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1964-03-05 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月五日(木曜日)委員会において、 次の通り小委員及び小委員長選任した。  地方税法等の一部を改正する法律案等審査小委  員       大石 八治君    奧野 誠亮君       久保田円次君    田川 誠一君       永田 亮一君    村山 達雄君       千葉 七郎君    細谷 治嘉君       安井 吉典君    栗山 礼行君  地方税法等の一部を改正する法律案等審査小委  員長       永田 亮一君  地方公営企業に関する調査小委員       大西 正男君    武市 恭信君       登坂重次郎君    藤田 義光君       森下 元晴君    和爾俊二郎君       佐野 憲治君    重盛 寿治君       華山 親義君    門司  亮君  地方公営企業に関する調査小委員長       藤田 義光————————————————————— 昭和三十九年三月五日(木曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 永田 亮一君 理事 藤田 義光君    理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    大西 正男君       奧野 誠亮君    亀岡 高夫君       久保田円次君    武市 恭信君       登坂重次郎君    三池  信君       村山 達雄君    森下 元晴君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    重盛 寿治君       千葉 七郎君    華山 親義君       細谷 治嘉君    栗山 礼行君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 早川  崇君  出席政府委員         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤  弘君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         自治事務官         (税務局長)  細郷 道一君  委員外出席者         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         自治事務官         (財政局公営企         業課長)    近藤 隆之君         自治事務官         (税務局府県税         課長)    佐々木喜久治君         自治事務官         (税務局市町村         税課長)    森岡  敬君         自治事務官         (税務局固定資         産税課長)   石川 一郎君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月四日  委員登坂重次郎君及び華山親義辞任につき、  その補欠として木村俊夫君及び米内山義一郎君  が議長指名委員選任された。 同日  委員木村俊夫君及び米内山義一郎辞任につき、  その補欠として登坂重次郎君及び華山親義君が  議長指名委員選任された。 三月五日  理事阪上安太郎君同日理事辞任につき、その補  欠として佐野憲治君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任  に関する件  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二七号)  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇九号)  市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の  特別措置に関する法律案内閣提出第一一〇  号)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  理事阪上安太郎君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、許可することに決しました。  次に、理事補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、佐野憲治君を理事指名いたします。      ————◇—————
  5. 森田重次郎

    森田委員長 次に、地方税法等の一部を改正する法律案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の両案を一括議題として、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。千葉七郎君。   〔委員長退席永田委員長代理着席
  6. 千葉七郎

    千葉(七)委員 地方税法等の一部改正案につきましていろいろ了解いたしかねる点がございますので、お尋ねをいたしたいと思います。  改正案提案理由説明によりますと、この改正案住民負担軽減合理化につとめ、地方財政現状は漸次好転しておるけれども、地方行政水準はなお低い。すみやかにその向上をはかることが必要であり、これに伴う所要経費の増大を考えるときに、地方財政はなお予断を許さない状況にある。したがって、この改正にあたっては、地方財政の実情を考慮して、国において所要財源措置を講ずる、そのためにこの改正案提案をしたのだ、こういう説明であります。この説明を読んでみますと、いろいろ矛盾する点あるのではないか、このようにも考がえられますので、この説明につきまして一応具体的にお伺いをいたしたいと思うのであります。  初めに、この改正案住民負担軽減合理化につとめるというのでありますが、住民負担軽減、これはもちろん地方税を軽く減ずるというのでありますから了解できるのでありますか、その下にある合理化につとめる、この合理化につとめるというのはどういう内容であるか。いままでの、現行地方税制は不合理であったから、これを合理化するのだ。いろいろ合理化ということばがはやっておるのでありますが、理屈に合わない点を理屈に合うようにするのだ、こういうふうに考えられるわけでありますか、その合理化内容について、少し具体的に説明を願いたいと思うのであります。
  7. 細郷道一

    細郷政府委員 たとえば住民税におきまして、従来は本文方式のほかにただし書き方式が認められておったのであります。その中で、ただし書き方式におきましては、たとえば控除の種類か限定されておる。基礎控除があり、その上扶養控除等について税額控除をいたしております。あるいは専従者につきまして、同じ税額控除をいたしておりますか、扶養控除税額控除につきましては六百円というのを標準とするというのにとどまり、各市町村かそれを上げ下げすることが自由にされておる。あるいは専従者控除につきましても税額控除の道を開くにとどまりまして、別に法律上どの程度税額控除をするというようなことのきめ方までなされていなかったわけでございますが、そういった面につきましては、やはり住民がその所在する市町村を異にすることによってどれだけの税額控除がされるかといったような場合に、現行法律の上におきまして全く市町村にまかせられておる。一方では住民負担均衡化、あるいは合理化ということが叫ばれておるというような状況にございますので、それらを法律上の事項とすることにより合理化をはかってまいり、あるいはそれが負担軽減にもなる、こういうようなのが一つの例でございます。
  8. 千葉七郎

    千葉(七)委員 ただいま合理化内容につきまして説明があったわけでありますが、その説明によりますと、住民負担軽減をはかる。そして、かつまた公平な負担を実現する。そうしてまた地域格差をなくする、居住地を異にすることによって生ずる格差をなくする、こういうことがこの合理化内容だ、このように御説明があったように了解いたしたのでありますが、それで差しつかえございませんか。
  9. 細郷道一

    細郷政府委員 大体そういったような考え方でございます。
  10. 千葉七郎

    千葉(七)委員 そこでお尋ねをいたしたいのでありますが、国、地方を合計いたしまして、昭和三十八年度の税の国民所得に対する割合は二一・五%になっておるようであります。そうして三十九年の税の負担割合は、昨年度よりも一%ほど多くなりまして二二・五%になっておるように聞いておるのでありますが、この二二・五%の割合による国、地方の合計の税額は幾らになりますか、お伺いをします。
  11. 細郷道一

    細郷政府委員 昭和三十九年度で申しますと、国民所得が十九兆八千九百五十億円、それに対しまして国税におきまして三兆一千六十三億円、地方税におきまして一兆三千百六十七億円、その負担率が二二・二%、こういうことでございます。
  12. 千葉七郎

    千葉(七)委員 そういたしますと、この二二・五%の割合のうち、国税のほうは何%、それから地方税のほうは何%になるか、これは計算してみればわかると思うのですが、おそらく計算が出ておると思うのです。それをお知らせ願いたいと思います。
  13. 細郷道一

    細郷政府委員 国税負担割合は一五・六%、それから地方税部分が六・六%でございます。
  14. 千葉七郎

    千葉(七)委員 そこでお伺いをいたしますが、いまの市町村住民税でありますが、いまの賦課の方法は、その所得割りにおきましては十三段階にこれを区別をして課税をいたしておるわけであります。この十三段階所得別地方税負担割合は、どういうぐあいになっておるのか、おわかりであったらお知らせいただきたいと思います。
  15. 細郷道一

    細郷政府委員 住民税所得割りは、御承知のように地方税法第三百十四条の三によりまして、所得ごと段階をきざんで、それぞれの準拠税率を定めておるわけでありますが、ただこれは現行制度におきましては、準拠税率制度となっておりますので、個々市町村がこの所得区分並びにその税率をこの法定のとおりでなく、それぞれの市町村事情によって区分を変えておりますので、この段階ごと負担割合というのは、ちょっといますぐは申し上げかねる状況にございます。
  16. 千葉七郎

    千葉(七)委員 さっきの御説明によりますと、この負担軽減合理化につとめる。その内容は、税の負担を公平にして、そして、なおかつ減税をして、さらには地域格差を縮める、なくしていく、こういう御説明であったわけでありますが、私は、この十三段階所得階層別の税の負担割合がはっきり出てこなければ、はたしてこの地方住民税負担割合が公平であるかどうかということが出てこないんではないかという感じがするのでありますが、その点はいかがでしょう。たとえば低所得者に税がその所得に応じて軽いか、あるいは高額の所得者にその所得に応じて重い住民税が課されておるか、そういう点、階層別地方税負担割合が出てこないとはっきりしないんではないか、こういう感じがするのであります。そこで、そういう点については、自治省の当局のほうでは、そういう点を考慮してお調べになったことがあるかどうかという点、そして、私の考え方には間違いがあるか正しいかという点をひとつ御所見をお伺いしたいと思うのであります。
  17. 細郷道一

    細郷政府委員 個々市町村は、先ほど申し上げましたように、所得刻み税率区分をいろいろ変えておりますので、必ずしも一つ一つについてちょっと申し上げかねるのでございますが、概して、たとえばここに法律には、最初の段階が十五万円以下の金額について百分の二、こうなっておりますが、この十五万円をさらに五万円あるいは十万円というような区切り方をいたしておりますし、また、十五万円から四十万円の間につきましても、これを細分化し、税率をきめておる、こういったような状況にあるのでございます。そういうようなきめ方をいたしておりますのは、いろいろ市町村によって事情はあろうと思いますが、やはりその市町村内におきます所得分布状況階層別分布状況、そういったようなことも考慮をいたし、かつは、沿革的な、昔からの戸数割り制度的な沿革上の残滓もあったりいたしまして、比較的低所得部分にこの住民税負担が重くかかっているというのが実態のようでございます。もとより私どものほうにおきましては、今回の改正にあたりましては、全国市町村の悉皆の調査をいたしまして、その結果を総合的に低所得者負担が重いと、こう申し上げておるのでございます。  なお、一つの例といたしまして、たとえば給与所得者で年収五十万円の標準世帯というものについて見てまいりますと、一番高くその条件の人が負担をしております町におきましては、現在一万八千百二十円の税が、住民税所得割りがかかっておるのでございます。これはもしこの人が本文準拠税率どおり標準の姿で課税されるといたしますれば、二千六百三十円で済むというような状況にございまして、これは非常に極端な例ではございますけれども、そのような姿であらわれておるということからも、やはり負担均衡化をはかる必要があろう、こう考えておるのでございます。
  18. 千葉七郎

    千葉(七)委員 そこでお尋ねをいたしたいのでありますが、今度の改正によりまして、ただいま説明のありましたように、従来五十万円の所得の人で標準家族の人が一万八千百二十円の課税であったのが、本文方式に直せば二千六百三十円に減税になるんだ、こういうことなんでありますが、従来のただし書き方式による課税の額よりも、本文方式によれば、低額所得者層に対する税の負担割合は、従前よりもずっと軽くなるというふうに解釈してよろしいわけですか。
  19. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申し上げましたように、所得刻みを四十年度からは動かせないようにいたすわけでございます。したがいまして、現在十五万円以下百分の二と定めてあります部分について、ある市町村が、五万円以下百分の二、それから五万円超十五万円百分の三、こういうような定め方をしておることは、四十年度以降においてはとめられるわけでございます。したがって、そういった部分におきましては、十分おっしゃるとおりに低所得者負担軽減になるものと考えております。今回の措置をとることによりまして、明年度において、ただし書き方式市町村住民税納税義務者が約百二十万人ぐらい落ちていくというようなことから見ましても、そういうことが申し上げられると思うのでございます。
  20. 千葉七郎

    千葉(七)委員 それで、この所得割りについてはわかったわけでありますが、次にお尋ねいたしたいのは、地域間の格差の問題であります。いま地方税の一人当たり負担額につきまして、一番負担の高い自治体はおそらく東京だと思うのでありますが、一番高い自治体と、それから平均負担額、それから一番低い府県はどこどこであるか、そうしてまたその一人当たり負担額、これを三十八年度で教えていただきたいと思います。
  21. 細郷道一

    細郷政府委員 県別数字につきましては後ほどいたしますが、大体の傾向はおっしゃるとおりだろうと思います。なお、参考までに、昭和三十八年度の当初の見込みで見てまいりますと、地方税住民一人当たり全国の総平均は一万一千五百五十九円、こういうことになっております。
  22. 千葉七郎

    千葉(七)委員 一番高いところ、一番低いところはわかりませんか。
  23. 細郷道一

    細郷政府委員 県別にはちょっと、後ほど申し上げたいと思います。
  24. 千葉七郎

    千葉(七)委員 じゃ、それは後にお伺いすることにしまして、私の想像では、おそらく最高に負担をしておる府県とそれから一番低い負担額の県では、相当の開きがあるのではないか、このように想像いたすのでありますが、そこでお伺いしたわけなんです。  そこで、さっきの住民負担軽減合理化につとめる、この合理化は、御説明によりますと地域格差を締めるという、つまり住居するところによっての負担割合を縮めていくのだ、これは裏のほうから考えますと、負担額の高いところはそれだけ税負担能力が高いから、結局地方税の一人当たり税額が高いんだ、こういうことになります。それから負担額の低ところは、もちろん負担能力が低いから結局税額が低い、こういうことになるのでありまして、これはことばをかえて言えば、税金の高いところはそれだけ財政が豊かである、つまり地方行政水準が非常に高い、こういうことになり、低いところはその反対だということになるわけでありますが、今度の改正によって高いところと低いところの格差はどういうぐあいに縮まっていくかという点をひとつ教えていただきたいと思うのです。
  25. 細郷道一

    細郷政府委員 県別の具体の数字は後ほど調べた上で御連絡申し上げたいと思いますが、傾向といたしましては、御指摘のように、やはり都会的な府県住民一人当たり税負担のほうが数字的に高く出、いなかのほうが低く出るということは御指摘のとおりであろうと思います。ただその場合に、一人当たり負担自体を出します場合に、地方税全体あるいは府県については府県税全体を住民の数で割りますために、その間に法人の納めます税も入っておるといったようなことから、そのまますぐそれをもって実質的な負担であるというふうに見ることは困難であろうかと考えております。なお、こういった都会的な、いわゆる鉱工業の発展をしております地帯と原始産業的な地帯との差は、どうしても現行税制におきましては、終局的には所得を税源といたします税体系をとっております関係上やむを得ないものではなかろうかと考えるのでありますが、その間の行政水準均衡化するために、御承知のような地方交付税制度によってこの均衡化をはかっておるわけであります。今回住民税負担軽減合理化をいたしますのは、同じく所得格差是正と申しましても、税負担の面においてこの是正をしていこうということでございまして、従来ただし書き方式をとっております市町村が、比較的都会的でない部分に多いといったような面から、その是正を今回はかることによりまして、租税負担の面での格差是正が行なわれる、こういうふうに考えておるのでございます。
  26. 千葉七郎

    千葉(七)委員 そういたしますと、今度の改正によっては結局は地域間の、各府県間の行政水準格差というものはそれによっては是正をされない、こういうように了解をいたしてよろしいのではないかと思うのですが、そのためには地方交付税交付金等傾斜配分等によって、地域行政水準格差是正していくのだ、こういう御説明なのでありますが、しかし私は地方交付税交付金傾斜配分だけで、格差是正ということにはならないのではないかというように考えられるのであります。というのは、交付税交付金配分いかんにかかわらず、やはり所得能力の高いところは地方税の税収が高い、低いところはもちろん低い、こういうようなわけでありますから、したがって、交付税交付金配分いかんによってのみであってはその格差是正されないのではないか、こういうように考えるのでありますが、その点はどのようにお考えになりますか。
  27. 細郷道一

    細郷政府委員 住民税の今回の措置によって、租税負担面での格差是正ということは大いに促進されるものと考えております。ただそれによりまして、その市町村行政水準格差がどう変わっていくか、いままではその市町村において、住民負担をよけい求めることによって水準格差是正の補いをしてきたというのが現状であろうと思うのでありますが、そういった点を、さらに住民負担を下げることによって格差が開くことがあってはならない、こう考えまして、今回住民税負担軽減の穴埋めといたしましては別途の財政措置を講ずる、それによって従来の水準が下がらないようにするということを考えてまいろうとしておるのであります。なお将来につきましては、その地方税並びに地方交付税といったようなものの伸びによって、行政水準格差是正を一そうはかるように努めてまいりたい、かように考えておるのであります。
  28. 千葉七郎

    千葉(七)委員 その点はその程度にいたしまして、次に進めたいと思います。  提案理由説明によりますと、地方財政現状は逐次好転しておる、こういう説明でありますが、逐次好転しておるか悪化しておるかということは、ここ三年ぐらいの間の地方自治体決算状況を見るとわかると思うのですが、昭和三十五、六、七の三年間で、地方自治体市町村決算状況赤字団体が増加をいたしておりますか、減っておりますか。
  29. 岡田純夫

    岡田説明員 三十七年度決算状況市町村について申し上げますと、約三百三十九億円の黒字となっております。実質的に見ましても——実質的と申しますのはいわゆる事業繰り越しでございますとか債務負担的な支払い繰り延べ等をいたしておりますものを別にいたしましても百六十二億の黒字になっております。したがいまして最近は徴税成績その他も上がってきておりますし、現在のところ好転段階にはあると考えております。ただし来年度以降、最近の状況によりますと、個々市町村を見ますとそれぞれの事情によりまして、一方では債務を完了する市町村があるとともに、また別には財政難を起こしている市町村もございますので、個々については指導を十分にいたしておる状況でございます。
  30. 千葉七郎

    千葉(七)委員 私は、総体赤字になっているか黒字になっているかということをお聞きしたのではなくて、三十五年、六年、七年の決算による全国市町村赤字団体がどういう傾向にあるか、赤字団体がふえているか減っているかということをお伺いしたのでありますから、もう一ぺん御答弁願いたいと思います。三十五年では赤字市町村が幾らあって、三十六年には幾らあって、三十七年には幾らあったか、それは黒字赤字を総合すれば、あるいはこれだけの黒字になっているかもしれませんが、その内訳、内容はどうなっておるかということです。
  31. 岡田純夫

    岡田説明員 実質収支状況、特に三十三年から三十六年くらいまでにかけての市町村赤字団体の数を申し上げますと、三十三年が六百八団体、三十四年が五百五十一、三十五年が三百八十四、三十六年が三百五十一というふうに毎年一、二割ずつ漸減いたしております。
  32. 千葉七郎

    千葉(七)委員 三十七年はわからないわけですか。
  33. 岡田純夫

    岡田説明員 いますぐ調べまして御報告申し上げます。
  34. 千葉七郎

    千葉(七)委員 もしできますなら三十八年の見通しもひとつお伺いしたいと思います。——数字がすぐわからなければあとでもよろしいのですが、その数字が出てこないと、はたして好転をしておると言い得るかどうか、ここにあらわれた数字を見ますと、三十三年は六百八の団体赤字であって、三十四年は五百五十一の団体赤字であった、三十五年は三百八十四で、三十四年、三十五年を比較すると、ここでは非常に好転をしたと言い得ると思うのであります。ところが三十五年、三十六年を比較しますと、大体三十五年で地方財政状況好転をしたというのが頭打ちになってしまいまして、そして三十六年以降はそのテンポが非常に鈍っているように私考えられるのでありますが、はたして三十七年、三十八年はどういう数字になっておるかわかりませんけれども、そういう感じがするのでありますが、大体その見通しができますならば、その点も教えていただきたいと思います。
  35. 岡田純夫

