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1964-03-17 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十七日(火曜日)     午後一時十六分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       伊東 隆治君    大石 八治君       奥野 誠亮君    亀岡 高夫君       久保田円次君    壽原 正一君       武市 恭信君    登坂重次郎君       三池  信君    湊  徹郎君       村山 達雄君    森下 元晴君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    阪上安太郎君       千葉 七郎君    野原  覺君       華山 親義君    細谷 治嘉君       栗山 礼行君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 早川  崇君  出席政府委員         自治事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤  弘君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         自治事務官         (税務局長)  細郷 道一君  委員外出席者         自治事務官         (行政局振興課         長)      森   清君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         自治事務官         (税務局府県税         課長)    佐々木喜久治君         自治事務官         (税務局市町村         税課長)    森岡  敞君         自治事務官         (税務局固定資         産税課長)   石川 一郎君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月十七日  委員伊東隆治君、大石八治君、大西正男君、篠  田弘作君及び重盛寿治辞任につき、その補欠  として三池信君、福田赳夫君、湊徹郎君、壽原  正一君及び野原覺君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員壽原正一君、福田赳夫君、湊徹郎君及び野  原覺辞任につき、その補欠として篠田弘作君、  大石八治君、大西正男君及び重盛寿治君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 三月十六日  行政書士法改正に関する請願奥野誠亮君紹  介)(第一二五二号)  バー業種法的独立規制並びに営業時間延長に  関する請願福永健司紹介)(第一二八二  号)  昭和三十九年度地方税減税に伴う地方交付税  の増額に関する請願井出一太郎紹介)(第  一二九二号)  市町村民税の不均衡是正に関する請願井出一  太郎紹介)(第一二九三号)  県立高等学校施設建設事業財源措置に関する  請願井出一太郎紹介)(第一二九四号)  同定資産評価替え反対等に関する請願阪上安  太郎紹介)(第一三一七号)  同(栗原俊夫紹介)(第一五一六号)  公給領収証使用義務制廃止に関する請願(愛知  揆一君紹介)(第一三七八号)  同(江崎真澄紹介)(第一三七九号)  同(唐澤俊樹紹介)(第一三八〇号)  同(小泉純也君紹介)(筋一三八一号)  同(正示啓次郎紹介)(第一三八二号)  同(田中彰治紹介)(第一三八三号)  同(丹羽兵助紹介)(第一三八四号)  同(山手滿男紹介)(第一三八五号)  同(和爾俊二郎紹介)(第一三八六号)  同(中村寅太紹介)(第一四八七号)  固定資産評価制度改定に関する請願外二件(  足鹿覺紹介)(第一四二四号)  大衆飲食に対する料理飲食等消費税軽減に関す  る請願川俣清音紹介)(第一四二五号)  同(小林進紹介)(第一四二六号)  同外一件(島上善五郎紹介)(第一四二七  号)  固定資産税引き上げ反対等に関する請願(松本  七郎紹介)(第一五一七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四八号)  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇九号)  市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の  特別措置に関する法律案内閣提出第一一〇  号)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  奄美群居復興特別措置法の一部を改正する法律案議題とし審査を進めます。  質疑はありませんか。——なければ、本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  3. 森田重次郎

    森田委員長 この際、委員長手元奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案に対し、川村継義君、安井吉典君及び佐野憲治君から修正案提出されております。
  4. 森田重次郎

    森田委員長 提出者から趣旨説明を聴取いたします。川村継義君。
  5. 川村継義

    川村委員 ただいまお手元に配付いたしました奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案に対する日本社会党提案にかかる修正案につきまして、私から提案理由を御説明申し上げます。案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただきます。  御承知のように、本案は、奄美群島特殊性にかんがみまして、復興十カ年計画に引き続き、新たに振興五カ年計画を策定して、復興計画を補完するとともに、主要産業振興を中心とする事業の推進をはかることを目的として提出されたものでありますが、今日まで当委員会で慎重かつ熱心に審査を重ねてまいりました結果、本改正案中、奄美群島振興信用基金融資業務に要する資金に充てるため、国は予算で定める金額範囲内で出資することができる旨の改正規定につきましては、これを削除して、現行法規定を存置する必要があるものと認めた次第であります。  すなわち、本改正案によりますと、基金融資業務に要する資金として国の出資額を増加するときは、今後は当然に資本金が増加することとなるように一般的規定を設けております。  つまり、これまでは立法事項として奄美群島復興信用基金への出資額についてはもとより、われわれが多大の関心を寄せております奄美群島復興事業実態、その進捗状況等につきましても当委員会において不十分ながら論議を行なうことができたのでありますけれども、今後は、本改正案によりまして、国会における審議の場ははなはだしく狭められ、ほとんどシャット・アウトされたも同様の結果となるわけであります。この点につきまして早川自治大臣は、法律上は公営企業金融公庫等、他のこの種法案同一歩調をとり、政府統一的見解としてかかる措置をとったと申されるのでありますが、そもそも奄美群島振興信用基金への出資の事例と、他のこの種法案とを同一に、そして機械的に取り扱うこと自体に根本的な誤りがあるのではないかと考えまして、きわめて遺憾な事態であると断ぜざるを得ないのであります。  すなわち本改正案審議段階でも明らかになっておりますように、奄美群島復興につきましては、今回は復興計画振興計画と改めてはおりますけれども、今日なおきわめて多くの問題点を蔵しているのでありまして、この点は政府当局も十分認めているところであり、かつ本改正案で示されている奄美群島振興五カ年計画もいまようやく緒につこうとする段階であり、計画そのものが現在のところ未確定であります。奄美群島が今後はたして本改正案により所期の目的どおり着々と振興していくかいなか、それはわが国経済の将来とも関連いたしまして、全く未知数といわざるを得ません。加えてこの融資業務資金は、公営企業金融公庫等資金とは異なり、奄美群島の個々の住民対象とするものでありまして、その性質を異にしておりますばかりでなく、奄美群島振興にも直接つながる重大な要素を持つものであります。しかるがゆえに私どもは、このような重要な事項は当然法律上明らかにすべきであり、立法手続を経ることによって、今後とも従来どおり奄美群島振興の諸問題につきまして、着実にその実態を把握し、その振興の動向を見きわめたいと存ずるのであります。  以上がこの修正案趣旨及びその概要であります。何とぞ皆さま方の御賛成をお願いいたします。  私はこの際、ただいまの修正案皆さま方の御賛同をいただけるものとは存じますけれども、この修正案が否決にもしもなるということになりますと、たいへん残念ながら、心ならずもわれわれは反対を表明せざるを符なくなるわけでありますから、この修正案提案に敷衍して私たち立場をいま一応申し上げておきたいと存ずるのでございます。  私たちは、この法案の本質的なもの、あるいはその内容そのもの反対しているのではございませんで、政府のほうから提案されましたこの法案が、いま修正案に申し上げましたとおりに、国会審議の軽視に、そういう態度に抗議して反対せざるを得なくなるわけであります。この点明らかにいたしまして、以下、二、三の所見を申し上げておきたいと存じます。  公庫基金に対する出資額法律事項から除く政府考え方は、私たちに覆わせますと、国会審議を逃避しようとたくらんでいるのではないかということが感知されるのであります。すなわち第一に看過できない問題は次のことであります。予算事項であるから何も審議権を剥奪しているのではない、予算委員会十分審議が尽くされるのではないか、あるいは当該委員会審議することができるのではないか、こういうような議論も成り立つかもしれません。しかしその予算範囲内でということは、当初予算で、あるいは補正予算で、必要に応じて必要な出資額を計上することができるという、そういう幻想を持ってはいけないと私たちは考えるものであります。今日のこの奄美復興基金出資にいたしましても、わずかに五千万円の増額を当初予算に組んでおる、公営企業公庫出資もわずかに一億を見ているだけでありまして、政府が当初予算においてさえもこのような少額の出資しか考えないような状態において、予算範囲内でというようなことで思うように補正予算等増額ができると幻想することは誤りであると思うわけであります。したがってわれわれは、われわれが期待するところの出資額政府増額させるためにも、そのつど十分なる審議をして、その必要性を認めさせていくことが大事ではないか、そういう意味で国会審議の場に乗せるということを大前提としなければならない、こう強く考えるものであります。委員会審議の場があるではないかという議論も成り立つかもしれませんけれども、予算委員会でこの出資に基づいて、あるいは奄美振興計画それ自体について微に入り細に入り審議するということは、おそらく時間的にも物理的にも不可能であります。この地方行政委員会立場を考えても、もしもさきの地方公営企業金融公庫が、予算範囲内でということでありまして出てまいりませんならば、この審議の場に乗せられるということがなかったならば、今日重大化しておるところの地方公営企業そのものに対しての各委員皆さま方の十分なる御審議は、おそらくできなかったと思います。奄美群島振興の問題にいたしましても同様なことでありまして、これがこのまま通過いたしますならば、五カ年間は、いうならばそのままであります。もちろん委員会で取り上げることは、それは不可能ではありませんけれども、委員会提案されるところの法律案そのものに追いまくられて、次から次に審議を進めておりますから、奄美群島振興の問題をあらゆる角度から取り上げて審議するという機会はなかなか得られないのであります。そういう点からいたしましても、特にこの奄美群島振興重大性に考えてまいりますと、やはり法律事項としておいて、そうして、審議の場に乗せて、あらゆる角度から審議をしていくということは当然でありまして、そうすることが、そのような手続を経ることが、私は政府の責任でもあろうと思うのであります。そういう点から考えてまいりますと、ぜがひでもひとつこのわれわれの修正案を、全員一致をもって御採択くださることを心から念願いたしております。そのことが奄美振興根本的態度であり、また必要な最大の措置である、このように痛感するものであります。  どうぞひとつ皆さん方の御賛成をお願いすると同時に、われわれの所見を申し上げておきたいと存ずるのであります。
  6. 森田重次郎

    森田委員長 以上で修正案趣旨説明は終わりました。     —————————————
  7. 森田重次郎

    森田委員長 これより奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論申し出もありませんので直ちに採決いたします。  まず、川村継義君外二名提出修正案について採決いたします。本修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 森田重次郎

    森田委員長 起立少数。よって、川村継義君外二名提出修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。原案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  9. 森田重次郎

    森田委員長 起立多数。よって奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。ただいま議決されました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に記載〕      ————◇—————
  11. 森田重次郎

    森田委員長 次に、地方税法等の一部を改正する法律案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の両案を一括議題とし、審査を進めます。  この際、地方税法等の一部を改正する法律案等審査小委員長から、小委員会経過について報告いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。地方税法等の一部を改正する法律案等審査小委員長永田亮一君。
  12. 永田亮一

    永田委員 ただいま報告を求められました地方税法等の一部を改正する法律案等審査小委員会における審査経過及び結果について御報告申し上げます。  本小委員会は、地方税法等の一部を改正する法律案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案につきまして、その住民負担及び地方財政に及ぼす影響の重大なることにかんがみ、去る三月五日設置され、小委員十名が選任せられたのでありますが、三月七日第一回の小委員会を開き、その後十六日まで六回にわたって開会し、委員各位の御精進により、熱心に審査を進めてまいったのであります。  審査は主として懇談的に進めましたが、まず、政府当局より改正案について説明を聴取した後、税目別政府当局質疑を行なうとともに、地方税制運営現状住民負担実態税制調査会論議の要旨、改正案の経緯及びこの改正案を施行した場合における影響など、広範多岐にわたる論議を行なったのであります。  審査におけるおもな論点を申し上げます。  第一に、住民税について申し上げます。まず、市町村民税所得割制度改正については、改正による減収見込み額減税補てん債の額、地方交付税等自然増収住民税減税補てんとの関係及び納税義務者減少状況等について、資料に基づき説明を聴取するとともに、おもに次のような論議が行なわれたのであります。  その一は、市町村民税所得割改正についてであります。従来政府当局は、本文方式への統一標準税率設定については、市町村民税負担分任性税収入弾力性の喪失などからきわめて困難な面を有し、重大問題を惹起するので消極的であるという考え方のようであったが、今回の改正はどのような考え方に基づくものであるのか。著しい超過課税団体について、標準税率の一・五倍をこえて課税することができないこととした理由は何であるか。制限税率設定に伴い、従来税源が乏しいため、行政水準の向上という見地から著しい超過課税を取らざるを得ない市町村についてはいかなる財政措置を講ずるのか。標準税率設定に伴い、低所得者に対して課税所得段階区分を細分することができないことになるが、法定される課税所得段階区分及び税率については、現行準拠税率そのままとしないで再検討すべきではないかとの意見がありました。  その二は、減収補てんについてであります。減収補てんについては毎年度二〇%ずつ逓減する方式をとるが、この補てん債の逓減に応じ、補てんされない額については地方交付税基準財政需要額にいかに反映させる方針であるか。減収補てんのための財源措置を三十八年度の不交付団体適用しないのはいかなる理由に基づくのか。今回の地方交付税法基準税率改正に伴い、交付、不交付団体に移動を生ずることとなるが、三十九年度に不交付団体となるものに対する救済策をどうするか。減税に伴う減収を生ずる市町村において均等割引き上げるおそれはないか。今回の減税本文方式採用市町村については、その恩恵はないではないか。また障害者等に対する非課税範囲拡大に関連して、本文方式における税額控除額等についても引き上げるべきではないかという意見がありました。  その三は、今回の改正に関連する問題についてであります。  道府県民税税率は、旧に復して累進税率を採用したほうがよいのではないか。法人税割について改正を行なわなかった理由は何か。法人の規模によって均等割に差を設ける必要はないか。給与所得者負担が過重である現状にかんがみ、給与所得者優遇措置について検討すべきではないか。所得割課税標準は、前年の所得について算定しているが、現年所得について算定できないかという意見がありました。  さらに、市町村民税所得割課税方式に関連して、国民健康保険税所得割りについては、ただし書き方式を原則とし、本文方式によることも認めるという現行方式を存続する改正が行なわれているが、国民健康保険税ではただし書き方式をとり、市町村民税では本文方式をとることとなる市町村では、課税台帳を二本立てとすることとなり、事務が繁雑になるのではないか、国民健康保険税については、その税負担及び国保財政現状にかんがみ、早急に改善合理化をはかるべきではないかという意見がありました。  第二に、事業税について申し上げます。  個人事業税事業主控除について、性格をどのように考えるべきであるのか。引き上げに伴う人員の減少はどのくらいか。二万円引き上げ理由及びその根拠は何であるか。市町村民税所得割課税最低限度引き上げ根拠一つにするのは税理論上おかしいのではないかという意見があり、いずれにしても、この程度の事業主控除引き上げ、あるいは軽減税率適用範囲拡大は、中小企業者に対する税負担軽減をはかるという趣旨に沿わないのではないかという意見がありました。  第三に、不動産取得税について申し上げます。  本税の価格は、固定資産の新評価基準によって算定されることになるが、何らかの負担調整措置を講ずる必要があるのではないかという意見があり、また、新評価に基づく不動産取得税は、投機的意図を持つ土地に対する牽制、ひいては地価騰貴抑制の一策とも考えられるが、政府はどのように考えるかという質疑もありました。  第四に、料理飲食等消費税について申し上げます。  今回の外人客に対する非課税措置について、改正の動機の一つに、わが国ホテル代割り高であるということがあるのか、立案の過程から推察すれば、国際親善的行事であるオリンピック開催に際し、特に一時的な特例を設けようというものであり、期間を限定すべきではないか。キャバレー、料亭等における遊興を伴う飲食の場合、事実上遊興分飲食分とを区別することがむずかしく、徴税技術上その捕捉が困難であるとともに、遊興行為についても非課税とするにひとしい結果となるおそれが生ずるのではないか。また飲食行為以外の行為についてきびしく課税するとなると、かえって外人客に対し、その分別に疑惑の念を与えるのみならず、外人客を優遇し、好印象を与えるという法改正趣旨に相反する結果となるのではないか。いずれにしてもオリンピック機会来日ずる外人客について特典を認めるとすれば、その期間対象となる行為及び場所を明確にすべきであるという強い意見がありました。  このほか料理飲食等消費税税率は、現行金額区分場所区分改正すべきではないかという意見もありました。  第五に、軽油引取税について申し上げます。  税率引き上げ小売価格に転嫁された場合において、公共料金抑制道路整備による受益とがどのような相関関係にあるか。税率引き上げは必然的に自動車運賃にはね返り、ひいては物価値上がりの一因をなすものではないか。また政府物価値上げ抑制のための措置、特に公営企業料金抑制措置に対して逆行することとならないかという意見がありました。  第六に、固定資産税について申し上げます。  まず、その一は、新固定資産評価基準についてでありますが、固定資産評価の目標となる適正な特価とは何か。法律事項でない評価基準改正により、課税標準が一挙に数倍となることは、租税法定主義のたてまえから不適当ではないか。農地については、農業経営実態にかんがみ、収益還元方式による評価を基礎とすべきではないか。市町村間、府県間の境界地域について評価均衡がとれているか、農地にかかる限界収益補正率につき、純収益額の算定に当たり自家労賃農家利潤地域間及び一毛作、二毛作の差をどのように考えているか。限界収益補正率を五五%とすると、全国大多数の一町歩以内の農家に不利な結果とならないか。また農家における未利用の畜舎及び耕作放棄農地等遊休施設について減価措置を講じているか等をただしたのであります。  その二は、次の基準年度までの判定措置についてであります。  農地については昭和三十八年度税額を据え置き、農地以外の土地については、昭和三十八年度税額の二割増しを限度とした理由は何か。採草地については、農業構造改善事業を推進する見地から、農地同一に取り扱うべきではないか。宅地等については結果として増税となり、評価改定に伴い増税を行なわないとする趣旨に反しないか。またこれらの土地についてはその評価増状況が区々であり、これを一律に二割増を限度とすると、評価増の倍率が大きいものと少ないものとの間で均衡を失し、税負担の公平の見地から不適当ではないか。評価改定に伴い相続税等税率の引き下げを行ならべきではないかとの意見がありました。  その三は、次の基準年度における税負担の問題であります。  次の基準年度においてはいかたる課税方法をとるのか。今回と同じように暫定措置を講ずるのか。税率引き上げないし課税標準特例等恒久的調整措置を講ずるのか。この場合固定資産税性格について財産課税と見るのか、収益課税と見るのか。評価統一資産間、地域間、用途別における担税力の差をどう考えるか。特に農地については特例を設けるべきではないか。いずれにせよ、今回の評価改定に伴い、新評価額が四月一日から縦覧に供せられることになるが、この三年間の暫定措置期間は一応よいとしても、その後は現行地方税法上新評価額をもって直ちに課税できることになっており、国民は非常に不安の念を抱いているので、政府はこれら国民の不安を一掃するため、早急に固定資産税課税の明確な方針を示すべきだとする意見が、圧倒的でありました。  その四は、課税標準特例についてであります。  住宅建設促進のための固定資産税軽減については、一般新築住宅中高層耐火新築住宅の間に、その適用に一年の差がある根拠は何か。また中高層耐火新築住宅について、三、四階建てと五階建て以上の間に軽減措置適用期間に差を設けた理由は何か。このような軽減措置により現在でも大量の中高層建築、たとえば公団住宅等が新設されたとき、その所在市町村は、収入を上回って増加する財政需要に苦慮しているが、その対策を講ずべきであるとの意見がありました。  このほか大規模償却資産についての道府県課税は廃止すべきではないか。かりに廃止しないとしても市町村行政との関連から、大規模償却資産の種類により区別すべきではないかとの意見がありました。  なお、固定資産税と関連し、都市計画税においては現在土地家屋のみを課税対象としているが、受益の状況を考え、この際償却資産もその対象に含めるべきであるとする意見もありました。  第七に、電気ガス税について申し上げます。  電気ガス税は伸長性及び普遍性を備える税として、市町村の有力な独立税源であるにかかわらず、三十七年度より毎年度税率は一%ずつ引き下げられており、市町村に不安の感を与えているが、本税の地方税収に占める地位の重要性や地方財政現状にかんがみ、税率の引き下げはもはや限界に達しているのではないか。政府は本税のあるべき姿をどのように考えているのか。最近の生活水準の向上等電気、ガス使用の実態から見て、免税点をさらに引き上げるべきではないか。また本税は電気又はガスの消費を通じて使用者に担税力を見出し、これに着目して課する消費税であるとされているが、その根拠はどこにあるのか。家計支出のらち電気ガス代の増加割合と、所得の増加に伴う消費支出の増加割合とは、どのような関係にあるのかという意見があり、また産業用電気ガスに対する課税について、産業用及び家庭用の電気使用量の割合、非課税措置による減収額等についてただした後、重要基幹産業あるいは新規重要産業について、恒久的または期限つきの非課税措置を講じているが、産業間に税負担の不均衡が生じているのではないか。非課税品目について極力整理合理化すべきではないか。産業用及び家庭用に対する非課税額を対比してみた場合、あまりにも大企業を優遇し過ぎているのではないかという意見がありました。このほか都市ガスとの均衡上、プロパンガスについての課税をいかように考えているか。揮発油税、軽油引取税との均衡から、自動車で使用するプロパンガスについては課税すべきではないかといろ意見もありました。  以上のほかにも、各税目にわたって有意義な論議がかわされたのでありますが、時間の関係もありますので、以上にとどめます。  これらの論議に対して政府当局は、政府原案趣旨とするところを、税制調査会の答申等をも援用して説明し、今日の場合住民負担均衡地方財政現状に照らし、もとより十分とは言えないけれども、この程度の改正にとどめざるを得ない実情等につき詳細なる説明を行なったのであります。  本小委員会としましては、両案につきまして結論づけることは適当でないということに意見の一致を見ましたが、(一)市町民税の減収補てん債の逓減に応じ、補てんされない額については、地方交付税基準財政需要額にいかに反映させるか。(二)三年後における固定資産税税負担の調整はどのような方針で行なうのか。(三)電気ガス税について基本的にどのような方針をもって臨むのかの問題、その他小委員会審議における重要な問題につきましては、なお本委員会において政府の所信をただすこととして小委員会審査を終了したのであります。  以上、御報告申し上げます。
  13. 森田重次郎

    森田委員長 以上で小委員長からの報告は終わりました。     —————————————
  14. 森田重次郎

    森田委員長 次に、両案について質疑の通告がありますので、順次これを許します。奥野誠亮君。
  15. 奥野誠亮

    奥野委員 一点だけ自治大臣にお尋ねいたしておきたいと思います。  今回の税制改正にあたり、外航船舶に対してはその固定資産税を課さないこととする反面、特別とん税の税率引き上げられております。この措置は、現下の海運界の状況にもかんがみ、関係市町村減収を補てんしながら、わが国外航船舶の国際競争力を強化するためにとられたものであると理解しております。したがって、固定資産税の免除は五年間とされておりますけれども、五年を経過した暁においても、現在の状況と異なる特別の事情を生じません限りは、さらに引き続いて外航船舶に対する固定資産税免除の措置が講ぜられるものと理解したいのでありますが、そのように了解してよろしいものでありましょうか、お伺いいたします。
  16. 早川崇

    早川国務大臣 奥野委員お認めのとおりの趣旨でありますので、今回の措置をとった趣旨及び経緯を尊重して善処いたしたいと考えております。
  17. 森田重次郎

  18. 川村継義

    川村委員 大臣に三点ばかりお尋ねをしておきたいと思います。またあとで事務当局に二、三お尋ねをいたします。  昨日、参考人の方々においでいただきまして、いろいろと御意見を拝聴し、お尋ねすべきことはお尋ねをいたしたのでありますが、まず第一に、率直に大臣のお考えをお聞きしておきたいと思いますことは、ただいま小委員長の小委員会における審議経過の御報告がありまして、その御報告の中にも、いろいろと質疑がなされておるようであります。すなわち第一には料理飲食税の問題でございます。これは外人の観光客あるいは近く開かれるオリンピックに来訪する諸君に対する優遇の措置だと言われておるのでありまして、いうならば外人の観光客に対して唯一の指貫という目的で、二年前に廃止されましたこの税金が今度から復活するということになるわけであります。大臣は、この税の復活は、はたして言われるように外人の観光を盛んにする、日本の外貨を獲得する上に大きな役割を果たす、そういうお考えで提案なさっておられるのかどうか、御意見をまずお聞かせいただきたいと思います。
  19. 早川崇

    早川国務大臣 オリンピックという世紀の祭典でもございますので、これを機会に外人に対する飲食税の非課税ということを考えたのでありますが、同時に観光政策上、料飲税というものが諸外国ではおおむねございません。そういった観光政策上の考慮も入れまして改正を御提案しておる次第であります。これによって具体的にどれだけ外貨を大幅に獲得するかどうかという問題は、なかなかむずかしい問題でございますが、ただ向こうの外人客は、ほとんど自分の個人的なインカムで宿泊費も飲食代も払いますので、レシートにおいてよそにないようなことが計上されて、多額な飲食代あるいは宿泊料をとられるということは、気分としてもよくないということは私は想像できるわけであります。そういう面から、観光政策上有益な効果は与える、かように存ずる次第であります。
  20. 川村継義

    川村委員 大臣、二年前にこれが廃止されました理由は御存じのところだと思う。税制調査会の答申にも御存じのとおり、外人に対する料理飲食等消費税非課税措置を復活すべしとの論もあるが、同税の性格非課税措置を廃止したいきさつにかんがみ、その復活は適当でないと考えると明らかに答申している。その理由を考えると、二年前これが廃止されたその真因をお考えになるならば、自治省の大臣としてはこれは提案すべきではなかった、こう私は思うのであります。いま大臣のお話の中に外人観光客等のことがありましたけれども、これは私が申し上げるまでもなく、かりにそこに何%かの宿泊あるいは飲食についての税金が織り込まれたとしても、私はそのことによって外人はさすがに日本は料金が安いとかいうようなことは考えないと思う。むしろ外人の観光を盛んにするということになれば、ほかにこれはいろいろの対策があるはずです。その対策を進めることこそが大臣がいまおっしゃった趣旨に沿うものではないか。これは税関の問題もありましょう。道路の問題もありましょう。べたべたと張りつけた広告等の問題もありましょう。あるいは東京都内のよごれた清掃関係の処置をりっぱにするということもありましょう。そういうことを考えるのが先決であって、税金に重きを置いて外人を誘致するという考え方は私はどうかと思う。大臣、いまお話がございましたけれども、私たちが知っている一つの例を申しますと、アメリカから約五十名の観光団が入ってきた、日本滞在大体二十五日、その間、初めはその募集をした観光旅行団のガイドが立てたところのスケジュールによって日本観光旅行をいたします。その場合には、予約されたところのホテルにとまります。ところが多くこういう観光団は、あとの一週間か十日くらいは自由行動をとります。その自由行動をとるのに、大体の人たち——は大きな金を持っている諸君は別です。大体そういう団体の観光団は、東京都内でも二流かそこそこの日本旅館に宿泊をしております。なぜかと聞いてみると、日本のホテルは高いという。こういうのが多くわれわれが耳にするところの彼らの意見であります。そこで二流程度の日本旅館にとまっておるのであります。そこで、この税金の問題よりも、そういう点を考えると、日本のホテル代、宿泊代そのものがやはり高過ぎる、こういう問題もあると思う。そうなると、宿泊代を引き下げるということが第一でなければならぬ、私はそういう見方をしております。もちろんこの飲食の税金が撤廃されたあと、いろいろの徴税に混乱が生ずるであろうこともわかりますけれども、その点には本日は触れることはいたしませんが、私たちはそういう考え方を持っております。大臣、その点について、この税金が廃止されるときのいきさつ、税調の答申の趣旨、現実問題として、外国の観光客等に対する対策、そういう点を考えると、この飲食税の復活はやってはならないと思うのでございますけれども、いま一度御意見を聞いておきたいと思います。
  21. 早川崇

    早川国務大臣 いまの川村委員の言われましたように、ホテルや宿泊費が高過ぎるから、一〇%に及ぶ宿泊の料飲税も当分略止しよう、こういうのが趣旨でありまして、もちろんこれだけでは安くはなりません。金利が商い、あるいはその他の税金が高いというような、多方面にわたる対策を必要といたしまするが、われわれが政府として提案いたしました趣旨は、そういう点にあるわけでありまして、自治体の税収という面からいうと好ましくはございませんが、多角的な観点から、政府としてはこういった際に、オリンピック機会に外人の料飲税も廃止するというほうが、国際的なムードの面、あるいは観光対策上有利と考えましたので、御提案申しておるわけであります。
  22. 川村継義

    川村委員 おことばではございますけれども、どうもいま大臣のお話だけではやはり納得できないものが残ります。宿泊代の中に税金が含まっておる、それを引き下げなければならぬ。私が申し上げておるのは、その税金部分を取っても、いまの日本の宿泊代というのは決して業者は下げない、私はそう見ておる。決して下がらない。大体もともとこういうものの廃止運動があったのは、これは外人客の登録旅館から問題が起こっておるのであります。言うならば、そういうところの諸君が、税金が含まっておると結局ぐあいが悪い、そういうことが外人客等を宿泊させる場合に支障になる、ただそういうような考え方だけで、この廃止運動を続けてきておったと私は思うのです。それならば、同じ日本人に対しても、一挙にこういう税金というものは廃止すべきではないか、そこまでひとつ踏み切るべきではないか。日本人には宿泊代についてもあるいは料理飲食等の税金を取っておりながら、外人だけにこれを廃止していこうという考え方は、これはどうも納得のいかないものがあります。もう日本は、外人に対して治外法権的なそういう考え方やそういう施策をするべきときではないと思います。  それで、私は実際問題として、いろいろ幾つかの心配のあるケースが考えられるわけでありますから、先ほど申し上げないところでございましたけれども、この際ひとつ大臣としてはどういう手を打たれるか、聞いておきたいと思います。いまここにおおよそ十人ほどの者が、外国から来たところの外人と一緒に料理家に飲みに行った、こういたします。しかもその支払いは外人がするという。そうならば、パスポートを持っておればその外人の支払いに対しては、かりに一人当たり三千円以上の料理であっても、これは免税になるわけであります。そういうようなことは、外人の名をとって、日本人がやれるというような事態が起こってくるのじゃないか、これは一つの例でありますけれども、幾つかのそういうケースが考えられる。そうなりますと、この徴税というものは大混乱を来たす、そういうことを心配するわけであります。いま私が申し上げましたような実際例について、スムーズに正しくいける御自信をお持ちかどうか、大臣のお考えをひとつ承りたいと思うのです。
  23. 早川崇

