、お尋ねいたします。
  153. 川合武

    ○川合政府委員 三十八年度は十三億工千万円でございます。そのほかに若干の市有物件等もございますが、私どもの、取り扱いました分は十三億五千万円でございます。
  154. 細谷治嘉

    ○細谷委員 三十九年度は……。
  155. 川合武

    ○川合政府委員 三十九年度はまだこれからでございますので、全然未定でございます。
  156. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、そういうことなものですから市町村はたまったものじゃないわけですね。国の予算がきまった、消防庁の予算がきまった、地方はこうだろうとこういっておるのに、交付税についても明確じゃない。そして起債については、昨年の実績は十三億五千万だった。一体三十九年度はどの程度の計画をお持ちなのか、これならば消防庁としての考えがやれるのだ、予算上に確保できなかった穴も埋めることができるんだ、こういうものがきまらなければおかしいと思うです。十三億、五千万から幾らふえるのか、その辺はめどはついているでしょう。
  157. 川合武

    ○川合政府委員 ただいま各市町村から要望額を取っておりまして、集計をいたしておるわけでございます。それを取りまとめまして、そして損保債でございますが、昨年三十八年度は十三億五千万円、ことしはもしふえましたらその分につきましてさらにワクを広げる折衝をするわけでございます。
  158. 細谷治嘉

    ○細谷委員 財政局長にお尋ねいたしますが、三十九年度消防施設の整備拡充に対してどの程度の起債をお考えになっておるのか、これをひとつ具体的にお聞かせをいただきたい。
  159. 柴田護

    ○柴田政府委員 消防関係の起債につきましては、御承知のように地方債計画の中の一般単独事業で見ておる部分、それからいまの損保債その他の特殊縁故扱いのもの、ワク外扱いでございますが、両方あるわけでございます。いま消防庁次上長からお答え申し上げましたのは、損保扱いのほうの折衝の点をお話しになったと思うのであります。そういう制度があり、消防施設税等の代替的な意味合いもあり、まあ大体損保関係関係者から縁故的な地方横の応募を仰ぐ、こういうことを従来やってきたわけでございますが、これを来年度も大いに推進をしていく、つまりワクを広げていくという努力はいたしていくつもりでございます。なお不足分につきましては、一般単独事業のワクの中で見てまいるということになるわけでありまして、いままでもそのとおりでございますが、来年度におきましては一そう消防の強化ということがはかられておりますので、その線に沿ってやってまいりたい、かように考えておるわけでございます。現在具体的に何が何億ということをお答えいたすことができないのは残念でございますけれども、在来の扱いがそういう経過を経てきまってまいるものでございますから、いまここで私の口からどの程度予定しているということは実は申しかねるのでございます。ただ気持ちといたしましては、そういう拡充の方向で努力しておる。またそういう方向でいきたい、かように考えておりますことを申し上げまして御了承願いたいと思います。
  160. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まことに残念なことでありますけれども、十三億程度の交付税の増、起債については現在数字が言えないということでありますから、まことに残念でありますが、言わぬものですから、どうにもなりませんから次に進みます。  ところで、私が次にお尋ねしたい点は、消防施設の強化促進法という法律昭和二十八年にできまして、そして昭和三十六年の七月に消防力の基準というものが公布されました。ところでもう三十九年度は、その十カ年計画の四年目に当たる、こういうことになるわけですけれども、整備のために十四億円以上の予算を要求して、完全に半分以下にされておるというのが現況だと思うのです。ところで、ことしは七億でありますから、十カ年計画の四年目を迎えてどういう実態になっておるかといいますと、かりにことしの三十九年度を終わって後年度に残る分というのは、国庫補助で約五十四億円程度、事業費としてはその三倍、百六十二億円程度のものが後年度に残るということになります。これはポンプでは三分の一、年数としてはもう十分の四を過ぎるわけですよ。ポンプは三分の一、発信関係はまあまあ半分近くいくようですが、無線関係の連絡も三分の一ということで、計画どおり進んでおりません。こういう状態であることは御確認できますか。
  161. 松村清之

    ○松村政府委員 ただいまのお話と私どものとは多少違うわけでございますが、昭和三十六年に消防力の基準に基づきまして消防施設の強化の十カ年計画を立てて、今日三カ年過ぎようとしておるのでございますが、従来の施設の保有状況等もございまして、三カ年のものがそれにプラスされて今日に至っておるわけでありますが、これは補助の対象によって充足率がまちまちでございます。たとえば消防ポンプ、自動車、これによりますと、これは七判程度いっているが、火災報知機の発信機は四割にも満たない、こういうようにものによってまちまちでございまして、いまのように毎年七億のテンポということでございますと、この計画を完全に遂行するには十四年か五年ぐらいかかるのではなかろうかと推察いたしております。
  162. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま私が申し上げた数字は、少しく食い違いがあるようでありますけれども、詳しい数字を私は計算しておりませんけれども、十四億三千万くらい、三十九年度で予算要求をいたしましたね。それが一〇〇%予算が認められたと仮定した場合でも、ポンプ関係は八万九千台というのが基準、それが三万台を割っておる、二万九千ですよ。それから発信機関係も二万三千機要るのが一万二千五百機。ところが三十九年度は十四億円通ったという前提で、後年度分となっているのですが、半分しか認められておらぬ。ですからいま私が申し上げたように、もう四年度完全に済んで十分の四の計画年次を過ぎて、実際重要なポンプとか何とかは三分の一程度しかいっておらぬ、こういう現況なんですね。これで一体消防庁として責任が果たせるとお思いかどうか。
  163. 川合武

    ○川合政府委員 これは、補助率が二分の一の数字で出しましたわけで、二分の一に上がりませんで、従来どおり三分の一になりました。その関係がありまして、さような数字の開きが出ておるわけでございます。現在消防力の基準と現有力とのにらみ合わせあるいは進捗状況につきましては、先ほど長官の申しましたとおりでございまして、いろいろなものによって若干の差異はございますが、私ども大めどで申し上げますと五〇数%というような数字になるかと思います。
  164. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この表は古いとおっしゃるかもしれませんが、「全国消防長会会報」というのがある。これはここでいただいた行政委員会に出された貨料で私は質問しているわけですから、その一月十日号の八ページに書いてある。後年度分として補助金が、残るのは四十七億円だ。事業費は百四十一億円だと響いてある。そして三十九年度分としては十四億二千三百万の補助金なのだ、こう若いてあります。いま、おことばによりますと、補助金は、二分の一にするという三十九年度の予想であった。後年度の分を見ますと、これは二分の一になっておりません。そうでしょう。四十七億という補助金に対して、事業費は百四十一徳というのですから、やはり三分の一でしょう。補助率は変わっておりません。法律もそのとおりでしょう。一体三十九年度だけ二分の一にするつもりだったのですか。
  165. 川合武

    ○川合政府委員 実は正直に申しますと、前年三十八年度の予算要求につきましても、一応できれば二分の一にしたいと思って希望したわけでございます。また三十九年度、現在のものにつきましても、当初は二分の一ということを希望したわけでございますが、従来どおり三分の一になっておるわけであります。
  166. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私が質問したいのは、ここで私の質問をうまくかわせばいいのだということで、お聞きしておるのじゃないのですよ。消防の現状を憂慮するから、地方財政の現状を憂慮するから、質問をしておるのです。この表を見ると——この表はうそだとおっしゃるなら別ですよ。この消防長会会報を見ますと、どこにも補助率を二分の一にするのだという痕跡もないのです。そういう計画もあらわれておらないのですよ。それを三十九年度二分の一にするんだ、こういうことばですが、何か答えれば引っ込むというような態度答弁されては困るのです。
  167. 川合武

    ○川合政府委員 私、資料をちょっと持ち合わせてきませんで、まことに申しわけございませんが、先生のお話を承りまして、私がいま申しました二分の一の補助率の引き上げ分と、補助単価と申しますか、基準のその引き上げ分をも当初は希望したわけでございましたが、それがともに従来どうりになりました。その関係からさような数字の差というものが、その資料の表現になっておる、かように考えます。
  168. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そういうふうにお答えなさらぬがいいでしょう。それは大蔵との折衝の段階において三分の一——法律に書いてある三分の一を二一分の一にしていただきたい、こういうことのことばはあったかもしれませんけれども、この表全体を見ますと、いままでも基準額の三分の一の補助でやってきた。これから後年度十カ年計画の推進も三分の一にやりますということが、事業費が百四十一億円だ、補助金は四十七億だと書いてあるのですから、これは三分の一しか取らない、そういうことで一貫してこの表はできているのですね。ところが、ひょこっと三十九年度は二分の一を要求したんだ、こうおっしゃるから、私はどうも無責任なことばじゃないか、こういうふうに受けとっておるわけでございます。
  169. 川合武

    ○川合政府委員 何といいますか、ばか正直にそのまま事実を申し上げましたわけでございまして、従来どうり三分の一の補助率でいくという前提のもとに数字をはじいてみませんと、正確な見通しも出ない、こういうような見地からいたしますと、この資料に出てくる数字、こういうことに相なるわけでございます。
  170. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ところで、補助は三分の一を二分の一にするという話があったかどうかは知りませんけれども、私が最初から申し上げているように、補助率を上げるどころじゃなくて、施設整備のためのものは実質的にはどんどん後退しているのです。しかも、これを読みますと、こう書いてあるのです。いま長官は、このままでいきますと十四、五年かかるとおっしゃっておりますが、それは、おそらくいままでどおりの予算がついたという前提だろうと思うのですが、これを見ますと、大蔵省としては、四十年度はこの棟補助金として五億円、二億円減ります。四十一年度は三億円を計上して、これを打ち切りたい旨言明しておる、こういうふうに書いてあります。補助金等適正化の答申に基づいたようでありますが、七億は五億になる、五億は三億になる、そうしてそのあとはゼロ、こういうふうに書いてあって、この言明を予算を担当する消防庁の総務課は、もうやむを得ないという形で了解したかのごとく書いてありますが、消防庁は、そうなりますと十四年どころじゃありません。もう十カ年計画というのはいつの日にできるのかわかりません。しかも、数は確保しておるとおっしゃいますけれども、私が言うように、ポンプは十分の四の年次を過ぎてもたった三割しかいっておらぬ。その三割の中には相当老朽化した。ポンプもあります。市町村に行ってごらんなさい。もう修繕しては現場に走って行って、一ぺん一ぺんに修理しなければならぬほど老朽化しております。こういう現況なのです。大蔵省との折衝において毎年二億減らすことを消防庁は認められたかどうか、黙認されたかどうか今後どういう態度でいかれるのか、重要な問題でありますからひとつ。
  171. 松村清之

    ○松村政府委員 その点につきましては、先般この席において私の決意を述べたのでございますが、消防庁といたしましては、決してさようなことに承服いたしておるわけではございません。消防力の基準というものによりまして各市町村に消防のあるべき姿を描き、それに達するまで国が補助金の形を通じて援助の手を差し延べていく。そのためには、これは本年末も予算折衝にかかるわけでございますけれども、消防庁のみならず、全国の消防関係者は、あげて消防補助金の削減につきましては、これに承服せず、現状よりももっと多くの補助金を獲得するように全力をあげて努力いたすつもりにいたしております。
  172. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大蔵省にお尋ねいたしますが、この補助金を三十九年度は七億円、来年度は、五億円、四十一年度は三億円、そうしてあとはゼロだ、こういうふうに言明をしたということでございますが、その理由として、全国的な水準を維持する必要の薄い地方的性格の事務としての補助金を廃止する、こういう考えのようでありますし、またこの補助金制度に関する改善合理化をはかるために、答申の三十一ページに書いてありますが、消防施設というものは補助金を廃止するが、起債等の措置を考慮すべきものと書いてありますが、上下水道、消防施設、清掃施設、保育所、公民館、体育施設、公園、地方道の整備、こういうものの中に一緒くたに入っております。大蔵省は、消防については地方団体がまるまるやるべきものだというようにお考えなのかどうか。
  173. 後藤正

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。先生も御案内のとおり、消防は、市町村の自治消防であるということが、消防組織法によって明らかになっております。この答申も、本来それぞれの国なり地方なりそれぞれの固有事務につきましては、当該団体がそれに見合った財源を付与されて実施するというのがたてまえだというのが、基本的な方向としては書いてございます。補助金というものは、いろいろな企画だとかなんとかいうものを義務化してまいりまして、市町村で弾力的な運営ができないような、そういったような性格の補助金もしくは奨励的な補助金、それもきわめて限定的に考えるべきであるというのが答申の趣旨であろうと考えられます。したがいまして、私どもといたしましては、この補助金につきましては、二十八年からでございますから約十一年ほど経過しております。こういう実態を考えまして、現在交付税上におきましても、今年度においても単位費用を大幅に引き上げまして、基準財政需要額というものはかなり増額されております。本来、そういうような法律上のたて衰え並びに財源措置とも関連いたしまして、できるだけ早い機会に答申に従った線によって処理してまいりたいと思っておりますが、現実問題としまして、これまで沿革のある補助金を直ちに廃止するということもいかがなものだろうかと考えております。市町村は、事故の発生が偶発性がありますために、ややもすれば整備がおくれるとか、あるいは最近非常に化学火災が多くなるとか高層火災が多くなるとかいったような、いわゆる火災の構造的な変化と申しますか、こういう事態に対処しまして、急速に設備の近代化というものをはかる必要があるのじゃないか、そういうふうな点も考えまして、答申では、できるだけ早い機会に一般財源ないし起債によるべきだという答申が出ておりますが、私どもといたしましては、いま言ったような事情も考えまして、三十九年度は三十八年度と同順の金額を計上したような次第でございます。
  174. 細谷治嘉

    ○細谷委員 消防の構造的変化ということは、駐英そのとおりである。消防力の近代化、こういうものが非常に叫ばれております。端的にいいますと、いまのおことばではとうてい納得できないことであって、ふやした交付税は、はっきり覚えておりませんけれども、六十円ぐらいでしょう。ふえてるのは六十何円かでしょう、単位費用のところは。その費用というのはたいしたものではありません。おそらく一〇%か一〇何%ぐらい単位費用としてふえている、こういうことになるかもしれませんけれども、そこで問題は、消防というのは、いつ起こるかわからぬということで、一般の関心をなかなか引かない。金をつぎ込むこと自体がどうも損なような気がする。しかし、備えあって憂いなしということなんです。こういう問題について、十カ年計画の半ばが過ぎないで——法律ですよ、ちゃんと促進法という法律をつくって、それに基づいてできた十カ年計画というのが四年目を迎えるという今日の段階において、しかもその計画の推進状況というのは、大体三割か四割しか進んでおらぬ段階において、この計画を破り去り、ただ一片の、補助金等適正化の答申に基づいて羅列されておるものと一緒くたにしてやるということは、これは言語道断だと思うのです。これについていかがお考えですか。
  175. 後藤正