    岡田説明員 三十七年度決算見込みは先ほど申し上げましたような状況でございますが、単年度赤字額のほうで申し上げますと、若干——約五十億ばかりですけれども、過去の蓄積を食いつぶしていると申しますか、単年度赤字になっております。しかしながら、一方では市町村相当積み立て金を持っておりますので、そこら辺を見合いませんと、実態がどうなっているかということを的確には申し上げられませんけれども、三十八年から九年にかけて十分慎重に運営をしなければなるまいという感じはいたしております。
  36. 千葉七郎

    千葉(七)委員 そうしますと、三十六年以降、三十七、八年、この両年では単年度赤字が多少ふえているような傾向があるので、したがって赤字団体がふえていると了解してよろしいわけですか。
  37. 岡田純夫

    岡田説明員 総体のあれとしましては、いま申し上げましたような状態でありますけれども、個々団体として申し上げますと、若干ふえておるというふうに見ております。  なお、的確な数字のほうはすみやかに御報告さしていただきます。
  38. 千葉七郎

    千葉(七)委員 大体、若干赤字団体がふえておるのではないか、こういう御答弁でありますが、そういたしますと、三十六年以降においては決して地方財政は逐次好転していないということになるわけですね。ここでは逐次好転をしておりますもののと書いておるが、決して好転はしていない、こういうふうに解釈してよろしいわけですか。
  39. 細郷道一

    細郷政府委員 具体の数字につきましては、先ほど来御説明申し上げたようなことでございます。ただ、赤字黒字という決算上の数字だけでなく、やはりその地方団体が行なっております事業の内容あるいはその行政水準の動きといったようなものも考えてまいりますと、数年前に比べまして、地方財政全体としては実質的に好転をしておるというふうに私どもは理解をしておりますが、その意味合いにおいて、この説明にも表現をいたした次第でございます。
  40. 柴田護

    ○柴田政府委員 おくれて参りましたが、先ほど来地方団体財政状況についての御質問があったようであります。計数をあげてお話を申し上げますと、赤字団体の数の推移でございますが、再建債を考えまして、再建債を実質的に赤字と考えた場合の収支の推移を昭和三十一年からたどりますと、市町村の数は、昭和三十一年度に千二百三十五団体ありましたものが、三十七年度決算では四百九十団体に減っております。三十五年に比べますと、三十五年が六百八団体、三十六年が五百七団体、三十七年が四百九十団体であります。赤字額も総額で三十七年度六百一億の赤字が百七十九億に減っております。市町村の場合を見ますと、三十四年が二百十二億、それが百五十四億、百二十四億と逐次減っております。  先ほど来財政課長からお話し申し上げましたのは、三十七年度の状態を見ますと、財政調整積立金をそれぞれどの団体でも積んでおりますが、それの取りくずしが激しくなった、それは言いかえれば、投資的経費の需要に食われまして、いままで蓄積しておったものを取りくずして仕事をしておる。結局それが単年度赤字にあらわれてきたわけでございますが、そういう意味合いから申しますならば、数年前に比べると逐次地方財政としては好転をしておる。しかし、現象面だけを見ますと、単年度赤字はふえております。それはやはり投資的経費の需要が非常に激しくなって、それに財源の蓄積が食われておる、かようにわれわれは判断をしておるわけでございます。
  41. 千葉七郎

    千葉(七)委員 いずれにいたしましても、財政調整積立金をくずして、そうして赤字を埋めておるのだ、こういうことでありまして、仕事の内容を見るならば好転をしておるという御説明もありますけれども、ただいまの御説明によっては、決して地方財政現状は逐次好転しておるとは判断できない、こういう状況にあると思うのであります。  そこで今度のこの地方税の、住民税減税なんでありますが、住民税減税をいたしまして、そして先ほど来の説明のように、この税の負担の公平を期する、合理的な課税をするんだ、こういうようなことにつきましては、私たちはもちろん賛成なんであります。   〔永田委員長代理退席、委員長着席〕  しかしこの住民税減税によって生ずる赤字を、減税額を、これは計算によりますと、初年度、三十九年度におきましては百四十八億円ですか、約百五十億円、四十年度におきましてはこれまた百四十何億円、合計いたしまして二百九十何億円、約三百億円、こういう穴が地方自治体に、市町村にあくわけなんであります。そこで政府としましてはその穴埋めのために、三十九年においては百五十億円のこの減収のうち、百億円を地方債で起債をして、そしてその元利償還を政府が見てやる、こういう措置をとっていただいだわけでありますがその他五十億円については地方交付税交付金に算入する、いわゆる基準財政需要額に算入する、そういうことで埋めてやる、こういうことなんでありますが、私はこの住民税減税によって生じたこの財政の欠陥、それを埋める資金というものは、これは財政資金、もちろん財政資金だと私は思うのであります。そこで財政法を調べてみますと、財政法には第四条で、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」。公債や借入金で歳入の財源としてはいけない、こういうふうに厳然として定められておる。それからまた地方財政法では第二条に、地方公共団体はその財政の健全な運営につとめろ、そしてそのためには、第五条で、地方公共団体の歳出は、地方債以外の歳入をもってその財源にしろ、こういうことになっておるわけなんであります。これは厳然として定められておる。そこで、この住民税減税措置によって生じた財政資金を、国の財政法なり、地方財政法の厳然たる規定に反する地方債でまかなうということは、地方財政法のたてまえ上非常に疑問があるのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、もちろん別途提案になっておりますこの穴埋め法案の市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案ですか、これによりますと、地方財政法の第五条の規定のいかんにかかわらず、地方債でもって埋めるんだ、こういう提案がありますから、またその際に、その適法性がきっと論議されると思うのでありますが、私はそういう点から考えるならば、この国の財源の、補てんの方法は、地方財政法上から考えると大きな疑問があるのではないかと思うのであります。その点に対する当局の見解はどうでありますか。
  42. 柴田護

    ○柴田政府委員 お話の点は、一応問題になる点であろうと思うのでございますが、原則はお話のように、こういうものについては地方債を起こさないたてまえに、地方財政の健全性を維持するというたてまえからなっておるわけであります。ただ今回こういう措置をとりましたのは、まさにその例外的措置でございます。したがってまた別途法律案提案いたしまして御審議をわずらわしておるわけでございますが、ただ今度の地方債による措置につきましては、同時に元利につきまして国が補給をする、その三分の一につきましては基準財政需要額でもって埋めるということになっておるわけでございまして、言うならばその減収額の分割払い、一般財源をもって埋めるべきものを、分割払いの形式をとっておるわけでございまして、災害等の場合におきましても同じようなやり方を過去においてとった例もございますし、またそういう形をとります場合におきましては、単に借金だけなしてそうして穴を埋めたといった無責任な態度と比べますと、はるかに責任をとった態度であろうと思うのでありますか、異例な措置でございますけれども、異例な減税——異例と申しますと語弊があるかもしれませんが、とにかくいままで混合方式のたてまえのもとにあった財政の運営上、ただし書き方式をとっておった、それを統合する、しかも一挙に統合するわけでございますので、いわば大手術、人間のからだでいいますならば非常に大きな手術をするわけでございます。したがって、特に漸減的に財源を補給していこう、こういう措置をとったのでありまして、それに対する措置といたしまして国家財政の都合、状況等も考え、分割払いの措置をとった、かように御了解願いたいと思います。
  43. 千葉七郎

    千葉(七)委員 これはまあ異例の措置であるというのですから、そう言ってしまえばそれまでなんですが、百億円前後の金額でありますから、したがってそういう異例の措置をとらなければ措置ができないほどの金額でないではないか、別途、こういう方法によらないで——これは異例の措置だ、異例の措置だといって、財政法の規定に反するような財源措置をやるということは、厳にこれは慎まなければならないのではないか、国の財政にいたしましても地方財政にいたしましても、通常の歳出の財源を借金に求めるということは、厳にそれらの法律で禁じられておるのでありますから、したがってそういう方法をとるということは、これは可能な限り慎まなければならないのではないか、したがって百億やそこらの金を、財政法に反するようなやり方で異例の措置をしなければならないというようなことは、私はどうしても納得がいかないのであります。それはまあ異例の措置でしかたがないんだと言われれば、結局それまでなんでありますが、私はどうしても、こういうようなことを続けていくということになると、いつの間にか異例が恒例になってしまうおそれがあるのではないか、こういうふうに考えられまして、したがってどうしてもそういうやり方については納得がいかない。こういう点を、まあこれは私の意見でありますけれども申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、まあ異例の措置によって、三十九年度地方債を百億円起債をしまして、そして穴埋めをした。しかしこれはもちろん三十九年度だけで済む問題ではなくて、四十年度におきましてはその八割の八十億円がまた起債になる。四十一年度は二十億円減じて六十億円、順次二十億円ずつ減らして五年後には今度は起債できなくなる、こういうことになるわけであります。異例の措置が五年間も続く、こういう結果になるのではないか、こういうふうに思うのであります。これは異例の措置が五年も続くと恒例の措置になってしまう。でありますから、そういうことは来年度はしかたがないとしましても、二年度目からはそういう措置によらない方法をひとつ考えなければいけないと思うのであります。それにつきましてはどういうお考えですか。異例を続けるつもりでありますか。
  44. 柴田護

    ○柴田政府委員 ことしだけについて異例と申し上げておるわけではございませんで、五年間そういう措置をとることが異例である、こういう意味でございます。
  45. 千葉七郎

    千葉(七)委員 五年間異例を続けるというわけでございますか、それはそれとしまして、それでは本来ならば来年度百五十億の財政欠陥を生ずる、五十億円は交付税交付金の基準財政需要額に算入をする、百億円は地方債で補てんをする、そして翌年度はその百億円に対して八十億円しか起債の措置をしない、こういうことになるのでございまして、したがって翌年度になりますと、二十億の地方の財源の欠陥ができる、こういうことになるわけですが、その二十億円はどういうことで埋めるのですか。
  46. 柴田護

    ○柴田政府委員 百五十億円の減税を行なうわけでございますので、初年度には百五十億円の起債を許可するわけでございます。したがってその元利償還金について三分の二は国が補給する、三分の一については基準財政需要額に算入をいたしまして、地方共同の財源でもって補てんをしていく、そういうたてまえでございます。それを漸減してまいりますと、おことばのように二割ずつ減っていくわけでございますけれども、これは別途基準財政需要額の中に減収額を織り込んでいく、恒久的には地方財政が困らないようにしていく。つまり、補てんの額が漸減してまいりますので、穴があいていく分だけは、別途基準財政需要額の中に吸収をしていく、それだけ基準財政需要額を上げていくわけでございます。そういう措置をとっていきたい。したがいまして、五年間たちますと恒常的な状態に戻したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  47. 千葉七郎

    千葉(七)委員 別途の基準財政需要額に算入をする、交付税交付金財政需要額に算入をする、こういう意味ですか、その別途というのは。
  48. 柴田護

    ○柴田政府委員 問題を初めから申し上げないと、少し説明がまずいのと相まってわかりにくいかもしれませんが、結局、ただし書き方式を採用して行なっておりました行政というものが何かということになるわけでございます。もちろん、その団体にとっては必要財政需要に違いない、しかしそれはたてまえから言いますならば、本文方式を採用してやっておるところがあるわけであります。したがって、基準財政需要額の算定方法にも罪がないとは言えないわけであります。それを一ぺんに直すということはなかなかむずかしい。そこで減税は一挙にやるけれども、その減税によって穴のあく部分については、とりあえず起債を起こしておいて補てんをする。しかしそれで実害を与えてはいかぬから、元利補給については別途措置をする。しかしその措置を毎年、毎年とっていくわけにはまいりませんので、逐次補てんする額というものは減らしていく、それによって穴があいた部分は基準財政需要額のほうを再検討して、そのほうで吸収していく、こういう措置をとろうとしておるわけであります。したがって五年経過後のその市町村の状態を考えますならば、三十九年度、あるいは四十年度、両年度を通じまして減税した額というものは、すべて基準財政需要額の是正によって補給される、こういう措置をとりたい。それだけのものは交付税の自然増収等の状況を見合って十分できる、かように判断したわけであります。
  49. 千葉七郎

    千葉(七)委員 逐次二十億円ずつ減額していって、五年間の後には減額をした分について基準財政需要額に算入をする。その算入の内容については現在の算入の基準を変えて吸収していく、こういうふうに理解したわけであります。交付税交付金国税三税に対する割合いは二八・九%のわけでありまして、ただいまのお話によりますと国税三税の自然増収によって、この交付税交付金の総額もしたがってふえるのであるから、その増額の中に吸収していくことができると考えておる、こういうお考えのようですが、私はその考え方が根本的に誤まっておるのではないかと思うのであります。なぜなれば、国税三税の増収に伴って、そういう経済情勢になれば、地方の従来からの行政水準も当然高まっていくはずであります。国税三税が増収になるような状態であれば、それに準じて従来の地方自治体行政水準もそれに伴って高まっていくはずなんです。したがって、現行税制改正して生じた財政上の欠陥を、その自然増、自然に増額される交付税交付金の中に吸収していくということはできないはずだ、私はこのように考えられるのであります。いまの交付税交付金税率のままにおいては、確かに自然増収がありましょうけれども、その自然増収の中に財源の欠陥を吸収していくということはできないのではないかというふうに考えるのですが、その点に対する御所見をひとつお伺いしたい。
  50. 柴田護

    ○柴田政府委員 お話の点は議論のあるところでございます。つまり現在ただし書き方式を採用していることによって超過課税をいたしております部分が、すべてこれ何と申しますか財政計画の中に組み入れるべきであって、しかも組み入れていないという問題になってまいりますと、一つの御議論かと思うのでありますが、現在はただし書き方式を採用いたしておりましても、本文方式を採用して課税するというのが市町村民税課税の一応たてまえになっております。したがってまた、ただし書き方式という名前があるわけでありますが、したがって交付税を計算いたします場合には、ただし書き方式を採用いたしておりまして超過課税をやっておりましても、それは本文方式を採用したものとして計算をする、こういうふうになっておるわけであります。そこで本来そのただし書き方式を採用することによって、増収を来たしておるものは一体何かということに議論がなるわけであります。そこら辺が非常に議論のあるところでありまして諸説が分かれておる。現在のたてまえからいきますならば、まあその部分については、もちろん甲の団体にとっては必要財政需要にきまっておるわけでありますけれども、地方財政のたてまえからいいますならば、いわばそれは自分で、自治のたてまえでやっておる問題ではないか、こういうことも言えるわけでございます。したがって、そのたてまえからいいますならば、本文方式に統合するのであるから、本来なら地方財源の中でゆっくり措置をしていってもいい、つまり逐次本文方式に切りかえを慫慂していって、漸進的に本文方式に統合していく方法をとってもいいじゃないか。しかし国民租税負担現状からいいますならば、一挙にこれは本文方式に統合することが望ましいけれども、そうしますとそれぞれの地方市町村財政運営から見ますと、非常に激変が起こる。その激変をほっておくわけにいかないということで、補てんする措置をとろうとする。しかもそれはそういう性質のものでございますから、五年間の漸減方式でもって、いわば一種の激変緩和措置をやっていこう。こういうことになっておるわけでございます。  在来の交付税の自然増収率というものと、この漸減していくことによりまして交付税に吸収していかなければならぬ額との比較をしてみますと、大体二割程度でございます。その程度のものは大体吸収できるのじゃなかろうかというように考えておりますのと、それからなるほど増収がありますならば、経費の自然増加もあるじゃないか、これはごもっともでございまして、私どもももちろんそのように考えておりますけれども、国税三税の増収率というものは、租税の弾性値から見ますと非常にきついのであります。それであるからこそ、毎年国税三税につきまして減税問題というのが起こっておるわけであります。そういうことから考えますならば、経費の増加分というものと、自然増収というものの見合いの問題につきましては、まあまあそんなに心配することはないのじゃなかろうか。しかしそれで未来永劫いけるかということになると、問題はないことはありません。その際は地方財政全体の収支を見渡して、そして現在の二八・九という交付税率が、妥当であるかどうかという問題が起こってくるであろう、かように考えるわけであります。ただ現在の状況を基礎にして数字をながめますならば、御心配のような問題はまず起こらぬのじゃないか、こういうふうな感じを持っておる次第であります。
  51. 千葉七郎

    千葉(七)委員 現在の見通しでは、国税三税の増収が非常に大幅に見込めるというお話なんでありますが、私はそういう見通しに対して、根本的な違った考えを持っておるのであります。いろいろ言論機関等に発表される財政学者、経済学者等の論文を読んで見ますと、ことしあたりが日本の経済なり財政なりにとって、一つの大きな転機になるのではないか、あるいはいま財政局長さんのお話と反対の現象が生ずるのではないかというような説も非常に強く行なわれておるようであります。したがってはたして主税の自然増収による交付税交付金の増額、これに今度の住民税の減額によって生じた財政の欠陥を吸収できるかどうかということについては、大きな疑問を感ずるのであります。もし私のそのような危惧、そのような心配が事実となってあらわれた際には、今度の住民税減税措置によって、しかもこのような欠陥の補てんの措置によって五年間推移するとするならば、今度の改正によって地方行政水準を上げるどころか、大きな低下を来たすのではないか、こういう心配があるのであります。そういう点につきましては、これは将来の問題を予測しての話でありますから、したがって、ここで議論をしたところで、これは水かけ論になるのでありますけれども、とにかくそういう点を十分に考慮をして、そして国において所要財源措置をさらに別途考えるという点のお考えを十分願っておきたいと思うのであります。  特に、先ほどお話のありました交付税交付金の算定の基礎は、地方市町村なり県なりが、住民税本文方式によって住民税課税しているということを基礎にして、そうしてただし書き方式はその算定の基礎には認めてないのだ、こういうことなのであります。ところが貧弱地方自治団体に限って、このただし書き方式をとっておるのであります。それだけ貧弱町村の財源というものは少ない。そういう点を考えますと、今度の措置というものは、非常に地方自治体にとって心配なことになりはしないかという点が憂慮されるのでありまして、そういう点につきましては、ここで議論をしましても始まらないのでありますから、議論はこれでやめますが、そういう点に対して、十分政府当局は御留意を願いたいと思うのであります。  そこで、だいぶ私ばかり時間を食いますので、申しわけないのですが、次に、事業税についてお伺いをいたしたいと存じます。  事業税に対しても大幅な減税措置をとった、こういう御説明でありますが、個人事業主に対する基礎控除の額を、いままで二十万円であったものを二十二万円に引き上げた、したがってこれは、大きな減税だと言うのでありますが、この二十万円の基礎控除を決定したのは昭和何年ですか。
  52. 細郷道一