    早川国務大臣 私は日本国民及び外人を信頼する立場に立っておるわけであります。したがって、そういうまことに恥ずかしいやり方で、わずか一〇%の料飲税を脱税することは、もう戦後十九年もたっておる現在、そう多くないと思います。しかしながら、そういう不心得の外人もあるでしょう。あるいは不心得な国民もありましょう。したがって、税務当局といたしましては、できるだけそういうことが起こらないように、飲食店業者あるいはまた国民にその趣旨を周知させまして、税法が適正に行なわれるように指導してまいりたいと思っております。
  24. 川村継義

    川村委員 大臣の決意のほどはわかりますけれども、現在でもその料理飲食等の税金がどういう状態であるかということは、これは大臣、あるいはよく御存じないかもしれませんから、そういうおことばが出るのじゃないかと思いますけれども、今日でもこれはずいぶん乱れておると考えなければなりません。そういう点から考えると、私が申し上げたような事態がやはり次から次に起こってくるのじゃないかということを申し上げねばならないと思います。大臣がそういうお考えで、筋が通らない、やめるべきであるというような考え方で、二年前に非常に論議の末に廃止になったこの税金を、再び復活なさろうというお考えについては、どうも大臣自身にも、おことばではありますけれども、ある点矛盾を感じておられるのではないかと思うわけでありますが、これ以上この点について申し上げないことにいたします。  第二にお聞きいたしたいことは、数字の点については後刻事務当局にお尋ねいたしますけれども、軽油引取税について二〇%の増徴であります。これはもちろん道路財源となさるわけでありますけれども、政府はいま大きく物価抑制の方策を打ち出しておるわけです。この二〇%の軽油引取税の増徴は、物価の騰貴等には全然関係がない、そういう影響を与えない、こういう御自信で引き上げをなさったのでございますかどうか、この点まずお聞きをしたいと思います。
  25. 早川崇

    早川国務大臣 まことに痛いところをつかれましたが、理屈からいえば〇・八%程度運賃にはね返るわけであります。しかし、同時にこれは完全なガソリン税と違いまして、目的税でございますから、それが道路補修、そういった面に使われることにより、タイヤのいたみ、回転率の上昇というようなものを考えました場合に、それによるプラスがどうあるかということは数字上なかなかむずかしい問題であります。したがって、厳密にはいまのままの道路、いまのままの回転率ということでは〇・八%、道路がよくなるからそれに〇・二%かあるいは〇・三%か、運賃のはね返りに逆な作用をするかもわかりませんが、この程度であれば経済企画庁あたりのいっている物価値上がりに対して、大きい影響がないから、まあまあということで、この程度の値上げに踏み切りたわけであります。
  26. 川村継義

    川村委員 おことばではございますけれども、われわれは実は心配をしておるわけです。  そこでちょっとここで税務局長にお尋ねしますけれども、たとえばバス事業等の業界、業者と申しますか、そういう仕事をしておる諸君が、今度のこの引き上げによって利益の損失率というのはどれくらいになるでしょうか。
  27. 細郷道一

    細郷政府委員 会社によっていろいろ違う点もあろうかと思いますが、三十七年度の運輸省の調べておりますバス会社の景況を見ますと、売り上げ利益率が二・三%、こういうことになっております。もし今回の軽油あるいは揮発油税の引き上げ分がそのまま小売り価格に反映していったといたしますると、その間〇・九二%ほどの利益率の移動が起こってくるのではなかろうかというふうにノミナルな見方として考えております。
  28. 川村継義

    川村委員 大臣、いま税務局長のお話のとおり、利益の損失割合というものが非常に大きいようであります。  そこで、私の持っております資料がはたしてどれくらい正確かどうかわかりませんけれども、この際大臣、先ほど非常に心配がないようなお話がありましたのでちょっとお聞きおきいただきたい。乗り合いバスにどういうような影響があるだろうか。軽油関係で、現行ではもちろんリットル当たり十二円五十銭、今度二〇%上がりますと二円五十銭の引き上げであります。そこで一キロ当たりの軽油消費量が〇・二八リットルといたしますと、今日のバスの台数を大体五万七千台程度見込んでいくときに、この軽油増税負担増というものは約十六億八千万円程度だという計数が出てまいる。それと同時に、御存じのとおりに、これは別の問題ではありましょうけれども、自動車損害賠償保険料が今度引き上がりますから、こういうものを合わせますと、これが大体十三億程度の年間負担額になるわけであります。その乗り合いバスの三十九年度の運輸収入の推定額を求めまして、それから配当の該当部分、利益課税部分、そういうものを求めまして配当該当分というものが大体三十八億程度試算をされるわけであります。この三十八億というもので、先ほど申し上げましたところの軽油税増税負担増の十六億八千万、自動車損害賠償保険料引き上げによる負担増十三億、こういうものを見て配当該当分で除してまいりますと七七%、〇・七七という乗り合いバス業の利益損失というのが出てまいる。そうなりますと、いま税務局長が言われたように、やはり大きな損失率が出るわけでありますから、したがって今日までこういう業者は毎年のごとく運賃の値上げを申請してきた。おそらくこれにはずいぶん検討しなければならぬ問題がありましょうけれども、やはり運賃を値上げしなければ苦しいところの経営が存在しておったということは考えられると思うのであります。ところが今度運賃の値上げは抑制されておる。これは政府の物価抑制策の一つ方針として打ち出されておるわけであります。そこに今度は軽油の引き上げがなされるというわけでありますから、これはおそらく何といってもバスの料金の値上げはしばらく押えられておっても、やらざるを得ない羽目に追い込まれるのではないか、トラックその他の運賃というものも同様な結果を生み出すのではないか、そういたしますと、これは政府の物価政策、抑制策というものが破滅に瀕する。それがわれわれ国民生活にどういう影響を与えるかは、もう申し上げるまでもないのであります。したがって、大臣の先ほどのおことばでありますけれども、私はたいへん心配をしておるのです。二〇%というこの引き上げをどうしてはじき出されたのか、その基礎をお示しいただくと同時に、ガソリン税の引き上げは、たしか一〇%じゃなかったかと私は思う。軽油引取税二〇%、この二〇%の引き上げを、それらのいろいろの資料からするならば一〇%程度の引き上げにしなければならぬという根拠があっても——一〇%くらいに抑えられなかったものかどうか、この辺のところを大臣からお話をいただきたいと思うのです。
  29. 細郷道一

    細郷政府委員 大臣の御答弁申し上げる前に、数字のことだけ申し上げます。  御承知のように、軽油の税負担は、同じ道路目的財源としてのガソリンに対しまする税負担に比べて、大体現行で四九・二%、まあ半分程度でございます。これは一つには、ガソリン税よりもおくれて軽油引取税ができた、また軽油を使用いたしますディーゼル車に対する国策的配慮といったような点もあったりいたしまして、こうなっておるのでありますが、その差が少しあり過ぎるのではないか、御承知のように、諸外国の例等から見ましても、差があり過ぎるのではないか、また小売り価格の中に占めております税額の割合も、やはり諸外国に比べて低いのではないだろうか、こういったようなデータに基づきましていろいろ検討をいたしたわけであります。一方では、今回道路整備計画が大幅な拡大をされましたのに伴いまして、地方におきます道路の地方負担も相当ふえたわけでございます。従来から地方負担の財源といたしましては、約半分を軽油その他の目的財源で処理をして、あとの半分を一般財源でやるといったような行き方をとってまいりましたので、いま申し上げましたような税負担との割合、あるいは地方の目的財源の占めております割合等を勘案いたしますと、おおむね二〇%、これによって新道路五カ年計画の地方負担財源のうち、半分を目的財源によってまかなうことができるというようなことを考慮いたしたものでございます。
  30. 早川崇

    早川国務大臣 いま政府委員の答弁のとおりであります。
  31. 川村継義

    川村委員 なるほど道路は整備しなければならぬと思います。しかし、こういう財源を考えるときには十分検討なさっただろうとは思いますが、その半分程度を、このような軽油引き取り税の増徴等による目的財源で埋めていこうと考えると、またそれが逆なほうに及ぼす影響も大きいのではないか、そういう心配をするわけであります。道路の整備は進めなければなりませんけれども、こういう目的税の引き上げ等によりまして、あるいは物価の上昇を来たす、あるいは国民生活に大きな影響を与える運賃の値上げを来たすとか、そういうことがあってはならない。先ほど大臣は〇・八%程度のことであるからそうたいした心配は要らないようなお話がありましたけれども、私が先ほど申し上げましたような乗り合いバスの今日の実績から見ても、どうも私心配でならないのであります。この点はやはりいま少しく、引き上げる余裕があるとかりにいたしましても、二〇%というのは大きな引き上げ率に過ぎるのではないか、このように考えるわけでありまして、党としては、私たち立場からいたしましても、こういう点は後ほど安井委員から申し上げますけれども、賛成しかねる一つの大きな課題であります。  第三番目にお尋ねいたしたいと思いますことは、きのう私は参考人の町村会の代表の方、市長会の代表の方にお尋ねをいたしまして心配のない結論をいただいたのであります。固定資産評価がえについて事務がうまく進捗しておるか、こう聞きましたところ、きのうおいでた代表の方は、お二人ともその町村では大体うまくいっているというようなお答えでありました。しかし全国を考える場合に、はたしてそうだろうかという疑問が残っているわけであります。なぜかと申しますと、自治省からいただきましたそういう進捗状況を考えられました調査によりましても、二月末、三月初め、特に三月上旬等に終わるような作業も幾らか残っておったようであります。実は私はこの前の地方税の一部改正提案されたときに、その点は特に念を押して聞いておきたかったのでありますけれども、お尋ねをする機会がなかったので実は聞きませんでしたが、なぜ私がそういう心配をしておるかというと、大臣、十二月の二十五日にあなたのほうから今度評価がえをいたしますところの固定資産評価基準並びに評価の実施の方法及び手続を定める件というのが告示されております。ところが約一カ月いたしまして、追っかけて一月二十八日にその評価基準の一部を改正する告示がなされております。そういうようなことでありましたから、これはたいへんだ、とても三月に間に合いそうにない、社会党は、もう少し先まで手続を延ばしておいて、評価事務を正確に完了した後にやるべきではなかったかというようなことを当時主張したはずであります。こういうようなことで急いでやっておりますと、そこにずさんな不正確な評価というものがなされたりなどしてたいへんな結果になるのではないか、こういうことを心配いたしておるのであります。  大臣にお尋ねいたします。一月二十八日の基準の修正はどういうお考えでお出しになったのか、大臣からお答えいただきたいと思います。
  32. 早川崇

    早川国務大臣 家屋の評価に関しまして従来の評価とのバランスをとる必要が生じました。そういう関係から修正をいたしたのであります。
  33. 川村継義

    川村委員 税務局長にちょっとお尋ねいたしますが、この告示の修正をされた文章というのはどういうふうに読むのでございますか。「第4節経過措置」というのがもとのやつにありまして、これに続けて「固定資産評価基準第2章第4節中本文を一とし、一の次に次のように加える。」本文というのは第四節の全文ですか、あるいは前段のほうでございますか。
  34. 細郷道一

    細郷政府委員 それまでに出ておりました第四節の全文でございます。
  35. 川村継義

    川村委員 第四節の「昭和39年度における各個の家屋の再建築費評点数については、市町村長は、その実情に応じ、第二第二及び三並びに第三第二によるほか、次によって算出してもさしっかえないものとする。」一、二、三項あります。この全文が一になって、そして修正で二、三と追加された、こういうことでございますか。
  36. 細郷道一

    細郷政府委員 そのとおりであります。
  37. 川村継義

    川村委員 このお出しなさったねらいがまだ少し大臣はっきりしないのですが、私が問題にしたのは、先ほど申し上げましたように、こういうようにおくれて基準の修正、追加をなさると、市町村末端では事務的にたいへん混乱をしたではないか、それがためにたいへんおくれたのではないかというのが一つ。いま一つは、評価は十二月二十五日の告示によっての基準、その手続方法によって評価をされ、出たものに基づいて今度出ておる地方税法改正法律によって経過措置がなされる、こういうふうに私は理解をしておるのであります。そうでございますね。
  38. 早川崇

    早川国務大臣 そのとおりであります。
  39. 川村継義

    川村委員 そこで私ちょっと疑問になりますのは、修正のこれを見ると、法律事項で調整措置あるいは経過措置をとらなければならないだろうと思うことをこの基準の評価の中にすでに指示をしておられるように受け取るのです。この修正の第二項、「一の次に次のように加える」。というこの第二項を読みますと、法律事項として経過措置あるいは調整措置をとらなければならぬことを、すでに基準及びその評価の実施の方法においてそのことがなされておる。それは一体妥当なことであろうかどうか、それが許されることであろうかどうか、こういうような疑問を持っておるのでございますけれども、それをひとつ解明をしていただきたいと思います。というのは私の末端の地区からも一、二連絡がありまして、実はこの前から早くお尋ねしなければならぬ、解明して向こうにも返答しなければならぬ、実はこう考えておった事項なんでございまして、その点私は非常に疑問に思っている。どうぞ税務局長……
  40. 細郷道一

    細郷政府委員 この追加の告示の部分は、家屋の評価に関する部分でございまして、家屋の評価につきましては、本来個別の評価をするというたてまえをとっておりますが、評価基準におきましても、いわば見立てによる便法を認めておるわけであります。この点は従来からもそういった考え方でまいったわけであります。今回評価水準もほぼ横ばいであるし、評価の方法も同じような家屋につきましては荒っぽい見立てをやるよりは、むしろいままでほぼバランスのとれております現行評価による、ほうがむしろ全体として均衡がとれるのではなかろうか、といったような考え方によってこれをやったものでございます。
  41. 川村継義

    川村委員 税務局長、私がお尋ねしているのは、その修正の項を見てみると、今度の地方税法等一部改正法律事項として評価はこうなったけれども、こういう税金を取りなさい、こうすべきである私は考える。ところがこの修正事項を見てくると、すでに法律でやるべきようなことをこの修正の基準の内容に指示しておられる。はたしてそれかよかろうか、許されるだろうか、こういうことであります。
  42. 細郷道一

    細郷政府委員 いわばそういう意味から見立ての評価方式に付随する経過措置、こういうふうに考えて、評価一つの補足的な措置、こう考えて評価基準の中においてそれの実施をいたしたわけでございます。
  43. 川村継義

    川村委員 それから次にお尋ねをしておきたいと思うことは、本年度の税収見込みについてでございますが、大臣、昭和三十八年度昭和三十七年度を比べた場合、昭和三十八年度昭和三十九年度を比べた場合、国民所得の上昇、あるいは経済の動き等々から見て三十八年度、三十九年度は前の年度に比べてどういう差異がありましょうか、どういう変動が断りましょうか、その特徴的なものがありましたらひとつお示しいただきたいと思います。
  44. 早川崇

    早川国務大臣 数字の面から申しますと、国民所得に対しましては三十五年ごろは六・二%取ったのが逐次上がってまいりまして、三十七年度、三十八年度というころになりますと六・七%というところまで上がってまいりましたが、三十九年度の見通しは六・五%と承知いたしておりますから、その割合におきましては増加はいたしておらない。むしろ割合としては若干低減の方向に向かうものと考えるわけでございます。なお昨年に比べまして税の収入の絶対数の増加は、御承知のように二二%ということになっておるわけでございます。
  45. 川村継義

    川村委員 私がお尋ねしたことばが悪かったか足らなかったかと思いますが、大蔵省が予算委員会で示しました三十九年度の租税及び印紙収入の調べ、こういう点から見てまいりますと、実は前年度に比べてそう高い見積もりをしておるとは思われないのであります。ところが地方税について考えますと、地方の財政計画から見ますと、地方税収入は二二%の増加率になっておる。ところがこれは御存じのとおりに三十八年度は三十七年度に比べて一三・七%であったはずであります。昭和三十八年度は地方税収入を対前年度に比べて一三・七%の増加率を見ておる。ことしは三十八年度に比べて二二%の増加率を見ておる。これは普通税、目的税、そういうものについても、あるいは邪道府県民税及び市町村民税のそういう割合を見てまいりましても、相当大きな増加を見せているわけであります。ということは、はたしてその二二%という増加率が正しい根拠に立っているだろうか、二二%というものが正しい根拠に立っておるならば、三十八年度の二二・七%というものは非常に低くく見積もったのであるかどうか、こういう疑問が起こってまいります。そういう見積もりはどうなっておるのか、その点をお聞きしているわけです。三十八年度、三十九年度の経済の動き、それはそう大きな変動があるだろうとは私は考えていないのでありますから、いまのようなお尋ねをするわけです。お答えいただきたいと思います。
  46. 早川崇

    早川国務大臣 地方税の二二%増加したという算入見積もりにつきましては、これはあくまでも国税の法人税関係あるいは所得関係その他にフォローいたしまして積算をいたしたわけでございますから、固定資産税その他の見積もりは別といたしまして、国の特に法人税が伸びております。それに伴う事業税所得割が伸びておるわけでありますから、われわれの財政計画で計上いたしました二二%増というのは決して根拠のないものではないのであります。国税のほうの六千億自然増収とかそういう基礎につきましては、これは経済全体の伸びということから積算されておるものと考えるわけであります。
  47. 川村継義

    川村委員 事務的にはそういうような積算によってこれはおそらく生まれてきた数字である、そのように思うわけでありますけれども、もう一ぺん、くどくなりますけれども、三十八年度は対前年度、こういう増加率を全体的に非常に低く見積もって税収をはじかれた、ところが三十九年度は、いま申し上げますように相当高く見積もっておるということは、それでは三十八年度の見積もりが結局何か大きな誤りがあったのか、経済の伸び等々考え合わせてそう考えざるを得ないことになるのではないかと思いますけれども、これはいかがでございましょう。これは税務局長……。
  48. 細郷道一

    細郷政府委員 地方税の収入見積もれにつきましては、先ほど大臣からもお答え申し上げましたとおり、それぞれの税目につきまして過去の課税実績でありますとか、あるいは同じような課税標準を使っております税目については国税に出てまいりました実績、たとえば住民税所得割につきましては本年度所得税の課税の実績、そういったようなものをそれぞれ使って積算をしてまいっておるわけであります。明年度におきまして二千三百二十六億ほど当初見込みに対して増収になっておりますが、これは三十八年度の当初との比較でございまして、現実の姿といたしましては、三十八年度中におきます自然増収額もここに相当程度入っておるわけでございます。そういう意味において三十八年度の当初見込み額自体も、ただいま明年度について申し上げたと同じような考え方のもとに立って積算をいたしたわけでありますが、やはりその間におきます経済成長の伸びのズレもございましょうし、また経済成長と特によく伸びます法人税等におきましては事業年度とのズレといったような問題もございましょうし、さらに所得が伸びてまいりますれば、税の伸び方はそれに伴う弾性値の問題等もございまして、三十八年度自然増収に加えて、三十九年度が先ほど来申し上げておるような自然増の姿になっておるものでございます。
  49. 川村継義

    川村委員 わかりました。しかしいまの問題は、これは地方財政計画上の問題ともなろうかと思いますので、またいずれ地方財政計画等についてお尋ねをするときにあわせてお尋ねをしたいと思います。ほかにも御質問がございますから、最後に私、一つお尋ねをしておきますが、それは電気ガス税のことで、これも小委員長報告によれば小委員会で十分御検討いただいておるようでありますから、くどくなっておそれ入りますが、大臣から簡単にお答えをいただきたいと思います。私たち考え方としては、やはりこの一般の家庭、国民の大衆が消費しておる電気ガス税というものはなるたけ安くしなければいかぬ、こういう考え方に立っております。これはきのうの税制調査会の参考人の御意見も、大体そういう方向をとっておるようであります。ところが今度は一律一%の引き下げでございますから、むしろ大企業あるいは大口の消費を持っておるもの、そういうものには大きな恩典というものがありましょうけれども、一般の家庭についてはそれほどの恩典ではない。ところがこれが地方財政に与える影響は軽視できないものがある。そこでなぜ大臣のほうでは、御承知のようなたくさんの非課税措置がありますが、その非課税措置をもっと整理する、とるべきものはとる、そういう御方針、そういう御検討はなさらなかったのかどうか。この点まずお聞きをしたいと思います。
  50. 早川崇

    早川国務大臣 御指摘のように非課税特例を設けておりますのは、電気ガス税が本来消費課税という観念がございまして、原材料の五%も電気代がかかるというものに対しましてはこれを非課税にするとか、あるいはまた輸出振興という立場から特別に非課税にしておる面が非常に多いわけであります。したがって、これをいま直ちに廃止して、地方自治体の税収をふやすということは、現在のところ考えておらないわけでございます。
  51. 川村継義

    川村委員 たいへんあっさりお答えいただいたのでありますが、私が申し上げるまでもなく、この非課税措置が設けられたのは、御承知のような目的で設けられておりますけれども、今日ではもうすでにその目的を達して、非課税措置の該当にしなくてもよろしい、そういうものがだいぶん出ておると思う。これはもう当局のほうが十分御存じのとおりであります。そこでやはりこういう点は、これは業界からいろいろ力が加わることもありましょう、しかしやはりはねのけて、とるべきものはとる、廃止すべきものは廃止するというようにして、一般大衆、一般家庭の負担というものを軽減する方向をとるべきではないか、これは地方の財政ということを離れたひとつのやはり政府政策でなければならぬと私たちは思うのであります。  そこで、この際ちょっと税務局長にお尋ねをしておきますが、三十七年度おわかりでしょうか、あるいは三十六年度おわかりでしょうか、この非課税品目となっておるものが使っておる電力量は一体どれくらい、何百万キロワットあるか、第二にそうしてそれが電力総使用量の何%くらいを占めておるか、そして三番目に、その非課税電力使用量の電気料金推計額は、三十七年度なら三十七年度ベースで何億円あるのか、そうしてそれが電力料金見込み総額の何%を占めておるのか、そういう点をちょっとここで数字的に明らかにしていただきたいと思う。
  52. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっと三十七年度の数字はただいま手元に持っておりませんが、三十九年度の見込みとしての税額を申し上げて御参考に供したいと思います。三十九年度の電気ガス税の収入見込み額は五百一億でございます。その外に、いわゆる御指摘の特別措置その他免税点を見て減収額が百九十二億ございます。したがいまして、もし全部課税するということになりますと、五百一億に百九十二億を加えました六百九十三億、こういうことになるわけでございます。したがいまして逆に六百九十三億のうち、百九十二億ということが非課税を受けている率、こういうことになるわけでございます。なお、三十七年、三十八年、三十九年と、順次税率も下がっておりますので、一応三十九年度の税収見込み額でお答えをさせていただきました。
  53. 川村継義

    川村委員 よろしゅうございます。この辺の数字がわかりましたらまた後日ひとつ示していただきたいと思うのです。なぜ私がこういうお尋ねをしているかというと、やはり前から考えてみても、税金を納めない者の電気の使用量が、税金を納めている者の電気の使用量よりも半分以上、それよりもうんと大きい、どうもそういう結果があるようですからお尋ねをしているわけです。  ついでに、税務局長、いまのお話の五百一億という数字が出ておる資料の四十五ページのところをちょっとお尋ねします。もう時間を一人でとってはいけませんから簡単に申し上げますが、ガスの調定見込み額がどうして去年よりもことしが少なくなっておるのですか。ガスは、ことしの認定見込み額は八十八億六千万円、そうですね。ところが昨年は八十八億九千六百万円だったはずです。どうしてこれが少なくなっておるだろうか。ほかの売り上げ料金額の見込みも、非課税分の見込みも、差し引き課税標準の見込みも、全部去年よりもことしは確かに数字は上回っておる。ところがガスだけ調定見込み額は去年よりことしは少ない。その理由はどこにあるのでしょうか、ちょっと聞かせておいていただきたい。
  54. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、電気の伸びに比べますと、ガスのほうが伸びが悪いというのは大体の趨勢でございます。特にプロパンガスなども出てまいっておる関係もあろうと思います。なお、私どもの収入見込みの基礎は、関係の通産省からももらってやっておるわけでありますが、三十八年と三十九年では税率が少し違っている点もあるいは数字の上に影響があらわれているのではなかろうか、かように考えております。
  55. 川村継義

    川村委員 その根拠になる小さい数字を持ちませんから、これ以上お聞きしてもあれだと思いますが、ちょっと疑問になっているところです。  大臣、最後にお尋ねをいたします。いまの電気ガス税でことし減収になる分は七十一億七千二百万円、ところがこれの減収にひとつ補てんをしようということでたばこ消費税を引き上げてもらった。これは実際は六十五億八千一百万円、足らないですね。これはいろいろありましょうけれども、とにかく足らない。ところが電気ガス税をとっておると、こちらのほうが伸びがだんだん大きいから、市町村財政は助かる。たばこ消費税の伸びは電気ガス税ほどない。そうすると、一年、二年、三年としておりますと、せっかくちょっと補てんしてもらっても、市町村財政からいうと、何年か後にはかえってこれはありがた迷惑だったという結果が出てくる。どうしてくれますか。どんな方針でございましょう、最後にひとつお聞きしておきたい。
  56. 早川崇

    早川国務大臣 これは予算折衝のときにも議論になりまして、たばこよりも電気のほうが自治体にとりまして伸びのいいことは私もよく承知いたしておるわけであります。ただ、来年度だけをとりますと六十六億円。非課税で五億減りますから、七十一億から五億引けば六十六億、六十六億でバランスがとれるわけであります。ただ、ガス税はいろいろな面で議論の多いところでございまするから、この問題につきましては、この補てん措置をどうするか、また電気ガス税それ自身をどうするかという問題。私は非常に取りやすい、自治体にとっては非常にありがたい税源だと思っておりまするが、市町村財政全般の見地から今後税制調査会等でも検討されましょうし、自治省といたしましても、総合的な見地から検討をいたしたい税目であるのであります。そういう次第でございまして、再来年からの問題はどうするかという問題は、そういう検討の後にまた見解を表明したいと思います。
  57. 川村継義

    川村委員 数点お尋ねをいたしましたが、いろいろお考えはありますけれども、私たちの考えておる考え方と相当隔たりもあるようであります。そのあとは各委員皆さま方が明らかにするだろうと思いますから、私の質疑をこれで終らせていただきます。
  58. 森田重次郎

  59. 佐野憲治

    佐野委員 大臣の時間の関係もあって、非常に恐縮なのですけれども、二、三お尋ねしておきたいと思います。  ただいま小委員長報告の中で触れられておらない面について、特に大臣に考え方なり所信をお聞きしておきたいと思いますが、その一つは、住民税特に市町村民税におきまして、昭和三十六年度から基礎控除なりあるいは専従者控除その他の諸控除が据え置きになっておる。このことに対しまして、本年度は二二%からの自然増収が見込まれる。この機会に、国税に見合ってそうした措置がとられなければならなかったのではないか。あるいはまた、技術的にいろいろな問題点があるといたしますならば、明年度におきまして住民税本文方式統一になるその機会に、いままでの矛盾しておるこれら基礎控除に対する大幅の減税を行なう考え方を持っておられるかどうか、この点についてまずお伺いいたします。
  60. 早川崇

    早川国務大臣 昭和三十七年の税制改正によりまして、従来国税が基礎控除引き上げになりますと、それによって引き上げられておりました影響を遮断いたしまして、負担分任の原則で自治体独自でこの問題を考える道を開いたわけでありまして、私は、それなりに理由があると思います。国の税金と違いまして、自治体が、あるいは警察とかあるいは清掃とかあるいは消防とか、それぞれの応益負担関係におきましては、国税の場合と性格が多少違うわけでありまして、したがって三十七年度からは、そういうように改正になったわけでありますが、同時に、市町村間のはなはだしい不均衡、すなわち本文方式ただし書き方式市町村住民の、二倍、三倍の高い税金のアンバランスだけはぜひひとつ改正をいたしたいと考えまして、二カ年にわたりまして本文方式統一し、準拠税率標準税率に改めることにいたしたわけでございます。それが終わったあと基礎控除を引き上げるかどうかという問題は、住民税という負担分任の原則からきておる税の性質と国税との基本的な性格をも考慮しながら、将来の問題として検討いたしたいと考えておるわけでございます。いま直ちにここで本文方式統一したから基礎控除も引き上げるという考えは持っておらないわけでございまして、将来の問題として検討いたしたい、かように考えておる次第であります。
  61. 佐野憲治

    佐野委員 きのう税制調査会の松隈参考人から、税制調査会におけるそれらの問題点をお聞きいたしたわけですけれども、しかしながら税制調査会におきまして、昭和三十八年度における答申の中に税金に対する物価調整という画期的な制度を採用いたしておるわけであります。あの中において述べられておりますように、今日の自然増収というものは、物価上昇に基づく名目的所得である、だから少なくとも三割程度は減税しなければならない、こういう物価上昇に伴う調整措置というものが取り上げられて答申になっておるわけなんですが、その場合に国税に対しましてそういう措置を答申しながら、地方税に対して触れなかったのはどういうわけか。この質問に対しまして、実は地方税におきましてはただし書き方式本文方式と非常に実態が複雑であったので、ついにそれまでに触れることはできなかったのだ、かようにも事情を述べておられるわけです。そこで大臣は、負担分任あるいは応益の原則というたてまえからいま困難であるという点を指摘をしておられるわけですが、この点に対するもう少しはっきりした考え方を示していただきたいと思うわけです。と申し上げますのも、税制調査会が指摘いたしておりますように、今日の標準世帯における標準生計費、この中に課税限度が食い込んでまいっておる、いわゆる生計費に課税してきておる、こういう欠陥を是正しなけばれならない。今日における経済成長は名目的所得はふえておるけれども、実質上におきましては三割程度は減税しなくてはならないのだ、こういう点を指摘いたしておるわけです。もちろん国に対する勧告にいたしましても、これからという問題でなくて、事後措置として物価の上昇、名目的所得と今日における課税限度、これらのことを検討しながら答申がされておりまして、非常に内容において矛盾しておる点もありますけれども、しかしながら所得の課税限度という点を考えてまいりますと、住民税における所得、これといわゆる国税における所得税、これらのものを合算をして考えるのが当然ではないか、かように考えますし、それから地方税におきまして国税と地方税とを遮断をする、この考え方は私は了承します。しかしながら地方税において控除の制度を設けられておる。一体何のために基礎控除なり専従者控除なり扶養控除を設けたのか。おそらくこういう控除制度を採用いたしたことは、とりもなおさず生活費に課税しないという保障のためにこの制度が設けられたのではないか、しかも生活費に食い込んでおる地方税、こういう面から、少なくとも国税においてそういう措置がとられると同時に、控除制度に関しましてはやはり見合った措置がとられるべきではないか、かようにも考えるわけですけれども、大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  62. 早川崇