    ○後藤説明員 消防整備十カ年計画がございますが、これは私どもは、十カ年計画というものを了承しましたその上で、補助金措置をしているわけではございません。私どもといたしましては、今回この十カ年計画——詳細な資料を手元に持っておりませんので、少し記憶になりますので間違いがあるかもしれませんが、十カ年計画の内容をよく洗ってみましたところが、充足率七〇ということを一応めどにいたしまして、防火水槽であるとか——結局この法律に書いてあります全部の施設を対象に措置してございます。ところが、補助金の現状におきましては、消防力基準に照らしまして、充足率が三〇を割っておるというような市町村数が、まだかなりございます。こういう事態を考えますと、この奨励的な補助金の効果といったものが一体那辺にあるのだろうかといったような点について、さらに今後検討したい、こういう気持ちを持っておるわけであります。私どもとしましては、法律上のたてまえに従いまして、少なくとも六〇%以上については自主的な努力によることを期待します。そういったような観点からこの計画を洗い直していきますと、先ほど申し上げましたような七億、五億、三億といったような、大体十五億で足りるのではなかろうか。もちろん財政力の大きいいわゆる不交付団体であるとか、財政力の非常に高い市町村ははずしてございますが、そういう校訂をしたような次第でございます。
  176. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二十八年に消防施設強化促進法という法律ができまして、そうして消防力の基準というものが消防庁から最小限度の施設という形で示されております。いま私は、きわめてふしぎなことばを聞いたわけですけれども、消防庁の十カ年計画は大蔵省の関知したものでないというおことばがございました。これは重大な問題です。市町村は、消防庁の示した基準であろうと、大蔵省が示した基準であろうと、国の方針として受け取っております。これについてどうお考えですか。
  177. 後藤正

    ○後藤説明員 ことばが足りなくて申しわけございませんが、十カ年計画に従いまして計画的に処置していくということを了承しておるわけではございません。要求どおりに処置していくということを了承しているわけではございませんで、十カ年計画というものがございます。その数字をわれわれは現に見ておりますが、その中で、現実の整備の状況等も考えまして、国の全体の予算といったようなものもにらみ合わせながら、必要な額を計上しておるような次第でございます。
  178. 細谷治嘉

    ○細谷委員 松村さんにお尋ねしますが、大蔵省は、そういうものをしぼってみたところで、補助金等適正化法という、そういうものよりも、消防の最小限度の施設の維持をやるためには五億、三億と削っていって、それでできるんだ——あなたは、先ほどの私に対する答弁で、いまどうしてもこれだけの基準というものは満度で満たさぬと、最小限度の消防力というものは市町村には満たされないんだという、ことばの食い違いがございます。消防庁はどうお考えですか。
  179. 松村清之

    ○松村政府委員 消防庁としましては、この消防力の基準というものは、消防審議会のいろいろな先生の御意見、御検討の結果でき上がった消防の目的を達する最小限度の基準というふうに考えております。この最小限度の基準に照らして毎年消防施設を充足していきまして、この目的を達しますには、先ほどから申しておりますように、七億円のテンポでは十数年かかる、こういう勘定にしております。そこで私どもは、それを一〇〇%援助の手を差し伸べるという考えでございます。先ほどから法律の問題も出ておりましたが、法律では消防の経費は市町村で負担すると書いてありますが、同時に同じ法律で、市町村に出す補助金については別に法律をもって定めるということで、同じ法律の中に補助金をすでに予想して、補助金を出さなければ市町村の消防施設の充実強化はやっていけないということを予想さしておるのでございます。そうして、それに基づいて、ただいまお話がございました消防施設の強化促進法という単独立法が国会でできておるのでございます。この法律に基づいて補助対象、あるいは補助の基本額、こういうものをきちんと制令、省令等できめまして、漫然とその補助金をやっておるのでなくて、時限的にその計画を達成するために毎年努力しておるのでございます。そこで問題は私ども考えておりますように一〇〇%充足するまで補助金を続けていくか、あるいは大蔵省の申されるように、先ほど六割と申されたか七割と申されたか、ちょっと記憶いたしておりませんが、その程度で打ち切るかによって補助金の支出の年限というものは分かれてくると思いますけれども、しかし、私は、やはり消防に責任を持つものとしては、一〇〇%充足するまで一応到達して、そのあとは交付税で認めております経費によって自前で更新などをやってもらう、こういう考えでいくべきではないかと思っております。
  180. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは重要な問題で、十カ年計画の国庫補助、法律に基づいて基準を設けてこうだといった総ワクの補助金というものは、一年間七億円ぐらいのペースで総額七十億円ぐらいになっていると思うのです。そうして現在は、三十九年度七隈使った後に、四十年度以降なお四十、五十億近いものが残る。ところが、市町村はみんな国の方針として、政府の方針として受け取っております。ところが大蔵省の言いぶんは、現在までの予算にあとは五億円程度追加すればいいんだ、端的に言いますと、二十五億円ぐらい、三十億円ぐらい、半分にも満たない金で消防力は大体最低限度の維持はできるんだ、十カ年計画を半分以下で消防力を維持できるんだと言う。大蔵省は専門家でないのにそういう結論を出しておりますが、これは重要な問題です。
  181. 後藤正

    ○後藤説明員 どうも私の言い回しが悪いものですから、先生にそういう誤解をいただいたんじゃないかと思いますが、消防力基準とそれに対する充足については、私どもも消防庁と全く意見は変わらないわけでございます。ただ、先ほど消防庁長官が申し上げましたように、奨励的な補助金を、その充足に対して一体どの程度まで与えればいいのかというところで、消防庁のほうと私どものほうとの見解が違っておるわけでございます。私どもとしましては、従来の法律上のたてまえ並びに従来補助金を交付してまいりました現況から考えましても、六〇%程度までの充足に対して補助をすれば、あとは主的な努力によって、やっていただきたい。また今後五億、三億とか残しておりますが、これも自主的な意欲の盛り上がり等も見ながら、さらに金額については十分検討したい、このように考えております。
  182. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自主的な力ということでありますけれども、あなたがよく御承知のように、現存の市町村にはそんな自主的な力はございません。だから、問題になっておるところの税外負担、こういうものが起こっております。地方財政法をいかに改正しようともざるです。消防ポンプを買うんだといった場合には、もうどしどしと強制的な寄付がきまる。そういう現況で、今日の市町村の財政の中で一生懸命やっておりますけれども、自主的な力があるなんということは認識を誤っておると思うのです。しかも最低限度の十カ年計画、初めて法律をつくって、それに基づいて基準をつくってやっておる最初の十カ年計画、しかも消防の対象、構造が変わってきて今日の近代化が要請されておる時期において、十カ年計画を完全にやった上で——現状はどうだ、十カ年計画をまず完全にやるということが法律のたてまえであり、これは大蔵省も消防庁も一致して、十カ年計画を最低のものとして、これを確保していくということが市町村の消防力を維持するゆえんだ、その上で今後どう対処していくかということならば、話はわかりますけれども、私がこれをお聞きしますと、補助金等は奨励的なものは廃止する、そうして起債等でやりなさい、自主財源でやりなさいと言う。起債については、先ほど質問しますと、まだわからぬ、言えないということである。一体市町村はどこに問題を解明していただけますか。起伏についてはわからない、補助金は減った、そうして最小限度と言っているそういう計画も、実質的にはくずれていく、自主財源でやればいいじゃないかということでありますが、市町村は消防力の必要性を身を持って感じているのです。そういう段階においてはこれは非常に問題点であろうと思うのですが、ひとつ重ねて御意見を伺いたい。
  183. 松村清之

    ○松村政府委員 御説全く私同感でございまして、いま日本の市町村の現状といたしましては、補助金なり起債なり、そういうもので財政的な援助の手を差し伸べなければ、消防施設につきましてもその目的を達成することはできないと思います。奨励補助金だから、あるいは経費が市町村の責任だから市町村でやれといいましても、これはいわば観念論でございまして、現実問題としてはそれで救えるものではないのでございます。したがいまして、先ほどからたびたび申し上げておりますように、消防庁あるいは全国の消防関係者としては、この補助金につきましては、従来の方針にのっとってその目的を貫徹するまで努力いたす所存でございます。
  184. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ちょうど大臣がいらっしゃっておりますから大臣に伺いたいのでありますが、その前にちょっと大蔵省に聞きたいのです。消防の施設、この法律に基づいた十カ年計画の補助金というのは、純然たる奨励的なもので、やってもやらなくてもいいというようにお考えですか。——これは奨励的なものじゃなくて、市町村が責任を負わされている消防力を充実させるということで、これは義務的なものです。のっぴきならぬものとしてこれに取り組んでいる、こういうことであって、単なる奨励的、そういう自由意思で、やるものだからそのほうが推進されるのだという——この答申で消防施設をあげたことは誤っていると思うのですが、大蔵省の見解をお伺いいたします。
  185. 後藤正

    ○後藤説明員 根本問題としましては、はっきりこれは市町村自治消防でございます。消防施設等につきましては、基本的には地方税並びに交付税等一般財源で措置する、これは金額的にも、交付税の基準財政需要額でも、現在、三十九年度約四十八億程度になっていると思いますが、当然そこで措置すべき性格のものと考えております。  補助金につきましては、先ほど来申し上げておりますように、ともすれば事故発生の偶発性のために整備を見送られるというようなこと、あるいは市町村の財政状況等も考え合わせまして、この重要な整備についてできるだけ予算措置を誘引するように奨励的に交付する性格の補助金だと私は考えております。
  186. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は率直に申し上げて、今度の三十九年度の消防庁の予算は、端的に言うと消防団に対する年金等の報償金について若干の新規の予算がありましたけれども、消防庁予算全体としては非常常に大きな後退をしている。しかもいまお聞きしますと、十カ年計画そのもの自体もきわめてあやふやで、消防庁のほうの考えと大蔵省の考えと現実においてはずいぶんな隔たりがございます。ところで、私は、法律に基づいてできた基準というものは、第二次、第三次は別として、この十カ年計画は完遂するということが今日の消防力の充実に絶対必要なことであろうと思うのです。そういう点で、十カ年計画はぜひ計画どおりまた法律どおりやっていただきたい、そしてそういうものは、交付税なり、特に起債等については十分見ていただきたいと考えております。この問題については非常に重要な問題でもございますから、大臣の所見とこれに対する決意、昨日御就任なさってたいへん恐縮でありますけれども、白紙のところですから、きちっとした御決意を承りたいと思います。
  187. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 昨日就任はしましたが、衆議院には二十年近くおりますから、多少いろいろなことは聞きかじっておるわけでございますが、私は戦時中長い間、当時は警防団と言っておりましたが、警防団長をやりまして、ポンプ操法なんか実に大家ですが、当時市の常備消防も指揮いたしまして、ずいぶん苦戦苦闘をしたものです。これは実に恵まれないところの、まさに奉仕的な考え方のもとにできておったものですから、たいへん苦労したわけであります。  そこで、いま私は具体的なことはつまびらかにいたしませんが、議論を拝承しておりますと、大体消防庁のほうで十カ年計画を立てているのじゃないか。それに対して、もちろん消防は自治消防であって、昔は山持ちや不動産持ちが大幅に寄付してそれを中心にやっておったものです。しかし戦後はそうは言っておれぬし、また、国のほうで手を貸さなければなかなか消防力は充実しませんから、そこで補助金を出すということも法律できめたのです。しかし、どこでも役所は計画はつくるのです。消防十カ年計画は私は初耳ですけれども、とにかく建設省にいけば道路河川の何カ年計画、農林省にいけば土地改良何カ年計画、時限立法は何年でもってやるというわけです。ところが、計画どおりやれるかというと、どっこい金がないということになる。そこで私らも長年予算もとってまいりましたが、これをふやせばあれを減らさなければならぬ、切り盛りはなかなかやっかいなものだということは、与党で予算で苦労した人はよく知っておるわけです。そこでものの比重として、あっちもこっちも計画どおり予算を出せ、進行がおそいじゃないか、十カ年計画はもうほとんど終わっておるのに、でき方は半分しかできてないじゃないかというような議論がどこに行ってもやかましいわけなんですよ。しかし、いろいろなそういう要請がある中で、消防のウエートをどう考えるかということは、これは政治家の判断によるものでありまして、あえて大蔵省の諸君のごきげんを伺って、わずかばかりの小づかいをもらうわけではありませんが、やらなければなりませんし、私もそういう立場で今日まできておりますが、ただ、実は消防のことは、法規的にも、またいまの予算の点がどうなっておるかということは詳しく承知しておりません。御質問の要旨はよくわかりますので、自分も経験があることですからよく勉強しまして、今日の消防力をどの程度充実したらいいか、今後の速度はいかにあるべきかということにつきまして再検討いたしまして、またお答えする日があろうかと思いますが、きょうのところはいきなりのものですから、消防庁の人とも打ち合わせも何もしておりませんけれども、私個人としては、やはり今日消防というものの重要性にかんがみ、この計画はできるだけ促進するという考え方に立って善処しなければならぬと考えております。
  188. 細谷治嘉

    ○細谷委員 消防のことについては、地元で御経験があるようでありますが、今日消防整備のために、立体化していきつつあるというようなことで市町村はたいへんなことです。せんだって消防団の日当に、交付税で二百円を見ておるんだということをおっしゃっておりますけれども、現実にはもう二百五十円とか三百円近くの実情にきておるんです。そうしてそれに垂れを置いてやっております消防団もありますし、あるいは常設消防もあるわけで、やっておりますけれども、これが税外負担となって相当大きくはね返ってきておりまして、住民から怨嗟の声が出ており、そういうものに応じなければ村八分のようなかっこうになって、たいへんなことです。そこで大蔵省あたりは自主財源だ、自主財源だと言っておりますけれども、白上財源なんていっても、現実には市町村の今日の財政はそう簡単なものではないわけです。そういう点で十カ年計画をつくってこれだけは完遂する、十カ年計画をやった上で、今度どうするかという新しい方針を考えていただいて、補助金をやめるかやめないかはそのときになって考えていただいていいと思います。税の再配分も何もやらないで交付税だ、起債だと、それについての具体的な裏づけをなされないでやることは、自治体消防の名において、から手で消防を中央集権化しておるものだと私は思う。こういうことでは消防力の充実はできません。たいへんな悲惨な事態が全国の津々浦々で起こっておることを、ひとつよく御認識いただいてこの問題に取り組んでいただきたいし、大蔵省も消防は大切なんだということをこの際とくと認識していただきたいと思います。  これで終わります。
  189. 森田重次郎

    森田委員長 千葉七郎君。
  190. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 細谷委員から詳細にわたり質問が行なわれましてだいぶ尽くされたわけでありますが、私は補完的に二、三の点をお伺いいたしておきたいと思います。  ただいまの細谷委員に対する答弁から判断いたしますと、だいぶ市町村の消防施設も完備しつつあるというように了解をいたしたわけなんでありますが、消防の任務は、法律に規定をされておりますとおり、火災の予防あるいは水難の予防さらには水火災の消火鎮圧、こういうことが任務になっておるわけであります。したがいまして、御答弁のとおり、消防の施設あるいは消防団員等の訓練が完成しつつあるといたしますならば、火災発生件数も累年減少しておるのではないかと考えられるわけであります。発生件数は過去五カ年くらいの間に大体どういう状態になっておるか、まず第一にこれをお伺いいたしたいと思います。
  191. 松村清之