    細郷政府委員 昭和三十六年でございます。
  53. 千葉七郎

    千葉(七)委員 昭和三十六年ですか。私の調べたところによると、三十四年に二十万円の基礎控除を決定しておる。これは衆議院の地方行政委員会調査室で調べたのですから間違いないと思う。
  54. 細郷道一

    細郷政府委員 誤っております。訂正いたします。三十四年でございます。
  55. 千葉七郎

    千葉(七)委員 三十四年に二十万円に決定したのを、三十九年に二万円引き上げたからといって、これは減税措置とは言えないと私は思うのだ。三十四年から三十九年までまる五年間経過しておる。このまる五ヵ年の間に物価が幾ら上がりました。おそらく三〇%上がっておる。それ以上かもしれない。こういうぐあいに物価が上がっておるのを、たった一割の二万円引き上げただけで大減税だなんて言うことは、国民を愚弄するもはなはだしい。  いかに考えますか。
  56. 細郷道一

    細郷政府委員 事業主控除を三十四年に二十万円にいたしたわけでありますが、その後、個人の事業税につきましては税率の引き下げをいたしております。したがいまして、基礎控除だけでは御指摘のようなことになろうかと思いますが、個人事業者の負担という面におきましては、その間十分調整をはかってまいったつもりでおります。  なお、今回二万円引き上げましたのは、住民税の今回の措置とも関連いたしまして、住民税がかからないような人にも個人事業税がかかる。いわば課税最低限が、個人事業税のほうが、むしろ現行のままでは低くなるといったような点を考慮いたしまして、引き上げをいたしたのであります。また税率引き上げ後の所得税等におききます控除状況等も考えて、そういうふうにいたしたわけでございます。  なお、この機会に先ほどお答を保留しておりました都道府県別の租税の一人当たり負担額を申し上げますと、国税地方税を通じまして一番高いのが東京都の八万九千五百三十六円、一番低いのが鹿児島県の七千二百五十九円、傾向はそういったところでございます。
  57. 千葉七郎

    千葉(七)委員 地方税だけの計算はわかりませんか。
  58. 細郷道一

    細郷政府委員 都道府県税市町村税合わせた地方税について見ますと、東京が二万二千七百二十九円、鹿児島か三千九百七十六円、こういうことになっております。
  59. 千葉七郎

    千葉(七)委員 そして平均は一万一千、五百五十九円ですか。
  60. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申し上げました一万一千五百円は三十八年でございますが、この調べは三十七年でございますので若干違いますが、平均地方税において一万一千三百十一円でございます。
  61. 千葉七郎

    千葉(七)委員 いま事業税に移りましたからこれは必要なくなったのですけれども、とにかくこういうぐあいに地方税だけを見ましても、東京は二万二千七百二十九円の税の負担能力がある。それから鹿児島は三千九百七十六円だけしかない。四、六、二十四ですから、大体四分の一程度地方行政水準格差があるわけであります。私は政治の本質というものは、これは国の政治はもちろんのこと、地方の政治もそうでございますが、地方のすみずみまで行政の水準というものを向上せしむるというのが政治の本質でなければならぬと思うのであります。この税の負担能力から見ましても、地方税に限ってみましても、大都市に行政の能力が非常に高くて、僻地になればなるほど行政の水準が低い、こういったようなことはもう可能な限り改めていかなければならぬ、このように考えておるのでありますか、そういう点を申し上げたかったので、この状態をお聞きしたのであります。  それはそれといたしまして、この事業主の控除の問題でありますが、私は二十二万に引き上げたから減税だとは、これはどうしても言えないと思うのであります。昨日配付をいただきました地方税法等の一部を改正する法律案についての調査資料を見ますと、事業税の二十万円を二十二万円に引き上げたのは、これは市町村民税の本文方式、かつ準拠税率改正をした結果、標準世帯でその課税の最低限度が二十七万円である。二十七万円で、それに見合って事業税の事業主基礎控除を二十二万円に改めたのだ。というのは、白色申告で専従者控除を五万円認めておるから、そこで事業主控除二十二万円と白色専従者控除五万円とを加えると二十七万円になって、ちょうど市町村民税の課税の最低限度額の二十七万円に見合うから二十二万円に引き上げたのだ、こういう説明であります。私はこれはおかしいと思うのであります。住民税と事業税とは全然範疇の違う税金なのでありまして、住民税課税最低限度額が二十七万円だから、事業主の基礎控除も二十七万円に見合うように二万円引き上げたのだ。つまり違うものさしを比べるということはおかしいのじゃないかと思うのであります。ことに事業税というのは悪税でございます。所得税を納めたほかに、そして住民税を納めたほかになお事業税をとられるのでありますから、したがってこの事業税というのは、できるならばだんだんに廃止してもらいたい税金でありまして、二重課税みたいな感じのする税金なのであります。こういう全然種類の違う税金を比べて、そして二万円引き上げるのが適当なのだというその根拠は非常におかしいではないか、こう思うのでありますが、その点に対する見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  62. 細郷道一

    細郷政府委員 事業税は、御承知のように、その地方団体の中で事業を行なっておることによって、いろいろ事業の遂行にあたって、地方団体との関係において利益の関係もあるといったようなことから課税される税でございまして、その限りにおいては独自の考え方に立ってこれを考えていかなければならないと思うのでございます。ただ、今回住民税改正することによりまして、住民税を納めなくてもよくなる人についてまで事業税を納めなければならないということは、やはり住民負担感情の上におきましても一つの問題があろうと思います。かたがた、前回事業主控除額を二十万円にいたしました後、税率改正し、あるいは専従者控除制度を設けたりいたしました後の推移を見まして、所得のいわば最低限というものをこの際保障すべきではなかろうか、こう考えて二万円の引き上げをいたした次第でございます。
  63. 千葉七郎

    千葉(七)委員 まあ水かけ論になりますから、これでやめます。  そこで今度は固定資産税についてお伺いをしたいと思います。  私はどう考えても、今度の固定資産の評価がえの方法は納得がいかないのであります。さきに審議が終わって本会議で議決になりました固定資産の評価の告示の期日並びに課税の期日を延期する改正案でありますか、その改正案の審議の際にいろいろと論議されましたので、私またここでこれを取り上げるということは蒸し返しみたいなことになりますが、特に農地の評価につきましてはどうしても納得がいかないのであります。  それでお伺いをいたしますが、農民が農地を所有したいという欲望、この欲望は農民でなければ理解できないほど強いのであります。したがって自分の農地の隣りの農地などは、どんなに悪い土地でも、売るというような場合には、隣りの農民がほしがるのは農民の心理なんです。したがって、そういう隣りの農地が、売るというような場合に、その農地を、隣接している農民がほしいというので、それを買うときの価格といったようなものは、これは何と申しますか、値段でも何でもないほど高いのです。そういう関係にある農地を、売買実例価額で評価がえをするということは、これは非常に不合理なやり方だと思うのですが、そういう点はどういうことになっておりましょうか。
  64. 細郷道一

    細郷政府委員 固定資産税の課税対象となっております土地、家屋、償却資産、この各資産を通じまして、評価の均衡をはかるということで、評価制度調査会でいろいろ御審議をいただいたわけであります。その結果、土地については売買実例価額、こういうことで土地の評価の均衡をはかりたい、こういうことであったわけであります。土地と申しましても、宅地もございますし、また農地もございますしいたしますので、それらの土地の、その間に均衡化された評価を得ようということになってまいりますと、やはり同じ尺度のもとに立って評価をすることがいいのではないだろうかというようなことから、売買実例価額によったわけであります。その場合に、農地につきましては、いろいろ御指摘のように農地の特殊な事情がございます。わずかな土地を持っている農家が、それを買いますことによって収益をあげていくといったような点もございまして、そういった面を反映した売買実例価額というものが、実際にはかなり高くなっているといったようなことも考慮いたしまして、農林省ともよく相談いたしまして、限界収益率を五五%として、これをかけることによってその間の調整をとったものでございます。
  65. 千葉七郎

    千葉(七)委員 その限界収益率五五%をかけることによって、調整ができるというのでありますが、しかし私は、やはり農地は従来どおり収益還元の方式でやるのが至当ではないかというふうに考えるのであります。というのは、これは前の委員会でもいろいろ論じられたのでありますけれども、特に農地は土地そのものに価値があるのではないのでありまして、幾ら肥沃な土地であっても、それに労力を加えなければ生産収益があがらないのであります。種をまきつける、それを肥培管理をする、収穫をする、そういう労働を加えなければ収益というものはあがらない。しかも建物等につきましては、年々減価償却をやる。建物の評価は取得価額で評価をして、そうして耐用年数に応じて減価償却をやる。前の委員会華山委員の質問に対して、取得価額を評価の基準としてということについては、華山さんと当局の間では幾分解釈の違いがあるように私は感じました。取得価額というのは、これは買い入れた価格で、これが取得価額でございましょう。したがってたとえば、ことし百万円で買い入れたものが、三年後には大インフレ状態になって、ことしの百万円が三年使ってもなお百五十万円になった、こういうこともあり得るわけです。こういうこともあり得るので、したがって三年後の評価がえのときには、その取得価額をどういうふうに見るかということが問題だと思うのですが、その点についての華山さんとの質疑応答の間に明快な解決が行なわれなかったのではないか、私はそういうふうに考えるのでありますが、ともかくそれはそれといたしまして、建物は取得価額を基準として評価をして、耐用年数に応じて減価償却をしていく。つまり一年々々建物なり、あるいは機械なり、設備なり、そういうものは収益を得るからして原価が減っていくのだ。したがって原価を償却していくのだ、こういうことになるわけであります。ところが土地は、一定の土地の価格というものは、これはもちろん大きな深刻なデフレーションでもきまして、世の中が不景気になれば土地の値段が下がるのでありましょうけれども、ともかく土地の価格というものはある程度下がらないのであります。というのは、土地には限界があります。土地は無限にはふえるというわけにはいかない。建物なんかはふやすつもりならどんどんふやしていける。住宅なんかいまは住宅難でありますけれども、どんどん住宅を建てれば飽和状態がくるのでありますが、土地はそういうわけにはいかない。無限にふやすということはできないのです。したがって土地の値段というものは将来高くなる。農地もそうでありますが、高くなることがあっても安くなるということは考えられない。しかもこれは減価償却がない。そういう性質の農地を売買実例価額で評価をするということは、私は何としても納得がいかないのであります。したがってわれわれとしましては、この実例価額で評価をすることに対しては何らかの意思表示をすることになると思うのでありますが、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。やはり実例価額で評価をすることが正当だとお考えになっておるわけですか。
  66. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、固定資産税の課税標準として、適正な時価ということに定められておるわけであります。その適正な時価をどういう方法によって求めていくか、その求め方の問題であろうと思います。土地につきましては、やはり宅地、農地等を通じまして適正な時価を均衡ある姿で求めていこうということになってまいりますと、同じ売買実例価額という基準によってやっていくべきものではなかろうか、こう考えるわけであります。時価でございますので、家屋の場合でありますれば、再建築価額をもとにして減価をしていくわけであります。家屋につきましては、やはり現実にも、古い家屋は時価も安くなりましょうし、新しいものは高くなっておるという状態にあろうと思うのであります。ただ土地につきましては、御指摘のように償却といったものはございません。ございません点では土地自体は特殊な事情にある。その限りにおいては農地も宅地も同じような土地という範疇に入っておりますので、同じ事情にあるのではなかろうか、こう考えて、売買実例価額を基準とした時価の求め方をいたしておる次第でございます。
  67. 千葉七郎

    千葉(七)委員 もう一つだけお伺いをして私の質問を終わりたいと思います。  それは不動産取得税なんでありますが、従来不動産取得に際しての基礎控除は百万円であったのを、今度は住宅については百万円を百五十万円に引き上げをした。土地については六十万円を百五十万円に引き上げをした、こういうことなんでありますが、私は引き上げの額が現実に即していないのではないかという感じがするのであります。住宅の基礎控除百万円は二十九年に決定をしておる。それから十年間たっておる。この住宅の建築の単価は二十九年当時は坪当たり大体三万円であります。三十八年の九月にはその価格が、住宅金融公庫の貸し付け限度額ではこの説明によりますと四万四千五百五十円になっておる。これはこの比較によって百万円を百五十万円に引き上げをしたということに説明がなっておるのであります。ところが今日の時点におきましては普通の住宅、あまり高級でもない下級でもない中流の住宅は、坪四万四千五百五十円ではとてもできない、少なくとも坪当たり六万ないし七万は普通の中流の住宅の建築費にかかるのではないか、これは通り相場のようであります。そういう状態のときにこの住宅取得に対する基礎控除を五割だけ、百万円を百五十万円に引き上げるということは、引き上げ方が足りないのじゃないか、このように考えられるわけなんですが、その点に対する御見解をひとつお伺いしたいと思う。
  68. 細郷道一

    細郷政府委員 昭和二十九年当時から建築資材の物価の上がり方は、大体五割増しくらいになっております。住宅金融公庫におきます貸し出し対象となる場合の標準建築費につきましても、二十九年当時は三万三千円でありましたが、いまは四万八千九百円、おおむね五割増し程度のところにとどまっておるわけであります。現実にも最近の住宅建築の事情から見ますと、三十坪未満の家屋が全体の約九割を占めておりますし、また五万円未満の家屋が同じく全体の八七%を占めておるといった事情現状がございます。そういった点から見まして、この措置によっていわゆる庶民の住宅は、大部分この基礎控除の特典をまるまる受けられるものと考えておるのであります。  なおこの百五十万円と申しますのは評価ペースで申しておりますので、現実にかかっております価額よりは二、三割方低目の評価額になっておりますので、その点もあわせて考えますと、いま申し上げたようなことになろうと思うのでございます。
  69. 千葉七郎

    千葉(七)委員 それでは土地のほうはどうですか。土地は六十万を百五十万に引き上げ、これは三十年の三月を一〇〇として三十八年の九月では五七六という値上がりになっております。これは図書館の国土交通課の関係で調べたのですが、大体六倍。しかも昨年の九月現在ですから、おそらく現在においては六倍以上になっているのじゃないかと思うのですが、この六十万を百五十万、二倍半程度基礎控除を引き上げたのでは、これは何ら恩典を受けられないのではないか、こういうように考えられるのですが、その点に対する御見解はどうですか。
  70. 細郷道一

    細郷政府委員 土地の場合はもちろん住宅建設用の土地でございます。が税額控除の基礎額を六十万円から百五十万円、二倍半に上げたわけでございます。ただ住宅用の土地につきましては、御指摘のようにいろいろ値上がりの倍率にその所在によって差があろうと思っております。したがいまして、一応基礎額を百五十万円すると定めておりますが、その上に住宅が乗っております場合に、百五十万円以上になる場合でも、住宅の床面積が二倍の広さの土地まではその高い価額のほうで控除をする。ただし、広い土地に小さな家を建てて土地の控除を受けるということがあっては不公平でございますので、その土地の広さにつきましては、一戸について二百平方メートル、つまり六十坪でございますが、六十坪までに頭打ちをいたしますが、要は、三十坪の家を建てれば、六十坪分の土地まではその評価額によって税額控除をする、こういうような行き方をとっておるのでございます。
  71. 千葉七郎

    千葉(七)委員 その他電気ガス税、たばこ消費税、軽油引取税等いろいろありますが、私一人で時間を取ってもあれですから、これで質問を打ち切ります。
  72. 森田重次郎

    森田委員長 暫時休憩し、午後一時三十分より再開いたします。    午後零時十八分休憩      ————◇—————    午後一時四十分開議
  73. 森田重次郎

    森田委員長 再開いたします。  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案についての質疑は去る七日終了いたしております。
  74. 森田重次郎

    森田委員長 ただいま委員長の手元に田川誠一君、川村継義君及び栗山礼行君から公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。     —————————————   公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第十条に一項を加える改正規定中「総裁を通じて」を削る。     —————————————
  75. 森田重次郎

    森田委員長 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田川誠一君。
  76. 田川誠一

    田川委員 ただいまお手元に配付いたしました公営企業金融公庫法案に対する自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党共同提案にかかる修正案につきまして、私から提案理由説明申し上げます。  案文は、お手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただきます。  御承知のように、原案は、地方公営企業に対し低利かつ安定した資金を供給することを任務とする公営企業金融公庫に関し、政府の追加出資の手続を明確化するとともに、同公庫の監事の権限を整備する目的のもとに提出されたわけでありますが、今日まで当委員会で慎重かつ熱心に審査を重ねてまいりました結果、監事の権限についてさらに一そう強化及び明確化をはかり、公庫業務運営の適正化を期する必要があるものと認めたのであります。これが本修正案を提出する理由であります。  次に修正の内容について申し上げます。  修正案は、監事の権限につき、監事は、監査の結果に基づき、主務大臣に直接意見を提出することができることとしたのであります。すなわち原案は、監事は、監査の結果に基づき、総裁を通じて主務大臣に意見を提出することができるものとされていたのでございますが、総裁を通じて主務大臣に意見を提出することといたしますと、監事の意見が総裁の手元で保留されたり、また総裁を通ずることにより監事の自由な意見の表明が制約されるおそれもあり、せっかく監事の権限を強化する目的が貫徹しないうらみがありますので、そこで修正案は、監事が総裁を通じないで、直接主務大臣に意見を提出することができるものとしたのであります。  以上がこの修正案の趣旨及びその概要であります。何とぞ皆さま方の御賛成をお願いいたします。
  77. 森田重次郎

    森田委員長 以上で修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  78. 森田重次郎

    森田委員長 公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、田川誠一君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  79. 森田重次郎

    森田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  80. 森田重次郎

    森田委員長 起立総員。よって、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  81. 森田重次郎

    森田委員長 この際、田川誠一君、川村継義君及び門司亮君から本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、本動議を議題とし、その趣旨説明を求めます。川村継義君。
  82. 川村継義

