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1964-02-27 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十七日(木曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 阪上安太郎君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    大西 正男君       奧野 誠亮君    久保田円次君       武市 恭信君    登坂重次郎君       村山 達雄君    山崎  巖君       和爾俊二郎君    秋山 徳雄君       佐野 憲治君    重盛 寿治君       千葉 七郎君    華山 親義君       細谷 治嘉君    栗山 礼行君  出席政府委員         警察庁長官   江口 俊男君         警  視  長         (警察庁長官官         房長)     浜中 英二君         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         警  視  監         (警察庁交通局         長)      高橋 幹夫君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 二月二十七日  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第六  八号)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    ○森田委員長 これより会議を開きます。  警察法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。阪上安太郎君。
  3. 阪上安太郎

    阪上委員 ここ二、三年来重要な刑事犯について、非常に焦げつきが多いのであります。にせ札事件につきましても、あるいはまた吉展ちゃんの誘拐事件についても、それから帝国ホテル殺人事件についても、その他いろいろな悪質な刑事犯が出ておりますけれども、これについて捜査が非常に後手ばかり打っておって、ちっとも的確な効果をあげていない、こういうことなのであります。そこで私は、きょうは、それと関連いたしまして、警察庁がさきに刑事警察強化要綱というものをつくって、刑事警察に対して体制を整えて、こういった焦げつき捜査解決をはかっていこう、こういうふうな態度に出られたことは非常にけっこうだと思うのでございますけれども、その後はたしてこの刑事警察強化要綱予算的にもあるいは事務的にも十二分に措置されておるかどうか、こういうことが問題だと思うのであります。その後一体刑事警察強化についてどういうような方途をとられたか、ひとつ説明を願いたいと思います。
  4. 浜中英二

    浜中政府委員 刑事警察強化対策要綱の第一の重点といたしまして、刑事警察教養刑事警察官処遇改善刑事装備等充実捜査体制整備等を柱といたしまして鋭意努力してまいったのでございますが、特に刑事警察関係につきまして、その士気高揚いたしますために、給与面におきましての処遇改善につきましては、三十八年度におきましていわゆる危険かつ困難な勤務をいたしております私服警察官に対しまして、特殊勤務手当増額財政計画の上に計上いたしまして、おおむね従来の倍増といたしました次第でございます。さらに三十九年度の地方財政計画上の措置といたしましては、刑事等捜査係超過勤務手当を三%増、一般職員は六%でございますので、その倍額に当たります措置をはかったわけでございます。普通警察官は九%でございますが、刑事に対しましては一二%、そのような措置をはかりまして待遇上の改善に一歩前進をいたすことといたしたわけでございます。さらにまた昇任制度の問題につきましては、御承知のとおりに正規昇任特別昇任、こういうような二本立ての制度を行なっておるわけでございますが、正規昇任、すなわち筆記や口答の競争試験による点につきましても、科目刑事重点を貫きまして、最近刑事関係合格率はきわめて高い状態になりつつあるわけでございます。また特別昇任制度ワクを広げまして、漸次その方面の制度を推進いたしておるわけでございますが、正規昇任に比べまして、特別の昇任は全体の三%くらいまで拡大されてまいっております。そのうち刑事の占める割合が圧倒的に多くなっておるような現状でございます。さらに刑事教養というような問題に関連いたしまして、新しく警察大学管区学校におきまして、三十九年度から刑事初級幹部教養を行なうことになっておるわけでございますが、三十九年度は新しく増員措置をはかりまして、九月以降におきましてそれぞれ適格者を選抜いたしまして、刑事初級幹部科に入校させる予定でございますが、そういう課程を修了いたしました者は、部長昇任試験合格者と見なす、こういう措置をとりまして、昇任の面におきましても刑事士気高揚をはかりたいと考えておる次第でございます。なお刑事関係の全体の予算は、三十九年度におきましては国費が十一億、補助金が九億五千万というような状態になっておりますが、刑事警察強化対策要綱項目に沿いまして、増員とかあるいは捜査装備充実、その他待機宿舎緊急整備、これも三分の二を刑事警察官に充てることにしておりますが、そういうようなこの要綱に盛られております一つ予算措置といたしましては、従来二十一億くらいの総金額でございましたが、三十九年度は三十二億、全体といたしまして十一億三千八百万くらいの増額を計上いたしまして、予算上の重点といたしましてある程度前進を見ることができると考えておる次第であります。そのほかこまかいことになりますが、捜査用車あるいは刑事の足といたしましての原付の自転車、あるいは刑事個人装備としての携帯無線機、あるいは刑事警察科学化能率化のための電子計算機の導入、こういうような措置予算上にはある程度多く盛られております。そういうような点を総合いたしまして、今後も努力を続けてまいりたいと考えております。
  5. 阪上安太郎

    阪上委員 この際考えるなり努力はしておられるのでありますが、依然として迷宮入り事件というものが残っておりまして、ほとんどその後何ら新しい目鼻というものはついておらないように思うのですが、にせ札事件はどうなっておりますか。
  6. 日原正雄

    日原政府委員 いろいろ未解決事件には鋭意努力いたしておりますが、なかなか捜査が進展しないのでございます。ただいまお話しのにせ札の事件でございますが、現在二十五種類、三百四十三枚が三十六年以来発見されておるわけでございます。この捜査につきましては、人、もの、場所につきまして、行使した面、それから技術面情報面、こういうことで全国的な捜査を進めてきておるわけでございますが、まだ被疑者特定するようなところまで至っておらないわけでございます。今後引き続きこれらの面について、強力に推進してまいりたい。また今後の行使に備えては、行使直後における民間の早期届け出を促進するための情報活動、こういうものも徹底していきたい。またその届け出に即応した捜査態勢を固めるように鋭意努力中でございます。
  7. 阪上安太郎

    阪上委員 新千円札が出てからのにせ札というようなものは出ていないのでしょうか。
  8. 日原正雄

    日原政府委員 新千円札が出ましてからは、この三百四十三枚に含まれます一連のにせ札につきましては出ておりません。ただ新聞で御承知のように、新千円札についてリコピーでとったにせ札とも言えない模造程度のものが一件出ただけでございます。
  9. 阪上安太郎

    阪上委員 そうしますと、例のにせ札というものの捜査は、あなたのほうではもう打ち切ってしまったのではないのですか。何か新しい手がかりというものはあるのですか。いまの現状ではにせ札が引き続いて出てくるような状態でないのでもうほうってある、こういうようなことになってしまっているのじゃないですか。
  10. 日原正雄

    日原政府委員 決してほうってあるようなことはございません。この新千円札が出ましても、当分の間旧千円札が通用するわけでございます。ただ新しい偽造札が発見されないということから、行使面からの捜査はできておりませんけれども、現在さらに偽造の千円札を東京に集中いたしまして再検討を加え、またさらに技術面における容疑人物についての追及は継続中でございます。
  11. 阪上安太郎

    阪上委員 吉展ちゃん事件はどうなっておりますか。
  12. 日原正雄

    日原政府委員 これも昨年の未解決事件で、私どもは今後といえども強力に継続捜査を進めてまいりたいと思っておる事件でございますが、これの現在の捜査状況は、情報面から申しますと、ことしの一月末で一万一千件ばかりの情報を得ております。そのうち容疑者指名情報七千件ばかりにつきまして捜査をいたしまして、六千六百件ばかりは白として処理をしました。いまだ疑問の残っておるものとして保留しておりますのは三百四件ばかりでございますが、なお残りの百五十八件についてさらになお裏づけ捜査を行なっております。ただこの吉展ちゃん事件につきましても、現在まで犯人が電話の声でもって、東北または北関東出身相当年輩の男、こう推定されるだけで、このほかに捜査手がかりとなるようなものはありません。下谷北署に引き続き捜査本部を置きまして、六十五名の陣容で先ほど申しました情報裏づけ捜査を行なうと同時に、現場を中心とする広範な地域につきまして、じみちな捜査継続中でございます。
  13. 阪上安太郎