    ○松村政府委員 火災の発生件数は、今日産業経済が発達いたしますし、また国民生活も文化的になりまして、火災を引き起こす原因が非常に多くなってきつつあるわけでございます。そういう意味におきまして、火災の発生件数というものはふえてきております。ただ消防力の充実ということが一つの原因だと思いますけれども、件数はふえておるけれども一件当たりの損害額はだんだん減ってまいっております。これは余談でございますけれども、アメリカ等においても火災件数は非常に多い。しかし一作当たりの損害というものは少ない。これと見合っておるような状況に日本もなりつつあるわけであります。
  192. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 その件数はそこでわかりませんか。
  193. 川合武

    ○川合政府委員 三十年から申しますと、三十年が二万九千九百四十七件、三十一年が三万三千三百十二件、三十二年が三万四千六百五十件、三十三年が三万六千百七十八件、三十四年が三万六千九百十三件、三十五年が四万三千六百七十九件、三十六年が四万七千百六件、三十七年が四万九千六百四十四件、三十八年は約五万件でございます。なお焼失面積は先ほど長官が申しましたとおりで、約十年間で一件当たりの焼失面積は四割減くらいの状況になっております。
  194. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 発生件数はただいま御答弁にありましたとおり、逐年増加しておる、しかし損害額はそれほど件数に比較しては増大をしていない、こういう御答弁でありますが、しかし損害額のいかんにかかわらず、件数がふえる。昭和三十年から比較をいたしますと、大体昭和三十八年において二倍近い程度の火災発生の件数増大ということになっておる、そういたしますと、消防の出動回数がそれだけ多くなっておる、こういうことになってくるのではないかと思うのです。そうであるとするならば、消防機材の消耗というものは、この発生件数に従って非常に激しくなっておるのではないか、このように考えられるわけであります。したがって私は、この消耗しておる機械の補充、施設の補充等がどういう状態になっておるかという点を考えますと、非常に消防力の基準の低下ということ、たとえば人口一万に対して自動車。ポンプ一台がかりに基準として、そういう施設があれば基準に達しておるのだ——外見上はそういうことになりましょう。しかしその消防ポンプ、自動車ポンプの能力ということを考えると、はるかに基準を下回っているのではないか、かように考えられるわけでありまして、そういう点に対しましては、どういう御見解を持っておられますか。
  195. 松村清之

    ○松村政府委員 具体的な資料は持ち合わせませんけれども、お説のように、出火件数がだんだん多くなってきておるわけでございますから、消防の出動回数がふえる、その結果消耗度が激しくなる、これは当然考えられるわけでございます。ただそういった消耗に対して新しいものに更新する、こういう場合におきましては、原則的には地方交付税で見ております経費でやっていただく、消防力の基準から出ておる各市町村の消防施設をあるべき姿に新しく持っていく、その分について補助金を出す、こういう考え方でまいっております。したがいまして現実問題としては、市町村の財政力によりましては消耗というものを十分に自力で補うことができないで、実質的に消防力が低下しておるというところもあるのじゃないかと予測されますけれども、具体的な資料を持ち合わせませんので、的確なお答えができませんで、恐縮でございますが、考え方としてはそのように思うわけです。
  196. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 形は大体基準に合っておっても実質的な能力は落ちておるのじゃないか、このような御答弁でありまして、したがって私の考えには適合するようなわけでありますが、さらに私考えますのに、建築の様式の変化によりまして消防施設の内容も大きく変化をしておるのじゃないだろうか、このように考えるわけなんです。最近御承知のように、高層建築が非常に盛んだ、それからまた耐火建築等が非常にふえまして、従来の火災の形とこれから予想される火災の形というものが大きく変化をしていくのじゃないだろうか、このように考えられるわけであります。せんだってのデパートの火事なんかの写真を見ましても、耐火建築でありますから、したがって炎が上に燃え上がらない、窓から吹き出す、こういうことで従来のように上から水をかけたのではとても消火にならぬ、そういう状態が今後ますます一そう激しくなって、激しくといいますか、そういう形のものがふえていくのじゃないかと思います。そして従来の消防の施設はだんだん役に立たなくなってくる。たとえばいままでのような単純な、水を吐き出す自動車ポンプだけでは役に立たなくなってくる。それには当然高層建築に適合したそれぞれの機材なり設備なりがなければ消火の目的を達することができない、こういうことになってくるわけなんですが、そういう点を考えると、このポンプなりその他の機材なりを、二重に施設をしていかなければならぬ、そういうぐあいにも考えられるわけであります。したがってそういう点から見ても、形の上では消防力の基準に達したとしましても、内容的に見ますならば、消防力の充実に対する、拡充に対する施策というものを、ここらで大きく考え直さなければ、完全な消防力を維持するということはできないのじゃないか、こんな七億や五億のはした金を補助するといったようなことでは、とうてい建築様式の変化あるいはこの産業構造等の態様——態様といいますか、条件の変化、たとえばコンビナート地帯なんかこれからどんどんできていくと思うのですが、そういう変化に対する消防力というのは、いままでのような考え方ではとうてい役に立たないのではないか、こういうふうなことが考えられるわけなんであります。その点に対する御見解はいかがですか。
  197. 松村清之

    ○松村政府委員 私も全く同じ考えを持っております。今日高層建築があちこちに建ちます。いろいろな工場があちこちにできます。そういたしますと、そこにたとえば消防自動車でもはしご自動車、スノーケルあるいは化学車、こういった特殊の消防施設が必要であるのでございますが、今日までのところは、そういう施設の必要なところは主として大都市でございました。そこで現実には、財政力が出かである大都市でございますから、化学車、はしご車等を装備してきております。けれども、これからの日本考えてみますと、こういうことは大都市に限らないで中小都市にも高層建築はできてくる。いなかのほうにもいろいろな工場ができてくる。こういうことを考えてまいりますと、今後は全国的な観点に立って化学車、はしご車等の高度の消防施設の整備充実ということが喫緊の要務になってくると考えておりまして、実は本年はそういうものについて十分全国的に調査いたしました上、予算等具体的な問題についてはあらためて考えてまいろう、そういうふうに思っておる最中でございます。
  198. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 そこで、そういうぐあいに消防施策と申しますか、その大変革が望まれなければならぬという時点に立って考えるとき、先ほど大蔵省の主益の方が強調されておりましたが、消防は自治体消防なんだ、そのとおりであります。消防組織法の第六条を見ますと、市町村は当該市町村の区域における消防を十分に果たすべき責任を負っておる。そしてまた第八条では「市町村の消防に要する費用は、当該市町村がこれを負担しなければならない。」こういうことになっておりますから、したがって、これは大蔵省の御説明を聞かなくたってわかっておるのですが、同じ消防組織法の第四条の第一項第十一号を見ますと、「消防施設の強化拡充の指導及び助成に関する事項」が国の消防庁の所管事項なんですね。それを受けて消防施設強化促進法が出てきたのだろうと私は思うのです。その消防施設強化促進法を見ますと、消防施設の強化促進のためには国が補助をすることができる、こう定めている。補助をすることができるということは、これは文字どおり解釈すれば、一定の予算の中において補助することができるんだから、補助しなくてもいいんだというふうにも解釈されるのですけれども、私はそういうふうな解釈をするのは誤った解釈ではないかと思う。補助することができるということは、補助をしろという法律の定めだ、私はそういうふうに考えるのですが、その点に対する当局並びに大蔵省の御見解はどうですか。
  199. 松村清之

    ○松村政府委員 いま御指摘の条文のほかに、先ほど私ここで申したのですが、消防組織法の二十五条に「市町村の消防に要する費用に対する補助金に関しては、法律でこれを定める。」こういう規定があるのでございます。おそらく、消防が市町村の仕事であり、原則的には市町村がその経費を負担すべきであるけれども、現在の状況を考えてみた場合には、国が補助金を支出していかなければ、とうてい消防の充実をはかることはできぬであろうということで、わざわざこの同じ法律の中に補助を出すことを予想し、それに基づいて、いま御指摘の消防施設強化促進法によって、消防の補助金のことがこまかく規定されておるんだろうと思います。  したがって、ただいまのお話につきましては、これは議論としてはいろいろ見解が分かれると思います。市町村の消防だから、市町村が金のめんどうを見ればいいじゃないか、こういうこともいえますけれども、しかしやはり消防の仕事も、市町村に関係があることは当然でございますけれども、今日のように、災害等の仕事も消防が背負う、また消防の実態が、先ほどからお話のように変化を遂げてきております。小さな市町村に大きな工場ができる、小さな市町村に高速道路が通って、そこでいろいろな事故を起こす、救急車が要る、こういうように、消防のある部分につきましては、市町村だけが責任を負うことは適当でなくて、せめて金の面なりとも国あるいは場合によっては府県がめんどうを見るべき、そういう様相を昨今は示してきておるのではないか、こういうふうに私は考えております。補助金を削減するというような問題につきましては承服いたしかねる、こういうことをたびたび申し上げておるのでございます。
  200. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 たいへんわが意を得た御答弁であります。ぜひそういう点を、補助金の整備委員会ですか審議会ですか、そういう委員会等にも十分説明をして納得させて——大体、補助金を整備するということは、補助金を減らすということばかりが整備じゃないと私は思う。補助すべきものはどんどん増額をして、そして対象の施設なり事業なりをどんどん完成させるということも、補助金の整備の委員会で当然取り上げるべき問題と思う。大体その委員会の認識が非常に不足だと思うのです。ですから、これはひとつ消防当局、長官が先頭に立って、そういうわけのわからない委員たちはよく説得して、もっとわかってもらって、そして七億の補助金を五億に削って、三億に削って、そんなしみったれたことでなくて、それを二倍なり三倍なり五倍なりにふやす、そういうことをからだを張ってやってください。ひとつお願いしておきます。  そこで町村の実態を申し上げますと、細谷さんからもお話がありましたが、消防の経費が足りなくて、消防団は消防に対する寄付を毎月集めているのです。たとえば夜の見回りですか、夜回りといいますか、その費用は月に百円出せ、あるいは何々を施設するから今度は何ぼ寄付してくれ、こういうぐあいに毎月集めているのですよ。これを出さないと、あとで消防団に、そんなお礼参りなんということはないんだろうけれども、それに類似するようなことをされたんではたいへんだ、昔の消防にはそういうことがあったそうですか、いまはそんなことはないと思いますけれども、昔そういうことがあったために、寄付を要請されると、一般の住民の人は、消防だからしかたがないといって、黙って出しているのですよ。そういう状態です。大都会にはないのでしょうけれども、いなかのほうはそういう実態ですから、したがってこの交付税交付金の算定基準にそれを算入したからというようなことでなくて、しかもその交付税交付金なんかは、私申し上げるまでもなく、国税三税の総額の二八・九%、このワクを広げなかったら絶対額が広がらないのですから、自然増収があるからと言うのですけれども、自然増収の分は当然市町村に二八・九%交付になる金なんですから、いろいろな財政需要の基準額に算入した算入したと言うけれども、それは名前だけですよ。決して交付金の総額がふえているわけじゃないのですから、そういう点をひとつ十分了解をしてもらって、この補助金等はぜひ減らさないように、むしろ消防力の基準を充実する、維持するという——維持するだけでも町村の経常の経費ではとても足りないのですから、いろいろ機材なり施設なりがだんだん古びて消耗していく、そしてまた建築様式の変化等によってさらに役に立たなくなっていくというような状態なのですから、ぜひ補助金等は減すどころか、もっともっとふやすようにひとつ努力をしていただきたいと思うのであります。  それからもう一、二点お伺いしておきたいのでありますが、建築の認可の問題ですね。これは現在では建築関係の建築の許可申請が出た場合には、その許可にあたっては消防庁の意見を聞いた上で許可をするのだということになっておるようですが、そういう合議といいますか、これは確実に行なわれておりますか。
  201. 松村清之

    ○松村政府委員 法律によりますと、建築物の新築あるいは増築等にあたりまして、建築関係の役所が許可等を行ないます場合には、消防と協議しなければならないことになっております。これは建築物ができたあとにおきましても、消防法によりまして火災のおそれのあるような建物につきましては、改修をさせたり除去させたりする権限が消防にあるわけですが、それでは不都合を来たしますので、事前に消防の見地から見て、建築物の許可等にあたっては事後において措置をしないでもいいということでやっておるのでございます。そこで、実際問題といたしましては、これは消防としては大事な仕事でございますから、また組織も完備しておりますので、私はむしろ建築関係の役所以上に消防の者は見ておると思います。ただ小さな市町村等においては、そういった技術を習得しておる消防職員等もあるいは不足いたしておるかと思いますので、その辺十分に行なわれておるかどうか疑問に思われることも考えられますけれども、重要な都市等におきましては、法律の趣旨にのっとって十分調査した上、建築関係の役所の協議に応じておることと考えております。
  202. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 これは大都市といわなくとも、小さな市の消防署でも協議を受けて、そして消防長あるいは消防署長等が調査をして同意、不同意をきめておるのでしょうが、小さな町や村に行きますと、そういう手続が完全には行なわれていないのではないかというような感じがするのです。したがって、こういうところにこのように隣の建物と密着させて建てて、はたしていいだろうかというような感じの建築も行なわれておる点もあるように感ぜられるのです。したがって、そういうことはもっと火災の予防上厳格にやるように、これは町村のためでもありませんし、国のためでもなくて、その建築物の所有者のため、住民のためなんですから、そういう点ももっと厳重にやる必要があると思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えですか。
  203. 松村清之

    ○松村政府委員 これは全く御同感でございまして、先ほど申し上げましたように、また、ただいま御指摘のありましたように、小さな町村においては十分な措置が行なわれておらないのではなかろうか、こう危惧しておるわけでございます。それはやはり消防における必要な技術者の不足ということに原因があるのではなかろうか。そこで私どものほうといたしましても、名市町村に専門の技術行を置くように、あるいは学校の教育課程、学校と申しますのは消防学校、あるいは消防大学校でありますが、そういう課程における履修を通じてそういった技術を身につけるようにということで、現在せっかく努力しておる最中でございます。
  204. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 最後に一点だけ伺っておきたいと思いますが、日本消防検定協会というのがありますね。この日本消防検定協会はことしから発足するのですか。
  205. 松村清之

    ○松村政府委員 これは昨年の法律改正によりまして、法律の中に規定されてあったのでございます。検定協会の発足は昨年の十月一日でございますが、現実に業務を開始したのは本年一月からでございます。
  206. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 これは昨年改正になったのですか。
  207. 松村清之

    ○松村政府委員 昨年の通常国会における改正でございます。
  208. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 私は、また消防法の最初の制定の際からこの消防検定協会があっかのかと思ったのですが、それは私の思い違いでしたが、この検定協会の任務等につきましては、その仕事を遂行していく上においてはいろいろな問題が予想されないでもないと思います。ここの検定を通らなければ、いいろな機材等を売買することができないといったようなことにもなるかと思いますが、えてしてこうしたような機関には、好ましからざる実態が発生するおそれが従来の経過から見てあるようにも考えられます。ひとつそういうことのないように、十分注意を持ってこの検定協会の運営には当たっていただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  209. 森田重次郎

    森田委員長 川村継義君。
  210. 川村継義

    ○川村委員 一つ三つ簡単にお聞きしておきたいと思います。  いま細谷委員、千葉委員からいろいろ話が出ておった中にもありましたが、消防施設強化促進法でいう消防施設というのは、消防庁長官、一体何々をいうのですか。
  211. 川合武

    ○川合政府委員 消防施設強化促進法に基づきます制令がございまして、それに消防ポンプ自動車、手引動力ポンプ、小型動力。ポンプ、火災報知機、消防専用電話装置、防火水槽というふうに規定されております。
  212. 川村継義