    ○川村委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党を代表して、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨説明を行ないたいと思います。  まず附帯決議の案文を朗読いたします。    公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方公営企業経営の実態にかんがみ、公営企業金融公庫の提供する資金を低利かつ安定したものとする必要がある。   よって政府は、次の点についてすみやかに適切な措置を講ずべきである。  一、今後更に公営企業金融公庫の出資金を大巾に増額し、同公庫の機能の充実を図ること。  二、公営企業金融公庫資金の貸付利率を引き下げ、償還年限の延長を行なうとともに融資枠及び融資対象の拡大につとめること。 右決議する。  以上が案文であります。  公営企業金融公庫は、昭和三十二年設立以来、地方公営企業に対し、低利かつ長期の資金を融通してきたのでありますが、いまや貸し出し累計額は、実に一千億円を突破しているのであります。この間、政府出資金も増額され、また若干ではありますが、貸し付け利率の引き下げや、償還期限の延長等の措置も講ぜられたのであります。  しかしながら、最近における地方公営企業の経営状況は、御承知のように極度に悪化の傾向をたどっているのでありまして、昭和三十七年度決算では、交通事業の百七十五億円を筆頭に、水道事業の四十一億円、病院事業の十六億円等、その累積赤字は巨額にのぼり、まことに憂慮にたえない状況となっております。  もちろんこの原因としては、企業を取り巻く経営環境の悪化とか、新増設経費の増大等いろいろあげることができると思いますが、とりわけ近年企業債の元利償還金が増加し、資金繰りを圧迫していることもまた見のがせないところであります。したがって、このような地方公営企業の窮状を緩和し、地方公営企業が真に住民福祉の向上と地域社会の発展に貢献し得るよう、公庫においても特に低利かつ安定した資金を供給する使命を一そう完全に果たす必要があると存ずるのであります。  このため政府は、公庫に対する政府出資を他の政府関係金融機関との均衡を考慮して、大幅にその増額をはかり、資金コストの引き下げに資すべきであります。またこの措置と関連して、公庫資金の貸し付け利率及び償還期限については、できる限り政府債並みに引き下げ、または延長の措置を講ずるとともに、融資のワク及び貸し付け対象についてもその拡大に努力すべきであります。  以上が本決議案を提出した理由であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いをいたします。
  83. 森田重次郎

    森田委員長 本動議について採決いたします。本動議のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は、田川誠一君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付するに決しました。  この際、早川自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。早川自治大臣。
  85. 早川崇

    ○早川国務大臣 ただいまの御決議の趣旨を十分尊重し、善処いたしたいと考えます。
  86. 森田重次郎

    森田委員長 おはかりいたします。ただいま修正議決されました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  88. 森田重次郎

    森田委員長 この際、早川自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。早川自治大臣。
  89. 早川崇

    ○早川国務大臣 先般当委員会において行ないました地方財政計画の説明について、一部不十分な点がありましたので、この際、これを補足さしていただきたいと存じます。  すなわち、ただいま御審議をいただいております地方税法改正案中、料理飲食等消費税について閣議において一部修正が行なわれましたが、さきに提出いたしました地方財政計画の地方税収入の見込み額については、料飲税の改正による減収見込み額を修正前の数字を基礎として算定いたしておりますので、閣議における修正の結果、減収額は約五億円増加することとなります。この点さきの説明を補足さしていただきますとともに、各位の御了承をいただきたいと考えます。      ————◇—————
  90. 森田重次郎

    森田委員長 引き続き、地方税法等の一部を改正する法律案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  91. 細谷治嘉

    細谷委員 私は地方税法の一部改正の問題について質問をいたしますが、その前に、午前中の質問におきまして、千葉委員から個人事業税の問題について、三十四年に改正された免税点あるいは税率ということで軽減措置をとったということでありますが、具体的にどういう軽減が行なわれたのか、年次を追うた資料を次の委員会までに出していただきたい、こういうふうに思います。よろしくお願いいたします。  ところで、地方税法の問題でありますが、まずお尋ねいたしたい点は、今度の改正による減税は画期的だということをせんだっての委員会細郷局長から説明があったわけでございますが、これを見てみますと、地方税全体といたしましては増収額に対して約十一分の一程度減税ということになっております。ところが府県税の場合になりますと十五分の一程度市町村税になりますと約五分の一程度、こういうことになっております。残念ながら、私は地方財政計画の中における府県市町村を分けた資料をいただきたいということをお願いしておきましたけれども、まだその資料が出ておりませんので、これを受けて地方財政計画はどうなるのかということはわかりませんけれども、いま申し上げましたように、府県市町村の減税額の間にはかなりのアンバランスが起こっております。むろん住民税等の減税という問題が起こっておりますのでわかりますけれども、こういうことでいいのかどうか、まず税務局長なりあるいは財政局長財政当局としての立場、財務当局としての立場からお答え願いたいと思います。
  92. 細郷道一

    細郷政府委員 先般来御説明申し上げておりますように、明年度地方税制におきましては、府県市町村を通じまして初年度四百九十五億の減税となっておるのでございます。ただその半面には、ただいま御指摘のございましたように、市町村財政に及ぼす影響等を考慮いたしまして、市町村たばこ消費税の税率を一・六%引き上げ、また住民税につきましては、経過的ではございますが減税補てんのための措置を講ずる。さらに道路の目的財源としての軽油引取税の二〇%アップをやるといったようなこともございまして、そういった面を考慮いたしますと、住民税の補てんは一応地方債という形になっておりますが、それをどけて考えてまいりますと、三十九年度におきます府県税の減収は二百億、それから市町村税におきましては財政計画上百六十一億、こういうことに相なるのでございます。この百六十一億の市町村税のうち七十八億分につきましては、財政計画上の住民税数字等をあげておりますので、その分につきましては別途の補てんの措置を講じておりますので、明年度市町村税の財政計画上の数字から申しますと、百六十一億から七十八億引いた数字財政上の影響となる数字になるわけでございます。これらの数字につきましては、半面に地方税におきます自然増収が、府県におきましては現行法において千五百七十億、市町村税におきましては現行法において千十八億ございますことと、別途交付税におきましても国税三税の伸び等によります増収がございますので、それらによって全般的な財政調整措置を講じつつ財政の運営に支障のないように措置をいたしたい、かように考えておるものでございます。
  93. 柴田護

    ○柴田政府委員 財政だけの立場から申し上げますならば、府県市町村とを見比べてみた場合には、やはり布町村に財源が全体として足らないのではないかという感じをわれわれは持っております。と申しますのは、府県ももちろん足りませんけれども、結局末端の市町村というのは最終的にすべてのものの始末をする立場に立つものですから、いろいろな問題があるだろう、しかも財政力は乏しい、こういう立場から申し上げますと、やはり税源はなるべく市町村のほうに持っていく、市町村税制を増強してやりたい、こういう気持があるわけでございます。  しかし一方税制だけの問題から言いますならば、府県税制につきましては地方税制にまつわりますいろいろな問題が逐次片づいてきておる。どちらかといえば地方税制に残されている問題点は、山町村税にあるのではなかろうか、かように私は感じておるのであります。そういう意味から言いますれば、今回の税制改正において考えられた措置というものはやむを得なかったのではないか。したがって、税制合理化ということになれば、税制改正のとった措置は当然だ。それによる財政的な穴埋めという問題は、これは当面は国税の配分を通じて補てんしていくことになるわけでありますが、基本的には、府県も入れてでございますけれども、特に市町村の振興といいますか、そういうところに税源を植えつけていく、こういうことを考えていかなければならぬのではないだろうか、かように考えておる次第であります。
  94. 細谷治嘉

    細谷委員 そこでお尋ねしたい点は、地方財政計画では前年度比一九・五%程度の伸び、こういうことになっておるわけでございますけれども、現実に税の伸びというのは、県の場合に普通税で二六%程度市町村の場合では一六%程度の伸び、こういう形になっておるわけです。そこで、資料をいただいておらぬのでありますが、見通しとして、一九・五%の来年の地方財政計画の伸びというのは、府県がどの程度と大体見積もっておるのか、市町村がどの程度と見積もられておるのか、概数でもよろしいですから聞かしていただきたい。
  95. 柴田護

    ○柴田政府委員 その基本になりますところは、国庫補助負担事業がどのように行なわれるかというところに実はネックがあるわけであります。それが使えませんものですから、いつぞやお話しの、府県と町村の調整がなかなかできない、こういうことになっておるわけであります。ただ、通常の状態からいきますならば、経費の伸びは、給与制度の改正が平年度化せられることになりますので、その点からいきますと、給与関係経費では、府県市町村の伸びは二対一の割合であって、したがって伸びた交付税の額は府県に大きく流れるのが普通であります。しかし、市町村税において、今回このような改正が行なわれますので、おそらくは来年の場合には、交付税の増加分の配分は従来の割合以上に市町村にいくだろう、こういう見通しを持っております。
  96. 細谷治嘉

    細谷委員 その程度にいたしまして、次に住民税の問題、これは減税一つの柱でもございますが、問題はそのあとをどう財源付与をするか、こういうことでございますので、この点についてまずお尋ねしたいと思います。  お尋ねしたい第一点は、せんだっての質問で、いわゆる赤字補てん債、こういう形でやるのが昭和四十六年に元利のピークになって、それが百七十二億円程度と見込まれる、こういうお答えがあったわけでございますが、いま提案されているような方式で、年次を追うて元利がどうなっていくのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  97. 細郷道一

    細郷政府委員 三十九年度に百五十億、以下二割減ずつで四十三年度の三十億まで、また四十年度に百五十億、以下二割減ずつで四十四年の三十億まで、こういう発行のしかたをいたしますと、両方合わせまして起債発行予定総額は九百億円になります。これに対しまして、いま考えておりますのは、全額政府引き受けということでございまして、利率は一応六分五厘、元利均等の半年賦償還で、最初の一年以内の据え置き期間を含めて七ヵ年の償還、こういう条件で計算をいたしてまいりますと、三十九年度、これは最初の年でありますので、借り入れの時期にも左右されますが、一応半期分という考え方でいきますと、三十九年度で四億五千万、四十年度で二十七億九千八百万、四十一年度で七十億七百万、四十二年度で百十二億二百万、四十三年度で百四十二億五千百万、四十四年度で百六十一億五千五百万、四十五年で百七十億九百万、そして四十六年がいわゆる最高のピークでございますが、百七十億九千八百万でございます。以下五十一年までございまして、その総計は千百七十六億二百万、こういう一応の見込み計算でございます。
  98. 細谷治嘉

    細谷委員 四十七年は……。
  99. 細郷道一

    細郷政府委員 四十七年は百四十三億三千二百万であります。
  100. 細谷治嘉

    細谷委員 この元利の償還について、問題はたった二年のものをこういうふうに長くかかるわけでございますけれども、せんだって私は予算委員会の分科会で早川自治大臣にお尋ねいたしたのでありますけれども、時間も不足の中で的確に私の納得のいくような答弁を得ることができなかったのであります。この点について、自治大臣が予算委員会で、この五年間で補てんがなくなるんだが、その間に自主財源の自然増収あるいは交付税の増収が期待される、だから五年後には補てんがなくて自立できるような見通しだ、こういうふうに答えております。そういう見通しはけっこうでありますけれども、財政当局からこういう見通しが具体的に立っておるのかどうか、まずお聞きしたいと思います。
  101. 柴田護

    ○柴田政府委員 お尋ねの点は、減税補てん債を漸減していく部分についてどのような形で措置するのかということだろうと思うのでありますが、これは交付税の幕準財政需要額の中に入れていく。したがって、四十年度の場合で考えますと、ことし三十九年度で発行いたします百五十億円の二割減の三十億円ずつ市町村の基準財政需要額の中に入れていく、こういうことになります。もとより基準財政需要額でございますので、総体的な計算をいたしております。個々団体によっては多少のでこぼこが出てくるかもしれません。その場合は、結局そのでこぼこにつきましては、特別交付税の配分の際に調整していくということになろうかと思います。
  102. 細谷治嘉

    細谷委員 特別交付税というものがあたかも不老長寿の妙薬のような話で、きわめて納得できないお答えなんでございますけれども、現実今度の改定によって市町村が三分の一かあるいは四割程度の収入になるというのが多いのではないかと思うのであります。一体それが五年後に交付税なりあるいは自主財源の増加によって補てんできるんだ、具体的に、たとえば交付税の税率をふやすとか、あるいは税法を改正するというようなめどを持っておっしゃっておるのか。それでなければ、何か自然増でそれが補えるんだ、こういうようなことばのようですが、その点について伺いたい。
  103. 柴田護

    ○柴田政府委員 自然増の中で吸収していくという考え方でございます。それは、お話のように対象市町村数は非常に多うございます。しかし、金額的にいいますと、大きなワクの中の振りかえ額といたしましては、額はそう大きなものではない。したがって、自然増収の中で吸収し得るという見込みを立てておるわけでございます。
  104. 細谷治嘉

    細谷委員 ただし書き方式をとっておるというのは、非常に貧弱団体であるがゆえに、住民に過重な負担をかけてただし書き方式を採用しておる。これはやむにやまれぬ措置なんです。そういうことで、五年や十年で自然増収が四割程度であったものが一〇〇になるなんということはとうてい考えられないじゃないかと思う。それについて具体的に交付税率を上げるとか、あるいは税法上の改正というようなお考えはないようでありますけれども、今度の交付税についていただいた資料を拝見いたしますと、来年度において都道府県で四百十九億円の基準財政需要額と収入額の差額から見て増が出てくるということが資料に書いてあります。市町村の場合ですと、三百四十九億円の収入額の増から需要額の増を差し引いた純増がある。合わせますと七百六十八億円というのが自治省の見積もった基準財政需要額の純増、こういうことになります。この七百六十八億円の中には、自治省の考えがいろいろ変転をしたようでありますけれども、三分の一は交付税の基準財政需要額の中で、単位は千円に対して千円ということで補てんするというのですから、一〇〇%三分の一は補てんするというお考えのようであります。この七百六十八億円の中にはそのお考えの五十億円というのが入っておりますか。いかがですか。
  105. 柴田護

    ○柴田政府委員 昭和三十九年度では利払いだけでございますが、入っておりますけれども、ごくわずかでございます。
  106. 細谷治嘉

    細谷委員 三十九年度はそういうことになるわけでありますが、交付税、交付税とおっしゃいますけれども、七百六十八億円来年度は需要額が伸びる、ところが三十九年度は六千三百五十億円というのが地方交付税の総ワクでございます。このうちから六%の特別交付税を差し引きますと、大体において五千九百七十億円程度しか残りません。ところが昨年の普通交付税は五千二百四十億円、差し引きますと七百二十九億円です。普通交付税では自治省が見積もっておる七百六十八億円に足りません。こういう実情からいって、来年度以降交付税で補てんするということは、交付税に別ワクを設けない限りはできないのじゃないか、いまの二八・九という交付税率をもってしては、これはやるのだとおっしゃればやれるかもしれませんが、そういうことは市町村実態を、わかっておるでしょうけれども親身になって世話しない態度じゃないかと思いますが、この点いかがですか。
  107. 柴田護

    ○柴田政府委員 午前中の委員会でお答えをいたしたことでございますが、結局、現在ただし書きによる増収額と申しますか、ただし書き方式を採用しているために生じておる増収額は何に使うかというところに基本的な問題がある。その中身は調べてみればいろいろあるわけでございますが、交付税の配分方法の不合理と申しますか、妥当を欠いたことに起因するものも確かにあると思います。それはそれで面していくわけでございますが、一挙に減税を行ないますために当該市町村に大きな穴があく、それが非常に激甚でありますので、その部分について減税補てん債を発行して、それを逐次なしくずしに吸収していく。なしくずしに吸収していくことによって、その基準財政需要額において吸収すべきもの、つまり基準財政需要額のいまの算定方法の是正を要すべきものだと考えられる点を直していくということでございます。いま細谷先生の計算をお話になりましたが、きょうはちょっと計数を持っておりませんが、計算の基礎が少し複雑でございますので、あるいは誤解になっておるのじゃないかと思います。金額全体としましては年々二十億くらい。この二十億くらいのものを、ふえてまいります。百億なり八百億というものの中において吸収することは、そうむずかしい問題でない。ただ通常のベース以外に非常に大きな財政需要が起こってくる、あるいは市町村の行政態容が変わってくるということになりますれば、これは地方財政全体の問題として、交付税率の問題は別途検討する必要があると思いますが、このこと自体によって当然に交付税まで及ぶ問題ではない、かように考えております。
  108. 細谷治嘉

    細谷委員 私はせんだっても申し上げましたように、交付税の計算の不合理は直さなければなりませんけれども、間々激変があることは地方財政を混乱に陥れるという立場に立って申し上げておるわけであって、いま私の質問に対して誤解なりあるいは計数上の違いがあるのじゃないかというのですが、誤解があってはたいへんですからあらためて確認いたしますが、三十九年度地方交付税の総ワクは、ラウンドで申し上げますが、六千三百五十億円で間違いないですね。百三十七億は全部一〇〇%繰り越したと仮定して申し上げているのですから。
  109. 柴田護

    ○柴田政府委員 三十九年度地方交付税は六千三百五十一億円。この中には百三十七億円の繰り越し額が含まれております。
  110. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますとその六%に当たる三百八十一億円というのが特別交付税のワクになると理解して間違いないですね。
  111. 柴田護

    ○柴田政府委員 そのとおりであります。
  112. 細谷治嘉

    細谷委員 そうすると、差し引きますと五千九百六十九億円というのが、現在のところ三十九年度の普通交付税の総ワクということになります。三十八年度の普通交付税の総ワクは五千二百四十億円であったはずでありますから、差引七百二十九億円。間違えてないと思います。そうしますと自治省が見込んでいる七百六十八億という来年度の純需要額の増に満たない、こういうことになります。三十九年度の問題でありますから五十億円の補てんというのは起こりませんけれども、こういう現実からいって四十年度以降特別な交付税の率を変えないで、あるいは臨時的な交付税の措置を講じないで、いまの二八・九%という率でやるということは、これは地方財政実態を考えてやらない態度ではないか、というのは、吸収できない問題じゃないかというのが私の質問している点なんです。
  113. 柴田護

    ○柴田政府委員 私のほうで交付金額の増として見込みました額とこの計算とが違うというお話でございますので、その点を計数的に誤解があるのじゃないかということを申し上げたわけでありますが、六千三百五十一億円の九四%と、三十八年度の五千五百三億円の九四%、これの比較と交付基準額がどうなるか、こういう問題でございますが、この点は計算は合っていると思います。  それから一〇〇%吸収できるかどうかの問題でございますけれども、これだけの伸びのもので毎年七百億か八百億くらいの伸びがあるわけであります。その中で減税補てん債が削減されていって、削減された額を吸収していくわけでございますが、その削減された額というのは、先ほどもお答えいたしましたように、四十年度でいいますと二十億円、これは平年度化してまいりますと、三十億円、毎年新たに三十億円ずつの財政需要を見込んでいかなければならぬということになるわけです。その程度のものは七、八百億円の交付金額の増、基準財政需要額にいたしますと、もっと大きな伸びになるわけでございまして、二千億からの伸びになるわけでございますが、その中でこれを吸収していくことはそうむずかしくないということを申し上げたのでございます。
  114. 細谷治嘉