    阪上委員 新しい手がかりは出てないですか。
  14. 日原正雄

    日原政府委員 この吉展ちゃん事件に直結する手がかりは出てまいっておりません。ただいろいろな面で情報はまいってきておりますが、直結するような情報は出てきておりません。
  15. 阪上安太郎

    阪上委員 帝国ホテル殺人事件はどうなったですか。
  16. 日原正雄

    日原政府委員 帝国ホテル事件につきましては、従業員等犯人らしい者を目撃していた事実が出てまいりまして、犯人モンタージュ写真を十五万枚印刷して公開捜査いたしたわけでございます。さらにその後、モンタージュ写真も随時訂正してまいりまして、それから被害者のトラベラー・チェックの手配による贓品捜査などをいたしております。昨年の凶悪犯人総合手配書に、従来はモンタージュ写真を入れて手配はいたしてなかったのでありますが、この帝国ホテルの強殺事件につきましては、特にモンタージュ写真によって手配をいたしておるわけでございますが、これも現在のところまだ手がかりをつかめておりません。
  17. 阪上安太郎

    阪上委員 そういうようにいたしまして、ほとんど新しい手がかり等を見出すことができないようなままで捜査が続けられているような状態であります。もともとこういう迷宮入りの大きな原因は、やはり捜査技術が非常に拙劣であったということはもうすでに指摘されておるところであります。そこで刑事警察強化が問題になったのでありますが、先ほど刑事警察強化要綱に基づくところの措置を伺ったのでありますけれども、私はまだ不十分だ、こういうふうに考えるわけであります。そこで刑事警察強化要綱に従って、まず最初に刑事専門学校、これはつくる意図を持っておったように私は伺っておるのですが、先ほど伺うと、刑事専門学校というのはもうつくらぬことにしたのですか。
  18. 日原正雄

    日原政府委員 これはまず管区学校でそういう刑事教養の徹底をさせるために、特別な教養をするものを警察大学のほうに本年の四月から入れまして、訓練をいたしまして、管区学校で九月から刑事の特別の初級幹部科を開設するような段取りになっております。
  19. 阪上安太郎

    阪上委員 具体的に、その警察大学の中においてそういった教育を受ける内容は、どんな内容を持っているのですか。
  20. 日原正雄

    日原政府委員 これは刑事警察強化の基本の方針でございますが、従来刑事警察につきましては法規面教養、それから人権の尊重という面に非常に力を入れて教養をいたしておるきらいがあるということで、そういうことはもちろん必要ではございまするが、今後の教養面におきましてはもう少し捜査技術、それから装備の活用という、面についての教養重点を置いて教養してまいりたいということで、その方針に沿って教養していっていただくつもりでおります。
  21. 阪上安太郎

    阪上委員 比較的高度な心理学物理学社会学、こういった科目はその中にあるのですか。
  22. 日原正雄

    日原政府委員 科目の詳細につきましては、どの科目が何時間というふうにはまだはっきりきまってない点もありますが、要するにお話のように、心理学の面あるいは物理と申しますか捜査装備を使用する面等、広範な範囲にわたって、新しい分野で新しい教養方法を行なっていきたいという考え方でございます。
  23. 阪上安太郎

    阪上委員 ぼくから言ったからそういうふうに出したのじゃないかと思うのですけれどもほんとう一般教養というものをもっと身につけさせるようなな方法を講じておかないと、在来右門とりもの帳的な刑事から一歩も外へ出ないということになってしまうと、捜査に大きなミスを犯してしまうことになると思うのです。  そうすると、刑事専門学校というものはつくらないのですか。警察大学の中でやっていけばそれでいい、特定科目を設けてやればそれでいい、そういう考え方ですか。
  24. 日原正雄

    日原政府委員 刑事専門学校というのは独立の学校でつくるのでなくて、現在の管区学校の建物を使用し、管区学校教科課程の中で一つクラス——刑事なり、巡査部長なり警部補のための特定クラスを設けるという意味においては、通称刑事専門学校ということにしてもいいと思いますが、形式的には管区学校の中の一つクラス警察大学の中の一つクラスという形になります。
  25. 阪上安太郎

    阪上委員 その点はその程度にしておきまして、待遇改善の問題なんですが、先ほど言われたような程度超過勤務でもって、はたして十分であるかどうかということになってくると思うのですが、一体月額どのくらいになるのですか。
  26. 浜中英二

    浜中政府委員 警察官のそれぞれの階級、本俸によりまして違いが生じますが、特殊勤務手当の問題につきましては、平均で大体月額二千円くらいだろう、それから超過勤務につきましては、大体三千円見当かと推定されます。
  27. 阪上安太郎

    阪上委員 しかしそういった財源というものは、それぞれの府県が裏づけするのだ、こういうことになっていると思うのであります。そうすると弱小府県等においては、そういった平均よりも下回ってくる傾向が出てくるのじゃないですか。それらについての配慮は、どういうふうに行なわれていますか。
  28. 日原正雄

    日原政府委員 お説のように、従来超過勤務は九%ということで財政計画上の措置がされたのでございますが、実際府県実情を見ますと、九%に至らないような県も出てまいるわけでございます。これらは漸次そのワクに近づきつつございますが、まだすべてが九%になったというような状態ではございません。この点につきましては、私どもそれぞれ実情をいろいろと申し上げまして、府県当局と折衝に努力いたしまして、漸次財政計画の線に乗るように、逐年改善をはかってきているような次第であります。
  29. 阪上安太郎

    阪上委員 私は大阪刑事の諸君から直接実情を聞いたのでありますが、率直にいって、大阪のような富裕県でも、超過勤務手当ないし特別手当というものが非常に少ないということを、ほんとうに真情を訴えておったのであります。いま言われたような程度でもって十分だと警察庁ではお考えになっておるのですか。
  30. 浜中英二

    浜中政府委員 これをもちまして決して十分だというふうには考えておりません。まだまだこの点につきましては努力をいたしていきたいと考えています。
  31. 阪上安太郎

    阪上委員 それから例の年功序列の問題なんですけれども刑事警察官に対しては、やはり年功序列の問題で相当一般警察官との間で差があるということをいわれておるのですが、真実はどうなんですか。
  32. 浜中英二

    浜中政府委員 警察官昇進は、すべて競争試験ということを原則といたしておりますので、その点につきまして、もっぱら刑事ばかり十年やっておる、あるいは二十年もやっておる、なかなか試験に合格できないというような人がありましたことは事実でございます。しかしながら最近いろいろな合格状況昇進状況等を調べてみまして、決して刑事がほかの分野に比べまして劣っておるというような状態は見られません。今後特別昇進とかそのような制度を活用いたしまして、こういうような問題につきましても、さらに努力をいたしていきたいと考えております。
  33. 阪上安太郎

    阪上委員 今後そういう努力をするということは、何回も言われておるのであります。現実にどういうふうにやっておりますか、その特別昇進の問題は。要するに刑事に対する優遇措置というものはそういった中で考えられなければならぬと思うのですが、いま言われたように、試験を受けても合格するだけの勉強をする時間がないというような状態のままに依然として放置されておるというように私は見るのです。今後やるというようなことを言っておりますが、思い切った待遇改善、そういった優遇措置というものは、現在講ぜられていないのですか。
  34. 浜中英二

    浜中政府委員 従来の試験そのもので、そのような事情で刑事警察官がなかなか昇進しにくいというようなことは、一つ試験やり方、あるいはどの科目重点を置くかというようなことにも関連してくると思います。そういうような特殊な技術を持った人に対しましては、特殊な技術なり能力が十分に試験の上に反映できるような一つ試験をやることによりまして、こういう問題がかなりカバーできると考えておるわけであります。最近調べました例によりますと、特別昇進のうち、大体刑事の占める割合がそのうちの三〇%、一番最高の率になっておるわけでございます。その次に外勤とかあるいは警備というような形になっておりまして、刑事合格率は、先ほども申し上げましたように、決して悪くない、むしろ最近は非常によくなっているというふうな実際の状況でございます。今後さらに特別昇進ワクなり正規ワクを広げる、あるいは正規昇任試験やり方をさらに合理的に検討していくとかということによりまして、士気高揚をはかってまいりたいと考えております。
  35. 阪上安太郎