    早川国務大臣 なかなかむずかしい税理論になるかと思いますが、地方税と国税と違うのは、地方自治体には弾力性がないわけでありまして、いい税金は、所得税や法人税やあらゆるものは国でとることになっておりますし、法定外の地方税にもいろいろな制限がございまして、自由に財源を得るわけにいかない。国の場合は必要あれば予算増額し、りっぱないい税源で財源を得る道はあるわけであります。ところが自治体の場合には、国からいろいろな施策が押しつけられて、しかも税源に弾力性がございません。そこで所得税なり法人税なり国税に伴う影響が常に起こってくるということは、非常に財政面からも困る面があるわけでありまして、そういう観点から、御承知のように国税との遮断をいたしたわけでありまして、この点につきましては御賛成いただいておるわけでございます。問題は、生活に食い入る面という問題でございますが、この面はやはり地方税におきましても考慮しなければならないと私は思っておるわけでありまして、国税のとおり基礎控除を引き上げていく、スライドしていくということに私は反対しておるわけであります。こういった問題を考えました場合に、負担分任あるいは応能に、プラス生活費に食い込むという場合においては、そういう控除制度を設けるという妥協の産物が現在の住民税の姿じゃなかろうか。しかし自治行政の政策といたしましては、この二年間に本文方式とただし響き方式によるあまりにひどいアンバランスをとりあえず片づけて、これによって低所得者、特に三百万近い人たちが、もし現在のままの所得であるとするならば、均等割を除きまして所得割住民税を納めなくてよくなるような大改革でございますから、これを片づけまして、その後いま申されましたような基礎控除を引き上げるか引き上げぬかという問題は、地方財政全体の財政状況も非常に苦しいですから、そういうものを含めまして慎重に検討すべきものだ、かように考えておるわけであります。
  63. 佐野憲治

    佐野委員 私は本文方式統一する、これは重要な問題でしょうけれども、現在における地方税のあり方そのものは、もっと重要な問題点を含んでおるのではないかと思う。国税において生活費に最低限度課税をしないという方針が堅持されて、そのことが論議されておるときに、地方税だけが生活費に食い込む税金を温存しておる。いわゆる応益、負担分任の原則が強くここに主張されているわけですけれども、私はより以上に租税公平の原則が貫かれなければならないのではないかと思います。もちろん地方行政委員会においては、そういう減税の問題を取り上げることはタブーな近ごろの地方自治体の財政状況でありますけれども、しかしながら、国民所得に対する租税の負担率が二二・五%に達しておる、しかも租税総額に占める徴収の配分、分類によりますと、国税が七〇%であり、地方が三〇%だ。国自体が豊富な税源を独占して、しかもその余りかすだけ、いわゆる生活費に及ぶそういう税源のみを残しておるというところに根本的な問題があるのではないか、そのことを直視せずして、負担分任あるいは応益の原則を強く主張されるということは、いわゆる大衆課税、封建的な租税制度の考え方と同じ偏向におちいるのではないか、こういう点大臣は閣議においても強く主張していただきたい、かようにこの点に対しましてお願いしますと同時に、あわせて大臣の考え方の中でどうしても納得できない点は、地方税の中に控除制度が設けられた。このことは国税の影響を地方税において遮断をする、その考え方とは私は別だと思います。やはり地方税の場合においても生活を保障しなければならない国家的な義務、これに基づいて控除制度というものが取り上げられておるのであって、単なる思いつきによって控除制度は生まれておるのではないのではないか。税制調査会の答申その他の文章を読んでみますと、そういう点が強く述べられて、国税の影響を遮断するということと、控除制度のもとにおいて基礎控除その他の控除を引き上げるということと別な問題ではないかという点をひとつ御検討願いたいと思います。  第二の点といたしまして、固定資産税評価をめぐっての問題でありますが、二点ばかりお尋ねしておきたいと思いますが、一つ不動産取得税に新しい評価額適用になるわけです。固定資産税そのものに対しては経過措置がとられ、都市計画税にも調整措置をとる、しかしながら不動産取得税にだけこれを適用する、この考え方についてでありますが、私は不動産取得税に対しまして、その結果であるでありましょうけれども、新築の住宅並びにこれに伴う土地の取得に対しまして、それぞれ基礎控除なり税額控除が行なわれておるわけですが、こういう大幅な措置をとられるとするならば、一体不動産取得税は歴史的沿革、長く雑種税としてありましたのが、昭和二十五年にシャウプ勧告によってこれが廃止された。こういう流通税は不適当だとして廃止され、二十九年にこれが復活してまいった。この復活してまいりましたときにおける国会のその提案理由として述べられておることは、大臣も御承知だろうと思いますが、当時の国家財政のあるいは地方財政の現況から見て、不動産取得税を、取得する人だけが担税能力がある、こういう一つの点が指摘されております。しかしながら最も大きくこの復活する理由といたしまして、固定資産税税率が年々引き下げが行なわれておる。これに見合うものとして不動産取得税を取るのだ。第二の点として指摘されておりますのは、当時指定平均価格の場合におきましても、町村がこれに習熟いたしていない、だから古い賃貸価格の倍数その他をもって非常に各市町村間の不均衡が露呈してまいっておる、こういう意味から不動産取得税の課税権を県知事に与えることによって、固定資産税台帳に記載されない不動産取得にあたっては、県知事が評価を行なう。この点から町村間の不均衡を是正する、この必要性の中から不動滝取得税を創設するのだ、こういう趣旨が述べられておったわけです。そういう意味から考えてまいりますと、今日すでに不動産取得税というものの存在理由を失っておるのではないか。新しい評価基準が出てまいる、これに伴う自治大臣の強い強制力も出てまいった、町村間の不均衡というものは是正されるのではないか、その意味からも存在理由を失っておるのではないか、このようにも考えるわけですけれども、この点に対する大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
  64. 早川崇

    早川国務大臣 基本の考え方といたしましては、不動産を取得する人には担税力がある、力があるという考えに立っておりまして、単に不動産を持っているから固定資産税を財産税として取るというのとは性格が異なりますので、相続税も大体時価で取っておりますし、その他の国税はみな時価でやっておるわけであります。そういう関係で商工会議所や財界から不動産取引税を課するのはけしからぬという御意見も聞いておりますけれども、主としてそういう力のある会社が土地を買ったり、あるいは金を持っている人が土地を買うとか、あるいは不動産魔が投機取引で土地を買ってすぐ売るという場合には、むしろそれの抑制にもなりますので、今回不動産の取得税につきましては、百分の三という税金を評価によって取るような措置を講じたわけでありまして、これに関する限りは、相続税やその他と同じような考え方に立っておるわけであります。ただし庶民階級が、住宅のために百五十万程度の土地を買う、建坪の二倍の土地を買うというものは、不動産取得税については基礎控除で免税になりまするから、庶民のそういう不動産取税に対しましては御迷惑をかけないというあたたかい配慮もいたしたわけであります。
  65. 佐野憲治

    佐野委員 大臣も出発されますので、あとからまたお伺いいたすこととして、不動産取得税の場合におきましても、たとえば新築のための土地所有に対しまして、二百平方米を限度として税額控除が行なわれておるわけであります。今日東京におきましては十万、二十万の価格を示しておる。十万といたしましても六十坪ですから六百万円の取得に対しては税額控除を行なっておるわけであります。ところが他方にまいりますと、農村におきましては新しい近代設備資金の制度が取り上げられて、いわゆる新しい作業場を設ける、あるいは家屋と作業場とを分離する、こういう住宅改良その他の施策が、あるいはまた農村近代化のための施策として取り上げられておるわけであります。そういう中で獲得いたしましたものに対しまして、わずか五万円しかの免税点がない。今日農村近代化資金を借り入れる、大体平均が百万円だろうと思います。百万円程度の作業場を持たなくてはならない、あるいは養豚その他の畜産関係の豚舎も持たなくてはならない、こういうものに対していわゆる課税をする、こういう不均衡になっておるわけです。——いずれまたお答えは戻られたらいただきましょう。
  66. 森田重次郎

  67. 安井吉典

    安井委員 私は地方税法等の一部を改正する法律案外一法案につきまして、後ほど修正案提出するという考えを持っております関係もございまして、大臣に対して最後的に重要な問題点につきましてお尋ねを進めてまいりたいと考えているわけですが、ちょうど参議院の関係で大臣いま部屋を出られておりますので、その間若干の問題点につきまして政府御当局にお尋ねをいたしてまいりたいと思います。  一つは、公団住宅の関係でありますが、公団住宅に対する固定資産税軽減措置につきまして、自治省は通達で市町村を指導されているそうでありますが、そのとおりになかなか実行ができていないところもあり、公団家賃の問題にこれがはね返ってきているという実情が新聞等にも報ぜられておるわけでありますが、この問題につきまして、経過や、あるいはまた現状等につきまして内容をお話し願いたいと思うわけです。
  68. 細郷道一

    細郷政府委員 公団住宅につきましては、以前から新築専用住宅三年間二分の一軽減の通達によって、公団住宅も同様の取り扱いを市町村にまかせてきたわけであります。したがいまして、軽減を行なっております市町村につきましては、公団についても同様のことをやってまいったと思うのでありますが、ただ最近の調べで見てまいりますと、軽減を行なわない市町村がかなり出てまいったのでございます。もとより市町村財政上から見ますと、公団の住宅ができますことに伴います財政上の影響力、あるいは住民の感情、いろいろな点がございまして、軽減を行なわない市町村も出てまいったのではないかと思うのであります。三十八年度について見ますと、公団の賃貸住宅の所在する六十四市町村に対しまして、軽減を行なっている市町村が四十四、三分の二ほどの市町村がこれを行なっておるというような状況でございます。そこで今回、一般新築住宅に対する軽減措置を法定化することによりまして、住宅政策の面をはっきりいたすと同時に、地方交付税の基準財政収入額の計算におきましても、その分が自動的に補てんされるように法的な措置を今回講じようとしておるわけでございます。これによってかなりはっきりした軽減措置が今後実施されるものと見通しをいたしておる次第でございます。
  69. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、これまで通達によってやっておりました分と、それからこれから新たにやる分と両方あるわけですね。従来からやっておりました分についてはどういうふうになりますか。
  70. 細郷道一

    細郷政府委員 新築専用住宅についての軽減措置の通達は、三十八年の一月一日までのものについて出しておったのでございます。したがいまして、三十八年の一月一日、具体的には三十八年度固定資産税がかけられるものまで入っておったわけでございます。したがって、その通達によって軽減措置をとりましたところでは、普通の場合でありますれば、三年間の軽減措置はそのまま自動的に通達措置によって動くわけであります。したがいまして、今回法律によって新築住宅三年間の軽減措置はさっき申し上げました通達とのつながりを考えまして、三十八年の一月二日以後の新築住宅ということは、具体的には三十九年度固定資産税分からということになるわけでございますので、その分につきましては今後法律的にはっきりしてまいることになるわけであります。
  71. 安井吉典

    安井委員 そういうことになりますと、従来から軽減措置を継続していた分と、それから新たに今度の改正によって実施に移される分とでギャップがないというわけですか。その前の分に、つまり一部が取り残されるというふうなことではなしに、今度の法律は前のほうまでさかのぼって適用になるということによってギャップが全然起きないということですか。
  72. 細郷道一

    細郷政府委員 新築されて新たに固定資産税が課される年度で従来の措置と今回の措置とが切れるわけでございます。その場合に、従来は三十八年一月一日までにできたものについては通達で指導をしてまいったわけであります。今回の法律は、去年の一月二日以後の新築分についてこれをやる、こういう意味でギャップがないと考えております。
  73. 安井吉典

    安井委員 さらに確認したいのですが、結局今度の法律では一年先までさかのぼって施行するから、すき間が全然なくて済む、こういう意味ですね。
  74. 細郷道一

    細郷政府委員 三十八年の一月二日から昭和四十四年一月一日までの間に新築された住宅についての措置が今回の法律でございます。それ以前のものは従来の通達指導にまかせられておるわけであります。
  75. 安井吉典

    安井委員 公団の家賃を上げなければならないというような問題が出ているようでありますが、その問題に対しましては、それではっきり上げなくてもいいという答えが出たというふうにお考えですか。
  76. 細郷道一

    細郷政府委員 公団の家賃の問題は、私どもの税金だけの問題で左右されるものとは考えておりませんが、少なくとも固定資産税に関しましてはそういう措置をとりましたことと、さらに中高層すなわち四階までのものは五年、五階以上は十年といったような長期の軽減措置をすることによりまして、公団といたしましては全体をプール計算のできる家賃についての配慮が十分できるものと考えております。
  77. 細谷治嘉

    ○細谷委員 関連。問題は、附則の四十三では三十八年一月二日からになっておる。附則の四十四では三十九年一月二日からになっておる。一年間ずれておる。附則の四十四というのは中高層耐火の住宅なんです。そうしますと、新築住宅については附則の四十三、四十四との間に一年間ずれておる。四十四のほうはどうするのかといったときに、通達でいくと言うのでしょう。通達でいくということになると公団住宅なんかにかかってくる。中高層のものは一年間おくれるということになる。これを救済してやるのがほんとうじゃないか。したがって四十四という一年間ずれておるのは、四十三のほうで処理するのか。四十三で処理するということをはっきり答えていただけばいいのです。ところがそれを通達でやるということになると、通達は拘束力がないじゃないか。はっきり四十三を適用するのだ、こういうふうにしていただけば問題ははっきりする。
  78. 細郷道一

    細郷政府委員 したがって、昭和三十八年中にできました新築の住宅につきましては、全部この四十三項が適用になるわけでございます。三十九年の一月二日以後になりますと、中高層についての新しい施策としての軽減がその部分については適用になる、こういうことであります。
  79. 細谷治嘉

    ○細谷委員 確認しますが、中高層耐火もその問題は四十三を適用していくというわけですね。ただ年数がちょっと問題があるのですが。
  80. 細郷道一

    細郷政府委員 三十八年の一月二日から三十九年の一月一日までに新築された住宅につきましては、高さのいかんを問わず全部四十三項が適用される、こういうことであります。
  81. 安井吉典

    安井委員 固定資産税につきまして評価の問題が一方にございますが、そのほかに超過課税の問題があります。現在標準率百分の一・四、最高制限が百分の二・一ということになっておるわけですが、過去において百分の二・四から二・一まで法律で下げて減収補てんをその見返りとしていたしたという経過もございますが、現在でも百分の一・四をオーバーして課税しておるという地域がわりあい北海道とか東北とか北のほうに多いわけです。そういう地帯におきまして相変わらず、その超過課税をなくしてもらいたい、こういうふうな要望も非常に強いわけです。特にそれらのいわゆる開発のおくれた地域は、いろいろな産業が伸びてこなければいけない。ところが現実には固定資産税をよけい納めなければいけない。そういうようなことが、それらの地帯における産業が伸びてくるのに一つの障害になっておる、こういうような見方も現にあるわけです。この問題につきまして、自治省のお考えはいかがですか。
  82. 細郷道一

    細郷政府委員 超過課税を行ないます自治体を、いきなりいかぬというわけには、やはり自治体のたてまえとしていかないと思います。問題は、超過課税の内容なり、それによって得られる収入をどう使うかということについて、それぞれの自治体が十分なる検討と批判にたえ得るものであってほしい、こう私どもは考えておるのでございます。ただ、超過課税自体があまりに激しくなり過ぎている、幅があり過ぎているということになりますと、住民のほうの税負担に対する均衡化の要求、要するに自治体を異にすることによって高くなったり低くなったりすることは、住民負担観に合わなくなるというようなことで、制限税率範囲内での運用を団体にまかせておるわけでございますので、たてまえ論といたしましては、超過課税も正当な運営が行なわれる限りはやむを得ないものではなかろうか。むしろ、自治体として当然ではなかろうか、こう考えるのであります。ただ現実には、いろいろ超過課税をやっております市町村財政の姿を見てみますと、おっしゃるように、いろいろくふうを要する点があろうかと思いますし、また地域団体全体として手を差し伸べて改善をはからせなければいけないといったような点もあろうかと思います。そういった点につきましては、年々交付税の財政需要におきましてのいわば格差是正措置、そういったようなことによって、だんだんと自治体が超過課税をしなくても普通の仕事ができるように、超過課税をする上は、特別な仕事がよくできるようにという姿に持っていくようにつとめてまいりたい、かように考えております。
  83. 安井吉典

    安井委員 確かに超過課税をやっているような地帯は、住民税の場合もただし書き方式の、しかも税率の一番高いところで課税をしていた、そういうふうな地帯であるわけです。ですから、基本的にはいまおっしゃたように、そういうふうな財政実態にさせておいたということ自体にこれまでの問題点があるので、交付税の配分における考慮でありますとか、そういよううな点に十分御配慮を今後とも願わなくてはならないのではないかと思うのです。ただこの超過課税の問題も、今度評価がえが行なわれるという段階においては、やはり別な観点から、もう少し見なくてはならないのではないか、そういうふうな気がするわけです。つまり、固定資産税という税は、評価額掛ける税率なわけですから、地域によっては評価額を比較的低目に押えてやる、今日まではそれができたわけです。自治大臣の、基準に準じてやればよかったのですから、それによらなくてもよかったのですから、そういうことができたわけで、したがって評価のほうが比較的低目に押えられていたということに関連して、超過課税といいますか、標準率をこえる税率が採用されていたというようなところもないではないと考えられるわけです。したがって今度の評価がえということに関連いたしまして、この税率の超過の問題ももう一度考え直してみる必要がないか。新たな観点から見る必要はないか。こういう定義のしかたで私はいま申し上げているわけですが、いかがですか。
  84. 細郷道一

    細郷政府委員 評価均衡がとれた評価、ことに各資産の間についての均衡がとれた評価が行なわれておれば、超過課税をした場合でもその負担関係は同じ姿であらわれると思うのでありますが、好ましいことではありませんが、うわさに聞けば、特定の資産については現行評価制度によった場合の水準が高いので、超過税率によってそういう面から多少税収を上げるというようなことも聞いたりいたすわけであります。そういういき方はやはり改めるべきであろうと考えます。御指摘のようなことがもしあるといたしますれば、私どももよく調査して検討を加える必要があろうと思います。
  85. 安井吉典

    安井委員 超過課税の総額はどれくらいになっておりますか、それはおわかりですか。それから超過課税になっております市町村は全体のうちのどれくらいの割合になっておりますか。資料がありましたら……。
  86. 細郷道一

    細郷政府委員 固定資産税につきましては約五十五億の超過課税の収入。また市町村の数ではおおむね三〇%ということになっております。
  87. 安井吉典

    安井委員 固定資産税の問題では、免税点につきましては今度の改正法案によりますと、暫定措置では、農地以外の土地について一・二倍の課税標準に三年間はするのだというふうな規定からおそらく逆算されたのだと思いますが、暫定期間中の土地の免税点は、現在の二万円を二万四千円にしてあるだけが改正されておりまして、免税点一般についての考慮は全くないようでございますが、この点についてはいかがですか。
  88. 細郷道一

    細郷政府委員 土地についてだけ行なったのは、御承知の税負担暫定措置に相応じて行なったものでございます。したがいまして、恒久措置を考える過程におきましては、免税点の問題も取り上げていきたいと考えております。
  89. 安井吉典

    安井委員 この免税点がいまの形できめられたのはいつごろでしたか。
  90. 細郷道一

    細郷政府委員 土地の二万につきましては三十四年以降、家屋の三万円も同じく三十四年以降、それから償却資産について現行の十五万円はやはり三十四年以降であります。
  91. 安井吉典

    安井委員 別々にお話しになりましたが、せんじ詰めれば全部三十四年以降ということでありますが、三十四年から現在までやはり基準年度が一回ございますし、評価引き上げ措置は今日まで講ぜられているわけです。したがってこの免税点の問題も、そういうつど考慮をされなくてはならない問題だと思うのです。しかもこの免税点については条例事項になっていて、条例で設けてもいいし設けなくてもいい、こういうふうな規定になっている点にも問題があるわけですが、現在条例で制定しているところと、免税点を全く設けていないところと、それについて資料がございますか。
  92. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっと市町村の数はいま手元に持っておりませんが、相当あると思います。
  93. 安井吉典

    安井委員 新評価がどういうところで恒久的な措置という姿で落ちつくか、その点に問題があるわけでありますが、そういうふうな際におきまして、この免税点の問題も非常に重大な問題を生じてくると思うわけでありますが、いかがですか。
  94. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほども申し上げましたように、恒久措置を検討する過程においては、免税点の問題も取り上げてまいりたい、かように考えております。
  95. 安井吉典

    安井委員 後ほど、条例で制定しているところとしていないところと、それに関する資料がございましたら、御提出いただきたいと思います。  きのうの参考人のお話によりますと、各市町村のほうから、固定資産税の納期限を一カ月延長するというようなことで、地方財政の上にも影響が多いから、つなぎ融資をしてくれないか、こういうふうな要望もあったわけであります。この点についてはどうお考えですか。
  96. 細郷道一

    細郷政府委員 つなぎ融資につきましては、大蔵、郵政等と話をしまして、一応百億程度のワクを用意いたしております。
  97. 安井吉典

    安井委員 なお、補てん公債の発行時期についても、やはり市町村の側から非常に関心の持たれている点でありますが、ことしはいつごろにそれが市町村手元に届くような運びになるか、平年度の場合はどうなるか、これもお話し置きを願いたいと思います。
  98. 細郷道一

    細郷政府委員 本年度は、一応減収額の計算をいたしまして、申請等の手続がございますので、若干年度当初というわけにまいりませんが、ことし中には、何とか八月か九月ごろにできるように準備を進めてまいりたいと考えております。平年度につきましては、できるだけ年度の早い時期にやるようにつとめたいと思います。
  99. 安井吉典

    安井委員 さらに、昨日の参考人のお話の中にも、最近における都市の財政需要が非常に大きくなったということから、固定資産税における大規模償却資産の課税限度を変更する必要があるのではないか。特に都道府県財政需要も大きくなっておることはうなずけますが、市町村側のほうがさらに大きい。こういう点から市町村のほうに残す分を一そう拡大することが必要ではないか、こういうお話があったと思いますが、その点はいかがですか。
  100. 細郷道一

    細郷政府委員 これも固定資産税の恒久制度の際にあわせて検討をいたすべき事項と心得ておるわけであります。この問題につきましては、御承知のように、金額財政需要に対する一定比率といったような二重のクッションが置かれておりますので、現実の市町村財政に与える影響は非常に区々でございます。したがいまして、関係市町村の資料等もとった上で十分検討しなければならないものと考えておりますが、いずれにいたしましても、恒久制度を立案する過程におきまして、検討を加えてまいりたいと考えております。
  101. 安井吉典

    安井委員 償却資産関係は、新評価の場合にはあまり影響がないわけです。したがって、恒久措置が講ぜられるまでというふうなお話でございますけれども、土地の問題についてはずいぶん問題がありますが、償却資産にはいまの段階においては影響がないのではないかと思います。特に新産業都市建設とか、そういうふうな形であるいは都市への人口及び産業の流入、こういうような事態がどんどん進んでいる段階でございますから、恒久措置はそれはそれとして、それまでの段階でも償却資産税の問題については措置できるのではないかと私は思うのですが、あくまで三年後までお待ちになるというお気持ちか、もう少し先の段階でもできるのではないかと思いますが、いかがですか。
  102. 細郷道一

    細郷政府委員 確かに償却資産については御指摘のようなことでございますが、ただ、これも税率関係影響がございますので、恒久措置の際にあわせて検討するほうがいいのではなかろうか、こういう考え方でございます。
  103. 安井吉典

    安井委員 それも一つ考え方でありますが、当面考えなくてはなりませんことは、ただ単に固定資産税の税からの点だけではなしに、市町村と都道府県との間の新たな段階における財政需要がどういう姿で変わってきているかというような点について、三年を待たずに早急に御検討を願い、そういう中から結論が出さるべきではないかと私は思うわけです。もちろん固定資産税という立場からも問題は考えなければなりませんが、むしろ都道府県市町村との間の財政需要から税源を配分し直すという観点も非常に大切だと思います。そういう点からも一つ御検討置きを願いたいと思うわけであります。  不動産取得税の場合の宅地取得につきまして、新たに控除が設けられているようでありますが、その限度は、法律を見ますと、取得してから一年以内に家を建てた場合、こういうふうな規定になっておるようでありますが、一般的に定年退職前の人が、老後を考えて土地だけをまず探して、早く買っておかなければ値上がりをするからというので、やっと獲得した。しかし退職等の時期が一年でなしに、一年半になった、そういうような例も私はあるのではないかと思うわけです。そういうような場合に対する考慮はありませんか。
  104. 細郷道一

    細郷政府委員 これは確かに現実には問題となり得る点があるわけであります。どの程度の年数でこれを区切ったらいいかという点は、なおよく研究をしたいと思いますが、ただ土地、家屋を購入する形態も非常に複雑に最近はなっておるのでございまして、必ずしも土地を買ってからちゃんと上に家を建てるというようなオーソドックスな行き方ばかりではございませんので、さかさまの場合もございます。建て売り分譲もございますし、いろいろな形のものがございますが、どこで線を引くかということは、研究問題ではございますが、にわかにどうしたらいいかというのもまたむずかしい問題だと考えておるわけでございます。
  105. 安井吉典

    安井委員 私の知っている人にこういうのがあるわけです。これはよくある例だと思うのですが、会社や役所にいるうちに、定年も近づいてきたというので、無理算段をして土地を買う、家のほうは退職金をもらってそれで建てるのだ、こういうケースがわりと多いのではないかと思うのです。ですから一年という期限を置くにしても、その間に建築が完成されなくても建築がそのときに少しでも始まるとか、あるいはまた建築を必ずするというふうな、たとえば手付金を大工さんに払うとか、何かそういうふうな一定の証拠を見届けてから、そういうような場合も適用するというふうな何か措置が考えられませんか。あるいはまたこの一年を二年にするとか、そういうふうなことも考えられないではないかと思うわけです。ただ、不動産業者に悪用されるというふうなおそれがあってはいけないと思うわけでありますが、まじめなそういうふうな大衆の生活につながる問題について、何らかの配慮はありませんか。
  106. 細郷道一

    細郷政府委員 どこで年数を引きましても限界の問題は起こるわけでございます。ことに住宅の場合は、目の前に見えて、建物ができるわけでありますが、土地の場合でありますと、それが見えませんものですから、本人の意思がなかなか捕捉しがたい、そういうふうなこともございまして、新築用の土地につきましては徴収猶予とか税額控除的な考え方を実は導入しているわけでございますが、そこいらも本人の主観のつかみ方が非常にむずかしいので、どうもこういった点につきましては、法律的に一時的に解決することもちょっと困難ではなかろうかと考えます。
  107. 安井吉典

    安井委員 ただしゃくし定木に考えていくということも一つのいき方ですけれども、もう少しこれはケース・バイ・ケースで考えなければならない場面も出てくるのではないかということを一応指摘だけして、御検討願っておきたいと思います。  そこで、不動産業者の場合の不動産取得税についての課税はどうでしょうか。現在正確に行なわれておりましょうか。
  108. 細郷道一

    細郷政府委員 非常にこれもむずかしい点がございます。しかし業態が外からわかっておるという点で、関係税務官署の間で連絡をすることによって捕捉を的確にしてまいりたい、こういういき方をとっておるのでありますが、なおなお今後くふうを要する点が多いと思います。
  109. 安井吉典

    安井委員 現実に農民から土地を不動産業者が買う、そして整地をして分譲住宅にして分譲をする、こういうことですね。農民の手から不動産業者、それから住宅の持ち主、こういうふうに三段にいく場合が最近多いと思うのですが、こういうふうな場合は、どういう課税方式でやっておるのですか、実態をひとつお話し願いたいと思います。
  110. 細郷道一

    細郷政府委員 そういう場合でも、一般的には一回ごとに取得行為があったものとして課税の客体になるわけでございます。もちろん法律的に軽減をされます場合は、御承知のように住宅金融公庫から金を借りたような場合、これは軽減されるような規定になっております。
  111. 安井吉典

    安井委員 間を一つ通り越していくというような場合もあるのじゃないかと思うのですが、法に定められておるとおりきっぱりいっておるのかどうかという疑問もあるのですが、そういう実態をお調べになったことはありますか。
  112. 細郷道一

    細郷政府委員 実はそれだけで調べたことはございませんが、不動産の取得自体が実質課税主義でございますが、現実には登記面その他による捕捉がかなり大部分を占めているわけでございます。そういう意味でなお十分な捕捉が行なわれていない、あるいは中間省略登記が行なわれるというようなこともあるわけでございますので、それらについてはもっぱら課税の技術上の手を加えていくことによってカバーする以外、いまのところではないと思うのです。
  113. 安井吉典

    安井委員 最近のおそるべき土地ブームといいますか、宅地ブームといいますか、そういうような実態があります。ちょっとした町なら、郊外へ行きますと、山が切りくずされ、たんぼが埋められ、各土地会社の言看板がかかっていないところはない。しかもそれが乱立をしている。こういうような実態を私ども見るわけです。したがって、この法律ができた時期といまとではそういうふうな違いがあるわけですから、最近のそういうふうな実態がどういうふうな課税になっているかというような点について、やはりこれは十分にお調べおきを願う必要があると思うのです。ごくノーマルな事態でありましたら私は別に申し上げる必要がないのですけれども、最近あまりにも宅地の問題について大きくクローズアップされている、こういうような事態をまのあたりに見るものですから特に申し上げているわけであります。この点ぜひ一そうの御検討を願っておきたいと思います。何か特にそれについてのお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  114. 細郷道一

    細郷政府委員 現場の徴税事務の問題でございますので、各府県まちまちでございますが、府県によりましては、やはり税務の職員が現実に見回りをいたしまして、土地なり家屋の現況の変化を捕捉するようにつとめておるというところもございますし、また関係市町村のほうと連絡をとって、そういう捕捉につとめるといったようないろいろ苦心をしておるのでございます。したがって、いま御指摘のようなことも、実は関係の税務担当者の打ち合わせ会などいたしますと必ず出てくる問題でございます。それぞれ切磋琢磨することによってなおつとめてまいりたい、かように考えております。
  115. 安井吉典

    安井委員 次に、電気ガス税の問題についても先ほど来いろいろ御質問があったわけでありますが、特にガスの問題ですね。現在三百円という免税点が置かれているわけでありますが、いまの免税点でガスは一体使用者のうちどの程度が該当しているのですか。電気と比べてお話しを願いたいと思うわけです。
  116. 細郷道一