    ○川村委員 いや、私がお聞きしたのは、強化促進法にいう消防施設とは何か、その消防施設の中から国の補助の対象にするのがいまあなたがおっしゃったこれこれだ、と狭めておるわけでしょう。ところが消防施設というのは、その政令で規定してある。ポンプとか二、三のものではないはずです。政令で規定しているのは、その消防施設の中から国の補助対象にするのはこれこれだ、こういう規定の仕方をしてあると私は読むのです。そうでしょう。そこで、私がお尋ねをしているのは、その強化促進法にいう消防施設とはどういうものをいうか。もっと申し上げますならば、消防という目的を達するについて施設というものは一体どういうものがなければならぬか、こういうことなんです。
  213. 川合武

    ○川合政府委員 お話しのとおりでございまして、消防用施設そのものは市町村の消防に必要な施設でございますから、非常な各般にわたるわけでございまして、ここに書きました以外のものといたしまして非常に各般にわたるというふうに考えております。
  214. 川村継義

    ○川村委員 おそらく数え上げられないほどの施設を必要とするかもしれません。ただ、都会でなくて、いなかの町村、しかもその町村の町内の義勇消防といわれる諸君が消防のために必要とする施設、それだけ考えても相当なものがあると私は思う。その中でどうしてもわれわれが考えて必要だと思うのは、もちろん。ポンプ数の一式、それにポンプを入れるところの格納旅、そういうものが必要だと思います。それに何としても火の見やぐら、こういうものは欠くことのできない施設だと私は思うのです。だから、ポンプだけあったって消防の能力をフルに活用することはできない。やはりそれを納めるところの格納庫も必要である。しかも今日では、昔のような、人の力で動かすところの。ポンプはほとんどなくなって、みな動力を使って動かす。ポンプに変わっておりますから、そういうものを保存し、またそういうものに必要なガソリン等を保存しておくところの格納庫が必要である。それにやはり火の見やぐらというものはどうしても必要な施設ではないか。そこで、この政令で補助対象になっている中に、少なくとも格納庫、火の見やぐらは入れるべきである、こういうことをずっと以前にも皆さん方に申し上げてきたと思います。また皆さん方のほうもそのとおりだと回答をなさっておる。ところが今日まで相も変わらず、何年になるか知りませんけれども、この法案ができた日付を見ればわかりますけれども、相変わらずポンプ類だけを国の補助対象にしてある。これは大蔵省に言わせるといろいろ理屈はあるかしれぬ。しかし実際消防を強化していく、消防の使命を果たすということになりますと当然必要なことではないかと思う。なぜ今日までこの政令の改正を行ない、それに必要な補助をつける、こういうことを進められなかったのですか、その辺の理由を明らかにしておいていただきたいと思う。
  215. 松村清之

    ○松村政府委員 私もその間のいきさつについてはつまびらかにいたしませんけれども、今日の情勢を考えてみますと、火の見やぐらというのは確かに昔からの火災発見の施設として大事なものでございますけれども、これからの状況のもとにおきましては、たとえば火災報知機、電話、そういった方向へ進んでいくべきではないかというふうに私は考えるのでございます。これは私の予測ですが、そういうようなことで、新しい時代に即応した火災を知らせる、あるいはその前段階としての施設等を消防施設としては今後考えていくことが妥当であって、決していなかでは火の見やぐらの価値というものは失っておりませんけれども、消防の近代化に即して別な方法考えていくべきじゃないか、こういうような考えから火の見やぐらのことはここに挿入しなかったのではないか、そういうふうに推測いたしておるわけでございます。
  216. 川村継義

    ○川村委員 いまのお考えにはちょっと賛成しかねるわけですが、なるほど都会においてはいまあなたがおっしゃったように、近代的な消防施設とは火災報知機等々の進んだ施設を考えなければならぬと思います。ところが消防施設に補助を必要とするところは一体どこなんです。これはやはり地方の町村ではないかと思う。まだ、御存じのとおりにいわゆる公設の消防署を持っている町村は少ない、ほとんどみないなかの町村に行けば義勇消防にたよっているわけでしょう。そういうところでは、今日まで論議されてきているように、市町村が消防関係の費用を負担しているのは非常に大きいわけです。その中でやはりこういう施設に相当の負担をしている。しかもそれは市町村が負担するのではなくして、その大部分は住民がわがこととしてたくさんの寄付その他によって消防の充実をはかっている。そういうところが今後何方も出してポンプを買うときに、せめて三分の一補助してほしい、こういうことを買うでしょう。あるいは火の見やぐらをつくるときに三分の一ぐらいは補助をしてくれないか、こういう必要を叫んでいるわけです。そういう地域、そういう市町村が、やはり財政力あるいは住民の生活程度等々から考えて国の補助を必要とするのではないか、必要としていると私は思う。また、そういうところに火災報知機とか何とかえらい進んだことをお考えになっても、まだ遠い先の話ではないか。そういう地域がやはり多いということを考えて、このせっかくのこういう強化法という法律があって補助の対象にしているならば、これは消防ポンプだけでなくて、そういう必要な施設に補助を出してやる、そういうふうに進むべきではないかと私は思う。いかがでございます。
  217. 松村清之

    ○松村政府委員 もちろん私も、いなかにおきまして火の見やぐらというものが重要な役割を果たしておることは認めておりますけれども、ただいま申しましたように、国の補助金は非常に限定をされてきておるのでございますし、また先ほどからのお話のように、これからますます補助金というものが厳格に運用されるということになりますので、重要性は認めますけれども、何もこの補助金だけが消防施設の財源ではございません。起債というものもありますし、また交付税にも消防の経費というものが算入されておるわけでございますから、この火の見やぐらにつきましては、そういった起債等による、あるいは一般財源による市町村の単独事業として私は施設をやっていただきたい、そういうふうに考えるのでございます。
  218. 川村継義

    ○川村委員 長官、少し下部の市町村の末端の実態を御存じないようですね。それはもちろんあなたがおっしゃったように、消防施設に対しての財源措置はある程度あるかもしれない。交付税の中には入っておると考えても、実際末端町村はそういう補助はしません、金は出しませんよ。その点についてはあとで佐野委員からちょっと聞きますけれども、そういうような考え方ではいけない。そこで私たちが消防施設税といいますか、損害保険会社等からのそういう新しい税金をつくってはどうかといっても、これも賛成をしてない。消防関係の財源は豊富じゃありませんよ。その点をやはりもう少し真剣に考えていただきたい。とにかく皆さん方は、国の補助について大蔵省に遠慮をしておられる。今日までそういう積極的な対策、そういう折衝を十分なされておらないのじゃないか、そう感ぜざるを得ないわけです。その点はもう少し真剣に、やはり地力の住民の負担の問題とか市町村の消防に対するいろいろの財政上の施策等をお考えいただきまして、十分やっていただきませんと、消防は、もちろん自分たちのことを自分たちで守るのですから、それはやらねばなりませんけれども、それだけではなかなか財政的にたいへんな問題がある。そういう意味で、施設の近代化もなかなか行き悩む。そうなると、国がやはり当然それを見てやるということは必要でございましょう。何もそれを消極的に考える必要はないと私は思っている。これはぜひひとつもう少し前向きで考えてもらいたいと思います。
  219. 松村清之

    ○松村政府委員 実はその火の見やぐらに補助金をという声は、あまり私聞をなかったわけでございます。しかしいまお託しのように、日本全国の市町村たくさんあるわけでございますから、市町村によりましては火の見やぐらが非常に重要だ、しかし財政的には恵まれない、こういうところも多かろうと思います。そこで、その辺の実情を今後十分検討した上で、これは先ほどからのお話のように、補助金問題は非常にむずかしゅうございますけれども、ひとつ検討いたしました上でしかるべく大蔵省等に話をしてみたいと思います。
  220. 佐野憲治

    ○佐野委員 ただいまの川村委員の発言に関連してお聞きしておきたいと思うのですが、実は交付税である程度の財政需要額を見ておる、こういう御発言もあったのでお聞きしておきたいと思うのです。現在交付税法によって見ておる財政需要額と、実際に使っておる消防費と、この間においてどういう差異が出てまいっておるか、こういう点に対して御検討願いたいと思うのですが、たとえば私、ある県の消防課で得た資料によりますと、大体パーセンテージから申しましてもいま八〇%程度だ、こういうことを具体的にあげておるわけです。そこでひとつお聞きしたいと思いますことは、財政需要額が実際の需要とこのように差が出てきておる。北陸のある一つの県なんですが、その県の実情を見てまいりますと、たとえば、この県の人口は石三万人に及んでおるわけですが、交付税において算定されておるのは八十五万人になってきておる。こういうことになってまいりますのには、一つの問題として私は補正の問題があるだろうと思いますが、特に消防費に対する測定単位の中に人口のみを取り上げて、面積を取り上げていない、こういう中からも一つの問題が出てきておるのじゃないか、かようにも考えます。と同じに、補正といたしまして態容補正、段階補正並びに寒冷補正と、大体三つの補正がとられておるわけですが、そうした補正のとり方にも一つ問題点を含んでおるのではないかと思われますので、これが一体消防の場合にどういう補正のとり方をしておるか。態容補正あるいは段階補正、積雪寒冷補正、この補生のとり方がどうなっておるか、こういう点を一応御説明していただきたいと思います。
  221. 柴田護

    ○柴田政府委員 交付税法の問題でございますので、私からお答え申し上げます。  消防費の補正係数は地方交付税法の中に適用すべき補正係数の種類がきまっておりますが、十三条でありますが、段階補正と態容補正と寒冷補生の三つでございます。人口をとっておりまして、面積をとらないのはおかしいじゃないかというお話でございますが、大体消防行政が行なわれますのは主として人口稠密の地域、したがいまして人口というものと消防経費というものがほぼ均衡を保つという形から、こういう点に着目いたしまして、人口を測定単位にしておるわけでございます。  また、お尋ねの実態と基準財政需要額との間が非常に違うじゃないかというお話でございますが、これは交付税の性質上、そのところところによりまして、消防に極度の重点を置いておりますところもあれば、またそれほどでもないので、その財源をほかへ回しておるというところもあろうかと思うのでございます。全体的にながめますならば、大体三十七年度の決算でございますが、消防費に使われました一般財源は約四百億弱であります。これに対しまして基準財政需要額も四百億ちょっと顔を出したくらいであります。消防費に使われました一般財源と、消防費に関します基準財政需要額というのはほぼ見合っているというふうに思うのであります。もちろん個々の市町村につきましてはいろいろ不ぐあいな点が出てまいっておるかもしれません。なお実態等もよく検討いたしまして、その間の事情を分析し、理由のあるものにつきましては直すようにつとめてまいりたい、かように考えております。
  222. 佐野憲治

    ○佐野委員 私は、交付税法の中で、もっと具体的に掘り下げてお聞きしたいと思うわけなんですが、ただ、本日もう少し確かめておきたいと思いますことは、いま昭和三十八年度で交付税が人口一人当たり四百四十七円、こういうぐあいにきめられておる。積算の基礎そのものにつきましては、いずれまた検討さしてただきたいと思いますが、そうじゃなくて、私のいま指摘いたしたいのは、こうした交付税によって財政需要額が決定されておるけれども一つの県の中で実態を見てまいりますと、人口百三万人に対して八十五万人に算定されておる。このことは補正によってこういう形が出てきておるのだろうと思うのです。そうした場合におきまして、たとえば面積を取り上げられていないということも一つの大きな原因になってくるんじゃないか。たとえば消防分団の数を見てまいりましても、この面積による広い、狭いという関係によって非常に経費が違ってくるんじゃないか。農村地帯において、あるいは地方におきまして非常に面積が広い、分散部落を多く持っておる。だから消防分団の数も多くなってくる。そこに経費というものは当然見られなくちゃならない。そういうものが捕促されていないというところに問題が出てきておるのではないか。どうしてもやはり面積を加味することによって実態に近寄ってまいるのではないか、こういうことも考えるわけです。態容補正の場合におきまして人口急増補正がとられておる。しかしながら、逆に農村関係を見てまいりますと、青少年の働き手が消防団から抜けていく。そういう人手不足というものは、構造変化の結果もたらされておる。そうすると人口が激減をする、そのことがやはり補正の対象となっていかなければならぬじゃないか。片方においては人口が急増するからいろいろな需要額が出てまいる。片方においては人口が激減することによってやはり経費というものが割り増しになってくる。こういうことがやはり考えられなければならないじゃないかという点が一つ考えられるし、それから態容補正の場合におきまして二十種に分かれておると思います。その二十種に区分された当時と、今日における実態というもの、特に消防に関しましては非常に実際と合わない面が出てきておるんじゃないか、こういう点も感ずるわけです。それから積雪補正にいたしましても、たとえばこの県の白書を見てまいりますと、二十戸、三十戸の分散部落が八百にも及んでおる。ところが実際においてそういう分散部落は積雪の中に閉じ込められる。しかもその中におけるところの小型消防。ポンプ、これが五〇%しか充足されていない。ですから豪雪の中において、積雪の中においてそういうところに火災が発生すれば処置なしだ。全く手の打ちようがないという中に置かれておるわけです。そういう場合に、積雪地帯に対する補正というものは一体どう見込まれておるかということになってくるんじゃないか。そこに財政需要が非常に大きく出てまいっておる。しかるにかかわらず、人口が百三万であるのにかかわらず八十五万と算定されてくる。それと同時に決算面を見てまいりましても、財政需要額が八割程度しか充足されていない。もし補正が完全に行なわれるとするならば、ある程度までそういう財政需要額というものを把握することができるんじゃないか、こういう点も考えますので、そういう点に対して、一体どういうぐあいにいま考えておられるかということ等を、消防庁長官並びに財政局の立場において一応お聞かせ願いたいと思います。
  223. 柴田護

    ○柴田政府委員 私どもは消防費の実態を勘案いたしますと、先ほど申し上げましたように、大体消防費に使われております実際の一般財源と基準財政需要額との間においてはさしたる差がない、大体全体としては消防関係の経費は、いろいろ問題は具体的にございましょうけれども基準財政需要額という観点から見れば、ほかの経費に比べますれば、非常によく見られておるというように実は考えておるわけでございます。先ほどお話がございました人口が割減になるというのは、段階補正のしからしめるところでございまして、単位費用は人口段階十万の都市を基準に置いております関係上、それ以上の人口になってまいりますと、どうしても経費が割安になることは明らかでありまして、その部分の補正が働いてくる結果であろうと思うのであります。したがって、また逆の場合は、小さな町村にいきますと、段階補正が働きまして割高になってまいるわけでございます。  なお、態容補正につきましては、おっしゃるような問題がございますので、全般的に計画的に再検討をすることとし、三年計画でこれを実施してまいっておりますが、これは十種地以下について、態容差をなくすという方向でいっております。昭和三十九年度で大体この作業が完成することになろうかと思うのであります。また、積雪寒冷補正でございますが、これは寒冷地手当等を中心に見ておるわけでございますが、お話の雪寒地帯におきますところの火災の場合におきましては、問題はむしろ私どもは消防費の問題として扱うよりか、道路費の問題で扱うべきではないか、道路の除雪費を中心に考えたほうがよくはないかという考え方を持っております。
  224. 松村清之