    阪上委員 次にいわゆる科学捜査、これに対して先ほどから若干の説明をいただいておりますが、いまでもやはり刑事というのは、一人でぶらぶらそこらを歩きながら、聞き込み捜査みたいなことばかりやっておって、何か総合的な班でも編成して、一つ捜査に対して五人なり十人なりが一組となって、あらゆる機能を集中したそういった捜査体系といいますか、そういった行動をやっておるのですか。それともやはり一人でぶらぶら歩きながら聞き込み捜査をやってみたり何かするというような、在来方法でそのまま続けられておるのですか。その辺はどうなっておるのですか。
  36. 日原正雄

    日原政府委員 聞き込み捜査というのは、決してぶらぶらしておるわけでもないのですが、何か班組織かどうかという点につきましては、最近の捜査やり方組織捜査ということで、組織全体でそれぞれ分担は定めます。聞き込み班なりあるいは贓品捜査なり、それぞれ分担を定めてまいりますが、やはり組織的に捜査をしてまいるということを今日までだいぶ推進してまいってきておるのでございます。ただ、また反面になりますと、この組織捜査が強調され過ぎたあまり、個人個人責任感が薄らいできておる。そこに捜査の欠陥が出てくるおそれがあるということで、組織捜査の面に、個人個人責任感をやはり強調していかなければいかぬということは考えて、その面の強化をはかりながら、一応組織的な捜査ということを今日の捜査のたてまえといたしておるわけであります。
  37. 阪上安太郎

    阪上委員 一人一人が自動車の運転ができるようにまで持っていく、そうして班を編成したい、こういうような考え方がかつて述べられたように思っておるのですが、その班の編成はまだ全然やってないのですか。ハンディ・トーキーとか無線機等ちゃんと携帯したそういった班編成捜査活動といいますか、これはまだ確立されていないのですか。
  38. 日原正雄

    日原政府委員 いまの班を形成したタイプと申しますと、あるいは初動捜査班ということで、御承知のように大阪あたりでも班を形成しております。また機動捜査隊ということで警視庁その他で班を形成して、自動車中心にしてあらゆる機材を載せまして、一定の班が捜査に当たっていくという体制をとっております。ただ全国的に全部各署についてということになりますと、若干完備してない点がございます。
  39. 阪上安太郎

    阪上委員 最近交通警察と関連して、犯人が車で逃げるというようなケースが非常に多くなってきておる。機動性犯人自体が非常に持っておるのです。最近引き逃げとかそういった事件は、どういう状態になっておりますか。
  40. 日原正雄

    日原政府委員 引き逃げ交通事故につきましては、一応交通局中心となっておりますので、ただいま手元にあります資料でお話しいたしますと、昭和三十七年の統計しかございませんのですが、一応二万四百九十件、検挙率は七八%ということになっております。
  41. 阪上安太郎

    阪上委員 あの例の追跡捜査隊ですか、この構想はどうなっておるのですか。持っているのですか、持ってないのですか。
  42. 日原正雄

    日原政府委員 追跡捜査隊と申しますのは、私どもで申しておる機動捜査隊のことかと思うのでございますが、一応今度の刑事警察強化でもって来年度と再来年度にわたって四千九百人増員される。そのうち四百五十人を機動捜査隊に充てる。あとの分は初動捜査班あるいは夜間捜査力の増強に充てるということで、この構想を持っておるわけでございますが、人員につきましては、さしあたり現実に四千九官人増員ができるまでの間、府県で差し繰りをしなければならない状況にございます。
  43. 阪上安太郎

    阪上委員 そうすると、追跡捜査隊編成は、どの府県でもやっていないということですね。
  44. 日原正雄

    日原政府委員 現在、現在人員を差し繰りしてやっております東京その他の府県がございます。
  45. 阪上安太郎

    阪上委員 そのやっておるところの追跡捜査隊編成内容は、どんな編成内容になっておりますか。
  46. 日原正雄

    日原政府委員 私どものほうで考えております構想と、現在の状況は多少違うのでございますが、一応警視庁あたりでやっておりますのは、百二十名程度捜査隊を設けて、これを交代でやっておるように聞いております。
  47. 阪上安太郎

    阪上委員 追跡捜査隊が百二十名程度でやっているということだけでは、どうも何かやっているような、やっていないような印象を受けるのですが、オートバイ何台あるいはパトロール・カー何台というような、はっきりした何か編成を持たないと、いざという場合に役に立たぬでしょう。ただ漫然と百二十名くらいの何交代かでもってやっておるというような程度では、いざという場合に問題にならない。したがって、この前のようなああいう吉展ちゃん事件のようなときに、最大の接点である金の受け渡しの場面なんかに二、三の刑事が張っておるというような程度でもってやっておったために、ああいう結果になってきた。そこで失敗しても、追跡捜査隊等が確実に編成されて、配置が行なわれておったならば、そういうことにはならないと思うのです。あの大事な点で逃がしてしまう。だからもうとっくに警察あたりではそういう配慮があってしかるべきだと思うのです。依然としてそのままの状態で今日まできておるというようなことでは、刑事警察強化なんてことを言ってみたって、あのときの世論にこたえるゼスチュアを示しただけのことじゃないか。もっと真剣に刑事警察強化のあらゆる方法を考え、そしてそれを整備していく必要があるんじゃないかと思うのです。そういう点で、いま伺っておりましても、何か不十分な点が出てきておるように思う。これは本腰を入れて今後とも刑事警察強化の問題と取り組んでいくのですか、どうですか。警察庁では、いまのような程度では、全くびほう策にすぎない。もっと根本的な対策をわれわれはあの当時要求したのですが、ちっともそれが出てないじゃないですか。これはどうするのですか。
  48. 日原正雄

    日原政府委員 いまの機動捜査隊にいたしましても、私どもとしては、たとえば警視庁で申しますと、二十台の自動車を二百人で、結局一台について十人、五名で交代、二十の班をつくって機動捜査隊をつくる、こういう構想でございます。ただ、それらの人員自動車装備等が、やはり予算関係でおくれてまいりまして、すぐに現在の人員なり車両でこれを埋め合わすことができないという点に、刑事警察強化が多少おくれてまいってきている原因があるわけでございます。鋭意現在の人員なり車両を再編成いたしまして、強化をいたしてまいりたいと考えております。
  49. 阪上安太郎

    阪上委員 アメリカもひき逃げ等の事件が非常に多かったのでありますけれども、最近ではやはりそうした追跡捜査隊等が非常に拡充されて、犯人はなかなか逃げおおすことができないような状態になってきておる。したがって、もう最近ではひき逃げなんというような事件は、ほとんどあとを断っているというふうにいわれている。日本では、七八%の検挙率は持っているといいながらも、まだ非常に多くの事件が出ている、こういう状態である。やはりもう少しそういった刑事警察強化捜査陣の充実というものがないと、犯罪防止の役に立たぬということになろうと思うのであります。したがって、せっかく刑事警察強化の世論がわき上がったときでありますので、この際ひとつ、もっと思い切った画期的な刑事警察強化の方途というものを立てて、その実現に思い切って入っていく、こういうことでないといけないと私は思います。どうかひとつ警察庁におかれましては、もっと真剣にこの刑事警察強化の問題と取り組んでいただきたい。このことをつけ加えまして私の質問を終わります。
  50. 佐野憲治