    細郷政府委員 ガスは電気よりは確かに少ないのでございまして、約二割程度が適用を受けているもの、こう考えております。
  117. 安井吉典

    安井委員 電気の場合は。
  118. 細郷道一

    細郷政府委員 電気につきましては、従量電灯によるところがほぼ二割、定額によりますところは八割から九割の間くらい。
  119. 安井吉典

    安井委員 いま伺いますと、定額の場合は八〇%から九〇%くらいがほとんど三百円免税で落ちてしまう、従量制は二〇%というふうなお話でありますが、ガスはこれも従量制でありますが、それにしても三百円というふうな月の使用量なんというのはほんのわずか、二〇%ですかね、私どもの印象からいうともっと少ないような感じがするわけですがね、全使用者の数の二〇%ですか。そういう適用実態を電気とガスと比べてみても、ガスの場合は電気よりもさらにこの免税点の設定ということの意味があまりないのではないかというふうなことを強く感じるわけです。ですから、私は、むしろほんとうに公平な軽減措置をとるのなら、免税点よりも基礎控除というふうなシステムに直すことのほうが、全体的な減税として役立つのではないか。減税には役立つが税金があまり減り過ぎる、こういうふうなことかもしれませんけれども、そういう御検討はなすったことがありますか。
  120. 細郷道一

    細郷政府委員 基礎控除にいたしますと、御承知のように累進的効果を税負担としてはあらわすわけであります。したがいまして、非常に高度の生活をしている人にも何がしかの基礎控除のあれがある、こういうことになってまいるわけでありまして、そういった累進的効果をこの消費税としての電気ガス税に求めていいものかどうか、一つ問題点があろうと考えております。また電気ガス税自体をどういう性格の税と考えるか。家庭について見ますれば、御承知のように所得に非常に比例をしております税ということになっておるわけでありますが、そういうことからまいりますと、補完的な立場にあります電気ガス税について、所得課税に使われるべき基礎控除制度をさらに導入していいものかどうか、若干そういった点も問題があろうと思っております。したがいまして、私どもも実はガス、電気の問題、ことに免税点の問題はいろいろ検討もいたしておったのでございますが、本年度税率が下がったといったようなこともございまして、見送りをいたした次第でございます。近く電気ガス税自体についての検討を加えます際に、これもあわせて検討をしてみたいと思っております。
  121. 細谷治嘉

    ○細谷委員 関連。電気ガス税の問題についてどうもはっきりしないのでお尋ねするのですが、四百八十九条にこう書いてあるのですね。「左に掲げる製品の製造業を営む者又は左に掲げる鉱物の掘採を事業とする者がその事業所又は作業場において直接その業務の用に使用する電気に対しては、電気ガス税は、課することができない。」これが非課税規定なんですね。五%というのはどこにも書いてないのですが、どこに書いてあるのですか、お尋ねします。
  122. 細郷道一

    細郷政府委員 その点につきましては、税制調査会の御意見も得まして、この非課税に定める判定の基準をやはりきめておいたほうがいいではないかということで、当時その判定基準を政府部内においてきめたのでございます。それによりますと、基礎資材または新規産業の用に供するものであって、コスト中に占める比率がおおむね五%をこえるものを非課税とする、こういったような判定基準を実は政府部内できめたわけでございます。そういった意味合いから、法律的には表面に出ておりませんが、それによる取り扱いをいたしておるのでございます。
  123. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この四百八十九条を見ますと、おっしゃるように百二十品目あるそうでありますけれども、基礎資材、特に電気をよけい使うとか、あるいは電気化学製品、こういうものと、それから新しい工業の品目ということになっておるかと思うのですが、お尋ねしますが、いままでの答弁は全部五%、五%。ただ判定の基準として税制調査会意見も聞いて五%程度をめどとするというのです。五%というのを金科玉条としますと、端的に言うと、私の判断では、この品目、五%になるのがたくさんあると思うのです。そうしますと、たとえば小委員会等で資料をいただいたので、三%と四%で一般住民負担しているものが電気問題ではたくさんあるのです。電気の料金として。そうなってまいりますと、二、三年前に十品目ばかり除いた、こうおっしゃっておりますけれども、その十品目の品物を検討してみますと、実際には影響のないものばかり除いている。実際に影響のあるものは依然として残っておるのです。しかもお聞きしますと、五%、五%ということでありますから、そこまで固執されると、この品目ごとに電気の料金がコストの中にどの程度占めているか、ひとつ一覧表をいただかなければこれは判断できないと思うのです。お出しになりませんか。いかがですか。
  124. 細郷道一

    細郷政府委員 電気ガス税の非課税範囲につきましては、実は沿革もあるわけでございまして、二十三年に電気ガス税が地方税としてできましたときに、当時の特定の助成産業等について非課税に実は最初からいたしておったのでございます。その後毎年毎年これの非課税品目がふえてまいりまして、だんだんと判定に苦しんでまいったので、先ほど申し上げたようなことで一応の線を引いてまいったのでございます。したがいまして、現在入っておりますものの中には、その後の産業の事業構成の変動等によるものもあろうかと思っておりますが、これらにつきましても、今後電気ガス税自体の検討の際にやはりもう一度洗い直してみるべきではなかろうか、かように考えておるのでございます。
  125. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この法律を見ますと、二十二というのがあります。その次に二十二の二、こういうふうにこれは追加されております。一体二十二と二十二の二というのは内容はほとんど違ったものなんですね。竹と木を比べてつなぎ合わせたようなものです。二十四と二十四の二だって、これは一体プロセスとしては全く違うのですよ。これは追加したものに違いないのです。こういう並べ方だってきわめて非科学的です。私は、五%、五%で固執されるから、あえてこういう質問をしているわけです。したがって、私がお尋ねした品目ごとのコストの中に占める電気料金がどのくらいになっているか、お出しいただけるかどうか、これをはっきりお尋ねします。
  126. 細郷道一

    細郷政府委員 二十二と二十二の二は、法律改正をする際の技術的な規定の入れ方をいたしたものですから、ことにこの品目につきましての順序、配列等については、必ずしも一貫した考え方で配列をいたしておるわけでもございません。いろいろ沿革等もございましたので、若干順序不同のところがあろうかと思っております。
  127. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私はここまでは問い詰めないつもりだったのですけれども、あくまでも五%ということをおっしゃるから、問題は、四百八十九条というものについては、基礎品目については非常な大きな電気料金を伴うようなもの、一種の電気が原料的なものについては考えてやるんだ、新しい工業についてはやはり一人前になるまでは育ててやるんだ、そういう点で減免をしてやる、こういうことであればいいのです。そういう場合には、必然的にその工業が一年ごとに育っていって一人前になった場合は、これは除かなければいかぬ、日進月歩なんですから、取捨選択をしていかなければいかぬ。これを五%、五%で固執して、検討するといっておりますけれども、検討する意思がさらにないから、じゃ、ひとつ表を出していただかなければ納得できぬ。私が言うような趣旨で、この法律に書いてあるような線でおっしゃるならば、適当な時期に取捨選択をして、入れるものは入れる、削除するものは削除する、こういうことが必然的に生まれてくるはずであるのに、永久に確保しているのです。ですから資料を出していただけるか、いただけないか、そちらのほうの考え次第ですよ。
  128. 細郷道一

    細郷政府委員 ここにあがっております品目は、先ほども申し上げましたように、沿革的な理由も実はあるわけでございます。したがいまして、おっしゃるとおりに基礎資材的な、第一次製品的なものを優先するという考え方で、かなり沿革的に非課税に入ったものがあるわけでございます。その後いろいろそれに準ずるものなどが入ってまいりまして、そういったような関係がございまして、そこに何らかの線を引こうじゃないかというので、先ほど申し上げたような基準の線を立てたわけでございます。それがおおむね五%ということで、今後出てまいるものについての整理を実はいたしたような次第でございます。したがいまして、御指摘になりますような過去から入っております重要資材等については、若干五%欠けたものもあろうと思います。ございますけれども、むしろここの非課税の整理のしかた自体が、重要基礎資材あるいはあとから新規産業というのが入ったわけでございますが、そういった第一次製品的なものは、第二次以下の製品にも影響があるではないかといったような政策的な面で、これを非課税といたしておりますので、そういう意味で一つ一つを見てまいりますと、五%を割っておるものもそういう品目についてはあろう、こう考えております。
  129. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、どうなさいますか。五%割っておるものがあった場合にはどうするのですか。検討して……。
  130. 細郷道一

    細郷政府委員 三十六年にそういう基準をつくりましたときに、そういった意味合いもあって、実は若干の整理をいたしたわけでございます。その際に重要基礎資材的なものと、そのコスト中に占める比率とのかね合いで取捨をいたしておりますので、一応の整理は実はいたしたわけでございますが、なお先ほど来のお話の出ておりますような、電気ガス税自体についての考え方は、これは根本的に私どもも検討を要する、こう考えておりますので、そういうときにあわせてこの非課税の品目についてももう一回検討いたしてみたい、かように考えております。
  131. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私の質問に対してどうしても正確なぴしゃっとした答弁をしないのです。私が先ほど来やっているのは五%なら五%でけっこうです。ひとつこの品目ごとのコストの中に占める電気料金が、何%かということを出していただきたい、こういうことなんです。
  132. 細郷道一

    細郷政府委員 若干時間はかかりますが、品目ごとの表をつくってお出しいたします。
  133. 華山親義

    ○華山委員 関連して。電気ガス税についてでございますが、数日前からたびたび生産コスト、生産コストと言われますけれども、路面電車に電気税を免除しておるのは生産コストでございますか。
  134. 細郷道一

    細郷政府委員 この点につきましては、若干いまお話のありました非課税品目とは別の面での考慮を払ったものでありまして、やはり鉄道の料金が一種の認可料金になっておるといったような点も考慮して、そういうふうに措置をいたしておるものでございます。
  135. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、水道のほうには税金がかけてあるということは、これは認可料金ではないから差しつかえない、こういうことでございますか。
  136. 細郷道一

    細郷政府委員 水道は実は相当電気を使っております。計算のコスト上は使っておりますが、反面には水自体の原材料費が非常に安いというような面もございます。水道につきましては従来から議論があったのでございますが、水道の事業市町村営の事業がほとんどであるといったようなことから、同じ市町村内のことでもございますのと、いま申し上げたような理由から水道については現在課税になっておるわけであります。
  137. 華山親義

    ○華山委員 それは路面電車でも同じでしょう。路面電車だって東京都に入る。それで私は言うのでございますけれども、われわれの飲んでいる水に税金がかかっておることになります。消火するにも税金がかかっておることになる。そういうようなことは私は非常におかしいと思う。おかしな話ですけれども、イギリスではゆりかごから墓場まで社会保障といいますけれども、日本ではうぶ湯からお墓にかける水まで税金がかかっておる。そのくらい税金がかかっておる。そんな不合理は私はないと思う。これは大企業の過去のいろいろないきさつがあって制定されたものを整理すればその程度の税金は浮いてくると思うのです。そういう面におきまして、生産、生産といって生産面だけは一生懸命やる、国民の消費については考えない、そういうふうなものの考え方は間違えておるのじゃないか。私は水道等につきまして、一生の間税金のかかっておる水を飲んでいることは、不合理だと思う。ぜひこの点十分に御考慮を願って、生産ばかりでなくて、消費についても、水とかそういうものについての減免税ということを考えていただきたいと思います。  終わります。
  138. 佐野憲治

    佐野委員 大臣に先ほどから私の考え方を述べておったわけでございますが、どうですか、大臣。こういう雑種税、言ってみますと流通税で、これが復活した沿革から顧みても、こういう不動産取得税のようなものは廃止すべきでないか、かように考えるわけですが、特に皆さんが住宅政策の一つとして新築住宅に対する基礎控除の引き下げ、これは十五億ばかりの減税をやられる、あるいは新築住宅用土地税額控除によるものが十一億円等、非常に多額を占めているわけです。そしてまた固定資産税の場合におきましても減免措置がとられておる。私は住宅政策というものは、別に考えらるべきじゃないかと思う。ILOの労働者住宅等に対する基準、これらの条約を見てまいりましても、指摘されておられることと、いまの日本政府のとっておることと、どうも違った方向にあるのじゃないかということも感じますし、それから新築住宅に対するあるいは土地取得に対する控除のかわりに、一般の土地に対しましては五万円、あるいはまたその他の家屋に対しましては十五万円、その他に対しましては八万円、これの免税点を設けられておるわけです。いかにも大衆にも恩恵を与えているような形ではありますけれども、皆さん自身が税収の見込みの中においてこれだけの措置をとってもわずか三億六千六百万円だ。こんなちっぽけなものを計上しておられるわけです。不動産取得税そのものの持つ沿革的理由に顧みましても、やはりこういうものは廃止すべきではないか、こういうぐあいに考えるわけであります。そうして他面、土地宅地等をめぐるいろいろな問題につきましては、きのう税制調査会の松隈参考人もお話ししておりましたように、やはり別に土地増価税なりあるいは空閑地税なりそういうことによって捕捉していくことが正しいのじゃないか。もう不動産取得税そのものは存在理由を失っているのじゃないか。大臣の、県財政需要の増加並びにその財源を失いたくないという気持ちもわかりますが、こういう雑種税、大衆課税、こういうものを存置しておくのはおかしいじゃないか。繰り返し申し上げますように、わずか十万円の土地を取得しようとする農民、この中に税金を持っていこうとする。家屋と作業場を分離したい、近代化設備資金を借りて、しかもわずかの小屋を建てる、トラクター、耕うん機あるいはテイラー、こういう小規模な機械を入れる、そういう家屋に対しましても遠慮なく税を徴収する。しかも基礎控除すらこれに認めない。しかるに片方におきましては基礎控除を認めておる。あまりにも不均衡な形になっているのじゃないか。地方団体があって、住民立場を全く忘れているような典型的な税収の一つじゃないか、かようにも考えますので、十分ひとつ御検討願いたい、かように希望申し上げておきます。  すでに時間もおそくなっておりますし、永田委員も質問されそうだし、安井委員が社会党の立場から総括質問を行なうそうでありますので、私はあと一点で打ち切りたいと思います。  固定資産税の新しい評価に伴って、特に田畑を通じて見てまいりますと、北海道、東北、北陸が非常に高くなって引き上げられておる。これは一体どこに原因があるのか、この点に対しておわかりでしたら説明願いたいと思います。
  139. 細郷道一

    細郷政府委員 田または畑につきましても御承知のように売買実例価額によっておりますので、その傾向があらわれておると思うのでございます。
  140. 佐野憲治

    佐野委員 私はそこで思い起こすわけなのですけれども、たとえば三十五、六年の豪雪あるいは三十八年の豪雪、このときに豪雪地帯特別措置法が生まれてまいった。いわゆるその中に生まれました審議会、におきましても、北海道、東北、北陸の積雪寒冷地帯、これらに対するところの、固定資産税に対する特例措置を設けるべきではないか、こういう論議が真剣にいま続けられておるところでもありますし、衆議院における災害対策特別委員会におきましても、自治省の皆さんをお呼びいたしまして、その委員会の中で、前の固定資産評価の基準でありますけれども、おかしいではないかという点がいろいろの角度から指摘になったことを思い起こすわけですけれども、そういう中で、前の固定資産評価基準、この中におきましては、たとえば農地につきまして府県別反当たり平均価格を七〇%、その他の総合指数が三0%組まれておったわけですが、この中に積雪に関する要素が取り上げられておったと思いますが、今度の新しい評価基準によりまして、その中における基準項目ですか、この項目の中からこれらの要素が欠けてしまってきておる。こういうことも一つの原因になるのではないかという感じもいたしますが、これに対してはどうかをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  141. 細郷道一

    細郷政府委員 売買実例価額によることになりましたので、売買実例価額自体がその時価を反映しているという考えに立ってやってまいったわけであります。ただ、いろいろ御指摘の点につきましては、これをどういう税負担に移していくかという過程については検討すべき一つ事項であろう、こう考えております。今回の暫定措置におきましては、前年程度に農地を全部押えておりますので、今回の措置と関連をしては考慮をいたさなかった次第であります。
  142. 佐野憲治

    佐野委員 大臣にお伺いしておきたいと思いますが、こういう積雪、あるいは豪雪、長い歴史の中で苦しんでまいった、しかもこれを救済するために固定資産税の場合におきましてもいろいろな要素が組み入れられておりますし、あるいはまた交付税の中におきましても補正措置がとられておるわけです。そういう点をこういう新しい評価基準をつくる場合におきまして、十分検討していただきたいと思いますし、田畑が売買実例価額だからそういう要素を取り除いたのだ。そのことが、東北、北海道、北陸は豪雪により、積雪によって生活の水準なり産業基盤を非常に脅かされておる。そういう固定資産に対しまして、やはりある特別な基準を設けるべきではないかという点に対して、大臣の所見を伺っておきたいと思うわけです。
  143. 早川崇

    早川国務大臣 この問題は固定資産税でこれをするということは、なかなか困難な事情もあろうと思いますが、御承知のように、薪炭手当とか寒冷地手当というような面もありますし、また交付税の算定基準を積雪の度合いによって考えるという措置もとっておりますし、その他いろいろな面からこういった地域に対しましては考えていかなければならないと思います。  特に北海道、あるいは日本海沿岸につきましては、交付税の辺地のかさ上げもやっておりますし、公共投資その他の面におきましても特別の格差是正に努力をいたしておるわけでありまして、固定資産税はあくまで売買実例価額プラス限界収益率の五五%でせよというような基準によっておりますので、いま直ちに佐野委員御要望の形の補正はできませんけれども、地方財政全般として、また国の政策全般として、積雪地に対しましてはすでにかなり厚いいろいろな施策は講じておるわけであります。今後一そう地方財政全般として考慮してまいりたい、かように考えておる次第であります。
  144. 佐野憲治

    佐野委員 ただいま大臣は手厚い保護と申されますけれども、具体的に一体何があるか、こういうことをいまこの席で論議すべきでないと思います。別の機会にまた論議を進めてまいりたい。ただ固定資産税の場合におきまして、いままでありました要素が取り除かれておる。しかしながら家屋の場合におきましてはこれがやはり存置されておる。こういう点にも矛盾を感ずるわけですけれども、しかしきょうはもう時間の関係がありますので、別の機会にこれらの点に対しましてもお聞きいたしたいと思いますが、これに対する率直な、特に家屋の場合におきましては、そういう減耗なりいろいろな積雪による諸条件というものが組み入れられておる。田畑の場合におきましてはそれを取り除いておる。しかも災害という項目が生きてまいっておる。しかも災害基本法の中におきましては、この委員会において審議いたしましたとおり、特に積雪をも災害として災害基本法の中に定義づけたわけです。しかるにもかかわらず、積雪による諸要素に対するところの減耗その他が取り上げられていない。一年のうち半分雪の中にあって土地を耕すことができない。しかもその乏しい土地の中にあって、売買価格は異常な指数を示しておるであろうと思われます。そういう中において、こういう特殊な諸要素というものを認めない。家屋の場合におきましては、前回の方針を貫いておる。これらにつきましてももっとわかりやすい御説明をお願いしたいと思います。  と同時に、関連いたしまして、最後に、税制調査会の松隈さんにも御検討を願っておったわけですが、たとえば国有林が七百五十万町歩ある、そのうち六百四十七万町歩までが北海道、東北、北陸に偏在をいたしておる。委員長の森田さんの青森県は、五〇%までが国有林で占められておる。福島県は四十二万町歩だ。全国の順位をとってみますと、すべてこれらの地帯に偏在をいたしておるわけです。そういう中で固定資産税対象外になっておるわけですが、これらの点につきまして、何かこれらの地方団体に対する別の財源措置を必要としておるのではないか。このことは、すでに基地交付金なり、あるいは三公社からの交付金、そういう制度がとられている中で、それらのことが今日まで忘れられておるのではないかという点も感ずるわけでありますので、それらの点に対しまして、税制調査会といたしましても、やはりそれらの不均衡是正のために何かの措置をとることを検討したい、かように申しておるわけですが、この点に対する大臣の所信をお尋ねいたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。
  145. 早川崇

    早川国務大臣 今回の固定資産税の再評価は、全く画期的な評価がえでありまして、私はそういう意味で、固定資産評価審議会の方々の非常な努力に感謝しておるのですが、何ぶんにも問題が大き過ぎますので、いま佐野委員の申されましたように、いろいろ御意見があろうかと思うわけであります。したがって、そういった寒冷地の補正の問題と今回の評価というものは、人間のことですからいろいろ改むべき点はあろうかと思います。十分御意見を承りながら、次の評価がえの御参考にし得る資料とさせていただきたいと思うわけであります。  ただ最後にお尋ねの国有林、国有財産の交付金につきましては、あれは五年ごとの評価になっておりまして、御指摘のように、北海道、東北等には非常に多くの国有林があるわけであります。それに伴います交付金の評価その他が妥当であるかどうか、もし著しくこの評価がアンバランスであるという場合には、市町村長から自治大臣に異議を申し立てる制度になっておるわけであります。そういう場合には、ぜひひとつ自治大臣に異議を申していただきまして、適正な評価による交付金にできるようにせっかく私も努力をいたしたいと思っております。  なお交付金制度それ自体をどうするかというような問題につきましては、これは法律改正を必要とするわけでありますが、税制調査会においても、何でも税制調査会で逃げて恐縮ですが、松隈君あたりが非常に熱意を持っておられるようでありますから、この問題も含めまして税制調査会に御検討願うように推進してまいりたいと思っております。
  146. 森田重次郎

  147. 永田亮一

    永田委員 大臣にお伺いいたします。  現行大衆飲食店の免税点は、昭和三十六年度改正されたままになっております。最近における物価の上昇、あるいは生活水準の向上を反映しまして、飲食料金が相当上昇していることは事実であります。これらの事情を考えるならば、大衆飲食店における料理飲食等消費税の免税点の引き上げを検討すべきであると思うのでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  148. 早川崇

    早川国務大臣 現行の免税点は、仰せのとおり昭和三十六年度改正したものでありまして、この制度により、昭和三十七年度の実績から見ますと、大衆飲食店における飲食の九〇%程度は免税になっておると考えております。ただ御説のように、飲食店等におきましては、人手不足とか材料費の高騰とかの事情から、一部の飲食料金について若干の上昇が見られるようになってまいりましたことは事実のようでございます。この状況が全国的にどの程度のものとなっておるか、調査を進めてまいるつもりでありますが、その結果免税点を引き上げる必要があると考えられる場合には、明年度の税制改正にあたりまして具体的な措置を検討いたしてまいりたいと思います。
  149. 森田重次郎

  150. 安井吉典

    安井委員 大臣に率直にお尋ねをいたしたいと思います。時間もだいぶ迫っておりますから、私のほうもできる限り問題点をまとめてお尋ねをいたしたいと思いますので、大臣のほうもひとつ歯に衣を着せずに率直におっしゃっていただきたいと思うわけです。  まず第一番目に、私は今度の地方税法等の一部改正法案ほか一法案審議にあたりまして不満を感じます点は、大体におきましてこの法案提出が二月の二十七日になされたということです。この法案の内容では、四月一日から実施に移されなければならない、国会を三月三十一日までに通すというようなことの必要性法案の中から感ぜられるわけでありますが、それにもかかわらず二月の末に出してきて、三月の初めから衆議院の審議が始まって三月一ぱいに参議院を通さなくてはいけない、こういうような形で法案をお出しになったということです。国税の所得税とかその他の問題は、全部一月の末に国会提出されております。そうして、いまちょうど大蔵委員会でも上がる時期にきておる。一カ月違うわけです。しかも国税の各法案は単独法でありますが、地方税のこの法案は、各税目が全部一つ法案の中にからめてあるわけです。これくらいの審議期間で今度の国会中における地方自治体に対する一番重大な改正法案審議国会に求めてくるという態度自体に私は問題があると思うわけです。過ぎたことをいま言ってもしょうがないかもしれませんが、私どもはそれらの政府態度に対して、全体委員会はきようで六回目、小委員会も六回やりました。十二回の審議をこの短い期間に重ねるというような協力ぶりを国会は示したわけでありますが、そういうふうな事態にあらかじめさせないで、十分に国会審議がゆっくりとできる、そういうゆとりを持って、特にこのような重大な法律案については御提出時期について十分な考慮がなさるべきだと思うわけですが、その点いかがですか。
  151. 早川崇

    早川国務大臣 実は非常に画期的な住民税法の改正の問題がありましたし、また政治的な料飲税その他いろいろな問題がございましたので、国税と違いまして提出がおくれましたことは、まことに申しわけなく思っておるわけでございます。にもかかわりませず、野党の皆さまの非常に熱心な御協力によりまして、今日まで他の委員会で見られないようなスピードでこの地方税の御審議をいただきましたことは、主管大臣といたしまして深甚なる感謝の意を表したいと思うわけであります。今回はそういう事情で、国税に比べましてあまりにも問題が多かったために提案がおくれましたが、今後はだれが大臣になりましても、この地方税その他の改正にあたりましては十分ひとつ御趣旨に沿うように努力すべきものと私は考えておるわけであります。
  152. 安井吉典

    安井委員 この地方税法の改正に関する法案がおくれるということは、三十九年度における地方財政計画もおくらせたし、地方自治体にとって全体的な問題処理のおくれを意味するわけであります。私どもは、だいぶ大臣から感謝のことばをいただいたわけでありますけれども、しかしながら自治体の立場からすれば、もう予算はすでに各自治体とも通常議会を開いて結論を出さなければならない段階において、国会をいまだに通すことができない。こういうような事態を私どもは二度と繰り返したくないわけです。これはことしだけの例でなくて、毎年そうなんです。去年もたしかそうだったと思います。おととしもそうではなかったかと思います。そういう点について、政府に対し、ひとつ今後において十分な配慮をいただきたいと存じ、警告を申し上げておく次第であります。  さて、法律案につきまして、まず今度の改正の中の重要な点であります市町村民税所得割課税方式を、ただし書きを廃止することによって本文方式統一をするという行き方、さらに準拠税率標準税率制に改め制限税率を設けるという考え方につきましては、これはわが党の年来の主張でございまして、ようやく政府もその点に踏み切ったということについては私どもも賛意を表する次第です。ただ、この進め方につきましては、私どもは、問題があるし、そういうような意味の修正案提出をするというつもりでいるわけでございますが、一点特に伺っておきたいことは、減収補てんの問題であります。われわれは、あくまでも今度の減収に対する補てんは国が責任を負ってその年その年限りに補てんをしていくという仕組みで、かつて固定資産税税率引き下げのときの主張にも一時出たわけでございますが、それからまたその他の機会にも、現に実行されておりますような臨時地方交付金制度、そういうようなものをもってあくまで補てんをすべきだという主張をいたしているわけです。この主張は別に私どもの単独の考え方ではなしに、自治省自体が一番最初お持ちになっていた考え方です。私は、自治省が当初お持ちになった考え方を途中でお捨てになったのはたいへん残念なことで、やはり最後までその主張で通さるべきではなかったかと思うわけであります。その点、ひとつ大臣のお考え方を伺いたいことと、それからこの減税に対しての補てん措置は毎年毎年逓減していくわけでございますが、市町村立場からの心配は、減税されただけ必ず補てんがうまく行なわれるのか、自治省の側は、交付税の中でも傾斜配分でそういうふうな補てん措置がうまくいくのだというふうなお考え方を持っておられるわけです。そういうふうな御説明を承るわけでありますが、減っていって、毎年の減収補てん公債、その残りの分が必ず埋まっていくという保障がどこにあるのかという点。それからもう一つは、交付税で埋めるというふうなお考えでありますが、交付税の総ワクのいまの二八・九%というワクの中で処理するという点においては私どもは誤りがあるのではないか、かように考えます。その点は、なるほど国税三税のほうは伸びていくわけですから、総ワクも、二八・九%の同じ交付率をもってもふえていくことは確かです。しかしながら、そのふえていく交付率というものでも、これは大都市のほうも財政需要がずいぶんふえてきて、しかも都市の赤字というものが最近増大しているという傾向が一つあるわけですが、そういう三税からの見返りのふえていく分は、都道府県市町村全体の金として扱わるべきです。それを、ただその一部を削って力の弱い財政団体にやるということは、同じ市町村及び都道府県の自治体間の財源をただ右から左に移すだけ、こういうような措置に終わるのではないか。減税補てんの意味を含めた傾斜配分が行なわれるとすれば、外ワクの交付税の税率そのものをふくらませていく作業がどうしても必要ではないか、そういうことがなければ、市町村の共食いという形に終わるのじゃないかという考え方を持つわけであります。この補てんの問題は、きわめて重大だと思いますので、ひとつ大臣よりお考えを承りたいと思います。
  153. 早川崇

    早川国務大臣 最初の御質問の、補助金で国が全部補てんしていくのを年年していけという御主張に対しましては、このような三百億の画期的な減税でございまするから、その年度年度の人たち負担さすよりも、長期に起債によりまして負担を分けながらいくという考え方に立ちまして、財政も苦しいものでありまするから、特に国の三分の二の補てん総額は七百三十億をこえる大きい金額になりまするので、これを起債の元利補給という措置によりまして多年度にわたって国民負担してもらおう、こういう措置財政上やむを得ずとらざるを符なかった次第でございまして、この点は御了承賜わりたいと思うわけであります。  次に、二割ずつ五年間に逓減してまいりまするから、大体六十億円をピークにいたしまして年々ただし書き町村の財源がそれだけ減っていくわけでございます。これに対しましては、補てん分は全体の交付税の中からもちろん補てんもし、国の元利補給をいたしまするが、二割ずつ減っていくこの財政不足に対しましては、われわれは従来に引き続きまして、低種地市町村の態容補正、また今回提案されておりまする交付税の改正による市町村基準税率引き上げ、また辺地市町村対策その他後進地方の市町村へのいろいろな対策をあわせまして、交付税全体、地方財政全体として吸収していくという方向に持ってまいりたいと思うわけでございます。現在すでに実施しておるこの格差是正の方針ではなお不十分な点も出てまいると思うわけでありますけれども、これは交付税全体という大きい地方財源のプールの中から、多少富裕な市町村に与える毛のを削ってもこのただし書き町村のように貧弱な市町村に対しましては御迷惑をかけないように最善の努力を続けてまいりたい、こういう所存でございます。
  154. 安井吉典