    細谷委員 むずかしくないと、それは事務的にはできるでしょう。しかし、私が申し上げておるのは、とにかく来年度そういうことを考えなくても七百六十八億円の需要増というのがあるわけなんです。しかも、これは収入額を差し引いた純増です。あなたが七、八百億円毎年交付税が伸びる、こうおっしゃいますけれども、そういう純増をまかなう、消化できないような現状において新しい要素を加えるということは、これは地方財政の、自治省の立場じゃないんじゃないか。大蔵省の立場じゃないか、こう私は思うのです。そういうことでは地方はとうてい納得できないことだと思う。
  115. 柴田護

    ○柴田政府委員 それは地方財政全体として現在の交付税率で、地方財政全体の財政需要をまかなっていきますのに、現在の交付税の率でいいか悪いかという問題になるわけでございます。その問題につきましては、別途地方財政全体の立場、国家財政の立場、両方を考えて検討すべき問題であろうと思うのでございます。私が申し上げている趣旨は地方団体に非常に大きな財政需要が起こってくるような場合、あるいは地方税収入に大きな激変が生ずるような場合といったようなことになりますれば、そういう交付税率の、いまの二八・九%というのが妥当かどうかということを検討すべき時期が生じないとは申し上げない。それはあるかもしれない。しかし現在の状態で推移いたしますれば、先ほど私が二十億と申し上げましたが、間違いでございまして、三十億でございました。三十億円程度のものをこれだけの、二千億以上の基準財政需要額が伸びていく際に、基準財政需要額の中に吸収して織り込んでいくことは、むずかしいことではないだろうというように申し上げたわけでございます。その根底は、本来ならば但し書き方式を採用して財政をやっておりますのは、一体地方財政の立場と申しますか、普通の計算をいたします場合の立場といたしましては、言うならば地方団体が自分に与えられた財源の弾力を活用して進んで仕事をしているんだ。つまり交付税で補償すべき必要最小限度の財政需要というものに当てはまるか当てはまらないかというところに一つの問題がある。現在のたてまえからいいますならば、交付税の計算の場合の、基準財政収入の計算については、本文方式を採用するものとして計算をしておるわけでございます。だから、現実にただし書き方式をやっておるところについては、ある部分はそれだけ交付税がよけい流れておるわけでございます。それになお足らないからただし書き方式をとっておる、こういうことになっておる。そういう形でいきますなれば、現に交付税の配分方法に是正すべき点がありますれば、これを直しながら、逐次本文方式のほうに変えるように指導している、現に私どもは数年前から指導をやってきた、現に毎年百団体くらいは本文方式に変わってきておるわけです。これを続けていけば、いままでの方式で漸次本文方式でいくということも不可能じゃないが、ただ国民負担現状からいいますれば、そういう方式を長くかけてやっていくということは適当じゃないということで、一挙に本文方式是正するという税制改正に踏み切ったわけでございます。そうしますと、一ぺんに非常に大きな激変が起こるから、その激変を緩和するように補てんを行なうんだ、こういうことになったわけでございます。
  116. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、あまり数字で申し上げたくないわけですけれども、問題は、交付税、交付税とおっしゃるけれども、いま私が申し上げたようなことから推定しても、交付税でまかなうということは、事務的にはまかなえるでしょう。ほかのほうをとにかく六千三百億の背中で五十億程度しぼり出すわけですから、できないこともないでしょう。端的に言いますと、交付税を決定しまして、交付基準というものがきまります。それに補正係数の〇・九九九九なんかという顕微鏡で見なければならぬような何けたもあるような数字をかける、そういうことになれば出てきましょう。しかしそれでは地方団体の困っている、地方団体を発展させる立場に立っている自治省としては、そういうことについては現在の二八・九という交付税率は消化し切れないこの問題なんだから、これはひとつ特定のものを見てやらなければならぬ。私は端的に言いますと、この問題については不満で、完全に独立財源を与えるべきだと思う。しかしそれもなかなかむずかしいので、交付税ということで完全に補てんしてあげたらどうか、そうして、それは暫定期間として臨時というような名前てけっこうだから——税制調査会でも、あるいは地力調査会でも税財源の再配分をしろといって検討しておりますが、そういう時期までは、臨時という名のつくこの問題についての特別交付金制度、前にありました臨時地方交付金制度というものを、たとえば国税三税は二兆一千九百億、その一・何%か臨時にやっていけばできることなんですから、そういうことで一番困っている、一番財源の貧弱な市町村の立場に立ってやるべきではないかと思うのです。これについて大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  117. 早川崇

    ○早川国務大臣 御趣旨まことにごもっともでございますが、いろいろ御議論を聞いておりますと、私は大所高所から見まして、今度の住民税減税問題にからんで、地方財政としてバランスシートはどうかという大局論から申しますと、仕事をすることも地方行政であります。橋をかけたり、家を建てたり、同町に、地方住民減税をするということも地方行政の仕事、市町村として大きな仕事で、したがって、この問題全体をバランスシートをとってみますと、国から五ヵ年間で、数字を申しますと七百八十四億円、元利締結という補助金で地方財政はプラスしたという結論になるわけであります。したがってこれは非常に大きな金額であって、国としては地方行政を助けるために八百億近い金を出した。かく私は考えておる。したがって問題は、その減税をいたしました自治体それぞれの問題でございますけれども、減税するということが、その市町村の仕事というものに徹すれば、ほかの仕事をやめてやったんだ、こういう理屈になるのですけれども、それではほかの仕事に非常に支障を来たしますから、これによって生ずる補てんを一〇〇%やろう、五年間に二割ずつ減らしていこう、その減らしていく額は交付税全体として見れば、財政局長の言うように、こなし得ない大きなものではないのではないかというので、いま細谷さんの御指摘のように、特別にワクをつくって、あるいは交付税を税率を上げてというところまで考えなければならぬほどの大きい負担には、財政超過にはならない、こういう判断をしておるわけでございます。  なお、交付税の税率の問題は、そういう意味でこれだけではわれわれとしても直ちに上げようという考えはありません。しかし将来、先ほど局長も言いましたように、たいへん地方財政に大きな負担を与えるような計数が出てまいりましたら、当然それはそのときに考えたい、こういう考えであるのであります。
  118. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣の御答弁を聞きますと、暮れの予算編成の最終段階におきまして、自治大臣として二時間にわたって大蔵大臣と渡り合った、そうしてできたものが妥協の産物、私どもから見ますと、自治大臣のその段階における労は多とします、多としますけれども、今日の自治体にとっては容易ならぬ問題でございますので、もう私は大臣の心境はおそらく違うんじゃないかと思う。大蔵大臣と折衝して、こういう段階にあるので、自分の所信はお述べできない立場におありだと思うのですけれども、私は、やはり吸収できるという問題じゃなくて、困窮しておる、特に減税の中においても、先ほど申し上げましたように、府県はどんどん伸びる、市町村については伸びない、しかもおそらく地方財政計画の中で、一九%伸びておるのは一六%こういうことでございますから、交付税の傾斜配分とか、あるいは、何とか五十億程度しぼり出して——それを、毎年減ることだからしぼり出していこうということでは、あまりにもこう薬的な立場ではないか、こう思うのです。ひとつこれは何としても完全に近い財源補てんをいまおやりになって、いまやろうとしておる方法じゃなくて与えてやること、地方自治を助けるんじゃなく、発展さす。助けるという精神じゃなく発展させる、自治を守る、こういう立場でひとつやっていただかなければならぬことだと思います。自治大臣もおそらくそういうお立場に立っていらっしゃると思いますから、ひとつ何ぶんの努力をお願いいたしたいと思います。  次に、お尋ねいたしたい点は、この本文方式でも超過税率をやっているところがあります。普通の標準税率でやっているところを一としますと、超過でやっているところは二倍くらいとっているところもございます。ところで、資料によりますと、超過税率を課している市町村が百四ある、しかも一・五倍をこえるものが四十六団体もある、こういうことのようでござます。——五十七団体ですか、資料によりますと、四十七団体、先だっての局長のお答えですと、五十七団体ということでありますが、いずれにしても、相当数が超過税率でとっておる、こういうことであります。もう一つの問題点は、三十八年度に不交付団体については補てん債を認めない。これは四十六団体あるそうでありますが、この数字は間違いございませんか。
  119. 細郷道一

    細郷政府委員 本文方式準拠税率の一・五倍をこえております団体は、昨年の七月一日現在で五十七でございます。若干町村の数に違いがあろうかと思いますが、調査時点のズレからくるものと、いま一つは、合併等によります不均一課税団体を計算の外に置いたといったようなことで、若干ズレておると思います。その本文方式のうちで、準拠税率の一・五倍をこえている五十七団体のうち、不交付の団体は四つでございます。
  120. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、お尋ねいたしたい点は、本文方式をとっておるからといって、必ずしも財政力があるんだ、こういうことに限っておりません。現実には、やはり住民負担がどうだろうか。先ほど大臣がおっしゃったように、橋をかけるばかりが能じゃなくて、税を軽減してやるということも自治体としての重要な役割なんだ、こういうところから、減税をしておるところもございましょう。あるいはすぐとなりのところが本文方式を採用しておる、こういう関係でやっているところもありましょう。あるいは行政水準よりも住民負担を考えるべきだということでやっておるところもございましょう。そういうことでやっておったところについては、全然かまってやらないで、そして、ただ、ただし書き方式を使っておった、そういうところについては見てやる、こういうこともいささか不公平だというそしりを免れないと思いますが、いかがですか。
  121. 細郷道一

    細郷政府委員 本文方式準拠税率を越えてやっております団体につきましても、四十年度にいわゆるこの補てん債を認めてまいりたいと考えております。ただ、その場合に、不交付団体につきましては、補てん債を認めないで、特別交付税によって措置してまいりたい、かように考えております。
  122. 細谷治嘉

    細谷委員 私がお尋ねしたい点は、ただし書きをとるような財政力の自治体であるけれども、いま申し上げたような形で、本文方式をあるいは本文方式のある程度の超過税率を課しておった、こういうところに対して、今度の措置は全然かまってやらぬということは、不公平のそしりを免れないのじゃないかという点をお尋ねしたわけです。
  123. 早川崇

    ○早川国務大臣 この問題は、補てん問題で政府部内におきましてずいぶん議論が出たところでありまして、御指摘のように、本文方式をとって、事業をやるよりも住民減税をはかるという決断を自治体の首長がやるといわれるような自治体というのは、私は、ある意味では尊敬いたします。何でも事業をやればいい——ほんとうの住民の福祉が何かということを真剣に考えて、本文方式をとられた自治体は多々あると思うのであります。また、非常に豊かであって——豊かといいますけれども、それは非常に豊かであるかどうか知りませんが、工場があって、固定資産税がたくさん取れるとか、いろいろな事由で、本文方式をいち早く採用した市町村もございましょう。ですから、一律に論じられませんけれども、そういう個々のケースを見まして、ただし書きをとったものは補てんされる、苦しいけれども住民減税を先にやったというようなあれが損をすることがないように、自治大臣としては、市町村個々のケースを見まして、特別交付税その他の場合には十分配慮してみたいと思っておるわけでありまして、本文方式をとったものとあれとの不公平というものは、ケース、ケースがありますから、一律に処理できませんので、ただし書き方式市町村だけに補てんする、こういうことになったわけであります。
  124. 細谷治嘉

    細谷委員 いま大臣のお答えとして、この問題についてはただし書き方式ということでやるけれども、その団体財政実情というものを考えて、本文方式にして住民の福祉を増進することに努力したというところには、特交等である程度考えていこうということのようでございますので、ぜひそういう点不公平にならないように、政治はやはり公平だということが大原則でありますから、そういうことでお願いをしたいと思います。  ところで、もう一つお尋ねいたしますが、三十八年度、ただし書きをとって不交付団体であるところがあるのです。お尋ねしたい点は、本文方式をとるようになったらば転落して、交付団体になるという実例はございませんか。
  125. 細郷道一

    細郷政府委員 現実の問題と理論上の問題と二つあると思いますが、理論的には、現在交付税の算定は、御承知のように、住民税に関しましては、本文方式をとっておりますので、ほかの状態が変わらない限りは、これによる変化はないはずであります。ただ、現実の問題といたしましては、来年度財政需要が全般的にどういう手当てがされるか、そういったことによる変化は起こるかと思います。
  126. 細谷治嘉

    細谷委員 おそらく、三十八年度ということでこの補てん債ということがきめられておりますが、私が心配しておりますのは、これが五年間なり六年間というものは固定しているものではありませんから変わってくると思うのです。この点も、たとえば三十八年度においてはなるほど不交付団体であるけれども、三十九年度、四十年度においてはそのままであってもあるいは交付団体になるということもあると思う。事情は動いていきますから、こういう点もやはり十分に不公平にならないような形で対処していただくということが必要ではないかと思いますが、いかがですか。
  127. 細郷道一

    細郷政府委員 何ぶんにも今回の住民税減税並びにその補てんの一連の措置が、たてまえと現実の調和をどこに求めるかという点にあるわけでございまして、おっしゃるように、この補てん債並びにそれに対する元利の補給という措置をその年度年度でやるということも一つの考えでございます。私どもも検討の過程においては考えたのでございますが、ただそういうことをいたしますと、個々団体にとって、自分のところの計画的な財政運営ができなくなる。その年に交付になるのか不交付になるのかによって、いつも動いてしまうといったような不安が起こってまいるわけであります。そこで今回の措置が、先ほど来いろいろ議論がありましたように、ある部分はやはりその団体の自力というものによって将来の財政運営に寄与してもらわなければならない。同時に、こういうふうに国が五ヵ年間二割ずつの逓減的な補てん措置を講ずるという方式が明らかになっておりますので、この方式を確定しておくことが、その市町村の自主的な財政運営にプラスになるのではないだろうかといったような意味で、どこで線を引くかいろいろ議論をいたしたわけでありますが、すでにきまっております三十八年度の姿で一応スティックさせてその措置を固める、こういうことでございます。したがいまして、それによりまして将来個々団体においては、いろいろな変化があろうかと思いますが、その変化につきましては、やはりそのときそのときの、その団体財政状態も考えながら十分配慮してまいらなければならない、かように考えております。
  128. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、そのとおりと理解してよろしいですか。
  129. 早川崇

    ○早川国務大臣 そのとおり考えております。
  130. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、そういうような財政実情に応じた配慮をしていくとなると、先ほど私がお尋ねした交付税のワクが、自治省が想定するのにプラスアルファというものが必要になってくるという現実的根拠がやはり出てきたと思う。しかし先ほどお答えいただいておりますが、この点につきましてはもっと大蔵当局の考えも確かむべきじゃないか、こう私は思いますので、次の機会に関係者においでいただくように委員長において御配慮を願いたいと思います。
  131. 森田重次郎

    森田委員長 了承しました。
  132. 細谷治嘉

    細谷委員 次に、固定資産税の問題  についてお尋ねいたします。せんだっていただいた資料によりますと、三十九年度課税標準額というものが資料として出されております。  そこでまずお尋ねいたしたい点は、せんだっての質問に対して税務局長は、約一割程度年度より固定資産税は伸びるだろう、こういうお答えがございましたが、そのとおりでございますか。
  133. 細郷道一

    細郷政府委員 固定資産税の三十八年もの当初見込みにおきましては土地、家屋、償却資産通じた全体で二千七十八億八千九百万円でございます。それに対しまして現行は二千三百十七億九千八百万円、こういうことでございまして、その伸びは一一%でございます。なお、三十九年度におきましては固定資産税について若干の軽減措置を講じておりますので、財政計画の最後にあらわれました数字は少しそれを下回っております。
  134. 細谷治嘉

    細谷委員 下回るといって、どのくらいになりますか。
  135. 細郷道一

    細郷政府委員 五十一億三千万円の改正による減がございます。
  136. 細谷治嘉

    細谷委員 伸び率でもけっこうです。
  137. 細郷道一

    細郷政府委員 その結果、固定資産税の改正後の収入見込み額は二千二百六十六億六千八百万円、伸び率はちょっと計算してみます。
  138. 細谷治嘉

    細谷委員 それではお尋ねいたしますが、せんだっていただいた資料によりますと、三十九年度の土地の評価課税標準額というものは四兆四千四百八十二億円ということになっております。三十八年度課税標準額は土地について三兆九千百九十六億円でございますから、土地については一一四%の伸びということになりますが、この数字は確認してよろしゅうございましょうか。
  139. 細郷道一

    細郷政府委員 三十八年度の土地につきましては三兆九千百十三億五千九百万円、それから三十九年度の土地につきましては四兆四千四百五十三億七千七百万円でございます。
  140. 細谷治嘉

    細谷委員 率も大体一一四%程度になりますね。——続いてお尋ねいたしますが、宅地については三十八年度が二兆二千六百二十六億円であって、三十九年度の自治省のこの資料によりますと二兆七千百五十三億円、ちょうど一二〇%になっておりますが、そのとおりでございますか。
  141. 細郷道一

    細郷政府委員 宅地につきまし三十九年度は二兆七千百五十三億であります。
  142. 細谷治嘉

    細谷委員 償却資産については三十八年度が六兆八千九百二十八億円でございますが、三十九年度におきましては五兆八千九百七億円でございまして、前年度と比べますと八五%となっておりますが、この数字は確認できますか。
  143. 細郷道一

    細郷政府委員 昭和三十九年度は五兆八千九百七億三千三百万円でございます。
  144. 細谷治嘉

    細谷委員 三十八年度は……。
  145. 細郷道一

    細郷政府委員 いま確かめております。いまちょっと調べまして……。
  146. 森田重次郎

    森田委員長 すぐ調べられますか。時間がかかるのでしたら……。
  147. 細郷道一

    細郷政府委員 三十八年度は五兆三千百二億六千六百万円でございます。
  148. 細谷治嘉

    細谷委員 その数字は少しおかしいと思うのですけれどもね。私が調べたところでは、三十八年度課税標準額というのは、もっと申し上げますと、償却資産については、三十六年度が四兆八千五百七十四億、三十七年度が五兆八千百五十八億、三十八年度は、先ほど申し上げましたように六兆八千九百二十八億、こういうことになっておりまして、三十九年度の場合ですと、六兆八千九百二十八億という昨年の課税標準額は、在来分として今度のこの資料によりますと、四兆四千百三十八億円、六四%に減じておるわけです。それに新規のものが、増加分が一兆四千七百六十八億円ありまして、その合計が五兆八千九百七億円、こういうふうになっておるはずですが。
  149. 細郷道一

    細郷政府委員 ただいま申し上げました三十八年度の五兆三千百二億六千六百万円、これが三十八年度分の課税標準額に当たるものでございます。したがいまして、御承知のように評価額のうちから課税標準の特例によって下がっておるものもございますので、その数字がいま申し上げた数字でございます。
  150. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと三十六年と七年は……。
  151. 細郷道一