    ○佐野委員 阪上委員質疑に関連して二、三お伺いしておきたいと思うのですが、その一つは、全刑法犯の検挙率の推移についてなのですが、本委員会におきまして、一九三三年から三十五年の数字を一〇〇として、年次別に大体昭和三十年ころまでのが配付されているわけです。発生件数の指数、検挙件数の指数、検挙率、こういう形に内訳されて示されておるわけですが、最近のそうしたものが配付されていないので、刑事局の調査統計課、あそこでいろいろ資料を集めておられると思うのですが、最近の指数は一体どうなっておるかということ。  第二の点は、警察官一人当たりの人口が、同じく一九三三年では千三百人に一人の警察官だった。今日一体幾らくらいになっておるか。そのことも参考までに示していただきたいと思うのです。その中で一つ疑問と思いますのは、昭和十年ころ、一九三五年ころは、警察は今日の警察行政から見ると非常に広範であって、あるいは水防、消防、衛生、こういう部面も担当しておったわけですが、今日は非常に縮小されているわけです。それに対して、警察官の一人当たりの人口は、昭和十年には千三百人だったのが、今日相当少なくなってきておるんじゃないかと思うのですが、そういうのは一体どこに原因があるのかという点。  第三点として、いま第一線の警察官に対する給与その他を、県当局に対していろいろ折衝努力されておられるということも報告されたわけですが、そうした事柄に関連してお聞きいたしておきたいと思うのは、警察法に都道府県知事の所轄のもとに公安委員会を置く、こういう規定がなされておるわけです。同時に、公安委員会は、都道府県警察を管理する、こういうぐあいにも規定され、と同時に、警察法の中には警察庁長官は都道府県警察を指揮する、こういう法の組み立て方になっておるのです。そこでとかくいろいろな誤解が起こって、解釈に苦しんでおる面があると思うのですが、府県知事の所轄のもとに公安委員会を置く、この所轄とは一体どういうことなのかということに対する法律的な解釈が相当混乱しておるのじゃないかと思うのですが、この点はどうお考えになるのか。府県知事と公安委員会関係、公安委員会は、所轄ということになってまいりますと、独立の権限を行使する地位を持っておるのかどうか。たとえば土地収用委員会の規定を見てみますと、府県知事のもとに土地収用委員会を置く、同時に、独立の権限を行使する、こういう合議的な委員会の場合においては、そういう独立の権限を行使する場合には、明確にそれを規定しておると思うのですが、公安委員会の場合はそれがない。と同時に、警察庁長官が全警察官を指揮するというようなことになっておりますので、府県知事と公安委員会並びに都道府県警察というものとの関係というものをもう少し法律的に明確にしていただかないと、皆さんのほうが府県当局に対していろいろな要請をする、協力を求めるといっても、その解釈の問題で相当混乱が起こっておるというぐあいにも考えられる。その点をひとつ法制的に明確にしていただきたいと思います。
  51. 日原正雄

    日原政府委員 最初の質問でございますが、いま三十一年を一〇〇とした指数しかございませんものですからあれですが、大体のことを申し上げますと、発生件数のほうでございますが、十年くらいからずっと減ってまいりまして、昭和二十年くらいまで大体一方的に下降してまいっております。そうして二十年から急上昇いたしまして、大体昭和二十三年には昭和十年と同じくらいの水準に到達をいたしまして、その以後二十四年くらいから少し下降をいたしましたけれども、おおむね横ばいという状況でございます。三十一年以降を少し詳しく申し上げますと、三十一年を一〇〇といたしますと、二年が一〇一、三年が一〇二、四年が一〇五ということで、三十八年が一一一ですから、三十一年以降は少しずつふえてきておる、こういう状況でございます。  それから検挙率のほうでございますが、これも昭和十年が九六というふうな検挙率になっておりますが、それからだんだん下がってまいりまして、昭和二十二年には五〇%までに下がっております。それから徐々に上がってまいりまして、昭和三十六年が六四、三十六年が六七、三十七年が六七、こういう状況でございます。
  52. 浜中英二

    浜中政府委員 戦前の警察官の定員と人口一人当たりの負担の問題につきましてお答えいたします。  現在は定員が十三万九千七百十名でございます。したがいまして、一人当たりの負担は六百八十一人になっております。先ほど戦前の千三百人というようなお話がございましたが、これは都市の問題ではなくて、おそらく郡部方面の負担であろうと思うのでございますが、平均しまして、戦前、たとえば昭和十五年を例にとってみますと、八百四十七人に一人、昭和二十年は七百六十人に一人、その後昭和二十五年は六百六十五人に一人というふうになったのであります。最近の人口の増高によりまして漸次警察官の負担がふえつつあるというような状況になっている次第でございます。  それから第二点の御質問でございますが、いわゆる所轄と管理の問題でございますが、これはやはり都道府県の機関として公安委員会が置かれているのだ、知事の所轄の機関である、そうしてその具体的な内容といたしましては、条例を定める、あるいは公安委員を任命する、予算編成するというようなことを知事が行なう、そうしてその知事のもとに公安委員会が所属するのだというような気持ちの意味に使われているわけでございます。管理ということにつきましては、具体的なこまかい一つの指揮命令を行なうのではなくして、大きな大綱方針について警察の運営を管理監督するのだというのが一つの管理の語の意味でございます。公安委員会は、あくまで府県の機関でございますので、その意味におきましては、先ほど申し上げましたように、予算とか条例とか、そういうような点において県の行政に制約されることになりますけれども、しかし警察そのものの一つの運営につきましては、独立して警察の仕事を行なう、こういうたてまえになっております。  それから先ほど長官の問題がございましたが、これはただいま申し上げましたのは、府県の公安委員会の問題でございますが、国家公安委員会警察法の五条の二項によりましてそれぞれ所掌の事務が定められているわけでございます。全体の府県の警察行政を調整する、あるいは統括する事項、さらには国の公安にかかわるようなことにつきましては、これを直接つかさどるというような一定の部分につきましては、国の指揮監督の権限を留保いたしておるわけでございます。その限りにおきまして警察庁を管理し、警察庁の長官はその公安委員会の所掌する事務につきまして、その第一線につきまして、府県の公安委員会を指揮監督するというようなたてまえになっております。
  53. 佐野憲治

    ○佐野委員 第一の答弁で、やはり一九三三年から三五年の指数に対して発生件数はほぼ同じ、少し上回ってきておる。検挙総数が実は非常に低い。したがって一九三三年から三五年には検挙率が九七%近くあったのが、今日は六七%だ、こういうところにももっと原因というものを追及する必要があるのではないかということを感じたわけです。  第二の点として、昭和十五年が八百何人だ、指数が少し間違っておるのじゃないかとおっしゃるのですが、昭和十年ですか、一千三百人、こういう形に、皆さんのほうから出している統計資料にはそうなっておるのです。そういうことは別として、警察法が成立したとき非常に大きな紛糾を呼び起こした中で、やはり当時の犬養所管大臣の国会における趣旨説明なり答弁の中でも、自治体警察と国家警察を一体化することによって警察官人員を減らすことができるのだ、これは国民に対するところの警察の能率化として当然の要求である、こういうことが大きな主張の柱をなしておったわけであります。だから警察法が通過いたしましてから、直ちに当時十三万二千人程度警察官のうち三万人を四年間で整理することができる、こういうので警察官を縮小する、こういう方針を明らかにしておられたことを記憶いたしておるわけですが、それが現在になってまいりますと、その当時に説明されたことと逆に、当時よりも大きくなってしまっておる。これは一体どこに原因があるのか、これらの点に対してもう少し皆さんのほうの実務の立場に立ってお答え願いたいと思うのです。  申し上げるまでもなく、先ほども指摘いたしましたが、戦争前におきまして警察行政は非常に広範に行なわれて、特高警察もありましたし、水防、消防、衛生あらゆる方面に警察行政があったわけです。終戦後において、警察行政の範囲も非常に狭まってまいった。そういうことから自治体警察と国家警察を二つ持っておるから、たくさんの警察官を持たなければならないし、これが国民にとっても負担だ、政府としても責任を感じておるのだということで、警察官を少なくすることができるのだ、こういう根拠であったのがどうしてくつがえってきておるのか。しかもその一面に、刑法犯罪の発生件数は、指数においてそう変わっていない。しかしながら検挙率がうんと悪くなってきてしまっておる。ここらにも何か問題が伏在しているような感じがするのですが、その点に対して、皆さんのほうの実際の警察権の行使の中で問題になっておる点を、ひとつ説明していただきたいと思うのです。
  54. 浜中英二