    安井委員 いま大臣の御答弁でございますが、私はあくまでことし補てんのために必要であった金を一種の赤字公債的に後年度に返還を延ばしていもという考え方は納得できませんし、さらにまた、交付税の総ワクをふやす措置なしに、現在ある交付税のワクの中で財源配分をやっていくという考え方も、先ほども指摘いたしましたように、地方自治団体間の財源の共食いというふうな考え方でありますから賛成いたしかねるわけであります。それより方法がないと大臣は言われるわけでございますが、この点は、やはり大事な点でございますので、今後さらに御検討おきを願いたいと思うわけです。  次に、今度の改正では、道府県民税の問題については何らお触れになっておりません。私どもは、比例税率制度であります現在のあり方を廃山して、再び超過累進税率方式にまた逆戻りさすべきだ、そういうような中から低所得者減税、さらに一般的な減税措置を講ずべきだという主張をかつて法律改正案として国会提出したことがございましたが、その点は今日もなお捨てていないわけであります。あくまでも、負担均衡を最も合理的に果たすという道は、累進税率方式でなければならないというふうに考えるわけでございますが、この点はいかがでしょうか。
  155. 早川崇

    早川国務大臣 先ほども申しましたように、地方税というものは、負担分任あるいは応益という性格がございまするので、累進課税のほうは国税のほうをひっくるめて県民税と考えますと、その面で、所得の多い人は全体としてはやはり累進課税として相当な負担を負わされておるわけでありますから、さらにこれを府県民税において累進課税というような国税の方式をとれという御意見も一応ごもっともでありますけれども、われわれといたしましては、やはり地方税の性格上、比例税率といいますか、そういった方法をいますぐ改めるという意思はないのでございます。
  156. 安井吉典

    安井委員 この道府県民税に対する減税措置が全くないということと、それから先ほど佐野委員が指摘いたしましたように、道府県民税及び市町村民税において、すべて基礎控除だとか配偶者控除、扶養控除等について今回の改正では一切触れられていないという点から、現実には相当程度の増税が起きてくるわけです。なるほどただし響き方式を実施しておりますところについては、その内容が変わってまいりましたので減税にはなりますけれども、本文方式で現実に課税が行なわれているところについては、そうしてまた、課税人員からいうとただし書き方式の課税人員より本文方式の課税人員のほうが国民全体の中では多いわけです。その人たちについては、名目的所得はこの数年間の物価騰貴にからんでふえてきているわけです。ふえてきているにもかかわらず、各種の控除がそのままなものですから、結局増税というかっこうになるわけです。なるほど大蔵省や自治省の考え方は、そういうのは自然増収というのです。こういうふうに言うのです。しかしながら、物価の値上がりに見合う分くらいは控除額を上げるということにすれば、それによってそういうような問題は措置できるわけです。全部が全部減税に向けなさいと私は言うのではありませんけれども、やはり物価がどんどん上がっている、こういうふうな実態、それによって名目所得だけは上がっているわけです。それに見合う分くらいの減税措置は、地方税の中でも私はやるべきではなかったかと思うのでありますが、この点、いかがですか。
  157. 早川崇

    早川国務大臣 私は、今年度の税制改革で従来と画期的な一つの前進と申しますか、意義があると思いまするのは、従来地方財政の場合には、減税ということをなかなか言わなかったわけです。仕事をやれやれというものが多くて、住民税負担を軽くするということも、地方行政の大きい柱であるという従来の私の考えでありますが、そういう面から、今回一番切実な住民税ただし書き方式の廃止ということに踏み切ったことは、市町村長さんの側からいえば、苦しい財政のときにどうかという御意見もありましたけれども、私は一つの大きい前進であったと思うわけであります。その思想からいえば、府県民税その他につきましても、安井委員の言われるようにできるだけ減税したい。しかし、片方投資的経費その他住民の福祉のための経費が非常にふえてまいりまして、財政全体が窮屈でございますので、こういったジレンマに立たされるわけでありまして、地方財政が非常に豊かになり、窮屈でなくなる、またそういったものの減税による補てんを国としても考え得るというようなときがきましたならば、その問題も地方行政の一つの仕事でありますから、住民負担を軽くするということは私は十分検討すべきだと考えるのでありますが、現在におきましては、御承知のような財政状況でございます。いま直ちにこれを御要望の線に沿って減税をはかっていくということは、少し時期尚早である。将来の問題として検討さしていただきたいと思います。
  158. 安井吉典

    安井委員 来年度の税制改正のときに、私いま申し上げましたような問題点は考慮されますか。
  159. 早川崇

    早川国務大臣 検討することを検討いたしたいと思います。
  160. 安井吉典

    安井委員 そういうふうなあいまいな態度では御答弁にならないと私は思うのでありますが、繰り返しても水かけ論になりそうでありますから、私どものほうも、そういうふうな態度ならば、われわれはほかにこれらに見合うような十分な財源があるという見方から、今後ともそういうふうな減税措置がきわめて重大であるということを主張し続けてまいりたいと思うわけです。ひとつ十分にお考えおきを願いたいと思います。  次に事業税につきましては、特に個人事業税について、これは二重課税のような性格のものだから、個人専業税はもう全廃してくれというふうな要望が中小企業者の中に多いわけです。特に最近は、ちょっとした事業はすべて法人成りをしてしまう。ですから、残されております個人事業体というものは相当限られたものになってきているという実態があるのではないかと思うのです。この点について、私どもは直ちにこれを全廃することはできないにしても、たとえば事業主控除引き上げていく、あるいはまた専従者控除も引き上げていく、こういうふうな措置があってもいいのではないかと思うわけです。特に専従者控除は、賃金水準がこの二、三年大きく上がっている段階でございますから、現行では青色申告の場合が八万円、白色申告の場合には五万円というふうな実態は、現実の中小企業の実態とあまりにもかけ離れてい過ぎるのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、いかがですか。
  161. 早川崇

    早川国務大臣 われわれといたしましても、個人事業税をできるだけ軽くして事業主控除引き上げたいのでございますが、住民税の課税最低限とのバランスを考えまして、今回は月二十二万円程度に引き上げたわけでございます。  さらに、専従者控除をもっと引き上げたらどうか、こういう御指摘でございますが、これまた事業税収入というものを勘案いたしますと、まず住民税のほうを先に考慮するという考えに立ちましてこの問題も慎重に考慮してまいりたい、御指摘の点は、まことに私たちも今後検討に値する一つの御意見だと思っておるわけでございます。
  162. 安井吉典

    安井委員 いま都道府県税の関係でございますので、その都道府県税の中の問題点一つであります料飲税について、ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。この問題については、この委員会で初めから終わりまでずいぶん繰り返されておりますので、同じ点を同じような形で繰り返すことは私はやめたいと思いますが、やはり外人に対する料飲税をかけないという問題は、これはもうどう考えても問題であると思います。そういう措置によって外国人が日本に来るのが減るというふうなことでもないし、そういうような措置があるから日本のオリンピックには行かないことにきめた、こういうようなものでもないと思います。なるほど日本のそういうふうな仕組みがあるいは目ざわりになる人があるかもしれませんが、しかし、日本の国民はすべて払っているのだということがわかれば、これは納得できるはずです。つまり外人に対する料飲税が問題ではなしに、料飲税という仕組みが日本の税法の中にあるということ自体が問題ではないかと思います。ある以上は当然払ってもらう、これでなくてはならないと思うわけです。ヨーロッパの国々でもこういった種類の税をとっている市があるようです。国税にはもちろんございませんが、市町村税としてはあるようです。しかし税率は非常に低い。だから、あまりみんな気づかずに払ってきているという実態があるのではないかと思います。ですから、そう外人のことばかりを気にしたような法律をお出しになる必要はない。先ほど川村委員からも指摘がありましたように、この料飲税は戦後の遺物として残っていたわけです。それを国会はやめたわけです。やめたやつをいまさらまた復活をするというのは、何かやめたときの理由がいま別な形に変わったのかどうか、その点が大体疑問になってくる点だと思います。  先ほど来、ずいぶん応答が繰り返されておりますので、そういう点の指摘だけにいたしておきたいと思いますが、それだけの余裕財源があるのなら、やはり私どもは、旅館での宿泊については、現在は控除が八百円で免税点が千円ですね、こういうふうな仕組みや、あるいはまた大衆的な飲食店において、現在の免税点が五百円になっている、こういうようなものをこそ引き上げるという措置に出る政治がほんとうの政治だというふうに考えるわけです。現在旅館は、免税点は千円にはなっておりますけれども、千円以下の旅館なんというのは全国的にも少ないのではないかと思います。いなかへ行きましたらあるいはそういう特殊なものもないではないかもしれませんけれども、やはり免税点は少なくも千三百円くらいに上げるとか、控除も千円くらいに上げるとか、あるいはまたおでん屋でも、ごく簡単な食事をし、お酒を一本よけい飲んだらもう五百円というワクをはみ出るわけです。これくらいの点について、思いやりのあるそういうふうな税法改正をぜひ自治大臣に提案をしてもらいたかったわけであります。先ほども、永田委員からの質問に対して自治大臣の答弁がございましたが、この地方行政委員会は、地方税法をきめるときに毎年年中行事のように附帯決議をこういう形で出しているわけです。その附帯決議に対して、大臣はいつも判で押したように、善処するという答弁を続けてきているわけです。しかし、この何年か全く実行に移されておりません。やはり先ほども御答弁がありましたけれども、こういうふうな大衆的な宿泊や飲食に対する減税は、たとえ高級料亭における税率引き上げても実行すべきだというふうに考えるわけです。重ねて大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  163. 早川崇

    早川国務大臣 外人の遊飲をするものの免税よりも、免税点を引き上げろ、こういう御意見でございますが、私は、日本人はよそのお客さんにはいろいろあたたかくする、サービスするというりっぱな伝統もありますので、外人の免税が治外法権だと言うことは私は賛成できないのであって、むしろ日本は大国でありますから、お客さんにはその遊飲税を、せっかく来てくれる方に免税するという措置をとったわけであります。友遠くより来たる、楽しからずやという気持ちであります。  そこで、現在の遊飲税の免税点でございますが、たとえば千三百円の宿泊料金を支払う者に対する税額を計算いたしてみますと、基礎控除が八百円でございますから、五百円の一〇%相当額五十円がその者の負担になるわけでありまして、かく考えますと、この宿泊に伴う遊飲税というものはそう過重なものではないと私は考える次第でございます。したがって、そういった大衆負担をできるだけ軽くしていくということはわれわれの望むところでありますが、現在五百億円近い遊飲税の財源でありますので、そういったことも考えながら今後十分検討してまいりたいと思っております。
  164. 安井吉典

    安井委員 どうも先ほど来の御答弁は検討、検討でございますが、やはり一つぐらいはほんとうに真剣に取っ組んでいただかなければ私は困ると思います。ぜひ真剣にお取り組みのほどを願っておきたいと思います。  不動産取得税につきましては、先ほど佐野委員から詳しい御質問がございましたので、そう繰り返して申し上げる必要はないかと思いますが、ただ先ほど佐野委員の御指摘にもありましたように、固定資産評価制度調査会の答申の中には、問題点をしぼって三つになっていると思います。全国の市町村間のアンバランスを正しくするという考え方一つ。それから同じ資産の中でも、土地、家屋、償却資産の間のアンバランスを是正するという考え方一つ。それからもう一つは、同じ国税及び地方税のそういう仕組みの中でも、国税では登録税や贈与税や相続税がある。道府県税には不動産取得税がある。市町村税には固定資産税や都市計画税がある。こういうふうな各税種ごとに評価がまちまちだから、これを正しくしなければいけないという、この三つのアンバランス是正の方向というものが強く出ていたと思うわけです。ところが固定資産税に関する問題については、一応政府方針を通すのだということで、この間うちもだいぶ大臣と論戦をしたこともございますけれども、そういうことでどうしても新評価を通すのだというふうにおっしゃっているわけでありますが、その中においても、この三年間は課税標準を据え置き、あるいは一・二倍程度にとどめる、こういう御方針を出されているわけです。ところが、そういうふうな考え方とは全く無関係に、不動産取得税のほうは新評価をそのまま導入していくという考え方です。だから、私はあとで固定資産税の恒久的な対策について大臣のお考えをただしたいわけでありますが、不動産取得税の中では新評価をそのまま通すのだという考え方があることからすれば、固定資産税についての恒久措置についても、自治省の考え方は、先日来のいろいろな質疑の中で、恒久措置についてはあまり心配は要らないのだというふうなおっしゃり方をなさっているわけでありますけれども、この不動産取得税については、新評価をそのままの形で適用していくという考え方を拝見いたしますと、非常に不安が増してくるわけです。固定資産評価制度調査会の答申の方向とはずれた行き方が、現実にすでに行なわれているのではないか、そういう疑問を持つわけでありますが、いかがですか。
  165. 早川崇

    早川国務大臣 固定資産税を再評価したときに自治大臣として考えましたことは、固定資産税については、全体としては増税しない、せいぜい自然増収程度にしよう、こういうことで逆算をいたしまして、しからば全体として固定資産税は一割程度ぐらいの増収という場合に、評価をどう振り分けするかという問題に逢着したわけであります。その結果、御承知のように、宅地なんかは平均四倍にのぼっている。農地は一・二倍、償却資産は大体前年並み、こう振り分けていきますと、絶対額でふやさない場合に、なかなかむずかしい問題が出てくる。そこで一・二というものを頭打ちとしまして、農地は上げない、家屋と償却資産は九七%というふうに落ちついたのでございまして、これはあくまで税制上の配慮からであるわけであります。ところが不動産取得税の場合には、御承知のように、相続税にいたしましても、登録税にいたしましても、時価によって国税は税金をとっておるわけであります。不動産取得税は、先ほども申しましたように、買う人に百分の三かかるわけであります。いわば十分財力のある人が不動産を買うわけでありまするから、投機的な売買というものを抑制するという意味からも、また国税とのバランスをとる意味からも、これだけは新評価というものによりまして課税するという措置にいたしたわけであります。ただしその場合に、庶民階級の住宅用に獲得するわずかな土地というようなものは、これは当然免税点を設けまして、その面では大衆負担というものを過重にしないような措置もあわせてとったわけでございます。
  166. 安井吉典

    安井委員 小委員会においていただいた資料によりますと、不動産取得税は、家屋については、三十八年度の税収は百五十億円、三十九年度は百五十四億円、まあ大体四億円ぐらいの増収になるという見込みです。ところが土地については、三十八年度土地からあがった税は三十億円、三十九年度は九十二億円、大体三倍に自治省は一応見込んでおられるようであります。家屋については大体横ばい、土地についてはやはり不動産取得税評価額引き上げることによって三倍の税金をとるのだ、これは同じ人からとるのじゃないからいいだろうと言われるかもしれませんけれども、とにかく三倍の税収を見込んでおられるようであります。このことから言いましても、この増収分は大衆負担に直接関係があるかどうかわかりませんが、いずれにしても増収を企図するような形でこの不動産取得税の新評価適用というふうな形をとっているのではないかということを私ども心配するわけであります。この点、先ほどの大臣の御説明ではございますが、私どもまことにふに落ちないわけです。いかがですか。
  167. 早川崇

    早川国務大臣 家屋につきましては、御承知のように評価がそう上がりませんので、それだけの増収を見込めなかったわけでありますが、土地は、御承知のように都会周辺は四倍、多いのは十一倍というような値上がりの状況でもありまするし、経済の高度成長に伴いまして、大会社が土地を売買するのが非常に多いわけであります。ですから、そういった面におきまして、この評価の値上がりと会社の工場用地取得というものの増加を見込みまして、住宅よりも大幅に増収が見込まれる、こういうわけであります。
  168. 安井吉典

    安井委員 問題が固定資産に移ってまいりましたので、固定資産税の問題について若干伺っておきたいと思います。  固定資産税収益課税なのか、財産課税なのか、どういうふうに御理解されておりますか。
  169. 早川崇

    早川国務大臣 財産課税と考えております。
  170. 安井吉典

    安井委員 そういう御理解から、私はこれから行なわれる課税の方式について問題が発生してくるのではないかと思います。収益を無視するような形で固定資産税の課税を考えておられる。こういうものの考え方自身に私は大きな誤りがあるのではないかと思うわけです。いま暫定措置はお出しになっておりますけれども、恒久措置についてもその考え方を貫いていかれるわけですか。
  171. 細郷道一

    細郷政府委員 いまのところ、固定資産税につきましては、いろいろ分類のしかたがあるかと思いますが、いわば個別財産税といったような考え方に立っておるわけであります。ただ、どこから税金が払われるかといいますれば、やはり収益を予想しての財産所有という実態に課税をするという考え方に立っておるわけでありますが、先般来、税制調査会におきまして、新評価によります税負担をどういう形で求めるかという過程でいろいろ御議論をされている中では、固定資産税のそういった本質についてもなお検討をする余地があるのではないかというような議論が出ておりますので、今後税制調査会で検討の過程においては、そういう問題にも触れながら全般的な検討が行なわれるものと考えております。
  172. 安井吉典

    安井委員 それでは、固定資産税の本質といいますか、性格については、政府の見解がきまっていなくて、これからの税制調査会審議に待つ、こういうことですか。
  173. 細郷道一

    細郷政府委員 現在私どもは、先ほど申し上げましたような個別資産税である、資産を所有することによって担税力がある、こう見ておるわけでありますが、先般来の税制調査会では、そういう御意見も一方で出たわけであります。昨日の参考人の意見の中にも、一部そういった意見があるということの御披露がございました。そういったこともあわせて議論になるであろうということを申し上げた次第であります。
  174. 安井吉典

    安井委員 それでは、固定資産税につきましての三年間の暫定措置については、私どもは農地以外の土地課税標準をどうしても二割上げなければいけないという、そういう論拠については納得できません。しかし、恒久措置ができるまではとにかく上げないのだという考え方だけはわかります。そこで問題は、そういうふうな二割引き上げをやめてもらいたいという考え方一つ私どもにありますことと、それよりももっと重大なことは、三年後は一体どうなるのかという不安です。昨日も参考人三人に来ていただきましたが、市町村の代表の方も、それから農業団体の代表の方も、口をそろえて三年後の不安を言われるわけであります。その不安は、市町村長の人たちが言うくらいですから、その地域に住んでいる人たちのきわめて大きな関心事であろうと思います。これに対しまして、今日のこの法律案の中には少しも答えが出ておりません。ただいままでの審議段階におきましても、いろいろお答えはございましたけれども、どれ一つとして私どもの満足できるようなものにならないわけでございますが、いよいよ最後の段階でございますので、三年後はどうするかということについての大臣のお考えをひとつ伺っておきたいと思います。
  175. 早川崇

    早川国務大臣 固定資産評価がえに伴う恒久的な三年後のあり方につきましては、税制調査会において次のようなことは考慮されるべきものと考えております。固定資産税というものの本質をどう考えるか。先ほど御指摘のありましたような問題も含めまして、考慮の対象とすべきものと考えます。第二には、土地、家屋及び償却資産の別に価格に基づいてどのような負担を求めるのが正しいのか、すなわち事業に使っている事業固定資産と、ただ持っているという資産とで税負担を異にすることが適当であるかどうか、これも大きい問題だと思います。以上の二つと関連して、現在の税率はこのままでいいのかどうか、こういう問題も考慮すべきものと考えます。第四番目には、特定の資産については、課税標準の算定上、特例を設けて補正をするべき実情のある固定資産があるかないか、こういうようなことを根本的に税制調査会で掘り下げていっていただきたいとわれわれは希望しておるわけであります。しかしながら、その場合におきましても、たとえ評価がそういうふうに出ましても、個々の納税者の負担が非常に激増するということは税政策上好ましくございません。したがって、今回の措置のようなことも十分考慮しながら、全体として大幅に増税するとか、非常な負担の激変が生ずるという措置は、いずれにしても三年後におきましても当然考慮すべきものと考えておる次第であります。
  176. 安井吉典

    安井委員 いまの御発言、非常に重大だと思うのでありますが、私どもは、税制調査会の中で、たとえば本質論がどう展開されようと、各資産別の負担の求め方がどう変わろうと、それはどうでもいいというわけではありませんけれども——それももちろん重大であります。そういうような中から最終の結論を見出されるわけですから、きわめて重大でありますが、その論議はいまおくといたしましても、もっと重大なのは、そしてまた地方の住民が一番不安感を持っておるのは、現在の税金と恒久的に定められた税金とは一体どういうことになるのか、そういうことが率直な結論だと思う。評価性格論というふうなことよりも、最後はどうなるのかという点に問題点はしぼられてきておるのではないかと思います。ですから、いろいろな論議はもちろんされると思います。しかしながら、最後の腹として自治大臣が、最終の段階においてあらわれた結論が、現在行なわれておる評価額に対して、それと同じところでとどめるのか、それよりも上げるのか。評価額といえよりもいまの段階にくると税額ですが、三十八年度の税金よりも、恒久的に定められた税金は上がるのか下がるのか、その点、ひとつ率直に伺っておきたいと思うのです。
  177. 早川崇

    早川国務大臣 三十八年度というお話でありますが、三十九年度からは、すでに御審議いただいておるように、農地は現在よりも上がらない、宅地は二割までが頭である、償却資産、家屋というものは現状のままである、こういうことは、新しい評価年度まではそのとおりであります。評価年度が改まる三年後につきましては、いまいろいろ申し上げましたような種々の面から考えて、税制上全体としては固定資産税の大幅な増税にならないように、それぞれの資産間のアンバランス——評価ももちろん基準になりますけれども、いろいろな補正の問題、用途別とか、いろいろな問題を含めまして措置するわけでありまするから、その結論を待って結論が出ると思うわけであります。しかし、ここで言えることは、固定資産税全体としては、大幅な増税ということはそのときにあたりましても税制上考えませんし、また個人間の負担の激変をするようなことは、いずれにしても税政策上考慮すべきものではない、私はかように考えております。
  178. 安井吉典

    安井委員 大幅な増税はしない、あるいは激変はさせない、こういうことでありますが、裏返しにすれば、大幅ではないけれども、中幅か小幅くらいの増税はやむを得ない、激変はないけれども、中変くらいはある、これは非常に意地が悪いかもしれませんが、そういうふうな取り方ができるわけです。そこで、先ほどの大臣の御答弁の中には、いま暫定措置として行なっておる措置をも勘案して恒久措置をきめる、そういうふうな意味のことばがあったように記憶するわけでありますが、その意味は、今度の暫定措置では農地据え置き、農地以外の宅地等については一・二倍という措置が現実に法案として提出されておるわけです。ですから、今度の暫定措置でこうした措置をも勘案して激変緩和をなさりたいというようなお気持ちは、つまり据え置きや、あるいは一・二倍というふうな考え方のところで大体落ちつかせるのだという大臣の御意向のように受け取れるわけでありますが、いかがですか。
  179. 早川崇

    早川国務大臣 私は、今回の一・二倍にとどめたというのは非常に現実的ないい措置だと思います。まず固定資産税全体は、自然増収分の一割くらいしか増税しないということで割り出していきますと、宅地は四倍平均ですから、土地、宅地関係が非常な増税になる。そのかわり農地とか住宅とか償却資産は現在の二分の一、三分の一以下の安い固定資産税に算術計算の税率で割ればなるわけです。しかしながら、農民は喜ぶ、あるいは償却資産を持っている人、住宅だけの人は喜びますけれども、土地を持っている人は今度は現在の四倍になる、五倍になるということでは気の毒である。いろいろ考えまして、農民だけは非常に減っても、宅地を持っている人が四倍になるというように、全体として上げないとなるとそうなるわけです。非常に個人個人の負担から見ますと、税政策上負担の激増、激変ということは好ましくありませんので、まあまあ常識的に考えまして二割ぐらいということになったわけでありまして、私は政治は正直でなければならぬ。それには、やはり評価は正直でなければならぬ。そういう意味では、税の面ではほとんど変わりませんが、この評価が正直な売買価格を出したという努力を私は高く評価している。しからば、三年後において税の面でどうかという場合には、今回とりましたような現実的な、地についた調整措置というようなことも当然参考にし、それ以外に、先ほど申し上げましたようないろんな問題、これもあわせて考慮して考えますと、三年後もまあまあ心配のないようなりっぱな結論が出るのではなかろうか。また、先ほど中幅の増税をするのではないか、私はそういう意味で言っているのではないんで、やはり今度の一割ぐらいの自然増収程度の、大きい増税ではない、中程度の増税ではないという程度の、自然増収分を含めたところの固定資産税という意味で言っておるのでございますから、その点もどうか誤解のないようにしていただきたいと思います。
  180. 安井吉典

    安井委員 三年先の重大な問題でございますので、大臣もだいぶ慎重な御発言のようでありますが、いずれにいたしましても、いま最後におっしゃったことばでも一応の方向というものはわかるような気はいたします。しかし、あくまで今日の住民の不安というものは、その一点にかかっているということをひとつ十分お考えをいただきまして、御措置を願っておきたいと思います。  なお、固定資産税につきまして、ひとつ農業用の固定資産について、これもこの間うち各委員から指摘があった点でありますが、農業の近代化の方向だとか、あるいはまた外国の立法例だとか、そういうようないろんな点から農業についての固定資産、特に農地については、政府は今度の暫定措置でも三年間据え置きという方針を出しておられるわけでありますが、同じ農地の中でも、採草放牧地、それから果樹園、こういったようなものについての考え方が落ちているわけです。それからまた、作業場だとか、納屋だとか、あるいはまた農機具だとか、そういうふうな農業用の固定資産全体について、今日何らかの措置が必要ではないか。当面、いまの同じ土地の中でも、選択的拡大だとか、あるいはまたそういうような方向こそ伸ばしていくべきだというふうに言われております畜産についての配慮が全くないわけです。畜舎などもやはり特例対象にしていくとか、こういうふうな農業についての固定資産税全体についての御配慮を政府もお持ちになるべきではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  181. 早川崇

    早川国務大臣 畜舎とか、農業機械とか、農業用の償却資産は、御承知のように、評価が上がりませんで、むしろ減るものであると考えておるわけですし、また問題は牧草地、畜産の関係の問題でございまするが、この問題は、国の農業政策全般の問題でございまして、何でも固定資産税にひっかけていくということもいかがかと思いまするので、日本の農業というものが、米作からほんとうの畜産重点に変わるような推移をながめながら、農業政策全般とにらみ合わせながら検討してまいりたいと思います。
  182. 安井吉典

    安井委員 英国では、一九二〇年代だと思いますが地方行政法ですか、その中で、農業関係土地についても、あるいはまた家屋や償却資産についても一切税金を取らないという仕組みをつくっておるようですね。あるいはまたフランスでも、フランスはあまり強い措置はないようですが、アメリカにも若干軽減措置があるし、西ドイツにもあるようです。だから、農業の近代化その他の施策をすべて固定資産税の中に集中してやれとは私は申しているのではない。やはり税の負担というものが農業の近代化に影響があるわけですから、全体的な、総合的な農業施策の一環として固定資産税の問題も同時に考慮していくべきだ、こういうふうな言い方で私は申し上げておるわけです。これはすぐには結論が出ないようですが、一そう御検討を願っておきたいと思います。  あとわずかですが、次に、軽油引取税の問題についても、先ほど来いろいろ論議があって、これも川村委員から、バスやトラックの事業については利益率が少ないのではないか、低いのではないか。この間の御発表でも、経費率がバスの事業については九七・七%が経費で、利益はたった二・三%だ。そこへもってきて、今度の軽油引取税とガソリン税の値上がりで、経費は〇・九二%上がる。つまり二・三%しか利益がないところへもってきて、〇・九二%今度税がふえただけ利益が減ってしまうのです。つまりほんのわずかしかない。私どもは、こんな利益率が少ない事業だとは思いませんでしたけれども、こんなわずかしかないものの約半分を今度の税金で持っていかれるわけです。トラックについても、それほどの影響はないようですが、同じような姿が出ております。ですから、先ほど来の川村委員に対する大臣の御答弁もありましたが、その問題については、これは運輸省やなんかの問題でしょうから私は詰めませんが、ただ、地方公営企業としての都市交通の問題は、これは自治大臣としての御所管であるわけです。都市交通については、その事業体の七〇%が赤字で、東京も確かに赤字は百億をオーバーしております。大阪も百億をオーバーしておる。こういうふうな実態にあるわけであります。民間バス事業は二・三%利益率を出しておるからまだいいけれども、これは全くの赤字なわけです。だから、今度のこの税率引き上げというものは、赤字をさらに増加するという姿になるわけです。同じ自治大臣のお出しになった法律で、自治大臣の一つの御所管の中にあるところの都市交通の赤字を増すという姿になるわけです。もっともこの都市交通、その他地方公営企業の問題については、先般来この委員会でいろいろ論議をいたしました際に、大臣は当面一年間料金ストップや、そういうような問題があるので、早急に何らかの対策を講ずる。何らかの対策ということを、この委員会だけではなしに、あっちこっちの委員会で繰り返し繰り返し御答弁をされておるわけです。ところが、もうすでに新年度が近づいてきておる段階でございますから、やはりもう結論をお出しいただいていいところまできておるのではないかと思うのでございますけれども、その後の御検討の結果や見通しについて、ひとつ伺っておきたいと思います。
  183. 早川崇

    早川国務大臣 公営交通事業の赤字の問題は、私の最も頭を痛めている問題でございます。すでに百七十五億の赤字と言われるのでありますから、もう暫定措置ということを別にいたしまして、根本的に公営企業を、交通だけではなく、水道、病院も含めまして、どうしてもこれと真剣に取り組まなければならぬ段階にきたと判断をいたしまして、その結果、御審議をわずらわしております地方公営企業制度調査会を法律として提案をいたしておるわけでありまして、一年間の料金ストップというのは、政府の政策としての物価の値上がりムード抑制という方針でございますから、一年後にはどうするかということを、根本的に財界人、あるいは官界の人、銀行家、いろいろ入れまして、ほんとうに基本的に考えていただきたいと思うわけであります。そこで、暫定的な問題ですけれども、公営企業というものに一般会計から自治体が補てんをしたり、あるいは国から補てんするという問題でありますので、なかなか大蔵大臣との折衝が難航いたしております。つなぎの一年間の穴埋めでございますけれども、まだ結論を得ないことはまことに遺憾でございます。目下関係各省と、暫定措置につきましていろいろ折衝をいたしておる次第でございます。しかし結論としては、各企業が非常に合理化に努力をしておるわけでございまして、東京都のごときは、従来にない熱意を持って人件費の節約、合理化に努力をいたしておるわけであります。そのぎりぎり合理化をしてもどうにもならぬという面は、やはり受益者負担という原則で料金を上げるとか、そういう問題も一年後は当然検討しなければならないわけであります。それまでの期間のつなぎ措置につきましては、いずれ何らかの措置を早急にまとめまして、御了解を得たいと思っております。今日はその程度でごかんべん願いたいと思います。
  184. 安井吉典