    ○松村政府委員 大体、財政局長と同じ見解でございますが、現在、補正の問題につきましては、消防のほうとして財政当局のほうへ意見を申し上げておるのでございます。特に、人口三、四万、その辺の市町村が補正によって非常に——非常にというとことはは適当でございませんが、割合が悪い、こういうような状況に考えられますので、その点につきましては、財政局のほうへ、今後画してもらうように交渉しておりますが、他の点におきましては財政局長と全く同じように考えております。
  225. 佐野憲治

    ○佐野委員 非常に時間がおそくなっておりますので、長官もお見えになっておりますから一言だけ。  消防庁長官に、そういう積雪地帯に火災が起こる、しかもそういう地帯は概して分散部落をたくさん持っておる。二十戸、三十尺こういうものは一つの児を見てまいりましても八百カ所になっておる。そういうところに火災が起こると、ほとんど手がつけられない。うっちゃっておくよりしようがない。しかも、雪寒道路法によってもそういうところは除雪の対象になっていません。そういう中おいて消防力を常備しなければならぬということに対して、やはり現在のような五〇%の充足率をもってしてはたいへんな問題が起こるのではないかという点を十分検討していただきたいのと、もう一つはやはり川村委員がいま御指摘になりましたように、交付税そのものが財政需要額に満たない貧弱なものである。これは現在における財政需要からくるのでしょうけれども、そういう中で補正問題が非常な不合理な面をいまあらゆる方面に露呈してきておる。ですから交付税による補正面に対しましても、根本的な検討をお願いいたしたいことと、もう一つは、そうした一般財源だけではなくて、たとえば単独事業によってまかなわれているものが、昭和三十七年度におきまして三千七百八十万円ある。それから損害保険会社における引き受けが十二億、五千万円。それから災害共済会関係におきまして八億九千万円、それから自治協会関係の引き受けが一億八千百七十万円だ。こういう数字を見てまいりますとき、町村消防に対する財源として、こういう点に対して一体もう少しここで考えなくちゃならないのじゃないか。町村の固有の事務として町村消防を現実的に維持をしていくために、いまとられている交付税による一般財源とこの特殊な補助金を別といたしましても、こういう一般単独起債がわずか三千七百万円、保険会社の引き受けが十二億円に達しておる。その他の共済関係の基金を流用しなくちゃならない。そういうことをしなければ消防を維持していくことができ得ない。こういうのはやはり一つの変則的な行き方ではないか。やはり川村委員がいま指摘されているように、消防施設税というもの、損保会社に対しまして、こういう程度の負担を持たせて、そして目的税として、固有の消防施設を維持していく、この方が税の公平から考えましても、理論的にもすっきり筋が通っておるのじゃないか。こういうことも考えられますので、これらの点に対して消防庁としてどのように一体考えておられるのか。それから、財政局長としても、こういう損保の引き受けによって十二億円、一般単独起債が三千七百万円という三十七年度の決算を見て、一体どういうことを内部で考えておられるか。やはり自治省におきましても、消防施設税というものを、あるいは地方制度調査会においても一応取り上げられておる、この問題をもっと具体化していく、こういう努力が必要じゃないかと思うのですが、これらに対する所見も伺っておきたいと思います。
  226. 松村清之

    ○松村政府委員 消防の経費の補正の問題につきましては、今後とも実情を調査し、関係者の意見を聞きました上で、財政当局のほうと話し合いを進めたいと思います。  起債につきましては、これも、いまお話しのように、私ども消防庁としましては、損保にたよるとかあるいは市町村関係の共済の金にたよるとか、こういうことでなくて、一般の起債のワクからさいてもらうように、これは毎年毎年財政当局のほうに交渉をいたしておるのでございますが、残念ながら所期の目的を達しておらないのでございます。  施設税の問題につきましては、ここ何年かの旧いろいろ議論がございまして、今日でもこれにつきましてはいろいろ問題もあるようでございます。これは税務当局の所管でございまして、私として別に意見を申し上げるまでに至りませんが、問題点として考慮していきたいと思いますけれども、この税につきましてはいろいろな問題があるようで、実現にはなかなかむずかしい問題があるように伺っております。
  227. 柴田護

    ○柴田政府委員 消防起債の問題につきましては、単独事業全般についてこの起債のワクが小さいのじゃないか、こういう問題に関連をするわけでございます。地方債計画の中の単独事業につきましては、実は御承知のように数年来地方債の公債費累増という事実が地方財政を非常に圧迫しているという事実がありまして、これを是正する意味におきまして一般会計の地方債の額というのを極度に押えてきたその経緯が今日まできておるのであります。私どもは、最近の変動する地方財政というものを考えます場合には、こういった単独事業をはじめとする一般会計の地方債というもののあり方につきましては、いささか反省をする必要があるのじゃなかろうかというように実は率直に申しまして考えておるわけでございます。ただ、実際問題として損保その他に地方債を引き受けていただいておりますのは、先般お話しのございました消防施設税というものとの一種のかね合い的な、代替的な意味もあって、消防関係の起債を優先的に損保関係で引き受ける、こういう措置をとっておるわけでございます。この措置がいいか悪いかという問題は、別途検討する余地がございましょうけれども、しかしながら損保、共済というものと消防というものとの関連から見まして、起債のワクをこういう方向で広げていくということにつきましては、別段おかしいことじゃないだろうと実は思うのでございます。  なお、消防施設税の問題につきましては、私どももそういう構想をとって実は考え方を進めてまいったときもあるわけでございますけれども、これは関係各省間におきましてなかなか話がまとまりません。今日までなお政府部内におきましては、ペンディングのまま残っておるわけでございます。考え方としましては一つ考え方でありまして、私どもといたしましては、なお今後ともその内容を検討いたしまして、何とかそういう方向の財源を考えたい、こういうつもりでおる次第でございます。
  228. 川村継義

    ○川村委員 警察庁長官お見えになっておりますから、一言お聞きしておきますが、とっぴなことを聞くようですけれども、警察法が昭和二十九年に制定されてから、警察法に規定する、第六章にございます緊急事態の発動は、なされたことはないと私は思うのですけれども、そうでございましょうか。
  229. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 手元に資料はございませんけれども、私の記憶におきましてもそういうことは一回もないと思います。
  230. 川村継義

    ○川村委員 仮定のことを申し上げてまことに恐縮ですが、もしも、この警察法の第六章にいう緊急事態の発動を行なわねばならぬというようなとんでもない事態が起こったとき、そういうことがあってはならぬと思いますけれども、そういう場合に、警察はこの消防団にいわゆる協力を求める考え方が起こってくるでしょうか。あるいはそういうことはこれから考えても許されないというような解釈が成り立つのでしょうか。この辺ひとつお聞かせいただきます。
  231. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 いままで一回も事例がございませんので、仮定のことになるわけでございますが、緊急事態の種類にもよろうかと考えます。絶対消防の応援を求めないたてまえだということも言い切れませんし、また、そういう場合は必ず消防の応援を決めるということも今日の場合は言い切れないと思います。
  232. 川村継義

    ○川村委員 そこで次の問題についてはっきりひとつ見解を示しておいていただきたいと思います。ここに、私をして言わしめれば、たいへん驚くべき一つ資料があるわけです。「協約第何号、消防組織法第二十四条第一項の精神に則り新潟県公安委員会と」これはおそらく○○市町村消防長とでも中に入るのでありましょう。空白になっておる。「新潟県公安委員会と○○は騒じょう災害等の緊急事態に際し消防が警察に援助協力することに関し別紙の協定を締結し誠実に履行するものとする。昭和三十九年○月○日、新潟県公安委員会」として、七項目にわたる援助協定要領を定めた援助協定が定められようとしております。これを、長官御存じでございましょうか。
  233. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 ただいまこれが問題になっておるということで、いま聞いたところでございます。
  234. 川村継義

    ○川村委員 消防庁長にお聞きしますけれども、「消防組織法第二十四条第一項の精神に則り」こういうように新潟県公安委員会がみずから解釈をくだして、いまの協定書を結ぼうとしております。消防組織法第二十四条の第一項は、もちろん消防と警察の協力をすべきであるということをうたっておるのは申し上げるまでもないことですが、消防が警察に協力し得る業務の範囲というものは、私はおのずから限界があると思います。それは消防組織法第一条、消防法第一条等のその目的からして、これは一つの限界がやはりあると思う。先ほど申し上げましたように、警察庁長官からは、具体的な事例によらなければ明確な回答ができないと、いうお話でありましたけれども、消防団、消防としては、私は、警察法にいうところの非常事態の発動等についても、その協力する限界があると思うのです。いま新潟県公安委員会がこういうような協定書を結ぼうとしておるが、騒擾事件、これもどういう内容か、それも大小ありましょうけれども、騒擾事件等で公安委員会がこのように消防団は誠実に協力せよというようなときに、消防団としては協力を締結すべきものかどうか、まず長官のお考えをひとつお聞きしたいと思います。
  235. 松村清之

    ○松村政府委員 消防組織法によりますれば、国民の生命、身体、財産を守るためには消防と答案とが相互に協力しなければならないという規定がございます。したがいまして、先ほどここでお話が出ましたが、主としては水害とか風害とか地震とか火災、こういう場合でございますが、しかしそれだけでなくて、そのほかにも、たとえばいまのような騒擾ということばが適当かどうか私存じませんが、非常に人為的な動乱というものがあって、国民の生命、身体、財産に危害が及ぶ、そういう段階にきた場合に、消防は国民の生命、身体、財産を守るために警察力だけではそれができないような場合に協力をする義務が二十四条によってある、こういうふうに解釈しておるわけでございます。
  236. 川村継義

    ○川村委員 たいへんな解釈であります。そのような拡張解釈が許されますか。これは大問題だと私は思う。二十四条の一項、二項においてさえも、地震、颱風、水火災等の非常事態の場合において」と書いてある。この消防組織法にいう「等の非常事態の場合」というのは、地震、台風、水火災、もっと広げて言うならば災害基本法でいうところのこういう自然災害、こういう事態に基づく非常災害だと解釈しなければならぬと思う。あなたのような解釈をするということになると、消防団の使命、任務というものを逸脱する。もっと言うならば自衛隊と同じような解釈になりはしませんか。長官、これはたいへんなことだと思いますよ。
  237. 松村清之

    ○松村政府委員 主としてはそういう自然災害の場合でございますが、しかし、具体的な場合に、国民の生命、身体、財産に危害が及ぶ、こういう場合におては、警察と消防とが協力する義務が二十四条によってある、こういうように、これは法律ができた当初から、そういう解釈でやってきておるわけでございます。
  238. 川村継義

    ○川村委員 大臣もひとつお聞きになっていただきたい。警察庁長官、いま消防庁のほうで非常に幅の広い解釈をなさったのですが、そこでもう一ぺん、私、援助協定の要領に基づいて、長官の見解をお聞きしたいと思います。  まず一番に疑問になるのは、新潟県公安委員会が、みずからの署名によって、消防組織法第二十四条一項の精神にのっとり、どこどこの消防長は騒擾、災害等の緊急事態に対し、消防が警察に援助協力することに関し別紙の協定を締結し、誠実に履行するものとするという協定でありますから、公安委員会と消防長の両方がまず対等の署名がなければならぬと思うのです。この協約の生まれてきておる真意がよくわかりません。それはそれとして、そこで協定要領の第一、「騒じょう暴動あるいはこれに準ずる集団的不法行為又は大規模の災害等が発生して警察がその鎮圧処理に従事し一般的警備が不足を生じた時は新潟県公安委員会は消防長に対して消防団の援助協力を請求することができる。」これが第一であります。そこで私たちがもしも自然災害、火災等で、いわゆる大規模な災害等で警察が警察行動において人手不足である等々の理由で、消防団が警察の職責遂行に向かって協力する、あるいは二十四条に言うように消防団の仕事に対して警察が協力をする、そういうことはあり得ると思うのです。ところが「騒じょう暴動あるいはこれに準ずる集団的不法行為」こういうものを明記をして、「消防団の援助協力を請求することができる。」となっておる。警察庁長官、これは警察庁として、こういうことの協力要請が可能でありましょうか。これは私は警察としても、おそらく警察の立場からしては、こういうことを消防団に協力を要請されるとは思わないのでございますけれども、御見解いかがでございましょうか。
  239. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 暴動だとか緊急事態だとかということをまっ先に出してきているということについては、いかがかと思いまするけれども、手元の資料によりますと、昭和二十四年の七月十五一に、当時警察は国警、自警と言っておりましたが、国家地方警察本部と消防との間に、やはりそういうことも協定の内容になるという意思を統一して自来今日までに及んでおりますが、現実には、協定は結んでおりまするけれども、これを発動したことはございません。
  240. 川村継義

    ○川村委員 私がお聞きしたいのは、いま援助協定の第一項に附記しておるような事項について、警察としてそういうような援助協力を消防団に、あるいは消防庁と申しましょうか、そういうものを請求することが一体できるかどうか。こういう根本的な考え方をお聞きしているわけです。なぜそういうことをお聞きするかと申しますと、くどくなるようでありますけれども消防組織法によって消防とはと明記してある。また消防法によって、こういう目的でこの法律は制定されるんだと書いてある。そういう法律に基づいて消防というものが存在し、消防活動をするわけです。消防というものは自衛隊みたいに、内乱が起こったりあるいはおそるべき騒擾事件が起こったときに出向いていくところのそういう使命というもの、あるいは法的根拠というものはこれは与えられていないと私は思います。これが与えられるとなったらたいへんであります。なぜ私がこういうことをお尋ねしておるかと申しますと、今度の消防組織法の一部改正で、いわゆる消防団員で長い間勤務したような人たちには退職報償金を出そうとしておる。これとも関係あるわけなんです。もしもこれに出動されるようなそういう消防団であったら、十年勤めて退職報償金何方というようなそういうものでは済まされませんよ。消防庁長官、それでよろしいですか。
  241. 松村清之

    ○松村政府委員 これはただその協定の内容というのが問題でございまして、消防が国民の生命、身体、財産を守るためにという場合の判断あるいは警察から応援を求められたときの出動の命令、そういうことは一切消防当局の判断に基づいて行動することになっておりまして、そういう趣旨をそれたような内容でございますと、これはもちろんその法律の範囲を脱落するものでございます。
  242. 川村継義

    ○川村委員 それでは長官、いま私が読みました「騒じょう暴動あるいはこれに準ずる集団的不法行為又は大規模の災害等が発生して警察がその鎮圧処理に従事し一般的警備が不足を生じた時は新潟県公安委員会は消防長に対して消防団の援助協力を請求することができる。」このことについてあなたはどう解釈されますか。
  243. 松村清之

    ○松村政府委員 その文言につきましてははなはだ適当でないと考えております。昭和二十四年の警察、消防町当局の話し合いでは、緊急事態というようなことばは使っておりますけれども、趣旨は自然的な災害あるいは人為的な災害にしても具体的に国民の生命、身体、財産が危機に瀕するという場合に、警察の力だけでは何ともいたしかねる、応援を求めなきゃならぬ、そういうようなときに限って応援を求めるというような意味の文章でありますれば、これは昭和二十四年の趣旨に沿うわけでございますが、いま読み上げられました文章というものははなはだ適当な表現ではない、こういうふうに考えます。
  244. 川村継義