    浜中政府委員 お説のように国警、自警を昭和二十九年に統合いたしましたときには、それによって警察の能率の向上を一そう期していきたい。あるいはむだな人員なり予算というものを、さらに効率的に使うことができるということでスタートいたしたのでございます。その後一般の治安情勢につきましては、統計の上からはそれほど大きな変化を示していないということが言えるかもしれないのでありますが、犯罪が非常に広域化し機動化してくる、また非常に悪質化しているというような点は、先ほどしばしばお話があったとおりでありますが、しかしわけても一番たいへんな情勢の変化を来たしましたものは、交通の事情であります。自動車の台数あるいは交通事故というふうなものが、そのころと比べまして十倍、二十倍とたいへんな増加を示しておるわけでございます。そのような事態に対処いたしますために、先般交通警察の一万人の増員をお願いしておるというような状況になっておるわけでありまして、現在交通増員が進行中でございます。そのほかに増員として特に最近お願いいたしておりますのは、新しい問題として麻薬の捜査の問題、今回お願いいたしておりまする刑事警察の増強の問題であります。刑事警察につきましては、先ほども御指摘がありましたとおり非常に特殊な事件の検挙という問題について、いろいろと従来欠陥が指摘されてまいったわけであります。夜間の態勢を強化する、あるいは機動力を増強するというようなことで、警察活動の中心であります捜査活動の面に、必要最小限度の増員をはかって、国民の期待にこたえたいという気持ちで増員をお願いいたしておるわけであります。そのようなことでございまして、客観情勢の推移から考えてみまして、総数だけの平面的な件数でなくて、中身におきまして交通事故はじめいろいろな変貌を来たしておりますために、増員を逐次はかってまいったような次第でございます。
  55. 佐野憲治

    ○佐野委員 関連ですから別の機会にいろいろ質疑させていただきたいと思いますが、ただ一つだけ、所轄という問題につきまして、特に国家公安委員会は内閣総理大臣の所轄のもとに置く、そういう規定をしたときのいろいろ国会における論議その他を読んでみましてもどうもわからない中に、警察法というものは混乱の中に通過していったというために明確な解釈ができていないのではないか。ある人は行政の責任は内閣にあるのだ、だから警察権に対しても総理大臣が権限を持っておることは当然だと言い、そのために所轄という言葉の解釈に対しましても、いろいろ紛糾いたしておると思うのでありますが、こういうことをもう少し明確にすることが必要ではないか。都合のいいときには警察の中立性、また一方になってきますと、内閣に行政の一切の責任があるのだからという意味で、所轄というようなことがいろいろな意味で複雑多岐に解釈されておる。こういう点も非常に遺憾だと思うのですが、そういう点で府県知事の所轄のもとに置くという府県知事の立場、責任と所轄。公安委員会が都道府県を管理する、あるいは警察庁長官が都道府県警察を指揮する、こういうことになってきますと、知事の立場なり予算編成とからんで、いろいろな権限上の問題が出てくるし、それがまた混乱いたしておるので、もう一度その点に対しましても御検討願いたい。そういう場合につきましては昭和二十五年十二月ですか法制局で出した法制意見によって解釈がなされておると思うのですけれども、非常に疑問もたくさん起こってきますし、もう少し明確な法解釈というものを明らかにされる必要があるのではないか。こういう点をひとつ皆さんの内部において御検討される場合においても、留意していただきたいということを申し述べて、関連でありますので終わります。
  56. 森田重次郎

    ○森田委員長 華山親義君。
  57. 華山親義

    ○華山委員 先ほど阪上委員からいろいろ質問がございまして私の言いたいことは大体尽きておりますが、私、官庁におりました関係で地方公安委員の方々とも交渉がいろいろございましたし、いまでも友人関係で知り合いが多いのでございますが、いまお述べになりましたような刑事に対する処遇、こういうことにつきましては、公安委員の方は先刻私どもより承知しているはずでございますけれども、最近におきまして、一つには刑事の方々に対する同情また刑事捜査充実、そういう面から言われると思いますけれども、なお刑事の方々の処遇ということにつきまして、私強く要望されております。そのことにつきまして、先ほどから私お話を聞いておるのでございますけれども、これは私が役人を長年やりましたあとでございますから、役人のことをかれこれ言うのはいかがかと思いますけれども、役人は知らず知らずのうちに悪い癖があるのではないかと思う。一つのものを優遇しようと思うと、やれほかとの均衡、ほかとどうというふうなことが考えられまして、重点がぼける。私は先ほどからお話を聞いておりましたけれども、パーセンテージ等をあげられましたけれども、これは重点がぼけておるのであって、刑事警察、それに伴う刑事処遇というものに重点が置かれていないのではないか、そういうふうな気持ちもございますので、ひとつ反省をしていただいて、刑事ということに照らして、この方々に対しての処遇というものにもう一段の御配慮を願いたいと思うのでございますが、今後特に刑事というものを重点的に考えまして、こうしよう、ああしようというふうなお考えがございますれば伺いたいと思います。
  58. 江口俊男

    ○江口政府委員 お答えいたします。全くただいまお述べになりましたような状態に現在あることは、そのとおりでございます。ただ、まあ役所というのは、お話しになりましたように、だれかがよくなればわれもわれもと他の部分がついていく、そして、初めある時期には優遇したのに、ほかのものがならうものですからほとんど優遇した状態にならない。そしていまのような問題が起こって、またそのうちの一部分が優遇され、それをあとのものが追いかけていくというような状態になるのでございまして、現在は確かに刑事刑事以外のものも、いろんな面で並んでいる。俗なことばで言えば、乏しいことを憂い、ひとしからざるは憂えないという状態であったものが、今度は逆に、だんだんみんながよくなって、みんなと同じなら、乏しいということを憂えるのじゃなく、ひとしいということに不満だというような状態が出てきますことは、刑事に限らず、いろんな面にあるだろうと考えます。そういうことで、先ほどどういう答弁をいたしたか知りませんが、方向として私たちが刑事警察強化というものを打ち出しましたのは、やはり刑事というものが、刑事以外の者よりも概して苦労しているという状態に着目して、その待遇を上げようじゃないか、待遇はいろいろあるでしょうが、働いていれば働いただけの超過勤務等も十分出さなければいかぬというようなこと、あるいはやはり刑事といえども、いまから養成するものについては、刑事は四六時中、何かあれば休みを無にして働いているというような状態、これが刑事なんだという観念をだんだん捨てるためには、いまよりも刑事の負担率を減らさなければいかぬ。要するに刑事増員して、刑事一人当たりの仕事を減らすことにして、刑事も人並みに休みがとれるというような状態にしてやらなければいかぬということが一つでございます。  もう一つは、そうなればあるいはいま言ったようなことが実現すれば、ほか並みになるのですからいいのかもしれませんが、なかなか一朝一夕にそのことができないという点からして、刑事という仕事が昇任試験に向かないということがあると思う。そのほうの昇任についてもある程度——どこまでにするか、巡査部長までを条件にするか警部補までを条件にするか、警部までを条件にするかということは、かなり検討を要する問題でありますけれども、ほかの部署の勤務よりもこの点についても有利に処遇してやろう、こういうようなことを骨子として処遇の点は考えておりますが、単に処遇だけがよくなっても、それに伴う成績が上がらなければいかぬのでありますから、その処遇に伴って同時に刑事には特別の教養を与えるというようなこともあわせて考えておる次第でございます。何ぶん対策が急で、これはいわゆるどろなわでございまして、つくりまして、それに応じた予算措置、補正措置というようなものを現在やっているところでありますから、いま申し上げたようなものが実現するまでには、五千人の増員ということを言っておりますけれども現実に五千人増員されるということは再来年を待たなければならぬということになるのでございまして、すぐこういうふうにあらわれたじゃないかというようなことはできぬと思いますが、方向はそういう方向で検討いたしております。
  59. 華山親義