    安井委員 まだ何らかの措置ということばそのままの段階のようでありますが、地方公営企業制度調査会が設けられるにしても、結論はずいぶん先の話ですから、当面の対策がなされなければいけない。そのためには、今度はこの委員会にも小委員会が特に設けられておりますので、そういう中でさらに論議を深めていくべきだと私も考えるわけでございます。大事な段階でございますので、ひとつ十分御検討を願って、早急に結論が出るような方向でお進めを願いたいと思うわけであります。  もう一つ、電気ガス税の問題も、やはり今日までの論議の中で繰り返し繰り返し続けられておる問題でありますので、私もこの質問の中で同じことを申し上げる必要はないと思いますけれども、やはり特殊な企業に対する特権的な減免税があるということ、それが一方には大衆課税という形で課税が行なわれているということ、そのコントラストにおいて一そう問題意識が高まってきているということではないかと私は思うわけです。ですから、いろいろ今日まで論議が続けられておりますように、百二十件に及ぶ業種についての減免措置、それがさらにプラスされていくというふうな対策にはどうしても納得がいきません。それに対して、先ほども細谷委員その他から、コストの問題について御質問がございました。後ほどその資料はいただけると思うのでありますが、私はコストの問題を論議する以上、次のような問題点があると思うのです。と言いますのは、この免税というのは、言いかえれば、きまったそれらの産業に対する一種の補助金だと思います。補助金を出すかわりに免税という措置で、その分だけその他の国民負担しているわけです。ところが、補助金をもらうとすれば、補助金適正化法等がありまして、これによって、使われた補助金の行く先は厳重に追及されるわけです。市町村長でさえ、これによって体刑を受けた人もあるわけです。それくらい厳重な措置が補助金にはあるわけですが、この電気ガス税及び固定資産税も含めて申し上げたいと思うのですが、それらのような場合に、自治省は今日までそういうふうな措置を講じておられます会社に対して、コストをはっきり見きわめるような現実的な措置を講じておられますかどうですか、この点を伺っておきたい。
  185. 細郷道一

    細郷政府委員 いまお尋ねの産業別のコスト等につきましては、政府部内の関係省と資料上の打ち合わせをいたしております。
  186. 安井吉典

    安井委員 先ほど私は、補助金の例を引き合いに出したわけでありますが、補助金についてはそれくらいの厳重な措置があるのに、補助金と同じような性格をこの法律が持っている以上、簡単なそういったような資料を見たり見せたり、そういうようなところだけで問題を処理されているということに問題があると思うわけであります。特に最近は、企業の近代化、合理化がどんどん進んでいるわけです。これは、小委員会でも大石委員から御指摘があったところでありますが、きのうの工場の施設はあすの施設ともう変わっているわけです。そういう場合には、たいてい労働者の首を切ってまですべて機械に置きかえていく。だから、企業の中の賃金部分は減って、機械を動かす、そういうふうなコスト部分が増大する傾向にあるのではないかと私は思います。常識的に考えてそうだと思います。それだけに、常に自治省の立場から、電気ガス税あるいは固定資産税等の軽減措置をやっておられる以上、法律の中でそういう措置を講ぜられる以上、もう少し厳重に企業内容に立ち入った御調査なり資料徴収なりがなくてはならないのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  187. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほども申し上げましたように、現在の非課税基準は、関係省たる通産省が実はぎめておるわけでございます。したがいまして、通産省において責任ある資料を出していただく、こういう形になっております。
  188. 安井吉典

    安井委員 大臣のお考えはいかがですか。
  189. 早川崇

    早川国務大臣 当然十分調査する必要がございます。
  190. 安井吉典

    安井委員 どうもあまり自信のないようなお答えのように思いますが、法律によってこういう軽減措置を講ずるのは、補助金をもらうよりも企業体は楽なわけです。補助金をもらうことになるとたいへんなわけです。しかし法律減税するという姿になれば、法律さえ通ってしまえば、こっちのものだ。ですから、それは一つの既得権になって、雪だるまのようにふえるばかりです。なるほど、先ほど質問の中にありましたが、幾らか減った面ももちろんありますけれども、それはもうやめるような仕事ばかりです。どんどんふえるばかりだという、こういう実態をそのままにしておくわけにはいかないと思います。それが他の一般大衆の税金に結局かぶせられているわけです。そういう点について十分な御検討を願っておきたいと思います。  もう時間がだいぶ過ぎましたので、あと数点聞き残した面もありますが、これはあとにいたしまして、これで終わりたいと思うわけでありますが、これらの全体的な税制改正についての姿を俯瞰いたしてみますと、地方税の分野だけで地方住民負担をどうするとか、あるいは財源充実をどうするとか、こういうようなことを論じていては、とうてい今日の地方財政の中における問題点、あるいは国民生活の上の問題点、こういうようなものはなかなか解決しないのではないかということをつくづく感ずるわけであります。やはりこの際、中央と地方を通ずる税財源の再配分、こういうような措置がなくては、根本的な解決にならないと思うわけであります。地方制度調査会でも、行政事務配分についての答申が去年の暮れにあったわけでありますけれども、それらの具体的な詰めた審議はこれからに残されております。大臣は、根本的な解決の方向についてどういう御意向をお持ちなのか、その点をひとつ最後に伺っておきたいと思います。
  191. 早川崇

    早川国務大臣 根本的な考えというわけでありますから、私の考えを申しますと、日本の明治以来のおい立ちは、後進国でありましたので、明治革命以来、中央集権的な国の成り立ちでありました関係上、英米その他と違いまして、自治体が次第に発展していくという民主国家にならなかったわけであります。そういう結果といたしまして中央政府の権限が多く、またそれに伴う財源も中央政府が中心であり、補助金という制度もそこから発展してまいりまして、何でも中央に依存しなければならぬ、陳情にいかなければならぬということになってまいったわけでありますが、これがデモクラシーの発展にとっては、後進地域から先進地域に発展する過程としてはやむを得なかったといたしましても、すでに日本はりっぱな民主国家になっておるわけでありまするから、大きい政策の方向としては、自治体というもの、あるいは府県とかそういったものがどんどん権限を持ち、また財源を持ち、自分のことは自分で処理していくという姿にならなければならない。何でも中央集権という姿が持続されますと、一たん不況なんかきたときに、ファシズム、あるいは共産主義ということになって、単に経済主義だけで考えますとたいへんなことになる。そこで、全国三千の市町村、四十幾つの府県では、ほんとうに民主主義の時代として、自分のことは自分で処理し得る自治の能力を国民が常時伸ばしていけるような政治に持っていかなければならない。多少能率が悪いかもしれないけれども、長期的に見ますと、そういうところが真に甘木の議会民主主義の発展を約束するものと考える。そういう意味におきまして、地方制度調査会、あるいは補助金合理化審議会、その他いろいろな調査会から大体そういう方向に向かって答申がなされつつあるということは、日本のために、また自治の発展のために非常にけっこうかと思います。私たちは微力ではありますけれども、できるだけ自治体の権限をふやし、また自治体の財政力を充実し、また自分のことは自分で処理するような精神的な面におきましても、県知事や市町村長さんあたりが、ほんとうに自分のことは自分で処理するという自治の本義に徹してくれるように機会あるごとに申しておるわけでありまして、そういった方向に自治大臣といたしましても今後とも努力してまいりたいと思うわけであります。しからば、具体的にどういうような税源を与えるか、どういう権限を与えるか。これはまだ調査会からも御答申も出ておりませんので、そういう基本線に沿いまして、答申を待って具体化してまいりたいと思っております。その節には十分ひとつ御協力を賜わりたいと思う次第であります。
  192. 森田重次郎

    森田委員長 門司亮君。
  193. 門司亮

    ○門司委員 各同僚から非常に詳しく質問が行なわれておりますので、私の質問はできるだけ簡単に行なっておきたいと思います。  最初に聞いておきたいと思いますことは、御承知のように、本委員会で三十九年度地方財政計画説明を大臣がされたのは二月の二十一日であります。そして地方税法の一部改正案国会提案をされましたのが二月の二十四日、市町村民税減税補てんに対しまする法律が出されましたのが二月の二十七日で、あわせてこれが本会議説明を受けております。そして本委員会では翌日の二月二十八日、地方税の説明を受けたわけでございます。したがって大臣が地方財政計画説明をされました二月二十一日の大臣説明の内容と、国会提出をされました地方税法との間に食い違いが生じておることを、私がここでくどく申し上げるまでもなく、大臣はよく御存じだと思う。大臣はこの間の事情を一体どうお考えになっておるか。少なくとも地方財政計画を一応大臣が法律に基づいて出されておる。しかもこれは単に自治省の考え方だけではない。法律の命ずるところによって、当然閣議を経て出されておることに間違いはない。そうなると、閣議を経て出された地方財政計画の中で、最も政治的な配慮を要するであろうと考えられる外国人に関する非課税の問題が触れられておらない。税そのものは、先ほどの大臣の地方税の説明の中では十四億と書いております。私は現実に、ある一、二の県にあたってまいりまして、どのくらい一体これで税金が減るのか換算できるかといって電話で聞き合わせてみましたが、各府県では、そんなことを言われたってどういうことになるか、私どもには見当がつかないと言っておる。しかも取り扱いがどうなるかまだわかっておらない。ことに非常に危険なのは、一体どういう取り扱いをしておるのか、やり方によっては非常に脱税を伴ってくる。したがって、日本人の該当する税の支払いにも影響してくるということが考えられる。したがって、この税の見積もりというものは、非常にむずかしい。だから私どもには見当がつきませんと言っておる。ところが自治省は、大臣の説明で十四億と響いてある。どこで計算をされたか、自治省の諸君は、よほど頭のいい人が集まっていると思う、当該府県でわからぬというのが自治省でわかっておるのだから。そういうきわめて複雑な、しかも政治的な配慮をしなければならない問題を、地方財政計画のあとから閣議にかけて、国会提案をされるということは、いかにも地方財政計画自身が、きわめてずさんなものであり、きわめていいかげん、ということばを使うとおしかりを受けようかと思いますが、私は信じがたいものになるということです。これは私は自治省の名誉のためにも、あるいは大臣の権威のためにも、こういうことは将来あってはならないと考える。したがって、この間の事情がどうであったかということを、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  194. 早川崇

    早川国務大臣 この前の委員会でも、すでに御了承をいただいた次第でございますが、地方財政計画提案されました。同日の閣議でございましたが、ただいまお手元に御審議いただいておりますような、料飲税の改正でありますとか、これは閣議決定ではございません。これはあくまでも閣議の報告事項にすぎませんが、財政計画の面で、五億近くの穴があきましたわけであります。それを直ちに御訂正すればいいのでありますが、財政計画は、御承知のように法律によるものではなくて、地方交付税法の七条のあれの概算の説明でございますので、非常に多岐にわたる修正になりますので、皆さま方の御了承を得まして、五億を修正しなかったわけであります。今後そういう事態が将来起こりましたときにはどうするかということでございますが、もちろん財政計画というものは一応の概算の見積もりにはすぎませんけれども、自治省として提案する以上、完全にそういったときには修正案をお出しするということは当然のことであります。今回はそういうことで修正をしないで御審議を願っておる点はまことに申しわけないと思っております。この前御了承いただいたとおりであります。
  195. 門司亮

    ○門司委員 それでいまの御答弁ですが、なるほど七条の規定であります。しかし自治省設置法の四条はどうなります。こうなった場合には。ここには明らかに閣議がこれを報告してその原案をこさえる義務がある。いわゆる自治省設置法がむしろいまの七条の規定の基本法でなければならない。少なくとも自治法というものがあって、その上における自治省でなければならぬ。自治省が先にできたんだから、自治法をこさえたというわけには参らぬ。自治省設置法との関連は一体どう大臣はお考えになっておるか。この際その点を明らかにしておいていただきたい。
  196. 柴田護

    ○柴田政府委員 地方財政計画根拠は門司先生御承知のように正式には地方交付税法の七条の書類、これが地方団体の歳入歳出見積もりに関します正式な書類でございまして、これにつきましては閣議で決定をいたしまして国会提出いたします。これはいま少しおくれておりますけれども、もう四、五日中には国会提出できる運びになろうかと思います。財政計画はこれの概算という形で従来から策定をしてまいっておるわけでございますが、お尋ねの自治省設置法には法律上の自治省の権限を書いておるわけでございまして、実態的な規定は各個の法律によるんだ、こういうように従来から解釈してまいっておるわけでございます。
  197. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、こう解釈するわけなんですが、私はむしろ自治省設置法の四条がものを言うんだというように解釈することが正しいんだ。そこで自治省は責任を負うと書いてある。責任ある態度をとらなければならないんだとちゃんと書いてある。しかもそれは内閣が報告する地方財政計画に対して自治省は承認を与えなければならぬ。したがってここで法律論を長くすることはどうかと思いますが、この法律を、それならこう解釈するほうが自治省のほうには都合がいいかと思いますが、いま出しておるのはいわゆる閣議決定を必要としない、単なる財政見積もりだ、これから閣議決定のものは出すんだというように解釈することができる、こう受け取っておけばいいのですか。あるいは自治省設置法にはそう書いてあるけれどもそれ自体というものは次のほんとうに内閣が国会報告するときの資料であって、いま出されておる地方財政計画とは縁がないんだというように考えておけばよろしゅうございますか。
  198. 柴田護

    ○柴田政府委員 自治省設置法の第四条の第二十五号が門司先生のお話の点だろうと思いますが、これはまさに地方交付税法の第七条の権限をここに書いておるわけでございます。しかし地方財政計画はこれとはもちろん無縁ではございません。この正式の書類を出すわけでございますが、それの概算だということで従来御説明をしてまいりました。私どももそういう意味を持つものとして、したがって閣議報告をしてまいっておる次第でございます。
  199. 門司亮

    ○門司委員 そうするとこう解釈すればいいですか。地方財政計画というものは、いずれ閣議で決定してあとから出される。これは単なる素案だ、こういうものだということに解釈しておけばよろしい、私はそういうふうに受け取る。そうだとすれば、いま自治大臣が四角張って説明された地方財政計画というものは、きわめて権威のないものだ。これは諸君聞いておいてもらいたい、いずれあとから出し直すのだからという程度のものに解釈しておけばよろしゅうございますね。そうするとこっちもあまりむきにならなくてもよろしいと、こうなるのですが……。
  200. 柴田護

    ○柴田政府委員 法律上の概念といたしましては、いま私が御説明申し上げましたようなことになろうかと思うのでございます。ただ実態的には、法第七条の書類と申しますのは非常にこまかいものでございます。そこでそれの概算という形でもって従来から地方財政計画をここに提出いたしまして、御説明を申してまいった。したがって七条の書類のむしろ説明的なものだ、概算説明と申しますか、概説といったらよろしゅうございましょうか、そういうつもりで従来から取り扱ってきたわけでございます。
  201. 門司亮

    ○門司委員 いま私はこれから、どの法規が基本法であって、どの法規がどういう関連を持っておるかということを、あまりやかましくここで議論しようとは思いません。もし当局がそういうことを考えておるならば、その法律は一体どっちが先にできておるか。自治省設置法はいつできたか、あるいは交付税法がいつできたのか、私は地方交付税法はかなりあとからできたと考えられる。そういうものをずっとこれから議論していけば、かなりいろいろな議論が出てこようと思う。少なくとも法律の制定で、自治省設置法という法律は、治省のあり方を示しておるものである。自治省設置法が他の法律に動かされてできておるということも一応考えられます。形の変わったときには自治省設置法を改正しなければならぬことは当然出てくるわけでありますから、向こうが変わったからこっちも変えたんだという実際の取り扱いがそういうものに出てくると思います。しかし基本的な概念としては、やはり何といっても自治省の設置法といういわゆる基本法というものがあるわけであります。したがって、この法律は内閣委員会審議をしておる。この委員会では自治省設置法は審議はしておりません。他の委員会でこれが審議されておる。私はこういう法律の概念的な取り扱い等についてはこれ以上きょうはおそいから質問はいたしませんが、もう少し当局ははっきりしたものを出してもらいたい。ことに先ほどから申し上げましたように、普通の場合多少の行き違いもあろうことは私も考えておる。いわゆる財政計画であって、かなり大幅なものであることはだれでもわかっておる。しかし政治的にきわめて重要な性格を持つものが、しかもいまの大臣の答弁を聞いておりますと、うわさのとおりでありまして、同じ日の閣議できめられたということはますます奇怪千万である。私は大臣が両方に賛成をされたと思うのですが、それは私はおかしなことだと思う。いま大臣から御答弁はございましたが、私はこれ以上追及はいたしませんが、こういう点等については、少なくともわれわれが地方財政計画をもとにして、そうして地方の財政をいかによりよきものにするかということの議論をいたしておりますときに、実はあれはいいかげんであったというようなことでは、私ども信を置いて財政計画に基づいた地方財政審議するわけには参りません。その点はひとつ大臣も十分お考え置きを願いたいと思います。個々の問題についてはいろいろ聞かれておりますので、私は省略をいたします。  次に、軽油税の引き上げとガソリン譲与税との関係でありますが、非常に物価が上がっておるというときに、いかなる理由がございましょうとも、物価を上げればこれは基本料金が上がってくるにきまっておるのである。したがって、物価を下げようと思っても下がらないことは、内閣の意思にも反すると思う。どうして一体これを上げられようとしたのか、ここで私ははしょって申し上げましたが、突っ込んで聞いておきますが、少なくとも今日の道路の悪いことはわかっておる。しかし国の今日の財政状態からいけば、あるいは経済状態からいけば、道路の公債等のごときはもう出してもよろしいのじゃないか、公債の割合からいけば、日本は非常に少ないですよ。日本は公の公債でなくて、実際はいろいろな公団をおつくりになって、その公団の引き受けております借金は全部政府保証債でございますから、これを公債だといえばかなり大きな公債があります。しかし表立った公債は非常に少ない。アメリカの場合は、御承知のように、国民所得に相当する額が大体国の起債とされておる。イギリスはこれに輪をかけて、国民所得の約倍に近いものが公債としてやられておる。それは日本の場合でも、なしくずしの公団その他で、そういう政府の責任債として公債にひとしいものが出されておりまするときに、表向きだけ政府は健全財政で公債をしないのだ、うっかり公債するとインフレになるかもしれないということで、やらない。そうして道路を修繕するからといって、これを使用する者に税金をかけるということは、一つ考え方かもしれないが、それよりもむしろこの際政府の政策として公債でまかなう、その元利を償却するために、もし必要があれば、きわめて小幅のものを上げるということが今日の時期に適しているのではないかと考えられるわけです。この辺は政治的に大臣はどうお考えになるか、御答弁をわずらわしたいと思うのです。
  202. 早川崇

    早川国務大臣 ガソリン税、軽油引取税は諸外国に比べて非常にまだ税率は低いわけでございまして、目的税としてこの方法をとったわけでございます。ただ公債による政策という問題は、自治大臣の答弁の範囲を越えるのであって、社債を発行したりあるいは運用部資金の引き受けというのなら簡単ですが、御指摘のように、日銀引き受けのほんとうの公債という意味でありましょうから、これは日本の経済全般を含めた問題でございまして、少なくとも政府としては三十九年度は公債政策によらないということに決定をいたしたわけでありまして、四十年度以後激増する公共投資の需要に対して、はたしていまのような公債政策をやらないでいけるかどうか、これはまた別個の問題であろうと考えるのであります。
  203. 門司亮

    ○門司委員 この場合は、大臣が非常に用心されてその程度の御答弁だろうと考えております。公債にいたしましても、外国債にいたしましても、御承知のように、大阪市はいまどのくらい外国債を持っておりますか。私の調査によりますと、三十七年度には三千百五十億の公債の中に外国債が百六十二億含まれておる。そのほか、三十八年度にさらに九十億これに追加されておる。地方の自治体に外国債が許されておる、そういう時期に国が国内のこういう公債すら発行できない。そうして、ごまかしということばはどうかと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、各公団等の出資あるいは借り入れ金等については、すべて政府引き受けになっておりますから、これは明らかに公債の肩がわりでありまた公債の変形だと考えて差しつかえない。そういうごまかしの政策、ごまかしの資金確保ということが今日の公営企業その他に及ぼす影響あるいは住民の物価に及ぼす影響は非常に大きいと思いますので、御質問申し上げたのであります。  次にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、固定資産税の問題が非常に討議されておりますが、私はこれは政治的にもこういう物価の変動期であり、ことに三年後にどうするこうすると政府は言っておるのでありますから、この際一応これの繰り延べをしてみたらどうか、そうして固定資産税は据え置くということで、三年後に十分調査して、それからほんとうにやることにしたほうがよろしいのではないか。私は農村の土地についてはまあよろしいと考えておる。御承知のように、部会の土地にいたしましても、自分の土地に自分の家を建てている人は、この間の説明を聞いておりますと、家屋のほうの償却があるから、土地のほうが少し上がっても税負担は同じくらいだろうという答弁があったように思いますが、それ以外の、他人の土地を借りている人は、必ず地代の値上がりではね返ってくるにきまっております。そこから家賃が上がることは必然であり、その悪循環を起こすことは当然であります。政府がせっかくここで基本調査をして三年後にはっきりしたものをきめるというお考えがあるのなら、この物価の変動期においては一応これを見送るほうが政治的にもよかったのではないかと考えますが、大臣の御所見を伺っておきたい。
  204. 早川崇

    早川国務大臣 お説のような政策論もありまして、いろいろ検討いたしたのでありまするが、何分にも土地その他の固定資産があまりにも現実と離れた評価になっておりますので、評価改正年度でございますから、法律によって再評価をいたしたわけであります。  問題は自治体の問題でありますが、御承知のように、特に二割までに押えられましたゆえんのものは、御指摘のように、あまり大きく物価にはね返らないという配慮もありまして、二割程度の増加という限度でありましたならば、千分の二・八であります。したがってその程度のものは、便乗して値上げるものは別でありますけれども、大きく地代なり家賃にはね返らない。むろん少しははね返るでしょうが、せいぜい千分の二・八でありまするから、その程度にとどめたわけでありまして、政府といたしましては繰り延べる意思はないわけであります。
  205. 門司亮

    ○門司委員 大臣のお考えは少し甘いと思う。便乗して上げるのは別だというお話でありますが、税金の上がった分だけ自分のほうから出す人はないと思う。これは転嫁されるにきまっているんです。そこでそのことは、土地が非常に高いから、非常に苦労して家だけを建てた、土地は借りているというような零細な人に対しては、非常に大きな打撃を与えるということは当然であります。  これ以上は時間がありませんから、次に、しばしば問題になっております例の外人に対する非課税の問題であります。これは一体こうしなければならなかった理由は、先ほどの大臣の答弁だけでは私は承知できないのであります。一体どうなんですか。けさのラジオで、あの放送は皆さんもお聞きになったと思いますが、だれが放送しておったかわかりませんが、こういうことを言っている。オリンピックで日本に来る。そうしてオリンピックだけは日本で済まして、日本の物価は非常に高いから、おみやげは香港で買うようになるのではないかということを言われている。したがって外人を優遇する方法としては、こういう遊興飲食税を下げるよりも、むしろほかに方法がなかったかということであります。これは外国ではアメリカ自身がやっていると思います。たとえばアメリカのニューヨーク州にあると思っておりますが、あそこの中で使うものには税金をかけているが、それ以外の土地の人が買って、それ以外に——輸出ということばを使いますが、それには税金をかけない、こういう方針をとっておりまして、これだけニューヨーク州のものが売れるという形をとっている。同じように日本でも、外人を優遇するというならば、もう少しはっきりした、品物のたくさん売れるような方法をとったらどうかということであります。そういうことは考えられなかったかということであります。したがって遊興飲食税だけを安くされたという原因をこの際はっきりとしていただきたい。ただ外人が来るから優遇するというだけでは、私は済まされないと思う。それが日本人のしきたりだということでは済まされない。日本の美徳というものではないと思う。ことに世界の一等国だ、大国だと大臣は言っておりますが、大国なら大国らしい態度をとったらどうですか。植民地的なものの考え方、卑屈な考え方、外人は、えらいんだという考え方、日本人は税金を払い、外人は安いという人種的な差別をするようなものの考え方は、一等国のとるべき態度ではないと考える。大臣の考え方と違うようですが、大国だからこういう処置をとったほうがいいというお考えですか。
  206. 早川崇

    早川国務大臣 たびたびお答えいたしましたように、日本に入国いたしまして痛感いたしますことは、衣料品と食料品というものは非常に安いのですが、ホテル代とか、あるいは外で食う食事は非常に高い。そういう関係でこの遊興飲食税というものが、実は諸外国にはほとんどないものですから、まあ手っとり早い、目につきやすいということで、一〇%の遊飲税というものに白羽の矢が立ったわけですが、もちろんこれだけでホテル代あるいは飲食代は一割程度の減税にすぎませんから、もっともっと大きい観光政策上の融資の問題とかいろいろな問題もあるでしょうけれども、まず隗より始めよということで、この遊興飲食税を観光政策の一環として、多角的な見地から政府といたしましては、遊飲税という外人が非常に不愉快がるこの税を当分の間免除する、こういうふうにきめたわけであります。  また門司さんの言われるように、外人をそういうふうに優遇することは卑屈だと言われますけれども、私たちとしてはお客さんが来るんだから、そういうサービスをするということも、そう気にする問題ではないのではなかろうか、かように考えておるわけであります。
  207. 門司亮

    ○門司委員 その考え方が非常に卑屈だと思いますよ。なぜかと言いますと、遊興飲食というのはこちらに参っております本人だけが享受する特典です。かりにこれがみやげものとして持って帰れる品物であれば、それは家族もあるいは親戚も知己も、ずっとこの考え方が広がっていく、こういう意味で私はほんとうに効果のない、食べて下に出てしまえば、それでおしまいなんです。何の効果もない。日本を宣伝するというならば、むしろ私はほかに方法がなかったか。白羽の矢を立てられた大臣としては、その点御迷惑だと思いますが、どうも内閣として矢の立て方が違っておったんじゃないかと思います。もう少し押し返すことができなかったものか。私どもから考えてまいりますと、どう考えてもこれは自治省の案とは考えられない。私は自治省がオリンピックに際して、これだけの知恵を払うだけ地方財政が充実しておるという考え方をしていないと思う。今日の地方財政は非常に窮屈である。そのことは自治省自身が知っているはずだ。だとするならば、この国際的な行事、日本の国をあげての行事のために、自治省だけが——私はこれは非常に大きな額になろうと思いますが、十四億であろうと二十億であろうと、地方の自治体だけが犠牲を払わなければならないという卑属はどこにもないと思う。私は、むしろ関税その他の関係を考え、あるいは物品税等の面を考える。国が責任をしょうならば、それはまた考えが変わってくる。しかし、このはね返りは自治体にくるのです。私は、自治体を犠牲にしてまでも、そういう大国意識を発揮することはあまり策を得たものではないと思う。しかも自治大臣はそれに同意されたという——私は同意させられたんだと思うのですが、ほんとうはどうなんです。こういうことをしなければならなかったいきさつをもう少しはっきりお聞かせを願っておけば、私どもこれから先の討議にかなり役立つと思うのです。  繰り返して申し上げますが、ほんとうに自治体だけがオリンッピクの犠牲にならなければならぬという理屈はありますか。その他のものにかけられておる税金は、すべて国税でしょう、地方税としての物品税はほとんどないでしょう。そうすれば国は非常に都合のいい、大手を振って、いかにも——遊興飲食税は外人がいやがるんだからこれはやめた。池…さんは都合がいいかもしれないけれども、しかし自治大臣のあなたとしては、とにかくそれだけ地方財政をいじめるのですから、そうしてそれに対する補てん策がないのだから、自治体は損しっぱなしなんです。あなたの子供が頭をなぐられたけれども、それは国のためだからしかたがないというならそれは別ですが、私は今Hの社会ではそれは許されないと思う。私は、国の施策として行なうからには、少なくともこれに対する何らかの補てん策を当然国として講ずるということが、国の義務だと思いますが、その点は一体どうなんです。国からこれだけ取ろうというお考えはございませんか。
  208. 早川崇

    早川国務大臣 私は残念ながらと申しますか、自治大臣であるとともに国務大臣でございますので、自治省だけのことも言っておれませんので、大多数の御意見といたしまして、諸外国にない遊興飲食税であるから、オリンピック機会に気持ちよく日本に来て、気持ちよく帰ってもらう。その結果、気持ちよくなって、いろいろ物を買う量がふえ、またたくさんお客さんが来るというなら、自治体としても必ずしもマイナスではないのではなかろうか、そういう多角的な観点から御審議願っておるような結論になったわけでございまして、これに対して国から補てんしろというような考えは持っておりません。
  209. 門司亮