    ○川村委員 そうなると、消防関係としてもやはりこういうような援助協定は行き過ぎである、そういうことでこれは拒否されねばならぬと思います。  そこで警察庁長官に重ねてお聞きしますが、いま消防庁長官はこの援助協定の第一項、私が読み上げたものについては、いまのような見解を述べられました。警察庁長官は、いまの第一項についてどういうお考えでございましょうか。
  245. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 昭和二十四年の協定と申しますか、意思統一におきましても、ことばは違いますけれども、緊急の事態云々の場合は「警察は、消防の援助及び協力を求めることができる。」 求めるところまでは、「請求」ということばと「求める」ということばは違いますけれども、同じなわけであります。ただ、問題は、そのあと、求めた場合にその請求に応じなければならぬというところが違っておるのでありまして、それに応ずるかいなかとうのは消防のほうの責任者の判断によるというのがいままでの私たち考え方でございますし、今度の場合におきましても、新潟県におきましていままでの考え方と不つり合いな拡張的なことがありますれば、私たち命令権はもちろんございませんけれども、連絡、調整という機能におきまして、こういうものをある程度訂正することにつきましてはやぶさかでございません。
  246. 川村継義

    ○川村委員 あと二項、三項、四項はいろいろそれらの出動の手続等書いておるのでありまして、ここで一々読み上げる必要はないと思いますが、いま私が申し上げました第一項だけを考えてみても、そういう明文になっておるし、しかも先ほど読みましたように本文において「消防が警察に援助協力することに関し別紙の協定を締結し誠実に履行するものとする。」こうなっておりますから、いま警察庁長官がお答えになったような、そういう意味合いではこれはなくなっている。そういうことになりますと、この新潟県公安委員会のいまつくろうとしておる援助協定は、これはよほど注意していかなければたいへんな問題になるだろうと思うのであります。  新しい大臣にお聞きいたしますけれども、いま警察庁長官及び消防庁長官のほうからお話がありましたが、あなたのほうから、国家公安委員長としてこの新潟県の公安委員会に対し、こういうものに取り扱いに対して善処、指導していただくような御意思がおありでございましょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  247. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 さっきもちょっと触れましたように、私も消防をやっておりまして、戦前も警察の指揮監督は受けなかったが、しかし消防を詳しく御承知なら竿頭綬というものを御存じだと思うのだが、一年間の状況を見て功績があれば、警察部長がどこどこの消防団を表彰するというので竿頭綬を、つまり消防団旗に一つのビラをもらうということがたいへんな名誉でした。そして、たいへん喜んだような時代があったわけです。しかし、いまでも同じだと思いますけれども、実は消防庁も警察庁も別々で私に直属しておるということを、私きのう就任いたしまして発見したわけでございますが、それが何か仲間割れしているような印象をいまの御質問で何かお感じ取りになったわけなんですね。しかし、言うまでも一なく消防と警察はそれぞれ任務が違うというのは当たりまえのことでございまして、ですからこの消防法にきめてあるものがいたずらに拡張解釈されて、自衛隊もどきに暴動鎮圧に消防団が出かけるというのも異なものですし、やはり警察官警察官としての職務は守るんだが、ただ実際現地でこうして消防に従事しておりましていま一番困っていることは、だんだん若い人たちが農村なんかにいなくなりまして、消防団員というものはやっと若い者を全部かり出してどうにかまかなっているというような実情です。それでも足りないでしょう。ところが、山の中で雪のために登山者が行くえ不明になった、さあ探さなければならぬということになると、まず消防の手をかりる。便利屋みたいに消防団というものが使われておるのが実情なんです。たとえば山の中に犯人が逃げ込んで、警察官では手に負えぬから遠巻きにしてみろというようなことをやるわけなんです。ですから、末端では、たとえばいまここで人がおぼれているという場合、そういうところへまず飛び込むのは、警察官は飛び込まなければならぬが、消防もただそこでのほほんと見ているわけにまいりませんから、お手伝いしましょうというのが、これは現地ではあたりまえのこととして受け取られておるということなんですね。  しかしいま新潟県の例をおっしゃいましたが、これはいま初めてここで聞いたんですよ。これは消防並びに警察の職務の上で何か混肴があるんじゃないか。私もそういうことがあるもんかな——いまお読みになったとおりてあるとするならば、私の立場としてははなはだ異なものと考えざるを得ません。ですが、私はこれを判断いたしまして、いま両長官とも行き過ぎであるということを申し述べておるわけでございまするから、なお、そういう事実がありとするならば、厳重に調査もいたしまして、そして本来の任務に立ち返るように措置をしなければならぬと考えております。
  248. 川村継義

    ○川村委員 大臣が前段におっしゃいました犯人の捜査に地元消防団員の諸君がみずからはっぴを着て、制服を着て協力をする、これは当然のことでございまして、別にとやかく言う必要はありません。これは当然やらなければならぬ。消防庁長官の言うように災害等の大きな問題が起こったときに、あるいはそのほか何か人命を守るときに警察と協力する、それはあると思う。しかしいま新潟県の公安委員会が制定しようとしておる第一項等の考え方というのは、これはいままでだんだんお話になっている事例とはずいぶん違う。そこに問題がある。私がなぜこういうことを申し上げているかというと、先ほどもちょっと申し上げましたように消防団、いわゆる消防署等に専任消防として働いている諸君もおります。しかし地方に参りますと、ほとんど義勇消防であります。義勇消防の諸君は、別に月給もらっているわけでない。またこれが地方公務員とかあるいは国家公務員とか、そういうような資格、身分を持っている諸君でもない。何か火災あるいは水害等があったときにいわゆる消防団として、その構成員として活躍をしてくれる諸君であります。もしもこの新潟県のような、こういう協力によって、言うならば義務づけられているということになりまして——あってはなりませんけれども、騒擾事件等に巻き込まれていったら一体その消防団員はどうなる。まさかの場合にその補償が一体あるかどうか、これはまた大きな問題になってまいります。災害補償基金というようなものがあったって、これは決して追っつくものじゃありません、現在の基準でいけば……。しかもこれはあとでまたよく調査していただきますけれども、四項として「消防団員の行うべき職務の範囲は官公衙、金融機関、鉄道、通信、電気、水道、がす等公共重要施設」の警備、巡ら、交通整理、こういうようなあらゆることを想定してやれ、ただしここには暴徒の鎮圧、逮捕は原則として行なわない——もちろん消防団が逮捕なんてできっこない、あたりまえです。「鎮圧逮捕は原則として行なわない。ただし現場において警察官から援助の請求があったときはこれに応じなければならない。」こういうことを明記してあります。私がいま申し上げておるのは、消防団員の諸君が、その本来の使命あるいは消防団員というその人の身分、そういうことを考えてこのことを言っているわけです。こういう点はよくひとつお考えいただきまして、ぜひ委員長のほう、自治省大臣のほうから至急に指導をしていただかなければ、たいへんなやまちをおかすのではないかと憂慮しますから、最後に私一言希望意見を述べてお願いしておきたいと思います。
  249. 森田重次郎

  250. 安井吉典

    安井委員 いまのこの問題でありますが、これは新潟県の公安委員会の発意によるものですか、警察庁がこういうふうな御指導をされているのか、あるいは消防庁が全国的にこういうふうな指導をされているのか、その点ちょっとはっきりさせておく必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  251. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 警察庁としての立場をお答えいたしますが、昭和二十四年の七月十五日に警察と消防とは二十四条の規定に基づいて、中央においてはこういう意思統一をしたということを流しただけで、そういうものをつくれというようなことはその後一切指導いたしておりません。
  252. 松村清之

    ○松村政府委員 消防庁も、二十四年の通達以外には何らいたしておりません。
  253. 安井吉典

    安井委員 二十四年七月十五日の通達を、ひとつあとで資料で御提出いただきたいと思います。  この問題はいま川村委員からお話があった、それでもう大体尽きていると思います。私どもこれをこの間入手いたしまして、部会の中でもいろいろ検討いたしまして、これはもうたいへんなことだ、こういうことになって、きょう政府の御意見を伺ったところが、これは間違いだからという御見解が発表されましたので、大体それ以上は今後の御指導の結果を見てからということにいたしたいと思うのですが、どうでしょう。いま全国的にこういったような協定が結ばれているのかいないのか、それをひとつ伺います。
  254. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 ここに数字はございませんけれども、全市町村には及んでいないようであります。たぶん半分くらいじゃなかろうか、こう思っております。
  255. 安井吉典

    安井委員 消防庁のほうはどうです。
  256. 松村清之

    ○松村政府委員 消防庁は、いまの新潟県の問題をつい最近聞きまして、新潟県庁の消防当事者が、これはぐあいが悪いからという返事を与えた、こういうことを聞いておりますけれども、そのほかには一切聞いておりません。
  257. 安井吉典

    安井委員 警察庁長官のいまのお話ですと、半分くらいは一応協定があるというふうなことでありますが、どうですか、こういう心配はありませんか。こういった内容を盛ったものはありませんか。
  258. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 半分であるか、半分以下であるか、その数字は先ほども申し上げたようにはっきりいたしませんが、二十四年に通達を出しておりまするので、これに準拠してつくったところはつくっておるものだと思います。一つ一つ一取り寄せて検討しておりませんので、何とも申し上げかねますが、ほとんど同じようなものができておると思います。  二十四年の通牒を御参考のためにちょっと初めのほうだけ読み上げますと「なお、本件は警察が消防にこれを強要するとか、消防を警察に従属せしめようとするが如き趣旨でないことは勿論、各地方において相互の完全なる理解の下に取り運ばるべきものであって、これが運営に当っては別添注意事項参照濫用の弊に陥らないよう慎重を期せられたい。」というのがその文言でございまするから、その精神にのっとった中身があるわけであります。
  259. 安井吉典

    安井委員 この協定などは、いま川村さんが言われましたけれども、たとえば騒擾の問題にいたしましても暴動その他の問題、それが暴動か騒擾かという認定にしても、これは全部警察がやるわけです。警察が申し出をすれば、一番初めの、前文にあります「誠実に履行するものとする。」ということで消防は必ずやらなければいけない。消防が警察に隷属という形がこういう中からもうはっきり出てくるわけです。だから私は、一番最初消防庁長官のいろいろなお答えが、どうも何か歯切れの悪いお答えであったのに心配をするわけです。やはり消防はき然たる態度を持ってもらわなくてはならないと私は思います。大臣が、国家公安委員長自治大臣として消防庁を統轄する立場ときのう初めておわかりになったという御発言が先ほどありましたが、これは私は非常に重大な問題だと思います。重大な問題だという意味は、昔内務省という役所の中で、それが一緒だったわけです。そういう中で、消防は警察に隷属されていた。そういう中から初めて自治体警察という姿をこの消防組織法がつくり上げたわけです。あくまで警察と消防とは別個の立場で別個の任務を負う。なるほどその任務の内容においては似ている面はあります。ありますけれども、そういうことで郷土防護という面を消防組織法の第一条ははっきり掲げているわけです。こういうふうな実態の中で、いまさら警察としての任務の中に入り込んでいくという姿は当然ないわけです。そういうふうな法体系の本木的なかまえを、やはりこの際はっきりしてもらわなければいけないということ。  それからもう一つは、消防団の仕事は、いわゆるかけつけ消防です。これは大臣先ほどから幾度も繰り返されているような立場で、働き手がみんな町へ行ってしまって団員になり手がない、そういう事態です。騒擾の中に巻き込まれて事故でも起こしたらたいへんなことですよ。これは財政的な基礎もない。今度やっと、いまここで審議している法律で、十年や十五年つとめたら幾らかごほうびを出そうじゃないか、そこまできている段階ですよ。それをこういうものの中に巻き込もうとするかまえにきわめて問題があると思うわけですよ。大臣就任早々のところに非常にいい問題が出てきたわけですが、この二つの区切りをはっきりさせていただかなければならないと思うわけです。いかがですか。
  260. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は実はここで議論を聞いておって全く錯覚じゃないかと思うのですが、昔から水火消防というものは、火事なんかの際は、これは現地に立って消防を指示するのには、警察の指図は受けなかったわけです。これは団長の責任においてあくまでやったものです。が、しかし扱いまする事の性質上、末端のほうでは警察とちょっと親類づきあいします。これはどこの消防でもそういうことだと思うんですよ。しかし職務権限というものは違います。ですから私さっきから言うことは、何か片っ方が片っ方を指揮するような協約を結んで、これをくくろうというようなことが書いてあるやに私は承ったわけなんですが、これはお互いにそういう親類関係でつき合わしておけばいいことであって、それを何か規約みたいなものでくくりつけておこうなどということは、私いま初めて聞いて、そんなことがあるだろうかと思ったくらいでございますから、よく調査いたしまして、こういう誤解が起こらないようにいたしたいと思っておりますから、しばらくお待ちを願います。
  261. 安井吉典

    安井委員 昔は警察の下にあったわけです。警察の監督を消防は受けていたわけです。その点大臣、昔から分かれていたと言われるかもしれませんが、実は昔はそうだったわけです。それを自治体消防という形で戦後独立した、こういう経緯があるわけですから、それだけにもとに戻る可能性が多いわけですね。そういう意味でひとつその区切りをはっきり御指導いたいと思うわけです。私は消防の問題については、ずいぶん問題を準備しているのですけれども、時間がだいぶ回ってしまいましたから、警察のほうはけっこうです。  それでは大蔵省の方もおいでですから、財政の問題をちょっと伺っておきたいと思うわけでありますが、消防の問題につきましては、補助金等合理化審議会のほうから補助金の打ち切りを、それから臨時行政調査会のほうからは、建築同意についてこれもいろいろ提起されて、両面からいま責め立てられているという印象を受けるわけですが、その補助金の合理化について、先ほどほかの委員から詳しくお証がありました。佐野委員からもお話があったのですが、一応その考え方は起債に重点を置いていけ、そういうことなんですね。
  262. 後藤正

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  補助金の答申には、「地方団体の事務のうち、各団体において普遍的に行なわれ地方交付税の財政需要計境による一般的な財源賦与になじむ事務に要する経費は、原則として地方税および地方交付税をもってまかなうこととすべきである。」このように述べております。補助金合理化審議会は、補助金が現状において件数が非常に多くなり、金額も非常に多くなっておりまして、いろいろな弊害が指摘されております。したがいまして、できるだけ国、都道府米、市町村の事務の区分を明確にいたしまして、それに伴う実施に要する経費は、それぞれの固有財源でまかなうことを原則とすべきである、このような考え方を述べております。したがいまして、現在のこの消防補助金につきましても、単に整理しろということばかりではございませんで、その答申の最後のほうに、「補助金制度の整理合理化に伴うその他の措置」というところには、いろいろ前に書いてございますが、「現行の補助金を整理合理化した結果、地方団体が必要事業を実施するための負担額が増加して、地方団体の一般財源をもってしては著しく不足することのないよう、地方税、地方交付税についても再検討する必要がある。」このように述べてございます。
  263. 安井吉典

    安井委員 それじゃ起債の問題について。補助金の問題については、先ほど来繰り返しておりますので、私申し上げません。いまの日本全体の消防の姿を見て、ほんとうに知っている人なら、口が腐ったって補助金を打ち切れということは言えないと思うのです。知らないから甘えるのです。ただその起債の問題について、その資金源で政府資金は一体どれだけ出ているのです。あれでいいですか。
  264. 後藤正