    ○華山委員 官庁の組織あるいは役人の考え方というものは、先ほど申し上げたような欠点もございますので、いろいろな困難な面もございましょうけれども刑事処遇の方面につきましては、重点的な御考慮を願たいと思います。  いま長官のお話にもございましたが、特別昇進ということは、先ほど長官の前に刑事局長がお話になりましたところでは、警部どまりのように聞きましたけれども、そういうことでございますか、その上はなかなかできないということでございますか。
  60. 江口俊男

    ○江口政府委員 もちろん刑事をやった者が警視になり警視正になるということは現にあることでございまして、その点は御心配要りませんけれども刑事であるから特に試験を用いずするとか、あるいは特別の簡略な試験にするとか、あるいはその経験を試験のうちの相当部分に取り入れるとかいうような技術的な配慮をするというのは、おそらく警部ぐらいのところまでしかできない。それは刑事さえやっておればみな警視になる、警視正になるというふうなことになりますと、やはり警察も他の分野がありまして、それになるのは巡査を拝命した者のうち何%というほどしかございませんから、警部までいけば、そこから警視になる者は非常に分母が小さくなることでございまして、そこまで踏み切るということは、相当まだ私たちが強力に推進しませんと、県によっては、そこまではというような議論があるところも多いのであります。刑事局長がそこまで、警部までは優遇します、こう言ったとすれば英断だと私は考えます。
  61. 華山親義

    ○華山委員 前の軍隊のことを引くことはあまり気持ちよくございませんが、軍政と軍略というものは別個の系統でございまして、参謀系統というものと軍政系統というものは別の系統でやっていたというのが原則でございます。刑事というふうなものは、特殊の経験と特殊の勘とばかりは言えないでしょうけれども、特殊の勉強をして、特殊の科学的な知識もこれから要るのではないか。そういう面から申しますと、警察行政的なそういう人たちがずっと指揮系統に並んでおって、そしてその要所要所というものに、必ずしも刑事に経験のある人、たんのうな人でない人がつく場合があるのじゃないか。たとえば、決してその人のこととか、いまの組織をかれこれいうわけじゃございませんけれども、地方における本部長といえども、若い方が多い。あの方々はりっぱな方でお勉強もできたと思いますけれども、はたして刑事事件ということにつきまして勘とたんのうさを持っていられるかどうか。また署長にいたしましても、いろいろな人事のやりくりでもって、そういう人でない人も多いと私は思う。弊視庁にいたしましても、私は個人のことを言うわけじゃございませんけれども捜査課長というふうな方には若い方が多いというふうなこと。私はそれを非難するのではございませんけれども、そういう人々に対しまして、一つの補助的なといいますか、刑事のような専門的な部門につきましては、刑事専門課を付置したほうがいいのじゃないか。そしてその付置されたところの人々につきましては、官紀を乱してはいけませんが、一つの系統を持って、実際上の刑事の活動という場合には、そういう人が中心になってやっていく、こういうふうな考えは、私間違っておりましょうか、御参考になりましょうか、ひとつ承りたい。
  62. 江口俊男

    ○江口政府委員 参考になりますことはもちろんでございますし、間違っておられる点はないと思いますけれども、多少私から御説明申し上げたほうがいい点もあろうかと思います。本部長なりあるいは高級の幹部なりというものが、刑事の知識が少ないということについての御指摘は、私も痛感いたしております。何といっても、警察の表芸と申しますか、警察が信用を得るか得ないかということの一番の根本になりますのは、刑事警察の成績があがるかどうかということなんです。だから警察の幹部になる、端的にいえば本部長になるというような者につきましても、なるまでの間にできるだけ刑事教養を身につけさせたいというのが私の念願でございます。多かれ少なかれもちろんやっておりますけれども、ずっと刑事ばかりをやったという者がやっている例は非常に少のうございます。しかし、御承知のように、警察本部長というものの仕事は、刑事警察をよく運営するということももちろん必要ですけれども、人事をやる、あるいは予算を取る、警備もございますし、交通もあるというようなことで、やはり少しずつはほかのこともやらせなければならぬということで、まんべんなくやっている者が、専門家の上に専門家でない者が乗っかっているという状態であることはいなめません。しかし、なるたけ専門家じゃなくても、その専門家を理解し得る、あるいは専門家がそれについていけるような最高責任者を置くという方針につきましては、私たち留慮をしていくつもりでございます。  それから、現実捜査に当たります捜査課長等が、警視庁等では若い、こうおっしゃいますが、捜査系統の長になりますと、これはほんとう捜査をずっとやっている者が大部分でございます。ただ、知能犯、選挙違反とか詐欺だとかいう知能犯を扱います捜査二課に当たりますものにつきましては、諸般の事情から土地の者でない者がよいとか、あるいは学校出のほうがよいとかいう面がございまして、若いのがおりますことが原則でございますけれども、それでも警視庁等の刑事部に数課ございますけれども、あとは全部刑事でたたき上げたベテランをもって充てているというような状況でございます。さよう御承知願いたい。
  63. 華山親義

    ○華山委員 私は、個人のこととか、それを非難をするとか、そういう意思は毛頭ございません。誤解のないようにお願いしたいのでございます。私は、刑事というふうなものは、特別の経験と、勘というか、それはいけないということもございますれけども、必要なものであると思う。そういうふうな有能な人を、たとえば地方本部長の亜属のスタッフにするとか、地方の本部長のところに置いてそれを補っていく、そういう配慮があってもいいのじゃないかということを申し上げたのでございます。ひとつ御参考になるならば、御考慮を願いたいと思う次第でございます。  次にお伺いいたします。先ほど刑事犯につきまして統計的なお示しがございましたが、おわかりでございましたならば、青少年についての刑事事件、それについての増加の趨勢等お示しを願いたい。何も昭和の初めからでなく、昭和三十年ごろからでもよろしゅうございます。
  64. 日原正雄

    日原政府委員 いま補導しました刑法犯罪少年の数が年々増加しておりまして、三十七年に二十二万人、三十八年上半期では前年に比べましてさらに四%の増加を見ております。したがって、三十八年中の刑法犯罪少年数は、まだ統計をとっておりませんが、昭和三十七年のものを上回るものと考えられます。それから、三十七年度における犯罪者率、これは少年人口千人当たり一〇・八人、少年の刑法犯は成人を含めた全刑法犯の検挙人員の三五%を占めております。
  65. 華山親義

    ○華山委員 昭和三十年からを指数にしまして。
  66. 日原正雄

    日原政府委員 刑法犯の検挙人員でございますが、先ほどの数字は触法少年を入れておりますが、触法少年は別に申し上げるとして、刑法犯で申し上げますと、指数は三十年を一〇〇にして統計をとっておりませんけれども人員で申し上げますと、三十年が九万六千人、三十一年が十万人、三十二年が十一万人、三十三年が十二万人、三十四年が十三万人、三十五年が十四万人、三十六年が十五万人、一万人ずつふえて、三十七年が十六万人、こういう状況でございます。
  67. 華山親義

    ○華山委員 これには原則といたしまして交通違反は入っておりませんか。
  68. 日原正雄

    日原政府委員 交通違反は入っておりません。
  69. 華山親義

    ○華山委員 私最近、所得倍増計画等に伴って、少年等の犯罪が増加しているということに対しまして、いや、増加していないのだ、交通違反が増加しているのだというふうなことを耳にいたしましたけれども、そういうふうに理解すべきものかどうか、ひとつお示しを願いたい。内閣のほうに、何かそういうふうな報告でもお出しになったことがありますか。お聞きしたい。
  70. 日原正雄