    細郷政府委員 たいへん恐縮でございますけれども、いまちょっとあれしておりますので、至急取り調べてお答え申し上げます。
  152. 川村継義

    ○川村委員 このままちょっと休憩してください。
  153. 森田重次郎

    森田委員長 調べがつくまでこのままで休憩いたします。    午後二時五十六分休憩      ————◇—————    午後三時九分開議
  154. 森田重次郎

    森田委員長 再開いたします。  質疑を続行します。細郷税務局長
  155. 細郷道一

    細郷政府委員 三十八年度の償却資産の総評価額は六兆八千四百五十二億四千八百万円でございます。ただそれが課税標準額の特例等がございますので、課税標準額としましては五兆三千百二億六千六百万円、これに見合います三十九年度のものを申し上げますと、三十九年度の評価額は七兆六千六百二億五千百万円、これに対しまして課税標準額は五兆八千九百七億三千三百万円、こういうことでございます。
  156. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの数字が出たわけでありますけれども、三十六年度、七年度、八年度、九年度について課税評価額、課税標準額、それから在来分と年度ごとに追加された新規分と分けて、いまの数字をひとつ表にして出していただきたいと思います。  それでは若干数字が変わってまいりましたが、次にお尋ねいたしたい点は、償却資産について数字が明らかになったわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、土地については一割四分、それから宅地についてはちょうど二割、山林については二割四分程度、家屋については二割三分、これはむろん新規分が加わっておりますから、家屋について在来分を申し上げますと、前年度に対してちょうど一割在来分だけで伸びている。それに新規が加わって二割三分の課税標準額の伸び、したがって税の伸び、こういうことになります。償却資産については一割弱です。おそらく九%くらいだろうと思うのです。この委員会でも問題になっておりましたように、全体としてはおそらく一〇八、九%程度だろうと思うのです。この出た数字を見ますと、この税法の中で特別措置として三十九、四十、四十一年と三ヵ年間は二割で頭打ちさせる、農地については前年どおりだ、こういうことになっておりますけれども、従来の伸びからいきますと、償却資産が一番伸びた、そしてその次は家屋だ、土地はほとんど変わらない、こういうのが従来の課税標準額の年度を追うての推移です。今度はこの新しい標準を使ったためにどうなったかといいますと、高度経済成長政策の中において一番伸びておる償却資産がわずかに八、九%しか伸びない。土地などについては頭打ちしたから二割、そして山林などもやはり頭打ちして伸びている。そういう形で家屋も土地も総上がり、これが目的税にはね返ってきている、こういう現況でございます。これで激変でないと言えましょうか、課税が公平だと言えるでしょうか、お尋ねします。
  157. 細郷道一

    細郷政府委員 償却資産の伸びの大小は、やはり設備投資の状況にも左右されますので、必ずしも毎年常に償却資産の伸びがいいというわけでもないと思います。三資産間の均衡につきましては、従来から家屋、償却資産につきましては、大体評価の水準がいわゆる時価の水準に合っておるのでありますが、土地につきましては御承知のようなことで離れておるわけでございます。したがいまして、それの評価の均衡化という意味で今回評価のやり直しをいたしたわけであります。そういう点を考慮してまいりますと、時価をどこまで税負担に求めるかという最終的な結論は、なお税制調査会の審議を待たなければなりませんが、単純に出た時価がいま評価された額をもってそのまま税負担とするという限りにおいては、なお三資産の間では土地、特に宅地についての税負担額は小さいということが言えるのではなかろうかと思います。ただ従前よりは幾らかでも均衡化に前進をしておるという状態であろうと考えております。
  158. 細谷治嘉

    細谷委員 根本的に考えを異にするわけですけれども、せんだっていただいた資料によりますと、土地と家屋と償却資産の構成率を見ますと、三十九年度は土地が二五・三%、三十八年まではおおむね二三%程度であった。それが二五・三%と構成率が伸びておるわけでございます。それから家屋については三十九年度は四一%になった。従来は三五%程度でございました。償却資産は三三・六%、従来は大体四〇%程度の構成でございました。この構成を見ても、それが正しい姿でもっと償却資産の比率というのは下がるのがあたりまえだというような局長さんの見解でありますけれども、こういうような非常な税の構成の変化、こういうふうに考えなければなりませんが、そういう構成が変わったということをお認めいただけますか。それでそれが正しいとお考えなのか、お尋ねいたします。
  159. 細郷道一

    細郷政府委員 三つの資産の間の評価の均衡をとる、そしてそれぞれ適正な時価を求めるというのが、御承知のような評価の方法であるわけであります。その限りにおきましては、三つの時価をそのまま反映するものといたしますれば、三資産間の税負担というものはやはり大きく変動せざるを得ないと思います。ただその時価を、どこまで税負担にこれを移していくかという行き方については、なお検討を要する問題が残っておりますので、今回の措置においては、暫定的な措置をいたしたわけでございまして、いわばそういう意味では、従来の三資産間の構成比率にそう大きな変動を与えていない、こう考えております。
  160. 細谷治嘉

    細谷委員 変動を与えておらぬということでございますけれども、家屋は明らかに二割増であります。固定資産税総額は変わらないんだ、こういう美しい名前のもとに家屋は軒並み二割の増、頭打ちで救われた、こういう形になるかと思いますけれども、端的に言いますと、新規のものを別にいたしまして、在来分だけでも一割伸びているのです。税務当局のお話によりますと、家屋と償却資産については評価があまり変わらないのだ、こういうことでございますけれども、そうじゃございませんでしょう。新規の償却資産については一兆四千七百億、こういうような増があったので、前年に対して一〇八%程度伸びておるでしょう。家屋はそうじゃないと思うのです。在来分が一割伸びて、新規も加えるとちょうど二割、こういうふうに伸びております。不公平ではないでしょうか。
  161. 細郷道一

    細郷政府委員 償却資産の在来分は、御承知のように経年によります償却がございますので、年々、在来分に関する限りは、通例、減価をしてまいるわけであります。ただ、償却資産の新増分については、先ほども申し上げましたように、やはり設備投資の関係もございますので、新増分のふえ方がどうなるかということは、やはりそのときそのときの経済情勢を反映して、あるいは大きくあるいは小さいこともあろうかと考えております。土地につきましては、先ほど申しましたように、新評価をいたしたわけでありますが、暫定の税負担ということで、農地は据え置き、宅地は二割増ということにいたしましたので、土地自体につきましては、その姿を反映しての伸びがございます。それから、家屋につきましては、新増分の関係もございますし、在来分の中でもいろいろ増築の分もございますし、面積の変更になったものもございますので、そういったものも反映をいたしておるわけでございます。
  162. 細谷治嘉

    細谷委員 そういうことになりますと、家屋については、在来分はちょうど一割なんですよ。あなた方の説明によりますと、償却資産と家屋というのは変わらないのだ、こういうことでありますけれども、固定資産の調査会がやったことからいっても、あらかじめ家屋は上がるだろうということは、もう想定されておった、あの根拠からいっても。現実にそうなってきております。昨年の百万円のものは、これによりますと、在来分として一一〇%、百十万円に評価されているのですよ。そういたしますと、それに新規分が加わったのですから、何も二割頭打ちということは必要ないでしょう。現実には一割で頭打ちさせていいでしょう。通常上がるべきものは一割だ、こうあなた方はおっしゃる。評価基準年次において上がるものは一割くらいだ。そういう程度でおさめるというのだ。評価もそうなっているのですから、二割頭打ちというのはおかしいでしょう。一割頭打ちでけっこうじゃないですか。見解いかがですか。
  163. 細郷道一

    細郷政府委員 固定資産税全体として増税をしないということは、昨日もお答えいたしましたように、現行制度のもとにおける自然増というものは、税制上はこれをいわゆる増税とは見ないのが通例の観念と思います。したがいまして、全体といたしましては、先ほど申し上げたようなことで、約一割弱、八・何%でございますが、それだけの増にとどまっておるわけであります。その場合に、固定資産税につきましては、他のいろいろな所得課税の場合と若干税の性質も違っておるわけであります。自然増収というものの観念も、いろいろ別な意味のものがあろうと思うのでありますが、固定資産税につきましては、やはり従来の基準年度におきましての姿というものが一つの参考になろうと思うのであります。従来の基準年度におきます固定資産税全体の伸びの姿というものは、おおむね一割でございます。したがいまして、かりに新評価によらないでほっぽっといたとしました場合におきましても、本年度は基準年次でもございますので、従来の基準年度程度の全体としての自然増というものは、当然期待されてしかるべきではなかろうかといったような考え方に立って全体の固定資産税収入見込み額を立てておるわけでございます。
  164. 細谷治嘉

    細谷委員 自然増というのは、評価の上がりということではなくて、新しい住宅が建つ、あるいは模様がえをする、こういうことが自然増であるわけです。ところがここで私が指摘したいのは、この家屋の七兆一千八百七十四億という中には、在来分というのが六兆三千四百九十七億円あって、増加分が八千七百六十六億円あって七兆一千八百七十四億円という課税標準額になっておる。この在来分というのは、評価によって伸びたとしか考えられない。昨年に比べて一割伸びているのです。そうじゃないでしょうか。
  165. 細郷道一

    細郷政府委員 在来分の家屋につきましては、やはり経年減価もごいざますので、私どもの資料といたしましては、在来分につきましては前年の九七%程度になると思います。
  166. 細谷治嘉

    細谷委員 三十八年度の家屋の課税標準額はお幾らですか。
  167. 細郷道一

    細郷政府委員 全部のトータルはちょっと計算をしなければわかりかねますが、一応それに近いものとしての評価水準で申し上げてみますと、三十八年度平均価格で申しますと、木造は六千七百五十一円であります。それが三十九年では六千五百四十八円ということで、九七%ぐらいの水準の落ち、また非木造につきましては、四万八千四百九十四円から四万七千三十九円、こういったような評価水準の落ちを示しておりますので、在来分の家屋につきます評価については、全体の評価額としても、ほぼこれと同じ傾向をたどってくるものと思っております。
  168. 細谷治嘉

    細谷委員 せんだっていただいたこの資料によりますと、家屋については現年度課税標準額総価額六兆三千四百九十七億円、これに対して増加分が木造と非木造に分かれておる、そして減少見込み額と加えて七兆一千八百七十四億円、こういう形になっております。これは、この在来分が昨年に対してどのくらい伸びておりますか。
  169. 細郷道一

    細郷政府委員 いま申し上げましたように、その在来分の総評価額は、いま資料をとってまいりますので、ちょっとお待ちいただきたいと思います。——三十八年度課税状況調べによりますと、家屋の床面積が木造、非木造合わせまして六億五千三百三十三万七千坪、それに見合いますものがお配りいたしました資料の床面積六億四千七百八十三万二千坪、それから同じくそれの評価額が三十八年度では六兆五千九百六十億七千六百万円、それに見合いますのが、いわゆる在来分でございますが、お配りいたしました資料の六兆三千四百九十七億九千三百万円、こういうことでございます。
  170. 細谷治嘉

    細谷委員 どうも数字でごまかされたことがあるんだけれども……。それにしましても在来分が六兆三千四百九十七億円ということですね。それとほとんど変わらない。先ほど九七%程度、こういうお話であったわけですけれども、そうしますと私は先ほど申し上げました、家屋全体として、二割三分程度全体として上がるんじゃないか、新規も加えますから。この数字は大体若干へっこむと思うのですが、いずれにいたしましても、そうなると、なればなるほど、数字がへっこめばへっこむほど、何も三割頭打ちという必要はないんじゃないか、一割でけっこうじゃないかという理屈が出てきますが、これはいかがでしょう。
  171. 細郷道一

    細郷政府委員 家屋につきましては、御承知のように別に頭打ちをいたしませんで、従来から評価水準が横ばいにおおむねなっておりますので、その評価によって課税をするということでございます。
  172. 細谷治嘉

    細谷委員 私が申し上げているのは、これは土地について、特に宅地についてそういうことなんですけれども、そういうこと。土地にしても家屋にしても全体が一割八分程度上がるわけですから、土地家屋については一割程度の頭打ちが妥当じゃないか、名案じゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  173. 細郷道一

    細郷政府委員 宅地の二割頭打ちの度合いの問題が御指摘の点かと思うのでございますが、先ほど来申し上げましたように、過去の基準年度におきましても、やはり宅地の時価の値上がりというものが、他の土地あるいは他の資産を抜いて高く上がっておるのでございまして、そういった点から、過去においても宅地については、多い場合には三割近くの税負担の増に全体としてなったこともあるのでございます。ただ今回固定資産税全体の収入といたしまして、先ほど来申し上げたような過去の基準年度におきます全体のアップの割合というものを考慮に入れて全体の見込み額を定めたわけでございます。そういった点から宅地について二割にとどめたのでございます。  いま一つは農地の新評価によります倍率は御承知のように一・二ないし一・四倍ということでございますか、宅地につきましては六、七倍という、やはり倍率に相当の開きがあるわけでございます。そういった点から農地を据え置くならば、宅地についても若干の差をつけてもいいのではなかろうか、全体の固定資産税総額の範囲内においてつけでもいいのではなかろうか、これも一つ均衡化への前進であろうというようなことを考慮いたしまして二割にいたした次第でございます。
  174. 細谷治嘉

    細谷委員 二割にするということは、宅地についてはもう間違いなく二割の増税、このことが必ずもう家賃その他の物価にはね返ってくる。政府の方針からいっても、物価抑制という基本的な政策からいっても、これはやはり一割程度にとどめて——機械的に宅地についてはもう評価は六、七倍になるわけですから、二割の増税ということは必至なんです。そういうことでありますから、これは暫定措置として、しかも物価対策上非常に重要な段階ですから、そうするのが筋じゃないか、こう私は思うのですけれどもしゃにむに二割だということでありますから、もうぜひ政府の物価政策からいってやはりそうすべきじゃないか、現にもうはね返ってきております。そういうことでございます。  次にお尋ねいたしたい点は、大臣の所信表明の節にも住宅政策ということが言われて、今度は新築住宅等については、減免措置が講じられる、こういうことになったわけであります。新築住宅については三ヵ年間二分の一だ、中高層の耐火については三階以上四階までは五ヵ年間二分の一だ、五階以上だと十ヵ年間二分の一だ、こういうように差別を設けたのは一体どういうことなんでしょうか。
  175. 細郷道一

    細郷政府委員 一つには、住宅に対する政策的な配慮でございます。すなわち都会地における現象、御承知のように土地の高度利用ということが非常に言われておるわけでございます。したがってそういう面で、高層の建物を建てることによって土地を高度利用できるというものについての一つの奨励的な考え方でございます。もう一つは、税負担自体から見ましても、やはり高層のものはそれだけ建築費も高くなります。また反面耐用年数も長くなるわけでございます。したがいまして、その建物の持っております将来の総固定資産税負担というものに対する軽減割合ということを考えてまいりますと、やはり低い建物と高い建物の間には相当の差をつけることも税負担の公平上考えられるのではなかろうか、こういった両方の面から今回差をつけたわけでございます。
  176. 細谷治嘉

    細谷委員 これはまあ五階以上の高層建築を奨励するというのはけっこうなことでしょう、土地が届くなっておりますから。しかし、そういうところは、税の公平さからということでありますけれども、大きな建物を建てる人は金を持っておるわけです。またそれから収益が上がるわけです。そうなれはむしろ零細な人たちが建てる住宅、これは耐用年数の問題もありましょう。そういう点でこの三年とか五年とか十年とか、こういう段階を設けることは、いささかやはり不公平のそしりを免れないんじゃないかと思うのですが、やはりこれが税の負担の公平という原則なんだ、これは、こういう姿がいいんだというお考えなんですか。
  177. 細郷道一

    細郷政府委員 どの租度の差をつけるかという点については、いろいろ議論の分かれるところと思いますが、先ほど申し上げましたように、一つには政策的な配慮、いま一つには税負担の公平化といったような両面から見まして、この程度の差をつけることは著しく不均衡な措置ではない、かように考えた次第でございます。
  178. 細谷治嘉

    細谷委員 これは結論は出ないでしょうから、次に移ります。  この固定資産税との関連において府県税としての不動産取得税についてお尋ねするのですが、固定費産税については抜本的な評価の基準を設けて、ことしからこれを強行しようとしておる。ところで、そういう基準をあらゆるものに、基礎にしたい、こういう考えでございますけれども、不動産取得税についてはそういう評価基準の改定に伴う固定資産税のやり方と全く無関係に、この免税点の引き上げだけが行なわれている。これについてはどうお考えでございますか。
  179. 細郷道一

    細郷政府委員 不動産取得税におきましては、創設以来十年間、免税点につきましては若干、一、二年後でございますが、先ほど住宅の基礎控除で申し上げましたように、据え置きになっておったのでございます。したがいまして、その間のいわゆる建築資材費の高騰といったようなことも考慮いたしまして、住宅の基礎控除額の五割アップに応じて、不動産取得税の家屋の免税点についてもほぼ五割のアップということで均衡を保ったつもりでございます。
  180. 細谷治嘉

    細谷委員 均衡を保ったというのですけれども、これはたとえば商工会議所あたりから、固定資産税の評価が行なわれて、そしてこういう形で固定資産税の自治省のいういわゆる合理化が行なわれてきた、それとは無関係に不動産の取得税は別の体系でいっておる、そういうことはおかしいのではないか、税の体系からいっても、あるいは一貫性からいっても、固定資産税に並ぶべきではないか、こういうことも東商新聞に出ております。私も、税の体系ということからいって、また課税評価のやり方は、固定資産の評価は大々的にやったものを今後基準とするというなら、そういう体系というものはまちまちでなくて、たとえば国保税についても同じでありますが、住民税を切り離した、いわゆるただし書きの精神の基本方針をそのままにしておる。この場合にもそうです。もっと税の体系というものをきちんと整備すべきではないか、こう私は思うのですが、いかがですか。
  181. 細郷道一

    細郷政府委員 御指摘の趣旨を正しく理解しておるかどうか、ちょっとあれでございますが、固定資産税は、御承知のように、性格上個別財産税的な性格でございまして、そういう財産を持っておるという事実に着目して税負担をしてもらう。特に市町村等の関係の受益関係も考慮して負担をしてもらうといういき方の税でございます。不動産取得税のほうは、御承知のように、不動産の取引の際に、その取引に伴います担税力を見出して課税をしていく、こういった意味で、やはり同じく、不動産についての税ではございますが、その税の性格はだいぶんに違うものであろうと考えるのであります。したがいまして、不動産取得税につきましては、その取引町の担税力ということでございますので、必然にそのとき行なわれております不動産についての価額によって課税をしていくべきではなかろうか、かように考えておるのでございます。
  182. 細谷治嘉