    ○後藤説明員 起債は地方債計画で一般単独事業としまして、たしか九十五億円ですか、これだけ計上してございますが、内容的には私ちょっと所管外でございますので、詳細は申し上げかねます。
  265. 安井吉典

    安井委員 それじゃ財政局長、消防の起債に対して、政府資金は一体どれだけ出ているわけですか。
  266. 柴田護

    ○柴田政府委員 一般単独事業の中でございますので、一々区分けをした計算を持っておりませんけれども、そうたいした額じゃない。この消防の起債そのものが単独事業の中のごく一部、そのほとんどは先ほど来申し上げておりますような損保による縁故引き受けのような形をとっておりますので、一般単独の中ではごく少しの額になっておる。したがって、その中の政府資金ですから、非常に少ない額だと考えます。
  267. 安井吉典

    安井委員 三十七年度でも総額二十三億五千九百万ですか、そのうちの三千七百万ですね、政府資金が。これはうそじゃないでしょうね。
  268. 柴田護

    ○柴田政府委員 真実だと思います。
  269. 安井吉典

    安井委員 消防の財源をこういうふうな姿に置いておきながら、政府の金を出してはいけないとかなんとか、そういう発想そのものに私は問題があると思うわけですよ。全体的に起債のワクが少ない。しかも補助金を切れ。そういいながら、それじゃ金でも貸しておるかと思ったら、三千七百万円しか貸してない。全部損保会社から金を出さしたり、市有物件債から出させたり、ただそういうものだけでやらせておるわけです。そういうふうな財政基礎にあるということ自体に、私は根本的な問題があると思うのです。起債の中に、政府資金を消防については出していない。そういう事態を踏まえながら補助金も切れ、こういうことですか、大蔵省のお考えは。
  270. 後藤正

    ○後藤説明員 私どもといたしましては、やはりこの答申の趣旨にのっとりまして、先ほど来、交付税の問題でございますが、御案内のとおり交付税におきましては、いろいろな行政項目に従いまして、基準財政需要額を積み上げてございますが、その際、その費用から特定財源だとか国庫支出金を差し引いた残りから基準財政収入を引きまして、一般財源不足額といたします。したがいまして、一応この補助金が切られました暁におきましては、それだけ特定財源が減りますから、基準財政需要額というものは、一応機械的にふくらむという計算になります。そういうふうな措置をした後におきまして、現在の交付税の財源で措置できない、一般財源不足額と著しく違いますといったような場合におきましては、交付税上におきまして、国と地方の事務の負担区分を変えるとか、あるいは現在の二八・九%を変えるとか、そういうことをしろということが明定されております。そういう方向で措置する考えでございます。
  271. 安井吉典

    安井委員 そういうのは私はばかげた考えだと思うのです。とにかく国が何かの形でたくさん金でも出していれば別ですけれども、補助金といってもたった七億円ですよ。それを目のかたきにする。しかも三千七百万円しか起債が、一般会計では国が出していないわけですよ。そういうような事態に立ってやられておる。しかもいまの大蔵省のお考え方は、ことし七億円でも来年はこれを減らす、再来年また減らす、最後になくする。こういう漸減方法考えているという話も聞くのですが、ほんとうですか。
  272. 後藤正

    ○後藤説明員 そういう方向で検討いたしております。
  273. 安井吉典

    安井委員 それでは私は話にならないと思うのですよ。しかもこれが交付税の中で見るといっても、交付税の総ワクを二八・九%、どうですか少し増しませんか。そういうお考えありませんか。
  274. 後藤正

    ○後藤説明員 非常に大きな問題でございますので、私から答弁するのはどうかと思いますが、一応現在では地方財政計画の策定とか、あるいは交付税制度を通じまして、国の施策なり中央の一般的な施策に伴います財源が手当されておるかどうかということが、一応検討されております。それで現在二八・九%ということで——国税三税の伸びが最近非常に良好でございまして、現状においては二八・九で一応まかなえるというふうに考えております。
  275. 安井吉典

    安井委員 それは総額は伸びますよ。それはそれだけ国だって仕事がふえているし、市町村だって行政水準の全体的な向上のための費用が要るわけですよ。要るために伸びるわけです。しかし国が一たん別なほうから出しているものを減らすのですから、その分だけはやはり交付税をふやしてやるということなら、まだ話が通らないわけじゃありません。どうでしょう、大臣。いまの問答の中から、あなたがお引き受けになりました消防の仕事というのは、実にみじめな財政状態の中に置かれておるという事態はおわかりになっておると思うのでありますが、こういうふうな事態を直さない限りは、私どもは消防の前進なんかあり得ないと考えます。きょうのこの法案で、十年以上つとめた人に幾らか退職金を増してあげようというような、そういう法案の問題よりも、根本問題は私はそこにあると思う。やはりこれは大臣最初にぶつかりましたこの法案の御審議の機会に、重大な御決意を持ってお当たりにならなければ、これはたいへんなことになると思います。いまだって十分でないのですよ。それをいまの大蔵省のようなお考え方なら、これは来年はたいへんですよ。特に消防の基礎は財源問題ですから、大臣の御決意のほどをひとつ伺っておきたいと思います。
  276. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方の消防の実情は、私もよく承知しておるわけなんでして、実際困っておりますね。おっしゃるとおりです。私どものところでも同じことです。しかし、ただいまちょっと話がありましたが、この施設整備のために、目的税的なものを別に創設したらとおっしゃったような気もいたしましたけれども、そう新税を創設する時期でも、またすべきでもないと私は考える。結局どうすればいいかということは、地方団体に国のほうでもう少し手厚くめんどうを見るよりほかに方法がないのじゃないか。しかし私も今度は責任ある衝に立つことになりましたので、事態はよくわかっておりまするので、善処をいたしたいと考えます。
  277. 安井吉典

    安井委員 少し決意の表明が弱過ぎるような気がするのでありますが、いま御就任早々だからということでございますので、さらに申しませんけれども、これはやはり重大な御決意を持って当たっていただかなければならない問題だということをはっきり申し上げておきます。  なお大臣に、これからの消防に対する御指導の際に、ぜひ御配慮を願いたいと私考えますのは、この火災の実態と消防の現況についての統計なんか見ていて、最近火事のために死ぬ人が非常にふえているという問題です。昭和三十七年で八百六十一人、これは昭和二十一年の二倍以上にのぼっております。三十八年では若干二十七人くらい下がっておるようですが、それでも八百三十四人、負傷者はその十倍くらいにのぼっているようです。最近の新聞の切り抜き、私のところに少しありますけれども、これを見ても、たとえば川崎の火事で幼い兄弟四人が焼け死んでいる。手を握り合って死んでいたそうです。それからまた秋田の雪深い山奥の農家でも、四人兄弟が逃げおくれて死んでいるという記事があるし、それから武蔵野で八十八才のお年寄りが、これもなくなっておる。南千住でも、中風のおばあさんと、それからちょうど遊びにきていた中学生が、これも二月の二十三日になくなっております。こういうふうな焼死事件が相次いでいるというふうな事態に立って、やはり消防の進め方についても、人間の命くらいとうといものはないわけですから、建物がみんな焼けたって、私は命を助けてもらうことが正しい方向だと思うのです。しかし、これは結論から言えば、逃げてもらうよりほかないわけです。そういうような点で、問題は非常に深刻だと思うのです。しかしながら、予防の指導という問題についても、やはり十分に気をつけなければいけないし、それから消火作業そのものの中でも、やはりまず人間の命を大切にするんだ、そういうふうな強い御指導がなくてはならないと私は思うわけです。いかがですか。
  278. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いま安井委員がおあげになりました例は、ほとんど大部分農村や山の奥などでございましたが、私は、こういう周囲に空地のある、ゆとりのあるところでは、火災のために焼死した人は少ないのじゃないか。私はそういうことはまだ研究しておりませんけれども一つは、やはり都会地で非常に逃げにくいような個所に急に起こって、しかも最近は油類を多く消費しますために、火の回りが早いというのをよく新聞などで見るわけでございますが、いずれにいたしましても、こういうふうな建築、また火災の際の、戦時中の防火訓練みたいなわけには参りませんけれども、やはり平素の指導というものは、消防関係の職にある者といたしましては、十分配意しなければならぬところでございますので、将来とも意を弔いまして、こういう事故が極力なくなるように努力をいたしたいと考えます。
  279. 安井吉典

    安井委員 あと一、二点で終わりたいと思うのですが、その一つは、消防組織法の第十八条の二の第二号ですね。「市町村相互間における消防職員の人事交流のあっせんに関する事項」が都道府県の仕事の中に入れられたのは、これは去年の改正でしたか。これについての御指導はどういうふうになっておりますか。またその成果はどういうふうにあがっておりますか。
  280. 松村清之

    ○松村政府委員 これは昨年改正があったばかりでございまして、市町村から職員の交流のあっせんを申し出て、それに基づいて都道府県がやる。都道府県のほうから積極的にやるということは、この際出発段階においては、いろいろ問題を惹起するようでございますから、まず手始めに、市町村のほうからの希望に基づいて都道府県があっせんするんだという態勢で、この改正後やってきております。そのために、あまり成果はあがっておらないようでございますが、これはだんだん日がたつにつれまして、法律を改正した趣旨に合うような効果が出てくるものと考えております。
  281. 安井吉典

    安井委員 妙な成果があがっているようなことも聞くわけです。といいますのは、これができてから、今度は結局、知事が市町村の消防の中に、人事の中にタッチできるわけですよ。タッチできると言ったらおかしいですけれども、やろうと思えばできるわけです。そういう形で知事——これは市町村の消防は選挙にも役に立つというふうな場面もないではありません。そういうふうな例があるわけです。自分関係の者を市町村の消防長だとか、そういうような立場にどんどん派遣をして地固めをしている、こういうような情勢も聞くわけでありますが、そういう点はいかがですか。
  282. 松村清之

    ○松村政府委員 これはあくまでもあっせんでございますから、そう知事の思うようにはいかないわけでございます。そしてまた、ただいま申しましたように、この法律改正によって都道府県のほうから積極的にそういうことをやりますことはいろいろ紛議を起こしますので、市町村からの申し出によってそれをやるように、こういう指導方針でただいまやっておるのでございます。
  283. 安井吉典

    安井委員 指導の方針はそうかもしれませんが、やはり都道府県の消防課等は、市町村にとってみれば補助金の起債なんかの窓口になるわけですから、やはりこわい存在なわけですよ。そういうわけで、うちのほうのだれそれは定年でやめるんだからおまえのほうに引き受けてくれないか、こういうような形で問題が処理されている例がだいぶあるようです。ですから、これはあくまでいま長官がおっしゃったようなことが、この法律の条文が置かれたほんとうの意味だと思うのですが、それがそうでないような運用があるようですから、その点はぜひ十分御注意おきを願いたいと思います。  あとまだたくさんありますけれども、最後に一つ、報償の問題ですが、水防団のほうは勤続の計算基礎に入りますかどうか。
  284. 松村清之

    ○松村政府委員 これは水防団としての勤務は入らないわけでございます。実はこの法案を作成する過程におきまして、水防団につきましてもこういう制度を設けようかという論も出たわけでございますが、水防団自体としては、いま考えております十五年にまだ相当間があるわけでございます。そこで水防団の問題は、まず消防団から出発して、その後の状況を見て次に考えよう、こういうふうに政府部内で意思を統一したのでございます。
  285. 安井吉典

    安井委員 しかし、それは実際は水防と消防を一緒にやっている場合が多いでしょう。そういうようなことも考慮に入れてやはり考えなくてはならないのではないかと思いますが、いかがですか。
  286. 松村清之

    ○松村政府委員 消防団が水防をやっておりますのは、当然消防団の勤務年限として通算するわけでございます。したがいまして、水防専門にやっておる者だけがはずれる、こういうことでございます。
  287. 安井吉典

    安井委員 あと、消防教育の問題やら、特に高層ビルの火災の問題、これは松屋の事件等があるものですから、そういうような問題だとか、それから一般の報酬全体の問題についていろいろ私も政府のお考えをただしたい問題がたくさんあるし、この法律案そのものについても運用の問題でまだまだ問題があるように思うのですが、まだあと門司さんの質問もあるようですから、私の質問は一応これで終わっておきます。
  288. 森田重次郎

    森田委員長 門司亮君。
  289. 門司亮

    ○門司委員 大臣お急ぎのようですから、大臣に先にお伺いしておきます。  先ほど私の聞き違いかもしれませんが、とにかく速記録を調べてみなければわかりませんが、佐野君の質問に対して、消防施設税を設けるべきではないというような印象を受け取ったのですが、ほんとうですか。自治省として考えたことがありますか。起案したことがありますか。
  290. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私が申したことで、何か誤解なさっているようですけれども、さっき消防施設税の話があった。私はこの経過というものを詳しくは承知しておらないのですが、私は多年消防ということに対して、これほど必要性が高くて、しかもみなその充実の一日も早からんことを願っておるわけですから、まず消防の責任を負う地方団体のほうへ政府のほうでもっとあたたかい手を差し伸べるべきである、それがこの施設のための目的税をつくるより優先するのだという考え方でいたわけなんですが、いままで消防施設税というものについて当委員会でいろいろな検討が行なわれているということにつきましては、私はつまびらかにしないわけです。しかし、いま財政局長の話を聞きますと、これにつきましては大蔵省との間にまだ話が十分つかぬということであります。しかし、この消防の施設を一日も早く整備しなければならぬということは当然のことでございますので、あわせて検討をいたしてみたいと考えます。
  291. 門司亮

    ○門司委員 私はただ無定見にそういうことを、言うわけではございません。いまここにあります私の資料を見てみますと、これは、損保協会が各市町村に寄付をした消防自動車の数が書いてあります。三十六年度で三十四都市に損保協会から寄付をしているのですよ。民間の営利会社からですよ。これはここ数年の計算をすると、私はもっと大きくなると思います。ことしの正月に出た損保協会の報告書を読んでみますと、そう書いてある。ことほどさように、消防については資金は窮迫しているのです。同時に消防に対して、特に損保協会が起債といいますか、借金に応じてくれておる額は非常に少ないのであります。これは消防庁の意見から申し上げますと、消防庁が要求いたしました約三分の一くらいの金満にはなりはしないかと私は思うのですけれども、累積されて約三十六億の金が、政府が起債を考えておらないほかに、こういう協会から出てきておるのでございます。今日の消防というのは、こういうほんとうに情けない状態の中で行なわれておる。損保協会が少なくともこれだけの寄付をするということは、一体どこに理由があるかということであります。火災保険のできた当初は、御存じだと思いますが、火災保険自身が消防隊を持っておったわけです。それは自分の費用で火を消せば、それだけ火災保険がもうかるのだ。それを今日自治体がその責任を全部背負っておる。自治体の施設と自治体の住民の税金によってまかなわれておる消防施設の充実が、即こういう営利会社の利益になっておる。そうであるならば、これはドイツのような目的税ということは適当ではないかもしれないが、税金をとることがよろしいのではないか。損保協会自身がこれをやっておる。二百万円でありますから三十四台で六千八百万円になりますか、こういうものが今日の消防の実想なのです。私どもはこういうことを、お情けでしょうがないからおれのほうで寄付してやるのだというような態度でおいでおいでいいかどうかということです。それよりもむしろ国は、私が申し上げましたような観点に立って課税する方法が望ましいのではないか、こういう角度から申し上げておるのでありますから、ひとつこの点は誤解のないようにしていただきたい。こういう事実があるのです。これは大臣にはこれ以上聞きません。  大蔵省に聞いておきたいのだが、大蔵省はこの失態を知っておりますか。こういう地方財政のあり方というものを大蔵省は知っていますか。少なくとも一億に近い金が、こういう損保協会から寄付をされておる。
  292. 後藤正