    ○門司委員 私は、補てんしないというお考えはおかしいと思うのです。そうしてこの税金はほとんど限られておりますよ、地方的に。日本の全部ではないはずです。私は、これの大きな被害を受ける県は数県であって、そうたくさんはないと思います。限られたところに、少なくとも十何億あるいは二十億というようなものが減税されるという見込みのようでありますが、それは単なる表向きでありまして、もう少しやかましく言えば、これの脱税がどういうふうに行なわれるかということも議論すれば議論できないわけではございませんが、そこに持っていって外人だけで飲食したのを免税にするのか、外人の支払うものすべてを減税にするのかという点は、技術的に非常にむずかしい問題があろうと思います。外人にお相伴した日本人のものも、全部外人の支払いの分なら免除するということになれば、かなり大きな数字になろうと思う。それが国策のために一つの自治体が犠牲にならなければならないという理屈が私にはわからない。少なくとも国務大臣であるから、閣議の決定に従わなければならぬということは、私もよく存じ上げております。と同時に、自治省の大臣であることは間違いない。そうして自治省の大臣としてのあなたのお考えは、三千あるいは四千近い日本の都道府県市町村にかなり大きな影響を持つはずであります。大臣は国務大臣である前に、やはり少なくとも自治省の大臣であるということをお考えになることが、大臣としてのつとめではないかと私は考える。  したがって、大臣はいま補てんする意思はないというお話でありましたが、補てんする意思がないとするならば、地方の自治体はそれだけ財政上の赤字が出るかどうかわかりませんが、しかし減収になるということは間違いない。しかも国の犠牲でこういう形になるということを私はここではっきり申し上げても、さっきの大臣の答弁からすれば差しつかえはない。オリンピックは、地方の自治体の財源を犠牲にしてまでも行なわなければならないのかどうかということです。しかも国の財政を見てみますと、自然増収が六千億もある、こう言っているのですから、十五億や二十億のものを補てんしてやるからというような親切心があっても、何も国の財政に響かぬ。その点の配慮が足りなかったのではないか。どうもこれ以上私が大臣を責めても御答弁がなかろうと思いますから、私の意見だけを申し上げておきたいと思います。  それから次に、喫緊の問題として聞いておきたいと思いますことは、国民健康保険税の問題であります。これはいま非常にやかましい問題を実は出しておりまして、きょう私は率直に申し上げておきますが、今度の税法改正でこれが住民税との関係で多少減りはしないかという心配がされる。と同時に、今日国民健康保険の財源は非常に苦しいのでありまして、政府は御承知のように、七割給付を今度の予算で打ち出しております。そうしていかにも国民健康保険としての七割、七割の給付ができるという宣伝をされておりますが、実は京都の市会では、いま今年度予算の編成にあたって提案されておるものの中に、国民健康保険が非常に大きな赤字を出して、どうにも運営が困難であるから、世帯主は七割にする。家族は五割にするという。従来あそこは七、六であったものを今度は七、五にするという提案が現実になされております。この事実を自治省が知っておるかどうかわかりませんが、こういうふうに地方の自治体では、国は七割、七割にするという方針を立てて、国会でいかにも国民健康保険が充実したかのごとき答弁をし、宣伝をしておいて、個々の自治体に参りますと、こういうところがある。私はさっき外人の遊興飲食税について申し上げました。これは府県税である。だから京都の市には関係がないといえばそれまでのことかもしれない。しかし私は一方においてはこういう観光都市として非常に大きな府県に対しまする減税等が行なわれ、一方においては政府の宣伝する七、七が実行できないで、京都市民は非常にみじめな目にあわなければならないという現実の姿に対し、自治大臣はどういうようにお考えになるか、この際御意見を伺っておきたいと思います。
  210. 早川崇

    早川国務大臣 この問題はまことにむずかしい問題でございまして、先般の閣議でも私は申し上げたのでありますが、健保と国保というものが分かれておりまして、健保は数千億円の黒字だ、国保は御承知のような赤字経営だというような根本の理由は、健康保険に十分お金を納めながら、年をとったら、退職したら国保に入ってくるわけです。そのころには非常に病気をたくさんやる年齢になるわけであります。また、国保に入っておる人は会社につとめておる人よりも、日雇いとか一般の庶民階級でありますので、なかなか国保税の徴収が思うようにいかぬ。そういう根本問題があるわけでありまして、厚生省におきましても、健康保険の統合あるいはプール化というような根本的な対策を現在検討していただいておるわけであります。さしあたっての問題といたしましては、京都市のその事情はよく存じておりますので、われわれといたしましては京都市の市長からも十分実情を聞きまして、財政の面におきましてできる限りの御相談に乗るという態度で検討いたしておるわけでありまして、今後この国保問題は、全般的な政治のベースにおいて根本的に考えたいと思っておるわけであります。
  211. 門司亮

    ○門司委員 私はいまの御答弁を聞きましてちょっと信じがたいのですが、京都にそういう配慮が行なわれておるなら京都の市会で問題になるはずはない。私ははっきり申し上げておきますが、きのうでありましたか、朝、京都から電話がかかってまいりまして、この問題を取り扱うから一ぺん出てきて様子を調べてくれぬかという要請さえございました。これは党の要請でありましたから、何も私が行かなくとも、それだけの問題ならそっちで処理したらどうかという一応の返事はいたしておきましたが、この問題はきわめて重要な問題だと思う。少なくとも、羊頭を掲げ、狗肉を売るということばがございますが、いま政府予算面において、さっき申し上げましたように、こういう処置をとるのだといって大いばりにいばっておいて、実態はこういう状態だということになれば、容易ならざる問題である。市民生活に直接の問題である。それについて自治省ははっきりした態度を示してくださいませんか、どういう処置をするかということを。七、七でいけるように財政措置をするならする、国の方針に従ってそういうことをする。自治省も国の一つであるし、大臣も国務大臣であることは間違いがございませんから、そのつもりでそういうことのないようにどうするかということを、この際はっきりと御答弁を願っておきたいと思います。
  212. 柴田護

    ○柴田政府委員 京都市会におきまして、さようなことがあるということを私どもごく最近承知をいたしました。なぜ国民健康保険会計が赤字かということから議論が、検討が始まるわけでございます。当面いまの制度のたてまえのもとにおきましては、調整交付金をどう配るかという問題が、財政的な手段としてはあるわけでございます。同時に、給付会計が赤字になるといろ原因にも、非常に大きな問題があるわけであります。両面を検討いたしまして、調整交付金で救済できるものでございますれば、その調整交付金の配付について十分注意を喚起いたしたいと思いますし、なお基本的な給付関係で赤字になるといった根本問題につきましては、慎重に検討いたしたいと考えておる次第でございます。いずれにいたしましても、おそらくは京都の場合は、そういった調整交付金では救い得ない基本的な問題があろうかと私は実は推察するのでありまして、根本的な打開策につきましては、厚生省とも十分相談をいたしまして早急に解決するような方向で検討してまいりたい、かように思います。
  213. 門司亮

    ○門司委員 そういう抽象的な答弁を聞いていたらしょうがありませんが、さっきも申し上げましたように、この地方税法総体を通じて見まして、一方においては少なくとも外人の遊興飲食は免税してやろうというような策がとられる、一方においては国の施策さえ十分に行なわれないほど地方財政は貧困になっておる。この実態を見ますると、何も私は健康保険が赤字になっているのは京都だけでないと思うのです。私は日本全国の国民健康保険は行き詰まってないところは一つもないと思う。しかしそれはそれといたしまして、この税制改正の全体を貫いて見まするときに、ほんとうに事務的の問題にのみとらわれておって、地方の財政実態、あるいは地方の住民の今日の所得あるいは生活の水準というようなものをあまり考えないで、こういう税法が安易に考えられているのではないかという気が非常にするのでありまして、したがってその次にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、今度の税法改正の中で少なくとも、私は昨日も申し上げたことでありますが、何か新しい税財源をお考えにならなかったかということであります。これはこういうことを言うよりも、私は率直に申し上げておきたいと思いますが、たとえばわれわれしばしば唱えてまいりました一つの税財源としての問題は、損保に対しまする消防施設税とでも申し上げますか、これは私どもが専売特許でいまここで言っているわけじゃございません。たしか私はドイツだと考えておりますが、ドイツでもこれと同じような税法がございまして、収入の約三%を税率にして、そして目的税として消防施設の用に供するということを税法にうたっているようでございます。少なくとも今日の損保協会の利潤の大部分というもの、あるいはこれの大きな柱になっておりますものは、地方の自治体の消防施設の完備、防火建築と、もう一つ住民の心がけだと考えます。そうだといたしますならば、この利潤の幾分かは必ず地方に配分されても決して不都合のものでもなければ、また当然だと私は考えます。今日まで損保協会がいろいろな問題で地方の自治体に対しまする援助をいたしておるということになっておりますが、私の手元にあるものを一応参考までに聞いておいていただきたいと思いますが、従来からこういう問題が起こるたびに、実は損保協会といたしましては、少なくとも市町村の消防施設に関係するもの、あるいは公共事業については、その持っておる金を出してそしてこれを援助していくからというようなことで、現実に行なわれておりまするもので、三十七年度末における——私の手元にあるこれは損保協会の発表でありますから、これのほうが私は詳しいと思います。間違いがないと思います。これを見てまいりますと、消防関係に三十七年度末で大体三十六億の金を出しておるということが書いてある。しかもこの問題につきましては、何も三十七年度にこれだけ出したわけじゃございません。これはおそらく累積されたものが三十七億になっておる計算だと見ることが私は正しいと思う。このことは、同じ三十七年度で自治省を通じて当該市町村が要求いたしました額は二十七億七千万円になっておるが、配分された額は十二億五千万円という数字が出ておりますので、私は三十七年度までの累積されたものが三十七億だと考えることが至当だと思う。この程度しか消防関係に出ておらない。その他消防ポンプを寄贈いたしておりますものが、三十六年度、ここに三十四の市の名前が書いてあります。さらにこれを三十七年度に引き合わせてまいりますと、消防ポンプを寄付したのが三十八台、あるいははしごポンプその他を寄付したものが二台、それから火災報知器を二基、あるいは防火水槽を十個、それが三十七年度の総決算であって、総額九千九百五十七万七千円、こう書いてある。この程度の補助金、地方の自治体にいま申し上げましたような形でこれが還元されておる。私はもう少し自治省は思い切って、市町村が責任を持って今日の消火設備をしておる限りにおきましては、それによって利潤を得るこの種の団体に対しまして、当然何らかの方法で負担をしていただいても差しつかえないと思います。今日赤字で非常に困っております市町村一つの財源としてこういうことが考えられないか、これについてどうお考えになりますか。
  214. 早川崇

    早川国務大臣 非常におもしろい御提案でありまして、保険会社が、火災が少なくなることによって利益を得るわけでありますから、消防施設拡充費用の一部に火災保険金を負担させるということは、これはごもっともな考え方だと思うわけであります。しかしながら、この消防施設税を火災保険料を課税標準として課するといたしますと、今度は火災保険料率の算定上、保険加入者に転嫁されるという問題がございます。また税源の所在等に関連いたしましても、どの市町村にどういう徴収方法でという問題も、複雑な問題が少なくないのであります。現存は御承知のように火災保険会社に消防施設の起債を引き受けてもらっておるわけであります。これを消防施設税の新設にまでいくかということは、現在税金をかけるということはいろいろな問題がございますので、十分慎重に検討いたしまして、結論を出したいと思っております。
  215. 門司亮

    ○門司委員 この問題は単に法律をこしらえてこういう制度をすればいいというだけではございませんで、実は御承知のように、損保の問題は、私有財産との関係で憲法の解釈上にも私は多少の疑義を持っておる。お互いが掛け金をかけて、そうしてそれが、災害がなければこれが全部掛け捨てになるというものの考え方、ある意味における私有財産が特定の会社に吸収されてしまう。もしこれが共済制度であったならば、個人の財産として金が余ればこれを払い戻すこともできようかと考えられる。したがって、私有財産を侵してはならないという、あるいはこれを没収してはならないという憲法のたてまえにも多少の疑義がある。しかしこの問題についてここで議論をする時間等もございませんから、もう一つだけ大臣に聞いておきたいと思います。  大臣は、これを消防施設税として考えることは困難であるというような御答弁のように私は拝聴いたしましたが、それなら地方自治体が共済制度としてこういう制度を設けることができるというような、いわゆる自治法の改正でこれはやれるはずであります。かつて、御承知のように都道府県市町村の公共の建物に対します共済制度は、自治法の改正によってこれが行なわれております。そうして都道府県市町村の営造物すべてがこの共済組合に入っておって、そうして掛け金は普通の営利会社よりも半分以下の掛け金で今日たくさんの金を残して、そうして会館等の建設まで行なわれるように発展しておる。この事実を目の前に見てまいりますときに、少なくとも地方住民が火災という災害にあって、そうして非常に困っておる。これを何とか住民立場からも考えなければならない、財源の立場からもこれを考えなければならない。そうだとするならば、いま大阪やあるいは名古屋や京都あるいは横浜で行なわれておりますような、いわゆる共済制度というような陰に隠れたようなものではなくして、明らかにこれを自治法の改正によって、都道府県住民の相互の共済ができるというようなことにすることが今日正しいのではないか。それにはいろいろな具体的な問題としては、一方において私企業がございますから、私企業を圧迫するとかなんとか、いろいろ問題があるでございましょう。しかし技術的な問題ではいろいろ問題があろうかと思いますが、考え方としては私はそういう考え方が現在一部ではあるが、あるのでありますから、法定されたものができておるのでありますから、私はできないことはない、こう考えるのでありますが、大臣の所見をこの際伺っておきたいと思います。
  216. 早川崇

    早川国務大臣 自治法の改正を要しますので、消防施設税の新設とあわせて慎重に検討いたしたいと思います。
  217. 門司亮

    ○門司委員 検討する検討するということでなくて、ほんとうに真剣に私はお考えを願いたいと思います。火災というのは住民にとっては非常に大きな問題でありまして、ことに零細な住民ほどいまの保険会社等の掛け金には非常に苦しんでいる状態でございまして、したがってぜひ私は、相互扶助の関係からも、こういうものを自治体がやり得るような形をこしらえていきたい、もちろん私企業を圧迫することのないように、制度の上にも、あるいは掛け金や金高等についても制限等を設けるということはあるでありましょう。少なくとも私は、考え方としてはそういうことによって、自治体の消防施設の完備と同時に、住民の財産の確保をはかっていくということが、この際自治省として私はとるべき態度ではないか、もうこの辺でそのぐらいのことはお考えになっても私は差しつかえないんじゃないかと考えるわけであります。  それからもう一つ、これも私は昨日松隈先生にお伺いをしたのでありますが、農村の固定資産税関係であります。御承知のように、今日農村の財産家というのは、大体たんぼを持っている人というよりも、むしろ山林を持っている方のほうが財産としては大きいはずであります。ところが、これが地価が非常に安いことのために、御承知のように固定資産税対象になるのは非常に低い、したがってどっちかといえばごく少数の田畑を持っておる、財産から見ればわずか一握りというようなものよりも、財産から見ればかなり大きな山を持って、大きな財産をお持ちになっておると考えられる人のほうが、固定資産税の額は少ないというような現象があらわれてきておる。私は税の負担の公平、均分をはかっていこうとするには、少なくとも先ほどからの質問の中で自治省が答えておりますように、この固定資産税が一面において財産税の性格を持っておる限りにおきましては、やはり税の負担区分の公平から考えてまいりますならば、この山林に対しても何らかの考え方をしなければならない。山林の地価の改正はなかなかできません。これは農林省がやろうといたしましてもなかなか困難であると言っておる。したがって山林で今日どんなに高い地価を見積もってまいりましても、最大限一坪あたり十七円以上に勘定はできない。こう言っておる。こういうふうに考えてまいりますと、田畑とは非常に大きな開きができております。またはなはだしいところは、非常に安い登録された地価になっておる。この不均衡を私はぜひ直すために、少なくとも伐採適齢期以上の木の生えております山林については、何らかの形で立木を背景として税金をかけるということが、僻地における町村の財源の充実と、税の負担の公平ということからすれば、私はなし得ることは、この際自治省のほうで考えられるべきではないか、こういうふうに私は私なりに考えるのでありますが、こういうことについて、ひとつ大臣の御所見を伺っておきたいと考えます。
  218. 早川崇

    早川国務大臣 立木の所有の事実に着目して、担税力を見出して課税をするという御意見でございますが、この問題につきましては課税客体の把握とか、課税技術上非常に困難な問題が、事務当局で検討したところ多いのであります。また二番目といたしまして、租税政策以外の森林政策、木材価格政策との関連上、これまたいろいろな問題がございます。したがって現行法上は、木材の流通過程をとらえまして、木材取引税を課しているのでございまして、今後木材引取税との関連において、なお慎重に検討すべき問題だと考えておるわけであります。
  219. 門司亮

    ○門司委員 いまの大臣のせっかくの答弁でありますが、木材の流通過程で税金をお取りになっておるという問題でありますが、かつて木材が統制を受けおりましたときにはそういうことがいえたのであります。大体把握ができたのであります。ところが、木材の統制がはずされておりまする今日においては、私はこの流通過程における捕捉はきわめて困難だと思います。実際問題としてできるかどうかということであります。ことに最近起こっておりまする現象としては、大きな土建会社あるいは大きな仕事をする諸君は、必要な材木というものは山ぐるみ買ってしまう。そうして自分の持ちものとして出してまいりまするから、一体どこで町村がこれを捕捉するかということはきわめて困難であります。こういう問題が現実の姿としてあらわれておる。したがって私は、こういう財産に対しましては、単に木材引取税があるからそれでよろしいのだということでは、今日の実態に合わないのじゃないか。先ほどから申し上げておりますように、この税金ができたときには木材の統制があったから、ある程度の把握ができた。しかしこの統制がはずされた以上は、流通過程の把握というものはきわめて困難であると思う。したがって、事務的には私は困難であろうかと考える。また実際の農村における力関係からいけば、山持ちなんというのはおそらく私は地方の大ボスであろうと考えたい。そこらの部落の人たちは、その山持ちにすがって生活をささえておるという実態があろうかと思います。したがって、地方的に非常に強い勢力を持っておる人たちがあろうかと思います。しかし、だからといってこの不十分な木材引取税にたよって、そうしてそれがあるからそれでよろしいのだという議論には私はなかなか今日承服しかねる。少なくとも困難ではあろうが、私はたてまえとしては、少なくとも固定資産税が財産税を加味しておる限りにおいては、やはり当該財産に対しまする課税をすべきである。それも私は何も小さいうちにかけよとは言わない。少なくとも伐採適齢期以上の木に対してこういうことにすることのほうが、私はいまの税財源よりもあるいは山村僻地における市町村の自主財源というものはふえてくるのじゃないか、それのほうが確保されるのじゃないか、こう考えておりますが、大臣はい正のようなことはどうしてもできないということですか。私はその点ではいま申し上げましたように、流通過程における木材引取税というものは、これは額が少ないでしょう。幾らもとれないでしょう。これは年々減ってくるのである。しかし材木の伐採は年々ふえておるはずです。それの逆の現象が出ておるのを大臣が見のがすというのは、やはり金持ちに味方をされる大臣だとしか考えられない。もう少し地方財政というものをかわいがってもらうような処置はとれませんか、重ねてひとつ御答弁願っておきたいと思います。
  220. 早川崇

    早川国務大臣 先ほども申し上げましたように、課税技術士の問題と同時に、立木に課税するという問題は、伐採の問題、いろいろ森林政策との関連がございます。したがって、木材引取税が現にあるわけでありまするから、これとの関連において慎重に検討したい、こう申しておるわけでございます。
  221. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つ、これは大臣せっかくおいでですから最後に聞いておきたいと思います。同じ固定資産税の問題であります。地積の問題をどうするかということであります。事務当局からそれの図面はいただきました。しかしこの図面は何村の何の六百分の一の地図だか私はわからない。ただ地図が書かれておるだけであります。あんな地図ならだれでも書けます。少なくとも私が聞いておりますのは、今日の特に山村の固定資産税の中で、かりに税率は非常に少ない、あるいは税財源としてはきわめてわずかであると申し上げましても、山林に対する地積が明確になっていないのじゃないか。田畑に対しましては御承知のように農業センサスをやりあるいは一筆調査をやり、いろいろな関係でやっておりますが、しかし山林にはまだなわを入れておらない。したがってこの辺で自治省は思い切って山林その他の地積に対しまするはっきりしたものを固定資産税関係からひとつやっていこうというお考えはございませんか。私ほこれがぜひ行なわれなければ、これまた税がきわめて不均衡な状態になろうかと考えております。山林を売って、そうしていま宅地造成等をやっておりまするが、それらの場合に出てきた面積だけは誤記登記ということで、登記をすればそれで済むのだということになってまいりますと、その間ずっとこれだけ脱税になっておったと考えてちっとも差しつかえない。私は税の正確な把握のためにも、今日の地積に対しまする実測をひとつ自治省はやっていただきたい。これは建設省の国土総合計画の中からも当然考えられることではございますが、少なくとも市町村民税としてとっておりまする固定資産税関係から、税負担の公平の関係からするならば、私は当然のことだと思います。またこれを拒む何ものもないと思う。しかし、これに対して大臣としてどういうお考えだか、最後にひとつこれを聞かしておいていただきたい。
  222. 細郷道一

    細郷政府委員 山林の地積につきましては、しばしば御指摘のございますように、その実測面積と台帳面積に相当の開きがあるわけでございます。このこと自体はわれわれとしても看過してはならないことではございまするが、遺憾ながら現実にはそういうことが現状になっておるわけでございます。これの捕捉につきましては、もちろん誤った地積が台帳に登録されておれば、これはもちろん直すべきことでございます。半面では国土調査法等によりましてだんだんと面積の確定その他が行なわれてまいると思うのでございます。そういった面ともにらみ合わせて、今後つとめてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  223. 門司亮

    ○門司委員 そういう消極的な答弁ではどうしても……。あなた方は税金をとっているのですよ。国土総合計画は単なる国土総合計画であり、地積をはかるということはあるいは建設省の仕事であるかもしれぬ。しかし私は、この場合はあなた方は税金をとっているのであるから、税の負担を公平にしていこうとするときには、やはりそういうものが公平にとれるようになっていなければ、これは税金をとれぬじゃないですか。とりいいところだけからとつて、とりにくいところはどうも事務的に困難だからのがしておくというようなことになれば、私は税の負担の公平は期せられない。実際にたいした金はかかるわけじゃないでしょう。三百億か、五百億でしょう。三百億かかろうと、五百億かかろうと、私はやはり都道府県なり市町村が責任を持って自分の地債というものははっきりしたものを出す、また出させる、そうして税の負担の公平を期していくということが私はもうされてもいい時代である。戦後もう十八年もたっておる。私は、従来の封建制の強かったときにおける地積というものは、必ずしもほんとうの地積じゃないでしょう。地租改正はいたしておりまするが、ほとんど地検はやっておらない。いま登録されておりまする台帳というのは、一体何年ころ地検したものであるか、何年ころ実測したのか。これはまちまちであって、私はおそらくわからないと思う。古いのはずっと昔太閤地検のころか、家康地検のころか、そのまま台帳に残っておるかもしれぬ。一方には非常に税金をやかましいことを言っておる。そうして差し押えをし、競売をして、強制執行までやらなければならない。一方は太閤さまの時代にきめたものを、そのまま踏襲しているというような私は不合理があってはならないと思う。少なくとも今日日本の地積くらいはこれをはっきりさせてもらいたい。それには国土総合計画というようなこともむろんございましょうけれども、税金をとっておるたてまえからいうならば、やはり自治省はそういうものに本気に取り組むということが私は一番正しい姿であろうと思う。仕事自身は、あるいは国土総合計画の中に含まれるかもしれない。しかし少なくとも発案をし、少なくともこれの実行をしようとするものの考え方は自治省に私はあってしかるべきだと考える。この点については大臣はどうお考えになるか、自治省大臣から御答弁願いたいと思います。
  224. 早川崇

    早川国務大臣 何事にもよらず真実を追求するということは私の信条でありますから、真実に即した台帳であるように、まあどういう方法をやるか、技術的にいろいろ問題があるようでありますが、努力をいたしたいと思います。
  225. 森田重次郎

    森田委員長 他に質疑はありませんか。——なければ両案についての質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  226. 森田重次郎

    森田委員長 この際、委員長手元地方税法等の一部を改正する法律案に対し、安井吉典君外二名から、また中島茂喜君外四名から修正案がそれぞれ提出されております。
  227. 森田重次郎

    森田委員長 提出者から順次趣旨説明を聴取いたします。安井吉典君。
  228. 安井吉典

    安井委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっている地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案提案理由を御説明いたします。  修正案の内容は配付のとおりであります。朗読を省略いたします。  今日の地方財政は、高度経済成長政策のもとで、大企業の大幅でかつ急激な設備投資に歩調をそろえ、膨大な公共投資支出をしいられ、また物価上昇のための給与費をはじめとする一般行政費の膨張で、地方自治体の本来の仕事である住民福祉のための支出はますます圧縮されております。その上に、都市部の自治体では、産業と人口の著しい流入のために、また農山漁村部の自治体では、おくれた農林漁業近代化の基盤整備をはじめ、郷土の住民にこれ以上見捨てられないための行政水準引き上げのために、それぞれ財政需要は大きくなる一方であり、乏しい財政の、やりくりに四苦八苦をしている状況であります。これに対し、地方自主財政の中心であるべき地方税収入は、総体的には伸びているにしても、財政需要の増大にはとうてい追いつかず、ことに税源の偏在は著しいものがあります。  政府提案地方税法等の一部改正法案では、以上のような地方財政実態を根本的に是正し、地方財政を強化発展させるためにはほど遠いものであり、かつ、物価高に悩む大衆の生活を守るためには所得の名目的な上昇に見合う分くらいは当然減税措置をとらねばならぬのにもかかわらず、かえって国税における租税特別措置拡大のため住民税事業税へのはね返りを増大するとともに、電気ガス税等についても独占大企業に対する税の減免優遇措置を一そう拡大はするが、大衆負担軽減については、住民税課税方式統一を除いては見るべきものなく、国民税負担の不均衡と乏しい地方財政への独占の圧迫という両面で問題を一そう大きくしているといえるのであります。  この際、地方自治と住民福祉を守る立場から、大衆負担軽減並びに地方財政の強化の立場に立って地方税財政の改革を行なうことは緊急の要事であります。わが党は、右の見地から抜本的な改革案を別に準備しておりますが、今次の政府改正法案に対しても、当面この程度は実施すべきであると考えられる点につき、修正案提出せんとするものであります。  次に修正案の要点を申し上げますと、第一に、住民税についてであります。まず、道府県民税課税方式の問題については、政府案は何らの配慮を加えていませんが、この際大衆負担軽減のため道府県民税所得制の比例税率制、すなわち課税所得一旦五十万円以下二%、百五十万円超四%を廃止し、課税所得を十三段階に区分する超過累進税率制に改めることにいたしました。  市町村民税における課税方式改正は、貧弱市町村の低い行政サービスに高い税金という矛盾した事態を解消しなければならぬというわが党の主張を政府がようやく取り上げたものであり、その方向には賛成であります。しかし、二カ年度分割実施は一応やむを得なかったにしても、三十九年度における市町村民税所得割ただし書き方式廃止は、不徹底に終わる上、減収補てん措置も、赤字公債に類する形がとられることは不合理であります。本修正案は、三十九年度において完全に本文方式統一し、四十年度には標準税率制度に改めることにし、かつ制限税率については、改正案より幅を縮小し、標準税率の一・二倍に押えることにいたしました。なお、市町村民税減収補てん指貫として、三十九年度から四十四年度まで全額国庫による臨時特別交付金を臨時市町村交付し、その交付金の額は一応漸減はするが、毎年その漸減相当額を地方交付税に組み入れ、その間、地方交付税では貧弱団体に対する傾斜配分を強めていくようにいたしました。  また、道府県民税及び市町村民税その他の減免措置として、所得割の基礎控除を九万円から十万円に、配偶者の場合、現行は扶養控除七万円とされているのを配偶者控除を新設し、その額を十万円とし、扶養控除も一人三万円から五万円に引き上げることにしました。また農協、生協その他に対する非課税課税標準特例の復元、障害者、未成年者、老齢者または寡婦についての非課税範囲を二十四万円に引き上げることにいたしております。  第二に、事業税についてであります。事業税は本来二重課税的な性格を持つものであり、個人事業税は将来撤廃することを目途に、当面の措置として事業主控除改正案二十二万円を三十万円に引き上げ、専従者控除を、青色申告の場合、現行八万円を十二万円に、白色申告の場合、現行五万円を七万円に引き上げるようにいたしました。なお、住民税の場合と同様に農協、生協その他に対する非課税課税標準特別措置を復元いたすことにしております。  第三は、固定資産税についてであります。政府固定資産税評価を取引価格統一し、本年一月一日付で全国の市町村評価がえを実施させつつありますが、新評価額では家屋と償却資産はさしたる変化はないが、田畑、山林、宅地等土地では大幅な引き上げとなり、このような評価額の激変と全国的な反対運動の高まりから、政府改正案では、三年間だけは農地は三十八年度据え置き、宅地等はその二割増でとどめるという暫定措置を定めていますが、四十二年度からの恒久措置につき大増税がないという保証はなく、かつ暫定期間中といえども宅地等を二割増税することは物価騰貴を促進する危険があり、不適当な措置であります。本修正案では、三十九年度から三年間の暫定期間中は、土地はすべて三十八年度評価額をもって課税することとし、政令で定める田畑、牧野、果樹園、作業場、農機具その他農業用固定資産についてはすべて課税標準評価額の三分の二とすることにいたしております。この措置は、立ちおくれている農業の基盤整備や経営の近代化が国民経済全体の上からも強い要請となっており、諸外国でも農業用固定資産について軽減措置を行なっていることからも当然の配慮であると考えるのであります。また、零細な大衆負担軽減のため、免税点を土地改正法案二万四千円を五万円に、家屋現行三万円を十万円に、償却資産現行十五万円を二十万円に引き上げ、大企業に対する特権的な課税標準特例を廃止することといたしております。  第四は、電気ガス税であります。大衆負担軽減のため税率を六%に引き下げるとともに、免税点三百円を基礎控除五百円に改め、同時に大企業に対する非課税特例を廃止いたしております。  第五は、料理飲食等消費税についてであります。改正案外人客に対する非課税措置は、実際は高級ホテル助成や脱税奨励の意味しか持たず、このため道府県の税収が相当額減少することを考えるとき、もしその余裕があるならば、当然大衆の生活につながる減税につとめるべきであります。その意味で修正案では、外人客に対する非課税措置は行なわず、旅館の宿泊及び飲食について控除を現行八百円から一千円に、免税点を現行一千円から一千三百円に引き上げ飲食店喫茶店等における免税点を現行五百円から八百円に引上げ、大衆負担軽減をはかる措置を講じたのであります。  第六は、消防施設税であります。これは消防施設をより拡充整備するための目的税として創設するもので、都道府県は、市町村に対し消防に関する費用に充てる財源を交付するため、火災保険会社の火災保険料収入の三%を消防施設税として課するものといたしております。  第七は、たばこ消費税でありますが、地方自主財政強化と減税補てんのため、道府県たばこ消費税の税率現行九%から一%に、市町村の場合は改正案の一五%を一八%にそれぞれ引き上げるよう修正いたしております。  なお、そのほか政府改正法案における軽油引取税増税については、物価値上げにつながるものとして引き上げ措置は行なわず、国民健康保険税については、改正法案所得割の計算につき市町村民税ただし書き方式による計算を存置しておりますが、せっかくただし書き方式が廃止される際でもあり、市町村民税所得割課税方式によることとするよう修正をいたしております。  わが党は、別に地方交付税法の一部を改正する法律案を準備し、地方交付税率を、現行二八・九%から三一%に引き上げることとしており、さらに国税における租税特別措置の改廃により当然住民税及び事業税の大幅増収を期待できるので、この修正案による地方税減税額は千五百五十四億円にのぼるのに対し、増収額はあれこれ千七百九十億円に及び、地方財政は差し引き二百三十六億円増加することとなるのであります。  以上が本修正案提出する理由並びにその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  229. 森田重次郎