    細谷委員 あまり時間がございませんので、次に移ります。  電気ガス税についてお尋ねいたすわけであります。地方税法の四百八十九条についてお尋ねするわけですけれども、今度の税法改正税率の引き下げと輸出の振興と非課税範囲の合理化、こういうものが出てまいりました。  そこでお尋ねいたしたい点は、しかも百分の二というこの税率が綿紡等に関して出ておりますが、この四百八十九条を読みますと、第一項は免税規定、第二項は免税でありますけれども期限を切ってございます。これはどうしてこういう期限を切ったのでございましょう。
  183. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、電気ガス税の非課税につきましては、以前に基礎産業的なものについて、その製品コスト中に占める比率が五%以上のものを非課税というふうに考えてずっと進んでまいったのでございますが、だんだんに、最近に至りましていわゆる石油化学その他の新しい産業が出てまいったのでございます。それらの産業につきましては、まだ大々的な工業化の段階に至らない程度のものもあるというようなことで、新規の産業を従来と同じような扱いをすることがいかがであろうかというので、税制調査会の意見も徴しまして、昭和三十七年に、重要基礎資材でありましてかつ五%をこえるもののほかに新規の産業については三年間だけ経過的に免税措置を講ずる、こういったような意見が出たわけであります。その線に沿いまして関係の通産省とも十分打ち合わせをいたしまして、その線によって一応三十七年に整理をいたしたわけでございます。したがって、四百八十九条の第一項にあがっておりますものは重要基礎産業資材、第二項にあがっておりますものがいま申し上げました新規産業三年間の免税、こういうことで、項を分けて表示をいたしておる次第でございます。
  184. 細谷治嘉

    細谷委員 電気がコストの中に五%以上占める、たとえばカーバイト、一種の電気が原料というものについてはわかりますが、たとえばこの第一項の二十二の二とか、あるいは二十三のビニロンとかあるいはポリビニール・アルコールとか、そういう意味で、今度できておるプロピレンオキサイドあるいはポリプロピレン、こういうものが追加されておりますね。これは、整理してこうなったというのですが、技術的にあるいはプロセスとして、一と二に分けるような——一方は三年間に区切るということ自体にこれはもう問題があるのじゃないか。ここで一の問題についてはほとんどさわらずに、新しく追加するものについてはやむを得ないから二にやるという態度ではないかと思うのです。科学は進歩しておるのです。もう宇宙時代といわれている。そういう段階において、もっとこういう問題は整理すべきじゃないか。私は何もかも電気ガス税を免除しろということは言いません。ただ、一人前になるまでは、そういう援助措置も必要であろうけれども、こういうものを永遠の既得権としてやっていくことについては、これはいけないのだ、こういう観点なんです。いかがです。
  185. 細郷道一

    細郷政府委員 電気ガス税の非課税につきましては、電気ガス税そのものについての議論にも関連いたしまして、いろいろ議論が分かれておるのでございます。ただ三十七年にそういう新しいいわば基準を設定いたしたわけであります。その基準の設定によりまして新規のもので、まだそう広範にそういう製法が取り入れられていない、また大々的な工業化の段階に入っていないというものについて、期限を切ってこれを免税にしよう、しかしそれはまた三年後の姿によってもいろいろ議論のあるところであろうと思いますが、一応そういった線で従来からのものを整理をいたしたのでございます。  なお、第一項に上がっておりますものについても期限を切れというふうに伺ったのでございますが、それでよろしゅうございますか。
  186. 細谷治嘉

    細谷委員 期限を切れというより、一人前になるまではやむを得ないけれども、一人前になったらやめたらいいでしょう、あなたのおっしゃる趣旨からいっても。そういうことですよ。
  187. 細郷道一

    細郷政府委員 第一項に掲げられておりますものにつきましても、だんだんと整理をしては、とこういう御意思と思うのでありますが、これはやはり電気ガス税自体をどう考えていくかという問題にもからんでおるわけでありまして、現在、電気ガス税の第一項に上がっております非課税部分につきましては、一次製品のための事業の製造過程で使われる電気で、それがおおむね五%をこえておるもの、こういうものについては、それが基礎的生産資材であるという意味で、特にこの税について、こういった種類のものについて非課税を講じておるわけであります。ですから、これらの問題につきましては、電気ガス税をどう持っていくかという根本的な問題にも関連をいたしますので、なお将来の問題として検討に値するであろう、こう考えておる次第であります。
  188. 細谷治嘉

    細谷委員 電気ガス税のあり方という形でことばをそらすからいかぬのであって、残念ながら、私は化学を二十年ばかりやっておりますので、これを見ると、基礎的原料だというが、ポリアミド繊維、ナイロンですよ。その次に書いてあるカプロラクタム、こういうものも、いま日本の企業の中で一番利益を上げている企業なんですよ。基礎原料じゃありませんよ。そういうものをそのままほうっておいて、二項はプロピレンオキサイド、これは確かにこれからの企業です。これを一人前に育ててやることも必要でしょう。日本の企業において一番いい、たとえば東洋レーヨン、そういうところのこれは十分一人前になっているでしょう。そういうものについて触れないというのは、一体どういうことです。
  189. 細郷道一

    細郷政府委員 一応三十七年度に基準をつくりましたときに、そういったものを整理をいたしたわけでございますが、そのときの電気ガス税の考え方自体において、一次製品的なものはこれを課税をしないという考え方に立って、そういう整理をいたしたものでございますので、現在こういったままになっておるわけでございます。将来電気ガス税というものをどういうふうに持っていくのか、ある人はこれを純粋の消費税的なものに純化をしていくべきではなかろうかという御議論もございますし、いや、そうではなくて、やはり電気については、製造の総過程においてそれぞれ課税をしていくべきだ、その課税の仕方についてはいろいろの論があるにしても、課税をしていくべきだといったような議論もございまして、実はそれらの点についての検討が、将来問題として残っておるのでございます。したがいまして、そういった面を頭に入れつつ、こういった問題もあわせて検討しなければならぬ、こういうふうに考えておるのでございます。
  190. 細谷治嘉

    細谷委員 いま申し上げたように、もうすでに世界の企業として太刀打ちできる製品がこの中にずらっと並べてあるのだ、基礎原料は、石炭とかそういうものは認めます。認めますけれども、基礎原料と言えないものがあるんですよ。これは戦後の企業です。戦後の工業の中でできてきたものであります。もう完全に一人前。トップ・クラスなんです。そういうものを毎年毎年検討して、時宜に即したような措置をしないところに、租税特別法が問題になるように、この免税も問題があるのです。これはひとつ十分検討して、毎年毎年でもいいから誤解を抱かせないように、ほんとうに企業を育成するという形で検討をしていただく、むろん電気ガス税そのものの本質についても十分検討は必要でありますが、それとからめないで、一つ一つの品目について十分検討していただかなければならぬ、こう思います。  次にお尋ねしたい点は、この一項の二十五の二に「ビスコース繊維及び銅アンモニア繊維」こうございますが、今度は「綿紡績糸、ビスコース繊維紡績糸及び銅アンモニア繊維紡績糸、綿織物、ビスコース繊維織物及び銅アンモニア繊維織物」こう書いてあります。四品目で、これは新しく織物のほうになっている。繊維をつくるものではなくて、織物のほうに百分の二ということでありますが、百分の二というのは一体どういう根拠で出したのか。これだけを百分の二にしようとする新しい規定を設けたのは一体どういうことなんですか。これをお尋ねします。
  191. 細郷道一

    細郷政府委員 従来の基準でまいりますと、いま御指摘のようないろいろな御議論もあるわけでありますが、一応整理をされておるという格好になっておるのであります。今回特に綿紡関係につきまして期限を切って百分の二といたしましたのは、従来の非課税の基準とは違った角度から、輸出振興という政策面からの配慮によるものでございまして、今回御提案申し上げております品目につきましては、わが国の輸出総量に占めます比率が高い、またコスト中に占める電気の比率も相当程度あるというので一つの基準をつくりまして、その基準によって今回綿紡関係につきましての限時的な非課税をいたしたわけでございます。限時にいたしましたのは、やはり輸出振興といったような政策的な配慮によりますがゆえにいたしたのでございます。また百分の二といたしましたのは、地方団体と輸出振興との関係を、税制面でどの程度に取り入れるかといったような考慮のもとに、おおむね三分の二程度軽減、三分の一は地元に残すということで二%という税率にいたした次第でございます。
  192. 細谷治嘉

    細谷委員 新しい百分の二なんという免税の規定にもひとつ再検討いただきたい。百分の二という新しい規定を設けますことは、これは輸出振興から大いにけっこう、輸出立国、貿易立国の国なんですからけっこうです。しかし百分の二というのは既得権になって、やがてまた来年、再来年とどんどん品目が追加されるのじゃないか、こういうことでは困るので、きちんと技術的な根拠、合理性、こういうものに貫かれておらなければならぬのじゃないかと私は思います。そういう点で電気ガス税そのものについて賛成ということじゃございませんけれども、こういうところにもっと大きな問題点があるということを指摘し、十分御検討いただきたいと思います。  次にお尋ねいたしたいことは、外客に対する料理飲食等消費税の件についてでございます。新聞によりますと二月の二十一日に大臣は閣議において非常に御努力をいただいたようでございますけれども、閣議で強引に押し切られたということのようでございます。この当初の原案を見ますと——ここにたまたま当初の原案と現在出されたものを張ってございますので、非常によくわかったのでございますが、当初の案でありますと「旅館における宿泊及びこれに伴う飲食について」こういうふうになっておる。ところが今度は「飲食及び旅館における宿泊」非常に範囲が広くなっております。その上に期限が無期限、こういうことになっております。これはいろいろ新聞上で私はその情報をお聞きしているわけでございますけれども、またこの表の中に、先ほど大臣からもいただいた資料の中にも、地方財政計画なり税収等の計数の差が起こってくるということは、プリントの中にあります。その点は了解いたしますけれども、これはもう前から問題になった問題でありますが、「飲食及び旅館における宿泊」と原案が変わっておる、期限も無期限、これについて一体どういうことでそういうふうに変わったのか、ひとつお漏らしいただきたいと思います。
  193. 早川崇

    ○早川国務大臣 最初の案と違いましたのは、実は最初の案は、期限の面でありますが、十二月末で打ち切るというのはその後引き続いて来る人に対していかがなものだろうかという点が一つ。もう一つは、ホテル及びホテルの飲食ということに限りますと、ホテル外ですき焼きを食べるあるいはまた飲食するという者は課税であって、ホテルにおる者、ホテルだけで食事をする者は非課税というのもおかしいではないか、こういうことで範囲と期限を当分の間と改めたわけであります。  さらに閣議におきましては、観光政策といいますか、諸外国におきまして遊興飲食税のようなものはかけておらぬじゃないか、私も、ハワイなんかに行ったらずいぶんこのことを言われました。おそらく閣僚諸公もずいぶん言われておるようでありまして、まあせっかくオリンピックということを契機に、これを当分の間免税にしたらどうか、こういうわけであります。
  194. 細谷治嘉

    細谷委員 せんだっての本会議で池田総理の御答弁を聞きますと、自治大臣がいまおっしゃった当分の間免税したらどうかということではなくて、観光誘致のたてまえからいって当然のことだということで、総理と自治大臣のこの問題についての姿勢といいますか考えが違っておるようでございますが、いかがですか。
  195. 早川崇

    ○早川国務大臣 いまお答え申し上げましたように、外客については、率直に言って評判が悪いわけであります。ですから、そういう意見も考慮いたしまして、観光政策を加味してこういう当分の間と、範囲を広げるということになったわけでありまして、食い違いはございません。
  196. 華山親義

    華山委員 ただいまの問題に関連をいたしまして大臣にお聞きいたします。「当分の間」というのはどういう意味でございますか。いつになったら、どういう状態になったらやめるという意味でございますか。まことにばく然といたしまして何のことかよくわからないのでございまするが、何かこれをするためには意義がある、その障害がなくなれば消えるということでなければ、「当分の間」ということはいえないと思うのでございます。どういう理由でこういうことにいたしまして「当分の間」ということになるのでございますか、お聞きいたしたい。
  197. 早川崇

    ○早川国務大臣 「当分の間」ということばの定義でございますが、法律的にはこの法律を変えるまで、変えなかったら、ずっと続く、こういう意味でございます。
  198. 華山親義

    華山委員 それは、法律的のことはわかりますけれども当分の間というのは、かけるべきであるけれども、しかたがないからしばらくの間という意味だと思うのでございますが、どういう状態になったらその法律がなくなりますか、お聞きいたしたい。
  199. 早川崇

    ○早川国務大臣 外人の遊飲税の免税の実施状況等、いろいろむずかしい技術面もございますので、そういう意味でそういうものをいろいろにらみながらという含みを持っておるわけであります。しかしただいま申しましたように、法律的にはこれをやめるという法律が出ない以上ずっと続いていく、これが「当分の間」という意味であります。
  200. 華山親義

    華山委員 それはわかりますけれども、そういうことではなくて、一体「当分の間」というのは、やむを得ないから当分こうしておけという意味なんで、やむを得ない状態がなくなればやめるのは当然なんだ。その「当分の間」という真意はどこにあるのかということをお聞きしているのです。
  201. 早川崇

    ○早川国務大臣 本来ならば書く必要のない文句かもしれません。しかしいろいろ実施の面で新しい試みでありますので一〇〇%、「当分の間」を削ればいいのでしょうけれども、いろいろ実情を検討するという意味で、そこに若干の弾力性をおいたのでありまして、技術上外人の遊飲税の免税につきましては、あるいは脱税する人があるじゃないかとか、あるいはパスポートを悪用する者が出てくるじゃないかという若干の不安を残しておりますので、「当分の間」という巧妙な表現をしておるわけでございます。
  202. 華山親義

    華山委員 こういう法律は、まことに私はいけないと思うのです。税というものは厳正でなければならない、公平でなければいけない。ほかの規定には、ある程度の余裕を持たせることはできますけれども、税というものは、きちんとしているということが本則でございます。それをあいまいな「当分の間」というふうなことばを使うことは、税の体系として私はよくないと思う。たとえば三年間免税にするとかなんとかでなければいけないのであって、こういうことについては私はまことに不満足であります。  もう一つ伺いますが、かりに政治的にこうあってもよろしいといふうに考えても、それが徴税技術上障害になるという場合には、やむを得ずやらない場合がある、これが税の原則でございます。私はこの間大蔵大臣に中小企業のことにつきまして、こういう税の取り方をしたらいいじゃないかと言ったところが、大蔵大臣はそれはもっともだと言った。ところが事務官僚の人がかけつけてきて、これはできないと言ったら、ああそうですかと言って、やめた。その間の協議は五分ぐらいなんです。  私は非常に不満足ですからなお追及しますけれども、事務当局にお伺いしますが、これには遊興は入っておりませんね。
  203. 細郷道一

    細郷政府委員 法律に御提案申し上げておりますのは、飲食という行為と、旅館におきます宿泊という行為でございますので、遊興行為につきましては課税ということになります。
  204. 華山親義

    華山委員 そういたしますといろいろな場合が考えられますが、事務当局が税をつけるときに、遊興と飲食とを分けて、片っ方は税金をかけられる、片っ方は税金がかけられない、一体そういうことができますか、自信がございますか。
  205. 細郷道一

    細郷政府委員 今回の免税を受ける外人につきまして、やはり課税の限界の適正をはかるためには、この法律で定められております課税の要件を必ず備えてもらうと同町に、その要件が的確に把握ができるように、徴税の努力をいたして、適正な措置をとってまいりたい、かように考えております。
  206. 華山親義

    華山委員 とってまいりたいはけっこうです、そうでなければいかぬのですけれども、実際上そういうことが末端の業者はできるかということなんです。二枚の徴税書を出して、こちらは遊興でございますから税金をいただきます。こちらはお飲みになりましたものですからよろしゅうございます。一体、どこで分けるのですか。できっこないじゃありませんか。遊興飲食税というものは非常にとりにくい、末端技術として非常にやりにくいものだということを私は知っている。こんな複雑なことはやれっこありませんよ。どうやってやるのですか。何か別な外人向けの領収書を、遊興税と飲食税と二枚のものを出すのでありますか。
  207. 細郷道一

    細郷政府委員 いま考えております手続といたしましては、外国人の外客であるということを証明する書類、たとえば旅券でありますとか入国許可証でありますとか、そういったものを持っておって、これを呈示する、同時に領収書にその人が外人であるということを証する表示を書いてもらうといったようなことを一応手続として実は考えておるのでありますが、御指摘のように、確かにいろいろその課税要件の捕捉についてはむずかしい点もあろうと思いますが、十分奨励をいたしてやってまいりたいと考えております。
  208. 華山親義

    華山委員 督励の問題じゃございません。実際上遊興部分と飲食税部分というものは分けられるかということなんです。たとえばここに外人ですと、話がおかしいですけれども芸者が上がっておるところに行った、そこでめしを食った、ところが飲食税のほうはこれだ、芸者のほうはこれだというふうに、現実に分けて領収書をとるのでございますか。
  209. 細郷道一

    細郷政府委員 そういった場所におきます部分については、別途よくくふうをしてまいらなければならぬと思いますが、いずれにいたしましても考え方といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、課税要件を的確に表示するように、要すれば領収書をその部分を分けるといったようなことも必要かと考えております。
  210. 華山親義

    華山委員 そんなことをしたら、外人はかえって来なくなりますよ、そんなむずかしい税金のとり方をしたら。末端の行政はそんなものじゃありません。  それからここに「旅館における宿泊」と書いてありますね。何か旅館でないところに外人が宿泊することを予定していられるのでありますか。どういう場合に税金がとられるのですか。
  211. 細郷道一

    細郷政府委員 現在の料飲税の法文の立て方が、場所と行為をきめて課税の要件にいたしておるのでありまして、その場所の中に、旅館そのほかいろいろ書いてあるわけでございます。宿泊につきましては、私どもは旅館におきます宿泊行為、これが一般的なことでもございますし、それについてのみ非課税にする、こういう考え方で特に宿泊につきましては「旅館における」という場所を指定いたしました。
  212. 華山親義