    ○後藤説明員 台数等については、承知しておりませんでした。
  293. 門司亮

    ○門司委員 台数等は知らぬと言われるが、ここには、どこに寄付をしたという、町の名前がちゃんと書いてある。私は台数を知っているかと言うのではない。こういう実態を御存じかと言うのです。台数を聞いたってしょうがない。あなたが台数を知らなくたって、だれかがわかっておるのです。
  294. 後藤正

    ○後藤説明員 損保協会のほうから、特に消防施設の貧弱なところとか、あるいは非常に消火作業に積極的に、取り組んでいるところ等につきまして、若干そういう寄付があるということは聞いております。
  295. 門司亮

    ○門司委員 いま大臣からもお話のあった消防施設税について創設のできないというのは大蔵省でしょう。大蔵省が反対していることは間違いがない。あなたは御存じないかもしれないけれども、いままでの経過がそうなんです。大蔵省の何局ですか、それが強い反対をしていることはわれわれも知っておる。こういう実があるということを大蔵省はひとつ考えておいてもらいたい。何のために今日私の会社がこういう一億に近いような金を寄付するのかということです。これはやはり自治体の恩恵を受けているから、良心的に私はそういうことになっているかとも考える。しかし、こういう状態は好ましい状態ではございません。この点はひとつ大蔵省も、私はこれは大臣にでも来てもらってよく知ってもらったほうがいいと思うのだが、係の方にこういうことを言ったって、あまり真意は通じないと思うのです。あなたがそのまま向こうに言ってくれればいいけれども、おそらくそのまま言えないだろうと思います。通じないと思いますから、これ以上申し上げません。  もう一つ聞いておきたいことは、消防庁のほうでは一々この実態の報告を受けられているのか、あるいは相談があってこうなっているのか、あるいは損保協会がかってにこういうところにばらまいて歩いているのか、その点どうなんです。
  296. 川合武

    ○川合政府委員 損保協会の寄贈につきましては、私ども連絡を受けておりますが、その配分につきましては損保協会だけでやっております。私のほうはあずかっておりません。
  297. 門司亮

    ○門司委員 そうだといたしますと、結局これは損保協会の一方的の好意に基づくものである、こういうふうに解釈する以外にございませんね。同時に、ここにずっと市が書いてありますが、この市自身が損保協会にお願いをしたのか、全く損保協会の好意によって、ありがたくちょうだいするという形になっているのか、その辺はどうなんですか。
  298. 川合武

    ○川合政府委員 たとえば九州、東北というような単位で委員会がございまして、その委員会に各市町村から申請といいますか希望を申し出て、その委員会の審査を経て、中央でまた委員会があってその配分をきめておる、かように承知しております。
  299. 門司亮

    ○門司委員 その委員会というのは損保協会の機関ですね。別に消防庁は関係いたしておりませんね。
  300. 川合武

    ○川合政府委員 そのとおりでございます。
  301. 門司亮

    ○門司委員 そうなってまいりますと、私どもはこの消防自体に対して、財政上の問題でもう少し検討する余地があるのではないかと考えるのです。消防が非常に大事なものであることはわかっておる。大蔵省の諸君が何と言っても、個人の財産であると同時に国の財産であることは間違いがないのであって、国の損失であることに間違いがない。そうだとするならば、やはり国の損失をいかにして防ぐかということを大蔵省も少し考えてもらいたいと思うのです。消防なんというものはどうにもしようがないのだからというようなことでは済まされないと思う。私どもは、先ほどから同僚各位からいろいろ申し上げられております財源の問題は、こういうところにあると思う。こういうことで、かろうじて今日の消防の維持ができておるということ、これは実に情けない考え方だと思う。  私は大蔵省に最後にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、こういう実態のもとに行なわれるものであるから、大蔵省自身の考え方に対して、さっき申し上げましたように、あなたに聞くわけにはいかぬかと思いますが、少なくともこの種の問題に対する係官の考え方として、せめて起債の問題に対する取り組み方を一体どうされるかということ。この点もさっき申し上げましたように三十六億と三十七年度の報告書に書いてあるのですから。三十六億という金をこういうところから借りておる。しかし、これは私はいいことではないと思います。金があるところから地方の自治体が借りることは悪いとは申しませんが、この実態だけはやはり知っておいてもらいたい。したがって、起債その他の問題についても、先ほどからお話のありますように、きわめてわずかな起債であり、わずかの問題のように聞こえまするが、この点についてあなた御自身のお考えだけをちょっとお伺いしておきたいと思います。これでよろしいとお考えになっているか、不十分だとお考えになっているか、それだけでけっこうです。
  302. 後藤正

    ○後藤説明員 決して十分とは考えておりません。
  303. 門司亮

    ○門司委員 こういう問題でありますので、ひとつ自治省も消防庁のほうももう少し考えてもらったらどうかと思うのです。同時にポンプが三十四台、ここに書いてあるからいま市の名前を言ってもよろしゅうございますよ。こういうところにみんなきておる。その実態は消防庁のあずかり知らざることだというようなことで、一体消防庁としてつとまりますか。こういう小さな町ではポンプ一つ買うのはたいへんですよ。北海道の稚内、富士、上田、留萌、長浜、津山、八代というようなことが書いてある。小さいところでは、根室、岡谷、諏訪、鹿児島県の川内、水俣、いずれも小さな市です。十万以下の市だと思うんです。こういうところはポンプ一台買うか買わないかということは、総予算の額からいけば非常に大きな問題だと思うのです。したがって、もう少し消防庁もこれらに気を使ってもらいたいと思うのです。そうしてこういうことのないようにしてもらいたいということと、もう一つここで聞いておきたいと思うことは、各消防団にありまする。ポンプの購入に対して、一体当該市役所がどの程度のめんどうを見ているかということであります。これは、常設消防のあるところに消防団はあります。東京にもたくさんあると思います。大都市にもたくさんある。それらの消防団のポンプの購入というものは、大部分が地元負担で行なわれておると私は解釈しております。こういう点について、自治省はどうお考えになりますか。
  304. 松村清之

    ○松村政府委員 前段のお活につきましては、消防というものが損保協会の金に依存して起債をしたり、あるいは消防自動車の寄贈を受けたり、こういうようなやりくりをして消防力を充実しているという姿はまことに残念な姿で、これは筋の通った道から金を出していくべき問題だと私は痛感しております。その点ははなはだ遺憾に思いまして、微力ではございますけれども、だんだんそういうことのないようにやってまいりたいと思います。  それから後段のお話につきましては、具体的な資料は持ち合わせませんけれども、消防団も市町村の機関でございますから、消防団の必要としまする消防施設も市町村の金でまかなう、あるいは補助金をもらって市町村の金でまかなう、これが筋でございますけれども、おそらく実情はお話のように地元の負担等でまかなっておるのが相当あるのではないかと推測いたしております。
  305. 門司亮

    ○門司委員 時間もだいぶおそいですから、あまり、長くやると人権じゅうりんでおこられるかもしれませんから、この辺でやめますが、最後に、この法案に関係したことでちょっと聞いておきたいと思います。  法案の内容にはっきり示されておりませんが、今回のいわゆる退職金といいますか、これは階級的に差があるのですか。それとも全部一律に同じようにお考えになっているか。いわゆる役職によって違うということですか。わかるなら、その内容をこの際はっきりしておいてもらいたいと思います。
  306. 松村清之

    ○松村政府委員 これは階級と勤務年限との両方によって三万から七万という段階を設けておるのでございます。申し上げますと、これはむろん法律が制定された後に政令で措置することになりますが、階級を団長、副団長、分団長それから一般の団員と四つに分けまして、そうして勤務年限を十五年から二十年、二十年から二十五年、それから二十五年以上、こういうことで、一般の団員が十一五年勤めて三万、団長が二十五年以上勤めて七万、いまこういうような考え方でおります。
  307. 門司亮

    ○門司委員 いま頭としっぽだけ言われたのですが、頭としっぽだけでは内容がわからないのです。頭としっぽはわかりますよ。一番多い人と少ない人はわかりますが、まん中はどうなっておるのですか。
  308. 松村清之

    ○松村政府委員 それでは詳しく申し上げますと、まず勤務年限が十五年から二十年の間つとめた人につきましては、団長が五万、刑団長が四万、それから分団長、これには分団長に準ずる部長、班長というのも含まれますが三万五千、一般の団員が三万、その次に二十年から二十五年までつとめた人、これは団長が六万、副団長が五万、分団長が四万五千、団員が四万、それから二十五年以上つとめた人は、団長が七万、副団長が六万、分団長が五万五千、団員が五万、こういうような考え方でおります。
  309. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、法律によりますとこの財源は何か共済制度でやれ、こういうことになっておるようですが、これの数字は交付税の対象になりますか。
  310. 松村清之

    ○松村政府委員 これは今度の法律内容になっておるわけでございますが、この退職報償制度の的確な実施をはかりますために、中央の基金に各市町村が一定の金額を納入しまして、そして現実に対象者が出た場合に基金から市町村へ交付し、それを各該当者に交付するということで、この経費につきましては現在交付税としては十二億円計上されることになっております。
  311. 門司亮

    ○門司委員 問題はそこなんですがね。十二億を限るということが、交付税法のたてまえからよろしいですか。これは基本的な数の中には入ってもよろしいかと思うのですが、十二億限りで切るということはどうかと思うのです。まあこれは概算でしょうが……。  そうすると、同時にこの問題は、やはりその市町村の負担になるわけですね。共済基金の中から出るんじゃないんですね。市町村の負担なんですね。どっちなんですか。
  312. 松村清之

    ○松村政府委員 掛け金の財源を地方交付税で見まして、それを基金へ掛ける、そしてまた基金から市町村へ戻す、そうして長年にわたって全国的に平準化しよう、こういう考え方でございます。
  313. 門司亮

    ○門司委員 どうもその点がちょっとはっきりしないようですが、それでいいのですか。交付税をそういう形でまず差っ引いておいて、こっちへ入れておいてというようなことが、交付税法のたてまえからできるのですか。これはどうなんですか。財政局長はそれでいいというのですか。そんなものができるとたいへんなものが将来できやしないかと思うのだが……。
  314. 柴田護

    ○柴田政府委員 結局いま消防庁長官からお話がございましたが、市町村が団員それぞれについて掛け金を払うわけでございます。その市町村の払います掛け金を大体平均的な数値で計算をして、そしてそれを消防団員の、標準団体における人口に置き直して計算すれば大体十二億程度になる。したがって、おっしゃるように十二億を限度にしておるわけでございませんで、概算でございます。
  315. 門司亮

    ○門司委員 むろんこれは概算だと思うが……。  そうすると、もう一つ聞いておきたいのだが、交付税だということになると、不交付団体の分はどうなるのです。それもやはり交付税の中に入れるのですか。私の聞いておるのは交付税のたてまえですよ。交付税というもののたてまえが交付団体と不交付団体と分けていますね。この数字は皆同じでしょう。そうすると、この分については不交付団体にも交付税をやる、こういうことに解釈しておいてよろしゅうございますか。
  316. 柴田護

    ○柴田政府委員 先生御承知のように、基準財政需要額の中に算入する、こういうことであります。
  317. 門司亮

    ○門司委員 その辺が一向わからぬのだが……。基準財政需要額の中に算入するのだろうとは思いますが、平たく言えば、どんなに算定に入れても、不交付団体は不交付団体なんですよ。ところがこれだけは基準に入れたから、その分だけは不交付団体にやる、総体的には不交付団体であっても、この分だけは共済基金に積んであげる、こういうことですか。
  318. 柴田護

    ○柴田政府委員 不交付団体につきましては、これを入れても不交付団体であるわけですから、交付税は行きませんけれども、一般財源から出す、こういうことになります。
  319. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、こう解釈してよろしゅうございますね。交付を受けている団体は、交付金で掛け金をやってもらえる。交付を受けていない団体は、自分の費用で掛け金をかけなければならない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  320. 柴田護

    ○柴田政府委員 交付団体でも、交付税にひもがついているわけではございませんので、税金と交付税と合わせたもので払うわけでございます。したがって不交付団体につきましてはおっしゃるとおりでございます。
  321. 門司亮

    ○門司委員 どうもその辺が一向はっきりしないのです。はっきりしないと同時に、ここまで議論してくると、交付税の性格論から議論するようになります。もう少し何とかていさいよくできなかったですか、法律のたてまえ上。交付金でこれをまかなうというのではなくして、消防は不交付団体も交付団体も苦しんでいることは同じだと思いますからね。そうだとすれば、全体に補助金を出すなり、あるいはほかからめんどうを見るなりすることができると思います。これを交付税に依存するというところに、実際は問題がありはしないか。私はやはりこれは、もし国の施設でこういうことをされるのなら、この分は全額国が見る。国庫補助なら国庫補助をするというたてまえなら話がわかるのです。ところが交付税で見られるということになると、ちょっとやっかいで、かりに交付団体には、普通の場合には行かないのだということになると、ここでは幾らか削られておるということになる。数字はごくわずかだうと思うけれども、交付団体の分がそれだけ減ることになるので、交付税で見るということについて、私はこれに賛成していいかどうかというところに議論が出てくると思うのです。内容についてはかなり疑問がありますよ。これはもう少しはっきりしておいてください。
  322. 柴田護

    ○柴田政府委員 いろいろ考え方があろうかと思いますが、消防団員に対する退職報償金でございますので、いわば自治体消防の職員に対する報償金だ、こういう考え方から地方団体がその財源の中で支弁するのだ、こういうたてまえをとってまいったと思うわけでございます。したがってその場合には、交付税を計算いたします場合に、こういうものに要する金を必要財政需要と考えて、基準財政需要額の中に算入する、こういう措置をとっておるわけでございます。お話のように、国家がきめるのだから、これに対して国が別途金を出すかどうかといった問題で御議論があるかと思いますけれども、私どもは自治体消防というたてまえに立ってこういう措置をとってまいったわけでございます。
  323. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、これは算定の基礎の数字に、これをあげるということになると、大体団員一人についてどのくらいの数字を見ておられますか。
  324. 柴田護

    ○柴田政府委員 いまのを概算いたしますと、標準団体で大体九百円見当でございます。
  325. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ念を押しておきますが、その九百円というのは年額ですか。一人について九百円の予算があれば、この法律の金額はまかなえる、こういうふうに解釈してよろしゅうごいざますか。
  326. 柴田護

    ○柴田政府委員 さようでございます。
  327. 門司亮

    ○門司委員 それではきょうはこれで終わります。
  328. 森田重次郎

    ○森田委員 他に質疑はありませんか。——なければ、本案についての質疑はこれにて終了いたしました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。   午後八時三十五分散会