    日原政府委員 先ほど、少年に限らず全刑法犯の統計をお示しいたしまして、この四、五年間ごくわずかずつ増加をいたしております。これは刑法犯でございますので、交通違反は一応含まれておらないわけでございます。特別法犯のほうで交通違反の数字は急激な上昇を示しております。ただ、刑法犯の中にも、業務上過失致死傷罪がございまして、この分は交通違反に関連するものでございます。その過失致死傷の分だけはこの刑法犯の統計数字に入っております。そこでこの刑法犯の、ここ四、五年間における増加の原因を分析してみますと、業務上過失致死傷罪が驚異的な伸びを見せておるということでございます。その他の犯罪につきましては、罪種別に分けますと、いろいろございますが、知能犯が減ってきておるとか、窃盗犯は全刑法犯と大体同じ傾向だということがございます。ただ罪種別の中で業務上過失致死傷罪が非常に伸びておる。これが増加した部分の約三分の二くらいを占める、こういう状況でございます。それから今度、検挙いたしました被疑者の年齢別を調べてみますと、少年の犯罪が非常にふえておる、こういうことでございます。
  71. 華山親義

    ○華山委員 私が一番心配するのは、いろいろな社会の事情もございまして、青少年犯罪が多くなるということが、一番社会の問題としては重要な問題だと思うのでございます。交通犯がふえたのであって、決して犯罪の傾向というものは悪くなっておらないというふうな考え方は、私は独断だと思う。私の心配するのは、青少年の犯罪がふえることなのである。私は政府のそういう楽観的なものの言い方というのは、たいへん不満でございます。この点は、別に警察の責ではありませんから、御答弁は要りません。質問を終わります。
  72. 森田重次郎

    ○森田委員長 栗山礼行君。
  73. 栗山礼行

    ○栗山委員 時間がございませんから、交通警察に関連いたしまして、三点ばかりお伺いをいたしたいと思うのであります。御承知の、近時の交通禍に伴いまして、通学児童を交通禍から守るという考え方から、自然発生的に、いわゆる今日の黄色いママさんという問題が都市及び旭辺に起こっておるのでありますが、この問題は、申すまでもなく都市集中、交通量の増大、わけても幼児の交通禍からくる今日のやむを得ざる母性愛から、これを守るということで発展をいたしたものと承知をいたすのでありますが、これを考えますと、今日これが一つ制度的なものに進んでおるやの傾向があると思うのであります。そのことは、児童通学に対する安全な交通行政のあり方に信を求めるわけにまいりませんので、これを一定の制度化いたしまして、せめて通学時における児輩を交通惨禍から防止しよう、こういう内容になっておるのであります。これは根本的に考えますと、こういう制度はいわゆるヒューマニティからまいりますやまれない一つのできごとでございますけれども、これを恒久化するということは、親が安心して通学時等における児童の交通の安全確保をはかるという見合った形がないところにこういう問題が起きておると思うのであります。そういう観点からいたしまして、これを安易な一つの姿でながめるということでなくて、黄色いママさんを、そういう恒久的な、制度化する方向にある交通禍の問題について、これに対する適切な処置がいろいろあろうかと思うのでありますが、これをどのようにとらえて、そして黄色いママさんの問題をながめていらっしゃるか、こういう基本について私はお伺いをいたしたいのであります。
  74. 浜中英二

    浜中政府委員 主管局長がおりませんので、かわりましてお答え申し上げます。  緑のおばさんとか黄色いママさんは、大体全国で一万二、三百名おるかと思っております。こういう方々の努力によりまして、学童の登校時等の交通安全が保障される、そういうような限りにおきまして、私どもから申し上げればたいへんにありがたいことでございますけれども、しかし御指摘のありましたように、本来、こういうような方々の自発的な交通補導制度によらないで、私どもの力によりまして交通事故をなくして、安全な交通秩序が保たれているという状態に持っていくことが、私ども交通警察の理想でございます。そういうような方向に今後努力いたしていきたいと思います。したがって、この制度がたいへんにいいからといって、警察の立場からこれをどんどんふやしていくとか、あるいは恒久化していくというようなことは考えておりません。ただ御指摘のように、当初はPTAなり婦人会等の自発的な交通補導制度として始まったわけでございますけれども、しかしながら、これがけがをした場合の公災とか労災の問題もありまして、大府県では有給職員として雇用するというようなところも見やられてまいっておるのでございます。これはあくまでも、こういう特殊な現状におきますやむを得ない措置だというふうに考えていきたいと思っております。
  75. 栗山礼行

    ○栗山委員 お説のようにこの問題は、通学児童について横断歩道の安全性を保つとか、あるいは通学児童を横断時における交通惨禍から守る特別な行政措置、もしくは通学児童専用の道路等、いろいろ問題に取り組んでおろうと思うのでありますけれども、やはり今日のような国の行政の施策血の貧困により、脳裏去ることのできないという一つの、不安から起きたものだと思うのであります。御指摘のように、毎日大きな負担をかかえております家庭の主婦が、これに毎日参加するということは困難でありまして、特定の人を専門化いたしましてその血判を分担する、こういう一つの傾向をながめてまいりますときに、まさにこれにあぐらをかき、依存をして、これを放置し、制度化するというようなことについては大きな問題点がある、こういうことでございまして、安全横断交通の確保を対象とする具体的な施策を立てて、そしてできるだけすみやかに黄色いママさんあるいは緑のママさんという方向をなくするという一つの施策をとっていかなくちゃならぬ、こういうのが私の結論になろうかと思うのであります。いわゆる交通警察官の一万及びその他の増員ということについては、今日の交通状況から申し上げましてやむを得ないことでありますけれども、きわめて見落とされた、こういう問題について真剣に取り組むという、意欲的な一つ内容を御検討を願わなければならない重要な一つの問題点であろうかと思いますので、この問題は可及的すみやかにこういう廃止の方向——親が安心して、児童の横断通行ができるという方向であわせて御検討をお願い申し上げたい、こういうふうに考えるのであります。  それからもう一点、交通に関連いたしまして、先ほどお話を伺っておりますと、交通事故において著しく違反案件が増加しておる。私はこれのつまびらかな年次別及び市種別の統計資料を持たないのでありまして、きわめて抽象論になろうかと思いますけれども、この問題についての解決策あるいはまた問題点もいろいろ指摘されましょう。しかし、わけて私は今日の近代化活といたしまして、都市の問題及び自動車の活用の問題ということについては、これは否定することはできない事実でありますけれども、その中で一番問題になりますのは、いわゆる二輪、三輪及び四輪車に対します免許制度のあり方に問題の一つの原因があるのじゃないか、こういうふうに考えるのであります。私は、時間がございませんから、みずから要約をいたすのでありますけれども、およそ今日の免許の基準につきましては、いわゆる技能的な面、それから同町に道路交通法におきますにおいづけの面、こういうことで学校教習やあるいは認可に対する一つの基本の姿勢になっておるところに私は一つの問題があろうかと思うのであります。これはやはり、二輪車にいたしましても、あるいは三輪車にいたしましても、各種四輪車にいたしましても、今日の交通道徳、そうして公共社におけるいわゆる人間としての一つの自覚、そういう単に技術やあるいは法規の問題で、安易に自動車に乗れるんだという今日の免許制度の中に、交通禍の問題を増大させている原因の一つがあろうかと思うのでありますが、免許制度についてあまりにも安易な、そうして形式的な内容をとられておるということについて私なりの見解を持つのでありますけれども、この点についてどのようにお考えになるか、これを一応承りたいのであります。
  76. 浜中英二

    浜中政府委員 実は運転免許の問題は、従来都道府県の公安委員会にまかせられておったわけであります。したがって、その免許の実際の試験やり方とかいろいろな問題が、各府県間で非常にアンバランスであった。とういうような状態では、今日交通事故防止の対策の上に一番大きな一つの盲点となっておるわけであります。したがいまして、この運転免許関係を、ある程度中央で政治的な基準をつくってこれを強力に指導していく、こういう一つの指導体制強化ということを私ども重点にいたしておるわけでございます。  そういうことで新しく三十八年度に運転免許課を設けまして、免許試験の基準をどういうふうに策定するか、あるいは教習所の内容について具体的な、細目的な基準をどのように定めるかということについて、目下積極的に検討を進めておる次第でございます。
  77. 栗山礼行