    華山委員 そうしますとこれはちょっと蛇足になりますが、旅館が足りないので、いろいろな人に宿泊所を提供してもらって、そこで御飯を出したり宿を貸したりする場合がございますが、これは初めから法律外のものですね。  私はこういうふうなあいまいな、妙な税のとり方というものは、こればかりじゃなくて、厳正であるべき税の基本を誤るものであって、たとえそういうことを閣議できめられても、まことに、事務官僚の方々にそういうことを申すのは酷でございますけれども、私はあくまで、こういうふうなことではできませんぞ、税体系を乱します、ということをどうしてもがんばるべきではなかったか、私は非常に残念に思います。あなた方は末端の税のとり方、遊興飲食税というものはいかに困難なものであるかということを御存じないんじゃないですか。これは府県道庁、そういう方面の徴税官吏というものは、遊興飲食税のとり方にはたいへんな神経を使っておる。これにますます神経を使うようなこういうふうなことは、私は事務的に負わさるべきものじゃない、こういうふうに考えます。それが当分の間というからなおおかしい。たとえばオリンピックの間だけはひとつお客さまだから優遇しようということであるならば、三ヵ月や四ヵ月なりはいろいろ不合理があってもがまんができるだろうと思うけれども、そういうふうな困難なことを、何年だか知らぬけれども続けるということは、これは税全般にたいへんな影響を与えます。いいかげんな税のとり方をすべきものではない。税の基本として考えるべきであって、この点はもうきまったということですが、どうしても私は事務当局の味方として反対せざるを得ません。
  213. 栗山礼行

    栗山委員 飲食税の外国人の当分の間の非課税の処置の問題については、私も与えられる質問時間の中で、この問題に特に力点をおきまして、池田内閣のもとでこういうことはおそらく三十九年度で一番汚点を残すであろうと思うので、私はすみやかにこの問題の撤回される方向として論議を重ねたいのでありますけれども、いま関連質問をいたしまして、非常に重大な要件だけ早川大臣にお尋ね申し上げたいのであります。  御承知のとおり閣議決定に至りますまでには、伺いますところによりますと、自治省案は早川大臣が非常にこの問題で御検討されたやに私ども敬意を表しつつ経過をながめておったわけであります。しかしその間に、伝えられます情報等によりますと、全国知事会も、こういう閣議決定をするということについては、これは許されるべきことでないという決議をいたしました。おそらく早川自治大臣もそれを御承知のはずであろうかと思うのでありますが、非常に重要な問題は、自治省の、大蔵省及び閣議の中におきます過程と、それから閣議があのような決定をいたします経過の中に、相当問題の内容が伏在いたしておるやに承知をいたすのであります。これが一つの焦点になると思うのでありますが、できますならばそういう経過の問題について、私の十分理解のできる経過の御説明伺いたいと思うのであります。  それからもう一つ、いま細谷委員が御指摘をされたのでありますし、早川大臣が御答弁になりました中に、私は少し相矛盾する点があるやに理解をするのであります。その点は、いわゆるオリンピックの主催国としてのこの問題の取り扱い方と、それから日本が将来大きな観光政策をどう立てるかということがこれからの問題の一つになっておると思うのでありますが、観光政策の一環としてこの問題をこういうように非課税にするということと、それから観光政策とはおのずからその内容を新たな時点でとらえてまいらなくちゃならないのではないか、広義な意味におきます非課税の処置も観光政策の一つである、こういうふうに申し上げることができましょうけれども、今度の問題は、オリンピック及び観光政策の一連ということではなくて、もう少しほかに問題があるやに私は理解をいたしておるのであります。こういう観点から、この問題はおそらく地方自治体の各議会において、これが怨嗟の声となって反対決議をして、早川さんのお手元に渡るであろうということも想像にかたくないのでありますが、こういう点から早川さんから経過をつまびらかにひとつ御報告を願えれば非常にけっこうだ、こう思うのであります。
  214. 早川崇

    ○早川国務大臣 閣議の内容は申し上げられませんが、結局するところ地方財政地方税制という面と、それから観光とかあるいは国際信用とかいろいろな多角的な面でこれをどう見るかという問題でございまして、閣議におきましては、後者の多角的な面で観光も入れよう、IMFで来た人は、日本で課税されたということで非常に憤慨したというようなことで、国際信用を落としたというような御発言もありました。諸外国においては、遊興飲食税を課しておるところはほとんどないという先進国の実例の御披露もありました。そういうことで地方税体系、地方財政という面から見れば、お説のとおりでありますけれども、政治はもっと多角的に見たらどうかということで、最終的にいま御提案申し上げておるような決定になったわけであります。
  215. 細谷治嘉

    細谷委員 自治大臣、なかなか答弁しにくい。自分の考えと違って閣議で押しつけられておる。どうも、新聞によりますと、自治大臣の所信というのが二月十八日の閣議でひっくり返された。そして二十一日に再提案したらまたひっくり返された。そのときに発言した大臣は大蔵大臣、建設大臣、佐藤国務大臣とこう書いてある。閣議の内容は、おっしゃられなくても新聞にちゃんと書いてある。そして私は予算委員会の最後の段階で、これは大臣きつかったと思うのです。大臣の所信じゃないのが、地方財政計画との関係で五億円がどうのこうのという形になったわけです。たいへんきついと思うのですが、先ほど栗山委員おっしゃったように、これはやはり私どもも自治大臣の応援部隊ですから……。  こういう不見識なことはいかぬと思うのです。これは大会で決定したのを閣議でひっくり返したというかっこうですから非常におかしいと思うのです。今後は大会できまったことはひっくり返さないということでやっていただきたいと思います。  そこで、当分ということでありますけれども、この資料の十三ページを見ますと、どうも当分というのが怪しくなってくるのです。しかもこの表の備考——こういう備考はないのですけれども、備考と書いてあります。「料理飲食等消費税においては、上記のほかに初年度五億円程度、平年度十八億円程度の減収額が見込まれる。」ときておるわけですね。平年度ということは四十年度ということです。こういうことになりますと、当分というのはことばのあやであって、どうも永久的な形として考えていらっしゃるのじゃないか。オリンピックは、これは世紀の事業でありますから、国民はどなたも理解していただけると思う。平年度なんという数字が出ますと、永久的だということになります。そうしますと税の治外法権になる。こういう形はやっぱり許さるべきじゃないと私は思うのです。そういうことでありますから、ひとつぜひ大臣においても所信を貫かれるように、これは大臣の名誉ばかりじゃなくて、日本政府の名誉に関係する、栗山委員ことばと同様でありますから、ひとつそういうことで所信を貫いていただきたいというふうに強く要請をいたしたいと思います。  そこで時間もありませんので、最後に大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、今度の地方税法改正というのは、戦後最大の減税だというおことばでございますけれども、この資料を見ますと、三十九年度国税地方税との比率というのは七〇・二、地方税が二九・八、文字どおり七対三なんです。そして交付税等を入れた、これは地方の財源だ、こういうことにいたしますと、五五対四五という数字になるわけでございます。  ところで、戦後のあるいは戦前の国と地方との財源の状況を見てみますと、シャウプ勧告のあった前、戦争中は国税が九〇をこしておった。全く自治なんという形骸もなかった。それから戦後地方自治というのが制定されて、そして二十五年のシャウプ勧告では七五程度の国の財源に対して、地方は二五程度になったわけでございますけれども、その後ずっと大体七割程度ということを維持しております。  ところで昭和九年ころを見ますと、国税六五、地方税が三五という形でございます。戦後は地方自治というのは憲法に規定されております。地方自治の確立強化ということは、やはり自主財源を十分与える、最小必要限度与えるということが一番大切なことであって、機構いじりよりもやはり財源を与えるということが必要であろう。それをうまく効果的に使うように自治省が指導するという立場が貫かれなければならぬと思うのですが、残念ながら戦前と同じような国と地方との税財源の関係でございます。私はやはりもっと自主財源を与えるべきだという考えに立っておりますが、今度の改正にかんがみまして、大臣としてどういうふうにお考えか、ひとつ所信のほどをお聞きしたいと思います。
  216. 早川崇

    ○早川国務大臣 地方自治の本質に触れる問題でございまするが、ここ数年来自主財源、交付税を加えまし、地方財源というものが逐年ふえてきておるということは御承知のとおりでありまして、交付税を入れますと、三十七年度あたりは、決算で見ますと五四%出ておるわけであります。さらにそれをもっともっとという努力をあくまでやらなければなりません。しかしながら私がかねて申しますように、国の補助金というものが、日本は諸外国に比べましてずいぶん多いのであります。これは中央集権化のなごりでありますけれども、事実そうなっておるわけであります。補助金等合理化審議会では、この補助金を整理して、地方に財源を与えたらどうかという答申を出しております。非常に前向きの答申も出ておるわけであります。したがって今後そういう方向に持っていきたい。しかし三割自治というのは少し言い過ぎじゃないだろうか。  それから地方自治の精神面において、地方自治の本質はいろいろなことを自由に選択する選択権を持っておるということ。従来知事なり市町村長さんなんか、金が足らぬ金が足らぬと盛んに言いますけれども、義務的な経費は別にいたしましても、投資的経費というものは選択的な自由を持っておるわけであります。その面で、少し自治の精神という面において、自治体の首長が誤った考えを持っておる人もあるわけでありまして、自治大臣といたしましては、物的に地方の自主財源をふやすとともに、精神的に自治の本旨というものを十分理解をして、財源が不足なら不足なりにくふうをして、どれを選択して住民の福祉をはかるかという努力も同時にやってもらいたい、こう考えて指導をいたしておるわけでありまして、私の地方行政に対する基本的な考え方は、そういう方向で進めていきたいと思っております。
  217. 細谷治嘉

    細谷委員 確かに、金があってもどうも効率よく使わぬという点で教育をする。また精神面の教育をするということは必要でございますけれども、少なくともやはり自治体には、法律できめられた機関というものがあるわけであります。住民の監視の中に行なうべきである。そうしていつも問題になることは、中央に足しげく陳情しなければならぬということは、すべては財源の問題であります。  そこで、私が具体的にお尋ねをしたい点は、一気にはできません。一気にはできませんけれども、国税三税の二八・九という六千三百億という交付税というのがありますが、これは完全な財源ではございません。八月にならなければわからないのです。そういうことでございますから、国税三税の一部を——貧困団体等ありますから、経済の力が違いますから、たとえばそういうことを勘案しつつ、国税三税の一部を、交付税の総額の一部を、地方に自主財源として与える。そうして漸次フェア・リターンの原則で、納ため金については住民の具体的に監視できるような体制にするというお考えがないかどうか、お尋ねいたします。
  218. 早川崇

    ○早川国務大臣 非常に傾聴すべき御意見だと私は思います。なぜなれば、自分の財源は自分で徴収するというところに自治の精神的な面での大きな発展があるわけであります。しかし同時に交付税というのは、戦後自治庁が考えた傑作だと私は思っております。なぜならば地域格差というものはどうしてもあるものですから、所得税、法人税、酒税というものを自主財源にした場合に、そのアンバランスをどうするか、ますます格差が開いていく。そこに交付税という非常に巧妙なる方法で調整していくというのが六千億にまでなったわけであります。したがって、三税を自主財源に回すべきだという技術的な方法は、非常にけっこうな御趣旨ですけれども、最近私が一番憂えているのは、最近の自治体には個性がなくなったということです。ほんとうに画一的な自治体になってしまって、そこに新しい価値の創造がなされておらない。そういう意味では画一的な豊かさよりも、個性のあるアンバランスということが、これまたある意味で私は必要だと思いますけれども、残念ながら、そうするとますます格差が開いて、おしかりをこうむるというわけでありまして、実はいまの交付税の方式以外に名案がないのであります。地方制度調査会、税制調査会にもいろいろ御検討願っておるのですけれども、なかなか名案が出てこない。何かいい御名案がありましたらひとつお教えいただきたいと実は思っているほどでありまして、今後の検討の資料として、いろいろ御意見を拝聴いたしたいと思っております。
  219. 細谷治嘉

    細谷委員 ただいまの名案というのは、大臣のほかにも明晰な人がおるようであります。たとえば、これは私案でございますけれども、酒というものはどこでも飲むのだから、量に応じてというようなことでも一つの方法じゃないかという考えがございます。先ほど大臣は自治体に個性がなくなったといみじくも告白されました。個性がなくなった根本的な原因は財源がないということです。そこに個性がなくなったわけでありまして、大臣の告白、これはひとつ大臣として、地力に漸進的に自主財源を与えていく方向で御努力をお願いしたいと思います。  最後に、申し忘れてたいへん恐縮でございますが、幸い大臣もいらっしゃいますから大臣にお答えをしていただきたいと思うのです。  先ほど私が質問いたしました電気ガス税の問題については、今度はいろいろありますけれども、永久に減免するものと、三年間年度を区切って減免するものと、輸出振興の名において百分の二という形で年度をきめてやるもの、大まかに言ってこういう三つの線になります。ところが私が指摘したように、現在の科学技術上の点からいって現状に合わないものがいかにも既得権としてそのままある。加えることはいとたやすいようでありますけれども、削除するということは容易じやない。その削除をやることが政治だろうと思うのです。そういう点でひとつ検討をして、現在の工業の実態に合うように、電気ガス税の検討という形で、そのものの検討という形で、そらすことなしに、現状をきちんと国民の前につじつまを合わしていただくことが必要であろうと思いますが、大臣の所信をお伺いいたします。
  220. 早川崇

    ○早川国務大臣 御指摘の点は国税においても言えることでありまして、法人税の特別減税が二千億とか三千億というものがいわれておると同じような意味におきまして、電気ガス税におきまして、東洋レイヨンか何かが特殊な製品で非常な利益をあげておるのに、なぜ電気ガス税を減免するかという御指摘がございました。従来電気ガス税を非課税にしろという御意見、御要望ばかり強かった中に、非課税をやめろという御意見、まことに貴重な御発言だと思います。自治省としては、もし必要がないものであれば十分検討をしてみたいと思います。
  221. 華山親義

    華山委員 関連して。ただいま大臣がおっしゃったことについて、私は非常に意外な気がいたします。一度大臣は貧乏県においでになって、知事の予算査定の状況でもごらんになってみたらいかがですか。それはひどいものでございますよ。もう大体きまっていて、知事が自分でこれはこうしろああしろなどという財源はどこにもありません。もう大体国からの負担金、道路の負担金、そういうことでございます。また一面から申しますと、交付税にしてみたところが、たとえばみなひもつきのものが多い。残っておる財源というものは、出してしまったらあとの財源なんというものは全くないといっていい。二百何十億だったと思いますけれども、私の査定したところでは、残っておる金は十億です。十億だって出さなくちゃいけない金は出さなくちゃいけない。そういうふうな状態なんであって、これは評論家的なことでたいへんりっぱなことでございますけれども、現実の状態はそんなことでやっていられないということをひとつよくお考えになっていただきたい。三割なんとかいいますが、三割自治どころじゃございません。一割自治ですね、何も残らないのですから。国の仕事の負担を出し、交付税で義務づけられたひもつきのものを出し、そうしたらほんとうに残らない。それから国のほうでやる事業、それについてある県でやれといわれて、お断わりしますといったら次がこわい、そういう実態なんであって、もう少しほんとうの実態というものを考えていただきたい。たびたび三割自治ではない、三割自治ではないとおっしゃいますので、そうあってほしい、ぜひお願いしたいものだと思いますけれども、現在は三割自治どころではございませんということを申し上げておきます。
  222. 早川崇

    ○早川国務大臣 華山委員の御意見、私は半分は真理だと思います。半分は私と見解を異にいたします。なぜならば義務的な経費というものは三十七年度決算を見ましても、自治体においては、特に府県においては四三%、あとは、投資的経費が三七%あるわけであります。問題は道路、あるいは国のほうからくるからそれを義務的経費とお考えになること自体が自治の精神ではないと私は言っている。選択の自由はその府県にあるわけです。それは国のほうで補助金をつければ何かやりたいでしょうが、それを全部義務的経費とお考えになれば、いまあなたの言われたように十億より残らないわけですが、投資的経費については、自治体というものは選択権はあるのですから、それを自治という面でこなしていくという面ては——私が精神面で少し欠けておるというのは、それであって、ちょうど現在われわれの生活が十年前よりもうんと豊かになりましたけれども、豊富の中の不満といいますか、豊かの中の不満というものがあるわけであります。これは進歩の前提でありますけれども、そういう面で私は先ほど細谷さんの御質問に対しまして申しましたのは、そういう財源が豊かであればあるほどいいし、自治大臣としては豊かであればあるように最善の努力を尽くすが、同時に自治というものは、終局的には選択権を持っているということですから、そういう面においては自治体の主張というもの、自治というものはどういうものかということをもう少しお考えにならなければならぬのではないか、こう申し上げたのであって、いま華山さんの御指摘の点は半分は真理、半分は私は了解できないと言うのはそういう意味であります。
  223. 華山親義

    華山委員 そういうことでございますならば、政府自体態度を変えていただかなければ困る。国道を十ヵ年計画でやります、何ヵ年計画で橋をかけます、そういう国の計画に、私は反対でございますといって知事が反対できますか。河川でもそうであります。確かにそういうことはできない。それが実態なんです。そういうことを申しますとたいへん悪いようでございますが、一度知事会にでもおいでになって、その点をごらんになってみたらいいと思うのです。理念的にはそうでございましょうけれども、実際はそんなものじゃありません。たとえば住宅計画というものについて、そういう国の計画に市町村なり自治体が反対するわけにはいかないでしょう。  それから、四七%といいますけれども、それは国全体のことであって、そんな四七%なんというのはございません。非常に貧窮したところの府県におきましては、教育費だけで義務的な経費が四〇%をこえます。これは実情をもう少しお考えくださいますようにお願い申し上げまして、これで終わることにいたします。      ————◇—————
  224. 森田重次郎

    森田委員長 次に、小委員会設置の件についておはかりいたします。  地方税法等の一部を改正する法律案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の両案審査のため、小委員十名からなる地方税法等の一部を改正する法律案等審査小委員会を設置することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、小委員及び小委員長選任についておはかりいたします。  小委員及び小委員長選任につきましては、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。  それでは、小委員に    大石 八治君  奧野 誠亮君    久保田円次君  田川 誠一君    永田 亮一君  村山 達雄君    千葉 七郎君  細谷 治嘉子    安井 吉典君  栗山 礼行君 を指名いたします。  小委員長には、永田亮一君を指名いたします。     —————————————
  227. 森田重次郎

    森田委員長 次に、地方公営企業に関する調査のため、小委員十名からなる調査小委員会を設置するに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  228. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。  よって、そのように決しました。  次に、小委員及び小委員長選任についておはかりいたします。  小委員及び小委員長選任につきましては、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  229. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。  それでは小委員に    大西 正男君  武市 恭信君    登坂重次郎君  藤田 義光君    森下 元晴君  和爾俊二郎君    佐野 憲治君  重盛 寿治君    華山 親義君  門司  亮君 を指名いたします。  小委員長には藤田義光君を指名いたします。  なおこの際おはかりいたします。ただいま設置いたしました両小委員会の小委員から辞任の申し出のありました場合の辞任の許可並びに小委員に欠員が生じた場合の補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  230. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会