    森田委員長 中島茂喜君。
  230. 中島茂喜

    ○中島(茂)委員 ただいまお手元に配付いたしました地方税法等の一部を改正する法律案に対する自由民主党提案にかかる修正案につきまして、私から提案理由を御説明申し上げます。修正の案文はお手元に配付いたしておるので、朗読は省かしていただきます。  御承知のように、今秋、オリンピックが東京で開催されるのでありますが、これに伴い、オリンピック関係者や外人客が多数来訪されるとともに、これを機縁に今後ますます観光あるいは商用その他の目的で来訪する外人が増加することが予想されるのであります。そこで、これらの外人客税負担を少しでも軽くして、わが国滞在中の印象をよくし、また外人客を一そう多く誘致する目的で、今回当分の間、外人客飲食及び旅館における宿泊について料理飲食等消費税非課税とする措置が講ぜられておるのであります。しかしながら本委員会び及小委員会において慎重かつ熱心に審査を重ねました結果、立案の趣旨並びに徴税技術上の面から、非課税措置期間及び対象となる行為について制限を加える必要があると認めたのであります。これが本修正案提出する理由であります。  次に、修正の内容について申し上げます。  まず第一に、非課税措置についての特例期間を限定したことであります。すなわち、原案は当分の間とされておりますが、これは、法律改正をしない限り恒久的に非課税となるのであります。そもそも今回の非課税措置は、世紀の祭典であり国際親善的行事であるオリンピック開催に際し、特に一時的な特例を設けようというものでありますので、この趣旨から非課税措置期間オリンピック開催期間を中心とする六カ月程度とするのが妥当と思われますので、本年七月一日から同年十二月三十一日までの間に限ってこれを認めようとするものであります。  第二は、非課税措置対象となる行為についてであります。原案では、飲食及び旅館における宿泊の行為について非課税措置を認めることとされておるのでありますが、これによりますと、遊興行為については課税されることになるのであります。しかしながら、たとえばバー、キャバレー、料亭等における遊興を伴う飲食の場合は、遊興行為には課税され、飲食行為については非課税措置適用されるということになるのでありますが、実際上遊興分飲食分とを分離することがむずかしく、徴税技術上その捕捉が困難であるとともに、奢侈的行為である遊興行為についても事実上非課税とするにひとしい結果となることをおそれるものであります。また飲食行為以外の行為について厳格に課税するときは、飲食行為遊興行為及びその他の利用行為の区分を行なわねばならず、外人客に対し、その分別に疑惑の念を与えるのみならず、外人客を優遇し好印象を与えようとする法改正趣旨に相反する結果となると思うのであります。しかも飲食行為全般について非課税措置を認めることは、オリンピック開催年における特別の措置という面から考えても、あるいは国民感情から見ても妥当性を欠くものであると考える次第であります。従って、オリンピック機会に来日する外人客について特典を認めるとするならば、この税の対象となる行為のうちでも、外人客すべてに共通な行為である宿泊及びこれに伴う飲食について優遇措置をとることとするのが、非課税範囲を明確にし、徴税上も事務的な負担がなく、最も適当と考えられるのであります。  以上がこの修正案趣旨及び提案理由の概要であります。  何とぞ皆さま方の御賛成をお願いする次第であります。
  231. 森田重次郎

    森田委員長 以上で両修正案趣旨説明は終わりました。  この際、安井吉典君外二名提出修正案について、国会法第五十七条の三の規定によりまして、本修正案に対する内閣の意見を聴取いたします。早川自治大臣
  232. 早川崇

    早川国務大臣 安井委員提案修正案の各事項は、いずれも慎重に検討を要するもので、にわかに政府として賛成いたしかねる次第でございます。
  233. 森田重次郎

    森田委員長 これより地方税法等の一部を改正する法律案、これに対する両修正案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案を一括して討論に付します。  討論申し出がありますので、順次これを許します。村山達雄君。
  234. 村山達雄

    ○村山(達)委員 私は自由民主党を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案と、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の両案につきまして、自由民主党から提案をされました修正案と、同修正案にかかる修正部分を除く政府原案に対し賛成、日本社会党より提案されました修正案に対し反対討論を行なわんとするものであります。  私が政府原案に対し賛成する点は、要約すれば次の三点であります。その一つ減税規模であり、その二つは改正の内容であり、その三つは減収補てん措置であります。  まず減税規模について見ますと、その額は、一般減税において平年度八百八十億円、初年度四百九十億円、道路整備計画改定に伴う目的財源充実のための軽油引取税の増徴分を差し引いても、平年度七百八十億円、初年度四百億円の巨額にのぼり、その規模は戦後最大であります。国民所得に対する国税、地方税を通ずる負担率は二二・二%と、前年度に比べ〇・七%の上昇を示していますが、地方税負担の割合はほとんど変わらない点は、注目されてよいと存じます。  近時における地方財政状況は、御承知のように、地方団体の努力や国の適切な施策により、加えて経済の目ざましい成長にささえられて、漸次健全化の道をたどっていることは事実であまりすが、他面、行政水準はなお低く、公共事業や社会保障や文教などを中心とする行政水準向上のための歳出増加の要請はきわめて強いものがありまして、減税の財源もその余裕に乏しい実情にあります。また、多数にのぼる地方団体の間におきましては、相当程度その財政力に格差の存することも免れ得ないのでありますが、地方税の減税は、その性質上、財政力の低い地方団体財政事情に制約されるので、地方団体を通ずる減税余裕額は直ちに実現可能な減税額を意味せず、地方税はその意味で減税弾力性に乏しいのであります。昭和二十五年度から三十八年度まで、国税、地方税を通じて行なわれた減税総額一兆一千億円の中にあって、地方税の減税分が二千億円程度にすぎないのも、この間の事情を物語るものであります。  しかるに、このような実情のもとにおいて今回多額の財源を投じて画期的な地方税の減税に踏み切ったことは、住民負担軽減とその地域格差の是正に対する政府のなみなみならぬ熱意を示すものとして、高く評価する次第であります。これが、私が政府原案に対し賛意を表する第一の理由であります。  次に、改正案のおもな内容について見ますと、最もきわ立っているのは、市町村民税所得割についてであります。市町村民税所得割につきましては、古くは五つの課税方式があり、逐年各課税方式間の負担均衡をはかるための努力が続けられ、三十七年度において、本文方式ただし書き方式の両方式に整理統合を見るに至ったのでありますが、両方式間においては、いまなお著しい負担の格差が見られるのであります。実感を呼ぶために、具体的に説明しますと、現存ただし書き方式により負担している所得割の額は、納税者一人当たり平均で七千三百円程度でありますが、もし本文方式準拠税率負担することが可能となれば、その額は三千二百円程度となるはずでありますので、裏から言えば、ただし書き方式の納税者は本文準拠税率の納税者に比べて二・三倍の負担額にして四千百円程度割り高負担に任じていることになるのであります。現在ただし書き方式を採用している市町村の数は二千七百余で、全市町村数の約八割にのぼり、しかもその大部分は後進地域に属する市町村でございます。ただし書き方式による納税者数は七百六十七万人で、全納税者の四割に及んでいるのであります。両課税方式間で負担の格差の生ずる原因を制度的に見ますと、その一つは、扶養控除のやり方の違いによるものでありまして、本文方式が第一人目七万円、第二人目以下三万円の所得控除の方法によるのに対しまして、ただし書き方式では一律にわずか六百円程度の税額控除の方法によっているためであります。この控除方法の違いから生ずる負担の格差は、納税者一人当たり平均三千円程度と推定されます。  格差を生ずる原因のその二つは、超過課税によるものでありまして、制度的に見ますと、現行所得割は本文、ただし書きとも制限税率の定めがなく、また税率適用上の所得段階区分準拠税率の制度を採用しているため、財政力に乏しいただし書き採用市町村においては、あるいは所得段階区分を細分し、あるいは超過税率を設ける等により、とかく多額の超過課税を行ないがちとなるためであります。事実、本文方式市町村超過課税が五十億円程度であるのに対し、ただし書き市町村のそれは二百億円程度に及んでいる実情にあります。経済成長の第二ラウンドにおける重大な課題の一つが、地域格差の是正にあることはいうまでもありませんが、市町村民税所得割におけるこのような明白な負担の格差の解消こそ、まっ先に着手さるべき現下の急務であり、政府改正案もこのような見地から理解さるべきものと存ずるのであります。  改正案は、三十九、四十の両年度にわたる漸進的な措置により、両課税方式統一するとともに、過重な負担を排除せんとするものであります。すなわち、まず三十九年度においては、ただし書き方式本文方式に近づけるための経過措置を講ずるにとどめることとし、現行税額控除を、第一人目四万円、第二人目以下三万円の所得控除に改め、続く四十年度において第一人目の控除額を七万円に引き上げて、両方式を完全に統一するとともに、準拠税率標準税率の制度に改めつつ、新たに一・五倍の制限税率を設け、極端な超過課税の解消を期しているのであります。しかして、両年度にわたる措置により、ただし書き納税者中二百五十万人程度のものが失格者として所得割負担から解放され、その他の者にありましても平均で四割七分程度の減税地域によりましては七割五分程度の減税となるところもございます。  次に、固定資産税につきましては、新評価制度の実施に伴う負担の激増を緩和するため、三十九年度から四十一年度までの三年度負担の調整を行なうこととし、農地については三十八年度税額をこえないよう、また農地以外の土地についても三十八年度の一・二倍の税額をこえないよう措置しているのであります。今回の新評価制度は、長年の懸案とされていた固定資産について各種資産間や地域間に存する評価の不均衡から生ずる固定資産税の不均衡を是正するための措置でありまして、もとよりこれにより増税を企図するものでないことは周知のとおりであります。したがって、税率に所要の調整を加える等の措置を講じつつ、固定資産税負担を直ちに新評価の基礎に立って実施に移すことも一応考えられるところでありますが、他面負担の激増を避けることは、制度改正にあたって常に意を用いなければならぬところであります。この意味において、今度の改正案が家屋や償却資産負担については新評価に移行することとしながら、土地について所要の調整措置を講じているのも、新旧評価の異動の実情に照らしてみれば、現段階における妥当な措置としてうなずけるのであります。  事業税につきましては、中小企業の負担軽減をはかる見地から、法人事業税において軽減税率適用範囲の拡張をするとともに、個人事業税の基礎控除額を引き上げ、電気ガス税については、前二年度に引き続き、本年度においても税率を一%引き下げることにより大衆負担軽減をはかり、住宅建設促進の政策的要請に即応して、不動産取得税における基礎控除等の引き上げ固定資産税の二分の一の軽減等の措置を講じ、また軽油引取税については、新道路計画の発足に伴う目的財源充実の見地から、揮発油に対する税負担のバランス等をも考慮して二割の税率引き上げを行なう等重要な改正を行なっているのであります。  以上のおもな改正のほか、市町村民税所得割における専従者控除額の法定化や引き上げ、広く住民税における障害者等についての非課税範囲の拡張、不動産取得税における非課税規定の整備拡充、固定資産税における免税点の引き上げ非課税規定の整備拡充、中小企業者の特別償却対象資産についての軽減、外航船舶に対する時限的免税、産業用電気の使用に対する電気ガス税の減免措置の拡充など、各方面において行き届いた、きめのこまかい改正案が盛られているのであります。  以上、今回の改正案はきわめて広範にわたり、その内容は現下の各方面の要望にこたえて住民負担軽減合理化をはかりつつ、地方税制の体系的整備をも前進せしめるものであります。さきに述べた弾力性に乏しい地方財政現状をあわせ考えるとき、われわれは政府の努力を高く買うものであり、私が政府案に賛成する第二の理由もここにあるのであります。  ただ、料理飲食等消費税につきましては、政府案では、当分の間、外人客飲食及び旅館における宿泊に対して免税することとなっております。しかして、その趣旨は、提案理由によりますと、今秋開催されるオリンピックを機とし、多数の外人客の来訪が予想されるが、これらの者の負担を少しでも軽くしてわが国における滞在の印象をよくし、またこれにより外人客を一そう多く誘致せんとすることにあるようであります。しかしながら政府案は、広く飲食及び宿泊を免税としているので、その適用を受ける場所はきわめて広範囲にわたるのであります。実際の調査は、行為後相当期間を経て書面調査の方法によらざるを得ないのでありますが、その際、飲食代についても外人客分と本邦人分の別、飲食代と遊興代の区分等を誤りなく判定し、的確な税務行政の運営を期することは至難のわざと思われるのであります。もし事態がそうであれば、他面便乗者の発生も手伝って予期せざる多額の減収を生ずるおそれもあり、またこのような事態の発生をおそれて執行の厳格をはかれば、煩瑣な手続を要求することになるだけでなく、執行上の紛争発生のおそれなしとしないのであります。もしそのようなことになれば、本税軽減の本来の目的に逆行して、かえって外人客の印象を悪くする場合すら予測されるのであります。したがって、この際はむしろ税務行政運営の実際面に重点を置き、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食のみを免税とするほうが、より政府提案趣旨にかなうものと認められるのであります。また免税の期間につきましても、今回の措置が異例の措置であることにも顧み、この際はオリンピック開催期間を中心とした半年ほどの期間に限ることが適当と認められるのであります。政府案のような、広く一般外人客の誘致を目的とする免税制度を導入するかどうかは、今度の措置の実績を見て、あらためてかかる措置の政策的効果を判断した上でも決しておそくはないと考えるのであります。これが私が自由民主党の提案いたしました修正案に対して賛成する理由であります。  第三は、今回の減税に伴う市町村財政に対する補てんの措置についてであります。  まず、電気ガス税の減税分につきましては、たばこ消費税の税率の一・六%の引き上げという税源配分の方法によりその穴埋めをはかっているのでありますが、両税の地域的な散らばり及びその伸長性から見て適当な措置と考えるのであります。  次に、市町村民税所得制の減税に伴う補てんについては、二つの注目すべき措置が講ぜられているのであります。  その一つは、地方財政法を改正して、三十九年度及び四十年度における減税額については、その年度において減税額と同額の地方債の起債を、また減税年度以降五年度間に限り、引き続きそれぞれ毎年二〇%ずつ逓減した額による起債を認め、これらの地方債を国が資金運用部資金で引き受けることとしているのであります。この措置により三十九年度から四十四年度の六年度間、減税に伴う市町村財政における収入減を緩和するとともに、減税補てん債でカバーできない減収額を逐次計画的に地方交付税と地方税の自然増収の中に吸収せんとするものであります。すなわち、平年度たる四十五年度において三百億円の減税に伴う減収を完全吸収することを目途に、四十年度の三十億円に始まり、四十一年度から四十四年度まで逐年六十億円ずつ吸収額が増加するよう仕組まれておるのであります。  所得割減税に伴う減収補てん措置のその二は、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案において提案されているところのものであります。その案によれば、補てん債にかかる元利償還金の三分の三は償還の年において、国の負担において当該市町村に補給し、その三分の一はその年の基準財政需要に織り込むことにより普通交付税でカバーしようとするものでありまして、これにより減税を行なったただし書き市町村の財源は完全に補償されることになるのであります。この措置による国の負担総額は六百億円とその利子額であり、普通交付税でまかなうべき地方負担分は三百億円とその利子額であります。償還金の地方負担分のピーク時は、発行条件を利率六分五厘、一年据え置き七年元利均等償還とすれば四十五年度となり、その額は五十七億円程度となるのでありまして、先に述べた減税に伴う減収分と合しても三百五十七億円程度と見込まれますので、最近における交付税の伸長状況から見れば、この程度の額は十分吸収可能と認められるのであります。  以上申したように、所得割減税に伴うただし書き市町村減収額の補てんについては、まず国と地方の緊密な協力によりその負担を分担し合い、またその地方負担分については、将来の地方税、特に交付税の自然増収に逐次計画的に吸収され、減税を行なったただし書き市町村負担をできるだけ少なくするよう精密な配慮が加えられておるのであります。換言すれば、このような配慮の裏づけによりまして、課税方式統一という長年にわたる懸案の実現が初めて可能になったとも言い得るのであります。私が政府案に対して賛成する第三の理由もここにあるのであります。  以上、政府原案に対し賛成理由を述べたのでありますが、もとより政府原案によりましても幾つかの重要問題が将来の解決に残されておるのであります。  その一つは、減税に伴う減収のうち減税補てん債の起債に基づいてカバーできない部分についての財源措置の問題であります。この部分の補てんについては今度の改正案では、制度的には完全な保障を欠いているのでありますが、今次改正の精神に照らせば、当然これら貧弱市町村の基準財政需要の引き上げにより解決すべきものと存ずるのであります。  その二つは、所得割について新たに設けられた制限税率に関する問題であります。新所得割においても一・五倍の限度超過課税を行なうことが認められることとなりましたが、このことは決して行政水準の低い貧弱市町村が不足財源を補うため住民に対し超過負担を課することを是認する意味ではないのでありますから、このような市町村に対しては、将来にわたりその基準財政需要額の算定の合理化につとめるよう希望するものであります。  その三は、固定資産税の四十二年度以降における負担調整の具体的措置についてであります。さしむきの調整方法はまず適当であるといたしましても、新評価に基づく将来の調整措置の内容が不明であるため、納税者においても懸念する向きがあるようであります。政府はすみやかに適切な措置について検討を行ない、その措置の方向なりとも明らかにすることが急務であると認められるのであります。  さて次に、日本社会党から提案されておりますところの修正案について反対意見を申し上げます。  まず本修正案は、地方交付税率を現行二八・九%から三一%に、たばこ消費税率政府提案の二四%から三〇%に引き上げ、また固定資産税や電気ガス税の産業方面に対する現行の減免制度、さらには国税における法人税特別措置について、これを大企業に対する特権的な減免措置とするたてまえから、これが徹底的整理を打ち出し、これらのことを前提としたしで減税を行なおうとするものであります。しかしながら、国・地方を通ずる現下の財政事情から見まして、いま直ちに交付税やたばこ消費税の税率をこれ以上大幅に引き上げることがいかに困難であるかは、いまさら申し上げるまでもありません。また、いうところの大企業に対する特権的特例措置は、実はコストの引き下げ、輸出力の増強、設備の近代化等、総じて国民経済運営上の政策的要請に基づき、しかもそのときどきの必要に応じて弾力的になされた新設改廃の長年にわたる経過の積み重ねから成っているものでありますから、いまにわかにこれを排除するがごときことは、さなきだに脆弱なわが国経済の基礎に悪影響を及ぼすものであり、賛成しがたいのであります。  次に、提案にかかる減税案のおもな内容について見ますと、住民税については三十九年度から両課税方式を完全に統合し、また制限税率を一・二倍に引き下げ、その補てん財源を全額国の負担に求め、個人事業税については撤廃を目途としながら、さしあたり基礎控除額を三十万円に引き上げ固定資産税については現行評価額を据え置きつつ、農地について評価額を三分の二に引き下げ、電気ガス税については税率を二%軽減するとともに、家庭用につき現行の免税点にかえ五百円の基礎控除を新設し、料理飲食等消費税については、飲食についての免税点を八百円に引き上げ、また軽油引取税引き上げについては、物価値上がりにつながるものとして全面的に反対しているのであります。  これらの案につきましては、中には将来の問題として傾聴すべき提案も含まれておるのでありますが、負担のバランスの点、財源措置の点、地方税体系の点などから、現段階における改正案としては、率直に申して、総じて現実性に乏しいうらみをおおい得ないのであります。このような理由から、日本社会党の修正案に対しましては遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。  以上述べました理由により、私は、自由民主党から提案せられました修正案及び同修正案による修正部分を除く政府原案に対し賛成し、日本社会党から提案された修正案に対し反対するものであります。
  235. 森田重次郎

    森田委員長 細谷治嘉君。
  236. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案に関し、中島茂喜君提出にかかる修正案及び修正部分を除く政府原案反対し、日本社会党提案修正案賛成市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案に対し反対討論を行なうものであります。  まず第一に、今回の地方税法等の一部を改正する法律案は、戦後画期的な減税だと広言いたしておりますが、その内容を見ますと、道府県税において八十三億三千八百万円の減税でありますが、目的税で八十七億三千四百万円の増税となり、実質的には三億九千六百万円の増税となっておるのであります。市町村民税におきましては百三十五億六千九百万円の減税となっておりますが、地方税全体を通じての減税額は合計百三十一億七千三百万円にすぎず、増収額二千三百二十六億五千二百万円に対しましてはわずかに六%にすぎないのでございます。地方税収入は総額一兆二千九百億円でありまして、二二%の伸びを見積もっており、昨年度の前年度比二二%増に比し、きわめて過大であります。しかも内容的には、法人事業税市町村民税の伸びが二三ないし三一%の伸びと見ておりますが、はたしてこれだけの伸長が期待し得るやいなや、はなはだ疑問と申さなければなりません。  今回の改正案一つの柱は、住民税課税方式統一にあるといえます。周知のごとく住民税には本文方式ただし書き方式との二つがあります。このために、同じ甘木国民で同じ所得でありながら、三、四倍、はなはだしいところでは六ないし七倍の税が課せられるというような不合理、不公平が存在しておったのでございます。今回ようやく統一へと踏み切ったのでございますが、むしろおそきに失したと申さざるを得ません。住民税は、固定資産税とともに市町村税収の大宗をなしております。したがいまして、これに関する何らかの改正は、当然その財源補てんを完全に行なうことによってのみ初めて実施し狩るものといわなければなりません。しかるに政府案は、その三分の一を地方交付税基準財政需要額に算入することにより、残りの三分の二は減税補てん債の元利償還額の補給をもってしようとするものであります。しかもこの減税補てん債は、赤字公債そのものであり、年々二割を減じ、六年後にはゼロとなるものでございます。一方地方交付税による補てんは、交付税率改正を伴わず、自然増と基準税率の五%引き上げによって生み出そうとするもので、二千数百に及ぶ市町村の期待を全く裏切るものと断ぜざるを得ません。財政の貧弱な市町村は、その行政水準を維持向上させるために住民担税力をこえて市町村民税を重く課してまいったのでございます。公平を貫き、不合理を正し、憲法二十二条の居住の自由を実質的に保障しようとする政治上の必然性から課税方式統一が試みられる以上、その財源を完全に穴埋めすべきことは議論の余地のないところでございます。したがいまして、改正に伴う減収補てんのために全額国庫による臨時特別交付金制度の創設を強く主張するとともに、百五十億円ずつという非現実的なやり方でなく、初年度において方式統一を実施し、二年度において準拠税率標準税率制度に改め、しかも標準税率の一・二倍をこえて所得割を課することができないとする社会党修正案に私は心から賛成いたすものでございます。  改正の第二の柱は、固定資産税にあると言えます。昭和三十七年四月、地方税法の一部を改正する法律が社会党の反対を押し切って成立いたしました。その内容は、評価制度に改め、これを昭和三十九年度から実施しようとするものであります。政府は、三十七年七月以来数次にわたって試案なるものを市町村に示し、わずかな交付税を交付して事務を進めさせてまいったのでありますが、正式な評価基準は、実施直前の昨年十二月二十五日官報で告示され、しかも本年一月二十八日官報で再修正をいたしております。このことは、整備きわめて不足な政府自体が一方的に強行したことを如実に物語っており、まことに遺憾と申さなければなりません。  新評価基準による評価額は、農地一・二ないし一・四倍、宅地六ないし七倍、はなはだしいものは十倍以上、山林三ないし四倍、家屋、償却資産等はほぼ同額というように、資産間にはなはだしい格差を生じ、市町村間においても著しい不均衡を生んでおるのでございます。このことは土地の極端な増税を意味し、逆に大資本、大企業の償却資産減税を結果することとなるのでございます。固定資産税の総額を変えないという法衣のそでの下に、すでに池田内閣の大資本擁護のためのよろいがきらきらと光っていると断ぜざるを得ないのであります。政府は、売買実例に基づく評価が正しいと主張いたしております。自治省の資料によりますと、この税が創設されました昭和二十五年から三十三年ごろまでは各資産間に著しい不均衡がなかったのに、三十四年ごろから急激なアンバランスが生まれてまいりました。このことは、池田内閣の高度経済成長政策が生んだゆがみであり、このゆがみを正当化し、これによって固定資産税を課するがごときは断じて許すことができないのであります。政府案は、激変緩和という名目で、三年間農地については前年を上回らない、宅地、山林等については二割増を限度とする暫定措置を講じておりますが、依然として宅地に対する増税以外の何ものでもなく、三年後には税率の引き下げ等によって一気に土地、宅地の増税、償却資産減税への基本コースを指向するものと言わざるを得ません。のみならず、土地、家屋には都市計画税が課せられている点、二重の増税と指摘せざるを得ないのであります。ある素朴な農民の、池田さんは住民税を下げ、そのかわりに固定資産税を上げおるとのことばには真実が存在しておると思うのであります。  日本社会党は、このような性格政府案に断固反対し、暫定期間土地はすべて三十八年度評価額をもって課税するとともに、免税点の大幅引き上げと大企業に対する課税標準特例または非課税措置を廃止する修正案に心から賛成いたすものでございます。  第三は、電気ガス税についてであります。政府案は、税率を一%下げるかかわりに、市町村たばこ消費税を一・六%引き上げるほかに、非課税範囲拡大と、さらに輸出振興のため本年六月から五年間数品目につき新たに百分の二の新税率を設け、減税することを内容といたしております。現在、電気ガス税には百二十種に及ぶ非課税品目があり、その減税額は二百億円に達しております。これらを検討いたしますと、何ゆえの非課税かと考えられるものが多く、いまや特権化しつつあるのでございます。私は、税率を百分の六に引き下げ、免税点を改め、基礎控除を五百円とするとともに、大企業に対する非課税の廃止を主張する社会党修正案賛成し、政府案に強く反対するものであります。  第四は、料理飲食等消費税についてであります。私がきわめて奇怪に思うことは、外客に対する料理飲食等消費税特例に関する政府態度であります。この問題は、過去の国会で確定を見たにもかかわらず、オリンピックの名のもとに特例を設け、あまつさえ閣議において範囲拡大し、期間を永久化すべく修正提案をするに至ったことはまことに遺憾のきわみと申さなければなりません。もし万一政府案が成立するごときことがあれば、それは一種の治外法権であり、まさに国辱とも言うべく、また国会の朝令暮改を意味し、国会の権威を失墜するものと申さなければなりません。私は、断固この削除を要求いたしますとともに、大衆に対する消費税の軽減をはかる修正案賛成いたすものであります。  以上のほか、事業税軽油引取税国民健康保険税、たばこ消費税率等に関する社会党修正案賛成し、政府案に強く反対いたすものでございます。  最後に、地方自治確立のため、地方税の充実、自主財源の強化について一言いたしたいと思います。昭和三十九年度の国税と地方税の比は、ほぼ七対三であり、地方交付税、譲与税を地方財源として計算いたしますと、五五対四五となるのであります。今日、国と地方との歳出はおおよそ四対六で、特に国の公共投資の増加によっていよいよ地方負担が増大し、地方債の発行増によって、地方の財政構造は一段と硬直化しつつあるのでございます。したがいまして、この際税財源の再配分と交付税率引き上げを早急に実現し、もって地方行財政の確立をはからなければならないと思うのであります。  以上をもって、私の討論を終わります。
  237. 森田重次郎

    森田委員長 栗山礼行君。
  238. 栗山礼行

    ○栗山委員 私は民主社会党を代表いたしまして、今度の地方税法一部改正並びに減税補てん債に対する処置の問題につきまして、政府原案反対、自民党の一部修正案反対、社会党の修正案賛成立場に立ちまして、一言討論をいたしたいと思います。  率直に申し上げまして、今度の地方税法の改正にあたりましては、あまりにもわれわれ納得がまいりませんし、合理性を見出すことに相当苦慮をいたすわけでございます。委員会を通じ、審査の小委員会を通じ、あるいはまたこの委員会におきます質問及び答弁を通じまして、いささか幻滅の感を禁じ得ないものがあるのであります。そういう観点から、民社党は委員会あるいは審査の小委員会において質問を通じ意見を申し述べて答弁を求めたのでありますが、この過程を通じましていまなお納得がいかず、しかも今日の漸進的な内容のない政治的貧困を痛切に感じておるのでございます。  私は最後の討論でございますし、同時にまた社会党の修正案が出、細谷委員の詳細なる討論で論点が明らかにされておりますので、本来申し上げますと、民社党が各問題点に論及いたしましてその態度を明らかにすべきであろうかと思いますけれども、私どもの質問戦を通じ明らかにいたしておりますこと、おおむね社会党の修正案がわれわれと意を通じ、妥当であることを確信いたしまして、全く今度の問題につきましてはいろいろ申し上げたいことがあるのでありますけれども、率直に申し上げまして、私どもが賛意を表すべくその具体的内容の貧困であることを強く申さねばならぬと思うのであります。  私はこういう観点に立ちまして、以上申し上げましたように、やはり今日の地方税法の問題は、今国会での大きな一つであることを感じまするときに、少なくとも私の脳裏に残っておりますことは、早川さんの、地方行政は与野党が超党派のものでなくてはならぬということを私はまことに感銘深く脳裏に刻み込んでおるのでありますけれども、今度の内容を伺いまするときにおいて、まことに官僚的、あるいは一方的な場当たり的な事務的な範囲よりこれを踏み出したものでありません。  こういう観点に立ちまして、私は政府反対、さらにまた、自民党の微温的な修正案の内容につきましても、これを了承しかねるのでありまして、社会党の修正案を強くこれを支持いたしまして、私の反対討論を終わりといたします。
  239. 森田重次郎

    森田委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず地方税法等の一部を改正する法律案に対する安井吉典君外二名提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  240. 森田重次郎

    森田委員長 起立少数。よって、安井吉典君外二名提出修正案は否決されました。  次に、中島茂喜君外四名提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  241. 森田重次郎

    森田委員長 起立多数。よって、中島茂喜君外四名提出修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  242. 森田重次郎

    森田委員長 起立多数。よって、地方税法等の一部を改正する法律案は、中島茂喜君外四名提出修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。(拍手)  次に、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  243. 森田重次郎

    森田委員長 起立多数。よって、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。ただいま議決されました両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  244. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  245. 森田重次郎

    森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時四分散会