    ○栗山委員 方向づけのにおいだけ伺うのでありまして、これは指摘されましたように、地方公安委員会においての一つの所管事項である。ただし、今日の状況から見て、そういう行政指導の具体的な方向を進めてまいらなくてはならぬ段階、こういうことで行政、政治があとからこれに対処するような——病気になりまして、それの処方せんを書くというような、きわめて不満な内容のように私は理解をするのでありますが、やはり国家公安委員会及び警察庁が今日の状態からながめて、こういう一つの事態を招かない適正な行政の施策ということを前提に考えなくてはならぬ。こういうことについて私は官房長との間における見解の相違点を強く指摘せざるを得ないのであります。  問題の中心は、要するに今日の置かれておる事態については、御承知のとおり自家用車というものについて、乗りたい、乗ろうということで、学校へ行けば、その資格の大半が得られるというところに一つの問題があり、あるいはそれに安易に運転免許を付与するという条件のところに問題があると思う。もっと社会の公共性と、それから資格内容の条件についてひとつ教育指導をして、その面からの適正な処置をしていくべきだ、こういう望ましい一つの行政の方向を強く指摘いたしまして、この問題にあとからついてまいるというようなお医者さん的な役割りじゃなくて、医者に薬を求めない、一つの健康体をどのようにするかということが政治であり、行政の方向でなくてはならぬ。私の書生論法でありますけれども、こういう点を強く望みまして、そうして姿勢を正して、今日の交通惨禍の問題を解決するという方向に持っていってもらいたい。いわんや池田さんの所得倍増はなくて、十倍、二十倍というようなおそるべき交通事情に対して、近代人はすべからくノイローゼになっておる。こういう事態については、私は真剣にこの問題と取り組んでいただきたいということを強く要望申し上げたいのであります。  御意見がございましたら、そういう方向についての適正な御答弁を願えればまことにけっこうだと思います。
  78. 浜中英二

    浜中政府委員 運転免許制度の問題につきましては、国家公安委員会におきましても、会議のあるたびに真剣に論議されておる問題でございます。ただいま御指摘になりました点につきましては、私ども全く同じ考えでございますので、その線に沿いまして、せっかく努力精進いたしたいと考えます。
  79. 栗山礼行

    ○栗山委員 過日の早川自治相が再就任されましたときのごあいさつの中に、警察官待遇の問題、なかんずく、今日警察官の一番困っておる問題は、家族及び独身を含めての住宅問題である、こういう御指摘をされたのでありまして、私はその指摘について非常に敬意を表しておるのでありますが、今度の予算及び財政処置との関連もございますけれども、ことしの予算において独身者の休息する寮のあり方、あるいは一番痛切に感じております警察官の住宅等の具体的な計画あるいは内容というものが、そこに策定されておると思うのでありますけれども、もしおありでございましたら、そういう面についての御説明をお伺い申し上げたいのであります。
  80. 浜中英二

    浜中政府委員 警察の住宅の困窮率は、三十三年の統計でございますが、国民一般が一二・五%、当時警察は二〇・四%でありまして、逐次住宅問題を解決してまいりまして、最近では困窮率が一八・二%という状態になっております。大体全国で約二万世帯が住宅に困窮をいたしておるのでございますが、そのうち刑事、警備というような第一線の活動部隊の中心分野におきまして、警部補以下の者で七千九百八十四世帯困窮をいたしておるのでございます。今年じゅうに八百九十戸ばかり建設されますので、現在は七千九十三世帯が住宅に困っておる。この状態を一刻も早く解消いたしたいということで、これを二カ年間で解消する案を立てまして、予算の折衝を行なったのであります。  査定の結果といたしましては、二カ年計画を三カ年に延ばすということで、約七億五千万円の待機宿舎の建設が認められたわけでございます。これで決して十分だというふうには考えておりません。まだまだこれでは不足ではございますけれども、従来待機宿舎の建設につきまして予算的に盛られてまいりました額から比較いたしますと、ことしは約三倍半くらいの増加を見ることができたわけでございます。ただ、これは待機宿舎でございますので、これだけではとても不十分でございますので、さらに投資不動産による住宅の建設とか、あるいは地方債によるもの、住宅公団その他それぞれの施策を総合的に勘案いたしまして、大体三カ年でこの二万世帯のものをおおむね解消するという一つの目標をもちまして現在努力いたしておる最中でございます。
  81. 栗山礼行

    ○栗山委員 警察官の悩みの一つを、そういうふうに三年の年次計画でおおよそ完成をしたい、こういうことについては喜びをもってこれの実現を望みたい、こういう希望を申し上げるわけでありますが、なかんずく、その中には御承知のとおり遠距離通勤というものが非常に大きな悩みになっておる。そういう一つ内容を加味いたしまして、住宅建設の方向づけというものを御検討願っておるかと承知をいたしております。はなはだしいことになりますと、大阪の警官が和歌山県あるいは奈良県から通っておる。こういう待遇及び住宅難の諸条件から、そういう勤務、通勤の状況にある。こういうところも、単に戸数を見合っただけ合わすということでなくて、やむを得ざる通勤事情下に置かれておるということも加味いたしまして、今度の計画の内容に色づけをしていただきたい、こういう私の希望を申し上げまして、せっかくのいい計画の実現を望みたいと思うのであります。  私いろいろ私的に御懇談を申し上げるのでありますけれども、第一線の警察の幹部が一番悩んでおります点は、警察官の福利厚生施設の問題について、いろいろ私語としてプライベートに話を伺うのであります。近時、御承知のとおり生産管理、労働管理あるいは働く者の福祉、こういう方向づけから、企業体を中心といたします福利の施設が相当向上化の方向をたどっておることは、不十分ながら認めざるを得ないと思うのでありますが、これを対照いたしまするときに、警察官があまりにもいこいと潤いと、そういう内容のない貧困な状態に置かれておるということも、数字はございませんけれども、また実態であろうかと思うのでありますが、警察庁は、そういう前近代的な福利厚生施設の皆無にひとしいという内容ではなくて、どのような形において福利厚生施設の方向づけをなさろうとしていらっしゃるか、これについて御意見、具体案がございましたならば、お聞かせいただきたいと思うのであります。
  82. 浜中英二

    浜中政府委員 警察官待遇ということを考えます場合に、給与の問題とかあるいは施設とか車両とか宿舎とか、いろいろな問題が考えられるわけでありますが、わけても御指摘のように、警察官の福利厚生というような点につきましては、これまた非常に重要なことでございます。そういう点から、主として警察官の共済組合が中心になりまして、それぞれの府県に簡易な保養の施設とか、あるいは休養の施設とか、こういうようなものをつくっております。これはほとんど各県にでき上がっております。さらにまた大きな府県におきましては、いわゆる警察病院とか、そういうようなものの経営も行なっておるわけでございます。また日常それぞれ、本部に診療所等を設けまして、警察官の健康診断をはかっておるというようなことも行なっておるわけでございますが、今後警察官の健康という問題、それからそれぞれの厚生療養の施設、保養、こういうような点につきましてさらに力をいたしていきたいと考えております。
  83. 森田重次郎

    ○森田委員長 栗山さん、高橋交通局長がお見えになりました。もし何かありましたら……。
  84. 栗山礼行

    ○栗山委員 重複いたしますし、時間がなんでございますから、また別の機会に一対一でいろいろ御質問いたしまして取り組みたい、こういうことを残しまして、私これで終わりたいと思うのでありますが、指摘いたしましたように、福利施設については大まかな一つの方向づけをされておるということであって、他の企業体とあまりに格差がある福利厚生施設である。いわんや純真に第一線に立っておる下級警察官のそういう福利施設というものを、身近な問題として、これとひとつ具体的に取り組んでいただきたいということが私の要望いたしておる内容でございますので、それらについてもひとつ万遺憾のない肉づけをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
  85. 森田重次郎

    ○森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十八分散会